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谷口委員 冒頭申し上げました大震災の折のことであるとか重油流出事故であるとか、起こるということを前提にしてこれはつくっておかなければいけないと私は思います。
例えば、信用組合であっても一兆円
規模の預金量があるところがあったわけでありますから、信用組合は
機関委任事務で都道府県に任せておるというだけでは、これはぽこっと穴があいておるわけであるから、その辺も含めて全般的な管理
体制をとっていく必要があると私は思います。いざ起こったときに、それが省庁の壁であるとかで即座に
対応できないということになってくると、極めて大きな損害を受けるわけでありますから、もしできておらないとしたら、この辺をぜひ早急につくり上げていただきたい、このように強く申し上げる次第であります。
その次に
早期是正
措置、これは来年の四月から始まるわけであります。これは、
金融機関経営の健全化を確保するためにこの
早期是正
措置が始まるわけでありますが、考えてみますと一先ほど私
お話ししたように、
我が国の
金融行政は護送船団方式と呼ばれて、過保護行政また密室行政が行われた結果、 一昨年になりますか、大和
銀行の事件、不祥事があったり、また多額の不良債権が発生したにもかかわらず、
銀行不倒神話のもとでいわば死に体の
金融機関を
政府が多額のコストをかけて支える、延命をする。このような結果、
金融機関は国際競争力を失い、バブル最盛期におけるモラルハザード、
金融機関の経営者で責任をとった人はいないのですから、そのようなモラルハザードを引き起こして、国際
金融市場でジャパン・プレミアムと言われるようなものを
資金調達の際に付加的につけられる、このようなことになった大きな原因であります。
このような結果を踏まえて、自己責任原則を徹底していかなければいけない、また、大和
銀行の事件のような密室ではなくて
透明性の高い行政、これに転換していかなければいけないということで今回の
早期是正
措置が行われた、このように解釈しております。ですから、極めて重要な問題であると私は思います。
それで次に、不良債権の問題をまたお聞きしたいのですが、私は、この不良債権の問題をこの
委員会また本
会議においても何回か
質問いたしました。今現在においても、
大蔵省の定義によりますと不良債権は大体三十五兆円ぐらいだ、これは九六年三月末。このうち貸倒引当金でカバーされているのは約二十二兆、
有価証券の含みが二十四兆、年間の業務純益は八兆四千億。ですから、不良債権はほぼ問題ないんだ、このようなお考えなのですね。私は、これは
国民の
皆様方はこのようには考えていないですよ、このように申し上げました。
それで、また、米国の議会
調査局の報告書に、これはちょっと古いのですが、九五年十月六日の報告書であります。この当時の
株価の
水準は、大体今とそんなに変わっていないのです。これを見ますと、仮に
日本のすべての
金融機関を含めるとすれば、米国基準で考えた場合、
日本が抱える不良債権の問題は額にして五十兆から八十兆に上るという専門家も多くいます。高く見積もっているUBS
証券の
経済分析専門家では、不良債権は百兆に上ると言われているのです。また、ドイツ
銀行の
資本市場の見積もりでは最低でも六十兆、JPモルガンでは七十兆という数字が出ている、このように言っているのです。この当時でも、
大蔵省は四十兆しかないと言っているのです。
その当時から確かに償却はされましたが、御存じのとおり、またあの後、地価が下がっております。
株価も同じような
水準です。余り変わらない。そうすると、海外の専門家また
我が国の民間のアナリストが出してきたこのような数字で見ると、三十五兆ぐらいではない、こういうのが一般的なのですよ。それが今回の円安、株安の根底に流れているのじゃないか、私が申し上げているこの土台がやられているのじゃないか、こういうことなのですよ、
大蔵大臣。それは確かに、表向きの
景気指標はいいかもわかりません。しかし、この土台の部分がやられているから危ないのですよ。それを早くやってもらえという
一つの警告が今回の株安、円安なのですよ。そのあたりを十分認識していただきたいと思うわけでございます。
この
早期是正
措置を客観的に発動すると、破綻処理をせざるを得ない
金融機関が多数出ると言われております。仮に破綻処理を行うべき実質自己資本比率を二%未満とすると、百近い中小
金融機関が軒並み当てはまる、このように言われているのです。このような
状況の中で、まず
一つ、不良債権の問題について
大蔵大臣の御見解をお述べいただきたいと思います。