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1997-05-09 第140回国会 衆議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月九日(金曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    木村 隆秀君       小林 多門君    菅  義偉君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       田中 昭一君    中野 正志君       山中 貞則君    吉川 貴盛君      吉田左エ門君    渡辺 喜美君       上田 清司君    木村 太郎君       北脇 保之君    鈴木 淑夫君       中川 正春君    並木 正芳君       藤井 裕久君    前田  正君       宮地 正介君    村井  仁君       川内 博史君    末松 義規君       佐々木憲昭君    秋葉 忠利君       吉田 公一君    新井 将敬君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君  委員外出席者         警察庁刑事局暴         力団対策部暴力         団対策第二課長 宮本 和夫君         大蔵大臣官房会         計課長     森田 好則君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会会長)  佐伯 尚孝君         参  考  人         (株式会社電通         総研代表取締役         社長研究所         長)      福川 伸次君         参  考  人         (神戸学院大学         経済学部教授) 三木谷良一君         参  考  人         (東洋大学経済         学部教授経済         研究所長)   中北  徹君         参  考  人         (日本銀行総裁)松下 康雄君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 五月九日  共済年金制度の堅持に関する請願(伊吹文明君  紹介)(第二四一〇号)  同(奥山茂彦紹介)(第二四一一号)  同(久野統一郎紹介)(第二四一二号)  同(伊藤忠治紹介)(第二五〇八号)  同(草川昭三紹介)(第二五〇九号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第二五一〇号)  同(横光克彦紹介)(第二五一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本銀行法案内閣提出第六五号)      ————◇—————
  2. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本銀行法案を議題といたします。  本日は、参考人として全国銀行協会連合会会長佐伯尚孝君、株式会社電通総研代表取締役社長研究所長福伸次君、神戸学院大学経済学部教授三木谷良一君及び東洋大学経済学部教授経済研究所長中北徹君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に対し、一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。  なお、議事順序でありますけれども、まず、佐伯参考人福川参考人三木谷参考人中北参考人順序で、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、次に、各委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと思います。  それでは、まず佐伯参考人からお願いをいたします。
  3. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ただいま御紹介いただきました全国銀行協会会長佐伯でございます。  衆議院大蔵委員会参考人としてお招きいただき、意見を述べさせていただく機会をお与えいただきましたことに対し、お礼を申し上げます。  本日は、日本銀行法の抜本的な改正の御審議に関し、民間金融機関経営に携わる者として意見を述べさせていただきます。  なお、金融機関不良債権問題では、先生方にも大変御心配をおかけしておりますことをおわび申し上げる次第でございます。私どもは、金融機関金融システムへの信頼回復に向けて日々努力しておるところでございます。  現在、我が国は、金融のみならず経済、社会のあらゆる面において構造改革を進めるという壮大な目標の実現に向けて、国を挙げての取り組みを求められております。今般の日本銀行法改正も、こうした流れの中に位置づけられると考えます。  この金融システム改革要請は、次の二つの面を持っていると認識しております。  まず第一に、金融システム改革金融機能活性化を通じて日本経済活力維持に不可欠であるという面について申し上げます。これは、いわば内からの自律的な要請と言えます。  経済活動資金仲介面からお手伝いさせていただく金融機能は、円滑に安価で良質な資金供給することのみならず、千二百兆円に達する我が国の家計の金融資産をより有利に運用する手段を提供するためにも、血液を送り出す心臓のごとく強靱なポンプとしての役割を期待されていると認識しております。  次に、第二の、金融システム改革は、各国金融市場間の主導権争いが進む国際金融市場の中で避けて通れない試練であるという面について申し上げます。これは、外からの他律的な要請と言えます。  経済活動国際化に加え、情報通信技術驚異的発展を背景に、世界金融市場は大きく変貌を遂げております。金融商品を選ぶのと同じように、どの金融市場を利用するかは利用者自身が自由に選択できることが現実のものとなっております。したがって、各国金融当局金融機関は、こぞって利用者に魅力的な金融市場づくりに力を入れております。二十一世紀をにらんだ金融システム改革主導権争いは、これからさらに強まり、加速されるものと見られます。  これまで我が国でも、金融システム自由化は着実に進められてまいりました。しかしながら、私ども海外金融業務を展開しております者の実感といたしましても、コマーシャルバンク面での 効率性など邦銀が優位と認識いたしている分野もございますが、デリバティブズ関連商品金融証券化業務等先端分野における開発力といった面では、海外金融機関とのギャップはいまだに大きいとの思いがございます。  私ども研究努力が一層必要であることは申すまでもございませんが、一方、金融機関創意工夫個性化が可能となる自由度透明度の高い金融システム実現、さらにはそれらを可能とする市場の厚みなくしては、国際競争に勝ち茂みことはかなえられません。しかも、海外金融システム改革我が国以上に急速に進んでいることを考え合わせれば、我が国改革がトラスチックかつスピーディーに行われることが必要不可欠であると考えます。  この点、昨年十一月に橋本首相が示された我が国金融システム改革は、まことに時宜にかなった、かつ大胆な御提案であろうと考えます。  いわゆる日本版ビッグバンでは、二つ改革の柱が示されております。第一に、グローバリゼーションのうねりの中で、我が国金融市場を国際的にも競争力があり、利用者投資家にとって魅力ある市場へ向けて改革すること、第二に、現在の不良債権問題を早期に解決することであります。そして、そのいずれにおいても、我が国中央銀行である日本銀行は、重要な役割を果たすことが期待されていると考えます。  すなわち、新しい金融システムにおいては、何よりも市場規律の貫徹による市場メカニズム発揮が求められます。国籍を問わず、世界金融機関が、市場規律自己責任を十分理解した上で、多様なノウハウを生かして公正な競争を行うことができる土俵をつくることがすべての前提なのであります。  中央銀行には、その市場メカニズム発揮の重要な機能を担っていただかなければなりません。既に、日本銀行金融政策は、金融機関への貸し出し等を通じたボリューム調節から公開市場操作を中心とする市場参加者との取引を通じたマーケット調節へとスタイルを変えております。そうした流れの中で、一段と重要性を増すのが中央銀行金融政策への信認であろうと考えます。  この意味で、中央銀行には今まで以上の確固たる権限と責任が与えられる必要がございます。その上で、その金融政策海外を含めた市場参加者に透明かつ公正であるという理解を得る工夫を凝らすとともに、信認を得るための着実な実践の積み重ねが必要であると考えます。  また、瞬時、大量に発生する金融取引が安全確実に遂行されるために、決済システム充実強化も重要となってまいります。これまで民間金融機関も、日本銀行の支援のもと、効率的かつ安全な決済システムの構築に努力してまいりました。さらに、現在日本銀行においては、私ども金融界を交えて、日本銀行当座預金即時決済化等決済システム改革について取り組まれておられます。銀行銀行として金融機関に対する決済サービスを提供する日本銀行役割は、こういった面からも一層重要となるのであります。  次に、二つ目の柱である不良債権処理でありますが、当然のことながら、私ども金融機関自己責任において解決すべき問題であり、早期処理に向けて努力してまいりました。  ただ、私ども民間金融機関といたしましては、経済安定成長に向けた適切な金融財政政策実施とともに、万一信用秩序維持に不安が生じた場合には、最後貸し手機能を持つ日本銀行による流動性供給や、日銀大蔵省預金保険機構等関連機関信用秩序維持のための機動的かつ適切な対応をお願いしているところでございます。また、今後とも、おのおのの役割責任分担、連携が明確になされることをぜひともお願いしたいと思います。  さて、ここで、日本銀行法改正において、金融界からの要望等につき、三点を述べさせていただきます。  第一点は、開かれた独立性を確立していただきたいということでございます。  法案では、まず政策委員会を、改めて最高意思決定機関として位置づけ、学識経験者等金融政策に造詣の深い人物本位の構成とするなどの手当てがなされております。そのほかにも、現行法における大蔵大臣による業務命令権廃止等、広範な監督権の制限、人事面経費面における政府監督明確化等値より、日本銀行独立性は、欧米各国と比較いたしましても遜色ないところまでに高められたと考えております。さらに、現行法では規定のない議事録公表等により、政策運営にかかわる意思決定過程透明性が大幅に高められております。  日本銀行組織的独立性が高まり、政策決定過程が私どもを含め市場参加者公開されるようになることは、冒頭でも申し上げましたように、中央銀行への信認を高める必要条件が相当程度満たされたものとして評価できるのではないかと考えます。  と同時に、金融制度調査会答申にも述べられておりますように、今後新しい制度運営に携わる日本銀行の皆様が、適切な政策運営の遂行に取り組み独立性強化があわせ持っている国民に対しての重大次責任を果たすことによって、世界金融市場をリードしていただくことを期待しております。  次に申し上げますのは、金融システム安定性維持についてのお願いでございます。  一国の金融システム信認を獲得するためには、まず、決済システム運行安定性確保しなければなりません。現在、日銀当座預金を利用して、九六年年間平均で一日当たりおよそ三百十五兆円の決済処理されております。グローバルレベルにおいてはさらに巨大な規模の決済がなされているわけで、決済のスケールは飛躍的に拡大していっております。  こうした状況にかんがみ、一たび不測の事故等によりシステムダウン等が生じた場合には、金融システム全体にはかり知れない影響を持つことが予想されます。当然のことながら、その担い手である個々の金融機関は、決済システム運行については厳格なリスク管理を行い、さらに、先ほど述べさせていただきました即時決済化への取り組み等決済システム高度化リスク軽減化努力を打っております。  法案では、決済システムの機械上の事故などに際し、日本銀行が、政策委員会の独自の判断で、期間を限定して流動性供給ができることが法制化され、機動的に対応するすべが図られております。さらに、信用秩序維持に重大な支障が生じるおそれがあると認めるとき等においては、大蔵大臣要請により中央銀行最後貸し手機能が発動されると定められております。  これらの手当ては、日本銀行による資金供給発動条件明確化するとともに、信用秩序維持に対して大蔵省日本銀行役割分担責任の所在を定めたものであり、評価できると考えます。こうした法案趣旨にのっとった金融システム安定性維持についての日本銀行の適時適切な措置お願いしたいと考えております。  最後に、日本銀行による考査について述べさせていただきます。  私ども金融機関経営健全性については、各金融機関における内部考査、会計士による外部監査に加えて、大蔵省検査日本銀行考査によってチェックが行われております。日本銀行考査につきましては、従来、日本銀行当座契約を持つ個別金融機関日本銀行との間で約定を結んでおりましたが、法案では、考査契約を結ぶことについて法制化されております。  ただ、依然として、日本銀行考査は、監督権に基づく大蔵省検査とは異なり、あくまで日本銀行が、最後貸し手機能発揮するため、目的に沿った必要な範囲で、相手先金融機関との任意契約に基づき行うものとの位置づけをされております。したがって、まず、四十四条二項にございますように、大蔵省検査との様式の統一化等、私ども金融機関事務負担軽減等には十分御配慮いただきたいところであります。  今後、考査約定内容については御検討いただくことになろうと思いますが、全銀協としては、日本銀行考査目的と平仄を合わせた考査範囲特定等につき、誠意を持って御当局と協議してまいりたいと考えております。また、九七年度から、早期是正措置試行開始に伴い、金融機関資産内容については自己査定外部監査の組み合わせによる新たな管理体制がスタートいたすこともあり、金融機関健全度による考査の頻度、内容の柔軟かつ弾力的な実施等についてもお願いしてまいりたいと思います。  以上、日本銀行法改正の御審議に際し、私どもの考えを述べさせていただきました。  本国会には、日本銀行法、独禁法、金融監督庁設置法と、我が国金融システムの根幹に触れるシステムの見直しを図る法案提出されております。これらはいずれもほぼ半世紀ぶり改正であり、二十一世紀の新しい金融システムフレームワークを構成するものと認識しております。  その中で、私ども金融機関は、みずからの経営資源最大限に活用し、創意工夫利用者最大の満足をもたらしたいと願っております。そして、二十一世紀においても、金融サービス業我が国経済発展にお役に立つ産業であるべく、改革に全力で取り組んでまいる覚悟でございます。  以上をもちまして私の陳述を終わらせていただきます。先生方におかれましては、どうか私ども趣旨をお酌み取りいただくとともに、今後とも御指導、御鞭撻を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。  御清聴ありがとうございました。(拍手
  4. 額賀福志郎

    額賀委員長 どうもありがとうございました。  次いで、福川参考人お願いをいたします。
  5. 福川伸次

    福川参考人 電通総研の所長をいたしております福川でございます。  このたびは、日本銀行法案の御審議に際しまして、参考人として意見を述べる機会を与えられましたことを深く感謝いたしております。  私は、今回の日本銀行法改正は、政府が進めておられます六つの改革のうちの金融改革において重要な部分を占めるものと認識をいたしております。私は、七月から十一月にかけまして十回開かれました中央銀行研究会に参画をいたしておりまして、私の意見はその中に盛り込まれておりますので、その中から、主なポイントをめぐりまして私の意見を述べさせていただきたいと思います。  まず第一に、今回の改正案について私が大変深く関心を持っております点は、目的明確化ということでございます。  現行日本銀行法が「国家経済総力適切ナル発揮」のためということを目的及び運営理念といたしておりますが、御高承のとおり、既にこれは時代おくれの表現と相なっております。このたび、金融政策の重要な目的として「物価の安定」ということを強調いたしております。これは、これまでのバブルの経験等にかんがみましても、物価の安定、特に通貨の対内価値の安定ということに中央銀行最大努力をするということは、私は適切なことであろうと考えております。  同時にまた、決済システムの円滑かつ安定的な運行確保を通じて金融システムの安定に寄与するということも目的として掲げておりますが、このことも、これからの国際的な競争にさらされます金融状況を考えますと、私は大変重要なポイントであろうと思っております。  二番目は、開かれた独立性確保ということでございます。  とかく金融政策がインフレなどの圧力を排していくのにいろいろと影響があったということが指摘されておりますが、これから国内及びグローバルマーケットからの信認を得ていくということになりますと、この開かれた独立性確保ということが大変重要になってくるわけであります。とりわけ中央銀行独立性を付与するということは、その中でも重要なポイントであろうと思っております。政策委員会強化、あるいは政府によります広範な業務命令権廃止といったような点がこの中に織り込まれているのは、私は適切な措置であろうと思っております。  同時に、マーケットからの信認を得るためには、公開性、開かれた金融政策実施ということが重要になっております。金融政策決定過程で何が議論され、いかに政策が選定されたかにつきまして、説明責任を果たす、透明性確保するということは極めて重要でございます。そのために、議事要旨等公開、あるいは国会への報告等措置を講ずべきであるとすることは、私は至当な方向であろうと考えております。  三番目のポイントは、政策委員会強化ということでございます。  政策委員会あり方がこれまでとかくあいまいになっていたという指摘がございますが、政策委員会名実とも日本銀行ワンボードとしての最高意思決定機関と位置づけ、なおかつその所掌事務を明確にする必要があろうと考えております。  また同時に、政策委員会強化を図りますために、委員が独立して職務を執行できるように、例えば政府意見が異なったことを理由に解任されることがないといったような保障措置は極めて重要な内容であろうというふうに考えております。  また同時に、政策委員会におきまして、その公正な運用確保するために、外部からの委員を過半にするといったような措置も適切なものであろうと考えております。また、政策委員会運用について、例えば定例日に開催するというような形でマーケットからの信認を得る、マーケットからの不信を除去するということも必要な措置であろうというふうに考えております。  四番目に強調させていただきたい点は、政府日銀との関係、政策調整でございます。  もとより政府中央銀行は緊密な協力が不可欠でございまして、この点は欧米諸国においてもとられているところでございます。日本銀行独立性確保しながら日本銀行金融政策政府経済政策との整合性確保するという仕組みは極めて重要なものでございます。  こういった措置が今回の法案の中に織り込まれておるわけでございますが、そうした点で、この政策整合性確保中央銀行独立性確保調整という点については極めて重要な課題であるというふうに思っております。具体的には、例えば、中央銀行研究会では、一定期間判断の留保を含む政府政策委員会への意見提出、あるいは政府の指定する者の政策委員会への出席といったような問題も政策整合性を図る上で一つの適切な措置ではないかというふうに考えております。また、信用秩序維持の問題につきましても、中央銀行最後貸し手であるという役割をもちまして、政府の行います信用秩序維持政策日本銀行政策整合性を図るということも重要なポイントであるというふうに思っております。  以上四点、これからの中央銀行あり方として重要な点を申し上げましたが、そのほか、国際金融業務の取り扱い、あるいは中央銀行の適正な業務執行確保といったような措置もこの中にあわせ盛り込まれるべきものと考えております。  政府で御提出されました改正案につきましては、これまでの中央銀行研究会報告もとに、金融制度調査会の慎重な審議を経て、政府及び日本銀行との調整の上で作成されたものであろうと思っております。中央銀行研究会に参画した者といたしまして、そのときに論ぜられました主要な点はその中に十分生かされていると考えております。  各国金融センター間の競争が激しくなる中で、我が国金融市場空洞化を防ぎ、世界を駆けめぐるグローバルな資金について我が国市場を魅力あるものにしていくためにも、市場原理の徹底と透明性確保は欠かせないポイントでございます。今回の中央銀行制度改革は、国内金融市場及びグローバルマーケットから信認を得るための重要なステップであると考えます。  ボーダーレス経済に移行しつつある今日の経済環境を考えてみますと、産業界におきましても、 今回の金融改革、あるいはその中で重要な地位を占めます中央銀行制度改正については深い関心を寄せているところでございます。今回の改正案につきましては産業界からは特に問題点指摘はございませんで、むしろ早期の成立を期待しているを私は認識をいたしております。  最後に当たりまして、これから改正法案が仮に成立したといたしました場合に、今後の運用の点につきまして、政策委員会が適正に構成され、運用されますとともに、日本銀行がその重要な使命を認識して、絶えず自己改革を続けて、適切な政策運営に不断の努力を重ねられて、これからの日本金融市場グローバルマーケットの中で魅力あるものにしていくことを期待をいたしている次第でございます。  以上をもちまして、私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手
  6. 額賀福志郎

    額賀委員長 どうもありがとうございました。  次に、三木谷参考人お願いをいたします。
  7. 三木谷良一

    三木谷参考人 ただいま御紹介にあずかりました神戸学院大学教授をしております三木谷でございます。  本日は、日銀法改正という、戦時立法である現行法の五十五年目の、そして二十一世紀に向けての歴史的な改正に当たりまして、本委員会参考人として意見を述べさせていただくことは、長らく金融経済金融政策を勉強してまいりました一研究者といたしまして、まことに光栄に存じております。  時間の都合上、お手元に一応私のしゃべることをお配りしてありますので、それをかいつまんで申し上げたいと思います。  甚だ教科書的な説明で恐縮でございますけれども中央銀行とは何かというのは、四つほどの機能を果たすのが中央銀行であろうと言われております。  第一番目は、中央銀行とは銀行券を発行する銀行である。第二番目は、中央銀行銀行銀行である。ザ・バンク・オブ・バンクスであると言われております。第三番目には、中央銀行政府銀行であるというふうに言われております。それから第四番目に、対外的にはその国を代表する一つの機関としての中央銀行役割ということがございます。  さて、今回の改正法案をこの観点から見てみたいと思います。  中央銀行の第一の機能、すなわち中央銀行の通貨量、物価決定する機能については、本法案では、制約がないとは言えませんけれども日本銀行政策委員会の自主性が尊重されております。  しかし、その他の日本銀行機能、先ほど申しました二番目から四番目までの機能でございますが、こういう業務運営につきましては、中央銀行が公的機関であるという根拠に基づいておると思われますが、政府大蔵省にその決定権限がかなり残るような条文が多く見られます。具体的には、法的手続は大蔵省を通す。あるいは、人事、経理、権限、業務については、ここでは仮に限定主義と呼ばしていただきますと、限定主義的なアプローチである、つまり、日銀がなし得ることを細かく規定し、それ以外は政府大蔵省の許認可とするというスタンスであります。  ここで問題になりますのは、これらの二番目から四番目までの業務について過度に硬直的な政府、財政当局の規制、監督にもし日本銀行が縛られるのであれば、現在のような非常に変化の激しい国内外の金融経済の動向に、迅速に効果的に対応して、日銀が、中央銀行としての最も重要な任務である物価の安定を目的とする通貨金融調節及び支払い決済機構の効率と安定性維持を十分に行うことができるかという点であろうかと思います。  次に、今後特にもしできるならばさらなる検討と改善が必要であろうと思われる点を申し述べたいと思います。  今回の日銀法案は、現行法に比べると、開かれた独立性あるいは自主性を基軸にかなりの改善が見られますけれども、しかし、米国の連邦準備法、あるいはドイツ連邦銀行法、あるいはまたその延長線上にあると思われます新しい欧州中央銀行法一それから、この間五月六日に発表されました英国の新しい労働党のブレア党首の、BOE、イングランド銀行改革案に比べましても、中央銀行独立性確保という観点からは必ずしもそれと同等と言えない、私としてはかなり劣っているような点が見受けられると思います。  次のような諸点について特に国会で今後審議をしていただきたいというふうに思うわけであります。  第一番目、中央銀行たる日本銀行目的は通貨価値の安定を最重点として明確に規定されるべきである。そして、政府との関係において、中央銀行はこの基本的目的達成と相反しない限りにおいて政府の他の経済政策と協調を図るというふうに定められるべきではないかと考えます。先ほどのイングランド銀行改革案にもその条件は入っております。  それからまた、委員会への政府からの出席は、でき得れば米国の連邦準備のように認めない方が中央銀行独立性が一層確保されますけれども、財政政策など政府経済政策との調整が事務方レベルで解決しない場合には、特にその必要性のある場合に限り、政府責任者、大蔵大臣経済企画庁長官の出席に限り認めるのもやむを得ないことであろうというふうに思います。  ただ、その透明性確保のために、現在英国で大蔵大臣とイングランド銀行総裁の会議議事録公開されておりますけれども我が国においても一般国民への透明性を条件とすべきだろうというふうに考えます。  第二番目、中央銀行独立性確保には経費予算の自主的決定権が必要であります。  独立性の高い中央銀行とされる米国連邦準備、ドイツ連銀、新しい欧州中央銀行はいずれも予算の自主的決定を許されております。我が国では、通貨及び金融の調節に関する費用に限り予算の自主的決定日銀に認められております。そして、その他の経費については、一応のセーフガードはついているとは申せ、両者の仕分けは「政令で定める」ということになっており、経費の面から中央銀行の自主的活動が阻止される要因となるおそれがあるのではないかと考えます。第五十一条であります。  日銀の予算は政府への届け出と、その決算は社会的信認の厚い監査法人及び、あるいは適当と思われる公的監査機関が監査し公表することが適当ではないかと考えます。  第三番目、中央銀行の国に対する貸し付け等は、財政の赤字を中央銀行信用でファイナンスすることであり、節度、歯どめがなければインフレの原因、金融政策運営の弾力性の喪失となり、マクロ経済に甚大な損失を招きます。現行法にもない第三十四条二号と四号は削除をされるのが適当ではないかと考えます。  四番目、日本銀行金融機関等に対する貸し付けは流動性の一時的供給に厳しく限定されるべきであり、透明性を欠く救済融資は絶対にすべきではありません。理由は、日銀の収入は貨幣発行益がその源泉でありますが、貨幣発行益は日銀への信認を基礎とする円を通貨として、貨幣として利用する人々に本源的には帰属すると考えるからであります。  五番目、この法案では、日本銀行の外国為替の売買及び国際金融業務では、対外的な貨幣・金融取引政府の権限に属するという基本的考えを前提としているように思われます。  しかし、為替相場の一時的乱高下を緩和するためのいわゆるスムージングオペレーション及び外国の中央銀行との中央銀行相互間の取引、協定、協力などについては、日本銀行にもっと独立性、自主性が認められるのが適当であろうかと思います。為替介入については、米国のような、政府中央銀行がともに分担、協力する体制、デュアルシステムが適当であると思います。そして、為替オペレーションについては、その操作とその損益 を含めて詳しい報告書を遅滞なく公表する義務が課せられるべきであろうかと思います。  今回のイングランド銀行改革案においても為替介入の資金と権限はイングランド銀行に大きくゆだねられております。海外において為替・国際金融業務政府大蔵省の専管であるというような一部の意見は誤りではないかと考えます。  六番目、第三十九条には、日銀資金決済の円滑に資するための業務は大蔵省の認可とされているが、電子マネーなど資金決済についてのイノベーションが現在グローバルに進行中であり、細かく事前的に規制することは日本金融の創造的活力を殺すことになるおそれがあるのではないかと考え、この規定は不要ではないかというふうに考えます。日銀民間金融機関、あるいは政府のそういう監督官庁を含めて、金融専門家との話し合いによるその結果としての合意によって運営されるのがいいのではないかというふうに考えます。  七番目、二十九条には、国家公務員の守秘義務と同様に、日銀の役員及び職員は、在職中はもちろん、退職後も守秘義務が厳しく規定してありますが、これは、日本銀行透明性確保、第三条、あるいは一般的に言論の自由の基本的権利を定めている憲法と抵触するのではないかというふうに考えます。日本銀行の役員、職員は公務員に準ずるわけで、特別に守秘義務を定めて言論を縛る必要はないと考えます。特に、金融政策、支払い決済システム安定化政策に関する成功あるいは失敗の経験はむしろ積極的に公表され、後世代の参考に資することこそセントラルバンカーの重要な歴史的任務であると考えます。第二十九条に縛られると、日銀の役員、職員は、退職後も、自己反省あるいはメモワール、回想録を書くことさえできないのではないかと考えるわけであります。  八番目、日本銀行国会を通じて国民にアカウンタビリティーを負うものというふうに考えます。第五十四条では、報告書を「大蔵大臣を経由して国会提出しなければならない。」とありますけれども、直接に国会提出していいのではないかというふうに考えます。  九番目、十六条「組織」のところで「審議委員六人」とあります。しかし、政策委員会九名全員が名実とも日本銀行の意思決定機関であり、かつ、執行及びその結果について共同責任を持つワンボード機関であるべきではないかと考えます。それでこそ中央銀行のアカウンタビリティーを全うすることができるわけであります。審議という名称は、通常の日本語としては、審議機関、審議会と言うときに合意されているように、単に詳しく討議、議論するという意味であり、審議という話は削除し、単に政策委員でよいのではないかというふうに思います。  日本銀行が行政府を通さずに国会を通じて直接に国民にアカウンタビリティーを負うことについては憲法違反の疑義があるとの議論が、金融制度調査会委員会、あるいは先ほどの鳥居研究会におきましても議論されているようでありますけれども、これは憲法、行政法の学者、学会の支配的見解であるのかどうか、あるいは最高裁判所の判断であるのかどうか、国会が中心になり明確にしていただきたいと思います。  この根本問題を含め、日本銀行法国会主導でもう一度再吟味され、二十一世紀に向け、欧米に比して恥ずかしくない、真に新しい中央銀行法を制定していただきたいと思います。それによって初めて国際的にも信認を受け一東京が国際金融センターとして発展することになるのではないかと考えます。それでこそ、橋本首相のおっしゃられるように、フリーで、フェアで、グローバルな金融改革実現できるのではないかと考える次第であります。  なお、附属資料としまして、金融学者・研究者、主として大学教授でありますけれども、二百三十三名の賛同を得ました意見書を提出してありますので、後ほど御参考にしていただければありがたく存じます。  以上でございます。(拍手
  8. 額賀福志郎

