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1997-06-10 第140回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君    理事 田中  甲君 理事 穀田 恵二君       石橋 一弥君    久野統一郎君       下村 博文君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       西田  司君    平沢 勝栄君       持永 和見君    渡辺 具能君       今井  宏君    川端 達夫君       笹山 登生君    白保 台一君       福留 泰蔵君    松崎 公昭君       鰐淵 俊之君    桑原  豊君       葉山  峻君    古川 元久君       春名 直章君    畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁交通局長 山本 博一君         警察庁警備局長 伊達 興治君         自治政務次官  久野統一郎君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省財政局長 二橋 正弘君         消防庁長官   佐野 徹治君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事法制課長   渡邉 一弘君         気象庁総務部航         空気象管理課長 平木  哲君         建設省道路局有         料道路課長   山川 朝生君         自治大臣官房審         議官      香山 充弘君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十日  辞任        補欠選任   葉山  峻君    桑原  豊君 同日  辞任        補欠選任   桑原  豊君    葉山  峻君     ――――――――――――― 六月六日  行政書士法の一部を改正する法律案参議院提  出、参法第六号) 五月二十二日  パチンコ店におけるプリペイドカードの偽造・  変造防止等に関する請願鳩山邦夫紹介)(  第二九八二号) 六月十日  ダンススクールの風営法からの適用除外に関す  る請願田中甲紹介)(第三七一一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十二日  土地の固定資産税等評価・課税の適正化に関  する陳情書  (第三〇五号)  銃器根絶に関する陳情書  (第三〇六号) 六月五日  地方交付税制度見直しに関する陳情書  (第三四八号)  過疎地域・中山間地域振興対策に関する陳情  書  (第三四九号)  辺地対策事業債の充当に関する陳情書  (第  三五〇号)  暴力団対策必要性と暴対法の運用に関する陳  情書  (第三五一号)  住居集合地域周辺等風俗営業規制等に関す  る陳情書  (第三五二号)  女子中学生行方不明事件真相解明に関する陳  情書外一件  (第三五六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  行政書士法の一部を改正する法律案参議院提  出、参法第六号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  参議院提出行政書士法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。参議院地方行政委員長峰崎直樹君。     ―――――――――――――  行政書士法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――
  3. 峰崎直樹

    ○峰崎参議院議員 ただいま議題となりました行政書士法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  行政書士は、国家資格者として、官公署へ提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類作成することを中心とした業務を行うことにより、行政の円滑な推進に寄与し、及び国民利益の速やかな実現に貢献しているところであります。目まぐるしく変貌する社会にあって、その業務は、制定改廃される法令に精通し、複雑化、高度化する行政に対応することが要求され、極めて高度な内容のものとなっております。また、近年、行政事務合理化効率化が求められており、その点からも行政書士業務重要性はますます大きなものとなってきております。  この法律案は、このような現状を踏まえ、行政書士業務の質を確保するため、行政書士欠格事由破産者復権を得ないものを加え、罰則整備するとともに、法律目的規定を設けることとするものであります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、目的規定の創設についてであります。  行政書士法は、行政書士制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、国民の利便に資することを目的とすることを新たに規定することとしております。  第二に、欠格事由についてであります。  欠格事由として、破産者復権を得ないものを加えることとしております。  第三に、罰則整備についてであります。  まず、新たに無資格者による行政書士名簿の登録の虚偽申請について罰則を設けることとし、その法定刑としては、一年以下の懲役または三十万円以下の罰金に処することとしております。さらに、従来の罰則の中で、行政書士でない者の業務制限違反の場合について罰金多額を三十万円に、行政書士守秘義務違反罰則を一年以下の懲役または十万円以下の罰金に、行政書士の名称の使用制限違反に対する罰金多額を十万円にそれぞれ引き上げることとしております。また、行政書士会または日本行政書士会連合会の登記の懈怠に対する過料の多額を三十万円に引き上げることとしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  4. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 穂積良行

    穂積委員長 本案につきましては、質疑及び討論とも申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  行政書士法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  8. 穂積良行

    穂積委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  地方自治及び地方財政に関する件、特に地方分権推進について調査のため、来る十二日木曜日に参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  10. 穂積良行

    穂積委員長 次に、地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。西川公也君。
  11. 西川公也

    西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  ただいま行政書士法の一部改正案が採決されたわけでありまして、その直後でありますけれども、一点確認をしておきたいと思います。今回追加されました第一条の目的規定によりまして今までの業務範囲が狭まらないか、こういう疑義であります。  そこでお伺いいたしますが、現行法の第一条では、行政書士業務として官公署に提出する書類作成規定されておるわけでありますけれども、この官公署とはいかなるものを指しているのか伺っておきたいと思います。  それからもう一点、今回の改正法案で第一条の目的規定が、今も読み上げられましたけれども行政に関する手続の円滑な実施が定められている、こういうことになったわけでありますけれども改正法案が成立した場合にこの解釈が今までと変わらないのかどうか、この点につきまして確認をしておきたいと思います。
  12. 松本英昭

    松本政府委員 お答えを申し上げます。  現在の行政書士法の第一条の官公署という意味でございますが、国または地方公共団体の諸機関事務所を意味しまして、行政機関のみならず、広く立法機関及び司法機関のすべてを含むものと解されているところでございます。  第二点は、改正法第一条の「行政に関する手続の円滑な実施」との文言が、官公署範囲あるいは権利義務または事実証明に関する事務範囲を狭め、その結果、行政書士業務範囲を限定してしまうのではないかというお尋ねかと思われますが、先ほど提案理由で御説明がありましたように、行政書士は、官公署へ提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類作成することを中心とした業務を行うことにより、行政の円滑な推進に寄与し、及び国民利益の速やかな実現に貢献しており、このような現状を踏まえ、法律目的規定を設けることとすると述べられたところでございます。したがいまして、この目的規定を入れました趣旨からいいましても、行政書士業務範囲に変更を加えることとなるものではないと承知をいたしております。  なお、法制的な点をもう少し申し上げさせていただきますと、現在の二条第六号に「国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した」云々という規定がございますが、この規定解釈も、ここで言う「行政事務」とは、いわゆる国家立法司法事務も指しておりまして、いわゆる広義の意味での行政という意味に現在の法律においても使われているところでございます。したがいまして、この行政書士法上に言う「行政」という用語が同じような意味で今回も規定されたものと理解していただいていいのではないか、かように考えているところでございます。
  13. 西川公也

    西川(公)委員 今の答弁理解をいたしました。目的規定が入っても今までの業務内容は何ら変わらない、こういうふうに理解をさせていただいておきたいと思います。  それでは、財政構造改革地方財源対策につきまして伺っていきたいと思います。  六月三日に財政構造改革会議最終報告が取りまとめられました。その中では、西暦二〇〇三年度までに財政健全化を図る、そして財政赤字の幅は対GDP比三%以内とする、さらには、赤字国債は発行をゼロとする、それから今世紀の三年間は集中改革期間、こういうことで聖域を一切設けず健全化に向かっていく、こういう話であろうと思います。  ところで、それじゃ来年の予算はどうなるのだ、こういうことになりますと、来年度の予算は、この報告によれば、ことしの九年度予算に対して一般歳出で二千億円を減らしますよ、こういう話になっているわけであります。しかしながら、いかに集中改革をやろう、来年からだ、こうすぐ言っても、社会保障費とか文教、科学技術費などはそう簡単にマイナスにできない、こう私は思っております。しかしながら、この目標を達成しよう、こういうことで始まったわけでありますから、そのためには多くの工夫が必要だと思います。  そこで、私は特に地方の問題について伺っておきたいと思うのですけれども財政再建をやる、国も地方も一緒ですよ、こういうことでありますので、地方もこれから少し窮屈になるな、こういうことはよく理解をしているつもりでおります。  しかし、地方財源というものを考えてみますと、地方は三割自治とかそういう話もございまして、交付税財源を依存をしている、こういう実態であるわけであります。今回の方針に果たして地方は耐えることができるのかどうか、こういう心配を私はしております。今度の報告の中でも、地方一般歳出平成十年は伸びマイナス、こういう形を方向づけておりますけれども、本当にこれらを達成するためにはどうすればいいのだろう、こういう問題点であります。  国の一般会計抑制していくためにはいろいろな方法があるのだろうと思いますけれども平成九年度の予算を見てみまして大きく三つに分類しますと、一つは一般歳出をどう切り詰めるか、こういう話になるのだと思います。平成九年度一般歳出四十三兆円、これを切り詰めていくわけですけれども、これもおのずと限度がある、こう私は思っています。  それから、二つ目の柱であります償還、利払いに充てる国債費平成九年度十六兆八千億円出ておりますけれども国債残高はそう簡単に減るわけじゃありませんで、今後ともふえる傾向にある、だからこれを減らすこともまた大変だ、こういうことになるのだろうと思います。  そこで、三本目の柱であります地方交付税交付金、十五兆四千八百億円と非常に大きな数字でありまして、前の二つが縮めることができないのであれば、この地方交付税交付金を今後の予算の中でいかに縮めるかという議論が焦点になってくるだろう、こういう考え方を私は持っております。そう簡単には削られませんよ、こういう話はあると思いますけれども三つの柱の中で前の二つが削れない、こういうことになりますと、地方への交付税交付金を削ってくる、こういうことが予測をされるわけであります。今回の最終報告が出たわけでありまして、これらの報告につきまして当局はどんな受けとめ方をしているのか、まず基本的な問題について伺っておきたいと思います。
  14. 白川勝彦

    白川国務大臣 政府・与党で構成する財政構造改革会議評価あるいは今後どうなるかという話でございますが、政府の方からは、総理官房長官は別として、四閣僚が出席いたしました。一人は大蔵大臣、当然のことでありますが、もう一人は自治大臣である私であります。それから、行政改革を進めていかなきゃならぬという意味総務庁長官、それから今回の目標GDP比という問題がありますので経済企画庁長官、この四人でございます。  私は、地方財政を担当する立場でこの会議に臨み、また、ほかの点についても意見を述べたわけでございますが、今西川委員が一番御懸念の点につきまして、確かに最初のうちはそういう議論もあったかもわかりません。ただ、総理の方から示された五原則の中に、今回は、国、地方財政赤字西暦二〇〇三年までに対GDP比三%にするという大方針がありまして、今回の財政構造改革は国と地方財政赤字がともにテーブルにのったわけでございます。これは大変、私は総理の英断だったと思うわけでございます。ですから、今回、国の方を楽にするために地方ツケ回し、過去若干そういう傾向があったわけでございますが、そういう議論は一切ありませんでした。  そして、私も自治大臣として、国の財政も大変だけれども地方財政も極めて大変であり、周りから言われなくても、自治省自身としても、地方財政健全化に今一生懸命取り組んでいるところであり、取り組んでいかなければならないところであると承知しておる、こういうふうに自治省立場あるいは地方財政全体の課題を申し上げたものでございますので、地方へのツケ回しという議論が、例えば教職員のいわゆる福利厚生費に当たる部分を文部省が今一部持っているわけでございますが、それを地方にとか、若干そういう議論がありましたけれども、これはほとんど、議論全体の中で、そういう地方へのツケ回しはだめだということは理解されました。  そして、地方財政も国と同じぐらい危機であるという中で、地方財政の最も主たる財源というのは、自主的財源である地方税地方交付税交付金しかないわけでございますので、こちらを切り込まなきゃならないという議論も最終的にはほとんどなくなったと言って私は過言でないと思います。  そういう意味では、地方財政も大変であり、地方自治体もぜひその健全化のための努力をしてほしい、そのために国の方が、自分が苦しいからといって地方の方へツケ回し等はしないということはこの会議全体できちんと確認をされておりますので、委員指摘のような御心配は今後ともないと思います。  ただ、地方財政そのものが、仮に地方交付税交付金あるいは地方税があったとしても非常に厳しい状況でございますから、地方財政健全化のために地方自治体努力をしていかなきゃならぬことは毫も疑いを入れないところであります。
  15. 西川公也

    西川(公)委員 今大臣から、国も苦しいからといって地方ツケを回すようなことをしないことを確認できた、こういうことでございますので、理解をしておきたいと思います。  ただ、私ども議員の中でも、交付税の算定の問題の中で、国税正税の一定割合、特に三税の三二%が交付税だ、こういう中で、地方お金が行き過ぎるのじゃないか、こう言う人もいるのです。ですから法定率を下げたらどうか、こういう議論をする人が都市部議員の中に、私どもの仲間にもいるのです。私は、むしろこの率は高い方がこれからいいのだ、こういう希望もあるのですけれども、当面どちらもつらい立場でありますので、ツケ回しをしない中でやっていく、こういうことで理解をしておきたいと思います。  そこで、この最終報告の中で、地方財政計画平成十年は歳出を前年度比マイナスを目指さなければならない、こういうことがうたってあるわけですけれども、どういう手段、どんなところを切り込んでいってマイナスを目指していくのか。  それから、時間の関係もありますのであわせて聞いていきたいと思いますけれども地方公債費というのは、バブルのときに景気対策大型事業をたくさんやりました。そして、そのときの償還がこれから始まる、こういうことでありますので、たとえ一九九八年度、平成十年度の予算が切り込んでいってバランスがとれたとしても、今後六年間もの改革期間中、本当に地方はもつのですか、こういう地方意見があるわけでありまして、これらにつきましてどのような方策を考えているのか、お聞かせをいただければと思っています。
  16. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今御指摘がございましたように、この構造改革会議の最新の報告では、九八年度は地方一般歳出を対前年度でマイナスを目指すということがうたわれております。現在、地方財政大変多額の借入金を抱えているわけでございまして、それを目指していく上で、財源不足の解消、財政赤字縮減ということが極めて重要な課題でございます。  結局のところ、地方財政計画規模抑制に努めていくことが必要でございますが、御案内のように、地方財政は国の施策、国の予算と密接に関連をいたしておりまして、特にその中でも公共投資関係社会保障関係、それから教育関係地方一般歳出の約七割を占めておるという状況でございます。したがいまして、これらについて国の抜本的な制度改正なりあるいは事業費抑制が行われなければ地方一般歳出抑制はできないものでございます。  それらの主要分野につきまして、それぞれ抑制方向なり改革方向が今回の方策で示されておるわけでございますが、平成十年度の地方財政計画規模につきましては、国の予算において、ただいま大臣からもお話がございましたように、地方への負担転嫁は行われないということ、それから、今申しました大きな分野でございます社会保障教育公共投資といった分野について国、地方を通じる歳出抑制が行われるということ、それから、もちろん地方単独事業につきましても伸び率マイナスにするということもあわせて考えなくてはいけないと思っておりまして、これらをあわせまして地方一般歳出の対九年度比マイナスを目指すということを考えておるわけでございます。  これらの地方財政計画規模抑制とあわせまして、各地方団体におきましてもそれに沿って行政改革等を行って、徹底的な財政改革に努めていただくように要請をしてまいりたいというふうに考えております。  そこで、今後六年間あるけれどもどういう方策なのか、こういうお話でございます。この六年間で対GDP比財政赤字を国、地方合わせて三%以下という目標が定められておりまして、特にその前半の三年間を集中改革期間ということで、歳出改革縮減を進めるということでございます。この推進方策におきましては、当面十年度の地方一般歳出についてマイナスを目指しますとともに、再建期間を通じた地方一般歳出伸び率につきまして名目成長率以下とすることを目指しておるわけでございます。  他方で、高齢化の進展あるいは地方分権推進に伴いまして、地方公共団体の役割はますます増大いたします。その中で、住民に身近な行政サービスを提供いたします地方財政歳出抑制というのは大変厳しいものがございますが、国、地方を通ずる歳出抑制につながる施策見直しを行いますとともに、地方におきます行財政改革を要請するなどしながら、この財政健全化目標の達成に向けて構造改革に取り組んでまいりたいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  17. 西川公也

    西川(公)委員 今後六年間本当にもつのかという話は、今の局長答弁では私は余り理解できませんので、また別の機会に意見を聞いていきたいと思いますが、とにかく地方は、景気対策のときの補正で組んだ、そのときの償還が非常に大変な時期に来ますので、その辺をよく理解をして政策を進めていっていただきたい、こう思います。  それで、こういうお金のない時期でありますけれども地方にとりますと、やはり地方の声というのは、道路を早く直してくれという声が非常に強い。どんな世論調査でも一番か二番に出てくるのが道路問題でございます。しかしながら、公共事業を三年間で一五%減らそう、そして初年度は七%、その次五%、その次三%の七、五、三で減らす、こういうことになりまして、来年は、九兆七千四百億円のことしの予算が恐らく七千億円ぐらい減ってくるだろう、こういうことになると思います。  それで、今回の最終報告の中で、私は、まあよかったなと思う点は一点、高規格幹線道路物流対策として重点的に配分する、こういう話で特別枠を設けますということでありますので、期待をしていたいと思っております。しかしながら、一般道路はその恩恵にあずかれないわけでありますから、私ども、この際考えつくあらゆる手段を使いながら地方の方々には対応してやらなければならないのかなと、こう思っています。  そこで、有料道路の問題でありますけれども、本年一月の道路審議会中間答申におきましても、一般有料道路事業一般道路事業合併施行方式を活用してやったらどうかとか、早期整備を図るために有料道路事業として分担できる部分を拡大する方策を検討すべきだ、こういう報告があったわけであります。  一方、地方におきましても、地方有料道路というのは、昭和四十年代の後半に何本もやってきています。何本もやってきていますけれども法律上の制限等があって、これを期間延長あるいは路線の延伸をやりたいのでありますけれども、なかなかそれらは現実の問題では今までなってきませんでした。  そこで伺っておきたいと思いますけれども、こういう時期ですから、今までの道路の中で間もなく償還期限が来て無料開放しなきゃならない道路でも、有料で結構ですからこのまま続けてくれという路線もありますので、この際私は、延伸、そういうものに対応していきたいなと思っております。路線の延伸等についてこの有料道路制度の活用を図っていきたいけれども、これは建設省だと思いますが、どのような方針で取り組んでいくのかお聞かせをいただきたいと思いますし、時間の関係もありますので、財源問題についてもあわせて伺っておきたいと思います。  一般有料道路でありますけれども、別に国庫のお金が出ているわけではありません。その財源の中身は、地方公共団体の出資金あるいは公営企業金融公庫、こういうところから借りてきてやっていくわけでありますけれども、やはり自治省の指導がないと、出資の承認あるいは公庫の融資、こういうことでも自治省の協力がないとこの有料道路制度の活用ができません。それらにつきましてもどのような取り組み方をやるか、お聞かせをいただければと思います。  以上です。
  18. 山川朝生

    ○山川説明員 ただいま先生御指摘のように、財政上の制約のもとで、借入金等で道路整備を行いまして利用者の料金収入で返済するという有料道路制度は、幹線道路早期整備に貢献をしておりまして、現在、高速自動車国道を含めまして約八千七百キロメートルの有料道路が供用されてございます。  その一環といたしまして、地方におきましても、道路整備特別措置法に基づきまして、道路管理者である地方公共団体または地方道路公社が建設大臣の許可を受けて有料道路整備しておりまして、国といたしましても、地方有料道路を計画的に整備、促進するために建設費の一部を無利子で貸し付ける等の支援をしているところでございます。  また、先生からお話のありました供用中の有料道路につきましても、交通量の増加など交通状況の変化に対応する拡幅とか延伸等の事業を改築事業として取り組んでいるところでございまして、今後とも、一般道路事業とあわせまして、有料道路制度を活用しつつ道路整備を一層推進してまいりたいと考えております。
  19. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方公共団体道路公社をつくりまして有料道路事業を行うという場合には、まず出資につきまして自治大臣の承認という、そういう仕組みがございます。この承認の事務につきましては、私どもは、設立団体でございます地方団体から事業計画あるいは資金収支の見通しとか妥当性といったようなことをお聞かせいただき、また、地方公共団体財政に与える影響ということも考慮しながら承認をすることにいたしておりまして、事業の円滑な推進のために迅速な事務処理に努めてまいりたいというふうに考えております。  また、地方道路公社の有料道路事業につきましては、公営企業金融公庫の融資ということもございますので、そのおたりの事務につきましても円滑に進みますように私どもも十分配慮してまいりたいと考えております。
  20. 西川公也

    西川(公)委員 最後に、暴力団の対策について伺いたいと思います。  暴力団の対策の法律が施行されてから表面立った暴力団の動きというのは相当抑制をされてきたと思いますけれども、広域的な暴力団の数が減っているかというと決して減っていない。減っていないけれども表面的な活動が表に出ていないということは、それだけ潜った動きがあるのだろう、こう受けとめていいのだと思います。  この間、四月六日に放送されましたNHKの特集番組、NHKスペシャルによれば、損切りという話が出ておりました。損切りって何だろう、こういうふうに思いながら見ておったのでありますけれども、バブルが崩壊いたしまして今不良債権の問題が起きております。ある例を挙げてこのテレビでは報道していましたが、ある人がマンションをつくるときに三億五千万の融資を銀行がしたそうです。しかしながら、バブルが崩壊をしてきた、家賃の収入もなかなか上がらない、もう倒産の寸前だ、こういう状況になったときに、暴力団の企業舎弟というのが出てきて銀行と交渉をしてくれる、こういう話でございまして、この報道によりますと、三億五千万を四千万まで値切ってきた、こういうことなんですね。四千万まで値切ってきて、後どうしたかというと、これを六千万で転売をする、その差額二千万は暴力団の取り分だと。施工主は三億五千万を借りたけれども、今の価値が四、五千万しかなければ三億ぐらいの負債をしょってしまう。しかし、その負債をツーペイにしてもらえるのであれば少々土地で損をしてもいいだろう。こういうことで、銀行以外はみんな得をする、こういう仕組みであります。銀行に対して暴力団の交渉のやり方は、過剰融資だ、金融機関がまずいのだ、こういう責め方をして、結局損切りをする、こういう報道でございました。  今、不良債権の問題が大きな社会的問題になっておりますけれども、暴力団だけひとり勝ち、こういうわけにはいかないわけでありまして、本当は金融機関がもう少ししっかりして、簡単に暴力団にもうけさせない、こういうこともやってほしいし、しっかりした債権回収に努めてもいただきたいと思います。  これらのことにつきまして、警察ではどういう現状認識を持って、さらに、なかなか法的に難しいのだろうと思いますけれども、検挙の状況はどうなっているのか、さらには、今後はどういう形で行政で対応していくのか、この辺についてお聞かせをいただければと思います。
  21. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 まず最初に検挙状況の方から申し上げてみたいと思いますけれども、本年の五月末日現在で、暴力団関係者によります不良債権回収に絡む違反行為として検挙いたしましたものは三十件でございます。これは、昨年、平成八年一年間で五十五件でございました。また、平成五年から七年までの三カ年間で三十四件でございました。したがいまして、昨年から今年にかけてこの検挙が急増しているというぐあいに申し上げてよろしいかと思います。そして、ことし検挙いたしましたこの三十件のすべてが債権の回収過程における違反行為でありました。  こういう検挙状況の実態にかんがみますと、私ども現状認識はどういうものかということでございますけれども、暴力団はやはり資金を求めてここに介入いたしておりますので、最も金になる部分に入ってきているわけですが、その第一は競売の妨害であります。  これは、競売物件に家を建てるあるいは自分が入り込む等によって占拠をいたしまして、それを立ち退くというために金を要求する。あるいは、暴力団関係者がかかわっているということを、組の名前を表示する等によって競売が行われないように妨害をし、債務者の利益のための行為をとる、それによりまして債務者から金を取る。あるいは、裁判所の執行官に対しまして虚偽の賃借権が設定されている旨を申告をいたしまして、競売させないようにしているというようなものもございます。  二つ目は、その余の不正収益の上げ方でありますけれども、これは正規に彼らが占拠といいますか入っているという場合でありますけれども、高額の立ち退き料を要求しているというものもありますし、廉価で競落をいたしまして、それを高額で転売する、そういう方途を見つけているものもあります。  さらに、今御指摘にございましたような第三の類型がございまして、これは任意売却でございますけれども、債権者である金融機関が回収ができない、困窮しているという状況に介入をいたしまして、少しでも売れればいい、そういう見込みというものを立てさせまして、そこで差益を得る方法を選んでおります。そこに入っているのが、いわゆる損切り屋という企業舎弟たちのようでございます。  こういうようなもののほかに、さらには、倒産整理と称しまして債務者に接近をいたしまして、その倒産会社の実質的な経営権を握りまして、その会社を新たな事業主体として自己が使っていくというものもございます。  こういうような現状にかんがみますと、私どもは、金融機関に対しまして、毅然とした対応をまずとるという姿勢というものを確立してほしい、それから、何かそういう事案がございましたら早期に警察に届けてほしいということを強く求めてまいりましたし、今後ともそのようにしてまいりたいというように思います。  それから、大蔵省初め、金融機関を監督する関係機関、これとの連携を強めまして、違法な行為というものを私どもの取り締まりによって防圧する、そういうことを行政機関の協力によってなし遂げてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  22. 西川公也

    西川(公)委員 今の話で、暴力団がありとあらゆる手を使って活動しているという話もありましたけれども、ぜひよく連携をされてこういう事態に対処していただきたい、こういうことをお願いをして、時間が来ましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  23. 穂積良行

    穂積委員長 渡辺具能君。
  24. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。  私は、先般、市町村合併について質問させていただいたわけでありますが、その際少し時間が足りなかったということもあり、また、ここに来まして財政構造改革会議最終報告が出まして、この中でこの市町村合併についても触れてございまして、そういうこともあって再度お尋ねをさせていただくわけであります。またかという感じがしないわけではありませんが、大変今日的な、しかも大切な問題であるということでありますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。  財政構造改革会議最終報告においてこういう方針が示されております。「地方自治地方分権推進するに当たっては、その主体となる地方公共団体行政体制を並行して強化していく必要があり、このような観点から、市町村の合併について、集中改革期間中に実効ある方策を講じ、積極的に支援していく必要がある。」こういうふうに書かれているわけです。基本的な問題でもあるので白川大臣に御答弁願えればと思いますが、集中改革期間中に実効ある方策を講ずるというふうにありますが、この問題にどういう基本的なスタンスで取り組んでいただけるのか。そして、まだこれからだという面もあるかと思いますが、どんな実効ある方策をお考えなのか。先ほどお伺いしますと、大臣はこの改革会議議論にも参加されたということでございますので、その辺を、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  25. 白川勝彦

