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1997-05-14 第140回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十四日(水曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君    理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 伊藤 忠治君 理事 矢島 恒夫君       川崎 二郎君    佐藤  勉君       坂井 隆憲君    園田 修光君       竹本 直一君    中川 昭一君       野田 聖子君    野中 広務君       山口 俊一君   吉田六左エ門君       赤松 正雄君    石垣 一夫君       遠藤 和良君    神崎 武法君       永井 英慈君    原口 一博君       北村 哲男君    山花 貞夫君       横光 克彦君    小坂 憲次君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 堀之内久男君  出席政府委員         郵政政務次官  野田 聖子君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政省通信政策         局長      木村  強君         郵政省通信局長 谷  公士君  委員外出席者         参  考  人         (国際電信電話         株式会社代表取         締役社長)   西本  正君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社代表取         締役社長)  山口 武雄君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     安藤  理君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      塚田 一幸君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)   宮津純一郎君         参  考 人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)  林   豊君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)  宮脇  陞君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)  井上 秀一君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役編成室長         兼企画室長)  木塚 修一君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 五月九日  郵政事業現行経営形態の堅持に関する陳情  書  (第二八八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第五四号)  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五五号)  日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七六号)      ――――◇―――――
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております各案審査中、国際電信電話株式会社当局及び日本電信電話株式会社当局から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村義雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、本日は、参考人としてお手元に配付してあります方々に御出席いただくことにいたしております。     —————————————
  4. 木村義雄

    木村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井久興君。
  5. 亀井久興

    亀井(久)委員 おはようございます。自民党亀井でございます。  ただいま議題になりましたNTT関連法案を一括して質問させていただきたいと思います。  まず、我が国昭和六十年に、アメリカ、イギリスとほぼ時を同じくしまして、当時の電電公社NTT民営化をするとともに、電気通信分野競争導入するという大きな変革を行ったわけでございます。以来、続々と新しい事業者がこの分野参入をしてまいりまして、市外通話とかあるいは国際電話料金も大幅に安くなってきたようでございます。  こうした昭和六十年の電電改革以来の今日までの成果について、まずどのように評価をしておられるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  6. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘昭和六十年の電電公社民営化競争原理導入を柱といたします、今振り返りましてこれを第一次情報通信改革と言っておりますけれども、これによりまして、我が国情報通信市場においては活発な新規参入が行われたところでございまして、平成九年四月一日時点で、四千七百二十四社の一種、二種含めました新規事業者市場参入をいたしております。これによりまして、第一種電気通信事業者の昨年度の売上高の見込みでございますけれども、十二兆円、対GDP比率で二・四二%、それから設備投資も四兆円を超えるに至りまして、全産業の約一割、自動車産業の三倍を占めるということで、我が国産業に非常に大きな貢献をしてきているところと考えております。  また、一方、こういった事業者間の競争を通じまして、さまざまな新しいサービスが実現をいたしますとともに、御指摘料金の問題でございますけれども通話料金国内国際とも大幅に低廉化をいたしまして、昼間の三分間の東京−大阪間で見ますと、昭和六十年四百円でございましたものが現在百円になっております。また、国際料金では、日米間を見ますと、千五百三十円であったものが四百五十円になるというふうに大幅な低廉化が見られておりまして、国民利用者皆様に対するサービスも非常に大きく改善されるという貢献をしてきたというふうに評価をいたしております。
  7. 亀井久興

    亀井(久)委員 今、谷局長の御説明を聞いておりましても、この六十年の改革以来数々の成果を上げてきた、そのようなことでございます。  今、第一次情報通信改革とおっしゃったわけでございますが、これからさらにまた改革を進めていかなくてはならない、そのとおりだと思います。そして、先般、本会議答弁で総理も述べておられましたが、情報通信というのはまさに経済全体を引っ張っていく原動力だ、それだけに各国ともこの分野戦略分野というように位置づけているわけでございます。  バブル経済が崩壊して以来、日本経済長期低迷状態を続けているわけでございますけれども、そういう中にあって、ほかの国におくれることなく情報通信発展を図るということは、我が国の将来を左右する課題と言っても決して言い過ぎではなかろうと思っております。  今回のNTT法KDD法電気通信事業法の三法案は、先ほどお話のありました昭和六十年の電電改革以来の枠組みを大きく変えるものでございます。政府は、これを第二次情報通信改革と呼んでいるようでございますけれども、具体的にこの第二次情報通信改革によってどういうことをやろうとしているのか、基本的な考え方について特に郵政大臣にお伺いをしたいと思います。
  8. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま先生指摘のとおりでございますが、そして谷局長からも答弁申し上げましたが、情報通信が、今日の日本産業リーディング産業として大きな役割を果たしてきつつありますし、また、その中でも雇用の創出等も積極的に実現してまいっておるわけであります。そしてまた、各国とも、この情報通信産業を二十一世紀戦略産業としてそれぞれ育成をしながら、また国際競争力向上を図っておるところであります。  こうした中で、我が国といたしましても、新規参入国際間の相互参入によって、情報通信産業発展を図りますとともに、低料金サービス多様化を図ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。  このような観点かち、昭和六十年のNTT民営化あるいは競争原理導入を行った第一次情報通信産業改革こ続きまして、今回参入規制外資規制等規制緩和推進と、接続ルールの策定による接続推進並びNTTの再編成を実施するという、この三位一体を推進することによって第二次情報通信改革に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  そのような観点から、今回この改正法案の御審議をお願いいたしておるところであります。
  9. 亀井久興

    亀井(久)委員 最近グーローバル化とかボーダーレス化とか、そういう英語がはやり言葉みたいになっておりますが、確かになかなか日本語に置きかえることが難しい、そういうニュアンスで使われているように思いますが、社会経済活動グローバル化してきている、情報通信市場もまさに今グローバル化しつつあるわけでございます。  先進国主要電気通信事業者が、お互いの国へあるいは開発途上国へ争って参入をしようとしているわけでございます。また、その中で、各国事業者の間で国境を越えて連携をしよう、そういう動きも出てきておる占うに思います。我が国事業者が、こうした国際的な動向に対応いたしまして、他国通信事業者に伍してグローバルな市場で活躍できるように、我が国情報通信産業国際競争力を強化するということがまさに焦眉の急になっているように思います。また、その一方で、長期的な戦略に基づいて我が国電気通信市場参入を図ろうとする他国通信事業者がどんどんふえてくる中で、我が国のいわゆる通信主権をいかにして守るか、そのことも大きな課題だと思います。  郵政省は、こうした国際的な動きの中でどういう政策を展開しようとしておられるのか。改正法案NTT国際進出を可能としたということは、まさにこうした世界動きにおくれないためにとった一つの決断だと思うわけでございますが、今回の三法案に対する郵政省国際的な戦略についてお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま先生から御指摘いただきましたが、さらに先ほども御答弁申し上げましたように、現在、通信産業を二十一世紀戦略産業として、各国ともその国際競争力向上に取り組んでおるところであります。そして、我が国としても、国際的な環境を念頭に置きながら規制緩和推進あるいは競争環境整備などの政策を進めまして、国内における競争力活性化を積極的に推進してまいりたいと思います。そして、我が国国内情報通信産業がさらに切磋琢磨されることを通じて国際競争力向上を図ってまいりたいと思っておるわけであります。また、海外市場事業展開を図ろうとしている事業者に対しましては、政府としても積極的に支援をしてまいる所存であります。  今回の改正案におきましては、このような考え方に立ちまして、NTTの再編成、そしてNTTKDDによる国内国際分野相互参入を実現することによりまして、情報通信のさらなるグローバル化に対応して国際競争力向上を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  11. 亀井久興

    亀井(久)委員 今大臣から御答弁いただきましたが、後段で私がちょっと触れました通信主権のことについて御答弁がなかったので、そのこともまた局長からちょっと伺いたいと思います。  これはWTO法案に関連してまた伺うべきことかもしれませせけれどもWTO電気通信交渉が大変難しい交渉だった、そういうようなことから考えましても、やはり各国とも、みずからの国の通信主権というものを踏まえながら、グローバル化しつつある電気通信市場の中でどうやって勝ち残っていくか、そういう大きな戦略がそこにはあるだろうと思っております。そういう中で日本通信主権をいかにして守るかということも非常に大きな問題だと思っておりますので、この点、大臣の御答弁にございませんでしたので、ちょっと谷局長から例えればと思います。
  12. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現在の社会におきましては、やはり国家というものが中心になっておりますので、通信に限らずよろずのことについて各国主権というものがあるわけでございますけれども、とりわけ通信につきましては、非常に重要な国家機能であるということで、通信主権というふうなことが言われていると思います。  今後の通信機能ということを展望いたしますと、これから情報通信機能がすべての経済社会活動基盤になっていくということで、そしてまた、それらの動き国際的にグローバルな形で広がっていくということで国内におきましてもあるいは国際的な市場を見ましても、通信あり方というものがその国の経済全体の競争力に非常に大きな影響を持ってくるものと考えております。  そういう意味で、これからの通信世界については相互自由に乗り入れるという時代になってくるわけでございますけれども我が国我が国として、我が国め情報通信産業について国際的に通用する力を十分備えていくということが通信に関する主権を守る上で何よりも大事なことではないかというふうに思っております。
  13. 亀井久興

    亀井(久)委員 次に進みたいと思います。  今回のNTTをめぐる議論におきまして、我が国電気通信市場に公正な競争環境を生み出すということが大きなテーマになっているわけでございます。NTT自身も、ネットワークをできるだけ開放する、そのことのために努力はしているわけでございますが、やはり現在の一社体制というものにはおのずから限界があるように私は思っております。また、二十万人という巨大な組織でございますから、なかなか機動的な経営とか効率化ということも進みにくいわけでありますし、NTT自身にとりましても組織改革が求められていると思います。その一方で、国際化に対応し、研究開発につきましても、グループの総合力を維持していくということもまた大切な課題だというように思っております。  今回の再編成の案は、これら過去十四年間にわたって議論されてまいりました多くの課題を解決すべくまとめられたものでございますから、現状においては最善の選択ではないかというように受けとめております。最近の株価の動きを見ておりましても、市場も非常に好感を持って受けとめているように感じられるわけでございます。したがって、一刻も早く新しい体制を確立することが我が国情報通信産業発展に資するものだと思っておりますけれども、今回の再編成が、NTTそのもの、そしてまた新しい事業者も含めて産業全体の将来にどういう意義を持つのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  14. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま申し上げましたように、今後の社会を考えますと、情報通信あり方というものが、社会あり方あるいは経済あり方そのものに非常に大きな影響を持っていくということで、非常に重要な要素になっていくものと考えております。  今回の再編成案でございますけれども、この案につきましては、公正競争条件整備相互参入の促進を図り、競争を一層促進することによりまして、NTTにおきましては、機動的かつ効率的な経営を行うことが可能となりますとともに今後の事業展開展望が開けることになると考えておりますが、同時に、新規事業者にとりましても、NTT中心とする情報通信産業の基本的な構造が明らかになるわけでございますので、今後の展望が明らかになるということが一つ。それからまた同時に、整備を予定しております接続ルール確立等によりまして公正有効競争条件が整いますことから、新規事業者につきましても活発な今後の活動が期待されるところでございます。  このNTTの再編成を初めといたします、私どもが申しておりますいわゆる第二次情報通信改革を強力に推進することによりまして、情報通信市場における競争を一層促進し、それによって我が国情報通信産業全体の発展を図っていきたいということで、この法案の御審議をお願いしている次第でございます。
  15. 亀井久興

    亀井(久)委員 私ども自民党といたしましては、基本的に改正法案に賛成の立場をとっているわけでございますけれども、再編成を行うに当たって配慮を要すると思われるような点について若干の質問を続けさせていただきたいと思います。  まず、利用者にとって最大の関心事というのは、何といいましても通信料金サービス内容に対してどういうような影響があるのかということだと思います。したがって、いわゆるユニバーサルサービス確保ということが今後とも重要だと思っております。これらの面で、再編成国民利用者不利益や不安をもたらすことのないように措置することがまず必要ではないかと思っております。この点について、今回の法案はどういう配慮がなされているかということが一点。  それから、東西会社お互いに切磋琢磨しながら効率化サービス向上に努めるということが今回の再編成のねらいの一つでもあると思いますけれども、逆に、東と西の地域会社ができて、その東西地域格差が広がってくるというようなことがないんだろうか、また、どちらか一方が料金値上げをするというようなことがないんだろうか、そういう率直な懸念利用者方々は持たれると思うのですが、そのことについて確認をしておきたいと思います。
  16. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の再編成国民皆様不利益をもたらすことのないようにするための措置といたしまして、現在のNTTに課されております、ユニバーサルサービスとしての全国あまねく電話の役務を提供するという、あまねく電話確保する責務を引き続き再編成後の持ち株会社地域会社に課すことといたしております。  それから、地域会社につきましては、安定した財務基盤を有するように余り細かく分けませんで、東西二社というふうにいたしますとともに、西の会社があまねく電話確保する責務を引き続き滞りなく提供できるようにいたしますために、再編成後三事業年度に限ってでございますけれども、この赤字が見込まれます西会社に対して東会社の方から負担金を交付するという制度を設けることといたしております。  さらに、東西地域会社株式の総数を保有いたします持ち株会社につきまして、その株主権の行使や、あるいは東西地域会社経営に必要な助言等を行うということになっておりますので、こういったことを通じまして、あまねく電話確保に寄与させることといたしております。  今回の再編成は、東西地域会社効率化を通じて料金の一層の低廉化を期待しているものでございまして、そのどちらか一方が料金値上げをするのではないかという御懸念につきましては、この両社の切磋琢磨によりまして経営努力を重ね、経営改善を行いますこと、それから、先ほど申し上げました負担金制度活用等によりまして、再編成を契機とする料金値上げは生じないものというふうに確信をいたしております。
  17. 亀井久興

    亀井(久)委員 今、谷局長から御答弁ございましたが、その持ち株会社東西地域会社、さらには長距離会社、その辺の役割分担仕分け、それから相互の関係、そういうことについてはもうちょっと詳しいところを伺いたいわけでございますが、時間もございませんし、また後の質問者に譲るといたしまして、次に、株主権利保護について伺いたいと思います。  NTTの再編成の問題というのは、電話利用者はもちろんでございますけれども、百六十万人いると言われております株主にも大きな影響を与える問題だと思います。先ほど申し上げましたように、最近の株式市場はかなり今回のこの動きを好感しているようでございますけれども、国の政策としてNTTの再編成をやるという以上は、再編成によって株主権利が害されるようなことがあっては困るわけでありまして、株主権利保護ということにつきましてどういう配慮がなされているのか伺いたいと思います。
  18. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の再編成は、通信政策上の観点から、いわば国策として国が実施するものでございますので、国としても株主権利確保最大限配慮をしていく必要があると考えております。  具体的に、今回の法案におきましては、NTT株式はそのまま持ち株会社としてのNTT株式となるということになっておりまして、引き続き上場が行われるということになっております。  それから、持ち株会社東西地域会社株式を一〇〇%保有するということになっておりますので、このことによりまして、現在の株主方々持ち株会社を通じて再編各社経営にも事実上影響力を及ぼすことができることになっております。  それから、再編成に当たりまして、再編成に伴う新たな税負担というものが生じないような措置を講じることといたしております。これらによりまして、株主権利が十分確保されるための配慮をしているつもりでございます。  なお、株主投資判断を行う際に重要となります企業情報の開示ということにつきましても、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  19. 亀井久興

    亀井(久)委員 次に、研究開発のことについてお伺いしたいと思います。  先ほど申しましたように、長い間経済低迷状態が続いている、これからの日本経済発展状況、そうしたことを考えてみましたときに、資源の乏しい我が国でございますから、何と申しましても独自な技術開発というものが日本経済の将来の命運を決めると言ってもいいわけでございまして、そういう観点から考えたときに、現在持っておりますNTT研究開発能力というのは、電電公社以来の国民共有財産と言ってもいいものだというように思っておりますが、再編成後にこれがどういうことになっていくのか。当然受け継がれていくわけでございますが、そのことについて郵政省としてどう考えておられるのか。  確かに、競争を強化するということは大切なことでございますけれども、そのことによって研究開発が、いわゆる利潤追求のための研究開発というようなことになってしまったのでは、国家的な一つの重要な課題でありますいわゆる基礎技術研究とか、そうしたことについておくれをとるようなことにもなるわけでございますから、その辺について適切な措置をとっていく必要があると思いますが、どのように考えておられるのか伺いたいと思います。
  20. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現在NTTが擁しております研究開発力、そのリソースにつきましては、公社時代からのすぐれた技術陣研究開発ノウハウ等を受け継いできておるものでございます。  今回の再編成におきましては、こういった研究開発リソースの分散を避けますとともに、基盤的な研究につきましては、直ちに利潤に結びつくものではございませんので、そういったことに関する研究開発力を維持いたしますために、持ち株会社で一元的に取り扱うという仕組みといたしております。また事業に密着した応用的研究分野につきましては、それぞれの会社において行うということで仕分けをしております。  再編成後におきましてもこれらの研究開発が確実に推進されることを担保いたしますために、法律におきましても、責務の規定におきましてそのことを明記いたしておりまして、各社におきましては、それぞれ研究開発に適切に取り組まれていくものと考えております。また、郵政省といたしましても、この法の趣旨が確保されますように注視をしてまいりたいと考えております。
  21. 亀井久興

    亀井(久)委員 次に、いわゆる通信インフラ整備ということについてちょっと伺いたいのですが、NTTは戦後荒廃した我が国通信網を復旧しまして、現在は六千万以上の電話を各家庭まで引いておるわけでございまして、一貫して我が国の電気通信インフラを担ってきたわけでございます。今後、高度情報通信社会の新しい、インフラとして光ファイバー網を早急に整備する必要性は、私が申し上げるまでもなく、だれもが認識しているところでございますが、政府は二〇一〇年を目標にして光ファイバー網の全国整備を図るという構想を明らかにしているわけでございますが、NTTの再編成によって二十一世紀における我が国情報通信基盤整備こおくれが生ずるというようなことはないのかどうか、その辺の懸念がございますので、見通しを聞かせていただきたいと思います。
  22. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 光ファイバーのネットワークでございますけれども、基本的には中継系と加入者系とあるわけでございますが、二十一世紀における我が国の基幹的インフラとなるでありましょう光ファイバー網の整備状況をこの両者について見ますと、まず、中継系につきましては、今年度中にほぼすべての交換局に光ファイバーが入るのではないかというふうに考えております。それから、加入者系につきましては、現時点で人口カバレッジで約一六%に達しておりまして、二〇一〇年にはこの加入者系における光ファイバー網の全国整備を図りたいと考えておりますが、この目標に向けました二〇〇〇年時点での先行整備期間の目標であります二〇%の達成は、ほぼこれで確実になったのではないかというふうに考えております。  それから、NTTの再編後の光ファイバー網の整備でございますけれども、県間の交換局間を結びます中継系につきましては長距離会社が、それから、県内の交換局間を結ぶ中継系と、交換局と加入者の間を結びます加入者系につきましては、東西の両地域会社によりましてそれぞれ整備が進められるということになるわけでございます。  今回の再編成によりまして、NTTグループ全体としての財務状況を見ますと、再編後も現在のNTTと同水準の利益水準を確保し得るということが、これはNTTの試算でございますが、見込まれております。したがって、グループ全体の投資能力という観点から、我が国情報通信基盤整備は再編後も順調に進展していくものというふうに見込んでおります。  それから、東西地域会社それぞれの加入者系光ファイバーの整備につきましても、各社経営努力あるいは東から西会社への負担金制度というようなものを設けておりますので、これを通じまして東西の格差が緩和されますために、いわゆる地域間格差が生ずることがないというふうに考えております。むしろ、東西地域会社事業展開における創意工夫でございますとか経営効率化努力によりまして間接競争が刺激されるということを期待しておりますので、これによりまして情報通信基盤整備我が国全体として促進されることにつながるのではないかと期待しておるところでございます。
  23. 亀井久興

    亀井(久)委員 今、谷局長の御答弁を伺っておりますと、再編成後も絶対に情報通信基盤整備についておくれるようなことはない、むしろ競争原理がうまく働くし、東西間の連携というものもうまくいけば間違いなく進められる、そういう御趣旨でございますので、とにかく、地域格差が生ずるということが一番懸念をしておるところでございますので、そういうことのないように、全体的な整備をこれからも推進していただきますようにお願いをしておきます。  それから、また株式のことなのですが、現在、NTT株式の約三分の二を政府が保有しておることは御承知のとおりでございますが、今回、再編成の最終的なねらいというのは、やはりNTTを完全に民営化する、将来は完全民営化に持っていく、そこが大きな、究極的なねらいではないかというように思うわけでございます。したがって、政府としては、現在持っております株式を積極的に放出していくべきはないかというように思うわけでございますが、これは財政の問題にも絡む話でございますから、財政当局に伺った方が適切なのかもしれませんけれども通信政策を所管しております郵政省として、このことについてどう考えておられるのか、お聞きしておきたいと思います。
  24. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のとおり、目指しますところは完全な自由競争NTTにつきましても完全な民営化というところでございますし、また、現在の法体系におきましても、民間の会社として活性化していくということを目的としておりますので、法律で許されております限りのNTT株式につきましては、できるだけ早期に売却をしていきたいというのが私どもの考えであるわけでございます。  ただ、これにつきましては、平成元年度以降、円滑な消化が見込まれる市場環境にありませんでしたことから、各年度の予算において売却が計上されながら、実際の売却が見送られてきたところでございます。  この問題は、御指摘のとおり、大蔵省の所管でございますけれども、私ども郵政省といたしましても、NTT民営化の趣旨を踏まえまして、市況の許す限り早期にこのNTT株の売却が進められることが望ましいというふうに考えておるところでございまして、今後の株式売却につきましても、そのような考え方を持っておるところでございます。
  25. 亀井久興

    亀井(久)委員 次に、KDDについてお伺いしたいと思います。  今回の法改正によりまして、KDDもいよいよ国内電気通信分野参入をするということになるわけでございます。今回、一応解決はしたわけでございますけれども、長い間続いておりましたペルーの日本大使公邸の人質占拠事件、こういうようなことが起こりますと、国際通信というのがいかに大切かということは国民にもよく理解されるところでございまして、人命保護とか国益をいかにして守るか、そういうことに対しても大変重要な意義を持つわけでございます。そのことからいたしますと、率直に申しまして、新規参入事業者では現在のKDDのような役割を直ちに果たすというようなことはなかなか難しいのではないか、そういうようにも思うわけでございまして、NTTが逆に今度は国際通信分野に入っていくわけでございますが、それでは、今NTT経営規模ははるかにKDDより大きいわけでございますけれどもKDDが果たしているような役割を直ちにNTTが果たすことができるかということになると、なかなかそう簡単なことではないように思うわけでございます。KDDには、非常に難しい環境の中で、国際電気通信分野他国事業者に伍して頑張っていかなくてはいけないわけでございますけれども、いわゆるフラッグキャリアとしての役割というものを今後ともしっかり担ってもらわなくてはいけないと思っておりますが、そのことについて郵政省としてどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  26. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 KDD国際電気通信事業を営むことを目的としておるわけでございますけれども、これは、常に全世界とつながるネットワークを有していることが我が国及び我が国民にとりまして不可欠であるということから、このような公益的な事業を行うKDDを特殊会社として設けているわけでございます。  御指摘ございましたこのたびの在ペルー大使公邸占拠事件こおきましても、KDDは迅速に、我が国の外務省等と現地対策本部との間のテレビ会議用の回線の設定でございますとか、それから我が国とペルーの間の円滑な回線運用のための社員の派遣、可搬型の地球局のペルーへの搬入などの対応を行ってきたところでございます。こういった緊急時の国際通信確保のためにも、大変重要な役割を果たし得る会社であります。  また、KDDだけが、現在は年間数回程度の利用しかないところも含めまして、全世界二百三十三の国あるいは地域との間で国際通信を提供いたしております。これによりまして、国際通信分野におけるいわゆるユニバーサルサービス確保いたしますとともに、国際情報通信基盤整備でありますとか、先ほど申し上げました緊急時の国際電気通信確保といった役割を果たしておるわけでございます。  こういった観点に立ちますと、現段階では、KDDと他の国際電気通信事業者、それからこれから国際参入するでありましょうNTT、それも、おっしゃるとおり直ちにということにはまいりません。そういう意味で、この対応能力に当分差があるのではないかというふうに考えられるわけでございまして、引き続きKDDにこのような責務を果たしてもらう必要があるだろう。ただ、できる限り他の事業者においてもこういった力をつけていただきたいというふうこ期待しておるところでございます。
  27. 亀井久興

    亀井(久)委員 これはKDDに直接お伺いをすべきことだろうと思うのですが、KDDが今度国内電気通信市場参入をするということになるわけでございますが、当面、どういうような入り方をしていくことを郵政省として期待しておられるのか。KDDに直接伺うべきことかもしれませんけれども郵政省としての考え方があればちょっと聞かせていただければと思います。
  28. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 まさにおっしゃるとおりでございまして、法成立をまってどのような展開を行っていくかということは、まずはKDDにお考えいただきたいと思うわけでございますが、予測いたしますに、現在もKDD国際通信のために国内の伝送路設備を一部所有しておりますので、まずはこういったものを活用するというところから取っかかることが早道であるというふうに考えておられるのではないかと思います。ただ、それだけであるかどうかということにつきましては、そのほかの御計画もいろいろお持ちかと思いますので、先生指摘のとおり、これはKDDにお聞きいただければと思います。
  29. 亀井久興

