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1997-06-12 第140回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十二日(木曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 鉢呂 吉雄君    理事 金子原二郎君 理事 金田 英行君    理事 自見庄三郎君 理事 茂木 敏充君    理事 高木 義明君 理事 山本 幸三君    理事 児玉 健次君       石崎  岳君    熊谷 市雄君       菅  義偉君    園田 修光君       吉川 貴盛君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    愛野興一郎君       久保 哲司君    古賀 一成君       島津 尚純君    野田  毅君       岩田 順介君    中西 績介君       畑 英次郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君         労 働 大 臣 岡野  裕君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   中村 利雄君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君         労働省職業能力         開発局長    山中 秀樹君  委員外出席者         運輸省港湾局計         画課長     川島  毅君         建設省道路局企         画課道路経済調         査室長     藤本 貴也君         建設省住宅局住         宅整備課長   石川 哲久君         建設省住宅局住         宅整備課住環境         整備室長    池田富士郎君         参  考  人         (財団法人日本         エネルギー経済         研究所理事長) 生田 豊朗君         参  考  人         (九州大学工学         部資源工学科教         授)      内野 健一君         参  考  人         (慶應義塾大学         経済学部教授) 深海 博明君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ───────────── 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   北村 直人君     久保 哲司君     ───────────── 五月二十二日  三井三池炭鉱閉山に関する陳情書  (第  三四四号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
  3. 自見庄三郎

    ○自見委員 自由民主党の自見庄三郎でございます。  きょうは通産大臣労働大臣出席でございますが、石炭問題について質問をさせていただきます。  御存じのように、石炭というものがまさに産業革命エネルギーとして、こういった新しい機械文明をつくる大変な原動力になったということは万人の認めるところでございます。  少し文献をひもといてみますと、日本は約二百年前に石炭歴史が始まったというふうに言われております。筑豊の石炭を瀬戸内海の塩田に利用しよう、こういったことだったというふうに文献には書いてあります。  私自身、今は福岡県の新十区でございますが、旧福岡県第四区の時代は旧産炭地田川市、田川郡、同じ地域から選出をされておられました中西績介代議士もおられますが、ともに五十八年十二月国会に送られて以来、石炭問題を勉強させていただいた人間でございます。  明治元年鍋島藩英国人の間で高島炭鉱共同炭鉱になり、初めて機械が購入をされた、そういった歴史もあるわけでございまして、また大正八年には三千百万トンの石炭日本で採掘された。御存じのように、第一次世界大戦後、大変世界的な不景気になりましたが、私の母方の曾祖父、祖父も炭鉱経営をしておりましたから、よく母の話にも聞いたわけでございますが、欧州大戦の後の大不景気が来たということでございます。  御存じのように、昭和十五年、これは戦時中でございますが、五千六百三十万トン出炭をして、戦前では最高の出炭記録だ、こう思うわけでございます。また、戦争末期には、炭鉱で働いておられた方は大体四十万人いた、こういう話もあるわけでございます。  昭和二十年に敗戦をいたしまして、出炭量が二千二百三十万トンと戦前の水準の約半分、こういうことになったわけでございますが、御存じのように、戦後の復興原動力一つでございました傾斜生産制度ということで、二十二年からは石炭三千万トン、鉄鋼八十万トンという目標を掲げまして、炭鉱別生産割り当て、食糧、資材、資金の重点配分あるいは人海戦術による緊急復興だ。  そして御存じのように、配炭公団、あるいは昭和二十三年には石炭国家管理で、有名な臨時石炭鉱業管理法ができたわけでございますが、これは昭和二十五年の廃止をまつまでもなく、有名無実の法律に終わったわけでございます。  それほど石炭というのは、まさに明治維新原動力、そして戦後の復興原動力ともなり、そして大きく石炭から石油へというエネルギー革命の中で、御存じのように、日本石炭というのは、今ほんのわずかしか国内では生産をしないということになっているわけでございますが、長期的なエネルギー政策としては、石炭埋蔵量は一番多い。二百数十年ある。世界的には石炭生産量というのは大変ふえておりまして、なおかつ、日本は現在世界一の石炭輸入国であるということは通産大臣はよく御存じだ、こう思うわけでございます。  そういったことを踏まえて、平成四年度よりポスト第八次策で、九〇年代を国内石炭鉱業構造調整最終段階、こういうことで、同時に石炭経営多角化あるいは新分野開拓国内炭生産段階的縮小を図るということが決まったわけでございます。  これは平成三年に決まりまして、私ごとで大変恐縮でございますが、そのとき私は通産政務次官をしておりまして、石炭鉱業審議会会長斎藤英四郎さんでございました。たまたま中尾栄一通産大臣がおられませんで、そのポスト八次策の答申を私がかわりに斎藤英四郎会長からいただくというふうなこともございました。大変鮮烈に印象に残っているわけでございます。  五千万トンあった石炭がいよいよ縮小いたしまして、今三百三十万トン。そのうち、まさにポスト八次策の象徴的な出来事が、御存じのように三井三池炭鉱閉山だったろう、私はこういうふうな認識を持つ人間でございます。  御存じのように、二月十七日に閉山提案会社から組合側にございました。次の日、二月十八日に、我が自由民主党石炭対策特別委員会といたしまして、実は現地視察に行かせていただきました。その後、我が党も自由民主党三井三池炭鉱閉山対策本部というのをつくりまして、本部長山崎拓政調会長でございまして、不肖私自見庄三郎事務局長ということで、この閉山対策、いろいろ与党立場から発言をし、取りまとめをさせていただいたわけでございます。  まず質問の第一点でございますが、三月三十日の三井三池炭鉱閉山から早くも二カ月以上たったわけでございますが、炭鉱離職者の再雇用問題であります。  御存じのように、石炭閉山というのはまさに再雇用問題そして地域振興ということが大変大事でございますが、地域振興対策等、問題は山積していると思っています。政府としては、全省庁挙げて早急に対策を講じていただいたところもございますし、また、四月二十三日には産炭地域振興関係省庁等連絡会閉山対策取りまとめたわけでございます。  また我々も、与党立場から、この閉山提案を受けて、地域福岡県知事あるいは熊本県知事大牟田市長さん、周辺市町村長さんあるいは商工会議所の代表の方々等々から鋭意話を聞かせていただいて、関係各省にも集まっていただいて、全身全霊を挙げて、まさに今私が簡単に申し上げました明治維新以来あるいは戦後以来の日本エネルギー政策の最も象徴でもございました百有余年にわたる三井三池炭鉱閉山のことについて、取りまとめをやらせていただいたわけでございます。  それでは、こういった三井三池炭鉱にその後何か具体的に施策が講じられたのかどうなのか、通産省の方からひとつお答えをいただければと思うのです。
  4. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今自見委員の方から、三井三池炭鉱、それまでの石炭政策のそうした歴史を教えていただきまして、ありがとうございました。  また、今の御質問は、閉山後、具体的には四月二十三日に産炭地域振興関係省庁等連絡会があって、その後どういうような動きがあったのか、こういうことだと思います。  具体的こ申しますと、それを受けて五月三十一日には、これからの大牟田地区地域振興一つの核である三池港の整備に関して、公共埠頭としての整備をするためということで土地無償譲渡、これは御案内のごとく五ヘクタール、道路岸壁でございますが、それの譲渡内容とする協定三井鉱山福岡県の間で締結されたほか、環境、新エネルギーリサイクル事業等を創造するための調査が近々開始される予定でございます。  これは、御案内のごとく調査委員会というものをつくりまして、県と市と学識経験者あるいは三井グループ通産省といたしましては通産局オブザーバーという格好で入りまして、この地域振興動きが着実に進展するように図っていくものと思っております。  また、炭鉱跡地等有効活用等の問題に対処するために、地元自治体三井鉱山及び三井石炭鉱業との間で常設協議機関を四月に設けられた、かように承知しております。  政府といたしましては、今後とも関係各省庁と緊密な連携をとりながら、関係省庁等連絡会を適宜開催して対策進捗状態を把握して、閉山対策遺漏なきよう万全を期していきたい、かように考えております。
  5. 自見庄三郎

    ○自見委員 本当に通商産業省、特に資源エネルギー庁が中心になっておられましたが、きょうは労働省おいででございます。雇用対策、これも大変なお力添えをいただきました。ほかは自治省初め運輸省あるいは農林省、ほとんどの省が絡む話でございましたが、今まではこの仕事をきちっと政府はやってこられたというふうに私は思っております。あと福岡県知事熊本県知事市長さんのみならず、労働組合の方も実はお礼に来られたわけでございます。  しかしながら、やはりこういった施策をきちんと打ち出して、最後まで本当に住民の信頼を得てやるということが大事でございますから、今後そういった地元要望に対してきちっと施策をしていくことが大変大事だ、私はこう思うわけでございます。  通産大臣一つだけお願いがございますが、通産大臣三井三池現地にまだおいでになっておられない。これは大変公務がお忙しかったのだろうと思うのですが、六月十八日はどうも閉会になりそうな予定でございますから、ぜひひとつ。  私は、一人の九州人としても、福岡県人としても、今私が言いましたような、戦後のみならず明治維新以来の日本石炭政策エネルギー政策の象徴的なことが、まさにこの三井三池炭鉱閉山だったと思います。会社側あるいは組合側あるいは地域方々、本当に苦しいことがたくさんあったと思いますが、それもやはり一つの大きな国の流れだ、国の政策だといって、あえて御協力いただいているわけでございます。今も鋭意御協力いただいています。そのことに関して、私は政治家として大変感謝気持ちを持っておりますが、通産大臣現地おいでになられるお考えはございませんでしょうか。
  6. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 私自身も、もともと、やはり現地視察というか、見たいという気持ちはございました。今御指摘のように、そうはいっても国会開会中でございましたので、やはり国会が終了した後でもって日程なんかも詰めていきたい、かように考えております。前向きに検討させていただきます。
  7. 自見庄三郎

    ○自見委員 通産大臣現地に行かれるということでございまして、私も安心をしてお聞きをさせ脈いただいたわけでございます。現地に赴きまして、今までも鋭意やってまいりましたが、ぜひ大臣として、また政治家として、きちんと耳で、肌で感じていただきたい、こういうように思うわけでございます。  次の質問でございますが、ポスト八次策を今やっております。そういった中で、国内炭生産を段階的に縮小するということで、一つのエピソードがこの三井三池炭鉱閉山だろうと思うわけでございます。これは平成四年から平成十三年まで、二〇〇一年まで続くわけでございますが、ことしはこのポスト八次策のちょうど折り返し点でございます。  実は今、二つ炭鉱が残ったわけでございまして、御存じのように太平洋炭礦釧路鉱業所松島炭鉱池島鉱業所、この二つ炭鉱稼行炭鉱として残ったわけでございます。二つ出炭量を合わせると三百三十万トンだ、こう思うわけでございますが、まさに五年ぶりに石炭鉱業審議会基準炭価が千円下がった、こういう報道があるわけでございます。そういったことを受けて、一体この稼行炭鉱をどうするのかということ、これは今からの大変大事なエネルギー政策だと私は思うわけでございますが、昨日六月十一日、石炭鉱業審議会のもとに企画小委員会を発足させたと聞いておりますが、具体的にどのようなことを検討していくのかを教えていただきたいと思います。
  8. 江崎格

    江崎政府委員 委員御承知のとおり、我が国石炭供給というのを考えてみますと、現在の状況は、もうほとんど海外輸入炭に頼っているという状況でございます。これからの日本石炭安定供給等を考えますと、周辺アジア地域需給はどうなるかということが非常に大きな要素でございまして、御案内のように、中国を初めとしまして東南アジア、それぞれ産炭国ではありますけれども、大変急激な需要の伸びということを考えますと、将来的にはこのアジア地域石炭状況というのは非常にタイトになってくるだろうという予測を持っております。  そういう中で、石炭安定供給の確保ということと、また、現在世界一の石炭輸入国としての責務という観点から、我が国としては海外炭開発ですとか、あるいは技術協力を推進していくことが必要だというふうに思っています。現在、実はオーストラリアとか中国とかインドネシアとか、こういった国から要請がございまして、我が国として、世界有数生産に関する技術ですとか保安に関する技術、こうしたことの共同研究とか技術協力をやっております。  こうした技術協力というのを考える場合に、国内炭存続ということは大変意義があるわけでございますけれども、一方、国内炭存続するためにはコストがかかるわけでございまして、こうしたコストが、炭鉱合理化進展ぐあいにもよるのですが、どのぐらいコストがかかるものであるのか、国民としてどの程度のコスト負担なら許容できるのか、あるいはそのコストをだれが負担するのか、こういったことが非常に大きな問題になります。こうしたことを、今後、今御指摘石炭鉱業企画小委員会という場で御議論をいただく、このように思っているところでございます。
  9. 自見庄三郎

    ○自見委員 今長官の御答弁にも、私は前段の方に非常に力点があったというふうに受けとめたわけでございますが、国内には二炭鉱を残すのみだ、エネルギーセキュリティーの問題あるいは技術保持観点から、これら二炭鉱存続が望ましいというふうに私自身は考えるわけでございますが、同時にコストの問題もございます。炭炭格差、大体三倍ぐらいだと思いますが、電力業界にそれを負担をしていただいている。一方、石油勘定というのが原重油関税から、段階的に縮小はしますが、これから主な財源を得ているという状況にあるわけでございます。  御存じのように、昭和四十八年に第一次オイルショックがございました。それから第二次オイルショックを経て、石炭石油値段でございますが、昭和五十五年ごろだったと思いますが、大変石油は高騰いたしまして、なおかつ国内一般炭よりむしろ石油の方が高いという時代があったと思います。昭和五十五年ごろだと思います。海外石炭値段が上がりましたから、炭炭格差が少なくなる。海外石炭値段も上がる、むしろ石油は値上がりをいたしまして、一般国内炭の一・五倍に石油価格が上がったという時代があって、ちょっと石炭政策が揺れた時代があったというふうに私は認識をいたしております。これは五十五年の話ですから、そう昔のことではございません。  今長官が言われましたように、特にエネルギーの問題、これは中長期的に最も国の大事な政策でございます。確かに今も二つ炭鉱があって、千円引き下げて一万二、三千円ぐらいになればC重油と同じぐらいの価格になるのかな、生き延びられるのかな、こういう議論も聞くわけでございます。一方、これは為替の問題もございますが、海外炭は六千円前後だ、こういうふうに思うわけでございます。  確かに、そこをだれかに補てんをしていただくということが大事でございますが、特に今申し上げましたように、世界全体で石炭がだんだん逼迫しつつありまして、御存じのように露天掘りはだんだん少なくなる、むしろどこも坑内掘りだ、深部化奥部化をするんだ、こういう話でございます。  世界全体のエネルギー需給、その中でいえば、まさに日本は、以前は平均千メーターぐらいの地底から掘ってくる、深部化奥部化が大変に進んだことが日本国際競争力をなくしたことでもございますが、やはりこの生産技術、まさに石炭保安でもございますから、保安技術についての世界的にも大変高いレベルは先人たちの積み重ねである、私はこう思うわけでございます。やはりそういった意味でも、エネルギーセキュリティーのことを考えて、この問題、電力業界にも御無理を申しております。しかし、またその辺はいろいろと知恵を、この負担のことは知恵を出せば解決することだというふうに私は思うわけでございます。  そこら辺を含めて、ぜひそういった中長期的なエネルギー政策観点からも、私はこの二つ炭鉱、わずか二つになったわけでございまして、五千万トン掘っていた炭鉱がもう三百二十万トン、従業員の数も数千人になったわけでございます。最盛期は四十万人、戦後すぐは二十八万人いたわけでございます。しかし同時に、石炭が最も今から大事な利用可能なエネルギーでございます。今東南アジアもますます露天掘りが少なくなって坑道掘りをしなければならないという時代でございます。  そこら辺を見据えて、やはりこの二つ炭鉱、特に海外技術移転、あるいは実際に日本に一切生産拠点はない、こうなりますと、バーゲニングパワーが、日本国エネルギー政策、最も大事な石炭政策において全く交渉力がないというふうにもなるわけでございますから、そういったことを、もう時間でございますから、ひとつぜひ私の意見も通産にしっかり聞いていただいて、反映をしていただきたい、こういうように思うわけでございます。
  10. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員言われた中で大事なことは、やはりこれからの日本エネルギー政策というものをどういうふうに考えるのか、この一言に尽きます。  二十世紀、これは石油時代だということで、特にまた戦後においては、エネルギーというものは安いものがいいんだ、こういうふうな考え方でずっと推移してきたのは御存じのとおりですが、やはりこれから環境問題とかいろんなことを総合してまいりますと、エネルギーは必ずしも安ければいいということだけでは解決しない問題ではないだろうかと思うんです。  もちろんそういうことで、私自体も、そうした全体のまず枠組みというか、その中でどういうふうに石炭というものを位置づけるかという作業を早急にしなきゃいけないんだろうと思うんです。要は、御案内のごとくベストミックスということでありますが、どういうふうに織り込むかということでございます。  それからもう一つお願いしたいのは、今、どこが負担するかということの議論はちょっと早いんではないだろうか。片一方では電力会社に対して料金を下げるようにお願いしているときに、片一方じゃ上がる話というのはなかなか言いにくいので、これは切り離して、まず石炭日本エネルギーでもって必要か必要でないかというのを決めて、それからおのずから、そうするとどこでもってこれを負担さすかということ。  もう一つは、もちろん今御指摘のように、大事なのは、地球環境との見合いでもって、石炭から発生するCO2というものをいかにして削減するか。  こうした問題があるということを全部ひっくるめて、石炭鉱業審議会の方に諮問をしていかなきゃいけないだろう、かように考えております。
  11. 自見庄三郎

    ○自見委員 ありがとうございます。終わります。
  12. 鉢呂吉雄

  13. 島津尚純

    島津委員 新進党の島津尚純でございます。  きょうは、両大臣には御出席を賜りましてありがたく存じております。三池炭鉱閉山問題につきましてきょうは質問をさせていただきたいと存じます。  二月十七日の閉山提案より今日まで、目まぐるしいときが流れたわけでありますが、この間におきまして、二月二十一日の石炭労協の十八項目の要請に対する政府回答、あるいは四月二十三日の関係各省庁の対策の発表、いずれも大変積極的な対応策が示されておりまして、まず深く感謝を申し上げたい、このように存じます。  今申し上げました、政府が四月二十三日に関係各省庁の対策を発表しておりますが、その内容広範多岐にわたっておりまして、その実現が強く望まれるところであります。そこで、本対策に盛り込まれた各種施策の着実な実施に向かいまして、本対策取りまとめ役でありました佐藤通産大臣より、その後の進捗状況と、今後の取り組みに対します決意というようなものを聞かせていただきたいと思います。
  14. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 私の方から総括的に話をさせていただいて、後で労働大臣の方から雇用の問題、再雇用の問題を話していただければと思います。  今委員指摘のように、四月の二十三日に産炭地域振興関係省庁等連絡会というものを開催いたしまして、そして地元自治体要望等を踏まえて、炭鉱離職者の再雇用、それから地元商工業者経営安定等に係る緊急対策及び新産業の創造、物流機能等整備、それから都市機能整備促進等に係る重点地域振興対策を柱とする閉山対策、これを取りまとめたのは御案内のとおりでございます。  そして五月の三十一日には、これからの大牟田地区地域振興一つの核である三池港、この問題の整備に関しまして、公共埠頭整備のための土地無償譲渡、これは五ヘクタールでございまして、道路とか岸壁というものを内容とする協定三井鉱山株式会社福岡県の間で締結されました。  また、そのほか、環境、新エネルギーリサイクル事業等を創造するための調査委員会というものを、県、市それから学者、そうした地元というもの、それからまた三井グループ、また通産省通産局九州通産局オブザーバー、こういうことでもってつくりまして、そしてこれからの地域振興というものを協議するわけでございます。そういうことで、着実に一歩一歩前進している、かように認識しております。  また、この炭鉱跡地等有効利用等の問題に対処するために、地元自治体三井鉱山株式会社及び三井石炭鉱業株式会社の間で、常設協議機関を設けたというふうに承知しております。  政府といたしましては、今後とも関係省庁と緊密な連携をとりながら、関係省庁等連絡会、これを適宜開催して、その進捗状態を把握する、いわゆるフォローアップしていく、そして閉山対策遺漏なきように取り組んでいく、かような決意でございます。よろしくお願いいたします。
  15. 島津尚純

    島津委員 今通産大臣が申されました政府閉山対策の中でも、第一に挙げられておりますのが雇用対策であります。  そこで、雇用問題についてお伺いをしたいと思いますが、閉山から二カ月半が経過しようとしておりますけれども、この受け皿求人数はどのくらいになっているのか、その中で地元の求人がどのくらいを占めるのか、また再就職が決まった人たちはどのくらいに上るのか、このような雇用進捗状況というものを労働大臣からお聞かせをいただきたいと思います。
  16. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 三井三池閉山に伴いましての処理につきましては、鉢呂委員長を初め石炭特諸先生からは、いろいろの御示唆あるいはまたお知恵を賜っておりまして、ありがとうございます。  私どもも、お地元の皆さんの御要望等も踏まえまして、正直言いまして、あの三月三十日の閉山以来即座に、言いますならば、就職説明会、それから一斉求人受け付けと申しますか、これを展開いたしました。  当時、石炭鉱業社長並びに三井鉱山社長に話をいたしまして、極力三井グループの中で多くの受け皿というものをという話をしておりましたところが、四千に及ぶ受け皿を準備されました。一々子細にこれを見てみますと、残念ながら、平均四十八歳の皆さん、しかも地元に生まれ地元に育ち、親子何代にまでその三井で働いてきたということからしますと、やや遠きにある、希望とは必ずしも合致をしないというようなことであります。  私どもも、これまでも数回にわたってお話をいたしましたが、地元の職業安定機関等をフル活用しまして、なるべく地元にというようなことをやってまいった次第でありますが、結局求職の希望者というものは、一千四百八人というような皆さんが手を挙げてこられました。  現在百三十九名というようなことで、一割程度の皆さんはそれぞれ就職先が決まったということでありますが、その決まったほとんどの皆さんは、やはり大牟田、荒尾地区、福岡県、熊本県というようなところに集中をいたしておりまして、滋賀県にお三方が行っておられますけれども、県外、九州外というようなものは非常に少のうございます。数字を挙げろという先生のお話でありますので、大牟田、荒尾地区八十七名、福岡県内二十八名、隣の熊本県九名、その他県外が十五名、これが内訳に相なっております。  我々といたしましては、この六月にもう一遍新たなる求人先を開拓しよう、そうして七月にもう一度合同の面接会をやろうというようなスケジュールを組んでおります。やはり一対一でそれぞれの皆さんの希望を聞き、そして私どもの方の、言いますならば、求人先というようなものをお示しして、ちょうどお見合いでうまくゴールイン、結婚に結びつくような、そういう努力で鋭意頑張ってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  17. 島津尚純

    島津委員 ありがとうございました。  今の御答弁の中で、二カ月半ぐらいたっておるわけですが、その中で百三十九名、離職者の約一割ぐらいが決定したというお話であります。大変申しわけないのですが、この数字はやはり立ち上がりとしてはちょっと厳しい数字だな、少ないのではないかな、このように私は思わせていただくわけであります。  その理由は、この離職者の皆さん方の平均年齢が、先ほども申されましたけれども四十八歳、しかも九〇%以上の皆さん方が、転居をしないでそのまま地元で仕事につきたい、こういう希望であります。一方、この受け皿求人の方はたくさん、四千人近い数字が上っておるわけでありますが、よく見てみますと地元の求人が非常に少ない。その少ない中で、さらに四十五歳以上の求人が大変少ない、これがやはり最大の理由であろう、私はこのように存じます。  今、六月に、そして七月に合同説明会をと、本当にすばらしい、大変結構なことだと存じますが、その説明会を実効性あるものにするためには、ぜひこの四十五歳以上の再就職問題に焦点を当てていただいて、研究をしていただくということがやはり大切なことではないかな、私はこのように存じておるのですけれども、いかがでございましょうか。
  18. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 離職者の再就職の状況につきましては、先ほど大臣の方から申し上げたとおりでございます。  非常に平均年齢が高いというところにつきましては、私どもも当初からそういった状況を十分把握しながら、それに見合った求人をどうやって確保していくかということで、公共職業安定機関挙げまして、特別求人開拓、通勤圏内を中心に、安定所長を先頭に立てて事業所を訪問して求人をいただいておるというようなことをやっておりますし、また、求人をいただいたときの年齢につきましての緩和指導と申しますか、四十歳とか四十五歳までとなっている求人について、何とかもう少し上まで延ばしてもらえないかといったような指導をする、こういったものを通じまして、高齢者の方の求人の確保に努めておるところでございます。
  19. 島津尚純

