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1997-02-26 第140回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十六日(水曜日)     午後六時八分開議 出席委員   委員長 額賀福志郎君    理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君    理事 保岡 興治君 理事 北側 一雄君    理事 谷口 隆義君 理事 池田 元久君    理事 佐々木陸海君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    木村 隆秀君       小林 多門君    菅  義偉君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       吉川 貴盛君   吉田六左エ門君       渡辺 喜美君    上田 清司君       木村 太郎君    鈴木 淑夫君       中川 正春君    並木 正芳君       西田  猛君    藤井 裕久君       前田  正君    宮地 正介君       村井  仁君    川内 博史君       田中  甲君    山本 譲司君       佐々木憲昭君    秋葉 忠利君       新井 将敬君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         国税庁次長   堀田 隆夫君         国税庁課税部長 舩橋 晴雄君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      深山 卓也君         外務省経済局国         際機関第一課長 鈴木 庸一君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   北脇 保之君     西田  猛君   末松 義規君     川内 博史君 同日  辞任         補欠選任   西田  猛君     北脇 保之君   川内 博史君     末松 義規君     ————————————— 二月二十六日  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第六  号)  租税特別措置法及び阪神淡路大震災被災者  等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第七号)      ————◇—————
  2. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出酒税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び阪神淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。
  3. 谷口隆義

    谷口委員 質疑に先立ちまして、一言申し上げたいと思います。  本日は、新進党の両院懇談会におきまして、大蔵委員会の開催、御迷惑をおかけいたしました。また、御配慮いただきましてありがとうございました。この場をおかりいたしまして御礼申し上げます。  それでは、租特改正法案を質問さしていただきます。  初めに、これは昨日も出ておったわけでございますが、今回、従来から私も申し上げておるのですが、新規取得土地負債利子損金算入という問題についてお聞きしたいと思います。  昨日の主税局長の御答弁を聞いておりますと、本来使用していない土地取得に関する金利の算入は、これは問題がある、こういうようなお話でございましたが、もともとバブル発生を抑制しようという税制であると認識しておるのでございます。この辺について、そうではないというようなお話のように私はお聞きしたわけでございますが、これについて御見解をお伺いしたいと思います。
  4. 薄井信明

    薄井政府委員 それほどはっきり性格づけをしたつもりはございません。新規取得土地等に係ります負債利子損金算入措置といいますのは、昭和六十二年度の税制改正で導入されたものでございまして、借入金による土地取得を通ずる税負担回避行為に対処しようということで措置したものでございまして、これによって土地の仮需要を抑制しようと。そういう意味では、あの当時のまだバブルのころといいますか、いわゆる土地税制考え平成二年のころとは、ちょっと前ではありますけれども、仮需要を抑制しようという発想も含めて、その背景にあったということでございます。  法人借入金利子といいますものは、利子ですから即時に落とすという考え方もあろうと思いますが、取得価額に含めるという考え方もあり得るのだろうと思います。そのどちらでないといけないというところまで私は思い込んではおりません。そういう意味では、租税特別措置としてやらせていただいているわけでございますが、これを現状のもとで解除することは適当でないというつもりで御答弁申し上げたところでございます。
  5. 谷口隆義

    谷口委員 これは、昭和六十三年四月の政府税調中間答申の結果設けられた税制でございます。このときには明確に、バブル抑制という観点で設けた税制だ、こういうように述べられておるわけでございまして、そういう観点からつくられた税制ということですね。  今、御存じのとおり、極めて土地流動化しておらないというのですか沈滞化しておるわけでございまして、そういう観点でいくと、従来から私申し上げておるのですが、土地流動化をさせていかなければいけないという観点で、このようなバブル抑制税制廃止する必要がある、このように申し上げておるところでございます。  先ほど主税当局おっしゃったように、これは基本通達で書いておるようでございますが、本来、土地取得するための借入金利子土地取得価額に含めてもいいし、損金処理してもいい、このように任意になっておるようでございますので、そのような処理に戻されるお考えはございませんでしょうか。
  6. 薄井信明

    薄井政府委員 先日の答弁でも申し上げましたが、現行の六十三年度のこの措置性格を、今改めてといいますか、現状考えてみましたときに、先日もちょっと触れましたが、厳密に費用収益を対応させるという考え方をとるかとらないかは別にしましても、土地というものを購入するための借金、しかもその土地の上に有効な建物がま だ建っていないというような状況のもとでは、これを資産使用期間に配分するといったような発想もあり得るのかなとは思いますが、これを別に本則として考えたいということではございません。  これはふと感じましたのは、アメリカの場合、一定減価償却資産を製造するような場合の負債利子といいますのは、減価償却の手法によって、その使用期間にわたって費用化するというような発想もあるわけでございまして、租特としての性格を否定しませんが、支払い利子、特に土地取得のための借入金利子については、そういう考え方もあるのではないかなと思ったことをこの間触れたわけでございます。  ただ、ただといいますか、全面的に仮需要を抑制するという政策的な措置であるとしても、今日、またこれを解除するということについては適当ではないのではないかということでございまして、と申しますのも、これは四年たちますと落とせるということで、そういう意味では控除を否定しているわけではございません。先ほど申し上げたような考え方も含めて、まだその状況にはないというふうに認識しております。
  7. 谷口隆義

    谷口委員 今まさにおっしゃったようなことだと思います。これは四年間損金算入できなくて、経過後に、四年で崩していく、こういうようなことであるようでございますが、これは、私が今見ておるのは、東京国税局法人税課長が編者の「決算申告の実務」という本があるのですね。ここにこの特例がどういう経緯で出てきたかというのが出ておりまして、これは明確に、地価高騰一因になった、企業の財テクとして土地取得して、それを損金処理ができるということで地価高騰一因にもなったからこういう税制が出てきたんだというように書かれておるわけでございます。  ですから、もうそういう前提がなくなったわけですから、御存じのとおり都心部地価はピークのころの五分の一、六分の一、こういうような地価状況でございますから、そういうことを考えますと、このバブル抑制税制のときに定められた特例を今こそ廃止すべきである、これを強く申し上げる次第でございます。もう答弁は結構でございます。  その次に、これも昨日出てきたのですが、個人不動産所得に係る損益通算を制限する特例でございます。これは、当時、ワンルームマンションを利用して節税が行われたということもあって、そういう節税規制観点からこのような特例が設けられた。損益通算を認めない。土地取得に係る利子については認めない、建物利子損金算入するが土地については認めない、こういうような特例ですね。これも、しかし利息負担により資金が流出するのは間違いのない話でございまして、そうすることによって課税所得が減少するわけですね。ですから、本来、総合課税観点からいきますと、これは損益通算をやるべきである、このように私は思うわけでございますが、これについての御見解をお願いいたします。     〔委員長退席坂井委員長代理着席
  8. 薄井信明

    薄井政府委員 今御指摘制度は、平成三年度の改正で設けられたものでございまして、これも今御指摘いただきましたように、税負担の軽減を図るという節税目的で、いわゆるワンルームマンションがはやったことが背景にあるかと思います。現状を私どももつぶさにすべてを見ておるわけではございませんが、少なくとも新聞等に広告されている状況を見ますと、今日においても、この種の節税策がセールスポイントとなって不動産の商売がなされていることが見受けられるわけでございまして、現状から見て、これを今とめてしまう状況にはないというふうに思っております。
  9. 谷口隆義

    谷口委員 これも、先ほど申し上げましたように、既にもう前提が崩れておるわけでありますから、正常な形に戻すべきである、総合課税観点から損益通算をすべきである、このように私は強く申し上げる次第であります。  資料があるかどうかちょっとわかりませんが、先ほどの新規取得土地損金算入税収としてどのくらい上がっておるのか、またもう一つ、後で申し上げました個人の、これは規制しておりますから税収はわからないと思いますが、冒頭の損金算入によってどのくらいの税収が上がっておるか、ちょっと御答弁をお願いいたしたいと思います。
  10. 薄井信明

    薄井政府委員 不動産所得についての損益通算の方は、計算の過程から御推察いただけると思いますが、創設当初におきましても、この計算はとても困難であるということで御説明させていただいておりまして、計上しておりません。  新規取得土地の方につきましては、これもきちっとした数字はございませんが、制度創設時には数百億という数字でございまして、今でも何百億かの減収になっているというふうに私どもは見ております。
  11. 谷口隆義

    谷口委員 数百億という単位であれば、これはもう廃止すべきであるというように私は思います。これが極めて重荷になって、さっき冒頭申し上げました土地流動化が進んでおらないというような現状があるわけでございますので、ぜひ廃止方向で御検討をお願いいたしたいというように思います。  その次に、今度の税制改正ではのっておりませんが、法人税税率引き下げ議論がございました。国際的に見て、我が国の法人税率は極めて高い。実効税率が四九・九八%、このような高い法人税実効税率は、産業空洞化、海外にどんどん出ていく一つの要因にもなっておる、このように言われておるところでございます。  それで、この法人税税率引き下げ議論が出てまいったわけでありまして、その議論の際に、法人税課税対象といいますか、課税ベース拡大をして法人税税率引き下げる、このような議論になったとお聞きいたしております。その結果、ネットで減税にならない、むしろ増税になる場合があるというようなことになって、これは財界あたりがそれについて極めて異論をおっしゃって、結局この法人税税率引き下げができなかった、こういうようなことをお聞きいたしておるわけでございます。  この課税ベース拡大ということについて、私はもう従来から申しておることがございます。それは、薄井主税局長にも以前に申し上げたことがあるわけでございますが、引当金また準備金圧縮または廃止方向に持っていく、こういうことによって課税ベース拡大したいというようなお話は、政府税調の方でも出ておるようでございますが、間違ってもらったら困るのは、準備金引当金とは全く違うものなのだ、こういう認識であります。御存じのとおり、準備金というのは、租税特別措置によって設けられたもの、政策目的によって設けられたものであります。また、一方の引当金は、法人税本法によってほとんど設けられておるものであります。  会計理論的にいきますと、この法人税引当金というのは、本来負債性引当金と申しまして、確定債務に準ずるようなものであります。御存じのとおり、現行会計制度費用収益対応原則、いわゆる発生主義と申しますが、そのような形で費用収益見合い部分を計上していく、こういう基本的な考え方があるわけですね。そういう考え方から出てきた引当金というものがございまして、この引当金というのは、本来企業が積み立てなければいけないもの、こういうように会計原則では言われておるわけであります。  一方、準備金は、これは利益処分でも積み立てることはできるのです。ですから、税制利益処分の場合に申告減算ができますよ、このようになっておるわけでありますが、これはいわゆる利益留保性準備金と申しまして、これは積み立てることができる。それは任意で、積み立てなくてもいいが積み立てることができる、こういう規定の仕方になっておるわけであります。  このような準備金引当金について、今回課税ベース拡大ということで、一緒にしてこれを廃 止、また圧縮していこうというようなことをお考えのようでございますが、これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  12. 薄井信明

    薄井政府委員 引当金準備金についての御質問でございまして、その性格等については委員指摘のことと私の理解と違わないわけでございますが、引当金性格というものは御指摘のような性格でありますが、これは商法上、引当金というものが規定されておりまして、「計上スルコトヲ得」と書いてあるわけでございます。  企業会計原則世界では幾つかの引当金商法の系列で例示されているわけでございますけれども、そのうち、税法上、法人税本法に取り上げられているのは六つの引当金でございます。かつ、その引き当ての額といいますか量といいますか、それは税法で決められているものがあるということでございまして、そういう意味では、引当金というものが、商法なり企業会計原則流れの中から税法がそれを根拠に、基本に必要なものを本則に持ってきているという位置づけにある。それから準備金については、これも委員指摘のことでおおむねそのとおりだと思いますが、準備金の中には、今申し上げた商法企業会計原則流れの中で引当金とされているものに似ているもの、あるいはそれに同等のものも準備金として租特で手当てされているというものもあります。  そういう意味では、申し上げたいことは、税法というのは商法なり企業会計原則の上に乗ってはおりますけれども、その原則の上で構成されてはおりますけれども、税の考え方で構築されている部分があるわけです。したがいまして、引当金本則に書かれているからこれは絶対であるということではないと思います。時代の背景あるいは経済実情に応じて、六つあるものが五つになる、そういうこともあり得ると思いますし、また計数的にその上限額をさわっていく、あるいは税法上は実績法定率選択となっているようなものを、税法世界実績だけにするということが許されていないということではないと思います。この辺は、経済の実態あるいは税負担というものを含めて、税の世界考えていくことのできる余地のあるところだと思っております。  今長々と申し上げましたが、引当金性格について反論があるわけではございませんけれども税法上の引当金性格というものについて、私は今申し述べたように考えているということでございます。
  13. 谷口隆義

    谷口委員 私が申し上げているのは、準備金引当金一緒にした議論はおかしいですよ、本来積み立てるべきものと、産業政策一定政策目的のために積み立てることができるものと一緒議論がどうもなされておるようでございますので、そのあたりをきちっと峻別して議論をしなければだめですよ、そういうことなのですね。それと、今確かに六項目挙がっているのですが、大体引当金が出てきたもともとの経緯、また準備金が出てきたもともとの経緯税理論においても十分勘案をしていただく必要がございますよということなのですね。  ですから、そのあたりが、先ほど申し上げましたように、準備金利益処分でもできるわけですから。本来、負債性引当金というのはこういう利益処分というものが認められていないわけでございますので、そういう本来損金性を有するものなのですね。ところが、準備金は本来損金性を有しないものなのです。これを一緒議論をするなんというようなことは、今の企業会計を極めて混乱させる、このような大きな原因にもなるということでございまして、そのあたりをよく立て分けていただいて議論していただく必要がある、このように思うわけです。  ですから、そういう意味において、課税ベース拡大という議論の中で、準備金の削減、またこの圧縮廃止、こういうことは私は議論の中で当然許されるものだと思いますが、ところが引当金の場合は、そういう意味においてこれはなかなか簡単には取り崩せないものですよ、こういうことでございます。どうでございますか。
  14. 薄井信明