    額賀委員長 どうもありがとうございました。  次に、中北参考人お願いをいたします。
  9. 中北徹

    中北参考人 日本銀行法案に関する意見参考人として申し述べる機会を与えられまして、感謝申し上げます。  五十五年ぶりに日銀法の改正実現することで、中央銀行に対する関心が高まっております。一国の中央銀行あり方国会で真剣に討議する機会が訪れましたことを、まず心から喜びたいと思います。日ごろ日銀法をひもと機会がありませんでした一介の学者の身としても、改めて読み返して、その日銀法の古さに偶然とした記憶がよみがえってまいります。  人を行動に突き動かしていく動機は何かといえば、新たな認識であったり、驚きであったりするかと思います。  現在、金融自由化が叫ばれ、一方で行政に一元的に管理されていた金融機関の破綻が相次ぐ中で、一体中央銀行たる日銀は何をし、どう対処しようとしているのか。発言は無論のこと、姿さえも見えない。翻って、あのバブルの生成と崩壊をどう分析し、何を反省すべきか、一向に肉声が聞こえてこないのであります。  我々の目に中央銀行が見えてこない。通貨である円の紙幣には「日本銀行券」と印刷されているにもかかわらず、日銀の姿も、声も届かない。この状況を変えるには、日銀の姿、その声が届くよう、言ってみれば中央銀行たる日本銀行に舞台の中央に出てきてもらうことであります。  今回改正されます日銀法は、その使命が「国家目的ノ達成ヲ使命」とする戦時下に制定された法規であります。戦争を経て、戦後の高度成長を越えて、豊かなストック社会を実現した今日の日本にまず適応する法律なのか否か。戦時立法である日銀法が、戦後五十年を経た今日もなお抜本的な見直しと改正を見ないまま引き継がれていて、不都合はないのだろうか。  また、何よりも大蔵大臣による監督権、四十二条、業務施行命令権、四十三条、役員解任権、四十七条といった、独立性に疑いを持たせるような条項が幾条も幾条も存在するのであります。  日銀がこうした条項に縛られたまま、的確な政策運営できるのか。さきに触れたバブルの生成と崩壊のような、未曾有な、かつ歴史的な事象に対し、分析と検証が責任ある立場でなされないままでよいのだろうか。こうした疑問が今回の法改正へと人々を突き動かしたのであると思います。  日銀法を見直すことは、バブルで頂点に達した戦後の経済と、それを達成した戦後のシステムへの見直しと反省を迫ったのだと思います。  幸い、賢明な議員と議会の力によって、日銀あり方を見直し、法改正する機会を得られました。私は、ここでこれまでの各方面の関係者の努力に深い敬意を払いつつ、幾つかの問題と、これから先の中央銀行に注文をつけ、期待をする意味で所見を一言申し述べてみたいと思います。  先ほど三木谷先生も御指摘ございましたが、まず五月六日付の各紙の報道を見てのことでありますが、イギリス労働党の率いる新内閣のブラウン蔵相が、〇・二五%の金利引き上げを決めると同時に、ジョージ・イングランド銀行総裁あてに「金融政策決定の新たな枠組み」と題したレターを発出し、イギリス中央銀行であるイングランド銀行独立性強化の枠組みを打ち出したのであります。  この構想は、第一に、イングランド銀行の内部に金融政策委員会、マネタリー・ポリシー・コミッティーを設置し、金利決定権を大蔵大臣から同委員会すなわちイングランド銀行に移す。第二に、現行政府の行政権限に属する為替市場への介入を、金融政策目標を達成するに必要とされる場合に、イングランド銀行にもその権限を与えるということ。第三に、副総裁を一名増員し二名とした上で、おのおの通貨価値の安定と信用秩序維持を担当させるとしたものであります。  また、注目すべき点として、これまで国債を一元的に扱っていたイングランド銀行がそれを返上し、国債管理政策大蔵省に移管することを提言 し、金融と財政の完全な分離を提案したことであります。  このことの画期的な意味は、各国中央銀行が押しなべて独立性強化を図る中で、最も保守的で立ちおくれていると見られていたイングランド銀行が、為替介入の権限まで与えられ、最も進んだ独立性の強い中央銀行へと変わることを宣言したことにあります。  事前のシティーの予想では、たとえ新政権になっても、蔵相の既得権であった金利決定権まで手放すことはあるまいというものであったようでございます。しかし、議会で圧倒的多数を得たその労働党が、事実上イングランド銀行金融政策のすべてを譲り、みずからは財政を担うと提言しているのであります。イングランド銀行は、中央銀行としての独立性を労働党によって強められることになったのであります。このニュースはたちまちシティーを駆けめぐり、全く予想外の大胆な、かつ清新な提案を好感し、株式・債券・為替市場とも高進したのであります。  このことを考えてみていただきたいと思います。大蔵大臣みずからが、世界流れ、EU統合の流れの中で何が国益かを冷静に判断し、みずからが持っている権限や権益まで踏み込んで裁断する姿であります。  欧州通貨機関、EMIが一九九六年十一月に、欧州統合に参加する条件として、各国中央銀行独立性をさらに強化するための法改正を求める報告書を出しているのであります。EMI、欧州通貨機関の改正要求は、各国に、政府の介入を排除する、より厳然たる態度で独立性のおくれを指摘し、改正を強く要求しているのであります。  では、その理由は何でありましょうか。欧州の統一通貨の価値を守り物価を安定させることが、欧州統合の目的を果たす政策基盤となるからであります。欧州統一による単一市場で使われる通貨、ユーロの安定がなければ、統一欧州の経済基盤はその根底から崩れるからであります。  このため、参加各国政府は、統一後も各国の財政規律を堅持する合意にサインしており、財政を緩める景気刺激策はとれない。一方で、参加各国中央銀行に対しては、統一後は、通貨の価値を守り物価安定に努める義務を課していくことになるのであります。この場合、どちらか一方、とりわけ中央銀行の立場が弱く独立の根拠を与えられていないとすると、財政当局である政府からの金融緩和の圧力に対して抵抗できないことになる。であればこそ、その圧力に抗するだけの独立性が法的に求められたのであります。  このことを見てもわかると思うわけでありますが、一国の政府中央銀行の関係は、常に互いの政策をチェックし、いたずらに財政の放漫や通貨の過剰流動性を招かないように牽制し合う関係にあるのであります。欧州中央銀行政策方針もまた財政隷属からの独立、通貨価値の安定といった政策で貫かれる以上、この動きにほかの先進諸国の中央銀行も対処していかざるを得ないのであります。これこそが中央銀行の守るべき規律となり、守るべき基準となるからであります。  各国中央銀行は、ともに共通の目的に向かって支え合い、かつ競争し合う関係を結んでいます。殊に世界を縦横に駆けめぐるマネーに対して一定の責任を持つ先進国の中央銀行は、すぐれた規律を持つ中央銀行の行動基準に合わせる努力が必要になるのであります。国内の狭い利害対立を超えて、日銀がその経験と知識とを生かし、通貨の番人たる役割に徹すること、国民経済ひいては国民の生活を守る責務に真剣に取り組んでいただきたいと念願する次第であります。そのためには、政策委員会機能を充実させることを通じて、外部世界とのフィードバックを起こし、政策決定のすべてをオープンにすることであります。  我々は、日銀マン以上に金融政策のプロになるつもりは毛頭ありません。あくまでも専門家集団である日銀の手腕に期待するものであります。しかし、日銀が今回独立性を強めたからといって、全知全能で誤りを犯さないとは思いません。だからこそ、正しい政策も誤った政策も過去にさかのぼって検証できるシステムが必要とされるのであります。政策委員会がそのかなめの役割を果たすよう、国民に対して開かれた組織となることを切に期待し、念願するものであります。  詳しい御説明は、御質問に対してお答えいたします。(拍手
  10. 額賀福志郎

    額賀委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田左エ門君。
  12. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 私は、自由民主党の吉田であります。  自己紹介を申し上げますと、今を去る三十数年ぐらい前に、新潟の日銀支店駐車場へ、ちょっと隣のたばこ屋に用があったものですから、自動車を駐車しました。守衛さんが出てきまして、「坊や、坊や、ここはとめちゃだめだよ」「いや、私はここの銀行に用があるのです」「何の用ですか」ということなので、「この千円札、少し両替してもらおうと思って」「日銀はそういうことはしないのですから」、こんな思い出があります。そういえば中学校の社会科の時間に、日銀というのは一般銀行業務はしなかったのだなというようなことを思い出していた。そのていたらくが、自来、精進をしまして、何とか金融あるいは財政、この方向にしっかりとした知識を持ちたい、そんな形で今、大蔵委員会に籍を置かせていただいております。  きょうは、佐伯会長様を初めアカデミックな研究会の先生方までお忙しい中お出ましいただいて、そしてこの日本の国に大事な日銀、いい改革の折に少しでもよきものをと、高邁なお考えのもとで、それぞれの大事な思いを御開陳いただきましたこと、ありがたく心からお礼を申し上げたいと思います。  政治は、国会は、国民のためのみにあって、他の何者のためでもない。日銀またしかりと私は思っています。そんな思いの中から、一、二御質問させていただこう、こう思います。  大変恐縮でありますが、佐伯参考人様に。  まず、低金利時代が続き、国民から日本銀行金融政策の批判を聞かされることも少なくありません。バブルが崩壊、そして多くの者たちが自分の命を自分で終わりにしなければならないような悲劇が起こる中で、日銀金融政策、政治はというようなことをよく耳にします。  新進党の皆さんからは、国民や政治家は目先の利益に左右されがちだ、だから日本銀行金融政策は、政府あるいは与党がなるべく関与せずに、日銀の一部の専門家に任せればよいという主張を聞かされています。私は、日本の民主主義を信じて、国民の多数の支持を受けた政府・与党が金融政策運営に何らかの形で参画していく方がよいのではないかと考えておりますが、これらについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 佐伯でございます。ただいまの御質問にお答え申します。  お答えになるかどうかわかりませんが、今の御質問は、例えば日銀が一方的に決定していくのがいいのか、あるいは逆に政府が一方的に決定していくのがいいのかというようなお話も含めてかと思いますが、私は、どちらに偏るのも適当ではないといいますか、また、この法の手当ても、そういう形で経済政策金融政策の一致というようなことを盛り込んでおります。  法案では日本銀行独立性確保に対してさまざまな手当てが講じられております。その中核となっているのが政策委員会独立性強化であるというふうに理解しておりますが、政策委員会の人選につきまして、総裁、副総裁、日銀側から三名、他は六名で、経済金融に高い見識を持っている方々が選ばれるというような形であります。また、それに対して政府の方からは、出席者の提案権やあるいは議決延期請求権を認めるというような形で、中長期的な政治の経済政策の反映も図 られるといった双方の対応がとられているのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  14. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 御返答しにくい質問に申しわけありませんでしたが、次に、いま一つ参考人様に、日銀考査の問題に言及をされましたが、これも新進党は、日本銀行金融政策実施するとともに民間金融機関に対する検査監督の権限を有するという対策を支持している。  政府は、市場取引を通じた金融政策民間金融機関に対する行政権限の行使を同一の機関が行うことは適当でない、こういう考えを示しておりますけれども、先ほどのお話にもありましたが、金融業界として、その束ねという立場でどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  15. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  先生の御質問は、検査を一元化したらもっと楽になるかというような意味も含めておっしゃっていただいたのかと思います。  新進党案につきましては、私どもも報道ベースということで詳しく承知しているわけではございませんので、若干質問に対してお答えがずれるかもしれませんが、監督検査の権限と金融政策につきましては、中央銀行研究会報告それから金融制度調査会の答申でも、行政権限に基づく大蔵省の検査と、日本銀行の持つ最後貸し手機能の適正かつ円滑な機能発揮のための日本銀行考査とは、峻別といいますか区別されるべきというふうに書かれております。検査を受ける側としてはいろいろな意見がございますけれども、今回の法改正はそういう趣旨に基づいてなされたと理解しております。  ただ、金融機関といたしましては、確かに実際に受けております検査が、検査と考査で対象が内容に一部重複感があるということも事実でございます。法案にも、このようなことを意識されまして、金融機関の事務の負担軽減に十分配慮するというような意見法案化されております。私どももそういう点を意見を述べていきたいと思っております。  なお、海外では、そういう重複の検査がございますけれども、同時に入って同様のフォームで検査をして合同で行っていくというような事実もあるということを御参考までに御報告しておきます。  以上でございます。
  16. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 ありがとうございました。  引き続き、福川参考人にお尋ねをさせていただきます。  政策委員会への政府からの出席について中央銀行研究会報告書で、「金融政策に関する事項を審議する政策委員会には、政府との連絡を密にし政策整合性確保するとともにその過程透明性を高める観点から、必要に応じ政府の指定する者が出席できることとすべきである。」と提言されております。  この提言の考え方について御説明がちょうだいできれば幸せであります。
  17. 福川伸次

    福川参考人 吉田委員のお尋ねは、中央銀行研究会におきます政策委員会への政府出席の点でございます。  この点でございますが、金融政策に関する事項を審議する場合、したがいまして、一般の日銀のハウスキーピングと申しましょうか内部的な業務執行の点でなくて金融政策実施ということになりますと、他の政府経済政策との調整が必要になるわけで、少なくともこの整合性確保することが必要になるという意味で、政府からも政策委員会出席をして、必要に応じ意見を述べるということにいたしておるわけでございます。  その過程透明性を高める、こういう観点でございますが、これまでの金融政策、例えば公定歩合の決定等を見ますと、事実上、政府日銀で話し合いがついた上で政策委員会にかけられるというケースがかなり多かったやに私は印象を受けております。  したがいまして、これからそういう、言ってみれば事実上国民の目から見えないところで政策決定されるというのではなくて、この場合には政府の指定する者が政策委員会に出て、政府としてはこう考えるということを政策委員会で堂々と述べて、そしてそれは議事要旨の公開あるいはいずれ議事録公開という形になって国民の目に触れる。したがって、今までのように金融政策調整が国民の目に見えないところで決められるということではなくて、堂々とこの政策委員会で論じ合ってもらう、そして果たしてどちらが適切であるかということをあるいは国会で、あるいは国民が見えるということが非常に必要だというふうに思っております。  もちろん、この研究会の中にも、こういう政府委員が出てくると影響力があって発言が自由にできないといったような御指摘もございましたが、私個人の考えでは、むしろ、今申し上げましたように、もっと開かれた形にするには政府の職員もそこに出て、そして堂々と意見を言って、それが国民の目にさらされるということが必要である、こういう趣旨でございます。
  18. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 ありがとうございました。  私も、経済界にとっても、政策委員会における論議等で、政府日銀の間での整合性、大切なのではなかろうかな、こう考えております。  引き続きでありますが、本当に思うに任せぬ質問で恐縮でありますが、都合があります、三木谷先生に一言御質問をさせていただきたいと思います。  最近、この委員会で問題になったわけでありますけれども日本銀行が多数のゴルフ会員権や接待用の豪華施設を保有していることが問題とされました。二十一世紀日銀は、私は、もはやその時代でないのではないかな、こう考えています。ゴルフ場のリストを見せていただきましたら、私たちの選挙区では新潟カントリー倶楽部というのを所有しておられまして、これは新潟で一番古いゴルフ場ですから、もし接待だとか何かでお使いになるのであれば、あれではなくて別なものの方がよいのではないかな、この辺のチェックも果たしてちゃんとなされているのかな、こんなふうに思う次第なのであります。  そうした中で、日銀の経費のむだ遣いの現実を見て、日銀の経費支出に対するコントロールを緩めるべきという新進党さんの主張は、はて、これは我が思いと随分と違うんだがな、こんな思いでおりますけれども、この辺、先生いかがお考えになられますか。余りアカデミックな質問ではないのですが、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 三木谷良一

    三木谷参考人 実は、私、ゴルフをやりませんので。でございますけれども、要するに、日銀の経費、会計の決定権を日銀が持てばむだ遣いするのではないか、私はよくわかりませんけれども、人間、何でもやはり使いたいわけですから、その危険はあるというふうに個人としては考えます。  諸外国でも、アメリカ人でも同じことであると思いますけれども、連邦準備銀行の方は、経費は自主的に決定できる、しかしその経費のチェックは、GAOですか、国会の直属であります会計検査院、そこがやるということに、これは昔はそうでなかったのですけれども、数年前に変わったと思います、それまでは監査法人がやっているということで。アメリカでも議会でしょっちゅうこの問題をつつかれておりますけれども。  ただ、私もアメリカの中央銀行研究をしておりまして見るのですけれども、その連邦準備銀行の方の会計報告書が非常に詳しいわけですね。それから、監査法人が向こうは権威がありまして、それがやりますし、それから、もし何かあれば多分議会へ呼び出されて答える、こういうことになっております。  ただ、私思いますのは、今度重要でありますのは、先ほど申しました審議委員、六人任命されるのですけれども、その任命された六人日銀に入っていくわけですけれども、その方々が実際上どういう役割を果たすか。やはりこれは、先ほど話がありましたけれども物価安定を図ろうと思え ば、これは金融政策、非常に難しいわけですね、どうするか、一厘上げるか二厘にするかというのは。その判定をするには、やはりそれだけの調査あるいは将来の予想ということをやらなくてはならない。そのこと自身も、その調査も、審議委員という言葉を使いますと、審議委員みずから判断できるようなことをやらなくてはならない。そのためにはかなりスタッフがいることが必要ではないか。  アメリカのボード、ワシントンにあります、金融政策をして監督するところ、千七百人いるということ、十二の連邦準備銀行を除きまして。それほどスタッフを持ってやっているということでありますので、そこのところはかなりふんだんに使っても、マクロ経済政策を誤らなければもとが返ってくるのではないかというふうに思います。
  20. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 ありがとうございました。  中北先生、先ほどのお話のとおり、かつては聖徳太子で代表された日本のお札、札は見えても銀行は見えないじゃないかという先生の御趣旨、まさに我が意を得たりという思いで聞かせていただいたのです。私は日銀理事の位置づけについて伺おうと思っておりましたのですが、時間の都合で、あと一分でありますものですから、これで質問を終わらせていただこうと思います。せっかくおいでいただいたのに申しわけありません。  どうも先生方、ありがとうございました。
  21. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、秋葉忠利君。
  22. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。  参考人の皆さんには、お忙しいところ、御貴重な御意見をお聞かせいただきまして本当にありがとうございます。御説はいろいろなところできちんと読ませていただいておりますけれども、改めてこの場でお話を伺って、やはり直接お話を伺うことがいかに大事かということを改めて認識いたしております。与えられた時間が十分間ですので、たくさん聞きたいことがあるのですけれども、一、二点に絞って伺いたいと思います。  第一点目は、これは主に三木谷先生それから中北先生に伺いたい点なんですけれども、今回の日銀法改正の中心理念の一つは、開かれた独立性、自主性ということがうたわれているわけですが、その中でも、私はやはり開かれているという点が非常に重要ではないか、その点を両先生とも強調なさったのではないかというふうに考えております。  その一つの局面として、日銀を開かれた存在にするということが将来にわたっても非常に重要だろうというふうに思いますけれども、そのためには、一応今回の法改正の構造を考えますと、やはり政策委員を選ぶに当たって、あるいは政策委員役割とかあるいはその制約等といったものをきちんと整備をして、開かれたシステムをつくるということだと思います。  その中でも特に大切なことは、具体的な人選だと思いますが、私はこのことについて二つ提案をしてきたつもりです。  一つは、政策委員の選任に当たっては公募制を採用してはどうか。ところが、お役人の頭の中では、公募制ということが非常に誤解をされてどうもインプットされているような感じがいたします。公募制というのは、要するにだれでもいいから応募してきた人を政策委員に任命するというような、何といいますか何の基準も選択も行わないようなことが公募制であるというような誤解があるような気がいたしますけれども、ともかく、選択を最終的に行う主体がだれであれ、その母集団を広げるということはそれなりに大切なことであります。公募制を採用するというようなことについて、これまで御検討されてきたかどうか。もしそうであれば、その公募制を採用する、六人すべてというわけには恐らくいかないだろうと思います、最初は一人でもいいと思いますし、あるいは半数といったところでもいいと思うのですが、それについてもしお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。  きちんとした基準を設けて、それを公開の場で議論をした上で設定して公募を行う、審査も公開して行うということが私は望ましいというふうに考えております。  それと表裏一体の問題ですけれども、これまでの日銀政策委員のほとんどは、いわゆる天下りのお役人が占めておりました。そのことが政策委員会を事実上機能停止させてきた原因にもなっておりますし、逆に今度はそのことによって日銀の閉鎖性が高まるといったような局面もございました。そういったことを勘案いたしますと、政策委員については官庁からの天下りは禁止する。といっても全面禁止にすることが現実的かどうかわかりませんけれども、例えば一定の制限を設けて半数以下に抑えるとかさまざまな考え方があると思いますが、やはりきちんとした一定の歯どめをそこには設けるべきではないかということを考えておりますが、この二点について、三木谷先生それから中北先生の御意見を例えれば大変ありがたいと思います。
  23. 三木谷良一