    白川国務大臣 市町村合併というのが世間一般でも、また自治関係者の間でもこの間大きな課題であることは否定できないと思うわけでございます。そのようなものがありましたから、平成七年に合併特例法ができまして、住民発議制度の創設あるいは合併の際の財政措置の充実などを行ったところであります。  ただ、自治省といたしましては、この改正があったにもかかわらず、原則としては長い間、市町村合併は自主的になされるものであるということで、あくまでも自主的な合併を期待しこれを促進するという立場にあったと思うわけでございます。しかし、それでは現実には思うように合併が進んでこなかった、これに対して世間一般の厳しい指摘があるわけでございますし、私も自治大臣就任以来、自治省は一体何をしているのだということで大変おしかりをいただいてきたわけでございます。  そこで、私ども、市町村合併の機運というものは十分もう高まっている、だから機運の醸成というところにとどめておいてはならないということで、事務当局にも指示をいたしまして、市町村合併は第二段階に移らなければならないということで、自治省としてもその取り組みを進めているところであります。現に、地方制度調査会においても審議を始めていただいております。また、省内にもプロジェクトチームを発足させまして、これには全局全部が入っております。市町村合併といいますと、今まで主として行政局の仕事であったわけでございますが、市町村合併を促進していくためにはあらゆる立場から検討しなければならぬという意味で、プロジェクトチームはそういう構成にいたしまして、全局部における課長に入ってもらって、総務課長を長とする課長レベルによるプロジェクトチームをつくったわけでございます。  さて、そこで何をするのかということでありますが、昭和三十年前後の昭和の大合併以来基本的には大きな合併が起きていないわけでございますので、なぜ合併が進んでこなかったのかということを、やはり事実でございますから、これを徹底的にまず解明、分析をしてほしいということでございます。  それから、合併を進めたところも少ないながらございます。また同時に、今合併を考えているところもありますから、どういうような方策を講ずれば合併をしてもいいと思ってくれるか、ここのところをヒアリング等を通じて徹底的に明らかにしてほしい、これを待って第三段階ともいうべき市町村合併を具体的に実効ある形で進めるような法の提出その他を含めて考えてまいりたいと思っております。  しかも、私どもはその研究期間をそんなに長い時間いただきたいとは思っておりません。精力的にあらゆる分野から検討しますが、それは精力的にやるということであって、漫然と長い時間をいただきたい、こういうことではないつもりで今事務当局、真剣に取り組んでいるところであります。
  26. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 ただいまの御答弁で、白川大臣の大変積極的な姿勢というものがわかったわけであります。  今の大臣の御答弁の中にもありましたが、自治省の中に市町村合併促進プロジェクトチームを発足させたという話がありまして、内容についても今かなり説明をいただいたのですが、これは五月十七日付の新聞だったと思います。  それによると、今おっしゃったように、大臣が先頭に立って、ヒアリングを通じていろいろな解明を行っている、加えて適正合併規模の設定も行うことにしている。これは行政局幹部の話ということになっておりますが、適正規模の設定は、国の権限事務の大幅な移譲や公的介護保険等の導入により市町村の規模能力が問われるようになった、そこで最適規模というのを、例えば都市的地域、中核市だとか、あるいは非都市的地域、中間的地域だとかの三つに分けていろいろ検討するというようなことが紹介されておりました。  私は、まさにこういう作業をすべきだということを前回の委員会のときに主張をさせていただいたわけでありますが、あのときはこういうところまで突っ込んだことをやっているという御答弁は聞くことができなかったのですけれども、この辺について、これは政府委員の方から、どういうスケジュールで、どんな視点で、例えば今私が新聞記事に出ていることを御紹介申し上げたわけですけれども、そういった検討がなされているのかどうか、そのあたりを教えていただきたいと思います。
  27. 松本英昭

    松本政府委員 御指摘のプロジェクトチームでございますが、四月二十三日に設置いたしまして、その後、第一回目はたしかフリートーキングをやりまして、第二回、第三回というのは、現に最近合併をいたしました市から、その合併に当たってどういうことが問題になったか、あるいはどういう措置が必要であったか、住民との関係はどういうふうに対応してきたか、これからどういうふうにすればいいかというようなことについて、直接首長さんに来ていただきましてお話を伺ったと聞いております。  そういうことで、これからいよいよ全体の、例えば地方制度調査会の審議とか、あるいは地方分権推進委員会における審議とかというようなものとも関連づけながら、より細かな検討をこのプロジェクトチームでやっていくつもりでございます。  御指摘の新聞記事でございますけれども、ここに出ておりますのは、適正規模の設定は、許認可など国の権限事務の大幅移譲や公的介護保険制度の導入などにより市町村の規模能力が問われるのは当然だということ、それからいま一つは、やはり今委員も御指摘になりましたように、そういう地域の実態というものに合わせた論議をしていかなければならないのではないかというようなことをこの合併の論議で議論したことが、恐らくこれはフリートーキングの段階で出た話ではないかと思いますが、記事に出たのではないかと思っております。  全体的にただいまの段階は、フリーな、自由な論議を通じて議論を深めていくという段階でございますので、今御指摘のようなことも視野に入れながら、また先ほども申し上げましたように、地方制度調査会やあるいは地方分権推進委員会といった政府の公式な審議会等の議論も重ね合わせてさらに論議を深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  28. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 前回私がこの質問の場で主張させていただいたときには、なかなかそういう方向で検討するということがお答え願えなかったのですけれども、今のお答えでは大体そういう方向で検討が進んでいるということのようでございます。こういう重要な問題でありますので、地方制度調査会もいいし、あるいは地方分権推進委員会もいいのですけれども、そういうことが検討されているのならば、やはり当委員会にも御報告いただいて、この委員会をぜひそういうことの議論の場にしていただきたいというふうに思いまして、あえてそのことについて申し入れというかお願いをさせていただくわけでございます。  さて、少し内容について質問させていただきますが、前回の質問の際も、またきょうも、白川大臣が御退席になりましたが、その際、自治体の主体性というものが非常に大切だというふうに言われました。確かに、市町村の主体性は侵すべからずであります。しかし、主体性に任せているだけではどうも進展しなくなっているというのがこの問題の難しさではないかというふうに思うわけでございます。  介護保険法も衆議院を通過しました。聞くところによると、いろいろな市町村では心配の種であるようです。施設整備がうまくいくか、介護のマンパワーが得られるかどうか、あるいは要介護者の認定がうまくいくかどうかというような心配がある。したがって、法律案では、サービスが整わない自治体では限定的なサービス給付をも認めるというような経過措置もついているようでございます。ということは、こういう経過措置がつくということは、まさに市町村の体制が十分でないということを認めているのではないかというふうに思うわけです。このほか、町づくり、水、ごみ、そういったいろいろな問題を考えると、やはり何とか合併を進めなければいけない。小さな市町村ではなかなか対応し切れなくなっている。私も、地元に帰ると、いろいろな町長さんのそういう悲痛な声を聞くわけでございます。  ところが、それにもかかわらず、先ほど大臣もおっしゃっていましたが、なかなか進まない。それが何であるか、その阻害要因が何かということを解明することが、先ほど言われた自治省の中における検討会の主要なテーマでもあるというふうに伺ったわけですが、かなりいろいろなヒアリングも進んでいるのじゃないかと思いますし、今まで皆さんが勉強していただいたところ、これは今進めていただいている担当局長さんでも結構でございますが、自治省として今現在で一番大きな阻害要因は何であるというふうに考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  29. 松本英昭

    松本政府委員 合併に関する阻害要因につきましては、実際のところ、今いろいろとヒアリングとか審議等で研究、検討をいたしているところでございますが、非常に大きく分けますと、一つは、地域性というものをどういうふうに考えていくか、この地域に根差したところの問題があろうかと思います。例えば、連帯感やアイデンティティーというものとの関係をどういうふうに考えていくのか、あるいはきめ細かなサービスの提供ということとの関係をどういうふうに考えていくか、あるいは住民の意向というものをよりよく反映させるというようなこととの関係をどう考えていくか、それから合併後の市町村の中で地域格差というものが広がるのではないか、こういういわゆる地域性に根差したいろいろな問題点というのが一つ指摘されているところがあろうかと思います。  それから、その他の要因には、これはいろいろなものがございますけれども、例えば、合併をすることによって果たして規模能力というようなものが本当にふさわしいものになるのかどうか、そういうこともあろうかと思っております。そういう懸念が示されるようなこともあろうかと思っております。  そういうもろもろのことを細かく分析していく上におきまして、これはやはり何よりも当事者であります首長さんあるいは議長さんの御意見を網羅的に聞く必要があるだろうということで、実は今回、全首長さん、全議長さんにアンケート調査実施することといたしまして、そのアンケート調査の中で、今委員指摘のようなこと、一体どういうことが阻害要因であるかとか、そのためにはどういうことをやっていかなければならないかということを赤裸々な意見としてお聞きいたしたいということで、もう既に調査票を送付いたしたところでございます。その結果をまた取りまとめて、皆様方、当委員会等にもお話をさせていただければと思っているところでございます。
  30. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 今お答えいただいたように、阻害要因というのはいろいろな問題が絡み合っているというふうに私も思うのです。私なりにいろいろ考えてみたり、あるいは地元に帰って町長さん方の話を聞いてみて、私なりにこういうところに一番大きな原因があるのではないかというふうに考えているわけです。  それは、合併というのは大変な仕事であるということです。合併の一大決心をしてから、住民のコンセンサスを得たり、あるいはその後でも合併を進めるためには大変なエネルギーが要るわけです。合併の範囲をどうするか、合併のメリット、デメリットは各項目別に検討してどうかとか、あるいは議会対策もある。議会の方では議員の定数のこと等もあったりして、やろうじゃないかというふうなことにはなかなかならない。大変気が遠くなるような、骨の折れる仕事になるわけです。  したがって、自治体といいますか、町長を初めとする役場では、あるいは議会では、この難事業に勇気を持って挑戦しようという気になかなかならないのじゃないかというふうに思うのです。これは町長さん方が悪いとか市長が悪いというのではなくて、だれでもそうではないかと思うのですが、惰性に押し流されて、結局はあきらめるということになるのじゃないかという気が私はするわけです。  さきの合併特例法の改正のときに、住民のイニシアチブを少し取り入れようということで合併協議会の設置を直接要求できるシステムを組み入れていただいたわけです。このことについては前回私も質問させていただきましたが、結局この方法ではなかなか有効的に働かなかったということでもあります。  そういうところに私は一番大きな問題があるのではないかと思うわけです。そこで提案なんですけれども、合併に関する直接の住民投票をもっと導入したらどうかというふうに思うわけです。この提案についてはいろいろなところで提案されているわけですが、私が特に提案したいのは、その投票の結果かなりの人が合併を望んでいるということになれば、自治体としてはこの方向に向かって努力をしなければならない、そういうふうにやや義務的にとらえなければいけないというようなことにしたらどうかというふうに思うわけです。  合併問題は市町村の存続という最も基本的な問題ですから、直接投票に諮ってみるだけの価値はあると思うし、その結果大半の人がそれを望んでいる――例えば、大半の人が望んでいるということを技術的にどの範囲でそう思うかというのは、それはいろいろ検討する必要があると思うのですね。二分の一でいいとか三分の一とか、そういうことは議論すればいいのですが、要するにかなりの人が望んでいるということになれば、やや過激だという印象を持たれるかもしれませんけれども、その結論を町長さんや議会にとっての義務といいますか、そこに向かって努力をしなければならないということにしたらどうかというふうに思うわけです。  きょうも、それから先日も、白川大臣自治体の自主性ということを大変強く主張されました。自治体の自主性というのは、厳密に言うと、やはり役場の主体性ではなくて住民の主体性であるべきだというふうに私は思うわけです。もちろん、住民が望んだから一〇〇%合併せねばいけないというようなことにすると、いろいろ問題もあるかと思います。やや行き過ぎる面もあろうかと思いますので、例えば特別な場合、その後状況変化があったとか、議会でもう一回採決してみたら圧倒的多数で否決されたとか、いろいろな免責条項といいますかそういうものは準備する必要はあるかもしれませんが、いずれにしても、こういった住民による直接投票制度を導入して、そしてそれをやや義務的に受けとめさせるシステムをとらないと、なかなか首長さんがこの難事業にチャレンジするということにはならないのじゃないか。私は、いろいろな議論をこの問題についてはしなければいけないということもあって、かなり過激な提案と受けとめられる面があるかもしれませんけれども、しかし、実効の上がる方策として有効ではないかと私自身思っているので、あえて提案をさせていただくわけです。  このことに対して、非常に基本的なところがあるというふうにお考えいただければ大臣に、あるいは技術論ということであれば局長さんでも結構でございます。
  31. 白川勝彦

    白川国務大臣 この国会の議論等、また、私もきのうは近畿地方に行ってきたわけでございます。地方行革セミナー、最近は行革だけではないということで、地方自治・新時代セミナーということでお邪魔したわけでございますが、きのうは千三百名余の方々が集まってくださいました。いずれにいたしましても、市町村合併をしなければならないということは、単なる機運ではなくて、かなり真剣に受けとめていただけるようになりつつあるのではないかなと思っております。  ただ、しかし、現実の問題として合併の問題を議論するとなると、今渡辺委員指摘のとおり、非常に難しい問題であり、それを取り上げた首長さんは場合によったら本当に政治生命もおかしくなるということもあるわけでございます。ただ、私は、むしろ一般の、渡辺委員もそうかもわかりませんが、そういう行政とか議員に直接関係ない方は意外にもう合併すべしなのではないかな、こういうまさに住民の声、国民の声というものが素朴な形であるのではないかと思っております。  住民発議制度というものを導入いたしましたが、これは今委員がおっしゃったように、こういうのが仮に通ったとしても必ずしも義務づけられるという側面がないようでございまして、私たちはいいよと言うとそれでそこから前へ進まないという、ちょっと手続上も、せっかくこういうものを導入した割には、それが首長の方に義務づけられるという点が制度的に不備なところもあるような気がいたしますので、今渡辺委員が御指摘なされたことを含めて、これは真剣に考えていく必要があるのではないかと思いますので、また事務当局にも真剣に検討させたいと思います。
  32. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 私は、大変前向きの御答弁をいただいたということで受けとめさせていただきまして、やはりこういう場でぜひ議論をしていただきたいと思います。  それから、いま一つ阻害要因として考えていることがあるのですが、私の地元で宗像市と玄海町の合併の議論が進んでおりまして、玄海町の町長さんとよく話すのです。この町長さんはかなり意欲的な方で、役場にそのプロジェクトチームをつくって検討しておられるわけですが、その町長さんがこんなことを言っておられるわけです。  合併してしまった後のことが、実際どういうことになるのか、なかなかイメージしにくいのですよ、それを町民にもなかなか説明しにくい。事実私、その町長さんもいろいろ心配があると。本当は、試しに合併してみるというようなことができないものでしょうかねということをおっしゃるわけです。まあ、これは結婚じゃないのだから、結婚してみて嫌だったら後で離婚するというようなこと、離婚もそう簡単なことじゃないかもしれませんが、そういうことができればということを町長さんがおっしゃっているわけです。そういうことを考えるとなかなか決心はつきませんという悩みをおっしゃっていました。  そこで私は、提案なんですが、今広域連合の制度があるわけで、この広域連合をもっと活用したらどうかというふうに思うわけです。  今町長さんがおっしゃっていたことに対応すると、合併のシミュレーションといいますか、合併の疑似体験になるわけでもあります。モデル合併として有効ではないか。それから、合併するまではかなり時間がかかるということになれば、それまでの暫定措置としても極めて有効ではないか。あるいは、合併するかどうかわからないけれども、合併のいいところだけをつまみ食いと言ったら悪いのですが、いいところだけをとった形で活用するということにもなるのではないかと思うわけであります。  そして、特に広域連合体の活用に当たっては、申請があった場合にはいろいろな権限付与をお願いできるということになっているようですから、上下水道や、場合によっては社会資本の整備主体としての権限をも付与させて、これには各省の協力が非常に必要になってくるわけですが、そういったことでこの広域連合制度を活用したらどうかというふうに思うわけでございます。  かなり技術論的な話で、それから細部が固まっていない提案ですから、なかなかコメントしにくいかと思いますが、政府委員、ひとつお答えいただければと思います。
  33. 松本英昭

    松本政府委員 広域連合を活用して合併の疑似的な制度としたらどうかというお話でございまして、広域連合制度というのはいろいろな意味で幅広いものでございますが、今委員指摘のように、将来の合併ということを視野に入れた広域連合というのも大いに結構なことではないかと私どもも考えているところでございます。  そして、これもまた委員が御指摘になりましたように、この広域連合には特別に権限を移譲することができるという制度にもなっておりますので、それを活用していただければなおさらいいものになるのではないかというように考えておりまして、私どもも、大いに今委員指摘のような方向で考えてまいりたいし、地方公共団体にもいろいろと助言等を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  34. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 大分時間もなくなってきましたので、最後に、よく言われている合併のインセンティブの問題についてちょっと聞いておきます。  このインセンティブには、地方交付税を操作することのインセンティブが一つあるようでございます。これは、今財政状態が非常に厳しいときに自治省としても打ち出の小づちを持っているわけではないので、どこかに特恵を与えればどこかにしわ寄せが行くということになる。私は、きっと今比較的手厚いと言われている小規模の市町村が割を食うことになるのではないか、それは決して上手な方法ではないというふうに思うわけです。  そこで、もう一つのインセンティブとして権限インセンティブというのは、私は、考えようによっては有効ではないかというふうに思うのですね。政令指定都市とか中核市のように、ある程度以上になればこういう権限といいますか、こういう仕事の主体者になれますよというようなことが、やはりかなり大きなインセンティブになるのではないか。  それで、どういう権限を付与したらいいかという具体的な知恵がなくてコメントを求めるわけで、なかなか難しいかと思いますが、どういう権限だったらインセンティブになり得るかというのを自治省でも一生懸命研究していただいて、制度化されたらいかがかと思うわけでございますが、その点どうでしょうか。
  35. 松本英昭

    松本政府委員 全く委員指摘のとおりでございまして、そういうことにつきましても、私どもも今御指摘のような方向で考えていくべきだと思っているところでございます。  現実には、どの程度の規模であるならば個別の各分野の権限移譲が可能であるか、その際に、今の中核市の制度がございますけれども、さらにそれ以下であっても、ある程度まとまった権限の移譲が可能ならばまた新しい制度というものを考えていくことも可能であろう、それがまた市町村の合併等に対してもインセンティブ的な働きをすることもあろうかというように考えております。具体的には、地方分権推進委員会でこの問題についてもお取り上げいただきまして、この問題は、今回の次なる勧告の時期よりも若干おくれるかもしれませんけれども、そういうことについても真剣に御討議をいただくというようなことになっていると私どもも承知をいたしているところでございます。
  36. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 時間が参りましたのでこれで質問を終えますが、きょうは大変前向きの御答弁をいただき、ありがとうございました。途中でも申し上げましたけれども地方制度調査会あるいは分権推進委員会等々においても議論が進められているわけでありますけれども、そういったところにおいてどういう議論が進められているか、あるいは自治省の中においてどんな検討が進められているか、どこまで検討が行ったとか、そういったことを当委員会でもぜひ報告をしていただいて、当委員会がそういうことの議論の場になるようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  37. 穂積良行

    穂積委員長 古賀一成君。
  38. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 この国会で、地方行政委員会で四回目の質問をさせていただくわけでございます。この国会の地方行政委員会最初の一般質疑で、今御質問になりました渡辺議員がいわゆる市町村合併について質問あるいは要望、追求をされ、私も同じ順番で申し上げたわけですが、今渡辺議員おっしゃいましたように、市町村合併等につきまして、まあ大臣及び自治省も、我々の議論がどれだけ参考になったかわかりませんけれども、少なくとも、この国会中に我々が一生懸命議論した中で、一歩も二歩も何かやる気を見せられてきたという感じを私も持っておりまして、今後本当によろしくお願いしたいと、お礼を申し上げる次第でございます。  まず冒頭に御質問したいのは、極めて包括的なことでございますけれども、私は四回の質問といいますか、きょうを含めれば四回、警察関係もございましたけれども、とりわけ地方自治の基本的あり方について質問をしてきたわけでございますが、それを踏まえて、この国会中地元に帰って、地方議員の方々、県庁の人、あるいは市の行政関係の人、やはりいろいろ地方行政の実態というものについて、酒を飲みながらいろいろ聞きました。  やはり地方行政をめぐる、地方自治をめぐる状況というのは今も厳しいけれども、これからはもう加速度的に、にっちもさっちもいかないというぐらい厳しくなってくるんではないかということを大変私は心配をするわけでございます。それで、これまでのいわゆるトレンドで地方行政を本当にやり得るんだろうか、ここでやはり一つの発想の大転換をして取り組んでいかないとにっちもさっちもならぬのではないかという思いが私は大変強いわけでございます。  厳然として進んでいく、着実に進んでいくのが高齢化でございまして、これは年々スピードがアップしているように思います。山村ほどそうでございます。この前も一回申し上げたかと思うのですが、恐らくあと十年もたてば高齢化比率五〇%という村も出てくるわけでございまして、もうとんでもないいわゆる地方組織が出現をしてくる、こういうことが一つございます。  それともう一つは少子化でございます。これは日本全体のマクロでの心配事がよく喧伝されておりますが、これは過疎地に行けばもっと、数倍の高齢化と少子化の様相を呈するわけでございまして、私、今度びっくりしたことがございます。  私は、生まれが柳川というところでございまして、割と、北原白秋なんかで有名なんですが、人口はどんどん減りまして、今四万四千人ぐらいでございます。四万四千といえども、筑後平野の真ん中にある田園都市でございまして、城下町。その真ん中にある小学校が、私の母校でもございます柳河小学校というのですが、私が卒業したときは四クラス、二百三十人だったんです。何とことしの入学生は二十三人なんですよね。十分の一なんですよ。  そうしますと、後ほど合併の問題について申し上げますけれども、いわゆる昭和の大合併というのが、いろいろ理由はあったんでしょう、いわゆる学制改革というのも一つあって、ああいう一つの地方自治の基本システムを変えていこうとしてきた。今この時代も、まさにそういう意味での学制改革で、例えば市町村合併をぽんとして、あるいは学校を、市町村をまたがって小学生も来れるような、そういうことまでやらないと、一学年――平野のど真ん中にある地方都市でこういう状況でございますから、私はもう本当に唖然としたわけでございまして、そういう意味で、本当に地方自治というものを、これまでのトレンドだけではなくて、もう一回、現実の政策分野、あるいはその地域の現実の経済活動、社会活動から見てどうだということを私は考えるべき時期に来ているんだと思います。  そういうことで、少子化の話をしました、高齢化社会の話をしました。そして、もう言わずもがなでございますけれども、この前も地方交付税法で質問申し上げましたけれども、いわゆる地方財政の悪化、これは今まで国という後ろ盾があったんですね。じゃ、国そのものはどうか。もうまさに行革だ、あるいは財政再建公共事業、投資の引き延ばした、もう国挙げて、国の財政が危ないという話はもう満ち満ちているわけでございまして、後ろ盾であった国がそもそも財政が危ない。そしてもっと怖いのは、やはり日本の経済そのものがあと十年、十五年、陰りが見える中で、いわゆる小さい、百何十人の山村がまだ残っている。私は、少子化、高齢化プラス地方財政の悪化、それを支える国そのものがそれどころではないという状況、これをあわせ考えていきますと、今こそ抜本的な地方自治体制というものを自治省中心に、あるいは大臣中心に考えるべき瀬戸際まで来ているんだと思います。  あと、地方行政については、そういう背景の中で、この前も申し上げましたけれども地方行政が非常に縦割り化しておる。村でも小さい町でも、本省から来た、県の何とか課、土木部の何とか課、商工部の何とか課、やはりそういう系列化もしている。もうそういうがちがちの、自由のきかない、創意工夫というものを出しようがない、そういうシステムに地方行政の内部もなってきている。議会と執行部の癒着という問題も、あるいはなれ合いという問題も、私は底辺で起こりつつある昨今ではないかと思います。  そういう中で、私は大臣地方行政の一端を、自治体の一端を申し上げたわけではございますけれども、これまでの仕組みの延長に地方自治は本当に成り立ち得るのか、地方の時代が本当に来るんだろうかという懸念を身にしみて感じておりますけれども、その点についての認識といいましょうか危機感と申しましょうか、そういうものを、自治大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  39. 白川勝彦

    白川国務大臣 地方自治が抱えている課題が多いことを否定するものではありませんが、私は、自治省の内部においても、あるいは先ほど申し上げたとおり、各ブロックで地方行革セミナー、最近では地方自治・新時代セミナーということで、あえて首長さんや議長さんやあるいは市の職員さんと話をしているのは、地方自治というものは今後大きな役割が課せられているし、そして同時に、二十一世紀の少なくとも前半は中央集権ではなくて地方分権地方自治が全面的に花開くときだ、こういうことを自信を持って、夢を持って実は語っているわけでございまして、ちょっとこの辺は、今古賀委員の認識とは違うものがございます。  基本的には、これからはますます地方がそれぞれロマンあふれる町づくりをできるようになりつつあると思うし、七月に出される地方分権推進委員会の勧告もそれらに大きく寄与すると思いますし、また地方の方も、そういう世間一般の見方の中で、地方行政能力等も強まりつつある、私はこう思っております。  ですから、課題は多いと思いますけれども地方自治体の皆さんやあるいは地方自治体に与えられた所与のものが、私は、そう悲観的であり、夢がなくて、このままいったら坂道を転げ落ち、最後はがけから落ちて、海か川か知りませんが、そこに落ちる、少なくともこういう状況では現場を含めてないんじゃないのかな、こう思っております。
  40. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 大臣の方から、これからはもう地方の時代で、私のように暗い考えを持つ必要はないというお励ましをいただきました。  私は、新進党の中でも、古賀さんは超楽観主義者だともうしょっちゅう言われます。何言っても何とかなるなると言っておるから、古賀さんが言うと何かできないこともできるようななんて、おだてられているのか何かわかりませんけれども。でも、それでも実は、この地方の実態ということから見ると、私自身は非常にもう厳しいあれを持っています。  例えば介護の問題。もう山村に行くとおじいちゃん、おばあちゃんだらけ。私の地元には、一番小さい村で二千百名余の矢部村というのがあるんですが、五百六十名ぐらいの高齢者がおられる。これから年々ふえていくわけですね。そうした場合、今度問題になりました介護、あるいは、今後矢部村だって村人の半分の、例えば一千名が高齢者になる時代はもう間違いなく来るわけですから。そうしますと、特養ホームが必要になってくる。特養ホーム、百人収容の施設は一つぐらい要るだろう。そうしたら、これはもう財政的にやはり絶対もたないんですね。  ある試算を見せてもらいましたけれども、百人の特養老人ホームを維持するには施設要員が五十人要る、一般職員が十人要る、それを生み出すための財政力というのはやはり最低一万三千人の人口規模がないと成立しない。こういう話もあって、正確な数はどれが正しいかは別として、大ざっぱに言って、ある程度のそういう規模がないとそういうものすらできない、こういうことは間違いなかろうと思うのですね。  それで、次の問題として、今、渡辺議員も前回に引き続きましておっしゃいましたように、私も前回に引き続き再度強調したいのは、大臣が冒頭この国会でおっしゃいました、基礎的公共団体の市町村を総合的行政主体の名にふさわしいものにするために強力な市町村合併誘導の仕組みを導入すべきだと。これは私も確信犯的な、私の信念でございます。これにつきまして、まず私の思いを述べまして、大臣の再度の御所見をお伺いしたいわけでございます。  先ほど答弁もございました。隘路は何か、何で市町村合併がこれだけ進まないのかという御答弁局長からございましたけれども、私は、せんだって自治省からいただいた資料を見て唖然としたわけですね。これは何を意味するのだろう、こう思いながらこの数字を見たのです。  明治二十一年、全国の市町村は七万一千を超えておりました。たった一年で、翌二十二年には一万五千八百五十九に再編をされました。わずか一年で、あの時代に五万六千の市町村が減ったわけでございまして、わずか一年でこの時代によくやったものだ、まあやりやすかったのだろう、こういう思いもございますけれども、現実としてあったのですね。  そして、よく話題に出ます、昭和二十八年。村が七千六百十六、市が二百八十六、町が約二千、合計約一万。これが三年たった中で、九千八百六十八でございますが、三千九百七十五に減った。とりわけ村は、七千六百十六から六千四十一村減りまして千五百七十四に減った。わずか三年でこれがなし遂げられたということなのです。  その後の推移は、これはちょっと、本当にどういうことなのだろうと思うのですね。  昭和四十年、市町村の合併の特例法ができました。そして、十年たった昭和五十年、どれだけの効果があったか。もう市町村別には言いません、市町村合計で申し上げますと、十年かかって百二十五減ったのですね。昭和五十年に改正法ができました。では、その十年後の六十年にはその効果は何であったかといいますと、十年かかって三千二百五十七からわずか四の市町村が減ったにすぎないのですね。もうその後も、六十年から平成七年もそうでございます。十九減りました。そして、先ほど大臣お話しになりました二年前の改正法施行、今日に至るまで二件の成果しかないのですね。  私は、昔だっていろいろあったと思うのですね。それは、議員もおっただろうし、おれの村が消えるのは嫌だというのはあるに決まっているわけです。私は、ぜひ地方制度調査会もこの国会も一致して、市町村合併を我々は応援する、いろいろ困難はあってもやるべきだ、それは単に市町村の財政どころではない、根幹にかかわる。そういう意味で、制度調査会も我々も応援しているわけでありますから。  私が再度ここで申し上げたいのは、そういう制度というよりも、国がいわゆる国家の、政府の意思をはっきり言っていないということだと私は思うのですよ。先ほどの誘導か強制がというのは、これは手段なのですね。手段はいろいろ考えればいいと思うのです。でも、こうしなければ日本の地方行政財政的にも福祉の面でも成り立たない、国はこうするのだ、いつまでにこうしたいのだというのを、手段目標をごちゃまぜにせず、目標はこうだ、あるべき姿はこうだといって、戦争を始めるといったら変ですが、まずこの問題に取りかかるべきなのです。だって、明治の人も昭和の人も、戦後のごたごたのときも市町村合併をやったわけでしょう。合併が大変だ大変だとずっとこの委員会で聞いてきましたけれども、でも、ドイツは何でしょうか。あの国家の合併をあれだけの短期間にやり遂げたわけですから、ドイツは。そして、今ヨーロッパは国境を越えて通貨を統合という、何千年の歴史を超えてやっているわけですから。  同じ国民の中の小さな村で、現に町長、村長さんがみんな成り立たないと言っている中で、客観情勢はすべてもうそれをあらわしているわけでありますから、この国会にはもう間に合いませんけれども、何としてでも国家の意思、政府の意思として次期通常国会までにそれを表明し、そして、その具体案を出されるということを私は要望をし、また提言も申し上げたいわけでございますが、総合的行政主体としての名にふさわしい市町村にするために市町村合併誘導、誘導でいいと思うのです。それについて、大臣に対する質問は今国会はもうこれが最後になりますので、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
  41. 白川勝彦

