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1997-03-17 第140回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十七日(月曜日)    午前十一時三十分開議 出席委員   委員長 木村 義雄君    理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君    理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 伊藤 忠治君 理事 矢島 恒夫君       飯島 忠義君    佐藤  勉君       斉藤斗志二君    園田 修光君       竹本 直一君    中川 昭一君       野田 聖子君    野中 広務君       山口 俊一君   吉田六左エ門君       赤松 正雄君    石垣 一夫君       遠藤 和良君    神崎 武法君       永井 英慈君    原口 一博君       北村 哲男君    肥田美代子君       石井 郁子君    横光 克彦君       小坂 憲次君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 堀之内久男君  出席政府委員         郵政政務次官  野田 聖子君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君   委員外出席者         参  考  人        (日本放送協会         会長)     川口 幹夫君        参  考  人        (日本放送協会        専務理事・技師        長)       長谷川豊明君        参  考  人        (日本放送協会        専務理事)    齊藤  曉君        参  考  人        (日本放送協会        理事)      中井 盛久君        参  考  人        (日本放送協会        理事)      菅野 洋史君        参  考  人        (日本放送協会        理事)      河野 尚行君        参  考  人        (日本放送協会        理事)      石渡 和夫君        参  考  人        (日本放送協会        総合企画室〔経        営計画局長)  稲葉 和彦君        参  考  人        (日本放送協会        経理局長)    酒井  伸君        逓信委員会調査        室長       丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任   坂井 隆憲君     飯島 忠義君   山花 貞夫君     肥田美代子君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     坂井 隆憲君   肥田美代子君     山花 貞夫君     ————————————— 三月四日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件 参考人出頭要求に関する件  放送法第一二十七条第二項の規定に基づき、承  認を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村義雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 木村義雄

    木村委員長 まず、趣旨説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣。     —————————————  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。  受信料につきましては、現行のカラー契約月額千三百七十円を千三百九十五円に改める等の改定を行うこととしております。  一般勘定事業収支につきましては、事業収入事業支出とも六千百九億円となっております。  一般勘定資本収支につきましては、資本収入資本支出とも七百四十七億円となっており、放送設備整備など建設費に六百二十二億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めること、デジタル放送技術等新しい放送技術研究開発に取り組むこと等を計画しており、あわせて、経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、事業計画等実施に当たっては、事業運営の刷新、効率化を徹底するとともに、配意すべき事項として、受信料収納の促進と経費の節減、財務内容開示等指摘した意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  6. 木村義雄

    木村委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長川口幹夫君。
  7. 川口幹夫

    川口参考人 NHK会長川口幹夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま議題となっております日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  平成年度事業運営に当たりましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、新しい時代社会の要請にこたえるため、番組編成積極的見直し番組充実を行い、国民生活に欠かせない公共放送としての役割を果たしてまいります。また、新しい放送技術研究開発などにも積極的に取り組むことといたします。  あわせて、協会の主たる経営財源視聴者の負担する受信料であることを深く認識し、経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現してまいる所存であります。  平成年度の主な事業計画につきまして、御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、緊急報道体制強化のための設備整備を行うとともに、衛星放送ハイビジョン放送設備整備及び放送会館整備等実施することとしております。  次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  国内放送におきましては、多様な視聴者の要望にこたえて、番組充実を図り、信頼感のある公正で的確なニュース情報番組及び人々の共感を呼ぶ豊かで潤いのある番組提供に努めるとともに、地域に密着した放送サービス充実強化字幕放送拡充等福祉番組充実を行ってまいります。  国際放送におきましては、国際間の相互理解国際交流に貢献するとともに、海外在留日本人に多様な情報を的確に伝えるため、音声による国際放送充実に努め、映像による国際放送拡充いたします。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納に努めてまいります。なお、受信料月額は、引き続き据え置くことを基本としますが、消費税率の引き上げ及び地方消費税の導入に伴う税負担の適正な転嫁を行うことといたします。  調査研究につきましては、新しい放送技術研究開発を行うとともに、放送番組の向上に寄与する調査研究を積極的に推進し、その成果を放送に生かし、また、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたり業務見直しを一層徹底し、要員については、年度内九十人の純減を行い、総員一万二千九百八十六人とし、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支収入総額六千百九億九千万円を計上し、このうち、受信料については、五千九百四十五億円を予定しております。これは契約総数において四十六万件、衛星契約において八十万件の年度内増加を見込んだものであります。  これに対し、支出は、国内放送費など、総額六千百九億九千万円を計上し、収支の均衡を図っております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百二十二億円、出資二十一億一千万円、放送債券償還等に百四億二千万円、総額七百四十七億三千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、前期繰越金減価償却資金及び借入金など、総額七百四十七億三千万円を計上しております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入四億九千万円、支出四億一千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようにお願いいたします。  ありがとうございました。
  8. 木村義雄

    木村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  9. 木村義雄

    木村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本光造君。
  10. 岸本光造

    岸本委員 自由民主党岸本光造でございます。  地上テレビ放送デジタル化の問題について、まずお伺いをいたします。  三月十日に郵政省は、政策目標として、二〇〇〇年には地上テレビ放送デジタル化をやりたい、こう発表をされておるわけで、これは五年間今までの予定の目標より早くなったわけでございます。これは、今の国際的な潮流あるいは技術開発という点から見ましても当然そうならざるを得ないだろう、こう思うわけですが、五年間前倒しで地上テレビ放送デジタル化をやる、いよいよごうなってまいりますと放送通信融合化時代というようなことになってくるのだろうと思います。  地上放送デジタル化に当たりまして、NHKにとってこれが実現可能な時期、それからこれに対する基本的な考え方をまずお伺いしたい、こう思います。
  11. 川口幹夫

    川口参考人 御質問にありますように、ただいま放送界は未曾有の変革の時期に当たっております。その最大理由はやはりデジタル化ということでございまして、既に国の計画としてデジタル化衛星も、それから地上波もデジタル化する方針が大体決まるだろうと思います。これに対して、放送事業者の側としては、どのようにこの新しい技術を利用して、視聴者のためになる、国民全般に寄与するような放送をするかということが最大の問題であろうという認識をしております。  現在のところ、非常に多額のお金もかかりますし、それから基準等でまだまだ明確にしなければいけない問題もたくさんありますので、私どももいろいろな形でこの計画の立案に参加をして、日本国民にとって本当に必要な構想であるようにこれからの計画を立ててまいりたいと思っております。現段階ではまだ具体的なところまで検討が進んでおりませんので、これから鋭意詰めることにいたします。
  12. 岸本光造

    岸本委員 今の答弁でありますと、放送に対する充実をこれからやっていく、こういうことで、二〇〇〇年まであとわずかですから、これは鋭意やっていただきたい、こういうふうに要望するわけです。  このデジタル放送になりますと、一定の周波数帯域の中で放送通信業務、これも可能になってぐるというふうに伺っておるわけですが、そうなってまいりますと、ハイビジョン標準テレビ、さまざまなデータサービス、これもできる、こういうことになろうかと思います。そうすると、放送分野以外にNHK通信分野にも食指を伸ばすことができる、食指という表現はええかどうかわかりませんが、やっていけるという可能性が十分にあるわけでございまして、この通信分野に参画するということになりますと、独自にNHK収入を、財源確保をすることができる、そうすると視聴者にもっと低廉な料金ということでサービスできることにもなりますから、通信業務に参画していく意思があるかどうか、その辺をちょっとお伺いしたい、こう思います。
  13. 中井盛久

    中井参考人 岸本先生のただいまのデジタル放送の中でデータ放送をどういうふうに生かしていくかというお話でありますが、データ放送は、御承知のように、電波のすき間に重畳をして、そのすき間にまたいろいろな信号でもって今の放送本体以外にいろいろ利用できる。その考え方に二つございます。  一つ本体で動いている番組そのものを補完する情報、それから全くそれとは別の情報という二つの考え方があります。番組を補完する方は、例えばニュースプレスリリースをやっているときに時事用語で難しい用語があるとその用語を解説するというようなものを足していく、それからもう一つはドラマの方をいろいろなもので言葉を直していく。それから独立利用の方は全くそれと関係なくできますけれども、そういったものについて、NHKとしてはできる限り幅広く研究をしていきたいと思っています。
  14. 岸本光造

    岸本委員 時間がもうあと三分なのですよ。私、そんなこと聞いてなかったですよ。私が聞いたのは、通信に入るかどうかという、その一点だけです。イエスかノーかです。
  15. 中井盛久

    中井参考人 通信の方については、まだ通信放送融合関係がどこまでどう入っていくかということが非常にはっきりしませんので、その辺は、そういうサービスができるということと実際の事業に乗り出せるかどうかということについては今鋭意検討しておりまして、まだ結論で、ここではっきり言えるところまでは至っておりません。
  16. 岸本光造

    岸本委員 それは技術的に可能ですか、可能でないですか。それをちょっと聞かせてください。
  17. 中井盛久

    中井参考人 今データ放送の話をしましたけれども、そういうデータ放送という限りにおいては非常に可能であります。そして、それがどんどん融合していく形になっていくだろうと思います。
  18. 岸本光造

    岸本委員 どうぞ頑張って、通信分野にもお入りをいただければ国民は大変喜ぶだろう、こう思います。  次に、字幕放送について、もう時間がありませんから簡潔に申し上げます。  私は、これで三年連続字幕放送についてここで質問をしてまいりました。字幕放送をふやしてやるということは、聴覚障害者にとってはこれは人権の問題、知る権利でありますので、どうしてもこれはやはり実現をしてもらわなくちゃいかぬ、こういうことで三回連続やってまいりました。  おかげでことしは一億二千六百万という予算が計上されて、少しはよくなったかなと思うのですが、免許制度改正放送法改正財政支援枠組み、それから相当な設備投資も必要でありますから、税金に対する税制措置枠組みもつくってやらなくちゃいかぬというさまざまな課題があることはよくわかっておりますが、さらにこれを実現していくためこNHK並びこ郵政大臣はどのようにお考えか、答弁を願います。
  19. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま委員指摘のとおりでございまして、字幕放送聴覚障害者に対して大変大事な問題として郵政省も取り組んでおるわけであります。  平成八年から五年間、字幕放送技術研究ということで、約十億円をかけて研究を進めておりますが、ただいまそれとあわせて字幕放送に今年度予算では一応一億二千六百万計上をいたしまして、積極的にこの字幕放送の普及をお願いをいたしているところであります。  今度放送法改正もお願いいたしておりますが、その中にこうした字幕放送を行えるように努力義務、あわせてまた免許制度についても、多重免許でなくて放送ができるように改正していきたいと思います。  御指摘のように、また税制に対しましても、税制的な支援措置を講じてまいりたいと思っております。
  20. 川口幹夫

    川口参考人 NHKとしましても、これは非常に大きな問題、義務であると思っておりますので、これから年度ごと拡充をしていくようにお約束いたします。
  21. 岸本光造

    岸本委員 ありがとうございました。終わります。
  22. 木村義雄

  23. 熊代昭彦

    熊代委員 自由民主党の二番手、熊代昭彦でございます。  きょうは予算案審議でございますので、細かい話は別といたしまして、行財政改革時代でもありますから、公共放送が必要であるのかどうか、そういうことも含めましてお伺いをしたいと思います。  民間時代でございまして、市場万能という議論がされております。しかし、御承知のように市場にも失敗があるということでございますから、完全に民間に任せるのか、それとも公的なものでやっていくのか、そういうことの基準の目安が必要であると思うのです。単に行財政改革をやればいいというものではなくて、本当によく見きわめて、大切なものを保存し、そして改革すべきものをするということでございますから。そういう観点で、民間放送各社テレビ各社が大変たくさん出てきた。ただいまの御質問にもありましたように、デジタル時代にもなってまいりまして、二百チャンネルとか数百チャンネルに及ぶというような時代になってまいりましたので、本当に公共放送が必要であろうかという、非常に突き詰めた議論をする必要があると思います。  それで、私自身の立場は、やはり完全に民間に任せてはやれない。市場失敗して、その失敗が、見過ごすことのできない失敗がある、そういう分野がいろいろとあると思うのですね。そういうときは、ミクストエコノミー、混合経済でやらなければいけない。例えば、財政投融資を言っておりますけれども、ああいうところでも市場失敗がないのかどうか、市場だけに任せておいたらやれるかどうか、そういうことがこの同じ委員会で今後議論されるでありましょうけれども、そういう問題もあります。この放送分野でもそういう問題があると思うのですが、私自身も、放送の質を上げるという意味では、やはり市場に任せてはおけない面があるだろう。放送分野市場に任せておけない分野がある。例えば日本伝統文化を大切にするための放送とか、あるいは日本文化世界に伝える、あるいは日本状況世界に伝える、そういうことはなかなか市場ベースではやっていかれないというふうに思います。  そういうことで、公共放送としてのあり方で、NHKさんにおかれましてどういうことに特に力を入れる、市場失敗はどういうところにあって、どういうところに特に力を入れてこれまでやってこられたか、そしてまた今後やっていくか、そういうことについての状況説明と今後の決意表明会長からお伺いしたいと思います。
  24. 川口幹夫

    川口参考人 キーワードという言葉がございますが、これからの放送というものをめぐって、何がキーワードになるか。恐らくデジタルという声が非常に大きくなると思いますけれども、私は視聴者という言葉が一番大きなキーワードになると思います。つまり、これから世の中が大きく変わっていきます。二十一世紀になります。そして、いろいろな社会の変化が起こります。そういうものに対して、視聴者方々が今放送に何を望んでおられるのか、放送からどういうことを受けとめられるのか、その放送から受けとめたものを現実にどういうふうに生活のために役立てていくのか、そういうことがやはり大事ではないかと思いますので、これからのNHKは、さらに視聴者ということをキーワードにしていろいろなことを進めてまいりたいと思います。  もちろん、公共放送という名前を冠せられておりますから、一にかかって公共福祉というものが大事になります。その福祉を守るために何が大事かというと、やはり的確な情報であり、判断の基準になる材料を提供することであろうかと思います。そして、一方、教育というものが非常に大きな大きな意味を持っていますから、次の時代を背負う国民のための教育的な番組、それから高齢者方々が幸せに生きていくための番組とか、福祉的なものも充実しなければいけないと思っております。  そういうことの中で、放送がよりお役に立つような、そしてより心の糧になるようなものを提供し続けること、これが今後の公共放送としてのNHK最大目標であるというふうに思っております。
  25. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございます。やや抽象的でよくわからない面もあったのでございますけれども、基準の御説明がありました。  申し上げましたように、市場失敗するし、それから公共政府失敗するということでございますので、恐らく、全く民間と違う分野をやれば、おもしろくない面もある。やはり民間と同じように競合して争わなければいけない分野もあるし、争わないでやる分野も必要だと思います。  そういうことでございますけれども、時間の制約がございまして、具体的なことを一つだけお伺いしたいと思います。  海外に向ける放送という御報告もございましたが、英語によるもの、日本語によるもの、私は特に日本語によるものを大変重視しているのですけれども、海外にいる日本人と、日本日本語を学んで各国に帰った人、その人たちに対する日本語情報提供ということが大切だと思うのです。日本語圏を広げるという意味ではなくて、一つの国が、英語によって仕事ができるもの、日本語によってできるもの、フランス語によってできるもの、こういうバラエティーがある国が発展するのだと思うのです。そういう二重の意味でも、日本語放送というのにどれほど力を入れておられるのか、海外放送、そのうちの日本語放送最後にお伺いいたしたいと思います。
  26. 齊藤曉

    齊藤参考人 国際放送映像につきましては、総合テレビ等の今現在出しているものの中からスルーで国際映像として発信しているというのが主な取り組みでございます。  ただ、お話にもありましたように、英語取り組みですけれども、日本国際理解を促進するという意味では英語取り組みが非常に重要でございます。その意味では、二カ国語化を漸次進めておりますけれども、これは経費等がやはりかかりますので、実際にいろいろな角度から検討しながら、例えば翻訳者の問題あるいは同時通訳者の非常に技能の高い人の確保とか、こういう点を解消しながら前向きに取り組んでまいりたいと思います。     〔委員長退席亀井(久)委員長代理着席
  27. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございました。  公共放送としてぜひ果たすべき役割につきまして、今後とも厳しく見直しながら、大いにいいNHK放送をしていただきたいといからお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  28. 亀井久興

  29. 古屋圭司

    古屋委員 私は、映像による国際放送充実についてお伺いしたいと思います。  今、放送技術というものが飛躍的に向上しておりまして、もう世界情報というのが視聴者の自由な選択によって受信できる、こういう時代になってきています。しかし、残念ながら、世界から発信されている情報の量と我が国が発信している情報の量を比べますと、圧倒的にもう日本が少ないのです。これは確かに、世界の共通語は英語である、したがって、英語放送というものは世界各国から自由に降ってくるという事情はあると思いますけれども、しかし、やはり日本情報世界に発信するということは、いわば日本を正しく理解していただくということとともに、やはり外交戦略上も非常に大切ではないかな、私はこんなふうに思っています。  アンケートによりますと、日本から発信された外国語のニュースであるとか情報番組について、米国人あるいは欧州人等も非常に高い評価をしているという結果が出ているようでありますね。ただ、実態は、NHKでは平成八年では約一時間の英語番組あるいは平成九年はそれを倍増していただけるということだそうでありますが、まだまだ十分ではないのではないか、こんな気がいたします。  放送法の九条に、いわゆる国際放送を行うということは本来業務として規定もされていますね。そういうことからすると、確かに国内の視聴者からしか受信料をもらっていないという事実はありますけれども、やはり外国への映像をたくさん送るということは、NHK公共的な責務という観点から極めて重要だと私は思います。この点については、恐らく大臣も会長も論をまたないと思います。  ただ、現実にはNHKだけで国際映像をふやしていくということは、私は限界があると思います。そういった意味で、今後いかにして国際映像をふやしていくべきか、このことにつきまして、例えばODAを使って外交戦略上そういうものを活用するというのも一つ考え方でございましょうから、そういった点を踏まえて、具体的に何時間ふやすとかそういう答弁ではなくて、そもそもこの国際映像をふやすためには一体何が必要かということを会長からお伺いしたいと思います。また、それにつきましても、大臣からもお答えをいただきたいと思います。
  30. 川口幹夫

    川口参考人 国際放送海外発信ということの重大性はとみに強く深くなっております。私どもも、できる限りの国際放送をやろうということで、既に短波では全世界をほとんど覆っておりますけれども、残念ながら、テレビがまだ二年目が終わるところでございますので、それほどいっておりません。ただ、テレビでの海外放送というのは、やはり非常に人気もありますし、認識のされ方も強うございますから、これはできるだけ拡大をしていこう、充実していこうと思っております。  その手始めに、日本ニュース海外の人がお聞きになっても、ごらんになっていても中身がわかる、それにはやはり二カ国語放送が必要でございますので、これの拡充を九年度にも倍増をしたいと思っておりまして、今後さらにこの方面については力を尽くしてまいります。  日本からの海外旅行をしている人たちも年間に一千六百万という時代になりましたから、あわせて海外にいる同胞のためにもいい放送を出したい、こういうことを今考えております。
  31. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま委員の御指摘は非常に大事な問題でありますが、映像国際放送実施は、我が国からの情報発信機能の強化につながるものであり、諸外国における対日理解を促進し、相互理解を深める上からも極めて重要であります。  郵政省といたしましては、こうした点を踏まえまして、今後我が国からの情報発信の機能強化についてNHKあるいは関係省庁と検討してまいりますが、なお、これまでラジオ日本ですか、この分につきましては、国からの助成を出しておるところでありますので、以下の点については今後検討してまいります。
  32. 古屋圭司

    古屋委員 今、大臣の方から、これは単にNHKだけの問題ではなくて、政府全体として取り組んでいきたいというお言葉がございました。これは、まさしくそこの点が重要だと思いますので、ぜひ大臣もそういった観点からこの国際映像充実について取り組んでいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  33. 亀井久興

    亀井(久)委員長代理 佐藤勉君。
  34. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 自民党の佐藤勉でございます。栃木四区でございます。  私は、各先生方からもうお話がございましたように、放送革命の幕あけと言われるように、放送は今大きな変革期を迎えようとしておるかと思います。デジタル技術を中心といたしました技術革新の急速な進展がその大きな要因であると思いますし、放送デジタル化は、単に放送の枠内にとどまらず、放送以外の分野も広く巻き込む意味で、新たなサービスの登場、新たな産業の創出につながるものと期待をしているところでございます。  そこで、このデジタル技術は、多チャンネル化、高品質化、高機能化などにつながる技術と理解しておりますが、放送におけるデジタル化の意義と課題についてどのように考えているのか、局長考え方をお伺いをしたいと思います。
  35. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送デジタル化の意義でございますが、先生御指摘のとおり、まず多チャンネル化ということで、視聴者番組の選択幅が拡大いたします。また、放送全体のチャンネルがふえるということで、放送産業の多様な発展と競争が促進されるということでございます。また、通信放送が融合しまして、マルチメディア的なサービスも実現いたしまして、こういう意味で、結果として他の多くの産業分野にも影響を与えるというふうに承知しております。  そういう中で、我々としては、このデジタル化の道筋のビジョンというものを示すことが重要というふうに考えておりまして、衛星放送、ケーブルテレビそれから地上放送、順次道筋を示しまして、今後積極的に取り組んでいくという所存でございます。
  36. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 そこで、放送デジタル化は、今後の放送の目指すべき方向性であると考えておりますし、その実現に向けて、NHKとしてはどのような課題にどのように取り組もうとしているのか。また、課題が解決された場合の結果、展望について、どんなふうに考えているのか、お伺いをしたいと思います。     〔亀井(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  37. 中井盛久

    中井参考人 ただいま放送行政局長の方から、放送デジタル化についての特色、これからの展望というお話がございました。  NHKとしましては、これがやはり視聴者にとって非常に受益感のあるもの、役立つものという観点が非常に重要じゃないかというふうに思っておりまして、そのためにいろいろ解決すべきものがあると思っております。  それは何かといいますと、今現在、既に三千五百万世帯というところにアナログの放送が現実に行っております。そうして、その人たち番組を見ている視聴者になおプラスアルファのサービスがいかにできるか、しかもそれが低廉な形でできるかどうかというような問題があると思います。  それからまた、放送サービスに付加価値をつけるための番組をどのような形で開発していったらいいかということを我々は今一生懸命勉強いたしております。  さらに、そのためには、デジタル放送を導入するために必要な経費とか要員あるいは施設の整備、そういうようなものにかなりの、特に地上放送の場合は多大のお金が今のところ見込まれますので、そういうものをいかにして捻出していくのか、それが結局受益者の負担にいかにはね返っていくかということでありまして、その点を非常に重視しております。  ただし、それが解決されていきますと、双方向性機能だとかあるいまビデオ・オン・ディマンドで、見たいときにいつでも見られるというような状況が実現することも事実でありますし、そういうような形でNHKが、ISDBと呼んでおりますけれども、統合デジタル放送というような形の、夢の次世代テレビというものになっていけばいいなというふうに考えております。
  38. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 それで、放送デジタル化の推進には、そのために研究開発を進めていくことが必ず必要になってくると思います。  NHKは、放送技術研究所でのデジタル放送技術研究開発を初め、二十一世紀へ向け、さまざまな研究開発に取り組んでいると承知しておりますが、予算額で見れば数%の規模でしかないというふうに理解をさせていただいております。限られた予算であることは十分承知をしておりますが、放送技術研究開発の推進のために、NHKとして研究開発費をふやしていくべきなのかどうか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  39. 石渡和夫

