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1997-05-20 第140回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君    理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 伊藤 忠治君 理事 矢島 恒夫君       川崎 二郎君    佐藤  勉君       斉藤斗志二君    坂井 隆憲君       園田 修光君    竹本 直一君       中川 昭一君    能勢 和子君       野田 聖子君    野中 広務君       山口 俊一君   吉田六左エ門君       赤松 正雄君    石垣 一夫君       遠藤 和良君    神崎 武法君       永井 英慈君    原口 一博君       北村 哲男君    山花 貞夫君       横光 克彦君    小坂 憲次君  出席政府委員          郵政政務次官 野田 聖子君  委員外出席者         参  考  人         (東京大学工学         部教授)    齊藤 忠夫君         参  考  人         (全国電気通信         労働組合中央執         行委員長)   佐々森和男君         参  考  人         (全国労働組合         総連合議長) 鴨川 孝司君         参  考  人         (大阪学院大学         経済学部教授) 鬼木  甫君         参  考  人         (電気通信事業         者協会会長)  東   款君         参  考  人         (株式会社旭リ         サーチセンター         代表取締役社         長)      鈴木 良男君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   竹本直一君      能勢 和子君 同日  辞任         補欠選任   能勢 和子君     竹本 直一君     ――――――――――――― 五月二十日  簡易生命保険積立金の運用に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第五九号)(参  議院送付)  電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法  律案内閣提出第八九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第五四号)  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五五号)  日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七六号)      ――――◇―――――
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  本日は、各案審査のため、午前の参考人として東京大学工学部教授齊藤忠夫君、全国電気通信労働組合中央執行委員長佐森和男君、全国労働組合連合議長鴨川孝司君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  齊藤参考人、佐々森参考人鴨川参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  なお、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、齊藤参考人お願いいたします。
  3. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 齊藤でございます。  私は、今回のNTT法KDD法並びに電気通信事業法の三法案改正案について、賛成という立場から意見を陳述させていただきたいと存じます。  情報通信産業というのは将来の社会経済発展の原動力であるということで、社会基本的な仕組みとして、その多様性サービスコスト低下、より質の高いサービスの実現というのは非常に基本的に重要な問題であるというふうに考えております。そのためには、技術革新はもとより、事業公正競争条件整備、多様な事業者相互接続、あるいは国際展開というようなことも含めて、事業の新しい形態を求めていくことが重要であるわけでございます。  従来の考え方、従来とられてきた日本競争政策は、昭和六十年のNTT民営化以来着実に進められてきたわけでございまして、かつこういう問題は実態進展に合わせて進められるべきものでございますが、競争条件整備は、NTT経営形態も含めて、従来は過渡的なものであるというふうな認識であったのではないかと存じます。  今回の法律案によって、NTT経営形態が過渡的なものからある一定の安定したものになることによって、NTT自身事業展開情報通信産業全体の事業展開が急速に進展するというふうに考えてよろしいと存じます。事実、業界再編もダイナミックに進み始めているということは御承知のとおりでございます。さらに、競争が大きく進展するであろう。  独占部門競争部門が別会社になることによって、公正競争条件整備が進められることになります。  さらに、電気通信事業法接続ルール整備によって競争が円滑化されることも期待されるわけでございますし、NTTKDD国内国際相互参入を通してさらに競争が広がるというふうに考えられます。  さらに、NTT国際戦略進展というのは、我が国通信事業アジア諸国はもとより、先進国にも進出するということで期待されるわけでございます。現在、世界メガキャリアのグローバルな展開というのが相互に行われているわけでございますが、これに伍していくために適切な形がとられる、総合的な力と機動性の双方のメリットを生かした展開が今回の法案によって可能になるというふうに考えられます。  さらに、研究開発の面においては、競争の先端は研究開発にあるわけでございますが、研究開発によって何が成功するかということについては大変不透明な状況になっているわけでございまして、多様な研究開発展開が重要ではないかというふうに考えられるわけでございます。今回のNTT法では、一元的な開発側面競争的な開発側面をうまく組み合わせる可能性があるというふうに考えます。  第二に、電気通信事業法接続政策ということを考えますと、これは、多様な事業者相互接続して事業展開していくというのは世界的な重要な課題であるわけでございまして、アメリカはもとより、ヨーロッパでも多様に取り組まれている問題でございます。今回の改正で、ネットワークオープン化が進み、相互接続が推進されることによって接続料金低廉化接続迅速化、多様なサービス進展が期待されます。  第三に、規制緩和の面においては、今回の法案では、KDD国内進出NTT国際進出を初めとし、適切な規制緩和が盛り込まれているわけでございます。  この面においては、将来の競争進展事業進展を見ながら、さらに規制緩和が進められることが期待されることは申すまでもないわけでございますが、こういったものについては、どのようにそれが展開するかということについては明確な予想を立てるということは容易ではないわけでございまして、こういった問題は、新しいルールのもとでの事業展開競争展開を見ながら徐々に進められるものであるというふうに思うわけでございます。例えば料金におけるプライスキャップ規制であるとかヤードスティック競争のようなことも含めた規制緩和が将来には求められるであろうというふうに考えられるわけでございます。こういった問題は、実態と将来の理想ということの組み合わせが重要でございます。現実の姿を見ながら、今後とも着実に規制緩和を進めていただくということをお願いしたいと存じます。  最後に、今回の三法案基本的な考え方として、業界も既にいろいろな動きを見せているわけでございます。それを促進し、ネットワーク多様化を進め、国際進出を進めていくために、新しい取り組みを促進する意味でも、この三法案の早い成立が期待されているわけでございます。  新しい情報産業をつくるということは、将来の日本社会基本的なインフラストラクチャーをつくるということでございますので、新しい取り組みを一刻も早く進めていただくということが重要ではないかというふうに存ずる次第でございまして、この三法案を現在の形で成立するということを期待している次第でございます。  以上で私の陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手
  4. 木村義雄

    木村委員長 ありがとうございました。  次に、佐々森参考人お願いいたします。
  5. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 御紹介をいただきました佐々森でございます。  私は、NTT及びNTTグループに働く九九%を超える社員組織をする当該労働組合責任者でございます。本委員会で御審議をいただいておりますNTT法並びに事業法に対しまして意見を述べさせていただきたいと存じます。  NTT経営形態問題は、一九八二年の第二臨調答申以来、今日まで十五年に及び国論を二分する論議が展開されてまいりました。これまで国論を二分しつつも分離分割をとり得なかった理由は幾つかあると考えますが、私は労働組合立場として、特に次の二点を強調したいと考えます。  一つは、NTTサービス水準技術力などの評価についてでございます。  私たち全電通運動合理化の歴史であったと言っても過言ではございません。手動から自動へ、あるいはアナログからデジタルヘと電気通信技術革新はハイペースで進展してまいりました。私たちは、技術革新そのものを否定することなく、その成果を利用者国民還元をすべきであるという基本的立場に立って対応をしてまいりました。そのため、市外通話料金民営化時には四百円であったものが現在では百十円となるなど、利用者への還元ができてきたと考えております。  その一方で、民営化時の社員数は三十一万四千名でありましたが、一九九六年末には十八万四千名へと減少しております。また、二十万人にも及ぶ社員が一度は配置転換等を経験するなど、まさに血のにじむ努力をしてまいったと思っております。  これらの努力によりまして、一社体制のもと、今日の確固たる電気通信インフラ整備をされてきたと思っておりますし、今後とも継承、発展すべきであるというのが国民の期待であろうと確信をいたすものでございます。  もう一つは、電話国民ライフラインとして極めて重要であると考えるからでございます。  私たちは、国民生活における安心と安全を確保し、すべての人がいつでもどこでも低廉な料金利用できるユニバーサルサービス提供に心がけてまいりました。この安心と安全に対する国民の信頼は絶大であります。特に、一昨年一月の阪神淡路大震災において、電話国民生活並びに情報伝達などに不可欠であると改めて認識を強くいたしたところでございます。  電気通信事業をめぐる今日的状況は、技術革新によりまして、一九八二年の第二臨調答申をした時代とは様相を一変させておりますし、ハイスピードで変化をしております。また、マルチメディア時代を迎え、利用者国民のニーズは、インターネットを初め多種多様なサービスヘと拡大をしております。  産業経済グローバル化する中にありまして、情報通信グローバル化し、国境を越えた大競争時代に入っております。もはや国際長距離地域という区分のないシームレスなエンドエンドサービスが求められているところでございます。     〔委員長退席岸本委員長代理着席〕  世界各国は、昨年二月のアメリカ連邦通信法改正、明年十月のEUにおける自由化、本年二月のWTO合意による市場開放など相互参入がますます活発化しておりますし、我が国も機敏に対応しなければ欧米メガキャリアに席巻されるおそれがあると認識をしております。  こうした情報通信をめぐる状況認識のもとに、昨年十二月六日に郵政省NTTとの間で九項目の合意がされたものと判断をいたしております。  しかし、この合意につきましては、当該労働組合であります私たち全電通は一切関与をしておりませんし、むしろこの合意に対して唐突感すら感じるところでございまして、組織内におきましてこの再編成案をめぐって、労使関係あり方などの批判を含めまして、多くの議論がございましたし、責任者として強くその事態認識をとらえたところでございます。したがいまして、その後三カ月の間、この合意内容の受け入れについて、その是非をめぐって激しい議論をしてまいったところでございます。  その上で、まず、十二月六日の郵政省NTT合意内容につきましては、その前提となっております純粋持ち株会社制度の導入、損金算入資産譲渡益課税免除等税制上の特例措置が可能となれば、私たちが従来から主張してまいりました利用者国民利益、国益を基本分離分割はとるべき道でないとした理由基本的にはクリアできると判断をいたしました。  さらに、重要であり強調したい点といたしましては、このようなNTTあり方問題がネックとなって日本情報通信産業がこれ以上グローバル化並びに世界規制緩和と大競争の流れに決定的なおくれをとってはならないと判断したからでございます。  既にNTT再編成の動きを先取りしまして、さらに長距離地域区分の撤廃、ネットワークオープン化によりまして国内競争は一層激しくなることが容易に想定できます。したがって、電気通信政策転換は焦眉の課題認識をしております。  以上に立っての判断をしたわけでございますが、さらに申し上げるとすれば、一つとして、ネットワーク一体的構築、運営、管理については、持ち株会社事業会社の株主としての権利を行使することによりまして確保できると考えるからでございます。  二つ目としては、ユニバーサルサービス維持向上については、会社法第三条で、持ち株会社及び東西地域会社は、電話の役務をあまねく、適切、公平かつ安定的な提供を責務といたしております。したがいまして、国民安心と安全を確保することがそうした観点から可能になっておるというふうに考えております。さらに、附則十一条による東会社から西会社への金銭交付等措置によりまして、東西間の料金サービス格差は生じないものと判断をしております。  三つ目としましては、長距離会社国際通信分野への進出と、持ち株会社機能として基礎・基盤となる研究開発機能を所持することが可能になったからでございます。  私たちは、これらのことを踏まえまして、再編成法案を受け入れることといたしました。  次に、規制緩和について、最後意見を申し述べさせていただきたいと思います。  今回改正されますNTT法事業法につきましては、規制緩和は不十分と言わざるを得ません。先ほども述べましたとおり、欧米各国では規制緩和による自由化が進んでいるのに比較しまして、我が国規制緩和はおくれていると考えております。当委員会審議の中でも、移動体通信が急速に増加した理由として、保証金の廃止や端末機の売り切り、料金届け出制など、規制緩和がその要因であり、移動体通信具体例から見ましても、市場活性化には規制緩和が重要であるとの議論があったと聞いておりますが、私も同様の認識をいたしております。  したがいまして、今通常国会での審議結果と市場動向等に即応いたしまして、今後ともNTT法事業法規制緩和について柔軟に対応していただくよう要請しておきたいと考えます。  以上、大変雑駁なことになりましたが、真意のほどをお受けとめいただき、最後お願いをいたしたいのは、今通常国会におきましてNTT改正法案成立をしていただきまして、十五年に及ぶNTTあり方問題に終止符を打っていただき、日本情報通信のあすへの第一歩を踏み出していただきますようお願いをいたします。  私たちは、これまでも社会的に価値ある労働運動を推進してまいりました。この立場から、今後とも二十一世紀に向けまして、日本情報通信発展に向けて全力を挙げる決意を申し上げ、私の意見といたします。ありがとうございました。(拍手
  6. 岸本光造

    岸本委員長代理 ありがとうございました。  次に、鴨川参考人お願いいたします。
  7. 鴨川孝司

    鴨川参考人 御紹介いただきました鴨川であります。  日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案について意見を述べたいと思います。  この法案は、今後にも利用者労働者に多大の負担を強いるものであり、格差拡大につながると考えます。また、公益企業株式会社化はするべきではない。以上の点から、この法案に反対するものです。  この逓信委員会審議されているNTT分離分割法案の趣旨は、NTT分割して国際進出することを主な理由とされていると思います。この国際進出には莫大な投資資金が必要と言われています。私は、今NTTが進めています利用者へのサービスの切り捨て、そして労働者への人減らし政策をさらに進めつつの内部留保金の活用の仕方は大いに問題があると考えます。  国際進出を図るのは長距離会社でありますが、その長距離会社は、NTT法適用外に置かれる完全な民間会社で、公共的な規制から外される会社であります。そこに国民共有財産ともいうべき内部留保金を充てるのは筋が通らないのではないかと考えます。電電公社民営化されてから十一年間に蓄積した内部留保金は五兆六千五百四十五億円、NTT収入の八、九割は六千万加入と言われる電話加入者からの収入によるものであり、利用者へのサービス低下人減らしに伴って急速に進んでいます。この改善こそ急がれるというふうに考えます。  NTTは、この数年間非常に多くの人員削減を進めてきました。一九九三年から九六年までの四年間、六万三千四百八十四人の削減となります。九五年の場合は、日本主要企業三百十六社が行った人減らし十万八千五百八十三人の一九・三%にも及ぶものであります。この削減に伴って、労働者には仕事の違う職場への強制配転単身赴任、二時間半に及ぶ長時間通勤、子会社への出向など、多くの問題が出されました。  また、こうした陰で、営業所窓口は三千百から六百に廃止縮小されました。二つしかない船舶用無線局のうち、銚子無線局当該自治体からの存続の意見も入れられず廃局となりました。四十万通の利用があったのが、平成八年には三十一万通になっていると言われています。船舶の安全のためには通信回線の二ルート化によるバックアップ体制が求められているのでありますが、こうしたことが廃局というふうに進みました。公衆電話は、全体の一四%に当たる十二万五千台が撤去されました。番号案内有料化公衆電話市内料金の三倍値上げも進められました。阪神大震災後、東京で必要な要員が確保されていないとの消防庁からの指摘を受けるなどの問題が起きています。  これらは、ライフラインとしての重要性の軽視、「あまねく」に象徴される公共性の放棄、サービス低下につながるものであり、大変大きな問題であるというふうに考えます。公共性確保改善こそ急がれており、NTT社員の雇用の確保労働条件向上一つのものとして考えなければならず、内部留保金はまずここに向けられるべきものであるというふうに考えます。  総理府が五月に発表しました完全失業率は三・三%と戦後最高を記録し、雇用問題は労働者重大関心事となっています。超優良企業NTTが率先してとっている人減らし政策は、重大化している雇用問題を一層激化させる極めて深刻な影響をもたらしているのであります。  しかも、分離分割国際進出を進めるために、二十一世紀を目指し十五万人体制をねらいたいと、今後もこうした政策の続行が予定されていることは重大であると考えます。私たちは、通信産業公共性を守り五万人削減に反対する共闘会議をつくって、これらを問題にしていくことにしていますが、そうした中で問題として出てきましたのが、一〇四番号案内下請化の名による労働者の追い出しと、深夜、早朝の番号案内の廃止問題であります。  これらは、現在この労働に従事している九千人、他に多くのパート労働者がいますが、これらの労働者の重大な雇用問題であるだけでなく、二十四時間社会が進んでいるとき、利用者サービスの大きな低下通信の秘密の保持に問題を残すものであります。コンピューターによる技術革新が大きく図られているとはいえ、熟練労働者に行わせるべきで、賃金の安い労働者への切りかえだけを追求するのは公益企業のとる道ではないと考えるものであります。  ちなみに、夜間の番号案内は二〇%の公共機関からの問い合わせがあり、地震、風水害の際は、問い合わせによってパンクするほどの状況が屈まれてきています。この際、公共性の確立のために、広く国民利用者利益を一層重視すべきであると考えます。  次に、格差拡大についての危惧であります。今日既に、東西間には首都東京存在、西には四国、九州、多くの島が存在するなど、条件の違いによって人員の違いも生まれています。こうしたことから、分割をそのまま続ければ格差拡大は避けられないものと考えます。だからこそ、基本的サービス格差をつくらない積極的な対策が求められる、こう考えます。  持ち株会社の解禁は労働組合にとって団体交渉存在にかかわる重大な問題をはらんでいます。NTTのような公益企業が真っ先に持ち株会社になることは、日本経済産業あり方にも大きな否定的な影響を与えるものと考えます。  今回のNTT分離分割は、利用者へのサービス低下労働者への多大の犠牲を押しつけ、それによって生み出される利潤によって国際進出を図るものと言えます。  こうした点で、私はこの案に反対の意見を表明いたします。どうもありがとうございました。(拍手)     〔岸本委員長代理退席委員長着席
  8. 木村義雄

    木村委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 木村義雄

    木村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。
  10. 竹本直一

    竹本委員 自由民主党の大阪十五区選出の竹本直一でございます。  本日の案件に対しまして質問をさせていただく前に、先ほど来参考人からの御意見を聞かせていただきまして、その中でも特に全電通の佐々森委員長の御意見を拝聴いたしまして、NTT経営形態の問題に関しまして、約二十三万名の全電通組合員皆様の運命を背負いながら、今回、十五年にわたる長期の議論終止符を打つ決断をなされたことに、深く敬意を表したいと思います。  国会においても真摯な議論を行い、日本情報通信産業のよりよい発展に向け、国内のみならず世界各国とのネットワークをより緊密にしていかなければなりません。そこで、今回検討しておりますこの三法案をぜひとも早期に成立させ、二十一世紀に向けて、NTTやその他電気通信分野で働いておられる皆様から今後もよく御意見を拝聴しながら、安定的な労使関係の継続などを初め、新制度が円滑にスタートできるよう、国政の立場からもサポートを進めてまいるわけでございます。  ところで、私は、今回の法改正が、国際化時代を迎え、そして大競争時代とも言われ、やがて二十一世紀にすぐ入るこの世紀末において、日本の国益を考え、また日本国民利益を考えましても、どうしてもやらなければならない改正であり、そしてどのようにこういった企業が縦横に国際舞台で活躍し、その結果として国民に福祉をもたらすかということについて深い関心を持っておる人間でございまして、そういう立場から、二、三、質問をさせていただきたいと思います。  我が国世界から見た場合に一番誇るべきものは何か。これは、私も世界百カ国ぐらい歩いておりますけれども、一に技術であり、二に資本力でございます。その二つの点において日本を褒めそやす国がたくさんあるわけでございます。そういう意味において、今回のこういう改正が、今まで世界に誇ってきましたNTT研究開発能力の低下を招くおそれはあるのかないのか。技術力低下を来すと大変でございますので、そういった問題についての見通しをお聞かせ願いたいと思います。特に、アメリカと比べて日本研究開発能力の利点、損点、そういったことも含めて、齊藤先生、簡単に御回答願えればありがたいと思います。
  11. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 御質問ありがとうございます。  NTT研究開発力というのは、日本の今までの電気通信産業における研究開発力の中核として、KDDとともに非常に重要な役割を担っているということでございまして、それを維持し、かつ強化していくということは非常に重要なことであるというふうに存ずる次第でございます。  御質問、日米間での研究開発力がどうなっているかということでございますが、いろいろな側面があろうかと存じます。近年特に言われていることは、日本研究開発というのは、基幹的なハードウエアについては大変すぐれているというふうに言われるわけでございますが、それを多くの社会のアプリケーションと結びつけていくソフトウエア分野、あるいはさらに多様なサービスを実現する分野においては、アメリカ研究開発のダイナミズムというのは日本に比べて格段に強化されているというふうに考えられているのではないかと存じます。  そうしますと、研究開発には基盤的な、一元的開発を必要とする側面と、多くのアイデアを出し合って、そしてそのアイデアの中には成功しないものもあるわけでございますが、たくさんのアイデアの中から成功するものが出ていく、そういう競い合う分野というのがあるのではないかというわけでございまして、一元的開発側面競争開発側面の双方が備わっているということが将来の情報通信産業研究開発については肝要であるというふうに考える次第でございます。  そういう意味では、従来の日米間の技術開発力に先ほど申しましたような跛行性があるということでございまして、今回の体制はその両方の発展を生かせるということで、日本研究開発力を維持し、かつ強化していくということで役に立つのではないかというふうに期待しております。  以上でございます。
  12. 竹本直一

    竹本委員 ありがとうございました。ぜひそういう結果を見届けたいものだと思うわけでございます。  さて、いよいよ国際舞台に我が国企業が進出するわけでございますけれども、特にNTT国際通信進出することになりますと、他の国際通信事業者との間で同等の扱いを確保する等の公正競争条件整備する必要があろうかと思います。どのような条件を課す必要があると思われますか、その辺をお聞きしたいと思います。  特に、競争に関しましてはフェアであり、またフリーであるということが基本的に必要であろうかと思います。また、これら企業の生い立ちがそれぞれ違うわけでございますが、言ってみれば、人為的に競争の場のリングをつくるわけでございます。したがいまして、これら競争者が平等に国内で、いい意味での競争ができるようになる、特定の企業に有利には絶対にならないというような状況をつくる必要があろうかと思いますので、そういう意味で、どのような条件を課す必要があると思われますか。齊藤先生にお聞きしたいと思います。
  13. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 HTTが現在の形でございますと、国内では、地域長距離を幅広く独占的にサービスしているわけでございます。  国際的に進出するとしますと、幾つかの問題があろうかと思いますが、従来の国際会社NTT国際会社再編後はNTT長距離ということになると思われるわけでございますが、NTT地域接続網とNTT国際会社との接続においては、他の国際通信事業者との間と平等の接続条件確保することが重要ではないかというふうに思います。  従来のNTT地域NTT長距離と他の長距離事業者との間で必ずしも平等の接続条件がなかったということが今日の議論一つになっているわけでございますが、それと同じ問題が国際会社との間で生ずるわけでございまして、その接続条件を明確にしていくということ、平等で明確な接続条件確保することが重要であるというふうに存じます。  また、NTT国際会社NTT地域の間の営業の独立性を確保することが重要でございます。国際会社にも独自の営業部門を設置し、地域NTTの営業部門との間の独立性を確保しなければならないというふうに存じます。さらに、国際会社地域NTTの間の組織上の問題としては、例えば役員の兼任の禁止のような条件が考えられるだろうと思います。  いずれにしましても、国際会社NTT地域会社との間と他の国際通信事業者との間で平等な扱いがとれるような方策が必要であると存じます。  以上でございます。
  14. 竹本直一

