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1997-02-20 第140回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君    理事 田中  甲君 理事 穀田 恵二君       石橋 一弥君    久野統一郎君       下村 博文君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       西田  司君    平沢 勝栄君       持永 和見君    渡辺 具能君       今井  宏君    笹山 登生君       白保 台一君    福留 泰蔵君       松崎 公昭君    吉田  治君       鰐淵 俊之君    金田 誠一君       古川 元久君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁交通局長 田中 節夫君         警察庁警備局長 杉田 和博君         自治政務次官  久野統一郎君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計企画官    樋口俊一郎君         文部省体育局学         校健康教育課長 北見 耕一君         通商産業省貿易         局輸入課長   高橋はるみ君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   春名 直章君     志位 和夫君 同月二十日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     吉田  治君   葉山  峻君     金田 誠一君   志位 和夫君     春名 直章君 同日  辞任         補欠選任   吉田  治君     川端 達夫君   金田 誠一君     葉山  峻君   春名 直章君     志位 和夫君     ――――――――――――― 二月十八日  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の  一部を改正する法律案内閣提出第一七号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十七日  銃器犯罪根絶に関する陳情書  (第六  号)  暴力行為テロ行為根絶に関する陳情書  (第七号)  警察官の増員に関する陳情書  (第八号)  地方カラ雇用カラ出張等の不正問題の徹底  解明に関する陳情書  (第九号)  土地の固定資産税等の評価・課税の適正化に関  する陳情書  (第一〇号)  農地等に係る固定資産税適正化に関する陳情  書外一件  (第一一号)  JR各社に対する固定資産税及び都市計画税の  特例措置延長反対に関する陳情書  (第一  二号)  関西国際空港株式会社航空運送事業者への固  定資産税及び都市計画税軽減措置の撤廃に関す  る陳情書  (第一三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の  一部を改正する法律案内閣提出第一七号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三八号)  地方財政に関する件(平成九年度地方財政計画  )  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
  3. 宮路和明

    宮路委員 最初に私は、先般の大臣所信に関連いたしまして、地方行革推進の問題についてお尋ねしたいと思います。  大臣はさきの所信表明の中で、地方行革推進を最優先課題として取り組んでいきたい、こういうことを力強くおっしゃっておられるわけであります。行革が問われる中で、これまでややもすると、国の段階における、国のレベルにおける行革それなりに進んできているけれども、地方における行革は、今まで声だけが叫ばれて、どうも立ちおくれが著しいのではないかということが言われておるわけでありまして、特に地方分権というものが進む中で、今までのような状況であるならばますます地方行政が肥大化していきはしないかという懸念が非常に出てきているように思います。そういう声が強いように思います。  そこで、自治大臣、何はさておき最優先課題地方行革だ、こういうことで決意も新たに一生懸命頑張っていこうということで、目下その機運醸成に向けて東奔西走していらっしゃるというお話をお聞きしておるわけでありますが、この所信表明の中でも、今度の行革に向けての具体的なイメージといいましょうか、姿がまだ出てきてないのではないかなというふうに思います。  そこで、具体的にどういうような方針のもと、どういうような形でこの行革に取り組んでいかれるのか、その基本的なお考えなり方針をひとつ承りたいと思います。
  4. 白川勝彦

    白川国務大臣 総論だけ、まず私から最初にちょっと話をさせていただきますが、今までも関係者行政改革の努力はしてきた、こう思うわけでございます。ただ、国においても今までとは違う意味合いで明らかに今行革は働いていると思いますし、政治に求められているものも今までと同じトーンと受けとめたのでは、多分、国民皆さんが今行政改革を求めている声にこたえることはできないだろうと私は思っております。  ただ、私は、橋本内閣の最優先課題行政改革であるわけでございますが、その橋本内閣自治大臣として任命されて、私の仕事は何だろうか、こう思いをいたしたときに、支出ベースにおいては国の倍、また公務員数も、どれをとるかは別でございますが、例えば教職員を除いたとしても倍以上ある、この地方行政分野行政改革をしなければ、今国民政治に期待をしている行政改革はその実を上げることはできないだろう、こういう基本認識のもとに、私は就任直後からそのことを関係者に強く訴えているわけでございます。  そして、就任以来、三カ月ちょっとでございますが、自治省並びに地方行政関係者にはそのことは大分御認識いただいたのではないかな、こう思っておりますけれども、具体的にはさあどう進めていくかという話になりますと、国の各省庁の場合ならば、よくても悪くても一つ組織体でございますから、上から一つ方針を示せばよくても悪くてもそれに向かってみんなが進んでいくわけでございますが、それぞれ独立の意思を持った、組織も別の三千三百の自治体の行政改革あるいは財政改革を進めていくというのは国の場合とは同じわけにはいかないわけでございまして、今、それをどういう手法でやっていったらいいのか、一生懸命取り組んでいるところでございます。  そして、もちろん私一人ではできませんので、私が就任間もなくでございますが、省内に事務次官を長とする地方行革推進本部というものをつくりまして、今、鋭意努力しているところでございます。  詳細については、行政局長からむしろ答えさせていただきたいと思います。
  5. 松本英昭

    松本政府委員 地方行革の具体的なイメージ等でございますが、ただいま大臣からもお話がありましたように、地方行革というものをどうしても今回進めていかなければならないということでございまして、まず、そのためには、何よりも機運醸成ということが必要であろう。そういうことで、三千三百の団体を相手にいたしまして、一つの運動としてこの地方行革というものを進めていくようにしたいというようなこともございまして、各団体等の意見を聞くとか、あるいはブロックでセミナーを設けるとかあるいはインターネットを通じた行革のためのいろいろな情報の提供あるいは情報の収集を行うとかそういうことに取り組んでいるところでございます。  行政改革の中身といたしましては、これはやはり新しい社会に合った事務事業というものを再構築していく。そういうことを中心にいたしますとともに、その定員等適正化、そしてまた職員政策形成能力充実強化、そういった面にも力を注いでまいらなければならないのではないかと考えているところでございます。
  6. 宮路和明

    宮路委員 今の大臣の並々ならぬ御決意と、そして、まずはそういうムードづくりをやっていかなければいかぬ、体制づくりに着手していかなければならぬということでお進めになっておられるということでございますが、地方財政が大変大幅な財源不足状況にもあるということを考えますときに、要は、行革は、今行政局長の方からも話がありましたように、定員管理適正化あるいは給与適正化をどうやって図っていくかというのがやはり最大課題といいましょうか基本だというふうに思うのですね。  そこで、定員管理の問題でありますが、国の方は、昭和四十二年に総定員法をつくって、そして四十三年度からずっと今日まで、何回も定員削減計画というのを改定しては新たなものを示して、それに基づいてやっていくというようなことで、定員削減中心とした定員管理をやってきておるわけでありまして、昭和四十二年百十八万人であったものが今は百十六万人ということで、この間二万人の実員減少を見ているということでありますけれども、地方公務員は、先ほど大臣お話しになりましたが、その定員が、定員といいましょうか実員が、私が調べたところによると、昭和四十二年二百三十二万人であったものが、九十六万人ふえて、現在では三百二十八万人になっている、こういうことでありまして、国は減っているけれども地方の方は大変な増加を来しておる、こういうことであります。平成七年では平成六年に比べて若干の減少というのは見られるようでありますが、総じて今申し上げたような形でどんどん定員がふえてきている、こういうような状況であります。  そこで、今後地方分権を控えて、またこれに拍車がかかっていかないようにということを、何としてもこれはやっていかないと大変なことになる、こういうふうに思うのです。この定員管理の問題、確かに地方自治体地方自治体というそれぞれの意思を持った主体でありますから、それを国でえいやというわけにはまいらないというのは先ほど大臣のおっしゃったとおりだと思いますが、それはそれとして、やはり国におけるそれなりの強力な指導助言、サポート、そういうものがあってしかるべきだと思うのですが、その点、どういうぐあいに考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  7. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 地方公共団体行政改革の中で、定員管理適正化推進するということは重要なことであるというぐあいに認識をしております。  今先生から御指摘ありましたように、地方公務員総数でございますけれども、四十二年の二百三十二万から平成七年の三百二十八万ということで、約九十五万ふえております。その増加数の約八割以上が教育部門福祉部門警察消防部門ということで、職員配置基準が国で決められているというのが大部分でございますけれども、先ほど御指摘ありましたように、平成七年には前年に比べて四千百六十人ということで減少となったわけです。この間、自治省におきましても、地方公共団体の自主的、主体的な定員管理適正化計画策定、または定員状況の公表の推進ということで指導をしております。  今、御指摘がありましたように、国家公務員については、いわゆる総定員法総数を定める、また定員削減計画策定推進するということで定員管理が行われております。また一方、地方公務員につきましても、地方自治法に基づきまして、議会の審議を経て条例でその総数を定める、また目標値を定めた定員適正化計画策定するということで、仕組みとしては一緒だろうと思いますけれども、定員適正化計画について、現在のところ都道府県、政令市はすべて、また市町村においてもほとんどの団体策定済みになっております。この適正化計画に基づいて、地方団体が自主的、主体的にみずからの問題として推進してまいるように、我々も指導を徹底してまいりたいというぐあいに考えております。
  8. 宮路和明

    宮路委員 今公務員部長の話を聞いておりますと、大変立派にやっておられるんだ、こういうような感じをどうも受けるわけですが、これは私、つい先般、読売新聞記事なんですけれども、地方職員削減進まず、数値目標を示して定員管理をやっているのは大都府県だけ、こういう大きな新聞記事が出ておりまして、いわば非常にかけ声だけに終わっていると。計画をつくり、そしてそれをオープンにしてみんなに公表して、定員削減計画とはこうなんだと、こういうことをやっておるところはほとんどないというような、そういうことをうたっておるわけです。  やはり国と同様、それぞれの都道府県管理計画とかあるいは削減計画というのを持って、そしてそれをみんなにオープンにして、こうやってやっていくんだということを、行政情報公開のこういう時代でありますだけに、やはり住民にそういうのを問いかけてやっていかなきゃならぬ、そういう時代だと思うのです。ですから、この問題は一番肝心な問題だと思いますから、ぜひ強力なお取り組みを賜りたい、こう思います。  時間がございませんので、あと給与関係適正化についてお聞きしたいと思ったんですが、そこはちょっと省かせていただきます。  次に、魅力ある地域づくりの問題について、これは大臣のお考えをお聞きしたいと思うわけであります。  地方分権時代というのは、まさに地方地方がそれぞれの持ち味を生かして、地域特色を生かして、どうやって魅力あるふるさとづくりをやっていくかということが地方分権に問われている最大課題じゃないかな、私はそう思っております。  そういう中で、じゃ何が魅力ある地域づくり基本がといいますと、地域特色あるいは持ち味を生かしたふるさとづくりということになりますと、一番重要なことは、それぞれの地域が持つ自然的なあるいは経済社会的な条件をフルに生かした地域産業おこし、どうやって産業を興して特色あるふるさとをつくっていくか、これが私は一番基本じゃないかな、こう思っておるわけであります。  私は、白川自治大臣の出された本を二冊持ってきたんですが、一つは「新憲法代議士」、これはもう私ども徒手空拳政治の世界に飛び込むに当たっては、これがバイブルだと言われて、私も愛読した本でありますし、また「地方復権政治思想」、これもそうなんでありますが、やはりここを拝見しましても、ちょっと読んでみますと、「人は、産業によって生きます。地場産業を守り、発展させるために、最大限に努力する政治でなければ、真に地域に責任を持った政治とは言えません。」そういうくだりがこの中に堂々と書いてございます。それから、やはりこっちの「地方復権政治思想」の中でも、地域活性化させるための地場産業育成、こういうことが最大課題だということをうたっておられるわけであります。私もまさにそうだというふうに思います。  ところが、最近の地域産業を見ますと、いわゆるボーダーレスの時代を迎えて、この地場産業がどんどんと国際競争の中で大変苦境に立たされてきつつあるというのが実態であります。例えば、私のふるさとの伝統的な地場産業であります大島つむぎでありますけれども、平成二年で二百三十億ぐらいの出荷額があったのが今やもう半減以下でありまして、百億弱。それから、私の田舎は川辺仏壇というこれまた有名な仏壇の産地でありますけれども、これもこのところ、もう一時からしますと半分に出荷額が減ってきているということでありますし、またしょうちゅうも、これも今度WTOによる酒税引き上げ勧告を受けまして大幅な酒税引き上げがなされますと、しょうちゅう産業もこれはばたばたと倒れていくのではないかなということが懸念されておるわけでありまして、地場産業の置かれた大変な苦境とその悲鳴が今聞こえてくるわけであります。  こういう中でどうやって地域産業というものを興し、地域経済活性化を図ってふるさとづくりを進めていくかということが私は一番大きな課題になっているんじゃないかと思うのです。これは当然、地方分権時代にふさわしく、自治省の方におかれてもそういった点に深く思いをいたされて地方行政を展開していただくことが重要だと思うのですが、その点、大臣にひとつ所信のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 白川勝彦

    白川国務大臣 地域に限らず、一億二千五百万人がどういう仕事をし、どういう価値を生み出して豊かな生活をしていくかということは極めて難しい問題だと思っております。  ただ、自由主義社会というのは、国がちゃんとした仕事を与えるから忠実についてこいという、そういう思想ではなくて、国は皆様方に自由を与える、その中で皆様方はそれぞれの仕事を選び、創意工夫をしてやってもらいたいというのが自由主義経済の根っこのところにある話だと思うのでございます。  過疎地等が抱えている地域産業という問題は、今まで自治省やら農林水産省やらあるいは通産省などもいろいろ手は打ってきたと私は思うのでございますが、おっしゃるとおり、そんなに直ちに有効なものがなかったことは厳然たる事実だと思うわけでございます。  私も地場産業というのはそれぞれの地域に昔はあったと思うのです。ですから、私が昭和五十三年に御指摘があったその本を書いたときに、少なくとも昔の地方は中央の厄介者ではなかったよ、例えば農村それ自体が、食糧を生産するという国家的な大きな仕事を持って、みんな希望にあふれていろいろやっていた。私の町も織物がありますけれども、昔は織物それ自体が日本人にとって非常に欲しいものでございまして、つくれば売れるということでございましたが、なかなかつくる資材がないというような時代があったわけでございます。今は、織物などは、もう正直言ってお互いさま、掃いて捨てるほど持っている。一方では自分の洋服だんすにあるものに困りながら、しかし目の前にいいものがあると買うというような形で、そういうことが結構日本の中にあると思うのでございます。  そんな中で、しかし、地場産業というものがなければ、私は、幾ら国がどういう政策をしてみたところでそれぞれの地域自立もできないし、本当の意味での夢は出てこないと思っております。それで、いろいろあろうかと思いますが、私は、それぞれの地域がどういう産業を持ち、そしてその地域の一番の生産活動の原点にするかというのは、冒頭申し上げたように、それぞれの地域の人に考えていただくしかないと思うし、それぞれの地域ならば絵が描けると思うし、その地域の人が幾ら考えても絵が描けないものを自治省やらほかの役所が、あなた方、こういううまい話があるでしょうなどということを言えるほど事態は簡単ではないと思っております。  問題は、それぞれの地域が死に物狂いで一つ産業を興そうということに対する支援措置があるかないかということに尽きるのだろうと思います。お読みになっていただいたかどうかわかりませんが、その本の中に、私は昭和五十一年、落選はいたしましたけれども、竹下内閣のころに一億円を配ったというふるさと創生資金というのがありますが、私はそのときに、三千の市町村に一億円ずつ配れ、ただし、これは地場産業を興すという目的のために一億を配ったらどうかというのを、当時三十一歳でございましたが、選挙公報に書かせていただいたことがございます。  自治省ふるさとづくり事業などでかなりフレキシブルな形で予算が出せるようでございますが、それがいろいろな各種の、よく一方では批判される地域に似合わず豪華なものというようなものになっているわけでございます。そういうものも大事は大事でございますが、やはり最後には、それぞれの地域本当自立し、発展していくためには産業が必要なので、私は、産業おこしのために、村おこしのために、例えばこういう仕事場をつくるために基本的にこれは要るんだというようなことに対してはそういうもので対応できるような道もこれからは考えていかなきゃならないのではないだろうか、そうしない限り本当地域自立というものはないんじゃないかな、こう思っております。  今、そういう産業おこしというようなところでどの程度自治省が出せるのか出せないのかは、財政局長の方からぎりぎりのところを答弁してもらいたいと思います。
  10. 宮路和明

    宮路委員 財政局長答弁は、申しわけないのですが、ちょっと私、次のものを、ぜひともやりたいものがありますので、もう大臣の今の答弁で、あとはまたぜひ大いに実際の施策の展開をやっていただくということを期待申し上げてこの質問を終わらせていただいて、次に、オレンジの問題について、時間がもう本当にないのでありますが、二、三、お聞かせいただきたいというふうに思います。  最初に、きょうの朝刊でありますが、「友部議員詐欺起訴」、こういうのが出ておりました。九人の方から総額約一億八千九百万円をだまし取ったということで起訴になった、こういうことでありますけれども、このオレンジ共済が扱ったといいましょうか、集めたお金、九十数億とも言われているわけでありますけれども、そうした金額からするとごくごく一部である。したがって、この一億八千九百万なんというものじゃ国民皆さんも納得しないし、被害者だって救済されない、こんなことでは。  ですから、もっともっと全容解明に努めて、今後、追送致といいましょうか、余罪を追及してやってもらわなきゃいかぬ、こういうふうに思うのですが、その辺をどういうふうに取り組んでいかれるか、ひとつ決意のほどを聞かせていただきたいと思います。簡単にお願いします。
  11. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいま御指摘のように、私ども、現時点で、二千六百人から八十億円以上集めたという事案だと見ております。お話にありましたように、九名の被害者から集めた一億八千万余りということで現在起訴になっております。  御指摘のように、余罪につきましては、本件詐欺全容にふさわしい額、全部が全部立件できるかというのは捜査技術上の問題もございますが、そういうふさわしい額で司法手続に乗るようにということで努力しております。  今、起訴になりましたのが九名、一億八千万余りと申しましたが、実は、第一回送致は十二名の被害者で一億四千万の立件をいたしました。第一回送致をいたしました。引き続き捜査を遂げまして、新たに四名の被害者、六千万余りの事実を二月七日に追送致しております。今回起訴になりましたのは、第一回送致、追送致、合わせまして十六名の被害者の方の中から、検察庁の方で判断しまして、当面九名につきまして一億八千万余り起訴したということで、御指摘のように、今後ともこの余罪につきましては十分なる捜査を遂げてまいりたいと考えております。
  12. 宮路和明

    宮路委員 この新聞では、詐欺罪として立件する額は最終的に七億円近くになる見通し、こういうことが言われておりますが、これは七億円なんというものじゃないだろうというふうに思うのですよね。ですから、徹底して、今の御答弁のようにやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、実は今度の問題、これは政治が深くここにかかわっているというのが大きな問題となっている、その背景であるわけであります。実は、これはきのうの東京新聞なんですが、友部容疑者から当選お礼に二百万円接待を受けた、細川元首相とか初村謙一郎前衆議院議員が参議院選から一カ月後の一昨年の八月末、さる某所においてそうした接待を受けた、こういうことが言われておるわけであります。非常に事細やかに記事が出ておるわけでありますが、こうした事実は捜査当局においても当然つかんでいるかと思いますが、その点、どうでしょうか。
  13. 泉幸伸

    泉政府委員 御指摘の報道につきましては、私どもも承知しております。  現在、先ほど御答弁申し上げました詐欺事件につきまして、その資金の使途の解明ということで鋭意捜査しておりますところでありまして、このように報道されたものもそれに関係する事実であると思います。  具体的にどのような事実が現在捜査により認定されているかということにつきましては、捜査途上のことでございますので御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、証拠により認知できる事実で、かつ他の法令に違反するような事実がありますれば厳正に対処するという方針捜査をいたしております。
  14. 宮路和明

    宮路委員 もしこれが事実だとしましたらば、これは公選法の第二百二十四条の三、「候補者の選定に関する罪」の「参議院名簿登載者の選定につき権限を有する者が、その権限の行使に関し、請託を受けて、財産上の利益を収受」したときは云々というこの規定に抵触する疑いが極めて濃厚であるというふうなことになってくるかというふうに思うのですね。二百万円ということでありますから、これは間違いなくそういう可能性というか該当する疑いが強い。  ですから、そこは徹底して、この問題、政治不信を払拭するためにも、あるいは今の重要な役割を果たすべき政党に対する国民のまた信頼を回復するためにも、徹底してやはり捜査を今後進めていっていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  それから、またきょうの報道でありますが、きのう実は自治省の方で、平成九年の政党助成金の交付試算額というのが発表になったようでありますが、平成七年、八年、友部議員が所属しておった新進党並びに友部さんにかかわる選挙区支部、そこにどれだけの政党助成金がそれぞれ交付されたのか、そして友部議員の比例区における政党助成金の使途はどういうぐあいになっておるものかここをちょっと言ってもらいたいと思います。
  15. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 新進党への政党交付金、平成七年は九十二億千百十七万五千円、平成八年は九十八億一千六十四万三千円でございまして、平成八年分はまだ報告の期限が来ておりませんので報告を受けておりませんが、平成七年は新進党参議院比例代表選出第二十八総支部に三百万円支部政党交付金として出ておりまして、この三百万円は全額人件費に充てられております。
  16. 宮路和明

    宮路委員 もう時間が来ましたのでやめますが、この政党交付金三百万円が本当に政党活動に使われたのかどうか、どうも疑わしいといいましょうか、先ほどの資金のかき集め方といいましょうかそれが選挙の後物すごい勢いで増大しておるわけでありまして、そういったことからしますと、この政党助成金もそうした活動の一環といいましょうか、そうした行動の一環として使われてしまったのではないかという懸念が甚だするわけであります。この辺をひとつよく今後調べていただいて、またこの問題は追って審議させていただきたい、こう思っておりますが、ひとつよろしくその点もお願いしておきたいと思います。どうもありがとうございました。
  17. 穂積良行

    穂積委員長 渡辺具能君。
  18. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。議員として初めての質問の機会を当委員会におきましていただきましたことを厚く感謝申し上げます。  さて、先日の白川大臣所信表明には大変力強い期待感を持ったものでございます。その冒頭の基本認識におきまして、地方公共団体の役割の重要性を訴えられました。そこで、きょうは、地方分権の受け皿論とも言われております地方行政の体制の問題を議題、特に市町村合併についてお伺いをしたいと思います。  この受け皿論につきましては、我が党の代表質問におきまして山崎議員も、地方分権については受け皿となる地方行政の具体案をつくることが重要であると主張をしておられます。分権された権限というか自治体が果たすべき機能が的確に、しかも効率よく実施されて初めて地方分権本当の意味で達成されるわけであります。そのためにも、今三千二百三十二にも及ぶ市町村の合併を進めて、行政能力の高い地方行政の体制をつくることが必要だと思うのです。  白川大臣は先日の所信表明の中で、地方分権の成果を上げていくためには、地方公共団体においても、市町村の自主的合併など行政体制の整備、確立を図っていただくことが重要であり、私といたしましてもその推進に積極的に取り組んでまいりますと言っておられるわけであります。大臣指導力と果敢な実行力に大変期待をいたしておりますが、ここで少し気になるところがあるわけでございます。若干細かいような気もいたしますけれども、これからの議論にもかかわることなのでお尋ねさせていただきます。  白川大臣の言いぶりは、自治体においても図っていただくという言い方であります。ところが一方、橋本総理の施政方針演説ではこうおっしゃっているわけです。自主的な合併を初めとする行政体制の整備に取り組むよう地方公共団体に強く求める、ここが大事なところでありますが、言っておられるわけであります。取り組み方の意欲に温度差があるかのごとき言い回しの差であるわけでございます。  先ほど宮路委員も言っておられましたけれども、白川大臣におかれては、全国行脚までされて地方の実態を把握して、行革の必要性を説かれて回っているというふうに聞いておりまして、よもやその温度差におくれをとるというようなことはないと思いますけれども、念のため、その言い回しのあたりを中心に、大臣決意を改めてお聞かせいただきたい、こう思うわけであります。
  19. 白川勝彦

    白川国務大臣 言葉の問題ではなくて、国会の中で、あるいは一般的に合併をせよという声が強いわけでございますが、合併したくないという人を今のところ強制的に合併する手段は法律上どこにもございません。ですから、あくまでも地方公共団体が、現状ではこういう点で不都合がある、そして合併すればこういうメリットがあるということに思いをいたしていただいて、それぞれの自治体が合併を決めていただかない限り、三千人の村があるからけしからぬ、あるいは、そんなのでできるかと幾ら第三者が言ったところで、これはもう既に地方自治法によって生んだのですから、そこは合併について言う人はまず頭に置いていただきたいと思うわけでございます。そして私は、制裁的な意味での合併をできるわけがないし、法律上も多分、どんな法律を書いてもそうはできないと思うわけでございまして、どういう形で合併を誘導するかということを考えなければいかぬと思います。  そこで、私がこの前予算委員会でも申し上げましたが、今次いろいろと議論になっております地方分権ということを盛んにみんな言っているけれども、では地方分権推進委員会で現実に今まで国もしくは都道府県がやっていた権限のうち何が市町村に行くのですかと、よく検討していただきたい。都市計画のちょっと一部を市町村にやってもいいという、現実には、具体的にはそれしか示されていないで受け皿論、受け皿論といったって、受け皿をつくる必要すらないじゃないですかということもまた、この際、分権を言う人たちは考えてもらいたい。  どうかひとつ、私は大いに合併しなければいかぬと思いますけれども、やはり合併した方がいいのじゃないですかと言う以上は、どういうメリットを与えるか、そして、こういう権限を与えたいと思うならこういう体制では渡せませんよということを明示しなければ、何か小さいものは忌みたいな、大きいものは善みたいな、こういう議論は法律上も間違っているし、現実の今の流れの中でも本当の意味で小さな町村の心を動かすことはないと思いますので、みんなで知恵を出し合わなければならない問題だと思っております。
  20. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 市町村の合併が市町村の主体性によって行われるべきであるということについては、私も全く異論を唱える気はないわけであります。しかし、今の白川大臣答弁の中に、市町村合併はやはり進めなければいけないという基本的な方向については、安心をしたというか、同意をするものであります。  そこで、質問をもう一つさせていただきますが、二年前ですか、合併特例法の改正法が施行されて、合併の発議ができることになりましたが、合併発議の制度を仕組んで以来合併発議がどの程度あったか、その結果、合併協議会の設置にどの程度至って、そして結果としてここ二年どういった合併が進んだかということを実態をお聞かせ願って、そして、その実績に対しまして自治省としてどう評価しておられるか、平成七年の法律がその目的を十分に果たしているとお考えかどうか、現下の行政改革推進していく上で十分な機能を果たしているかどうか、そのあたりについて、実態については政府委員の方からでも結構ですが、評価については白川大臣にお伺いしたいと思います。
  21. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  合併特例法が平成七年に成立いたしまして、それ以降の合併発議の実績でございますけれども、本年の二月十日までに、十三地域で三十二件が、発議が成立いたしております。そのうち、三地域五件の発議につきまして合併協議会の設置に至っており、現在、まだ二件の発議が手続中でございます。  次に、合併協議会の設置及び合併の実績でございますけれども、平成七年四月以降合併いたしましたのは二件ございまして、一つは茨城県で鹿嶋市が、大野村というのと鹿島町が合併してできましたのと、東京都の秋川市と五日市町が合併いたしましてあきる野市ができたという実績でございます。  評価の問題でございますが、私どもといたしましては、この合併の発議の制度というのは大変今全国的に関心を呼んでおりまして、方々でこの発議に向かっての動きも見られていると承知をいたしております。これからも全国的に、発議の方向に向かって各地で運動等が行われるということは期待できるかと思っております。  ただ、この発議が成立いたしましても、今の制度のもとにおきましては、それぞれの関係市町村の長並びに議会の意向というものがどうであるかということがそれを左右することになってまいります。その辺のところは、この発議制度の運用の実態を見ながら、今後ともどういうふうに持っていくのがいいか考えてみなければならない点もあろうかとは思っているところでございます。
  22. 白川勝彦

    白川国務大臣 行政局長が言ったとおりでございますが、この前改正されたのがどういう問題意識とどういう必要性があってこのような法律改正をしたのか私は存じておりませんが、少なくとも、さっき申し上げた独立の意思を持った、そしてそれなりにいろいろな歴史がある自治体を合併の方に誘導していこうとしたならば、私は率直に申し上げて、正直言って細かい点は読んでおりませんが、この程度のことで合併が進むわけはない、こう思っております。合併を推進すべし、それが将来的に地方のためにもなるし効率のいい行政をつくるために必要だとするならば、一時的には仮に持ち出しになっても、合併を誘導するのならばもう少し思い切った措置をとらない限りいかぬと私は思っておりますので、余り細かいことは読んだことがありません。
  23. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 市町村合併というのは大変難しい問題ですから、そう簡単にいくとは思いませんが、地方自治体のスリム化、効率化が現下の緊急課題になっているわけでありまして、今実績をお伺いしますと、やはりもう少し実の上がる考え方をつくっていかなければいけないのじゃないかと思うわけであります。  今、市町村は三千二百幾つかあるわけでありますが、この市町村の数は、以前は一万以上あったというふうに聞いております。一九五三年、町村合併促進法によって、このときは義務教育の実施に伴う財政危機を打開するためにこの法律がつくられたというふうに聞いておりますが、そのことによりまして四千を切るところまで合併が進んだ。時代が違うとはいいながら、改めて先人の英断に敬意を表するものであるわけでありますが、最近ここ三十年はただいま御説明があった程度のものでございまして、ただ減らせばいいというふうには私も思いませんけれども、今のようなテンポを容認していいのだろうかという気がするわけであります。  市町村合併というのは、私は一種のリストラだというふうに思うわけであります。当事者の主体性を損なってはいけませんけれども、もっと合併のメリットなど、お金のかかるものばかりじゃなくても、例えば権限メリットみたいなものもあるのじゃないかと思いますが、いろいろな手だてを用意しながら、決断を迫るというとちょっと強過ぎるかもしれませんけれども、先ほど白川大臣がおっしゃっていました、誘導していくことが必要ではないか、多少誘導していく、ある方向に誘導していくことが必要ではないかと思うわけであります。  そこで、誘導していくためには、どういう方向に持っていったらいいのか、こういうものを持つ必要があるのではないかというふうに私は思うわけです。多少私の意見を言わせていただきますと、今なぜ市町村合併が進まないのか、私は、一番大きな理由は、市町村が目標がないからではないかと思うわけです。合併をするにしても、どんな合併をしたらいいのか、どんな規模が大体いいのだろうか、そういったものについて基本的なその方向というものがなかなかわかっていないというふうに思うわけであります。したがって、基本的に、我が国にどんな市町村をつくるのか、地方分権の進展に合わせれば、あるいはこれからの少子化あるいは高齢化というものも視野に入れて、どういう市町村づくりをしていくのか、そういった点について方針がないというのが現下ではないかと思うわけです。  例えば、もっと細かく言いますと、今の二層制をベースにするのかどうか。私は、この二層制については、現在はいろいろな政令指定都市なんかもできておりまして、多少崩れてきているのではないかと思いますけれども、今後はこの二層制をどういうふうにしていくのか。あるいは、市町村の規模、今百万人から千人オーダーまで千差万別なのですけれども、どの程度の規模が適正なのか。もちろん、都市と農村でも違うでしょうし、地形や気候、歴史や文化でも異なってくるとは思いますけれども、いろいろなことを視野に入れても、やはり日本全体としてどういう数ぐらいまでは持っていった方がいいのかとか、やはりそういうものを持っておかないと、私は、あの市町村合併促進法というのはなかなか生きてこないんではないかと思うわけであります。そういった方向性を持たないまま法律だけがあるというのは、やはり少しおかしいのではないか、そう思うわけであります。また、合併の方法としても、吸収合併がいいのかあるいは対等合併がいいのかいろんな点があると思うんです。  したがって、こういったことに関して、基本的な方向を見据えておく必要がある。もちろん自治省内部でもいろいろ議論されているというふうには聞いております。しかし、議論だけではいけないので、網羅的といいますか体系的に皆さんで作業していただいて、こういう方向を目指そうではないか、こういう基本的な枠組みをちゃんと持って、こういうことを下敷きにして合併を進めていく仕組みを考えるべきだと思うわけであります。こういう枠組みづくりこそは自治本省らしい仕事ではないか、国の仕事ではないかと思うわけであります。もちろん、役所だけでそういうものを考えるのではなくて、政治家ですとか国民の参画も必要なんですけれども、こういう基本的な枠組みづくりについてはやはり自治省中心になって進めていくべきではないか、こう思うわけであります。  ちょっと長くなりましたが、質問の形にしてちょっとまとめますと、こういう基本的な枠組みを持つ必要があると私は思うんですけれども、それについて大臣、どういう御見解が、あるいはそういう基本的な枠組みについて、今既に白川大臣がある程度お考えをお持ちであれば、その辺について御開陳をいただけたら、こう思います。
  24. 白川勝彦