    ○石渡参考人 お答えいたします。  研究開発業務につきましては、放送法でも必須業務と位置づけられておりまして、積極的に取り組んでおります。予算面におきましても、貴重な受信料財源の中で研究開発に重点的に予算を配分してまいりました。  九年度放送技術研究開発に充てられます予算につきましては、直接経費のほか、減価償却費、あるいは人件費などを合わせたトータルで百五十億円の規模となっておりまして、受信料収入に対する比率といたしましては、二・五%に及んでおります。この率についても年々伸ばしてきたものでございます。  八年度予算に対する伸び率で申し上げますと、全体の伸び率は四%でございますが、研究開発費につきましては五・二%の伸びといたしております。  今後につきましても、積極的に取り組んでいくつもりでございます。
  40. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、しっかりと予算については考えてやっていただきたいと思います。  最後になりますけれども、NHKの九年度予算への郵政大臣意見に、「デジタル放送の円滑な導入に向けた研究開発に積極的に取り組むこと。」ということが書かれてございます。具体的に、どのようなことを期待するのか、局長考え方をお伺いをしたいと思います。
  41. 楠田修司

    ○楠田政府委員 郵政省といたしましては、NHKに対しまして、デジタル放送の円滑な導入に向けまして、これらの技術研究開発にぜひ先導的な役割を期待したいというふうに思っております。  具体的に申し上げますと、例えば、高精細度テレビジョンなどの、大量の情報デジタルにより圧縮する技術、あるいは、映像、音声、データと組み合わせたいろいろなマルチメディア的なサービスに対する技術、それから、もっと具体的になりますが、例えば自動車等におきまして安定した受信ができるような技術、こういうようなものの確立が必要というふうに認識しております。
  42. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、二十一世紀に向けまして大切な事業だと認識をしております。NHKを中心といたしますいろいろな意味でのメディア、そして放送関係、しっかりとやっていただくことを心から御祈念を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  43. 木村義雄

    木村委員長 園田修光君。
  44. 園田修光

    ○園田(修)委員 自由民主党の園田修光でございます。  もう質問者が五番目になりまして、私が準備をしてきておりました質問熊代先生からちょっと質問が出ておりまして、今、郵政省の方でも民営化論、この前も大臣の方から発言があり、暴言だというような形のことも、郵政三事業の民営化について言われました。ただ、私は、このNHKの場合も、今の民営化論の中で、やはり公共放送としてNHKが果たさなければならない役割、あるいはまた義務、そのことを会長、そして大臣の方から御見解をお願いをしたいと思います。
  45. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほど熊代委員の御質問に対しまして、NHK会長から御答弁がございましたが、私も全くそのような考え方で、同一であります。  今後、多チャンネル化、いわば放送業者が非常に多くなってくるわけでありますが、そうなりますと、ますますNHK公共放送としての役割、あるいは国民の期待するところは極めて大きいわけであります。今日まで、民間放送との併存体制のもとで、お互いが切瑳琢磨されて着実な発展を遂げてきたところであります。  今後、よりよい豊かな放送番組提供し、放送技術研究開発や、海外への情報発信など、公共放送としての役割はますます期待されてくると思う次第でございます。私どもは、NHK公共放送としてさらに基本的な役割を果たし、また、国民の期待する番組提供していただくように今後とも支援申し上げていきたいと思っております。
  46. 川口幹夫

    川口参考人 世界公共放送という名前を冠せられている放送局は幾つもございますけれども、私は、日本でのNHKの存在というのは、世界でも非常に珍しいぐらいによくその機能を果たしてきたと自負をしております。  と申しますのは、アメリカでは、まず商業放送から始まったのですね。そして、後からごくごく小さな公共放送が出てきておりますけれども、ほとんど商業放送分野でいろいろなことが進められてまいりました。これに反して、イギリスの方は、BBCという公共的な放送がメーンになって進められて、日本は、そのイギリスの方の制度に大体倣って、新しい公共放送を今から七十二年前につくりました。したがって、その歴史とともに、視聴者NHKに対する信頼というものがふえてきたと私は思っております。一時、その信頼を裏切るような形の展開もありましたですけれども、それはまた今もとに返りまして、大分視聴者方々が我々を信頼してくださっているなという実感を持っております。  今後は、何が信頼のきずなかというと、やはり真実を伝えるということ、不偏不党ということ、そして教育の分野でも、あるいは社会的な影響の多い分野でも非常に意義のある放送を出し続けることができるということ、そしてまた娯楽の分野でも、民間放送とは一味変わった中身の濃いものを提供できる、そういう状況になっていると思います。ただ、これからますますその責任は重大になってまいりますので、こういう多メディア時代、多チャンネル時代の中において、公共放送が占める位置をもう少し的確なものにしたいというふうに思っております。
  47. 園田修光

    ○園田(修)委員 今、大臣と会長からお話がありました。やはり、公共放送としては、商業放送のベースでは考えられないことをやっていただかなきゃならない。先ほど熊代先生のお話の中にもありましたけれども、日本文化というものをしっかりと伝えていく、それが必要ではなかろうかと思っているところであります。今いろいろな形で政府も大変な改革をやろうとしている、そういう中で、今、文化がやはり失われつつある。と申しますのは、私の持論ですけれども、日本文化は、田舎には今現在も残っていると思いますけれども、ただ、今、マスコミの風潮にしても、田舎を軽視したことが何か多い気がいたします。  そこで、次の質問に入るわけでありますけれども、現在、NHKあるいはまた民間放送分野でもそうでありますけれども、東京を中心にした番組づくりというものがなされているような気がしてなりません。公共放送としての役割は、やはり田舎のよさや、そしてまたふるさとの今抱えている課題というものを全国ネットにわたるような放送をしていただきたい。今まで中央集権の中で都会から人や物や情報が流れている時代から、私は、二十一世紀というのは、地域の方から人も物も、あるいはまた情報も発信をできるような形、しかしながら、地域から発信をしようと思っても、地域こまその手だてがないのです。商業ベースの民間放送なんぞというのは、そういう地域の方から発信するようなものを放送してくださいません。ですから、NHKの、これからCSデジタル化、多チャンネル放送時代が始まるということでありましたけれども、そうなると、ますます、地域のそういうよさを伝える番組といいましょうか、そのようなものがもう薄くなって、少なくなってくるんじゃなかろうかと私は思っているところでありますけれども、その辺のところはNHKではどう考えられておられるのか、会長の御見解をお願いをいたします。
  48. 川口幹夫

    川口参考人 地域放送というのは、ことしの事業計画の中ではトップに持ってきております。おっしゃるとおり、これからの時代は、一方的に中央からの情報ないしは文化を送るだけのものではない、地域を大事にすることによって、地域からの声を拾い上げ、そして地域で新しい文化が起こってくる、そういうことこそ望むべきではないかというところからでございまして、特に、午後の六時十分からの五十分は完全に地域からの放送ということにしまして、その中で、単なるニュースだけじゃなくて、地域全般の経済、文化社会、あらゆることに、大事なことをその中に盛り込んでいこうというふうに思っておりまして、そういうことは、今、全国の各地域局が一生懸命になって新しい地域放送を出そうと取り組んでおりますので、恐らく、いい形に展開するのではないかと思います。  いずれにしろ、おっしゃるとおり、地域を大事にするということは日本文化を大事にするということにつながりますから、私どもも、大事にすることは今後ともずっと続けていきたいと思っております。
  49. 園田修光

    ○園田(修)委員 今、会長から、本当に温かい御答弁をいただきました。つい先日、会長とお会いする機会がありまして、会長は私と同郷の鹿児島なんです、そして、会ってすぐに鹿児島弁で話される。私は、本当に、地域を、ふるさとというものを大切にしておられる会長だなとつくづく思っておりまして、こういうすばらしい会長がおられる限りは、NHKも地域に対して温かい番組づくりをしていただけると思っておりますから、どうかよろしくお願いをいたします。  終わります。(拍手)
  50. 木村義雄

    木村委員長 竹本直一君。
  51. 竹本直一

    ○竹本委員 大阪十五区選出の竹本直一でございます。きょうは、郵政大臣及びNHK会長、お出ましてございますので、私がふだんNHK放送の中身について思っていることを述べさせていただきまして、御意見を賜りたいと思う次第でございます。  私は、BBCの「BBCワールド」という番組をいたく愛している人間でございます。二十四時間放送をまずしております。そして、番組のすべてとは言いませんけれども、相当印象深い、いわゆるNHKでいえば特集番組に当たるものがたくさんございまして、番組にのめり込むようなものも結構あるわけでございます。さすが大英帝国を誇ったイギリスのなせるわざかなと思って感心しておるわけでございます。あれと同じようなことをやれるテレビ局とすれば、我が日本ではもちろんNHKがその立場にあるとは思うわけでございますが、NHKにおかれましても、NHKスペシャルで「二十一世紀への奔流」とか、あるいは「悠久の長江」でしたか、いろいろな本当にすばらしい番組をおつくりでございます。ぜひ、こういう番組充実NHKの使命の最重点の一つとして頑張っていただきたいなと思うわけでございます。民放番組は、どうしても資金の面のいろいろな問題等もありまして、なかなかあれだけのものをつくるというわけにはいかないのではないかなというふうに思うわけでございます。  先ほど古屋先生の御質問の中に、ODA予算を使ってでも海外にこういった番組提供をすべきではないか、こういう趣旨お話がありましたが、まさにそのように私は思うわけでございます。いい番組をつくって、そしてそれを世界に広めることによって、日本文化日本人の心情、そういったものを理解していただく、その伝播役になるのがNHK公共放送としての大きい役割ではないかな、そのようこ思うわけでございます。  私が申し上げたいのは、今まで以上にこういった番組充実をしていただくためには、どのような努力をしておられるか、また、今後の展望を聞かせていただきたいと思うわけでございます。会長によろしくお願いします。
  52. 川口幹夫

    川口参考人 おっしゃるとおり、国際映像放送というのがスタートして大体二年ですが、その海外での見られ方は大分変わってまいりました。特に、外国にいらっしゃる日本人の方、それから旅行していらっしゃる日本人の方には大好評でございます。  問題は、外国人の方が日本からの情報ニュースというものをどう受けとめているかということでございまして、それは日本語というものがメーンになっている以上、ある程度しようがないのですけれども、どこかで二カ国語放送をきちんとやって、我々が伝えたいことは英語で、あるいはそのほかスペイン語で伝わるということをしなければいけないと思っております。今年度は、また予算をつけまして、九年度ですね、新しく追加しまして、二カ国語放送は強化してまいります。  これから後は、もっと多国語というのがこれから重視されるだろうと思うのです、いろんな国語が。スペイン語、あるいはブラジルだとポルトガル語でございます。それから、中国あるいはアジアの中国語人口というのは非常に多うございます。そういう言葉の問題を何とか克服して、早く日本放送世界のどこでも受けとめられるというふうにしなければいけないと思っております。  「BBCワールド」についてお話しになりましたが、私も全く同感でございまして、あそこはさすがにいい番組をたくさん持っております。それを今NHKでは、BSの中で「BBCスペシャル」という名前をつけましてすぐれた番組を紹介しておりますが、我々がつくったいい番組もなるべくいろいろな国で見てもらいたい、そういうソフトの交流をもっと盛んにすることも大きな使命の一つだというふうに思っております。
  53. 竹本直一

    ○竹本委員 海外日本文化ないしいろいろな出来事を報道する場合の伝播役としてのNHK役割でございますが、私は、今世界の現状を見ますと、英語が外国語というよりも国際語になっている、この現状を事実としてやはり認めざるを得ないんじゃないか。そうなりますと、日本の事柄を紹介するについても、英語でそれをやるということがまず今一番要求されているのではないかなというふうに思うわけであります。  外国人は、日本人のことあるいま日本文化のことを不可思議な、わかりにくいという評価をする人が結構いるわけでございますが、通ずる言葉が十分でないということが大きい原因の一つではないか。韓国では、たしか英語放送、常時英語でやっているチャンネルが二局ぐらいあると私は聞いておりますが、韓国の方は日本人に比べてやはり英語の発言は非常にきれいたし、英語にそれほどの抵抗感がない。ところが日本人は、十年あるいはそれ以上英語教育を受けるにもかかわらず、英語のしゃべるという能力にかけては非常に、世界でもまれに見るほど下手である。こういうことを考えますと、どこかのチャンネルで、これはNHKでなくてもいいのかもしれないけれども、常時英語で話すようなチャンネルがあってもいいのではないか、そのように思うわけでございます。  そして、対外的には、NHKがバイリンガルでいろいろな特集番組等の報道を、常時、できれば二十四時間やっていただきますと、それは大変な、文化理解に大きい効果を果たすのではないかなというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  54. 川口幹夫

    川口参考人 私も、実は、英語が不得手な人間の一人でございまして、私の英語は鹿児島弁とほとんど変わらないのです。大いに恐縮しているのですけれども、放送の方はこれからそういう時代になっていくだろうと思います。例えば、現在やっております短波の国際放送、それでは、英語だけのニュースだとか日本語を使わないニュースというのをやっております。これはテレビの方でも実はBSの中でやったのですが、これからどのように展開させていくか、いろいろ方法を考えて、何とかトライをしたいと思っております。  そういうふうに、言葉が国を超えてお互いに通ずるという時代がやってきましたので、私どもはそれにできるだけお役に立つようなものを提供し続けていきたい、こう思っております。
  55. 竹本直一

    ○竹本委員 ぜひともそういった面での御努力をお願いいたしたいと思います。  時間が余りございませんので、もう一点お伺いいたします。  今度は、番組のソフトの中身ではございませんで、NHKがこの放送技術に果たしておられる技術の問題でございます。  実は、私、大阪出身でございまして、二〇〇八年にぜひオリンピックを大阪に持ってきていただきたい、そう願って運動している者の一人でございますけれども、恐らくこのころには、現在の放送技術以上に相当今では予測できないようなものが発達しているのではないかなという期待をしておるのですけれども、差し当たり、来年、長野オリンピックがございます。このときにNHKとして、今までにない新しいメディアを使い、あるいは新しい技術でもって放送をやる、こういう自慢できるいろいろな品ぞろえがあるのではないかなと思いますが、その辺、御説明願えればありがたいと思います。
  56. 齊藤曉

    齊藤参考人 オリンピックはいろいろ技術研究の成果を発揮する場となっておりますけれども、お尋ねのような長野オリンピックの場合、ちょっと具体的な例で申し上げますが、非常に小型のハイビジョンカメラ、これを研究開発しております。それから、今の普通の放送とそれからハイビジョンと、スイッチ一つで、一台のカメラで間に合うようなカメラの開発も既に可能になりました。それから、スケートで、氷の中にマイクロホンを仕込んで非常に珍しい音をとる。こういった、いろいろさまざまな研究をもう具体化しておりまして、長野ではいずれも具体的に放送できると思います。
  57. 竹本直一

    ○竹本委員 ぜひそういう技術世界に示していただく中で、日本文化日本のいろいろな出来事を世界に伝えていただきたい、そして、それをできれば外国語でたくさんやっていただきたい、最後に御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  58. 木村義雄

    木村委員長 吉田六左エ門君。
  59. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 きょうはNHK会長様を初め首脳説明員の皆さんを前に質問の機会を授かりましたこと、心から感謝をします。  けさ、新潟を出まして、三国山脈を新幹線で抜けて東京へ出て参りました。皇居のお堀の周りの桜は、はやほころぶを待つがごとくということなんですけれども、新潟は、しかし雪の中なのです。上越線、ふと上を見上げますと、ああ、あんなところのアンテナで新潟へ、NHKのテレビが見られるのだな、そんな思いを強くします。日本全国あまねく津々浦々まで大変御苦労なことだと思います。そしてまたなお、物心ついて、「これこれ杉の子 起きなさい お日さま にこにこ 声かけた 声かけた」と、こんなのがNHK放送で番最初に私が耳にした一つでなかったかと思います。以来、日曜名作劇場、森繁久弥が今でもやってくれますね。また、古くは、ハチの巣の子供たち、とんがり帽子、云々と、皆さんのきょうのこの日にまで向かう努力、ちょうど私たちが育ててもらった道のりと重なります。  でありますから、私は、これから一、二質問を申し上げたいと思っていますけれども、これらはすべて、今のNHK事業、そしてその道のり、これを是とした上ででありますので、誤解のないようにひとつお聞き取りいただきたいと思います。  先ほど岸本委員も触れましたマイノリティーサービスということなのです。五百万とも六百万ともいう聴力の劣った人たち、実際には聴力の劣った人たちでなくて、今の私たちの生活がここまで多様化しますと、健常者でも字幕があってよかったと思うことが始終あるのです。十月二十日に当選させていただいて、自由民主党の部会で、これは電気通信の合同会議だったかと思いますが、平成年度予算にもこれらのことが、そして税の問題にもこれらのことの設備についてのことが話題になりました。初めて私が発言させていただいたのがこの問題でありました。思いがこもります。また、地元では、それら弱者と自分なりにいい関係でいます。この人たちのために国が、政府が、自由民主党が、もっと何かしてさしあげられたらなというような観点に立って、今まで三年間にわたって岸本先輩が言い続けてこられたという、ああやはりこういう伏線があってのことかと、きょうここで質問の、御意見の陳述を聞きながら、一つまた理解をさせていただきました。  このことについては私もこれから二枚張りで張り続けてまいりますので、先ほど大変によき御答弁を大臣あるいは会長様からちょうだいしたものですから、このことについての答弁は結構であります。これからも私もこのことに、岸本先輩先生と二枚張りでやらせていただくということを申し上げさせていただきたいと思います。  そして次に、私が申し上げたいのは、NHK、今零時十七分ですか、若干時間が違うかもしれませんけれども、日の丸がはたはたと、これでおしまいという、そして最近はペルーの大使館が出まして、そして絵が動きません。何かペルーの問題で変化があったらその都度お知らせしますというような字幕が出ます。大分世の中が変化しまして、好むと好まざるにかかわらず、夜一時、二時になって遅いものを食べて、一息ついて、寝るのが三時、四時という人たちもたくさんいるのですね。私はあまねく民放が低劣だと申し上げているわけではありません。ただ、日本のメディアの、そして公共性が最も強いと言われているNHKが留守になることが何か心配なんです。その時間は民放が放送し放題、そして仕方なくそれにチャンネルを合わせる。  こんな考えから、何とか努力をして、もちろん予算的なことなのでしょうけれども、あるいはほかにお考えもあってかもしれませんが、二十四時間の放送ができないものか、このように思いますが、見通しあるいはお考え、いかがなものでございますか。
  60. 齊藤曉

    齊藤参考人 二十四時間放送につきましては、今総合テレビで土日を中心にやっておりますけれども、九年度からはウイークデーも含めて全日二十四時間放送取り組みます。これは緊急などの災害報道になるべく早く、これは人命にかかわることですから、放送をすぐ出せる態勢を組むという目的でございますけれども、もう一つは、今お話しのように、これまで好評なものを中心に深夜の時間に改めて放送して視聴者の御要望におこたえするということで、各曜日ごとに柱立てをしながら、例えばNスペのあるシリーズをまとめて放送するとか、あるいはその日は映画を中心にやるとか、いろいろな形で深夜の時間帯を強化することを今検討しております。
  61. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 ありがとうございました。  それでは、最後にいま一つ、先輩、大勢の先生方から触れられましたけれども、やはり国際向けの放送なんです、それも私が今申し上げたいのは、英語での放送。いわゆる敏速に、正確に、そして時間とともに子細にというこの報道の原点にのっとって、どうしても日本の国はあまねく世界じゅうから正確な理解をなかなかいただきにくい、地理的関係とか、あるいは日本にだけある特別な文化を持った国ということで、難しいかもしれない、これは私の思いです。これらをやはり解決するのは今世界じゅうに多く通用するようになった英語放送だと思うのですね。「トゥデーズジャパン」という放送があります。これは主音声が英語だという、NHKでは大変に英語に強く配慮された放送と聞いております。これが四月からは週に一度になってしまう。予算のせいなのかな、あんなに外国で多くの方々に好評なのに、このように思います。いろいろと聞かせていただいた結果、そうではなくて何か多くの思いの上だと感じましたけれども、最後にこのことについて、これを補完するほかのものもたくさんこれから考えていくのだというようなことであれば、またそのような御意見を聞かせていただければ何よりありがたいと思います。
  62. 齊藤曉

    齊藤参考人 国際映像をさらにますます、年々強化していくために、NHKの組織の組み直しとかいろいろな角度から今検討をし直しております。今お話しの件もそういう中の一環としてちょっと変更いたしますけれども、しかし九年度につきましては、「ワールドデイラインジャパン」というような十五分の毎日の英語ニュース海外へ向けて新しくスタートさせるとか、年度後半には夜遅い時間に、これも英語ニュース情報を中心に約三十分ぐらいの番組を今計画しておりますということで、決して後退するという意味ではございません。
  63. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 どうもありがとうございました。
  64. 木村義雄

    木村委員長 河合正智君。
  65. 河合正智

    ○河合委員 新進党の河合正智でございます。  本日は、川口会長初めNHKの幹部の皆様方、参考人としてお越しいただきまして感謝申し上げます。  私も「ふたりっ子」を毎日見させていただいております。速いテンポと意外な展開というのは宝井馬琴を思わせるものがございます。また、オーロラ輝子さん、演じておりますのは河合美智子さんでございまして、私と同姓でございまして、またこれも声援を送っておるところでございます。  ところで、大臣、アエラの三月十七日号をごらんになりましたでしょうか。これはごらんになってなくても結構でございますが、衛星TV特集、「投げ売りハイビジョン」、BSデジタル化でうちのテレビは、ハイビジョンはどうなるか、「なぜ出遅れた郵政省NHK」「生き残りにかける地方TV局」といったタイトルで特集を組んでおります。これは要すれば、私、本日デジタル化についてお伺いさせていただきたいところでございますが、国民の皆様は、現在行われておりますハイビジョンの受像機がどうなるのか、また、アナログ放送で聞いているBS、CSの皆さんというのは、将来この郵政省の方針に従いますと家庭ではどういうことになっていくのか非常に心配しているというところがこの特集の主眼ではなかったかと思いますが、この点につきまして大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  66. 楠田修司

    ○楠田政府委員 ちょっと事実関係もございますので、御説明させていただきます。  しばしばマスコミでは、デジタル化になりますとアナログの受信機が突然にしてなくなる、こういう誤解がございます。アナログで放送されたものがデジタルになりましても、必ずある一定の期間、両方の放送をやるということになります。したがいまして、アナログ受信機が使えなくなるということはございません。  そして、両方がやる段階でデジタル放送に、アナログと同じものをやりますが、それにプラスアルファされたものがまた別途ございます。それにつきましては、アダプターをつければこれもアナログの放送でも見られるということでありまして、そういうことをある一定期間やりまして、そのうちデジタルに移っていくということでありますので、受信機がある日突然なくなるということはございません。
  67. 河合正智

    ○河合委員 ただいまの御説明は、現在の郵政省の結論として私はよく理解できます。ただ、過去の経緯を見てみますと、例えば平成五年の五月、電波監理審議会の答申におきましては、デジタル技術的に時期尚早である。これはたった四年前のことでございます。  その翌年、平成六年の二月、当時の江川郵政省放送行政局長ハイビジョン見直しの発言をされまして、これは郵政省としてデジタル化へ向けての大きなハンドルを切られたきっかけになったかと思います。  そして今回の、本年三月四日でございますが、「BS−4後発機の在り方について」というところで述べられておりますのは、諸外国、特に欧米におきましては、主な衛星放送はすべてデジタル方式である、こういうことが述べられております。  これは非常に一貫性がないといいますか、ある意味では時代の進歩に郵政省の決断が乗りおくれたといいますか、その辺のところが根本的な原因をなして国民の間にそういう戸惑いがあるのではないかと思いますが、この点については答弁は要りません。  本日は、先ほど申し上げましたように、携帯電話に私たちは体験いたしたところでございますけれども、アナログ方式からデジタル方式に大きく時代が変わっている。その中で放送通信も同じくデジタル化に向かっている。そういうことを踏まえまして、地上波デジタル化の問題につきましてお伺いさせていただきたいところでございますが、その前に、先ほど答弁いただきました件につきまして具体的にお伺いさせていただきます。  ハイビジョンの受像機、これは現在ミューズ方式で行われておりますけれども、これがデジタル化されました暁、またそれに至るサイマル化の状態でも結構でございますが、アダプターを取りつけなければいけないということでございますが、その価格というのはどのくらいでございますか。また、その負担というのはだれがするのでしょうか。
  68. 楠田修司