    島津委員 その辺、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  この雇用の問題は、各方面の協力がなければなかなか実際の効果は上がらないというふうに思います。  そこで、九州の経済団体であります九州・山口経済連合会などに、既にことしの二月の時点で政府の方から雇用のお願いが行われたというふうに私は思っております。その経済団体の中核であります、例えば九州電力、西鉄、銀行であるならば福岡銀行、さらにはBSといったような大手企業の協力状況、このようなものがありましたら聞かせていただきたいと思います。
  20. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 先生御指摘になりましたように、私ども、九州通産局長から九経連あるいは福岡商工会議所等々に求人の要請をしたところでございます。このような要請が功を奏したとか、明確にその因果関係はわかりませんが、九州電力を初めとします各企業が、先ほどの三千五百五十六名という組合に提示いたしております求人枠の中にそうした企業群がかなり含まれている状況でございます。
  21. 島津尚純

    島津委員 わかりました。  次に、職業訓練の問題に移らせていただきたいと思います。  再就職の促進のためには新たな技術や資格の取得が肝要であり、そのために、閉山後、早急に職業訓練体制を整えることが必要であるということを三月の質問でも私はさせていただいたわけであります。また、一時期にこの入所時期が重なるということも十分考えられる、そして、その希望科目も幾つかに集中するだろう、そのようなことも十分予測されるということを申し上げてまいりました。  それに対して労働省は、九百人の訓練体制を指示しております。さらには、科目が集中するものは特別のコースを設置することで対応しますというような、大変頼もしい御発言をいただいたのであります。閉山後、アンケート調査も行われたと思います。それにより、コースの割り振りも進行中だと思います。また、早い組では六月、七月がこの訓練所の入所の時期になっているのではないかとも思います。  そこで、今申し上げましたことを含めまして、閉山から今日までの職業訓練体制づくり、あるいは準備状況につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
  22. 山中秀樹

    ○山中政府委員 この職業訓練につきまして、私ども、具体的に、公共職業安定所等々と十分な連携のもとに、職業訓練が再就職に結びつくような形で機動的な職業訓練を行おうということで、先生先ほどおっしゃいましたように、訓練の定員枠の拡大、あるいは特別のコース、あるいは大型自動車運転などについては委託訓練を実施する等々によりまして、全員がその希望する職業訓練に入れるように態勢をとったところでございます。  それで、現在の状況を若干御説明申し上げますと、本年五月末で八十八名が訓練を行っております。本年の六月、七月で、入校希望者は百四十二人となっております。本人の希望に沿って七月末までに全員が受けられるように措置いたしておるところでございまして、特に、先生御指摘の建設機械コースの希望者は七十七名でございます。その方についても、全員について、七月末までに訓練が開始できるようにいたしたいというふうに思っております。  この訓練の希望者について、本人の希望に沿って迅速に訓練が実施できるようにするために、必要があれば、また特別コースの時期を繰り上げたりしながら、訓練希望者の御希望に沿えるように、私ども、態勢に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  23. 島津尚純

    島津委員 ただいま御答弁いただいたわけですが、建設機械に対する希望の集中が非常にあるわけです。ただ、今御答弁なさった数字が七十七人でしたか、つい最近、私どもが現地の職業訓練所からいただいたスケジュール表を見ますと、建設機械関係は百五十名になっておる。本当は全体で百六十二人なのですが、炭鉱離職者ではない一般の方が十二名おられますので、実質は百五十人という数字になっておるわけであります。  それで、それはもちろんお調べいただきたいと思うのですけれども、私が申し上げたいのは、やはり予想どおり、このような一つの科目に集中したということであります。この特別コースを設けていただきましたことは大変ありがたいのですが、一コースが、見ますと三十名で六カ月間の講習、こういうことであります。  入校時期がことしの六月から来年までずっとあるわけですね。皆さん方は、やはり早く訓練を受け、卒業して、そして資格を得て就職をしたい、これが今の皆様方の気持ちです。ところが人数に枠があるものですから、現地では大変困っておって、いわゆる雇用保険が長い人と短い人がいますので、短い人から早く入れよう、そして雇用保険の長い人たちは来年に回ってもらう、このような大変かわいそうな状況が生まれておりまして、大変困っておられる。  ですから、私の思いとしましては、質問といたしましては、何とかこの特別コースの枠をさらに拡大をすることは検討できないのかということをひとつお尋ねをしたい、お願いを申し上げたいと思います。
  24. 山中秀樹

    ○山中政府委員 私ども、特別コースをつくって建設機械関係はやっておるところでございます。なお、そういう需要なり希望でありましたら、ぜひ前向きに検討させていただきたいと思います。
  25. 島津尚純

    島津委員 何しろ雇用保険をいただくということになりましても、雇用保険十カ月プラス、石炭という特別不況業種ということで三カ月間の延長がありまして、合計で十三カ月になるわけです。ことしの四月から給付が始まりまして、来年の四月末には給付が終わり、そして黒手帳という就職促進手当というものに移行していくわけですが、これは今までもらってこられました所得の四〇%ぐらいにしか当たらないのですね。金額にしたら十四、五万になるわけですから、一家を背負っていくには余りにも低い額になります。  ですから、私たちは、何とか雇用保険が続いている間に皆さん方に少なくとも入校してもらいたい、このように考えておるわけでありまして、ぜひ、これは現地の皆さん方が熱望されておることでございますので、ひとつ必ずやりますという御回答をいただきたいな、このように思いますが、いかがでしょう。
  26. 山中秀樹

    ○山中政府委員 私ども、先生の御期待に沿えるよう、必ずやります。
  27. 島津尚純

    島津委員 わかりました。ありがとうございました。  次は、テクノパーク、工業団地につきまして質問をさせていただきたいと思います。  地元の将来にわたっての雇用地域振興に大いに役立つと思われます、地域振興整備公団が現在造成中の大牟田テクノパークと荒尾産業団地でありますが、この地域公団の九州支部は、昭和三十七年以降、産炭地域に進出する企業のために工業団地を造成し、これまでに八十四団地を完成させ、一千百三十二社が進出をし、約八万四千人の新たな雇用を創出しているということでありまして、これは大変立派な役割を果たしてこられたと思うのであります。  さらに特筆すべきことは、この新たに創出した八万四千人の雇用の中で、炭鉱離職者関係雇用が三万四千人、比率にして四一%になるわけでありますが、これも大変な実績であります。現在造成中の大牟田、荒尾の二つの工業団地が、前例に倣い、一人でも多くの三池炭鉱離職者雇用の場となり、地域振興の中核的な役割を果たすことを私どもは願うわけであります。  そこで、両工業団地の完成と、それから分譲開始時期、それによる雇用がどのくらい見込めるのか、この辺をお尋ねさせていただきたいと思います。
  28. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 私どもも、大牟田テクノパーク、荒尾産業団地の建設に基づきまして雇用が創出されることを強く期待しているわけでございます。  そういう観点から、四月二十三日の各省連で取りまとめました対策の中でも、大牟田、荒尾の両団地につきましては、半年程度工期を繰り上げるということを決めておりまして、荒尾産業団地につきましては九年度末、大牟田テクノパークについては十年度末に分譲ができるように工事を進めているところでございます。  なお、予約分譲という形態もございますので、当然、企業誘致活動は現在から行っているところでございます。  なお、雇用の効果でございますけれども、現在のところ大牟田で約二千人、荒尾で約七百人を見込んでいるところでございます。
  29. 島津尚純

    島津委員 大牟田と荒尾の工業団地を含めまして、雇用の可能性が二千七百人、約三千人というような今お話をお聞きしたわけですが、本当に残念なのですね。今度の閉山で約三千人ぐらいの離職者が出られるということでありますから、今ごろ完成をしておれば本当にすばらしかったなというふうに思いますが、これは各省庁の責任ではなくて、現地でなかなか地権者を納得させることができなかった。平成四年ぐらいにはもう大臣の承認をいただいておったわけでありますから、これは地元の方の問題である、このように思います。  それから、たびたび私たちは、いろいろな機会に工期の前倒しということをお願いしてきました。今お聞きしますと、これも半年ぐらい、大変難しいと言っておられたわけですけれども、前倒しも検討していただいたようであります。大変ありがたく存じております。  そこで、次でございますが、造成をしましても進出企業がなければ全く意味がないわけであります。そこで、この両団地にぜひ来てくれというようなことで、四月二十二日に東京で企業誘致のためのセミナーが開かれたというふうに聞いております。ここでどのくらいの企業に案内を出されたのか、そしてどのくらい参加をした企業があったのか、さらには進出の見込みがあるような企業というものはその中であったのか、このようなこと。それから、この企業誘致等々につきまして政府がどのような御指導をしていただいておるのか、この辺を聞かせていただきたいと思います。
  30. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 四月二十二日に開催いたしました企業セミナーにつきましては、約一万社に案内を出しました。出席者は、当初の目標を上回ります二百四十一社、三百五十六名の出席を得まして、私どもも、大牟田、荒尾地区に対する関心が大変高いというふうに理解いたしておりまして、今後の企業誘致活動に大いに期待を持っているということでございます。このセミナーそのものは、私どもも後援をいたしまして、資金的にも援助をいたしているわけでございます。  なお、企業誘致につきましては、先ほどの地域公団の中でも対策本部を設けているわけでございまして、そういうものを通じまして積極的に展開をするということにいたしております。
  31. 島津尚純

    島津委員 それから、この企業誘致の問題でありますけれども、この大牟田、荒尾地区は言うならば三井財閥の発祥の地であります。今回の閉山につきまして、政府にいろいろな対策をお願いするだけではなくて、このような工業団地に三井グループからぜひ数社ずつぐらい出ていただいて、そして今までお世話になった両地、大牟田、荒尾に対しましての地域振興に協力するというような姿勢は当然だ、私はこのように思うわけであります。  昨年お話をお聞きいたしましたが、三井グループの社長会であります二木会にエネ庁の中村石炭部長から企業進出の要請をなさったということを聞いておりますが、その後半年ぐらいの歳月が流れたわけでありますけれども、どのような回答が返ってきておりますか。ぜひ聞かせていただきたいと思います。
  32. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 私どもも、三井グループが大牟田、荒尾地区の地域振興に真剣に取り組んでもらいたいというふうに考えておりまして、閉山直後から、通産大臣みずから三井鉱山の社長などに対しまして、三井グループを挙げて取り組むように要請いたしているところでございます。私も、三井グループの企業三十一社で構成いたします三井業際研究所、二木会の下部機関でございますが、そこの運営委員会の場におきまして、荒尾市長大牟田市長とともに参りまして、両地区の説明をいたしまして企業誘致をお願いいたしました。  これを受けまして、三井グループの方では、グループ企業七十七社のほか取引先等の関係先約千社に対しまして企業誘致のためのPRを行うなど、三井グループとしても企業誘致に努力をいたしていると聞いておりまして、通産省としましては、今後とも三井グループに対して努力するように要請してまいる所存でございます。
  33. 島津尚純

    島津委員 わかりました。ぜひ、三井グループの方から何社も進出できるように御努力を今後もお願いしたいと思います。  続きまして、雇用とともに大事な住宅問題につきまして質問をさせていただきます。  離職した方々とお会いしますと、住宅に対する不安をやはり多く持っていらっしゃるわけでありまして、現在約七百世帯が社宅に入居をされておりますが、最長一年半でいずれは出ていかなければならないわけです。  このような不安な中に一つの光が差し始めておるわけでありますが、これは、大牟田市が建設省と相談をしながら進めております住宅地区改良法に基づく小浜南社宅一帯の住宅地区改良事業であります。これは、老朽化した木造住宅を土地ごと市が買い取った上、建てかえて市営住宅に転換し、従来より入居しておられる人たちが優先的に入居できるというもので、大変明るい話題なわけであります。  ぜひこの計画は、計画だけではなくて必ず実現をさせていただきたい、このように思うわけでありますが、この改良事業を実行するに当たり、これから難しい問題があるとすればそれは何なのか、また、国の補助と自治体の事業債の発行はどういうふうになっているのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
  34. 池田富士郎

    ○池田説明員 大牟田市の住宅地区改良事業につきましては、現在、大牟田市の方から福岡県を通じまして私どもに対して、この住宅地区改良事業等を実施するために必要となります現況調査等の調査費補助の要望をいただいたところでございます。これにつきましては、少しでも早くに調査を進めることができますように、必要な協力を行ってまいりたいと考えているところでございます。  そして、これらの調査を行います中で、離職者の方々の今後の再就職の見通しですとかあるいは住宅ニーズなどにつきましてよく把握をいたしまして、また、あわせて大牟田の町づくりの基本的な方針や計画との関連性につきましても十分考慮しながら、住宅地区改良事業等の事業計画の策定を検討されるというふうに伺っております。  建設省といたしましても、この事業の実施に向けて積極的に御支援を申し上げたいと考えておるところでございます。
  35. 島津尚純

    島津委員 ちょっと私の質問で抜けていると思うのですけれども、この事業の仕組み、そしてこれがもし実行される場合は、国が例えば半分ぐらい補助するのか、あとの半分は市で例えば事業債を発行するのか、そういうような仕組みについてお尋ねをいたします。
  36. 池田富士郎

    ○池田説明員 住宅地区改良事業は、市町村が事業主体となって、老朽化いたしました住宅を買い取った上で除却をいたしまして、そこにお住まいになっていた皆様方に新しい受け皿となる、改良住宅というふうに呼んでおりますが、新しい住宅を建設して入居していただくというものでございます。あわせて、住宅に関連いたします道路とか広場などを整備するというものでございます。  これに対しまして、これに要する事業費の三分の二を国が補助するという仕組みになってございます。この事業につきましては、採択基準がございますので、それに照らしてどこまでの範囲がそれに適合するかというようなことも実態調査の中で把握をいたしまして、この住宅地区改良法に基づく事業手法のほかにも予算上の措置として類似の制度もございますので、これの活用も含めて検討が進められるものというふうに考えているところでございます。
  37. 島津尚純

    島津委員 今建設省の方から御答弁いただいたものは、普通の地域についてだというふうに思います。  この大牟田につきましては、産炭法の適用を受けるわけでありますので、私の知るところでは、産炭法で補助率の特別の引き上げとか臨交金の交付とかいろいろなものが加算されるというふうに思いますが、その辺のお話をお伺いしたいと思います。
  38. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 建設省の制度に基づきまして関係市町村が住宅地区改良事業などを実施した場合には、御指摘のように、産炭地域振興臨時措置法第十一条による補助率の引き上げとか産炭地域振興臨時交付金の交付という制度がございまして、私どもはこれによって支援をしていくということでございます。
  39. 島津尚純

    島津委員 わかりました。  もう一点、住宅問題を、余り大牟田の住宅ばかり申し上げますとちょっと怒られますので、隣の荒尾の方の住宅の問題をちょっとお尋ねしたいと思います。  荒尾に同じく社宅で原万田アパートというのがあるのですが、これは鉄筋の四階建てが三棟ありまして、七十二戸であります。五十三世帯が現在入居されておるわけですが、これはまだ新しいので建物を壊すのは大変もったいないということで、先ほどの住宅地区改良法ではなく、今度は公営住宅法に基づいて、例えば丸ごと市が買って市営住宅にする、こういう方法もあると思うのですが、もしこのような計画を荒尾市がやった場合、これは事業として可能かどうか、この辺をお聞かせいただきたい。
  40. 石川哲久

    ○石川説明員 今お尋ねのように民間の住宅を地方公共団体が買い取りまして、これを公営住宅として使う、いわゆる買い取り公営住宅制度というのができております。社宅を公営住宅として買い取り、使うということになりますけれども、一つは、今お話のありましたことに関連いたしますが、その住宅の水準自体が公営住宅として使うのにふさわしいレベルにあるのかどうか。具体的には、例えば高齢者向けの仕様になっているのかどうか、公営住宅の整備基準に合致しているのかどうかという一つのチェックポイントがございます。  それからもう一つは、入居の方の問題でございますけれども、公営住宅は低所得者を対象といたしまして公平に公募するという原則のものでございますので、入居者につきましても、一定の水準以下である方たちで入居基準を満たした方を対象とした公募を原則とするという仕組みになっておりますので、この二つの条件を満たすということが必要になろうかと思います。  いずれにいたしましても、それらの条件の中で具体的なお話がありましたら、私たちは十分に協議して、積極的に御支援してまいりたいと思います。
  41. 島津尚純

    島津委員 あと四分ぐらいですので、先を急ぎたいと思います。  先ほど通産大臣の方からもお触れになりました三池港につきまして、最後こお尋ねをさせていただきます。  今後の大牟田―荒尾地区の地域振興の中核として、整備を早急に行うことが重要であるというふうに考えますが、先ほどお触れになりましたように、去る五月三十一日に、福岡県と三井鉱山との間で三池整備にかかわる協定が締結されたわけであります。それで、港湾計画あるいは公共埠頭整備等々、これから始まってくるわけですが、特に大事な点を一、二点ぐらい申し上げて御答弁をお願いしたいと思います。  それは、三池港の整備のためには、四万トンクラスの大型船舶が入港可能となることがぜひとも必要であります。そのためには、現在六十五メーターの航路を八十五メーターぐらいに拡張する。それから九・三メーターの水深を十二メーター以上にするために三メーター以上の深掘りをする必要がある、このように思うのが一点であります。  もう一つは、有明海の場合は一日二回の干潮、満潮がありまして、この干満の差が五・五メーターと大変大きいわけであります。満潮時にしか入出港ができないものでありますので、効率を上げるために、夜間における入出港も可能とする必要があります。そのためには夜間の照明設備というものがぜひ必要になってくる、このように思います。  この二点につきまして、ぜひ実施内容に盛り込んでいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  42. 川島毅

    ○川島説明員 まず一点目の三池港で受け入れる最大の船型の話でございます。三池港につきましては、現在港湾計画がないわけでございまして、本年度、福岡県としまして、地元関係者等を踏まえて港湾計画の策定のための作業に入ることにしております。その中で三池港の今後の航路、泊地の整備計画というものについても検討していくことになると思います。  それから、二点目の夜間入出港についてでございますが、御指摘のとおり、潮待ちによる入港を行っております。したがいまして、日没時の入港を可能にするための誘導灯の設置というものが必要になります。これにつきましては、現在福岡県におきまして、その設置に向けまして利用者、関係機関等と調整を行っておるというふうに伺っております。
  43. 島津尚純

    島津委員 まだたくさん質問は用意しておったわけでありますが、時間が参りましたので、次回に譲らせていただきたいと思います。  最後に申し上げたいのは、先月五月末に、現地大牟田におきまして二つ労働組合の解散式が行われたわけであります。三月三十日に閉山をして働く場を失った離職者は、今度は心のよりどころであり、頼みとしてきた労働組合も解散をし、これらの方々の不安は言語に絶するものがあると思うのであります。  どうか両大臣におかれましては、離職者の皆さん方のこの心中をおわかりいただき、これからも一層の指導力を発揮していただきますことを最後にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  44. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 岩田順介君。
  45. 岩田順介

    ○岩田委員 おはようございます。  今も質問がるるございました三井三池問題につきましては、両大臣を初め大変な御努力をしていただいておりますことにまず感謝を申し上げたいと存じます。しかし、緒についたばかりだということもございましょうが、雇用問題を初めまだまだ先は大変だという実態が浮き彫りになっておりますけれども、なお一層の御尽力を賜りたいと思います。  限られた時間でありますが、先ほどもお話がありましたけれども、ポスト八次というか九次策というか、今進行中でありますが、その一つは、ソフトランディング、縮小ということが前段に議論されるべきである、こういうことが一つあったと思いますね。もう一つは、いわゆるエネルギーとしての石炭政策をどうするのか。まさに先ほど答弁ございましたが、極論を言いますと、残すのか残さないのか。ちょうどその中間点を折り返していく時期だろう。しかも三井三池閉山をしますと、これは構造調整というか大変大きな状況の変化であるわけでありますね。したがって、この点についてまず一、二点お聞きをしたいと思います。  コスト問題が出ましたけれども、過日の新聞でも炭価五年ぶり引き下げと、これは千円ないしその前後で落ちつくものだろうというふうに思いますけれども、これで解決するわけではありませんよね。そうしますと、ユーザーの方の意見も強くあることを知っておりますが、当面はこれでいくとして、私が申し上げますように、このポスト八次策で結論を出さなければならない後段の部分について走り始めた、きのうも小委員会が開かれた、こうなっております。したがって、そういう意味ではこの千円ないし二千円のコスト引き下げというのは大変注目をするわけですね。一体どの速度でいくのか。  それから、石炭社の経営努力というのも相当血のにじむようなこともされておられることは存じておりますが、果たして将来どうなるかという大まかな展望でもありましたらばお聞かせを願いたいと思うのですね。例えば当面C重油をにらんでいくものか。裸で競争させられると石炭社はもつはずもないわけでありますから、当然悩みがあるのですけれども、この将来について、エネルギーとしての石炭政策を考えて、今どういう状況にあるのか、石炭社の御努力はどうなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  46. 江崎格

    江崎政府委員 私から、両炭鉱コスト削減の努力を御説明させていただきたいと思いますけれども、太平洋、池島両炭鉱におきまして、現在、坑内の骨格坑道の整備ですとか新採炭プラントあるいは高速人車、こういったコスト削減に役に立ちます設備投資を積極的にやっております。それから一方、将来の一層のコスト削減ということに向けまして、例えばロックボルト工法といったような新しい技術開発にも取り組んでいる、こういう状況でございます。  こうした努力の結果でございますけれども、必要とされる従業員なども大分減ってきておりまして、両炭鉱生産性というのを見てみますと、この十年間に相当改善をしておりまして、例えば太平洋の方ですと、生産性はこの十年間で一・七倍に向上しておりますし、松島の方でも二・二倍、こういう状況になっております。  今後もこの両炭鉱、一層のコスト削減に向けて努力を図るわけでございますが、現在海外炭に比べて三倍ぐらいあると言われておりますが、どのくらいというのを数字で申し上げるのは非常に難しいわけですけれども、私どもとしては、相当程度この格差は縮小するのではないかということを期待しているわけでございます。  こうした努力に対しまして、通産省としてももちろんいろいろ支援をしておりまして、例えば石炭鉱業構造調整臨時措置法というものに基づきまして、NEDOからの無利子融資制度というようなものをやっておりますし、それから坑内骨格構造整備拡充補助金といったようなものも交付しておりまして、こうした両炭鉱コスト削減を支援しているという状況でございます。
  47. 岩田順介

    ○岩田委員 当面そういう努力から始めていただきたいと思いますが、私が願わんとするところは、時間があったらお願いをしたいと思いますけれども、石炭が果たしてきた歴史、さまざまございますが、間違いのないような政策をとっていただきたいというふうに思っているから申し上げている次第であります。  次に、いわゆるアジアを中心とする石炭の需要の問題、供給の問題、先ほど長官の方からも御説明がありました。御説明があった以外につきましても、例えばフランスの石炭事情についても、最近の状況を見ますと、やや深部に達して、いわば終息宣言をする、石炭はあきらめるという状況になっていますね。これは労使も合意をしているというふうに報告をされております。したがって、石炭の産出国、輸入国ともども、五年先の安定的な需要供給関係というのは見通しがきかないというふうに言ってもよろしいのではないかと思います。  日本の最大の輸入先はオーストラリアでしょう、六四、五%になっていると思います。そのオーストラリアでさえも、近年はそういう一国に偏重するということではなくて、多極というのですか、分散型傾向を政策として決定し始めているということを考えなければならぬだろうと思います。それから、中国を中心とするという報告もございましたが、中国はやがて輸入国になる危険性すらあるわけでありますから、したがって、ますます最大輸入国である日本石炭の二社が、私は政策的には重要な問題になってくるだろうと思いますね。  おおよそ、日本の優秀な石炭技術の保有、それをどういうふうに海外に貢献、移転するかという観点のお話はありましたが、私は、基本的には、日本エネルギー政策の中心として、この二山をどうするかという議論を積極的にしていただきたいと思うのであります。  それで、石鉱審が始まって議論されますけれども、いわゆる生産する側と、使う側と、中間の公益の先生、学者先生がおられますが、議論は大体見えるんじゃないかと思うのですね。問題は、経済的国民負担の問題になっていくわけであります。大臣はお若いときから民間の鉄鋼で買い付けしたという御経験もあるんだそうでありますけれども、石鉱審に諮問される通産大臣、諮問者としての大臣のお考えを、私はちょっとやはりお聞きしておかなければならぬのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  48. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 私も実は、お恥ずかしゅうございますが、この職につくまでは石炭というもの、余り必要を感じなかったわけですが、この今の職、通産大臣になって、あらゆる角度から見た場合に、今までのやり方でいいんだろうかな、これが疑問になります。  まず、御指摘のように、いわゆる需要面でいうと、これからの日本エネルギー、その中に石炭をどういうふうに位置づけるかという基本的な考え方をだれも持っていない、こういうことなんですね。今までは省エネ、新エネ、原子力、三本柱でやってまいりました。この考え方自体に間違いはございませんが、現状において、原子力の前に化石燃料、すなわち石炭石油と天然ガスをどういうふうにベストミックスしていくかという問題が出てくるだろう、こう思うのです。  ところが、そこのネックというのが二つあることは御存じのとおりです。一つは、今は価格的に安いが今後どうなるだろうかということと、もっと大きなのは環境問題ということで、地球温暖化の原因が炭酸ガスだと言われている今日においては、炭酸ガスを放出するこの石炭というものをどう位置づけるか、こういうことが需要面であると思うのです。  これは供給面で見ると、今御指摘のように、日本にはほとんどというか、もう二山しか残さないし、これだけではもう全体を賄えない、大多数を外国に頼っているというわけですが、その外国たるや、日本だけではなくほかの国も、今御指摘のように中国も、自国ではもちろん生産しておりますが、これは非常に内陸部だという地域的な問題がありますので、輸出用には使っても国内用には自分の方で輸入しよう、こういう考え方ですね。そうするとやはり価格が、今は安いが将来上がってくる可能性もあるだろう、こういう危険もあるわけなんです。  また一つは、先ほど申したように、世界の流れとしてはやはり石炭を見直してきているというのが現実です。しかもこれから、開発途上国と言うと怒られますが、いわゆる途上国、こういう方とそれから先進国と言われている国におけるエネルギー源の考え方というものが変わってきつつあるんじゃないだろうか。  アメリカなんかは、これから発電においては火力発電、石炭というのを重視するということを公然と言っている、こういう例もございますので、そういう場合に、先はどのように日本として、残り少ないけれどもこの二炭鉱というものを、ただ採算性だけでもって閉山していいのかな、こういう気持ちにならざるを得ないわけでございます。  そこで、先ほどちょっと申したように、余りこの問題で審議会においても採算、採算と言うと、やはりそれは安い方がいい、それから今委員指摘のようにだれが負担するか、こういうことになると、やはり負担ということになると国民も率直に言って負担は嫌だとおっしゃる方が多いだろうし、その辺をこれからどういうふうに持っていくか、またどういうふうに指導するかというのが、審議会に諮問し、お願いする前の通産省の姿勢というか、私の考え方とお感じになって結構でございます。
  49. 岩田順介

