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1997-03-04 第140回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月四日(火曜日)    午後四時開議  出席委員   委員長 鉢呂 吉雄君    理事 金子原二郎君 理事 金田 英行君    理事 自見庄三郎君 理事 茂木 敏充君    理事 高木 義明君 理事 山本 幸三君    理事 小平 忠正君       石崎  岳君    木村 隆秀君       熊谷 市雄君    園田 修光君       中野 正志君    原田 義昭君       吉川 貴盛君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    愛野興一郎君       北村 直人君    古賀 一成君       島津 尚純君    野田  毅君       岩田 順介君    吉井 英勝君       中西 績介君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君         労 働 大 臣 岡野  裕君  出席政府委員         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   中村 利雄君         中小企業庁次長 岩田 満泰君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君  委員外出席者         水産庁研究部漁         場保全課長   櫻井 謙一君         運輸省鉄道局幹         線鉄道課長   平田憲一郎君         運輸省港湾局計         画課長     川島  毅君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 横田 和男君         労働省職業安定         局地域雇用対策         課長      梶田 洋二君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ───────────── 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   菅  義偉君     原田 義昭君   児玉 健次君     吉井 英勝君 三月四日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     中野 正志君 同日  辞任         補欠選任   中野 正志君     熊谷 市雄君     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 鉢呂吉雄

    ○鉢呂委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  先般、三井三池炭鉱閉山問題に関する実情調査のため委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表して、私がこの席から調査概要を御報告いたします。  派遣委員は、私、鉢呂吉雄を団長として、金子原二郎君、原田義昭君、渡辺具能君、渡辺博道君、古賀一成君、島津尚純君、高木義明君、山本幸三君、小平忠正君、吉井英勝君、中西績介君の十二名であります。  派遣日程は、二月二十五日、二十六日の二日間であり、二十五日、本会議終了九州に赴き、翌二十六日、荒尾市内荒尾総合文化センターにおいて、荒尾市、同議会及び同商工会議所熊本県及び同議会より現地実情要望等を聴取いたしました。  次いで、三井石炭鉱業株式会社三井鉱山株式会社から、三池炭鉱の現況を説明いただくとともに、去る二月十七日に同社労働組合に提示されました閉山提案概要を聴取いたしました。  その後、大牟田市に移動し、同市の商業の中心地区である築町及び銀座通り商店街を視察し、商店街皆様方から地元実情伺い、また、大正町一丁目再開発予定地を視察いたしました。  次いで、同市内大牟田文化センターにおいて、大牟田市、同議会及び同商工会議所高田町、回議会及び同商工会大和町、同議会、同商工会よりそれぞれ現地実情要望等を聴取いたしました。  さらに、三池炭鉱労働組合三池炭鉱職員労働組合三池炭鉱労働組合、また福岡県及び回議会より実情要望等を聴取した後、記者会見を行い、帰京した次第であります。  次に、調査の結果について報告申し上げます。  詳細については、別途報告書を提出しておりますので御参照いただくこととし、ここでは、私ども派遣団に対する主な要望等について申し上げます。  閉山をめぐる概況等につきましては、去る二月二十日の委員会において政府から説明がなされておりますが、二月十七日に三井石炭鉱業株式会社から同社労働組合に対して、三月三十日をもって閉山する旨の提案がなされておるところであります。  まず、今般の三井三池炭鉱閉山問題につきまして、福岡県及び同議会熊本県及び同議会より、地域基幹産業である石炭産業を失うこととなった場合の地域経済活動への影響等に対する懸念が表明されるとともに、雇用対策における親会社等雇用確保に対する指導の徹底、職業相談職業訓練等についての地元での体制強化地域振興対策等における財政支援等要望が出されました。  次に、各自治体議会及び商工会議所等からの地域独自の特徴ある要望点につきまして申し上げます。  荒尾市からは、地域活性化対策として、九州国際空港荒尾大牟田沖への誘致についての要望が出されました。  次に、大牟田市からは、物流機能及び広域的ネットワーク整備につき、三池港湾整備についての財政支援要望が出されました。  高田町、大和町からは、それぞれ、地域基幹産業である漁業を振興するための有明海海底陥没の完全埋め戻し復旧等への配慮の要望が出されました。  また、労働組合関係者からは、炭鉱閉山となった場合の雇用対策につき、地元企業等への雇用の拡大、黒手帳緑手帳発給条件の緩和及び従業員住宅確保等、切実な要望が出されました。  また、これらの要望等について、各委員皆様からは、会社側に対し、離職者対策等についてより一層の努力を求める等の発言がなされました。  私どもといたしましては、このたびの現地調査において、地域基幹産業を失うこととなる現地のまことに厳しい実情に触れ、三井三池炭鉱閉山するに至った場合において、炭鉱離職者の再雇用対策を初めとする地域振興対策等の実現を図るめ、より一層力を尽くしていくべきとの認識を強めてまいった次第であります。  以上、御報告を終わります。  お諮りいたします。  委員派遣報告書につきましては、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鉢呂吉雄

