運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-03-12 第140回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十二日(水曜日)     午後六時十一分開議 出席委員   委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    木村 隆秀君       小林 多門君    菅  義偉君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       中野 正志君    山中 貞則君       吉川 貴盛君   吉田左ヱ門君       渡辺 喜美君    上田 清司君       木村 太郎君    小池百合子君       鈴木 淑夫君    達増 拓也君       中川 正春君    並木 正芳君       藤井 裕久君    前田  正君       宮地 正介君    村井  仁君       末松 義規君    田中  甲君       山本 譲司君    佐々木憲昭君       秋葉 忠利君    吉田 公一君       新井 将敬君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第一局外務         検査課長    鵜飼  誠君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   清川 佑二君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   北脇 保之君     達増 拓也君   前田  正君     小池百合子君 同日  辞任         補欠選任   小池百合子君     前田  正君   達増 拓也君     北脇 保之君     ————————————— 三月六日  中東北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律案内閣提出第三四号)  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加  盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第三五号) 同日  共済年金制度堅持に関する請願熊谷市雄君  紹介)(第六〇四号)  同(竹下登紹介)(第六〇五号) 同月十二日  共済年金制度堅持に関する請願細田博之君  紹介)(第六四九号)  同(亀井久興紹介)(第七三七号)  同(櫻内義雄紹介)(第七三八号)  同(増田敏男紹介)(第七七九号)  同(山口泰明紹介)(第七八〇号)  同(山本有二紹介)(第七八一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中東北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律案内閣提出第三四号)  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加  盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第三五号)      ————◇—————
  2. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中東北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。三塚大蔵大臣。     —————————————  中東北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま議題となりました中東北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、中東北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、別途本国会において御承認お願いしております中東北アフリカ経済協力開発銀行を設立する協定に基づき、我が国が同銀行加盟するために必要な措置を講ずることを目的とするものであります。  中東北アフリカ経済協力開発銀行、いわゆる中東開発銀行は、中東及び北アフリカ地域における経済開発貧困削減及びこれを通じた地域の平和の促進を目的として、主として民間部門に対する投融資を行う機関として設立されることになっております。  政府といたしましては、中東開発銀行役割重要性にかんがみ、また、我が国が同銀行活動支援していくことは我が国と同地域との経済関係を一層緊密なものとするものであることから、米国及び欧州の国々等とともに同銀行加盟いたしたいと考えております。  本法律案内容は、加盟に伴い、政府が同銀行に対し約四百六十八億円の範囲内において出資することができることとする等の所要措置を講ずるものであります。  次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行及び国際開発協会は、ともに世界銀行グループに属し、アジアの貧困国も含めた開発途上国の社会・経済開発に重要な役割を果たしております。  先般、世界銀行において、我が国経済力及びこれまでの世界銀行グループへの貢献にふさわしい発言権が確保されるよう、我が国に対する特別の措置として、出資シェアを六・一五%から八・一五%へと引き上げる総務会決議が成立いたしました。また、国際開発協会において、九七年度以 降三年間の融資財源を確保するための第十一次の増資に関する総務会決議が成立いたしました。  政府といたしましては、両機関役割重要性にかんがみ、その活動を積極的に支援するため、これらの決議に従い、追加出資を行いたいと考えております。  本法律案内容は、政府世界銀行に対して三十三億二千三百万協定ドル範囲内において追加出資を、国際開発協会に対して約二千三百四億円の範囲内において追加出資を行い得るよう所要措置を講ずるものであります。  以上が、中東北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いを申し上げます。
  4. 額賀福志郎

    額賀委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 額賀福志郎

    額賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉忠利君。
  6. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。  今回のこの二案件に関して、世界銀行あるいは世銀グループが世界的に非常に重要な役割を果たしている、その役割をさらに充実させるために、また世界的により広範な支持を得るためには、例えば環境に対する取り組み人権、あるいはその他途上国立場から、あるいは途上国の現場で活躍をしているNGOとの積極的な連係プレーというのが非常に重要になってくるのではないかというふうに私は愚考しております。  この点については、例えばアジア開発銀行などにおいても総裁、副総裁NGO開発における重要なパートナーであると繰り返して言っている、そんな現実もありますし、あるいは、アメリカにおいてこういった姿勢法律の中に定められております。例えば一九九三年の国際開発及び債務救済法の中では、アメリカの代表として世銀グループのいろいろな機関出席をする理事がその発言権投票権を行使して、プロジェクト実施における住民NGOの参加といったようなことを促進すべきであると、法律の中にまでNGOとの連携が規定されている、こういう現実がございます。  この面で、世銀全体でも結構ですし、特に我が国としては大体NGO立場をこれまでどう考えてきたのか、どういうような姿勢でこれから臨んでいこうとしているのか、その辺について、まず一般的な姿勢を伺いたいと思います。
  7. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  先生御存じのように、世銀においては近年環境問題あるいはNGO問題について極めて積極的な取り組みがなされているわけでございます。世界銀行の例えば組織面でも八七年に環境局という局が新たに設置されたところでございます。また、プロジェクト実施に伴いましても、A、B、Cとプロジェクトを分けて、環境影響があるというふうに思われるものについては具体的な環境アセスメントというようなものを義務づけておるというようなことをやっておるわけでございます。  さらに、環境面でのチェックシステムを充実させるためにインスペクションパネルというのを設置しておりまして、世銀自体のポリシー、規則等が遵守されていないことによって関係住民の権利や利害が侵害されている案件について、申し立てによりインスペクションを行う等の取り組みもしているところでございます。  また、NGOについても大変積極的に世銀は取り組んでおりまして、本部においてはNGO世界銀行委員会というものが設置されておりまして、NGOとの定期的な協議も行われており、セクター別国別援助政策に関する意見交換等実施されているところでございます。さらに、駐在事務所現地NGOとの関係強化世銀研究活動に関するNGOとの協議も進められておるところでございます。  我が国としても、このような世銀の積極的な環境NGOへの取り組みというようなものに即して、環境問題、NGO問題については積極的に取り組んでいく所存でございます。
  8. 秋葉忠利

    秋葉委員 積極的に取り組んでいくという肯定的なお答えをいただきまして、大変心強い思いがいたします。  NGO活動、もう少し具体的に伺いたいと思いますが、それにどうしても欠かせないのがやはり情報公開ということだと思います。NGOが果たす役割のうち、例えば、世銀ではあるいは各国政府ではとても得ることのできないような情報NGOが実際に持っているというようなこともありますけれども、それと同時に、私は、NGO世銀あるいは日本であれば大蔵省情報公開を迫る、そのことによってなかなか出てきにくい情報公開され、より広範な議論がきちんとできるといったようなことが重要だというふうに考えております。  その点で、実はこれまたアメリカあり方が非常に参考になるんですけれども、まず、世銀活動内容についての情報公開の現状について、簡単に御説明いただきたいと思います。
  9. 榊原英資

    榊原政府委員 まず、世銀活動内容についての世銀情報公開でございますけれども世界銀行は、開発過程において関係者の間での議論を活発化し、また一般の理解を得るためには、その活動に関する情報公開をすることが極めて重要であるというふうな認識に立って、これを積極的に進めているところでございます。  世界銀行は、情報公開の窓口として世界銀行情報センターワシントン世銀本部に設立してございます。この情報センター公開される情報は、例えばインターネット等を通じ各国で取得することができるようになっておりますし、また、世界銀行東京事務所というのがございますけれども、ここでも具体的に情報開示されているところでございます。  その開示内容でございますけれども、具体的には、財務の情報あるいは世銀運営に関する一般的な情報、あるいは世銀の場合にはそれぞれの個別の国に貸しておるわけでございますから、その個別当該国政府が同意すれば、それを条件とした業務関連情報環境情報等公開ということをやっておるわけでございます。  私ども大蔵省でも、そういうラインに沿って積極的に情報公開をやっていこうということでございまして、世銀活動等について、例えば世界銀行事務所がパンフレットをつくっております。これを日本語にしてアベーラブルにするというようなことを積極的に慫慂しているところでございます。  また、NGO等に対する情報公開についても、これまで個別にいろいろ対応してきたところでございますけれども、今後そういうことについても前向きに対応してまいりたいというふうに思って、おります。
  10. 秋葉忠利

    秋葉委員 情報公開についてもあるいはNGO対応についても前向きに対応していきたいという姿勢は、NGO側から考えると大変歓迎すべきことですし、今後の世銀その他の活動に関しても、内容がより充実する方向に貢献できることだと思います。  しかしながら、これまでの、世銀あるいは世銀グループのいろいろな機関に対して、もちろん我が国としては出資もしていますし、理事を出したりしておりますし、個々案件にもかかわってきている、そういった対応で、NGO側から見ると十分ではないという批判も出てきております。その一つとしてよく指摘されることが、例えば理事選任の仕方。  アメリカばかりの例で申しわけありませんが、実はこういった対応については恐らくアメリカが一番開かれたシステムをとっておりますので、日本が全部アメリカと同じようなことをやれという意味ではなくて、一つの規範として、参考例とし て、基準として取り上げさせていただきますけれどもアメリカでは、例えば世銀関連機関には民間から理事を出すということを日常的にやっておりますし、その理事行動についても、民間あるいはNGOからの意見が幅広く取り入れられるようなシステムになっております。  日本では、残念ながらそこまで行っておりませんけれども我が国では一体どういう基準理事を選んでいるのか、それが十分批判にたえ得るものだとお考えになっているかどうか、お教えいただきたいと思います。
  11. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  世界銀行理事は、加盟措置法上、内閣がこれを任命することとなっております。我が国からの理事等の任命については、これらの国際開発金融機関公的資金民間資金をあわせた国際金融全体の中で開発支援あり方検討しているため、国際金融に精通した大蔵省職員が今までのところ任命されているところでございます。ただ、旧ソ連・東欧の民主化に向けた支援を視野に入れているEBRDの場合には外務省職員が、また各国保険機関との調整が必要な世銀グループのMIGAでは通産省の職員が、それぞれ理事代理を務めているところでございます。  今先生からアメリカの例の御指摘がございました。これは先生非常によく御存じのように、アメリカでは、開発機関理事あるいは大使のみならず、政府の官僚がほぼ三千人から四千人、いわゆるポリティカルアポイントメントということで任命されておるわけでございまして、三千人、四千人がポリティカルアポイントメントで任命されているというのは、G7の中でも例外的なケースでございます。もちろん、アメリカ民主主義というのはそういう形で育ってきたという、アメリカ民主主義の歴史を背負ってのそういう制度でございますけれども、他のG7諸国では、アメリカあるいはカナダが若干の例外でございますけれども、その例外を除いては、当該開発機関を所掌している省庁、主として大蔵省でございますけれども大蔵省から理事を派遣しているという例が一般的でございます。  ただ、先生指摘のように、国際開発機関運営に当たりましては、多方面からの意見十分耳を傾けていくことが重要だと思っておりますので、今後ともそのような努力を続けていきたいというふうに思っております。
  12. 秋葉忠利

    秋葉委員 今すぐアメリカ的にしろというのは無理にしても、幾つかの分野から、例えば民間からの登用などということもぜひ御検討いただければというふうに思います。  これまたアメリカの例で申しわけないんですが、例えば環境の問題についてあるいは人権等の問題について、出身が民間であろうとあるいは官庁であろうと、アメリカ理事の場合には法律によって行動が規制されている、非常に強い規制がかかっているというケースがございます。例えば、これはペロシ条項という、国際開発金融法の中にある条項なんですけれども、そういった条項がございます。これは環境影響評価が準備されるということ、これがプロジェクト貸付融資承認のための理事会の百二十日前までに行われなくてはいけない、それがないような場合には承認の票を投じてはいけないんだというふうにアメリカの場合には理事行動を規制しております。  例えばこういった厳しい法律で規制するということ、もちろんよしあしがあるわけです。しかしながら、こういう基準があるということによってアメリカ理事行動は非常によくわかる、透明だと言ってもいいと思いますけれども、残念ながら日本から出ている理事皆さんの場合には、それはそれなりにきちんとした判断基準があるのだと思いますけれども、それが私たちにはよく見えない。そのあたり判断基準、どういうふうにその判断基準をおつくりになっているのか、どんな基準を持って世銀グループにおける投票をしているのかあるいは発言をしているのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  13. 榊原英資

    榊原政府委員 先生指摘のとおり、アメリカでは環境問題について具体的な対応基準というようなものを作成して、それで対応しているというような例があるわけでございますけれども、この点についてはアメリカが先進的といいますか、他の政府に先駆けてそういうことをやっているということでございます。  私ども環境問題についての基準ということでございますけれども、基本的にはODA大綱というのがございまして、そのODA大綱方針というものを踏まえつつ、また、我々のその時々の環境問題、開発問題等についてのスタンスは、それぞれの機関総会が一年に一回ございますけれども、その総会のときの演説で示しているところでございます。  また、理事会個々案件がかかってくるわけでございまして、理事我が国を代表してその個々案件についての意見を表明するわけでございますけれども理事は、その当該案件我が国ODA大綱に示される基本的な考え方や各機関業務規則等に合致し、地球的な規模での持続可能な開発に資するものであるかどうかの観点に立って検討を行っているということでございます。  世銀の場合には、各国政府とのパートナーシップを非常に強調しておりますので、我が国主要出資国一つとして、途上国開発戦略や具体的なプロジェクトへの対応につき、世銀側と密接な意見交換を行ってきているところでございます。  また、近年、東京世銀援助国会合というのを開催することが多くなってきておりますけれども、こういう形で東京援助国会合を開催する際には、同時に民間との協議というようなこともやっているところでございます。  また、各機関重要決定事項については、例えば世銀の場合にはプレスリリース等の形で一般公開されておりますけれども我が国世銀東京事務所広報活動を積極的に支援していくとともに、大蔵省としても情報開示広報に努めていきたい、そのように思っております。
  14. 秋葉忠利

    秋葉委員 一応、一般論としての姿勢、私たち、特にNGOが印象として持っていたものよりも、大蔵省は随分前向きに変わっているなという感じがいたします。  歓迎すべきことなのですが、そのあたりをより具体的に示していただきたいと思いまして、一九九五年、これは融資が最終的には環境に対する配慮によって中止された案件ですけれどもネパールアルン・ダムの件がございます。この件に関連して、例えばどういうふうにどの程度の情報をどの段階大蔵省としてはお出しになったのか、世銀情報以上のものを出していたのかどうか、そのあたりのところをぜひ教えていただきたいと思います。
  15. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  ネパールアルン水力発電所建設事業につきましては、世銀グループ環境保全住民移転先住民保護等に関する業務政策に違反して実施されていることを理由に、インスペクションパネルによる調査申し立て現地NGOよりなされたところでございます。  インスペクションパネルによる正式調査への移行必要性を審議した理事会においては、我が国理事正式調査への移行を支持いたしました。パネルは、住民移転等に関するIDA案件実施段階での対応が不十分であったとする内容報告書を九五年六月に提出いたしました。同年八月、世銀側は、ネパール政府案件実施能力への懸念などを理由として、本プロジェクトに対する融資中止を発表いたしました。  我が国は、ネパール政府環境問題等について適切な対応をとることを条件に、同プロジェクトに対してIDA協調融資の形で円借款を供与する方針でございましたけれどもIDA融資中止を受けて、円借款の供与の検討中止いたしました。  また、本プロジェクトをめぐる経緯についての情報提供でございますけれども、これは、調査申立て提出時、申し立て内容に対する世銀側反論書提出時、理事会による正式調査への移行承認時、パネル正式報告書提出時、融資中止決定時に、世銀側からそれぞれプレスリリースを発表しております。パネル正式報告書公開されているところでございます。  我が国としては、この世銀正式発表ということに追加的に情報公開をしたということはございませんけれども世銀がその時々に十分な情報提供をしてきたものというふうに理解しております。
  16. 秋葉忠利

