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1997-05-15 第140回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十五日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君    理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 伊藤 忠治君 理事 矢島 恒夫君       川崎 二郎君    佐藤  勉君       坂井 隆憲君    新藤 義孝君       棚橋 泰文君    中川 昭一君       野田 聖子君    野中 広務君       平沢 勝栄君    山口 俊一君      吉田左エ門君    赤松 正雄君       石垣 一夫君    遠藤 和良君       神崎 武法君    永井 英慈君       原口 一博君    北村 哲男君       山花 貞夫君    横光 克彦君       小坂 憲次君    吉田 公一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 堀之内久男君  出席政府委員         郵政政務次官  野田 聖子君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君  委員外出席者         大蔵大臣官房企         画官      岳野万里夫君         大蔵省主計局主         計官      南木  通君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社代表取         締役社長)   西本  正君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社代表取         締役社長)  山口  武君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      塚田 一幸君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)   宮津純一郎君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)  林   豊君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)  宮脇  陞君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)  井上 秀一君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役編成室長         兼企画室長)  木塚 修一君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   斉藤斗志二君     新藤 義孝君   園田 修光君     棚橋 泰文君   竹本 直一君     平沢 勝栄君   小坂 憲次君     吉田 公一君 同日  辞任       補欠選任   新藤 義孝君     斉藤斗志二君   棚橋 泰文君     園田 修光君   平沢 勝栄君     竹本 直一君   吉田 公一君     小坂 憲次君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第五四号)  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五五号)  日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七六号)      ————◇—————
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  本日は、参考人として、お手元に配付してあります方々に御出席をいただくことにしております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田左エ門君。
  3. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 自由民主党立場で、今話題NTT再編について少し質問をさせていただきます。  時計を見ますと、十時なんですね。私の頭の中ではすぐ二時間引く癖があるのです。なぜかというと、娘の留学先のインディアナ州ブルーミントンでは今、夜の八時になるんですね。きっとまだ帰ってないな、遊んでばかりいるから。こんなことがつい頭の中でめぐるのですね。  何を申し上げたいかというと、元気にやっているか、夏休みは帰れるのか、旅にある娘あるいは仲間でも友人でもいいですけれども、コンタクトが電話で簡単にとれる、ありがたい時代になったな。  かつては、外国電話をかけるなどというとお財布の中をまず気にしなければならなかったような時代です。そして、若くして三十年前にスイスの設計事務所でお手伝いをしておった時代ですけれども、お金がなくなってどうにもならなくて、ちょっとうちへ無心しよう、何のことはない床屋さんから借りた長距離電話が、あの山の中の村からぴたっと新潟の我が家へまで通じる、すごいなと思ったこのことと、今の日本のこれらに対する進歩度からすると、本当に、皆さん努力によって日本の今の電話通信、あまねく通信と申し上げていいと思うのですが、これは国際的なレベル、いわゆる国際的なスタンダードになりつつあるな、もう凌駕しているのではないかな、こうさえ思うわけです。  そんな中で、私の当面した今申し上げたようなことは、これは私の私見ですけれども、多くの皆さんが大体同じような感じで今手軽に電話通信を使い、そしてまたその享受を受け、便利だな、いいなと思っておられると思うのですね。  そんな背景の中で今起ころうとしている再編について、私はこんなことを考えます。グローバル化に向けて今行われようとしているNTT国際通信分野への進出は、根本的に好ましいものだと私は考えています。  そこでまず第一に、近年、情報通信国際競争が大変に激しくなってまいりました。いわゆる大競争時代と言われているゆえんもそこにありますね。郵政省にとりましては、こういう状況に、どのような考え方というか決心で対応していこうと思っておられるのか、まず、つかさでおられます 大臣一言お聞かせいただきたいなと思います。     〔委員長退席古屋委員長代理着席
  4. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 お答え申し上げます。  吉田先生も御案内のとおり、情報通信産業は今日、各国ともでありますが、経済リーディング産業として、そしてまた経済を牽引する原動力として大変な大きな役割を果たしているところであります。したがって、世界じゅうがその競争力強化に取り組んでおる分野であります。  このような情報通信産業の将来性を考えまして、また情報通信産業のグローバルな競争環境を念頭に置きながら、NTTを初め通信業者国際進出海外市場への進出を支援しながら、そして国内的には規制緩和の推進、競争環境整備などの政策を積極的に推進することによりまして、国際競争力のある通信事業者の育成に努めているところでありますが、今後我が国は、さらにこの情報通信産業国際の大競争に十分対抗できる体制を図っていく所存でございます。
  5. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 とかく、少し出おくれたのではないかというような危惧の言葉も聞かれますけれども大臣の今の意気込み、思い入れ、確かなものとして受けとめさせていただきました。せいぜいひとつ御努力、御指導をいただきますように。  次に、今回のNTTの再編成によってNTT国際通信分野進出できるようにしたというか、するのだ、このことについての意味合いをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  今回の再編成におきまして、NTT国際通信分野への進出を可能といたしましたのは、一つには、情報通信分野におきましては、技術進展背景といたしまして国内通信サービス国際通信サービス一体的提供への利用者のニーズが高まってきているということがございます。それからもう一点といたしましては、英国のBT、それから米国のMCIの合併に見られますような国際的な情報通信市場をめぐる環境変化がございます。  こういった情報通信グローバル化に対応いたしまして、情報通信分野における我が国国際競争力強化を図るということを目的とするものでございます。
  7. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 時代に即応していこうということだと思いますが、よく理解をいたしました。  次に、NTT再編成前においても子会社形態であれば直ちに国際通信が許可されると本法案ではなっているわけですけれども、これは国際化に対応する上で極めて当を得た、時宜を得たというか、いい的を定めているな、こう思われるのですが、似たような質問ですけれども、このことについても一言御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、情報通信を取り巻く環境変化に対応いたしまして、国際通信分野におけるグローバル化動きに対応していく必要があるわけでございまして、これにつきましては、再編成によりまして分離されます長距離会社が自由にこれを行っていくことができるわけでございますけれども、これには若干の時間を要するわけでございます。こういった世界的な動きに早急に、一日も早く対応することができるようにいたしますために、再編成前におきましても、NTT子会社の形をとりまして国際通信分野進出することができるようにしたい、そういう趣旨でございます。
  9. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 ところで、NTT国際通信会社出資する場合には郵政省の許可を要するとされておりますけれども郵政省はそのときに、これに向けてどのような考え方、あるいは精神の面も含めて臨むのかお聞かせいただきたいと思います。
  10. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 基本的には、ただいまお答え申し上げましたように、一日も早くこの分野進出して活躍を開始してもらいたいということがあるわけであります。  ただ、その際におきましては、このことによってNTTの本来事業に支障を及ぼすおそれがあるかないかということ、それからまた、他の国際通信事業者との間で公正競争条件が確保されているかどうかということについてもあわせて検討する必要があるというふうに考える次第でございます。
  11. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 わかりました。大体の流れはわかったのですが、はて、KDDが先んじてやっておられるこの分野に向けてNTT動き出すわけですけれども準備いかにという、心配まではしませんけれども、やはりそうしたことがちゃんと整っているのかな、こんなふうに思うのですが、このあたりはいかがでございますか。
  12. 宮脇陞

    宮脇参考人 御説明申し上げます。  国際通信サービスにつきましては、今現在の法律制度のもとにおきましても、日本から発信するあるいは日本に着信する、そういうものを除きましては、私ども欧米それからアジア等現地法人を持っているわけですが、そういうものを利用しましてサービス提供できるように準備を進めてございます。十分かどうかと言われますと、全力を尽くしているというふうに考えております。  そして、先ほど御説明にございましたように、今御審議中の再編成法が成立しますれば、御承認いただければ、再編成実施前におきましても、私ども子会社により国際通信進出できることになっておりますが、それをできるだけ早期にサービス提供体制を整えるべく今準備しているというふうに御理解賜ればと思います。
  13. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 わかりました。  NTTが、各国通信業者が激しく競っている現在の国際通信分野進出するわけであります。単にKDD等既存国際通信業者のお客をどうするかこうするかという、このことに限らず、我が国としては、むしろ既存国際通信業者では余り対応していない新しいジャンルといいますか、またそれをカバーできるような新サービスシステム提供して、海外事業者のマーケットの中へ食い込んでいくことも今までのNTT実績からすれば可能なのではないかな、こんなふうに期待をし、またそうあってほしいなと願うているわけでありますが、この辺についてはどんなお考えでございますか。
  14. 宮津純一郎

    宮津参考人 社長宮津でございます。  特に、KDD等既存通信事業者との関連NTTがどういうところをねらっているかというようなことについて御質問でございますので、それについてお答えします。  基本的には、三年ほど前からいろいろ言ってまいりましたが、時代がだんだん電話を超えて広がっていく、すなわち私ども言葉ではマルチメディアというような言い方をしていますが、電話だけではなくて、それがだんだんコンピューター通信、映像の通信になっていくというような時代に今流れております。それに伴いまして、新しいサービスがいろいろ出てきております。これが今国際的な競争になっております。  それで、実際には、電話のようにコンピューターコンピューターの間をつなぐということだけではありませんで、そのコンピューターから共通なり個別の情報提供する、そこから情報を得ていくという広い意味情報流通というふうなものが行われる時代に来ている。したがいまして、私どもサービス自体も、いわゆる電話というものから離れて、そういう広い意味情報流通というようなところに視点が移ってくるのではないかというふうに思っております。  それは現実には、情報を得ようとしますと、国内とか国際とかというような話ではなくなって、国を余り意識しないような格好に広がっていくのは当然だと思っておりまして、したがって、商品としてのいろいろなサービスネットワーク自体個々にそれぞれ国を超えて広がっていくというような時代になってくるのじゃないかというふうに思っております。  そういう意味で、国と国の中にそれぞれネットワークがあって、それを線で結ぶという発想ではなくて、商品としての個々ネットワーク自体国際化していくという時代ではないかと思いますので、そういう意味で、そういう商品を扱うということから、当然、今までの言葉で言いますと国際通信という領域に入っていかざるを得ないというふうに思っておりまして、現実に、大きな企業とか多国籍企業のような場合には、自分企業の中のネットワークを張ろうとしますと当然国際化していくわけでありますし、それから、既に外国国内通信自体もいろいろ今までも手がけてきてはおりますが、それが国際的に広がっていくという時代でございます。  したがいまして、そういう分野についてもかなり需要が出てきております。私どもとしては、従来の電話ということではなくて、新しいそういう意味サービスの切り口から事業発展を図っていきたいというつもりで、国際通信というようなことを手がけようというふうに考えているところでございます。
  15. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 当然国際化個々のチャンネルというかコネクションもそれぞれだというお話、よく理解ができました。  いろいろとNTTに向けて質問をさせていただいたのですが、早くからこの分野で頑張ってきておられるKDDについても一言質問をさせていただこうと思っているのです。というよりも、あなたも頑張りなさい、今まで以上にというエールも含めてでありますが、KDDの今後の国際戦略を聞かせろと言うと、それは言われないよ、ここでは、こう言われるかもしれませんが、何か、こうして今度は両者でやっていくという中での姿勢とか覚悟とかお考えをお聞かせいただければと思います。
  16. 西本正

    西本参考人 お答え申し上げます。  ただいまKDDへのエールも含めてとおっしゃっていただきまして、その叱咤激励に対して大変ありがたく感謝を申し上げる次第でございます。また、その責任の重大さも改めて認識をしているところでございます。  KDDは、四十年以上にわたりまして、国際通信の経験や技術力、それから外国通信事業者との緊密な関係などを生かしまして、欧米先進国と協調しながら、先端的なサービス各種割引型サービスなどをいち早く提供するとともに、海底ケーブル共同建設お客様へのコンサルティングなどを通じまして、国際協調国際協力をも進めてまいっております。当社は、今問題になっておりますKDD法改正後におきましても、引き続き国際通信軸足を置いて事業展開を進めていく考えでございます。  当面の国際戦略といたしましては、次の三つの柱で事業を進めてまいりたいと考えております。  一つ目の柱は、各国通信事業者と協調いたしまして、既存サービスの改善あるいは的確な提供を行うことは当然でございますけれども、今後の情報化時代に対応しまして、グローバルなインターネットネットワーク構築など、マルチメディア分野といいますか情報流通分野にも積極的に取り組んでまいります。  二番目に、KDDは、アメリカのAT&Tやシンガポールテレコムなど世界十六の通信事業者と提携してワールド・パートナーズというアライアンスを形成してございます。これはKDDが提唱して結成したものでございますけれども、これによりまして、多国籍企業向けサービスをいわゆるワンストップショッピングで提供しておりますけれども、今後はさらにこのような提携の強化、拡大を図ってまいります。  三番目には、当社は、これまで欧米先進国におきまして当社現地法人による通信事業を行っておりますし、また当社関連会社によりまして通信機器の販売、保守、あるいはお客様の設備をお預かりするハウジングなどの通信サポート事業などを行っております。これを一層推進いたしますほか、アメリカ通信事業者の買収、出資ども行っておりまして、また発展途上国におきましても、ロシアとかモンゴルとかで通信事業を展開しております。  さらに、当社は、これは一九九九年になりますけれども移動衛星によります携帯電話サービス提供するべく計画しておりますロンドンにICOという会社がございますが、こちらにも出資をいたしておりまして、地球上を十二個の中軌道衛星によって全世界をカバーするネットワーク構築にも力を入れております。このような海外での活動のための投資総額は約一千四百億円に上っております。  また、国際光海底ケーブルシステム建設事業を、当社子会社KDDサブマリンケーブルシステムという会社がございますが、こちらではこれまで約千七百億円の受注実績がございます。  このように、当社海外事業展開についてもこれまでも注力してまいったわけでございますけれども、今後とも、オールジャパンということで、NTTさんとも協力をしながら、各界の期待にこれまで以上にこたえるべく努力をしてまいる所存でございます。
  17. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 先発の、そして専門業者という立場で自信にあふれるこれからの事業展開、心強く聞かせていただきました。ぜひひとつ精進をしていただきたいと思います。  時に大臣、過日はマレーシアまで、大変に御苦労さまでございました。国際通信網、いわゆるオールラウンドの地球をカバーするという部分では、もちろんこれは大事なことだと思いますけれども、しかし今アジアが暖かいとか熱いとかと言っているごとく、あるいは私の自分思いも、逓信委員会に籍を置いて、そしてこれらに向けて勉強をさせていただこう。この中には、極東、環日本海のスムーズなネットワーク、こんなものも、事あるごとに、折授かるごとに話題にさせていただき、これの進展発展に少しでも努力ができたらなというような思いであります。そうしたことからしますと、欧米諸国事業者に比べると、何かアジアに仕掛かりが若干おくれているというか弱いのではなかろうかな、こんなふうに私は感じているのですね。  そんな状況の中で、積極的に海外へ、いわゆるアジア進出することが必要だ、これらを十分に大臣は踏まえられてのことだと私は理解していますけれども、先般マレーシアを訪問されて、そしてマレーシアスーパー・コリドー計画へのNTT協力マハティール首相と話された。この政府によるバックアップ、これは今日本の国の通信事業海外に向けて新たに強力にというときに、必要欠くべからざるものだ、そんなふうに感じながら、大臣マレーシアをお訪ねになられたことに拍手を送った一人なんですけれども大臣のこれらに向けての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 最近の情報通信グローバル化ということは冒頭にも申し上げましたが、これに対応いたしまして、NTTKDDを初めとする我が国通信事業者海外進出をより一層促進することは極めて重要な課題と考えております。  ただいま先生御指摘のアジアのこうした情報通信インフラ整備でありますが、現在アジア各国におかれましては、高度情報通信インフラ整備ということで積極的に取り組んでおられますが、我が国としても国際協力観点から非常に望ましいものと考えておる次第でございます。  ただいま御指摘いただきましたが、ちょうど五月の連休を利用いたしまして、私はマレーシア並びシンガポールを訪問してまいりました。そして、マハティール首相とお会いをいたしたわけでありますが、マハティール首相さんが我が日本の、特にNTT技術力に極めて大きな信頼をされておりました。今回のマルチメディア・スーパー・コリドー計画については、マスタープランからNTTに依頼をされ、それを採用されたということで、私は現地も見てまいりました。今後、こうした進出に大きな期待を寄せられておりましたが、その節、またKDD及びそのほかの日本通信事業者にも積極的に進出を願いたい、こういう期待を寄せられたところでございます。  さらに、シンガポールは、現在シンガポールテレコムシンガポール全体の通信業務をつかさどっておるわけでありますが、マルチメディアに対応する新しい高度情報通信について、近くまた新たな、日本でいえば第二電電とか第三電電、こういうものを導入したいということで、近々に入札を行う、こういうことでありましたが、シンガポールにおきましても、我が国通信事業者であります業界の工場も視察をしてまいりました。またそのほか、業者の積極的なシンガポールヘの進出というものも直接見聞してまいりまして、改めて、今後のこうした地域に対する協力がいかに大事かということを痛感をしてまいりました。したがって、我が政府といたしましても、今後これまで以上の積極的な支援体制をつくりまして、言えば官民一体となって、今後の海外市場への進出を図っていきたいと考えておるわけであります。     (古屋委員長代理退席委員長着席
  19. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、質問はこれで終わらせていただきます。NTTKDD参考人皆さん、ありがとうございました。  FCCについても谷局長一言と思ったんですけれども、時間が来ましたのでまた別の折にと思います。ただ私の思いは、またアメリカが、こんな気持ちで受けていますことを一言申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。
  20. 木村義雄

  21. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 自由民主党佐藤勉でございます。よろしくお願いいたします。  昨日来、NTT再編関連を中心に、さまざまな観点から活発な議論がなされておるわけでありますが、今回の再編成を、臨調答申以来の電電公社民営化の延長線上にあるものとして理解するところであります。  私としても、今回の法改正には賛成するものでありまして、また加えて、今後とも民営化の方向を一層進めていく必要があると考えているところでありますが、そのためには、競争の促進、状況変化に対応した規制緩和とあわせて、政府が保有しているNTT株の扱いも極めて重要な要素となると考えているところであります一昨日も、各先生方から株式の問題が何点か出ており、重複することがあるとは思いますけれども、何点か質問をしたいと思います。  今回のNTT改正法案との関連で、NTT民営化と大きくかかわるNTT株式の問題に絞って、その現状の評価、将来の方向性、最後に今回の再編成との関連などについても触れ、政府及びNTT考えを伺うこととしたいと思います。  まず最初に、大蔵省にお伺いをしたいと思うわけでありますが、これまでの政府が保有するNTT株式の売却の経過及び現在の政府保有の状況などについて、大蔵省の説明をお願いをしたいと思います。
  22. 岳野万里夫

    ○岳野説明員 大蔵省で政府保有株式の売却を担当しております企画官の岳野でございます。先生からNTT株式の状況につきまして御質問がございましたので、お答え申し上げます。  NTT株式につきましては、昭和五十九年七月の政府見解に基づきまして、これまで、昭和六十一年度に百九十五万株、昭和六十二年度に百九十五万株、昭和六十三年度に百五十万株、合計五百四十万株を売却いたしたところでございます。  二番目のお尋ねの、現在の保有の状況でございますが、現在政府が保有しておりますNTT株式数は、一千四十万四千株となっております。
  23. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 説明によりますと、今の数字で計算をいたしますと、総株式数の三分の二を保有しているということになると思うわけでありますが、今後、大蔵省として、政府保有株の処分をどんなふうに考えているのか、お伺いをしたいと思います。
  24. 岳野万里夫

    ○岳野説明員 NTT株式の処分につきましてのお尋ねでございます。  NTTの株式につきましては、大蔵省といたしましても、NTT民営化の趣旨にかんがみ、適切に売却を進めたいと考えておるところでございまして、九年度予算におきましても、五十万株の売却を予算計上いたしているところでございますが、実際の取り扱いにつきましては、株式市場の動向等を十分見きわめつつ検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、余り持っていてもというお話もございますし、その辺のところは十分考慮していただいて対処していただきたいと思います。  その件に関しまして、NTTといたしまして、当事者として、現在の政府保有の状況についてどんなふうな評価をしているのか。また、将来どんなふうな形での方向づけを望んでいるのか、お伺いをしたいと思います。
  26. 井上秀一

    ○井上参考人 今大蔵省の方から御説明ありましたような状況であるわけでございますが、当社としましては、株式市場の動向にもよりますが、政府保有株式ができる限り早く、速やかに売却されるということを期待しております。
  27. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 ここしばらく、株式市場の動向を見ておりますと、全体の上げ相場に呼応して、NTTの株も値上がりしているというふうに思うわけでありますが、このようなNTT株をめぐる市況について、NTT、そして大蔵省はどのように受けとめているのかもあわせてお伺いをしたいと思います。
  28. 井上秀一

    ○井上参考人 先生御存じのように、株価というのは、経済全体の動向だとか株式市場のさまざまな要因によって決まってくるということで我々も理解しておりますが、当社として、市況についてどういうことかというのをなかなかコメントするのは難しい立場にございます。  ただ、NTTとしまして、NTT株が、これまで十数年間にわたり経営形態問題が存在して、先行きがなかなか透明じゃない、不透明だということで、この部分が払拭できない状況が続いてきたというふうに考えております。  現実動きを見ましても、再編成案の発表後、今日までの当社の株価はおおむね好調に推移してきております。ぜひ、今回の再編成によって、この今までの不透明感が解消されることに加えまして、先ほどから出ております国際通信分野への進出が可能となるなど、長期的な形で事業発展するということを、我々も努力していきますし、市場からも期待されているというふうに考えております。
  29. 岳野万里夫