    ○岩田委員 ありがとうございました。  技術を保有するために、残すために石炭を残すという論理だけではやはり難しいんですよ。おっしゃるように、世界エネルギー事情の大変化、それから日本の場合も今一億トンちょっとでしょうけれども、いただきました「コール・ノート」に書いてある現在着工中のもの、将来着工のものという火力発電、石炭をたく計画が膨大にありますよ。あれに記載されていないものも、百万キロワット級が二つあるというふうに報告を聞いております。だとすると、来世紀は一億五千万トンは優に超えるという予測が立つと思います。これもやはり事情として考えておく必要はもちろんあろうと思います。  それから、国民負担率の問題をおっしゃいましたが、国民の負担の問題、嫌だというふうに言うに違いないのですが、大臣、今一体国民の皆さんがどれほど我が国エネルギー問題に関心があるかということは、関心がないとは言いませんが、さほどにないのではないか、そんなに厚くはないのじゃないか。水や空気のようにただとは思っていないにしても、そう関心はないと思いますね。原子力発電の問題については、動燃等いろいろありましたから、そういう意味では関心がありますが、じゃ、あれをやめて太陽光線のエネルギーにいけるか、いけやしないわけですね。  したがって、やはり再度見直されている石炭という意味はますます大きくなっていくだろうというふうに思いますので、ぜひとも、冒頭申し上げました、不遜な言葉がありましたが、間違いないようにというのはそういう私の気持ちでございまして、御容赦をいただきたいと存じます。  次に、三井三池の後の問題でありますが、新聞でさまざま三井三池のいわゆる財政問題というのを調べてみますと、政府からの借り入れとして、NEDOが一番多いのでありますけれども、三百六十七億三千万円程度になっていますね。それから旧石炭鉱害事業団、これは統合しましたけれども、旧石炭鉱害事業団が三百十億八千八百万円、こういうふうになっておりまして、あとは三井鉱山三井信託銀行、さくら銀行というふうになっておりますが、これは大したことないのですよ。政府借り入れが一番大きいのですね。  これは返してくるのは来年度ですか、本年度ということになるのですかね、これは後ほどでいいのですけれども、合わせて七百億弱でありますが、二十年で返済をするということになりますと、年間に三十五億くらいの返済金になりますけれども、さまざまプロジェクトや産炭地域振興計画が展開をされつつありますけれども、私はこれは基本だと思いますよね。三井三池地域、有明地域の建設に全部充てるということを言っているわけじゃないのです。鉱害もある場合には入ってくるでありましょうし、地域振興も入ってくるでありましょうし、残る二山の石炭政策に入ってくる場合もありましょうが、果たしてどういうふうにお考えなのか。私、これは一つの基本だと思いますね。お聞かせをいただきたいと思います。
  50. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 御指摘のように、NEDOは平成八年度末現在で、三井石炭に対しまして鉱害を含めまして六百八十九億円の債権を有しております。現在、当然これは返済をしていただくものでございますけれども、三井三池閉山を円滑に行うという観点から、一部については返済を猶予しているということでございます。つまり、資産を売却して返済をしていただくということでございます。  この原資につきましては政府出資金及び民間からの借入金でございまして、まず、今後、貸付金が返済されました場合には、借入金の返済に充当するほか、新規の貸し付けの原資としまして、例えば稼行炭鉱の設備投資資金とか新分野開拓事業の必要資金あるいは鉱害賠償に要する資金等に活用していくということでございます。
  51. 岩田順介

    ○岩田委員 これは、どういうところにどういう金額というのは決まってはいないのですよね。
  52. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 御質問が、返済された後の使途ということであれば、決まっておりません。
  53. 岩田順介

    ○岩田委員 時間がなくなりましたので、あと一問お伺いをしたいと思いますが、現在努力をしていただいている通産を初め連絡会議の対応はかなり大がかりなもので、多岐多様にわたって、私は喜んでいるわけであります。  ただ、いわゆる旧産炭地及び稼行炭鉱地域の十条指定地域を中心に、産炭地域実施計画というのが進行中ですね。あと四年ばかり残っていますが、これがどういうふうになっているか。進捗状況を一回整理した上に、例えば二十一世紀活力圏構想であるとか、それから筑後有明地域振興構想であるとか、それから新たな、地元要望に対して各省庁連が合意されたもの、了承したものが上積みされていくわけです。  これは一定の期間、例えば来年度なら来年度、三年後なら三年後、出発点が違いますから、一定のスパンを切って、何か構想ができるものかなと思っていたのですね。そうした方が、例えば雇用問題にも影響すると思いますが、地元の事業関係者のみならず市民一人一人がやはり明るい展望を持てるだろう、こういうふうに思っておったのですけれども、それぞれに出発をされる、着工できる条件があるものはするということで、こういうものになったのですね。「主な地域振興プロジェクト」というふうになっています。  これは、市民が見たって、専門的な人が見たってわからないのです。市民が見ても活力ある、我が町に展望があるというふうなものができるのかと思っていましたら、まあ別途できるのでしょうけれども、そういうふうに思っておったのですね。ところがそうでないということですから、これはどういう調整で、どういう時点で詰めが最終的になされるのか。  基本的には、いわゆる自治体を中心に連絡会議と協議するもの、それから地元と、これは商店街もあるのでしょうが、地元自治体と企業とやるもの、この二通りでいくわけですよね。私は前者の方を言っているわけですが、どういう調整でもってどういうふうな仕組みになるのか、御説明をいただいておきたいと思います。
  54. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 御指摘の三つの計画なり構想につきましては、いずれも通産省が関与をしているものでございます。  一番もとになりますのが産炭地域振興実施計画ということで、現在のは平成三年の十二月に策定されておりまして、平成四年度から十三年度までに基本的に振興すべき産業とか道路、工業団地等の産業基盤の整備の方向性など、当該圏域の地域振興の指針となるべき事項を定めたものということでございます。  それに基づくといいますか、そうした構想を踏まえまして、例えば筑後有明振興構想というものは、この計画の一層の具体化、あるいは肉づけと言った方がよろしいかもしれませんが、そういう観点で新しい産業の創造、具体的には環境、新エネルギー、リサイクルをやってはどうかとか、あるいは道路、港湾等について、ネットワーク化してこういうふうに整備していってはどうかというような、具体的な整備の方策を明らかにしているというものでございます。  また、二十一世紀活力圏構想、これは建設省と通産省でつくっているものでございますが、これはもう少し地域が広うございまして、より広域的な観点からどうするのかという計画でございます。  これらの計画が相乗効果を発揮して、我々としてはこの地域が活性化していくということをねらっているわけでございまして、今後とも、個々の振興プロジェクト実施に当たりましては、こうした計画の有機的な連携を図りまして効果を上げてまいりたいと考えております。
  55. 岩田順介

    ○岩田委員 ありがとうございました。
  56. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 児玉健次君。
  57. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  佐藤通産大臣は、この五月二十二、二十三日、パリで開かれたIEAの第十六回閣僚理事会に参加なさった。  ちょっと昔の話になるのですが、二十年前IEAの第二回閣僚理事会、そこで「エネルギー政策十二原則」について合意されました。その第五原則にこう書き込まれていますね。「電力、工業部門等における燃料を石油から段階的に転換する。」とあります。  そして二年後、七九年五月の第三回閣僚理事会で「石炭政策の原則」について合意されている。その最初の項目のところで「将来のエネルギー需給に不可欠な要素である石炭の利用拡大を図るとともに、これを広く国民各層に周知させる。」こう言っていますね。そして、四項目「ベースロード用石油専焼火力の新設ないしリプレースを制限することを内容とするエネルギー計画を策定することによって電力用石油使用を抑える。」こう明確にうたわれています。  この間、日本における石油専焼火力の新設、リプレース、これがどのように制限されてきたのか、その点を具体的に示していただきたい。
  58. 江崎格

    江崎政府委員 石炭政策の原則、それから石油火力の抑制の具体的な経緯でございますけれども、IEAにおける合意を受けまして、昭和五十五年ですけれども、石油代替エネルギー開発及び導入の促進に関する法律、代エネ法と言っておりますけれども、これを成立させていただきまして、この法律に基づきまして、工場又は事業場においてエネルギーを使用して事業を行う者に対する石油代替エネルギーの導入の指針、代エネ指針と言っておりますけれども、これを同じ昭和五十五年に定めておりまして、この中で、電気事業者に対しまして、「既に計画中のものを除き、原則として、石油火力発電所の新たな建設を行わない」こととしているというものを決めたわけでございます。  その後、この方針に基づきまして、電気事業者から毎年通産大臣に対しまして電力の供給計画というものを届け出てまいりますけれども、その機会に、石油火力発電への依存度を低減するようにという指導をやってきております。  これによりまして、その後の経過でございますけれども、一般電気事業者は石油火力による発電の割合というのを次第に減少させてきておりまして、発電設備の能力で見ますと、一九八〇年度は五千三百六十三万キロワット、発電設備の能力のうちの四三%のシェアを占めておりましたけれども、九五年になりますと四千九百五十万キロワット、設備能力のうちの二五%までウエートが落ちてきております。  それから、発電量で見てみますと、八〇年度では二千八十九億キロワット・アワーでございまして、トータルのうちの四三%を占めておりましたけれども、これも九五年度におきましては千五百九億キロワット・アワーということで、一八%のシェアまで落ちてきている、こういう状況でございます。
  59. 児玉健次

    ○児玉委員 非常に具体的に示していただいたのですが、その流れをこの後どうするかという問題です。  石炭部が監修されている「コール・ノート」一九九七年版、これを拝見しましたが、少し長いスパンで石炭石油の消費を見ていっているわけですが、石炭は一九九五年に三千九百十万トン、二〇〇五年に七千五十七万トン、一八〇・五%になるようですね。石油、これは一万キロリットルが単位ですが、一九九五年に三千四百九十三、二〇〇五年に二千四百五十六、こちらの方は七〇・三%に低減していく。  これを具体的に通産省としてはどのように進めていこうとなさっているか、その点をお示しいただきたいと思います。業界に対する指導などを含めて。
  60. 江崎格

    江崎政府委員 従来と同じような指導方針に基づきまして、主として電力業者が供給計画を届けてまいりますときに、今お示しになりましたような将来の見通しなども念頭に置きまして適切な指導をしていきたい、このように思っております。
  61. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、石油代替エネルギーの最も重要な一つである石炭をこの後我々がどのように評価し、そして産業としてそれを大切にしていくか。その場合の最大の問題は、先ほどの御議論にもありましたが、CO2の発生をどう抑えるか、この問題だと思うのです。今回もその議論があったと思うのですね。  この点で、現在の研究開発の到達の状況、我々が承知しているところでは、例えば脱硫装置について平均脱硫率が九三・五%まで行っている。それから、脱じんについて言えばこれはもっと高い、一〇〇%にかなり近づいている。そういう中で、CO2の抑制を進めていくために今最も現実に求められているのが石炭の高効率燃焼技術開発だ、このように私は考えます。よその国はともあれ、この日本の火力発電にあってこの分野が現在どこまで進められてきているか、その点をお示しいただきたいと思います。
  62. 江崎格

    江崎政府委員 御指摘のように、石炭を利用するに当たりまして、いかにこれを効率よく使うか、今おっしゃいましたような発電効率を上げるということが非常に大きなポイントでございます。  これは従来から、石炭火力の分野でいろいろな技術開発に向かって大変努力をされてきておりまして、かなり成果が上がってきております。昭和三十年のデータでございますけれども、当時、発電効率というのは石炭火力では二四%ぐらいでございましたけれども、その後逐次上がってまいりまして、平成七年度の実績ですと三九・五%ということで、ほかのLNGですとかあるいは石油火力に比べますと、ほとんど遜色のない数字まで上がってきているという状況でございます。
  63. 児玉健次

    ○児玉委員 三九・五まで上がっている。主として微粉炭を用いての火力発電だと思います。現在国際的にも国内的にも注目されている、例えば加圧流動床ボイラー発電技術、それから石炭ガス化複合サイクル発電技術。後者について言えば、熱効率が四五ないし四七%まで上がる見通しもある。そうなると、先ほどおっしゃった三九・五%に比して、これは私の概算ですけれども、石炭使用量においてもCO2の発生量においても約二〇%低減できるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  64. 江崎格

    江崎政府委員 現在取り組まれております技術でございますが、一つが、まず既存の技術の効率の向上ということで、蒸気タービンにおける蒸気を非常に高温にする、あるいは高圧にするという方法が研究されておりまして、この方法ですと発電効率が四二%ぐらいまで上がるということが言われております。  それからもう一つが、今先生も御指摘になりましたけれども、複合発電といいまして、ガスタービンと蒸気タービンを一緒に使うというようなことでございまして、これによりますと四三%ぐらいまで上がる。それからもう一つが、石炭のガス化によりまして、これで複合的な発電をする、つまりガスタービンと蒸気タービンをこれも一緒に使うということでございますが、これですと四八%まで上がるということを目標にして研究開発を行っております。  いずれもまだ研究開発の途上でございまして、完成までにはまだこれから何年か時間を要するわけでございます。仮にこういうものが完成いたしますと、今先生御指摘のように、当然、単位発電量当たりの炭酸ガスの排出量は減るということになろうかと思いますが、具体的な数字はまだ私ども持っておりません。
  65. 児玉健次

    ○児玉委員 大臣にこの点をお伺いしたいのですが、何年か前でしたか、この委員会でイギリスのオックスフォードの近郊にある石炭の研究所を一度お伺いしたことがありまして、そのとき、熱効率を上げるということで基礎研究を含む大変な努力をなさっているという点を拝見しました。  今通産省のお答えにあるように、この分野について言えば、やはり国の政策としてしっかり進めていく。特に基礎研究の分野を支えながら、しっかり熱効率を上げていく努力をしていく。CO2の発生も抑えられるし、先日来この委員会で論議になっているNOx、SOxそれも抑えていくことができる。これを国策として推進するという点について大臣のお考えを伺いたいと思うのです。
  66. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 もっともな話でございます。この間のIEAに行っても、集まるのがエネルギー担当の大臣ですから、みんな今御指摘の問題に関心を持っておりました。一口に言うと、クリーン・コール・テクノロジー、こういう表現でしたが、それも各国によってとらえ方がまちまちだし、確立したものがないということで、こういうものも国として取り上げるというより、国際的にやはり共同開発研究をすべきではないだろうか、こう思っております。  なお一言だけ申し上げますと、これからの石炭の使用に関しても、今の効率化の問題、効率を上げるということもございますが、中には、もう何をしょうが石炭をたけばCO2は出るのだ、こういうことまで言う国もございました。  そういうことから考えて、実はこの議論というのは、もう少し、やはり当委員会だけではなくて広くしていただきたい。この委員会に来ると石炭というものの重要性を感ずるのですが、ほかの委員会に行くと、何か石炭ということを言うと非国民的みたいに言われるということで、その辺を実は私たちもよく勉強していきたいと思っております。
  67. 児玉健次

    ○児玉委員 石炭の国民的な重要性を考えていくときにクリアすべき主な課題の一つが、今のCO2の問題だと思うのですね。この点について言えば、もちろんそれを皆無にすることはできないけれども、かなり軽減させていくことができる。この努力は強めたいと思います。  さてそこで、先ほどの二〇〇五年というのを一つの目印にする場合に、その年の石炭消費量は七千五十七万トンと予想されています。松島そして釧路、この二つの山の生産量はおおむね三百二十万トンないし三百三十万トン程度で今後推移していくとすれば、七千五十七万トンに対してその五%にも及びません。しかし、その五%が存在しているということが持っている、日本におけるエネルギー政策に占める役割というのは非常に重要だと思うのですね。  この際、私はちょっと観点を変えまして、一九七六年の四月、昭和五十一年ですが、石油備蓄法が実施に移される。この石油備蓄に投入をされた資金、国家予算を含めて、それは今日までの累計で幾らになっているか、お尋ねしたいと思います。
  68. 江崎格

    江崎政府委員 これまでの累計でございますけれども、平成九年度予算まで加算いたしまして、総額で四・二兆円ということでございます。
  69. 児玉健次

    ○児玉委員 この三年間、この石油備蓄にかかるランニングコストという点ではいかがでしょう。
  70. 江崎格

    江崎政府委員 平成七年度が二千九億円、八年度が二千九百三十億円、それから九年度予算が二千八百六十三億円という推移でございます。
  71. 児玉健次

    ○児玉委員 何回も恐縮ですが、現在の石炭勘定は幾らでしょう。
  72. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 九年度予算で千億円強でございます。これはすべての石炭政策の予算でございます。
  73. 児玉健次

    ○児玉委員 石油の備蓄というか、もっと正確に言えば原油の備蓄ですね、これの持っている国家的な重要性については私たちも評価をいたします、いろいろ議論まありましたが。それで、大体私たちが承っているのでは、国全体でいえば、昭和五十一年以来四兆六千三百三十五億円が、国家予算の先ほどの四兆二千億を含めて、その分野に投入されている。そしてその維持管理や利子の負担などを含めて、平成九年度でいえば二千八百六十三億。  それに対する石炭勘定の今の答えですね。それを私は単純に比較しようとは思わないけれども、エネルギーを備蓄していこうとする場合に、掘り出した炭を備蓄するというのは、これはもうほとんど検討の対象にはならないだろうと思うのです、中期的な備蓄という点では。しかし、炭鉱が現に稼働している、そのことの持っている備蓄効果、これは大変なものだと思うのですね。  石油に関してこの間四兆円を超える資金が入っている、年間約三千億である。そのことを考えれば、採炭を継続している二つの山を我々が国として支えていくことは、非常に効率のいいエネルギー備蓄ないしはエネルギーのセキュリティーだと思うのですけれども、大臣、どうでしょう。
  74. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 これはなかなか、児玉委員のように数字を挙げてやるほど私は頭が緻密ではありませんのであれですが、一般的に言って、やはりこれからも石炭というものの重要性を感じて、海外から輸入する、これにやはり依存せざるを得ないと思うのですが、これは量的な問題もあります。  その場合に、やはり国内炭鉱があるかないかということは、随分価格の設定においても関係が出てくるし、あるいはまた、今まで日本が蓄えたというか、採炭の技術というものはやはり国の財産だという考え方もできますし、そういうことは、残すということの当然根拠になるわけですが、これには、先ほど申したように、やはり国民的な同意というものが一番必要であろう。  ですから、私自身というか、通産省としても広く国民にそうしたエネルギーの中における石炭というもの、また国内炭鉱の意味、こういうものをやはり啓蒙しなければいけないだろうと思いますし、この委員会の先生方もぜひともその点に御協力願いたい、かように考えております。
  75. 児玉健次

    ○児玉委員 先ほどのIEAの第三回閣僚理事会での、エネルギー需給に不可欠な要素である石炭、その利用拡大について広く国民各層に周知させる。国民負担がどうなのかという御議論もあります。その点も重要な要素だと思いますけれども、先ほどの石油の備蓄との関連についても、国民に周知させていくときの一つの重要な要素になっていくであろう、私はこうも考えるのですね。この二千八百六十三億というのは、たとえそれが石油税からの繰り入れであったとしても、基本的にやはり国民の負担ですね。  それで、そういったことを考えながら、今国際的にも、エネルギーの賦存という点で石炭の持っている大きさというのが非常に重視されていますね。そういった中で、この現存する二つ炭鉱が、やがて日本でこの石炭産業が前進に転ずるときというのは必ず来ると思うのです、それはそう遠い先ではないと思うのです、そのときにこの二つがあるかないかというのは決定的な違いになりますね。その点、私は最後に大臣のお考えを伺って終わりたいと思うのです。
  76. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、この残された二炭鉱をどうするか、これが実はポスト八次策というか、その大きな課題だという認識を強く持っております。
  77. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  78. 鉢呂吉雄

  79. 中西績介

    中西(績)委員 私は、時間が大変制限されておりますから、三井三池問題のみに絞ってきょうは質問を申し上げたいと思います。先ほど論議されたような将来的な問題等につきましては、これはまた改めて討論に参加をしたいと思っております。  そこで、私は、去る四月一日に本会議で、さらにまた四月十七日に当委員会で、この地域における再生をどう果たしていくかという、こうした基本的な計画等についてお伺いをいたしまして、極めて私たちが期待をする答弁をいただいておったわけであります。  特に、平成七年度、通商産業省の委託によりまして調査をいたしましたのが、結果的にこうしてまとめられたということで、内容を精査させていただきました。同時にまた、それに沿って、先ほどから出ておりましたように、産炭地域振興関係省庁等連絡会、中央で四回、地方で二回、総理の指示を受けて開いた、その結果まとめられたものについてもいただきました。  こうした中で、特にこの前から指摘をしておきましたように、今までの筑豊あるいは北海道的な地域対策、これではどうすることもできない。したがって、ここに示されておる九州をつなぐ二十一世紀活力圏創造都市という一つのイメージを出していただいたんですけれども、その主要な点は何なのか。この点を、簡単でよろしいですからお示しください。
  80. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 御指摘の筑後有明振興構想基礎調査委員会の報告でございますけれども、これは三月二十六日に提言を行いまして、最終的には五月末に取りまとめまして、報告書を出しております。この全体像を示す言葉が、九州をつなぐ二十一世紀活力圏創造都市ということで、これは三つのパーツから成っております。  一つが、企業立地の推進と物流機能の強化ということでございまして、これは大牟田テクノパークあるいは荒尾産業団地の整備と物流港湾としての三池港の整備、あるいは道路等を結びつけてこの目的を達成しようということでございます。  それから二番目の柱が、環境、新エネ、リサイクル等新産業の創造ということでございまして、これは大牟田、荒尾地区に石炭鉱業から派生した産業技術の集積があるという点に着目いたしまして、こうした産業一つの旗印として地域活性化を行ってはどうかということでございます。具体的には、臨海部での産業基地の形成ということを提案をいたしているわけでございます。  それからもう一つが、福岡、熊本両都市に近いということもありまして、都市機能整備ということで定住・交流都市の整備ということをうたっておりまして、便利で魅力的な都心部活性化とか、住宅地の整備、観光レジャー機能の拡充を図るという地元の観光資源等にも着目しまして、この三つの柱でこの地域の活性化を図ろうということでございます。
  81. 中西績介

    中西(績)委員 この構想に当たっては、地域の地方自治体なり、あるいは住民の代表が入っているかどうか知りませんけれども、内容的に主体をどこが担ってやるかという点が、これからの構想を実現していく上に大変重要だと思うんですね。したがって、そのような地域の対応というもの、それから国、県、こういうところがどういうかかわりを持ってやったかということが説明できればと思います。
  82. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 この構想につきましては、四月二十三日に各省連で取りまとめました対策の中に、相当程度この構想が盛り込まれておるわけでございます。したがいまして、これは関係省庁とともに我々が応援をしていくわけでございますが、主体はやはり県、市が中心になってこれを進める、我々が応援をしていく、こういうことでございます。  さらに、市につきましては、それぞれ市の方で基本計画なりがあるわけでございまして、そういうものについては見直しをする等によって、これに沿った開発計画を今後策定をしていくということになろうかと思います。
  83. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、市にあったそうした構想なり、地域的な問題等については、今後はこれと一体的にやっていくということになるわけですね。私はここが大変重要だと思うものですから、そのように理解してよろしいですね。
  84. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 そのように御理解いただいて結構でございます。
  85. 中西績介