    秋葉委員 実は世銀の最終的な決定は正しかったわけですから、今おっしゃることはそのとおりなんですが、せっかく大蔵省の方でも前向きな姿勢をとるとおっしゃってくださっているので、そこでお願いなんですけれども、例えばUSAID、これは開発担当のお役所ですけれどもプロジェクト中止になったのは八月ですから、三月の段階で、すべてのマスコミを含めてですけれどもNGOに対して大体六ページぐらいにわたるブリーフィングを出しております。これにはアメリカ政府考え方がはっきりと書かれている。この時点では、アメリカグループ世銀との間に意見の対立がございました。  それとは別に、例えばアメリカNGO政府との間にはチューズデーミーティングというような有名になっているミーティングがあるのですけれども、毎週火曜日にワシントンで、NGOのいろいろなオフィスを持ち回りで、NGOが二十か三十くらい集まる。その中に、例えば世銀担当のお役人とかあるいはそれ以外のグループのお役人日本でいえば大蔵省担当の方が十人ぐらい入って、定期的に情報交換を行っている。そこからも、やはり同じようにアルン・ダムのこの発電所プロジェクトについての情報が出てきたし、意見交換ができたということを日本NGO皆さんアメリカNGO皆さんから伺っているのです。  まあ大蔵省皆さん大変お忙しいわけですし、日本NGOも忙しいでしょうから、毎週定期的にということは無理にしても、一月に一回でもいいです、最初は半年に一回くらいがいいところかもしれませんが、ある程度定期的に、何かそういった形で、こういった世銀グループのいろいろな開発について、定期協議というとかた苦しくなりますから、意見交換の場を設けるといったようなことなどは考えていただけるものでしょうか。
  17. 榊原英資

    榊原政府委員 NGOに対する情報開示というのが、あるいはNGOとの協議というのが、特に開発につきましては近年大変重要になってきております。秋葉先生の御指摘は、非常に貴重な御指摘だというふうに考えております。  我が国の場合には、いきなりチューズデーミーティングというわけにはなかなかいかないわけでございますけれども、今までは個別に対応してきたわけでございますけれども、今後はまとまった形で定期的に意見交換する場を設けていきたいと思っております。秋葉先生初め、NGOに関連の深い先生方とも十分御相談をしながら、こうした定期的に意見交換する場を設けていく所存でございます。
  18. 秋葉忠利

    秋葉委員 大変ありがとうございます。NGOにとっても活動に弾みがつくことになると思いますから、建設的にそういった機会をつくって生かしていきたいと思います。  それと同時に、今度はアジアに目を向けますと、この五月に福岡でアジア開発銀行、ADBの総会が開かれます。このADBの総会に関連して、NGOの方としては、こういった総会に世界各地のNGOの仲間が集まって情報交換をしたり、それ以上に、そもそもアジア開発銀行ではNGO開発のパートナーだというふうに言っているわけですから、そういった場を、具体的に、各国から選ばれている理事皆さんとかあるいは政府の代表と意見交換をする、情報の交換をするといった場所として使いたい、そういう意向を持っております。  ところが、昨年マニラで開かれたアジア開発銀行総会では、日本NGO十二団体、一個人が通行証をもらいたいという申請をしたんですけれども、残念ながら、そのすべての団体に通行証が発行されなかったという事情がございます。しかも、期限内に申請を行ったNGOの中で許可がおりなかったのは、国別に言うと日本だけだ。ちょっとこれは幾ら何でも恥ずかしい話かな、あるいは日本NGOというのはそれほど何か唾棄すべき存在だと大蔵省が思っているのか、まあそんなことはないと思いますが、そんな印象さえ持ってしまうほどの何か厳しい基準なんではないかという気がいたします。  今回の福岡大会は、日本で開かれるということもあって、日本NGOの関心も非常に高いわけですが、今回は、ぜひこの通行証の発行の基準をもう少し緩めていただきたい。私は、全廃すべきだということを主張したいのですけれども、それはそれなりに大蔵省立場というのも恐らくあった上で通行証の発行が行われているんだと思いますから、できるだけ緩やかな基準で、できるだけたくさんのNGOが参加して、このアジア開発銀行総会をより豊かなものにする、そのあたりで御尽力をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  19. 榊原英資

    榊原政府委員 先ほどから申し上げていますように、大蔵省といたしましては、NGOとの協調関係が特に開発問題については極めて重要だというふうに思っております。  今回、福岡でアジア開銀の総会が行われるわけでございますけれども、なるべく多くのNGOの参加が可能となるように対応していきたいというふうに考えております。  ただし、総会の正常な運営を確保するというような理由で関係各省とも協議をしなきゃいけないということもございますので、すべての御要望を満たし切れない場合があることは御理解いただきたいと思います。  ただ、昨年のADB総会では、公的機関からの補助金の有無というのを基準にいたしましたけれども、今回はこの基準を適用するつもりはございません。この基準については緩和するつもりでございます。
  20. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  明確に、どういう基準があって、その基準を撤廃するとか適用するとかいったレベルできちんと議論ができるということが実は非常に大事だと思います。そういう意味で、基準一つを明確にしてくださったこと、それからそれ以上に、それは適用しないという決定をしてくださったことには本当に感謝いたしますし、その姿勢を高く評価したいと思います。  できれば、この際ですから、もう一歩歩を進めで、やはり全部のNGOに通行証を発行します、ぜひそのあたり三塚大蔵大臣の英断でお願いしたいと思いますけれども。  そのアジア開発銀行と同趣旨で今回の中東それからアフリカ開発銀行ができるわけですけれども、このプロジェクトについで、今後一体どういう姿勢開発支援を行っていくのか。  特に心配になりますのは、ざっとこの参加国を見てみますと、地域内にも大分参加をしていない国々がある一、それからヨーロッパの国々の中でも、ドイツ、フランス、イギリス、これが存在しないことによってその特徴が浮き彫りにされているわけですけれども、そういった特徴がございます。そういった背景を考えて、一体どんな開発支援をどう行っていくのか、それを我が国が応援するに足る十分な信頼性といいますか、その辺は確保されるのかどうかお聞きしたいと思います。
  21. 榊原英資

    榊原政府委員 今回の中東開銀の設立につきましては、御指摘のように、ヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツ等が参加していないということがございますけれども、これは、従来からヨーロッパ諸国は中東と非常に関係が深うございまして、どちらかというと無償で資金を提供してきたというような経緯がございます。  今回の開発銀行は、民間セクターの育成あるい はインフラ整備のために融資をするということが主たるその目的になっておりますので、いずれこれらのヨーロッパの国々も参加してくるとは思いますけれども、そういうことで若干、アメリカ日本等と意見の対立があって、当初から参加をしなかったという事情があるわけでございます。  また、湾岸諸国でも参加していないところがございますけれども、こういうところは、いわゆるオイルマネーでみずからのそういう援助ファシリティーを持っておりますので参加しなかったというような事情があるわけでございます。  現在、銀行の設立に向けて参加国の間で準備が進められている段階でございますので、具体的な業務運営方針融資対象、融資条件等について明確に私がここでお答えできるという立場にはございませんけれども、この銀行目的、同地域の特殊性等を考えますと、可能性のある分野としては、水資源、環境、観光あるいは交通等に係るインフラの整備、あるいは生産設備の新設及び拡張、民営化を進める国有企業や民間企業に対する投融資、それに対する経営支援等が想定されるところでございます。
  22. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  この中東・北アフリカ開発銀行支援についても、環境の面、それからNGOとの協力等、これまでお願いしてきたことを十分に配慮をして進められることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。     —————————————
  23. 額賀福志郎

    額賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として海外経済協力基金理事情川佑二君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 額賀福志郎

    額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  25. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、上田清司君。
  26. 上田清司

    ○上田(清)委員 新進党の上田でございます。  中東に詳しい小池議員が後に控えておりますので、簡単にお尋ねしたいと思いますが、中東北アフリカ経済協力開発銀行への加盟について、各国のそれぞれの加盟状況を見ますと、まず中東で経済的にも大変な力のあるサウジが入っていない、あるいは域外でイギリス、フランス、ドイツが入ってない、これは一体なぜなのか、まず大臣にお尋ねしたいと思います。
  27. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  先ほども秋葉委員の質問のときに若干お答えいたしましたけれども中東開銀の設立について、有償の資金で融資をする、民間セクターを中心としたインフラストラクチャーに融資をする、そういう一つの流れと、もう一つは無償資金をベースにして、今までの無償援助のようなものを続けていくという立場、二つの対立した立場がございまして、最終的には、アメリカ及びロシアが中東和平で外交的なイニシアチブをとっているということもございまして、アメリカ、ロシア、日本等のラインで民間のインフラを中心とした融資をやるというようなことで銀行の設立がまとまったわけでございます。  そういう経緯がございまして、イギリス、ドイツ、フランス等、無償の援助の延長線上に中東への資金供給を考えていこうという立場をとったヨーロッパの諸国は、少なくとも当初には参加しないという決定をしたところでございます。ただ、フランスあるいはスカンディナビア諸国等はもう既に参加を考えているということでございますので、いずれフランス等のヨーロッパの諸国も参加をしてくるというふうに考えております。  それからサウジ等の湾岸諸国につきましては、オイルマネー等が潤沢にあった時点で、それぞれがその地域に資金援助をする機関をつくっております。そういう機関をつくっておりますので、この中東開銀がそれとまさにオーバーラップするというような考え方からこれもまた当初参加をしなかったというようなことでございますけれども中東開銀が確固たる銀行として今後設立されていくわけでございますから、そういうプロセスで、そういう諸国に対しても参加を促していくというようなことになるかというふうに思っております。
  28. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  それでは、三塚大蔵大臣ODA大綱に従って我が国はさまざまな世界の開発銀行機関を通じて多大なる援助をやっているわけですが、この趣旨を生かすという意味で、それぞれの機関内に、意思決定機関理事やあるいはまたその理事を補佐する立場日本人の専門職員が多数入ることが、いわばODA大綱趣旨現実に生かすことになるのではないかと思うのです。そのシェアのバランスからすると、いわゆる資金提供あるいは出資のシェアに比べるといささか少ないのではないかと思うわけですが、これについて、一朝一夕になるものではありませんが、大臣としてどういう取り組みをされるのか、あるいは現況における感想でも結構でございますので、承りたいと思います。
  29. 榊原英資

    榊原政府委員 先生指摘の点は、私どもも痛感しているところでございます。  私どもとしても、日本職員の数をふやすということについでは大変な努力をしておるわけでございますけれども、どうしてシェアが少ないかということを申し上げますと、まず語学力ということと、それから、高度の専門的な知識を持ち、なおかつ語学力を持つという人材が相対的に少ないということでございます。特に日本の場合には、割にゼネラリストを育てる傾向がございます。こういう専門開発機関はスペシャリストを要求するということでございますので、語学の能力のあるスペシャリストの数というのが日本では相対的に少ないということが一つ理由でございます。  それから、日本の場合は、日本の雇用慣行との関連で、海外に長期にわたって勤務するということを余り望まない人が多いわけでございまして、これもネックになっております。  それから、私も国際機関職員として二十年以上前に勤務いたしましたけれども、私が勤務いたしましたときには、国際機関に勤めますと給料が大体五倍ぐらいになったわけでございますが、今は、特に日本民間に比べまして、国際機関の給与等の待遇がかなり悪くなっております。ですから、日本から国際機関に行く場合には、むしろ給与等の待遇は低下するというようなことがございまして、これもある種のディスインセンティブになっているわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、我が国世銀に対しては、日本職員の増加、特に幹部クラス、副総裁とか地域のディレクターとかそういうものをぜひ増加させてくださいという要求をしておりまして、実は、一週間ほど前も世銀の副総裁東京に参りましたので、私は、朝御飯を食べて、具体的にこれこれこういう人をぜひ採ってくださいというような話をしたところでございます。  先生御承知かと思いますけれども、最近、世銀において、西水美恵子さんという方が南アジアの地域担当の副総裁に就任しております。西水さんは大蔵省ではございませんで、アメリカのジョンズ・ホプキンズという大学を出て、そのままアメリカのプリンストン大学で助教授をやっていたのでございますけれども、助教授をやっているときに世銀からリクルートされて、その後ずっと世銀にいて今度副総裁になったというようなことでございます。  国際機関への私どもの働きかけというのも一方で重要でございますけれども、一方では、これらの機関で活躍できるような人材を国として育成するということが大変重要だと思っております。非常に残念ながら、そういう人材が我が国にはまだ十分大きなプールズとして存在していないというのが事実でございますので、その両面で、今後とも、私どもとしてはできるだけの努力をしていきたいというふうに思っております。
  30. 三塚博

    三塚国務大臣 現況については国金局長からお話のとおり。後段に、人材養成ということがありました。  日本版平和部隊という海外青年協力隊、それぞれの地域で成果を上げてきております。この前例を大事にしながら、やはり人材を育成するところからスタートをしていかなければならないのではないだろうかと思います。ODAも、量より質への時代に大きく転換をすることといたしております。評価の高い、喜ばれる、また、我が国との連携が、信頼がそれによって確立をされていく、平和国家の国是が生かされていく、こういうことで取り組んでまいりたいと思います。
  31. 上田清司

    ○上田(清)委員 とりあえず、大蔵大臣として給与の待遇はすぐできるのではないかなと思いますので、給与面等の待遇に関しては、不要不急のところはしっかり削っていただいて、しっかり出していただきたいと思います。  それで、さきの予算委員会で、私、海外経済協力基金の融資の問題で少し質疑をさせていただきましたので、その関連で、特にアジア開発銀行の子会社のアジア金融投資会社との関連もございましたので、この機会に若干の質疑をさせてもらいたいと思います。  せんだって、会計検査院の疋田院長代行に、このOECFの融資について適切であったのかどうか、あるいはこのプロジェクトそのものが目的に合っていたのかどうかということについて会計検査院として調査してほしいという御要請をさせていただきましたので、この機会に、その調査結果について御披露賜りたいと思います。
  32. 鵜飼誠

    ○鵜飼会計検査院説明員 先日の上田先生の御質問に関しまして、会計検査院といたしましても、先生の御趣旨を踏まえまして、事実関係の確認に努めているところでございます。  現在までの調査結果につきましては次のとおりでございますので、御報告させていただきます。  OECFは、新聞報道により指摘されておりました融資残額の十五億八千万円につきまして、本年二月中に、いずれも保証先の銀行等から返済を受けているところでございます。そして、本院は、その返済金の入金を関係書類より確認いたしました。  また、貸し付け決定の際の審査につきましては、当時の資料を取り寄せまして、審査が適正に行われたかどうか調査しているところでありまして、現在までのところは特に問題となる点を見出すに至っておりませんが、海外投融資円借款と並ぶOECFの重要業務であることから、先生の御質問の趣旨も踏まえまして、さらに資料の内容等が適切なものであったかを留意して調査を続けてまいりたいと考えております。また、今後の同種事例の調査の役にも立ててまいりたいと考えておるところでございます。  以上です。
  33. 上田清司

    ○上田(清)委員 一点ちょっと質問にお答えされていませんが、OECFの目的にかなったものであったかどうかということの評価についてはいかがですか。
  34. 鵜飼誠

    ○鵜飼会計検査院説明員 ただいまの御質問につきましては、まだ資料の分析の最中でございますので、結論に至ってはおりません。引き続き調査させていただきたいと考えております。
  35. 上田清司