    ○岳野説明員 最近の株価の状況について、大蔵省としてどのように受けとめているのかという委員のお尋ねでございますが、井上参考人と同じ繰り返しで恐縮でございますが、株価はさまざまな要因を背景に自由な市場の需給関係で決まっておるものでございますので、株価の水準等につきまして、当局としてコメントを申し上げることは控えさせていただきたいというふうに考えます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましても、今後の株式市場の動向につきましては引き続き十分注視していきたいと考えております。
  30. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 マスコミ、新聞報道等々でいろいろ報じられているところによりますと、しばらく見送られてきた。先ほどの御説明で、第三次の売却が昭和六十三年十月に百五十万株売られて以来、株式の放出がなされていないわけであります。いろいろ検討してきてそういう結果になったと思いますし、当然株式が低迷する中で、そういうものを放出することに関してはいかがなものかということであったかとは思うわけでありますが、いろいろマスコミで報道なされている部分では、本年度中にも実施をされるというような報道等々があるわけでありますけれども、現時点での、話せる範囲で結構でございますけれども、検討状況はいかがなことになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  31. 岳野万里夫

    ○岳野説明員 NTT株式の本年度内の売却についてお尋ねがございました。  私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、NTT株式につきましては、九年度予算におきまして五十万株の売却を予算計上させていただいているところでございますが、実際の取り扱いにつきましては、株式市場の動向等を十分見きわめつつ検討しているところでございまして、売却時期等につきまして、現時点で確たる方針が定まっているわけではございません。
  32. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 方針が固まっていないということでありますけれども、やはりこれだけ株式市場が勢いづいてくるとすれば当然考えるべきだと思いますし、積極的に考えていただくことを御要望申し上げたいと思います。  そこで、過去のNTT株式売却で得られた国庫収入は幾らで、その収入がどのように役立てられているのか。大変基本的なことで恐縮でございますけれども、お教えをいただきたいと思います。
  33. 岳野万里夫

    ○岳野説明員 先生の御質問のまず前段の部分で、過去のNTT株式の売却収入はどのくらいであったかという点につきまして、まず私の方からお答えさしていただきます。  NTT株式の売却収入につきましては、売却の経費を差し引きましたネットの売却収入で、昭和六十一年度、六十二年度、六十三年度の三回の売却を合計いたしまして十兆八百二十七億円となっております。
  34. 南木通

    南木説明員 NTTの株式の売り払い収入につきましては、NTT株式が国民共有の財産という性格を持っておることを踏まえまして、国債の償還に充てるということが確立しているわけでございます。その中で、当面、毎年度の国債整理基金の円滑な運営に支障を生じない範囲におきまして、株式売り払い収入の一部を活用いたしまして社会資本の整備の促進を図るといったことが行われてきているところでございます。
  35. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 売却で得られた収入がいろいろな社会資本の整備、インフラ等々に使われているのは十分承知しているわけでございますが、私は先日来から本委員会での議論をお伺いをする中で、情報通信が二十一世紀の戦略産業として期待されているという認識、これはだれしもに共通するものとなっていると思うわけであります。  そんなときに、NTTの株式を売却して得られた収入を、今度は情報通信基盤の整備マルチメディアの先端技術開発などに重点的に投入をすべきだと私は思うわけでありますし、それがこれから情報通信基盤をしっかりと支えることになると思います。ここで広く、公平にというお話もわかるわけでございますけれども、そんなことでの検討等々は大蔵省は考えているのかどうか、ちょっとその辺のところもお伺いをしたいと思います。
  36. 南木通

    南木説明員 NTTの株式の売り払い収入につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように国債の償還に充てるということになっておるわけでございますが、その中で、国債整理基金の円滑な運営に支障を生じない範囲におきまして社会資本の整備の促進を図るといったことが行われているわけでございまして、具体的には、NTTの株式売り払い収入の一部を、国債整理基金特会から一般会計を通じまして産投会計の社会資本整備勘定に繰り入れる。それで公共事業及び特定の民活事業への貸し付け等を行うということにしているわけでございます。その中には情報通信分野ということもあるわけでございまして、その分野にも活用されているところでございます。  それから、情報通信分野あるいはマルチメディアの関係での予算として重点的に考えるべきではないかというお尋ねでございますけれども、私ども、そういった分野につきまして、経済構造改革を推進するという観点等々ございまして、NTTの株式売り払い収入とは別でございますけれども、平成九年度におきます郵政省の一般会計予算におきましても、大変財政事情が厳しい中でございますけれども、対前年度比で三二・五%という非常に大きな伸び率の予算を確保したところでございます。
  37. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 もちろん、大きな予算ということを大蔵省は言われるようでございますが、これから二十一世紀を迎えるに当たりまして、このマルチメディアの関係、また情報通信の基盤の整備というのは必要欠くべからざるものだ、私は、今回この逓信委員会に入らしていただいて勉強する中でひしひしと感じさせていただくわけでございます。  そんなときに、やはりNTTの売却益でありますから、そういうものに使っていくのが私は当然のことなんだと思います。いろいろな縛りがあってできないというのも十分理解するわけでありますが、やはり趣旨としてはそんな方向に進めることが本来の趣旨に沿った考え方なんじゃないかというふうに思うわけでございまして、ぜひともそんなところも踏まえてこれからも考えていただくことを要望させていただきたいと思います。  今回の再編成関連いたしまして、NTTも特殊法人とはいえ株式会社である以上、確かに大蔵省で三分の二株式を持っているわけでありますから、果たしてそれがいいのかどうかという議論にもなるかとは思いますけれども、株主の権利の確保が図られることは、改革を進める上で重要な条件の一つだと考えるわけであります。今回の再編成NTTはもちろん賛成していると承知をしているわけでありますが、果たして株主の権利は十分守られると考えておられるのか。ぜひとも当事者としての考え方をお伺いをしたいと思います。
  38. 井上秀一

    ○井上参考人 株主の権利保護ということは非常に重要な問題だと我々も考えておりまして、今回の再編成法案においても非常にその点について配慮していただいておりまして、その点については株主の権利は確保されているというふうに考えております。  具体的に申しますと、一つとしては、NTTは持ち株会社としてそのまま存在する、現在のNTT株主はそのまま持ち株会社の株主となるというような形になっていること、二つ目としましては、持ち株会社と再編成各社との資本関係が維持されている、それからまた、各種税制の特例措置等により会社資産の減少が回避できた、こういうようないろいろな要素によって株主の権利は確保されるというふうに考えております。
  39. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いろんな意味でその辺のところはよく考えていただきまして、確保されるようにこれからも一層努力を払っていただきたいと思うわけであります。  若干早いようでありますが、最後の質問をさせていただきたいと思います。郵政大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  郵政省としても、再編成を進める以上、株主の保護についても当然最大の配慮を払うこととしているものと思うわけでありますが、今回の再編案との関連で、株主の権利は確保されるのか、また、国民・利用者は当然のことでありますが、株主にとってもメリットがあるのかどうか、NTTの株を売却して以来いろんな論議を呼んでいるところだと思います。国民一人一人が非常に関心を持ってこの辺のところを見守っているところだと思いますし、また、株価も今の状況になってきまして非常に関心の深いところだと思いますので、その辺のところを、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  40. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 今回の再編成は、通信政策上の観点から、国策として国が実施するものであります。したがって、国としては、当然株主の権利確保ということに最大限の配慮をしていく必要があると考えておるわけであります。  ただいまNTTからもお答えがありましたが、具体的には、NTT株式はそのまま持ち株会社としてのNTTの株式となり、引き続き上場が行われるわけであります。また、現在の株主が持ち株会社を通じて再編各社の経営にも事実上影響力を及ぼすことができるわけであります。また、再編成に伴って新たな税負担が発生しないような措置を講じておるところであります。株主の権利が十分確保されるものと配慮をいたしております。  また、今回の再編成によりまして、NTT国際通信分野へ新たに進出することができるわけでありまして、したがって事業領域が大きく拡大をされる、そして経営の効率化が促進される、こういう効果が期待できるわけであります。  したがって、その結果というか、あるいは大分皆さんがこの再編成を評価されたものと私は考えておりますが、最近の株価の動向を見ましても、この法案がまとめられました昨年の十二月六日前後においての株価と現在とは大幅な開きを示しておるわけでございますので、今後、NTTのそうした面も考えますと、将来はこの再編成の成果というものが十分還元が行われていくものと期待をいたしておるところであります。
  41. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 最後になりましたけれども、いろいろ今までの論議の中で、もちろん、いい話等々が多いわけであります。ただ、私は、いろんな意味で本来の民営化というものをもっともっと推し進めるべきだと思いますし、その件に関しましては大蔵省等々、郵政省を含めて、もっともっと促進を、株の売却等々も含めてしっかりと促進をするべきだというふうに考えるところでございまして、ぜひともすばらしい民営化ができますことを心から念じまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  42. 木村義雄

    木村委員長 北村哲男君。
  43. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  冒頭、予告をしていない質問でございますが、昨日の新聞に大きく報道されておりました野村証券の問題であります。  野村の元幹部が逮捕され、この証券疑惑は核心に迫っておりますが、このたびの野村証券の一連の疑惑に関して、九千人とも一万人とも言われるVIP口座、もしくはそれ以上とも言われる特別口座なるものが取りざたされております。一方、その名簿の中に、政府省庁高官も名を連ねているという話であります。  先般もこの問題、この委員会で問題になりましたが、大臣は、このVIP口座に入っていないかという質問に対して、残念ながら入っていないということを言われてたしなめられていましたが、それはまあジョークとしましても、今般の新聞報道によりますと、岡光さんなんかは現役で当然VIP口座に入っていると大きく新聞に報道されております。また、その中を見ますと、「中央省庁の官僚は大蔵、外務、通産、郵政、法務、自治、厚生などの現職、OB合わせて二百人以上」というふうに出ておりますが、先般はそういう事実はないとおっしゃいましたけれども、その後の調べの中で、現役またはOBの高官の中でVIP口座あるいは特別口座に名を連ねている人はおりますでしょうか、いかがでしょうか。
  44. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいまのお尋ねの件につきましては、郵政省としては野村証券に十分問い合わせをさせてみましたところ、現職の職員、OBまではちょっとわかりませんが、現職の職員でそういう口座に名前を連ねておる者は一人もいないという正式な回答をいただいておるところであります。
  45. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 そうしますと、郵政というふうに言われて非常に名誉を傷つけられているということにもなると思いますけれども、ここまで大新聞が名指しというか、名前はありませんけれども直接言っているということについてはかなり重大な問題でありますので、なお至急調査の上、当委員会に御報告されるようお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。
  46. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 再度のお尋ねでありますが、先日調査したばかりであってまたもう一回確かめろということになるわけでありますが、担当の方にもう一回、そうしたことで念には念を入れてみたい、こう思います。
  47. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 結構でございます。もしそこまで否定をされて、万一また出たというときにはゆゆしき問題になると思いますので、慎重な調査をお願いしたいと思います。  さて、私は、本日このNTT関連三法についての質問をいたしますが、先日同僚議員の山花議員が述べましたように、この三法についてはすべて賛成の立場をとっております。  ところで、私自身のことに関しますけれども、私は、約三十年前に弁護士を開業して以来、多くの労働事件を担当してまいりました。当時は、公労法によって旧電電公社を初めとする三公社五現業の労働争議は全面的に禁止されて、これを行った者は組合役員から一般組合員まで何らかの処分を受けたものであります。根拠となる法律はあらゆる法律が動員されて、公労法、あるいは公社法、刑法、暴力行為等処罰ニ関スル法律などなどがありました。処分の内容は免職とか解雇あるいは減給、戒告、訓告に及んで、その過酷さと規模の大きさは今日では想像もできないものでありました。こうした処分によって、多くの労働者の皆さんが貴重な人生行路を狂わされたり、あるいは家庭環境に激変を来されたりしました。また、他面からすると、このような処分は、職場に極度の緊張をもたらして、管理職の皆様にも多大な犠牲を強いる結果をもたらしておりました。  当時、ある議員が国会審議の中で、雇用者の大半を不行跡者として処分しておきながら次の日から職務に邁進せよと言っている、これは異常な事態であり、矛盾のきわみであるということを言っておられたことを覚えております。これはまさに当時の労使関係を最も端的にあらわした表現でもあると思います。  労働者が血を流して苦闘し、管理者もまた身動きのできない束縛に苦しんだ長く不幸な時代をくぐり抜けて、今般の知恵の結晶として十数年前NTT民営化され今日のあることを、審議をする者として共通の認識を持つべきと考えております。  そして、情報通信産業の代表であるNTTは、過去においては国の中枢神経を担う基幹産業として、そして現代においては二十一世紀の一大戦略産業であると、昨日の郵政大臣のお言葉でありますけれども、この改正三法案を審議する私たち委員会の審議については、我が国のみならず世界の耳目を集めていると思います。直接の関係する者としても、六千万の電話加入者、大多数を個人で占められる百六十万人の株主、さらには百数十の関連子会社とそこで働く二十万人を超えるNTT関係者の労働者あるいはKDDの関係者、考えればその審議の重要性は明らかであります。  そしてまた、今まさに来年の新卒者の就職活動たけなわです。NTTは人気、求心力ともに抜群であります。私たち審議に当たる者としましては、これら前途有為の若い皆様にも、再編後のNTTの姿あるいはKDDの姿を明確に示しておく必要があると考えます。  そこでまず、この三法とは少しずれますけれども、独禁法改正による持ち株会社の解禁について別の委員会で審議され、既に議了されましたけれども、持ち株会社の解禁と労使関係についてお伺いしたいと存じます。  昨日の商工委員会で独禁法の一部改正が採決、可決されております。これは戦後解体された財閥の復活がないようにと全面一律的に禁止されておった持ち株会社が、事業支配力の過度の集中防止という独禁法第一条の目的規定を踏まえながら解禁されたのであります。これは時代の要請でもあろうと思いますが、これによって今回のNTT再編成の前提条件がそろい、必要な規制緩和を含む関連法案が審議されていくことになります。  独禁法改正に当たって、持ち株会社のあり方をめぐっては、同法四章を中心として各方面での多くの議論が尽くされ、委員会採決に当たっても附帯決議がなされ、幾つかの重要な問題について適切な措置を講ずるべきことが求められております。  私がこの中で強調したいのば、今まで積み上げられてきた労使関係が破壊されてはならないということであります。附帯決議の四項の中では次のように述べられております。  持株会社の解禁に伴う労使関係の対応については、労使協議の実が高まるよう、労使関係者を含めた協議の場を設け、労働組合法の改正問題を含め今後二年を目途に検討し、必要な措置をとること。  なお、右の検討に当たっては労使の意見が十分に反映されるよう留意すること。とされました。  独禁法改正による持ち株会社の解禁に伴い、労使関係にいろいろな問題を生ずる可能性が労使共通と認識され、労使関係専門家会議あるいは連合、日経連、経団連の間でも精力的に議論が行われて、これを踏まえて与野党間でもぎりぎりの折衝が続けられたのであります。  これらの経緯と附帯決議の内容をどう受けとめておられるのか。NTTを四社分割に再編する過程と再編後における労使関係においても、独占禁止法改正の過程で問題とされた労使関係が形骸化することのないようにとの要請は重視されるべきだと考えます。NTT再編後の労使関係については、労使関係法令にのっとり、持ち株会社及び各事業会社の労使が当事者能力を有することとなりますけれども、持ち株会社及び各事業会社における具体的な団体交渉方式については、これまで培ってきた労使関係に基づき、労使自治の原則に立って決定されるべきと考えますけれども、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか、あるいはどういうふうに認識をしておられるか、御所見を聞きたいと思います。
  48. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 お答え申し上げます。  個別の企業の労使関係のあり方につきましては、基本的には当該労使間において適切に対処されるべきものと考えております。  今回の持ち株会社制度におけるNTT労使関係につきましても、NTT労使間での話し合いの中で良好な労使関係が形成されていくことを期待をいたすところであります。
  49. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 恐らく大臣のお言葉どおり、NTTにおいては模範的な労使関係を築かれることを期待しております。  ところで、NTTの方にお伺いします。  これはちょっと細かい問題になるかもしれませんけれども、労働者にとっては退職後の生活保障が大変大切になった時代が参りました。これを支えるのが年金制度でございます。この年金制度について、再編後も年金水準は維持が可能なのでしょうか。ちなみに、今約十三万人の受給者がNTT関係ではあると聞いておりますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  50. 林豊

    ○林参考人 先生御案内のとおり、私どもの年金制度につきましては、この四月から、厚生年金保険法の改正によりまして厚生年金制度に一元化されました。したがいまして、原則的に、いわゆる一、二階と言われている部分につきましては、厚生年金制度の中で水準が維持されていくというふうに私ども期待しているところでございます。  なお、それに関連をいたしまして、NTT厚生年金基金というものが、いわゆる三階部分になりますが設立されました。これにつきましては私どもが主体になって運営していくわけでありますが、再編成後にできます企業のみならず、私どものいわゆる関連するグループ企業も含めまして、再編成前と同じような運営をやってまいりまして、水準につきましても維持していきたい、そういう見込みを私どもは持っているところでございます。
  51. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 よくわかりました。  次に、KDDの関係についてお伺いしたいと思います。  KDD関係の改正の目的は、KDD国内通信業務を行えることといったった一つの問題、これは大変大きな問題でありますが、条文としてはたった一つでございます。  ところで、条文上の興味なんですけれども、この改正案を見ますと、どこにも国内通信事業を経営するという言葉がありません。NTT法を見ますと、第一条で、NTTは、国内電気通信事業を経営することを目的とする、KDD法によると、国際電信電話株式会社は、国際電気通信業務を行うことと出ているのですが、どうして国内及び国際の電気通信事業及びそれに附帯する事業と簡単に書かなかったのか。その点について、余りくどくどじゃなくて簡単でいいです。  それからついでに、この条文を見ますと、国内業務を行うということが「前項の業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において、同項の業務を営むために保有する設備又は技術を活用して行う電気通信業務その他の業務」というふうにわかりにくい言い方で言ってあります。そうすると、支障のない範囲となると、支障のある業務は国内通信でもKDDは行えないのだ。ということになると、一定の判断基準があると思いますけれども、その判断基準というのは一体どういうことなのかを一言言っていただいて、その二つの問題についてお答えを願いたいと思います。
  52. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答えいたします。  KDDを特殊会社として定めます理由は、KDD国際的な通信業務におけるいわゆるユニバーサルサービスといいますか、ユニバーサルアクセス的な機能に着目してのものでございます。ただ、通信サービスのあり方といたしまして、国内国際の区別をなしに全体を提供していくことが今後のあり方として望ましいということで、今回国内業務も認めるわけでございますけれども、特殊会社として設ける基本的な趣旨は国際通信にあるわけでございますので、基本的にそちらを中心として定めております。そういった特殊会社の性格にかんがみまして、国内通信を行うに当たりましても、本来の使命でございます国際通信の遂行に支障のないようにという形になっております。  それから、この書き方といたしまして、国内という文字がないということでございますけれども、このことにつきましては、第二項におきまして、国内通信業務と書かずに「電気通信業務」と書いてあるという趣旨でございます。このことにつきましては、「前項の業務のほか」ということで書いてございまして、国際以外の電気通信業務は当然に国内となるということがわかるということで、あえて国内と書かなかったという趣旨でございまして、趣旨といたしましては、御指摘のように国内電気通信業務という趣旨でございます。
  53. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 この問題で余り長くしてもよくないのですけれども、これは国内と書いてはいけないのかなという感じがするのですが、それともう一つは、支障のない範囲というのは、そうするとある程度制限されるということなのですか、その二点だけ。
  54. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 失礼をいたしました。先にお答えをすべきでございましたのに、申しわけございません。  今申し上げましたように、基本的な趣旨といたしましては、本来業務のという建前でございますけれども現実の取り扱いといたしましては、支障なく行われることになるだろうというふうに考えております。具体的な基準といいますものは、現在段階においては持っておりません。
  55. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 そうすると、支障のない範囲でというのは余り意味がないようですから、KDDさん、安心して大いに国内事業をやっていただきたいと思います。  ところで、このKDD法改正は、早期の国内通信事業への参入を実現し、その使命、役割を十分に果たすべきと言っておりますけれども、今回の法改正によってKDDは、国内電気通信という新たな分野への投資、何か先日から日本沿海光ケーブルという膨大な投資も行っておられるようですけれども、その負担のために、これまでのような国際通信料金の低下、ずっと長い間低下をしてこられた努力はあるのですけれども、それが妨げられるといった懸念はないのかどうか、その点についてまず伺いたいと思います。
  56. 西本正

