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1997-03-21 第140回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十一日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 伊藤 忠治君    理事 赤城 徳彦君 理事 岸田 文雄君    理事 熊代 昭彦君 理事 御法川英文君    理事 倉田 栄喜君 理事 西村 眞悟君    理事 金田 誠一君 理事 木島日出夫君       小川  元君    大石 秀政君       大野 松茂君    大村 秀章君       菅  義偉君    虎島 和夫君       野田  実君    桧田  仁君       平沢 勝栄君    山口 泰明君       渡辺 博道君    石井 啓一君       石田幸四郎君    鹿野 道彦君       鈴木 淑夫君    中野 寛成君       池端 清一君    近藤 昭一君       瀬古由起子君    深田  肇君       奥田 敬和君    遠藤 武彦君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君  出席政府委員         内閣官房内閣外         政審議室長   平林  博君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         管理局長    尾木  雄君         人事院事務総局         給与局長    武政 和夫君         総務政務次官  野田  実君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁長官官房         審議官     大坪 正彦君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         法務省入国管理         局長      伊集院明夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君  委員外出席者         法務省人権擁護         局総務課長   坂井  靖君         文部省初等中等         教育局小学校課         長       金森 越哉君         厚生省社会・援         護局地域福祉課         長       堀之内 敬君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      小原 正則君         海上保安庁灯台         部監理課長   山下 恭弘君         自治省行政局公         務員部公務員課         長       飛弾 直文君         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十一日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     山口 泰明君   佐藤 孝行君     大石 秀政君   池端 清一君     近藤 昭一君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     佐藤 孝行君   山口 泰明君     大野 松茂君   近藤 昭一君     池端 清一君     ――――――――――――― 三月十二日  元陸海軍従軍看護婦に対する処遇に関する請願  (臼井日出男紹介)(第六三三号)  同(江崎鐵磨紹介)(第六三四号)  同(大島理森紹介)(第六三五号)  同(丹羽雄哉紹介)(第六三六号)  同(御法川英文紹介)(第六三七号)  同(愛野興一郎紹介)(第七二〇号)  同(青木宏之紹介)(第七二一号)  同(江崎鐵磨紹介)(第七二二号)  同(尾身幸次紹介)(第七二三号)  同(大島理森紹介)(第七二四号)  同(小坂憲次紹介)(第七二五号)  同(御法川英文紹介)(第七二六号)  同(青木宏之紹介)(第七六五号)  同(大島理森紹介)(第七六六号)  同(柿澤弘治紹介)(第七六七号)  同(小坂憲次紹介)(第七六八号)  同(御法川英文紹介)(第七六九号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願池端清一紹介)(第六三八号)  同(大島理森紹介)(第六三九号)  同(木島日出夫紹介)(第六四〇号)  同(佐藤孝行紹介)(第六四一号)  同(東中光雄紹介)(第六四二号)  同(木島日出夫紹介)(第七一四号)  同(志位和夫紹介)(第七一五号)  同(辻第一君紹介)(第七一六号)  同(藤木洋子紹介)(第七一七号)  同(正森成二君紹介)(第七一八号)  同(石田幸四郎紹介)(第七五八号)  同(木島日出夫紹介)(第七五九号)  恩給欠格者救済に関する請願丹羽雄哉君紹  介)(第六四三号)  同(赤城徳彦紹介)(第七一九号)  同(赤松正雄紹介)(第七六〇号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第七六一号)  同(戸井田徹紹介)(第七六二号)  同(土肥隆一紹介)(第七六三号)  同(宮本一三紹介)(第七六四号) 同月十四日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願安住淳紹介)(第八五二号)  同(菅原喜重郎紹介)(第八五三号)  同(瀬古由起子紹介)(第八五四号)  同(中谷元紹介)(第八五五号)  同(中野正志君紹介)(第八五六号)  同(大村秀章紹介)(第九〇三号)  同(瀬古由起子紹介)(第九〇四号)  同(中野正志君紹介)(第九〇五号)  同(石破茂紹介)(第九六五号)  恩給欠格者救済に関する請願枝野幸男君紹  介)(第八五七号)  同(河本三郎紹介)(第八五八号)  同(近藤昭一紹介)(第八五九号)  同(杉浦正健紹介)(第八六〇号)  同(中川智子紹介)(第八六一号)  同(砂田圭佑紹介)(第九〇六号)  同(近岡理一郎紹介)(第九〇七号)  同(中村鋭一紹介)(第九〇八号)  同(稲垣実男紹介)(第九六六号)  元陸海軍従軍看護婦に対する処遇に関する請願  (青木宏之紹介)(第八六二号)  同(大島理森紹介)(第八六三号)  同(柿澤弘治紹介)(第八六四号)  同(小坂憲次紹介)(第八六五号)  同(松下忠洋紹介)(第九〇九号)  同(西村眞悟紹介)(第九六七号)  同(松下忠洋紹介)(第九六八号) 同月十九日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願石破茂紹介)(第一〇〇七号)  同(倉田栄喜紹介)(第一〇〇八号)  同(山原健二郎紹介)(第一〇五七号)  恩給欠格者救済に関する請願小池百合子君  紹介)(第一〇〇九号)  同(丹羽雄哉紹介)(第一〇一〇号)  同(山本幸三紹介)(第一〇一一号)  同(臼井日出男紹介)(第一〇五八号)  同(中村喜四郎紹介)(第一〇五九号)  同(中村喜四郎紹介)(第一〇八〇号)  同(丹羽雄哉紹介)(第一〇八一号)  元陸海軍従軍看護婦に対する処遇に関する請願  (西村眞悟紹介)(第一〇一二号)  同(松下忠洋紹介)(第一〇一三号)  同(西村眞悟紹介)(第一〇六〇号)  同(船田元紹介)(第一〇六一号)  同(松下忠洋紹介)(第一〇六二号)  同(松本善明紹介)(第一一〇一号)  同(中野正志君紹介)(第一一三八号)  同(福島豊紹介)(第一一三九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十二日  市民のための情報公開法の速やかな制定に関す  る陳情書  (第九一号)  元従軍慰安婦に対する国家補償に係る法の制定  に関する陳情書  (第九二  号)  政府主催による建国記念の日奉祝式典開催に  関する陳情書  (第九三号)  政府主導による建国記念の日開催反対に関する  陳情書  (第九四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)  総務庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号)      ――――◇―――――
  2. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び総務庁設置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨説明を聴取いたします。武藤総務庁長官。     ―――――――――――――  地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  総務庁設置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ただいま議題となりました地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び総務庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  初めに、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  現行地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、昭和六十二年に一般対策への円滑な移行のための最終の特別法として制定されたものであり、平成四年の一部改正を経て、本年三月末日をもって効力を失うことになっております。  顧みますと、同和対策事業特別措置法制定以来、地域改善対策特別措置法及び現行法に基づく過去二十八年間にわたる関係施策推進の結果、生活環境改善を初めとする物的な基盤整備がおおむね完了するなど、さまざまな面で存在していた格差は大きく改善され、これまでの特別対策についてはおおむねその目的を達成できる状況になっております。  しかしながら、一部の物的事業について、既に着手済みであるものの現行法期限までに完了することが困難な事業が見られ、また、一部の個人給付的事業及び相談員指導員等を配置している事業について激変緩和的な観点からの配慮が必要であることかも、政府といたしましては、昨年五月の地域改善対策協議会意見具申を尊重し、特別対策は本年三月末をもって終了することを基本としつつ、十五の事業に限って経過的に法的措置を講ずるよう昨年七月二十六日に閣議決定をいたしました。今般、この閣議決定に基づき、一般対策への円滑な移行のための経過措置を講ずることとし、この法律案提案することといたした次第であります。  次に、この法律案概要について御説明を申し上げます。  第一に、地域改善対策特定事業平成四年度以降特例的に実施されているもののうち、着手済み事業など平成九年度以降においても実施することが特に必要と認められるものを政令で定め、当該事業に係る経費に対する国の財政上の特別措置をさらに五年間講ずることといたしております。  第二に、五年後において、現に高等学校等進学奨励費補助事業により奨学金の貸し付けを受けている者について所要経過措置を設けることといたしております。  なお、この法律は、交付の日から施行することとしております。  続きまして、総務庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  平成七年九月、「審議会等透明化見直し等について」が閣議決定され、この中で、行政簡素化効率化等を図るため、過去五年以上委員任命されていない審議会等及び設置後十年以上経過した審議会等について、所管省庁必要性を再検討した上で、その結果を明らかにし、所要措置を講ずることとされました。  総務庁といたしましては、本閣議決定趣旨に従い検討を行った結果、公務員制度審議会廃止することといたしました。また、あわせて所要規定整備を行うため、総務庁設置法改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、総務庁に置かれている公務員制度審議会廃止するため、同審議会に関する規定を削除することといたしております。  第二に、その他所要規定整備を行うこととし、総務庁設置法の「老人」の用語を「高齢者」とする等の改正を行うことといたしております。  なお、この法律は、平成九年四月一日から施行することとしております。  以上が、両法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。     ―――――――――――――
  4. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
  5. 石井啓一

    石井(啓)委員 おはようございます。新進党の石井啓一でございます。  まず最初に、今御提案ございました地対財特法の改正に関連をいたしまして、法務省の方に御質問をいたします。  昨年の臨時国会人権擁護推進法が成立をいたしました。この法律目的といたしまして、「社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別発生等人権侵害の現状その他人権擁護に関する内外の情勢にかんがみ、」云々、このようにされておりまして、いわゆる部落差別も含め広く人権擁護に関する事項を扱うというふうに承知をしております。  また、この法律は近々施行予定というふうに聞いておりますが、この人権擁護推進法に基づいて人権擁護推進審議会設置されることになります。この審議会設置のための準備状況とまた審議会でどういうことが扱われるのか、法務省の方からまず説明をいただきたいと存じます。
  6. 坂井靖

    坂井説明員 お答えいたします。  審議会準備状況でございますが、現在法務省におきまして、関係省庁であります文部省及び総務庁とも協議しながら審議会委員人選審議会に諮問する事項検討等を鋭意行っているところでございます。  なお、審議会委員人選につきましては、審議会委員候補者選考分野検討を行いまして、具体的な委員候補者について文部省及び総務庁と協議しているところでございますが、できるだけ速やかに候補者を内定して委員任命したいと考えているところでございます。  次に、審議予定事項でございますが、御案内のとおり二つございます。いずれも現在検討中でございますが、まず、「人権尊重理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項」、これにつきましては、人権に関する教育啓発体系及び理念実施体制整備等を御審議いただく方向検討しているところでございます。  もう一つの審議事項のうち、「人権が侵害された場合における被害者救済に関する施策の充実に関する基本的事項」、これにつきましては、被害救済に関する行政機関司法機関との役割分担人権侵犯事件調査処理制度人権擁護委員制度を含みます人権擁護機関のあり方を含めて、人権擁護制度全般にわたりまして総合的に御審議いただく方向検討しているところでございます。
  7. 石井啓一

    石井(啓)委員 この審議会法律施行になりましたら、間を置かずになるべく早目設置をして御審議をいただきたいと思います。  続いて、この人権擁護推進審議会検討される事項といたしまして、私は、いわゆるマスコミによる人権侵害、こういうこともぜひ扱っていただきたいと思うのであります。  あの松本サリン事件、第一通報者河野さん、この方は当初犯人扱いをされました。マスコミで連日報道をされました。その後、河野さんへの疑いが晴れまして、謝罪もされたようでありますけれども、本人やあるいは家族の精神的な苦痛は大変なものであったと思います。また、我が国ではいわゆる名誉毀損に対する損害の賠償というのは非常に低い、こういう指摘もございます。  人権擁護推進審議会でこのような点もぜひ検討をいただきたいと存じますが、法務省の見解を伺います。
  8. 坂井靖

    坂井説明員 委員が御指摘されたとおり、マスコミ報道等による人権侵害の問題につきましても、本審議会で御審議いただくことになるものと考えております。
  9. 石井啓一

    石井(啓)委員 その点につきましては、よろしくお願いをいたしたいと存じます。  それでは、総務庁設置法の一部を改正する法律案に移りまして質問をさせていただきます。  今回の改正案の中では公務員制度審議会廃止が大きな事項でございますが、御説明によりますと、昭和四十八年の答申提出以来、委員任命及び会議開催がなされていない、こういうことで審議会廃止する、こういう説明であります。  廃止自体は結構なことかと思いますけれども、四十八年以降、約二十四年間ですか、開催されていないにもかかわらず、なぜ今まで存続してきたのかと、むしろこちらの方が疑問でございまして、もっと早く措置をすべきではなかったか、こんなふうに考えているわけでありますが、この点について総務庁、いかがでありましょうか。
  10. 菊池光興

    菊池政府委員 お答えさせていただきます。  公務員制度審議会、ILO八十七号条約、結社の自由及び団結権の保護に関する条約でございますけれども、この批准案件国会における審議過程で、国家公務員地方公務員労働関係基本に関する事項について早急に専門的検討を行うということで、昭和四十年に設置されたものでございます。昭和四十年に設置されて以来昭和四十八年まで、三次にわたります審議会開催されまして、三次にわたる答申等を行ったわけでございます。  御指摘のとおり、昭和四十八年九月三日、答申を行って以来、委員が発令されず、また開会がされていないということは事実でございます。  この答申を受けまして、政府といたしましては、順次その内容につきまして対処をしてきたところでございますが、このような中で、御指摘のようにずっと開店休業状態というのが続いておりまして、平成七年九月「審議会等透明化見直し等について」という閣議決定を受けまして、その方針に基づいて見直しを行った結果、廃止することといたしたわけでございます。  遅きに失したではないかというようなおしかりもあろうかと存じますが、そういうようなことを踏まえて、閣議決定方針に基づいて、政府方針に基づきまして慎重に検討した結果、今回このような法案を御提出させていただいて御審議いただいているところでございます。
  11. 石井啓一

    石井(啓)委員 最近は行政に対して、何もやらないということに対しても批判は強いわけでありますから、こういったことを十分反省をしていただきまして、今後はよろしくお願いしたいと存じます。  この公務員制度審議会ではもともと、国家公務員及び地方公務員労働関係基本に関する事項について調査審議する、こういうふうにされてきたわけでありますが、今回これが廃止ということになりますと、今後、国家公務員地方公務員、それぞれの労働基本権に関しての調査審議はどこで行われることになるのか、伺いたいと存じます。
  12. 菊池光興

    菊池政府委員 国家公務員労働基本権につきまして、全体の奉仕者であるというようなその地位特殊性あるいは職務公共性というものにかんがみまして、国民全体の共同利益の保障という見地から、一定制約を免れ得ないというふうにされております。  具体的には、公務員勤務条件は、民間のように労使交渉により決定するということではなく、国民代表者でございます国会の御判断による法律で定めることとされております。非現業職員につきましては、職員団体を結成し交渉を行うことができるけれども団体協約締結権及び争議権は認められておらないところでございます。  ただ、国家公務員といえどもやはり勤労者でございますので、その基本的な、憲法で保障する労働基本権、これを制約するということの代償措置といたしまして、給与勤務条件につきまして法律で周到な規定を設けていただいております。また、それに基づいて人事院という中立第三者機関を設けまして、給与勤務時間その他の勤務条件について、情勢適応原則により、国会及び内閣に対する勧告または報告というものが義務づけられているところでございます。  そういうようなことで、公務員につきましては、その地位特殊性職務公共性、適切な代償措置存在等にかんがみ、国民全体の共同利益見地から、一定制約を免れ得ないものである、こういうことでございます。  政府といたしましては、労働基本権制約代償措置としての人事院勧告制度というものが十分に機能するように維持尊重するという基本姿勢に立って対処してきているところでございますし、今後とも労働基本権については現行制度により対処していくという考え方でございます。  そういうことで、平成九年度に設置予定しております公務員制度調査会におきましては、国家公務員人事管理システム全般にわたって調査審議を行うということを考えておるわけでございますけれども、具体的な審議事項については調査会審議過程決定されるべきものと考えております。  ただ、その中におきまして、労働関係につきましても検討対象になることについて除外されるというものではないであろう、こういうふうに理解しておるところでございます。
  13. 石井啓一

    石井(啓)委員 地方公務員はどうなるんですか、地方公務員労働基本権
  14. 菊池光興

    菊池政府委員 地方公務員につきましては、伺うところによりますと、自治省地方公務員に関する検討を行うための組織を、研究会を設けられる、こういうようなことでございます。そういうふうに伺っております。  今回私どもの考えでおります公務員制度調査会というのは、総務庁に置かれるものでございます。総務庁所掌事務からいたしまして国家公務員というものを対象にいたしております。  自治省におかれましては、地方公務員ということをやっておられるわけでございますけれども、この間、同じ公務員制度ということで、やはり基本的な部分について相当程度重なる部分がございます。ただ、また逆に、地方自治原則というようなことで地方公務員独自の部分もございますから、そこの部分については、それぞれの主体性を持ちながらも相互十分連携をとりながらそれぞれの議論が進められるもの、こう考えております。少なくとも、私どもの方としては、自治省とも十分連携を密にしながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  15. 石井啓一

    石井(啓)委員 ところで、今回公務員制度審議会廃止、これは総務庁設置法に基づく審議会でありますが、新たに総務庁組織令政令に基づく公務員制度調査会設置することになります。  いわゆる審議会について、法律設置するものと政令設置するものと二種類あるわけでございますね。国家行政組織法第八条の中でも、法律または政令の定めるところにより審議会等を置くことができるとされておりますけれども、そもそも、この法律設置政令設置というのは、どういう区分けの基準でこういうふうになっているのか、及び、それぞれの数がどのように推移をしているのか御説明をいただきたいと思います。
  16. 陶山晧

