○福井
参考人 お答えを申し上げます。
その前に、まず冒頭、渡辺
委員から
日本銀行の
国会での
出席義務、
説明義務について明確な御
指摘がございました。私
どもも、その御
指摘は真剣に受けとめているところでございます。従来からもそうでございますが、今後一層真剣な気持ちで
国会に参って、
日本銀行の
考えでいること、あるいは実行していることについてできるだけわかりやすく御
説明させていただきたい、かつ、その上で
金融政策につきまして真剣に議論をさせていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げます。
それから、ただいまの御
質問の前置きとして渡辺
委員から御
指摘のありました、今回の
日本銀行法改正の位置づけは、いわゆる四〇年体制からの国家としての大きなシステム変換の中の重要な位置づけである、さらに言えば、二十一
世紀を目指して
市場のグローバライゼーションが進む中で、新しい
日本の
金融、経済のシステムをどう築いていくかという中でのまた重要な位置づけである、こういう認識は私
どもも強く共有させていただいておることを申し上げさせていただきたいと思います。
それで、御
質問の点でございますけれ
ども、
日本銀行が責任を持って物価の安定を図りながら
国民経済の健全な発展に寄与していく、この役割を果たしていく上で、やはりこの新しい時代を展望いたしますればなおさら、
日本銀行の
金融政策の
独立性を制度的にも明確にして、その責任の所在を明確にされるということが重要だと思っておりますが、同時に、
金融政策と
政府の経済
政策との整合性が図られるように、制度的にも、また我々の日ごろの行動様式としてもその辺をしっかりと確保するよう努めていく必要があるということだと思います。先生のお言葉をかりますと、糸の切れたたこのようになってはならないという御
指摘の点は、その点のことを指しているんだろうと思います。
お尋ねの、糸の切れたたこのようにならないという点に関しましては、今回の
改正法案の中にもさまざまな工夫が盛り込まれております。改めて申し上げるまでもないと思いますけれ
ども、ただいまも先生御
指摘のとおり、総則の中の第四条で、
政府の経済
政策の基本
方針と
日銀の
政策が整合的なものとなるように常に
政府と連絡を密にすること、そして十分な意思の疎通を図らなければならないとしておりますし、さらに別のところで、
金融調節事項を
審議する
政策委員会への
政府の
出席、あるいは議案の
提出権ということも書かれております。さらに
議決延期を求める権利といった制度も具体的に盛り込まれているところでございます。
このように、新
法案の中におきましては、
政策の整合性に関しまして制度的な工夫が十分施されていると思っておりますが、
日本銀行としましては、今後とも
政府との間の
意思疎通をしっかりと図りまして、
国民やマーケットから信認を得ながら適切な
金融政策を図っていくべく
最大限努力をしていかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。
そして組織形態に絡んでこの点を申し上げますと、新法の案におきましても、
日本銀行の組織形態は
現行法の組織形態を維持するということになっております。半官半民の特別な法人という位置づけでございますし、定款を
政府から
認可をちょうだいしてこの組織が動き始めるという意味で、
認可法人というふうな定義もなされているようでございます。
私
ども、ただいま申し上げました
政府との
関係と、それから
日本銀行の組織体としての性格を両方見て、この新法におきましても
現行の組織形態が維持されることについてどう
考えているかということを簡単に申し上げますと、一つは、
委員もつとに御
指摘のとおり、
日本銀行は、
金融政策を通じまして
日本経済全般に広範にかつ強い影響を及ぼしていく、そういう意味で非常に強い公的性格を持った存在だということが言えると思います。そして同時に、その一方で、
日本銀行の
金融政策というのは、強権力の発動ということではなくて、やはり
市場メカニズムを通じて経済全般に働きかけていくというところに特徴がございます。
先般、
三塚大蔵大臣に
日本銀行にお越しいただきまして、
日本銀行のいろいろな仕事を直接ごらんいただいたわけでございますけれ
ども、やはり
日本銀行は非常に公的な色彩の強い存在であると同時に、一方で銀行
業務を通じて仕事をしている、銀行という性格もあわせ持っているということでございます。
現在の組織形態は、主として過去の歴史的な系譜の中から決まってきた面が強いわけでございますが、しかし、現状におきましてもそうした公的側面と銀行という側面と両方をあわせ持っているという、これを悪く言いますと、ぬえ的存在、やや異質のものが一つに合体したような存在を微妙に表現している法人形態でもあるというふうに思うわけでございます。
しかし、それだからこそ、
政府と
中央銀行との
関係につきましては、綿密にやはり整合性がとれるような体制が整えられなければいけない。新
法案の中には、先ほど申し上げましたようないろい
ろな仕組みがそこに施されていて、
認可法人という従来の法形態のままでも
政府から糸の切れただこのような存在に
日本銀行がならないような仕組みは入っている。私
どももその覚悟で、今後は
日本銀行の運営を一層正しい方向に運営していきたい、こういう覚悟を持っているということを申し上げさせていただきたいと思います。