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1997-04-22 第140回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十二日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君    理事 田中  甲君 理事 穀田 恵二君       石橋 一弥君    久野統一郎君       下村 博文君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       西田  司君    平沢 勝栄君       持永 和見君    渡辺 具能君       川端 達夫君    斉藤 鉄夫君       笹山 登生君    白保 台一君       福留 泰蔵君    松崎 公昭君       鰐淵 俊之君    葉山  峻君       古川 元久君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君  出席政府委員         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁交通局長 山本 博一君         警察庁警備局長 伊達 興治君         自治政務次官  久野統一郎君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       高橋  毅君         運輸省自動車交         通局貨物課長  福本 秀爾君         運輸省自動車交         通局保障課長  柴田 耕介君         運輸省自動車交         通局技術安全部         保安・環境課長 三宅 哲志君         建設省道路局有         料道路課長   山川 朝生君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   今井  宏君     斉藤 鉄夫君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 鉄夫君     今井  宏君     ――――――――――――― 四月十五日  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号)(参議院送付) 同月二十二日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第七四号)  暴力団員による不当な行為防止等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第八四号  ) 三月二十五日  固定資産評価替えに関する請願(穀田恵二君紹  介)(第一二六一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十二日  警察官の増員に関する陳情書  (第九  五号)  地方自治体の課税自主権の確立に向けた地方財  政制度の改革に関する陳情書  (第九  六号) 四月十日  市町村職員共済年金制度等改善に関する陳  情書(第  一七五号)  自動車運転中の携帯電話使用規制に関する陳  情書  (第一七六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号)(参議院送付)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第七四号)      ――――◇―――――
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付道路交通法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。白川国家公安委員会委員長。     —————————————  道路交通法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 白川勝彦

    白川国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢に対応して、交通事故防止その他交通の安全と円滑を図るため、運転免許に関する規定整備を行い、交通の安全と円滑に資するための民間組織活動等促進に関する規定整備を行い、及び高齢歩行者等保護に関する規定整備を行うこと等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、運転免許に関する規定整備であります。  その一は、公安委員会は、自動車等運転に関し道路交通法等違反する行為で軽微なものをした者に対し講習を行うこととし、これを終了した者については免許効力停止等を行わないこととするものであります。  その二は、公安委員会は、免許取り消したとき等は、五年を超えない範囲内でその処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定することとするものであります。  その三は、公安委員会は、運転者を唆して重大な道路交通法違反をさせた者等について、免許取り消し等をすることができることとするものであります。  第二は、交通の安全と円滑に資するための民間組織活動等促進を図るための規定整備であります。  その一は、公安委員会は、道路における交通の安全と円滑に資するための活動民間の自主的な組織活動として行われるものの促進を図るため、情報提供等必要な措置を講ずるものとすること等であります。  その二は、国家公安委員会は、交通安全教育に関する指針を作成し、公表するものとするものであります。  その他、都道府県交通安全活動推進センター指定等所要規定整備を行うこととしております。  第三は、高齢歩行者等保護を図るための規定整備であります。  その一は、高齢歩行者でその通行に支障のある者が道路を横断している場合等において、必要があると認められるときは、警察官等その他その場所に居合わせた者は、その歩行者が安全に道路を横断することができるように努めなければならないこと等とするものであります。  その二は、普通免許等を受けた者で七十五歳以上の者は、老齢に伴う身体の機能の低下が自動車運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、標識をつけて普通自動車運転するように努めなければならないこととし、車両等運転者は、七十五歳以上の者が標識をつけた普通自動車運転しているときは、その自動車側方幅寄せ等をしてはならないこととするものであります。  その他、七十五歳以上の者の免許証更新に関する特例及び申請による免許取り消し等所要規定整備を行うものであります。  第四は、最高速度違反行為等に係る車両使用者に対する措置高速自動車国道等における自動車交通方法特例交通情報提供等について所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律施行日は、高齢歩行者保護、七十五歳以上の者で標識をつけた普通自動車運転している者の保護高速自動車国道等における自動車交通方法特例及び交通情報提供に係る改正規定については公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日、自動車等運転に関し道路交通法等違反する行為で軽微なものをした者に対する講習及び七十五歳以上の者の免許証更新に関する特例に係る改正規定については公布の日から一年六月を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  4. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 穂積良行

    穂積委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。山本公一君。
  6. 山本公一

    山本(公)委員 おはようございます。自由民主党の山本でございます。  今回の道路交通法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきたいと存じます。  質問に先立ちまして、この四月、警察庁におかれましては人事の変更がございまして、関口長官、そしてまた、きょうは山本交通局長においでを願っております。  まずは関口長官に、長官就任に当たっての警察行政全般にわたる抱負といいますか御決意のほどをお伺いをいたしたいと思います。
  7. 関口祐弘

    関口政府委員 このたび警察庁長官を命ぜられました関口でございます。  本委員会先生方には、平素、警察行政推進につきまして格段の御高配を賜っておりますことに対しまして、厚く御礼を申し上げたいと存じます。  さて、最近、一連のオウム真理教関連事件等、日本の治安史上過去に類例を見ない重大な事件発生をいたしますとともに、犯罪凶悪化広域化国際化が進むなど、治安をめぐる情勢には極めて厳しいものがあります。こうした局面においてこそ、私は、国民のための警察という原点に思いをいたしまして、その実現に向けて地道な努力を重ねていかなければならないと考えているところでございます。  このため、本日御審議をいただきます道路交通法改正等市民生活に直結いたします問題につきまして必要な方策を積極的に推進していくことは当然でありますけれども他方社会に大きな脅威を与えている組織犯罪等に対しましては敢然と立ち向かっていかなければならないと考えるところでございます。  いずれにいたしましても、警察は、悪、不正に対しまして強い存在でなければならない、そうしてこそ善良な市民の安全は確保されるものであると考えるところでございます。これら幾多の治安上の問題につきまして全力を挙げて取り組む所存でありますので、先生方におかれましては、今後ともなお一層の御支援、御高配を賜りますようお願いを申し上げます。
  8. 山本公一

    山本(公)委員 ありがとうございました。  世界に冠たる我が国の警察でございますし、国民信頼は厚いものがあると思っております。信頼を裏切ることのないように、さらに警察力の一層の充実を図っていただきたい、心から要望をいたしておきます。  次に、山本交通局長も新任でございます。交通行政についての抱負をお聞かせを願いたいと思います。
  9. 山本博一

    山本(博)政府委員 交通警察の責務は、道路交通における安全と円滑の確保にあるわけでありますが、とりわけ、悲惨な被害をもたらしております交通死亡事故抑止ということは国民の悲願になっておるところであります。今回、交通局長就任に当たりまして、改めてこのことを強く認識しておるところでございます。  このような中、交通情勢を見てみますとき、昨年は、警察市町村、その他関係機関の積極的な取り組みによりまして、交通事故死者が一万人を下回ったということは大変喜ばしいことでありますが、逆に、交通事故件数史上最高を記録し、また、社会高齢化に伴い、高齢者の関係する交通事故増加が懸念されるなど、今後の交通情勢は楽観できないものがあります。  このような情勢を踏まえまして、当面の最重要課題は、交通事故死者減少傾向を定着させるため、継続的な交通死亡事故抑止対策を強力に推進していくことにあると認識をしております。このため、国民の一人一人の方が交通安全意識を高めていただけるよう、積極的な広報啓発活動参加体験実践型の交通安全教育充実を図るほか交通安全施設整備、また交通違反の的確な取り締まりにも努めてまいりたいと考えております。  また、交通渋滞交通公害につきましても看過することのできない問題であります。適切な交通規制の実施、交通情報提供充実を図り、運転免許保有者が七千万人を超え、自動車国民にとって不可欠の移動手段となっている今日の情勢にふさわしい成熟した車社会ということの実現に向けて努力してまいる所存でございます。  よろしく御指導賜りますようお願いいたします。
  10. 山本公一

    山本(公)委員 一万人を切ったとはいえ、まだ数多くの方々交通事故の犠牲になっておられる現実を考えますときに、まだまだゆめゆめ油断をできるような状況ではないということを深く我々は思うところでございまして、交通行政に一段の力を入れていただきますことをお願いを申し上げておきたいと思います。  それでは、今回の道路交通法改正につきまして質問をさせていただきます。  詳しい質問は後ほどまた同僚議員の方からあろうかと思います。私自身、ちょっと、二、三気になることがこの法案の中でございますので、その点につきまして質問をさせていただきたいと思います。  今回の改正法案、中身を見ますといろいろなことが列記をされております。一体、今回この道路交通法を一部改正するということは、どの辺にまず目的を持たれたのか、そのことについてお答えを願いたいと思います。
  11. 山本博一

    山本(博)政府委員 道路交通情勢を見てみますとき、現在の運転免許保有者は七千万人に達しており、モータリゼーションの進展が我々にもたらす恩恵ははかり知れないものがありますが、他方、昨年の交通事故死者は九年ぶりに一万人を下回りましたものの、交通事故発生件数は七十七万件を超えておりまして、史上最高を記録するなど、交通情勢には依然として厳しいものがあるところでございます。また、交通事故死者のほぼ三割が六十五歳以上の高齢者となっておりますが、今後、社会高齢化に伴って、高齢者が関係する交通事故増加も大いに懸念されるところであります。  今回の道路交通法改正は、このような状況に対応いたしまして、交通事故のさらなる防止を図るため、運転免許に関する規定整備交通の安全と円滑に資するための民間組織活動などの促進を図るための規定整備高齢歩行者などの保護を図るための規定整備などを行おうとするものでございます。
  12. 山本公一

    山本(公)委員 いずれも、いわゆる交通事故のこれ以上の増大に歯どめをかけようという改正だというふうに理解をいたすわけでございますが、その中で、今般気になりますのは、軽微な違反を犯した者に対する講習義務づけというところでございます。  従来も、いわゆる違反をいたしまして免許停止になりますと、停止処分者講習というのですか、私自身経験があるのですけれども、受けまして、刑期というのですか停止期間を短縮をしていただいたことがあるわけでございますが、今回改めて軽微な違反を犯した者に対する講習義務づけというふうにうたっておられます。ちょっとその相違点を簡単に御説明を願いたいと思います。
  13. 山本博一

    山本(博)政府委員 悪質な違反行為等を行うなど、運転者としての危険性が高いと認められる者につきましては、所要行政処分を行いまして、道路交通の場から速やかに排除することが必要であるわけでありますが、今回考えております本制度対象となる軽微な違反を犯した者というものにつきましては、長年にわたる私たちの運転者管理経験によりまして、教育による改善効果というものが期待できると考えられまして、これらの者につきましては、行政処分という大きな不利益を課することなく、講習の受講を義務づけることにより、その者の危険性改善し、道路交通の安全を確保するという目的を達成できると認められるということによるものでございます。  そこで、今回、悪質、危険性の高い者にはその排除をより徹底する一方、一定違反をし、危険性が相対的に低く、講習による改善が期待できるという者に対しましては、一定講習を受けることを義務づけることとし、講習を受けた場合には行政処分を行わないこととしたものでございます。
  14. 山本公一

    山本(公)委員 従来の停止処分者講習というのは、いわゆる義務ではなくて、任意でその講習を受けていたのだと思いますが、それは間違いないですね。(山本(博)政府委員「はい、そうでございます」と呼ぶ)今までの停止処分者講習というのは、任意で我々は受けさせていただいて、停止期間が短くなったということですね。  今回、軽微な違反を犯した者については講習義務づけるというようにうたってあるわけでございまして、その中で、いわゆる一定社会参加活動を選択することができるというところもあるわけなのですけれども講習というのと一定社会参加活動、どのように整合性を持たせた話になっているのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  15. 山本博一

    山本(博)政府委員 今回導入いたします講習は、いわゆる軽微な違反を繰り返す者がその対象となるものでありますが、このようなものにふさわしいものといたしまして、軽微な違反も大きな事故につながり得るということ、また他の人に著しく迷惑をかけていることなどを理解させまして、みずからの運転行動のあり方を考えさせるような内容とすることを考えておるところでございます。  その結果、これまでの停止処分者講習が、どちらかというと座学・講義型でありましたが、今回の講習は、参加体験実践型の内容を取り入れ、また交通安全活動を実際に体験する社会参加活動を導入するなど講習内容多様化ということを図りまして、より効果が上がるものになるように検討してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  16. 山本公一

    山本(公)委員 いわゆる社会参加活動をすれば講習にかわるものというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  17. 山本博一

    山本(博)政府委員 講習の一環として社会参加活動をやっていただくわけでありまして、社会活動をやることによりまして講習義務を果たしていくということになろうかと思っております。
  18. 山本公一

    山本(公)委員 ちょっとよくわからないのですけれども。  ところで、その社会参加活動というのは一体どのようなものを想定していらっしゃるのですか。一部新聞報道、先走って書いてありましたけれども、いわゆるボランティア活動をすれば行政処分を受けなくて済むというように単純に書いてあった新聞報道もあったように思うのですけれどもボランティア活動というのは、昨今非常に盛んになってきたのですけれども非常に範囲が広い。この間うち、日本海でナホトカの油が流れたときに、油の除去にみずからお行きになった方もこれはボランティア活動。極論すれば、我々の選挙運動運動を応援していただく方もこれはボランティア活動。そういったボランティア活動範囲が非常に広い中で、社会参加活動ということが新聞報道でぽんとああいうふうにボランティア活動と言われてしまう。それに私は、非常にこの交通違反の、先ほど局長が言われた教育による改善効果が期待できるということと結びつかないような部分が随分あるような気がしてしようがないのです。  もう一度申し上げますが、社会参加活動というのは大体どのようなものを想定されて、こうやってうたっておられるのか、御説明を願いたいと思います。
  19. 山本博一

    山本(博)政府委員 今回、講習の一態様として社会参加活動なるものを導入することとしておるわけでございますが、これは、社会参加活動なるものが運転者資質向上に資するものであるからでありまして、その具体的内容はそのような活動に資するものに限定しなければならないことは言うまでもないものと思っております。  具体的には、現在考えておりますものは、交差点や横断歩道等において高齢者や児童などが道路を横断する際の誘導や交通安全教育を行う際の補助などの交通安全活動参加してもらうことでありまして、これによりまして交通弱者の視点で道路交通の場を見直すことができるものではないかというぐあいに見ておるところでございます。  なお、一般のボランティアの方もこのような活動を多々行っておられるところでございますが、社会参加活動として行うこの種の活動外形においては同じような形をとるわけでございますけれども違反者講習における社会参加活動は、みずからの運転行動改善に資するため、現場での体験講習的な位置づけで考えているものでありまして、外形は似てはおりますが、ボランティア活動そのものとは性格を異にするものと私どもは考えておるところでございます。
  20. 山本公一

    山本(公)委員 つまり、私が想像するのですけれども交通安全協会なりその町の交通安全のいわゆる認知をされた組織がいついつこのような活動をいたします、これに手伝いにいらっしゃいよ、手伝いに来たら証明を出しますよというような感じになっていくんですかね。要するに、ある種の権威のある、警察署が認めるような組織が行う社会参加活動のみが今回の範疇であるというように理解してよろしゅうございますかね。
  21. 山本博一

    山本(博)政府委員 先生指摘のとおりでありまして、今回私どもが考えております社会参加活動は、先ほども申しましたように、運転者資質向上に資するものでなければならない、このように考えておるところでございます。  したがいまして、その具体的な内容、また具体的な確認の方法等につきましては、ひとつ御指摘の点を踏まえながら、十分検討してまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  22. 山本公一

    山本(公)委員 はっきりお答えが返ってこないのですけれども、私は、今回のこの法案をずっと読んでおりまして、この辺が非常にあいまいもことしたもので、ああいうような新聞報道が出て、さも違反を犯した者がボランティア活動を、どの範囲か知りませんけれども、そういったことを行えば行政処分を受けなくて済む、そこからひょっとしたらこの法案交通事故を増大するといったことにつながらないかというような懸念が生まれてきたのではないかというふうに思っておるわけでございまして、今局長言われたこの趣旨が、本当に教育による改善効果が期待できるということでこの法案をおつくりになったのだろうと思いますから、それが生きるような、社会参加活動というものに対するはっきりしたものを、国民にわかるようにしていただきたい。あいまいもことしたもので、私は、社会参加活動と言わずにはっきり社会奉仕活動生言った方がいいような気がするのです。社会奉仕をやりますから御勘弁願います、言わんとするところがはっきりしていいような気すらいたしておりますので、ああいうような新聞報道に出るような感じ社会参加活動という誤解を招かないように、ぜひきちんとした指導をしていただきたい、そのように思うわけでございます。  それと、もう時間が余りありませんのでその次に、高齢者運転免許についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  今回、大変厳しい法律用語で書いてあるのですけれども、「公安委員会は、免許を受けた者の申請に基づき、その者の免許を取り消すものとする。」というふうにあるのですけれども、従来、お年寄りというかかなりの高齢者方々は、御自分が非常に運転をする能力が、体力的な能力、さまざまな能力がないという判断をされて、自発的に更新を行わずに、そして効力が失効するのを待つというようなことが、言ってみれば良心的な高齢者ドライバー運転免許に対する考え方であったのだろうと思います。それを今回、自発的に申請して、私は免許証を返したいという方に対して取り消しができるというような、このような項目になったのだろうと思います。  そこで、実は私の方の地元で、この間うち新聞が少しうがった書き方をしていまして、免許証を返納した高齢者の方に感謝状を渡したというような記事が載っておりました。あれ、まだこの法律が通っていないのに返納ということがあるのかなといささか不思議に思ったのですけれども、その実態を御存じですか。
  23. 山本博一