    中西(績)委員 そういたしますと、この地域、特に私が心配をいたしておりますのは、大牟田市を中心にいたしまして県境を挟んで存在しておるという、ここに非常に特徴があると思いますね。二市二町にわたる広域対策のため、従来のような、地方自治体がそれぞれ主張し、そしてそれを譲らないなどという状況が出てきた日には、これはもう筑豊あたりで失敗しているわけですから、都市機能をどのように構築をしていくのか、その地域全体をどう再生をさせていくかという、こうした問題がやはり大変重要だろうと思うわけであります。  そうした意味で、地域がこのことを納得し、統一できるという体制、そのことが今一番大事ではないか。そして、配分をするのでなしに、それぞれのゾーンごとに一定の体制をつくって、それをどのように交通体系で結び合わせていくかという、こうした総合的な問題等が重要だろうと思うわけであります。特に県境を挟んでおるという点を心配しておったのですけれども、この点はどうでしょう。
  86. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 この地域につきましては、大牟田、荒尾地区、一体化しているわけでございますが、その間に県境があるということでございまして、やはり県境を越えた協力関係の構築ということが非常に重要だと思っておるわけでございます。  この趣旨は提言にも書いてございますし、関係各省取りまとめました対策にも、県境を越えた協力ということが触れられているわけでございまして、今後ともこのような認識に立ちまして、福岡県、熊本県、それから両市を中心としまして連携を深めてまいりたいと思っております。
  87. 中西績介

    中西(績)委員 なぜ私がこのことをお聞きするかといいますと、我々が調査に行ったときの大牟田市の要請事項と荒尾市の要請事項というのは、根本的に違いがあったと思うんですね。ですから、そこが統一されておるかどうかということでこれから後の地域のあり方、これが問われるわけでありますから心配をしたわけでありますけれども、これは一致しておるということですから、安心しました。  それでは次に、そうした意味でたくさんの内容がこの中に含まれておりますけれども、一点だけに絞って例を挙げてお聞きしようと思うのです。  それは、構想の上におきましては、今確認できましたように、国、県、そして市町村が一体になって条件というものがいろいろ整備されてきたわけであります。例えば県あるいは企業と協定された三池港問題等を含みまして、一定の方向性が出てき始めた。ところが、ここから今度、ネイブルランド第二計画地あるいは新開・健老地区臨海部産業基盤整備地区というところあたりをつなぎ、さらにそれが今度は九州縦貫道にどうつながっていくかという、これは大変重要な道路が今計画されております。  そこで、建設省の方おいででしょうか。お聞きをしたいと思います。  この有明海沿岸道路で、地域高規格道路としてありますが、もう整備区間指定のある地域もありますけれども、この大牟田高田、港から南関というインターチェンジまで結ぶ線等を考えてみますと、まだ指定されておらないんですね。したがって、今やられておる都市計画決定を早急にしないと、平成十年には整備区間指定されるような体制はでき上がらないんじゃないかと思うんです。  この点は、今言うように各省庁連絡会議をやってこのようなものをつくり上げ、将来構想をということになっておるわけでありますけれども、インフラの体制にやはりまだ一番問題が残っておるといたしますと、なかなか不可能だろうと思いますので、建設省の方はそうした点について十年を目途にどのように考えておられるか、お答えください。
  88. 藤本貴也

    ○藤本説明員 先生お話しの有明海沿岸道路でございますけれども、福岡県の大牟田市から佐賀県の鹿島市に至ります約六十キロの路線でございまして、地域高規格道路といたしまして整備を進めまず計画路線ということで、今現在指定されておるところでございます。また、この道路は、先生御指摘のとおり、福岡、佐賀、有明海沿岸地域の活性化にとって非常に重要な道路というふうに我々も考えております。  このうちの、先ほどお話がございました大牟田市から高田町間の約九キロでございますけれども、これは平成八年八月に調査区間として指定をさせていただいたわけでございまして、現在、先ほどお話がありました整備が進められております主要地方道の南関手鎌線、これと一体になりまして、重要港湾の三池港から九州縦貫自動車道の南関インターへのアクセス道路となるというような非常に重要な道路だというふうに我々も考えております。  本区間につきまして整備区間の指定はいつごろか、こういうことでございますけれども、まずその前提として都市計画決定をする必要があるということで、現在、概略ルートの構造や検討、それから環境基礎調査、そういうふうなものを進めておるところでございまして、今後とも積極的にその調査を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  89. 中西績介

    中西(績)委員 調査だけで終わったんじゃ困りますので、十年に向けてどのように、さっき申し上げたように整備区間指定がされるかどうかというこの見通しですよ、この点について答えてください。
  90. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 明快に答えてください。
  91. 藤本貴也

    ○藤本説明員 十年度に整備区間に指定されるかどうか、こういうお話でございます。  現時点で、まだ先のことでございますので、我々としてもまだ何とも申しようがないわけでございますけれども、非常に今の財政事情も厳しいというようなこともございまして、いずれにしましても、整備区間指定の前提条件になるのが都市計画決定ということになりますので、まずそちらを急ぐということで、できるだけ早く整備区間に指定できるように進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  92. 中西績介

    中西(績)委員 それだったらもう聞く必要なかったんですよ、それはやっているんですから。さっき申し上げたように、少なくとも各省庁連絡会議に出てきていただいて、そうした問題の重要性というものをどのように把握するかというのがこれから後の問題だろうと思うんですね。財政的厳しさがあるということはもう十分わかっています。ですから、その中でどこを重点的にやるかという選択がこれからの行政の中における問題だろうと私は思っています。したがって、そうした点について、ここではもうお答えいただきませんけれども、特に重要視していただくということを提言を申し上げておきます。  そこで、時間がございませんが、これ一点だけお聞きしたいと思うんですけれども、雇用問題であります。  先般四月二十三日にまとめられた中で、最も緊急対策が必要なものとしてこの雇用対策があって、労働大臣は再三にわたって三井企業との関係等についても要請されたし、御努力いただいたということは十分承知いたしております。  そこで、先ほどもちょっと出たんですが、再就職は百三十九人です。ところが、今雇用活動状況の中で出てまいりました内容を見ますと、三井グループが一応押さえたと思われるものが七百九十七人あるといたしますと、この率は極めて低いですね。ですから、この七百九十七人の中に百三十九人、これは地域的にどのようになっておるかということがわかれば、この点だけちょっとお答えください。
  93. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 これまでの離職者の再就職の状況、トータルで百二十九名再就職をされているわけでございます。再就職された方の地域別を見ますと、地元の大牟田、荒尾地区、ここで八十七名、それからそれ以外の福岡県内が二十八名、熊本県内が九名、残り十五名が県外、こういうことになっております。  ちなみに、三井グループあるいは三井鉱山グループで確保した受け皿求人、ここへ就職をした者の数は、合計で二十八名ということでございます。
  94. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、三井グループなりが努力をした努力をした、そして三千名をはるかに超えたとか三千五百五十八名になったということを言いますけれども、当初からずっと私が指摘しておりますように、実際に今再就職できておる人たち、その中身をずっと分析をしていきますと、三井グループがこれに当たったというものが非常にやはり少ないわけですよ。  ですから、こうした状況をどのように打開していくかということで、今度は行政側が、今職業訓練校のいろんな問題だとかこういう措置をされています。聞くところでは、入校しているのが八十八名で、百四十二人がこれから入校を予定されておると言いますけれども、まだ残り、不安定な状況にある人がたくさんおるわけであります。  したがって、私は、この地域において、しかも近隣地域に就職できた人は百二十四名しかいないわけでありますから、こうしたことを考え合わせていきますと、そのパーセントは非常に低い。このもらった資料を全部精査いたしましたけれども、そうした点がこれからの大きな課題だろうと私は思っています。したがって、ぜひこれから後の行政としての対策、そして企業に対する指導というのはこれからどうなさっていくのか、この点について最後にお聞かせください。
  95. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先ほどもここでお話をいたしましたが、やはり三井グループそのものの開拓の数というのは量も質も、必ずしも私は十分なものだと思っておりません。したがって、再三再四にわたりましてお目にかかり、あるいは人を介する等いたしまして、両社長のみならず三井グループの中枢部に話をいたしております。  だがしかし先生、三井グループのところでわずかこれだけしか就職できなかった、あとは行政が頑張ったんだということで、私どもは、今この方向で大いに努力をすれば活路が開けるのではないか。  そのためにも、きょう島津先生からお話がありました。こういうコース、こういうコース、こういうコース、三井のあの坑内にショベルカーやら何やらの訓練もさせていただくということでありましたが、やはり訓練によって新しい技能を身につけていただいて、新たな天地で働くというようなことを中心にして、これからもひとつ一人でも多く可及的速やかに楽しい職場生活、家庭生活が営めるような方向で頑張ってまいりたい。  先ほど島津先生からお話のあった、かつ、うちの政府委員からお話をいたしましたが、どんなふうな要望で、今現に準備をしているコースで満たせられないか、あるいは順番待ちだというお話もあったようでありますので、また見に行ってまいりたい、かように存じております。
  96. 中西績介

    中西(績)委員 以上で終わりますが、通産大臣にも、これから後、土地の問題だとかいろいろな問題等がまだまだ残っておるようでありますから、これらの問題等につきましても十分企業を御指導いただければと思っています。  終わります。ありがとうございました。
  97. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 これにて午前中の質疑は終わります。  両大臣を初め政府委員の皆さん、大変ありがとうございました。  午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ────◇─────     午後二時一分開議
  98. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を続けます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として財団法人日本エネルギー経済研究所理事長生田豊朗さん、九州大学工学部資源工学科教授内野健一さん、慶應義塾大学経済学部教授深海博明さん、以上三名の方々出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  100. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人の方々には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、各参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、次に委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得て御発言を願います。御発言は着席のままでも結構でございます。また、衆議院規則の規定により、参考人の方々委員に対し質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  それでは、参考人の御意見の開陳をお願いいたします。まず、生田参考人にお願いいたします。
  101. 生田豊朗

    ○生田参考人 日本エネルギー経済研究所の生田でございます。  本日は、この委員会にお招きをいただきまして、意見を申し述べる機会を与えていただきましたことに厚く御礼を申し上げます。時間がございませんので、簡単に要点だけ御報告をさせていただきたいと思います。  石炭というエネルギーでございますけれども、これはもう申し上げるまでもなく、エネルギー全体の基幹と申しましょうか、基本的な、大変重要なエネルギーでございます。これは世界歴史をひもといてみますと、十八世紀から十九世紀初頭にかけましていわゆる産業革命世界的に進行いたしまして、この産業革命が現在の世界状況、特に経済、エネルギーなどの情勢につきましては大きく影響をしてきているわけでございます。  特に、石炭につきましては、かなり歴史の古いエネルギーでございまして、歴史の専門の学者のお書きになったものを見てまいりますと、例えばローマ時代に既に石炭が発見されて、使おうと思えば使えたのだというような記述がございます。  それがなぜ実際に実用化されてきますのに時間が経過したかと申しますと、やはり経済性に問題があった。そのころの経済性は、最近私どもあるいは先生方が当面していらっしゃいますような状況とはかなり違うことでございまして、その歴史学者の説によりますと、当時は奴隷がたくさん使われていた、人間エネルギーでございますが、その奴隷のコストの方が石炭コストよりも安いので、奴隷を使って石炭の利用が後回しになった。事実がそのとおりであるかどうかは存じませんけれども、一つの興味ある記述だと考えております。  その後、世界経済が発展するに従いまして、エネルギーの需要もふえる。そういたしますと、やはりまず基幹エネルギーとして使われるのが石炭でございまして、これが先ほど申しましたような産業革命エネルギー面での基盤になったわけでございます。石炭エネルギーとして活用、利用できるようになりましてから、世界経済は産業革命というステップを越えまして発展を続けてきたわけでございまして、もしも石炭の利用がなければ、世界経済の状況は今とはかなり違ったものであったかもしれないという感じがいたします。  そういうことでございまして、石炭エネルギーの中心的な存在であるという時代がかなり長く続いたのでございますけれども、それが変わりましたのが、昭和四十八年、昭和五十四年と二回続けて起きました、いわゆる石油ショックでございます。その石油ショックによりまして、石油価格が以前の三倍ないし四倍に上昇した。その影響がいまだに世界経済、特に日本におきましては強く残っているわけでございます。  その石油ショックの前の時代を考えてみますと、これは明らかに石油時代だったわけであります。これは第二次大戦の終わりごろ、アメリカの石油資本がペルシャ湾、今で申しますとサウジアラビア、バハレーンのような地域でございますが、そこの石油資源の開発に成功いたしまして、コストの安い、従って価格も安く販売できるような石油というエネルギー世界経済を押し上げるようなことになったわけでございます。  それに反比例をいたしまして、今申しましたような形でそれまで世界エネルギーの中枢であった石炭が、石油との競争に敗れまして、徐々にそのシェアを減らしてきたということでございます。これは特段、各国の政府なりあるいは民間産業が、意識的にいろいろの補助手段、例えば補助金その他を使いまして石油の利用を促進したということでは必ずしもございません。むしろ、世界エネルギーマーケットにおける価格を中心にした競争力におきまして、石油が大変強い力を持っていた。それで、経済的な競争力で若干おくれておりました石炭にかわって石油時代があらわれたということでございます。  日本経済も、御案内の高度成長の基盤、これはいろいろなファクターがあるわけでございますが、その中でのエネルギー面での高度成長を支えた基盤、これはやはり石油の消費がふえたからだと申し上げてよろしいかと思います。日本の場合は、徹底的に経済競争、市場原理を貫徹いたしましたので、その政策の方向に対応いたしまして、石油のシェアがふえてきたわけでございますけれども、石炭はそれに反比例をいたしまして、さっき申しましたように、そのシェアを徐々に失ってきたわけでございます。  それが一転して情勢が変わりましたのが、二度続いて起きました石油ショックでございますし、その石油ショックによって石油価格がそれ以前の三倍ないし四倍に上昇したということは、当然の帰結といたしまして、石炭価格競争力に対して石油価格競争力が余り優位性を保てないような状況になったということでございます。  それと同時に、エネルギーにとって最も基本的な課題でございます供給の安定性、いわゆるセキュリティーでございますが、そのセキュリティーの面につきましても、石油にいろいろの問題が出てきたわけでございます。  申すまでもなく、世界石油資源の大半がペルシャ湾の沿岸に集中しておりますし、それに対応しまして、ペルシャ湾の周辺で何事か、非経済的な問題でございましても、例えば戦争とか革命その他でございますが、そういう状況が発生いたしますと、それがすぐに石油供給の不安定さにつながってくるということでございまして、これはもう私がくどくどと申し上げるよりも、その二度の石油ショックの当時を思い出していただきますとそれで十分だと考えております。  したがいまして、その二度の石油ショックを経過いたしました後の時代は、私は自分なりに複合エネルギー時代と言っているわけでございますけれども、いろいろなエネルギーの組み合わせによって、総合的に効率を高めていくという方向に政策が変わってきたわけでございます。  例えば、石油依存度が余り高くなりますと、これは先ほど申しましたような情勢を考えまして、ペルシャ湾からの供給の不安定さ、これを何とか改善をいたしませんと、エネルギー全体の供給不足にもつながりかねないということでございます。その他、価格面の問題あるいは品質面の問題、さらに、最近の課題といたしまして地球環境問題との関連、いろいろな問題が発生してきているわけでございまして、石油ショックの後、これから先、来世紀にかけても同じような状況が続くと考えられるわけでございます。  これからの時代は、かつての産業革命を実際に推進しました石炭、それから第二次世界大戦後の世界エネルギー供給をスムーズにした石油という、かつて石炭あるいは石油と申しますような単一のエネルギーが全体のエネルギー供給あるいは需要を形成してきたということに対しまして、第一次、第二次石油ショック以後の情勢は、一つエネルギーに依存するのではなくて、幾つかのエネルギーの組み合わせによって問題の解決を図っていく。  問題の解決と申しますのは、先ほどから申し上げておりますような供給の安定性あるいは経済的な競争力、技術の問題、環境対策、そういう幾つかの政策目標でございます。その中で、石油は今後ともかなり大きなシェアを続けることにならざるを得ないと思います。それに対して、一度は石油との競争に敗れた石炭、これがまた見直されまして、各国におきまして、石炭の利用、しかも環境問題との関連を考えますと、いわゆるクリーンエナジー、クリーンコールという、環境への影響をミニマムにするような形での石炭の利用、これも各国で非常に努力を重ねて研究開発その他が進められてきているわけでございます。  日本の場合も同様でございまして、日本の場合、いわゆる一次エネルギーの中で石炭が最大のシェアを持っていた、いわゆる日本における石炭時代でございますが、このシェアを持っていたのは昭和三十七年前後がピークでございまして、それから先は年を追って石炭のシェアが縮小し、石油のシェアがふえてきまして、日本流の石油時代がそこに展開されてきたわけでございます。  したがいまして、これからのいわゆる複合エネルギー時代を考えてみますと、石油のほかに石炭、天然ガスあるいは原子力、それから将来の課題といたしまして、いわゆるソーラーエネルギー、新エネルギーでございますが、これを活用するというようなこと、そういう形でのいろいろなエネルギーの組み合わせ、ベストミックスと私ども言っているわけでございますが、組み合わせによって最大限の効率の確保を図っていく、それによって、日本全体として、あるいは日本の国民全般を対象にして考えられますような有効なエネルギー政策が築かれていくということになってきているわけでございます。  そういうことで、改めて申し上げるまでもないことではございますけれども、石炭がまた見直されてきている、これは明らかな事実でございます。ただ、それと日本国内石炭資源をいかにして維持し、あるいは有効に活用していくかという問題は、政策課題といたしまして若干のずれがあるわけでございます。  特に日本の場合、石炭資源の賦存の状況が、競争力という観点から眺めてみますと、非常に不利な、あるいは問題の多い形でございますので、日本国内生産されます石炭価格は、その高コストを反映いたしまして、どうしても高くならざるを得ない。一方で輸入炭との比較を試みてみますと、最近の状況におきましては、輸入炭国内炭との価格差が二倍あるいは三倍程度という国内炭の非常な割高さがそこに大きな問題点として出てくるわけでございます。  したがいまして、結論を急ぎまして申しわけございませんけれども、石炭をめぐるエネルギー政策の課題といたしましては、セキュリティーから始まって環境問題に至りますような政策課題に対して石炭をどういう位置づけにすればいいのか、あるいはどういう対策によって石炭の有効利用あるいは供給の安全保障が可能になってくるのか、そういうことでございますので、石炭対策といたしましてもいろいろ難しい問題が派生し、それを解決していかなければいけないと考えられますし、ほかのエネルギーとの問題点の比較などにつきましても、従来よりはさらに細かく内部に立ち入ったような検討、開発が進められなければいけないと思います。  そういうことで、第二次石油ショック以後最近まで、一応エネルギー問題は中間的な安定の状態で今日に至っているわけでございますけれども、これから先二十一世紀にかけまして、世界経済の中で特に日本経済が順調に発展していくためには、エネルギー面でどういう裏づけをしたらいいのか、その中での石炭の役割をどう考えたらいいのか、ここがやはり石炭政策の問題の焦点ではなかろうかと考えております。  まだいろいろ申し上げたいことがございますけれども、また後まど、お尋ねをいただいて、お答えさせていただきたいと思います。
  102. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 どうもありがとうございました。  それでは、次に、内野参考人にお願いいたします。
  103. 内野健一

    ○内野参考人 本日、石炭対策特別委員会におきまして、参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、大変光栄に存じます。国内炭鉱を保有することの意義と我が国炭鉱技術の評価について意見を申し上げます。  三井三池炭鉱閉山いたしまして、国内には太平洋炭硬釧路鉱業所と松島炭鉱池島鉱業所の二山となりましたが、この二山とも依然として厳しい状況に置かれ、石炭鉱業審議会等におきましても、この問題についての議論が開始されたところでございます。  これらの問題について論じる前に、まず、その背景、すなわちエネルギーに関する現状と将来について簡単に触れておきたいと存じます。  最初に、我が国エネルギーに関する状況を見ますと、第一に、我が国エネルギー需給構造は依然として脆弱なままであることを挙げなければなりません。準国産とされる原子力が実質的には輸入によるものであることを考慮いたしますと、輸入依存率は九六%であります。  また、エネルギー需要量は確実に増加しておりまして、一九九四年度の一次エネルギーの消費量が、石油換算で五億七千七百万キロリットルでありましたものが、二〇一〇年度には、低く見積もっても一〇%増の六億三千五百万キロリットルに達し、その中で石炭は一五・四%の一億三千四百万トンの需要があるものと予想されておりまして、我が国においてもその重要性は確実に増加していくのであります。  第二に、経済発展の著しい開発途上国のエネルギー需要が急速に増加しており、二〇二〇年には途上国は世界の全エネルギーの需要の約六〇%を占めるものと予測されていることであります。特に、中国を初めとする東アジアの石炭の需要も急増し、石炭大国の中国でさえ、二〇〇〇年には年間四千ないし五千万トンの石炭を輸入することになろうとの見通しもあります。  すなわち、石炭需給関係がタイトになる可能性が十分にあるということでございます。これまで我が国では、石炭の輸入先が政治的に比較的安定しているということだけでほとんど考慮されなかったセキュリティーの問題としての石炭安定供給について、全く別の理由から石炭対策が講じられなければならない状態に立ち至っていると言うことができると思われます。  第三に、幾つかの技術的根拠から、世界石油供給能力がこれから三十ないし四十年後に最大値を迎えまして、その後減少の一途をたどるであろうと予想されていることであります。極めて重要なエネルギー資源が明確な形で枯渇に向かうという、人類がこれまで経験したことがない大きな問題がほぼ五十年以内に発生する可能性があるということに対しては、多くの対策が必要であることは言うまでもありません。  まず、基本的には、現在世界の一次エネルギーのほぼ四〇%を供給しております石油の不足をカバーするのは何かということでありますが、これについては石炭と原子力しかなく、実際には確実性という点から石炭がより大きな役割を果たすであろうということは、多くの専門家の認めるところであります。すなわち、石炭は再びエネルギーの王座に返り咲くであろうというのであります。石油供給能力の陰りが近づけば、世界エネルギー市場は不安定となり、石炭需給状態も逼迫することは確実であります。この点からも、石炭確保のための方策を多くの面から検討する必要があります。  すなわち、これからの石炭対策は、これまでに考慮されたことのない、いわば資源の有限性が顕在化するという、エネルギー資源の根源的な問題に対する対策でもなければならないというふうに私は考えております。  以上、要するに我が国石炭対策は、新しい視点から国家としての長期的エネルギー戦略の中に位置づけられなければならないということであります。これほどに他国にエネルギー資源を依存して経済大国となった国は歴史上例を見ないと言われますが、もしそうであるとするならば、なすべき方法は過去の歴史には見出すことはできず、日本エネルギー資源戦略のあり方は、独自にこれを構築しなければならないことになろうと思います。  次に、我が国炭鉱の存在意義を技術的な角度から述べたいと思います。  御承知のとおり、池島、太平洋の二山は、合わせて年間、本年建三百三十万トンの生産を計画しておりますが、輸入炭との価格差が大きく、厳しい状況に置かれております。現在、このような経済ベースでの炭鉱の困難性のみが大きく報道され、そのため、次に述べますような国内炭鉱が果たしております、あるいはまたこれから果たすべき役割については、関係者以外にはほとんど知られていないのは極めて残念であります。  第一は、言うまでもなく貴重な国内資源の生産であります。このことは、生産それ自体の意義のほか、次項にも関係いたしますが、海外での開発を行うとき、自国にその基盤を有していることがいかに重要であるかについては多言を要しません。  第二には、技術基盤の維持についての貢献であります。すなわち、海外石炭開発、貿易業務、政府を含む関連機関における専門家の育成に寄与していることであります。現在、海外炭の輸入においても単純買炭は少なくなっており、実際には技術あるいは資本の協力によって開発し輸入する場合が多く、そのために必要な専門的知識を持つ人材の供給ベースとなっております。  このことに関連して、石炭にかかわる技術が、探査から始まり、採掘、輸送、利用、さらにはこれらのすべてのプロセスにおける環境へのインパクトという、技術の極めて広い分野を含むことを認識しておく必要があると思います。今日、既に商社においても、調査の段階からの資本参加なしには安定した取引ができないという状況になっており、現状のままではこのための人材が十年以内に不足する不安があるということが、その担当者から聞かれるようになっております。  石炭に関する業務には、他の輸入エネルギー同様、情報収集、分析が、先述の意味からも不可欠であります。OPEC諸国の最大の弱みは石油の需要と流通についての情報を持たないことであり、このため、依然としてメジャーに依存しなければ生産計画も立てられないと言われますが、輸入依存度の高い我が国においては、情報の収集、分析は石炭安定供給のための戦略構築のために決定的な重要性を持っておるものと考えます。  第三には、技術の国際協力のための役割であります。従来の国際協力は、ヒューマニズムに基づいて、高い技術レベルを有する国から低いレベルの国へという色彩が強かったと思われますが、最近では、例えば木材の輸入に伴う熱帯雨林の消滅の問題に見られますように、直接的な責任はなくとも結果として生じる被害等については、その防止対策について何らかの協力が要求される場合が多くなっているように思われます。  石炭調査生産力増強、開発についても、これらにかかわる人々の健康、生命あるいは環境にかかわる問題についての協力が、より強く要求されるのではないかと考えられます。我が国炭鉱は、これまでにも技術の国際交流に大きな役割を果たしてまいりましたが、今後、このような意味から、さらにその役割を果たし得るものが多いと考えるところであります。  第四には、新しい技術開発の場としての意義であります。現在、世界的に見ると、坑内掘り炭鉱からの出炭が全体の六〇%を占めているものと推定されますが、次第に坑内掘り炭鉱が増加し、また採掘レベル深度も確実に増しております。需要の増大と貿易の地球規模化は、競争力を高めるための生産性の向上を強く求めることとなり、急速に進展いたします情報化は、作業者の作業場の安全と環境改善への期待をさらに高めることになることは必至でございますが、このため高度な技術が要求され、我が国炭鉱の高い技術を利用した新しい技術開発は大きな意味と可能性を有するものと考えられます。  以上のように、まさに二十一世紀へ進もうといたしますときに、国内炭鉱の持つ意義については、単なる経済ベースからだけではなく、確実に到来する、これまでにない新しい変化を十分に考慮したエネルギー戦略の中でこれを考える必要があり、この意味から国内炭鉱の存続意義があるものと考える次第であります。  次に、我が国炭鉱技術の評価について述べたいと思います。  まず、炭鉱技術のあり方は、その国の自然条件に大きく影響されます。我が国石炭並びに周辺の地層は、主として次の三つの要因によって大きく影響されてきました。  その一つは、我が国石炭が大変若いことであります。つまり、他の多くの産炭国石炭が数億年前の古い時代に形成されたのに対し、我が国石炭は数千年前の新生代、古第三紀に形成され、一けた若い石炭であるということであります。第二には、激しい地殻変動を受け、地層が褶曲、断層などの多い複雑な地層になっていることであります。第三には、火山活動の影響であります。  これらのことから、ガス、水あるいは熱環境の問題が生じてまいります。加えて、岩石力学的にも、比較的弱い岩石が多く、また一様性に乏しく、地圧制御が容易でない等の特徴を有しております。さらに、三池もそうでございましたが、現在の二山はいずれも海底炭鉱で、坑口から遠く、広く展開した坑内で操業を行わなければならないという条件がございます。  このような特徴的な自然条件のもとに発展した我が国炭鉱技術の特徴は、生産保安の両面に関連した多くの事象を制御し、複雑な地質条件にフレキシブルに対応して高い生産性と安全レベルを確保し得る技術であるというふうに言うことができると思います。  具体的な例を挙げますと、既に世界的に高い評価を得ております、広い坑内全域を監視、制御する集中監視システムがございますが、これについては、さらに世界の産炭国に向けて展開可能な技術一つであると思います。また、二山において稼働中の採炭システムは、諸条件を考慮すれば世界のトップレベルにあると言ってよろしいと思います。釧路鉱業所におきましては、世界最長の斜坑が最新の機材を敷設し、順調に作動し、池島鉱業所におきましては、世界で最も速い、最高速度時速四十五ないし五十キロメートルの人車が走っておりますことは、最近の技術の展開を示すものとして紹介しておきたいと存じます。  最後に、これまで余り言及されることがございませんでした、特に保安についての管理、教育について申し上げたいと思います。  それは、過去の苦い事故を教訓といたしまして、日本炭鉱は、事故をなくすべく、ソフトとハードの両面にわたって懸命の努力を傾け、もはや日本炭鉱は最も危険な産業ではなくなっているのであります。この中で継続してこられた会社の内外における安全教育、管理システムあるいは行政サイドの監督機構その他の支援機構は、多くの経験と検討の結果であり、他の国への技術協力のみならず、他産業においてもその危機管理の参考になるものと考える次第でございます。  以上、国内炭鉱の存在意義と我が国炭鉱技術の評価について意見を申し述べました。  以上でございます。
  104. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 どうもありがとうございました。  次に、深海参考人にお願いいたします。
  105. 深海博明