    白川国務大臣 今まで自治省が市町村合併の問題について非常に気を使ってナーバスな表現をしてきたことは、厳然たる事実でございます。私もいろいろ、例えば具体的な数字だけは言わないでくださいとか、いろいろなことを含めて、行政局長等から言われてまいりましたが、ただ、皆様方の大変な御指摘、あるいは世論というのでしょうか、市町村合併をしていかなければ本当の意味で住民の期待にもこたえられないのではないかというのは、もうある面では大方の、圧倒的な合意になりつつあるのではないかな、こう思っております。  そして、いろいろな合併、例えば五十万と三十万のところが合併してやはり政令指定都市にならなければだめなのだ、こういう合併の論議もございます。あるいは、せめて中核市になろうではないか、現状では中核市になれないからそういう合併を目指そう、こういう合併も今非常に起きているのも事実でございます。  率直に申しますが、私は、そういうような合併は、我々から見たらある面ではぜいたくな合併の悩みであって、私たちが、実際問題、真剣になって相談に乗り、また真剣に考えていかなければならないのは、三千二百三十二のうち二千六百近くが町村であるわけでございます。市部で、市と名がつくところで日本全体の人口の四分の三を占めているようでございまして、日本の人口の四分の一が二千六百近くの町村に分かれている、これはもう率直に言わざるを得ないと思うのでございます。  その町村の行政体制を強化していくということは、これはこのことを現実の問題として取り組み、しかし、市町村合併というといろいろあろうかと思いますが、町村から見ますと、先ほど渡辺委員の質問にありましたけれども、大きな市に周りの小さいところがのみ込まれていくということに対する恐怖感というか不安があるのも事実でございます。ですから、実際、なぜ町村が、多分いろいろな意味で周りの大きな市から働きかけもあっただろうと私は思うのです。しかし、やはり現実には四十年間近く合併がなされなかった。その辺の物理的なことと同時に、心理的、心情的、メンタルな面も含めて真剣に考えていかないと、この町村合併、そして市と町村がどういうふうな形で合併するのか、それとも町村同士が合併して、たとえ三万の行政体でもいいと私は思うのです。例えば、今まで三千、五千で分かれていたのが三万になれば、大変な進歩だと私は思います。  そういうことを含めて、タブーを置くことなく、それこそ聖域を設けず、率直に言って、人口の四分の一しかいないところが二千六百の町村に分かれている現状はこれでいいのだろうかという問題意識を率直に持って、これらのところの合併が現実に進むためにはどういうふうにしていったらいいか、これをやはり正面から議論していくことだと思っております。
  42. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私は、この前も申し上げましたけれども、合併の促進に大法案は要らないと思うのですよ。過去もそうだったと思うのですね。私は、もう本当に機は熟している、ちょっとした仕掛けを法律予算で講ずれば、これはもう相当の部分から火がおこる。火がおこれは、今までぐじぐじ言っていたところも恐らくブームとなってついてくるような状況だろうと思うのです。  実は、新進党の我々の先輩にもなりますけれども、参議院の石井一二先生がある本に、いわゆる郡に都議会を置くという一つの思い切った、郡があるじゃないかということで、都議会を切り口に合併を促進しようという論文を出されまして、それを法案にされまして、修正をして、一つの簡単な法律でありますけれども、条文が実はできております。これなんかも私はつらつら見ました。今の状況からいえば、これを通せば市町村は、市は五万人、町村は二万人を基準とするということに、都道府県がいわゆる勧告権を住民投票にあわせて持つというようなちょっとした仕掛けなのですね。実はこれだけでも私は相当の合併促進の流れができるのだろうと思っております。  そのほか、私のアイデアではありませんが、一部申し上げましたけれども、例えば、ふるさと創生で一億円という話もございましたけれども、ふるさと創生基金じゃなくて、大きな、ふるさと創生調査費みたいな、交付税と言わず調査費で、合併について三つ、四つ一定の基準で調査をやるなら補助金をつけてやる。そして、要は調査をして、市民に、町民にとって、これだけ我々にメリットがある、そしてそれをやらなければ十年後は大変なことになるというその姿を調査をして、市民、町民、村民にPRで知らしめることだと思うのですね。今までの議論というのは、議員さんがどうだ、首長さんがこうだ。私は、市民の皆さんに知らしめたとき、村民の皆さんに知らしめたときに、もう議員さんだってこれはやるしかない、旗を振られるようになると思うのですね。  そういう面で、そういういわゆる調査費及び広報費といいますか、そういうものを含めて、法案とともに、私は総合的にぜひ短期間のうちに御検討をお願いしたいし、我々、我々といいますか、国会を代表しているわけじゃございませんからあれですけれども、少なくとも我々新進党はそういう法案を用意して応援しようと思っておりますので、申し上げます。  それで、ちょっと長くなりました。私は、地方行政についていろいろな際路打開の道といいますか、あるいは活性化の道といいますか、そういうものはないだろうかと常々考えるわけでございますが、そのうち、一番早く、安く、やり方によっては一つの大変な効果を持つものは情報化だと思っているのですよ。情報化というのもいろいろあります。とりわけ、衛星及び既存の電話回線を使って、そしてもちろん機械はコンピューターでございまして、これを使って、外からなかなか情報が入らない、一つの村の秩序があるあの世界に、いわゆる経済の情報、他の地域の情報、世界の情報が入るような、そういうことをやってきたときに、私は村というのは極めて活性化してくるのだろうと思います。そしてまた、介護の問題、医療の問題、もう恐るべきスピードで情報は電話回線を流れるわけですね。  私は、最近実はコンピューターに凝っておりまして、コンピューターなんか一年前なんかとてもじゃないけれどももうやれるはずもないと思っておったのです。ところが、やり始めたのです。大体、毎日おもしろいものだから挑戦をしていまして、二時、三時までになることが多いのですが、いや、これはおもしろいのですね。一秒間にもう何万という情報を流すのですからね。私はもうシャープの回し者だと言われるくらいザウルスの宣伝をするのですが、こんな小さいものだって一秒間に情報量からいえばやはり三百字ぐらいの、三百字は大げさにしても、最低二百字の漢字を一秒間に全部、持っているだけで渡せますからね。そして、コンピューターももっとすごい。私は、こういう村社会の中で、もう愚痴ばかり言う、大変だ大変だといって、若者が頑張ろうと思ってもそれが押さえつけられている、そういう社会にこのコンピューターを導入すべきだと思うのです。  それで、私は自治省の方は役所の中で一番コンピューターが苦手な人が多いのだと思うのですよ。私はそう思います。人事課長とか財政課長で行かれると、もう大体財政電算システムはでき上がっておりましてね。ただ、そういう部内の、庁内の情報化じゃなしに、過疎地域における医療にとって、あるいは地場産業振興にとってこういう情報化というのがどういうふうに使えるかということは、村の議員さんとかあるいはお年を召した村長さんに私は幾ら勉強しろといったってだめだと思うのですよ。やはり、自治省がガイドラインを示し、研修をやる、何をやるというような一種の仕掛けを講じていけば、私はこれはもう短期間に変わってくるのだと思うのです。  そして、申し上げたいのは、いわゆる地方自治行政に情報化というものをどう組み込んだらいいかというような問題意識を持って、自治省は今何をやろうとしておられるのか、やっておられるのか、ちょっとその辺の実績及び今後の方針があればお聞かせ願いたいと思います。
  43. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 お答えいたします。  今先生が御指摘のように、最近のマルチメディアとかネットワーク技術とか、すごい情報処理、通信技術が急速に発達しているわけでございまして、特に、先ほど御指摘ございましたが、コンピューターの使い方、パソコンの使い方なんかでも、素人なり全然わからない人、あるいはお年寄りでも使えるような技術も開発されてきているというふうに考えております。したがって、そういうふうなものを福祉の向上、今御指摘ございましたが、あるいは地域の活性化に役立てるということは、もうこれは当然考えなくてはいけない時代に来ているというふうに思っております。  したがいまして、地方公共団体は、高度化する情報通信技術を積極的に活用して、地域住民のニーズをくみ上げて、それを活用するために、主体的、戦略的に独自の行政の情報化とか地域の情報化のシステムというものをつくっていくべきじゃないかというふうに考えております。  そこで、自治省として何ができるかということでございますけれども、私どもは第一には指導助言ということでございますので、行政の情報化あるいは地域の情報化について、これもまた日進月歩するわけでございますので、一定のマニュアルというものをつくって、それを地方団体にお示しをする、それに基づいていろいろと地方団体で考えていただく、こういうきっかけになるような地域情報化のマニュアル、あるいは行政の情報化のマニュアルというものをまず第一につくっております。  それから第二番目には、例えば今御指摘ございました福祉にこういう情報処理技術を使えないかというようなことで、例えば福祉のためのICカードみたいなものを住民にお配りして、その中に住民の健康情報とかそういうものを入れてそれを活用するというようなシステムを自治省とあるいは関係する法人等で開発しまして、そういうシステムを利用していただくというようなこともやっております。  それから三番目には、やはり全体に行政の情報化等を進めますと、どうしても、例えば自治省でLANシステムを入れておりますけれども、都道府県、市町村にも行政のLANシステムというものは入れていただいて、将来はそういうものを有機的につなげていこうというようなことも考えておりまして、したがって、そういうものをバックアップしていくための地方財政措置も必要だと思いますので、例えば平成九年度の地方財政計画の中では市町村にLANシステムを導入するそういう経費を計上しておりまして、そういうものに基づきまして市町村でも講じていただきたいということを始めております。  以上のようなことを少しずつやりながら、御指摘のような方向で、時代の流れに対応して積極的に地方団体に情報化を活用してもらいたい、それを住民の福祉の向上に役立ててもらいたいというふうにお願いをしているところでございます。
  44. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 もう時間が参りましたので、また中途半端になりましたけれども、この情報化については、庁内のLANという話だけではなくて、やはり県庁と結ぶ、あるいは自治省と商工団体、地場産業センターと結ぶとか、そういう外へ向かっての使い方について、私はぜひとも自治省が音頭をとって頑張っていただきたいと思います。私は、ウルグアイ・ラウンドの六兆円、ああいうものよりも、実は本当に自治体にこれが浸透すれば、はるかに大きい活性化効果を持つものだと信じて疑わないわけでございます。  以上で終わります。
  45. 穂積良行

    穂積委員長 今井宏君。
  46. 今井宏

    ○今井委員 午前中最後ということでございます。お疲れだと思いますが、よろしくお願いいたします。  市町村の合併をどう促進、誘導していくかという視点で、たくさんの委員から提言や質疑があるわけでございますが、第二十四次地制調でもこの合併問題が審議されましたし、引き続き第二十五次地制調でも合併を促進するという視点で御審議をいただき、また、政府の方でもそういう諮問をしておるわけであります。そうしますと、当然、次なる合併の特例法ともいうべき改正の作業のスケジュールというものをイメージしていきたい、こういうふうに思うわけであります。  この六月十二日までに回収のアンケートを、市町村の首長、議長、都道府県の同じように知事、議長、こういうアンケートを拝見いたしますと、極めてきめ細やかな貴重な資料が回収、収集そして分析されると思うわけであります。その上で、当然のことながら法改正の手続に入ってくる、こういうふうに思うわけでございます。  局長に御質問を一点させていただきますが、今後の地制調の動向からこの法改正までどんなスケジュールをお考えになっているのか、まずお聞きいたします。
  47. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  今委員指摘のように、今市町村合併の問題についてはいろいろなところで論議を進めております。一つは、当然私ども自治省の中でございますし、それからいま一つ、地方六団体においても今回研究会をおつくりいただきました。それから、政府機関としては、地方制度調査会が審議を始めておりますし、それから地方分権推進委員会も、近く予定されております勧告の中で、地方行政体制の整備確立ということの非常に大きな一つの問題として、この合併を取り上げていただくことになるのではないかというように見ているところでございます。  そういう一連の作業というものをそれぞれ並行的に進めながら、かつそれらを結びつけて、その中から、先ほど大臣の御答弁もありましたように、果たして本当に合併の障害、阻害要因となっているものがどういうものがあるだろうかそれに対してはどういう対応の仕方があるだろうかということを決めてまいらなければならないと思うわけでございます。  それからいま一つは、それでは進んで合併というものを進めていくためにどういうインセンティブが考えられるか、どういう制度を構築していかなければならないか、そういう面からの検討もまた必要でございます。  したがいまして、いつ次なる制度改正が予定されるかということについては確たる御答弁を今の段階でしにくいわけでございますが、いずれにいたしましても、これだけ合併問題が方々で議論され、私どもも、またその他いろいろな場で議論が進んでおりますときに、いつまでも結論が出ないということはない。それはやはりできるだけ精力的に議論を進めて、そして必要な制度改正があるならば、その制度改正に向かって作業を精力的に進めていかなければならないと私どもは考えているところでございます。
  48. 今井宏

    ○今井委員 合併が目的ではなくて、真の地方自治をどう確立していくか、しかも分権型社会にどう転換していくか。高齢社会を迎えていますよ、地方財政が国同様大変なピンチですよ、行政改革もしなければなりませんよということでございますし、分権計画が五年の時限に来ておりますので、やはりそれに並行、整合させていくという意味で、ひとつ精力的にお願いを申し上げたいと思うわけであります。  この地制調の諮問を見ますと、先ほど古賀さんから過疎地の必要性について御質問がございました。当然だと思います。小規模市町村、これをどうまた自治体としての機能を持たせるか、この視点は全く異議はないわけであります。あわせて、実は分権が、都道府県にとりあえず二層制を認めて権限移譲がされ、その後に基礎自治体に、こういう流れになっているわけでありますが、私の持論ですが、むしろ基礎自治体にストレートに行き、基礎自治体を都道府県がどれだけ支援していけるか、こういうイメージを持っているわけなんですね。  そういう意味では、中規模あるいは大規模の合併、これをまた促進していく必要があるのではないか。そこで、分権型の、まさに文字通りみずからを治める自治体をこしらえていくべきではないか。自己決定、自己責任でやっていくのだ、こういう将来図というものを望ましいものと考えておるわけであります。  そういう意味では、政令指定都市が一応法では五十万、イメージとしては大体百万人の人口規模を一つの基準としているようでございますが、これもよく考えてみると、言葉もおかしいと局長思いませんか。大臣の方がいいですかな。政令で指定する都市というわけですから、これは対等、平等じゃないですね。政令で指定する都市ですから、もうちょっと、対等、平等、横並びというのであれば、この政令指定都市という名前も変える必要があるのではないかと個人的には思っておるのですが、一定の規模を持ったものできちんとやっていくという意味では、実は、今回の地制調あるいは分権推進委員会等々も含めて、小規模の大切さと、もう一つ、中規模、大規模の合併促進を図っていくべきだ、こういうふうにも考えておるのですけれども、その辺について御見解をお願い申し上げたいと思います。
  49. 松本英昭

    松本政府委員 政令指定都市の方を少しお答えさせていただきたいと思いますが、政令指定都市というのは、法令上の用語として使っているのではなくて、要するに、特別に権限、財源等をおろす団体、これを政令で指定するという制度になっていることから、一般的に政令指定都市と言っているわけでございます。政令で指定するのがいいのか、法律で指定するのがいいのか、その他の方法がいいのか、それはまた一つ議論のあるところかということは私どももよくわかりますので、またいろいろ検討はさせていただきたいと思います。  それから、合併の問題を考えます際に、委員指摘のように必ず出てまいりますのが、小規模のところをどうするか。これは合併のみならず地方分権地方自治の充実を図るためにはいつもその問題が出てまいりまして、これは分権のサイドからも、あるいは密接に関連する合併論議の中でもたびたび取り上げられているところでございます。  対応の仕方としては、小規模な町村がそれぞれ周辺の地域と合体するという合併の方式が一つありますが、自然的条件とかあるいはいろいろな諸条件のためにそれが不可能な場合に、果たしてどういうふうにするのか。一つ考えられますのは、都道府県による代行制度とかそういうことが考えられますし、それから、都道府県じゃなくて、むしろそれぞれの市町村間の共同処理といいますか、あるいは相互の扶助といいますか、そういう関係を通じて補完、代行をしていくという考え方もとれると思います。  いずれにしても、この問題は、今後の地方分権地方自治の充実あるいは合併等の問題を解決していくためには決して避けて通れない問題であろうということで、先ほど申し上げました各審議会等あるいは研究機関等においても十分問題意識を持って検討していただくことになろうかと思います。  それと、いわゆる合併というものをどう考えていくかという場合、先ほど大臣から御答弁ありましたように、町村レベルがやはり何といっても一番大きな問題であろうかと。その上に、先ほどの、大都市における再編成といいますか、そういうことも当然ありますが、市町村レベルにおける市町村の合併がやはりどうしてもこの中心的な課題であろうということは、私どもはそういう気持ちを持ってこれからも問題に当たっていく必要があるのではないかと思っておるところでございます。
  50. 今井宏

    ○今井委員 どちらがどちらというのではなくて、おっしゃるように、町村レベルの合併を促進していくということがとても大切だと思うのですね。やはり、同時並行的に中規模、大規模の合併をどう進めていくかということも、地域によってみんなケースが違うわけでございますので、温度差なくそれをどんどん進めていくこと自体が、大変なことではありますけれども、積極的に取り上げてもらいたいと思っているのです。  私の持論なのですけれども地方自治体というのは、規模は大きい方がいい、そのかわり、行政サービスあるいはコミュニティーは小さくする。だから、一つの大きい自治体の中で今度は小さいきめの細かいサービスができる。  実は、私の経験からしましても、私の周辺六つの自治体、五市一町で一部事務組合をやっているのですが、発電所なんか日本一だと思いますよ。八百トンのと三百トンのを持っているのですけれども、一時間で二万四千キロワット・アワー発電していますし、人口三十万人規模の発電はできるわけですよね。これも、六つの自治体が勝手にやったらこんなことができるわけがありませんし、ことしの春には、私が市長をやめてからの話ですが、計画していた知的障害者の収容施設も六つの自治体だからできるわけで、これからいろいろなことを取り上げていこう、合併を前提として、任意ですが協議会をこしらえて、市長として仕事が終わったのですが。  そういう意味では、こういった中規模、大規模の合併促進が、経費の節減は大変なものだと思います。首長は六分の一になるだけじゃなくて、議員が減るだけじゃなくて、職員の数も含めてこれはもう大変な行革になるはずでございますので、地域によってケース・バイ・ケースで積極的なお取り組みをぜひ期待を申し上げたいと思っているわけであります。  さて、先ほど局長からお話がございました、地方六団体でも自主的な合併の研究会ができたわけです。これは高く評価していいのだろうと思うのです。自治体みずからがこの種の問題を六団体として取り上げていく、自主的に合併を促進して、そのための方策を考えていく、こういうことで、下からの合併、大変心強い限りでございますが、この件につきましてはどのような評価をしていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。それから、あわせて構成メンバーもお願いします。
  51. 松本英昭

    松本政府委員 地方六団体におきまして、去る五月二十三日に、自主的合併の推進方策に関する研究会というのを発足されました。ここで、この発足の際の趣旨によりますと、「地方分権行財政改革の潮流の中で、これらの要請に市町村が適切に対処するためには、市町村の自主的合併により対応することも有効な方策と考えられています。」ということで、「現在この検討が進められている地方制度調査会の答申に反映させるなどの方法により、今後の自主的合併の推進に役立てたいと考えております。」ということでございます。  メンバーは、座長が、全国知事会の地方制度調査委員会というのが以前からありましたが、その委員長さん、具体的には長崎県知事の高田さんでありますが、そのほか、都道府県議会議長会の会長さん、それから全国市長会の行政分科会の委員長さん、それから市議長会の地方行政委員会委員長さん、全国町村会の副会長さんのお一人、それから町村議長会の会長さんというようなメンバーが委員でございます。  あと、その下に、六団体から事務当局の各総長と部長による構成で幹事会を設けて審議をしていくということになっておるところでございます。
  52. 今井宏

    ○今井委員 大臣地方分権について何点かちょっとお聞かせいただきます。  いよいよ来月上旬と報道されておりますけれども、分権推進委員会がかなり精力的に頑張っていただいておるわけであります。この委員会でも委員長さんのお話を次の機会に聞かせていただくわけでありますが、国会の機能が今一番求められていると思いますし、我々、委員会の応援団の一員と思っているわけであります。  第二次勧告というのが最終勧告になるのでしょうか、この行方に、白川大臣、大変危機感を持っているやに感じるわけです。実は私も大変な危機感を持っているわけであります。各省庁の役所が既得権を放すというのはやはり大変ですし、役所のみならず民間業界もそうだと思いますが、この辺どう対処していくのか。  実は、もう限られた時間の中で、委員の先生方、孤軍奮闘頑張っておりますので、大臣から心強い援軍を送ってやらないとちょっと心配なのでございますが、大臣、どんなお考えでしょうか。
  53. 白川勝彦

    白川国務大臣 私ども、昨年十二月の第一次の指針勧告につきましては、機関委任事務の原則廃止という大きな方針が出されたというところで高く評価いたしたわけでございます。  そのときも相当あったようでございますが、これは、基本的にはもう機関委任事務を廃止する、こういうことで大きな仕分けがなされたわけでございまして、このところでは、ある面では御苦労もあったのだと思いますが、比較的大きな成果を上げられたと思うわけでございます。  機関委任事務として廃止されて、自治事務になったものあるいは法定受託事務になったもの、二つに分かれたわけでございますが、その自治事務についても何らかの意味で国の関与という問題がございまして、この関与につきまして、名前は変わっても従来の機関委任事務と同じようにやりたい、こういう気持ちが中央省庁には非常に強いものがあるようでございます。  それからもう一つは、率直に言って、権限の移譲という問題で、これまた中央の省庁と地方意見は大分食い違っているようでございまして、私も細かいところまで整理をしているわけではありませんが、長年の習性というだけではなくて、私は最近こういうことを言っているのでございます。いい言葉で言えば使命感が強いというか、悪い言葉で言えば往生際が悪いというのか、こういう言い方をしているわけでございます。  そういう中で、本当に地方分権推進委員会の委員の先生方が各省庁と、これは地方にやらすべきではないか、それに対して、いや、これはやはり国の関与が必要だ、この権限は移譲できないということの、まさに各論の詰めがなされているようでございまして、そういうものの帰趨がほぼ見え始めているようでございますので、詳細は私、全部はわかりませんが、委員の先生方あるいは事務局等からこれらの率直な事情を私なりに把握をして、総理と率直なところをお話ししたいと私は思っております。  財政構造改革会議、正直言っていろいろ御批判はいただいておりますが、あそこまで持ってくるというのは、少なくとも各省庁、与党の中ではかなり長年の議論があったし、難しいことをなし遂げたわけでございますが、私は、もめるだけもめたけれども、これは一つの結論を得ることができると信じておりました。それは、物事をもむのも政治家の仕事なら、まとめるのも政治家の仕事でございまして、政府・与党の財政構造改革会議には多くの政治家が入っておりました。  ただ、今なされております地方分権推進委員会の中にはいわゆる政治家がおらぬわけでございます。それから、例えば省庁と地方分権推進委員会の先生方が議論して、それでは合意に達しなければ何か不利益なことがあるかというと、変わらないわけですね。この二つの点において、地方分権推進委員会の先生方は、ある面では援軍もなく武器もない中で、地方分権の発展のためにということで御努力しているわけでございまして、これは自治大臣としても、あるいは最後は総理大臣としても、これらの先生方の御支援をしなければならぬと思いますし、まず何よりも地方分権ということで進んできた国会の意を体して行政を指導していかなければならぬと思って、私は近いうちに総理とも率直にこの話をさせていただき、総理からまたお力添えを賜りたい、こう思っております。
  54. 今井宏