    亀井(久)委員 今回のKDD法電気通信事業法の改正は、政府規制緩和推進計画にのっとったものだというように聞いておるところでございますが、NTTの再編成に加えて、KDD国内の電気通信事業参入させたり、あるいは電気通信事業者参入許可についていわゆる需給調整条項を撤廃したということは、競争の促進に大きな効果を持つものだと受けとめておりますけれども、これらに加えて、今回の法改正では、接続ルールを充実させるということが重要な事項になっているわけでございます。この接続ルールの充実ということがどういう意義を持っているのか、そのことについて伺いたいと思います。
  30. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 競争環境下におきます電気通信サービスの提供のあり方につきましては、異なる電気通信ネットワークの利用者相互通信を行うためにこれらのネットワークが接続されるということが重要であると考えております。特に、NTTを初めとする第一種電気通信事業者のネットワークは、他の電気通信事業者のネットワークとさまざまな形態で接続をされておりまして、利用者は、このような接続を通じて総合的かつ多彩なサービスの提供を受けることが可能となるわけでございます。  したがいまして、第一種電気通信事業者のネットワークの接続は、利用者の利益や事業者間の競争条件に大きくかかわりを持つものでございますので、これに関する接続のルールを今回定めることができますれば、利用者の利便の向上競争の促進に非常に大きな効果を持つものと考えております。  今回の法改正におきましては、この電気通信事業者接続に関しまして、第一種電気通信事業者接続の義務化と他の電気通信事業者が依存する度合いが高い電気通信設備に関する接続約款の作成、それからこれに関する接続会計の整理といった規定が盛り込まれておりまして、これによりまして、透明かつ公平、迅速な接続確保されるということを期待しておるところでございます。
  31. 亀井久興

    亀井(久)委員 次に、今後進展するでありましょう高度情報通信社会の将来像、そういうことについてちょっとお伺いしたいと思うのですが、さきに郵政省が発表いたしました「情報通信二十一世紀ビジョン」におきまして、情報通信の高度化に伴って新たな社会問題が出現していること等にかんがみれば、工業社会を前提として構築されている現行の法制度全般を将来見直すことも必要だというように述べられているわけでございます。  これから通信と放送、これがまさに融合されてくる時代、そして、これまた流行語のようになっておりますけれどもマルチメディア時代になってくるわけでございますが、郵政省は、これから社会がどういうように変化をしてくるととらえておられるのか、また、高度情報社会ということについて、どういう社会にしていきたいというように思っておられるのか、そこらの考え方を基本的に例えればと思います。
  32. 木村強

    木村政府委員 今後の社会におきましては、先ほど来お話が出ておりますように、国境を越えた企業の連携等、世界的な大競争が一層進展をし、生き残りをかけた企業の熾烈な競争が展開される、そういう環境がつくられていくだろうというふうに認識しております。また、情報通信技術は今後とも急速に進歩を続けるということで、国民や企業にさまざまな可能性をもたらすものであるというふうに考えております。  このような認識を持ちまして、私どもといたしましては、情報通信経済社会システムを横断的に変革するツールとして位置づけまして、まず産業経済面につきましては、情報通信産業による我が国経済の牽引と企業におけるさまざまなアプリケーションの普及による高コスト構造の是正によりまして、我が国経済フロンティアの拡大と国際競争力の強化が図られる、このような認識でございます。  それから、国民生活面につきましては、テレワークであるとかホームエデュケーションであるとか、さまざまな分野におきます情報通信の利活用が進み、国民にゆとりのある生活と多様な選択が可能となり、真の自己実現が可能となる、そういった社会情報通信発展によりまして行われていくだろうというふうに予測をいたしております。  このため、私ども政策といたしましては、先ほど来お話が出ておりますNTTの再編成の問題であるとか放送のデジタル化といったような、いわゆる第二次情報通信改革の問題、それから有・無線あるいは固定・移動、通信・放送が一体となったいわゆるデジタルの仕組みによります映像を基本にしたネットワーク、これまでは音声がやはり中心でありましたけれども、そういったネットワークというものが構築されるであろう。そうなりますと、利用者は、今使っておるメディアが有線か無線かあるいは固定か移動かといったような認識をせずともデジタルの仕組みで対応できる、放送も含めた、そういうシームレスな技術的な環境というものができてくるだろうというふうに考えております。  しかも、こういった環境が本当に国民生活あるいは企業生活にとって安全で安心のできる形にならなければ、技術の先行による部分だけではやはり人間性というものも阻害されていくであろうというふうに考えておりますので、情報通信のこういった高度化に伴います新たないろいろな問題、例えばプライバシーの問題であるとかその他セキュリティーの問題であるとか、そういった高度社会が実現していくにつれて持つ不安な要素、こういったものにつきましても、制度的な対応あるいは各種の施策を総合的に進めていく必要があるだろう、このような認識を持っております。
  33. 亀井久興

    亀井(久)委員 私は、従来からの私の持論なんですが、高度情報社会というのは、端的に言えば、全国どこに住んでいても同じ条件で同じ情報が得られる、マルチメディア時代においてマルチメディアを同じ条件で使うことができる、そういう社会がまさに高度情報社会だというように受けとめているわけでございます。そういうことから考えますと、アメリカのゴア副大統領が一時情報ハイウェーということをしきりに言われたわけでございますが、電気通信回線というのは、物を運ぶ道路と同じように情報を運ぶ道路のようなものでございますから、本来からいえば、公の責任で全国にこれをきちっと整備いたしまして、それで、その回線を使って利用者国民に対してどういうサービスをするかということについては、思い切って自由競争導入して、競争原理を働かせて利用者の利便を図る、そういう仕分けをすることが国のあり方として正しいのではないか、私はそういうふうに従来から受けとめていたわけでございます。  そういうことからいたしますと、電気通信料金の話なのですが、御承知のとおり、郵便を所管しております郵政省、郵便というのは遠くに運べばそれだけコストがかかるわけですが、郵便料金はずっとその創設以来全国一律均一料金でやっているわけでございます。私どもからすれば、むしろ電気通信料金の方が全国均一化しやすい分野ではないかというようにも思うわけでございますが、現実の問題として遠近格差というものは、かなり縮まってきてはおりますけれどもまだあることは間違いないことでございまして、私は、昭和四十九年に初めて参議院に出てきたわけでございますが、その当時は、私の地元の島根から東京にかけますと一通話が七百二十円だったわけでありまして、まさに七十二対一という大変な遠近格差がございました。それをどんどん縮めてまいりまして、自由競争の原理も働き、またNTTの御努力もありというようなことでどんどん縮まって、今百キロ超で百十円ですか、そこまで縮まってきたということは大変喜ばしいことではありますけれども、しかし本来からいえば、全国均一料金サービスが行われるべきであろう。  もしそういうことになってくれば、今行政改革が非常に進められつつあるわけでございますが、ともすると、私ども地方に在住しております者からすると、地方切り捨てになりはしないか、弱者切り捨てになりはしないか、そういう懸念も実はあるわけでございまして、一方で地方分権ということが非常に言われるわけでございますが、地方を本当に活力のある、地方の個性を生かした伝統文化というものを基本に持ちながらますます発展をさせていくということになりますと、私は、電気通信回線の果たす役割というのは非常に大きいと思うわけでございます。特にマルチメディアを活用するということになれば、光ファイバー網の整備等が特に重要になる、それを利用する料金のシステム、それが私は非常に重要だというように思っております。  もし全国均一化ができたとすれば、例えば大都市にあります大企業の研究部門とか調査部門とか経理部門とか、そういうものは地方に移して何も差しさわりがないわけでございますし、また、本社機能だってそういうところに移してしまうということも可能性としては出てくるだろう。営業機能さえ大都市に残しておけばいいわけでございますから、そういうことがまた地方に情報産業というものを根づかせていくいわば誘い水の役割も大きく果たしていくだろうというように思っております。  ちょうど二十数年前でございますが、スウェーデンで、あそこも大変長い国土でございますが、その長い国土を丸く使おうという運動を起こして、電気通信料金の遠近格差を思い切って縮めた。そういたしましたら、大都市で勤めておる人が仕事を持ったまま自分のふるさとに帰り始めた。先ほど局長の御答弁の中にあったテレワークという、郵政省が進めようとしております。そういうことが現実の問題として起こってきた、そういう例もあるわけでございます。  私は、これからの日本経済発展と、地方分権という地方に本当の活力をもたらしていくことのために、電気通信政策が非常に重要だということを感じておりますが、そのことについて大臣の御所見をちょっと伺っておきたいと思います。また、谷局長、何か補足があればお願いいたします。
  34. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま先生がいろいろ御意見を述べられましたが、私も全く同感でございます。  今日、技術革新が大変進んでまいりまして、マルチメディア化が急速に進んでおるわけでありますが、このように情報通信が発達してまいりますと、ますます国民生活に密着をしてくるわけで、これの公平性をいかに確保していくかということが非常に大事だ、こういうように考えております。したがって、ユニバーサルサービスとよく言われますが、情報を持つ者と持たない者とが非常に格差ができてくる、こういうふうに考えられますので、国民全体がひとしくその利益を享受できるような体制にするということが大事だと思います。  そのためには、やはり何といっても料金の均一性、これが一番望まれるところでありますが、先生が御指摘のようこ、今の電話料金というものも、これは競争により、あるいはまたNTT通信事業者努力によりまして、今やもう一対十一という形まで縮まってまいりました。私は、将来の大きな課題として、また、今後、業者間の切磋琢磨によりまして、あるいは技術革新に期待するわけでありますが、定額料金あるいは全国均一料金というものが実現できるように大きく期待をいたしておるわけでございます。  今回、NTTが施行されようとしておりますインターネット、OCNにおきましてはほとんど均一料金でいこうとされておりますので、将来、そういう面を今後私どもも積極的に指導しながら取り組んでまいりたいと思っております。
  35. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま大臣から御答弁のあったとおりでございます。
  36. 亀井久興

    亀井(久)委員 今大臣の力強い決意を伺って大変心強く思った次第でございますが、今のお考えのとおり積極的な推進をぜひお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  37. 木村義雄

  38. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。  この問題は、ずっと去年も、郵政省の言うことを聞いておるのとNTTの言うことを聞いておるのと全く違いまして、郵政省の話を聞いておると、やはり絶対的に完全分離分割しなければならない。ということは、競争というのは、いわゆる倒産の恐怖ですか。やはり僕らも選挙に落選するから努力するんで、そこまで恐怖感を持った競争をしないと、本当に、なかなか欧米にはキャッチアップできない、それを追い越すことはできない、こういう話だったんですけれども、ある日突然ころっと変わりまして、何かわけのわからぬ世界に突入したという感じがしておりまして、NTTも盛んに、一社でないといかぬ、そんな経営形態論をやっておる時代ではないと、わあわあ言っておったのですけれども、結果的にイメージとしてはNTTの一体性が保たれた、役員もふえた、えらいうれしいことばかりの焼け太りではないかという感じも私はちょっとしておるのです。  その時代に言われておったのは、要するにもう既にNTT経営形態論を言っておる時代は終わったのではないかということを盛んにNTTは言っておりましたね。NTT競争相手はNTT以外にもできてくるんだということで、郵政省がいろいろなことを言っておるのがいかぬ、極端に言えば、郵政省は全くなくなってしまって、全く自由自在にやる方がいいのではないかというような議論もあったぐらいでございます。  そういう時代背景を踏まえてちょっと大臣に聞きたいのだけれども先ほどからいろいろ言っていますけれども電話時代からインターネット時代が来るかどうか、インターネットと言うかどうかは別にしまして、動画を自由自在に見られる時代が来るというのが一応のマルチメディアの考え方ですね、電話とコンピューターとテレビが一緒になるような時代で。何かそのときに、今ちょっと木村さんも言われたのだけれども、そういう時代を迎えて、今どういう問題で困っていて、どういうルールをつくっていかなきゃいかぬか、どういう仕組みをつくっていけば消費者がそういう新しい高度情報化社会にもっと飛び込めるようになるのか、何が要るのか、自分はどう動いているのか。もし郵政省が、おれのところはこういう情報通信を引っ張っていく牽引車だと言うなら、そこら辺、どういう御認識をお持ちか、大臣、ちょっと聞かせてもらえぬですか。
  39. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先生のお尋ねの件につきましては、非常に幅広い質問のようでございますが、これからは情報通信、マルチメディア、インターネット時代ということになってまいりますと、やはりプライバシーの問題あるいはセキュリティーの問題、情報流通の円滑化あるいは知的所有権の保護とかといういわゆる影の部分というものをいかにして守っていくかということが大事になってくるだろう、こういうように考えております。
  40. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それで、この間ちょっと新聞を見ましたら、突然、サイバー法の検討とかいうことで何か出てきましたけれども、これは実際に何かやっておられるのですか。今言った話は局長さんからもよく伺いますけれども、この中に、例えば、「関係省庁が連携して」とかありますが、これは何かやっておられますか。
  41. 木村強

    木村政府委員 お答え申し上げます。  今のサイバー法といいますのは、言葉としては確かに唐突に新聞その他で出たわけですが、実は「情報通信二十一世紀ビジョン」ということで、郵政大臣がことしに入りましてから電気通信審議会に、NTTの再編もめどがついてきた、あるいは放送のデジタル化も技術の進歩によって相当先が見えてきたといったように環境が非常に変化をいたしておりますので、こういった環境の変化を踏まえて、二十一世紀、二〇一〇年くらいを目途に、どういう社会になるのだろうか、それに向かってどういう政策を講じれば本当に安心のできる、いい高度情報化社会が構築できるのだろうかということで、大臣から審議会に諮問をしていただきました。  その諮問を受けた電気通信審議会の政策部会が、もろもろの政策あるいは未来像というものを具体的な提言という形で御議論をいただいてきたわけでありますけれども、その中間報告の中にサイバー法という表現が実はございまして、工業社会を前提とした法秩序から、これからの高度情報社会に向かった新たなルールづくりといったようなものもなければ、本当に安心できる社会ができないのではなかろうかというような議論がその中でなされました。  そういった問題を受けまして、しかも、それは各省庁、例えば電子商取引みたいな問題でありましたら、通産省から大蔵省から法務省から、あるいは警察庁、郵政省といったいろいろな役所がそれぞれの持ち分、得意分野を持ち合わせてうまく連携をしてやらなければできないだろうといったようなことまで議論がなされておりまして、そういう中から、いわばサイバー法みたいな法制度、これは法律だけではございません、その前段としてのルールづくりなども含めまして、そういった新しいものを検討していく必要性についての御提言があった。まあ可能性の問題ということでございます。
  42. 河村たかし

    ○河村(た)委員 提言があったのはいいのですけれども、問題は、もう既にそのくらいのことを関係省庁でやっておられるかと。こういうことに入ってないと、郵政省というのは何か相変わらず電話のことばかりやっておって、天下り先の確保ばかり考えている、そういうふうに言われたってしようがないですよ。何か実際にやっておられるのですか。
  43. 木村強

    木村政府委員 具体的には、例えば電子認証の問題あるいは電子商取引の問題などは郵政省といたしましてはまだ研究段階でございます。それから、知的所有権の問題などにつきましては、文部省とも連携をいたしまして研究会などもできております。セキュリティーにつきましても研究段階が基本だということで、プライバシー等につきましては、自主的なルール等もそれぞれ必要な場合については行っていこうということで、電気通信事業者等に対しましての対応ということでお話をして実施がされておるという状況でございまして、新しくサイバー法といったような形のものはまだこれからの問題ということでございます。
  44. 河村たかし

    ○河村(た)委員 本当に全く同じような状況が繰り返されておるのではないか。今、やはり問題は、それをインターネットと呼ぶかどうかは別としまして、ネットワークをもっとたくさんの消費者が安心して使えるような、そういう仕組みを早くつくってほしい。これはNTTも願っておると思いますよ。そういうことをリードしていけば、これは郵政省さん、立派だなと。役人というと何か辛気臭い話ばかりですけれども、そうでもないなということになるのですけれども、今のような話では、これは相変わらず電話の領域を抜け出てないのじゃないかな、残念ながらちょっとそんな気がします。  ちょっと話は飛びますけれども、そんなことも含めて、この間ある人に聞きましたら、PHSができるときに、あれは全国九地域ですか、三社、二十七プラス一社で二十八社に、それぞれ二、三人、天下りを受け入れてほしいというような話があったとかなかったとかいう話がありますけれども、こういう話はなかったですか。
  45. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 全く承知しておりません。
  46. 河村たかし

    ○河村(た)委員 まあ、そう言われることは当たり前でございまして、これから調査をいたしますけれども、一応言質をとったということで考えさせていただきます。  今ちょっと話が出ました、安心してネットワークが使える。例えば、この人はとんでもない人だとだれかがそういうことをネットワークに入れた、それがばあっと広がってしまったらどうやって救済するのか、こんな問題とか、例えばここのコンピューターのサイトは、アクセスすると十時間は無料です、それを知らずにずっとやっていてとんでもない請求書が来てしまったらこの場合どうなっちゃうのかとか、そういうような問題についてルールづくりが必要だということで、まあ一つぐらい、だれも褒めてくれぬから自画自賛せないかぬのですけれども、私ども新進党でこのたび、これはとりあえずは電話というふうに限っておりますけれどもNTTさんがやられましたけれども、発信者番号が向こうに出るように、要するにそこからどこへ電話をかけたかということがどんどん垂れ流しになってしまっては、これは安心してそういうサービスが使えないというところで、我が党から議員立法で、太陽党さんの賛同もいただきまして共同提案で、このプライバシー保護法が出ておりますけれども、これはよもつるすことのないように。  大臣、こんなありがたい法律はないんですよ、郵政省のためにも、NTTのためにも。NTTさんも、NTTさんのパンフレットの中に、いわゆるコーラーIDというのですけれども電話番号が出る、それをやるためには「行政等」と書いてありましたか、プライバシーの保護についていろいろ訴えかけるという文章もありまして、これはぜひ審議に入ると。  今言いましたように、大臣が今後のマルチメディア社会と簡単に言いますけれども、みんなが安心してネットワークを利用できるという大事なそのルールづくり、そのためにすばらしい法律なんだ、だから、これは党のことを言わずにみんなでぜひ成立させていこうじゃないか、そのぐらい言っていただけないですか、大臣
  47. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま御指摘になりました、新進党から提出されておりますプライバシー保護法については十分承知をいたしておるところであります。この点、議員立法でありますので、私ども執行部でとやかく言う問題ではなくて、これは国会で議論を深めていただければありがたい、こういうように考えております。
  48. 河村たかし

    ○河村(た)委員 何だかわけがわかりませんけれども……。  委員長、これはもうぜひ、今のような時代ですから、こういう変な、党の話でつるしたりとか絶対にないように、本当は委員長答弁をもらいたいのですけれども、こんなのはいかぬのですか。
  49. 木村義雄

    木村委員長 理事会でよく協議をいたします。
  50. 河村たかし

    ○河村(た)委員 まあ、一応それを申し上げておきます。  以上、時代は本当にそういうネットワークを安心して使える時代に入っておりますから、ぜひそちらの方に早く踏み込んだルールづくり、消費者が安心してそういう時代に入っていけるルールづくりを進めなきゃだめだということでございます。  次に、KDDさんですけれどもKDDさんがKDD法を早期に廃止してほしいと言っておるという話を聞いたんですけれども、これは本当ですか。
  51. 西本正

    ○西本参考人 KDD社長の西本でございます。お答え申し上げます。  当社といたしましては、まずは今国会におきましてKDD法の改正が成立して、一日も早く国内通信事業が開始できるようになるということを希望いたしております。  KDD法の廃止問題に関しましては、昨年二月の電気通信審議会答申におきまして、KDD法については、他の事業者により「KDDにそん色ない対地が安定的に確保された段階で、廃止する方向で検討を行うべき」とされておりまして、今後の競争事業者の対地拡大状況を踏まえて、次の段階において政府での検討が進められるものというふうに理解しております。
  52. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そういう話を聞いたのではなくて、何も遠慮せぬでも結構ですから、やはりKDDとして廃止してほしいと、今みんなが、もっといろいろな事業体が競争してやってほしいと言っているのですから遠慮なしに、言われたと僕は聞いておるのですけれども、自分が言ったか言わぬかも言えぬのですか、どういうことですか、これは。
  53. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  KDDといたしましては、規制緩和の進展に伴う競争環境の変化に対応していく上で、遅くともNTTの再編が完了し、長距離会社が完全民営化されるまでには、少なくともこれと同等の経営基盤に立った事業活動が可能となることが不可欠であるというふうに考えております。  いずれにしましても、冒頭に申し上げましたけれども、現時点におきましては、国内通信事業を早期に開始することを切に希望している次第でございます。
  54. 河村たかし

    ○河村(た)委員 こういうものかという感じがするのですけれども。多分、完全な民間業者だったら、経営する人でしたら、こういうふうにしてくださいよと自分の意思を言うと思うのですよね。だから、KDDがいりまても郵政省にとって非常にかわいい存在で、過保護にあるのではないかという話が出てくるので、言えないというのじゃなくて、これは消費者とすれば、KDDにやはり特に国内で頑張ってもらわないかぬわけですよ。そんなの、ごちゃごちゃ、役員の許認可だとか、冗談じゃありませんよ、もう一刻も早く廃止してくださいよというぐらいのことを言って、やはり国民に向けてもっと、競争時代を迎えるという強いメッセージを出さないと、何かNTTが出てくるから怖い、怖いという、そんなふうにしか伝わりませんよ。どうですか。
  55. 西本正

    ○西本参考人 私どもといたしましては、もちろん、現KDD法のもとでも、競争に対応してお客様のニーズにこたえるべく最大限の努力をいたすつもりでございますけれども、さらに、先ほど申しましたように、電気通信審議会の答申に基づきまして、KDD法の廃止につきまして検討が進められることを期待いたしております。
  56. 河村たかし

    ○河村(た)委員 本当に私は、もっと言っていただくというか、情けないですね、これは、KDDのためにもNTTのためにも。何か皆さんから言われると、この間一年間の議論は、郵政省がいかね許認可持っておるから、そういう話じゃなかったですか、NTTさんは今の話はちょっと違いますけれどもね。こういうときになって、やはりこれはもう自分から、役員になる、オーケーと、とんでもない、やめてくださいよというふうに言ってもらわないと、情けないですよ。  ところで、国内でずっとぐるりの光ファイバーも結構ですけれども、そのほかに何か本当にNTTと対抗する、NTTばかりじゃないですけれども、対抗する、おれはこれをやるんだぞというようなメッセージ何かありますか、情報通信競争の仕方について。
  57. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  KDDは、当然、国内進出も視野に入れた上でこの日本一周光海底ケーブルの建設を進めておるわけでございますけれども、それ以外にも、お客様の要望に従いまして、例えば専用回線であるとか、私どもKDD直加入回線の国内接続、そういったものを大企業向けに、非常に要望が強うございますから、そういったものをやっていきますと同時に、これから伸びていきます分野でございますインターネット関係のマルチメディアサービス、これを大いにやっていきたい。そのためにも大容量の伝送路が必要になるということで、先ほどのジャパン・インフォメーション・ハイウェー、こういった建設構想を持っておるわけでございます。
  58. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私は、ぜひKDDにお願いしたいのは、それは、従来型の電話競争もいいですけれどもね、例えば向こうの映像会社から直接配給を受けてそういう動画をどんどん流していく、それも、光ファイバーもいいですけれども、今、何と言いましたか、いわゆる銅線でデジタル映像を送る技術がにわかに発達してきましたけれども、そういうのを使ってちょっと違う視点で大競争を巻き起こすんだ、国内のそういう動画のネットワーク利用はおれに任せておけ、そういうような新しい切り口でだから、郵政省から天下りで変な電話のことばかり言う役員が来るのはお断りだ、そのくらい言ったらどうですか。決意を聞かせてくださいよ。
  59. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  映像伝送系のお話がございましたけれどもKDDは、先ほど国内についてだけ申し上げましたけれども、海外におきましても、この映像伝送系、これは、マルチメディア時代を迎えましてあるいはCATVの成長とともに動画の伝送が非常に多くなるという予想のもとに、これがスムーズに伝送できますように、先ほど日本一周ケーブル以外にも、アメリカや東南アジアあるいはヨーロッパに向けまして大容量の光海底ケーブルを建設いたしまして、そういったものがスムーズに伝送できるような計画を持っております。それ以外にも、主に企業向けでございますけれども、超高速通信ができますATMサービス、そういったもの、あるいはインマルサット衛星を使いました携帯電話で衛星と通話ができる、そういった事業も手がける、検討を進めておるところでございます。
  60. 河村たかし

    ○河村(た)委員 本当はちょっと不満なんですけれどもね。そういうことよりも、向こうのいわゆるコンテンツプロバイダーというのですかね、内容を持っているということですね、映像会社とかそういうところともっと早くタイアップして中身でどんどん勝負する、そっちをやっていかないと、何か郵政省の話聞いておるのと同じだよ、それ。  ところで、郵政省KDD法を廃止できない理由は何ですか。
  61. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 KDDあり方につきましては、我が国及び我が国民の利益を図るために、国際的な情報通信基盤整備でございますとか、それから緊急時の通信確保という観点から常に世界とつながるネットワークを有する通信事業者が必要なわけでございまして、いわば国際的なユニバーサルサービス確保でございますが、そういったことのできる通信事業者は、現時点ではKDDに期待せざるを得ないという状況にありますことから、KDDを特殊法人としているわけでございます。  このKDD法の将来のあり方につきましては、このようなKDD役割を念頭に置きながら、国際通信市場の変化の動向等を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
  62. 河村たかし

    ○河村(た)委員 国際的な通信ユニバーサルサービス、こうなると思いますけれども、現実に全部の国に線を持ってKDDはやっておるのですか、どうですか、実際に線を。借りてやっている部分はあるのですか。
  63. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 正確に内訳は覚えておりませんけれども、現在KDDが持っております対地は世界二百三十三の国あるいは地域でございますが、このうちのかなりの部分につきましては、みずからの直通回線を持ってサービスを提供いたしております。
  64. 河村たかし