    西本参考人 お答え申し上げます。  国内通信分野への進出に伴う投資によって国際通信に悪い影響がないのかという御質問かと思いますが、私どもは、当社が既に有しております技術、設備、経験、ノウハウ等を有効活用しながら、効率的な設備投資によりまして国内通信分野へ参入することは、国内通信に係る収入増がございますとともに、私どもネットワーク設備などの経営資源を国内国際の両方のサービスで共用することによりまして、国際通信に係るコストの低減が可能となりまして、国際通信料金の一層の低廉化につながるものと考えておりまして、支障をもたらすことはないというふうに思っております。  なお、先ほど、日本一周海底ケーブルへの投資という御質問がございましたけれども、このジャパン・インフォメーション・ハイウェー、光海底ケーブルは、マルチメディア時代に向けて爆発的に増大する今後の国内通信国際通信事業に見合った規模の投資でございまして、今後の競争対応上非常に重要となりますローコストという意味でのプラットホームづくりで必要なものというふうに考えております。
  57. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 もう一点だけKDDさんにお伺いしたいのですが、まず料金問題なんですが、KDDの基盤である国際通信分野は、国内キャリアでなくて、国際の公−専−公の開放によって、海外キャリアが二種の事業者として進出することになるようですが、そういうことになると競争は一層激しくなります。これに対して、海外キャリアは二種事業として料金設定は届け出制、それに反してKDDは一種事業で認可制ということになっております。これではまともな競争ができないのではないかという疑義が一つあります。二つ目に人事の問題でありますが、事業計画と役員人事は認可制ということに依然としてなっておりますが、一方NTT長距離会社は、恐らく完全自由化であります。  このあたりの比較から見て、やや不利な立場に置かれているのじゃないかという感じがしますけれども、そういう意味では、KDDさんはKDD法の早期の撤廃も希望しておられるというふうに考えております。そのあたりの御感想というかお考えと、それから今後進出する分野でありますけれども国内進出といっても、固定電話市場というのは、既にほとんど六千万というふうな形でもう確定しておりまして、参入は非常に難しいと思いますけれども、そのほかどういう分野でどういうふうに進出することを考えておられるか。いろいろあると思いますけれども、私たちのイメージとして、KDDさんというのは、IDOとか移動体通信とかいろいろあると思いますけれども、どのような方面の進出で活躍をされようとしておるのかについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  58. 西本正

    西本参考人 お答え申し上げます。  最初に、外国系の事業者が入ってくるという件でございますけれども、本年に予定されております国際基本電話サービスの自由化によりまして、外資系の通信事業者が第二種の事業者として我が国の市場に参入してまいることが想定されます。私ども一種事業者は、みずから電気通信設備を設置してサービス提供する事業者でございますことから、それ相応の規制はやむを得ないかもしれませんけれども、料金に関しましては、競争の最大の要素でございますが、一層の規制緩和によりまして、二種事業者との間にハンディキャップがつかないような競争条件が整備されるように希望をいたしております。  それから、KDD法の関係でございますけれどもKDD法の廃止問題につきましては、昨年二月の電気通信審議会の答申におきまして、KDD法については、他事業者によりKDDに遜色ない対地が安定的に確保された段階で、廃止する方向で検討を行うべきとされておりまして、今後の競争事業者の対地拡大状況を踏まえながら、次の段階において政府での検討が進められるものと理解しております。  それから、国内通信への進出分野ということでございますが、まだもちろんそういった計画について確定したものは持っておりませんけれども、今後進出する分野としましては、やはりこれからの成長分野でございますインターネットを中心としますマルチメディア関係、それからCATVがございます。それから移動通信も、私ども現在若干の投資をしておりますけれども、この分野もございますし、衛星を使いました携帯電話国際的な、グローバルな携帯電話のシステムがございます。これにはかなりの投資をしておりまして、これも二〇〇〇年ごろまでには開始できるものというふうに思っております。  以上であります。
  59. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 どうもありがとうございました。  それでは次に、NTTにお伺いをいたします。  これはユニバーサルサービスの維持向上についての関連質問でございますが、三つお伺いしたいと思います。  一つは、大規模災害時その他、非常時における対応について、現在はどのように対応しているのか。再編後、現行の一社体制に比べてライフラインの確保に支障が出ることはないのだろうかという点が一つ。  二つ目に、NTTは現在どのような福祉サービスを行っているのか、今後ともそのサービスは維持できるのだろうかという問題であります。  三つ目に、NTTはインフラの整備として二〇一〇年までに全国の全家庭に光ファイバーを引くことを目標に仕事をしておられます。これが完成すると、全国の全家庭ですべての国民が多種多様なサービスを受けるというマルチメディアの普及が一応の完成を見ると思いますけれどもNTT再編されてもその方針に変更はないだろうかということ。それはそうでしょうけれども再編を機にこの計画を前倒しして早期に完成を図る、一挙にやってしまうということについては、そういうお考えはないのだろうかというこの三点についてお伺いしたいと思います。
  60. 林豊

    ○林参考人 三点御質問のうちの最初の災害対策の問題についてお答え申し上げます。  災害対策につきましては、特に広域あるいは大規模災害といったような場合におきましては、当然のことながら国等の対策機関と連携をとりまして、私ども本社が中心となって、実際に災害対策に当たる体制は、各地域におります災害対策要員あるいは各地域に備蓄しております災害対策機器、こういったものを総動員いたしまして、私どもの全社の総力を挙げて対応するという体制をとっておりまして、先般の兵庫の大地震におきましてもそれなりの御評価をいただいて成果を上げているところでございます。  こういった問題につきましては、私どもも、ライフラインの確保といった観点からも再編成後におきましても極めて重要な問題だというふうに理解をいたしておりまして、いわゆる持ち株会社の機動的な経営といった体制を中心といたしまして、再編各社が総力を挙げて、共同してライフラインの確保あるいは早期の復旧というものに当たっていく体制を今後とも維持していきたいというふうに考えておるところでございます。  よろしく御理解のほどをお願いします。
  61. 井上秀一

    ○井上参考人 福祉サービスの件については私の方からお答えさせていただきます。  今回の再編に当たってお客様サービスの低下をもたらさないということで基本的にやっておるわけですが、福祉の問題についても、当然、今後とも今までやってきたものを継続していきたい。  では、どんなものをやっているのかということを一つ、二つ御紹介しておきますと、例えば、寝たきりの御老人の方に福祉電話用の機器を開発して半額程度で提供しておるだとか、それから目の御不自由な方への番号案内の無料提供の問題、それから車いす利用者のための公衆電話ボックスの設置の問題、こういうもので、我々としては国等の社会福祉に協力するという形で今までやってきておりますが、これについては今後ともやっていきたいというふうに考えております。
  62. 宮津純一郎

    宮津参考人 社長宮津でございます。  今先生から御質問がありました三点でございますが、今お答え申し上げたように、災害対策と福祉サービスというのは大体今までも相当やっておりまして、体制も立てておりまして、これは別に再編になろうとなるまいと重要問題でございまして、私どもはそれを手を緩める気は全然ございませんので、しかるべく、今度再編になってもその体制が維持できるようにという考え方で進めるということになろうかと思います。  三番目のことですけれども、光化の話でございます。これはちょっと観点が違って、インフラ整備的な話でございます。それはそれで進めてまいりまして、二〇一〇年までというようなことで全国的に展開したいということをずっと言ってまいりました。  そのこと自体は計画を着実に進めていこうと思っておりますが、先生質問の、これを機会にもっと積極的にやらないかというお話でございました。ちょっと物理的な、物相手の話でございまして、簡単にやろうと思ってもすぐにさっとできるというものでもございません。ただ、需要の動向もございますし、それから経済化を図るということでずっと進めてまいりましたけれども、割に順調にいっておりまして、二〇〇〇年を超えると、大体銅線を引きかえるぐらいの値段で光に引きかえることもできるのじゃないかというような見通しも得ておりまして、その辺の技術検討も順調に進んでおります。  したがいまして、今度、再編で、この法律を通していただきまして、実行上の話としていろいろ検討することになろうかと思いますが、その中で前に進められるようだったら、ようだったらとちょっと弱い言い方ですが、そういう諸般の事情を考えて、できるだけ早く進める方向で少し努力して検討してみたいというふうには思っております。  以上でございます。
  63. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 どうもありがとうございました。  次の問題に移りたいと思います。  規制緩和あるいは撤廃の問題で、これは郵政省への質問でございます。  まず、会社法にかかわる規制の撤廃、緩和を求める項目として、取締役及び監査役の問題があります。これは今度の改正法によっても、この取締役、監査役の選任、解任の決議は郵政大臣の認可を受けなければ効力を生じないとありますけれども、なぜこの特殊会社の役員の選任、解任については引き続き認可制としたのか。  前からこの問題、既にお答えもあると思いますけれども、一般商法上は、商法二百五十四条によると、これは株主総会の選任だけで効力を発するわけです。それで、NTTの場合は認可が必要であるということになって、これだけ見ると、そういうこと自体で経営の自主性はそれだけ阻害されることは明らかであるわけです。  また、言葉は悪いのですが、天下りの問題とも関連しまして、東西、長距離あるいはその他多くの傘下の企業の人事権を、上をつかまえることによって全部支配するとなると、とても人事権をもう役所が握ってしまうというふうな感じになってしまうので、これはやはり、今すぐであればもちろん理想的なんでしょうけれども、自主的あるいは主体的な経営権を確保するためには、特殊会社であっても例えば代表権を持つ取締役だけに限定をする、それがJRとかあるいは関西国際空港の場合ですけれども、そのようにだんだん限定していって最後にはなくしていくという方向に持っていくべきだと思うんですけれども、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
  64. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTにつきましては、地域的なネットワークが現在九九%NTTによって占められておりますという非常に特殊な地位にある事業体でございますので、その公共性にかんがみましてこれを特殊会社といたしております。  特殊会社といたしまして公的な関与を行います際に、やはり一番基本的な形として考えられますのが役員の選任の問題でございまして、株式会社でございますから当然株主総会で選任されるわけでございますけれども、行政としてもこれに対して一定の判断を加えるということでございまして、これは、先生御指摘のように、他の特殊会社におきましても、その範囲につきましての差はございますけれども、基本的にとられている制度でございます。  それで、NTTにつきましては、従来から、この全員を対象として選任、解任の認可を行うというシステムになっているわけでございますが、今回の再編成されますNTTの持ち株会社考えますと、従来以上にこの持ち株会社の役員全体の合議による業務執行ということが中心になってくると考えられるわけでございまして、そういう意味で全員について認可制を維持するということを考えております。  それから、将来の方向でございますけれども、むしろ、将来の方向といたしましては、地域分野において競争が生じることによりまして、会社全体を純粋な民間会社に移行することができるということが一番望ましいことだろうというふうに考えております。
  65. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 今の最後のお言葉は大変重要なんですけれども、昨日の郵政大臣の御答弁でも、情報通信産業は二十一世紀の戦略産業であるというふうに言われて、この戦略産業を担うリーディング企業というのはまさにNTTだと思うんですよね。そのリーディング企業であるNTTが、これが世界に打って出よう、それから世界的レベルになろうというときに、相変わらずお上からの何かひもつきみたいな状態ではこれはやはり恥ずかしいような気がするので、これはやはり将来的にはできるだけ早い機会に純粋民間会社にすべきというふうに考えますけれども、その点については、今のお考えで言われたので大体いいと思います。  実は、昨日電通局長が、役員の認可、事業計画、料金等の規制緩和についてのお話の中で、事業計画については政府の関与が必要なことから、基本的に計画として示されるべきであるというふうに言われました。私は、この関与の仕方の問題でもありますが、何も、今の問題につながると、役員の選任、解任権までやらなくても、ある程度事業計画について関与していればいいだろうと思います。しかしまた、関与という言葉でもちょっとひっかかったんですけれども、関与と言うといかにも政府が干渉するような感じを受けますけれども、私、この関与についても、やはり自由ということが主体でありますから、できるだけ関与というふうに言わずに、優しく、あるいはなるべくシンプルな計画でいいというぐらいの、そういう大まかなやり方というふうな感じを受けるんですけれども、そのあたりはどのようなおつもりで関与が必要だというふうに言われたのか、お考えを聞きたいと思います。
  66. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 昨日もお答えしたことと重複いたしますけれども、一般に特殊会社につきましては、その公共的な役割を確保いたしますために事業計画の認可が行われているところでございます。したがいまして、持ち株会社それから地域会社事業計画におきましては、公共性を確保されるようにしてこの事業運営をやっていただくということのために事業計画の認可もするわけでございますけれども、その際、関与という言葉を申しましたのは、この関与という言葉法律的に使っているわけではございませんが、基本的に事業計画は事業者において策定されるわけでございまして、行政の立場でもこれに対して一種のかかわりを持つという意味で関与と申し上げました。つまり、認可があるという意味でございます。これは、あくまでも主体的ではない立場からこれにかかわるという意味で用いましたので、私としてはむしろ軽いニュアンスを持っておるというふうに思っておったわけでございます。
  67. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 お役所が関与と言われるといかにも重く感じますので、ちょっと注意というか、その意味で問い合わせたわけです。  それにつけましても、今政府が全体として行政改革とか規制緩和を推進しているわけですから、特殊法人についてもその中の一環としてやはり見直しをするようにしていかなくちゃいけないと思いますが、この特殊法人全般の見直しとあわせて、NTTの今の役員の問題とかあるいは事業計画についての規制とかという問題について、同じようなレベルで検討していく考えはあるかどうかについてもう一度お伺いしたいと思います。
  68. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTは、その担当します事業に応じてそれなりの特殊性を持っておると思いますけれども、基本的なあり方としましては、他の事業体との兼ね合い等も当然考慮をいたしまして、必要な限度において私どもとしての判断をしていくということになると思います。
  69. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 私もそのように考えます。ぜひ特殊法人全体の流れの中で、特に、もう時間がないから恐らく言いませんけれどもNTTの中には依然としていわゆるみなし公務員ですかね、贈収賄の規定なんかどんと残っているわけですね。KDDなんかないんですよ。そういう問題についても、やはりもう何か古い政府の直属の企業という残影がいっぱい残っているところがありますので、その点についてはやはり一緒に検討していきたいと思っております。  ところで、これは規制緩和についての政策がいかに大事かという問題で、これは郵政省の、目に見える成功例でありますけれども、昨日出ましたが、携帯・自動車電話及びPHSについて、この移動体通信については、昨日の審議を通じても、急増しておるという話がありました。私としては、急増した理由として、保証金制度の廃止があったり、端末機の売り切りがあったり、それから料金の届け出制などがあったことが原因というふうに思います。  ちなみに、ちょっとその表を見ますと、平成四年度は百七十一万台であったものが、平成五年度二百十三万台というふうに約五割増しになっておりますが、これは保証金制度を廃止した年であります。そして、六年度はそのまた倍増しまして四百三十三万台になっていますが、これは端末機の売り切りをやったという政策が一つあります。それによって倍増しております。それから、七年度、八年度は約二千万台に、もうまた五倍増になっておるのですけれども、これは料金の届け出制、料金を認可制じゃなくて届け出にした、こういう流れで倍々、何倍というふうにどんと上がっているわけです。そういう意味では、情報通信市場の活性化には規制緩和が非常に大事だということが如実にあらわれていると思うわけですけれども、市場の活性化をしたというこの実績を踏まえて、他のサービスの料金規制についても緩和すべきだと考えます。  そして、質問の核心なんですけれども電話の料金については、基本電話サービスというのはもちろん、三分十円でしたかね、それは認可制ということはある程度やむを得ないと思うんですけれども、他のサービスについては、認可という規制強化しないで、最低でも届け出制に緩和すべきというふうに考えますけれども、こういう経過を踏まえて、どのような御感想というか、御意見をお持ちでしょうか。
  70. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 料金につきましては、一昨年、電気通信事業法改正をお願いいたしまして、基本的な料金については認可制で残しますけれども、それ以外は届け出制、それから競争進展してまいりました際には、競争状況進展して十分市場の原理で料金が決まるようになってまいりましたものにつきましては、届け出制に移行するという措置をとってきておるところでございます。
  71. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 簡単にお答えになっていて、ちょっと聞き漏らしました。まあ、それはそれでそういう方向性を確認されたということでよろしいかと思います。  次に、昨日も何かよくわからないという御回答で、私どもも聞いておって何が何かよくわからない問題がありました。それは、基本方針を郵政省がお定めになるわけで、それは附則三条でしたかね、基本方針を定める各項目があるのですけれども、定めた上でさらにNTT事業計画を立てるということになるわけですけれども、それはまだ未定であるというお話がありました。それにつけても、私どもが、基本方針というのは一体どういうことなのだろうかという意味の大まかなものをつかみたいということで、もう一度、一つ一つ、時間も大してありませんけれども、わかる範囲で、そんなものかということでいいわけですから、この六項目についてお伺いしたいと思います。  まず、承継する時期というのはいつごろのことを考えておるのかということをお伺いしたいと思います。
  72. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 まずこの基本方針と申しますものはまさに基本的な事項だけを書くわけでございまして、そういう意味で、具体的な事項のほとんどはこれを受けてNTTにおいて定められる実施計画の中で定められることになります。  その前提で申し上げますけれども、承継会社事業を引き継がせる時期に関する基本的事項といたしまして考えられますのは、NTTが再編成を行うべきおおよその実施時期、それを示すことになるだろうというふうに考えます。
  73. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 この次の質問と一緒でいいのですけれども、そうすると、それはNTTさんとやはり協議をしながら定めていくということになるのだと理解していいかどうか。  その次、二番目に聞きます。その承継する業務の種類及び範囲というのはどういうことをイメージすればいいのだろうか。きのうは電報という話はされましたよね。電報は当然分かれることになるでしょうけれども、そういうもの、あるいは、あとどういうことを考えればいいかということについてお願いします。
  74. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 例といたしまして、電報事業とか衛星の事業ということを挙げさせていただくわけでございますが、こういったたくさんの業務がございます。それぞれの業務を再編成されますどの会社の業務とするかということを書くわけでございますが、それは実施計画で決めることになりますので、この基本方針におきましては、そういった振り分けを行う際の基本的な考え方を定めるということでございます。
  75. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 三番目に、承継する電気通信技術に関する研究、これは基盤的研究と恐らく応用的研究があると思うのですけれども、それ以外はどういうふうに考えればよろしいのでしょうか。
  76. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ここで、第三号の承継会社に引き継がせる電気通信技術に関する研究の業務に関する基本的事項といいますのは、現在のNTTの研究開発業務を各社でどのように分配して引き継いでいくかといったことなどについての基本的な考え方を書くということでございます。
  77. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 言葉としてはわかるのですけれども、基盤的研究というのは、これはもちろん持ち株会社に当然行く、これは法律で決まっておるのですけれども、応用的研究については、いろいろなところに研究所とか、どういうことなのでしょうか、研究所の配分とかそういうのは、これは業務ですよね。研究そのもの、もう一回その辺を。
  78. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 法律で持ち株会社には基盤的研究というところが書いてあるわけでございますが、では何が基盤的研究かというところはそれだけではわかりませんので、その基本的な考え方を示すということを今考えております。
  79. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 次に、承継する資産、債務その他の権利義務、これは、一つ考えられるのは、下の会社の株式、資産、そういうことだと思いますけれども、配分の考え方、あるいは子会社の株式の行方とか、そういうことなのでしょうか。
  80. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、現在のNTTの資産、債務、これは非常に多岐にわたり、また量的にも多いわけでございます。これを具体的にどのような形で承継会社に振り分けていくかということは、先ほど申し上げましたように、実施計画で決めることでございますけれども、その振り分けを行うに当たっての基本的な考え方を示すということでございます。また、子会社の株式、これにつきましても、具体的にどの会社をどこにということではございませんで、振り分けを行う際の基本的な考え方ということでございます。
  81. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 最後に、一つ一つ聞いて本当に恐縮ですけれども、公正競争の確保に関して必要な事項、物すごく範囲が広いというか、何をどう考えるのかというのもわかりにくいのですけれども、これは郵政省はどのようなことが必要な事項だと、どのような項目というか、どのような範囲を必要なものと考えておられるのか。
  82. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 例えて申しますと、長距離会社と地域会社との間の役員の兼任の問題でございますとか、それから営業の独立性の問題、そういったことについて、具体的にはNTTが実施計画に盛り込むわけでございますけれども、そういったことを盛り込むように求めるような趣旨の規定を設けることになるのではないかと思います。これは、いずれにいたしましても、再編に当たっての、その段階での考え方ということでございます。
  83. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 私は、不勉強なせいもあるし、また実務者ではありませんからよくわかりませんけれども、実施計画をつくる際に必要なものが基本計画ですから、ある程度基本計画で、この項目、一項目は何々ということの指針がないと、どこで実施計画をつくっていいかわからなくなると思うので、そのあたりはおいおいはっきりしてくる、相談しながらはっきりしてくることになるのでしょうね。
  84. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 こういったことにつきまして、基本的考え方というような意味である程度抽象的なものでありましても、もちろん具体的な実施計画をつくります際の指針となるものでございますから、実態を踏まえてつくる必要があるわけでございまして、そういう意味で、私どももよく内容について勉強し、またNTT考え方も聞きました上でつくることになるというふうに考えております。
  85. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 長々と基本方針についてお伺いしましたけれども、なお、この問題についてはさらにだんだん具体的になっていくことを期待しております。  次に、長距離会社の株式の問題について一点お伺いしたいのです。  長距離会社の株式、今回の再編成によって、長距離会社を特殊会社でなくて純粋民間会社とすることになるのですけれども、持ち株会社長距離会社の株式を処分しようとするときには認可を必要とするというのはなぜなのだろうか。どのような場合に認可を行うのか。また、当分の間認可が必要であるとしていますけれども、それは、当分の間というのはどういうことを、当分というのは時間的なもの、それから条件だと思うのですけれども、いつというか、どういう条件が整うことを意味しているのか、そのあたりについてお伺いしたいと存じます。
  86. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現在のNTTの長距離通信部門は、地域通信部門と一体となりまして、あまねく電話の確保等、電気通信役務の提供を行っております。  今回の再編成におきまして、長距離のNTTは純粋の民間会社となるわけでございますけれども、現在、この長距離電話サービスにおきまして約七〇%弱のシェアを有しているわけでございます。したがいまして、再編時にNTTとの資本関係を直ちになくしますことは、電気通信分野における市場構造を急激に変化させるということになるわけでございまして、従来、長距離、地域、一体的にサービス提供を行ってまいりまして、それによって維持されてまいりました両者間の連携関係に大きな影響を及ぼすおそれがあるわけでございます。  したがいまして、あまねく電話を確保していくといったような観点から、このような急激な変化緩和し、万一の事態に備える必要があるわけでございまして、そういう意味で、あまねく電話の責務を負っている持ち株NTTに長距離NTTとも適切に連携することが可能であることを担保することといたしまして、この株式の処分につきまして大臣の認可を行うこととしているわけであります。  また、実際に株式の処分を行います際には、このような再編成後の通信市場の動向のほかに、株式市場の動向でありますとかNTT株主の利益の確保などといったようなことにつきましても、あわせて慎重に検討していく必要があろうかと思っております。  それから、当分の間という意味でございますが、当分の間といたしておりますのは、基本的には、ただいま申し上げましたような市場構造の急激な変化の推移を見定めまして、あまねく電話の確保等について問題が生じないことが明らかになる時期ということが一つのポイントになるだろうというふうに考えております。
  87. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 今御説明ありましたけれども、いずれ手放していくという場合は、ある意味では株主の権利が侵害されることになるのではないかということも理屈としてある。それは、今回の再編で資産を三分割して、その子会社の株式を一〇〇%所有している間は、長距離会社の株式は当分の間は所有しているのですけれども、所有している間は問題は起こらないと思われますけれども、収益率が非常に高い長距離会社の株式を手放すことは当然あり得るわけです。そうすると、それだけぽこつとNTTの資産が減っていく、持ち株会社の資産が減っていくということになって、そうすると、今までのNTTの株主というのはそれだけある部分抜けたものを持つというふうなおそれがあるわけだから、だからやはり当然その辺のバランスの問題として認可が必要になるのかなということを考えるのですけれども、そういう面もあるんでしょうかね。
  88. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 これは仮定の話でございますけれども、売却をいたしましても、その対価が持ち株会社の資産として入りますので、基本的には、適正に売却されれば資産が減ずることはないと思うわけでございます。しかし、そういったことにつきましても、非常に重要な資産でございますので、株主の権利の保護という点もあわせて考慮して判断していく必要があろうと考えるわけでございます。
  89. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 次に、財務状況のディスクローズの問題ですけれども、株主にとっては財務状況のディスクローズは投資判断をする上で重要なものであるということは当然でありますが、再編後において持ち株会社の一〇〇%子会社となる東西地域会社及び長距離会社の財務状況については、NTTの株主に対して十分ディスクローズされることは担保されておるのだろうか、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  90. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTの再編成は、通信政策上の観点からいわば国策として国が実施させるものでございますので、その推進に当たりましては、株主の権利に最大限配意していく必要があるということはさきにも申し上げたとおりでございます。  したがいまして、株主が投資判断を行います際に重要な要素となります企業情報の開示につきましても、再編成後、現在のNTTが行っておりますものと同程度のディスクローズが行われることは必要であろうというふうに考えております。NTTだけでなく、地域あるいは長距離NTTの各社別の財務情報についても、そういう意味で、可能な限り開示されますようにNTTに対して私どもとしても求めていきたいと考えております。
  91. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 先ほども述べましたけれども、みなし公務員制度という問題が旧制度の残影として残っているというふうに私は申しましたが、これはまさに公務員に準ずる公社もしくは、その前は逓信省の直属だったと思うのですけれども、そういうところからの残影をそのまま引きずっているように思いますけれども規制緩和の流れの中で、この問題、罰則、十八条の取締役、監査役、職員にわいろ罪、収賄罪についての公務員並みの適用があるということについては、今後どのような方向で検討されるかについて御意見を伺いたいと思います。
  92. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現行のNTT法におきましては、国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で公平に提供するという責務を負っておるという公共的な役割をNTTが有しておりますことから、その役員の職務の執行の公正を確保いたしますために収賄罪等の規定を置いているわけでございます。  今回の再編成に当たりましては、長距離通信市場における競争進展によりまして完全に民営化する長距離会社を除きまして、特殊会社として残ります持ち株NTT、東、西の地域NTT、このいずれにつきましても、あまねく電話の確保等の観点から、引き続き特殊会社として公共的な役割を担わせる考え方でおりまして、これは現在のNTTと実質的に同じ意味を持つ役割を担うわけでございます。したがいまして、その役員の職務の執行の公正を確保する観点につきましても、現在と同様に収賄罪等の規定を引き続き置きたいというふうに考えておるわけでございます。  将来の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、全体的に特殊会社としておくことの必要性がどのように変わっていくかということも考えながら対応していく必要があるだろうと思います。
  93. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 私は、その問題については、やはり業務の性格からいって、金融とかそういう関係、あるいは中央競馬会とかそういうお金に関係するところはこういう問題があるにしても、情報通信産業については余りそぐわないような気がします。それはそれとして私の意見ですけれども、今後いろいろ問題になってくると思います。  最後に、一点ですが、大臣にお伺いしたいと思います。政策の今後の方向性の問題であります。  NTT国際通信に、そしてKDD国内通信に参入することによって、事業者間の相互参入が進展することとなりますけれども、同時に、合併など業界再編成動きも業界では進められているところであります。このような動向を踏まえた上で、国民・利用者のニーズにこたえるためには電気通信業界はどのようにあるべきだと考えておられるのか、またどのような電気通信政策を推進すべきとお考えか、郵政大臣にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 お答え申し上げます。  先生も御承知のとおり、国内国際を問わず、情報通信が産業構造あるいは社会生活にますます重要な影響を与えてきつつあることは御案内のとおりであります。したがって、通信事業者等におかれましては、利用者側のニーズにこたえるべく、特にまたこの利用者のニーズというものが多様なサービスを要求しておるところであります。  このような観点から合併が行われたり連携が行われておるわけでございますが、このような利用者のニーズに対応したサービス提供したり、あるいはまた経営の効率化を図る、こういう観点から今後ますます競争が激しくなってくるものと思いますし、また、事業者においては、この競争に勝ち抜く経営戦略としてこのような方策がとられておるものと考えます。  したがって、郵政省といたしましては、このような事業者国際国内分野において十分な、活発な事業展開が行われますように、また、利用者のニーズにこたえられる環境整備する、これが郵政省の大きな役目だと思います。  そういう意味で、規制緩和公正競争条件整備、あるいは光ファイバー網の整備等を図りまして、こうした情報通信インフラ整備についてこれからも積極的に推進してまいる所存でございます。
  95. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 どうもありがとうございました。
  96. 木村義雄

