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1997-05-28 第140回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十八日(水曜日)     午前九時三十三分開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君    理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 伊藤 忠治君 理事 矢島 恒夫君       川崎 二郎君    斉藤斗志二君       坂井 隆憲君    園田 修光君       田村 憲久君    竹本 直一君       中川 昭一君    西川 公也君       野田 聖子君    山口 俊一君       吉川 貴盛君   吉田六左エ門君       赤松 正雄君    石垣 一夫君       遠藤 和良君    神崎 武法君       永井 英慈君    原口 一博君       北村 哲男君    山花 貞夫君       濱田 健一君    横光 克彦君       小坂 憲次君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 堀之内久男君  出席政府委員         郵政政務次官  野田 聖子君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省郵務局長 内海 善雄君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         郵政大臣官房国         際部長     長谷川憲正君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 五月二十八日  辞任         補欠選任   佐藤  勉君     西川 公也君   園田 修光君     田村 憲久君   野中 広務君     吉川 貴盛君   横光 克彦君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     園田 修光君   西川 公也君     佐藤  勉君   吉川 貴盛君     野中 広務君   濱田 健一君     横光 克彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法  律案内閣提出第八九号)  簡易生命保険積立金の運用に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第五九号)(参議  院送付)      ————◇—————
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
  3. 古屋圭司

    古屋委員 自由民主党の古屋圭司でございます。  きょうは、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案について質問を申し上げます。この法律自身の条文的な内容というのは、そうございません。しかし、いわゆるWTO交渉経過等々この法律の改正に至った経緯につきまして、幾つか御質問させていただきたいと思います。  九七年二月十五日、これはWTOサービス貿易一般協定にとって極めて歴史的な一日であったということが言えると思います。ウルグアイ・ラウンド以来の最大の懸案でありましたいわゆる基本電気通信交渉が決着をしたということでございます。このWTO協定締結後も継続交渉となっていた四つの分野がありますけれども、特にそのうちの金融分野あるいは海運というのは余り成功をおさめることができなかったということでございます。特に海運につきましては、事実上の没交渉というか再継続交渉というふうになってしまったわけでありまして、そういった意味からこの基本電気通信サービス交渉はどうなるのか、非常に関係者がかたずをのんで見守っていたということだと思います。極論をすれば、このWTOサービス貿易一般協定の将来というのは、この基本電気通信交渉成否にかかっていたと言っても過言ではないと思います。  今回、そういう状況の中で合意に至ったということは、WTO存在意義というものを改めて認識することができました。そういう面で非常に高く評価をいたしております。今回、この合意をどのように受けとめ、交渉成功意義をどういうふうに考えているのか、まず総括的に大臣からお伺いしたいと思います。
  4. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 このたびのWTO妥結についてどのように評価しているかという古屋委員の御質問でございますが、私は、本交渉成功は、約六十兆円と言われます世界電気通信市場自由化に向けた枠組みを構築するものとして非常に意義深いものと評価をいたしておるところでございます。  電気通信分野においても、相互主義ではなくて、最恵国待遇原則といたしまして、内外無差別自由化が実現されますとともに、競争を通じた電気通信活性化によりまして世界経済全体の発展に大きく寄与するものと認識をいたしておるところであります。  我が国にとってみましても、外資系企業参入によりまして、競争が一層促進されまして、料金低廉化サービス多様化等自由化の成果を利用者が一層享受できるものと期待をいたしておるところであります。  また、世界市場自由化されますことは、我が国通信事業者にとっても海外での事業機会が拡大するわけでございまして、NTTなどを初め我が国事業者がこの機会を活用して積極的に海外市場に進出することを期待いたしておるところであります。  私といたしましても、こうした日本企業海外展開に対しましては、積極的に支援してまいりたいと考えております。
  5. 古屋圭司

    古屋委員 この交渉は、本来なら九六年四月三十日に期限が切られたわけですけれども、二月十五日まで延びた。それにはいろいろな背景があったと思うのですけれども、やはりこの電気通信サービスをめぐる世界の情勢が大きく変転している、そういったことが挙げられると思います。  ちなみに、二十世紀の最後の十年に、大きくそういった変革が今起きております。国家独占あるいは公共事業体独占による公共電話サービス、こういうものが主体だったものが、いわば競争、金もうけの対象になってきた。すなわち、一昔前 までは、全国あまねく電話、これは世界各国そうだったと思いますけれども、今ば多様な通信サービスを求める時代競争原理が働いてくる。そうしますと、一方向から多方向へ、要するに、容量が光ファイバー等々によりましてどんどん飛躍的に増大しますと、音のみから静止画像あるいは動画像になっていく。いずれは同時、多種多方向になっていく。要するに、通信放送、情報処理の一体化、まあマルチメディアと言われるものだと思いますけれども、こうなりますと、いずれは、電話もテレビもあるいはコンピューター、カメラというものが一つの機械になっていくだろう、そういった意味で見ますと、現在のインターネットとかイントラネットなんというのは過渡的な状況にすぎないと私は思います。そういう中での一番ネックは、やはり通信コストが高いということがネックになっているのじゃないかなと。こういった背景の中で、市場も大きく変化しました。例えば、独占権の喪失と競争導入電話回線再販業者の出現とか専用線の販売、また、単純再販から公−専−公の接続と、大きくそういうふうに変わってきている。  そういった中で、この電気通信サービス分野における自由化というのは一体何なのだろうか。これを考えてみますと、元来、アメリカはこの電気通信サービスについてはパイオニアでありましたので、その非常に高い競争力というものを背景にいたしまして、欧州日本あるいはアジア等々の発展途上国に対して、いわば、時には自己中心的なプレッシャーをかけてきたということはあると思います。例えば、ユニバーサルサービスから競争市場導入コストに基づく料金設定をしろだとか、あるいは相互接続義務の問題、あるいは免許基準透明性、といいましても、これはアメリカの場合はFCCがかなり恣意的に操作しているというのが事実でありまして、これは後で指摘させていただきたいのですが、あるいは規制機関事業者を分けろだとか、こういったたようなことは本来アメリカの主張だったとは思うのですけれども米国のほかの国に対する市場開放要求には、私は、一つ大きな根本的な欠陥があると思うのですね。他人の国の市場開放には理不尽なぐらい開放しろ、開放しろと言うのでありますが、一方、外国通信事業者アメリカ参入するときは、何やかんや理屈をつけてほとんど参入をさせないということでありまして、かつて、バシェフスキー率いるUSTRが、発展途上国自由度が少ないということでアメリカ通信事業者がそんなものはだめだとけつたら、バシェフスキーは全くそれを抑え切ることができなかったというような状況もあったようでございますし、そういった意味から交渉妥結がおくれたのだと思うのです。  ただ、日本は、そういった対アメリカ交渉戦術、と同時にやはり欧州との連携、そしてアジアをどういうふうに取り込んでいくか、そういった意味では非常に難しい立場にあったと思うのですが、しかし、我が国は、そういった中で非常に本交渉合意に向けて中心的役割を果たしてきたと思うのですけれども、どのような貢献をしてきたか、ちょっとその辺につきまして何点が御指摘をいただきたいと思います。
  6. 長谷川憲正

    長谷川説明員 委員指摘のとおりに、昨年の四月三十日が当初の交渉期限でございましたけれども、残念ながらこの時点で話がまとまりませんで、ことしの二月十五日まで九カ月半延期をされたわけでございます。その事情は、今お話しをいただいたとおりでございまして、交渉期限、四月三十日の直前になりまして、アメリカがいきなり、国際通信においてもまだまだ問題がある、あるいは衛星通信分野でも問題がある、各国がこれらの問題について十分な約束をしない限りは、アメリカとしても一たんした約束制限あるいはその延期をせざるを得ないというようなことを言い出しまして、これが原因で交渉延期をされたわけでございます。  それで、私ども日本といたしましては、委員指摘のとおりに、今回の基本電気通信交渉というのはウルグアイ・ラウンド後のサービス貿易交渉の中でも特に重要なものである、この交渉成否が他の金融あるいは海運分野にも大きく影響するだろうという観点から、これをとにかく成功裏にまとめようということで各国働きかけを行いまして、とりわけヨーロッパ、カナダと連携をして、アメリカの説得に努めたわけでございます。  その中で、私どもは特に大きく貢献したというふうに思っておりますのは、三つございまして、第一点は、日本提案、特に、NTTKDDを除きまして、第一種電気通信事業者につきましては無線局免許も含めて一切の外資規制撤廃するということを、四月の段階でまず率先して提案をしたということがございます。こうした、日本市場開放するという提案によりまして、各国の前向きの提案を引き出そうということを考えたわけでございます。  それから、二つ目には、交渉参加国が十分でないという指摘がこれまたアメリカからあったわけでございまして、日本は、地理的にも近い、関係も深いアジア各国に対しまして、この交渉参加するように、そして自由化約束を改善するように働きかけを行ってきたところでございます。  それから、三番目には、外資制限がある程度緩和をされまして、各国の中にそれぞれ他国の事業者が入れるという事情ができましたとしても、競争を促進するための規制枠組みというようなものが整っていなければ実際には自由な競争というものができないわけでございますので、こうした競争促進的な規制枠組みについて、モデル約束案をつくるということになりまして、この中で、日本はみずから案を作成して提出をする等主要な役割を果たしたというふうに考えているところでございます。この結果、最終段階で、マレーシアあるいはインドネシア等の多くの開発途上国参加をしてくれましたし、そして百由化約束の改善も行われたところでございまして、最終的に自由化約束提出した国、六十九カ国に上りました。また、その国の中で五十七カ国が、先ほど申し上げました規制枠組みに関するモデル約束案を採用していただいたところでありまして、私ども交渉成功に向けて貢献できたと考えているところでございます。
  7. 古屋圭司

    古屋委員 今、国際部長指摘のとおり、私も、極めていい仕事をしていただいたなと思っております。  今御指摘ありましたように、我が国電気通信事業法では、もともと外国規制というのは三分の一であったわけですけれども、四月の時点で、NTTKDDの五分の一以外は、第一種電気通信事業者に対しては撤廃をするという、この提言というのは非常に効果があったんじゃないかなと思います。アメリカは、ぎりぎりまでNTTKDDについても開放しろというふうに迫ったようでありますけれども、しかし、アメリカ側は、結果的に間接投資外資規制撤廃はしましたけれども無線局に対する二〇%の直接規制というのはそのまま、維持したままということでありますから、大体、無線局を持っている事業者は多いわけですから、そういう意味でも、アメリカの、何というのですか、独善的な姿勢というのが私は目立ったのではないかなと思います。  ただ、アメリカというのは、もともと国内では電気通信分野というのは自由化を進めているのは事実だと思います。例えば、九六年の、一定条件のもとで市内通話長距離通信相互乗り入れを認めるということをしましたよね。あるいは、九六年には新通信法をつくりまして、放送通信の融合をさせるというようなことで、世界に先駆けてマルチメディア化に向けて動いているというのは事実だと思いますけれども、ただ、先ほども述べましたように、やはり、アメリカというのは、外国市場参入には非常に熱心なんですね。しかし、実態は、例えば、外国電話会社海底ケーブルアメリカに陸揚げしようと思ったら、それを制限したり、FCCという強大な権限を持った独立の委員会が、好き勝手にと言うと語弊がありますが、かなり恣意的に外国企業参入というものを阻止しているんじゃないかなと。こういった状況がある中で交渉妥結をしたということは、私は、電気通信サービス世界自由化に向けて大きく動き出したということだと思います。電気通信市場が、御指摘のとおり、独占から競争時代に本当に波を打つように動き出しているということを我々も認識しましたし、あるいは、発展途上国の人間もひとしく認識したことだと思います。  この背景には、やはり、競争を促進するための普遍的なマルチのルールを確立したということが、私、大きいと思いますね。それは、いわゆる参照ペーパーと言われるものだと思うのですけれども、この参照ペーパーというのは、WTOの最重要の原則であります最恵国待遇義務原則、いわゆるMFNとか、市場アクセスをしっかりと確保して、アメリカが要求しております相互主義的な考え方、免許基準というものをできるだけ排除しようということに非常に大きく役立ったんじゃないかな、私はこんなふうに思っております。  また、この参照ペーパーをつくるに当たりましては、我が国は非常に主導的な役割を果たしたというふうにも伺っております。すなわち、わがままアメリカという国と、どちらかというと小心者途上国の間の隔たりというものをうまく埋める効果があったんじゃないかな、私はこんなふうに思われます。  この参照ペーパーについて具体的にお伺いしたいのど、やはり、公正有効な競争環境整備のために、今後世界的にどのようなルールが適用されるのか、この参照ペーパーの中も含めて、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  8. 長谷川憲正