    陶山政府委員 御説明させていただきます。  国家行政組織法第八条によりまして、ただいま先生の御指摘のとおり、法律または政令の定めるところにより審議会等設置するとなっております。法律に基づいて設置されるものはどういうものかということでございますが、まず、みずから国家意思決定、表示する機能を含むもの、また審議会等構成員国会議員を充てることとされているもの、それから国会同意等構成員任命について特別の定めがあるもの、設置省庁以外の関係大臣から諮問を受ける等設置省庁所掌事務の範囲を超えるもの、また各実体法におきましてその規定体系の一部として審議会等設置所掌事務等規定する必要があると判断されるもの、こういうものについて法律を根拠とするということになっております。  審議会等設置数でございますが、国家行政組織法改正されました昭和五十九年で申しますと、昭和五十九年度末の時点では二百十四でございました。うち法律に基づいて設置されるものが百四十九、政令に基づいて設置されるものが六十五でございました。現在時点では審議会等総数は二百十八ございますが、このうち法律設置が百四十七、政令設置が七十一という数字になっております。
  17. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、今確認をしたところなんですが、新たに設置をされるこの公務員制度調査会、ここでは国家公務員に関する制度について審議を行うというふうに聞いておりますけれども、これは非常に幅広い内容でありますが、具体的にどのような事項について検討するのか、説明をいただきたいと思います。
  18. 菊池光興

    菊池政府委員 お答えいたします。  国家公務員制度、戦後の大きな民主的な改革の中で、昭和二十二年であったと思いますが、国家公務員法というのが戦後の民主的な公務員制度を創設するということで制定されてから、ちょうど今年で五十年になります。この五十年間、公務員あるいは行政をめぐる諸環境の変化というのはまことに著しいものがあることは申し上げるまでもないことでございますが、こういうような行政及び公務員をめぐる諸環境、経済社会の変化というものの中で、やはり公務員制度につきまして、国民の信頼確保、国民に奉仕する行政ということで国民の信頼を確保するということを基本としつつ、行政の総合性の確保でありますとか、あるいは専門性の高まりというようなもの、あるいは公務の活性化というようなもの、あるいは民間における雇用環境の変化というようなもの、こういうようなさまざまな変化が出ております。こういうようなものに対応するということが必要でございますので、国家公務員の人事管理のシステムのあり方全般について、この際調査審議をお願いしよう、こういうふうに思っておるところでございます。  先ほども申しましたが、具体的な審議事項につきましては調査会審議の過程の中で決定されるべきものである、こういうふうに考えておりますが、こういう点を考え、ただいま申し上げましたような経済社会の変化あるいは現在の行政公務員に求められている課題というようなものを踏まえて考えますと、能力、実績を重視した人事管理への転換とかあるいは業務の専門高度化に対応した職員の能力開発のあり方だとか、あるいは簡素で効率的な行政組織に対応する職員の勤務の形態であるとか、あるいは昇進管理の問題というようなものも含めて、それから専門性の高度化というようなことに対応する専門職制のあり方というようなものが幅広く対象となってくるもの、こういうふうに考えております。
  19. 石井啓一

    石井(啓)委員 私、幾つがこの公務員制度調査会検討される事項として御提案を申し上げたいと思うんですけれども、昨年の十二月五日の本委員会でも武藤長官に御提案を申し上げたところでありますが、まず、一括採用ですね、一括採用。  これは、昨年の長官の御答弁の中でも、傾聴すべき案ではあるが、一方、優秀な人材が、一括採用ということで自分の希望するところに行けないということになると来なくなるんじゃないかという心配がある、そういうこともございました。  確かにそういうこともあろうかと思いますけれども、そういう懸念を少し軽減するために、私が御提案申し上げましたのは、例えば、省庁を太くくりにした幾つかのグループごとの採用ということを考えてみたり、あるいは採用した上で研修をやって、その研修後に配属先を決めるとか、こういういろいろなアイデアもあるのではないかというような御議論も申し上げましたけれども、こういったことも踏まえまして、この調査会で採用についても御検討いただきたいと思いますが、長官、いかがでございましょうか。
  20. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今御指摘のとおりで、先回の委員会で、私、そのようなことを申し上げました。  しかし、一括採用というものもいろいろ今議論されている一つのテーマでもございますので、公務員制度調査会が、予算成立後四月にでも大体発足させていただく予定でございますので、幅広い観点から人事管理システムを見直していくわけでございますから、当然こういう問題についてもその公務員制度調査会の中で議論をしていただければと思っております。
  21. 石井啓一

    石井(啓)委員 例えば、一括採用について、長官が御指摘されるようなそういう懸念もありますので、いろいろ調査をする中で、例えば学生とか受験生にアンケート調査を実施してみるとか、実際にどういうものであるのか、こういう実態の調査も踏まえていろいろ御議論をいただければと思います。  いずれにしても、今後縦割り意識を排除して、行政全体の公務員だ、こういう意識を醸成をしていくということが非常に大切かと存じますので、この点について真剣に御議論をいただきたいと思います。  次に、天下りでありますけれども、これも昨年長官と議論をさせていただいたところでありますが、これは、天下りをなくすというか、私も申し上げておりますけれども、天下りをしなくても済むといいますか、なるべくしなくても済む、そういう人事制度をつくっていくということが非常に重要であろう、こういうふうに思っておりまして、特にこれは定年制の問題が非常に絡むわけでございますが、幹部公務員の定年延長の問題等々も含めまして、天下りをしなくても済む人事制度、こういったものもぜひ御検討いただきたいと思います。  長官、いかがでございますか。
  22. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 天下りというのが決してよくないということはいろいろ指摘をされておりますし、現に特殊法人の中でも、たくさんの人たちが役所から行っているという現状を見ますときに、これは、やはり見直しをしていかなければいけないのは当然だと思います。  ただ、今もお話のありましたように、今までは、定年が六十歳でありましても五十歳そこそこになると、肩たたきというか勧奨退職といいますか、もうそろそろというようなことが行われているという現実の姿、こういうものを見直していかなければいけないんじゃないか。そうなってくると、今お話しのように、定年の問題をもう少し、六十歳が定年であればやはり六十歳まで勤めていただけるような仕組みというのを、仕組みといいますか慣習と申しますか、そういう方向へ持っていくような努力をすべきではないかなと思います。  あるいはまた、実際そういうことではなくて、本人自身が、今の世の中は昔と違って、職業の選択という点においては案外今の方はドライになってこられましたので、役所に勤めているよりはこういうところへ行って自分は大いにもっと自分の能力を発揮した方がいいという場合は別だと思いますけれども、本人の意思ではなくて、いわゆる上司というか上役から、そろそろおまえはどこへ行ったらいいかというようなことは、できるだけやめていくという方がいいと私は思っております。こんな問題についても、当然、公務員制度調査会では御議論いただけるものと思っております。
  23. 石井啓一

    石井(啓)委員 もう一つ、不祥事の際の退職手当の取り扱いでございますけれども、厚生省の不祥事では、百万円の現金授受を認めた審議官が懲戒免職になって、この方は退職金を受け取れないということなんでありますけれども、一方、何千万円もの収賄容疑で逮捕された事務次官が、これは、逮捕前に依願退職をしたということによって高額の退職金が支払われる、こういうことになっておりまして、何といいますか正直に認めた人間が懲戒処分を受けて退職金ももらえない、そうでない人間が高額の退職金を受け取ることができる。これはどう考えても納得できない。国民感情からしても、どうなってしまっているんだろう、こういうことかと思います。  今の制度上は、本人が辞退をしない限りそういうふうなことになっているのかもしれませんけれども、そもそもは、退職願を受理すべきではなかったんじゃないかという指摘があるわけでありますけれども、こういうふうに不祥事を起こした際に、既に支払われた退職手当の返還を求められるように、この際、制度改正検討していただきたいと思います。この点について、いかがでございますか。
  24. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今御指摘のことがいろいろございました。あの事件の起きたときも、マスコミでは、泥棒に追い銭じゃないかというような表現まであったわけでございます。  私としても、そのようなことは大変遺憾なことでございますので、この間の倫理規程をつくらせていただいて、各省庁が倫理規程をつくっていただきましたけれども、そういう疑惑のある場合には、いわゆる退職願をすぐ受け取らないようにしようという仕組みはあの中には一応書いてございますが、しかし、これはあくまでも法律に基づいているものではございません。いわゆる法規範性は持っている訓令ではございますけれども法律ではございませんので、やはりこれは退職手当法を見直していくべきではないかということで、私は法律改正を強く考えておりまして、今人事局長の方に指示をして、人事局長のもとで法律改正方向で議論を詰めていただいております。  もう相当詰まってきたようでございますので、この国会にはぜひ提案をさせていただいて御審議をいただき、成立をさせていただければ、私はこう考えております。
  25. 石井啓一

    石井(啓)委員 それは、ぜひよろしくお願いしたいと存じます。  人事院にお聞きしますが、ちょっと先ほどの天下りの問題に戻りますけれども、今人事院で、事務次官の定年年齢の引き上げを御検討されている、このように聞いておりますけれども、実情がどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  26. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  昨年の人事院勧告の報告におきまして、公務における幹部職員がちょっと早期に退職している慣行がある、これを見直すべきではないかということを言及させていただいたわけでございます。  このように、早期の退職慣行というのは、確かに、公務組織の活力を維持するという面もございます。しかしながら、これから高齢化社会、行政の複雑、高度化が進んでまいります中で、今後在職期間の長期化を図っていくべきではないかというふうに考えておるところでございます。  ただ、幹部職員の退職管理のあり方につきましては、これは、すぐれて各省の人事運用の基本にかかわる問題でございまして、在職期間の長期化に向けて人事院としても総合的に検討を進めているところでございますが、事務次官について特例定年を設けるということは、これを通じまして、局長以下の幹部職員の退職年齢が全体として徐々に上昇していく効果があるのではないかということを考えたわけでございます。  しかしながら、それがためには、公務部内におきます昇進コースの多様化を考えたり、あるいは、幹部職員をスタッフ職としてこれから活用していくとか、総合的に取り組む必要がございまして、人事管理政策の全体像の整理の推移を見て、適切な時期に実行してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 石井啓一

    石井(啓)委員 今総裁から、適切な時期というお話がありましたが、これは、人事院規則の改正でできるんですよね。  実は、この件について与党の中で異論が出ていて、人事院さんが今根回しに御苦労されている、こんな報道があるわけでありますけれども総務庁長官、今のこの件について、長官はどんな御見解でございますか、事務次官の定年の引き上げ。
  28. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 人事院がいろいろと検討の上で今進めておられるわけでございますから、私がとやかく言うべきではないかと思うのでございますけれども、ただ、問題は、正直、事務次官だけ定年延長してしまった、あと大体、事務次官にその次になりそうな人というのはいろいろあるわけでございますが、その辺のところの問題も一緒に考えていかないと、やはり事務次官だけをぽんと六十二なり六十三に上げてしまっていいのであろうか。  やはり人事管理全体からまいりますと、もう少しその辺も含めて御検討をいただく必要はあるのではないかと私は率直に思っております。
  29. 石井啓一

    石井(啓)委員 何といいましょうか、公務員全体の定年、今六十ですね。公務員一般についてこれを上げるというのは、なかなかまだ社会的な認知はなされていない。民間企業でも、六十を超える定年というのはなかなかないと思うのです。今議論になっておりますのは、いわば幹部公務員だ。民間企業でいえば、役員クラスの方なんですね。役員クラスというのは、御承知のとおり、民間企業でも、一般の社員と役員とは全く扱いが違っているわけでありますから、役員クラスについて定年を今どうするか、幹部公務員について定年をどうするかという議論なわけです。  今総裁もちょっと説明しましたけれども、事務次官の定年が今六十で、実態は五十八歳から五十九歳ぐらいで大体おやめになっている。六十を例えば六十二歳ぐらいでお考えになっているようですけれども、これを上げるということは、当然局長クラスとか審議官クラスというのはそれにつれて退職年齢が上がるということになるわけでありますから、人事院が今お考えになっていることは決して事務次官だけのことではなくて、それにつれていわゆる幹部公務員の早期勧奨退職を是正していく、そういう意味では、私は評価できるのではないかと思うのですね。もっとも、これだけやっておいて後は何も考えないということでは、それはいかがなものかと思いますけれども、いわゆる天下り問題を考える端緒になるといいますか、まず第一歩としてこれはやってもいいのではないかと私は思っているのです。どうでしょうか、長官。
  30. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、この間たまたま人事院でいろいろ御検討いただいていたときには、何か事務次官の問題だけがぽんと出てきた感じだったものでございますから、先ほど申し上げたような答弁を私は申し上げたわけでございます。  今御指摘のとおりで、幹部職員全体の引退問題として定年が六十歳まであるのではないか、そうすれば、少なくとも幹部職員で、自分の意思としてはぜひその職場で働いていきたいという気持ちの人はなるべく定年まで働けるような仕組みを、全体の人事管理の中で何かそういうシステムができ上がってくれば、当然そういう事務次官の定年を延長するということは考えられるのではないか、その辺の議論を詰めないうちに事務次官の定年だけを云々するというのはいかがなものかというような感じを、私は先ほどは率直に申し上げたわけでございます。
  31. 石井啓一

    石井(啓)委員 今長官が御指摘されましたように、確かにそれも大切なことだと思うのです。といいますのは、何といいましょうか、今はポストがだんだん上に行くと少なくなりますから、審議官から局長局長から事務次官になれば同期の人間はどんどんやめていく、だからやめざるを得ない、ですから全体を少し上げればそれにつれて上がるという議論なのですけれども、それと同時に、もともと六十までの定年をきちんと全うできるように考えたらいいのではないか。それも確かに考えなければいけないことだと思いますけれども、言いましたように、事務次官の定年が引き上げになるということは、これが早期退職の是正の大変大きな契機になる、私はこういう意味で評価いたしたいと思いますので、その点について十分お考えいただきたいと思います。  続いて、梶山官房長官にお聞きしますけれども公務員に関してでありますが、公務員賃金の凍結について長官が言及をされた、他の閣僚、労働大臣から異論が出たというように報道されておりますけれども、長官の発言の真意をお聞かせいただけますでしょうか。
  32. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 どこからそういう話になったのか、実は私もけげんでなりません。私が公務員給与の凍結を打ち出し、他の閣僚から異論が出たということでありますが、閣議もしくは閣僚懇等で問題になったことはございません。  あるいは、委員お目にとまったかとも思いますが、三月十三日の夕刊で、「公務員ベア凍結検討 議員歳費もカット 政府・自民 財政再建へ率先」ということで、橋本総理の顔写真入りでこんな新聞が出まして、これを記者会見で質問をされまして、私も実はそれを見ておりませんで慌てたのですが、しかし、こういうことは今考えられていることはない。昨年に出された人事院勧告は、協議の結果、完全実施を打ち出しておりますから、ことしの三月まではその人事院勧告に従った給与が実施されておりますし、まだ来年は勧告が出ておりませんから、勧告をどう受けとめるかどうかという問題は別な問題である。  しかし、昨年の経緯をお話し申し上げまして、関係閣僚や給与担当の閣僚会議の中で、中身はこれを申し上げないことになっておりますから申し上げませんが、指定職というか、あるいは管理職、この財政窮乏の折から、若干でもそういうものの一部の延伸ないしは凍結ができないかどうかという議論があったことはございますということを私は申し上げましたし、何年か前、正確なあれはメモにありますけれども、いずれにしても、財政再建その他の事由のときに、この人事院勧告の繰り延べや、あるいは一部短縮や、あるいは凍結を行ったことがあるという現実、そういうものを踏まえますと、こういう議論が新聞に出たから申し上げるわけではありませんが、そういうことの議論を妨げることはできない、議論を抑えることはできないという旨のことを申し上げたことはございますし、これは関係の閣僚の方には、そういう趣旨で記者会見の場で問いに答えたということで御了解をちょうだいいたしております。
  33. 石井啓一

    石井(啓)委員 今長官もおっしゃったとおりで、人事院勧告公務員労働基本権制約されている代償措置ということでありますから、私は人事院勧告をやはりきちんと実施するというのが本来のあり方だと思うのですね。過去においていろいろ繰り延べしたということはあると思いますけれども労働基本権制約した上でそういうことがあるというのはフェアではないのだろう、私はこんなふうに思います。むしろ、この行政改革の流れの中で公務員の人件費をどう抑える、あるいは削っていくかということが恐らく非常に大きな問題であろうと思うわけでありまして、人事院勧告というよりは、むしろ公務員の数の削減の方が本来はもっと真剣に考えるべき事項ではないかと思うのですけれども、長官、これはいかがでございますか。公務員の削減というものにつきましては政府として真剣に取り組むべきじゃないかと思いますけれども、梶山長官、いかがですか。
  34. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 軽々に申し上げる問題ではございませんが、一昨日、総理が出された財政構造改革の中には、「定員及び人件費の抑制について検討する。」という条項が一項入っております。これは絶えず見直しをしなければならない問題でございまして、つい悪口になりますが、休まずおくれず働かすという公務員の定義があるというふうによく民間では言われますが、やはり能率を高めるということになれば、同じ人数よりは人間が少なくて済むはずであります。それは絶えず見直しをしなければならない。  それから、今の御議論の、例えば定年制を完全に実施をすれば、あるいは次官クラスを延ばせば、それに従って定数をどうするかという問題が一つ出てくるわけであります。  昨年来議論になりまして、実は昨年、既にいわゆる上級職の採用人数を決めてしまった後でございますが、いろいろな行政改革をやる手法の上で、中身に入っていろいろ立ち入ることよりは、むしろ入り口を押さえれば必ず中身はスリムになるはずだという、これは大変含蓄の深い、上級の公務員管理職の方に教わって、私の口からは申せませんがということで、民間はどの会社でもリストラをする場合はまず採用人員を抑制する、そこから始まりますということで、私は上級職を三割削減したらどうだと、それは閣議では大賛成を得ましたけれども、事実上既に内定を出し、各省庁の体制が整いませんので、この春の採用は一割ということにいたしてありますが、明年度以降は三割の削減を行うこと、これは例えば定年制を延長というか事実上定年制の完全実施をする場合でもそういう措置がとられないと国民に対する義務の不履行になる、そういうことがございますので、私はやはり行政事務はなるたけふやさない、むしろ減らしていく、そのためには定数の管理も万全にしていかなければいけない、その他トータルの人件費は同じであってしかるべし、こういう考えを持っております。
  35. 石井啓一