    薄井政府委員 大枠での考え方について、私もほとんど同じでございます。ただ、部分的に気がつくことを申し上げさせていただければ、例えば製品保証引当金ですけれども、今日の状況から見ますと、製品無償補修といいますか、無償補修保証というのがかなり一般化している。そういう状況の中で、特定の業種だけにそれを許していくということは、むしろ実情に合っていないというような状況もあろうかと思いますし、また、引当金につきましても、貸し倒れというものについて大きな動きがあった中で、改めて見直してみたときに、実績率とそれから法定繰入率といいますかこの選択税法上認めていることが適切であるかどうか、こういったことについては、大枠とは別に、それは常に見ていかないといけない。そのことが全体としての負担の公平に役立つと思います。  最後に申し上げました、負担の公平ということですが、これはもう委員一番御存じのところで、商法会計商法会計目的があり、また、証券取引法会計では投資家の保護だとかいうような、それぞれの目的があるわけでして、税務会計税務会計目的がある。ただし、アメリカのように、それを全く別にしていいとは私は思っておりません。先ほど来申し上げているように、確定決算主義という大枠の中で税法は位置づけるべきだと思いますが、ただし、だからといって決めたものはもう一切さわらないということではない。そういう意味で、課税ベース引当金について議論を続けていきたいと思っております。
  15. 谷口隆義

    谷口委員 実績であろうと簡便であろうと、これはもう要するに根拠があればいいのです。  私が申し上げているのは基本的な問題でございまして、ですから、引当金議論をする際に、私が申し上げた趣旨を十分勘案していただいて議論を進めていただきたい。また今後、多分そういう税率引き下げ議論になると思いますので、その折にまた申し上げたい、このように思います。  次に移りまして、この十七日から確定申告の時期に入っております。私は、そういう現場国税職員の方々と触れ合うケースが多かったものですから、大変その御苦労をわかっておるところでございます。先日も視察に行ってまいりましたが、国税職員の方、極めて繁忙な時期で、大変な御努力をしていただいておるところでございます。  一方で、この国税職員の方が抱えておるいろんな問題があるわけでございまして、一つは、取引国際化しておるということと、機械化がどんどんどんどん進んでおる、こういうような現状がございます。そういう現状に合わせて、この第一線における調査体制充実強化、また、先ほど申し上げました経済取引国際化機械化、このようなことに対応するために、国際調査情報官、また機械化調査情報官などという専門家ポストが設けられておるということをお聞きいたしております。ちょっと調べますと、平成八年度で、国際調査情報官が四十八人、また機械化調査情報官が六人。これが、この平成九年度の予算計上で、四十八人が五十五人、六人が十四人と、このような増加の要望をしていらっしゃいます。  先ほども申し上げました、国税にかかわる周囲の環境が極めて大きく変わっておるわけでございますが、このような状況を踏まえて、この機構充実整備を早速していく必要がある、このように思うわけでございますが、大蔵大臣、これについて御見解をお願いいたしたいと思います。
  16. 堀田隆夫

    堀田政府委員 大臣の御答弁に先立ちまして、事務的にお答えをさせていただきます。  ただいま谷口先生から御指摘がございましたように、私ども税務行政を取り巻く環境は、質、量ともに大変厳しさを増しております。お話ございましたような国際化進展あるいは機械化進展ということがございますけれども、そのほかにも、高度情報化が進むとか、不正手口が巧妙化するとか、そもそも課税対象が増大しているというようなことがございまして、職場をめぐる環 境が厳しさを増しているということでございます。  そうした中で、私どもといたしましては、まずは、部内の事務運営合理化効率化を図らなければいけないということで、コンピューター処理等によりましてそういった努力をしているわけでございますが、その一方で、ただいま御指摘のございましたような機械化国際化に対応した専門ポストの新増設などの機構整備を進める、あるいは所要の定員の確保を進めるということで、私ども税務の仕事の困難性とかあるいは歳入官庁としての特殊性がございますので、そういった点を関係当局等に説明をいたしまして理解を得まして、そういった措置を講じてきたということでございます。国際化専門家機械化専門家先生のおっしゃったとおりの数字になっているところでございます。  昨今の行財政事情が非常に厳しいということは私どもも十分承知しているわけでございますけれども、私ども職場をめぐる環境の厳しさというのは、恐らくこれからどんどん増していくだろうと思っております。また、職場中高年層職員の割合がどんどんふえてくるという事情もございまして、そういった層の職員の士気をいかに保持して職場活性化を図るかというような問題もございます。  私どもといたしましては、国税組織の一層の機構整備あるいは職員処遇改善等につきまして、関係各方面の御理解がいただけるように、これからできるだけの努力を払っていかなければいけないと思っているところでございます。
  17. 三塚博

    三塚国務大臣 次長答弁しましたが、私も、今後とも一層努力をしてまいります。
  18. 谷口隆義

    谷口委員 大蔵大臣、もう行かれたかどうかわかりませんが、税の現場に、確定申告時期の職員の激励にぜひ行っていただきたいというように思います、御存じのとおり、実調率も、これを見ておりますと、六十年から平成六年度に至るまで、平成六年度が六・五%、実際に調査に行っておられるその率、実調率でございますが、どんどんどんどん低下しておりますので、この国税職員負担がかなり増大しているという現状大蔵大臣もぜひ現場でごらんになっていただきたいというように思うわけでございます。  次に移りまして、最近、銀行の個人ローン、住宅ローンが焦げついておって、ローン破産がふえておる、自己破産がふえておる、こういうような現状がございます。  法務省の方からいただいた資料によりますと、バブルが崩壊したのが大体一九九〇年くらいですか、ですから平成三年ぐらいだと思いますが、このあたりから自己破産が急にふえてまいりました。一時は横ばいであったのですが、昨年はこの自己破産が五万六千四百九十四件、前年に比べまして急激にふえておるわけであります。  バブルのときの影響がここに来て急激に出てきた。バブルの時代に、将来、収入も、年収も上がるだろうということで、ぎりぎりで住宅を購入された。ところが、急にバブルが崩壊して、予想しておった年収の伸びがない。むしろ減少しておる。こういう状況の中で、住宅ローンが重荷になってきて、そのような状況の中で何とか持ちこたえるだけは持ちこたえるわけでありますが、どうしても持ちこたえられなくて自己破産をしている。こういうような、いわゆる遊興型の自己破産ではなくて、生活困窮型の自己破産が最近ふえてきておる、こういうことであります。先ほど申し上げましたように、特に昨年は多かった、五万六千四百九十四件あったということでございます。ちょっとそれにつけ加えて申しますと、九〇年から九六年の七年間、これはバブルが崩壊してからの七年間ですが、大体二十五万件を超えておるようでございます。  これだけではないのです。いろいろ調査しておりますと、この予備軍が百万人いる、こういうようなマスコミの報告もあります。九四年、全国の地方裁判所、簡易裁判所における貸し金等関係の訴訟、調停、催促、強制執行などの件数を合わせると九十七万件。訴訟は面倒で最後の手段だということで、訴訟にいかないものを含めると百万件を超えるだろう、このように言われております。日本の消費者信用の残高が、これも九四年の統計でございますが、七十五兆円。我が国の家計可処分所得における割合は二三%、アメリカは一九%のようでございますが、我が国はアメリカよりも多くて二三%。御存じのとおり、アメリカはどんどんこの自己破産が急増いたしておりまして、昨年は百万件を超えるような史上最高の自己破産件数になっております。  このような状況の中で、私がきょうお聞きしたいのは、一つは金融機関サイドですね。都銀、長信銀、信託二十行、その下の地銀、第二地銀、このようなところの住宅ローンの焦げつきの問題。もう一つは、消費者金融と呼ばれるところが、御存じのとおり、最近は無人契約機と言われるようなものを導入して、どんどん自己破産がふえる一つの要因になっているというような指摘をされる方がいらっしゃるわけでございますが、そのような消費者金融の動向。また、先ほど冒頭お話を申し上げました自己破産、金を借りた方の自己破産の状況、このようなことについて、本日、ちょっとお聞きいたしたい、このように考えておるところでございます。  まず初めに、金融機関の住宅ローンの残高を教えていただきたい、このように思います。
  19. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  平成八年九月末におきます住宅ローンの残高は、都市銀行で二十九兆円、長期信用銀行で四千六百億円、信託銀行で二兆七千億円、地方銀行で十四兆円、第二地銀で七兆四千億、合計しますと、全銀行で五十四兆円となっております。
  20. 谷口隆義

    谷口委員 今おっしゃったのは第二地銀以上でございますね。  五十四兆円というようなお答えでございましたが、金融機関からしますと、住宅ローンの焦げつきは一時的には、大体金融機関の関係会社がローン保証会社というのをつくっておって、これはほとんど一〇〇%子会社に近いような子会社で、ここが保証しておりますから、決算書上はまず出ないのだろうと思うのです。ところが、お聞きしますと、住宅ローンの現場はここに来て焦げつきが多額に発生しておるというようなことをお聞きするわけでございます。ですから、決算書上は余り出ないのですが、ローン保証会社の状況からして、最近の、昨年で結構でございますが、そういう住宅ローンの焦げつきの金額と申しますか、不良債権の金額、これをお聞きいたしたいと思います。
  21. 山口公生

    ○山口政府委員 住宅ローンにつきまして、金融機関におきまして債務者別、資金用途別の不良債権という内訳がわかれば、今の先生の御質問に的確に答えられると思うのでございますが、その使途別、債務者別がございませんので、そこはちょっと統計を持ち合わせていないということでございます。  また御指摘のように、保証会社がいるから、まずはその代位弁済によりまして、不良債権の中には住宅ローン債務者の部分はほとんど含まれていないのではないか、それは私も多分そうだろうとは思うのでございます。そうしますと、住宅ローンを保証している保証会社が、仮に保証代弁が急増しまして経営を悪化しているということになりますと、銀行の当該保証会社に対する貸出金というのがいわゆる不良債権化するということになってまいるわけでございますが、ただ、統計上は、破綻、延滞、金利減免、不良債権という、銀行の健全性全体でとらまえておりますので、その原因がどこにあるのかというところについては、ちょっと統計的に私どもは把握していないという状況でございます。
  22. 谷口隆義

    谷口委員 ですから、五十四兆円という融資残高を今おっしゃったわけでございますが、今銀行局長がおっしゃったように、どうも全容がわからないというのが現状のようでございまして、私は大変危惧しておるところでございますが、五%であるとか 一割と言う人も中にはいるのですが、 五%と考えて、三兆円弱ぐらいの不良債権というようなことになります。  きょうは住宅金融公庫の方に来ていただいておらないのですが、また住宅金融公庫の不良債権の金額もばかにできない、かなりの金額になっておるというようなことを聞いております。ですから、銀行局におかれても、先ほども申し上げました、一時的にはローン保証会社に損失が計上されるわけですから、このあたり状況も十分把握していただく必要があるのではないかというように思います。  特に、今、この住宅ローンの不良債権というのは、バブルのときに住宅ローンを借りられた方が先ほど申し上げましたようにずっと持ちこたえられて、収入が上がらないですから持ちこたえて、一部は消費者金融の方にローンの返済資金をまた借りるというようなことにもなっているようでございます。そういう意味において、バブルのときに発生した住宅ローンと、今また危惧されておるのは、現在極めて低金利でございますから、低金利で住宅ローンを住宅販売業者が無理をしてつけておるということで、この四、五年先には、今やっておるような販売形態におけるやり方が続いておると、また大きな問題になりはしないかというような危惧の声さえあるわけでございます。  今、銀行局長の方はこれについて十分把握はしておらないということでございますが、今後の方針も含めて、ちょっと御見解をお願いいたしたいと思います。
  23. 山口公生

    ○山口政府委員 御指摘のように、通常の住宅ローンの場合には保証会社の保証がついている、あるいはその土地建物等が担保に入っているというのが通例だと思うのでございます。したがいまして、今の御指摘の点につきましては、金融機関と保証会社との関係という点をよく注意して見ていくことによってフォローをしていくことが必要ではないかというふうに思っております。
  24. 谷口隆義

    谷口委員 ですから、金融機関の保証会社は大蔵の管理下にあるのですか。
  25. 山口公生

    ○山口政府委員 保証会社そのものについては、所管はしておりますけれども、監督権というものの対象にはなっていない、こういう御理解をしていただければいいと思います。
  26. 谷口隆義

    谷口委員 ですから、そういう意味において、やはり一元的管理ということで、さっき申し上げましたように表に出てこないわけですから、そういう捕捉の仕方を考えていただくか、今度、金融監督庁の問題等々ございまして、一体どこが責任を持って管理するのか、一元的管理を行うのか、こういうこともこれから議論になるのだろうと思いますが、特に、この住宅ローンの関係におきまして、金融機関の不良債権をとらえる折に、そういうような保証会社の状況も十分捕捉していただきたいというようにお願いいたしたいと思います。  それと、先ほども申し上げましたように、消費者金融が、最近ここへ来て急激にふえてまいりました。先ほども申し上げました、無人契約機と言われるようなものがあって安易に融資を受けられる、このような状況一つの原因のようでございます。  それで今回、昨年末でございますが、集計しますと五万件を超えるような自己破産が起こったということで、それに対して大蔵省の方が、この消費者金融会社の業界に自主規制を求めるというのですかこのようなことをおっしゃったというようなことを聞いておりますが、このあたり状況について、御説明をお願いいたします。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 山口公生