    ○河村(た)委員 裏から言いましたけれども、かなりの部分でない部分は借りてやっておるということですね、もう既に。ですから、今は、そうKDDKDDと言う必要もないので、メガコンペティションの時代だと言いますけれども、それはほとんど、線を引くよりみんな借りてやるわけで、ほとんどというわけじゃないですけれども、そういうことですから、どうもやはりKDD法を廃止しないのは、何かまた、天下りというかどうか知りませんけれども、いろいろな意味での影響力を行使する部分は残しておきたいのではないかと思うのですけれども、その辺は、認識違いますかね。
  65. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 基本的な考え方は、KDDにとどまらずNTTにつきましても、すべての通信事業について完全な競争が行われる中で、純粋に民間会社がこれを提供するような事態が出現すれば一番いいと考えておるわけでございます。  しかし、KDDにつきましては、現在、かなりの部分について直通回線を持って、世界二百三十三対地に通信サービスを提供しておりまして、直通回線であるかあるいは第三国中継であるかという点につきましては、例えば先般のペルーの事件につきましても、たまたま直通回線を持っておりましたのでかなりな対応ができたわけでございますけれども、直通回線を持っておりませんところにつきましては、中継を依頼する第三国において空き回線がなければ十分な回線の確保ができないということになるわけでございまして、世界のすべてについて、ごくわずかな通信需要しかないところについてすべて直通回線をということは経済的に無理でございましょうけれども、やはり基本的には直通回線を持つということが我が国国際通信確保する上で重要なことだと考えております。.
  66. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そこらはやめておきます。  次に、今度の持ち株会社論でございますけれども、これが突然出てまいりまして、私どもも、去年一年間、本当に何のために、努力ではないけれども、勉強させていただいたのか、こんなことなら早く言ってほしかったという感じもするのですけれども、これは、審議会でこういう議論あったのですか、持ち株会社論、答申のその議論の経過で。
  67. 野田聖子

    野田(聖)政府委員 委員質問にお答えします。  電気通信審議会においては、NTT編成に純粋持ち株会社制を活用する案については議論されなかったものと承知しております。
  68. 河村たかし

    ○河村(た)委員 されていないということになりますと、これはだしぬけになりますけれども審議会の答申についてもかなり勉強させていただいたのだけれども、政務次官、これは、審議会の人からすれば、なんちゅうこっちゃという感じになると思うのですけれども、まあ、それはそれでいいのですか、やはり電通審というとかなり権威のあるものだということで相当議論された、全然違うものがすぽんと出てきた、これは政務次官にちょっと。
  69. 野田聖子

    野田(聖)政府委員 今回の再編成の案につきましては、昨年の三月にNTTの再編成問題が継続検討とされて以来、郵政省NTTの間で大変議論が積み重ねられてまいりまして、それを踏まえて、NTTの御意見をいただいて郵政省の方で取りまとめたものでございます。
  70. 河村たかし

    ○河村(た)委員 議論もされていないようなものがぽんと出てくるということは、これは信じられないんですけれども持ち株会社論というのは、ほかのところでは、NTTファミリーから出てきた議論で、ここは郵政、そごに座っておられる方々といろいろな議論をしまして、持ち株会社ではいかぬ、もっと厳しい競争が要るんだということだったと思いますけれども、では、これは、だれがいつ言い出したのですか、この話。
  71. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま政務次官の御答弁にございましたけれども、この再編成案につきましては、昨年三月にNTT問題が政府におきまして継続検討課題とされまして以降、その方針の中にもございました、関係者であるNTTとの間でいろいろ議論もいたし、意見も聞きまして、そういったことを踏まえて郵政省として取りまとめた案でございます。  この案こつきましては、電気通信審議会の答申の内容そのものではないことは事実でございますけれども、ただ、電気通信審議会がお考えになっておられましたその基本的な趣旨については、これを踏まえているものというふうに考えているわけでございます。
  72. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これは、踏まえていると言う人と全然違うと言う人とありまして、僕は違うんじゃないかなと思うんですよね。  やはり分離分割論の趣旨は、本当に倒産する恐怖、議員だったら落選する恐怖を与えるぐらいの競争状況に追い込まないと、冒頭に言いましたけれども、やはり日本情報通信世界のリーダーになれない、こういうところにあったはずなんですよね。持ち株会社というのはそれと全然対極にある話でして、持ち株会社一つが倒産する恐怖というのは考えられないですよね、これは。  ですから、今の話ではよくわかりませんが、これはどちらが言い出したのですか。NTT側ですか。郵政省ですか。
  73. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま申し上げましたように、昨年三月以来いろいろな形で議論をしてまいりまして、それらを踏まえて郵政省として取りまとめたわけでございます。そういう意味で、この案を決めたのは郵政省でございますが、議論としてはいろい委な議論をいたしたところでございます。
  74. 河村たかし

    ○河村(た)委員 いや、いろいろな議論に決まっておるわけですよ。  非常に興味があるのは、どっちが言いかけたかということですよ、どちらが初めに。どうですか。
  75. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 この持ち株会社のアイデアというものそのものにつきましては、実は以前から雑誌あるいは新聞で民間の方がおっしゃっていたこともございまして、全く突然というアイデアでもございませんでしたので、どちらがどうだったかということにつきましては、いろいろな意見交換の場もありましたし、先ほど申し上げましたように、最終的には私どもの責任で決めたものでございます。
  76. 河村たかし

    ○河村(た)委員 雑誌に出ていた云々という話、だけれども、それは審議会では一遍も言われなかったということですね、先ほど来の話で。  ちょっと固有名詞を出すのはやめますけれどもNTTファミリーのどこかから、これで行こうというような働きかけはあったんじゃないですか。
  77. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 私どもに対してはそういう働きかけは一切ありませんでした。
  78. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そうすると、またちょっと戻りますけれども、どちらが初めに言いかけたということはやはり言えないということですか。とりあえずそれをちょっと確認しておきます。
  79. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 いろいろな議論の中でございますので、正確には責任を持ってお答えできないということでございます。
  80. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これはやはり、本当にどういうふうに情報通信のフレームワークができていくかということですから、こんなことは言ってもいいと思うんですよ。NTTさんからあったのか、いやいや、どこどこの会社の方がお見えになって正論を言っていかれた、私は感動してそうしましたということでいいんじゃないかと思うんですけれどもね。  ちょっとこれは残念でございますけれども、まあそういうことにしまして、では、国民にとってこのことによってどういうメリットがありますか、政務次官。これはちょっと政務次官にぜひ。
  81. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 私が先にお答えいたします。  今回の再編成案は、一義的には、この再編成を行いますことによりまして、事業者間における公正競争条件整備すること、あるいはNTT自身活性化を図ること、あるいは電気通信産業界における基本的な構造についてその展望を明らかにすることによりまして新規事業者も含め全体としての活性化を図ることということでございますけれども、それによりまして、競争を通じ、利用者に対しましてはサービス向上料金低廉化ということが図られるということが競争そのものの趣旨でございますので、最終的には国民皆様の利便にかなうものと考えておるところでございます。
  82. 河村たかし

    ○河村(た)委員 競争を図るということですけれども、とにかく答申によれば、そのためには、先ほど言いましたように、倒産の恐怖にさらされるような競争状況に置かなければならないと何遍も言いましたよね、これは。そういうことだったんですよ。それは撤回したということですか。
  83. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま申し上げましたような形で競争を促進していくという趣旨でございますので、先ほど申し上げましたように、審議会の趣旨、公正な有効競争条件を整備するという趣旨に沿ったものと考えております。
  84. 河村たかし

    ○河村(た)委員 趣旨、趣旨と言いますけれども、一遍も出てきたことのない議論がぽんと出てきて、本当に沿ったのかどうかわかりません。  ちょっとNTTにお伺いしたいんですけれども、今度三社に分かれまして、一個ふえましたね、これは結局。東西の役員の選任、これはどうも資料を見ておりますと、ここは郵政省が言わぬでもいいことになっていますけれども、これは持ち株NTTはどうするんですか、東西NTTの役員を選ぶときは。これは何かあるんですか。
  85. 林豊

    ○林参考人 役員の定数の決定につきましては、今後の再編各社の設立手続を行う中で決めていくということになっておりますので、現段階で、まだ、どういう形で定数等を決定するかということについては決めておりません。
  86. 河村たかし

    ○河村(た)委員 定数じゃなくて、例えば東NTT社長にだれがなるとか、役員にだれがなるとかいうのを決めるのは、どなたがお決めになるかということです。
  87. 林豊

    ○林参考人 今回の持ち株制度の趣旨から申しまして、持ち株会社の重要な機能として、再編各社についての主要幹部の人事の決定というものが入りてくるだろうというふうに想定をいたしております。
  88. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ということは、三社の役員については持ち株NTTが全部統率する、握るということですね。それは間違いないですね。
  89. 林豊

    ○林参考人 先ほど申し上げましたように、まだ正式に決定したものではございませんが、持ち株会社というものの役割を想定いたしますと、今先生指摘のような方向で考えられることになるんではないかというふうに考えております。
  90. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そうなりますと、これはおいしい話だよね。NTTは、これはどうですか、まず四十人ぐらい役員になりますかね。あとそれに、結局、つっと条文を見ると、東西NTTには郵政省は役員の認可権がないようになっていますけれども、持ち株NTTは今のままで、郵政省さんがいい、悪いと言うことになっていますので、実際上は間接的に郵政省もすべてNTT、一社ふえた四つのグループを全部見られるということになって、NTTは役員はふえるわ、一体感はばっちりあるわ、反対に強固になりましたよね。持ち株会社という、一体にするんだよというのがわざとできたのですから、これは。それで、なおかつ郵政省も上手に、これは隠れみの的になったのかどうか。東西NTTの役員の認可は外してありますけれども、事実上は間接的に目が届くということで、これは両者にとっては非常においしい。だけれども国民にとっては本当の競争、地獄の競争は期待もできない、先ほどKDDさんの話もありますけれども。これは何かえらい焼け太りみたいに思いますけれども、そんなものじゃないですかね、NTTさん。
  91. 林豊

    ○林参考人 先ほど申し上げましたように、役員定数につきましてはまだ決めておりません。ただ、一般論といたしまして、持ち株会社、再編子会社等々、それぞれの経営としての業務範囲あるいは責任範囲、そういったものを勘案してこれから定数というのは決めていかれるものというふうに考えておりますが、その際の一つの大きな判断要素としましては、やはり業務運営の効率性という観点も十分配意していかなければいけないというふうに考えておりますので、先生指摘の、いわゆる焼け太りという表現に該当するようなことには恐らくならぬだろうというふうに考えている次第でございます。
  92. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それから、一つ聞きますけれども、何かNTTの内部で、将来の分離、三社、四社ですか、なったときに、ばらばらにならないように話し合いのグループができたという話があるのですけれども、そういう事実はありませんか。
  93. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答え申し上げます。  ばらばらにならないようにプロジェクトをつくったということはございません。四月十四日に再編成室、私がその役職にあるわけでございますが、そういうものをつくりましたが、先ほど林から申し上げましたように、これは再編の手続等々について円滑に、法律が通った場合、再編を進めるためのスケジュール等を管理するためにつくった組織であります。  以上です。
  94. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ちょっと今のところ、まだその内容はわかりませんけれども郵政省に言わせれば、競争するためにこれをやったんだと言っていますから、それが、再編成室が手続だけならええのですけれども、将来分かれたときに競争しないように仲ようやっていこまいか、そういうことをよもや一言でもしゃべったら、これは全然郵政省の言っておることと違うということ、郵政省というよりも国民の期待と違うということになりますので、ここのところは気をつけてもらわなければいかぬですよ、これは。  それから次に技術革新のことですけれども、これも議論がいろいろありまして、基礎的技術がどう、応用技術がどうとありますけれども、技術革新の観点からいえば一体論はいいんだと。僕は反対でしたけれども。  ちょっと例は的確かどうかわかりませんけれども、やはりアメリカとソ連があの宇宙開発競争をやったからああいう事態になったのです。だから、やはり両方が死力を尽くして、僕はNTTに頑張ってもらいたいからこれを言っておるのです、結局。NTTがやはり完全に分かれて、おれのところは下手したらつぶれてしまうぞというぐらいの競争をしないと、一般的に言えば、やはりインターネットの話ばかりじゃないですけれども、そういう映像、動画伝送のところではおくれておると思われますけれども、そういうのにキャッチアップできないと思うのだけれども、そこら辺、NTTさん、技術開発は今度は持ち株会社でやるんですか、基礎研究は。それで、一体型でこれは本当に大丈夫なんですか。
  95. 宮脇陞

    ○宮脇参考人 副社長の宮脇でございます。先生の御質問にお答えさせていただきたいと思いますが、先生もよく御存じのことではございますが、グローバル化による世界的な大競争の中では、ネットワークインフラ等の基礎・基盤技術の研究開発、これを土台にしたマルチメディア分野での競争活性化というものが不可欠でございます。この基礎・基盤技術の研究開発は、先生と若干ニュアンスが違うかもしれませんが、私どもとしては大規模なものと考えておりまして、リソースの集中投入が必要でございますし、会社ごとに研究開発を実施した場合、やはり分割損による弱体化を招くと考えるわけです。国際競争力の低下も懸念される。そういう中で、持ち株会社におきまして総合的かつ効率的に実施していきたいというふうに考えているわけでございます。  なお、先生指摘の、競争活性化につながるベンチャー的といいましょうか、そういう研究開発、これは個別商品、サービス、そういうものの開発の中で重要な要素と判断しておりますので、この実施こつきましては競争原理の中で、長距離会社あるいは東西地域会社で、我々、応用的と言わせていただいておりますが、応用的研究開発として進めていきたいというふうに考えております。
  96. 河村たかし

    ○河村(た)委員 とにかく、技術開発といってもなれ合いじゃないので、世界競争するわけですからね。反対に、NTT内部でも、だれかがどうのこうのとぽんと決めてしまう話ではなくて、本当に死力を尽くした、失敗したら倒産するぞぐらいの危機感の中でやらないと僕はいかぬというふうに思っていますので、本当は、私は、答申案が言っていたような、ああいう本当にすさまじい競争を巻き起こす考え方NTTはぜひ身を置いてほしかった、NTTのためにも。  こんなことを言っても何の得にもならぬから、本当は疲れるのですよ。NTTに嫌われて、労働組合に嫌われて、だれも応援してくれませんよ。日本ではNCCも、いろいろ議論は言いますけれども、分離分割論を言ったって別に応援してくれるわけではないですよ。損得ではなくて、国民の立場からいえばやはり僕はそうであったな、そういうふうに、残念だと思っております。  それから、じゃ、経営体力格差がついたとき、仮に、しようがないもんでこの法案が通ったとしますわ。これが通ったとして、こういうことを言っていかぬのかな、どうかわかりませんけれども、反対するという方向もあります、賛否は別にしまして。まあしようがないで通ったとしますと、三年間は何ですか、一応利益補てんか何かするということですけれども、その後、一般的には西の方が苦しいだろうと言われておりますけれども、価格は、後でNTTさんにもお伺いしますけれども、どうしますか、別にしますか、電話料金でいいですわ、コンピューターの話になるとややこしいから。三年後はどうするつもりですかね、これ、東西の。認可されるわけですからね。
  97. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先生指摘のように、当面西会社については赤字が見込まれるという事情がございまして、これは移行期の費用負担ということもあるわけでございますけれども、三年間についてはその赤字を東会社の利益で補てんするということを可能とする制度を設けております。これにつきまして、全国あまねくの電話サービスの安定的確保にも資したいと思っております。  ただ、基本的にこういった形で分けておりますのは、比較競争ということを通じましてその効率化努力、間接競争確保したいということでございますので、両社がそれぞれ経営改善を図る中で効率化を実現し、サービスの改善、料金低廉化に努めていくというのが基本的な方向でございます。  ただ、そういった効率化努力が実を結ぶには若干の時間がかかると思いますので、ただいま申し上げましたような制度はつくっておりますけれども、基本的な方向と制度の内容は今申し上げたようなことでございますから、中長期的に見ますればサービス改善の方向に両社とも進んでいくものと期待をしております。
  98. 河村たかし

    ○河村(た)委員 期待されるんじゃなくて、実際三年後の中間経過期間が過ぎた場合、経営体力は差ができたとしますよ、現実論。同じにはなりませんよ。じゃ、値段の差を、東と西と違う値段が出てきた場合、それはそのまま即認可されるのか、いやいやこれは困るよ、同じにしてくれと言われるのか、どうされるんですか。
  99. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 料金につきましても、いろいろな条件があると思いますのでここで抽象的にどうということをお答えすることはできないのでございますが、基本的な方向といたしましては、いずれにいたしましても、料金が上がる方向で差がつくということは私ども今全く考えられないと思っておりまして、それぞれにおいて低廉化努力を行っていく中で、一時的にその低廉化努力に差が出るということはあり得ると思っております。
  100. 河村たかし

    ○河村(た)委員 何かよう考えられて、官僚答弁と言うと谷さんに怒られますけれども、当たらずとも遠からずという話が多いので、差を認めるのか認めないかについてはようわからぬのですけれどもNTTさん、じゃどうされますか、これ、違う料金郵政省さんに認可申請されますか。
  101. 井上秀一

    ○井上参考人 今、谷局長からお話があったように、料金というのは基本的に、できるだけ経営効率化しながら下げていくというのが基本でございます。  今回の再編成に伴ってどうするのかという話については、お客様サービスの低下を来さないということを基本に取り組んでいくということで、今後東西二社、長距離、こういうふうに分けた場合の体制がどうなるのかということにつきましては、ただいまお話がありましたように、比較競争の中でそれぞれの会社が創意工夫をしながら非常な経営努力をやることによって現在のサービス水準をできるだけ維持していきたいという形で今取り組んでおるところでございます。先生のおっしゃるように今後格差が出るんじゃないかということは、我々として、経営努力の中でできるだけ基本的な料金問題については取り組んでいきたいというように思っております。
  102. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんなことだったら、結局話し合って仲よくやれることじゃないですか、実際は、四社で、NTTが。これが本当に競争してやるというんだったら、郵政省、谷さんも、そんなのはっきり、もし体力がついたら、それは競争原理だから違う料金でも認可しますよと。なるべく一緒にしてくれぐらいは言うかもわからぬけれどもユニバーサルサービスだから。言うかもわからぬけれども、アメリカだって料金違うんだから、そう言わなきゃ、全然、今言っている話は結局NTT一体じゃないですか、四社は。どうですか。
  103. 井上秀一

    ○井上参考人 基本的な料金については、過去、全国できるだけあまねく公平という形で取り組んできた経過がございまして、国民の、利用者の方にもいろいろそういう面での期待があると我々は思っております。  こういう中で、我々としては、長期的に経営をどう持っていくかということが非常に大切な問題でございまして、東西のそれぞれの会社が一生懸命やることによってできるだけこういうような過去のいい点については伸ばしていくというような形で取り組んでいくことが大切だろうというふうに思っておりまして、そういう意味では、確かに東と西の経営基盤環境の変化、ありますが、いろんな工夫をし、努力をすることによって、この三年間のいろんな負担金制度等も利用しながら、何とか乗り切っていきたいなというふうに思っております。
  104. 河村たかし

    ○河村(た)委員 いや、これはやはりだめですね。これでは、与党の皆さん、申しわけないけれども。やはり一体論ですわ、これは。  競争するときに商売はだれでもそうだけれども、ラーメン屋さんだって、よそのもやしラーメンよりうちの方が安くつくる、おいしいのを。これはだれでもまず考えることなんですよ、競争の一番の前提なんですよ、これが。  だから、NTTが自信を持って、上げる方の差はつけないようにする、最低でも。下げる方で差がつくのは、これは、私ども頑張ってやりますよ、西も負けないようにやりますよ、このくらい言えなきゃ、こんなの初めから、冒頭から焼け太りですよ。こんなことなら、本当に賛成できませんよね、これは。どうですか、NTT
  105. 井上秀一

    ○井上参考人 インフラ的な、いわゆる基本的なサービスについて、我々としても、多種多様な利用の仕方をお客様にしてもらえるような料金制度の工夫、こういうものは今後もやっていくことは当然でございますが、できるだけ全国どこへ行っても公平に使える、そういうような仕組みということも片一方で大切なので、それぞれの経営が必死に努力することによってできるだけいいところを伸ばしていくという形で、先生の言うような、比較競争がないんじゃないかというようなことがございますが、そうではございませんで、これからの経営環境、非常に厳しい中で、それぞれが工夫しないと経営の改善それから料金の維持改善、こういうものはできません。こういうものを必死になってやることによって、二社の間の比較競争というのはかなり我々としては厳しい経営環境の中でやっていくというふうに、努力していくつもりでおります。
  106. 河村たかし

    ○河村(た)委員 本当に、消費者からいって、NTTさんが内部でどれだけ努力してもらったって、悪いけれども、余り関係ないんだよ、これ。やはり通信料金を下げてもらうことですよ、多彩なメニューを提供してくれることですよ。  特に長距離はもう自由になるんでしょう。それで民間会社になるわけでしょう。料金の認可も要らぬわけでしょう、将来目指すところは間違いなく。そうでもないですか。それで、一種、二種の差もなくしていこうといくわけでしょう、どんどん。そういうときに価格に差がついてきても、そこに踏み込んで努力しますよということを言えないでは、これは消費者にとってほとんどメリットのない今回の三法案じゃないですか。  もう一回、そこら辺の決意、ちょっと教えてくださいよ、国民の目から見て。
  107. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 社長の宮津でございます。  基本的に、マルチメディアとか国際化とかという大きな流れが出てきておりまして、その中で、国内もそうですが、国外的にもかなり競争で戦っていかなければならないという基本的な条件の中での議論だというふうに思っております。  それで、先生おっしゃったように、基本的には値段を下げるという努力、それからサービス多様化していくという努力、これはもう一生懸命やらなければいけないし、まだそういう仕掛けに今回はなったんではないかというふうに思っております。  ただ、その中で責務問題というのがあって、これはユニバーサルサービス電話中心にする基本サービスだと思うんですけれども、こういうものについては、やはり我々としても、余り全国的に見てサービス格差がないような努力、これはやはりやっていかなければならないんじゃないかというふうに思っております。  以上お答え申し上げました。
  108. 河村たかし

    ○河村(た)委員 いや、これはやはり電話時代の呪縛ですね。非常に残念ですね、やはり  それは、そういうユニバーサルサービスというのはいいんですけれども、もっと、どんどん動画の時代にも入りておって、やはり競争する以上は、最低でも、下げる方の格差はつきますぐらいのことを言っていかないと、何にもいいことないじゃないですか、これ。NTTの役員がふえて、それにまたがる郵政省の目も届くようになった、それだけじゃないですか、本当のこと言って。そうじゃないですか。本当にそうですよ、これ。何のためにやっちゃうのということですよ。口先だけで多様なサービス、低廉な価格と言ってまっても、そういう構造をつくっていかないと、決意がないとだめですよ、これ。  それから、それにまつわって、分離分割論に対する、やゆする人は、いやいや分離分割するとたくさん会社ができて役員がふえるから、天下り先をつくるんだと言いましたね。だから、郵政省さん、これ、ひとつ五年間はもうこのNTT四社に天下りしませんと、どうですか、宣言されたら。
  109. 天野定功

    ○天野政府委員 先生ただいま公務員の再就職問題について御指摘でございますが、いわゆる公務員の再就職につきましては、これは、派遣する公務員側の問題といたしましては、憲法上の個人の職業選択の自由にかかわる問題でありまして、職員が再就職する場合に当たりましては、国家公務員法、そのほか人事院規則もございますが、そういった法令の規定に従って適正に処理していくといったことだろうと思います。そしてまた、それを受け入れる側の民間企業におきましては、広く人材を求めていくという形で、その企業にとりまして有用な人材を集めていく観点から企業の方でも御判断なさることでございまして、そういう観点からこの議論をしていくものだというふうに受けとめております。
  110. 河村たかし

    ○河村(た)委員 何か、再就職という話を聞きまして、えらいいろいろな言い方があるのだなと思うけれども、では、NTTから、受け入れませんと言ったらどうですか。
  111. 林豊

    ○林参考人 先ほど役員の定数について申し上げましたが、役員人事ということになりますと、さらにその後の段階の問題になります。一般論としてでありますけれども再編各社それぞれの責任範囲、役割分担、こういったものがこれからはっきりしていく中で必要な人材というものを確保していくことになるわけでありまして、現在と同様、経営を担える、ふさわしい人材というものを選んでいくつもりでございます。よろしくお願いします。
  112. 河村たかし

    ○河村(た)委員 要するに、優秀な方は入れるということですね。社内にもたくさんおるけれども、霞が関にもおる、こういうことですね。  時間がもう終わりですから、最後、もう一問だけです。  いわゆる料金が、今、二種、一種と分かれていますけれどもKDDさんなどは特に思われると思いますけれども、海外から来る場合は、線がありますから、みんな二種で来るわけですね。だから、インターネットの使用料金等で、OCNの料金もどんどん安いということで、非常に苦慮しておると思うのですよ、KDDが一種だということになると。これは郵政省、早く、一種、二種なんてこんなことをやめたらどうですか。
  113. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現行の制度についてでございますけれども、電気通信サービス国民あるいは日本経済にとって大変重要なサービスであるわけでございましてそういったサービスを安定的に提供いたしますためには、社会的にこれを維持する仕組みが必要であると考えるわけでございます。その際に、電気通信サービスは、基本的には、土地その他の公共的な財産あるいは私有財産を使い、また、場合によっては有限な電波も使いましてそのサービスを提供するというのが基本になるわけでございます。したがいまして、これらの伝送設備を保有する通信事業者につきましては、その能力を持ったものがこれに当たることができるように許可の制度をとっておりまして、これは世界各国においても同様の制度をとっております。  しかし、電気通信の利用のあり方は、この設備を利用いたしましてさまざまな形で行われる、そこがまた電気通信発展する由来でございますので、全体といたしまして、できるだけ自由にこれが行われますように、この伝送設備を用いて通信事業を行います通信事業者につきましては、できる限り自由なあり方にいたしますためにこれを設備保有と切り離して、設備保有に着目した一種事業とそれを利用する二種事業という形で、全体としてサービスの安定的な確保を図りつつ、自由な競争ができるような仕組みとしておるわけでございます。
  114. 河村たかし

    ○河村(た)委員 まあ独占力の行使をしないようなために、一種の関係もあると思うのですけれども、これは競争を入れるためにいろいろな業者を登場させているわけですから、そこでやはり、一種でやるには自己矛盾になりますし、ぜひKDDさんのためにもやはりもっと早くちょっとやり方を変えて、向こうは二種で自由にやる、KDDだけ一種で、全部コスト積み上げでやっておったら、これは勝負になりませんよ、サービスが。早くそこのところを変えて、本当に国民が安く、豊富なサービスを早く得られるように、そういうふうにぜひ配慮をいただきたいと思います。  以上で終わります。
  115. 木村義雄