    山本(博)政府委員 お答えいたします。  私どもの知るところによりますと、愛媛県では、運転に不安を持っている者や運転の必要がなくなった高齢者などから、自後自動車等運転をせず、免許証を返したい旨の相談や申し出があった場合には、警察署においてその意思を確認した上、警察署長と地区交通安全協会長の連名で永年運転者顕彰状というものを交付しておるようでございます。これは、顕彰状の中に免許証を張る部分がつくられておりまして、顕彰状をいただくと同時にそこに免許証を張って掲げておくという形になっておるもののようでございます。
  24. 山本公一

    山本(公)委員 いわゆる法の改正に先駆けて、免許証を返納された方に対して警察がそのような感謝状というのを出しておられるのだろうと思います。  私の持論でございますけれども免許証は一代のものでありますけれども、近辺の交通事故を見ておりますと高齢者の方が引き起こす事故というのは随分と多い。私の方は田舎でございますので新聞に毎日出ているのですけれども、大体運転者高齢の方が多いような気がいたしております。一概にそうは言えないと思いますけれども、やはりお年を召してくると運転能力というのは低下をしていく。いわゆる反射能力というのですか、どんどん低下をしていくのだろうと思います。  そういった方々が自発的に免許証をお返しになる、返納されるような行為がこれからこの法改正によって随分起きてくるだろうと思いますけれども、その際に、今局長が言われましたように、愛媛県では警察署長と交通安全協会の協会長名で感謝状を出しておるのですけれども、その感謝状の少しグレードアップというのはできないものですかね。県警本部長の名において長年御苦労でございましたというようなことをする、そうすると、ある程度年をとって自分が自覚をしてきたときに、免許証を返すとこういうことがあるんだなということになっていく。そうすれば、少しでも高齢者ドライバーによる事故防止につながっていくかもしれない。それを考えますときに私はそういうことをちょっと考えるのですけれども、最後にそれについてお答えをいただきまして、終わりたいと思います。
  25. 山本博一

    山本(博)政府委員 現在は、免許を受けた者の申請によりまして免許効力を失わせるという手続が定められておりませんので、各県警におきましてはいろいろ工夫を凝らして対応しておるのが現状でございます。愛媛県の例もその一つではないかというぐあいに思っておるところでございます。  愛媛県のような制度につきましては、高齢運転者に係る交通安全の確保のための施策として行われているものでありまして、それなりに評価できるものでありますけれども、本人の意思を十分尊重すべきであるという問題が残されております。また、免許証効力を失効させる手続でないという問題点もあるわけでございまして、運用に当たりましてはそれなりの配意をしていかなければいかぬのではないかというぐあいに思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、今回の改正案によりまして、この問題につきましては一つの答えが用意されるところでございます。今後は制度の周知徹底を図りまして、この制度が適切に運用をされるようこちらの方面からいろいろ指導してまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  26. 山本公一

    山本(公)委員 ありがとうございました。  あと中野議員の方から詳しい質問をさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、法を改正したその趣旨が生きるように、字句だけ読んでおりますと少しいかがかなと思うようなことが随分あるわけでございまして、それが本当に適正に運用をされますように一段の工夫をしていただきたい、最後にお願いを申し上げまして質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  27. 穂積良行

    穂積委員長 次に、中野正志君。
  28. 中野正志

    ○中野(正)委員 自由民主党の中野正志でございます。道交法の一部を改正する法律案に関連して、今その改正趣旨、ねらいについては御説明をいただいたところでございますけれども、私からも六、七点ほどお伺いをさせていただきたいと存じます。  先ほど来話がありましたように、平成八年、久方ぶりに交通事故死亡者数が一万人を下回ったということでございます。大変幸いなことではありますけれども警察庁はその原因、理由は那辺にあるかなと分析をしておられるのか。ただ、交通事故発生件数は、御報告にありましたように七十七万件を超えました。また、四年連続過去最高の記録ということであります。負傷者数も九十四万人以上ということで、これは最悪の状況でありますけれども、どういったことを意味しているのでありましょうか。まず、今後のこういった交通情勢についての警察庁の認識をお伺いいたしておきたいと存じます。
  29. 山本博一

    山本(博)政府委員 先生指摘のように、平成八年中の交通事故発生状況は、発生件数が七十七万一千八十四件、また死者数は九千九百四十二人となっており、死者数こそ九年ぶりに一万人を下回ったわけでございますが、事故件数は史上最高という数字を記録したところでございます。  また、最近の交通事故死者の傾向といたしましては、若者の死者が平成三年以降減少傾向を示しておりますのに対しまして、高齢者は昭和六十三年以降増加傾向にあります。平成八年の高齢者の死者は、九年ぶりに対前年比で減少しましたものの、四年連続して死者数の最も多い年齢層となっておりまして、また二年連続して全死者の三割を占めるなど、今後高齢者の死者の増加が懸念されるところでございます。  交通事故のない安心で安全な社会実現ということはすべての国民の悲願でありまして、また交通事故国民の日常生活の中で最も身近な関心の高い問題でありますところから、警察といたしましては、今後とも引き続き関係団体、とりわけ住民に最も身近な団体であります市町村との連携をさらに一層強化し、すべての国民交通安全の活動の場に積極的に参加できるような広報啓発活動交通安全教育交通安全施設等の整備充実、さらには指導取り締まりの強化等の施策を引き続き講じてまいりたいと思っておるところでございます。
  30. 中野正志

    ○中野(正)委員 今、高齢者が関係する交通事故増加が懸念されるというお話でありましたけれども高齢者が関係する交通事故の特徴についてお伺いをしたいなと思います。  それから、社会高齢化が進展する中で、高齢者が長生きしてよかった、そう思えるような社会をつくるということは大変重要でありますし、私ども中堅世代のまさに責任と使命でもあります。高齢者の死者数が急増している、あるいは六十五歳以上の高齢者と十六歳から二十四歳までの若い世代で交通事故の過半数を占めるということは、安全あるいは安心な社会ではないということにもなるのではないか。そういう意味で高齢者交通安全対策は大変重要な課題だと私たちは承知をいたしておりますけれども、今回の道交法改正のほかに警察庁としてこれからそういった問題にどう対処されていくおつもりか、考えをお聞かせをいただきたいと存じます。
  31. 山本博一

    山本(博)政府委員 急激な社会高齢化に伴いまして、高齢者が関係する交通事故も非常に増加してきており、高齢者交通安全対策の充実高齢者が安心して暮らせる環境づくりに不可欠であると認識しておるところでございます。  このような観点から今回の改正お願いしておるところでございますけれども、このほかにも、警察といたしましては、高齢者に優しい交通社会実現ということを目指しまして、幾つかの施策を推進しておるところでございます。  少し例を挙げさせていただきますと、一つには、高齢者のみずから学習しようという意欲を高める参加体験実践型の交通安全教育というものを積極的に推進いたしております。  また、運転適性検査機器を利用した運転適性検査の実施、運転シミュレーターの活用による安全運転指導の推進ということについても対応をいたしておるところでございます。  さらには、歩行者用信号が青のときに音が出る視覚障害者用の信号機、それから、押しボタン等により歩行者用信号機の青時間を長くするような弱者感応信号機等の高齢者の安全確保に配意した交通安全施設整備充実ということにつきましてもいろいろ努力しておるところでございます。  さらには、交通弱者が安全かつ円滑に通行できる交通環境の整備を行うというコミュニティーゾーン対策の推進、こういうことにつきましても鋭意積極的に取り組んでおるところでございまして、これらを通じまして、総合的に高齢者に優しい交通社会実現ということを目指してまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  32. 中野正志

    ○中野(正)委員 今、大変多角的な側面からの対応策をお示しをいただきました。やはり高齢運転者による交通事故防止という点では、その年代にふさわしい効果的な運転者教育というものが必要になる。今回導入しようとしている高齢者講習については、現在、更新のときの講習があるわけですけれども、それと比較してどういう点が異なっているのか。また、どういった効果を予測されておるのか。それもお伺いをいたしておきたいと思います。  同時にまた、高齢者交通の安全を確保することも大変大事なことであります。高齢者自身交通安全意識を高めるというお話もございました。また、高齢者以外の人たちが高齢者に対して優しい行動をとることを心がけることも大変重要になってまいります。調べてみますと、高齢者の死者数については歩行中の事故で亡くなるケースが圧倒的に多いという統計でありますから、なおさらだと思います。警察庁としてそういう意味でのどういった対策を講じられていくか、あわせお伺いをいたしておきたいと思います。
  33. 山本博一

    山本(博)政府委員 まず講習についての点でございますが、現在行っております更新講習は、免許証更新をしようとするすべての運転者対象自動車等運転に必要な知識等について行われるものでありますが、この中で高齢者に対しましては、やはりそういうような特性に応じた講習を行うべきだという観点から、高齢者学級というものを編成いたしまして、高齢運転者事故実態、運転適性検査器材等を活用した指導などを内容とする教育を行うように努めておるところでございますが、これにつきましては時間等の制約もありまして、必ずしも十分と言えないのが現状でございます。  一方、今回の改正で導入しようとしておりますいわゆる高齢者講習は、七十五歳以上の者に対しまして免許証更新の機会に行うわけでございますが、更新講習内容に加えまして、実際に自動車運転させるなどしまして、高齢者に特有の身体機能の低下を自覚させたり、さらにそれに応じた安全運転の方法について具体的に指導することを予定しておるところでございまして、高齢運転者事故防止交通安全の確保に効果のある講習になるように努めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。  それから、高齢歩行者保護の問題でございますが、この問題につきましては、今さっき先生指摘のように、高齢歩行者事故が非常に多いわけでございまして、私たちもいろいろ懸念しておるところでございます。  このような観点から、今回二つの規定を盛り込まさせていただいたところでございます。  一つは、横断時における高齢歩行者保護に関する規定であります。これは、高齢歩行者の死亡事故道路を横断する際に多く発生しているという現状を踏まえまして、歩行に支障のある高齢者道路を横断しようとしているときは、周囲に居合わせた者が誘導、合図等を行うことによりまして、高齢者道路を安全に横断することができるようにするというものでございます。  また二つ目は、運転者に対して高齢歩行者保護義務を課すというものでございます。これは歩行に支障のある高齢者道路を通行しているときは、運転者は一時停止または徐行をしてその通行を妨げないようにしなければならないというものであるわけでございます。  その他、高齢運転者に対して、またいろいろな改正規定を今回お願いしておるところでございます。  以上でございます。
  34. 中野正志

    ○中野(正)委員 何につけ、今日の日本をおつくりをいただきましたのは、まごう方なく高齢者方々であります。先ほど申し上げましたように、安全だ、また安心だ、そういう地域社会を形成をしていかなければならない。一万人前後の国民方々、その三割以上が高齢者だということであれば、ある意味で交通戦争に巻き込まれて亡くなったということになるわけでありますから、大変なことであります。今後ともの警察庁の御健闘を期待をいたしておきたいと思います。  なお、先ほども議論になりましたけれども、今回の改正では、軽微な違反を犯した運転者については講習を受ければ行政処分を課さないこととするということでありますけれども、これによって違反行為を助長して、かえって交通の安全を阻害することになるのではないかという懸念も持つところでありますけれども、まずその第一点、お答えいただけますか。
  35. 山本博一

    山本(博)政府委員 今回の、軽微な違反をした者に対します講習義務の問題でありますが、運転者としての危険性が高い者は、先ほど申しましたように道路交通の場から速やかに排除することが必要であるわけでございますが、軽微な違反を犯した者につきましては、教育による改善効果が期待できると考えられますため、行政処分という大きな不利益を課することなく、講習の受講を義務づけることにより、その者の危険性改善し、道路交通の安全を確保しようとしているものでございます。  このようなものでありますので、このことによりまして即違反行為を助長するということにはならないのではないかというぐあいに私ども考えておるところでございますし、またこの講習内容につきましては、十分な効果が上がるようにいろいろ工夫をしてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。  また、受講しない者につきましては、その者の免許効力停止することといたしております。また、講習受講後一定期間内に再び違反をした者につきましては、免許効力停止を行うことともしておるところでございます。全体として違反行為を助長するということにはならないように十分配慮をしてまいっておるつもりでございますし、またそのように配慮してまいりたいと思っておるところでございます。
  36. 中野正志

    ○中野(正)委員 敷衍して申し上げれば、その講習内容ボランティア活動などの参画もその一つだとされているようですけれども、さっきお話がありましたけれどもボランティア活動というのは本来自発的に行われるのですね。行政処分を免れるための活動というのは、私はちょっとボランティア活動とは言えないのではないかな、そう思っておるのでありますけれども、いかがでございましょうか。
  37. 山本博一

    山本(博)政府委員 御指摘のとおりでありまして、私どもが現在考えております社会参加活動なるものはボランティア活動とは性格を異にするものというぐあいに考えておるところであります。あくまでも講習の一態様といたしまして現場で体験講習的な活動をやっていただこうということ、それによりまして交通弱者の立場で物事を見ることができるものというぐあいに位置づけておるところでございまして、任意に自発的に奉仕的な立場から行われるボランティア活動とは、形の上では似ておるものではありますけれども、性質としましては全く異なるものであるというぐあいに考えておるところでございます。
  38. 中野正志

    ○中野(正)委員 そう理解をさせていただきたいと存じます。  続きまして、「共同危険行為等の重大な違反行為をさせた者等について、免許を取り消すことができることとする。」こうありますけれども、これは率直に言って、暴走族の親玉というか領袖というか首謀者というか、そういう対応だと理解してよろしいですね。
  39. 山本博一

    山本(博)政府委員 現在の道交法の規定によりますと、共同危険行為違反者は一回で免許取り消し処分を受けることになるわけでありますが、みずから運転行為を行わないいわゆる暴走族のリーダー等につきましては、現行の規定では運転免許停止処分はできますが、取り消し処分を行うことができないということになっております。  暴走族のリーダーはみずからは運転せずに暴走行為の指揮を行うにとどまるものでありますが、その危険性違反行為を行っている者と変わらず、運転者としての危険性は十分にあるものというぐあいに思っておるところであります。そこで、今回の改正におきましては、このような者について免許取り消しをすることができることとすることにより、道路交通の安全を確保しようとしたものでございます。  取り消し対象は、運転者に重大な違反をさせた者及び運転者の重大な違反を助ける行為をした者等となっておりまして、首謀者等に限られるものではありませんが、首謀者等は確実にこの範囲中に入るものでございます。
  40. 中野正志

    ○中野(正)委員 私も県議会議員時代から暴走族対策についてはいろいろ提案をさせていただきました。仙台でありますけれども、毎週末、あらゆる国道、それから仙台国際貿易港の背後地、大変なものであります。これから暖かいシーズン、暑くなるシーズンになりますと、まさに傍若無人といいますか、跳梁ばっこぶりというのは、多くの県民の皆さんからもひんしゅくを買っておるのであります。  よく言われるのでありますけれども、シャットダウン作戦というのですか、ああいう方法をとるとか、もっともっと、これ以上の暴走行動をやったら警察はおっかないんだぞ、それぐらいの徹底した封圧作戦をぜひ警察庁に、なおさらに期待をいたしたいと思っておりますけれども、御所見をお伺いしておきます。
  41. 山本博一

    山本(博)政府委員 暴走族が年々住宅街に入り込んでおりまして、地域住民の方々に大きな被害を与えておるということは十分承知しておるところでございまして、私どもも暴走族に対しまして強力な対応を引き続き実施しておるところでございます。  特に、これから夏場にかけまして暴走族の行動が活発化する時期でございます。例年この時期、月間を設定いたしまして強力な対応をしておるわけでございますが、本年もまた、より工夫を凝らしました対応をし、取り締まりの強化に努めてまいりたいと思っておるところでございます。  加えまして、今回はこのような改正お願いしておるところであります。これを承認されました場合には、この規定を十分に活用し、関係団体、さらには学校、家庭、地域社会等と連携しながら暴走族追放の世論醸成を図っていく必要があろうかと思っておりますし、また暴走族の蝟集場所の解消、それから車両の不法改造を抑制する措置等いろいろ対策を講じまして、幅広い総合的な施策をやっていく必要があろうかと思っておるところでございます。  今後、これらにつきましても、各都道府県に設置されております暴走族対策会議、こういうものを活発に活用いたしまして、積極的に取り組んでまいりたい、このように思っておるところでございます。
  42. 中野正志