    ○今井委員 大変心強い限りでございます。実は、この勧告がどういう形で取りまとめられるかというのは一つの大きなポイントだと思います。大臣あるいは何よりも総理大臣のリーダーシップ、政治判断がここで求められるわけだ。  十二月をめどに省庁の再編についても一定の成案を得るということになっています。これまた私の持論なんでございますが、国と地方の役割分担をきちんと整理しないままに省庁の再編を成案した場合に、また後で出戻りがあるのではないか。これは中央政府、これは地方政府がやるのだということが明確になってくれば、おのずと省庁のシェープアップといいますかスリム化というのが、方向というのが出てくるはずだと思うのです。そういう意味では今こそ実はリーダーシップが大事だと思うのですが、省庁との関連について大臣の御見解を、再編についてのお考えをお願いします。
  55. 白川勝彦

    白川国務大臣 総理予算委員会等でたびたび述べられている中で、行政改革の主たる切り口は二つあると。官から民へ、そして中央から地方へ、こういう形で整理をしております。そして、どの仕事が国でどの仕事が地方かという仕分けは、地方分権推進委員会で今議論がされているようでございます。  私も今自治省警察庁、両方の所管大臣でございますが、一方では行政改革会議でヒアリングをされているときには、国と地方の仕事の見直し、分担というような問題が各省庁からはほとんど何も出されていない。行政改革会議ではそれらの問題意識があるのかどうかわかりませんが、国をスリム化するための中央と地方との事務見直しの話じゃないと私は思うのですね。地方自治の発展のため、地方分権推進のためには、何を中央がし、地方がするかということでなければいけないと思います。  率直に申し上げて、今地方分権推進委員会で議論されていることと行政改革会議のが本当の意味で同じテーブルの中で共通の問題意識で議論されているかというと疑問があると私は思いまして、これらの問題についても、行政改革会議というのももう少し政治家を入れなければならないというような意向を総理自身がお持ちのようでございますので、そんな中で本来これらは一体的に議論されないと、中央省庁の再編統合を考える面でもいい案が出ないと私は思っております。一度じっくりとこれらについて私の御意見を申し上げ、また総理からリーダーシップを発揮していただくところは発揮していただこうと思っております。
  56. 今井宏

    ○今井委員 それで、勧告が出た後が実はこれまた次の大きなポイントだと思います。来年の通常国会終了までになるたけ早い時期に政府による分権推進計画をつくるということになっています。今、割と省庁の人は安心していますから、そこのところで全部骨が抜けるよと思っているのではないかという指摘をする方もいるのですよ、今度は政府によるということになりますから。  そこで、国会がこの場でどういう機能を果たせるかということが、国会側の立法府としての責任というのはこれまた重いと思うのですけれども自治省として、大臣として、政府の分権計画をこしらえるに当たって当然そこに関与してくるわけでございましょうし、その辺の御決意についてお聞かせいただければと思っています。
  57. 白川勝彦

    白川国務大臣 答申を受けて、推進計画というのが一体どういうものなのかちょっとまだわからぬところがありますが、ただ一つ、本当に私はたびたび国会で議論を、予算委員会でも質問されましたし、ここの行政委員会でも半分は突き放したような言い方で、なぜこういう言い方をしているかというと、地方分権推進法というものは、実は基本的には国会のリーダーシップでできた法律でございます。そして、地方分権推進委員もそういう面では国会の同意人事ということでなされたわけでございまして、地方分権というのは、国会のイニシアチブが非常に強い中で生まれた法律であり、委員会だと思うのでございます。そういう子供をつくっておきながら、ちょっとその後の支援体制というかフォローアップ体制が、国会全体がもう少し関心を持っていただきたいという意味で私は言ってきたわけでございます。  例えば、私は地方分権推進委員会というのは実は私の諮問機関だと思っておりまして、あるいは私と関係しながら進められるのだと思って意気揚々と自治省に乗り込んだところ、全く関係ないというのであります。これにはびっくりしましたね。勉強不足も甚だしいといえば勉強不足なのですが。ですから、手が出せないのです。私は自治省だなんて見えませんので、私が何を言ってもほかの役所、大臣は文句を言わないのですが、自治省の役人がいろいろ言うと、自治省の権限を伸ばすことになるのではないかということで猛烈な反発を食らうわけでございまして、この辺率直に御理解を賜りたいと思っております。  そういう意味で、やはり国会の強いイニシアチブでできた委員会でございます。それに基づいて委員の先生方が大変御苦労をされておるわけでございますので、そしてやはりいい勧告が出ないといかぬと思いますので、私はこの一カ月間がもう勝負だと思っておりますので、私は私でやれる範囲で全力を傾けますが、どうかひとつ先生方からも、そういう状況の中で悪戦苦闘されているという姿を率直に御認識いただきまして、いい勧告が出るということにまず今全力を尽くしたいと思っています。そこから先どういう手続になるかということにつきましては、また出た時点で全力を尽くしたいと思っております。
  58. 今井宏

    ○今井委員 大臣がおっしゃるように、役所も大変使命感の強いところでございますので、政府が何となくつくる分権推進計画のところで腰が砕けてしまう可能性もありますし、国会議員も、本当はアンケートをやってきちんと公表でもしたらいいのかなと思うのですけれども、やはり中央集権の方が自分の既得権が保てますよ、地域に帰っても、おれが道路を、私が河川をと。特に、小選挙区制になったものですから、その辺が、小選挙区制にすると同時に分権が一緒でないとむしろ問題があるのではないかということを私はずっと言っておったのですが、分権がおくれて小選挙区制が先に走っておりますから、やはり地元利益還元型、これが一番票になるのです。  そうしますと、分権が後になるということは、これは本当に僕は心配しているのですが、そういう視点からすると、国会議員も本質的には分権社会にするということに多少腰が引けるというか、事によるとかなり引けるという部分もあるのでしょう。それで、肝心かなめの、大臣が所管する地方自治体の方が、今度は自分で自立して自己決定ですから、現状維持の方がいいねと。三者とも、どうも大臣が御指摘のように、できればそのままでという、こんな感じが一番危機的状況だろう、そうあってはならない、こういうように思っているわけです。  時間が参りました。どうぞこの辺につきましてリーダーシップを大臣の方からも発揮していただくように御期待申し上げたい、こういうように思います。どうもありがとうございました。
  59. 穂積良行

    穂積委員長 白保台一君。
  60. 白保台一

    ○白保委員 本当の最後でございます。  せんだって新聞を見ていますと、「全国に広がり始めた市町村合併構想」というのが出ておりまして、幾つか全国の合併が今進められようとしている、そういうのが出ておりました。私のところの沖縄県においても二つばかり出ておりまして、現実には、久米島という島の二つの村が合併しようという、これは、まさに住民発議といいますか、住民の皆さん方から声が出て、今協議会もできてだんだんに盛り上がっておるという状況が一つあります。またもう一つは、具志川市、与那城町、勝連町という町ですね、三つが一緒になってという、まだ声が出てきておるという状況で、二つ出てくるわけであります。  実際にそういった状況を踏まえて、私どもも、合併についていろいろと勉強し、また取り組んでいかなければならないわけですが、自治省として、まず基本的な問題として、どのような取り組みをして、そしてまたどのような結果といいますか成果というものが今出てきているのか、まずそのことについてお聞きしておきたいと思います。
  61. 松本英昭

    松本政府委員 市町村合併につきましては、二年前に市町村合併の特例法の改正をいたしまして、それまではどちらかといいますと合併の障害を除去するための特例を定めるということでございましたけれども、その新しい特例法におきまして、その目的のところに自主的な合併を推進するということを入れたわけでございます。したがいまして、そこでスタンスが少し合併推進方向という方に変わったというように御理解いただいていいと思いますが、それを受けまして、法文の上におきましても住民発議制度あるいは財政措置の充実強化等の規定を入れたわけでございます。それからさらに二年たちまして、いろいろその後の政治経済情勢、社会情勢等の大きな変革への動きというようなものと相まちまして、この市町村合併というものに対しましても、これは今までとまた違った大きなうねりが生じてきたということは事実ではないかと思っております。  そういうこともございまして、私どもといたしましては、特に昨年の後半ぐらいから、市町村合併の取り組みというようなものについて、まずは機運の醸成ということをやらなければならないということで、これは合併特例法の現在の規定趣旨に沿ったものとして機運の醸成に努めてまいりました。あらゆる機会をとらまえて、合併についての御理解を求めるというようなこと、あるいは情報化社会に合ったような合併の推進への取り組みを行うというようなこともいたしましたし、シンポジウム等についてもこれを積極的に開催をし、あるいは地域で行われるシンポジウムを支援してまいったつもりでございます。そういうことから、かなり合併についての世論の喚起、あるいは地元市町村の世論についてもかなり変わってきたというように感じております。  それで、そういうこともございまして、ここ数カ月前から、なお機運の醸成ということもさらに行いつつ、さらなるステージとして、先ほどから申し上げておりますように、合併について具体的にどういう障害があるであろうか、そしてさらに、合併を進めるためにどういう支援措置が必要であろうかという具体的な対策というものを検討しようということで、庁内のプロジェクトチームを設ける、あるいは地方制度調査会で新たな取り組みを始めるというようなことをしてまいっておるわけでございます。現在は、先ほどから御説明申し上げておりますように、それらの取り組みをさらにさらに精力的に進めてまいって、その結論を得て必要な措置を講ずるよう努めてまいりたいというように考えているところでございます。
  62. 白保台一

    ○白保委員 歴史と文化が違う町村が合併をしていく、こういったことについてはかなりそれぞれの地域の抵抗感みたいなものもあります。だから、住民発議というのが非常に大事なことになってくるのだろうと思うのです。私どももかって経験したことがありますが、私どもの小さな島で、四市町村を何とか合併させようなどと言って努力をして、上からの指示でやった。あるところまでいくのですが、最後には、いろいろな歴史と文化の違いの問題が出てきて、結局は一緒になれない、こういうようなことがあるわけです。  そこで、大変基礎的な問題なんですけれども、これは分権の受け皿づくりとしてやっていく、あるいはまた地方行革が目的、どっちなんだという声があったりするのですが、その辺はいかがなんでしょうか。
  63. 松本英昭

    松本政府委員 合併と分権の関係について議論になりますときに、大きく分けまして二つの側面があると思います。  一つは、これから地方分権が進んで、自己決定と自己責任ということを確立してまいりますためには、やはり基礎的な地方公共団体であります市町村の役割、これが質、量ともに大変重要になってくるわけでございますから、その市町村がしっかりとした行財政能力を持たなければ、これは地方分権ということの持つ意味を達成するわけにはいかないということで、この基礎的地方公共団体の行財政能力ということを高めてまいらなければならない。そのためには、合併という手法が非常に有効であると申しますか、合併ということも避けられないことになってくるだろうということがあります。  それからいま一つは、これはよく言われることでございますが、分権で権限を移譲する際に、その権限の受け皿の規模として現在の市町村がどうであろうかという議論が時々なされることがあります。そのことにつきましては、私どもかなりスタンスがはっきりいたしておりまして、大臣からもたびたび御答弁がありますように、それはむしろ逆に、権限を移譲するという方を先に決めて、その権限を受ける市町村側がそれについてどう対応していくかを判断するという、その方が正しい考え方ではないか。その際に、やはり国の方としては、市町村に対してこういう権限を移譲したいが、こういう規模がなければなかなかできないということをまず示していただきたい、そういうことではないかというようなことを私どもは考えているわけでございまして、そのことは私ども地方分権推進委員会の方にもはっきりと申し上げているところでございます。  それから、今度、行政改革との関係でございますが、先ほど申し上げましたような趣旨が私どもの今日の市町村の合併を推進する趣旨でございますので、その結果として行政効率の向上に資するという面は否定できないわけでございますけれども、しかし、あくまで市町村合併を進めていく主たる目的というものは先ほど申し上げましたようなことであるというように理解をしていただきたいと思うわけでございます。
  64. 白保台一

    ○白保委員 いろいろとお話がありましたように、しょせんは住民発議で地域の皆さん方が納得をされるということが極めて重要なことなんです。  そこで、さまざまな形態があるだろうと思うのですね。全部地続きでみんなうまく合併のできるような地域的な問題というのがあります。ところが、私どものように離島県などというのは、小さな島が、千人足らずの村がそれぞれ一つ一つの自治体を形成している、そういうところもありますし、また幾つかの島をひっくるめて一つの町を形成しておるというところもさまざまあります。  そういったところで、幾つも町村がありますと、そういうところは一部事務組合をやって、あるいはまた郡におけるところの広域連合をやって、それぞれの成果を上げております。ここでは、歴史とか文化とかそういった違いは全くなくて、一つのまさに経済効率、こういった面ではしっかりと成り立っているという状況があるわけですね。そういう面を見ると、私どもは、これの積み重ねが一番いいのかなというような感じも受けたりするわけです。  そういう意味では、一部事務組合あるいは広域連合といった辺の実績を踏まえた合併の問題、これについてはどういうふうに受けとめられますか。
  65. 松本英昭

    松本政府委員 この点につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおりでございまして、合併を推進していく際に、一部事務組合とか広域連合というものが必ずしも合併を推進するという目的で設立されることばかりではございませんが、その幅広い設立目的の中から、将来は合併への道を歩んでいくのがいいであろうというような結論が出されることは、私どもとしても非常に喜ばしいことではないかと思っております。  議員御出身の宮古島のトライアスロンなどは、合併につながるかどうかはともかくといたしまして、ふるさと市町村圏基金で大変広域的にそれぞれがやられた、大変先駆的な取り組みとして、私どももこれを高く評価をしております。こういう取り組みにつきましては、全国的にもこれからも大いに、私どももお役に立つことがあれば御援助してまいりたいと考えているところでございます。
  66. 白保台一

    ○白保委員 いみじくも今、宮古島の話をされましたけれども、あの島で四市町村あって、かつて合併の話がありましたが、なかなかうまくいかないということで今日に至っております。ところが、トライアスロンの話がありましたように、一つの大きな行事をやろうということになりますと、共有するものがあって、広域連合でうまくぴしっといくということがありますので、そういったことを今申し上げたわけであります。  合併の問題についてはこれで終わりまして、私は津波の問題と気象の問題等を含めて通告しておりますので、時間がありませんので次に進めさせていただきます。  実は数年前に、私はまだ県会議員をやっておる最中でしたが、西表島で群発地震が起きました。この群発地震というのがもう大変な状況でございます。  島というのは高齢化と過疎化が進んでいく状況です。ある集落などは、三十五世帯あるような集落で七十歳以上の高齢者の世帯が二十世帯ある。群発地震が起きますと、ここの区長さんと言われる人たちはお年寄りをしょって山へ駆け上る、こんなことを何度も何度も繰り返した。そのうちに年寄りも、群発地震が起きますから、山からおりてくるのは嫌だから上にプレハブをつくってくれ、こういうことでプレハブで生活するようになる。小さな島におけるところの地震、それにつながるところの津波、こういった問題は、島々においては極めて大きな不安材料。  そういう中で言われることは、極端な話ですけれども、地震が起きたらその場でスピーカーでぱっと、津波は来ません、こういうふうに言われるくらい速い速度でもってやってくれないと、そこにいる人たちは不安でいられない。しかも、島々というのは海抜ゼロメートルみたいなところで、皆、海のそばで生活をしておりますから。  そういう面で、地震に対する、またその後の津波の警報というのは極めて重要な問題なんです。これについて阪神大震災以来かなり議論が高まってまいりましたが、津波警報の問題、同報無線といいますか、その辺の対策についてどのように取り組まれておるのか、お聞きしたいと思います。
  67. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 津波避難対策の問題でございますけれども、今お話がございましたように、津波というのは、地震が発生をいたしますと間もなく来襲するおそれがあるということでございますから、沿岸住民の方々は短時間で安全な場所に避難するということが重要でございまして、津波警報、注意報を迅速かつ確実に住民に伝達する必要があるわけでございます。  そういうことから津波警報等の情報伝達体制の整備を進めているところでございますけれども、沖縄県で申しますと、防災行政無線のうち同報系の無線の整備につきましては、五十三の市町村のうち、現在三十一の市町村が整備をやっております。私ども消防庁といたしましても、今後とも、災害におきまして迅速かつ的確に住民の方々に対して情報伝達ができるように、防災行政無線の整備につきましては積極的に指導してまいりたいと考えております。  それからもう一つ、避難の問題でございますけれども、沿岸部を有する市町村のある都道府県に対しまして、私ども消防庁では、津波災害に備えまして安全なところに避難場所それから避難路を選定いたしまして、日ごろから防災訓練等を通じて住民に津波避難対策の周知を図る等、津波対策に万全を期するように指導しておるところでございます。  それから沖縄県におきましても、九月一日の防災の日を中心にいたしまして、津波災害を念頭に置いた防災訓練を実施いたしまして、住民が迅速かつ安全に避難を行えるよう住民指導を行っている、こういうようにも聞いておるところでございます。  いずれにいたしましても、こういった問題につきましては私どもも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  68. 白保台一

    ○白保委員 琉球大学の木村政昭という教授がおられまして、この教授の出された本に「これから起こること」という本だとか「第三の予知」とかいう本があります。これは、今まで地震の起きなかった空白地域だとかあるいはまた活火山の活動の問題だとか、そういったものから割り出して、非常に詳しく予知を出しております。そういった中で、空白地域というのが出されたその翌年あたりに阪神大震災が起きてきていますね。そういった面では、学者の研究等も非常に大きな予知をしております。  そういった面では、琉球弧のフィリピン・プレートですか、そういった辺等も非常に空白地域になっていて、今後の課題となっておりますので、先ほど答弁ございましたが、しっかりと取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それからもう一点は、気象庁の方がおいでだと思いますが、実は、沖縄県南大東島。この南大東島は、八百メーターの滑走路でしたが、今度千五百メーターになった。今まで十九人乗りのトンボのような飛行機が飛んでいました。これは那覇市から一時間半ぐらい飛んでいきます。飛び出したころには遊覧飛行みたいで非常にすばらしいのですが、そのうち太平洋に出てしまって、どこにも島が見えないようなところで、非常に不安な中を揺れながら一時間半、南大東島へ行くわけです。そこが今度YSが飛ぶようになった。三倍以上の人を輸送できるようになった、こういう体制になりました。  ところが、今回いろいろとお聞きするところによりますと、航空気象観測の体制を、今まで四人おられたものを今度はゼロにする。むしろ今、新しい滑走路ができて、安全対策のためにも航空気象観測を非常にしっかりやっていただかなければならないにもかかわらず、行政改革の一環でしょうか、あるいは人員整理ということで、四人いたものが今度はゼロになる、こういう状況になりました。  沖縄県は離島県ですから、船か飛行機か、海か空が、これが輸送手段です。そういう面で安全を期してやっていかなければならないにもかかわらず、航空気象観測がこういう体制になるということに対して、島の人たちは大変な不安を持っておるわけですが、その辺の状況について御答弁いただきたいと思います。
  69. 平木哲

    ○平木説明員 南大東空港のことでございますが、先生御指摘のとおり、平成九年七月二十日に新空港が開始いたす予定でございます。  それに伴いまして気象庁は、新南大東空港に自動観測、通報するための施設を整備いたしまして、那覇航空測候所において同空港の気象状況を常時監視できるという体制を整備いたしました。  今回の委託化につきましては、自動化できない一部の観測項目につきまして、これを部外に委託するということでございます。委託に際しましては、施設の整備あるいは研修など気象庁として十分な措置をとってきておりますので、航空機の安全運航については全く支障はございません。  このように必要な措置をとっておりますので、委託観測への移行を延ばすというようなことは考えておりませんで、既にこの委託観測ということにつきましては、全国で十三カ所において委託観測を実施しておりまして、今まで問題が発生したことはございません。
  70. 白保台一

    ○白保委員 非常に、離島というかその現場というか、そういったものをよく知っていないんじゃないか、こう思います。  確かに、波照間島だとか小さな島々に小さな飛行機が飛んでいる、しかも便数が少ない、そういうところで、あります。これはよく知っています。ところが今回、先ほど申し上げたように、南大東島のように、大きな飛行機にかわって、多くの人がそこに行き来するようになる、三倍の輸送能力を持つ、だから、むしろ安全を期してやっていかなきゃならない、こういうことで申し上げているわけです。  今、委託で問題はない、こういうふうなお話があったわけですが、委託、嘱託、今回嘱託するわけでしょう、気象協会に。この嘱託の問題についても、非常に問題提起されているわけです。  実際に、この嘱託を受ける人たちがOA機器の対応をしっかりとやれるのかどうかという問題が一つあります。そしてまた、那覇の方に主たるものを移しますから、天気図等についても現場に掲示されているかどうか。そうすると、上空との関係をどうするのかという問題が言われています。そしてまた、機器の問題、機器が古くなっていく、あるいはまた、取りかえなきゃならない、そういうメンテナンスの問題についても責任を持って本当にやれるのかどうかという問題があります。同時に、三百キロ近く離れた那覇空港で、あの太平洋のど真ん中で刻々と変わる天候をデータだけで完璧にチェックできるかどうかという問題があります。そしてまた、そういう島ですから、突然天候が変わったりすると空港閉鎖の問題や、あるいは急患の対応も今までたびたびあります。そういった問題について嘱託の方が権限を持って対応できるのかどうか。  こういうことも含めて、しかも、その南大東島は北大東島も見ていたんです。それを今度は、南大東も北大東も全部那覇でやるわけですね。そういうふうに変わっていく。こういう意味では、安全というか安心というものが確保できないということで、今南大東島の皆さん方の不安というものは募っておるわけです。  先ほどの答弁は問題ないような答弁でしたけれども、今私は五点ばかり申し上げましたが、こういった問題について、きちっとすべて不安を解消しなかったならば、むしろ飛行機は大きくなるわけですし、滑走路は大きくなるわけですから、そこの乗客は多くなるわけですから、そういう中で人員整理するというのは、私どもは納得がいかない、こういうふうに申し上げたいと思うんです。いかがですか。
  71. 平木哲

    ○平木説明員 今先生五点ほどいろいろ不安のあるというようなお考えを御指摘になりましたが、先ほど来御説明しておりますように、このような委託に際しましては、当然気象庁といたしましても、航空機の安全運航のために技術的に十分な担保をとるというような考えでやっておりまして、細かいことは申し上げませんが、そういう先ほど御指摘のことについては、すべて検討いたしまして、問題のないように進めております。  例えば測器のメンテナンスというようなことについても、当然定期的に予防補修を行いまして、問題のないように行っております。それから、OA機器のことなども指摘ありましたが、そのような点につきましては、仮に故障した場合でも、那覇航空測候所において、例えば電話連絡があれば十分に対応できるとか、そういう体制を整えてございます。それからまた、例えば天気図のことも御指摘ございましたが、天気図などにつきましては、那覇航空測候所におきまして十分な天気図あるいは観測資料がございますので、そこで一元的に説明をいたしますというような要員の強化も図っております。  そういうことからいたしまして、十分な対応をとっておる所存でございます。
  72. 白保台一

    ○白保委員 時間が参りましたので終わりますが、機器の問題等完璧に整えるとおっしゃいますけれども、刻々と変わる太平洋のど真ん中の天候の問題、これまで航空観測官がしっかりと見て判断をしてくれた。観測官を私は評価して言っているんです。だから、これから先もこの人たちがいてくれることが非常に安全につながるということで申し上げているわけで、すべて機器に頼ろうなどということになってきたら、刻々と変わる天候に対応できない、島の人たちは安心できない、そういうことで申し上げましたので、この辺のことも勘案をいただきたい、こういうことを申し上げて、終わります。
  73. 穂積良行

    穂積委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十三分開議
  74. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松崎公昭君。
  75. 松崎公昭

    ○松崎委員 新進党の松崎公昭でございます。  午前中は、随分分権それから合併が続きました。きょうは、私もそれを少し御質問させていただくつもりでおりますが、まず、宝くじの問題からお願いをしたいと思っております。  連日のように第一勧銀の銀行ぐるみの問題が大きく取り上げられ、人事も一転二転と大きく変わって、非常に社会的な批判を受けておるわけであります。これもある意味では、日本の、今までいろいろな規制に守られ、そして、いわゆる株主でありますとか大衆に、国民に向かって開かれた経済体制ではなかった、そんなこともあるのかもしれません。  そこで御質問を申し上げますが、その第一勧銀の関係いたしております宝くじの問題でございます。  これは既に一九四五年から国民の中に定着をした、夢を売る、同時に地方自治体財源にもなっているわけでありますが、今、第一勧銀が昭和四十一年から独占的な委託契約を結んでおります。これが、総会屋とのかかわりということで最近極めて御批判の多いところでございますが、これらの問題に関しまして大臣は、一部委託の見直しの問題等が出ておりますが、どんなふうに今後対応していくか、お答えをいただきたいと思います。
  76. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 宝くじの販売につきましては、当せん金付証票法、宝くじに関する法律でございますが、この法律におきまして、発売団体、都道府県、指定市でございますが、これが募集公告を行いまして、それに対して受託を希望する銀行が受託申請書を提出して受託をする仕組みになっております。今お話にございましたように、昭和四十一年度以降は第一勧業銀行以外の受託申請は行われていないという状況にございます。  今回の第一勧銀の一連の事態、私どもも大変遺憾に存じておりますが、宝くじの販売というこの実務について現実の問題として考えてみました場合に、短期間で大量の証票、あの宝くじの券でありますけれども、これを印刷、搬送した上で販売、当せん金の支払い等を行うという受託業務特有のシステムを組み立てる必要がございます。第一勧業以外のほかの銀行が今直ちにこれを受託することは現実の問題としては困難ではないかと考えられるわけでございます。  一方で、地方自治体にとって大変貴重な財源でございますので、この宝くじの発行自体が滞るということがあってはいけないというふうに考えておりまして、そういったことから、私ども、当面現行のままでいかざるを得ないのではないかというふうに考えておりますが、この当せん金付証票法に基づきます受託銀行から発売団体への報告あるいは発売団体による立入検査の徹底等によりまして、受託業務の厳正な執行を確保できるように指導してまいりたいと思っております。  さらに、今後の課題といたしましては、一行独占にならないような発売受託システムについて研究してまいりたいと考えております。
  77. 松崎公昭

    ○松崎委員 大分この問題では、リーディングカンパニーであります第一勧銀がこういう問題を起こしたということで非常に国民もがっかりしている、そういうふうに思いますが、やはりきちっとした制裁を政府の方も加えていますということをはっきり出すべきだろうと思いますので、これはなるべく早くしっかりとやっていただきたい。確かに、おっしゃるとおり第一勧銀のノウハウというのは大変なものでありますので、簡単にいかない。また、それをやめてしまっても、自治体に三千億円も入っておるわけですから、簡単にいかないと思いますが、健全な形を早急にお願いしたい。  と同時に、今、野村の場合もそうでありますけれども地方債の引き受け、こんなこともいろいろ問題になっております。この辺は、自治省としてはどんなふうに今後考えてまいりますか。
  78. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方債の引き受けでございますが、市場公募地方債あるいは縁故地方債の引受先につきましては各地方公共団体において自主的に決定されるべきことでございますが、第一勧業銀行は市場公募地方債の大半の引受シ団のメンバーになっておりますし、縁故地方債の一部の引き受けも行っているところでございます。  自治省といたしましては、第一勧業銀行がやはり引受シ団のメンバーになっております国債の取り扱い、この取り扱いを見ながら必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えておりまして、野村証券の件につきましても同様な扱いをしたところでございます。
  79. 松崎公昭