    木村委員長 赤松正雄君。
  116. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 新進党の赤松正雄でございます。  今、河村代議士の方からるるこの法案についての質問がありました。私もほとんど同趣旨のといいますか、同じ観点に立った気持ちを持っておりますので、後ほどその辺のことについて御質問をいたしますが、法案について直接入る前に、若干お聞きしたいことがございます。  それは、このまど公表されました電気通信技術審議会の答申、昨年に続いて若干の手直しがあったというか、その後の状況の変化を加えたものが「情報通信研究開発基本計画(第二版)」ということで発表されております。それについて冒頭お聞きしたいと思います。  この基本計画の中、最後の部分で「国を挙げて戦略的に実施すべきもの」として六つのプロジェクトを実施すべきだというふうな形で取り上げられておりますけれども、国を挙げて戦略的に実施すべきこの六つのプロジェクト、これに対して、郵政省としてどういうふうにこの答申を受けとめておられるか、この辺について冒頭お聞きしたいと思います。
  117. 木村強

    木村政府委員 御指摘情報通信研究開発基本計画では、情報通信技術の中で、現在重要と考えられ、政府中心となって西暦二〇〇〇年までに着手すべき八十の重点研究開発プロジェクトというものが選定をされております。  さらに、この八十の重点プロジェクトの中から、ただいま先生指摘の趣旨に基づきまして、二十一世紀情報通信の中核となる技術として、我が国の技術水準の向上国際競争力確保等を念頭に置きつつ、現在、米国におくれをとっております分、それに負けない技術力を確保しようということで、例えば、一つには低軌道周回衛星通信LEOの技術、二つ目はインターネット関連技術、また、欧米と我が国の技術力が現在拮抗している分野で、世界的に今後その市場の急速な拡大が見込まれる光通信技術、それから広帯域の移動体通信技術、映像関係技術、ヒューマンコミュニケーション技術等につきまして、八十の中から関連するプロジェクトを結合いたしまして、国を挙げて戦略的に実施すべき六つの戦略研究開発プロジェクトとして御提言をいただいたということで、八十あるわけですけれども、それを平板に、一つ一つを有機的に関連づけるように研究開発を進めるのではなくて、特におくれている分野、これは対等だけれども、これから先も先導的にやった方が有利だという分野、そういう大競争時代におきます研究開発が基本になるわけですから、その研究開発の視野を、国として戦略的に対応しようという試みがこの提言になされておりまして、そういう面で、アクセントのついた提言をいただいたということで、これは、いずれをとりましても予算的な措置を伴うものが非常にたくさんございますので、こういった提言を受けまして、私どもも、戦略的な、世界的な視野で日本の、特に国がやるべき、政府がやるべき研究開発というものについてのウエートづけを行って、優先順位をつけてやっていこう、こういうつもりで、現在、この報告を受けまして、検討いたしておるところでございます。
  118. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 確かに、八十もあるプロジェクトというのはかなり多過ぎるという印象を受ける。それを六つにということは、それなりに絞られたという感じがするわけですけれども、それでも、なおかつまだ、今、木村局長のお話を聞いておりまして、ど素人でございますので、その辺のことについて細かく、どういうふうなプロジェクトなのかということについて余りイメージが定着してまいりません。  そういう観点からしますと、例えば、同じこの答申の中にも、絵入りで詳しく解説がされておりますけれども、いわゆる日本以外の諸外国の情報通信技術開発のプロジェクトの例が挙げられておりますね。例えば、ヨーロッパではフレームワークプログラムですか、アメリカではHPCC、ハイ・パフォーマンス・コンピューティング・アンド・コミュニケーションズということのようですが、そういう計画、あるいはマレーシアのマルチメディア・スーパー・コリドー計画、シンガポールのインフォメーションテクノロジー、IT二〇〇〇構想。要するに、国として、国を挙げて戦略的に取り組むといった場合のこのイメージが、こういった国々、ヨーロッパの場合はヨーロッパ全体ということなんでしょうけれども、こういうイメージとして非常に定着している、定着というか、我々に訴えかけるものがあるわけです。  日本の場合、技術に関する、先ほど局長から答申に対して、六つのいずれも劣らぬ重要なプロジェクトだ、こういうお話ですけれども、そういうプロジェクトも含めて、情報通信全体のこれからの二十一世紀に向けての新時代の到来を思わせるような、いかにも日本は国を挙げて取り組んでいるのだなというふうなイメージを惹起させるような、そういう取り組み姿勢、それはネーミングにもあらわれてくるのじゃないかというふうな感じがするわけですけれども、ただいい名前をつければいいというものじゃありませんけれども、並列的ではなくて、八十を六つに絞って重点的にということなんでしょうけれども、それでもなおかつ多いという感じがします。優先順位をつけてなおかつ全体の日本国家情報戦略をイメージ化する、そういう方向性というか、そういうもののお考えはないのかどうか、お聞きしたい。
  119. 木村強

    木村政府委員 先ほど申し上げました六つにつきましては、いずれ劣らぬものだ、ここを置いてここをやろうという、もちろん力あるいはお金にも限界があります、人材にも研究開発の能力にも限界がございますから、やはり二十一世紀展望して、今ここで手を打っておかなければならないという先ほど申し上げました分野と、それから、おくれはとったけれども、これから先の日本の国の研究開発能力を維持して先導的に動いていくためにも、ここで新しい先の技術についてはその段階ではリカバリーできるのだ、こういった趣旨の大きな二つの形をこの六つの中でもさらに分けて先ほどお話をしたわけですけれども、インフラ的な面で申し上げますと、まさにトータルデジタルネットワークといいましょうか、先ほども少し申し上げましたけれども利用者が、有・無線であるとか、通信・放送であるとか、固定系であるとか、移動系であるとか、そういったメディアの媒体を意識せずとも、外国に行ってもいろいろなところでそういったいつでも、どこでも、だれとでもというものをデジタルの中でシームレスにやっていける、そういう研究開発基盤をつくっていこうというのが端的に言えばその目的でございます。  これをどういうネーミングでいくのか、諸外国のように、あるいはトータルデジタルネットワーク何々とか、さらにこういったものは、私ども、アピールしていく上でも非常に大切でありますから、検討もしたいと思っておりますけれども、電気通信技術審議会の中ではそこまで、ネーミングまでは、基礎研究ではブレークスルー21だとか非常にわかりやすい言葉も出ておりますけれども、今申し上げました六つをまとめてこうだというのは、今の段階では、私は、トータルデジタルネットワークをつくり上げていく要素であろうというふうに申し上げておきたいと考えております。
  120. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 局長のお話、まだそのネーミングまで至っていないということですけれども、私はさっき河村さんの質疑の中で、かなりNTTKDD郵政省、それぞれに厳しい指摘がありましたが、例えばKDD、大分いじめられておりましたけれどもKDDのジャパン・インフォメーション・ハイウエー構想、JIH構想なんて、なかなかネーミングとしてはいいのじゃないかというような感じがしております。先ほど申し上げましたように、名前がどうこうということは核心的なことではありませんけれども、しかし、日本の姿勢、それを世界に呼びかける、訴えかけるという意味で非常に大事なポイントであるのじゃないかというふうに思います。ぜひともその辺の努力もあわせてやっていただきたい、そんなふうに思います。  さらに、答申の中で、研究開発プロジェクトの推進に当たって、政府が具体的に取り組むべき施策として五つを最終的にこの答申の中で挙げておりますけれども、この五つの政府が取り組むべきであるという施策についてどういうふうに受けとめられておるのか、郵政大臣にお聞きしたいと思います。
  121. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先般の審議会の答申の中に、政府に具体的こ取り組むべき方策として五つの提言をなされたわけであります。  すなわち、一つ研究開発環境整備促進、二つ目が標準化の推進、三つ目が国際的連携の強化、地域の研究開発の強化、そして五つ目に研究情報基盤整備、この五つが示されたところであります。  これは、今後二十一世紀に向けて高度情報通信社会を構築するに当たりまして、最も大事な基本的な問題でありますが、これは官民挙げて強化をしていかなければならぬ、そして欧米におくれをとらない情報通信の技術を確保してまいりたいと思っております。  特に、今までの、これまでの状況を反省してみますときに、やはり官民一体となった今後の情報通信社会推進ということが極めて大事だと思っておりますが、例えば今携帯電話が非常に普及してまいっておりますが、せっかくNTTが開発されましたPDC、これが日本だけしか使われていない。というのは、やはり官民挙げての標準化について世界的にアクションを起こさなかった、これがおくれをとった大きな原因だと思っております。  このようなことを考えますときに、これからのこの五つの示された提言を我々も十分踏まえて、今後官民挙げての努力をしていきたいと思いますし、先ほど局長から答弁申し上げましたが、これには相当予算も伴うことでありますので、平成十年度の予算要求に当たっては、このことを踏まえて、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  122. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 それでは、今回のこのNTTに関係する三法案について御質問いたします。  まず、先ほど来お話にもたびたび出ておりますけれども、私自身はこの委員会に所属したのはこの国会からでありますので、このNTTをめぐる長い間の、十四年ですか、足かけ十五年になろうとしておるようですけれども、こういうNTTをめぐる論争についてずっと追っかけてきたわけじゃございませんが、改めてこの期間における郵政省なら郵政省、そしてNTT、あるいは電気通信審議会のNTT特別部会、こういうところとの間における論争の経緯というものを見ますと、先ほどもお話が河村さんから出ておりましたけれども、非常に真っ向から対立する主張というものが随分ずっと並行的に展開をされてきた。それが、突然その対立した経緯が解消してしまって、一緒になるというふうな、考え方として一緒になって分かれる、分離分割の方向に行ったということは非常に一般国民の側から見てわかりづらいというものがあります。  例えば、料金という観点からいけば、競争原理によって安くなるという主張と、いや、分割コストで現在よりも値下げは難しいという主張が対立をしておったわけです。それから、サービスについては、多様化によるサービス向上が期待される面が大きいという主張と、いや、かえって地域間格差が生じてサービス向上が望まれないということで、分離分割反対というふうな声があったわけです。また、国内競争力では、新電電や地域会社間で激化するという主張と、いや、そうじゃない、事業区分が固定されて逆に競争が阻害されるのだという見方が対立をしておったように思います。さらに、国際競争の面では、長距離が参入して着実に競争力が増すという立場と、逆に国際的なインフラが未整備競争になるのは難しいという主張の対立があった。さらに、研究開発分野でも、長距離が現行を引き継いで問題はないという見方と、分割によって明らかに研究開発の能力というのは低下するんだという一般国民、特にマスコミを通じてそういうふうな主張、もちろん一致する部分もあったという見方もあるかもしれませんが、際立った特徴を捨象して引っ張り出すと、今言ったようなまさに真正面から対立する主張の違いというものが長い間展開をされてきた。そういったことがどうしてここで決着したのか。  先ほど来のお話を聞いていますと、どうも郵政省の方向にNTTが折れちゃったというふうな感じ、あるいはまた、そういうふうに見ていて、実質、表と中身と、名と実をとるというふうな分かれ方とか、さまざまな見方があろうと思いますけれども、私はここで、きょうの私の質問のポイントとして、今申し上げた料金サービス国内競争力国際競争力研究開発、この五つの面それぞれについて、郵政省それからNTT双方から、どういうふうに決着したのか、過去の我々の主張、この部分はこういうふうにできるのでこういう点でかつての主張は解消するかつて問題だと思った点がおさまったのだというふうな角度のお答えをそれぞれからお願いしたいと思います。
  123. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かにNTT問題をめぐる議論の中では、御指摘のような議論もいろいろあったわけでございます。ただ、今回のこの形の中で、私どもはこれらの問題について十分解決が図られ、そのことについて理解が得られたというふうに思っております。  具体的に申し上げますと、まず御指摘料金サービスの面でございますけれどもNTTの再編成によりまして、情報通信分野における競争が促進され、各社料金低廉化サービス多様化が図られることが期待されるわけでございますけれども、一方で、西NTTが赤字になるのではないかという問題も確かにございまして、その場合には、経営改善のための努力が当然行われるわけでございますけれども、それが実を結ぶまで若干の時間を要すると考えられますので、それまでの間、料金値上げしたりサービス低下が起こらないように、三事業年度でございますが、東NTTから西NTTに対して負担金を支出するということができるようにする、そのほか税制上の特例措置を講ずるというふうなことをしております。  それから二つ目に、国内競争への影響でございますが、独占的な地域部門と競争的な長距離部門とがそれぞれ独立の会社となることによりまして、内部相互補助の防止や接続ルールの公平な適用が可能となると考えております。また、東西の二社に地域通信部門が分けられることによりまして、相互に比較しながら競争する、比較競争が可能な体制となるということで、公正有効競争の促進が図られるものと考えております。  それから三点目に、国際競争力の点でございますが、今申し上げましたような国内における競争活性化に加えまして、地域通信網から切り離されます長距離NTTが新たに国際通信分野に進出することが可能となることによりまして、我が国情報通信分野における国際競争力の強化につながると考えております。  最後に研究開発でございますが、研究開発につきましては、直ちに収益に結びつくことのない基盤研究、これにつきましては持ち株会社に一元的に行わせることによりまして、公社時代以来培われてまいりました研究開発リソースの分散をも防止し、研究開発力の面における競争力の強化を図り得る体制としたいというふうに考えております。また同時に、事業に密着しましたいわゆる応用的研究分野につきましては、長距離会社東西の各地域会社それぞれにおいて自由に行うことによりまして、各社が競い合って研究開発を行い、それによって多様なサービスの実現に資するということを期待するというふうに考えているわけでございます。
  124. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 NTT側の方から、今度の合意に至りました考え方を整理して申し上げます。  十数年にわたりいろいろ議論がございまして、最近の一年間ということでまた突っ込んだいろいろな議論をいたしまして、それで郵政省の方からこういう案ではどうかというようなことを示されまして、それについて我々が過去にずっと主張してきた問題ももう一回反省して考えてみて、それで、じゃあこの案はのもうか、合意しようというふうに決心いたしました。その時点での考え方というのを整理して申し上げたいと思います。  四点ございますが、まず、ユニバーサルサービス確保できるかどうかという問題について申し上げます。  サービス水準やネットワーク整備水準等に関する持ち株会社の調整機能とか、事業開始後三事業年度について認められる東日本から西日本会社への負担金制度の活用とか、編成各社相互連絡などによりましてユニバーサルサービス確保することができるのではないかと考えました。  二番目に、全体としての国際競争力の問題であります。  再編成後の長距離会社国際進出が可能となりまして、各地域会社との連携によって国際通信を含めたグローバルなエンドエンドサービスの提供が可能になるなど、グループ全体の資源を有効に活用しまして、NTTグループ全体として国際競争力を発揮できるのではないかと思いました。  三番目に、研究開発力の問題がございます。  基盤研究開発について、持ち株会社で一元的に推進することから、研究開発リソースの分散、分割損が発生しないで研究開発力が維持できるのではないかと考えました。  四番目に、これはちょっと議論としては今の三つよりは少し別な角度のものではございますが大事なことであると思っております株主権利確保の問題がございます。  今回の再編成では、現行NTT株式持ち株会社株式としてそのまま存続すること及び東日本会社から西日本会社への負担金制度導入や資産譲渡益課税の免除等の特例によりまして会社資産の減少が回避できるというようなことから、株主権利保護ができるのではないかと思いました。  こういうようなことで、今回、合意に至ったというふうに思っております。
  125. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今NTT社長の方から、長い経緯の中を非常に短い時間でまとめておっしゃったわけで、そこにいろいろな背景があるのだろうと思いますが、私は、先ほど来出ています件の中で、やはり消費者にとって一番関心があるのは、通話料金あるいはサービスといった面で、値段が下がる、サービス向上する、こういった点で明らかに今回のNTTの分離分割というものが消費者の側にとってプラスであったという面がなければならない、そんなふうに強く思います。  先ほど来、東から西への三年間のいわゆる赤字解消のための助け合いのシステムというふうなお話もございましたけれども、そういったいわば緩衝時期ともいうふうな時期を経た後、ぜひとも料金低廉化の方向に向けて大きく進むことを期待したい、そんなふうに思います。  時間がございませんので、まとめて私の今回の分離分割に関する感想を申し上げて、それに対して大臣からお答えをいただきたいと思います。  一つは、このNTTの地域独占の弊害と、それから巨大さのもたらす非効率といった面を分離分割で解消しようという本筋のねらいが、先ほど来の河村代議士からの質問でも非常に明らかになりましたように、結局私たちから見て、郵政省は形としての再編成という長年の懸案の名をとって、NTTは分社化という形で一体経営の実をとるといった、いわば双方の主張を両方足して割るというふうないかにも日本的な妥協案じゃないのか。もちろん、この十数年の間にさまざまな世界の政治の変化、日本の政治の変化というものはありました。いつまでもこういうことをやっておれないという部分もあろうかと思いますけれども、際立って日本的な妥協案じゃないのかという懸念一つある。  それからもう一つは、BTとMCI、このアメリカとイギリスとの間においての合併構想が起こってきたり、あるいは、かつて分割されたアメリカのAT&Tが、今度は再び合併の方向に向かったりする。  このように、米英、アメリカ、ヨーロッパの通信業界が大胆な整理統合という形を進める背景には、放送・通信などの垣根をなくす規制緩和を激しく進めてきたという事実の背景があると思いますね。  NTTは、それに対して、公社時代の既得権の大部分を受け継いで、波風を実質的に受けてこなかったという体質的なひ弱さがあるのではないかという指摘があります。  こういうことから、十四年間ああでもない、こうでもないと論争しているうちに、欧米各国では、一たび分割してそして力をつけ、さらに競争に打ちかつために今度は合併をも辞さないというふうな風が起こってきている。これでは、日本と欧米との間は一周おくれではないかというふうに私は思うわけです。  先ほど木村局長あるいは大臣の方からも、この情報通信世界において日本がアメリカあるいはヨーロッパに対しておくれているという自覚を持っておられる発言がありましたけれども、そういった点から見ても、私は、繰り返しますけれども先ほど来の話にあるように、NTT分割ではなくて、第二電電、日本テレコムといった新電電三社をNTTに対抗する勢力に育てる、むしろそういった形の方がいいという意見に賛成したいというような気もいたしております。  このあたり、今申し上げた点について、大臣の方から考え方を聞かせていただきたいと思います。
  126. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいまの先生の御質問にお答えいたします。  今回のNTTの再編成というものは、先ほど谷局長あるいはNTTの宮津社長の方から経過につきましては御答弁申し上げたとおりでありますが、私は、今回のNTT再編成案というものは、大変ベターな結論を得た、こういうように考えておる次第でございます。  足して二で割ったような形ではないかという御指摘でありますが、今日の情報通信の急速な発展、そしてグローバル化を考えるときに、私は、 やはりある程度スリム化した動きやすい体制をしながら、そしてまた、地域は独占でありますが、比較競争ができる体制をつくるということは、最小限、これしか方法がなかった、こういうふうに考えておるわけでございます。  しかも、最初先生の御指摘のような資本の分散という形、これも非常に心配されたところでありますが、これは持ち株会社という形で資本は一つに統一をして、そしてそれぞれ分社化をして、競争、それぞれの分野での努力をさせるという体制、これこそ私は日本方式の一番いい案であった、こういうように考えておるわけでございます。  今後、長距離通信にいたしましても、これは海外進出も可能でありますが、国内においても大変な競争があるし、そしてまた、海外においては、KDDを初め、海外三社もありますので、その中で競争を進めていくわけでございます。また、地域の東西会社に対しましても接続約款等を制定させまして、各通信会社とフェアに、そして公正に行える体制ができますので、私は、今までより相当進んだ体制だ、こういうように考えておるところであります。
  127. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今大臣の方から、今回のこの分離分割は、必要最小限、これしかなかった、ベターな方法であるというお話がありましたけれども、私は、そういった経営形態をこういう形に変化させる、いわば経営形態をいじるというやり方よりも、さっきもお話がありましたように、むしろ徹底した規制緩和ということ、規制撤廃というものをやっていくことが今非常に重要ではないか。世界各国からの、技術革新といったことによる価格破壊の波が日本に激しく押し寄せておりますけれども、それに対して規制緩和の断行をさらに一層強く優先すべきだ、こういうふうに思います。近未来における具体的な規制緩和についての政府の方針というものを聞かせていただきたいと思います。
  128. 天野定功

    ○天野政府委員 お答え申し上げます。  情報通信経済社会の構造変革の原動力と言われておりまして、大変期待が高まっているところでございまして、郵政省といたしましても、従来から積極的に規制緩和に取り組んできたところでございます。  去る三月二十八日に閣議決定いたしました規制緩和推進計画におきましても、今回御審議いただいております法案の内容であります第一種電気通信事業参入規制の緩和、具体的に申しますと過剰設備防止条項の削除、それから相互接続の基本的なルールの策定、NTTの再編成、そしてKDD国内通信サービスの実施など、百二十六項目を盛り込んだところでございます。  今後でございますけれども、私どもといたしましては、規制緩和推進相互接続推進NTTの再編成の実施を三位一体といたしまして、電気通信市場改革等に向けて計画に盛り込んだ事項を着実に措置していきますとともに、今後、公正有効な競争環境整備や技術進歩の状況を踏まえながら、さらなる規制緩和に向けて積極的に対応していく考えでございます。  また、情報通信の高度利用を促進するための、教育、医療など利用分野におきます諸制度の見直しも不可欠でございまして、これにつきましては、政府一体となって取り組むことが重要であるというふうに考えているところでございます。
  129. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ありがとうございます。  時間が参りましたので、終わります。
  130. 木村義雄

    木村委員長 山花貞夫君。
  131. 山花貞夫

    ○山花委員 NTT編成にかかわる関連三法案審議に当たりまして、冒頭、民主党の基本的立場を明らかにしておきたいと思います。  まず、電気通信事業法改正案につきましては、電気通信発展競争の進展による料金低廉化サービス向上など、利用者利便の増進などの喫緊の課題に対応するものとして、改正案の趣旨に基本的に賛成であります。  日本電信電話株式会社法改正案につきましては、ユニバーサルサービス確保、また、通信グローバル化先ほど来議論されております激化する国際競争への適切な対応、同時に、研究開発力の維持など、多様な条件を多角的に勘案すれば、今回のNTT再編成案は概ね妥当である、こう考えております。  国際電信電話株式会社法改正案につきましても、競争の進展による我が国の電気通信発展活性化のために、今回のKDD国内通信参入措置も必要、妥当なものであると考えております。  以上、三法案について基本的に賛成の立場を明らかにして、質問をさせていただきます。  まず冒頭、臨調答申以来十五年越しの論議に終止符を打って、特にこの五、六年、欧米の巨大通信社におくれをとっているのではなかろうかと危惧されている日本情報通信事業が、ユニバーサルサービス確保しながら、同時に国際競争に太刀打ちできる道を開くことが急務であると考えております。大臣も、世界各国の二十一世紀における戦略産業という位置づけをされておりましたけれども、この時代の背景というものが大変大事だと思っております。  しかし、これまでも議論となりました昨年十二月六日のNTTの再編方針についての郵政省NTTの合意を受けての今回の三法律案は、あくまでも現行NTT法など既存の法律の枠内での一部改正という形をとっています。やはりその限界があるのではなかろうか、こう考えます。将来の日本経済のかぎを握る日本情報通信産業の望まれる競争環境整備するということになれば、規制緩和という視点でなお不十分な点が多々あることを指摘しなければなりません。  以下、こうして三関連法案の趣旨、目的を実現するための担保が各法案の中にしっかりと盛り込まれているかどうかという視点から質問をさせていただきたいと思います。  冒頭、確認的なことになりますけれども、今回の、NTTを純粋持ち株会社のもとに長距離通信会社東西二つの地域会社に再編するということにしたことの意義と目的について、改めてお伺いしたいと思います。
  132. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま山花先生が冒頭に御指摘されましたような趣旨を私ども十分踏まえて行ったつもりでありますが、まず、全国あまねくサービスを提供する、いわゆるユニバーサルサービスをしっかり確保していくということ、そして事業者間の競争確保するということ、そしてそのことによって低廉な料金サービス多様化を図っていくという問題、さらに、これからの大きな課題としてNTT国際通信への進出を可能とする、すなわち、情報通信グローバル化に積極的に対応しようとしてこの再編成を進めてまいったわけであります。  以下、詳細につきましては政府委員の方から答弁をさせたいと思います。
  133. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいまの大臣の御答弁に補足して少し細かなことを申し上げさせていただきますと、御案内のように、NTT昭和六十年に、公社時代に築き上げられました通信ネットワークを全国一社体制で引き継いだわけでございますけれども、それ以降、十年余を経過いたしました現在におきましても、地域通信市場におきましては依然としてNTTが約九九%のシェアを占めているという状況にございます。  このNTTが保有しております独占的な地域通信部門と、それから活発な新規参入によって競争が進展しております長距離通信部門とを別会社とするわけでございますが、これは、ただいま申し上げましたような市場の性格にかんがみまして、これによって公正有効競争条件整備しようというものでございます。また、このような公正有効競争条件整備によりまして、NTTによる国際通信事業への進出も可能となるわけでございます。  それから、東日本、西日本において同程度の規模の地域会社を二社設立いたしますのは、これによりまして比較競争などを通じた競争の活発化と、それから地域における適正な経営管理の向上を期待するということでございます。  一方、持ち株会社のもとにこれを置くという制度をとりますのは、この持ち株会社によりまして資本関係を維持することにより、再編成後も国民に対し電話サービスを提供をする地域会社事業が安定的に行われ、国民がこれまでと同様に電話を利用できるという仕組みを確実にしようということでございます。  このように、大臣のお答えにもございましたけれども、今回の再編成は、総体といたしまして、競争活性化NTT国際通信進出の実現を通じまして、情報通信グローバル化に積極的に対応いたしますとともに、国民利用者に対しましては、電話サービスの安定的な提供を確保しつつ料金低廉化サービス多様化を実現しよう、そういうねらいのものでございます。
  134. 山花貞夫

