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1997-06-12 第140回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
平成
九年六月十二日(木曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
穂積
良行君
理事
谷 洋一君
理事
平林 鴻三君
理事
宮路
和明
君
理事
山本 公一君
理事
古賀 一成君
理事
富田 茂之君
理事
田中 甲君
理事
穀田 恵二君 石橋 一弥君
久野統一郎
君 下村 博文君 滝 実君 中野 正志君 西川 公也君 西田 司君 持永 和見君 今井 宏君 川端 達夫君 白保 台一君 福留
泰蔵
君 松崎 公昭君 鰐淵 俊之君 葉山 峻君 古川 元久君 春名 直章君
畠山健治郎
君
出席政府委員
地方分権推進委
員会事務局長
東田 親司君
自治政務次官
久野統一郎
君
自治大臣官房長
谷合 靖夫君
自治省行政局長
松本 英昭君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
地方分権推進
委員会委員長
)
諸井
虔君 参 考 人 (
地方分権推進
委員会委員長代
理) (
地方行政体制
等
検討グループ
座長
)
堀江
湛君 参 考 人 (
地方分権推進
委員会委員
) (
行政関係検討
グループ座長
)
西尾
勝君 参 考 人 (
地方分権推進
委員会専門委
員) (
補助金
・
税財
源検討グループ
座長
)
神野
直彦
君
地方行政委員会
調査室長
黒沢 宥君 ――
―――――――――――
六月十二日 北朝鮮の船による覚せい剤持ち込み問題に関す る請願(
寺前巖
君紹介)(第四六七五号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
六月十一日
自治体病院
の経営安定に関する
陳情書
(第四〇七号) は本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
案件
地方自治
及び
地方財政
に関する件(
地方分権
の
推進
について) ――――◇―――――
穂積良行
1
○
穂積委員長
これより
会議
を開きます。
地方自治
及び
地方財政
に関する件、特に
地方分権
の
推進
について
調査
を進めます。 本日は、
参考人
として
地方分権推進委員会委員長諸井虔
君、
地方分権推進委員会委員長代理
、
地方行政体制等検討グループ座長堀江湛
君、
地方分権推進委員会委員
、
行政関係検討グループ座長西尾勝
君、
地方分権推進委員会専門委員
、
補助金
・
税財源検討グループ座長神野直彦
君に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に
一言
ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。 皆様御承知のとおり、
地方分権推進委員会
は、
平成
七年七月に
設置
され、以後、精力的に
審議
を重ね、昨年十二月には第一次
勧告
を出され、現在、第二次
勧告
に向けて御努力されていることに敬意を表する次第であります。 まず、
諸井参考人
に
地方分権推進委員会
におけるこれまでの
審議状況等
についてお述べいただきます。よろしく
お願い
いたします。
諸井虔
2
○
諸井参考人
地方分権推進委員会委員長
の
諸井
でございます。
先生方
には、常日ごろから
地方分権
につきまして格別の御
支援
を賜りまして、まことにありがとうございます。また本日は、当
委員会
、
地方分権推進委員会
の
活動状況
につきまして御
報告
する機会を与えていただきまして、感謝申し上げる次第でございます。 今、私どもの
委員会
は
三つ
の
検討グループ
を
中心
に動いております。それできょうは、今
委員長
から御紹介いただきましたように、
行政関係検討グループ
の
西尾座長
、それから
地方行政体制等検討グループ
の
堀江座長
、それから
補助金
・
税財源検討グループ
の
神野座長
、三人の
方々ともども出席
をさせていただいた次第でございます。 最初に、昨年の十二月二十日に出しました第一次
勧告
のおさらいといいますか、
要点
だけをちょっと申し上げさせていただきます。 まず第一に、明治以来、
我が国
の
中央集権型行政システム
の
中核的部分
を形づくっておりました
機関委任事務制度
の
廃止
をするということといたしまして、
従前
の
機関委任事務
につきましては、
事務自体
を
廃止
するもの、それから、
原則
的にはこれをいわゆる
地方
の
自治事務
、
仮称
でございますが、そういうことにする。それからなお、やはり国が直接執行するべきもの、あるいは国から
地方
に法定受託するべきものというふうに
事務
を分類をしていくということで、
原則自治事務
という
考え方
をとったわけでございます。 それから二番目には、
機関委任事務制度
における包括的な
指揮監督権
にかえまして、
自治事務
あるいは
法定受託事務ごと
に許容される国の
関与
、それの
基本類型
を
設定
いたしまして、国は、この
類型
の中から
必要最小限
の
関与
を行うということにしたわけでございます。 それから三番目には、
地域づくり
や
町づくり
、それに福祉、教育などの
暮らしづくり
、これらに関する個別の
行政分野
につきまして、国から
地方
への
権限
の
移譲
、国の
関与
の
廃止
、
縮減
を行うことにした、この三点が第一次
勧告
の
要点
でございます。 それから、このときに同時に、
補助金
・
税財源
に関する中間
取りまとめ
、
中間報告
の形でこの問題についての
報告
を出しております。 それで、この第一、次
勧告
を終わりました後、ことしの一月から
調査
、
審議
を再開いたしまして、おおむね週二回というペースで
会合
を持っております。五カ月間で、これは延べでございますが、
委員会
、
部会
、
検討グループ
と百十七回の
会合
を重ねております。 それから、
委員会
の
審議
の進め方としましては、先ほど申し上げましたように、
三つ
の
検討グループごと
に
検討課題
を
設定
しまして、そこでまず
改革
に向けての
試案
、
素案等
の
調査
、
検討作業
を進めております。
親委員会
と二つの
部会
は、
検討グループ
との
合同会議
におきまして、それらの
試案
につきましての
審議
、
検討
を行う。そして、最終的には
委員会
で
取りまとめ
をして結論を出す。そして第二次
勧告
を出す。これは大体今、七月の上旬ごろというふうに
予定
をしておるわけでございます。
検討グループ
は、ほとんど連日のように、各
省庁
その他
有識者等
と
ひざ詰め談判
の形でいろいろ
検討
、討議を続けておるところでございます。 第一の
行政関係検討グループ
での
検討状況
でございますが、ここで今一番大きな
仕事
になっておりますのは
事務
の
区分
と国の
関与
の問題でございまして、
機関委任事務制度
の
廃止
に伴う
事務
の
区分
と国の
関与
の
整理
については、第一次
勧告
で
機関委任事務
のうちの約三割の
整理
を終えたところでございますが、例外的に
法定受託事務
とすべきものを除きまして
原則
として
自治事務
、そういう第一次
勧告
の
考え方
を堅持しつつ、引き続き
事務区分
の
整理
を進めております。 この
振り分け作業
は、
法律
の数で五百六十一と言われておりますが、
一つ一つ
の
法律
の中にまた幾つもの
項目
もございまして、まことに膨大な数でございまして、これをできるだけ具体的に
類型
化していくという
作業
をやっております。また、それぞれの国の
関与
を決めていくということで、これは大変な時間を要しておるわけでございます。 それから、国と
地方
の
関係調整ルール
でございますが、第一次
勧告
で骨格の
部分
を示したわけでございますが、引き続きまして、国の
関与
の
手続等
の
基本的考え方
、それから国と
地方公共団体
との間の
紛争処理手続
、特に
第三者機関
の
構成等
につきまして、
関係者等
の
意見
を聴取しながら具体的な
検討
を進めております。
地方分権推進委員会
としては、
自治事務
、
法定受託事務
、いずれも
仮称
でございますが、これの
区分
を行いますとともに、この
調整ルール
の仕組みを確立することによりまして、
機関委任事務制度
の
廃止
に伴う国と
地方
との
関係
を、
中央集権
型の上下の
関係
から
対等
・
協力
の
関係
に変えていきたいというふうに考えておる次第でございます。 それから三番目には、
都道府県
と
市町村
の新しい
関係
という問題でございまして、
対等
・
協力
を
基本
とする新たな
関係
を構築する、これは国と
都道府県
の
関係
と同じでございまして、
都道府県
と
市町村
においても
対等
・
協力
を
基本
とする新たな
関係
を構築するために、
都道府県
、
市町村
それぞれの
性格
に応じた
相互
の
役割分担
、
市町村
に対する
都道府県
及び国の
関与
の
あり方等
を明確にしていくという
作業
をやっておるわけでございます。 そのほかに、
団体委任事務
に係る国の
関与
。我々
機関委任事務
の問題をずっとやってまいりましたが、それをやってまいりますと、やはり
団体委任事務
に既になっておるものでもかなり厳しい国の
関与
のある
部分
があるということで、この問題は、やはり
検討
しませんとバランスを欠くのではないか。あるいは、
市町村
に対する
権限移譲
についての
調査
、
審議
を行っております。また、
地方事務官
の問題につきましても、当
委員会
が
平成
八年三月に示しました
中間報告
における論点を踏まえまして、
機関委任事務制度
の
廃止
に伴う
事務区分等
とあわせて
検討
を進めております。 それから二番目の、
地方行政体制等検討グループ
でございますが、ここではまず、
地方
の
行政改革等
の問題がございます。
地方行政体制
の
整備確立
に関する
課題
のうち、まず
地方公共団体
の
行政改革
については、厳しい
財政事情
のもとで一層強力に
推進
する必要があるというふうに考えております。このため、
組織機構
の
見直し
、適正な
定員管理等
を行うことによりまして、簡素で効率的な
行政体制
を実現するための
方策
について
検討
をいたしております。 また、
地方分権
の実を上げるためには、これまで以上に重要となります
人材
の育成、あるいは国と
地方
、
地方公共団体相互
の間の
人材
の交流、これらについても適切な
あり方
を
検討
しているところでございます。 それから二番目に、
広域行政
の問題でございます。
住民
の
日常生活圏等
の
拡大
あるいは
行政サービス
の
高度化
、
専門化
、これらに対応するとともに、
市町村
の
行財政能力
を充実強化するために、
市町村
の規模の
拡大
や
能力
の
向上
が非常に重要な
課題
である、そして
市町村
の
自主的合併
が
推進
されるような
環境整備
をしなきゃならぬ、その具体的な
方策
の
あり方
について
検討
をいたしております。 また、従来からの一部
事務組合
、
広域連合
などによる
広域行政
も一層進める必要があるというふうに考えております。 それから三番目に、
地方議会
の
活性化
の問題でございます。
地方議会
につきましては、
地方公共団体
が多様な
行政需要
に的確かつ機動的に対処できるよう、
自主性
、主体性を拡充しその
活性化
を図るという
観点
から、
議決案件
の
拡大等議会
の
機能強化
あるいは
議員定数
の問題、
常任委員会数
の
あり方等
について
検討
を進めているところでございます。 それから、その次に
住民参加
の問題でございますが、
住民参加
につきましては、
地方自治
の
活性化
に資するための重要な
課題
であり、
現行
の直接
請求制度
の要件の
見直し
、あるいは
住民投票
の
あり方等
について
検討
しているところでございます。 その次に、