    白川国務大臣 基本的な政治にかかわることでございますから、まず私が述べますが、自由主義国家というのと自由主義国家でない社会の場合、国がこういう方向にぐいぐい引っ張っていくのかいかないのかというのは、それが個人の生活にかかわることであれ、あるいは今申し上げた三千三百の市町村のことであれ、何か絵を描いてぼんぼん引っ張っていくのがいいのだという考え方に、少なくとも自由主義政治の立場に立つ人は立たないというのが私は原則だと思いまして、この辺の問題について、また別の機会に議論したいと思います。  ですから、国は、幾つがいい、小さいのはだめだという価値判断を軽々に下せるのでしょうか。昭和三十年前後の町村合併が強力に進んだのは二つの理由があると聞いております。一つは、新制中学校を市町村仕事にしなきゃいけない。これは一万近くあった市町村にとっては大変な重荷だったようでございまして、現実にはやれなかったという必要性があったようでございます。もう一つは、県当局がかなり積極的に、そういう必要性もあったのかどうかわかりませんが、かなり強引に指導していったという側面があるようでございます。  先ほど申し上げたとおり、地方分権といいながら、例えば市町村に新たなる大きな権限が、今回何か変わるんでしょうか、今みんなで変えようという努力をしているんでしょうか。大きな荷物がどんと行く、これで市町村でやれますか、町村で特にやれますかという現実をつくらずして、受け皿がないから渡さない、あんな小さいところに任せるかということを、私は、言っている方が間違っているのではないか。  だから、私は今回、今回の地方分権の中で市町村にどういう権限がまず渡されるのかということを、また渡すべきかということをまずみんなで考えてもらいたい。そして、それができるかできないかというのは権限をもらったところが決めるのであって、その体制がなければ住民に迷惑をかけることになるでしょう。  ですから、私は、自由主義国家においては、まず地方分権と言い、地方を強化すると言う、そして市町村にこれから権限を移譲していくのなら、受け皿がどうのこうのということではなくて、私はやはり、これから基礎的地方公共団体に何をお願いしたいんだという、そこをしっかりと示さぬでいて、三千三百あるのはどうのこうのというのは非常に中央志向的な考え方だという気がしてしようがありません。もちろん、私は合併を推進する立場で、その場合はやはり思い切った誘導策というのを国も県も考えるべきだろうと思っております。
  25. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 今の大臣の御答弁に私も基本的に理解をしているつもりでありまして、ぐいぐい引っ張っていくというか強権を発動するようなことは全く考えてないわけでありますが、やっぱりリストラを図らなければいけないとすれば、こういう方向に持っていった方がいいのではないかというある程度のコンセンサスがないと、私はそのリストラがなかなか進まないのではないかと思うわけであります。  もちろん、私も受け皿論が先にあるとは思っておりません。もちろん、地方分権をまず進めるべきであって、何を、どういう機能を地方自治体に求めるのかということがあって、それから後に、ではどういう自治体をつくったらいいのかという議論があって、その順番の問題については私も全く賛成でありますが、これからおいおい、どういう地方分権が進むのかという内容が具体的になってくると思いますので、その際は、それではどういう自治体にしていかなければいけないのか、そういうことを基本的にぜひ議論をしていただいて、方向を出していただきたいと思うわけです。  私は、今、マイナーチェンジをするときではなくてモデルチェンジをしなきゃいけないときだ、どういう車をつくるのか、そういう方向の議論がぜひなされるべきだということを申し上げておきます。時間が余りありませんので、もう一つ実は聞きたいことがありますので、お願いをするわけであります。  今、地方自治体の体制についてお伺いしたわけでありますが、体制をつくってもいかにこれを生かすかは、やはりその中で働いている人たちがやる気があるかどうか、一生懸命意欲を持ってやるかどうかだと思うわけであります。私は、地方分権が進めば地方で働く人々の使命感も高まって意欲も自然に高まってくるというものを予感するわけでありますが、ただ、この点で私が若干危惧しておりますのは、国からの出向人事が地方の人々のやる気を少しディスカレッジしているのではないかという思いであります。  これも少し各論に過ぎるような気がいたしますが、先日、この種の問題について白川大臣も同様の問題意識を持っておられるというようなことを新聞で知りまして、また私自身、運輸省からかつて某県庁へ出向した経験もありまして、当委員会で質問の機会をいただけそうだということがわかったときから、この問題についてぜひお尋ねしたいと思っていたわけであります。そういう折にあの新聞記事に接したわけでありまして、そういう意味では、これは大臣に対して大変失礼な言い方かもしれませんけれども、安心をしたというか、そういうところであります。  この交流人事もそれなりの背景といいますか理由があって、効果がちゃんと上がっている面もあるわけでありますが、しかしやはり地方の人々にどう受け取られているか、そういう中で、弊害があるとすればやはり弊害を取り除いていくことが必要であるというふうに思うわけであります。  そこで、いろいろ本当は今、交流人事の実態なんかを国全体で、しかもランク別に教えていただきたいと思っていたのですけれども、時間がありませんからまたいつかお伺いするとしまして、これは参議院の決算委員会でも問題になっていたようでありますので、早くこういう実態を調べられてお見せいただきたいと思うわけであります。  そこで、例の新聞記事指摘されておりますポストの指定化という問題でありますが、この問題についても白川大臣は改めていかなきゃいけないということを申されておりますので、くどくど言う必要はないのですけれども、都道府県の総務部長そして財政課長に絞りまして、これは県庁においてはいわば重要なポストの代表みたいなもので、県庁に入った人はやはりこういう仕事をしたいということで日ごろ頑張っているわけでありますが、この二つのポストに限って、今、自治省からの出向者がどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。
  26. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 ことしの一月一日現在で、自治省から都道府県へ総務部長として出向している者の数は二十二名でございます。それから、財政課長として出向している者の数は二十七名でございます。
  27. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 したがって、今の実績を聞いてもわかりますとおり、要するに都道府県の一番枢要なポスト、枢要なポストと言うのは語弊があるかもしれませんが、部長と課長合わせて半分以上が自治省の方が行っておられる。やはりこれは自治体で働いている方々にとってどういう思いを与えているかというところに思いを寄せていただいて少し考えていただきたいというふうに思うわけでありますが、それは白川大臣もそういう方向だというふうにわかっておりますので、あえて質問はいたしません。  ここで私はもう一つ問題にしたいのは、その本省組と地元組のいわゆる年齢的な開きといいますか、年齢の開きなのですが、総務部長あるいは財政課長で地元の人と本省の人でどの程度差があるか、教えていただければと思うのです。
  28. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 自治省から総務部長として出向している者の平均年齢が大体四十二歳強になろうかと思います。それから、財政課長として出向している者の平均年齢は三十四歳弱というふうに見ております。  ただ、都道府県で直接採用になった方々の平均年齢を私ども正確にはちょっと承知はしておりませんが、大体総務部長では五十歳代の後半、それから財政課長では五十歳前後ではないだろうかというふうに考えております。
  29. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 そうだとすれば、部長クラス、課長クラスともに大体十五、六歳の開きがあるわけであります。この現実を考えるわけですけれども、本省から来られた方々に、一回り以上も若い人に仕えるということになるわけでございます。実際仕えている人はかなり年端もいかれた方でありますので分別もあるかと思うのですが、私が心配するのはそういう現実を県庁に入られた若い人、これからの人たちが見てどう思うかといったあたりであります。  私も実際そういう経験をいたしております。今言われたほどの差は私の場合はなかったのですけれども、私も三年おりまして本音で話し合えるようになったときに彼らが言うには、やはりがっくりきますよ、愕然としますねということを言われるわけであります。  それで、あの新聞記事を見ておりますと、本省幹部の人は若いうちに行政経験をさせ、現場感覚を養わせたいから出向させているんだというような話がありましたが、こういう地方の重要なポストを本省の人間の養成機関みたいに考えられるのはいかがかというふうにも思うわけであります。そして、このことは国の若い官僚にとっても余りいいことではないのではないかというふうにも思うわけであります。  もちろん人事は年齢差だけが問題になるのではなくて、専門知識ですとか能力のこと、あるいは国の官庁の人事のスタイルみたいなものもあってなかなかうまくいかないし、組織組織の問題ですからソフトランディングもさせなければいけないということもあるのですが、あの新聞に出ていたように二歳年次を引き上げるという程度の考え方では、やはり中央は地方を下に見ているというふうに思われても仕方がないのではないか。こういうことについてぜひ、改革といいますか、改めるべきところは改めていただきたいと思うわけでありまして、この辺のことについて白川大臣、どのようなお考えか聞かせていただきたいと思います。
  30. 白川勝彦

    白川国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。しかし、そのおっしゃるとおりのことが、健全な力強い自治体をつくらなければならないという本来的な責務を持っている自治省が今まで無神経にやってきたということを率直に私は認めましたから、まず、同じポストに続けて出すように、県庁の総務部長ポストは、財政課長ポストは、これは県にあるけれども本来県の役職ではありません、自治省の役職なんですと言わんばかりの人事が現実に行われていては、何で地方自治が発展するんですかと。そして何よりも地方公務員、あるいは自治省の何十倍の、自治省は四百数十人しかおりませんが、教職員を除いたとしても二百万人いる人たちがそれによってディスカレッジするということで、私はだれにも相談せずに、少なくとも先生がおっしゃるとおり世間の常識ですから私は決めたわけでございます。  それがもし仮に契機となって警察署長とか税務署長ですか、二歳ぐらいは引き上げようということになったらこれも一歩前進かなと思いますが、今言ったような普通の人の感覚がやはり役所の中になければいかぬだろうと思います。  そういう点では、大変今のような個別の具体的な話をこの地方行政委員会で詰めていきながら、ことしの少なくとも前半までに地方分権に関する大きな方針が出るわけでございまして、これは委員長理事等にもお願いいたしますが、各種の審議会でいろいろ出されるようでございますが、ペーパーが出たらそれを政府がありがたくちょうだいして実施するということでいいのでしょうか。私は、こういうまさに地方分権の大方針を決めるこの数年なんでございますから、この委員会における議論が地方分権推進委員会にも大いに反映されるというようなことでなければいけないのじゃないでしょうか。  私は、時間が許せば何時間でもここでいいのでしょうが、地方行政委員会というのが衆議院に設けられている以上、先ほど冒頭申し上げたような合併論についても、確かに一般論としては三百がいいとか幾つがいいと言うのでございますが、しかし一方では、いやだと言われたらどういう方向もできない。だから自治省は、本当は今まで合併は推進していきたくても、だって法律上はほとんど権限がないのですから。そういうことを踏まえて、どうやったら市町村会件が進むのかということをみんなで知恵を絞らなければいけないのじゃないでしょうか。  私は、冒頭のところ、ちょっと渡辺委員の質問には懐疑的なことを言ったのは、やはり合併せよ、合併せよというふうにみんな言っているのだけれども、昔からも言われてきたのですよ、ところが進まなかった。それをどうやって進めるかということで、私はあえて今問題を提起しているのは、逆に合併はできませんという逆説的な言い方で、したがって皆様方がそれでいい、例えば二千の村でいいと思うのならそれでいいのですと。それはしようがないのです。しかし、しようがないのだけれども、それで本当に住民サービスができますかというふうに問題を立てていかないと、何かその辺に小さいのがばらばらあるのは目ざわりだ、一緒になれというような、今合併をすべきだという議論がどうもあるような気がするから、ではそれは地方分権との絡みでどういう因果関係があるのですかというふうに私は問いたいからあえて逆説的に言っておりますし、当然のことながら私が予算委員会等で、今回の地方分権推進委員会が出される答申の中で、具体的には今まで国や県がやっていたのが市町村に移るのは何なんですかと。一つしか例が挙げられなかったら、皆様方地方行政委員として地元に帰って演説できますか。政治家が演説できないものが国民の心を動かすはずないですよ。  だから私は、行政局長にもその辺はちゃんと、自治省というか、本当地方分権が進むようにするためには、私は自治大臣で、私には直接関係のない機関であります。これの諮問先相手は総理大臣のようでありますが、しかし扱われているテーマが地方自治が扱われているのでございますから、関係する大臣としてあえて刺激的な言葉を言っているのはそういう意味でございまして、どうかひとつ近いうちに出される地方分権推進についても、渡辺委員もたしか運輸省の非常にキャリアの方でございますが、運輸省所管のことでもあると思いますので、地方分権というのを国会を挙げてやろうとしているときに中央省庁はこれでいいのかということをどうかひとつ党派を超えて言ってもらいたい。ぜひお願いいたしたいと思います。
  31. 渡辺具能

    ○渡辺(具)委員 時間が参りましたのでやめますが、私も今白川大臣お話を伺いまして安心をいたしました。私も、単に固定的な一つの数字を掲げろ、こう言っているのではなくて、どういう自治体をつくっていかなければいけないか、そういうところを自治省中心にやはり考えていかなければいけない。みんなで方向を見出していこうではないかというのが私の思いであることをぜひ御理解いただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  32. 穂積良行

    穂積委員長 西川公也君。
  33. 西川公也

    ○西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。  私は、栃木県庁に十一年間勤めて、その後、県会議員を五期務めました。そして、今回総選挙で衆議院議員になったわけでありますけれども、きょうの質問も地方の代表として、そしてそういうふうに働いていきますということを私は地元の皆さんとも約束をしてきましたので、そんな観点から質問をさせていただきたいと思います。  ただ私は、地方分権を進める上で、よく地方はいい人、中央は悪い人、そんな考えを持つような女々しい考えは持っておりません。そういう意味で、地方と国と両方一緒に発展していって、両方が元気が出る、こういうことをどうやって築いていくか、こんな観点でお話を聞かせていただきたい、こう思っています。  まず、道路審議会の問題でありますけれども、今国会でも日本道路公団等の所管する高速自動車道に対する固定資産税の問題が取り上げられました。今回の議論の発端は、九五年十一月の道路審議会の中間答申にあると思います。この道路審議会は国家行政組織法第八条に定める審議会でありまして、私はこの答申は最も尊重されるべきだ、そういう審議会である、こう受けとめております。そしてこの答申の内容は、御承知のように、「今後の維持・更新費の増加、高速自動車国道の利用による高度なサービスの受益と負担の公平を勘案すれば、償還期間後も料金により維持・更新を行うことが適当と考えられる。」こんな内容になっておるわけであります。  このことは、本来は建設省の話だとは思いますけれども、この中間答申の中身によっては地方税、固定資産税を課税するかしないか、こういう議論に発展をしていくわけであります。この中間答申の中身につきまして白川自治大臣はどのように受けとめているか、まずもってお伺いをさせていただきたいと思います。
  34. 湊和夫

    ○湊政府委員 今お話ございましたように、平成七年の十一月に道路審議会から、高速自動車国道の今後の維持、更新に係る費用負担というものをどういうふうに考えていくべきかということを中心といたしました提言が建設大臣に対してなされたわけでございます。  これは、私どもから直接にこの審議会の内容そのものについてコメントする立場にはないと存じておりますけれども、全国張りめぐらされております高速道路が、今後とも高度な整備指針を確保しながら、また高度な維持管理を確保しながら管理運営していくためにどうするか。これまでの建前は、整備そのものが完成した段階ではその後の維持管理は税負担をもって充てるという仕組みになっておったわけでございます。そういう意味で、考え方が大幅に変更されることになるわけでございます。この答申を踏まえてどういうふうに対処されるか建設省におきまして今いろいろ御検討をなさっておる段階だというふうに承知をいたしております。
  35. 西川公也

    ○西川(公)委員 もう一度答えていただきたいと思いますけれども、私は、この答申をどういうふうに受けとめているか、尊重されるかされないか、ここをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  36. 湊和夫

    ○湊政府委員 この答申は、国家行政組織法第八条に規定する審議会でございますことは先ほど委員からお話があったとおりでございまして、建設大臣の諮問に応じて今回の中間答申はなされているわけでございます。これを所管されます建設大臣において、この審議会の答申を踏まえて適切な検討が行われるものというふうに承知をいたしております。
  37. 西川公也

    ○西川(公)委員 それでは、自治省考え方はこの中間答申を尊重している、こういうふうに私は受けとめさせていただいて、次の質問に入っていきたいと思います。  これを尊重するということになりますと、高速道路そのものが維持、修繕あるいはサービス機能を低下させないためには今後とも有料だ、こういうことになってきます。そうしますと、公共の用に供する道路であればこれは固定資産税を非課税という考え方でいいのだと思いますけれども、今の答申を尊重していくということになれば今後とも永久に有料だ、こういうことになりますと、今までやってきた議論では理屈が通らなくなってきたと私は考えるものであります。  ただ、これを課税をするということになりましても、建設省も道路公団もとてもとても払えるような額ではなくて、今の財源を考えた場合にはこれは不可能な話に近い、私もこう受けとめております。そして、この話を進めるといってもそう簡単に進まないと思いますし、まだ中間答申だ、まだ決定されたわけではない、こんな理由も成り立つでしょうし、財源不足、さらには国民の重税感がある中で高速道路の料金に転嫁はできない、こんな話もやってくると思います。  一例を挙げますけれども、私の地元、栃木県の日光市でありますけれども、昭和五十九年の十月一日に日光いろは坂を、償還が終わった、この理由で無料化した経緯があります。しかしながら、この維持管理費が、あの短い区間でありますけれども、大変なお金がかかります。平成七年度を見ますと、草刈り、路面舗装、ガードレール等の修繕等の管理費を考えますと約三千七百万ぐらいかかっています。これは全額県費持ち出しです。さらに、舗装の修繕費そのものは一年間に七千万ぐらいかかりますけれども、国が面倒を見てくれるのは二分の一だ、こういうことで、県はいろは坂の無料化によって毎年七千万以上のお金を支出をしなければならない、こんな事態になってきたのであります。  このようなことから考えますと、この高速道路の話も有料のままいく、この方がむしろ私は現実的なのかな、こんなふうにも受けとめております。しかし、将来とも無料にならない、こういうことであれば、固定資産税を課税しない、こういう前提が崩れたわけでありますので、法律のどこかでこれを明示をしてもらわなければならない、私はこう考えておるのであります。有料、無料を問わず、どこの道路、どこの区間、こういう理由で非課税である、こういうことを統一見解として地方税法に明記すべきであると思います。これらにつきまして当局はどう考えておるか、お伺いをしたいと思います。
  38. 湊和夫

    ○湊政府委員 今地元のいろは坂の維持管理の問題について御指摘がありましたが、まさにそういう視点に立って今回、全国にまだ今後も整備が続いております高速道路の維持管理をどういう費用負担でやっていくことが国民的な立場から見て適切なのかという角度からの議論が、道路審議会の提言の中に一つ考え方として出されてきておるというふうに思っております。  現在の解釈論としては、中間答申が出ましたからといって直ちに非課税であるという解釈を変える必要はないと考えておりますけれども、今後、この中間答申等の考え方を踏まえながら、今後の高速道路のあり方について具体的に法令改正等を含めて方針が明らかになります段階において、私どもとしてはその具体的な内容を踏まえて検討すべき課題だなというふうに思っております。  今、委員の方からは、むしろ無料化ということはもう考えられないのではないのか、そういう意味では、現在の解釈にとどまらずに地方税法の規定改正によって非課税にすることについて明定した方がいいのではないかという御提言がございました。  この検討に当たりましては、いろいろな角度からの議論が当然予想されるというふうに思っておりますが、その際に、必要があればいろいろな立法措置も含めて当然のことながら検討すべきことだというふうに思います。
  39. 西川公也

    ○西川(公)委員 今、検討の話が出ましたが、この道路の課税問題の検討はもう十数年続いておるわけでありまして、これからもそう続くということは非常に難しい話だ、こう思います。しかし、難しい話でも、やはり法律で書いてないことが運用されるということは決して望ましいことではありませんので、はっきり明示ができるように努力目標として取り組んでいただきたい、こう要望をしておきたいと思います。  そして、これら高速道路が通過する市町村に対します援助の問題でありますけれども、過去に十数年やってきた、その中で有料、無料それぞれの意見が鋭く対立をしてきたと思います。そして結論も出なかった、これも事実だと思いますけれども、昭和五十四年の当時、有料道路負担問題検討委員会から報告書が取りまとめられた。そして、その報告書の中身において、通過市町村は行政需要もうんとふえてきただろうから、とりあえず十年間にわたって三百億円を援助していこう、こういう話ができ上がったと思います。これを調べてみますと、既に十年以上経過をしておりますけれども、現在もこの補助金といいますか、支出金が続いているようでありますけれども、これらを充実強化して、ある程度市町村皆さんに対応してもらう、こういうことが現実的かな、私はこう考えております。  それらの問題も、交通量のふえ方等の問題からいたしましても、当時のごみの量、当時の救急車の出動数、そんなことも比べものにもならないような状況に今なっておると思いますので、それらの援助策、支援策、これらをあわせて建設省との協議の中で、どのような考え方かわかりませんけれども、これから取り組んでいく考えがあるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  40. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 高速道路の通過市町村におきまして、高速道路の通過に起因いたしましていろいろな財政需要が生じております。  今お話にもございましたように、この問題につきましては、関係者のいろいろな議論を経た末、五十五年度から日本道路公団等によりますメニューの補助金が交付されておるところでございます。また自治省におきましては、特別交付税の算定に当たりまして、高速道路における救急、消防の救急でございますが、それに要するような経費等について配慮するということにいたしております。また、アクセス道路の整備改修等に要する経費については地方債等による財政措置を講じておるところでございます。  今後とも、こういう高速道路の通過に起因いたします財政需要につきましては、今お話にもございましたように、関係省庁とよく連携を図りながら、関係地方団体の財政運営に支障が生じないように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  41. 西川公也

    ○西川(公)委員 それでは、長い期間かかりましたけれども、今後ともこの解決に向かって努力をしていただく、こういうことを要望して、次の問題に進んでいきたいと思います。  次は、日本赤軍及び外国人の犯罪組織についてであります。  まず第一点は、日本赤軍の問題でありますけれども、連日、報道されてきました。連合赤軍といえばもう過去の話だ、こういうふうに私は受けとめておったのでありますけれども、それが突然、レバノンで支援者三人を含む八人の身柄を拘束と報道されたわけであります。巷間、レバノンという国は日本赤軍が、彼らが二十数年にわたって築いてきた住みかだったとも言われてきたはずでありますし、それがなぜ今突然にという気がいたすのであります。確かに、中東和平の進展によりまして彼らの存在価値がなくなったのかもしれませんけれども、今の報道の状況では、まだ重信房子を含む最高幹部は逮捕されていない、こういう報道もあるわけであります。ということは、既に国外へ脱出をしておって、他の国で活動拠点を設けているかもしれませんし、これからもテロの危険が去ったわけでもない、こういうふうに解釈をすべきだろうと思います。  そこで、これから全容解明に向かって努力していくことになるのでありましょうけれども、まず、この八人の身元を確認しなければならないと思います。警察庁はどう対応しているのか、お伺いをするものであります。  また、これから身柄の引き渡しが大きな問題となってくると思います。手続等はどう進めていくのか、そしてその引き渡しの見通しはどうなのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  42. 杉田和博

    ○杉田政府委員 この日本赤軍の件につきましては、現在、関係機関等とも情報交換等をしながら所要の捜査を進めておりますけれども、現時点、いまだ特定するには至っておりません。  次に、身柄の引き渡しの関係でございますけれども、現在、まさにレバノン当局において捜査検討中のことでありますので、確定的なことは申し上げられませんけれども、通常、日本赤軍メンバーのようにいわゆる海外に逃亡しておる犯罪人、これにつきましては二つの引き渡し方法がございます。  その一つは、捕捉した国が国外退去を命ずるというケースであります。二つ目は、いわゆる外交ルートを通じまして当該政府が犯罪人を引き渡す、こういう場合がございます。ちなみに、昨年の六月、ペルーにおきまして日本赤軍メンバーを捕捉いたしました場合には、ペルー当局において国外退去を命じまして、日本の国内に入ってきた時点で逮捕した、こういう例もございます。  いずれにいたしましても、まさに現在、ペルーともいろいろと検討しておりますさなかでありまして、見通し等については御容赦をいただきたい、かように考えております。
  43. 西川公也

    ○西川(公)委員 今は日本人の海外での犯罪に対する質問でありましたが、今度は、外国人が日本国内で起こした犯罪につきまして伺っていきたいと思います。  きのうも、中国人の漁船による密入国、あるいはスタンガン、青竜刀を持っての誘拐事件等が報道されておりました。最近では、日本で盗んだ高級車が香港で発見された、こんな事件もありました。あるいは誘拐事件の身代金が中国の本土で支払われたケースなど、犯罪そのものが複雑化をしておるし、事件も目に余る犯罪が多発をしておるわけであります。  このような事件は、何か日本だけじゃなくて、同様のケースがアメリカでも起こっている、こういうことを聞いております。  九一年十月にロサンゼルスの郊外で台湾人医師の子供が誘拐をされ、百五十万ドルが香港で支払われた、身代金が支払われた、そしてその後無事に解放された事件があった。  また、車の場合も同様でありまして、彼らはまず、中国本土でアメリカ車を欲しがっている人たちから注文を受ける。そして、それをロサンゼルスで調達しまして、香港か台湾経由で中国本土に持ち込んでいるだろうと言われております。  アメリカの通関当局が、九二年から九三年にかけての八カ月間にわたって、ロサンゼルスのサンペドロ港で外国に積み出されようとしている車約四百万ドル分を発見し、押収した事件もあったとのことでございます。  これらの犯罪につきまして、日本でも、二月十三日付の朝日新聞では朝刊の一面に、「香港マフィア暗躍 その名は14K 日本に千人」こうありました。その前日の日経新聞では、身代金、福建省で密航費授受、蛇頭関与という見出しが載っておりました。  石田収著の「香港黒社会」によりますと、14Kの来歴あるいは活動範囲にも触れておりますけれども、14Kは香港最大の黒社会組織でありまして、現在は日本、台湾、マカオ、カナダ、アメリカ、欧州等に支部を持っていると書かれてあります。  一方、莫邦富著「蛇頭」によりますと、蛇頭と呼ばれる密航あっせんブローカーが介在し、組織的にルートを開拓して多くの密航者を国外に送り出す状況をつくり出したとも書いてあります。一方、我が国への密入国が特に多い地方は福建省であります。私なんかのイメージでは、福建省といえばウーロン茶、あとはのどかな漁山村、こんなイメージしかなかったのでありますが、これが、本によりますと、福建省には「密航の郷」がある、中でも長楽県というところには、ビバリーヒルズ、こう言われるような建物も立ち並んでいる、こんな話も書かれてあります。これらの豪華なうちに刺激をされまして日本へ向かう密航者は後を絶たない、こういう状況にあるとのことであります。  これら密航してくる中国人がすべて日本で犯罪を犯している、こんなことは思っておりません。しかしながら、最近になって各般にわたる犯罪が目立つ、そして生活に困って犯罪に手を染めていく、こういうケースになってくるのだと思いまして、我々は恐怖の念を抱かないわけにはいきません。  こうしたゆゆしき状況につきまして、治安のかなめである警察庁はどう対応していくのかお伺いをしたいと思いますし、この中で、中国人犯罪組織の実態、特に、三合会、14Kとか蛇頭とか私どもにはなじまない言葉でありますけれども、これらの活動実態あるいは日本の暴力団等のかかわり合い等につきましてもぜひ説明をしていただきたい、こう思います。
  44. 杉田和博

    ○杉田政府委員 委員指摘のとおり、私どもも、アメリカ、ヨーロッパその他各国の治安機関と情報交換をいたしますときに、最近やはりまず話題になりますのが外国人の組織犯罪でございます。各国共通の悩みを持っているというふうに考えておりまして、今後ともそういう面では国際間の協力というものをしていかなければいかぬということを強く意識をいたしております。  そこで、我が国におけるところのこういった外国人組織犯罪の実態把握という問題でありますけれども、例えば、委員指摘の香港三合会の14Kというのを具体的にお示しになりましたので、それについて簡単に申し上げますと、報道にありますように、いわゆるこの14Kの組織、特に下部五団体、これが四、五十のグループを下におさめて、約一千名ほどの組員がおる、組織員がおるという報道がありましたけれども、そこまで断定するほど豊富な資料というものはございません。残念ながら、まだまだ私どもがうかがい知れない実態であるというふうに思います。  しかし、そうはいっても、これまでの警察によるところの数次にわたるいろいろな検挙活動、さらにまた情報活動によりましても、この14Kという組織が東京や大阪、さらにまた福岡、北海道、こういった主要都市、こういうものを中心といたしまして、最近では地方都市にまでその勢力を伸ばしておる、相当多数の組織員が日本に既に侵入してさまざまな活動をしておるということについては、私どもにとっても大変重大な問題であるというふうに認識をいたしております。  最近、特に外国人、なかんずく中国人の組織犯罪については、例えば偽造、変造の旅券の売買、そしてまた変造のパチンコのプリペイドカードの売買でありますとか、まさにグループによる広域的な多額窃盗、こういった各種の犯罪が大変ふえてきておるという実態にございます。しかも、こうした犯罪が、先ほど申し上げたように、いわゆる都市部から地方への拡散というものも見られるのでありまして、そういうことに伴って、今度は入り込んだ組織同士が、場合によっては対立抗争でお互いがお互いを攻撃をする、そういうような事案も起きておりまして、そういう意味では、大変大きな治安攪乱といいますかそういう要素になってきつつあるというふうに認識をいたしております。  またさらに、蛇頭ということでありますけれども、蛇頭の場合は中国人さらにまた台湾人がリーダーとなっておりまして、密航につきましては、まず現地での勧誘さらにまた送り出し、そして我が国に来た場合にそれをどういうふうに受けるか、しかも受け手がおって、それを都市部に運搬をする。運搬をしたら、それをある程度管理しながらいわゆる職業あっせんもやる。こういうようなまさに組織的な動きというものも数多く見られておりまして、しかもそういうことを通じて莫大な金を得ておる、こういう実態にあるのであります。しかも、蛇頭の場合は、蛇頭の場合に限りませんけれども、我が国国内におけるところの暴力団、こういうものとの関連というものも具体的な捜査から明らかになっておるところであります。  参考までに、数字で申し上げますと、蛇頭が介在した密航事件というのは、平成八年中の警察扱いで十三件、百七十九名の検挙であります。このうち四件については、暴力団の関与が明白であります。ことしに入ってからも、二月十九日現在で既に十五件、二百九十五人を検挙いたしております。これは、二カ月足らずで昨年一年間分、これに匹敵する大変な数であります。しかも、これは警察だけで取り扱った件数でありまして、このほかにも、海上保安庁において洋上で検挙をした数、これも相当ございます。いずれにいたしましても、ここ一年の間に大変数多くの密航事件が発生をしておるのであります。  これが実態でありますけれども、それではこれに対してどう対応すべきかというお尋ねであります。  ただいまも申し上げましたとおり、こういった外国人によるところの組織犯罪というのは、まさに犯罪そのものをビジネスにしておるという集団であります。しかも。切った張ったということだけでなくて、偽造の、例えば先ほど申し上げましたプリペイドカードであるとかいわゆる有価証券であるとかこういうもの、ある意味で何でもありの犯罪集団であります。そういうことを考えますと、単に治安という問題でなくて、やはり日本の経済社会に対しても大変大きな影響を及ぼしてくるであろう。そういう意味では、外国人によるところの組織犯罪、これに対してはまさに総力を挙げてこれを今たたいておかなければならないというふうに思います。  ただ、いずれにいたしましても、組織犯罪ということでありますから、個々個別の事件捜査はもとよりでありますけれども、常にやはり背後には頭があって組織的にやっておる犯罪である。しかも、日本で上げたそういう利益というものをそれぞれの外国に持っていっておる。そういう送金のルートまで確保をしておるということを考えますと、まさにこれについては総力を挙げてやりたいと考えております。
  45. 西川公也

    ○西川(公)委員 時間が参りましたのでこれでやめたいと思いますけれども、今警備局長お話を聞きますと、もう何でもありだ、犯罪の総合商社だ、こんな感じも受けました。ひとつ頑張って良好な治安を守っていただきたいと思います。私どもは、火事は最初の五分間、選挙は最後の五分間、こう言っておりますけれども、これは今最初の五分をもう過ぎたんじゃないか、こんな感じも受けましたけれども、ぜひ御努力をお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  46. 白川勝彦

    白川国務大臣 今の点についてだけ、国家公安委員長としてお答えいたしますと、おっしゃるとおり、オレンジであるとかあるいはKKCとかいわゆる数字に伴う犯罪が多くの被害者を生み出しているということで、特殊金融犯罪というのに対処できる能力を持った警察をつくろうと。  それからもう一つは、来日外国人犯罪に対処するためということで、地方行革の折ではありますけれども千五百十二名の地方警察官をふやしたというのは、ぎりぎりの決断として私は決断いたしましたが、ことしに入ってからの検挙状況が非常にいいというようなことを含めると、警察当局はこれらについて少なくとも十分受けとめて鋭意頑張ってくれるという感想を私は持っております。大変大事な御指摘、ありがとうございました。
  47. 西川公也

    ○西川(公)委員 どうもありがとうございました。
  48. 穂積良行

    穂積委員長 次に、中野正志君。
  49. 中野正志

    ○中野(正)委員 自民党の中野正志でございます。大要三点についてお伺いをいたします。  まず地方分権であります。  地方分権は橋本行革の成否を左右する大きな課題であり、白川自治大臣はその推進派でもありまして、多大の期待を抱いておるところでもあります。地方分権推進委員会の第一次勧告に対し、私は地方議会出身者として一つの評価はしつつも、改革としてはまだまだ不十分だなという思いを実はぬぐい切れないのであります。地方自治体の味方としての自治大臣に、評価を含め数点お伺いをいたしたいと思います。自治大臣ののりを越える部分もあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと存じます。  分権委の勧告が機関委任事務制度の廃止を最終的にも貫いたということは評価できる点であります。そもそも住民の選挙で選ばれた地方自治体の首長を、国の下部機関として国の指揮監督のもとに事務を執行させるこの制度の廃止は、地方分権推進計画策定に当たっても最も重視すべき課題でありました。しかし、法定受託事務と自治事務の振り分けについて、かなりの事務が機関委任事務と大差のない法定受託事務に回ってしまったなという感じでありますけれども、地方の行政の自主性、自立性の確保という点からは私は問題だと思っております。今後とも十分に検討されるべきであると思いますが、自治大臣、いかがお考えでありましょうか。
  50. 松本英昭