    ○山口政府委員 先生指摘のように、昨今の自己破産件数が大変な数に上ってきておりまして、大蔵省としましても、この多重債務問題を重大な問題として認識いたしております。  貸し手側である業者の側の問題としましては、与信審査の一層の厳格化を図る必要があると思うわけでございます。貸金業規制等に関する法律に基づきまして、信用情報の利用等による適正な与信の徹底などについて、貸金業者に対し、強く指導をしているところでございます。また、現在ノンバンクに関する懇談会という会合を開かせていただいておりまして、そこで、消費者信用を含むノンバンクに係る諸問題について御検討いただいているところでございまして、ここでの御議論を踏まえて、さらに多重債務問題の解決に向けた諸施策を検討していきたいと思っております。  今先生の御指摘の、いろいろ御批判のありました、自動契約受付機が過剰貸し付けを助長しているのではないかというような御議論がありました。この大手を中心に導入されております自動契約受付機が、過剰貸し付けを助長するものであるという御指摘があることは承知しておりますけれども、自動契約受付機におきましても、店頭貸し付けと同様に、顧客の返済能力等の審査を行っているわけでございます。したがいまして、当局としては、必ずしもその指摘は当たらないのではないかと思っております。  ただ、街頭における華美な広告物とか自動契約受付機の広告などについても御批判があることは承知しておりまして、利便性を強調する余り、結果として、通常より借りやすいのだというような誤解を与えるような広告につきましては、これはその是正を図っていただきたいということで指導しているわけでございます。  加えまして、この大手の貸金業者の皆様方に、業界のリーダーとして、ひとつ前向きのこういう問題に対する対応を求めておるところでございまして、それを受けまして、実は消費者金融の大手の五社の方々が、年度内には実施したいということで、自主的にプランを立てていただいておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、まず第一に、消費者の啓発活動、これを推進する。例えば啓発広告による注意の喚起などでございます。それから二番目に、カウンセリング機能の発揮とその制度整備。これは多重債務になる前の相談事業ということが大切だろうということで、そういう事業をやる。それから、与信業務の一層の厳格化。これは、先ほど私が申し上げたような、信用情報に基づいてどんどん貸していって多重債務者をむしろつくってしまうということのないように、貸し手側からもよくチェックをするということ。それから四番目に、広告表現の見直し、先ほど申し上げました。これをさらに、例えば簡単だとか楽々だとかだれにも会わずになどの表現は少し削除するというようなことを考えていただくというようなこと。それから、ディスクロージャーの実施をやる。以上のような自主的な業界の努力も最近は見られるようになってきております。  私どもとしては、そういうものをサポートしながら、こういった多重債務問題がこれ以上広がることのないように努めていきたいと思っております。
  28. 谷口隆義

    谷口委員 今おっしゃったように、多重債務から自己破産というプロセスを経て、我が国では昨年自己破産が五万件を超えた。ところが、アメリカではもう既に百万件を昨年超えておる。我が国でも、冒頭申し上げましたように予備軍が百万人はいらっしゃるというようなことでございまして、これは極めて大きな問題であります。そのようなことも含めて、十分この消費者金融の動向について注意を払っていただきたいというように思います。  きょうは法務省の方から深山参事官に来ていただいておるわけでございますが、最近、この自己破産は、いわゆる遊興型の自己破産ではなくて生活困窮型の自己破産、そういうような極めて悲惨な自己破産がふえておるというようにお聞きいたしておるわけでございます。自己破産をしても余り影響がないということで、遊興型の自己破産をする人は簡単に自己破産をする方が多いようでございますが、一方では、大変また悲惨な状況もあるということでございまして、そのような状況を踏まえて、消費者破産のこの法改正と申しますか倒産、破産法制の抜本的改正を今考えていらっしゃるというようなことでございますが、このあたり状況を御説明いただきたいというよう に思います。
  29. 深山卓也

    ○深山説明員 お答えします。  ただいま委員指摘のとおり、消費者信用市場の急速な拡大に伴う現象といたしまして、近年、消費者の自己破産事件が急増しているところでございますが、破産手続を規律する破産法は、大正十一年に制定された後、手続の全般的な見直しがされないまま今日に至っておりまして、現代の社会の状況にそぐわないというような指摘もされておるところでございます。一このような状況を受けまして、昨年十月には、法務大臣の諮問機関である法制審議会に新たな部会として倒産法部会が設けられまして、倒産法制全体について見直しを行うこととされました。さらにこれを受けて、昨年十一月に、法務省が組織いたしました倒産法研究会が発足いたしまして、これまで五回の会合を開き、倒産法制の基本的な枠組みのあり方、それから現行の破産手続の現状と問題点についての検討を行っているところでございます。  倒産法制の見直しに当たりましては、御指摘の問題点を初め論点が多岐にわたりますことから、幅広く議論をしていく必要があると考えております。
  30. 谷口隆義

    谷口委員 今申し上げた現状を十分踏まえて、今おっしゃったように、法制審議会の方で議論もなさっておられるようでございますので、今後また折につけてお聞きいたしたい。極めて重要な問題でございますので。  私は、地元へ帰りますと、よくこういう自己破産の問題で相談に来る方がいらっしゃって、やはりかなり大きな社会問題になってきたな、こういうような認識でおります。ぜひ銀行局の方も、先ほども申し上げました消費者金融のあり方、こういうようなあり方も踏まえてやっていただきたい、注意をしてやっていただきたいというように申し上げたいと思います。  それでは、次に移りまして、連結納税制度なんですね。持ち株会社の解禁が事実上何か決まったようでございますが、経済構造改革であるとかビッグバンの流れの中で、連結納税制度というのは、ある意味においてはこれはグローバルスタンダードと言えるようなことではないかと思います。聞いておりますと、OECD加盟国中、まだ連結納税制度を導入されておらないのは日本、カナダ、ベルギー等九カ国である、こういうような状況の中で、今連結納税制度の問題が議論に上っております。  一つは、NTTの分割の問題でこの連結納税制度の問題が出てまいったようであります。聞くところによりますと、このNTTの分割の際に連結納税というような考え方があったんですが、これはそういうことをやらないで、租税特別措置で黒字会社から赤字会社への所得移転を非課税にしていこうとか、分割時の譲渡益も、租特か何かちょっとわかりませんが、そういう臨時応急的な対応で乗り切ろうというようなお考えのようでございますが、このあたりをまずお聞きいたしたいと思います。
  31. 薄井信明

    薄井政府委員 NTTの件についての御質問でございます。  経営形態の変更が行われるということで、これに伴っての税制上の措置を講じてほしいという考え方が示されてきておりまして、具体的には郵政省から、政府の意思でNTTを分割する、そういう政策判断を受けとめた税制が欲しいという主張がなされてきておりまして、私どもとしましては、これを受けとめて今議論をしているところでございます。  具体的に二、三申し上げますと、今回のNTTの経営形態の変更といいますのが、いわゆる東と西のNTTに分ける、あるいは長距離会社というものをつくるという形でつくるわけですが、この東西のNTTが日本全国で、あまねく電話と言うのだそうですが、あまねく電話を確保するという責務を課された特殊会社として新しく生まれる。また、これが国の意思によって法律に基づいて再編成がなされるということでございます。  そして、その再編成に際しまして、三年間、三事業年度と言う方が正しいと思いますが、三事業年度に限りまして、構造的な東西の地域格差に起因する西会社の特定費用の一部を東会社が負担できる制度をNTTの法律によって規定するということを聞いております。私どもといたしましては、これを税制負担金の損金参入を認めていく方向で今検討しているところでございます。したがいまして、これは、最初に御指摘のありましたようないわゆる連結納税制度とは全く異なる制度であるという位置づけで対応したいと思っているわけでございます。
  32. 谷口隆義

    谷口委員 税制の大原則、公平、公正という観点は、これは見失ってはいけないわけでありまして、NTTといえども、他企業と比べてそういう税制の恩典を与えるということではなくて、この際やはりこの連結納税を正面から議論をしていく必要があるのではないか、私はこのように考えております。  例えば、この連結納税を導入すると、どの程度の減収と申しますか、このような試算はあるのですか。
  33. 薄井信明

    薄井政府委員 先ほどの御質問の中にも、OECD各国の中で云々という御指摘ありましたが、連結納税制度の中身といいますか、少なくとも私どもが連結納税制度ということで認識している姿というのは、アメリカの連結納税制度あるいはフランスの連結納税制度かと思います。こういう手法をとるのか、あるいは、そうでない、連結納税制度とは普通は言えないのではないかなと思われる手法をとるのかによって区々であろうかと思います。御質問に対してお答えできる数字は持っておりませんけれども、それによって大きな差は出てくると思います。
  34. 谷口隆義

    谷口委員 何か野村総研の試算によりますと、四千億ほどの減収というようなデータが出ておりましたが、いずれにしましてもかなりの減収になることは間違いないようなことでございます。  総理は、この連結納税は商法上問題があるのじゃないか、こういうような御答弁をなさっていらっしゃるようでございますが、今主税局長がおっしゃったように、アメリカであるとかヨーロッパであるとか 一般的に行われておる連結納税というのは、個別企業課税所得を算出して、それで損益通算するというやり方でございまして、連結ベースで算出した課税所得に対して課税するというようなやり方ではないわけでありますので、私は、そういう意味では商法上問題がないだろうというように考えておりますが、それはどのようにお考えですか。
  35. 薄井信明

    薄井政府委員 今御指摘の点についてやや総合的なお答えを申し上げたいと思うのですが、そもそも我が国の現在の法人課税というものは、個々の法人法人格に着目して課税制度が仕組まれております。これに対して連結納税制度と申しますのは、個々の企業ではなくて、企業集団、グループを一つと見て、これを課税単位と見て、その企業集団に課税しようという制度だと思います。したがいまして、その導入というのは、地方税を含みます我が国の法人税制の基本的な成り立ちなり仕組みになじみがたいというふうに思っております。  したがって、その連結納税制度の導入、その是非ということになりますれば、これを議論する際には、その前提となる日本の企業活動がどういうふうな実態であるかあるいは商法等の関連諸制度との関係でどう位置づけられるのかさらには、法人課税の体系のあり方、あるいは租税回避とか税収減の問題といったことも含めて考えないといけないと思っております。  そういう意味では、先ほどの答えと今申し上げたことと二つ整理して申し上げますと、企業集団を一つの課税単位として見る課税方式としての連結納税制度自体が商法と直結するとは考えておりません。しかし、そこは、先ほどの最初の御質問にありましたように、我が国の税制というのは、商法企業会計原則に土台を置いて、その上に税制というものが仕組まれているという体系の中に あり、各企業も歴史的にその中で活動してきておりますし、親会社と、今も子会社あるいは分割したグループ法人ありますけれども、親企業の今の行動というのを見ましたときに、アメリカにおける集団的な企業というイメージとはほど遠いケースが多いと見ておりまして、そういう意味では、商法と直結した話ではないということではありますが、実質的に重く関係しているのではないかなと思っております。
  36. 谷口隆義

    谷口委員 時間が参りましたので、最後、これで終わりたいと思いますが、今主税局長がおっしゃったように、経済構造改革がどんどん進んでおります。またビッグバンが二〇〇一年三月まで、このように総理もおっしゃっておりまして、急激に我が国のこの周りの状況が変わっておるわけであります。また、三月に外為法をやるわけでございますが、もう来年の四月から順調にいきますと施行される。資金も大きくグローバルな形でどんどん動く、こういうような状況で、また冒頭申し上げました持ち株会社の解禁の問題もあります。必ずこのような連結納税の問題が出てまいります。ですから、そのような我が国の経済実態に合わせた形で、いつまでもそういうようなことをおっしゃらないで、連結納税を前向きに検討されることをぜひお願いいたしたいというように思います。
  37. 薄井信明

    薄井政府委員 今後の企業経営の実態等々を見据えまして、慎重な議論が必要とされる研究課題であると認識しております。
  38. 谷口隆義

    谷口委員 それでは終わります。
  39. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、田中甲君。
  40. 田中甲

    田中(甲)委員 四十五分間時間をいただきました。租税を中心に質問させていただきます。  大蔵大臣、私は、千葉県の五区が選挙区でありまして、実は自民党の私の先輩議員は三塚大臣を敬愛する方でございまして、皮肉なもので、私よりも能力も人格もすべての面ですばらしい方がきょうはこの場所に立ちませんで、私が立っているということでありますが、どうぞ大蔵大臣、懐深く受けとめていただきまして、今後とも折に触れて御指導を賜りますよう心からお願い申し上げます。  さて、ここに持ってまいりましたのは、衆議院大蔵委員会の審議要録であります。ちょうど一年前、この委員会で附帯決議をつけて、租特の審議を行っていました。「政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。」「現下の厳しい財政状況を考慮し、歳出の削減に一層努めるとともに、」歳出の削減に努めているとは思いませんが、「歳入の根幹をなす税制に対する国民の理解と信頼を確保するため、引き続き、公平・公正・中立・簡素の見地から税制全般にわた谷不断の見直しを進めること。」二項目めは、「租税特別措置については、政策目的、政策効果、利用状況等を勘案しつつ、今後とも一層の整理・合理化を推進すること。」三点めは、若干文章が長いものですから、要約してお伝えをさせていただきますと、国税職員について、処遇の改善、定員の一層の確保につき特段の努力を行うこと。  参議院に参りまして、一項めでありますが、その中に、「特に租税特別措置については、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性、利用の実態等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理化を推進すること。」ということが附帯決議で盛り込まれました。  これを受けて、税制調査会の答申がことしの一月に出ているのですが、「平成九年度税制改正においても、「財政構造改革元年」にふさわしく、徹底した整理・合理化を行っていくことが重要である。」企業関係租税特別措置においては、「経済構造改革の一環としての規制緩和や、行政改革を進めていく上での行政の関与のあり方」といった流れに逆行するのではないかという指摘もある。そして、個人関係租税特別措置については、これは「平成八年度答申で当調査会の考え方を示しており、その方向で整理・合理化を行っていくことが適当である。」と書かれていました。  そう書かれてあったものですから、平成八年度のを持ってまいりました。個人租特に関しては、まず住宅取得促進税制について、「持ち家のみを優遇する制度であり中立性を欠いている、」という指摘があります。「減収額が六千億円に近くその控除額も平均的な給与所得者の所得税額を上回っている、」三点めとして、「経済社会が成熟化する中で量より質を重視する今後の住宅政策との関連で当制度を位置付けるべきである等の意見があり、その適正化に向けた検討を進める必要がある。」あと生損保の控除について、同じく「縮小・合理化を図る必要がある、」老人マル優等についても「縮減に向けて検討すべきである」、こういう内容であります。  このいただきました時間の中で、私は、この平成九年度租税特別措置法改正というものがこれに沿ったものに果たしてなっているのかどうか、御質問をさせていただきながら確認をしてまいりたいと思います。  ここで、簡単で結構でありますから、なっていますか。
  41. 薄井信明

