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山本(幸)
委員 私は、かつて経企庁が出した
見通しの的中率というのを、誤差一〇%以内であれば当たったとして過ぎ三十年間ぐらいやったことがありますが、六分の一です。つまり、さいころを転がしたのと一緒です。だから、経企庁がそういう
見通しをするよりはさいころを転がした方が——同じぐらいだというようにしか思っていませんけれ
ども、それは冗談として、本当に、
日本経済の
見通しについて、
市場参加者は間違っていて、
榊原さんを中心に
政府部門はより正しい見方をしているというように言えるのかどうか。私は、そこは大いに疑問があって、やはり本当の声は、
市場が正確な反応を示しているのではないかと思っているのです。
これは、一つは、例えばアメリカのホワイトハウスの高官が言ったというのですが、要するに、
日本経済の最悪シナリオというものはどういうものかという話をその高官が言っている。
規制と高コストが続くため、力のある
日本企業はあらかた海外に転出してしまう。ある朝起きてみると、規制産業と保護産業しか
日本には残っていなかった。
市場では円が暴落し、猛烈な輸入物価上昇とインフレが始まる。だが、弱体の連立政権は何もできない。こうして
日本経済は本当の
長期停滞に入る。実力を過大評価されて円高に苦しんだ昔が懐かしい。
これが最悪シナリオだとアメリカのホワイトハウスの高官が言っているのですが、そういう
可能性がないわけでもない。
本当に改革が進むのか。
外為法改正を私は希有な例だと思って、その
意味で
最初に申し上げたように高く評価しておりますけれ
ども、それ以外のところで進まなければ、こういう
状況になり得る。
それから、不良資産問題は解決しつつあると言われましたけれ
ども、私は全然そう思わない。不良資産問題が解決している格好に見えているのは銀行のバランスシート上だけの
動きであって、実体
経済のところ、貸付先の
不動産、建設業界などが持っている、そこの
不動産はちっとも動いていないのです。これは、今の
日本の銀行の償却のあり方がおかしいから。間接償却、無税償却を認めたのは
日本だけですね。そうすると何が起こるかというと、帳簿でつけ加えて間接償却して、無税の効果まで得られる。業務純益が物すごくあって、しかも無税効果まで得られてもうほくほくしているのだけれ
ども、銀行は机の上に座って何もしない。本来ならば、そういうところへ乗り込んでいって、物すごい苦労をして
不動産を処理しなければこれは動かない。
そこで、せっかく国税庁の部長さんに来ていただいているので、それに関連してちょっとお伺いしますけれ
ども、本当に
市場が間違っているというように言えるためにはそういうことをきちっとしなければいけないのです。ところが、問題は、その実際に借りている人たちの不良債権をどうして動かすかというときに問題が起こる。特に課税上の問題が非常に不明確であるというところが、実際に処理するときに困っているわけですね。
それで、先般、東京三菱銀行が担保つき不良債権をパッケージにして、その債権
自体ではなくて、元本部分と
金利部分を切り離して海外の投資家に売ったという新聞記事が出ておりました。ローン・パーティシペーションというやり方ですけれ
ども、それができた。私は、この記事を見て、もしこういうことが本当にどんどん進むのなら、あるいは不良債権の処理もやりやすくなるかなと思ったのです。
問題は、業界の人たちはそれがなかなかできなかった。なぜできないかというと、そういう不良債権を外国の投資家に売ったときにつける値段が問題になる、
価格が。その
価格はやはり思い切って下げないと投資家は買わないという
状況が起こってくる。しかし、余り下げ過ぎると、これは寄附金じゃないかという処理がされるのじゃないかなと思って、一体国税庁はどうするだろうかと顔色をうかがいながら、ずっとああでもないこうでもないと探りを入れていたわけです。実際にやってみて、どうも認めそうだと。
アメリカの場合は、もうとにかくそういうものはどんな
価格でもいい、どんな安くてもいい、第三者にちゃんと売るものであればその部分は寄附金として見ませんよというような処理がされてはっきりしているから、みんな担保つきの不良債権でもどんどん売って処理してしまう。
日本の場合、こういうものについて、第三者に売るときに、その値段はその第三者との
取引で決まるという値段で結構です、その点については寄附金の問題は起きませんというようにはっきり明言できるのかどうか、お尋ねします。