    石井(啓)委員 上級職のみならず、公務員全体についても数の削減ということを真剣にお考えをいただきたいと思います。  それから、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、続いて公務員の倫理の問題について御質問します。  昨年、公務員倫理規程、これができましたけれども、これによって、武藤長官、公務員の不祥事の再発防止というのは十分でございますでしょうか。
  36. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 公務員の今度の倫理規程につきましては、マニュアルを私の方である程度つくりまして、それを各省庁の、いわゆる監督権限を持っておられる各省庁の大臣にお願いをして、それぞれの各省庁で公務員倫理規程をつくっていただいたわけでございます。  あれを見ていただくと、大体従来とちょっと違う点があるのは御理解いただけると思うのでございますが、従来は常時のチェック機能というのはなかったと思うんです。今度は公務員の服務管理官というもの、総括服務管理官並びに一般の服務管理官、これは人事課長とかそういうのが相当すると思うのでございますが、常時チェックをしていくということにいたしておりますし、もし何か非常に、少し細か過ぎるくらいの、いろいろの業者等との間のつき合いがなけりゃいけないというものもありますが、その判断のつきかねる場合にはできるだけ事前に相談をしなさいというような形にもなっております。  それからもう一つの大きな問題は、懲戒処分に付すべきというような疑念がある場合には、退職願を出してきてもそれをしばらく保留をしていくとかというようなことも一応今度の倫理規程の中に入れてございますし、私どもとしては、本当に公務員の皆さんが国民全体への奉仕者であるというしっかりした意識を持っていただければ、あれだけ細かいところまでやっていけばまあまあいいんではないかと思っております。  ただ、正直、私ども閣僚懇談会の中でもいろいろ議論が、問題を提起いたしましたときに出まして、公務員倫理法を制定したらどうか、こういう意見もございました。ただしかし、法律をつくるだけが目的ではないのであって、公務員が、きちんと倫理を守っていただいてその職務に忠実に働いていただくということの方が大切なんで、とりあえず今の倫理規程を徹底をさせていただくということで見守ろう、こういうことに現状はなっておるということを御報告申し上げて、御理解いただければと思います。
  37. 石井啓一

    石井(啓)委員 質問時間がもうなくなりましたので、最後ちょっとまとめて、申しわけありませんが、お聞きしますけれども、この公務員倫理規程、私も読ませていただいて、関連業者とは一切会食、接待、金銭の授受等を禁ずるということで、これは大変厳しくなっております。これはこれで結構だと思うのですけれども、ただ関連業者というのがどういうものかという、ここに私は抜け道になるところが若干あるんじゃないかと思うのですね。この関連業者というのをどういうふうに定義をするか。  今でこそ非常に世間の目が厳しくなっているから厳格に扱うとしても、だんだん日がたつにつれこの運用が緩んでくるんではないかということもありますでしょうし、またやろうと思えば、関連業者が関連でない業者を使った、迂回させてやるというようなことも、悪知恵を働かせれば考えられないこともないわけでありまして、私は、関連業者でなかったとしても一定の基準を設けて、例えば一万以上の贈り物を受けた場合は全部報告義務を課すだとか、そういうことをやって初めて、何というんでしょうか、趣旨が全うできるんじゃないか。関連業者が非常に厳しくなって、それ以外のものが何にも手当てされていないというところに若干私は抜け道があるんじゃないかというふうに懸念されるのが一つ。  もう一つは、アメリカの政府倫理法もそうなんですけれども、幹部公務員に対して資産の報告義務を課しています。給与外の収入や資産報告義務を課すということも考えたらどうか、こういうことを考えていきますと、やはり最終的には法律が必要なんじゃないかということになっていまして、残念ですけれども、やはり厳しい罰則がないと実効が確保できないんじゃないかそういうことを考えますと、最終的には公務員倫理法というものが必要なんじゃないか、こんなふうな考えがございますが、これについて最後、長官の御見解を伺いたいと思います。
  38. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 アメリカの法律もそういう形で資産公開、特に幹部の資産公開をやらせているわけでございますから、一つの考え方として私は理解ができます。ただ、日本の場合とアメリカの場合と、公務員の制度も違っております。特にアメリカの場合には、大統領がかわりますとほとんど幹部職員も全部かわるというようなことになっておりますし、日本の場合には、どちらかというと、内閣がどうかわろうともそこにずっと働いていくという、仕組みがやはり根本的に違っておりますので、その辺を同じに扱っていいのかどうかという議論も私どもいたしまして、一応現時点では先ほど申し上げたようなことでやってまいりたいと思っておるわけでございます。  今御指摘のようなことは議論の中では私どもいろいろと議論いたしました。今後も私ども公務員の倫理がきちんと行われるようにしていかなければならないことは当然でございますから、先ほどの話で見守りながら、これでもまだ公務員の皆さんの中で非常に残念な事件が起きてくるというようなことができてくれば、将来はいろいろまた考えていかなければならないことは私は当然だと思っております。
  39. 石井啓一

    石井(啓)委員 時間が参りましたので終了いたします。
  40. 伊藤忠治

  41. 西村眞悟

    西村(眞)委員 西村眞悟です。  本日の私の質問の主題は、我が国の領土と主権ということに関して質問させていただきたい。  尖閣列島及びその周辺領海において我が国の法秩序がどうなっているのかその維持に関して我が国の対応はということで、二月二十日に法務委員会質問させていただきましたが、答えは隔靴掻痒という感じでございました。尖閣列島に関しての法秩序の維持に関しては内閣の外政審議室が総合調整をするということを承りましたので、梶山長官にこの件について質問させていただきたいと思います。  冒頭、第一義的な質問でございますけれども、主権国家においては領土と主権を維持する、これが第一義的なことでございます。したがって、我が国政府の第一次的な義務、任務は、我が国領土、領海はもとより、国連海洋法条約で認められた排他的経済水域、大陸棚の権利を守ることが我が国政府の当然の権利であり義務である、私はこのように思います。そして、そのことにおいて一国の中に二制度をつくってはならない、このように思うわけです。  梶山官房長官のこの点の御認識をお伺いしたいと思います。
  42. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 委員指摘のとおり、我が国の領土と主権を完全に確保することは国家の大使命であります。  そういうことで、多分委員は尖閣諸島等を念頭に置いての御質問かと思いますが、このことは、歴史上も国際法上も疑いのない我が国の領土でありますので、我が国はこれを有効に支配をしているという認識のもとに立って諸般の対策を講じております。
  43. 西村眞悟

    西村(眞)委員 ことし二月に入ってから伊豆半島等々に上陸しておる難民、難民といいますか不法入国者、これらは経済目的でございます。昨年十月七日近辺において四十隻以上の船で押し寄せ、四名の、尖閣諸島・魚釣島に上陸した者の目的は、経済的な目的ではなくて政治的な目的、つまり我が国の領土を否定して中国の領土を主張する、そういう目的である。この件に関しては、法務大臣がその所感として明確に認識を同じくされております。  官房長官、今御答弁なされた事態を私なりに整理して、尖閣諸島においていかなる事態が進行していたのかを御説明申し上げて、具体的な問題に移りたいと思います。  まず、一九六九年五月、国連アジア極東経済委員会における東シナ海の大陸棚資源調査においての結果が発表された。石油埋蔵資源があるという結果でございます。それ以後、御承知のとおり、中国が、尖閣諸島は中国明代からの固有の領土であるという声明を発表した。  日中平和友好条約締結交渉の前に、一九七八年四月、百五十隻の武装漁船が尖閣の領海を侵犯して、一週間にわたって、ここは中国の領土である。武装漁船でございまして、指揮官に指揮された行動でございます。当時の中国の副首相は、偶発的出来事であると弁明をされた。同年八月十二日、日中平和友好条約が調印されますが、当時の鄧小平副主席は、このような事件は二度と起こさせない、領有権の問題は棚上げにする、この二つを約束されて、日中平和友好条約が締結されたわけです。以降、我が国は三兆円に上る円借款を中国に続けている。  一九九二年二月に中国は領海法を制定して、尖閣諸島を中国の領土と明記し、ここにおいて、鄧小平副主席の棚上げの約束を、中国の法律という次元でみずから破ったことになる。その年の、領海法制定後の六月、石油鉱区としての尖閣周辺の日中中間線の日本側を含む海域を対外開放した。九二年、同じ年の十一月、勘探三号の試掘を我が海上保安庁は確認しております。  また、九五年の六月に奄美大島付近でも中国の海洋調査船が海底調査をしておりまして、同年、九五年の十二月にも、日中中間線より五百七十メートル日本側で、海上保安庁の警告を無視して、また海洋探査をした。  昨年七月二十日、国連海洋法条約が発効して、排他的経済水域を我が国は設定する。その年の、九六年九月二日から三日まで、海洋四号が大正島南方海域を短冊型に何度も往復して、その間、我が国の領海を侵犯した。機材を海中に投下したり引き上げたりして調査しているわけです。同じ年の九月八日から九日にかけて、調査船大洋一号が大正島北方海域を西から東に航行して領海を侵犯した。大正島東五十海里で停泊して、船尾に作業灯をつけて何らかの作業を行っていた。同年九月十六日、モンデール大使が、尖閣には日米安保は不適用であるという発言を行った。  この海洋調査、海洋四号と大洋一号の調査に関して我が海上保安庁は再三警告を発しましたけれども、彼らの返答は、我々は中国の船である、現在海洋観測中である、ここは中国の海であると返答して作業を続けたわけです。民間のどういう人間がわからぬのが上陸してくる事態ではなかったわけです。ここの時点で、鄧小平氏の二つの約束は、中国みずからことごとく破ったことになります。  海洋法条約が昨年七月二十日に発効して、我が国は、尖閣を基線として二百海里経済水域を設定したにもかかわらず、中国の海洋調査船の領海侵犯を許してしまったわけでございます。相手が約束をどんどん破って、みずからの主張を実現しに来る、この事態は、深く認識すると、我が国の重大な国益上の誤りである、私はこう思っているわけです。  官房長官は、前の委員会で奥田敬和委員質問に対して、最後の御奉公をするというふうに申されたことを私は聞いておりました。また、史記にも、断ずるに当たって断ぜざればかえってその乱を受くという言葉がございます。我が国が決断なくきたことによって、決断しなかったことによって、取り返しのつかない乱が生じようとしているというのが私の認識でございます。  厚生省の一課長も、なすべきことをなさずして逮捕されている事態でございますから、この一連の私の御説明した認識に基づいて、これから具体的に質問をさせていただきます。  まず、昨年十月七日、四十隻以上の外国船が我が国尖閣周辺の領海に入りまして、四人が島に上陸しました。この者たちの目的は、伊豆半島に不法入国した者たちのように経済目的、稼ぎに来るという目的ではないわけです。我が国の領土を否定して、我が国に挑戦する目的で入国してくるわけです。なぜこの者たちを逮捕しなかったのか。このことについて、海上保安庁は全力を尽くしたと答弁される。しかし、外政審議室へ、総合調整のもとに動かざるを得ないということ、足かせとしてあるということを説明される。  しからば、官房長官において、ことし二月、伊豆半島に上陸してくる者を船から船に跳び移ってまで逮捕しているのに、昨年十月七日、尖閣に我が国の領土を否定しながら上陸してくる者をなぜ逮捕しなかったのか。この理由をお伺いしたいと思う。
  44. 小原正則

    ○小原説明員 海上保安庁でございます。  先生がおっしゃるとおりでございますが、尖閣諸島をめぐる事案につきましては、国際関係への影響あるいは邦人の安全に対する影響、そういったものを総合的に判断して冷静に対処するという政府方針のもとに我々としては対応してきたところでございます。  海上保安庁としては、その方針のもと、関係省庁と協議しつつ、極力、人身事故等不測の事態を起こさないように、最大限の注意を払いつつ領海警備を行ってまいりました。  当時、現場は非常に急峻な岩礁地帯でありまして、相手が転倒するあるいは海中に転落する等人身事故が発生する懸念がございました。さらに、高速で航行する船舶に衝突して相手船を損傷する、あるいは乗組員その他乗船者が負傷するというようなことが懸念されましたので、海上保安庁としましては、政府方針のもとに、これらの上陸を阻止するということで全力を傾注していたということでございます。
  45. 西村眞悟

    西村(眞)委員 私が聞いておるのは、政府方針と今答えられた、その方針を聞いておるのです。現場の状況はいろいろある、それはわかる。伊豆半島でもあるでしょう。尖閣でもあるでしょう。そうではなくて、政府方針として逮捕しないのかどうか、これを聞いておる。したがって、官房長官に答えていただきたい。
  46. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 委員指摘の事実関係は承知をいたしております。  既にこの尖閣列島は、御承知のとおり、沖縄県の石垣島に所属をする一部島であります。それは歴史的にも、あらゆる経緯を見ても当然でありますし、今委員指摘のように、中国においてはそこに石油資源ありという認定をしてから若干のデモンストレーションをかけている、そういう事実がありますが、今私たちは、いたずらに事を構えるということも一つの方式かもしれませんが、諸般の事情を考えれば、これは恒久的な彼らのデモンストレーションの立場はとらないであろうということを想定をすれば、必ずしも事を構えることがいいのかどうなのか。ですから、海上保安庁が出動をいたしまして、これを排除をしたわけであります。一時的なあるいは上陸があったかどうかは別として、継続的なことはなし得ないという現実をよく見ていただければおわかりになろうかと思います。
  47. 西村眞悟

    西村(眞)委員 私が冒頭申し上げたように、この問題は、いたずらに事を荒立てないという問題じゃなくて、我が国の領土に不法に侵入した者を逮捕を差し控えるならば、我が国の主権を尖閣周辺で放棄したことになるという問題意識でお聞きしているわけです。逮捕という現場において、いろいろ、私はその現場は知りませんから、状況説明がくどくどしい。したがって、そういう現場ではなくて、一つの我が国の法秩序のもとにおいて、既にある法律においてできることを今それならお聞きします。  十八年前に魚釣島に民間人が灯台を設置しました。その申請を、国際航路標識としての認可の申請を出した。これは十八年前に設置された灯台ですから認可はしていない。昨年また、今度は北小島だと思いますが、そこに民間人が灯台を設置して、国際航路標識の認可をしてくれ、航路標識法に基づいて申請した。海上保安庁は、この申請は法的要件、また灯台の能力として適法であった、このように答えておるわけです。なぜこれを認可しないのか。我が国の法律に基づいて適法であるならば、なぜ我が国の領土で認可しないのか。  これは、先ほど逮捕するか否かについて聞きました。そういう現場の状況はない。我が国の政治の判断、そして我が国が、我が国の法律に基づいて、我が国の領土の中で、我が日本国民が申請したものを尖閣だけで認可しないということは、我が国は尖閣で我が国の主権を放棄したことになる。こういう観点で、なぜ認可しないのかお聞きしたい。これは大臣にお聞きしたい。
  48. 山下恭弘

    ○山下説明員 御説明申し上げます。  本件灯台の許可申請に対する処分に当たりましては、外交問題の判断を含みました政府全体としての総合的な判断が必要であるということでございますけれども、当時の状況下、外国船による抗議活動によりまして船舶交通の安全が損なわれるような事態が生じていることなどにかんがみまして、政府全体としては、許可しますと国際関係に重大な影響を与える、あるいは邦人に危害が及ぶことも予想される、こういったことから、事態が改善されるまで許可を見合わさざるを得ないというふうに判断したわけでございます。
  49. 西村眞悟

    西村(眞)委員 先ほどから邦人に危害が及ぶというのは具体的にどういうことを言っておるのですか。さっぱりわかりませんな。総合的判断というのは何ですか。これは外国における問題じゃなくて、我が国の領土における問題。邦人に危害が及ぶというのはどういうことですか。どこかで人質になっておるのですか、我が国の国民が。
  50. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 邦人に危害が及ぶという点について申し上げましたのは、一九七八年のその経験も踏まえてということでございます。あの時点において、台湾、中国、香港、その他において、邦人に対するいろいろな事件が生じていたということは事実でございます。
  51. 西村眞悟

    西村(眞)委員 我が国在外邦人は七十数万人、そこに危害が及ぶということで、その心配だけで、抽象的なことで、具体的に申請が上がった問題について抽象的なことで逃げられたら、我が国の主権の行使はどうなるのですか。総合調整というのは足を引っ張ることですかね。  中国が主権を主張してくる、領土権を主張しているというのはわかる。その意味で、海上保安庁、警察は我が国領土において精いっぱいの役割を果たされたい、我は外政審議室であるから、外務省と相談して、その件に関しては明確に中国の抗議に対して反論する、これが総合調整の役だと思うのですが。  結局、認可しないのですか。この海域に灯台が必要であるということは今答弁の中でおっしゃられている。民間人が建てたから認可しないのならば、日本の領土の必要な場所に灯台が必要なら国で建てればいい。国で建てる意思があるのですか、官房長官は。
  52. 山下恭弘

    ○山下説明員 御説明申し上げますと、北小島の灯台につきましては、地元石垣の漁業者から、みずからの漁業の用に供するために必要だということで申請が出ております。  なお、政府といたしましては、付近航行船舶の航行のメーンルートからも外れておりまして、尖閣諸島を目指してくる船舶は少ないということもございまして、国として設置する必要性というのは現時点において認めておらないわけでございます。
  53. 西村眞悟

    西村(眞)委員 法務委員会で同じ答弁を聞かされておるので、総合調整するというところの梶山官房長官にお聞きしようと思っているのですけれども委員長もちょっと、私、梶山官房長官にお聞きしておりますので、出てこられたときに、私の質問趣旨もちょっとお考えいただいて、御指名いただきますように。  押し問答になって、情けない押し問答でございますから、それなら問題を次に移しましょうか。  ことし香港が返還されて、香港の治安当局によると、やはりある程度の人数は、金持ちでない人数は外に出るだろう。それは台湾、韓国、日本である。これは今伊豆半島に上陸している方々の話です。そういう形の経済目的の人たちであろう。しかし、中国の中華ナショナリズムを刺激して、海外にいる華僑を含む一つのナショナリズムを刺激するもの、そして団結するものは尖閣を象徴とする対日問題だ。したがって、台湾の反李登輝派の新党も尖閣列島のことをヒステリックに叫ぶし、香港で、天安門事件のときに民主化運動をしているあの方たちも、アリバイ証明のために尖閣を注目するわけです。ことしまた、官房長官、来ると思います、尖閣列島の方に。  ことし上陸した者を逮捕する意思はあるのですか。現場での比例の原則に基づくものはわかる、現場の判断である。しかし、政治の方針として、それは法秩序を守るために、経済目的ではなくて、我が国の領土を否定して領土に侵入してくる者を逮捕する政治の方針でありますか否か、お聞きいたします。
  54. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 適切な方法で排除をいたします。
  55. 西村眞悟