地方行政
の公正の
確保
と
透明性
の
向上
の問題でございますが、
地方公共団体
の
行政
の公正の
確保
と
透明性
の
向上
についての
課題
といたしましては、
情報公開制度
の
導入
と
行政手続条例
の
制定
の
促進
が挙げられます。いずれもすべての
都道府県
、
政令指定都市
で既に
導入
されているほか、
一般
の
市町村
でも
導入
が進みつつあると聞いておりますが、早急に全国的に
整備
する必要があるとの
視点
で
検討
を進めております。 それから、
必置規制
の
整理合理化
の問題でございます。 これがまた大きな
項目
でございますが、
必置規制
につきましては、
地方公共団体
の固有の
機能
である
自主組織権
、
人事管理権
に対する非常に重大な
制約
である、そこで、それによらねばほかに
方法
がない場合等に限定するという
観点
から抜本的に見直すべきではないか、そういう
基本
的な
考え方
のもとに、第一に
職員
の
配置基準
それから
専任
、
職員
の
資格
・
職名
の義務づけ、こういったような問題、それから二番目に
行政機関
、
行政組織
、
行政施設
、これらの
設置
義務づけ、それから三番目に
各種審議会等附属機関
の
設置
義務づけ、これらの問題について具体的な
見直し
、
検討
を進めております。これも個別に各
省庁
といろいろ話し合いをしているところでございます。 それからもう
一つ
、国の
地方出先機関
の問題がございます。
地方分権
の
推進
によりまして国、
地方
を通ずる
行政改革
に寄与するためには、国の
地方
への
権限移譲
や
関与
の
廃止縮減
に伴う国の
地方出先機関
の
あり方
の
見直し
も重要でございます。
フロック機関
につきましては、
フロック機関
限りで
事務
が完結せず、本省との間での二重の
事務負担
になっておるという点、それから
府県単位
以下の
出先機関
につきましては
地方公共団体
との二重
行政
になっているのではないかといったような
視点
で
検討
を進めておるところでございます。 それから三番目の
グループ
の
補助金
・
税財源検討グループ
でございますが、ここでは、まず第一に
国庫補助負担金
の
整理合理化
を取り上げております。
国庫補助負担金
の
整理合理化
につきましては、まず
国庫補助負担金
をその
性格
に応じまして
国庫負担金
と
国庫補助金
とに
区分
をしまして、それぞれの
区分
に対応して
整理合理化
を進めるということを考えております。 すなわち、
国庫負担金
につきましては、真に国が義務的に
負担
を行うべきと考えられる
分野
や
広域的効果
を持つ根幹的な事業に限定する一方、
奨励的補助金
につきましては、
政府
が行った
地方分権大綱方針
、これは
平成
六年十二月に
閣議決定
をしておられますが、その
閣議決定
の中で「
基本
的に
縮減
を図っていく」ということとされていることを踏まえまして、その具体的な
整理合理化
を進める
方策
について鋭意
検討
しているところでございます。 また、
国庫補助負担金
の
廃止縮減
を行いましても、引き続き
当該事務
を実施することが必要な場合には、
地方税
あるいは
地方交付税等
の必要な
地方一般財源
を
確保
すべきものというふうに考えております。 それから二番目に、存続する
国庫補助負担金
の
運用
、
関与
の
改革
でございますが、例えば
補助負担金
を統合メニュー化する、あるいは交付金化するというようなこと、それから二番目に
補助条件等
の
適正化
あるいは緩和をする、三番目に
補助対象資産
の
有効活用
、特に転用でございますが、
補助金等適正化法
の
見直し等
を含めて
検討
しているわけでございます。 それから三番目に、
地方税財源
の
充実確保
の問題でございますが、
自主財源
である
地方税
の
充実確保
のための
基本
的な
考え方
や
方策
、それから
課税自主権
の尊重という
観点
からの
地方税
に関する国の
関与
の
見直し
、それから
地方交付税
の
算定方法
の
簡明化
、また
地方債
の
制度
、
運用
の
見直し
、これは認可というような点でございますが、これらについて鋭意
検討
を進めております。 なお、この
補助金
、
税財源
の問題につきましては、六月三日に
閣議決定
をされました「
財政構造改革
の
推進
について」、この中でも取り上げられておりまして、これとの
整合性
についても
十分留意
をしながら、
分権委員会
としても
検討
を行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。 以上が
検討グループごと
の
検討課題
の
審議状況
でございまして、全体的に見ますと、現在、
改革案作成
のための最終的な
詰め
の
段階
、七月上旬に出す
予定
でございますのでもう一月を割っておるわけでございます、そういう最終的な
詰め
の
段階
に入っておるわけでございます。 最後に、
一言お願い
を申し上げる次第でございますが、
地方分権
の
推進
は、
平成
五年六月の
衆参両院
の
地方分権
の
推進
に関する決議が採択されたことに始まったわけでございます。そして
平成
六年暮れの
地方分権大綱方針
の
閣議決定
、さらに
平成
七年五月の
地方分権推進法
の
制定
、そして当
委員会
の第一次
勧告
により、新たな
段階
に入ったと考えております。当
委員会
といたしましては、今回の
地方分権
の
推進
を、
我が国
の
地方制度
にとりまして、明治維新それから戦後
改革
、これに次ぐ第三の
改革
として位置づけておりまして、引き続き第二次
勧告
に向けて渾身の力を込めて
調査
、
審議
を進めてまいる所存でございます。 この
地方分権
の
推進
を実のあるものとするためには、何よりも国会における強力な御
支援
、御
協力
と
国民各位
の御理解、御支持が必要と考えるところでございますので、切に
お願い
を申し上げまして、私の
説明
を終わりたいと存じます。 どうもありがとうございました。(拍手)
穂積良行
3
○
穂積委員長
ありがとうございました。 以上で
諸井参考人
からの御
意見
の開陳は終わりました。 —————————————
穂積良行
4
○
穂積委員長
これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
理事会
の協議により、まず私から本
委員会
を代表して総括的に
質疑
を行い、その後、
委員
からの
質疑
を行います。 まず、
諸井参考人
にお伺いいたします。 御
説明
がありましたように、第二次
勧告
につきましては、最終の
詰め
の時期が近づいているとのことでございますが、この
勧告
をまとめるに当たって最も御苦労をされている点は何か、また、残されている主な
課題
はどのようなものであるか、改めてもう一度お伺いいたします。 それでは、
諸井参考人
から
お願い
いたします。
諸井虔
5
○
諸井参考人
お答えを申し上げます。 先ほど申し上げましたように、第二次
勧告
に向けての重要な
課題
というのは、要約しますと、第一に、
従前
の
機関委任事務制度
の
廃止
に伴う
事務
の
区分
と国の
関与
の
あり方
。第二に、国と
地方公共団体
の
関係調整ルール
、これは
第三者機関
を含めたものでございます、この問題。それから第三に、
国庫補助負担金
の
整理合理化
、そして
地方税財源
の
充実確保
の問題。それから第四に、
行政改革
の
視点
も含めた
地方行政体制
の
整備確立
の問題、これは
合併
の
問題等
を含みます。それから第五に、
必置規制
の
整理合理化
の問題。それから第六に、
地方事務官
あるいは
地方出先機関
の
見直し
、こういうものが重要な
課題
であるというふうに考えております。 そして、苦労している点ということでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、何しろ非常に膨大な量の
作業
でございまして、しかも、我々としては抽象的な
勧告
というような形でなくて、できるだけ現実に即した具体的な指針を出して、
政府
の
行動計画
の
作成
がスムーズに進むようにというふうに考えてやっておりますものですから、結果としては非常に膨大な量の
仕事
をそれぞれの
グループ
がやらなくちゃならない。 そこで、一方では期限が迫っているということで、時間との競争が一番大変なところでございます。内部でも、延ばしたらというような
議論
もあるわけでございますが、既に
委員会
が発足しまして間もなく二年を経過するわけでございまして、我々が
勧告
を出しました後、
政府
が
行動計画
をつくるのにも恐らく一年ぐらいを要すると思いますし、そのまま実行をしていかれなくちゃならぬということで、おくれればおくれるほど全体の進行がおくれていくということで、私は、この二年あたりが
一つ
の限界ではないかと考えております。したがいまして、この残る日数、とにかく死に物狂いで頑張って、できるだけ全部まとめて出したい、こういうふうに考えております。よろしく
お願い
いたします。
穂積良行
6
○
穂積委員長
ありがとうございました。 次に、
西尾参考人
にお伺いいたします。
地方分権
を進める中で、
地方公共団体
と国の、
役割分担
が変化することに伴い、
両者
の円滑な
関係
を実現するためには、しっかりした
関係調整ルール
を設けることが必要であると言われておりますが、この点について、
第三者機関
の
設置
問題も含め、
検討状況
はどうなっているか、お伺いいたします。
西尾勝
7
○
西尾参考人
お尋ねの、国と
地方公共団体
との
関係調整ルール
につきましては、さきの第一次
勧告
におきまして引き続き
検討
すべき
課題
としたところでございますので、現在、国の
関与
の
手続ルール
、国と
地方公共団体
間の
紛争処理手続
、
紛争処理
に当たる
第三者機関
の
設置
と
構成
などにつきまして、私が
座長
をしております
行政関係検討グループ
が
中心
になって
検討
を進めているところでございます。 具体的には、まず国の
関与
の
手続ルール
につきましては、
書面主義
の
原則
、
基準
の
設定
など
手続
の公正、
透明性
の
確保
のための
措置
、
標準処理期間
の
設定
など
事務処理
の
迅速性
の
確保
のための
措置
などを
中心
に
検討
を進めているところでございます。 また、国の
関与
をめぐる国と
地方公共団体
との間の
紛争処理手続
及びこれに関連して必要となります
第三者機関
の
設置
につきましては、
第三者機関
による
裁定手続
やその後の裁判の仕組み、また
第三者機関
の位置づけ、
構成
などといった問題につきまして、
関係省庁
の御
意見
を初め、
内閣官房
、
内閣法制局
などの御
意見
をお聞きしながら
議論
を深めているところでございます。 これからの
分権型社会
におきまして、国と
地方公共団体
との
関係
が
対等
・
協力
なものとして築かれていくためには、
両者
間の
関係調整ルール
を明らかにすることが重要だというふうに認識しておりますので、第二次
勧告
に向けましてより一層
検討
を深め、成案を
取りまとめ
たいというふうに考えているところでございます。
穂積良行
8
○
穂積委員長
ありがとうございました。 次に、
堀江参考人
にお伺いいたします。
地方分権
を
推進
するに当たっては、
市町村合併
など
地方行政体制
の
整備
を図ることが重要ではないかと言われており、また、
地方公共団体
の
行政体制
を
整備
する上で、いわゆる
必置規制
や国の
地方出先機関
をどうするかなどが問題と思われますが、これらの
検討状況
はどうなっているか、お伺いいたします。
堀江湛
9
○
堀江参考人
ただいま御質問のとおり、
地方分権
を
推進
するに当たりましては、
地方行政体制
の
整備確立
、
必置規制
の
整理合理化
あるいは国の
出先機関
の
見直し等
について、これが非常に重要な問題でございますので、私が今
座長
をしております
地方行政体制等検討グループ
を本年一月に
委員会
内に
設置