    ○中野(正)委員 ぜひ重大覚悟で頑張っていただきたいと思います。  次に、今回の改正案では、民間組織活動として行われる交通安全活動促進するために、都道府県公安委員会が必要な措置を講じることとされております。このような規定は具体的にどういうことを指すのか、また、こういった規定を盛り込むことにされた理由は何なのか、お伺いをいたします。
  43. 山本博一

    山本(博)政府委員 昨年は九年ぶりに交通事故死者が一万人を下回りましたものの、交通事故発生件数は戦後最も高い数字を記録するなど、依然として厳しい交通情勢にあるところでございます。  こうした状況におきまして、交通の安全を維持確保していきますためには、警察その他の行政による交通安全対策が的確に行われますとともに、民間の自主的な交通安全活動が積極的に展開されることも極めて重要なことだというぐあいに思っておるところでございます。  こうした民間の自主的な組織活動促進を図りますため、警察が、例えば交通少年団に対し児童の交通事故発生状況に関する情報提供したり、幼児交通安全クラブが母親、幼児等に対して実施する交通安全教室に、その求めに応じて警察職員を講師として派遣するなど、これらの活動促進に役立つ措置を講じていくこととなれば、民間の自主的な組織活動促進に大きく寄与するものと私ども考えておるところでございます。  そこで、このような民間の自主的な組織活動促進を図るために必要な措置が都道府県公安委員会によって積極的に講ぜられるようにするために、今回の改正ではこうした措置を都道府県公安委員会が講ずるものとしたものでございます。  また、近年、高齢者交通事故増加するなど、高齢者を初めとする地域住民に対する交通事故防止に関する意識啓発や交通安全教育の必要性が高まっておりますところから、地域交通安全活動推進委員というものが任命されておりますが、こういうものにつきまして住民に対する交通安全教育を行わせることといたしまして、民間の自主的な組織活動の活発な展開と相まって、地域の交通安全に寄与していくことも期待しているところでございます。  さらには、交通安全を確保していくためには、このほか、警察以外の行政機関、団体による交通安全対策が的確に行われることも重要であります。例えば高校生等の若者の交通死亡事故防止を図るためには、教育関係の機関、団体と連携して交通安全教育等の諸対策を講ずるなど、関係機関、団体とも連携をとりながら的確な交通安全対策を講じていくことも必要でありまして、こういうことにつきましても積極的に対応してまいりたいと考え、今回の改正お願いしておるところでございます。
  44. 中野正志

    ○中野(正)委員 ありがとうございます。  今お話がございましたけれども、とりわけ十六歳以上の若年層の交通事故また交通事故死亡者も多いということにかんがみますと、中等教育の後期段階でもっともっと交通安全教育もしなければならない。今お話をいただいたとおりでありますけれども教育委員会、文部省を含めて、関係機関ともしっかり対応していただきたいな、そのこともあわせ申し添えさせていただきます。  なお、今般の規制緩和推進計画に、運転免許証の有効期間の延長ということについて盛り込みをされております。私は、行政改革という観点からも、あるいはドライバーの利便性からも、今の三年そして五年、この有効期間をもう一歩踏み出すべきではないかと考えるのでありますけれども、いかがでしょうか。
  45. 山本博一

    山本(博)政府委員 運転免許証の有効期間の延長の問題につきましては、第二次臨時行政調査会以来の議論を経まして、平成四年六月十九日の臨時行政改革推進審議会答申、また平成五年度行政改革大綱の閣議決定がなされまして、これを受け道路交通法改正を行いまして、平成六年五月十日からは、従来の一律三年を、優良運転者につきましては五年に延長するといういわゆるメリット制を導入したところであります。  これは、一定期間違反を継続した優良な運転者につきましては、運転免許証の有効期間を延長するというメリットを与えることによりまして、運転免許保有者を優良な運転を行う方向に誘導し、もって交通事故防止推進を図ることとしたものであります。  この制度は、実施されていまだ三年でございます。したがいまして、現在の制度のもとでは、運転免許証の有効期間を五年とされた者の有効期間満了時の適性の状況、また有効期間が満了するまでの運転行動等が期待したもののようになっておるかどうかということにつきましては、確認ができておらないところでございます。  このような意味におきまして、平成九年度規制緩和推進計画におきましては、「自動車運転免許の有効期間の延長については、平成九年度に調査に着手し、その調査結果に基づき、交通安全の確保に配慮しつつ早急に検討する。」という形で方向づけがなされたものと私ども承知しておるところでございます。
  46. 中野正志

    ○中野(正)委員 平成六年に改正されて五年ということで、この九年度、検討するということであれば、早ければ平成十一年にはあるいは有効期間の延長ということについては可能性があると理解していてよろしいですか、局長さん。
  47. 山本博一

    山本(博)政府委員 運転免許証の有効期間の延長につきましては、平成六年五月に導入された現在の制度につきまして今後必要な調査を行っていくわけでございまして、「その調査結果に基づき、交通安全の確保に配慮しつつ検討する。」と書かれておるところでございます。結論がいつごろになるかにつきましては、現段階では確たることを申し上げることはなかなか難しいのではないかというぐあいに思っておるところでございます。
  48. 中野正志

    ○中野(正)委員 いずれにしましても、交通安全はみんなの願いということで、警察庁含めまして、私どもも含めまして、ともどもで頑張っていかなければならないと思っております。  なお、残り時間がちょっとでございますので、この機会に、生活安全局長さんですか、一つお伺いをいたしておきたいと思います。  新聞に大きく掲載をいただきましたけれども、宮崎県警がこの十七日そして十九日、北朝鮮籍の船長や貿易関係者を覚せい剤取締法違反で逮捕され、現在取り調べ中ということだと思います。伺いますと、覚せい剤が約五十キロ、末端価格で約八十億円というのですから、びっくり仰天しております。しかし、それを検挙したというのはまさに快挙であると思います。ハチみつとされていた積み荷から覚せい剤が見つかったということでありますけれども、素人予測ながら、今までも繰り返しそういうことがあったのではないか。あのとおりの国柄でありますから、麻薬、覚せい剤を国ぐるみで製造しておるという一部のマスコミ報道もあります。そういたしますと、私どもの日本の国益上も、また治安上もゆゆしき事態だと思うのであります。  そういう意味で、捜査中だとはいえ、その中身、あるいは今後、ここまで出てきたのでありますから、今まで以上の徹底した取り締まり、取り組みというものをしなければならない、そう思うのでありますけれども、ぜひ御所見をお伺いしておきたいと思います。  ちなみに、あの国でありますけれども、本会議でも議論されましたように、かつて多くの日本人拉致事件にかかわったのではないかと推測もされます。平成元年には麻薬で検挙もされました。また、元日本赤軍の活動家がタイでにせドル札所有ということで逮捕もされております。また、近々は、黄元書記、ああいう亡命事件がありましたけれども、きのうの新聞を見ますと、もう一族から何から含めまして百人以上が粛清の対象だ。ある意味で全体主義を志向する国家共通ではありますけれども、逆に言いますと、また特異な国でもありますが、日本海からすぐの国でありますから、私たち日本として厳重な取り組みをしなければならない。お考えをお示しをいただいておきたいと思います。
  49. 泉幸伸

    ○泉政府委員 御質問事件は、四月十五日、門司税関から宮崎県警察に対しまして、北朝鮮船籍の貨物船から陸揚げされたハチみつの缶の中に不審物、どうも覚せい剤らしいものが発見されたという通報に基づきまして、捜査を開始いたしました。当該ハチみつの缶の中から、大量の覚せい剤が隠匿されているのを確認し、関係者を逮捕して、現在捜査中のものでございます。  この事件につきましては、元来覚せい剤などの薬物の密輸入は、御指摘のとおり、我が国の治安に深刻な影響を与える重大な犯罪であります。現在、宮崎県警、大阪府警を中心とした警察、あるいは税関当局、海上保安庁等関係機関が連携して、この事案の真相について徹底した捜査を行っているところでございます。  今後ともこの種の事案、薬物等の事案につきましては、先ほど申しましたような観点で厳格な取り締まりを行い、またその防止対策に全力を挙げていく所存でございます。
  50. 中野正志

    ○中野(正)委員 頑張ってください。  終わります。
  51. 穂積良行

    穂積委員長 次に、富田茂之君。
  52. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田でございます。  私の方からは、改正案の、交通の安全と円滑に資するための民間組織活動等促進を図るための規定整備、その一つとして、道路使用適正化センターを交通安全活動推進センターへ改組する、改正案の条文でいうと百八条の三十一、百八条の三十二関連になると思いますが、この点につままして、なぜこういうセンターの改組が必要なのか、またその改組の目的はどういうところにあるかをまずお聞きしたいと思います。
  53. 山本博一

    山本(博)政府委員 高齢運転者交通死亡事故増加しているなど、最近の厳しい交通情勢にかんがみますと、今後さらに交通事故防止を的確に図っていくためには、高齢運転者のそれぞれの心身機能の適性に応じた安全な運転方法について指導を行う運転適性指導、また交通事故被害の軽減等のための交通事故相談、さらには交通の安全に関する広報啓発活動が積極的に推進されることが非常に重要なものになってきていると思っておるところでございます。  他方、このような活動につきましては、その内容次第で交通の安全と円滑に大きな影響を及ぼすものでありますし、さらには運転適性指導につきましては、活動の性質上、個人の秘密にも深く関与いたしますことから、このような事業を行う団体の法律上の位置づけを明確にするとともに、従事する役職員等の守秘義務規定を設けるなど、法律上指導監督規定整備しまして、適正かつ確実な事業の実施を確保することがこうした活動推進する上で必要であると考えるところでございます。  そこで、このような観点から、現行道路交通法上の道路使用適正化センターの事業に、運転適性指導、交通事故相談といった事業を加え、同センターを、これらの新規の事業を含めた事業を行う団体の名称にふさわしい交通安全活動推進センターに改組するということにしたところでございます。  以上が目的及び必要性ということであろうかと思っております。
  54. 富田茂之

    ○富田委員 今の御説明ですと、道路使用適正化センターに、交通安全についての啓発活動とか交通事故相談という新たな交通指導に関する業務を入れていく、そのための関係規定整備しているんだという御説明だと思うんですけれども道路使用の適正化というのと交通安全活動推進というのはちょっと方向性が違っているんではないかな。全く新たな業務を加えてきて、それなのに、道路使用適正化センターを改組して、そこに新たな業務を加えるんだ。それだったら、交通安全活動について全く別の何かセンターなりをきちんと整備して、そこに集中的にやらせればいいんじゃないかな、そういう疑問を持ったものですから質問させていただいたんですが、そういう議論はこの改正案をつくる際にはなかったんでしょうか。
  55. 山本博一

    山本(博)政府委員 現在、道路使用適正化センターにおきましては駐車とか道路使用に関する事業を行っておるわけでございますが、これらのほかにも交通安全に関する啓発活動も行うことができることとしておりますし、また、これらの事業を行っております団体が一般的な交通安全活動を積極的に行っておるところでございます。別々に組織をつくりますよりも、一体的にこれらを運用していった方がより効果的、合理的に行えるという判断のもと、今回このようなセンターの改組という形で対応することをお願いしておるところでございます。
  56. 富田茂之

    ○富田委員 ちょっとよくわからないんですけれども、これまで道路使用適正化センターとして、これまでの条文でいいますと道路交通法の百十四条の人とか百十四条の九で、都道府県の道路使用適正化センターと全国道路使用適正化センターというのがあって、それぞれ一つずつ指定されていたと思うんですが、これは、ちょっと質問に当たってあらかじめレクチャーを受けましたら、ほとんど交通安全協会が指定されている。全国もそうだし都道府県もそうだということで、ちょっと法文の体裁からいうと、民法三十四条に当たる公益法人で、こういう活動をするものを指定するんだとなっている割には、最初から交通安全協会が指定されることが予定されているような実態になっているようで、ちょっとそのあたり、もともとの現行の法文からしてもその点どうなのかな。  なぜ交通安全協会だけが指定されてきたのか。今後も、交通安全活動推進センターに改組しても当然また交通安全協会のみが指定されるようになると思うんですけれども、そのあたりに何か問題はないのか。ちょっと疑問に思うのですが、その点はどうでしょうか。
  57. 山本博一

    山本(博)政府委員 先生指摘のように、現在、全国道路使用適正化センターとしては財団法人全日本交通安全協会が、都道府県道路使用適正化センターとしては各都道府県の交通安全協会が指定されておるところでございます。  このように、全日本交通安全協会が全国道路使用適正化センターに、都道府県交通安全協会が都道府県道路使用適正化センターにそれぞれ指定されておりますのは、全日本交通安全協会及び都道府県交通安全協会が、それぞれ全国道路使用適正化センター、都道府県道路使用適正化センターの指定の要件であります「道路における交通の安全と円滑に寄与すること」を目的として設立された公益法人であり、かつ、全国道路使用適正化センター、都道府県道路使用適正化センターの事業を適正かつ確実に行うことができる公益法人であると認められていることによるものでございます。
  58. 富田茂之

    ○富田委員 それでしたら、この交通安全協会以外にそういうこの規定に当たるような公益法人が出てきた場合、今ないから指定しているということならわかるのですけれども、そういう団体が、これから自分たちもこういうのをやりたいのだ、全国組織あるいは都道府県できちんとした組織をつくって、警察公安委員会と一緒になってこういう活動に励みたいというのがもし出てきた場合は、そこが指定される可能性もあるのですか。例えば、交通安全協会だと全国組織と都道府県組織市町村組織と一体となっていますけれども、そうじゃないような、ある都道府県の中でそういう組織が出てきた場合に、そこが指定される可能性というのはあるのでしょうか。
  59. 山本博一

    山本(博)政府委員 私ども、現在そのようなものを認識しておらないところでございますが、そのようなものにつきましては、当然検討の対象になるものと思っております。  ただ、法律によりまして、都道府県の地域に一を限って指定をするということになっておるところでございますので、幾つもの団体を指定するということはなかなか難しいのではないかというふうに思っておるところでございます。
  60. 富田茂之

    ○富田委員 ちょっとこればかりやっているわけにいきませんので。  道路使用適正化センターの、現在どういう業務をされているのかということでちょっと資料をいただきましたら、自主業務でいろいろな交通規制に係るパンフレットとか、御自分たちでいろいろつくって啓蒙活動をしているというほかに、委託業務として、例えば道路使用許可条件の履行状況の確認とか、道路標識等の破損状況調査というようなものをかなり大きく挙げられておりまして、例えば道路使用許可条件の履行状況の確認では四十九万七千三十三件、これは平成五年度の活動状況ということです。道路標識等の破損状況調査では三十三万二千六百九十七件委託を受けて行っている、この活動状況についてこういう御説明をいただきました。  これらの業務により、市街地における違法駐車の抑制、無許可道路使用行為及び道路使用許可条件違反の減少等に大きな効果を上げているというふうに説明をいただいたのですけれども、違法駐車とかそういうのが本当に減っているのかな、現況を見ますと、なかなか大きな効果を上げているというふうに胸を張って言えるような状況に本当にあるのだろうかというふうに疑問に思います。  また、こういう委託業務を道路使用適正化センターに委託する必要性が本当にあるのかな。現場の警察官の皆さんは、駐在や交番の方は日常回っていますし、現場で、自分の方で道路使用許可を出すわけですから、それが履行されているかどうか、本来警察の方が確認しやすいのじゃないかなというふうに思うのですが、この点、委託の必要性があるのだ、また委託した方がいいのだというようなことがありましたら、ちょっと教えていただきたいのです。
  61. 山本博一

    山本(博)政府委員 各都道府県交通安全協会に委託されている事務といたしましては、道路使用許可に関する道路または交通状況等の調査事務、またパーキングメーターやパーキングチケット発給設備の管理等に関する事務、さらには保管場所証明事務に係る現地調査、保管場所標章の交付に係る入力事務等、免許関係事務等でありますが、道路使用適正化センターとしての受託業務といたしましては、道路使用許可に関する道路または交通状況についての調査及び道路における工作物または物件の設置の状況についての調査でございます。  これらをこの団体に委託しております趣旨でありますけれども交通警察におきましては、指導取り締まりなどの直接的な交通事故抑止活動だけではなく、道路交通道路使用等に関する調査また各種教育、広報活動等も行っておるところでありまして、限られた体制のもとにおきましては、これらの活動をすべて警察の体制だけで行うことには無理があるところでございます。  そこで、警察官による権限行使を伴わない事務につきましては、行政の合理化、効率化の観点からできるだけ委託を行うこととしているところでありまして、さっき述べましたような事務は、このような観点から、道路における交通の安全に寄与することを目的とする公益法人で、当該事務を行うに必要かつ適切な組織及び能力を有すると公安委員会が認めるものに対しまして委託をするという形で運用しているところでございます。
  62. 富田茂之