    西村(眞)委員 政治の目的ということは逮捕しなければわからない、その背景。ただ、これは重大な問題です。領土を否定して上陸するということは内乱罪、七十七条、邦土を僣窃する行為なのです。首魁は死刑なのです。こういうことをお伝えしておきたいと思います。  海洋調査船のことを、私は民間人の問題より海洋調査船に注目しているのですが、これが領海を侵犯したのです。この件について抗議はされたでしょうけれども、口頭での抗議に終わっていると私は思うのですが、この海洋調査船がまた再び領海に入ったときに実力で阻止するのですか。今、民間人は排除するとおっしゃった。それ以上に我が国領土を否定して入ってくる中国の海洋調査船は、しからば排除するのですか阻止するのですか、お伺いしたい。
  56. 小原正則

    ○小原説明員 中国の海洋調査船が入ってきた場合ということでございますけれども、私どもとしては、そういった事態を認めました場合、現場でどういった国の船が何を目的でやっているのかというのを無線等種々確認をいたします、作業内容等を種々確認いたします。必ずしも返事があるとは限りませんが、そしてその結果を関係省庁等に伝え、我が国の同意のない調査については海洋法条約でこれはできない、中止要求ができるということになっておりますので、現場で中止要求をするとともに、しかるべき外交ルートを通じても抗議をしておられることと思っております。
  57. 西村眞悟

    西村(眞)委員 私が聞いておるのは、排除するのかどうかと聞いておる。それで、事実認定として、今御説明なさったようなことが事実として明確ならば排除するのか否かこれを聞いておる。官房長官、いかがですか。
  58. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 先ほど私がお答えをいたしましたように、民官を問わず、それは適切な方法で排除をするということは私が申し上げたとおりであります。  ただ、事実関係を私はよく承知をいたしておりません。どういう経緯でどういう日本との接触を持って、あるいはどういう目的で領海侵犯がされているのかどうなのか。このことに関しては、これから事実を調査しなければ、にわかに即断をすることはできないと思います。
  59. 西村眞悟

    西村(眞)委員 まず事実を認定することです。事実を認定して、事実がわかれば政治がいかに決断するかこれは領土と主権に関してはどうしても政治の決断なんですから、事実認定のことを言われておって、答えを濁されるのは非常に心外であると私は思う。  質問を移しますけれども、昨年の四月に日米共同宣言が発せられ、アジア太平洋の問題を日米共同対処する、それに対して中国からはやはり非難があった。  しかし、それと関連するかどうか私はつまびらかにしませんけれども、昨年の九月十六日、モンデール大使が、尖閣は日米安保不適用である、こういうふうに大使の職にある方が発言された。これはニューヨーク・タイムズです。この件に関してアメリカ当局の発言を拾っていきますと、これが、モンデール大使の発言が九月十六日。十月四日、これはバーンズ報道官が、日米安保の尖閣適用について明言を避けた。十月十八日付、バーンズ報道官が、条約の米国の責務は明確だが、同諸島、尖閣諸島の紛争にリンクさせたくないという発言をした。また明言を避けた。十一月十五日、ウインストン・ロード米国務次官補が、尖閣列島に日米安保が適用されるか否かについて仮定の状況に言及はしないと発言した。そして十二月三日、米政府高官ということで、これは日経が報道しておりますけれども、我々の国際的な約束は明白であり、信用されてしかるべきだとも発言している。  アメリカ政府関係者もしくは政府高官というものの発言の中で、モンデール大使の発言を明確に否定した発言は私が探す限り出ていないわけです。日本政府は、モンデール発言に対してアメリカに確認を求めたのですか、求めていないのですか、お伺いしたい。
  60. 折田正樹

    ○折田政府委員 委員指摘のように、九月十六日のニューヨーク・タイムズにおきまして、そこでモンデール大使の発言として引用されておりますのは、だれが島を所有するかについては米国は立場をとらない、それから、米軍は島をめぐる紛争に介入することを条約によって強制されるものではないというふうに述べたというふうに報道されております。その報道が安保条約の不適用という形で、日本でそういう見出しのもとに報道されたわけでございます。  私どもは、モンデール大使がどういう場でどういう発言をされたのか正確なところを知る必要があるということで、直ちに米側に問い合わせたわけでございます。米側の説明によりますと、記事が出たのは九月十六日でございますが、この記者は数カ月前にモンデール大使に対してインタビューをした、どうもそこでの発言をもとに記事を書いたらしいということでございますが、実際の正確な内容はよくわからないというのが米側の回答でございました。  私どもの考え方でございますけれども、日米安保条約の法的枠組みについて全く一般論として申し上げれば、安保条約第五条がございまして、「日本国の施政の下にある領域」、私どもは尖閣は当然これに入ると考えているわけでございますが、当然、日米安保条約が適用されるというふうに考えているところでございます。  それで、モンデール大使の発言はちょっと不明確ではございますが、私ども、モンデール大使の発言その他の経緯を踏まえまして米側に米側の立場というのを確認したわけでございますが、米側は本件に係ります我が国の立場、すなわち尖閣諸島に日米安保条約は当然適用される、こういう立場を承知し、かつ理解しているというふうに言っているところでございます。そして、米側はその締結した国際約束を遵守するということを言いつつ、仮定の状況において米国としてとり得る行動について現段階で推測することは差し控えるという立場をとっているという説明を米側から受けているところでございます。
  61. 西村眞悟

    西村(眞)委員 確認はされたということはお伺いしましたけれども、尖閣諸島という領土の保全のマニュアル、いかにして保全するのか。たしか九一年ごろか、隠岐島に外国武装集団が上陸したときに、いかに対処するかという机上演習はされたと思うのですが、尖閣という問題については、初めの一九七八年が百五十隻ぐらいの武装漁船が押し寄せたという事態もこれあり、どうも先ほどから御答弁がありますように、そのものがどういう国籍であって、どういう意図でどうなのかということがわかりにくい状態でなし崩し的に、水が浸透するように浸透してくるプロセスですから、尖閣に関して領土保全のマニュアルはつくられているのかどうか。それからまた、これは日本国民自身の日米安保に対する信頼にかかわってきますから、このマニュアルにおいてアメリカ軍とどのように共同作戦をとるのか。こういうことについて、今考慮中もしくは確定後であればお聞かせいただきたい、こう思います。
  62. 平林博

    ○平林政府委員 マニュアルというかどうかは別にいたしまして、昨年のケースでもあり得る事態を想定いたしまして、いろいろと関係省庁関係者と対応策を考えたわけでございます。どういうところまで来たらどういう対応をとるということを相当詰めて議論した結果でございます。  また、今後同様なケースがあり得るということでございますので、その点は前回の対応策、これは一連の対応策でございますが、それをまたよく検討しながら、また前回の例にかんがみましてどういう点を改善するべきかということを考えながらやっていくということでございます。  また、本件につきましては、日米間で一緒になってどうするかという話については今のところ詳しい協議をアメリカ側とやっているということではございません。
  63. 西村眞悟

    西村(眞)委員 一時の混乱はありましょうけれども、なすべきことをなさねばならない、そういう時期に来ていると私は思います。  断ずるに当たって断ぜざればかえってその乱を受ける、乱を受けてきたのは我が国の尖閣列島に関する今までの流れでした。先ほど質問しました同じ質問を、ことしまた上陸してくる者をどのように対処するのかという質問に対して、法務委員会での質問に対しては法務大臣はこう答えられたのです。「日本一国の存亡にかかわる問題でございますので、私からの答弁は差し控えさせていただきます。」こういうふうに答えられました。私はある意味では驚きました。それがやはり内閣全体の問題としてある以上、きょう私のこの質問に関して、内閣で協議、詰めていただきたい。そして、私は、外政審議室がこの総合調整をされているということでしたので、きょうの貴重な時間をいただいて梶山長官に今のことをお聞きしようと思ったわけです。  排除されると申されました。排除されると申されましたけれども、意図を持った人間でございます用意図を持った人間が身体、先ほどの保安庁の答弁にもありますように、身体安全確保されながら排除されればどうなる。同じことを繰り返しても命の危険もなく、拘束される心配もない、無法状態ということでございます、梶山長官。私が申し上げるのは、日本国内において我が国の領土を否定して立てこもれば、我が国は法を適用して対処する。尖閣列島も日本国内でありますから、それらを逮捕して、どういう被疑事実があるのか。邦土を僣窃して組織的に行動しているならば、これは内乱罪です。首魁は死刑なんです。したがって、どうしても逮捕しなければならない。  官房長官の御発言は、威勢がいいという、一見そういう思いがしますけれども、現場においては、身の安全を確保して、あっちへ行ってくれ、これでは何遍でもやってきます。もうぼつぼつ決断していただかなければなりません。最後の御奉公なんです。したがって、もう一度だけ、排除するという、法的用語ではない。法的用語ではないものを使われずに、法治国家なんですから、法的にその身柄をいかにするのか。拘束するのか、犯罪を現認して逃げていくのを放置するのか。それを一点お聞きしたい。官房長官にお願いします。
  64. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 前段お答えをいたしましたように、適切な方法で排除をいたします。
  65. 西村眞悟

    西村(眞)委員 法的用語でお答えいただきたい。排除というものは、逃げるに任せるのも排除です、圧力をかけて。しかし、それでは法秩序は守れない。例えば伊豆半島に上陸してくる者が、高速艇を保安庁が何百キロも追いかけているじゃありませんか。そして拘束しているじゃありませんか。伊豆半島は日本の領海、尖閣も日本の領海なら、法的用語でお答えいただきたい。
  66. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 これから起こる問題を予断をしてどういう方法でやるかは予測がつきません。ですから、適切な方法で排除をいたします。
  67. 西村眞悟

    西村(眞)委員 警察の目的は、未然に防止すること、既然にそれをなくすこと。今私が申し上げているのは、未然に防止することです。したがって、将来の問題について明確なマニュアルを持って、昨年逮捕できなかったならばもっと逮捕できる体制を整えて、尖閣の治安を維持する、そういう方策はあるんです。したがって、警察行政においては想定するマニュアルに関して明確に、ただ単に排除するとか、そんな法的な、何を言わんとしているのかわからない用語ではなくて、こういう事態になれば逮捕する、逮捕するためには昨年の教訓に学んでこういう体制を整えると明確にお答えいただきたい。国家の重大問題です。法務大臣もおっしゃっておられるように、日本一国の存亡にかかわるのです。この問題であやふやに対処しておったら、我が国は尖閣列島に対する主権を放棄したことになるのです。お答えいただきたい。
  68. 平林博

    ○平林政府委員 ただいま官房長官から御答弁がありましたような基本方針に基づいて、先ほどちょっと触れましたが、前回も一応の一連の対応策というものを決めていたわけでございます。また、前回の教訓も踏まえ、今の官房長官の基本方針を外しまして、また将来起こるべきことにつきましては、内閣として総合調整ということでございますので、関係省庁の協力を得ながら考えていくという方針でございます。
  69. 西村眞悟

    西村(眞)委員 官房長官、私のお聞きする内閣基本方針というのは、法治の国の方針ではない。この問題の周辺に来ていただいたら面倒だから、頼むから向こうへ行ってくれ、これでどうして法治国家が守れるのですか。総合調整の中に邦人の安全というのを入れている。七十数万の在外邦人の安全、それは大切です。しかし、漠然としてそういうことを入れるのは、この問題の個別的な対処において入れるのはいかがなものか。この問題に対処しながら国民の安全を確保するのが政治、政府全体としての責務だと私は思うのです。  官房長官、私が再三お願いしておる、法務大臣も日本一国の存亡にかかわると言われた、そして、総合調整にゆだねられておるからということで私はこの内閣委員会の時間をいただいた。排除するという言葉は法治国家ではございません。犯罪を現認すれば、逮捕するか在宅起訴するか、二つに一つです。日本国の刑事記録に残さねばならないのです。お答えいただきたい。
  70. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 予断はいたしませんが、適切な方法で排除をするということは、主権を放棄するということとは全く逆であります。主権あればこそ排除ができるわけであります。
  71. 西村眞悟

    西村(眞)委員 私は認識を異にします。排除するのは盗賊でもします。国家の主権というものは、刑事司法に基づいて、そのプロセスに基づいてその犯罪者の目的等を現認することです。正しい処罰を行うことです。  時間を余しましたが、やめます。
  72. 伊藤忠治

  73. 近藤昭一

    近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。  今般の地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  私、この質問をさせていただくに当たりまして、私は愛知、岐阜、三重、静岡、東海ブロックの比例の選出でございます。住まいは名古屋市にございまして、地元の愛知県の被差別部落の視察を行ってまいりました。未指定地区について二カ所、また指定地区について一カ所視察してまいったわけでございます。この視察についての詳しい話はまた後ほど質問の中で触れさせていただきますが、この視察で私が一番感じましたこと、とにかくこの地域改善対策事業、まだまだ目的の達成までには相当な時間を要するのではないかというのが私の率直な実感でございます。その実感の上で御質問させていただきます。  今回の法改正はこれまでの事業内容を縮小するものになると思うわけでありますが、昨年五月の地域改善対策協議会意見具申でも指摘されておりますように、これまでの施策の成果が損なわれるなどの支障が生じることのないように配慮すべき、こう私も考えるわけであります。  今後の地域改善対策事業推進に向けて、総務庁長官より国の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、金田(誠)委員長代理着席〕
  74. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 事実関係についてちょっと御説明させていただきたいというふうに思います。  今後地域改善対策をどう進めるのかというお話でございますが、同和問題に関しましては、先生御承知のとおり、昭和四十年の同対審答申以降、昭和四十四年の同対法を初めとしてさまざまな施策がとられてきているわけでございまして、平成五年の総務庁の実態調査によりますと、国、地方公共団体合わせまして十三兆円を超えるような支出もされてきているところでございます。  現行法律の期限切れを前にしまして、昨年の五月、先生が言われました地対協からの意見具申がされたわけでございますが、その意見具申におきましては、現状の評価といたしまして、生活環境を初めといたします物的な面につきましてはかなり改善が進み、格差是正がされてきた、ただしその差別意識の問題についてはまだまだ根強いものがあるというような現状認識がされた上で、今後のあり方につきまして、四点、重要課題という観点での御提言がされているわけでございます。  その第一点が差別意識の解消に向けた問題でございまして、これにつきましては、教育啓発が特に重要であるという認識のもとに、従来からの個別的な視点でのアプローチに加えて、法のもとの平等あるいは個人の尊重といった普遍的な手法のアプローチを加えるべきであるという認識のもとに、従来の同和教育、同和啓発というものは人権教育人権啓発という観点でやるべきであるという御提言をいただいているわけでございます。  それから、二点目といたしましては、人権侵害による被害につきまして、その救済を充実強化すべきであるという指摘をいただいているわけでございますが、この二点につきましては、さきの国会人権擁護施策推進法という法律制定していただきましたので、それによって対応するという状況に今あるわけでございます。  それから、提言の三点目がこの地域改善対策特定事業の扱いの問題でございまして、先ほど言いました事実の評価の一環といたしまして、この特定事業につきましては期限後においては一般対策移行すべきである、ただ、一部の事業につきましてはその円滑な移行のために一定の工夫が要るというような御提言をいただいている次第でございまして、それにつきまして今回関係法律を御提案している状況にあるわけでございます。  それで、四点目の御指摘施策の適正な推進という観点でございまして、えせ同和行為の排除、行政の主体性の確立、同和関係者の自立向上、同和問題についての自由な意見交換のできる環境づくり、こういうものについて適正な対応をすべきであるという御提言をいただいたわけでございます。  政府といたしましては、この四点につきまして、さらに関係省庁関係方面とさまざま協議の上、昨年の七月、閣議決定をいたした次第でございます。  今後におきましては、政府といたしましては、五月の意見具申の考え方に沿いながら、七月の閣議決定をもとにいたしまして施策推進していく所存でございます。
  75. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。  今お話しされました四点、それぞれについて私もいろいろな考えがあるわけでありますが、その中で特に私が強調させていただきたいことは、今後こういった人権行政を進めていく中、今、同和行政の中で特に一般対策への工夫という言及がございました。一般対策ということで推進していくこと、もちろんこれは大きくとらえていく上で大切だと思うのですが、私は、逆に一般行政の中に組み込まれていくことによって同和問題が持つ特殊というか、事の悲惨さ、問題の大きさというか、やはり個別にとらえていかないとなかなか具体的な状況を把握できない、具体的な対策ができないのではないかということを一番危惧しております。  その危惧を感じる中で、今回視察させていただいたことをちょっと申し上げさせていただきたいわけでございます。愛知県内のことでございます。  一カ所未指定地区を視察させていただきました。そこは、川が流れているわけでありますけれども、その川の一方の側と一方の側、片や一般地区というか部落ではないところでございます。片方は部落であります。ただ、その部落の方については、指定がされておりません、未指定地区であります。  そこでの状況は、未指定地区の側の堤防が五十四センチ低かった。これについては、運動の、解放同盟の側の指摘によりまして後から継ぎ足されている。視察しまして、本当にどうしてこういう状況なのかなと感じざるを得ない、まさに異様な感じがするわけであります。以前からあった堤防に対して本当に不自然に、状況では五十四センチが足されているということでございました。もちろんこれは一つの解決策というか、施策がなされているわけでありますが、こういったことが長いこと放置されてきたということ。  また、ある愛知県の河川敷があるわけでありますが、この河川敷に中堤防がございます。この中堤防につきましても、部落があるこの地区だけ中堤防の建設がおくれていた。これにつきましても、運動している中で指摘によりまして、ごく最近始まったようであります。私が視察をしましたときには、その堤防の建設が始まっておりました。  ところが、その堤防の建設を始めるに当たりまして、部落解放の運動を進める人たちからの指摘に対して、現地の建設局の出張事務所の方は、この地域はなぜ中堤防をつくらないか、これは遊水地域としてこういうふうにしてあるのです、そういうあるまじき返答があったということでございます。また、今のところも未指定地区でございました。これも一定の進歩があるわけですが、こういった状況が各地にあるのではないかということを本当に想像させられたわけであります。  また、次に挙げさせていただきます例というのは指定地区であります。指定地区でありますから随分と施策は進んでおるわけですけれども、この施策上の問題。つまり、その地区を整理していくわけであります。整理をしていく間に道路が狭い等々の問題が出てくる。では道路を拡張をしようと。国が用地を買収するわけでありますが、道路拡張について買収する場合、まさしく道路の部分しか買収をしていただけない。  つまり、ある方が住んでいるその三分の二については道路にかかる、ところが三分の一については道路にかからない、そういった場合、三分の二しか買い上げてもらえないという状況でありますと、残った三分の一に住むというわけにはまいりません。所有者としては、その三分の一の住めない土地をそのまま放置するというわけにもまいらないわけであります。そうすると協力したくても協力できない。三分の二だけを国によって、残った三分の一に住むわけにもいかないし、放置するわけにもいかない、そういった状況がある。ですから、指定されている中でも道路を拡張したくても拡張できない、そういった状況があるということを現地で見てまいりました。  それを見て感じましたことは、指定地区でもいろいろな問題があって、まだまだ事業が、これからやっていかなくてはならないことがたくさん残っている。そしてまた、もちろん未指定地区になっている背景についてはいろいろ事情があるとは思いますけれども、未指定地区においてはまさしく、未指定地区であるがゆえに施策の進行がおくれているという状況をたくさん見てまいりました。こういった実態について政府はどのように認識していらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  76. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生お話しになりました個別の事業箇所の問題につきましては、私ども状況をよくわかりませんのでちょっとコメントをできない状況でございますけれども、一般的な考え方についてお話しさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  ただいま指定地区、未指定地区の話がございましたけれども、そもそもこの同和対策の特別事業をなぜやるようになってきたかというもとのところの問題をちょっと御説明させていただきたいというふうに思うわけでございます。  昭和四十年の同対審の答申のときに、この問題につきましては一般対策さえも対象にしてもらえないような、一般対策のらち外にもあったという状況の中で特別な対策をすべきであるという認識のもとに始まってきているわけでございます。それぞれの状況におきましてどういう事業をすべきかということにつきましては、地元の意見、気持ちというものを最大限尊重しながら今まで執行をしてきているわけでございまして、その後、物的なものにつきましては相当の進捗を見たという全体的な評価のもとに、先ほど言いました地対協の意見具申があったわけでございます。  そういうような大きい状況のもとで考えますと、そもそもという観点におきますと、初めスタートしたとき、本来は一般対策でやるべきであるがそれでは不十分であるという状況のそもそもの考えからしますと、今の時点ではそれほど地域間の格差がなくなってきているという現状におきましては、基本の考え方で一般対策でやるべきだというような状況に今あるというふうに思っている次第でございます。  個々の事業のやり方につきましては、それぞれの事業官庁の方で工夫がされるものではないかというふうに思っている次第でございます。
  77. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございました。よく了解させていただきました。  ただ、私が申し上げたかったことは、本当にその場所だけ、まるでそこだけ外されたようにと言うと語弊があるのかもしれませんが、その地区だけ、本当に狭いところもあるのですよ、そこだけそういう施策が行われていない、そういう状況があったということを強調して、この質問は終わらせていただきたいと思います。  それでは続きまして、昨年七月に閣議決定されました政府大綱で、法的措置対象ではないものの一般対策に工夫を加えて対応する物的事業として小集落地区等改良事業など九事業が挙げられていると思いますが、それら九事業について、所要の行財政措置を講じて補助制度において特段の配慮を行うということになっております。  しかし、これらの事業推進に当たっては自治体の財政負担の問題があると思いますが、現在の自治体の財政状況を考えますと、どうでしょう、大綱で言う特段の配慮が必要だと思いますが、この点についてはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  78. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生御指摘の九事業につきまして、補助制度上特段の配慮を行うというような閣議決定をしているわけでございまして、これに基づきまして予算要求、予算編成をした次第でございます。  それで、予算編成の結果といたしましては、この九事業につきましては、従来から地域改善対策特定事業をしておりました地域につきましては三分の二の補助率ということで対応するというふうにしている次第でございます。これは、閣議決定にもありますように、激変緩和的な措置としての三分の二でございますので、五年を限度としてすることといたしまして、五年後におきましては一般対策の観点での補助率でいくことになるわけでございます。     〔金田(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 近藤昭一