いたしまして、今、この
グループ
を
中心
に鋭意
検討
を進めているところでございます。 まず第一に、
地方行政体制
につきましては、
分権
を担うにふさわしい
行政体制
の
整備確立
を図るという
観点
から、第一に
行政改革等
の
推進
、第二に
広域行政
の
推進
と
市町村合併
、第三に
地方議会
の
活性化
、第四に
住民参加
の
拡大
と
多様化
、第五に
行政
の公正の
確保
と
透明性
の
向上
、こういった諸
課題
について具体的に
検討
を行っているところでございます。 このうち
市町村合併
につきましては、
自主合併
を積極的に
推進
するために、
現行
の
合併特例措置
の
見直し等
の実効ある
合併促進策
について
検討
を進めているところでございます。 また
必置規制
につきましては、
地方公共団体
の
自主組織権
や
人事管理権
に対する
制約
でもあるために、それによらなければ他に
方法
がない場合等に限定して、そういう見地から、
職員
の
配置基準
、
専任
、
資格
・
職名等
の義務づけ、
行政機関
、
組織
、
施設等
の
設置
の義務づけ、
各種審議会等附属機関
の
設置
の義務づけ、こういった諸
項目
について今具体的な
見直し
を進めているところでございます。 このほか、
地方出先機関
につきましても、
地方公共団体
の
事務
との
関係
、国の
関与
、
国庫補助金
との
関係
、この両面から具体的な
見直し
を進めているところでございます。 これらの
課題
につきまして、現在
関係省庁等
から
意見聴取
なども行い、鋭意
検討
を行っており、いずれも第二次
勧告
において
取りまとめ
を行いたい、かように考えておるところでございます。 以上でございます。
穂積良行
10
○
穂積委員長
ありがとうございました。 次に、
神野参考人
にお伺いいたします。
地方分権
を
推進
し、
地方公共団体
の
自主性
、
自立性
を強化するためには、
補助金等
を
整理合理化
するとともに、その基盤となる自主的財源を
確保
するという見地から、国からの税源
移譲
を含め
地方税
等の充実を図ることが重要ではないかと言われておりますが、
諸井参考人
からの概括的な
説明
がございましたけれども、これについての具体的な
検討状況
はどうなっているか、お伺いをいたします。
神野直彦
11
○
神野参考人
ただいま
委員長
から、極めて重要な論点を御指摘いただいたというふうに認識させていただいております。 昨年末に第一次
勧告
を発表いたしました際に、
補助金
、
税財源
に関する中間
取りまとめ
を行いまして、国と
地方公共団体
の財政
関係
の
見直し
の
基本
的な方向として、
三つ
の点を指摘させていただいております。つまり、第一に
国庫補助負担金
の
整理合理化
をするとともに、第二になお存続する
国庫補助負担金
の
運用
や
関与
の
改革
を行いながら、そして第三に
地方税
、
地方交付税
などの
地方一般財源
の充実を図っていくという
三つ
の方向を指摘させていただいております。 先ほど
委員長
からも御
説明
をいたしましたように、
国庫補助負担金
の
整理合理化
につきましては、
国庫補助金
と
国庫負担金
という区別を明確にいたしまして、そういう
性格
に応じて
整理合理化
を進めていくということが必要だというふうに考えております。そうした
考え方
に基づきまして、
地方公共団体
の
事務
として既に同化し、定着化し、そして定型化しているものにつきましては
一般
財源化を進め、そして国と
地方公共団体
との
役割分担
に合わせて、真に必要なものに限定していくということなどによりまして、積極的に
国庫補助負担金
の
整理合理化
を進めていく必要があるというふうに考えております。 なお、
財政構造改革
会議
の最終
報告
におきましても、
補助金
の削減や合理化の方針が決定されておりますので、これらとの
整合性
等も留意しながら進めていく所存でございます。 こういうふうに
補助金
などを
整理合理化
するだけでなくて、先ほども申し上げましたように、
地方税
や
地方交付税
などの
地方一般財源
の
充実確保
を図ることにしておりますが、
地方税
におきましては、
地方
の歳出の規模と
地方税
収入との乖離が現在非常に大きく存在しているわけでございまして、その格差をできるだけ縮小するという
観点
に立ちまして、
課税自主権
を尊重しながら
充実確保
を図っていきたいというふうに考えております。 さらに、
地方交付税
につきましては、財政調整
機能
というのは非常に重要なものでございますので、その点にかんがみまして、総額を安定的に
確保
しつつ、
地方一般財源
の充実を図っていくということが必要だというふうに考えます。その際、
地方公共団体
の自主的な財政運営を妨げないように、
地方交付税
の
算定方法
を
簡明化
したり、それから
地方債
の許可
制度
やその
運用
の
見直し
についても
検討
しているところでございます。 こうしたことによりまして、財政面での
地方分権
の確立ということに資するように、現在第二次
勧告
の
取りまとめ
に向けまして精力的に
審議
、
検討
を重ねておる次第でございます。
穂積良行
12
○
穂積委員長
ありがとうございました。 最後に、
諸井参考人
にお伺いいたします。
地方分権
を
推進
する上で画期的な役割を果たすこととなると思われます第二次
勧告
に向けて、報道によれば、特に
関係省庁
との調整に大変御苦労なさっているやに伺っておりますが、これらも含めまして、
委員長
の御決意のほどを最後にお伺いいたします。
諸井虔
13
○
諸井参考人
ありがとうございます。 この
関係省庁
との調整でございますけれども、私どもは、先ほど申しましたように、
勧告
で非常に抽象論的な形ではなくて、やはりなるべく具体的にきちんとした
勧告
をしていきたいというふうに考えております。したがいまして、中央
省庁
から出てくるいろいろな疑問とか問題点の指摘に対してはやはり誠実に対応して、
説明
できるものは
説明
し、あるいは彼らの言い分が正しいところはこちらもそれをのみ込んでいくというふうな形でやっていくべきではないか、そのことがまた、実際に
政府
が
行動計画
をつくって
地方分権
を進めていかれるそのプロセスをスムーズに進める非常に重要なポイントではないかというふうに考えております。 したがいまして、先ほど申しましたように、確かに量的には大変な時間を要するものでございますが、やはりここは何としても克服していかなければならぬ。ただ、エゴとか
組織
防衛のような話は、これはやはりきちんと排除していかなくてはならぬというふうに考えておるわけでございます。 決意のほどということでございますが、先ほど申しましたように、これは第三の
改革
というふうに我々は考えております。ここをきちんとやりませんと、二十一世紀にわたっての日本の
地方
の体制というものができないのじゃないか。さらに、今現在の内閣あるいは国会が進めておられます大きな日本の構造
改革
、これの非常に重要な一環であるというふうに認識をしております。できる限りの力を尽くしまして第二次
勧告
をまとめてまいりたいと思っております。何分よろしく
お願い
いたします。
穂積良行
14
○
穂積委員長
ありがとうございました。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
滝実
15
○滝
委員
自由民主党の滝実でございます。
参考人
の四人の
先生方
には、
質疑
の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。時間が限られておりますので、早速具体的な問題について順次質問させていただきたいと存じます。 まず、
神野参考人
にお尋ねをさせていただきます。
国庫補助負担金
の
整理合理化
の問題、これにつきましてはただいまも
神野参考人
からお話がございました。どちらかといいますと、
補助金
、
負担
金の問題は、いわば古くて新しい、
地方自治
にとっては永遠の
課題
のようなところがあるのでございますけれども、当初に
諸井参考人
がお述べになりましたように、今回の
改革
は、明治維新あるいは太平洋戦争直後、それに今回と、第三次の
改革
だという大変強い決意のもとに臨まれておいでになる。しかも、昨年の十二月二十日の第一次
勧告
を拝見いたしますと、そのような熱意が具体的に既にあらわれているところでもございます。 私は、そういう意味で、今回の
国庫補助負担金
の
整理合理化
の問題につきましては、そういう流れの中で、従来とは違った流れの中でお考えをいただいている、こういうふうに理解をさせていただいているわけでございますけれども、過日
閣議決定
されました
財政構造改革
におきます
補助金等
の扱いにつきまして、これは
分権
推進
委員会
に対して枠をはめるのじゃないか、こういうような実は心配の声もあるわけでございますので、その辺について
神野参考人
はどういうふうに認識されていらっしゃるか、伺いたいと思うわけでございます。
神野直彦
16
○
神野参考人
ただいま滝先生からいただきました御質問は、
国庫補助負担金
の
整理合理化
という
観点
から、
財政構造改革
会議
の
報告
をどう評価するかということだろうと存じますが、
財政構造改革
会議
の
報告
は、財政の極めて危機的な状況を勘案いたしまして、
財政構造改革
の
推進
によって、国、
地方
を通じて健全な財政構造の構築を目指す
政府
の強い決意を示したものというふうに理解しております。この
報告
におきまして、
補助金
の
整理合理化
についても重要な
課題
として位置づけられ、社会経済情勢の変化、官と民及び国と
地方
の
役割分担
の
あり方
などの
観点
から、聖域なく
見直し
を行うというふうに位置づけられているところでございます。 言うまでもなく、
国庫補助負担金
の合理化は私どもの
委員会
の重要な
審議
、
検討
テーマの
一つ
でございまして、今後、
財政構造改革
会議
の
報告
内容にも
十分留意
しながら、先ほども申しましたように
国庫補助金
、
国庫負担金
の
区分
を明確にするとともに、それらの
性格
に応じて
整理合理化
を進めていくという
原則
をいわば明確にした上で、
地方分権
という
観点
から第二次
勧告
の
取りまとめ
に向けて最大限の努力をさせていただいて、御指摘のように、いつまでも永遠の
課題
と言われないように少しでも進めたいというふうに努力させていただきたいと思っております。
滝実
17
○滝
委員
ありがとうございました。 引き続き
神野参考人
にもう一点お尋ねをさせていただきたいと思います。 ことし四月から実施に移されました
地方
消費税につきましては、
諸井参考人
あるいは
神野参考人
を
中心
とする
先生方
の御尽力で
地方
消費税が成立したわけでございますけれども、この十二月二十日の第一次
勧告
を拝見いたしましても、また先ほどの
神野
先生の御
意見
を拝聴いたしましても、とにかく偏在性ができるだけ少ないものを
中心
にして
地方税
体系を組むんだ、こういうようなことも御指摘されているわけでございます。私は結果的には当然そうあるべきだと思いますけれども、これからの人口動態を考える場合に、果たして税源の偏在性の少ないもので
地方税
が充実できるのだろうかということについて大変大きな疑問があるように思っているわけでございます。 過日発表されました厚生省の人口問題の統計の数値を見ますと、今後大変な人口の減少地域が大幅に広がってくる。人口が増加するのはわずかに沖縄と関東周辺と、それから近畿では私の地元の奈良県ぐらいだ、こういうようなことでございまして、大方の地域では人口の減少が相当見込まれる、こういうようなことでもございます。 この偏在性の問題から
地方税
にアプローチするとなかなか、従来の枠にとらわれた
議論
に終始するのではないかなという感じがするのでございますが、
神野参考人
は私見として既に、所得課税を
中心
として
地方税
源にすべきだ、こういうこともお述べになっていますけれども、その辺のところの
作業
状況をお聞かせいただきたいと思うのでございます。