    ○富田委員 今の点は了解いたします。  ただ、今局長の方が、パーキングメーターの設置管理等を安全協会の方に委託して、道路使用適正化センターへの委託ではないというような御趣旨のことを答弁されました。ここに「財団法人全日本交通安全協会 その沿革と現状」というパンフレットを資料としてきのういただいたのですけれども、その二十ページに、「全国道路使用適正化センターの活動」の中に、「パーキングメーター、パーキングチケット等の設置管理」というのが入っているのですね。これは道路使用適正化センターに当然委託されているのかなと思いましたら、事前に教えていただきました、これは違う、このパンフの方が完全に間違いだということなので、そういうところもきちんと警察庁公安委員会の方から御指導されて、誤解を生みますので、その点はきちんとやっていただきたいなと思います。  あと、新しく追加される事業の中に、交通事故に関する相談が法文上出てきておりますけれども、これを交通安全活動推進センターの事業項目に入れる必要が本当にあるのかなというふうに思っております。  現在、日弁連あるいは各単位弁護士会、都道府県、市町村の各自治体、また交通事故紛争処理センター等、いろいろなところが交通事故に関する相談の窓口を設けておりまして、それに新たにこの交通安全活動推進センターが相談窓口を設ける意味があるのかなと思うのですが、一体この相談業務というのはどういうふうに実施されようとしているのか、どういう方がどういう場所で相談に応じようとされているのか、その点をちょっと教えていただけますか。
  63. 山本博一

    山本(博)政府委員 交通情勢は依然として厳しいわけでありまして、今後さらなる交通事故防止を図るということを考えますとき、交通事故の被害者が受けた精神的負担等の軽減を図ることも重要な課題だというぐあいに私ども認識しておるところでございます。  そこで、今回の改正では、交通事故被害者の精神的負担の軽減のためのカウンセリング、それから損害賠償請求の手続に関する相談に応ずることなどを内容とする交通事故に関する相談を指定法人の事業として位置づけまして、これらに従事する役職員に守秘義務を課すことによりまして、相談者が安心して相談できるようにするなど、交通事故相談の適正かつ確実な実施の確保を図るという観点からこのようなことをお願いしておるところでございます。  この交通事故相談につきましては、他の機関、団体におきましても、それぞれの立場で交通事故相談が実施されているところではありますけれども警察といたしましては、交通安全活動推進センターが交通事故相談を行うに当たりましては、これらの機関、団体の行う交通事故相談との調和及び連携を図りながら、一体となって交通の安全に寄与していくこととなるように指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  64. 富田茂之

    ○富田委員 被害者のカウンセリング等も行うということですが、昨年この委員会で、警察庁の方で被害者のカウンセリングとかいうことをいろいろなところでやっていくのだ、特に女性犯罪の被害者とかそういうものに対して警察庁は熱心に取り組んでいるというような御答弁もございましたので、そういうところとうまく連携できるように、このセンターだけが勝手にやって、また突出してしまうというのもまずいと思いますから、そのあたりもうまく連携をとってやっていただきたいなと思います。  あとは、道路使用適正化センターへこれまでどのような財政支援がされてきたのか。また、これが交通安全活動推進センターに改組されていった場合に財政支援はどのように行われるかという点について、各都道府県の部分はちょっと掌握できないと思いますので、全国組織の方について、これまでどうやってやってきて、今後どのような予定なのか、もしおわかりなら教えていただきたいと思うのです。
  65. 山本博一

    山本(博)政府委員 道路使用適正化センターたる交通安全協会に対しましては、センターに対する委託金なり補助金というものは一切支出はされておりませんが、交通安全に関する啓発活動ということに関しまして、交通安全活動事業委託費といたしまして警察庁から年間約八百万円が委託契約をされておりますし、また安全運転教育指導者講習会等に関しまして運輸省から補助金として約三千万円が交付されておるところでございます。  なお、現時点では、全国道路使用適正化センターを全国交通安全活動推進センターに改組することによりまして、新たに国から補助金等を交付するということは予定しておらないところでございます。
  66. 富田茂之

    ○富田委員 警察庁と運輸省からの財政支援で運営されて、また交通安全協会の方はそれぞれ会費のようなものも徴収されていると思うのですが、その中で適正に運営されるように。これは、その補助金の使用状況等については公安委員会の方できちんと監督等されているのですか。その点はどうなんでしょうか。
  67. 山本博一

    山本(博)政府委員 運輸省から交付されておる三千万円の補助金に関する御質問かと存じますが、交付当局からも十分指導監督を行っておるところでございますし、また、私ども交通安全協会は監督団体であるわけでございまして、この活動につきましては適宜適切な指導を行っているところでございます。
  68. 富田茂之

    ○富田委員 あと、交通安全活動推進センターに改組されて、ある意味では指定されている交通安全協会の事業目的が広がるわけですけれども、実際にこの交通安全協会の人たちと接する場というのは免許証の書きかえのときが一番多いと思うのです。私も去年書きかえに行って、交通安全協会の会費下さいと言われて、僕入りませんからいいですと言いましたら、それでは自分で申請書を書いてくださいと突き返されて、自分で書いて出したのですが、私の後に来たおじいちゃんは何もわからずにそのままお金を払って書いてもらっていた。そういう実態を見ると、やはり窓口で会費としてもらっているわけですから、そのあたりもきちんとした説明をして、会員じゃないからサービスしないというのもちょっとどうなのかな。実際問題としては、警察署の中の一画を借りてやっているわけですから、ある程度行政サービスの一環としてもう少し考えてもいいのではないかなというふうにも思いますので、これは私の意見ですから答弁は要りませんから、そのあたりもできればきちんと指導していっていただきたいなと思います。  あと、平成八年三月十二日付で中央交通安全対策会議交通安全基本計画を作成された、今回の資料でいただいた中にありました。これは、平成八年度から十二年度までの五年間に講ずべき交通安全に関する施策の大綱だということで、これに基づいて警察庁また公安委員会の方でもいろいろな施策をできる限り前進させていこうということだと思うのですが、その中に「損害賠償の適正化等」という項目がありまして、こういうふうなことが書いてありました。一つは、「ひき逃げや無保険車による事故の被害者救済制度である自動車損害賠償保障事業についても、責任保険に準じてその充実を図る。」もう一つは、「無保険車両に対して、キャンペーン、保険加入者の一元的管理、街頭の指導取締りの強化等を行い、加入率の向上を図る。」というふうに書かれておりました。  私も、国会議員にならせていただく前、弁護士をやっていて、弁護士のところに来る交通事故の相談というのは、この無保険車、あと車検切れの車両、これに事故を起こされて被害者になった方の相談が本当に多いのですね。普通、自賠責とか任意保険に入っていれば、大体今は保険会社の担当者の方が被害者のところにすぐ飛んでいって示談交渉等もされるので、余り被害弁償の点で問題にはならないのですが、こういう無保険車両が、またこういう車両運転している連中に限って事故をよく起こすというか、そういうので本当に相談が多い。ただ、相談されてもなかなか被害救済のために弁護士としても活動しにくいような状況にあるのですね。  こういう無保険車両が何で発生するのかな。責任保険の制度がありながら全然入っていない、また車検切れでも平気で運転されてしまう、そういう実態を現場にいて非常におかしなものだなと思っていたのですが、この交通安全基本計画の中でもそういう点を指摘されて、ここを改善していくのだというふうに指摘がありました。こういう無保険車両の摘発強化という点について警察庁の方では今後どのように取り組まれていくのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  69. 山本博一

    山本(博)政府委員 先生指摘のように、無保険車が現実の問題としてかなり存在していることは大きな問題であるところでございます。この無保険車の運行につきましては、自動車損害賠償保障法第五条に違反する行為といたしまして取り締まりの対象とされておるところでございます。違反者に対しましては、罰則として六月以下の懲役または五万円以下の罰金が規定されておりますほか、運転免許行政処分の基礎点数も六点を付すということにしておるところでございます。  このような中、警察といたしましても、交通指導取り締まり、車両検問、交通事故捜査等の際に、登録自動車や検査対象自動車の前面ガラス等に張られております検査標章、または検査対象外軽自動車や原動機付自転車のナンバープレート等に張られております保険標章を確認いたしますとともに、自動車保険証の提出を積極的に求めるなどいたしまして、無保険車の発見と検挙に努めておるところでございます。  また、このほか、運輸省等の関係機関と連携いたしまして、無保険車をなくすためのキャンペーンを毎年実施いたしております。広報活動の強化、市町村窓口及びバイク販売店での指導等も行っておるところでございまして、今後とも、これらの施策を実施することによりまして自賠責保険の加入促進ということを図ってまいるようにいたしたいと思っております。
  70. 富田茂之

    ○富田委員 今、運輸省の方と連携していろいろなことをやられているということですけれども、自賠責保険が切れるというのはわかるわけですよね。いつまで入っているというのはわかるわけで、それも多分コンピューター管理されているのでしょうから、切れた場合には無保険車両になるというような通知を本人に、廃車になっちゃう場合もあると思いますけれども、本人にきちんと通知なり指導をした上で、こういう刑罰法規に触れますよというようなことで、運輸省とうまく連携して、警察による摘発強化というのは何か具体的にもう少し突っ込んだ形で考えられないのですかね。その点はどうでしょうか。
  71. 山本博一

    山本(博)政府委員 先ほど申されましたようなシステムは、運転免許更新の際にはそろそろ時期ですよということを制度的に通知いたす制度はでき上がっておるわけでございますけれども、車検につきましてそのようなものがあるかどうか、私、若干承知していないところでございますが、一つの大きな参考事例ではないかと思っております。今後とも運輸省と十分に連携を深めまして、私どものできる範囲で積極的に対応してまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  72. 富田茂之

    ○富田委員 よろしくお願いします。  九十条、百三条関係についても通告していたのですが、時間が迫ってまいりましたので、最後に、関口長官にちょっとお尋ねしたいと思います。  長官は、國松前長官が狙撃されて入院されておった間、國松長官にかわってずっと警察の陣頭指揮をとられて、オウムの事件の捜査をされてきたと思います。そういう意味で、先ほどもちょっとオウム事件にも触れておられましたが、また格段の思い入れがあると思うのですね。ひとつ國松長官狙撃事件について、まだ残念ながら真相が究明されておりません。この委員会でも、告白ビデオがテレビで流されたり、そういうことについて何度か質問させていただきましたけれども、まだ犯人と目される者の検挙という形には至っていないと思うのですね。そういう國松長官狙撃事件について、今後警察庁また長官としてどういうふうに取り組まれていくのか。  もう一つ、最近新聞を読んでおりまして兵庫県のがちょっと出ておったのですが、兵庫県の事件は、現場の警察官の方が交通事故の被害者の事情も聞かないで調書を勝手につくってしまって、自分で名前を書いてしまったというような報道がされておりました。また、その関連でちょっと調べておりましたら、北海道の方でも交通事故の関係で、実際にしていないのにその日に実況見分したような調書を現場の警察官の方がつくられて、被告人とされている方の裁判で証拠採用されなかったというような報道もされております。  先ほど長官国民信頼が大事だというふうに言われておりましたけれども、本当に珍しいことだと思うのですが、現場の警察官の方がそういうような行為を一つやってしまうとかなり大々的に報道されてしまって、警察官の調書が信用できないとなるともう裁判制度そのものが崩されてしまうと思います。警察庁内部のことですけれども、そういう点について今後どのように取り組んでいかれるのか。その二点について決意をお聞かせ願えればと思います。
  73. 関口祐弘

    関口政府委員 最初に警察庁長官狙撃事件でございますが、本件は治安に対する挑戦ともいうべき極めて重大な事件であり、さらに警視庁の元警察官が本事件の犯行を自認する供述をしておりますことは、全国の警察に対する国民信頼にかかわる重大な問題であると認識しているところでございます。  現在、警視庁におきまして所要の捜査を鋭意進めているところでありますが、これまでの捜査におきましては、元警察官が本事件の実行犯であるか否かを判断できる段階にはないわけでありますけれども事件に関与していた疑いもありますので、検察当局とも連絡をとりつつ捜査を進めているというところでございます。  捜査は一つ一つの積み重ねであります。地道な努力を実らせまして、いかにしてもこの事件の検挙、解決を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。  また、長官狙撃事件の解明を図るためにも、現在なお逃亡をしております三人のオウム真理教関係警察庁指定特別手配被疑者の検挙に全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。  それからもう一点でございますが、先生の御指摘のような、交通事故の処理をめぐりまして不適正な事案が発生をしているということ、これはひとり交通警察に対する国民信頼を失うばかりではなくて警察全体の信頼にもかかわるところであります。まことに残念な事態だろうというふうに考えております。  警察庁といたしましても、今後このような事案の再発の絶無を期するよう都道府県警察の指導を徹底してまいる、かように考えているところでございます。
  74. 富田茂之

    ○富田委員 ありがとうございました。終わります。
  75. 穂積良行

    穂積委員長 次に、松崎公昭君。
  76. 松崎公昭

    ○松崎委員 新進党の松崎公昭でございます。  道交法は最も国民に関係の深い一番身近な法律ではないか、そう思っておりまして、だれもが関心を持つ、二年、三年ごとに改正されて時代に合う法律をつくっていく、これは当然であります。ですから、今回のように特に高齢社会に対する基本的な枠組みを変えていく、この改正に関しましては大変時宜を得ている、私たちもそういうふうに感じておる次第でございます。  特に、私が所属しております千葉県は常に交通事故が多いわけでありまして、ことしの一月から三月まででも千葉県がトップでございます。二位が神奈川、そして茨城。どうしても人口の多い関東地区に集中することはいたし方ない、そういうふうにも思っておりますけれども、これは法律とかそういったものだけでうまくいくものかどうか、非常に私は疑問に思います。そういう点で、今回の改正は、使用者に対しても、あるいは一般国民に対する指導でありますとか啓発活動、いろいろな面が入っておるということは確かに評価をしているわけであります。  大体この「概要」に従って質問をさせていただきますが、まず運転免許制度に関しての規定整備であります。  ある意味では軽微な違反、百万近い人数がいるということでありますけれども、そういったことに対してはなるべくならば簡単に処理しよう、そしてまた、暴走族でありますとか使用者責任に対しては厳しくする、そういう両方あわせ持った改正なのかな、そう思います。先ほどから出ておりますが、軽微な違反を犯した者に対してのボランティアと間違えるような規定社会参加活動、この辺は、聞いておりましてもどうも余りまた具体案が出てないのかな、そういうふうに感じております。  ただ、これはやはり、先ほど自民党の皆さんからもお話がありましたけれども、下手をすると違反の助長になる、安易な方向へ流れるのではないか、読んだときにそれを非常に感じたわけであります。その辺は、もう一度確認いたしますけれども、本当にこのようなことで大丈夫でしょうか。お願いいたします。
  77. 山本博一

    山本(博)政府委員 このような軽微な違反を行った者につきましての講習の問題でありますが、これによってまた違反を助長するのではないかという点の御指摘であろうかと思います。  これにつきましては、先ほど来申し上げておるところでございますけれども、このような違反者は十分教育によって改善できるものであるということを私たち十分認識をしておるところでございます。加えまして、それにふさわしいような講習というものを十分に考えていきたいというぐあいに思っておるところでございます。社会参加活動ということも行いまして、高齢者、児童等のいわゆる交通弱者の視点で道路交通の場を見直す機会を与える、こういうことによりまして従来以上の講習効果が期待できるのではないかというぐあいに思っておるところでございまして、これによりまして違反が助長されるということは決してないというぐあいに私ども思っておるところでございます。  また、歯どめといたしまして、講習受講後一定期間内に再度違反を繰り返すなど常習的を違反者につきましては、行政処分を行いまして道路交通の場から排除し、自省を促すことも考えておりますし、本講習を受けない者につきましては、また行政処分を行い対応することといたしておるところでございまして、積極的に本講習を受ける者につきましては十分改善効果が期待できるのではないかというぐあいに思っておるところでございます。
  78. 松崎公昭

    ○松崎委員 新しい展開だと思いますので、期待はしております。  次に、暴走族の問題。リーダーを厳しくやるということ、これは結構でありますけれども、実際に今全国にどのくらいのグループがありまして、最近やや時代に合わせて変わってきたというふうにも聞いておりますので、その辺の特徴あるいは傾向、どのくらいのグループがあるか、教えてください。
  79. 山本博一