    ○松崎委員 そのパーセンテージ等はよくわかりませんけれども、大手の野村にしても第一勧銀にしても、地方での、そういういつも引き受けていたというところで、地方行政あるいは地方債を発行する側に混乱とか問題はないんでしょうか。
  80. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 このシ団で申しますと、市場公募債のシ団におきます第一勧業銀行のシェア、これは、少ないところでは一・五%程度、多いところで東京都で七%程度、そういう比率でございまして、シ団という、いろいろな金融機関が加わって行っておりますので、仮に第一勧業銀行が外れるということになりましても、実際のシ団の運営はやっていけるものというふうに考えております。
  81. 松崎公昭

    ○松崎委員 こういった問題が次々に起こらないことを願っております。  次に、五月十三日のこの委員会でも、大臣はかなり強い口調で、怒りということもないのでありますけれども、お答えになりました、SATの強化策ということでございます。  今さら申し上げるまでもないわけでありますけれども、あのようなテロがすぐに日本の国内で起こるとは限りません。すぐには予測できません。しかし、北朝鮮の問題でありますとか、あるいはオウムの問題でありますとか、いつ何ときまた同じようなことが起こるかわかりません。識者の中でも、日本の危機管理体制に対して、ああいうテロに対するきちんとした体制をつくるべきだということは、リマで橋本総理がSATの強化策を発表して以来ずっと続いているわけでありますが、どうも日本人というのは少しのど元を過ぎますと熱さを忘れてきまして、最近少しそういう議論が減ってきているのかな、そういう心配をしているわけであります。  その後、一部、梶山官房長官等も今までのような発言をされ、強化策あるいは法的な問題ということで少し触れてはいらっしゃると思いますけれども大臣は、治安の方の責任者といたしまして、その後、内閣の中でそういう話を進めたのかどうか、この辺はいかがでしょうか。
  82. 白川勝彦

    白川国務大臣 一般的には、ああいう事件がありますと、危機管理ということで大勢の人が関心を持ち、しばらくたつとこういうことが等閑視されるということでありますが、警察はそういうところではありません。まさに、危機管理に専門的に対処する役所として、当時も重大な危機意識と同時に問題意識を持っておりました。  そして、結論から申しますと、そんなに現行の体制で大きな問題はないけれども、幾つかの点でこのような改善を図りたいというようなことをいろいろ研究しておるようでございます。また、国家公安委員会にも報告がありまして、国家公安委員会としてもその旨了承し、一層の努力をお願いいたしておるところでございます。  いかなる法改正が必要なのかということにつきましても幅広く検討をいたしておりますが、法律上、こういう法律があるから例えば同種の事件に対応できないというようなことはそう大きなものはありませんけれども、ただ、その必要性等を含めて、また、そちらの法制的な分野の専門家は専門家として鋭意検討をいたし、また、関係省庁ともいろいろと連絡、協議をしている、こういうふうに承知をいたしております。
  83. 松崎公昭

    ○松崎委員 あのときの大臣は、ほかの、総理官房長官がいろいろ述べるのは自由でありますが、武門のことは武門にということでございました。  ですから、ちょっとその辺が、その後、閣内でどういう話し合いをして、警察法の六十一条ですか、こういった問題を含めて本格的な検討をされたのかな、そういう疑問がずっとあったものですから、お聞きをしたわけであります。  自民党の外交調査会でも、内閣危機管理局の新設だとか危機管理対応の官房副長官を置こうとか、いろいろな案が出ていらっしゃるようでありますが、私はやはり同じように、きちんとした体制を早くつくっていただく。そうしませんと、いつ何とき起こるかわからない。  そこへもってきて、近々行われますデンバー・サミット、ここで橋本総理大臣は、今おっしゃっているかどうかわかりませんが、つい最近までは、日本が率先して国際的なテロ対策強化を問題提起したい、そういうふうに御発言をされておりましたが、その辺は、総理大臣があちらで発言するということになりますと、それなりのテロ対策強化案を持っていらっしゃるのかなと思いますが、いかがなものでしょうか。
  84. 白川勝彦

    白川国務大臣 総理とはこの問題でまだ具体的に打ち合わせたわけではありませんし、具体的な指示があったわけではありませんが、いずれにしましても、テロ対策ということについて、国際的に全体の認識を高め、相互の連絡協力体制を強めていく、こういうことが一般論として必要であることは当然かと思います。そのためにサミットの場でまたこういうことが取り上げられることは、過去にも行われたことでありますけれども、国際的なテロ防止という面で極めて意味のあることと考えております。  と同時に、具体的に、よくほかの面でも問題になるわけでございますが、日本というのがサミット参加国の中の一つにあるときに、やはりアジア全体ということを代表する立場にあるんだということをいつも日本も強調し、また、諸外国からもその役割を期待されているわけでございます。そういう面におきまして、アジア・太平洋地域とした、特にテロ問題に対する国際協力の推進、こんなような問題が特に日本が提起する場合としては新しい視点かな、こういうことを含めて、また、総理の指示をいただきながら鋭意検討してまいりたいと思っております。
  85. 松崎公昭

    ○松崎委員 ぜひ、世界に恥ずかしくない形で、今おっしゃったように、アジアを代表しながら、きちんとしたテロ対策の考え方をお持ちになって、そしてサミットでしっかりと発言し、リーダー役をとっていただきたい。つい最近リマでやったばかりでありますので、特に注目をされていると思います。  もう一つ、企業の問題でありますが、在外邦人を当然守らなければならないわけでありますけれども、今までの常識論でいきますと、日本は甘い国だということで、非常にいいターゲットになっていた。今回それが証明されてしまったわけでありますが、それに対する、いわゆる邦人を守るために各企業はそれぞれやっていると思いますが、国の警察として、外国へ出ていく邦人のための各企業への国内での指導、危険に対する指導、そういった方策は万全でありましょうか。お答えを願います。
  86. 伊達興治

    ○伊達政府委員 在ペルー日本大使公邸内人質・立てこもり事件、これもつい先般のことでありますし、また昨年夏には、メキシコにおきまして家電メーカーの社長が誘拐されるというような事案も起きておりますし、近年、海外におきまして邦人を対象としたテロ、凶悪事件等が発生している、こういう状況にあります。警察としましては、海外進出企業の社員、家族、さらには一般旅行者も含めてかもしれませんが、安全確保に資する情報を提供する必要があると痛切に感じているところでございます。  警察としましては、海外進出企業参加の会議、セミナーとかシンポジウムとかが国内でたびたび開催されておりますし、また、国外でもこうした会議が開催されておりますが、そうしたところへ担当職員を講師として派遣してきております。また、企業等の海外安全対策に関する各種資料が作成されるということに当たりましては、当方からいろいろ助言を行うなど努めておるところでありまして、努めて、こうしたところの相談をまじめに受けていこう、こういう姿勢を保つようにしております。  こうした意味で、関係官庁あるいは関係団体とも連携しつつ、在外邦人の安全確保のための活動を行っているのでありますけれども、今後とも、このような活動の充実に努めてまいりたいと考えております。
  87. 松崎公昭

    ○松崎委員 しっかりやっていただいて、企業の方々はかなり緊張感を持っていらっしゃいますから、いわゆる一般国民がすぐ忘れるからといって、そういうあれはないと思いますけれども、ひとつその辺の指導もしっかりとお願いをしたいと思います。日本には破防法等があるわけでありますけれども、これらは伝家の宝刀として一度も抜かれたことはないわけであります。これからはテロ専門のそういう方法、テロ新法といいましょうか、そういったものもやはり視野に入れて今後検討していただきたい、そんなふうに思います。  次に、きょうは随分分権関係が出ました。私も実はいろいろ調べてきたりしたものですから、少し分権関係の御質問をさせていただきたい、そんなふうに思っております。  先ほど大臣お話しになりました、国会主導でこの分権が進んできた。これが確かにある意味では責任でありますと同時に、ある意味では地方に対するインパクトが少なくなっている、こんなこともあるわけでありますが、分権推進法のもとに推進委員会がしっかりと頑張っていらっしゃるわけであります。この分権推進委員会に絡めまして、二、三御質問をしたいと思います。  もう既に午前中に幾つか出たと思いますが、この中で特に必置規制というのが、機関委任事務と補助金と並んで、ある意味では地方分権の障害になっているというふうに最近見られておりますが、その必置規制を今後どんなふうに検討していくのか、ぜひひとつお答えをいただきたいと思います。
  88. 東田親司

    ○東田政府委員 本年一月以降、私ども委員会の中に、地方行政体制等検討グループというのを発足させまして、地方行政の体制の整備確立を図る上で問題となる必置規制の問題につきまして、重要な検討課題の一つとして審議を進めております。  審議の際の考え方でございますけれども、基本的な考え方といたしまして、必置規制というのは地方公共団体固有の機能である自主組織権とか人事管理権に対する重大な制約であるので、それによらなければほかに方法がない場合などに限定するという観点から抜本的に見直すべきではないかという考え方をまず共通して持っております。具体的には、職員の配置基準、それから専任規定、それから資格要件、職名等の義務づけの問題、それから組織関係では行政機関の組織それから施設の設置義務づけ等の問題、それから各種審議会等附属機関の設置義務づけの問題、これらにつきまして具体的な見直しの考え方を整理しております。  そして、この具体的な見直しの考え方に沿いまして、個々の各省庁が所管しております職、行政機関、附属機関の必置規制につきまして現在関係省庁から個別のヒアリングを進めているところでございまして、第二次勧告が七月上旬を目途ということで今作業を進めておりますけれども、精力的に成果を得たいと思っておるところでございます。
  89. 松崎公昭

    ○松崎委員 この必置規制というのはなかなかなじみづらくて、私も二十年も地方議会でやっておりまして、確かにこういう形があったことは知っておりましたけれども、意外どこれが首長の人事権を制約したり、自治体の組織権を制約したり、それから人的に資源をうまく効率的に動かせない、そういうことでこれは問題だったということが、私も大変勉強不足で、最近わかったのであります。今お話しになったように、これは多分、各省また抵抗があるのかなと思いますけれども、しっかりと頑張っていただきたいと思っております。仰せ、任意を含めますと七百ぐらいあるというふうに聞いておりますので、ぜひひとつ、これは本当の意味の分権に至る一つの方法論でありますので、頑張っていただきたいと思います。  先ほどもいろいろありましたが、分権推進委員会さんが頑張っておるわけでありますけれども大臣も往生際が悪いというような発言をされているくらい、大変御苦労されている。しかも、どうも自治省の職員が余り自分のところをやらなかったものですから、前面に出られないということで、各学者の先生方が非常に前面に出て各省庁とちょうちょうはっしやっている。大変御苦労だと思います。  その中で、機関委任事務はどうも自治と法定の半々になりそうだ、そんなふうにも聞いております。これも非常に抵抗が強い。これはある意味では当然かもしれません。と同時に、この第二次勧告の柱にしようとしておりました、いわゆる行政紛争処理委員会、第三者機関ですね。これは相当各省庁から袋たたきに遭っている、そんなふうに聞こえております。それから、国と自治体との関与の手続の問題は、公正それから透明にしようということで、行政手続法に当たる一般ルール法を導入しよう、これも大変に袋たたきに遭っているというふうに聞いています。この三点、機関委任事務の半々になってしまいそうだということ、それから第三者機関、それから一般ルール法、すべて非常な抵抗のさなかにあるということでありますが、それらの見通しはいかがでしょうか。
  90. 東田親司

    ○東田政府委員 ただいま三点お尋ねになりましたので、順次お答えいたしたいと思います。  一点目の機関委任事務制度廃止後の新しい事務の区分の問題でございますが、ただいま御指摘のとおり、私ども委員、専門委員の学者先生が中心となって個別のヒアリング等を行っているという状況でございます。この件に関しましては、昨年末の第一次勧告で、地方自治法の別表ベースでいいますと五百六十一項目あると言われておりますが、これのうちの主要な百六十五項目につきまして、一定の見解を示しております。現在、残った事務につきまして振り分け作業をやっているわけでございます。  各省庁の抵抗という御指摘でございますけれども、どういう主張があるのかということをちょっと御披露させていただきますと、主として、所管する施策の全国的な統一性を要するのだという問題、あるいは全国レベルでの行政水準の維持を必要とするのだ、あるいは国の政策を推進する上で国が一定の責務を有するのだというような理由で、法定受託事務にすべきだという主張がなされております。こういう主張があったものにつきまして、私どもの方が一件一件そういう理由が本当に当てはまるのかどうかということを吟味しているわけでございます。  その場合に、私どもといたしましては、一次勧告で考え方を示してありますように、原則自治事務、例外的に法定受託事務とする、こういう考え方で懸命の努力をしているところでございます。その結果として数量的にどのくらいになるかという点につきましては、現在申し上げられる状況にはございませんけれども、先ほどの原則自治事務、例外法定受託事務という考え方をできるだけ貫くように努力いたしたいと思っております。  それから、二点目のお尋ねでございますが、第三者機関の問題でございます。  これにつきましても、私どもの方から試案を示しまして、関係省庁等の意見を聴取しているところでございます。これにつきましては、どのような意見があるかということで若干御披露いたしますと、理論面と実際面の懸念が示されております。  理論面でいいますと、この第三者機関は法的拘束力を有する裁定を行うということになっているわけでございますが、そうすると行政事務を主任の大臣が分担管理するという我が国の内閣制度の原則から見て問題があるのではないかというような見解。それから、実際的側面からの懸念といたしましては、国と地方の間に仮に紛争が生じた場合には、両当事者が真摯な協議により解決するのが最も適当ではないか。それから、裁定が出ても、結局裁判に持ち込まれることになって、紛争が長期化、複雑化することになるのではないかといったような指摘がなされております。これに対しまして、私どもの方からも反論をしているわけでございますけれども、こういう各省庁の懸念等の指摘も踏まえまして、今後さらに検討を進めてまいりたいと思っております。  それから、三点目の国の関与の手続に関する一般ルール法についてでございますけれども、これにつきまして、一次勧告でも考え方の概略を示しておりますけれども、その後、関係者のヒアリングを続けております。各省から寄せられた意見を踏まえまして試案を作成して、今再度ヒアリングをしているという段階でございます。  その際の論点でございますけれども、各省庁から見ますと、所管する行政の円滑、迅速な実施を確保したいという観点から、国と地方団体という公的な行政主体間で、国と私人間に適用される公正と透明性確保のための書面主義とか標準処理期間の設定といった、こういう手続行政の効率性の観点からどの程度当てはめるべきか。ちょっとわかりづらかったかもしれませんが、行政と民間との間には行政手続法があるわけでございます。その手続法では書面主義とか標準処理期間といった手続規定されているわけですが、これと同じようなことを国と地方団体の間でどの程度適用すべきなのかという論点。  それから、今書面主義と申し上げましたけれども、果たして本当に全部書面主義でいいのかどうか。緊急時等の書面主義の例外というのを一体どこまで認めるべきかというようなことで意見が提出されているところでございまして、私ども委員会といたしましては、こういった意見を踏まえてさらに検討を続けて成案を得たいと考えておるところでございます。
  91. 松崎公昭

    ○松崎委員 時間がなくなってしまいました。  ただ、私は感想として、やはりこれは本来、どなたか先ほどお話ありましたけれども、今井先生ですか、今の省庁の体制を維持するという前提でいくとそういう省庁間のいろいろな話が出てくるわけですから、新しい日本の体制なのだ、省庁も含めてもっとスリム化するのだ、そうなったときに地方分権が大変な力を持たざるを得ないのだ、そういう前提でこういう今言ったような新しい紛争処理委員会、第三者機関。それは今の法体系でいったらいろいろ問題があると思いますよ。しかし、新しい地平でやるのだということを、この一般ルール法にしてもきちんと説得して、これは先生方やっていると思いますけれども、これは内閣の方もそういうことで、先ほど自治大臣総理大臣に対してもしかるべきときにしっかり言うのだということを言っておりましたけれども、先ほどの怒りと同時に、総理大臣のリーダーシップがここでも大変重要でありますので、ぜひそれは、白川大臣の肩にかかっているということであります。  あさってまた、委員長もお見えでありますので、そこでしっかり推進委員会の方はお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  92. 穂積良行

    穂積委員長 富田茂之君。
  93. 富田茂之

    ○富田委員 私の方から、まず住民基本台帳ネットワークシステムについてお伺いいたします。  白川自治大臣は、昨年十二月五日の当委員会における審議の中で、住民基本台帳ネットワークシステムについて、次期通常国会の提出も念頭に置きつつ努力をしていると御答弁されております。今国会でこのシステムに関する法案は提出されなかったわけですが、現在このネットワークシステムについてどのような検討状況にあるのか、差し支えない範囲で教えていただきたいと思います。
  94. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  住民基本台帳ネットワークシステムにつきましては、昨年の研究会報告そしてまた懇談会の意見、それから国会での御論議を踏まえまして制度化に向けました検討を鋭意行っているところでございます。  具体的には、このシステムの構築・運営主体となる地方公共団体との意見調整やシステムの利用に関します関係省庁との意見交換を行いながら、法制的、技術的検討を進めているところでございまして、引き続き十分な国民理解を賜るよう留意しつつ、なお一層の検討を重ねてまいりたいと思っているところでございます。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
  95. 富田茂之

    ○富田委員 どうも、検討していただくのはいいのですけれども、倉田前自治大臣が経団連会長らと懇談して、同システムの導入の必要性を強調した上で、政府提案が行われない場合には議員立法での導入を目指すというふうに言われたような報道が最近なされております。自治省はこのような動きを承知しているのでしょうか。また、閣法で出ないという場合には議員立法ということで、政府提案はもう断念したのかと思われるような報道だったのですが、その点はどうなのでしょう。
  96. 松本英昭

    松本政府委員 お尋ねの倉田前大臣の懇談をされました際のお話につきましては、報道によりまして私ども承知しているだけでございますけれども、そういう報道があったことは事実かと思います。  この住民基本台帳ネットワークシステムの問題は、国民の幅広い御理解というものも必要でございますし、それから何よりもこれを構築いたします地方公共団体みずからの意思というものを固めていかなければならないわけでございます。それからまた、これを活用いたしますのは地方公共団体だけではなくて、政府の各行政機関も、これが一つのベースといいますか、一種のインデックスといいますか、そういうような役割を果たして、国、地方を通ずる行政全体の情報化に資するようにしてまいらなければならないわけでございます。そういうこともございますので、私ども、なおこの制度化に向けての検討を進めているわけでございまして、準備が整いますれば法律案として国会にお諮りいたすつもりは変わっておりません。
  97. 富田茂之

    ○富田委員 今の局長が言われたとおりだと思うのですけれども、本来はことしの、この国会に出てきそうな動きだったはずなのですよ。なぜそれができなかったのかというのは、ちょっと疑問だと思うのです。  情報公開法のように、この住民基本台帳ネットワークシステムに関する要綱案なりなんなりを自治省の方でつくられて、こういうふうに考えているけれどもどうですかというふうにこの国会の場で提示するなり国民に知らしめて、その上で議論を巻き起こして、その中で国民理解を得ていくというのが私は道筋じゃないかと思うのですけれども、またいつか突然法案ができて、ぽんと出してきて、委員会の中で審議して、はい終わりという問題ではこれはちょっとないと思うのですね、プライバシーの問題もかなり重要になってくると思いますので。できれば自治省の方ではぜひそういう段階を踏んでいただきたいなという点を要望しておきます。  先ほどの報道ではこんなことを書いてあるのですね。   このネットワークシステムは、住民基本台帳に関する情報のほか、銀行預金番号や年金番号、健康保険番号などを入力したICカードを住民一人一人に持たせることで行政効率化。公務員約三万人の削減が可能で、年約二百億円の節約効果があるという。またカード導入で選挙投票を住居地域外から行えるようにする。 これは報道だというふうに言われるかもしれぬけれども、あちらに振興課長いらっしゃっているけれども、今まで我々が説明を聞いた範囲をかなり逸脱している。こんなふうにもしこの制度を最初から使うのだということであれば、これはにわかに賛成しがたいなと思うのですが、この点は局長、どういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  98. 松本英昭

    松本政府委員 この報道自体には、私、つまびらかにその内容を承知しているわけではございませんけれども、この報道の中の内容につきまして、私どもが考えていることとは必ずしも同じでない部分もあります。ただ、この住民基本台帳ネットワークシステムというものができるだけ幅広い行政の情報化に資するように持っていきたいというお気持ちは痛いほどよくわかるわけでございます。  いずれにいたしましても、自治省といたしましては、研究会の報告書等を踏まえまして、これまでも国会にもお答え申し上げましたし、また個別にもお話をさせていただいておりますような方向制度化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  99. 富田茂之

    ○富田委員 よろしくお願いします。  時間がありませんので、もう一点。  警視庁城東署の元巡査長らによる覚せい剤事件でっち上げの点について、警察庁の方にお伺いしたいと思います。  この委員会の四月二十二日の審議のときでしたか、関口長官にも来ていただきまして、私はそのとき、白紙調書、調書のでっち上げというような点が何件か報道されているけれども、この点についてどう考えられるのだという御質問をさせていただきました。そのとき長官は、「警察庁といたしましても、今後このような事案の再発の絶無を期するよう都道府県警察の指導を徹底してまいる、かように考えている」というふうに御答弁されております。  ところが、ちょうど、四月の二十二日に答弁されていたのですけれども、四月の十四日とか十八日に、派出所の警察官がみずから覚せい剤を手に入れて、全く無関係国民二人を被疑者にするような形で事件のでっち上げが行われた。たまたま二人ともその覚せい剤とは関係ないという形で放免になったみたいですけれども、この事件は、これまで警察官の不祥事とかいろいろありましたけれども、ちょっと質が違うのではないかなと。全く無実の人を被疑者にでっち上げたわけですから、その点でかなり構造的な問題があるのではないかなというふうに報道を見たときに感じました。  各マスコミの方でも、この事件について、例えばあしき点数主義が問題だとか、また深刻な組織的な問題ととらえるべきだ、事件の背景を厳しく見直して結果を公表すべきだ、点数主義にかえて組織を活性化する工夫が迫られているのではないかというような指摘がされていました。  こういういろいろな意見が出ているのですけれども、長官の方は、この意見をどう受けとめて、これから国民警察に対する信頼回復にどうやって取り組んでいく御決意なのか、その点お聞かせ願えればと思います。
  100. 関口祐弘

    ○関口政府委員 お尋ねの事案でございますけれども、法を執行すべき者がこのような事件を起こしたということ、まことに言語道断であろうというふうに思います。  私は長官就任に当たりまして、全国の警察職員に向けまして、国民のための警察という原点に思いをはせて地道な努力をしていこうと申したところでありますけれども、今回の警察官の行動というのはこの点を全く忘れたということに尽きるのではなかろうかというふうにも思っているところでございます。  現在、警視庁におきまして、本件事案の徹底捜査を推進いたしますとともに、副総監を中心といたしました検討グループを組織いたしまして、本件事案を惹起しました原因を徹底的に究明し、再発防止を図ることとしております。  警察庁としても、既に、職責の自覚と厳正な規律の保持、教養の徹底、さらに、適正な職務執行の確保と中間幹部の業務管理の徹底を内容とする緊急通達を全国警察に発出をいたしまして指導しているところでございます。  今後とも、ただいま委員の御指摘がありました点を含めまして問題点の掘り下げを行いまして、再発防止を図ってまいる所存でございます。     〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 富田茂之

    ○富田委員 ぜひ厳正に調査して、結果を国民に公表していただきたいと思うのですね、マスコミの方も言っておりましたけれども。そうしないと、警察に対する信頼というのは本当の意味で回復してこないのではないかなというふうに思います。  これは本当にごく一部の警察官ですよね。全体の本当にまじめに現場で取り組まれている警察官にしてみれば、何であんなやつらのせいで自分たちまで言われなきゃならないんだと思うのですよ。実際に、本当に現場最前線、交番、派出所というところにいる警察官がこんな事件を起こしたということで、これは地域に一番密着しているわけですから、そこの部分をよく考えないと、本当に地域の人たちの信頼というのはなかなか回復できないのではないかなと思うのですね。  私の地域にも交番があって、子供は小学校三年か四年になると、今は生活科というのですが、社会の勉強で交番に行くわけですね。それで、お巡りさんにいろいろなことを聞いて教わって、その中で警察官に対する信頼というのも、お巡りさんがいるから大丈夫なんだというふうに子供たちは思っていくわけで、そういう人がこういう事件を起こすということになると本当に問題だと思いますので、厳しく調査されて、ぜひ結果を公表していただきたいと思います。  時間が来ましたので終わりますが、穀田委員の方からまたこの点に関して詳しい質問があるそうですので、そこでまた御答弁いただければと思います。どうもありがとうございました。
  102. 穂積良行

    穂積委員長 桑原豊君。
  103. 桑原豊

    桑原委員 まず最初に、交通事故についてお尋ねをしたいと思います。  交通事故の死亡者数が五年連続減少いたしまして、昨年は念願の一万人を切ったということが報告をされております。しかし、一方では事故件数がふえ続けておりまして、負傷者数も二年続けて九十万人台だということで、もうすぐ百万人というような、そんな状態でございます。今年に入りましても、昨年より死者数のペース、発生件数、負傷者数いずれも増加の傾向にある、こういうふうに聞いております。  やはりそういった死亡者数の減というものを、もちろんそのための努力は多としなければなりませんけれども、根本的にはやはり非常に厳しい状態にあるということを踏まえて抜本的な対策が必要と考えるわけですけれども、まず大臣の決意のほどと、それから、具体的にどういう抜本策を考えておられるのかということをお聞き申し上げたい、このように思います。
  104. 白川勝彦

    白川国務大臣 交通事故、これは、道路の延長数も伸びますし、車の台数も伸びますし、それから道路改良も進みますので、そういう面でいいますと、まず構造的に増加する傾向があるわけでございます。言うならば自然増というのは避けて通れない。しかし、それに対して新たなるいろいろな意味での交通事故防止策を打つことによって、そして事故を減らしていくということによって、トータルとしていろいろなものが減ってくるわけでございます。  ですから、いろいろなことに取り組まなければならない、また現に取り組んでおりますけれども、いろいろ対策をしなければならない中で、やはり交通事故死亡者数が、かつては一万六千人ぐらいいたわけでありますが、その後努力で一万人を割った、しかしまたそれが一万人をずっと超えているという中で、いろいろあるけれども、やはり最も悲惨な事故である交通事故死亡者数を一万人以下に抑えるということに全力を傾注しようではないか。また、政府の交通安全対策会議目標としても、平成九年度までに一万人を割る、そして平成十二年度までには九千人以下に抑えたい、この目標を立てているわけでございますので、いろいろありますけれども、最も中心的な課題としてここに取り組んでいるわけでございます。  そういう中で、各種の施策に取り組んでおりますけれども、抜本的な、これをやればばっと減るというのがあれば、お教えをいただければそのとおりやりますが、いろいろな施策を総合的にやる中で事故全体を抑圧していかなければならぬということでございます。
  105. 桑原豊