神野直彦
18
○
神野参考人
名医は病人の生死を予知し、名君は事の成否を明察するというふうに申しますが、
地方税財源
の充実に情熱を傾けられ、先ほどのお言葉を返すようですが、私どもというよりも滝先生の偉大な御業績としてそういうことが成立をしたわけでございまして、そういう
地方財政
の名医、名君を前に何をか言わんやということになるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、御指摘の偏在性、
地方税
の
原則
というのが古来言われておりまして、偏在性の逆と申しますか普遍性を含む
地方税
原則
というのが唱えられております。そしてまた、世界の
地方税
を見渡しましても、伝統的に財産税ということを
中心
に行ってきたイギリスや、あるいは北欧諸国のように所得税を
中心
に
地方税
を
構成
してきた国もございます。 今のところ私どもの
委員会
では、
地方
における歳出規模と
地方税
収入の乖離をできるだけ縮小するという
観点
に立ちまして、
地方税
の
充実確保
を図っていくということを
検討
しておりますが、その際には、できるだけ税源の偏在性が少なく、そして税収の安定性を備えた
地方税
体系の構築を配慮すべきであるというふうに考えておることは先ほども申し述べたとおりでございます。 ただ、お尋ねの
中心
になるかと思いますが、その具体的な
あり方
につきましては、
補助金
・
税財源検討グループ
におきましてさらに
議論
を深めていく必要があると思いますので、本日、名医、名君を前に大変失礼とは存じますが、本日の
段階
では確たるところを申し上げる状態にはございませんので、差し控えさせていただければというふうに存じます。
滝実
19
○滝
委員
恐らくは相当な結論が用意されているのではなかろうかということを御期待を申し上げさせていただきたいと存じます。 次に、これは
西尾参考人
の
グループ
になろうかと思うのでございますけれども、
市町村
への
権限移譲
について
議論
されているわけでございますが、現在も個別の
法律
によりまして
市町村
の規模別にいろいろな
権限
が決められている、こういうものが随所に見られるわけでございます。 具体的な例を申しますと、例えば建築確認でございますと
法律
上は人口二十五万人以上の市が建築主事の
必置規制
でございますので、二十五万人以上の市は建築確認を市がやるということでございますので、
事務処理
が大変スピーディーにいくということがあるわけですね。片や二十五万人以下と申しますか建築主事が置かれていない
市町村
は、これはその間市が一応
事務
的な処理をして最終的に県がおやりになるということですから、いわば二重
行政
みたいなものが現実にあるわけでございます。 建築確認は、どこに何があるかというのはやはり
市町村
が固定資産税を通じてかなり把握しておりますし、また建築確認をする際には必ず
市町村
の消防当局が現場を確認をしていざというときに備える、こういうことでございますから、実際問題として確認する
作業
に当たっても
市町村
がどうしても主体になる。それから、その後のフォローアップですね、例えば違法建築なんかのフォローアップもなかなか県ではできにくい、やはり
市町村
でないとこれがわからない、こういうことでございます。 そういうようなことからいたしますと、
住民
サービスそれから
法律
の趣旨の徹底、効果を期待するという
観点
からいっても、できるだけ
市町村
に移すんだ、あるいはもう少し規模を下げていく、こういう努力が必要じゃないだろうかなということも片や考えながら申し上げるのでございますけれども、どうしても
仕事
の中身によるわけでございますが、もう少し大々的に
市町村
の規模別にこういう
権限
配分をされていくという方向づけが必要だろうという感じがするのでございますけれども、
分権委員会
の中でどういうような
作業
をされているのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うのです。
西尾勝
20
○
西尾参考人
お答え申し上げます。
市町村
への
権限移譲
の
方法
といたしましては、私たちは二つの方向で考えております。
一つ
は、全国的な
制度
として、全国すべての
市町村
に画一的に
移譲
できるものがないかということを引き続き
検討
しております。それともう
一つ
の
方法
は、先生から御指摘がございました
市町村
の規模、
能力
に応じて
権限移譲
を進めるというやり方でございます。 御指摘のとおり、この規模、
能力
に応じた
権限移譲
のやり方といたしましては、現在
政令指定都市
制度
があり、さらにこれに準じてつくられた中核市
制度
というものがございますけれども、それ以外にも、個別法に基づきまして
市町村
の規模に応じて
事務
が委任されている、あるいは委任することができることとされているものがいろいろとあるわけでございます。 そこで、私たちといたしましては、各省所管の個別の
事務
事業ごとにどのぐらいの人口規模、
能力
の
市町村
ならば
移譲
が可能なのかということを少し詳細に
意見聴取
をしているところでございまして、それに沿ってできる限り
移譲
を進めていきたいと思っておりますけれども、例えば人口二十万とかあるいは人口十万以上であれば
移譲
できるというものが一塊まとまって出てきたというようなことになりました場合には、これは、現在の中核市の要件を緩めて対象を広げるとか、あるいは、中核市にさらに準じた第三の
類型
を
設定
してまとまった
事務
移譲
をするというようなことも必要なのではないかという
考え方
で現在
検討
しているところでございます。 以上でございます。
滝実
21
○滝
委員
ありがとうございました。
市町村合併
の
議論
がされる際に、財政的な優遇
措置
でありますとかあるいは
議員定数
の据え置きの問題とか、こういうことが必ず
議論
されるわけでございますけれども、私はやはり、今後の
市町村合併
に当たりましては、
市町村
の規模別に、
段階
別にいろいろな
事務
が、
権限
が明確に違うということがもう少し徹底されることによっておのずと
市町村合併
の機運が出てくる、そういうようなことが期待できるのではなかろうかな、こういう感じがするのでございますけれども、この問題につきまして、
堀江参考人
に御
意見
をお聞かせいただきたいと思います。
堀江湛
22
○
堀江参考人
ただいま滝先生が御指摘のとおりでございまして、これからの
分権型社会
において
市町村
というものの持つ重要性というのは極めて大きいかと思います。そして、
分権
を進めていく上で
住民
の支持と理解を得るためには目に見える
住民
サービスの
向上
というものがなければならない、そのためには思い切った
市町村
の
合併
の
推進
ということが必要になろうかと思います。そしてその場合にも、先生御指摘のとおり、
市町村
の規模に応じた
分権
といったようなことを考えていかなければならないのではないかと思うわけであります。
市町村
の
行財政能力
を高めていくという上においても、先ほど来御指摘の、あるいは
西尾
委員
がお答えしたような、そういった規模別による
権限
の
移譲
ということを考えていく必要があろうかと思いますので、私ども、例えば大都市圏、あるいは
地方
中心
都市とその周辺の非都市地域ないしは過疎地域等々に分けまして具体的にそういった
権限
の
移譲
を考えていく必要があろうかと思います。そして、そういうことが具体的に
住民
の理解を獲得するゆえんでもあろうと思いますので、ぜひ第二次
勧告
において、全国的な
制度
としての
市町村
の規模あるいは
組織
体制等に応じた
権限移譲
の仕組みを考えて、そして
合併
を
促進
していきたい、かように考えております。
滝実
23
○滝
委員
ありがとうございました。 時間がもうありませんので最後の御質問になろうかと思いますけれども、その前に、
堀江参考人
の先ほどおっしゃった中で議会の
活性化
の問題がございました。いろいろな角度から
分権委員会
では御
検討
されているだろうと思うのでございますけれども、
一つ
だけ私の個人的な
意見
として申し上げさせていただきたいと思うのでございます。 現在の
市町村
議会、その議員さんの
構成
が、やはりどうしても昼間、長期的に拘束される、こういうこともございまして、職業が限定されていく嫌いが相当にあるというふうに思うわけでございます。端的に言うと、普通のサラリーマン階級はなかなか議員には出にくいということだろうと。したがって、いろいろな職種がある中で、大方の職種の方々は
市町村
議会の議員の中に反映されない、あるいは、普通のサラリーマン家庭の生活実態を反映する議員さんがなかなか得にくい、こういうことだろうと思いますので、
市町村
の議会の
活性化
を
議論
される際には、そういうようなことも恐らく
議論
されているのだろうと思うのでございますけれども、できましたらそういうような角度からの
議論
も取り上げていただきたい、こういうことを御要望だけ申し上げておきたいと思います。 それから、一番最後になりましたけれども、
諸井参考人
に御
意見
をお伺いしたいと思うのでございます。 現在まで、この五カ月間で百十七回の
会合
をおやりになったということでございますから、恐らくこの二年間では相当な回数をおやりになり、また
地方
での公聴会もおやりになっているわけでございますから、それなりに、それこそ幕末の志士ではありませんけれども、相当全国を駆けずり回ってのいろいろな広報活動にお努めいただいているわけだと思うのでございます。 問題は、次の第二次
勧告
を見守っております
地方
団体の立場から、第二次
勧告
、第一次
勧告
をもとにして
地方
団体がどういうように対処すべきだというふうに
分権委員会
御自身がお考えになっているのか、そういうことを最後にお尋ね申し上げたいと思うのでございます。
原則自治事務
、限定的に
法定受託事務
、こういう格好でまいりますと、
地方
団体は相当に努力して
人材
養成をしてまいらないといけない、こういう問題がございますので、ひとつそういうような
観点
から最後に
諸井参考人
の御
意見
を伺いたいと思います。
諸井虔
24
○
諸井参考人
お答え申し上げます。 やはり、
地方公共団体
の自発的な、本当に一生懸命な取り組みなしには、いかに我々がいろいろな
制度
を考えても成果は上がらないと存じます。それで、今まで私どもも、
地方
六団体その他、いろいろな方の御
意見
などを伺っておりますが、
地方
の自治体は、いろいろ全国的な、具体的な例を集めたり、大変努力はしていただいていると思います。 しかし、おっしゃいましたように、
地方
に
分権
が行われた後、やはり
住民
のニーズと申しますか、
住民
の意向というものを
地方
の
行政
の中に十分取り入れていく、最終的には
住民
自治が目的ではないかと思いますが、そういう努力とか、あるいは、やはり創意工夫を凝らしてどういうふうにその地域というものをつくっていくか、そういう創意工夫の努力とか、当然、一方で
行政改革
をやりながら
行政
の資質を
向上
していく努力、こういったものはやはり不断に続けていただきませんと、せっかくの
地方分権
というものが実らないのではないか、こういうふうに認識をしている次第でございます。 よろしく
お願い
します。
滝実
25
○滝
委員
ありがとうございました。終わります。
穂積良行
26
○
穂積委員長
鰐淵俊之君。
鰐淵俊之
27
○鰐淵
委員
私は、新進党の鰐淵と申します。よろしく
お願い
いたします。 きょうは、
参考人
として御
出席
をいただきまして大変ありがとうございました。また、先ほど
委員長
からの御質問によりましてそれぞれ御
意見
も伺ったわけでございます。 私自身は長い間
地方自治
に携わってまいっておりまして、
諸井
委員長
が昨年総理大臣に手渡したときに
委員長
談話を発表されておりますが、その理念というのは、私ども、全くそのとおりだと敬意を表しておりますし、
地方分権
がこれによって新しい時代を迎えるのかな、大変こういう期待も持ったわけでございます。そしてまた、ただいま伺いましても、膨大な
