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山口政府委員 必ずしも預金者と保険
契約者を同一に
議論をすべきかどうかというのは、いろいろな御
議論があると思います。
預金者につきましては、今世紀中は全額を保護することができるということをお認めいただいたわけでございます。これは非常に特例的なもので、本来ペイオフが原則でございますが、
不良債権問題で今非常に過渡期的な時期にある、それからディスクロージャーにしてもまだ徹底されていないというようなことがありまして、特例期間中の特別な措置として認められているわけでございます。しかも、そのことによりまして、預金者保護をすると同時に、
信用秩序というものを守るという目的が一方にあるわけでございます。これはいずれは自己
責任という考え方の中にペイオフというものが組み込まれていくということになるわけでございます。
それと保険契約というものとを比べてみますと、先生とは保険業法のときにも大変御
議論させていただいたわけでございますが、それでは保険
契約者は
銀行預金と同じように解約をすれば済むのかというと、そうではないでしょうと。
つまり、既に入っている人は、例えば五年前に入っていれば、もう五年間は保障がきいているわけでございますね。それで、自分の掛金の保障部分を引いたもの、それに手数料を引いて返してもらえばいいといっても、ではそれでほかの保険
会社に五年後に同じような条件で入れるかというと、それはまた年齢がいっていますので、そこには健康上の問題もありますし、そういったことで単純には引き継いでもらえないわけでございます。そうすると、保険契約の場合一番大事なことは何かというと、預金のような元本の保証ということではございませんで、契約をできれば引き継いでもらうということが
最大の問題なのでございます。
例えば、先ほど先生の御
指摘にありました、保険料を引き上げることもあり得べし問題ではないかという御
指摘があります。それはもっともな御
意見だと思いますが、例えば五分五厘の利回りを前提に預かっている、すなわち保険料は非常に低くても保障が非常に高くなっているというものを、もし今後新しい
会社が引き受けたときに、ほかの今入る方は例えば二・五%でしか受けていないというときとの均衡から考えますと、いや、もう一回契約したんだからそれは全部守るべきだという考え方もあるでしょう。しかし、もし新しく入り直したとすれば、それは新しい利率で入ってくださいよという考え方もあるわけでございます。
したがって、保険
契約者の保護の概念というのが、正直言って、どこまで保証すればいいのかということはかなり問題があろうかと思います。ヨーロッパ等の国々では、数字はちょっとど忘れしましたが、例えば九割か八割かを一律で保証してあとは保証しないというような制度もあるわけでございます。
保険につきましての保護の制度というのは、そういった
意味で非常に複雑で、例えば年金の場合どうか、あるいは死亡保険の場合はどうか、あるいは積み立て型のような貯蓄性のあるものはどうかそれぞれ違うわけでございまして、そういった難しい問題があって、先般の保険業法のときに、いわゆる
銀行でいいます預金保険機構的なものを検討しておりましたが、法的な
意味でも非常にそこの難しさがあるということで、では保険
契約者を保護するためにどうすればいいのかということで、法律上にも今のような保険
契約者保護基金というものをつくっていただいて、そこで、できるだけそういったお手伝いをしながら保険契約の継続を
最大限図ろうという仕組みを法律の中でつくらせていただいて、それをお認めいただいたわけでございます。
だから、これは恒久的な制度とは申しません。しかし、今の
状況において、保険契約について預金保険機構のような仕組みをつくるまでの間は、当座、この法律でお認めいただきました基金というものを
最大限に利用しながらやるということでございまして、そこには全保険
会社が参加しているということでございますので、これはある
意味では奉加帳と言われれば奉加帳かもしれませんが、みんなで助け合う、保険のまた再保険というような考え方であれば、それはそれとして法律でそこはお認めいただいたスキームでございますので、そこのところをぜひ御理解賜りたいというふうに思います。
いずれにせよ、今回目産生命の問題をどういうスキームで解決するかということは、保険管理人になりました生命保険協会が適切な案をつくっていかれるということを強く
期待しております。