    ○上田(清)委員 昨日、鵜飼検査課長とは若干打ち合わせをさせていただきましたが、会計検査院としての調査について、若干私は不満を持っております。若干ではなくて大いにですね。最小限度、この融資先の日盛産業の九二年以前の決算状況等をやはり確認しなければいけないし、それから現地法人の決算状況も、九二年から九三年、九四年、九五年、この時期にどうだったのかということも、資料として当然取り寄せなければいけない。そこに至っていないというのは、やはり会計検査院として、OECFの言う中身をそのまま適切ですと言っているのと同じだ、それでは検査院の機能を果たせないと私は思いますので、ぜひこれは大いに反省していただいて、しっかりやってもらいたいと思いますね。  それから、議事録でも確認させていただいておりますが、ちゃんとした企業ですよということでありますけれども、御承知だと思いますが、この日盛産業というのは日本輸出入銀行から融資を受けようとしたのですが、実はその融資を受ける事前審査みたいな部分でけられております。その中身は加工程度が低くて収益性が考えられない、こういう中身で、もともと収益性がこのプロジェクトにはないというような判断をして断った理由があります。その後、なぜ海外経済協力基金の方がこのプロジェクトを選定したのか。この辺について、もう一度きちっと海外経済協力基金の方から、なぜこのプロジェクトを選定したのか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
  36. 清川佑二

    ○清川参考人 本件につきまして、基金の業務に関しまして法令で定められているわけでございますけれども、私ども業務といたしましては、東南アジアなどの地域の産業の開発に寄与して、かつ本邦との経済交流を促進するために緊要と認められる事業の資金を貸し付けるわけでございますが、他方、基金に関しましては、一般に貸し付けを受けることができるものにつきましては、基金としては貸し付けをしないことになっているわけでございます。この趣旨は、海外経済協力基金は、開発途上にある海外の地域の産業の開発あるいは経済の安定に寄与するということを目的にしているわけで、経済協力機関という性格を持っているということによるものと思っております。  そしてまた、この対象の分野といたしまして、この養鰻事業のような農林水産事業などもあるわけでございますが、これらの事業につきましては、開発途上国経済開発にとって必要性が認められる、他方、一般的に収益も低い、またリスクもある、このようなことで通常の市中金融の融資条件ではなかなか対応が難しい、こういうことで基金の融資対象としたわけでございます。  なお、当時の日盛産業について、かねて、前回の国会におきまして御質問がございましたので、この点につきましては、前回御説明を申し上げたところでございます。
  37. 上田清司

    ○上田(清)委員 確かに、リスクが高いところに関しては、なかなか市中銀行等が参加しにくいということで、基金が応援するという形は望ましいわけでありますが、しかし、現地の雇用につながるとか、あるいは技術移転がしっかりできるとかという観点に立てば、必ずしもこの養鰻事業はそうではないのじゃないかなというふうに私は受けとめております。  と申しますのは、養鰻業の組合の方から資料をいただいたわけなんですが、代表的な経営体の二十の平均値ですけれども、全体で約一億ぐらい、燃料費が一千万、いわゆるシラス、ウナギの稚魚が三千八百万、えさ代が二千三百五十万、労務費が一千万、減価償却が三百三十万、その他の費用で四百四十万等、こういう国内の養鰻事業の平均的な数字が出ているのですが、こう見ると、技術移転につながったり、あるいは現地の雇用につながるようなイメージがどうしてもわいてこない。  それと、この中国での養鰻事業というのは、一九九二年当時、もう既に一万六千トンぐらいの養鰻事業がなされて、日本に輸出されていたわけでありまして、ずっと以前からかなりの技術移転は行われておりまして、改めてこの日盛産業を通じた海外プロジェクトが意味があったのかというふうに私は思うのですが、この点についてはいかがですか。
  38. 清川佑二

    ○清川参考人 お尋ねの日盛産業が、広東省の汕頭の公司に委託して養鰻に関する事業を開始した、これは一九八八年になるわけでございます。そしてその後、九二年に、先ほどの東昇の公司の事業がまた始まっているわけでございます。  一九八八年当時の日本のウナギの消費量は約八万トンでございましたが、国内での生産というのは約四万トン弱、残りの四万トン強は輸入に依存をいたしておったわけでございます。その後、このような事業の発展に伴いまして、九四年の輸入量は八万トンにまで増加しております。輸入先としては、台湾が約六万トン、中国が約二万トンと いうことになっておりまして、中国におきましては、八〇年代後半、外貨もなかなか不自由であったころでございますが、養鰻事業を重要な外貨獲得産業と位置づけて、生産、輸出の拡大を図ってきているというふうに考えております。  他方、技術の関係でございますけれども、当時、中国におきましては、地元の農民によりまして露地池を使用した伝統的な養鰻方法での生産が主流となっていたわけでございまして、これらの露地池による養鰻というのは、施設の建設コストはもちろん安くて手間がかからないという点はありますけれども、他方では、歩どまりあるいは餌料効率が悪い、それからまた、特に最近重要な課題になってきておりますが、貴重なシラスウナギの有効な活用が図られない、こういうようなことが今問題になっております。このシラスウナギの供給は限られておりますので、広く普及している伝統的な養鰻方法の改善というのは、これは急務であるというふうに考えます。  このようなことで、中国において、近代的、集約的な養鰻技術を有する日本企業の合弁の事業の技術移転というのは、非常に意味のあるものだというふうに考えるわけでございます。
  39. 上田清司

    ○上田(清)委員 今、清川参考人がいみじくも申されましたように、既に一九八八年当時にそうした事業を展開されていて、順調に技術移転やあるいはまた中国での養鰻事業というのがどんどん進み、なおかつ、日本にも年々輸出がふえていたわけですから、なぜ九二年当時になって、この日盛産業が窓口になって、改めてそういうプロジェクトを選定しなければならなかったのか。しかも、結果的にはこれは失敗した。  先般、市中銀行とのおつき合い等々も述べられました。これは、もちろん審査された当時とは違いますが、倒産当時の銀行の借り入れや債務状況を見ますと、もちろん市中銀行からないというわけではありません、二億とか三億とかありますが、町金融から二十億借りたりしています。それから、現金、預貯金も非常に少ないですね。倒産したときだから少ないのは当たり前だと言ってしまえばそうですが、一方では、中国の子会社、関連会社にはたくさんの債権を持っているという、非常に異常な企業体になっていますね。そういう事実関係について、御確認されていますか。
  40. 清川佑二

    ○清川参考人 日盛産業の状況でございますけれども、私どもがこの恵州の養鰻事業について融資の承諾をいたしました九二年の三月時点におきましては、売上高は六十六億四千万円、そしてまた経常利益も二千五百万円あったわけでございます。その後、この売り上げは、次の九三年の三月期には六十四億二千四百万、九四年の三月期には六十三億七千万、九五年の三月期には五十四億一千四百万でございました。また経常利益は、二千万円を超す経常利益がその間維持されていたわけでございます。  しかしながら、不幸にして、この九五年の三月期の決算の後、十一月に、他の事業に手を出したために、それを原因といたしまして倒産をした、このように理解をいたしております。
  41. 上田清司

    ○上田(清)委員 他の事業とは何ですか。
  42. 清川佑二

    ○清川参考人 土地に関する事業であるというふうに理解をしております。
  43. 上田清司

    ○上田(清)委員 それだけでは私にはわかりませんので、詳しく御説明できるものであれば御説明いただきたいのですが。
  44. 清川佑二

    ○清川参考人 この養鰻事業についての経過について今御説明したところでございますが、このほかの事業でその後倒産した経緯について、私どもはつまびらかに存じ上げておりません。
  45. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは、最初輸銀がはねた理由の部分について、私も中身を少し伺ったのですが、収益性が低いというのは、一つは、いろいろな病理学的な研究をしたいというような部分があったらしいですよ。どういう水を入れてどういうふうなえさを出したらどういう形で成長するかとか、どちらかというと余り収益性と関係のない部分があったというふうに私は輸銀の担当者から伺っておりますけれども、この辺なんかは、当初、審査を受け付けられたときに、中身についてどんなふうに承っておられましたか。
  46. 清川佑二

    ○清川参考人 突然の御質問でございますので、十分資料を手元に持っておりませんで恐縮でございますけれども、審査の過程におきましては、試験に類するものもこの中に入っているというふうに理解をいたしております。
  47. 上田清司

    ○上田(清)委員 私は、審査が適切であったのかどうかということを最初から聞いておりますので、突然の質問でも何でもないですよ、前回も質問をしていますので。そういう言い方はちょっとよくない。審査の中身について詳しく知らなくてはおかしいでしょう。詳しく知らないというのは困るのです、きょうはそのことを聞いているのですから、きのうもお話ししていますから。まあそれはいいです。  それで、合計の十五億八千万、この融資の使途について、きちんと把握されているかどうか。というのは、インフラ的な意味での資金は余り要らない部分があるのですね、設備費、資本費、建設費、そういったところは。そういう中で、どう資金が流れていい決算を出していたのか、それを御説明いただければ、きょう無理だといえばまた後でも結構ですけれども。ちょうど私、決算委員会にいますので。
  48. 清川佑二

    ○清川参考人 一般的な形でお答えを申し上げて恐縮でございますけれども、資金の貸し付けあるいは使途につきまして、私ども案件の進捗段階に応じてチェックをする仕組みにいたしておりまして、貸し付けを承諾する段階では、資金計画、あるいはどのような用途にお使いになるのかということをもちろんお聞きするわけでございますし、また貸し付けの実行に当たりましては、事前に使途を証明していただくようなことを、書類をいただきながら貸し付けについて行っているわけでございます。また、実行後におきましても、これは、現地を見るあるいは定期的に報告を受けるというようなことで、事業の進捗全体を見ているわけでございます。
  49. 上田清司

    ○上田(清)委員 実は、九五年の十二月に、OECFの方から日盛産業にデフォルト宣言をやっておりますね。そして一年ぐらい引っ張った。AFIC、アジア金融投資会社に、まだ事業の再生見込みがあるからということで、一年間いろいろな形で引っ張っていますね。だから、この一年間の間に当然この十五億八千万の資金の流れ、そういうのを把握しなくちゃいけない立場にあったというふうに私は思うのですね。まあいいです、それは。今すぐの話ですから、幾らか無理かもしれませんので、この次、決算委員会でしっかりお願いしたいと思います。  ただ、OECFで破産宣告を事実上なされて、しかし債務保証しているアジア金融投資会社に、この一年間、再生に向けての、いろいろな形で引っ張られるような動きをなさっていますね。これは事実ですか。
  50. 清川佑二

    ○清川参考人 九五年の十一月に、この借り入れ人の日盛産業が事実上倒産をしたわけでございますが、私どもは、何とかしてこの事業が立ち直って、そして順調に償還されるということを願っていたわけでございます。  そのようなことから、この恵州東昇鰻業有限公司の株主である日盛産業、あるいはまた恵州市水産進出口公司、東華ファンド、あるいはまたAFICなどに、何とかして新たに事業がもう一回立ち直るようなことができないだろうかという働きかけを私どもは要請をしてまいりました。  また、貸し付け以来数回にわたりまして、そしてまた日盛産業の和議の開始がありました九五年の十一月以来数回にわたりまして現地にミッションを派遣いたしまして、何とかして日盛産業にかわってシラス購入のための運転資金を投入して、そしてできたウナギを買い取る新たな信頼できる業者が見つからないものか、あるいは他の株主もこの事業をみずから再建するような動きをしていただけないだろうか、このような努力をしてきたわけでございまして、私ども、この事業がやはり開発事業として中国にも役に立つ事業でございま すので、できるならばこの事業が復活して再生していただきたい、このような気持ちで働きかけてきたことは事実でございます。
  51. 上田清司

    ○上田(清)委員 そういう意思のもとに、九六年の十一月二十八日にマニラでのAFIC、アジア金融投資会社との会合で、最悪でもプロジェクトを再生させるというようなことをお話された後、一カ月もたたないうちに、今度は八億八千万の融資返済保証履行の請求をなさったわけですが、この辺の、わずか二十日の間というのは一体どういう判断だったのでしょうか。
  52. 清川佑二

    ○清川参考人 この事業の立ち直りを我々もお願いをいたしまして、関係者に随分根回しをしてきたわけでございます。しかしながら、九六年の十二月の終わりまでに、AFICの保証のための保証料をこの東昇公司から支払われる必要がございまして、私どもは、クリスマスの休暇の前のある時期を想定しまして保証料の払い込みを要請してきたわけでございます。  しかしながら、その当日にも保証料の支払いも予定どおり払い込まれなかった。このようなこともございまして、このまま放置いたしますと債権の回収ができなくなる可能性も生じてきた。このようなことで、開発金融機関としてやむを得ず、当然ながらですが、債権保全のために保証の履行を請求したわけでございます。
  53. 上田清司

    ○上田(清)委員 御承知のとおり、OECFは、もちろんこれは債権を回収するというのは大事なことではありますが、時と場合によっては、債権の回収はしなくてもいいと言っては語弊がありますけれども開発援助という基本的な理念に従って、それぞれの地域の関係国に迷惑をかけないというのもまた大事なことでありまして、結果として一次保証したアジア金融投資会社、あるいは二次保証しております広東発展銀行、こうした関係金融機関が、ある意味では日本のこのプロジェクトのために、総計で十五億八千万損をするという形になっております。焦げつきは予定利率の中でそれぞれの金融会社はもちろん考えているわけですけれども、結果としてそういうロスを起こしてしまっている。  であるならばむしろ、どちらかといえば債権回収のために急遽態度を変更することの方が、わずか二十日前には何とか再生させますというお話をして、さしたる理由も述べることなく今度は債権回収の方に走るという急変した態度が現地での非常な反発を受けているというような報告を実は私は伺っているのです。これもまた本当に現地に飛んでみないとわかりませんので、近く機会があれば、これは一つのODAあるいはまた会計検査院の機能も含めて、一度現地に飛んでみたいというふうに思っております。  ともあれ、急変させることによって援助の理念というものが損なわれてしまったのじゃないかなというふうに私は思っておりますので、この点について清川参考人に考え方を聞いてみたいと思います。
  54. 清川佑二

    ○清川参考人 援助の理念の関係でございますが、本件につきましては、アジアの産業の開発に寄与する、そしてまた我が国との経済交流の促進のための事業として行ってきているわけでございます。  他方、しかしながら、本件、資金を提供し、そしてまた事業の発展を願ってきたわけでございますけれども、一年にわたりましてなかなか事業の再建が進まない。新たな株主、資金を提供する音あるいはまたシラスウナギを提供する者、こういった方々が見つからない。そしてまた、現実にAFICも中国の恵州市も株主である。そしてまた、私どもはそこに何回となく事業の再発展を要請してきたわけでございます。そのような意味で、私どもといたしましては、その経済の開発、そしてまた債権の保全、そしてまた保証の請求ということで債権の確保、こういったもののぎりぎりのところまで努力をしてきたつもりでございます。
  55. 上田清司

    ○上田(清)委員 先般も予算委員会で、先ほど会計検査院の鵜飼検査課長が御説明されたように、七億はもう回収しましたということですが、この間、AFICからの当基金に対しての資金はまだ支払われていないというようなことを言っておられますが、これは間違いじゃなくで本当にまだ支払われていないわけですか。
  56. 清川佑二

    ○清川参考人 本件につきましては、前回予算委員会で答弁申し上げた以降、二月の末になりますけれども、全額、海外経済協力基金に送金をされましたので、入金をいたしました。
  57. 上田清司