    ○楠田政府委員 BS放送デジタル化が二〇〇〇年以降始まるとなりますと、アナログの受信機は現在四チャンネル、BSの先発機でそのままもちろん見ることができます。かつ、後発機でデジタル化しますと、それには四つのトラポンがありまして、そのうちの一チャンネルにつきましては先発機のアナログと同じものをデジタルでやることになります。それから、あと残りの三トラポンを何らかの放送事業者が新たな放送を始めるということになります。  そうしますと、アナログでお持ちの方は、今のアナログ放送を見る限りはそのまま継続することができる。そして、あとデジタルで三つのトラポンで新たな放送が始まってまいります。これを見る場合にはアダプターをつけるか、また新たなデジタルの受信機を買わなければらないということであります。このアダプターが幾らかということでありますが、現在衛星放送を見ているのは約一千万人おられます。そうしますと、量産効果と言われますから、アダプターを、一千万全部いかないと思いますが、かなりの量産効果があるから低廉化できるのではないかというのがこの検討会の答えでございます。  ただ、これが幾らになるかということは、今のところまだ申し上げられません。わかりませんが、例えばCSを見ますと、CSのアダプター的といいますかデコーダー、こういうものは大体数万円、五万円ぐらいでありますが、これは非常に数がまだ少のうございます。ただ、一千万になりますともっと量産効果ということで、より安くすることを期待する、こういうふうな報告書になつております。
  69. 河合正智

    ○河合委員 それでは、BS、CSについてもお答えいただいたものだと判断いたしまして、地上波デジタル化の問題につきましてお伺いさせていただきます。  地上波のデジタル化によりまして、いろいろな試算がございますが、約一兆円ぐらいの負担増になるのではないかと言われておりますけれども、これはNHKとしてはどういう予算措置をお考えでございましょうか。会長、恐れ入ります。
  70. 中井盛久

    中井参考人 二〇〇〇年の地上波のデジタル放送につきましては、行政としての目標がはっきりはしたのですけれども、実際こNHK自身予算化するというところまでは、まだもう少し細かなところを詰めないと算定できません。というのは、放送のフィールド実験があったり、その実験でデジタルを出した場合に、今の放送に影響してくるのかしないのか、そういうふうなところをもっと整理して、なければ、放送の機器に全部いろいろな附帯設備をつけなければいけませんが、それをある程度間引いてできるとかできないとか、そういう計算がちょっとまだ成り立たない状況でありまして、そういうことであります。
  71. 河合正智

    ○河合委員 デジタル化を打ち出された郵政省としましては、費用の正確な試算をなされているのではないかと思いますが、大臣、その点についてお伺いさせていただきます。  あわせて、視聴者への負担増がどのくらいになるのか、お伺いさせていただきます。
  72. 楠田修司

    ○楠田政府委員 郵政省としましては、二〇〇〇年までに、デジタル化のための放送方式とか、周波数の計画とか、そういうことを決めますということを申し上げておるわけであります。それから以降、放送事業者がどのような形でするかはまだこれからの課題でありまして、それにつきましては、これから放送事業者あるいは視聴者の代表、いろいろな方に入っていただきまして、幅広く検討するということも考えております。  ただ、幾らになるかということは、そういうことで、放送方式も決まっていないということで、正確な試算はできておりません。こういう中で試算していくということになろうかと思います。
  73. 河合正智

    ○河合委員 ぜひとも国民の広い理解を得られるように議論を進めていただきたいと思います。  それから、この地上波のデジタルということに関しまして、ただいま地上波の電波というのは非常に込み合っている状況でございます。特に中国地方、四国地方においてはしかりだとお伺いしております。既存のアナログ放送とサイマル化して移行していくのかもしれませんけれども、デジタルへ移行する場合、電波の込みぐあいとの関係で、どのように移行計画をお持ちなのか、お伺いさせていただきます。
  74. 楠田修司

    ○楠田政府委員 どのように移行するかもこれからの検討会で検討するわけでありまして、そういうことをこれからやっていきます、それを二〇〇〇年までにやりましょう、こういうことであります。  ただ、申し上げたいのは、瀬戸内近辺それから関東というふうな非常に電波の稠密なところは、これは非常に厳密な調査が必要でありますし、また場合によってはデジタル化のメリットもあるわけでありまして、今混信で困っているところがデジタル化により解決されるという面もございます。そういうことも含めて、今後検討していきたいというふうに思っておるわけでございます。
  75. 河合正智

    ○河合委員 そうなっていきますと、非常に不確定な要素が多いわけでございますけれども、将来のNHKの視聴料金、これはデジタル化になった場合に、現行のままでいけるものか、それともただいまのいろいろな負担というのは視聴者料金にはね返ってくるのか、その辺のところをNHKとしてはどのようにお考えですか。または、どのような懸念をお持ちでしょうか。
  76. 中井盛久

    中井参考人 NHKとしましても、行政の方の目標がはっきりしてまいりましたので、今検討を急いでおります。しかし、先ほど来申し上げましたように、まず送信機側がどの程度お金をかけてやらなければならないのか、非常に簡単な場合、衛星のように一カ所だけかえればいいというような場合は非常に簡単にいきますけれども、あまねく聞こえるということがあくまでついていて、至るところにまで全部直していくということになれば、これはかなりの膨大な数になります。その辺の見込みがまだ立っていないために、具体的な受信料制度へのはね返りというのがどこまでいくか、問題点として大きく取り上げて今研究中でありまして、少しお答えはお待ち願いたいと思います。
  77. 河合正智

    ○河合委員 私が最初に、日本放送行政、通信行政において、郵政省の対応というのが時代の進歩に立ちおくれたのではないかと申し上げましたのは、実はこの一点にあるわけでございます。  例えば、ヨーロッパでデジタル化いたしております経緯を見ますと、むしろ産業界全体がこの問題に取り組んで、視聴者へのコストというのは極力抑えていこうという一つ考え方に立ってやっているわけでございます。日本もぜひとも、このデジタル化推進に当たりまして、視聴者の負担ということを極力低く抑えていくという、そういう全体像をきちっと持った上で臨んでいただきたいと思います。  NHKの「映像の世紀」というのを拝見して、大変感銘を受けました。今世紀、私たちは、放送文化というのは技術の進歩とともにあったのではないかと思います。二十一世紀、映像文化というのは人類の尊厳に役に立った、こう言われるように望みまして、質問を終わらせていただきます。
  78. 木村義雄

  79. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。NHK予算の特色というのは、何といっても受信料ということでございまして、受信料をよく見てみますと、カラー契約と、もう一つ、普通契約というのが書いてあるわけですよね。普通契約というのは何かというと、カラーでないものということなんですが、これが何と、衛星まで入れると、六十七万件ということでございます。私もちょっとこれ、質問はやめようと思ったのです。なぜかというと、これは割と安く、月額四百八十円違いますね、衛星でない場合は。ですから、国民の皆さんで、これだけ安くNHKの料金をやっておられる方がかなりお見えになりますので、河村たかし、とろいこと聞きやがったなと思われるといけませんからやめようと思ったのですが、しかし、やはり正論はきちっと言っていかなければいかぬだろうということで、あえて、勇気を持って発言をさせていただきます。  この六十七万件白黒テレビがあるということは、これは会長、申しわけないのですけれども、それだけあるとお思いでございましょうか。
  80. 川口幹夫

    川口参考人 少ないなという気はしました。  私も、早速営業総局の方に、この具体的な数をきちんと問うたのですけれども、NHKの契約の場合は、契約者がお申し出になった、その形のものを尊重するという契約になりますので、私のところは白黒ですよと言われると、それ以上、例えば追及したり、調べたり、踏み込んだりということは一切しませんので、認めざるを得ないというふうなことになって、それがこういう数字になっているというふうな理解をしております。
  81. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これ、ちょっと大臣に伺わなければいかぬのですけれども、郵政大臣意見とありますよね。「平成年度収支予算事業計画及び資金計画は、おおむね適当なものと認める。」これは予算の一番中核たる収入項目、これが、私みたいな者でも、えっと思うわけですよ。白黒テレビはもう五年以上前より国内で生産されていないということでございます。だから、よくこれ、「おおむね適当」なんてやれますね。どうですか。
  82. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 委員も御案内のとおり、NHK国民の、契約者というか、善意による協力によって、受信料で支えられておるわけであります。ただいま会長からお話がありましたように、白黒の製造がもうとまっておるというお話ですが、現実にまだ存在するものとして、恐らくNHKもそのように、聴視者の自己申告でありますから、この点、やむを得ないのではないかと思います。  このNHK受信料制度については、もう二十年前からここの委員会で非常に議論されたものです。何も罰則制度がなくて、しかも九割も国民の理解と協力が得られているというシステムですから、これはもう世界に抜群の制度ではないかなと私は思います。以前から、この制度には罰則をつけるべきだという意見もありましたが、そうしたことを考えるときに、現在の料金制度というのはやはり大事に守っていくべきだ、こう思っております。
  83. 河村たかし

    ○河村(た)委員 誤解してもらったらいかぬので、私は罰則をつけようなんて言っておりませんし、これは非常にいい制度なんですよ、実は。これは寄附金的な運用でございまして、これは、私、この法案が出てやっておりますけれども、NPOの寄附金控除の問題にもつながる、一人一人の善意というんですかね、志を大事にしてあげたすばらしい制度なんですよ。  だけれども、今それを信じたからええと言いましたけれども、これはちょっと幾ら何でも、これを計算しますと、この分、白黒テレビが全くなしとは私は思いません。全くなしとは思いませんけれども、仮に全部なしとしますと、三十九億円少ないわけですよ。それが今の三千五百万世帯、カラー見ておられる方ですね、割りますと、年間百十一円。だから、きょうテレビ見ておられる方はどうかわかりませんけれども、まじめにカラーテレビ払っておられる方は、年間百十一円余分に払っておることになるんですよ。だから、このくらいは大臣、気をつけてきちっとやらぬとこれはいけませんよ、今のような話では。どうですか、これは。まじめにやっておられる方はどう思いますか。
  84. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 先ほど会長からも御答弁ありましたように、御本人の善意に期待しておるのがこのNHKの聴視料でありますから、本人が白黒ですと申告されれば、上がり込んでテレビをもう一回調査するというわけには、これはなかなかいかぬだろうと思います。
  85. 河村たかし

    ○河村(た)委員 全然話にならぬですけれども、それでは。そんなことで済めば大臣なんか要らぬじゃないですか、皆さん信じておると言えば。そういうことでしょう。  だから、何も僕は罰則する必要はないけれども、これは仮に、民放だったら物すごく熱心にやると思いますよ。問題はそこなんですよ。熱心に。  私、聞きましたら、そのはがきを白黒の方に六十七万通出すと、一万返ってくるということだそうです。年間七万件ずつカラー契約に変わっていっておるということでございますけれども、もし大臣も会長さんも自分の会社で経営していたら、こんなことじゃおきませんよ。おいどうなっておるんだ、もっとしっかりやれよ、まじめにやっておる人が損じゃないか、こう言うと思うんですよね。  だから、僕が聞くところによりますと、ちょっと難視聴のところがある、実際の話。自然による難視聴は別の制度があるんですけれども、そうでない場合は、こういうので柔軟にやっておるのか。それとも、やはりNHKが、こういう非営利放送局の、実際独占ですよね、これは。だから、それゆえの、まあどう言ったらいいんですかね、ええわ、ええわという体質が原因なのか、どちらでございましょうか、これは。
  86. 菅野洋史

    ○菅野参考人 営業担当の菅野でございます。  先生おっしゃるとおり、現場では毎日契約取扱者あるいは収納取扱者が懸命に努力しておるわけでございます。年間六十数万のうち、七万ほどカラーの方へ切りかえて、この努力をさらに努めたいというふうに思っております。  それから、現場実態といたしましては、都市のビル陰等々で実際にカラーとして映像が見られない、これは難視の場合ですけれども、そういう場合に、実行上、先生おっしゃるとおり、普通契約として取り扱いをしているケースもまれにございます。  いずれにせよ、百件の契約のうち、割り算をいたしますと、一・九件ぐらい、二件弱がこういった普通契約の取り扱いになっておりますけれども、今後も先生のおっしゃる趣旨を体しまして、この圧縮に鋭意努力したいというふうに思っております。
  87. 河村たかし

    ○河村(た)委員 鋭意努力はいいんですけれども、とにかくこういう体制というのか、私は、NHKNHKで確かに番組はよ過ぎるんで、こういう非営利的なものが独占されることは問題だ、もっと寄附金を中心にした、まあコミュニティー放送なんかそうですけれども、そういうのをつくれと言っていますけれども、残念ながらまだ日本には制度がありませんから。それを今新進党が法案で出しておるんですけれども、なかなかまだ御理解いただけぬようですけれども。しかし、こういうようなことで、もう一回大臣に聞きますけれども、普通だったら、予算だったらこれはストップですよ、審議が力予算の一項目が、見るからにおかしいやつが、審議ストップだけれども、いいんですか、本当に。どういうふうにやりますか、今後。
  88. 楠田修司

    ○楠田政府委員 念のために申し上げますが、このNHK受信料の効果的な収納というのが一番大きな課題でありまして、営業費も七百億ぐらい使って年々やっておるわけです。それでもなおかつ完璧にはいかないというのは先生御指摘のとおりであります。  そういう意味で、大臣意見も一番トップに「受信料の公平負担と経営の安定化の観点から契約の締結及び受信料収納を促進するとともに、」こういうことを入れておりまして、毎年のことでありますが、これは非常に大きな課題だというふうに我々は認識しておるわけであります。
  89. 河村たかし

    ○河村(た)委員 とにかくこういう見え見えの、こんなことはわかっておることでね、何年間も。やはり正直にやりましょうよ、正直に。ですから、NHKさんもそういうことで、別に強制的に立ち入り権があるわけじゃありませんし、私もそういうのをつくってはいかぬと思いますから。だけれども、なかなかうまいこといかぬ。それはどうなんだろうかということですね。そういう権限を与えるよりも、どうも何か、これだけ巨大になって、独占体制というのは、そこに問題があるんじゃないかという気がちょっとするんで、特にそういうような独占、大きいものにはやはり務めがありますからね、会長。だから、正直にこれで苦しんでいると言ったらどうですかね、こういうのは。どうでしょうか。
  90. 川口幹夫

    川口参考人 苦しんでおります。まさに本当に、営業の苦労を聞けば、一軒一軒会ってお話をして、そして御納得の上で払っていただいているんですが、なかなか会っていただけないとか、会っても聞いてくれないとか、あるいは御理解をなかなかいただけないとかいうふうなところがまだたくさんございます。そういうところに足を棒にして地域スタッフの人たちが駆け回っているわけです。そういう苦労を考えますと、非常に私も胸が痛いんですが、やはり公平負担ということがないと受信料の原則が崩れますから、これは、今菅野が申しましたように、それこそ今後の大きな課題として認識をしまして、努力を続けてまいることをお約束いたします。
  91. 河村たかし

    ○河村(た)委員 やはりそういう雰囲気がいいんですよね。大臣もひとつ、大臣答弁じゃなくて、苦しんでおる、これはわかっていたけれども、言えなかったというぐらい言ったらどうですかね、これは。  余りくどく言っていてもしようがありませんけれども、二〇〇〇年ごろにいよいよ受信料改定でこれを一本化していくという話もあるんですけれども、それについては会長、どうですか。
  92. 川口幹夫

    川口参考人 受信料の今後というのは非常に難しい問題があります。  私は、二〇〇〇年までは値上げしないということを明言しましたけれども、それまでの間は、衛星の契約者が恐らく年々また増加するであろう、それは二〇〇〇年を過ぎたところで急に鈍化するだろうというふうな見込みを持っております。  それと、番組制作費を初めとして使う方の抑制、効率化というようなことに鋭意努力すれば、二〇〇〇年までは現行の受信料で十分いけるというふうな自信を持ったのであります。  だけれども、その後、問題は、多メディア化になり、多チャンネル化になり、そして恐らく視聴者の動向ががらりと変わってまいります。そのときに今のままでずっといけるのか、それは相当難しい問題である……(河村(た)委員「普通契約とカラーの一本化の問題です」と呼ぶ)一本化というのは、その段階で、この次の受信料改定の場合は何らかの形をつける必要があるかなと思いますが、まだそこまでは詳しく検討しておりません。
  93. 河村たかし

    ○河村(た)委員 じゃ、その問題、やめまして、次に行きますけれども、会長さんが行政改革会議委員をお務めになっておられる、政府審議会の。これは間違いございませんね。
  94. 川口幹夫

    川口参考人 間違いございません。去年の秋、十一月ごろからですか、やっております。
  95. 河村たかし

    ○河村(た)委員 放送法を見てみますと、十六条四項三号ですか、審議会、非常勤のものを除くについては事業規定もありますけれども、会長は就任してもいいということなのでございますが、しかし、それからNHKの解説委員さんが政府審議会の委員等になられる場合は、その時々、状況に応じてその是非を判断する、そういうふうに答弁されたことはありますか。
  96. 川口幹夫

    川口参考人 解説委員そのほか、アナウンサー等も入りますが、懇談会または審議会に入る場合には、部内でそのことについて当否を諮って、そして必要なものについては出る、以外は出ないというふうなことを決めております。
  97. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ところで、この行革の問題は、NHKは特殊法人中の特殊法人でございまして、それが論議に上がったことはございませんか、この審議会では。
  98. 川口幹夫

    川口参考人 これまでの会議では議題に上がったことはございません。
  99. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それは、会長がお見えになるから論議に上がらないのじゃないですか。
  100. 川口幹夫

    川口参考人 全くそういうことはないと思います。
  101. 河村たかし

    ○河村(た)委員 全くないはいいですけれども、みずからやはりこういうことを考える必要があるという意味で、必要はありませんか。
  102. 川口幹夫

    川口参考人 行革会議委員になったいきさつをお話を申し上げます。  私のところに内閣官房長官の方がお見えになって、今度行革会議というのをこしらえるので委員になってほしいというお話がありました。私は、かねてから、こういう非常に大きな、国を挙げての運動の場合は、広くたくさんの意見を集めて、その上で実行するのが一番いいとは思っておりました。今回のは、どのような形で行われるのか、私が委員になって何を期待されているのか、そういう話をいたしましたら、即座に、広いところから意見を集めたい、そしてあなたに期待するのは、決して政治あるいは経済あるいは法律、そういうものの立場からの見解ではない、言うなればこの行革をやることによってどういう変化が起こるのか、文明論的なあるいは文化史的な意味での検討をやっていただきたいのだというふうなことを申されました。それで私は、じゃ、NHK会長ではないのですかと、会長ではありません、川口個人ということでお願いをしたいということで私はお受けしたわけでございます。
  103. 河村たかし

    ○河村(た)委員 確かに法律には反しておりませんけれども、世の中、法律に反しておらなければ何をやってもいいというわけではございません。これは僕の感覚がおかしいのか何かようわかりませんけれども、先ほど答弁の中でも不偏不党と言われましたけれども、特にNHKは、内部ででも一層のより高度な不偏不党性を強調されておると思います。そういう方が政府の行革の委員、話題に出てないこと自体がまたおかしいので、これはやはり僕の感覚からするとどうもおかしいのじゃないか、みずから引くべきなんではないかなと思うのですが、僕がおかしいですか、これは。どうですか。文化ですか。
  104. 川口幹夫

    川口参考人 いろいろなお考えがあることは私も知っております。ただ、今回の行革会議委員というのは、言ってみれば、日本の国を大きく改造しなければいけない、いろいろな改革をしなければいけない時期に来ている、その改革をするためになるべくたくさんの意見を徴して、その中で一番いい形にまとめようというふうな趣旨であるというふうに私は理解しましたので、それならば委員として私の立場で、一ジャーナリストとしての経験をもとにした意見を申し上げることはいいのではないか、そう思っております。
  105. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私はどうもやはり、個々の解説委員の方ですとそれぞれその場合で考えると言って、トップと、副会長さんも別の審議会の委員になっておられるようですけれども、どうもそこら辺はしっくりいかぬのですけれども、これは次の機会に送っておきます。  それから最後に、先ほど受信料お話をちょっとしましたけれども、やはりNHKの持っている性格ですね、罰則をつけずにお金を出し合う、これはなかなか美しいものなのですよ。言ってみれば寄附金的なもので、それが全部NHKさんに集中してしまうということですね。だから先ほど、デジタル化してくる、こうなると、非常に多チャンネルになる。その場合、放送主体が今のように民放とNHK、非営利の放送局というのは二つしかありませんから、NHK放送大学しか、これだけでやっていますと、幾ら多チャンネルだと言ってもキー局がどんどん大きくなる、もしくはNHKが大きくなるということで、特にNHKの競争相手は出てきませんね、これは。  だから、ちょっとこれはお伺いしたいのだけれども、やはり寄附金を中心にした、全部寄附じゃいけませんけれども、そういう新しい非営利放送局をたくさん生んで、NHKも競争相手をつくる、そういう必要性はお感じになられませんか。どうですか、会長、お願いします。
  106. 川口幹夫

    川口参考人 公共的な内容を持つ放送局は、もっとあってもいいと思っております。そういう意味での競争があれば、お互いに切磋琢磨して、より視聴者のためにいい番組ができるかと思います。
  107. 河村たかし

    ○河村(た)委員 寄附金についてはどうですか。     〔委員長退席岸本委員長代理着席
  108. 川口幹夫

    川口参考人 寄附金というのは、今アメリカのPBSという組織は大体寄附金で賄っております。アメリカのドネーションというシステムが非常に浸透しておりますから、あそこはそれで成立しているわけですけれども、それでもなおかつやはり相当苦しい思いをしているようであります。私は、寄附金に頼る、そういう組織もあってもいいと思うし、それが本来の姿なのかもしれませんけれども、それではなかなか経営が難しいという現実はあろうかと思います。ですから、今あえてそのことについては、例えばNHKをそういうふうに変えるべきだというふうな議論にはにわかにくみしがたいものがございます。
  109. 河村たかし

    ○河村(た)委員 寄附金の重要性だけ指摘させていただいて終わりたいと思います。ありがとうございました。
  110. 岸本光造

    岸本委員長代理 赤松正雄君。
  111. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 当委員会も、始まりましてからもう二時間経過をしようとしております。私の質問には、事前には大臣の御答弁を求めておりませんので、もしよろしければ大臣、委員長も抜けられましたし、トイレ休憩なりなんなりしていただいて結構でございます。ただし、行かれた場合には、最後質問にちょっと感想を聞きたいと思っておりますけれども、どうぞ本当に御遠慮なく。朝から、デジタル化に伴って多チャンネル化が一層進んでくる、三百五チャンネル時代もすぐそこまで来ている、こういうような話がございました。それからまた、地域の放送の重要性ということもございました。また、海外に向けての放送充実、そういった点、さまざまな観点から取り上げられましたけれども、同時に私思いますことは、CATV、ケーブルテレビの発展ということが一方であり、またCS放送、そういう全国をカバーする電波の進展、つまり、全国レベルとそれから非常に細かい地域レベルと両方の面からNHKはまさに挟み打ちに遭うというか、そういう大きな放送世界における変革の流れの中で、NHKは大変に厳しい局面に迫られる。  先ほど、河村委員質問に対して、受信料の徴収という部分に主に絞ってのお話でしょうけれども、大変に厳しい、苦しいというお話会長もされました。地域放送を強化してという話がさっきありました。地域放送を強化して独自性を発揮して対応されるというけれども、そのあたりについても、いいものをつくるには人をふやさなくてはいけない、あるいはまた、お金もかけなくてはいけないということで、私は、地域放送充実と一言で言うのは簡単だけれども、現実にはなかなか難しいのじゃないかへそんなふうにも思うわけでございます。  したがって、二〇〇〇年までには何とか頑張ってスリム化させていきたいのだというお言葉でありますけれども、やがては赤字必至になって、料金アップという格好で視聴者にしわ寄せが来ることになるのではないかということを懸念するわけでございますが、そのあたりのジレンマ、この辺をどう克服されるおつもりか、会長にお伺いしたいと思います。
  112. 川口幹夫