    ○鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書本号末尾に掲載〕     ─────────────
  4. 鉢呂吉雄

    ○鉢呂委員長 石炭対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺具能君。
  5. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。きょうは、冒頭に質問機会をいただきまして、ありがとうございました。また、先日は現地を訪ねる機会をいただき、生の声を聞くことができました。大変有意義でありました。関係各位に厚く御礼を申し上げる次第でございます。  さて、時代の流れとはいいながら、日本の復興を支え、日本産業の象徴でもありました三井三池炭鉱が、いわば栄光と苦悩の百年余りの歴史に幕をおろすわけであります。閉山のやむなきに至りましたことに対しまして、まことに断腸の思いがあります。このたびは、三井三池鉱業労使がこのつらい苦渋の選択をされた勇気に対しまして、まずもって敬意を表するものであります。かくなる事態に至りました以上は、関係者最大限の努力を結集して、閉山処理が円滑に行われることを祈るものでございます。  この問題は、基本的には、私は企業責任の問題であるのではないかというふうに思います。労使が互いに誠意を持って交渉に当たられまして、解決に向かって努力されることを願うものであります。  特に、三井石炭鉱業及び三井鉱山両社が、これまで日本経済、そしてこの三池地区に対しまして大いなる貢献をされてきたということに対しましては、敬意を惜しむものではありません。しかし、また一方では、この両社は、三池資源と労力をもって三井グループは巨大な今日の繁栄を築いたということもまた紛れのない事実であります。したがって、この二つ会社におかれましては、強い当事者意識を持っていただいて、もっと重大かつ深刻に受けとめて、もっと悲痛な覚悟で取り組んでいただきたいと思うわけであります。三井グループにしても、関係者がこれだけ一生懸命努力をしょうじゃないかと言っているわけでありますから、今まさに三井企業倫理が問われている、そういうことだと思うのです。総力を挙げてこの問題解決に当たっていただきたいとお願いする次第でございます。  私ども、これまでの感じでは、どうもそこにひたむきな気持ちがいま一つ感じられないといいますか、我々の見方が当たっていないならばこれは幸いなのですけれども、もう一つせっぱ詰まったものが伝わってこない、そういう気がいたすわけであります。当事者及びその周辺が必死の思いで頑張ってこそ周りもその気になるわけだと思います。  ついては、通産大臣にお伺いいたしますが、私が今申し上げさせていただいたことに対します御見解と、今申し上げた企業に対する強い働きかけといいますか指導といいますか、激励と言った方がいいかもしれませんが、そういう面の働きかけをしていただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  6. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 三井三池炭鉱閉山となった場合には、地域経済情勢雇用状況にも大きな影響を生ずることが予想されます。そこで、三井石炭鉱業並びに親会社である三井鉱山、この両社雇用対策地域対策等社会的責任を負っている、こうした認識を持っております。  このため、通産省といたしましては、両社鉱害復旧、再雇用対策等について万全を期すよう指導してまいりたい、かように考えております。
  7. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 私も全くそのとおりだと思いますし、この二つ会社に対しましてよろしく御指導を賜りたいと思うわけであります。  さて、このたびの閉山でいろいろな問題がありますけれども、最も心を砕かなければいけない、砕くべきことは、このたびのことで職を失い、不安の波の中に投げ出される人たち、これは必ずしも直轄の人だけではなくて、その周辺も含めてであります。  私ごとで恐縮でありますけれども、私は、私のふるさと福岡県糟屋郡で、これは国鉄の炭鉱でございましたけれども、やはり炭鉱閉山悲しみてんまつをこの目で見てきた者でございます。だからこそ、先ほど申し上げましたように、憤りに近いものも感じるわけであります。職を失う方々もさることながら、子供たちのことを思うと心が痛むわけであります。  私も実際に経験をしたことでありますが、ともに学んだ、ともにふるさとの山々を駆けめぐった多くの友人たちが、悲しい顔を残して私どもの故郷を後にしていったわけであります。私どもは、今でも同窓会をやってもなかなか集まりにくいというような状況であります。いまだに寂しい思いをかこっているわけであります。  あの悲しみをまた子供たちに味わわせてはいけない、こう思うわけでありまして、国も県も制度を駆使して支援の手を差し伸べていかなければいけない、そう思うわけであります。現地を訪れましたら、福岡県は知事さんを本部長として県庁の中、そして現地対策本部をつくる、幸いにしてこう言っていただきました。  つきましては、政府としても強い覚悟で臨んでいただきたいという思いでございまして、通産大臣の改めての決意のほどをお伺いしたいということと、それから、政府としてどういう体制でこの問題に取り組んでいくか。特に雇用問題とか地域の再生問題に関しては、企業も含めて地元の市町村の方々も参画した対策協議会みたいな体制が東京と現地においてこの際ぜひ必要ではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、その点いかがでしょうか。
  8. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 先ほども申し上げたように、この三井三池炭鉱閉山となった場合には、地域経済情勢雇用状況に大きな影響を生ずると予想されます。  そこで、通産省としては、会社に対して、閉山交付金交付等を通じて閉山が円滑に行われるように支援するのが第一であります。そしてまた、離職者の再雇用対策及び地元への企業誘致等地域対策につきましては、会社に対し万全を期するよう指導するとともに、三井グループに対しても要請していくこととしております。また、引き続き三井鉱山グループの行う新分野開拓事業支援してまいりたい、かように考えております。さらに、工業団地の造成、地域活性化に資するプロジェクトの推進等により、地元自治体、各省庁とも密接な連携をとりながら地域対策雇用対策等に万全を期してまいる所存でございます。
  9. 中村利雄