    ○深海参考人 皆様のお手元に「石炭対策について」という一枚のレジュメが配られておりますので、この線に沿ってお話をしたいと思います。  二人の参考人と同様に、本日ここに招かれまして意見を述べさせていただくことを大変光栄に思っております。  それから、もう一つだけお断りをしたいと思うのですが、私、石炭問題についても興味を持って検討しているわけでございますが、石炭の専門家というよりは、エネルギー、資源あるいは環境経済学というような大きな立場から問題を考えていくというような方向で、今までこういった問題についてアプローチをしてまいりました。したがいまして、細かな問題について、石炭についてお話をすると同時に、先ほどの生田参考人と同じような意味で、石炭というものをどういうふうにエネルギー全体の中で位置づけ、あるいは今後の日本経済の発展の方向等々と位置づけて考えるべきか、そういった点に重点を置いてお話をしてみたいと思います。  このレジュメを見ていただきたいと思うのですが、専門の先生方に大変失礼だとは思うのですが、私、やはり石炭対策について、今もう決定的な転換期にある、しかも石炭石炭として考えるだけではなくて、総合的な判断あるいは評価をした上で、基本的な方向、選択方法が決められていくべきではないかということを強調させていただこうと思っている次第でございます。  そこで、(Ⅰ)のところでございますけれども、まず大きく石炭というものの位置づけをいたすといたしますと、石炭をめぐる全般的な状況というのが変わりっっあるのではないかということでございます。  一つは、これは世界的な合意になり、みんなが目指しているとは言えないわけですけれども、例えば一九九二年に行われましたいわゆる地球サミット、正確に言えばUNCEDですね、国連環境開発会議というようなところに象徴されておりますように、これからのエネルギーとかそういう問題を考える場合の基本的に目指すべきところは、地球全体あるいは世界全体のいわゆるサステナブルディベロプメント、要するに持続可能な発展だという、こういった議論というのが一方では行われているわけでございます。  ですから、環境と経済発展とが両立する、あるいは同時的に達成される。しかも②の、その定義、内容、要件というようなところを見ていただきますと、まず現世代内の公平、公正、ですから基本的な欲求が満たされないような人が途上国にもいないようにしたい。それから、将来世代と現世代との問題を考えたときに、現世代が貴重な資源を使い果たしてしまう、先ほど内野参考人からもそういう話が出てきたかと思うのですが、そうではない、世代間の公平、公正の問題がある。もう一方は、人類だけがいいのかというような意味での、人類と生態系というような形での大きな論議が展開されているわけでございます。  そう考えてみますと、やはり石炭というのも、持続可能な発展のためのエネルギーとしてどういうふうに位置づけることができるのか、これがまず基本ではないだろうかというふうに私は思えるわけですが、これは本質的な問題ですので、(2)のところに移りたいと思います。  通商産業省あるいは国としてこういった意味でどういうふうにアプローチしようとしているのかは、先生方が周知のことだとは思うのですが、いわゆるスリーEズの同時的な達成という意味で今アプローチが考えられている。いわば経済発展あるいは経済成長のEと、環境保全のEと、それからエネルギー需給安定あるいはエネルギーセキュリティー達成のE。こういう目標は相互に矛盾し合う可能性もあるわけでございますけれども、それらを総合的に解いていくという、そういった方向づけがされているのではなかろうか。  とりわけ、(2)の③のところを見ていただきますと、先生方よく御存じだとは思うのですが、日本が招致した形で、ことしの十二月に京都で気候変動枠組み条約の第三回締約国会議が開かれる。ここでは、第一回締約国会議で決められたベルリン・マンデートというのをどうするかという問題でございます。一つの基本的な問題は、そこにも書いてございますように、CO2を中心とするいわゆる地球温暖化、温室効果ガス、これを二〇〇〇年に一九九〇年のレベルに戻して、それ以降引き下げていこうという方向が一応は国際的に打ち出されている。  先週発表されました環境白書にも明示されておりますように、現状ではこの目標を達成することは不可能に近いということでありまして、そういったような意味で考えてみますと、いわばこういうスリーEズの達成というのは非常に困難である。しかし、何とかそういった目標をうまく達成していかなければならない、そういう目標値のもとに問題を考えていく必要性があるのではないか。  それから三番目。非常に大きな話で恐縮でございますが、(3)のところをごらんいただければ、現在の国の政策の基本方向というのを考えてみますと、石炭対策あるいはエネルギー対策にいわば順風が吹いているとは言えないのではないか、こういうことでございます。  一つは、巨額な財政赤字を削減しよう、財政構造改革というのが目指されているわけでございまして、いろいろな意味でも財政支出がカットされる。そうすると、例えば国内炭の重要性を考えて、それに対する、私どもが考えますと、最も望ましいのは生産補助金を与えるのが合理的だと思うのですが、そういう財政支援、財政支出に関して、むしろ制約要件が強まっているのではないかというふうに思われます。  それから②でございますが、今の主要な論点というか中心点はどういうことかというと、やはり経済構造を変えて日本経済を再活性化するということでございまして、規制緩和によって内外価格差是正、電力料金、特にエネルギー、電力、ガスあるいはガソリン価格等々を引き下げようというふうになっているわけでございます。そうしますと、いわゆる電力事業の一貫体制を分離して自由化して、それで電力料金の引き下げを求めているという状況下において、電力業者に対して高い国内炭を引き受けてくれということは、そういう要請があれば、それは難しいということになろうかと思います。  それからもう一つは、電力、ガスあるいはガソリンの料金が引き下げられたといたしますと、それがエネルギーの有効利用に対してプラスに作用するとは思えない。そうすると、先ほどのスリーEズの達成に対して逆効果が生ずるという可能性を、当然のこととして持っているわけでございます。  ですから、そういった大きな状況の中で石炭対策をどうすべきかということを考えるべきではないかというのが、〔Ⅰ〕で私が申し上げたいポイントでございます。〔Ⅱ〕のところをごらんいただきたいと思うのですが、今度は余り大きな話ではなくて、エネルギーとして石炭というのをどういうふうに位置づけてどう考えていくべきか。これについてはもう生田参考人が先ほど申されましたので、私はそのことは簡単にいたしますが、まず、(1)のところを見ていただきますと、生田参考人が言われたのは、私の整理でいえば、エネルギー革命の視点であります。  エネルギー革命とは何かというと、人類の主要エネルギー源の転換でございまして、先ほど既にお話がありましたように、第一次エネルギー革命というのは再生産可能な薪炭から石炭への転換が起こった。いつ起こったかとか、そういうことはもうここにデータ、日本等々も書いてあるので、それは省略いたします。  ですから、ここで私が申し上げたい点は、その意味でいえば、一八八〇年代あるいは日本では一九〇一年に石炭が第一位のエネルギー源となったというわけですね。ところがそこにとどまり得ずに、石炭は第二次エネルギー革命という形で、流体革命で石油に取ってかわられた。これが一九六〇年代、第一位のシェアを石油石炭から奪ったのは。世界とすると一九六七年、日本では六一年度でございます。  そういう形で、むしろ価格的な意味でもあるいは質的な意味でも、やはり固体エネルギーと流体エネルギーでは、ハンドリングであれその他処理であれ、圧倒的に質的に優位を持っているということでそういった変化が起こってきたというわけですね。それで第一次、第二次石油危機があり、それを契機として第三次エネルギー革命というので、石油から他の代替、新エネルギーへという形で転換が起こってきている。  そこで皆様方に強調しておきたい点は、一体エネルギーとして石炭を位置づけるとするとどうなるんだろうか、それが〔2〕のところでありまして、一つは、石油に対抗すると、石油代替エネルギーという意味で石炭の持つ意味は、内野先生が先ほどおっしゃったような意味で非常に重要だということが言えるわけですね。  ところが、CO2等々地球環境問題というようなこと、あるいはSOxNOxの問題等々で考えてみますと、化石燃料と非化石燃料という意味でいいますと、化石燃料で最もC部分が多いあるいはSOx、NOxの排出量が多いものだということになりまして、それから、最終的には持続可能なエネルギーという意味でいえば、枯渇性エネルギーじゃなくて、やはり再生可能なエネルギーに最終的には転換していくといたしますと、石炭は枯渇性エネルギーの中に入ってくる。  しかし、②で書いてございますように、石炭というものの特徴を考えてみますと、まずは究極埋蔵量というような点からいいますと、これは圧倒的に化石燃料の中では多い。しかも現在の確認埋蔵量と究極可採埋蔵量との比といいますか、それでいうと、今大体確認埋蔵量と言われておりますのは一〇%程度というふうに言われているわけですから、膨大な資源量を持っている。ですから、そういう点からいえば、石炭を再評価し利用していくことの必要性というのは確かにあるのではないかというふうに思うんですね。  そこで、今後の石炭対策はどうあるべきかということでございまして、(1)、(2)というところで御説明しようと思ったのですが、基本的には既に両参考人から話が出ておりますように、石炭というのを世界的な意味で見てみますと、例えばIEAのデータそれから将来展望で見れば、九三年に一次エネルギー供給の二八・四%、それで二〇〇〇年、二〇一〇年にも大体二七%から二八%、ですから同じようなシェアを持つ。それから、日本国内における長期展望といいますか、それでも、既に話が出ておりますように、九五年度一六・五%、それで二〇〇〇年、二〇一〇年というようなことですと、大体一五%から一六%、一七%というような、それくらいのシェアを占める重要なものである。  それからもう一つ言えますことは、世界エネルギー展望と日本、あわせてアジア・太平洋といいますか、身近なところ、ここで見てみますと、アジア地域というのは、他の地域石炭への依存度が二〇%であるのに対して四六%というような意味で、近隣のしかもこれから成長地域となる地域において非常に石炭の重要性があるんだというようなところを考慮して、どういうふうに石炭対策を進めていくのかということが一番のポイントではないかというふうに思われるわけでございます。  そこで、本来的な議論は、この大きな〔Ⅲ〕の(3)のところ、国内炭鉱の存続をめぐる検討、こういった点ではないかというふうに思われるわけでございまして、それで一つは、やはり経済性の問題というのを無視するわけにはいかない。ですから、国内炭鉱のコストがどれくらい削減できるのか、海外炭価格動向はどうなのか、こういう自助努力だけじゃなくて、為替レートの変化によって大幅に競争力が変わってくるわけでございますので、そういう要素を入れながら考えていく必要性がある。  しかし、単に経済性だけかというと、内野参考人がおっしゃった、③のところでございますけれども、国内炭技術が非常にすぐれている、あるいは技術保持のために国内炭鉱が必要であるかどうかというような、こういった問題も考えてみる必要性があるわけでございますし、最終的に考えれば、総合的に考えてみて、一体国内炭の意義が認められるとしたら、採用さるべき政策としてはどういうものがあるんだろうか。それで、それが先ほど大きな〔I〕で申し上げたような状況下において達成が可能かどうか、そういったものを皆様方で御判断いただいて最終的には決まっていくのではなかろうか。  石炭鉱業審議会といたしましても、きのう実は新しい形でスタートをしたわけでございますが、この石炭鉱業審議会政策それから経営需給価格それから技術というようなものの合同部会で、企画小委員会というものを形成いたしまして、こういった点を検討した上で、一年間の時間をかけて今後の方向を検討していこうというような形になったわけでございます。  最終的に私が申し上げたいのは、そういう検討を粛々と進めていって結論を得たいということでございますが、終わりに強調したいことは、やはり今申し上げたような意味で、大きく石炭を取り巻く状況、それからまた石炭に対する要請、特徴を考慮した上で、最終的には持続可能なエネルギーとして石炭を位置づけることができれば、これをいろいろな形で進めていくというような意味で、先ほど生田参考人からも出ましたような意味でのクリーン・コール・テクノロジー的な要素、それから未来の決定要因としての価格だけじゃなくて、環境要因、技術要因あるいは需給要因あるいはセキュリティー要因というようなものを総合的に判断して、やはりこういった今後の方向が決められるべきではないかというふうに考えているわけでございます。  ちょうど時間となりましたので、以上で終わらせていただきます。
  106. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  107. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺具能君。
  108. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 きょうはお三方の参考人には、大変お忙しい中を御出席いただきまして、また長年の研究成果に基づきまして、エッセンスを短時間の中でコンパクトにブリーフィングいただきまして、まことにありがとうございました。まずお礼を申し上げたいと思います。  これから先は、委員長、座って発言をさせていただきます。  私は、きょう参考人においでいただいたその背景は、我々が将来のエネルギー対策として石炭の位置づけをどう考えていくか、特に今国内に残っておる二つ炭鉱存続を念頭に置きながら、石炭日本における位置づけをどう考えるかということだろうと思います。そういう意味で幾つか質問をさせていただきます。  まず、石炭の位置づけを考えていく上で、今お三方のお話をお伺いして感じましたのは、我が国における鉱山技術といいますか技術の評価、日本技術の評価、これからの進歩あるいはその技術を維持していくことについてどう考えるかということが一つのポイントではないかというふうに思いましたので、この技術についてお伺いします。  このことについては内野参考人にお伺いをしたいと思います。まず内野参考人のお話をお伺いしますと、鉱山工学というのですか、鉱山工学というのは非常にローカリティーの高い学問ではないかという感じがしまして、日本はそういう意味では条件が非常に悪かった、それがかえって技術を育てたというふうな説明じゃなかったかと思います。私自身も、分野は違いますけれどもエンジニアで、私は港をつくるエンジニアなんですけれども、日本の場合は港をつくる条件が、軟弱地盤であるとか、改修条件が悪いので非常に技術が発達したという背景と似ているところがあって、非常に興味深く思ったわけです。  ただ、ローカリティーが高いということは別の問題点も含んでいるのではないか。つまり、マシーナリーとかあるいはケミカルエンジニアに比べて、ローカリティーが高いということは、日本技術をそのまま世界に持っていって果たして通用するだろうか。世界でも日本の鉱山技術というのは貴重なのかどうかということをまず一つお伺いしたい。  それから、この技術の今後の進歩について期待できるかどうか、特にコストダウンという意味で期待できるかどうか。特に我々は二つ炭鉱存続を念頭に置く場合に、このことは非常に気になることでありますので、お伺いしたいということです。  それから、今度は技術の維持という意味でお伺いさせていただきますが、技術というのは、私もエンジニアなので特にそう思うのですけれども、実際に技術を使う経験の場がなくなってくると維持は非常に難しいのではないかというふうに私は思うわけですが、この鉱山技術の場合、日本にそういう技術を使う場所がなくても、海外でそれを使えば日本技術が維持され、また発展していくのかどうか。  まず三つの点をお伺いしたいと思いますけれども、よろしくお願いします。
  109. 内野健一

    ○内野参考人 御質問ありがとうございました。お答え申し上げます。  三つの質問の要点があったと思います。  一つは、我が国炭鉱技術日本の地質条件が悪かったからこそ高度に発達したと思うがどうかという御質問でございましたが、そのとおりであると思います。先ほどの参考人としての私の意見陳述でも申し上げましたとおり、他の多くの国と異なり、非常に複雑な条件の中で生産性と安全性を高めてまいりました。  具体的に申し上げますと、現在の炭鉱の採掘方法というのは、大きな長方形を一つのパネルといたしまして、長方形の短い方の辺を採掘の切り羽といたしまして、その長辺に沿って採掘を進めていくという方式でございますが、短い方の切り羽の長さが、日本の場合は百メーターないし百五十メーターというのが一番多うございます。  一方、他は恵まれた条件のところが多うございまして、そういうところでは、その長さが二百五十ないし一二百メーターと、ほぼ倍の長さに等しい。もっと長いところもございますが、倍以上の長さを持ち、かつまた長辺に相当いたします採掘を続けていきます長さも、日本が統計的には五、六百メーターというのが多いのに比べ、向こうは一キロ、二キロ、三キロというような長さがとれるというような、極めて恵まれたところである。そういう中におきまして、我が国技術が育っていったわけでございます。  一つのデータでございますが、一人一年当たりの採掘の量のデータがございますので申し上げますと、英国で一人一年当たり二千四百三トン、ドイツ八百八十九トン、日本で千六百二十トンという数字がございます。これですべてがあらわされているとは思いませんが、その技術の一端を御理解願えようかと思います。  それから二点目は、今後技術の進歩があり得るのか、そしてそれがコストダウンにつながるかという御質問でございましたが、二つの点でお答えをしたいと思います。  一つの点は、最近の両山の努力の実績でございますが、人員削減という点で、太平洋炭鉱が、この十年間、四四%の減少を見ております。それから、松島炭鉱におきましては五一%の減少でございます。また、この十年間、生産性の向上でございますが、一人一月当たりの生産量が、太平洋は九十四トンから百六十四トンという増加でございます。それから松島炭鉱は、十年前は一人一月当たり八十四トンでございましたが、これが現在は百八十六トンという、倍以上の生産性の向上を見ております。  二点目のお答えは、今後の可能性でございますが、私見を申し上げれば、採炭切り羽の大型化。つまり、一つの作業場からの生産量を上げるために大型化する、パワーアップをするということ。それから、集約化。いわゆる分散した切り羽を少数かつ近接した区域に設けて運搬等の効率を高めるということ。あるいは、坑道を掘り進み、採炭に先立って展開が必要ですが、そういう掘進作業の改善。あるいはまた、人車あるいは運搬のための炭車の高速化。さらにはまた、坑内構造の合理化。不要な坑道を整理して重要なところだけにするという合理化等の技術の進歩によりまして、コストダウンは可能であると考えております。  三点目は、この技術をどうやって維持していくかという御質問であったと思います。これについては、現在は、海外においてもこの維持は可能ではないかという意見があることは私も存じております。私の結論は、現在のこの高度な技術を維持していくためには、国内炭鉱を保有することが必要であるということでございます。  その理由は、海外炭鉱におきまして技術を維持するというときには、今まで国内でやってきておりますすべてのことが海外で行われ得るという必要がございますが、海外での炭鉱をやりますときには、作業員は、これは当然のことでございましょうが、現地の作業員を使う必要がある。でありますと、日本人がすべての作業において国内と同じように経験をし得るということは、現実には非常に難しい。このことが一番大きな理由ではなかろうかと思います。  また、関連のいろいろな企業あるいは官庁といろいろな接触をするということになりますと、そういう中でオーバーオールといいますか、全般的な経験をするということ、あるいは全体としての技術の維持をするというのはかなり困難が予想されるということで、私は、でき得る限り国内炭鉱を適正な形で維持して、その中で技術を保持していくということが大切なことであろうと考えております。  以上でございます。
  110. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 ありがとうございました。  それでは、次に、いわば問題の核心に触れるところかもしれませんが、今後エネルギー需給の中で石炭にどういう期待をしていくかというあたりの質問をさせていただきたいと思います。  これは生田参考人にお伺いさせていただきたいと思いますが、今石炭エネルギーの割合でいけば一五、六%程度ではないかと思いますけれども、将来に向かってこれをどういうふうに考えていくかというところであります。  将来に向けてもいろんな見通しが示されているわけでありますが、私は、この中で将来に対する期待は、主力としては石油石炭と原子力その他ということになろうかと思いますけれども、まず石油に対する見通しとしては、石油に関してはかなり長い歴史があって長い経験があるわけなんで、石油に関する見通しは、かなり高い精度で確からしいというふうに言えるのではないかというふうに思うわけです。  一方、やはり今後のエネルギー対策を考えるときに、一番可変するところ、どうもあやふやで、この辺がよくわからないのでわからないという原因を来しているのが、一つはやはり原子力だろうと思うのです。  きょう、原子力については余りお触れにならなかったわけでありますが、私は、原子力というものについて、実は先般科学技術委員会でも原子力の専門家の参考人に伺ったのですが、この原子力についてはかなり見通しが分かれているのですね。専門家でも、かなり期待できるという人と、そうではないという人がいるわけです。今の段階ではなかなか結論が出ないのだろうと私は思うのです。  そういうときに国としてどう考えていくかという場合、私は、エネルギー対策エネルギー確保をやはり安全率を持って考えていかなきゃいけない、確実に確保していかなきゃいけないというふうに思うわけです。そういう意味で、深海参考人がお話しになっていた複合エネルギー体系というのですか、やはりそういうことも、国家のエネルギー対策としての安全性から考えて、セキュリティーという話がありましたけれども、確実にエネルギーを確保していく意味でも、そういう面が非常に重要だというふうに思うわけです。  そこで、生田参考人に御意見を伺いたいのですが、私は、国家のエネルギー対策としては、今原子力については見方がいい場合と悪い場合があるので、楽観視する場合と危険視する場合があるので、やはりこれは危ない側に見ておいて、原子力はなかなかそうはいかないよという側に見ておいて、その上で石炭に対しての見方も考えていく必要があるのではないか。そして原子力に対して非常にうまくいった場合は、そこで国家の進路をスイッチして、それは多少そこでむだが出るかもしれないけれども、そこでスイッチをしてエネルギー対策というものをオペレートしていく必要があるのではないかというふうに私自身は思っているのですけれども、生田参考人、その辺の考え方について御意見をいただければと思います。
  111. 生田豊朗