    長谷川説明員 ただいま御指摘をいただきました参照ペーパーにつきましては、先ほども御説明申し上げました競争促進的な規制枠組みをつくっていくためのいわゆるモデル約束案のことでございます。このモデル約束案のことを交渉の中で参照ペーパーという呼び方で呼んでおったわけでございますが、これをつくるに当たりましては関係各国の間に非公式グループというものができまして、我が国はその議長も務めて、原案を提案するなど、起草に当たって重要な役割を果たせたというふうに思っているところでございます。  この参照ペーパーにつきまして、どういうことが書いてあるかといいますと、まず反競争的行為の防止という項目がございます。それから相互接続の確保、さらには規制透明性等々がこの中に規定をされているわけでございます。最終的には我が国を初め五十七カ国がこのモデル約束案、いわゆる参照ペーパーを採用しまして、自主的にこれを約束したところでございます。  したがいまして、これから基本電気通信世界では、このモデル約束案提出した国々の間で世界的なルールとして今申し上げましたような一定ルールが適用されるということでございますし、それにも増してこのWTOそのもの合意というのが、委員指摘のとおりに最恵国待遇ということが原則でございますので、例えば日米間だけで何かを取り決めてやっていくということではなくて、一つ市場開放のための措置というのはあらゆる国に対して適用されるということが今後のルールとなる、このように考えているところでございます。
  9. 古屋圭司

    古屋委員 今お話しいただきましたように、いわば電気通信交渉のバイブルと申しますか、そういう役割は非常に大きかったと思います。  この参照ペーパーというのは法的な拘束力はないわけですね。しかし、米国のいわば相互主義的なアプローチというのはこれによってある程度封じることができると思うのですけれども、今後電気通信事業者アメリカ参入するときに、このアメリカ相互主義というのは一体どういうふうになるのですか。この辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
  10. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のとおり、アメリカにおきまして、現行制度といたしましては、外国電気通信事業者参入いたそうとする場合には、その事業者の所属する国の市場開放度等を判断した上でと、これを原則として運用しておるという意味でございまして、そういう意味相互主義だということでございますが、今回の合意が来年の一月一日以降発効するということになりますと、こういった取り扱いWTO協定最恵国待遇義務に反するということになるというふうに考えております。  ただ、米国におきましても、基本電気通信交渉等の場におきまして、現行制度WTO協定に合致した形で運用していくということを表明しておりますので、我が国としては今後の米国の動向を見守っていきたいというふうに考えております。
  11. 古屋圭司

    古屋委員 あと、米国交渉姿勢に関連いたしましてちょっと質問したいことがございます。  それは、ことしの一月と二月だったと思うのですが、KDD並びNTTアメリカ子会社認証FCCによりストップさせられたわけですね。その理由通商政策上の疑念ということでありまして、恐らく彼らとしては、NTTの調達問題だとか外資規制の問題とリンクしているのだと思うのですけれども、しかし、元来全く関係ない問題でありまして、これを理由認証をストップさせて、四カ月たってもまだ全く解決のめどが立っていないというふうに私は聞いておりますが、この辺につきましてお伺いしたいわけです。  大臣も即刻対応していただいて、アメリカの大使館あるいはUSTRの方に抗議を申し込んだということだそうでございますけれども、やはりこういった不透明な措置というのは、今回合意されましたWTOの精神にも全く反していると思うのですね。ですから、このようなアメリカ交渉姿勢を一体大臣はどういうふうに考えておられるのか、そしてどういう対応を今後していこうと考えておられるのか、この点につきましてお伺いをしたいと思います。
  12. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま委員の御指摘になりましたNTTKDD米国子会社に対する認証留保の問題につきましては、全く委員指摘のとおり、残念のきわみでございます。  この留保に当たっては、二つ条件をつけておるわけですが、本年中のNTT及びKDD外資規制撤廃二つ目が本年九月末に期限を迎えるNTT調達取り決めの延長、この二つ条件としてFCCの方から回答が来ておるわけでございます。  この回答に対しまして、私の方から三月十四日に、FCC委員長早期認証をしていただくように書簡を送付いたしたところであります。五月八日付で返書が参ったわけでありますが、私の方の申請に対しまして、具体的な取り扱いスケジュール等については何ら言及されていなかったわけでございます。  本申請からもう四カ月を経過しておるわけでございまして、今回新たにまた、五月二十二日でありましたか、書簡を再度FCC委員長あてに送付いたしたところでございます。  今回FCCから言ってきております二つの前提というのは、全くこの申請に対しましては関係のない問題でありますので、相互主義的で二国間で問題を解決しようとする米国交渉姿勢はやはり今回のWTO基本交渉合意の趣旨に反するものと私どもは考えております。これからも多国間ルールに従って解決を図っていくことが重要と考えておりますが、将来どうしても解決を見ない場合には、WTOの活用も視野に入れて対応してまいりたいと思っております。
  13. 古屋圭司

    古屋委員 どうかこの問題につきましては、我が方が正当な理屈を言っているわけでありまして、毅然たる態度で今後とも臨んでいただきたいと思います。  次に、アジア戦略につきましてお伺いしたいと思います。  WTO交渉の当初から、アジア途上国というのは、基本電気通信交渉にはほとんど関心を示していなかったのではないかなと思います。どうせアメリカがやりたい放題やるだけだろうという共通の認識があったということも否定はできないと思います。ただアジア諸国では、基本電気通信サービスというのはもともと国家独占がほとんどでありましたので、この分野自由化するということは既得権を消滅させるということにつながると思いますので、そういった意味で、消極的というか、関心がなかったということだと思います。  韓国でも外資規制は三三%、そして国際単純再販ISRについては自由化は二〇〇一年からですか、シンガポール外資規制が四九%、ISRは二〇〇二年から、また香港に至っては二〇〇六年からISR自由化、こういうような当初の規定だりたということでございますから、これを見ても余り熱心でなかったということだと思いますけれども、しかし最終的には途上国側もそれなりの努力をしたということだと思います。それはアジア諸国が、この分野というのはボーダーレスでグローバルな展開をしていますから、やはりそういったグローバル競争参入するには環境整備をしつかりしていくということが重要と認識せざるを得なかったからだと思います。  そういった意味では、アジア電気通信市場の潜在的な発展可能性というのは非常に大きいと思いますね。我が国の国益を考えれば、アジア地域のインフラの発展日本がどういうふうに貢献していくかというのも今後大きな課題になってくると思います。  その点から、大臣は、この五月の連休を利用されまして、マレーシアとかシンガポールにも精力的に御視察に行かれたそうでありまして、今度はベトナムにも視察に行かれるということを伺っておりますが、アジアに対して目を向けていくということは極めて重要なことだと思いますけれども我が国としてのアジア戦略、これについて大臣の御意見をちょうだいしたいと思います。
  14. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいまアジア市場の問題についてお尋ねでありますが、私も古屋先生と全く同感でございまして、アジア諸国は地理的、経済的にも我が国と非常に密接な関係にありますので、今後とも協力、協調の関係を積極的に進めてまいりたと思います。  ただいま御指摘のように、先般、マレーシアシンガポールを訪問いたしました。その節はNTTKDDと一緒に訪問いたしたわけでありますが、これらの国におかれましても通信インフラの整備について非常に積極的に取り組んでおられるし、また、日本の技術力あるいは資本力に大変大きな期待をされておることに感銘を受けたところでございます。恐らくこの二国間とは近く結果がいろいろと出てくるだろうと思っております。  郵政省といたしましても、今後アジアの経済発展にさらに協力していかなきゃなりませんが、特にこの情報通信基盤整備への協力が最も大事だ、こういうように考えておるわけでございます。これからも、情報通信基盤の構築に向けて、アジア各国の政府と十分連絡をとりながら積極的に取り組んでまいります。  御指摘ありましたベトナム等においても、日本の技術、そしてまた進出というものに非常に期待を持たれておるわけでございますので、私は、機会があれば、視察ではなくて訪問いたしまして、日本の誠意というか、こういうものを十分向こうに御理解いただけるような方向でこれからも政府としては、また郵政省としては積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  15. 古屋圭司

    古屋委員 我が国が最も得意としている分野でもございますので、どうか大臣のその力強いお言葉、しっかりと御認識をいただきまして、対アジア政策に取り組んでいただきたいと思います。  時間が参りましたのでこの辺で質問を終わりにさせていただきたいと思いますけれども、この交渉を振り返ってみまして、当初から心配されておりましたアメリカでのいわゆる最恵国待遇義務の免除登録というものを最小限に抑えることができたということがやはり非常に大きな成果だったと思います。そういう意味では、この交渉というのは予想外の成果が得られたのではないかな、私もいろいろな質料を見ながらこんなふうに考えております。  その背景には、先ほど指摘しましたように、普遍的なルールであるいわゆる参照ペーパーづくりというものが大きく役立ったのかな、こう思っております。これには郵政省初め関係者の御努力というものは並々ならぬものがあった、こういうふうにも伺っております。その関係者の皆様に敬意を表しながら、この質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  16. 木村義雄

    木村委員長 赤松正雄君。
  17. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 おはようございます。新進党の赤松正雄でございます。今、古屋代議士の方からこの問題に関して的確な質疑がありまして、私も古屋代議士の質問とかなりダブるところがあるわけですけれども、今お聞きしたからすべて終わりますというわけにはいきませんので、今答弁がありました点をさらに詳しくお聞きするというふうな方向で始めさせていただきたいと思います。  まず、今回のこのWTO基本電気通信交渉妥結を受けて今回の法改正になったわけですけれども、今もいろいろな角度から、日本がリードしていった形でのこの交渉の見事な妥結、終結という指摘がありましたけれども、果たして最初からそういうふうな感じでずっと進んでいったのかどうか。その交渉の一番最初から妥結に至るまでの経緯について、繰り返しになるかもしれませんけれども、特に難航した点を中心に概要を述べていただきたいと思います。  さっき国際部長の方から、日本提案、そしてまたアジア各国への参加を促す働きかけ、あるいはモデル約束案という三点の話がありましたけれども、そういう三つのポイントはいつの時点から出してきたのか、時間的経緯を経て述べていただきたい、こんなふうに思います。
  18. 谷川憲正

    ○谷川説明員 このWTO基本電気通信交渉は、御指摘のとおり、ウルグアイ・ラウンドの後の継続交渉の中でも重要な一つ分野になっておったわけでございまして、電話事業等のいわゆる基本電気通信サービス世界的に自由化をいたしまして、各国競争導入し、料金低廉化し、そしてサービスの多様化を図っていこう、こういう目的で始まったものでございます。  当初の交渉は、一九九四年の四月から二年間ということで、昨年の四月三十日が交渉期限であったわけでございます。この間に、多くの事務的な交渉の中でさまざまなことが話し合われておりまして、最後の方の段階では毎月一回ぐらいの交渉をやっていたわけでございます。そういう中で、各国がまず外国に対して市場開放していくという意味での外資制限の緩和、やはりこれが一つの大きなテーマになっておりましたし、同時に、単に外国に対して市場開放をするという事実だけではなくて一具体的に各国の中で本当に競争的な環境がつくられることが必要だという機運がだんだん盛り上がってまいりまして、そして、この規制枠組みというものを一つルール化しようではないかという話が、日本からももちろん提案もいたしましたし、主要国からも提案がございまして、このためのグループもつくられたところでございます。そして、なるべく多くの国々に参加を呼びかけようということでございまして、各国が手分けをして、いろいろな機会に、各国の、特に開発途上国参加を呼びかけてきたところでございます。  昨年の四月三十日時点では、四十八カ国が交渉参加をし、そして自由化約束提出するというところまで来たわけでございます。私どもは、当時といたしましては、確かに百三十カ国というWTOの加盟国の総体からいたしますと数は少のうございますが、主要な国を網羅できたということで、この時点で話をまとめるべきであるということから、日本としても思い切った自由化提案をいたしまして各国の前向きの対応というものを促したわけでございますが、残念ながらアメリカの方が、国際通信自由化約束は十分でない、そしてまた衛星通信分野でも問題が多々あるということを交渉期限直前で主張をいたしまして、このために一時は交渉が決裂するのではないかというふうに私ども見たぐらいに事態が悪化をいたしたわけでございます。  このウルグアイ・ラウンド後の継続交渉電気通信だけではございませんで、海運あるいは金融もございました。そういう中で、最も成長が期待をされている電気通信分野交渉がうまくいかなくなった、交渉が決裂をしたということになりますと、他の分野に対する影響も非常に大きいわけでございまして、あるいは新しくでき上がりましたWTOそのもの存在意義が問われるということから、交渉を何とかまとめようではないかということを各国とともに働きかけをいたしまして、最終的にはアメリカも納得してことしの二月十五日まで九カ月半の延長が決まったわけでございます。  私ども、そういう意味で、交渉妥結に向けまして、もちろん私どもの国だけではございませんけれども各国と協力しながら主導的な役割を果たせたというふうに思っているわけでございますし、同時に、先ほど申し上げました競争促進のための規制枠組みづくりという中では、みずからそのモデル案を提案をいたしましたし、そして同時に、最終的に六十九カ国の参加が得られたわけでございますけれども、これらの中で、特にアジアの国々に対しましては、APECの場を通じましたり、あるいはAPTと言われるアジア・太平洋の電気通信組織がございますが、そういう場を通じて呼びかけを行うなど努力をいたしまして、最終的に理解を得て多くの国々の参加が得られたところでございます。
  19. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 そういう経緯を経て妥結したわけですけれども、最終的に、結果として、今も話がありましたけれども無線局を利用する電気通信業者に対してアメリカ自体は二〇%の外資規制の維持を認める、こういうことになったそのアメリカ側の論理といいますか主張といいますか、それについてはどういうことが主張されたのかという点。そして、確認ですけれども無線局を利用する電気通信業者というのはどれぐらいの割合というか、ほぼすべてと見ていいのかどうか、その辺のことについてお聞かせ願いたいと思います。
  20. 長谷川憲正