    ○上田(清)委員 そこで、もう時間も少なくなってまいりましたが、一次保証にしても二次保証にしても、この日盛産業という日本の企業並びに合弁会社に対してなぜ保証がついたかということに関して、OECFあるいは大蔵省国際金融局の方から保証していただけるように強い働きかけがあったというふうなことも聞いております。これは一つの報道で、部分でありまして、私自身が確認をとれておりませんけれども。  というのは、日盛産業の信用というよりもOECFの信用によってこれは保証がつくというふうに考えた方が素直な考え方じゃないかなというふうに私は思うのです。日本海外経済協力基金という一つの信用でもってプロジェクトをつくれば当然それに対して外国の金融会社も保証に入る、そういう観点からして、その金融会社に結果的には損をかけるという形になってしまったところに私はこの問題の、せっかく海外援助、開発援助をしているにもかかわらず結果として迷惑をかけてしまったという形の問題点があるのじゃないかなというふうに思っております。しかも、私はこの問題に関して実は内部告発も受けております。そういう資料もいただいております。これは総裁マターだったのじゃないかという話も聞いています。内部告発が正しいとは限りませんが。  そういう問題も含めて、これは極めて小さな一つの事例かもしれませんが、根本において真剣に、会計検査院におかれましてもう一度この問題について、適正であったかどうか、資金の流れ、それから今さまざまな論議をした部分について丁寧に追っかけていただきたいというふうに私は思います。会計検査院がさまざまな形で毎年毎年八%ぐらいの箇所でいろいろな報告をなさっておられますが、これは一番いい事例ではないかなというふうに思いますし、それからまた養鰻事業というもう峠を越した技術移転の部分に関してなぜ突っ込んでいるのか、私はどうしても理解できない部分がありますし、そういうことも含めて、よく会計検査院には調べていただきたいというふうに思います。  それで、最後でございますが、今申し上げました開発援助の部分に関して、結果としてOECFが保証をするからこそ、出すからこそ信用になっているという部分に関してどう考えておられるか、それから債務保証について働きかけをしたのかしなかったのか、そこを最後にお聞きしたいと思います。
  58. 清川佑二

    ○清川参考人 海外経済協力基金からの融資につきまして、この養鰻事業もそうでございますけれども、やはりなかなか収益性が難しいかもしれない、市場変動もあるかもしれない、このような事業リスクが高いもの、あるいはまた中国などのようなカントリーリスクが高いもの、このようなものがありますけれども経済開発の観点から海外経済協力基金は融資をしているわけでございまして、確かにリスクのある点はありますし、収益性の低い点もございますけれども、これは海外経済協力基金の一つの使命である。そして、このようなリスクのある事業に対して審査をしながら極力開発をしていくように支援をしたい、このようにしてきているわけでございます。  したがいまして、先ほど数字をちょっと挙げましたけれども、この日盛産業の業務そして売り上げにつきまして、事実上九五年の十一月に倒産いたしたわけでございますが、その三月までは売上高も順調であったというふうに理解しているわけでございまして、本件事業につきましては、私どもはそれなりに意義のある事業であったというふうに考えております。他の事業によって倒産をし だということは非常に残念でございますが、プロジェクトとしてはよいプロジェクトだったと思うわけでございます。  そしてまた今、何かこれは他の要因あるいはどこかからの働きかけによってこのようなことをしたのではないかというお話もありましたが、私どもは淡々と事務的に審査をし、そしてまた現実に、先ほど申し上げましたような数字が出る事業であったということでございますので、事務的な処理をした事業であることを申し添えたいと思います。
  59. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございました。
  60. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、小池百合子君。
  61. 小池百合子

    ○小池委員 新進党の小池百合子でございます。  再び大蔵委員会へ出張質問をさせていただいているわけでございますが、きょうは、中東・北アフリカ開発銀行の設置に関するということで外務省にも御足労をおかけいたしております。  マニラのアジア開銀、そしてアビジャンのアフリカ開銀、それぞれ地域開発銀行地域のニーズに対応してそれなりの役割を果たしているということは認めるところでございます。今回のこの中東・北アフリカ開発銀行というのも一種の都銀に対する地銀という位置づけもできるかと思います。その意味で、中東・北アフリカという、世界の中でも特に冷戦後経済開発、社会的な安定を最も求めている地域が、これまで開発銀行を欠いていた、ベイカントであったということの方にむしろ素直な疑問を抱く方も多いことと思います。また、そのネーミングから、いいアイデアじゃないかというふうに率直に受けとめられる議員の方も多数おられるのではないかというふうに私は思います。  しかし、私は、むしろこれまでになぜこの中東開発銀行ができなかったのか、そこにいろいろな理由が隠されていると思いますし、また、今後起こるであろう問題点を現時点において指摘し、そしてそれを回避するということが、およそ四百七十億円近い日本の資金を使うということから、納税者への責任ということも含めて、はっきりさせておく必要があろうと思いますので、幾つか御質問させていただきたいと思っております。  私ことになるので恐縮でございますけれども、私自身この地域とのかかわりは二十年を超えるわけで、余り計算はしてほしくないのですけれども、七三年の第四次中東戦争、これはまさにカイロにおりました。その後、マスコミの方に場を移しまして、マドリッド会議を取材したり、湾岸戦争そのものに入っておりましたし、地域全体を自分の足で歩いてきたということでございます。  ある意味でのその特殊な地域において私が学びましたのは、冷戦下におきましては米ソのつばぜり合いがございましたし、また、アルジェの戦いに代表されますように植民地下におけるさまざまな問題を抱え、さらにさかのぼりますと、ユダヤとパレスチナの何千年にもわたる戦いが続いてきたということで、古代、近代、現代を通じまして国際政治の渦がうごめいているという地域でございます。また、この辺が日本人が一番疎いところではございますけれども、宗教の問題、それからこれまでの長い長い歴史の問題、さらには軍事の問題、そして天然資源、すべてが複雑に絡み合った地域であって、こう言うと恐縮ですけれども我が国のことを考えますと、ずっと平和の中にどっぷりとつかってきた日本ではなかなか想像もつかないさまざまな問題がこの地域に現存しているということでございます。  また一方で、冷戦後におきましても、まだまだ各国が国益をかけたすさまじい戦いをしているということで、一筋縄ではいかないのではないかということがまず基本認識でございます。最近は、パレスチナの和平の方も進んでおりますし、行ったり来たりでございますけれどもヘブロンの合意にもようやく到達し、これからさらにその和平が確立していくことを願っている者の一人でございます。  また、中東北アフリカ地域におきまして、北アフリカというとなかなかぴんとこないところではございましょうけれども、例えばアルジェリアにおいては、日本では一万人の交通事故死を問題にするところでございますけれども、本当に毎日がテロの連続でございまして、やはりそのためにも、経済的なバックを伴う民生の安定、そしてその延長線にある地域の和平を確立したい、このことについては私はだれよりも強い願いを持っているところでございます。  また一方で、列強の国益を求めてのすさまじい戦いの中にあって、日本にとって戦後金りつき合いがなかったというか、大体日本が何か大騒ぎするときは、オイルショックであり、また湾岸戦争でありと、実は日本の有事といいますか、戦後の有事というのはすべてこの地域が震源地であったということでございますが、物理的にも心理的にも宗教的にも遠い日本だからこそ、私は、なし得ることがまだまだたくさんある、ただ、それに我々自身が気づいていないのではないかというような思いがしているところでございます。  そこで、まず大蔵大臣、中東地域というのは日本にとっても大変重要な地域だと思います。改めて伺っておきたいと思いますのが、閣僚の一人としてお答えいただきたいのですが、橋本政権の中東政策というものについて改めて伺いたい。そして、その中においてこの中東開銀をどういうふうに位置づけておられるのか、大蔵大臣に伺いたいと思います。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  62. 三塚博

    三塚国務大臣 本内閣方針は全方位外交と言ってよろしかろうと思います。その中で日米関係が基軸である。同時に、アジアの中の日本でありますから、中国、朝鮮半島、ASEANの諸国、こうなるわけでございます。  そういう中で、中東の歴史、また中国の歴史の中で、中国と中東と、シルクロードではございませんが、深い歴史の中の結びつきがございます。そういう意味で、中東の一部においては我々もアジア人だ、こういう認識があります。  私は日本・シリア議員連盟の会長でございまして、アサドさんとも和平問題についてお話をしたこともございます。そういう中で、御指摘のように、宗教的な対立というのは依然としてあります。そういう中で、まさに中東地域問題の最大の爆弾を抱えた地域でございますから、この地区の和平は我が国の安定、安全、また世界の安定につながる、こういう点で大変大事な地区だと思っております。宗教観が違いますから、それでもユーラシア大陸、アジア大陸、こういう意味で、その辺のところが大事なポイントになってくるのではないでしょうか。  小池さんが言いたいのは、日本外交、中東を向いてないんじゃないのという、その辺のところがあるいはあるかもしれませんけれども、日米、アジア外交、ヨーロッパ外交から比べればということであろうかと思いますが、決してそうではなく、全方位外交の中で頑張ってきておるわけで、今回のバンクも、そういう意味で日本が主導的な役割を果たしたということは言えると思います。
  63. 小池百合子

    ○小池委員 シリアとのつき合いということで、特にアラブの地域におきましては、国対国ということもさることながら、人対人というのは大変重要視されるところでございます。また、日本はしょっちゅう人が入れかわるのですけれども、相手の国は、よかれあしかれ大臣になる人は十年、二十年やっているというようなこともございます。  そういった意味で、シリアの例を挙げられたと思いますけれども、やはりアラブ、中東・北アフリカといった地における日本のプレゼンスというものをもう少し彼らにもアピールする。別にパフォーマンスをやれというのではなく、また日本がこれまで、湾岸戦争のときに百三十億ドルを払った、しかしながら一方で、当事国のクウェートの広場にお世話になった国々の国旗が掲げられる、その瞬間にはお金を払った一番の金主であった日本の国旗は残念ながらございませんでした。この中東開発銀行も、同じような形になっては納税者に申しわけないというふうに私は思うわけで ございます。  そこで、せんだって、この中東開銀につきまして大蔵省の方から御説明をちょうだいいたしました。そのときに、ちらっと資源確保という意味があるというふうな御説明があったのですけれども、私は、一体どうやってこの中東開銀が資源確保につながるのか、さっぱりわからない。基本的に中東日本人にはわかりにくい、だけれども資源は必要だ。確かにそうです。日本に資源はありません。この地域は非常に重要であることは、これはだれも否定するわけでもない。  しかしながら、この中東開銀がすなわち資源確保につながるといったようなまやかしは私はよくないのではないかというふうに思うわけでございます。資源確保とうたうのならば、先ほど上田議員も御質問させていただきましたけれども、産油国であるサウジであるとかクウェートであるとかUAE、アラブ首長国連邦が入っていて当然ということを考えるわけでございますが、改めて、なぜこういった産油国がこの中東開銀の設立に参加しないのか、御説明ください。
  64. 榊原英資

    榊原政府委員 サウジアラビア等の湾岸諸国は、中東北アフリカ地域に対する金融的支援必要性については理解を示しておるところでございますけれども、実は独自に支援手段を有しておるわけでございます。イスラム開発銀行あるいはアラブ経済社会開発基金あるいはアラブ経済開発クウェート基金あるいはサウジ基金、そういう銀行、そういうファシリティーを持っておるものでございますから、新たな地域開発銀行の設立に対しては慎重な態度をとり、設立交渉時においては加盟の意思は表明してございません。  ただ、出資シェアの二四・五%についてはまだ未割り当てになっておりますので、湾岸諸国が将来参加を希望した場合には、これらに対応できる余地を残しているというような状況でございます。
  65. 小池百合子

    ○小池委員 かなり希望的観測ではないかと思います。  そもそも、今御説明ありましたように、これまでのイスラム圏内において、例えばクウェートのサバハ首長の名をとったサバハシティーができていたり、イスラム独自のODAシステムというのを持っているわけでございまして、だからこそこの中東開銀に参加する必要はない、さらにはそれぞれの産油国の最近の財政事情ということもございましょう。そういった意味で、その二四・五%はこれはあいたままになるのではないかと心配するところでございます。  そこで、この中東開銀の設立までの流れでございますけれども、私はいつも基本的に思うのですが、こういった外交については、もう周りを、外堀、内堀を固めてすべて国際的な準備をしておいて、最後に、お金のかかるところは予算にかかわってくるというので議会を通る。何か最後の判こだけを求めて議会にそれを提出するという傾向が、単にこの中東開銀だけではございませんで、外交絡みの案件というのにはそういったことがしばしば行われてしまい、それは結局議会軽視という形にとられても仕方がない。  また、そうやって外堀、内堀を埋められた後、これに対していろいろな問題点があったとしても、国際的なメンツの問題といったようなことで身動きがとれなくなってしまっている。そこで、その役とにかく判こだけ下さいということで、私はこういったやり方というのは極めて問題ではないかということを指摘したいと思います。  そこで、この中東開発銀行設立までの経緯ということを手短に、どういった形で、何年ごろから、だれが主導してということを明確にお答えいただきたいと思います。
  66. 榊原英資

    榊原政府委員 中東北アフリカ経済協力開発銀行は、中東北アフリカ地域経済開発、貧困の削減及びこれを通じた和平の促進を目的に、一九九四年十月の第一回中東・北アフリカ経済サミットでその設立が提案され、関係国の設立の交渉を経て、昨年の八月に設立協定について最終合意がなされたところでございます。  交渉の過程におきましては幾つかの金融支援メカニズムが検討いたされましたけれども、最終的には、インフラ整備、いわゆる民間部門の育成のために投融資や技術支援等を行う開発金融機関の設置が合意されたものでございます。  これはヨーロッパ系の国々、当初イギリス、フランス、ドイツ等は参加してございませんけれども、これはどちらかというと無償資金というような形でこういう機関をつくりたいというような要望があったわけでございます。アメリカそれからロシアがかなりこれに積極的に参加しているわけでございますけれどもアメリカ、ロシア、日本は、投融資を中心として技術援助を行う開発金融機関の設置というものをバックしたわけでございまして、アメリカ日本あるいはロシアというようなところのイニシアチブによって設置が合意されたものでございます。  我が国といたしましては、同銀行目的地域開発金融機関を通じた開発支援中東和平の促進という我が国の基本的な考え方に合致するものであるということから、設立交渉においても積極的に対応を行いまして、九・五%という、米国に次ぐ第二の出資国というふうになることが予定されているところでございます。
  67. 小池百合子

    ○小池委員 九四年の十月、これはカサブランカで行われた会議のことを指しておられると思います。その後、翌年にはアンマン、そして昨年はカイロということで、それぞれ毎年場を変えて、国際会議の場においてこの中東開銀の設立準備が着々と進められてきたということかと私は理解いたしております。  しかし、きょうここにシモン・ペレス、イスラエルの前首相でございますけれども、この方が書かれた「ザ・ニュー・ミドル・イースト 新しい中東」という本を持ってこさせていただきました。これは九三年に出版されております。その中で、極めて細かくこの中東開銀とぴったり一致するアイデアを述べているところでございます。中東開銀というのは、ペレスさんだけでなく、だれしもがそういったアイデアも浮かぶものでございますけれども、極めてそういう強い意思を、またこの本の中でも九三年の時点にあらわしているということでございます。  それで、私毎年二月にはスイスのダボスに招かれまして、ことしは残念ながら行けませんでしたけれども、世界経済フォーラムの方に、去年は唯一私だけが議員だったのですけれども出席いたしまして、世界のいろいろな人的なダイナミックな交流というのを目の当たりにしてきているわけでございます。また、この世界経済フォーラムは、世界においても権威ある国際会議として一、二を争う。さらにつけ加えるならば、毎年国際競争力の調査というのをやっていて、日本はどんどん下がって、たしかことしはもっと下がるのじゃないかと思いますが、トップを走っていたのが七位になって、十三位になっているというような、たしかそんなランキングでございますが、そういうことも発表している国際会議としても知られているわけでございます。  そこで、この国際会議がこれまでのカサブランカそしてアンマン、カイロ、この国際会議の、またその舞台回しの役を務めていたということもよく承知をしているわけでございますが、毎年このダボスの会議にはペレスさん、そしてアラファトさんがメーンのゲストで呼ばれて、いつも脚光をその二人が浴びておられたのをよく理解いたしております。つまり、ここで申し上げたいのは、この中東開銀というのはイスラエルのイニシアチブが極めて強いということが一つ挙げられると思います。それにまたアメリカが、大統領選も含めて、それに協力するというような形で進められてきたということを私は強く感じるところでございます。  もっとも冷戦後のアラブとイスラエルというのは、これまでの何が何でもイスラエルが悪いのだとか、何が何でも逆にアラブが悪いといったような、そういった角突き合わせるような感覚、関係ではないことを重々承知はいたしておりますが、 しかしながら先ほどのサウジ、クウェート、UAEなどがこの中東開銀に参加しないということは、単にお金の問題だけではない。ずっと資料を取り寄せてみますと、エコノミスト誌なども、こういったアラブ産油国が参加しない理由というのはイスラエル主導であるということをはっきりと書いております。ですから、先ほど申し上げたことに、もう一つ要素を加える必要があるのじゃないかというふうに思っております。  そういった形で、イスラエルそしてアメリカの主導でやってきたということに対してアラブ各国が、今回直接利益を受けるであろうという国々は別にいたしまして、まだ参加の表明をしていないということ、それから、先ほど局長の方からも一言ございましたけれども、無償か否かといった点でヨーロッパの国々が参加していないということ、幾つかの問題点もあろうと思います。  こういった中で、かつてEBRDをつくるときにアメリカは非常に消極的だった。そして、そのころヨーロッパ各国というのは一生懸命だったのですね。逆に今回、この中東開銀をアメリカ主導でやるとなると、今度はヨーロッパの方は一歩引いているというようなことで、この辺のところは長い長い国際関係、アメリカはそう長くないのですけれども地域的には非常にコミットしている、そういったところでの主導権争いというのがあるのではないでしょうか。局長、いかがでしょう。
  68. 榊原英資