    三木谷参考人 時間の都合上、簡単にお答えしたいと思います。  まず初めに、第二点の方ですけれども、今までの政策委員会はいわばスリーピングボードと言われておりますけれども、その原因の一つは、御指摘の点にあるかと思います。私も一度、戦後ずっと政策委員の方の名簿を全部拾ったことがあるのですけれども、昔から元官僚の方がほとんどを占める、都銀代表だけが民間であるという状態になっております。  ただ、外国では、大蔵省、財務省の方も中央銀行マンになるわけですけれども中央銀行の門をくぐると元官僚の方はより中央銀行マンになるというケースもあるわけなんで、その辺のところは絶対禁止というわけにはまいらないと思いますけれども、そのチェックを何らかの形でやることは必要であるというふうに思います。  公募制については、今初めてお聞きして、非常に斬新な考えでございますけれども、具体的にどうするかということはちょっと頭に浮かびませんが、ただ海外で、アメリカとかヨーロッパでどういうふうに人選しているかということを一度調べて参考にすることは重要ではないかというふうに考えます。  以上でございます。
  24. 中北徹

    中北参考人 私も、先ほど政策委員会、これは日銀政策機能のかなめだと申し上げたわけであります。その意味で、できるだけ幅広い角度から適当な審議委員を選ぶということは最重要な課題だというふうに私も思っておりまして、同感であります。  ただ、考えますと、一方で五年間、それからいろいろな守秘義務その他がございますので、現実の問題として大変難しい問題もあるのではないだろうかと私は考えていることも事実であります。兼職の禁止規定といったような問題もございますので、だからこそまた幅広い観点、したがって公募制というお考えも出るのだというふうに私は理解いたしました。そのような意味では大変斬新な意見だというふうに私も思いますので、考えてみたいというふうに思っております。  いずれにしても、最重要な点は、現在の産業構造の変化、日本の国民経済の行く末というものと、先ほど御指摘がありましたが、政策委員の御出身のそれぞれの母体というものが必ずしも平仄が合っていない、どちらかというとかなり不整合があるという点が私は気にかかるところでありまして、そのような意味で、新しい産業、それから消費者の観点、それから、今回出ましたけれども、もっと幅広い観点から選んでいくということは大変重要だというふうに私は思っております。
  25. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 時間が余りありませんので、もう一点だけ。これは実は簡単に例えることではないのですけれども佐伯参考人に伺いたいと思うのですが、この三つの柱の中にフリー、フェア、グローバルということがございます。そのグローバルという観点に対して、これから二十一世紀を迎えるに当たって、特に銀行業界といったらいいのでしょうか、金融界全体として国際的な、マーケットだけではなくて場における日本役割、そ の中における銀行といったものが占める役割についてどんなビジョンといいますか、そういったものを持っていらっしゃるのか。短時間ではちょっとお答えいただける問題ではないのですが、そういったことについてどういった方向性をお考えになっているか、簡単におっしゃっていただければ大変ありがたいと思うのですけれども
  26. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  簡単にというと非常に難しいのですが、一つは、外為法の改正でもう壁がなくなって行き来をいたしますというのがございます。それからもう一つは、先ほど申し上げましたが、電子取引その他でもう国境がなくて、秒単位といいますか、即座にいろいろな通信ができる。そういう二つでそもそも壁がなくなるわけでございます。今までは外為法があって、しかも郵便でというような時間的な制約もあって、したがって国内にとどまっていればよかったわけですけれども。だから、国際的というよりも全世界が全く一つの市場になりますということで、日本の方がロンドンでもシンガポールでもどこでも取引されるようになりますから、私どもは全く世界のどこにでも出ていく、そういうことでございます。
  27. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  福川参考人にはいろいろお聞きしたいこともあったのですけれども、また機会を改めましてお願いいたします。どうもありがとうございました。
  28. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、北側一雄君。
  29. 北側一雄

    ○北側委員 新進党の北側一雄でございます。  四人の参考人の皆さん、大変お忙しい中、お時間をちょうだいいたしましてありがとうございます。心から感謝申し上げます。  それでは、新進党の日本銀行法案に対するスタンスを少し御説明をしたいと思うのですが、私どもは、現在の日銀法に比べましたら、この今審議をしております日本銀行法案というのは、数段独立性強化という意味では進歩しておるというふうに評価をしております。ただ、独立性強化の程度という意味で、我々はこの日本銀行法案内容にまだ不満がございまして、もっとさらに独立性強化を図るべきではないかと我々は考えておるわけなんです。  結局、ここの評価の違いというのは日本銀行独立性金融政策決定独立性、この独立性をどう理解するのかの違いであるというふうに思っておるわけでございますが、最初はちょっと総論的に三木谷先生、中北先生、そして中央銀行研究会のメンバーでございます福川参考人にお聞きをいたします。  この日銀独立性金融政策決定独立性といった場合に、これは一体何のための独立性なのか、それから一体だれからの独立性なのか、簡単にそれぞれお答えをいただければというふうに思います。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  30. 福川伸次

    福川参考人 ただいまのお尋ねは、独立性の意味に関してでございます。  今回の改正案は、今委員が御指摘のとおり、私は独立性に関して大変な改善が加えられているというふうに思っております。しかし、この独立性をどう解するかという点については、これは今御指摘のように、いろいろな御議論がおありかと存じます。  私ども中央銀行研究会でも、この点について憲法との関係等を踏まえてどういうふうに考えるかという点にいろいろ議論がございました。そして私は、現在の憲法を考えてみると、憲法の六十五条ということで考えてみますと、議院内閣制のもとにおいては金融政策といえども行政権の中に入っているであろうというふうに考えております。しかし、金融政策実施ということになりますと、むしろ、物価の安定という経済の重要な問題に関して見ると、その金融政策実施についてはいろいろな制約から離れて公正、中立に実施する方が好ましいということでございます。中央銀行研究会においても、現在の憲法、政治制度を前提にいたしますと、中央銀行といえども国会及び政府から完全に独立した存在ということではあり得ないというふうな解釈に相なっております。  したがいまして、金融政策運営については、行政権の一部に属してはいるけれども、先ほど申しましたような趣旨で、金融政策の中立性ということから実際の金融政策運営には独立性をできるだけ付与すべきであるということでございます。したがって、独立性というのが絶対的な独立性ではなくて、むしろ現在の制度から見たいわゆる相対的な概念としての独立性ということになるのではないかと私は考えております。  したがいまして、日銀政策委員会強化とかあるいは政府の広範な業務命令権等はもちろん今回も修正をされておりますが、運用面においてできる限り自主的な判断ができるという体制が必要だというふうに思います。したがいまして、独立性という意味では、政府及び国会から完全に独立という絶対的な独立性という趣旨ではなくて、今の憲法の制度もとにおいて金融政策が自主的に公正、中立に執行できるという体制が必要であるというふうに考えております。
  31. 三木谷良一

    三木谷参考人 何からの独立性かというときは、簡単に申しますと、財政からの独立ということであります。  それから、絶対的独立性というのはどの国でも言われておりませんで、アメリカの場合には、連銀というのは政府の一部分である、オブ・ザ・ガバメントというふうに明確に規定してあります。しかし、トレジャリーからは独立した政府の機関であるというふうに明確に連邦準備法に定めてあります。私は、日本でもそうであるべきだというふうに考えます。  それから、金融政策のゴールと申しますか、最終目標というのはだれが決めるかというのは、やはり民主国家であれば国民であるし、それからそれを代表している国会であるというふうに私は考えております。しかし、現段階では、物価安定というのが金融政策の一番重要なゴールである、それを達成する運営等々については、日銀に、中央銀行にその権限を移譲しているというふうに考えます。  以上でございます。
  32. 中北徹

    中北参考人 私も、神聖不可侵の独立性というのは、それはあり得ないというふうにもちろん思っております。日銀が、みずから決定し、そして先ほどございましたように、その決定過程、考え方、それをきちっと国民の代表である国会の前に説明をする、いわゆる説明責任をきちっと貫徹するということであります。  その意味で、何から独立と申しますと、一つは財政当局からの独立であります。それによってマーケット、つまり金融の論理ということを貫徹するというのが一つであるというふうに思います。じゃ、中央銀行が、要するに勝手なことをしちゃうんじゃないかという御心配があるんではないかというふうに推測するわけですが、その点に関しましては、まさにこちらの国会の方で受け皿として金融委員会なりをつくっていただいて、そこで当局者の説明を定期的にじっくりと聞いていただいて、国民の信託を全うしていただくという形が、私は望ましい独立性の意義であり考え方であるというふうに考えております。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  33. 北側一雄

    ○北側委員 ありがとうございました。  今のお三方のお話の中に、私は、かなりこの独立性の意義についての見解の違いと言ったら語弊があるかもしれませんが、よく出ておると思うんですね。  今までもこの大蔵委員会日銀法の法案につきまして審議をしておるんですけれども、答弁なんか聞いておりまして、一つやはり憲法のことを言うんですね、憲法のことを。もう一つは、この日本銀行法案の中の四条に書いてあるんですけれども、緊密な連携ですね。常に政府と連携を密にして、十分な意思疎通を図るんだ、政府経済政策全体の責任を負っている、その中の一部の金融政策について日銀がやっているからよく連携をとり なさいよ。この二つのことをおっしゃって、我々から見ますと独立性機能を低下させるような、そういうさまざまな法文の根拠として説明されるわけなんです。  まず、憲法との関係で言いましたら、この間私がここでちょっと法制局を呼びまして議論したんですが、この日銀、また金融政策独立性との関係で言いましたら、これは、一つは政策委員を初めとする役員の人事、これについてきちんと持っているわけですね、これを政府が持つということ。これが一つあることと、もう一つは予算ですね。法案では、経費の予算を大蔵大臣提出して認可を受けるとなっているんですけれども、ここも、ここまで求める必要はないと私は思うんですが、経費の予算について国会なり政府なりが何らかのコントロールができるような仕組みがあれば、この二つがあれば、憲法上は問題ないわけでございます。六十五条、六十六条三項等に違反しないわけでございます。  それ以外の問題は、あくまで政策判断の問題なんですね。政策判断としてどこまで政府、端的に言えば大蔵省日銀との間でどういう関係性を持たせるのがいいのか、これはあくまで憲法の問題ではなくて政策判断です。  というふうに考えますと、これは私ども意見でございますが、憲法上、この人事と予算の二つの問題、ここである程度のコントロールができるならば、あとは、私どもはできるだけ日本銀行独立性強化する方向でやはりやるべきではないのかというふうに考えておるんです。  一つは、私今回の法案の中にも幾つか含まれておると思うんですけれども、まず日本銀行自身が自主的な監査機能強化していくということですね。自主的にしっかり監査機能強化する。それは、監事制度を充実すること、外部監事を導入すること、さらには、今回の法案の骨格でございます透明性強化すること、政策決定過程のプロセスについて透明性強化すること、こうした自主的な監査機能強化というものをしっかりやっていきましょう、これがまず第一。  二番目に、政策委員会。私、政策委員会日銀との関係というのも一つの論点だと思っておるんです。政策委員会日銀との関係。日銀政策委員会と一緒じゃないかというふうに思われる人もいるかもしれませんが、そうじゃなくて、政策委員会が、やはり日銀からある意味では独立していくといいますか、政策委員会理事会等に拘束されないで、本当にみずからの判断金融政策決定していくというような機能を果たしていく必要がある。政策委員会日本銀行監督していくというこの機能、これも法文に書いてございますけれども、これも充実をしていく。二つ目ですね。  それから、会計検査院による検査。これは従来もありました。この検査をさらに充実をしていく、そして、先ほど来出ていますような国会への報告、国民への情報公開、これをしっかり強化する。  こういうことをしっかりやっていけば、先ほど申し上げました人事権の問題と予算の問題、ここである程度のコントロールを政府ができれば、あと住もう大蔵省政策委員会との関係で、余りそういう監督機能大蔵省政府政策委員会なり日銀なりに及ぼすことについてはできるだけ抑えていくべきであると我々は考えているわけなんです。金融政策決定独立性強化していくために、財政と金融との分離というものをしっかり果たしていくためには、この独立性強化が必要であるというふうに我々は考えているわけなんです。  私ども新進党は、基本的な考え方としてこのように考えておるんでございますが、私の今の意見に対する先生方の御批評をいただければと思います。これも恐縮でございますが、福川参考人三木谷参考人中北参考人お願いいたします。
  34. 福川伸次

    福川参考人 ただいまの点でございますが、憲法との関係に関して申しますと、今御指摘がございましたように、私どもでも、中央銀行研究会でもその点についていろいろ議論がございました。もちろん金融政策に関しましては政府からの独立性を認める、従来よりは政府からより独立した形で金融政策を進めるのが好ましいという判断がございますが、今委員の御指摘で申しますと、人事権と予算ということでございましたが、そういった人事権等を通じた政府のコントロールが留保されていれば、日本銀行に内閣から独立した行政的色彩を有する機能を付与したとしても憲法六十五条等との関係では違憲とは言えないというふうな判断でございます。  したがいまして、憲法の関係は今申しましたようなことでございますが、もう一つの問題は、実際の経済政策運用の問題であろうと思います。政府との整合性といいますときに、実はいろいろな局面があるように思います。一つは、経済の実態の認識についての判断でございまして、この実態の判断については、これはいろいろな局面で日本銀行及び経済関係省庁との間でいろいろな意見交換等が行われていくことだと思います。これは、やはりできるだけ、この判断については、判断が違っておれば政策も違ってくるわけでありますから、私は、その認識について、より深い研究が双方でなされるべきだというふうに思っております。  その次に、政策選択でございますが、そのときには、例えば財政政策金融政策というのが、これは時としてかなり問題を生ずるところがあり得る問題だと思います。したがいまして、経済政策全体として効率いい経済政策ができるといたしますと、金融当局であります日本銀行と財政当局であります大蔵省との間で、政策の選択については時として緊張関係さえあり得るのではないかと私は思います。むしろ、そういう緊張関係があって、そして議論をし合って妥当な政策を見出すというところに、金融政策独立性を認める点に意味があるというふうに私は思っております。  したがいまして、今こういう問題についてどういう形で独立性を保障して、そして政府との間で協調もするが緊張関係もあるという仕組みに何が、どういうのが一番好ましいかというのが、具体的な日銀独立性を考えるべきポイントではないかというふうに思っております。その点で重要な点は、今御指摘もございましたが、透明性ということであろうというふうに思います。財政当局及び金融当局の間で緊張関係がある、政策的に意見の違いがあるということが国民の目に触れる、国会で十分それもまた取り上げられるという仕組みが非常に重要だというふうに考えております。  したがいまして、今の金融政策実施については、今申した憲法の枠内でできる限りの独立性は保障をする、しかし憲法との間での調整はしながらも、実際の運用については、今申しましたような整合性もあるが緊張関係もあるという形の仕組みが必要なのではないかと私は考えております。
  35. 三木谷良一

    三木谷参考人 お考えの大筋には全く賛成でございます。  この六十六条ですか、本文の数は。六十六条あるわけですが、私の同僚が、大蔵省の認可とか許可とか、何かそういう箇所を勘定をしたら三十四カ所あったという話でございます。正確な勘定をしたそうでございまして。  今度の政策委員会日銀の中でどういう位置づけにあるかというのは、私は余り法律に詳しくありませんのでわかりませんけれども、私が望ましいと思いますのは、金融政策に関するものとそうでない業務部門というのがありまして、金融政策に関する例えば調査、統計それから分析等々、こういうところと、それから実際の証券売買とかいろいろオペレーションをやったり、いわゆるバンキングの方、それとかなり分けて組織づくりをする、政策委員会はその上に乗るというのがいいのではないか、両方にまたがって乗るというのがいいのではないか。そうしますと、理事、参与というのはどういう役割をするのかというのは、私にはちょっとわからないということでございます。
  36. 中北徹

    中北参考人 今お伺いいただきました北側先生のお話、総論的には私賛成ですが、具体的な点では若干疑義があるというふうに私は思います。  ここでは憲法論を、私専門外ですので、するつもりはいささかもございませんが、四十一条と六十五条の問題、やはり現代の社会において、先生方を前にしてあれなんですが、もう少し立法権の機能というのをもっと強く、そして拡大解釈して、民意をより敏感に反映していただくという解釈が望ましいのではないかというふうに個人的には思っております。  今御質問の趣旨は、要すれば三条委員会型のものを、公取的な発想でしょうか、独立行政委員会的なものを意味しておられるのかなとも感じられるわけですが、いずれにしても、独立性透明性を高めるという点では全く私も賛成でありまして、その点ではいささかも意見を異にする点はございません。  ただ、日本銀行中央銀行に関しましては、やはり中央銀行の中に政策委員会があるべきだ、ワンボディーである、一体であるべきではないかというふうに私は考えます。金融行政、例えばアメリカには証券取引等監視委員会、SECのようなものがございますが、このような委員会に関しては、ぜひ公取型のようなものを日本では早く実現していただきたいというふうに私は思うわけですが、しかし金融政策に関しましては、これはやはり中央銀行の中に存置されて、ここで意思決定を統括すべきだというふうに思います。  なぜならば、もし政策委員会外部に出てしまいますと、日銀本体の中に恐らく理事会というのができ上がりまして、現在あります円卓会議のような形で実質的にそこで決定してしまう。後は現在の政策委員会に形式的に意見を奉って、それで決めてしまうということで、先ほどもございましたいわゆるスリーピングボード化してしまう、そういう危険性がある。つまり二重構造の問題が実質的に出てくるという点が私ちょっと気になるものですから、その点を除きますと、透明性独立性を高めるという点では、私も意見を異にする点はございません。
  37. 北側一雄

    ○北側委員 本当は時間があったら、中北先生に我が党の考え方をもう少し詳しくお話しして、また御見解をお聞きしたいところでございますが、もう時間がないのでやめておきたいと思います。  最後政策委員会への政府からの出席の問題でございますが、この法案は、大蔵大臣経済企画庁長官が必要に応じ出席できると。「又は」とございまして、その指名する者、職員が出席できると。  私ども心配しておりますのは、こういう法律の規定の仕方だと、結局今と変わらないのじゃないか。大蔵大臣、長官は、政治家は忙しくて行かなくて、結局は大蔵省なり経済企画庁なりの官僚の方々が出席することが常態化をしてしまって変わらないのじゃないのか、そういう心配をしておりますし、また、この法案の書きぶりを見ますと、出席権だけではなくて議案も提出できるのですね。意見陳述できるのは私いいと思うのです、議論をするわけですから。どんどん大蔵省からも経企庁からも意見は出してもらえばいいと思うのですけれども、議案提出権さらには議決延期権、ここまで認めている、これはやや行き過ぎなのではないのかというふうに思っております。この辺の御意見福川参考人そして三木谷参考人にお聞きしまして、私は終わりたいと思います。
  38. 福川伸次

    福川参考人 政府からの出席の際に、大蔵大臣または経済企画庁長官の指定する者ということになると、職員の方が出るのがむしろ恒常化するのではないかというお話でございました。これは私は、これからの運用の問題であろうというふうに思います。諸外国などの例によりますと、ヨーロッパなどでは、大臣じきじきにいろいろ連絡をとり合って意見を言うというケースも多々ございます。したがって、私は、それぞれ関係の各大臣が、これだけの重要な金融政策の点についてでございますから、各大臣の政治的なお立場でこれは判断すべき問題だというふうに思っております。  それから、議案の提出権あるいは延期権があるということでございますが、政府からの出席者には議決権がないわけでございます。それからまた、政府から出された意見というのは、議事要旨の中で当然公開をされる。したがって、例えばなぜこういう議案を提出するのか、あるいはまたなぜこの議案を延期しなければならないかということについては、これはその根拠が明白になるわけでございます。したがって、政府がそういうことをした場合には、事後ではありますが、国会であるいはまたジャーナリズムであるいは国民の場でその行動についての批判が当然出てくるわけでございます。  したがって、議決権はないので最終的な判断政策委員会の方が持たれておるということでございますし、また、その点についてもし政府が何か適切でないような行動をとったということになれば、当然そういうことが事後的にチェックできる、こういう機構になっておるのでございまして、私は、いろいろなバランス、諸外国の例等から見て、このような仕組みで特に問題になることはないのではないだろうかというふうに思います。  ただ、運用の問題が非常に重要であるということは私も感じておるわけでございまして、ひとつ関係の各大臣がそういった政治的な意味合いを持って適切な運用をされることを期待したいと思っております。
  39. 三木谷良一

    三木谷参考人 簡単にお答えさせていただきます。  私が先ほど陳述いたしましたときに、責任者は国務大臣に限ると申しましたのは、理由は、今御指摘の恒常化を防ぐ、こういうこともございますけれども、一つは、日銀の最高責任者は政策委員でございます、だからそこへ出ていって話をするのは、やはり政府側の最高責任者である大臣が出るのが当然であろうというふうな論拠でございますし、BOE、イングランド銀行では総裁と大臣が会う、こういうことにずっとなっておりましたし、ということでございます。  以上でございます。
  40. 北側一雄

    ○北側委員 終わります。
  41. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、谷口隆義君。
  42. 谷口隆義

    ○谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。  本日は、参考人の皆様には、大変お忙しい中、御出席を賜りましてありがとうございました。  本日、日銀法の改正の質問をさせていただくわけでございますが、御存じのとおり日銀法は五十六年ぶりの改正でございまして、その中の最大の眼目は、先ほど北側議員の質問の中にもございましたように、いわゆる日銀独立性の問題だというふうに認識いたしております。国際的にも通用する中央銀行、こういう観点で、独立性の問題と先ほどの透明性、こういう観点を外してはいけないというふうに考えております。  先ほど中北参考人のお話にもございましたように、イギリスの労働党はBOEの改革に乗り出すというようなことでもございますし、我が国中央銀行が国際的にも十分通用する中央銀行であらなければいけないという観点でひとつ質問をさせていただきたいと思います。  私は、先日、大蔵委員会がありました折に質問をさせていただいたことをまた重ねて質問をさせていただくわけでございますが、一九八五年にプラザ合意が行われて、我が国の貿易黒字を抑えるために内需拡大と円高誘導政策がとられた。内需拡大の一環として、五回にわたって公定歩合が引き下げられた、五%から二・五%に引き下げられた。三回目までは問題はなかった。四回目、五回目になって、マネーサプライが一三%増加したのに対してGDPが六%の増ということで大きな開きが出てきたということで、これが原因でバブルが生じたということであります。  この四回目、五回目の公定歩合の引き下げは、政府が外交の一環として引き下げ要求をし、日銀が嫌々これを引き下げたものだ、こういうように元日銀理事の方がおっしゃっております。バブル発生の原因は、日銀大蔵省に屈した形で公定歩合を引き下げた結果起こったというようにおっしゃっておるわけでございます。  このようなことに関しまして、三木谷先生にお 聞きしたいのですが、日銀独立性でございます、今私が申し上げましたような政府大蔵省日銀との関連における独立性について御見解をお願いいたしたいと思います。
  43. 三木谷良一