    竹本委員 ぜひ、そういった条件整備をきちっとされた上で、平等でフリーな闘い、競争ができることを期待したいと思います。  次に、国際舞台においてBTとMCIが合併するなどの動きがございますけれども、我が国の既存の三社、つまりKDD、それから日本国際通信株式会社、ITJ、それから国際デジタル通信、IDCに加えまして、今回さらにNTT国際進出することになるわけでございますが、日本通信会社はこういった国際的な競争に果たして打ちかてるのかどうか、このことを多少心配するわけでござます。  私は、建設業の海外進出という仕事を割合長くやった経験がございますが、国際舞台で、例えばオイルダラーの流れました十数年前に、中東の大きいプロジェクトをとるために日本の企業がたくさん現地に進出いたしました。また、東南アジアにも進出いたしました。そういった中で、対する外国の企業というのは、ドイツは一社、フランスも一社、イギリスも一社、アメリカは二社ぐらい来ていましたけれども、いずれにいたしましても、そこに見られた国際競争の姿というのは、他の諸国は大体チャンピオンが決まっておる。しかしながら、日本の企業は七社も八社も出ていく。そのために、単に外国の企業と競争するのみならず、日本の企業同士で、悪く言えば足の引っ張り合いも間々見られた。そのことが、日本の企業のマナーが悪いということで、国際的に非難されたことがございます。  私は、この四社が日本のチャンピオンとして外国へ出ていく中でそういったことが起こらないことを望むわけでございますが、同時にまた日本のようなまあ大きい国ではございますけれども四つもチャンピオンがいるということは、果たして国際競争力の維持ということで十分な活躍が期待できるのかどうか、そのことをいささか危惧するわけでございます。  いろいろ大きいプロジェクトの獲得、あるいは諸外国に出ていって国際場裏で活躍する中では、単に技術力のみならず、特定のプロジェクトに対するファイナンシングの能力もまた要求されるわけでございます。そういった場合には、みずから企業組織として、例えば従来のNTTのように、巨大な組織とスタッフと技術力を持っていった方が通常であれば有利ではないかというふうに思うわけでございますが、そういった中において、あえて四つを日本の代表として出すというような形になるわけでございまして、こういった形態国際的な競争場裏に出して、果たして十分な対応ができるのかどうか、そこを非常に心配するわけでございます。  ボーダーレス社会とか、企業の国籍がないとかいうようなことをよく聞くわけでございますが、戦後の歴史を見ましても、あるいはもっと広くこの一世紀動きを見ましても、どのような国のどのような大企業でありましても、国際化する中で自国を忘れたことは実はないわけでございます。ボーダーレスであり、国籍がないというのは、国籍をもはや議論する必要がないほどその国の代表として育っているということでございます。  例えば、ドイツのクルップ社がどのように国際化しても、アメリカの企業となったという話は聞かないし、また、アメリカのクライスラーがヨーロッパのクライスラーになったとは聞かない。そういうことで、NTTはあくまでも日本の企業であるわけでございます。  それが国際化する中で、そして、ましてや今回この体制を組むことによって、四社体制で、言ってみれば国際舞台で活躍するわけでございますが、そういった場合に、先ほどから申し上げております技術力、ファイナンス能力、あるいは情報収集能力、そういったもろもろの点において十分な国際競争力の発揮が望めるのかどうか、その辺について、先生の御意見をお聞きしたいと思います。お願いします、齊藤先生。
  15. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 大変難しい不確定な問題についての御議論でございまして、これについてはいろいろな議論があり得ようかと思います。  情報通信産業の海外事業ということに関して申しますと、いろいろな側面があろうかと思いますが、一つには、日本情報通信産業が海外に進出し、その国の中で情報通信産業展開するということでございます。  もう一つは、国際通信、特に日米間、日欧間、日本対他国の間の通信ということであろうかと思います。  もう一つは、世界のワンストップショッピングと申しますか、特に事業通信向け、世界進出している国際的な産業に向けて各種の通信サービス提供していくということではないかと思います。  従来のところ、既存の三社というのは、主として日本対外国という国際通信に主たる力があったというふうに考えているわけでございますが、さらに、それに加えてBT、MCIその他の動きは、世界ワンストップショッピングという形の動きではないかと思います。さらに、NTTも含めまして、一部海外事業への展開ということが行われているわけでございます。  日本の既存の三社は、これからも、今の各側面における国際的な事業展開を進めていくというふうに考えられるわけでございますが、NTTも含めまして、そのどこに力を注ぐかということに関しては、それぞれの会社ごとにいろいろな戦略があって、いろいろお考えであるということではないかというふうに思います。  特に、現在注目されておりますのは、世界のワンストップショッピングという形と海外事業ではないかというふうに思うわけでございまして、日本対外国の国際通信においては、単純な意味では、従来の情報通信産業サービスということに対していろいろなチャレンジがあるということは確かでございます。新しい技術もございますし、あるいはコールバックのような新しいサービス形態ということもあるわけでございまして、いずれにしろ、既存の三社におきましても、そういった新しいチャレンジに対応してますますいろいろなことを進めていかなきゃいけないわけでございますが、事業の環境というのは、国際通信においても大変変化しつつあるということでございまして、その中でどういうような形で日本通信事業世界に伍していくかということに関しては、それぞれに努力していただかなけりゃいけない側面というのは大変あるわけでございます。それが三社であるか四社であるかということに関しては、決定的な差がある、何社ならいいということは言えない状況にあるのではないかというふうに存じます。  しかしながら、いずれにしましても、どの産業でもそうでございますが、今竹本先生おっしゃったように、世界で伍していくためには、日本国内で十分な競争力を持ち、日本国内において切瑳琢磨し、そして外国に出ていくというのが、特に海外事業の分野、あるいは世界ワンストップショッピングの分野ではどうしても必要なことであるというふうに考えるわけでございまして、そういう意味では、国内競争をダイナミックに進めていくような体制をつくるということは重要ではないかというふうに思うわけでございます。  さらに、海外事業というような点に着目いたしますと、今竹本先生おっしゃったような技術力、ファイナンス力も含めました総合的な力というのが重要なわけでございまして、NTTにとっては、世界的な規模の通信キャリアとして総合的な力を持つとともに、分社化によって機動力を達成するということで、新しい有利な競争条件をつくっていけるのではないかというふうに期待しております。  それから、今の国際通信の場というのは、日本市場を分けるということではなくて世界市場であるわけでございまして、特に進展の著しい途上国市場を含めまして、海外事業という面においては非常に大きなマーケットが期待できるわけでございまして、日本における切磋琢磨に基づく世界展開というのを四社に期待できるというふうに考えられるわけでございます。  さらに、競争条件整備され競争が活発化すれば、我が国のキャリアも提携の動きをとり、世界的な競争に対応していくというふうに考えられるわけでございまして、日本のキャリアが外国のキャリアと各種の提携を行う、あるいは日本のキャリア同士の提携あるいは合併ということもこれからダイナミックに起こっていくのではないかというふうに期待されるわけでございまして、今回の再編が、再編された時点の事業形態の形で固定されるものではないのではないかというふうに存ずるわけでございます。  こうしたダイナミックな動きを引き起こすきっかけになるという意味で、今回の三法案は非常に重要な意義を持つのではないか。引き続きそれに基づく事業展開について着目していただきまして、将来ともダイナミックな市場に対応する規制緩和を進めていただくようにお願いしたいと存ずる次第でございます。  以上でございます。
  16. 竹本直一

    竹本委員 時間が参りましたのでこれでもって質問を終わらせていただきますが、いずれにいたしましても、企業を支えるのは人材でございます。技術を磨き、そして良好な労使環境のもとに各社が国際舞台で十分な活躍をしていただくことを祈念いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  17. 木村義雄

  18. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。  まず齋藤先生に一問と、それから佐々森委員長に一問ということでございます。  齋藤先生には、いろいろ大競争時代とかマルチメディアとか言いますけれども、言っておるだけでその世の中が来るんではないんですね。やはりその時代のコンセプトで非常に重要なものは、大きくないものでも勝つことができる、こういうことですね。よく、小よく大を制すとかなんとかいって、要するに、今までの大きい会社の統合的なピラミッド構造で意思決定しなくても、一人一人が映像ネットワークでぱっと出せば注文を受けたりそういうことができるということで、常に頭になければならないのは、いろんなものをダウンサイジング、分権化していくという思想がないと、マルチメディアといいますかネットワーク社会といいますか、その社会は生きないということだろうと思います。  今までの議論は、いろいろ聞いておりますけれども、大体電話時代の話からまだなかなか脱却をしていない。映像ネットワークでどんどん利用していく時代になかなか入ってこない。今度、私どもが、これは一つ言っておかなきゃいかぬのですけれども、いわゆるプライバシーの、これは電話にとりあえず限りましたけれども、発信者の番号、コーラーIDですね、これが出るのはいい、そこから、プライバシーを守るとか、それから、例えばただだと思った電話を、何分ただだというところヘアクセスしたら、そのまま手続が間違えていて物すごい請求書が来たときどうするかとか、そういう消費者の保護を新しい時代のそういうシステムというのは全くまだ考えられていない。それは多分、NTTがいろいろなものが巨大過ぎて、それから郵政省がどんとある。今回、何か郵政省NTT連合軍みたいな、とんでもない巨大なものができたぐらいのイメージしかこれは正直言って余りないのですけれども、そんな時代で本当に大丈夫なのかということですね。  だから、ネットワーク社会、それからいわゆるマルチメディア社会、高度情報化、何でもいいんですけれども、そういう時代というのはどうも持ち株会社アメリカ持ち株会社がありましたけれども、あれは持ち株会社同士で競争しましたからね、地域RBOCが。だからそれはあり得た。日本みたいに超巨大な企業がぽんとできて、これで果たして本当に、いわゆる人間解放の時代ですね、情報通信社会というのは。それに本当にマッチしていくんだろうかというそこら辺をちょっとひとつお聞きしたいと思います。  それから佐々森委員長には、要するに高度情報化社会というのはそういうことなんですよ。大競争時代だといったって、とんでもないでかい艦隊が行って勝つとか、そういう話じゃないんです。競争だからこそ小さいものの方がパワーがある、こういう時代をつくっていこうということなんで、それは小さいのと大きいのといろいろまぜて考えなきゃいかぬのですけれども。私、前から言っておるけれども、分離分割論を言っても何の得にもならぬのですよ。これはNTTには嫌われる、全電通もいい顔をせぬ、それからあとNTTファミリーも喜んでくれはせぬ。それでNCCのグループは応援するかといったら全然応援しないということなんだけれども、僕は多分NTT労働組合の皆さんも、もっと小さい会社にして何でもできるよ、そういうふうにした方が喜ぶんじゃないかと思います。全部統合的な人事構造を持ったヒエラルキーをつくってしまって、あなたはこういうことをやりなさいよという上から指令が来るよりも、もっと電話ネットワークより今大事なのがあるでしょう、海外から攻めてくるといったって、これは線を引くわけじゃないわけですよ。こんなことはわかってみえると思うけれども、大体借りてやる。今までの例えば銅線でアメリカの映像配給会社と提携して日本に、放送を使ってもいいですけれども、どういう新しいサービス提供していくかというのは、全電通の組合の方も、でかい構造よりも小さい会社になって自由に自分たちが意思決定した方が、多分僕は労働組合、働く皆さんのためになると思うんですよ、生活のためには。だからそこら辺のところをどう考えておられるのか、以上二点でございますが、お願いします。
  19. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 小さいベンチャー企業でも大きく育って世界に伍していくという例はたくさんあるわけでございまして、インターネットを使って商売していこうというような話もあるのではないかと思います。そういうものが、小さなものから育ってだんだん大きくなっていくということが特にアメリカでは顕著に顕在化しているわけでございますが、残念ながら日本ではなかなかそういう話は、みんな期待しているんだけれども余りうまくいかない例が多いというようなことがあるのではないかと思います。  それで、通信ネットワークというのはどういうものかというのはいろいろ議論があるわけでございますが、従来は巨大な電話網というのがあって、これが全国一つネットワークとして機能しているということが非常に重要であったわけでございます。現在でも電話サービスに関してはそれが安定に動作するという面が重視されるわけでございますが、それとともに最近は、インターネットのような余り大きくない分権型のネットワークが育ってきて、それが電話システムのようなものとともに大きなネットワークの要素になっていくというのも事実であろうと思います。  インターネットということに関して言うと、これが将来どういうことになるかということに関しては多くの議論があるわけでございまして、インターネットのように全世界ネットワークになっているんだけれども、それがある意味でばらばらであって、全体を律するルールがない、それでもネットワークとして接続が成り立っていく。こういうものが将来のネットワークなのであるという議論もあるとともに、インターネットに関して言えば、アメリカ中心に進んでいて、アメリカ接続するときには一方的にお金を払わなきゃいけないなんという話も何年か前から話題になっているわけでございますし、インターネット事業者が、毎年お客さんは二倍になるんだけれども通信量は五倍になる、したがって、支出は五倍になるけれども収入は二倍にしかふえないといって、現在のインターネットの業務体系についてはいろいろな不安定要素が含まれているということでございまして、一方ではインターネットも、基本的にはファシリティーベースの巨大事業者が全国的にサービスし、それに付加価値的サービスのものがつながる、そういう格好に将来発展していくのではないか。少なくともインターネットワンと申しますか、一九九〇年の初めごろから世界的に広がったインターネットについては、そういう形での進展というのが予想されている。  さらに、アメリカのHPCC計画その他によって新しくつくられた次世代のインターネットというものについては、さらに今の電話サービスに近いような、加入ベースの、加入者がお金を払う、あるいは事業体についてはもう少し従量制のお金を払う、そういうような今の電話システムに近いような事業体系というのが必要なのじゃないかという議論も、これはインターネットのグループの人たちもそういうことを考えているということでございます。ですから、これからはいろんな動きがあるだろうというふうに思うわけでございまして、ネットワークも、巨大なネットワークもあるし、それから、よくわからないけれども次々と発展していくような小さなネットワークもあるかもしれないし、その小さなネットワークも、だんだん新しい社会インフラとして定着していくに従って昔のネットワークのような形になる、そういうようなこともあるかもしれないというふうに考えられるわけでございます。  ということは、いろんなタイプの事業が混在できる格好がいいのじゃないかというのが多くの考え方ではないかというふうに思うわけでございまして、つまりそういう意味では、小さなものだけが有利なネットワークという形ではこれからは必ずしもそれだけではないのじゃないかというふうに考える次第でございます。  ちょっと長くなりまして、申しわけございません。
  20. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 簡単にお答えさせていただきます。  二つの点を申し上げたいと思います。  全電通は、巨大であることがいいと思ったことはございません。今でもグループの事業運営がされておりますし、情報通信、とりわけ電気通信事業におきましてはネットワークの一体的運営管理ということが必要だ、ネットワークの寸断は許されないという立場から考えてまいっております。今回の結論も、あるいは世の中の流れも連携、合併に進んでおる状況でございますので、会社一つであることがいいかどうかという点とネットワークの一体的運営ということ、今回の法案で両方の角度から考え、このようになってきておるというふうに考えております。  今後とも、会社は四つになるわけでございますので巨大なものではなく、それぞれの機動性を発揮する会社の自主的な運営ということがより強まるというふうに考えておりますので、全電通といたしましても、グループ経営という点で今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えるところでございます。  以上でございます。
  21. 河村たかし

    ○河村(た)委員 もう終わりますけれども、ネットワークの一体とはちょっと話はまた別だと、時間もありませんので。いずれにしろ、それぞれ一人ずつの人間の創意工夫が生きるように、それが実は高度情報化社会だということが忘れられてはいかぬなということでございます。  以上で終わります。
  22. 木村義雄

    木村委員長 伊藤忠治君。
  23. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 参考人の皆さんには、大変御多忙な中を本日は御臨席をいただきまして、心からお礼を申し上げます。  私は二十五分時間をいただいておりまして、皆さんに順次お聞きをさせていただきたいと思います。  佐々森委員長にお伺いをいたします。  今も陳述がございまして、お聞きをさせていただきました。どうしても私どもの委員会審議といいますのは法案中心の審議になりますので、意見陳述の中でとりわけ心を打たれましたのは、我が国電話網ですが、全国あまねくこれが張られておりまして、国民生活にとって極めて重要なライフラインの役割を果たしていると思うのですが、このネットワークがインフラのベースとしてしっかり機能しないことには、マルチメディア、情報化社会と口では言いますが、なかなか花が開かないだろう。どのようにそのために役割を果たし、貢献をするかということが非常に問われている重要な部分であろう。その基盤的、言うならば全国的インフラ形成のために、日進月歩の技術革新、それに果敢にチャレンジをする、あるいは日夜大変な御努力をいただいて形成をされてきた、そこに働かれました職員の皆さんの御努力を私どもも忘れてはならない、こう思うのであります。三十二万人いました方が民営化されて今日では十八万人台に、相次ぐ合理化、職配転によって規模が縮小されている、しかもOJTを加えますと、大変な技術進歩に対応されたと思うのですが、そういう努力があって実っているんだなということをお聞きをいたしまして、心から敬意を表したいと思うものでございます。  そういうことを前提にしながら、気持ちとして強く持ちながら、まず第一問質問させていただきますが、昨年十二月の合意事項に基づきまして今回のNTTの再編成法案が提案をされているわけでございますが、この再編成法案をどのように受けとめられているのか、まずその点を佐々森委員長にお伺いをしたいと思います。
  24. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 再編成法案をどのように受けとめておるかという先生の御質問でございます。  私ども全電通といたしましても、この再編成法案というものについては、全くこれまでの形でない持ち株会社制度による再編成ということでございまして、そういう意味でいえば、今までの議論の領域ではない新たなものであるというふうに認識をしております。そういった観点が出ましたのは、今日の情報通信の置かれた大競争であり、新技術に向けた新たな情報通信あり方という観点を踏まえた結論であろうかと考えております。  そういうことは認識をいたしますが、再編成法案そのものをどう受けとめるかということにつきましては、大変苦渋の議論をいたしたところでございます。しかし私どもが重視いたしましたのは、これまでの長い間の論争によりまして、ともすれば活力とか日本情報通信のおくれということが指摘をされておるわけでございますので、そうしたことをここできちんと決着をつけていただき、新たな国際競争を含めます競争活性化という、二十一世紀に向けて新たな観点から再出発をすべきであるという考え方のもとに決断をしたところでございます。決して生易しい判断ではなかったというふうに当事者、責任者として考えておる次第でございます。
  25. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 結論を出されるのに組織内でもさまざま議論があり、苦しみもあったということでございますが、その結果、一定の合意点に達したという説明でもございます。  次に伺いますが、ということを前提にされまして、今回の再編成法案につきまして全電通労働組合は賛成の立場をとっておられる、このように私たちは承っておりますが、その賛成の立場に立たれた主な理由はどの辺にあるのでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
  26. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 お答えをさせていただきます。  二つございました。  その一つは、再編成の基本フレームでございます純粋持ち株会社制度ということ、税制の特例措置という前提条件が講じられたということ。  二つ目には、中身としては七点ぐらいございますが、この再編成法案におきましてもネットワークの一体的運営、構築が可能であるということ、ユニバーサルサービス維持向上が引き続き可能であるということ、料金サービスの統一性が確保できるということ、株主の権利保護が引き続ききちんと担保できるということ、国際通信事業への参入ができるということ、研究開発、とりわけ基礎研究については持ち株会社で保持をきちんと担保できるということ、あるいはこれまでの労使関係、雇用労働条件確保ができるという、これらの理由から私どもが今日まで分離分割はとるべき道ではないというふうに判断をし、反対をしてまいったその中身の考え、問題点というところが、この再編成法案でも引き続きその維持が可能であるという判断のもとに、賛成をすることにいたした次第でございます。
  27. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 次に伺います。  今日までの委員会審議を通じて、一つの特徴は、規制緩和が大変議論の焦点にもなっておりまして、私ども民主党としましても、この規制緩和を強く求めてきたところでございます。全電通労働組合は、一方の当事者でございますが、規制緩和についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  28. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 お答えをさせていただきます。  規制緩和につきましては、原則自由、例外規制、例外というところは、基本的な、とりわけユニバーサルサービスにかかわるような料金の問題であるとか、あるいは基本的な事業にかかわる問題等ではないかと考えております。そうした例外は必要だというふうに考えておりますが、原則的には、規制緩和を原則自由にしていただくようにお願いをしておる次第でございます。  とりわけ、競争が激しい新技術に基づきますサービス料金の問題であるとか、あるいは経営の自主性という観点から事業計画とか役員の問題とか、いろいろございますが、今後とも、政府の進められます規制緩和計画全般の中で、引き続き規制緩和について不十分だと考えます点の積極的な規制緩和を進めていただきたい、このように考える次第でございます。
  29. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 次に質問をさせていただきます。  冒頭にも私申し述べたのですが、NTT通信網ですが、これはまさにライフラインそのものでありまして、今後再編成されました後において、市場競争が活発化するでしょうし、業界再編成もダイナミックに進んでいくと思うのですが、そういう状況になりますと、ユニバーサルサービス、これが大丈夫なんだろうか、引き続きその点は確保されていくのだろうか、こういうことをよく感じるわけでありますが、この点について、当該労働組合責任者としてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  30. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 ユニバーサルサービスの概念規定をここでどのように考えておるかということを正確に答えられるものを持っておるわけではございませんが、これまでの電気通信事業におけるユニバーサルサービスという観点で考えられてきたことを私なりに考えてみますと、基本的な電気通信サービスをすべての人がいっどこでも低廉な料金で受けることが可能であるというものであると認識をしてまいってきております。したがいまして、今後情報通信発展の中で、いわゆる基本的な電話サービスというものの概念は、光ファイバーによりますデジタル化で、状況がかなり変わってくるのではないかと認識をいたしております。  したがいまして、ユニバーサルサービスというのがこれまでの概念どおりで今後物事が考えられるか否かという点は、これからの問題としてあろうかと考えておりますが、従来言われておりますところのユニバーサルサービスという点は、再編後におきましても、会社法三条で、持ち株会社及び東西地域会社が「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供確保に寄与する」ことを責務とされております。したがいまして、我々全電通といたしましても、このことをしっかり受けとめ、会社に対してチェック機能を発揮し、これまで果たしてきたユニバーサルサービス確保という点が、この再編成後におきまして会社ごとに違いが起こらないようにしていくべきであるという責務が我々にも課せられておるというふうに認識をしておる次第でございます。
  31. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 今後の電気通信市場の激しい変化というのはなかなか長期にわたって見通せないということももちろんございますが、つまり特殊会社として縛られていまして、それで、基本インフラといいますのは、結局、業種別でいえば、付加価値通信を担います第二種の皆さんあるいは長距離の皆さんが地域通信網を活用する、つまり回線開放ですからそういう仕組みになると思うのです。そういう市場競争状況の変化、.進展というのが加速をいたしますと、特殊会社で縛られてシェアがだんだん落ち込んでいけば、いわゆる独占的なシェアを占めているからユニバーサルサービス、つまり採算を度外視してでも加入者の要望があればそこに敷設しなければいけませんよと、最低の基本的なサービス提供しなければいけない義務を負っていると思うのですが、言うならばそういう基本的な状況が壊れてきたときに、ユニバーサルサービスがこれまではこうだったから、これからもあなたがやりなさいよということを義務づけられることについては大変厳しいものがあると思うのですね。そのことは委員会議論でもかなり出ておりまして、当該の委員長にしてみればなかなか思うところを言えない部分があるかもしれませんが、そこは御遠慮なさらずに、そういう状況になれば、ユニバーサルは、一つ業界全体が公共性をしょっていることは事実なんですから、それは社会的にそれを保障する、業界全体で保障するという基金制度だって考えなければいかぬのではないのか、こういうふうに私たちも考えるわけですが、その点のことについてどうでしょうか。ひとつ遠慮のない御発言があればと思っておりますが。
  32. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 今後ユニバーサルサービスがどのように確保されていくかということは、この会社法、先ほど言いました三条の責務ということが課せられておるわけですから、そういう意味においては、いかに厳しくともこれを守らなければならないということは当然だというのが大前提だと認識をいたしております。  その上で、では、そのことがNTT持ち株会社東西地域会社として競争との関係において、ユニバーサルサービスのコスト負担というのが、NTT競争関係が圧倒的独占という形が大きく変質をして収入構造が変わってくる、コスト的にも、そのことがNTTだけに課せるという形だけで今後とも引き続きいけるのかどうか。こういう観点について、先ほども言いましたように、努力することを大前提にいたしますが、今後の状況の流れの中で、ユニバーサルサービスとは新たな情報通信という発展の中でどのように規定されるべきなのか。あるいは情報公開による、コスト的なものがきちんと、収支構造などというのがいかにあるべきかということが、開示をされる中での判断が適切に行われる中で一体どうあるべきなのか。その負担というものは他の通信事業者の負担ということ、あるいは最終的には利用者国民との負担の関係はどうあるべきなのか。こういった観点につきまして、これは新たな課題として議論をしていかなければならない課題になっていくのではないかというふうに認識をいたしております。
  33. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 ありがとうございました。  次に質問いたしますが、NTT労使関係についてですが、これは社会的にも非常に高い評価がなされていると私は思っております。委員長立場としまして、この再編成後の労働条件はどのように考えられているか、この点について、労使関係の問題も含めてお伺いをいたしたいと思います。
  34. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 再編後の労働条件につきましては、この再編成法案国会におきまして可決、成立をして以降、準備期間に要する二年間の間で、さまざまな具体的な課題再編成に向けます問題につきまして労使間の議論をしてまいらなければならないと考えております。そのうちの労働条件というものは我々にとりましてはその最たるものであるという基本認識を持って労使間の議論をしてまいりたい、このように考えております。  その基本的な考え方は、再編成でございます、したがいまして、NTTのグループの経営という観点では、純粋持ち株会社制度におきます労使の関係、労働条件をどのように規定をするか、これは新たな観点で物事を発想してまいらなければならないというふうに考えておるところでございますが、再編成そのものによって労働条件が左右されるものであってはならないというのが基本的な考え方でございますので、四つに再編成をされる段階における労働条件基本というものは、再編成後もそれぞれ四つの会社で同じように維持をされていくのが基本ではないかというふうに考えております。  その上で、今後事業展開が具体的に将来にわたってそれぞれの会社ごとに進められていく中での労働条件あり方といった問題については、私どもといたしましてもしっかりこれからの動向を踏まえて考えていかなければならないというふうに考えておりますが、再編成自体につきましては、基本的な労働条件はそれぞれの会社の中で今日まで確定をしております条件を横に移動させていくというのが基本であろうかと考えておりますので、そうした立場から会社側と交渉してまいりたいというふうに考えております。
  35. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 大変ありがとうございました。  それでは、全国労働組合連合議長でいらっしゃいます鴨川議長最後に伺います。  全労連は全体で組合員は何名ほどお見えなんでしょうか。
  36. 鴨川孝司