    ○山花委員 お話しいただいた点は、第一条の「目的」のところ、第二条の、目的を達成するための「事業」という部分に骨格として盛り込まれている、こういうように理解をしております。持ち株会社が東西会社株式の総数を保有すること、役務の提供と基礎的な研究基盤観点、また会社株主として地域各社に対し必要な助言、あっせんその他の援助を行うこと、全体として、新しい再編の中で持ち株会社地域会社におけるネットワーク、一体的な運営というものを確保しながら、一社体制のときからペースダウンすることなくこれからの時代発展を期したい、こういう構造だと理解をするところであります。  ただ、では一体、民間会社なのか特殊会社なのかというところの議論は残ると思います。今回、持ち株会社及び東西地域会社を特殊会社という形にした、この点の趣旨と理由について御説明をいただきたいと思います。
  135. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 趣旨につきましては、先ほど先生指摘いただいたとおりでございます。  それで、再編成後の東西地域会社を特殊会社とする理由でございますけれども、これにつきましては、それぞれの地域においてサービスを提供いたすわけでございますけれども、この地域通信市場は、先ほど申し上げましたように競争がほとんど進展をしていない市場でございます。しかも、その市場においてあまねく電話サービス確保する必要がございます。これができる事業者は、当分の間、NTT以外に想定し得ないところでございますので、再編成後におきましても、この両会社につきましては、国民生活及び社会経済活動に必要な電話サービスを、離島、山間僻地等を含め安定的に提供させることが必要でありますことから、それらの経営を適正なものとし、公共性を確保するという観点で特殊会社とすることにしておるわけでございます。  一方、この持ち株会社、これも特殊会社として設けておるわけでございますが、この持ち株会社を設けましたのは、御指摘ありましたように、この両地域会社株式の総数を保有する形で資本関係を維持することによりまして、地域会社によるあまねく電話サービスを、より確実に、かつ安定的に提供をしていくということでございます。この持ち株会社を純粋の民間会社と仮にいたしますと、利潤動機で機能するということになりますので、地域会社経営にそういう観点から関与するということになりますと、地域会社に期待されております公共的役割を十分に果たし得なくなるおそれがあるわけでございまして、これを同様に特殊会社としたものでございます。  さらに、サービスや商品に直ちに結びつかない基盤研究というのがあるわけでございますけれども、これにつきましては、多額の費用と多くの要員を要し、かつ当面、競争による研究開発が期待できないわけでございますので、これにつきましてもあわせて持ち株会社に一元的に引き継がせることといたしております。これによりまして、この基盤研究開発推進でありますとか成果の普及、これを引き続き行わせて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与させることが必要であるということも、この特殊会社としている二つ目の理由でございます。
  136. 山花貞夫

    ○山花委員 今の御説明は、第一条、第二条に次いだ大変大事な、「責務」について書いてあります第三条にかかわってくる部分だと思います。国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく公平な、かつ安定的な提供を責務としている。その特殊会社とした理由にかかわるわけですけれども、今、若干地域的な事情等についても御説明いただきましたが、やはり私たちの関心としますと、最近のこの日進月歩の通信業界の現状、これに対する国民の利便というところから、若干、あまねく公平なという点に関して以下お伺いをしておきたいと思います。  最近、とりわけ電話の利用の形が変わってきているということはだれでも知っているところでして、従来の個人の加入電話、そしてISDN、携帯・自動車電話、PHSの加入の数というものが極めて顕著な変化を示しています。まずその実態について御報告をいただき、そういう状況に対してどう対応しようとしているのかということについて、責務とのかかわりにおいて御説明をいただきたいと思います。
  137. 井上秀一

    ○井上参考人 加入電話、携帯電話、PHSの加入数の最近の推移でございますが、加入電話昭和六十年で四千五百万あったものが平成八年度末で六千百万ということで、この間千六百万ほど増加しております。その間、移動体は六万の加入数であったものが二千七百万ということで、約二千七百万近く増大しておるということでございます。  このような、加入電話が伸び悩んでいる、それから移動体が増加しているという中で、我々としましては、ISDNの普及促進、いわゆるISDN電話という新しい電話の普及促進、それから加入電話についても、新しいサービスだとか割引制度、こういう多様なサービスの展開を図りまして需要喚起に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  138. 山花貞夫

    ○山花委員 今お話がありました加入電話については激減という感じがいたします。自動車・携帯電話については激増という現状の中で、やはり理由の一つとして施設の負担金問題があるのではなかろうかと思っております。  実はこの点、私どものところにも関係団体から陳情が来ておりましたので一言触れてお伺いしておきたいと思うのですが、携帯電話に移る理由としてこの問題がある中で、中小の電話取引業者がこの問題について大変心配をしていることについては御承知だと思います。問題提起の陳情の文書も送られてまいりました。  こうした問題に対して郵政省としてはどういう対策といいますか、激変緩和ということも必要なのではなかろうか、こんな気持ちで陳情書を読んでおったわけですが、この点についてお考えがありましたならばお話しいただきたいと思います。
  139. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 電気通信料金は全体として低廉化を図るということが基本的な私どものあるいは通信事業者方々の使命だと思っておりますし、特にその料金の水準ということにつきましては国際的なレベルも考えていかなければならぬわけでございますけれども通信料金、いろいろな仕組みがあります中で、この施設設置負担金につきましては国際的に見ましてもかなり高額なものとなっているということは事実でございます。  今後のマルチメディア時代に向けましたサービスあり方ということを考えていきますと、こういったものにつきまして、できるだけ内外価格差の解消といいますか、加えて低廉化ということを図っていく必要があるわけでございますが、この制度につきましては、いろいろな過去からの経緯の中ででき上がっている問題でございますので、これをどのような形で今後取り扱っていくかということについては、いろいろな状況を勘案しながら取り組んでまいりたいと思います。  その際に、当然、当事者でございますNTTにおける考え方というものも十分承知をしてまいりたいと思っております。
  140. 山花貞夫

    ○山花委員 七万二千円というのはやはり高いと思いますね。では、一体いつまでにどのくらい下げるかということ等については、これはNTTの方は検討されておるのでしょうか。その場合、今指摘しましたような、同時に配慮する点もあるのではなかろうかと思っていますが、御検討なりありましたならば御紹介いただきたいと思います。
  141. 井上秀一

    ○井上参考人 携帯電話等が普及しているという話の中に、新規のお客さんがつけるときの初期負担、こういうものがないということで普及しているのではないかということで、我々としても、電話等の需要促進といいますか、こういうことについてはサービス利用時の初期負担の軽減、こういうものが非常に大切なポイントであるというふうに考えておりまして、そういうものについていろいろ検討している中でございます。  そういう中の一環として、先ほど御説明しましたISDNの関連につきましては、先般INSネット64ライトというような形で、負担金を要さないサービスを選択メニューという形でぜひサービス拡大をしていきたいということで、このような考え方で、できるだけ今後サービスの拡大を図っていきたいというふうに考えております。ただ、加入電話負担金の問題については、先ほど谷局長から御説明ありましたように、いろいろ過去の経緯があるということで、いろいろな問題を検討していかなければいかぬということで、今回のINSネットの実施状況等を見ながら、いろいろ今後郵政省とも相談しながら検討していきたいというふうに思っております。
  142. 山花貞夫

    ○山花委員 検討経過が進みましたならば、ひとつお話を伺いたいと思います。  また別の問題でNTTに伺っておきたいと思うのですが、最近インターネット電話というものが話題となっています。雑誌なんかを見ると、国際的な電話は二十五分の一の料金になる。料金問題ですから大変国民は敏感です。  昨年の九月ですか、ニューヨークで国際的な会議も開かれて、随分たくさんの国が参加をして、この問題について、とりわけ欧米の大手通信業者から高い関心というものが示されたという報道がありましたけれども、その後、最近ですけれども、USAグローバル・リンク社が外資初の日本上陸であるというような報道もございました。格安国際電話のコールバックサービス世界的な大手の会社でありまして、既に世界各地でインターネット電話の進出を計画していると伝えられております。東京、大阪にも四、五カ所に接続拠点を設置してサービスを開始する等々、この会社のこれからの事業展開の予想などが報道されておりました。  インターネットを中継網に利用することで、とりわけ国内長距離、国際電話の通話料が随分割安になる。特に問題としては、一般の電話に比べ使い勝手や品質が劣る、こういう問題点も言われていますけれども電話料が何十分の一になるなんということが出ていますと、一体どうなるのだろうか、こういうことに対してNTTはどう対応しているのかということについて、この点伺っておきたいと思います。
  143. 井上秀一

    ○井上参考人 インターネット電話の問題については、もう既に国内で一部使われているということについて、我々も十分認識しております。  今、電話市場につきましては、インターネットだけではなくて、公−専−公接続という形で新しい事業の出現とかということで電話の長距離の料金水準というものがいろいろな形で動いております。この中でインターネット電話がどのような形で動いていくのか、将来のマルチメディアのシステムの中でどういうように使われていくのか、先生のおっしゃられたように、品質の問題、利用の問題、いろいろ今後の動向というのを我々としても非常に関心を持って注意して見ておりますが、具体的にどういうふうにNTTとして取り組もうかということにつきましては、今後の利用の実態、こういうものを十分見きわめた上でいろいろな対応策を考えていきたいというふうに考えておるところでございます。
  144. 山花貞夫

    ○山花委員 国内の長距離を含め、国際的な電話がとにかく二十五分の一になるなどという話がありますと、これはやはり大変なことじゃなかろうか。今御説明いただいたような問題点はあるとしても、これは最近の激しい市場の将来ということを考えるならば、いつ圧倒的な力を発揮するかわからないという問題点はあるのじゃなかろうかと思います。  NTTとしても既に十分研究開発はされておると思いますけれども、こういう問題に対してもしっかりした取り組みをしておかないと、責務と絡んで、ユニバーサルサービスを含めておくれをとってはいけないのじゃなかろうか。先ほど来議論がありました、料金を安くして多くのメニューという原則に沿ってひとつ御努力をお願いしたい、こういうように要請をして、ユニバーサルサービスの維持と向上という面について次に質問を移していきたいと思います。  先ほど来の議論でも、東西地域会社の格差の問題が議論となりまして、お話の中で、厳しい比較競争の中での経営努力を続ける、そうした中で低廉化努力に差が出ることはあるかもしれない等々のお話を同僚委員質問のやりとりで聞いておりましたけれども、やはりかなり心配であります。御説明いただいた附則十一条、十二条の金銭の交付と租税関係法令の適用に関する経過措置、これなどを見ても、やはり実態がどうなっているかということについて少し伺う必要があるのではなかろうかと思います。します、この東西会社の現状と申しましょうか、収支の現状がどうなっているのか。それから、既に再編した後の将来の、一応現在の枠組みで考えた場合の収支の見通しについてもNTTおつくりになっていると思いますけれども、この点についてまず御紹介をいただきたいと思います。
  145. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答え申し上げます。  七年度の事業部収支で、西は赤でございまして、東は黒ということになっておりますが、先生指摘の、一九九九年に一応再編をするといたしまして、一九九九年と二〇〇〇年の収支について算定をいたしました。  一九九九年につきましては、東の会社は経常利益が一千百億円の黒字、それから西につきましては一千億円の赤字ということで、収支の開きは二千百億円、なお、これは分割コスト一千億円を含んでおります。  それから、再編の二年目に当たると思われます二〇〇〇年度につきましては、東会社の経常利益が一千三百億円の黒字、西会社につきましては八百億円の赤字と、これまた二千百億円の開きがございます。このように現在のところ推定いたしております。
  146. 山花貞夫

    ○山花委員 今の収支見通しを伺いますと、やはり相当の厳しい努力というものが求められるということだと思います。  同時に、これから後に伺います基本計画とか実施計画等々、ずっと進んでいかないと、具体的なイメージがわいてこないところもありますけれども、粗っぽくこの枠でくくった三年間で、金銭の交付などをやったりした中でうまくいくのだろうか。格差が残るのじゃないだろうか。もしそういうことになると、厳しい経営努力の中身が限度を超えることになりますと、やはり切り捨ての問題とか、その他ユニバーサルサービスにかかわる問題、責務にかかわる問題も出てくるのではなかろうか、こういう心配が出てくるのは当然だと思います。この三年を区切ったということについて理由があるのかどうか、あるいは三年で大体どんな見通しをつけているのか、この点についてこれは郵政省の方にお伺いをしたいと思います。
  147. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいまNTTからも御説明ございましたけれども、基本的に西会社部門の赤字といいますものは、従来の文献の中で見ますとだんだん縮小してきておりまして、経営努力がなされてきております。  十一年度、十二年度における赤字の額につきましては、移行費用も含んでおるわけでございまして、これは一時的な増加という要素もあるわけでございます。私どもは、NTTにおかれましては、従来からもそういう努力をしてきておられますけれども、再編まで二年余、それから三事業年度ございまして、これまでの間に今申し上げましたような赤字の要素は解消できるもの、現時点ではそういう見通しを持っておるわけでございます。
  148. 山花貞夫

    ○山花委員 郵政省のそういうお話を伺ったのを前提として、これはやはりNTTの方にも、三年で大丈夫ですかということは確認しておきたいと思います。  やはりこれは残っていますと、じゃ、もうからないところは切り捨てる、あるいは人減らしをやらなければいかぬ、労働条件はかなり差がついてくる、こういうことがあり得るのじゃなかろうかと思うのは当然のことでありまして、これは社長からひとつこの問題についてのNTTとしての受けとめ方、これからの方向についてお話を伺いたいと思います。
  149. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 NTTとしてのこの問題についての姿勢というか今後の努力の方向ということは、御心配のないようにしようと思っていますということなんですが、御質問でございますので、これに関連する要素などを含めながら、考え方を少しお話をさせていただきます。  今回のNTTの再編成に当たりましては、お客様にサービスの低下をもたらさないことを基本に対処したいと考えております。したがいまして、事業開始後三事業年度について認められる東日本会社から西日本会社への負担金制度を活用しながら、一方で、地域会社の増収努力経営効率化による財務体質の改善、サービス水準、ネットワーク整備水準等に関する持ち株会社の調整機能などをうまく使いまして、分担金制度終了後におきましても、離島や山間僻地でのサービス低下や、東西地域会社間での基本的なサービス料金の格差が生じないように努めていく考えでございます。  以上、申し上げました。
  150. 山花貞夫

    ○山花委員 なお、きょうは私一番最初の質問ですので、各論的にはまた同僚議員が御質問させていただきたいと思いますので、先に進みたいと思います。  規制緩和絡みの幾つかの問題です。一つは十条の役員の認可にかかわる問題、あるいは事業計画についてもしかり、さらには料金の問題等々、求められる規制緩和ということについて、この点はどうなのかということです。  まず最初に、先ほど来ちょっと議論ありました取締役と監査役につきまして、商法ですと、株主総会の選任を経てそれで終わりということになるわけですけれどもNTTの場合には、商法の規定に加えて、会社法に規定されている大臣の認可も必要となってまいります。天下り問題も議論されましたけれども、一般論としてま、経営の自主性ということを考えた場合には、十条によるこの取締役、監査役の認可ということについては、これはなくして、自主的、主体的な経営ということをもっともっと進めるべきではないだろうか、こう思います。  同時に、特殊会社について横にらみで考えてみると、中には代表権を持つ取締役だけに限定しているところもあるわけでありまして、そうした点について、十二月六日の合意以降、この点についてこう判断された理由はどこにあったのかということについてと、関連して、十二条、事業計画の関係でも、地域会社市場環境の変化に対応した機動的、弾力的な経営の実現を図るというところがこれから大変大事になってくると思っています。事業計画についても規制を緩めるべきではないだろうか。とりわけ持ち株会社の場合には、電気通信にかかわる基盤研究、こう承知しておりますけれども、この実務的な電気通信サービスを提供するというのとは切り離した役割を持っているということになりますと、余りここでも細かく事業計画を認可という形で規制するということはいかがなものだろうか、こういうように考えます。  まず、この辺について、郵政省の結論を出した理由について伺いたいと思います。
  151. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTにつきましては、極めて重要な公共性を持つ特殊会社でございまして、従来から、現在の仕組みでございますけれども、その役員につきまして郵政大臣の認可というものがかかっております。今回再編成の案といたしております中での持ち株会社は、このNTTの本体、本質的なところを引き継ぐわけでございますが、同時に、この会社におきましては、個々の役員がそれぞれ業務を分担するというよりは、取締役会を中心とする役員全体としてその持ち株会社の基本方針、すなわち各東西会社その他の会社の方針を決めていくという性格を持つものでございまして、その役員全体について認可制を維持することが適当と考えました。しかし、各地域会社におきましては、この持ち株会社機能中心的な部分が、各地域会社等の関係会社の役員の選任、その執行部の構成ということでございますので、その判断を尊重いたしまして、こちらにつきましては規制緩和観点から認可制を外したというところでございます。  それから、事業計画の問題でございますけれども、この持ち株会社、特殊会社といたしましてその基本的な方針はやはり事業上の計画ということで示されるわけでございまして、その内容の程度は別といたしまして、やはりこの特殊会社に対する政府としての関与のあり方として事業計画の認可は必要であると考えたわけでございますが、その内容につきまして、現在行われている以上に詳細なものについて求めていくということを考えているわけではございません。
  152. 山花貞夫

    ○山花委員 事業法にかかわる部分について伺いたいと思います。  これも先ほど議論がありましたけれども、六条の第一種、第二種という事業区分の関係です。先ほど質疑を伺っておりますと、設備の有無により電気通信事業者を第一種、第二種と区分するという電気通信事業法全体のこの前提を置いて御説明があった、こう思うわけですけれども世界の現状あるいは世界の潮流ということを考えますと、このままではグローバル化あるいは通信と放送の融合という問題点に対応し切れなくなるのではないだろうか。ただ、これは冒頭指摘した現行法の一部改正という形で再編を目指しておりますから、ここに手をつけるということになりますと、事業法の存在自体どうするかということにもかかわってくるということもあったのではなかろうかと思いますけれども、しかし、次の世紀を見据えた事業法を考えた場合には、その他放送法を含めての大改正ということになりますけれども、こうした問題についても、全体としての規制緩和の方向でかなり抜本的な見直しということが喫緊の課題となるのではなかろうか、こう思います。  この点についての見解を伺いたいと思います。
  153. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先ほど御説明申し上げましたが、現段階におきましてはこの区分は、全体といたしまして通信事業基盤的なシステムを維持いたしますと同時に、できるだけ自由な事業者活動によって多様なサービス、低廉な料金を提供しようとする仕組みとして有効なものと考えております。  諸外国の例を見ますと、このような分離方法をとらずにサービスの内容で分けているというところもあるわけでございますけれども、そういたしますと、サービスの内容は、世の中の変化に従いましてどんどん必要なサービスということになってまいりますので、結局リセール事業についても許可を要するというふうなことになりかねないわけでございまして、現在の一種、二種の区分は、二種について広範な自由を認めておるという意味で、現段階においては私どもとして適当なものと考えております。  ただ、御指摘のように情報通信世界はとりわけ変化の激しい社会でございますし、これからマルチメディア化に向かい、また競争の進展に伴い、あるいは先生指摘通信・放送の問題等ありますので、そういった世の中の進歩、進展の状況を踏まえて見直していくということは当然であろうというふうに考えております。
  154. 山花貞夫

    ○山花委員 今、制度論として私もお伺いをし、局長からもお答えをいただきました。同時に、実態論といいますか、一種、二種、二種は規制が緩い料金の認可についてもしかり、こういう観点から、制度論として本格的検討は少し先に行くとしても、この料金の認可を含めた実態論として規制をもっと緩めるべきではないか。これはKDDについても共通の問題だと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  155. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 電気通信市場におきましては、公正有効競争条件整備競争の進展に応じまして料金規制の緩和を図っていく必要がある、私どももそのように考えております。  先般閣議決定されました規制緩和推進計画におきましても、認可対象料金につきましては公正有効な競争環境が整い次第現行の認可制を見直すことといたしまして、インセンティブ規制、例えばライスキャップでございますとかヤードスティックといったようなものでございますけれども、こういうことについて検討を進め、NTTの再編成の実施等を踏まえまして、平成十一年度を目途にこのインセンティブ規制を導入するという旨を盛り込んだところでございます。  この具体的な内容につきましては、現在マルチメディア時代に向けた料金サービス政策に関する研究会という研究会を開催して御議論をいただいているところでございまして、郵政省といたしましては、今後の競争の進展あるいはNTTの再編成の実施等によります電気通信市場における公正有効競争条件確保を図る中で、ただいま申しました研究会の議論も踏まえてインセンティブ規制等の具体的内容について検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  156. 山花貞夫

    ○山花委員 関連したこの規制緩和をめぐるテーマとして、三十一条の料金の認可の問題あるいは三十一条の二の契約約款の認可の問題があります。午前中の時間が終わりかかっておりますので、話はまた午後引き続きたいと思いますけれども、今後のマルチメディア化、国際化展望した場合には、日本通信情報市場公正有効競争条件に基づく本格的な市場へとシフトしていくというためには、やはり外国からもわかりやすい市場となることが必要だと思いますや細かいことはまた午後にお伺いするとして、料金と契約の認可の問題についてはどういう議論だったのかということについて、まずそこだけお伺いをして、午前中の質問とさせていただきたいと思います。
  157. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 契約約款に関する認可制も緩和すべきではないかという御趣旨かと思うわけでございますけれども料金は、利用者が通常契約を結ぶに当たりまして最も意識する事項の一つでございまして、価格という非常に単純な単一の基準によりまして表示されますものでありますから、対象となりますサービスについて市場が十分な競争であれば、必ずしも認可を要するものではございません。そういったことで、私どもといたしましては、競争環境整備に従いまして認可制を外し、届け出制に切りかえるということを進めてきておるわけでございます。  これに対しまして、約款でございますけれどもサービスの提供が受けられませんでした場合の損害賠償でございますとか利用停止の条件など、基本的な権利義務関係について定めておるわけでございますけれども、その内容は非常に詳細でございまして、利用者は通常、それらを十分認識して契約するということはなかなか難しいわけでございます。しかし、一たん契約をいたしますとこれらに拘束されるという、一種の付合契約的な性格を有するものでございます。そのため、約款につきましては国が事前に審査しなければ利用者の利益を十分確保することができませんので、認可制をとる必要があるというふうに考えております。  これらのことは、バス、トラック等の運輸サービス等についても同様であろうかというふうに考えております。
  158. 山花貞夫

    ○山花委員 午前中の質問は終わらせていただきます。
  159. 木村義雄

    木村委員長 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  160. 木村義雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山花貞夫君。
  161. 山花貞夫

    ○山花委員 休憩前に続いて、料金問題について伺っていきたいと思います。  料金規制のあり方についても、市場の画定による競争状態の判断に基づくべきである。このことについては大方の意見だと思っています。  経済審議会行動計画委員会の高度情報通信ワーキング・グループは、このことについて報告書を提出した際、市場の需給によって価格決定のメカニズムが動き始めると、需給に敏感に動けない硬直的な総括原価方式の認可料金制度市場発展の阻害要因になる、総括原価方式から自由にしていく必要がある、こういう指摘をしております。  その後も郵政省省内で料金問題について研究会が開かれているということについても伺っています。諸外国の、この問題についての全体の傾向についても把握されておられるのではながろうかと思いますけれども、この点について、これまでの研究の段階と、これからのおよその方向について、もしまとまったものがありましたならば御報告をいただきたいと思います。
  162. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、私ども、現在、マルチメディア時代に向けた料金サービス政策に関する研究会というものを設けまして、ここで御議論をいただいております。  この中で、私ども、去る三月二十八日に閣議決定されました規制緩和推進計画の中でも明らかにしておりますように、認可対象料金につきましては、公正有効な競争環境が整い次第、具体的な目途といたしましては平成十一年度でございますが、インセンティブ規制、プライスキャップでありますとかヤードスティックといったインセンティブ規制を導入するという方向で検討を進めてきておるわけでございます。  このことは、今御指摘のあった総括原価主義を見直しましてこういった規制に切りかえていくということでございますが、諸外国め、状況、ただいま手元に具体的な資料を持っておりませんけれども、アメリカにおきましては、全般的に申しますとプライスキャップの方式、ただし地方におきましては日本と同じような方式をとっているところも一部ございます。  そういう意味で、十一年度に向けまして、この研究を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  163. 山花貞夫

    ○山花委員 お話のとおり、諸外国のインセンティブ規制の方式こつきましては、若干アメリカでも州際と各州内で違っておるようですし、あるいは八九年導入以降にも動きがあった、こう聞いております。  イギリスなどの場合には届け出ということのようですけれども、全体として、今御指摘ありましたプライスキャップの方式になるのか、あるいはヤードスティックの方式になるのか、他の業界で採用しているものもあると承知をしておりますけれども、こうした問題について大体いつごろまでにめどをつけるのか、この点についてはいかがでしょうか。
  164. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先ほど申しました研究会でございますけれども、一応、平成十年の五月ごろに最終の取りまとめをいただきまして、先ほど申し上げました十一年度目途の導入に間に合わせるように検討していきたいというふうに考えております。
  165. 山花貞夫