検討
項目
の中で大変長時間
審議
に御苦労されておりますことを、皆様方に本当に心から敬意を表する次第でございます。 さて、質問の第一点でございますが、今もお話がございましたように、この
改革
は、総理を初め
政府
も、言ってみますと明治維新、戦後、第三の
改革
、
平成
の
改革
というくらいな気概で取り組む、こういうことで申されているわけであります。 私も、自治大臣とあるいはまた自治省の皆さんとのいろいろな
質疑
の中では、
基本
的には、今の
地方自治
制度
、いわゆる国、
都道府県
、
市町村
、
都道府県
は四十七、
市町村
は相当な数、三千三百ほどございますし、市にいたしましても六百六十。先ほど来規模の話がありますように、同じ市でも、北海道の歌志内なんというのは六千か七千、八千くらいでしょうか、一万以下の市もありますし、何百万という市もある。こういうことで、一概に六百六十市を
一つ
に
取りまとめ
ても、これは全然規模も
財政事情
も違うわけですね。 そんなことで、まずは
基本
的に、
地方
の
制度
を二層制にしたということについて、どうも、革命的な
地方分権
をやるということは非常に難しいのではないか。したがって、戦後五十年積み重ねられた今のいろいろな
地方自治
や国と
地方
との
関係
が、ずっときたわけでありますが、これが
制度
的な疲労を起こしておるので、抜本的な改正といいましょうか
改革
、改善でなくて
改革
だ、こういうぐあいに私どもは期待をいたしているわけであります。その中で、そういう革命的な、基盤の
地方制度
そのものを改正していく、
改革
するということは難しい中での
議論
をなさっていますから、理念や総論の中ではもう環境は
整備
されたと思います。
地方分権
というのは、世論も支持しておりますし、これについて反対をするというような声というのはそんなに大きくない。しかし、現実、進めていくということになれば、真の
地方分権
を確立するということは、今いろいろお話がございましたように、なかなか難しい点もあろうかと思います。 その
一つ
は、今、
機関委任事務
、
基本
的にはこれを全廃する、こう言われましたが、これは
法定受託事務
という中で国の
関与
が、各
省庁
のヒアリングの中で、これもやはり
地方
に任せられない、これもやはり国が見なければならない、これも国が見なければならない、各
省庁
、そういうことが非常に多いと思うのですね。したがって、私は、これから進められる中で、この
法定受託事務
というのは相当ふえて、本来の
基本
的な
原則
が崩れていくのではないか、こういうぐあいに懸念しておりますが、その点についてお伺いをしたいということ。 それからもう
一つ
は、この第二次
勧告
は、間近に迫って今大変な努力をされておるわけでございますけれども、やはり
分権
推進
委員会
が思い切った
勧告
を出さなければ、それに基づいて
政府
が
分権
の
推進
計画を立てるわけでございますから、その
勧告
そのものが、理念や総論、理想から遠い、遠いと言ったらちょっと語弊がありますが、その理念とは少し離れたような形の次元での
勧告
になってしまいますと、それがベースになって、私どもの期待する思い切った
地方分権
が実施されないのではないか、こういう不安が、心配がございます。 そういったことについてどのような御
意見
をお持ちでしょうか。
委員長
さん、並びに、これは
機関委任事務
ですから
西尾
先生でしょうか、よろしく
お願い
したいと思います。
西尾勝
28
○
西尾参考人
法定受託事務
がふえていく傾向にあるのではないかという御質問でございます。 第一次
勧告
におきましては、
地方自治
法別表に掲げられております五百六十一
項目
のうちの百六十五
項目
について、
制度
開始後の
事務
の
区分
を具体的に示したわけでございます。 その後は、まだ残っております
機関委任事務
のうち、
関係省庁
の方から、これは
法定受託事務
とすべきなのではないであろうかというふうに持ち上げられてきましたものについて、個別に
検討
を重ねて、これは
自治事務
とすべきものではないかというような御
議論
を重ねているところでございます。 最終的にどういう結果になるかはまだ私どももよくわかっておりませんけれども、私どもの
基本
的な姿勢は、
原則
として
自治事務
とする、
事務
の性質上どうしても例外的に扱わなければならないもののみを
法定受託事務
とするという線で、各省と交渉を続けているところでございます。
鰐淵俊之
29
○鰐淵
委員
先ほどいろいろお話がございましたが、中央と
地方
を考えましても、先ほど言いましたように、
分権
、いわゆる
権限
を
移譲
する、こういっても、町村の方々、あるいは、市でも割合と人口の少ない市では、
権限
をいただいてもとてもこなし切れない、こういうような首長さんも結構おられるわけでございます。ある一定規模の市以上、例えば二十万程度の市以上ですと、スタッフもありますし、そういうところの首長というのは、できるだけひとつ
権限
を
移譲
してほしい、自分たちだけで、だけと言ったら語弊がありますが、自分たちにもっと自主的に
行政
をやらせてほしいと。そして、
住民
のサービスが要求されれば、その要求されることに従ってやはり
負担
も伴う。したがって、そういう
地方税
という問題も出てくると思うわけですね。 そんな中で、どうも、中央と
地方
の
観点
からいいましても、先ほどお話ししましたように、二層制ということを是認した上での今の
分権
の
あり方
ということになりますと、
行政
経費の非常に思い切った節減ということにならず、やはり、今の国、
都道府県
、
市町村
ということになりますと、
行政
手続
と
事務
、これは莫大なものがあるわけですね。だから、そういうことの簡略化が、私は、思い切った費用の節減にもなり、経済効果も生むと思うわけです。私は、
都道府県
を要らないとか
市町村
を要らないというのではなくて、この
地方
というものについて、もう少し単一化をして思い切って一定の規模にするということ、そういう中で
行政
を進めていけば、まだまだ
地方分権
の本来の理念や目的にかなったものになっていくのではないか、こういうぐあいに思うわけです。 こういった基礎自治体の再編という
考え方
について、
地方行政体制
の
堀江座長
さんにお伺いしたいと思います。
堀江湛
30
○
堀江参考人
ただいま鰐淵
委員
からの御質問でございますけれども、私も、
地方分権
というものが基礎的自治体の強化ということに進まなければいけないというふうに考えておる点では、全く同感でございます。 ただ、現実には、先ほど鰐淵
委員
が、かつての
行政
のさまざまな御経験を通じて、例えば市にも規模によって行財政の
能力
に非常に差があるという御指摘がございまして、全くそれが現実であろうかと思いますので、まず第一
段階
といたしまして、そういった
市町村
の足腰の強化といいますか
行財政能力
の強化ということを進めることが必要ではないか、かように考えるわけであります。その点から、
市町村
自主合併
の積極的な
推進
ということが何にも増して必要ではないかと思います。 そして、いわゆる二層制、さらに、
委員
御出身の北海道の場合は三層制と言った方がいいかもしれませんが、そういった現実は、やはり
市町村
間に非常に大きな格差の存在する
段階
においては、直ちにこの二層制の問題に手をつけるということは、
分権
ということの
推進
という見地から、いささか性急に過ぎるのではないかという気もいたしますので、まず第一に、基礎的自治体である
市町村
の足腰の強化、
行財政能力
を与え、しかる後にそういった抜本的な日本の
地方自治
組織
全体の
見直し
に進むのが筋ではないかなという気がいたしております。
鰐淵俊之
31
○鰐淵
委員
一つ
は、この
委員会
でもいろいろ町村
合併
について
質疑
が行われておりますが、私も自治大臣にお話を申し上げたわけですが、自治大臣初め自治省のお考えは、やはりあくまでも自主 的な
住民
の意思による
合併
ということで、例えば
合併
促進
法など
法律
が
制定
されても、実際は
合併
は
促進
されておらないわけですね。何カ所かありますけれども、いわゆる
合併
協議会をつくっても、今度は議会で否決になったり、遅々として進まない。したがって、こういう
合併
を進めるというのは、
地方自治
体においても、実際は
住民
の中にはあるのですが、それが議会とか首長になるとなかなか腰が引けるわけなのです。 昭和二十八年でしょうか、大
合併
をして一万の自治体が三千何百となった。あのときは、内閣総理大臣が
勧告
まで出したわけですね。そういう強い、強いといいましょうか、思い切った形によって
合併
が進んでいったということで、私はやはり、余り
住民
の
自主性
、
自主性
ということについて期待しても、なかなか進まない。したがって、これは渡辺
委員
も質問しておりましたが、思い切った、
住民投票
などではっきり決めまして、そしてそれを
促進
していく、こういう
方法
などをとって、やはり末端の、
住民
に一番近い基礎自治体の
行財政能力
を高めていくといいましょうか、そういうことが必要ではないか。 指定市だとか中核市とか
広域連合
とか、それから一部
事務組合
とか、これは
一つ
の
方策
としてありますが、今言ったように、末端の町村まで至りましたら、なかなかそれはないわけなのです。したがって、これらの思い切った
合併
方策
をやはり
勧告
の中にも盛るべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
堀江湛
32
○
堀江参考人
鰐淵
委員
のお考えはよく私もわかります。 ただ、かつて昭和二十九年から三十一、二年にかけて行われたいわゆる
市町村合併
における後遺症というものも、まだ現実には随分残っております。そして、現実にいよいよ
市町村合併
が進むというときに、
都道府県
知事のお立場を考えるというものが大きな力を持つとは思いますが、しかし、
地方分権
ということ、あるいは
分権
社会における県と
市町村
の
対等
な
関係
といったようなことを考えますときに、そういった、国が、あるいは総理大臣が
勧告
をする、あるいは
都道府県
知事が積極的に
市町村合併
についてイニシアチブをとることを
勧告
に盛り込むということを表に出すということは、私、この
分権
という本来の趣旨から考えて、多少ちゅうちょするところがございます。 むしろ、現在行われているさまざまな
市町村合併
の
合併
策がさらに一段と
機能
するような、そういった積極的な誘導策といったものを考えるのがまず先ではないかなという気がいたしております。そして、最終
段階
において、例えば
都道府県
のいろいろな事実上の
協力
ということは当然であろうかと思いますが、まずそういった
自主合併
を
促進
する。 そういった意味では、広い意味での
行政
、あるいは
市町村合併
に伴う旧町村と新市との間のいろいろな
権限
調整上の自治における
関係
、さらには財政という側面からも、広範な徹底した
検討
と
見直し
が必要だろうとは思います。
鰐淵俊之
33
○鰐淵
委員
ちょっと誤解があったかもわかりません。総理や何かが
勧告
を出して進めろということではなくて、自主的に
住民
が
合併
を
促進
できるような体制の
一つ
の
方法
が
住民投票
制度
というのは、これはあくまでも上の、上といいましょうか
都道府県
とか
政府
がやることではなくて、あくまでこれは
住民
サイドがやることですから、そういう
制度
を取り入れても大いに
合併
をすべきだ。 やはり、首長、
市町村
議会を含めてそういう議会が抵抗する意味は、例えば
合併
しても、そこの町村から今まで二十人いた議員さんが一人しかならないとか、そういうごく卑近なものが大きな影響を持っているわけなので、そういう意味で、この
市町村合併
が自主的に
促進
できるような
制度
といいますか、そういうものをもう少し取り入れなければ、やはり受け皿の方が遅々として進んでいかないと幾ら
地方分権
をやっていってもできませんということになるわけでございまして、私らとしては、そういったことを