    鴨川参考人 百四十六万人であります。
  37. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 百四十六万人のうちで、このNTT職員が全労連の組合に入られているのは何名でしょうか。
  38. 鴨川孝司

    鴨川参考人 千三百人であります。
  39. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 全電通労働組合は約十八万五千名ですか。鴨川さんのところの組合に入られているのは千三百名。すると、何%の比率なりますか。――いや、御答弁結構でございます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  40. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  41. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この委員会でも今までの間に、分離、分割再編、そういうことによっての利用者へのサービス問題、これがたびたびいろいろ論議されてまいりました。サービス低下するというような事態は起こらないのかというような論議であります。  そこで、最初に鴨川参考人にお聞きしたいわけですけれども、先ほどの意見陳述の中で、人員削減利用者へのサービス低下、これが今日まで一体のものとして行われてきた、こういうことだったと思います。私も、社員が減ればコストが下がってきて、その分サービスがよくなるんだ、こんなことは単純に言えたものではないと思いますし、そのことは、NTTが切り捨てている部分というのでは、そこに携わっている社員が減る、その結果、利用者へのサービスも悪くなってくる、こういう部門も多々あるわけであります。  鴨川参考人は、先ほど一〇四の番号案内の例を挙げていらっしゃったと思うのですが、もう少し詳しくその部分について教えていただければと思います。
  42. 鴨川孝司

    鴨川参考人 サービスというのは、今日、考えなければならない二つの問題があるというふうに思います。基礎的な、日常の電話利用していく上での国民の利便性を考えたサービスと、それから自然災害その他の緊急管理といいますか、そういう点での、問題として二つの点があろうかというふうに思います。  それで、一つの、先ほど申し上げました阪神大震災後、東京都からNTTの保安管理の点について指導があったという点では、他のこういうライフラインの企業からいいましても、その指摘された件数は非常に大きなものがあります。ですから、この点で体制そのものをきちんとしていくということが重要かというふうに思います。  同時に、一〇四の、熟練労働者からパートその他の委託化によるサービス低下という問題は、これは日常的な相談をしていく上で、これらの利用者意見に答えるといった点で、秘密の保持その他で大変大きな問題があるというふうに思います。  同時に、三つ目の問題は、早朝、深夜を緊急番号案内に変えていくということでこれをなくしていくという方向が準備されている。今計画されているのを聞きますと、その場合には、二つのアクセスをして、十けたの電話をアクセスしなければならない。しかもそれは、聞くところによりますと、百八十円、値上げがされるという話であります。  私たち、一緒にこの問題に取り組んできていますときに、視覚障害者の皆さんが旅行に行く、ところがその旅行に行く際には、駅の安全設備がどうなっているかとかいろいろなことを聞いて、二十回から三十回の電話をかけて初めてその旅行に行くための安心的な状況が得られる、ですから、そういった点で電話はもう生活の一部になっているのだということを言われています。  こういった点で、どの面からいっても熟練した労働者がきちんとこういう案内をしていくという状況が望ましいと思いますけれども、これらを新しい体制に伴って下請化していくといったようなことになると、サービス低下は免れない。大変な大きな問題であるというふうに考えております。
  43. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう一つこの委員会でいろいろ論議された中身として、NTT分割によって、料金サービス東西格差が生じるのではないかという議論がたびたびなされました。  そこで、佐々森参考人鴨川参考人、お二人にお伺いしたいのですけれども、労働条件にも格差が生じるのではないかという問題も提起されていると思います。例えば、二月二十二日付の朝日新聞ですけれども、これはNTT労働部の話として報道されているわけですが、「再編のスタート時は同じでも、いずれ各社の業績に差が出ると予想され、「賃金格差が出ることもやむを得ない」(NTT労働部一」、こう書いてあります。  こういうことを紹介しているわけですけれども、この問題についてはどういうようにお考えになっていらっしゃるかということです。別会社になる、そして内部相互補助ということはできません、だから賃金格差は当たり前だという意見もありますし、また、持ち株会社によって統一的な経営が行われるわけですから、格差が出るのはおかしい、こういう意見もございます。  お二人の参考人、この問題についてどうお考えで、また、実際にどうなるというふうにお考えになっていらっしゃるか、承りたいと思います。
  44. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 先ほども、再編成に伴って労働条件をどのように考えるかという御質問にお答えをしたときにも申し上げましたが、再編成に伴いまして会社にそれぞれ組合員が移っていくわけでございますが、基本的な労働条件再編時にありましてもきちんと維持をするということをこれから労使交渉でやっていくという考えでございます。さらに今後、再編後の各社の状況がどうであるかということはもちろんこれからの問題でございますが、基本的な労働条件を維持をするということが我々の使命であるというふうに考えております。  ただし、各会社ごとの仕事の中身、労働条件についてはどうあるべきかということにつきましては、労働組合労働条件の要求を決めます議論と交渉結論に基づいて、主体的に、全電通もこれまでそのような労使関係の中できちんと整備をし、組合員の合意を得て実施をしてまいってきておりますので、今後ともそのように対応してまいりたいという考えであることを申し上げておきます。
  45. 鴨川孝司

    鴨川参考人 公共的な事業としてのNTT基本的なサービスを同等のものとして保障するということを考えれば、労働条件は同一のものをきちんと確保するということを大前提としなければならないというふうに思います。  しかし、危惧いたしますのは、既にNTTが試算した東西地域会社の財務見通しでも西日本の経営は大変困難性を持っている、人員その他の点でも現在での違いもあることですから、きちんとした対策をとらなければこういった点で格差が生じてくるということは、他の幾つかのこういった例でも既に示されているところだというふうに思いますので、そうさせないための対策というようなものはきちんとしていかなければならないのではないかというふうに考えています。
  46. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう一つの問題として、今度の分割再編によって子会社がどうなるか、こういう問題があろうかと思います。現在のNTTでは、電力関係のエヌ・ティニアィ・ファシリティーズあるいはテレコムエンジニアリング、こういうところに在籍出向という形で大勢の社員の皆さん方が仕事をしていらっしゃる。これまでの協約などでは、転籍には本人の同意が必要だ、このようにされていると思います。ところが、本体が分離分割された場合、これが無視されて、本人の同意なしに転籍させられるのではないかという心配も一部ではあるわけであります。さらにまた、このファシリティーズは持ち株会社に直接ぶら下がる子会社になるということも言われております。そういう場合に、在籍出向という形が非常に困難になるのではないかという危惧もあるわけですが、それらの問題について、佐々森参考人鴨川参考人、お二人にお聞きしたいと思います。
  47. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 再編成に伴いまして、現在ある子会社持ち株会社、それぞれの会社との関係をどうするか、これは、これからの問題であろうかと考えております。  我々は、今日まで、全電通NTTとの間で、人員の異動、子会社への転籍出向、これらの点につきましては、協約を締結して実施をしてまいっております。したがいまして、再編成に伴いまして、新たな仕組みという観点に立ちまして、これまで取り交わしてきました協約の基本を維持をしつつ対応をしていくという考え方でこれから会社と交渉してまいる考えでございます。  労働組合できちんと、要求あるいは会社に対する考えを決めて交渉するわけでありますから、組合員に不安を持たさないようにすることが労働組合の任務であろうかと思いますので、そのように基本的には対応してまいる考えでございます。
  48. 鴨川孝司

    鴨川参考人 子会社はたくさんあって、それをどうするかということは今後の議論だということでありますけれども、今先生からの御質問にありましたTEなりファシリティーズ、これは、両部門とも、電話にとっての命を預かる非常に重要な部門だというふうに思います。ですから、それらがきちんと本体のもとで維持されるということが重要だというふうに思いますし、その際には、出向その他、労働者の同意がきちんと保障されるということが何より大切なことではないだろうかというふうに考えております。
  49. 矢島恒夫

    ○矢島委員 持ち株会社制度ということになって、その中での労働組合団体交渉権など重大な問題になっていると思います。東日本、西日本長距離、各社それぞれになるわけですが、賃金を初めとする労働条件について、事実上の本社であるこの持ち株会社、新NTT、これと労働組合との団交ができるかどうかなどといういろいろな御意見があります。これは、今、これから詰めていくという状況にあろうかと思うわけですが、私、今までいろいろとお尋ねしたことを踏まえて、働いている人たち労働条件労働基本権、これを守る立場をぜひ貫いていただきたいということを要望しておきたいと思います。  時間がありませんので、最後になると思いますが、佐々森参考人にお尋ねしたいと思います。  分離分割ということについて、全電通として反対してこられた、しかし、今回、持ち株会社形式によるところの再編法案として出されてきているわけです。そうした中で、今までの反対してきたもろもろの問題、これらについては、先ほど来お話がありましたとおり、こういう点でクリアできたというお話。  そこで、私がお聞きしたいのは、今まで全電通として、分離分割、非常に問題があると言っていたそれらの問題が、本当にすべてクリアできたのか、もしクリアできていないとすれば、この点は今後の問題として考えていく必要があるという、その辺の御意見がございましたら。
  50. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 これまで分離分割に反対してきた理由基本的なところについては、クリアできたというふうに考えておりますことは先ほど来申し上げておるとおりでございます。  規制緩和という観点については、今後の努力お願いをいたしておるところでございます。  再編成自体についての基本的問題はそのように認識をしておりますが、今後、再編成というのは四つの会社に分かれるわけでございますので、これまでのクリアという観点だけでこれからもいいかどうかという点は、これは、再編成後の中で十分対応していかなければならない新たな問題ではないかというふうに認識をしております。
  51. 矢島恒夫

    ○矢島委員 利用者へのサービスの問題、あるいは東西格差の問題、あるいは労働条件格差の問題、それから今後の労使間の問題、いろいろと論議を深めていかなければならない問題が残っているという状況の中でこの委員会審議が進められているわけであります。私ども、それらの問題点が本当に利用者国民のためになるのかどうか、そういう観点から、今日まで、NTT郵政省に質問をしてまいりました。きょうのお話をお聞きした中でもまだ重要な問題がございますので、私たちも、引き続き、本当に国民が納得するような方向での審議を進めていく、こういう方向で頑張りたいと思っております。本日は、本当にありがとうございました。
  52. 木村義雄

    木村委員長 横光克彦君。
  53. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  きょうは、参考人皆様、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  先ほど、佐々森参考人からお話がございましたように、本当にNTT分離分割問題、十五年の長きにわたって、国論を二分する論議が繰り返されてきたわけでございます。そういった中、今回、ある意味では終止符を打つべく、NTT改正法案が本委員会審議されているわけでございます。  この法案は、分離分割した場合のマイナス面、あるいは分離分割しなかった場合のマイナス面、それぞれの課題をクリアした解決方法であると私は評価しているわけでございますが、とりわけ、情報通信産業分野は、世界的な大競争に決しておくれてはならない事態でもございます。そういった事態の中で、今回の再編成案は、NTTの悲願でもあります国際進出を果たすことができるわけでございます。  齊藤参考人、先ほどのお話の中で、これからの情報通信産業世界経済発展の原動力である、そういったお話がございましたが、まさにそのとおりだと思いますし、衆目の一致するところだと思います。そこで、齊藤参考人に改めてお聞きしたいと思いますが、デジタル技術の発展に伴うメディアの融合等、情報通信産業の将来をどう展望されておられるか、お聞きしたいと思います。
  54. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 デジタル技術の発展というのは著しいものがあるわけでございますが、基本的にはエレクトロニクス技術の発展がその原動力になっているというのもよく知られたことでございます。特に、トランジスタであるとか光ファイバーであるとか、そういった基本技術が、それを活用するためのソフトウエア技術の発展と相まって今日の新しい情報通信産業をつくり出しているというふうに言えるのではないかと思います。  既に、電話を初めとする産業は、社会のインフラストラクチャーとして定着しているわけでございまして、それを全国隅々まで低廉な料金提供するということは今後とも必要であることはもちろんでございますが、それとともに、現在のエレクトロニクス技術の発展を活用して、現在の電話通信能力の千倍から一万倍程度の能力を持った新しい通信網をつくっていくというのが世界の流れでございまして、光ファイバーネットワーク進展、あるいはそれを補完するマルチメディア無線、その他の技術の発展が進められているわけでございまして、こういった多くの技術に支えられて、それが新しい社会のインフラとなったとき、新しい社会の中で、新しい産業発展し、従来の産業の生産性が著しく改善し、生活が向上し、そういった社会全体の変化が国際競争力の基本的なベースとなる、そういうふうに情報通信産業が期待されているというふうに思うわけでございます。  そういった情報通信産業のダイナミズムの創出、それに基づく産業発展というのをいかに早く進められるかということが社会全体での発展のかぎになっていくということでございまして、そういった意味で、ダイナミズムを創出するきっかけになるというふうに期待される今回の三法が速やかに実現されることを期待しております。
  55. 横光克彦

    ○横光委員 まさに期待される産業であるというお話でございました。そういった将来を展望して電気通信審議会で審議されてきて、九六年の二月二十九日に答申がされたわけでございます。  そこで、この電通審答申とこのNTT編成法案の関連性についてお伺いしたいと思いますが、齊藤参考人と佐々森参考人にちょっとお聞きいたしたいと思います。  今回の法案は、持ち株会社方式を用いたものとなっているわけですが、答申の中にあります第二次情報通信改革の基本的な視点であります、一つ国民利用者利益の増進、二つ情報通信産業活性化、この二つに資するものであると評価できるものとお考えかどうか、お聞かせください。
  56. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 九六年の二月の答申でございますが、先ほど申しましたようなことで、国民利用者が新しい通信産業の恩恵を受け、それをベースに産業活性化していくことがこれからの日本社会全体の基盤として重要なものであるということでございまして、そのためには、従来の規制を緩和し、公正競争条件整備していくということのために九六年二月の答申があったというふうに理解しております。  それで、現在の法案は、NTTあり方について言えば、三つの別会社にするという話から、一つ持ち株会社のもとにおける三つの会社ということになるわけでございまして、そのときとその点が違うわけでございますが、当時の議論を思い起こしてみますと、持ち株会社ということについての議論は、ある時点ではあったわけでございます。しかしながら、当時の議論でございますと、NTTについてだけ特例的な措置答申するというのがふさわしくないということで、その案はそれ以上深く議論されなかったわけでございます。  現在は、全体の流れの中で持ち株会社ということもあり得べしということで、それをNTTに最初に適用するというのが現在のNTT法の中身であるというふうに承知しているわけでございますが、現在の電気通信産業の中では、先ほど申しましたように、電話サービスを中心とする在来の通信サービスを堅持していくということが必要な反面、さらに不明確な将来に向かって多様な発展をしていくような新しい技術とサービス展開が必要であるということでございまして、全体を一丸にした発展ということと、それから多様性というものを二面に持つということが当面の間重要なのではないかというふうに考えるわけでございまして、そういう意味からすれば、両方をうまく組み合わせた現在の考え方というのは、答申の将来に向けた方針にも沿っておりますし、それから当面予想される過渡的な不安定を解消するという意味でもすぐれた考え方なのではないかというふうに存ずる次第でございます。  もちろん、こういう問題は、技術の進展、それから事業進展によって、将来とも現在の姿が永久にいいというわけではございません。そういう意味では、将来にわたって、情報通信産業状況を的確に判断し、その時点に即した処置が必要になるということも将来はあるかもしれないわけでございますが、現在では、そういう問題に関する正確な予見というのはだれにもできないことではないかというふうに考える次第でございます。そういう意味では、現在の案はうまい組み合わせをとっているというふうに考える次第でございます。  以上でございます。
  57. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 今回の再編成は、電通審答申で言いますところの資本関係のない分離分割ではなく、純粋持ち株会社制度という新たな発想の中で再編成が行われるということになったわけでございます。したがいまして、そういう再編成の趣旨と、今後のこの再編成によりますさらなる情報通信活性化ということに寄与する、そういう方向で再編成法案が提起をされたわけでございますので、そういうものにのっとって、しっかりその趣旨を生かすようにやっていかなければならないということであると肝に銘じて、これから先行きは大変厳しいと考えておりますが、しっかり対応してまいる決意でございます。
  58. 横光克彦

    ○横光委員 ありがとうございました。終わります。
  59. 木村義雄

    木村委員長 小坂憲次君。
  60. 小坂憲次

    ○小坂委員 私は、太陽党の小坂憲次でございます。  きょうは、齊藤参考人、佐々森参考人鴨川参考人には、わざわざ委員会に御出席をいただきましてありがとうございます。  まず最初に、私から申し上げたいことは、委員会参考人の性格でありますけれども、いろいろと事前接触もあるわけでございまして、そういう中を通じて、ややもすると、自分はどこどこの推薦であるのでそういう意見は言いにくいとか、いろいろな意見が出てくるのであります。しかし、私ども、参考人お願いをいたしたいことは、御自身のそれぞれの専門の分野における参考意見委員会参考人として述べていただきたいのでありまして、本来、どこが推薦したということは、参考人御本人には通知しない方がよろしいような内容なんであります。  ですので、そういう意味におきまして、忌憚のない御意見をこの際述べていただきたい。そして、参考人それぞれに委員会で期待しておりますことは、それは今回の法改正に当たって、法改正の目的としていることが本当に正しいかどうかを審議する意味でありまして、これは釈迦に説法でありまして、このようなことを申し上げることは失礼かもしれませんが、あえてそこをお願いをいたしておきたいと思うのであります。  私は、今回の電気通信事業法改正NTT法KDD法改正は、ガリバーと言われるNTTを弱体化させて、そしてほかの競争との関係を調整しようということでもない。ましてや、また、新規参入会社が今回の法改正によっても過当競争の中でそれぞれ疲れ果ててしまって、そして競争力を失ってしまう、こんな環境になってしまうことももちろん望んでいない。  望んでいる姿は、国際競争の中に体力を持って立ち向かい、そして、世界電気通信産業の中で日本のフラッグキャリアとしてそれぞれに活躍をしてくれること、そしてまた国内通信産業が、それぞれお話のありましたように、次代の産業インフラとしてその地位を確立して、それぞれの産業がその供給されたインフラのもとに世界の中で最先端を行くような、情報通信社会での活力ある日本社会をつくることである、これを私は思うわけであります。  その観点から、今回の法改正を振り返って、それぞれの参考人の御意見をまずもってお伺いをいたしたいことは、今回の電気通信事業法改正の中には、相変わらず一種、二種とかそういう区分が残っております。また、今回の分離分割基本的な理念の中にも、長距離会社あるいは地域会社あるいは国際国内といったようなこういった区分存在をいたしているわけであります。  しかしながら現下の、先ほど齊藤参考人のおっしゃいましたように、一千倍から一万倍の能力を有するような飛躍的な供給力のある情報通信網というもの、これが実現してくると思うわけでありますし、そうなりますと単価というのはどんどん下がってくる  地域長距離といった区分も、光ファイバーの実現、また、最近のインターネットの接続に見られるように、新しい米国の方式、ADSL方式の登場というような形で、現行の電話線においてもISDNの十倍以上の通信能力を実現することができるソフトの開発というものも見られてきております。このようになりますと、単価はますます長距離あるいは地域というものの差はなくなってくる。  また同時に、衛星携帯電話の普及というものも見られ、その衛星携帯電話というのは、国内から発信して国内の地点への通信も供給するでありましょうし、国内から発信して海外の地点との通信も同時に同じ機械で供給をすることになってくると思うわけであります。  これ以上申し上げる必要はないかもしれませんが、若干くどくなるかもしれませんが、インターネットのように接続経路を選ばない通信体系というものが出てきて、これは国内国際長距離地域という区分を全く無意味にしてしまう、こういうことにもつながってきていると思うわけであります。  こういった点を踏まえて、今回の電気通信事業法改正NTT法KDD法改正を踏まえて、それぞれの御意見をお伺いいたしたいと存じます。
  61. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 現在の電気通信事業法にはいろいろな事業区分があるのだと思います。将来的には、長距離地域、そういった現在の料金格差というのは大幅に縮まるだろうというふうに考えますし、従来暗黙のうちに行われてきた幾つかの事業区分というのは適切なものではなくなるのではないかというふうに思います。現在の考え方の中でNTT地域長距離に分かれるわけでございますが、それ以外の事業者についてはそういった明確な区分というのは今後はなくなるというふうに考えております。  NTTについては、従来の区分でいえば長距離国際をやる会社地域だけをやる会社ということになるわけでございますが、地域については、地域長距離国際との間では事業のインフラストラクチャー上の差が当面存在するわけでありまして、地域通信網のボトルネック独占というのはこれは世界的にいろいろ問題になっているわけでございますが、少なくとも現存するということは間違いないわけでございます。  地域に関しましては、一部携帯電話あるいはPHS等によって地域に代替されるものがあるわけでございますが、それにつきましても、NTT地域の持っている基本的なインフラストラクチャーを活用して事業をしているということでございますから、地域会社が適切な相互接続条件でそういうものを無線通信系の事業者提供していくというのが現在の無線通信事業者の事業基盤になっているわけでございまして、そういう意味ではNTTはボトルネック独占を持っているという意味で地域長距離が分けられるというのは現時点においては意味のあることではないかというふうに思っております。  仰せのとおり、光ファイバー、ADSLその他によって通信の性能が大幅に向上するわけでございます。これについては確かに単価の低下ということになるわけでございますが、これは非常に高性能の通信が安く提供できるようになるということでございまして、必ずしも電話通信が直接それによって安くなるということでもないわけでございまして、そういった性能あるいは伝送速度と価格の関係というのはこれから大幅に変わっていくだろうというふうに考えられるわけでございます。  そういう意味で、現在の通信サービスで重要なのは、そういう高性能の通信サービス提供するということをますますやっていただくということと、それに対応してそれにふさわしい通信サービスを実現していくということが大事なわけでございます。  そういう意味では、一種事業と二種事業の差というのは、今後どうするのかというのは将来にわたって問題になる可能性はあると思いますが、それにいたしましても、例えば諸外国でも基本通信事業と高度通信事業といった区別があるわけでございまして、そういう通信事業の区別というのはサービスという意味とインフラをつくるという意味ではこれも現在まだ存在しているということでございまして、技術の進展に向かってそういうことが徐々に変わっていくというふうに考えられるわけでございまして、今後ともそこら辺については十分に技術の進展を理解して妥当な考え方を次々とつくっていくということが重要ではないかというふうに考えます。  以上でございます。
  62. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 先生御指摘のとおり、規制緩和については全く同じ思いを持っておるところでございます。とりわけ、国際競争が激化をしてまいりますし、ますます技術の革新というのは進んでまいる中で、端末から端末まであらゆるサービスができるそういう競争関係が起こってまいってきておるわけでございますので、それに対応できるように規制の緩和をしっかりしていかなければならない。  国際の関係についても、国際メガキャリア日本自体も大きくおくれをとるようなことにならないようにしていくということが最も重要であるというふうに認識をいたしております。  今回の再編成法案につきましては、国際的な連携とか合併とかそういうものとの関係でどのように評価をするかという見方はございますが、グループによる一体的な運営ということと、それから接続ルールが確立をされることによりまして公正な競争条件により前向きな判断が下されたものというふうに考えておりますので、なお一層の御努力お願いをしたいというふうに考えておるところでございます。
  63. 鴨川孝司