    榊原政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、この地域は、特に国際政治のるつぼというような状況が過去ずっと続いてきたわけでございます。この中東開銀の設立につきましても、アメリカのイニシアチブ、これはイスラエルというふうにおっしゃいましたが、イスラエル、パレスチナでございますけれども、この歴史的な和平というようなものをバックしようというアメリカの強い意思、そういうものが働いたことは事実でございます。ヨーロッパとアメリカの間である種の主導権争いがあったというふうに私も聞いております。
  69. 小池百合子

    ○小池委員 EUの方では、略してMENAFIO、ミドルイースト・アンド・ノースアフリカ・インターメディエーション・オーガニゼーションというところをつくる、だから開銀には入る必要がないというような態度をとっておりますし、また、先ほど申し上げましたように、アメリカの方では、中東開銀の方を積極的に進めて、先ほどのMENAFIOの方は無視しているというようなことで、要は、冒頭に申し上げましたように、国際政治の中における国益の追求ということをこの中東開銀の周りで現実にやっているわけなんですよ。  そこに、さあ日本がおっ取り刀でひょいと入って、いいのが来たというような形で都合よく使われてしまったならば、これは中東和平が進むという大きな費用だ、コストだと考えるならばそれはそれでございますけれども、しかし、先ほどクウェートの例を挙げましたように、やはりそこに出資するということについては、我が国ももう少し真剣にそこにおける日本のプレゼンス、役割というものを考えるべきではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか
  70. 三塚博

    三塚国務大臣 おっしゃる趣旨はよくわかります。金だけ持ってこいということで、湾岸戦争が終わったときに、クウェートに日本の旗が立たない。大騒動をしまして、法律改正寸前まで行きながら解釈で乗り切るという決断までしたということでありまして、当時からいえば、政権をかけた勝負であったわけでございます。これも一つの経験でありますから、いいことだと思います。  そういう中で、本銀行が、何となく油が欲しいから来たかと言われる感じはいけませんですね。国益というのは、その国の名誉です。文化であり、先人の築き上げた歴史というものが総合された国益のエッセンスかと思っております。そういう点で、御指摘のように、プレゼンスが明確になるようにしていかなければなりません。そういう意味で、サミットもあり、それぞれの国際会議もあるわけでございますから、そういう中における我が国のスタンスというものがその都度明確に行われていく、こう思います。  ODAが量から質への転換ということに私は全く大賛成でありまして、そういう趣旨で、流れの中で真剣に受けとめ、御提言は御提言として受けとめて、糧にさせていただきます。
  71. 榊原英資

    榊原政府委員 若干補足をさせていただきます。  私どものスタッフが資源確保というようなことを言ったというようなお話がございましたけれども、そういうことを目的として中東開銀の設立に賛成しているわけでは決してございません。  先生指摘のように、ここは伝統的に欧米の、あるいは冷戦下で非常に政治的に複雑な地域でございますから、私どもとしても現在、バイで確固たる足がかりがあるという地域ではございません。ですから、そういう地域ではないだけに、むしろこういう中東開銀のような機関が設立されるということは、我が国の国益を反映するということ、あるいは我が国の主張をその地域の政策の中に組み入れていくということにとっては、非常に有効ではないかというふうに思っておるわけでございます。  御承知のように、こういう開発金融機関では、投票権というのは出資のシェアによっておるわけでございますから、我が国は、この開発銀行の中では九・五%の投票権があるということでございまして、そういう意味で、今後我が国は、この国、この地域に貢献するための非常に重要な足がかりになる、そういうふうに思っております。
  72. 小池百合子

    ○小池委員 確かに、我が国は九・五%のシェアということでございまして、また、第一位のシェアがアメリカ二一%ということと伺っております。  そこで、これからのこの設立に関してのスケジュールはどうなっているのでしょうか。どんな節目節目があるのか、御説明いただきたいと思います。
  73. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  協定の発効は、当初の応募額の総額の六五%以上が協定を締結した時点で発効するということになっております。ただし、原加盟者となるためには、九七年十月三十一日までに協定を締結する必要がございます。また、協定の発効から六十日以内に設立総会が開催されるということになっております。また、協定の発効から九十日以内に最初の分割払いの額の払い込みをしなければならない、そういう手順になっております。
  74. 小池百合子

    ○小池委員 そこで、この設立に対しまして、アメリカの動きでございますが、これまでアメリカのいわゆるアドミニストレーションが積極的にこの中東開銀を進めてきたということで、これは九八年のアメリカの予算書なのですけれども、ここにも中東開銀について五千二百万ドルということで、約六十二億円が明記もされてはおります。しかし、最近のアメリカ議会の傾向でございますけれども世銀・IMF、そういったいわゆる多国間機構に対して議会の反発が極めて強いというのは、皆さんもう御承知のことかと思います。  その予算書を、あえて多国籍にしないでバイの形に書きかえたりとかいろいろな工夫をせざるを得ないほど、議会における多国間機構ということに対しての拒否感が強いということでございまして、先ほどおっしゃったこれからのスケジュール、これはアメリカの議会が通らないといったときはどうなるのですか。
  75. 榊原英資

    榊原政府委員 まず、御指摘のように、アメリカの議会が国際開発機関についてかなり厳しい態度をとっておるというのは事実でございますけれども、国際機関全体に対する支払いの遅延等も、アメリカ財務省の努力によってこのところ急速に解消されてきておるところでございます。  また、中東開銀の協定につきましては、先生御承知かと思いますけれども、実は去年の十一月にアメリカの議会で承認されまして、それを受けて、アメリカはこの協定に署名をしております。現在、署名をしている国は五カ国ございます。サ イプラス、イタリア、ロシア、米国及びジョルダンということでございまして、少なくともこの協定については、アメリカ議会は承認しているというのが現状でございます。  それから、アメリカの予算措置でございますけれども、予算措置日本とは若干ずれるということでございますけれども、これも御承知のように、アメリカの予算年度は十月から九月でございますから、恐らく、我々の予算関連法案が三月にいろいろ審議されると同じように、アメリカも八月、九月にこの予算措置についての議論がなされるというふうに理解しておりますので、私は、アメリカが参加しないというような事態はまず起こらないだろうというふうに考えております。  ただ、もしアメリカが参加しないということが決定し、それで協定が発効しないというような事態になりますれば、私どもの方も、これは予算で権限をいただいてもこれを出すということにはならないということでございますけれども、現状は、先生は違った分析をされておるかもしれませんけれども、私どもが財務省等から聞いておりますところでは、協定承認されていることであり、予算措置は粛々として進むというふうに理解しております。
  76. 小池百合子

    ○小池委員 そこは見解と情報源の違いだろうというふうに思います。  私は財務省側というよりも、議会側からいろいろと情報を聞いておりまして、この予算が通ることは非常に難しいであろうというような意見の方が強いわけでございまして、よって、今局長の方も既にお話しになりましたように、これが議会を通らない、予算が執行できないといったときには、我が国におけるこの四百六十七億、国債でというお話でございますけれども、これも発行されないというふうに理解してよろしいわけでございますね。
  77. 榊原英資

    榊原政府委員 我が国出資については、条約を締結した場合、協定が効力を生じた日から九十日以内に最初の払い込みが、先ほど申し上げましたように義務づけられておるわけでございます。仮に米国を初めとした主要出資国が参加しないことにより協定が発効していなければ、我が国出資が義務づけられることはないということでございます。  いずれにしても、我が国といたしましては、国内手続について国会の承認をいただければ、米国を初めとした関係諸国に対して速やかに国内手続を終えるよう働きかけ、中東北アフリカ経済協力開発銀行の発足に向けて積極的な役割を果たしてまいりたい、そのように考えております。(発言する者あり)
  78. 小池百合子

    ○小池委員 時間はまだ十分ありますので、静かにしてください。  さて、このアメリカの議会の動きというのは非常に重要でございます。最もメジャーなシェアホルダーになるべきアメリカでございますので……(発言する者あり)全然静かじゃないですね。——ちょっとまじめにやってくださいね。  この議会のことにつきましてはどうなるかわからないというのにその四百六十億云々を審議し、また、日切れ法案扱いするのはいかがなものかと私は思っているわけでございます。  それで、今回、先ほども申し上げましたように、ペレスさんのこの本の中に書いてあるような、中東開銀というのができてまいりましても、その中の公平さというのが非常に重要となってまいると思います。あの地域におきまして、やはり突出しているのはイスラエルでございます。大変なハイテク技術を持っておりますし、またその人材の豊富さ、ネットワークの広さということを考えますと、やはりあの地域においては特異な地域でございます。  例えば、アフリカ地域において、南アがあの地域の近隣のボツワナとかジンバブエとか、ああいった地域の経済の牽引車にもなっているということを考えるならば、このイスラエルの経済の発展ということが周りの諸国にプラスの影響を与えるということも、これも理解できるわけでございますが、現実に、私、ガザの方に何度か参りまして、現在失業率が六〇%近いと思います。道を歩けば全部失業者なんです。みんなすることなくて、ぷらぷらしているんです。そういったところで、特に中東和平が進んで、そしてそれぞれの占領地からの撤退というようなところもございますけれども、しかしながら、イスラエル経済の発展によって、逆にパレスチナ人が追い出される。行くところがなくなって結局またガザに集まってくるというような状況もしばしば今ふえてきているようなところでございます。  そこで、この地域におきましては、やはり日本としても、我が国としても、これまでもUNDP、UNRWAなど、細川政権のときの二億ドルを初めとして積極的に貢献はしておりますけれども、やはりそういった地域の実情ということを考えて、特に私は思うんですけれども、バブルのさなかの日本型経営というのは、これはまことに恥すべきであると思いますけれども、やはり戦後、本当に焼け野原から立ち上がってきて、そしてまた、そのときにはいわゆる安本というのがございましたよね。そのころの日本システムというのは、まさにあの地域に必要なノウハウではないか。  ですから、お金の額もさることながら、こういった日本が戦後立ち上がってきて、またそれに対してアラブ各国の人々は、日本の経済のミラクルだと言って大変な尊敬を集めているわけですね。ですから、行政と、そしてまた人々の勤労意欲というのが重なって、焼け野原から今の日本の礎を築いた、まさにそういったノウハウこそが、私はあの地域に、特にパレスチナという、これからという地域に必要なものではないのか。そういった意味で、総務庁なども行政のトレーニングなどをやっておられるわけでございますが、こういったお金だけでなく、日本がやるべきことはもっとあるのではないかということを指摘しておきたいと思っております。  そして、もう一つ伺いたいことは、今回の中東開銀、民間に対しての投資、融資を行うということでございますが、実は、世銀にIFC、金融公社というものがございまして、それぞれ同じような対象に融資をするわけでございますね。このIFCとの重複、貸し出しの条件等どこがどう違うのか、御説明いただけますでしょうか。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 榊原英資

    榊原政府委員 国際金融公社IFCは、世銀グループの一員として、途上国民間企業に対する投融資民間投資家への助言サービス、途上国の資本市場整備等、中東開銀と類似の業務を行うことにより途上国経済開発の促進をする国際開発金融機関でございます。  ただ、先ほども世界銀行とアジア開発銀行あるいはアフリカ開発銀行との関連で先生からも御指摘がございましたけれども、IFCは世界的な規模で投融資等の活動を行っている関係上、ともすれば特定地域に対して十分かつきめの細かい投融資活動を行いにくいという、そういう傾向がございます。この点、中東開銀は、地域の特性に密着したきめ細かい業務を行っていけるものというふうに期待されております。  また、先ほどから先生から御指摘がございましたように、ここは国際政治のるつぼでございます。そういう政治的な背景もありできた非常に重要な地域でございますから、そういう政治的重要性というものを十分加味しながら、中東開銀はIFCとは別の一つの大きな役割を果たしていくことができるというふうに考えております。
  80. 小池百合子

    ○小池委員 私は、IFCの地域における活動ども全部フォローさせていただいております。決して地域を限って活動できないというふうに言い切ることはできないですし、IFCのあの地域における、シリアなども含めてですけれども、さまざまな案件対応というのはまさに地域のニーズに合ったものをやっているわけでして、ですから、我が国世銀に参加し、そしてまたこの中東開銀に参加し、そしてこのIFCの仕事をし、中東開銀の仕事をしということは、これはダブりが 出てくるというふうに思うわけでございます。  今、国内の中の再編をやろうとする、むだのないようにしようとしているということとちょっと逆行するのではないでしょうか。金利そしてその他融資の期間など、中東開銀が目覚ましくいいというのであるならばまた話は別なんですが、そういった貸し出し等の条件の違いというのはあるんですか。
  81. 榊原英資

    榊原政府委員 繰り返しになりますけれども地域開発銀行が世界的なスコープを持った開発銀行と別途存立する意味というのはあるというふうに思っておりますし、また、例えばアジア開発銀行世界銀行でもいろいろな形で協調をしておりまして、協調で融資をするというような場合もございます。そういうことで、各開発銀行の間でその重複がないように、実は今世銀を中心としてそういうむだを省くような、そういう努力もしておるところでございます。  また、中東開発銀行の金利等の条件についてはまだ決まっておりません。今後、設立後どういう条件をつけるかということが決まってくるということでございます。
  82. 小池百合子

    ○小池委員 また、日本には民間のJAIDOという機関がございますね。経団連がつくった初めての株式会社ということで、これはもう世界を相手にしているところでございます。中東についても非常に積極的に取り組んでおるところですが、こことのダブり、相手は民間でございますけれども、むしろこういったところ、JAIDOとも連携をとりながらやるべきではないかと考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
  83. 榊原英資

    榊原政府委員 先生御承知のように、JAIDOは、中東北アフリカ地域においてもかなりの実績を持っております。同地域プロジェクトを形成するとともに適当な民間の事業主体を見つけることは困難であると聞いており、この面でも中立的、専門的なマルチの地域金融機関である中東開銀ができ、民間資金流入促進に係る触媒作用を果たすことは、我が国民間企業の同地域への投資促進にも役立つものと考えられます。  JAIDOと中東開銀との協融というようなこと、ジョイントのプロジェクト発掘、そういうようなことが今後考えられるのではないかというふうに思っております。私どもとしても、JAIDOが積極的に中東開銀と協調していけるように努力をしたいというふうに思っております。
  84. 小池百合子