    松本政府委員 御指摘のように、地方分権推進委員会の第一次勧告では、機関委任事務制度を廃止するということを中心といたしたものになっているわけでございます。  その場合、今御指摘がございましたように、機関委任事務廃止後の従来の機関委任事務の取り扱いというのを、一部の法定受託事務と、それを除いた、原則として自治事務に移管をするという方針を示しているわけでございます。  その場合、その法定受託事務というのと従前の機関委任事務というのがどう違うのかということが御質問にお答えする前にはっきりさせておかなければならないことではないかと思いますので申し上げさせていただきたいと思いますが、機関委任事務というのは行政組織内の上下の関係で、言ってみれば国の中央省庁が地方の執行機関を出先機関と同様に考えまして、そして一般的な機能の行使を行う。その内容は、例えば訓令権とか監視権とか、あるいは認可権とか争議決定権とかというようなものがあるわけでございまして、それらの相当部分を機関委任事務であるがゆえに一般的に認めている、こういう制度になっているわけでございます。したがいまして、地方団体としての議会の機能は原則としてそれに及んでいかない。もちろん、その後の改正で議会の機能で監査等に一部及ぼすものをつくりましたけれども、そういう建前の制度でございます。  それに対しまして今回のこの法定受託事務と申しますのは、国と地方公共団体との対等・協力の関係に基づくものでございまして、いわゆる国と地方公共団体とが関係を結ぶというものでございますので、この国の関与等についていわゆる行政組織法上の作用というものは及ばない、したがって、あくまでこの国の関与等というのは法令の規定に基づいて行使されていく、こういう形になっておるわけでございます。  先ほど御指摘ございましたように、第一次の指針勧告で取り上げられました機関委任事務、具体的にその振り分けを行いましたものは全体の約三割でございますが、そのうちの約六割が自治事務、六割強でございます。それから、四割弱が法定受託事務に振り分けております。  もっとも、この法定受託事務の比率が高いではないかという御指摘もしばしば受けるところでございますが、第一次指針勧告を出される前の具体的な事務の振り分けにつきましては、各省庁の方から特に問題になりそうなものを挙げていただきまして、そして検討していただいたという経緯がございます。したがいまして、そういう問題になりそうなものを分類した結果、ただいま申し上げましたような比率になっているということでございまして、今後、残余の事務を振り分けます際には、やはり自治事務の比率がぐっと大きくなってくるのではないかというように私どもは考えているところでございます。
  51. 中野正志

    ○中野(正)委員 次に、自治事務に関する国の関与についてお伺いをいたしたいと思います。  自治事務とされる事務について、国の承認、認可などにかわって、事前協議あるいは合意、同意を要することが数多く示されております。言ってみれば義務づけでありますね。例えば土地利用基本計画策定、都市計画区域の指定、都市計画の決定、農振地域整備基本方針策定、保安林の指定などが実は示されるわけです。  地方自治体地域住民の意向を踏まえて地域の実情に応じた個性的な町づくりを自立的に進めていける体制を構築するのだ、これが地方分権基本理念であると思っております。さすれば、この国の関与はやはり必要最小限のものとすべきだという考え方になるわけであります。この合意、同意という制度は、その運用いかんによっては、国の承認、認可を必要とした従来の機関委任事務としての事務の執行と大差ないものとなる可能性もあるのではないだろうかと。  ここにちょっと地方自治体関係者のコメントがありますので御紹介しますけれども、例えば、「農地転用は二ヘクタール以下は県知事の許可だが、二ヘクタールを超えると農林水産大臣の許可が必要だ。」「国との事前協議では、実現確実性、資金計画など数十項目の資料を県が準備。協議を数回繰り返し、長いと約半年。本申請後、許可までさらに三、四カ月かかるからだ。今回の勧告は「二ヘクタールを超え四ヘクタール以下の許可は、都道府県に移譲する。」となった。」「当面、「事前協議」は残された。「国の関与の度合いが不明確。運用上は現行制度と同じでは困る」と宮城県の担当者は不満を漏らす。」こういう実態もあるわけでございます。  そういう意味で、具体の制度面の整備に際して十分な検討が必要と思いますけれども、いかがでしょうか。私個人の考え方を端的に言えば、むしろ事前協議、同意、合意というのは削除されるべきであると考えますが、いかがですか。  もう一つ、国の関与をさまざまな形で残したことで中央省庁の仕事量はほとんど減りそうもないとの指摘もありますけれども、いかに考えられますでしょうか。よその省庁の部分もありますけれども、お願いをいたします。
  52. 松本英昭

    松本政府委員 委員指摘のような意見を私どももよく聞いておりまして、私どももそういう気持ちがなきにしもあらずということは率直に感じているところでございます。  ただ、少し弁解じみて恐縮なんでございますけれども、新しい国と地方関係は、一般的に認められる事前関与といたしましては、技術的な指導助言とか事前協議、それと一部の合意、こういう三つの類型にいたしております。その類型化されました中で、原則としてこれは技術的助言または勧告でいっていただく、そして必要なものは事前協議という形で、例外的に合意という形をとろうというのがこの分権推進委員会の指針勧告の原則になっておるわけでございます。  現在示されております中で、確かに今委員指摘のような事務につきまして合意というものが残っておりますが、これは、先ほども申し上げましたように、この第一次指針勧告に当たりまして、各省庁から非常に論議の多いと思われるようなものを出していただいて、そして精力的な折衝を経て結論を得たものを第一次勧告に盛り込んでいただいたという、そういう経緯がございます。  そういうことで、これからの残りのいろいろな事務に対します国の関与のあり方につきましては、今委員指摘のように、できるだけ事前の関与というものをなくする方向で対処していかなければならないのではないかと思っているところでございます。  次に、今の国の関与を整理いたしましても、国の、中央省庁の仕事余り減らないのではないかということでございます。  これも多少弁解じみておるわけでございますけれども、今申し上げましたように、まず、この機関委任事務制度を廃止したということによりまして、従来の中央省庁が全く任意に行ってまいりましたさまざまな地方公共団体に対します関与、これは法令に基づくところによって行うということになってまいります。それから、先ほども申し上げましたように、関与の形が類型化されてはっきりとしてくるということがございます。したがいまして、住民の目あるいは国民の目あるいはマスコミの目等から見ましてもこういう関与はいかがなものかというようなものは、そういうことから自制されるという働きが出てくるのではないかというようにも考えているところでございます。  私ども、決してこのことによって中央省庁の仕事が大幅に減るというようなことを申し上げるつもりはございませんけれども、こういうことで国と地方を通じます行政改革に資するという面はあるのではないかというように思っておるところでございます。
  53. 中野正志

    ○中野(正)委員 第二次勧告がこれから出されます。名実ともに地方分権推進するというためには、まず国庫補助金などの整理と地方税財源の充実が肝要だと考えております。  そういう意味で、国の地方に対する関与は、許認可などによるもののほかに国庫補助金などの支出を通じた関与が大きな割合を占めることは御承知のとおりであります。また、補助金などの交付を受けるため、地方の重要な施策の選択の幅が狭められるという結果にも実はなっております。地方の自主財源が極めて限られて、地方が財源的に国に頼らざるを得ないという現在のシステムをしっかりと改めることが必要だ。二割自治だとかあるいは三割自治だとか、やゆされるようであってはならないと考えております。  そういう意味で、国、地方を上下・主従から対等・協力の関係にするというのであれば、財源面の自立が何としても肝心であります。このような改革がなければ、機関委任事務制度の廃止あるいは国と地方関係調整のルールなどが整備されたとしても実質的な地方分権時代が来るのかどうか疑問に感じておりますが、いかがでございましょうか。
  54. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 確かに、御指摘のように、地方分権推進に当たりましては、地方公共団体が自主的に仕事が執行できますように国と地方との役割分担の見直しを行いますとともに、それに対応して地方税財源の自立確保を図ることが必要でございます。  そういう観点から、特に地方行政の自主的な運営を確立して責任の明確化を図っていくという観点から、補助金等の整理合理化、それに伴う地方一般財源の充実確保ということが積極的に進めていく必要がある大きな課題であるというふうに考えております。地方分権推進委員会におきましても、補助金・税財源検討グループというそのことを専門的に検討されるグループをつくって検討されておりまして、私どももそことの意見交換を行っておるところでございます。
  55. 中野正志

    ○中野(正)委員 権限の移譲について、基本的に都道府県優先させているようでありますけれども、地方分権推進の理念に沿って考えれば市町村への移譲が基本であるべきと、先ほどの議論もいろいろありました。現実に分権の受け皿として十分な体制をとることが困難な市町村もありますから、一律にはいかない。しかし、さまざまな都市問題に直面して圏域の中枢都市としての役割を果たすことが求められている指定都市、あるいは中核市、そういったところは都道府県と同様の権限移譲が必要と考えておりますけれども、いかがでありましょうか。  要は、指定都市の意義、これは分権論議でも大変大切にされるべきだと考えておりますから、ひとつ御見解を賜りたいと存じます。
  56. 松本英昭

    松本政府委員 指定都市につきましては、現行の制度上におきましてもかなり大幅な権限が認められておりまして、よく言われることでございますけれども、道路の管理とか高等学校とかあるいは警察の事務とかというような、一部の事務を除いてほとんどが都道府県で処理する事務を指定都市は担っている。現行制度上も大体そういうふうになっておるところでございます。中核市につきましては、指定都市よりもまだやや権限は少ないですけれども、しかし、これもかなり大幅な権限を移譲いたしておるところでございます。  今後の地方分権推進に当たりましても、一般的な市町村への権限移譲、これはできるだけ進めてまいらなければいけませんが、それとともに、やはり規模、能力のあるところに段階的にさらに権限移譲を行えるような仕組みというものを考えていかなければならないというように私どもも思っているところでございます。  御指摘がございましたのであえて申し上げさせていただきますと、指定都市に対しましてもさらに権限移譲をするということで、第一次指針勧告におきましては、例えば「都市計画決定権限については、極力、都道府県並みに拡充する方向で見直すこととする。」というように指摘いたしておりまして、分権推進委員会におかれましてもそういう意識のもとに一層の市町村段階への権限移譲を進めていただくように、私どももお願いをいたしたいと思っています。
  57. 中野正志

    ○中野(正)委員 ぜひ強力にお願いをいただきたいと存じます。  先ほど渡辺委員大臣の間で、分権の受け皿としての地方自治体の合併の問題がありました。ぜひ局長に実務の面でお伺いをいたしたいと思いますけれども、地方自治体の創造力、知力、体力を増強させてしっかりと分権の受け皿をつくるということはやはり基本だと思います。現実的には、全国三千二百有余の自治体の合併が急がれると思いますけれども、先ほどお話が出ましたように、なかなか困難な場面もあります。しかし、市町村合併を促進するために、財政の優遇制度というものをもう一回改めてしっかりと確立をする、あるいは同時に、知事が市町村へ適正規模を勧告できるようにするなど、地方自治法を改正、強化するなどの方策が必要と考えますけれども、いかがでございましょうか。
  58. 松本英昭

    松本政府委員 御指摘のように、市町村の合併の促進ということの一つの大きな意義は、最近のこういう経済社会情勢に対応した多様かつ高度な行政需要に基礎的な地方団体が対応していけるような、足腰を強くするという面が大きいのではないかと思っておるわけでございます。  ただいま御提案のございました財政の優遇制度などについてでございますけれども、これは平成七年度の改正のときにかなり実は優遇制度を構築いたしております。簡単に申し上げますと、五千人の町が三つ合併いたしますと、十年間に百億ちょっとぐらいの事業をやるだろう、それに対して最高七割程度の交付税の措置が見られるような制度にいたしております。  もともと財政の措置というのは合併に伴います需要というものを考えて措置すべき性格のものではないかと思っておりまして、そういう合併に伴う需要が考えられますれば、例えば、最近でございますので、合併いたしますと役場所在地と旧市町村の間の高度情報通信システムの構築なども必要になってまいりますから、そういう面においてはやはり十分な財政措置をやっていかなければならない、私どももそういうふうに考えているところでございます。  いま一点の、地方自治法を改正いたしまして知事が市町村への適正規模を勧告できるようにしたらどうかという御提案でございました。  これは、実は現在の制度もございまして、都道府県知事は、市町村が規模の適正化を図ることを援助するために市町村の廃置分合などの計画をつくりまして、これに基づいて勧告をすることができるという規定が現在でもございます。残念ながら、この規定を使って勧告が行われた例というのは今のところございませんけれども、町村合併促進法のときはちょっと別といたしましてございませんけれども、一応法律上の根拠の規定はあるわけでございます。  やはり、この町村合併につきましては県の取り組みというものがかなり重要な意味を持っておりまして、現在の合併特例法におきましても、平成七年の改正の際に県の支援措置等という規定を改めて入れまして、県の取り組みを促しているところでございます。
  59. 中野正志

    ○中野(正)委員 次に、必置規制の見直し問題について、申し上げたいことはいろいろあるのですが、結論だけお伺いしたいと思いますけれども、必置規制は、地方自治体がその組織職員、資金を有効活用して効率的かつ弾力的な行政体制を整備していく上でむしろ障害となっているという声もあります。私は、必置規制は原則廃止の方向で見直すべきだと考えておりますが、いかがでございますか。
  60. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 御指摘がありましたように、国の法令等による組織職員に関する必置規制でございますけれども、地方団体が自主的、主体的な組織の見直しを行う、また定員管理適正化を進めるという観点からも、また簡素で効率的な行政体制を整備していくという観点からも支障となっておりますことから、これまでも自治省として関係省庁にその整理合理化を要請してきております。  地方分権推進法第五条に、地方自治の確立を図る観点からの整理及び合理化の措置を講ずるというぐあいにされておりますし、また昨年末の第一次勧告でこの問題について必置規制の縮減ということがうたわれております。  いずれにいたしましても、この問題につきましては、本年前半に予定されております第二次勧告の中にその方針が盛り込まれるという予定になっておりますから、十分今後とも注視してまいりたいというぐあいに考えております。
  61. 中野正志

    ○中野(正)委員 地方分権が真に実りある形で実現するということであれば、国の許認可や補助金の交付を受ける手続など地方自治体内部の事務量の大幅な縮減を図ることも可能であります。また、一層効率的な組織体制の整備を図るということも可能となってまいります。今日、地方自治体において一層の行政改革推進が求められておりますけれども、地方分権推進そのものは地方行政の効率化にとっても大きな材料となる、その意味でも早期に実現すべき課題であると考えます。  地方公共団体の期待の星たる自治大臣への期待は大きいのでありますけれども、改めて大臣の御決意のほどをお伺いをいたしておきます。
  62. 白川勝彦

    白川国務大臣 私は自由主義者であります。そして、いろいろな政治制度がありますけれども、一人の個人や一つ地域本当に幸せにできる人、神様仏様は別でございますが、具体的な人間はいない。その人自身に運命を切り開く力もあるし、そしてそこにかけるしかないんだというのが自由主義思想の根っこだと思います。ですから、地方分権とか地方自治というのは、私は、政治思想そのものと深くかかわっている問題だと思います。  日本にその自由主義思想本当にいろいろな面で、脈々といろいろな面であるかというと、当然役所の中にはそのような政治思想というのは余りありません。自由民主党は自由主義思想を根底に置いている政党でございますが、そういう面もありますし、割合に昔のように、どちらかというと政府があれせいこれせいという側面もあります。  地方分権というのは、私は、こういう問題は特別今取り組みましたが、自由主義の政治ということは三十歳のときに政治活動を始めてから二十年余考え続けております。どうか、その一番大事なところを押さえないと、いろいろな人が多々弁ずるけれども、どうもいろいろなおかしいところがある。  そして、一つの改革というのは、円満な審議で革命というのが起きるんでしょうか。革命というのはある面では、だれかが多少問題があってもぐいぐい引っ張っていかないといかぬのじゃないだろうか。例えば、昭和五十四年から昭和六十年ごろまでかかった第一次、私が知っている鈴木、中曽根内閣の当時の行政改革のときは、土光敏夫という行革の鬼がいたような気がいたします。今回、地方分権というときに、そういう鬼気迫る何かを発するだれかがいるんでしょうか。しかし、一つの大きな革命ともいうべき大事業をするときに、そういうものがなければならないと思います。もちろん、私はそれをする任がございませんので、せめて衆議院のこの地方行政委員会がそれにならなくてだれがなるんでしょうか。こうお答えして、私の答弁といたします。
  63. 中野正志

    ○中野(正)委員 大変力強い、またともどものひとつ連帯をお誓い合いをいたしたいと思います。  時間もありませんので、警察庁に、このごろ問題になっております薬物汚染についてお伺いをいたしたいと思います。  実は、二月六日警察庁から、平成八年の薬物事犯の概要が発表されております。覚せい刑事犯の検挙者が激増している、押収量は史上最高だ、高校生の検挙者が倍増だ、一般市民層へも浸透だ、警察当局の御苦労は多といたしておるのでありますけれども、あるマスコミでありますが、「高校生の薬物汚染 さらに深刻化」「覚せい剤の検挙二年で五倍超す」と衝撃的な見出しも示されております。  私は、県議会時代よりこの薬物汚染取り締まり強化、しっかり頑張ってほしいと督励をさせていただいた一人であります。売り手が覚せい剤を、スピードとかあるいはSだとかという名前で抵抗感を希薄にさせる、ダイエット効果がある、あるいは眠らなくても大丈夫だという甘い言葉でささやきかけ誘いかける。そういう意味では、今私たち大人がこの薬物汚染から子供を守るのでなければならない。警察と文部省、また都道府県教育委員会、中学校、高等学校の緊密な連携が必要だと感じております。言ってみれば、薬物汚染の恐ろしさ、あるいはなれの果てというものをしっかりと若い時分のときに教えなければならないのだと感じておるのであります。  宮城県警察なんでありますが、実は、薬物汚染の恐ろしさ、そのなれの果て、それをビデオで作成して中学校、高等学校の現場で薬物乱用防止教室を開催をいたしております。生徒からは、覚せい剤の恐ろしさが身にしみてわかった、自分たちにとっても人ごとではない、こういう感想を漏らされております。来年の三月までに宮城県の公立の中学校、高等学校はすべて開催をされることになっております。  そういう意味では、ぜひ全国的に強力にこういったことを推進する必要があるのではないだろうか。また、薬物汚染防止の幅広い啓蒙を含めて今後の対応策についてもぜひお伺いをしておきたい。きのうの新聞に、女子高校生が覚せい剤欲しさに援助交際というか売春の事実で逮捕されたというこれまた大変頭の痛い問題が知らされたばかりでありますから、強力にひとつ御推進方お願いを申し上げたいと思いますが、警察庁、文部省、いかがでございましょうか。
  64. 泉幸伸

    泉政府委員 薬物犯罪の状況、薬物乱用の状況、なかんずく少年の薬物乱用の状況の深刻さ、また一般化しているという点はただいま御質問で御指摘をいただいたとおりで、私どももそのようないわば危機感ともいうべき問題意識を抱いて対策に当たっておるところであります。  薬物乱用の防止につきましては、一つは供給源の取り締まりを徹底してやる。それとあわせまして、今御質問にありましたように薬物の恐ろしさを徹底して広報し、また認識していただく。なかんずく少年にとってはそのことが大変大事だと思っております。  今、宮城県の取り組みにつきまして御指摘、例示をいただきました。同じような形で児童生徒等に対する薬物乱用防止教室に積極的に取り組んでいく必要はそのとおりでありまして、私どもも全国的にそのような取り組みをいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  65. 北見耕一

    ○北見説明員 最近におきます児童生徒の覚せい剤にかかわります薬物乱用の実態、極めて憂慮すべき状況にあるというふうに認識しているところでございます。  このために、文部省においては、かねてから教科保健体育における指導とかあるいは道徳、特活における指導といった学校教育活動全体の中で指導しているところでございますが、さらにやはり学校、家庭、関係機関、団体等一体となった総合的な取り組みということが必要であろうかというふうに考えているところでございます。  学校において警察の協力を得て実施いたします薬物乱用防止教室を開催したり、あるいはその指導に当たりまして、少年担当の警察職員でございますとかあるいは麻薬取締官OBを活用するといったようなことで、薬物の恐ろしさとかあるいはその体への影響を実際に即して児童生徒にわかりやすく理解していただくということも大切であるというふうに考えているところでございます。  今後とも、引き続き警察庁を初めとした関係省庁と緊密な連携をとりながら、一層薬物乱用の防止に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  66. 中野正志

    ○中野(正)委員 子供たちは日本の将来の宝でありますから、ぜひこの薬物汚染問題、最大限の取り組みをいただきたいとお励ましを申し上げまして、時間でございますので、私の質問を終わります。ありがとうございます。
  67. 穂積良行

    穂積委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時四十分開議
  68. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古賀一成君。
  69. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 午前中の自民党に引き続きまして、野党でございますが、新進党、きょうは四人の代表を出しまして質問をいたしたいと思います。  私、このたび初めて地方行政委員会に所属をすることになりまして、大変緊張もいたしておりますし、やりがいのある仕事だ、こう思っております。私も、かつて二回地方自治体に勤務したことがございまして、もう一つ警察の方にも、お世話になったというと捕まったみたいでございますが、警察の方にも出向したことがございまして、そういう面で、ふるさとに帰ったような気もいたします。  さて、きょうは私を含めまして四人でやるわけでございますが、私はまず総論的な、基本的な、現下のこの状況における地方自治行政、あるいは政治と行政のあり方といいますか、そういうものについてぜひとも大臣基本的な認識をまずお聞きしたい、こういうことで、三点、四点、御質問させていただきたいと思います。  大臣所信表明にもございましたとおり、これはるる後で改めて読んでみましても、課題山積。しかも、きのうの連続の延長にあすがあるはずがないというような問題ばかりじゃないだろうか、私はかように今の日本の行政、政治を、基本的にはそういうふうにとらえておるわけでございます。  そういう中で、一方では、私も元役人でございますが、もう本当に客観的に見て、今の行政、政治の閉塞状況というものがあって、いろいろな問題があると思うのですね。選挙制度が悪いのじゃないかとかいろいろな問題が指摘されましたけれども、やはり一つの本質的な問題というものは、縦割り行政が行き着くところまで行ったというところに、今の財政難の問題であるとか、あるいは薬害エイズの問題であるとか、いろいろな問題が起こっているのではないか。つまり、天下国家という総合的な視野で行政が論じられるというよりも、おらが省の、おらが局の、このうちの課の仕事、その予算をどうする、こういう縦割りが行き着くところまで行ったというところに本当に今の行政あるいは政治の閉塞状況があるのだろう、基本的には私はそう思っております。  そういう点で、その縦割りを廃して、新しいアイデアなり思想というか、あるいは知恵というものを吹き込むのは、それがまさに国会の役割だろうと思うのです。ところが、この二十何年昔の、私が役所に入ったころを思い出しますと、最近、国会の審議というものが極めて短い。そして、極めて短時間のうちに、役所の決められたスケジュールでささっと進んでいく感を強く強く私は持つわけなのです。だから、こういう時代の変わり目だからこそ、きのうの延長にあすはないというまさに過渡期であるからこそ、国会が行政と、場合によっては相対峙しながら、場合によっては知恵を相出し合いながら論議をしていく、これが私は、今の日本の政治に、政治家に課された一番重要な仕事一つだろうと思うわけでございます。  そういう面で、一般論として、政治の空洞化だ、あるいは国会審議が形骸化をしておる、官主導による政治ではないか、こういう批判がよく出るわけでございますが、こういう指摘に対して、自治大臣として、あるいは一議会人としてどういう基本的な御所見、御認識をお持ちかをぜひお聞きしたいと私は思います。よろしくお願いします。
  70. 白川勝彦

    白川国務大臣 国の行政も地方の行政も、縦割り行政というか、それぞれの場に行政が安住しているからこういうものが生まれたのではないかという御指摘でございます。あるいは、それ以外にも含めてなのでしょうが、ここにも元役人の方が相当いるようでございます。  まあ、私は役人になろうと思ったこともありません。そんなに、役人、好きでもありません。敵意もありませんが、尊敬を余り持ったこともありません。ただ、一応政治家として、国土政務次官と郵政政務次官と、そして今自治大臣という立場におりますので、仕事柄つき合わなければいけないのでございますが、とにかくもっとおもしろい人間になれということを、私は役人に会うときにつくづく言っております。  先生は今、政治家になってからは非常に魅力的でありますが、役人のとき魅力的な役人であったかどうか私存じませんが、役人というのは、ある面ではおもしろくなれないふうに義務づけられてというか、育てられているのかな。要するに、余り役人が勝手に自分で考えて勝手に進み出すとこれはいけないわけでございまして、行政というのは法律に定められたことを忠実に行うということに尽きるのだろうと思うのでございまして、それをした上で、なおかつそののりを越えずに、個性のあるおもしろい役人になれというのは難しいのかなと思います。  ただ、どういう法律をつくるかは国会の仕事でございますから、私は国会が、あるいは政治家がと言ったらいいのでしょうか、やるべきだろうと思っております。  それからもう一つ、私は、委員にもお考えいただきたいのですが、行政改革というのは昔から言われてまいりました、きっと行政改革という言葉は、言葉は別としても、行政が効率よく、むだをせず、国民のために働けということはいつも言われてきたと思うのでございますが、最近言われている行政改革は、そういう今まで続いてきた行政改革とはちょっと違う、国民の怒りに似たようなものが込められていると思います。  そして、私が、少なくとも行政改革というのが行われるのを目の当たりに見たのは、国会に当選して間もなくでございましたが、鈴木内閣と中曽根内閣のときに行政改革、土光臨調のもとで行われたのを見ております。私は、あのときよりも、国民行政改革をせよという、何をそこで指しているかは人によって違うと思うのでございますが、あのときよりも強いと思います。それを受けとめた我々の今回の行政改革というのは、よほどのものをきちんとしていかなければ、国民はきっと、国会は何しているのだ、政治家は何しているのだろうか、こう言われると思います。ぜひそういう面で、地方分権時代でもありますので、それを加味しながら行ったら大変おもしろいと思っております。  ただ、一つだけ私は、地方議会の細かいことは知りませんが、地方議会において、国会と同じような問題意識を持ちながらけんけんがくがくの議論がなされているだろうか。この点については、私としては、そうではないのではないだろうか。  これは何も地方議会についてだけ言われることではありません。私は、自治大臣就任以来言ってまいったのは、今回の行政改革は行政全体に対する国民の不信なり怒りなりあるいは要望が出ているのだから、国の行政改革もこれは総理を先頭に一生懸命やるけれども、自治大臣自治省中心になって、支出ベースでは国の倍、そして職員数も倍がいる地方行政の改革をするために、我々はその問題提起をし、お手伝いをしなければならない。それが今私に与えられた一番大きな仕事だから、手伝ってもらいたい、こういうことを事あるごとに言って、今頑張っているところでございます。
  71. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今官僚に、官僚といいますか、官僚という人間に対する大臣のお考えも出ましたけれども、私は、それに対してはちょっと異論があります。異論といいますか、役所の方にも大変おもしろい方はいると思うのです。  問題は、結局そういうのが、ディベートをして表に出て、それが外気といいますかマスコミに触れ、あるいは国会の場でそういう知恵が出てくるようなシステムが年々年々なくなってきているという感じ、そこに実は行政の、若い官僚の皆さん方も、本当、大きい可能性を発揮できずにいるところがあると思うのですよ。  それで、今官僚たたきというのがマスコミで行われております。ますます縮小再生産といいますか行政のロマンなりやる気なり、そういうものが縮小再生産していくようなプロセスがあると思うんですが、やはりそれは政治がそういう場を提供し、お互い政治家という立場から、いわゆる省庁の壁を超えた論議を仕掛けていくというところに私は一番重要な政治の役割があるだろうと思うんです。  そういうことで、きょうは大臣所信に対する質疑、これはきょう一日で終わっちゃうわけですね。私も理事でございますから、それは大臣に言わせれば委員会理事会の仕事だと。おっしゃるとおりだと思うんですが、よくよく考えますと、やはり今後地方交付税の問題もあります、地方分権の問題もあります。すべてが底辺が広く深刻でかつテーマも多い問題でございまして、先ほど大臣の方から渡辺議員ほかの御質問に対してこういう答弁がありました。この地方行政委員会をおいてほかに地方分権のあり方を論ずる場があるだろうかというのが大臣の先ほどの答弁でございましたけれども、ぜひとも今後この地方行政委員会地方分権ほか本当に横たわる大きい問題を存分に論議するということを、我々新進党からぜひ与野党超えての提案としてこの場で申し上げさせていただきたいと思います。  時間もどんどん迫りますので急ぎますが、次に、先ほど市町村合併、つまり基礎的地方自治体である市町村の合併について、いろいろ質疑そして御答弁がございました。  大臣答弁を聞いておりますと、最初は、それは自治省がスキームをつくるだけではだめなんではないかと今も答弁にございましたけれども、地方議会はどうだ、地方そのもののやる気、そして受け皿、本当に能力ありや、そういう問題まであるんだということで、どちらかというと積極的に私は聞こえなかったわけでございます。ところが、その後の御答弁で、この委員会をおいてほかに地方分権を論ずる場があるんだろうか、あるはずがない、こういう御意見で、いろいろな議論をしようという御提言にも受けとめたわけでございます。  私は大臣の真意がまだちょっとつかみかねますが、白川大臣の、御性格というと私も詳しく知りませんけれども、御経歴から見て、かつての昭和の大合併時代というのがあったわけでございまして、平成の大合併へ向けて、白川大臣のときに一つ市町村合併の道筋を強烈なリーダーシップでつくっていただきたい、私はこう強く強く要望したいと思うんです。  自由主義の立場からいうと大臣のような御答弁になるのかな、大臣はそうおっしゃいましたけれども、私はそうでもないんだろうと思うんですね。  私は、今市町村のあるいは都道府県の実態を見ますと、いわゆる合併をした方がいい、合併をしなきゃならぬというインセンティブが、首長さんにも議員さんにも市町村民の皆様方にもないんですよね。それでもう最近合併が全然進まない。実は私の父もかつて柳川という市の市長を二十年間やっておりましたけれども、昭和三十年代から五十年代まで合併を相当仕掛けましたけれども、とりわけ後半についてはままならなかった。最近、地元でもたくさんそういう話はありますけれども、十年たっても二十年たっても盛り上がらない。こういう状況の中で、私は決して自治省があるいは国が強制するという形はとる必要はないと思うんです。でも、仕掛けていく。大臣はぐいぐい引っ張っていくようなことはすべきでないというトーンの御答弁でございましたけれども、ぐいぐい引っ張らずとも静かにしたたかに仕掛ける、システムを仕掛けるといいますか、またそういう視点から、やはり抜本的なあめとむちと両方兼ね備えた合併促進の抜本策をもうこの際講ずべきときではないか、かようにしんから思います。  つまり、首長さんが一生懸命やっても議員さんが反対、町民はそれを支援しない、そのうちに三年、四年で町長さん、市長さんが負けちゃう、人がかわる、その繰り返しなんですね。  そういう意味で、私は端的に申し上げますと、地方交付税、これが一番効くと思うんですね。二〇〇一年までに合併をこの規模でこの基準で促進した、なし遂げた市町村には地方交付税の配分基準をこういうメリットを与える、二〇〇五年まではこうだ。合併はしなくてもいい、しかし、しない場合は明らかにこれは市町村民にとって損をするという仕掛けを、これはぐいぐい引っ張るんじゃないです、したたかにそういうシステムを仕掛けることによって、町長は、やはりそうだ、合併をしよう。すると今度、町会議員さんも市会議員さんも反対できない、市町村民もそういうことなら今やるべきだという、いわゆる市民の声となる。そういう仕掛けを、広域連合とかそういう仕掛けもあります、九五年の市町村合併特例法で住民発議という話も創設をされました。  私は、この際、地方交付税をロングスパンで、十年、五年のシナリオつきで提示することによって、議員さんだってあと十年たてばおれはもう議員やめとるというあれもあるんですね。あしたからやるぞというから進まないわけでございまして、私は、長期的なシナリオの中で地方交付税を駆使して市町村合併に大きな仕掛けを設けるべきときだと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  72. 白川勝彦