    川口参考人 おっしゃるとおり、NHKの経営の将来というのは、決して楽観を許さない、非常に厳しい状況が来ることもあり得るというふうに思っております。  一つは、メディアが非常に多くなる、チャンネルが多くなるということの中で、NHKの価値が希少化してしまう、小さくなってしまうということがあります。それから、いわゆる商業的な方面がたくさんあるわけですから、その中で、受信料という形でお金を払って運営するという形に、大方のお客さんが、視聴者の方がなじまなくなってくる可能性もあるというぐあいに思っていまして、今後は、そういうことを十分に勘案しながら協会経営を考えていかなければいけないと思っております。  ただ、今考えられますのは、現在の制度が、非常によく考えられた制度であるというふうに思います。そして、日本国民の中に、もう七十二年にわたってNHKの存在というのが非常に強いイメージで認識されているという現状がございます。それを大事にしていって、できたら皆様からいただく受信料で賄うという形が理想だというふうには思います。  ただ、その応用問題としては、それだけではいけなくなったときにどうするのか。それでは、いわゆるペイテレビ的な放送は考えられるのか、河村先生がおっしゃった、ドネーション、寄附というものをどういうふうに頼ることができるのか、いろいろな選択肢はあると思うのですが、それは、二〇〇〇年以降の問題として常時私どもが検討しなければいけないというふうに思っております。
  113. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今会長おっしゃったような、非常に重要な局面を今迎えつつあると私も認識をいたしております。しかし、そういう流れの中で、であるがゆえに一層、NHKNHKらしい、先ほど来会長が、キーワードとしては視聴者だというお話をされておりましたし、見る方々一般国民の皆さんに喜んでいただけるような放送という観点に立って取り組んでいただきたいと思うわけです。であるがゆえに一層、より公共性、より国民的なテーマについて、問題意識を喚起する、聞いて、見て、ためになる、大いに国民的な議論を惹起する、引き起こすというふうな方向性を持った番組の編集に当たっていただきたい、こんなふうに私は考えておりまして、その観点から二、三、提案も含めてお考えを聞かせていただきたいと思います。  まず第一点目ですが、きょう、先輩諸氏、仲間の皆さんからの質問にはございませんでしたけれども、ペルーの事件がいわば膠着状態になった。聞くところによりますと、この取材に対する、あるいは放送に対する回線共有とか取材の分担とか、いろいろなテーマが民放あるいはNHKの間でも検討されたようでありますけれども、実際にはなかなか難しいという中で、既に六億円ぐらいの負担増が、今まで予想し得なかった負担が今考えられているというお話があります。長期化は免れないという予測もあって、私は、これからの流れの中で、さらに民放、NHK、共同した形で何らかのそういった合理化というものができないのかということをぜひ検討されるべきだ、こういうふうに思います。  これと直接関連しないのですが、いわゆる一つの事件、日本的あるいは国際的な事件というものに関連して、私は、九五年一月の阪神大震災について少し指摘をしたいと思います。  この阪神大震災も、四十数億に上るNHKの建物等に対する直接的な被害があって、大変な負担増であったようでありますけれども、私は、思いますのは、この阪神・淡路大震災についてのNHK報道の姿勢というものが、今日の時点で、若干一過性のものとしてとらえられているのではないかという気がいたします。今なお多くの人々が仮設住宅での非常に不便な生活を強いられている。ある意味では、まだ阪神・淡路の震災は続いている、ペルーの事件が続いているのと同じように、阪神・淡路の震災も、直接的な震度七とか五とかというのはないけれども、実際にその震災は続いている、こんなふうな言い方ができるのじゃないか、そんなふうにも思います。  北海道の奥尻とか、あるいは九州の島原ですか、あの地域の地震の場合は被災者の数も少なかったということで、一人当たりの義援金がたくさん出た。ところが、今回の阪神・淡路の大震災については、そういった部分で一人当たりの義援金が非常に少ない。そういうところから、今なお、いや、今なおというよりも、むしろ、一段と公的な支援を求める声というものが今高まっている状況であります。  こうした、この問題の本質にかんがみまして、私は、NHKの果たす役割、これをどう考えているのか、単に震災から一周年、あるいは震災から二周年というときだけにちょこっとやる程度ではまずいのではないか、こういうふうな観点から、ぜひ考え方を聞かせていただきたい、そんなふうに思います。
  114. 齊藤曉

    齊藤参考人 まず、ペルーのことについて簡単に申し上げたいと思います。  おっしゃるように、効率的というか効果的な取材体制を組むべきだということは、もうお話しのとおりであります。私ども、取材体制を発足させてから一カ月ぐらいのところで、全体をコンパクトな体制に見直すとか、回線使用の問題も非常に効果的な方法に改めたりということで、経費の節減に努めました。  民放さんとの共同取材ということについては、これは各社の編集方針もございますので簡単にはいきませんけれども、できる範囲でなるべくそういう方向も考えたいというふうには思っております。  それから、阪神・淡路大震災の件でございますけれども、これは実際に、被災地そのものは今現在復興の途上でありまして、住宅の問題、教育、被災者のケア、あるいは新しい町づくり、いろんな課題がいまだに残っております。こうした現状を引き続きフォローしながら全国にその実情をお伝えしていくというのは、復興を進める上で非常に大事なことだと思っております。  それからもう一点は、この阪神・淡路大震災でたくさんの方々が亡くなられたわけですけれども、こうしたことをむだにしないで、震災から学ぶべきこと、教訓となることも非常に多いと思います。そういう意味では、これからもそういう事態に備えて、新しい社会システムを模索するとか、あるいは住民の意識を啓蒙していく番組をつくるとか、二年たったからということではなくて、これはこの後も継続的に取り組む大きな課題だと思っています。私どもは、この二年間、「NHKスペシャル」を中心にさまざまな番組で取り組んでまいりましたけれども、この後も引き続きこれを継続課題として取り組んでいくつもりでございます。     〔岸本委員長代理退席、委員長着席〕
  115. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 先ほど申し上げましたように、この地震大国日本、昨日も東海方面で大変に大きな地震があって、新幹線が長い時間にわたってストップしたりというようなこともありましたし、これは非常に国民的な重要な課題であると思いますので、阪神・淡路から二年有余たった現状でありますけれども、永続的こ、引き続き重要なテーマとしてぜひ取り上げるべきだというふうに思います。  それから、それと関連するわけですけれども、もう一点私まお聞きしたいのです。  先ほど河村委員から受信料の件がありましたが、NHKの料金不払い運動というふうなこと、かつて歴史上、運動としてそういうことをやったグループがあるということが記憶にあるわけですけれども、現時点でそういう運動を企画してやっているというグループはあるんでしょうか。その状況について。
  116. 菅野洋史

    ○菅野参考人 番組の内容等についての御不満あるいは誤解ということもあるかと思いますけれども、一部にそういった形で受信料の不払いを唱えておられる方がおられます。そして、そういうケースについては、個別の番組について、番組担当者とも直ちに連携をとって、営業現場で御了解を得られるような理解促進活動、説得をしているところでございます。
  117. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今の問題ですけれども、私、先般、ある総合雑誌を見ておりましたら、某大学の教授が二年にわたって「NHKウォッチング」という、何というか小論を展開をしておられて、それは、今日本の論壇の中で話題になっておりますいわゆる歴史教科書論争といいますか、日本の史観、自虐史観なのかあるいは侵略史観なのかという、こういう戦後の日本の歴史観にかかわる問題について、その論者が持論を展開しておられるわけですけれども、その中で彼は、NHKがいわば自虐史観に立った偏向をしているという、こういう観点に立って、NHKに不払い運動をしようということを提案をしているわけです。  私は、NHKがいわゆる自虐史観に立った偏向をしている、そういうふうな観点には立っておりませんけれども、私は、一つ不思議に思うのは、こういった主張に対して、その論者は、NHKは真正面から答えない、幾ら言っても、会長も答えないし、だれも答えようとしない、こういうふうなことを書いておられるわけですけれども、それについて、どうして逃げているのか、あるいは避けておられるのか、真正面から答えられたらいいんじゃないか、こんなふうに思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
  118. 齊藤曉

    齊藤参考人 御承知のとおり、NHK放送法に定めます不偏不党という規定を遵守しまして、私ども、客観的な報道に努めております。少なくとも偏向というようなことがないように最大の努力を払っているつもりでございます。  御指摘のようなNHK番組についての意見も寄せられることがございますが、それに対しましては、二つの点からお答えしております。一点は、意見が対立する事項については、それぞれの論点を多角的に、わかりやすく、正確にお伝えする、もう一点は、それぞれの立場を公平に扱い、視聴者の皆さんが判断する材料として提供する、これが私どもの姿勢でございまして、そういう御理解を得るように努力しております。  それから、視聴者の幅広い御意見に対しましては、「あなたの声に答えます」というNHK番組、年間三回ぐらい放送しておりますけれども、九年度からは週一回、定時番組として時間を設けました。そういう意味では、今までよりは幅広く視聴者意見とか御質問にお答えできると思っております。
  119. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今直接的に私の質問には答えていただけなかったわけですけれども、時間が余りないので、それにこだわることはやめます。もう時間が参りました。  最後に、先ほど来申し述べておりますように、何か、一年たった、二年たった、そういうふうな記念日的な角度でとらえて大事な問題をそのときだけやるというのは、私はそろそろやめた方がいいと思います。  例えば、憲法という問題。非常に重要な時期に差しかかってきて、冷戦後新しい時代、今憲法が国民的な議論の対象として、あらゆる勢力がそういう関心を持っている。そういう憲法の問題についても、どこかの一つの角度に偏するというのではなくて、いろいろな角度から取り上げて国民的な議論の材料にしていくということが公共放送としてのNHKにとって大事な役割ではないかなという気がいたします。したがって、五月三日とかあるいは十一月というふうなそういう記念日のときだけではなくて、不断にそういった放送を展開してほしい、こういう要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  120. 木村義雄

    木村委員長 石垣一夫君。
  121. 石垣一夫

    ○石垣委員 新進党の石垣でございます。  NHK平成年度予算審議について、郵政大臣は、先ほどの説明にございましたように、事業運営の刷新、効率化の徹底ということを指摘されております。こういう観点に立ちまして質問を申し上げたいと思います。  NHKは、放送法上、非常に幅広い分野を担当しなければいかぬ。同時に、一方では視聴者の負担増を招かないような努力をやはりしなければいかぬ。こういう両立に立って経営手腕が問われるわけであります。そこで、平成年度においてオリンピック予算が計上されておりますね。平成十年二月の長野オリンピックです。これについて、久々の国内開催でありますし、非常に視聴者は冬季オリンピックのだいご味として楽しみにしているわけであります。当然、NHKが主体になって精力的に取り組むと思うのですけれども、いかに効率的に取り組むか、これが大事になってくると思うのです。そういう観点から、オリンピックの放送を例にとって、ひとつお聞きしたいと思うのです。  まず、長野オリンピック放送に要する経費、それから放送時間。さらに、いろいろと比較の基準はあると思うのですけれども、今日まで国内で開催されました例として東京オリンピック、それから札幌オリンピックとの比較、あるいはまた直近のアトランタ・オリンピックとの経費等についてもお伺いしたい。同時に、オリンピック放送への取り組みの基本的な姿勢についても、あわせてお願いしたいと思います。
  122. 齊藤曉

    齊藤参考人 オリンピック放送取り組みでございますが、まず、経費の点からちょっと具体的に申し上げます。  東京オリンピックが昭和三十九年に開催されておりますけれども、協会予算が五百六十六億円。これに対しまして、制作経費放送権料合わせて六・二億。総予算のおよそ一・一%でございます。それから、昭和四十六年、札幌のオリンピック、冬でございますが、協会予算がおよそ一千七億円。これに対しまして経費がおよそ十二億ということで、総予算に占める割合は一・二%というふうになっております。それから、アトランタの場合ですが、まだ全体計算が全部済んでおりませんけれども、協会予算に占める割合はおよそ一・六%になります。それから、長野についてでございますけれども、平成年度協会予算が六千百九億円でございますが、為替の換算等いたしまして、協会経費総額はおよそ六十八・五億と予想されております。これは、全体予算の一・一%に当たる。ということで、協会の全体予算の大体一・一%前後がこれまでの推移でございましたけれども、アトランタ以来、夏の放送権料に関しましては世界的に高騰の傾向がありまして、なかなかその辺は我々も苦慮しているところでございます。  いずれにしましても、オリンピックは最大のイベントということで、これは放送を抜きにしては考えられない、オリンピックの発展もまさに放送衛星放送と同時に発展してきたわけですが、そういう意味で、私どもは、やはりこれは最大取り組みをすべきだというふうに思っておりますけれども、数回のこれまでの大会につきましては、要員規模とか制作経費を原則として前回並みでなるべく抑えるという方向で取り組んでおります。  長野の場合につきましては、二十六年ぶりの国内開催ということで、これは全面的に私どもが国民の期待にこたえるという取り組みをせざるを得ませんし、あるいは、世界に、国際映像制作というのを私どもが、NHKと民放で請け負っておりますので、そういった意味では、取り組みはかなり分厚くしていくということになります。
  123. 石垣一夫

    ○石垣委員 平成年度事業計画の中で最大のイベントだ、このように理解するのですけれども。今も話がございましたように、大体予算総額の若干一%前後ですね。こういうことでありますけれども、今も話がございましたように、これはオリンピックの放送権料が非常に高騰してきておるということを聞いておるわけであります。昨年の新聞を見ますと、JC代表が非常に苦労されておる、こういうようなことでございますけれども、今回この放送権料をとるについては、こういう高騰の中でどういう取り組みをされたのか、ひとつ御説明願いたいと思うのですが。
  124. 齊藤曉

    齊藤参考人 オリンピックの放送権料、毎回のように著しく高騰しておりまして、これにつきましては、私どもNHKとして、機会あるごとに、オリンピックの商業化あるいはこういった異常な高騰について遺憾の意を表明して世間にアピールをしておりますけれども、実際の交渉に当たりましても、非常にハードな交渉を毎回重ねております。  私ども日本としましては、民放さんと一緒にNHKがジャパン・コンソーシアムというスタイルで一本化して交渉に当たっているという意味では、私どももかなり強い主張ができるわけですが、一方で、ヨーロッパ、アメリカの異常な高騰ぶりからしますと、なかなか思うようにいっていない。しかしその中で、シドニー以後の五回のオリンピックにつきましては、私どもは、欧米に倣いまして、今回いろいろ検討の結果、五回分の放送権料について一括して合意に達するということになりました。これは、毎回の交渉を重ねておりますと、大体四〇%から五〇%その前の大会から権料が高騰するというようなことがありますので、それを避ける意味で、こうした複数契約をすることで大体年率三%から四%の上昇に抑えられるという見通しが立ちましたので、基本的に五回分の放送権料の契約を目指してやることにいたしました。
  125. 石垣一夫

    ○石垣委員 今いろいろと御説明ございましたけれども、今日の努力ということについては理解するのですけれども、できるだけ費用をかけずに効果的な放送をやるということは、NHKに与えられた私は公共放送の使命だと思うのですね。こういう観点に立って、今、過去の大会と比較して、これから効率化に取り組む努力としてはどういうのを考えておられますか。
  126. 齊藤曉

    齊藤参考人 基本的には、今申し上げたように過去の大会並み、年々規模は大きくなります、毎回新しく冬も夏も規模としては最大のものになりますけれども、その中で私どもも、放送時間も非常にふえておりますが、にもかかわらず、一方で経費をとにかく前回あるいは前々回並みということにおさめる努力をいたしております。  長野等につきまして、アトランタもそうですが、ハイビジョンとか新しい取り組みも一方ではふえております。そういう取り組みを私どもとしては一方では強化するという使命もございますので、効果的に抑えながら、しかし非常に放送そのものも効果的にやる。両方を成立させるために、一生懸命要員とか経費については努力をしております。
  127. 石垣一夫

    ○石垣委員 引き続き経営努力をされるよう要望しておきたいと思うのです。  そこで、観点を変えまして、先ほど阪神・淡路大震災の問題がございました。二年経過いたしまして、たまたまきのう豊橋で大きな地震がございました。のど元過ぎれば熱さを忘れるということもございますけれども、災害時に備えての報道それから取材体制の整備、このことに関連して、NHK自身平成年度予算の中で七十八億という予算が計上されておりますけれども、大震災を教訓にしてどのような体制整備をなされるのか、お伺いしたいと思います。
  128. 齊藤曉

    齊藤参考人 私どもの局内の体制そのものは、この間の震災の経験を生かしていろいろ工夫をして体制を整えておりますけれども、今お話しの七十八億円余りの設備投資、実際にこれによりまして緊急報道体制がしっかりと確立されるという方向で取り組みをするつもりでおります。  具体的に一、二申し上げますと、例えば、災害現場から取材した映像が迅速に発信できる、これは車に搭載型の発信装置をつけて、それを使って全国に発信できるということで、四十三台全国に配備する、あるいは夜間の取材報道、このために高感度のカメラを放送局の屋上あるいは主要な空港等に配備いたしまして、こういう中ですぐ映像が送れるという形をつくっておりますけれども、全国でおよそれ十台、これは九年度に配備いたす方向でおります。  こういった機材面だけではなくて、いろいろ各NHKが所有しております波、テレビ、ラジオをあわせましてこれ全体を、一たん災害が発生した場合にそれぞれの波の役割をどういうふうにするのかというようなことももう既に検討を終わりまして、多角的なきちっとした放送をしようというふうに取り組んでおります。
  129. 石垣一夫

    ○石垣委員 大震災の教訓として、交通遮断の問題が大きくあったわけであります。そうなってまいりますと、被災現場でのいわゆる救急処置の重要性が改めて教訓として浮かび上がってきたわけであります。こういう問題について、NHKはどういう報道の中で取り組まれてきたのか。  今日、我が国では、いわゆる心肺の蘇生法が非常にアメリカなどよりおくれておるということが明らかになってまいりました。心肺蘇生法というのは非常に重要であります。最初の四分間で現場におる人間が心臓をもとに戻せば、当然これは蘇生するわけであります。ところが、日本ではおくれております。アメリカは、二〇%から三〇%の蘇生率を持っている。日本はわずか一%、非常に心肺蘇生法の普及がおくれておる。  こういうことで、今日のNHKでこういう重要な問題について放送された経緯はありますか、今後また、こういうことを考えておられますか。
  130. 齊藤曉

    齊藤参考人 災害だけではなくて、事故等によりましての突然死、こういったケースのいわゆる救急処置、これが非常に重要であるということは私どももよく認識しております。  事故発生時に必要な対処法を、事故例とかあるいは救命例等によりまして検証していくということは、私ども非常に大きな放送役割であるというふうに考えておりますが、心肺蘇生法、今お話しの件につきましては、いろいろな番組で直接このことに関して、あるいは関連した番組放送しております。  例えば、「生活ほっとモーニング」ここでは「生死を分ける家庭内の救急救命法」ということで具体的な取り組みを紹介しておりますし、それから「クローズアップ現代」これも「瞬間死 生死を分ける八分間」ということで、これも救急医療の重要性を啓発しております。それから「きょうの健康」「救急の手当て」、ここでは心肺蘇生法をわかりやすく紹介しておりますけれども、いずれにしましても、救急処置を啓蒙する番組はこれからますます重要だと考えております。
  131. 石垣一夫

    ○石垣委員 時間がございませんので簡単に触れましたけれども、この問題については改めて掘り下げて質問をしたいと思います。  以上で終わります。
  132. 木村義雄

    木村委員長 遠藤和良君。
  133. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 新進党の遠藤和良でございます。  話題を変えまして、質問をさせていただきます。  ことしは、日中国交回復、正常化いたしまして二十五周年でございますが、両国にとりまして大変不幸な一時期がありましたが、今後両国が互いに友好促進を図るという観点からも、両国の政治、経済に関することはもちろんでございますが、文化や、あるいは国民が今何を考えているか、どんなことに関心を持っているかということを深いレベルで理解をし合うということが大変重要だと思うのでございます。そうした観点から申し上げまして、NHKさんといたしまして、この国交正常化二十五周年に対して何か記念の番組を考えていらっしゃるかどうか。  あわせて、前回も私お聞きしたのでございますが、日本で大変好評でございました「大地の子」ですね、これは日中で合同でつくったわけでございますが、中国でもぜひ放映がされると両国の国民の理解が一層に進むのではないか、こういうふうに思いまして中国での上映についてお聞きしたところでございますが、これが進んでおりますものかどうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  134. 齊藤曉

    齊藤参考人 中国と日本の理解を深めるために、中国とはこれまで随分共同制作をさまざまな形でやってまいりました。「大地の子」もその一番大きなものでございますけれども、国交二十五周年を記念する番組につきましては、これも共同制作、中国の四川省の電視台と共同でドラマを、これは、題名は「ツアンパの味」ということになっておりますが、手術や薬では人間の心は救済されないというような話を日中共同で記念番組として取り組むことを予定しております。
  135. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そのほか、いろいろ日本で放映されまして大変共感を呼んだ番組がたくさんありますね。例えば「琉球の風」とか、いろいろNHKがすばらしい作品を残しているわけでございますが、こうしたものももし中国で放映することができれば、日本国民が、中国と日本の二千年の交流史があるんだ、そういう中でこういう深い共感を持っているんだということがよく御理解をいただけるのではないかと思いますが、もう少し大局的な観点から、日本と中国の国民的な交流を深める、そのためにNHK役割をどう考えているのかということを会長伺いたいと思います。
  136. 川口幹夫

    川口参考人 日中国交回復二十五周年というのは極めて意義のある年だと思っております。これまで、「シルクロード」を初めとしてテレビが果たしてきた日中間の交流の役割というのは大きかったんじゃないかと思いますが、今後、共同制作の番組をつくるとか、それから、お互いに取材を交換し合って、それぞれの国でまた放送してもらうとかいうふうなことを多面的にやるつもりでございます。  特に取材に関しましては、さらに強化をして、今度はまた香港が中国に編入されますので、北京と上海と香港という三つの基点を結んで取材網には万全を期したいと思っておりますし、それから、文化的な取材をできるだけ多方面にわたってやろうというふうに思っております。非常に日中間は大事な間柄だという認識をさらに強くしております。
  137. 齊藤曉

    齊藤参考人 失礼いたしました。一言だけ「大地の子」について申し上げますけれども、その後中国では、国内放送のため、字幕の吹きかえとかあるいは中国語のタイトル制作など改編作業を行われたという話は聞いておりますが、具体的に放送の日程はまだ聞いておりません。これは中国サイドのいろんな放送局の判断があろうかと思います。  以上でございます。
  138. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 準備が進んでいると理解させていただきたいと思います。  それから、特に日中のより深い理解という観点から申し上げますと、私、昨年の九月でございますが、IPUの会議が北京で開かれまして、全世界から百十八カ国の代表が集いました。私も日本の国会議員団の団長として参りまして、江沢民主席とかあるいは喬石全人代常務委員長と直接お会いをいたしましてお話をさせていただいたわけでございます。ちょうど尖閣諸島の問題がありまして日中関係が非常に厳しい時期であったのでございますが、お二方とも、日中関係は大変大切である、両国人民がより深い理解をすることが大切だ、こういうことを何度もおっしゃっておりました。  それで、特に痛感をしたのでございますが、ホテルに帰りましてテレビのチャンネルを入れますと、中国の放送は、もう深夜まで日中戦争の録画番組をやっているわけですね。日本のテレビも北京のテレビでは聞けるわけですからチャンネルを合わせますと、どこの放送局もお笑い番組ばかり、こういうふうな状態でございまして、やはり歴史に対する教育といいますか、その差が物すごく大きいものがあるような気がするのでございます。  私、会議の合間を利用させていただきまして盧溝橋の方にも参りまして、記念館にも参ったわけでございますが、中国の方々が、この日中戦争に対する歴史の教育というものが日常的に大変いろんな形で行われていることを感じたのでございますが、日本の公教育の現場で歴史教育というのはどのようにされているかといいますと、縄文式文化とか弥生式文化から歴史を学ぶものでございますから、明治維新まで来て、そして太平洋戦争等に参りますともう息切れしちゃって、余り十分時間がなくてさっと素通りしてしまうというところが大変多いように思うのでございます。私もそんな反省がありましたものですから、帰国いたしまして、柳条溝事件あるいは盧溝橋事件、あるいはパールハーバーに続く十五年戦争小史を約一カ月ほどかかって読ませていただいたわけでございますが、こうした映像教育と申しますか、近代の歴史ですね、特に戦争の歴史でございますか、そうしたものをやはりきちんとした形で放映をしていくということも公共放送たるNHKの使命ではないかな、このように考えるわけでございますが、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  139. 齊藤曉