    山本(博)政府委員 平成八年末現在、警察が把握しております全国の暴走族の総数は、約三万五千三百人であります。  この内訳は、爆音暴走等の暴走行為を集団で行ういわゆる従来型の暴走族が九百三十九グループ、約二万六千七百人。山間部の道路でコーナリング等の運転技術を競ういわゆるローリング族、また四百メートルの直線区間を二台以上の車両が同時発進して速度を競ういわゆるゼロヨン族等の非従来型の暴走族が約八千六百人でございます。  暴走行為の特徴的傾向といたしましては、五十台、百台といった大集団による暴走行為は減少しておりますが、車両のマフラーを取り外しまたは切断するなど改造しまして、深夜の住宅街や裏通りを排気騒音をまき散らしながら単独または少人数で爆音暴走する行為増加しておるところでございます。  また暴走族は、道路交通法違反に限らず、グループ間の対立抗争事案、一般市民への暴力事案、さらには警察官に対する公務執行妨害事犯等を引き起こすなど、一段と凶悪化、粗暴化の傾向を強めておるのが最近の現状でございます。
  80. 松崎公昭

    ○松崎委員 私ども千葉県の幕張メッセというところにやはり直線コースがありまして、あれはもうすごいレース場になっていまして、国際都市幕張といっても夜になると大変危ない、そういう場所でございます。  また、私ども千葉県柏なんですけれども、慈恵大学という病院のところにちょうどいいカーブがあるのですね。これはやはりローリング族というのでしょうか本当に困りますので、向こうも上手でありますので、時代に合わせてひとつしっかりと取り締まりの方法も考えていただきたい、そういうふうに思います。  次に、交通安全の整備、その辺をお尋ねいたします。  最近、歩行者のマナーが大変悪いので、私ども日ごろ気にしているのですけれども、特に大人が信号機を平気で無視をして通行する。そうすると、子供もそれを見ているのですね。大変これは子供の教育上よくない。私ども注意できるところは注意しますけれども、限界があります。  今回の法改正でも、百八条の二十七、二十八、交通安全教育に対する規定がうたわれております。ひとつこの辺、交通安全教育に、歩行者の対策と同時に大人の教育を強力に入れていただきたい、そういうふうに思うわけでありますけれども、ここにうたわれております交通安全教育指針の作成及び公表、これはどのよう青指針で、また内容、どういう公表をするのか。また「交通安全教育を行う者」というのは具体的にどういう者か、お尋ねいたします。
  81. 山本博一

    山本(博)政府委員 お尋ねの「交通安全教育を行う者」というものにつきましては、具体的には、幼児交通安全クラブ、交通少年団、老人クラブ等に設けられた交通安全部会等の民間団体など、さまざまな立場で交通安全教育に携わっている者を考えているところでございます。  また、交通安全教育指針ということにつきましては、これらの交通安全教育を行う者が効果的かつ適切な交通安全教育を行うことができるようにし、及び都道府県公安委員会が行う交通安全教育の基準とするための交通安全教育内容方法等を定めることとしておりますが、具体的には、例えば高齢運転者に対する交通安全教育については、昨今の高齢運転者運転中の交通死亡事故状況、加齢に伴う身体機能の低下等を踏まえ、高齢運転者の方にみずからの身体機能の変化を自覚し、その変化に応じた安全運転の方法を身につけていただくことができるように配慮して行うといった内容、こういうことについて考えておるところでございます。
  82. 松崎公昭

    ○松崎委員 私の質問は、歩行者ですとか大人の信号無視、こういうものもしっかり教育の中に入れる。これは免許証を持っている人を中心に教育するのとまた違いますから、社会教育全般あるいは学校教育範囲かもしれませんけれども、本当に目に余るものがあります。私は、むしろ歩行者に、そういうことをやった者に対して歩行者切符でも切ったらどうかというくらいな怒りを持っております。これは子供によくない影響を与えます。  ですから、免許証を持っていないただの普通の歩行者が道交法にどういうふうになるか、ちょっと私わかりませんけれども、やはりそのくらいのことをしないと子供に対してもよくない。ぜひ歩行者に対する、交通マナーの悪い者も範囲の中に入れてほしい、そういう気持ちであります。
  83. 山本博一

    山本(博)政府委員 失礼いたしました。前段の方の歩行者に関するマナーの問題、お答えさせていただきたいと思います。  平成八年中の歩行者を第一当事者とします交通事故件数は九千三百三十三件ありまして、うち死亡事故件数は四百三十九件となっております。交通事故防止するためには歩行者のマナーの向上ということが非常に重要であると認識いたしておるところでございます。  警察といたしましては、従来から、国家公安委員会が作成、公表しております交通の方法に関する教則というものにおきまして、歩行者の心得に関する章を設けております。歩行者交通の方法を容易に理解することができるように配慮しておりますほか、歩行者の正しい交通方法に関する交通安全教育広報啓発活動を行うことによりまして、歩行者のマナーの向上にも努めておるところでございます。  また、今回の道路交通法改正案におきましては、都道府県公安委員会が、ドライバーだけではありませんで、住民に対する交通安全教育を行うよう努めなければならないといたしました。また、交通安全教育を行う者が効果的かつ適切な交通安全教育を行うことができるようにするために、国家公安委員会交通安全教育指針を作成、公表するということもいたしたところでございます。  本法律案につき御賛同が得られましたならば、今後これらの規定の円滑な施行を図りまして、歩行者に対する交通安全教育充実ということを図りまして、より一層歩行者のマナーの向上に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  84. 松崎公昭

    ○松崎委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  次に、同じく自動車教習所の問題なんですけれども、当然これは交通に関する重要な一角を占める機関でありますから、しっかりとこの法律あるいは交通安全の基本を御存じだと思いますけれども、もう少し指導員、教官の資質向上が必要ではないかということをよく聞きます。  それからもう一つ、これは自動車教習所の教育が足らないかどうかわかりませんけれども、女性のドライバー、これを言いますと女性べっ視なんて言われちゃいますので余り下手に言えませんけれども。皆さんも運転していてわかると思いますけれども、女性ドライバーの事故率があるかどうかわかりませんけれども、非常に危なっかしい運転が多くて、事故を併発することが多いのですね。  ですから、男女で差をつけたらいけませんけれども、女性に対する免許証の取得に対して、これは法律とかそういったことはできませんから、少なくとも自動車教習所がどうも女性に甘いのではないかという風潮がございますし、この辺、女性に対する指導をしっかりさせる、あるいは指導員の資質をもう少し向上させる、そういうことが必要だと思います。また、女性の教官等もふやすということも女性ドライバーの質の向上にもなるのではないかそんなふうに思いますけれども、この辺の自動車教習所に対する指導はいかがでしょうか。
  85. 山本博一

    山本(博)政府委員 現在の教習所が女性に対しましてどのような教育状態にあるのか、私つぶさに承知しておらないところでございますけれども、指定自動車教習所の教習水準ということを向上させるためには、教習指導員の資質向上を図ることは非常に重要なことであるということを私どもも認識しておるところでございます。  そこで、平成五年でありますが、道路交通法改正お願いいたしまして、それまで技能指導員及び学科指導員と二つのものがあったわけでございますけれども、この資格を一本化いたしまして、教習指導員という資格を創設いたしました。あわせまして、教習指導員資格者証制度というものも導入したところでございます。  この教習指導員資格者証制度と申しますものは、公安委員会が行う審査に合格するなど一定の要件を満たし、公安委員会から教習指導員資格者証の交付を受けている者でなければ教習指導員となることができないこととして、不適格者が選任されることのないよう事前にチェックをするとともに、教習指導員に法定の資格を有する者としての責任と自覚を持たせ、その自主的な研さんを促すことができるものとしたものでございます。  今後とも、教習指導員の資質向上させて教習水準を一層向上させるため、制度の厳正な運用、指導の徹底その他所要の施策を推進してまいりたいと思っておるところでございます。  以上でございます。
  86. 松崎公昭

    ○松崎委員 その中に、女性ドライバーに対する教育を、質の向上をぜひとも図っていただくようにこれから御指導をお願いしたい、そう思います。  それから、交通安全基本計画等にもうたわれておりますけれども、今国際化でございます、外国からの来訪者あるいは定住者が増加しておりますけれども、日本における交通ルール、こういったことに対してどんな方法で徹底をしていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
  87. 山本博一

    山本(博)政府委員 国際化の進展に伴いまして、外国人の数も年々増加しているところでありますが、これに従いまして、今後、外国人の関係する交通事故増加がさらに見込まれるところであります。  このような情勢のもと、外国人の関係する交通事故防止するためには、さまざまな機会を通じて、外国人に対し、日本の交通事情、母国の交通ルールとの違いなどにつきまして周知徹底を図っていく必要があると認識をいたしております。  警察といたしましては、従来から、在住外国人に対する交通安全教室の開催、また五カ国語による外国人運転者向けのビデオの作成等を行うなどによりまして、外国人に対し、日本における交通ルールについて周知徹底に努めてきたところでありまして、今後とも、外国人が日本の交通ルールを容易に理解することができるよう、外国人に対する交通安全教育広報啓発活動充実をさらに図ってまいりたいと考えているところでございます。
  88. 松崎公昭

    ○松崎委員 これから国際化は大変だと思います。ぜひひとつ、日常の中で定住者が多くなってきておりますから、外国人の交通事故内容というのは私は承知しておりませんけれども、特にその辺はしっかりしていただきたい、そう思っております。  次に、高齢者規定整備に移らせていただきます。  再三質問の中に出ておりますが、七十五歳以上の免許証更新に関して、高齢者、七十五歳というのはどういう客観的理由で決めたのか。余りこれを聞いてもいたし方ないとは思いますけれども。というのは、七十四歳で講習を受けますと三年間ないわけですね。ですから、七十七歳になってしまうんですね。高齢者の場合の一歳というのは大変老化も激しいわけですから、この辺、七十五歳の免許証更新のときだけじゃなくて、七十五歳の運転者に対して一応それなりのチェックをした方がいいんではないか。そうしませんと、七十七歳ぐらいまではきっとチェックを受けずに高齢化する可能性があるわけですね。ですから、その辺ひとついかがでしょうか。
  89. 山本博一

    山本(博)政府委員 私ども、七十五歳という年齢は、この年齢の前後によりまして事故率が大きく変わるということ、また七十五歳以上になりますと身体機能が著しく低下するということ等にかんがみまして、七十五という基準を設定したところでございます。  七十五歳以上になりますと身体機能が著しく低下するということなどを考えますと、高齢者講習は七十五歳に達した日以降速やかに受けさせることが望ましいものであろうと考えておりますが、講習を受ける側の負担や利便等も考慮いたしまして、年齢が七十五歳以上になる最も早い講習の機会に講習を受けなければならないということにしたところでございます。  ただ、七十五歳に満たない者、また七十五歳になりました者につきましても、みずからの身体的機能の状況を自覚し、それを踏まえた運転をしていただくことは非常に重要なことでありまして、各種高齢者用の講習を受けていただくことは、義務じゃなしに任意の形で受けていただくことは結構なことだというぐあいに思っておるところでございます。  今後とも、各種講習会の機会におきまして、みずからの身体的機能の状況を自覚し、それに基づいた運転ができるような形のものをいろいろ検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  90. 松崎公昭

    ○松崎委員 私のおやじが八十五歳でございますけれども、大体七十半ばから上へいきますと非常に頑固になりまして、本人は大丈夫だという意識が強いのですね。ですから、任意で果たしていいのかなという心配が、車の場合は社会的に人に迷惑をかけますので、どうも先ほど局長のお話で、任意でいろいろあるから、七十五歳の更新以外の人でも手前でも受ける。わかりますけれども、ちょっとそれは、かなり頑固になりますので、自分の意思でというのはなかなか大変ではないか。  ですから、むしろ年齢である程度、三年で更新ですよね、七十四ですと七十七になってしまうのです。七十五でひっかからないわけです。ですから、七十二歳ぐらいから幅を持たせてやった方が、全員が大体高齢者でチェックを受けられるのじゃないかということですから、この辺ひとつ弾力的に考えていただいた方がよろしいのではないか、そう思います。  また、百八条の二の身体機能の低下を自覚するための講習というのは、ちょっと私、法律に弱いのですけれども、どんなことを言っているのでしょうか。内容はどんなことでしょうか。
  91. 山本博一

    山本(博)政府委員 一つには、検査機器を使っていただく方法もあります。また、いろんな心理的な検査を受けていただく方法もありますが、さらに、それを上回るものといたしまして、実車体験をしていただきまして、運転の中でみずからの身体機能の低下、また、あるべき方法を考えていただくということを考えておるところでございます。  特に七十五歳以上の高齢者講習につきましては、この内容充実してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  92. 松崎公昭

    ○松崎委員 大変よくわかりましたけれども高齢者ですからひとつ親切に扱っていただかないと、年をとったんだから危ないじゃないかなんということでやりますと、警察の場合は特にそういう雰囲気がございますので、よろしくお願いしたいな、そんなふうに思います。  それから、十四条、七十一条で、高齢歩行者保護規定は大変よろしいのですけれども、乳幼児を連れた女性とか児童の保護、これは一部書かれてはおると思いますけれども、その辺はどうなっているか。  また、身体障害者の方をここで加えていただいてもよかったのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  93. 山本博一

    山本(博)政府委員 お答えさせていただきます。  今回、高齢歩行者保護規定改正していただくようお願いしておるところでございますが、これは、現在高齢歩行者事故率が非常に高いということがありまして、喫緊の課題としてお願いしておるというものでございます。  身体障害者の通行の安全の問題につきましては、現在、交通の方法に関する教則におきまして、身体障害者が因っているのを見たときは手をかしてあげましょうというような記述を盛り込んでおりますほか、交通安全運動等の機会を活用して、意識の啓発を図っているところでございます。  今後、身体障害者を助けることにつきまして法律規定することにつきましても、また推移を見ながら検討してまいりたいと考えておるところでございます。  また、幼児の問題、これは幼児を乗せておられる車に対する保護の問題でよろしゅうございますか。(松崎委員歩行者ですから、歩いている人ですね」と呼ぶ)  その点につきましては……
  94. 松崎公昭

    ○松崎委員 書かれているんですよね。いいですよ。  七十一条のシルバーマークですか、これはつけたくない人はいいんでしょうけれども、この辺やはり、私も昔県議会でこういう質問をしたことがあるのですけれども、非常に大事だな、できればしっかりつけていただきたいと思います。  同時に、先ほど言った身体障害者の方は、やはりノーマライゼーションの関係でつけにくいんでしょうか。やはりつけておいていただくと前後の運転者は大変いいので、そういうことは考えたことはございませんか、身体障害者に対するマークですね。
  95. 山本博一

    山本(博)政府委員 身体障害者に対するマークの問題については現在検討いたしておらないところでございますが、とりあえず高齢者が喫緊の課題であるということで、先ほど申しましたように今回法改正お願いいたしたところでございます。身障者につきましても、今後推移を見ながら検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。  なお、先ほど御質問のありました児童に関する問題でございますが、道交法第十四条におきまして幼児等の保護に関する規定が置かれておりまして、保護の責にある者は非常に危険なところで歩行させてはならないとか、また幼児等が横断する場合には、これらの周辺に居合わせた者は適切な措置をとらなければならないというような規定を置いて、幼児の歩行の保護をいろいろ図っておるところでございます。
  96. 松崎公昭

    ○松崎委員 次に、使用者責任の問題でございますけれども、二十二条で速度違反車両使用者に対する使用者責任、それから過労運転の六十六条での使用者責任、それから七十五条で一定期間の中でやった場合にまた使用の制限、こういう使用者に対する使用者責任という責任の追及は非常にしっかり今回法改正されました。これは大変よろしいことだとは思うのであります。  同時に、最近よく目に余るのは、宅急便ですとか集配便のトラックとかあるいは客待ちのタクシーとか、これがかなり交通ルールを無視して町の中で、これはいろんな背景があると思いますけれども、やっております。この辺のことに対して使用者の責任、指導、この辺はやはり同じように、今回の使用制限とかそれに近いペナルティーがあってもいいんではないか。  つまり、使用者側が速度違反でありますとか過労、あるいは過積載、駐禁、この辺はやっておるわけでありますけれども、もっと全般に対して、使用者の責任として、そういう社員に対して指導をしっかりしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  97. 山本博一

    山本(博)政府委員 違法な運転を繰り返す車両に対しまして、背後にある使用者等の責任はそれなりに追及をしていかなきゃいけないというぐあいに考えておるところでございます。  今回の法改正によりましては、従来の過積載及び放置行為違反に加えまして、最高速度違反また過労につきましては使用者の責任を追及することをお願いしておるわけでございますが、これら以外の違反行為につきましてもやはり問題になるものが少なくないところでございます。  ただ、現在実態を見てみますと、これらのものにつきましては、さきに申しました四つほど使用者が運行管理を適切に行っておらないという事例がそう多くないという感じもいたしておるところでございまして、今回は法改正対象とはいたしておりませんが、今後の違反実態を踏まえまして適切に対処してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  98. 松崎公昭