    三木谷参考人 陳述の中に申しましたように、今回の法案では、法的には金融政策独立性政策委員会決定できるような仕組みになっておるというふうに考えます。ただ、あとは運用でどれだけ、これは金融政策決定についてでありますけれども、やるかということは重要であろう。いわゆるフレームワークがあっても、それを動かすのは人でありますから、その人が、どういう人が政策委員になってやるかということは決定的に重要である。  先ほど透明性の話がありましたけれども、現在の日銀の体制でも透明性を高めようと思えばできるわけで、可及的に今からすぐでも透明性を高めるようにするべきであろうというふうに思います。  バブルのお話がございましたけれども、当時、日銀マンの中にもこれはおかしいということを考えた人はたくさんいたわけです。ところが、私思い出しますけれども金融学会で日銀の方が報告したときに、今、インフレでないと。つまり、物価指数を見ていますとインフレでなかった、株とか地価は上がってきましたけれども。これでいいのかというのは、この当時、金融学会で共通テーマでやったときに、いや、それでいいんだというお話でありました、日銀の方は。ということで、我々は大いに反論したのですけれども。  ということで、先ほど申しましたように物価の安定、フローのGNPデフレーターとか消費者物価安定だけであるということになると、今言ったように、物価は安定している、だからいいんだ、こういうふうに悪用されることもあるので、私どもは通貨価値の安定ということを申し上げたわけであります。  以上でございます。
  44. 谷口隆義

    ○谷口委員 そうしますと、今回の日銀法の法案が成立した暁には、私がさっき申し上げました、失敗といえば失敗、バブルが発生した原因が独立性に問題が奉ったというようなことは阻止できる、阻止できると言ったらちょっと表現が悪いですが、そういうような牽制的な働きができるというようにお考えだと認識してよろしいのでしょうか。三木谷先生にお願いします。
  45. 三木谷良一

    三木谷参考人 神ならぬ身で保証はできませんけれども、できるだけ透明性を高め、いろいろな方々、一般の国民を含めまして、学者、研究者あるいは国会先生方意見を大いに申し述べ得るというような体制になれば、私はかなり阻止できるのではないかというふうに思っております。
  46. 谷口隆義

    ○谷口委員 今、答弁の中に、日銀目的が今回物価の安定ということになっておるが、これは通貨価値の安定というように考えるべきであるというような御発言がございました。  物価の安定といいますと国内物価が中心になるわけでありまして、為替相場については、御存じのとおり今回は政府の専管事項というようになっております。先ほど先生のお話を聞いておりますと、アメリカではFRBもできるしニューヨーク連銀もできるというように、デュアルシステムというのですか、先生が今おっしゃるのは、要するに日銀も介入ができるようにすべきであるというように、私はそういうように受け取ったのですが、これについて、利益相反が起こるから通貨価値の安定とはしないというような意見があるわけでございます、これは答申の理由書でそのようになっております。  私自身も、日銀も為替介入権を持つべきであるというように考えておるところでございますが、通貨価値の安定ということになりますと、対外価値まで含めて、また資産価値まで含めてというようになるのだろうと思いますが、この点について、先ほど福川参考人もそのようなことにちょっと触れておられたと思いますが、三木谷参考人また福川参考人に、物価の安定ではなくて通貨価値の安定というようにすべきだという意見に対して、御見解をお願いいたしたいと思います。
  47. 福川伸次

    福川参考人 中央銀行目的と為替介入の点でございます。  もちろん通貨価値と申しますと、対内価値と対外価値ということになるわけであります。その中で、物価の点に関しましては、この前のバブルのときの経験もそうでしたけれども、比較的卸売物価は安定している、しかし土地だとか株だとかそういう資産価値が非常に上がってしまう、こういうようなときに、物価の安定というときにどういうふうに考えるかというのは一つの問題でございまして、したがって、これから日本銀行中央銀行物価の安定を考える場合には、そういった資産価値の動きについても十分配慮すべしということが中央銀行研究会においてもあるいは金融制度調査会の中にも特性織り込まれているわけでございます。  それで、為替の点でございますが、物価は安定していても、為替が例えば非常に投機的な動きをするということは往々にしてあり得るわけでございまして、したがって、そのときに介入した場合にまた別の、利益相反と今先生おっしゃいましたが、そういった状況が出てくることは考えられるわけでございます。  しかもまだ、諸外国においては、為替の安定ということになりますと、G7の各国政府が原則として協調していく、こういうことに相なっているわけでございますし、為替介入は当局市場に対してシグナルを送るものでございますし、言ってみれば非常に一時的な危機管理に対応していくということでございますので、私は、個人としては二元的な介入よりは一元的な介入ということの方が効果が大きいのではないかというふうに考えております。したがって、中央銀行研究会のときにおきましても、為替介入はむしろ一元的な対応が好ましいということに私は賛意を表した次第でございます。
  48. 三木谷良一

    三木谷参考人 その目的のところの物価と通貨価値の安定とこの二つでございますけれども、我々、通貨価値と言った場合には、フローのGNPデフレーター、消費者物価というもののほかに国内での資産価格とそれから対外的な価値。それで中央銀行は何をすべきかというのは、その中央銀行の負債であります円通貨円の価値を維持するということであります。だから、円は何も消費財だけを買うわけでは、それは一番大きいわけぞすけれども、買うわけではなしに、資産も買いますし、あるいは外国に行って外国のものを買ったりあるいは旅行したりするということで、包括的な通貨の価値というふうに述べたわけです。もちろん我々としては国内のフローの物価というのは一番重要であるということであります。  それから、為替介入については、デュアルと申しましたのは、先ほど一元化がいいということ、私もその点は効果的というと一元化がいいというふうに思いますけれども、非常に激動します為替市場で、機を逸せずに、いわゆる先ほど申しましたスムージングオペレーションということをやろう、ある程度投機家の出ばなをくじくということも重要ではないかというふうに思うわけで、そういうときには、もちろん政府との密接な情報の交換のもと日本銀行のイニシアチブで為替介入に日銀も介入できるという余地を残しておく方がいいのではないかというふうに思うわけです。
  49. 谷口隆義

    ○谷口委員 これも三木谷先生がおっしゃっていたと思いますが、為替介入の資金政府短期証券、FBで調達する。これは、市場で調達できない、非常に低金利ですから。政府の方はそれの方がいいわけでございます。安易に調達できるといえば調達できるわけで、このような調達方式に対して批判も多いわけであります。  一般の市場金利で調達したらどうかというような話があるわけでございますが、これはもう今三十兆を超えるような残高になっておるというようなことでございますが、これは、まさにある意味では、財政の下請化を日銀が請け負っておる。その日銀の収益は、先ほどおっしゃっていらっしゃいましたように、通貨発行益でありますね。先生 のお話を聞いておりますと、低金利の金利補給の分は、本来国民に帰属すべき通貨発行益を流用しているのではないか、こういうような意見でございました。このあたりは、日銀独立性の問題にもかかわることだと私は思っております。  こういうような財政の下請化と言われることをやはりやるべきではないのではないかというように思うわけでございますが、三木谷先生ばかり答えていただくのはあれなので、もう一回福川先生、中北先生お二人にお聞きいたします。
  50. 福川伸次

    福川参考人 今の御指摘は、外為証券などを日銀が引き受けるということで財政の下請化になるのではないかという御指摘でございまして、今は確かに、ある程度この残高が増加はいたしております。  これが財政の規律をゆがめるのではないかという御指摘があることはございますが、今までは、為替のいろいろな動きから見て、そういう形での介入資金が行われたわけでありますが、これから円高がずっと続くのか、あるいはまた円安もあり得るのか、いろいろな要素がございます。  したがって、私は、特にこの外為証券の残高がある程度高まっていて、これが根雪のようになっているという御指摘がございますが、今のところ、それが財政の規律を損ねるというところまでにはまだ至っていないのではないかというふうに考えております。  したがって、そういった財政の規律の問題というのは、これはいろいろこれから財政再建その他の過程の中で議論をされるべき問題だというふうに思っておりますが、今までのところ、この外為証券、短期で引き受けたものがあるために根雪になって財政の規律を損ねたとか、あるいはその場合に、日銀が財政の下請になっているという弊害が出ているというふうには、私は考えておりません。
  51. 中北徹

    中北参考人 私は、先ほど冒頭で、今のヨーロッパ、欧州では一つの標準ができ上がっておる、それにもういや応なくそろえていかざるを得ないのがマーケットの論理だということを申し上げたつもりでございますが、今EUでは、ほとんど例外なく政府の債務を中央銀行が引き受けることを禁止している。これが世界標準というか、世界の大きい流れであります。  そのような流れの中で、今この問題がここで取り上げられるということは大変私は結構なことだと思うのですが、これまでこの日銀法の改正の議論の中では、余りこの問題というのは表面に出てこなかった。  特に、一方で今財政再建の問題があるときに、財政法の歯どめという問題がクローズアップされているわけですが、特にこの短期の政府債務の引き受けという問題も、こちらの方もきちっと栓をしていただかないと、一方で栓をしてもこちらの方で全部筒抜けになってしまうという問題があるのではないかというふうに私は思います。  それから、財政とのかかわりも出ますが、これもやはり外為特会、特別会計でございますので、やはり今問題になっておりますように、一体実態はどうなっているのか、それは介入のときにはいろいろ事情はあるかもしれませんが、事後にもう少しディスクロージャーをして、そして金額も非常に多いようでありますので、やはり規律というものを、そちらのサイドから、法的にもディスクロージャーの面からも高めていく、それが行く行くは中央銀行の、先生おっしゃる独立性、そして透明性を高めていくゆえんではないかというふうに私は考えます。
  52. 谷口隆義

    ○谷口委員 ありがとうございました。  次に、佐伯参考人にお聞きしたいのですが、御存じのとおり、今ビッグバンが二〇〇一年三月を目途として進んでおりまして、順調にまいりますと来年の四月から外為法の自由化が始まる。そうしますと、銀行業界を取り巻く環境が大変厳しくなってくる。先ほど市場のお話をされておりましたが、先日、大蔵省の証券局長が、市場をとるのか業界をとるのかといえば、私は市場をとりますというような発言があったと聞いております。そのように、極めて国際競争の中にさらされる、大変厳しい状況にある。  そういうふうな状況を踏まえて、九五年の七月に榊原さんとサマーズさんが合意をした。これは、当時は急激な円高になっておりまして、八十円を割るというような円高になっておりました。それで、榊原・サマーズさんのこの合意があって、その後、超低金利になったわけでありますね。これがずっと続いておりまして、ことしの七月にはもう二年になるわけで、もう一年半を過ぎた。極めて異常な金利がずっと続いております。  この超低金利が続いておる一つの原因は、金利を上げると、業界、我が国産業界も大変厳しい状況にあるということもありますが、不良債権を抱いておる金融機関の収益性が極めて悪くて、金融破綻が起こる可能性さえあるということで、先ほどプラザ合意の話をさせていただきましたが、それと質的には同じようなことになるのでしょうか、影響を受けておるのではないかというように巷間言われておるところでございます。  このような観点で、佐伯参考人に、日銀独立性ということについて一言御見解をお願いいたしたいと思います。
  53. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  低金利政策銀行の救済ではないかというふうなお話でございました。いろいろ御意見はあるかと思いますが、私どもは、もう金利は自由化されておりまして、金利水準自体は、したがってマクロの景気の動向とかあるいはさまざまな要因を反映して決まっているものだというふうに解釈をしております。物価の安定を通じて国民にとってメリットがあるという面もあるわけでございまして、しかしながら一方では、先生が御指摘ございましたように、この金利によって被害といいますか、低金利によって被害を受けておられる方がたくさんおられるというのは、大変心苦しく思ってはおります。ただ、日銀独立性云々で、日銀政府からあるいはそういう指示を受けてこういう金利が出ているというふうには私は解釈はしておりません。  大変僭越でございますが、以上でございます。
  54. 谷口隆義

    ○谷口委員 もう一点、佐伯参考人にお聞きしたいのですが、考査の問題でございます。日銀考査が、従来は法的根拠がなかったわけでありますが、今回は法的にも明確に打ち出されたということでございます。今、銀行業界では、日銀考査銀行局の検査と、まあ証取法に基づく監査法人の監査もありますが、検査と考査の間で、冒頭お話しなさったときに、負担の軽減ということをおっしゃいました。私もそのように思うわけでございまして、大蔵当局日銀当局がお互いに調整をし合いながらやるべきではないかというように思っております。  また、今回、任意契約ということでなっておりまして、これは、そういう意味では必ずしもこの日銀考査を受ける必要がない、こういうように表面的には、表面的にはと申しますか、とらえられるわけでありますが、このような任意契約の件、また、今は日銀考査はある程度、三年に一遍であるとか五年に一遍であるとか、そういうサイクルでやられておるようでございますが、私は近年、ことし、来年あたりは大変厳しい状況になるのだろうと思いますが、そうすると、極めて弾力的に日銀考査も行わなければいけないのではないかというように考えておりますが、このような観点について御見解をお願いいたしたいと思います。
  55. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  幾つかありましたから抜けたら失礼でございますが、最初に、今度は任意になるから任意で結ばないところが出たらというお話がございましたけれども、私はそういうことを余り考えていなかったのですが、そういうことをしたときに、じゃ、何といいますか、信用の面で自信があるから拒否したのか、それとも見られると困るから拒否したのかというようなことで、非常に受け方が難しいのかなと思います。ちょっとただいまのその任意 の問題に対する対応についてはお答えを持っておりませんが、むしろ、契約を結ぶということで、どういう考査を受けるかというその中身の問題が大事なんではないかなというふうに思います。  それから、期間の問題は、長い、短い、いろいろありますけれども、先ほども陳述の中で申し上げましたように、今後は、したがって、そういう検査あるいは考査の成績が高いところについてはインターバルを延ばすとか、低いところは回数をふやすとか、そういう形で解決をしていくものではないかなというふうに考えております。
  56. 谷口隆義

    ○谷口委員 ありがとうございました。  もう時間が参りましたので最後の質問にしたいと思います。福川参考人にお聞きしたいのですが、先ほどお話をされていらっしゃいましたように、中銀研に入っていらっしゃるということでございますね。中央銀行研究会のメンバーである、座長代理をなさっておられますね。それで一これは金制調でございますが、金制調の議論の中で、これはマスコミにも出ておったのですが、大蔵大臣による一般的監督権をめぐる議論では、多くの金制調の委員から監督権は不要という意見が出たのに対し、大蔵省側が、日銀国会や内閣から完全に独立した存在ではあり得ないというような法律論を盾に押し切るなど、日銀独立性をめぐって激しい綱引きが繰り広げられた、また、予算の認可権を廃止するかどうかという問題では、大蔵省が、廃止は憲法に違反するおそれがある、憲法改正まで踏み込むのかというようにやり返すなど、生々しい議論のやりとりがあったというように報道されているわけですが、中銀研においては、その議論の内容がちょっと私わからないのですが、どのようなやりとりがなされたのか、御見解と申しますか、そのような状況報告お願いしたいと思います。     〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
  57. 福川伸次

    福川参考人 今御指摘のような金融制度調査会での議論は私は承知をいたしておりませんが、中央銀行研究会におきまして、政府中央銀行との関係をどのように考えるべきかという点は、確かにいろいろ議論がございました。しかし、大蔵省日本銀行中央銀行研究会の前でやり合うというような事態はございませんでした。むしろ委員の間で、どの程度が、どの辺が適当であるかということが議論になったわけであります。  その結果、私どもの方では、予算などについて公的なチェックが必要であるという形に一応意見を集約したわけでございますが、その際に一例えば予算の認可などに関しまして、果たしてどういう形態が一番好ましいのかということでございました。しかし、この日本銀行という性格から考えて、先ほどの通貨発行権から収益が生ずるということから見れば、やはり何らかの公的チェックが要るだろう。それからまた、株式会社などと違って、やはり経営の効率化という点から見ると何らかの形でのチェックが必要である。株式会社ですと株主総会等でチェックされるわけですが、こういう認可法人という形になりますと、そういう点についてのチェックの仕組みがやはり必要であるだろう、こういうことでございまして、この公的性格から見て、公的なチェックが必要であるということでございました。  それをどのように具体化すべきかという点については一むしろ金融制度調査会あるいはそれ以後の法案審議にお任せをすることにして、私どもとしては、むしろ考え方としては何らかの公的チェックが必要であるということに集約をいたした次第でございます。
  58. 谷口隆義

    ○谷口委員 ありがとうございました。  これで質問を終わらせていただきます。
  59. 保岡興治

    ○保岡委員長代理 次に、川内博史君。
  60. 川内博史

    ○川内委員 民主党の川内博史でございます。  本日は、大変にお忙しい中を参考人の皆様方には足をお運びをいただいて、御意見をいただけるということを、まず御礼を申し上げさせていただきます。  私には二十分しか時間がございませんので、早速質問に入らせていただきます。  二十一世紀は、大変なグローバルコンペティション、最近片仮名の言葉がはやるわけですけれども、あるいはメガコンペティションと言われておるようでございまして、世界じゅうを企業やらお金やらが有利な条件を求めて動き回るという時代になるそうでございます。そういう意味では、日本銀行というのは、日本国内においては唯一の中央銀行として競争相手がないわけでございますけれども、しかし、グローバルなマーケットで考えますと、それぞれの国の中央銀行とそのマーケットからどのくらいの信頼を受けているかという点において競争にさらされるということになると思うのですね。そういう意味で、グローバルスタンダードが中央銀行にとっても大変に大事だという議論につながっていくのだというふうに思います。  最近、イギリスで政権交代がございまして、トニー・ブレアという大変に若い首相が誕生をしたわけでございますけれども、その誕生したばかりの新政府大蔵大臣が、英国の大蔵大臣が、イングランド銀行に対して、金融政策委員会を設置をして中央銀行独立性をもっと高めなさいというふうに指示をしたということを聞いております。  今回の日銀法の改正によって、日本中央銀行がどの程度グローバルスタンダードに基づくようになったのか。独立性の問題とかいろいろな点が巷間指摘をされているわけでございますが、まず、どのように評価をされていらっしゃるか、各参考人の方々にそれぞれ御意見を承れればというふうに思います。
  61. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  大変難しい問題で、中央銀行信認度をどういう尺度ではかるかというのはいろいろあるかと思いますが、例えば金融政策決定独立性あるいはプロセスの透明性、そういうもので各国中央銀行を比べれば、あるいは同時に、金融政策が、金融機関への貸し出し等が選択的に行われていた時代から、公開市場操作といういわゆる市場参加者取引を通じたマーケット調整ということで行われるようになっておる、そういう三つほどの面から見ますと、十分信認度を持って見られるのではないかというふうに思います。  金本位制であれば金の量とかあるいは発行限度制ということでありますけれども、今回無制限になったわけですから、これで円の安定が図れるということが行われれば、まさに名実ともということになるのではないかと思います。  以上でございます。
  62. 福川伸次

    福川参考人 日銀独立性を、諸外国の中央銀行独立性のグローバルスタンダードから見てどう考えておるかというお尋ねでございました。  私は、今回の措置を見ますと、諸外国でもいろいろそれぞれ歴史、伝統があって、必ずしもグローバルスタンダードというのできちっとしたものであるかどうかという点については、なかなか評価が分かれるところではあろうかと思いますが、日本のこれまでの憲法あるいは政治、行政のあり方から見ますと、今回とられた措置というのを見ますと、私は開かれた独立性を保障する上で大変な前進ではないかというふうに思っております。  引用なさいましたイングランド銀行ですが、御承知のように、金融政策委員会、マネタリー・ポリシー・カウンシルというものを設置いたしまして、今まで金融政策に関します権限は大蔵大臣が持っておりましたものを、その委員会に移管をする。そのほかいろいろ公開するというようなことでございましたが、私は、全体として見ると、日本の今回のこの措置というのは、国際的に見て独立性確保に遜色のない形のものになっているのではないかというふうに認識をいたしております。
  63. 三木谷良一

    三木谷参考人 中央銀行も他国の中央銀行とグローバルスタンダードの上で競争する、まさにそういう時代になると私は思います。  今度の改正法案で具体的に申しますと、先ほどFBの話が出ましたけれども、これを市場金利で 借りていない、市場で流通しない、このことが私は東京金融市場の一つ大きな阻害要因になっているのではないかと考えます。もし自由化して流通すれば、円の通貨を持ちたいという諸外国もいるし、そういう外国の人もいると思います。そうすれば東京金融市場が非常に活性化する。それからの利益というのは、多少政府が公定歩合より安い金利で借りている、わずかなと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、その盆よりも日本経済に対するベネフィットははるかに大きいのではないかというふうに私は考えます。  それからもう一つは、余り規制をやりますと、今までもそうであったわけですけれども日本金融機関金融イノベーションの熱意ですね、イニシアチブもとれないということになるということであります。だから、今度の法案と比較すべきは、アメリカの連邦準備法とか新しいヨーロッパの中央銀行法、おっしゃるようにグローバルスタンダードで比較すべきであるというふうに考えます。  以上です。
  64. 中北徹

    中北参考人 繰り返しになるかと思いますが、私ももうグローバルスタンダードの競争の時代に完全に入っているという認識でございます。  もしこちらの部屋に十人人間がいて、八人、九人がある基準を、一定の基準を任意で使い始めたら、そうしますと、残った一人、二人というのはもうそれで意思疎通ができないわけです。訴えることはできないわけです。そのような世界基準を競争を通じて競り合いながらつくり出す、そういう時代に入っているという認識ではないか、その点は先生の御指摘のとおりだと思います。しかも、それは単にビジネスの世界だけではなくて、中央銀行もそして財政も競争し合う時代に入っているということがまさに先生御指摘のとおりだというふうに思っているわけであります。  ドイツの連銀は、これは世界で一番独立性が強いとごく最近まで言われてきたわけでありますが、あの欧州通貨当局は、これはまだまだいろいろ問題があるということで注文をつけて法改正を要求したわけであります。その後、今回日本銀行のこの法案改正されるわけですが、ちょうどこの審議の途中にブレアさんのイニシアチブのもとでこのような改革というのがまたイギリスの方で打ち上げられたということで、まさにもう競り合いの競争に入っておる。  ですから、全く一国の事情だけで、独自の基準というのは、それは主張したいのはやまやまですが、それはオープンな基盤の上に立って独自性というのを主張する時代ではないか。それに勝ち抜けないものは、もうそれは競争の原理であって、それのみを主張するのであれば、私は、空洞化の時代に入ってしまう。  ですから、そのような観点で考えますと、政策委員会、その審議事項をオープンにするという点では私は大変な御努力と成果はあったと思いますが、ほかの点に関しまして言うならば、まだ相当世界基準から開きがあるという認識であります。
  65. 川内博史