    ○生田参考人 ただいまの御質問でございますけれども、一つ石炭の位置づけをどう考えるかということでございます。  先ほど私、最初の御報告の中でも触れた点でございますけれども、二度の石油ショックが発生いたしました。これは、申し上げるまでもなく、石油供給の相当の部分がペルシャ湾、いわゆる中東地域でございますが、そこに集中しているために起きたものだということでございますので、まずその点を解決する一つの手段といたしまして、全世界的に資源の存在がばらまかれている、散らばっております石炭への依存、これをふやしていった方が、石油ショックの経験に照らして、エネルギー安定供給を図る上にも一番合理的な方法であるというように思います。ですから、基本的にはやはりなるべく石炭の利用をふやしていくということが言えると思います。  ただ、その場合の問題といたしまして、特に大きいのは環境問題でございます。最近の環境問題の中心になっております地球温暖化のCO2発生の問題でございますけれども、これは、残念ながら単位当たりのCO2の発生量は石炭が一番高い。それに続きまして石油、天然ガス、原子力、新エネルギー、こういう順番になるわけでございますが、これを考えますと、まず、先ほども私触れさせていただきましたように、クリーン・コール・テクノロジー、環境に悪影響を与えないような石炭の利用方法、この技術開発をとにかく相当強く、しかも急いで進める必要があると考えます。  それからもう一つは、先生御指摘になりました原子力でございますけれども、これはただいま非常に難しい局面に立っていると申し上げてよろしいかと思います。特に我が国におきましても、昨年から最近にかけまして、研究開発段階とはいうもののかなり深刻な事故が発生している。私は、それによって原子力の平和利用の将来が閉ざされてしまうというふうには決して考えておりません。それは、やはり原子力におきましても、技術開発にもっと重点を置くことによって安全な原子力の開発利用が可能だと考えております。  それにいたしましても、特に日本の場合、原子力に対する認識が、いろいろの観点からほかの国と比べて複雑でございます。これは、日本は唯一の核爆弾の被爆国であるという基本的な問題から始まりまして、これから先の場合も、原子力の安全性の問題、これについてはまだ必ずしも国民全般に十分認識をされ、支持を受けているとは言いがたいと思います。  ただ、日本の原子力政策を含みます社会経済の一つの特徴といたしまして、例えばアメリカの原子力の状況を見ますと、ある原子力発電所の建設、原子炉の建設、これが相当程度まで進んでおりましても、そこで問題が出てくると計画全部をキャンセルしてしまうというような傾向がアメリカには多いわけでございますが、日本の場合はキャンセルということはよほどのことがないとございませんで、むしろ国民の納得を得ながら、あるいは支持を受けながら原子力を進めていくということになりますと、かなりのリードタイム、時間がかかるわけでございます。  例えば、エネルギーの長期需給見通しを見ましても、紀元二〇一〇年とか二〇三〇年、この時点におきましてはもっと原子力を利用できた方がほかの政策課題に照らして有利とは考えられますけれども、現実にそんなに早い建設が進み得るのかと考えますと、私は必ずしもそうは考えません。かなりの時間がかかるわけでございますし、特に現在の状況は、リードタイムが非常こ長く延びてしまいまして、ある電力会社が原子力発電所の建設に着手をした時点、それから建設された原子力発電所が運転を開始する、いわゆる運開でございますが、その時点まで二十年以上かかるわけでございます。  これは大変なことでありまして、アメリカのようにキャンセルされないからいいとはいうものの、ある時点、例えばさっきも申しました二〇一〇年、二〇三〇年というようなある時点をとってみますと、それまでに間に合わないということが現実の姿であろうかと思います。  そう申しましても、原子力は、特に環境問題との関係、CO2との関係で非常な優位性を持っておりますので、私はできるだけ原子力を進めるべきだとは思います。しかし、残念ながら、この現在のオフィシャルな見通しのラインまではなかなか到達できない。  それから、新エネルギーにつきましては、これはまだ将来のものでございまして、これから十分に政府を中心にして育成していけば、将来はエネルギー供給全体の中での相当な部分を新エネルギーによってカバーすることは不可能ではないと思いますが、すぐにはなかなかそこの段階までは行かれないと思いますので、これは将来の課題として残しておく。  そういうことで問題を絞ってまいりますと、石油石炭とのどちらをどう考えたらいいのかということでございまして、私は、石油の将来を考えますと、やはりペルシャ湾への依存度はなかなか下げられない。資源的にはペルシャ湾の沿岸だけではございませんで、将来は、中央アジアにまだ相当の石油資源があると言われておりますので、中央アジアの石油資源の開発をこれから国際協力を軸にいたしまして進めてまいりますと、資源的な限界というのは、私は石油の場合でもそれほど間近にはない。  しかし、将来にわたって問題がないのかというと、それはそうも言い切れないわけでございまして、やはり枯渇性の資源であることはいかんともしがたいわけでございますけれども、もうしばらく、まあ私は大体百年ぐらいもつだろうということを言っているわけでございますが、百年もちましても、百年後には減ってくるあるいは消耗してしまうわけでございますので、これも全く問題がないわけではございません。  石油もそういうことで、あとは環境対策の支持を得ながらできるだけ石炭を使っていくということでございますので、私は、やはり石炭を軸にして、それから石油も当然のことながらその確保に全力を傾けていく。それに原子力、これはできるだけやる。新エネルギー、これは将来の課題として進めていくというような組み合わせが、いわゆるベストミックスとして考えられるのではないかと考えております。
  112. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 ありがとうございました。  質疑時間がなくなっているのですが、もう一つだけ、せっかくの機会なので、深海参考人にお伺いしたいのです。  非常に石炭に頼らざるを得ないということになれば、これは日本では今五%しかないわけなので、輸入しなければいけないということになるわけですけれども、安定的に輸入する場合に、やはり開発輸入というものをやらなければいけないのかどうか。もうそんなことお構いなしに、お金さえあれば安定的に買えるのかどうか。そのあたりがやはり今後の我々が考える場合のポイントになろうかと思いますので、お尋ねさせていただきたいと思います。
  113. 深海博明

    ○深海参考人 それでは、時間がございますので、ごく簡単にいきたいと思うのです。  やはり先ほど来の議論との関連で申し上げますと、日本の場合、従来といいますか高度成長過程を通じては、いわゆる単純輸入というか、ほかの人たちが掘ったものを買ってくるということであったわけですが、これから将来の展望で、例えば世界石炭需給あるいはアジアの石炭需給がどうなるかというような意味で、いろいろ楽観論、悲観論等々はあることは事実ですけれども、先ほどのような国内炭の一部を除けば石炭はほとんどすべて海外から供給される、こういうことになりますと、先ほど内野参考人が言われたような技術的な意味で役に立つような形での技術協力、それから資本協力あるいは経営等々というようなものも含めて、やはり基本的には開発参加、あるいは日本がある程度国際的な石炭供給をふやす方向で貢献していくということが大変重要ではないかというふうに思うのですね。  その場合に、一つのポイントは、大変恐縮なのですが、財政赤字とかODAの削減とか、そういうようなことがあるといたしますと、従来のような形でODA中心とか経済協力中心でそういったものを展開していくというのがなかなか困難な状況が考えられてくるといたしますと、今先生がおっしゃったような意味で開発参加が必要ではあるのですが、具体的にそういうものをどういうふうに進めていったらいいのかということを改めて検討していく必要性があるのではないかというふうに感じますが、今先生がおっしゃっていたような点については、私は全くそのとおりだ、こういうふうに考えております。
  114. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 ありがとうございました。  本当はもっと伺いたいところがあるわけでございますが、時間がなくなりましたので、これで終わります。  今後とも、お三方の参考人におかれましてはいろいろまた御指導賜りますように、よろしすお願いいたします。ありがとうございました。
  115. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 以上で渡辺具能君の質疑を終わり  ます。  続きまして、山本幸三君。
  116. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 新進党の山本幸三でございます。  きょうは、お三方の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。私も、エネルギーはまだ素人でありますけれども、大変勉強になりまして、それを踏まえて御質問をさせていただきたいと思います。  後は座らせていただきます。  私は、基本的にエネルギー問題というのは、まさに日本の国家戦略の中で重要な位置を占めるべきだと思うのですね。エネルギー戦略というものを持たないで、国家経営というのは成り立たない。  ところが、今もお話がありましたように、そのエネルギー戦略というものがいまだに我が国にない、はっきりしたものが確立していないというのは、大変情けない話だなという気がしてなりません。これから石炭鉱業審議会委員会を開いてエネルギーの見通しを審議し、そして石炭が必要なのかどうかということについてもやるんだなどと言っているというのは、全くだらしのない話だという気がしてならないわけでありまして、そういう意味で、本当にちょっとそら恐ろしいような気が今していたわけであります。  本当に石炭が必要なら、はっきりとこれは国家として維持するという決断をしなければ、これは太平洋炭鉱、松島炭鉱に働いている皆さん方、大変ですよ。そういう意味で、まだそれがしつかりしないというのは、一体政府は国家経営というのをどう考えているんだろうかという気がしてならないのです。  私は、一九七九年、第一回東京サミットが開かれましたときに、当時、まだ私は大蔵省の役人でおりましたけれども、サミットの事務方の責任者をやっておりまして、東京サミット、また一回目でしたから大変緊張したサミットでありました。  そのときに、前の一年間を含めて、世界じゅうを財務官のかばん持ちで回り、サミット準備会議出席し、そして七九年の東京サミットを迎えたわけでありますが、その直前に第二次石油危機が勃発して、一気に石油がまた四倍に上がって大変な状況になって、あの東京サミットは、まさに石油サミットと称された。石油の消費量をどうするか、石炭を含めた他のエネルギー資源に対する考え方をどうするかということを真剣に議論したのですね。  当時は大平内閣で、アメリカとフランスが組んで一夜にして方針が変わってしまったのですね。アメリカは、具体的な石油輸入量を約束することはしないと前の晩までは日本に約束していたのですが、一晩明けて、フランスのジスカールデスタンがカーターさんに詰め寄ったらすぐ翻意して、そして極めて厳しい石油輸入量を日本に押しつけてきて、大平政権はつぶれるか、つぶれないかというところまでいって、そしてぎりぎりの交渉をやって、日本の場合だけ一定の幅を持った石油輸入量というものを認めてもらって、何とか乗り切った。  そのときに、日本全国、まさに政官民挙げて、これは大変だという気になったのですね。そして、石油に依存しているばかりではとてもいけない、まさに石炭も見直さなきゃいかぬ、あるいはフランスがやっているように原子力にエネルギーを依存する方向に行くべきだというような話が出たり、石炭液化あるいは新エネルギーに真剣に取り組まなきゃいかぬということで、国を挙げて大騒ぎになったわけであります。  私は、そのときから、この事件を契機に我が国はまさにエネルギー戦略というものをちゃんと持って、そしてそれ以降のいかなる事態にも備えるものだろうと思っておりましたけれども、その後、私は役人をやめてしまったりしてこの政治の世界に入ったものですから、フォローしておりませんで、いざこの場に及んで振り返ってみると、あのときの熱気は一体何だったんだろうか。  原子力をやらなければいけませんよと、あのときに原子力反対なんて言った人はだれもいなかった、もうそれしかないという感じだったのですね。それから石炭についても、これはやはり必要だ、国内炭生産も大事にしなきゃいかぬ、あるいは技術開発をしなきゃいかぬ、カナダに行ってクリーンコールですか、そういうことの実験もやらなきゃいかぬ、それには予算はふんだんにつけろということでやっていたのです。  これがいつ消えてしまったのか私は知りませんが、今日振り返ってみると、熱気は吹っ飛んでしまって、またもとのもくあみに戻って、そしていまだに将来のエネルギー政策について何も決まっていない。こんな国家で本当にいいのかという気がしてなりません。  余り私のひとり言じゃいけませんので、御質問させていただきたいと思いますが、そこで問題は、将来的に我が国エネルギーはどういう戦略でいくのか。どの国だってエネルギー戦略を持っているわけですね。特にアメリカなんか激しい。  先ほどもある人の話を聞いておりましたけれども、湾岸戦争はなぜ起こったか。あれはアメリカのエネルギー政策、戦略の一環で起こした。つまり、米ソ冷戦が崩壊して、その後アメリカのメジャーを中心とするグループがペルシャ湾の石油資源の確保をしなければいけない。その石油資源を確保するためには、どうしてもサウジアラビアに常駐車を派遣しなければいけない。その常駐車を派遣するためにどうしたらいいか、近くで戦争が起こって中東諸国ではどうしようもないということがわかってきたら、アメリカ軍がそこに駐留する。そのシナリオのとおりにいったのじゃないですか。それぐらい考えてアメリカというのはエネルギー戦略をやってきた。  したがって、ペルシャ湾に依存して云々という今お話がありましたが、私は、それは心配していません。もはやアメリカははっきりとペルシャ湾の石油資源を確保した。サウジアラビアに常駐車を派遣して、アメリカにとってこの石油の確保において心配はないでしょう。私は、もはやそういう段階じゃなくなっている状況に今なっているというふうに思っています。  そこでお伺いしたいのは、問題は、将来石油石炭、原子力、これにどれだけ日本は依存するという方針を立てるのか。  それで気になりましたのは、生田参考人と内野参考人の御意見がちょっと違うのですね。内野参考人の御意見では、アジアを中心に発展途上国のエネルギー消費の状況を考えると、石油に対する依存を考えると、石油に対しては三、四十年ぐらいしかもたない、あとはやはり石炭に依存する方向に行かざるを得ないのじゃないかというようにかなりはっきり言明されたように思います。  それに対して、生田参考人の御意見は、ちょっとはっきりわからないのですが、先ほどの渡辺先生に対するお答えで、百年ぐらいもっとおっしゃったように思ったのですが、この辺は、生田参考人、内野参考人、どうでしょうか。
  117. 生田豊朗

    ○生田参考人 大変ややこしい御説明をしませんといけないので恐縮でございますが、今先生も御指摘になりましたような、石油埋蔵量が何年分あるかという問題でございます。  現在、普通に言われておりますのが四十年ちょっと分あるということでございますが、これは確認埋蔵量でございまして、究極可採埋蔵量といいます、つまり地球の上にどれだけ掘れる石油資源があるのかということとはちょっと違う基準の話だと思います。  私が百年ぐらいと言うのは、大変大ざつぱな話で恐縮でございますけれども、確認埋蔵量は四十年分であっても、将来的に、今後の技術の発展、開発などもあわせて考えますと、大体百年ぐらいは石油資源がなくなるということはないということを言っているわけでございます。  ただ、なくなることはないということと、開発され生産された石油資源がどのくらいのコストがかかり、どのくらいの価格で販売しないと採算がとれないのか、これはまた別の話でございますので、私は、資源の枯渇というのは、今申しましたように将来の課題だとは思いますけれども、コスト価格はこれから二十一世紀にかけましてじわじわと上がっていかざるを得ない、これは上がらないようにとめる方法というのは非常に難しいと思います。  したがいまして、石油の経済的な競争力はこれから先徐々に低下してくると思いますが、それにしても、石油というのは非常にすぐれたエネルギー資源でございますので、ある程度の競争力が確保できれば、石油に対する需要は、来世紀にかけましてかなり強く残ってくる。残ってきて、それがどこで供給されるかというと、当面はやはりペルシャ湾の沿岸であり、その次が先ほど申しましたような中央アジア、ここにもまだかなりの石油資源があると思います。  そういうことで、資源の限界という問題が近い将来我々の目の前にあらわれてくるという心配はまず要らないのではないかと思いますが、これまでのような、あらゆる面で競争力がすぐれていた石油のポジションというのは徐々に弱くなってくる、これは避けられないと思います。
  118. 内野健一

    ○内野参考人 お答えいたします。  結論を申し上げますと、実際は生田参考人の御意見と私の意見はそう大きく違わないと思います。  一般的にでございますが、何年もっか、何年あるかというようなときに一番よく、すぐ使われますのは、現在知られております埋蔵量を現在の使用消費量で割り算をして、R/Pとよく言いますが、リザーブのRをプロダクションのPで割ったただ単純なものでございます。  そうしますと、三十年前もあと三十年と言ったじゃないか、二十年前も三十年、まだ全然そのままじゃないかというようなお話が俗にございます。それは、今生田参考人もおっしゃいましたように、探査の結果だんだん確認埋蔵量はふえていくというのがございまして、実際ふえてきておるわけですね。  それで、今一つ現実にございますのは、昭和四十年代、四十五年から五十五年くらいにかけてでしょうか、中東に超巨大油田がたくさん発見されまして、それが世界石油を大きく供給したわけでございますが、現在は、超巨大油田、巨大油田の発見というのはほとんどないと言われておりまして、発見量のカーブが下がってきておるというのがございます。それが一つでございます。  私が三、四十年という数字を使いましたのは、石油供給能力といいますか、消費の予想のグラフを見ますと、こういうふうに山形に上っていきまして、現在はまだ世界の消費量というのはふえていっておりまして、ということは供給量もふえていっておるわけでございますが、そのカーブがピークを描きまして、それからほぼ上るのと同じ対称なカーブをずっと描きまして下がっていって、ついにはゼロになるということでございます。私が三、四十年と言いましたのは、そのピークになる位置が三、四十年先ではなかろうかという見通しをした技術的な論文が幾つかあるということでございまして、三、四十年でなくなるというわけではございません。  ピークが三、四十年以内に来るという、大ざっぱにいきますと、今から五十年くらい以内に来るのではないかという可能性がある。それで下がってまいりますので、それがゼロになるところはまだ先になるわけでございまして、今からいうと、それが七十年とか八十年とかあるいは百年、そうすると、生田参考人もおっしゃいました百年くらいはあるのじゃないかという話とかなり近くなってくるわけでございます。ある日に突然ゼロになるわけじゃございませんで、上っていって下がってくるという、そういう消費と申しますか、供給のカーブが描かれる。ピークとゼロになる果てのどちらを言うかで数字が変わってくるということだろうと思います。
  119. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 そうすると、供給曲線は今はずっと上っているけれども、三、四十年でピークアウトして、そこから後は下がるという形で考える。他方、消費、需要の方は、これは下がる可能性はないのだと思うのですね。むしろ、発展途上国がいよいよ経済成長をしていけば、より石油資源を需要するようになる。  そうすると、供給曲線が今一つの形で描かれていて、需要曲線があるのだけれども、これは上にシフトするということしかあり得ない。そうすると、これは将来価格は上がる。価格が上がるということにおいて、石油石炭の代替関係が変わってきて、今はまだ競争力上石油の方がいいけれども、三、四十年後くらいになるとむしろ石炭石油の競争条件というのはほぼ拮抗する、そういうふうに考えていいのですか。
  120. 内野健一

    ○内野参考人 そのあたりになりますと、私も定かに答えられるデータはございませんが、石油については大体そういうことが言われておるということでございまして、その辺で、やはり生田参考人の御意見のように、多様なエネルギー資源でその需要を賄うという時代が二十一世紀の姿ではなかろうかと私も感じております。
  121. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 生田参考人、今のような理解でよろしゅうございますか。
  122. 生田豊朗

    ○生田参考人 私が申し上げておりますことと今先生のおまとめになりましたこととはほとんど違いがないと思います。  ただ、将来の課題としましては、資源はあるけれどもコストの上昇は避けられない、したがって、価格が上がらないと採算がとれないことになるという点は間違いのない点だと思います。  したがいまして、価格が上昇してまいりますと、ほかのエネルギーとの価格面での競争条件がいろいろ変わってまいります。例えば石炭も、石炭石油との間のギャップ、これがかつては非常に大きかったのが、石油ショックのときに逆転をしたことがございます。現在また石油が安くなって、石炭が割高ということでございますが、これは、やはり石油価格の上昇に伴って石炭の競争力は徐々に回復をしてくる可能性があるというふうに考えます。
  123. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 そうすると、かなりイメージがはっきりしてきたのですが、要するに、今は競争力上石油の方が石炭よりも優位だけれども、いずれ三、四十年ぐらい後には、将来の需要の状況あるいは供給状況から考えて、価格競争力としても石炭とほぼ並ぶ。  そうすると、将来的なエネルギー戦略というのは、石油にどんどん頼っていくということだけの戦略をつくっていると逆にコスト的にだめになりますよ、むしろ石炭に再度かわるという、石炭よ、カムバックみたいな話になりますが、そういう状況になり得る。かなりその蓋然性は高い。そうであれば、これからやはりエネルギー戦略としてはそういう手を打っておかなければいけないと思うのですね。  その議論を深くする前に、渡辺先生が触れられたことで、私も同感で、確認しておきたいのですが、もう一つ、原子力というのがありますね。原子力は確かに安く、そしてCO2の排出も少ないということでクリーンエネルギーとなるわけですが、先ほども御指摘ありましたように、「もんじゅ」の事故とか東海村の事故が起こって、これをどんどん進めるという感じにはなっていない。  これも先ほど聞いた話でありますけれども、ここのところも、やはりエネルギー戦略というのはいろいろ裏であるらしいのですね。私は真偽を確かめたわけじゃありませんが、言われていることは、原子力、核実験反対と言って頑張っているグリーンピースなんというのは、バックはメジャーが金を出しているんだというのですね。つまり、原子力に行くよりは石油を使うようにした方がいいじゃないかという戦略だって働いている、そういう見方もあるわけですね。だから、それぐらいエネルギー戦略というのは裏では熾烈なことが行われている。  そんなこともありまして、原子力に対してはかなり反発も強い、そういう空気が醸成された、不幸な事故も起こったということで、長期エネルギー需給見通しを見ても、まさにベストミックスというようなことを予想してつくろうと思って考えてみても、原子力発電所は今から五十基追加しなければいけないのですね。それをもとにやっと何とか三つのEが同時達成できるというような見通しができているわけですけれども、これはもう現状においては不可能と私は思います。  そうであれば、渡辺先生が言われたように、やはり厳しいところの前提で議論しないと我が国エネルギー戦略は大変なことになる、そういうふうに思いますけれども、この点はどうですか。あと五十基、二〇一〇年までに追加しなきゃいけないということが本当に可能になると思われるかどうか。いかがでしょうか、生田参考人と内野参考人。
  124. 生田豊朗

    ○生田参考人 率直に申しまして、私は非常に難しいと思います。  一つは、先ほど申しましたように、原子力発電所の建設には長いリードタイムが必要でございますので、例えば紀元二〇一〇年といいますと、あともう十二、三年後でございますので、現在のリードタイムが二十年ぐらいということを考えましても、ほとんど勝負はついてしまっていると考えます。むしろ、これから原子力発電の容量を拡大していくのが可能であるとすれば、もうちょっと時間的に先の時点、例えば二〇三〇年とか、もっと先とか。そうでないと、現実問題として私は難しいと思います。  したがいまして、原子力発電の規模がこの長期見通しのラインよりも下回らざるを得ないといたしますと、それに対応してどういう問題が出てくるかと申しますと、一つは、石炭への志向は強まるかと思います。  ただ、この見通しの中では石炭の利用の規模はほとんど目いっぱいに見ておりますので、これからさらに石炭がシェアをふやすということはなかなか簡単にはいかないと思いますので、日本にとって非常にまずいことではありますけれども、その全体のツケといいましょうか、しわ寄せがどこで出てくるかというと、やはり石油依存度がまた上昇する。石油依存度が上昇する中で、ペルシャ湾依存度が上昇する。  そういう形で、エネルギー全体の需給のバランスはとれるけれども、これは、石油ショック以後営々として政府あるいは民間が努力してまいりましたエネルギー政策の基本から考えますと、大変に悲しいことだと言わざるを得ないと考えております。
  125. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 内野参考人はいかがですか、原子力の見通しについて。
  126. 内野健一

    ○内野参考人 原子力の方は私は専門ではございませんので、専門家としての定かな御返答をすることはできかねますけれども、それにいたしましても、諸般の事情を見ておりますと、長期見通しに盛られておりますような、今先生御指摘のようなああいう数の原発の新設というのは、現実にはなかなか難しいのではないかというふうに考えます。
  127. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 そうなりますと、選択の幅がだんだん限られてくるわけですね。  今、生田参考人が非常にわかりやすく御指摘いただいたのですが、恐らく原子力にこの見通しのとおり頼ることは難しい。新エネルギーというのも、もともとそれほど頼るような数字ではない。そうすると、天然ガスはもちろんありますが、やはり大宗は石炭石油かという話になる。しかし、このままほうっておくと石油に対する依存度が高まらざるを得ないことになる。  そこでお聞きしたいのですが、生田参考人が、今、石炭については目いっぱいということをおっしゃいましたが、これは、石炭の消費はこれ以上ふやすことができないということなんでしょうか。
  128. 生田豊朗