    桑原委員 なかなか、そういうこれぞという抜本策は、確かに大変難しい課題だと思います。  財団法人の交通事故総合分析センターというところが発行いたしております「イタルダ・インフォメーション」のナンバー十一によりますと、人身事故において過失割合の大きい者、いわゆるこれを第一当事者と言われるそうですけれども、この第一当事者のうち五六・六%が過去三年間に何らかの違反をした人である、こういう統計が出ておりますし、死亡事故ではさらにその比率が高くて六一・八%である、こういうふうに報告されております。また、違反前歴の回数が多くなるほど死亡事故率も高くなっておりますし、違反を繰り返す人ほど死亡事故を起こす危険性が高くなっているというふうに分析をいたしております。これはやはり、軽い事故や軽微な違反だからといって、それを無視してはいけないということを示しておりますし、一件一件の違反や事故をおろそかにできないのだということをあらわしているのではないかというふうに私は思います。  こういったことをなくしていこうということで、さまざまな試みをされておられるわけですけれども、例えば、講習というものをやっているのもその一つだと思います。この講習も当然効果があると思いますけれども、これらについてもさらに改善をしていく余地があるのかどうか、そういったことも含めてどのようなことを考えておられるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  106. 山本博一

    山本(博)政府委員 委員指摘のとおり、違反を繰り返す者がより多く事故を起こし、より多く事故を起こす者が結果として死亡事故を起こしておるという統計数字があることは間違いないところでございまして、私ども、いかに軽微なものとは申しましても、決してそれを軽視してはならないと思って、いろいろ対応しておるところでございます。  こういう観点から、違反を積み重ねる者につきましては、ある一定の点数に達すればそれなりに行政処分を加え、交通の場から排除する、その中で反省をしてもらう。また、人によりましては、しかるべく講習を受けていただきまして、その中で運転者としての資質を改良していただくということをいろいろやっておるわけでございますけれども、一定の点数に達しない者につきましても、やはりそれなりの対応をしていくことは必要であろうか、こういうふうに思っておるところでございます。  例えば、幾つか例を挙げさせていただきますと、今、通常、六点という点数になりますと三十日の行政処分が課されます。これに達しない人は、そこになるまでは何らの処分も講習もないわけでございますが、現在、違反を重ねてまいりまして、あと一回違反をしますと行政処分になりますよという状況にある人に対しましては、自動車安全運転センターでありますが、こちらの方から警告の通知を発するということをやっております。これによりまして、その後違反をしないよう自重してもらうという呼びかけをいたしております。  また、違反行為をした者でありましても、その行為の後一年間無事故、無違反で過ごすならば、それ以前の違反行為につきましては累積点数に加算しないということで、その後の違反行為をしないように誘導するという施策をとっておるところでございまして、できるだけ違反をしないように、いろいろな施策を講じておるところでございます。  また、全く違反をしないことが一番望ましいわけでございまして、こういうことのためには、現在、平成六年五月からでありますけれども、優良運転者制度というのを導入いたしておりまして、過去五年間無事故、無違反であった者につきましては、免許証の更新の際には有効期間を三年から五年間に延長するという、いわゆるメリットシステムを導入しておるところでございまして、これによりまして、運転者が違反を行わないという意識づけを持つことができるように、いろいろ工夫をいたしておるところでございます。  今後とも、先生おっしゃいましたように、軽微な違反といえども決して見逃すことがないよう、また軽視することがないよう、種々工夫をしながら方策を講じてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。  以上でございます。
  107. 桑原豊

    桑原委員 相当いろいろな工夫をされて、また、従来の講習などにも改善を加えて努力をされていることは多といたします。ぜひそういった方向で、さらに改善すべきもの、そして、一つ一つの事故というものあるいは違反というものを教訓化するような努力というのをぜひ講習の中で生かしていただきたいな、そういうふうに思っております。  私は、こういう講習をしっかりやっていくということと同時に、やはりある意味では、事故を起こした人、違反をした人に現場での厳しい警告といいますか、こういうことも、再びこんなことはしちゃいかぬなということを本当に身をもってそのとき感ずるというのが大変大事なことではないかというふうに思います。そういう意味で、現場での対応ということが極めて大きな意味を持つというふうに思うのです。しかし、現実には、交通警察の人手不足というのでしょうか、ふえていく事故、そういうものに対応して、それに対する人的な体制がなかなかとれていないということも背景としてはあるのではないかと思うのです。  例えば、幸いにして、事故が起きたけれども物損だけで人身には至らなかった、そういったケースもたくさんあるわけですけれども、そういう場合には当事者の事故届だけで処理をされているというケースも少なくないように聞いております。やはり、たまたま人身にならなかったけれども、ちょっと間違ったら大変な事故になるというような、そういう物損の事故なんというのはたくさんあるわけでして、そういったときに、やはり現場へ警察官が駆けつけて、それを確認して、必要な指示をし、警告を発するということは、私は、現場での教育といいますか、そういう意味で大変大事なことなのではないかな、こういうふうに思います。そういう意味で、現場対応を充実するための方策というものをどのように考えておられるのか。  今、行革ということでございますから、いろいろな意味で、人をふやしていくのは大変難しい時代です。しかし、国民の安全、生命、そういうものをおろそかにしてもいいということではございませんで、その点では、やはり強化すべきものは強化すべきなんだという、きちっとした対応をとるべきだというふうに思うのですけれども、そういうことも含めて、現場での対応というものについてどういうふうに考えておられるのか、あるいは、改善すべきはどの点にあるのかということなどについて、少しお聞きしたいと思います。
  108. 山本博一

    山本(博)政府委員 先生御指摘のように、現在、交通事故の処理といたしまして、軽微な物損事故の一部のものにつきましては、警察官が現場で行う見分を省略しておるものがございます。これは、軽微な物損事故のうち、警察官による交通流の回復等、緊急の措置を講ずる必要がない場合でありまして、なおかつ、当事者間で争いがなく、現場見分を希望しない、車両とともに来署することが可能な場合、こういう場合には、当事者が長時間現場で待たされるといった負担の軽減を図り、かつ、交通流の回復を早期に図るということの目的でやっておるものでございます。  したがいまして、こういう場合でありましても、警察官による事情聴取の結果、運転者の交通違反が明白であるときなど、現場見分を実施する必要があると認められたときには、速やかに実況見分等の所要の捜査を行っておるところでございまして、この結果、平成八年中の物損事故として届け出がありました事故のうち約四万件につきましては、その後、道路交通法違反として検挙をし、それなりの対応をとっておるところでございます。  また、現場見分が行われないものも残るわけでございますが、こういうものにつきましても、両当事者から事故発生の状況を聴取いたしまして、報告書作成する際に、交通事故の当事者に対し、事故の具体的な状況をもとに事故防止についての指導を行っておるところでございまして、このような方策によりまして、今後とも事故抑止には努めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。  現場に出向く必要があるものにつきましては現場に出向き、また、事後そのような措置が必要なものにつきましては、しかるべく措置をとっておるというのが現状ではないかと思っておるところでございます。
  109. 桑原豊

    桑原委員 春、夏に交通安全月間などがございまして、そういう際には、各交差点あたりに交通警察の方が配置をされて、道行く車を監視をするというか、そういった目を光らせておりますと、おのずから、運転をする我々もかなり緊張して、これはというふうな気構えができるわけです。私は、常時そんな体制でおれというようなことを言っておるわけではございませんけれども、やはり、事があれば、現場に警察官が駆けつけて対応できるような最低限の体制だけは、いかに行革のときといえどもできるだけ充実を図るべきである、こういうふうに私は思っております。これは恐らくなかなか困難な課題の一つだろうと思いますけれども、ぜひ今後とも、皆さんの努力は多としつつも、国民の生命ということを第一に考えて、そういった体制の充実に努められますように、これは私どもとしても精いっぱいの努力をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  さて、もう一点だけ。私は、高齢者の交通事故がふえてきた、あるいは子供さんの事故も多い。これからますます高齢者の皆さんが、行動範囲も広くなるわけですから、車を使うというケースがふえていくと思いますけれども、何よりも大事なことは、やはり子供のときにしっかりした安全教育、あるいはそういったものに対する反応といいますか、そういうものを身につけているということが非常に大事だというふうに思うのです。  私自身も、かつて県におったころに、交通安全対策課という職場で一時働いたこともございます。そのときは、交通安全体操というのがございまして、何か柳家金語楼さんが作曲をして、水前寺清子さんが歌を歌っておりましたけれども、安全体操をして、体で交通安全を覚えるといいますか、身につけるというか、そういう非常におもしろい試みであったかなと思いますけれども、やはり小さいころからそういった安全教育というのが非常に大事だというふうに思います。  ある程度年配になってしまいますと、なかなか教育をしても、物も忘れやすくなりますし、体験そのものが忘れ去られてしまうということにもなりがちですので、私は、小さいころの教育は大変大事だというふうに思うのです。現在、そういった地域社会における、幼稚園や学校での、あるいは家庭におけるそういう学習、そういうことが必要だと思いますけれども、そういう状況がどのようになっているのか。  それから、これから少子・高齢化社会に向かって、特に子供さんの安全というのは大事になるわけですけれども、交通事故防止対策、どういうふうな対策をその時点で考えておられるのか。その点について、少しお聞きしたいと思います。
  110. 山本博一

    山本(博)政府委員 まず、幼児、小学生の交通事故の実態からお話しさせていただきたいと思いますが、平成八年中に幼児、小学生という状態で交通事故で亡くなった人は二百四十三人でありまして、内訳は、歩行中が百二十八人、自転車乗車中が四十七人、自動車等に同乗中六十六人ということになっております。これを過去五年間の年次推移で見てみますと、平成四年は三百七十二人でありましたが、平成五年には三百二十一人、平成六年には三百五人、平成七年には二百九十七人、平成八年には二百四十三人ということで、逐年減少を示しておるところでございます。  また、現在、この年齢層は非常に人口が年々減ってきておるわけでございまして、人口が減れば絶対数も減るのではないかという御意見もあるわけでございますが、人口十万人当たりのいわゆる指数ということを見てみましても年々減少しておるところでございまして、この年齢層の交通事故死者は確実に減少してきておるのではないかというぐあいに認識しておるところでございます。  この背景でございますが、これにつきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、長い年月をかけまして、いろいろ関係者が努力されてきた経緯があるわけでございまして、子供を健全な交通社会人として育成しようということで、いろいろな施策が講じられてまいりました。  一つには、例えば幼児に対しましては、交通安全に必要な基礎的な習慣や行動を身につけさせるための、道路横断や歩行指導等を母親ぐるみでやるということ。また、小学生に対しましては、自転車教室や、道路に飛び出すときの交通事故を疑似体験させるなどの内容を盛り込んだ交通教室を開催するということなどの、保育園、幼稚園、小学校等、心身の発達段階に応じた体系的な交通安全教育推進されてまいりました。また、PTA等の関係者の協力を得まして、通園通学時の街頭指導が積極的に行われてまいりましたし、さらには、幼児、小学生が主として行動しております学校の周辺にスクールゾーン等の交通規制を積極的にかけまして、諸対策を推進してきたところでございます。この結果として、このような非常に好ましい傾向が出てきておるのではないかというぐあいに見ておるところでございます。  今後とも、決して気を緩めることのないように、こうした施策を充実して推進してまいりたいと思うわけでございますが、今後は、さらに自動車同乗中の子供の交通事故の被害の軽減を図ろうという観点から、チャイルドシートの利用の促進ということにつきましても私どもさらなる努力をいたしまして、これら年齢層の者の交通事故の減少ということに努力をしてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  111. 桑原豊

    桑原委員 ぜひそういった、子供たちの交通事故の問題はもちろんですし、将来の大人になるわけですから、そういう幼児期におけるあるいは子供のころにおける安全教育のさらなる徹底をお図りをいただきたいと思います。  それでは次に、市町村合併の問題について一点お聞きいたします。  きょうの委員会議論の中では相当この問題も議論されたかと思います。地方分権の受け皿として自治体の能力をアップさせるには、市町村合併を推進すべきだという論議が非常に行われております。自治省のこのことについての基本認識はどうなのかということをまずお聞きしたいと思います。
  112. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  今、委員指摘のように、これからの地方公共団体、なかんずく基礎的な地方公共団体に期待されます任務を考えてみますと、やはり行政の質の面においても、量の面においても、現在の市町村の規模能力で果たしていいのかどうか。それが住民の期待が高まれば高まるほど、また、地方分権ということでそれぞれの地域に自己決定と自己責任の原則というものが確立すればするほど、やはり今のままの市町村の規模能力では不十分なのではないだろうか。そういう意味から、市町村の体質を強化して、そして期待される役割を果たすようにするためには、やはり市町村合併というものが必要であろうという考え方でございます。
  113. 桑原豊

    桑原委員 そういう観点から、市町村の合併について、財政構造改革、今回閣議決定されたその中でも、「集中改革期間中に実効ある方策を講じ、積極的に支援していく必要がある。」期間を定めてかなり踏み込んだそういう決定がなされておるわけですけれども、この具体的な中身についてどのようなことを考えておられるのかお聞きしたいと思います。
  114. 松本英昭

    松本政府委員 ただいま市町村の合併に対しまして、どうして近年、昭和の大合併というものが行われました後に余り進まなかったのかということを、いろいろと原因、それからそういうことの要因、そういうものについて分析、調査をいたしているわけでございます。そういう中から、それを除去するためにどのような特例的な対応が必要であろうか。  その中の一つ、本当にこれは私の今の感じで申し上げるだけでございますので、十分な審議をして正確には申し上げなければならないのでございますが、例えば多くの意見の中で、合併をすると、旧市町村の単位で考えますと、かなり活力が失われるようなことが起こっているではないか、そういうような御指摘があります。それに対して、それではどういう対策が講じられる必要があろうかというようなことも一つの例でございます。  そのほかにも、合併に伴いまして、例えば住民の声が遠くなるではないか、あるいは住民の身近な行政が処理できなくなるのではないか、行政がより身近で処理できなくなるのではないかというような御疑問もあるわけでございます。そういう点については、我々は、例えば現在非常に発達しております情報化、この成果をやはり取り入れないことはないわけでございまして、そういう点でどの程度までカバーしていけるかというようなことも検討していかなければならない、そういうことが一つでございます。  いま一つは、前向きにさらにインセンティブを与えるためにはどういう方策があるだろうか。それは財政支援もその一つでありましょうし、権限というものを中心に考えていく、先ほども指摘がございましたが、権限というものを付与することによってそれを促進していく、そういう考え方もあろうかと思います。そういうようなことが具体的な実効性ある対策、方策というように受け取っていただいていいのではないかと思っております。
  115. 桑原豊

    桑原委員 合併を推進していくということで分権の受け皿をつくっていくということは一方でうなずけるのですけれども、合併を進めることによって、今局長自身も少し気がかりな点の一つとしてお話しになられたと思いますが、例えば自治意識、そういったものをどうさらに高めていくのかとか、あるいは住民の行政への参加というものをどう図っていくのか、あるいは情報の公開、そういったものをどう図っていくのか、それらが相まってこそ分権をある意味では裏づけていく力になるのではないか。しかし、合併というものとそれらとが必ずしもうまくリンクして並行して発展をしていくというような、そんなことにはなかなかならない面もあるのではないかという危惧を私は少し持っているわけです。  また、あわせて、今お話しになりましたような自主財源をどう確保していくのか、あるいは人材をどうつくっていくのか、そういったことなども同時並行的に追求されなければならない非常に大事な課題だなと思うわけです。  従来、自治省自身はそういったことを非常に考慮に入れられて、合併に当たっては自治体の自主性の尊重というようなものをかなり重視をしてこられたのではないかと思うのです。しかし、地方分権推進委員会の第一次勧告の中では、一応、自主的合併を一層強力に推進しよう、そういう自主的合併というようなことがうたわれておりますけれども、今回のこの財政構造改革の決定に当たっては、そういった自主性を尊重していくというようなところがどうも抜け落ちておるのではないか、こういうふうに思います。  分権に相応する力をどうつけていくのかということでこれから議論を深めていかなければならないわけですけれども、やみくもに規模を拡大していくといいますか、そういうことだけの論理が先行していったのでは、ある意味では合併はなし得ても、本当の中身は、しっかり力を持った合併ということにはなかなかならないような気がして、私は大変その点を心配するわけなんです。ぜひ、これから進めていくに当たって、そういった点を自治省としてどう考えていくのか、また、どうその点を合併を推進していく中に込めていくのか、そこら辺を改めてもう一度御見解としてお伺いしたいと思います。
  116. 松本英昭

    松本政府委員 委員指摘のように、合併ということが議論になりますと、必ず今の自治意識の問題とか参加の問題、そういうことが議論になるわけでございます。私どもは、そういう点の問題点というものをいかにして克服していくかということを考えつつ、しかし、合併のもたらすこれからの経済社会の中で持つ意義というものを考えながら、市町村の合併というものを進めていかなければならないと考えているわけでございます。  制度でございますから、一つの制度をつくりました際にはメリットとデメリットというのが必ず起こってまいります。デメリットを少なくし、メリットをより生かしていく方策を考えることこそ私どもの任務ではないかと考えているわけでございます。  そういうことでございまして、自主的という言葉が出たり入ったり、時には自主的と言い、時には自主的という言葉が取れたりいたしておりますけれども、自主的という言葉自身の持つあいまいさと申しますか、かなり幅広い概念でございます。極端なことを申し上げれば、昭和の大合併の町村合併促進法でさえも、あの当時は自主的な合併ということを言っていたわけでございます。  したがって、自主的というのは、少なくとも人格のあるものが、その人格というものを全く無視して、その意向を無視して合併は進められないということは一つの基本的な原則であろうかと思います。その範囲内でどれだけの理解を得て、また理解を得るように努力をして市町村の合併を進めていくか、そこがポイントではなかろうかと私どもは考えているところでございます。
  117. 桑原豊

    桑原委員 問題点をそれなりにわきまえて、さらに推進をしていくという姿勢で、私はそれはそれでそういうふうにやっていただきたいと思います。特に、自主性という問題では、自治体の団体としての自主性はもちろんですし、そこに住んでいる住民自身の多くがぜひやりたいというような、そんな自主性、これが時としてうまくかみ合わないということが大変多いわけですけれども、ぜひそれがうまくかみ合うように、合併というものが一つの意思になっていくような、そんな方策をぜひ自治省としても十分練られてこれから対応していただくように重ねてお願いをして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  118. 穂積良行

  119. 田中甲

    田中(甲)委員 民主党の田中でございます。  冒頭、午前中に当委員会委員長が提出され、先ほどの本会議で可決されました行政書士法の一部を改正する法律について、改めてこの場で確認をさせていただきたいと思います。  と申しますのは、行政書士法の第一条に目的規定を創設する改正について、行政書士会の方々から懸念が出されておりました。現行の業務規定では、「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類作成すること」となっており、これらでは私人間の取り決めの文書であっても明確に業務として定められているのに対して、今改正における目的規定は「行政に関する手続」という文言であり、解釈の仕方によっては従来の業務範囲を狭めるものではないかという懸念であります。  この点、自治省から、狭めるものではないという明確な御答弁を再度お願いしたいと思います。
  120. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  西川議員にもお答えいたしましたとおり、結論から申し上げまして、そういう御懸念はないものと考えております。  その理由は、先ほども申し上げましたけれども、この提案理由のところで述べておられますように、再度繰り返しませんが、行政の円滑な推進に寄与し、及び国民利益の速やかな実現に貢献しており、このような現状を踏まえ、法律目的規定を設けることとするといたしておりまして、今回の目的規定を入れましても、こうした行政書士業務現状を踏まえて創設されるものでございますので、行政書士業務範囲に変更を加えるというものではないと承知しているところでございます。  それから、もう一点でございますが、少し法制的な面で申し上げますと、現在の行政書士法の二条六号において、「国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した」者という規定がございますが、ここで言う「行政事務」とは、いわゆる行政府の機関の権限に属する事務のみならず、立法及び司法機関の権限に属する事務をも指しておりまして、いわゆる広義の意味において行政という意味行政書士法では使われている、こういうふうに理解をいたしているところでございます。  したがって、今回の目的規定に入れました「行政」という用語も全く同じでございまして、結論といたしまして、業務を狭めるという趣旨のものではございません。
  121. 田中甲

    田中(甲)委員 わかりました。  それでは、第一条の二で業務規定が残るとはいえ、将来改正されてこの規定がなくなるおそれがあるのではないかという心配が残ります。自治省にその点の確認もこの際させていただきたいと思います。
  122. 松本英昭

    松本政府委員 行政書士法自体は、御承知のように議員立法でございまして、これから改正もすべて議員立法で行ってきた経緯がございます。そういうことでございますので、今後の改正の動向がどうかという御質問に対しまして、今後改正がないでしょうとか、あるでしょうとかいうようなことは、私、お答え申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、御懸念の趣旨は恐らく、現状行政書士法の一条、改正後の一条の二という規定が取れてしまったら、今申し上げたような趣旨目的を受けた規定でなくなってしまうのではないかという心配があるからではないかと思います。  ただ、そのことは、今回の、先ほど申し上げました法制的な意味行政という意味では全く変わりませんし、それから、今回の趣旨目的も、さらに規定の中で「行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、国民の利便に資することを目的とする。」こう書いてございます。ここの読み方は、私ども、これを立案されました参議院の方に立法意思をお尋ねをいたしましたところ、やはりこれは、「行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、」あわせて「国民の利便に資することを目的とする。」と読むのだそうでございまして、行政に関する円滑な実施という行政面、それと国民の利便、両方を兼ね備えておりますので、国民の利便に資することをあわせて目的とするというふうに読めるのではないかと考えておるところでございます。
  123. 田中甲

    田中(甲)委員 当然、議員立法で提出したものでありますから、私たち議員間での話し合いというのが基本でありますが、今の松本行政局長の所見ということもまたしっかりと踏まえて、私たちも今後のあり方ということを検討してまいりたいと思います。  この改正というものは、士法の中では極めて時期がおくれて改正がされたという思いも持つところでありまして、今回の改正は当然了とするところでありますけれども、また同時に、行政書士会が今回の改正によりましてさらに全国の結束が図られて、業務の信頼性や一層の充実ということがこれからさらに進んでいくことを私も願ってやまないところであります。私の思いも同時に述べさせていただきました。  次の質問の項目は、風適法の改正であります。  継続してこの質問をしてまいりましたが、今回、ダンススポーツ推進議員連盟で、議員立法をさせていただく超党派の動きを図ってまいりました。警察庁の方がぜひとも早期に閣法で提出をしたいという意見をダンススポーツ推進議員連盟の方に申し述べてまいりまして、私たちも慎重にその意見というものを精査した中で、ぜひ閣法でやっていただく形で進めていただけないだろうかというダンススポーツ推進議員連盟のメンバーの方々、議員の方々の意見が多く、そのような形で今後進めていく話が現在に至っている経過の一端でありますけれども状況であります。  ダンススポーツ、あるいはダンススクール、ダンス教授所が風営法から適用除外になるということは、二〇〇二年公開競技、二〇〇四年、ダンスがオリンピックの正式種目になろうとしている段階で、具体的に申し上げますと、ことしの九月にはその正式な報告がIOCの方から届けられるかという状況になってまいりました。そんな中で、いまだに警察の所管として風営法でこの規制というものが行われているのはおかしいだろうということを多くの国民、ダンス愛好者の皆さん方が訴えてきた、そんな世論背景がございます。  ダンス愛好者、一概にその数字を認めるわけにはまいりませんが、一千二百万人と言われております。国民の約一割がダンスを愛好し、あるいはダンスというものに関心を持っていらっしゃるという数字も挙げられているところなのであります。  まず御質問をさせていただきたいのは、風適法と呼んだ方が正確だと思いますが、風適法の次期改正を行おうとしているその幅、業種というものをどこまで考えていらっしゃるのか、この場で正確にお答えをいただきたいという点でありまして、あわせて、その時期というものを、その幅を広げることによって時期が延ばされてしまう、そういう状況が生まれてくるのかどうか、その点も明確に御答弁をいただきたいと思います。
  124. 泉幸伸

    ○泉政府委員 風適法の改正につきましては、実は、業を所管をしている立場から、当然のことながら、常に見直すべきであるという、特に、今日の規制緩和の状況を踏まえて、それに対応した改正がなされてしかるべきではないかという問題意識のもとに、関係向きの意見を聞きながら、現在、どの点をどう改正すべきか、改正できるのかということを詰めている段階でございます。したがいまして、現段階では、この業種についてはこういう改正をします、この業種については改正の対象外でございますというふうにお答え申し上げる段階にまだ至っていないということでございます。  しかし、御質問の前半にありましたダンス教授所の問題につきましては、昨年末御質問いただき、また、その後、今委員からいろいろの情勢のお話がございました。その点を踏まえまして、私どもとしましても、現時点においてダンススクールについては、本来、業界自身による自主的健全化の取り組みがなされるならば、現在より営業者の自主性を尊重した規制の形にすることが望ましいというふうに考えておるところでございまして、その方向で鋭意作業を進めておるわけでございます。  委員の御質問の中に、他のダンススクール以外の改正があるがゆえに、風適法の改正作業が後ろにずれ込んでいるのじゃないかという御懸念が示されたと理解いたしますが、私どもはそのようなことを考えておるわけではなくて、あわせましてできるだけ速やかな形でこれを実現すべく、今鋭意作業を行っているところでございます。
  125. 田中甲

    田中(甲)委員 誠意ある答弁として解釈をさせていただきたいと思います。  もう一点だけ確認させてください。  ダンススクールの風営法からの適用除外に関する請願というものが現在出されております。この請願というものを議院が採択をし、それを真摯な姿勢で今後警察庁が対応してくださる、そのように受けとめてよろしいですね。
  126. 泉幸伸

    ○泉政府委員 現時点でその請願の正確な内容について正しく承知しているという状況ではございませんが、今申し上げましたように、ダンススクールにつきましては、本来、営業者の自主性を尊重した規制という形で現在の規制をより緩和するという方向で考えておりまして、そのような方向で取り組んでおるところでございます。  時期その他につきましては、今後の作業がありますので、私どもとしましては、できるだけ早い時期にやりたいという形でいろいろな作業を急いでおるという状況を御理解願いたいと思います。
  127. 田中甲