    近藤委員 わかりました。お答えは了解させていただきましたが、こういう厳しい財政状況でありますので、特段の御配慮をお願いしたいと思います。  続きまして、余り時間がありませんので先を急がせていただきますが、昨年末の臨時国会人権擁護施策推進法が成立いたしました。先ほどのお答えの中にもありましたが、教育啓発人権侵害救済などについて法的措置を含めた対策をそういう中で講じていくことになったということでございます。  こういった問題の対策については、我が国の人権行政では大変におくれていた分野だと思うのですが、これまでのハード面の対策事業とこういった教育啓発といったソフト面の対策はまさしく表裏一体の問題であると思います。同和行政人権行政国民的に推進するために大変に必要不可欠なものだと思うのですが、この人権擁護施策推進法の中におきまして、部落問題をどういうふうに位置づけておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  80. 坂井靖

    坂井説明員 お答えいたします。  人権擁護施策推進法は、広く人権一般の観点から人権擁護に資することを目的としておりまして、あらゆる人権問題を対象とするものでございます。  この法律において設置されます人権擁護推進審議会においてもさまざまな人権問題が審議されることになりますけれども、同和問題は依然として我が国における重要な課題でありますと同時に、この法律制定の経緯となったものでございまして、審議会におきましても我が国における重要な課題であるとの認識のもとに御議論いただけるものと考えております。
  81. 近藤昭一

    近藤委員 人権の問題は大変大きな問題であります。その中でも特に同和の問題は大変な問題になってまいると思いますので、ぜひとも人権擁護施策推進法の中でもしっかりととらえていただきたいと思います。  ただ、その中でのとらえ方として、ひとつ重要にとらえていただきますとともに、先ほどから申し上げておりますように、やはり運動というか対策というものは個別具体的にとらえていかないとなかなかその実情が把握できないのではないかというふうに思います。何か語弊があるかもしれませんが、人権というと広く薄められてしまうような危惧を私はいたすわけであります。  そういった意味で、この際、こういった複数の分野にまたがる人権行政をもちろん政府の責任のもとで強く打ち出していっていただく、それをお願いしますとともに、同和問題という人権問題については特に御配慮、御検討いただきまして、基本法の制定等についてどういうふうにお考えであるかということをお伺いしたいと思います。
  82. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生の方から、今後の同和問題を進めるに当たって、例えば部落解放基本法のようなものを制定すべきではないかというような御提言というふうにお聞きしたわけでございますが、同和問題の解決に向けましては、先ほど来申し上げておりますように、昨年五月の地対協の意見具申、それを受けました閣議決定、こういう方向性を持って今後進めていこうというふうに思っている次第でございます。  そういう一環といたしまして、先ほど法務省からもお話がありました人権擁護施策推進法が既に制定されている状況でございます。それぞれの個々の施策というものが今既に閣議決定をもとに進んでいる状況でございまして、現在、政府といたしまして、同和問題のみに着目しました同和解放基本法のようなものを制定する考えは持っていないところでございます。
  83. 近藤昭一

    近藤委員 わかりました。(発言する者あり)終了時間も参りましたので、わかりましたというか、わかったわけではないのですが、お聞かせいただいたという意味で。  お聞かせをいただきましたが、ただ、私も今回視察をして感じたこと、そしていろいろな資料というか数字の上から感じること、結婚あるいは就職について身元調査を行うについても差別でないと思っていらっしゃる方が四〇%以上もいらっしゃるという状況、そしてまた結婚に対しては、やはり部落出身の方とは結婚できないというようなことを感じていらっしゃる方が二〇%から二五%近くもいらっしゃって、戦後これがずっと変わっていない状況を考えますと、やはり人権問題と平たくとらえるのではなくて、同和問題としてしっかりととらえていただきたい。  私は今回当選させていただいたばかりの一年生でございますが、同和対策問題の党の中のプロジェクトチームにおります。それを自分の会報の中で書きました。それを知った友達から連絡がありました。実は自分は同和だと。初めて言うけれども悩みを持ってきた。そして自分の結婚問題については、二回相手から断られた。二回目については相手の女性は妊娠をしていた。それでも子供をおろさせた、そういった状況を知ってほしい。そして、国へ行ったならそのことをしっかりと訴えてほしい、そういう言葉がありましたことを御報告させていただきまして、私の質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  84. 伊藤忠治

  85. 池端清一

    池端委員 私は、総務庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、幾つかの点についてお尋ねをしたいと思います。  まず第一に、平成七年九月の「審議会等透明化見直し等について」という閣議決定趣旨に従いまして、このたび公務員制度審議会廃止し、新たに総務庁公務員制度調査会設置する、このようにされておりますけれども、この公務員制度調査会設置の時期をどのようにお考えになっているのか、これをお伺いしたいと思います。  今日、公務員制度をめぐる課題が非常に山積をしております。その意味においてこの調査会審議は可及的速やかに開始さるべきである、こういうふうに私は思うのでありますが、その見通しについて、まずお伺いをしたいと思います。
  86. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 予算を通していただかなければなりませんので、予算が成立次第、できるだけ速やかに発足をするようにしたいと思っております。
  87. 池端清一

    池端委員 予算が通ったらすぐにでも、四月早々にでも、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  88. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 手続の問題もございますのであれでございますが、できるだけ速やかにということを申し上げ、四月の初めというわけにはなかなかいかないのではないかと思いますけれども、できるだけ速やかに発足をさせていただきたいと思っております。
  89. 池端清一

    池端委員 平成八年十二月二十五日、昨年の暮れに閣議決定をされました行政改革プログラムによりますと、「行政をめぐる諸環境の変化に対応し、国民の信頼確保、行政の総合性の確保、公務の活性化等を目指した人事管理システムを構築するため」に総務庁公務員制度調査会設置する、こういうふうにうたわれておるわけでございます。私は、それだけでは不十分ではないか、このように思うわけでございます。  今度廃止される公務員制度審議会は、昭和四十年に設置以来、三次の答申がなされておるわけでございますが、ここに最終答申があります。昭和四十八年九月の「国家公務員地方公務員および公共企業体の職員の労働関係基本に関する事項について」という答申でございますが、この中でも未解決の問題が幾つもあるというふうに思うのであります。  例えば、「非現業職員争議権については、現状のとおり争議行為を禁止すべきであるとする意見と、行政事務を担当する職員および国民生活にエッセンシャルな事務を担当する職員を除き、争議権を認めるべきであるとする意見と、すべてについて争議権を認めるべきであるとする意見とがある。」、これで終わっている。いわゆる三論併記にとどまっておるわけですね。私は、このように公務員労働基本権問題についても今後引き続き検討すべき課題がなお多くある、こういうふうに思っておるわけであります。  かつてのような労使関係、対立的、抑圧的労働関係から、今日の状況は非常に大きく変わっておりますが、今日の社会にふさわしい労働関係樹立のためにも、労働関係法制の見直しを含めて、この公務員制度調査会において調査審議をすべきである、私はこのように考えるわけでありますが、その辺についての御所見を承りたいと思います。
  90. 菊池光興

    菊池政府委員 お答えさせていただきます。  昭和四十年、ILO八十七号条約の批准に伴いまして、国会での御審議の過程で、さらに引き続き検討すべきだ、こういうことで設けられました公務員制度審議会でございます。三次にわたり設けられまして、御指摘のように、昭和四十八年九月に答申を行って以来開催されていないということで、今回、閣議決定趣旨にのっとりまして検討した結果、廃止の御提案をさせていただいているわけでございます。  労働基本権問題について、公制審答申そのものの中でも意見が分かれているようなことについてまだ審議すべきではないか、こういう御指摘でございます。政府といたしましては、従来から申し上げておりますように、公制審答申の中で具体的に措置すべき事項ということで、非登録団体であっても法人格を独立して付与すべきではないかというような事項につきまして、従来から着実に措置をしてきております。  そういう中で、なお政府において検討すべき課題というのが従来三つ残されている、こういうふうに認識いたしておったわけでございますが、そういうような事項につきましては、公務員制度審議会ということではなくて政府部内において検討すべきということで、公務員問題連絡会議というところでもって検討をいたしてきております。  幸いにいたしまして、そのうちの大きな一つの項目でございました消防職員の団結権に絡む問題、この問題につきましては、自治省及び自治労関係者間の合意、協議が進みまして、実質的に、各消防本部に消防職員協議会でございますか、委員会を設けるというような形で実効性のある対応が図られた、こういうふうに考えております。残る課題につきましても、この公務員問題連絡会議でもってさらに検討していくということを政府としては表明しておるわけでございます。  それで、問題として、今おっしゃった三論併記になっておった国家公務員労働基本権の問題、これ全体をどう考えるのか、こういうことでございますけれども政府といたしましては、従来から申しておりますように、国家公務員労働基本権の問題につきましては、国民全体の共同利益の保障という観点から一定制約が免れない、ただ、その制約に対する代償措置として給与法定主義でありますとか中立第三者の人事院があって、その勧告等については尊重するという基本姿勢で臨んできておるわけでございますし、そういう形の現行の体制というものを尊重、維持していくというのが政府の姿勢でございます。  そういうような意味を含めまして、新たにつくります公務員制度調査会で、じゃその労働関係の問題をやらないのか、こういうお尋ねでございます。行政改革プログラムの中に表向き書いてないじゃないか、こういうことでございますけれども、やはり具体的な調査審議事項につきましてはこの調査会の中でお決めいただくべきことであろう、こう思います。今御指摘のような労働関係の問題につきましても、検討事項から初めから排除される、こういうようなことを考えておるわけじゃございませんので、今後調査会の中でお決めになるべきことであろう、こういうふうに考えております。
  91. 池端清一

    池端委員 先ほど私は一例として申し上げたわけでありますが、まだまだ未解決の事項、継続して検討すべき課題は多くあると思いますが、これは決して今度の公務員制度調査会審議から排除されるものではないということでございますので、労働基本権の問題も十分審議対象にしていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、今度の公務員制度調査会というのは、これは国家公務員についての調査会でございます。地方公務員については触れられておらないわけであります。これは、地方公務員についても同様な調査審議というものは必要になってくる、こう思いますが、これについては、総務庁自治省もお見えになっておると思いますが、御見解を承りたいと思います。
  92. 菊池光興

    菊池政府委員 お答え申し上げます。  公務員制度調査会国家公務員の人事管理システム、経済社会情勢の変化に対応した人事管理システムのあり方全般を幅広く御審議いただくということを考えておるわけでございます。かつての公務員制度審議会というのは、ILO八十七号条約の批准に伴いまして、国家公務員にも地方公務員にもあるいは三公社というような部分についてもかなり共通的な部分がございまして、そこの労働基本権というところだけを限ってとりましたので、そういうことで一緒にやっておりましたけれども、今度は国家公務員ということに、総務庁設置法、私ども人事局も、国家公務員制度に関して調査、企画、研究するという職務総務庁が持っております。  そういうような枠の中でやろう、こういうことで考えておるわけでございますけれども公務員制度ということで、もちろん地方公務員と共通する部分もございます。そういうような部分については、相互に連携をとりながらやってまいりたい、こう思って、自治省の方とも連携をとりながら議論をしていただきたい、こういうふうに思っております。
  93. 飛弾直文

    ○飛弾説明員 先ほど御答弁がございましたように、総務庁におかれましては、諸環境の変化に対応した人事管理システムのあり方につきまして全般的な調査審議を行う公務員制度調査会設置する御意向と伺っております。  地方公務員制度につきましては、国家公務員制度と共通の基盤を有する部分がありますとともに、地方公務員特有の課題などもあるものと考えております。公務員制度調査会で具体的にどのような形でどのような検討が進められるかも勘案しながら、詳細につきましては今後詰めてまいりたいと存じますが、いずれにいたしましても、自治省としましては、地方公務員制度につきましても同様に社会経済情勢の変化に対応した地方公務員制度のあり方を検討する研究会設置したいと考えておりまして、今後検討を進めてまいりたいと存じます。
  94. 池端清一

    池端委員 地方公務員についても何らかの研究会設置したいというお考えのようでございます。  そこで、委員の構成でございますが、委員何名をお考えなのかそして、私は、公労使、三者構成、実態的にはこの三者構成にすべきだ、こういうふうに考えておりますけれども、これについてどうでしょうか。
  95. 菊池光興