    白川国務大臣 私は、いわゆる経済人、政治的な経済人というんでしょうか、今いろいろな政治家以上に政治のことに発言される経済人が多いわけでございますが、そういう方とかいろいろな人が市町村合併しなきゃならないと言うことに対して、そのことについてどうこう言うつもりはありません。国のどういうシステムをつくったら効率がいいかなんというのは、ある程度適正規模の方が効率がいいに決まっているのはわかっています。  ただ、先生のように、地方自治、これを推進していかなきゃならないんだという立場の方が、一方では合併しなきゃだめなんだということをほとんど当然のこととして言うわけでございますが、少なくとも地方自治の進展を私は考えるという立場の方が、しかし合併を一方ではしなきゃならないというときに、自治、要するにたとえ小さくても私はこれでいいんだ、こう思い切っている人がいるわけですよね。そして、それはいいところ悪いところあると思いますが、いろいろな面でのデメリットがあるのはわかり切った上で、しかしこの規模がいいんだ、こう思っている市町村に対して、一方では合併をしなきゃならないという、そこの論理が矛盾しないようにひとつよく御説明を、あるいはいろいろと配慮しながら御発言いただきたいという意味なんでございます。  そういう意味で、地方自治を促進するというのが前提だ、その立場で合併だというときに、しかし合併したがらない市町村があるということをどうやって論理的に説明しながら、その人たちがよしわかった、合併しようというふうにするためには、今先生が言ったように、事実上メリットを与えるのかそれともペナルティーを科すのかよくわからないのでございますが、そういう手法というのはとれるのかなということについて、私は議論を一応してみたいと思います。  そして私は、先ほども申し上げましたけれども、合併をしなければならないような、その方が効率がいいかとかあるいは経費が浮くよという意味じゃなくて、合併をしなければ本当の自治がやれないじゃないですか、こういうことを、国がそういう状況をつくらずして合併というのは起きてこない。だから、効率が悪いからばばっと一緒にして効率のいい行政をやろうというのは、国の統治論というところでは理解できるのでございますが、自治の進展ということでは果たしてたえられるんだろうかということをちょっと申し上げて、もし重ねて御意見があったらまたそれに対して私の所信を述べたいと思います。
  73. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 質問は幾つも用意しておりましたけれども、この点は私は非常に重要だと思うので、くどいようでございますが、わからない市町村がおられる、それはもう人間社会でございますから、すべての物事にわからない人がいるんです。それを私は強制ではなくて、しむける努力が、私は自治省はこれまで弱かったのではないかかように思いますよ。そう思わない市町村をそのままにしておって、いわゆる自治法の改正というような仕組みのみで来たように思うのですね。でも、昭和三十年代、国と都道府県の主導による大合併時代と言われて、九千七百の公共団体が三千九百まで減った。明治二十二年、七万一千あった日本の自治体がいわゆる一万六千の市町村に再編された。三十年代もあるわけですね。  だから、私は、これは単にでかければいいという発想ではなくて、私の地元でも八女郡という地域があるんですね。山村ですよ。中山間地と山村地域でございます。ところが、ここの村長さんなんかもうもたないと言うんですね、明らかにあと五年したらうちの村はもたない。高齢化の比率が二十一世紀になればもう四〇%近くになるのですね。もうもたないわけですよ。だからやはりこの際合併と、良心的な、先を見通した責任感のある村長は言うけれども、結局、それについてくるべきほかの町長さんなんかは、要するに今のままでいいということで、周りも燃えないという。  私はちょっと変な話をしますけれども、役人時代にある私の尊敬する人がおりまして、私は例えば道路局だったんですが、日本の道路がおくれておる、だから整備率がこうだ、予算は必要だ、そういうことを言うと、古賀さん、あなたの言うこともわかるけれども、国民はそれじゃ動きませんよ、行政はファッションですよと言われたことがあるんですね。何の意味だと。私は、そういう面はあると思うんですよ。行政はファッションというのはどういう意味かというと、やはりそっちの方が格好いいという価値観をうまくつくっていった方が日本人は、あるいは社会は早く動く。  ちょっと口早になりますけれども、例えばアメリカに国務省というのがあるんですね。例の軍事、外交を扱う国務省でございます。例えば、最近壊血病がはやっておるというと日本の軍隊であれば無理やりビタミンCを飲ませる、あるいは気合いが入っておらぬということでちょんなんですが、アメリカなんか朝鮮戦争のとき、トマトジュース入りのカクテルを実は本土ではやらして、戦地のそういうソルジャーに、本土ではやっているこういうカクテル飲みたいと思わせてやるんですね。ベトナム戦争のときもそうですよ。ベトナミアンレッドムーンという、カクテルかなんか知りませんけれども、つくった。やはりそっちの方がファッショナブルだ、格好いいんだという、つまりそういう仕掛けというものを私はつくっていただきたい。  実態的に見れば、百九十九人の村が日本では一番小さいそうです。愛知県ですか、百九十九人。この前この話をしたら、いや、百九十八人という、否定する人がおりましたけれども、一人亡くなったんでしょう。自主財源比率なんかも見るも哀れなものでありまして、私は、小さい市町村を残したままでいると本当地方財政は破綻すると思うのですよ。もう間違いないです。これは目に見えているのですね。  一説によれば、今度の地方財政計画で言うと七十四兆円の地方財政の歳出があるのですね。ところがこれの、ちょっとこれはある人の説ですから正しいかどうかわかりませんが、四割が総務関係費だ、議員の歳費とか。その総務費の四割は実は合理化できる、カットできる。恐らく合併等によれば七十四兆円の四割の総務費のさらに四割全部。七十四兆掛ける〇・四掛ける〇・四掛けますと十二兆円になるのですね。ざっと消費税五%の水準になるんですよ。  これは一朝一夕にはできません。しかし、これからの地方行政そのもの、村長さんそのものがもたないと言っている現実、しかし価値観がつくられてない、仕掛けがつくられてない。だからみんな、地方自治体の弱いところほど、そしてまじめなそういう首長さんほど実は悩んでいるのが現状でありまして、私は市町村合併というものをもう少し、要するに、これをしたら皆さん、町民の皆さん、村民の皆さん皆さんの子供さんたちはこれで絶対よくなるんだ、これしかないというシナリオを、ぜひ自治省の方、自治大臣の方からやっていただきたいと私は思うんですよ。  すべての改革はやはり地方分権なりの、地方と国との構造を見直す、つまり分権をしない限り医療改革も何も絶対にならぬと私は思うのですね。できないと思います。そういう意味で私は、そういう面で日本の行革全体を進める上でも、いわゆる自治省のそういう市町村合併をスタートとする地方行革が非常に重要だと再度申し上げ、御所見を改めてお伺いしたいと思います。
  74. 白川勝彦

    白川国務大臣 私は、何度も申し上げておるとおり、地方行政の分野、極めて暗い者の一人でございます。しかし、自治省が、一つは、こんなに機能がなかったというのを自治大臣になって初めて知りました。その割には随分市町村長は自治省を気にしているなというところでございます。法律的には極めて弱い権限であります。  それから、そんな中との関係で、市町村合併についても、もうちまたではそういう声があふれているんだから、自治省は相当真剣に取り組んでいるんではないのかな、こう思いましたけれども、非常にそれについて慎重にというか、法律どおりに精いっぱいやった。そして、二年前かなんかに法律改正をしたというようなことも、私も賛成したんでしょうが、初めて知ったような次第でございます。それに比べますと、本会議でもあるいはここでも、きょう全質問者が市町村合併に触れておりますが、まずこういうことを徹底してやるということが非常に大事なんじゃないでしょうか。  そして私は、半分は冗談、半分はあれで、住民サイドではもう市町村の枠にとらわれないで生活しておりますから、これはもう適当な規模になることについてはほとんど違和感はないと思うのでございます。もしそれがなかなか思うようにいってないというのは、一つは、首長さんそれから議会の皆さん、それから一方、ある程度小さい方が地方財政の面で優遇されるというところがあって、そんなものも一つなのかなと思いまして、地方財政については、これは自治省等で考えればいいわけでございますが、もし首長さんが例えば五人いた町村が一緒になって一人しか長にならない、まさか二人町長あるいは市長というわけにいきませんでしょうが、しかしその場合は、そういう小さな市ができた場合でも一人市長で四人ぐらい助役、助役という名前が嫌ならば副市長あたりに四人いたっていいんじゃないか。政党だって二人代表がいるところだってあるわけでございますから、私は四人ぐらい市長がいたって一向に構わないんじゃないか、こう思っています。  議員さん等も、若干この前の法律では優遇されているようでございますけれども、しかし私なんかは、自民党的と言ったら怒られるかわかりませんが、例えばまず五つの町村が一緒になっている場合の一番遅いところに合わせれば、それだけでまず二年ぐらい延びるな。そして次の選挙、次の選挙、あるいはもう一つ次の選挙。現在の定数を一つも減らさぬでいいじゃないか、十年ぐらいかかって本来の適正規模までにいくというふうにすると、議会の方々も反対されないんじゃないのかな。  だから、一見、百五十人の市議会なんというのができるとこれはちょっと異様かもわかりませんが、しかし、そういうことをすることがもし合併の促進剤になるのならば、特例的には最初のうちは全町村分がそっくり市議会議員と名乗ったっていいんじゃないでしょうか、特例措置として。そういうふうに、合併を阻害している要因がもしその辺にあるのだとしたならば、その方々が構わないよと言うような特例を文字どおりつくってやるのが特例なんじゃないか。そのくらいの特例だと特例措置と言わないんじゃないのかなと思います。
  75. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 大臣の御丁寧な御答弁もありまして、あとたくさん用意しておったのですが、最後に、実はきのう新進党で、十一名から成ります三井三池の炭鉱の現地調査団に参りました。私も現地対策本部長を預かってまいったわけでございますが、いわゆる百八年にわたりまして三億トンの石炭を掘った町でございまして、これは世界一なんですね。戦後、負けた後、日本の経済が破綻した後、傾斜生産政策ということでいわゆる戦後復興にあれだけ貢献してきた町が今や——日本がそのために豊かになった。円高、内外価格差もありますけれども、結局お払い箱で、ざっと三千名近い離職者等が関連まで含めれば出る。これは、私は決して大牟田であるとか石炭だけではなしに、いろいろな地方産業で、いわゆる日本が豊かになったために、あるいは円高になったために結局切り捨てられていくという地域なり産業というのは山ほどあると思うのですね。そういう面で、私はあすの日本を何か象徴するようなきのうのあの地域であり、産業であったと思うのですね。  そういう面で私は、大臣もおっしゃいました地方自治は総合行政である、そういう面でこういう地域に対しますところの指導、手だてというものを大変期待するわけでございますが、もう時間がありませんのではしょりますけれども、三井炭鉱閉山に伴いまして現在地域から特交の陳情ももちろん来ております。あるいは来年度は、再来年度になりますか、交付税の配分の問題も産炭地補正のあり方とかいろいろ問題になると思うのですが、まずいわゆる三井鉱山閉山という日本を象徴するこの出来事、戦後の二十世紀最後の日本のあすの経済の行く末を象徴するような出来事だったと思うのですが、特別交付金あるいは普通交付税等について最大の配慮をお願いしたいと申し上げ、これに対して御答弁をお願いしたいと思います。
  76. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 炭鉱が閉山になります場合、地域にいろいろな影響が及ぶわけでございますが、この問題は基本的に国のエネルギー政策の問題であることから、第一義的には国の関係省庁で適切な対応を図っていただく、そういう筋のものでございますが、今お話がございましたように、関係地方団体の財政運営にもいろいろな影響が及んでくる事柄でございます。  私どもにおきましても、従来から人口減少に伴います財政需要に対していわゆる産炭地補正というのを地方交付税の算定において適用いたしております。また、地域振興のために行います地方税の減免分の減収補てんに対します地方交付税の算定上の所要の措置などを講じておるところでございます。また、特別交付税の算定に当たりましても、普通交付税で捕捉し足りない財政需要について、いろいろな項目で算定いたしておるところでございまして、今後とも関係省庁と十分な連携を図りながら、関係地方団体の財政運営に支障が生じないように財政措置を適切に講じてまいりたいと思っております。
  77. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  78. 穂積良行

    穂積委員長 次に、富田茂之君。
  79. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田でございます。  私の方からは、警察行政に関しまして、まず國松警察庁長官狙撃事件のことについて何点かお尋ねしたいと思います。  実は、きのうの夜家に帰りましてテレビを見ておりましたら、その事件の告白ビデオというのを日本テレビの深夜のニュース「出来事」というところで取り上げておりました。新聞報道によりますと、おとといの夜も一時間程度告白ビデオを流したということで、昨日は三十分程度、私もそのビデオ放映を見たのですが、かなり衝撃を受けました。  こちらの委員会で昨年の十二月五日、國松長官も出席されて、長官狙撃事件の捜査に関して警備局長の方からかなり詳細な御説明等がありました。また大臣からも、元巡査長が犯行を自認する供述をしていることについて、「警察に対する国民の信頼にかかわる重要な問題であるとの認識のもと、早急に事案の解明を図るべく徹底した捜査を行っている」というような御説明がございました。これは十二月五日であります。  きょう二月二十日、これまでの間にどんな捜査がなされてきたのかなというふうに思っておりました。そこへビデオ放映でございます。ちょっと信じられないような思いもありまして、昨日質問通告していたものに加えて何点か新たに午前中通告させていただきまして、質問したいと思います。  実は、この件に関しまして、日弁連の人権擁護委員会の方から前田警視総監あてに本年の一月九日付で申し入れがなされております。日弁連の方にお願いしまして申し入れ書のコピーをいただいたのですが、「申入れの趣旨」として、一つ、「国松警察庁長官狙撃事件について、現在、貴庁が事情聴取を行っているとされる元巡査長の身柄に関し、その現況並びにその身柄に関する貴庁のこれまでの関与の程度及びその根拠について説明されたい。」二つとして、「元巡査長に対し、当委員会委員を面会させられたい。」こういう二つの申し入れでございます。  日弁連の人権擁護委員会というのは、人権侵害があったというふうに認めた場合に積極的に活動をしている、ある意味では日本で一番活動的な委員会ではないかというふうに思うのですが、この委員会から警視庁の方にこういう申し入れを一月九日にして、私の方で確認をしたところでは、いまだに回答をいただいておらない。  文書で正式に申し入れしてそれに対する回答がないということで、この委員会委員長さんの方から電話でも、どうなっていますかというお尋ねをしたようなんですが、そのときにはもうじき結論を出して回答しますというような趣旨の回答があったみたいです。  ただ、それからまた一カ月ぐらいたってしまったということで、これは警視庁の方に出されている申し入れ書ですので警察庁には直接かかわりはないのかもしれませんが、当委員会で問題になった事件ですので、その点警察庁はどのように把握されているのでしょうか。
  80. 杉田和博

    ○杉田政府委員 富田委員の御質問にお答えする前に、お許しをいただきまして、先ほどちょっと西川委員の質問に対します私の答えの訂正をさせていただきたいのですが、実は、日本赤軍メンバーと思われる者の身柄引き渡しがいつごろになりますかという最後の御質問がございましたときに、その前段でちょっとペルーの話をしましたものですから、ペルー当局において現在検討中と言ったのですけれども、これは明らかにレバノンで検討しておる、こういうことでございますので、申しわけございませんでした。  ただいまの富田委員の御質問でございますけれども、御指摘の申し入れが一月の九日にあったということは警視庁から報告を受けて承知をいたしております。  この人権に関しましては、委員の方からもこの席で御懸念をいただきまして、警視庁におきましても同人の人権ということについては法的にも事実上の扱いについても十分配慮してやっておると承知しておりますし、またこの申し入れに対する回答につきましても、速やかに誠意を持って回答すべく準備中であるということでありました。  重ねて私どもの方から、早い機会にこの回答を申し上げるように指示をいたしたい、かように考えております。
  81. 富田茂之

    ○富田委員 実は昨日の新聞報道で、この元巡査長に弁護人がついている、新聞報道では代理人の弁護士というふうになっておりましたけれども、どなたか弁護士さんがつかれたというふうな報道がされておりました。  事前のレクでちょっとお聞きしましたら、ついているようだというようなお話で、昨日テレビを見ておりましたら、弁護士さんから日本テレビに対して告白ビデオを放映するなという弁護士名での書面をかなり大きく拡大してテレビで映しておりました。  弁護士さんの名前も書いてありましたので、多分その方が弁護人につかれているのかなと思うのですが、もしそうであるならば、その弁護士さんも日弁連のメンバーなわけですから、きちんと連携をとり合って、私がちゃんと任されているんだから人権擁護委員会から別に来てもらわなくてもいいよというふうに言われるかあるいはそのテレビではコメンテーターが、いやこの弁護士さんは警察がつけたんだと明確に言っているのですね。御自分も元検察官のコメンテーターでしたけれども、昔同僚だったのか、よく知っているというような発言で言われておりました。それだと本当にこの元巡査長の権利の擁護ができるのかな。日弁連の方が懸念しているとおりだと思うのですね。  今早急に出すように指導しているというお話ですが、この日弁連の申入しれ書の中で、私の十二月五日の委員会指摘したと同じような懸念を表明して、かなり具体的に言っている。  ちょっと紹介させていただきますと、   貴庁による同人の身柄確保は、本人の同意ないし申し出に基づくと説明されていますが、半年以上に及ぶ事情聴取は強制捜査における期間制限を潜脱するものでないかとの疑問を免れず、また、警視庁職員としての身分がなくなった現在、貴庁が同人に対する身柄確保を行いうる根拠についても問題があると考えられます。さらに、被疑者については、弁護人依頼権・供述拒否権等の基本的人権が保障されていますが、元巡査長がこのような基本的人権を行使するについて適切な告知を受け、これらの権利をいつでも行使しうる状態にあるのかは全く不明であります と、具体的に懸念を指摘して、だからこそ、人権擁護委員会所属の弁護士を会わせてくれ、きちんと説明してあげたいんだというふうに申し入れしておりますので、もし日本テレビにファクスで連絡していたという弁護士さんがきちんとした形で弁護人についていないのであれば、本当に今警備局長言われたように、きちんと人権擁護委員会の方に回答されて、日弁連所属の弁護士さんとの接触を持てるように配慮していただきたいなというふうに思います。  この元巡査長の処分なんですが、一月の十日付で地方公務員法違反で書類送検されたというふうに報道されております。これは間違いないんでしょうか。
  82. 杉田和博

    ○杉田政府委員 そのとおりでございます。
  83. 富田茂之

    ○富田委員 書類送検というのは、前回の委員会でもそういう趣旨の話をちょっとさせていただいたんですが、何か手段として私はこそくじゃないかなという感じがします。  この地方公務員法違反の容疑というのは、「警務要鑑」を渡したとか、車のナンバーの照会に応じたとかいうことを警備局長の方から御説明がありましたけれども、実際、そういう行為がなされて、自分がそういうことをしたというふうに元巡査長が告白したのは一昨年の五月ですか、そういうふうにテレビでも言っておりましたけれども、井上が逮捕され、麻原が逮捕され、その翌々日か、五月の十六、十七日ぐらいに人事の管理官に自分が呼び出されたときに、オウムの方にいろいろなことを情報提供したり協力していましたということを話したというふうに言っておりました。  そうすると、それから一年半以上たって地方公務員法違反で書類送検というのはちょっと世間の常識からかけ離れているんではないかな、きちんと逮捕して、また別件である警察庁長官狙撃事件についてもまたきちんと身柄拘束した上で取り調べしていくというのが私は筋ではないかと思うんですが、書類送検という点に関してはどのような判断でそのような処置をされたんでしょうか。
  84. 杉田和博

    ○杉田政府委員 一昨年の五月以来の経緯につきましては、この委員会で私どもの当時の、今の野田官房長の方から御説明申し上げたとおりでございますけれども、この委員会においても私も御説明いたしました。  昨年の五月に、本人、いわゆる小杉本人が長官を狙撃したということを自認する供述をして以来、徹底した裏づけ捜査をいたしてまいりました。しかしながら、現段階においてもなお同人がいわゆる実行犯であるのか否かということを判断する段階に至っていないのでありまして、ただ、そうはいいながらも、本人が事件に関与していた疑いがあるということで引き続き鋭意捜査を続け、地検とも連絡をとりつつ今進めておるわけであります。そういう徹底をした捜査の中において、小杉のいわゆる地公法違反の事実というものが明白になり、送れるという状態になりましたので、司法手続にのせて送致をしたものでございます。  どうして逮捕しないのかというお尋ねでありますけれども、これは同人の現在の状況からして、いわゆる逮捕の必要性はない、つまり逃亡のおそれ、証拠の隠滅のおそれがないという判断でそのようにしたと承知をいたしております。
  85. 富田茂之

    ○富田委員 逃亡のおそれがないということですけれども、これはきのうのテレビ放映ですから、事実なのかどうか私もわかりません。ただ、テレビ放映の中で、本人はビデオに映っていたわけですけれども、今の自分の置かれている状況について、寝るときは両側に二人寝ている、元同僚の警察官だと思うんですが、隣の部屋は二十四時間監視態勢がきちんとしかれているというような状況。これは十二月五日の委員会のときにも警備局長おっしゃっていましたけれども、保護願が本人から出ているから警察としては保護しているんであって、適正に処理しているということでしたけれども、ちょっと今申し上げたのが本当に事実だとすると・保護しているというような状況ではあり得ない。それはもう逃亡はできないですよね、こういうふうに態勢をとられていれば。逃亡はできっこないんで、逃亡のおそれはないというふうに言われるかもしれませんけれども、ちょっと保護下にあるというのとは違うんじゃないかな。  もう一つ、なぜそう思うのかというのは、このビデオの中で本人が言っていたのは、同意書を書かされたというような言い方をされておりました。警備局長の説明では、保護願が本人から二度にわたって出たという御説明だったと思うんですが、保護願と、同意書を書かされたという、もし同意書を書かされたというのが事実だとすると、ちょっとそれも違ってくるな。本人は自分の身柄の状況について、きちんとわかった上でその書類を書いたのかなという懸念も出てくるわけです。  そういうことを考えますと、逃亡のおそれがないから身柄送致しなかったんだ、逮捕して送致しなかったんだというのは、ちょっとおかしいんじゃないかな。すっきり逮捕して、そんな監視下に置かないで、その中で地方公務員法違反できちんと処理すればいいわけですから、余り別件のことを考えて、通常の捜査と違ったやり方をとるのは後々よくないんではないかと私自身は思うんですが、その点どうでしょうか。
  86. 杉田和博

    ○杉田政府委員 委員の一貫した御懸念でございますので、ちょっと詳しく申し上げたいと思いますが、十一月の二十八日に、同人が懲戒免職になりました。直後におきまして、保護願の依頼書等を出したということについて御説明いたしましたけれども、あくまでもこれは本人の自由意思に基づく願いでありまして、そういう要請を受けて、家族の同意をも得た上で保護下に置いて引き続き事情聴取を行ってきたというのが現状でございます。  そこで、どういう状況かということについて御説明申し上げますと、現在、都内の賃貸マンションにおきまして保護下に置いておるわけでありますけれども、同人の状況というのは、あくまでも外出はしておりますし、それからいわゆる家族との連絡、さらにまた選任された弁護人との面会、これも随時行っております。  今御指摘の同人、例えば警察官が添い寝云々という御指摘がございましたけれども、保護のために必要な場合、そばに警察官が常時おるということは間々あることであります。しかしながら、どういう形で保護をするかはそのときそのときのいわゆる被保護者の状況によるものでありまして、例えば自認をするという供述をした直後である場合とその他ではおのずと違う場合があります。  いずれにいたしましても、今申し上げましたような状況のもとで保護のために必要な措置を講じておるということでありまして、御懸念の人権ということにつきましては本当に十二分に配意をしながら、法的なそういう手順というものも踏んだ上できちっと対応しておると承知をいたしております。
  87. 富田茂之

    ○富田委員 ぜひきちっとした対応をしていただきたいと思うんですが、国民は今回の一連の経過についてどういうふうに思っているか。警察は一体何やっているんだろうというふうに思っていると思うんですね。マスコミ、新聞、週刊誌、テレビ等、この事件についていろいろな報道がされています。この元巡査長がこういう供述をしたというのが、その時々にいろいろ出てきています。  何でこんなものが外に漏れるのかなというふうに不思議に思っていたのですが、特に二月の六日付ですか、東京新聞が「元巡査長の供述、全容判明」というかなり大きな見出しをつけて、三面にわたって報道をしておりました。この新聞を見て本当にびっくりしたのですが、事件のあった三月三十日の前後、三月二十五日から三十一日まで毎日こういうことをやったのだというのがかなり具体的に書かれて、元巡査長の供述要旨というような形でまとめられていたのですね。これを見る限り、どうも実際捜査の過程でつくられている供述調書のコピーか何かが外部に漏れているとしか、私の弁護士の経験から見ても思えない。こういうことを言っているよというような、口づてで何か出てきたような内容にはとても思えません。  これはもう明らかに中身を見た上で要点をまとめているというふうに私自身には思えるのですが、こういう報道がなされますと、一体警察捜査の中での秘密の保持というのはどうなっているのだろうというふうに国民思いますよね、本当に。ちょっとこの調書が漏れたのじゃないかなというような疑いを私は持っているめですが、その点については警察庁はどのように考えているのでしょうか。
  88. 杉田和博

    ○杉田政府委員 再三申し上げますけれども、昨年の五月以来、この供述の真偽というものを確認をするために徹底した捜査をやってまいりました。今の時点でまだその判断をできないというのはまことに残念でありますけれども、それだけやはりいろいろと客観的な裏づけをとるというごとが困難であるということであります。  御指摘のように、さまざまな揣摩憶測を含めまして、今御指摘の供述内容と称する、そういった記事もございました。こういうものがいろいろと出てまいりますのも、やはり一つには捜査そのものが大変長きにわたってきておるということもありましょう。  しかし、いずれにいたしましても、懸命に捜査をやっておる当局といたしましては、そういう過程においてこのような形でさまざまな情報ということで報道をされるということについては、まことに遺憾に思っております。と同時に、捜査はあくまでもやはり秘匿してやるというのは原則でございます。またはその人権を保護するという意味でも大切なことであります。そういう意味におきまして、そういった情報管理ということについても、いま一層きちっとしたありようということについて徹底をしたい、かように考えております。
  89. 富田茂之

    ○富田委員 情報管理の仕方もやはりちょっと考えないと、これはもともと、この元巡査長がこういう供述をしているというのがある程度オープンになってきたというのは、内部告発みたいな文書がマスコミに送られて、警察庁の方もこれは何だということで警視庁といろいろやりとりする中で昨年明らかになってきたと思うのです。  こういうふうに供述調書の中身、まあそのものじゃないというふうに今の警備局長は御答弁されているのだと思うのですけれども、こういうものが出てくるということは、捜査の現場の指揮者あるいは検察の方の動きに対して不満があるのじゃないか、こういうのを外に流すことによって、早くきちんと捜査しろというのか、あきらめろというのかどちらかはわかりませんけれども、何か変な思惑を持って行動している人たちがいるのじゃないかなというように思えます。本当にきちんと情報管理をしていただいて、国民警察に対して不信を持たないようにきちんとしていっていただきたいと思います。新聞の方はそういうことなのでございます。  一番最初お話ししました日本テレビの放映ですけれども、一昨日放映されたというのを聞いてきのうは見てみたのですが、かなり具体的にいろいろなことを、この告白ビデオと称する中で言っておりました。ちょっとびっくりするぐらいで。このビデオは、その元巡査長のカウンセリングに当たった脳機能学者という方、こういう分類があるというのは初めて知ったのですが、この方が撮影して、元巡査長の同意を得て放映したのだというふうにテレビ局側は言っておりました。  ただ、東京地検の次席検事は昨日の定例の記者会見で、これはもう実質的に捜査妨害だというふうな発言をされたようであります。警視庁にその具体的な経過について調査するように指示もしたというように報道でもされておりました。警察庁の方は、そういうビデオが存在したということと、このビデオが何らの修正もされずに、お茶の間にどんと飛び込むような形で放映されてしまった、そういう事実についてどのように今考えているのでしょうか。
  90. 杉田和博

    ○杉田政府委員 このビデオについてでありますけれども、小杉本人の供述というものの真偽を確認するための裏づけ捜査、これはもとより懸命にやっておるわけでありますけれども、それと並行しまして、やはり当委員会でもたしか一時御指摘もいただきましたけれども、精神状態、健康状態がいかがか、これも当然確認をする必要がございます。したがいまして、警視庁におきましては、いわゆる精神科医を含みます複数の専門家の方々に精神状態等を見てもらったという事実がございます。今回のビデオは、そういう中の一場面、一部分というものをビデオに撮って放映されたようでありますけれども、どういう経緯で今回の放映に至ったのかということについては、現在調査中であります。  いずれにいたしましても、捜査のさなかにこのような形で放映をされるというのは、捜査を進めております我々にとりまして極めて遺憾なことであるというふうに考えております。
  91. 富田茂之

    ○富田委員 今局長が言われたように、いろいろな問題点を含んでいると思います。特に、この元巡査長本人の、ビデオ放映に当たってそれを承諾する判断能力が本当にあったのかまた、仮に事前に承諾していたとしても、いろいろ、放映中止してくれないかとかいう電話があったり、弁護士さんから中止の申し入れのファクスが流れてきたりしたみたいですから、日本テレビは日本テレビ側の考えで放映したのでしょうけれども、プライバシー、肖像権の問題等、これからいろいろな議論を呼んでくると思うのですね。しかも、それが捜査中の事件に関してこういうふうにされたということで、また二重の意味でこれから大きな論点になってくるのじゃないかと思うのですが、大臣はこの点、どんなお考えをお持ちですか。
  92. 白川勝彦

    白川国務大臣 いろいろな問題を含んでいると思いますが、冒頭富田委員が触れられました、本人は自己の意思に基づいて現在警察の保護下にあるかどうかということを大変問題にされておりましたが、あの放映の最初の部分、僕も全部見たわけではありませんが、最初の部分にあの画面上で、これが放映されることを私は構いませんよと言っているところを、同じときに撮られたのか、別のときに撮られたのかわかりませんけれども、本人自身がそのようにビデオに向かって言っておりました。  そして、この脳機能学者との、どう言うのでしょうか、一つの行為がどこでなされていたのかわかりませんが、警察の一〇〇%管理下にあって事実上拘束状態にあるならば、このようなビデオが撮られることはあってもこれが外に漏れることもないだろうと思いますし、また警察自身は、こういう状況の中であのビデオが一般放映されるというのは捜査上も好ましくないと思いますし、本人のプライバシーの面からも決して妥当ではない、こう思いますから、警察としては、当然のことながらそういうことはしないように、仮に何らかの形で放送局側が入手したとしても私は働きかけると思うし、まずそういうものが外に漏れないように万全を期すと思います。そういう面で、委員が御指摘するように、警察は保護はいたしておりますけれども、警察が一〇〇%管理している状態でないというのは結果としては言えることなのじゃないかな、こう私は一方では思います。  これは全くお尋ねでございませんが、あたかも警察が不当なことをしているのではないかというような感じの雰囲気もちょっとありましたので、こういうことが起きるのは、ある面では警察が、保護はいたしておりますが、完全に一〇〇%コントロールしているのではないという証左のあらわれだと思います。  さて、このビデオが放映されたということでございますが、マスコミにはマスコミの事情があるでしょうが、どういう意図、目的があったのかわかりません。ただやはり、これはあくまでも御本人の承諾を得て、そして捜査当局が、本人がこのような供述をしているけれども、これを信用していいのだろうか悪いのだろうかという、その目的のために脳機能学者に委嘱をしたものだというふうに聞いております。そういたしますと、その学者並びに関係者が、もともと本人の言うことが信頼できるかどうか捜査当局に申し上げるべくそういう作業をやったし、その作業がこういうふうにやられたということを後日別の形で立証する意味で撮ったものを、どういう意図があったのかわかりませんが、それが外に渡る、そして放映されるということは、このビデオを撮った、多分これは脳機能学者の同意なしにあるいは許可なしに撮れるわけはありませんので、いずれにしろ、その辺のことはもう少し慎重に取り扱っていただきたかったという気持ちは一弁護士として——あるいは被疑者かもしれないという前提で苦労しているわけでございます。もう一〇〇%この巡査長がやったことは間違いないという深い確信が得られれば、当然のことながら警察はそれの調査をしているわけでございますが、狙撃したとは言っていますけれども本当なのだろうかというところで大変苦労しているわけでございまして、どうか警察当局の悩みもまた御理解いただければと思う次第でございます。  ただし、いずれにしろはっきりしていることは、看過できる情報ではありませんから、これも参考にして、警察庁長官狙撃事件の犯人を逮捕すべく日本の警察は今総力を挙げて捜査中である、これもその一つの、一こまの中のことであるというふうに御承知をいただきたいと思います。
  93. 富田茂之

    ○富田委員 もう時間が来てしまいましたので、大臣にお言葉を返すようで申しわけないのですが、逮捕しておけばこんなビデオが流れることはなかったのではないかなというふうに私は思うのですが、その点はおくとしまして、本当に今後この元巡査長の身柄の扱いまた捜査の進め方について適正に、一生懸命やっていただいていることはよくわかりますので、今後も御努力いただきたいと思います。  自治省の方に固定資産課税とボランティア休暇中の公務災害について御質問する予定で通告しておりましたが、申しわけございません、ちょっと時間がなくなりましたので、また次の機会にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  94. 穂積良行

    穂積委員長 白保台一君。
  95. 白保台一

    ○白保委員 新進党の白保台でございます。  大臣所信に対する質疑を行う前に、私は沖縄一区の選出でございますので、一、二問お聞きしたいと思います。  先日、一月に大臣は沖縄に来県されまして、大田知事と会談されました。差し支えなければ、その目的と内容について聞かせていただければ、こう思います。
  96. 白川勝彦