    ○松崎委員 時間ですから、関口長官さん、山本局長さん、最初の答弁で大変だったと思いますけれども、これからひとつまた頑張っていただきたいと思います。  終わります。
  99. 穂積良行

    穂積委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  100. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中甲君。
  101. 田中甲

    ○田中(甲)委員 民主党の田中でございます。  道交法の一部改正、今回提出されましたこの法案を、警察庁のこの取り組みは斬新で前向きな整備であるとこれを子とするもので、さらによくしたいという思いを持つ中、立法府の立場で何点か質問をさせていただきたいと思います。  最初の柱は、運転免許に関する規定整備についてでありますが、どうも前の質問者が随分このボランティアという言葉、そのほか質問をされておりましたから、この問題は、時間が三十分の持ち時間の中で余りましたら、後ほど御質問をさせていただきたいと思います。  まず、交通の安全と円滑を図るために必要な規定整備、この点から御質問をさせていただきたいと思います。  昨年の十二月、警察庁、当初は道路交通法改正試案というものでは、高速道路を通行する際の通行区分に関する規定対象は、トラックを含む大型貨物自動車一般となっておりました。しかし、今回最終的に出された法案を見ますと、第七十五条の八の二で、牽引自動車のみがその規制対象になっております。  冒頭の質問は、なぜこのように当初の予定を変更した法案の提出になったのか、同時に、高速道路におけるトラック事故の現状はいかがなものか、この点、まず二点をお聞かせいただきたいと思います。
  102. 山本博一

    山本(博)政府委員 お答えいたします。  昨年十二月、道路交通法改正試案を発表したところでございますが、その中には先生指摘のような提案があったところでございます。具体的に申し上げますと、高速走行時の高速性能の差が著しい自動車が混在して通行するために生ずる危険というものがあるわけでございまして、これを排除し、全体として交通量を整序化するということによりまして交通の安全と円滑を確保することを目的として、高速自動車国道等の片側三車線区間におきましては、大型貨物自動車等が追い越し車線を通行することを制限する通行区分規制を導入するということを提案したところでございます。  しかしながら、各方面から多大な意見をいただいたところでございまして、このような通行の区分が大型貨物自動車の輸送にかかる物流コストに与える影響を懸念する意見もありましたところから、直ちに法律で制定することは今回見送りまして、当面一部区間において道路標識等により規制を行うことといたし、この通行区分が交通の安全と円滑に与える影響につきましてさらに見きわめを行っていきたいということで見送ったところでございます。  なお、高速道路における大型貨物自動車事故実態いかんということでありますが、平成八年中の高速道路における大型貨物自動車が第一当事者となった死亡事故は九十二件でありまして、死者は百十人であります。平成七年に比べまして、平成七年が死亡事故件数八十八件、死者数九十四人であるわけでございまして、ふえてきておるということでございます。また、この八年、九十二件、百十人という数字は、全死亡事故件数の二五・六%、全死者数の二六・六%に当たるところでございます。  また、平成八年中の大型貨物自動車が第一当事者となった事故九十二件を見てみますと、大型貨物自動車事故は午前零時から午前六時までの深夜、早朝の時間帯に多く発生し、事故原因につきましては、いわゆる居眠りや漫然運転に起因いたします前方不注視というもの、また最高速度違反が多く、事故の類型につきましては、他の車両への追突、衝突というものが多くなっておるところであります。  以上でございます。
  103. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  夜間の事故が多く、追突という分類が事故の中でふえているということは、やはり過労ということがかなり影響しているんだろうという予測がされると思います。  法案の第二十二条の二、第六十六条の二及び第七十五条の二では、車両運転者が最高速度違反行為または過労運転をした場合に、車両使用者に対しても違反防止のため必要な措置をとることを指示して、さらに、指示開始後一年以内に同じ違反行為が行われた場合には、当該の自動車の使用制限ができるということにしてあります。  安全性を欠いてもより多くの営利を求めることを優先して、ドライバーが疲れてふらふらになるまで働かされている、もうろうとした状態で運転させられているときに、命令した社長、いわゆる経営者が責任を負わなければならないという処罰をする、こういうことだと思います。  私は、実態の把握がされていて適切な指摘であるというふうに考えておる者の一人であります。さきの法改正でも放置行為あるいは過積載について定められており、今回も重ねて妥当なものと認識をしております。  しかしながら、今回の法改正は、前回の放置行為及び過積載にはないものが加えられております。私が指摘させていただくのは、スピード違反については第二十二条の二第二項であります。これは、読み上げますけれども車両使用者道路運送法の規定による自動車運送業者等である場合には、これらの指示を公安委員会が当該事業を監督する行政庁とあらかじめ協議をして定めるところによってしなければならないとなっております。同じく過労運転についても、第六十六条の二第二項でありますけれども、スピード違反についての第二十二条の二第二項を準用するというものであります。  この道路運送法の所管は運輸省ですよね。そこで質問をさせていただきたいと思いますけれども、放置行為及び過積載については対応するような措置をとっていない運輸省との協議を、なぜ今回の改正法案において、具体的に申し上げるならば、繰り返しますがスピード違反と過労運転についてだけ運輸省との協議をしなければならないことになったのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  104. 山本博一

    山本(博)政府委員 御指摘の問題、まず検討の過程におきまして一部の業界団体からは、最高速度違反等については運転者個人の問題であって使用者の責任を問うのは適切ではないという意見もあったところでありますが、最高速度違反や過労運転防止するためには適切な運行管理が確保されることが必要であるということにつきましては御理解をいただけるものと考えておるところでございます。  この上で、改正案第二十二条の二第二項及び第六十六条の二第二項の規定につきましては、道路運送事業等の用に供される自動車に関しましては運輸省の管理もなされるものでありますところから、警察と運輸省が協力し、緊密な情報交換を行うことなどによりまして、それぞれが道路交通法道路運送法等に基づく権限を適切に行使することができるようにしようとするものでございます。  過積載や放置行為につきましては第二十二条の二第二項や第六十六条の二第二項に相当する規定がないが、その理由はいかんというのが二点目であったと思います。  最高速度違反等につきましては、過積載などの場合と比較いたしまして、運転者個人が責任を負うべき程度が高く、使用者の運行管理と運転者違反行為との関係が比較的間接的であると考えられますところから、運行管理の実態を踏まえて適切な行政処分を行うためには、道路運送法等の観点から事業者の運行管理の実態把握に努めている事業監督行政庁と警察とが連携して運行管理の把握及びその改善に当たることとした方が適当であると考えたことによるものでございます。若干実態が、過積載、放置行為の場合と最高速度違反、過労運転の場合は違うという認識に立った措置でございます。
  105. 田中甲

    ○田中(甲)委員 では、運輸省にお聞きします。  これは警察庁の原案の中に、運輸省との協議によって加わってきたというふうに聞いてもいるのですけれども、運輸省の見解というものをお聞かせいただきたいと思います。
  106. 福本秀爾

    ○福本説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、私ども警察庁との協議の段階で、お互いに意見の一致を見たというものがこれでございまして、私ども運輸省といたしましては、これまでも道路交通法第百八条の二十七の規定によりまして、いわゆる通報制度がございます、それを活用しまして、警察庁と相互に緊密な連携をとりながら、過積載等の違反に対しまして、私どもの、貨物自動車運送事業法に基づく車両使用停止等処分を年間約三千件行ってございます。厳正に対処いたしておるところでございます。  今回の規定趣旨につきましては、このような両省庁における協力関係の中で、自動車運送事業等の用に供します車両に関しまして、最高速度違反行為や過労運転が行われた場合につきまして、運輸省と警察庁とがさらに密接な連携を図ることにより、それぞれの行政を責任を持って的確に遂行しようとするものであるということで両省一致を見たところでございます。今後とも、両省とも協議しながら、輸送の安全の確保、道路交通の安全の確保に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  107. 田中甲

    ○田中(甲)委員 大変聞こえはいいのですけれども、間違っても運輸省は運送業界の陳情によって動いたものではありませんよね。そうだとしたら、国民全体の法律がごく一部の業界団体によってゆがめられてしまったということになりますが、繰り返してお聞きをします、運輸省はごく一部の運輸業界の陳情によって動いたものではありませんね。
  108. 福本秀爾

    ○福本説明員 お答えいたします。  私ども、貨物自動車運送事業法につきましては、平成二年の十二月に新法という形で制定をしていただきまして、その根幹が、一つは、経済的な規制は大幅に緩和をするというものでございましたが、一方で、この社会的な規制といいますか、過労運転、過積載あるいはスピード違反、その他輸送の安全を確保するための社会的な規制については大幅に強化をする、あるいはそれなりの体制を義務づけるといったようなことを内容といたす法律を平成二年につくっていただいておりまして、私ども、その観点から、先ほど申し上げたような年間三千件に上る処分等を実施いたしておるということでございまして、お互い、警察庁さんと私どもで連携をとってこの輸送の安全というものを確保してまいりたい、そういう趣旨でございます。
  109. 田中甲

    ○田中(甲)委員 では、私の質問の答えとしては、業界団体からの陳情によってこのようなものにしたのではないということでよろしいわけですね。もしこの協議によって法案趣旨及び車両制限が、業界の意向を受けた運輸省によって今後、私が今指摘したようなことが事実であるとするならばこの法律というものが骨抜きにされてしまうという危険性があると私は思うのです。  もう一度確認をさせていただきますけれども、はっきりとお答えをいただきたいのですが、業界の陳情によって動いたものではないということですね。
  110. 福本秀爾

    ○福本説明員 トラック業界の陳情でこのような協議をしたということではございません。
  111. 田中甲

    ○田中(甲)委員 実は、ここにトラック業界からの陳情書があります。それによりますと、これは二月に提出されたものでありますが、「道路交通法改正について」。その中に「法律案第二十二条の二及び第六十六条の二の規定を削除されたい。」という項目できちっとうたわれているのです。この陳情書に対して、運輸省はそれを取り入れる形で、今回の法改正の中に当初から私が指摘したようなものが組み込まれてきたというように私はどうしても判断をせざるを得ないというように思うのですが、改めてそのことに関して御答弁をいただきたいと思います。
  112. 福本秀爾

    ○福本説明員 運輸省といたしましては、運輸省の政策判断といたしまして、本案のような形での協議を警察庁さんとさせていただいたということでございます。
  113. 田中甲

    ○田中(甲)委員 では、このようにトラック業界から陳情書が出てきたことは間違いありませんね。
  114. 福本秀爾

    ○福本説明員 御指摘のとおりでございます。
  115. 田中甲

    ○田中(甲)委員 今後、警察庁が前向きな姿勢でつくっているこの法案に対して、業界の陳情というものの意向を酌んで運輸省が、この警察法律に対する細部にわたる規定を業界と詰めて今後決めていかなければならないという際に、本来の交通事故交通死亡者の減少に向けて努力をしようとする警察庁に対してマイナスになる発言というのは極力控えていただきたい、私からの要望をさせていただきたいと思います。御意見がありましたらお答えください。
  116. 福本秀爾

    ○福本説明員 先ほども申し上げましたように、運輸省は運輸省といたしまして、スピード違反あるいは過積載、過労運転その他につきましては、事業者監督という観点から大変厳しい監査あるいは処分等を実施をいたしております。そういう趣旨で今後とも警察庁さんとよく連携をとってまいりたい、そういうぐあいに考えております。
  117. 田中甲

    ○田中(甲)委員 くどいようでありますけれども、放置行為並びに過積載についてはこのような規定はありません。今回のスピード違反と過労運転についてだけこういうものを組み込んできた。そしてその背景には、このような業界団体からの陳情書がある。そしてこの陳情に関しては、ここだけではありません。この団体名はあえて私はここで発言はいたしませんが、この協会だけではなく、幾つかの協会がこのように運輸省の方に陳情を持っていっているという事実を見るならば、私は、そのことにひるまずに、本当に日本の交通安全ということを確立していくために厳しい態度で運輸省も臨んでもらいたいと重ねて申し上げます。  その陳情の中に、大型貨物自動車の最高速度を現行め八十キロからバスと同様の百キロに引き上げてもらいたいという項目が書かれていますけれども、このことに関しては、運輸省、どのように考えているか、お答えをいただきたいと思います。
  118. 福本秀爾

    ○福本説明員 お答えいたします。  本年二月、全日本トラック協会から私どもの方に出されました要望書に、高速道路上の最高速度、これはトラックに関してでございますが、八十キロを百キロに引き上げてほしいというものがございましたことは承知をいたしております。  トラック輸送におきまして、先ほど来申し上げましたが、輸送の安全を確保するということは大変重要な課題ということで私どもも認識をいたしております。  しかし、昭和三十八年に現在のこの最高速度が定められておりまして、その後三十四年も経過を  いたしておる。この間、安全装置を含め車両性能が大幅に向上をいたしておるということが一つ。  それから二つ目。例えば、米国では時速百二十キロ、イギリスでは時速九十六キロなど、欧米諸国と比べまして最高速度が低く抑えられておるということが二点目。  それから、三点目でございますが、高速道路でも設計速度百二十キロという道路が東関東自動車道あるいは関越自動車道など既に七百三キロが供用をされておるということ。  さらに四つ目には、我が国の高コスト構造の是正というために、世界で最も値段の高い高速道路での輸送の効率化ということが内外から大変強く求められておるということでございまして、運輸省といたしましては、トラックの最高速度の引き上げをぜひ検討をしていただきたい、こういう立場でございます。
  119. 田中甲

    ○田中(甲)委員 同様の質問警察庁にさせていただきたいと思います。
  120. 山本博一

    山本(博)政府委員 お答えします。  今回の道交法の改正に当たりましては、各界からたくさんの意見を求めたところでございます。その中に日本トラック協会の意見もあったところでございまして、トラック協会からは、大型貨物自動車の最高速度見直しについての陳情があったところでございます。  私ども、いろいろ検討してきたわけでございますが、普通乗用自動車等との制動距離等の差が依然として存在しております。また、現在の高速道路の設計速度はほとんどが百キロメーター以下でありますところから、安全を所管する当局といたしましては、現在の大型貨物自動車に係る最高速度八十キロメートル毎時は合理的なものというぐあいに考えておるところでございます。  また、大型貨物自動車に係る死亡事故は依然として多発しておりまして、その原因としては速度超過の割合も非常に高いものでありますところから、現時点での大型貨物自動車の最高速度の引き上げは慎重に対応すべきものと考えておるところでございます。  なお、外国の事例でございますが、これは区々でありまして、私ども、比較的参考にいたしておりますのは、一つはドイツでありますが、ドイツはよくアウトバーン、一般乗用車は無制限と言われておりまして、そのとおり走っておりますが、このような国におきましても大型貨物自動車、トレーラーは毎時八十キロという規制をかけておるところでございまして、やはりそれなりに差をつけることの必要性というものはあるのじゃないかというぐあいに思っておるところでございます。
  121. 田中甲

    ○田中(甲)委員 見解が分かれたわけです。これは、安全を重視するという観点で警察庁の意向というものを私は重要視すべきだろうという判断をいたします。  ただし、こういう問題点も起きております。現行で高速道路におけるオートバイの制限速度は、今の車両と同じく八十キロであります。実質、一番左車線を走ることしか許されないオートバイの走行に、今回の改正によって大型トレーラーが一番左の車線を走るということは極めて危険な状況だと言わざるを得ないと思います。最も強固である大型トレーラーというものの走る車線と、人間がそのまま乗車して、ヘルメットをかぶることが義務づけられていますが、オートバイの走行車線が同じ車線になっているということは極めて危険だと思いますが、これは警察庁、どのように考えますか。
  122. 山本博一

    山本(博)政府委員 お答えいたします。  先生の御指摘、確かに概念的には理解できるところではございますけれども、現行法におきましても高速自動車国道の第一通行帯をすべての車種が混在して通行することは予定されているところでありまして、また、現にトレーラーの多くは実勢速度の最も低い第一車両通行帯を通行しているのが実情でございます。  一方、今回の改正によりまして、トレーラーが新しい通行区分に従い、危険を伴う進路変更を行うことなく第一車両通行帯を整然と通行することになれば、第一車両通行帯を通行する自動二輪車の安全性は以前よりも向上するのではないかというぐあいにも思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、トレーラー等の運転マナーの向上の問題につきましては、今後、適切な指導を行ってまいり、より安全を確保するように努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  123. 田中甲