    薄井政府委員 租税特別措置をどう評価するかという問題につきましては、私ども、それはそれなりにインセンティブの必要な施策として尊重しつつ、一方で、公平を害するという点から厳しく吟味して、縮小できるものは縮小し、やめられるものはやめていくということで私ども努力をずっと重ねてきておりまして、件数でいうとそれだけかと言われてしまいそうではありますが、本年も二つの項目をやめるということによって、企業関係では七十七件の租特の数にしております。  今の御指摘の中で私どもが非常に重く感じますのは、特に個人関係租税特別措置、これにつきましてなかなか手がつけられない、時間がかかっているということでございます。今回、住宅取得促進税制につきまして、平成九年の特殊性ということから、平成九年については拡充しつつ、先へ行って従来の形まで戻していくということを工夫したことは申し上げられるのですが、今御指摘の生損保控除あるいは老人マル優につきましてはなかなか手がつけられないでいる状況ですが、先ほど来の御質問にもありますように、経済構造改革等々が進む中で、有効なお金の使い方ということを考えた場合には、税の面、歳入の面でも、こういうことについても今後とも力を入れていかなければいけないということを感じます。
  42. 田中甲

    田中(甲)委員 去年も同じような答弁を聞いたような気がするのです。  諸外国に比べて、我が国日本は政策や事業の評価というものが甘いと言われています。特にこの租特については、個々の事業について厳密な評価分析をし、政策に反映させることが求められているのではないでしょうか。そもそも政策手段として税制が適当なのか、利用実態が特定のものに偏っていないか、創設後、長期間に至っていないかなど、十分な評価分析が必要とされていることは、私が改めてこの場所で申し上げるまでもないことであります。  例えば、米国では、事業実施後の評価分析機関として、連邦議会側に議会予算局、さらには議会会計監査院いわゆるGAOという組織が整備され、常に政策、事業施行後の評価分析がされ、既存の制度の見直し、次の予算計画、新たな政策の策定に反映がされているところであります。  私たち民主党は、行政の政策、事業を行政がみずから評価をするよりも、立法府による評価分析を行うことが重要と考えて、国会の附属機関として日本版GAO、行政監視院設置法なる法案の提出を議員立法としていたしました。  大蔵大臣にここで御所見を賜りたいのでありますが、行政監視院設置法について、また立法府の自発的なこのような動きに対してどのようなお考えをお持ちになられているか、大臣の御所見を賜りたいと思います。
  43. 三塚博

    三塚国務大臣 国会が、予算委員会大蔵委員会決算委員会、その他の常任委員会、特別委員会等におきまして、予算が適正であるかどうか、編成が現時点の国民の期待にこたえておるものなのかどうか歳入の基本である税収は公正、公 平、簡素という原則に基づいて適正に計上されておるか、こういうことについて御論議をいただく、その論議を踏まえて次の段階に取り組まさせていただく、こういうことの中で、御堂提案の機構が、私は、政党としての基本的な政策の一つ、総選挙を経て提出していただいたということにおいては敬意を表します。最終的には国会論戦の中でこのことが決せられるわけでございますから、最大の関心を持って見詰めてまいりたいと思っております。
  44. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  この租特の実態から見ても、そのような立法府における監視院の設置というものが私もぜひ必要だと思っている一人でありまして、御所見を賜りましたが、どうかよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。  具体的な租特の項目に入らせていただきます。  今回の租特の中で、国産アスファルトにかかわる石油税の還付、これが新たな設置ということになりましたが、これはどういう理由を持って設置されたか、御答弁をいただければと思います。
  45. 薄井信明

    薄井政府委員 今後の石油製品需要動向につきましては、重油の需要は減少していく一方で、軽油とか灯油、こういったものの需要を中心に堅調に増加していくと考えられているわけです。こうした中で、これらの製品の原料となる原油の需給というものは逼迫するということが予想されております。有限な資源である石油の効率的な利用が求められているわけでございますが、限られた石油資源の中で他のエネルギー源に代替の難しい中間留分を安定的に供給するためには、中間留分の輸入の確保を図るとともに、もう一つ、国内の石油精製においては、石炭とか天然ガス等に代替可能なC重油を蒸留することによりそういったものを抽出する必要が高まっているという背景がございます。しかしながら、その場合には、石油製品の特徴といたしまして、石油アスファルトというものの生産量も増加することとなりますが、国産石油アスファルトの価格には石油税負担分が含まれておりまして、輸入品との競合上、その分だけ不利になっております。  今申し上げました状況のもとで、本措置により輸入石油アスファルトと国産石油アスファルトの税負担の均等化を図りまして、国産アスファルト等の流通環境整備を図るということでございます。C重油から軽油とか灯油を取り出した残りのアスファルトの消化をそれによって促進し、かつ石油資源の効率的な利用を促進しようということが、御指摘の今回の改正項目の趣旨でございます。
  46. 田中甲

    田中(甲)委員 実際には、この租特というものは石油資源の効率的な利用のためという純粋な政策的必要性だけによるものという見解には、懐疑的にならざるを得ないと私は思っています。  石油業界や団体から二重課税解消への要求が強まる中、問題の根本的解決を見送った、そのために、石油業界をなだめるために政治的な代替措置がとられたのではないかと言われる声も聞こえているのですが、その点はいかがでしょうか。
  47. 薄井信明

    薄井政府委員 まず最初の、いわゆる石油にかかるタックス・オン・タックスと言われているものを避けるためにという御主張でございますが、私どもは、個別間接税と付加価値税形式の消費税との間には税金の上に税金がかかるという現象が生じますけれども、これは当然のことであって、これを調整するという考え方はとらないわけでございます。  もし問題があるとすれば、個別間接税の税負担を含め、例えば石油に対する負担が重いか軽いかというのは議論の対象になろうかと思いますが、価格のうちに含まれている、精製段階で移出したときに課税される揮発油税、それが価格に入って、その上に、それが流通する過程で消費税がかかっていくというのは、付加価値税方式をとる以上避けられない方式だと思っています。そういう意味で、タックス・オン・タックスにつきましては調整するという考え方はないわけでございます。  一方で、石油をめぐって、先ほど申し上げたようなことも含めて現状に合った対応を求められ、私ども、これが必要であるということから対応させていただいたというふうに整理しております。
  48. 田中甲

    田中(甲)委員 大蔵大臣、今主税局長が、タックス・オン・タックスを改善するということは考えないのでありますとおっしゃった、お聞きになられたと思いますが。大臣の所属政党であります自由民主党さんは、選挙の公約でタックス・オン・タックスを解消するということをたしか言われているはずなのです。いかがですか。
  49. 三塚博

    三塚国務大臣 公約では、簡素、公平なということで解消をということで載っておったと思います。そういうことで、——総選挙後の内閣、政府税調、三党税調、こういうことの中で、この公約は時期尚早ということで引き続き検討をさせていただく、こういうことで、ただいま主税局長言われましたような経過の中で、本件はこれに代替するものではないか、こう言われますけれども、独自の制度としてこれを採用し審議をお願いしている、こういうことのようであります。
  50. 田中甲

    田中(甲)委員 これはやはりおかしいですよね。政府・与党が一体になっていないということのあらわれじゃありませんか。国産のアスファルトについて、原油の輸入段階でかかった税額百三十億、石油税が百二十億、関税が十億円、これが大企業である元売会社に還元されるということになりますね。大企業、業界、その有利は、租特の最も注意していかなければならない点であったはずであります。ましてや、この還元がガソリン代や道路工事費用の値下げにつながったり、さらに消費者に還元されるということは到底考えられないのですが、この点についてはいかがですか。
  51. 薄井信明

    薄井政府委員 今回の措置は先ほど申し上げましたような趣旨から設けたわけでございまして、これによって国産アスファルト等が輸入品との間で対応できるようになることにより、石油をめぐる環境は改善されていく。御指摘の、値段にどうなるかについては私は承知しませんけれども、石油をめぐる環境にはプラスに役立つということで、今回の措置を提案させていただいているわけでございます。
  52. 田中甲

    田中(甲)委員 こういう新聞の記事があります。  自民党税制調査会の会長は十八日、これは昨年の十二月でありますが、「石油業界が求めていた石油諸税と消費税の二重課税解消を見送ったかわりに、石油業界に合計三百十億円の代償措置を与える会長裁定を示した。税制措置としては国産石油アスファルトについて、百二十億円の石油税と十億円の関税を免除する。」こういう記事が十二月の記事として載っていますね。  あわせて、こういう記事がことしに入ってからまた出されました。これは元大蔵官僚の方が言われているのですが、この租特は、「「子どもがぐずるとアメを配ってなだめ、問題自体は何ら解決しないという、自民党のやり方が今回の予算案には顕著に出た」と、政府の対応を問題視する。「本来、二重課税問題は税制問題として取り上げなくてはならないはず。抜本的な改革なしに、こんな「利益誘導型」政治を続ける限り、結局、割を食うのは消費者だ」」、そんな批判の声が、これは元大蔵官僚の方の意見ですけれども、この記事に対して大蔵大臣、御所見をいただきたいと思います。
  53. 三塚博

    三塚国務大臣 この新聞記事は私読んでおりませんが、ただいまの御紹介がそういうことであったとすれば極めて残念なことであり、税制は筋道が通ってこれが構成されるものでありますし、特に租特は毎年見直す、そしてベストなものに変えていくということであり、政策目的が終わりましたならばそれは転換をしていくという性質のものでございますから、党の税制調査会の責任者がさようなことを言われた、初耳でありますが、残念なことであります。
  54. 田中甲

    田中(甲)委員 こういうことじゃないでしょうか。石油諸税としての税収が四兆九千億円に上 り、またガソリン税が道路整備事業の四割強を担うことが決まっているために、既得権益確保のための、俗に言われる族議員の抵抗力が強く、二重課税が是正できない石油諸税の問題、これは政治の犠牲になっている。あるべき政治という姿がとられていないと同時に、消費者が結局は犠牲になっていると言えるのではないでしょうか。これでもこのタックス・オン・タックスの問題は是正しなくてもよいと大蔵大臣はお考えでしょうか。
  55. 薄井信明

    薄井政府委員 最初に、技術的なところを御説明いたしますが、個別間接税にはお酒の税金、たばこの税金、油の税金とありますが、いずれにしましても、タックス・オン・タックスの調整ということはやっていないわけでございます。仮に、油だけについて消費税のかかる分を外すということになれば、食料品も含めてすべて三%から五%に上がっていく中で、これだけを特別扱いすることの方が不公平であるということかと思います。  先ほど申し上げましたように、個別間接税それから消費税を含めた税負担の水準自体がどうであるかということは議論の対象になろうかと思いますが、消費税が引き上がるときには個別間接税との調整をしなければならないという考え方はとれないということを申し上げたわけでございます。
  56. 田中甲

    田中(甲)委員 ここに一枚のペーパーがあります。「個別間接税(石油、酒、たばこ)のあり方については、将来における消費税のあり方をもにらみつつ、適切な調整を含めて総合的に検討するものとする。なお、道路特定財源は堅持する。」、自由民主党平成九年度税制改正大綱抜粋。  この個別間接税の酒、たばこに関しては、お教えをいただきたいのですが、調整併課がとられているんじゃないですか。
  57. 薄井信明

    薄井政府委員 今回、消費税が三%から五%に上がるに際して、調整は全くいたしておりません。  よく言われるのは、消費税導入のときに酒とたばこについて調整をしたのではないかということが指摘されることがあります。  当時、酒につきましては、ちょうど今回お世話になっておりますお酒の税法、やはりガットで問題になりまして、これを契機にお酒の税金の根本を直しました。従量税一本にするとかあるいは特級とか一級とかあったそういうクラス分けもなくしました。そういう大きな改正の中で、酒税法改正を同時にしたということが誤解のもとになっております。  それから、たばこにつきましては、実はその直前に、一本たしか一円分だったと思いますが、増税をして、これを租税特別措置で維持しておりましたが、昭和六十二年の改革の際に、この一本一円分の租持分を本則にむしろ取り入れた、取り入れるときに、その引き上げ幅について調整をしたということはあります。そのことが酒とたばこはかって調整したではないかという御指摘につながっているのかと思いますが、いずれにせよ、今回はやっておりません。
  58. 田中甲

    田中(甲)委員 先ほど主税局長は、石油に関してはタックス・オン・タックスを解消しないということを明確に言われましたね。このことは、私、後々与党の方と問題になるのかなというふうに思っておりますが、それ以外、実は問題点がたくさんあるので、次に進みます。  現在のガソリン税が、道路整備事業に充てられているのに、特定の商品利用者だけに巨額の税負担を強いている。この目的税、特定財源の考え方大蔵大臣、見直すお考えはないでしょうか。
  59. 三塚博