    ○川内委員 大体四人の参考人の中で二対二に評価が分かれたのかなというふうに思っております。  実は、私は、一昨年ですか、皆様方に大変な御迷惑をおかけいたしました大和銀行に勤務していたことがございまして、ニューヨークに行けと言われたのを、僕はドメスチックな男なのでちょっと無理ですということでお断りをして、今こういうことをしているわけでございます。  銀行におりますと、偉い人たちは大蔵省さんやら日銀の方々に大変気を使うわけでございますね。やれ大蔵省の検査が入るとか、あるいは日銀考査が入るとか。私は、集金かばんを持ってお客さんのところへ行って、札勘定をして、あるいはいろいろな資産の運用の相談に乗って忙しいのに、何でそんな大蔵省向けの書類をつくらなきゃいけないのかな、あるいは日銀向けの書類をつくらなきゃいけないのかな。まだ大変若かったですから、事情が全然わからずに、そういう不満を持っていたわけです。  今回の日銀法の改正を見ておりましても、結局、財政と金融を分離すると言いながら、しかし大蔵省のある程度の関与が残る。最終的に金融政策についてだれが責任をとるのかということに関して非常にわかりにくい部分が残ってしまっているのではないかなという気がするのですね。金融政策がもし失敗した場合にだれが責任をとるのか。  多分、大蔵省は、それは政策委員会が間違っておったんだと言うでしょうし、日銀政策委員会の方にしてみれば、いや、大蔵省さんも経企庁さんも政策委員会に出ておるじゃないですかという言い方で、お互いに責任逃れをするでありましょう。  やはり、わかりやすいという意味では、最終的な責任の所在をどこに置くかということが一番大事だと思うのですけれども、この点に関して、もう一度、各参考人の方々にそれぞれ御所見をいただければと思います。
  66. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ただいまの御質問のお答えになるかならないか、ならないかもしれませんが、責任の意味でございますけれども責任をとる段階ではもう既に結果が出ているということで、恐らくとりようがないといいますか。  ですから、その決定をする過程、あるいは結論を出す段階をはっきり表に出して、それでマーケットの評価を仰ぐという形が今回の日銀法の趣旨ではないかなと思います。責任のとり方というのはそういうことではないかと思います。
  67. 福川伸次

    福川参考人 金融政策責任は、私は、中央銀行と申しますか、日本銀行がとるべきものだというふうに考えております。  今回の改正で、もちろん人事権あるいは予算の点についての政府の関与はございますが、金融政策そのものに関しましては、日本銀行政策委員会強化を通じて責任を持って金融政策実施するということでございます。  もちろん、責任というのが何であるのかという責任をとる態様についてはいろいろ御議論があろうかと思いますが、私は、金融政策が例えば失敗したとかいうような問題がもし起こった場合には、日銀政策委員会決定、あるいはまたそれを実行いたします中央銀行そのものが責任をとるべきものだというふうに思っております。  そのためには、今回の改正案が仮に成立いたしました暁にどういう形で日本銀行がこの法律を執行していくのか、運用の問題が非常に重要になってくるように思います。したがって、こういう新しい改正案がうまく運用できて、グローバルスタンダードに沿った信認グローバルマーケットから得られるかどうかという点については、私は、これからの運用にかかっている面がかなりまだあるというふうに思っております。
  68. 三木谷良一

    三木谷参考人 難しい問題でございますけれども、アメリカでは、御存じのように、FED、連邦準備のボードのメンバーは大統領が任命する、ボードの責任は国民に対してある、それは議会を通して責任をとると明瞭に規定してございます。それがチェック・アンド・バランスになっているわけです。  それから、イギリスの場合には、私は専門家ではございませんけれども、議院内閣制、日本にやや似ております。今度の五月六日のブレアのレターにもございますが、BOE、イングランド銀行に対して、議院内閣制のもと政府がゴールを与える、インフレ率を何ぼでやれ、こういう任務を与える。それを達成できないときには、それはBOE、イングランド銀行責任である、こうなるわけであります。  日本の場合はどうか。それを類推いたしますと、政策委員政府が任命するわけです。しかし、インフレ率を何ぼにせよとか、そういう細かいことはやっておらないわけです。しかし、金融政策に失敗をすると、そういう失敗をした政策委員を選んだという責任は、それを任命した政府にあるというふうに私は考えます。  私は経済をやっておりまして法律はわかりませんけれども、常識で考えるとそういうことになる のではないかというふうに考えます。
  69. 中北徹

    中北参考人 だれが責任をとるかという川内先生の御質問、これは最も重要な御質問だというふうに私も思います。  言葉は大変悪いのですが、首をとれば責任をとった、とらせたという議論、私は、もうこのコンテクストではないというふうにはっきり申し上げたいというふうに思います。  問題は、やはり、その任に当たった当事者が、そこで集められる情報を誠心誠意、精いっぱい分析をして、そして透明性維持しながら国民との情報開示の中で精いっぱいの政策を行う。しかし、その結果、もし運悪く政策の失敗が起きたとしても、それは、事後において、その開示された情報なりデータなり意見を通して客観的にチェックできる、さかのぼることができるということが私はキーポイントだというふうに思っております。  客観的にチェックできるからこそ、自分たちの失敗を率直に認めて、プロフェッショナルが理論をまた彫琢し、また反省点を具体的に指摘し、システムの改善を行う。このようなフィードバックを行うことが、私は、これこそ歴史、そして社会の進歩ではないかというふうに思うわけであります。  冒頭に申し上げましたように、プロであるセントラルバンカーにぜひ頑張ってもらいたいというふうに私は思いますが、だからといって絶対に失敗しないとは私も全く思っておりません。問題は、失敗したとき、それが率直に開示されていて、全知全能を傾けながらいろいろ改善努力をしていくという点ではないかというふうに思います。  簡単に言いますと、今はやりの言葉ですが、コーポレートカバテンス。日本銀行も基本的には民間の金融機関です。ここは普通、株主総会はありませんので、変則的ですが、民意を代表していらっしゃる先生方、つまり国会を通してこのコーポレートカバテンスを貫徹していただくというのが、開かれた日銀、そして中央銀行独立性の議論の本質ではないかというふうに私は思っております。  その意味で、早急にこの国会に格式の高い金融委員会を設けていただいて、そして日銀の当事者との間で大変詰めた議論を、しかし、それは別に法的に強制するという話では必ずしもなくて、実質的な論議をしていただいて、国民に情報生産をしていただきたいというふうに私は思っております。
  70. 川内博史

    ○川内委員 時間が参りましたので、ここまでとさせていただきます。  本日は大変お忙しい中、参考人先生方、ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。
  71. 保岡興治

    ○保岡委員長代理 次に、佐々木憲昭君。
  72. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  大変貴重な御意見を先ほどから賜っておりまして、本当にありがとうございます。十分間ですので、端的にいろいろと御質問させていただきたいと思います。  現行日銀法は、戦時体制下、昭和十七年、一九四二年に制定をされたものでありまして、その手本になったのが、当時のナチス・ドイツのライヒスバンク法というものでありまして、大変戦時立法的な色彩が濃厚なものでございます。したがいまして、これが戦後長い間放置されてきた、このことが現在問われているというふうに思うわけでございます。  この改正は当然でありまして、その眼目は、やはり政府大蔵省からの自立性、独立性をどのように確立していくか、こういうところにあるのだろうというふうに思います。それは、戦後の日本金融政策の中で、大蔵省あるいは政府からのさまざまな干渉のもとで、日銀の専管事項でありますさまざまな政策の中身が介入を受けてゆがめられて、そのことが日本経済の健全な発展にとってマイナスの影響を受けた、こういう体験上からも、その自立性、独立性というものが非常に重要だというふうに思うわけであります。  そこで、各参考人にまずお聞きをしたいわけですけれども、五年ほど前に世界銀行が、エコノミックレビューの中で、政府からの独立の順位を出したことがございまして、この中で、二十一の先進国中で日本の順位は十九番目、下から三番目であった、このように評価されたことがございました。  政府から出されました今回の日銀法改正案、この案によってどの程度の順位まで上がるものか、この点について、それぞれ、これは個人的な御見解で結構ですけれども、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。     〔保岡委員長代理退席、坂井委員長代理     着席〕
  73. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 私は、その調査自身をちょっと記憶しておりませんので何とも申し上げられないのですが、だから順位が何位という数字では申し上げられませんけれども、今回の日銀法の法改正で、中央銀行研究会報告金融制度調査会答申に述べられていますように、金融政策独立性、それから政策運営透明性確保という点に重点が置かれて、これはイギリスあるいはドイツ、アメリカ並みに上がったというふうに認識しております。  それからまた、人事、予算の独立性強化されておりますので、アメリカ、イギリスが何位にありますか知りませんけれども、恐らくそれと同じぐらいの地位にあるのではないかというふうに考えております。
  74. 福川伸次

    福川参考人 私も、この十九位が何位に上がるかという点については確たる数字を申し上げる立場にはございませんが、私は、今回かなり改善をするのではないかというふうに思っております。その場合に、制度として私はグローバルスタンダードに即したものになると思っておりますが、これからこれを本当に実際に運用をしていく場合に、金融政策もいろいろな局面を総合的に判断をしていかなければならないわけでございますし、これを本当に実のあるものにしていくのには、今後の運用の面にかかっているところがあるということでございます。  したがって、制度から見ると私はグローバルスタンダードに来ていると思いますが、それが本当に何位になるかはこれからの日銀の決意と努力によるところが大きいと思っております。
  75. 三木谷良一

    三木谷参考人 独立性インデックスということだと思いますけれども、学者の方で、多分これはサマーズがやったと思います、そのほかにも幾つかこういう研究がございまして、日本はかなり下でありましたが、そういうインデックスをつくる場合に法律上のことを中心にやりますので、多分がなり上がるのではないか。先ほどお話がございましたけれども、やはり実際に運用してどうなるかということは、またこれも一つの別の問題でございますので、そちらの方に期待したいと思います。  ただ、任期も一つの要素になっておりますけれども、任期については、五年というのは私はやや短いのではないか、やはり七、八年の方がいいのではないか。短い方がいいという御意見先生方の中にあるかと聞いておりますけれども、そういうことだと思います。
  76. 中北徹

    中北参考人 佐々木先生のただいまの御質問に対しては、後で資料を、アカデミックな論文等のコピー及びサマリーを、可能でしたら委員会を通じてお出しさせていただきたいというふうに思います。  ポイントは、くどいようですが、抜きつ抜かれつの時代に入っている、その点であるという点。もう一点は、この日銀法改正をしていただく流れの中で、実は静かに哲学の大転換が今起きているのではないか。つまり、先生は先ほど昭和十七年とおっしゃったわけですが、私どもの野口悠紀雄先生がおっしゃるように、昭和十七年体制からの決別というものがまさにここでシンボリックに行われているということではないかというふうに思 います。  ですから、これまでは、よくも悪くも、考え方は、金融、財政は一体なんだ、これがいいという考え方で経済学者も含めて来たわけですが、時代が非常に流れが変わってきて、やはり日本も、政府も含めて、もっと開かれている時代だ、その一歩として中央銀行が財政当局からしっかり独立する、そういう観点がやはり重要ではないかというふうに思います。そのような位置づけの中でこの問題を探っていくことだというふうに思います。
  77. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 もう時間も余りありませんので、三木谷先生と中北先生にお伺いをいたします。  日銀に対する内閣の関与の問題でありますけれども、先ほども憲法六十五条との関連で御見解をお聞かせいただきました。人事と予算を内閣が握るのが最低限必要であるという議論もあると思いますけれども、今回、学者グループの三木谷先生のところでお出しになりましたこの意見書の内容を拝見いたしますと、人事の面で政策委員会委員と総裁の任命権を内閣が保有すれば違憲の問題はない、こういうふうな御見解であるというふうに読ませていただきましたが、この点について、つまり、憲法上完全な独立はあり得ないということは私もそのとおりだと思いますが、日銀をぎりぎり最大限独立させようとするならば、その限度はどの程度、どこにあるのか、この点についてぜひ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  78. 三木谷良一

    三木谷参考人 甚だ残念でありますけれども、私は経済の方を勉強しまして、法律が嫌いなもので経済学部に行きましたので、憲法上、法律上どこまで自由にすれば合憲であるかということは私はわかりませんので、ぜひ、その問題を先生方のイニシアチブで明らかにすることは重要ではないかというふうに思います。  というのは、この問題は、アメリカで歴史的に、合憲かどうかというのが十八世紀、十九世紀に議論されました。つまり、バンキングの許可権、監督権というのは、政府が持つのかもう少し州がいいのかということは裁判所で争われました。それから、ドイツも御存じのようにこの前、欧州通貨同盟に加入するために、合憲かどうかは議論されましたので、ぜひ議論をしていただきたいというふうに思います。
  79. 中北徹

    中北参考人 私も、今、三木谷先生おっしゃいましたように、その中身、サブスタンスそのものも重要ですが、やはりそれを議論していく過程が極めて重要だというふうに思っております。  つまり、一言で言いますと、私は経済学者の立場でありますが、しかし、今回のこの法改正の手順を見ておりますと、キーポイント、つまり憲法の解釈はやはり国民がつくっていくことだというふうに強く感じました。政府から独立するこの問題を政府の中で議論していても、私は、はっきり言ってらちが明かないというふうに思っているわけであります。やはり外へ出てきてきちっとした形で議論していただきたい。特に、はっきり申しますと、内閣法制局というのは一つの立場であって、必ずしもそれが国民全体の有権的な解釈を決定するものではないのではないだろうかという声が大変強くなってきております。  そのような時代に、開かれた中央銀行ということを掲げながら、しかし、中央銀行研究会、そして金融制度調査会での議論が、国民が十分その議論の中身を追跡できないまま静かに密室の中で行われて、それで出てきたものが非常に国民の多くの考えでいたものと違っているのではないかという声もかなり出たことは事実ではないかというふうに思うわけであります。  そのように考えますと、私は、そういった問題を議論していくプロセスこそ重要であるというふうに思います。  あと一点つけ加えますと、中央銀行金融政策に関しては、アメリカといえどもかなり情報開示が進んでいる。一定の期間が置かれますと開示されます。それから、もっと開示されるのはいわゆる金融行政でして、レギュレーションズというのをつくるときには、外国銀行も含めて、全部、ドラフト、案を関係者が平等に見られるような形で意見、コメントを聴取して、そして公開の場でつくっていく。そういう手続こそ重要ではないかというふうに私は考えております。
  80. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  81. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 次に、吉田公一君。
  82. 吉田公一

    吉田(公)委員 太陽党の吉田公一でございます。きょうは、大変御苦労さまでございます。  先ほど来からお話がありますように、今度の日銀法改正ポイントは、独立と透明性ということでございます。したがいまして、独立性を強く求められれば求められるほど、日銀の社会的な責任、そしてまた、透明性を通じて信頼を得なければならないということは当然だと思っているわけでございます。特に、今日、低金利政策が行われておりまして、金利については経済界や産業界だけの問題ではありませんで、国民一人一人にとりましても金利というのは大事になってくるわけであります。  そういうときに、国民生活の安定ということが日銀の大きな目的の一つでありますが、片方、個人にとりましては約一千二百兆円という個人資産が各金融機関に預金をされている。したがいまして、金利が下がるということは国民生活にとっても大事なことである。また、社会問題化いたしております老後の生活にとっても大事な話。その低金利政策を、例えば、低金利政策というのはもう今の経済状況に合わないというときに、日銀の専決事項ということで退けられてしまうということについて、いわゆる日銀の自主能力といいますか、そういうものを維持していくのは結構なのですけれども、サジェスチョンを与えるような、助言を与えるような、そういう機会というものは持っていなければならぬ、こう思うのでありますが、民間の金融機関のお立場であります佐伯会長さんは、その点、どういうふうにお考えでございますか。  そしてまた、金融機関の社会的な責任というものも重要になってまいります。特に、住専問題等で金融機関の社会的な責任ということが強く問われたわけでありますけれども、その点について佐伯参考人さんにお尋ねをしたい、そう思っているわけです。
  83. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ただいまの御質問、二つほどあったと思いますが、お答えいたします。  最初の、金利を引き上げるような状況になっているのに低金利に抑えられているというようなことでございましたけれども、現在の景気の状況、今さら釈迦に説法になりますが、民需を中心にした回復基調にはあるということでございますけれども、そのテンポはなお緩やかだということで、したがって景気の押し下げ要因もある。そういう状況の中で、いわゆる状況判断して今の金利が設定されていることだろうというふうに思っております。  金利をいろいろ判断して上げたり下げるということは、今度の政策委員の仕事にもなるのでありましょうし、そこに政府からの出席者要請あるいは提案というようなことも担保されておりますから、そういう形で行われるのではないかというふうに思います。  それから、社会的責任と言われますと非常に大きな話になるわけですけれども金融機関はこのところ、大変なバブルの中でいろいろ皆さんに御迷惑をおかけいたしましたし、反省もしております。金融機関の使命というのは、預金あるいは融資だけではなくて、銀行業務を通じてお取引先のお役に立つ、あるいは株主、従業員に報いる、それによって国民経済に貢献するということであるというふうに思っております。  ビッグバンを控えて大競争の時代にこれから入るわけでございますけれども、御利用いただける金融機関となるということで、先生御指摘のとおり、これまで以上にお客様の支持を得なくてはならないというふうに考えている次第でございます。  大変大きな問題を指摘されまして、社会的責任 というのはまだまだたくさん申し上げることはございますけれども、今回の全銀協会長に就任のときにも、そういう意味で、我々の方針として。一つは信頼の回復、それから一つは現在進められている金融改革の積極的な推進という二つの柱で日本金融界の信頼を回復していこうということを申し上げております。銀行協会全体としても、あるいは個別行としても、そういう精神でやっていくつもりでございます。御指摘ありがとうございました。
  84. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、先ほど来から日銀独立性について、予算そして政策、そして最も大事なことは人事ということだと思うのでありますが、私は大事について、どうも大蔵省の事務次官をやった方が何となく慣例で交代でやっているような気がしてならない。ますます独立性が強まって社会的責任日銀独自が負わなければならないというときに^そういう、世間が見ておって何となく順番人事のような、今度は大蔵省の番だ、次が生え抜きの日銀マンの番だ、そういうような順送り人事みたいなものは改めなければいけない、こう思うのであります。  そこで、そういうような長年の慣習をやはり断ち切らなければいけないと思うのでありますが、日銀法そのものも戦後の統制経済的な日銀法を改めるわけでありますから、そういう人事面も改めていかなければいかぬと思うのでありますが、三木谷先生と中北先生の御感想をお聞かせいただければありがたい、こう思います。
  85. 三木谷良一

    三木谷参考人 先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども大蔵省に限りませんけれども政府のいわゆる元高級官僚と言われるOBの方が委員になられる、それを禁止するというのも問題であるかと私は思いますけれども、しかし、これは事実上やはり、現職の場合にそういうふうに一応、金融と財政というものを隔離するようにしてあるわけですから、法的に縛るというのが問題であるならば、何らかの意味で、慣習法と言ってはおかしいのですけれども、内規とかいうようなことで自制すべきだろうというふうに思います。  先ほども申しましたように、海外では、比較的若い時期に、政府、財務省とか大蔵省から中央銀行に彩られるケースはアメリカでもイギリスでもありましたけれども、そういう人は中央銀行マンとしてむしろ強力な中央銀行マンになったという方もおられるわけなのです。しかしそういうことが日本で期待できるかどうか。日本の雇用とか社会のいろいろな考え方がございますから問題はございますけれども、やはり我々が透明度を高めて、その点は大いに、今まであったような弊害がないようにすべきであるというふうに思います。
  86. 中北徹

    中北参考人 ただいま吉田先生の御指摘があったように、私もこれから日銀の任務というのは重大だ、重いというふうに思います。そのような意味で、これから荒波にこぎ出していく、そしてもまれなければならないという点、果たして心構えは大丈夫なのか。しかし、だからこそ外部の環境を変えて制度も変えるのだというのが今度の趣旨ではないか。そのような意味で、やはりこれから内部改革をしていくこと、それからマーケットにもっと軸足のついた機構ということも重要ではないか。オープンマーケットをもっと重視しなければならない。銀行銀行だけのインターバンクという、ある意味ではごそごそしたところだけで金融調節しているというのは、もう一千二百兆円の時代にどうもそぐわないのではないかというように私は思います。  それから、今御指摘の人事ですが、これもいろいろな屈折があって、どうやら内部では十年ごとに、何か純粋培養した人事系統というのを勝手につくっておるようですので、その点、霞が関ではまだ抜きつ抜かれつ最後までやっている。こういう流れでやはり能力というのも、創意工夫というのも出てくると思いますので、そういった面でまだ課題が大きい、そして期待というのもまた大きいというように思います。
  87. 吉田公一

    吉田(公)委員 最後福川参考人にお尋ねしたいのでございますが、福川参考人には中央銀行研究会のメンバーでいらっしゃったということでございますが、本来、中央銀行研究会審議等については公開をするというお話であったようでございます。したがいまして、中央銀行研究会で一番論議になった点は何だったのでしょうか。
  88. 福川伸次

    福川参考人 何が一番論議になったかというお話ですが、私もいろいろ冒頭に申し上げましたが、一つというのはなかなか申しにくいのですが、一つは、日銀中央銀行としての目的明確化を図るということでございますし、それから、開かれた独立性はどういう形で確保できるであろうかというところも問題でございましたし、それから、それの一環として政策委員会強化をどうすべきかということでございました。  特に、今も選任の点についての御指摘がございましたが、そういうことも含めて、政策委員会強化をどのようにしたらいいかということ。それからもう一つは、開かれた独立性確保する中で、しかし政府経済政策との関連、整合性を保つという意味で、どういう形で政府経済政策日銀金融政策との間を関連づけていく仕組みがいいのかというところが議論になりました。  もちろんそのほかにも、例えば国際金融業務の取り扱いであるとか、あるいは日銀考査大蔵省の検査とか、あるいは予算チェック等々がございましたが、特に一番重要であったのは、先ほど申しました四点、目的明確化と開かれた独立性確保政策委員会強化政府日銀政策整合性、ここらあたりが一番大きな論議になった点でございます。
  89. 吉田公一

    吉田(公)委員 どうもありがとうございました。  質問を終わります。
  90. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 それでは、参考人に対する質疑はこれで終了いたしたいと思います。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時二十四分開議
  91. 額賀福志郎

    額賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、内閣提出日本銀行法案を議題とし、政府に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野正志君。
  92. 中野正志

    ○中野(正)委員 自民党の中野正志でございます。七、八点ほどお伺いをさせていただきたいと思います。  平成八年六月に、我が連立与党大蔵省改革プロジェクトチームは日銀法改正を含む金融行政の改革案をまとめて橋本総理に提出をいたしました。日銀あり方を本質的に見直す、独立性強化を図る必要がある、国会に対する報告説明等その責任を明確にする必要がある、政策委員会あり方、選任などの見直し、そして日銀考査日銀特融のあり方を明確にする、国際金融に関して日銀の果たすべき役割責任について検討する、政府との政策調整の仕組みを整備する必要がある等々、八項目でありました。今回の日銀法改正案はおおむねその八項目を網羅しておられるな、ただ、役員の任期とか、あるいは法人格を除けば与党内の議論も相応に踏まえておられるな、そんな気持ちを持っております。五七年から六〇年にかけて金融制度調査会改正の議論、審議が行われまして、結果的には見送りをされたという経緯がありますから、五十五年ぶりの改正ということになるのかなと。  まず、午前中もいろいろ参考人の質疑がございましたけれども日銀独立性ということについて質問させていただきたいと思います。  現行日銀法、確かに一つ一つの条文を見させていただきますと、日銀独立性あるいは中立性ということについて法的には担保されておらな い。内閣及び大蔵大臣日銀に対し解任権、業務命令権を持つということを明記されておるわけでありますが、当時の国家総動員的な立法趣旨からすれば当然かなとも思います。  今回、内閣、大蔵大臣日銀に対する介入権を日銀法から削除したということは、大変結構なことだと思います。解任権、削除されております。業務命令権、これは政府の財政政策日銀金融政策に統一性がとれていないと非効率だということで、第十九条で金融調節事項を議事とする会議出席する、あるいは議案提出権の付与を認める。ある意味では相対的な牽制権とでもいうのでしょうか、そういうことで業務命令権は削除。午前中もありましたけれども、緩やかな中立性、相対的独立性が法的に担保されていると私は率直に評価をいたしますし、午前の福川伸次参考人の御意見も全く同じでありました。  ところが、きょうまでの議論の中で、いかにも日銀に絶対的な独立性を付与させるべきがごとくの御意見もありましたけれども、私はそれはおかしいと。私たちの国は議院内閣制、まして三権分立制でありますから、第四の権力を認めるようなことになりましたのでは全く適切ではないと考えております。日銀総裁の所感をお伺いをしたいと思います。
  93. 松下康雄