勧告
案の中に盛り込んでいくことは、上からどうのということではなくて、
住民
の自発的な、自主的なものに焦点を当てるということですので、何ら矛盾しないのではないかと思っています。 時間もなくなりました。最後でございますけれども、私は、この
地方分権
、いろいろな形で御
検討
され
勧告
を出されるわけですが、それを実行に移す
段階
では、やはり
補助金
、これはどうしてもひもがつくわけですね。ですから、
補助金
があるということは、これはやはり
地方分権
を相対的に阻んでいくことになると思います。これはもう、厚生省のああいう不正事件が起きたとおり、
補助金
とそういう国の
関与
というものは表裏一体のものでございます。幾ら理想を言っても、これは必ずそういうことになってまいります。ですから、
補助金
、交付金というのは、そういう問題で、
地方分権
に対しては非常にマイナス効果をもたらすものである。 その次は、やはり国の
関与
で許認可ですね。私は、この許認可は、できるだけ
住民
の中に、任せるものは近い自治体に許認可権を与えるということが大事ではないかと。それから、今言った
必置規制
ですとか必置義務ですか、あるいは通達等におけるいろいろな
関与
ですね。 ですから、
地方自治
体そのものが自主的な
行政
が行えないような状態になってくる、こういうことでございますので、時間がないようですが、この第二次
勧告
に向けまして、
委員長
さんの決意は先ほどお聞きいたしたわけでございますが、私が今数点お話しした中で、どのように今感じておられるか。 最後に、読売新聞に、十二州、三百自治体という提言をしております。こういったことは将来に向かって非常に示唆のある提言ではないかと私どもは思いますが、そういう点も含めて御答弁いただければ幸いだと思います。
諸井虔
34
○
諸井参考人
お答え申し上げます。 我々も、やはり
補助金
に絡んだ国の
関与
、あるいは許認可の問題とか、いろいろな指示、通達、従来はほとんど手とり足とりというような形で国がやってまいった、これをできる限り排除して、
地方
の自主的な体制、そして最終的には
住民
自治という方向へ持っていきたいということで、できる限りの努力をしてまいりたいと思っております。 それから、読売新聞の十二州、三百自治体でございましょうか、これもなかなかおもしろい御提言であろうかと思っております。 ただ、私ども、先ほど
堀江座長
が申しましたように、三千三百の自治体をいきなり国に結びつけるというわけにはまいりませんでしょうから、やはり当面は二層制でいくのではないかなと。しかし、
委員会
としても、
地方自治
体の御出身の方々もたくさんおられますが、やはり
合併
はいいことである、特に
市町村
の
合併
は進んでいくべきである、国が強制するというのは問題があるかもしれないが、その
合併
ができない理由をできるだけ排除し、
合併
が進むような
方策
を何かやはり編み出して提案をしてまいりたいというふうに考えております。 どうぞよろしく
お願い
します。
鰐淵俊之
35
○鰐淵
委員
どうもありがとうございました。
穂積良行
36
○
穂積委員長
葉山峡君。
葉山峻
37
○葉山
委員
第二次
勧告
に向けていよいよ大
詰め
を迎えておられまして、
諸井
委員長
初め
委員
の皆様方には、大変な御苦労を推察いたしますとともに、その御尽力に心から敬意を表します。 ところで、
勧告
の
取りまとめ
作業
も相当に難儀なものになるのではないかと推測いたします。先ほど
諸井
委員長
のお話でも、
事務区分
については三割方いっているというお話もありましたけれども、何せ五百六十一ということでありますから、一体、第二次
勧告
で宿題のすべてを処理することができるのかどうか、私どもがとても気にかかるところでありますが、第二次で最後になるのか、それとも第三次があるのか、その辺の見通しについてまずお尋ねをさせていただきたいと思います。 また、
機関委任事務
の
廃止
を受けまして、膨大な
事務
の
区分
について各
省庁
との
ひざ詰め談判
による
作業
を続けておられるとも伺っております。そのためか、外にいる私どもには
分権
作業
のプロセスがなかなか伝わってこない印象を持っております。昨年の
中間報告
ぐらいまでは、この情報公開ということでは、我々は非常にわかったようなつもりでおったわけでありますが、ヒアリングを始めた以降になりますと、なかなかわかりにくい。ましてや
地方
の人たちはその点を非常に注意深く本当に見守っていると思うわけでありますが、そういう印象を持っているところでございます。
勧告
に向けての地域での公聴会の開催とか、
勧告
後でも結構でありますから、
審議
経過の公表を行うなどにぜひ取り組んでいただき、開かれた
推進
委員会
としての姿を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
諸井参考人
にお尋ねいたします。
諸井虔
38
○
諸井参考人
第二次
勧告
で全部出せるのかという点でございます。 先ほど来申し上げておりますように、非常に膨大な量と、それから短い時間ということで悪戦苦闘はしておりますが、現時点では、何としても第二次
勧告
に全部盛り込みたい、そういう意気込みで頑張っております。一〇〇%そうなりますとお約束はできないわけでありますが、主要な
部分
について、私は、第二次
勧告
に全部盛り込みたい、そういう覚悟で現在進めております。 実は、その
作業
で、各
グループ
が
省庁
と毎日のように午前午後あるいは夜とやっておりまして、その経過がどうもなかなか外へ出てこない、これは私も実は大変気にしている点ではございます。ただ、現在やっているやりとりがもうほぼ煮詰まりかけているとしても、煮詰まってしまわないときに外へ出してしまうというわけにまいりませんものですから、大変気にはなっておるのですが、ちょっとその点は、時間との競争をやっている
関係
でお許しを願えないだろうかというふうに思います。 ただ、現実には、毎回、
委員会
を開きましたときは必ず記者会見もやっておりますし、いろいろな資料等も公表しております。それから、実は議事録が、毎日ほぼ速記録に近いものを出してはおるのですが、これが
事務処理
の都合で大分おくれておりまして、その辺も私は大変気にしております。いずれにしても、これは必ずすべては出すつもりでございます。 それから、
勧告
の直前ぐらいになりますと、大体今の
詰め
も済んでまいります。できるだけ早く表へ出したいと思いますし、また、
勧告
が済みました後も精力的にいろいろ
説明
をする、あるいは
地方
へもお伺いをするというようなことはやってまいりたいと思います。どうぞ、ひとつお許しを願いたいと存じます。
葉山峻
39
○葉山
委員
西尾参考人
に御質問させていただきます。 第一次
勧告
では、これまでの中央、
地方
関係
を国と
地方
の
対等
・
協力
の
関係
にさせなくてはならないと明言されておりますが、私は、この点こそ
分権
社会実現の重要な決め手だと思います。しかし、そのためには、やはり国と
地方
との間の明確な
関係
ルールの
設定
と、
第三者機関
としての
紛争処理
機関の
設置
を欠くことができないと思うわけであります。
行政機関
同士の
紛争処理
について蓄積も浅く、大変難しい点も多いことと思われますが、ぜひ第二次
勧告
でその方向をすっきりと示していただきたいと思います。民主党としてもこの点については提言したいと考えているところでありまして、これらの点についての
西尾
先生の姿勢と
基本
的なお考えをお尋ねしたいと思います。
西尾勝
40
○
西尾参考人
先生御指摘のとおり、国と
地方
との
対等
・
協力
の
関係
を築いていきますためには、国と
地方
との間の明確な
関係
ルールを
設定
することと、万が一紛争が生じたときにこの紛争を処理する
手続
というものを明確に定めておくことが不可欠だというふうに考えております。特に、これまで
機関委任事務制度
のもとで包括的な指揮監督を行うということがずっと定着をしておりましたので、この
制度
を
廃止
した場合、これにかわる新しい
制度
をつくる上では、
紛争処理
機関とその処理
手続
ということを定めることが不可欠の要素であるというふうに認識しているところでございます。 しかしながら、この点につきましては、冒頭
委員長
からも御質問に対してお答えいたしましたように、現在さらにその具体案を
詰め
ている
段階
でございます。
関係省庁
からもさまざまな御
意見
がございますけれども、内閣の諸機関からもさまざまな御
意見
がございます。問題は、大きく分けて法理論的な側面と実態的な側面とに分かれるかと思いますけれども、御指摘のありました事柄について一点一点細かく考えまして、
関係省庁
あるいは内閣の諸機関の御不安、御疑念を
一つ一つ
解消するような成案にたどり着きたいと思って鋭意努力しているところでございます。
葉山峻
41
○葉山
委員
神野参考人
に御質問させていただきます。
分権
は単なる
事務
配分にとどまったのでは絵にかいたもちになると、よく
権限
、財源、人間という三ゲンの論議がされるわけでありますが、ともあれ財源の問題というのは非常に重要だ。そこで、第一次
勧告
に引き続きまして国と
地方
との間の
事務区分
に大変御苦労されておると承知しておりますけれども、やはり最終的には
税財源
の配分が決定的だと思います。 そこでお尋ねいたしますが、現在までの
作業
状況を伺う範囲では、税源配分にまで及んでおられない、現在の
地方税
制に対する縛りを緩やかにする程度の話が
中心
になっているのではないかと懸念をしておるわけでありますが、その点どうなっているのか。
神野参考人
に
基本
的にまず、先ほどもお話がありましたけれども、財産税とか所得税とか、そういう点でのお考えをお聞きしたいというふうに思っております。よろしく
お願い
します。
神野直彦
42
○
神野参考人
ただいまの御質問は、
地方自治
に情熱を傾けてこられた葉山先生の御指摘として私の心に深く刻ませていただきたいというふうに存じます。 御指摘のように、
地方分権
を
推進
していくためには、
機関委任事務
の
廃止
とか、あるいは
必置規制
の
整理合理化
とか、そういうことを進めるとともに、国と
地方公共団体
の財政
関係
についても
基本
的な
見直し
を行っていく必要があるということは十分認識しております。 お尋ねの中にございましたように、
地方税
制に対して縛りを緩やかにするという問題も現在
検討
しておりますが、これもなかなか大変な問題でございまして、現在、私ども
課税自主権
の尊重という
観点
から、法定外普通税の許可
制度
の
あり方
とか、あるいは法定外目的税の創設とか、それから標準税率をどうするか、制限税率の
あり方
、そういったものなどについても
検討
を加えているところでございます。 しかし、それだけでは不足するということは重々承知しておりまして、
基本
的には、日本の場合には
地方
における歳出の規模と
地方税
収の乖離というものが非常に大きい、それをできるだけ縮小するという
観点
に立ちまして、事実、
確保
を図っていきたいというふうに考えておりますし、その際には、できるだけ税源の偏在性が少なくて税収の安定性を備えた
地方税
体系を構築するということに配慮すべきであると考えております。 先ほども申し上げましたが、具体的な問題について現在
検討
中でございますので、この場ではちょっと差し控えさせていただければというふうに存じますので、御了解いただきたいと思います。
葉山峻
43
○葉山
委員
堀江参考人
に御質問させていただきます。
堀江
委員
におかれましては、
地方行政体制
の
あり方
というテーマで、このテーマはまさに
地方自治
の姿を問う大変な
作業
となるものと思われます。 私は長らく湘南
地方
の市長を務めてまいりました。特に、地域の
行政体制
がどのようなものになるべきかという問題について最も配慮しなくてはいけない点は、これからの
地方制度
の
あり方
について、画一的にならずに、人それぞれにそれぞれの顔があるように、実に個性ある多様性と地域の
自主性
を尊重することだと考えるのでありますが、この点についての