    三塚国務大臣 道路関係諸税をどうするかという基本的な質問でありますが、これはやはり道路利用者が道路を損壊する等々いろいろな問題点があり、その修築を含め、さらに経済社会の中における道路の整備を促すという意味で、道路関係諸税が目的税化されて法定されたものと聞いております。  そういうことで、ある程度の道路整備が進んできておるという状況であれば、それはそれなりに国会の論議を経、国民各位の論議の中で考えるということが適当だと思うのでございますが、ただいまの段階でこれを直ちにどうこうするというところまで国民論議も国会の論議も到達しておらないのではないでしょうか。
  60. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。わかりました。  これは、この点だけをというものでもないのかもしれません。しかし、問題視をして今後検討を進めていただきたいという要望はさせていただきたいと思います。  実は、私のところにある手紙が参りました。石油業界における諸問題ということで、長文の手紙が私のところに参りました。この長い手紙を読んでいる時間はありませんが、私は、この内容を読んで、いかに元売である大企業に有利にこの石油業界というのが動いているのかということを改めて認識させられました。ですから、今この租特をやっているわけですけれども租特も、結局大企業、元売有利なそういうものをこれ以上つくってはならぬという気持ちが私にはあるのです。  石油の元売会社は揮発油税を販売後三十日から六十日にて国庫に納入することになっているのに対し、販売業者は元売会社との契約上、販売後二十日にて元売に支払うことになっている。契約は元売と販売店との問題であるが、納入に関して両者間にある一実はこれは調べてみますと、三十日から六十日の間に元売会社が国庫に納入するというのに特例がついていまして、二カ月間の延長が可能で、最長百二十日間の納入期間というのがあるのですね。そうしますと、販売を行っている販売店は三十日で納めろとかなり圧力をかけられて、元売会社の方は最大九十日間の猶予期間の差があるという実態なんです。  元売会社に極めて都合のいいやり方ではないかということですが、この点について御答弁いただけますか。
  61. 薄井信明

    薄井政府委員 制度の御説明をいたしますが、揮発油税のことでございました。納期限につきましては、移出した月の翌月末が納期限となっているわけですが、担保を提供していただきますと、そういった一定の要件を満たしていただければ、さらに二カ月以内の納期限の延長が認められているというのが現行制度でございます。  この納期限の延長制度につきましては、販売代金の回収が相当の期間を要するということを配慮してとられた制度でありまして、いろいろなケースがあろうかと思います。実情が個々にどうあるかということについては必ずしも私、今承知しておりませんが、いろいろなケースがある中で、この納期限の延長制度があるということだけ申し上げておきたいと思います。
  62. 田中甲

    田中(甲)委員 この納期限の延長制度は見直した方がいいと思いますね。あるいは元売企業が圧力をかけて、これは契約ですから約束事ではありますけれども、三十日間ということに限定していながら、自分の方には百二十日間の猶予期間があるということは余りにも理不尽、そういう声が手紙で届いてきても私はよく理解ができますし、こういう場所で取り上げざるを得ないという思いでお話をさせていただいております。  租税特別措置というものはそもそも税制基本理念の例外措置であること、石油製品にかかるタックス・オン・タックスという根本的な問題を先送りしているという点、元売大企業を有利にするという租特の改めるべき点の反省がされていないという点、目的税としての問題点、いわゆる特定財源でありますが、この問題点が何らかの力によって結局触れられていないという問題点などを考えますと、今回のアスファルトの租特の問題は大変に根が深い問題であるということをここで御指摘をさせていただきたいと思います。私は個人的にはもうこういうことをやってはならないという思いを持っておりますが、また民主党としての見解というものも改めてお伝えをしなければいかぬと思っておるところであります。  さて、これは新規につくられたものであります けれども、次は、今回廃止されるもの、簡単に説明していただきたいのです。簡単で結構です。
  63. 薄井信明

    薄井政府委員 今回廃止されるものの一つに、いわゆるホテルの耐用年数の特例、これを廃止したいということで提案させていただいております。特定の登録ホテル等の減価償却資産の耐用年数の特例と申しまして、その目的が現在の政策課題に資するものであるかということ、あるいは創設後相当の期間にわたっていないかということから吟味した結果、廃止することとさせていただきました。
  64. 田中甲

    田中(甲)委員 そのほか三点ほどあるようですれども、私の調べたことが正しければそうですと言ってください。  この特定登録ホテル等の減価償却資産の耐用年数の特例は、創設から四十五年たっていますね。聞いて、何でこういうものが残っているのかといってもう驚いてしまったのですけれども、外国人の宿泊用に洋式トイレをつくるということを目的としてつくられたというのは本当ですか。それが四十五年間継続していたというのは本当でしょうか。
  65. 薄井信明

    薄井政府委員 いわゆる国際観光ホテルと言われるものが各地にありますが、そういうものを拡充することによって日本の観光といいますか観光資源を拡充していくという施策をとってきたということでございます。現在、もうそういうことをする必要のない時期に来ているのではないかということでやめさせていただいたということです。
  66. 田中甲

    田中(甲)委員 先ほどお話をした石油業界にかかわる、またアスファルトの租特を新規につくる姿と、今回廃止する特定の登録ホテルの云々、この廃止の姿と余りにも差があり過ぎる。廃止が四件あります、そして新規は何件ですという話にはもうとどまらないということではないでしょうか。  やはり内容を知れば、こういうことをやっていたら現在の財政難の中で本当に租特の見直しをしているのか、真剣にやっているのかという疑問を持つわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  67. 三塚博

    三塚国務大臣 租特政策目的を達したか達し切っていないか、達し切っていないということは引き続き延長して適用をしていくということでありましょうし、そういう点からいえば、耐用年数の件については、ただいま主税局長が言ったようなことで、十二分に達せられましたから、こういうことだろうと思っておりますが、御理解ください。
  68. 田中甲

    田中(甲)委員 それは一つの筋だと思います。しかし、この財政難の中における措置として果たしてその内容が、ただその言葉だけで納得してくださいということで済まされるかどうか。やはりそこは考えていかなければならないのだろうと思います。  住宅取得控除は租税特別措置の中でも最も大きな割合を占めております。平成八年度では予算ベースで五千八百七十億円の減収額という試算も出されていますけれども、ここで主税局長、ちょっとお伺いしたいのですが、持ち家重視、優遇の発想を転換して、優良賃貸住宅の供給の拡大ということを考えていくべきではないかと思うのですが、また以前、租特の中でもそういうようなことを行った経過というのがあったのでしょうか、お伺いをします。
  69. 薄井信明

    薄井政府委員 今回、住宅取得控除の改正を提案しているわけですが、この沿革は相当長いものでございまして、我が国の住宅政策のある意味では中心的な施策の一つとして見られてきたわけでございますし、また経済との関係でも、住宅の建設ということが日本の経済を引っ張っていく一つのポイントとして重視されてきております。  私ども税制を預かる立場からすれば、減収額がだんだんふえていくということは、かつ一人一人の住宅取得控除を受けている方の受ける減税額というミクロで見た場合も、他の納税者との関係で、これがどんどん拡充していくことは適当でないと思っておりますし、また、今御指摘のように、住宅政策自体が持ち家だけではなしに幅広い対応が必要になってきている中で、今後の方向とすれば、これを拡充していくということは適切でないと思います。  ただ、今回は、平成九年の経済的な特殊事情考えた場合に、これを縮小するということはマイナス効果が大き過ぎるということで当面拡充いたしますが、数年を経て従来の形に収拾していくという提案をさせていただいたわけでございます。  最初の御質問にありましたように、個人関係租税特別措置、なかなか縮小がしにくい、むしろ拡充要望が四万から襲いかかってくる中でこれを逆に縮小し、なくしていくということについては相当努力が要るかと思いますが、その考え方におきましては、私ども、これを拡充していくことは方向ではないというふうに思っております。
  70. 田中甲

    田中(甲)委員 わかりました。  もう一点お聞きしたのですけれども、持ち家重視ではなくて、優良賃貸住宅の制度というものを租特によってインセンティブを与えたという経過はありますか。
  71. 薄井信明

    薄井政府委員 法人税世界におきまして、優良賃貸住宅をつくる方につくりやすいように助成をしていく租特が既に講じられていると承知しております。
  72. 田中甲

    田中(甲)委員 重箱の隅をつつくわけではありませんが、政策の一貫性というのは大事だと思うのですね。あるときには持ち家ということの促進租特ということを進めておきながら、一方では、これは昨年改正がされているという私は読み方をしたのですけれども、優良賃貸住宅の割り増し償却ということで、昨年はそれを引き下げる、その割り増しの償却のパーセンテージを引き下げるということをやっておるのです。  こういう猫の目のような、どっちに進んでいくのだということがわからないようなことをやりますと、今回はまたしばらくの間この制度を活用して、そして徐々に徐々にそのウエートを下げながら、ここで減収額というのを少なくしていきながらインセンティブを与えていくという話でありますが、今までのようなこういう対応を見ていますと、私は本当にここでこのような巨額なものを継続していくという判断をしていくことが果たして正しい判断なのかどうかということを疑問に思います。  まして、住宅金融公庫の融資を受ける際には税額控除と補助金、ここでまさに二重給付を受けるなど、ばらまき的な要素がここにあるということは、多分私だけではなく多くの委員の方も思っているのだろうと思います。この点について、もう一回御答弁をいただければと思います。
  73. 薄井信明

    薄井政府委員 先ほども触れましたが、住宅取得控除の、例えば取得をし、初年度におきましては三十万円、今度三十五万円ということですが、この金額というのは、三十万円で申し上げれば、サラリーマンであれば七、八百万円の年収で、夫婦子二人の方の所得税の額に相当するわけです。それだけ手当てをすることによって、持ち家促進、あるいは経済へのプラスということを考え措置しているわけでございますが、これがどんどん拡充していくということは方向としてはおかしい。  また、住宅も、人口統計も見ますと、その住宅の量の問題につきましては従来に比べれば問題は小さくなってきていると思いますので、この点については今申し上げたような心境ております。
  74. 田中甲

    田中(甲)委員 ぜひしっかりとその方向で進めていただきたいと思います。  もう一点お聞きをしたいのですけれども、この租税特別措置による徴税コストの試算をしたことがありますか。例えば、それを補助金など歳出に置きかえたときはどのぐらいのコストがかかっているか、このこともやはり考えておかなければいかぬと思いますね。
  75. 薄井信明

    薄井政府委員 計算はしておりません。減収額全体が、例えば企業関係ですと三千億台になっております。これは、私どもすべてが悪いものと 思っておりません。時代にそぐわなくなったものが残っているとすれば、これは英断を持って切っていかなければいけないと思っておりますが、この三千億何がしという企業関係租特法人税収の三%でございます。これは、他国における租税特別措置法人税収に占める比率、企業関係ですけれども、それに比べれば決して大きくはないという面もございます。  そういう意味で、必要な租特を否定するつもりはありませんけれども、今や時代に合わなくなったものが残っているとすれば、これは英断を持って整理していかなければならないと思っております。
  76. 田中甲

    田中(甲)委員 この徴税コストということもばかにならないと思います。租税特別措置は、補助金と違って支出には計上されず、隠れた補助金とも言われ、費用効果もわかりにくいわけですから、今後試算など資料をぜひ作成をしてもらって、提出をしてもらいたいということを要望として私の方からお願いをさせていただきたいと思います。要望ですから、結構です。後ほど答弁のときに一緒にお答えいただければありがたいと思います。  時間がなくなりました。もう少したくさん質問できるかと思ったのですけれども、実はもう一点この租特指摘をしておきたい点がありました。それは、配偶者控除及び配偶者特別控除というものが、現代の時代背景の中から徐々に改めていかなければならない、あるいはその方向で新たな検討というものを行っていかなければならないのではないかということであります。  幾つかの弊害が出てきています。単身者は、片働き、片方の方が働いている世帯よりも負担が大きいこと。夫婦の収入の配分によって税負担が異なること。妻の、配偶者の所得が一定額を超えて配偶者控除の対象外となると、夫の勤務先の配偶者手当の支給がされなくなるケースが多く、妻の就労に対する中立性が阻害されていること。あるいは、女性が働きに出るにしても、結婚、出産、子供を育ててからは、正規な形での就業ではなく、パートタイム労働という差別的な面を持つ就業を助長しているのではないかこういう面が出てきていると思われます。  男女共同参画型社会の実現という観点から、個人単位の税制原則に戻すことも含めて、ぜひとも検討を進めていただきたいと思います。もし答弁があればお願いします。
  77. 薄井信明

    薄井政府委員 今の御指摘の点、大きな意味では、配偶者控除という人的控除について、これは所得税の中核的な制度でございます。常に議論の対象にしていくべき問題だと思っておりますが、ただ、やや誤解もあるように思います。  特にパートの関係につきましては、数年前に、そういった問題がなくなるように、配偶者特別控除という制度を設けることによって税制上逆転現象が起きないようにいたしました。その結果、よく百三万円云々という話がありますが、これは税制上の問題ではなくて、むしろ、企業の配偶者に対する扶養手当を幾らから払うか、御主人に扶養手当を払うときに奥様の所得が幾ら以下であれば払うかというたぐいの話でございまして、この点については労働省等も問題意識を持っておるというふうに認識しております。
  78. 田中甲

    田中(甲)委員 ともに勉強させていただければと思います。今後ともよろしくどうぞ。  本来、自由市場原理を重視し、政府が市場に介入しないことが大原則であるべきだが、租税特別措置は、基本原則である公平性を害しても、それ以上のインセンティブが働く政策効果の高いものでなければならないはずであります。しかし、現行租特は、住宅政策にしてもその目的の一貫性がなく、当然インセンティブが働いていくとはなかなか思えない点があります。また、新設の石油アスファルトに対する特別措置も、企業への代償措置の傾向が強くうかがえ、経済構造改革を進めていく本質的な問題解決につながるとは思えません。まして、現在のような厳しい財政現状のもとで、税制の抜け穴とも言える租特の項目は廃止に向けて努力していかなければならないはずであります。  平成九年度改正、正直、十分であるとは思いません。大蔵大臣いかがでしょうか。
  79. 三塚博