    ○松下参考人 今回の法改正によりまして、独立性透明性という考え方を軸としまして新しい中央銀行制度が整えられますというと、日本銀行としましても、自己改革を進めながら、与えられた使命を達成していく上で大きな力になるものと考えております。  御質問の独立性という点に関しましては、日銀市場からの信認を得て金融政策を遂行してまいりますためには、金融政策に関する独立性制度的にも担保されていることが重要でございますが、同時にまた、日本銀行国会政府から完全に独立した存在ではあり得ないということも、それは当然のことでございます。この点、今回の日銀法改正案では、日銀政府との関係に関しまして、業務命令権や役員解任権の廃止によって独立性を明確にされる一方で、政府による役員の任命権保持、政策運営に当たっての政府との十分な意思疎通の確保、また政策委員会への政府出席権、議案提出権、議決の延期請求権などの規定を置いておられます。  また、国会との関係につきましても、政策委員会構成メンバーの大事につきましてはすべて両議院の同意を要することとされたこと、現在年一回とされております政策委員会からの報告提出を年二回に充実すべきこととしたほか、国会から求められた場合の出席義務につきましても明文の規定が置かれております。  このように、日銀が国民やマーケットから信認を得て政策運営していくためには、個々の政策判断についての責任の所在を明確にするという意味での独立性を高めることが重要でございますが、同時に政策運営透明性を高め、国民や国会に対して説明責任を十分果たしていくことが求められております。日銀といたしましても、この点は強く自覚していかなければならないと認識をしております。
  94. 中野正志

    ○中野(正)委員 総裁と同じ認識を持たせていただいたということは幸いでございます。ぜひそんな形で御検討いただかなければなりません。  ところで、日銀独立性そして責任強化とともに、やはり私たちが議論しなければなりませんのは、日銀の独善性のチェックも必要だということになろうかと思います。そういう意味で、その一つが政策委員会ということになるわけでもあります。  ただ、現在までの政策委員会は追認機関とやゆされる向きもあります。正直なところであります。確かに、委員選任のあり方とか日銀理事会や大蔵省との関係が不明確だ、言ってみればレーゾンデートルが定かならず、こうも指摘されるわけでありまして、今回十四条以下の政策委員会の条文を検証いたしますと、そういう意味では日銀最高意思決定機関政策委員会役割また重大性がはっきり感じられるな、まして議事録も公表ということでありますから、大変よろしいかと思います。  審議委員合計九人、日銀総裁、副総裁、三人を除けば、言ってみれば政治的な任用、これが六人だ。第二十三条で「経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者」として、外部からのチェックの仕組みが担保されているなと思っております。また同時に、先ほど述べましたけれども政府の議案提出権の付与ということで、日銀の独立的判断が独善にならないように法的に監視、牽制されると私は理解をいたしております。また五十四条で、国会への出席報告ということがありますから幸いだな。  そういう意味での日銀の独善性のチェックという私の認識で正しいかどうか、副大臣、御所見をお伺いをいたしたいと思います。
  95. 中村正三郎

    ○中村(正)政府委員 委員指摘の独善性がどうかという判断ということもあるかもしれませんけれども、やはり何のための独立性がということを常に私は考えてみた方がいいと思うわけであります。  それは、先日も答弁させていただきましたけれども、国民経済の健全な発展に資するために物価の安定を図ることが日銀の使命でありまして、そのためにいろいろなバイアスと申しましょうか、インフレ助長的な政策とかそういうものを排して、公益のために一番正しいと思われる金融政策を決めるということで、独立性確保されなければならないということであると思います。  その独立性確保されなければならないけれども委員指摘のとおり、我が国の憲法そして議院内閣制の中では、国会、行政機関から遊離した行政を行うところはあり得ないわけでありますから、そこで各国、いろいろ苦労して法律をつくってやっているわけでございます。今度の法律におきましては、日銀が行う通貨及び金融調節が政府経済政策の一環をなすものであることという規定がございます。それを踏まえて、政府経済政策の基本方針と整合性を持つように常に調整をとりながら行えということでありますから、私は独善的なことは起こらないであろうというふうに感じております。  また、議員御指摘になられましたとおり、国会に対するアカウンタビリティーというものは、現行法では規定がないわけでありますけれども、今度の法律では、日銀総裁の出席義務から、いろいろなものが規定されておるわけであります。  この決め方に、例えばフランスにおけるように、フランスの中央銀行というのは、政府の基本的な経済政策の枠の中で政策決定をするということが規定されている。ドイツの場合は、一般的な政府経済政策を支持する義務がある上でもってドイツの中央銀行は働く。  我が国の、今提出させていただきました法律案では、政府経済政策の一環であることを踏まえて政府調整をとれということでございます。そうしたことに対するいろいろな条文が、委員指摘なされたとおりあるわけでありまして、それで最後国会に対するアカウンタビリティーということでありまして、独善的なことがこの法律で起こるということはないと私は思っております。
  96. 中野正志

    ○中野(正)委員 三つ目、御質問申し上げますが、金融秩序の維持についての日銀役割明確化についてであります。  日銀考査局を持ちます。民間金融機関との個別契約に基づいて、法的強制力のない銀行検査を行っているということになるわけであります。私ども連立与党の議論の中でも、日銀考査に法的根拠を与えるべきだ、こういう議論が続いておりました。第四十四条で示されていることは大変幸いであります。しかも、金融機関の事務負担にまで気配りをされております。  これもいろいろ議論はありましたけれども金融機関監督検査は、現在銀行局、近い将来は新設予定の金融監督庁が担当するのだ。言ってみればレフェリー機能だ、レフェリーだ。そして、金融機関経営の管理、指導は日銀と預金保険機構 が担当しますよ。言ってみればコーチ機能だ、コーチだ。そういうことでよろしいと私たちも考えております。  実はこの委員会でも、金融に関する権限は日銀に集中させろ、あるいは二重行政だ、そういう話もあったのでありますけれども、私は、むしろ複数の監視機関によって相互牽制体制が強化される、また金融秩序の安定性は逆により確かさを増す、こう考えておるのでありますけれども日銀総裁の所見を求めたいと思います。
  97. 松下康雄

    ○松下参考人 日銀考査は、日銀民間金融機関に対しまして資金供与を行う際の金融機関経営の実態把握という役割のほか、決済システムの円滑、安定的な運行といった中央銀行としての役割を果たしてまいりますために必要不可欠な機能であると考えております。今回の改正案におきましてこうした考査が法律上規定されましたことは、日本銀行の業務内容明確化に資するものであり、意義深いことであると評価をいたしております。  思いますのに、金融業務金融取引が一層高度化、複雑化する中で、金融システムの安定を維持してまいりますためには、まさに行政当局中央銀行等が、それぞれの本来的な性格に基づきまして役割責任分担しながら協力をすることが望ましいと考えております。日銀としましては、金融システム安定性確保のために、引き続いて政府、預金保険機構などと連携を深めてまいる考えでございます。
  98. 中野正志

    ○中野(正)委員 まさにそのとおりだと思います。  関連していえば、第五十六条の「違法行為等の是正」、これは削除すべきだという論も実はありましたけれども、私は、やはりこれはあるべきだと考えております。今から四年ぐらい前だったでしょうか、三菱銀行やら富士銀行日銀考査資料が漏えいした。言ってみれば守秘義務違反ということになると思いますけれども、マスコミでも大々的に報道されましたし、そういう意味では、この五十六条は当然の条項だと思いますけれども、いかがでございますか。
  99. 松下康雄

    ○松下参考人 今回の制度改革におきまして、政府日銀に対する監督の問題をどう考えるかという点につきましては、日銀の場合には、金融政策運営上の独立性が強く求められるという中央銀行独特の要請がありますことや、また制度的にも、政策委員会という、国会の同意を得て内閣が任命される重い手続で選任された委員から成る合議制の機関がありますことや、国会に対しましても直接説明を行う責任を担うことが求められていることなど、ほかの公的組織には見られない特質も考慮する必要がございますから、このような点を念頭に置きながら、政府との適切な関係が制度化されるということが適当であると考えてまいったところでございます。  この点、改正法案におきましては、金融制度調査会等での議論を踏まえまして、主務大臣の広範な業務命令や立入検査権、日本銀行監理官制度というものを廃止した上で、監督の対象を法令、定款違反、すなわち適法性のチェックということに限定をされまして、大蔵大臣は、違法状態の是正を命令するのでなくて是正を求めるということにとどまって、政策委員会自身が必要な措置を講ずることとするといったような工夫が講ぜられております。また、こうした個々の規定の運用に関する一般的な指針としまして、「総則」の中には「この法律の運用に当たっては、日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない。」という規定もございます。  このように、違法行為の是正等に関します改正法案内容は必要最小限度のものにとどめられておりまして、日銀の自主的な業務、組織運営に関して十分な配慮がなされているものと受けとめております。
  100. 中野正志

    ○中野(正)委員 必要最小限、また十分な配慮ということでありますから、同じ認識だと思います。  ついでにいえば、第五十一条で経費の予算の条項が定められております。現行では大蔵大臣の認可というだけでありますけれども改正案では、経費の予算を認可することが適当ではないとする「大蔵大臣に対し意見を述べ、又は必要に応じ当該意見を公表することができる。」とあります。そういう意味で、大蔵大臣の認可は必要なしとの意見もこの場で交わされておりますけれども、この部分について、日銀にとって不都合なのか、お伺いいたしておきたいと思います。
  101. 松下康雄

    ○松下参考人 予算の公的チェックに当たりましては、中銀研の報告書や金融制度調査会答申におきましても、金融政策独立性及び運営の自主性が担保されるように配慮することが必要とされております。  経費予算の認可につきましては、それ自体が、公定歩合操作を初めとします金融政策判断に直ちに影響を及ぼすというわけのものではございませんが、しかし、今後、経済市場化や国際化といった環境の変化に対しまして適切に対応していくためには、中央銀行として、業務内容やそれらを遂行していきますための組織運営において柔軟な対応が求められるわけでございまして、そのためには、予算を含みます運営の自主性が確保されることが極めて重要であると考えております。  今回の改正法案におきましては引き続き認可制が採用されておりますが、その際に透明性確保するというようなセーフガードの措置を講ずることになっております。これは、政府によります予算認可の際に、金融政策独立性及び運営の自主性を阻害しないようにするという考え方を従来以上に明確にしたものと受けとめております。
  102. 中野正志

    ○中野(正)委員 その予算でいえば、日本銀行の役職員の給与等が大変に高いということが問題になっております。  三十一条で、給与等の支給の基準を「社会一般の情勢に適合したものとなるよう」定めるとあります。政策委員会で定めるとはいえ、どういった基準で定められるのか、お伺いをいたしたいと思っております。実は、都市銀行並みが今までの水準と言われます。しかし、御存じのとおり、民間企業は毎日が血と汗と涙の連続で、激烈な競争社会の中に生きております。私は、正直、日銀は、今までの考え方がいろいろな意味で甘かったのではないかなと考えている一人でもあります。ちなみに、ぬるま湯体質で、内なる改革努力がなく、リストラ努力も乏しいと、まあお名前は伏せますが、識者の指摘もあるところであります。  給与でいえば、実は私は四十九歳、大蔵省の役人さんに何ぼと聞きましたら、日銀の職員の給与、どれぐらい引き離しがあるかというと、そのクラスにもよるのでしょうけれども、驚くなかれ五百万から七百万も日銀の職員の方の給与が高いのであります。高いのであります。  そういうことなどもあって、政策委員会で定めるとはいえ、どういった基準なのか、ぜひ明らかにしていただきたいなと思います。
  103. 松下康雄

    ○松下参考人 給与につきましては、御承知のとおり、役員、職員の別があるわけでございますが、役員の給与につきましては、新法の施行時までに定めていくということになりますけれども改正法案におきまして、国家公務員特別職の給与及びその他の事情を勘案して定めるということになっておりますので、そういった立法の趣旨をよく踏まえて具体的に検討してまいりたいと思っております。  また、職員の給与につきましては、新法施行後、新しい政策委員会が十分な議論を行った上で支給基準を決定しまして公表していくということになっておりますので、「社会一般の情勢に適合したもの」という規定につきましても、そういった議論の過程でその意味合いが織り込まれていくものと理解をいたしております。  ただ、現在の段階で、私どもの考え方を、立法の趣旨の理解ということで一般論として申し上げますと、給与の支給基準を決定するに当たりましては、労働市場におきます競合とか、あるいは同じ質の仕事の一般の社会的価値などのさまざまな 要素につきまして、より広く社会一般の情勢を考慮して定めていく必要があるということであると受けとめている次第でございます。
  104. 中野正志

    ○中野(正)委員 続いて、役員の任期についてもお伺いをしたいと思っておりました。  二十四条に、総裁、副総裁の任期は五年、理事の任期は四年とありますけれども、私は、長過ぎると率直に感じております。昔から十年一昔と言われますけれども、今は、正直、五年一昔であります。現行の総裁、副総裁任期の五年は十年一昔の時代に実は定められたわけでありますから、今の時代に合わせると、総裁、副総裁の任期は三年でいいのではないか、私は率直にそう思いますし、妥協しても、選挙で選ばれ、そして国会議員の投票で選ばれる内閣総理大臣、そして、それで任命される大蔵大臣の任期、この四年が許される範囲だと思いますけれども、いかがでしょうか。これはぜひ副大臣、お願いをいたします。  それから、時間がありませんから、最後に一つだけ申し上げておきますけれども、バブルの生成、そしてバブル崩壊過程日銀金融政策について、どう日銀総裁は総括されておられるか。バブルつぶしの鬼平とマスコミにおだてられた前総裁の副総裁当時から退任するまでの責任は、私たちは重大だと考えております。景気対策を含めて、政府の財政出動だけでも六十兆円以上を数えております。現副総裁はこの場で、先日、山高ければ谷深し、こんな能天気の答弁をされております。何をか言わんやであります。ここ数年の流れの中で、倒産した中小企業の痛み、そこで働かれる人たちの痛み、また低い金利で年金生活を強いられておりますお年寄りの方々、そういった実態を果たして知っての御発言であろうかと、私は実は大変な怒りを覚えたのであります。  八〇年後半から九〇年中盤のバブル生成、頂点、崩壊の道のりは、日銀金融政策の失敗も大きな要因だと感じております。そういう意味で、率直に日銀は失敗を認めて、国民の皆さんにおわびをすべきだ。現行日銀法の定めがどんな形にせよ、総裁、副総裁として、将来の日本の国家国民のためにみずからのいすを投げ出しても、まさに身命を賭して職務を達成するのだ、そういうことが日銀マンの矜持ではないのかと私は思うのであります。その覚悟がない人は、しょせん、法体系がいかに変えられようとも、その職責にはあらずと思っております。日銀の天皇と呼ばれた前総裁は、そういう意味で責めを負わなければなりません。  今日までの日銀金融政策の失敗をどう国民に釈明されるか、お伺いをしたいと思います。過去の反省がなければ新しいものはつくれない、新しいスタートはできないと確信をいたします。以上、副大臣と総裁にお伺いをいたします。
  105. 山口公生

    ○山口政府委員 まず最初の御質問の日本銀行の役員の任期でございますが、金融制度調査会でもいろいろ御議論をいただきまして、その結論といたしましては、「任期が長い方が独立性に資するとの考え方から、欧州中央銀行制度への加盟国の中央銀行総裁の任期につき、五年以上とすることが求められていること等を勘案し、政策委員会の構成員である総裁・副総裁の任期は現状の五年を維持し、審議委員の任期も同じ五年とすることが適当である。」というふうにされておりますこと、それから、国内における独立性が高いと認められます機関の委員等の任期が比較的長いことなどを踏まえまして、日本銀行法改正法案におきましては、総裁、副総裁、審議委員の任期は五年とさせて御提案申し上げているところでございます。  また、役員の中で、理事でございますが、理事の任期については、この答申におきまして、「現行法どおりで妥当である。」という結論をいただいておりますことから、現状の四年ということで御審議お願いしているところでございます。
  106. 松下康雄

    ○松下参考人 いわゆるバブルの発生につきましては、自由化国際化などの経済環境の変化や、また首都圏への一極集中あるいは土地取引に関します法制、税制などのさまざまな要因が相互に複雑に影響し合っていく中で、経済の全体の中に、何らか右肩上がりと言われるような幻想が生まれたということになるかと思いますけれども、ただ、長期にわたります金融緩和にもその一端があったということは否定できないところであると考えております。  バブル発生当時までの金融政策を簡単に振り返りますと、国内経済におきましては、昭和六十年のプラザ合意以降の急速な円高の進行に伴いまして、そのデフレ効果が大変に懸念をされていた時代でございました。このために、日銀は昭和六十一年一月以降、五回にわたる公定歩合の引き下げによって金融緩和を推進いたしたわけでございます。その後、二・五%という公定歩合は二年三カ月間据え置かれたわけでございますけれども、当時の状況におきましては、景気の回復が次第に強まってくる中で、物価の安定の基調は維持されておりましたし、また国の経済政策の面でも、当時は大幅な経常黒字の是正や、あるいは円高の回避が最優先的な課題とされていたのでございます。  こういった中で、金融政策運営面におきましてもぎりぎりの選択を迫られた結果というふうに理解するのでありますが、結果としまして長期にわたる金融緩和がバブル発生の一端となったということであろうと思います。  このような経験を踏まえまして、私どもとしては、為替相場の安定あるいは対外不均衡の是正のために過度に金融政策に依存した対応をとることは適切ではなく、あくまでもインフレなき持続的な成長を目標としていくことと、もう一つ、資産価格やマネーサプライの動向などにも十分留意して、早目早目の対応をとることなどを念頭に置きまして、今後真剣な覚悟をもって、適切な金融政策運営を行ってまいりたいと考えております。
  107. 中野正志

    ○中野(正)委員 これで終わります。
  108. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、田中和徳君。
  109. 田中和徳

    田中(和)委員 自由民主党の田中和徳でございます。  ただいまの中野委員に引き続き、今般の日銀法の改正について順次お尋ねをしてまいりますので、明快かつ簡潔な御答弁をお願いをいたします。  近年の経済のボーダーレス化にはまことに目覚ましいものがあり、グローバルスタンダードに沿った各種の金融政策が求められることは言うまでもありません。さきの選挙で勝利したイギリスのブレア労働党新政権も、マーストリヒト条約に沿うために、イングランド銀行独立性を高めるための政策を公定歩合アップとあわせて早速に打ち出し、注目されております。我が国日銀法の改正案も、日銀独立性透明性確保することに特に重点が置かれています。  近ごろ、我々の耳にも保保連合とか大政翼賛会という言葉が風の便りに届いてまいりますが、大政翼賛会が世相をリードした昭和十七年に、戦時体制下で定められた現行の片仮名法を改正するという画期的な今般の法改正でありますから、中央銀行独立性はまさにグローバルスタンダードにかなうものであり、遅きに失したとの批判もありますが、私自身は大いに評価したいと思っているのであります。  まず、大変重要な質問を最初にさせていただきます。ただ、この質問をするにはちょっと勇気が要りましたが、あえてお尋ねをいたします。  私は、昨日、ある外国のマスコミ関係者の方に会う機会がありました。本日の質問について話をしているうちに思わぬことを聞かれました。ニッポン銀行ですか、ニホン銀行ですか。私も答弁に一瞬詰まりましたが、私は以前から日本の国名はニッポン、ニホンではない、このように記憶をたまたましておって、ニッポン銀行でしょう、こう答えてしまったのでございます。  しかし、後でよく考えると、大蔵省日銀から私のところに電話があったり、しばしば訪ねてこられますが、ほとんどの人がニホン銀行と言っておられます。本日の午前中の参考人の方々も、すべての人がニホン銀行とおっしゃられました。しかし、今、総裁はニッポン銀行とおっしゃっておられました。しっかり聞いておりました。どちらが正しいのでしょうか。正式な呼称についてまず 教えていただきたいと思うのですが、法案を提案された大蔵省から最初にお答えをいただきたいと思います。
  110. 中村正三郎

    ○中村(正)政府委員 私もニッポン銀行だと思いまして、今どこを確かめたらいいかと思いましてお札を取り出して見ましたところ、ちゃんとNIPPONGINKOと書いてございましたので、ニッポン銀行が正しい名前だと思います。
  111. 松下康雄

    ○松下参考人 ただいまの御答弁のとおりであると思います。
  112. 田中和徳

    田中(和)委員 正しい答えがすぐ出てきたと私も理解しておりますので大変助かったわけでございますけれども、実は私も早速総理府にお尋ねをしたのです。そうしたら、私の勘違いでございまして、日本の国名はニッポンでもニホンでもいいようになっているのですね。  ですが、お札を見たらアルファベットで大きくNIPPONGINKOと、バンクとは書いてなくてNIPPONGINKO、こう明記してあるのですね。千円札も五千円札も一万円札も。これは、日本の円が国際通貨としてますますこれからも重要性を帯びていかなければなりませんし、日本のセントラルバンクが呼称が二つもあったということであれば、これはやはり誤解も与えますし、紛らわしいし、お札に印刷した意味もない、このように私は思うわけでございまして、ぜひこれは今後きちっと統一をしていくべきではないか、このように思いますが、いかがでございましょうか。
  113. 中村正三郎

    ○中村(正)政府委員 御趣旨を体しまして、よく検討してまいりたいと思います。
  114. 松下康雄

    ○松下参考人 私も、できる限りニッポン銀行と発言するようにしてまいりましたが、今後もそういうふうにいたします。
  115. 田中和徳

    田中(和)委員 これは検討したりすることではなくて、もう日本銀行券に記載してあるわけでございますから、私もニホン銀行としばしば言いますのでお恥ずかしいのですけれども、なるべく間違わないように発言していきたいと思いますので、ぜひひとつ守っていただきたい。そうでなければお札のネーミングを刷りかえなければならないわけでございますから、これは関係者の皆さんもよろしくお願いしたいと思います。  次に移ります。  今般の法改正は、日銀独立性を高めるとともに政策決定透明性を高める、こういうことでございます。透明性を高めるとは、つまり日銀を国民の目から見てわかりやすい組織に改革するということだと私は思っております。国の経済にとって極めて重要である金融政策を適切に運営するために、内外のありとあらゆる情報をキャッチして間違いなく政策決定に反映させるということが日銀の大きな使命の一つであろうと思っております。情報収集のために、本店はもちろん三十三カ所の各支店も極めて重要な活動を日々行っていると思いますが、その点については、国民にはほとんど知られていないと私は思っております。  私は、昨年の十月に衆議院議員に当選するまでは神奈川県議会議員、その前は川崎の市会議員を務めておりました。日銀の短観については職業柄といいますか仕事柄、当然入手しなければなりません。間接的に情報が届いておったわけでございますが、しかしながら、日銀は横浜にも支店がありますが、私の知っている限りでは地元の方々と日銀の方々との接点はほとんどないようなのですね。情報提供の協力をしたというような話も身近で聞いたことがありません。  通常の活動の中で、国民の理解、協力を得て金融政策を適切に遂行していくためにも、日銀の存在はもっと国民にとって身近であるべきと私は考えます。総裁はどのようにお考えですか、お答えをいただきたいと思いますし、特に三十三の支店の活動こそ、国民と接点を持つことのできる大切な拠点であり、ディスクロージャー、アカウンタビリティーの視点からも有効だと思いますが、私が指摘したような現状をどのようにお考えになっておられるのか、また、開かれた日銀づくりを進める上にこれらのことは大変必要だと思いますけれども、お答えをちょうだいしたいと思っております。
  116. 松下康雄

