○北村(哲)
委員 結構でございます。もしそこまで否定をされて、万一また出たというときにはゆゆしき問題になると
思いますので、慎重な調査をお願いしたいと
思います。
さて、私は、本日この
NTT関連三法についての
質問をいたしますが、先日同僚議員の山花議員が述べましたように、この三法についてはすべて賛成の
立場をとっております。
ところで、私自身のことに関しますけれ
ども、私は、約三十年前に弁護士を開業して以来、多くの労働事件を担当してまいりました。当時は、公労法によって旧
電電公社を初めとする三公社五現業の労働争議は全面的に禁止されて、これを行った者は組合役員から一般組合員まで何らかの処分を受けたものであります。根拠となる
法律はあらゆる
法律が動員されて、公労法、あるいは公社法、刑法、暴力行為等処罰ニ関スル
法律などなどがありました。処分の内容は免職とか解雇あるいは減給、戒告、訓告に及んで、その過酷さと規模の大きさは今日では想像もできないものでありました。こうした処分によって、多くの労働者の
皆さんが貴重な人生行路を狂わされたり、あるいは家庭
環境に激変を来されたりしました。また、他面からすると、このような処分は、職場に極度の緊張をもたらして、管理職の皆様にも多大な犠牲を強いる結果をもたらしておりました。
当時、ある議員が国会審議の中で、雇用者の大半を不行跡者として処分しておきながら次の日から職務に邁進せよと言っている、これは異常な事態であり、矛盾のきわみであるということを言っておられたことを覚えております。これはまさに当時の労使関係を最も端的にあらわした表現でもあると
思います。
労働者が血を流して苦闘し、管理者もまた身
動きのできない束縛に苦しんだ長く不幸な
時代をくぐり抜けて、今般の知恵の結晶として十数年前
NTTは
民営化され今日のあることを、審議をする者として共通の認識を持つべきと
考えております。
そして、
情報通信産業の代表である
NTTは、過去においては国の中枢神経を担う基幹産業として、そして現代においては二十一世紀の一大戦略産業であると、昨日の郵政
大臣のお
言葉でありますけれ
ども、この
改正三法案を審議する私たち
委員会の審議については、
我が国のみならず
世界の耳目を集めていると
思います。直接の関係する者としても、六千万の
電話加入者、大多数を個人で占められる百六十万人の株主、さらには百数十の
関連子会社とそこで働く二十万人を超える
NTT関係者の労働者あるいは
KDDの関係者、
考えればその審議の重要性は明らかであります。
そしてまた、今まさに来年の新卒者の就職活動たけなわです。
NTTは人気、求心力ともに抜群であります。私たち審議に当たる者としましては、これら前途有為の若い皆様にも、
再編後の
NTTの姿あるいは
KDDの姿を明確に示しておく必要があると
考えます。
そこでまず、この三法とは少しずれますけれ
ども、独禁
法改正による持ち株
会社の解禁について別の
委員会で審議され、既に議了されましたけれ
ども、持ち株
会社の解禁と労使関係についてお伺いしたいと存じます。
昨日の商工
委員会で独禁法の一部
改正が採決、可決されております。これは戦後解体された財閥の復活がないようにと全面一律的に禁止されておった持ち株
会社が、
事業支配力の過度の集中防止という独禁法第一条の目的規定を踏まえながら解禁されたのであります。これは
時代の要請でもあろうと
思いますが、これによって今回の
NTT再編成の前提条件がそろい、必要な
規制緩和を含む
関連法案が審議されていくことになります。
独禁
法改正に当たって、持ち株
会社のあり方をめぐっては、同法四章を中心として各方面での多くの議論が尽くされ、
委員会採決に当たっても附帯決議がなされ、幾つかの重要な問題について適切な措置を講ずるべきことが求められております。
私がこの中で強調したいのば、今まで積み上げられてきた労使関係が破壊されてはならないということであります。附帯決議の四項の中では次のように述べられております。
持株
会社の解禁に伴う労使関係の対応については、労使協議の実が高まるよう、労使関係者を含めた協議の場を設け、労働組合法の
改正問題を含め今後二年を目途に検討し、必要な措置をとること。
なお、右の検討に当たっては労使の意見が十分に反映されるよう留意すること。とされました。
独禁
法改正による持ち株
会社の解禁に伴い、労使関係にいろいろな問題を生ずる可能性が労使共通と認識され、労使関係専門家
会議あるいは連合、日経連、経団連の間でも精力的に議論が行われて、これを踏まえて与野党間でもぎりぎりの折衝が続けられたのであります。
これらの経緯と附帯決議の内容をどう受けとめておられるのか。
NTTを四社分割に
再編する過程と
再編後における労使関係においても、独占禁止
法改正の過程で問題とされた労使関係が形骸化することのないようにとの要請は重視されるべきだと
考えます。
NTTの
再編後の労使関係については、労使関係法令にのっとり、持ち株
会社及び各
事業会社の労使が当事者能力を有することとなりますけれ
ども、持ち株
会社及び各
事業会社における具体的な団体交渉方式については、これまで培ってきた労使関係に基づき、労使自治の原則に立って決定されるべきと
考えますけれ
ども、この点について
大臣はどのようにお
考えでしょうか、あるいはどういうふうに認識をしておられるか、御所見を聞きたいと
思います。