    白川国務大臣 沖縄を訪問いたしましたのは、沖縄問題の内閣における総括をしております梶山官房長官の方から、今まで特交という形では対処していたけれども、米軍基地があれだけ集中している沖縄に対する何らかの意味での交付税措置、しかも普通交付税措置のあり方がないかということを前から、就任以来私は言われていたのでございますが、事務当局がいろいろ考えた結果、基地所在市町村交付金という形で普通交付税の中で措置しようと。そしてそこで、例えば自衛隊の基地の場合だったら、日本国民という形でそこで住民としてカウントされ、交付税措置等でいろいろカウントされるのでございますが、米軍の軍人軍属の場合はそのように必ずしも適切に評価されてない。ただ、言葉が違うとかいろいろなことを含めて、所在市町村は実際は基地があるために財政上大変負担がかかるということで、そういう制度を内々詰めましたので、そういうことについて御説明申し上げるのと、また御意見を承りたいというのが一つの理由でございました。  それからもう一つは、例の島田委員会におきまして墓地所在市町村の各種プロジェクトがあるようでございますが、もともと沖縄の事業でございますから大蔵省の方でも高い補助率を認めていただきましたけれども、しかし、わずかながらといえども地方自治体の地元負担もある。こういうことについて、基地所在市町村中心に交付税措置をしていただきたいということがございましたので、そういう御要望やら、そして、何よりも私自身、別の目的では沖縄に行ったことがありますけれども、国務大臣としてあれだけの米軍基地があるというのを改めて見させていただきたいということで、普天間飛行場その他を視察に行ったというのが第三の目的でございます。  以上でございます。
  97. 白保台一

    ○白保委員 大臣、るるお話がございまして、私は若干お話ししておかなければいけない。  実は私ども、先日、十六、十七日に沖縄調査団、新進党で行きました。知事ともお会いしましたし、今お話のございました関係市町村の首長の皆さん方ともお話をしたわけですが、一つ申し上げると、例えば金武町というキャンプ・ハンセンがあるところの町長などは、そもそもは革新的な立場に立つ人なんですけれども、この人などは、海兵隊がいつも事故を起こす、事故を起こした後に必ず政府や米軍は再発防止だとか隊員教育だとかこんなことを言うのだが、実効が上がらない。したがって、町長はみずからキャンプ・ハンセンの中に入って、沖縄の文化や歴史、あるいは環境、人権、そういったことを町長と助役が交代でスピーチをしてくる、そうやって教育する。政府や米軍が言っている話は余り実効が上がっていませんけれども、この人たちは、反対の立場にいながらも、同じ地域にこそ住んでいるということで、一生懸命そうやって努力をしている町長がいらっしゃる。  あるいはまた、嘉手納町のごときは、その総町面積の八三%が嘉手納基地に取られて、残された一七%の中でいろいろなことを町長として施策を打っていきたい、こう思っても、結局はこれだけの狭隘なところでは何もできない、だから閉塞状況にあります、こういうことをおっしゃる。  そういった首長が大変苦労をしている中で、ただいまの御答弁は、私どもとしては、今後もこういった市町村地域振興のためにぜひ自治大臣として頑張っていただきたい、こういうふうにまず申し上げたいと思います。  さて、大臣所信の中に、「基本的認識」の中に、これは当然のことですが、地域の総合的な行政主体として、行財政上極めて厳しいけれども、地方分権を具体的に推進しながら、みずからの創意工夫で新しい時代にふさわしい云々というのがございます。  そして、そのみずからの創意工夫ということに関連して、次の「魅力ある地域づくり」、こういう中で、私がきょうお聞きしたいのは、地域の国際交流とかあるいは国際協力、そういった文言が書かれておるわけでございますが、一つ私どもの県の立場からいいますと、島嶼県でございまして、限られた市場の中で魅力ある町づくりをやっていこうなどといってもなかなか厳しいものがある。しかし、歴史的にはかなりの国際交流というものがなされてきた、こういうことで、この文言に対して私は非常に関心を持っておるわけでございますが、まず、自治省として、具体的に自治省の国際交流とか国際協力とか、そういったものがどのようになされているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  98. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 お答えいたします。  一般に国際交流、国際化と言っておりますことについて、私ども、三つの分野があるのじゃないかというふうに粗っぽく考えております。  まず、姉妹都市交流を初めとして、人と人との交流をすることが一つでございます。それからもう一つ、それ以外に、技術協力なんかも含めてお互いの足らないところを補い合うという交流、そういうようなものもあるのじゃないか。それからもう一つは、地域づくりという、町づくりという意味で、地域が外国人を受け入れて、外国人に対して日本人と同様に生活上の不便なりを与えないでちゃんとした生活ができるような、いわば国際化した町づくりをする。そのような三つの側面があるのではないかと考えております。  姉妹都市交流についても、大変年々盛んになってまいりまして、今一千百組ぐらいの姉妹交流が行われております。そのことについてもこれから進めていかなくちゃいけないし、あるいは、国際交流という面につきましても、人と人との交流も随分進んでおりますけれども、やはり地方団体職員同士の交流、住民の交流、もう少し進みますと、農業技術とか、あるいはそういう技術面での交流もあるのではないかと思います。いろいろな面で国際化時代を迎えておりますので、そういうことについて、自治省としてはそれを、地方団体が行うのを支援してまいりたい、かように考えております。
  99. 白保台一

    ○白保委員 いわゆるCLAIRというのがありますね。CLAIRについて御説明をいただけませんか。
  100. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 CLAIRと申しますと、自治体国際化協会と言っておりますけれども、これは地方公共団体が国際化推進事業等を行います場合の支援をするために自分たちで共同の組織としてつくった財団法人でございまして、六十三年にできまして、現在十年目を迎えているわけでございます。  その職員数はおおよそ百三十人ほどおりまして、在外事務所に六十人ぐらい、それから東京に七十人ぐらいおるわけでございます。それから、その活動の予算規模はおおよそ三十六億円ぐらいでございまして、その中で、これは日本全国に外国からの青年を受け入れて、英語の助手、英語だけではございませんが、語学の助手をしていただく等の青年招致事業を行っておりますし、今申しました海外事務所の運営等の経費もこの予算の中から出しているわけでございます。それらの事業の財源は、主として地方団体からの分担金でございます。  今海外事務所と申しましたが、海外事務所は、地方団体の国際化のお手伝いをするというような意味で、全世界に今六カ所設けております。ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、シドニーでございまして、今後の展開といたしまして、ことしの秋にも中国の北京に事務所を開きたい、そういうような形で活動をしております。
  101. 白保台一

    ○白保委員 あと地域国際化支援ということはこれと同じですか。地域国際化支援を自治省で行っていますか。
  102. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 地域の国際化支援と申しますのは、今国際化に三つの分野があると申しましたが、そういうことに対しまして、私ども地方財政計画を組んで、これも御審議いただくわけでございますが、その中で、地域の国際化のための支援する財政措置の枠として千三百億円ぐらいの事業費を計上しております。  その中身は、今お話しいたしましたような三つの、姉妹都市交流、あるいは外国の青少年との交流、その他いろいろな意味での国際化の事業を含んでおるものでございまして、その種の地方団体の事業総体を、今の、地域の国際化の支援、そういうふうに言っているわけでございます。
  103. 白保台一

    ○白保委員 実は、御存じのように、自由貿易、これがかなりの勢いで始まっているのじゃないかな、こういうふうに認識しております。特に私ども感じるのは、香港の七月の返還、復帰、これをにらんで、今東アジアの中ではポスト香港の動きが非常に激しくなってきておるわけであります。  例えば、私どもの沖縄の立場でいいますと、台湾・国民党が昨年の十一月、十二月に、大幅な投資を沖縄にやりたいということで、国民党の幹部の皆さん方が大挙して沖縄に来られる。しかし、見ていますと、日本の場合は規制が非常に厳しいのでなかなか難しいなというような感想も漏らされる。あるいはまた、せんだって、この一月には、宮古島に台湾の高確からチャーター便が飛んでくる。この船の便は交流しておりますが、経済の面でも交流できないのかということで、このような交流が始まる。加えて、私は石垣島ですが、台湾との、台北と石垣島との間の空路を開設してみてはどうだというような動きが出てくる。それぞれの地域において、特に歴史的にそういう地域ですから、こういう近隣の外国との間でさまざまな可能性を求めて今動きが激しくなってきている、そういう状況にあるわけです。これはひとり沖縄に限らず、全国にもそういった動きがあろうかと思いますが、自治省としてはそういった点の動きを把握されているのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  104. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 全国的には、いわば今の国際経済情勢にあわせまして、あるいはつい最近までの円高情勢等に対応するために輸入の促進を進めなくちゃいけないという意味でFAZという制度をつくっているわけでございまして、そのFAZ、フォーリン・アクセス・ゾーンの制度の中で、地方税財政上の措置といたしまして三つのことを講じております。  一つは、地方税の特例措置でございまして、FAZ地域の中におきます新増設された一定の工場用の建物敷地につきましての特別土地保有税の非課税措置、それから二番目に、FAZ計画に基づき設置しました施設を設置した者に対しまして、財政力指数が一定未満の地方団体が対象でございますが、不動産取得税、固定資産税の減免措置を講じた場合に、その減収額の一部に対する交付税の減収補てん措置を行うということでございます。それから三点目は、地方団体が行います国際展示場、国際会議場などいわばインフラの整備につきまして、地方債の採択についての特別の配慮をするというような項目でございます。  これがいわば一般論、オールジャパンの話でございますが、沖縄地域につきましては、これも先生十分御存じのとおりでございますが、沖縄振興開発特別措置法の中で、このFAZとは別にFTZ、自由貿易地域という制度をつくっているわけでございます。  その中において地方税財政上どういうふうな措置をするかといいますと、今のFAZをさらに優遇したような形での措置を講じているわけでございまして、工業等の用に供する設備を新増設した場合に、不動産取得税、固定資産税の課税免除または不均一課税、その場合の減収額についての減収補てん。なお、特別土地保有税の非課税措置につきましては、これも講じておりますが、平成八年度でこれが期限切れとなることから、平成九年度の地方税法改正案、これも御審議いただく今回の法案の中にございますけれども、対象となる設備の取得価額要件を緩和した上、適用期限をさらに五年間延長する措置を講じているところでございます。
  105. 白保台一

    ○白保委員 まだ聞かないことまで言わないでください。今の話はこれから聞こうと思っておりましたのに、聞くことがなくなりまして、困ります。  まあ、冗談はともかくといたしまして、今のは自治省のFAZに対する、あるいはまた沖縄FTZに対する支援の問題だろうと思います。  通産省の方にも来ていただいてその説明をしていただこうと思いましたが、来られていますか。
  106. 高橋はるみ

    ○高橋説明員 お答えいたします。  FAZ法につきましては、現在までに二十二の地域の指定ということをやっておりまして、それぞれの地域に対していろいろな優遇措置をとっているところでございます。そういうことを踏まえまして、現在までに既に十一のFAZの具体的な施設が開業を迎えているということでございます。  さらに、このFAZ法、平成七年に一度改正をいたしまして、内容の拡充とともに期限の延長を平成十八年までしたところでございますが、その新たな制度のもとで、本年の二月十八日、まだ指定したばかりでございますが、この二月十八日に神戸市及び愛媛県のFAZ地域に対しましてさらにFAZ事業を展開していただくための特定集積地区の設定ということもいたしまして、さまざまな支援策を講じているところでございます。
  107. 白保台一

    ○白保委員 FAZは、これを成立させる過程にあって非常に議論もされたと思いますが、輸入を促進をしていく、そしてまた同時に、各地域を指定していくということで地域の振興につながっていくし、雇用の拡大にもなりますし、当然先ほども申し上げたように輸入の促進にもつながっていく、また場合によっては物価の引き下げにもつながっていく。そういう面では非常に大きな効果を期待をしてスタートをさせたと思うのですね。これが、また延長もしていくわけでございますけれども、このFAZと沖縄FTZとではどういうふうに違いますか。
  108. 高橋はるみ

    ○高橋説明員 お答えいたします。  沖縄の自由貿易地域、FTZは、沖縄振興開発特別措置法に基づく制度でございまして、沖縄における企業の立地を促進するとともに、貿易の振興に資するため、沖縄県知事の申請に基づき沖縄開発庁長官が指定される、そういう地域でございます。これは、沖縄の振興開発の手法として、産業振興策の一つとして創設された制度でございます。  一方、FAZ法に基づきますところの輸入促進地域は、同法に基づき、輸入の促進のため、港湾、空港及びその周辺地域において輸入に関連する施設、事業、その他事業活動を集積させ、輸入品の流通の円滑化を図ろうとする制度でございます。  このような意味で、それぞれの目的、趣旨等が異なるものであるというふうに認識いたしております。
  109. 白保台一

    ○白保委員 FAZは、先ほど申し上げたように大変大きな成果を期待されています。沖縄のFTZも今御説明があったような状況でもってスタートをしたわけでありますが、制度上の不備というか、我々が、あるいは県民が考えたような状況でなかったために、法人税の問題だとか関税の問題だとかさまざまな問題で、確かに保税はきちっとやられておりますけれども、非常に不十分である。そういうことで、今もう行き詰まっているわけです。  ところが、現状は、周辺諸国からポスト香港をにらんでさまざまな引き合いが出てくる、動きが出てくる。そのために今、県の方から、大幅な規制緩和をしていただいて、そして本来の意味でのFTZにしていきたい。私自身の主張は、全県をフリーゾーンにしていこう、そういう考え方ですが、県の方は、今あるところのフリーゾーンの那覇地区、そしてまた新しくもう一カ所ぐらいつくって拡充をしていこうというような考え方もあるようです。  しかし、この間の、大臣も出られたと思いますが、第四回の沖縄政策協議会で県知事が、規制緩和の問題、そういった自由貿易の問題については、現行の法律からはみ出すものもあったりいろいろなものがあるので、秋ごろまでにとりまとめて提案をして、そういった方向にしていきたい、こういうようなことであったというふうに伺っております。  官房長官は、蓬莱経済圏などという突然びっくりしたことが飛び出してきて、週刊誌のネタにもなっておりますけれども、そういうようなことで、今沖縄としてはフリーゾーン、フリーゾーンといってもさまざまなフリーゾーンがありますので、どういう形ということじゃなくして、現実に輸入をし、輸出する、そういった中で関税がかからないような、あるいは法人税をもっと軽減するような、そういう形でのフリーゾーンをつくっていこうという考え方でいるわけでございます。  そういう面で、通産省は、この問題について沖縄のフリーゾーンの方から課題等が来ておりますか。
  110. 高橋はるみ

    ○高橋説明員 お答えいたします。  沖縄の自由貿易地域の振興を含め、沖縄に対するさまざまな対策につきましては、現在政府全体で検討が進んでおります。沖縄政策協議会の場においてさまざまな検討が進んでおりますので、私どもの省におきましてもこの検討に積極的に参加をしているところでございます。その検討結果を踏まえまして、さらなる支援策を講じてまいるということを現在考えております。
  111. 白保台一

    ○白保委員 じゃ、大臣、今のやりとりを聞いておられたと思いますが、また沖縄政策協議会にも出られて、今のフリーゾーンの問題について大臣の御感想をお聞きしたいと思います。
  112. 白川勝彦

    白川国務大臣 現在、第一次橋本内閣から引き続いて、第二次橋本内閣においても沖縄問題の解決というのは最大課題一つとして、私もその政策協議会の一員として入らせていただいております。そして、自治省としても、自治省の中でやれることは最大限、そしてある意味では従来の相場等に縛られることなく、やはりこの際、政府全体の重要課題でありますから、処理するつもりでございます。  ただ、今申されたように、沖縄では、国際都市形成構想というのでしょうか、私は大変そこに沖縄の二十一世紀の希望を見出せるような気がいたします。現実に沖縄まで行くとなりますと二時間半かかるんでしょうか、そして当然沖縄から来るとなると同じぐらい時間がかかるわけでございますが、沖縄まで行ってしまえば、東アジア地区はもちろん、ASEAN諸国もかなり現に近くなるわけでございます。と同時に、ASEAN並びに東アジア地区から見て、沖縄というのは逆に非常に近いのじゃないでしょうか。そういう面では、向こうから見たら日本に対する玄関口、また我々の方から見たらASEAN並びに東アジア地域に行くときのある面では玄関口、私は、そういうような大きな可能性を秘めた地がまた沖縄である。そして、二十一世紀がアジア地域、アジアの時代だ、こう言われるならば、私は、そこに日本がそのような特別の地域をつくることは、沖縄問題の解決はもちろんでございますが、さらに二十一世紀の日本の国際化という中で非常に意味のある構想だと思って、私も国務大臣の一員としてぜひこの問題は政策協議会の場で皆様方と一緒になって考えてまいりたい、こう思っております。私は、非常にアトラクティブな案だ、こう思っております。
  113. 白保台一

    ○白保委員 大変心強い答弁をいただきまして、ありがとうございます。  沖縄本島に軸を置いて三千キロの間に大体の東アジアはみんな入ってきます。ですから、そういう面では、「魅力ある地域づくり」、こういうふうにおっしゃっていますけれども、そういった地域の持つ特性というものが生かされていくことが魅力ある地域づくりができる基本だろう、こう思います。  そういうことで、私たちは、地域がまさしく自立するために、こういう歴史的な過程、地理的条件、こういったものを踏まえて新しいそういった経済特別区的なものをつくっていこうというふうに言うわけですけれども、一国二制度はだめだ、こういうようなことがすぐ国から聞こえてくる。一国二制度といいますけれども、自由貿易の時代がだんだん進んでいけば将来的にはみんなそうなっていくわけですから、むしろ先行制度だと我々は思っていますけれども、そういう面では。大臣の今の力強い御答弁のとおり、ぜひ御支援をいただきたい、こういうふうに思います。  この問題は終わります。  最後になりますが、私は常々生活しておって、一つだけ申し上げたいと思いますが、交通の問題なんです。  特に、私どもが生活しているところは軌道の電車がありませんから、車だけで移動する。車ばかりの社会になってまいりますと、車を持つ人の、ドライバーのマナーというのが非常に大事になってきますね。駐車違反が非常に多い。どこへ行っても駐車違反。これは何も私どもの住むところに限らず、全国的に車がふえれば駐車違反が多いわけですが、その駐車違反のために、歩道などに乗り上げますから、お年寄りが車を避けて車道に出て歩かなきゃならないような、そういう生活の場面はいっぱいあります。若いお母さんが乳母車を押しながら、歩道からおりて車道に出てまだ歩道に戻るなどという、そういうことがあります。  この駐車違反の問題というのは古くから言われていますけれども、なかなか解決しない。この駐車の問題について今後どのような対策をとっていかれるのか最後にこれだけを聞いておきたいと思います。
  114. 田中節夫

    田中(節)政府委員 違法駐車の問題でございますが、特に歩道上に車をとめている行為、これは、老人とかあるいはハンディキャップを持たれる方、さらにはお話のように乳母車の通行で大変迷惑をかけておりまして、やむを得ず車道を通行せざるを得ないというような場面もありまして、大変危険な状況にあるということは御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、従来から、歩行者が安心して通行できる空間を確保するという見地から、例えば自販機の撤去でありますとかさらには歩道上の通行に支障になる占用物件の撤去でありますとかというところに努めてまいりましたけれども、この駐車の問題につきましては、駐車施設が完全ではないというようなこともございまして、なかなかに難しい問題でございます。  お話のように、違法駐車の取り締まりにつきましても、やっておりますけれども必ずしも十分ではないというところもございますので、今後、道路管理者等とも相談しながら、駐車施設をできるだけ多くつくっていくということによって違法駐車を少なくするというような形の取り組みとか、あるいは取り締まりの強化ということにも努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  115. 白保台一

    ○白保委員 終わります。
  116. 穂積良行

    穂積委員長 次に、松崎公昭君。
  117. 松崎公昭

    ○松崎委員 新進党の松崎公昭でございます。新人でありますので、ひとつお手やわらかにお願いをしたい。大臣、眠いようでございますけれども、ひとつよろしくお願いをいたします。  私は、二十二年間地方政治の中で育ってまいりましたので、やはり今回は地方分権の問題を特に取り上げさせていただきたい、そう思っております。特に、今回の分権推進委員会の件に関しましてお聞きしようと思ったのでありますけれども、既に自民党の皆さんからも相当出ましたので、ダブらないようにしながらお聞きをしたいと思っております。  ここに一枚ペーパーがございます。「国民の皆様が、政府・国会及び地方公共団体の改革努力を厳しく見守るとともに、たとえ苦しくとももう一段の痛みに耐えて、行政改革というこの国家の大事業を最後までやり遂げて下さることを、心からお願いいたします。」六十一年六月に、先ほどから大臣から出ております土光さんの、国民皆さんへの遺言みたいなものでありました。  この土光臨調は、国鉄、電電、専売三公社の分割・民営とか、中曽根内閣が非常に力を入れて行革をされたわけでありますけれども、このときの気持ちが、十数年たちましたけれども、余りそれほど進んではいないのではないか。それを残念に思うと同時に、今回は、与党も野党も超えて新しい日本の国づくりのためにやらなければならない、そういう思いで頑張らなければいけないのではないか。幸い、このときの信念でありました「増税なき財政再建」ということを、政府の方もそういう方針をしっかりともう一度見据えてやる、そういう方針が出されているようでありますので、この辺は非常に期待はしておるわけであります。  さて、今回の推進委員会の第一次勧告でありますが、先ほど来随分出ております。もう既に質問のことではありませんが、やはり私も、最もリード役であります自治省の分野が非常に少なかった、これが非常に残念であった。ですから、この辺は今回の行革の、特に地方における権限移譲でありますので、この辺のことを、一番関係あります自治省の分野をやはりしっかりとやるべきだろう、そう思っております。また、法定受託事務が非常にふえてしまった、この辺も非常に反省すべき点ではないだろうか、そんなふうに思っております。  そして、推進委員会の、特に中間報告の中で、先ほども出ましたが、国と地方団体を上下・主従の関係に置いておりました今までの体制が、やはり自治を阻害していた。それと同時に、その長を機関とみなした。そこで、機関委任事務が廃止になるわけでありますけれども、特に私がきょうまず第一にお聞きしたいのは、やはり、上からの自治ではありません。団体自治も大事でありますけれども、やはり住民の自治というものが一番大事でありまして、それは今までの中央集権体制がなかなかそれを育てなかった。それも言えるわけでありますけれども、この辺の視点を今後、特に、住民自治というと非常になじみにくい話かもしれませんけれども、この住民自治をどうやって醸成していくか、その辺を次の勧告に向けて考えていただきたい、そう思うのですが、推進委員会の方ではいかがでございましょうか。
  118. 東田親司

    ○東田政府委員 お答え申し上げます。  地方分権推進委員会の事務局でございますけれども、先生今御指摘のとおり、地方分権推進に当たりまして住民自治の視点が重要であるということは、私どもの委員会においても共通の認識でございます。具体的には、住民の行政への参加の機会を拡大するなど、住民の意見を積極的に地域の行政に反映させていく必要があるという基本認識を持っております。  この認識に基づきまして、第一次勧告におきましては、勧告ではございませんけれども、今後の検討の必要性を幾つか指摘しております。具体的には、一点目は、地方議会の活性化方策の検討、二点目は、現行の直接請求制度の見直しなど地方公共団体における住民参加の機会と手段を拡大、多様化させるための国の支援措置の検討などにつきまして今後検討する必要があるという記述をしてございます。それから、もう一カ所記述がございまして、地方公共団体の行政をこれまで以上に広く住民の監視のもとに置くべきだという観点から二つ言っておりまして、情報公開条例と行政手続条例の制定の促進、それからもう一つは、外部監査機能の導入を含む監査機能の充実方策等の検討の必要性についても指摘しているところでございます。  このように、第一次勧告に書かれました検討方向を踏まえまして、今後具体的方策につきまして、本年前半を目途に第二次勧告の成案を得るべく努力してまいるという方針で臨んでおります。
  119. 松崎公昭

    ○松崎委員 今の内容のとおりでありますけれども、特に今、監査制度の問題が出ました。最近、地方制度調査会の専門小委員会で外部監査制度充実を答申されたと聞いておりますけれども、この辺は、自治法の改正等をもう既に考えていらっしゃいますか。第二次勧告の前でありますけれども、その辺、いかがでしょうか。
  120. 松本英昭

    松本政府委員 監査制度の改革につきましては、現在、二十五次地方制度調査会で大詰めの段階を迎えておりまして、十二月にたたき台を総会にお諮りいたしまして、そこで御意見をいただきましたものをさらに専門小委員会で検討をしてまいっております。予定どおりいきますれば、二十四日に総会を予定しておりますので、そこで答申がいただければと私どもは期待をいたしておるところでございます。  なお、法制化の問題につきましては、その二十五次の地方制度調査会の御答申をいただいて、そして、それを踏まえて各省庁と協議をいたし、また法制的な詰めをいたしまして国会にお諮りできれば大変ありがたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
  121. 松崎公昭

    ○松崎委員 つまり、行政に対して住民がどこまで信頼をしているかということが、分権を進める上で、先ほどから大臣がおっしゃっておりましたように、上から何かを、ある程度形を提出するのでなくて、大臣のおっしゃることはなかなか格調高い、私にとりまして大変難しいのでありますけれども、形をつくるのでなくて、やはり下から上がっていく。それがやはり一番大事だということは、住民の意識、それが分権にいく。つまり、長い間、特に戦後五十年、中央集権の中でこれらの地方のシステムは全部おんぶにだっこの形で来てしまったわけでありますから、それをどうやって崩すかというと、相当の住民の意識の改革がないと、これはある意味では国の責任もあるわけでありますので、その意識を変えていくには、地方行革、透明性、そして皆さんが、やはり住民が信頼できる政治をつくっていかないと、行政をつくっていきませんと、本当の意味の分権に至る、いろいろ皆さんの仕掛けでは協議会とかいろいろありますけれども、そういったものもしっかりできてこない。それが、幾ら法律を変えでも、住民の発議が少なかったり、合併がすべてではありませんけれども、分権への一つの仕掛けとしては大変重要でありますけれども、そういう意味で非常にまだまだ住民意識が足らないというのは一つの大きな障害だろう。  そこで、地方行革の中でもいろいろな切り口があるわけでありますけれども、むだでありますとかあるいは不正の支出、こういったものが最近非常に多い。私も、県議会にいまして、前は自由民主党の県議でございましたけれども、官官接待というとおかしいのですが、政治とトライアングルの、私は別に業者さんとはどうこうありませんけれども、トライアングルの一方の、これは政治が抜けてしまっているのですが、そういう点では官政接待とかいろいろなものが実は非常にあったわけでありますけれども、この辺も正さなければならない。そこで、最近特に新聞ざたになっております豪華庁舎、これは東京都も問題がありますけれども、これはどんな状態になっているか。  聞くところによりますと、新聞によりますと一兆五千億。それから不正の公金支出、これは福岡県がトップでありますね、県の方では、県関係だけでも百三十七億。北海道、きのうもテレビでやっておりました、四十億。この辺の、豪華庁舎とか公金支出も含めて、これらはやはり自治省が、ある意味ではしっかりチェックもする必要があるし、起債の問題等は当然自治省がオーケーしているわけでありますので、その辺の状況。不正支出、むだ、この状況はいかがでしょうか。
  122. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 ただいま、幾つかの点をお挙げになりましたが、いわゆる不適正支出ということで、一部の県におきまして不適正な経理なりあるいは不適正な支出なりが行われているということは、新聞等にも報道されておりますし、私どももその都度各県でそれぞれ自主的に点検し、調査をしていただいておりますが、それぞれの県から私どもも事情を聞かせていただいておりまして、今委員がお挙げになりましたような数字が、今月の初めに私どもが聞きましたところ、取りまとめたところでは、おおむね百三十四億とか百三十五億とかいうような数字になっておるようでございます。  それから、庁舎のことをただいまお取り上げになりました。この点につきましては、庁舎に限らずいわゆる箱物の建設について、類似した建物があちこちで、いわば比較的近いところで同じようなものが建っているのではないかとか、あるいは庁舎が非常に豪華なものが建っている例があるのじゃないかというふうなことが指摘をされております。  これにつきましては、私どもは、例えば庁舎の場合ですと、地方債の許可ということを通じまして、特に地方債の場合には、三十年なりあるいは五十年なりに一度建てるというふうな性格のものでございますので、それぞれの団体において十分に住民の皆さんあるいは議会の意見を聞いて計画がつくられると思いますけれども、地方債の許可に当たりまして、職員数からかんがみた面積といいますか大きさ、あるいは単価はどうかといったようなことを、許可を通じて私どももいわば見ておるところでございます。  また、財源につきましても、庁舎の場合には特におおむね三割ないし五割は積立金でもって賄うということで、安易に借金をして庁舎を建てるということがないようにというふうなことも指導いたしておるところでございます。  箱物全般につきまして、いろいろな御意見があることは私ども承知いたしておりますけれども、基本的にはやはり議会で十分チェックしていただくということが大事だと思いますし、私どもも各団体に対しまして、そういう類似の建物が建ってむだがあるのじゃないかというふうな御指摘が間々ありますので、会議等を通じましてそういう広域的な調整についても十分配慮するように、それから建物につきましても、後の利用の見込み等について十分チェックした上で建物を建設してほしいというようなことは指導し、また要請をいたしておるところでございます。
  123. 松崎公昭

    ○松崎委員 今のお話の中にも出ております地方債の問題、非常にこの辺が問題だろうと思います。  今の制度では、地方債の権限を地方に譲るということはなかなか簡単にはいかないとは思いますけれども、こういう財源の問題が、いわゆる三ゲンの中で、権限、人間、財源の中で、やはり一番これが厳しいわけですね。ですから、これからの第二次勧告に向けて、補助金の問題、財源の問題が一番大変だろうと言われているゆえんであります。  ですから、この辺で、難しいのはわかりますけれども、ひとつ、今の制度の中でも少し地方債に関して、各地方団体にテストみたいにやらせてみたらどうか。これは大変暴論かもしれませんけれども、今までもパイロット自治体でありますとか中核都市でありますとか、いろいろ分権へ向けての仕掛けを幾つかやっていらっしゃるわけでありますから、一番重要なお金の問題、この辺にずばり、少し地方に任せるような、テストケースみたいなもの、そんなことはいかがでしょうか。
  124. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 先ほど、庁舎のことに関しまして地方債の許可制度に若干触れたわけでございますが、地方債の許可制度は、基本的には、行政行為に許可という形で関与するという色彩がやや目立っておるかもしれませんが、実際は、地方債の許可ということを通じまして果たしております財政的な役割といいますか機能というのは、幾つかございますけれども、端的に言って、比較的財政力の弱い団体でも良質な資金が配分できるような、いわば信用の付与をするというふうなこととかそれから、小さな団体で、やはり投資的な事業を一度に行うということは当然ございます。学校でありますとかごみ処理施設といったようなものを建設する場合がございまして、これはどうしても当該年度だけでは税源で貯えないということで、地方債という形をとり、後年度にも負担を均てん化して公平を保つというふうな要素もございます。それから、年度途中で公共事業等の追加があります場合には、やはり財源がないということで、地方債によってその財源を当該年度は賄って、後は財源補てんをしていくというふうなシステムをとるということで、いわば税財政制度全般の中の一つのシステムとして、地方債の許可制度といいますか地方債の制度があるわけであります。  そういうことでありますので、この地方債の許可制度については、自主性を高めていく観点からできるだけその弾力化をすべきではないかという意見はもちろんございます。私どもも、これまで枠配分という形で、一件ずつ審査するというのはもう今はほとんどございませんけれども、そういう形で弾力化を進めてまいりました。  また他方で、最近ですと、今もたまたまいろいろな議論が出ておりますけれども、国、地方を通じて全般的な財政再建をしなくてはいけない、そのための、財政赤字を中期的な目標を持ってコントロールしていかなくてはいけないという要請があるわけでございますけれども、その地方の財政赤字というのはすなわち地方債のことでありますので、これを何らかの形でトータルのコントロールが必要なのではないかというふうな議論もあるわけでございます。  いろいろな方面から検討すべき問題であると思いますけれども、分権委員会におきましても一つの検討課題になっておりまして、地方団体の自主的、主体的な財政運営に資する観点から、私どもも、いろいろな方面の意見を聞きながらこの地方債の許可制度のあり方につきましては幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  125. 松崎公昭

    ○松崎委員 ありがとうございました。  最後に大臣に、二次勧告は、先ほどから言いましたように、財源問題、補助金問題、非常に各省庁の抵抗が強いだろうと言われております。また、余りいい言葉ではありませんが、族議員の方々もたくさん各省庁を含めていらっしゃる。ですから、これは本当にどこまでできるのだろうかというのが率直な考え、見方であります。まして、推進計画そのものが、十年には、一年後にはつくらなければならない。その辺の覚悟はいかがでございましょうか。
  126. 白川勝彦