    ○松下参考人 私どもの地方の支店におきましては、我が国中央銀行としての発券業務のほかに、各種金融機関との預金貸し出しの取引業務や、国庫・国債業務などを行っておりますが、そのほかに支店の大変に重要な機能は、日本全国の各地の経済の実態、金融の実情、また、金融経済の業務に携わっておられる方々の経済に対する判断というようなものを広くお聞きいたしまして、そういう情報を間違いなく本店に集めてまいるということと、本店で決まりましたいろいろの金融政策上の決定事項や方針につきまして、これを丁寧に各地区におきまして伝達、普及をすることを図るということにあると思います。  そういうことのために、支店におきましても、平素から金融機関の団体でございますとかあるいは各種の業界団体等とのつながりを重要視いたしまして、ただいま申したような情報の伝達等に遺漏がないように努力をしているところでございますし、また、日銀の本店といたしましても、最近ではインターネット等も活用いたしまして、方針についての情報の普及に努力をいたしておりますが、ただいまの御指摘はまことにごもっともの点の御指摘であると思いますので、今後とも、それらの点につきましては十分に努力を強めてまいるつもりでございます。
  117. 田中和徳

    田中(和)委員 総裁から決意のほどを述べられましたけれども、やはり日銀というのは行政の重要な一翼を担うわけでありまして、国民に身近でなければなりませんし、今後、独立性を高めるがゆえに、透明性を大切だと考えるがゆえに、私は、国民に向けてのPRも非常に重要であろうと思いますし、また、日本全国も地域によって皆事情も違いますし、こういうことを考えるときに、ぜひひとつネットワークしてある支店の役割というか機能を十分に活用して御努力をいただければ、日本金融政策により貢献ができるのではなかろうか、国民の信頼が得られるのではないか、このように思っておりますので、御尽力を願いたいと思っております。  次に移ります。  もう一点、国民の大変な関心事であります食糧費だとか、やれ交際費だとか、近ごろ官官接待なんということで我が方は知事選で負けたところもあるわけでございますけれども、お伺いをします。  日銀の総裁並びに副総裁、役員の方々の交際費は、または交際費に当たるようなものはどのぐらいあるのか、また、日銀全体の中で会議費だとか交際費に使えるお金はどのぐらいあるのか、聞かせていただきたいと思います。大変関心を持っております。
  118. 松下康雄

    ○松下参考人 私どもでは、業務の性格上、金融機関、あるいは産業界、また学者などの各方面との経済金融情勢に関する意見交換の場をしばしば設けてまいっております。また、金融国際化流れの中で、近年は海外中央銀行や国際機関等との交流や、また、日銀主催によります国際会議の招致というようなこともふえております。  私どもとしましては、こうした外部の方々との意見交換等は業務上必要なものと考えておりまして、そういったものにかかる費用は、会議交際費という費目で、銀行の経費で支出をいたしております。もちろん、こういった会議交際費の内容といたしましては、業務上真に必要なものに限定をし、むだなものをつくらず、適正な支出内容にするようにという努力をいたしております。  直近の半期の予算額を申し上げますと一億円程度でございますが、ただ、この中で三千万円程度は、今回、福岡で大蔵省と共催で開催されますアジア開発銀行年次総会に関する費用として特別に計上したものでございまして、これらは大蔵大臣の認可を受けて決定をいたしております。  また、総裁等の交際費のお尋ねでございますけれども日銀の総裁、役員につきましては、職務上、各界の要人との会議、懇談会等で私どもが主催するような場合も少なくございません。また、 海外中央銀行や国際機関の幹部との交流もふえておりますが、そうした際の費用といたしまして、半期の予算額としては一千五百万円を計上いたしております。
  119. 田中和徳

    田中(和)委員 大変大きい数字で、私もはっきり言って驚いておるわけでございますが、参考までに、大蔵省について、大臣、政務次官、事務次官、省全体の交際費など、金額はどのようになっているのか、お尋ねをさせていただきます。
  120. 森田好則

    ○森田説明員 お答えいたします。  大蔵本省におきます交際費の九年度予算額は三百万三千円でございます。そのうち、大蔵大臣は二百六十五万ということに相なっております。  以上です。
  121. 田中和徳

    田中(和)委員 どちらが偉いかということは、私はこの場で申し上げる必要がないかと思いますし、どちらが重要なお役をやっていらっしゃるかということもあえて申し上げる必要はないと思いますけれども、ただ現実に、この数字の乖離というのは、国民の一人として私もびっくりして聞いておりました。  半期ということは掛ける二でございますから、三千万円の特別の支出があったにしても、日銀全体で二億、そして、総裁の特別な意味合いがあるにしても、千五百万掛ける二は三千万ということになるわけでございますが、これからもこのぐらいの数字を確保して日銀の活動はしていかなければできないのかどうか聞かせていただきたいのと、時間の関係で二、三あわせて聞きますけれども、グローバルスタンダードであるかどうか、それから、国内の行政機関関係のそういう意味での交際費と比べて順位は何番目ぐらいなのか、ぜひ聞かせていただければと思います。
  122. 中村正三郎

    ○中村(正)政府委員 恐れ入ります。ちょっと補足の御答弁をさせていただきたいのですが、先ほど大蔵大臣、政務次官、事務次官そして省というお問いかけだったものですから、会計課長大蔵省本省の交際費を申し上げましたが、大蔵省全体としては二千三百九万三千円でございます。
  123. 松下康雄

    ○松下参考人 私が先ほど申し上げました数字は、いわゆる交際費だけではございませんで、会議開催経費も含むものでございます。  それから、海外の点につきましては、私は委細承知をいたしておりませんけれども、御参考になりますかどうでしょうか、法人企業の実態調査というものがございまして、全国の金融保険業につきましての民間の資本金百億円以上の企業のいわゆる交際費は平均十一億三千万円、資本金五十万から百億円未満の法人の交際費は平均一億二千万円という数字がございます。もちろんこれは営利企業の話でございますから、私どものような公的な色彩の機関と比較をするわけにはまいりません。その点をお断りを申し上げます。
  124. 田中和徳

    田中(和)委員 なかなか今すぐすべての機関の調査をして明らかにするというのは難しいのだろうと思いますし、できないことだと思います。その部分については理解しますけれども、この金額、これがグローバルスタンダードであって、私がたまたま知識がないために思い込んでいるということになればまた別の話でございますけれども、果たして諸外国のセントラルバンクがこのぐらいやはり使っているのかなと今思いながらお尋ねをしているのでございますけれども、また、国内の行政機関、その中でこれだけの数字を計上した団体があるのかな、こんなことを思っておりますので、調査に時間がかかるかもしれませんけれども、わかった段階で、大蔵省にも御協力をいただいて、またお知らせをいただきたい、このように思います。  次に移ります、時間がありません。  当然、金融政策は非常に重要な事柄であって、最終的にはやはりそのときの政府そして与党が選挙で洗礼を受け、最終責任をとることになります。これはだれも同じお気持ち、意見は違わないと思います。厳しい結果が選挙という審判で下っていくわけであります。そのために、国会が人事権を通じて日銀に対して民主的なコントロールを及ぼせる仕組みであることが前提になります。こんなことは私が言うまでもない、今までさんざん他の委員先生方の議論にもあったところでございます。  現総裁、副総裁の健康には、お顔色もいいし、問題はないと思いますけれども、仮に、新しい法律の施行日を前にして総裁、副総裁がおやめになられた場合、現在の法案を前提にすれば、附則第七条により、就任したばかりの総裁が国会の同意なしに最大五年近くもの間、総裁の地位、副総裁の地位におつきになられます。これは先般、我が党の渡辺喜美議員が指摘されたとおりであります。  ビッグバンを控えて、ここ数年は我が国にとって極めて重要な時期になります。これでは日銀に対する国会の民主的コントロールを用意したせっかくの法の趣旨が台なしになる可能性がございます。したがって、附則第七条は、両議院の同意を得た場合に限り新法の規定により総裁または副総裁として任命されたものとみなすとした方が、国民の期待や法の精神にかなうのではないでしょうかと私は考えております。  修正のことについては今の時点ではお問いをしていないのですから、提案をしているわけではございませんから、その考えについて、ぜひひとつ大蔵省日銀、双方にお尋ねをさせていただきたいと思います。
  125. 山口公生

    ○山口政府委員 ただいま御指摘になったところの仕組みにつきましては、総裁、副総裁等は業務執行責任者であるというようなことがございまして、その業務執行運営上の問題からしてそちらの方がより適切ではないかということで御提案申し上げているわけでございます。
  126. 松下康雄

    ○松下参考人 法律案にございます経過措置についての具体的な御質問でございますので、私の立場から申しますと、ただいま大蔵省からお答えになったとおりというふうに考えてございます。
  127. 田中和徳

    田中(和)委員 提案されていらっしゃる法文について、それはこうだああだということでお答えができるとは私も当初から思っておりませんけれども、激動する時代ですから、まず金融政策のトップの方たちは健康体でなければなりませんし、お元気でなければなりませんし、判断を誤らない精神力を持っていただかなければなりません。  そういうことからして、何のための法律がということを考えますときに、今の総裁、副総裁が引き続き残任期間をお務めになるということになればそんな長期間にはならないけれども、入れかえが直前ということになれば本当に五年近くいってしまうのですから、これは重大なことなんですね。これ以上議論をしても同じ答弁しかないかもしれませんので申し上げませんけれども、私は、これはやはり今回の法の趣旨、精神からすれば問題あり、このようにちょっと思っておるわけでございます。  さて、続きまして、時間の関係もありますから端的に聞いてまいりますが、今回の法律によって、大蔵省日銀金融政策上の責任の割合というのはわかりやすく言うとどのように変化するのか、ぜひお尋ねをしてみたいと思います。今までの大蔵省日銀責任割合は全体を十とした場合に五分五分だったのでしょうか、それとも、いや日銀が大きい、大蔵が大きい、数字が違ったのでしょうか、お答えをいただければと思います。
  128. 山口公生

    ○山口政府委員 大変難しい御質問をちょうだいいたしましたけれども金融政策というもの、通貨、金融の調節という日本銀行が今所管しておられます政策決定という意味では、日本銀行のそういった意思決定をもちろん尊重してまいっているわけでございます。しかし、あくまで、政府日銀との間では緊密な意見交換もいたしますし、そこには統一的な考え方が保たれているわけでございますので、どちらが責任があってどちらは責任がないということではないのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
  129. 松下康雄

    ○松下参考人 現行法におきます金融政策上の決定と申しますものは、戦後の日銀政策委員会制度の導入に伴いまして、日本銀行がみずからの判断責任で行うというものになっていると思います。  ただ、現在の日銀法は昭和十七年の制定でございますから、その中には非常にたくさんの政府日銀に対する監督権限が入ってございますので、その運用いかんによりましては日銀の自主性が非常に弱められるという可能性はあるわけでございます。  現実には、戦後長きにわたりまして、その点については、私ども、各方面からの理解を得ながら制度運営は注意深く行われてきたと思っております。
  130. 田中和徳

    田中(和)委員 先日の日銀の総裁の御答弁の中に、今までも、現在でも独立性確保されているというお話があったのです。それからまた、三塚大蔵大臣からは、今後の日銀責任は十倍になる、こういうお話がありましたですね。  今までの諸問題を考えるときに、時間がないからもうお尋ねはしませんけれども日銀の体質改善がないと大変なことになるだろうと私は思うのです。初めから悪いことをイメージしてやっている人はだれもいません。  私は科学技術委員会のメンバーでもありますから先般動燃の質問をしたわけでございますが、あの動燃に至っては、あれだけの専門家、すばらしい人材がそろっていながらも、あれだけ次から次に不祥事が起こっていくわけでございます。日銀さんにそのことを当てはめようと思っているわけじゃないのですが、万が一にも金融政策に間違いがあったら日本の二十一世紀はまさしく沈没ということになるわけでありまして、ぜひその点に御留意をいただき、御努力をいただきたいと思っております。  私は実は地方議会からの出身でございますから勉強不足でございまして、言葉や質問の項目にやや失礼があったかもしれませんけれども、でも、私は一市民の立場でございましたので、率直にわからなかったことを教えていただく質問をさせていただきました。どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。  終わります。
  131. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、飯島忠義君。
  132. 飯島忠義

    ○飯島委員 自由民主党の飯島忠義でございます。引き続き質問をさせていただきます。  松下総裁を初め日本銀行の皆さんにおかれましては、自由民主党から連日厳しい意見が、質問がという思いもあろうかと思いますけれども、しかし我々は、先ほどの参考人の四人の方々の御意見の中にもございました日銀独立性、そして透明性、真に金融政策を展開する銀行の中の銀行という視点から日銀のこれからの確かな運営というものをお願いしての質問であることを御理解いただきたいと思います。  さて、今まで連日にわたる審査の中でいろいろな質疑が展開されてまいりました。私は、若干視点を変えて、これからの大蔵省、財務当局とそして中央銀行である日本銀行との関係、その辺についての論点を整理しながら質問をさせていただきたいと考えております。  新聞の記事から引用させていただきますけれども、まず為替市場の安定のためというところでの論議でございますが、昨日ですか、「円急伸百二十三円台 摩擦防止へ円高誘導 財政・金融動けず」、こういうことで円が急伸いたしました。これは、四月上中旬の貿易統計速報によりますと、輸出が前年同期比一九・九%増、輸入は二・三%増。これらの数字からして短期的であれ、先月末の日米首脳会談でアメリカ側が懸念を示した黒字の大幅拡大の露呈は避けられない。  これらからして、口先介入と言っていますけれども、橋本総理を初め榊原国金局長あるいは小川事務次官、こういう方々のそれぞれの発言によって百二十三円台になってきた、こういうことだと思うわけでございますけれども、まず、大蔵省日本銀行はこの円高誘導についてどういう御理解をされているか、冒頭に伺っておきたいと思います。
  133. 榊原英資

    ○榊原政府委員 円高誘導という言葉が適切かどうかでございますけれども、私どもは行き過ぎた円安は行き過ぎた円高と同様望ましくないというふうに思っております。適切なタイミングをとらえて断固たる対処をする、こういうことを大蔵大臣がこのところ発言しているところでございます。
  134. 飯島忠義

    ○飯島委員 それに関して、そうしますと、為替市場の安定のためというところで、大蔵省日本銀行各国との連携をどのようにとっているのか、協調介入についてはどのように考えているのか。また、大蔵省には大蔵省なりに財政当局者間の人的ネットワーク、また日銀においてもG7のそれぞれの中央銀行同士のつながりがあろうかと思いますけれども、それぞれ多角度、重層的な人的なネットワークについて、現状についてお示しをいただきたいと思います。
  135. 榊原英資

    ○榊原政府委員 お答えいたします。  まず、大蔵大臣レベルでございますと、G7の大蔵大臣中央銀行総裁会合というのはほぼ毎年四回ほどございます。四月二十八日に開かれたところでございますけれども、そうした会合でG7の大蔵大臣が少なくとも年に四回は会うというようなことでございます。恐らく、アメリカの財務長官と日本大蔵大臣の場合には四回以上毎年会っているというようなことで、五、六回会っているわけでございますから、二カ月に一遍は物理的に会っているというようなことでございます。また、このほかにも、当然かなりの頻度で大蔵大臣と財務長官、あるいは欧州の大蔵大臣が電話をするというようなこともあるわけでございます。  また、これは次官、財務官のレベルでございますけれども、先般三月にアジア・太平洋の六市場会合というのを開いたところでございます。これは日本のイニシアチブで開催したわけでございますけれども日本、アメリカ、中国、豪州、シンガポール、香港ということで、この六市場会合というのは年に一回開かれるというようなことになっておるわけでございます。  こうした会合と並びまして、大蔵省では各レベルで、大臣から下の方は課長補佐まで、電話等を通じて日々連絡をとっておる、こういうことでございます。
  136. 松下康雄

    ○松下参考人 為替市場に関しましては、私どもは、政府が行います為替価値の安定を図るための介入等の措置の場合には、日常、為替市場に接触をし、そこにおける売買等の実務に通じておる専門家としての立場がございますので、政府の代理者として実際の業務を行うわけでございます。  そういうことでございますから、日常、大蔵省とは各レベルにおいて非常に密接な連絡をとっておりますし、また最近のように国際的な大きな動きが頻繁に生じるというような時期におきましては、御指摘のありましたG7その他の会合を通じまして、あるいは場合によりましては個別の関係を通じまして、海外中央銀行の為替担当の当局とは日常の連絡、接触をとっているところでございます。
  137. 飯島忠義

    ○飯島委員 これからますますそういう面での重層的な、そしてまた多チャンネルの人間関係が必要だと考えるわけでございます。  そこでまた、大蔵省日本銀行経済の諸情勢の認識について日常的にコンセンサスを築いていくことが必要であると考えておりますけれども、このような緊密な連携の必要性については大蔵省日本銀行はどのような見解をお持ちか、伺っておきたいと思います。
  138. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  公定歩合の操作などの金融政策は、政府経済政策と相まって国民経済の健全な発展に寄与するものでございまして、両者の整合性確保される必要があるというふうに考えるわけでございます。  今回の日銀法改正におきましては、こうした観点から、日本銀行は常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図ることとされたところでございまして、また大蔵省としても、両政策整合性確保していくよう常日ごろから、またこれまで以上に意思疎通を十分図っていくことが大切だろう と思っております。  金融政策日本銀行で御判断される際にも、政府の方で、どういうような状況になっているのかというような情報をきっちりお伝えしておく必要があると思うのです。そういうことで金融政策判断を正しいもので運用していただくということが期待できるのだろうというふうに心得ております。
  139. 松下康雄

    ○松下参考人 日本銀行の行います金融政策が、物価の安定を図ることを通じまして国民経済の健全な発展に寄与していきます上では、中央銀行独立性とともに、金融政策政府経済政策との整合性が図られていきますように、政府との間で十分な意思疎通に努めていくことが必要でございます。  この点、これまでも政府大蔵省との間で日ごろから一般金融経済情勢等につきまして頻繁に意見交換を行ってきているところでございまして、今後も十分な意思疎通を図るように努めてまいりたいと思っておりますが、特に今回の改正法案におきましては、「総則」の中で、「政府経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」とされております。具体的には、金融調節事項を審議します政策委員会への政府出席や議案提出権、議決延期を求める権利といった制度が織り込まれてございます。  この政策委員会では金融情勢につきましての議論も行われることになるわけでございますから、このように、政府経済政策との整合性に関しましては、制度的にも工夫が行われることになったと理解をしております。
  140. 飯島忠義

    ○飯島委員 諸外国でも、政府中央銀行を対立的にとらえる見方というものはとられていないと思います。ドイツ、フランスに加え、欧州中央銀行でも、政策委員会への政府からの出席が何ら限定なく認められているところでございます。  そこで、政策委員会への政府からの出席は、政府中央銀行の間の人的交流も含め、金融政策に関する意思疎通を図る意味で重要であると思いますけれども、それについての考え方を伺っておきたいと思います。
  141. 山口公生

    ○山口政府委員 今先生のおっしゃった、政府中央銀行を対立的にとらえるべきではないというのは全くそのとおりだと思うわけでございます。これはあくまで、国民生活の向上のため、同じ共通の目的を持った組織であるわけでございます。諸外国でも、政府中央銀行との関係を密にする仕組みというのを十分に備えているわけでございます。  今回御提案申し上げております法案におきましては、政策委員会への出席という形でそれを担保しようとしているわけでございますが、それは、政策整合性確保に加えまして、その過程透明性を高めるという観点もございます。結局、政府経済政策日本銀行金融政策とが十分な連携を持たなければいけないということは御指摘のとおりでございます。こういった仕組みがない場合はどういう形でそれがなされるのかということが非常に不透明になるおそれもあるということで、それを政策委員会の場できっちりやり、それをまた公表をする、概要はできるだけ早くやりますし、議事録自体も将来は公表をするという形になっています。透明性を高めるという意味でも非常に重要な要素だというふうに考えておるわけでございます。     〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
  142. 松下康雄

    ○松下参考人 政策委員会に対します政府出席は、政府意見政策委員会に直接伝えられますとともに、政策委員会において表明されました政府意見とそれをめぐる議論が議事要旨の公表等を通じて公開され、これによって政策決定透明性を高めるための制度であると承知をいたしております。  ただ、さらに、この点に関連をいたしまして、政府日本銀行とがそれぞれの役割を適切に果たしてまいります上では、日ごろからさまざまなレベルで率直な意見交換を行いまして、そうしたことを通じて相互に信頼関係を深めていくという日常的な運用面での努力が重要であり、これを基礎として政策委員会の適切な運営も図られるものであると考えております。この点、日銀といたしましても従来から努力してきたつもりでありますが、新しい制度もとにおきましては、そういった点に十分さらに留意をして運営をしてまいりたいと思っております。
  143. 飯島忠義

    ○飯島委員 ちょっと質問の通告はしていないのですけれども、そういうような答弁でございますのであえてお尋ねしたいのですけれども、第二次橋本政権が誕生して以降、例えば大蔵大臣日銀総裁が、こうした委員会等フォーマルなものは別として、さまざまなレベルでというところでどのぐらいの会合を持たれたか。その回数について、理解しているところで結構でございますから、お示しをいただきたいと思います。
  144. 松下康雄

    ○松下参考人 大蔵大臣との話し合いの機会と申しますものは、例えばG7の会議がございますと、大蔵大臣と私は同行をいたしまして海外に旅行し、また同じ宿舎に泊まりまして、いろいろ議案の内容や情勢につきまして御連絡を申しながら仕事をさせていただいているわけでございます。  そういった機会もございますし、また先般は、大蔵大臣から日本銀行の現場を視察をするというお話をいただきまして、そういったお考えに従って、日本銀行におきまして現場の業務の御説明をいたしたというようなこともございます。  そういうことで、私どももできるだけの機会をとらえまして、直接に御意見を伺い、また私ども意見も申し上げられるように努めてまいりたいと思っております。
  145. 飯島忠義

    ○飯島委員 これは大臣、総裁レベルだけではなしに、当然のようにさらには副大臣そして副総裁それぞれがいろいろなチャンネルで、いろいろな機会意見交換をすることが望ましいと私は思っております。  さて、また日本銀行独立性確保のためでございますけれども日本銀行大蔵省の組織としての緊張関係については、今までの論議の中でも大変大事なことなのだという指摘が再三されたところでございます。しかし、また一方で、双方の豊かな人的交流と、これにより培われた信頼というものを前提にした緊張関係でなければ真に困難な問題に直面したときに意義があるものとなり得ないと考えるわけでございます。  聞く話でございますけれども、アメリカではルービン財務長官とグリーンスパンFRB議長が週に一回程度は、これは慣例というか朝食会をやっている。ですから、その都度いろいろな情報交換をされているということだと思うのですけれども我が国でもこういった試みというものをする必要、またそういう努力が必要ではないかと思うわけでございますけれども、大蔵並びに日銀の方でどういうふうに考えているか、その辺をお示しいただきたいと思います。
  146. 松下康雄

    ○松下参考人 御指摘のような、アメリカにおきましては財務長官と連邦準備制度理事会議長との意思の疎通というものが行われているようでございます。私もその内容については時折話を聞いておりますが、ただ、これはアメリカにおきましても、どちらかと申せば大変個人的なつながりでございまして、財務長官なり議長なりの人によりましてやり方は違うようでございます。いずれにいたしましても、いろいろな機会に御意見の交流を図られているということでございますし、また、その点は欧州各国におきましてもそれぞれの国のやり方でそれぞれの意思の疎通というものを図るように努力をしておられます。  私どもも、こういう点につきましては、まず各レベルにおける相互交流を積み重ねていくということが私どもの仕事の進め方の上から申しますと日常的に大事なことでありまして、そういうことを前提といたしまして、折に触れて、必要なときに私どもも直接大臣との話し合いの機会を持つというように考えてまいりたいと思っております。     〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 山口公生