    長谷川説明員 委員指摘のとおりに、アメリカは最終的に、いわゆる無線局免許に関しましては従来どおり二〇%の外資規制、要するに外国資本は二〇%しか入れませんよという規制を維持したわけでございます。すなわち、自由化約束の中からは留保されたわけでございます。この点につきましては、私どもも、アメリカ自由化の先進国であるわけでありまして、そういった規制はなくすべきであるということを盛んに主張をしたわけでございますが、交渉団からの説明は、この二〇%の直接投資に関する外資規制というのは法律事項であって、法律の改正が困難であるということを言っております。同時に、間接投資であればアメリカとしては一〇〇%これを認めることも可能であるので、実質的な貿易障害にはならない、このような説明を繰り返して私どもに対して行っているところであります。  これに対しまして私どもの方からは、法律の改正が困難だから自由化できないというのは全く理由にならないわけでございまして、どこの国でも、自由化を進めるに当たりましては議会で御議論をいただいて法律の改正に取り組んでいるわけでございます。したがいまして、アメリカとしても法律の改正に取り組むべきであるというふうに私ども主張をしております。  同時に、間接投資であれば一〇〇%も可能なんだから障害にならないじゃないかという言い方に対しましては、もし実質的な貿易障害にならないのであれば、なぜ間接投資だけでなくて直接投資も認められないのか、そこの説明をしてほしいということをさんざん求めているわけでありますが、合理的な説明は今日までまだないということでございます。そして、直接投資あるいは間接投資というものを、本来、アメリカ市場参入を予定する日本事業者が選択ができるはずでございますけれども、その選択の余地をなくすということで、直接投資にかかる規制は実質的な貿易障壁になると私どもは考えているところでございます。
  21. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今国際部長の方から詳しく説明がありましてよくわかりました。  その日本が主張した法律の改正が必要であって、それが困難であるというアメリカの主張、あるいはまた間接投資ならいいではないかというこの辺の主張について、反論したのは日本だけではなくて、ヨーロッパ、アメリカ以外のすべての国が同じ観点に立ってそういう主張をしたのかどうかという点が一点。  それからもう一点は、日本が、NTTKDDを除くとはいえ、それ以外の外資電気通信事業者については無線局を含めて一切の外資規制撤廃する、こういうことになったということは、結果的に、アメリカ日本を比べてみた場合、アメリカ市場の方が閉鎖的であって、日本の方が自由化アメリカに比べて進んだ、そういうふうに見ていいのかどうか、この点について。
  22. 長谷川憲正

    長谷川説明員 ただいまのお尋ねにお答えをする前に、先ほどのお尋ねの中で、この無線局規制というのは電気通信事業者どのぐらいに影響を及ぼすのかという御質問に対する御答弁をいたしませんで、失礼をいたしました。  これは、電気通信を行う事業者すべてに適用をされるわけでございまして、今日無線を利用しない電気通信事業者というのはほとんどございません。有線だけでサービスを提供するというのは今日ではなかなか困難でございまして、マイクロ回線を使いましたり、いろいろな形で、衛星を使いましたり、無線を使っているわけでございまして、ほとんどすべての事業者が影響を受けるというふうに考えております。  それから、このアメリカ規制に対します各国の対応でございますが、私ども、全体の交渉をリードする国ということで、ヨーロッパとそれからカナダとアメリカ日本、いわゆる四極での会合というものをたびたび持ってきております。そして、その中で、カナダ、ヨーロッパ、日本が一致をしてこのアメリカ規制はおかしいということを主張しているわけでございまして、また、これらの国以外からも、二国間の場で、アメリカに対してはそういうような規制はすべきでないということが主張されたというふうに聞いているところでございます。  そして、お尋ねのありました、今回の交渉の結果、日米でどういうふうな自由化についての比較になるのかというお尋ねでございますが、正直申しまして、単純な比較はなかなか難しゅうございます。日本の場合には、NTTKDDという大きな事業者、これに対してむしろ新規参入を促進することによって、新規参入者としての外国資本の参入を容易にすることによって日本市場をより競争化し、活性化し、そして利用者の利便を促進しようという物の考え方をしているわけでございますが、一方アメリカの方は、アメリカへの投資は原則として認めると言いながら、無線局については直接投資を二〇%に制約するということでございますから、間接投資はできるとしても、直接投資をしたいという事業者に対しては一切市場への参入はこの二〇%までということが適用されるわけでありますから、全面的にそういう意味ではこの無線局規制がかかってしまうということでございまして、少なくとも新規参入については、我が国の場合一切制約がなくなるという意味自由化が進んでいるというふうに考えているところでございます。  しかしながら、私どもも、アメリカの方がこういった無線局の制約を持っているから私どもの方も無線局の制約をもう一度考えるということではなくて、特に日米というのはこの分野で進んだ国でございますので、世界に先駆けてお互いに門戸を開いていくべきであるというふうに考えているところでございます。
  23. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 先ほども話がありましたけれども、米連邦通信委員会FCCが、NTTが一月二十三日に、KDDが二月十二日ですか、アメリカと第三国との間の国際通信サービスの提供にういで認証申請を出したことに対して三月七日に留保をすると言ってきた、こういう経緯があると聞いておりますけれども、それは、日本NTTKDDの二〇%外資規制を、先ほど来話が出ておりますけれども、残したことへの不満というのか、どういうことが最大の理由になっているのか、その背景について、また、それに対し三.先ほど大臣かち古屋代議士の質問に対してのお答えありましたけれども、どういう対抗をしたのかについて、経緯をまず改めて聞かせていただきたいと思います。
  24. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 WTO交渉最終段階におきまして、アメリカは、日本あるいはカナダ、韓国等に対しまして外資規制のさらなる開放を強く迫ったという事実がございました。しかし、最終的に、このNTTKDDを除くという部分も含めまして、アメリカを含め各国がそれぞれの提案を受け入れて合意をしたわけでございます  そういう意味では、アメリカとしても国際的にはこれを受け入れたわけでございまして国内の事情はつまびらかにはいたしませんけれども、私どもとして住まずはこの約束を履行するために直ちに法案を作成しましてただいま御審議をお願いしているわけでございまして、各国ともまずは約束した事項を誠実に履行することが一番重要なことであると思っておるわけでございます。  こういった合意がありながら、さらに一方的にその変更を二国間という形で求め、加えましてそれを全く無関係な事項の留保ということに結びつけるというやり方については、私ども非常に不可解でございますし、これは交渉合意の趣旨にも反するものと考えております。
  25. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 留保は極めて不可解であり、この交渉の趣旨に反するという御指摘がございました。私もそのとおりだと思います。  先ほど大臣が、三月に一回書簡を出した、そしてまた五月二十二日に再びそうした不可解であるという抗議を込めての書簡を出されたということでございますけれども、こういう交渉中において、抗議の意思を示すのが書簡という形でいいのかどうか。最終的にはさっき大臣WTOの場の活用も視野にということをおっしゃっていましたけれども、その途中のこちらの意思を強く表明するやり方として書簡だけでいいのか。例えば担当の国際部長が向こうの交渉窓口と交渉の場を持たれるとか、そういうふうなことを考えておられないのかどうか、そのあたりについて。
  26. 長谷川憲正

    長谷川説明員 御指摘の点につきましては、私ども、まず大臣から省としての正式の意思を表明をするということで書簡を出していただいているわけでございますけれども、そのままほうってあるわけではございませんで、あわせまして、外務省にお願いをいたしまして、在米の日本大使館を通じまして私どもの意向を、関係アメリカ政府のそれぞれの部署に対しまして説明を行っているところでございます。  さらに、東京にございますアメリカ大使館の公使に郵政省においでをいただきまして、私どもの物の見方、考え方について詳しく御説明をし、早期にこの認証がなされるように協力を求めているところでございます。
  27. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 いろいろな外交ルートを通じて日本の主張を言っているところだという話がございました。引き続き強くそういう交渉をしていただきたいと思います。  同時にまた、今の問題と関連をいたしますけれども、もう一つの点、いわゆるNTTの資材調達協定をめぐって、アメリカ側が前倒しの延長交渉をしてきたという話があります。五月再開を三月中旬に打診してきた、こういうふうに聞いておりますけれども、その経緯についてお聞かせ願いたいと思います。  これも先ほど認証申請とあわせた形で、いわば駆け引きの材料にアメリカが使ったというふうに見ております。そういうことに対して郵政省は、先ほど来の話で、恐らくいろいろなパイプを通じて反論しておられるのだろうと思いますけれども、それに対して向こう側はどういうふうに言っているのか、そういう点を含めてお答え願いたいと思います。
  28. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 このNTTの資材調達の関係につきましては、WTOの政府調達協定、さらにそれに先立ちますガットの政府調達取り決めにおきまして、いろいろな経緯の中かちNTTがその対象機関に入っております。しかし、こういった取り決めにおきましては公衆電気通信設備は除かれておるわけでございまして、これに対してアメリカは不満でございまして、当時これを調達の対象とすることを求めてまいりまして、日米で話し合いました結果、そういった一般的な協定とは別に、日米間で取り決めというものを結びまして、NTTの資材調達を取り扱ってまいりました。これは一公社から民営化されました後もいろいろな経緯の中で引き継がれておるわけでございます。  この取り決めに基づきまして、NTTは、従来、オープン、透明、内外無差別な手続により実施してまいったと私ども考えておりまして、NTTによる外国製品調達額も大幅に増加をしてきておる事実がございます。  この取り決めは、大体ほぼ三年単位で取り決められておりますので、過去何度か延長してまいったわけでございますけれども、現在の取り決めの期間がこの九月末に期限切れを迎えるということでございます。  私どもといたしましても、今後の取り扱いにつきましては、どのような扱いにするにせよ両国政府間で話し合いを行うことは必要というふうには思っておったわけでございますけれども、今回この全く無関係NTTKDD子会社認証付与の条件という形で問題提起されてきましたことは、これも先ほど同様大変不可解なことでございまして、私どもとしてはこれはとても受け入れることはできない。別の問題でございますので、一刻も早く認証をしてもらいたいし、その認証が行われていない現状におきましては、この調達について話し合いをすることの必要性は認めないわけではございませんけれども、その話し合いに直ちに応じる状況にはないというふうに考えております。
  29. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 この問題について、言値を出されて二回にわたって抗議をされた当事者をして、どういう趣旨の書簡を出されたのか、その辺を含めて大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  30. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これまでの経過につきましては国際部長あるいはまた谷局長から御答弁申し上げてまいりました。この認証問題については二つの前提をつけておりますが、これは全く関係のないことであります。私も以前から日米交渉に農産物で参加したことがございますが、こういう日米交渉を考えてみますと、どうしてもアメリカの一方的な要求というか要望が強い、今回の場合を考えてもこういうように、まことに遺憾に存じております。  したがって、今局長が申しましたNTTの調達問題、これは、どうしてもアメリカが納得しなければ、これは民間と我々は理解しておるのですが、今日までずっとこの調達を取り決めをしてやれてきておりますから、これが九月に期限が切れるということであれば、そのことでアメリカの方から正式に交渉を申し入れてくるならば、私は交渉するにやぶさかではない、かように考えております。しかし、今日ではその段階にはまだ来ていない、こういうように思っております。  いずれにいたしましても、今回五月二十二日に再度書簡を送付いたしましたので、その回答を見まして、今後どのように対応していくか、改めて検討を進めていきたいと存じます。
  31. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 わかりました。  次に、NTTKDD外資撤廃かち除いて二〇%規制を残すことにしたという問題につきまして、平成四年、今から五年前の改正の時点で、この逓信委員会の場で質疑が行われたときに、郵政省としては、基幹的通信事業者としての役割が大変大事であって、外国の影響力を過度に受けないようにするためにそうした二〇%規制を残すことが大事なんだ、こういう意味の答弁をされておりますけれども、今回の交渉に当たってもそうした方針というのは全く同じであったのかどうか、いわば通信主権というふうなものの考え方について、基本的な方針というものは従来どおり全く変わらなかったのかどうか、例えば二〇%規制を若干でも緩めるというふうな、そういう方向の考え方がなかったのかどうか、その辺をひっくるめてお答え願いたいと思います。
  32. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のとおりでございまして、NTTKDDにつきましては、現在、日本全国または全世界に及ぶ枢要な電気通信網を構築して、我が国の国民生活、社会経済活動を支えております基幹的な事業者として重要な役割を担っておる、そういう点にかんがみまして、引き続き外資規制を残し、外国からの過度の影響力を排除して経営の自主性を維持するという考え方によるものでございます。  これは御指摘のありました平成四年当時と同じ考え方でございまして、当時も私ども考えましたのは、この二〇%の水準につきましては、米国等における無線局免許外資規制あるいは我が国放送免許、こういったことについても二〇%であるという意味で、一つの目安としてこの二〇%、このことは平成四年当時と全く変化をしていないわけでございます。そういう意味で、今回の改正におきましてNTTKDDを現状のまま残すということにいたしましたのは、御指摘の平成四年当時にとりました考え方と基本的に同じということでございます。
  33. 長谷川憲正