    齊藤参考人 NHKでは、これまで、いわゆる歴史への興味、関心にこたえる番組としてはいろんな形で放送してまいりましたし、これまで残された貴重な映像を使って、事実に即していろんなことを紹介する番組放送してまいりました。例えば「映像の世紀」等は非常に大きな反響がございました。  若い世代に、おっしゃるように戦争の現実とか悲惨さとか、そういったことをきちんと伝えていくということは、私どもとしても重要な課題だというふうに思っておりまして、もう戦後五十二年になろうとしておりますけれども、私どもとしては、夏を中心に今後ともまた新しい形のそういった番組放送していきたいと思っておりますが、いずれにしましても、いわゆる歴史番組そのものだけではなくて、非常に幅広い番組の中で、人権とか平和あるいは国際理解、そういったことに理解をしていただく多角的な取り組みをしていきたいというふうに思っております。
  140. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 デジタル化とともにいわゆるチャンネルがたくさんこれからふえるわけですね。そうすると商業放送がいっぱいふえるということになるわけでございますが、その中にあって、公共放送としてのNHKというものは、大変私は重大な、重要な役割を果たさなければいけないと思うのですね。そうすると、いわゆる商業主義ではなくて、やはり公共的な使命、あるいはそうした人間の本当に知りたい正しい歴史、そうしたものを、大変費用のかかる話だと思うのですけれども、古い映像をきちっと蓄えて正確に報道する、こういうことは大変大切な役割であるし、それは商業放送にはできないNHK役割というものがあろうかと思うのですが、この多チャンネル化の中でNHKがもっと光り輝いてもらいたいと私は思うのでございますが、そうした方向性について会長はどのように考えておるか聞きたいと思います。
  141. 川口幹夫

    川口参考人 一つの例を申し上げます。  ことしの一月の元日から四日まで「映像の世紀」という番組の再々放送をやりました。時間は、一番早いところで九時半から夜中まで、遅いときは十時半から始まって夜中まで、四夜連続でやったわけですね。これは、NHK世界に、いろいろなところに史料を訪ね歩きまして、そして手に入れた映像を組み立てた、アメリカのABCと協力してつくったものですが、この番組が、あの正月の娯楽番組が盛んに編成される中で、しかも夜遅い時間に放送したのですが、しかも教育テレビという電波を使ったのですね。ところが、一番高いところでは六・〇%、真夜中としてまこれは破天荒の数字なのです。たくさんの人に四夜本当に熱心に見ていただきました。  そのときに私はつくづく思ったのですが、若い人がその番組について非常な関いをお持ちになった。それで、自分たちが知らなかった時代がここにある、自分の祖先が、自分たちの父親や母親が過ごしてきた時代というのがここにはっきり描かれている、どうして地球はこういう事件、事故の中をくぐり抜けなければいけなかったのか、そういうことをよくわからせてくれたという若い人からの手紙も大分私いただきました。ということは、映像が持っている非常に大きな迫力というもの、それと理解させる力というのは非常に強いということですね。ですから、あのような番組をつくれば、深夜であろうが、娯楽番組が横溢する正月であろうが、たくさんの人が見てくださる、しかも非常に深く受けとめていただけるということがはっきりしたわけです。  今先生、きらりと光るとおっしゃいましたけれども、私どもは、そういう番組こそ公共放送NHKがやはり何としてもやり続けていかなければいけないものだと思っておりますので、今後、頑張っていきます。
  142. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 時間が参りました。メディアと人権の問題とか、ハイビジョンのこととか、いろいろ聞きたかったのですけれども、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  143. 木村義雄

  144. 永井英慈

    ○永井委員 永井英慈でございます。  私は、いろいろな発言の機会をいただくたびごとに、このことをまず申し上げるのです。それは、世界日本も、そして政治も行政も経済も、かつて私たちが経験したことのない激動、激変の時代の、歴史的な大転換期のど真ん中にある、このことをしっかりと時代認識として持たなければいけないのではないだろうか、これがまず私の各方面での発言のイントロなのですけれども、放送通信におきましても、今ずっと議論がされておりますが、文字どおり歴史的な大転換期に直面していると思うのです。すごい時代だと私は緊張感を持って受けとめておるところでございます。  そこで、通信衛星を使って、パーフェクTVが百チャンネル、それからディレクTVが百チャンネル、ことしじゅうに始まる、そして、来年の春には百五十チャンネルのJスカイBが放送を開始するということが報ぜられております。またさらに、先ほど来からお話がございましたが、二〇〇〇年には放送開始を予定しているBS4の後発機、これもデジタル放送の方向が打ち出されておりますし、また地上放送についても二〇〇〇年を照準にデジタル化の方向が検討されておる。言ってみれば四百チャンネル近い多チャンネル時代を迎えるわけでございまして、それがたったあと三年で現実の世界になるわけでございます。  そこで、本格的なマルチメディアの時代の幕あけを告げる年が二〇〇〇年、これは歴史的な年になるのじゃないか、そんな感じがしておるわけです。そこで、そういった時代は、同時に私たちの意識とか価値観とかライフスタイルとか、そういうものの変革をかなり強烈にメディアの方から迫ってくるのじゃないかという感じがいたします。そして、それは同時に、日本の今後の興亡を左右するとも言える産業構造にも大きな変革を迫ってくるのではないか、このように考えておりまして、今までの物あるいは金、あるいは製造という時代から、新しい文明社会が開かれるような感じがしてならないわけでございます。  そこで、なぜ私がこういうことを申し上げますかというと、近くは日本の近代史あるいは戦後史、あるいは企業等々の経営の変遷などがありますね。そういうのを見てみますと、時代認識、どういう状況かという状況認識、これが極めて大事だということを痛切に感じておるわけでございまして、郵政大臣川口会長、お見えになっておりますので、この時代認識ですね、これをぜひ明確にお話しをいただきたいのです。  同時に、先ほど来からお話を伺っておりまして、二〇〇〇年、すぐそこに多チャンネル時代が来るのにたった三年です、どうも答弁を伺っておりまして、どういう時代が来る、どう社会の動向が展開していくかということがはっきり聞き取れないのです。明確に、時代認識と今後の時代の趨勢、動向について、まずお伺い申し上げます。
  145. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま先生から非常に難しい御質問をいただきましたが、現在デジタル化を中心に技術革新が急速に進んでおることはもう御案内のとおりでありまして、マルチメディア社会に向けて今後大きな変革を迎えるものと我々も認識をいたしておるわけであります。そのため、郵政省といたしましても、昨年の十月から本格放送が始まっておる衛星デジタル放送の一層の普及、そして発展に努力させていただきますが、あわせてケーブルテレビ、地上放送を含めた全放送メディアのデジタル化を推進してまいりたいと存じます。大体二〇〇〇年を目標に考えておるところであります。これらによって、より豊かで広がりのある国民生活の実現や、放送産業、関連産業の発展に伴う産業構造の改革等が期待されておるところであります。  二十一世紀に向けて、国民各層からの期待に十分こたえられるよう積極的に取り組んでまいるつもりであります。
  146. 川口幹夫

    川口参考人 先日、ある会合に出ましたときに、このデジタル時代、マルチメディア時代NHKがどう生きるんだという御質問を受けました。私はそのとき、NHKの課題はNHKですと言いました。  NHKとは何かというと、Nは中身という意味のNです。つまり、何を放送するかという中身が問題なんです。どういう放送をするかによってNHKの価値が問われます。だから、中身をまず第一に私は問題にしたい。次のHというのはハイテクノロジーです、これは英語になりますけれども。高級の技術を、今ここまで発達してきた技術を最高にフルに活用しようじゃないか。だから、そのハイテクノロジーというのを、使いようによっては全く無意味なものになったりすることもありますから、これはできるだけ有効に有利に利用することを考えよう。これがHです。それからKというのは、これはローマ字にまた返りまして、国際という意味のKでありまして、つまり、国際というのは、これからのNHKのあり方は日本の中のNHKだけではもう済まなくなっておる、国際的な意味でのNHKのあり方というのが問われる時代になりました。したがって、今やっている音声と映像国際放送を初めとして、どのような国際的な視野で仕事ができるか、それを考えることですと申し上げました。  きょうもそのことをもう一遍復習をしてお答えにしたいと思います。よろしくお願いします。
  147. 永井英慈

    ○永井委員 そこで、今までは、チャンネル資源というのは非常に少なかった、限られておりましたから、貴重な資源というか、希少な価値を持っていたわけでございます。それと同時に、ちょっと視点は変わりますけれども、マスコミは第四の権力とよく言われますけれども、そういった両視点から考えてみまして、マスメディアの集中排除ですね、チャンネル数を保有する規制と資本構成に関する規制と二つの規制があるわけですけれども、この多チャンネル・マルチメディアの時代にそういうチャンネル規制や資本規制が必要かどうか、また有効かどうか、この辺について、郵政省のお考えをまずお聞きしたいと思います。     〔委員長退席古屋委員長代理着席
  148. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のとおり、マスメディア集中排除原則というのは、これまでは、電波が有限であるということにかんがみまして、できるだけ多くの方が放送事業に参入できるということで、一つの者が所有、経営支配できる放送局を原則として一ということにしておりました。経営支配というのは、これまでは資本的に二〇%ということにしておりますから、それ以上持つのは一つしか持てない、しかし二〇%以下なら幾つか持てる、こういうことにしておりました。  しかしながら、これからデジタル、多チャンネルということで百チャンネル、二百チャンネルになってまいります。これはこのままでいいのかどうか。非常に放送も専門的になってくるということで、平成八年の二月から、CSのデジタル放送だけであれば十二チャンネル持てる、地上放送とCSデジタルを持つ場合は六チャンネル持てるということに規制緩和いたしました。これがいつまでもこうかということになりますと、それは絶対ということはございませんが、とりあえずは、現在のチャンネルの全体像から見ると適当な数字ではないかというふうに思っております。
  149. 永井英慈

    ○永井委員 そこで、もう時間がありませんので飛び飛びになりますけれども、川口会長、ちょっと席を外されておりますが、こうした多チャンネル・マルチメディアの時代放送倫理をどう確立するか、これは二十一世紀の日本の存立にかかわる、根幹にかかわる極めて重要な側面であろうと思うのです。そこで、まず郵政大臣、そして川口会長にぜひお伺いをしたいと思います。
  150. 楠田修司

    ○楠田政府委員 これから多チャンネルになりますと、非常にたくさんの放送が出てまいります。そうしますと、こういう放送が本当に公序良俗に反しない放送をちゃんとやってくれるのかということはいろいろ心配するところでありますし、また青少年保護等の問題もございます。  そういう意味で、郵政省といたしましても、この問題を非常に大きくとらえまして、懇談会等で検討してまいりました。一つは、番組向上のためにいろいろ放送会社に法的にも決められたことを守ってやっていただくということと、もう一つは、放送の倫理の問題でありますが、放送番組というのは基本的に放送法放送事業者が自由にできるということになっております。ということは、その反面、そういう放送をつくることに対しまして、非常に倫理、報道のあり方というものが問われるわけでありまして、そういう中で非常に大きな問題としてとらえております。放送事業者の中でいろいろと検討されておるというふうに承知しております。
  151. 川口幹夫

    川口参考人 放送の自由あるいは表現の自由という言葉がありますが、私は自由という言葉の裏には必ず責任というのがついていると思います。その責任というのが放送の倫理というものを規定することになるんではないか、こう思っておりまして、我々が自由を尊重すればするほど、みずからをきちんと自律的に倫理的に守っていかなければいけないものだ。そういう意味で、私どもが日常すべての職員に対して、一人一人がみずからのあり方、存在の価値というものをはっきり見詰めるようにという教育をこれからも続けていこうと思っております。
  152. 永井英慈

    ○永井委員 最後に、簡単なことなんですけれども、NHKの関連企業団体、NHKを支える企業団体、約二十社ございます。これは大変大きな役割を担っているわけですが、この財務、営業実態、こうしたものをきちっとディスクローズする、公開することが大変重要なときに来たのではないか、私はこんなふうに思っておりますので、一言お考えをお願いしたいと思います。
  153. 中井盛久

    中井参考人 NHKが関連する企業というのは、今公表しているので二十七社ございます。その中には、番組支援とか、それでなしに公益事業もありますけれども、放送番組をできるだけNHKとその関係の会社で分かち合って、分業化というのか協業化というのか、一緒になってやる部分、それから別々に努力してもらわなきゃいけない部分、分け合ってやっておりますが、いずれにいたしましても、先生のおっしゃるように、今の時代情報公開をしっかりしなきゃいけないということになっていますし、NHKが五一%放送支援のために持っている会社というのは、できる限り公開を原則にして、今までも公報等に財務内容は公表いたしております。これからも一緒になってやってまいります。
  154. 永井英慈

    ○永井委員 ありがとうございました。
  155. 古屋圭司

    古屋委員長代理 原口一博君。
  156. 原口一博

    ○原口委員 新進党の原口一博でございます。  私は、二十一世紀の私たちの目標は、民族や宗教、国家、これを超えた意識をつくることだと思います。その前に、私たちは国のアイデンティティーをつくらなければいけない、そこに放送が、メディアが果たす役割は大変大きなものがあるというふうに思います。  私は、NHKさんの報道を拝見しておりまして、大変感動したことがございました。それは、中東から、若い記者さんでございました、たしか出川さんという方だったと思いますが、戦火の中を、大変厳しい中を、冷静な報道そして事実の報道をなさっていた。あのペルーの民放のようなスタンドプレーに走ることもなく地道に報道をなさっていた、その姿勢を拝見すると、公共放送役割の大きさというものを痛感するわけであります。  そういう観点から、私は二点、郵政大臣そして参考人川口会長さんあるいはほかの参考人の皆さんに御質問したいと思います。  まず一点目は、先ほど川口会長お話しになりましたが、二〇〇〇年の地上波のデジタル化、このことは大きな意味NHKの経営に即影響を与えてくるというふうに思います。何となれば、デジタル化をするとすれば、MPEGの技術、すべてのデータ通信だけではなくてさまざまなメディアでもって映像が手に入る。とすれば、今までの受信料という考え方そのものが果たして成り立つのだろうか。見ただけをお金を払う。ここに私は郵政省さんから資料をいただきましたけれども、新たな衛星デジタルチャンネル放送事業者状況をいただいていますが、ほとんどの基本料は二百九十円、そして視聴料は二百円ですとか三百円という安い値段で見られる、そういったところと競合していかなければいけない、そのときに今までの受信料という考え方そのもので果たしてNHKさんの経営が成り立つのだろうか、そのことについて、問題意識をお尋ねしたいというふうに思います。いかがでしょうか。
  157. 川口幹夫

    川口参考人 おっしゃるとおり、地上波デジタルが実現した後の放送界というのは大分変わってくる。それから、もちろん今衛星でもって既にデジダル化が行われて大きな大きな渦巻きになっているわけですね。そうすると、二〇〇〇年がちょっと進んだ段階では、NHKの経営形態がこのままではおかしいのではないか、あるいは今の時代に合わないのではないかという考え方が当然出てくるだろうと思います。  この前も規制緩和委員会の中で、NHK受信料の問題も、特に衛星について、民放のWOWOWと正常な競争状態に置くべきだという考え方から、そういう考え方を問題点として指摘されたということがございました。ですから、私どもは、そのことに対して今からいろいろな準備をしなければいけないと思っております。  先ほどから申し上げておりますように、公共放送としてのNHKの存在が本当に必要であれば皆さんが喜んで拠出してくださるだろう、それはNHKの経営を非常に安定したものにしていくやはり第一の要件だと思いますから、私どもは、中身をすぐれたものにしようということが第一番になるのです。  ただ、そうやっていっても、どこかである時期考え方をちょっと変えないと、このままでは経営ができないということが起こるかもしれません。そのことに対しては今から十分に準備をしていこうと思っておりまして、まず、私どもは、視聴者への信頼できる回路をつくっておこうということを今一生懸命やっておりまして、そして、視聴者の皆様がどのような形でNHKのことをお考えいただくのか、そのことによって制度も変わっていってもいい、あるいは変えていくことが妥当かもしれない、そういう非常に柔軟な考え方で今後に対応していこう、こう思っております。
  158. 原口一博

    ○原口委員 大変御丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。  私はもう一つ、経営の面からお話をするとすれば、やはりこれからデジタル化になれば、日本はカーナビゲーションが一番発達していますが、車の中でもテレビが見られる、あるいまコンピューターにももうテレビが入っている。とすれば、私は、ソフトそのものも、例えば、きのうのNHKさん、私が大好きな放送の中で「生きもの地球紀行」という番組があります。この番組を、同時的に放送されているその日、その時間に見なくても、あるNHKデータベースにアクセスすれば、ペイ・パー・ビューと申しますか、料金を払ってそのソフトを見ることができる。さまざまな著作権の問題はあると思いますけれども、最大のソフトメーカーはNHKさんだと私は思います。ソフト化して、この財産を外に開く準備をなさっていただきたいと思うわけでございますが、御検討いただけますでしょうか。
  159. 川口幹夫

    川口参考人 ただいま申し上げましたことについて、ちょっと誤解されるといけませんのでつけ加えておきますが、私は別に受信料体制はもうだめだと言っているわけでは全くないのです。これは実に世界に冠たるいい制度だと思っているのです。それで今支えられているので、受信者にきちんとお返しをする回路をつくろうというのがまず第一でございます。それでもなおかつ時代の推移で新しい考え方をしなければいけないことがあるかもしれないので、検討しておこうというふうに申し上げておるのです。  そこで、ソフトの売買のことですが、実は、この前もBBCのフィリスという副会長日本に来まして、いろいろ話をしたのですけれども、BBCもまさに同じような問題に直面していまして、彼らはやはり英語のそれこそ元締めでありますから、たくさんの作品あるいは回線を通じての全世界放送というふうなことをやって、つまり、ソフトを売買していろいろな収入を上げようということを非常に大きく考えております。NHKは、不幸なことにというのか、日本語が主でありますから、BBCと同じような展開はとても無理ですが、今つくり上げるものがよければ、先ほど「映像の世紀」のことを申し上げましたが、若い人でもやはり見てくれるのです、それはいいと言ってくださるのです。ですから、いいものをつくって、そのソフトをできるだけいい形でもって皆さんにお分けして収入を得るということは、やはり必須の条件だと思っています。  ただ、残念ながら、今までの経過を見ますと、外国になかなか売れませんので、結局、副次収入というのが何十億という単位でとまって、百億を超えないのですね。この辺が非常に悩みでございますから、何とか突破口を開こうと、その方面についても格段の努力を続けていこうと思います。
  160. 原口一博

    ○原口委員 大変前向きの御答弁をいただいて、ありがとうございます。  もう一点私が指摘をさせていただきたいのは、番組審議会の話であります。  NHKさんも、番組審議会は中央と地方両方お持ちで、多士済々の方々審議委員になっておられます。大体年間十一回ぐらい開かれているというふうに聞いておりますが、その内容はどういう内容なのでしょうか。  そして、時間が限られていますから、もう一つNHKさんの審議内容についてお尋ねすると同時に、民放さんの審議内容については、これは審議会の報告の資料を私の手元にもいただいていますが、日本テレビさんで十回、TBSさんでも十回、さまざまなテレビ局で大体年間十回ぐらいされている、ところがその中の諮問はゼロである、そして意見もゼロである。実質的には審議会が果たして機能しているだろうかというような状況でありますが、NHKさんの場合はいかがなものでしょうか。     〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 齊藤曉

    齊藤参考人 私どもの番組審議会、中央と地方ともう一つ国際番審と三つございます。おっしゃるように毎月一回開催しておりまして、放送番組全般にわたって活発な議論をしていろいろ御意見をいただくという場にしておりますけれども、もう一つ大事なことは、今諮問ということをおっしゃいましたけれども、私どもは年度がわりに当たって、新しい年度にどういう番組をどういう方針で編集していくのか、この基本的なことについて番審に諮問をいたしまして、答申をいただいて、私どもがそれを生かしていくという形を行っております。  それから、いわゆる審議の内容そのものは実は非常に活発に行われておりまして、これを現場ヘフィードバックしてなるべく生かすシステムを私どもは考えております。委員の方は、学識経験者の中からお選びして、経営委員会が同意して会長が委嘱するという形でございますけれども、委員の選任につきましても、なるべくオープン化という今の時代の流れに沿って、番審の委員の方の提案とか御意見もなるべく酌み取りながら委員の選出をして、オープン化していきたいというふうに思っております。  いずれにしても、この番審をさらに強化していくという方向でつい最近改めて取り組み見直しておりますけれども、倫理に関する問題とかいろいろ、視聴者からのたくさんの意見を番審の場で私ども報告をして御意見を求めるとか、あるいは番審の審議をオープン化して放送で取り上げるなり、これまでもやっておりますけれども、きちっと議論の内容をオープンにするというようなことも含めて一層実質的な内容強化に努めております。
  162. 原口一博

    ○原口委員 私は、その中で一番問題になるのは、やはり報道というのは、一度メディアで放送されてしまえば、そこの中で扱われた人権の侵害については、長い間裁判をしてそして人権の救済をしなければいけない。私は、さまざまな苦情や人権の侵害について受け付ける、そういう機関をメディア独自でもおつくりになるべきだというふうに思います。今NHKさんと民放さんの間でそういう機関についておつくりになるというお話でありますが、いつごろまでにどんな機関をNHKさんとして、あるいは郵政省として、まあ郵政省は監督官庁でありますが、おつくりになろうというのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  163. 川口幹夫

    川口参考人 苦情処理という言葉で今言っていますけれども、これは正式名称としては、人権のような言葉を冠した委員会にするのかなと思っております。  それで、当初、郵政省でおやりになった多チャンネル時代における視聴者放送に関する懇談会の中で出てきた問題、たくさんの委員の方から第三者の苦情処理機関をつくるべきだという非常に強い御意見がありました。それで、放送事業者側は、それについてはいわゆる放送の自由、報道の自由と関係するところがあるから、できたら我々の自主性に任せてくれというふうに申し上げたのですが、その後、私も出ましていろいろお話を伺っている中で、民放の方もそれじゃそういうのをつくろうということになりました。したがって、この機関は純然たる第三者でつくろう、その委員を人選するのも評議委員会みたいな外部の人たちで選んでもらおう。つまり放送事業者の何らかの息がかかっていないという形で今つくろうとしております。  そして、各放送事業者NHK、民放に年間何百万という御意見、苦情等が来ますので、その中から特に人権とかあるいは放送法にかかわるとか大きな問題があった場合にこの委員会に訴えていただいて、そこで、第三者の機関でそのことを審議して、そして勧告という形で放送局にその答えを出すか、あるいは見解と称して出すか、どちらかにまとめてもらう。そして、そういう勧告なり見解は放送事業者側は重くこれを受けとめて、いろいろまた話し合う。それでもどうしても話し合いが分かれたら裁判に持っていっていただくことが最後的にはあるだろう、こういうふうな形になっております。  今細かい詰めをやっていますから、できたら四月の頭にでも発表して五月からスタートというぐらいになればいいなと思っておりますが、ここは民放連と細かい打ち合わせをこれからやります。
  164. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま川口会長から詳細については御報告があったとおりでありますが、多チャンネル時代に当たりましてメディアの与える社会的影響というのは極めて大きいわけであります。そういう多チャンネル化の放送を考える懇談会でしたか、名前をちょっとしっかり覚えておりませんが、その懇談会の答申によりまして、第三者機関によって苦情処理機関を設置すべきだ、こういうことになりましたが、現在、NHK、民放連の皆さん方が積極的にこのような第三者機関をつくっていただきつつあるわけでありまして、今後この処理機関の将来を我々郵政省としてもしっかり見守っていきたい、こういうように考えております。
  165. 原口一博