    ○田中(甲)委員 私は実はオートバイに乗らないのですけれども交通局長はオートバイに乗るんですか。いやいや、もうそのままで、首を縦に振るか、横でも結構ですが。——ああ、そうですか。オートバイに乗る方々の意見というものをしっかりとデータを集めていただきたいと思います。今回の法改正に対して、オートバイに乗る方々は、極めて改悪であるということを言われている。  そして、先ほど私は、大型トレーラーの速度制限を八十キロから百キロに引き上げてくださいというこの陳情に対して、これはやはり安全上よくないよということを申し上げたところでありますが、逆に、オートバイに乗っている方々からは、今回のトレーラーの車線規制とオートバイの制限速度の緩和をセットとして出してもらわなくては、オートバイは同じ車線を怖くて走れないという声が上がっています。このことを警察庁、もし御意見があれば聞かせていただきたいのです。このことに対して御理解を示していただけますか。
  124. 山本博一

    山本(博)政府委員 そのような声が従来からあることは十分承知いたしておるところでございますが、今回の道路交通法改正は、トレーラーの車両特性に着目いたしまして、いたずらに進路変更することによる危険性を排除するとの観点から行ったものでありまして、必ずしも連動するものではないというぐあいに思っておるところでございます。  他方、自動二輪車の法定速度の見直しの問題でありますが、依然として現在でも死亡事故率が他の車種に比べて高くなっております。また、速い速度で走行中に事故発生した場合には死亡事故につながる可能性も高くなっているということもあるところでありまして、今後とも交通事故実態を勘案しながら慎重に対応する必要があろうかというぐあいに考えておるところでございます。今後とも検討の課題としては十分やっていきたいと思っておるところでございます。
  125. 田中甲

    ○田中(甲)委員 わかりました。  しかし、大型トレーラーが一番左の車線を走るようになって、そしてオートバイも一番左の車線を走って、私も自分で運転をしますけれども、大型トレーラーというものは非常に危険な運転をされるときがある。そして、自分の車のずうたいが大きいというのを威張り散らすような運転をする傾向というのはないとは言えないと思うのですね。そこに単車が巻き込まれていくということが実際に起こっては大変ですから、慎重に検討していくという御答弁でありましたけれども、よくよくこの点は注意して、このように改善をした方がいいということがありましたら敏感に対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そもそもこの道交法の改正というものは、先ほども申し上げましたけれども交通事故発生数あるいは交通事故の死亡者の数を減らすというところから考えがスタートしていると思いますから、この改正によってトレーラーとオートバイの事故が多発したということがないように、ぜひとも厳重に注意をしていただきたいと思います。  それと、これはほかの項目でもぜひ指摘をしておきたいと思ったのですけれども、時間の関係上、この場面でさせていただきたいと思います。  国民の生死にかかわる制限速度というものを、国会の審議を経ないで、国会議員が関与できない政令で定めるという問題点がございます。これは要望にとどめておきますが、ぜひ国家公安委員長にも、今回の道交法の改正においても、例えば社会参加活動ボランティアという言葉が先行いたしまして、どうも賛否というものが分かれた。そんな状況もありましたけれども、あの問題に関しても、これから一年六カ月の間、今度は国会にその内容というものがかけられることなく決められていくということでありますから、こういう点は国会の軽視にならないように、きちっと国会に報告してもらうものは報告してもらうというような対応の配慮というものを考えていただきたいと思います。  オートバイの高速料金について、オートバイの質問をさせていただきましたので、関連でいたしたいと思います。  首都高速では七百円、一般の自動車と一緒であります。高速道路においては、軽自動車と同じ金額であります。このことはオートバイに乗っている方々から大変に不満が出ているところでありまして、この点に関して、これは建設省の方からお答えをいただければと思います。改善する考えというものがあるのかないのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  126. 山川朝生

    ○山川説明員 お答えいたします。  有料道路におきます自動二輪車の扱いについては、道路施設を空間的、時間的に占用する度合い等を総合的に勘案して、現在のところ軽自動車と同一の区分とするのが妥当というふうに考えております。高速自動車国道等におきましては、五車種に区分をしておりまして、自動二輪車は軽自動車の区分として扱っております、  先生指摘になりましたように、都市高速道路につきまして、これも同様に自動二輪車と軽自動車を同じ区分としておりますけれども、都市高速の場合には、料金徴取手続を効率的に行い、大量交通の円滑な処理による利用者サービスの向上を図るという観点から、二車種区分にさせていただいておりますので、そういう関係から、普通車、軽自動車、自動二輪車、これは同じ車種区分ということになってございます。
  127. 田中甲

    ○田中(甲)委員 時間になりました。最後に御要望を申し上げて、質問を終了させていただきます。  まずは、オートバイに対する配慮ということを法規制の中からも目を向けてあげてもらいたい。確かにオートバイは無謀な運転をする人もいますから、そういう目で住民も見がちですけれども、やはりオートバイに対しても適切な対応ということをとってあげる、このことは非常に重要なことだろうと私は考えております。どうぞ、今後とも検討をいただきたいと思います。  それから、交通弱者保護について、今回の場合には高齢者保護するということが主眼に挙げられていたと思いますけれども、障害者の問題というものを引き続き検討をしていただきたいと思います。目の不自由な方と幼児と、今回は高齢者でありましたけれども、障害を持つ方、耳の聞こえない方、あるいは車いすで生活することを余儀なくされている方のこともしっかりと検討して、ノーマライゼーションの時代にふさわしい交通法というものをつくり上げていただきたいと思います。  最後に、交通安全教育についてでありますけれども、高校教育の中でもっとしっかりと交通安全教育ということを盛り込んでいく。逆に、もう免許を取れる年齢になっているのに免許を取らせないということではなくて、全員に交通安全の教育というものを行っていくという発想の転換が必要なのではないかと考えるからであります。  最後に、この場所で申し上げるのかどうか少し悩んだのでありますけれども、各警察署の名称を夜間ライトアップするということを全国的に、特に交通の激しいところで、ここは警察署なのに全くわからぬ、真っ暗な中で名称がわからないというのは大変にもったいない。何々警察署という名称が見えるだけで、やはりブレーキを踏みます、スピードを落とします。警察署の署名のライトアップということも、もし機会がありましたら御検討をいただきたい。  以上で質問を終わります。
  128. 穂積良行

    穂積委員長 次に、春名直章君。
  129. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。  最高速度違反と過労運転が行われた場合の背後責任の問題について中心的に伺いたいと思います。  まず、過労運転という言葉ですが、道路交通法の中でも使われていますけれども警察庁は、この過労運転は何をもってこれを定義しているのかということをまずお聞きしたいと思います。
  130. 山本博一

    山本(博)政府委員 いわゆる過労運転ということにつきましては、特に定義というものは道交法上にはありませんが、第六十六条におきまして、過労により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等運転することと規定されておるところでございまして、定義といえば、過労により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等運転することということになるのかなというぐあいに思います。
  131. 春名直章

    ○春名委員 過労運転の禁止、私もこれで勉強してみましたけれども、禁止を法律の上では規定しているのですが、その定義自身は必ずしもくっきりとはしていないというお話だったと思います。それはおかしな話でして、ちょっと運輸省に伺いたいと思いますが、運輸省では何をもって過労運転とされていますか。
  132. 三宅哲志

    ○三宅説明員 お答えいたします。  過労運転防止につきましては、運輸省令でございますが、貨物自動車運送事業輸送安全規則という運輸省令がございまして、この中で、運転者が疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ交代運転者を配置しておかなければならないというふうに規定しております。  この具体的な解釈につきましては、安全規則の細部取り扱いの通達の中でございますけれども、過労運転は、運転者の体質等を考慮して個別に判断することが必要であるが、少なくとも平成元年二月九日付の労働省告示で定められました条件を超えて引き続き運転する場合、具体的には、拘束時間が十六時間を超える場合、運転時間が二日を平均して一日九時間を超える場合、それから連続運転時間が四時間を超える場合などの基準がございまして、これを参考に、その監査等で個別に具体的に過労運転になるかどうか判断しております。
  133. 春名直章

    ○春名委員 今おっしゃったのはいわゆる七号告示というものでありますが、これに違反をすれば過労運転ということで明確に規定をしておられます。  それで、トラックなどのドライバーの事故防止、安全運転向上という問題どこのドライバーの労働条件とが密接に関係しているということは、警察庁の皆さんも御承知だと思います。私たちは七号告示の内容を十分だとは考えておりませんが、しかし、過労運転をなくすためには、運輸省と同様にドライバーの労働時間などによる過労運転の定義を警察庁としてもこの際明確にしていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
  134. 山本博一

    山本(博)政府委員 私ども、定義といたしましては、先ほど申しましたような内容で一応明確になっておるのではないかという感じがするわけでございますが、問題は、具体的適用に当たりまして、なかなか微妙な問題があるということではないかと思っております。どの程度疲労をすれば道路交通に危険を及ぼす運転と言えるかということにつきましては、運転者によって個人差もあります、一律に何時間連続して運転したということをもって過労運転に当たるというような意味での基準を設けることはなかなか難しいのではないかと思っております。  また、過労運転を行った者の検挙に当たりましては、運転者本人の供述や実際の運転状況に加えて、使用者や家族等の関係者からも事情聴取するなど、さまざまな事情を総合的に判断をして行っているものでありますが、必要に応じまして、先ほど御説明がありました自動車運転者の労働時間等の改善のための基準などをも参考にしながら、適切に対処してまいりたいと考えておるところであります。
  135. 春名直章

    ○春名委員 参考にするというお話なのですが、その参考にする中身も、道交法の趣旨としては交通安全と安全に走行するというのが最大の目的法律なわけですから、その参考にすべき七号告示なども、安全に運転していくということを一つの大きな基準に置いてつくっているものです。  ですから、そういう点から見ても、運輸省の規定もそこに基準があるわけですから、過労運転の基準がやはり主観が入ってはっきりしないということでいきますと、今回せっかく過労運転や最高速度違反という問題で使用者責任まで含めた改定がされているのに、その背後責任を追及することができないのではないか、そういう声もやはり出てくるわけです。ですから、警察庁としても、ぜひこの問題を今後検討していただきたいというふうに思います。その上で、中身について伺いたいと思います。  今改正案では、トラックなどのドライバーが最高速度違反や過労運転を行った際に、それが使用者の下今、容認によるものでなくても、車両使用者に対する指示及び自動車の使用制限ができるということになっております。ところが、使用者とともに荷主、荷受け人の背後責任については明らかにされていません。一九九年の法改正では、過積載に対する荷主、荷受け人の背後責任についても明らかにしましたね、私も資料をいただきましてこれを読ませていただきましたけれども。今回、この点については明確にしていないのはなぜでしょうか。
  136. 山本博一

    山本(博)政府委員 今回、最高速度違反行為や過労運転につきまして背後責任を追及する必要があるという観点から、必要な指示とか使用制限の規定を盛り込んだことは既に先生指摘のところでございます。  問題は、五十八条の五の部分でありまして、今回このような荷主に対する責任が追及されておらないのはなぜかということでありますけれども、平成五年の改正の当時、荷主の規定を入れましたのは、荷主等の要求によりまして運転者が過積載運転を余儀なくされるケースが多く見られたことから、荷主等の過積載運転の要求等の行為を禁止し、違反者に対して違反行為の再発の防止を命ずるなどにより過積載運転を根絶することを目的としたものでございます。  荷主が配達時間を指定して荷物を運転者に引き渡し、運転者が指定された時間までに目的地に到達するため最高速度違反や過労運転を犯すというケースも今回の中で想定はできますけれども、このようなケースはどちらかといいますと、荷主が過積載となるような積み荷を引き渡し、その結果過積載が行われるという場合と比較いたしまして、荷主の行為運転者違反行為との関係がより間接的であるという感じがするところでございまして、過積載と最高速度違反について同様に論ずることはできないのではないかと考えた結果でございます。  警察といたしましては、今後の最高速度違反等の実態をよく踏まえ、それらの違反行為効果的な抑止のための方策につきまして引き続き検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  137. 春名直章

    ○春名委員 それでは、今回、使用者責任だけは盛り込むに至った根拠は何でしょうか。どういう因果関係が明らかになり、統計的な数字などがあるのでしょうか。
  138. 山本博一

    山本(博)政府委員 今回、最高速度違反、過労運転につきまして使用者責任の規定を盛り込みましたのは、この種の違反行為の実態を調べていく中で、運転者の責任というよりも、車両使用者の運行管理が不適切であるという事案が多く見られたことによるものでございます。
  139. 春名直章

    ○春名委員 そういう調査をされているということですが、そういう調査であれば、荷主や荷受け人の背後責任にまでなぜ突っ込んでやらないのでしょうか。過積載のときには警察庁は詳細な調査を行っていらっしゃいます。先ほど出しました「過積載根絶のために」というこのパンフも見させていただきましたけれども、この十ページには「過積載に係る背後責任追及状況」という表が掲載されております。最高速度違反や過労運転についてもこのような同様の調査は行っていないのですか。
  140. 山本博一

    山本(博)政府委員 現在、そのような調査は、事実が少ないということもありまして、十分な調査が行われておらないところでございます。
  141. 春名直章

    ○春名委員 事実が少ないということはわかるんですか。それを調査していないということを言っているのに、事実が少ないというふうに言われるんでしょうか。それはおかしいと思います。  それでは私が言いましょう。最高速度違反、過労運転事故を起こせば非常に重大な事故につながる可能性が高いものというのが、平成七年版の交通統計を見ましても、最高速度違反、過労運転というのが第一当事者となった事故の中で死亡事故となったものの占める割合ですけれども、それぞれ、最高速度違反は一八・二%、人数でいいますと千九百六十五名の方が亡くなって、数は圧倒的に第一位です。一三・四%が過労運転。これはいずれもワーストファイブに入るものであります。  だから、過積載と同様に、違反の原因、使用者とともに、荷主、荷受け人の背後責任にまでこれこそ詳細な分析が必要じゃないんですか。しかも、トラック運転手の置かれている実態は、そうした分析と、その上での荷主、荷受け人の背後責任を明確にすることを切実に求めております。  そういう例が余りないというふうに言われましたけれども、そんなことはありません。全日本運輸一般労働組合の皆さんが昨年、「安全運行に関するアンケート」を行っております。これは直接ドライバーの方に、二百九十七人の方から答えてもらった調査であります。宅配便の幹線輸送を行っている労働者の方々ですが、もしよろしければこれまた見ていただきたいと思いますけれども、驚くべき調査結果が報告されております。宅配業は今、大手の企業が元請となって荷物を回収し、遠隔地への輸送については下請業者に委託する、こういうやり方が広く行われております。この中で、下請の運転手は元請や荷主から法外な指示を受けているんですね。それが生々しい話でたくさん紹介されております。  例えば大阪の運転手は、百キロ走行を指示された、だから常にスピードメーターを見ながら走行をしなければならないので物すごく疲れる、こういう回答を寄せています。ある九州のドライバーは、京都から福岡の間を七時間から八時間で走れというのが指示で来た。愛知のドライバーは、青森から東京まで、午後十一時出発、翌朝六時到着の七時間でこれをやりなさいという具体的指示が来ているんだそうです。このように、アンケートに答えていただいた下請トラックの六二%の方が、高速道路を、深夜、八十キロ制限のところなのに百キロから百二十キロ出さなければとてもこの指定に間に合わない、疾走することが強要されている、こんな実態がありました。  死の危険についてアンケートをとっています。死亡する危険は感じますか。「常に感じている」というのが一三・一%、「時々ある」というのが四〇・四%、何と過半数以上のドライバーが死の危険を感じているという衝撃的な結果も出ております。指定時間におくれますと運転者と下請企業に契約解除などのペナルティーが科せられる、こんな実態があるんですね。  こういう実態、御存じないんですか。もう一度聞きます。知っているんじゃないですか。
  142. 山本博一

    山本(博)政府委員 委員指摘のように、最高速度違反及び過労運転につきましても、過積載と同様にその根絶を期するためには、運転手を取り締まるだけじゃなしに、その背後にある使用者さらには荷主等に対する対策を的確に行っていく必要があろうかと思っておるところでございます。  現在、このような方向で検挙活動をいろいろ進めておりますが、先ほど申しましたように、最高速度、過労運転につきまして荷主が関与したという検挙事例は必ずしも多くないところでございます。今後、最高速度違反や過労運転事件検挙、使用者責任の追及を行う中で、こうした荷主等が最高速度違反等を誘発するような時間を拘束した運送契約等を行っている実態ということをできるだけ明らかにしてまいりまして、荷主等の背後責任の追及にも努力をしてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  143. 春名直章

    ○春名委員 それはぜひやっていただきたい、しっかり私は聞きましたので。  それで、このパンフレットの中に、その過積載の問題でもやはり使用者だけじゃなくて荷主まで責任を追及せにゃいかぬというふうになった理由として、荷主が運送を別会社に下請させる形態とか販売業者に買い取らせる形態とか、これが今は一般的になっていて、使用者だけにしても効果がない、実質的にいかぬのや、そういうふうな分析をされて、それでそこまで突っ込んでやろうという議論をされているわけでしょう。今は事例が少ないというふうに言われるけれども、しかし実際は、今言うたように、この宅配便の、下請にやらせて、そういう指定をさせて、それでもう疾走させなければとても着かないようなそんな事例がたくさんあるんです。  だからこの際、本気で調べていただいて、荷主の責任や荷受けの責任など、やはりそこまで突っ込んだ検討を本気でやっていただきたい、このことを改めてもう一回要望したいと思いますが、いいでしょうか。
  144. 山本博一