堀江
先生のお考えをぜひお尋ねさせていただきたいと思います。
堀江湛
44
○
堀江参考人
ただいま葉山
委員
の御質問でございますけれども、
我が国
のこれまでの
地方自治
の
制度
というものが、全国的に一定の
行政
水準と申しますかナショナルミニマムを
確保
するという
観点
から、全国一律の色彩が非常に強うございましたし、さらに個別の
行政分野
におきましても、
行政機関
や
職員
の
設置
などについて一律の
必置規制
が課せられておる等、画一性の極めて強いものでございました。 当然、御指摘のように、
分権型社会
においてはあくまでも、何よりもその担い手である各
市町村
が、それぞれ創意工夫を生かして
住民
のニーズや地域の実情に的確かつ柔軟に対処することが必要であろうかと思います。 そこで、私ども
地方行政体制等検討グループ
におきましては、
地方議会
の
活性化
策あるいは
住民参加
の
拡大
や
多様化
等々も含めて、
地方公共団体
の多様な
あり方
について
検討
を進めておりますし、
地方公共団体
の
自主組織権
を拡充するという見地から、
必置規制
等につきましても
必要最小限
のものにとどめるように、ただいま各
省庁
と
グループ
ヒアリングを重ねているところでございます。 そういったことで、できるだけ御趣旨に沿うような形で私どもも具体的な
検討
を進めていこう、かように考えております。
葉山峻
45
○葉山
委員
どうも大変ありがとうございました。
穂積良行
46
○
穂積委員長
穀田恵二君。
穀田恵二
47
○穀田
委員
日本共産党の穀田です。本当に
委員
の皆様には御苦労さまです。
西尾参考人
から先ほど
第三者機関
というものについてお話があったときに、法理論上の問題、実態的側面というお話がございました。私も、
第三者機関
ができなければ画竜点睛を欠くといいますか、そういった問題意識を持っています。 したがいまして、端的に申し上げて、
省庁
との
関係
でどの辺がネックになっていて、
委員長
としてはどういう方向で最終、
詰め
ていこうとお考えなのか、その辺だけ最初にお伺いしておきたいと思います。
諸井虔
48
○
諸井参考人
肝心な
西尾
先生がやむを得ざる用で退席いたしまして、まことに申しわけございません。 やはりポイントは、国の機関の
一つ
である第三着機関が、国の
省庁
が分担しておる
事務
について違う
考え方
を出してくる。さらにまた、それを裁判で争うというようなことがいかがなものかという点であろうかと思います。 それで、我々もそれに対していろいろな修正案等も用意をしておりますし、また今いろいろな
議論
を進めております。法制局、法務省等も含めていろいろ
議論
を進めております。何とか皆さんの御心配を解決してクリアをしたいものだという考えでおりますし、その可能性も十分あるのではないかというふうに考えております。 いずれにしましても、この問題につきましては、
中間報告
でも第一次
勧告
でもずっと続けて申してきたことでありまして、これを丸ごとなくしてしまうというのは、全体の
構成
として極めて不十分なものになってしまうのではないかと思います。何とかクリアをしてまいりたいという努力を重ねておるところでございます。ひとつよろしく
お願い
いたします。
穀田恵二
49
○穀田
委員
今お話がありました、
西尾参考人
がお述べになっておられるのですが、
地方分権
と
地方自治
という問題で、これは余り事前にお知らせしていなかったのですが、これまで先生は、特に
住民
自治の
視点
が欠けているという批判が少なくないということについてまた反論を出されたりしておられまして、今、
住民
自治の核心に触れるテーマについて、特に
住民参加
の拡充
方策
を初め
地方議会
の
活性化
といった問題を
議論
なされていますね。 そこで私は
堀江参考人
にお聞きしたいのですが、特に
市町村合併
の問題が取りざたされています。ヒアリングその他の
報告
を見ますと、例えばこんなふうにありますね。百六回の
審議
概要を見ますと、「財政力の弱い小規模団体における
事務
の効率化の状況はどうか。また、小規模な団体においては
合併
が必要なのではないか。」こういう問いに答えて、町村会は「小規模団体だから
権限
を委譲して
事務
を任せられないというのはおかしい。まずは任せてほしい。また、例えば、福祉の面において、施設に人を収容しなくて済むような
方策
はむしろ小規模団体の方が行いうる。」こんなふうな討論をなさっています。
合併
という問題について、
自主的合併
、それからそれを誘導する、こう次々と
段階
を経てみますと、全体としては、昭和の大
合併
ではありませんけれども、
自主性
ということと
地方分権
ということの趣旨からしますと、一歩踏み込んでも、さらに二歩三歩踏み込んだ内容が出てきているやに私はどうも受け取れるわけですね。本来の趣旨からしますと、団体の規模の問題は、それぞれについてはそれぞれのところが決めるべき筋だと私は思うのです。 ただ、そういうふうな意向との
関係
で、
住民
自治の核心についての皆さんのお考えといいますか、その辺をさらにどういった点で深めようとされているのか、ぜひ
堀江参考人
に、大まかな話の
基本
的なお考えをお聞かせいただければと思います。
堀江湛
50
○
堀江参考人
まず最初に、
分権委員会
が昨年までは余り
市町村合併
等々に触れていなくて、最近それについて非常に言及しているのはどういうことなんだ、こういうおしかりというか御批判かとも思いますが、
地方分権
の
推進
ということは、
地方公共団体
の自己決定権と自己責任の
拡大
を伴うことでございます。したがいまして、
地方公共団体
もその役割を担うにふさわしい
行政体制
の
整備確立
に努める責務があるのではないか、こういうのが私ども
委員会
の考えでございます。 すなわち、まず第一
段階
として、国から
地方
への
権限
の大幅な
移譲
ということが必要になってまいりますが、
権限
の
移譲
が行われる以上は、それに対応する
地方公共団体
の足腰の強化、
移譲
された
権限
を十分に活用できる体制をつくる必要があるのではないかということで、第一次
勧告
におきましても、
市町村
の
自主的合併
を一層強力に
推進
することが必要であるという旨、
勧告
にうたわれております。それに基づいて、正月以降、この問題について
検討
を進めているわけであります。
市町村合併
等と
住民
の問題という御指摘がございましたが、例えば
現行
の
住民
発議
制度
にいたしましても、
合併
協議会
設置
の請求ということについて、首長さんがそれを各議会に協議会
設置
の議案をかけるということは、かける、かけないは首長さんの
権限
となっております。しかし、
合併
関係
市町村
から
合併
協議会の
設置
等の請求があった場合には、これは必ずこの議案を各議会にかける、付議することを義務づけるなどというような
一つ
の問題も、必要なのではないかといって目下
検討
しているところでございますし、
合併
を
促進
するという
観点
で、いずれかの
段階
において
住民投票
制度
を
導入
するというようなことについても工夫していく必要があるのではないかというふうに考えております。 むしろ、そういった
住民
の積極的な参加という見地から、しかし、
基本
的には日本の
地方自治
は間接代表制をとっておりますので、間接代表制という枠組みを堅持しながらも、そして、それがさらに
活性化
する補完
機能
としてのそういった
住民参加
というものを積極的に活用する
方策
等々を
勧告
の中にぜひ盛り込んでいきたいということで、目下研究を進めておるところでございます。
穀田恵二
51
○穀田
委員
最後に、
神野参考人
にもお伺いしたいと思います。
推進
委員会
は、第一次
勧告
で、
機関委任事務
の
廃止
という
現行
制度
の転換を打ち出したわけです。そこで、国と
地方
のこれまでの
関係
を抜本的に変革し、財源の面でも本当に
地方自治
が拡充されるという、そういう内容の
勧告
をされるべきだと私は思っています。 二つだけお聞きしたいのです。
補助金
の問題もついでに言っておきたいと思うんです。 財源問題で、
地方自治
の脆弱性の例として、よく国と
地方
を比較して、歳入では国が二に対して
地方
が一、歳出は国が一に対して
地方
が二という歳入と歳出のギャップが挙げられます。こうした実態を抜本的に
改革
する思い切った
勧告
をなされることを期待したいと思います。その点、いかがかということが
一つ
。 もう
一つ
だけ、
補助金
の
整理合理化
について、私は、やはり肝心の問題は、これらが自治体の
自主性
を阻害している現状に着目して、その
自主性
を阻害する要因を除去するものでなければならないのではないかと思っています。その点での御見解をお伺いして、私の質問とします。
神野直彦
52
○
神野参考人
ただいまの穀田先生の御質問にお答えさせていただきます。 第一の点は、先ほど来私の方からも申し上げましたように、日本では、
地方
の歳出とそれから
地方
の
税財源
の格差が非常にあるのだけれども、それを抜本的に解決することを考えてはどうかという御質問だろうというふうに考えております。 私どもも既に中間
取りまとめ
て、単に
国庫補助負担金
の
整理合理化
をするだけではなくて、
地方税
それから
地方交付税
など
一般
財源の
充実確保
を図るべきだという
基本
方向を示しまして、鋭意
検討
をしているところでございます。 それから、第二点目でございますが、これは
国庫補助金
とか
国庫負担金
に対して極めて
関与
が多い、その点を
改革
すべきではないかというお話でございます。 この点につきましても、先ほど来申し上げましたように、
三つ
の
基本
的な方向のうちの
一つ
で、
補助金
を
整理合理化
した上でなお存続する
国庫補助負担金
につきましては、その
運用
、
関与
が
地方公共団体
の自主的な財政運営を妨げないように
改革
をしていくということを
一つ
の重要な
基本
的な
見直し
の方向として位置づけて、そして、具体的には、
委員長
からも御
説明
がありましたけれども、メニュー化とか統合化とか交付金化とかを含めて、鋭意
検討
をしております。
穀田恵二
53
○穀田
委員
最後に、
委員長
に
一言
だけお聞きしたいと思うんです。 最近、
分権
推進
委員会
が、一番最初の受け皿論という問題、いろいろありまして、それで、ずっと経過を見ていますと、それを前提としない、つまり横に置いてというような
議論
の出発であったかと思います。ところが、全体としてこういうふうな話が、今お話をずっとしていまして、
地方行政委員会
でも、実は先日の
一般
質疑
の
中心
は
市町村合併
オンパレードでした。自治省の松本
行政
局長は、自治体の
行政
規模、財政規模に応じてどういう
権限
が
移譲
できるか、そういうことを
分権
推進
委員会
が
検討
している旨の答弁をしていました。 先ほどもそういう形で、どの規模にどれか、こういうふうな話がございましたが、私は、その点では私の
意見
はもちろん違うわけですけれども、その内容と、第二次
勧告
にそれが盛り込まれるのかどうかだけ、最後、時間の範囲内でお聞きしたいと思っています。
諸井虔
54
○
諸井参考人
第二次
勧告
に、先ほど来申し上げておりますように、なるべくこの点も含めて出したいというふうに考えております。 ただ、ちょっとやはり、この
部分
の
検討
がややおくれているのは私も気になっている点でございます。しかし、何とか今の時点ではこれを盛り込んでまいりたいということでやっておりますので、よろしく
お願い
いたします。
穀田恵二
55
○穀田
委員
終わります。
穂積良行
56
○
穂積委員長
畠山健治郎
君。
畠山健治郎
57
○畠山
委員
第一次指針
勧告
によって、懸案でありました
機関委任事務制度
の
廃止
に
基本
的な決着をつけ、それにとってかわる新しい
事務
概念と、具体的に
事務区分
がなされたことは、
地方分権
史上画期的なことでございます。私は、ここに至る
推進
委員会
の皆様の御努力に心から敬意を申し上げたいと存じます。とともに、七月に