    ○山花委員 規制緩和をめぐるその他の問題点について、かねてからさまざま議論がありました公正中立な第三者機関という問題について伺いたいと思います。  これまでもそれぞれの方面から意見が出されておりましたけれども、十二月六日の合意の前と後によっては若干議論の流れも変わったんじゃないか、こういうようなこともありますが、整理しておかなければならないのは、公正中立な第三者機関を日本の行政システム全体としてとらえて、アメリカの連邦通信委員会やあるいはイギリスの貿易通産省、電気通信庁のような行政改革のテーマとなるような省庁再編の一環としての議論というものは、三法案関連での議論ではちょっと横に置かないと混同するのではなかろうかと思います。  議論のテーマとなりますのは、かねてから電通審、これは八年二月二十九日の答申とか、あるいはワーキング・グループの八年十月十七日の報告書の中で取り上げられてまいりました接続ルールの策定等接続に関する政策を立案する、遵守する、あるいは状況の監視、裁定といった任務をどういう機関が受け持つか、この接続に関する問題に少し問題を絞って伺いたい、こういうように思っております。  また、これにつきましても、これまでも郵政省の発言もありましたし、あるいはNTTの発言もあったということを承知しておりますけれども、少し時間を切り詰めまして、これまでの議論の経過を踏まえまして、現段階における郵政省の方針ということについて伺いたいと思います。
  166. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のような議論がいろいろあったことは私も承知しております。  この接続の問題を取り扱う仕組みといたしましては、昨年二月二十九日にNTTあり方についての電気通信審議会の答申をいただいたわけでございますけれども、この中にも接続の基本的ルールの策定、監視機能の充実ということが触れられておりまして、その中では「接続の基本的ルールの策定・監視・裁定を行うための専門的スタッフを擁する新たな部署を設置するとともに、審議会の中に専門有識者をメンバーとする接続に関する部会を設置するなど、郵政省における接続行政に係る機能の充実・強化を図ることについて検討すべきである。」そういったようなことが触れられております。  そこで私ども、このあり方につきましては、電気通信分野は非常に技術革新の変化の激しい分野でございますので、この接続ルールの策定におきましてはルールの不断の見直しというものが不可欠でございまして、そのため接続ルールの監視それから裁定に関する情報を策定に当たりましても常時的確に把握しておく必要があります。それからまた、他方、接続ルールの監視、裁定におきましては、この不断に見直されますルールの内容を熟知して、また同時に、ルールが定められていない新しい問題に対しても的確かつ迅速に対応する必要がございます。  こういったことから、接続ルールの策定それから監視、裁定、これに関する行政は一体として遂行されることが必要だというふうに考えるところでございまして、これは我が国と同様に事業者間の競争を通じまして電気通信サービスが提供されております米国及び英国におきましても、接続ルールの策定、監視それから裁定に関する行政は同一の行政機関においてとり行われているところでございます。  したがいまして、接続ルールの監視、裁定機能を別の機関に取り扱わせることは適当でないと考えておるわけでございます。いわゆる第三者機関ということで取りざたされました議論の本質は、要は接続に関する行政における公平性、中立性及び透明性の向上ということであろうと考えるわけでございまして、私どもといたしましては、こういった課題に対応するために、今回の改正法案におきましては、電気通信審議会の機能の充実を図っていきたいと考えております。  具体的に申しますと、接続ルールに関する省令の制定、接続に関する命令及び裁定、それから指定電気通信設備に関する接続約款の認可等を行うに当たりましては、審議会に諮問するということを義務づける、それから接続に関する命令を行う場合に必要となります聴聞につきましては、審議会の委員がこれを主宰することとする、さらに改正法の実施段階におきましても、審議会の審議過程における公平性及び透明性を確保する観点から、関係者に対して意見を述べる機会を与えるとともに、当該意見をどのように取り扱ったかを明らかにする、また、審議会の会議につきましては原則として議事内容を明らかにする、そういった措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  167. 山花貞夫

    ○山花委員 今御説明いただいた中に大体の問題点は全部出尽くしておったのではなかろうか、こう思います。ただ、これは不断の見直しということを含めて、具体的な問題についてはこれから省令などを通じてやっていくところもあれば、あるいはしかるべき機関の中に今おっしゃったような一体的な体制をとるということもあると思うのですけれども、実はそういう問題については、この委員会に問題点が出されて国会審議でオープンな議論に基づいてということではなく、やはり省内の議論によってつくられていくというのがこれからの流れじゃなかろうか、こう思います。  郵政省郵政大臣の諮問機関である電通審が一体どういう議論をするのか等々、国会を離れた議論ということになるその手続面から、透明度というところについては若干私は難点があるのじゃなかろうか、こういうように思っております。今の御説明にもあったとおり、そうした問題について十分配慮をしてこれからの作業を進めていただきたいということについて、この機会は要請をしておきたい、こういうように思います。  続いて、三十八条の二の関係について、これは少し総括的に伺っておきたいと思いますけれども、指定電気通信設備との接続の問題であります。  法案によりますと、市内網のいわば支配的事業者について「指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者」こうして非常に過剰に規制をかけておる、こういう状況になっております。指定を行う基準というものはこれまた今後郵政省令で決められていくということになると思いますけれども、電通審答申の中の基本的ルールのあり方などを見てみますと、都道府県を単位として加入者回線が五〇%を超える規模の特定事業者、こういう格好で、結論的には固定網だけを判断の尺度としている、こうなってくるのじゃなかろうか、こういうふうに見ておるわけであります。  全体として、先ほど来の議論にもありましたとおり、飛躍的に進んでいる移動体通信網についても、やはり我が国の基幹的な通信情報ネットワークとして成長しつつあるわけでありますから、これもやはり将来はこの基準の対象としていかなければいけないのじゃなかろうか、こういうようにも思っているところでありまして、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  168. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のように、大変、携帯電話、PHSを含めまして伸びておりまして今、合わせまして二千八百万台という非常に著しい普及ぶりを示しております。  ただ、現在、この設備の利用状況というものを考えてみますと、移動体通信事業者の電気通信設備によりまして提供されております通話の全通話に占める割合は、電話で見まして、平成七年度において一割未満でございまして、しかもその一割未満の数字のうちの九割近くが固定通信用の設備との間のものでございます。片側は移動通信でございますけれども、相手側は固定の通信網であるということでございます。それからまた、ネットワークの相当部分は固定通信事業者から伝送路を借りて構築されているという実態もございます。  こういう状況を考えますと、通信サービスの利用、それから新規事業者事業展開に及ぼす影響といいますものは、固定の電気通信設備と比べてまだ現在段階におきましては大きくないものと言わざるを得ないと思います。  したがいまして、現時点におきまして、御指摘事業法三十八条の二の指定電気通信設備につきまして、法律上は限定をいたしておりませんけれども審議会の答申を踏まえまして、私どもは御指摘のとおり固定の加入者回線五〇%ということをめどにしていきたいと考えておりますけれども、当面、今申し上げたような事情でそういう形で進めていくべきだろうと考えているわけでございます。  ただ、電気通信分野は非常に変化の激しい分野でございますことから、今回の接続に関する制度につきましては、法施行後三年を目途として必要に応じて見直しを行うという旨の規定も同じくこの改正法案に盛り込んでいるところでございまして、そういった機会をとらえて、今後の移動通信の展開状況等を踏まえて、指定電気通信設備の要件につきましても検討をしてまいりたい、そのように考えております。
  169. 山花貞夫

    ○山花委員 今最後に局長が触れました附則十五条の三年見直し、これは電通審答申の中でも、特定事業者の定義については接続ルールの見直し時に実態を踏まえて見直すことが適当である、こう指摘しておりたと思います。そうした取り扱いになるのではなかろうかと受けとめて、先の質問に進みたいと思います。  きょうは総括的に伺ってきたものですから、やはり大事な問題として、基本方針、これは法案では六項目ずっと並んでいますけれども、この点について少し具体的にお話しできれば、こういうように思います。  これから法案が成立いたしましたとしますと、その後、のっとって基本方針がつくられ、それがNTTの方に諮られ、実施計画がつくられる、こういう段取りになっていくわけでありますけれども、まだ全く見えてこないわけでありまして、まずは、承継する時期、業務の種類範囲、電気通、信技術に関する研究、資産、債務、その他の権利関係、公正競争確保に関して必要な事項、その他ということで項目的に挙げられておりますけれども、できまするならば、この点、一項目ずつ若干の解説を加えていただいて少し見えるようにしていただきたい、こういうように思います。
  170. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 再編成の基本方針の内容につきましては、今後、法律案の成立を踏まえて検討する予定でございまして、現段階におきましてはまだその詳細は定まっていないわけでございます。そういう意味で、具体的に申し上げることができないのはまことに申しわけないのでございますが、若干言葉をなぞるような表現になるところはお許しいただくことといたしまして、まず第一号の「承継会社事業を引き継がせる時期」に関する基本的事項と申しますのは、NTTが再編成を行うべきおおよその実施時期をこれで示すようにしていきたいというふうに考えております。  それから、第二号の「承継会社に引き継がせる電気通信業務の種類及び範囲」に関する基本的事項といたしましては、例えば電報事業でございますとか衛星事業、こういった各業務をどこの会社の業務とするかということについての基本的な考え方を定めたいと思っております。  それから、第三号の「承継会社に引き継がせる電気通信技術健関する研究の業務」に関する基本的な事項といたしましては、現在のNTT研究開発業務を各社でどのように分配して引き継いでいくかということについての基本的な考え方を示すということを考えております。  それから、第四号の「承継会社に承継させる資産、債務並びにその他の権利及び義務」に関する基本的事項といたしましては、一つは、現在のNTTの資産、債務を承継会社に分ける際の基本的な考え方、それから二つ目として、NTTが保有する子会社株式の扱いについての基本的な考え方、これを定めることといたしております。  それから、第五号の「電気通信分野における公正な競争確保に関し必要な事項」でございますが、これにつきましては、例えば長距離会社地域会社との間の役員の兼任でございますとか、営業の独立性といったことについてNTTが具体的な方策を実施計画に盛り込むように求める、そういうことを規定したいと考えております。  それから、第六号の、その他事項でございますが、これは今後の検討の過程で、今御説明申し上げました第一号から第五号までに定める事項以外の事項を基本方針に盛り込む必要が生じました場合のための備えでございまして、現在のところ特段のものを予定しているわけではございません。
  171. 山花貞夫

    ○山花委員 若干、第三条の関係について項目的に整理をしていただいたものですから、少し見えかかったところですけれども、これからの作業ということではないかと思います。  ただ、今伺った中で一つだけ確認的に伺っておきたいと思うのですけれども、第三号の関係の電気通信技術に関する研究という部分に関連をいたしまして、これは実は合意以降、法案の体裁等ずっと見てまいりますと、基盤研究開発という部分とそうでない部分、あるいは応用的なという言葉が使われたり、法文の中ではそれが整理されてしまっておるものですから、一体、持ち株会社が担当する部分と、それから例えば民間の長距離会社が担当する部分等々については、その辺についての境界といいますか、この辺はどうなっているのだろうかということが法文整理の中で若干疑問として出てきているわけでありますけれども、この点についての御見解を示していただければと思います。
  172. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 持ち株会社につきましては基盤的な研究ということでございますが、長距離会社につきましては、これは全く会社自体が自由な会社でございますので、どのような研究を担当していかれるのかということはその会社の御判断ということになろうかと思います。もちろん実質的にはやはり応用的研究ということをおやりになるのだろうと思います。それから、東西会社につきましては、応用的研究。  しかし、一応の引き継ぎとしての切り分けはございますけれども、その後においてどのような研究をお進めになるかということは、これは各会社の自由だというふうに考えております。
  173. 山花貞夫

    ○山花委員 おっしゃるとおりだと思いまして、この基本方針については余りかた苦しく決めると、これからの各社の実施計画以降の問題についても手を縛られるところが出てくるのじゃなかろうか。やはり全体の規制緩和の流れの中で各社が自主的な努力を尽くす、そのフリーハンドをかなり残した格好でこの基本計画についてもつくっていただく必要があるのじゃなかろうか、こういうように考えているところでございます。  なお、大体質問時間が終わりになってまいりました。実はきょう、商工委員会の方で、独占禁止法の改正問題について決着がついたのではなかろうかと承知をしています。附帯決議等々の中で、これからの労使関係等についても、かなり慎重に議論された中身が盛り込まれているというように聞いております。こうした具体的問題については、今後同僚議員の方に譲っていきたいと思っておりますので、よろしくまた御検討のほどをお願いしたいと思います。  最後に、きょういろいろ伺ってまいりましたけれども、十二月六日の合意を踏まえたNTT再編の目的を実現するための条件づくりということにつきましては一やはりこれからの省令づくりを踏まえて、この委員会で議論された問題点ということを十分盛り込んでいただいて、三法の趣旨を生かすべく郵政省の積極的な姿勢、取り組みというものが求められていると思います。最後に、この点について大臣の見解をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  174. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 基本方針や政省令の策定に当たりましては、本委員会で山花先生初めこれまでたくさんの先生方から貴重な御意見等をいただきましたので、この議論等も十分踏まえながら、今回の再編成が、NTTを含めまして日本電気通信市場全体の活性化につながり、また国民利用者については、利便で、しかもまた低廉で多様なサービスの実現ができますように留意してまいる所存であります。
  175. 山花貞夫

    ○山花委員 ありがとうございました。
  176. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  177. 矢島恒夫

    ○矢島委員 提案されておりますNTTあるいはKDD法電気通信事業法、この三法、いずれも非常に重要な内容を持っているということについては、申し上げるまでもないと思います。  まさに、電気通信事業というのは、社会の神経系統とも言えるものであるし、国民生活あるいは経済活動にとっても非常にその役割は大きいということが言えると思います。特に、情報化社会と言われる今日の状況の中で、電気通信事業あり方、これは国民生活を大きく左右すると言っても過言ではないと思います。電気通信事業の公共性というものが一層大きくなっていると私は考えます。  この法案によって電気通信事業の公共的役割はどうなるのだろうか、あるいはこのNTTを分割、再編するということによってユニバーサルサービスというのはどうなるのだろうか。さらに、国際進出というのを大きな目的にしているわけですけれども、どのようなサービスを提供するのだろうかとか、さらにはそのための影響はどうなるかとか。持ち株会社というのは利用者国民にとってどのような責任を負うのだろうかとか、労働組合との団交権というのはどうなっていくのだろうかとか、極めていろいろな問題があるわけですけれども、残念ながら、この法案では、郵政大臣がつくる基本方針というところに先送りされている部分が圧倒的に多いのです。例えば、分割コストの問題を初めとして、電話番号がどうなるのだろうかというような問題まで含めますと、大変不明な点が多いのです。  そういう点からしても、この審議を通じて国民の前に十分こういう点が明らかになるということが、これは国会の重要な、また当委員会の重要な責務だろうと思うのです。この法案の重要性、これにふさわしい十分なる審議と、それから国民の前に明らかにすべきものはきちんと明らかにするという答弁をまず期待して質問に入っていきたいと思います。  午前中の質問でも、ほとんどの委員から、分割再編によって利用者国民へのサービスあるいは料金、これはどうなるのか、こういう質問がございました。郵政省は、谷局長、私、聞きながらメモをとったので、その答弁のすべてをまとめたわけではありません。ただ、概要こんなことだったかなということで確認をしたいと思います。  競争を通じてサービス向上ができるということが一点。それから、経営努力値上げはしない。東西料金格差の問題では、上がることはない、引き下げ額での差は生じる可能性がある。大ざっぱに言って、ほかのこともおっしゃいましたけれども、ほかのところはともかくも、大体こんなことを言われたと思うのですが、その確認をちょっとお願いしたいと思います。
  178. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 いろいろなことをお答え申し上げましたけれども先生指摘のようなことをお答え申し上げております。
  179. 矢島恒夫

    ○矢島委員 NTTの方に同じようなことでお聞きしたいのですが、宮脇さんでしたか、ちょっと名前がもし間違っていたらお許しいただきたいのですが、サービス料金はどうなるかという質問に対して、三年間の負担金制度などがあり、何とか乗り切る、サービスの水準を確保するよう努める。宮津社長の方は、負担金経営努力で低下をもたらさない、三年後、その後も料金サービス東西格差を生じないようにする。大体こんなことだろうと思うのですが、確認したいのですが、いかがでしょう。
  180. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 宮津でございます。  大体そういうことだと思いますが。
  181. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この質問に対する郵政省答弁NTT答弁は、大分方向づけでは差があるのですよ。このことを問題にしながら、片方は、サービス向上をどんどんしていくんだ、料金も下がっていくんだ。片方は、サービスの低下をしないよういろいろ努力して河とか乗り切る、こういうわけなんですね。その辺のことはこれから具体的に聞いていきたいと思うのですが。  まず、具体的な問題として、三分十円の市内料金というのがございますね。アメリカでのAT&T分割で市内料金が大幅値上げになったということは、これは周知の事実だろうと思います。例えば、このATT分割の二年後に、アメリカの消費者連盟が「AT&T分割後の電話料金−負担を強いられる消費者」というレポートを発表しています。そのレポートの中では、分割後の二年間で市内料金は三五%ないし五二%上昇した、こういうことをレポートで発表した上で、長距離料金は値下げになったが到底値上げ分を穴埋めできない、ATT分割後の電気通信市場の恩恵を受けているのは一部の大口利用者だけであるというレポートを発表しています。  我が国においては、今までの答弁から、サービス料金問題でのそれぞれ郵政省NTTのニュアンスの違いがありますけれども、一応料金値上げはしないという方向ですから、この市内料金というのもこれは値上げはしない、こういうことで理解してよろしいですね、郵政省NTTにも同じことで後で聞かせてください。
  182. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 もちろん、十二年前の改革以降、前にも御答弁申し上げましたけれども、全般、的に料金は下がってまいりまして、特に競争導入されました分野については非常に大きく下がってまいりましたが、残念ながら、独占で残っております部分につきましては、そういった現象は見られなかったわけでございます。  しかし、私どもは、アメリカと異なりまして、この両分野についてはそれぞれ収支を分計して、その後フォローをしておったわけでございまして、これにつきましては、現在、地域について、ほぼ収支償うようになってきております。ただし、東西会社の間におきましては、まだ完全にこの赤字の体質が解消しているというふうには至っておりません。  そういったことと、それから移行費用を含めて負担金制度導入したわけでございますが、全体といたしますと、ほぼ均衡する中でこの格差も縮まってきておりますので、この競争導入によって料金が下がることはありましても、上がることはないと確信をいたしております。
  183. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 途中で基本料というのを値上げしたことはございます。これは広く言えば市内かもしれませんけれども、これはちょっと料金体系を直したというような感じだと思いますけれども、市内の通話料自体を上げてはこないでずっと頑張ってきております。それで、市外の方は値下げするように相当一生懸命やっておりまして、市内の方はできるだけこういうふうにずっとやってまいりましたから、今郵政局長の方からお話がありましたけれども、コスト割れしないように、コストの削減というものも考えながら、とにかく市内は上げないように頑張っていきたいという希望でおります。そういうことでございます。
  184. 矢島恒夫

    ○矢島委員 上げないように努力するのだろうと思うのですが、三分十円、値上げしない、この分割再編による値上げはしない、こういうふうにお約束できますか。
  185. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 分割を理由に値上げするようにはしないようにしようと思います。
  186. 矢島恒夫

    ○矢島委員 どうも微妙な言いあらわし方でございます。  ところで、東西サービスの格差の問題です。  このことについて児島前社長は、このNTTの分割を審議した電気通信審議会のヒアリングの中で問題点をいろいろ述べられているわけですが、分割されれば地域間のサービス格差、料金値上げも必至であるというようなことを言われているのですね。  その文章を読みますと、こんなふうになっていますね。   料金面では分割後の地域会社は各々財務状況に大幅な格差が生じ、地域会社によっては赤字転落は必至で、料金値上げは不可避だ。   公共性の確保からは、分離・分割会社の財務に差が生じるため料金サービス等での地域間格差は避けられない。 また、AT&Tが分割された後、ISDNサービスの普及に大幅な地域間格差が生じた。サービスの普及レベルの地域差として、一九九三年のカバー率が一六%から八二%まで広がった。こんなふうなことが紹介されています。  審議中のこの分割案は、持ち株会社というものが上に乗るわけですし、また三年間、東から西への赤字補てんができることによって東と西の間に料金サービスの格差、これは心配なくなった、こういうことをずっと郵政省は主張されますし、NTTはその努力をするということを言っているのですが、午前中の論議を聞いていて、私は非常に矛盾を感じたのですね。  まず、競争するのだというのですね。競争ということなちば、格差が生じるのは当然なんです。それぞれ、料金にしてもサービスにしても、相手の会社に対して格差をつくって、少しでもお客さんの獲得とかそのほかで優位に立とう、こういうことで各社とも頑張るわけですね。ですから、これは競争であるわけです。競争の基本はそこにあると思うのです、幾つかある中でも。  ところが、先ほど来の話ですと、競争はするのだけれどもサービス料金に格差は生じないようにする。非常に矛盾した、ごまかしの答弁じゃないかと思うのですが、ここはいかがですか。
  187. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 私御答弁申し上げましたのは、先ほど先生からもおまとめいただきましたように、この東西会社経営努力を重ねていく中で低廉化について一時的に差が生ずることはあり得るというふうに申し上げたわけでございます。
  188. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 先ほど、前の児島社長が言われたような話もちょっとございましたけれども、そのときの議論というのはもう完全に分離分割というようなことでありまして、今回の持ち株会社制度を入れて新しい体系というものの中で、先ほど先生からもお話がございましたけれども、税金上のいろいろな条件を満たすようにとか、東西会社の間の負担金制度とかそういうふうないろいろなことがございまして、ちょっと前の社長答弁したころと条件が違っているとは思います。  今回の条件の中でやっていくということを前提にお話ししているわけですけれども、そういう意味でいきますと、やはり今一番注目しているのはユニバーサルサービス電話ですね。電話中心にしたそういう料金の差というのは、地域的には格差を設けないように努力をしていかなければいけない、こういうふうに思っておりまして、一般の競争上の商品というのはいろいろ出てきますけれども、こういうものはいろいろ商品ごとによって相当競争は激しいですから、だからそういうものは、料金というのはいろいろ自由に変えていって戦っていくということこはしなければいけないと思っておりますが、この場合、今一番関心を持っているのは、ユニバーサルサービスのお話だろうというふうに思っておりまして、そういう意味でお答えしております。
  189. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ユニバーサルサービスは格差が生じないようにやるけれども、その他多様なサービスには格差が生じてくる、こういうことだろうと思うのです。  ということは、今考えていることでいきますと、例えば東京で受けられるサービスというものが大阪で受けられなくなる可能性も多様なサービスの中にはある、こう考えてよろしいですね。
  190. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 もちろん競争は東と西とだけでやっているわけではございませんで、ほかにも競争は入ってきておりますから、競争相手がいろいろな商品を出してくると思いますから、それとの関係でいろいろ出てくるのは、いろいろな場合、いろいろなバリエーションは出てくると思いますとお答えしました。
  191. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いや、私は東と西の、それはそのほかも入ってくるでしょう、競争相手は。だけれども、東と西の間だけでもそういうことを生ずるということはお認めになるわけですね。片方では受けられるけれども、同じサービスでも西の方では受けられないサービスも生ずる。そこだけに限定して答えてください。
  192. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 商品によっては、競争ですから、特に相手側の出方によってはそういうことも可能性はあると思います。
  193. 矢島恒夫

    ○矢島委員 結局盛んにサービスにおける格差は生じないと言っていたけれども、それはユニバーサルサービスの段階のことであって、多様なそのほかのサービスの中には格差を生じるということだろうと思うのです。  そうなりますと、一つお聞きしたいのは、また児島前社長の意見陳述を例にとりまして申しわけありませんが、こういうことを言っていらっしゃる。  これはマルチメディアサービスとの関連で述べているわけですけれども、   ここ数年の動きが今後のマルチメディアの方向を決める重要な時期であり、この時期を分離・分割に伴う膨大な作業に費やせばマルチメディア実現に必要なオープンコンピュータネットワークの構築、アプリケーションの開発・導入等に支障をきたし、ユーザヘのマルチメディアサービスの早期提供が困難となる。 こう述べています。  これは分離分割に係る作業というわけですね。作業に係るから、だからやはり早期提供することは困難になるということだと思うのです。これは持ち株会社方式だろうとどんな方式だろうと、これは分離分割に係る作業ですから関係ないわけです。むしろ、今度分割するのは三社を四つに分けるわけですから、考えてみれば、作業量はふえるのじゃないかなと常識的には言えるわけです。  そこで、こういうマルチメディアサービスの早期実現が困難になるということも含めて、サービスがこの分離分割によっておくれるだろうと思われるのはどんなことが考えられますか。NTTの方で答えてください。
  194. 井上秀一

    ○井上参考人 これからの競争の進展を考えますと、我々の一番の飯の種というのは、いろいろなサービスを、多様なサービスを早く出していくということが非常に大切でございまして、そのための基盤となるのは、技術開発力その他マーケティングの力、こういうものになってきます。そういうものをうまく進めるために、今回の研究開発体制では、基盤的なものは持ち株、地域の応用的なものは地域というような形で、サービス展開の技術力的な担保、こういうものはでき上がっているというふうに考えております。  あと、地域密着型でサービスがうまく使われるということが片一方で必要になる。それから、グローバル的な展開のサービスは長距離でやるとか、そういうようなサービスのいろいろな工夫をやることによって、今までプラスアルファのいろいろなサービスを展開していくということが今回のこういう経営形態の再編成の大きな目的の一つになっていると我々は考えております。そういう意味では、今回の再編成によって、サービス的におくれるというようなことは我々はないというふうに考えております。
  195. 矢島恒夫

    ○矢島委員 分離分割あるいは分割再編、こういろいろ言葉は使われていますが、これによって、利用者国民へのサービスが低下することになっては大変だと私は思うんです。サービス向上につながらないような分割再編なんというのはやってはならないと思うんですね。大臣、今までずっと私、サービス料金、こういう問題で、格差の問題や、あるいはサービスの低下の問題や、いろいろ聞いてきたんです。  いかがでしょう。この分離分割というものによって、国民利用者に対するサービスというものは絶対低下させることはないんだという国民へのお約束を言っていただかないと、この面、非常に心配しているんですわ、国民の皆さん方は。ぜひ、大臣の決意をひとつお聞きしたいと思います。
  196. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 これまで、郵政省谷局長、またNTTからは宮津社長なり井上副社長から、いろいろ御答弁申し上げてまいりましたが、今回の再編成によって、国民に対するサービスあるいは利便性、こういうことが低下しないように、これはもう極力我々も指導していかなさやならぬし、特にまた、そういうサービス面が向上していく、より多くの利便性を与えていくということが今回の再編成の目的であるし、また、国際競争力を増してくるということになりますと、多様なサービスも提供できると私は確信をいたしております。そのようになりますように、我々郵政省も挙げて支援をしてまいりたいと考えております。
  197. 矢島恒夫