    山本(博)政府委員 先ほどもお答えしたところでございまして、今後とも実態の解明に努めまして、そのようなものにつきましては徹底した責任の追及を行ってまいりたいと思っておるところでございます。
  145. 春名直章

    ○春名委員 それでは次に、トレーラーによる事故防止についても一言質問させてもらいたいと思います。  今回の改正案は、左車線の通行ということで、大型事故が起こったことにかんがみてそういう改正をされるものだと思います。トレーラーの安全走行の問題で、その改正自身は一つの事故防止につながるかもしれませんが、それでは済まない重大な事態がたくさんあると私は思います。  トレーラーの安全走行には、科学的に未解明な問題もまだ残されていると聞いております。特に、トレーラー特有のジャックナイフ現象、くの字に折れ曲がるというものですが、あの大きな原因は重量オーバーとスピードオーバーです。この点でも、荷主や荷受け人がこういうことを強要しているという報告もありますし、さらに、そもそも基準緩和車両がなぜやすやすと高速道路を通れることになるのかというような問題もあります。  これは警察庁だけの問題ではもちろんありませんが、高速道路の進入ゲートの前に設置された計量器が軸重を計算するだけで、つまり、一車輪軸にかかる重量上限は十トン以下が基準になっていますけれども、軸重を計算するだけで、総重量が違反していても軸数が多ければクリアできて中に入ってしまう、こういう問題があります。あるいは、単体物積載専用の重トレというトレーラーにばら荷を積んで運行している問題などもあります。ですから、構造的なこういう大問題が幾つも横たわっているわけであります。ですから、左車線を通ることになって少しは緩和されるかということもお考えかと思いますが、真にトレーラー事故の根絶につながる対策が必要じゃないでしょうか。こういう問題を本気に検討し、調査をするということが今求められているように思います。いかがでしょうか。
  146. 山本博一

    山本(博)政府委員 お答えいたします。  トレーラー等の大型貨物自動車事故防止対策といたしましては、御指摘のとおり、今回の改正による通行の区分の指定だけではなしに、速度超過、過積載等の事故に直結する違反抑止や、使用者運転者、荷主に対する安全指導等の総合的な対策が必要と認識しておるところでございます。  このような観点から、今後とも、本改正案の円滑な実施とともに、道路管理者、関係行政機関、関係団体等と連携いたしまして、危険性の高い違反の徹底した取り締まり、背後責任の追及、道路法等関係法令違反の摘発等の諸対策を積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  147. 春名直章

    ○春名委員 ぜひ、運輸省や建設省とも積極的にそういう協議もしていただいて、御検討をお願いしたいと思います。  最後に、午前中の議論でも質問が出ておりましたけれども、軽微違反行為者については社会参加活動の選択を含む講習義務づけられるという問題についてですが、私は、改めて確認しておきますが、この社会参加活動が今後、義務化されていくというようなことはありませんか。
  148. 山本博一

    山本(博)政府委員 今回の改正では、比較的軽微な違反を犯した者に対しまして一定講習の受講を義務づけ、受講した者には行政処分を課さないこととしておるところでございますが、この講習内容として、一定社会参加活動を選択することができるようにすることを考えておるところでございます。  社会参加活動を希望しない者にまで当該活動を行わせることは、本人の運転者としての資質改善という面で効果が低いと考えられますことなどから、社会参加活動は本人の意思を尊重して、選択により行わせることとしてまいりたいと考えております。
  149. 春名直章

    ○春名委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  150. 穂積良行

    穂積委員長 次に、畠山健治郎君。
  151. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私は、道交法直接の問題ではなしに、外側から少しお尋ねをさせていただきたいというふうに思いますが、大蔵省と運輸省はお見えでしょうか。  日米保険協議に基づく規制緩和として、大蔵省は任意自動車保険の差別化を行おうとしておるようでありますが、その内容と料率の変動見込みについてお伺いをいたします。
  152. 高橋毅

    ○高橋説明員 お答えいたします。  委員指摘の、日米保険協議の合意により可能となるリスク細分型の自動車保険の差別化の内容でございますが、料率の設定につきまして、運転者の年齢、性別、運転歴、自動車の用途、使用方法、地域、これは北海道、東北と七区分でございます、それから車種、安全装置及び複数所有者に基づいて行うことが可能となる予定でございます。  それから、このようなリスク細分型自動車保険が販売された場合の影響でございますけれども、保険契約者の選択の幅が広がる等の利便性の向上が期待されます一方、反面で、自動車保険の料率の変動見込みについては、事故率の高い若年契約者等の保険料が大幅に上昇するおそれがあるといった意見があることも承知しております。ただ、実際の保険料率がどのようなものになるかにつきましては、現時点では確たることは申し上げられないというぐあいに考えております。
  153. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今の説明でも、保険料率のアップは避けられないというふうに思うのです。特に、特定の年齢層や車種にかかわる被保険者の負担増は間違いないというふうにも思うのです。  そこで、まず運輸省にお尋ねいたしますが、自賠責制度における政府保障事業の支払い状況、特に無保険による支払い状況並びに原付の付保状況を示していただきたいと思うのです。
  154. 柴田耕介

    ○柴田説明員 お答え申し上げます。  政府の保障事業の支払い状況でございますが、平成七年度の実績で、支払い件数、決定件数でございますが、三千六百五十一件。このうち無保険にかかわる支払い状況は、約一二・五%の四百五十八件でございます。  また、原動機付自転車の自賠責保険の加入率は、軽二輪自動車を含むものでございますが、平成七年度で七二・六%と、若干ではありますが向上傾向になっております。ただし、加入率の計算につきましては、分母といたしまして市町村等への届け出台数をとっておりまして、廃車等に伴って届け出をされていない方もございますので、それを勘案しますと、もう少し加入率は高いのではないかというふうに考えております。
  155. 畠山健治郎

    ○畠山委員 自賠責にさえ無保険車がある実態は、被害者補償の観点から問題があるというふうに言わざるを得ないと思うのです。自賠責に加え、原付を除いた任意保険加入率は、対人賠償で約六八%にすぎない。もちろん、全労災などの共済加入もあるから加入率はさらに高くはなるかもしれませんが、基本となる自賠責に加入していない車がある実態では、任意保険が一〇〇%になろうはずがないと言わざるを得ないと思います。そうしてみると、任意保険の料率が大きく変動すれば、若い年齢層や特定の車の任意保険加入率にかなり影響を及ぼすものと見なければならないと思うのです。  この点、日米保険協議において大蔵省はどう考慮したのか、お伺いをしたい。また、運輸省は、任意保険の問題とはいえ、被害者補償に重大な影響を及ぼしかねない保険自由化に当たって大蔵協議をどのようになさったのか、お伺いをいたしたいと思います。また、直接の所管ではないにしても、道路交通にかかわる重大なこの問題について、警察庁として関心を持たざるを得ないかと思います。考えが今あれば、お尋ねをいたしたいと思います。
  156. 高橋毅

    ○高橋説明員 お答えいたします。  日米保険協議は、民間任意の保険についての協議でございました。御指摘自動車保険についてでございますが、先ほど申し上げましたように、リスク細分型の自動車保険が認められるということになりますれば、保険契約者の選択の幅が広がる等の利便性の向上が期待されます。ただ、委員指摘のように、一部の保険者については保険料が上昇するといったおそれもあるというぐあいに、そういうような意見があるということも承知しておりました。したがいまして、この両者をどういうぐあいに考えるか、そのバランスの問題ではなかろうかというぐあいに考えて協議に臨んだ次第でございます。
  157. 柴田耕介

    ○柴田説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、自動車事故の被害者救済の観点から、いわゆる任意保険の自由化についても非常に関心を持っております。しかしながら、日米保険協議に際しまして、運輸省は大蔵省から調整を受けたということはございません。
  158. 山本博一

    山本(博)政府委員 お答えいたします。  交通事故の被害者に対する救済を考えました場合、法律上の義務となっております自賠責保険や責任共済への加入に加えまして、任意保険にも加入することが望ましいことはもちろんのことであろうかと思っております。  このような観点から、自賠責保険や責任共済につきましては、無保険車をなくすためのキャンペーンを運輸省ほか関係機関と協力して行っているところでありますが、任意保険につきましても、運転者教育の機会等を通じまして、引き続き加入を呼びかけてまいりたいと考えているところでございます。
  159. 畠山健治郎

    ○畠山委員 再度運輸省にお伺いをしますが、保障額に対する自賠責の割合はどうなっているのか。また、任意保険の加入状況の変動によっては、保障額の五割を基本とする自賠責の支払い限度額の引き上げなどの改正も必要になるのではないかと考えますが、いかがでしょう。
  160. 柴田耕介

    ○柴田説明員 お答え申し上げます。  自賠責保険につきましては、自動車事故の被害者に対する基本的な損害賠償が適正になされるように自動車の保有者に契約を義務づける社会保障的な色彩を持った強制保険でございます。このため、法律上の義務づけがあるとはいえ、バランスの問題もございまして、支払い限度額の引き上げが大きな保険料の引き上げにつながりまして、契約者の負担増に伴って逆に無保険車が増加する、こういった事態は避ける必要があるというふうに考えております。  任意保険の自由化につきましては、先ほど大蔵省さんからもお話がございましたが、その具体的な態様、その影響についてもまだ確たることが言える状況ではないのではないかというふうに考えておりますが、任意保険の加入率が大幅に低くなり、自動車事故の被害者に対する十分な損害賠償が担保されないような状況は憂慮されるべきことではないかというふうに考えております。  運輸省といたしましては、自動車事故被害者に対する基本的な損害賠償を担保する自賠責制度を所管する立場から、任意保険の加入率だけを見ましてどうするということではないというふうには考えられますが、平成三年の四月からは、死亡の保険金額は三千万円に引き上げられております。今後とも、こういう支払い限度額の引き上げを含む自賠責制度のあり方について適時適切に検討を加え、見直しを行っていきたいというふうに考えております。
  161. 畠山健治郎

    ○畠山委員 先ほどの答弁からしても、これほどの問題について、日米関係が重視され、最も考慮されるべき被害者保障の観点が十分考慮されているとは思えない、そう言わざるを得ないと思います。被害者保障という最も優先されるべき社会的規制が、事故率の高い年齢層には高いハードルを設けることで低下させられ、損保を利する面だけがまかり通るということになれば、規制緩和とは企業活動の自由となりかねない。  しかも、大蔵省は差別化商品の認可に当たってガイドラインを設けると承っておりますが、その場合、逆にガイドラインそのものが日米の決着に反することにもなりかねないのではないのか。そうしたジレンマを生み出しかねないこの問題について、被害者保障という基本に立ち返った運転免許と保険制度との関連など、根本対策が求められることを強く強調して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  162. 穂積良行

    穂積委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  163. 穂積良行

    穂積委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  道路交通法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  165. 穂積良行

    穂積委員長 この際、本案に対し、宮路和明君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。富田茂之君。
  166. 富田茂之

    ○富田委員 私は、この際、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五会派を代表し、道路交通法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近における道路交通情勢にかんがみ、交通安全対策の一層の推進を図るため、次の諸点について善処すべきである。  一 最近の交通事故増加の現状にかんがみ、交通安全施設整備道路交通環境の改善を図るとともに、交通安全教育充実、救急・救助体制の整備関係機関が一体となった総合的な交通安全対策を積極的に推進すること。  二 現下の交通情勢を踏まえ、交通違反の取締りは、悪質・危険性の高い違反及び迷惑性の大きい違反に重点を置くこととし、交通違反防止の一層の推進を図ること。凶悪化、粗暴化、集団化を強めている暴走族に関しては、暴力団対策部門等との連携強化を積極的に行うこと。  三 軽微違反行為をした者が講習内容として選択できる社会参加活動は、運転者資質向上に資する活動に限定するとともに、学習効果が上がるよう十分指導すること。なお、受講に当たっては、受講者の意向を十分に尊重すること。  四 高齢者交通事故死者増加している現状にかんがみ、高齢者の特性、交通実態等を踏まえた交通安全教育を一層推進すること。特に、七十五歳以上の者に対する講習については、加齢に伴う心身の変化を自覚できるよう内容充実を図ること。  五 速度違反、過積載、過労運転等による重大事故が多発している現状を踏まえ、使用者、荷主等の背後責任の追及を含め、再発防止のための指導取締りを一層強化するとともに、関係機関、団体等と連携した事故防止のためのキャンペーン等各種施策を積極的に推進すること。  六 エアバッグ及びチャイルドシートの義務化、運転中の携帯電話使用規制等の諸課題について、交通安全確保の観点に立って、引き続き検討・協議し、早急に結論を得るよう努めること。  七 本法の運用に当たっては、その施行前に国民への周知徹底を図るとともに、本法に係る政令等の制定及びその運用に際しては、本委員会における論議を十分踏まえること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたしたいと思います。
  167. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  宮路和明君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。白川国家公安委員会委員長
  169. 白川勝彦

    白川国務大臣 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、大変熱心な御審議をいただき、速やかに採決いただきましたことを厚く御礼を申し上げます。  政府といたしましては、審議経過における御意見並びにただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、交通安全対策の推進に万全の措置を講じてまいる所存でございます。  今後とも御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。     —————————————
  170. 穂積良行

    穂積委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  172. 穂積良行

    穂積委員長 次に、ただいま付託になりました内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。白川自治大臣。     —————————————  地方自治法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  173. 白川勝彦

    白川国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  この法律案は、地方分権の推進に資するとともに普通地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、地方制度調査会の答申にのっとり、外部監査契約に基づく監査に係る制度を創設し、あわせて監査委員に係る制度充実を図るとともに、都道府県が法定の局部数を超えて局部を置こうとする場合の手続を簡素化するほか、所要規定整備を行おうとするものであります。  以上が、この法律案を提案した理由であります。  次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一は、外部監査に係る制度に関する事項であります。  外部監査に係る制度は、普通地方公共団体と外部監査契約を締結した者が外部監査人として当該普通地方公共団体の監査を行うものであり、普通地方公共団体の行政体制の整備と適正な予算の執行の確保を図るため、その制度を創設するものであります。  普通地方公共団体と外部監査契約を締結できる者は、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関しすぐれた識見を有する者であって、弁護士、公認会計士及び普通地方公共団体の監査に関する実務に精通した者とするとともに、普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の職員や職員であった者等と外部監査契約を締結してはならないこととしております。  外部監査契約とは、包括外部監査契約と個別外部監査契約をいうものであります。  まず、包括外部監査契約に基づく監査に関する事項についてであります。  包括外部監査契約に基づく監査は、普通地方公共団体が、その組織及び運営の合理化等を図るために、毎会計年度、包括外部監査人が必要と認める特定の事件について受ける監査であり、都道府県、政令指定都市、中核市について義務づけることとし、その他の市町村は条例により導入することができることとするものであります。  これらの普通地方公共団体の長は、毎会計年度、当該会計年度に係る包括外部監査契約を速やかに締結しなければならないものとし、この場合には、監査委員の意見を聞くとともに、議会の議決を経なければならないこととしております。  また、これらの普通地方公共団体は、連続して四回、同一の者と包括外部監査契約を締結してはならないこととしております。  次に、個別外部監査契約に基づく監査に関する事項についてであります。  個別外部監査契約に基づく監査は、事務の監査の請求、議会からの監査の請求、長からの監査の要求または住民監査請求があった場合において、個別外部監査人が当該請求または要求に係る事項について行う監査であり、普通地方公共団体は条例により導入することができることとするものであります。  このような条例を定めた普通地方公共団体の長は、一定の要件を満たすときに個別外部監査契約を締結しなければならないものとし、この場合には、監査委員の意見を聞くとともに、議会の議決を経なければならないこととしております。  第二は、監査委員に係る制度充実に関する事項であります。  まず、監査委員のうち、当該普通地方公共団体の職員であった者は一人を上限とするとともに、町村の監査委員の定数を二人とし、町村にも監査委員事務局を設置できることとするものであります。  次に、監査委員から監査の結果に関する報告の提出を受けた普通地方公共団体の長、委員会または委員が、当該監査の結果に基づき、または当該監査の結果を参考として措置を講じたときは、監査委員に通知し、監査委員はその旨を公表しなければならないこととしております。  第三は、都道府県の局部に関する事項であります。  都道府県が法定の局部数を超えて局部を置こうとする場合の事前の自治大臣への協議を届け出に改め、その手続を簡素化するものであります。  最後に、別表の規定改正等所要規定整備を行うこととしております。  以上が、地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  174. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会      ————◇—————