    長谷川説明員 ただいまのNTTKDD外資規制の問題で、その交渉の中での扱いにつきまして、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  交渉の中では、既に御指摘がございましたように、アメリカからこのNTTKDDの二〇%の外資規制撤廃をしてほしい、撤廃すべきであるという要求がなされたのは事実でございます。交渉最終段階に至りましてアメリカのクリントン大統領から橋本総理あてに手紙が参りまして、その中でも同様のことが求められておりました。  これに対しまして、総理の方から、日本各国と比較をいたしましても最も進んだ提案をしているということが一つ、それから、日本にさらなる自由化を求めるのであれば、アメリカ自身も自分のその無線局規制に対する見直しをしなければおかしいではないか、したがって、日本にだけこうした一層の改善を求めてくるというのは公平を欠くということを返事の中で述べていただいているところでございます。  交渉の中でも、私ども、その趣旨を盛んに主張しているわけでございまして、日本だけが、各国とのバランスを失してすべての外資規制撤廃をするというところまでは交渉の中で述べたことはございません。
  34. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 この問題に関連をしまして、通信放送のいわば大融合時代を前にしまして、先ほど来るるお話がありますように、通信外資規制を大幅に撤廃するという流れに対して、今度、放送の方については規制を残すという現状について、郵政省の放送という分野における規制についての基本的な考え方を改めてここでお聞かせ願いたいと思います。
  35. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送は、有限かつ希少な資源である電波、チャンネルが少ないということでありますが、そういうことを利用しましてやるものであります。一方、また放送は、それぞれの国の政治あるいは文化、社会に非常に大きな影響力を与えているメディアであるということから、外国からの影響というものにやはり配慮をせざるを得ない、こういうことで、外資に対する規制は必要であるというふうに認識しております。  また、我が国のみならず世界各国におきましても、同様の考えから、この放送に対する外資規制というものを設けております。また、今般のWTO基本電気通信交渉におきましても、そういう観点で放送分野が対象にはなっていないというふうに理解しております。  ただ、将来もずっとそうかということでありますが、基本的にはこういう考え方である、ただ、その中で非常に放送というものが多チャンネル化してまいるという状況が出てきておりまして、CSのデジタル放送であるとかいろんな形でこれまでと違った状況が出てくる中で、いろんな放送のグローバル化の動きもあるということでありますので、基本的には、こういうふうに社会的に大きな影響力がありますから、外資に対する規制は必要だということを考えながら、なおかつ多面的な角度から検討する必要はあろうかというふうに思っております。
  36. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 基本的には、通信と同じようにというか、より一層、放送の方の重要性にかんがみて今後とも規制は続ける、それは基本だけれども、新たな時代の対応、変化に応じて云々というお話が今ございました。  例えば、郵政省の方からいただいた資料ですけれども外国事業者放送番組の受信ということで、要するに、外国事業者が制作をしたニュースとか文化、情報、音楽、スポーツ、娯楽、映画、そういったさまざまな放送形態を伴う海外からの映像、国際放送というものが、CATV事業者等を通じて八事業者、十八チャンネルの放送が、今日本の中で放映されておる、こういう事実といいますか、現実がある。  もちろんこれは、外国の資本が外国でつくったものをそのまま流すということであって、日本の国内のいわゆる放送事業者の中に資本として入り込んで、何らかのものを制作をしてそれを流すということとは全く性格は違うものだろうとは思いますけれども、その違いをわかった上で、現実に、どういう経緯をとって今日こういう十八のチャンネルが展開をしているのか、あるいはこれからどうふえていくのかということはつまびらかではありませんけれども、既にこういう外国のものの放送がなされているという状況の中で、私はやはり、先ほど楠田局長がおっしゃったような、基本は基本として当然大事なことだろうとは思いますけれども、さらにこれからの社会の発展世界の大いなる通信放送分野におけるいわばビッグバンと言われるような状況の中で、もう少し柔軟な考え方が必要じゃないか、こんなふうに思うわけです。今私が比較をしました二つの点を含めて、改めて局長の方から考え方を聞かせていただきたいと思います。
  37. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘外国からの放送といいますのは、我が国の電波を使用しないで外国放送外国の衛星でもって日本放送波をおろしてくる、一般的には、これは非常に大きなパラボラアンテナを立てないと見えないものでありますが、一部ケーブルテレビ等がそれを引っ張っているという事実はございます。  日本では、これを確認という形で一応放送と認めておるわけでありまして、ただ、このものはまだ非常に少数でありますし、影響も少ないということが一つございます。また、我が国法律でこれを規制するということは困難でございます。じゃ、それを禁止するかといいますと、これは、世界の情報のグローバル化の中で、全体的に、やはり国境を越えるこういう放送というのは認めていく方向にあろうというふうに思っております。  一方、外国放送でありましても、日本のチャンネルを使ってやるというものは出てまいります。CSのデジタルなんかで、一チャンネルを買って韓国の放送であるとか諸外国放送をやるのは、これはもう日本の法制で外資規制もあるというところでありまして、これにつきましては、非常に視聴者も多くなりますし、影響も多いし、日本法律で適用するということであります。  こういうふうなグローバルな動きがありますけれども放送波でやる放送外国から来るものというのは、その影響力も大きく違いますので、日本で行う放送については、そういうグローバルな動きはありますが、まだまだこれは外資に対する規制というのは必要であろうという考えでおるととろでございます。
  38. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 現在、第一種電気通信事業者の許可を受けているCATV事業者は十六社ある、こういうふうに聞いておりますけれども、これらCATV事業者については外資規制を廃止して、CATV事業だけを行っている事業者に対しては外資規制を残すというふうになりているようでありますけれども、その理由についてお聞かせ願いたいと思います一放送通信の差異である、そういうことなのだろうと思っているのですけれども、その理由についてお聞かせ願いたいと思います。
  39. 楠田修司

    ○楠田政府委員 ケーブルテレビでございますが、ケーブルテレビは本来地域独占性が非常に強い。現在はかなり免許等では自由にしておりますが、元来、一遍線を張りますと独占性が強いという面がございます。そういうことで、地域に対しての社会的影響力が非常に大きい放送メディアでございますので、平成五年十二月までは、五分の一未満ということで規制しておりました。それを平成五年の十二月に三分の一未満まで規制を緩和したという経緯がございます。  しかしながら、本来ケーブルテレビというのは、私が申し上げましたようにまだまだ地域独占性が強いということで、一定外資規制は残す理由は十分あるということが基本の考え方でございます。  一方で、現在、通信放送の融合ということで、このケーブルテレビがいわゆる電気通信事業を行うことができるということになるわけでありまして、かつ、ケーブルテレビの将来の発展を見ますと、電気通信分野での発展というものが大きく見込まれる。外資もこういうところに非常に興味を持っている面であろうかと思いますが、そういう中で、電気通信の方は外資規制撤廃する、一方、ケーブルテレビの放送分野はまだまだ放送的な地域独占があるので外資規制が必要である、この二つの考えが出てくるわけであります。  そういう中で、ケーブルテレビにつきまして、電気通信分野を行う、両方行うケーブルテレビにつきましては、どちらかというと電気通信に合わせた方がいいというふうな考えでもちまして、この電気通信分野を行うケーブルテレビにつきまして外資規制をなくする、こういうことでありますが、基本的には、まだケーブルの放送だけやっている分野につきましては一放送という分野だけでありますので、基本的な理念として一定外資規制を残す必要があるだろう、こういうふうに考えた結果でございます。
  40. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 わかりました。  先ほど来私が冒頭の方で話をいたしましたけれども、今後アメリカ日本に対して、いわば相互主義的観点から二国間の協議を迫ってくる可能性があるということを指摘する向きが、交渉妥結のあの当時盛んに展開をされておりましたけれども、その後、具体的にそういう呼びかけがあったのかどうか。さっき私が話を出しましたNTTの資材調達とかあるいは認証申請とか、そういうこととは別に、改めてそういう二国間協議という場を設けようという動きはあったのかどうか、その辺についてお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、岸本委員長代理着席〕
  41. 長谷川憲正

    長谷川説明員 NTTあるいはKDD外資規制撤廃につきまして、基本電気通信交渉の過程においてアメリカがこれを日本に求めてきたというのは事実でございますし、先ほど説明したとおりでございます。  この点につきまして、委員指摘のとおりに、今後二国間の協議等で要求してくる可能性はあるというふうに私どもも考えております。WTO交渉妥結をいたしました最後の会合の中で各国が演説を行っておりますが、アメリカの代表の演説を見ますと、この交渉の成果は非常に大きなものであると言いつつも、この成立いたしました合意が発効いたします来年一月一日までの間にまだ二国間でアメリカとしては求めるものがあるということを言っておりますので、それが、先ほども御説明をいたしました韓国でございますとか、あるいはカナダでございますとかメキシコというような国々とともに日本も含まれているというふうに思っております。  ただ、具体的に、この問題に関して二国間協議をやろうではないかという申し出は今のところはございません、NTTKDDアメリカ子会社認証問題に関連をしてこの問題が取り上げられていることは事実でございますが、今のところ協議そのものの要求というものはございません。  アメリカの考え方でございますが、私ども無線局に対するアメリカの二〇%の外資規制というものを見ましても、あるいは他の主要国においても何らかの形で外資規制等が維持されているということから見ましても、日本だけが各国に比較をして行き過ぎた規制をしているというふうには思っておりませんで、そういう意味で、日本だけを対象にした交渉に応じる必要はない、このように考えているところでございます。  今回、WTO交渉が成立をしまして、新しい多国間の枠組みができたわけでございますので、こうした外資規制等の制限について今後議論をするということであるならば、日米二国間のみで協議を行うということではなくてWTOの場で議論をしていくのが適当であるというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、今回交渉がまとまったばかりでございますので、我が国といたしましては、各国がこの今回のWTO交渉結果をまず誠実に履行していくことが先決である、このように考えているところでございます。
  42. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、新しい多国間の枠組みの中で、できたばかりのWTO交渉の中身を受けての協議が大事だというお話がありましたけれども、仮に二国間協議が行われるとしたら、アメリカがECOテスト、相手国の自由度を見る事前審査ということのようですけれども、ECOテストや、あるいは、国際通信計算料金提案してきているアメリカ作成の料金目標、ベンチマークといったものの導入を迫ってくるのではないかというふうな指摘がありますけれども、仮にそういうことがあった場合、郵政省はどう対応するのか、そのあたりについて。     〔岸本委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 長谷川憲正

    長谷川説明員 委員指摘のとおりに、アメリカは現在、外国通信事業者アメリカ市場参入するに際しまして、相手国の市場米国と同様に開放されているか、これを見まして、それによって参入を認めるという相互主義的な参入制度を実施いたしております。  これは、御指摘のございましたようにECOテストと呼ばれています。英語でイフェクティブ・コンペティティブ・オポチュニティーズ、効果的な競争機会とでも申しましょうか、それを試すためのテストということでございまして、この頭文字をとってECOテストと言われておるものでございます。  それからまた、国際計算料金についてベンチマークという基準値を設定いたしまして、この基準に合っているかどうかをアメリカ市場参入するための条件とするという規則案の制定も現在検討されているところでございます。  こうしたアメリカのとっております、あるいは検討しております制度というものは、サービス貿易協定の基本原則であります最恵国待遇に反する可能性が高いというふうに私ども思っておりまして、我が国を初めとする各国WTO基本電気通信交渉の中におきましてその撤廃を求めてきたところでございます。  今回、この交渉アメリカも含めて合意が成立したわけでございまして、この合意は来年一月一日から発効いたしますが、そういたしますと、来年の一月一日以降は米国を含めた各国最恵国待遇の義務を負うということになるわけでございまして、アメリカにおいても相互主義は維持できなくなる、こう考えておるわけでございます。したがいまして、合意の発効後、これらの相互主義的な参入制度は廃止されるものというふうに期待をしているところでございます。  なお、仮に最恵国待遇原則に反する形でアメリカ相互主義的な参入制度を維持するという場合には、WTOの紛争解決手続を利用することが可能である、このように考えております。
  44. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 この参入規制に対して、アジアの国々の対応について日本はどう評価しているかという点。それから、日本アジア各国への参加を促す働きかけに対して、マレーシア、インドネシアを初めとして、当初の四十八カ国にプラスして六十九カ国が参加を承諾したというお話が先ほどございましたけれども、いわゆるモデル約束案参照ペーパーをオーケーしたのはそのうちの五十七カ国、オーケーしなかった国が十二カ国あるわけですけれども、その十二カ国はどういう国なのかという点。それから、今申し上げた、日本としてどう評価をするのか、また今後のアジア各国規制緩和についての見通し、こういった点について。
  45. 長谷川憲正