    ○生田参考人 これ以上できないと申しましょうか、石炭の利用、消費を拡大する分野あるいは用途も、もうほとんど最大限に見てこの数字をつくっておりますので、これ以上ふやすことは、不可能とは申しませんけれども、大変な努力を必要とすると考えております。
  129. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 そうなると、どうするのですかね。石炭はもう目いっぱいで、最大限この見通しの数字だとすると、石油に頼らざるを得ないことになる。  そうすると、何らかの条件を変えて、この構成を変えるしかない。つまり、石油を高くするか、あるいは、幾らお金がかかろうと、石炭国内炭をどんどん掘ってその穴を埋めていくということをやるかしかない。いずれにしても、コストを覚悟しないと日本エネルギー戦略は成り立たない。  そこで、やるべき点は何があるかというと、石油に対して石油関税というのはなくなるらしいのですが、では、石油の輸入量をとめるにはどうするのですかね。炭素税でもかけますかね。そういうことで石油の消費はとめる、そして経済成長の落ち込みも甘受する、そういう選択か、あるいは、コストの高いのは嫌だから、このままやはり石油の依存度は上げる、石炭はもちろん目いっぱい使えるにしてもそこにいかざるを得ない、これはどっちの選択になるんでしょうか、生田参考人。
  130. 生田豊朗

    ○生田参考人 先生に余り基本的な点を御報告させていただくのもいかがかと思いますが、私は、石油依存度を下げるにはどういう方法があるかと申しますと、今もお触れになりましたような、経済成長率を低目に持っていくということが第一だと思います。  それとあわせて、いわゆる省エネルギー、これも、政府も今回、国会に法案を提出しまして解決されたようでございますので、いろいろやっているわけでございますが、さらに一段と政策を強化いたしまして省エネルギーを進める。省エネルギーを進めるというのは、一定の経済成長率に対応するエネルギー消費をもっと小さくするということでございますので、これは、言うことは簡単でございますが実行はなかなか難しいと思います。しかし、ここを頑張るのが何と申しましても必要だと思います。  それからもう一つは、そうやって全体として圧縮されたエネルギー需要の中で石油以外のエネルギーの消費をふやしていくということでございまして、これが、さっき石炭については目いっぱいということを申し上げたんですが、原子力についても、その前に申し上げましたように、目いっぱい以上の数字がここに入っているわけでございますし、現実には、どうもその原子力が思うように進まないといたしますと、あと残された方法というのは、石炭あるいは天然ガスのような石油代替エネルギーの消費をより拡大するような政策を進めなければいけない。これは目いっぱいと言ったじゃないかというおしかりを受けるかもしれませんが、目いっぱい以上にふやすというのは大変難しいことではございますけれども、そこを頑張らざるを得ない。  そういうことで、省エネルギーと、それからいわゆる脱石油でございますが、これを目いっぱいやって、それでどうにか、いけるかどうかすれすれのところではないかと考えております。
  131. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 大体お考えはよくわかってまいりました。  最初に御紹介した第一回東京サミットのときも、まさに石油の輸入量を決めちゃって、とめちゃったわけですね。そうしたら、自動的に経済の調整メカニズムが働いて、ほかのエネルギーに対する需要が進んでそういうものの開発も進んだというようなことで、本気でエネルギー戦略というものを考えるならば、やはりそれぐらいのことを覚悟してやらないといけないし、それだけの戦略をきちっとやはり政府は持たなければいかぬだろうなというように思います。  ただ、私は、個人的には、経済成長を落とすことが本当に必要なのかどうかということにはちょっと疑問がありますけれども、そこのところは、この半年間に委員会の検討成果が出るということでありますけれども、やはり腹を据えて我が国エネルギー政策、戦略をどうするのかということをぜひ決めて、必要があれば国民に負担も求めざるを得ないというようにしていただきたいなと思います。  次に、日本石炭産業のあり方なんですが、そういう中で考えていくと、私は、もう結論ははっきりしているなという気がするんですね。つまり、長期的なエネルギー状況から考えると、石油にそれほど依存し続けるということはできない、そして、原子力も着実に進めなければいけないけれども簡単にふえるわけではない、そうであれば、石炭というのは非常に重要な日本エネルギー源である。  問題は、じゃ、石炭、これは経済原理からいえば輸入炭ということになるわけでありますけれども、しかし、先ほどおっしゃったエネルギーセキュリティー、そして技術の問題を考えると、将来何が起こるかわからないということも踏まえて考えれば、これはもう日本の残っている二つ炭鉱を維持するしかない、この覚悟を早く決めなければ関係者はたまったものじゃない、私はそういうふうに思います。そして、そのためには、どれだけお金がかかるか、どういうふうに負担するかということを議論すべき段階に来ているんじゃないかなというように思います。  その中で大変興味深いと思ったのは、深海先生が御指摘になった、そういう炭鉱を維持する場合のいいやり方は生産補助金だというようにおっしゃいましたが、何らかの形である産業を保護するという場合には、余り価格とか供給量とかいうことに介入しない方がいい、それはある程度市場メカニズムというものに任せて、しかし、それじゃ成り立たないわけですから、直接に生産者に補助金を与えて、そこで市場との差を得るようにした方が被害が少ない。これは私は、農業政策でもそう思っているんですが、そういうふうに思って、全くそのとおりだなという気がいたしましたけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか、深海先生。
  132. 深海博明

    ○深海参考人 今先生おっしゃったように、今おっしゃったような意義づけができて、国内炭鉱を保存しようということになるといたしますと、政策手段としては、先生がおっしゃったとおり、要するに市場価格メカニズムをゆがめない形で、しかも合理的に対応できるということだと、やはり生産補助金が大変いいんじゃないか、そういうふうに私は思うんですね。  それで、今先生から指摘がございましたように、今度の九七年度、二つ炭鉱国内炭をどれくらい供給するのかというと、三百三十万トンあるいは三百三十五万トンぐらいですね。それで、三百二十万トンで価格差が一万円ある、こうやりますと、三百三十億円ということになろうかと思うんですね。  ただ、問題は、三百三十万トンというのが実際に一九九七年度の全体の石炭供給の中でどれくらいのパーセンテージを占めるかというと、残念ながら、既に二%から三%ぐらい。それで、一次工エネルギー供給全体で占めるシェアというと、大体〇・四%から五%ぐらいということになっているので、いわば先生がおっしゃったような意味で、量的な意味でどれだけ供給増加に役立つかということは問題があろうかとは思うんです。先ほどのお話のように、これから石炭に頼らざるを得ない。それで、日本石炭技術が国際的な供給力増大あるいは国際的な技術面で非常に役に立つというようなことが明確化されるとすれば、今のような意味で国が対応していくということが望ましいのではないか。  なぜかといいますと、先ほどちょっと私申し上げたように、やはり電力事業者に対しては、できるだけ価格を下げろというような要請が来ているので、これを電力事業者にのみ負担させるというのは非常に難しいんじゃないかという感じがするわけでございますので、もし先生がそういう御判断であれば、国として、やはり基本的に対応していく、こういうふうな形でお進めになることが大変望ましいのではないかと、私は経済学者としてもそう思います。
  133. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 ありがとうございました。  その前段の日本石炭鉱業、あと二つですが、これは残すべきだ、これは内野先生、はっきりおっしゃったので、御賛同をいただけると思いますが、生田先生、いかがですか。
  134. 生田豊朗

    ○生田参考人 私は、今のような問題あるいはその解決策が簡単に実現するとは考えておりません。これはやはり、安全保障、セキュリティーの問題、特にエネルギーのセキュリティーの問題、これを全国民的に十分議論をしていただきまして、その結果として、国民一人一人に対する、今の先生のお話のようなアイデアでまいりますと税金ということになりますが、それだけ税収を拡大して、それをベースにして国内炭生産の維持を図るということ、それの妥当性とか、あるいはそれに対する合意、これが全国民的にできませんと非常に難しいと思います。  私も、日本国内炭鉱がゼロになってしまっても構わない、全部輸入すればいいじゃないか、それほど簡単には考えておりませんけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、その前段階として、やはりエネルギーのセキュリティーに関しましてもっと議論が展開され、それで国民の大半が賛成するという結論が出てからでないと、二つ炭鉱を補助金を出しても残すということにはなかなかいかないのではないかと私は考えております。
  135. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 住専ですったもんだしたとき六千八百五十億円、あれだけ出しておいて、三百億円か四百億円出せないとも思わないのですが、しかし、大事なことは、まさにそういうことが必要であると国民の理解が得られるような説得力のある答申が出るかどうかにかかっているわけですね。まさに、先生方にそういう説得力のある答申を出していただきたいなというように心から願う次第でありまして、今のいろいろな議論をさせていただいて、それは恐らく可能だろうという確信を持って、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  136. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 岩田順介君。
  137. 岩田順介

    ○岩田委員 民主党の岩田でございます。  きょうは、御多忙な中を時間を割いていただきまして当委員会に御出席をいただきましたことに、心から感謝を申し上げたいと思います。  今、お話を承っておりまして、これから先、日本の置かれた現状から、セキュリティーの観点、ないしは石油をどう見るかということについては極めて難しい状況に来ておりますが、なお一層の先生方の御示唆、御意見を賜るようにお願いをしたいと存じます。  座らせていただきたいと思います。  既にお話もございましたが、きのう石鉱審の小委員会の初会合があったと聞いております。半年くらいの間に一定の結論が出るだろうということになってございます。そこで、石炭歴史等を考えてみた場合に、政治の場におる者としても責任が重大だというふうに考えているわけであります。  幾つか私の今の認識を申し上げますと、例えば、これも議論がさまざまございましたが、我が国のこれからの石炭の需要というものを、鉄鋼などを除いて、火力発電だけを見ましても、平成十二年度までに開発計画がされておりますのが、今建設中が八つございますね。その中に百万キロワット級の発電が四基含まれております。それから着工準備中のものが四つございますが、百五万キロワットが二基ございます。あとは七十万、七十万で四基ですけれども、大変大規模になろうとしておりますね。  それから、そのほかに、中部電力などで百万キロワット級のものがそれぞれ二基ということ等を考えましても、相当需要の伸びというのは予測されるわけでありまして、これは、二十一世紀初頭には、大体一億五千万トンくらいになるのではないかという計算があるやにも聞いておるわけであります。  それから、その一億五千万トンの日本の需要に対して供給側がどうなるかということにつきましても、午前中も議論があったのでありますが、今は生産国であります中国も、やがて国内需要がふえて輸入国になるのではないかというお話も通産の方からございました。  オーストラリアからの輸入が日本は大変多いのでありますが、六〇%を超えておりますけれども、これが安定的に需給が確保されるかということについても、極めて不安定な状況になっているやに思いますね。つまり、これまでの多少集中的なオーストラリア炭の輸出に対して、分散傾向になっているということは既に御承知のとおりだろうというふうに思います。  そうしてまいりますと、アジアだけでなくて、石炭の産出国それから輸入国を含めまして、二十世紀を超えてそう長い間、あと四、五年先の安定的な見通しを持っている国は今ないのではないかというふうに私は思いますが、日本立場からしても、安定需給に非常に不安を抱かざるを得ないという状況がもう一方の認識でございます。  先ほど深海先生のお話にもございましたが、今でも一億トンを超えているわけでありまして、一億五千万トンというふうになりますと、三池がなくなった今日、残る二山の三百三十万トンの出炭量の比率というのは二ないし三%になっていくわけで、一億五千万トン中の三百三十万トンをどういうふうに見るのかということが、まさにこれから先、石鉱審の議論の中心であろうと思いますし、我々の責任でもあろう、こう思っているわけです。  これは深海先生にまずお伺いをしたいのでありますが、生田先生も先ほどおっしゃいましたけれども、国民の間で、セキュリティーの観点からエネルギーという問題が、さらには石炭の問題の意識というのがどれほどあるかというのは、これはとにかく恐ろしいばかりの状況ではないかというふうに思いますね。水や空気が自由になるように、それまでは考えていないにしても、電気やガスを使うときに、どれほど国民の皆さんが節約心を持っているかというと、なかなかそうではないというのは御承知のとおりであります。  生田先生がおっしゃいましたように、国民的なコンセンサスをどう得るのかというのはまさに重大だと思いますね。こういう委員会などでは集中的な議論がありまして、積極的な討論になるわけでありますけれども、残念ながら、石特委員会を常時やっているわけではありませんし、商工でもエネルギー問題を常時やっているというのは聞いておりません。それは我々の責任でもございますけれども、一体、国民の関心としてどう高めるのか、国民の関心が一体どうあるのか、石鉱審の議論の場でも大変焦点になっていくのではないかと思いますけれども、どういう御意見をお持ちであるか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  138. 深海博明

    ○深海参考人 今おっしゃっていただいた点は、大変重要なポイントだというふうに思います。  それで、企画小委員会議論というのは、今までの状況というのは、だんだん経済的な、いわゆる競争力とかそういう形で必然的に国内炭鉱が縮小化してきた。それで、残る炭鉱二つである。この段階で、先ほど内野参考人がおっしゃったような意味で考えてみますと、単純に経済的に引き合わないからすべて国内炭はもうやめようというのではなくて、もう一回基本的に、先ほどの技術の問題とかいろいろな面を含めて再検討、再評価した上で、そういう今後の方向づけをしてみたいという形で私どもの小委員会では議論を進めていく、まだきのうスタートしたばかりでございますので、四つのポイントからやっていこう、こういうことになっているわけでございます。  今御質問いただきました、それを超えて国民全体のエネルギー意識、とりわけ石炭に対する意識をどういうふうに持ってもらったらいいのかということについては、大変難しいのではないかというふうに思うのですね。  ちょっと私個人の話で恐縮でございますが、きょう実は私は、日吉で経済学部の学生たちに経済と環境という講義を一時間目にやってきたのです。そのときに、もう石炭は輸入していて、エネルギーは何か水と空気のようにあって入ってくる、そういう意識を学生たちは持って、しかも電力等々を浪費している。  それで、きょう、日本エネルギー歴史的な展開過程というのを私は講義したのです。そこのところで、ちょうどこの三月に三池閉山になったわけですけれども、三池炭鉱というのは日本の、あるいは三井財閥の発展を支えてきたということでありますし、実際に統計データを処理してみますと、一九二二年、大正十一年、大正十二年が大震災だったのですが、それまでは実は日本石炭の純輸出国で、例えば明治三十年、一八九七年の状況を見ておりますと、国内炭の四〇%は輸出向けであったのです。ですから、そういうような意味で、私は学生たちに、今の状況を見るだけではなくて、過去の日本エネルギーの変遷とかあるいは日本の経済発展を支えてきたものは何なのかというような話をしまして、そういう面でエネルギー政策とかあるいは石炭の問題をもう一度認識し直しなさいよというような講義を実は四、五百人の学生を前にしてきたのです。  ですから、そういう面でいうと、基本的な教育といいますか、そういうものから認識をしてもらい直すというようなことは重要だと思うのです。しかも、それでもせいぜい四、五百人の学生を対象にそういったものを一時間講義しただけでございますので、今おっしゃっていただいたような意味で、石炭に関する関心を持ってもらい、あるいは具体的に国民の認識を深めるということについては無力感を持っているのですが、できるだけこういう問題を発言し、あるいは特に若い人たちの教育から見直していくというようなことが重要ではないか、私はそう思っております。
  139. 岩田順介

    ○岩田委員 ありがとうございました。  内野先生から技術の問題全般にわたってお話しをいただきましたが、そのことも午前中若干議論になったところであります。技術を保有、持続しなければならないということから石炭を残すということではなくて、客観的に見て日本石炭技術というのは相当に優秀である、それを海外に移転するというか、国際的な貢献に資するという観点からも、やはり国内石炭というものは存続しておかなければならないというようなことが若干議論されたのです。  ところで、APECの中でも、日本から提唱して、石炭需給安定供給の問題、さらには技術の問題が議論されたやに聞いております。その中でもこれは出されておりますのでいいと思いますが、例えば中国状況です。中国、インドネシア、それからその他の東南アジア諸国との技術提携というか技術研修が、現地で行われたり日本に来られて行われたり、さまざまありますけれども、系統的でないとは言いませんけれども、そんなに大幅に行われているという印象を私は持たないのです。  例えば、中国炭鉱状況です。いわゆる国内炭鉱、国有重点炭鉱というふうに言うのだそうですが、現在のところ六百十四ある。これは露天が十四で坑内が六百。ですから、先ほどの議論にもありましたように、いわゆる露天掘り坑内掘りになる、しかもそれが深部にわたるということは当然のことです。中国でさえもそういう状況です。それから、地方国有炭鉱というのは千五百もあるという。それから、これは郷鎮炭鉱というのですか、いわゆる民間炭鉱が大体八万もあるということです。  私は筑豊出身でありまして、大手はきちんと掘ったのでしょうが、中小、小山の石炭の掘り方というのは、相当複雑に掘っていると思います。しかも、浅所陥没がいまだに累々としているところを見ると、浅く掘っています。三十メーターぐらいのところを掘っているのではないでしょうか。これらの私の経験からしますと、中国も系統的に石炭生産をしないと大変なことになるのではないかというふうに、素人ながら心配をするのであります。やがて、この中国でさえも輸入をしなければならぬということ。  災害の方の報告を見てみますと、大体一万人ぐらいが殉職をしているということになっていますが、これは相当大きいです。日本石炭技術の発展は、過去のガスや水によって犠牲になった方々の上にあるのだろうと思いますが、かつて相当多かった、石炭産業が一番多かったのですが、中国は一万人という、想像がつかないような数になっています。したがって、生産性も非常に低い。これは申し上げませんが、低いということになっています。  おっしゃいましたように、石炭技術というのは、いわゆる炭層の地質調査から生産技術生産全体と見ていいのでしょうけれども、とりわけ保安関係技術、それから掘進から選炭まで、輸送もありますが、いろいろな技術があります。さらに、クリーン・コール・テクノロジーというふうに言われましたような幅広い最近のテーマがございます。内野先生にお聞きしたいのですが、例えばドイツだとかイギリス等に比べてみて日本石炭技術の優秀性といいますか、優位性といいますか、評価について、もう一度お聞きをしたいと思います。
  140. 内野健一

    ○内野参考人 お答えいたします。  前半の御質問でございますが、日本技術が高いから残すべきだという意見に関することでございましたら、私も、ただ技術が高いから残しなさい、ここまで来たからもったいないから残せ、そういう議論は余り正当性がないように思われます。何かすべき重要なことがあるから、それに資するところ、それに不可欠のものであるから残すべきであるというのが正しいのだと思います。ですから、日本技術が高いから残せというのは私は余り賛成できません。  そうではなくて、先ほど申し上げましたように、いろいろな意味で日本技術というのは、日本エネルギーのセキュリティーといいますか、エネルギーの確保と申しますか、それに不可欠のものである、だからそれに資するところの基本になる、そのために必要なものであるから残すべき技術を維持すべきであるというふうに、私は自分のセオリーをつくっているわけでございます。  第二点目でございますが、いま一度日本技術の優秀さを、特にドイツ等と比較して述べよということでございました。それに関連して中国の問題に先生お触れになりましたが、私自身も以前、中国日本より平均して三十年ぐらい前の技術だという、大変乱暴でございますが、その当時の日本出炭量と死亡者の率から今の中国出炭量の比例をやりましたところ、年間の死者数が五千名という数字が出てまいりました。  先日、東京でのある会合のときこ、中国の事情に詳しい方がいろいろなデータを総合して類推された資料をお聞きしたことがあって、これはあくまでも間接的な推定だということでございましたが、それによりますと年間六千名ぐらいではなかろうかということでございました。先生、今一万人という数字を紹介されましたのですが、そういう類似と申しますか、数字は確かに出てくるようでございます。  それに関連してでございますが、具体例でございますが、先日、半年くらい前でしょうか、中国のある筋から日本と国連の担当部局に要請がございまして、先生御指摘の郷鎮炭鉱、いわゆる小さな炭鉱に非常に事故が多い、それは技術教育、技術の知識の不足によるところが多いので、ビデオ等を用いて、広い国でございますので、それを配布することによって保安の知識を向上させて事故の減少に役立てたい、そういった意味での協力の要請がございました。  そういうことからも御理解いただけようかと思いますが、現に向こうから、中国だけではございませんが、そういうところから日本保安技術技術供与あるいは移転の要請がございますということを申し上げておきたいと思います。  それから、日本技術を特にドイツと比較せよ、優秀性を述べよということでございました。  これについては、先ほど申し上げましたように、かなり条件がドイツと違うということをまず御理解いただきたいと思います。日本よりもドイツの方が条件が悪い点がございます。それは深度でございまして、ドイツの切り羽の平均深度は恐らく九百メートルと千メーターの間にあると思います。非常に深うございまして、それからくるいろいろな問題は、日本よりも厳しい問題を抱えている点もございます。  例えば坑内の熱環境の問題がございますが、投入いたしております機材のキャパシティーの大きさからくる、機械から放散される熱量及び周辺の岩盤から放散されるような熱によって非常に温度が高くなっておりますので、非常に大きなスケールの坑内冷房装置を投入いたしまして採掘を続けざるを得ない、そういう点があることのほかに、深うございますから、非常に大きな地圧と闘っていかなきゃいけない。あるいは炭層が比較的薄うございますので、石炭以外のボタと申しますか、いわゆる歩どまりが小さいと申しますか、そういう中で採炭をせざるを得ないという向こうの困難性もございます。  ですけれども、これも先ほど触れましたけれども、日本に比べますとやはり条件が一定しておるというのは強みでございまして、そういう理由から、切り羽の面長も二百二十、二百五十が平均の値でございます。かなり長いスパンがとれる。それで、一様な条件のもとですから、一度大型の機材を設置いたしますと、それで一様に長い距離採炭を続けられるということですね。  それからガス等の問題につきましても、多いように思われません。日本の問題は、ガスの問題水の問題、熱の問題、そういうものが共存するという問題がございますが、向こうはそういう共存する問題は余りございません。水の問題がございませんものですから、そういう点では余りないものですから、粉じんが浮遊して困るくらいのことでございます。  それで、やはり生産性と申しますか、そういうものを上げるという点では向こうの方がやりやすい。日本の方がやはり複雑な条件、先ほども申し上げましたように、摺曲、断層、そういったものの頻度が日本炭鉱においてドイツよりも高い等のことは言えようかと思います。  総括いたしまして、全般的に見まして、そういういろいろな自然条件はドイツの方がやはり恵まれている、相対的には日本の方が困難である、その中での技術という点では日本の方がすぐれていると言うこともできると思います。
  141. 岩田順介

    ○岩田委員 ありがとうございます。  時間が来て、生田先生に聞く時間がなくなりまして残念でありますが、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  142. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 児玉健次君。
  143. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次でございます。  きょうは、本当に貴重な御意見を聞かせていただいて、ありがとうございました。先ほどの御意見に基づきまして、幾つかのことをお伺いしたいと思います。  着席をお許しいただきたいと思います。  最初に、深海先生に三つばかり伺いたいのですが、私の聞き方が不正確かもしれませんけれども、石炭の場合、全地球的な賦存量に対する可採炭量が約一〇%ぐらいと先ほどお話がありまして、この点で他のエネルギー、例えば石油やガスなどとの比較でどうかというのが第一の点でございます。  二つ目は、先ほど内野先生からエネルギー輸入国としての脆弱性を日本は顕著に持っているというお話がございまして、このことに関連して、恐縮ですが深海先生にお伺いしたいのです。いただきましたレジュメの〔Ⅱ〕の(1)の②、③のところに第二次エネルギー革命、第三次エネルギー革命とございまして、そして第二次エネルギー革命のところで、石炭から石油一流体革命とございます。確かにこの時期、そうでした。  私、先ほどこのレジュメを拝見していて、一九六二年に石炭鉱業調査団、団長は有沢広巳先生でしたが、「石炭が重油に対抗できないということは今や決定的である。」こういう報告をお出しになった。そして、その方向で日本ぐらいドラスチックに切りかえてしまったところは余りないのじゃないかと思うのです。それが内野先生のおっしゃったエネルギー輸入国としての脆弱性の、言ってみれば大きな理由だと思います。  この点で、同じような先進国においては違う対応をいたしましたね。そのあたりを今深海先生はどう受けとめていらっしゃるかというのが二点目であります。  そして最後、大変恐縮ですけれども、エネルギーセキュリティーの問題で、きょうは午前中、私は数字を挙げて質問したのですが、昭和五十一年、一九七六年の四月に石油備蓄法ができました。そしてその後、巨額の公費が投入されていて、備蓄関係でいえば、国家予算、全体で四兆六千三百三十五億、国家備蓄関係に限定しても四兆一千九百三十二億円。平成九年度、八年は予算ですが。そして、それに要するランニングコストとして、平成九年度は二千八百六十三億円。  ところが、石炭勘定は一千億ですからもちろん分母が違いますので単純な比較はできませんが、石油税から繰り入れたとしても、やはりこれは税金ですから、その点で、原油についていえばエネルギー備蓄にこれだけ巨額の公費が投入されている、それとの関連で石炭をどう考えたらいいか。中期的な石炭のストックというのはナンセンス、もう自然発火しますから。しかし、採炭を継続している山というのは、最も効率的なエネルギー備蓄だと思うのです。そのあたりについて御意見を伺いたい。  以上三点でございます。
  144. 深海博明