    ○矢島委員 次の問題に入ります。  国際進出の問題です。先ほど質問にもありましたように、電通審では持ち株会社問題というのは一度も論議されない。どこでどうなったのか、いきなり出てきた、こういう論議もありました。  これについていろいろな報道がありますけれども、橋本総理が昨年のリヨン・サミット帰国直後に、五十嵐事務次官だったと思いますが、郵政省の五十嵐事務次官を官邸に呼んで、NTT国際進出を急げ、こういう指示をされたという報道がございました。これが恐らく、一瀉千里に持ち株会社方式での分割再編の一つの発端である、こういうことも言われております。  そこでお伺いしますけれども、事実関係をお答えいただければいいんですが、総理からどういう指示があったのか。なぜこのNTT国際進出を急ぐ必要がある、その理由をどう言われたのか。また、リヨン・サミットでの各国の首脳との協議というものとこの指示との関係はどのようにとらえているか。この点について、郵政省、お答えいただきたい。
  198. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 昨年の七月末だったと思いますけれども、橋本総理大臣より郵政省の五十嵐郵政事務次官に対しまして、我が国電気通信事業者国際競争力の強化を図るという観点から、NTT国際通信への進出の実現に向けて積極的に検討をするようにという御指示がございました。  そういうふうに承知をいたしておりますが、サミットでの御協議の内容との関連については、私承知をいたしておりません。
  199. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ただ私、その内容が非常に重要な影響を持って、そして今日の状況に来たかと思うんです。そういう意味では、この問題を論議するまず出発点はここにあったんだろうと思うんです。  そこで、KDDにお聞きしたいんですが、今まで国際通信というのは、KDD中心になってずっと担っていらした。これに新規参入の二社があるわけですけれどもKDDではなぜだめで、なぜNTTの進出か。競争体制という点では、新規参入二社も入っていますから、三社でやっているわけです。先日の本会議が行われたときに、首相の答弁では、NTT国際進出を急ぐことが我が国経済戦略上の重要課題だ、こういう認識に立っているということが答弁された。  そこでKDD、今まで、政府だとか郵政省だとかあるいは経済界など、どこでもあれですけれどもKDDのここが役不足なんだと言われたことがあるのかどうかということが一つ。それから、当事者であるKDDとしては、どう認識しておられるかということ。国際通信で、KDDでは難しいけれどもNTTでしかできないサービスというのがあるのか。どうぞ遠慮なさらずに、忌憚のない御意見をお聞かせください。
  200. 西本正

    ○西本参考人 国際通信サービスの提供につきまして、KDDにこれまで問題があるという指摘があったかということでございますが、当社は、これまで国際通信市場におきまして、厳しい競争の中で通信料金の大幅な低廉化も実現してまいりました。米国との間では、もう格差がないという状況にもなっております。  と同時に、光ファイバーケーブルの建設等を通じまして、グローバルな情報通信網の整備、グローバルアライアンスによる多国籍企業への対応など、海外事業展開等々、積極的に進めてきておりまして、これまで特段問題があるという御指摘を受けたことはございません。  それから二番目の御質問でございますが、KDDのこれまで何が問題であったかという御質問だと思いますけれども、私どもやはり、国際競争力強化のためには、サービスによる競争、なかんずく料金低廉化が一番重要だというふうに思っております。したがいまして、公正な競争を通じて、日本社会のすべての分野において低コスト化を図っていくことが必要ではないか、やはり料金の問題、低コスト化ということが一番重要ではないかというふうに考えております。  それから三番目の御質問でございますが、KDDにはできないけれどもNTTさんにできる、他社でできるものはあるのかという御質問でございますが、KDDといたしましては、四十年以上にわたります国際通信の経験、技術力あるいは外国通信事業者との間の緊密な関係などを生かしまして、欧米先進国と協調しながら、先端的なサービスあるいは各種割引型サービスなどをいち早く提供するとともに、グローバルなインターネットネットワークなどの構築等、マルチメディア分野でも積極的に取り組んでまいっておりまして、私どもは、国際通信において、他の事業者にできてKDDができないサービスというものは特段にないというふうに考えております。
  201. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほどサミット後の橋本総理の五十嵐事務次官に対する話をちょっとお聞きしたところ、急ぐ必要があるというだけで、なぜ急ぐ必要があるのかという点については、局長御存じないのかあるいは言わなかったのか、要するにこのことは、KDDでは資本力や競争力が小さい、巨大なNTTが必要だ、こういうことで橋本首相言われたんじゃないかと思いますが、そんな事実はないんですか。
  202. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 総理の御判断の内容については、私どもそんたくできる立場にはございません。
  203. 矢島恒夫

    ○矢島委員 判断というか、そういうやりとりがあったかどうかということは承知しているかどうかということなんです。
  204. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 そういうお話があったというふうには聞いておりません。
  205. 矢島恒夫

    ○矢島委員 国際通信市場というのは、これまでもいろいろ出てまいりましたが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの巨大通信会社、いわゆるメガキャリアと呼ばれている、あるいは国を代表するという意味でしょう、フラッグキャリアというような呼び方もしておりますが、大競争状態にあるわけです。ATTが中心のワールド・パートナーズだとかBTとMCIのコンサートだとか、あるいはグローバル・ワンだとか、この三つのいわゆる三大アライアンス、連合などと言われているわけです。こういう国際競争の中でNTT国際進出させろという指示は、こうした大競争我が国のメガキャリアであり、フラッグキャリアであるNTTを参戦させろということだろうと思うんですが、今お聞きした時点ではどうも総理の考え方がはっきりしない。  また、本会議でそれぞれ質問があったわけですが、残念ながら総理は具体的に答えていらっしゃらない。抽象的には我が国国家戦略にかかわる問題という認識も述べています。そういう重大な問題です。私、総理質問をぜひ委員会としてセットすべきだということは理事会で申し上げましたが、委員長、ぜひこの問題も理事会で、総理質問するかどうかについて御協議を願えるかどうか、お伺いいたします。
  206. 木村義雄

    木村委員長 理事会で協議をいたします。
  207. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そこで私、時間の関係で、さらに国際進出の問題についていろいろお聞きしたい点はあるんですけれども、実は基本指針の問題できょうの段階でぜひ確かめておきたいということがありますので、しばらくそちらへ移りたいと思います。  分割によってどんな影響があるかということは、この法案審議する上では非常に重要なポイントだろうと私は思うんです。先ほども申し上げましたように、法案が成立した後郵政大臣が決める基本方針というもので明らかにされる部分が余りにも多いんですよ。これは大体国会軽視だと思うんです。利用者国民を無視したやり方だ。  具体的に聞きます。こういう部分はどうなるのかということで郵政省にお答えいただきたい。  例えば電話番号がどうなるのかということです。市外局番の前に長距離NTTを指定する新しい番号を入れるのか。現在のNCCと同じなら四けたですか、番号を入れていかなきゃならなくなる。  それから、長距離NTTを経由しない市外電話、例えば東京二十三区から八王子にかけたというような場合、どういう場合はどうなるのか。  それから、長距離NTT事業者番号を入れる市外電話と入れない市外電話というのが混在することになるのか。大体利用者にとっては非常に混乱する中身だろうと思うんです。それから、市外局番や電話番号が変わりますと、パソコンやあるいは電話器に記憶させている番号をすべて入れかえなきゃなりません。一九九九年七月一日を期して大変な手間をかけなきゃならない、こういう問題はどうなるのか。  それから、料金の請求と支払いはどうなるのか。長距離NTTと地域NTTの二つの会社から別々に請求されて、別々に支払うのか。銀行など金融機関での自動振り込みをしている利用者が多いと思うんですが、こういう手続全部利用者にやり直させるのか。  この法案では、NTTの分割譲渡益というんですか、こういうものは免税する。国の政策の都合でやるんだかち迷惑はかけちれない、こういうことを言っているんです。同じことは利用者にも言えるわけなんですよ。国の政策判断による分割で、利用者に対しては一切迷惑かけない、こういう基本方針になるのかどうか、この点についてお答えできたら言ってください。
  208. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 まず番号の問題でございますけれども、番号のあり方につきましては、今回の電気通信事業法の中でもその基本的な位置づけについて御審議をお願いしておりますが、私ども、現在番号について有識者を集めて研究会を催しておりまして、この中で、例えば国内国際相互乗り入れを行う際の番号のあり方といったようなことを含めて番号のあり方について検討をいたしております。  この番号のあり方につきまして基本的な考え方は、将来への見通しも含めて必要な番号の量が確保され、それらが非常に合理的なシステムとして、事業者にとりましても利用者にとりましても便利な使い方のできるようなシステムをどのようにすべきかということにあるわけでございます。したがいまして、この点につきましてはこれから検討していくことになるわけでございますが、いずれにしましても、事業者間の公正競争確保すると同時に利用者に対してできるだけ便利なものである、特にこのNTTの再編関係につきましては、公正競争といり条件を確保する必要がございますけれども、同時に、移行に当たって利用者に対する影響ということも十分考えて対応していかなきゃならぬだろうと考えております。  それから、料金の支払い関係につきましては、基本的には事業者間でどのような整理をするかということを踏まえて対応するものと考えております。
  209. 矢島恒夫

    ○矢島委員 要するに、これから検討したりあるいは事業者の方から出てくるやり方というようなもので、決まっていない。  それじゃこういうのはどうなっていますか。子会社の問題で、四つの会社のどこに帰属するかという問題です。  NTTドコモグループは、説明を聞きましたら、何か持ち株会社に帰属させるというようなんですが、そういうことでよろしいのかということ。しかし、ドコモの場合には、現状では東京、関東をエリアとするNTT移動通信網と北海道、東北それから東海、北陸、関西、九州、それぞれ別会社で運営されていると思うんです。NTTを分割するとき、ドコモだけなぜ全国一社体制にするのか。東西地域会社にそれぞれ、今そういうふうになっているんですから、それを帰属させてもいいんじゃないかというような問題。  それから、不動産の資産の分割、それから負債はどうするのか。どこが引き継ぐのか。訴訟の引き継ぎはどうなるのか。  それから、既にNTTが外国でやっている、外国のいわゆるキャリア事業ですね、これは長距離NTTではなくて、東西NTTが引き継ぐ方向ということになっているけれども東西のどこが引き継ぐのかということが、これはどこで分けるのかという点もはっきり教えてもらっていないのです。  少なくとも、基本方針においてこれらの問題、特に利用者にかかわる問題、こういう問題はひとつ明確にしてもらわなきゃならないという意味から、ぜひこの審議中、審議中といってもまたあしたもあるのですから、できれば早急に、基本的なこれらの問題についての郵政省の見解、これを資料として出していただけますか。
  210. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 この再編成の基本方針の内容につきましては、法律案の成立を受けまして具体的に検討してまいることになっております。この法律案では、法律成立後二年六月以内にということになっておりますので、この間に、できるだけ早い機会ということを期待しておりますけれども、再編成が実施できるようにこれらの基本方針を定めていきたいと考えております。したがいまして、その内容につきましてこの法案審議中に御提出をするということは困難と考えております。
  211. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、最初から、重要な問題であり、そして重要な課題についてはできるだけ国民の前に明らかにするということが国会審議としての責務であると。ところが、今言ったようなものも含めて、私が郵政省に聞いたりする内容については、これからの問題だ、これからの問題だ、基本方針で決めるんだと。これじゃ本当にこの審議をやっていくことはできないですよ。どうですか。百歩譲って、この基本方針の構成とか柱、この程度は示せませんか。
  212. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先ほど先生指摘ございました不動産あるいは債務といったようなことにつきましては、この附則三条二項四号の「承継会社に承継させる資産、債務並びにその他の権利及び義務」に関する基本的な事項というところの中で、現在のNTTの資産、債務、これは非常に膨大なものでございまして、その内容も区々でございます。これを承継会社にどのように分けるかという基本的な基準を定めまして、そしてそれに基づいてNTTの方で具体的な計画をおつくりいただくわけでございますが、同時に、この基本方針を、基本的な考え方を定めますには、ある程度実態を踏まえてつくっていく必要もあるわけでございまして、この基本分針の策定に当たりましては、私どもも十分に調査をし、関係者の意見も聞いて定めていく必要があるというふうに考えております。
  213. 矢島恒夫

    ○矢島委員 本来ならば、これだと質問もできなくなってしまうのですが、時間が来てしまったから終わるのですけれども、私、谷局長、細かい、債務を分けるのはどうするんだ、あれはこうするんだというような、私がさっき質問したようなことを全部資料にして出せと言っているんじゃないのですよ。それは出れば論議するのに一番いいと思うのですが、これからいろいろ意見を聞きながら決めていくんだというのですからそれは仕方がないけれども、この基本方針に盛り込むべき内容の基本的な、根本的な構成だとか柱、これあたりは資料としてぜひ出していただきたい。委員長、このことについてもひとつよろしくお取り計らいいただきたい。
  214. 木村義雄

    木村委員長 理事会で協議をいたします。
  215. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  216. 木村義雄

    木村委員長 横光克彦君。
  217. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  先ほど山花委員から御報告がございましたが、もう一つはっきり御報告させていただきます。  私は、実は商工委員会も兼ねておりまして、きょうの午前中に衆議院の商工委員会におきまして、経済憲法九条と言われてきました独占禁止法九条の改正案が可決成立しました。このことによって純粋持ち株会社が解禁になるわけでございます。今この国会で審議されておりますNTT法案の根底あるいは前提とも言われております純粋持ち株会社解禁によって、この法案も大きく前進となったところでございます。ただ、まだ衆議院の段階でございます。  このNTTの分離分割問題でございますが、十五年間にわたって国論を二分する、賛成派、反対派に分かれて議論が繰り返されてきたわけでございます。今日の国内外の情報通信を取り巻く環境を考えてみましたら、これはもう本格的なマルチメディア時代が到来し、国際競争が激化していくことは明らかでございます。そういった諸課題に対処するためにも、時期を逸することなく、今国会において私はこのNTT法案等関連法案の成立を図るべきである、このように考えておるところでございます。  今回のNTT再編成案、これは、例えばNTTの地域独占による弊害あるいは巨大であるがゆえの非効率、こういった問題を出発点とした分離分割論であったと思うのです。しかし、結果はそうした本筋から離れてしまい、郵政省は形だけの再編という名をとり、またNTTの方は分社化による一体経営という実を守る、そういった双方の主張を足して二で割った、極めて日本的な妥協案であるという見方もあるわけでございます。  しかしまた逆に、分離分割した場合のマイナス面と言われておりました、いわゆる国際競争力あるいは研究開発力、こういった弱体化を回避することができる。また、分離分割しなかった場合のマイナス面と言われておりました、つまりNTTの地域独占が公正有効競争を阻害しているという問題、これも除去することができる。そういった点では今回の持ち株会社による再編成案は、私は、分離分割賛成派と反対派の懸念をともに払拭することになる実にすぐれた解決方法ではないかと評価しているところでございますが、この法案に対しましての郵政大臣の、意義、目的等はこれに書かれておりますが、この評価についてお聞かせいただきたいと思います。
  218. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 今回のNTTの再編成によりまして、マイナス面というのはほとんどなくてプラス面ばかりだ、こういうように私は評価をいたしておるわけでございます。  特に、最初私ども持ち株会社を特例法として認めてもらうという形で計画をしたわけでありましたが、このことが与党三党でも高く評価を受けまして、特例じゃなくて、ただいま横光委員からお話がありましたように、現在、持ち株会社我が国会社全体に導入する、こういう形になりましたので、一応我が国事業経営というか会社形態のあり方について画期的な、大きな貢献をしたというように私は考えておるわけであります。  そういうような非常に立派な部門を持った持ち株会社、この中に、長距離会社地域会社二社に分離したということであります。したがって、今後長距離会社は、国内はもちろん、そして国際進出も可能になりますので、相当大きな競争にさらされるわけでありますが、今後、国内長距離通信社の皆さんとともに公正な競争が促進される、こういうように考えております。  また地域通信部門におきましても、東西二社でありますが比較競争がなされる、したがって、どちらもよりよいサービスを提供するように努力し、またNTT全体の効率化にもつながってくるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  NTTは今まで国内通信だけでありましたが、これによってグローバル化に対応した国際競争力向上に、今後大きく進出される上においても非常な効果が期待される、こう思っております。  今後、持ち株会社という、一つの資本を分散せずにその中で、研究開発というNTTはこれまですぐれた技術そして研究体制を持っておられますが、それぞれ持ち株会社でこれを維持するということが確保できたわけでありますし、さらにユニバーサルサービスとしては地域の二社によってそれが確保される、こういうことになりましたので、今回の再編成は今後の日本の電気通信事業の将来の発展の上に大きく貢献してくれるもの、このように私は期待をいたしておるところであります。
  219. 横光克彦

    ○横光委員 今大臣から大変な自信を持ってこの再編成案評価されておりましたが、実は国民利用者にとりましてはどうしても、先ほどから各委員がしつこいほど質問いたしておりますが、本当に全国一律的な料金体系の維持を図ることができるのか、あるいは引き続き再編前と変わらないような基本サービスを受けることができるのか、そういったところに大変関心あるいは心配をしているのではなかろうか、このように思うわけでございます。  先ほどからの質問と重複することになろうかと思いますが、いま一度改めてお聞きしたいと思います。  ユニバーサルサービスの概念の中には全国均一料金の考えは入っているのかどうか、郵政省、お聞かせください。
  220. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ユニバーサルサービスという概念につきましては、明確な定義が法令的なものとして存在しているわけではございませんけれども、私どもといたしましては、国民生活に不可欠であり、だれもが利用可能な料金など、適切な条件で過疎地域を含むあまねく日本全国において安定的な提供の確保を図るべきサービス、それをユニバーサルサービスと言うというふうに考えております。  このサービスは、当然すべての国民が利用しやすい条件のもとに提供されなければなりませんけれども、そういった条件はありますけれども、必ずしも全国均一の料金でなければならないということまでを含むものとは思っておりません。
  221. 横光克彦

    ○横光委員 この法案の「責務」に、今お話がございました「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与する」とございます。この公平というところは、当然均一料金化ということを意味するのではないのでしょうか。
  222. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 料金につきましては、必要な経費を基本といたしましていろいろな条件で決まるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、ユニバーサルサービス、現在においては電話でございますが、電話サービスでございますから、できる限り低廉な料金で利用しやすく全国民に提供されるべきでございますけれども、その公平の概念につきましては、全く同一金額でなければならないということまでを含むものとは考えておりません。
  223. 横光克彦

    ○横光委員 ということは、いずれ東西料金格差が生ずる可能性があるということですか。
  224. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 私ども期待いたしますのは、それぞれの地域会社が切磋琢磨してサービスの改善に努めていくということでございまして、できれば全体的に、よりよいサービスがひとしく国民に提供されるということが願わしいわけでございますけれども、一般論として申しますと、こういった経営努力の過程におきまして、それぞれの条件ということもございますので、短期的には一方の地域会社が他の地域会社に比べまして料金あるいはサービスという面で、これを格差という言葉を用いることが適当かどうかという問題がございますけれどもサービスが改善をしていく中において差が出てくるということは一般論としてあり得ることと考えております。  ただ、具体的な料金サービスの設定につきましては、一義的には事業者が判断をして提供するものでございます。
  225. 横光克彦

    ○横光委員 それはもちろん事業者の問題ですが、これを指導する立場でもございます。  もう一度お聞きします。  では、東西地域の料金格差が生ずるべきでないと考えておるのか、あるいは経営努力の反映の結果として生じてもやむを得ないと考えているのか、もう一度お聞かせください。
  226. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 全体的にサービスの改善が切磋琢磨を通じて図られていく中で、それぞれの努力に一時的に差が出るということはあり得ると考えておりますが、いずれにいたしましても、方向といたしましては、全体として改善の方向に進んでいくということを期待しているわけでございます。
  227. 横光克彦

    ○横光委員 ちょっとNTTの方にお聞きいたします。  十一年から三年間にわたっては、いろいろな、損金算入特例あるいは資産譲渡益課税等の税制上の特例措置がございます。この間は、恐らく私はそういうことはないと思っておりますし、NTTの試算でございます十一年度の収支は、西の方で約一千億、再編成のコストを含んだ場合一千億の赤字が出るであろう、十二年度は八百億は出るであろうという試算をされております。三年間でございます。十三年度の試算はございませんか。
  228. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答え申し上げます。  申しわけございませんが、二〇〇〇年度までしか計算をしておりません。
  229. 横光克彦

    ○横光委員 この計算でいきますと、一年間で約二百億減っていっているわけですね。そうしますと、十三年度ですべて赤字が解消できるか、これから経営努力をされるわけですが、心配ですね。そうなりますと、三年間の特例措置が終わった後、なお西の方が赤字経営ということになりますと、そのことが利用者料金としてはね返ってくる心配をしているわけですが、そこのところを社長、ちょっとお聞かせください。
  230. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 経営を預かっている当事者としてお答え申し上げますが、まず今申し上げた三年間の試算というのは、一応前提としては、今申し上げた電話サービスなどの格差といりのは想定しておりませんで、均一の料金サービスするということを前提に計算している数字でございます。  私どもとしては、可能性としてはいろいろなことがございますかもしれませんけれども、今の私どもの立場としては、ユニバーサルサービスですか、電話サービスに関しては格差というのはできるだけ極小に抑えるように努力していかなければいけない、こう思っております。
  231. 横光克彦

    ○横光委員 とにかく御努力をお願いしたいと思います。  先ほどから大変矛盾点をつかれておりますね。例えば、あまねく公平にというユニバーサルサービス、そしてまた、片や本法案の目的は公正有効競争の促進、これはどうしても、先ほどから多くの委員が追及しておりますように、競争と均一、公平というのはどうしても矛盾してしまうのですね。ここのところの問題というのがこれから経営の中で変な形であらわれなければいい、そのためにも私は御努力をいただきたい、このように思うわけでございます。  時間がございません。もう一つちょっとお聞きします。  実は独禁法改正案でも最後まで問題になってまだ解決を見出されていないのが、いわゆる労使間の問題でございます。これは関係者であります経団連、日経連、連合がこれから二年を目途に協議をしてその解決を図るということを附帯決議にして独禁法改正案が成立したわけでございます。やはり、そういった意味で純粋持ち株会社の先鞭を切るのがこのNTTであろうと思うわけですね。  そうした場合、どうしても労組の皆様方が心配しておりますのは、持ち株会社方式で子会社をつくったり分社化したりする場合、労組の分割につながったり、あるいは労組の弱体化を招きかねない、ひいては労働条件にまで影響されかねないという心配があるわけでございます。そういった意味で、これからの日本で数多くの純粋持ち株会社が始まっていこうかと思いますが、その先鞭を切るわけで、この問題をすっきり私は国民の前に示しておいた方がいいのじゃなかろうか。要するに、持ち株会社と各子会社との労働交渉権は、持ち株会社を使用者とNTTの方はちゃんと認める、認めてからスタートするわけですね。
  232. 林豊

    ○林参考人 今の御指摘の点につきましては、先ほど来お話が出ております郵政省の基本方針を受けまして、その後実施計画、さらには実施以降への準備段階、これは設立の手続にもかかわることでありますから、それらのそれぞれの段階で漸次詰まってくる要素があると思いますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、労使の信頼関係、これを前提にいたしまして、いわゆるそれぞれの労働条件あるいは団体交渉方式等々の問題について、いささかもそれらの原則にそごを来さないよう、具体的なそれぞれの位置関係の決まる中で話し合いを十分やってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  233. 横光克彦

    ○横光委員  今の御答弁で大体わかりました。  非常に健全な労使関係を築き上げたい、いわゆる持ち株会社であろうとも子会社との交渉にはしっかりと応じていくということでございます。そのことによって従業員の皆さん方も懸命に御努力をすることができる、安心して頑張ることができるわけですし、そのことがまた経営の安定につながり、国民に返ってくるわけでございますので、どうかこの問題もしっかり取り組んでいただきたいと思っております。   以上でございます。ありがとうございました。
  234. 木村義雄

    木村委員長 小坂憲次君。
  235. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。  今回の電気通信事業法の一部改正、そしてKDDNTT法案、それぞれの改正に当たってまず私が一番心配いたしますことは、この法案の改正によってNTTが弱体化したり、あるいは新規参入してくる通信事業者競争に疲れ果てて、もう外と、外国と戦う意欲をなくしてしまう、こういうことにならないかということを一番心配するわけですね。  すなわち、電気通信事業はこの高度情報通信社会にあってすべての産業のインフラでありまして、この活力ある発展日本の将来にとって大きな意味を持っている。そういう観点かち、今回の法案の改正の重要性も認識しておりますし、またその中にあって日本情報通信産業が生き生きと活力を持って世界に伸びていってほしい、こう希望するものであります。その意味からいろいろな御質問を申し上げたいと思っております。  大臣、過日の本会議でも質問させていただきまして、御回答をいただきました。その中で、再編のメリット、デメリットは何でしょうかと大臣にお伺いいたしました。その中で、お答えは、公正競争が促進されるほか、地域二社間の直接競争も期待できるとおっしゃったのですね。直接競争も期待できるとおっしゃっておりますが、再編された場合の東西二社の間に直接競争というのは一体どういうものが起こるというふうにお考えでしょうか。
  236. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の法案の中におきまして、それぞれ東西の両地域会社東西日本に営業区域を持つわけでございますけれども、相手側エリアにおきましても地域通信事業を営むことができるという規定を設けております。もちろん御質問の趣旨は、同じ資本のもとでそのようなことが現実に起きるかどうかという御趣旨かと思いますけれども、私どもといたしましては、それぞれ独立の会社としまして、どのような形でということはこれからの問題でございますけれども参入も徐々に実現してくるのではないかということを期待しておるところでございます。
  237. 小坂憲次