    長谷川説明員 アジア各国につきましては、御指摘のとおり、国によって差はございますが、多かれ少なかれ外資参入制限をいたしましたり、あるいは自由化するサービスを限定したりしている場合が多うございます。この点につきましては、こうした開発途上国がその発展段階に応じて自由化を進めようとしているということについては、現時点ではやむを得ないものではないかというふうに考えているところでございます。私どもとしては、今回でき上がりましたこの合意、この成果を私どもの国の事業者が最大限に活用することを期待しているところでございます。  今後につきましては、私ども各国においても競争の促進によりまして料金低廉化サービスの多様化というものがそれぞれのお国の事情の中でそれなりに実現をしていくと思っておりますし、また、私ども日本の中で自由化の成果、経験というものを、大きなものを持っているわけでございますので、こういうものを各国に紹介し、理解を得る中で、さらなる自由化につながっていけばいいなということを考えているところでございます。  また、先ほど指摘のございました参照ペーパーの採用につきましては、御指摘のとおりに、この交渉合意をしたすべての国が採用したわけではございませんで、一部の途上国ではそこまでの条件整備はなかなか一遍にはできないということで、この採用に至らなかった国があるのは事実でございますが、これまた各国自由化が全般的に進んでいく中で、そうした自由化をすることが自分の国の電気通信発展、そしてまた電気通信を通じました経済の発展につながっていくんだということが次第に理解が深まってくるものというふうに私どもは思っておりまして、いずれこうした参照ペーパーの採用は大きく進んでくるもの、このように考えております。
  46. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 この法案に関する質問は以上で終わりますけれども、最後に、法案に直接関係しないことで恐縮でございますけれども大臣にちょっとお聞かせ願いたいのです。  先般、六月の初旬にでも公表される郵政審議会の答申の中において郵便料金二〇〇五年までの凍結という、そういう方針が盛り込まれるというふうな報道がありましたけれども、そのことについて、先般、二月でしたか、私はこの場で大臣に、この郵便料金の問題、今回、消費税五%値上げに連動させない、あとう限りの努力をして郵便料金の据え置きということをやっていきたいんだ、そのためには郵便番号の七文字化を初めとするさまざまな努力をしていって、その結果として料金の維持、据え置きを図っていきたいんだ、そういうようなお話がございました。そうしたことがここに来て二〇〇五年という明確な時間まで、これからまだあと八年という先までの期間を凍結するというふうな、そういうことを仮に本当に考えておられるかどうかという、まず事実関係が第一点ですが、そういうことが本当に可能になるのかどうか、その根拠について、大臣が今どう考えておられるのかを聞かせていただいて、終わりにしたいと思います。
  47. 内海善雄

    ○内海政府委員 ちょっと事実関係だけ御説明させていただきます。  今、二十一世紀の郵便局サービスのあり方を審議しております郵政審議会が、六月十日に向けましていろいろ審議している最中でございますが、その中で、郵便料金はできるだけ長期間安く保つべきではないかという御審議がなされていることは事実でございますけれども、それ以上のことは、まだ審議会の答申も出てございませんのでございません。
  48. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま局長から御答弁申し上げましたが、私どもといたしましては、なるべく長い期間料金を据え置きでいきたい、こういうような考えでおりますが、神崎郵政大臣のときに大変な御英断をいただきまして、六十二円から八十円というような料金をいただきましたが、先般も、こうした大幅な値上げによって黒字が維持されておるのではないか、こういうようなことの御指摘もございました。  しかし、私どもは、せっかくここまでこの料金に国民も理解をいただいておるわけでございますので、この低料金をできるだけ長い期間維持する、これは必要不可欠だと思っておりますが、そのためには、現在、第九次定員削減計画をもちまして、職員の合理化と申しますか、人員の合理化も図っていき、さらに七けたの区分機械化を進めまして、効率化をやっていきたい、こういうような形から定員削減等も検討しておるわけであります。そのような形で、なるべく長期間郵便料金を維持することがこれから国民の理解を得られる大きな手段だ、こういうように考えております。  もう一つは、郵便需要の拡大、このこともこれからの大きな課題でありますので、需要を拡大していくことはやはり低料金でいくことがまず第一だ、こういうように考えている次第でございます。
  49. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今大臣の方からできるだけ料金を凍結する方向を長くしたいというお話がありましたけれども、一方で、郵政三事業民営化によって据え置きどころか安くできる、郵便料金をもっと、凍結どころか今の値段よりも安くできるというそういう主張、そういう試み、そういったものが現在もあり、これからまたなおかつ幅広く展開されてくる、そういうふうに思います。そういった意味を含めて、これから一層の努力、先ほどおっしゃったような方針にのっとっての努力をお願いしたい、こんなふうに思いまして、きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  50. 木村義雄

    木村委員長 北村哲男君。
  51. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  私はちょっと本論と外れますけれども、まず大臣の方にお伺いしたいと思うのですが、大臣は以前当委員会で、野村のVIP口座のことでございますけれども、残念ながら登録されていないと言われたことがあります。そしてその後、私が五月十五日の当委員会において、再度その口座の問題について、VIP口座については関係がないのかという御質問をいたしまして、そのときはないと言われ、そのときに念には念を入れて再度調査したいという趣旨のことを申されました。ところが、その後、五月二十日付の新聞によりますと、梶山官房長官が二十日の記者会見で、堀之内久男郵政大臣が過去に取引があったことを認めたという発表をされました。同日の夕刊には、郵政大臣みずから過去に取引があったと認められた記者会見があったというふうに報道されております。鹿島建設の株で過去に取引があったが残高はないとした上で、VIP口座ではない、しかも、未公開株やCBの取引はないというふうに語ったと伝えられております。どうも最初のニュアンスと随分違うというか、私の質問も最初はVIP口座ではないかという限定した質問でありましたので、そうではないとおっしゃったのでしょうが、過去に取引があったということは、多くの大臣の中の、わずかの中のお一人であるということで、私ども関心があるわけでございます。  ところで、私の質問は、この新聞発表に基づいたことですが、過去に鹿島の株で取引があったというふうに言われますけれども、過去の取引とはいつごろのことなのか、そしてその鹿島の株をどのくらいの量、金額を取引されたのか、あるいは鹿島以外にはないのか、鹿島だけであるのか、そして過去に何回くらいの取引をされたのか、その数量、金額、その時期等について、まずお伺いしたいと思います。
  52. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま過去の株の取引の状況についてお尋ねになりましたが、私は、過去というか、平成二年の選挙で落選いたしましたので、それ以前は株の取引はあったわけでありますが、どれくらいあったかと言われると、数はほとんど覚えておりません。株は、持っておりましたのは、鹿島の株を二万株、これはもう資産公表で全部出しておるわけです。平成五年に当選いたしましたときにも、資産表で全部出しておりますので、そのほか、同和火災の株が五千でしたか、きょうは資産公表したものを持ってきておりませんので、ちょっと覚えておりません。  野村証券との取引はあったかということですが、もちろん、閣僚に就任するまではありました。しかし、閣僚になったら、株は全部引き揚げて信託銀行に預けなさいという内閣の申し合わせでありましたので、十一月就任と同時に株の取引は一切やめて、かの株は今中央信託銀行に預けておるわけであります。そして、その後、VIP口座があるかとおっしゃいましたから、もちろんその調査をさせまして、VIP口座はありません、こういうことであります。
  53. 木村義雄

    木村委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  54. 木村義雄

    木村委員長 速記を起こしてください。  北村君。
  55. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ただいまのことで、株は引き揚げられたとおっしゃいますけれども、一たん取引をされると口座そのものは現在もある、野村にあるということは間違いないと思うのですけれども、その辺の認識はいかがでございましょうか。
  56. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 御指摘のとおりでございまして、口座はあります。しかし、残高ゼロということで、この前、官房長官から、各閣僚、野村のそうした調査を命ぜられましたので、報告をいたしております。
  57. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ただいまのことは、閣僚になられた以後はよくわかりました。  ところで、野村にかつて閣僚以前には口座がおありになったわけですけれども、それがVIP口座ではないというふうに言い切れるのかどうか、その辺は御自分で確認をされたのでしょうか。というのは、ほかの方々は、自分がVIPになっているかどうかわからない、向こうが勝手に決めたんだというふうな弁解というか、そういうふうに言っておられる方もあるわけですよ。私が野村証券に確かめましたら、自分で確認すればそうであるかどうかは教えますと。しかし、向こうからは教えないこともありますということがあるのですよ。  そうすると、大臣は、VIP口座ではないというふうにかなり確信を持って言っておられるということは、御自身で、閣僚におなりになる前でしょうけれども、あるいは現在でも同じなのですけれども、VIPではないというふうに確認でもされたのでしょうか、あるいはその辺ははっきりしないのでしょうか。
  58. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 私は、直接野村証券の担当課長とお会いいたしまして確認をいたしました。なぜ私はVIPじゃなくて普通のあれだったのか、どういういきさつでVIPというのがあったのか、その辺の、VIPとか特別口座とか、いろいろな者を呼んで、担当課長を呼んで経過というものを私も聞きましたが、先生のはVIPという口座指定にはなっておりません、今度官房長官に出しました残高証明に、VIPの人ほここに印が入らておるのだそうでありますが、先生のは入っておりません、こういうことであります。
  59. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 今度はちょっと失礼な質問かもしれませんが、大臣御自身のことはよくわかりましたが、大臣御本人ではなくて、大臣の計算においてというか、大臣が、例えば御家族とか秘書の方とか、あるいは知人の名前で過去に取引をされたということはないのでしょうかということと、それから野村以外について、大臣御就任後はわかりましたけれども、以前に同じような取引はあったのでしょうか。その二点についてお伺いしたいと思います。
  60. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 家族についてのお尋ねでありますが、女房の方が少しあります。これは資産公開で全部、株もいろいろなファンドも全部公開の中で出してあります。  野村以外の証券取引はないかということですが、これはありません。野村だけでありました。
  61. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 大変失礼しました。  それからもう一点ですが、大臣の周りではないのですが、郵政省関係者で、五月二千一百付の新聞によりますと官房副長官と各省庁の次官の方々の調べが載っておりまして、郵政省だけが載っていないのですよ。それはたまたま会えなかったのかもしれませんが、郵政省関係者、特に野村が郵貯の関係に触手を伸ばしたという話も若干あります、そういう意味で、官僚の方々との接触があったのではないかということも、今は全く資料は何もありませんけれども、担当に調べさせるというお話がありましたので、その辺の調べの結果についててお伺いしたいと思います。
  62. 天野定功

    ○天野政府委員 郵政省職員一般につきましてのお尋ねでございますので、私の方から回答させていただきます。  野村証券のVIP口座関係の調査につきましては、これまで、三月、五月に新聞記事が出ましたが、その都度確認しているところでございまして、また、さきの五月十五日の本委員会における委員の御質問も踏まえまして、再度野村証券へ確認しましたところ、VIP口座につきまして郵政省はないという回答をいただいたところでございます。
  63. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 わかりました。それでは、その質問については終わります。  次に、電気通信審議会委員であられた酒巻英雄野村証券前社長のことですけれども、この方が今度おやめになったということです。まず、審議会、令によりますと、「学識経験りある者のうちから、郵政大臣が任命する。」というふうに出ておりますけれども、当然その中に選ばれたのですが、この基準というのはどういうふうなのでしょうか。あるいは、その前任者を見ると、どうも長銀の会長のような方がおなりになっているようですけれども金融枠というふうなものからお入りになったことなのでしょうか。  委員になった基準、それと委員になられた経緯についてまずお聞きしたい。
  64. 天野定功

    ○天野政府委員 電気通信審議会の委員の任命についてでございますけれども、これは政令の電気通信審議会令というのがございまして、この二条で、学識経験ある者の中から郵政大臣が任命するというふうに書いてあるだけであります。  具体的に実際の選任に当たりましては、電気通信審議会は、電気通信事業に係る許認可だとか、あるいは電気通信の今後のあり方など、電気通信に関する重要な事項を調査審議するために設けられた審議会でございますので、そういった趣旨から、国民の意向を反映するよう、学界あるいは経済界、労働界など、幅広く各界各層からの委員が選ばれるように配慮しているところでございます。
  65. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 今回、酒巻英雄氏は任期終了前に辞任されたというふうに聞いておりますけれども、これはどういう理由から辞任されたのでしょうか。
  66. 天野定功