    ○原口委員 終わります。ありがとうございます。
  166. 木村義雄

  167. 肥田美代子

    ○肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いします。  先ほどから当委員会議論を聞いておりまして、NHKさんは受信料の徴収には大変御苦労なさっている、そういう感想を持ちました。  さて、二十一世紀を背負っていってくれるのは今の子供たちでございます。NHK受信料を将来支払っていってくれるのもこの子供たちでございます。その子供たちが大人になったときに喜んで受信料を払ってくれるような、そういう子供たちを今私たちが育てていくことがとても大切だと思うわけでございます。はっきり申し上げればNHKの未来は子供たちにかかっているわけでございますから、NHKは子供たちにこよなく愛される、そういうものでなければならないと思うわけでございます。そういうふうに考えております私といたしましては、子供の目線に立って質問をさせていただきたいと思います。  NHKが総合テレビの中で子供向けの番組をどのぐらいお持ちなのかと尋ねてみましたところ、一週間に三時間三十二分。もちろん教育テレビでは学校放送を含めてかなりの時間を割いていらっしゃいますけれども、それにしても総合テレビで三時間三十二分というのはちょっと少な過ぎる。将来の受信料の支払い手に対しては少し冷たいんじゃないかなというのが私の感想でございます。  以前は「こどもニュース」というのがございましたし、それが夕方五分とか十分とかということで毎日放送されていたようでございますが、このごろはそれがなくなっております。日曜日に今「週刊こどもニュース」というのがございます。これは大人にも子供にもなかなか評判がようございます。恐らく、難しい言葉で語らないで、本当に平易な言葉で皆さんにお伝えしている、そういうことが受けているのだと思います。  それで、お願いがございますが、要するに、こういうふうに大人の目にも、そして子供の目にもたえ得る、そういう番組を一生懸命つくっていただきたい。  今、教育現場では子供の心の荒廃が大変問題になっております。学校の先生方も、お父さんもお母さんも、この問題をどういうふうに解決しよう、子供の心の空白をどういうふうにして埋めようかということで日夜頑張っておられますけれども、やはり子供はテレビが好きでございますから、その子供たちの心に届くテレビ番組をつくっていただきたい、そして子供たちが生きていく力を体じゆうにいっぱいにため込むような、そういう番組をつくっていただきたいと私は思うのですけれども、いかがでございましょう。
  168. 齊藤曉

    齊藤参考人 今お話がございましたように、次の世代を担っていく子供たちに豊かな放送を届けるというのは非常に大事なことだと私どもも思っております。  私どもとしては、子供向けあるいは老人向け、女性向けと、大部分の番組を余り特定対象を絞らないでつくっております。例えば大河ドラマなどでも、「秀吉」については非常に小さいお子さんにもかなり喜んで見ていただきました。そういう方向で取り組みながら、一方で、お話しのように、いわゆる子供を特定して放送していく番組も重要だとは思っております。  それで、私ども教育放送を、これは生涯教育という意味でいろいろお子さんから老人まで、そういう波として位置づけておりますけれども、夕方の時間に「母と子のテレビタイム」というようなゾーンを設けて、アニメーションであるとか少年少女向けのドラマであるとか、そういったお子さんの情操教育に役立つような番組を中心に放送しております。今お話しの「週刊こどもニュース」、これもお子さん向けに、ニュースも大人ばかりではなくお子さんにも理解していただくということで、昨年から始めましたけれども、これは非常に今喜んでいただいております。  そういったことで、これからもお子さん向けの番組については非常に力を入れて取り組みたいとは思っております。
  169. 肥田美代子

    ○肥田委員 NHK番組に「漢詩紀行」という番組がございます。これは、美しい映像と心地よいナレーションでもって進められるわけですけれども、中国の古典詩を紹介してくださっているんですね。私の周りの人たちが、この「漢詩紀行」を見たことによって古典詩を読むきっかけをつくったというふうにおっしゃるんです。  今、子供たちの本離れが大変深刻な問題になっておりまして、活字離れはやはり民主主義の崩壊につながるんじゃないか、そこまで言われるわけでございますが、その原因がテレビやファミコンの普及にあるというふうに言われるわけです。  むしろ、私は思うんですが、テレビが、例えば童話と子供の文学紀行とかいうような番組をつくっていただいて、子供が本と出会う機会をつくってくださる、その本への手引きをしてくださる、そういうことをしてくださると大変助かるなというふうに思っております。  子供たちの本離れ、活字離れの原因の一つであるのがテレビである、しかし、そのテレビが子供と本の出会いの場所をつくる、ちょっと皮肉ではございますけれども、実にこれは大事なことだと思っておりますので、その辺について御意見伺いたいと思います。
  170. 齊藤曉

    齊藤参考人 子供と本の出会いの場をぜひというような御趣旨だったと思いますけれども、ちょっと具体的に御返事申し上げますが、教育テレビで、今「こどもにんぎょう劇場」というのを放送しておりますけれども、これは、古今東西の民話、名作あるいは創作童話、こういったものを題材にしておりまして、人形劇を通じて子供の豊かな感性あるいは想像力を育てることをねらいにしております。  それから、衛星第二テレビでございますけれども、「母と子の名作アニメ劇場」というのを四月からやっておりますが、「愛の若草物語」や、それから「名作をテレビで読む絵本」、これは随時編成でございます、そういったこともやっております。  また、テレビだけではなくてラジオでも、「お話でてこい」、これは名作を中心に新しい創作童話をも加えまして、音楽を織り込みながら、これは幼稚園、保育所向けに放送しております。  今後とも、そういった本との出会いを積極的に提供するような放送はしていきたいと思っております。
  171. 肥田美代子

    ○肥田委員 大臣は、視聴覚障害者向けの字幕放送拡充について意見を出されました。  実は、一九九四年、国内で批准されました子どもの権利条約、ここには、すべての子供たちが情報へのアクセス権を持っているというふうに定められております。NHK番組にアクセスできる権利もすべての子供が持っているわけでございます。ですから、番組は、可能な限り速やかに字幕放送や手話を取り入れて視聴覚障害児がNHKに親しみを持てるようごしていただきたい、そう願います。  それからもう一つ、子どもの権利条約では、子供の意見表明権というのが保障されております。NHK番組制作の際に、今後、もっともっと子供のみずみずしい感性や新鮮な考え方を聞き入れて番組をつくっていただきたいと思うんです。例えばNHK番組子供モニターというようなものをつくって、これからどんどん子供の意見を聞いていく、そういうふうにはならないものかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  172. 齊藤曉

    齊藤参考人 今現在は、NHK番組の子供モニターというのはシステムとしてやっておりませんけれども、いずれにしても、お子さんの意向をきちっと把握するというのは非常に大事なことだと思っておりまして、いろんな場でお子さんの意向の収集には努めております。毎日電話や投書でもお子さんのいろいろな御意見や御質問が来ておりますけれども、これにきちんとお答えしておりますが、そのほかに、例えば「週刊こどもニュース」、こういったところでは、いわゆる会員を募集して、今は五百人ぐらいでしょうか、正確には数は忘れましたが、そこでお子さんたちの意見を聞くとかいろんな意向をくみ上げるシステムをつくっております。  それから、NHKでは、いろんな公開、触れ合いの場を設定しておりますけれども、スタジオパークという公開の施設がございますが、ここには小学校のお子さんたちがたくさん来ます。  それから、大型車に放送機材を積んで、そこで番組体験をお子さんにやっていただくというようなことを考えて、これは全国巡回しておりますけれども、こういったところでお子さんとの触れ合いの場を積極的にやりまして、そこでお子さん方の意見をいろんな形でくみ上げるという努力もしております。
  173. 肥田美代子

    ○肥田委員 五月五日は、新しい憲法が公布されてちょうど五十周年、そして、五月二十日は、新憲法になって参議院が初めて召集されてから五十年目に当たります。国会では、この歴史的な年を記念いたしまして、夏休みに政治と子供をつなぐ子ども国会を開催しようと、これは超党派でございますけれども、現在その準備に当たっております。子供たちが本会議の席に座り大臣に質問するのは、恐らく憲政史上初めてのことだと思います。堀之内郵政大臣も当日は子供たちの質問をお受けになることになると思います。  そこで、この子ども国会について大臣の御見解を伺いたいんですが、あわせまして、その後、会長にもお伺いしたいんです。  この子ども国会を全国の子供たちの手で成功させたい、そのためには、事前に、いろんな番組を通じましてこの子ども国会があることを宣伝してほしいわけです。それから二つ目には、子ども国会が開かれるその当日は、大人の国会と同じように全国に中継放送をしていただきたいと思うんですね。そうして、もう国じゅうの子供たちが子ども国会に向けて熱い目を集めるように、そういうふうにしたいと思うんです。  それで、これはさっきも申し上げましたが、議院の総意によってつくられたといいますか、催される子ども国会でございますので、不偏不党のNHKの仕事としては大変有意義なことだと思いますので、ぜひ大いなる御協力をいただきたいとお願い申し上げたいと思います。川口会長の好意的なお答えを期待いたしまして、私の質問を終わります。  大臣と会長に御答弁よろしくお願いします。
  174. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 突然の質問でございますが、子供のころから民主主義のあり方を学ぶということは、これはもう大切なことで、したがって、そういう意味では、この子ども国会を計画をされるということは大変結構なことだと思います。  放送の問題については、会長からお話があると思います。
  175. 川口幹夫

    川口参考人 この場で好意的にやりますとお答えしたいんですけれども、放送をするには編成の問題というのがありまして、これから帰りまして、局内で今のお話をもとにしてデータを集めて、実際上どういうことが行われるのか取材をした上で決めたいと思います。決して否定的でございませんから……。
  176. 肥田美代子

    ○肥田委員 ありがとうございます。終わります。
  177. 木村義雄

    木村委員長 北村哲男君。
  178. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  テレビメディアは、今人々の暮らしに不可欠のものとなっております。それだけに社会的に大きな影響力を持ち、それと同時に、放送業者の社会的責任が大きく求められております。その中で際立ってその責任が問題となったのが、松本サリン事件であり、またTBSの坂本弁護士のビデオの問題であります。このように、マスコミ報道によって罪のない市民が回復しがたい人権侵害を受けている例が少なからず起こっておるし、また、多チャンネル時代を迎えて、ますます起こり得ることだと思います。  こうした事態に対処するために、いわばマスコミ報道による被害者の救済を図るためのシステムづくりが急務だと考えます。このためには、まず放送業者がみずからの誠意を持って解決に当たることが望ましいことは言うまでもありませんけれども、しかし、それでも解決が困難な場合には、第三者的な機関が仲介役を担うことも権利救済のために有効な方法だと考えられます。  この仲介役の性格ですけれども、既に先ほど原口委員からも質問がありましたけれども、一つには、法律によって公共的な機関をつくるべしとの意見もございます。しかし、私は、こうした意見は表現の自由あるいは報道の自由といった憲法上の基本的な権利との関係から好ましいとは考えておりません。可能な限り、行政権力あるいは政治権力を排して、放送界視聴者及び市民が共同して、市民社会の自律的な力で権利救済が図られるべきであると考えております。  ところで、先ほどもNHK会長がお答えになりましたけれども、今、NHKと民放連との間で第三者機関の設置についての検討が進められておると聞いておりますが、先ほどのお答えで概要はわかりましたけれども、特に人権侵害をどう救済するのかという点、その切り口で御説明をいただきたいと思います。経過と説明をいただきたいと思います。
  179. 川口幹夫

    川口参考人 NHKと民放連が一緒になりまして放送倫理綱領というのをこしらえました。その倫理綱領の中のポイントは、やはり人権侵害に対してどう対処するか、ふだんからどのように人権を考えるかということでございました。  その中で、両会長の並んだところで会見をやったのですが、一番はっきり申し上げたのは、もし間違いを起こしたら訂正する、訂正するのに臆病であってはいけないというふうなことを私どもはつけ加えました。ということは、ともすれば、一種の権威とか、何か体面を繕うとかいうことのために一つの人権を侵害してしまって知らぬ顔をしているということが起こりがちなんですね。ですから、これについては、間違えたら訂正をするということを、これに臆病であってはならないという一句をつけたのです。それぐらいに今後の人権問題というのは大事だと思っておりまして、先ほども申し上げましたが、そういう第三者的な機関も、そういう意味放送事業者に対してはきちんと見解を出し、物によっては勧告をし、人々の人権を守るということについては非常に強く臨んでいただきたいと私どもは思っております。
  180. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 第三者機関の必要性については、いわゆる多チャンネル懇の報告の中にも記載があります。表現の自由あるいは報道の自由を最大限に尊重する立場に立てば、法律に基づく公共機関を設置することは望ましいことではないというのが私の考え方ですけれども、今、NHKからの説明があったように、今般、NHKと民放連が一緒になって中間的な第三者機関をつくるような方向であります。  今まで、椿発言に端を発して、ああいう政治的偏向のある報道とかあるいは極めて強い人権侵害を防ぐためには、公共的なあるいは法律に基づく第三者機関が必要だという意見がかなり強かったと思うのですけれども、この意見はもう後退したとしていいんでしょうか。あるいは郵政省としては、それについてどういうお考えを持っておられるのか、今のNHKさんあるいは民放の考え方に対して、どういうお考えに立っておられるのかについて御説明をいただきたいと思います。大臣にお願いします。
  181. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 この第三者機関の設置についてでありますが、先ほど委員からもお話ありましたように、多チャンネル時代における視聴者放送に関する懇談会、この懇談会からの答申にあったわけでありますが、とりあえずは、こうした人権を守る、あるいは苦情処理をするということについてま放送業者の自主的な第三者機関が一番適当であろう、こういうことに私ども郵政当局でも判断をいたしまして、その方向に今は進めております。  しかし一部では、今度放送法改正で、番組編成のあり方について、放送番組改正について一部改正をお願いするわけですが、そのときにも、いろいろ意見のあった中では、この第三者機関を法的にすべきだというような御意見もありましたが、私どもはとりあえず、放送業者のこうした自主的な判断に、第三者機関によってこうした救済が可能であれば一番ベターだということで、今回はそうした放送業者の自主的な判断を見守っておるところであります。
  182. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ぜひこの点につきましては、なるべく政府あるいは行政の介入がないよう、自主的な方向に進めるべきが私は理想だと思っております。  しかし、今私たちが緊急に解決を迫られている問題は、マスコミによって侵害された市民の名誉、プライバシーの権利救済をいかにするかということだと思います。  しかし、多チャンネル懇やNHKあるいは民放連の考えている機構を見ますと、これは、例えば私の手元にあるのは「「苦情対応機関」の概要」というふうな形で出ておりまして、苦情一般の処理という形になって、被害救済のシステムや、ルールとしての性格がなかなか見えにくい。今私の手元にあるものについては、見えにくいものになっております。したがって、市民が容易に依拠できて、かつ有効に被害者救済を果たせるというシステムの整備にこの第三者機関は集中すべきだと思います。  したがって、例えば、仮の名前でありますけれども、「苦情対応機関」などという、これはイギリスのBBCの関係の直訳の言葉だと思うのですけれども、そういうふうな言葉はやめまして、人権侵害に対する救済のための機関というふうに、はっきりとしたネーミングを打ち出すというふうなことも考えていただきたいと思います。それと同時に、この第三者機関が正確に事案を把握して、事実調査をした上で一定の判断を下すという一つの、裁定機関とは言わないまでも、それに近いシステムが必要だろうと思います。  今検討されている、先ほど会長の御説明のあった委員七名とか、あるいは今のこの概要にあります事務局八名程度の体制ですと、事実調査すらできない、ただ事務局があるだけという形になりそうな気がします。それで、政治権力あるいは行政権力の介入を避けて、報道の自由への慎重な配慮を前提として、市民が容易に依拠でき、かつ有効に権利救済を果たせるというシステムにするには、七人の委員のもとに専門のスタッフを置いて、例えば労働委員会がやっているような形で事実調査ができるような形にして、独自の立場で調査と判断を下せる組織を考えるべきだと思いますけれども、会長はいかがお考えでしょうか。
  183. 川口幹夫

    川口参考人 まず名前の問題ですが、確かに、イギリスで行われている苦情処理という、そのまま直訳した名前でございますので、これはふさわしくないと思っています。したがって、正式の名前は人権という言葉を入れた方がいいのではない、か、まだ最終的には詰めができておりませんが、そういうふうに考えております。  それからスタッフでございますけれども、私どもが今想定している中では、大体七、八名の事務局で済むんじゃないかと思っておりまして、もし必要があれば臨時に増員しても構わないというふうには思いますが、コンスタントなスタッフとして余りたくさんの人を置くのはどうでしょうか、実際上難しいかなと思っていますが、これもやってみまして、もしそういう必要があれば柔軟な対応をしたいと思っております。
  184. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 この組織の「苦情対応の基本的な考え方」を見ますと、これはいわゆる多チャンネル懇の最終報告書と同じに、放送法令あるいは番組基準にかかわる重大な苦情、特に権利侵害にかかわる苦情ということがあります。その後が大事なんですが、委員会は、審理の結果を勧告、見解としてまとめ、それを当事者に提示する、そしてこれを公表するというふうなことが書いてあります。  私はこれを見まして、そうすると、このシステムによると、被害者の権利回復は一体どういうふうにされるのだろうか。報道機関に対して勧告をし、そして世間に公表する。人権救済というふうに会長は今おっしゃった。では、被害を受けたその人はどういうふうにして権利救済をされるのでしょうか。報道機関をいさめることはできると思います。しかし、救済にはならないのではないでしょうか。そのあたり、勧告の内容とかその中身が問題になるのかもしれませんけれども、それはどのようにイメージすればいいのか、どういうふうに考えておられるのかを教えていただきたいと思います。
  185. 川口幹夫

    川口参考人 まだ成文化しておりませんのできちんとは申し上げられませんが、その見解ないしは勧告が出ましたらそれに従って放送事業者はいろいろな措置をする。つまり、放送側の方に落ち度があったらそれは被害者に対して謝罪をするとか、あるいは何か被害者が望むような救済のおぜん立てをいろいろ考えたいというふうに思っておりまして、この辺は、言葉の上でどのような文言にするかまだはっきり詰めておりませんが、その方針でございます。
  186. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 特にこの組織をつくるについては、被害者の権利回復という点については非常に注意をしていただきたいと思いますと同時に、自主的、自律的な解決ということになりますと、自己に厳しくというのですから、自律的な制裁というふうなことも考えておられるのでしょうか。
  187. 川口幹夫

    川口参考人 当然苦情は外から放送事業者に対して寄せられるわけですから、謝るあるいは反省する、謝罪するということは放送事業者側の責任でやりたいと思います。
  188. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 ちょっと私の質問が足りなかったのかもしれません。  例えば、私は弁護士会に所属しておるのですけれども、弁護士が市民に対して被害を与えた場合は弁護士に対する制裁が弁護士会からあります。最高は除名です。この権利救済、それはひいては後々の被害を防止するという意味があると思うのですけれども、放送業者に対する自律的な制裁ということは、この機関としては範囲に入っているのでしょうか。
  189. 川口幹夫

    川口参考人 その辺もまだ細かく詰めておりませんけれども、当然のように放送事業者の側で、みずからに対して厳しくしなければいけないという基本的な項目があります。ですから、その意味でいうと、例えばそのことを訴えられた放送事業者の方が何らかの責任をとる、これは人事的なものかあるいは金銭的なものか、そのほかにいろいろありましょうけれども、きちんとした対応をして、そのことを例えば新聞とかもちろんみずからの放送でも公表することによって、世間には納得していただくというふうな方向をとることになると思います。
  190. 北村哲男

    ○北村(哲)委員 どうもありがとうございました。私の質問を終わります。
  191. 木村義雄

    木村委員長 伊藤忠治君。
  192. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 民主党の伊藤でございます。  地上波テレビ放送デジタル化問題についてお伺いをしたいと思うのです。今月の十日に郵政省が、地上波テレビ放送デジタル化を二〇〇〇年から二〇〇五年の間に導入をするというふうな従来の方針を前倒しして二〇〇〇年以前に導入する、こういうふうに急遽方針を変更されたわけですが、非常に唐突に感じているわけでして、なぜ急がなければいかぬのかなと私は疑問を持っています。といいますのは、BS放送などだったら特定の視聴者に限られるわけですが、地上波ということになれば、これはもうだれもがテレビを見るということが前提になりますから、テレビを持っている人々すべてにかかわる問題だと私は思うのです。  ですから、圧倒的多数の視聴者、言いかえれば国民へも大きな影響を与えると思いますし、そういう意味では非常に重要な問題だと思っているのです。ですから、一方的に郵政省が方針を変える、そのことの及ぼす影響が全国民的な範囲に広がるというのだったら、私は与える影響が非常に大きいと思いますから、国民的な合意がむしろ必要な事柄ではないのかな、こう思っています。  以下、理由について三点申し上げますが、質問も入っておりますのでお答えをいただきたいと思います。  まずその第一点。地上波のデジタル化を急いでやる。世の中の技術の進歩だということはわかっているのですが、それを前提にしましてもなおかつデジタル化を急いで、一体だれが得をするのかという観点から見てみますと、視聴者はどうなんでしょうか。デジタル放送を見ようと思えば、当然アダプターをつけなければいけませんし、それにはお金がかかります。大量生産だからコストは下がる、当たり前の話ですが、現在だったら見えるものが、デジタル化されるおかげでそのアダプターの分は払わなければテレビが見えなくなるわけです。もちろん十年間ぐらいはサイマルで移行措置があるのでしょうが、結局買いかえなければいけない。あるいはそれが不可能だったら附属器をつけなさいということになります。  一方で放送事業者ですが、一つ放送局で最低でも数千億円は設備投資が必要だと言われております。いや、そんなにかかりませんと郵政省が言われるのだったら、ここではっきりしてほしいと思うのです。これはかなりの設備投資、お金がかかるのですが、そうなりますと、これは当然NHKとしても受信料の値上げというところへ行かざるを得ないのではないですか。民放だってコマーシャルで賄えるということについても限界が出てくるのではなかろうか、私はそういうふうに思うのです。すると放送事業者も非常に厳しくなる。  あと、メーカーの方はどうか。端末をつくっている、テレビをつくっている電機メーカーの方はどうかといいますと、これは二十一世紀の目玉商品で、つまりテレビ市場というのは年間一千万台を超えているわけですから、それを全部買いかえるとなったらこれは大変メリットがある。  視聴者は負担を強いられる、放送事業者も負担を強いられる、電機メーカーは非常にもうかる、言葉は悪いですがそうだと思うのです。これは二十一世紀の目玉商品、よかったよかったということになって大量生産ということになっていきます。こういう点で大変影響が大きいわけです。  例えばNHKに関することを、NHKだけに限らないと思いますが、放送事業者設備投資がどうにもならぬから、これは国際的な時流なので公的資金で補助をしましょう、設備投資を促進する、ためにひとつ税金で補助しましょう。私は、大変問題だと思っておるのです。そういう事態が起きるのではないかと私は思っています。それはもう御免こうむりたい、それは自助努力でやっていただきたい、できる範囲でやっていただきたい、私は、このことをこの際はっきり申し上げておきたいと思うのです。  でなければ、国民が全然参加していない中でこのことを切りかえられることによって、視聴者全体に、言うならば大変な負担が自動的にかかるわけです。私は見たいと思っても、端末を買わなければ見えないわけです。ある意味では影響が強制的に及ぼされるわけですから、その点ははっきり申し上げておきたい。  このことについてNHKはどうお考えなのか、郵政省はどうお考えなのか、時間がございませんので、まず端的に御答弁をいただきたいと思います。
  193. 楠田修司