    鴨川参考人 法案の全体像についての御意見だというふうに思いますが、国際競争の非常に激化の中でこういう問題が提起されてきて議論になつているわけでありますけれども、余りにも法案審議というのが急ピッチ過ぎるのではないだろうかというふうなのが第一の印象であります。  先ほど来意見を申し上げましたように、分社、分割あり方、それから資金の問題、サービスの問題、足元を見ると大変大きな問題が山積している。ですから、これらの議論を十分経ないでそのままやればまた矛盾を生むという点で、しかも新しい分野への踏み出しの問題ですから、相当国民的な合意というものが必要なんではないだろうか。その点では、特にサービスの問題、格差の問題、こういった点については十分解明もされない、その対策についてもはっきりしてないという中で進んでいくということについては、大きな危惧を持っているというのが一番の問題であります。  そして、NTTは超優良企業として莫大な、日本の中でも最も内部留保の多い公益企業でありますから、そこの中で、こういった事態、足元のサービスが十分でないという問題が起きているということは、公益企業あり方としてももっとメスを入れて、そういう土台がつくられた上でこういう法案の促進というものがされるべきではないかというのが意見であります。
  64. 小坂憲次

    ○小坂委員 ありがとうございました。  これからの労使関係というのは、佐々森参考人鴨川参考人それぞれに御意見があると思うわけですが、私は、組合も経営的センスを持っていなければ、経営者の方針に対してチェックをすることもできず、また協力することももちろんできないと思うのです。そういう点から、これからの電気通信事業全体に対するビジョンというものもそれぞれにお持ちだと思うわけであります。  そういう観点から、通信事業というのは大変難しいと思うのですね。サービスというのは、人間に対するサービスである以上は、人間的な温かみとか、あるいは対人的な応対とか、そういうものを強化していくことがサービス向上につながっていく反面、電気通信事業全体を見ても、高度通信事業全体を見ても、迅速にということを考えますと、機械による処理というものを強化していかなければいけない。  そういう点で、組合の立場からすると、今後、番号案内の方式もそうでありますが、鴨川参考人から一〇四の問題を大分御指摘がありますけれども、パソコンによる検索というのも大分進んでまいりました。また同じように、音声入力というものも大分進展してまいります。そういう点から、迅速にという点を考えると、機械化というのはまた進んでくるのではないか。そういうことも展望すると、従業員の組織である組合というものは、経営に対してどのような姿勢で臨んでいくか、非常に難しい問題を抱えていると思うのですね。  今後の労使関係について、特に情報通信産業における先駆者としての労働組合あり方について今後どのような展望をお持ちか、それぞれから御意見をいただきたいと思います。
  65. 佐々森和男

    ○佐々森参考人 これからますます高度化、発展をする情報通信事業、とりわけ二十一世紀の中で産業の中核としての役割というものを果たしてまいらなければならないということに対して、まず強い責任を感じておるところでございます。したがいまして、そういう技術の発展ということと、それから影の部分でございます、むしろそういう技術に対応できない労働者をつくるようなことにならないようにするためにいかにしていかなければならないか。いわゆる光と影という問題を絶えず労働組合はその最重点の課題にしなければならないというふうに考えております。  もちろん、情報通信の高度化ということは、これは必然性があるわけですから、その発展は当然求めていかなければならない。その発展の中で、影の部分と言われることについて我々はしっかり内部チェックをしなければならないし、企業に対して物を言っていかなければならないし、そのための必要な訓練であるとか、あるいは、それに対応できるようにいかに時間をかけるかということも一方では必要になってくるというふうに労働組合としては基本的に考えておるところでございます。  したがいまして、何でも発展をしてどんどん発達すればいいというだけの問題ではなくて、もっとプライバシーの問題であるとか、あるいは安全の問題であるとか、そういった観点をもしっかり見ていかないと、いたずらに発展すれば世の中はすべてよしという問題ではないと認識をいたしております。そういう考えを基本にして、労使間の中でしっかりチェック機能を果たしていくという決意であることを申し上げておきたいと思います。
  66. 鴨川孝司

    鴨川参考人 日進月歩の技術の発達に対応し、それを有効に生かしていくということは、これからの労働組合のとるべき大前提の問題だというふうに思います。  通信産業の場合には、そういう意味で、国際的な新しい分野でのインターネットワークといったような、そういう問題が出されてきていると同時に、ライフラインとしての役割、この二つの問題があろうかというふうに思います。ですから、この基本的なサービスとしての公共的な役割がきちんと押さえられた上で、国際競争力に対応していくさまざまな対応が考えられるべきではないだろうかというふうに思います。
  67. 小坂憲次

    ○小坂委員 齊藤参考人にお伺いいたします。  先ほど長距離地域等の区分、これにつきまして、また一種、二種等の区分も含めてお聞きしましたところ、現時点ではこの区分を存続させることが必要なのではないかというお答えをいただきましたが、現時点ではそうであって、しからば三年後の時点にこれが存続すべきであろうとお考えかどうか、それをお聞かせいただけますか。
  68. 齊藤忠夫

    齊藤参考人 長距離地域区分は、現在のところNTTについて必要であるというふうに申し上げたわけでございます。  NTT地域というのを将来どういうふうにするのか。NTT地域につきまして、東会社西会社がどういう関係を持つのかというのはこれからの問題でございますし、それから地域におけるいろいろな新しい通信事業者の進展ということも考えられるわけでございます。地域というのと長距離というのを区別しないようにするという条件は、地域における競争が実質化し、地域会社長距離進出した場合でも、地域の独占というのを基本にして長距離との間で公正競争条件を妨げるような状況が生じないようになったときに、地域地域にとどめておくという必要はなくなるのだというふうに思います。  したがって、NTTにおける地域長距離の関係というのは、今後、地域における競争進展、これは東会社西会社競争ということもあると思いますし、従来の長距離会社地域進出してきて地域の中で競争するということもあると考えられますし、ケーブルテレビ電話のような新しい地域のインフラをつくる会社が出てくるということもあると思います。いろいろな形で地域における競争というのはこれから起こるというふうに考えられるわけでございますが、それが実質化して、NTT地域会社がボトルネック独占でなくなる、そういうふうに判断される時点がいつ来るかということについては、これは現時点ではなかなか予測できないということでございます。  アメリカにおきましても、一九八四年のRBOCの地域独占という状況から長いこと、十数年を経て、地域についての競争をより促進していくというような方向で政策の見直しが行われたわけでございますが、現在の地域会社というものの中でそれの競争を促進するということは現時点においての電気通信事業法の中に含まれているわけでございますが、それが実質化するということを十分によく注視する必要があるだろうというふうに考えます。
  69. 小坂憲次

    ○小坂委員 時間が参りましたので、残念ながらやめますが、ただいまの齊藤参考人の御意見を聞きましても、やはり今回の東西二社の分割ということではその目的を十分に達成していないように感じられます。むしろ、規制緩和をもっと今の時点で進めて、そしてさらにこの区分も、本当は今の時点でそうすれば必要がなくなるのだろう、こういう印象を持ちましたが、参考人に対しては、時間がないので以上で質問を終わります。
  70. 木村義雄

    木村委員長 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうござげました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  71. 木村義雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の各案について質疑を続行いたします。  午後の参考人として、大阪学院大学経済学部教授鬼木甫君、電気通信事業者協会会長東款君、株式会社旭リサーチセンター代表取締役社長鈴木良男君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  鬼木参考人、東参考人、鈴木参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。なお、お答えの際は、簡潔にお願いをいたします。  なお、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  それでは、鬼木参考人お願いいたします。
  72. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 大阪学院大学の鬼木でございます。  ふだんはテレコムの経済学を専門にしております。本日は、意見を申し述べる機会をいただき、ありがとうございました。  まず最初に、私の基本的な視点を述べ、その後、お手元にA4一枚紙の概要が行っておると思いますが、五項目に分けて意見を申し述べたいと思います。十分程度でございますので、項目名と結論程度にとどめて、後ほど、御興味に従って、質疑があれば詳しいお答えをしたいと思います。  まず、私の基本的な考え方は、これはテレコム産業に限りません。電気通信産業に限りませんが、産業発展というのは、個別の企業の自由な創意とイニシアチブによって利益を求めて努力を行うというところにあると思います。電気通信産業では、他の産業と違って、規制とかコントロールとか難しい問題が多いので、競争の要因と政府規制の要因をどう組み合わせるかということがいつも問題になるわけで、今回の三法の改正案もそれに対する一つの工夫であるというぐあいに理解しておりますが、歴史的な行きがかりもあり、難しい問題が多いわけでございます。  今回の法改正案に対しまして、私の意見を以下申し述べます。  まず第一に、お手元のレジュメにあります「NTT経営形態再編成について」、長距離地域会社を分け、かつその地域東西地域分割するという改正案は、私の個人の意見としましては、ベストの選択ではないが、現状よりは一歩前進であって、公正有効競争の推進、それから地域が分かれることによって経営主体が複数、現在よりはより小規模経営になって、創意工夫とか他との比較による刺激とか、何かとプラスがあるかと思います。例えば、JRのケースを考えますと、JRは六社に分かれましたけれども、もしこのJRが民営化だけされて、六社に分かれないで運営されていたとしたら、恐らく現状よりも結果はよろしくなかったのではないかと考えます。  具体的に持ち株会社方式が提案されておりますが、これはいろいろ政治的な理由もありまして、一種の妥協の産物であるというふうに理解しております。  結果といたしまして、しかし、持ち株会社というのはある種の弾力性がありまして、例えばですが、地域分割をもう少し進めて、日本をもっと複数の地域に分けるとか、極端な場合、府県別に分けるとかいうときも、そちらの方向に進もうと思えば進むことができるし、逆にいいますと、今度は、地域分割はどうもまずい、やってみたところマイナスがいろいろ多いということがわかって、じゃ、もう一度仮に統合しようという議論が起きたときも後戻りできないわけではない。いずれにしましても、弾力的な性質を持っておりまして、そういう意味では、プラスの面があると思います。  他方、中間的な形態でございますから、全国的な見地からの政策持ち株会社の方が主体になって運用する場合と、地域会社の方が主体になってそれぞれ独自の方式で経営を進める場合、どちらをどの程度まで主体に考えるかということで問題が起きることもあるかと思います。  具体的に一点、Dのところの「責務規定」で、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における提供という文言が改正案三条にございますが、これはあいまいな点が残っていると思います、具体的な説明は後ほど申し上げます。  第二に、「KDD業務範囲の拡大について」、国際だけじゃなくて国内通信にも参入するということは、これは、競争促進と活性化ということでプラスに働くと思い、賛成いたします。  しかしながら、現在、KDDに負わされている国際通信の一種ユニバーサルサービス的な、例えば、アメリカ向けのお金もうけになる通信はもちろんやりますが、アフリカの比較的規模の小さい国の通信提供しなければいけないという一種の国際化のユニバーサルサービスがございますけれども、そういうところを、どのような形で、だれが負担を負って実行するかということに関してまだあいまいな点が残っていると思いますので、この点は明確化する必要があるかと思います。  第三に、今度、事業法改正案に参りますが、接続関係の規定を主として意見を申し上げます。  今回、事業法の中で、第一種事業者接続義務の明示、それから指定電気通信設備規定の新設ということで、新しい考え方と新しい原理が導入されまして、一言で言えば、現在、ボトルネックと言われる市内の電気通信網、我々の自宅から最寄りの電話局につながるところが最もその競争が入りにくいところですけれども、そこをどのような形で活用するか。具体的には、その接続義務を事業者の方が負うという形で詳しい規定ができました。これは大変な進歩だと私は思います。一歩ではなくて、二歩も三歩も従来に比べれば前進したところであろうと思います。  しかしながら、アメリカが現在この方向に同じく進んでおりますが、このような接続という形で、実際には市内網あるいはアクセスのところが独占の形になっていて競争が入りにくい。それを、競争が入りにくいから値段が高くなりやすい、値段が高くなりやすいのを接続の義務ということで安く活用するという一種の便宜的なやり方がどれだけ成功するかは、実はやってみないとなかなかわからないというぐあいに私は考えております。なかなかうまくいかないかもしれないし、あるいは非常に機能して、続々と新しい市内網への接続サービスが出てきて、ユーザーの便益が増大する可能性もあると思います。  そういう意味で、一種の未知の領域に踏み込みかけているわけです。この点はアメリカでも同じでありまして、米国の方でもいろいろ議論が起きているところでございます。  具体的には、私は以前からそう思っておりますが、かなりの可能性として、接続という規定はかなり詳しく決められているけれども、具体的に、では、例えば東京都の世田谷区で、この地域サービスに関して、ここで接続させてほしいという注文を競争事業者の方から出してきたときに、いろいろその問題が起きる。問題が起きるというのは、事業者間の対立が起きて、もっと安く接続できるはずではないか、あるいはこういう条件で、有利な条件接続できるのではないか、いやいやそうはいかない、他方の方は実際に接続しようと思っても、我々もいろいろやらなければいけないことがあるというので、意見の相違というのが出てくる可能性が大きいかと思います。  これが接続という形でなくて、普通の物の売り買いのように、市場の中で嫌ならやめろ、値段が高ければ私はそれではやめるとかいう自由な選択の結果ですとこういう問題は起きませんが、接続義務という形で負っておりますと、義務ではあるけれども、その義務をどこまで果たせばよろしいかということで問題が起きるわけです。問題が起きますと、どうしてもだれかに仲介、仲裁一裁定をしてもらわないといけない。具体的にはこれは国の仕事になると思いますが、この裁定に関する規定が現在の法律案ではまだ不十分ではないかと思います。  お手元のレジュメの〔3〕のCのところですけれども、ちょっとミスプリが二カ所ありまして、「裁定主宰者」、その後の「裁定に関する記録・情報の公開」と書きましたのは、「聴聞」の間違いでありまして、私、勘違いして失礼しました。書き損ないまして、「聴聞主宰者」あるいは「聴聞に関する記録・情報の公開」というぐあいに御訂正いただきたいのです。  実際に争いが起きたときにそれを仲裁、仲介する役目の人は、利害関係が伴いますから中立性が必要であります。中立性とは、いろいろな形で直接の個人的な利害関係が現在、将来にわたってないことというのが基本であるかと思います。それがなければ訴えを起こした方の事業者も信用いたしません。したがって、それに余り従う義務を感じないということで、スムーズな接続がなかなか進まないかもしれない。  それから、このような裁定というのは、必ず記録とか情報が公開される必要があります。ビハインド・ザ・ドアで、ドアの後ろで行われた裁定というのは権威を持っていないわけです。そういうところの規定がまだそろっていませんので、これは現在の規定が不十分なところではなかろうかと考えます。  委員長、あと二分ほどいただいて終わります。  それからもう一つ、これも規定面で少し少ないことがありますが、接続と同時に共用ということがあります。例えば、NTTが現在持っております線を通すトンネルですが、そのトンネルを使って、別の事業者がトンネルだけ借りて自分たちの線を引いて競争するという可能性も随分ある、市内網での競争を推進させる契機になると思いますけれども、それに関する規定が余りありません。したがって、従来と同じように、NTTに頼んではみたけれどもなかなか貸してもらえない、原則はよろしいけれども実際に市場に参入が進まないという結果が生じ得るのではないかと思います。  それから四番目の規制緩和について、これは三法の改正案全部共通のことでございますが、まず現事業法から過剰設備防止条項を撤廃するというのは、これはもう当然のことであって、撤廃が遅過ぎたぐらいであろうというふうに考えます。規制緩和というのは一般的に、市場競争を進めるために規制緩和の必要があるわけですが、依然として、法律案を読んでみますとわかりますが、たくさん認可事項というのが残っております。  私は、これがだんだん減っていって最終的にはゼロに近い状態になるという事態を想定しておりますので、残存していると表現しておりますが、やむを得ない面もあります。一挙に自由にすれば事業者が独占力を発揮して、高い値段を取ってサービスが悪くなるというおそれがありますから、一挙に全部認可事項を外すわけにはいきませんが、技術が進歩しサービスがふえるに従って、もう外してもいいのではないか、今まで認可だったけれども届け出だけでもよろしいのではないかということが結構出てくると思います。  しかし、法律に認可という言葉が残っておりますと、それが一種のかせになりまして、規制当局が自由にする、届け出だけでもいいと思ってもできないということもあります。この点で、また米国通信法の事情が参考になるかと思いますが、米国通信法では、規制の差し控えという法律条文を設けまして、事態が進行して変わったので、もう認可の必要はない、場合によっては届け出はもう要らないということが出てきましたならば、規制当局はその事項に関しては規制を差し控えるということの義務が実はあるというぐあいにアメリカの法では決めておりますが、そういう規定も日本でも考慮してもよろしいのではないかと考えております。  最後に、法律条文の形式に関してでございますが、今回の改正案を拝見しまして、必要なところの改正案は出ておりますが、ついでに形を整える、読みやすくする、わかりやすくする、一般の国民が見て、あるいは新しい事業者、参入の可能性がある事業者が見て、電気通信産業で何が起こっているかということをわかりやすくするという努力が少ないのではないか。こういう大幅な改正のときには、例えば、二条で用語の定義が幾つか以前から述べられておりますが、それに新しい用語、例えば接続とかユニバーサルサービスとか、新しい言葉とか誤解の起きやすい言葉に関して定義をつけ加えてもよかったのではないか。全体として法律改正時には、その改正のポイントだけではなくて、全体にわかるわかりやすさとか形式の整備とかを行うべきであるのにそれがなかったのは残念である、そういう感想を持っております。  以上で私の意見を終わります。ありがとうございました。(拍手
  73. 木村義雄

    木村委員長 ありがとうございました。  次に、東参考人お願いいたします。
  74. 東款

    ○東参考人 電気通信事業者協会の会長を務めさせていただいております日本高速通信社長の東でございます。  このような発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございました。本日、私は、本改正法案に賛成するという立場から意見陳述をさせていただきたいと存じます。  私が社長を務めております日本高速通信株式会社でございますが、昭和六十年の電気通信制度改革によりまして電気通信市場への新規参入事業者として設立された会社でございます。昭和六十一年に専用サービスを、昭和六十二年には長距離電話サービスを開始いたしまして、現在に至っております。  御存じのこととは思いますが、私ども長距離系の新規参入事業者は、NTT地域網と接続することによりましてサービスを行っておるものでございますので、サービス提供する一方で、NTTとの競争を行っておるという状態でございます。つまり、競争事業者の協力なしてはサービス提供できないという極めて特異な環境のもとで事業を行ってきたわけでございます。そうした意味で、電気通信事業発展利用者利便の向上のためには公正競争の実現が必須であるということにつきましては、身をもって体験をしてきた次第でございます。  今回のNTT法電気通信事業法改正により実施されることとなりますNTT再編成、接続ルール化及び規制緩和につきましては、この公正競争実現のためには欠くことのできないものでございまして、NCCも従来よりその実施を強く御要望申し上げてきたわけでございます。本二法案につきましては、昨今の国内外の情勢にかんがみますと、現時点におきます適切な選択であると言えるものになっていると思います。また、市場競争を通じまして電気通信事業発展及び利用者の利便向上を図るという立場から、KDD国内参入を認めた今回のKDD法改正につきましても賛成するものでございます。  では、続きまして、各法ごとに、今回の改正により期待される効果につきまして私の見解を述べさせていただきたいと存じます。  NTT法改正によりまして期待されます効果の第一といたしましては、NTTとNCCの同等性の確保が挙げられます。法改正に基づく再編成によりましてNTTの独占的な地域通信部門と競争的な長距離通信部門がそれぞれ独立の会社となりますことから、内部相互補助の防止や接続ルールの公正な運用が図られることとなります。  第二の効果は、地域市場への競争導入が挙げられると思います。地域会社東西に二分割することによりましてそれぞれの収益構造の比較が可能になりますために、コスト削減を通じての間接競争が実現すると思います。  続きまして、事業法改正により期待される効果を述べさせていただきます。  その第一の効果は、相互接続の円滑化でございます。通信サービスは、それぞれの事業者ネットワーク接続されて提供されるものでございます。そのために、相互接続の問題はサービス提供及び事業展開に重大な影響を及ぼすものでございます。現在の接続に関します制度は、事業者間で協議を行い、合意成立すれば接続が実現する仕組みになっております。したがいまして、接続条件をめぐりまして当事者間の交渉が長期間難航いたしますと、サービス提供もおくらせざるを得ないわけでございます。  例えば、アメリカで普及しておりますVPNサービス接続交渉につきますと、平成元年九月に協議を開始いたしまして、合意に至りましたのが実に平成七年の二月でございまして、その交渉には五年六カ月を要したわけでございます。その結果、このサービスの開始の好機を逃すことになりまして、各社は莫大な資金を投資したにもかかわらずサービスを普及させることはできなかったという事実がございます。このような問題につきましても、地域網を保有する特定事業者への接続条件の約款化や、交渉難航時の裁定手続の簡素化等の措置が講じられておりまして、迅速、公正な相互接続が可能になると考えております。  第二の効果といたしましては、接続料金の適正化が挙げられます。  地域網を有する特定事業者への新たな接続会計や接続料金算定方法の義務づけによりまして、これまで不透明でございましたNTT接続会計が透明性の高いものへと改善され、かつ料金の算定方法もリーズナブルになるということから、接続料金の適正化が図られることになっておると思います。  あわせまして、この接続料金は約款化することが義務づけられておりますため、事業者間の公平性も担保されることになると思うわけでございます。  第三の効果としまして、過剰設備防止条項の撤廃等の規制緩和によります競争の促進がございます。  過剰設備防止条項の撤廃によりまして、各市場への新規事業者の参入がより容易になり、活発化すると思われます。  次に、KDD法改正につきまして、その効果でございますが、これは、私ども同業者の立場としてはなかなか言いづらいのでございますが、先ほど申し述べました過剰設備防止条項の撤廃の効果と同様に、市場競争の一層の激化が想定されます。  昨年、郵政省規制緩和計画の中で、業務区分の非規制の明確化を公にしまして、現実にも地域市場から長距離市場への参入などが進んでおるわけでございます。こうした環境の変化を考えますと、公平、公正な市場環境を前提として、KDD国内参入を禁止する理由は見当たらないのでございます。  このように、今回のNTT法電気通信事業法KDD法改正案は、公正競争の実現と市場競争の促進を図る内容となっております。この結果、事業者といたしましても、競争を通じまして料金低廉化サービス多様化を実現いたしまして、これまで以上に利用者利益向上に資することになると考えております。  本法案によりまして、長期にわたって懸案とされてきた諸問題の多くに解決の光が差してきております。特に、十年以上議論されてまいりましたNTT問題の決着は、先行きの不透明感を排しまして、今後の情報通信産業の大枠を見通せるようにしたことからも評価できると考えるものでございます。これによりまして、事業者として、また産業全体といたしましても将来戦略の策定が可能になったと考えております。  次世代のリーディングインダストリーといたしまして期待されております情報通信産業でございますが、本分野での日本国際競争力は欧米と比較いたしましてやや非力であることは残念ながら事実でございまして、競争力強化の点からも将来戦略の策定は不可欠と考えております。  通信業界は、他産業が三年がかりで変わるところをわずか一年足らずで変わるというこの実態から、ドッグイヤーと呼ぶ人がおります。犬の成長が人間の三倍の速さで進むということからこう呼ぶのだそうでございます。このように極めて変化が速くて、しかも世界的な規模で競争が起きていることを考えますと、諸課題の解決や将来戦略の策定をこれ以上おくらせることは情報通信産業の分野で日本国際的に取り残されることを意味すると思うものでございます。  つきましては、本改正法案を速やかに成立させていただきまして、国内国際競争時代に対応できる体制を早期に整備していく必要があると考えております。また、このことは消費者の利益に直結するものであるということを強く御認識いただきたく存ずる次第でございます。  最後に、政府に対しまして、公正競争条件整備するという今回のこの改正の趣旨に沿いました制度の運用を強く要望申し上げると同時に、日本電気通信事業の一層の発展のための御支援をあわせてお願いいたしまして、私の陳述を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手
  75. 木村義雄