    ○天野政府委員 野村証券の酒巻相談役は、平成六年十月一日に電気通信審議会の委員に任命されておるわけでありますが、昨年十月一日に再任されております。そういう状況でありましたけれども、本年三月二十五日に酒巻相談役から電気通信審議会委員辞任願が提出されまして、それを受理いたしまして、三月二十八日付で発令を行ったところでございます。
  67. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 今回の野村証券の不祥事に関係するのではないかと思うのですけれども、そのあたりは理由として挙げられているのか。あるいは、どういう理由かということは、どういうふうに理解しておられますか。
  68. 天野定功

    ○天野政府委員 辞任願は、都合によりというふうな記載だけでございますが、一般的には、酒巻委員は本年三月十四日に野村証券社長を退任されているわけでありまして、その退任に伴い電気通信審議会の委員辞任したいということであったと承知しております。
  69. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 先ほどの基準によりますと、学識経験者なわけですね、それから業界代表であったにしても。これは、そうすると役職に入っているということが条件みたいになっているのですか。やめたからやめるというふうに、そういうふに連動するものなんですか。私はそうじゃないと思うのですけれども、それは個人の学識経験といいますか、その業界におけるオピニオンリーダーとしてお入りになるのだと思うので、役職についているかいないかは関係ない。私は、これははっきり、不祥事の責任をとってやめたからやはり国民の代表的な立場の公職はおやめになったというふうに思うのですけれども、そういうふうなことじゃないのでしょうか。
  70. 天野定功

    ○天野政府委員 辞任を私どもが認めた理由についてでございますけれども、おっしゃるように、社長という役職にあるから委員として継続しなければいけないとか、そういうものではございません。基本的には御本人の辞任したいという趣旨を私ども尊重して判断したわけでございます。
  71. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 はっきりしないのですが、余り追及するつもりもないのですけれども、では、御本人が辞任されないでそのままいらっしゃったら、郵政省としてはどういうふうにお考え、態度というか、そのまま審議会委員としていていただくということでよろしいのですか。
  72. 天野定功

    ○天野政府委員 なかなか微妙な問題でございますが、手続として、電気通信審議会には解任をするとか罷免をするとか、そういう規定はございません。そして委員につきましては、一般的には非常勤の国家公務員ということになりますから、何か国家公務員としてふさわしくないような行為があれば、国家公務員法に基づくいろいろな措置がとれるわけでございますが、強行的な規定としてはそういう取り扱いになるわけであります。  しかし、現実的な扱いといたしましては、委員御自身のいろいろな周囲の客観情勢から見て、御本人といろいろ事情をお聞きしながら決めていくことになろうかと思いますが、一般的にどうこうということはちょっと申し上げにくいところでございます。
  73. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 審議会委員は国会承認人事でもありますので、私ども会議員にも責任もあると思います。それはあるのですけれども、かなり選出の過程が形骸化されているということ。  この問題は過去にわからなかったという問題がもちろんあるのですけれども、もう一人、酒巻さんだけではなくて、今度、電波監理審議会委員の中に第一勧銀の代表取締役会長であった奥田正司氏がいらっしゃるわけです。この方もたしか先般、つい最近ですけれども、おやめになったというふうに報道されております。五月二十三日おやめになった。この方からはどういうふうな動きというか、辞任の申し出とかそういうものはないのでしょうか。
  74. 天野定功

    ○天野政府委員 電波監理審議会の委員であります奥田委員からは、昨日、五月二十七日に電波監理審議会の委員辞任願が提出されております。現在は、それを受理いたしまして、辞任の正式な手続をとっておる最中でございます。
  75. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 辞任規定がないあるいは解任の規定がないということは確かに問題でありますけれども国家公務員に準ずることになるのでしょうけれども、今般の、こういうふうに日本のリーダーであるような企業、あるいは審議会委員のトップであって、日本のオピニオンリーダーであるような方々がそういうふうな不祥事の中におられたというのは、私は、審議会委員としても適当ではないと思うし、こういうふうな結果になりましたからそれでいいと思いますけれども、もしそのままいらっしゃるならば、何らかの形でおやめになっていただくという方法もあったかと思います。  以上でこの問題については終わりまして、大変時間も過ぎましたが、本論に入らせていただきたいと思います。  私の考えできたことも、自民党さんあるいは新進党さんの委員の方からいろいろと御指摘があったことの繰り返しのようになりますけれども、まず、私たち民主党も、例のNTTアメリカの一〇〇%子会社KDD子会社アメリカにおける設備保有及びリセールによる国際通信事業免許申請を行ったことに対して、FCCがその認証留保しているということについては強い憤りを感じ、一刻も早くその承認を求めるよう私ども民主党も考えております。  それにつきまして、ちょっと観点が違いますけれども、今現在においては、確かにアメリカとの交渉それからWTOとの交渉と全く関係ない形で事態が進んでいるようなのですが、しかしNTTKDD外資規制とかあるいは政府の株式保有義務というのがもしNTT海外進出に支障になるものであるとするならば、その緩和あるいは撤廃も検討すべきであろうと思うのですけれども、その点については郵政省はどのようにお考えでしょうか。
  76. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 このNTTKDDの二〇%の外資規制でございますけれども、これは、一般の第一種電気通信事業者につきましては無線局免許も含め一〇〇%外資規制撤廃いたします中で、国内、国際において非常に基幹的な通信事業者であり、重要な役割を果たしているという観点から、従来どおりこの割合を維持することとしたわけでございますけれども、このことにつきましては、米国を初め各国WTO交渉の中でいずれも合意をしてくれている内容でございます。  こういった内容につきましては、アメリカにおきましても、無線局免許については二〇%の直接の外資規制を残しておりますとか、フランスにおきましては、アメリカと同様の措置のほか、フランス・テレコムの株式の過半数の政府保有義務を定めておりますとか、あるいはドイツ・テレコムでは、株式について三分の二以上の政府による保有が義務づけられておりますとか、英国におきましては、政府が定款の重要事項の変更に同意を与えるための、いわゆる黄金株を保有しておりますとか、国によりましてそれぞれいろいろな形での外資規制というのは残っておるわけでございます。そういう中で、各国それぞれの事情のもとに、できる限りの開放ということで各国合意した内容であるわけでございます。  そういう意味で、確かに今回のアメリカのような不可解な事態も現実には起きるわけではございますけれども、私どもとしては、今回の措置自体につきましては、内容的に見ましても、国際的なバランスから見ましても、あるいはその手続的な面におきましても適正なものであると考えておるところでございます。
  77. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 先ほども赤松先生が質問された中で、つい四年前には、電気通信産業ば基幹産業であって外資規制は守るべきであるということをかなり強力に主張されておったはずなのですが、わずか数年の間に考え方はずっと変わってこられたわけですけれども、それにつけても、現行法はまだ外国性の許可の欠格事由、外資規制はまだ維持されておるわけですけれども、その欠格事由とされた理由というのはどういうところにあったのだろうか。  もちろん私どもも知っておりますけれども、要するに、通信主権の問題あるいは非常時の通信の確保とかさまざまあると思いますけれども、その辺について、一定外国性が欠格事由とされた理由について、まず簡単に述べていただきたいと思います。
  78. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現行規定の趣旨でございますけれども電気通信回線設備を設置いたしますいわゆる第一種電気通信事業者は、電気通信事業全体の基盤になる事業を営む公益的な事業でございますことから、国民生活、社会経済活動にかかわる重要な事業として、外国による事業の支配を排除し、独立性、自主性を確保するために一定程度の外資規制は必要だというふうな考え方によるものでございました。
  79. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 それで、今回その外国性の欠格事由を撤廃するというのは、今までの欠格事由とされた理由をどのような形でクリアできたのかということについての説明をお願いしたいと思います。
  80. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 もちろん、国内の事情といたしましても、競争の進展によりまして、それぞれ自由な競争が進展できるような体制というのは逐次整いつつあるわけでございますけれども、今回の措置を決定いたしました一番強い動機と申しますのは、近年における国際的な相互依存関係の増大に伴いまして、財及びサービス貿易の一層の自由化が求められてるわけでございます。  我が国といたしましても、自由貿易体制の維持、促進という観点から、諸外国状況も勘案しながら国際的に調和のとれた資本参加自由化を図る必要があると考える次第でございまして、そういう観点から、今回、世界各国がこの基本電気通信自由化について話し合いを行い、できる限りの自由化について合意をしていこうというこの場におきまして、御案内のような提案をすることに踏み切ったわけでございます。
  81. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 そうすると、この点についてつ質問をしたいのですが、今後、国民経済あるいは国民生活を支える中枢的機能を担う電気通信の、外国企業などの影響力が増した場合の非常災害時の際などの重要通信の確保をどう担保するのかという点について、具体的にお答えください。
  82. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 非常災害時等における重要通信の確保は大変重要な問題でございます。  このことにつきましては、基本的には電気通信事業法に定めがございます。それから、電波法、災害対策基本法等におきましてもそれぞれ電気通信事業者等の義務に関する規定が設けられております。これが基本的な問題でございます。  それから、加えまして、基幹的な電気通信事業者でございますNTT及びKDDにつきましては、今回この一〇〇%開放していく中で、外国からの過度の影響力をこういった基幹的な通信事業者については排除しますために、従来どおり二〇%の外資規制を維持するということとした次第でございまして、これらの措置によりまして、非常災害時等における重要通信の確保につきましては担保がされているものというふうに考えております。
  83. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ちょっと先ほどFCCとの関係についての質問に戻って、一点、お聞きしておきたいところがございます。  政府調達の問題ですけれどもWTOの政府調達協定とかNTTの調達に関する日米協定について、NTTは既に民間会社でありまして、米国のAT&Tがこのような政府調達の対象ではないのと同様、現在のNTTも政府調達の対象とすべきでないと考えるわけです。まして、先般ここでも議決されましたけれどもNTTは再編されて、再編成後の長距離会社は純粋民間会社であります。当然これは政府調達協定の対象とはならないと考えますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  84. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 協定取り決め、二つあるわけでございますけれども、まず、WTOの政府調達協定におきましては、NTTは従来の経緯もありまして対象機関となっております。ただ、電気通信設備の調達につきましては対象外となっておるわけでございまして、これは、NTTによります電気通信設備の調達は、電気通信サービスの提供という事業遂行のために行われるものでございまして、自家消費用ということで調達する政府機関の場合とは事情が異なるということによるものでございます。  一方、白米間におきましては、米国が、当時電電公社でございましたけれどもWTO協定の前身でありますガットの政府調達協定の対象にならないということにつきまして非常に不満を持っておりまして、対象とすることを要求してきておりました。そこで、白米政府間におい七交渉いたしました結果、電電公社の電気通信設備の調達手続につきましては日米間で合意が行われまして、一九八〇年の末でございましたけれども、翌年一月から、この両国の取り決めに基づきまして、内外無差別な調達手続により調達するという仕組みになってきたわけでございます。  その後、公社が民営化されましても、従来の経緯によりまして、この取り決めは継続となりました。当初から数えますと、おおむね三年ごとに五回ほど延長されてきておりまして、現在の五回目の延長されております手続が、本年九月末に期限が到来するというふうなことでございます。  WTOの調達手続の、対象機関としての扱いにつきましては、WTOの手続の中で定めがありますので、そういった手続を踏んでいかなければならないということになります。  NTTの問題につきましては、確かに御指摘のような点もあるわけでございますが、いずれにしても、期限後の取り扱いにつきましては、ただいまのように米国NTTKDD子会社につきまして認証留保しているという状況のもとでは難しいわけでございますけれども、そういったことにつきましては、できる限り早く認証を付与していただきまして、その上で、こういったことについても話し合っていく必要があるだろうというふうに思っております。今後の取り扱いにつきましては、御指摘の点も踏まえつつ検討してまいりたいというふうに考えております。
  85. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 アジア進出、アジア戦略の問題について大臣にお聞きしたがったのですが、先ほどからほかの党の方々もその点については繰り返し御質問されたので、私の方からは、もう時間も来ましたので、質問を終わります。
  86. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  87. 矢島恒夫