    ○深海参考人 まず第一点の、いわゆる現在の確認埋蔵量とそれから究極可採埋蔵量といいますか、そういうものとの比率の問題でございますが、これはいろいろな計算の仕方があるわけですが、通商産業省がある委員会で出した資料で見てみますと、石炭の究極可採埋蔵量とそれから現在の確認埋蔵量の比率は約一〇%、こうなっているわけですね。  それで、石油に関しましては、これはオーダーがいろいろあるのですが、大体四割から五割程度ではないかということですね。それから天然ガスにつきましても、これもいろいろあるのですが、やはりこれは三五%から七〇%ぐらい。ウランに関しては、二五%から二七%というようなことでございます。  ですから、そういう面でいえば、一般的に考えてみますと、石炭は、いわば現在の確認埋蔵量とそれから究極可採埋蔵量との比であれば、膨大に存在している。それで、これは分母の問題、先ほど内野参考人がおっしゃったようにR/Pというか、生産量にもよるのですが、現在のところでいえば二百三十年ぐらいはあるというようなことでございますから、私は、そういう埋蔵量という点からいえば、石炭というのはまだたくさんあるということを先ほど特徴として申し上げさせていただいたわけでございます。  それから、私が申し上げたのは事実としての話でございまして、第二次エネルギー革命というような形で、石炭がなくなったわけではないのだけれども、いわば質的な意味で、流体エネルギーで、固体エネルギーと比べればハンドリングだとか、あるいは石炭は燃やすと灰が出るけれども全然出ないとか、いろいろな意味での優位性と、それから価格的な要素、先ほどの話にもありましたように、例えばメジャーズが意図的に安くしたからだとかいろいろな話があろうかとは思うのですが、本来の経済メカニズムといいますか市場メカニズムに任せておいてこういう展開が進んでいったということは事実だと思うのです。  ですから、高度成長過程で日本がいわゆる欧米にキャッチアップをして急激な経済発展、工業化をしようという論理からいえば、これはむしろ当然の選択ではなかったか。  しかし、先ほど来話が出ておりますように、もっと究極的に、根本的なエネルギーセキュリティーの問題とか国のあり方の問題とかいうことの選択を考えるのであれば、また別の面があったろうとは思うのです。しかし、そうであるとすると、やはりまずキャッチアップし、所得倍増をして、人々に豊かな生活、重化学工業化をしようというような目標に関しては、その達成スピードだとかそういうものは、やはり違った結果をもたらしたのではないか。  ですから、ある目標を達成するというような側面では、この選択はそれなりに最適なものであった。しかし、先生がおっしゃるような別の視点で考えるとすれば、別の選択があり得た。しかし、それは別のところにしわ寄せとかいろいろな問題が起こってきて、同時に、こういう第二次エネルギー革命の選択というのがその後石油危機だとかいろいろな意味でまたマイナス面をもたらしたということは確かであるのですが、この段階での日本の基本的な目標との関連でいえばそれなりの選択であったし、いわば市場価格メカニズムにゆだねる形だとこういった選択しかなかったのではないかというのが私の見方でございます。  それから、三番目のエネルギーセキュリティーの問題に関して見ますと、やはり量的な面というのはかなり重要ではないかというふうに私は思うのです。  要するに、質的な面もさることながら、例えば石油石炭の占めるシェアとかそういったような意味で考えてみますと、あるいはこれに先ほど来議論がございましたように、例えば原子力開発に充てている部分というようなものもさらに加味いたしますと、資源配分の問題というのは確かにおっしゃる意味であろうかと思うのですが、やはり日本政府あるいは日本が、そういうエネルギーのセキュリティーの問題あるいはエネルギーの方向として基本的に原子力あるいは石油を中心に選択をし、また国際的な舞台でも第一次、第二次石油危機のとき、IEA等々でこういうものが要請されてきたということで選択が行われていたのではないか。  ですから、先生が御指摘のように別の視角、視点から考えてみますと、例えば原子力に資金を配分し過ぎたとか、あるいは石油と比べて石炭への配慮が少なかったということも言えるとは思うのですが、ああいった第一次、第二次石油危機の状況その他、あるいは国際的な要請、あるいは日本としてどういう方向を目指すのかというようなことであるとすると、当時としては一応最適というか、あるいは政策担当者としては最適なものと判断してこういった方向が選択されたのではないかというふうに思いますが、先ほどの〔Ⅱ〕の御質問とあわせて、国民やあるいは全体としての政策目標が違う形であれば、先生がおっしゃったような評価は可能ではないかとも思います。
  145. 児玉健次

    ○児玉委員 ありがとうございました。  内野先生に何点かお伺いしたいのです。  池島も釧路も海底炭鉱になっておりまして、去年の十二月、三池の中まで入らせていただいたし、釧路も何年か前に参りましたが、この海底炭鉱における保安で特に留意すべき点というのを先生はどのようにお考えになっているかというのが第一点でございます。  それで、二つ目は、先ほど深海先生のおっしゃった、賦存量に対して、石炭は際立って私たちが取り出し得るパーセンテージが低うございます。それを高めようとすると避けがたく深部採炭の問題に直面せざるを得ないと私は思うのです。この点の技術上のパースペクティブといいますか将来に向けての可能性を内野先生は研究者としてどうごらんになっているかというのが二点目でございます。  そして最後は、先生のお話で、石炭が再びエネルギーの王者に返り咲くときが来るだろうというお話があって、私、非常に心強くお聞きしたのですが、そこに行くためのいろいろな要素があると思うのですが、経済的な側面と技術的な側面、その点を先生はどのように、かなり中期的な展望として、お踏まえになっているか。  以上、お伺いしたいと思います。
  146. 内野健一

    ○内野参考人 お答えいたします。  まず第一点目は、海底炭鉱で気をつけるべき保安の問題は何かということだったと思いますが、一般的に申し上げまして、二つないし三つあると思います。  一つは、やはり坑口から作業場までの距離が長くなるということでございます。三池は海が浅かったという点、それから、池島におきましては墓島というもう一つの島が幸運にもあったということがございます。しかし、釧路にはそれがございません。それで,島を持っております池島にいたしましても、下へ展開していきますと、やはり坑口までの距離が長くなっておりまして、関連いたします坑道のネットワークもかなり複雑になっておりまして、そういたしますと、ガスの湧出量のモニタリングが、監視が、ガスだけではございませんが、いろいろな保安関係の計測点の数が多くなることがございます。  それからもう一つは、やはり通気をしなければいけませんので、通気が複雑になりやすいということです。ですから、通気に関連した保安の問題が出てくるということがございます。もう一つは、それからきます一たん事あるための避難経路の問題が出てくるということがあると思います。  ですけれども、こういう問題については今のところいろいろな対応をしておりまして、池島と釧路については、海底炭鉱からくる問題が、差し迫った大きな問題になっているというものはないというふうに申し上げてよろしかろうと思います。  それから二点目は、深部採掘についての御質問でございました。先生の御質問は、特にこの二山についてということではなかったように理解いたしましたが、二山については、幸いなことに炭層の傾斜が三ないし五度というフラットに近い形でございますので、それからいきますと、深部移行率というのは非常に緩やかだということが言えます。  けれども、一般的に深部採炭の問題点はどうかということでございますが、これについては、現在、先ほど申し上げましたが、ドイツが石炭では一番深いところを平均的に掘っているようでございまして、千メーター近いところということでございます。石炭の可採埋蔵量を試算いたしますときには、よく千五百メーターというのを一番深い、ここまで掘れるというふうにしておるものが多いようでございますけれども、これについては疑問視する専門家が多うございまして、千二、三百メーターではなかろうかということがございます。そういう点でございます。  それで、問題が出てまいりますのは、これは日本も経験がございますけれども、一般的に申し上げまして、深くなりますと、まずガスがやはりふえてまいります。それと、地圧がふえてくるということで、必ずではございませんが、ガス突出という、不幸にして我が国炭鉱も経験いたしました、そういう問題が出てくるということもございます。  それからもう一つは、岩石の温度が深さとともに上昇してまいりまして、熱的に特に異常なところでございませんでも、平均的に百メーター深くなると三度上昇いたしますので、千メーター深くなりますと三十度の温度が上昇いたしますので、地表の温度が十度といたしますと、四十度になります。加えて、これも触れましたけれども、機械類を投入いたしますと、それから放散される熱によって熱の問題が出てくる。  それから、地圧の問題ももちろん出てまいりまして、坑道掘削時あるいは採炭時の地圧の制御が問題になる。それから、もちろん深くなりますと、先ほどの海底炭鉱と同様に坑道が長くなるところがございまして、そういったことから坑内のネットワークが非常に複雑になるというようなことでございまして、今のほかの産業にもあることですが、巨大システム化してくるということがあろうかと思います。  それで、もう一つの、石炭がもう一度王座に返り咲くという、経済的な点からのコメントをせよということでございました。  経済的な面からは私ちょっと弱い方であれでございますが、先ほど生田参考人も何度かお触れになりましたけれども、石油あるいはその他のエネルギーとの関係で、やはりコスト的にもコンペティティブになるということが一つあろうかと思います。  それからもう一つ技術的な意味でございますが、特に私いつも思いますのは、これも触れたことなんですけれども、今、中国におきましても、坑内掘りが御承知のように非常に多い国でございますが、三K嫌いというのが中国においても進んでいるそうでございます。ということは、少しジョブがたくさん出てきますと地上の作業を好むという、やはり技術が進歩いたしましても依然としてレーバーインテンシブな、そういう人間をたくさん使う産業でございますので、そういう労働者が獲得できませんとなかなか採炭が続けられない、安定的に需要に追いつかないということがあるのではないかと思います。  しかし石炭は必要だということになりますと、やはりそこに解決の方法というのは一つしかございませんで、それは、賃金が高いということもあるかもしれませんが、基本的には作業場の安全性と、それから作業場の環境をよくするということが、坑内採掘の非常に大事な点ではないか。  そうすると、そこに今にも増して、すぐれて安全のための、あるいは坑内作業場の環境をよくする新しい技術がたくさん投入されないと、需要に見合うだけのサプライはできない。そういうところからくる技術的な問題がかなり次の世紀に、といってもそう遠くございませんが、出てくるのではないかというふうに考えております。
  147. 児玉健次

    ○児玉委員 恐縮ですけれども、内野先生、もう一つ追加してなんですが、先ほど他の委員の御質問に対して、日本技術の高さをもって技術移転の理由というふうに短絡的に考えることは難しいという趣旨のお話を先生なさって、そうだろうなと思ってお聞きしておったのですが、先ほどの先生の最初の十五分の御発言の中で、自国に石炭生産の基盤を有している、そのことが国際的に他国との関係で非常に重要な意味を持つということを最初にお話しいただいたと思うのです。そこのところをもう少し敷衍していただければと思います。
  148. 内野健一

    ○内野参考人 お答えいたします。  自国に炭鉱を有しているということが海外開発に役立つというふうな表現をいたしましたが、ほかの言葉を使いますと、バーゲニングパワーと申しますか、そういうものに結びつくと言ってもよろしいと思います。  それから、自国に炭鉱を持つことの優位性といいますのは、後に述べましたことと重複する点もございますが、やはり海外開発と輸入を直接いたしますときに、あるいはそういうものを評価いたしますときに、やはり向こうから見ますと、自国にそういう現場を、普通の現実にやっている、もう持っているところの技術だということになりますと、すべてを知っているということになるわけですね。  ですから、そうではなくてどこかで何カ月かあるいは何年かトレーニングをして養成された技術者と、自国で長年の経験をした技術者というのは、それはもう全部わかっておりますので、そういう技術者あるいは専門家が海外開発に行った場合と、どこかで少しずつ知識と経験を集めてきたような技術者が行くのとは、全然向こうの受け取り方も違うであろうという意味で申し上げました。
  149. 児玉健次

    ○児玉委員 時間が参りまして、生田先生には御質問できなくて大変失礼いたしました。  どうもありがとうございました。
  150. 鉢呂吉雄

  151. 中西績介

    中西(績)委員 社民党の中西でございます。  きょうは長時間本当に御苦労さまです。  私はずぶの素人でございますので、今までお話しいただきました点について、特に石炭鉱業審議会企画小委員会のメンバーにもなられておられるお三方でございますので、審議事項を四点一応出されておりますけれども、そうした問題等について、すべてではありませんけれども、一応の方向性なり御見解をうかがい知ることができましたこと、本当にありがとうございました。  そこで、私素人ですから、極めて単純な問題についてお聞かせいただこうと思っています。  その一つは、先般から問題になっておりました、それぞれエネルギー源である例えば石炭石油、ガス等を含めまして、九四年六月十六日の総合エネルギー調査会の石炭部会中間報告では、石炭が二百十九年、石油が四十五年、LNガスが五十六年、こういう報告が出ておるということが「コール・ノート」などで示されています。  そうしますと、先ほどからのお話をお聞きしておりますと、この年限というのは、今急激に増加しておる人口あるいは生活レベルの向上による消費量増大、幾つもの条件があるでしょうが、こうした問題を加味してこのことが出されたのかどうか。この点、生田先生、当時いらっしゃったと思いますので、お聞かせいただければと思っています。
  152. 生田豊朗

    ○生田参考人 今御指摘の問題は大変古くて新しい問題でございまして、先ほどもちょっと申し上げたのですが、埋蔵量の性格、ここをはっきりさせませんと誤解を生じやすいと考えます。  と申しますのは、今御指摘がありましたような石油の場合四十数年というのは、そのベースにあります埋蔵量はいわゆる確認埋蔵量でございます。確認埋蔵量と申しますのは、石油資源の探査を行いまして、どこにどのぐらいの量のどういう性質を持った原油が埋蔵されているかというのをはっきりさせましたものを合計しまして、それを確認埋蔵量といっております。それに対応しまして、最近の生産量と申しましょうか、消費量でも同じでございますが、それを対比させて四十年とか六十年というのが出てまいります。  そういう一つの概念と、もう一つ、究極可採埋蔵量といっておりますが、現在の技術を前提にして考えますと最終的にどのぐらいあるのだろうかということを調べまして、それを究極可採埋蔵量といっておりますから、これは確認埋蔵量よりも当然多いわけでございます。  そこのところがとかく混同されやすい点でございまして、先ほども議論に出ましたように、かつて石油埋蔵量が三十年分という時代がかなり長く続いたわけでございますが、時間が経過してもその答えはいつも三十年分でそれはおかしいじゃないかという指摘も随分あったわけでございます。三十年分というのは、あくまで確認埋蔵量を前提にした数字でございますので、実際はもっとある、ただし、技術の進歩発展、開発面での努力、あるいは経済性の問題、そういう問題が同時に進められませんと、総体的な埋蔵量の大きさは変わってこないということでございます。
  153. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、それは今挙げましたエネルギー源三つそれぞれに言えるということになりますか。
  154. 生田豊朗

    ○生田参考人 さようでございます。
  155. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、今ずっとお話をお聞きしておりますと、生田先生は、総合的にすべてのエネルギー源を対象にしてということ、そしてお二方は、石炭を可能な限り、そういうこと等を含めての御意見のようでありましたけれども、特に私は、今日本に残ったこの二つ炭鉱石炭ということになってまいりますとこれになるのですけれども、これの可採年数がどの程度に、先ほどから言われておりましたようないろいろな条件からいたしまして、見られておるのだろうか。  と同時に、もう一つは、石炭というものを重要視して、これから後国内エネルギーとして、単価の問題にいたしましても、技術の問題にいたしましても、いろいろな面から維持すべきだという御意見のようでありますけれども、新たに炭鉱開発をしてなおやるべき、だという御意見なのかどうか、ここいらをお二方にお聞きしたいと思うのですが、内野先生と深海先生。
  156. 内野健一

    ○内野参考人 お答えいたします。  私ども何としてでも石炭をどんどん掘れというように言っておるじゃないかと先生おっしゃいましたけれども、ある意味ではそうかもしれませんが、そうじゃございませんで、私が主張したい点は、今の日本国内炭鉱の現在と将来を考えますときに、先ほど来申し上げているような視点から見ることは必要ではないか、いわゆる外炭との価格差ということだけではなくて、諸般の事情が非常に大きく次の世紀に向けて変わっている中での役割というものがあるということを主張しておるわけでございます。  それで、先生の御質問の、今からどのくらい日本二つ炭鉱が掘れるのかということでございますが、単純に計算いたしますと、今ここにデータがございませんが、どうでございましょうか、五十年以上百年とか、そういう計算の値も出てこようかと思います。それはもちろん、しかしコストとの関係がございまして、コストを度外視して何ぼでもお金を出していいから掘れということになればと思うのですけれども、やはりほかのエネルギー価格との相対的な関係ですとかそういったことで、将来どこまで掘れるかということはなかなか簡単には申し上げられないと思います。  それから、新規に採掘してどうかということでございますが、これもやはり、新規に採掘する場合でも、そういうものがあれば、例えば浅くて、露天掘りは典型的な例でしょうけれども、露天掘りでなくても坑内掘りでも、非常に浅くて条件がよろしいということになればよろしいのですけれども、実際、日本には埋蔵量としてはかなりあるにしても、居住地域に、あるいは真下にあるとか、そういうところがございまして、現実問題としては鉱害の問題が予想されるとかということで、なかなか新規に炭鉱日本でまた開発するというのは実際上は不可能ではないかと思います。
  157. 中西績介

    中西(績)委員 その点で、一点目の問題は、二つ炭鉱が例えば今の生産量を維持してやるとすれば、年数はどの程度だろうかということをお聞きしたのです。
  158. 内野健一

    ○内野参考人 それは今データがございませんが、五十年と百年の間ぐらいの計算値は見たことがございます。
  159. 深海博明

    ○深海参考人 今御質問いただいた点なのですが、先ほど生田参考人が明確化されたように、何年間掘れるかというのは物理的に存在するということじゃなくて、確認埋蔵量というのは、現在の技術で現在の価格で引き合って掘れる量というのが確認埋蔵量、プルーブドリザーブスあるいはプルーブンリザーブスということなんですね。  ですから、今の我々の感覚で言えば、大変申しわけないのですが、今国際的な、カレントな為替レートで換算して経済的に引き合って掘れるというわけではないものですから、そういう意味で言えば、現在は確認埋蔵量というのはゼロに近いというのがいわば現実的なものだと思うのですね。  今の論理は、単純に現在の技術で経済的に引き合って掘れるかどうかということが確認埋蔵量で、それを現在の生産量で割りますと可採年数というのが出てくる。ですから、現在の状況で考える限りでは、少なくとも今の状況でいえば、経済的に引き合って掘れるんじゃなくて、先ほども言いましたような意味で、価格は二倍とか三倍なら経済的には引き合っては掘れない。通常だと、それだからもう終わりにしたいという話なんだけれども、ほかの論理で、先ほど言ったような技術を保存するような意味で意味がある。これはバーゲニングパワーだ、あるいは安定供給に役に立つ、そういう要素を考慮してどうかということでございます。  ですから、狭い意味での、経済的に引き合ってということからいうと引き合わないということで、確認埋蔵量はないというわけですが、大きな意味で、先ほど内野参考人が強調されておりましたメリットがあって、外部経済効果といいますか、そういうものが評価できれば、新しい意味で経済性というのが考慮できるのではないかということでございまして、今のような意味で、非常に資源経済学的に、あるいはエネルギー経済学的に考えるとすれば、現在の状況では確認埋蔵量はゼロだというのが正しい答えではないかと私は思います。
  160. 中西績介

    中西(績)委員 そういたしますと、深海参考人の先ほどいろいろ御説明いただいた中で、これはもう皆さんもそうですけれども、最終的に持続可能なエネルギーの期待、方向づけというものを考えてみたときに、クリーン・コール・テクノロジーあるいは石炭の液化、ガス化、特に石炭の液化だとかガス化という問題は、石油問題が大変かまびすしくやられたときにはこれがもう主流になるような論議までいたしたわけでありますね。  ですから、今この面での、例えば石炭の液化、ガス化というものが、経済コストからいたしまして、どの程度まで行っているかということをおわかりでしょうか。
  161. 深海博明

    ○深海参考人 申しわけございません、私ちょっときょう、液化、ガス化の経済性の評価といいますか、技術的な意味でのところは一応は聞いていますが、経済性のデータを今持っておりませんので、今の先生の御質問に私は答えられないのですが、ほかの参考人の方々で具体的にデータがあれば、大変申しわけないのですが、お答えいただければ、今は持っておりません。
  162. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 内野参考人、何か今の件で、ありますか。
  163. 内野健一

    ○内野参考人 もう一度、恐縮ですが。
  164. 中西績介

    中西(績)委員 石炭の液化、ガス化の問題ですけれども、これが今コスト面でどういうところまで来ておるかということがおわかりであればということをお聞きしたのです。
  165. 内野健一

    ○内野参考人 私も今データがここにございませんで、残念ながらお答えすることができません。
  166. 中西績介

    中西(績)委員 そこで私は、お三方言われました総合的に対応する場合に、これから新エネルギー、生田先生の先ほどの御説明からいたしますと、まだまだ相当年月もかかるというようなことをおっしゃっておられましたけれども、やはりどこに力点を置いてやったらいいかということ、しかも一定の年数が必要であるというならば、相当の力を注ぎ込む必要があるのではないかということを考えますだけに、例えばソーラーシステム一つをとってみましても、コストの面からいいますと、大体四十万キロワットくらいの生産をするようになってくると、コストもある程度とんとんにいくんだというようなことを言われておるようでございます。  そうなりますと、原子力発電なりなんなり、百万キロワットの原子力発電所を建設するということになりますと、最初は二千億だったのが、今、四千億近くもかかるというようなことを言われておりますようこ、そうした財政的なものを投入することによって、先ほどの問題と同じなんですけれども、補助をすることによってそれを拡大していきさえずれば、コストの面においてはペイするようになってくるんじゃないかと思うのですね。そうなってまいりますと、民生関係の中でどの程度これらが可能なのかという、こうした問題等が今までの論議の過程の中でやられただろうかということをお聞きしたいのです。
  167. 生田豊朗

    ○生田参考人 私も、今手元に細かいデータを持っておりませんので、詳細な点のお答えができないのは大変申しわけないと思いますが、全体的に考えまして、やはり新エネルギーの場合は、これは一種の堂々めぐりの議論になりかねない点でございますけれども、ある程度のマーケットが確保できる、つまり需要が確保できるということでありませんと量産効果がそこで出てまいりませんので、なかなか競争力がつかない、競争力がつかないとまた需要がふえないということでございます。  これはやはり、じわじわと生産量、消費量をふやしながらコストを下げていくしかしようがない。一遍に既存の火力発電あるいは原子力発電と対等に競争できるような状態には、そう簡単にはま、だならない、かなり時間がかかると思います。  石炭の液化、それからガス化にいたしましても、液化は技術的にはある程度成功してきているわけでございますけれども、これから来世紀にかけまして、石油価格がコンスタントに比較的高目に維持される、そういう状態を前提にいたしませんと、なかなか競争力がないと考えております。
  168. 深海博明

    ○深海参考人 先ほど御質問いただきました、例えば太陽光発電、各家庭に設置したら何%ぐらい総発電量で可能かというのは、これは想定によって大分違うのですが、一般的に言われておりますのは、一戸建ての住宅の半分に、設置可能面積の例えば五〇%に設置したらどうかとか、そういういろいろな想定が行われているわけでございまして、今のような想定でいいますと、総発電量といたしましては三%から七%程度というような数値が挙げられております。
  169. 中西績介

    中西(績)委員 それでは問題は、やはりこれから後、総合的なものをどのように組み合わせていくかということになるわけでありますから、お聞きをしますけれども、今審議されようとしているこの小委員会で、新エネルギーまで含んで論議を発展させるおつもりはあるのかないのか、この点どうでしょう。座長をやられている深海先生。
  170. 深海博明

    ○深海参考人 今おっしゃった点について、主要な課題としてといいますか、主要な要素として検討するということは今のところ考えていないわけですが、先ほど生田参考人が強調されましたような意味で、石炭問題を考えるという意味でいえば、石炭だけではなくて、エネルギー全体の中で石炭をどう位置づけるのかということの議論の一環として、そういう側面を若干考慮するということはあろうかと思うのです。  今先生がおっしゃったような意味で、石炭に取ってかわる、そういう代替エネルギーとして太陽光発電とかソーラーがどれくらい入ってくるのかというようなことを取り入れて、それを私どもの審議の主要な内容として、あるいは具体的な要素として取り上げるというようなことは、今のところ予定されていないのではないかというふうに私個人は理解しております。
  171. 中西績介

    中西(績)委員 そうですが。そうすると、この石炭の液化、ガス化等についてはどうなんでしょう。
  172. 深海博明

    ○深海参考人 これは当然、クリーン・コール・テクノロジーというような形で議論はされると思います。
  173. 中西績介

    中西(績)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  174. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  参考人の方々におかれましては、御多用中のところ御出席の上、大変長い時間にわたり貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十七分散会