    三塚国務大臣 厳しい環境の中で、精いっぱい公正、公平の視点を追求しながら税制が提案されておると存じます。しかし、人間のやることですから、思いの至らぬところもあろうかと思います。また、全体から見て、また裏から表から見て、ちょっとおかしいのではないかという指摘、この指摘は全く当たらぬ指摘だとは私は申し上げません。  そういうことの批判が出ませんように、租税特別措置法の必要性、選択に向けてアカウンタビリティーがきちっと確立されるということが大事でありましょうし、それから、政策目的が効率的であるか、まだ必要なのかということは絶えず検証しながら、改善、改良、また廃止という、こういう手法がとられていかなければならぬ。議員の税制の詳しいキャッチというものに対して敬意を表します。
  80. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございました。  民主党の思いを簡単に申し上げます。平成十年度税制改革においては、近い将来租税特別措置全廃も視野に入れ、徹底的に見直すべきである。法人税については、課税ベース拡大し、税率を下げるという原則を重視し、具体的に実行していく段階に入るべきだと思っております。  ありがとうございました。以上で終わります。
  81. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、川内博史君。
  82. 川内博史

    川内委員 民主党の川内でございます。  夜も更けてまいりましたので、お互いに元気よく質疑をさせていただきたいと思います。大臣委員長、よろしくお願いを申し上げます。  私は鹿児島の出身でございますので、当然、質問は酒税法改正についてということになるわけでございます。保岡先生もいらっしゃいますが、保岡先生の思いも含めて質問をさせていただきたいというふうに思います。しょうちゅうでも一杯ひっかけてくればよかったのですが、それはなりませんのでなかなか名調子とはいきませんが、よろしくお願いいたします。  まず第一に、大蔵大臣は、三塚さんは、しょうちゅうをお飲みになったことはございますか。
  83. 三塚博

    三塚国務大臣 健康のためにも、しょうちゅう愛飲党です。
  84. 川内博史

    川内委員 ありがとうございます。  それは、芋じょうちゅうでございましたでしょうか、それとも芋じょうちゅう以外のしょうちゅうでございましたでしょうか。
  85. 三塚博

    三塚国務大臣 時には泡盛も飲みますし、それから芋じょうちゅう、このごろはカボチャじょうちゅう、あれはなかなかいいですね、愛飲をしております。
  86. 川内博史

    川内委員 ところで、大蔵大臣、しょうちゅうとウイスキーは競合する商品であるというふうにお考えになられますでしょうか。
  87. 三塚博

    三塚国務大臣 人によって違うのじゃないでしょうか。スコッチという名前にほれて飲む人もおるし、やや年代の古い人はそうかもしれません。ヤングの方は、スコッチもしょうちゅうも余り関係がなく、自分の嗜好で選択するものと思っております。
  88. 川内博史

    川内委員 今大蔵大臣から、人によって違う、嗜好品であるから人それぞれである。  ということは、しょうちゅうとウイスキーの間にそれほどの相関関係はないのじゃないかというお考えが示されたわけでありますが、そもそもWTOにこのウイスキーとしょうちゅうの問題が提訴をされたのは、輸入ウイスキーの税率がしょうちゅうに比べて不当に高いために輸入ウイスキーが不利益をこうむっておるじゃないかと、EU、カナダ、アメリカから提訴をされたわけでございます。理由はそれでよろしいでしょうか。
  89. 薄井信明

    薄井政府委員 そういうことでございます。
  90. 川内博史

    川内委員 EUとは具体的にはイギリスのことです。それでよろしいですね。
  91. 薄井信明

    薄井政府委員 この問題は十年来の問題でござ いまして、当初は英国がガットに提訴するという形で問題が始まりました。しかし、その後ヨーロッパ自体が、国の形として、体制としてEUというものをつくり上げました。現在では、英国を含むEU全体がこの問題について関心を持っております。また、これに追随した形で、アメリカ、カナダもこの問題について関心を持っているということでございます。
  92. 川内博史

    川内委員 イギリスとアメリカ、カナダの連合軍に対して我が方がどういうふうな戦いを挑んだかというところだと思うのですが、しょうちゅうには当然甲類と乙類があることは皆さん御承知のところだと思います。  薩摩じょうちゅうというのは乙類に当たるわけですけれども、この乙類しょうちゅう、薩摩じょうちゅうがウイスキーの代替商品である、ウイスキーが売れないのは薩摩じょうちゅうがあるからだというのは、これはだれが考えてもとても納得できない、考えただけでわかる理由なわけでございますけれども、それにもかかわらず、WTOで敗訴をした。負けた。これはなぜなのか。負けた原因を分析してください。
  93. 薄井信明

    薄井政府委員 御指摘のように、私どももしょうちゅうとウイスキーとは代替関係にない、直接競合はしていないのだということで長年議論を積み重ねてまいりました。  敷衍して申し上げれば、原料から何からいろいろありますけれども、それに加えて、例えば飲み方も違うではないか。お湯割りではないかとか、ウイスキーなどは食後に飲むものだけれども、しょうちゅうは食事をしながら飲むものではないかとか、いろいろなことを含めて私どもその違いを説明し続けてまいりました。  ただ、先方は先方で、先ほど大臣答弁にもありましたように、しかし日本ではいろいろな飲み方をされている、あるいはいろいろな売られ方をしている、しょうちゅうと見まがうような広告もテレビではどんどん出ているではないか、若い人たち、大多数の日本国民はしょうちゅうをウイスキーの代替品として選んでいるのではないかという主張をされました。実態はそうではないということを、それに対しても反論を続けたわけでございます。  結論としては、ヨーロッパから見たときにはこれは同種のものである、あるいは直接競合・代替するものであるという主張が最終的にはWTOでとられたということでございまして、極めて残念に思っております。
  94. 川内博史

    川内委員 今主税局長から敗訴をしたことの言いわけがあったわけですけれども、私は敗因の分析をお願いしました。何が原因で負けたのかということをお尋ねをしたわけでございます。  それを明らかにする前に、まずそのWTOのパネルのシステム自体についてお伺いをさせていただきますが、私が聞き及びますところによると、このパネルのパネリストというのはインド、スイス、ニュージーランド、この三カ国の人々、一カ国一人、三人で構成をされていたというふうに聞いております。この三人はお酒の専門家であったのでしょうか。
  95. 鈴木庸一

    鈴木説明員 お答えいたします。  通常WTOのもとでの紛争処理のためのパネル、小委員会でございますが、これは三人の委員から構成されております。今先生指摘のように、パネル、本件につきましてはインド、スイス、ニュージーランドでございますが、いずれもWTOの専門家ではございますが、お酒の専門家ではございません。
  96. 川内博史

    川内委員 そもそもこのWTOのパネルというのはある種の陪審制のような形で、提訴した側、提訴された側、両方から事実関係を聞き、そして裁定を下すというある種の陪審制のような形をとっているというふうに考えてよろしいのでしょうか。これは外務省になるのでしょうか。
  97. 鈴木庸一

    鈴木説明員 お答えいたします。  二国間で問題が解決できずに紛争がWTOに付託されました場合は、当事国の間で議論をいたしまして、客観的な判断を下せるというふうに当事国双方が考えた人間の間からパネリスト、小委員会委員というものが選ばれます。  今回、お酒の場合もそうですが、通常はWTOに登録されております候補の中から、WTO協定につきまして実務経験の豊かな、あるいは高い知見を持った人間が選ばれます。そして、それらの人間が、申し立て国、被申し立て国双方の意見書を読んで、かつ両方の意見を聞いた上で判断を下して、それを報告書という形でまとめます。  私、必ずしも陪審制度の専門家ではございませんが、先生アメリカの陪審制度というものを念頭に置いてお考えであるとするならば、私はWTOの小委員会というのが、一つ委員自身が主体的に委員会の運営を決められること、かつ委員の構成が通常WTOに対して高い知見あるいは長い行政上の実務経験を持った人間から選ばれるという二点におきまして、陪審制度とは性格を異にするのではないかと思っております。
  98. 川内博史

    川内委員 さすが、頭のいいお役所の方は、私が何を言わんとするかを巧妙に察知して、陪審制度とは違うということをおっしゃられたわけでございますが、いずれにせよ、両方から、紛争当事国で解決できないから中立な三人を選んで、意見を聞いて、裁定を下したという意味では、この三人を説得できたのかできなかったのか、これが大問題。できなかったことの理由を、あたかも当然であるかのごとく言いわけをするのはおかしいということを、私は申し上げたいと思います。  先ほど主税局長からいろいろ言いわけがありましたけれども、パネリストに対して説得ができなかった、ウイスキーとしょうちゅうは全然違うということをしっかりと認識をしていただけなかったというのは、説得の技術が下手だった、あるいは情報量が相手に劣っていた、いろいろな理由が考えられると思います。それが敗因の分析ということです。主税局長、もう一度敗因の分析をお願いします。
  99. 薄井信明

    薄井政府委員 WTOという国際機関の場で、私ども有力な一員として構成されている者として、私どもは、その協定で許されるすべてのことをさせていただきましたし、説明も説得も全力を挙げてさせていただきました。結論的には負けたという表現になるのかと思いますが、その点については力が足りなかったと言わざるを得ないと思います。  ただ、世界のお酒についての考え方というものが、残念ながら日本のしょうちゅうに対する考え方と違っていたという面もあることは事実でして、蒸留酒について、強いお酒についてどういう課税の仕方をするかということについての我が国の特殊性というものを私どもが説得できなかったということは、そのとおりだと思います。
  100. 川内博史

    川内委員 負けたのは仕方なかった、これは世界の趨勢でございますということで、それで、しょうちゅうを、今まで大衆のお酒を毎晩飲んでいた大蔵大臣も困るわけですよ、値段が上がってしまうと。それで、中小のしょうちゅうの業者さんも、これは鹿児島のしょうちゅうの製造業者さんは小さい製造業者さんがたくさんあります。みんな困るのです。  大蔵省さんも、酒税がネットで減収になって、痛いわけですよ。だれも得をしない。このパネルで負けだということは、大きな国益を損なったのだ。このパネリスト三人にちゃんと日本の立場、そういうものを理解していただくことができれば、国益が損なわれることはなかった。そういう意味で、仕方なかったということで済まされたのでは、我々はやっていられない。  では、何のために、そのパネルのためにヨーロッパに税金を使って何回も行くのですか。資料を集めるのですか。一生懸命やったけれども、負けたから仕方ないでは、大蔵大臣、済まないのじゃないでしょうか。ぜひ大蔵大臣から、しょうちゅうの業者さんや消費者に対して、一言何かお願いいたします。ごめんなさいと言ってください。
  101. 薄井信明

    薄井政府委員 先に一言申し上げますが、私は仕方がなかったとは申し上げておりません。極め て残念であったということでございまして、私どもの力のなさを恥じるわけでございます。申しわけなかったと思います。全力を挙げて頑張ったつもりですし、私を初め私ども職員は、それこそ寝る暇もないほど通い詰めたわけでございます。しかし、そちらの皆様がおっしゃるように、矛がおさまらなかったということは事実でございます。  ただし、先ほど申し上げましたように、WTOの有力な一員として今後とも活躍していかなければならない日本として、この決定は受けとめざるを得ないということは、申しわけないと思います。
  102. 三塚博

    三塚国務大臣 その経過は、主税局長、大分旅費はかかりましたけれども、WTOに何回も行き、イングランドにも何回も行き、英国政府とも頑張りました。同等のものであるのであるから、ひとつ理解を得たい。それでいろいろな案を出しながらやったわけですが、提訴されまして、パネルの中でその提案理由、また我が国の立場、同情しつつも経済大国であるということも、これは私の分析ですが、ハンディーに相なったな、このように思います。グローバルな世界の中において、やはり黒字をため込むということが大変ハンディーになってきましたことは、以下、さかのぼりますと幾つかあります。それには触れません。  しかし、それはそれとしても、極めて残念なことで、地域において粒々辛苦日本のしょうちゅうとしてこれを育成し、今日のポジションを得た皆様方に、大変遺憾であるし、力足らずは、私は率直におわびしなければいけないのかな、結果が結果でありますから、そういうことになります。  それと、これに異を唱えることは、有力な、G7の一角を占めておる日本でございますから、決定には従う。こういうことで、そのつらさはしっかりと次回への展望に生かしていただくということであろうと思うし、そういう点で、精いっぱい地域対策について頑張っていただけますように措置をしたわけでありますが、アメリカさんがまた何だと言っているわけでありまして、しかし、これこそバイの交渉でありますから、同盟国、時に我が国の地元中企業、零細な方もおります、こういうことについて理解を求めながら決着をしていかなければならない、こう思っております。
  103. 川内博史

    川内委員 私も、負けは負けだ、これからどうするかということが問題だというふうに思っておりますので、今大蔵大臣から大変力強い、これから中小業者を支援していくのだというお言葉をいただきましたし、具体的な施策についても承っておりますので、今後くれぐれもしょうちゅうを忘れていただきませんように、ずっとずっとこれからも、大蔵大臣、飲んでください。かわいがってください。お願いいたします。  それと、もう一点WTOに関連して大蔵大臣に御見解をお尋ねしたいのですけれども、こういう大事な通商交渉、外交交渉などの場合、お役人さんがその交渉に行く。これはもう優秀な方々が行くわけですから、心配はないということも言えるのかもしれないのですけれども、しかし、こういうしょうちゅうとか具体的な問題の場合、例えば保岡先生が行って、私がかばん持ちで行く。そうすれば全然迫力が違うというふうに思うのですけれども、こういう外交交渉に関連のある政治家が直接乗り込んでいく、そこで、やはり交渉事というのは、最初、面と向かったときの気合いがある程度物を言いますから、そういうお考えはないか。これからいろんなことが出てくると思います。そのことについてお尋ねをいたします。
  104. 薄井信明

    薄井政府委員 最初に一言申し上げますが、WTOの協議の仕方からしますと、どうしても多国間でございますし、私どもがということになります。ただし、例えば本件のような場合に、政治的に別のルートといいますか、別の手法をもって日本の実情を相手国に伝えていただくということは非常にありがたいことかと思います。  一般論については、御答弁は差し控えます。
  105. 三塚博