    ○矢島委員 法案の質疑に入る前に、急を要する問題だと私考えておりますので、一問だけ、東京の成城郵便局で起きた事故についてお尋ねしたいと思います。  郵政省は、来年二月から郵便番号七けた化ということを実施する予定でいるわけですけれども、そのために成城郵便局に三月末に導入された区分機が爆発するという事故が起きたわけです。先日、私も現場の局に行きまして、いろいろと事情を聞いたり実物を見てまいりました。  事故が起きたのは、いわゆる改造型というタイプなんですね。従来の区分機を七けた化に対応できるように改造したというものであります。爆発した箇所は、七けた区分をするときに必要なバーコードを印字するところである。その部分は、全く新しい部分なんですね。新品なんです。  郵政省はこの事故を、発火、つまり火が出だ事故と言っているようですが、現場で聞きますと、バーコード印字に使うアルコールが、パイプに亀裂が入っていたために漏れた、気化したガスが区分機内の電気室に充満した、何らかの放電があって引火、爆発した、大体これが事実のようであります。その衝撃で区分機の扉が吹っ飛びまして、作業中の職員の顔に当たった。この方は十一日間入院をして、今もむち打ち症で治療中ということです。  この事故が起きた部分というのは、アメリカのメーカーがつくった部分であります。配備されてから一カ月程度ですね。もうパイプに亀裂が入っちゃったというんだ。非常に異常なことだと思うのですね。これからも全国の郵便局にこれが配備されていくという状況にあるわけです。  この際、事故原因の徹底的な究明と万全の態勢をとることを要求するわけですが、ただ、現場で話を伺いますと、一つ気になったのは、来年二月にいよいよ七けた化の実施ということに対する焦りがあるのではないかなということを私感じたのです。ということは、事故を起こしたこれと同じタイプのものが既に東京で五局、十台配備されている。同じ型の区分機は、結局、パイプが電気室を通らないような形で改造しよう、修繕といいますか、そういうことを行おうとしている。それをやる前に、まだこのパイプが電気室の中を通っている状況でも、応急処置だけで使用を再開するんだ、こう言っていました。応急処置の内容は何かというと、ガス漏れ、いわゆる電気室の気密性といいますかその中が非常に小さいので、ガスが漏れて充満する、だからその一つの扉をあけておく、広いところへ広がるんだから薄められる、だからそういう状態で作業をするということを言っておりました。  事故で準備がおくれているのはわかるのですけれども、それが焦りとなって事故原因の究明、対策、こういうものがおろそかになったら、今後に禍根を残すことになりかねない。ぜひそういう面も含めてきちんとした対応をとっていただきたい。このことをまず最初にお尋ねいたします。
  88. 内海善雄

    ○内海政府委員 郵便局での事故の概要については、先生のおっしゃるとおりでございました。通常はインクがそんなにはたまらない回収ボトルというところがあるのですが、そこへ、プリンターの障害が多発したために洗浄したりいろいろなことをしていたために、アルコールがたくさんだまって、そのアルコールが通常は行かない空気抜きパイプの中へ流れていって、その空気抜きパイプがたまたま亀裂があったためにアルコールが蒸発してそこに引火をしたということが原因だということがわかりました。  これは、そういう事故は、世界じゅうでこのプリンターを何千台か使っているそうなんですが、一度も起きたことがなくて、アメリカから技術者も飛んできたのです。このプリンターはたまたまアメリカ製なんですが、飛んできて、何が原因でこんなことになったのかと、大騒ぎして原因を究明したところなんですが、結果としては今申し上げましたような形で通常考えられないようなことが起きたということでございました。  それで、それを事故が起きないようにするためには、そもそもそこへ流れていっていたパイプが材質が弱かったために問題があったわけですから、そのパイプを材質の強いものに、亀裂が生じることがないようなものに取りかえるということが基本でございます。しかしながら、材質の強いものを使っても、仮に万が一漏れることがあったらそれは問題なので、そういう場合は、アルコールの蒸気が充満しないように開放してやれば急激な引火ということは起きないので、開放するような措置をとる、こういう措置をとりたいと考えているのですが、それ以上に、そもそもアルコールが火がつくような、熱を持ったようなところへ全然行かないように構造を変えていこうということまで今考えておりまして、そういうふうな改造をしようということでございます。  そして、今そういうやり方については、私どもも、安全対策、非常に大切なものでございますから、安全工学の専門家の方にいろいろ鑑定していただきまして、もうこれだけやれば十分だというような鑑定結果もいただいております。  そしてこの改造というのは割と簡単にできますので、六月から実施してやっていく、こういうことになっております。
  89. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひきちんとした対策をとっていただきたいということで、法案の質問に入っていきたいと思います。  既にけさからいろいろ論議されております。私、まず最初に、大臣通信主権という問題でちょっとお聞きしたいのですが、NTTKDD外資規制二〇%としている。WTOにおける各国の保留事項というのを見てみますと、イギリス、ドイツ、フランスなどもいろいろなやり方がありますけれども、それぞれのフラッグキャリア、これを政府の支配下に置くという措置をとっているのですね、実際に。NTTにしても各国のフラッグキャリアにしても、国民に対するユニバーサルサービス、これを提供するという責務があるわけですね。これを保障するためには、政府による株の保有だとか、あるいは一定外資規制だとか、いろいろな措置をとっているわけです。このユニバーサルサービスという公共性を確保するということは国の主権にかかわる問題だと思うのですが、大臣通信主権ということについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  90. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 今回のWTO基本電気通信合意は、私は、各国が相互に市場開放いたしまして、一層競争を促進して、料金低廉化サービスの多様化を図る、そして利用者にそれを還元していくということが大きな目的であります。さらに、六十兆円と言われる世界電気通信市場活性化に大きく役立つものと考えております。  お尋ねのような問題につきましては、各国も、一方では自由化約束をしておりますが、他方では、それぞれの国の実態というか事情に応じまして一定外資規制参入に対する許可制度を維持しておるわけでございまして、今後、通信主権という考え方においては各国とも何ら変更はない、こういうように考えております。ちなみに、我が国でも、NTTKDDは二〇%の外資規制、さらにNTTは三分の一の株を政府が保有する、こういうようなものを持っております。  今回の合意によって、大分差がありますが、しかし、それぞれ各国事情によりまして、一応最終的な市場自由化約束いただいたということが大変意義がある、かように考えております。
  91. 矢島恒夫

    ○矢島委員 それぞれ今度のWTOの基本的合意については、まあ差はありますけれども我が国としても通信主権という問題をきちんと踏まえた上で考えているというように私は聞きました。  そこで、今まで出てきている問題を整理しながらお聞きしたいのです。  というのは、アメリカやフランスの無線局免許外資規制の問題なんです。先ほど来論議されておりますとおり、無線局を持たない電気通信事業者などというのはほとんどない。こういうことの中でこれを規制するということになれば、日本流でいえば第一種の通信事業者への二〇%規制と同等のものになってしまい、ほとんどの通信事業者規制される。  同時に、先ほどの答弁にもありましたけれども、電波というのは特性を持っているわけです。郵政省も、電波は有限の資源である、あるいは国民共有の財産であるということで今日まで来ていると思うのです。この有限である資源に対して外資規制をかける、私は、考えてみますと当然のことだろうと思うのですよ。  そういう意味からすれば、なぜこの時期に、日本NTTKDDの二〇%以外、無線も含めて全部、全面的に開放するという方向を決めたのか。その辺についてのお考えを聞かせてください。
  92. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かに電波につきましては、国際的な機関において各国における使用の割り当てを行いまして、その中で各国が自国の利用を中心として使ってきているわけでございますけれども、電波の利用にいたしましても、あるいは通信事業にいたしましても、世界の活動全体がグローバル化する中で、その利用もまたグローバル化しつつあるわけでございます。  同時に、近年、そういったことだけにとどまらず、国際的な依存関係が全般的に非常に強くなってきたわけでございまして、その中で、財物にいたしましても、サービスにいたしましても、自由に国際間を流通していくという必要性がだんだん高まってきております。  我が国といたしましても、特に自由貿易体制に依存する度合いの強い国でございますので、こういう体制の維持、促進という観点から、諸外国状況も勘案しながら、国際的に調和のとれた資本参加自由化を図る必要があるということは考えるわけでございます。そういう意味で、各国が話し合いの場を設け、そういう方向に進んでいこうということにつきましては、我が国としても積極的に加わっていくことが広い意味での国益にかなうというふうに考えているわけでございます。  ただ、非常に基幹的な事業者でございますNTTKDDにつきまして、あるいは放送につきましては留保はいたしておりますけれども先ほど申しました通信自体がグローバル化するという状況も踏まえて、今回の措置を決断したわけでございます。
  93. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そういう御答弁ではございますけれども、実態的には、アメリカ外資規制というのを見てみますと、NTTKDDの二〇%規制以外をすべて開放してしまうという我が国の今出ている法案と比べてみれば、一極めて厳格なものになっていると思うのです。  そのアメリカが、先ほど来いろいろと論議されておりますように、政府が残したわずかな外資規制を取っ払えという圧力をかけてきているわけです。従来、日米間を対象に含まない第三国間のサービスの場合、NTTKDD認証の件でございますけれども申請すれば大体自動的に許可していく、いわゆる簡易審査というのが行われてきていると思うのです。ところが、アメリカの連邦通信委員会は、三月七日付で、より厳しい一般審査を実施すると通告してきている。  これについていろいろ報道がなされております。これは毎日の三月二十三日付ですけれども、「当初、FCCは柔軟姿勢だったが、「通商政策上の懸念がある」として態度を一変させた。国務省や米通商代表部などの圧力があったものとみられている。」これは一紙だけじゃなくて、ほかにもこういう論評をした新聞もございます。FCCに対してクリントン政権から政治的な圧力があったというのが大体大筋の見方なんですね。  郵政省はどう認識しているか、ひとつお答えいただきたい。
  94. 長谷川憲正

    長谷川説明員 委員指摘のとおり、NTTKDDアメリカ子会社認証に対する留保につきましては、当初FCCは簡易認証手続をとるということを発表しておりました。ただし、この簡易認証手続には、そうならない場合というのが例外事項として手続上決められておりまして、それは、関係者から簡易認証手続をとるべきでないというコメントがあった場合、そしてまたFCCがそれを認めた場合ということでございます。  御指摘のように、アメリカ政府の中の国務省と通商代表部と商務省、三者の連名によるコメントがFCC提出をされまして、この問題に関しては通商政策上の懸念があるので簡易認証手続をとるべきでないというコメントがなされたそうでございます。したがって、FCCの方は、その手続の定めに従いまして、これはいつまでという期限のついていない手続でございますけれども、通常の認証手続に戻した。このように認識をしております。
  95. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この問題については、先ほど来五月二十二日付の大臣名でアメリカに送った書簡の問題など、大臣からも答弁がありましたし、郵政省も大臣の答弁と同じ考え方だろうと思うのです。  私は、これらの論議を聞いておりまして、NTTKDDの二〇%規制認証問題は関係ない問題だという日本側の考え方、つまり基本合意の趣旨に反するという考え方が示されていると思うのです。裏の問題はともかくも、表に出ている問題だけを見ますと、白米間にWTOの基本合意についての評価の違いがある、そこに根本的な問題があるんじゃないかということを私は強く感じるわけであります。  つまり、今回のアメリカのとりた行動というのは、WTOでの基本的な電気通信交渉の終結を受ける、そして、その翌日、二月十六日にUSTRのバシェフスキー代表代行が記者会見をやって、日本がとったNTTKDDに対する二〇%外資規制を名指しで非難した、こういう経過があります。自由競争を阻害しているかどうかがアメリカ国内で事業免許を与える際の判断基準となるというようなことをその場で言いました。  こうしたアメリカの動きというのは、まさにWTOの多国間交渉から二国間交渉へと移行する一つ戦略であろうというふうに見られるわけです。WTOと今度のこの認証問題と関係がないという日本側の態度と、いや、それは関係があるんだというアメリカ側の態度、あの基本合意についての評価というものが日米の間で百八十度異なっている、こういう段階でこの法案を成立させるということは問題があるんじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  96. 長谷川憲正

    長谷川説明員 委員指摘のように、アメリカ政府の中では、依然として、この電気通信の問題に関しては相互主義にのっとって物事を進めていくべきであるという考え方が、特に議会に色濃く残っているということは事実だと思いますし、政府でもそのようなことを言っているわけでございます。  しかしながら、このWTO合意アメリカも応じたわけでございまして、そしてこれから、批准手続、アメリカでも進んでおりますけれどもアメリカでも批准をされますと、来年の一月一日からはこの合意に拘束されるわけでございます。このWTOの大きな柱になっておりますのは最恵国待遇ということでございますので、日米間で問題がある、あるいは他の国とアメリカの間で問題があるというようなことで、アメリカが特定の国の市場状況を問題にしてこの最恵国待遇を拒否するということは来年の一月一日以降はできなくなる、このように考えております。  そういう意味では、今まで、この情報通信世界では専ら二国間の交渉というものがアメリカを中心に展開をされてまいりましたけれども、まだその過渡期でございますが、この条約が正式に各国に受け入れられた暁には多国間の場での公平なルールというものが適用されるもの、このように確信をしております。
  97. 矢島恒夫