    木村委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時四十一分開議
  97. 木村義雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。遠藤和良君。
  98. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 午前中に引き続きまして、参考人の皆様には大変御苦労さまでございます。  今度の改革案でございますが、私、辛口な印象を申し上げますと、右側から見るとNTTは一社だ、資本関係から見れば一社だ、左の方から見ると、これは電通審答申である三社、あるいは持ち株会社が入りますから四社、こう見えるわけでございまして、何か透かし絵のようなものでありまして、まさに、長年経営形態をめぐって郵政省NTTが激しい論争をしてきたわけでございますが、その最終結末というのはどうも両者の談合でできたような一つの結末ではないのか、このような印象を率直に感じました。  それで、これが本当の改革なのかどうかということですね。今政治の世界でも改革という言葉が盛んに使われているわけでございますが、改革というのは、やはり国民のための改革あるいは利用者のための改革でなければならないわけでございまして、NTT郵政省がお互いの権益、主張というものをただ一つにまとめたというのでは、これは単なる妥協でございまして、改革ではないのではないか。改革という原点から見ると、今回の結論というものが、果たして、国民・利用者にどんなメリットを生んでいるのか、この目的が達せられるものかどうかということを検証することが一番大事だと私は思うのでございます。きょうは九十分時間をいただきましたから一具体的にその点について丁寧にお聞きしたいと思います。  まず、郵政省として、今回の改革というものが国民・利用者に対してどんなメリットを生むと認識をしておりますか。
  99. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ありましたように、このNTTの問題につきましては、昭和五十七年の臨調答申以来十四年間にわたってさまざまな議論が行われてきたところでございます。今回このような形で結論を出すことによりまして、情報通信グローバル化でございますとかまたはマルチメディア化といった大きな環境変化が生じつつありますこの分野の将来の展開に対しまして、適切に対応できる体制を整えることができるというふうに考えております。そして、このことによりまして、NTTの将来像はもちろんのこと、電気通信産業全体の展望を開くことができるのではないか、そういう意義を有しているというふうに認識しております。  また、これに加えまして、再編成によります公正有効競争の促進とNTT国際進出の実現によりまして、料金の低廉化が促進されましたり、あるいは国内国際の区別のないグローバルなサービスニーズへの対応が図られますなど、再編成のメリットが国民・利用者にも還元されていくものと期待しております。  ただ、具体的には、こういったことの実現は関係者のこれからの努力にまつわけでございまして、そのための仕組みを整備するといすことが今回の再編成のねらいであるわけでございます。
  100. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 確かに、臨調答申以来十四年間のこの経営形態をめぐる議論というものが一つの結末を見まして、それに費やしてきたエネルギーがここで本来のエネルギーの方に向かうことができるというのは一つのメリットかもしれません。そこは私も理解ができます。公正有効競争を生み出すというわけでございますが、これはどこの機関にどういう分野でどんな競争が具体的に期待できるのか、それをもう少し詳しく言ってください。
  101. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の再編成案におきましては、NTTを持ち株会社のもとに東西の両地域会社長距離会社に再編成することといたしております。このNTTの独占的な地域通信部門と競争が進んでおります長距離通信部門とがそれぞれ別の会社となることによりまして、組織的に内部相互補助が防止されます。それからまた、相互接続ルールの明確かつ公平な適用が可能ということにもなります。このように、有効競争条件が確立されることによりまして、従来問題を生じておりました長距離通信市場等におきまして競争が活発になるということがまず考えられます。  また、地域通信市場におきましては、東日本、西日本において同程度の規模の地域会社が二社設立されることになりますので、この両社間の比較競争といったことを通じまして、競争の活発化、組織経営の効率化が図られるものというふうに考えております。  さらにまた、NTT国際通信分野進出することができることになりますので、国際通信市場におきましても競争が活発化するものというふうに考えております。
  102. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 地域独占という観点から見れば、この東西の地域会社はそれぞれのエリアでは独占しているわけですよね。だから、そこの中での競争というのは、東の会社と西の会社競争するとあるのですが、東と西が同じ地域の中で競争する話ではないですね。これは本当の競争になるのですか。
  103. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かにそれぞれ別の地域でありまして、地域の条件も一様ではないわけでございます。しかし、この二社に分けまして、この二社の地域のさまざまな経済的な指標あるいは通信の利用状況等を比べますとほぼパラレルになるわけでございまして、そういう意味で、この両社がそれぞれ別々の会社として経営努力を行います際にその経営の努力の結果も比較的比較をしやすい形になっているものと思います。  いずれにいたしましても、別の会社となるわけでございますから、それぞれその会社としての努力をいたします、その結果を比較することができるという形になりますので、このことがまた両社の経営努力を促すことになるだろうというふうに考えております。
  104. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それはある意味で間接競争。直接の競争というのはないですよね、直接競争するというのは。
  105. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の法案におきましては、東西両地域会社がそれぞれ相生地域において地域通信事業を営むこともできることとなっております。  ただ、恐らく先生の御指摘は、一つの資本のもとにこの両社があるということで、十分な直接競争ができるかどうかという御趣旨だと思います。その意味では、確かに完全に分割された二社ではございませんので、制約があるということは私ども考えるわけでございます。しかし、次第にこの両社も独立性を強めてまいりましょうから、その中で、どういう形でやるかということは直ちに予測はできませんけれども、地域に対する参入ということも実現してくるかと思います。  そしてまた、こういった相生地域参入その他それぞれの会社の独自性を発揮しての効率化の努力といいますことは、持ち株会社がこの両社に対してどのような程度に経営の独立性、独自性を認めていくかということにもかかるわけでございまして、そういう意味で、関係者の理解を得ていきたいというふうに思っております。
  106. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 地域参入は大臣の認可が必要だと書いてある。これは、相互参入をやるというのは、競争を促すという意味では自由にした方がいいんじゃないかと私は思うのです。けれども、なぜ大臣の認可を必要にしたわけですか。
  107. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かに、相互の参入を活性化したいといいますか、実現したいということがこの制度のねらいであるわけでございますけれども、ただ、第一番の目的と申しますのは、現在独占的な地位を占めておりますそれぞれの営業地域におきまして、責任を持って電話その他国民生活に必要な通信サービス提供するということにあるわけでございまして、これが、特殊会社としてこの両地域会社を設けておる第一の趣旨であるわけでございますので、そういったこととの関係で、その本来の目的業務に支障のない範囲で、できる限り相生地域への参入等の展開をしてほしい、そういう趣旨で認可をかけておるわけでございます。
  108. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 地域二社を、要するに、いわゆるNTT法の枠の中に縛りつける、いわゆる特殊会社にしたわけですが、これはユニバーサルサービス関連になるわけですが、私は、相互参入を自由にするということは、ぜひフリーにした方がいいと思います。その方がより競争ができる、このことだけ今の時点では申し上げておきたいと思います。  国民にとってどんなメリットがあるのかという具体的な目安として、やはり一番わかりやすいのは電話の料金じゃないかと思うのですが、例えば、長距離電話電話料金が、この改革をやることによって、近い将来二分の一になりますとか、あるいは三分の一になりますとか、そういう具体的な自信のほどは示せますか。
  109. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の再編成におきましては、全国あまねく国民生活に不可欠な電話サービスを確保いたしますとか、あるいは、独占部門と競争部門とを別会社として公正競争の基盤を確立しますとか、あるいは、東西に地域会社を設けることによりまして両者間の比較競争を実現しますとか、こういったさまざまな仕組みを設けることによりまして競争を活性化し、サービスの改善、料金の低廉化を図ろうとするものでございます。  しかし、先ほども申し上げましたけれども、具体的にどのようなサービス内容を実現していくかということにつきましては、関係者、特にそれぞれの会社の営業努力、経営努力ということによるわけでございますので、行政といたしまして、あらかじめ、どの程度の料金あるいはサービスの改善を実現することができるという目安をお示しすることは難しいと思っております。
  110. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そういう環境を整えるのが行政の仕事であって、実際に営業するのはNTTあるいはKDDの仕事ですね、長距離は。そうすると、NTTKDDの方にも聞きたいのですけれども、今度のこの改革で、長距離通信の料金というのは安くできる自信がありますか。ある程度目標は示せますか。まず、NTTから。
  111. 井上秀一

    ○井上参考人 我々の事業というのは、何しろ、使いやすくて、いいサービスを安い料金で出していくというのが最大の役割だというふうに考えております。そのために日夜いろいろ努力してきているわけでございます。今御質問の長距離料金について、今回、再編成一つ会社になっていくわけでございますが、これから国際も含めていろいろなサービスを展開していく、その中で、財務状況その他を見ながら料金というものを決めていくわけでございます。国内の長距離料金そのものについて、今現在、一番遠いところは三分百十円ということになっているわけですが、とりあえず、従来から、二〇〇〇年までに百円にしたいという目標を掲げて今努力をしているところでございます。  さらに、再編後の長距離電話会社につきましても、幅広い分野での事業拡大だとか、より一層の経営の効率化、さらには、デジタル化その他の設備のバックグラウンドも使いながら、サービスの多様化、マルチメディア動き、こういうものを見ながら、さらには、いろいろな新しい事業者が今出てきております。公−専−公を使った新しい事業者が新しく参入している、こういうような動きも見ながら、料金の低廉化に努めていくという覚悟で取り組んでいくつもりでございます。
  112. 西本正

    西本参考人 長距離電話の料金が幾ら下がるかというような御質問でございますけれども国内長距離電話市場におきましては、NTTとNCCの競争の中で、年々料金水準が低下しております。今回の三法改正によりまして、公正な競争条件、接続条件が確立されて、さらに競争が促進され、また、KDDが新たに市場参入するということもありまして、料金水準の低廉化は一層促進されるものと考えております。KDDも当然競争力のある料金で参入したいと考えておりますけれども、これは、この法律が通ってからということもございまして、これから検討してまいるところでございます。
  113. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 地域の料金の方ですけれども、要するに、東西二社に分かれたといえどもNTTの独占ですよね。これはお互いに競争するということですけれども、地域の料金というのは下げることができるのか。それは、ただ利用料金だけじゃなくて、基本料金、あるいは問題でありますこのいわゆる施設設置負担金制度ですか、この圧縮、こういうものがちゃんとNTTとして料金を改定する視野の中に入っていて、こういうふうな方向で地域料金についても値下げをしたい、こういうふうな計画をつくっておりますか。
  114. 井上秀一

    ○井上参考人 地域料金につきましては、現在でも非常に、先生御存じのように、基本料金、それから、三分十円のところにつきましては、コストとのバランスからいって極めて安いというか、使いいい料金になっているんじゃないかと我々は思っておりますが、今後、東西の二社になった中で、この料金がどうなるのかという御質問をよく受けるわけでございますが、我々としましては、できるだけ経営の効率化、それから地域に密着した経営の中で、いろいろな多様なサービスを開拓していく中で、お客さんに迷惑をかけないようなサービス体系にしていきたいということは思っております。  そういう中で、それではどういうような料金体系になるのかということでございますが、いわゆるユニバーサルサービスとしての今の使いやすさ、これはぜひ維持していきたいということで今取り組んでおるわけでございます。  もう一つ先生の御質問にありました設備負担金、いわゆる一番初めの初期の費用でございますね。これについては、世界に比べて非常に高いじゃないかということをいろいろ問題にされておるわけでございますが、ISDN型の電話、これについては、先般、ぜひ初期の負担が軽いサービスについて認可をいただきたいということで、今、郵政省の方に提出してございます。  ただ、従来型の電話につきましては、これは非常に、過去の経緯もありましてなかなか難しい問題がありまして、我々としても、この問題をどうするか非常に頭の痛い問題でございまして、今後、いろいろな方のお知恵もかりながら、研究課題として今取り組んでいるところでございます。
  115. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 国際通話料金ですけれども、これは、いわゆるコールバック事業日本で展開できるということは、日本から外国にかける電話料が大変高いということですよね。今度、NTT長距離会社国際通信進出できるわけですが、日本から発信する国際電話の料金を、KDDさんも努力されるでしょうし、今度NTT長距離会社の方でも進出できるわけですから、お互いに競争するということで、これも競争が激しくなれば圧縮できるのではないかと思いますが、この辺の目安については何か考えを持っていますか。KDDさんから先に聞きましょう。
  116. 西本正

    西本参考人 お答え申し上げます。  国際電話の料金につきましては、技術革新と需要の増大、さらには競争進展によりまして、大幅に低廉化されておることは先生御承知のことと存じます。  例えば、KDDアメリカ向けの電話料金は、昭和五十年代以降これまで十七回値下げをいたしておりまして、現在では当時の七分の一以下の料金水準となっております。コールバックというお話もございましたけれども、今後、当社が、コールバックあるいはインターネット電話、あるいは公−専−公の開放がことしじゅうにございますけれども、こういった競争に対抗していくためには、より一層の料金低廉化が必要でございまして、そのためには、今回の法改正によりまして可能となります国内参入によって、私ども新たな需要を取り込むとともに、国内国際の相乗効果によるコストの低減化というものが可能になりますので、これをもって国際競争力をさらに強化していきたいというふうに考えております。
  117. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 NTT長距離会社国際通信進出するわけですけれども、それは、日本発の国際通話料金を安くする方向で頑張りたい、こういう方向を持っていますか。
  118. 井上秀一