予定
されております第二次指針
勧告
に大きな期待を寄せるという立場から、幾つか御質問申し上げたいと存じます。
地方分権
は、
法律
で定められた五年のうち既に二年が経過しており、これまでの経緯からして、時間的にも、内容的にも、最も優先度の高い
改革
課題
と考えます。しかし、他方では、中央
省庁
の再編あるいは外郭化の流れが先行する嫌いなしともいたしません。そうした事態となれば、少数に再編された巨大な
省庁
の出現によって、
地方分権
は遠のいてしまうのではないかと危惧されます。
諸井
委員長
は、橋本総理の諮問機関である
行政改革
会議
のメンバーでもございます。あらゆる
改革
が同時並行化されておることで、逆に事柄の優先順位が軽視されかねない現状についていかがお考えでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
諸井虔
58
○
諸井参考人
お答えをいたします。
地方分権
の
推進
というのは
行政改革
と非常に密接な
関係
がございまして、もちろん、
分権
で
権限
が自治体におりていけばそれだけ中央の
省庁
はスリムになっていくということではないかと思うんですね。それから、一方、現在
行政改革
会議
等で、中央の
省庁
をなるべく政策の企画立案に純化して、その上で大ぐくりにしていこうというふうな
議論
が行われておるわけでございますが、このプロセスで、当然規制緩和と並んで
地方分権
がまた進んでいくというようなことで、
地方分権
と
行政改革
というのは非常に、車の両輪と申しますか、あるいは一体のものであって、両方が進むことがまた両方にいい影響を与えていく。 全体として今進んでいる
改革
というのは、
一つ
の大きな流れでございます。その流れの中に両方ともきちんと位置づけられるものであると思いますので、むしろ、同時並行して進められることによって両方が
促進
していく、私はそういう認識をしております。
畠山健治郎
59
○畠山
委員
同様なことは、先般
閣議決定
されました
財政構造改革
との
関係
についても言えるのではないかというふうに思っております。 確かに、
財政構造改革
では
地方分権
にも言及をいたしまして、大きな
改革
の一環として
推進
する、こう言われておりますが、財政収支の改善が先行する中では、財政上の
地方分権
はこれまた軽視されかねません。 こうした状況を踏まえるならば、第二次指針
勧告
ではぜひとも財政の
分権
化策を具体的に
勧告
することが極めて重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
諸井虔
60
○
諸井参考人
まことにおっしゃるとおりであろうかと思います。 現在進んでいる
改革
というのは、例えば
分権委員会
だけでやれるものでも、
行政改革
委員会
だけでやれるものでも、あるいは
行政改革
会議
だけでやれるものでもなくて、それぞれの
会議
とか
審議
会とかいろんな機関が並行して、
協力
して進めているというのが現状ではないかと思うのです。 そういう意味で私どもは、
財政構造改革
会議
が
制度
的
補助金
という概念を
導入
されて、
補助金
の
整理
の方針を出されたということは大変ありがたいことである、心強いことである、こういう方向と我々の方向とをなるべく合致させていきたいというふうに考えている次第でございます。
畠山健治郎
61
○畠山
委員
機関委任事務制度
を
廃止
した場合の
従前
の
機関委任事務
の取り扱いについて、
中間報告
並びに第一次指針
勧告
を見ますと、
機関委任事務制度
の
廃止
にかわる
自治事務
、
法定受託事務
の
区分
において
法定受託事務
の範囲が
拡大
し、さらに国の
関与
が
拡大
されたとの批判がないわけではございません。各
省庁
との調整によるやむを得ざる結果と考えないわけではありませんが、この点について
委員長
はどのようにお考えでしょうか。
諸井虔
62
○
諸井参考人
確かに、
中間報告
の
段階
から非常に後退しているのではないかとか、思ったより
法定受託事務
が多いじゃないか、あるいは
自治事務
に対しても、例えば合意つきの事前協議といったような国の
関与
が非常に大きいじゃないかというふうな御批判があることはよく承知をしております。 ただ、よく考えてみると、
機関委任事務制度
のもとで行われていた
事務
の中で、本来国がやるべ きであるが
住民
の便宜とか効率性の
観点
から
地方
に委任していたというふうな
事務
もあります。あるいはこの時点で考えて、むしろ国が直轄でやる方がいいんじゃないかというふうな
事務
もあろうかと思うのです。私どもの
仕事
というのは、
機関委任事務制度
でやっていた
事務
を全部
自治事務
にするというのが目的ではなくて、これを本来あるべき形に持っていく、本来あるべき姿に分離をしていくというのが我々の
仕事
なんだと思うのです。 日本の場合には、連邦制の国は別として、
中央集権
の形をとっているイギリスとかフランス等に比べて、
機関委任事務制度
を撤廃して今度の
分権
を実施していきますと、かなりのものが
地方
へ移っていく。考えようによっては、世界でも一番
分権
の進んだ国。現在、例えば財政の面から見ても、国、
地方
を通しその歳出の三分の二を
地方
が支出しているということは、三分の二の
仕事
を
地方
が実際はやっている。これは、現時点では
機関委任事務
のもとに国の指揮監督を受けてやっているわけでございます。そのかなりの
部分
が
自治事務
になっていくということは、結果としては非常に
分権
が進んだ形になるのではないか。それをさらに、本来の
住民
自治の形まで持っていく、そういう体制づくりをやるというのが我々の
仕事
だと思っております。 したがいまして、今のような御批判は確かに承っておきますし、できるだけそういう方向で努力はいたしますが、私は、今我々がやっている
仕事
の中身がかなり進んだものなんじゃないかというふうに認識をしているわけでございます。
畠山健治郎
63
○畠山
委員
西尾参考人
がいらっしゃるつもりで予告をしましたが、いらっしゃらないわけでありますから、私の
意見
として申し上げておきたいというふうに思っています。
対等
、平等な中央、自治体
関係
を保障する
行政
紛争処理
委員会
の
設置
についてでありますが、多くの
省庁
は、主任大臣の
行政
権限
に優越する裁量権をこの
委員会
に認めることは内閣法あるいは国家
行政組織
法の考えとは相入れないなどの理由で反対しておるようでありますが、私は同意はできない、こう申し上げておきたいというふうに思っています。 また、中央労働
委員会
、公害等調整
委員会
など裁定
権限
を持つ
委員会
は現実に
設置
されており、これら
委員会
の裁定に関して、これまで主任大臣がクレームをつけることはないはずでございました。法制上からも実態的にも
機能
しておるこれら
委員会
を見れば、
行政
紛争処理
委員会
の
設置
を妨げる法制上の障害はないと私は考えます。 伝え聞くところによりますと、国と自治体間の紛争について裁判所による解決
手続
を
導入
するにしても、まず第一義的に
行政
内部において解決
手続
を設け、そこで解決が図られない事案に限定してこれを認めるべきだと、法務省は法政策上の見地から
行政
紛争処理
委員会
の
設置
を容認しておる、このように私は承っております。ぜひひとつ、そういう前向きの方向で御努力をいただきますように
お願い
を申し上げたいと思います。 そこで、国と自治体間が特に緊張
関係
をはらみながらも共同して最終意思決定をする。
行政
紛争処理
委員会
は、対立調整のみならず、積極的共同意思決定の場、あるいは広義では自治体の国政参加的
機能
を持つ場として国にとっても有益ではないかと考えます。その意味で、これは立法政策の領域であり、そうした政策を豊かにするためにも、
推進
委員会
にはぜひとも具体的な
勧告
を期待してやまないというふうに思っています。
委員長
の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
諸井虔
64
○
諸井参考人
今畠山先生がおっしゃった論点は大体我々の論点でもございまして、そういう趣旨で各
省庁
と鋭意折衝をしております。それから、法務省の見解もおっしゃったとおりでございます。 ただ、何といっても新しい
制度
をこれからつくるわけでございますから、これはやはりあらゆる角度から十分に
検討
して、誤りなきを期してまいりたいというふうに考えております。 ただ、先ほども申し上げましたように、これを欠いた場合には、全体のシステムというものがやはりかなり問題を生ずるというふうに私は思いますので、ぜひともこれを実現したいという考えでおります。何分よろしく
お願い
いたします。
畠山健治郎
65
○畠山
委員
堀江参考人
にお尋ねいたしたいと思います。
住民
の自己決定権の保障、そこに
地方分権
の重要な意義があるわけでありまして、それだけに
地方
の
行政体制
の
整備
に関する
勧告
については大いに期待をいたしております。 そこでお伺いをいたしますが、既に実施され、あるいはこれから行われる、新潟県の巻町あるいは今度行われる
予定
の岐阜県の御嵩町の
住民投票
について、
地方分権
における
住民参加
の
拡大
との
関係
でどのように評価をなさっていらっしゃるのか、お承りをいたしたいと思います。
堀江湛
66
○
堀江参考人
住民投票
制度
の
あり方
については、先ほど来申し上げましたように、
現行
の日本の
地方自治
組織
が代表制民主主義という形をとっておりますので、第一義的にはこれを重視していかなければいけない。しかし、同時にまた、
住民投票
制度
といったようなものが
住民
が
地方自治
に参加する極めて重要な
制度
であるということも、これもまた申すまでもないことでございますので、したがって、
地方公共団体
の重要事項について、殊にそれが条例で定められているといったようなものについて、例えばこういった
住民投票
制度
をどのように活用するかというようなことについては今後十分研究する必要があろうかと思っております。 ただ、第一義的には議会の
活性化
を図ることがまず先決問題ではなかろうか。つまり、
住民
の意思と
地方自治
を結ぶ上で、
住民
の意思を議会が十分反映して、それを
市町村
政あるいは県政に反映させるということのための議会の
活性化
を
検討
するということが第一義的にと申しますか、あわせて
検討
する必要があるのではないかと思います。 また、いわゆる直接請求の
問題等
でありますけれども、これも要件の緩和等々は十分
検討
に値するものと思いますが、一方において、殊に議員等に対する、これが乱用のおそれがないような、そういったことも
十分留意
しながら、こういった問題について
検討
する必要があろうかと思っております。
畠山健治郎
67
○畠山
委員
最後になりますが、自治省の役割並びに
地方自治
法の問題についてでありますが、
地方分権
が全面的に進展しても、
地方
行財政に責任を持つ省の存在は必要と考えます。その場合でも、現在の自治省が持つ役割、
機能
は見直される必要があろうかと思います。また、
地方分権
は、最終的には
現行
地方自治
法の全面的な
見直し
をもって初めて完結するのではないかと考えます。その場合、
地方自治
法は、理念的にも、内容的にも
住民
の権利義務から発した内容、
構成
に取ってかわるべきではないかと考えます。このことを私の
意見
として申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
穂積良行
68
○
穂積委員長
これにて
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人各位
に
一言
御礼を申し上げます。
参考人各位
には、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表して厚く御札を申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三分散会