    三塚国務大臣 WTOは国際機関、事前に政府交渉、政府交渉不調、そしてWTOのパネル、こういうことになるわけです。  今回の場合は、政府交渉、EUとの交渉は成功いたしました。しかし、アメリカとの関係で、残念ながら、ただいまの段階は平行線。しかし、全く絶望ではございませんので、全力を尽くす、こういうことであります。  政治家が、議員がその国を代表して参ります場合には、御案内のとおり、相手国のカウンターパートである大蔵委員長であったり歳入委員長であったり、そことの交渉ということになります。WTOに対しては、環境づくりということで、我が国の産物、産業についての理解を求める、こういうことであります。またお手数を煩わすこともあろうと思いますが、そのときは委員長にお願いをし、保岡理事さんもおられるし、そういうことで、ただいまの提言を生かす道が、どうか委員長、またよろしく御教導ください。
  106. 川内博史

    川内委員 私、時間もあと二、三分しかないので、しょうちゅうについては、余りしつこいとくだを巻いているみたいですから、やめます。  阪神・淡路の住宅促進税制特例に関することについて話題を移させていただきますが、きのう主税局長は新進党の小池議員の質問に対して、この阪神・淡路の特例については、たまたまその時期が来たのであわせてやったというふうに答弁をされていらっしゃいますけれども、たまたま時期が来たから一緒にやりましたというのじゃ、被災者に対して余りにもかわいそうだなという気がしておりまして、もっとも、主税局のつくった阪神淡路大震災関連措置というペーパーがあるんですけれども、これを見ますと、「大胆な住宅再建支援策で生活再建を図る。」と書いてございます。「大胆な住宅再建支援策」、大胆という言葉が出ているんです。  「大胆な」というからには物すごい策かと思ったら、この阪神・淡路の特例分で上積みされる控除額というのは、年間五万円なんですね。阪神・淡路地域以外に住んでいる人に比べて、阪神・淡路で被災した人は年間五万円得します。これを主税局は「大胆な」と言っているわけですけれども、私はどこが大胆かよくわかりません。「大胆な」というからには、例えば適用の年数を長くするとか、あるいは平成七年、八年に住宅を建てた方にも遡及をするとか、あるいは控除率を上げるとか、普通じゃないことをしてこそ、大胆だ、どうだ、見てくれ、これだけ考えているよということを言えると思うのですけれども主税局長、いかがでしょうか。
  107. 薄井信明

    薄井政府委員 まさに、私どもの気持ちとしてはこれは大胆な措置でございまして、現在、御存じのように、住宅取得促進税制、一年目、二年目が三十万、三十万、あと四年間二十五万でございます。これを、六年間通じて三十五万円にするということは、これまでのこの制度をごらんいただいている方からすれば、よくここまでとおっしゃっていただけるのではないかと思われるくらいの大胆な措置だと思っております。  さっき申し上げましたように、三十万円という数字は、年収七、八百万の方の、給与がそのくらいの方の一年間の税額に当たるわけでございます。これを考えた場合に、極めて大胆だと思うわけでございます。
  108. 川内博史

    川内委員 今主税局長からも御説明ありましたけれども税制というのは非常に幅が狭いものですから、今のお答えになったんだと思うのですね。  ところが、阪神・淡路で、これから生活の再建に大変な思いをしていかなければならぬという方々にとっては、大蔵省さんが大胆な支援策を打ち出すんだ、こんな力強い言葉はないと思うのですよ。税制だから年間五万円でもぎりぎり、それも目いっぱいですからね。それ以上ないからしようがない。だけれども、「大胆な」というからには、大蔵大臣、これからも阪神・淡路の被災者に対しては、私ども民主党は独自の議員立法を計画しておりますが、議会に提出をいたしましたら、よし、わかった、予算つけようというふうに大胆 に言っていただけますでしょうか。最後に、これをお尋ねいたします。
  109. 三塚博

    三塚国務大臣 災害発生以来、政府はこれに全力を尽くしてきましたこと、御案内のとおり。税制についても、その都度対応してまいってきました。御堂の提案が出ましたら、拝見をし、検討しますから、よろしくどうぞ。  以上で、答弁を終わります。
  110. 川内博史

    川内委員 どうも長々と、ありがとうございました。また、この次よろしくお願いいたします。
  111. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次に、佐々木陸海君。
  112. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、まず消費税の増税問題に関連して質問をいたします。  消費税は、御承知のとおり、国民にとっても中小企業や中小業者にとっても、既に重い負担になっている税金であります。しかも、今、税金の使われ方一般に国民の間に強い不信があり、かつ景気の先行きへの不安もまだある、そういう時期の大幅な増税、こういう問題であります。だから、四月一日からの五%への増税に、消費税の賛成論者でも大いなる異論を唱えているのが今の実情であります。  消費税の負担の重さという問題にかかわって質問をしたいと思います。  既に発表された資料や追加していただいた資料で、今お手元にちょっとグラフ等々をお配りいたしましたが、消費税の滞納がかなり急激にふえております。九一年度の初めといいますか九〇年度の終わりといいますか、それから九五年度末までの間に、五百四十八億円から三千八百六十一億円に、下のグラフで見ますと七倍に急激にふえています。申告所得税や法人税との対比で見れば、いかに異常にこの滞納がふえているかということがわかるのではないかと思います。  さらに、九一年から九五年までの増加額をいろんな税目で比較してみますと、それは表には詳しく載っておりませんが、この五年間に、すべての税目合わせて九千五百五十八億円滞納がふえた。その中で消費税は二千八百七十二億円ふえておりまして、これは全体の五年間の滞納増加額の三〇%を占める、そういうところにまで来ております。従来の個別間接税などでは、こんな滞納は全くなかったことであります。  そこで、まず国税庁にお伺いしたいと思いますが、こういうふうに異常にこの税目で滞納がふえている理由をどのようにお考えになっているか、それを聞かせていただきたいと思います。
  113. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  いわゆるバブル経済崩壊後におきまして、景気の回復というものがおくれているということ、資金繰り等の悪化の影響を受けることなど、そういったことから滞納事案の処理が困難化しておりまして、結果として年度末滞納額が増加しているというふうに私どもとらえております。
  114. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 かなり浅薄な見方だと言わざるを得ないと思います。お配りした表の一番上の欄には法人税の滞納の額が出ておりますが、これは九三年から四年にかけて、そして九五年にかけて、少しずつ減ってきているのです。しかし、消費税の方は相変わらず滞納がふえ続けている。私は、消費税がこういうふうに滞納がふえ続けているその後ろには、消費税を転嫁し切れない事業者、中小企業や中小業者の文字どおり悲鳴が反映している、こう言わざるを得ないと思います。  従来の個別間接税は、消費者が税を負担して、事業者はそれを預かって納税するという、建前と現実が全く合致していましたから、滞納の発生は極めて少なかった。預かり金を納税するのは当たり前だということでいっていたと思うのです。ところが、この消費税というのは、確かに消費者に転嫁することが予定はされている税ではありますけれども、予定は未定であって、消費税の納税者の圧倒的多数を占める中小企業や中小業者にとってはうまく転嫁できないという事情が現実に存在している、これは否定のできない事実だと思います。だから、消費税の場合には、事業者にとって預かり金だとか預かり金的性格のものだとか単純に言えるようなものではない。そして、転嫁できるか否かにかかわりなく事業者は売上高に応じて納税をしなければならぬ、これが消費税であります。  赤字経営でも売り上げのある限り税額が生じるし、転嫁ができなくても転嫁したという前提で課税をされます。その結果、完全には転嫁できない多くの事業者にとっては、消費税の少なくとも一部は自己負担となって、これが著しく経営を圧迫する、そういう結果になっている。そういう事情がこの滞納の増加となってあらわれている、私はそう考えます。ここに消費税の大きな矛盾が浮かび出ていると思うのです。滞納の異常な増加の背景には、重大なこの税の矛盾があると私は思っております。  そこで、次に国税庁にお聞きしますが、三%の税率でもこんな状況なのですから、五%になったら中小企業や業者の経営は一層大変になって、その結果、消費税の滞納はもっとふえていくだろう、このことは歴然としていると私は思いますが、その見通しはいかがでしょうか。
  115. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  消費税率の引き上げによりまして、各事業者の納付税額は相対的に増加するということは御指摘のとおりでございます。先ほど申し上げましたように、一般に滞納発生の要因といいますのは景気の状況等に影響される面が大きいことから、消費税率の引き上げにより滞納状況がどのように推移するかについて確たることは申し上げられないわけでございます。  しかしながら、今のような御指摘があることは承知しており、私ども執行当局といたしましては、従来以上に期限内納付意識を喚起するため、納税者に対するよりきめ細かな広報、指導等を徹底して消費税滞納の未然防止にまず努力してまいりたい。また、滞納となった消費税につきましても、滞納者の実情を十分に把握した上、個々の実情に即した処理を行うなど、厳正的確な滞納整理を実施してまいりたいというふうに考えております。
  116. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ここに大阪の国税局徴収部長が出した文書がありますが、本年四月からの改正消費税等の施行に伴い滞納がさらに増加することも予想される、国税庁ははっきりこういうふうに予測をしているのです。それは当然だと思います。単に景気の動向とかいったようなことだけでこういう滞納が発生しているのではないのですから、税率が上がればもっとこの問題は深刻になる。  そこで、厳正的確な滞納処理に当たるというふうにおっしゃいました。そしてまた、個別の人にもよく見ながらやるという趣旨のことも言われましたが、そうしてほしいと思いますけれども、私もさっき申し上げましたように、まさに事業者の悲鳴というか、そういったものがこの滞納に反映しているわけですから、その悲鳴に本当に真摯に耳を傾ける必要が、立場はどうであれ必要だろうと思うのです。  しかし、ところが、今は大阪の国税局の文書ですが、名古屋の国税局の文書を見ますと、大変重大なことが書いてあります。消費税累積滞納事案に対して、署の、つまり税務署ですね、署の実情に即した特別計画を策定して売掛金の差し押さえを中心として滞納整理を行う、こういうふうに名古屋の国税局の文書は指示をしております。ある国税局では売り掛け債権の差し押さえを一署当たり二十件を目標とするよう指示し、また、他の国税局では徴収職員一人五件という売り掛け債権差し押さえのノルマを課しているという訴えも私のところに寄せられております。  国税庁にお聞きしますが、消費税という特定の税目に焦点を当てて滞納圧縮のために売り掛け債権の差し押さえをやれということを一般方針にしているのでしょうか。明確に答えてください。
  117. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  滞納整理に当たりましては、まず納付指導というものを行っております。そして、その中で、納税者の納付の意思を確認するということをまずしているわけでございます。中には、この納付指導 を行っても納付の意思を示さない、そういう納税者もおられるわけですが、そういう方々に対しましては、期限内に納税をした納税者との公平という観点から、財産の差し押さえに重点を置いた厳正な処分を実施してまいってきております。必要に応じて売掛金の差し押さえも行っているわけでございます。  なお、差し押さえに当たりましては、納税者の実情を十分把握し、事業の継続等を勘案した上で適切に行っているところでございます。
  118. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 も、やっているという答弁でしたが、国税局の文書では、売掛金の差し押さえを中心として滞納整理を行う、こうはっきり言っているのです。それからまた、先ほども言いましたけれども、売り掛け債権の差し押さえを一署当たり二十件を目標として指示している国税局もあるし、職員一人当たりにノルマを課している、そういうところもある。だから、私が今お聞きしたのは、消費税という特定税目に焦点を当てて、その滞納圧縮のために売り掛け債権の差し押さえをやりなさい、こういう指示を出して、その結果、名古屋その他でこういうことがやられているのか、それとも、それらの署が、国税局が勝手にやっているのか、そこのところをはっきりさせてください。
  119. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、財産の差し押さえの際に、必要があれば売掛金の差し押さえも行っているということでございます。また、今委員おっしゃられましたようなノルマ的な運営というものは行っておりません。
  120. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いろいろありますけれども、例えば、消費税の滞納がふえてくるから大変だというので、一般の滞納は百万円以上を特別に重視するという方針だけれども、この消費税の問題だけは五十万円以上を重視して取り組めとか、いろんなことが各国税局でやられているんですよ。そして、そういう中で、明確に名古屋の国税局の文書では、売掛金の差し押さえを中心にしてやりなさい、こういうことを言っている。まあ、それを明確には否定されませんでした。  国税庁は従来、売り掛け債権の差し押さえという手段は、納税者、事業者にとって取引停止をもたらしてその経営を圧迫するおそれが大きいことから、慎重にするよう努めてきたはずであります。ですから、売り掛け債権の差し押さえという方針を示されたときに、現場税務署の担当者サイドからは、そんなことは無理だという声が出た。当然であります。それに対しても、国税局側からは、納税者が売り掛け債権の差し押さえて本当につぶれるか試してみたらいいという指導までなされたところもあったというふうに聞いております。極めて異常な事態であります。  消費税の持っている矛盾そのものには目をつぶって、このような強権的、懲罰的なやり方をしていくなら、消費税は本当にますます国民の怨嗟の的になっていくし、また文字どおり苛斂誅求という言葉が当てはまるようなことにならざるを得ない。  大蔵大臣にお聞きしますが、売り掛け債権を差し押さえるというような極端なやり方、強権的なやり方を消費税滞納縮減対策の基本にするようなことをやってはならないということを、大蔵大臣の口からはっきりと明確にしていただきたいと思います。
  121. 三塚博