    木村委員長 ありがとうございました。  次に、鈴木参考人お願いいたします。
  76. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 旭リサーチセンターの鈴木と申します。本日はこの会にお招きいただきまして、ありがとうございます。  若干、入ります前に、私、実は昭和五十七年に臨時行政調査会で三公社の審議がされたときに事務局の調査員として出向しておりまして、NTTの現在の改革案というものを起草した者でございます。その意味で、ある意味では生みの親という形でございますが、その後、九五年には行政改革委員会規制緩和委員会情報通信分野の規制緩和NTTあり方の主査を務めて、行革委員会答申を出した者でございます。  ただ、本日はそのような立場というのを全く離れまして、NTT問題について古くから関心を持ち、かつ研究しておる一個人としての立場で発言をさせていただきたいというふうに思います。したがって、行革委員会その他のことについてメンションすることがございましても、それはあくまで事実に関することであって、意見にかかわることは私の意見だというふうに御承知いただきたいと思います。  今回の法律に対する、まずNTT法についてでございますが、私の結論を先に言いますと、率直に言って賛成いたしかねるということでございます。理由は、第一番目に、とにかく発展著しいこの情報通信世界において、要するに規制を緩和していくという事柄はこれはもう絶対に必要な事柄であるというのが第一点。しかし規制緩和は、それを行う、つまり規制を緩和するという事柄は自由にするという事柄ですから、自由に行わせるに当たっては、その中に自由の阻害者である独占というものが存在しておっては自由を与えることはできないというのはこれまた自明のことであるわけであります。  その意味で言いますというとへNTTが現在、長距離地域を合わせて全国の通信回線の中で依然として九二・何%というシェアを持っておるというこの構造自体の中で、果たしてそういう自由というものがNTTにまで与えられるのか、こういう問題に突き当たってくるわけであります。九二・何%を持っておるNTTに対して自由を与えなければ、規制緩和というものは全体の効果を発しません。もちろん、新たに入ってくる方に対しての自由というのはこれは大切であります。しかし肝心な事柄は、現在九二%を持っておるNTTに対して自由を与えることができなければ、今日の情報通信世界発展ということを期待することはできないわけです。その意味合いで私は、このNTTにどうしても競争体になってほしいということを強く希望するわけでありまして、それは、NTTに対してNTT法をなるべく早く廃止して、そして活動の自由を完全に与えることができる、そういう条件をつくるべきだ。この考え方から、NTT競争体とする、そのための手法というのが電気通信審議会が出した分離分割案という事柄であり、そういうものであるならばNTTに対して自由を与えていく、こういうことができるわけでございまして、その意味でいわゆる規制緩和というものと、事実上の独占であるNTT経営形態というのは不即不離、両者は同一に論じなければいけない問題だ、こういうふうに考えておるわけでございます。  ところが、昨年十二月五日の解決でございますが、これは持ち株会社という経営形態をとりました。これは単純に言いまして、持ち株会社というのは、言うまでもなくその企業の会社の経営を支配するということを目的とするものでございます。したがいまして、なるほどいわゆる電気通信審議会の答申しました分割案というのはその中には入っておりますものの、その全体を統括する者の経営意思によって運用されるというのはこれは当然の事柄であるわけでありまして、言ってみますというと、NTTを一体としてするという事柄と基本的には変わりはないということを言わざるを得ないわけでございます。したがって、それは解決になっていないということであります。  しかし、いずれにしましても、これは妥協でありますけれども、九六年の十二月五日の合意の中には、公正有効競争を担保するための条件長距離地域会社の間に確保するという郵政省意見が入りまして、何が公正有効な競争かという事柄で、各社の運営について、これは法律の中にも入っており、そして改正法律案要綱の二の4の(2)には、自分のテリトリー以外の地域でも郵政大臣の認可を受けて行うことができる、つまり相互相乗りという事柄が入っております。もし今の法律案というのがやむを得ないものとするならば、この条項の具体化、さらに今後の公正有効競争の仕組みの議論は大いに取り上げるべきだというふうに考えております。  その際、特に身分や人事というような問題についてのファイアウォールというのが一番重要な問題になってくるということだと思います。要するに、二つ会社競争させると言っておいて、その間の人事が行ったり来たりであっては、何が競争かという問題があるわけでございます。  このように考えまして、私は、この関係で見ておりますと、NTTのこういうふうになりましたのは、何といいますか、全一体としてのNTTを維持するという事柄の思想が余りにも強過ぎるというので、大変失礼ながら、情報通信社会の将来という問題ではなく、要するにNTTの一体化維持という事柄にかなり拘泥されたという印象を持っておるわけでございまして、現在まだ国家の特殊法人、特殊会社として国の役割を持っておるNTT立場としては、私は甚だ遺憾な考えを持っておるわけでございます。  そういうことでございますから、この期において私にもし率直に物を言えとおっしゃられるならば、願わくばこの委員会において、日本情報通信発展という百年の計を考えて、電気通信審議会が出した原案に戻ってほしいというふうに言わざるを得ません。  ただ、今の案は非常に不自然な妥協から起こっておるものでありますから、私は、いずれあるほころびが出てくるという事柄は、これはあり得るというふうに思っております。ほころびというのは内外からの圧力というものによって出てくることが考えられます。  外というのは、例えばアメリカに、今回のNTTの妥協に至ったあれには国際進出するという事柄が重要視されたという問題がございますが、その肝心の国際進出するという問題についても、ヨーロッパはいざ知らずでございますが、アメリカあたりからは、このような形のNTT国際進出というものに対して果たしてどういう態度で見られるのか。従来、KDDとあった関係からいっても、そう簡単なものではないという事柄。  内部からいきますというと、要するに、それが別な会社になったことから、自然に独立性というのが高くなってきて、そしてそれが一つの圧力となるということは、これは期待できないわけではございません。期待できないわけではございませんが、しかしそれは、そういうのを期待しながら持ち株会社というのがいずれ自然に崩壊していくのを待つのかといったら、やはりそれは筋ではないというふうに思うわけでございます。  したがいまして、このような作用もある意味では期待できるとしても、しかし、そういうのを期待するのではなく処理すべきだというふうに思うわけでございます。  そういう意味合いでいきましたら、この法案、もし現在のままでお通しになるのであるならば、NTTというのは、今まで、要するに何度も何度も見直し見直しの連続で、ついに日本情報通信の発達というのを、要するに不明のままにやってきたという苦い歴史があるわけでございますが、やはりスタートのボタンのかけ違いというのか、スタートの臨調答申のとおりにしなかったという、その後遺症をしょっておるわけでございます。ですから、私は、ある程度の時限を切って、そしてもう一度見直す方法という事柄を入れていただけるのがやはり将来のためではないかと、非常に残念なことではありますが、そう考えております。  いずれにしましても、その間の株式の放出というのは、これは事態を民営化という形で固定化いたします。したがって、行うべきではないというふうに思っております。つまり、疑似の、見せかけの民営会社をつくってはいけないという事柄であります。  KDD法については賛成でございますが、ただ、KDD法については、複数の日本の業者が全世界で、そういう条件が満たされるまではということが言われておりますが、これはほかの方法でできますから、私は、むしろKDD法というのは廃止をすべきであるというふうに考えておりますが、いずれにしても、国内に入ってくるのは当然のことでございますので、賛成でございます。  それから、規制緩和につきましては、これは、実は行政改革委員会の中の規制緩和委員会で、私自身が郵政省の幹部の方と三日間ほぼ徹夜に近い形でお話をした上で御納得いただいたものであり、後に郵政省が第二次情報通信改革と称して言われた内容であって、そのすべての内容について着実に実行され、可能性があるならばさらに拡大されることに対して期待を表明しておきたいというふうに思います。  以上でございます。(拍手
  77. 木村義雄

    木村委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  78. 木村義雄

    木村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田修光君。
  79. 園田修光

    ○園田(修)委員 自民党の園田修光です。  東参考人にお聞きをしたいと思います。  今回の法案は、我が国電気通信市場における公正有効な競争の促進を図るとともに、情報通信グローバル化に積極的に対応するというのが目的であって、そしてまた、やはりその中には、今回も責務という形で、国民生活に対して不可欠な電話の役割、イコール日本全国における適切で公平かつ安定的な提供確保に寄与するものという形のものもうたってあるわけであります。そのような観点から、NTT民営化されて、NCCと全く同じ民営企業としてスタートするわけでありますから、そのことから、もう忌憚のない御意見を聞かせていただいて、我々参考にしたいと思っているところであります。  まず最初に、今世界ではさまざまな合併や連携の動きがあって、我が国通信事業者の中にもやはりこれに呼応するような動きもありますが、NTT再編成は我が国電気通信産業グローバル化に対してどのような影響を与えるものであるのか、そしてまた、このような動きに対してNCCはどう対処していこうとされているのか、お聞きをしたいのです。
  80. 東款

    ○東参考人 お答えいたします。  ただいまの御質問に関連いたしましては、今回のこのNTT再編成によりまして、NTTの子会社はみずから国際通信進出が可能となっておりまして、グローバルな通信市場におきます競争に参加ができることになっておるわけでございます。  また、NTT経営形態論がようやく決着いたしまして、また、ここで同時に決められます規制緩和の流れを受けまして、NCC各社もみずからの経営戦略を立てやすくなるわけでございます。  このようなことから、日本電気通信産業グローバル化というのが一層促進されることになりましょうし、また、そのことが日本産業全体の活性化につながるというぐあいに考えております。  以上でございます。
  81. 園田修光

    ○園田(修)委員 わかりました。  次に、長距離NTT、完全な民営化になるということになりますと、今よりもさらに強くなる可能性があるわけでありますが、公正な競争条件整備されれば、NCCの方も十分に同じ土俵で競争できるようになると思うのです。その辺のところをどう考えておられるのか、もう率直に、正直に話をしていただきたいと思います。
  82. 東款

    ○東参考人 今回のNTT法及び電気通信事業法改正によりまして、その内容がここに定められておりますとおり適切に運用されるということになりますと、公正有効競争の実現というものは可能になってくると思うわけでございます。  NCCといたしましても、当然そのような公正な環境の中で、対等な立場競争するということは年来からの望みでございまして、この条件を非常に歓迎するものでございます。  また、その結果といたしまして、当然勝者も出れば敗者も出るということもあるでしょうが、これは市場原理の中での対等な競争の結果でございますので、たとえそこで敗者となろうとも、その結果は甘んじて受けることになるというぐあいに思います。
  83. 園田修光

    ○園田(修)委員 よくわかりました。  そして、この公正な競争条件法案成立後に政府において検討をされる予定でありますけれども、今質問したことに関連をして、特に政府に望みたい条件というのがありますでしょうか。あったら率直に述べていただきたいと思います。
  84. 東款

    ○東参考人 法案成立後、具体的な運用方法につきましては関係者の意見を取り入れながら定めるというぐあいに伺っております。この際には、私ども事業者意見を述べる機会を確保していただきまして、決定手続が透明な場で行われるようなことを切に要望したいと思います。  また、今回のこの改正法等の内容が適切に運用されるかどうかにつきましては、十分に注視いたしまして、必要に応じましてその見直しにつきましても御要望を申し上げてまいりたい、このように考えております。
  85. 園田修光

    ○園田(修)委員 今言われたことでいいわけですか。――わかりました。  長距離通信分野で、私は鹿児島でありますけれども、NTTとそれと値段の差があるのですよね。現実にNTTよりずっと安い。ですから、やはりそういう分野は大変活性化して、国民は安い値段で使えるということが現に今あるわけでありますけれども、今度は地域通信分野にも長距離通信分野と同様な競争が生じれば、もっと安くて多様なサービスが実現ができる。そのことによって国民に対しては利益につながるという考えがあるのですが、NCCとしても、この地域通信分野で今度分割されるNTT競争を十分にやっていけるという自信がありますかどうか、お伺いしたいのです。
  86. 東款

    ○東参考人 今回の事業法改正案に盛り込まれております接続ルールというのが適切に運用されまして円滑な接続ネットワークオープン化が実現するということができましたならば、地域通信市場での競争は活発化するというぐあいに考えております。私どもNCCといたしましては、そのような環境が整ったならば、その環境の中で安価で多様な地域通信サービス提供するようにしてまいりたい、このように考えております。
  87. 園田修光

    ○園田(修)委員 お聞きをいたしました。  私の選挙区は離島を抱えて、そして東京から距離的にも大変遠い。通信分野あるいはまた交通分野で地域発展をこれから二十一世紀に向けて頑張っていこうというやさきなのです。そういう形の中で、通信に対しては、距離が遠くてもあるいは本土と離れていてもしっかりとしたものが、安くて、どこの情報でも、東京の情報であろうと大阪の情報であろうと世界の情報であろうと、その地域に住んでいてしっかりとやっていけるというものがありさえずれば過疎の地域もだんだんなくなると思っておりますから、今回の法案を通して、やはり皆さんの民間と、NTT分割になって切瑳琢磨して、安い値段で多様なサービスもしっかりとやっていくことができるということで今NCC側の説明をいただきました。  大変ありがとうございました。終わります。
  88. 木村義雄

  89. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。まず鈴木さんにちょっとお話を伺いたいと思います。  いろいろ鈴木さんの、エコノミストや何かによく論文が出ておりますし、今もちょっとお話を聞きまして、自由というのは独占を排除することが必要だという論理は非常に勇気のある発言でございまして、何か、規制緩和とかなんとか言っておると、わけがわからぬようになるのですよね。独占排除という論理が非常にわかりやすいということですけれども、なかなか日本ではそういうふうにとらえられていないものだから、NTTが大きいこと自体が非常に問題があるのだという中で、今まで闘ってこられて、今となっては非常に残念な思いをされておると思うのです。審議会で一切議論がなかったということなのですけれども、突然こういうふうになってしまったのですけれども、だれが一体こういうことに、どうなってしまったかということをちょっと何か御感想があったらまずお伺いしたいと思います。
  90. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 行政改革委員会一つの指針というのを九五年の十二月ですかに出しました。それを受けて郵政省の電通審がああいう答申を出した。閣議決定は、御承知のように規制緩和推進計画の九六年の三月見直しにおいて、この問題はすぐに解決しなくてはいけないけれども、非常に難しいから今はできない、だからいずれにしても、持ち越しにして、しかし電気通信審議会の答申に沿ってよく検討をして、来年の通常国会、つまり今ですね、それまでに結論を出す、こういう回答になっておったわけですね。したがいまして、私は少なくとも電気通信審議会の答申に沿った形での最終的な姿が出てくるものと信じていたわけでございます。  それが、ふたをあけてみますと、去年の十二月の五日ですか、六日が公表日になっておりますけれども、ああいう持ち株会社というまだできてもいない法体系というものを御利用になったということがあるわけですね。これは何だということになると、これは基本的には一体化であるはずです、持ち株会社ですから。そしてその中で、電気通信審議会の答申も何か上手にまとめた、入れたということで、私はそこの間に何が入ったかということは、全く当事者ではございませんから知りません。知りませんが、妥協にしても少し筋が通っていないのではないかという感想は率直に持ったわけでございます。
  91. 河村たかし

    ○河村(た)委員 なかなかお顔も古武士然としておりまして、やはり巨大なものと戦うというのは大変なことでございます。僕も四年ほど勉強してまいりまして、先ほども言いましたけれども、マルチメディアとか高度情報化社会とか国際競争力の時代だとかいろいろ言うのですけれども、これはやはり大きくするのではなくて、もっといろいろなものを小さくして、人間それぞれで戦っていけるような、そういう人間復興の時代をつくるのが高度情報化社会の中心でございます。巨大なものをそのまま残しておいて、それでそれは国際競争力だ何だかんだ言うのは、そういうセンスでまたマルチメディアを余りたくさんの人に語ってもらったら全然違うところへ行ってしまうということで、非常にある意味では残念に思っておりまして、共感しておる方なんですけれどもね。  ではその中で、これは国会議員をやっておってもいろいろ思うのですけれども、どうも役所がすべてやっておって、国会議員は非常に残念ながら、いろいろ頑張ってもおるのですけれども、何か結局は最後は役所の思うとおりになってしまって、今回でも役所とNTTの巨大船隊ができるというような感じがするのです。そういうところでどういうふうに、例えば今回でも、鈴木さんがいろいろなところで、エコノミストにもよく書かれておったような、日本でこういう分権型の社会というかスタイルがもしできるのだとしたら、どういうところをどうすればよかったなと思っておられるのか、これはちょっと御意見ありませんですかね。
  92. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 大きいという事柄を盛んに言われます。NTTさん昔から言っておられた、大きくないと世界競争に勝てないという。しかし、これは、規模の利益ということを盛んにおっしゃるのですけれども、ああいう全国にネットワークをやっておるのは、規模の利益というのはもともと集積の利益なんですね、一カ所に固まることによって出てくる利益。それが、全国にばらばらにしたら、これはJRでも同じなんですけれども、規模の利益ではないのですね、むしろ規模の不利益が出てくる。それは何かというと、全国一律なやり方という形ですね。JRが目の当たりでそれの破綻ぶりを見せつけてくれたわけです。そういう問題が一つ。  それから、NTTさんは国際競争国際競争という事柄を盛んに言われる。国際競争が弱くなると言うけれども、国際競争というのは一体何だということを考えてみると、私は三つほどあると思うのですね。簡単に言いますと、一つは、外国へ出ていって、要するに外国にインフラをつくる、あるいはサービスをするということですね。これはアメリカのATTが今コールバックサービスやっておるじゃないかというのの裏返しです。これが一つ。それから、第二番目は、要するに国際的に今三つのグループ化がされておる、そしてお客を囲い込もうとしておる。こういう動きNTTは出ていかないというとおくれてしまう、これが第二。それから、第三は、例えば東南アジアその他で、電話サービスというので電話施設をつくるときに入札して物を売る。  この三つぐらいが大体国際化という問題だと思うのですけれども、第一番目の外国へ出ていくというのに対しては、外国へ出ていって競争しなくちゃいかぬわけですから、競争力がしっかりない、それが日本の中で培われなくて、ただ出ていって外国へ行けば勝てるというものじゃないわけですね。競争の何たるかという事柄の本質をNTTさんは本当に知っておられるのかという事柄について私は疑問を呈したいということなので、その力を蓄えた上で外へ出ていくべきだ、そうでないと失敗する、これが第一。  それから、第二番目のインクロージャーですね。つまり囲い込み、国際的な三つのあれ。これは、分割をしておれば、私は地域の二分割も余り賛成ではない、三分割程度、できれば五分割程度だと思いますが、少なくとも三分割という事柄が望ましいと思いますが、もし三分割しておれば、そういう三つのグループの提携をする場合にでも、例えば東日本はATTと組む、西日本はBTグループと組む、それからもう一つは、東海なら東海はドイツ、フランス連合軍と組む、こんなようなことをしたら、要するに日本利用家というのはどこともコンタクトできるわけですね。アメリカは実にそれを見事にやっておるわけです、ATTと、それからMCIはBT、それからスプリントはドイツ、フランス連合軍、こういう形ですから。今NTTもうでを盛んにやっておるようですけれども、こういう問題の中に入っていけばいい。それをNTTは独自にやるというふうなこともおっしゃっておられるようですけれども、やはりそういう形のチャンスもあったという問題があるかと思います。  それから、第三番目の外国の入札は結構です。結構ですけれども、そんなにお金の問題は生易しい問題じゃないという事柄を、これをよくわきまえないと、とんでもない出費をして帰ってくることもあるという問題があろうかというふうに思っております。
  93. 河村たかし

    ○河村(た)委員 いや、どちらかというと、そんな理論的な方向じゃなくて、私は基本的には、やはりとにかく社会を分権化していった方がいいという立場ですから。それは、どういう方法論で、振り返りますとですよ、まあ、まだ審議中に振り返ってというのはあきらめに似たようなあれですけれどもね。  それでは、まことに申しわけないけれども、東社長ですか、お見えになっておられますけれども、NCCも、勉強会に出てみえると、いろいろな学者の授業みたいなことをやりますけれども、積極的に本当に議員にロビーイングして、アメリカ通信法改正などのときはやはりすごくやりますよ、本気になってやってくれますよ。だけれども、日本では、これは分離分割論言ったって、私何遍も言いますけれども、何の得にもならぬですよ、議員というのは。非常に孤立無援になります。そういう構造の中で、どうやってやったらNTTとか、こんな巨大なものを分けたり、損を承知でそういうことをやれるようなことができたのだろうかということを、まあ、短目に一言ぐらいで、やはりそれは無理だったと言えばそれだけのことですけれども、あったらひとつお聞かせ願えないか、鈴木さんの心の中にそれはあるのじゃないかなと思って御質問するのですが。
  94. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 私をして率直に言わせると、そういうことを十五年間言い続けてきたけれども、それにどうしても耳を傾けていただけない。やはり大きいというのは自分にとって頼もしいことだというお考えから一歩も抜けていただけない以上、いかなる方法もないというふうに言わざるを得ない。それを直すのはだれだということになったら、これはやはりこの場である、逓信委員会である、そこで政治がリーダーシップをとってお直しにならなければ、当事者が嫌だと言ったら必ずそれは仕方がないのだということを言ってしまうのでは、日本の進歩はない。  私は、NCCさんも頑張っていただくべきだと思います。しかし、今の九二%の実態から考えたら、だれが考えたってNCCさんが競争相手ではないのです。要するにNTTの敵はNTTなんです。ですから、NTTが自分自身を敵として、東と西、あるいは東海というものも入れて競い合う、それは本気になってビジネスとして競い合ってもらう、そこで初めて日本情報通信は花が咲くということです。もちろん、新たに参加される方を過小評価するわけではございません。そこの精神を持っていただかないと、日本情報通信というのはただひたすらにおくれるばかり、決心はNTTにしてほしい。しかし、しないのであるならば、国家の機関であるうちに、まだ依然として国家の機関です、三分の一は株主がおりますけれども。国家の機関であるうちに今政治が決定なさるべきだと思います。  この機を逸して株式をこれ以上放出しますと、これはもう民間の機関になります。今、電気で十電力の地域独占の廃止で発送電の分離だなどという事柄が議論されておりますけれども、これは非常に難しいし、憲法上の問題も含むし、財産権の問題も含んで、もう無理になってきております。今やらないといつやるのだと。独禁法学者などは、要するに後になって独占状態になったら、そうしたらやればいいじゃないかなどという簡単なことを言いますけれども、九二%が独占じゃないですか。そういうことを言って、なしましに大蔵省の株式の売り急ぎというものの中で、要するにゆがんだ形で世の中が定着してくる、これが最も憂える問題であります。
  95. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私も同じ、これは非常にむなしい気持ちでおります。やはり議員の仕事だと思うのですよね。損をしてでも大きいものにぶち当たっていくということになかなかならないのですよね、本当に。  どうしたらいいのか。だから、一つの話としては、もっとNCCさんが実際に、やはり自分たちがあれまで分離分割言ったなら、ちゃんと議員にそれだけ応援するという態勢がない以上、これは何ともならないのですね。やはり議員というのは選挙がありますからね、いい意味でそういうことが大事なんですよ。  それから、規制緩和規制緩和と言いますけれども、やはり独占排除という言葉がないものですから、非常にイメージが不明確であります。独占排除と言えばもっとはっきりしておるのですね、感じとして。だから、そこが非常にいけなかったということでございますけれども、それはそのくらいにしておきます。  次、鬼木先生にお伺いしますけれども、審議会の専門委員やっておられましたよね。この間、僕、委員会で聞いたら、審議会では一切持ち株会社の話は出なかったということですけれども、これはやはり正直言ってこけにされたというような印象をお持ちでしょうかね、どうですか。
  96. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 お答えいたします。  正直言いまして、私も、審議会の方の議論が終わりまして、その後マスコミで持ち株会社方式ということで決定したと聞いたときにはびっくりしまして、こけにされたとは思いませんが、一種のショックを受けたことは事実であります。
  97. 河村たかし