    ○小坂委員 局長のお答えはそういうことになるわけですけれども、では、具体的に、食い合いをして、相手の方のお客さんまで食ってしまって、赤字がふえたらそれは片方は補てんしなければいかぬのですね。そういうふうに考えたときに、またその上に持ち株会社があるわけでありまして、それで本当に公正有効な競争が起こるのだろうか。  きょう私が一番最後でありますから、同じような質問をするのはまことに恐縮なんですね。いつも皆さんが質問した後に、ああ、これも消えた、これも消えたと質問を消しておくわけです。そうすると全部消えてしまうのですね。ところが、きょうはみんなが同じ質問を繰り返しているのですよ。その中に常に出てくるのが、本当に公正有効競争は起こるのですかという質問を繰り返しております。これはやはり、ここは何かいまだに何度答えられてもわからない、何度答えられても信じられないという部分があるのではないかなと思うのですよ。  やはりそういう意味で、これはもうここまで来ているものをひっくり返して云々ということもなかなか難しそうだなと考えて、まだ態度表明しておりませんが、そう思うぐらいでありますが、今回の審議を通じて、明日もありますし、これから先もあると思います。そういう中で、ぜひともこの疑問が解消されるような御答弁をいただきたい、こう思うのですね。  だってそうでしょう。八百屋さんがいて、両方で兄弟がやっていて、その上のお父さんが両方とも出資しているというのですよ。どっちかが損をしたら片方補てんしてやるよと。兄ちゃん、おれが赤字を出したら兄ちゃん補てんしてくれよ、いいよと。ここで有効競争が起こるとはとても思えないのですね。むしろ起こるのは、共同仕入れをしようという話ですよね、普通は。そして、お互いうまくやって、それ以外のところと戦おう、こういう話になります。  そうすると、今回の分割を主張されていた方、私は分割反対でずっとやってきましたが、分割を主張されていた方も不満足。何か中途半端だな。そしてまた、我々、一体性を維持しながらメガキャリアとの戦いにまず十分な体力を持って臨んで、その後にあるべき姿を出していこう、そしてその間に有効競争を起こすための規制緩和を徹底してやっていこう、こういう論者も中途半端だなと思って不満足なのですよ。みんな欲求不満なんです。この点は今幾ら議論してもこれ以上先には進まないですから、私の質問の方を先に進めるよりしようがないのですが。  先ほどから、今の横光さんの話にも出ていました、有効競争を維持するためにユニバーサルサービスの中に価格が入るのか。もう既に均一な料金体系を維持していきたいということをNTTさんもおっしゃったというような新聞報道もあるのですが、この点について、ではひとつ、宮津社長からお伺いしてみましょうか。
  238. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 サービスもいろいろございますけれども、今お話にありました電話サービスユニバーサルサービスという言い方もあると思いますけれども、それに関しては、できるだけ全国的に格差が起こらないように努力していきたいというふうに思っております。
  239. 小坂憲次

    ○小坂委員 はい、ありがとうございました。  電話に関して言えばというお話でありました。すなわち、これからは電話以外のいろいろなサービスを出していくので、いろいろな格差はそういう部分に生じさせるようにして、電話に関して言えばできるだけ均一料金体系を維持したい、こういう意思のあらわれと理解しておきます。  さて、少し観点を変えまして、再編まであと二年半。この法律が施行されるまでに二年六カ月を超えない範囲内ということになりますと、その間に社内体制を全部整備しなければいけない。これは大変なことだと思いますね。今回の附則の基本方針、矢島さんおっしゃっていましたけれども、これは本当にわかりにくいですよ。承継会社事業を引き継がせる時期というのも基本方針としてこれはつくることになっているのですが、引き継がせる時期がいつごろになるのか。その時期までにすべての体制整備しなければいけない、今お答えをいただきましたが、労使関係の問題もやらなければいけない、そして資産を振り分けていかなければいけない。これは一体間に合うのでしょうかね。宮津社長、その辺について、当然間に合うように努力しますというのが基本的な回答でしょうけれども、悩みを吐露していただいて結構なんですが、どういうふうにしたらよろしいですか。基本方針は早く出した方がいいですね。
  240. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 一応二年六カ月じゅうにという表現になっているのではないかというふうに思います。実際は、実行する側の見方からいきますと、法案が通ってから実際に実行するまでの間にかなり物理的に手間がかかるという要素がございます。  というのは、最近は、いろいろな情報を公開したりお客さんにいろいろなサービスをやるので、コンピューターをいっぱい使っておりまして、こういうもののソフトウエアを直そうとするとえらい時間がかかります。もともと、こういうようなことが起こると全然想定しないでソフトウエアをつくっておりましたものですから、一年ぐらいではとてもできないということでございまして、そちらの方の条件で、とても一年では無理ということでございまして、二年か三年ぐらい。三年はちょっと言い過ぎだと思う、努力しないということになってしまうので。努力しますから、二年ぐらいだと思いますけれども、そういうようなことを言いました。それで、そういうことも参酌していただいて、そういう結論になっておるのではないかと思います。  それで、もう一つは、私ども株を発行しているものですから株主さんがいらっしゃって、株式会社なので、今度これをやろうとすると、やはり株主総会で承認していただかなければならなくて、そっちの条件なんかもいろいろございまして、現実には、一九九九年の株主総会で承認いただいてというふうに思っておりまして、実際の作業だの何かはそれよりも前に、ある程度承認さえいただければすぐに移行できるというような格好に体制としては整えたいと思ってはおりますけれども、そういうような物理的な条件もございますので、そういうことになっております。
  241. 小坂憲次

    ○小坂委員 そうしますと、大変に時間がかかる作業なので、それからすると、基本方針はできるだけ早く出した方がいいということですね。基本方針はいつごろできるのでしょうか、局長
  242. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 私どもも、法案が成立しましたら、準備を進めまして、できる限り早く提出をいたしたい、定めたいというふうに思っておりますけれども、具体的にいつということはまだ申し上げかねる段階でございます。
  243. 小坂憲次

    ○小坂委員 だんだん明らかになってくると思うのですが、要するに、二年半でも厳しい、三年ぐらいかかるかもしれない、ところが片方では、基本方針はなかなかそう簡単には出せないけれども努力をしますと。一日おくれれば一日おくれるほどNTTは厳しくなってくるのですね。  そして、その再編に取り組んでいるさなかは、果たしてその競争力というものを外に向かって発揮できるのだろうか、私はそこを一番心配するのですよ、ここで分割をなぜやらなければいけないのかという疑問を常に持っていますから。ですから、その点からして、一生懸命社内体制を整えるために努力していると、外に向かっていくことなんかできなくなってしまうのですね。ところが、外の方は新しくつくる会社ですから、これは機動力があるのですよね。そして、第一種通信事業者ばかりではないですから、料金体系も、非常に簡単にマッチングしてどんどんできる。新しいサービスを出せば、翌日に相手方はマッチングしてくる。この厳しい競争NTTは本当にやっていけるのだろうか、私は本当に危惧しております。  株主総会を開いてやらなければいけない、こういう話がありました。そして、これだけ体制が変わっていきますと、NTT株の取引停止、新会社に移行するような場合に取引停止を設けるような必要性というのはあるのでしょうかね。これは会社の方として何か考えていらっしゃいますか、宮津社長。  要するに、会社体制が変わってしまうわけですね。ただ、持ち株会社ということで、従来の株券でそのままできますから、ですから、全く停止をしないでそのまま、ずっといっても売買できるのですか。
  244. 木塚修一

    ○木塚参考人 お答え申し上げます。  NTTの存続会社を、今回新たに再編されます持ち株会社で存続会社といたしますので、株式の取引停止といったようなものは、その必要性はございません。
  245. 小坂憲次

    ○小坂委員 そうですが、これで一つはっきりしましたね。  それから、今度は政府の方にお伺いしたいのですが、NTT株はまだまだ三分の二ぐらい政府が保有しております。本会議でもお聞きしました。これはいつ放出するのですか。その時期、まあ、時期はなかなか答えられないとおっしゃるのでしょう。では、どういう環境が整ったら、要するに、高い株価のときに放出されるのですか。あるいはそういうものも踏まえて、具体的に聞かないと具体的に答えていただけないので難しいのですが、放出の時期等、どういう環境が整ったらいいだろうと思われるのか。それを放出していただかないと、NTTは自由がきかないのですよ。
  246. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 NTTが公社から民営化いたしましたそのときの民営化の趣旨からいたしましても、私ども法律上売却可能な株式につきましてはできるだけ速やかに市中に開放していきたいというふうに考えておったところでございますけれども、御案内のような株式市況の状況によりまして残念ながら売却できずに、まだ五百万株余り売却予定のものが残っているわけでございます。  これにつきましては、大蔵省がこの株の保有者となっておりまして、売却関係の事務を所管しておりますので、私どもはこの売却について直接申し上げる立場にはないわけでございますけれども郵政省の立場から申しますと、民営化という趣旨にかんがみまして、市況環境が整い次第、できるだけ早く売却を進めていってほしいというふうに考えております。
  247. 小坂憲次

    ○小坂委員 そうおっしゃいます。確かに、担当は大蔵省なんですよ。しかし、公正有効な競争を促進する立場からすればこれは純粋民間会社にしてもらわないと困る。ですから、市場環境とおっしゃるけれども、具体的に言えば、あした売ったっていいんですよね。早く売ってくれということを郵政省として大蔵省におっしゃったことはありますか。
  248. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 民営化の趣旨にかんがみまして、できる限り早くこの株が放出されるべきであるという私どもの基本的考え方、それは、大蔵省とこの会社法ができましたときからいろいろな場で話し合う機会があるわけでございますから、そういう話はしております。  ただ、現実に、公社時代国民の協力で蓄積された大きな資産でございまして、その資産の扱いにつきましては、やはり市況の環境等も見て対応していく必要性があるということは理解できるところでございます。
  249. 小坂憲次

    ○小坂委員 NTT株を大蔵省の財テクの道具にしてはいかぬと思うのですよ。ですから、機会を見てはっきりおっしゃっていただいて、タイミングを逸しないようにしていただきたいと思います。  それから、NTTさんにお伺いしたいのですが、長距離会社の株を持ち株会社が保有します。当分の間一〇〇%保有するわけですが、いつごろこれは一〇〇%でなくなるのでしょうか。
  250. 井上秀一

    ○井上参考人 持ち株会社が長距離その他の地域会社の株を一〇〇%持つということで法律的に一応スタートするわけでございますが、将来的には、長距離会社の持ち株をどう扱うかということについては郵政大臣の認可によって決めることができるわけでございますが、グローバルな競争がどうなっていくのか、長距離事業がどう発展していくのかということは、やってみないとよくわかりませんので、現時点ではまだ全く白紙の状態でございます。
  251. 小坂憲次

    ○小坂委員 今度は郵政省にお伺いします。  そうしますと、公正有効競争は、長距離会社は純粋な民間会社だということが建前でありますけれども、実際にその建前どおりに今のあれを考えて、政府が株を保有し、そして持ち株会社は一〇〇%長距離会社の株を保有している、この関係が続く限り、この純粋な民間会社は純粋な民間会社としての機能が十分発揮されないと思うんですね。  これもまた余り質問してもしようがないでしょう。ですから、そういう意味も含めて大蔵省としっかりと話し合っていただきたい、この点を指摘しておきます。余り同じことばかりやっていますと先へ行けなくなりますのでね。  せっかく西本社長に来ていただいておりますので、今度はちょっとお伺いしたいと思いますが、KDD国内進出する場合、これは第一種、第二種どちらの方を事業としてはやられるんでしょうかね。  そしてまた、わざわざ何度も足を運んでいただくと申しわけないので、全部ためて質問を申し上げます。  また、以前に新聞の中で、四月三日の会見で社長は、「一種、二種の料金規制の見直しを早急に進めてもらいたい」、これは新聞ですからそう書いてあるんですが、「と不満。」と書いてあるね。「というのも、世界中に回線を張っているKDDなど一種事業者料金が認可制で、改定に約三週間かかるのに、当初回線を持たず二種で国際進出するNTT料金は、申請の翌日改定可能な届け出制。」であると。「NTTKDDが価格を変えた翌日に、それを下回る値段をつけられる。圧倒的にNTTに有利な逆ハンディキャップがついているのだ。」とこう書いてあるんですね。  こういうものも踏まえて、今お聞きした一種でやるのか二種でやるのかという、質問は若干矛盾しますが、この一種、二種、そして特別二種のような区分は必要だと思われていますか。それについての御意見を伺いたいと思います。
  252. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  KDD国内進出する場合、一種か二種かというお問い合わせでございますが、私どもは第一種通信事業者として参入することを考えております。  それから、一種、二種の規制見直しに関する新聞報道でございますけれども、必ずしも私そのように直接申し上げておるわけではございませんで、例えばアメリカの、アメリカ側でボトルネックを持っているような大きな会社、アメリカに限りませんけれども、そういう会社日本に入ってきて二種でやる場合には、料金設定上、第一種でありますKDDが不利になるということを申し上げたわけでございます。  以上、お答え申し上げました。
  253. 小坂憲次

    ○小坂委員 もう一つKDDの関係で、同じようなときに出ている話なんですが、FCC、米国連邦通信委員会日本に求めてきた料金のターゲット、何といいますか、ベンチマークというふうに言っていますね、いわゆる目標を見ますと、非常に安く設定されておる。で、これは非常にいい意見だと思って読んでおったんですが、最近コールバックというのがどんどん出てきて、後ほど質問しようと思ったんですが、ここでちょっと出してもいいんですが、先ほど話に出たグローバル・リンク、それからラティック・コミュニケーションズ等のコールバックサービスもどんどん入ってきております。AT&Tも出てくるという話もあります。こうやってコールバックをどんどんどんどんふやすと自国発の発信数がどんどん増加するんですね。それによって料金計算されると、日本は、発信数が多い国が支払いになっていくという立場からすると、合わない。この点について郵政省はどう考えていらっしゃいますか。
  254. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かにそういう点がございます。  ただ、この国際電話のコールバックサービスでございますけれども、これにつきましては、通信事業者がいろいろな形でこの通信サービスを提供し、競争しようとしていく中で出てきておるものでございます。いろいろな方式があるわけでございますけれども、その中の一部につきましては、その使用のあり方からいいましても国際電話網の効率的使用に悪影響を与えるということがございまして、昨年十月、国際電気通信連合の会議において禁止されるべきだという決議がなされました。それで、我が国の第一種事業者が約款でこれを禁止する措置を講じております。  また、国によりましてはそもそもコールバックというものを違法とするというところもございまして、そのような国に対するコールバックの提供は問題がないわけではないわけでございます。我が国事業者におきましても、国際電話料金低廉化ということを前提にいたしまして、国際的にも問題のない方式により、コールバックの発着を禁止していない国との間でコールバックを提供することは可能でございます。  御指摘のように、これは、いろいろ新しい仕組みを事業者が考えてまいりますということと、それからもう一つは、国際的な御指摘のような料金の仕組みとかいろいろな問題が絡んでくる問題でございまして、そういう意味で、私どもとしてもよくこういった状況を注視してまいりたいというふうに考えております。
  255. 小坂憲次

    ○小坂委員 注視してまいりたいということでありますが、確かに注目しないといけないですね。  これはいろいろな方法が出ています。もう少し詳しく説明していただけますか。コールバック事業の中にはいろいろな種類がある。違法性のあるもの、違法性のないものがあるようだというふうに今のお答えからも感じられるんですが、そのITUの禁止した違法な接続と、それから違法でないコールバックというのはどう違うんでしょうか。
  256. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 私も詳細に内容を理解しておるわけではございませんので、間違いがあったらお許しいただきたいと思うんでございますが、ポーリング方式、アンサーサプレッション方式、不完了呼方式、専用線方式、着信課金方式というようなものがございまして、ITUで禁止をいたしておりますのは、前二者のポーリング方式とアンサーサプレッション方式でございます。  ポーリング方式と申しますのは、例えば日米間での通信を考えました際に、アメリカのコールバック事業者がこれを取り扱うといたしますと、アメリカから常時日本に対して、ポーリングといいますか呼び出しをかけておる、そして、たまたま通話したいときにそれに引っかかりますと向こうから通話をしてくるという方式でございます。したがいまして、これは常に回線を使っているということになるわけでございます。  それから、アンサーサプレッション方式は、日本から例えばアメリカのコールバック事業者を呼び出しますと、コールバック事業者はその呼び出しにこたえるわけでございますが、課金信号をストップいたしまして課金されないようにしてしまうというふうなことでございまして、これも不正な、設備ただ乗りということになるわけでございまして、この二つは禁止をされております。  それから、すべてについての御説明はちょっと省略させていただきますけれども、例えば専用線方式でございますと、専用線等を使用いたしまして発信者の識別番号等をデータ形式で伝送いたします。したがって、そういう情報に基づいて本格的な通話が行われるということでございますので、これは、使い方としては合法な使い方になるわけでございます。
  257. 小坂憲次

    ○小坂委員 聞いていらっしゃる方もなかなかわかりにくいと思うんですね。要するに、借りっ放しの線の上を使って通信する場合に、接続のための番号をデジタル化して、要するに信号化して中を通している場合にはこれは認められるんだというような御意見だと思うんですね。  そういうものと、それからいわゆる最近のインターネット電話も、これも違法である場合と違法でないのとぎりぎりだと思うんですね。要するに、音声を通してつなぐ場合にはこれは通信事業者としての認可が必要だ、ところが、音声をデジタル信号に変えて一つのデータとして搬送している場合には、これは違法性が指摘できないかもしれない、こういうような非常にぎりぎりのところがいっぱい出てきておりますね。  やはりこれは郵政省がしっかり注目して、これに対して一つの基準をつくって網をかけていかないと、片方で公正有効競争を言っていながら、それが全部しり抜けになってしまう、まじめにやっている事業者が損をしてしまうということにもなりかねないんですね。  そういう意味で、あんまりテクニカルな話をここでしてもあれかと思いますが、そういう意味でこの問題は、単純に事業者を規制したり枠を課したりだけじゃなくて、今度は郵政省側もそういった非常にテクニカルな面にも目を光らせて、技術面をカバーするような規制をある意味ではつくったり、別のところでは今度は規制を開放して競争を起こさしたり、ここの手綱さばきが非常に重要な時期へ来ていると思いますので、そこをぜひとも、こういう今回の三法案審議の機会にひとつ省内に徹底して、そういう目でもこれからの有効競争を見守っていただきたい、こういうふうに思っております。  今、インターネットの話も出ましたし、そういうようなところで、また一つ問題を先へ行きたいと思うんですが、国内市場の区分を廃止したらどうか、撤廃しろということを本会議での質問で申し上げました。すなわち、接続ルートを特定しないインターネットの接続のようなものが出てくる。それから、携帯電話あるいはPHSのように、無線を使ったデジタル通信というものが非常に発達をしてきている。それからまた、光ファイバーケーブルのように大量の、そして重層の技術も飛躍的に発展してくると、通話当たりのコストが飛躍的に、もう問題にならないぐらいその利用が安くなってくるわけですね。  そういった状況に来ると、遠距離と地区とか、あるいは有線か無線かとか、こういう区分というのはもう必要ないように思うんですね。これはもう全く意味をなさなくなってきているのではないか。そういう時代に、いまだに、今回も長距離会社地域会社という区分をして、やる。ドコモは全国一帯であって、それで、片方では長距離会社と、東と西に分けている。  ところが、これからはもう、今の学生に聞いてごらんなさい、PHS一台持っているだけでアパートに電話を引かないんですから。そして、もう今はPHSさえあれば、パソコン通信も全部ISDNと同じ速度で、六十四キロで出せるんですからもうそこまでいくと、加入者線なんていうものは関係なくなっちゃった。ボトルネックと言われたあの加入者線の意味合いも、今やあれは過去の議論だと私は言いたいぐらい。そこまでさま変わりしている状況で、まだ市場区分を、長距離会社地域会社国際だ、国内だ。イリジウム計画のように、ああいうような国際携帯電話のようなものもこれからどんどん出てくるんでしょう。  こういうものを考えると、やはりこの点をほっておいてはだめだろう、国内のいわゆる現在の市場区分を撤廃する考えはないかどうか、お考えをお伺いさせてください。
  258. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいまのこの事業区分につきましては、通信システムを確保すると同時に、その通信システムを使ってできる限り自由にさまざまなサービスが実現できるようにということを確保するための仕組みとして、現段階におきましては最適なものだと考えております。  ただ、おっしゃるように、いろいろこのサービスあるいは事業者あり方等変化をいたしておりますので、その運用につきましては、法の許す限り、できる限り弾力的に取り扱っていきたいというふうに考えておるわけでございます  それから、この業務区分でございますけれども、実は、第一次情報通信改革の際に、全く新しく新規参入者が通信市場参入いたします際に、それぞれ当時考えられました分野分野参入をしてこられるという経緯があったわけでございますけれども、いずれもそれぞれの分野において一応の参入を果たして、次の発展段階を迎えておられるわけでございます。  その際に、サービスは、ワンストップサービスといいますかエンドエンドサービスという方向に、またグローバル化に動いておるわけでございまして、私どもといたしましては、こういった実態としての区分ということは現実にあるわけでございますけれども、これは規制上の区分ではないわけでございまして、現に新規参入事業者方々国内国際の両方あわせて業務を提供していらしゃるという方もありますし、あるいは、地域、長距離あわせて提供していらっしゃる方もあるわけでございます。  ただ、NTTKDDにつきましては、法律でこの分担が決められておりましたけれども、今回、それを外して相互の利用を可能とする、ただ、その中で、ほとんど唯一と言っていい独占部門であります地域のネットワークにつきましては、やはり当分の間、このネットワークの重要性にかんがみまして、地域という概念をもって特殊会社を構成せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、御指摘長距離会社につきましては、現段階においては、先ほど申し上げました制約の中で、長距離会社でございますけれどもこれは間もなく国際に進出できるということになりますので、長距離、国際といった区分はもうその際にはないわけでございまして、あとは実態的にその会社がどのような営業範囲を持っておられるかというだけのことになるだろうというふうに考えております。
  259. 小坂憲次

    ○小坂委員 そうしますと、一種、二種、特別二種という区分は、今後どうされますか。
  260. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先ほど申し上げましたように、現段階におきましてはこの区分方法は最適なもの、だというふうに思っております。しかし、電気通信事業あるいは電気通信産業といいますものは非常に変化の激しい分野でございますので、これからのマルチメディア時代あるいは競争の状況、国際的な状況等を見ながら、そのあり方について常に検討を加えていくということは必要であろうと考えております。
  261. 小坂憲次

    ○小坂委員 この点について、NTTさんあるいはKDDさん、両者の実際に事業を営んでいる側からの御意見を伺えますか。
  262. 宮津純一郎

    ○宮津参考人 三年ほど前に、これからの時代電話を超えてマルチメディアの時代になるに違いないというようなことで、NTTといたしましても、基本構想を発表したり、その後、実験をやったりいろんなことをやってまいりました。しそれから、十何年間という経営形態論議をやってまいりましたけれども、ここ一、二年間の状況の変わりよう、それから、それに対して、今先生がおっしゃったように、事業自体の区分の仕方、こういうものも含めて相当考え方が変わってきたというふうに思います。郵政省もすごく変わりました、私がこんなところで郵政省のことを言ってはいけないのかもしれませんけれども。  そんなわけで、もう時間の問題だと思います。現実はございます、現実はございますから、現実の中でそういったような方向にいくための選択というのはあると思います。でも、監督官庁を含めて、先を見ている、見ている方向というのは大体そろってきているので、そういう意味で希望を持っております。  だから、私は私で事業をやりながら、また、そうやって生きていかないと生きていけませんから、競争の中でそういうふうにやりますけれども、私どもも、時代の変わり目に合うようにそういうような規制も変えていただきたいということをこれからも言っていきたいというふうにも思っております。  以上でございます。
  263. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  私どもとしましては、第一種通信事業者と申しますのは、やはり設備を所有するわけでございますから、その点に関してはそれなりの規制が必要かと思いますけれども料金につきましては、同じような電話サービスを一種でも二種でも提供できるわけでございますので、その限りにおいて第一種にハンディキャップがつくような、そういう規制はなるべく緩和していただきたい、そのように考えております。
  264. 小坂憲次

    ○小坂委員 やはりお役所相手に物は言いにくいということが感じられますが、私なりに感じたところを申し上げれば、いや、実際はそうなんですよと。今、市場はそんなものは区別はなくなっている時代なんです、三年前に申し上げた時代が今や現実になりました、その点からすれば、私どもは強くその撤廃を主張したいんですが、現実はお役所の壁はなかなか厚くて、そう思っておりますが、最近お役所も変わって大分それを理解してくれるようになりましたと。ようやく理解していただいて、同じ方向を向いているように思いますので、変えてくれることを期待しています、こうおっしゃったんだろうと私は理解しておりまして、そういう意味からすると、この委員会委員皆様にもやはりこれを御理解いただいて、そういった問題意識を我々持つべきときに来ているということを指摘しておきたいと思っております。  ちょうど時間が来ているようでございますので、最後の締めに入りたいと思います。先ほども、これは多分だれも言わないだろうと思っていたら言われてしまったのですが、電話番号をどのようにするかという話の中で、まさに今コンピューターの中に、ほとんどの電話番号は十けたですが、十二けたから多くて十四けたまでしか入っていないのですね。これを超えるようなものをつくられたらえらいことだと思うのですが、番号の基準に、コンピューターの入力、変更、そういったものを加味しながら今後考えていただけるか、これだけ聞いておきたいと思います。これを余り具体的に聞いても、局長、きょうはそんなところまで聞いてないよというような話になるといけませんので、そういうこともあるかということを認識してやっていただけるかということだけ聞いておきます。
  265. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 番号のあり方につきましては私ども研究をしておりますし、またこれは、グローバル化に伴いましてますます国際的な問題にもなるわけでございまして、国際的な番号配分の問題にも絡むわけでございます。  いずれにいたしましても、実施ということになりますれば、円滑に実施のできるような方法を考えていく必要があるだろうというふうに考えております。
  266. 小坂憲次

    ○小坂委員 最近、NTTさんのワンナンバーサービスというのがスタートしまして、これはなかなか便利なものであります。ファクスでも全部ためておいて取り出せるし、それからボイスメールも全部預かっておいてくれる。世界どこへ行っても取り出せるし、日本国内どこでも、届け出ておけば、そこへ転送してくれる。大変便利なサービスだと思っております。そういったサービスが、東西あるいは長距離どちらにもまたがって、なおかつ通信事業者間も接続問題で、こういうものは利用者の利便に帰するものでありますから、余りにアイデアに固執し過ぎて制約を設けないように、活力ある通信事業を編み出していただきたい。  きょうは五時間以上にわたりましておいでをいただきまして、参考人皆様に心から感謝を申し上げ、また、長時間にわたりました質疑大臣には真摯にお答えをいただきました。感謝を申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  267. 木村義雄

    木村委員長 次回は、明十五日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会