    菊池政府委員 お答え申し上げます。  委員人選、今私ども考えております、総務庁に置かれる調査会でございますので、委員の発令、総理からの御発令をいただくというようなことになろうと思います。  委員の構成というのも、そういうことで、総理あるいは総務庁長官の、官房長官の御人選、御意向というようなところがあるわけでございまして、私が確定的なことを申し上げるという趣旨ではございませんが、現在廃止提案をお願いいたしております、今回御審議いただいております公務員制度審議会、これはまさに調査審議事項労働関係基本に関する事項ということで限定されておりまして、どの程度のところを労働基本権として認めるかという、まさに労使間の、当事者間の関係を規律する事項について御審議いただくというような感じでございましたから、雇用者でございます国、地方の代表者、それから雇われるといいますか、実際に働く方の代表でございます職員、現職の職員を代表する者というような方、それからその行司役といいますか学識経験者という三者構成という形をとったのでございます。  今般私ども設置を考えております公務員制度調査会というのは、国家公務員に関する制度全般にわたって調査審議をお願いするということでございますので、その中の構成としては、やはり国民に奉仕すべき行政というのはどうあるべきなのか、あるいはそれを支える公務員のあり方というのはどうなのか、あるいは現在の社会情勢から今後二十一世紀を見通した場合の国の行政公務員制度というのはどうあるべきかということを非常に幅広い見地から御議論いただける方、それからまた、行政に対して国民としてどういうことを期待するのか、公務員に対して何を期待するのかというようなことで、国民の目から行政サービスの受益者としての国民の意見として反映させていただけるような見識をお持ちの方、こういうような形を考えておりまして、必ずしも使用者代表、あるいは被用者といいますか、労働者代表という、職員代表というような形を明らかに、截然と区分けしたような形の三者構成というのは必ずしも適切ではないんじゃなかろうかな、こういうふうに思っております。  いずれにしましても、具体的な委員の構成、選定というのは、今後早急に、今も総務庁長官から御答弁がございましたように、できるだけ早くの立ち上がりというものを考えておりますので、進めていかなければならないな、こういうふうに考えております。
  96. 池端清一

    池端委員 今菊池人事局長も言われましたように、この調査会は実に公務員制度全般に、広範多岐にわたる課題を審議してもらうということであれば、私はやはり当然その現場、第一線で頑張っている職員の皆さん方の声も十分聞く、そのことが必要であると思うのですよ。だから、私は、三者構成ということは必ずしも言いません。実態的にそういう形になるように配慮してもらいたい、こういうことを申し上げたのでありますので、その点を十分今後検討し、配慮してもらいたいということを申し上げておきます。  次に、官房長官にお尋ねをいたします。  まず、官房長官が、アイヌの人たち、アイヌ民族の皆さんの多年の悲願でございましたいわゆるアイヌ新法の制定に向けて大変な御尽力を願いまして、本日の閣議で政府案を決定された。そして、旧土人保護法の廃止も踏み切られた。私は、この間の大変な御努力、御苦労に、本当に心から敬意を表し、感謝を申し上げる次第であります。本当にありがとうございました。  そこで、お尋ねでございますけれども、先ほど同僚議員からも御質問がありました、三月十三日の記者会見で、これは報道でございますから、事実と違っておったら訂正を願いたいわけでありますが、財政再建の一環として、国家公務員給与について、ベースアップについては、凍結をも検討すべきである、こういう趣旨の発言をされたというふうに承知をしておるわけでございます。  申し上げるまでもなく、四十九年前の昭和二十三年、当時の占領軍司令官、GHQのマッカーサー司令官から書簡が発せられまして、そして、政令二百一号が公布、施行されたわけであります。それによって、公務員争議権団体協約締結権というものが否認をされた。その代償措置として人事院勧告制度というものが設けられた。こういう歴史的な経緯を私たちは見据えていかなければならないと思いますし、しかもなお、この人事院勧告制度の完全実施をめぐって、長い間、労使の間に紛争、対立抗争があったわけであります。それによって、行政処分を受けた者も多く、また、刑事処分を受けた人たちもございます。  私も当時公務員でございましたので、いろいろその間の苦労はよく知っているわけでありますが、この人事院勧告制度というのは公務員制度の根幹をなすものだ、こういうふうに思うわけでございますが、官房長官、この記者会見の発言の真意を改めてお尋ねしたいと思います。
  97. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まず、冒頭発言がございましたいわゆるアイヌ新法について、昨年の答申をいただいてから、各界の大変な御労作を願って、ようやくきょうは新しい法律閣議決定を見るに至ったわけであります。この間の各位の御尽力に対しまして、心から敬意を表する次第であります。  なお、ただいまお尋ねの、新聞報道に載った私の人事院勧告についての発言でございますが、再三、参議院でも衆議院でも、おしかりというか真意を問うということで、内々そういうことを考えていたのではいけませんよということで私にくぎを刺していることかとも思うのですが、これは、人事院勧告を尊重することは当然のことであります。ですから、今年の答申もいろいろな紆余曲折がありましたけれども、昨年、完全実施の決定をまずいたしまして、今それが経過しているわけであります。  ただ、新聞報道に大きく、給与やその他の問題で取りざたをされまして、その質問を受けて、私は、過去にも財政窮乏の折、あるいは延伸やあるいは全面カットやあるいは幾ばくかのあれがあった事例はある、ですから、今回のこの財政再建というのは生半可でないということを考えれば、そのことを議論の対象にすることを拒否するものではない、そういうことが当然議論にのるであろう、そういうことを申し上げましたので、あらかじめ、人事院勧告の凍結やあるいはカットや部分カットその他を想定に入れてお答えを申し上げたことではございませんが、あらゆる聖域をなくしてやるということになりますと、そういう給与全体に関する考え方もその範疇に入るのかしらという思いはいたしております。
  98. 池端清一

    池端委員 財政再建のためには聖域はないというその立場は私も了承しますけれども、先ほど申し上げたような歴史的経緯、あるいは、公務員制度の根幹をなすべきものだという御理解、御認識をひとつ改めてしていただきたい、こう思うわけです。  せっかく弥富人事院総裁もお見えでございますので、今後、人事院勧告制度について、人事院総裁としてはどういうふうに毅然として対処されるのかお答えをいただきたい。
  99. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  人事院給与勧告制度というもの、先ほど来お話がございました。公務員労働基本権制約に対する代償である、そういうことで、国公法に定められました情勢適応原則と申しますか、それに基づきまして官民給与の均衡を図るという趣旨のものでございまして、官民の給与を我々の方で精査をいたしました上、必要な給与改善勧告しているところでございます。  現在のところ、御承知のとおり、民間ではちょうど春季賃金改定交渉が行われている最中でございます。その結果等に我々としては十分注目をしているところでございまして、その結果等が出てまいりました段階で、それを踏まえて適切に対処をしてまいる所存であるということで御了解をいただきたいと思います。
  100. 池端清一

    池端委員 終わります。どうもありがとうございました。
  101. 伊藤忠治

    伊藤委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  102. 伊藤忠治

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木島日出夫君。
  103. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。まず最初に、地対財特法の一部改正法案について、総務庁質問をいたします。  一九六五年の同対審答申を受けて、六九年に同対法によって同和対策事業が開始されてから二十八年になります。この間、国と地方自治体が支出した同和対策事業費は約十四兆円。これらは、一部に私物化など不公正、乱脈な同和行政を生み出すひずみもありましたけれども、全体としては、地方自治体の公正、民主の同和行政の努力を初め、同和地区住民の皆さんの努力、国民の理解と協力などが相まって、同和地区と同和地区住民の生活環境と生活実態は大きく改善され、差別意識についても着実な解消に向かって事態が進んできております。そのことは、総務庁が行った平成五年度同和地区実態把握等調査の結果の中にもはっきりとあらわれております。  これらを踏まえて、地対協総括部会が昨年三月二十八日に取りまとめた報告書ではこう記載しております。「これらを総合的に勘案した場合、全般的にみれば、これまでの特別対策現行法期限内におおむねその目的を達成できるものと考えられる。」こう現状評価を行っています。  最初に、総務庁長官は、部落問題の現状をどのように認識しているのか、お尋ねしたいと思います。長官の認識を一言、細かいことはいいです。
  104. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 昨年の同和対策に対する意見を私どもは尊重するという立場にいるわけでございまして、やはりその意見からいえば、大体の、各地域における対策事業は終了に向かいつつある。  ただ、問題は、教育問題その他、どちらかというとハードではなくてソフトの面においていろいろの問題があるということで、今度のこの改定に当たりましても、残っている事業以外について、新しいものはどちらかというとそういうソフトのものを中心とした形でやっていこうという形で、そんなこともあって、私はこの法律の表現も変わっているというふうに承知をいたしております。
  105. 木島日出夫

    ○木島委員 ハードの部分、物的な基盤整備はおおむね完了した。しかし、ソフトの部分、ソフトというと差別意識、人権侵害、そういう分野を指すのかと思いますが、それが残念ながら残っているという答弁であります。さきの総括部会報告書にもその旨の記述がありまして、差別意識は結婚問題を中心に依然として根深く存在している、そういう記述があるのです。  しかし、私は、さきに引用いたしました平成五年度の実態調査をつぶさに検討いたしますと、どうもそれは、差別意識の一面的な誇張ではないかと言わざるを得ないのです。  結婚問題は、六五年の同対審答申でも、最後の越え難い壁だと指摘されてきております。しかし現実には、旧身分を理由にした垣根を乗り越えて、同和地区内外の結婚が大きく増加してきているわけであります。  地区住民のうちで、夫婦とも同和地区という結婚が、一九五一年の九一・五%から、調査のあった九三年には五七・五%へと着実に減少しておる。反対に、地区外との結婚は、五一年の八・二%から、九三年の三六・六%へと増加しているわけであります。しかも、これを年齢別にとってみますと、夫婦いずれかが地区外の生まれ、これの割合は若い年齢層ほど高い。夫の年齢が七十歳以上で夫婦いずれかが地区外の生まれというのは一五%前後でありますが、二十歳代の夫婦についてはこれが何と六七%になっている、そういう調査結果であります。若い世代では、もう地区の内と外とを隔てる垣根は基本的になくなっていると見ることができると思います。  結婚に対する態度についての調査結果は、これを裏づけているわけであります。  同和地区の人と子供の結婚に対する態度を見ますと、「子どもの意志を尊重する」それから「しかたない」、これを合わせますと、一九八五年度の八〇・五%から、九三年には八六・七%へ増加している。また逆に、同和地区の人と恋愛し、結婚しようとしたとき、親や親戚から強い反対があったときどうするのですかという未婚の人に対する質問に対して、「自分の意志を貫いて結婚する」というのが、八五年の六七・六%から、九三年の調査では八一・三%に増加している。  ですから、私は、地対協総括部会報告にあるような、差別意識は結婚問題を中心に根深く存在している状況では決してない、この点でも、部落問題は基本的に解消の方向に向かって着実に前進してきていると評価できるのではないかと思うわけであります。  地対協総括部会報告書は、これらを踏まえて、「同和問題解決への展望」として、これまでの特別対策が格差や差別意識の解消のために大きな意義があったことを踏まえた上で、しかし一方、「これらの特別対策は、施策の適用上、地区や住民を行政が公的に区別して実施されてきたものであり、それが住民の意識に与える影響等、この手法に内在する問題点も指摘されている。」こういう記載があったり、あるいは「教育、就労、産業等の面でなお存在している較差の背景には様々な要因があり、」云々と書いてあるわけであります。  要するに、同和地区を対象にした特別措置による格差是正というこれまでのようなやり方は限界に来ているだけじゃなくて、差別解消にとって逆効果という状況も出てきていることを指摘しているわけであります。さきの報告書は、その上で、「このようなことから、従来の対策を漫然と継続していたのでは同和問題の早期解決に至ることは困難であり、これまでの特別対策については、おおむねその目的を達成できる状況になったことから、現行法の期限である平成九年三月末をもって終了することとし、教育、就労、産業等のなお残された課題については、その解決のため、四で」別の「今後の重点施策方向」というところですが、「述べるような工夫を一般対策に加えつつ対応するという基本姿勢に立つべきである。」こう結論づけているわけですね。うなずいています。そのとおりでありますね。要するに、今日では既に同和地区及びその住民を特別扱いすること自体が部落差別を温存、再生産させることになることを厳しく指摘しているわけであります。  昨年五月十七日、地対協はこの総括部会報告書をそのまま地対協の意見として政府及び関係大臣に具申したわけで、今総務庁長官が答弁されたようにこれを尊重する立場に立つならば、地対財特法は当然今月三十一日をもって失効すべきものではないかと思います。ところが、今回の改正法案は、経過措置対象事業として十五種類に絞ったとはいうものの、引き続きこれから五年間、特別事業法的措置によって再々延長させようというものであります。  なぜ、きっぱりと地対協の意見具申に従い、すべてを一般対策への移行という適をとらなかったのか。これは政治判断ですから、総務庁長官の答弁を求めます。
  106. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 事実関係につきまして、私の方からちょっと御説明させていただきたいと思いますが、先と言われるような問題意識、当然のこととして意見具申では触れているわけでございますが、そういう現状認識を踏まえた上での具体的な今後の課題というテーマにおきましては、今なおその特定対策事業につきましては、そういう一般対策化をすべきではあるけれども、一部の事業については一定の工夫も必要だ。なぜその工夫が必要かということにつきましては、やはり一般対策化するに当たって、その円滑な移行というものが必要だという観点での御提言もあったわけでございます。  そういうようなことを踏まえまして、個々の事業につきましていろいろ精査した結果としまして、昨年の七月、方針閣議決定したわけでございます。そのうち、法的措置が必要なものにつきまして現在御提案をいたしているという経過を踏んでいるわけでございます。
  107. 木島日出夫

    ○木島委員 十年前にこの法案が国会に提出されたとき、提案者は、法案は一般対策への円滑な移行のための最後の特別法であり、物的事業を中心とするものについて五年間の法律の期間中に完結させたい、こう繰り返し答弁しているわけであります。  そのときの政府の五年間の物的事業、十年前ですよ、設定は六千四百四十二億円でありました。そして、五年間で六千三百九億円の事業が執行されたわけであります。そうすると、計算上、残事業量は百三十三億円のはずでありましたが、五年前の五年延長、再延長の法改正のとき、三千八百八十八億円を物的事業として設定していると説明されたのです。そして、この二度目の五年間、予算計上された物的事業は何と四千六百五十一億円であります。当初の設定よりも七百六十三億円もふえているわけであります。  これから先、なお五年間、五種類の物的事業をしなければならない理由がもう数字の上で全く出てこないわけでありますが、総務庁長官、どうですか。
  108. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 前回の平成四年の法律改正に伴う期限延長につきまして、そういうようなやりとりがあったことを承知しておりますが、結果として、確かにそういうような状況に今来ております。  ただ、あのときは法律改正のある意味での前提といたしまして、そういう事業につきまして進行管理を徹底的に行う、適正に進行管理を行うということも政府として方針決定いたしているわけでございまして、それに基づいて現在まで来ているわけでございます。  先生が御指摘のとおり、確かに、今回延ばすということには今までの経過からすると問題ではないかというお話ではございますが、ただその内容的なものをよく見ていただきますと、先ほど言いましたように経過措置的に一定の工夫というものでございまして、例えば物的事業につきましては、七月二十六日段階で既に着手済みのもの、継続事業に限るというぎりぎりのところを考えておりますし、それからその他の事業につきましても激変緩和的な措置というところでの措置を考えているわけでございます。  基本的には一般対策化を前提としたものでございまして、そういう部分において、経過的なものがどうしても一般対策への安定的移行のために必要であるという考えでの今回の御提案であることを御理解いただきたいと思います。
  109. 木島日出夫

    ○木島委員 政府法的措置に基づく特別対策を終結する時期を先送りしている、そういう中で、地域住民との協力を強めて、さまざまな圧力をはね返して同和行政を完結、終結させ、一般行政への移行に踏み出している、そういう地方自治体がふえてきております。  私は先日、その一つである和歌山県吉備町を訪れて、そのすばらしい状況を見てきました。人口一万二千余のこの町に、同和地区は六地区、同和地区人口は全人口の約一〇%でありました。同対法ができた一九六九年、いわゆるドーン計画、夜明け計画と名づけた、同和地区の完全な解体を目指す事業が始まる。部落問題の完全解決を期して、差別者のいない町ではなくて、差別される部落民の存在しない町を目指して、本当に町民挙げての事業が開始されたわけです。それから二十六年後の一九九五年、一昨年十一月十八日、同和施策から脱却して、ドーン計画の完結を目指す町民集会が開かれました。資料を持ってきておりますが。そして、違和感のない町並み、所得格差の解消、教育水準の向上、人的交流など、本当に計画の目標を達成しているわけであります。そして、残された課題として、同和地区の人が優遇を受けているような印象を与える制度を廃止する、これが提起されてきているわけであります。  徹底した町民議論を経た上で、五人に一人の町民アンケートを実施した結果、地区内外を問わず、九七%の町民が個人施策廃止にも賛成したそうであります。それは、進学奨励事業とか進学就職支度金支給事業とか、いろいろ七項目に及ぶ個人施策廃止したわけであります。それに踏み切った現在、例えば改良住宅家賃の値上げもやったわけでありますが、値上げされた改良住宅家賃の納入率は一〇〇%、固定資産税の納付も順調のようであります。  そして、今この町では、同和施策の最終ゴールとして、地区指定の解除、これが焦点に上ってきております。帳簿の上からも、地図からも、同和のない町になることが最終課題になってきているわけであります。すばらしい施策をやったところであります。  同和対策事業は、事実上同和地区指定から始まる以上、指定解除、これが法的また行政的にもきちんとなされることは施策の目標として当然のことだと思うのです。こういう願いであります。総務庁長官にこの要望にこたえていただきたいと思うのです。どうでしょうか。
  110. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いろいろの関係がありまして、従来から法律に基づいてそういう指定もしていないわけでございますから、今度は、指定が法的に基づいて指定をしていれば、当然外すということは法律に基づいて外すということなんですけれども、諸般の情勢と申しますか、いろいろな関係で、こういうものについてはそういう法律に基づいて指定をしていないし公表もしておりませんので、当然それを、ここを外すよとかいうようなことをまた公表するというのも、あるいは法律にそのようなことを書き込むというのもいかがなものかと思っております。
  111. 木島日出夫