    ○小池委員 いろいろとお話を伺ってまいりましたけれども、目冒頭に私も申し上げましたように、これまであの地域というのは、欧米がまさに靴のままあっち行ったりこっち行ったりして資源確保をやったということで、大変な歴史的ないろいろなひだを持った地域でございます。そして、冒頭に申し上げましたように、私は、日本だからこそできるものはたくさんあると思うのですね。  先ほど榊原局長も、日本はこれまでそれぞれの地域への足がかりといいますか、それがないから、中東開銀に入ることによってそれのベースをつくるというような趣旨のことをおっしゃった。しかし私は、そろそろむしろ日本がもっと積極的に、そして大がかりにこの地域日本の独自な動きとして活動をすべきではないかというふうに思うのです。いつも大きな船に乗っかって、そのうちの一員で金ぶりがいい。もうもはや日本は金ぶりがいいと言えなくなる時代だって来るわけですね。だからこそ、むしろ今のうちに日本としての独自の開発銀行日本で、日本銀行は大分つぶれる、つぶれると言うとあれですけれども、問題が多いようですけれども、むしろそういうことこそ必要になってくるのではないかというふうに思っております。  イスラム原理などのところにアメリカの旗を持っていったり、それからイギリス、フランスの旗をひらつかせていくよりは、私は、日本だからこそできることというのはもっと積極的にやるべきだというふうに思っておりますし、また、きょうこの後民主党の末松さん、この国会においてアラビストがまた一人ふえました。こういった地域のことをしっかりと考えていつもそれをウォッチしている、つまり、有事のときに慌てふためくのではなくて、その地域に根差してずっとやってきた者がやはりその時々の必要な判断もするということを、これからこの議会においてもやっていく必要があるのではないかというふうには思っております。  いずれにしましても、今後のアメリカの議会の動き、ミスター円がアメリカ議会まで操作できるとは残念ながら思えませんので、これからのアメリカの議会の行方ということをしっかりと見守ってまいる必要があろうかと思いますし、それによりまして、むしろこの日切れ法案扱いというのは私はおかしいのではないかということを最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  85. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、末松義規君。
  86. 末松義規

    ○末松委員 私ももと外務省におりまして、小池議員と同様にアラビア語をしゃべるアラビストの一人として、中東の勤務もいたしました。実際に中東に勤務した者の感想を述べますと、この中東開銀ですが、中東地域にようやくこういった国際開発銀行ができたということで、非常に有意義ではないかと考えております。  さて、私の質問ですが、国際開発機関に関し、大蔵省の方から非常に懇切丁寧な御説明をいただきまして、本当に資料の点でも謝意を表したいと思います。労作の資料を子細に見ましたけれども世銀IDAの増資等については問題はないのではないかという印象を持っております。  ただ、私が若干ひっかかりましたのが、出資金ではなくて拠出金の方でございます。この中東開銀へも出資金というものは百十七億円ということで、これは委員の皆様方にも詳しく大蔵省の方から御説明があったのだろうと思いますが、ただ、これに拠出金が予算書の中に含まれておりまして、六千八百万円、これがあるわけですが、これについての説明が一切なかったと思うのですね。これについて大蔵省の御説明をいただきたい。特に、内訳は一体何なんだということを御説明いただきたいと思います。
  87. 榊原英資

    榊原政府委員 お答えいたします。  中東北アフリカ経済協力開発銀行については、同銀行本部が置かれるカイロにおいて、関係各国から専門家を派遣して設立準備チームを構成し、現在、銀行設立の準備が行われつつあります。我が国は、主要出資国としてこれにかかる費用について応分の負担を求められることが見込まれており、本件の拠出金はこれに対応するためのものでございます。  ちなみに、現在、設立準備チームは、米国、日本、オランダ、エジプト、オーストリアが専門家を派遣しております。我が国からは、前OECFカイロ事務所長の福田氏がこの設立準備チームに参加しているところでございます。  設立準備チームの経費の内容でございますけれども、これはドルで書いてございますけれども、六百七十万四千三百ドルでございますけれども、そのうち主たるものは、コンサルタント雇用、出張旅費、銀行スタッフの雇用、広報、コンピューター、電話料金、翻訳料等でございます。
  88. 末松義規

    ○末松委員 今ようやく皆様の前に説明がなされたわけでございます。本日は、私、この国際開発機関に対して我が国のODA勘定の資金、これは大蔵省が中心になって今使用しているわけですけれども、その透明化をすべきではないかという視点から質問をさせていただきます。  この六千八百万、実際に今内訳が説明されましたけれども、例えばこの六千八百万のような拠出金ですね、しれっと出されて何も説明がないと、全くわからなくなってしまうわけです。ODAの隠れ資金という位置づけもできるような印象を私は持っております。例えば、世界銀行など任意の拠出金を合わせますと一九九七年は全部で大体四百八十七億円。例年、五百億円前後が拠出金となっている。この内容がわからないのですよ。非常にミステリアスになっているわけです。情報公開が全くなされていなくて、本当に不透明と言わざるを得ない。  例えば世界銀行の拠出金、二百億円弱なのですが、これはジャパン・ファンドと呼ばれているわけです。このジャパン・ファンドについて、大蔵省の方、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  89. 榊原英資

    榊原政府委員 世界銀行におきましては、さまざまないわゆるトラストファンド、信託基金というものが存在しております。これは日本だけではなくて、主要先進国がトラストファンドというのを持っておるわけでございます。  日本のトラストファンドと主要先進国のトラストファンドの若干の違いは、主要先進国のトラストファンドはひもつきで、我々、コンサルタント・トラスト・ファンドというようなことを言っておりますけれども、例えばその国のコンサルタントを使ってくれというような形で、ひものついたトラストファンドがございますけれども、基本的に日本のトラストファンド、俗にジャパン・スペシャル・ファンドなどと呼ばれておりますけれども、これはひもがついておりません。  この拠出金については、もう先生御承知のように、国会の御承認をいただいて一般会計から拠出を行っており、この資金は世銀が管理運営を行っておるわけでございます。資金の使途については、プロジェクト案件の準備を中心とした技術援助、あるいは世銀経済開発研究所の研究活動等が主なものでございます。私どもとしては、やはり技術支援、知的協力、そういうことが今の日本の果たせる大変重要な役割だというふうに思っております。  先ほど小池先生からも、日本の経験というのを大いにいろんな地域で述べたらいいというようなことがございましたけれども、例えばこのジャパン・スペシャル・ファンドというのを使って、世界銀行経済開発研究所、エコノミック・ディベロプメント・インスティチュートというのがございますけれども、これがコンサルタントを雇いましてやった仕事の一つが、「東アジアの軌跡」という研究を行いました。これは、日本と東アジアの国々が戦後非常に急速な成長をした、その成長の原因は何であるかということを世銀が中心になってやった研究でございまして、今財務省の副長官になっておりますラリー・サマーズがそのときの担当の副総裁でございます。  こういう研究をやっておるところでございまして、我が国にとっても世銀にとっても大変有効なトラストファンドではないかというふうに考えております。
  90. 末松義規

    ○末松委員 非常に長くて、かなり強調されておられる説明をいただきまして、ありがとうございます。  このジャパン・ファンド、これはすべてODA資金でございますよね。ただ、今こういう御答弁をいただきましたけれども、それがほとんど世の中で明らかになっていない。実は私も外務省の経済協力局におりまして、この資金の使途については一切説明を受けていないということで、非常に不満にも思っておりました時期がございました。この状況は、どうも今も変わっていないのじゃないかということでございますし、またこれは、一般の人に聞いても一体何なんだということで、何ら情報開示がなされていない。なぜか。大蔵省がすべて情報を独占して自分の好きなようにやっているからではないかという懸念を私は、今じゃないですよ、昔から持っていたのですよ。  それで、これはなぜそういうことになるかといいますと、各国国際開発機関の幹部のポストをほとんどすべて大蔵省が独占している。総裁総裁代理、また理事クラスです。これですべてが回っているわけですよ。  そこで、私自身も非常に公開性という観点から問題意識を有しているわけですけれども、このジャパン・ファンドの内容、これは情報公開という形で公開されておりますでしょうか。
  91. 榊原英資

    榊原政府委員 これは世銀のオペレーションでございますから、当然世銀公開をしているわけでございます。当然外部監査なんかも入った形で、非常にトランスペアレントな形で公開がなされているところでございます。  ちなみに、このジャパン・ファンドについで、世銀の年次報告に書いてあるところを若干読ませていただきますと、これはPHRDと呼んでおりますけれども、PHRDファンドは、「技術援助に対する途上国のニーズを満たすため、アンタイド・グラントを供与している。PHRD基金は一九九六年度、世銀がファイナンスする案件プロジェクト準備活動に対し二百七十一件、一億六千二百万ドルのグラントを供与した。一九九六年度に承認されたプロジェクトの五九%は、PHRD基金からのグラント支援により準備が行われた。PHRD基金はこのほか、経済開発研究所の研修・開発活動日本コンサルタント信託基金を通じた日本人専門家の採用などの特別プログラムに資金を供与している。」ということでございまして、世銀の年次報告その他を通じて非常に透明な形で公開されているところでございます。  また、外務省と大蔵省の関係につきましては、いろいろ御不満もあるようでございますけれども、今後、関係の改善に努めていきたいというふうに思っております。
  92. 末松義規

    ○末松委員 答えになっていないな。今の世銀の報告がすべてですか、公開について。大体一件一件こういうのはやっていくのじゃないのですか、公開。それはおかしいんじゃないですか。  それに、私は思うのですけれども日本に関係のあるプロジェクト大蔵省承認を与える、それで初めて世銀プロジェクトをやるというのがジャパン・ファンドと、これは通の方に聞けば皆さんそう言うわけですよ。日本のODAの資金が使われているのですよ。それならば、私たちに関係のあることだったら、きちんと世界にこれだけ貢献しているのだということをなぜはっきりと日本国民に対して言わないのですか。
  93. 榊原英資

    榊原政府委員 ジャパン・スペシャル・ファンドの支出の手続について世銀とどういうふうに行っているかということでございますけれども、私ども世銀との間の取り決めで、その使途、拠出方法、管理方法については、このようにやってくれというような要請をしておるところでございます。  その一つ一つについて公開をせよということでございますけれども、これは世銀が執行機関でございますから、当然、世銀が外部監査も含めて厳重な監査を受けておるわけでございますから、それを受けた上で世銀公開するというのが筋だろうというふうに考えております。
  94. 末松義規

    ○末松委員 世銀がやること以外には私たちは公表してはいかぬのでしょうか。つまり、私たち日本にかかわったプロジェクト、それは、大蔵省の優秀な方がプロジェクト一つ一つ実績を積み上げていって、そして、こういうふうなレポートを日本で出したい、世銀さん、承認くださいと言ったら、世銀が拒否するのですか。そんなばかなことは考えられないじゃないですか。ということは、公開する気がないということじゃないですか。
  95. 榊原英資

    榊原政府委員 公開することがないというふうに……(末松委員「気がない」と呼ぶ)公開する気がないというふうに断定的におっしゃられましたけれども、そういう意図は全くございません。私どもは、国際機関のルールに従って透明に職務を執行しているということでございます。  ただ、先生が、特別な案件についてこういうことを聞きたいということであれば、当然、世銀にアプローチをして、世銀の了解を得た上でこれをディスクローズすることは可能だというふうに考えております。
  96. 末松義規

    ○末松委員 私が言っているのは、そうじゃないのですよ。日本政府として関係するプロジェクトについて、ジャパン・ファンドが関係したことはそちらで取りまとめて、それで世銀お願いして、公開させてくれと、日本のODAが日本人の世界に対する貢献としてこれだけやっているんだよということをやるべきじゃないかと言っているのですよ。それがODAに対する公開だろうということです。
  97. 榊原英資

    榊原政府委員 先生の御意見、透明性に関しての原理原則はそのとおりだというふうに思っております。  ただ、先ほども申し上げましたように、世銀日本だけではなくて各国とトラストファンドを持っております。各国のトラストファンドについてどういうディスクロージャーをそれぞれの国がしているのかということについては、必ずしもそれぞれの国がすべて一件一件それをディスクローズするという形になっておりません。先生の透明性についての御主張はよく理解できますので、今後、例えば各国のトラストファンドについてどういう対応をしているかというようなことを研究させていただいて、できるだけ透明性を高めるように努力いたします。  ただ、これは世界銀行が管理をし、世界銀行が支出をしている、そういう資金でございますから、当然のことながら、どういうディスクローズをするか、どういう扱いをするかということは世銀承認が必要だということ。それから、世銀が関係しているほかの各国の事情というようなもの、これは国際機関でございますから、日本だけが突出して何かをやってほかの参加国に迷惑をかけるということもできませんので、そういうことも勘案しながら、透明性を高めるという御貴重な意見は聞かせていただいて、できるだけ努力をしたいというふうに思っております。
  98. 末松義規

    ○末松委員 今の私の述べた原理原則は賛成だというお話をいただきました。それから、榊原局長として、この透明性に向けていろいろと努力をされるというお話もいただきました。それは非常にいいことだろうと思います。  もうちょっとジャパン・ファンドについてお聞きしましょう。  このジャパン・ファンド、世銀大蔵省出身の理事、幹部との間で一つ一つ案件について合意ができないと使えないということになっているという話でございました。この話ですけれども大蔵省関係者世銀が一件一件お伺いを立てる、これは多分事実だろうと思いますが、そのときの合意というのはどういう形式なんでしょうか、取り決めか何かあるのでしょうか。
  99. 榊原英資

    榊原政府委員 これは先ほども申し上げましたけれども各国とも世銀に対してトラストファンドというものを持っているわけでございます。そのトラストファンドの運用については、各国とも何らかの形で世銀とその拠出方法、使途、管理方法について合意をしております。日本の場合には、書簡により、メモという形で確認を行っておるところでございます。
  100. 末松義規

    ○末松委員 ならば、そのメモを国会の方に提出していただきたいと思います。
  101. 榊原英資

    榊原政府委員 メモの内容について詳細に御説明することはさせていただきたいと思いますけれども、これは世銀の内部書類でございますから、世銀側の了解を得ないでやるということができないというのが一点。それから、各国がそれぞれそういう内部書類を世銀と交わしておりますから、その扱いと平仄が合わなければいけないということが一点。  でございますから、書類そのものを提出できるかどうかは今ここではお答えはできませんけれども、私ども、その内容を何も隠すつもりはございませんから、その内容について先生に後日御説明することにはやぶさかではございません。
  102. 末松義規

    ○末松委員 できれば、その合意の文書そのものでないにしても、その内容についてきちんと詳細にわたって書いたものを提出していただきたい、それを要求させていただきます。  それから、その際、日本国の、つまりジャパン・ファンドですが、その支出につきましては、承認はだれが行っているのですか。
  103. 榊原英資

    榊原政府委員 当然、世銀の支出でございますから、最終的には世銀決定しておるところでございますけれども日本のトラストファンドでございますから、日本国に相談があるわけでございます。日本を代表する理事が、理事室が世銀と相談をして、その拠出方法、使途、管理方法についての承認というか助言をするということでございます。
  104. 末松義規

    ○末松委員 これが少額なら私も何も言わないのです。ただ、世銀でジャパン・ファンドが大体二百億円です。そんなに少ない額ではない。  例えば、ODAの無償資金協力とか有償資金協力の場合、これは交換公文という形で閣議了解を経て一つ一つ案件を決めて、日本国の決定という形でやっているのです。これに対して、今の御説明を聞いたら、何か日本側の大蔵省出身の理事世銀理事が話して、それでちょろっと決めているという。日本国の決定という名を使っているけれども、何か非常にこそこそとやっているように聞こえるのですが、そういう承認を与えるという行為は越権行為ではないですか。
  105. 榊原英資