    三塚国務大臣 国税庁及び地方税務署、国家公務員として憲法を守り、税法の趣旨を守り、適切に対処をしておるものと思います。  議員が御指摘のように、悪代官のように身ぐるみはいでというようなことは現代の社会にはあってはなりませんし、国税税務担当者、そういうことはありません。厳に管理者はその趣旨を踏まえて、滞納処理をするにしても法にのっとって行う、こういうことであります。
  122. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 消費税の滞納の処理に当たって売り掛け債権の差し押さえを中心としてやるというようなことはさせない、そう約束してくれませんか。
  123. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  基本的な私どもの執行の考え方につきましては、今大臣の方から御発言いただいたとおりでございます。  そして、具体的に財産の差し押さえに際しましてこの売掛金の差し押さえを行うかどうかは、まさに必要に応じて行わせていただいているということに尽きるわけでございます。
  124. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それを一般的な方針にはしないということですね、大蔵大臣。はっきり確認してください。
  125. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 必要に応じてやらせていただいておりますということを改めて申し上げさせていた。だきたいと思います。
  126. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 必要に応じてということですから、ノルマを与えたり、あるいは目標を具体的に決めたり、そしてそれを中心的な課題としてするというようなことはしないということですね。そこのところをはっきりさせてくださいよ。
  127. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、ノルマ的な運営を私どもしていないことは御理解いただきたいと思います。
  128. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 のらりくらり言っていますけれども、この名古屋の文書では売掛金の差し押さえを中心として滞納整理を行うと言っているんですが、これは、じゃ、あなた方の方針ではないですね。中心として行うと言っているのです。そういうことがあるとしたら、それはあなた方の方針ではないですね。それはよろしいですね。
  129. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 具体的な、今委員指摘のものが、今私ども、手元にございません。ございませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、これは必要に応じてこの対応をしているということでございますので、今おっしゃられるようなことはないというふうに御理解いただきたいと思います。
  130. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 方針じゃないということを確認しておきたいと思います。  ついでに大蔵大臣にもう一つお聞きしておきたいと思いますが、新しい消費税法では、仕入れ税額控除のためには、帳簿または領収書等ではなくて、帳簿及び領収書等ということが必要になります。世界一面倒な事務手続だという見方さえありますが、この問題でも、徴税する側が強権的な立場に立てば、書類の不備をあげつらって仕入れ税額控除を全面的にあるいは大きく否認する事態も発生しかねない。消費税三%の現状を見ても、このままやられたら大変だということが大いに懸念されるわけであります。  そこで、大蔵大臣、確認したいんですが、この問題でも、強権的、懲罰的な対応ではなくて、万全な配慮を持って教育的見地で対処する、そういう対処方法をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 薄井信明

    薄井政府委員 今回の四月一日からの制度の内容でございますので私の方から申し上げますが、日本の場合の仕入れ税額控除の仕組みとしましていわゆる帳簿方式をとってきているわけでございますが、その際に、いわゆるヨーロッパ流のインボイス方式の方がいいではないかという声も強くございます。  そうした中で、日本の実情考えたときには、法人税世界で、あるいは所得税の世界で証票というものは動いているわけでございますし、皆さん保管もしているわけでございますから、その保管と帳簿と二つそろえていただくことが大きな変更になるとは思っておりません。  執行の面におきましても、極端な対応とか変更ということはないものと考えております。
  132. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大蔵大臣もそれでよろしいですか。(三塚国務大臣「はい」と呼ぶ)確認します。  次に、酒税の問題についてちょっとお聞きをしておきたいと思います。  昨日来の答弁の中で、なぜしょうちゅうの税金をこんなに引き上げるかという問いに対して、何よりもWTOの裁定があった、それで敗北した、 そして他の酒類の税率の見合いでこういうことになったんだという答弁がありました。  しかし、このしょうちゅうの大幅引き上げでどうなるか。しょうちゅうの製造業者は全国で約九百、そのうちしょうちゅう乙類の製造業者は、大部分が従業員数平均二十人足らずの中小零細企業であるとされています。しかし、この産業の持つ意義は大変大きなものがあります。例えば大分県議会が採択した意見書によりますと、「焼酎産業は大分県の一村一品として、地域経済の発展や雇用の確保に大きな役割を果たしている。」こう評価しています。各地で重要な地場産業をなしているものであります。  しょうちゅうは、既に八九年に七五%、九四年に四五%の税率引き上げがなされております。今回乙類は、三段階で、最終二・四倍のとてつもない引き上げになるわけでありまして、九州本格焼酎協議会の吉野馨専務理事は次のように述べておられます。  最近の二度にわたる大幅税率引き上げで、大衆酒としての負担を超えるまでになっています。焼酎は従量税となっていますが、酒類間の価格競争、輸入焼酎との価格競争などで小売価格の値下げ競争が厳しくなっています。このため、小売価格に占める酒税負担率はすでにウイスキーの負担率を上回っています。これ以上の税率引き上げはあらゆる意味で不当です。税の引き上げで約五千人の雇用、家族を含めると一万三千人を路頭に迷わせ、さらに原料いもなどを生産する農業、酒販業者、消費者の暮らしに打撃をあたえるような政策は絶対とるべきでありません。 こう言っています。九州、沖縄各県及び山口県の知事が連名で特段の配慮を求めている、そういう文書も読みました。また、各県議会や市町村も決議をして、地場産業としてのしょうちゅうの存続の危機、地域経済全体への深刻な影響を訴えております。この業界がまさに壊滅の危機に瀕しようとしているという声さえあります。しょうちゅう、特に従来の乙類の生産者にかかわるこうした状況にどう対応するか、どう対応できるのか、簡潔にお答えを願いたいと思います。
  133. 舩橋晴雄

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  今般のWTOの勧告を受けました酒税法改正案では、製造者のほとんどが中小零細企業であるしょうちゅう乙類の税率がかつてない大幅な引き上げとなっており、このような経営環境の激変に対しましては、しょうちゅう乙類製造業者の自助努力のみでその影響を克服することは大変難しい、限界があるというふうに考えております。  このような状況にかんがみまして、業界の構造改善、経営の近代化を一層促進していく観点から、現在、日本酒造組合中央会が、しょうちゅう乙類業対策基金がございますけれども、この運用益によって行っている事業を大幅に拡充することといたしております。二つの柱がございまして、一つは、近代化、合理化など経営基盤の強化を図るものに対する支援事業をやっていくというのが一つの柱でございます。二つ目が、転廃業を余儀なくされるものに対する転廃給付金の支給等の対策をできるだけ早期に講じる、この二つでございます。  このため、先般、平成八年度補正予算におきまして、しょうちゅう乙類業対策基金の積み増し、これを二百億積み増していただいたわけでございます。それから、現在、予算委員会において御審議いただいております平成九年度予算案におきまして、一般会計の補助金三億三千三百万円を計上させていただいているところでございます。  この基金の運用益と補助金の両方によりまして、次のような事業を実施していきたいというふうに考えているわけでございます。  まず、経営の近代化支援策といたしましては、しょうちゅうの蒸留廃液の処理施設の整備に係る費用の一部を助成するほか、新商品の開発研究、経営改善などのための各種の調査をいたす。それから経営者あるいは従業員の研修等人材育成事業、それから会社の経営診断をやるというようなことを考えているわけでございます。また、この転廃業者に対する対策といたしまして、平成元年から五年間にわたり実施されてまいりました転廃給付金事業を拡充して実施することといたしておりまして、転廃業者に対して転廃給付金の支給を行うとともに、救済合併等でございますが、合併等の場合には、被合併者に対して合併給付金を支給するというような措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  134. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いろいろ紹介がありましたが、結局、関係業界の中の弱いものの淘汰といいますか、転廃業の促進、それが中心にならざるを得ない。だから、業界や業界にかわって知事や議会が要望しているものに正面からこたえるものにはなっていないと言わざるを得ないと思うのです。  その上、さらに重大なことは、今回の法案では、ことしの十月一日から、最終的には五年間かけて二〇〇一年までにしょうちゅうの税率引き上げを実施としているわけですが、これに対して、アメリカからまた異論が加えられて、来年二月までにやれという裁定が出ている。これに対して、新聞報道によりますと、場合によったら来年度途中、来年度途中といってももう今が九七年ですから、この秋にでももう一回この法を再改定してやらざるを得ない、そういう見通しも語られております。  五年という期限は不十分であっても、まさに中小業者の利益を守るための措置だったはずなのですが、それすらもアメリカの要求でまた投げ捨てて一年にするということになれば、本当に打撃ははかり知れないことになることは明白でありますが、ここでアメリカの言いなりにはならないということを、大蔵大臣、はっきり約束できますか。
  135. 薄井信明

    薄井政府委員 御指摘のように、現在、例えばしょうちゅうの乙ですと、平均的には千三百五十円で一升買えるものが、最終的には一升千六百円弱になる。三百円近く上がるということですので、そのことがしょうちゅうをお飲みになる方あるいは関係の業者の方々に大きな打撃を与えるということは、私どもも非常に申しわけないと思っております。先ほど国税庁から答弁申し上げましたように、最大限の対応をしてまいりたいと思っております。  他方、アメリカとの関係はこれからでございます。アメリカの主張は、原則論をかなり強く主張してきておりますので、予断を許さないものがありますが、私ども、最大限の努力を傾けてまいりたいと思っております。
  136. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 福岡県議会の意見書によりますと、しょうちゅうは「大衆酒として広く親しまれている。九州では食文化の一つの象徴でもある。」というふうに述べられております。これがウイスキーと同じだ、代替可能産品だなどというのは、こういう文化を知らない全く非常識な断定であります。税制の上では、しょうちゅうの甲類、乙類の区別もなくなります。とりわけ乙類の方は、五百年の歴史と文化を持つ日本に固有の蒸留酒であります。  世界各国において、それぞれ酒というのは、各民族がそれぞれの地域と生活の中ではぐくんできたものでありまして、原材料も品種も製法も多種多様、この多様性がまさに酒の特色であろうかと言ってもいいのではないかと思うのです。そういう特色や違いを全部無視して、アルコールの度数だけに換算して税率を決めよう、こういうやり方がいわば世界の基準としてまかり通るというのは、本質的に間違っていると言わざるを得ないと私は思います。そして、日本の生産者や消費者に大きな痛みや苦しみを与えるこういうものを迫ってくるのは、世界各国間の正常な関係のあり方としても、大局的に言ってまともではない、こう言わざるを得ないと思います。  もともとWTOの体制というのは、日本で一番問題になったあの米の問題に関して言っても、世界の食糧問題の深刻化が明確に予測されているもとで、日本の米の生産を抑え、その上外国の米の 輸入を進めるという、結果として日本の農業を破壊、そういう方向を促進する異常な結果をもたらすものであります。ですから、先ほどからWTO、WTOと言われますけれども、このWTOの体制を絶対視しないで、積極的に内部からも見直していく、そういう立場の必要性が今回の酒税の問題を通してもますます明らかになっているのではないか、私はそう思うのです。そういうWTOそのものの中身を変えていくという問題について、大蔵大臣、どういうお立場でしょうか。
  137. 薄井信明

    薄井政府委員 貿易によって成り立っている面の強い我が国においては、このWTOの機構については、その一員としてその役割を果たしていくことが大切だと思っております。
  138. 三塚博

    三塚国務大臣 主税局長が言ったことに尽きます。  経済国家、貿易国家として、紛争処理のルールが決められて、裁判所と同様の公正な判断をする、こういう建前でおるわけでございますから、この組織はサポートしていかなければならない、こう思っております。
  139. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そのルールそのものが、世界的にいえば、南北間の中で、南の発展途上国からいろいろな不満が出されている。それから、日本の国内について言えば、貿易立国といいますけれども、多国籍企業化した大企業の貿易にとっては非常に有利に作用すると同時に、農民やあるいは中小業者、そういったものにはこういう理不尽なしわ寄せが次々と押しつけられてくる。そういうものでありますから、私はWTO体制というものを絶対視しないで、積極的に見直していく立場がどうしても必要だということを強調しておきたいと思います。  時間がなくなりましたが、租税特別措置についても一言聞いておきたいと思います。  政府税調は、九七年度税制改正に関する答申の中で、「平成九年度税制改正においても、「財政構造改革元年」にふさわしく、徹底した整理・合理化を行っていくことが重要である。」としていました。特に、企業関係については、法人課税小委員会報告で、一層の整理合理化が必要、「産業間・企業町の中立性をより一層重視する観点から、徹底した見直しを行うことが適当」と指摘していました。今回の改正案での企業関係租税特別措置の整理内容は、廃止二項目、縮減合理化二十五項目、創設二項目、九六年度と比べても増減ありません。これでは到底財政構造改革元年にふさわしい徹底した整理合理化などとは言えないのじゃないでしょうか、大蔵大臣
  140. 薄井信明

    薄井政府委員 租特の整理合理化につきましては、毎年積み重ねてきているわけでございまして、単純に比較はしにくいかと思います。私ども租特そのものが必要ないという発想をとっておりませんで、必要なものは残す、また、それが大き過ぎるものは縮減するということで、今御指摘のような広範にわたる整理合理化をさせていただいたということでございます。
  141. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 確かに、九四年度から毎年、若干ではあるけれども縮減傾向が進んでおることは事実であります。そしてことしも、今度提案されているものも、企業関係廃止、縮減による増収見込みは平年度で百六十億円、租特措置による法人税減収額は、九六年度ベースで三千六百五十億円ですから、そのわずか四・四%にすぎないというものになっているわけであります。  もう時間もありませんから、結論を申し上げますけれども、やはり租税特別措置の見直しは、消費税増税の際の見直し条項でも要件の一つとされていたものであります。これまでの年度改正でも小手先の改正は行われてきましたけれども、抜本的なメスが入れられたとは到底言えない。九七年度の税制改正に当たって、法人課税の見直しは最大の焦点と言われながら先送りになりました。大蔵省の税収中立の方針に対して、実質減税を求める財界が反対したためだということも公然と言われております。政府税調の徹底した整理合理化という方針は、私たちから見てもそれなりに評価できる面を持っているものでありますけれども、そういう方針を受けて、中小企業関係を除き、大企業のための準備金や特別償却、あるいは税額控除などを全廃するといった方向で思い切ったメスを入れていく必要がある、そういうことを強く求めて、私の質問を終わります。
  142. 額賀福志郎

    ○額賀委員長 次回は、来る三月四日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後九時三分散会