    ○河村(た)委員 あれだけ議論されまして、こちら側もやっておるのですけれども、それが全然違うのが出てきた。それが、政治のパワーというのはこういうものかどうかわかりませんけれども、ある程度、一歩前進じゃないかというような発言をされざるを得ないということもあると思いますけれども、この間、ちょっと委員会の中で、それでは価格の問題でどうするのだという話がありまして、通信価格、電話代ばかりじゃないとしていただいてもいいのですけれども、郵政省東西値段がある程度違ってもいいじゃないかという議論だったのですよ。NTTの方はそういうような話はないわけですね。何となく一緒にするよというような話なので、一緒にしていくのだったら、これは全く統合そのものでして、消費者にとってすれば、やはり多様なメリットは価格を安くするということが競争のまず一番の大眼目だと思うのですね。  その辺、価格格差について、そういうような雰囲気だということ。ちょっとこの間委員会質疑がありましたものですから、それを受けて、そうだとすれば、今率直に言ってどういう御感想ですか。
  98. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 サービス、価格に関しましては、従来はNTT一体でありましたから、全国一律で、その中でなるべく引き下げるという方向が、少なくとも公的な表向きの言葉でありましたから、そういう方針で来たわけです。今回、東西地域二つ分割することになりますと、価格の問題として、地域間の差、それから全体のレベルをどれだけ引き下げるかという二つの問題が出てくるかと思います。  地域間の差に関しましては、今回の法律案は、私のレジュメの〔1〕のDに書いておきましたが、まだあいまいに過ぎると思います。  従来の会社法に書いてありましたのとほとんど同じ文言が、つまり全国一体であった時代と同じ文言が地域会社にも適用するように書いてあります。しかし実際には地域間でコストの差があり、赤字が出るかもしれない、三年間は補てんするという規則までつくられているわけですから。地域間の差が出てくる可能性は十分にあるわけで、むしろその可能性の方が大きいということになっています。にもかかわらず、あまねく日本全国におけるサービス提供するという文言があります。ここは議会で腰を据えてお考えになるところかと思います。  つまり、JRのように地域別に分割されて、例えば北海道は若干サービスが悪くなって値段が高くなっても仕方がないという方向に進むのか、それとも離島を含めて全国、コストが高くても国民相互に助け合って、ユニバーサルサービスと申しますが、同じ価格のサービス提供する方向に進むのか、これが両様にとれるような文言でありますので。  私は、こういう法律があいまいなままに終わるのが最も好ましくない結果だと思いますので、法律を明確にされる、ユニバーサルサービス地域間で維持するか、それとも維持しないか、あるいは将来決めるか。いずれにしても、あいまいな形は解消されるのが望ましいことかと思います。
  99. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それではもう一つですけれども、この間、ドコモへの出資比率を下げてくれというような話が公取からあった。あれはどうも二年ぐらい前にあったようです、新聞に出たのは最近ですけれども。それと持ち株会社というのはどうも矛盾するのではないかという感じが僕はするのですね。公取と郵政省は矛盾しているのですか、どうでしょうか。
  100. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 公正取引委員会は、公取の立場から独占禁止法に則していろいろな政策や勧告を出すべきだろうと考えております。それと、今度は事業法あるいは会社法立場に立って郵政省が方針を出すことと食い違うことは一般的にはあり得ると思います。その際にどちらを優先するかは、行政権の中では内閣の決定だと思いますし、もっと広く立法権まで入れれば議会がお決めになることかと思います。  具体的に、ドコモへの出資が、NTTが多過ぎるということに関しましては、以下のように考えます。  ドコモは御承知のように無線通信の担当でございまして、無線通信は最近非常に急速に伸びております。現在、有線の、普通の電話の方が六千万加入、無線の方は二千万を超した、あるいは超しつつあると聞いておりまして、既に三対一の比率にまでなっております。これが、将来もっとこの傾向を伸ばしていきますと、先ほどから問題になっています地域の独占を破る一つの契機になり得るかと思います。  一方で、今度改正案が通って、持ち株会社の下に二つ地域会社ができるとしますと、そちらの方と、それから同じ持ち株会社の下のドコモとの間でアクセス、つまり加入者から最寄りの局に向かってつなぐサービス、アクセスサービスと申しますが、そのサービスをめぐって直接の競争が起きることが期待されます。その場合に、持ち株会社で、つまり同じ親会社のもとで二つ会社があると、競争が不十分になって、地域網の独占状態がなかなか破られにくいという弊害が出てくる可能性があります。  そういう意味では、私は、ドコモが持ち株会社の支配を漸次脱却していく方向が正しい政策であろうと考えております。  以上です。
  101. 河村たかし

    ○河村(た)委員 確かに、長距離地域二社がそれぞれ参入してそれぞれ競争するというのは郵政省の言っておったことですが、そうなれば、やはりドコモに対して持ち株を少なくしてくれと言ったのと同じようなことになるわけで、競争を促進するためということになりますと、やはりちょっと矛盾があるのでないかなというふうに思います。  それはそうですけれども、いずれにしろNTTには、ほかのNCCさんもございますけれども、僕としては、NTT日本情報通信の雄というか中心ですから、やはりみずから本当に自由になって、反対にすさまじい競争を、のれん分けをして、やってほしかったなと思っております。しかしそれには余りにも、私は無論そう力もありませんけれども、国会の力はむなしかったな、今のところ、そんな感想でございます。  以上で終わります。
  102. 木村義雄

    木村委員長 石垣一夫君。
  103. 石垣一夫

    ○石垣委員 新進党の石垣でございます。  参考人の皆さん方にはきょうは国会までお越しいただきまして、感謝申し上げます。  まず最初に、鬼木参考人にお伺いしたいと思うのです。  先ほどの意見陳述の中で、東西地域分割はベストの選択ではない、こういうことがあったのですけれども、では先生がお考えになっておるベストの選択は何なのか。これが一点。  第二点は、責務規定について改正法案ではあいまいである、こういう御指摘がございましたけれども、では先生のお考えになっておる責務規定についてのもう少し突っ込んだ御意見をお伺いできればと思います。  以上二点。     〔委員長退席、亀井(久)委員長代理着席〕
  104. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 お答えいたします。  私のレジュメの〔1〕のAの「ベストの選択ではない」というのは、以下のような意味においてでございます。  私は個人的に、地域分割よりもよりよい分割の方法があると思っていました。それはいわゆる上下分割と申しますが、卸売と小売のような分割。あるいは道路の例えで言いますと、道路公団とヤマト運輸が別々に運営しているような分割。  現在の電気通信網はインフラ部分それからサービス部分が一緒に提供されておりますから、道路でいいますと、ちょうど高速道路を運営する道路公団と例えばヤマト運輸とが、同じ企業でサービス提供しているのと同じことであります。もし道路でそういうことが起きたとしますと、なかなか今のように安い値段で宅配便がすぐ届くというようなことは実現できなかったのではないかと思います。  それと同じ弊害が電気通信に潜在的にあると考えまして、そういう状態を分ける方向がよろしいのではないかと思い、年来その主張をしてまいりました。審議会の中でも少し機会をいただいて主張したのですが、残念ながら多数の御意見とならずにそれは実現しなかったので、そういう意味でベストの考えが別にありますので、この地域別の選択はセカンドベスト、サードベストではないか。そういう意味で、ベストではないと書きました。  済みません、ちょっと第二の御質問を失念しました。
  105. 石垣一夫

    ○石垣委員 Dの項で、いわゆる責務規定ですね、これが極めてあいまいである、こういう御指摘なんですけれども。
  106. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 これは先ほどの御質問に一部お答えいたしましたが、従来はNTTが一体であったために、全国一律にサービスするということが自然で、しかも実際に行われていたわけです。東西に分かれますと、東西の経営条件が違いますから、とりあえずは赤字を補てんするにしても、行く行くは東西の間で格差が出てくる。つまり、自然に値段をつければ東が安く西が高くということが出てぐる可能性が大いにあります。それを認めるか否か。  それはつまりJRと同じように、全国を分ければ、残念ながら田舎の方は高くなってもしようがないんだ、言葉は悪いですが、これは地域の宿命であろうと。我慢しなさいとまでは言わないかもしれませんが、やむを得ないという立場をとるのか。それとも、そうではない、電気通信は全国民が同じ条件利用すべきことだから、もし東京利益が出れば、それは実質的な補助金として、例えば東から西に動かす、補助金を動かすとか、あるいはそこはいろいろやり方があると思います。  例えばですが、これは本当に想像の産物ですが、西の方の会社東京にやってきて、一番お金をもうけるところで参入をして、新しい線を引いてどんどんもうけて、それを西の方で赤字補てんに使うとか、いろいろなことがありますけれども、そういうことも認めて、コストが高いところに、安くていいサービスを都会からの補助のもとに行うのか、それを議論して決めるべきであって、その点がはっきりわからないような条文になっているのは、それはあいまいであってよろしくない、そういう意見でございます。
  107. 石垣一夫

    ○石垣委員 今の責務規定のことで、いわゆるユニバーサルサービスという大義名分のもとでは、地域間の格差、将来、東西分割されても、料金格差というものについては、受ける国民の側からいけばちょっと納得できない、こういう感じなんですけれども、競争の原理からいけば、当然これはやはり格差が出てくる、こういうことも考えられるんですけれども、先生のお考えはどちらですか。
  108. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 本来、自由競争ユニバーサルサービスの要求は矛盾いたします。これは、水と油のようなもので仕方がありません。これをどう解決するかはそれぞれの国の意思決定であります。  もし、私にどちらか選べとおっしゃるのであれば、私は、電気通信は、例えば義務教育とか行政サービスとかと同じように、国民の非常に基本的な情報活動に関するものでありますから、少なくとも当面は電話、それから電話だけではなくて、もう少し技術が進歩しますれば、電話以上の通信サービスに関しても、基本的なところはユニバーサルサービス、つまり都会の負担で田舎を補助するという政策を実行すべきであろうと思います。しかし、これは個人によっていろいろ御意見の違うところかとは思っております。  以上です。
  109. 石垣一夫

    ○石垣委員 次に、旭リサーチセンターの鈴木社長にお願いしたいと思うんですけれども、先生は数々の論文をお書きになって、いわゆる基本的スタンスとしては完全民営化論者だ、このように理解いたしております。先ほども、非常に今回の改正法案については賛成をしがたい、こういう自由化論者の立場から、極めて厳しい御指摘がございました。そしてまた、こういう問題を解決するのはいわゆる政治の果たす役割が極めて大きい、こういう厳しい御指摘もございまして、私たちも身の引き締まる思いでございます。  まず最初にお伺いしたいのは、今回の再編NTT経営形態あり方が、果たして国民のニーズにこたえられるものであるのか。これに対する御所見と、事業体同士間の競争が期待できるのか、こういうことについて先生の御所見をお伺いしたいと思います。
  110. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 お答え申し上げます。  まず、先ほど私冒頭にもお話しいたしましたように、基本的に何をねらったのかというと、NTTを完全なる自由な民間会社にする事柄によってNTTに自由に競争をしてもらって、そして情報通信世界活性化していこう、これが基本でございます。  そういう基本に対してあれしてみますと、NTT持ち株会社という形でコントロールされますのは、持ち株会社というのをこれを軽視してはいけないんであって、持ち株会社が株式を持って支配するわけですから。したがって、今言ったような独占の形態というのは、いろいろな仕組みをつくった、それが要するに相互参入だということはわかります。わかりますけれども、しかし、それは次の策であって、基本は、要するにお互いを競争体にする。そうする事柄によってサービスを競う。ここは何が出てくるかわからない世界ですから、そういうことをやることによって、サービス向上し、かつ価格を下げる、そういうことによって国民の期待にこたえる、こういう事柄が一番望ましい構図ではないか。  法律によって強制されて、お互いの領域に入ってよろしいだなんというようなことで、果たして本当に入っていくんでしょうか。それを親会社というのは指をくわえて、自分の子会社が出ていくのに対して、いいよいいよ、法律に書いてあるから、そういうことになるんでしょうか。この疑問というのはあるわけでございまして、また、それを持つのは当然でございます。  したがって、そのシステムというようなのは、なるほど書いてあるが、どれだけファンクションするのか。私は、もしこのままでやむを得ないというんだったら、それを大いにファンクションさせてほしいということを言わざるを得ないわけですけれども、その前にまだ時間があるではないかということをさっきから申し上げておるわけでございます。  あと、参入の方式というのは、これはもう幾らでもあるわけで、これは、今日予想していない、例えば携帯電話でもそうです。私どもが九五年に作業をやっておったときには、それが大きくなっているということは当然考えていましたけれども、しかしまさか、今二千万を超しておりますか、というところまでは思っていなかった。  今後いろいろな、CATVもありましょう、その他衛星通信利用したものもありましょう、そのほか、通信回線を直接張って何が悪いんでしょうか、どうしてTTネットはやらないんでしょうかと私は疑問でならなかったが、そういうことを、東西に分かれたNTTというのはこれは専門家ですから、それを開発して事業領域を広げたいというのは、これは民間企業はだれでも思うことなんだから、入ってよろしいとなったら、そこのところにあらゆる手段を持って入っていくという事柄はこれは当然起こることであって、それによって、今まで競争競争といっても、NTTというのは待っていたんです、要するにNCCが育ってくるまで。という形で、それが長距離の、要するに過剰とも言えるような利益に結びついておるわけですから、だから、そういうNTTが足踏みをしてNCCが育ってくるのを待つ、こういう構図が今まであったわけですけれども、これはもうやめよう。要するに、NTTとNCCとが競うんだ、プロじゃないか、何十年来やってきたという事柄、これをやる、方法は幾らでもある。今言ったようなもの以外にも、今後出てくるものは、これははかり知れないものがあるのがこの世界だということをお答えさせていただきたいと思います。
  111. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、国会で提案されているこのNTT法案の最大の特色は、何といっても私は、NTT郵政省のいわゆる妥協の産物である純粋持ち株会社の誕生だ、このように考えるわけであります。  先ほど鬼木先生も、審議会の中ではこういうことは全然予想されなかった、こういうお話もございました。また鈴木社長も、こういう持ち株会社については極めて批判的な御見解を持っておられると思うんですけれども、全然審議会で、答申の中で盛り込まれておらないこういう持ち株会社が突如として浮かび上がったという背景は、いろいろと政治的な取引もあったと思うんですけれども、これに対する御見解をさらに突っ込んでお聞きしたいと思うんです。両先生方からひとつ御見解をお伺いしたいと思います。鬼木先生、まず最初に。
  112. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 私の見解を申し上げます。  先ほどその話を聞いたときはショックであったとお答えいたしまして、その後、私いろいろ考えたことは、以下のようなことでございます。  やはり、NTT分割問題というのは十四年ですか、年来の長い問題でございまして、言葉を飾らずに言えば、郵政省NTTの両方の、言葉は悪いですが、メンツをかけた一種の戦いになってきた。  それがために、国内の、例えばNTTによる新しいサービス提供などが考えられましても、いやいや、経営形態のことが落ちつくまでは何もできないという形で一種停滞状況が生じまして、非常にまずい、空白の状態がかなり長いこと続きました。  その結果、今回の解決は、とにかく何としても年来の対立を解消した方がよろしい。日本のためにならない。少なくともユーザーのためにはならないという気持ちが強かったので、審議会の中で全然出ない話が後から出てきたということを聞きまして、一種ショックではありましたけれども、ああ、ここでひょっとしたらこれが名案になって、このデッドロックがある程度は解決するかなという気も一方では起きました。  無視されたと言うと言い過ぎですが、ちょっと枠の外に置かれてしまった残念な気持ちと、それから、結果的には、何とかここでひとつけりをつけて、そしてそのデッドロックを解消して、両方が対立しているがために凍結状態になったマイナスの状態から抜け出して、まずはとにかく前向きになるということが実現するかもという面もございましたので、御質問の趣旨には合わないかもしれませんけれども、私の個人の率直な感想を、思った感想を申し上げました。  以上です。
  113. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 どうしてそういうことになったかについては、先ほども申し上げたように、私にはわかりませんというふうにお答えするしかありません。  ただ、行政改革委員会ベースで考えてみますと、これに対しては非常に何度も深い懸念を持ってまいりまして、昨年ですか、一度NTTの問題については棚上げになったとき、去年の二月二十八日の規制緩和推進計画の第一年度の見直しで棚上げになったときに、NTTの問題を棚上げにしたのは遺憾である、それを早く解決してほしいという事柄の意見は出したと記憶しております。  それから今年の答申においても、この結果が出た後でございますけれども、「純粋持ち株会社は、子会社各社の経営に関する決定権を統一的に有するために、本方針によって公正有効競争確保されるかについては強い懸念がある。当委員会としては、次期通常国会に向けて、公正有効競争確保のために適切な措置が講ぜられるよう今後も引き続き監視していきたい」というので、強い関心を示しておるわけでございます。  全体の問題としてこの問題、長い長い歴史を持っておった。しかも昨年の一年というのは、これは非常に大きな意味を持っておった。ということは、要するに、NCCにしろ外国の企業者にしろああいう形で、来年まで待ってくれ、今決めなくちゃいけないけれども今決められない、こう言われては困ってしまうわけですね。衰退産業ならいいです。しかし、進歩の全く激しい産業が一年間、最も大事なNTT経営形態がはっきりしないままでただ待ってくれじゃ、これは困ってしまう。投資していいのかして悪いのか、わけがわからない。何が出てくるかわからないのに投資が決められるわけがない。  そういう意味合いで、やはり解決が必要であったということ、これは私もわかります。でありますが、その解決に対しては、先ほど申し上げたとおりの意見を持っております。
  114. 石垣一夫

    ○石垣委員 鈴木社長にお願いしたいと思うんですけれども、完全民営化では大競争に勝てないんでしょうか、企業のトップマネジメントとして、お伺いしたいと思うのです。
  115. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 完全民営化は何のためかという問題になるわけですね。それは、NTTに自由を与えて、郵政省のコントロール下から脱せさせるということなんです。そうでなくて、今のままですというと、これは郵政省はどうしてもコントロールせざるを得ない。独占に規制はっきものです。それが嫌だったら独占を放棄するしかないわけです。それはそうでしょう。独占で自由だなんという民間企業は考えられますか。何をやるかといったら配分の自由だけやってしまいますよ。  ということになるわけですから、独占とそれから規制緩和というものは、これは不即不離。したがって、NTTに自由に働いてもらいたい。そういう自由なものでなければ、どうやって競争に勝つんですか。大きければ、国家を背負っておれば勝てるというそういう問題ではありません。だから、自由に創意を発揮して郵政省の制約の中から早く脱すること。これしか活力は私は生まれてこない。その意味で、完全民営化ということを早くやる。それもばらばらに分割するといったわけではない、たった三つ、私に言わせると不足。どうしてその決心がつかないのか。世界的に見ても大きさに遜色はありません。どうしてその考え方をとっていただけなかったのか。これは繰り返すようですけれども、私は残念の一言に尽きます。
  116. 石垣一夫

    ○石垣委員 答申の中にもありますけれども、「NTT再編成は、強力かつ機動的な経営単位の創出によって、我が国情報通信産業国際競争力を強化するために不可欠である。」このように述べております。複数のNTTがいわゆる競争して強くなる、こういうことが本来だと思うんですけれども、今回は国際競争力の確保のために経営形態を維持する、こういう方針が先行しているように思うんです。一見正当性があるように思うんですけれども、これは答申の趣旨に逆行した判断だと思うんです。この点について鈴木社長の御見解をお伺いしたいと思うんです。
  117. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 経営というのを頭の中で考えますと、大きければ力が強そうに見える。そうであれば、大きいものはさぞかし強いであろう、これはよく経営をやったことのない頭の中で考えた思想として起こりがちな問題であります。しかし、経営というのは動的なものでありまして、口幅つたいことを言うようですけれども、大きさが強さを決めるものではないわけですね。日々そういう環境の中において、ついでに申し上げますが、競争というのは楽なものではないんです。要するに、競争をやらずに済んだらどれほど楽かわからないというのが競争なんです。しかし、競争をやっているがゆえに毎日毎日自分の力が磨かれていく、それが競争なんです。  ということから考えますと、私が申し上げたいのは、要するに、国際競争を維持するのであるならば、まず国内で力強く競争をして、だれにも負けない力を養ってください。海外はそれぞれ激しく競争していますよ。そこへ出ていったときに、国内で独占の上で生活してきたというのか、経営をしてきた経営がもちますかという事柄は、これは日本のもろもろの産業が海外へ出ていって、NTTよりもはるかに小さな形で実は世界の中で競争に勝ってきたという過去この二十年以上の歴史を見てみればおのずから明らかなことであって、大きさが力を決める問題ではないという事柄が競争の本質だというふうに私は理解しております。
  118. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこでお伺いしたいことは、公正有効な競争条件の促進策は何かということでございます。  具体的には、例えば地域、地方圏の区別をなくす、第二点はいわゆる接続料金の原価計算方式を透明化する、三点としては公正競争を促進するために行政の運用の厳格化、監視の体制強化などが考えられるわけでございますけれども、このような指摘に対して、さらに鈴木先生としてはどのような御見解をお持ちでございますか。
  119. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 公正有効なというこの言葉ですけれども、これは行政改革委員会の方も使った言葉ですが、ちょっと紛らわしい。と申しますのは、歴史的にこれを延々とやりますと、公正競争というのは何かというと、例のNTTとNCCの接続をめぐるもろもろの紛争、例えばフレームリレーだとかVPNにおける問題、こういう問題というものを公正にやろうというふうにとられがちであるし、また、そういう意味かもしれません。それに対しては、先ほど先生おっしゃられたように、例えば接続の義務化あるいは料金のタリフ化、経理の区分処理、それからしっかりした行政による監視、これは一時期は第三者機関をつくってそれを監視しようじゃないかなんという議論も出ましたけれども、これは私は賛成いたしませんけれども、そういうことかと思います。  しかし私が申し上げたい競争、そしてまた、わざわざこの改正法案の要綱の二の4ですかに盛り込まれた他の地域に入っていいというのは、これはそういう従来のNCCとの接続における公正な競争という意味とは違って、NTTの東と西が相互に争え、こういう意味を持っておるものと私は理解して、その理解の上で、やむを得ないときにはもう少し後で見直しぐらいつけてくださいとさつきも一番最初に申し上げたんですけれども、そういうふうに考えますと、有効な競争というところに私は力点を絞ってこの法案を評価したい。ということは、要するにお互いの地域NTT持ち株会社のもとに分離分割をしたものを入れたとしてみても、その地域間においては有効な競争、親会社の指示というものに従わなくてもいい有効な競争というのをセットするのが法律で決まっておるという事柄を確保してもらいたい。となると、それを担保する方法がないといけないではないかという事柄になって、これは今後議論はされていくのでしょうけれども、その一つの方法としてさっき申し上げたのは、例えばA会社の、東日本会社社員があしたは西日本に行って社員になるというようなことにしておいて、そしてお互いさまが、きのうの敵はきょうの友というような事柄で、本当にそんなことでファンクションしますか、そこら辺は一番重要な問題ではありませんか、そういうことまでやるのですか、それは持ち株会社のシステムの中で反しませんか、そういうことに対してもろもろの疑問を私はさっきから呈しておるわけでございます。
  120. 石垣一夫

    ○石垣委員 先ほどの意見陳述の中で先生の方から、いわゆる見直し条項という言葉があったのですけれども、どういう内容をお考えになっておるのか、お願いしたいと思いますが。
  121. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 残念なるかな今の形で、NTT持ち株会社それから両地域会社は特殊会社とする、こうされておりますね、国際についてはこれは民間会社とすると。まあ、法律でそういうふうに書いたからというので民間会社になれるのかというかなり深い疑問はありますけれども、一応そうなっておる。その形が定着してもらっては因るというふうに私は思うわけです。しかも問題は、何十年先にはなるかもしれない、こういう議論ではないのですね、やはり五年以内にどうなるのか、そこに勝負がかかっておる問題であります。  したがって、今の形でやった場合に、九二%の独占体制というのは、本当にさっき言った地域競争というのが起きるのですか起きないのですかという事柄を、これを見直しをして、もし起こらないならば、その経営形態を再度考えることはあり得べきと。私さっきも申し上げましたけれども、不幸なことです。いつもいつも見直し、見直し、見直しと十五年も見直しをやっておる会社なんて見たことありません。だから、それは不幸なことですが、不幸な第一歩を切っちゃったんだから仕方がないという意味で、見直しをするという事柄が必要になってくるのではないか、こういう意味で申し上げたわけであります。
  122. 石垣一夫

    ○石垣委員 数々の貴重な意見を賜りまして、こういう本日の参考人の皆さんの御意見を十分しんしゃくしまして今後の審議をやってまいりたい、このように考えております。以上で終わります。
  123. 亀井久興

    ○亀井(久)委員長代理 北村哲男君。
  124. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  本日は、お三人の参考人の先生方、貴重なお時間とそれから貴重な御意見をどうもありがとうございました。  私は、まず、東参考人にお伺いしたいと思います。  まず、NTT事業法の関係でございますが、従来、NTTと同一市場競争を行ってこられた、そして日本高速通信のリーダーとして電気通信事業発展利用者利便の向上のためには公正競争の実現が必須であることを身をもって体験されたというふうに先ほどおっしゃいました。その立場で、今回のNTT法改正による地域市場への競争導入、あるいは事業法改正による相互接続ルールの円滑化とか、あるいは接続料金の適正化について評価をされました。しかしその一方で、いまだNTT地域通信部門は独占的であるということもたしか言われたと思います。  ところで、今までのNTTの独占体制を相手とされて、その体制の中で今までどういう点を御苦労されたのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。     〔亀井(久)委員長代理退席、委員長着席
  125. 東款

    ○東参考人 先ほどの冒頭の陳述でも申し上げましたとおり、今までNTTとの関係におきまして一番私どもが苦労いたしましたといいますか時間を随分使わされて、しかも極めて不満を残しながらやってきたのが接続の問題でございます。接続条件、タイミング等々につきまして、またコストの透明性につきまして、我々の望ましい形では出てこないというところが一番の悩みでございました。それが今回のこの改正によりまして非常に大きく変化をする、しかも、我々が従来申し上げてきたことが担保されるということに対して非常に歓迎をしておるというのが実情でございます。
  126. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 続いてお伺いしますけれども、東参考人は、今後の地域市場競争の促進についてはどのように見ておられるのか、その点についてお伺いしたいと存じます。.
  127. 東款