    ○木島委員 法律で地区指定しているわけじゃなくて、行政施策として事実上地区指定しているのだから、外せないというのは私はいわゆるへ理屈だと思わざるを得ないわけであります。  昭和六十一年、一九八六年八月五日に出された地対協基本問題検討部会報告書を持ってきておりますが、その中にちゃんと書いてあるのです。「いわゆる地区指定の事実上の解除の実施」こういう見出しで、「仮に、今後何らかの特別法的措置がとられることになった場合においても、事業が終了し事業を実施する必要性がなくなった同和地区については、住民の合意に基づき、事実上の問題として、いわゆる地区指定を解除することは、差別意識の解消を促進する観点からも望ましい。」ちゃんと書いてあるわけです。「その場合においては、いわゆる地区指定も法律上の指定とし、解除も法的に明白に行うこととすることも検討に値しよう。」ここまで書いているのですね。  ですから、私は本当に、国の応援も得て地区内外の町民一体となってすばらしい先進的な同和行政をやってきたところが、いよいよもう完結して、これで我が町には差別地区はなくなった、差別される地域はなくなった、そういうことを言ってきているわけですから、しかも基本問題検討部会報告ではこういうこともかつてなされているわけですから、この願いに今まさに総務庁は、また政府はこたえるべきじゃないかと思うのです。どうでしょうか。
  112. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私が先ほど申し上げたように、地域を指定しますね、指定するのは何も法律に基づいて指定するわけでもなければ、行政上やって、しかも諸般の情勢からそれは公表しない方がいいという形でやってきているわけです。そうすると、現実に指定されていた地域が今必要ないとおっしゃるときに、またこれを何も法律に基づいて指定を解除しますとか、あるいは最初の日に公表してなくて今度はわざわざ公表しよう、それは私は必要ないのじゃないかということを申し上げているのであって、全く自分のところは必要ありませんよとおっしゃれば、事業の申請も何もないわけでございましょうから、結果的に事実関係としては指定地域でないような形でいくのでないのでしょうか。私はそういうふうに考えて、素直に考えたらいいのじゃないかと思うのです。
  113. 木島日出夫

    ○木島委員 私は現地へ行ってきて、もうそれを望んでいるのですよ、地元は。法的な指定じゃないけれども事実上指定があって、お金が張りついて事業が行われた。そして今、そういう差別はなくなった。だから少なくとも、地区の名前を発表しろなんていうことを私は言っているのじゃないのです。例えばこの吉備町、これはもう事業が完結して一切の差別はなくなった、そういう地区指定が必要なくなった、よく皆さん頑張った、そういう態度を総務庁長官にしてもらうということだっていいんじゃないかと思うのです。  それを、長官は必要ないと言うけれども、地元が望んでいるのですよ、地元が。町を挙げて望んでいるのですよ。これにこたえるというのは、同和行政の中心になってやってきた総務庁長官、やはりこたえるべきじゃないのでしょうか。どうでしょう。
  114. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ちょっと私理解ができないのですけれども、何か決して拘束しているわけじゃないと思うのですね。先ほどの話で、もうなるべく我々は、この同和関係のお仕事というのは本当に長い間やってまいりまして、先ほどお答えをいたしましたように、ハードの面では大体終了してきた、しかしまだちょっと継続的というか残っているような問題もあるので、それを踏まえて、ソフトの面にそれを加えた形で今度改正をお願いしているわけでございます。  そういう点からいけば、自分のところの地域は全く必要ないんだということであれば、そのようにしておっしゃっておられれば、それなりに私どもはその地域を何も対象として、事業もそれじゃ見なくていいということになるわけでございますし、あるいは今我々がソフトの面というのは、教育とか就労とかいろいろの面でまだまだ問題があるのじゃなかろうかという御意見も昨年の意見の中にもありますので、それを踏まえて今このような法律改正をお願いしているわけでございますけれども、いや、私のところはそれは必要ないんだよというところまで、何も行政上そこをどうしてもやらなきゃならないということではない、私はこう思っておりますから、それをあえて公表するとかそういうことではなくて、おのずから事実関係として、そこの地域にそういう教育の指導をしていただきたいとか、あるいはこういう形で雇用の問題をうまくいくようにひとつ行政上やっていただきたいというふうに地方自治体にお願いすることをやめれば、結果いいのじゃないでしょうか。
  115. 木島日出夫

    ○木島委員 もう押し問答を繰り返しませんが、天下晴れてそういう状態になっているということを認知してもらいたいということなんですよ。  もう時間も迫っておりますから急ぎますが、隣保館について厚生省に質問をいたします。  吉備町に隣保館が三つあるのです。端的に聞きますが、もう隣保館としてではなくて一般公民館としてこの施設を利用したいという要望が非常に強くなっています。それは可能でしょうか。端的に答えてください。
  116. 堀之内敬

    ○堀之内説明員 厚生省の地域課長でございます。  吉備町の隣保館の具体的な状況につきましてはまだ県庁の方からお話がございませんので、ちょっと一般論で失礼ですが御説明させていただきたいと存じます。  国庫補助によりまして整備した隣保館の廃止とか他の用途への転用につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、それによりまして、目的外使用とか譲渡とかについての処分の制限がございます。また、その処分に当たりましては、厚生大臣の承認というものが必要になります。ですから、今後、公民館とかというお話でございますけれども、和歌山県庁からの相談があった段階で、隣保館の現在の状況、例えば残存価額とか、今後公民館といたしましてどのような事業計画がなされるかとか、そういうことを踏まえまして、法律に基づいて適切に対応してまいりたいと存じます。
  117. 木島日出夫

    ○木島委員 もう一つ具体的に、学校の問題について文部省にお聞きをいたします。  和歌山市に芦原地区という同和地区があるわけであります。ここに芦原小学校という同和地区の単一校区の小学校があるわけであります。一九八五年、昭和六十年の三月八日に衆議院予算委員会の第一分科会で、我が党の野間友一議員からこの単一校区の弊害が指摘され、その解消を政府に求めました。当時の後藤田総務庁長官も答弁で、そんな学校がいまだにあることを大変驚かれて、何らかの打開策を講ずる方がいいと答えているわけであります。  私、行ってきました。十二年たった現在でも、同じく単一校区の小学校であります。具体的にどんな状況になっているか御披露する時間がありませんけれども、閉鎖性に起因する教育課題が非常に深刻に残っていると指摘されております。逆効果になっている。一日も早くこういう単一校区の小学校、中学校をなくしてもらいたいという要望が非常に強くなっております。  文部省、こういう単一校区がいまだに全国にあるのでしょうか。これを解消してもらいたいと望むところでありますが、総務庁長官の答弁を求めたいと思います。
  118. 金森越哉

    ○金森説明員 お答えを申し上げます。  ただいまお尋ねの点でございますけれども昭和六十年に調べた学校につきまして今回調査をいたしましたところ、先生御指摘の点につきましては、現在、小学校が六校、それから中学校が一校あるのが現状でございます。  こういった問題を解消いたしますためには、一つの方法として、例えば学校の統廃合や通学区域の変更を行うということも考えられるわけでございますが、実際には、長年にわたってそこに設けられてきた学校でございますので保護者や地域住民の方々にもさまざまな御意見があり、一般的に申し上げて学校の統廃合などはなかなか難しい問題であるというのが実情でございます。  そのため、これらの学校におきましては、他の学校との交流や、あるいは家庭、地域社会との連携、こういった指導の充実に特に力を入れて取り組んでいるところでございまして、例えば、子供たちだけでなくPTAの御協力も得て、近くの学校との、相互に訪問し合い、あるいは交流を深めるなどの取り組みを行っているところでございます。  私どもといたしましては、今後とも学校、家庭、地域社会が一体となって、子供たち一人一人を大切にした教育の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  119. 木島日出夫

    ○木島委員 十二年前も小学校六校、中学校一校で、それで後藤田長官から打開策を講ずる方がいいという答弁があったのです。やはり無策ですね。本気になってこういう状況を打開するという姿勢が求められているのじゃないかと思います。  時間が迫ってまいりましたので、次の総務庁設置法一部改正法案について一言だけお伺いいたします。  公務員の皆さんの労働基本権問題は、基本的に解決したわけではありません。意見が分かれているだけではなくて、具体的に答申があった事項についてもいまだに未解決であります。  先ほど来同僚委員からも質問がありましたが、一九七三年、昭和四十八年九月三日の答申で三項目が指摘されたのですね。給与以外の勤務条件について、交渉不調の場合に適当な機関の調整等による解決方法も考えるものとするという意見。もう一つ、その他公務員等の労働関係における刑罰規定についても今後検討を加えることを適当と考えるという意見。そしてもう一つ、消防職員の団結権。  消防職員の問題は解決しました。しかし、残った二つについてはいまだに未解決。刑事罰については、いまだに三年以下の懲役または十万円以下の罰金という刑罰が労働関係に関して科せられたままであります。また、非現業公務員の皆さんの交渉権は与えられておりますが、交渉決裂したときに何らかの適当な機関の調整による解決方法を考えよという提案が出て、先ほど意見がありましたが、公務員問題連絡会議でも引き続き検討課題としているにもかかわらず、未解決。  こういう状況があるにもかかわらず、総理が公務員制度審議会審議委員任命することもやらないで事実上これを開店休業にし続けてきたことは、明らかにこれはサボタージュじゃないか。サボタージュしていることをよいことになくすなんということは、私はもってのほかだと思うのです。  官房長官の所信をお聞きして、ぜひこういう審議会というのは、先ほど来お話があった、新しく総務庁につくろうとしている公務員制度調査会とは質的に違うのですから、やはり残すべきものはきっちり残して、公務員の皆さんの労働基本権についてきっちり審議するというのが本道ではないかと思うのです。官房長官の御所見を賜って、質問を終わります。
  120. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 古い、長い経緯のあることは承知をいたしております。  今委員指摘のとおり、四十八年の九月に第三次の答申を行って以来、会議開催されていないという事実。それから平成七年に審議会透明化見直し等について閣議決定をなされたこと。そして、今御指摘のように、三つの問題のうち消防職員の団結権の問題は既に解決を見たわけでありますから、必ずしもこの審議会、開かれない審議会に討議を任せることがいいのか、それとも、公務員問題連絡会議でこの問題は今検討されているわけでありますから、その検討の成果を見守ってまいりたい、このように考えます。
  121. 木島日出夫

    ○木島委員 終わります。
  122. 伊藤忠治

    伊藤委員長 深田肇君。
  123. 深田肇

    ○深田委員 官房長官、業務多忙のところ大変恐縮です。十五分間ですから、よろしくお願い申し上げます。  本日提案されたこの法律案を見たときに、率直に申し上げますが、先ほど来からお話がありましたが、けさ方も随分指摘が出ておりましたが、一九六五年、昭和四十年に同和対策審議会答申が出て以来今日までの経過について、本当に感無量なところでございます。  六九年には、同和対策事業特別措置法制定され、八七年には地域改善対策財政特別措置法がつくられて、続いて、けさ方の討論でも少し印象として残ったのでありますが、部落解放基本制定国民的な要求の中で、昨年、人権擁護施策のための推進法ができ上がったというふうに思っております。その上に基づいて、今回いわゆる残事業に対する特別施策が本案として提案されているのだろうと思います。同時にまた、並行してアイヌ新法の制定も間近になったように思いますだけに、世界に誇る日本国憲法の理念といいますか精神が着実に実施されてきている、民主日本への歩みをひしひしと感じているところでございますので、本当にお互いに喜ばしいことだと思っている次第でございます。  短い時間でございますから、この機会に多くを話すことはできないのでありますが、私は、ぜひひとつこの場で読み上げさせていただきたいと思っていることが一つあります。それは、同対審の答申の中に、いわゆる一九六五年でありますが、「近代社会における部落差別とは、ひとくちにいえば、市民的権利、自由の侵害にほかならない。市民的権利、自由とは、職業選択の自由、教育の機会均等を保障される権利、居住および移転の自由、結婚の自由などであり、これらの権利と自由が同和地区住民にたいしては完全に保障されていないことが差別なのである。」と書かれているのであります。  大変改善されている状況がありまして、同僚議員からパーセントの数字も含めてのお話がありましたが、私は、まだまだ結婚問題を初めとして、今日、思想的差別や現実的差別が現存していると思っておりますから、その意味合いでは、むしろこれから総仕上げであるというふうに、今日までの前進を認めつつ、改めてお互いにしっかりとした認識を持って日本の差別なき社会をつくるために頑張ることが必要だと思っていることを申し上げておきたいと存じます。  さてそこで、官房長官に、大変恐縮なんでありますが、このようなうれしいことを率直に喜び合いながら、この機会にどうしても官房長官に聞いていただきたいことを申し上げて、できれば最後に御感想をいただければありがたいと思っているところでございます。  話をいたしましたとおり、一九六五年以来今日まで、長い時間がかかってこのような改善改善が進んでいることなんでありますが、埼玉県狭山では、不幸にして、一九六三年ごろから残念な事件が起きて、今日まで未解決なものがあります。  本日は、私の先輩であり地元の狭山市長を経験されました大野先生もお見えでございますから、間違わないように申し上げたいと存じますが、一九六三年に、二十四歳の石川一雄さんという方の事件が起きたのでございます。この方は、被差別部落にいた石川一雄さんでございますから、当時の状況から考えますと、生活のために労働をすることが絶対的条件でありましたので、残念ながら義務教育も満足に受けることができなかったということをひとつ御理解いただいておきたいと思います。  別件逮捕されて、そこでいろいろとやりとりをしたようでありますが、逮捕されてわずか半年間で、浦和地裁で死刑判決がおりてしまったのであります。もちろん、これでは困るということで、本人の発言を含め、弁護団や我々全体の、新しいいわゆる助け合い運動が起こりまして頑張りましたが、一九七七年に高裁での無期懲役ということに判決が下ったのでございます。もちろん、この過程の中で第一回の再審も請求したのでありますが、開いていただくことができておりません。したがって、今の一番新しい状況で申し上げるならば、一九八六年の八月に東京高裁に第二次の再審請求を行ったのでありますから、もうことしの夏で十一年になるのです。再審請求して十一年間だめなんです。この事実をひとつ官房長官、日本の政治、日本の憲法の理念、精神の立場から少し記憶の中に入れていただくとありがたいと思います。  そこで、しかしながら、私どもはそのことをあらゆる機会にお願いしたことを通じ、そして千葉の刑務所におりました石川さんも一生懸命まじめに頑張ったのだろうと思います。一九九四年の十二月には、私どもの言葉では仮出獄と言いますが、仮釈放をしていただくことができました。石川さんは、地元狭山の自宅に帰ってまいりまして、もう顔色もぐっとよくなりましたし、元気そのもので頑張っております。しかし、この長い期間に、もちろんのことお父さんもお母さんも亡くなられているという状況でありますが、昨年の暮れには結婚をすることができまして、本当に元気に楽しい生活を送っているという近況報告をした上で、私は、あえて第二次再審請求を前にした今日の状況について話をさせていただきたいと思うわけでございます。  私どもの弁護団は、無実を証明する数多い新しい証拠を出して事実調べを求めているのです。事実を調べてください。もう時間がありませんから多くは言いません。ここにあった万年筆は、その後取り調べたお巡りさん、警官の方が、実はあれは違っていたのだという証言までして、再審が開かれたら出ていって、私は言われて違う証言をした、報告をしたということを説明するというところまでもらっているのだが、再審してもらえないから公的な場ではそのお巡りさんのお話を聞くことがない。こういう状況も含めて、新しい証拠をどんどん提出して事実調べをお願いして、今日再審開始をお願いしている状況でございます。  地元の狭山はもちろんのこと、埼玉県全域を含めまして全国的に、この石川さんを激励し助けていこう、そして日本国が法治国家であり民主国家であるならば、何が何でも事実調べ、再審を開いて、そしてひとつ、あえて言います、白黒を決めてもらおうじゃないか。クロではないと信じておりますけれども、白黒を決めてもらいたいというのが今や全国的な大きな輪として広がっていることも、たまに小さく新聞に載りますから、官房長官、思い出していただきたいと思う次第でございます。  短い時間でございますので一方的に話してしまいましたが、行政と裁判との間にちゃんとした違いのあることや、お互いの機能としての区別がなくてはいけないことを承知の上で、あえてこの委員会の場をおかりいたしまして、石川一雄さんに対する今日的事情をお話し申し上げさせていただいた次第でございます。  どうぞその意味合いで、人情味あふれる官房長官、人間梶山としての温かいお気持ちをいただけるならば、恐らくや本人、そして新しく結婚したあの人、そして周りにおるみんなが喜んで、ひとつ一緒になって民主国家をつくっていこうということに燃え上がるだろうということを申し上げて、できれば御感想をいただきたいと思います。どうも失礼いたしました。  官房長官、ちょっと御感想いただけませんか。
  124. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 無理やりに感想と言われましても、即座に感想の浮かぶ問題でもございません。  歴史は戻すことはできないということがあります。時間がたったものをもとに戻すことはできませんが、せっかく今幸せな生活を送っているならば、私は心の中で声援を送りたい、それだけが私の感想であります。
  125. 深田肇

    ○深田委員 ありがとうございました。  突然申し上げて大変恐縮でございました。ぜひひとつ、国会のあらゆる場面で本人の気持ちや私たちの心の状況を伝えようという気持ちから申し上げましたので、御理解を賜っておきたいと存じます。  そこで、残った時間、大変恐縮でありますが、総務庁長官に、本法案について一言だけまたお願いしておきたいというふうに思います。  今日の法案が、いろいろな評価があると思いますけれども、残事業であることを認めた上で、七月二十六日の閣議決定が起点である、そしていわゆる(5)はもうすべて対象外のようにいろいろな意味で理解はできるのでありますけれども、七月二十六日というのは、本当のところ、これは全国民的に理解できているのだろうか。自治体は全部そのことがわかっておるだろうか。自治体とその地域住民との間では、七月二十六日をもってすべて終わるよ、二十七日ではだめなんだよということですべていっているかどうかについては、いろいろと問題点があるというふうに思います。  そのことは、今私の方で申し上げようという立場ではなくて、そんな感想を持ちながら、前段申し上げたように、せっかく大きな流れで明るい日本に向かって民主的な施策が進んでいっている、アイヌの問題もどんどんとでき上がってくるという状況でございますから、そういう状況の中で、この大きな目標に向かって新しい流れが進んでいるという、このことをお互いに理解した上で、現場での取り扱いにつきましては、ぜひひとつよく事情を聞いてやってもらいたいと思います。もうだめなのだと言われれば、確かに法律上は二十六日でありますけれども、現場では、遅かった、早かった、そのことを知らなかったでいろいろなことが出るわけでありまして、ぜひそのことを御参酌いただきまして、温かい御対処をいただきますことをお願いいたしておきたいと思います。  総務庁長官、ひとつよろしく御善処のほどをお願い申し上げたいと存じます。
  126. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御指摘のとおり、七月二十六日の閣議を起点としておりますので、公式に申し上げれば、やはりその時点で継続をしていて引き続いてやらなければならない仕事は認めます。これは公式の見解でございます。  しかし、例えば本当に知らなかったとか 一日二日の狂いがあって、例えば七月末ごろには始めようと思っていたのだとか、それはいろいろなケースがあるのかもしれません、私よくわかりませんけれども。その辺は、原則原則として、温かい考え方でそういうものに対しては対処していくということはさせていただきたいと思います。
  127. 深田肇