    ○楠田政府委員 地上放送デジタル化につきましては、昨年五月の電気通信審議会から答申をいただきました計画の中で、二〇〇〇年から二〇〇五年の間と決まっておりました。しかしながら、二〇〇〇年から二〇〇五年といっても、一体いつなんだということは前から議論があったところでございます、二〇〇五年なのか二〇〇〇年なのか。  そういう中で、現在取り巻く環境、BSもデジタルという方向が決まりました。世界ではアメリカ、ヨーロッパ等でも始まろうとしております。それから国内でも、デジタル化というのは将来避けられない。こういう中で、行政として、この二〇〇〇年というポイントにおいて技術基準であるとか放送方式であるとか、そういうものを定めます、こういうことを申し上げたわけであります。そしてそれに向かって、では今度はどういう問題が起こるか。これは非常に先生御指摘のような問題がありますから、それを広く民間放送事業者視聴者代表、いろいろ聞きまして、検討していこうということであります。極端に言いますと、二〇〇〇年から全部一斉に始まるというものではございません。それは一つのポイントであるというふうに御承知願いたいと思います。  それからもう一つ、先ほど数千億という話がありましたが、これは全然まだわかりません。かつ現在言われておるこの数千億も、デジタルにして全部の放送会社のお金が大体数千億だということで、一社で数千億という数字ではございません。  それから、放送事業者がなぜ急ぐ必要があるかということになりますと、いずれ通信放送の融合がありまして、これがデジタルになるという中で今おくれますと、それはどんどんおくれていくということになります。したがいまして、アナログとデジタルのサイマルを同時にやりながらデジタル化の方向を図っていくというのは、大体ほとんどの放送事業者あるいはメーカー、我々、そしてそれがひいては視聴者全体の利益になるというふうに考えられる、私はこういうふうに思っておりますので、お答え申し上げた次第であります。
  194. 中井盛久

    中井参考人 NHKとしての態度でございますが、NHKといたしましては、先生御指摘のような種々放送局側にも問題があることはここで指摘できると思います。しかしながら、一応行政として二〇〇〇年をめどにそういう方向づけで目標としてやっていきたいということを示されておりますので、NHKとしても今具体的なこれからの取り組みというものを検討していきたい、こういうふうに思っております。  ただ、何よりも大事なのは、やはり視聴者の受信機の買いかえということが必要でありますから、それでなければ見えませんので。したがって、この視聴者の受益が第一であろう。したがって、そこをどういうふうに詰めていくのがいいのかということで、予算措置等についてもまだこれから具体的に検討する段階であります。
  195. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 放送行政局の立場からすればそういうことになると思うのですが、これは方針というか、政策として決めて、縛り込んで、このときまでには全部やれよというような厳しいものなのですか。なかなかそう簡単にいかないと僕は思っているのですよ。ですから、流れはわかっているのですが、まとめて統一的にやろうというのは大変無理があるし、いろいろとハレーションが起こるだろうということを僕は言っているので、そこのところは視聴者も納得するような格好でやらないと、これのもたらす影響というのは非常に大きいと思っているのです。  最後、時間がありませんからもう一点だけ言いますが、局長さんは多チャンネル化ということをデジタルで物すごく強調されますよね。私は物すごく疑問を持っているわけですよ。聞くところによると、三百チャンネル超えるのですか、CSも含めて全部開花する段階になると非常にチャンネルがふえるというのですが、チャンネルがふえるというのは、レストランに例えたら、それなりの料理を食べさせるなというレストランが、メニューがふえた途端に味が落ちるというのと一緒ですよ。放送文化の次元からいいますと、非常にこれははっきりしているのですよ。専門放送になれば、当然それは細分化されていきますし、視聴者がはっきり把握できるわけですから。そうすると、大体採算に合うか合わないかというのは皆わかるのですよ、これはキー局にしてみれば。そうしたら、きのうまで映っていたテレビ番組がころっと変わるのですよ。  ですから、これは、チャンネルがふえるのはいいことばかりじゃないのです。むしろマイナスの面というのは非常に出るわけです。あるいは放送文化の面から見ても、これは水準が上がるということじゃなくて、むしろ薄められていく。あるいはおもしろおかしいチャンネル提供しないことには見てくれない、視聴率がやはり寄ってこないということになりますから、採算がとれないということになっちゃうわけです。悪循環をたどりますので、そういう点も強調されないと、何かいい面ばかり言われたら、ああそうなるのか。私は影の部分があると思いますので、その辺も大臣なんかはどうお考えなのか、時間がございませんから一言聞かせていただきたいと思いますが、その辺もしっかり踏まえてやっていただきたいな、こういうふうに思います。どうでしょうか。
  196. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のように、確かに多チャンネル化になりますと必ずしもいいことだけではない、非常に番組の問題等で劣化するものが出てくるということは御承知のとおりでございます。  そういうようなことの対応も別途やらなくてはなりませんが、デジタル化によって多チャンネル化するということは、それだけ視聴者の選択の幅もふえてまいります。かつ衛星放送等で多チャンネル化した場合に地上放送だけアナログでおっていいのか、これはアナログでずっとやり続けられるのかという問題がございます。そうしますと、やはり行政としてできるだけ早く準備だけは進めておきたい、これは当然のことであります。あと、その中でどのように放送事業者がスタートをされるかというのは、これから視聴者意見を聞き、かつ放送事業者意見を聞き、メーカーの意見を聞き、学者の意見を聞く、いろいろな形で進めていくというのは私は当然であろうと思っております。
  197. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いずれにしても、議論はしっかりやって、お互いに理解し合ってやっていけるようにしなきゃいかぬと思いますので、きょうのところは時間の関係議論が足りませんが、引き続き私も議論に参加をさせていただきたいと思います。  以上、終わります。
  198. 木村義雄

    木村委員長 石井郁子君。
  199. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  来年度予算最大の問題は、消費税増税分を転嫁することによる受信料の値上げたと思うわけでございますが、まずこの問題で伺います。  五%への税率アップは、さきの総選挙での公約違反という点でも、また経済白書でさえ異常と言うほどの長期にわたる低成長のもとでの大増税という点でも絶対に許されないことであり、日本経済のかじ取りを誤るものです。しかも、多くの国民が今なお強い反対を持っている中で押し切られようとしているわけであります。  NHKが昨年十二月に実施いたしました「くらしと政治」の世論調査がございますけれども、消費税率については引き上げるべきではないとした人が五六・三%でした。やむを得ないという方が三〇%ですから、二倍近くに上っているわけであります。これが国民の意思でありまして、日本共産党は消費税の税率アップに反対を貫くものであります。  同時に、受信料が消費税増税分値上げされるということは、受信料の基本にかかわる問題だというふうに思います。  言うまでもなく、受信料NHK放送サービスの対価ではありません。公共放送であるNHKを財政的に国民全体で支えるという趣旨の制度であります。政府NHKも、この受信料を、特殊な負担金という言い方で、放送サービスに対する料金ではないと説明をしてきました。一方消費税は、その名前のとおり消費とサービスの対価に課税する税金であります。放送サービスの対価でない受信料サービスの対価に課税する消費税がかかる、これは根本的に矛盾することではありませんか。  NHKは、消費税導入時から、受信料放送サービスの対価ではないので消費税が課税されるのはおかしいと言ってきました。例えば前の会長の島さんは、私どもといたしましてはあくまでNHK受信料は消費税の対象にならないという考え方で当初おりまして、これは関係各方面に強く働きかけましたとか、NHK受信料についての消費税はなくしてもらいたいという気持ちはあるかという質問に対しまして、そういう希望は持っておりますけれども国会の意思で決まる問題という答弁をされているわけです。この見解は現在も変わらないでしょうか。     〔委員長退席熊代委員長代理着席
  200. 中井盛久

    中井参考人 島会長答弁を引用されましたけれども、消費税そのものについては、これはどちらかというと前会長が言われているような範疇に入ると思っております。  ただし、今、ことしのこの予算においては、既に放送サービスに類似するものという政府の判断が出まして、既に三%の消費税は今現在入っております。それのなお二%、五%にしたということでありまして、そういう改定をさせていただいたということであります。
  201. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 NHKとしまして、受信料にかかる消費税を納税しなければならないということはあるかと思います。この点で言えば、すべての業者に共通することであります。  しかし、このことと、サービスの対価ではない受信料を消費税の対象にするのはやはりおかしい、こういう正論を言い続けることや、また課税対象としている税務当局に改善を求め続けるということとはやはり次元の違う問題だというふうに思うわけです。既に今三%が決められているというお話ですけれども、受信料への消費税の課税というのは、消費税法の中にあるのではありません、消費税法施行令、つまり政令で決められているわけです。ですから、消費税の対象になるべきでない受信料がこうした政令によって課税対象となったのは御存じのとおりでございまして、売上税失敗の教訓から、当時の竹下内閣が、非課税品目をつくらない、こういう強引な姿勢で臨んだというふうに言われているとおりであります。NHK受信料を非課税にすれば民放や新聞も非課税にしろということになるわけでして、こういう政治的な戦略の犠牲にやはり受信料がさらされたのではないかというふうに思うわけです。  会長に改めて伺いますけれども、こういう受信料への消費税の課税は不合理だという認識はお持ちでしょうか、また、受信料への課税はなくしてもらいたい、そういう希望は今でもお持ちかどうか、ぜひ伺いたいと思います。
  202. 川口幹夫

    川口参考人 島会長がそのような発言をしたことは知っております。私はそのときに実はNHK外におりましたので、いわゆる消費税というものの性格については、受信料がそれに当たるかどうかについては私も多少疑問を持っていました。  それで、局内としては、島君のそういう考え方をもとにして、たしか消費税は受信料にはなじまないという考え方でもっていろいろお諮りしたはずです。ところが、税務当局の方とのいろいろな折衝の結果、やはり受信料も消費税対象にせざるを得ないというふうな判断が出たということを聞いておりまして、判断が出た後は結局それに従わざるを得なかったというふうな経過だろうと思います。  それで、私は、平成三年に島君の後に会長になりましたので、この問題については決まった形で受けとめましたので、今さら、もう一遍その消費税問題をもとに返して云々というところまでは実は考えておりません。  ただ、消費税が上がればそれは全部転嫁すればいいのだというふうな単純な理屈も持っておりませんで、現にこの前の当委員会で、矢島委員の御質問にそのことは初め考えていないと申し上げた。ところが、事務当局と話をしますと、その段階で、消費税の分のお金が年間に大体百十億入ってこなくなる、そうすると、これまで立てていたNHKの経営計画というものが大幅に崩れてくることになります。それを崩してもいいから新しくやり直せばいいではないかという考え方は当然あるわけです。それをどのようにするかいろいろ悩みましたけれども、結果としては、税率をそのまま受信料に転嫁することによって協会の経営的基盤を何とかきちんと安定化しようというふうに思ったのでございます。そういう御返事をしましたので、本日もそのような考え方を持っているということをお伝えいたします。
  203. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そういうNHKとしての事情ということも述べられましたけれども、やはり受信料は、放送サービスの対価ではない、また、国民みんなで公共放送を財政的に支えるお金なのだ、サービスとか、消費とか、また役務の提供などということに当てはまる性格のお金ではない、こういうことを言い続けることはやはり大変大切だというふうに思うのです。それは、受信料への消費税課税が間違いだ、この間違いを正すことがやはり受信料のこうした性格を守ることになる、受信料制度の基本を守ることになるというふうに考えるからであります。  NHKとして、こうした受信料制度と消費税課税はやはり矛盾する、こういう原則的な立場に立ってほしいと思いますし、また、今は既に納税しなければいけないということですけれども、やはり改善を求め続ける、こういう立場に立ってほしいというふうに思うわけです。こういう点で、再度、ちょっと会長の御見解も伺えたらというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  204. 川口幹夫

    川口参考人 そのとおりに、変えますというふうに申し上げたいところですけれども、消費税の問題については、既に私の覚悟は決まっておりましたので、これを今がらりと変えて、また消費税については考え方を改めますというふうにはちょっと今のところ申し上げられません。  ただし、これを、受信者、消費者の立場から見ないといけないと思うのです。それはもうごもっともです。ですから、余りにも不当なことにならないように、きちんと私どもが受信者を説得し、一々お回りするときにそのことについては御理解を得たいというふうに思っておりますので、御承知いただきたいと思います。
  205. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、筋論で話したかもしれませんけれども、消費者にお願いするという筋ではなくて、受信料の性格と消費税課税ということとは矛盾するのだという点をNHKとしてはやはり主張されるべきではないかという、そのことが消費者にやはり納得していただく道ではないかというふうに思うのです。こういうことで申し上げましたけれども、この点は以上で終わらせていただきます。  次に、番組編成に関して、具体的な例で一つ御要望を申し上げたいと存じます。  現代社会では、子育てが大変難しくなっているということが言われていますし、そういう子育てに関する的確な情報ということが大変必要になっているというふうに思います。NHKでは、今、「すくすく赤ちゃん」という四十五分番組が教育テレビで放映されていますが、時間帯を見ますと、土曜日の一時二十分です。再放送が月曜日の三時十五分からなのです。これでは働く女性がなかなか見られる時間帯ではない。総合テレビでも、私の印象では、最近子育てに関する番組というものは少なくなっているようにも思うわけであります。  核家族化が進んで、母親も父親も子育てに大きな悩みを持っています。その一方では、ダイレクトメールや雑誌などで赤ちゃんや子供向けの商品の情報は次々と届けられている、病気やけがのときどうしたらいいかとか、ミルクや離乳食やおむつやおもちやや絵本などについていろいろあるわけですが、商品提供とは無縁のNHKに、良質の番組をつくってほしい、そしてまた、知りたい情報提供してほしいという声は大変強うございます。さらに、働く女性が見ることのできる時間帯でそうした番組が検討されてもいいのではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。     〔熊代委員長代理退席、委員長着席〕
  206. 齊藤曉

    齊藤参考人 確かに、今先生がおっしゃるように、直接子育てに役立つような番組そのものはそう多くはございません。いろいろな形で支援する情報はこれからもいろいろ考えていきたいと思っております。  今お話しのように、教育テレビで「すくすく赤ちゃん」というのが育児に関する番組として定時化されておりますけれども、四月から、土曜日の昼一時台、それから金曜日の二時台に放送する予定にしております。土曜日の放送は、週休二日制がだんだん浸透している中で、これは、子育てについてはお父さん、父親にも見てもらいたいという考えからでございます。  そのほかに、総合テレビの朝の「生活ほっとモーニング」という主婦向けの番組がございますけれども、ここでも随時取り上げております。それから、土曜特集等で、つい最近でございますけれども、「愛しの三つ子ちゃん」というのを取り上げまして、三つ子の子育てを通じて一般の母親などに役立つ子育てのヒント、情報を多く伝えました。たくさん反響もいただきました。  いずれにしても、これからそういった子育てを支援する情報もだんだん取り組みを強化していきたいなというふうに思います。
  207. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 総理府の調査を見ても、一九九〇年代に入りまして、働く女性が全体で五〇%を超えています。それから、出産、子育ての世代と思われる二十代後半から三十代で見ても、過半数が働いているのです。これは、今までは、そういう出産、子育ての時代は家に入ると思われていたのですけれども、そうではなくなったという点で、新しい変化ですよね。そういう点では、ぜひこうした時代の変化にあわせて番組編成も検討されて、子育て支援番組というものを、今御答弁いただきましたけれども、もっと充実をしていただきたいという希望を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  208. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  209. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、まず、字幕放送充実の問題で幾つかお尋ねしたいと思います。  私もこの委員会でしばしば、NHK公共放送として字幕放送にも積極的に取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げてまいりました。これに対して、川口会長を初めそれぞれ積極的な決意がこれまでも表明されておりました。特に、昨年は計画をもって拡充していく、こういう答弁をいただきました。確かに、総合テレビでは、決して十分とは言えませんけれども、放送時間はふえてきております。しかし、NHKのテレビ放送全体から見ると、遅々として進んでいないのが現状ではないかなと思うわけです。  そこでお尋ねしますが、NHKのテレビ放送全体の中で、いわゆる字幕放送が占める割合、これは何%ぐらいか、お答えいただきたいと思います。
  210. 齊藤曉

    齊藤参考人 これは、平成年度について申し上げますけれども、総合テレビの字幕化率、これは現在一一・八四%でございます。私どもは、まだ教育テレビあるいは衛星等では今現在始めておりませんけれども、そういう中で、衛星二つ、それから教育、総合と全部合わせた全体の字幕化率で申し上げると、三・三一%、これは九年度ですから、八年度で申し上げれば二・九二%ということになります。
  211. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今お答えいただきました地上二波、衛星二波、それの割合が九年度で三・三%ぐらい。あとハイビジョンもありますが、試験放送だという意味はありますけども、さらにNHK放送ということになれば、全放送に対する割合となるとこれよりも下がってきてしまうというのが現状だろうと思うのです。  これまで、NHK字幕放送といいますと、どうしても総合テレビの中の字幕放送がどれだけふえてきたかということが問題になってきた。また、それだけが問題になってきていた。  例えば、これは郵政省の「視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会報告書」、昨年度のです。これにも、こんなふうな記述になっているのですね。「NHKについては、昭和六十年の開始以降、着実に増加してきており、平成八年三月現在、」先ほど御答弁があったとおりですが、「全放送時間に占める割合は一一・八%となっている。」全放送に占める割合はというのは、これは総合放送の中に占める割合が先ほどの御答弁のように二・八四%、こういう意味でこの報告書には書いてあるわけなんですが、実は、その中に、いわゆる総合テレビの全放送という注釈は何も入っていないのです。これくらい字幕放送というものが、総合テレビの中でどうなっているかということだけしか問題になってこなかったという点を私指摘したいのです。  先ほども申しましたように、地上、衛星ハイビジョン、五つの波があるわけであります。この五波の中で、いわゆる聴覚障害者は総合テレビだけ見ていればいいんだよ、決してそういうものではないと思うのですね。総合でやっと二けた台ですから、先ほどのNHKの教育、衛星を含めますと三・三%という状況、これは在京の民放局と比べて、まあ多いですがそんなに変わらないのじゃないかという点。  ですから、そういう現状認識といいますか、NHK放送の中で、どれだけを今字幕放送は占めているのか、こういう認識をきちっと持っていただきたいと思うわけです。  そういう点で、会長の現状の御認識と見解をお聞きしたいと思います。
  212. 川口幹夫

    川口参考人 おっしゃるように、NHK字幕放送自体が、特に諸外国に比べて相当まだ低率であるということは率直に認めます。私どもの努力も足りませんでしたし、それから、時代の認識がやはり弱かったのだと思うのです。これは、今度は法律にも規定していただきましたし、相当我々としては取り組みを新たに、新たな覚悟でやらなければいけないと思っております。  アメリカの七〇%というのは、これはもちろんそういう字幕放送をできる機械をつけないと売れないというふうなことをやった結果でもありましょうけれども、せめてイギリスとかカナダとか、そういうところのレベルまでは早く到達したいと思っております。  今、私どもは、この時代の要請に早く沿うために、どのような経営計画を立てたらいいのか考えておりますので、九年度で一応ちょっと前進はします、十年以降には、またさらにいろいろな形でもって努力をしたいと思います。
  213. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ことしの秋ごろから、衛星第二でも字幕を開始するということを聞いております。このこと自身は確かに前進であります。  昨年の通常国会のときに、全会一致で、字幕放送拡充の請願、これが採択されました。その中に、NHK教育テレビも字幕放送実施してください、こういう項目があるのですね。このことは、難聴の子供たちや、あるいはそういう子供を持っていらっしゃる親にとって非常に強い要望になってきているわけです。教育テレビの字幕放送というのは、ノーマライゼーションの精神から考えても、一日も早く実施してもらわなければならない問題だと私も考えております。  学校教育放送というのは、多くの小中学校で授業で使っております。一般の学級の中にも、少なくない難聴の子供たちも一緒に学んでいる、こういう状況があるわけであります。ですから、そういう子供たちは、特にテレビの音声は聞き取りにくいとか、あるいは字幕がないためにどうしても授業についていけないということが言われているわけです。  私、ここに実は難聴の子供たちが書いた手紙を持ってまいりました。非常にたくさんあるので、もちろん全部を御紹介するわけにはいきませんが、例えばこれは小学校三年生であります。途中省略して、   三年生になって、理科の時間にも、「ふしぎなたまご」のテレビを見るようになりました。先生は、ほちょうきのマイクをテレビの前においてくれました。でも、音ばっかりうるさくて、わかりません。外国のえいがみたいに、字まくがついていたら、いいのになあと思います。べんきょうのテレビだけでなくて、「ヤンボウ」や「一人でできるもん」にも、ぜひ、字まくをつけて下さい。 というような手紙だとか、それから、「NHKのおじさんへ」、こういうので出てきております。   どうとくの時間にテレビを見ることがあります。ぼくは、よくきこえないから一ばんまえのせきで見ます。でも、はなしているないようがわかりません。もじほうそうだったらよくわかるのになあと、思いました。ぼくは、忍玉らん太ろうの大ファンです! これは小学校二年生であります。  こういう手紙がたくさん届いているわけですけれども、やはり、学校教育番組だけではなくて、子供向けの番組も教育テレビには結構多いわけですから、聴覚障害を持つ子供たちのファクスの中には、忍玉に会いたいというようなファクスもございました。ですから、NHKの人気アニメの「忍玉乱太郎」は、かつては総合テレビで放送されておりまして、このときは字幕がついていたのですね。ところが、教育テレビに編成がえになったら字幕がなくなってしまった。そこで、今のようなファクスが届いたわけですけれども、昨年、字幕放送拡充の請願が採択された後、郵政省は、新しい補助制度の創設をやったり、放送法改正の準備などを進めているわけですが、先ほども申し上げましたとおり、請願の中に、教育テレビに字幕を、こういう項目があるわけです。NHKとして、教育テレビの字幕放送実施について、今どのように検討しているのか。テレビ放送全体を視野に入れて、ぜひ教育テレビの字幕放送の開始ということを、会長、決断していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  214. 齊藤曉

    齊藤参考人 おっしゃるように、今まで総合テレビを中心に取り組んでまいりましたけれども、これからは、教育テレビ、それから衛星第二テレビを中心に、年次計画できちんと取り組んでまいりたいというふうに思っております。差し当たり、平成年度につきましては、衛星の第二テレビで六番組程度、これは週でございますが、一週間に、時間数にして六時間半ぐらい実現したいと思っております。それから、教育テレビにつきましては、確かに聴覚障害者のお子様からの要望が強いのですけれども、これは、いろいろ準備もやはりございます。ハードの方も整備しなければいけません。そういう意味では、平成年度から具体的に実現したい。それで、十年から十三年、この四年間で、およそ週八時間、具体的に字幕放送実施したいというふうに考えております。
  215. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ、会長を含めて、平成十年からということで、時間数もできるだけ検討の上、もし長くなるのだったら、子供たちは非常に楽しみにしているわけですので。  また、この問題は、ただ単に難聴者だけの問題じゃないのですね。普通のクラスで授業をするときに、字幕放送をやりますと、健聴者の子供も非常によく理解できるということ、現場の先生もそう言っていますが、私も幾つか見せてもらいました。耳から入るだけのあれじゃなくて、同時に目で読みますから、日本語、耳から入りますと、同じような言葉で違う意味のものもあります。そういうのを、字幕を追っていると健聴者も非常に理解しやすいというようなことを聞きました。また、実際にそう思いました。  そういう点から、何よりも、根本的には、学校教育の現場で使用するものには、たとえ少数であっても耳の聞こえにくい難聴の子供もいるわけですから、オープンキャプションで文字を入れるということも検討されるべきではないだろうかと思うのです。ドラマなどと違いまして、字幕が邪魔になるというより、健聴者の理解を進めることにもなりますので、そういう意味では、クローズドキャプションによる字幕放送だけではなくて、オープンキャプションの字幕というのも考えてもらっていいんじゃないか。あるいは、やはりナレーションでずっと流れてくるわけです、大体、番組を見ますと。そういう中で、一つには、例えば、オープンキャプションでなくても、何か、スーパーなりなんなりで入るということだけでも、大分いろいろな違いが出てくるということは、私の、もう紹介する時間もなくなりましたが、そういう意味での手紙もたくさん届いております。字幕が入ることによって非常に理解が深まったというのがあります。最後に、会長、一言、字幕放送について。
  216. 川口幹夫