    ○東参考人 今回の法の改正によりまして、NTT二つ、大きく分けて長距離地域に分かれる。ということは、独占的な事業体の部分と競争的な部分というのが分かれるということであります。  これは、まずその効果の第一として内部相互補助というのが防止されるということ、それと接続ルールが公平化される、このことが競争をつくり出す際のまず第一の条件だというぐあいに考えるわけでございます。また、地域会社が東と西に分割されたということによりまして、それぞれの収益構造の比較というのが可能になりますし、またコストの透明性というのが増してくる、こういうことを通じまして、コスト削減ということが非常に大きく期待されるわけでございます。  その結果といたしまして、地域市場を含みます通信市場全体が活性化するということにより業界全体の活性化が進むということを期待しておるわけでございまして、また、こういった事業者間の競争の活発化に加えまして、地域長距離国際といった従来の枠を超えましたシームレスのサービスというニーズもますます高くなってまいると思います。またこういうことにつきましても、私ども長距離会社としては積極的に参入しようと考えております。
  128. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ただいまのお話を伺いまして、長距離会社のリーダーとして、今後その地域市場への参入というのはどういう分野で、どのような形で行っていかれようとしているのか、差し支えなければ御意見を伺いたいと思います。
  129. 東款

    ○東参考人 ただいま申し上げたこととかなり重複すると思いますが、これからの通信サービスというのがこれまで以上にシームレスということになってくる。ということは、今まで、地域国際長距離等々で分かれておりましたのが、お客様に対しては一つサービスをするということになってまいります。そういう地域だけの競争というよりも、全体をひっくるめたシームレスなレベルでの競争が始まる、こういう意味で、私どもは地域の方へもっと入っていくということになる、かように考えておるわけでございます。
  130. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 次に、国際関係についても若干お伺いをしたいと思いますけれども、今日の国際通信分野では、BTあるいはMCIの合併に代表されるように、世界メガキャリアの間での競争が非常に激化しておる。今後は、シームレスあるいはエンドエンドの多種多様なサービスを一元的に提供できる総合力を持った企業が重要であろうと私は考えますけれども、我が国の現状がこのまま推移すれば、この国際競争に取り残されてしまうのではないかということがよく言われております。  先ほど参考人の御意見の中で、情報通信分野での日本競争力は欧米と比較してやや非力である、その競争力強化の点から、将来戦略の策定は不可欠というふうな言い方をされたと思いますが、まずこの、やや非力と判断された状況とはどういう状況を指して言われるのかについて、さらに敷衍された御意見があればお伺いしたいと思います。
  131. 東款

    ○東参考人 御案内のとおり、これまでの日本国内通信サービスといいますのが、一部は法で決められ一部は決められていないといいながら、あるサービスが分断された形で進んできておった、これが一番大きな原因だと思うのですが、またもう一つ、私どもがそれを打破するための長期的な経営戦略を立てるという場合には、その前提といたしまして、日本の構造というのがどうなっておるのかということを決めることが一番大事なんでございますが、この辺のことが、特にNTTの構造問題を中心にしまして、長い間論議をされながら決まらない、極めて不安定な状態、先が見通せない状態で推移してきたということは、いろいろな意味で、先に対する私どもの手がといいますか、将来に対する経営戦略が立てられないということで時間を推移してきたことが一番大きな原因であったというように考えております。
  132. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 さらに、同じことなのかもしれませんが、事業者のお立場から、将来における情報通信産業国際競争力強化に必要な戦略とは、一体どういう点が重要なのかということについて、御意見を伺いたいと存じます。
  133. 東款

    ○東参考人 御案内のとおり、情報通信市場というのが世界的に大きく自由化ということで流れておりますし、またグローバル化という進展の中で、御案内のように、欧米諸国を中心にいたしまして、事業者間の提携あるいは合併という動きがどんどん動いております。こういうものに対して我々も積極的な形で対応するということが、これからますます必要になってくると思われるわけでございます。  これの行き着く先は何かといえば、そういったグローバルな通信という事業におきまして、他国の通信事業者と積極的な提携を図りながら、シームレスなサービス、あるいはお客様の利便向上のためのワンストップショッピングあるいはワンビリング、こういった形のサービスに入っていくということが必須でございまして、またそれができるような体制をつくり上げるということがこれからの一番大事なことだと考えております。
  134. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 もう一点、先ほどのお話の中で、KDDについて触れられておりました。  何か、言いづらいけれども、一層の競争化が予想されるというふうなことを言われたと思うのですが、その言いづらいという御趣旨は、KDDが今度国内参入するわけですが、それをしてほしくないというふうな言い方でおっしゃったのでしょうか。その辺は、どういうふうなお考えでそういうことをおっしゃったのか、お聞きしたいと思います。
  135. 東款

    ○東参考人 先ほどの冒頭の陳述の中で、私は事業者立場からということで申し上げたと思うのでございますが、正直な話、競争相手がふえるということは、それだけパイの取り分が減るということでございますので、我々にとっては、気持ちの上でございますが、いつもうれしくない話、しかしそれはお客様という目からごらんになれば、競争者がたくさん入ってきて、競争が激化するということは望ましいことでございます。そういう相矛盾する中で、あえて事業者の方にスタンスを置きますと、ちょっとそういうようなことを申し上げました。
  136. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 鬼木参考人規制緩和の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。  私は、本格的なマルチメディア時代情報通信市場活性化するためには、規制あり方について、原則自由、そして例外規制基本であると考えております。その意味で、今回のNTT改正案及び事業法改正案についても、なお規制緩和あるいは撤廃が不十分ではないかというふうに私自身考えておるわけですが、とりわけ、競争的分野とか新しいサービス分野については、完全自由化をすべきであると考えます。  利用者のニーズに基づく商品とかサービスをタイムリーに提供できる市場とするためには、さらに踏み込んで、事業者が許認可手続に手間取ることのないよう、規制の緩和とか撤廃が必要だというふうに抽象的に考えるのですけれども、一方、先生は先ほど、一挙に撤廃することも危険性を伴うというふうな言い方をされたと思います。今回、今の時点で、どのような点に着目して今後の規制緩和を進めるべきかということについての御意見をお伺いしたいと存じます。
  137. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 お答えいたします。  規制緩和の必要は、特に米国の実情と対比したときに強くあらわれていると思います。米国では、常識的な理解は、通信分野での規制緩和が進み、産業が非常に発展して、国民が豊かなサービスを享受している、日本は残念ながらおくれてしまっているというのが大多数の見解だと思いますので、私、一度、なぜ日本人、こんなに勤勉でまじめで、しかも工夫の才に富んで、自動車産業や電機産業では頑張ってどんどん輸出しているのに、通信産業でおくれてしまったかという問題意識で、アメリカ規制あり方日本規制あり方規制緩和あり方に関して調べてみたことがございます。きょうお配りした資料の裏にその参考資料だけ、名前だけ挙げておきましたジュリストの論文がそうでございますので、もし御興味ある方は御参照いただくとよろしいかと思いますが、粗筋はこういうことでございます。  アメリカの場合には、法律で非常に物事を細かに詳しく決めております。法律だけで日本の数倍ございます。法律の下の、日本でいいますと政令、省令段階になりますと、十倍、二十倍という量があるぐらいに物事を詳しく決めている。日本の場合には、ごく大まかな規定で、あとは運用で進むということになっております。一番米国と日本を分ける大きな点はこの点にあるのではないか、少なくとも規制緩和を含んだ規制あり方に関しての違いはそこにあるのではないかと私は思います。  つまり、漠然と決めているがために、なるがごとくならざるがごとく、規制緩和するがごとくしないがごとく、非常にあいまいな部分が多うございまして、あいまいというのは一面では日本文化の長所でございますけれども、電気通信のような非常に全体のネットワークが複雑に入り組んで、いろいろな利害が矛盾しているところでは、マイナスの要因になります。  したがって、日本規制緩和を進めるためにまず大事なことは、規制の必要がある分野と規制の必要がないむしろ自由競争に任せるべき分野を法律あるいは政令で明確に区分する。その上で、必要がない部分はもちろんなるべく可及的速やかに自由化する。しかし、どうしても必要な部分は明確に残す。そこが、その決め方が日本の場合、アメリカに比べて少なくとも不十分でありまして、というのは、時間の推移がございまして、かつては電気通信サービスというのは非常に単純で、電話だけかければよろしいということで、そういうレベルで法律が単純にできておりましたが、実態の方が非常に複雑化しまして、法律がそれに追いついていない。日本の場合は、法律が追いつかないで、旧態依然たるままおくれてしまったので、物事があいまいな部分が多くなって進まない。アメリカの方は、実態をずっと追っかけながらどんどん法律をふやしまして、それから政省令に当たる規則の方も急速にふえまして、特に昨年の米国通信法の改正後はどんどん規則ができてきまして、規制緩和というのは規則がなくなることではないのですね。規則がむしろふえていくことなんです。  ここは非常に誤解を生じやすいのですが、アメリカの実例を見て非常に強く感じましたが、個人的な希望を申し上げますれば、議会に頑張っていただいて、なるべく物事を明確にたくさん決めていただきたい、それが規制緩和への少なくとも大きな必要条件ではなかろうかと思います。
  138. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 どうもありがとうございました。大変勉強させていただきました。  終わります。
  139. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  140. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。  この間逓信委員会においてこの分割再編問題についていろいろ論議されてくる中で、やはり今日の情報化社会の中で、電気通信事業あり方というのは国民生活に非常に大きくかかわり合いを持っているものである、その公共性というものは一層重要視されている、こういう状況にあろうかと思います。  そこで、最初に鬼木先生にお伺いしたいわけなんですが、ユニバーサルサービスの問題でそれぞれ質問がありました。その中の私は国際通信ユニバーサルサービスについて、国内についてはいろいろと既に御質問がございましたので、国際通信におけるこのユニバーサルサービスがあいまいであるという点などについて幾つかお尋ねしたいと思うわけです。  KDDが、今日三社ありますが、地域を含めますと二百三十三カ国ですか、そういうところで国際通信に携わっているわけですけれども、その中にはいわゆる不採算地域というのを抱えているわけで、年に数回しが通信がないという極端なところもあると聞いております。NTT国際進出は、こうした国際通信におけるこのユニバーサルサービスをどうするかということについて今度の法案では全く考えられていないのではないかというのが私の考え方なんです。  といいますのは、やはり売上高でKDDの二十倍からあろうというそういう会社、今度の国際通信分野でのいわゆる長距離NTTだけをとりましても、KDDに比べて四倍から五倍という売り上げがある会社が入ってくるわけです。このNTTが、国際進出はまず多国籍企業向けの情報通信システムの構築から始めるんだということを言っております。多国籍企業へのワンストップショッピングだという表現をしておりました。小さい力しかない事業者が不採算部門を必然的に抱いて、はるかに大きな事業者が、いわゆるいいとこ取りといいますかクリームスキミングで参入してくるという事態が起こってくるだろうと思いますし、まさにそういう方向へ進んでいると思うのです。国際通信におけるユニバーサルサービスというのはKDD任せだ、これでいいのだろうか。実際にこれで国際通信におけるユニバーサルサービスというものが確保できるのだろうか非常に疑問があるわけなんですが、先生、何かこの辺についての御意見がございましたらお聞かせいただければと思います。
  141. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 お答えいたします。  まず、私が国際通信に、レジュメの〔2〕のBでございますが、「国際通信のユニバーサル・サービス」という言葉を使いましたが、これはここで仮に名づけた用語法でありまして、一般に使われている用語法ではありません。内容は御質問のとおりでありますけれども、仮にここでその用語を続けて使用させていただくとしますが、外部にはこの用語は使われておりませんので、その点だけちょっとお断りしておきたいのですが。  御質問のように、自由競争ユニバーサルサービスの要求は一般には矛盾いたします。自由競争を進めれば、いいとこ取り、もうけのところで大きくなります。NTT長距離会社国際通信を認められて、何もしなければ、それはもちろんもうけの大きいアメリカとかヨーロッパの先進諸国向けの通信にまずは投資して、途上国向けは後回しになるのは当然でございます。  ユニバーサルサービスの必要は、しかし存在すると思います。あるいは少なくとも国民存在すると同意した場合には、したがって何らかの措置が必要になります。いろいろな形の措置ができますけれども、米国の例でいいますと、米国は国際通信だけではありませんが、国内通信も含めてユニバーサルサービスファンドという一種の共通資金のようなものをつくりまして、一般の電気通信事業者はそこにある程度お金を出しなさい、一種の税金であります。それを不採算地域へのサービスを行う事業者に再配分いたしまして、そしてその不採算地域への通信が途絶しないように、少なくともそんなに高い値段にならないようにする。これは国内通信の田舎の地域通信についても、国際通信での例えば通信量の非常に少ない相手国との通信に関しても同じであります。  したがいまして、私の意見は、このNTT長距離分野が国際通信に参入するのであれば、これまでここで申します意味の国際通信ユニバーサルサービスを負担してきたKDDにだけ負担を続けて負わせるのではなくて、NTT長距離だけでなくほかのNCCの方の国際通信会社も含めて、国際通信ユニバーサルサービスを保持するための、例えばユニバーサルサービスファンドのようなものが必要である。これは非常に大きなことでありますから、法律に書いて決めるべきが至当であろう、法律に書かないで後に政策で決めるというのは、問題の大きさに比して適切ではないと個人では思っております。以上であります。
  142. 矢島恒夫

    ○矢島委員 東参考人にお聞きしたいのですが、先ほど来出ている問題の一つでありますけれども、メガキャリアやフラッグキャリアと呼ばれるような巨大な企業との大競争展開されるという状況の中で、東参考人も先ほど長距離市場競争の激化という言葉を使われました。ある本によりますと、日本長距離事業者は今のままではだめになってしまうというような極端な書き方をした本もありました。確かにMCIやあるいはドイツ・テレコムですか、いろいろ会社の提携だとか合併だとかそういう方向がどんどん進んでいることも事実です。こうした中で、NCCとしても大変な状況の中での競争ということになるのだろうと思うのです。  こうした中でどうするのかという問題なんです。先ほど、前の質問者のお答えの中で、一つ長距離NTTが参入することによって経済戦略が立てやすくなる、日本通信産業活性化につながっていくだろう。活性化はいいのだけれども、実際にその中で本当に生き残っていくというのは非常に熾烈な戦いだろうと思います。そういうような中で合併に積極的に対応していく、ちょっと私正確な言葉かどうかあれですが、というようなお答えをなされたのではないかと思うのですが、そういう他社との提携あるいは合併、こういうものを積極的に進めていくんだというのがいわゆる経営戦略の中の一つとしておありになるのか、具体的な作業を今進めていらっしゃるのかどうか、この辺についての具体的な範囲内でお願いしたいと思います。
  143. 東款

    ○東参考人 これからの非常に激化する競争の中でNCCが生き残りをしていくにはどうするのかというような御趣旨だと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、当然この通信サービスというのがグローバルな意味でシームレスになっていくという流れを考えますときに、今のNTTも含めました日本の全体の通信事業体がこのままでいいのかということで、その中の一つとしてNCCがあろうかと思います。具体的には、日本テレコムさんとITJさんがこの秋には合併されるというようなことももう既に出ております。いろいろ雑誌等によりますと、今回のこの法案が決まれば一気に加速するであろうということも言われております。  当社にとってどうかという御質問ですが、これは大変申しわけありませんが、私ことでございますのでお答えを差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、流れといたしまして、やはりそれぞれ世界じゅうのどの事業体も単独ではやっていけない時代に来ておるんだという御理解をしていただくのが正しいのではないか、それから我々もその例外ではあり得ないということだと御理解いただければと思います。
  144. 矢島恒夫

    ○矢島委員 続いて東参考人にお聞きするわけですが、NTT分割再編のやり方が持ち株会社方式になったということで、報道によりますと、あれは分割ではないんだという報道をしたものもあります。NTT地域独占ということは変わらないんだ。確かにそういう状況の中で公平、公正な競争ということで、NCCとしても公正な中で、対等の立場競争する、その結果はだめであっても甘んじる、その辺はもう少し頑張ってもらいたいと思いますけれども。持ち株会社方式ということで、分割したけれどもそこにあるから、東だろうと西だろうとあるいは長距離通信だろうと、結局のところ独占ということは変わらないんだ、そうすると本当に公平、公正な競争ができるだろうかという疑問もあるわけです。  忌憚のない御意見ということで、こういう点がまだクリアされてないんだというようなところがございましたら、今までもう既に接続ルールの問題などについてはお話がございましたので、そのほかに、こういうところもこれからの競争の中では非常に重要だというような点について、御意見ございましたらお聞かせいただければと思います。
  145. 東款

    ○東参考人 公正競争を担保するということにつきましては、先ほど来申し上げておるとおり、また今の御質問の中にもありましたように、接続ルールの透明化、あるいはコストの公正化ということが一番の原則でございまして、たとえ地域会社東西に分かれてそれは地域独占であるといっても、すべてのキャリアがそことの接続につきまして公平な、公正な条件で得られるのであれば、公正な競争成立するというぐあいに考えるわけでございます。したがいまして、私どもが一番これまで悩んでまいりましたのは、NTT長距離地域を一体として、全く一つ会社であって、したがって、内部補助があっても、それが我々としてはどうにも指摘できない。  持ち株会社についてはいろいろな問題も指摘されておりますが、少なくとも経営形態としては別会社になるわけでございますから、そこでの相互補助、特に長距離部門との内部補助というのはなくなるというぐあいに考えておりますし、また、持ち株会社そのものも、私どもは、企業を経営していく上の一つ形態でございますので、持ち株会社であるからということの議論も、これも、ある局面を強調すればそうかと思いますが、これに適切な運営、あるいは適切な行政の監視があればいいのではないかなというぐあいに考えております。  以上です。
  146. 矢島恒夫

    ○矢島委員 また鬼木先生の方に戻らせていただきます。  やはり、ユニバーサルサービス、今度は国内の方の問題、レジュメでいきますと〔1〕のDの責務の規定のところに関係する事柄なんですが、既にこの問題についてはいろいろと御質問も出ておったようでございます。この問題がやはり種々論議されてくる中で、東西NTT競争する、そうすれば料金サービスに当然競争の中で格差が生じてくるということとの矛盾を、先生おっしゃっていらっしゃるとおりなんですけれども、今度出されている案によりますと、持ち株会社が上に乗る、それで三年間は東から西の方へ、多分西が赤字ですから、そちらに補てんする。しかし、三年たった後のことはどうなるのだろう、当然サービス料金格差が生じてくるだろうと私たちは考えているわけです。  そこで、ユニバーサルサービスというものについて、郵政省当局にこの問題を聞きますと、電話に限っているような考え方ではないかと私は思うのです。同時に、今度の分離、分割再編によってサービス向上するんだ、こういうことを何回も答弁の中で言われているわけです。しかし、今の情報通信分野では、今後一層多様なサービスというものが、電話だけではなくて、いろいろなサービスが行われてくるわけです。そういう中で、東京では受けられるけれども九州ではだめだというようなサービスとかというようなものが生じてくるだろう、こんなふうに思うのです。  そこで、これは電通審の中でNTTの児島前社長が言われたことだったと思うのですが、分離分割に伴う膨大な作業が必要だ、こういう分割のための、あるいは再編のための作業をやるということが、マルチメディア実現に必要な、例えばオープンコンピューターネットワークの構築だとかあるいはアプリケーションの開発導入に支障を来して、早期にマルチメディアサービス提供するということが困難になるというようなことを言われたと報道されています。  私、考えるに、このことは本当だろうと思うのです。やはり、分割再編していかなければならない、そうすればそれに対する作業はかかる、いろいろなコストもこれに必要になってくる。そうした中で、分割することが必ずしもサービスをどんどん向上させるというのにすべてつながるものではないというのが本当のところだと思うのですけれども、この分割再編を行っていぐ中におけるサービスの問題、これについての先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  147. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 お答えいたします。  私個人の考えという感じが強いかと思います。  最初に御質問にありましたように、ユニバーサルサービスの実現のためには、分割しない方が便利であります。これは、何もユニバーサルファンドとかそういうことを使わずに、自然に国内全部サービスを一元化して行き渡るからでありまして、これが従来のNTTの行き方であります。  しかし、他方、これは御質問の趣旨にはなかったのですけれども、やはり複数の主体をつくるということは、相互に刺激し合って、例えばJRの例だけ見てもある程度は言えるかと思いますが、プラスがかなりあります。それから、地域会社のように東と西に分かれて相互競争ができなくても、ある程度相手を見ていれば、あっちのやっていることでこちらがやれないことはおかしいとユーザーから言われますから、やはりそこに一種の刺激があります。そういうことで、一般的に、大き過ぎるものを小さく分けることにもメリットがございます。  その両者の兼ね合いということでありますけれども、やはりこの時代になってNTTが何も手を触れずに全国一体のまま、現在のまま続くというのは、これはいろいろ考えてみても、ちょっと大き過ぎる、このままでは非効率だけが強くなるという感じを全般的に私は持っております。したがいまして、ユニバーサルサービスのためには不便ですけれども、何かの形で分けた方が合理的であろうと。  実際、これはNTTさんの少し悪口になりますが、私は、関西に住んでおりまして、淀川区のところにNTTの支店がございまして、そこの「お客様懇談会」というのが、NTTの側から言いますから「お」がついていますが、そこに出ておりまして、そこの話を時々聞く機会があります。実は本社に行っても時々お話を聞く機会があるのですが、全く同じなんですね。本社で言われることと、本当に末端の支店で言われることと、判で押したように同じことで、一体どこに工夫があるか、同じことの繰り返してはないかということを何度も感じました。  この例でいいますように、一つ組織になりますと、一つのアイデアだけがずっと支配しますので、創意工夫とは言われてもそろって創意工夫をするという形で、なかなか新しいことが出てきません。だんだん電気通信が高度化してまいり、サービスも豊富になっていろいろな多様化が進む中で、マイナスの面が大きくなってきたのではないか。したがって、この時点では、ユニバーサルサービスは維持するべきだと私は先ほどから個人の意見を申し上げておりますが、そのため、かなり手間はかかるし、それからもちろん分割のためのいろいろなコストがかかりますが、何千億円かかっても一時的なコストでございます。六兆円からの売り上げがありますので、それは我慢して競争させて、ユーザーのためになる方がいいのではないか、全般的にはそういうぐあいに感想を持っております。
  148. 矢島恒夫

    ○矢島委員 鈴木参考人にもお聞きしたいと思ったのですが、実は質疑時間が終了をいたしましたという紙が届きました。まことに残念ですが、またの機会に、そういう機会がございましたら質問させていただくということで、本当にありがとうございました。
  149. 木村義雄

    木村委員長 横光克彦君。
  150. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  参考人皆様方、本日は本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  東参考人の先ほどのお話の中に、普通の産業で三年かかることが電気通信事業分野では一年で変わるという、激しい技術革新のお話がございました。そういったデジタル技術の発展に伴うメディアの融合等、日本情報通信産業の現状、そしてまた将来展望はどういうふうにお考えになられているか、お聞かせいただきたいと思います。
  151. 東款

    ○東参考人 これは、先般公表されました電気通信審議会の通信政策部会の二十一世紀ビジョンというものがございまして、それによりますと、情報通信分野の市場規模といいますのは、一九九升年では二十九兆円、GDPの約六%程度であったと思うのですが、これが二〇一〇年には約百二十五兆円にまで拡大するというぐあいに見込まれております。また、これはボリュームの面でございますが、質の面におきましても、高度化によりまして、在宅学習でありますとか在宅勤務、在宅医療、あるいはCALS、ITS等の国民生活全般にわたりましてこの効果が享受されるということになるであろうということを言われております。  このように、国民生活のありとあらゆる部門にこの情報通信というものが入り込みまして、それを担います情報通信産業といいますのは、これは将来、産業国民生活全般のリーディングインダストリーになっていくのではというぐあいに考えております。
  152. 横光克彦

    ○横光委員 国民生活にとりましても大変に期待の持てる産業であるというお話でございました。  NCCとして、NTTが現在の形態であることから、公正有効競争の面で不利を受けることがあったと思うわけですね。それが、今回の改正案でどのような点が解決されるとお考えでしょうか。
  153. 東款