    ○深田委員 温かい官房長官に続いて武藤総務庁長官のお言葉をいただきまして、ぜひひとつよろしくお願いいたしておきたいと存じます。  次に、けさ方の質問の中で、先輩議員の池端議員の方からも公務員制度調査会につきましてはお話が出ておりますから、これまた多くを言う時間もありませんし、申し上げないのでありますが、率直なところ、やはり休眠していて今度つくり直すというのは、それなりの理屈がついているのですが、休眠していたことに対する反省だとか責任はどうなっちゃうのかなというふうに国民の一人として感じます。  しかし、それを踏まえてこれからしっかりやるよ、こうおっしゃればそれまでのことでございますから、しっかりやっていただくことなのでありますが、社民党の立場という狭い意味で申し上げるならば、働いている労働者や職員、そして労働組合の気持ちがしっかりと反映できるように、ぜひひとつその構成の中にそれなりの案分をして委員を選んでいただくことをお願いして、終わりたいと思います。何かいただければありがたいと思います。
  128. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 従来の公務員制度審議会と違うということは先ほど来いろいろ議論して御承知いただいていると思いますので、従来のように三構成というような形にはまいりませんけれども、あくまで広い立場に立って、行政全般について広い見識を持っておられる方々、あるいは公務員制度について専門的な考え方を持っておられる方を中心としてまいりますけれども、その辺の御意見をきょういろいろとそれぞれの方々からちょうだいいたしましたので、委員人選に当たりましてはその辺も踏まえて考えてまいりたいと思っております。
  129. 深田肇

    ○深田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  130. 伊藤忠治

    伊藤委員長 奥田敬和君。
  131. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 しんがりの質問になりました。御苦労さまです。  今回のこの同和対策事業案件でございますが、私は、かねて、この特別措置制定以来、本当に生活基盤関連の事業が全国的に大変進んでまいりましたことは評価いたしております。しかし、物的整備の面では、対象地域外と比べても逆差別じゃないかというくらい、その地域の道路、生活基盤の充実の方がむしろ進んでおるという声も聞いております。  なぜ聞いておるかと申しますと、実は、大臣御存じのとおり、私の選挙区である金沢はもちろんのこと、石川県には同和開運の対策の地域指定もございませんし、もちろん過去において四千六百近い対象事業の枠の中に一件も入っていないというのは事実です。これは何も石川県に限らず、隣県の富山県あるいは新潟県も同様でございます。ですから、私も国会に入ってから、いつも五年ごとに期限切れ、延長の状況の繰り返しで、本当にもういいのではないかという気持ちで、実は人一倍強く反対を唱えてきた一人でありました。  現在、私たちは、格差のない、差別のない日本の行政のあり方、政治のあり方を誇りにしていかなければいかぬ時期でございますから、むしろそういう見地から今回の法案は評価しております。そして、この特別対策は本年度が打ち切りである、実は平成八年七月二十六日の閣議決定に基づくいわゆる積み残し分を含めたような十五事業で経過的措置をするという形で、物的なハード面は残事業を含めて法的にはもうやりません、担保します、そして閣議決定事業以外にはできないという形に解釈しておるわけです。  決してこれは皮肉るわけではありませんけれども、先ほど深田委員の御質疑の御答弁の中でも、何かちょっと情の余地がある、何も知らなかった場合にはあれだというような見解でありましたけれども、私はむしろ、ここはきっぱりと大臣として、飛び入り、紛れ込みの余地のないようにしっかりした答弁をやっていただきたいなと思っておるわけですが、この面についてはいかがでしょうか。
  132. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど深田さんにお答えをいたしましたように、例えば七月二十六日と決まった、公的な答弁としては当然七月二十七日はもうゼロですよ、こう申し上げるべきだと思うのでございますけれども、中には、例えば七月二十六日と閣議で決められるということを御存じなくて、前々から計画していて七月中には始めようと思っていたところがあったとか、そういう例外的なものについて多少弾力的に考えてあげるべきではないか、私はこう申し上げたわけでございます。ずるずるといくという意味では私は申し上げたつもりではございませんので、あくまで原則として、公的には七月二十六日でございますと。  しかし、閣議決定が七月二十六日になされたことは全部御存じであるわけではないわけでございます。七月二十六日で閣議で決まった、もうこれ以降は全然だめである、しかし計画はもう既にできておって、たまたま七月二十六日に始めていなかった、それは七月の終わりに始めるかもしれなかったというようなものがもしあれば、その辺のところは弾力的に考えるというのがやはり温かい行政ではないかということを私は申し上げたつもりでございます。  原則は七月二十六日で切るということを、最初に前提として申し上げておるわけでございます。
  133. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 大臣、あなたの激変緩和に関する非常に情のある措置というものは、評価する人は評価するでしょう。しかし私は、これは一般事業として継続あるいは採択していくということについては反対と言っているのではありません。ただ、かさ上げ事業としてのこういう地区対象の形は、もうここでしっかりと打ちどめを宣言するというくらいの厳しさが必要だと思うのです。あなたは行革担当の目玉大臣ですから。はっきり言って、これは決してあなたにお世辞を言うのではなくて、内閣の、キャビネットの姿勢、性格というのは総務長官の人事、行革担当大臣の大事によって、口先だけで行革を唱えるのか本気でやる気があるのかいという形が今一番象徴されるのが総務長官自身だと私は思うのです。  私も過去においていろいろな内閣のメンバーになりましたけれども、あなたのかつてのお師匠さんである中曽根、これは行政管理庁でございましたけれども、そのときの起用で、他省庁も含めて我々は非常に緊張いたしました。そういった形で今総務庁は燃えていると思うのですよ。やる気になっているということですよ。それは逆に、諸官庁は緊張しているだろう。そういった形で、私はきっすいの政党政治家であるあなたに期待することは非常に大きい一人です。  それは私が言うのではありません。亡くなられた田中角栄さんがあなたのことを評して言われたことがございました。おまえらはアラブだけれどもあいつはサラブレッドだよとか、別に、これは決して比較、差別のことで言うのではありませんよ。あなたが名門の育ちでサラブレッドだというのは馬好きのあの人流の表現だったのだろうと思いますけれども、そうか、おれたちはアラブか、出身、育ちの面からそんなことを言うのかなと。それは別として、あなたに対する期待感というのは、やはり我々の、先輩政治家を含めて非常に高いということをあなたに自覚してほしいわけです。  だから、非常に情に欠ける大臣というよりも、むしろ今日の日本の政治情勢を見たときに、あなたは、百万人といえども我行かん的な、秋霜烈日な総務庁長官として、行革担当の目玉大臣として頑張ってほしいなという願いをぜひ覚えておいていただきたいと思うのです。  ただ、私は昨年体調を崩しまして、もう政治家として本当に晩節を飾るに、締めくくりの仕事というのは何かなということを自分で考えました。そのときに、この前も官房長官にもお話ししたのですけれども、やはり情報公開の必要が、すべてのハード面の、省庁統合とかあるいは生首を切るというような小さい政府を目指す方途がいろいろありますけれども、やはり一番大事なのは情報公開がまずソフトの面の切り口であろうと思っております。  だから、まず行財政改革の第一歩はやはり情報改革に力点を置いて、まあグラスノスチ、いわゆるディスクロージャーと言われる形の中で、これは小さい見ながら太陽党の基本的な主張でもございます。どうかひとつ、情報公開法の道を開く、これはいわゆる知らしむべからずよらしむべしというかつての悪い、反省の意味における旧弊というものを改めていただきたいと思うわけであります。  そのためにまず、これは大臣に聞きたいのですけれども、この審議会。今度のも審議会廃止のいろいろな過去の例を出されておるわけであります。審議会というものを各省庁は持っていますけれども、本当に政策の過程の道具に何か使っているな、隠れみのにしているということは確実に指摘できると私は思うのです。  構成を見たって、省庁のOB、そんなもの自分の出身官庁の政策立案した、そんな方たちに対してめっぽう反対するはずありません。いわゆる御用学者という言葉はまた批判を受けるかもしれませんけれども、いわゆるその官庁に近い学者、そういった方たち。あるいは政党別でも大体協力体制を初めから期待できるような方たちというような、これは何も今総務庁対象にして言っているのではありませんよ。あなたは全部の官庁を所轄する立場で、審議会、大体メンバーを見ると、まあ大臣は相談を受けるけれども、これはそれだけですよ。国会同意人事と普通のいろいろな、構成によって違う形はあることは存じておりますけれども。  これがやはり政策決定の根拠になっておるわけです。これは第三者、公平なる学識経験者の御意見で、私たちは今度はこういう政策遂行をやりたいという形で、これをいわゆる隠れみのに、政策立案過程の小道具に使ってきた。私は、今ここで具体的に例を挙げて一省庁の審議会云々を批判するのではありません。私たちが長い間やってきた事実関係だけを指摘しているわけです。  ですから、今後大臣の担当として、審議会委員選考はもちろんあれですけれども、情報公開によって、このことの内容が公開されることによって随分変わってくると思うのです。委員も、いいかげんな委員では務まらなくなってくると思うのです。だから、そういった形の中で、審議会の今までの形態が、いわゆる御用的なそういった小道具に使われない形にするためにも、まず情報公開あるいは審議会審議過程のある程度の公開という形が非常に大事な要素になってくる。それが次には、審議会の形態、人選すべてにつながってくるだろう。大体、対策決定の過程で主権者である議会や国民が関知していないという形はおかしいですよ。これはやはり行政のおごりです。  ですから、そういった面をひとつ、ぜひあなたが閣内において、民主国家である日本としてまずこれだという形で毅然とした主張をやっていただきたい。私らを含めて政治家も、もちろん情報公開がなされることで勉強もするわけです。政治の復権がなされるわけです。行政が主導して法律をつくって、さあこれでやってくれという形でなくて、やはり自分たちが本気にディスクロージャーによって勉強して、そして政策の立案過程を含めてむしろ行政の助言を待ってやるくらいの主導権を回復する。これがやはり一番大事なことじゃないかと私は思っております。  時間が参りましたので、行革大臣としての担当の決意と、そして今申し述べましたように情報公開がやはりこれからの私の締めくくり宿題だと思っているのですけれども、これに対して、大臣はディスクロージャーに関してどういう考えを持っておられるのか。  そしてもし答弁の時間、これは短い時間で結構ですけれども、いわゆる行政監視院という日本版GAOの構想が今時局的な話題になっているわけであります。これはやはり私も迷っているのですよ。行政行政を監視するというのは、今まで総務庁の中にもありますけれども、それはなかなか実効的な、肉を切るまでにいかないだろう。やはりここはひとつ、何らかの権威のある形によって行政の監視的な機構は必要なんじゃなかろうかな。  アメリカ式がいいのかどうかは別として、いわゆる日本版GAOと称せられておるこの行政監視院について、大臣はどういう御所見をお持ちか。簡単で結構ですから御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  134. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 行政改革につきましては、先ほどの同和の、多少、一週間ないぐらいの問題に情を示すのとは違って、こちらは非常に冷たい、冷酷と言われるくらいの立場で対処していかなければならないと思っております。  その中で、今お話しの点は情報公開と審議会行政監視院の話でございますが、情報公開は、御承知のとおり行革委員会で昨年暮れに御意見をちょうだいをいたしまして、それを踏まえて今鋭意作業は進めております。これは正直、最初は平成十年に国会に提出をするという予定でございましたけれども、特に私から指示をいたしまして、平成九年、年度ですから、来年のこの次の通常国会になるべく早くお出しをする、こういうことで作業を進めさせておるわけでございます。  それと審議会の問題、私は非常に関連すると思います。審議会も今御指摘のとおりで、私かつて答弁もいたしましたけれども、本当にそれぞれの役所が自分たちの思うように政策を持っていこうとして審議会を利用している、そういうのは幾らもあるわけでございまして、もうお互いそういうのは経験していることでございます。それじゃいけないのであって、本当に行政のあるべき姿も含めて、やはり国民のサイドに立って、一体この政策をどう持っていったら日本の国のためになるのか、この政策をどう持っていったら国民の幸せにつながるのかという観点から審議会が本当になされなけばならないと思っております。  それからもう一つは、私は、やはり中央省庁の統廃合をやる以上は、中央省庁統廃合もゼロから見直しをやろうとしているわけでございますので、審議会も一応全部ゼロというところから出発したらいいんじゃなかろうかと。本当に最低限の、まだ今二百幾つありますけれども、そんな二百幾つじゃなくて、少なくとも二けたといいますか、それくらいの審議会に私はしていくべきだと。二けたも、なるべく少ない二けたがいいんじゃないか、こう思っております。  そして、審議会審議はもう情報公開。すべて公開をするということはどうしても問題がある点もあると思います。例えば、税制調査会の問題が余り早く出てきてしまうと、それで国民の皆さんは、それをいい方向に持っていかれればいいけれども、悪い方向に活用されようと思うとこれは困りますから、そういうものについては、例えばその要旨だけ発表する場合、将来は全部を公開するとしても一時的には要旨だけをやるとか、あるいは人の名前で、やはりいろいろお出ししてはいけないようなところは人の名前は伏せるとか、そういうようなやり方はあると思いますけれども、私は、審議会内容原則としては公開をしていくべきだと思っております。  それから行政監察につきましては、もうとにかく行政府そのものがやはりみずから監視をしていくという必要、チェックをしていくという必要が私はあると。そういう面では、残念ながら今の総務庁行政監察局というのは力がない。もし今の体制でやるのであれば、行政監察局というのをもっと強化をするために、例えば再勧告ができるとか、勧告しても従わない役所があればそれは公表して反省を求めるとか、そのくらいのことは設置法を改正すればできるわけでございます。  とりあえず私はそういうことを考えており、将来は、中央省庁の統廃合の中にあっては、例えば会計検査院というのが独立機関で、これは憲法でも保障されているからやりやすいのでございますけれども法律でつくればいいわけでございます。国によっては行政監察院とか、いろいろのそれに似た名前のものはあるわけでございますので、私はそういう独立的な機構を設けるのか、あるいは今官邸機能の強化とか言われておりますが、そういう官邸の機能の強化の中で考えていくか、そのどちらかではなかろうかというふうに考えております。
  135. 奥田敬和

    ○奥田(敬)委員 終わります。
  136. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  137. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより両案に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。瀬古由起子君。
  138. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  私は、日本共産党を代表いたしまして、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び総務庁設置法改正案にそれぞれ反対の立場から討論いたします。  最初に、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案についてです。  部落問題は、本来、こうした法的措置に基づいた特別事業を必要としない状況をつくり出すことが根本的な解決の道であり、二十八年間の取り組みによって現在その段階に来ております用地対協報告も、「従来の対策を漫然と継続していたのでは同和問題の早期解決に至ることは困難」であるとして、一般対策移行基本姿勢に立つべきことを明確にしております。  生活環境改善を初めとする基盤整備は、おおむね完了いたしております。また、国民人権意識は着実に前進して、地区住民でここ十年間で被差別体験がない人は十人のうち九人になり、二十歳代で地区外との結婚は七割近くになっています。部落問題は、国民的融合によって解決可能な歴史的な段階になっており、法的措置による事業を終結させることこそ今求められております。  こうしたときに法的措置による事業を継続することは、部落差別の解消に役立つどころか、逆に部落差別を温存し、固定化し、差別解消に逆行するものにほかなりません。  さきの質疑の中で木島議員が指摘いたしました和歌山県の吉備町は、九五年の十一月十八日に同和事業の完結集会が行われた町です。この町では、差別をなくすようにしようとすれば優遇施策はやめようと、七つの町単独優遇施策廃止しております。また、部落のみにあるものをなくしていくとして、小中学校の加配教員を返上して、隣保館も何とかしたい、役所にある地図と名簿も消してほしいと願っています。また、区長さんや同和委員さんからは、自立、自立といって与える行政はやめてほしい、いつまでレッテル張りを続けるんやとの声が寄せられております。  同じ和歌山県の和歌山市では、児童館、文化会館は一般地区には一館もない、同和地区だけに建てられております。また、一般地区の子供クラブは一カ所二万五千円の予算であるけれども、十四の同和地区の子供会には同和教育子供会予算として、多いところは一千六百二十八万円、合計で七千五十四万円という法外なものになっております。さらに、児童数百四十名の同和地区単一校区さえ残されています。  こうした同和行政が行われている地域ほど、子供の中に深刻な課題を残していると指摘されております。  今、同和事業終結への市町村の努力と願い、住民の声にこたえ、また、一方で不公正な同和行政を正していく道は、国が法的措置による特別対策の終結をすることこそ求められていると指摘し、討論といたします。  次に、総務庁設置法改正案です。  政府審議会委員任命もせず放置してきた責任を棚上げにして廃止するとは、本末転倒の態度であり、公務員労働者の労働基本権の確立を目指す立場から、到底容認できるものではないことを指摘し、討論といたします。  以上です。
  139. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて両案に対する討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  140. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより採決に入ります。  まず、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  141. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、総務庁設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  142. 伊藤忠治

    伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  144. 伊藤忠治

    伊藤委員長 去る六日、人事院より国会国家公務員法第二十三条の規定に基づく研究業務に従事する一般職の職員の任期を定めた採用等に関する法律制定についての意見及び国と民間企業との間の人事交流を適正に実施するための一般職の職員の身分等の取扱いに関する法律制定についての意見の申し出があり、同日、議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十四分散会      ――――◇―――――