    ○山口政府委員 今総裁がお話しになりましたよ うに、いろいろなレベルで常時いろいろ、また問題がある都度、緊密なそういった意見交換の場をつくっていきたいというふうに考えております。
  148. 飯島忠義

    ○飯島委員 これは日本における大蔵とそして日本銀行の関係だと思うのですけれども、先ほど冒頭にも世界の為替市場の安定のためということで、人的交流の視点に的を絞ってと言ったらちょっと失礼になるかもしれませんけれども、そういう世界各国の財務当局間の人的なネットワーク、また中央銀行間の人的ネットワークがどう形づくられていくのか、またそれがどう為替市場の安定のために役立っているのか、それについて伺っておきたいと思います。
  149. 松下康雄

    ○松下参考人 私も現場の具体的なことについて必ずしも通じているわけではございませんけれども各国中央銀行の国際金融関係の担当者と私どもの方の国際局とは、それぞれ非常に強い同業者意識を持っておりまして、本当に電話でのやりとりは毎日のようにいたしておりますし、ファクスその他を通じましても、絶えず情報及び意見の交換はやっております。  また、それはいろいろな機会をとらえまして、また国際的な集まりがございまして、これは国際局レベルの集まりもございますし、また役員レベルの集まりもございます、月に一回は総裁レベルの会合も実はございますが、これはなかなか遠方でございますので私も毎回出席ということはできないでおりますけれども、そういったふうに、本当に各層を通じて非常にしっかりとしたつながり合いというものができておりますので、問題がありましたときは、もう昼であろうと夜であろうと、自宅に電話をしてでも、常時必ず連絡がつく、判断を仰げるということになっております。
  150. 飯島忠義

    ○飯島委員 ミスター・円というか国金局長さん、そういう面で、今度は百二十三円の話になりますけれども世界の人的ネットワークというか、日ごろからどんな御努力をされておりますか、聞いておきたいと思います。
  151. 榊原英資

    ○榊原政府委員 今、日銀総裁からお話がございましたように、私ども常時、特にG7あるいはアジア諸国の為替担当者とは電話等で連絡をしておりますし、また、いろいろな国際会議機会にできるだけ会って、双方、市場状況等あるいはそれぞれの金融財政政策あり方等について話をしておるところでございます。
  152. 飯島忠義

    ○飯島委員 例えば一国の努力によって為替市場が安定するということはないわけですから、機関投資家に対して、またアングラなそういう投資家に対して闘うというのは、相当タイミングとか協調という難しさがあると思うんですけれども、これらを含めて、これからも御努力をいただきたいと思っております。  時間がもうあと五分ばかりになりましたので、日銀法案に関連してですけれども日本銀行独立性確保政策決定透明性確保のためには、日銀大蔵省の組織間の緊張関係の維持が必要であると考えております。この緊張関係を前提として、双方の豊かな人的交流、これが常日ごろから、政策担当者同士が相手の考えていることがわかり、そしてまた、何か経済情勢に変動が生じた場合には、それぞれがその状況をどのように判断し、どういった政策がとられた方がいいのかといったことをお互いにやりとりをして、論議を深めていただきたいと思っております。  さて、人的交流の中で、今度はちょっと役員間の異動というんですか、これは、政府から中央銀行の総裁へとかというところで、他国、他のG7ではどうなっているかというところで、わかっている範囲で結構でございますからお願いしたいんですけれども、例えば、米国の連邦準備制度、あるいは今話題になっていますけれどもイングランド銀行、ドイツ連邦銀行、フランスの中央銀行、これらで、大蔵省、役人出身の人が、例えばそれぞれの中央銀行の役員になったとか、副総裁あるいは総裁、あるいは副議長、議長というところで、どんな人事の交流があるのかについて伺っておきたいと思います。
  153. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  アメリカ連邦準備制度では、議長が政府経済諮問委員会委員長でございました、そういう方でございます。それから、同じく副議長が行政管理予算局の長官であった方でございます。それから、イングランド銀行は、副総裁が大蔵省金融政策担当官でございました。それから、ドイツでございますが、ドイツ連邦銀行は総裁がもとの大蔵次官でございます。それから、フランス銀行は、総裁が経済財政省の国庫局長であった方、副総裁が経済財政省財務監察官であった方でございます。
  154. 飯島忠義

    ○飯島委員 それぞれの国で、その立場にふさわしい人を人選してということだと思います。これからも、多角度からこの政策委員の選任というものの論議を深めてまいりたいと思っております。  最後になりますけれども、きょうの参考人招致の中で、三木谷先生からですか、お話がございました。今回の日銀法の改正の意味については再度お話しすることはないと思いますけれども中央銀行とは何ぞや、そういう中で、中央銀行とは銀行券を発行する銀行である。中央銀行銀行の中の銀行である。そして、中央銀行は、ここが若干論議のあるところだと思いますけれども政府銀行である。そして四点目に、国を代表する一つの機関としての中央銀行だ。それゆえに、日本銀行独立性透明性を高めて、金融政策の中における間違いのない中央銀行として発展することを願って、私の質問を終えさせていただきたいと思います。
  155. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、秋葉忠利君。
  156. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 先日に引き続いて、何点か質問をさせていただきたいと思います。  実は、けさの参考人の皆さんの御意見を伺っておりまして、その御提言の中で、何点がやはり確認をしておきたい点がございますので、それについて最初に伺いたいと思います。  この改正案の中の十六条に政策委員の定義といいますか、それが入っているんですけれども政策委員会九名ということになっております。その中で、日銀の総裁、副総裁を除いたほかの委員については審議委員六人という定義づけが行われております。  これは、本当に形式的なところなのかもしれませんけれども、実質的な意味において、審議という言葉、審議会というさまざまな組織が日本の政治の中にはありますけれども、その審議会という存在を考えただけでも、審議委員という格付を行う、少々理解に苦しむところなんです。ただ単に委員とはせずに審議委員という言葉を使った意図と、それから実質的などのような権限の制限がそのことによって行われるのか、その点を伺いたいと思います。
  157. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  審議委員という名前の問題でございますが、御提案申し上げております改正案におきまして、外部からの有識者の委員につきまして六名とさせていただいておりますが、これを審議委員と称させていただいております。  これは、政策委員という名前を使いますと、総裁それから副総裁が同じく政策委員でございまして、その政策委員という言葉が、そこを含む概念なのか含まない概念なのかということが非常にわからなくなるということで、執行部からの委員、すなわち総裁、副総裁と区別する意味で、その職務を踏まえまして審議委員と称させていただいております。  したがいまして、審議委員という名前にしたことをもちまして、その権限を制限するというようなことは全くございません。
  158. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 実は、今のお答えの中に、恐らく意識されていない部分だと思いますけれども、非常に重大な発言がございます。ただいまの審議という言葉について権限を制限することはないというお答えに対しての疑問を呈さざるを得ない。  今おっしゃったお答えの中で、六人の外部からの委員はとおっしゃった。政策委員は、任命された段階において日銀の役員の一部になるわけです。それをあえて、総裁、副総裁以外の人間は外 部の人間であるというふうに規定をして、総裁と副総裁は内部の人間である、そういった差別化を行うことによって、政策委員に実質的に格付を行い、その実際的な権限を、心理的にあるいはそういった形で制度的に制約をつけるという意図があったとしてもおかしくはない発言だと思います。  外部ということの定義をはっきりとしていただきたいし、それにもし差別性がないのであれば、撤回をしていただきたい。
  159. 山口公生

    ○山口政府委員 執行部以外の方という意味で外部というふうに申し上げたわけでございます。もちろん、審議委員になられますとそれは内部の組織の一員であるということは当然のことでございます。
  160. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 済みません、その説明では全然納得がいきません。  総裁、副総裁以外の委員ということであれば、日本の法律においては冗長な言葉を使うことに何らのちゅうちょをしていないわけですから、正確にそう言えばいいじゃないですか。それをあえて審議委員という言葉をつくった上に、今おっしゃった、通常であれば何々以外という言葉で十分意が達せられるところを外部という言葉をあえて使われた。そこのところは非常に大きな問題だと思います。改めて撤回をしていただきたい。
  161. 山口公生

    ○山口政府委員 繰り返しになりますけれども、執行部から総裁と副総裁二名が政策委員、つまり委員として出るわけでございます。したがって、それ以外という意味で外部というふうに申し上げておるわけでございます。それから選ばれるわけでございます。したがいまして、政策委員会委員になった以上はそれは内部の方というような位置づけになることは当然のことでございます。
  162. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ですから、総裁、副総裁は内部の人間、それ以外の人たちは外部の人間。内部、外部というのは日銀の内部、外部ということですから、外部というのは日銀の中には実際には入らないということの表明だとしかとれません。今のお言葉ですと、内部に入っていただくということであれば、そもそも外部という言葉を使う必要はまるっきりないわけじゃないですか。やはり、改めてこの点については撤回をしていただきたい。
  163. 山口公生

    ○山口政府委員 政策委員会の九人のメンバーの中で、総裁と副総裁二名は既に充て職となっているわけでございます。それ以外、外部から選ばれるという意味で、つまり執行部以外だということで申し上げているわけでございます。だから、委員となられた以上は、それはワンボードでございますから、その委員になられるということでございます。
  164. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 総裁の任期は何年ですか。
  165. 山口公生

    ○山口政府委員 五年でございます。
  166. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 政策委員の任期は何年でしょうか。
  167. 山口公生

    ○山口政府委員 五年でございます。
  168. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 任命に当たってはスタガー制をとるということを理解いたしております。そういたしますと、新たに日銀の総裁が任命される際に、既に政策委員六名のうちの何名かはそれ以前から政策委員であった可能性がございます。そうすると、その際には当然総裁が外部の人間という定義づけになると思いますけれども、その解釈でよろしいんですね。
  169. 山口公生

    ○山口政府委員 総裁、副総裁は執行部の人間という意味で申し上げているわけでございます。
  170. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それは任命されてから後の話で、先ほどのお話ではあたかも総裁、副総裁というのは常に存在をしていて、新たに五年という任期がたっても何の身分の変更もないというような感じでおっしゃっていますけれども、これが何年か先になりますと、政策委員は既にその場にもう存在している、日銀の役員として存在をしている、そこに新たな総裁が任命をされるということが当然あるわけですから、その際には今おっしゃったような解釈はこれは変更せざるを得ない、そこのところを申し上げているのです。実はちょっと時間がありませんからこの議論を続けていても余り意味がありません。  ただ、そういった差別性のある委員を具体的につくってしまうような法律の条項というのは私は避けるべきだと思います。冗長になっても、総裁、副総裁以外の政策委員という言葉をここに代替することを提案いたしますし、それを具体的にできないのであれば、統一見解としてきちんと解釈をお示しいただくことが必要ではないかと思います。  次の質問に移ります。  二十九条、守秘義務ですけれども、この守秘義務の内容が私には十分理解できません。原則として重要な決定政策委員会において行われる。その政策委員会で行われた議事の要旨並びにその全容は後日公開される。となると、それ以外に知り得た秘密というのは重要な事項ではないと結論せざるを得ないと思いますけれども、にもかかわらず退任後も守秘義務を課せられるということは、いささかこの役職に対して重過ぎる規定ではないかと私は思います。  三木谷先生が提案していらっしゃるように、例えば政策委員というような重要な役割を担った方がその在任中に得た経験や見識というものを次世代の人たちに、自分の思いあるいはその内容を継承することの方がはるかに大切ではないか。そういったことで、この守秘義務の特に退任後、これを何年という期限をつけることも考えていいと思いますけれども、退任後永遠に守秘義務を負わなくてはいけないというその理由、その厳しさについて一言納得できる説明をしていただきたい。
  171. 山口公生

    ○山口政府委員 日本銀行の業務は、金融市場調節や考査実施など、これが漏えいいたしますと市場の混乱を招きかねない情報や私企業の秘密情報に触れるものが多いことから、日本銀行の役職員または役職員であった者に守秘義務を課すことが適当とされまして、今回の改正によりその規定が新たに設けられたところでございます。  この守秘義務により保護されるべき日本銀行や私企業の利益といいますのは、日本銀行の役職員のみならず退職した役職員によっても同様に侵害されるおそれがございますので、これらの侵害行為からも当該利益を守る必要があると思料されますので、既に退職した役職員にも守秘義務を課しておるところでございます。
  172. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 例えばアメリカの例で言いますと、大統領の任期が切れてから、大体、在職中にその大統領にかかわった図書館ができ、同時に大統領経験者が自分のメモワールを書いて、政治的な経験あるいは自分のやり残した仕事を後世に託すということが伝統的に行われております。  大統領の場合と日銀政策委員の場合では仕事の内容も違いますけれども、やはり一国の金融のかなめで重要な決定を行ってきた人たちの経験や識見というものは、私はアメリカの大統領と同じはうに後世にきちんと残すべき問題だと思いますし、それだけの重責を果たす人が軽々しく、例えば経済的に影響を与えたりあるいは個人やさまざまな企業に対して損害を与えるような情報をあえて暴露するというところまで法律によって禁じることをしなくても、十分良識の範囲内で対処できる問題だと私は思います。  万一そういったことが原因になって何か問題が起こった場合には、日銀法ではなくて、その他の現行の法制度の中でさまざまな法的な救済措置が存在しております。私はそれで十分だというふうに考えますけれども、そういったことを勘案して、退職後の守秘義務というのはこれは日銀法の中には入れておかなくてもいい条項ではないか。改めて伺いたいと思います。
  173. 山口公生

    ○山口政府委員 他国、例えばイギリスやドイツにおきましても同様な、退職後も守秘義務をかけている例がございますし、国家公務員でも同様に退職後も守秘義務が課されております。  そうしたことから、日本銀行が行っております業務の性格にかんがみまして退職後も守秘義務を課している、こういうことを御理解いただきたいと思います。
  174. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 これも問題提起の段階で、また別の機会に議論を続けたいと思います。  次に五十四条、アカウンタビリティーの問題に触れたいと思います。  アカウンタビリティーというのは、これは独立性、さらには開かれた存在というところから導かれてくる非常に重要な問題だと思いますけれども、五十四条ではこのアカウンタビリティーという責任の一端として、日銀大蔵大臣経由で国会報告書を提出するということになっております。しかも、大蔵大臣を経由しなくてはいけないという義務項目になっているんですけれども、この意味はどういうところにあるんでしょうか。  まさか、日銀から郵送するのはなんだから大臣に持っていってもらおうという意味合いでは当然ないはずですから、そうすると、日銀報告の中にあることを大蔵大臣がチェックをして、適切なものはいいけれども、不適切なものについては加筆修正した上で国会提出する、そのために大蔵大臣経由ということになっているのか。なぜ国会に直接提出してはいけないのか、この点について伺いたいと思います。
  175. 山口公生

    ○山口政府委員 この「経由」という言葉を入れてありますのは、現行日銀法や他の立法例を踏まえまして、国会に対する報告制度を設ける場合には、内閣の構成員である主務大臣を経由することが適当であるということで入れさせていただいているわけでございます。例えば公正取引委員会とか日本放送協会等につきましても、所轄の大臣を経由して国会報告書を提出する旨の規定がございます。  お尋ねの、チェックをして修正するのかというようなお尋ねでございますが、経由というのは内容の審査まで含むとは考えておりません。
  176. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 もう一点確認したいのですけれども、通常のといいますか、法律で想定をしているルートとしては大蔵大臣経由で国会ということですけれども、この五十四条があるために、例えば日銀総裁が独自に国会報告書を提出したいというふうに考えた場合に、その直接国会報告書を提出することを妨げる条項ではないというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  177. 山口公生

    ○山口政府委員 五十四条は、お読みいただきますとわかりますように、半年に一回、通貨及び金融の調節に関する事項として政策委員会が議決した内容及びそれに基づき日本銀行が行った業務の状況を記載した報告書のことをいっておるわけでございまして、その場合には、大蔵大臣を経由してということでございます。
  178. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 会計検査院の場合には少々違っておりまして、これは憲法上の規定ですけれども、内閣を経由することが決められていますけれども、そのことに制限されるわけではないという解釈が一般的です。日銀の場合にも同様に、大蔵大臣を経由しての報告書、そういった出し方もあるけれども、直接国会報告書を提出することも、もちろん、する、しないということはまた別の次元の判断ですけれども、この法律によってそういった可能性が否定されるものではないということを御確認いただきたいと思います。
  179. 山口公生

    ○山口政府委員 御提案申し上げております法令におきましては、その報告書のことを指しておるわけでございます。例えば、国会の方からこれを出してほしいというようなことがあったときは、それはもちろん直接ということがあろうかと思います。
  180. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。  国会の方からの要求があれば直接報告書を提出することができるということであれば、それはそれで結構ですが、もう一つ、アカウンタビリティーという言葉の解釈が、ややもすれば非常に甘口の解釈が行われております。  説明責任という言葉がマスコミでは通常使われておりますけれども、アカウンタビリティーの場合に大事なことは、一体だれに対して責任を持つのかということでありますし、だれに対してどのような形で責任を持つのか。最終的にはそれは、例えば国民に対して責任を持つ、どういった形でその責任を果たしていくという段階で、知的なレベルにおける十分な国民の納得を得ることができるということがその一つの判断基準になっているはずです。  それで、最終的にその納得が得られない場合には、何らかの形でその責任をとらなくてはいけないということがアカウンタビリティーの一環だと私は思っていますけれども、例えばニュージーランドの中央銀行の場合、中央銀行は、政府とは一線を画した形で、例えば物価の上昇水準についての目標値を定め、それが達成できないときには、国民に説明をした上で中央銀行の総裁が辞職をするという責任のとり方をしているというふうに理解をしております。  今回の日銀法改正でそれほどの責任のとり方、アカウンタビリティーの表現ということを要求してはいないと思いますけれども、仮に、独立性を持った日銀金融政策上の非常に大きな誤りを犯したということが明白になったような場合に、最終的にはどういう形で責任をとるのか。例えば最終的に、国会の方で報告を求め、それに対して、やはり日銀責任をもうちょっと明確にすべきではないかというような声が出てきた場合には、大体どの程度め責任のとり方を想定してこの法律ができているのか、御説明いただきたいと思います。
  181. 山口公生

    ○山口政府委員 金融政策責任につきましては、日銀政策決定内容及び政策決定過程が対外的に明らかになることによって、その責任の所在が明確にされることが重要だと考えております。したがいまして、今回もいろいろな形での透明性確保、あるいは国会に対する報告書や出席説明を通じての、国会や国民に対する説明の義務づけ等をしておるわけでございます。  このような日銀政策決定に関する透明性確保説明を通じまして、金融政策のよしあしということについていろいろな御批判も出るでしょうし、いろいろな御意見、そういったもので日銀の役員等の責任というものが明確にされていくというふうに思うわけでございます。
  182. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 責任を明確にするというところがよくわからないのですが、じゃ、もう少し具体的な形で伺いますけれども、仮に政策上の非常に大きな過ちがあった、そのことが明確になれば、それで責任を果たしたというふうに今のお答えでは聞こえるのですけれども、例えばニュージーランドではその結果としてやめなくてはいけないということがあるのですけれども、それが通常の言葉の意味で責任をとるということだと思います。  やめるということはしないけれども、過ちであることが明白になれば、もうそれで責任を果たしたことになる。通常の犯罪の場合ですと、犯人がだれだかわかったということだけで、もうあとは刑務所に行かなくてもいいという議論と全く同じなわけですけれども、通常の犯罪と日銀の仕事というものを同列に並べるということ。同レベルにあるということを言っているのではなくて、それと似たような論理的な構造であるというところを申し上げているのですけれども、そういう解釈なんですか。
  183. 山口公生

    ○山口政府委員 ニュージーランドの例をお示しいただきましたけれども、インフレーションターゲティングと呼ばれる手法で、物価安定の目標を約束して、達成できない場合には辞職等のペナルティーもあり得るというような制度でございます。  この手法は、中央銀行の目標達成の成否が単純な数値で判明する明確さがあるという反面、金融政策以外の要因の変動影響をどう評価するかなどの問題がありまして、その歴史も浅く、総合的な評価を下すにはまだ時期尚早ではないかと思います。  したがって、そういった形での責任のとり方、あるいは何かの目標を決めて、それが外れたときは責任でやめなければいけないというようなことをこの法律上仕組むというのは、ややそこは疑問視すべきものだろうと思うわけでございます。したがって、十分に説明をすることによっていろいろな御批判を受け、その御批判を謙虚に受けとめ、またそれによって自分でその責任というもの を判断するということであろうというふうに思うわけでございます。
  184. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。国会との関係での責任のとり方について、また別の機会に伺いたいと思います。  実は、バブル期の反省として日銀法改正、その一つの要因となったわけですけれども、それに関連して、バブル期の反省、いろいろな問題がありますが、その一つとして、組織暴力とそれから金融界との関係というものが、今まではやみの世界に葬られていたものが、非常に大きなパイプを持って表の世界に出てきた。いわば金融という世界において、今までアンダーグラウンドであった存在が認知をされてき始めているということが指摘されております。  それで、そのことについて最後に伺いたいのですけれども、まず、バブルと時期を同じくして、組織暴力の犯罪の形態というものが非常に大きく変わってきているという認識がありますが、一体どういうふうに変わってきたのか、最近の組織暴力、特に金融関連の犯罪の特徴といったものはどういうところにあるのか、警察庁に来ていただいていると思いますので、簡単に御説明お願いいたします。
  185. 宮本和夫

    ○宮本説明員 暴力団は、伝統的に覚せい剤の密売であるとか賭博、のみ行為などを主要な資金源としてきたところでございますが、これらに加えまして、近年、いわゆるバブル期以後の経済情勢の中で、合法的な企業活動を装うなど、企業の経済活動に絡んで違法、不当な資金の獲得を図ろうとする傾向が見られ、その犯罪は著しく巧妙化、多様化をしてきているところであります。こういった状況もとで、昨年来、暴力団等が債権回収などに関与する犯罪が目立っておりまして、暴力団等に係る金融不良債権関連事犯の検挙が大幅に増加しているところであります。
  186. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それと、具体的な数字として、できれば七〇年代の列島改造計画があったころのデータと比較ができればいいのですけれども、なければ、最近の傾向について、具体的なその検挙数等がありましたらお教えいただきたい。
  187. 宮本和夫

    ○宮本説明員 最近の暴力団等に係る金融不良債権関連事犯の検挙数についてお答えをさせていただきます。  平成八年中、五十五件を検挙しているところでありまして、平成五年から七年までの三年間の総検挙件数三十四件を大幅に上回っている状況にあります。内訳は、競売等妨害事犯など債権回収過程に絡むものが五十一件、融資過程に絡むものが四件であります。  また、本年三月末現在における同種事犯、暴力団等に係る金融不良債権関連事犯の検挙数は十五件に上っておるところでございます。
  188. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 実は、これは検挙件数ですから、具体的には、検挙に至らない非常に多くのケースがこのほかにあるというふうに私は理解をしております。  こういった形で、バブルに付随したいわばやみの部分の問題というのが存在しているわけですけれども、やはりこれを放置しておくということは日本の今後のあり方に非常に大きな影を投げかけてくるのではないか、そういった心配の声がいろいろなところから上がっているわけですが、大蔵省としては、特に日銀法の改正に直接は関係ありませんが、より大きな視野の中で、バブル期の反省の一つとして、例えばこういったアンダーグラウンドマネーの今後の対策ということについてどう考えていらっしゃるのか、時間がありませんので簡単で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  189. 山口公生

    ○山口政府委員 今御指摘の点は大変重要な点でございまして、大蔵省としましても、警察庁と緊密に連携しつつ、金融関係団体に対し、そうした暴力団の介入排除に向けて体制整備に努めるよう指示するなど、適切な指導監督にさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
  190. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 時間が参りましたので、提起しました問題については、今後も継続して議論をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  191. 額賀福志郎

    額賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後四時二十六分散会