    田中(甲)委員 一千二百万人という多くの世論背景があるがゆえに、この風適法の改正ということが進められてきたというふうに私は理解するのであります。ですから、ほかの風俗営業の適用業種がここに加わることによって、やはりいろいろな面での障害や難航する場面というのが生まれてくると私は予測をいたします。ですから、多くの国民の皆さん方の中のダンス愛好者の方々が期待をしているこのダンススクール、ダンス教授所という法文の中の文言でありますが、どうぞ先に改正をしていくという姿勢を常にお持ちをいただきたい。どんなことがあっても、ほかの問題と絡まってなかなか前に進まないというような状況にはならないように、特にその点は指摘をさせていただきたいと思います。  ぜひ多くの国民の期待というそのものを裏切らないように、警察庁の真摯な、誠意ある対応というものを重ねて要望いたしまして、この質問は終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  引き続き、次の項目に入らせていただきますけれども、ストーキング犯罪について質問をさせていただきたいと思います。  私は、今御質問をさせていただいた風適法の改正もそうでありますし、このストーキング犯罪に対して我が国日本の警察というものがどのように対応していくかということも、根底に同様の理念を持たせていただいているつもりなのです。それは、国民が安心して生活できる国をつくる、どんなときにでも安全である、それはなかなか難しいことですけれども、生活の中で国民が安心して生活のできる状況というものをつくるために、事前に対応し、未然に防止していくという姿が必要なんだろうと思います。風適法の問題で警察庁が積極的に対応する。警察に対する信頼。あるいは、このストーカー犯罪というものが現在の法律で十分に対応ができないとするならば、積極的に法改正を行っていく姿勢、これが必要なんだろうと思います。  そういう思いの中から質問をさせていただくわけでありますが、どうもアメリカと日本の精神病理といいますか、社会病理犯罪のその傾向というのが、時間のずれはあるものの、類似をしているということを最近強く感じております。米国では、八〇年代から、カルト宗教集団が集団自決をしたり、殺人事件を起こしたりしています。これは、ディッビト・コレシュという教祖が、武装宗教集団が軍と撃ち合いを行っているということが八〇年代にありました。すい星の地球接近に合わせて、宗教カルト集団が自殺した事件も最近ございました。  もう一点、アメリカでは、既に五十州の中ですべての州でつくられました。以前ここでお話をしたときには四十八州ということを申し上げましたが、すべての州でストーカー犯罪防止法というものができ上がりまして、そしてストーカー犯罪に対するより多くの罰則がつくられ、細かい運用がつくり上げられているという状況であります。  三点目に、猟奇的と申しますか、通り魔事件、特に代表的なのは、今回の日本の事件もこれに随分と類似しているんだということが言われていますが、ゾディアック事件というのが一九六六年、予告殺人で警察を挑発して、そしていまだに犯人が逮捕されていないというものであります。一九六六年ですから三十年前でありますが、この通り魔事件、ゾディアック事件に、現在、神戸の小学校六年生のあの惨殺事件というものが極めて類似しているということが言われています。  翻って日本を見てまいりますと、一九九五年、オウム真理教事件、地下鉄サリン事件、警察庁長官狙撃事件。一九九六年、ストーカー犯罪、大阪府ではストーカーにより女子高校生が殺人され、放火事件が発生しました。これは代表的なものを申し上げたのですけれども、後ほど具体的な事例というものを挙げるのは幾らでもできるという、調査をしてまいりました、今手元に資料があります。そして、今申し上げましたこの猟奇的な殺人事件というのも、一九九七年、本年度の神戸での事件であります。  そのような事件が起きている中で、ストーキング犯罪について、ぜひ法律でこのような犯罪というものが起こらないように未然に防ぐことができるような体制というものを、アメリカもそうでありますし、実はたしかきょうの新聞だと思うのですけれども、上下に分かれておりまして、六月十日火曜日、本日の新聞でありますけれども、英国で同じくストーキング犯罪を防止するための、これは和訳をいたしますと、嫌がらせからの保護法というものが成立したというのが新聞でも報道されています。日本でも同じように、法律国民の安全を守っていくということがこれからさらに必要になってくるのだろうと考えます。  そこで、きょうは法務省に来てもらったのですけれども、法務省が、現在の場合には刑法、軽犯罪法で対応しているという、あるいは条例ではいわゆる迷惑防止条例というもので地域によってまちまちに対応しているわけでありますけれども、ストーキング犯罪に対して取り締まりを行っていく法律を検討していく姿勢があるかどうかということを、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  128. 渡邉一弘

    ○渡邉説明員 お答えいたします。  いわゆるストーキングと呼ばれる行為につきましては、その範囲がどこまでの行為を言うのかということについては明確でない点もございますけれども、先ほど委員指摘のとおり、事案によっては、刑法の傷害罪あるいは脅迫罪、業務妨害罪や軽犯罪法違反の罪が成立する場合があると思われます。当面、現行の諸罰則を厳正に適用していくことが肝要であると考えておりますけれども、新たな立法必要性につきましては、今後、事案の実態を踏まえつつ、また諸外国の例を参考にしながら慎重に検討していくべきものと考えております。
  129. 田中甲

    田中(甲)委員 答弁をいただきましたのは渡邉さんでよろしいですか。未然に防止をしていく、犯罪に事前に対処していくという姿を忘れてはならないという、そういう面では今の答弁を了とできない。  定義というものが不明確であるということを申されましたが、ニュージャージー州、カリフォルニア州、フロリダ州、ミシガン州、そのほか五十州の私もすべてを調べたわけではありませんが、この四つの州の法律というものを調べてみました。定義はこのようになっています。「意図的に悪意を持って、かつ継続し、ある人物をつけ回したり、嫌がらせを働いた者、及びその人物の直系の家族の安全に一定の恐怖を与えた者は何人もストーキング犯罪の正犯とする。」という定義が明確にされています。  今、答弁の後段で、他の国々の事例というものを調べてみたいということを言われましたが、アメリカではすべての州でできていますし、イギリスでもつくられました。それをこれから調べてみるという姿勢では、私は極めて怠慢だと思いますけれども、そうは思いませんか。積極的に検討を進めていくという答弁に変えていただきたい。もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  130. 渡邉一弘

    ○渡邉説明員 お答えいたします。  先ほどの答弁のところで、私の説明が若干足らなかったとすればおわびいたしますけれども、アメリカでは、一九九〇年にカリフォルニア州におきまして先生御指摘のような定義のあるストーカーとして処罰する規定が設けられまして、それを初めとしまして各州で同様の規定が置かれるようになったものということにつきましては、法務当局においても承知しているわけでございます。  したがいまして、そのような諸外国の例を参考にしながら慎重に検討していきたいということを考えているわけでございます。
  131. 田中甲

    田中(甲)委員 慎重にというところの部分がよくわからぬのですが、人の命を守ることを、慎重に慎重にと言っている間にこれからまた同じような犯罪が起きたらどういうふうに責任をとるのか、私はその辺も極めて疑問であります。  ストーキングは憲法のプライバシーの侵害に当たるという意見で、今横浜でストーカーの犯罪の被害者の会というものができまして、正式名は横浜ストーキング被害者の会。できてからまだ間もない、三月からできたんですけれども、もう既に二百通に上る手紙が届いてきた。この被害というものを、「被害者の悩みは切実だが、事件にならないと警察は基本的に動いてくれない。それまで待てる人がいるでしょうか。被害者が声を合わせられる組織を作らなければ、と思ったんです」、こういう考えで既に横浜に組織ができ上がって、ストーキング犯罪の被害者の声を今聞いているところなんです。先ほど申し上げましたように、ストーキング犯罪というものは憲法のプライバシーの侵害に当たるという意見を基本として活動されているんですが、国家公安委員長、いかがでありましょうか、御所見を賜れればありがたいと思います。
  132. 白川勝彦

    白川国務大臣 いろいろな形でのストーキング犯罪というのはあろうと思います。性的な何らかの意味でのにおいのするというんでしょうか、そういうようなものを目的にするストーキングもあれば、あるいは経済的な何かを最終的には得ようとするものもあるかもわかりません。  この前の暴対法の審議などを見ますと、私ども伝統的な刑法しか知らない人間から見ると、最終的にはあれは刑罰法規に触れることになるわけですね。随分自由に書いているなという気がいたしました。そういうことを考えますと、今どういう訳でかわかりませんが、アメリカでそういう一つの類型というようなものがあれば、日本の伝統的な刑法を扱ってきた立場からいうと、そのような構成要件で刑事罰を設けられるかなといういささか不安はないわけじゃないんでございますが、この前の暴対法のあの構成要件等を見れば、かなり絞られているような気がいたします。  それ以外にも、私自身が実際に体験いたしました、例えば宗教的な理由等による、まあこれも今田中委員が言われたことによりますと、そういうことによって、例えば宗教的な過度な勧誘等からも場合によったら守られることになるかもわかりません。  いずれにしましても、国民の自由を、あるいはプライバシーを守るという面でそういう規定が必要であることは、私も認めます。ただ一方では、今度は、その法律があるがゆえに、人と人との何でもない交渉事に警察が入ってくるというのもまた一方では起こるんじゃないだろうかな、こういう危惧もまた持たなきゃいけないわけでございます。  いずれにしましても、警察は、基本的には刑事罰的なものをつくるのは法務省の方にお任せをしてありますが、今いろんな意味での警察に対する相談事等があるようでございますので、我々としては、現実に法律があろうがなかろうが、多くの方が迷惑をこうむっていたら、この方々の力になるというのがまず警察の仕事でございますし、今、鋭意やっております。特に女性警察官、婦警さんなんかがこういう本当に女性でなければできない役割を果たしておりますが、そういう中でまた実態等を明らかにして、立法作業の参考にできるように警察としても努力してまいりたいと思っています。
  133. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございました。通告のない質問をしてしまいました。答弁を積極的にいただいたことをありがたく思っております。  例えば、現行の業務妨害容疑で逮捕するですとか、あるいは脅迫の疑いで逮捕するということができなかったわけではありません。無言電話一万六千件、これは五十二歳の女性でありますけれども、一年間に一万六千件の無言電話をかけてお見合いを断った相手に嫌がらせをした。脅迫電話三千回以上、これは脅迫の疑いで逮捕されたということでありますが、山梨県で、男性の友人をめぐって同僚女性に恨みを持った加害者三十五歳が、弟と脅迫電話や無言電話をかけ続けたということですね。これはほかの法律の中で対応することができたものです。  しかし、できないものが今上がってきています。一九九六年八月、昨年の八月ですが、大阪府では、姉にストーキング行為をしていた加害者が、家に入り、妹を殺害して放火した事件。京都でも同様の事件がありました。九六年の十月二十四日、振られてから昼夜を問わずつきまとっていた加害者が、被害者を生きたまま焼き殺した事件などがあります。これは、周囲の友達に相談しても、友達が怖がって何もできなかった。そのときに警察がこういう状況に踏み込んで一言声をかけるということができれば、こういう状況は生まれなかったんだろうと思います。また、大学教授のセクハラ事件などもあります。誹謗中傷の手紙を七十通以上、頻繁に教え子に交際を迫って、送り続けたということなど。これには、即時強制というものが現行の警察官の対応の中に盛り込まれていくということが必要になってくるのではないかということであります。  次の質問者がもう席に着いているようでありますから、このストーキング犯罪の特徴を二点だけ申し上げて、そして最後の質問で終了させていただきます。  ストーキング犯罪は、私は、都市部の犯罪と思っていましたら、これが違うのですね。インターネットの普及等による個人社会の固有の犯罪、都市犯罪とは言えないということが今明らかになってきています。  アメリカでは、国会などで被害者の公聴会が開かれているというので、これが状況であります。最終的な解決は教育にある。社会・精神病理犯罪の増加を受け、米国では小中高等学校で相手を尊重するためのプログラムというのを実施している。また、実際の法律の運用の中でTMUというのがありまして、このものが大変に多くの効果を上げているということであります。スレッド・マネジメント・ユニット、脅迫対策部というのがつくられていまして、人数は少数なんですけれども、ストーキング犯罪を未然に防ぐ効果を上げているという実例もあります。  ぜひストーキング犯罪に対する新しい立法というものを考えていただきたいという要望と同時に、今後その姿勢というものが見られない場合には、当然のごとく立法府が議員立法で提出をしていくということに努め、努力をしていかなければならないと考えています。  まだ質問したい項目がありましたが、時間配分を私が誤ってしまいました。次回また御質問させていただきたいと思います。以上で終わります。
  134. 穂積良行

    穂積委員長 穀田恵二君。
  135. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、先日の委員会でも質問をしたんですが、オウム捜査の反省、教訓の問題について警察庁長官に再度お聞きします。  長官は、私の質問に対して、「ただいまの委員指摘の点につきましては、私自身議事録等で拝見をし、十分に承知をしております。」と述べて、三つの点を言いました。一つは、科学技術への知識の不足、第二に、閉鎖的な犯罪組織についての情報不足、第三に、都道府県警察の管轄区外の権限の制限を挙げて答弁されました。  その際に、私、時間がなかったので指摘をしたにとどまっているんですが、それでは私が質問したことに答えていないと思うんですね。私が質問したのは、オウム捜査をめぐって初動捜査のおくれと捜査のあり方に問題がなかったのかということが一貫して言われてきている、そういう問題について前長官は一定の時期が来たら明らかにすると言ったけれども、引き継いでおられるのか、どうなっておられるのかということを聞いたわけですね。その点、再度お聞きします。
  136. 関口祐弘

    ○関口政府委員 坂本弁護士事件等のオウムの一連の関係する事件につきましては、事件現場において物証が極めて乏しかった上、教団の閉鎖性が強いために内部情報をほとんど得られず、また、組織的な証拠隠滅活動がなされたことなどのために、被疑者を検挙するまでに長期間を要することになったところでございます。  実行行為者、犯人が判明した時点から見れば、捜査に対しましていろいろと御指摘、御批判があることは承知しておりますが、例えば、坂本弁護士事件につきまして、プルシャを届け出当日に発見に至らなかったことにつきましては、届け出を受けた所轄署におきまして直ちに当直警察官を弁護士宅に派遣をしたのでありますが、夜間でもあり、翌日綿密な現場見分を行う必要性を認めたことなどから、当夜は現場保存を依頼しまして、簡易な見分を行ったものであり、翌日、本部鑑識課員等による本格的な現場の見分の前に家族の方が発見をされたという状況でございます。  また、当初の失踪事件という名称を用いたことにつきましては、神奈川県警におきまして弁護士一家が何らかの犯罪被害に遭っている可能性が高いものと判断をしたことから、弁護士一家失踪事件との名称ではありましたけれども、百二十名から成る捜査本部を設置し、捜査を進めてきたところであります。  警察といたしましては、坂本弁護士事件についても、初期的な段階からオウム真理教の関与についても視野に入れた広範な捜査を推進してまいりましたが、事件が教団という閉鎖的な集団による組織的な犯行であったことなどから、なかなか核心に至る情報を得られなかったものであります。こうした反省を踏まえまして、今後この種組織犯罪に対する情報収集体制を一層強化してまいりますとともに、捜査のあり方についてよりよい方法があるのではないかという点等、さらに研究、検討を進めてまいりたいと考えております。
  137. 穀田恵二

    ○穀田委員 今のはあれですか、当時國松長官からお話があった、誠実に反省し検討する、あるいは、初動捜査のミスがあったとの指摘があるけれども警察庁としては検討を加え、反省、教訓として他府県警に披瀝したい、そういう内容が今長官がおっしゃった内容だということですか。
  138. 関口祐弘

    ○関口政府委員 そう御理解いただいてよろしいかと思いますが、一般的に、捜査は長期化すればするほど事件の解決というのは困難になるわけでございます。その意味で、初動捜査の重要性ということはもう明らかなところでございまして、第一線警察におきましては初動捜査の強化に努めているところでありますけれども、今後ともより迅速な捜査が展開されるように、私どもとしても各都道府県警察を指導してまいりたいと考えているところでございます。
  139. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、そういうことだと全く反省になっていないと思うんですよ。というのは、今のお話だと大体白書の内容の域を出ていませんよ、はっきり言って。白書で書かれている総括的文書とほぼ同じ内容を関口長官からお話がありました。  当時、そういう白書が出た折自身に、実はマスコミからそういう批判はあったんですね。こう言っています。例えば東京新聞は、  白書には組織拡充、権限強化に向けての反省は  あっても、多くの国民がぜひ知りたいと思って  いることが書かれていない。それが残念だ。こう言っているんですね。具体的には、   まず松本サリン事件の初動捜査の反省である。第一通報者の会社員宅を殺人容疑で捜索し、事情聴取では容疑者のような扱いをしながら、白書には「適正な捜査であったと考えられるが、その過程において多大な心労と迷惑をかけることとなった」とあるだけである。  会社員の著書によれば、長野県警の捜査官は激しく自白を迫り、うそ発見機にかけ、一時は入院中の病室内で警官が監視していたという。この通りとすれば、客観的証拠を軽視し、自白で事件を解決しようとして関係者の人権を侵害する、典型的なえん罪発生型の取り調べだ。 こういう批判があるわけですね。これは東京新聞です。  また、京都新聞などでは、同じように、「なおかつ疑問は残る。」と、今お話があったようなそういう三点の話をしていました。その上でこう述べています。やはり「松本サリン事件で、サリンに対する知識不足が第一通報者を被疑者扱いにしたことの言い訳にはならない」、こう言っているんですね。そして坂本弁護士事件で、今お話があったように、「当初からオウム教団の関与が言われながら、結果として見逃したことを情報不足のせいだけにはしてほしくない。強制捜査に必要な情報を収拾できなかった能力不足こそを反省すべきなのである」、こう言っている。  私は、そういうものに本当に答えているというふうにおよそ思えないんですよ。だから、当時國松長官は、先ほど私が述べましたように、わざわざあの警察白書の中身と違った形で、初動捜査のミスを反省するということを明らかにしたのですよ。そして、その捜査のあり方についても、一定の教訓を明らかにする、こう言ったのですよ。まして、神奈川県警の高橋美佐男刑事部長は「教訓とするものはあるが、捜査が終結した折に整理したい」、わざわざこんな形で記者会見をしているのですね。そういう記者会見をされる。また、白書に盛られている内容が、初動捜査の問題や捜査のあり方をめぐって不十分な点が余り総括されていないという多くの方々の意見にどう答えるのかが今問われているのじゃないでしょうか。
  140. 関口祐弘

    ○関口政府委員 前回の委員会で私が申し上げました三点につきまして、現在その強化について進めているところでございますが、それが大きな筋でございまして、あと具体的にどういう形でそれを展開するかということで、委員指摘の点個々につきまして各種の方策を考えてまいりたい、かように考えているところでございます。
  141. 穀田恵二

    ○穀田委員 前回も確かに関口長官、お話ありましたよ。「おおむね三点ほどに集約されるのではなかろうかと思います。」ということで、先ほど私が指摘しました三点、お話ありました。その三点に基づく打開策がありました。それは明らかに全体の概要的な話であって、当時國松長官がお話しし、また多くの方々から疑問視された、初動捜査におけるミスはなぜ起きたのか、初動捜査のミスの内容は何なのか、そしてその中における捜査のあり方の問題は何なのか、この三つの点は依然として明らかになっていないのですよ。私はそれを言っているのですよ。だから、警察白書の八年版で出されているのがすべての総括だと私は思えない。前長官がお話しした反省や教訓という内容は明らかにされていないのじゃないかと何度も私は尋ねているのですよ。  その内容については、警察力の、管轄区外の問題だとか、閉鎖的な組織の云々かんぬんとか、それから科学捜査の問題とか、それはそれであるでしょう。だけれども国民の知りたいという中心は、先ほど述べた、なぜ初動のミスが起こったのか、なぜ捜査のあり方にそういう不十分な点が起きたのか、そういう点を総括し、反省をするということは引き続き皆さん方の義務じゃないかということを私は述べているのです。それは了解してもらえるわけですね。
  142. 関口祐弘

    ○関口政府委員 ただいま申し上げたような三つの点を白書で指摘しているわけでございますが、その具体的な展開をしてまいりたいということでありまして、その中に含められるかどうかでありますけれども、やはり基本というのは、私ども、いかなる犯罪に対してもこれに対決できる力というものを備えていかなければいかぬ、それは初動捜査力を含めてでございますけれども、そうした意味で、私どもの捜査能力のアップということには全力を尽くしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  143. 穀田恵二

    ○穀田委員 一般論は、いつも私はそれ自身はそうだと言っているのですよ。ただ、問題の焦点に答えていただかないとだめだと私は改めて思いますし、その点、再度、今後そういうふうに深めるというのだったら深めていただくということで、明らかにしていただきたいと思います。  では、二つ目に、先ほどわざわざ予告がありましたので、警察官の不祥事件に関連してお尋ねします。  警視庁城東署の交番に勤務する警察官三人が、覚せい剤押収事件をでっち上げ、無実の市民を罪に陥れようとした容疑で逮捕された事件が起きています。これは、八八年二月、大阪の堺南警察署槙塚台派出所における警官猫ばば・届け出主婦犯人扱い事件、長いですけれども、そういう事件以来の非常に質の深い重大な警察官による不祥事だと思うのです。  先ほども一点指摘がありましたが、私は同様に、この不祥事件の背景に成績主義、点数主義があるんじゃないかと思うのですね。だから、警察庁に改めて聞きたいのは、点数主義、成績主義というのはいまだに存在しているのですか。
  144. 関口祐弘

    ○関口政府委員 委員の御指摘の点数主義なり成績主義でございましょうか、そういうのがどういうことを意味しているのか、私は明らかではございませんけれども、いずれにしましても、私ども警察、特に第一線の警察官というのが犯罪の実態に即しまして警察活動なかんずく検挙活動をする努力をするというのは当然のことでありますし、その中におきまして、真に仕事に汗を流し努力して実績を上げた者が報われるような処遇をする、このことに意を用いるというのもまた当然であろうというふうに思います。  点数主義あるいは成績主義という言葉、これはある意味で人の評価なり評定にかかわることなのかもしれませんけれども、やはり組織といたしまして、互いに人を評価するということ、必ずしも容易ではなかろうと思いますけれども、風通しのいい職場をつくり、そしてそこで働く者が生き生きとして仕事に励むことができるというふうなことができるように、私どもとして第一線の指導というものをまた徹底していかなければならない、かように考えているところでございます。
  145. 穀田恵二

    ○穀田委員 私が指摘をしている成績主義、点数主義は明らかでない、こう言いますけれども、まさかその事件が起きたときの翌日の新聞を見ていらっしゃらないわけはございませんね。そのときの新聞はすべてそういう指摘をしていますよ。  朝日は、「今度の事件が警察の体質そのものに根差しているのではないか」「それは、表彰の回数や逮捕実績が昇進などで優遇される実績主義だ。それが行き過ぎると、見せかけの「実績」ほしさから、ねつ造が生まれる」「逮捕や取り締まり実績が「ノルマ」のようになっては、弊害が出てくるのも当然だ」、これは翌日の朝日です。毎日は、「警察署に摘発のノルマが課せられ、「点数主義」が優先されるような風潮が組織内にあり、そのことが今回の事件の背景となっているとの指摘もある」。読売は、「職場に覚せい剤の摘発量だけを競い合う実績万能の風潮はなかったか。警察全体の問題として組織、日常活動、教育のあり方などを総点検して」。日経は、「各地で銃器犯罪をねつ造したり、架空の供述調書を作成したとして、警察官が逮捕される事件が相次いだ。そのたびに指摘されるのが警察内部の行き過ぎた「点数主義」である。警察組織で昇進するためには検挙実績を上げる必要がある。一線の警察官が功を焦り、違法な捜査に手を染めるという図式である」、このように各紙が報道している点数主義と言わなければだめなんですか。  だから、私は、そういった問題について、風通しがいいとか、それから評定にかかわる、組織で評価する、そういうことは当然人事評価のことはあり得るわけで、そのことを一概に否定しているんじゃないのですよ。こういうことがありはしないかということを一般の多くのマスコミからも指摘を受けている現実に対して、今どういうことかというふうにありましたけれども、今までの委員会の経過を見ていますと、昭和五十八年それから平成二年あたりまでは点数主義という問題はちゃんとあるのですね。さらにつけ加えて言うならば、神奈川県などについて言うならば、わざわざそういう点数の表彰取り扱いについてという文書まで出して、制定してやっているのですよ。  だから、点数主義があるなどというのはみんな知っているのですよ。問題は、それが今どんな形で、実際はこうなっているんだけれどもこうしているとか、そういうことを知りたいわけですよ。それを何か頭から、どんな点数主義かなんて言うなどというのは、私はちょっと余りにも人を食った話じゃなかろうかと思うのですね。  では、改めて聞きたいのだが、どういう評価方式か知らないけれども、点数主義があることは事実だと私は思うんですね。だから、それを認めた上で是正を図る必要があるんじゃないかというのを私は言っている。その上で、じゃ不祥事案の再発防止というものに対してどんな対策を打っておられるんですか。
  146. 関口祐弘

    ○関口政府委員 先ほども申し上げたところなんでございますけれども、やはりこうした事案が起きているというのは、私ども警察官、国、地方を問わず公務員という立場でありますから、これはもう国民のためにする仕事でなければいかぬということが基本であろうと思います。  そうした意味で、一つにはやはり職責の自覚でありますし、それから厳正な規律の保持ということが大事だろうと思います。そのためにまた私ども警察学校等の教養がございますし、それから、職場等におきましての機会教養と申しますか、そうした面でその点を徹底をしてまいりたいということであります。それから三つ目には、適正な職務執行の確保と中間幹部の業務管理の徹底ということでございまして、いろいろ困難な事情はありますけれども、私ども警察官は、誇りと使命感を持って人権に配慮した適正な職務執行というものが不可欠なところでございます。  そうした意味で、適正な職務執行というものを確保してまいりたいし、そのために幹部という者がいるわけでございますので、そうした者によりましてしかるべくチェックできるシステムというものを十分に備えていきたい、かように考えているところでございます。
  147. 穀田恵二

    ○穀田委員 いつも不祥事が起きますと、やはりこの委員会でも問題になります。その際に、いつも警察当局が答弁するのは大体その三つです。公務員という立場ということと、職責の自覚、厳正な規律、それから誇りと使命感、まあ大体これですわ。いつも変わらないんですね。もちろん、いつも変わってはならないものなのかもしれませんけれども、起こるたびに同じ話をしているというのも、余り私は効果がないんじゃないかと思うんですね。  そこで、国家公安委員長にお聞きしたいんですが、まず第一に、今回の不詳事案についていかようにお考えなのか。そして二つ目に、当然警察庁から報告を受けていると思いますが、そのような報告をいかに受けたか。そして、先ほど少し議論になりました、点数主義、実績主義はないと報告されているのかどうかについてもお答えいただければと思います。
  148. 白川勝彦