    ○矢島委員 実際に合意されてこれが効力を発揮するまでの間、そこの間を二国間交渉でやっていこうという、アメリカの圧力の一つのあらわれだろうと私は思うんです。  つまり、WTOの場で議論して合意した、そういう外資開放について、アメリカ自身が、合意した翌日に各国の保留事項というものの問題を二国間交渉に持ち出すという、しかもこれとは基本的に関係のない、私もそう考えますが、問題を絡めてきている、そして政治的圧力をかけてくる。こういう姿勢アメリカ政府がとってくる以上、先ほど来答弁の中で、それには応じないんだ、WTOでの交渉そのものでやっていくんだというんですが、こういう根本的な違いがあるということについては、二国間交渉じゃなくて、この基本合意事項そのものが評価が違うんだったら、きちんとそういう場でやり直すというようなことが私は必要だろう。  そういう意味では、この時点提案されている法案を成立させるということは、アメリカ側の圧力に屈してさらなる後退を余儀なくされる危険性が十分あるということを私は指摘しておきたいんです。  時間がなくなりました。一つだけ、実は質問通告しておりますので、せっかく来ていらっしゃると思いますので、一問、NTTの約款にかかわる問題でお聞きしたいんです。  実は、NTT電話料金の延滞金についてお聞きしたいと質問通告しておいたんです。といいますのは、NTTは、料金の滞納がありますと、延滞利息をつけた料金を請求するということになっております。この延滞利息は、請求金額に一定の利率を掛けた数字です。利率というのは一四・五%です。それに延滞日数、三百六十五日分の延滞日数というものを掛け算する。例えば、一万円の料金を一カ月滞納しちゃったという場合には、一万円に一四・五%を掛け、一カ月ですから、三十日ですから、三百六十五分の三十を掛ける、こういう計算をしているわけです。これは百十九円の利息になるわけです。私は、この利率を問題にするんじゃないのです、消費税の問題でお聞きしたいのです。  滞納の場合、NTTは、国には納税義務のないこの消費税分にも延滞利息を掛け算して請求している、これでいいのかという問題なんです。もう少しちょっと申し上げますと、月額一万円の請求の場合には、税率五%で計算いたしますと、基本料金、ダイヤル通話料金だとかあるいは付加使用料などいろいろの料金、これは九千五百二十三円、これに五%の消費税を掛けて、これが四百七十六円ですから、合計すると一万円、こういう請求になってくるわけですね。  問題は、この延滞金を計算する場合に、消費税分も含めた一万円を請求金額として、先ほど私が申しましたような、一四・五%を掛けたり、三百六十五分の日数を掛けたり、こういう計算をしているんですね。つまり、延滞利息分というのは、NTTに消費税の納税義務はないんですよ。言いかえれば、利用者が滞納しようがしまいがNTTが支払う消費税額というのは変わらないんですよ。これは当然のことです。消費税というのは商品にかかる税金ですから、商品の引き渡しから金額の支払いがおくれたからといって、今、消費税率五%だけれども、おくれたから五・一%にしますなんということは絶対あり得ないわけですから。  ですから、さきの私が挙げました例で言いますと、本来、九千五百二十三円に滞納利息分の利率を掛け算すべきであるのに、消費税を含めてしまった一万円のこれを請求額として計算するんです。このケースでやってみても、実際にその差額は、確かに五円五十銭ですよ。一件一件では小さいんです。しかし、これは消費税が導入されてから八年間、それから延滞金というのはどれくらいあるか私もわかりませんけれども、これは相当の金額になる。これをNTTは雑収入として処理しているわけですね。納税に必要のないものを請求しているというのは、税金の問題ですから、これは許されないんですよ。益税問題が、今度の五%にするに当たっての論議の中でいろいろ出てまいりました。これを認可しているのが郵政省ですけれども、これはどうなんですか、許される問題だと考えているんですか。
  98. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTが国に対して電話料金にかかわる消費税を納付いたします際には、四カ月ごとに未納の電話料金分も含めまして、個々の消費税の積み上げではなくトータルとしてのものを納付するという形をとっております。したがいまして、この消費税相当額の延滞は、NTTに経済的損失を発生させるということになるわけでございます。しかし、同時にまた、この四カ月の前であるか後であるかということでいろいろ事務手続もかかりますものを区別して処理するということも、非常に事務的に煩雑になるばかりでございますし、御指摘のような金額のものでもございます。NTTは、契約約款上は、基本料にしましても、通話料にしましても、請求いたしますときには消費税相当額を含めたものを料金とするというふうに書いておりまして、そういう形で料金として扱っております。その料金に対して、未納の場合に延滞利息を付するという取り扱いをしております。  こういった約款の取り扱いというものは、今申し上げたような事情から見ますと不当なものとは言えないというふうに考えておるところでございます。
  99. 矢島恒夫

    ○矢島委員 一つには面倒くさいということがあるというのが現場の実態であろうと思うのですよ。しかし、確かに額についてはそういう状況だし、実際に請求額というのは消費税分を含んだものに延滞のための利息をかけていくということになるわけですけれども、やはり面倒くさいということだけで済まされる問題ではない、税金の問題ですから。ですから、ぜひひとつこの部分について研究してもらいたい。納める延滞料金に消費税分が二重にかかってくるようなことは絶対にないようにしてもらいたい。そのことを申し上げて、私、質問を終わります。
  100. 木村義雄

    木村委員長 小坂憲次君。
  101. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。  今回のWTO関連の法改正に基づいて日本通信市場もより一層自由化され、また海外競争に出ていくわけでありますが、日本の国内の通信事業者は、日本の国益のために常に考えてくれておるわけであります。  外国の企業がこれからどんどん日本へ入ってきて、戦って、そのネットワークを広げていった場合に、基本的に通信役割として、国民のライフラインとして、これを常にどのような状況においでも円滑な接続ができるようにしておくことが必要だと考えますが、こういった外資規制撤廃された結果、外資関係の企業がかなりのネットワークを占めてくるようになる、そういう時点において非常災害時の重要通信をどのように確保していくか。こういう点について、まず大臣の御見解を伺いたいと思います。
  102. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 非常災害時等における重要通信の確保でございますけれども、これは電気通信事業に係る基本法の電気通信事業法の八条で、この重要通信事業者は優先的に取り扱わなければならないということが定められております。また、そのほか電波法、災害対策基本法等におきましても、電気通信事業者あるいは無線局を有する者の協力義務等が書かれているところでございます。  それから、加えまして、基幹的な電気通信事業者でございますNTTKDDにつきましては、外国からの過度の影響力を排除するということで、従来どおり二〇%の外資規制を維持することにしておりますので、こういった措置を考えますと、非常災害時における重要通信の確保につきましても担保措置が講ぜられているものというふうに考えております。
  103. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま谷局長の方から詳しく御答弁申し上げましたが、全くそのとおりでありまして、十分確保をされておると思います。  ただ、もう一つつけ加えますと、NTTの場合は三分の一の株を政府が保有する、そういうことで、やはり今後も十分な株主としてまた監視していくというところに一つの担保もなされておる、こういうように思っております。
  104. 小坂憲次

    ○小坂委員 今の大臣の御答弁ではちょっとまだ怪しいなと思うのですけれども、本当にそれだけで重要通信の確保はできるのでしょうか。郵政省として今後、谷局長にもう少し伺いたいのですが、非常災害時にどういう形で担保されるとおっしゃったのか。もう一度、もう少し詳しく御答弁いただけますか。
  105. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かにこの非常災害時等におきます重要通信の確保の問題につきましては、具体的にいろいろな状況を想定して手続を定めておく必要があるわけでございまして、そういう意味で、私、申し上げましたことは、何ら具体性を持っておらぬわけでございます。  ただ、基本的に、今回の外資規制撤廃に伴う問題といたしまして制度を考えますならば、電気通信事業者に対する責務あるいはNTTKDDに対する特別の規制ということの中でこれらが担保できるのではないかということでございまして、本当に必要な措置といたしましては具体的な仕組みを整えるということでございますので、そのことは、必ずしも外資の問題にかかわらず、私どもも常に心がけていくべきことと考えております。
  106. 小坂憲次

    ○小坂委員 すなわち、KDDNTTにそれなりの責務を負わせているのでこれが最終的な担保になる、こういうお答えですね。わかりました。  次に、CATV事業において、先ほど一部の委員から質問がありましたけれども外資規制の緩和を検討した結果、電気通信事業をあわせ行う場合にのみこれを撤廃するということにいたしましたけれども、これはなぜですか。
  107. 楠田修司

    ○楠田政府委員 本来、ケーブルテレビは地域独占性が強く、その地域に対する社会的影響力が非常に大きいメディアだから一定外資規制が必要だということで、これまで三分の一未満ということにされていたわけであります。  しかし、最近はケーブルテレビが電気通信事業を行うことができるということになり、かつ、かなりの数のケーブルテレビが電気通信事業を現にやり始めておりますし、目指しております。また、外国からの資本もこういうところに非常に興味もあるというところでございます。そういう中で、電気通信事業の方が外資自由化されるという中で、ケーブルテレビで電気通信事業を行うという、これは二面性を持っておるわけですが、これを考えた場合、やはり世界的な動き、それから電気通信事業を行うケーブルテレビは電気通信事業の方に合わせた方がいいだろう、こういうことで、電気通信事業を行うところは同じような形で、同じ時期に一〇〇%外資開放する、こういうことにしたわけであります。  しかし、ケーブルテレビの地域独占性、社会的影響力というのはまだ残っておりますから、そういう意味で、ケーブルテレビだけを、放送だけを行う者はこれまでのまま外資規制を残す、こういうことでございます。
  108. 小坂憲次

    ○小坂委員 そうしますと、端的にお答えいただきたいのですが、CATV事業をA地域で行っていて、そして電気通信事業をB地域を中心とした地域で行う事業者が、これは外資規制を受けるのですか。  要するに、同じ会社が同じ事業を行うのですけれども、認可される地域が違う。すなわち、ローカルの何とか団地で、もっと端的に言えば、わかりやすく言えば、CATV事業を行っている事業者が全国レベルの、全国というとあれになっちゃうから、関東地域の、その地域とは違う地域の電気通信事業を行う、こういう場合の外資規制はどうなりますか。
  109. 楠田修司

    ○楠田政府委員 例えばMSOというのがありまして、いろいろあるのですが、基本的には規制を受けない、こういうことでございます。
  110. 小坂憲次

    ○小坂委員 わかりました。  今のお答えで私も確認できたのですが、であれば、こっち側の地域独占性は変わっておらぬわけですよね。なのに、たまたま同じ会社が電気通信事業をやるから規制撤廃してしまうというのであれば、そもそもCATVに対する外資規制は必要ないということにほかならないわけで、これは理論的に矛盾しておりますから、早くそれを解消した方がいいのじゃないでしょうかね。あるいは、規制をするなら徹底してそれも規制をする。地域独占というものを今後とも考えるのであれば、それに整合性のあった、やはりきめの細かな規制の設定が必要なのじゃないかなと今のお答えを聞いていて思うわけであります。  先ほど来たびたび出ておりますFCC、米連邦通信委員会規制相互主義との関係について、もう各委員から質問がありましたので、私の方からは一点。  日米NTT調達協定を延長させるために、人質にとって、なかなかやってこないような今の理不尽な米国姿勢に屈することなく、毅然とした態度で交渉に臨んでいただきたい。それから、向こうかちは、早く交渉を再開しろ、こう言っておるわけですが、九月まで期限があるわけですから、それは十分な根回しをして、決して負けることのないような毅然とした態度で交渉に臨んでいただきたい。もう時間の関係で、要望のみにとどめておきます。  最後に、携帯電話の方式の統一制について、一言述べておきたいと思います。  アメリカというのは、国民の皆さん常に思っていると思うのですよ。どうも何か要求がきつくて、日本はいつもアメリカからがんがんと言われると屈しちゃうのじゃないか、こういうような傾向があります。  新しい方式はどんどん今アメリカから生まれておりまして、今度私ども日本導入しておりますCDMAの方式も、欧州中心のGSMの方式よりはやはり効率の点からいいということで、こちらが中心になっていくのだろうと思っておりますが、今後、インターナショナル・モーバイル・テレコミュニケーションズという、二〇〇〇年をめどにしたIMT二〇〇〇、この方式を目指して、もうあと二年ですからね。もうすぐに次世代の通信方式を確定していかなきゃいけない、こういう段階になっております。ぜひとも日本の技術を世界に普及できるような、郵政省も外務省との連携のもとに対外的な戦略を構築していただきたい。  新しい方式が一この前も申し上げましたけれどもADSLという非対称デジタル加入者線、加入者線の方の新しい方式が出てきましたね。ああいうものでまた効率は加入者線の方が上がっていくのでしょうけれども、携帯電話の方もどんどんこれから普及するわけでありますので、世界的なインフラになるように、日本の技術を世界にひっ提げて頑張っていただきたい。最後にこれだけ申し上げて、交渉に当たられた今日までの御努力を多として、私の質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  111. 木村義雄

    木村委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  112. 木村義雄

    木村委員長 本案に対し、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会での協議によりまして、御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  113. 木村義雄

    木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 木村義雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  115. 木村義雄

    木村委員長 内閣提出、参議院送付簡易生命保険積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣。     —————————————  簡易生命保険積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  116. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 簡易生命保険積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、金融、経済環境の変化に適切に対応し、簡易生命保険の加入者の利益の増進を図るため、所要の改正を行おうとするものであります。  その内容は、簡易生命保険特別会計の積立金をもって取得した債券の貸し付けを、信託業務を営む銀行または信託会社への信託を通じて行うことができることとするものであります。  なお、この法律の施行期日は、公布の日からといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  117. 木村義雄

    木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る六月四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十四分散会      ————◇—————