    白川国務大臣 今地方分権推進委員会で鋭意努力しておられるわけでございますが、お尋ねのたびにたびたび申し上げていたとおりに、確かに国から県への権限移譲はかなり図られるようでございますけれども、市町村への権限の移譲というのが、本来、性質上できないのか、それとも性質上できないんじゃなくて行政体制が十分でないからできないのかという点について、私は、これは自治省で決めることじゃありませんが、行政局長を通じて地方分権推進委員会の方に、もう一回この点は最終答申までの間に詰めてほしい、こういうことを今言っているところでございます。そしてまた、私の方から改めて、諸井委員長中心委員の先生方にこの点はお願いをしたいと思っております。  それから、財源の問題でございますが、権限に伴う財源という意味なんでしょうか、それとも一般的な財源という意味なのかよくわかりませんが、いずれにいたしましても、国にも今や財源がないことは事実でございますが、地方にも財源がないこともまた事実でございます。だから、財政が苦しいわけでございます。  ただ、同時に、税金を取るというのはそんな楽な話じゃないので、この前参議院の地方行政委員会のときに、私は、地方にどんどん課税自主権を認めて税をつくったっていいんじゃないですかと言ったら、財政局長が顔を青くして飛んできて、余り勝手なことを言わんでくださいと言ったのだけれども、新しい税目を起こすということと新しい税金を実際地方議会で議決をして実施するというのは別なのであって、国会だって、消費税導入するのにあれだけ大精力が要ったんだから。一つの税源を起こす、そして、仮にそれで一定の税金を取って強固な地方財源にするとしたならば、そういうのは、そんな税源なんてなくたって立派に地方自治をやれるところだから心配するな、こう言ったわけでございます。  本当に私思いますけれども、随分落差があります。自治省という中に入ってみて、自治省はそんな大した力は持ってないんですよ、権限も。そして、交付税の配分だって全部法律でほぼ決められているのですから。どうか、自治省に過大な——ある面では権限がある、そして自治省がうまくやれば強力な地方分権が進み、強力な地方自治体が出てくると思ったならば、それも中央依存の考えでございますから。  ですから、地方分権地方自治の発展そして住民参加ということを言われましたけれども、私、ぜひ言いたいのでございますが、委員は多分、千葉の都会で育ったのか、千葉県の田舎かどうか、私わかりませんけれども、私は新潟の田舎で育ちました。当時、金もなかった。権限は同じぐらいだったでしょうが、金がなかったときの方がよほどはつらつとしていたんじゃないでしょうか。日本という国も、あるいは地方自治体も、金を持つようになってきてから、むしろかえって清新な物の考え方やはつらつとした気持ちがなくなって、中央頼り、あるいは地方においては官頼りになったんじゃないでしょうか。  そもそも、国ができようができまいが、地方地域というのはあったんだと思います。それが地方分権の国家になり、中央集権の国家になって、またもとに戻そうというのですから、住民参加は当然のことなんだろうと思うわけでございます。そして、それを国がやろうというのじゃなくて、地方自治体にそれを心から切望する気持ちがなければ、幾ら自治省が、あるいはここで、国会の中で地方分権しろ、分権しろと言ったって何も進まないわけですから。ですから私は、国の方も含めて、改めてこの際思い切って権限を移譲しようと、少なくとも国会議員は考えているんだと思いますよ、役人はいざ知らず。国会議員は考えているんだから、国会議員がそうならそうならないわけないんですから、あとはむしろ地方の方が頑張ってほしいということでございまして、少なくとも自治省に関して言えば、御懸念のようなことがないように、それはどんなことをしても私が抑えますので、どうか皆さんから守っていただきたいと思います。  そして、あと各省庁については、内閣を通じてぜひまたやってまいりたいと思います。どうかひとつ、地方分権、分権という言葉がよかったのかどうなのか、私は、地方自治時代をつくるとか、地方主権の時代をつくるという言葉の方がよかったと思いますが、今さら商標登録に文句を言うつもりはありませんが、言わんとすることは、地方自治時代をつくる、それは理屈でもなければ最後損得の問題ではない、それ以外に、本当国民が充足して、自分たちのふるさとに誇りを持ち、そして充足を覚える方法はないと私たちは考えているからであります。
  127. 松崎公昭

    ○松崎委員 大変これからの政治課題であります官を政が抑える、そういう意気込みがありますし、今まで、私初めてですから、ほかの大臣というのは知りません。しかし、いわゆる官僚の答弁をしゃべる大臣じゃないなということは大変心強く思いまして、そして、自治省が権限が少ないからリードするんじゃないんだよというお話はわかりますけれども、やはり地方分権の中で、地方のことを一番自治省がしっかりわかっていらっしゃるのですから、閣議の中で、やはり地方分権で政府をリードする、そういう意味では、権限以外に自治大臣の役割は大変重い、それに私どもは期待をしたい、そう思っております。  五分残っておりますので、住民基本台帳ネットワークのことをお聞きをさせていただきます。  今国会で提出をされようとしていらっしゃると思います住民基本台帳ネットワークシステム、これは行政の側はとりあえずいろいろメリットがあるわけでありまして、住民票がどこでもとれたり、コードだけで本人確認ができるとか、あるいは引っ越しのときに一回で済むから非常に便利だとかそういう内容でありまして、また自治省の方は、プライバシーの保護でありますとか、そういうものが抜けないように、オンディマンドでやるとか訂正の権利がありますよと、非常にきめ細かく考えていらっしゃるようでありますけれども、やはりすべての制度には光と影があるということでありますので、どうも私の聞いている範囲ではいいところだけではないようだ。デメリットに関してはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
  128. 松本英昭

    松本政府委員 住民基本台帳ネットワークシステムは、実は私どもは、大変コンピューターネットワーク社会が進展しております中で、公的な分野におきまして、情報化のためのインフラ整備の一環ではないかというふうに考えておりまして、そういう意味で、行政機関の利用ということを中心考えているものでございます。  今委員が御指摘の、デメリットは何かということをおっしゃったわけでございますが、私ども研究会を一昨年から設けまして、二年間、研究会で研究をしてまいりました。そして、中間報告を出しました段階ではいろいろなところから、特に個人情報保護、プライバシー問題を中心に御批判をいただきました。したがいましていそれからさらにそういう御批判を踏まえて、さらに一年間研究会を行い、そして昨年に研究報告をまとめさせていただき、世に問うたわけでございます。さらにその後も、大臣のもとに懇談会を設けまして、各界各層の方々からいろいろな御意見をいただきました。  率直に申し上げまして、慎重な意見もございました。特に、そういうことで私どもが印象に残っておりますのは、自分はどんな形にしろ、そういう情報処理のためのコードを打たれるのは嫌だ、そういうことを一種の、どう言いますか、気持ちとして嫌だ、こういう御意見が一番最終的には残ったのではないかと思います。  ただ、私どもといたしましては、もともと私どもの考えております全国的な個人確認のためのネットワークシステムというのは、氏名と性別と住所と生年月日、これだけのものでございまして、個人にコードを打つといいますよりは、言ってみればこの四つの情報を、現在既にそれぞれの市町村が住民基本台帳の処理のために、これは人口でいいますともう九九%電算化をいたしております。それは、各市町村が既に電算化のためのコードを大体お持ちなわけでございますから、その情報の中から四情報を取り出しまして、そこにアクセスをする一種のアクセスコードという形で考えておりまして、決して個人にコードを打つ、そういう性格のものではないということを繰り返しお話をいたしまして、御理解を求めてまいったところでございます。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 松崎公昭

    ○松崎委員 時間がなくなりましたので、また来週でもやりたいと思っておりますけれども、実はこれはそう簡単にいかないようですね。  既に自治体でやっておりますけれども、これはいろいろな、便利なんですよ、福祉でありますとか健康でありますとか。しかし、それがちょっと間違えますと、大変な、個人情報が全部流れていく、総背番号制の問題点が相当ありますので、これはまた、時間がなくなりましたので改めて質問をさせていただきます。ありがとうございました。
  130. 穂積良行

    穂積委員長 田中甲君。
  131. 田中甲

    田中(甲)委員 先ほど大臣答弁の中で二人代表制という御指摘がありましたが、民主党でございます。私は三十五分間質問の時間をいただきました。何点かにわたり御質問させていただきたいと思います。  きょうは大臣所信についてでありますから、大臣所信表明をされました「基本的認識」のその次に「最優先課題として取り組んでまいる所存であります。」とおっしゃられた「地方行革の一層の推進」、この点についてまず冒頭御質問をさせていただきたいと思います。  まさにこの「地方行革の一層の推進」というのは、昨年の十二月、地方制度調査会の総会で了承された地方自治体の外部監査制度の導入について、これがやはり今大きく注目をされているものだろうと思います。行政監視院法案を提出した私たち民主党は、基本的にはこの趣旨、地方自治体の外部監査制度の導入は賛成であります。しかし、いろいろとこの資料を見てまいりますと、何点か問題点が浮かび上がってきたように思われます。その点を率直に御質問させていただきたいと思います。  まず、外部監査人となり得るその範囲の中に、弁護士、公認会計士以外に「公務の監理に精通した者」としてありますが、これは自治体の退職職員の登用を可能にするものではないかという危惧を持つのであります。自治体職員OBが多い監査委員、あるいは自治体職員である事務局員による身内に甘い監査が問題となった議論がそもそもの始まりであり、この監査制度改革や監査の独立性を目指したはずでありますが、外部監査制度の導入がこれで骨抜きになってしまうことはないでしょうか、冒頭御質問をいたします。
  132. 松本英昭

    松本政府委員 外部監査制度の導入につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、現在最終の段階の詰めに至っておりまして、二十四日に地方制度調査会の総会にお諮りいたしたいと考えているところでございますが、ただいま御指摘のように、昨年十二月にお示しいたしましたたたき台におきまして、「外部監査人となり得る者」というのに、弁護士の資格を有する者、公認会計士の資格を有する者、それから「公務の監理に精通した者」ということにいたしております。ただいま御心配のありました「公務の監理に精通した者」の中には、当該団体の公務員であった者は含まれない、そういう方向で今考えているところでございます。  これは、一つは、そもそも地方公共団体の監査というものは公会計であるということ、それからその内容が公務であるということ、そういうことも考えまして、そして「公務の監理に精通した者」、例えば予算統制とか会計統制とかいうようなことを長い間経験を積まれた方ということが一つございます。それから、国の会計検査院で御勤務なさった方、そういう方を考えております。  それは、今申し上げましたように、公会計、公務というものに御精通なさっているということが一つございますし、もう一つは、弁護士とか公認会計士の方々は全国にかなり地域的に偏っております。そうなってまいりますと、私どもが今考えております外部監査というのは義務的には中核市以上でございますが、任意の個別監査は全国的に導入可能にいたしますし、それからまた包括監査も条例でもって導入することが可能なようにいたします。そういたしますと、各地域において本当に弁護士や公認会計士の方だけで人材が確保できるかという心配もあるわけでございます。そういう点もいろいろ考えまして、ただいま申し上げましたようなことにいたしたいということで、今地方制度調査会で御議論をいただいております。  再度申し上げますが、「公務の監理に精通した者」は、当該団体のOBは除く、こういうふうに制度的にいたしたいと考えております。
  133. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  人材のばらつきというのですか、弁護士あるいは公認会計士においても地域によって偏りがあるということが言われました。人材不足ということが地域によってはかなり出てくるのではないかと思われます。当初は中核市まで、四月一日より中核市は十七でしたか、新たに五つふえるということでありますけれども、その点もまた後ほど御質問したい点であるのですが。  ここで、現行の監査委員制度を充実させ、さらに外部監査制度の導入を図るという、この二重の監査制度で自治体の行財政をチェックするということのようでありますが、私は、むだではないかと。私たち民主党では今回GAOという行政監視院法を出しておりますけれども、これも、現在の総務庁の中の行政監察局というものを廃止して新たに、今まで問題がそれで発見できなかったとか、地方行政においても現在のようにいろいろな不明瞭な支出が続出したり、市民に公務員に対する不信感というか、募っているわけでありますから、現在の体制ではなく新たに外部監査制度の導入を図ったところはシンプルにしていくべきだ、私はそんな考えを持つのですが、御意見をお聞かせください。
  134. 松本英昭

    松本政府委員 委員も御案内のとおり、会社、これは全部ではございません、資本金五億円以上あるいはもう一つ要件がございますけれども、会社には監査役というのがあって、そして外部監査として会計監査人という制度を置くことになっております。このように、組織の中の監査というものと、それから外から見る監査というのは、おのずからやはり機能が違っていると申しますか、それぞれ見る目が違っているだろうということが一つ言えると思います。  特に、公の地方公共団体におきましては、先ほどもありましたように、内部の組織で見ます現在の監査の制度というものは、これは例えば定例監査とか月例出納検査とか、そういう定期的な監査というもので明け暮れているわけでございますが、昨今のいろいろな住民からの要求とかいろいろと経費支出等の問題が御批判を受けているわけでございまして、そういうことを考えますと、やはりもう一つ外からの目で監査をする必要があるだろう、監査といいますか、監視をするといいますか。  そういう意味において、私どもは、現在の監査制度を充実するとともに、新たに外部監査制度というものを制度化するべきではないかということで、地方制度調査会の方でいろいろとそういう御意見をいただきながら制度化を今図ろうとしているものでございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  135. 田中甲

    田中(甲)委員 内部の監査では指摘がされなかった点をオンブズマンその他が指摘をして発覚をしたというケースが多いわけですから、その点をやはりよく考慮してこれから審議を進めていただきたい、また、皆様方にも御判断をいただきたいと思います。  先ほど申し上げましたこの外部監査制度は、当初、四十七都道府県、十二政令指定都市並びに四月一日から十七の中核市ということでありますが、その中核市に名乗りを上げた自治体から、消極的な態度、いや、そんなつもりじゃなかった、外部監査制度が入るということを知って中核市に手を挙げたわけではないんだという声も聞こえてきているようですが、この辺の実態を少しお聞かせをいただきたいと思います。
  136. 松本英昭

    松本政府委員 委員指摘になりました中核市の中で、消極的であったということは、少なくとも公式には私ども聞いておりません。裏でいろいろそういう御意見があったかもしれませんが、公式的には私ども、この外部監査制度の導入に反対であるというような意見は伺ったことはないと思います。  いずれにいたしましても、地方制度調査会には市長会、市議長会の代表の方も入っていただいておりますので、そういう方々は当然中核市等も含めた代表として御議論をいただいていることでございますので、私は、十分そういう意見も踏まえて全体の意見を集約していただけるのではないかと期待をいたしているところでございます。
  137. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  物を買うときに、気に入ったものがありますとつい文句をつけたくなるものでして、外部監査制度はぜひとも導入をしていただきたいという思いを持つものであります。  大臣、外部監査制度について、一言御所見を伺いたいと思います。
  138. 白川勝彦

    白川国務大臣 事務当局からこういうものをやりたいということで、結構だということで私は答えましたが、しかし一番大切なのは、あるいは行政にとって一番怖いのはそこの議会でなくちゃならないのじゃないでしょうかということを私は率直に感じます。
  139. 田中甲

    田中(甲)委員 筋だと思います。しかし、その議会に対する信頼が失われているという面もやはり現実だと思いますので、外部監査制度というものが、住民自治、より住民が政治に参加していく、そんな姿勢というものがここからまた得られてくるのじゃないか、そんな思いがいたしております。  実は私も、議会というものに新たに、立法府にGAOというものを導入したいという議員立法を提出した政党としては、まさに議会にもそのような監視をしていく、監査をしていく機能というものを持たすことができるかどうかということも実は考えてみたりしています。またこの点については違う場面でいろいろと意見のやりとりをさせていただければと思います。  大臣所信に沿って、次のページ、三ページでありますけれども、「公務員行政」というところで、「六十歳台前半の地方公務員を広く再雇用できる制度の導入等について検討を進めてまいりたいと考えております。」この点に大変関心を持ちましたで具体的にお話をいただければと思います。
  140. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 高齢者雇用の促進の関係でございますけれども、活力ある高齢社会を構築するために、官民共通の重要な課題となっております。平成八年七月の閣議決定の中で高齢社会対策大綱というのがつくられておりますが、六十五歳までの継続雇用の促進ということが国全体の基本方針となっております。  お尋ねのありました公務部門でございますけれども、公務員の六十歳代前半における雇用に積極的に取り組むという基本方針平成六年に閣議決定されております。また、これに基づきまして設置された検討委員会で昨年の六月に中間報告が出されて、高齢者の再雇用の促進方策について、現在その制度化に向けて具体的な検討が進められております。自治省としても、地方公務員のうち高齢者の新再任用制度につきまして、地方団体の事情、意向を把握をして、できる限り国との均衡を図って、その制度化に向けて現在検討を進めておりますので、御了承賜りたいと思います。
  141. 田中甲

    田中(甲)委員 具体的なその案というものがあったらお聞かせをいただきたいと思います。
  142. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 昨年の人事院勧告でもって、高齢者雇用について大体の骨子が報告をされております。その中で、新たな任用の仕組みとして、現在の定年制度を前提として、新たな仕組みとして、フルタイムの勤務、また短時間の勤務の体系を予定をするということでありますし、その場合に詰めるべき点が多うございますが、定数の観点、また給料、諸手当の関係、また再任用ができない場合の雇用制限職種の問題、いろいろございます。国家公務員の場合もそうでございまして、また地方公務員に特有の課題としての制限職種がどういうぐあいになっていくかというような点も含めて、現在、鋭意検討して、平成十三年度から満額年金の支給年齢が引き上げになってまいります、それに向けて準備期間をとりながら、スケジュールを勘案してその制度化を図ってまいるということで、現在、制度の検討を進めております。
  143. 田中甲

    田中(甲)委員 間違っても地方行政の肥大化あるいは地方財源の悪化につながるものであってはならないということを考えております。どうぞその点も十分配慮をした対応ということをしていただきたいと思います。  これからは地方行政、まさにNPO関係ですね、市民活動推進法なるものを今目指しているわけでありますけれども、それが成立した場合の市民とともに活動していく団体により多く地方行政の経験者が加わっていくということもこれから考えていく形だろうと思います。そんなこともぜひ御検討いただければと思います。  さて、警察庁にかかわる質問に移らせていただきます。  自宅のパソコンの端末を操作するだけで瞬時に大金を動かすことができる時代、電子マネーについて御質問をさせていただきたいと思います。  パソコン、インターネット、パソコンネットワークの普及に伴って、ネットワークショッピングとかネットワーク情報サービスが広がりを見せているのは私が言うまでもありません。それによって、近い将来、電子マネーによる電子商品取引のスタートが日本でも予測されるようになりました。例えば、昨年の五月、世界七カ国十三カ所によって電子マネーの実験が実際に行われています。  同時に、実はここが問題なのですが、電子マネーをめぐる犯罪というものが同時に多発するのではないかという危惧がされています。つまり、自室の端末を操作するだけで大金を不正に動かす犯罪が可能になるということであります。新聞によりますと、警察庁は対応を既に始めている様子でありますけれども、まず最初に、主な電子マネー犯罪としてはどのようなものが予測されているのでしょうか。そして、日本では具体的にどのような犯罪が実例として、もう既にあるならば、どのようなものが挙がっているかをお教えいただきたいと思います。
  144. 泉幸伸

    泉政府委員 電子マネーにつきまして、ただいま御指摘のように、各種の実証実験プロジェクトで実用化に向けた取り組みが進んでいるというふうに承知しております。  電子マネーはネットワーク上でやりとりができるということでありますので、例えば相手方が本当に支払うべき相手方なのかどうかを自分の目で確かめることができないという性格を持っており、十分な対策を講じておかないと詐欺などの犯罪に用いられることも考えられるところであります。また、例えば家庭や事務所のパソコンから瞬時に海外に向けて電子マネーを送金するというようなことも可能でありまして、こうした点につきましては、現金とは異なって、マネーロンダリングや脱税などということに悪用されかねない性質も持っております。  このような犯罪を防止するためには、ネットワーク上の身分確認を確実に行い得る技術や制度を確立することが重要でありますとともに、可能な限り追跡可能性を備えたシステムであることが望まれるところだと考えております。このような観点から、内外の電子マネーシステムや各国の防犯対策上の諸制度について現在研究を行っているところであります。  なお、実際にどのような犯罪が起こったのかという御質問であります。  電子マネーそのものの犯罪はまだ私ども承知しておりませんが、例えば高校生がパソコン通信上他人に成り済ましてわいせつ物その他の販売を行った事案、あるいは他人に成り済まして架空の銀行口座を開設して、その銀行口座をパソコン通信の電子掲示板上を利用して販売していたなどという似たような事案の検挙には至っております。
  145. 田中甲

    田中(甲)委員 それは実例として立派な犯罪が既に行われているというふうに私は受けとめます。  そこで、電子マネー犯罪に対して警察としてどのような対策あるいは対応を検討しているのかということに少し言及をさせていただきたいと思います。  昨年の四月の新聞記事でありますから、もうかなり前なんですけれども、「警察庁は今年度から、新たな犯罪を想定し、本格的な対策の検討に乗り出す。」「同庁は「電子マネー防犯センター」の設立などを検討し、業界や関係省庁との連携」を深めることを検討している。また、「警察庁所管の財団法人・全国防犯協会連合会の「クレジットカードセキュリティ研究委員会」は昨年九月の発足以来、国内で急増するクレジットカード犯罪とともに、電子マネー時代を見据えた犯罪への対応を検討してきた。」このように書かれていました。  この委員会の現在の運営内容、そして同委員会が、後段の方ですけれども、クレジットカードセキュリティ研究委員会がまとめた報告書が出されているということでありますが、その点の具体的なお話を聞かせていただきたいと思います。
  146. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいま、昨年の四月の新聞記事に、警察庁が電子マネー防犯センターを設立することを検討している旨の記事は私どもも承知しておりますが、これは実は必ずしも正確な報道ではございません。  私どもは、電子マネー防犯センターというようなものではありませんが、似たようなものとしまして、四月にネットワークセキュリティ対策室を警察庁内部に編成いたしまして、ネットワークセキュリティー全般についての総合的な対策の推進を図っておるということであります。さらに、ネットワーク社会における防犯施策の検討体制の強化を図りたいということで、九年度におきまして、そのためのセキュリティシステム対策室の設置を現在お願いしておるというところでございます。  警察庁としましては、そのように、この点における今申しましたような体制を充実させながら、関係防犯研究機関などとも連携しつつ、電子マネー時代の防犯施策のあり方について検討をしております。  なお、クレジットカードセキュリティーに関する研究をしておるかというお尋ねでございます。  これは、御質問にありましたように、全国防犯協会連合会の中にクレジットカードセキュリティ研究委員会というものを設置いたしまして、クレジットカード全般、ひいては電子マネーにまで及びましてその問題点、セキュリティー対策についての研究結果を取りまとめる作業をやっておりまして、昨年三月、報告書を取りまとめ、関係向きに広くお配りしつつ、さらにこの問題についての研究を深めているという状況でございます。
  147. 田中甲

    田中(甲)委員 努力をされていることはわかりました。  改めて御質問させていただきます。現行の法体系及び捜査体制でこれらの新しい犯罪に対応できますか。
  148. 泉幸伸

    泉政府委員 対応できる面も幾つかはございますが、ただ、御案内のように、電子マネーの防犯対策としましては、先ほども申しましたように、容易に他人に成り済ますことができるという点が一番の特徴であり、問題点であります。  これを防ぐためには、よく言われておりますように、それぞれ個人を識別する暗号技術の研究が要請であろうと考えております。十分な強度を備えた暗号の普及ということが重要でありまして、この面において、我が国における暗号技術の開発状況等について調査を行っております。  また、電子マネー犯罪が行われた場合に、逆に言いますと犯罪者がコンピューターネットワーク上である犯罪を行ったときに、またある犯罪を行ったかどうか、またそれはだれが行ったかというのは、捜査をする立場からいいますと、その暗号化された電子データが捜査の対象となり、それの解読をする技術というのも枢要になってまいります。これがなければ捜査に支障を来すわけでありまして、必要なプライバシーの保護を図りつつ捜査の実効性を確保していくためにはどうしたらいいかという点につきまして、世界的にも問題となっておると承知しておりますが、私どもも、OECDの専門家会合に職員を派遣するなどして、この面における調査研究も行っているところでございます。
  149. 田中甲

    田中(甲)委員 十分でないということですね、一言で言えば。
  150. 泉幸伸

    泉政府委員 現在、鋭意研究しておるというところでございます。
  151. 田中甲

    田中(甲)委員 これは暗号の技術の研究が本当に必要になってくるのですね。しかし、その暗号を解読する技術が、犯罪者によって行われる技術の方が上回っている場合には、またそれが犯罪につながっていく。極めてイタチごっこといいますか、難しい状況に陥っていく危険性があると思います。また、電子マネーの犯罪の国際性や脱国家性というのでしょうか、それぞれの各国がばらばらな対応をしているのではこの問題は解決しない。国際的な協調、連携ということが必要になってくるというものでもあろうかと思います。  そこで大臣、この問題に対して、現状では正直申し上げて、私のいろいろな仲間やこういうものに携わっている人間から聞きますと、新しい犯罪に対して現在の警察庁は後手後手になっている、このままであってはならないという、非常に危惧をしているのですけれども、大臣の御所見を言いただければと思います。
  152. 白川勝彦

    白川国務大臣 私も、こういうシステムづくりということについては、郵政政務次官をやったり、ずっと関心を持っておりましたが、そういうネットワークをつくって個々の仕事をするという話になりますと、全く私はキーボード一つ動かせないので、ちょっと、具体的にそういうのを想定しながら質問している人と、全然コンピューターを駆使できない私たちが答えていても議論が全くかみ合わないわけでございますが、御案内のとおり、警察庁肝いりでやりましたプリペイドカードがいとも簡単に破られた苦い経験がございます。この何十倍も難しい話を今田中委員はされていると思いますので、いずれにいたしましても、まず勉強すると同時に、警察庁としては、最終的には法務省とも関連して、それを防止するに足りる法律も用意しなければいかぬと思うのですね。  そういうことを含めて、今御指摘があった電子商取引というのはいずれにしろ時代の趨勢でございますから、これに対応できるような法制度、それから防犯上の対策、それからそういうことを現に行われた場合の処罰というようなことを含めて、警察庁でも関係省庁と協力しながら今鋭意勉強している、そして対策を立てているということは事実でございます。
  153. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  あえて、後で削除しろと言われるかもしれませんが、パソコン世代は頭脳明晰で優秀な反面、正義感が薄く、場当たり的な面が非常にあるように思われてならないのです。そこが、この電子商取引や電子マネーの中で犯罪の多様化が十分予測される、そんな危惧がされているものですから、厳しく質問をした御無礼をお許しいただきながら、ぜひとも鋭意努力をしていただきたいと思います。何かあれば……。
  154. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいま御指摘のように、私どもこれからこの電子マネーの対策については、研究し、勉強し、また技術を物にしていかなければならない分野が多々あるということは十分承知しております。  ただ、御理解いただきたいのは、電子マネー自体はまだ日本においては実証研究段階でありますけれども、現状においてもコンピューターネットにおける犯罪については、それぞれ捜査上の困難はございますけれども、幾つかの県におきましては相当先駆的な検挙を、それぞれの犯罪自体につきまして工夫を重ねながら検挙はしておるということ。  それからさらに、このネットワーク、コンピューターを用いた犯罪については、特有の捜査上のノウハウといいますかポイントがございます。これらにつきましては、警察庁においてチームを組みまして、それぞれの事件ごとにそれらの職員を現地都道府県に派遣いたしまして、工夫を重ねながら、電子マネーそのものの事件はありませんが、コンピューターネットを通じての犯罪については、現状の知識をもとに努力し、ある程度の効果も上げておるということを御理解賜りたいと思います。
  155. 田中甲

    田中(甲)委員 大臣の後の答弁でしたからもっと期待したのですけれども、そういう自己弁護でしたらもう結構ですから、もう大臣からいただきました。それほど大事だと本当におっしゃるのでしたら、なぜこの中で、大臣、盛り込んでくださいということがなかったのか、そういうことまで私も言いたくなります。  いずれにしても、若い世代の活躍の場として、ぜひこの調査研究、予算が必要ならば議会の方にも言っていただいて、協力をしていきたい、そんな気持ちでおります。  それと、「警察力の充実強化が必要であります。」これは私の持っている所信表明の十三ページ目でありますが、警察力の充実強化並びに国民からの信頼を高めることが必要であるということをぜひとも書き込んでいただきたかったなと思っています。  それから、引き続きこのページの中ですが、「処遇の改善や勤務環境の整備にも取り組み、」というところでありますが、これはもうぜひともやっていただきたいと思います。治安の強化を私たちが住民の気持ちとして皆さん方にお願いするわけでありますけれども、その警察官の皆さん方の処遇改善、勤務環境の整備ということは幾らでも応援をさせていただきたいという気持ちでありますから、ぜひともその辺、治安の強化に努めていただくと同時に進めてまいりたい、そんな気持ちでいることもお伝えをさせていただきます。  時間がなくなってまいりました。これは答弁は不要でありますが、スポーツとしてのダンス、ダンススポーツということを前回の質問の中で発言をさせていただきました。二〇〇四年にはオリンピックの正式種目になるような、そんな様相になってまいりました。ダンスは風営法の管轄で縛られるのではなくて、文部省、教育管轄、そして教養として日本人がこれから身につけて、国際人になっていかなければならない一つの点だろうと思います。  一千五百万人のダンス愛好者がおります。そういう方々の強い要望が、風営法の適用から外してもらいたい、男女がともにダンスを、パートナーを組んで、風営法で管轄されるもの、そうではないダンススクールやダンススポーツというもの、その分類をきちっとしてもらいたいのだということの要望があり、質問をさせていただいたところでありますが、それに対し白川大臣のすばらしい答弁をいただき、ボールルームダンスの皆さん方は本当に喜んで、期待をして、今見守っているところであります。「法律は社会情勢に適応してその都度見直していかなければならぬわけでございますが、第一義的には、立法府の問題としてどうぞお考えいただきたい。」「国会で決まったものに日本国の警察はとやかく言うべき筋合いにありません。」ぴしゃりと大臣がおっしゃってくださいました。そして私たちも、その大臣の期待にこたえるように、超党派で議員立法の準備を進めてまいりたいと思います。ぜひ今後とも、白川大臣初め御助言をいただいたり、お見守りをいただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  私の質問は、以上で終わります。ありがとうございました。
  156. 穂積良行

  157. 金田誠一

    金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。  白川大臣には、就任以来、例えば地方公務員としての在日外国人の採用の問題について大変新しい解釈を打ち出され、なおかつそれについて自治省としてのガイドライン等は一切おつくりにならない、それこそ地方自治体考えるべきが地方自治の本旨であるという趣旨の御発言をされております。あるいはまた新幹線の財源問題に関連しましても、一時はJR各社に対する任意の拠出金という話も出たようでございますが、これに対して、地方交付税で措置をすべきだという御決断をされたわけでございました。このような意欲的な姿勢に対して心から敬意を表する次第でございます。  そしてまた、そういう白川大臣であれば、これから申し上げる私の質問に対しても必ずや前向きに受けとめていただけるんではないかなという大いなる期待を持ちまして、きょうあえて委員を差しかえていただきまして質問に立たせていただいた次第でございます。  実はここに、手元にある北海道新聞なんでございます。きのうからきょうにかけましてもう一面から全紙面と言ってもいいぐらいにぎわしているのが、例の裏金不正問題の再調査の結果というやつなんでございます。新たに相当額が判明しまして、合計四十一億、福岡県の五十九億円に次ぐ全国第二位の状態になったようでございますが、大変憂慮すべき事態である、こう思っているわけでございます。これについては、地方自治制度全般にかかわる問題が一つはあると思いますし、もう一つは北海道特有の問題がある、こう思うわけでございます。きょう私は、ここで責任の所在云々などを議論するつもりは全くございませんで、主として制度の問題について大臣の御所見を伺いたい、こう思うわけでございます。  まず、北海道特有の問題、これにつきまして伺いたいと思いますのは、これは私のかねての持論でもございますけれども、北海道分県、分県は県に分けるというふうに書きます。権力の権ではなくて新潟県の県という分県でございます。このテーマについてでございます。  このような道庁の大変な事態に対して、私の住んでいるところは函館でございますけれども、函館の市民は怒りこそすれ、しかし、それは自分たちとは直接関係のない札幌で行われていることなんだという意識が非常に強いわけなんでございます。同じ時期に函館市では、交通局の官官接待という事件がございまして、そちらの方はたしか金額では百数十万円程度のものだったんですが、金額でいうともう全くのけた違いなんでございますけれども、その百数十万が住民監査請求から住民訴訟に発展をしたわけでございます。まだ係争中だと思うんですけれども、自分の身近なところに対するものは怒りも直接的なものになるわけでございますけれども、片や、数十億という金額に対してそれほどの関心がわかない、他人事という状態で受けとめられているのが残念ながら現実なんでございます。  それはなぜなのかといいますと、北海道は広すぎる、一つの自治体として一体感を持てない状況に置かれているということだろうと私は思うわけでございます。  例えば、札幌、道庁に用事があって出かけるときにはほとんど私などは飛行機を使います。離島でもない限り、自分のところの県庁に行くのに飛行機で行くという地域は、日本じゅう探しても恐らくほかにはないんではないか。アメリカであれば、州都に行くのに飛行機というのはあるかもしれません。ここは日本でございます。JRを利用すると四時間近く、東京から大阪に行くよりも時間がかかる、自動車では六時間、そういう状態なんでございます。ましてや、例えば札幌でなくて釧路に、鰐淵先生いらっしゃいますけれども、釧路に行くとすればもう日帰りなどは到底望むべくもないわけでございまして、飛行機を乗り継いで行くという状態でございます。そういうところで地域的な一体感を持てと言ってもこれは無理だろうと思うわけでございます。  そこで、かねがね北海道の中で潜在的にずうっと自治体首長なり商工会議所のしかるべき方々なりの間に語り継がれている大きなテーマが、北海道分県ということなんでございます。これはそう簡単ではないし、当然一朝一夕にいくことだとは思って申し上げているわけではございませんが、しかし、それにしても大きなテーマであり、これを解決しない限りは北海道が一つの自治体として普通の県並みに機能することはないんではないか。住民の目が届かない、一つの自治体としての帰属意識がないところにこのような事件を生む背景がある。  弊害はこういうものだけではなくて、例えば札幌一極集中というのも、これはほかの県に例を見ない。例えば九州であれば、福岡集中とは言われていますが、それでもほかの六県の県都にはそれなりの集積があるわけでございます。四国も、四つの県都それぞれに集積がある。それに比べて北海道はということなんでございます。  その辺が、この北海道分県ということが常々といいますかかねがね言われている。言われているけれども表面にはなかなか出てきにくい。それは、札幌、道庁の権力が余りにも膨大であると言うことさえ、口に出すことさえはばかられるということもまたあるわけなんでございます。そうした権力の中枢であればあるだけに、権力は腐敗するという言葉どおりになったのかなと。  もちろん、それだけではないさまざまな要素があるんでしょうけれども、北海道に特有な要因というものを私はそこに一つは見出すわけでございます。北海道分県というものについて一つは御認識をいただいて、これから地方分権等々さまざまな検討課題が俎上にのるでしょうが、そのときにぜひひとつ念頭に置いて検討していただきたいな、こう思うわけでございますが、御所見を賜りたいと思います。
  158. 白川勝彦