    白川国務大臣 城東署の事件につきましては、国家公安委員会にとりましても重要な関心事でございますので、この事件が起きた直後の委員会で各委員から真剣な議論がなされました。そのとき、今穀田委員が触れたようなことを含めて、国家公安委員会国家公安委員会として警察当局に問題点指摘し、また、しかるべききちんとした今後の人事管理等がなされるように指導をいたしていたところでございます。  常日ごろ私ども警察官の処遇改善ということを心がけているわけでございますが、公務員一般、特に日本では余り成績主義というようなものはございませんけれども、ただ、警察というのは、極めて厳しい勤務条件の中で本当に警察業務のために頑張っている者とそうでない者とのやはりある程度人事上の差別を設けなければならないだろうということで、処遇改善の中でそういう人事管理をするようにということも私どもは常日ごろ注意しているところでございます。  それが一歩間違って形式的になると、今穀田委員が御指摘のような弊害が出てくるということでありまして、これなどは考え違いも甚だしいところでございますが、大きな組織でございますから、そういうふうな曲解する者も出てくるということなんではないかと思いますが、そういうことがないようにくれぐれも注意していたところであります。  二番目に、私は、この問題の深刻さというのは、三人の警察官がこういう挙に出たということだと思うわけでございます。私はいつもここで申し上げておりますが、生身の人間、時には誤った道に陥るときというのはあるものでございます。二十五万の警察官の中にそういう者がいても、それ自体生身の人間である以上、時にはそれ自体を私どもは否定しようとは思いませんけれども、三人が三人とも同じ穴に落ちたという、同じ過ちを犯したというところに私はこの事件の他の事件と比べて深刻さがあるんだと。同時に、問題点を感ずるわけでございまして、警察当局にも、国家公安委員会全体としても、こういう問題の、なぜ起きてくるのかということと、二度とこういうことが起きないようにという意味でのあらゆる立場からの人事考課あるいは人事管理について検討を命じたところであります。
  149. 穀田恵二

    ○穀田委員 今お話があった再発防止との関係で、私は、お話がありました形式主義といいますか、あしき点数主義、成績主義という問題についてはやはり明確にする必要があると思うんですね。  私は先ほどマスコミの例を出しました。マスコミの例を出しましたけれども、実は、不詳事案に絡んださまざまな裁判の判決があります。それを見ていますと、大体共通しでこのことを指摘していると言ってよいと思うんですね。  私、昔一度、警視庁武蔵野署の捜査員が覚せい剤違反者に保釈を条件にけん銃提供をさせた事件のことを取り上げました。そのときの東京地裁八王子支部の判決はこう言っているんですね。何としても保釈を得たいとして策謀する被告人と、覚せい剤事犯の捜査より事実上高い評点を与えられるけん銃の捜査に執拗な熱意を燃やした取り調べ警察官のやったことだ、こう言っているんですね。どれが一つなんです。  群馬県警短銃押収工作事件、これまた前に一度私取り上げましたけれども、これの前橋地裁の判決は、「重大な不祥事の発生を防ぎ得なかったことについては、けん銃押収努力目標数を設定し、その数値を達成することに目を奪われて、けん銃等に関する捜査、取調べや証拠物押収の実態に十分な関心を持とうとせず、今回の行為について署内で誰一人これを制止できなかったことに如実に表れているように、部下或いは同僚の違法ないし不当な扱いを見過ごしてきた警察内部の体質の問題性も厳しく指摘せざるを得ないのであって」、こう言っているんですね。  さらに、愛媛県警短銃購入事件の松山地裁の判決は、「被告人らは、マスコミ受けを狙った検挙数至上主義に陥りがちな警察の体質における、一種の被害者であるともいえる」、こうも言っている。  一番近くは、ことしの四月三十日に出された判決で、長崎県警の短銃押収工作事件ですが、「幹部警察官の態度からすると、けん銃摘発のためには不当ないし違法な捜査もやむを得ないとして見過ごす弊風が警察内部に生じていたと窺われること」、こう書いてあります。  ですから、この間起きている警察官による不祥事件の問題が出ている一連の裁判ではこのことを全部指摘しているんですね。  だから私は、公安委員会としても不祥事件に根本的にメスを入れて、今、そういうマスコミの意見、不詳事案にかかわった判決で出ている警察に対する批判、こういうものを受けとめて、改めてそういう改善の方向を出すべき時期ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  150. 白川勝彦

    白川国務大臣 御案内のとおり、こういう事件が起きますと、所轄署の署長もしくはその人事管理上責任を持っている者は最も重い処分をされるわけでございます。それはどういうことかといいますと、今言ったようなことのために成績を評価しろと我々は言っているわけではないわけであります。  例えば、率直に申しますが、警察の場合というのは、昇級の面では試験というのがかなり大きなウエートを占めます。ところが一方では、試験勉強は一生懸命やるけれども、日々の日常業務、例えば捜査というようなところについて一生懸命やらないのでは困るわけでございます。ところが、例えば一つの事件等を真剣に追っておりますと、試験というようなところではなかなかいい成績は得られないという有能な警察官もいっぱいいるわけでございます。やはり、教科を中心とするような試験は試験として、しかし日々の警察活動における大事な警察活動についても十分配慮しながら昇級も考えていかなければならぬし、処遇も考えていかなければならぬ。処遇のときに成績を重視しろというのはそういう意味なのでございます。  ところが、それを十分理解し得ないで今言ったようなことを見逃したとしたならば、それは人事管理者として重大な責任があるということで、所属長は厳しい処分を受けるわけでございまして、警察全体がそういうふうに侵されているのだとしたならば、それこそ担当の者にそういう厳しい処分は下らないわけでございまして、そこはちょっと私は余りにも一面的に見られているのではないかなと思います。またしかし、そういう点が仮にあったとしたら、より指導を徹底してまいりたいと思います。
  151. 穀田恵二

    ○穀田委員 いや、私が言っているのは、私がそういうふうに指摘をしているだけではなくて、裁判所の判決自身が、そういう誤った一定の成績主義なり点数主義というのがあしき形で出ているのではないかということを指摘している。だから、それは直す必要があるのではないかと言っているのです。それは国家公安委員長みずからもそういう意味とは違うのだということをおっしゃっていましたけれども、逆に言えば、下ではそういうことではないととっている向きもあるという結果起きているという証明でもあります。私は、そこはきちっとしてほしいと思っております。だから、一面的に言っているのではなくて、そういう例を出しながら、逆に一面的にやっておられる事実があるということを指摘しているわけでして、だから私は警察庁長官にもあわせて希望しておきたいのですが、時間もそんなにありません。  今回の城東署の事件というのは、起きたばかりですから、その後の経過だとか問題点というのはたしか出していませんよね。ですから、あの猫ばば事件の際には、問題は非常にいろいろ不十分な側面は私は感じていますが、いずれにしても概要ということで、警察署としてのまとめた文書を出したのですね、どういう事件だったか、どういうミスがあったかということで。やはり、きちんと今回についても出していただく必要があると思うのですね。そこをぜひお願いしたいのが一つです。  それから、国家公安委員長には、今お話があった、私はこういう問題についてずっと調べてみますと、やはり諭旨免職だとか、それから懲戒免職という事態というのは、そんなにここ十年間で減っているわけではないのですね。大体平均して、いただいた資料でいいますと、諭旨免職の場合は三十三件あるのですね。それから、懲戒免職はこの十年間で平均して十数件あるのですね。これは減っていないのです。先ほど長官からお話があったように、業務適正化委員会をつくったりなど、その都度いろいろしています。ただし、それが余り効果がないという結果となって、先ほど新しいグループの検討もお話がありましたね。ですから、そういうことにいかざるを得ないということに結果としてなっていると私は思うのです。そこで、私は、そういう意味での昇進のあり方自身についてももう少し明確に、今国家公安委員長お話があったような形で、いわゆるあしき意味での点数主義を改めるということをはっきりさせる。  それともう一つ、今我々が地方自治その他にかかわっている活動の中でいいますと、情報公開というものが非常に問われています。ところが、警察の問題でいいますと、情報公開に対してなかなかなっていないという側面があります。だから、今私が言った、あしき点数主義の是正、そして昇進のあり方の検討という問題をもっと明らかにする。それから二つ目に、警察自身を都道府県における情報公開の対象の機関として、もっとオープンに、いろいろ意見を言っていただく。こういうふうなことにすることによって、一層そういう民主警察としての管理を、国家公安委員会としてしかるべき、さらに前進させるという方策が必要ではないかと思うのです。長官とそれから委員長にそれぞれお答えいただいて、質問を終わります。
  152. 関口祐弘

    ○関口政府委員 この何年間かを見まして、こうしたいわゆる不祥事案というものを出していることは、まことに残念なところでございます。それは個人の資質にかかわる問題が多いわけでございますけれども、それだけでは済まない。やはり、組織としていかにあるべきかというのを常に我々は考えていかなければならない、かように考えているところでございます。
  153. 白川勝彦

    白川国務大臣 私は、きのうも実は近畿地区の各県の公安委員の先生方とお話ししたのですが、たまたま大阪府警でも、これは府警に勤める警察官の不祥事件がありまして、今警察が各種事件を一つ一つ研究しなければならない、一致結束しているときに、部内からこういう不祥事が出ること自身、まことに申しわけないし、同時にこういうことが最もつらい話なのだということを率直に申し上げてまいりました。今、警察は、本当に強い警察になって、一つ一つ凶悪事件を検挙していかなければならないのでございますが、こういうことが起きたのでは、こんな警察で犯人を捕まえられるのかという単純素朴な疑問が出てくるわけでございますので、こういう問題については一層きちんとした形で対処してまいりたいと思います。  ただ、そこで私は申し上げるのですが、私は刑事物が好きで、最近では藤田まことの「はぐれ刑事純情派」というのが好きなのでございますが、ああいうのが伝統的に警察の中では高い評価を受けているのかと。しかし、やはり国民にとって本当にいい警察官が高い評価を受けるという人事考課でなかったならば警察に対する信頼感が出てこないので、こういうものを含めて、国家公安委員会としてもさらに研究をしてまいりたい、そして適切な指導をしてまいりたいと思っております。
  154. 穀田恵二

    ○穀田委員 最後のお二人の答弁については、問うたことについて余り答えてはいないのですが、時間がないので終わります。
  155. 穂積良行

  156. 畠山健治郎

    ○畠山委員 この三日に、与党協議を経て、内閣は、財政構造改革推進について閣議決定をなされました。そこで、これが地方財政に及ぼす影響や、来年度地方財政対策の課題中心に、自治大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  財政構造改革会議で、大臣自治体の単独事業圧縮に積極的な発言をなさっており、そうした経緯も反映されてか、地方財政についてかなり言及されてございます。そこでまず、今回の決定内容について、どのように受けとめておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  157. 白川勝彦

    白川国務大臣 今回の財政構造改革会議におきましては、他の省庁と違いまして、大蔵省、自治省、実は大蔵省と同じぐらい自治省にとりましても当事者でございまして、例えばこれを認めてくれとか、これを伸ばしてくれとか、これは削れないとかということは一切言いませんでした。国の財政も大変ではあるけれども地方財政も極めて危機的な状況であり、地方単独でもそのようなことを今までも考えていたのだと。  ただ、地方財政健全化は、地方だけの努力でもできない、やはり国からも努力をしていただかないと、そして、国の財政の運営が地方財政にもろにはね返ってきて、幾ら地方が健全にやりたくても中央の方がでたらめをやると地方の方はだめになるのだ、こういうことも幅広く御理解を賜りまして、おおむね出た結論につきましては、私どもが当初考えていた、そして総理から示されていた一つの方針を含めて、大体私どもが考えていたとおりに御決定いただいた、こう思っております。  あと細目はまだ決まっておりませんが、この目標に向かって、さらに細目を今後詰めていくべき段階だと思っております。
  158. 畠山健治郎

    ○畠山委員 財政を構成する公経済の主体が、国は単一、片や地方は三千三百という構成上の違いはもちろん、国民経済上も、我が国地方財政のウエートは諸外国に比べて重く、およそ一四%となっておりまして、先進七カ国のうちカナダに次いで高いのが実態でございます。また、イギリスを除けば主要諸国の財政赤字はほぼピークを過ぎておるわけでありますが、我が国は今が最高でございます。これに三%の急ブレーキをかけるということで生ずるゆがみは大変大きなものが予想されます。それだけに、健全化推進に当たっては、住民生活と自治体の計画的財政運営に対する慎重な配慮が必要かと考えますが、いかがでしょうか。
  159. 白川勝彦

    白川国務大臣 国は単一でございますが地方が三千三百の地方自治体の集合体であることについては、私ども否定するものでありません。ただ、地方交付税あるいは地方債の許可というようなことを通じまして、自治省自身、かなり地方財政につきましては大きな方向性を示し得る立場でございますので、直接の強制力はありませんが、大きく誘導していく、リードしていくことはできると思いますし、それはまた必ずしも、地方財政健全化していくということで、否定されるべきことだとは思っておりません。  そういう中で、私は、多くの方が懸念をされますけれども地方財政というのは、御案内のとおり、平成四年度末には七十兆円だった財政赤字平成九年度末には百四十七兆円。倍以上になるのは、これはどう考えても、バブルの対処というために国がやった景気対策それから住民税減税というこの二つが主たる原因でございまして、もともと異常時に異常なことをやったわけでございますので、バブルの方もほぼおさまったという中で、バブル前の本来の姿に戻ろうということでございます。  ただ、人間、一度飽食をいたしますと、何か平常に戻ると急に惨めな思いになるものでございますが、ちょっとダイエットの期間が、最初が大変なだけであって、昔からやってきた本来の姿に戻るのだというふうに私は考えております。
  160. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ことし、国、地方を合わせた財政赤字の対GDP比が五・四%で、このうち地方財政分は二・二%とされております。  そこでお尋ねいたしますが、今後六年間の健全化に当たって、国、地方の赤字割合、つまり三・二%対二・二%はそれぞれが担う義務的なシェアとなる可能性がございます。どのように受けとめていいのかお尋ねいたします。
  161. 白川勝彦

    白川国務大臣 これにつきましては、全体会議でもスキームを出しまして、地方といたしまして、御案内のとおり、二・二と三・二でございましたか、これを私どもはおおむね半分に縮減したいということでございますので、大体一・一、まあ一%と言ってもいいのでございますが、事務当局は慎重でございましたので、一・一と言ってくれということでありますので、一・一といたしました。いずれにいたしましても、国のGDPが五百兆円でございますから、六年間かかって財政赤字は五兆円削減するということでございますが、この間、地方税伸びると思います。一方では自然増という問題があるわけでございますが、さっき言ったとおり、地方単独事業一つとらえましても、ある面では急速に伸びているわけでございます。  そういうことを踏まえるならば、私は、六年間かかって財政赤字を一・一以内におさめるということは、そんなに人が心配するほど残酷なことでもなければ悲惨なことでもないと思っております。十分やっていける目標だと私は思っております。
  162. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方財政歳出抑制するといっても、地方の自己努力による範囲は限られておるというふうに言ってよろしいかと思うのです。地方財政一般歳出の半分は国庫補助事業や法令による国の関与に伴う支出であって、これにメスが入らなければ抑制は困難ではないかと思います。  今後の構造改革に当たっては、地方が自己努力でできる制度的な基盤を整備することが大切かと思うが、いかがでしょうか。
  163. 白川勝彦

    白川国務大臣 私は、財政構造改革会議で一番強調し、またおおむね御理解をいただいたのは、今畠山委員が御指摘をした点でございます。  確かに地方単独事業が大幅に伸びたということもございますけれども、構造的には、文教、公共事業、それから社会福祉という、これで七割を占めているわけでございまして、ここの部分の構造を国が変えてもらわなければ地方は変えようがないのだということを申し上げたわけでございます。  例えば教職員の、義務教育では第六次ですか、高等学校では第五次の改善計画がございますけれども、義務教育の方の構造改善につきましてはその半分は国が持っていてくれますけれども、高等学校の方は全額地方負担になるわけでございます。結果としましては、そんなことやら、あるいは共済負担金も地方に持てというふうなことも正直言って言われましたが、これは、人件費を持つ以上、共済負担金を持つのは当然のことだということでお断りしましたし、文部省は言い出しましたけれども、支持する者はほとんどございませんでした。それから、あと一年だからやってくれということだったのですが、御案内のとおり、あと一年が三年に延びました。これだけでもかなり助かるわけでございますが、当然、この三年間でこれだけ大幅な見直しがありますと、じゃ、義務教育の方の第七次はどうするのか、高等学校の方の第六次はどうなるのかというところでも大変大きく今後、今までと同じような形で単純なものの改善計画は立てられないと思います。  こういうものは、長期的に見ますと非常に、文教経費を我々として多く負担しなければならぬという構造は改善されるわけでございまして、一つ一つのところでかなり、地方にとりましても歳出構造を少なくしていくという努力を今回国の方でもしていただいた、こう思っております。
  164. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今後の抑制割合は、単純に計算すれば、国は年〇・二五%、地方は〇・一八%と見込まれ、来年度地方財政の赤字比率の上限は二%強となります。そうした枠組みのもとにあっても、地方財政対策はあくまでも地方交付税法の規定に基づいてなされるべきものと考えますが、いかがでしょうか。
  165. 白川勝彦

    白川国務大臣 当然のことでございます。  一部この財政構造改革会議地方交付税交付金についても、何だって国の形から見ると、第一が公債費で、二番目に交付税交付金があって、三番目に社会福祉とくるものですから、ここを何とかしたいと思うような、あるいはそんなことを画策する動きもなかったわけではないようでございますけれども、それはさっき言ったとおり、総理自身が示された、今回のは国及び地方財政赤字を問題にするのだという中で、今、交付税交付金の総額を減らせとか低額にしろなどという話は、最終的にはあの会議では一切出ませんでした。むしろ、細かい補助金を変えて一般財源化をする場合は、この国と地方との負担割合も見直さなきゃいかぬという意見があったぐらいでございます。
  166. 畠山健治郎

    ○畠山委員 「地方交付税の算定や地方債の配分に当たって、各地方公共団体における歳出抑制を促すような措置を講じる。」とされております。一方、その後段では「地方分権推進委員会における議論等を踏まえつつ、地方交付税制度地方制度、」云々と言及しております。  そこでお伺いをいたしますが、前段で言う地方交付税地方債における歳出抑制のための措置とは、具体的にどのような手段を想定なされておるとお考えでしょうか。  また、少なくとも地方制度について言えば、構造改革期間中は現行制度が維持されるものと理解してよろしいのでしょうか。お伺いをいたします。
  167. 香山充弘

    ○香山説明員 地方交付税の算定等についてのお尋ねでございますけれども、当面、私どもといたしましては、各種長期計画やUR対策等に関する公共事業費、あるいは関連いたしました地方単独事業費の抑制等が行われますと、これに対応いたしまして、地方債計画額あるいは地方交付税額の算入の抑制等が行われると考えております。  また、その他の地方単独事業費につきましても、地方財政計画額の計上の抑制を考えておりますので、これに対応いたしまして、地方債計画額あるいは交付税算入額の抑制を行うことになろうと思います。  また、地方債の抑制というもう一つの目的もございますので、この観点からの例えば地方債の充当率の見直し等を考えているところでございます。具体的な内容につきましては、明年度の国の予算編成の動向等を踏まえながら、私どもも明年度の地方財政計画策定過程において確定させていきたいというふうに考えておる次第でございます。  また、地方制度についてお尋ねがございましたけれども、これにつきましては、現在地方分権推進委員会におきまして勧告に向けて御審議をいただいているところでございまして、その結果を待って政府として検討してまいりたいと考えておりますけれども、その際、ただいま御指摘ありましたように、国、地方合わせました財政赤字の縮小が大きな課題となっておりまして、地方債の発行量のコントロールということが避けて通れない道でございます。また、もう一つの事情といたしましては、当面地方財源不足が続きますのである程度特例的な地方債に依存せざるを得ないといったような事情もありますので、そういったことも十分考慮に入れて検討する必要があると考えておる次第でございます。
  168. 畠山健治郎

    ○畠山委員 先ほども申し上げましたように、自治大臣は、地方単独事業について対前年度比マイナスにすると言明され、構造改革でも明記されてございます。  しかし、大臣の言明をまつまでもなく、国は公共投資の繰り延べを図るわけでありますから、それによる長期事業計画に組み込まれている単独事業は当然圧縮されるはずであります。となると、あえて対前年度比マイナスと言明された大臣の意図はどの辺にあるのか、お伺いいたしたいと思います。  また、マイナスとする場合、純然たる自治体単独についても抑制なさるつもりなのか、その辺をお伺いをいたします。
  169. 白川勝彦

    白川国務大臣 財政構造改革会議総理が議長でございますけれども、具体的には国の財政の所管の大臣大蔵大臣であり、地方財政については私であるわけでございます。そして、特に地方から見ますと、国を横にらみにしながら、こっちがストレートにこっちに反映してくるものですから、国の方の歳出構造の見直し、改善、あるいは支出の縮減ということをやってもらえなければ、さっき言ったとおり、地方財政健全化はできない、そういう立場にあったわけでございます。  そういう面でいいますと、地方の方も、我々も財政健全化目標を達成したいので国の方も努力をしていただきたいと言う以上、自治省限りでできることにつきましては、やはりある程度思い切ったことを言わなきゃならないだろう。そういう面では、自治省が単独でできる話というのは地方単独事業でございますので、これにつきましては、例えば平成九年度も国の方は抑制して、しかし消費税分は上乗せいたしましたが、もともと平成九年度の我が地財計画では消費税分をのみ込んで対前年比同額にしたわけでございますので、これについては少なくともマイナスにする。幾らマイナスにするかということは言いませんでした。  ただ、地方一般歳出につきましては、これは単独事業と違いまして国から義務づけられていることがあるものですから、私どもマイナスにしたいというだけじゃだめなところがいっぱいございますので、そういう面では、国の努力があることを前提に地方一般歳出マイナスを目指したい、こう言ったわけでございまして、結果としては単独事業マイナスにし、一般歳出マイナスにいたしたいと思いますけれども、文教、福祉あるいは公共投資、こういう点でのもう少しの具体的な推移を見ないと、一般歳出そのものをマイナスにできるかどうかは私どもももう少し、十二月の作業が必要だと思っております。
  170. 畠山健治郎

    ○畠山委員 単独事業がこの間拡大されてきたのは、国の景気対策の肩がわりをしてきたということが大きな要素だというふうに言わなきゃいけないと思います。  しかし一方では、そうした政策のもとでも、自治体は計画的に単独事業を進めてきたわけでありまして、マイナスとする場合でも、計画的事業運営に水を差すことのないよう、実態に即したマクロとミクロの調整が必要かと考えますが、いかがでしょうか。
  171. 香山充弘

    ○香山説明員 御指摘のありました点は、私ども極めて重要な問題と考えておりまして、地方単独事業の具体的な事業規模等を決めるに当たりましては、地方公共団体の事業計画実施の動向あるいは地方分権推進の観点から、補助対象の縮減あるいは採択基準の引き上げ等を行われることも想定されますけれども、その場合は、地方単独事業でカバーしなくてはならないというような事情もございます。さらには、地方単独事業というのは、地域経済を下支えをしているわけでありまして、一定の枠を確保する必要があります。これらの点を十分に見きわめました上で、平成十年度の地方財政計画策定過程におきまして慎重に検討いたしまして決定してまいりたいと考えておる次第でございます。  また、個々の団体に対します地方債の配分あるいは地方交付税の算定に当たりましては、地域の実情を踏まえまして、またその間の事情をよく地方団体からお聞きをいたしまして、計画的事業執行に支障が生じないよう、適切に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  172. 畠山健治郎

    ○畠山委員 財政構造改革に関連して、もう一点御質問を申し上げたいと思います。  この間、地方交付税の算定をめぐって、政策誘導機能を盛り込むべきだという乱暴な意見も取りざたされておりました。このようなことをすれば、交付税はもはや交付税ではなく、単なる交付金になってしまいます。この点、今後の財政改革に当たっては、交付税本来の趣旨をねじ曲げることのないよう強く要望し、大臣の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  173. 白川勝彦

    白川国務大臣 地方交付税につきましては、畠山委員のおっしゃるとおりだと思います。  ただ、一方では、この委員会でもあるいは予算委員会等でも議論されましたが、例えば徴税率を上げると財源率が高くなってきて結果としては交付税が少なくなるとか、あるいは、人員適正化などで努力をすると結果としてはその分交付税が少なくなるというようなことで、努力をしているところの、その努力というものを評価する仕組みがない。逆に、努力すると交付金が減るというのはいかがなものか。  こういうのは、別に財政構造改革会議議論したわけではありませんが、私ども、今、真剣な関心を持って、合併等もそうかと思いますが、要するに一つの、私たちとして望ましい、例えば行政のスリム化というようなことに努力をされる、結果としては支出経費は少なくなるわけですが、しかし、そこに至るためには大変な労力を使い、あるいは諸改善策などのためには費用も要るんだと思うのでございます。そういうようなことを、理屈上、もう少し見られるような仕組みはないのかな。これはまた来年の交付税法の改正のときに御議論をいただくべきことだと思うのですが、そういうことを考えたことは事実でございますが、交付金でもってペナルティーを与えるとか、あるいは積極的にぐいぐいと補助金のような形で引っ張っていく、こういうものではないのは、畠山委員が御案内のとおりでございます。
  174. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、地方公務員制度についてお尋ねをいたしたいと思いますが、自治省も国の公務員制度調査会と歩調を合わせて地方公務員制度調査研究会を発足させてございます。この研究会の性格並びにここでの議論について自治省は何を期待していらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  175. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 去る五月三十日に地方公務員制度調査研究会を発足させました。  その背景なり趣旨でございますけれども、ことしは、地方自治法施行五十年、また地方公務員制度もその創設後およそ五十年を迎える節目の年でもあります。我が国の社会経済システムも大きな転換期を迎えていると認識しております。そういう中にあって、地方分権推進地方行革、特色ある地域づくりなどの諸課題に積極的に取り組む、また一方では、民間部門における雇用形態の動向にも対応しながら、新しい地方自治の時代にふさわしい地方公務員制度及び運用のあり方について検討を行う場として研究会を設けたところであります。  本研究会においても、総合的な視点に立って、制度及び運用のあり方全般について幅広く御意見を賜りたいと存じております。
  176. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間がなくなりました。最後になりますが、消防組織法の改正によりまして、消防職員委員会が去年から設置されておるはずでありますが、全国の設置状況並びにそこでどんな議論がなされておるのか、職員間で選ばれた委員の選出状況はいかがなものだろうか、その辺のところをお知らせいただきたいと思います。
  177. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 消防職員委員会制度についてでございますけれども、今お話ございましたように、これは昨年の十月一日に施行されたところでございます。現在までに全国のすべての消防本部、九百二十三の本部がございますけれども、すべての消防本部におきまして、消防職員委員会に関する市町村の規則が制定され、消防職員委員会が設置されているところでございます。  それから、制度が発足をいたしましてから半年間の平成八年度の状況でございますけれども、ほとんどの消防本部で会議が開催されておりまして、消防職員の勤務条件や厚生福利、それから消防職員の被服や装備品、消防の用に供する設備、機械器具などの施設、こういうことに関しまして、消防職員から提出された意見について審議が行われたものと承知をいたしております。  また、消防職員委員会委員につきましては、その半数が消防職員の推薦に基づいて指名するものとされておりまして、各消防本部におきましては、これにより委員の指名がなされているところでございます。  私ども消防庁といたしましては、今後とも、消防職員委員会制度趣旨に沿って適切に運営をされまして、各消防本部に円滑に定着されるように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  178. 畠山健治郎

    ○畠山委員 長年の懸案としてせっかく設けられた委員会でございます。今後、これが職場の待遇改善を初めとする問題解決の場として効果的に運営されるよう特に要望して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  179. 穂積良行

    穂積委員長 次回は、来る十二日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十五分散会      ――――◇―――――