    ○井上参考人 長距離会社国際に出た場合の料金ということだと思いますが、当然、我々としても、できるだけ安い料金で提供していきたいという考え方努力していくというふうに考えております。
  119. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 東西二社の料金の格差が起こるのか起こらないのかという問題、これはこの委員会できのうも議論になったようでございますが、新しい法律で申し上げますと、第三条、責務規定との関連だと思いますね。この責務規定の中のユニバーサルサービスを規定した部分をどのように読むのかという問題になるのでございますが、この法律に対する有権解釈というのはやはり郵政省が持つているのですが、郵政省としては、この責務規定の中に全国均一料金というのは含まれていると理解をしているのかどうか。これは法律の解釈の問題ですから、まず聞きます。
  120. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回、地域会社を二社に分けまして、その趣旨は、それぞれの会社がそれぞれ独立の電気通信事業者として経営努力を行い、サービスの改善に努めてほしいということでございます。その中で基本的なユニバーサルサービスを確保していただきたいということでございますので、基本的には、そのサービスの内容はそれぞれの会社の経営によって決まるということになるわけでございます。  ただ、ユニバーサルサービスにつきましては、やはり全国的にできる限り均一のサービス内容が提供されることが望ましいということも事実でございますし、また、再編後の変化といたしましても、急激な変化ということにつきましての影響ということも考えられますから、その辺につきましては、持ち株会社の方において、これら全体の状況を見ながら必要な助言その他の援助を行っていくということも考えられるわけでございます。  ただ、基本的なユニバーサルサービスにつきましては、今後の方向といたしまして、この両社が経営努力を行います中で、現在のサービス水準が現在よりも悪化をしていくということは予想されませんので、サービスが改善されます方向において変化をいたします際には、一時的によい方向での差が生じてくるということはあるというふうに考えております。  ただ、具体的な料金の決定は、さまざまな要素を勘案して事業者において決定することになりますので、私どもの方としてその結果を直接に申し上げることはできません。
  121. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 現在の水準を下げるといいますか、安くする、その安くする度合いが東西二社で違う、結果的に料金に差異が生じますね。そういうものを例えば認可申請をした場合に、郵政省は、この責務規定違反と見るのか。責務規定は、希望しているけれども、厳密に料金の差を違法だというふうなところまでは言ってないのではないか、こういうふうに理解をしますが、法律の解釈ですから少し厳格にしたいのですけれども、東西二社が競争するわけですから、競争というのはやはり料金にあらわれなければ競争にならないわけですね。幾ら競争しても同じ料金でなければ認可しないというのではだめなわけですね。それは、この法律の責務規定を読んだ上で、どんなことであっても均一でなければいけないというところまでこの責務規定は期待をしているのか、縛っているのかどうかという、法律の解釈の問題でございます。
  122. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ユニバーサルサービスという概念につきましては、明確な定義が存在するわけではございません。私ども考えでおりますのは、国民生活に不可欠であり、だれもが利用可能な料金など、適切な条件で全国あまねく供給がされるべきサービスだというふうに考えております。また、こういった意味で公平な提供ということも必要であるわけでございますけれども、ただ、このことは、必ずしも全国均一の料金その他の条件でなければならないということではございません。また、公平ということにつきましても、合理的な理由による差があるということは認められると思います。  ただ、その方向といたしまして、現状より悪い方向に行くということは私ども全く予想しておりませんので、サービスが向上していく過程において差が生じていくということは、むしろ競争という観点から見ますと、やがてこれに対して、競争においておくれております方がさらにこれに追いつき追い越すような努力をするというふうに考えられまして、結果的には全体的にサービスの改善が図られていくことになるというふうに考えておるわけでございます。
  123. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今の郵政省の答弁を言葉をかえて言えば、東西二社で値下げ競争をやってほしい、どんどん認可しますよ、現行水準より安い料金であれば。値下げ幅は同じものでなければならないということを縛るつもりはありません、こういうことでいいですか。
  124. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先ほどもお答えしましたけれども、具体的な料金の設定ということにつきましては、事業者においてさまざまな要素を勘案して判断するものでございますし、それからまた、現在提供されております電話サービスの条件につきましては、考えられる改善の幅というものもその内容によりましてあると思われますので、全体をひっくるめまして、差があることを前提にしてというお答えはできないわけでございますが、基本的に、一般的なお話として申し上げますならば、それぞれの経営努力によって差が生ずる、改善の方向において差が生ずるということは私ども受け入れるということでございます。
  125. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 たくさんしゃべるとだんだんわからなくなるんです。  要するに、お互い値下げ競争をやりなさいよ、競争世界の中でやることはいいことなんだから。ただ、現行の水準より悪い、値上げのことは認められないけれども、値下げするんだったら、例えば東の会社が三割やった、西の会社が二割だった、二割は認められないから両方三割にしろとか、両方二割にしろとかそういう線引きは郵政省としていたしません、それは東会社の自主的な判断を理解をする、こういうことでしょう。こういうことで、はいそうですと言ってくれればそれでいいんです。
  126. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 料金の設定につきましての必要な条件というものを満たした上でそのような料金の申請が行われますならば、それを認可するということになると思います。
  127. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 責務規定の理解の仕方、よくわかりました。それから、郵政省考えもよくわかりました。  さて、そこで、NTTさん、何か記者会見では、今度の改革の結果、西の会社にもいろいろな経過措置があって、交付金制度ですか、あるいは損金算入制度ですか、そういうものが取り入れられたから、当分の間は全国統一料金を維持できるというふうな会見があったように思っています。将来、東西二社がお互いに協力して、体力をつけて競争するというときになると、何が何でも全国一律ではなくても、東会社は東会社の自己判断、西会社は西会社の判断、こういうことで違う料金の認可を申請するということを考えていますか。ちょっと記者会見と現在の郵政省の答弁との乖離があるような感じがするものですから経営方針をお聞きします。
  128. 井上秀一

    ○井上参考人 今、郵政省局長の方から法律的な解釈をきちっと御説明されて、我々としてもそれぞれの地域会社がユニバーサルサービスをきちっとやって、それが全国的なユニバーサルサービスにきちっとなっていくというふうには考えております。その場合に、では事業者としてどう考えているのか。我々としては、今まで、過去全国一社という形でユニバーサルサービスを全国に提供してきました。これについては、国民の皆様、利用者の皆様から、非常にいいものだからということでずっと来ているというふうに理解しております。  今回、一番議論があるのは、東西に分かれて、逆にこういうものが維持できるのかどうかという御心配がたくさんございまして、我々としては、このユニバーサルサービスをできるだけ東西格差のないように今後とも維持していきたいということで、そのために、東西の会社がそれぞれ一生懸命経営改善をして、そういうものが維持できるような努力をしていきたいというのが基本的な態度であるということで、今までいろいろなところで述べてきたところでございます。
  129. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 郵政省の方は、競争するのは大いに結構、それは値上げの競争ではなくて、値下げの競争してください、国民の皆さんに還元できるような競争であればよろしい、その結果に差異が生じてもこれはしようがない、そこまで言っているのですが、NTTは、そうすると、やはり持ち株会社が両方をコントロールして意思を統一するというふうな話になりますね。それは今度改革をした趣旨にちょっと合わないのではないか、何か身内でかばい合っているような話ではないのか、こういうふうな感じがいたしますが、その辺の、当面の話と将来の話とあると思いますけれども、定かに経営方針を決めているのですか。社長さんにちょっと聞きます。
  130. 宮津純一郎

    宮津参考人 今先生おっしゃったように、近い将来と遠い将来という問題があると思います。それからもう一つは、郵政省さんの方は監督する立場ですから、こうあつてほしいというような意見をされると思います。私どもの方は当事者ですから、できないものはできないなと半分ぐらい思っているのですが、できないとは言っていませんが、実際上、責任を持ってやらなければいけない方ですから、そういう立場で物を言っております。そこのところの、両方の意味の違いはあると思います。  それで、実際上の問題としては、一番心配しておりましたのは、分離分割反対と前に私どもは言っていました。それは実際今のサービスレベルも保障できなくなるのではないかというおそれがあると思って、そのまま分離分割されたのではユニバーサルサービスも均一なサービスができないのではないかという危惧がございまして、いろいろ申し上げたりしておりました。  今回は、一応、いろいろな議論の末、条件をいろいろ整備していただきました。それで私どもとしては、そういう条件の中だったらサービスを低下させないで何とか均一のサービスというものが格差なしにできるのではないかというふうに今は予想しております。予想というか、そうしなければいけないと思っております。そういう意味で、格差のないユニバーサルサービスなるものをちゃんとやっていくつもりでございます、こういうふうに申し上げております。  おりますが、その先、それではそれがうまくいったとして、今度はずっとサービスがよくなっていく、そういう先になってきたら今度はどうなるのかというような話になりますと、私どももそこまで、胸を張って申し上げるというところまで今のところはちょっといっておりませんで、今はとにかく再編というものが起こって、今回の再編をやることによってサービスが悪化したり格差が出てきたりというようなことはなるべく避けたいんだというような意味で、努力してまいりますというふうに言っております。  もちろん、全体としてサービスレベルがずっと上がっていくということは、いろいろなサービスを全部含めて当然のことだと思っておりまして、今基本的には電話時代を超えて新しいいろいろなサービスが出てくる、需要というものがどんどんふえていくためにも、当然そういうことはしなければいけないし、努力しなければいけないということは承知しておりますので、そういう基本的な議論というのはあると思います。今申し上げましたのは、その中でいわゆる電話サービス、ユニバーサルサービスについてどういう姿勢で臨んでいるかということについて申し上げました。  以上でございます。
  131. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これから会社の経営方針等は、この法律が成立すれば、二年六カ月の間に議論をされるわけでしょうけれども、きょうは第三条責務規定の理解の仕方、責務規定の中でユニバーサルサービスが明文化されているわけですけれども、それは何が何でも全国統一料金でなければならない、こういうがんじがらめの規定ではない、法律解釈としてこういうふうな理解ははっきりしたと思いますので、その法律の中で会社の経営方針を会社が決める、こういう話になろうかと思います。  それから、今いろいろ国民にとってどんなメリットがあるのかと聞いてきたのですけれども、いま一つはっきりしないわけです。安くなるだろう、サービスが多様化されるだろうという期待感は郵政省はお持ちだ。それから、会社皆さんも、そう努力したい、こういう話はあるんですが、私、大臣に政治家として聞きたいのですけれども、政治家というのはやはり未来のビジョンを示す必要があると思うのです。要するに、郵政省の声を代弁するのが政治家ではない、大臣ではないと思います。むしろ、こういう改革を今やる理由を私はこう理解する、私としてはこういう目標を掲げて料金のコストダウンをし、さらにサービスを多様化して、こんなマルチメディア時代考えています、ですからどうか国民の皆さん、今回の改革について御理解ください、こういうことを言うのが政治家の務めではないかな、こう思いますので、政治家としての大臣にその辺の所感を聞きたいと思います。
  132. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほどから先生の御質問、御意見を拝聴いたしておりましたが、再編成のメリットはないのじゃないかというような御指摘、あるいはただお互いのメンツを立てただけじゃないかというような御指摘もありましたが、私はやはり、十二年間という長い間の時間はかかりましたが、それぞれ大きな意見の問題もあったろうとは存じますが、大局的な立場に立って今回このような合意を見たということ。すなわち、最近の情報通信の急激な発達、発展というものがこれに対して大きな影響を与えたことはまた間違いないわけであります。  御案内のとおり、今日マルチメディア時代と言われておるわけでありますが、そういう意味から、今回NTTとしても郵政省のこうしたこれまでの長い間の議論に賛同いただきまして、今回の再編成案がまとまったわけであります。  そこで、今回の再編成の目的につきましては、今までと同様に全国あまねく国民生活に不可欠な電話サービスを確保するということ、これは最も基本的な問題であります。  二番目に、NTT独占部門と競争部門を別会社にすることによりまして公正競争の基盤を確立てきたということ。  そして三番目に、NTTの地域会社の東西二社化による比較競争の実現であります。これはなかなか余り、これまでの御意見では、競争にならないのではないか、こう言われましたが、私は今日のマルチメディア時代考えると、それぞれの会社でお互いに多様な住民のニーズにこたえたサービスを開発していただける、こういうように考えております。  そして四番目に、競争と組織運営の活性化を通じまして、低廉な料金やサービスの多様化が実現できると考えております。  さらにもう一つ大きなものは、NTT国際通信への進出が可能になります。したがって、情報通信グローバル化への積極的な対応を図ろうとするものであります。  こういう具体的なサービスの改善や料金引き下げは、言うまでもなくビジネスを行う通信事業者努力にまたなければならないところでありますが、今この行政の立場で具体的な数値を示すことは妥当とは考えておりません。しかし、先生も御案内のとおり、十二年前にこの民営化に入りました。その当時、その五、六年前でしたか三分七百二十円でありましたが、そして民営化したときはちょうど四百円、それが今日では百円ないし百十円、こういうところまで電話料、遠距離通話が低廉化してまいりました。これもやはり通信事業者競争のたまものでありますから、今後公正競争の基盤が確立されますと、国内の遠距離通信料金だけに限ってもまだ引き下げが期待できるのじゃないか、こういうことを私は考えております。  私は、こうした環境を我々郵政省整備することによって大きな成果を期待できる、こういうように考えております。
  133. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 郵政省考え方は私どもさっきから聞いているので、政治家としての大臣の国民へのメッセージを聞きたかったわけです。国民に対する生の声をこの委員会を通して伝えてほしかったわけです。それをぜひ聞きたい。そうでなければ、やはり何か郵政省NTTが談合してつくった話じゃないのか。本当に国民に対してこういう改革をやる、こういう決意なんですよということをはっきりやはり生の声で伝えるべきじゃないかと私は思います。  私は、ほっておいても長距離通信初め通信のコストは安くなると思うのですよ、今の技術革新が進んでおりますと。さらに、例えば政治的に規制緩和を進めるとか競争を促進するとか、そういう手段をとることによって、ほっておいても下がるものをもっと下げる、こういうふうなものが政治家のこの問題に対する見解であってほしいな、こう思うのです。二分の一とか三分の一とかいう数値目標を本当は示してほしいのだけれども、少なくとも国民の目に見える形で大胆に規制緩和とコストダウンに取り組みます、そのことが今回の改正でできる環境一つできましたと、この辺の決意はやはり大臣の声としてお聞きしたい、こう切実に要望します。
  134. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、料金的に数値目標を示すということは通信事業者の領域を侵すことにもなりますし、我々はこうした事業者努力期待する、まだそういうために郵政省として大きな環境をしっかり、もろもろの環境整備をしていくということであります。  私は、NTTが今の一社が三社に事業体として再編成されることは、さらにスリム化された事業体の中で大きな成果を上げられる、こういうように思っております。いままでのNTTさんのNTTデータ通信あるいはNTTドコモ、これももともとは本体の中の一部門でありましたが、これが子会社として分離いたしましたら、さらに今大きな成果を上げられておるわけであります。私は、そうした今までの実験あるいは経験から見ましても、今回の再編成によって大きな成果が期待できると確信をいたします。  ただ、ここで数値をお示しできないことは御理解を賜りたいと存じます。
  135. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは、ちょっと話を変えましょう。  持ち株会社の株の話をしたいと思いますが、持ち株会社が持つ株は、今のNTT本社が持っている株をそのまま持ち株会社が持つ、そのほかにいわゆる三つの子会社ができるわけですが、地域二社と長距離会社会社創設時につくった新株ですね、これも持つ、こういう話になるのでしょうか。その持っている株を放出し終わったら持ち株会社は使命を果たして解散、こういうことになるのでしょうか。ちょっと説明してください。
  136. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答え申し上げます。  持ち株会社は、今度の再編の東と西と長距離と、そのほかに先ほど大臣の答弁にもございましたが、データとかドコモとか、当社が持っております子会社、これらの株式を所有することになります。これは、再編成の実施計画の中できちっとこれから決めていく問題で、今現在はまだ決定しておりません。  それで、先生のお尋ねの、子会社の株を放出していったら、一体持ち株会社ってどうなっちゃうんだというお話でございますが、今度の再編の持ち株会社というのは、基礎・基盤研究をやるということが一つございます。そのほかに、先ほど申しましたいろいろな当社子会社の株式を所有しておりますし、また新しく出資というものも考えられるわけでございます。情報通信分野にかかわらず、その周辺でいろいろな事業というものを展開することができる、当社が今回持ち株会社制度のもとに再編に合意をいたしましたのも、その辺に一つ当社の目標があるわけでございます。  そういう意味で、持ち株会社が放出を終わったから、役目がなくなってその会社を解散させる、そういう意味合いは全くございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  137. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 持ち株会社が持つ株は、まず今のNTT株、これはNTT本体の株と言っておきましょう、その株を全株持つ。そのほかに、子会社三社の株、新規発行した株を持つ。それから、現在あるドコモ、パーソナル等の全国展開をしている、この持ち株会社から見れば孫会社ですかね、その株も持ち株会社が持つ。こういう理解でよろしいんでしょうか。
  138. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答えいたします。  ちょっと先生誤解があるんじゃないかと恐縮ですが思うんですが、今当社の株式は、政府が約三分の二保有しておりまして、三分の一は一般の株主さんがお持ちになっているわけであります。ですから、当社、今度再編いたしまして、持ち株会社が存続会社になる。今の株主さんは持ち株会社の株を持つ、こういうふうになります。存続会社ですから、きのうお答えいたしましたが、そのまま株主さんは変動はないわけでございます。それで、持ち株会社は、逆に今度設立します再編の、東西であるとか長距離、この株式を持つ。それから、今NTTが持っていますいろいろなつぐつた会社の株、これを持ち株会社はそのまままた持ってあろう。これはこれから決める話でございますが、そういう筋合いに今のところ我々は考えております。  よろしゅうございますか。
  139. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いわゆる子会社の株ですけれども、それは、銘柄は東会社株、西会社株、長距離会社株という銘柄のある株を持ち株会社の金庫に納めておく、こういう意味ですか。
  140. 木塚修一

    ○木塚参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。  新たに今度つくります東西、特殊会社の株券と、それから長距離、純粋民間会社の株式、これを持ち株会社の方で株式保有する、全額ですね、一〇〇%出資でございますので。
  141. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そうすると、今市場に出ている株はNTT本体の株ですよね。そうですね。このNTT本体の株というのは、三社の全部の力というのは総和された株が出ていますね。  今度、長距離会社の株については、これは民間会社ですから、大臣の認可があれば放出することができますね。そうすると、それは長距離会社としての銘柄の株になりますね。それを出す。そうすると、今のNTT本体の株というのは、長距離会社実績というものも全部含まれているわけですけれども長距離会社だけの新株が市場に出ていきますと、NTTの本体の株というのは、長距離会社の力というものが薄れていく、なくなっていく株になってくるわけですね。そうすると、株の値打ちがなくなってくるんじゃないですか、今のNTT本体の株というのは。  NTT本体の株と、今後市場に出るであろう、認可があればの問題ですが、長距離会社株との関連性、つながりというのは一体どうなってくるんですか。
  142. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答えいたします。  長距離の株をもし当社が経営判断としてこれを放出したいというふうに考えますと、当然、先ほども先生御指摘のように、郵政大臣に認可申請いたしまして、認可をちょうだいして売却を進めていくということになろうかと思います。  その場合は、売却したときに、正当な対価が当然売却先から手前ども会社、新しい持ち株会社の方に現金で入ってまいります。あるいは株式を交換するというような話になれば、他社の株式が入ってくる、こういうことになりますが、いずれにいたしましても、正当な対価をちょうだいしながら売却を進めていくということが想定されるわけですが、その経営判断は、これは当社のグループ戦略そのものでございますので、これはそのときに適時適切に判断をしていくということになると思うわけです。  以上です。
  143. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今持っているNTT本体の株というのは、政府が三分の二保有しているんですけれども、その株が市場に出る、またNTTの持ち株会社が持っている長距離会社の株も市場に出るということになりますね。そうすると、今のNTT本体の株というのは、いわゆる三社、研究開発も入れると四、持ち株会社あるいは東西二社あるいは長距離会社、全部の力の総和というものがNTT本体の株ですよね。それが市場に出るわけですね、政府が放出することによって。  一方、持ち株会社長距離会社の株を出すということになると、今持っているNTT本体の株というのは、長距離会社が貢献している部分がかなりあるんじゃないかと僕は思う、今長距離会社ではないですけれども、長距離部門と言ってもいいかもわかりませんが、そこの部分があるんじゃないかと思うんですね。  そうすると、これは株券と株券を交換するというふうにするのか、あるいは今株を持っている人に長距離会社の株を先行取得できますよ、新株を譲り受けることができるという、そういう特別な措置のようなものを考えているのかどうか、全都市場に任せていますということになっちゃうんですかという話をしているんです。     〔委員長退席、岸本委員長代理着席〕
  144. 木塚修一

    ○木塚参考人 それは失礼いたしました。  長距離会社を今度法案が通りますと設立さしていただくわけでございますが、この長距離会社というのは、やはり資産の規模等からなかなか、NTTは現在約千六百万の株式を発行しておるわけですが、資産の規模が非常に大きい、今の会社そのものが。電気通信審議会の中でも御議論があったやに承っておるんですが、要するに、長距離会社の株券をつくった、これを今の株主さんに株券で渡していくという方法は当然あるわけでございますが、端株になってしまうわけでございます。流通価値の問題とか上場基準の問題とか、いろいろ御議論があったように承っておりまして、手前どもとしても、やはり端株の株券を今の株主さんに渡していく、これは一定のリーズナブルな考えだと思うのですが、なかなか資産価値の問題として、上場の問題等々を考えますと問題がたくさんあるという専門家の意見もございまして、私どもとしては、今そのような考えは持ち合わせていないという状況でございます。
  145. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、持ち株会社がたとえ子会社の株をみんな持っておりましても、NTT本体の株を政府が持って、その政府が全部出してしまったら、持ち株会社が持っている株というのは全部紙切れになるんじゃないですか。だって今のNTT本体の株というのは、四社の力を全部総和したものがNTTの株なんですから、NTTの株と子会社が発行する株との関連は一体どうなんだと。要するに、子会社の株を全部足したものと、今NTT本体の株全部と値打ちは同じでしょう、これは。そうじゃないのですか。
  146. 林豊

    ○林参考人 現段階で、まだ長距離会社の株を放出するかどうかということについては決めておりません。当分の間はまだ放出はないというふうに思います。したがって、先生の御質問につきましては、仮定の話ということになるわけでございますが、一般論としてお話しさせていただきますが、仮にそういう状態で長距離会社を上場し、株を放出するということになりましたときは、それに対して、当然株を放出したことに伴うキャピタルゲインと申しますか、収益が入ってまいります。それはまさに先生がおっしゃる、長距離の価値分の収益として入ってまいります。それは、当然にまた持ち株会社の株主の資産になるわけでございますから、言ってみれば、株式が現金と申しますか、それに転化された形でございますから、持ち株会社の株主さんの価値というものがいささかも減じない、こういうことになるわけでございます。  ただ、政策論として、将来の期待性も含めまして、放出するかどうかということにつきましては、これは一般の商法の手続に基づきまして、株主総会等で株主さんが決議された場合に放出することになります。したがって、了承つきでそういう形に資産の内容を変えていくということはあり得るかというふうに思います。そのように御理解いただければありがたいと思います。
  147. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、子会社三社の株を持ち株会社が持っていたとしても、それを実体あらしめるものにするためには、今政府が持っているNTTの未発行株、それを全部持ち株会社が持たなければ意味がないわけですね、同一の価値ですから。そのことを言っているわけです。NTT本体の株が全部出てしまったら、幾らNTT本体の株の中に小さな会社、小さいと言って失礼しました、子会社の能力も全部入ってしまっているわけですから。そうでしょう。そのようにしたわけでしょう。だから、その話をしているわけですよ。そういうことになりませんか。
  148. 井上秀一