    ○東参考人 これは、今回の関連法案、特に、NTT法事業法改正によりまして、一つは、NTTの構造変化といいますか、長距離部門と地域に分かれる、こういう形で、しかも、その地域長距離の関係が我々と全く同じ形になりまして、公正競争条件がまず一つつくられた。さらに、事業法改正によりまして、接続ルールの明確化及び接続料金、コストの問題、この辺がすべてクリアされ、しかもルール化されて、特に、地域会社は、地域のドミナントな支配力を持っているわけでございますので、そういった接続に対しては、だれに対しても公平に、公正に応じるように約款化を義務づけられております。  そういった形で、現状と比べますと極めて大気な変化がございまして、この結果によりまして通信市場というのが大きく活性化するというぐあいに考えております。
  154. 横光克彦

    ○横光委員 全く同じ形になるというお話もありましたが、今回、先ほどからお話がございますように、持ち株会社方式による再編成でございますね。長距離NCCがNTT長距離会社と同等の条件競争できるとお考えでしょうか。
  155. 東款

    ○東参考人 ただいま申し上げましたように、持ち株会社方式といいますと、これは企業経営の一つ形態であると思います。むしろ、それの運営についての、あるいはやり方についての決めというのがいろいろ新しくあるわけでございまして、そういう関係から申し上げまして、少なくとも長距離部門につきましては、NTT及びNCC長距離各社、今度はまたKDDさんが入ってこられるかもしれませんが、いずれにしても、そういったサービスをする各会社条件というのはイコールになったというぐあいに考えております。
  156. 横光克彦

    ○横光委員 今回の再編成は資本関係が切れておりません。そういった意味で、依然として巨大なNTTグループが残ることになるわけです。先ほど鈴木参考人のお話にありました、大きいことが強いとは限らないということもございますが、いずれにしても巨大なNTTグループが残ることになる。このことについてどのようにお考えでしょうか。
  157. 東款

    ○東参考人 確かに御指摘のとおりでございますが、これまで、過去十四年間、この問題が議論されながら答えが出なくて、そのためにいろいろな意味での立ちおくれを生じた、それが、ようやく今回これによって解決を見るということと、私どもの立場からいきまして、今回のこの持ち株会社方式をとったとはいいながら、これが現時点においてはまず適切な解であろうと思うわけでございます。  それと、先ほど御指摘ありましたように、通信というのはいろいろな意味で非常に変化が激しくて、技術の進歩も激しいという世界でございますので、今回取り決められたことが今後長年にわたってそのままでいいという保証はございませんで、当然、いろいろな条件が変われば、その都度これは見直しをしていただくということが必要になってくると思います。
  158. 横光克彦

    ○横光委員 現時点では適切だというお話でございました。  今回の改正案の主要目的は、公正有効競争確保にあると言われております。公正有効競争が一番問題になるのは、やはり地域通信だと思うのですね。  これまでの議論、例えば、電通審の議論の中でも、どのような形が地域通信において最も望ましいのかということが結局は明確にはできなかったと思われますし、この改正案でも、率直に言いまして、この点が解決しているというふうには思えないわけでございます。地域通信あり方というのは極めて不透明でよくわからないというのが大方の気持ちではなかろうかという気がするわけです。公正有効競争ユニバーサルサービスは相入れない、矛盾するではないかという指摘も残っております。  そこで、地域通信において公正有効競争が理想的に行われる最終の姿をどのようにお考えになっているか、東参考人にお聞きしたいと思います。
  159. 東款

    ○東参考人 どうも私どもは実務家でございまして、目の前で、実現可能で、その中のベターな解を求めるというのが習い性になっておりますので、先生のおっしゃる極めて理想的な絵というのが何だということになりますと、これはなかなか、一言にすればいわく言いがたしというところもございましょうし、それから、申し上げたように、条件そのものがどんどん変わっております。今までは、電話というのが大きなマーケットといいますかほとんど一〇〇%であって、それを前提にして、地域長距離ということが議論されておりました。その限りにおいてはこの構造問題というのは存在するわけですが、今回の法改正でその部分は改正される。  しかし、通信そのものが今どんどん変わりつつあるという中にありまして、地域とは何ぞやということ、そのこと自体の議論が、将来にわたって果たしてどの程度意味を持ってくるのであろうか。むしろ、通信そのものがシームレスな方へ行く、お客様にとっては一地域であろうが、長距離であろうが、国際であろうが関係なしに、要は一つ事業者一つのナンバーですべてのサービスを行ってしまう、そういうサービスがこれからどんどん実現するとなると、そういう議論そのものが、果たして将来にとってどれくらい意味があるのかなというのは、ちょっと、実務家として、よくわかりませんというところでございます。
  160. 横光克彦

    ○横光委員 今回の改正案で比較競争が始まると思うのですが、これが公正有効競争に効果があるとお思いでしょうか。
  161. 東款

    ○東参考人 これは、先ほど来申し上げておりますように、今回の改正によりまして接続ルール条件というのが透明になる、しかも、それが、今どちらかというと巨大な地域長距離一体型の会社のその地域部門に我々は頼らざるを得ないという極めていびつな形が是正をされますということで、これは、私どもの立場からいけば、極めて公正な競争条件がつくられたというぐあいに考えております。
  162. 横光克彦

    ○横光委員 ちょっと細かいことをお聞きしますが、地域の中で、各家庭に競合して線が張られて競争するような状態はあり得るとお思いでしょうか。
  163. 東款

    ○東参考人 この辺になりますと技術の分野でございますので、私が申し上げることが適当かどうかわかりませんが、今いろいろ議論されている中で、例えば、CATV会社さんが通信機能を持とう、これは、もう既にCATV会社さんがそれぞれの独自のネットワークをお持ちだ、各家庭に引いておられる、あるいは、地域の電力系の会社が、電柱があるので、それを使ってケーブルを引けばすぐ引けるじゃないか、あるいは、無線を使ったらどうだろうかというようなことで、かなりいろいろな形でのオルタナティブな可能性というのが議論されている。それが夢物語ではなくなりつつあるという状態ではないだろうかと考えております。
  164. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。終わります。
  165. 木村義雄

    木村委員長 小坂憲次君。
  166. 小坂憲次

    ○小坂委員 私は、太陽党の小坂憲次と申します。  それぞれの参考人皆様には、本日、委員会にお越しいただきまして、まことにありがとうございます。  午前の委員会におきましても参考人皆様に同じことを申し上げたのでございますが、事前にいろいろとお話があったりして、お聞きいたしますと、参考人の関係の方から、実は私はこういう方の推薦で参考人になるはずでありますのでとか、そういうような御意見がありまして、お立場として、やはり、推薦者を意識されて発言をされるような傾向があっては困るなと思ったものですから、大変失礼かもしれませんが、やはり委員会として参考人においでをいただいておりますので、自由な立場で、御専門の分野の知識に基づいて、忌憚のない御意見を、先ほど来もう御公表いただいておりますが、さらにお願いを申し上げたいと思います。  私は、基本的な自分の立場を申し上げておいた方がよろしいかもしれませんが、今回の電気通信事業法NTT法KDD法改正に当たって私どもが求めていますものは、弱体化したNTTをつくることでもありませんし、また、非常な過当競争に疲れ果てて新規参入会社がそれぞれ疲弊化していくことを望んでいるわけでももちろんございませんし、世界各国メガキャリアと十分に対抗し得る、体力ある情報通信会社をつくることでありますし、また、それぞれの国内における公正有効競争を進めて、そういう意味から本来の電通審で目指されてきたものに一歩でも近づけることが必要なのではないかと思っているわけであります。  そういう立場から、今回の法案は、ある意味で中途半端であるな、どちらから見ても中途半端なものになっているなと思うわけであります。しかし、現時点で何らか決断を出さなければならないというところでここまで来ていることも事実であります。そんな意味で、それぞれの皆さんの立場と比べますと、鬼木参考人の御主張に非常に近い部分があるような気がいたしております。  さて、近時の情報通信の進歩は非常に目覚ましいわけでありまして、技術的な進歩も、今までボトルネックと言われた加入者線に関しましてもPHSのようなものが出てきた。PHSの情報伝達速度も、最近では六十四Kまで上げることができるようになってくる。そうすると、ISDNと匹敵してくる。そうしましたら、今度は米国のADSLというような新たな方式が出てまいりまして、ISDNの十倍もの通信量を、情報伝達を現状の電話線で搬送できる、こんな技術も出てくるように言われております。  こういったような目覚ましい進展、そして衛星通信のように、実際に衛星を使いながら、発信者、受信者が国内にいる、あるいは発信者と受信者が、受信者は国外にいるというような場合、こんなふうに考えてまいりますと、国内国際とか、長距離地域とか、そういった区分はもう今や無意味になってきている。そしてまた、第一種通信事業者と第二種という区分に関しても、これは光ファイバーの普及によってその情報伝達量が非常に飛躍的に、多重伝送等の方法が開発されてまいりますと、これまた借りてやっても自分で敷設しても余り違いがなくなってくるような状況になってくる。  こういう状況において、それぞれの参考人に御意見をお伺いしたいと思っておりますが、こういった現状の市場区分に関する概念、それから現実の電気通信事業法に言う一種、二種という区分、これに対して、三年後の姿としてこういうものが存続することが必要だとお考えでしょうか。  それぞれの参考人にお一人ずつお願いいたします。
  167. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 お答えいたします。  やはり個人の考えでございますが、御指摘のように技術進歩の傾向は非常に速くて、PHSでは六十四Kが実現して、データ通信もできる。それから、国内国際の区別についても、例えばインターネットなどは最初から国内国際という区別が実質上ございません。どこでもすぐにつながるということになっております。  御質問の一種、二種の区別というのはかなり古いものでございまして、アナログ電話、つまり今のISDNとかPHSとかが出る前の古い時代のモデムを使ったデータ通信時代に、ちょうど一種、二種に対応する区別がそのころありまして、電話を行っている電話事業は一種、それからモデムを使って細々とデータ通信するのが二種というぐあいに事情が分かれておりまして、それを反映してつくられた区分だと思います。  そういう意味では、当然現在のデジタル技術が発展した時代では、もう古くなってしまって、意味が少ないと思っております。  具体的には、しかし、一種、二種を直接撤廃して、今度は設備を持っている一種事業者が、設備を持たない二種事業者と、同じところもありますけれども、やはり独占力が残っている部分がありますから、そこの力を使って自由に価格を高くつけたり安くつけたりしますと弊害が出ますので、全く自由化することはまだ不可能だと思っております。  具体的には、私先ほどちょっと申し上げた提案になりますけれども、上下区分という形で、一種の事業者の中で二種的な事業を例えば会計的に区分して、一種の事業者の二種事業は水平的に二種事業競争をさせる、そこは全く自由にする、一種の残りのインフラの部分は、必要な部分は規制を残しておく、特に地域通信のアクセスの部分ですか、そういう方策が考えられるかと思います。
  168. 東款

    ○東参考人 確かに国内、国外、あるいは長距離地域、こういった業務区分に関しましては、私も先ほど来申し上げておりますように、これはもう当然なくなっていきますし、また、特にNTTKDD以外は、そういう制約はきょう時点においてはございませんので、この辺はむしろ事業会社がどういうビヘービアで、どういう戦略でサービスをするかということにかかっておると思います。  もう一つの、一種、二種というこの問題は、今、先ほど先生の話もありましたけれども、事業者立場からいきますと、やはり私ども第一種というのはネットワークを持っております。これはネットワークが商品として強いということと同時に、裏返しとして、このネットワークそのものが、サービスを保障する社会的な責任みたいなものがございます。二種事業者になりますと、そういった意味での責任というのからいくとちょっと薄いのではないのかな。しかしサービス面では同じレベルで競争せないかぬところがございますので、この辺につきましての、サービス料金の同等性というのにつきましては、いろいろな規制等につきましても見直していただく必要は今後出るかと思います。  以上でございます。
  169. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 御指摘の長距離地域、あるいは国際国内、この問題については、ただいまの参考人のお答えのとおりかと思います。  NTTKDDに対しては直ちにはそれは認めることはできないということになるのは、今、先ほどから申し上げておりました独占体質というものが、やむを得ない規制としてなっておるわけでございまして、ある意味で非対称規制を課さざるを得ないというのが残念な次第だというふうに思うわけであります。  それから、一種、二種について、私もいろいろ考えておるのですけれども、こういう仕分けは日本はした。アメリカはベーシックとエンハーンスドというので、じゃ、エンハーンスドとベーシックはどうだといったら、行ったり来たりというような形でやっておるようですけれども、一つの着眼の問題、どこに目をつけるかという問題じゃないかというふうに思うのです。例えば今後は、無線等でやってまいります場合にはそうではありませんけれども、一種事業者が有線で、電柱を使い地下を掘って、そしてそういうものをやるというような場合には、これは公益事業特権といいまして、いわゆる道路だとか他人の土地を、場合によっては収用をかけて借りるというようなことも必要になってくることがあるわけですね。  ですから、需給調整条項は同時にいわゆる公益事業特権というものと絡みつく面もある、そういう問題があるがゆえに、それでしかもその公益事業特権というようなのは、一種事業者に対しては引き続き認めてもらおうというのが九五年の行革規制緩和委員会答申であって、現実にそういうふうな形になっておるわけですね。  そうなりますと、ある程度他人さんのところを入れるわけですから、ある程度技術上の、需給調整はいたしません、しかし技術上の基準というものをやはりチェックするという今のシステムというのはやむを得ないのかな。だれでもいい、届け出さえすれば他人の土地を掘ってもいい、こういうわけにはいきませんものですから、その区分というのはある程度必要なのかな。従来はそれを官が需給調整して、官が必要だというふうに認めた、認めたから公益事業特権だ、こう結びつけておったのですけれども、その論理はおしまいということになっておりますので、どう区切るかの問題ですけれども、いずれにしても二種は規制はほとんどないということでございますので、一種の問題と二種の問題というのは、むしろ、一種の規制というのを、どんどん競争状態をつくって料金規制だとか参入だとか体質というのはもうどんどんなくしてしまうというのが、これが正解じゃないかというふうに私は思っておるわけでございます。
  170. 小坂憲次

    ○小坂委員 ありがとうございました。  さて、KDDについてでありますが、歴史的な経緯もありまして、NTTKDD総発行株式の九・九九%所有している状態になっております。今回のNTT法改正によりましても、長距離会社法律の施行前であっても国際通信会社に出資をしてその目的を達成することができるとなっております。この法律の中にはKDDに出資してはならないという明文規定はございません。こういう状態をそれぞれにどのようにお考えか、御意見を伺わせていただけますか。それぞれの参考人お願いいたします。
  171. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 簡単にお答えいたします。  私は、持ち株会社が直接あるいは間接に自分の傘下にある長距離あるいはその国際部分のNTTの株を持ちながら競争相手の株を持っているということは、独占禁止の精神には少なくとも反すると思います。明文の規定があればもちろんよろしいわけですけれども、明文の規定がなくともそのような状態、つまり競争を阻害するような状態は排除する必要が少なくとも原則的にはあると考えております。
  172. 東款

    ○東参考人 今度の新しいNTT長距離会社は完全民営化されるということを聞いております。したがいまして、これはいわゆる我々と同じ純民間会社になるということになりますと、純民間会社の経営のビヘービアに従って行動するということに対してはだれも、独占禁止法という別の観点からのチェックがない限りは原則自由ではなかろうかというぐあいに考えております。
  173. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 今のコンストラクションについて私の全くの個人的な見解を申し上げさせていただきますと、長距離部門の完全民営化ということは法の上では書いてあります。したがって、理屈の上ではKDDの株を持っていい、こういうことになるのでしょうけれども、しかもNTT法の適用はないからなるのでしょうけれども、しかしその長距離部門というのは、これはいわゆる特殊会社であるNTTの子会社であるということで、いわゆる持ち株会社の中に包括されておるわけですね。というので、そういう立場の中で、今の民間法人だからという議論は直ちにやっていいのか。私は、むしろ特殊会社であるNTTの傘下、つまり持ち株会社の傘下から長距離会社が離脱した後の議論としてKDDの株を買うなら買ってもよろしい、もちろん、先ほどからの御答弁ありましたように、独禁法の規定への配慮は必要だというように理解をしておるわけでございます。
  174. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 失礼しました。先ほど忘れておりましたが、一言だけ別の分野の事実を御指摘申し上げたいのですが、放送分野でマスメディア集中排除の規定がありまして、御質問の趣旨と類似のケースにおいて、ある程度の限度を設けて資本の支配のようなものを排除するということがございます。似たような原理からこのケースも処理できるのではないかと思います。
  175. 小坂憲次

    ○小坂委員 先ほど鬼木参考人の、またこちらのレジュメの中にもございますが、持ち株会社方式は進退両用型で弾力的である、こういうことでありまして、すなわち、東西地域会社やってみたところ、さらに細分化することにもあるいは再統合することにも対応できるような今回の形態である。こういうことをおっしゃいましたが、同じように、地域会社長距離会社に対しても、持ち株会社ということを通じれば再統合することも可能であるということにもつながってくるわけですね。そして、今日までの質疑の中で、長距離会社の株式を一〇〇%所有している持ち株会社NTTはこれをいつ放出するかと聞きましても、当面はこれは考えていないという状況であるわけであります。  これを考えた場合に、公正有効競争が十分やっていける、このようにそれぞれの、それぞれのといいますか、この点につきましては鬼木参考人と東参考人にお伺いしたいのでありますが、これでよろしいというふうにお考えかどうか、御意見をいただけますでしょうか。
  176. 鬼木甫

    ○鬼木参考人 失礼しました。御質問のポイントがちょっとよくわからない点が残っておりまして、持ち株会社が将来の不確定な時期に政府保有株をどれだけのスピードで、どれだけの量を放出するか判然としない状況では、競争実態に阻害が生じ得るのではないかという御質問と推察してお答えいたしますが、政府保有株の放出の問題は、NTT民営化の当初からずっと続いておる問題でございまして、これはいうところの、言葉は悪いですが、政府の失敗の一つのケースだったと私は考えております。  理由は、当初、民営化するときに、政府が株を保有するということはよろしかったのですが、その放出のぐあいを決めないままで残してしまって、市場のぐあいを見ながらというあいまいな形で民営化を実施したために、投資家の期待する方向とそれから政府が売りたい株の値段とかそういうものがなかなか市場実態とは合いませんで、延び延びになって今日に至って、なおNTTあるいはもし実現すれば持ち株会社の将来の株主は非常に迷いながらの選択を強制されるということがありまして、例えば資金の調達にも影響があるということかと思います。  しかし、この事態は、つまり株の放出の可能性があるという事態を今さら消すわけにもいかないし、いっと言うこともなかなか難しいので、もしこの時点で私が案を出すといたしますれば、かなり先の長期で具体的な放出計画を決める。一年や二年先では影響が大き過ぎますから、例えば五年先でも十年先でもよろしいんですが、現在の政府保有株はどこどこの限度までどのスピードで順次放出する、その際は市場の値段が下がろうと何だろうともう機械的にどんどん売っていく、市場はそれを織り込んで値段をつけてほしいということで、現在漂っております不確実というのでしょうか、先行きが見えないという状況をなるべく早く、しかしそんな性急ではなくて何年かの、十年とか十五年とかの時間をかけて解消して、民間の株主が通常の株と同じようにNTTの業績だけを見ながら、つまり政府の政策は考えないでも株が保有できるような体制に変えるのが妥当ではなかろうかと個人的には考えております。
  177. 小坂憲次

    ○小坂委員 ありがとうございました。  実は、今のお答えをいただきました部分は、この次に質問しようと思った、株を政府がまだ三分の二持っていることについて鬼木参考人意見をいただきました。実は、その前に質問したことが明確でなかったために失礼をいたしました。  東参考人と鈴木参考人にそれではお伺いいたしますが、ただいま質問を申し上げようと思ったのは、先ほど鬼木参考人の御意見の中で、今回の持ち株会社方式というのは進退両用できる、要するにバックギアも常に入るようになっている、こういうことでありました。すなわち、地域会社長距離会社も実施後に、いろいろ考えた末にまた変えようと思えば持ち株会社判断によって再統合することもできるのではないかというふうにとれるわけであります。それに対して、鈴木参考人は現在の保有株は放出すべきでないということもおっしゃったわけですね。  それと重複して考えましたときに、持ち株会社方式というものは、果たして分割の効果が出る、競争を促進する、公正有効競争を出すということにおいて効果があるというふうにそれは結論づけられるのだろうかという点について、東参考人と鈴木参考人の御意見を伺いたいと存じます。
  178. 東款

    ○東参考人 これは全く私の私見でございますが、持ち株会社であるということと、したがって経営はすべて一つということが重なる部分と重ならない部分があるのではないのかな。持ち株会社であれば、一つ会社の一事業部門と全く一緒であるということと常に同一に議論することが本当に正しいのだろうかといいますか、実態に合うのだろうかということについて、私は必ずしもそうではないのじゃないのかなという感じもするわけでございます。  それはそれとしまして、今回の分離分割のストラクチャしというのが、私どもの理解しているところでは、とにかく持ち株会社と、東西地域会社はこれは持ち株会社の中の特殊会社である。しかし、長距離部門は民間会社であります。民間会社であるということは、当然これは株式上場して、大勢の不特定の、いわゆる他の民間会社と同じ土俵の上に立つ会社であるというのが今回の裁きであろうというぐあいに考えております。  問題は、そのタイミングがいつかということだと思うのでございますが、少なくとも、もしこの法律がこの国会成立したとしましても、恐らく会社としてのリードタイムからいけば、一年半とか二年とかという先でないとそういう形が実現しないであろうというぐらいの時間はかかると思います。しかし、少なくともその一年なり二年先に完全に長距離部門が民営化される、いわゆる他の事業会社と同じレベルの会社になるということが担保されておるのであれば、私は今回のこれが、この二つを合わせれば十分ではないかというように考えます。
  179. 鈴木良男

    ○鈴木参考人 今の御質問は、大変重要な問題を御指摘なさっておると思うのですね。私もその点を危惧いたしております。  と申しますのは、自由に変えられることができるということを言ったけれども、だれが自由に変えるのだ、この問題が一番問われなければいけないわけですね。このスタートのラインで、あのままで株式を放出することは臨調答申は全く予定してなかったけれども、全一体にするという形でまずスタートをかけてしまった。そしてそれを、昔の話です、十五年前の臨調の話、それを地方に分割するという、私はこれは失敗したと思っていますけれども、そういうスタートをかけちゃったら、直ちに大蔵省は株を売っちゃったわけですね。そんなこと全然予定してなかった話なんです。  全一体で出して、早く自由にして、そしてそれから分割して、地方から売りなさい、最後に中央を売りなさいと臨調答申には書いてあるのです。それを逆にやって、民営化して、特殊会社にしたらすぐ売っちゃったのですね。お金は欲しいとなったら、要するになりふり構わないのが天下の大蔵省であって、さっきおっしゃった話も、自由にやっていく、それでこの形で国民合意を得て一応問題解決だ、これは民営化の方向だ、今特殊会社と言っておるけれども。こういう話をして、さあ売ろうということで売っていって、半分以上売ったら、そうしたらもう国家が後で何のかんの言って取り戻そうといっても、それは無理です。  まさに今十電力の発送電部門を分離しようということを言うのを、それも私は考えたのです、電気事業分野の規制緩和の問題について。しかし、それは私はちょっと無理があるということを考えて、今の問題というのは、まさしく放置しておきますと株を売ってしまう、大蔵省は。大蔵省は株を売ってしまうと、次第に国家のものではなくなる。なくなったときには経営は自由に決めていく。もちろん株主の相談というけれども、たくさんある株主ですから、それの自由になっていく。そのときになって、やはり一本がよかったというふうにやっていかれたときに、どうやってとめるのですか、NTT法でそれをとめられるのですかといったら、とめられないという領域に陥ってしまう。これが抱えておる一番危険な問題だというので、ただいまの御指摘というのは、御判断なさるときには私は十分加味されてお考えいただきたい。  だから売るな、大蔵省、売らせてはならない。しかし売るべきだ、それはということになると愚痴になっちゃいます。もう言いません。本筋に戻るべきだ、こういうことを言いたいわけです。
  180. 小坂憲次

    ○小坂委員 時間が参りましたので質問を終わりにいたしたいと存じますが、ただいまの東参考人の御答弁を聞きますと、一年ないしは二年ぐらいの期間にはやはり長距離会社の株は放出されるべきだという御期待をお持ちのように承りました。実際には二年半ないしはそれ以降だというのが現在までの答弁である程度明らかになっておりますが、そういった御期待を踏まえながら今後の対処方針を決めてまいりたいと存じます。  本日は、長時間にわたりましてお答えをいただきまして、心から感謝を申し上げて質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  181. 木村義雄

    木村委員長 以上で午後の参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  次回は、明二十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散会