    白川国務大臣 これはちょっと事務当局は答えにくいと思いますので。  先ほど申し上げたとおり、今回、機関委任事務の廃止その他のレポート、レポートと言ったら怒られますね、第一次勧告を見れば、明らかに中央が持っていたのが県に大幅に移ることは事実でございます。  ところが、そこでとまっちゃって、さて、その県がどうあるべきかと。いや、これからはもう四十七都道府県中心に、日本はある面では四十七の都道府県が集まっていい国をつくろうといろんなら別ですが、そんな議論はどこにもありません。一方で言葉だけは、基礎的地方公共団体中心に三百だとか五百だとか千だとかという数だけはあるわけで、四十七だなんと言う人はいません。にもかかわらず、都道府県だけは分県の話も、今、これは金田委員のかねてからの御主張でございますが、今度は県の合併の話などをどなたか言った人いるでしょうか。ある面では、横浜市だけをとらず、もう政令指定都市よりもはるかに小さな県が全国にいっぱいあるわけでございますが、県を合併すべしというようなことを、この前予算委員会で村上議員が言っていましたけれども、まことにもって国会議員が言うぐらいで、知事の方からそんなことを言った話は聞いてみたこともありません。  どうかひとつ、この際地方分権ということでございまして、一体どういう仕組みをつくったら本当地方自治が進むのか。私は、みんなで、それこそあらゆる前提を抜きに考えていただきたいと思います。やはり国もあると思うんです。それから、一番根っこの市町村というのはあるんだろうと思うんです。会社でも地域でも、あるいは家庭でも、中二階と言われるところが威張ったり大きくなって発展したりする会社は余り見たことありません。どうかひとつ、都道府県というものが、今四十七というものが全くほとんど議論されていないという問題だけは、この際、せめてここで今金田委員の話を聞いた皆さん考えるところから始めてみる必要があるのではないかと私は思っています。自治省の役人も聞いておりますので。
  159. 金田誠一

    金田(誠)委員 多少数字を申し上げて恐縮なんですが、北海道の場合、面積八万三千四百五十一平方キロ、人口約五百七十万ということでございます。これに対して、四国は一万八千七百八十四平方キロ、人口四百十三万八千。面積は圧倒的に少ないですし、人口も百五十万程度少ない、そこで四つの県になっているわけでございます。東北も、東北六県で六万二千平方キロ、面積は二万平方キロほど少ない。人口は九百八十万、四百万、二倍までもいきませんけれども、多少人口は多いのですが、それでも六県でございます。これらに比べて北海道がいかに広大であるか。これほどの面積、五百七十万という人口は、ヨーロッパですとおよそデンマークなどに匹敵する一つの国でございます。この国が一つの県になっているという状況でございます。これだけでもいかに普通の県と比べて異常な均衡を欠いた状況に置かれているかということを、ぜひひとつ御認識いただきたいと思うわけでございます。  一方で、国の行革絡みでいろいろ取りざたされている問題として、北海道開発庁を廃止するという話がございます。開発庁は、殖産興業というのでしょうか富国強兵の流れとでもいうのでしょうか、それなりの役割を果たしてきたのだろうと思うわけでございます。かつての北海道開拓使の流れをくんで、それが道庁と開発庁という二つの行政機関によって北海道の開発を進めてきた。かつてはそれなりの役割を果たした時代ももちろんあったとは思うわけでございますけれども、ここに至ってはいわゆる途上国型の、とにかく開発だ、均一にレベルを上げるという時代ではもはやなくなった、そういう時代背景、それに今深刻な財政状況というものを反映する中から廃止論というものが出てきたのだと思うわけでございます。  全国都道府県を一定のルールのもとに特別扱いをしない、一定の地域のレベルが上がった段階では、沖縄などはまた別なのでしょうけれども、平等に扱っていくということはそれなりに理解できるわけでございますが、私はこの北海道開発庁の廃止論ばかりが先行するということには非常に疑問を持つわけでございます。開発庁廃止もして、それはそれでいいのでしょうが、一方で北海道が一つのまま、こちらの方は一向に議論されることがない。  今地方分権推進委員会で勧告が出され、着々と進んでいるわけでございますが、その中でも北海道のあり方というのがおよそ検討されてこない。これは非常に、北海道に住む者としては差別されている状況にあるのかなというふうに、思いたくないのですが、思わざるを得ない状況になるわけでございます。  そこで、一つはお願いなのでございますけれども、この北海道開発庁廃止云々、俎上に上げていただくのはもちろん結構でございますけれども、同時に、平等に扱うというのであれば北海道を一つの行政体という話があるか。四国で四つ、九州で七つ。九州も一つにしてしまうというのならこれはまた別な話として議論に参加したいと思いますが、こちらとしてはそのままにしておいて、北海道は開発庁を廃止するだけ廃止して、一つのままというのは一体何だ。私はもう常々腹が立ってしようがないわけでございますけれども、これはだれに言えばいいのでしょうか。地方自治法別表か何かに地方公共団体の区域は何とかとありますよ。これは、要は地方自治法の改正ということをしなければ北海道が幾つかの県に分割されることはないのではないでしょうか。  ということは、とどのつまりは自治省だと思うのですが、北海道開発庁を廃止するときには必ず分県がセットですよということをこの際はっきりしていただきたいと思うのですが、いかがなものですか。
  160. 穂積良行

    穂積委員長 ちょっとよろしいですか。分県という言葉が地方分権とこんがらがるから、分遣という言葉の方がいいのではないですか。
  161. 松本英昭

    松本政府委員 制度的な問題に限ってお答えをさせていただきたいと思いますが、現在都道府県地方自治法の施行当時の都道府県ということになっておりまして、当時、昭和二十二年の五月三日に施行されましたときに北海道というのがありましたので、現在も北海道というのがあるわけでございます。都道府県の廃置分合につきましては法律でこれを定めるということになっておりまして、この法律は恐らく憲法九十五条に言う地方自治特別法になるのではないかと思っております。  北海道の、先ほど委員長は分遣とおっしゃいましたか、分遣、分県問題は、昭和三十年代の初めぐらいからいろいろと議論があったやに私どもも伺っておるところでございます。一方、北海道開発庁の議論は、これは国の行革会議等で取り上げられると思うのでございますけれども、この点につきましては、私どもの所管でございませんので御勘弁をいただきたいと思います。
  162. 金田誠一

    金田(誠)委員 そこで、一つお願いがあるわけでございます。政府で出しているさまざまな統計書類を見ますと、例えば県民所得などという統計は各県ごとに出るわけなんです。北海道は、あれほど広いところにもかかわらず、県民所得というのは北海道一本で出る。その数字しかないわけでございます。  一人当たり県民所得は、北海道が二百七十三万一千円だそうでございます。北海道一本で出ているわけでございます。しかし、札幌近郊が所得も高いのではないか。恐らく三百万を超えているのだろうと思うのです。私どもの住んでいるところは二百万いっているのだろうかという思いなんです。下手をすれば倍ぐらい違っているのかなという気持ちがあるわけですが、数字がどこを拾っても出てこない。北海道庁に電話しまして統計室長という方に直接聞きましたら、北海道には十四支庁というのがあるのですね。それと医療法に基づく第三次医療圏が六つあるのです。普通、第三次医療圏は各県が一つの医療圏になっているのですが北海道では六つ。したがって、六県並みだと思うので六つぐらいに分割すればちょうどいいんだと思うのです。  それはさておくとして、支庁ごとか医療圏ごとか、とにかく地域状況がわかるような、例えば県民所得の集計などないのか。道庁に聞きましならないというのですね。あって出さないのかと言いましたら、そうではないと言うのですが、それはどうかわかりませんけれども。しかし、四国ではちゃんと四県ごとに出ている。かなり均衡がとれて、一番高い香川で二百七十二万、高知で二百三十二万ですね。そんなことでそれぞれ数字が出ていて傾向がわかる。傾向がわかれば対策も立てられる。公共投資にしろ、さまざまな施策はそういうものだろうと思うのですね。北海道一本で二百七十万と言われても、中身はどうなのか。申し上げたいことは、そういう扱いを北海道は受けているということなんです。  自治省が、恐らくさまざまな統計をとるのではないでしょうか。あるいは経済企画庁などが、あるいは総理府統計局が、政府としていろいろ統計をとって、その統計が基礎になって施策が決まるというものだと思うのですが、その際、これは北海道をいつまでも、実際の県に分けるのは多少時間がかかっても、せめて統計上、数字のとり方ぐらいは、十四支庁がいいのか六圏域がいいのか、それらの御検討をできないものでしょうか。ぜひひとつ、これはお願いでございますが、前向きなお答えをいただければありがたいなと思うのです。
  163. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 自治省にもいろいろな統計資料がございまして、私ども財政局で申しますと財政統計関係の資料、いわゆる決算統計という形でまとめておるわけでございますが、そういうことでお答えするということをお許しいただきたいと思います。  いろいろおっしゃることを私ども十分わかるわけでございますが、現実の財政運営といいますか、財政の執行というのは、やはり県レベルは北海道という単位で営まれておりますので、予算とか決算とかということの数値をとってまとめるということになりますと、どうしても北海道という単位にならざるを得ないわけでございます。市町村につきましても、北海道で全体をまとめて、北海道分ということで御報告いただくということにならざるを得ないわけでございまして、その点は何とか御理解いただきたいと思います。  ただ、私どもは、具体にいろいろな財政措置を考えます場合には、北海道が大変面積が広いということ、一つの町で一つの県と同じぐらいの面積があるというようなこともかねがねよく伺っておりまして、そういったような、面積広大でありますとか、あるいは北海道全体でおっしゃいましたように五百七十万近い人口があるといったようなことは、具体のいろいろな財政措置を検討いたします場合の判断材料としては、もちろん事情を踏まえて考えておるということは御理解いただきたいと思います。
  164. 金田誠一

    金田(誠)委員 冷たい御答弁で大変残念でございますが、これであきらめたわけではございませんで、機会がありましたら、再三、またお願いを申し上げたいと思います。  大臣、閣議等さまざまなときに、例えば開発庁の廃止絡み等で議論の俎上に上ることがあろうかと思いますが、ぜひその際は、統計上の処理さえこんな状態なのですということをひとつ御認識いただいて、しかるべく意見反映などしていただければありがたいと思うわけでございまして、またよろしくお願いを申し上げたいと思います。  またこちらに戻させていただきたいと思います。  実は、こういう状況を明らかにしたのは、議会でもなければ監査委員でもない。大臣、先ほど答弁で本来一番機能すべきは議会だろうとおっしゃいましたが、議会は最後まで機能しなかった。こうなっていてもなおかつ機能していないということだと思うのですね。これは保守だとか革新だとかという次元を超えて、もはや議会制度そのものが問われているのではないだろうかなという気持ちを実は私は持っているわけでございます。  そのときに一番機能したのは、住民でございました。情報公開という制度を駆使しながら、一銭にもならないこと、行政と余りいい関係にならないという、得にもならないことをやった。これこそ自治の精神だ。ここに、地方自治が脈々と生きているな、時代は変わりつつあるなということで、ある意味では、この事件が明るみに出たということは、住民が主体性を持って進歩されているなどいう意味では評価すべき面も一面ある、こう私は思ってはいるのですけれども、そこまでこなければこういうことがやみからやみだったのかという意味では、非常に残念に思っているわけでございます。  そこで、時間もございませんので端的に聞かせていただきたいと思うのですが、現行の地方自治制度そのものに改善をする余地が多々あるのではないか。先ほど来外部監査の話も出ておりましたが、私は、現行の監査委員制度の中でも自治体OBは監査委員としては認めないということが一つ。それから、地方議員も監査委員としては不適格だ、何の役も果たさなかったということが実態として明らかになったわけでございますから、これはもうだめだろう。それで、監査委員制度は、その二つはもう除外要因ということにすべきではないか。これについて、御見解を承りたい。  全部まとめて聞いてしまいますから。時間ないもので、済みません。  それともう一つは、一番役割を果たしたのが市民オンブズマンでございました。これをきちんと、地方自治を支える制度として自治法上に位置づけできないか。具体的には、自治法の中に情報公開ということを明確に、条例の定めるところにより情報を公開するという規定などが検討できないかということが二つ目です。  もう一つございます。議会のあり方なのでございます。もう愛感すべき事態だな、実はこう思ってございます。  諸外国の例などを見ますと、私は、アメリカのダラスというところに行かせていただいて、百万都市なのですが、毎週一回、議会が午後から開催されて、十五人の市会議員しかいませんでした。一回出てくると五十ドル。ほとんどボランティアの方々が十五人。そして、ダラス市民であればだれでもここに来て意見を述べる権利がある。問題によっては、議場に入り切れないぐらいの市民が意見を述べる。その模様はFMラジオを通して全市に放送されているというお話でございました。それ以外の都市でも、おおむねこういうような状態でございました。こういうシステムを日本の議会に取り入れていくしか、私は地方自治を再生させることは面倒ではないかなというふうに思うわけでございます。  その辺を含めまして、御見解を賜れればと思います。
  165. 白川勝彦

    白川国務大臣 あとの点は別として、実は私、大臣就任以来、俗に地方団体と言われる人たちの、少なくとも役員の皆様とじっくり会おうというので、役所の局部長を連れて、最低二時間半ぐらい、三時間ぐらいずつじっくりと懇談する機会がありました。その中で、今回地方分権推進委員会で地方自治の発展のためにということでいろいろ議論されているようだけれども、行政の分権という話については随分議論されているが、地方議会のあり方とか権限とかという問題について議論されているのかということでございまして、先ほども地方分権推進委員会の事務局長が述べておられましたが。地方議会の活性化という言葉がありましたが、活性化というのは、特に権限見直し等はせずに、ただどうやったら活性化するかという程度の話なのだろうと思います。早速、それは大事なことなので、我々も考えるけれども、地方議会、三団体少なくともあるのですから、考えてほしい、こう言いました。  金田委員おっしゃったとおり、分権ということまで言われたわけでございますので、同時に地方議会の権限、場合によったら、やはり大統領制だから地方議会は実際は執行部には手が出ないという制度的な面もあると思います。そこはどうなのだということを含めて、やはり仕組みとしての議会があるのにそれはもう期待できないというのでは、もういろいろ議論しておりますが、全く夢も希望も前途もないということになるわけであって、どういうふうにしたらやはりそれぞれの地方の、最終的なことは地方議会がやはりいろいろな問題を解決していく、あるいは行政に誤りがあったらそれを正していけるかというのは、住民代表である議会が機能していく道は考えていかなければならないと思っておりまして、その場合、分権ということを考えるのならば、それこそ首長選挙のあり方そのものについても、あるいは不信任案についても、少なくとも今の条項とは別の、やはり執行部と議会が緊張するということまで仕組んでいないからそうなのだろうと思いますので、どうかひとつ、最後の点だけ、やはり議会は用立たないからということは別にして、国会がそういう役目をしているかどうか知りませんが、ただ一つ、予算が通らなければ内閣は総辞職か解散しかないのだというこの緊張感がやはり大きいものでございます。  そういう面では、やはり仕組みを変えれば随分違ってくるのじゃないかと思うので、その点だけは私から答えさせていただきました。
  166. 松本英昭

    松本政府委員 ただいま大臣の方から、三点目の議会につきましてはお答えがございましたので、第一点目と第二点目についてお答えをさせていただきたいと思います。  第一点目は、現在の監査制度で自治体のOBあるいは議会の代表の方が多いではないかというお話でございまして、現在のところ、自治体のOBが監査委員になっておりますのは、例えば都道府県などのように四人の監査委員があります場合は大体二人が有識者から選ばれる、その中の七〇%から七五%ぐらいOBということになっておりますが、今回、先ほどもお話しいたしました監査制度の改革の中で、これからは自治体のOBの数を一人を上限にしようではないか、こういう意見が今出ておるところでございます。  議員の方は、やはりこれはいろいろ意見がございますけれども、恐らくこの首長制度、いわゆる大統領制度のもとにおいては、先ほど大臣お話しなさいましたように、執行機関をチェックするという活動は議会の本来の大変重要な活動の一つでございまして、そういうことなども考えまして、現在の議員の数というものでいいんではないかというような方向、あるいは、いや、やはりそれは削減した方がいいのではないかという意見が出ておりますが、これは今大臣もお答えのありましたように、地方議会全体の機能のあり方等ともあわせて検討したらどうかというような方向ではないかと思っております。  第二点目の、情報公開条例を法律上位置づけるというお話でございますが、地方団体におきましては、現在、その情報公開制度を都道府県も政令指定都市もすべて持っております。政府におかれまして、昨年の末でございましたか、行政改革委員会行政情報公開部会から、この情報公開法の要綱案というものをお示しになられましたが、その中に、地方公共団体におきましては、国の情報公開法を直接適用することはしないけれども、情報公開に関し必要な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならないという規定を設けることというような御指摘もございまして、そういうところで対応していけるのではないかというように考えているところでございます。
  167. 金田誠一

    金田(誠)委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  168. 穂積良行

    穂積委員長 次に、春名直章君。
  169. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名直章です。よろしくお願いします。  先ほど来、北海道と比べられている四国の高知県の出身です。実は、二月の十七日の早朝に、右翼団体の大行社の街宣車が橋本大二郎高知県知事の知事公舎に突入するという暴挙が引き起こされました。君が代は国歌としてふさわしくないという旨の発言を行った橋本知事に対する暴力的な威圧だと見られております。この発言は別にしまして、言論の自由や思想、信条を暴力で封殺する、こういう行為は民主主義社会を根底から危うくするものであって、絶対に許されないものだと思います。近くは本島長崎市長への蛮行などもありました。軽視することなく、厳正な対応を国家公安委員長に求めたいと思いますので、ぜひ一言お願いします。
  170. 白川勝彦

    白川国務大臣 私が就任して間もなく、岐阜県の御嵩町町長襲撃事件がありまして、私は警察幹部を呼びまして、日本国民を代表する政治家として国家公安委員長になったが、私は個人的にも、そして国民も、いろんな犯罪、憎むべきものがあるけれども、政治的な考え方の違いあるいは宗教上の考え方の違いを、このような暴力あるいは犯罪的な行為によって圧殺しようということだけは国民だれもが許さないから、ぜひこの捜査方については万全を期してほしいと、あえて特別に注意をいたしました。したがって、岐阜におきましても相当の態勢で臨んでおりますが、委員のおっしゃるとおり、私も同意見でございます。
  171. 春名直章

    春名委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それで、大臣所信についての質問なんですが、大臣所信の中で、地方財政の健全化の問題と地方分権についてかなり熱意を込めておっしゃられました。そこで、その二つに絞って私は質問させていただきます。  まず、危機的な地方財政をどう打開するのか、とりわけ地方単独事業の見直しという問題について伺いたいと思います。  九七年度の末で地方債残高は約百八兆円になる見込みであります。一九八九年度が五十兆円でした。物すごいふえ方です。最近、一年置きにとりますと八兆円から十兆円の規模でふえています。まず、このふえ続けている主要な要因はどこにあるのか、これをお答えいただきたいと思います。
  172. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方の借入金の残高は、今お挙げになりました地方債のほかにも交付税特別会計の借り入れ等がございまして、急増いたしておるわけでございますが、特に平成六年度以降の増加が非常に大きいわけでございます。  これの要因は幾つかございますが、一つは、景気の後退に伴います地方税とかあるいは地方交付税の伸び悩みということがございます。もう一つは、所得税、住民税の減税が先行いたしまして、それの減収を補てんするための地方債を発行したということが二つ目の要因として大きいと思います。それから三つ目には、この間、特に経済対策として公共事業あるいは地方単独事業の追加を相当大きな金額で行ってまいりまして、これらにつきまして地方債をもって財源を賄ったといったような要因が、最近の地方債あるいは借入金の残高の増の要因と考えております。
  173. 春名直章

    春名委員 今おっしゃられたように、地方債の事業別の残高を見ますと、財源対策債とかの特別のものを除いて、残高の二兆円以上のもので見ますと、一般単独事業債の伸びが一番大きいんですね。これが大きな要因になっているわけですが、この地方単独事業という問題がやはりあるわけです。  九一年度から調べてみましたら、地方財政計画の中で四年連続して二けたの伸びにこれがなっているのですね。この間、直轄の事業とか補助事業の伸びが平均して三%程度でしたから、それと比べても非常に大きい伸びになっているという状況があります。それから、先ほど言われたように、年度途中の景気対策もありました。一九九二年から一九九五年の間に五回にわたって景気対策の事業がやられて、合計五兆九千億円の地方単独事業が組まれました。この年度途中のものは充当率は一〇〇%、つまり全額借金でやっても構わない、やるということになったわけであります。これが全部そのまま積まれていきました。自治省の持っておられる起債の許可権限が最大限これで活用されてきたわけであります。  一九九一年六月三日、自治事務次官の通知が出ました。これを読みますと、国、地方を通じる徹底した行政改革を積極的に推進するということを言った後に、「投資的経費」という項目の中では、地域づくり推進事業の拡充などを含めて前年度に対して一〇%の事業費を計上し、所要の財源措置を講じることとしたところであるので、地方団体においては、地域の実情に即して地方単独事業の積極的な予算化をやりなさいという指導もしています。九三年四月十三日の事務次官通知でも、地方単独事業はその効果的かつ積極的な実施に努められたいという指導をしています。  この執行者はおのおのの自治体ですから、自治体にこの借金の責任が全くないとは言えません。しかし、これらの経過が示すこの事実は、国と自治省皆さん政策的に自治体に対して地方単独事業の拡大、地方債の拡大、これを行わせてきたことを示していると思います。これは事実の問題として確認をしたいと思います。
  174. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方財政の中におきます地方の単独事業のあり方といいますか、位置づけということでございます。  私どもは、この単独事業につきましては、いろいろな面がございますが、特に地方本当の意味でいろいろ自主的な事業を行い、それぞれの地域の創意を工夫して事業を行っていく。せっかくいろんな意欲あるいは計画があっても、単独事業という仕組みでないと、何とか補助金をもらえないだろうか、あるいは何か補助金を使えないだろうかというふうなことに先になりますと、どうしても補助金の規格にはまってしまうというふうなことがございまして、そういう補助金待ちといいますかあるいは補助金頼りということを、やはり地方本当の意味の自主性という意味でそういう面から少しでも脱却していかなくてはいけないという側面から、地方の単独事業というのをできるだけ確保して、地方がそれぞれの自主性を生かして事業をしてもらうということに対して財源の確保を図っていこうということは、地方財政の世界において一つの大きな課題でございました。そういう側面がございまして、いろいろな災害に強い町づくりでございますとか、いろいろな地域活性化ということを図るための単独事業の確保ということを、非常に大きな重点として取り組んできたことは確かでございます。  加えましてもう一つは、公共投資基本計画によります全般的な公共投資の拡充を今のこの世代のうちにできるだけやっておこうという、そういうねらいがございまして、また単独事業の拡大という面も一つございます。  そういうことに加えて、先ほど申しましたような、特に景気の落ち込みに対して国、地方が投資的な事業を追加するという財政出動を行って景気のてこ入れをしよう、そういったような面がいろいろ重なって近年の単独事業の拡大になってきておるということでございます。
  175. 春名直章

    春名委員 私は、単独事業の位置づけ、その大切さということを聞いたのではなしに、そういう事実、こうなってきたということの事実を確認したかったのです。それはお認めいただきたいと思うのです。  次の問題は、こういう借金をふやしてまで、その意義というのはちょっとおいておいて、ふやしてまで図ってきた単独事業が計画どおり執行されているかどうかということを確認をさせていただきたいと思います。  自治省の遠藤事務次官は、単独事業は地財計画より実績が一、二兆円少ないという旨の発言をされています。計画は無理に立てるけれども全部執行できない、こんな事態が続いているのではありませんか。このことにぜひ答えていただきたい。
  176. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方財政計画におきまして単独事業の総額として計上いたしますが、そのことと実際に地方団体が行います単独事業の実績、当然一致するということではないわけでありまして、過去の年度をずっと見ますと、過去におきましては計画を実績の方が上回ったということもございますし、今おっしゃいましたように、特に近年、一番近くで申しますと決算ベースで平成六年でございますが、平成六年度の計画と決算を比べますと、計画に対して実績が約一兆三千億ぐらい下回っているという状態にございます。平成四年、五年は逆に一・七兆円とかあるいは二・五兆円上回っていた、そういう状況にございまして、年度によってそういう計画と実績との乖離はプラスもあればマイナスもあるということでございます。
  177. 春名直章

    春名委員 平成六年は一兆三千億円実績が下回っているということですね。これは、そういうことを今お聞きして、年度によってはいろいろあるということなのですが、そこで次の問題になるのですが、大きなこういう負債を抱え、借金をして事業計画を組んでなかなか執行できない場合もある、そういう事態が生まれているということであります。  それで、ここでお聞きしたいのですが、九七年度の計画では、自治大臣もおっしゃっていましたが二十兆一千億円と前年度と同額にしたというふうになっております。この理由、それから九八年度以降の、その次の年の見通し、これをどういうふうに考えられているかをお聞かせいただきたい。
  178. 白川勝彦

    白川国務大臣 国全体の健全化、そして行政改革というのは、ある面では予算をきつく示すことが行政改革にもつながるというようなことで、事務当局にも厳しく立てるようにということを冒頭に私は指示しておきました。  そして、事務当局で鋭意積み重ねてきた中で、本来ならば消費税というのは転嫁すべき税だということで、一般的には、消費税が例えば三%から五%になった場合は、それは普通はそのまま転嫁できるように国としては指導しているわけでございますから、国や地方みずからが本来ならば当然増加するのを前提に組むのが筋でございますけれども、地方財政全体を健全化に向けてやっていかなければならないということで、消費税が二%上がるにもかかわらず今年度は同額に抑えるということをしたというところに、我々としては地方財政計画を厳しく査定したという気持ちを読み取っていただければと思います。  次年度以降も、そのとき私が策定するかどうかわかりませんけれども、御案内のとおり、財政構造改革会議では国、地方を合わせての財政、単年度の赤字、そしてGDPに占める割合がトータルとして今議論をされようとしております。当然のことながら、ことし以上に厳しい枠が最終的にははめられてくると思っております。  一点だけ申し上げたいのでございますが、委員おっしゃるとおり、私も国会に出させていただきましてから結構長くなるのでございますけれども、どうも今まで財政改革とかあるいは財政赤字の縮減というのは国の帳じりが合えばいいというようなことで、国だけはある面では合わせるためにこれは地方の方で実際に負担しておいてくれよというのもかつて結構あったような気がいたします。そういうことを含めてあったわけで、それが地方にしわ寄せと言わないでしわふやしと言うのでしょうかわかりませんが、地方の方の財政が悪化した原因でもあるわけでございますので、今回国、地方を合わせての財政赤字が問題になり、国、地方合わせての財政健全化が財政構造改革会議ではテーマになるわけでございますので、今回はそういうような過ちはない、こう思っております。
  179. 春名直章

    春名委員 財政局長の年頭所感で、最近実際の単独事業の実施状況が地財計画の規模をやや下回っていることを考えると、九年度の地方財政計画は実績が追いついてくるのを一たん待つという意味合いもある、こういうふうなことをおっしゃっているくだりが出てくるのですね。そういうような意味合いで、本格的に精査して縮減していくということではなしに、こんな意味合いがあるんだということでしたら、これは本当に構えてやる気があるのかどうかというのが問われると私は思ったのですね。  それで、地方単独事業というのは住民に密着した大事な事業もたくさんあります。よく知っております。私もどんな事業があるか全部見ました。しかし、もうむだとしか言いようがないような事業もかなりあるのですね。  例えば、茨城県の県庁舎の建てかえですが、これは金のかけ過ぎという声がちまたで広がっています。県庁舎八百五十四億円。警察棟のみが国庫補助の対象で十七億円ありますけれども、その他は県の単独事業です。基金の取り崩し四百二十億円、起債二百五十六億円から三百四十二億円。基金が取り崩され、県債は急激に膨らんで大変な悪化をもたらしているという状況。  それから、私が住んでおります四国の香川県の県庁舎も四百二十七億円、県の財政規模は五千二百億円程度、その中で大きな負担になっているという状況もあります。ここでも積立基金を取り崩して借金を膨らませるという事態が生まれています。香川県の高松市の港頭地区開発というのは、地方単独事業として埋め立てが計画されて、区画整理事業とも合わせて四百数十億円が投入されますが、二十八ヘクタールの造成地には設置が決まっているのは公的施設だけ、企業の進出は全くめどが立っていない、こんな問題もあります。  今自治大臣が、来年度以降も厳しくやらざるを得ないということをおっしゃいました。住民から見て、そこまで必要なんだろうか財政力の点からいって負担が大きくなりはしないか、こういう懸念される事例も数多くあるわけですね。  したがって私は、本会議でも大規模公共投資の浪費をやめよということを政府に迫らせていただきましたけれども、今おっしゃられたように、六百三十兆円の公共投資基本計画を縮小する方針をきょうの財政構造改革会議で打ち出していくというふうにも伝えられていますけれども、そういうときですから、思い切ってこの地方単独事業についても精査をしていただいて、住民の必要性からかけ離れたむだな部分は思い切って削減するという方向をとっていただきたい。  その点で、最後にこの問題で大臣決意を伺っておきたいと思います。
  180. 白川勝彦

    白川国務大臣 冗費を見直すのは当然のことでございますが、ただ、いろいろなところで、質問はもらわなかったのですが、どうも自治省のものが一番最後になるもので、地方には豪華なものが多いがというようなことがよく言われるのでございますが、何が豪華であるかどうかというのを、先ほど来申し上げているとおり、私どもは指導したりどうこう言う立場にはありません。どのようなものがそこの県の地方自治のシンボルとしてふさわしいかは、文字どおりそこの首長さんと議員の皆様方が決めていただく、こういうことになっているのだろうと思います。  私どもが外国に行きまして、多分三百年、四百年前にできた立派な市庁舎などを見る機会があるわけでございます。そして私は、立派なものをつくっているけれども使われていないじゃないかということも言われますが、最近各種の公的な建物というのはある面ではなかなか番が来ないほど非常に活発に使われている。  昔は確かにありました。私も衆議院の決算委員会で問題にしたことがありますが、人間というのは豊かになってきて余裕が出てくると何をするかというと、集まって話をしていろいろなことをするというようなことがありまして、少なくとも私の選挙区だけ例外だとは思いませんが、それこそ町内会館まで含めて物をつくると、非常に住民がそれを使って住民のいろいろな人間的な活動がなされているということだというふうに私はむしろ思っているんですが、そんなに議員の、春名委員の目にはむだが多いんでしょうか。どうかその辺のことも私はぜひこの際お考えいただきたいと思います。
  181. 春名直章

    春名委員 ぜひ精査をして検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それで次に、きょう朝から大変議論になって聞かせていただいております市町村合併、地方分権問題についてお伺いしたいと思います。  議論の中で自治大臣は、絵を描いて引っ張っていくという立場には立たないのが自由主義国家である、私は自由主義者だということもおっしゃっておられます。幾つがよいとか、いつまでにしなければいけないかというようなことも国が言えるものじゃないんだということもおっしゃいました。  それでは少しお伺いしますが、一月の二十四日の記者会見で、市町村数は一千前後が適当だというお考えを発表されました。それから、新聞によると、合併は市町村の自主性に任せるだけでは無理なのではないかというように述べたと報道されております。一千にするということはそういうつもりなんでしょうか。一千にするという根拠は何でしょうか。また、これを目安に市町村指導するということでしょうか。そのあたりをもう一度確認をしたいと思います。
  182. 白川勝彦

    白川国務大臣 そういうふうに新聞報道されたことを承知しておりますし、別に異議を申し立てるつもりはありませんが、実は、私がこの議論をしたもとになった議論を紹介させていただきたいんですが、本当に、きょうもあれですが、市町村合併しろ、合併しろと言っているんだけれども、合併しないにはしないなりの理由があるんじゃないでしょうか。例えば大きな市があって、隣に五千の町がある、三千の村がある、こんなのは早く当然合併した方がいいんじゃないかと言うけれども、三十年近くもそういうことが議論になってもなかなか一つの町村にならないにはそれなりの理由があるんじゃないだろうかということを私は申し上げて、だから、いわゆる吸収合併型の合併というのは、やれるところだけはやったんだけれども、逆にどうしても理由があってやれなかったところを幾らむちでたたいたってもう私は進まないよという意味で、実は二つのことを申し上げたのです。  まあ地域によって違うでしょうが、郡というのが、例えば新潟県などを見ると、郡というのは歴史的、地理的、その他社会的ないろいろな面におきまして非常に深い単位をなしております。その郡に、一郡一町などは別として、幾つかの町村がある、それが対等合併するというようなことならば、町村合併は一つは進むんじゃないだろうかこういうのが一つの私の言いたかったことでございます。  それから、今、市があるところというのは、郡の中の中心部が市になって、そして周りの幾つかを合併したんですが、さらにその周辺に町村が残っているというケースもあるから、逆にそうなって先行して市になったところが自分たちのところに入れと言ってもだめだから、ある面では市は、自分たちは一度名前変えてもいい、しかしもう一回郡単位という形で市をつくろうじゃないかという呼びかけをすればまた話は違うかもしれない。そういう二つの物の考え方を私は申し上げて、要するに吸収合併型のはそうせかしたって進まないよということを申し上げたんです。  それで、一郡一町を除きますと郡の数が今五百幾つある、そして市が六百六十八ある、これが周りに町村を抱えているものですから、それを精査したわけじゃないんですが、今二つの手法をとると千ぐらいの単位になるのかもしれない。それは本当にアバウトに申し上げたわけでございまして、ただ私は、郡というか、郡でなければ別のでもいいんですが、今ある市に周りの町村が入ったらどうかという物の考えだけでは合併はこれ以上進まないよということを申し上げたくだりの中で、一番記事になりやすいような形でそう書かれたということでございまして、私の真意は今言ったようなことを述べたのでございます。
  183. 春名直章