    ○井上参考人 いろいろと立ちかわりの御説明で申しわけございませんが、端的に言いまして、持ち株会社が長距離、地域二社の資産を株を通じて持っているわけですね。したがって、その株を外へ出す、売っていくというときには、その資産の価値を世の中に売っていくという形になるわけです。そのときに、売って、その部分を持ち株会社で利益を得ないとだめなものですから、そこで先ほどから出ているキャピタルゲインを持つという形になります。そういうNTTの持ち株会社制度として、トータルの資産を、今度は、今国が三分の二持っているし、あとの三分の一は国民の方が、株主の方が持っていらっしゃるということで、NTTの持ち株会社の全体の資産、これに対してどういう評価をしてそれをどういうふうに持つかというふうな次元と、持ち株会社が今度の三社の資産を持つというのとはちょっと次元が一ランク違うというふうに我々は考えております。  我々としては、今後、持ち株会社の中の資産の一部である長距離会社をどういうふうに一般の方に持ってもらうかという形については、先ほど言いました経営戦略といいますか、グループ戦略という中で、持ち株会社として損はしないように、それからまた、持ち株会社を中心とした会社全体の株主である皆さん方が損をしないような形で戦略的にやりたいということで、御説明を申し上げているところでございます。
  149. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 本当は今NTT株というものを、NTT本体の株を子会社に分けなければいけないんだけれども、それをやると株主に対する権利が保護できないということでNTT本体の株にしているわけですね。そうでしょう。だから、NTT本体の株の中には、全部の資産、全部のものが入っているわけですね。それで’今度は新しくその子会社の新株発行してあるものを全部持ち株会社が持つわけですけれども、それは既にNTT本体の株の中に入っているわけですよね。そうでしょう。だから、二つ持っているようだけれども一つしか持っていないのですよ。その話をしているの。頭の体操として聞いているわけです。だから、政府NTT株本体の株を全部放出してしまったら、そうしたら子会社の株を何ぼ持っていてもそれは紙くずじゃないの、こう言っているわけですよ。だからそれは、NTT本体の株の中に含まれているのですから、NTT本体の株と今の子会社の株とをやはりドッキングさせなければいけないわけだ。どういうふうにつなげていくかという話になるのですよ。これをしなければいけないじゃないですかということを言っているわけです。
  150. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答え申し上げます。  どうもちょっと先ほどから議論が交錯していまして失礼しておりますが、先生がおっしゃっているのは恐らくこういうことじゃないかなと思ってちょっとあれなんですが、確かに、NTT子会社の資産価値を全部含めて今のNTTの株式というのが形成されておるわけです。それは今度は持ち株会社にそのままなるわけです。持ち株会社になるわけですから、持ち株会社制度というのをもうやめてしまいなさい、それで今のNTTの株主さんに今度できる再編会社の株券を、子会社の株も含めてちょっと渡してしまったらどうですかと。つまり、NTT一社体制を資本関係なしの分離分割にすれば、そのようなことになるわけであります。  それは手前どもとしては、株主権利保護という観点からいえば、やはり長距離の会社は、先ほど申しましたように端株になってしまったり、それから西の会社は赤字でございますから、上場してもとてもいい値段がつかないというふうに想定されるし、リスクが大き過ぎるわけでございます。したがいまして、株主権利保護という観点からいっても好ましくない。それなら、持ち株会社制度というもので、その答申が言っておられますいわゆる「公正有効競争」というものについても、法人格を別にすることによって一定の整理をしようということで私どもの判断ができ上がったということなんでございます。     〔岸本委員長代理退席、委員長着席
  151. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それはわかった上で聞いているわけですね。だから、今直ちに分割すると株主さんに対する保護ができない、そういうことで、NTT本体の株というものできちっとやりましようという話をしているわけですけれども、今度新しく子会社が発行した株も、それは子会社の銘柄の株だと先ほどおっしゃっていましたね。その株を全部持ち株会社が持つということですね。そうでしょう。それは、NTT本体の株の中にそういう価値は含まれているわけですね。だから、持ち株会社が今度放出するのはNTT本体の株だけというのだったらはっきりわかるのですよ。そうじゃない、NTT本体の株じゃなくて子会社の株を放出すると言っているから、NTT本体の株と子会社の株はどういう関係があるのかと聞いているわけですよ。
  152. 木塚修一

    ○木塚参考人 NTTはいろいろな事業をやっていまして、長距離はある部分の事業でございますから、当然、長距離の会社が今度できた場合にNTTの株を渡しても、だれに渡すのかわかりませんけれどもNTT自体がお国の株を配るわけにはいかないわけでありまして、NTTがどういうふうに、NTTの株を配るというのはちょっと私理解できないわけであります。  それで、長距離会社というものができ上がる。そうすると、昔私どもがデータを売却して上場させたように、長距離の会社が業績が一定なものを上げられれば、上場基準を満たせば、市場で売却しようと思えばできる。だからこれは一つの経営判断でございますので、今ここでとやかく申し上げるつもりはございませんが、そういうふうに私は考えておるわけであります。
  153. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 聞けば聞くほどわからなくなってしまう。  郵政省法律をつくった人に聞きましょう。これはどういうことを想定して持ち株会社をつくっているのですか。
  154. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 電通審答申の趣旨を受けまして、競争部門と独占部門、それからまたさらに独占部門も二つにということで、三つの会社に再編成するわけでございますが、それらを一時に完全に独立の会社とはせずに、持ち株会社のもとに資本的に統一する。それによって、従来一社体制のもとでつくられてきました全国的な通信システムの間における連携というものも維持をしていこうということでございます。  したがいまして、この三社の株は、それぞれ別々の会社でございますけれども、持ち株会社の株という形に一たん置きかえられて、そして、現在の株主、政府あるいは三分の一については一般国民の方々の株となるわけでございます。  したがいまして、持ち株会社の株はNTTが持っているわけではございませんで、NTTが発行し、それを政府あるいは一般の国民の方が持っております。政府は、それを今後できる限り、市場環境が整い次第、三分の二までは売却をいたしまして、一般国民の方々をNTT持ち株会社の株主にしたいわけでございます。  NTT長距離会社の株式は長距離会社が発行した形でございますが、持ち株会社が所有しておりますので、これを処分することができるのは持ち株会社でございます。持ち株会社がこれを処分いたしました際に当然正当な対価を相手から受け取るわけでございまして、そういたしますと、持ち株会社の資産といたしまして従来長距離会社の株式として持っておりました部分は現金にかわるわけでございまして、東西の株式と長距離の現金の分が合わさって、全体として同じ価値として、NTT持ち株の株主でございます国または一般国民の方々の資産になるということでございます。  これは、従来分離をしてまいりました、大きさの差はございますけれども、データにつきましてもドコモにつきましても、NTTの本体の株の価値の一部であったわけでございますが、それを子会社として分離をし、上場して売却いたしました際に株式が現金にかわって本体の資産になり、その本体の資産を表章する株券の価値の中身になったというふうに考えております。
  155. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ですから谷さん、僕はさっきから聞いているのですけれどもNTT本体の株というのがあるわけですね。それは、政府が今三分の二持っていらっしゃいますね。その価値というのは、分離分割する前のNTT、現在のNTTの全部のものを評価したものですよね。そうでしょう。  今度は、それを子会社が発行するわけですけれども、その評価の中を分けているわけですよね、これは。ですから、NTTの持ち株会社が保管をする子会社の株の価値の総和というものは、政府が持っている今のNTT本体の株の総和と同じですね。これは確認します。
  156. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 細かく申しますと、現在NTTが持っておりますデータ、ドコモ、その他の株式とそれからNTT自身が持っております不動産その他の資産、現金、すべて合わせたものがNTTの株式の価値の内容となっておるわけでございまして、その一部はかつてはNTT本体の中にあるドコモであり、NTTの本体の資産が株式という資産にかわりまして、さらにその一部が現金にかわったわけでございまして、それらが合わさってNTTの株そのものの価値になってきておる。  その価値の中身が、株を売却することによりまして株から現金にかわり、あるいはそれによって不動産を購入いたしますれば不動産にかわるという形でございますので、NTTの株主、ただいま政府三分の二、一般国民三分の一でございますが、この株主の持っております価値そのものは基本的には変わらないというふうに考えております。
  157. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 大分すっきりしました。よくわかりました。  将来、長距離会社ばかりじゃなくて地域二社も、例えば特殊法人じゃなくて民間会社になると、この株も恐らく市場に出るようになりますよね。これも認可を必要とするかどうかはわかりませんが。そうすると、そのころには子会社の株がずっと出て、NTTの古い株と言ったらおかしいですが、それはもうある意味では実体がなくなってしまうのじゃないでしょうかね。持ち株会社が発行している、あるいは政府が持っているのですけれども、実体を持っているのは子会社ですよね。そうじゃないのですか。
  158. 木塚修一

    ○木塚参考人 きょう当社の株式は百五万円ぐらいしているようでございますけれども、遠藤先生おっしゃるように、有力な子会社が今のNTT本体の株式に含まれている。それが、だんだん抜け殻のように、上場してキャッシュをもらって、それで売り出していくということになれば、現金は正当な対価として残りますが、しかし事業主体としてはやせ細っていく。ですから、百五万の株価がしておりますけれども、それがまた下がるとかそういう懸念は当然あるわけでございます。  持ち株会社の場合、通常、やはりキャピタルゲインを求めていろいろな新規投資を重ねてまいりますので、売ると、売った金でまた新たな投資をしてまた会社をつくったりして転がしていくというような手法もとられているようなので、持ち株会社の経営の方針いかんでございますが、できるだけ御損をかけないようにしっかり経営をしてまいるという考えであります。
  159. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ちょっと株の話でつい時間をとり過ぎてしまって申しわけございません。  KDDにお伺いしたいのですけれども、今度の改正で二年六カ月後にNTT長距離会社が純粋な民間会社になります。そして、長距離通信国際通信進出する。KDDさんも今回の法律で同じ分野、いわゆる長距離通信、それから従来の国際通信、両方同じ分野で、同じグラウンドで競争するわけですが、片やNTT長距離会社は純粋民間会社ですよね。株を持ち株会社に持たれているところはありますけれども、形の上では純粋民間会社ですね。ところが、KDDはいわゆる特殊法人ですね。これで本当に競争ができるのか。  私は、少なくともこの法律が施行される二年六カ月後までにはKDDも純粋民間会社になっていかなければいけないのじゃないか、こうじゃなければ本当の公正な競争にならないのじゃないか、こう思いますが、社長さんの気持ちはどうですか。
  160. 西本正

    西本参考人 お答え申し上げます。  NTTさんが、この法案が通りまして国際通信業務を提供する場合には、独占でございます地域通信部門から長距離会社というのは完全に分離、独立された形で行われる必要があるというふうに思っております。そして、NTT長距離会社が、いわば人、物、金、情報、こういういずれにつきましても、地域会社から完全に分離されるような公正な競争条件が整備されることが必要だと思います。  そのような公正競争のための条件が整備されていれば、私どもは、これまで長年にわたって培ってまいりました外国キャリアとの緊密な関係だとか、国際通信分野における技術面あるいはサービス開発面、営業面、そういった分野での豊富な経験とノウハウがございますので、これらを活用することによって、NTT長距離会社を含むほかの事業者との公正な競争を通じて、ユーザー、国民の利便向上と国際競争力強化を図ってまいりたいと存じております。  先生質問のございましたように、私どもも、二年六カ月後にNTT再編が完了しまして、長距離会社が完全民営化されるという事態になりますまでには、遅くともそれまでには、この激しい競争環境変化の中でやってまいるわけでございますから、KDDもそれまでには少なくともNTT長距離会社と同様の経営基盤に立った事業活動が可能になることが不可欠であるというふうに考えております。
  161. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 二年六カ月先の話ですけれども、今直ちにKDD法を二年後に廃止するという法案をつくってもいいと私は思っているのですね。それは、二年間待ってつくっても同じことかもわかりませんけれどもNTTの方向性がそういうふうに決まるのであれば、KDDにも、この法案を二年六カ月後には廃止する、そういうことをきちっと法律の中に書いた方がいいのじゃないかな、こういうふうに私は思っております。  それから、時間がなくなってしまってあれですが、今度の改革というのは、私の感想でございますけれども、三段跳びで例えれば、十四年前にホップがあった、要するに電電公社民営化したわけですけれども、それから今度はステップだ、次はジャンプだ。究極の姿というものをやはり目指した今回の改革であるということでなければ意味がない、中途半端で何かわからない改革ということになってしまいますから。究極の姿を私はこの際大臣に明確に言ってもらいたいのだけれども、私は、究極の姿というのは、NTT法もない、KDD法もない、電気通信事業法という一般法だけがある、こういう社会で自由に競争する、こういう社会をつくるべきだと思います。要するに、NTTKDDも完全民営化です。こういう方向を目指すべきだ、これが究極の姿だ、こういうことを大臣はっきりとおっしゃってください。
  162. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 NTTが、法律の規定がなくても、不採算の離島や山間僻地を含めまして、全国あまねく電話サービスを安定的に確保するという覚悟はあると考えておりますが、しかし制度的に担保することが、国民も安心して、電話通信サービス期待しておるもの、私はかように考えておりますので、今後とも国民の利便を確保するという立場から、現在NTT法を廃止するという考え方はとっておりません。  将来、この独占部門というものが廃止されて、地域通信競争が十分確保されるという状況になった段階で検討すべきだと考えております。
  163. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ですから、今度の改革というのはどっちの方向を目指した改革であるのかといことをはっきりした方がいいと思うのですね。この改革で終わりというのでは決してありません、その方向としては、やはり規制緩和を徹底してやりましょう、またNTTKDDについても純粋民営化の方向を目指しましょう、しかし条件が整わなければ難しいですよ、しかし究極の姿はそういう方向を目指して改革をしていきましょう、自由な競争の社会にしましょう、こういうことだと思うのですね。  責務規定が守れるかどうかという、これはまたNTT会社に本当は聞きたかったのだけれども、ちょっと時間がないものですから御容赦願いたいのですけれども、少なくとも究極の姿がそういう方向にある、しかし今は環境が整わない、こういうことで理解してよろしいのですか。
  164. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTKDDのいずれにつきましても、最終的には完全民営化を目指しているわけでございます。  ただ、それが実現するための条件といたしましては、NTTにつきましては、地域通信市場における競争の実現、それからKDDにつきましては、国際通信市場において十分な対地に対するネットワークを持った事業者が複数出てまいりまして、競争が実現できるということが必要となるわけでございます。  そういったことの実現と申しますのは、市場のさまざまな条件、実態を前提といたしまして、KDDNTT努力と、それから、それを取り巻くいろいろなその他の事業者も含めた環境の中で実現してくるわけでございまして、その時期がいつになるかということについては今予測することはできないわけでございます。したがいまして、目指す方向はそうではございますけれども、それをいつ実現するかということを今決めることはできないということでございます。
  165. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そういう方向を目指しての今回の改革であるという位置づけでよろしいですか。そういう理解でいいですか。
  166. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 そうでございます。
  167. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 わかりました。  今、責務規定のところがありましたね。ですから、恐らく大臣も心配されて、谷さんも心配されたのは、責務規定がなくても、NTTが純粋民間会社として、きちっとそういうユニバーサルサービスを自主的にみずからの経営方針でやれるかどうか、こういうことだと思うのですね。これはどうですか。そういう方向がはっきりしたわけですから、そういう方向に従って会社として努力しますか。
  168. 宮津純一郎

    宮津参考人 方向としては、その方向で努力したいと思います。  ただ、残念ながら、現状ではやはりいろいろございます。それで、努力もこれから相当しなければいけないものもございますから、そういう責務規定というものがやはり必要で、責務規定があるということで、我々自身がそれを裏づけにしてサービスをあまねくやっていくというようなことが今はやはり必要な段階ではないか、そういうふうには思っております。  しかし、行く行くは技術の進歩もありましょう。それからサービスの普及もある。事情はずっと変わってくる。変わってくるが、方向としては、将来は、私は今先生がおっしゃったような方向を目指しているものと思っております。
  169. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 やはりそうした方向をぜひ目指してほしい。それができるだけ早く実現をしてほしい。そうなってくれば、NTTの経営形態という問題は、純粋民間会社の経営をどうするかという話ですから、株主総会で決めればいいのですよ。政治が介入する課題ではないのですよ。それが今の日本の自由社会の姿であると思うのですね。  その中で、大きいものはやはりそれにふさわしい役割を果たさなければいけない、みずから課した義務があるわけですよ。それが責務規定だと思うのですね。法律で書かなくても、みずからの会社の務めとしてそれを果たしていく。うまいところだけ、利益のあるところだけやるのが大きい会社の務めではないのです。会社のモラルの問題だと思いますね。そういうふうにしていくのが将来のあるべき姿だ、こういうふうに私は思います。  そんな感想を述べまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  170. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  171. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は昨日、この分割再編によるサービスや料金あるいは東西間の格差、こういう問題だとか、あるいは基本方針について、これは本当に時間がなかったので十分ではありませんので、また後ほど機会がありましたら質問をさせていただくとして、もう一つの問題として、国際進出の問題をお伺いしたのですが、これまた時間の関係で中途半端になっております。  そこで、きょうは、昨日に続きまして、この国際進出という問題でまずお伺いしたいと思います。  最初に、NTTの方に聞くわけですが、以前の分割案の中で、やはり以前のような形の分割では国際競争力が低下するということを反対する大きな一つの理由として挙げておられたと思うのです。  電気通信審議会での当時の児島社長の意見陳述を見てみますと、「情報通信市場における国際競争は、AT&T、BT、IBM等の巨大企業が相手であり、NTTが伍していくには技術力の幅と深さ、サービス力、資金力等の総合経営リソースを最大限活かす必要がある。」こういうことをその電通審の審議の中で述べられていると思います。つまり、相手が巨大企業だ、これと競争するのだから、こちらもNTTの総力を挙げてやっていかなければだめだ、こういう意味だと思います。  そこで、提案されているNTTの分割後に国際通信市場に進出するのは、もちろん長距離NTTです。この長距離NTTはどの程度の企業規模をお考えになっているかということ。  それからもう一つは、NTTの今年度の事業計画を見ますと、長距離事業本部の収入、つまり売り上げは七千五百億円程度である、こうなっていると思います。これはKDDの売り上げの三倍以上に当たると思います。しかし、AT&TやBT、これが四兆ないし五兆円、こう言われております。BTのパートナーのMCI、これを調べてみますと二兆円という規模でした。一九九五年に発表されたAT&Tの九四年度年次報告というのがあります。約七百五十一億ドルの売り上げ、こういうようになっていると思います。  そして、こんなことがその報告書の中に書かれております。「一・五兆ドルある世界市場の五%しか占めていないAT&Tは、まだ成長する余地がある小さな魚にすぎない」こういう表現をしております。そしてそこには、アメリカの地図の上に金魚鉢があって、その金魚鉢から金魚が飛び出して、これは飛び出していく金魚がAT&Tですが、そしてヨーロッパだとかあるいはアジア方面、こういう方面へ向かっていく地図、イラストですね、こういうものが添えてあるのです。この七百五十一億ドルの売り上げでも小さな魚というAT&Tという巨大企業、こういうところと競争するためにはこちらも巨大でなければならないというのが児島前社長の述べた中身だろうと思います。  そこで、この問題が、持ち株会社方式になれはどのように解決されていくのか、こういうことでお聞きしたいわけです。  つまり一直接国際通信市場に参入する長距離NTT、これを巨大なNTTグループがどのように支援していくのか。どのような手法で、持ち株会社となる新NTTが傘下の長距離NTTに対して、NTTグループ全体の力をどうやって結集していくのか。その中身についてお聞かせいただきたいと思います。
  172. 宮脇陞

    宮脇参考人 御説明させていただきたいと思います。  今回の持ち株会社方式による再編成、これ自体は、私どもとしましては、国際競争力をつけるという意味での私どもの願いと一致しているというふうに思っているわけでございます。  すなわち、先ほどもお話にあったかと思いますけれども国際競争をしていく上で必要な研究開発力とか、それから安定した資金調達力、それから私どもを信頼していただくたくさんのお客様、こういうものがグループ全体の資源として有効に活用できるというふうに考えているわけでございます。  海外のメガキャリアとの競争という意味では、今申し上げました持ち株会社のグループ戦略のもとで、長距離、地域、その他グループ会社がそれぞれの独自の力を発揮しながら国際事業を推進し、低価格、高品質なサービス提供する、こういう方針で臨み得るというふうに考えているわけでございます。  よろしく御理解を賜りたいと思います。
  173. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう一つの点について、この長距離NTTの規模を大体どのぐらいに考えておられるのですか。
  174. 木塚修一

    ○木塚参考人 まだ再編成の実施計画を決めておりませんので、今の時点では正確なお答えは当然できません。  今の時点で、長距離会社が今後できた場合、どういう事業をやるかということで、一応長距離事業それから国際事業、この二つが軸になるだろうということで、今我々がそれに携わっている社員数であるとかリソース関係を整理してみますと、総資産で一兆一千億円。それから、従業員数で約一万人という会社が想定されます。再編時を仮に一九九九年度といたしますと、今の事業計画からは少し収入が多くなりますが、約一兆円の収入。再編成コストなどを含んで、経常利益は二千百億円ぐらいを上げられるような会社になるかなと。しかしながら、これはまだ本当にざつくりした話でございますので、御了承ください。
  175. 矢島恒夫