    榊原政府委員 まず、大蔵省理事というふうに先生おっしゃいましたが、これは日本国を代表する理事でございまして、たまたま大蔵省出身だということでございますので、大蔵省世銀がこそこそということではございません。日本を代表して、理事が正式な助言を与えているということでございます。  これは、当然のことながら、一般会計で承認され、大蔵省予算に計上された範囲内で、拠出方法、使途、管理方法等の細部を確認するものでございます。これはどの予算でもそうでございますけれども、各省に与えられた予算の執行についてそれぞれの省が最終的に責任を持つということ、最終的には、世界銀行の場合ですから、日本を代表する理事がこれを承認する、これは当然のことだろうというふうに思っております。
  106. 末松義規

    ○末松委員 大蔵省承認されたODA予算であれば、それはもう大蔵省出身の理事の方が日本国を代表して決定をするのだということ、これは何か根拠法はありましたか。要するに、その根拠は何か。
  107. 榊原英資

    榊原政府委員 これは予算の執行ということでございます。しかも、これは形は世界銀行への拠出金で、世界銀行が決めるものでございますから、これについて、世界銀行への拠出金、私ども大蔵省の予算として承認されている範囲内で世銀の執行が適正であると思えば、そしてまた、このトラストファンドについては極めて厳格な監査が世銀でなされておるわけでございます、そういう監査、そしてそれについての透明性がある、そういうことを確認して、私ども大蔵省予算としての拠出金の枠内で予算の執行の責任を持っておる、そういうことでございます。
  108. 末松義規

    ○末松委員 どうもやはり密室性ということについて私も印象を強くせざるを得ないのです。その辺からちょっと、本当にいい使い方をしているのかという疑念がわいてくるわけです。  例えば、聞くところ、これは大蔵省も認めていますけれども、このジャパン・ファンドの中から大蔵省のキャリアの人間が欧米諸国に留学する際の費用を捻出させていると言われているのですが、これは事実ですか。
  109. 榊原英資

    榊原政府委員 このジャパン・スペシャル・ファンドの中に、主として途上国政府関係者を留学させる、そういうファンドをつくったわけでございます。この途上国政府関係者、これは途上国の援助関係者でございますから、途上国大蔵省とか、国によっては外務省というところもございますけれども、そういうところのお役人が留学をするということ、そのことによって開発援助をより効率の高いものにする、そういうことを目的につくった資金でございます。現在のところ、平成八年度で申し上げますと、百七十一名の留学生を採っておるところでございます。選考は世界銀行が行いまして、極めて競争的に行われております。  また、この中で、一部先進国の開発金融関係者を留学させるという規定もございまして、これはごく一部で、一割以下でございます。基本的には途上国開発金融担当政府関係者ということでございますけれども、一部先進国も出られるということになっておりまして、その枠の中で、日本からも、平成八年度、全体百七十一名の中に日本 人が九名入っております。(末松委員大蔵省は」と呼ぶ)これは開発金融の専門家で公的機関にいるということでございますから、大蔵省が七名、日本輸出入銀行が一名、海外経済協力基金が一名でございます。
  110. 末松義規

    ○末松委員 要するに、結局、大蔵省ファミリーの方がすべてを占められている。ただこれは、プロジェクトで、大体途上国の人がメインですよね、先進国へ。何で大蔵省、役所は大蔵省だけじゃないですか。これは外務省に限らず、ほかの役所で、人事院の試験を受けて落ちた方がもっともっと海外に留学したい、欧米にあるいは先進国に留学したいといったときに、なぜ大蔵省だけが使っちゃうんですか。その辺なんというのは、大蔵省だけがODAをやっていると思っていらっしゃるわけですか。
  111. 榊原英資

    榊原政府委員 大蔵省だけがODAをやっているなどとは夢にも思っておりません。これは一般公募でございますから、大蔵省以外の人も、これに応募して競争的な試験に受かれば、その留学生に採用されるということでございます。  なお、ことしの一月から、国際開発機関での活躍を目指す日本人、これは民間も含めて、全体を本奨学金の対象とするということに決めております。今、世銀東京事務所が新聞発表を行って広報活動を行い、志願の受付を行っておるところでございますから、現在は、外務省だけではなく民間に対しても完全にオープンになっております。
  112. 末松義規

    ○末松委員 また過去の実績を問えばさまざまな、そういった数が毎年毎年大蔵省も行っているということですから、かなりの人数が行っていることになるわけでしょう。これをここで私も、大蔵省のキャリアがその辺で問題だから、欧米に留学するなど言っているわけじゃないのですよ。それはやはり大蔵省の方も国際金融ということでさまざまな体験を重ねることは非常に重要なことだと思っている。だから私も重箱の隅をつつく気はないのだけれども、ただ、そういったことがぼろぼろ出てくるわけですよ。そうしますと、私自身も、例えば大蔵省の大蔵事務官の海外出張費にジャパン・ファンドを充てているんじゃないか、あるいはほかの資金手当てを大蔵省のためにやっているんじゃないかというようなことを思わざるを得ないわけですよ。なぜそう思うかというと、何ら公開がないからですよ。ほかにそういう悪いことはやっていませんか。
  113. 榊原英資

    榊原政府委員 開発金融に対しての後進国を中心とする政府関係者の育成というのは大変重要なことでありまして、これは決して、悪いことをやっているような意識は全くございません。  それから、世銀の支出につきましては、このトラストファンドを含めて、極めて厳格な監査が行われております。私どもがそれを大蔵省予算に流用するというようなことは全くできません。
  114. 末松義規

    ○末松委員 結局、くどいようですけれども、なぜこんなことを言わなければいけないかというと、幾ら局長が悪いことはやっていませんと何回言葉で言っても、何ら信頼できないのですよ、公開性がないから。あればいいわけですよ。早くやってくださいよ。  ということで、先ほども局長の方から、そういった形で、これからすぐに検討を始められるというお話をいただきました。もっとこのジャパン・ファンドをつついていけば、さまざまな醜聞が出てくるかもしれません。それはマスコミの方に任せましょう。  これについて、ちょっとこれは質問なのですが、行政監察とかあるいは会計検査院とか、そういった第三者の調査というのは入ったことはございますでしょうか、ジャパン・ファンドについて。
  115. 榊原英資

    榊原政府委員 検査院の検査は入っているということでございます。
  116. 末松義規

    ○末松委員 入っている。いつですか。
  117. 榊原英資

    榊原政府委員 ちょっと精査してお答えいたしますけれども、ほぼ毎年、あるいは若干年が抜けるかもしれませんけれども、入っていると思います。  ちょっと今手元に資料がございませんので、後ほど、精査した上で御報告いたします。
  118. 末松義規

    ○末松委員 ここで全く問題ないとしたら、会計検査院の方も、非常に大蔵省に同情的なんだろうと思わざるを得ないわけです。  とにかく、この問題というのは、結局は公開性の問題なんですよ。ODAの資金が国民の税金で賄われて、それを国民に還元しないから、国民はODAが本当に役立っているのかと疑念を抱かざるを得ないようなことになるわけです。  そこで、ちょっと大臣に、この公開についてきちんと対応するんだという御決意をお伺いしたいと思います。
  119. 三塚博

    三塚国務大臣 いよいよ橋本内閣情報公開法を出すことにしまして、総務庁、最後の案を詰めております。情報公開は極めて重要でありますので、その法律の成立を持たぬでも、部内のものはきっちりなっておりますが、国際機関に出したものが今の論争を聞いておってありますけれども、しかし、タックスでありますからそれは報告してくれ、こういうことで報告することといたしたいと思います。
  120. 末松義規

    ○末松委員 ちょっと視点を変えます。今度は政府部内の話でございます。  このジャパン・ファンドの運営決定等すべてについて、私は今でもまだ、大蔵省が独占していて、悪い言葉で言えば好き放題やっているんじゃないかという疑念はぬぐえていないわけです。  現在大蔵省が、国民に向かって、五百兆円の借金、借金と言って国民に負担を強いる、あるいは、我慢してください、今度この財政再建協力してくださいということを言っているわけですね。その中で、こういうふうな税金のある意味ではつかみ取りのような誤解を招かないように、ぜひそこはお願いしたい。  と同時に、ちょっと一つだけ最後にお聞きしたいのですが、最近私、外務省の大使、我が国の大使と話しておりまして、そこで大使が非常に文句を言っておられたのですよ。というのは、最近なんですが、ある国でこのジャパン・ファンドを使って、その任地国の要人が、本当にありがとうございました、ジャパン・ファンドのおかげでこのプロジェクトができましたというお礼を言ったそうなんですが、この大使、全くそういう情報は与えられていなくて、きょとんとした顔をして非常に恥をかいたという不満を聞いたわけです。  こういった場合、ジャパン・ファンドを使ってやった情報、そういうふうなのはある意味ではODA政策の一環でしょうから、これは外交政策をやる観点からきちんと、タイムリーに情報を提供していくべきだと思いますが、いかがですか。
  121. 榊原英資

    榊原政府委員 先ほどからジャパン・スペシャル・ファンドが何かおかしなことをしているというような印象の御質問をなさっておりますが、これは非常に各国にも評価されておりまして、世銀にも評価されているということでございまして、大使がお礼をされるというのもそのことの一つの証左ではないかというふうに思っております。  ただ、外務省に対する連絡という意味で、私ども、今後、先生指摘のように、できるだけタイムリーに外務省にも連絡をするというふうに努めてまいりたいというふうに思っております。
  122. 末松義規

    ○末松委員 今の局長のお言葉を信じて私もこの質問を終わらせていただきますが、またこれについてはずっとチェックしてまいりますので、その辺はよく、しかとお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
  123. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、佐々木陸海君。
  124. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 まず、世界銀行及び国際開発協会IDAへの出資の法案に関して質問いたします。  これらの国際機関においてアメリカが大きな役割を果たしているわけですが、そのアメリカの態度についてですが、アメリカがいろいろな国際機関で滞納をいろいろやっているという数字が具体的にあります。  予算委員会に出された外務省の資料では、国連では昨年十二月三十一日現在の未払い金が三億七 千六百七十七万ドル、九七年度の分担金が三億一千二百五万ドルですから、その一年間の分担金を上回るような未払い金がある。あるいは国連食糧農業機関FAOでは、昨年九月四日現在ですが、一億六千二百五十一万ドルの未納金がある。九七年度の分担金が八千九十七億ドルですから、その二倍に当たるような未払い金があるということが公表されております。  国際開発協会IDAではアメリカの未払い金はどんなふうになっているのか、ちょっと報告していただけませんか。
  125. 榊原英資

    榊原政府委員 米国のIDA10における出資予定額は三十七億五千万ドルでございました。ただ、現時点で九億三千四百五十万ドルが延滞となっております。このうち、九七年度予算から七億ドルの歳出が既に議会で承認されておりますので、残りの二億三千四百五十万ドルがこの段階での延滞でございますけれども、米行政府は、九八年度中の延滞解消を目指して現在議会に予算要求を行っているところでございます。
  126. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 IDAでは、九七会計年度について見ますと、アメリカIDA10への滞納一掃に専念してIDA11への拠出はしない、だからこの年度のみアメリカの参加しない暫定基金を設置して賄ったというような話も聞いておりますが、この事実、間違いありませんか。
  127. 榊原英資

    榊原政府委員 御指摘のとおり、一年間アメリカの参加しない暫定基金をつくってIDAの資金の供給をやっております。
  128. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 IDAに関しても、そういうような滞納がある。あるいはアジア開発基金に対しても滞納が、これは大蔵省に調べていただいたものですけれども、二億三千七百万ドルあるとか、あるいはその他米州開発銀行とかアフリカ開発基金などにも滞納があるはずですけれども、これはお尋ねしても余り詳しくわからないという話がありました。  国連機関からこの開発関係の機関まで含めて、言ってみればアメリカは系統的とも言えるような出し渋りというのですか、滞納をやっているわけでありまして、その理由が行政府にあろうと議会にあろうと、アメリカとして滞納しているという事実に変わりはないわけでありまして、アメリカのこういう出し渋りといいますか、滞納というようなものについて、大蔵大臣、どんなふうにお考えでしょうか、感想をお聞かせ願いたいと思います。
  129. 三塚博

    三塚国務大臣 これはアメリカ議会のことでありまして、歳出法は全部原提案によって可決決定をされれば大統領がサインするという、御案内のとおりであります。よって、おくれることは、大統領選挙を目指して戦った後であればなおのこと、また近まればなおのこと、また国会議員の選挙もこれありなおのこと、タックスは大事に使わなくてはいけないという昨今の世界的な流れの中でそういうことが起きること、最近多くなってきたわけで、本件は、私どもは、御承認をいただければアメリカワシントンに向けて、また国会に向けて御要請をする、こういうことです。
  130. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 何かごまかされるような答弁ですけれども、もちろんアメリカもそれはいろいろ事情はあるでしょうけれどもアメリカがこういう決められた国際機関にちゃんと払っていないことについてどう思うかという端的な感想をお聞かせ願えれば結構なのです。
  131. 三塚博

    三塚国務大臣 合衆国、世界の大国でありまして、平和国家日本がこれだけ苦労しながら財政窮乏につき頑張っておるわけですから、しっかりやってもらわなくてはいけませんね。
  132. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 国内の税金の滞納者にもそのくらい寛大な態度をとってもらえると大変助かるのですけれども、しかし、それはそういうわけにはいかないという言葉もありますけれどもアメリカに対しても余り寛大な見方をしているわけにはいかないと思うのです。  アメリカは、それぞれの国際機関で言ってみればトップの地位を占めていて、それを動かす立場にあるわけであります。そういうことをアメリカは自覚して行動してもらわなくてはいけないわけですが、このアメリカの態度を見ますと、例えば、古い話ですけれども、八一年三月の米議会の証言を私一つ持ってまいりましたが、当時のジョンストン国務次官補というのが証言をいたしまして、国際開発機関については、アメリカにとってできる限り低いコストで国際機関が西側経済社会の広範な利益に貢献し続けることを保障する最善の方法だ、アメリカができるだけ低いコストでアメリカの利益に必要なことをやるための非常にいい組織だということを議会の中で公言をしているわけです。アメリカのためこういう国際機関は利用できるんだ、低いコストで、ということを言っています。  それから、御承知のことですけれども、八七年世銀の特別増資の際に、アメリカの自国シェアが二〇%を割ることになりまして、その分日本がふえたりしたのですけれども、このときアメリカはルールを変えまして、二〇%以上持っているところが拒否すれば世銀協定は改定できないというふうになっていたのを、一五%以上持っていれば拒否権が使えるというふうに自分でルールを変えてしまう、こういうことをアメリカは実際にやっているわけです。うなずいておられますからそのとおりだと思いますけれども、そういう態度はあのソ連の崩壊以後の今の世界の中でも変わっていないのです。  私は、九五年三月の米議会の重言、これのコピーを持ってまいりましたが、ここでは、サマーズ財務次官が証言をしておりまして、こういうふうに言っています。MDBs、これ何と訳しますかね、多国間開発銀行たち、複数ですから。MDBsはアメリカの対外政策の重要な手段、キーインストルメントであると言えます、これらMDBsはそこからアメリカ企業が利益を得る自由化や改革を促進しています、MDBsは国際貿易システム我が国自身の国家安全保障利益を保護し経済的繁栄と安定をもたらすことに役立ちます、MDBsは我々の資金をてこに我々が独自でできるよりもはるかに安上がりに我々の目標をやり遂げます、こういうことを言っております。これは私の訳ですけれども、しかし、そう違っている訳だとは思いません。極めて露骨な態度だと思うのです。  大蔵大臣は、世銀というような国際組織が、アメリカのこういう意図のもとに、極めて安上がりに目標を達成できる手段であるという意図のもとに置かれている組織だという認識はお持ちでしょうか。
  133. 榊原英資