    春名委員 これからそれを目安にして自治省指導されるといいますか、そういうことはないということですね。
  184. 白川勝彦

    白川国務大臣 自治省にはそんな権限もありませんし、また、私が言って、初めてそうですかという程度でございますから、それほどのまだ一つの意欲というか具体的な数値をもって迫るほどのまだ合併議論が詰まっているというふうには承知しておりません。
  185. 春名直章

    春名委員 ちょっとお聞きしますが、今のままでは分権は担えない、なかなか難しいということから合併論議が盛んになっていると思うんですけれども、その分権を担えないというのはどういう中身を指しているのかということなんですね。人口ですか、面積ですか、人材ですか、財政ですか。いろいろあると思いますけれども、なぜ今の単位ではだめなのか、どう考えられているのかをお聞かせいただきたいと思います。
  186. 松本英昭

    松本政府委員 恐らく、ただいまの御質問に対しましては、もう既に大臣が午前中にお答えになったと思うのでございますけれども、まずやはり市町村の規模を言うならば、何を一体市町村の機能として与えるかということが先行しなければおかしいではないかというのが本来の私どもの考え方でございます。したがいまして、どの事務であればどの程度の規模が適当であるかというようなことは、個別の事務の議論としてはできるものもございます。できるものもございますが、一般的に申し上げて、どの規模でなければ地方分権ができないとか、そういうものではないと私どもは心得ております。
  187. 春名直章

    春名委員 今分権ということが本当に大事な焦点になってきているときに、受け皿論ともとられるような合併五百とか千とか三百とかいうようなことが言われれば、せっかく権限の移譲、財源の移譲、これを本格的にやろうという議論がされているときに、受け並みたいな受け取られ方をされかねない。町村に派遣して合併を相談しますよとか、合併の相談室を設けましたという看板を設けたとか、そういうことも報道されていますけれども、私は本会議でも申しましたけれども、やはり今自治省皆さんが真っ先に取り組むべきことは、各自治体に無条件に権限と財源が移譲されるようにほかの省庁の方々に働きかけていく、そういう立場で頑張ることが自治省として一番大事な役割ではないでしょうか。私はそういうふうに感じますし、合併がどうのこうのというのが先走るような話は本末転倒という感じが非常にしてならないのです。その点はどうでしょうか。
  188. 松本英昭

    松本政府委員 御指摘になられましたように、私どもは、自治省といたしまして、権限、財源の移譲、特に基礎的な地方公共団体である市町村に対して行っていただきたいということは、これからも強力に地方分権推進委員会等も通じまして主張をしてまいるつもりでございます。  一方におきまして、現在の市町村というのが、本当にこれからの社会において基礎的な地方団体として地域で住民の期待にこたえられるかどうかというようなことは、これはそれぞれの市町村においてあるいは住民において真剣に考えていっていただかなければならないということもまた事実でございます。  したがいまして、私どもはそういうことを考えまして、合併ということの機運醸成等につきましては、やはり私どもとして地方団体に対して情報の提供あるいは必要な助言等を行ってまいって当然であろうかと考えているところでございます。
  189. 春名直章

    春名委員 それで、私がこのように危惧しているのは、合併を促進するということが住民への奉仕という自治体の役割を後退させたり、過疎地などが切り捨てられていくという危険もはらんでいるということなんであります。  地方分権推進委員会の委員長の諸井さんが第一次勧告の発表の席で、分権の論議の対象は人口五万人以上の市である、ここに日本の人口の七〇%が住んでいるわけですから、このように述べたと言われています。  最近、合併がいろいろなところで、幾つかのところでやられていますが、一九八八年に仙台市とお隣の泉市が合併をしました。このときに、仙台市が示した泉市への対応は、行政サービスの水準は高い方に合わせますというものでありました。実は、泉市は公民館の使用料は無料でしたが、合併して、九三年には有料にさせられました。旧仙台市内の学校配当予算を泉市並みに引き上げるために、泉区になった泉区内の学校予算は合併後四年間据え置きをされました。そして、旧泉市では敬老祝い金が七十歳から五千円、百歳には二十万円、記念品もついて出されていましたが、仙台市政になると七十七歳から五千円だけ、記念品すらカットするというようなことが起こりました。  さらに、一九九五年の九月一日に、東京の秋川市と五日市町が合併してあきる野市ができました。この合併では、福祉を充実させるための合併、このように言ってきましたが、一年後には被保険者一人当たり五千百十円の国保料の値上げ案が提案をされて、市民の間には合併して何がよかったのか何が変わったのか、このような声も寄せられているという状況があるわけであります。  今、この例に見られるように……(発言する者あり)一面的とおっしゃいましたが、これは重大な問題でして、今自治体行革という名前で、私は本会議でそういう問題も提起しましたけれども、敬老祝い金とかいうのは小さい金かもしれないけれども、しかしその本人にとっては、長生きをして本当に頑張ったということの一つのあれなのですね、その証拠なのですよ。ですから、そういう点から見て住民サービスや弱者が切り捨てられる危険性がある、私は断言はしません、そういうことだって事実あるということもあるわけですから、そういうこともぜひ考えておく必要があるのじゃないかというふうに私は思いました。  そして、大きければいいというものじゃないということも調べてみたのですが、例えばフランスでは人口五千七百万人です。コミューンと言われる市町村は、五千七百万人に対して三万数千あるそうです。一自治体平均二千人ということになるそうです。日本では一億二千万人で自治体が三千幾つですから、一自治体三万六千、フランスの十八倍ぐらいになるのですね。だからこれが、フランスがいいとかそういうことを言うわけではないですけれども、大きくなればいいというわけでももちろんない。やはり、住民に身近で、一人一人にまで福祉の光が当たる、行政の光が当たっていくというところにこそ自治体の本旨に沿った中身があると思いますので、そういう方向に本当に強めていくように努力しなければいけないと思います。  こういう点に立っていただいて、とにかく合併ということではないということで、ある意味では安心をしているわけですけれども、ぜひとも権限の移譲、財源の移譲、こういう努力を他省庁に全力で働きかけていただきたい、このことを最後に、この問題では自治大臣に問いたいと思います。
  190. 白川勝彦

    白川国務大臣 地方分権に関して言うと、何か自治省が焼け太りをするのじゃないのかとかいうことが言われておりますが、先ほど申し上げたとおり、自治省は現在もそれ自体地方自治法のどこを見ても大したことは書いてありません。技術的助言と勧告と書いてありまして、この前ある会派の方から、指導というような言葉を自治省は使っているが、指導などということができる権限はどこにもないのだというふうにおしかりをいただきまして、そうでございますと、これからは誤解がないようにいたしますと言いました。通達というのは上から下に出す言葉であって、通達という言葉もけしからぬということで、いろいろ言葉遣いには気をつけているようでございます。  そんな自治省でございますから、正直申し上げまして省庁になかなか声がけするわけにはいきません、率直に言って。ただ我々は、地方自治体のお世話をする立場で、こうしてほしい、ああしてほしいということを言っておりますが、もともと地方分権推進委員会は国会がつくった法律に基づいてできた委員会でございますので、どうぞひとつ国会において厳しく監視をしていただきたいと思います。  もし私の下にある諮問委員会とかそういうものであれば私はもっとどんどん発言をさせていただきますが、私の方はお世話役をするというところに入っているのかな、自治省は一応。だけど、特に上に立つとか所管だとかというようなことでもどうもないようでございまして、どうかひとつ、私は別に地方分権皆さんがしたくないと思うなら別ですが、わざわざ国会で推進委員会というのをつくったわけでございます。つくった以上、看板に偽りがないように、また最後まで面倒見てもらうのは国会だと思っております。ただ、自治省は自治を推進するという立場でございますから誠心誠意努力いたしますが、自治省が頑張るだけでできるのではない、最後は国会の皆さんに頑張っていただきたいと存じます。
  191. 春名直章

    春名委員 それでは最後に、先日の本会議で、政府資金の借りかえと繰り上げ償還措置を認めてほしいという自治体関係者の要望を取り上げさせていただきました。大蔵大臣答弁をされまして、資金運用部にそのコストのツケを回すことになるので、そんな余地はないということでした。そういう資金運用部の仕組みから見て、乗り越えなければならない課題があるということは承知をしております。  しかし、例えば資金運用部普通地方長期資金等借用証書、この特約事項には、「乙は、この借入金の全部又は一部の額について、甲の承認を得て繰上償還をすることができるものとする」ということが明記もされています。当然、貸し手の承認を前提とするものになりますけれども、ですから、法令上や制度上は全くできないということではないといいますか、全くできないということだったら、特約事項にこういう規定は入るはずがないわけです。だから、自治省財政局が編集している「地方財政のしくみとその運営の実態」という分厚い冊子ですが、これを見ましても、現在、政府資金の借りかえは事実上認められておりません、このように書いています。現在は事実上認められていないということだけで、今後どうしても必要と判断されるという場合は認めるという余地が残っている、私はそういうふうに読めたわけであります。  地方団体の中で、全国市議会議長会、全国市長会、全国町村議会議長会、全国町村長会、この四団体が、すべてこの点で政府への要望を提出をしています。市町村関係団体がこぞってこの要望をしているという点をぜひ重く受けとめていただいて、自治体財政の健全化を重要な課題に掲げておられる自治省自治大臣として、ぜひ大蔵省にも引き続き働きかけていただくというか、それはまた力がないと言われたらあれなのですけれども、ぜひとも努力を払っていただいて、この財政の窮状を突破していく一つの足がかりをつくっていただけないかということであります。ぜひお願いします。
  192. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方関係者に政府資金の借りかえ等についての希望の向きがあるということは、私どもも承知をいたしております。ただ、この資金運用部の政府資金は、民間からでは調達できない長期で安定した資金を地方団体に供給する、そういう役割を果たしておるわけでございまして、一般的な借りかえを認めるということは、この資金の性格からいってその機能を損なうことになるということで難しいだろうと思います。ただ、個別の、個々の団体で借りかえ等の必要性が極めて高い事情にあるような場合には、私どもといたしましても、その事情に応じて国庫当局とも協議をいたしてまいりたいというふうに考えております。  なお、つけ加えでございますが、地方財政計画におきましては、政府資金の元利償還金を実際の金利に応じて公債費に算入して、財政運営に支障がないような地財計画上の措置はしておるということはつけ加えさせていただきます。
  193. 春名直章

    春名委員 超過してどうも済みません。ありがとうございました。終わります。
  194. 穂積良行

  195. 畠山健治郎

    ○畠山委員 けさから六時間にもなりますから、私の通告しておりました質問、大分重複してしまっております。そこで、少し視点を変える質問も出てこようかと思いますが、お許しをいただきたいというふうに思っております。  まず第一点は、第一次勧告が出されました。いよいよ地方分権も実行の段階に入ったと言ってよろしいかと思っております。そういう立場から、総理も一昨日の本会議で、推進計画策定に着手しております、そして計画策定する以前でも、すぐにできるものはやります、こういう大変積極的な発言がございました。きょうまた自治大臣、前向きな、積極的な御発言がありまして、高く評価をいたしております。  そこで、総理が申されておりましたように、推進計画に着手しますとおっしゃっているわけです、それから、やれるものはすぐやりますと、こうおっしゃっているわけでありますから、その進みぐあい、もし言っていいとすれば、ちょっとお聞かせいただきたいというふうに思うのです。
  196. 松本英昭

    松本政府委員 分権推進委員会の第一次指針勧告が出されましてから、地方分権推進計画には直ちに着手するということで私ども申し上げているわけでございますが、その意味は、第一に、政府におきまして地方分権推進連絡会議というのを各省庁の局長クラスで設置いたしました。それが第一点でございます。  第二点は、指針勧告において触れられました分野別の個別事項、この個別事項につきまして、勧告に沿った措置をとるべく、各省庁において検討を開始しております。これが第二点の意味でございます。  第三は、制度官庁、特に自治省でございますけれども、自治省におきまして、体系的な地方制度、新しい地方制度の構築に向かっての作業を開始いたしました。そのために私どもは、地方分権推進本部というものを設けて、職員は兼務でございますけれども、事務局を置きまして、検討に入っておるところでございます。  それから次に、前倒しの関係でございますが、これは総理もおっしゃっておられますように、ただいま申し上げました地方分権推進計画ができる前にも前倒して実行するということでございまして、関係省庁に大変御苦労をいただいたわけでございますが、この個別事項につきまして、制度問題は、最終的に新しい制度の構築には、まだ最終勧告をいただかないとできませんので、個別分野別に御指摘をいただきました中から今年度中にでも前倒しできるようなものを洗いまして、そして現在、大体三十ちょっとぐらいの項目を前倒しして実施することで進めているところでございます。  この件につきましては、関係省庁にも大変御協力をいただきましたことを申し添えておきます。
  197. 畠山健治郎

    ○畠山委員 先ほど大臣が、都道府県の合併の話は一向に出てこないというようなお話がございました。そうじゃございませんで、道州制の問題はいっぱい出てきていました。でも、私ども、この議論に今までのらなかったというのは、道州制の議論をしてみたり合併の議論をしてみたりしておったんではいつまでたっても分権という本論に入っていかないだろう、だから、とにかくまず分権だろう、こういうことで議論を進めてきた経緯があろうかと思っています。ぜひひとつ、そういう立場で、まず最初に分権ありき、こういう取り組み方をこれからも進めていただきたいということが一つであります。  それから、二つ目に申し上げたいことは、一体なぜこのとおり合併が進んでいかないのか、合併の障害は一体何なのか。まあいろいろあると思います。いろいろあると思いますけれども、粗っぽく申し上げますと、適正規模ですよと思っている、あるいは地形的に無理よというようなこと、あるいは首長さんや議員の皆さん方は、既得権益よ、こう思っている方もいらっしゃるのじゃないだろうか。その種のところが大きなネックになっているんではないだろうかというような気がしてならないというふうに思っています。  そこで、ぜひやっていただきたいというようなことは、一つは、一昨年、せっかく合併特例法ができて、いい部分もつけたはずでありますが、それが果たして議会や首長に正しく伝わっているのかどうか。あるいは住民まで、住民が発議している問題、正しく伝わっているのかどうか、これは大変疑問が多いと思うんです。ぜひひとつそれをしっかりとやってほしいということ。  それから、もう一つは、あれだけでは魅力がまだ足らないよということであるとすれば、自治省中心になって、もっと魅力のある支援策をこれから出していただくように頑張っていただきたい。  それから、あえて一つ申し上げさせていただきますと、さっき議会の活性化の問題がありました。私は、あの議会の活性化の問題は、住民投票制ができればいや応なしに議会は活性化する、こういう結果を招くだろうというふうに思っています。ぜひひとつ、その観点でお聞かせをいただきたいと思います。
  198. 松本英昭

    松本政府委員 まず第一点の、市町村合併と権限移譲の地方分権の話、これは先ほどお答え申し上げましたとおりでございまして、一般的に、市町村合併が権限移譲の前提であるというような考え方は、私どもはとっておらないところでございます。ただ、一方で、それとは別に、現在の社会経済の情勢あるいは地域状況考えましたときに、やはり市町村合併というものはもう一つトーンを上げて進めていかなきゃならないだろうという気持ちを持っていることも事実でございます。  それから、第二点の、合併の進まない理由、それから、そういう合併のメリット等について、合併特例法の内容が十分に伝わっているかどうか、こういうことでございます。  合併が進まない理由というのは、いろいろ今委員自身も御指摘になりましたので、繰り返しになりますので申し上げませんが、合併特例法につきましては、平成七年の改正でかなり思い切ったことをやっております。にもかかわらず、しかし、なかなかこの趣旨が十分に住民のレベルまで行っていないのではないかということについては、私どもも謙虚に受けとめておりまして、そういうこともございまして、合併相談コーナーを設けたり、いろいろな機会に合併機運醸成を行いまして、この合併特例法の趣旨も踏まえて、住民の方あるいは議員の方に、あるいは首長さんに、それぞれ理解を求めているところでございます。  その中で、もう少しこうしていただければいいじゃないかとかいうような意見も確かに出ております。例えば議員の定数の特例、任期の特例の話とか、そういうことでございますけれども、あるいは財政的な措置の話とか出ておりますが、そういうものも、十分意見を聞きながら、今後の検討の課題として私どもも真摯に受けとめてまいりたいと思っております。  第三の、議会の活性化との関係での、住民投票制度の問題でございます。  この住民投票制度につきましては、実はいろいろな考え方がございまして、私どもも、地方制度調査会での一つの検討の課題とはされております。ただ、現実に地方制度調査会の中で御議論をしていただいているところを承っておりますと、まあいろんな考え方がございまして、率直に申し上げて、一定の方向に収れんするのかどうか、これは大変難しいところがあろうかと思います。なお各方面からのいろいろな御議論を踏まえて今後とも、住民投票ということに限らず、住民参加の機会というようなことも踏まえて、検討をしてまいりたいと思っております。
  199. 畠山健治郎

    ○畠山委員 三つ目の問題は、肝心かなめの自治省が一体地方分権にどう取り組んでいるのかというようなことが一向に見えてこない。結果として、先ほど大臣おっしゃるように、地方分権をすれば自治省が焼け太りになるのではないのかという批判が他の省庁から出てきているということも事実だというふうに思うのです。  そこで、自治省基本的な考え方、うちの分権はどこの部分をどうしようかと、もちろん結論ではないでしょうけれども、今考えていらっしゃる部分があったらお話しいただきたいと思います。
  200. 松本英昭

    松本政府委員 自治省の取り組みということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、自治省におきまして地方分権推進本部というものを設けました。これには二つの仕事がございます。  一つは、全体の制度官庁としての取り組みでございますし、いま一つは、自治省自身の中における所掌事務の分権への対応ということでございまして、この二つを取り上げておるところでございます。  例えば、十二月の指針勧告の中心的なものであります機関委任事務制度の廃止、これは実は地方自治法上の制度でございまして、この地方自治法上の制度で行わなければこれはできないわけでございますので、指針勧告を受けまして、その内容に沿った改正というものをどういうふうに行っていくべきかということを今鋭意検討をいたしているところでございます。  ただ、機関委任事務制度全体の話は、これは国、地方との関係等のいまだ勧告のない部分と密接に関連しておりまして、表裏一体でございますので、指針勧告の出ている範囲内で今検討を進めているところでございます。  次に、地方自治法の中のいろんな制度がございます。これは、中心的には、例えば地方自治法の中の問題は都道府県市町村関係が非常に大きゅうございまして、この都道府県市町村関係を、従来のままでいいのかどうか、これを新しい国、地方関係のあり方とも関係させながら今後どういうふうに構築していくべきかというようなことを考えているところでございます。  それから、個別の小さな話で申し上げますと、地方自治法の中にあります機関委任事務というのをどうするか。これは指針勧告に沿いまして、法定受託事務のメルクマールに該当するものは法定受託事務でございますけれども、その他のものはもう自治事務にしていく、こういう考え方をとっております。そのほかいろいろな自治省所管の法令についても、各省庁と同じように個別事項として検討いたしております。  税財政の問題につきましては、これはこれからの指針勧告でございますので、鋭意分権推進委員会審議等との歩調を合わせながら検討をしていっている段階でございます。
  201. 畠山健治郎

    ○畠山委員 中央と地方の調整ルールの制定は、府県あるいは市町村関係についても今お話しのように根本的な見直しが必要なはずであります。地方自治法上対等平等の並立関係にある府県、市町村の今後のあり方、これは今お話しのようになかなかまだ定まっていないというようなことでありますが、方向性がもしあったら、例えばこんな方向というようなことでも、あるいはイメージでもいいです、もしあったらお聞かせいただきたいと思います。
  202. 松本英昭

    松本政府委員 都道府県市町村関係につきましては、まず、都道府県市町村というものが、やはり国と地方がそうでありますように、役割分担を明確にするということを大前提に置きまして、そして、自治行政の中心的な役割はやはり市町村が担っていく、こういうことでなければいけないのだろうと思っております。  そういうことを踏まえて、都道府県の事務として、広域行政あるいは統一行政というようなものも、やはりこれは都道府県としてやっていかなきゃならない事務であろうという考え方でございますが、問題は、都道府県市町村の間の調整機能、これをどういうふうに構築していくか。これは、地方分権推進委員会の中でも、今までもかなりいろいろ御議論もありまして、先生方の中にもいろいろ御議論があって、まだ結論の出ていないところでございます。私どもは、分権推進委員会の先生方ともまたいろいろと意見を交換して対応を考えていきたいと考えております。
  203. 畠山健治郎

    ○畠山委員 財政の健全化と地方財政との関係について、大蔵省にお尋ねいたしたいと思います。  昨年閣議決定された財政健全化目標によりますと、財政赤字の対GDPを三%以内に抑えようとしておられます。この数値目標の根拠は一体何でしょうか。また、公的債務残高というときの範囲は一体どこまでなのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  204. 樋口俊一郎

    ○樋口説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、昨年十二月十九日に財政健全化目標につきまして閣議決定いたしております。その中におきまして、「国及び地方の財政健全化目標」とございますように、今回の目標は、国のみならず地方政府をも含むものとなってございます。  そこで、国、地方の債務残高の対GDP比というのを見てみますと、この比率は、実はバブル期を除きましてずっと上昇を続けてきているということで、九年度末には九割を上回るという、まさに主要先進国中最悪の水準に達する見込みとなってございます。  そこで、今回の財政健全化目標としましては、今委員より御指摘もございましたが、国、地方の目標としまして、二〇〇五年度までのできるだけ早期に、国、地方の財政赤字対GDP比を三%以下とし、公的債務残高対GDP比の上昇しない財政体質を実現したい、その後、速やかに債務残高そのものが累増しない財政体質を構築することを目指すというふうな内容となってございます。  そこで、お尋ねの三%以下という水準でございますけれども、これは現状の債務残高の水準、すなわちGDP比で九〇%、これと、今後の経済成長率の見込み、現在政府で持ってございます経済計画の名目三・五%というものを前提としまして、債務残高対GDP比の上昇に歯どめをかけるためのある意味での一つの値というふうにお考えいただいて結構かと考えでございます。
  205. 畠山健治郎

    ○畠山委員 最後に自治大臣にお尋ね申し上げたいと思いますが、今この健全化目標が地方財政に及ぼす影響についてもどう見ていらっしゃるのか。特に、地方財政は三千余の自治体の総和である以上、健全化がもたらす個々の自治体への影響はさまざまなものがあるわけでありまして、一律な対応というのは大変難しい問題ではないだろうかというふうに思います。この点が第一。  第二の問題は、新公共投資基本計画に沿って、過去三年平均で二三%毎年伸ばしてきた地方単独事業も一定の影響を受けるはずであります。この点からも、新公共投資基本計画の見直しが求められるのではないだろうかというふうにも考えられます。この二点についてお伺いをいたします。
  206. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 最初に、地方財政が三千余の自治体の総和だということを今の再建目標との関係でどう考えるかということでございます。  この、二〇〇五年までのできるだけ早い時期に、国、地方合わせた財政赤字の対GDP比を三%以下とする目標、閣議決定いたしておるわけでございます。この場合に、地方団体はいろんな財政構造を持っております三千三百の団体の集まりでございまして、また、それぞれ財政構造も違いますし、もちろん財政力も違うわけでございます。したがいまして、まず、地方財政につきましてもマクロ的に大枠の目標を定めて地方団体に協力を要請するということは、これは可能であると思いますけれども、個々の団体の財政運営を直接拘束するといったような手法はできないものでございます。そういう点を十分に踏まえておく必要があるだろうと思います。  私どもも、これから財政構造改革会議におけるいろいろな検討を踏まえまして、地方団体にまず財政健全化の趣旨を徹底しながら、こういう地方財政の特性を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  それから、公共投資基本計画関係でございますが、公共投資基本計画をもとにいたしましていろんな長期計画ができております。そういうことも踏まえて、その中に一定の単独事業も組み込まれて閣議決定されておるわけでございまして、そういうものの積み上がった全体として、毎年度の地方単独事業が地財計画において枠を確保してきたわけでございます。  先ほど申しましたように、単独事業、地方財政にとりまして大変重要な項目ではございますが、全般的な公共投資基本計画との関連もございます。財政構造改革会議では、聖域を設けずに全部について議論をしようということでございまして、そういう議論の過程を経て、公共投資基本計画を今後どういうふうな扱いにするのか、それを受けて、それとの関連で単独事業についてもどういう水準を考えていったらいいのかというふうなことをさまざまな角度から検討してまいりたいというふうに考えております。
  207. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間でございますから、終わります。ありがとうございました。      ————◇—————
  208. 穂積良行

    穂積委員長 地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、平成九年度地方財政計画について説明を聴取いたします。白川自治大臣
  209. 白川勝彦

    白川国務大臣 ただいま議題となりました平成九年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。  平成九年度の地方財政につきましては、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、地方財政の健全化・行財政改革推進が現下の最重要課題であるとの観点に立って、歳入面においては、地方税負担の公平適正化推進地方交付税の所要額の確保を図り、歳出面においては経費全般について徹底した節減合理化を推進するなど、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、可能な限り借入金への依存度の引き下げを図ることを基本としております。  以下、平成九年度の地方財政計画策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税については、固定資産税の評価がえに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整措置、不動産取得税の課税標準の特例措置等を講ずるほか、平成六年秋の税制改革に伴う市町村の減収補てんのため、個人住民税及び地方のたばこ税の税率の調整により道府県から市町村への税源移譲を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等のため所要の措置を講ずることとしております。なお、個人住民税の特別減税は実施しないこととし、また、地方消費税を平成九年四月一日から導入することとしております。  第二に、地方財政の運営に支障が生ずることがないようにするため、地方消費税の未平年度化による影響額について臨時税収補てん債の発行により補てんずるとともに、地方消費税の未平年度化による影響額以外の地方財源不足見込み額についても、地方交付税の増額及び建設地方債の発行により補てんすることとしております。  第三に、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、自主的・主体的な活力ある地域づくり、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域活性化等を図るため、地方単独事業費の確保等所要の措置を講ずることとしております。  第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準の改善を進めることとしております。  以上の方針のもとに、平成九年度の地方財政計画策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十七兆五百九十六億円となり、前年度に比べ一兆七千七百四十八億円、二・一%の増加、公債費等を除く地方一般歳出は前年度に比べて〇・九%の増加となっております。  以上が、平成九年度の地方財政計画の概要であります。
  210. 穂積良行

    穂積委員長 以上で説明は終わりました。      ————◇—————
  211. 穂積良行

    穂積委員長 次に、内閣提出地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。白川自治大臣。     —————————————  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の   一部を改正する法律案  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  212. 白川勝彦

    白川国務大臣 ただいま議題となりました両案について説明申し上げます。  まず、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化等を図るため、平成九年度の固定資産税の評価がえに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整措置、新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例控除額の引き上げ、宅地等に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の創設等の措置を講ずるほか、道府県と市町村の間で個人住民税及び地方のたばこ税の税率の調整を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化、特別地方消費税の平成十二年度からの廃止等を行うこととし、あわせて国有資産等所在市町村交付金に係る交付金算定標準額の特例措置の整理合理化等所要の改正を行う必要があります。  以上が、この法律案を提案いたします理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法の改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税並びに道府県たばこ税及び市町村たばこ税についての改正であります。  個人の道府県民税及び市町村民税並びに道府県たばこ税及び市町村たばこ税につきましては、平成六年秋の税制改革に伴う市町村の減収補てんのため、税率の調整をすることにより、道府県から市町村への税源移譲を行うことといたしております。  その二は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、新築住宅に係る課税標準の特例控除額を引き上げるとともに、宅地評価土地について、平成九年一月一日から平成十一年十二月三十一日までの間に取得した場合に限り、課税標準を価格の二分の一の額とする特例措置を創設する等の措置を講じることといたしております。  その三は、特別地方消費税についての改正であります。  特別地方消費税につきましては、平成十二年三月三十一日をもって廃止するとともに、それまでの間、市町村に対する交付金の交付率を二分の一に引き上げる等の措置を講ずることといたしております。  その四は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  固定資産税につきましては、平成九年度の評価がえに伴い、平成九年度から平成十一年度までの間の税負担の求め方について、負担水準の均衡化をより重視することを基本的な考え方とし、宅地のうち負担水準の高い土地についてはその税負担を抑制しつつ、負担水準の均衡化を図るとともに、あわせて著しい地価の下落にも対応した措置を講ずることといたしております。  また、都市計画税につきましては、従来と同様に激変緩和措置としての税負担の調整措置を講ずるとともに、固定資産税において講じられる税負担の抑制措置を市町村の自主的な判断により行うことができる措置を講ずることといたしております。  さらに、阪神・淡路大震災に係る特例措置の適用期限を延長するとともに、旅客鉄道株式会社等が日本国有鉄道から承継した本来事業用固定資産に係る課税標準の特例措置の見直しを行う等の措置を講ずることといたしております。  その五は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、三大都市圏の特定市において駐車場等の用に供する土地に係る納税義務の免除対象要件を強化する特例措置の適用を当該特定市の自主的な判断により除外することができるようにする等の措置を講ずることといたしております。  その六は、自動車取得税についての改正であります。  自動車取得税につきましては、電気自動車等の取得に係る税率の軽減措置の適用期限を平成十一年三月三十一日まで延長すること等の措置を講ずることといたしております。  その七は、国民健康保険税についての改正であります。  国民健康保険税につきましては、課税限度額を現行の五十二万円から五十三万円に引き上げることといたしております。  第二は、国有資産等所在市町村交付金法の改正に関する事項であります。  市町村交付金につきましては、交付金算定標準額の特例措置の整理合理化を行うとともに、平成十年度から平成十二年度までの各年度分の市町村交付金について、平成九年度の固定資産税の土地の評価がえに伴う所要の措置を講じることといたしております。  以上が、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税の総額の確保に資するため、平成九年度分の地方交付税の総額について特例措置を講ずるとともに、平成九年度から平成十八年度までの各年度における一般会計から交付税特別会計への繰り入れに関する特例を改正するほか、各種の制度改正に伴って必要となる経費及び地方団体の行政水準の向上のため必要となる経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正し、あわせて、平成九年度に限り、平年度の地方消費税または地方消費税交付金の収入見込み額に比して平成九年度の地方消費税等または地方消費税交付金等の収入見込み額が過少であることにより財政の安定が損なわれることがないよう、適切な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため、地方債の特例措置を講ずる等の必要があります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。  まず、平成九年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、平成九年度における法定加算額二千六百億円、臨時特例加算額一千億円、交付税特別会計借入金一兆七千六百九十億円及び同特別会計における剰余金一千百億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額五千二百五十九億円を控除した額とすることとしております。  また、平成九年度に交付税特別会計において借り入れた借入金のうち九千八十二億円については、その償還金に相当する額を、平成十年度から平成十九年度までの各年度分の地方交付税の総額に加算することとし、当該加算額を一般会計から同特別会計に繰り入れることとしております。  さらに、平成十年度から平成二十四年度までの地方交付税の総額につきましては、一兆一千百三十億円を加算することとしております。  次に、平成九年度分の普通交付税の算定につきましては、自主的・主体的な地域づくり推進地域振興に要する経費、災害に強い安全な町づくり・震災対策の推進等に要する経費、総合的な地域福祉施策の充実に要する経費、道路・街路・公園・下水道・社会福祉施設・清掃施設等住民の生活に直結する公共施設の整備及び維持管理に要する経費、教職員定数の改善・義務教育施設の整備・私学助成の充実・生涯学習の推進等教育施策に要する経費、農山漁村地域活性化・農山漁村対策・森林・山村対策に要する経費、自然環境の保全・廃棄物の減量化等快適な環境づくりに要する経費、地域社会における国際化・情報化への対応及び文化・スポーツの振興に要する経費、消防救急業務の充実等に要する経費、国民健康保険財政についてその安定化のための措置等に要する経費並びに地方団体行政改革・人材育成の推進に要する経費の財源等を措置することとしております。  また、阪神・淡路大震災復興基金の増額分に係る地方債利子支払いに要する経費を措置することとしております。  さらに、基準財政収入額の算定方法について、平成九年度に限り、平年度の地方消費税または地方消費税交付金の収入見込み額に比して平成九年度の地方消費税等または地方消費税交付金等の収入見込み額が過少と認められる額として、今回の地方財政法の一部改正後の同法の規定により算定した額の一定割合を加算することとする特例を設けることとしております。  第二は、地方財政法の一部改正に関する事項であります。平成九年度に限り、地方団体は、地方財政法第五条の特例として、平年度の地方消費税または地方消費税交付金の収入見込み額に比して平成九年度の地方消費税等または地方消費税交付金等の収入見込み額が過少であることにより財政の安定が損なわれることがないよう、過少と認められる額として自治省令で定める方法により算定した額の地方債を起こすことができることとしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  213. 穂積良行

    穂積委員長 以上で両案についての趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会      ————◇—————