    ○矢島委員 どのようにしてNTTグループの総力を上げていくかという具体的なことでもう少し中身をお聞かせいただきたかったわけですが、研究開発体制というのは、一つ重要なファクターだろうと思います。これは、確かに持ち株会社が直轄するわけですから、その費用というのは、グループ各社の利益に基づいて配当が充てられる、総力的な力だと思います。  しかし、先ほどのお話でも、それぞれのNTTのグループ、これは昨日宮津社長も、NTTグループの総力を上げる、こういうやり方でいくんだ。その中身がどうも、研究開発だけははっきりしているわけですが、そのほか、総合経営リソースを最大限活用していくということを児島前社長は意見陳述の中で言われているわけですけれども、この経営リソース、いわゆる経営資源といいますか、こういうものがNTTの中では、先ほどもちょっと出ましたが、人、物、金というような表現を使われているかと思います。要するに、このNTTグループ全体の資金力あるいは技術力あるいはマンパワー、これなどを、総合的な力を最大限に生かすということだろうと思うんです。  これは、研究開発の部分はわかるのですが、そのほか、人、物、金、どんなふうな総合的な力を海外国際通信分野に結集していくのか。その辺はどんな構想なのか。お聞かせいただければと思います。
  176. 宮脇陞

    宮脇参考人 先ほど木塚も、規模等につきましてまだ未定の部分が多いというふうに申し上げたとおりでございまして、私ども、総力を上げてやるということで、社内で鋭意検討を進めております。  その場合には、先ほども申し上げたとおり、研究開発だけじゃなくて、国際へ出るということでも、今現在その職務についている者だけを頼りにするということじゃなくて、社内全体からリソースを糾合し、あるいは特に、国際というような意味では、社内よりもと言った方がいいぐらい社外からもそういう力を求めて、進出を試みたいというふうに思っております。  それ以上につきましては、ちょっとこちらでは今のところ御遠慮させていただきたいというふうに思います。
  177. 矢島恒夫

    ○矢島委員 直接国際通信市場に乗り出すのは、もちろんこの分割された長距離NTTということになるわけであります。先ほど、幾つかのメガキャリアについて申し上げたんですが、例えばAT&Tなどの巨大企業に伍した競争をしていくということになりますと、NTTグループ全体の総合的ないわゆる経営リソース、人、物、金が必要ということになる。これがどこから生まれてくるのかという点を私考えてみたいんです。  言うまでもなく、国内のいわゆる電気通信事業、そこから生まれてくるだろうと思うんですね。というのは、NTTの総売り上げの八割から九割は、今でも電話による収入だと思うんですね。  ですから、大臣考え方をちょっとお聞きしたいんですが、国内での電気通信事業でつくり上げていく総売り上げの中の八割から九割、そういう部分を占めている、そういう大きな経営リソース、人や物や金、これがあってこそアメリカなどの巨大企業を相手にした国際競争に乗り込むことができる。これが持ち株会社によって担保されるというのが今度のNTT再編であろうと思うんですが、大臣、このことについてはどうお考えか、そのことをお認めになるのかどうか。
  178. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 このたびの再編成で持ち株会社方式を採用いたしましたのは、ただいま矢島先生御指摘のとおりでありまして、私は、このNTTの大きな資本力、技術力というものを大きく分散することなく一本にまとめて、大きな力で活用するという形になる、こういうように理解をいたしておりますので、今後、長距離通信はそれなりの資金面の努力はするでありましょうが、もしその面で、資金の面が足らない分については、NTT持ち株会社の方で十分な御支援をいただける体制、これが今回の一体化した再編成だ、こういうように考えておるところであります。
  179. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今度の法案の中でも、内部相互補助というのはできないと言っておるわけですけれども、一方で、きのうも私質問の中で申し上げたんですが、橋本首相みずからの指示のNTT国際進出、これは、NTTグループ全体の力が発揮できるように持ち株会社にしていこうということで今日来ていると思うんです。  このことは、研究開発能力、これは大きいけれども、これはすべてではなくて、総合経営リソースというものを最大限発揮していく必要があるということからも端的に示されていると思うんです。国内の電気通信事業でつくり出され、これからもその中でつくられていく、そういうNTTグループの全体の経営資源というものが、国際競争力の源泉になっていくんだな、こう思うわけです。  これは、一九九五年の児島前社長の年頭のあいさつだと思うんですが、こんなことを言っていらっしゃる。「電話からマルチメディアヘ」という話の中で、「誤解のないようにいっておきますが、電話世界は決してすたれることはありません。しかもマルチメディア世界より利益のあげ方が易しい世界です」「「NTTの糧は電話である」という情勢は当分変わることはないでしょう」こう言っておるわけですね。マルチメディアに向かって大いに突き進むけれどもNTTの糧は電話である、これは変わらないんだということを言われているわけです。  つまり、私が言いたいのは、電話事業という公益事業でつくり出されたNTTの経営資源というものを使って国際競争に乗り出していく、これは否定しようがないことだと思うんですね。  そこで、NTTにお伺いするわけですけれども国際通信市場というのは、これまでもいろいろ出てきましたけれどもアメリカやイギリスやフランスやドイツのメガキャリア、あるいは国を代表するという意味でのフラッグキャリアという言葉もありますけれども、そういうところによる大競争という状況を呈している。それぞれが国境を飛び越えていろいろとグローバル化していく。これは非常に急速に進んでいる。その中で互いに業務提携をしたり、あるいは資本提携、さらには合併というようなのも起きているわけです。  NTTは、ことしの一月八日、NTTの「今後の国際事業への取り組みについて」という文書を発表されました。そこでは、中身を見てみますと、まず、多国籍企業向け情報通信システム構築事業、これを先行させていくということになっております。グローバル・マネジメント・フレームリレーとかマネジメント専用線とか、あるいはIPサービスなどが例示されております。海外においてこれらのサービスを開始するということですが、これは、AT&Tのワールド・パートナーズだとかコンサートだとか、あるいはグローバル・ワンとか、こういうところと競合するサービスなんですか。こうしたグループと同じサービス提供しながら競っていこうということになるのかどうか、その辺の大体の構想をお話しいただければと思います。
  180. 宮脇陞

    宮脇参考人 ことし初めだと思いますが、私どもの方から、国際事業への取り組みについておっしゃられたような構想を発表いたしました。その中で展開しようとしているサービス、それが今おっしゃられたいわゆるメガキャリアの連合といいましょうか、そういうものと競争するのかということなんですが、実は、私どもそういうメガキャリアとの対応の仕方については、一つの理由は、まだ法案も通っていない時点で、それからもう一つは、法案が通って以降につきましても、私どもの戦略としてどういう具体的な戦略を持って動くかにつきましては、明らかにしておりません。  という意味は、私どもの現在申し上げられることは、私どもが展開しようとしているサービス、それによりまして、必要があれば提携あるいは連携、場合によっては出資というようなこともあるかもしれないというふうに言わせていただいておりまして、それはそのとおりになるかもしれませんが、今のところは、少なくとも同じ領域で競争をするだけとは言い切れない。いわゆるそういう場合もあるかもしれませんし、全然違った領域での競争ということが起きるかもしれませんし、残念ながら、今のところそのとおりだと言える状態にはございません。
  181. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いずれにしろ、このNTTの「今後の国際事業への取り組みについて」の中で示されているように、まず最初に手がけていくのは多国籍企業向けのいろいろな形態がずっと書かれているわけですが、そういう方向だ。要するにまず手がけていこうというのは、多国籍企業向け情報通信システムの構築事業ということについては、これは間違いないと思うんですね、そういう方向で進められるということについては。  ATTのワールド・パートナーズとかBTとMCIのコンサートだとかあるいはグローバル・ワンもそうですが、これらが競っているのはやはり多国籍企業のニーズにこたえるということだということ、これはMCIの副社長を初めとしてグローバル・ワンの社長だとかあるいは日本AT&Tコミュニケーションーサービス社長などが座談会を行っているわけです。その座談会の中で、やはりこの三グループとも多国籍企業を基本的に顧客とするということを言っているわけですね。  さらにまたこのことは、これは「日経コミュニケーション」という雑誌の九六年九月十六日号に出ていることですけれども、「提携第二幕迎える国際通信ユーザー層の拡大への競争激化」という表題になっておりますけれども、特集的に記事を載せたわけです。その中の一部の記事ですけれども国際キャリアが提携することによって提供されるサービスの対象が、全世界でも数千社程度の多国籍企業に絞られているという記事です。これらのグループが提供するサービスというのは「大多数のユーザーには縁遠い存在」という表題をつけて、中身としては、大多数の国際通信ユーザーは二国間での接続をベースにした通常のサービスで十分である。ネットワーク構成が多少複雑になっても、各国通信事業者がユーザーに合わせた特別メニューを用意しているから不自由しない、とも言っているわけなんですね。  私は、多国籍企業向けサービスが悪いとかやる必要がないとかいうことを言っているわけじゃないんです。問題は、国内電話事業でつくられたNTTグループ全体によるところの経営資源、人、物、金ですか、これを源泉とする体制で臨もう、こういうわけですが、国内電話でもうけてこれを国際競争につぎ込む、しかも第一段階として多国籍企業向け情報通信システムを構築していくというここに大きな問題があると考えているわけです。  ワールド・パートナーズなどの先行三つのグループ、この動きから日本は出おくれた、大変だと盛んに言われております。しかし、このワールド・パートナーズでもまだまだ赤字なんですね。NTTが乗り出しても当分の間、これはいろいろ設備投資とかかなりの額がかかると思いますから、当分の間は赤字じゃないかと思うんです。読売新聞によりますと、これは大体当初かかるのは二兆円と書いてあったと思いますけれども、大きな設備投資その他の費用が海外進出のために使われるだろうと思うんです。  大体どれくらいこれが膨らんでいくのかというあたりの見通しなんですが、国際進出というのは長距離NTTだけではなくて、外国キャリア事業、この方はアジアを中心として海外での通信インフラの構築に乗り出す事業、これは東西の地域通信会社が引き継ぐということになるんだろうと思うんです。これまでのこういう部分への投資額というのは、聞くところによりますと四百三十七億円である、こう聞いております。今後そういう部分も膨らんでいくんだろうと思うんですね。  そこでNTTにお聞きしたいのは、グループ全体として国際進出にかける経費、どれくらいになるのか。これも、まだこれからのことだからわからないという部分もあるかもしれませんが、一応予想されるものがあれば。あるいはどの程度が適切であるとお考えになっているか、もしありましたら。
  182. 宮脇陞

    宮脇参考人 先生の方が先にお答えをおっしゃったのではないかと思うのですが、国際通信事業の展開に当たりましては、おっしゃられるとおり、長期的な観点から進出せざるを得ないわけですけれども、さまざまな投資あるいは経費等が必要になると考えております。新聞等に額が掲載されたということも実は聞いておりますが、これは私どもの計算した数字ではございませんので、とても今、現状ではそのような額は考えておりません。  いずれにしましても、今後の事業の展開に当たりましては、ただ投資を優先するということじゃなくて、あくまでも事業の採算性というものも考えて、少なくとも国内お客様へのサービスの低下等を招かないように配慮しながら進出していきたいと思っておりますので、御理解賜りたいと思います。
  183. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今の時点では全体の額その他についての構想もなかなかはっきりお答えいただかなかったわけですけれどもNTT国際通信事業進出していく。私は、国内の電気通信事業をこの源泉とする以上は、国民・利用者にいろいろと公開されていかなきゃいけない問題であろう、どれだけ海外進出のために投入していくのかということについて、公開と合意ということが必要だと思うのです。  やはり、競争体制があれば何でも事業者の経営判断に任せていいのかという問題。ここでちょっと郵政省にお聞きしたいのですけれども、やはり競争の激しい分野に資金を初め経営の資源というのは投入される、これは大体当然の摂理だろうと思うのですね。NTTは、国民生活に一番近い部分の地域通信という点では事実上の独占状態ですから、やはり最も競争の激しい分野ということになると、あるいは本当の意味での競争がある部分といいましょうか、そういう分野というのは国際通信、しかも私が先ほど申し上げたように、まず多国籍企業からということですけれども、全世界で数千社程度、こう言われております。こういう多国籍企業を相手にした世界の巨大企業と競い合う、そういう分野だと思うのですね。数千社ですけれども市場は非常に大きいわけです、ここは。相手が数千社であるから競争も激しくなる。ここで他社よりもより安く、よりよいサービスということになると、赤字覚悟でもやっていこうということになるんじゃないか、それが一つ企業戦略になっていく可能性というのは大きいと思うのです。  郵政省に聞きたいのは、そういう問題を事業者の経営判断ということでお任せになるのかどうか。どれだけ海外の方へ投資していくかという問題などについてどのように考えていらっしゃるか。
  184. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTT国際進出の問題につきましては、将来における我が国及び我が国民の利益という観点がございますので、そういった国策的な観点の議論はあろうかと思いますが、それはおきまして、電気通信法制上の問題といたしまして私どもとしてお答えをいたしますと、電気通信のように公共性の高いサービスの料金につきましては、その費用に対して適切に定めるという、料金を定める原則がございます。したがいまして、国際進出のような新しい分野への進出に必要な経費につきましては、これは先生、恐らく現行NTTのもとにおいて子会社方式で行う国際進出、その際の投資のことをおっしゃっておられるのではないかと思うわけでございますけれども、それにつきましては、NTTが内部留保した資金あるいは外部から新たに調達した資金、こういったものを充てることになるのではないかというふうに考えております。  分離後の長距離会社が行うということについては、また別途の問題だと思います。
  185. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大臣、今ちょっとやりとりお聞きいただいたと思うのですけれども、もちろん、電話料金というのは公共料金であることはこれはもうそのとおりであります。NTTの総収入ということから考えてみれば、その圧倒的部分はやはりこの電話料金ということはこれまた事実であります。大多数のユーザーには縁遠いサービスを、いわゆる多国籍企業サービスを行うということについては、結局そこで競い合うわけです、こういうことが国民に安くて良質なサービス提供することになるのかどうか。大臣どんなお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  186. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほどから委員の御意見を拝聴いたしておりましたが、私は、これからの国際進出というのは、やはり国内企業である程度内部留保を持ったり資本力を蓄積した者でないと国際進出もできないし、あるいはまた国際協力もできないわけであります。したがって、今後、国際進出を我々は大きく期待しておるわけでありますが、私どもは、NTTのこれまでの内部留保やそして高い技術力、そういうものを十分活用しまして、さらに、新しい長距離通信会社等が資金の調達をされまして諸外国進出をしていただく、これが今後の日本の電気通信情報産業の発展の上に大きな貢献をすると思います。  国内のそうした料金の蓄積というか内部留保の資金を使うことが国内の一般的な電話あるいはその他のサービスが低下するということにはならないわけでありまして、外国情報通信に参画しながら採算性を考えておるわけですから、また将来、投資金額は回収しながら、さらにそれによる恩恵というか利益というか、こういうものがまた持ち株会社という全体のものに還元される、こういうようになることを期待をいたしておるわけであります。
  187. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、海外進出していろいろな、資本が投入されなきゃならない、あるいは総力を挙げなきゃならない、そのことが国内サービスを低下させることになるということでの問題を提起しているわけじゃないんですよ。時間がなくなりましたので結論だけ言いますけれども、やはりNTT国際進出することでみずから国際競争力を保とう、上げようとしているのが、先ほど来言いますように多国籍企業間の通信サービス、ここから行くわけですよね。そういうところは恩恵を受けるわけですよ、そういう企業は。つまり、いわゆる多国籍企業として海外展開をしていくそれらの企業というのは、日本でも産業空洞化の問題でいろいろと論議されております、やはり資源があり、土地があり、あるいは労働力が安い、あるいは公害の規制もないというので進出していく。そういう企業が、それぞれの世界にある生産拠点を結んで効率的な事業を進めようということになりますと、やはり高度な通信ネットワーク、これがワンストップでやられるということが当然必要になってきたという状況の中での国家戦略ということになると思うのですね。  だから、私が申し上げたのは、国民の生活、経済活動に欠かせないこの電気通信事業に源泉を求めるというところに問題があり、そういう利益を受ける多国籍企業、こういうところが応分の負担をすべきではないかと。多国籍企業がどんどん栄えていけば国民生活も自動的に栄える、こういうようなことは幻想にすぎないわけで、私はこのことを指摘しておきたいのです。  実はきょう、KDDの方にも質問の中身を通告しておきました。これはユニバーサルサービスの問題等でお聞きしようと思ったのですが、質問時間が終わりました。これで終わります。またの機会でよろしくお願いいたします。
  188. 木村義雄

  189. 吉田公一

    吉田(公)委員 まず、NTTにつきまして質問をいたしたいと思います。  まず郵政省にお伺いしたいのでございますが、ただ大きいから分割をすればいいというだけではなくて、今後分割をすることによって最終的には国民にメリットがなければならないわけです。そういう意味では、分割の結果、国際競争にも打ちかつことができる、そしてまた体力の強化にもなる、そして国内競争力に弾みがっく、ひいては電気通信事業の活性化につながる、こういうきちっとした目的がないと、ただ分割すればいいのだという話には私は賛成しかねるのだけれども郵政省いかがですか。
  190. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のとおりでございまして、今回のNTTの再編成によりまして、一つには、独占的な地域通信部門と競争的な長距離通信部門とがそれぞれ別の会社となりますので、これによりまして、内部相互補助の防止でございますとか、これは電気通信事業法改正の方でお願いしておりますけれども、相互接続ルールの公平な適用が可能となりまして公正競争が促進されるということがございます。  また、二つ目といたしまして、地域通信部門を東西二つの会社に分けることによりまして、相互にこれらの業績を比較することが可能となりますことから、NTTの経営の効率化につながるとともに、三点目には、NTT国際通信への進出を可能とすることによりまして、グローバル化する国際通信市場における国際競争力の向上が期待されるということを考えております。  こういったことの結果、NTT自身の活性化はもちろんのことでございますけれども、他の事業者も含めました電気通信産業全体の活性化が図られることにもなって、これによって料金の低廉化やサービスの多様化が進展し、最終的には国民・利用者のニーズに応じたサービス提供される、豊かな社会の実現に貢献することができるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  191. 吉田公一

    吉田(公)委員 局長の答弁としては全部うまくいくという話ですが、それはしかしやってみなければわからないことであって、私はその点については大変疑問に思っている。  それはなぜかというと、最初、郵政省NTTの分割・民営化には大反対していた。ところが、民営化になったら今度は分割を促進するような立場になってきた。その変化の原因は何なのか。それから、NTTは、もちろん当初は反対しておりましたが、急邊何か話がまとまって促進みたいなことになったけれども。まず郵政省からお尋ねしたい、最初反対をしていたのにもかかわらず賛成に回った。NTTは反対したけれども、何だか知らないけれども納得してしまった。御両者の御答弁をいただきたい。
  192. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 このNTTの再編成問題につきましては、十二年前に現在のNTTが公社から民営化をいたしまして発足いたしましたとき以来の宿題でございまして、郵政省としてはこの分割・再編成に反対していたということはございませんで、むしろ公正競争確保のためにこれを推進しなければならないと考えてまいりました。  多分、先生御指摘のことは、十四年前の臨調答申以前の公社時代のことについてのお話ではないかと思います。私も当時のことを詳細に存じませんが、以前におきましては一時そういう考え方を持っておったこともあったようにも聞いておりますので、正確なお答えをすることはできませんけれども、あるいはそういうことではないかというふうに思います。
  193. 井上秀一

    ○井上参考人 確かにNTTは分離分割反対ということでこの十数年間やってきました。その根拠としましては、例の分離分割というのは資本関係のない、全く分けてしまうという話でございました。片一方でグローバル競争マルチメディア市場の立ち上がり、こういういろいろな問題が出てくる中で、経営形態の問題をどうするか、我々としてもずっと悩んできましたが、郵政省との聞の話で、いろいろ議論の間で出てきたのが資本関係のある持ち株制度ということでございます。これであれば、従来資本関係のない分離分割で問題になっていた株主の権利保護の問題、お客さんのサービスの問題、研究開発の問題、国際競争力の問題、いろいろあったわけですが、こういう問題が解決されるということで、新たに国際的な分野へも進出できる、マルチメディアにもいろいろな形でグループで対応できるというような形になりましたので、我々としては、新しい発展を目指してこれでいこうということで受け入れたわけでございます。
  194. 吉田公一

    吉田(公)委員 何だかよくわからないけれども、四分割することによって間違いなくきちっとNTT側としてはやっていく確信があるのでしょうかね。私たち外で見ていて、何か途中で適当なところで妥協してしまったのではないか、そんな気がしてならないのですね。  その前に、郵政省側に伺いますが、規制を撤廃をするなり緩和するなりということをきちっとやってから、それから分割をするというのがやはり順序ではないでしょうかね。  例えば、アメリカなんかでは規制撤廃をした。そのことによって通信事業の再編成が行われている。むしろその七つに分割したやつをもう一回再編成し直している。国際競争力をつけるために再編しているというのに、こっちは何だか知らないけれども四つに分割すればいいんだみたいな話になっている、その点は大丈夫なのですかね。
  195. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 電気通信事業を活性化いたしていくためには規制緩和は大変重要なことでございまして、その規制緩和につきましては、私どもNTT民営化以来いろいろな分野で努めてきたつもりでございます。  最近におきましても、料金につきましては、例えば競争が成就いたしました分野では届け出化を促進いたしますとか、それから、今回御審議をお願いしております電気通信事業法の中でも、参入の要件として書かれておりましたいわゆる過剰設備防止条項等を削除いたしますとか、あるいはNTTの再編成の中におきましても、地域会社につきましては役員等の認可を外しますとか、そういったことは進めてきております。  また同時に、電気通信産業を活性化いたしますためには公正競争条件整備を図る必要もあるわけでございまして、そういった意味では部分的に規制を残す必要があるところもあるわけでございます。今回の措置につきましても、その両者をよく勘案いたしまして、現在のような仕組みでお願いをしているつもりでございます。
  196. 吉田公一