    川口参考人 御指摘、御助言をありがとうございました。我々としても、よりこれから努力を重ねまして、とにかく、諸外国の進んでいるところの地位に早く到達するように努力をいたしてまいります。  それから、矢島先生には番組の宣伝をしていただいて、ありがとうございました。「忍玉乱太郎」というのがありますが、これは忍者の卵の乱太郎という意味でございますので、ぜひごらんください。
  217. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  218. 木村義雄

    木村委員長 横光克彦君。
  219. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  きょうは、大臣を初め参考人の皆様方、長時間にわたり御苦労さまでございます。質問をさせていただきます。  新年度事業運営計画を見ますと、地上放送衛星放送充実、あるいはまた、ハイビジョン放送拡充強化、さらに、海外への情報発信の充実等々、いわゆる充実とか拡充とか強化という言葉が躍っているわけでございます。現に、この四月からは、総合テレビでは二十四時間放送も始まります。また、長野オリンピックも放送するわけで、そういった言葉が形となってあらわれている。私は、その中で、もう一つハイビジョンの方が、言葉だけでなく、さらに形となるようにもっと努力していただきたいなという思いがいたしております。  現在の、実用化に向けての実験放送の中身でございますが、民放もそうですが、もう一つ、何といいますか、国民の皆様方が見たいなというような、関心があるといいますか、そういったニーズにこたえてないような気がしてならないわけでございます。やはり、ハイビジョン時代の到来、それに備えていかにハイビジョンを普及させていくか、このことを考えたときには、国民の皆さんが、視聴者の皆さんが見たいなというようなことをハイビジョンで実行に移していくことが非常に大きな意味を持つんじゃないか。長野オリンピックはすべてハイビジョン放送するんだ、あるいは、NHKの看板番組であります大河ドラマとか朝の連ドラとか、このあたりまでハイビジョンでやるぞということを言えば、国民は相当それに対する関心は強いわけですので、普及する可能性が強いなという思いがするのですが、大河とか連ドラとか、そういった番組に対してのハイビジョン化構想というものはどのようにお考えか、ちょっとお聞かせください。
  220. 齊藤曉

    齊藤参考人 ハイビジョン時代に備えまして、これまで、今お話しのドラマの分野では、もう既にいろいろ取り組みをしながらノウハウを蓄積してまいりました。お話のように、この先、大河ドラマについて、いつごろ、どう取り組むかというのも、今現在の一つの大きな課題でございます。  ただ、これは、通常のドラマの制作よりは、予算とか機材とか、それから収録日程などもやはりかかることになります。そういった中で、どういう体制を組んで、いつごろからやるのが最もいいかということにつきましては、できれば数年先に実現したいなという方向で今検討を進めております。
  221. 横光克彦

    ○横光委員 視聴者にとりましては、質の高い番組サービス充実、これが一番の喜ばしいことではなかろうかと思っております。御努力をお願いしたいと思います。  次に、この新年度予算の編成に当たって、二〇〇〇年までは受信料を値上げしないで事業を運営していくという覚悟を明らかにされているわけでございますが、これから始まります多メディアあるいは多チャンネル時代、非常に激しい競争の時代になるわけでございますね。そうしますと、やはり公共放送こ対する国民の要求といいますか、今も、先ほど字幕放送の件がございました、あれもやってほしい、これもやってほしい、いろいろな要求が出てくるわけですね、国際放送の諸問題に関しても。それにこたえていかなければならない。そのために、充実強化拡充というものが必要になってくる。  それと同時に、逆に、受信料を負担している以上、視聴者に対しても、わかりやすい、あるいは理解されやすい事業運営を目指していかなければならないことも、これはまた当然であろう。これだけ節約しているのだ、これだけ健全財政でやっているのだ、そういったことも目指さなければならないわけですね。充実強化する一方で、そのためにスクラップ・アンド・ビルドも徹底してやるんだ、そういうふうに予算編成方針でうたっているわけでございますが、これは、充実強化する一方で受信料の値上げでは何にもならないわけで、充実強化する一方でスクラップというのは非常に私は難しい問題だな、この努力というものは非常に評価するわけですが、非常に難しい課題、口では言うが現実にはどのようにそれに取り組んでおるのか、ちょっとお聞かせいただきたいのですが。
  222. 中井盛久

    中井参考人 先生御指摘のように、NHK業務の難しさというのは、本当に公共性があり、そしてやらなければならない仕事がいっぱいあります。しかし、その中で、どうしても仕事がマンネリになりやすいところがありますので、NHKとしましては、業務見直しを常に行いまして問題に取り組んでいこう。  それで、新しい時代放送サービス充実ということがどんどんふえてくることも事実ですけれども、その視聴者の負担を極力抑制しなきゃいかぬことも我々の使命であって、両方の難しい問題に相取り組む。そのために、例えば番組制作手法の見直し、大河テレビなんかでも、役者さんとどこかにロケに行きます、ロケに行っても日数をかなりたくさんとってくるというような場合が、いいものを撮れば撮ろうと思うほど天候に支配されたりしてあるのですけれども、そういうところを詰められるところはできるだけ詰めるとか、スクラップ・アンド・ビルドというのは、むだをなくしてそして新しいものをつくっていこうというような意味合いであります。それで、そういうようなことを我々の制作体制の中からつくり出して、職員の働きがいと創造性を逆にそこからつくっていこうよというのが目標でありまして、人を減らすとかなんとかという意味でのスクラップ・アンド・ビルドではありません。
  223. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございます。  そういったむだをなくして新しいものをつくり出す、非常に大賛成でございます。ただ、業務のスクラップ化が働く人たちのスクラップにつながるようでは、これは私は問題が起きてくるのではないかという気がしておるわけでございます。  九七年度の要員効率化は九十人の純減と先ほど説明がございました。また、一九八〇年以降三千九百人の要員を削減しているそうですが、その間に、衛星放送が二波、二十四時間放送が始まった、あるいはハイビジョン放送実施、総合テレビの二十四時間放送化など、要員が大幅に減っている一方では業務は飛躍的に増大しているわけですね。今お話にございましたように、非常に難しい問題であると思いますが、この状況からすると、これ以上の人的なスクラップはもう無理な問題であるし、そのことから逆に受信料の問題につながっていくのじゃないかという気がしておるわけでございます。  私は、放送文化であると思うわけでございます。放送現場は創造の場でございます。この提案理由説明にございます質の高い放送番組創造性活力にあふれた公共番組、こういったものを実現していくためには、一番その根幹を担っているのは私は放送現場ではなかろうかと思うわけでございます。ですから、放送現場でじっくりと対象に向き合って、何が視聴者の一番求めている情報なのか、どれが重要な情報なのか、あるいはまた何をどのように表現して伝えれば視聴者とともに感動を共有できるのか、そういったことを追求していくためには、私はゆとりのある現場体制が大事である、こう思うわけでございます。そのことが、先ほどの、質の高い、視聴者に信頼される番組づくりにつながる、このように思っております。  その現場の中で、とりわけちょっとお聞きしたいのは、技術現場でございます。技術現場の方々が大量に退職が始まる時代が来ると言われております。要するに昭和三十九年のあの東京オリンピック放送、あるいは教育テレビの導入、あのときに大量に採用されている、その人たちがこれから定年退職の時期に来ている。そういった方たちというのは、非常に熟練者なわけですね。これは放送映像世界だけでなく、あらゆる製造産業の中で、今熟練者の評価とニーズは非常に高いものがあるわけです。しかも、この熟練者というのは、御案内のように、一朝一夕ではできるものではございません。非常に長い貴重な経験がそういった技術を培ってくるわけでございます。  ですから、こういった方々が大量にもしやめられるような時代が始まった場合、それにどう対応されようとしているのか。私もちょっとそういった映像世界にいましたので、熟練者といいますか、現場の技術者の重要性というものが非常によくわかるのですね。照明にしてもカメラにしても録音にしても、あるいは編成にしても、本当に技術者の差によって作品に大きな影響が出てくるのです。ですから、こういった熟練者の技術を、ぽっかり穴があくようなことのないように、継承、伝達、教育というものをやっていただきたい。そのシステムはNHKに現在おありかどうか、ちょっとお聞きします。
  224. 河野尚行

    ○河野参考人 ただいま横光先生が御指摘のとおり、教育テレビが始まったころとか東京オリンピックを支えた人たちがこれから大量に退職期を迎えまして、放送技術職場でいいますと、これから十年間でただいまの職員のおよそ半分が退職の年齢を迎えます。そのために、私どもとしましては、NHK内に、どうしたらいいかというプロジェクトをつくっておりまして、まず、新しい技術の導入によって業務のやり方をどれだけ効率化できるかということを考えた上で、今先生御指摘のとおり、OBになる熟練した技術を持った人たちの力を今後ともどういう形で活用していったらいいのか、それから外部に技術の委託ができるかどうか、総合的に考えて、しっかりこの激動期を乗り切りたいというふうに思っております。
  225. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございます。ぜひ、全力でこの問題に対処していただきたいと思います。  こういった技術者というのは、ノウハウはもちろんですが、要するに手の感触といいますか、あるいは長年培った勘といいますか、そういったものというのは非常に大きなウエートを占めるわけでございますので、そういった何らかの教育あるいは伝達、継承するシステムをつくっていただきたい。あるいは今御答弁にございましたように、そういった熟練されたOBの皆様方を何とか契約職員という形でも現場に復帰していただいて、若い人たちにそういった技術のすばらしさを見せ、教えていただければ、このように思っております。  終わります。ありがとうございました。
  226. 木村義雄

    木村委員長 小坂憲次君。
  227. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。私は三点質問をさせていただきたいと思います。長野冬季オリンピック放送について、またデジタル放送時代に向けた放送法改正について、三点目は、インターネットとデジタル放送の今後の展開についてであります。  まず、冬季オリンピックについてでありますが、オリンピック放送といいますと、一九三六年ベルリン・オリンピックの前畑頑張れ、前畑頑張れ、あの時代放送はラジオでございました。一家がラジオの前に集まりまして、かじりつくようにして、その情景を想像しながら聞いていた時代。そして、東京オリンピックの時代は、カラー放送が始まって、カラー放送技術、そしてまた受信機の普及に大きな役割を果たした時代放送でもありました。  今回の長野冬季オリンピックは、きょうからちょうど三百二十七日後、私の郷里の長野で開催されるわけでありますが、NHK予算書を見ますと、三十七億の大きな予算をつぎ込んでこの放送充実に努めていただくというふうになっております。小型のハイビジョンカメラ、氷をける音を集音するようなマイクロホンの開発と、臨場感あふれる放送に御努力をいただいていることは承知しておりますけれども、長野オリンピックが、内容の質、そして最近プラズマディスプレーというような新しいものも出ておりますし、またデジタル高画質放送、こういった技術面においても画期的な、時代を象徴するような放送であったと後々も語られるような、そういったすばらしい、魅力ある放送内容になるように期待をしているわけであります。  この点につきまして、NHK取り組みについての川口参考人の御意見伺いたいと存じます。
  228. 川口幹夫

    川口参考人 私は、実は今おっしゃったベルリン・オリンピックを、昭和十一年ですよね、小学校の四年生でありましたから、鹿児島の片田舎で、ピーピーいうラジオで聞きました。本当に興奮いたしました。それ以来のオリンピックファンの一人であるのですが、東京オリンピックのときはもうNHKに入っておりましたから、何か仕事はないかと思っていましたら、たまたま私は音楽部にいたのですけれども、式典の音楽を担当させられまして、ぞれで古関裕而さんのマーチだとか、そういった音楽関係のことを全部やったのです。  そういう意味からいうと、今度の長野オリンピックは、久しぶりに日本でやるオリンピック、しかも冬季の、札幌以来のオリンピックですから、非常に大事な位置づけをしておりまして、できたらこのオリンピック放送を全世界に一番いい形で送ろうというふうに思っています。今組織委員会方々ともいろいろ話をしておりますけれども、一つは、日本でやるオリンピックとしての温かさとか素朴さとか、そういうものを何とか出したい。逆に今度はハイテクを縦横無尽に駆使したハイテクオリンピックというイメージも非常に強く出したい。そして、そこでいろいろな競技が最高のレベルで行われて、その最高のレベルの競技がテレビを通じて全世界の興奮を呼ぶ、こういうふうなつながりを実は非常に期待しております。  幸いに、高いところで放送権料を落としたところもありましたけれども、日本の場合はコンソーシアムを組んだおかげでまあまあのところで落ちつきました。したがって、今度は放送の制作に向かって全力を挙げたいと今思っております。組織委員会と協力しながら、史上に残る長野オリンピックという形の放送にしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  229. 小坂憲次

    ○小坂委員 ありがとうございました。  大変丁寧に答えていただきましたが、午前中の質問川口参考人は、多チャンネル化、デジタル放送時代視聴者という言葉キーワードになるだろう、こうおっしゃいました。確かにそういうものがあると思います。それに加えて、私はクオリティー、質という言葉がやはりキーワードになるのではないかと思うのです。多チャンネル時代、それを支える番組の質というものの向上について、今後ともなお一層の努力をしていただきたいと期待を申し上げております。  さて、時間の方も迫ってまいりますので、二番目、三番目の質問は一括してさせていただきたいと思いますが、政府放送法の一部改正案を検討しているというふうに聞いておりまして、その際にぜひとも配慮していただきたい事項を例を引いて申し上げたいと存じます。  それは、デジタル通信並びに放送技術の発達とともに放送通信の融合ということが、きょうもたびたび各委員指摘があったと思いますし、私もそう思っております。そういう方向の中で、私はこうした時代の要請を反映して法律の条文も見直すべきだと思っているのです。放送法の中に大分矛盾してきたものもあると思っております。特に用語の解説のようなものは、当時はなかなか理解されないから用語の解説が必要だった、しかし、今はその存在が逆に邪魔になるという場合もあるのです。  まず、この点について郵政大臣、やはり時代に即して法律は変えるべきだ、こういうふうにお考えでしょうか。
  230. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 委員指摘のとおり、最近の放送技術が急激な発展、発達をいたしておることはもう御案内のとおりでありますが、放送デジタル化されればこれまでの放送とは異なる多彩なマルチメディアサービスが実現されると我々も予想しております。したがって、二十一世紀のマルチメディア放送時代にふさわしい放送制度のあり方について検討は進めていかなければならぬと思っております。
  231. 小坂憲次

    ○小坂委員 大臣の御指摘のとおりと思いますが、それでは郵政省の方にちょっと伺いたいのですが、テレビ放送の定義について放送法ではどのように定義しておりますか、ちょっと教えてください。存じておりますが、皆さんに教えてください。
  232. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送法第二条二の五でテレビジョン放送の定義は、「「テレビジョン放送」とは、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響を送る放送をいう。」となっております。
  233. 小坂憲次

    ○小坂委員 委員長も含めて委員の皆さんがこれがテレビかとその説明から想像ができたでありましょうか。私は「「テレビジョン放送」とは、」とこれを解説すること自体もう無用になっているように思うのです。もうこれだけテレビ放送が普及し、ほかの条文の中にテレビ放送と何度も書いてありますが、そのたびに説明は要しないわけであります。「静止し、又は移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響を送る放送をいう。」これがテレビであるとするならば、それでは、最近インターネットの中に、例えば過日の皆既日食の放送がございました。このテレビの放送に合わせてインターネットでも同時に中継をしておったのであります。最近のソフトウエアが発達をいたしまして、コンピューターのインターネット上でも動画、すなわち「静止し、又は移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響」を送ってくることができるようになったのであります。  これはテレビ放送でございましょうか。ひとつお願いします。
  234. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送法の第二条でまず「「放送」とは、」というのがありまして、「「放送」とは、公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。」こういうふうになっておるわけでありまして、これからいきますと、その中にテレビジョンもいろいろあるわけですから、インターネットの場合、まだ放送とは言えない、こういうふうに思います。
  235. 小坂憲次

    ○小坂委員 なるほど。しかし最近このインターネットの中継も、実際には衛星を通じてデジタルでインターネットのネットワークを構築するという方法が出てきたのですね。  そうすると、この無線で通信をしている、仲介をしている部分が、だんだんインターネットも普及してきましたから大変広範にわたってくる、こういうことも出てまいりますので、ここでそのやりとりをしようと思って言っているわけじゃないのですね。私の目的はへ別に言葉じりをとらえて言うつもりはございませんで、このように時代が変化をしてきて、将来いろいろ多方面にわたって通信放送は融合してくるだろうと考えますと、要らぬ規定は削除した方がいい。私はこの第二条二の五を削除すべきだ。もうテレビ放送に関する説明は要らない。今回改正をするのであればこの条項も削除していただきたい。また同時に、ほかの放送法の条文全体を見直していただきたいな、こう考えているのであります。  この点について、大臣の御見解をいただけますでしょうか。
  236. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送法におきましていろいろなメディア特性に応じた規定の仕方をしておるわけでありますが、これは昭和六十三年の放送法改正の際に、いろいろな放送の種類がございます、これによってやはり規律の仕方が違うということで、この放送法上に幾つかのメディアの規定を置いたわけでありまして、現在はまだそれを引きずっておるわけであります。  将来デジタル放送が出た場合にどうなるかということは大きな研究課題でありますが、今のところはこれに沿って法律改正をせざるを得ないし、まだそういう現状であるということでございます。
  237. 小坂憲次

    ○小坂委員 これはやむを得ない、このまま続けるのだというお答えですが、六十三年とおっしゃいましたけれども、実際にはこれは昭和三十四年に改正をされた際に、NHKのテレビジョン放送に対する解説としてこれが出ているのでありまして、六十三年の改正のときに第九条から移行されて現在の条文になっている内容なのですね。  そういうふうに考えますと、時代も大分たったな、六十三年ならまだしも三十四年ですからね。もう大分たっている。こう考えて、ぜひともそうかたくなに考えないで、柔軟にこういう条文を見直してどんどん改めて、デジタル放送時代にふさわしい放送法に変えていただいて、そしてあまねく国民が受信する放送NHK目標に合ったような、NHKの活動を規定し、またこのインターネットと放送の融合時代にふさわしい放送についての規制あるいは規定というものを整備していただくように御努力をお願い申し上げ、私の質問を終えたいと思います。  どうもありがとうございました。
  238. 木村義雄

    木村委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  239. 木村義雄

    木村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。亀井久興君。
  240. 亀井久興

    亀井(久)委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党を代表いたしまして、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につきまして、これを承認するに賛成の意を表するものであります。  この日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画は、「おおむね適当なものと認める。」との郵政大臣意見が付されて国会に提出されたものであります。  平成年度収支予算においては、NHKの財政は極めて厳しい状況にありますが、消費税率の引き上げ等に伴う税負担の適正な転嫁を除いて現行受信料を引き続き据え置いております。また、経営全般にわたり効率的な業務運営の徹底による経費の節減に努める一方、受信料負担の公平を期すために受信契約増加受信料の確実な収納に努めることを初め、厳しい経営環境に対応した適切な方策を講じるなど、おおむね適当な予算と認められます。  事業計画においては、国内放送において、信頼にこたえるニュース情報番組充実、地域放送充実強化など従来の基本施策に加え、災害等緊急時報道に対応する総合テレビの一日二十四時間放送化を図っているほか、衛星第二テレビジョンで聴覚障害者等に配意した字幕放送を開始するなど、放送拡充に積極的に取り組んでおります。  また、国際放送では、日本の実情を外国に紹介し、海外在留邦人へ情報を的確に伝えるために、映像による国際放送放送時間の拡充番組充実に努めており、さらに調査研究では、放送デジタル化、多チャンネル化の進展に伴う放送技術研究開発に積極的に取り組んでいるなど、現状に即した施策を推進していると認められるものであります。  かかる観点から、日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画について、その適正な執行を要望し、これを承認するに賛成する次第であります。  なお、本件の審議において各委員からNHK事業全般にわたり有意義な示唆を含む質疑が行われましたが、NHKはこれらを事業運営に的確に反映し、一層国民の信頼にこたえるよう要求して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  241. 木村義雄

    木村委員長 矢島恒夫君。
  242. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました一九九七年度NHK予算案に反対の討論を行います。  反対の理由は、消費税の増税分を受信料に転嫁することによる値上げであります。  NHK受信料は、政府NHKの見解でも特殊な負担金とされ、放送サービスの対価ではありません。これに資産の譲渡や役務の提供の対価等に課税するという消費税を課税することは、放送法規定からも消費税法の規定からも根本的に矛盾するものであります。  同時に、受信料への消費税課税の不当性を明らかにし続けることは、受信料制度の根幹を守り続けることであることも強調しておきたいと思います。  直ちに消費税施行令を改定し、受信料を消費税課税の対象から外すことを強く要求するものであります。  また、四月一日からの消費税増税は、さきの総選挙で三百人を超える議員が反対や見直しなどを公約して当選したという問題、個人消費や中小企業の設備投資という日本経済の原動力に多大な打撃を与えるという問題、さらには、そもそも消費税が持つ逆進性などの問題、いずれをとっても決して許されないことであります。  日本共産党は、消費税増税反対を貫くことを表明して、討論を終わります。(拍手)
  243. 木村義雄

    木村委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  244. 木村義雄

    木村委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決をいたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  245. 木村義雄

    木村委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  246. 木村義雄

    木村委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、古屋圭司君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。古屋圭司君。
  247. 古屋圭司

    古屋委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明を申し上げます。  まず、案文を朗読をいたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送の不偏不党と表現の自由の確保に一層努めること。  一 協会は、放送に対する視聴者国民の信頼を確保し、放送倫理の確立を図るため、放送番組審議機関の審議内容、視聴者意見及び訂正放送制度の運用状況視聴者に分かりやすい形で積極的に公開するように努めること。  一 協会は、厳しい財政状況を深く認識して業務効率化による経費の節減を図るとともに、受信料の公平負担の観点から衛星放送を含む受信者の確実な把握と料金収納確保に努めること。  一 協会は、視聴者の十分な理解が得られるように、経営の方針を明らかにするとともに、関連団体を含む財務内容等の公開を推進すること。また、衛星放送に係る収支の一層の明確化を図ること。  一 ハイビジョン放送を含む衛星放送については、既存視聴者の利益保護に十分配意して実施すること。  一 協会は、放送通信融合化時代にかんがみ、公共放送の先導的役割として、視聴者の立場に配意しつつ、デジタル放送の導入に向けた新たな放送技術等の研究開発の促進に努めること。  一 視聴覚障害者高齢者向けの字幕放送、解説放送等の一層の拡充番組内容の充実に努めること。  一 映像国際放送については、我が国の実情を的確に諸外国に伝えるものでもあることを十分認識し、その充実に努めるとともに、関係機関が十分な連携を図りつつ、その在り方についても検討すること。  一 協会は、地域放送の一層の充実・強化に努めるとともに、地域からの情報発信の推進に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び太陽党の六派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  248. 木村義雄

    木村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  249. 木村義雄

    木村委員長 起立総員。よって、本件に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、堀之内郵政大臣及び日本放送協会会長川口幹夫君から発言を求められておりますので、これを許します。堀之内郵政大臣
  250. 堀之内久男

    堀之内国務大臣 ただいま、日本放送協会平成年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、御承認いただき、厚く御礼申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)
  251. 木村義雄

  252. 川口幹夫

    川口参考人 日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  253. 木村義雄

    木村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 木村義雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  255. 木村義雄

    木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会      ————◇—————