    榊原政府委員 まず、アメリカのMOBsに関する態度、このところ大きく変わっておりまして、クリントン大統領はこの間一般教書を発表いたしましたけれども、その一般教書の中で、米国は世銀等の国際金融機関や改革されつつある国連に対する負債を支払わなくてはならない、こういうことを言っております。  また、二月末に行われたルービン財務長官の証言でございますけれどもアメリカ国際金融開発機関に対する延滞は十五億ドルを超えている、九八年度予算では延滞解消に三億ドルを計上して、すべてのMDBsに対する延滞を三年間で解消することを目指すということでございますから、アメリカとしては延滞はできるだけ早く解消したいというふうに考えているということでございます。  また、そのサマーズ証言でございますけれども、MDBを支援することはアメリカの国益である、こういうふうに言っておるのだろうというふうに思います。私も、やはりMDBを支援することは日本の国益であろうというふうに考えております。
  134. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もちろん、それぞれの国が、世界のいい発展が自分のためになるということで、それは当たり前のことなのです。  しかし、アメリカの場合は、こういう国際機関のトップの座を占めていて、さっきの拒否権の例にもありますように、そこをかなり自分の意図どおりに動かせる力を持っているわけですから、そ ういう一般論説明されてはうまくないと思いますし、それから、クリントンなどが最近になって延滞を、滞納をちゃんと整理しなければいかぬと言っているのは、とりもなおさずこれまで随分滞納を重ねてきているということの証明でもあって、それが本当に実行されるかどうかはこれからにかかってくるということだと言わざるを得ないと思うのです。  世銀の問題なんかにつきましても、世銀の内部にいる人たち自身の証言などでも、アメリカ世銀などの多国間援助機関を最大限に利用して自国の戦略的利益を追求するのに躍起であると。これは日本などが追求しているのとはちょっと違うのですよ、トップの座にあるわけですから。そういうことを少し強調しておきたいと思います。  次に、日本役割の問題ですが、日本は、世銀で既に八四年の時点でシェアが五位から二位に上がっていると思います。その五位から二位に上がったときに世銀日本代表理事として苦労をされた山口健治氏の著書をここにちょっとコピーを持ってきております。なかなかいろいろな苦労をされておりますが、そこで五位から二位になったことについてこういうふうに述べておるのです。ちょっと長いですが、引用させてもらいます。  二位と五位では、世銀の中における発言影響力の重みは全く違うといっても過言ではない。五位であれば何をいっても第五番目で、それだけのウエートと影響しかもたない。米、英、独、仏と発言してきて、日本が何をいっても、その発言は、アジアの国、東洋を代表する工業国の声として受け取られることはあっても、いつも二番せんじで、単に意見を述べ、他の国々も、「ああそうか」といった程度にしか受け取ってくれない。しかし、二位の立場は全く違う。二位というのは、第一位に立ち、すべての面で他国をまとめ、リードし引っ張ってゆく役目をもつアメリカの次の位置にあり、アメリカがもし判断を誤ったり、力が不足したり事故があったら、これに代わって世界全体をリードしていかなければならない重要な立場に立つ。 そういう二位の地位を得たのだということを、彼が苦労していたということを語っているわけです。  既に八四年からこういう立場にあったわけですが、今回はその立場をさらに強めるということにもちろんなるわけですね。投票権では、アメリカが今まで一七・二〇%あった投票権が一六・八二%に落ちる。これに対して、日本は六・一〇だったのが八・〇八。それで二位の地位が一層確固としたものになるということでありますが、八四年から、山口さんが言われるようなかなり主導できる立場にあった。  しかし、八〇年代から今日までの世銀というのもいろいろな批判を受けてきていると思うのです。私は、すべてを挙げることはいたしませんけれども、その中で構造調整融資の問題ですね。これについては、世銀IDAが、途上国の福祉予算を削れとか増税をやれとか賃金の引き下げをやれとかいうような極めて過酷な条件を押しつけて、政策変更を迫って、その実施状況を監視しながら、それと引きかえに融資を実行する。率直に言いまして、その国の実情には合わないで、一部の富裕の層は富ましたかもしれないけれども一層貧困を甚だしくしたような例が多々あって、いろいろな面で批判をされているという事実はもう大蔵省御存じだと思うのですけれども、そういう構造調整融資という問題に対して、日本は、地位を高めた八四年以来のIDAの中で、世銀の中でどういう態度をとってきたのか、簡潔に説明いただけますか。
  135. 榊原英資

    榊原政府委員 御指摘のように、構造調整融資の供与に当たっては、途上国の個別事情に十分配慮したものかどうかということに対する疑問が呈されることはございます。  これは、IMFなどについてもそうでございますけれども、非常に厳しい条件をつけるものですから、また厳しい条件をつけるのがその発展途上国のためだということも実はあるわけでございますけれども、やはり個別国の個別事情に配慮しなければいけないというのは確かでございますので、今度の総裁になったウォルフェンソンというのは、できるだけその供与される国の事情を配慮するべきだというようなことで世銀の改革を進めております。私どもも、経済構造調整ということは大事なのでございますけれども、個別国の個別の事情に十分配慮すべきだというような立場で、世銀の今の方針をバックしているというところでございます。
  136. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういうお話ですけれども、こういう構造調整を中心とするような融資が相変わらず世銀融資の中で二〇%程度を占め続けている。もちろん、その内容に多少の変化はあるのかもしれませんけれども、ともかく八四年から日本が、さっき山口さんが言われたような、高い、強い影響力を持つ地位にありながらもそういう批判を受けるようなことが長く続いてきたということは、当然、日本としてそういう批判を甘んじて受けなければならぬということにもつながっていくわけであります。  大蔵大臣、一言、今後の世銀IDAへの対応の方向についてどんなふうにお考えか、簡潔にお聞かせください。
  137. 三塚博

    三塚国務大臣 しっかりこれからも頑張っていただきますようにと思っておりますから。
  138. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 やはり援助を受ける国の実情を本当に踏まえた援助ということを考えていかないといけないということを申し上げたいと思うのです。(三塚国務大臣「はい」と呼ぶ)はいと言っておられますから、そうしていただけるように努力をしていただきたいと思います。  それから、時間が少なくなりましたが、最後に、中東北アフリカ経済協力開発銀行の設立に当たって日本出資するという法案に関連して、一言だけでも聞いておきたいと思います。  中東の和平を経済面で支えるということ、それ自体は必要であろうかと思いますけれども、既に先ほどからお話がありましたように、ヨーロッパの重立った国々も参加しない、域内の国々も参加しない。その域内の国が参加しないという点では、もう既にそういう組織があるからだという説明もありましたけれども、もともとこれはこの組織が屋上屋を重ねるものだという批判もありましょうし、さらにまた、アメリカ・イスラエル枢軸というのか、負担をしても結局この二国に牛耳られるだけだとか、あるいは脆弱なパレスチナ経済がイスラエルに席巻されてしまうだろうとか、いろいろな批判もあって、それがこういう発足をめぐってのいろいろな動きになってきていると思うのですね。  周知のように、アメリカ中東政策はイスラエルの支援が中心でございますから、このアメリカの援助を言ってみれば圧縮して国際的に肩がわりさせる、うがって見ればそういうことさえ言えるわけでありまして、そうでないという保証はない。  それは投票権数が応募株式数によるというわけでありますけれども、域内の七カ国を合わせても二二%。そこからイスラエルを除けば一八%です。これに対して、アメリカが二一%、日本が九・五%。そういう意味では、日米が共同をすれば言ってみればかなり思いのままにこれが動いていくということになるわけでありまして、そういう意味では、これがアメリカ、イスラエルの利益になるとか、アメリカの今までのイスラエルへの援助の肩がわりの役割なんかに流れていくのじゃないかとかいう心配を本当に払拭していく上では、ここでもやはり第二位の地位を占める日本の責任が大変重大になってくると思うのですけれども、その辺について一体どういう見通しを持っているのか。
  139. 榊原英資

    榊原政府委員 本件は、いわゆるイスラエル、パレスチナの歴史的な和解というものをバックするという意味合いを持っておりまして、アメリカ日本のみならず、ロシアがこれを強くバックしているという性格のものでございます。この地域の民生の安定というのが和平を継続させるため に極めて重要だという認識から、この銀行は、民間セクターの支援、インフラ整備等に係る資金動員を目的としており、こういう活動を通じて地域経済開発及び貧困の削減に大きな役割を果たせるものというふうに期待しております。  また、アメリカ・イスラエル枢軸というようなこともございましたけれども日本、ロシア、その他の国々の投票権も非常に大きなものでございますから、そういうことで、中立的な形でこの地域の経済発展に努めたいというふうに思っております。
  140. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 最後ですが、しかし、この銀行をつくる協定の文書の中には、市場指向型経済並びに民間及び企業家の自発的活動の着実な推進というようなことに資するものに援助を与えるということが書かれているわけです。この市場指向型経済という言葉は、一つの方向性を持った言葉だと思うのですね。  先ほどの調整融資の問題でも私は言いたいと思うのですけれども、何か規制を取っ払って自由化して、民間の意向に全部任せればどんな援助もうまくいくのだというような感じ、端的に言えばですよ。しかし、市場経済というのは一つの言ってみれば文化的な背景の上で育つものでありまして、どこへ行っても市場経済を押しつけたらうまくいくなんというものではないわけですよね。それをここで市場指向型経済を前提として押しつけるというような態度というのは、やはり私は率直に言ってうまくないのじゃないか。そういう批判にはどうお答えになりますか。大蔵大臣、最後にお答えください。
  141. 三塚博

    三塚国務大臣 それは国際機関として出資国のお金を集めて融資するときには、有効にそれがその国家のためにプラスにならなければなりません。よって、歯どめのない国債発行財政をやっておれば、それをストップしなければとてもやれませんよというのも聞いたことがあります。やはりそういう意味で、国際機関がむちゃにその国の独自性を無視してやるということはありませんと思っております。
  142. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 終わります。
  143. 額賀福志郎

    額賀委員長 次に、吉田公一君。
  144. 吉田公一

    吉田(公)委員 時間がありませんので、要点だけお伺いします。  まず、四百六十八億円という、日本だって今豊かでないときに出資する以上は、何か我が国にとってメリットがなければいけないと思うのですね。そのメリットは何ですか。
  145. 榊原英資

    榊原政府委員 先ほどからお答えしておりますけれども、伝統的にこの地域は私どもが歴史的な関係が深かったという地域ではございません。イギリスあるいはフランスあるいは冷戦時にはアメリカというような世界の列強が非常に強い足がかりを持っている地域でございます。そういう中に私どもが入っていく入り方としては、国際開発銀行というような中立的な銀行の、しかも九・五%の発言権を持つ、そういう形で入っていくのが極めて有効な入り方だというふうに思っております。  また、この地域の安定ということは、間接的に日本の国益にもつながるわけでございますので、そういうことで、この銀行に参加することによってこの地域に足がかりをつくり、この地域の安定に資するということが我が国のメリット、国益だというふうに考えております。
  146. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうすると、最終的には石油の話だろうと思うのでありますが、だって、石油が最終的な目的でなければ、ピラミッドがあったり砂漠があったり、それだけじゃ出資する意味ないね、それは。だから、列国が昔からここに目をつけていたということは、もうそのとおりです。  そこで、約一〇%日本出資するわけでありますが、例えば、今度債務が累積してきた、そのときに、この四百六十八億円以内でやる、こういうことになっていますが、債務が累積してきますと、最初に出資した割合で追加出資を求められることはありませんか。
  147. 榊原英資

    榊原政府委員 現在のところ、四百六十八億円以上に直ちに出資を求められるという状況ではございませんけれども、各国際開発銀行の例を見てみますと、増資をする場合には当初のシェアで増資をするということが一般的にはなっております。
  148. 吉田公一

    吉田(公)委員 これについて、まあいろいろな事務上の問題はあると思うのですが、国債を発行してということになっていますが、それでなくたって借金を抱えているのに、またこの砂漠の中へ国債で、どういうことなんですかね、その意味は。
  149. 榊原英資

    榊原政府委員 これは、現金で払い込む部分が四百六十八億円の一部にあるわけでございますけれども、その現金を払い込むかわりに出資国債という形で払い込んでもいいということになっておりまして、我が国は、半分を出資国債、半分を現金という形で出資しております。  これは、なぜ出資国債ということで出資しているかと申しますと、現金が直ちに必要がないという状況の場合には現金を出資しないで出資国債で、現金が必要になったのに応じて国債を償還するという形で現金を出すということでございます。
  150. 吉田公一

    吉田(公)委員 最初の出資の割り当てがありますね。この表を見ますと、アメリカは二一%、日本は九・五%、ロシアは六・〇%、こういうふうになっていますが、この割り当てというのは何を根拠に決められているのですか。
  151. 榊原英資

    榊原政府委員 これは大体GDPの大きさというものが一般的な基準になります。そして、大体国際開発機関日本のシェアというのが今まで一〇%前後だった、こういうことでございますので、今回も九・五%ということで合意させていただいたわけでございます。
  152. 吉田公一

    吉田(公)委員 この出資国の中に、要するにフランスとドイツが入っていないのですね。これは何か理由はあるのでしょうか。
  153. 榊原英資

    榊原政府委員 実は、この銀行を設立する経緯で、フランス、ドイツ、それにイギリスも入っておらないわけでございますけれども、そこは、むしろ無償という形で機関をつくって、無償援助を提供するような機関にしたらどうだという主張をしたわけでございます。これは、実は今二国間でそういう国々が主として無償の援助をこの地域にやっているからということでございます。  ただ、アメリカとか日本とかロシアは、これは有償の資金を融資という形で提供し、しかも民間のインフラをそれて整備する、そういう形のものが望ましいだろうということで、設立のプロセスで若干の意見の食い違いがあったところでございます。  最終的には、アメリカ、ロシア、日本の主張のように、有償資金を融資という形で提供する銀行を設立するということで合意したわけでございますけれども、当初の経緯がございますので、今のところイギリス、ドイツ、フランス等は参加していないということでございますけれども、私ども情報によりますと、フランス等はそろそろ参加をする準備をしているというふうに聞いております。
  154. 吉田公一

    吉田(公)委員 ロシアも入っていますね、これは六・〇%ということですが。ロシアはちゃんとこれ、大丈夫ですかね。それから、トルコなんか物すごいインフレだよ。タクシーに乗るのだって、札束をこんなにポケットに入れておかなければタクシーに乗れないような国が、一応ちゃんと一%となっているけれども。ロシアだって、タンカーの重油垂れ流したって、あれはもう払う気はないのだから。事故だとかなんだとかいって、もう最初から人のせいにしてしまって払う気はないわけだ。そんな国がちゃんと守ってくれるのかどうか、そういうのもちゃんと確認しないとおかしいね。  ただ日本だけいいわいいわでもって、どのくらい金を出しているの、これ。すごいよ。今、後ろを見たら、大蔵省所管の金融なんとか、いっぱい 出ているよ。だけれども、やたらにそんなにお金を出してしまって大丈夫ですかね、砂漠のそんなところへ。
  155. 榊原英資

    榊原政府委員 国際的な条約というか協定を締結して、それで銀行を設立するわけでございますから、ロシア及びトルコも間違いなく出資をしてくれるものというふうに考えております。  私どもも、銀行を設立するプロセスで、そういうことを確認しながら銀行の設立に賛成したという経緯がございます。
  156. 吉田公一

    吉田(公)委員 最後でありますが、どうもここへ出資する意味が余りよくわからないのですよね。エリマキトカゲの援助費じゃないのだから、余りこういうところへ四百六十八億円なんというお金を出して、本当に有効かどうかというそういう気がするわけでありまして、まあどっちにしたってこれは大蔵省が出した法律案だから、何が何でも通そうなんというので、最後は賛成せざるを得ないようになってしまっているのだけれども、しかも日切れ法案。日切れ法案、年度末に上げてくれとかなんとか言っているけれども、そんな道路工事じゃないのだから、ぜひよろしくお願いしますよ。  ちょっと二分前だけれども、もう遅いからいいや、きょうは。ありがとうございました。
  157. 額賀福志郎

    額賀委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後九時十九分散会      ————◇—————