    吉田(公)委員 今NTTの株主というのは百六十万人ぐらいいるのですか。そうすると、当然民間企業ですから株主を守るということも大事なことで、その辺はちゃんとした見通しがあるのですか。
  197. 井上秀一

    ○井上参考人 現在の株主、百六十万の株主の皆さんがいらっしゃるわけでございますが、今までのNTTの株が今回の再編成された持ち株会社の株に存続されるという形になります。そしてこの株が市場に上場される。しかも、先ほど御説明しましたように、今回の資本関係を前提とした持ち株方式によって、いろいろな税金上の特例をしていただけるだとか、研究開発体制を持ち株会社で基盤的なものをやれるとか、さらにグローバル競争のための海外進出、こういうようなことで経営体制としても一定の発展期待できるということで、株主の保護、こういうものについては担保できていけるというふうに我々は考えております。
  198. 吉田公一

    吉田(公)委員 それでは、要するに大丈夫だということですね。  今のNTTは約七兆円の事業収入があるビッグ企業ですが、東西と長距離に分けると三兆円か二・五兆円ぐらいの規模の独立会社になってしまうのですね。当然、七兆円から二・五兆円や三兆円の独立した企業になると、体力もそしてまた競争力も、特にアメリカに対する競争力も、対抗できないのじゃないか、そういう心配が一つ実はあるわけですね。  いずれにしても、弱体化することによって国際競争に勝てないというのでは意味がないので、そういうちゃんとした見通しがあって東西と長距離に分けているのか、私どもにはどうもそうは思えないのだね。確信的な見通しのもとに分割をしているのかどうか。ただでかいから分割しなきやおもしろくないみたいな、しかも効率が悪いとかなんとか言っているけれども、何かNTTで今大き過ぎてしまって効率の悪いことがあるのですかね。それから、三兆円か二・五兆円の事業収入の企業一つ一つがなってしまって、対外的に競争力に勝つという自信はありますかね。
  199. 宮津純一郎

    宮津参考人 競争に自信あります。  それで、二つか三つに分けるようなことに、分社するようなふうに今見えるのですけれども競争相手というのは、アメリカのATTにしろBTにしろ、それからアメリカのいろいろな地域会社にしろ、今度国際へ出てくると言っていろいろやっていますが、競争相手はみんな同じような格好をしております。すなわち、持ち株会社みたいなのが上にありまして、それぞれ仕事別に子会社がありまして、それがグループをつくっておるというようなことでございますので、今度のやり方は大体競争相手と似たような格好にこちらはしたということなので、これで負けるようではちょっとどうしようもないということであります。
  200. 吉田公一

    吉田(公)委員 焼き鳥屋で一杯やりながら景気のいい話をしているのと違うからね、ぜひひとつ頼みますよ。  もう一つは、これはちょっと試算をした人がいるらしくて、NTTの試算では、東西に分けると西日本は六百億円の赤字になるのではないか、そして西日本は分割をしたときに東に比べて職員が約一万人ぐらい多くなる、そういうことが言われていますが、そういうハンディをしょっても今みたいな景気のいい話がちゃんと実現できる自信があるのでしょうかね。
  201. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、一九九九年再編をいたしました場合、西の会社が分割ロスを入れまして一千億の赤字になるわけであります。それから、二〇〇〇年では八百億円の赤字というふうに想定しています。これは今から二年半ぐらいの先の収支を推計したわけでありますが、全力を挙げて効率化等あるいはマルチメディア技術を生かした増収努力を重ねて、何とか収支をよくしていきたい、改善していきたいというふうに思っております。
  202. 吉田公一

    吉田(公)委員 いずれにしても、先ほどから御答弁がありますように、ぜひきちっとした見通しを持って、そして、十年たったら全然違った、国鉄清算事業団みたいにならないように、赤字が減るどころじゃない、逆にふえてしまって、そういう可能性がとかくありがちですから、ぜひひとつ気をつけていただきたい、そう思っております。  私は、先ほど来から申し上げているように、何となく論議が後で、何となくまとまってしまったような気がするので、最初のNTTの反対しているときのあの勢いというのが急になくなってしまったからね。急になくなったということは何かあったか、こう思うわけだ。だから、そういう適当な妥協点でこういう重要問題が決まったとすれば、私は甚だ遺憾に思っているわけです。  それからもう一つは、NTT郵政省の人で俗に言う天下りという方がいらっしゃると思うのでありますが、四分割したときに、まさか天下り先がふえたからなどといって喜んでいるなんということのないように、あらかじめ私から質問の中で申し上げておきます。  以上で、小坂憲次委員質問を譲ります。どうもありがとうございました。
  203. 木村義雄

  204. 小坂憲次

    小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。  昨日に引き続きまして質問させていただきますが、昨日も申し上げましたように、私は、今回の法改正で実現すべき目標は、国民が望んでいるものは、世界の最先端を走る豊かな創造性と活力に満ちた日本の電気通信事業の姿である、すなわち電気通信事業日本の産業のインフラであるという考え方から、活力を持った形にしていこう、これが本来の目的であって、NTTを弱体化させるとか、そして国内競争の上でほかにも負けるぐらいうんと弱体化させるとか、あるいは逆に、新規参入会社が戦った末になかなかうまくいかなくてみんな疲れ果ててしまった、こんな状態になることは全く望んでいないということで、これが基本的な考え方だということを、改めて昨日に引き続いて、その前提でありますということを申し上げておきたいと思うのであります。  そういう前提に立って若干残っている質問をさせていただきます。  まず、大臣にお伺いいたします。接続ルールの将来展望についてどのように考えていらっしゃるか、今後の課題はどういうものがあるのだろうか、それから接続ルールについて、将来また見直すということもあるのかどうか、この点についてまず御見解を伺いたいと思います。
  205. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 情報通信分野は、極めて激しい変化をいたして、そしてまた大きな進歩を遂げているところでございますので、一度制度を定めたからといって変化に応じた見直しをしないというわけではありません。今後ともこの情報通信分野におきましては不断の見直しが必要と考えております。  このような観点から、今回の接続ルールにつきましても、法律の施行後三年を目途といたしまして必要に応じて見直しを行う旨の規定を改正法案に盛り込んだところであります。今後の市場環境変化技術革新等の状況に応じて見直しを随時行っていく考えでございます。
  206. 小坂憲次

    小坂委員 大臣の方針は確認させていただきました。  今いろいろな電話がありますね。昔は黒電話で、全部線でつながっていたわけですが、今はPHSあり、あるいは携帯電話あり。今、PHSと携帯電話の間を接続しようとしますと、NTTさんのドコモとNTTパーソナルの間はそのままつながるのですね。当初は違ったのですね。たしか特別番号を回してつないでいた。特別な付加料金か何かがかかったと思います。今はほかの、例えばDDIポケットですか、それからもう一つのアステルとか、こういう電話とドコモとの間をつなごうとすると、どうなっていましたか詳しくは覚えていませんが、要するに、PHSの方から携帯にかけようとすると特別な付加番号が必要になりまして、付加料金を取られるのですね。  ですから、そういうことを考えますと、本来第一種通信事業者に課せられた責務としては、自由に接続できるようにせないかぬ。それには経費がかかるということであれば、これは自由とは言えないわけですね。ですから、そういうことが今後発生しないように、基本的な方針を立てておかなければいかぬと思うのですよ。  PHSというのはこんなに普及すると思わなかったから、多分そういう接続のためのアダプターみたいなものが必要になっちゃったのでしょうね、きっと。ですから、今回はしようがないのかもしれないですが、今後はそういうことが起こらないようにしてもらわなければいけない。  特に、今度は衛星携帯電話とかいろいろなものが出てくるのですね。こういうものも想定して、ちゃんと接続の自由を確保するということを郵政省はどのように考えているか。  三年といいますが、三年後の見直しのときには、これは意外ともう衛星通信はスタートしているのではないかと思うのですね。ですから、そういうときにまたべらぼうな付加料金がかかる、これでは困るので、そういうことはさせないというような基本方針をお持ちかどうか、確認させていただきたいと思います。
  207. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 何しろ電気通信分野技術革新が非常に速いものでございますから、事業者が設備投資を行います際に、先々出現いたしますいろいろなサービスについて予測をして、投資をしていくということは非常に難しいわけでございます。そういったことで、事後的にそういう設備を追加していく必要が出るということ、このこと自体はやむを得ないと思います。ただ、御指摘のように、できる限り将来を見通した対応をしていくという必要はあるだろうと思います。  それからまた、今後円滑な相互接続をしていくためには、国際的な動向も踏まえまして、事業者、メーカー等の関係者が協議を行って、実装可能な技術仕様を策定、公開して円滑な利用を可能とする体制を確立していくということも、今申し上げたような意味から重要なことでございまして、そういうようなことも含めて考えていかなければならないと思っております。
  208. 小坂憲次

    小坂委員 今局長がおっしゃったように、将来展望というものは必要です。衛星携帯電話というのはもう視野に入っているわけですから、そういうものの接続は十分に配慮して、NTTさん、あるいはKDDさんも関係してくると思いますが、今の郵政省の方針に従って努力をしていただきたいと申し上げておきます。  NTTさんに伺いたいのでございますが、NTT再編後、地域会社が端末機器の製造部門に進出していくというようなことは考えていらっしゃるのでしょうか。  要するに、これから、回線網もさることながら、端末の利便性といいますか、機能が非常に重要になってくるだろう。そしてNTTさんは、今度は研究部門を、現場の方の応用研究と基盤的な研究、両方とも一体的にできるような体制を引き続き持つというのが今回の建前でありますから、そういうことで大変に開発力があるということになってまいります。これは製造分野までどんどん出ていってやるつもりなのかどうか、この辺でひとつ確認をさせていただきたいと思います。
  209. 井上秀一

    ○井上参考人 実は、通信機器の製造などのメーカーへの問題でございますけれども、このメーカーへの進出問題については、民営化以降は、既存の市場秩序といいますか、今まで日本通信発展させてきた仕組みというものを配慮して、進出しないということでずっとやってきております。  再編後でございますが一実はこれは今後の再編各社のサービス提供上の必要性だとか企業提携の関係から検討しなければいかぬ課題かもしれませんけれども、現時点でそのような分野進出するということは考えておりません。
  210. 小坂憲次

    小坂委員 現時点でというと全部免責されてしまうようなところがあって、もう少し明確に答えてもらいたいと思いますが、現時点で決めていないのであれば、これ以上聞いてもだめなのかもしれません。  しかし、今回のNTTの分割というこの方式は、先ほど申し上げましたように、NTTを弱体化させるというものではないのですが、同時に、新規参入会社が、とてもかなわぬと言ってみんながばたばた倒れていくという状態も日本通信事業の将来にとって好ましい状況ではないのであります。その辺は、NTTとしてのしっかりとした方針、公共の福祉のために尽くす、そしてまた電気通信事業全体の発展のために貢献する、この基本的な考え方を忘れないようにお願いいたしたいと思いますので、宮津社長の御決意をひとつ。
  211. 宮津純一郎

    宮津参考人 周りがみんなばたばた倒れていくんじゃ困るというお話はそのとおりでございます。そうかといって、こちらも倒れてしまったらどうしようもないということでございますので、その辺のところの立場というのは非常に難しゅうございますが、過去の経緯もありまして、NTTはそういうことでずっとやってまいりましたし、日本通信業にとっても大事な存在でないかというふうに自分で言い聞かせております。おっしゃるように、両方の面を見ながらしかるべく努力してまいりたいと思います。  そのためには、いろいろな方の意見もよく聞くというか、社風としてもやはりもっと広くオープン化していくというような要素の努力も必要でないかというふうに考えております。これは付言でございます。どうもありがとうございます。
  212. 小坂憲次

    小坂委員 社長は今そういうふうにおっしゃいました。それは負けてもらっては困るのですよ、しかし、ひとり勝ちというのは困るのですね、これは。  今回の法改正の趣旨というのは、特殊会社という形をとってみたり、あるいは方針としては、NTTに、海外のいわゆるワールド・パートナーズ、グローバル・ワンあるいはコンサートといったような、それぞれのメガキャリアとの競争に負けないような体力を持っていてもらおうということで言っているのでありまして、外へ出ていって、海外の市場を日本技術でまとめていってもらいたいというのが基本的な考え方ですから、国内競争に勝ってもらおうということでやっているわけではないということだけは申し上げておかなければいかぬ。それがやはり日本通信事業発展にどうしても不可欠なことだと我々は考えておるし、ここにいる全員がそう思っていると思います。ぜひともその点をお忘れなくお願いをいたしたいと思います。  KDDに関してのことでございますが、KDD法の廃止については、今後の国際市場の動向を踏まえてという回答を本会議のときにいただいたのですね。そして検討するということなのでありますが、私は、今の国際市場の動向を見ると、もう既にKDD法は必要ない段階になっているというふうに思うのでありますよ。このまま続ける、市場動向を見てと言うが、一体いっかというと、このまま置いておいたらKDDはつぶれちゃうぞ、もうだめだ、これ以上足かせはできないというときに取ってもらっても、そのときは手おくれかもしれぬ。  ですから、国際市場の動向を見てという御回答でありましたが、私は、もう既に、現在の国際市場の状況KDD法を必要としていない、こう思っておりますが、もう一度大臣の御見解を伺いたいと思います。
  213. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 国際通信の確保、大変重要な問題でございます。各国もそれぞれにそれなりの考え方で対応しているところでございまして、現在我が国状況を見ますと、KDDは、世界各地二百三十三の国または地域に対して回線を設定してサービス提供できる体制を整えておりまして、現段階におきましては、このような国際的なネットワーク整備しておりますものは、残念ながら日本国ではKDDだけでございます。  ただ、KDD以外の国際通信事業者も参入いたしましてから、国際的展開について非常に努力をしてまいっておりまして、私どもといたしましては、KDDだけでなく他の事業者も含めて活発な国際展開が早く実現してもらいたいということを期待しております。  それまでの間は、KDDにつきまして、そう長い期間ではないかもしれませんけれども日本の国の国際通信を守るという観点から、やはり特殊会社の制度が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  214. 小坂憲次

    小坂委員 そんなに長い期間ではない。では、聞きましょう。五年は長いですか。三年は長いですか。
  215. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 このことにつきましても、競争状況を実現いたしますのは、基本的にKDD及びその他の国際通信事業者とそれから国際環境でございますので、私の方で三年、五年と区切って申し上げることはお許しいただきたいと思います。
  216. 小坂憲次

    小坂委員 もう今既になっているといって、三年でもない、五年でもない、答えられないと言われるとちょっと困るんです。非常に不安になります。  KDDさん、いかがですか。今のKDD法は五年続くかもしれないんですよ。それで、十分にメガキャリアと戦っていけますか。
  217. 西本正

    西本参考人 お答え申し上げます。  現在政府の方でも検討を進めておられるということでございますけれども、私どもは目前に競争をしておりまして、この競争環境変化というのは非常にはようございます。そしてまた、今回の法改正によりまして、NTTさんの再編が進行していく、NTT長距離会社民営化されるということでございますけれども、その時期までに、遅くともそれ以前にKDDもこれと同じような形にさせていただきたいというふうに考えております。
  218. 小坂憲次

    小坂委員 KDDさんもこう言っていますので、郵政省考えておいていただきたいと思います。  さて、今回の法改正で、再編前にも、法律の施行前にもNTT国際通信会社への出資が可能になると書いてございます。国際通信会社への出資ということは、すなわち、今NTTKDDの株を九・九九%所有しておるわけでありますね。これをそのまま考えれば、こんなことは考えていないと言うかもしれぬ、しかし、できるんですね。株を買い増してKDDに直接出資をする、すなわち、NTT再編前に国際通信会社出資というところで考えるならば、KDDにどんどん出資をして持ち株比率を高める、これも一つの方法だと思います。  これは含まれているんでしょうか。まず、郵政省考え方の中にこれは含まれているか。すなわち、KDDの株取得というのをNTTがすることを、これはもう考えられるのか。  それからまた、その点についての宮津社長の御意見を伺いたいと思います。
  219. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTは、御指摘のとおり、現在KDDの株式を保有いたしておりますが、これは、先生御案内と思いますけれどもKDD発足当時の歴史的な経緯によるものでございまして、NTTが積極的に通信事業の経営に関与したいということで所有しているという性格のものではございません。  NTTがみずからの国際通信事業会社の位置づけのもとにこれとは別に新たにKDDの株式を買い増す、あるいは現在持っておりますものを子会社の所有とするということにつきましては、国内通信分野の支配的事業者国際通信分野における支配的事業者の株式を取得することとなるわけでございまして、我が国通信事業における競争の促進、これは、現在のこのお願いしております制度改正自体が、それぞれ別に競争の単位として活発な競争を展開していくということを期待しておるわけでございますので、それが一つ事業体の方向に向かってまいりますということにつきましては、その趣旨に反し、競争の促進に逆行いたしますことから、好ましくないことというふうに考えております。慎重に検討していくべきだと考えております。
  220. 小坂憲次

    小坂委員 好ましくないということであります。  まず、宮津社長の前に、もう一回、もう少し郵政省に聞きましょう。好ましくないということでありますが、では、それはできるんですか、できないんですかということをお伺いしたい。それから、これは許可が要るんでしたでしょうか、どうでしたでしょうか。
  221. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 法律的に明文で禁止しているわけではございませんので、そのことについて、これは保有の程度にもよることと思います。ただ、支配的な意思を持ってその経営に関与し得るような形でその株を保有するということにつきましては、今回の法改正の趣旨から見ましても好ましくないというふうに考えております。
  222. 小坂憲次

    小坂委員 許可関係はどうですか。
  223. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 許可は必要ございません。
  224. 小坂憲次

    小坂委員 今、明確な回答がございました。許可は必要ないんでありますね。ですから、これは、法律の今回の改正ではそういうことは考えていないんですが、できるんですよ、両方でそういうふうに思われたら、両社長、おられますが。これは日本通信市場に必ずしもいいことではないと思います。  その点について、今、宮津社長の御意見を聞きたいと申し上げましたが、あわせて、西本社長の御意見も、両方ともお聞きしたいと思います。
  225. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 失礼いたしました。  NTT国際通信事業出資をいたしますには認可というのが必要ということで、附則に書いてございますので、NTTがその子会社をみずからつくるということではなくて、KDDの株を買い取るという形で国際通信事業出資するという場合には、認可が必要になります。大変失礼いたしました。
  226. 宮津純一郎

    宮津参考人 KDDの株につきましては、今ちょっと郵政の方からお話ありましたけれども、前のいきさつで、持っています。それで、私どもKDDの株をどうしても取得しようと思ってあれこれやって手に入れたというふうに思うより前から持っておりまして、いきさつでずっとやってきているので。  でも、いずれにしても、九・九%という量のものを持っているわけですから、今度の再編に絡んで今後こういう新しくまた秩序ができるわけですから、その株の問題については、どういうふうにするかというのは、やはりけじめをつけなきゃいけないのではないかというふうに思っております。  どういうふうにするかということは、ちょっと今申し上げられませんので、これから検討させていただきます。どうもありがとうございました。
  227. 西本正

    西本参考人 お答え申し上げます。  先ほど谷局長から御説明がありましたように、NTTさんが現在KDDの株を持っておりますのは歴史的経過によるものでございまして、ただし、その場合も、KDDの経営に関与するものではないという前提で所有されております。  そういう意味では、そういう前提が続く限りにおいては、当面このままでも差し支えないんではないかというふうに考えております。
  228. 小坂憲次

    小坂委員 これ以上の回答を引き出すことはこの場では無理だと思いますが、基本的な私の考え方皆さんにも御理解いただいたと思います。すなわち、NTTKDDの株を買い増すような行為に出ること、それは最初に申し上げたような方針に反しているということで、これは慎んでいただきたいし、現在NTT株の三分の二を政府が保有し、またそのNTTKDDの株の九・九九%を所有しているという状況は、できるだけ早くこの状況を是正する必要があるということを指摘して、この質問を終えたいと思います。  もう時間がないので、次の質問へ参ります。  残念ですが、まだたくさん聞きたいことがあるのですが、簡単にお答えをいただきたいと思います。  継承会社に継承させる資産、債務並びにその他の権利及び義務については、これは法律に規定がございますが、私が聞きたいのは、NTT東、NTT西、この両者が資産を共有することができるのでしょうか。コンピューターのように、バックアップを含めて東に一つ、バックアップのコンピューターを西に一つというようなこともあるのだと思うのですが、こういったものは、両方があって初めて機能するのでありまして、これは両者が共有するということもあるのかどうか。この辺についてちょっとお伺いしたいと思います。NTT、お願いします。
  229. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答えします。  まだ子細に設備の点検をしておりません。資産を振り分けるときには設備を全部点検いたしますが、ざっと見たところでは、共有する部分があるというふうに今思っております。しかし、例は非常に少のうございます。
  230. 小坂憲次

    小坂委員 残念ながら時間が来て、もう少し聞きたいのですが、共有する可能性があるということであります。その割合が多ければ多いほど、何のための分割かという話になるのでありまして、財産、資産をみんな共有したら、これは、そういう本来の法改正の趣旨を骨抜きにすることになると思っております。その辺は、運輸省も十分に心して見守っていただきたい。  残念ながら時間が参りましたので、以上で本日の質問を終えたいと存じます。参考人皆さん、長い間どうもありがとうございました。     —————————————
  231. 木村義雄

    木村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております各案審査のため、来る二十日火曜日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 木村義雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会