    中村(利)政府委員 御指摘政府の取り組みでございますけれども、今回の大牟田荒尾地区につきましては、仮に閉山されるということになりますと、大変大きな経済的な影響が生ずるというだけでなくて、その内容広範多岐にわたるということでございます。  したがいまして、私どもとしましては、会社に対して万全の指導をするということに加えまして、地元自治体等関係者から要望聴取を行いまして、産炭地域振興関係省庁等連絡会の場で対策の取りまとめを行うことといたしております。さらに、一定期間ごとにフォローアップをするということなどによりまして、従来にも増して関係省庁との連携を密にいたしまして、閉山対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  10. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 少し各論に入ってきましたが、ぜひとも緊密な連携をとりながら、不安の中にいる人々のことにいつも心を寄せて取り組んでいただきたいというふうにお願いいたします。  私は、今回の問題は、大きく分けると、関連企業も含めまして職を失っていく人々の不安をどう解消してあげるかという問題と、石炭なき後の地域づくりをどうしていくかという二つの問題があろうかと思います。そして、緊急の課題としては、最も大きなものはやはり雇用問題ではないかと思うわけであります。  閉山で解雇される従業員は、直轄方々で千二百人、下請企業で三百人、それに何らかの形で影響を受ける方々を含めると三千人を超すのではないかというふうに聞いております。そして、いろいろなアンケート調査によると、このうち八割から九割が地元での就職を望んでおられる。これは当然だろうと思うのですね。家族がいて、住宅ローンを払いながら既に家も持っているとか、そういうこともあろうかと思います。  ところが、一方、三井側の用意している雇用口というのは、企業努力によりまして既にトータルでは二千を突破したというふうに聞いておりますが、地元雇用に限りますと、まだまだ五百ぐらいしかないというふうに聞いております。年齢のこととかあるいは職種のことを考え合わせますと、なかなかこれは先々厳しいのではないかというふうに思うわけであります。先ほど申し上げましたように、子供たちにあの悲しみを味わわせないために大変な努力が必要だというふうに思うわけであります。  つきましては、雇用の今後の見通しと、地元での採用を促進する、こういう意味で政府としてどんな支援措置を考えておられるか、伺いたいと思います。  なお、細かな質問でございますが、今三井提案している二千以上に及ぶ雇用口に対して、直轄従業員がその対象になるんだと思うのですけれども、この雇用の問題で一番大変なのは直轄人たちではなくて、本当はその周辺人たちこそが一番大変だと思うのですが、三井石炭が用意をした雇用あっせん先をぜひそういう人たちにも門戸を広げていただけないだろうかというふうに思うわけです。直轄の人が対象であろうと思いますけれども、そこにプライオリティーがあっても、それ以外の人たちにもぜひあっせんをしていただければと思いますが、いかがですか。
  11. 中村利雄

    中村(利)政府委員 先生御指摘のとおり、閉山提案の段階においては千七百四十四人の再雇用先確保して組合に提示したところでございますが、その後、会社努力どもございまして、きょう現在で申し上げますと、総数で二千六百名以上の雇用先確保しているところでございます。  私どもとしましては、再雇用先確保にさらに努力するように会社指導してまいるつもりでございますし、さらに、例えば九州経済連合会でございますとか福岡商工会議所等に対しましては、既に九州通産局長から雇用確保要請をしたところでございますし、私どもとしましても、三井グループに対してもさらなる要請を続けていくということにいたしております。
  12. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 本当は、雇用の問題についてはもっともっと伺いたいわけでありますが、その後の予定もあるようでございますので、次に債務処理問題についてお伺いをいたします。  三井石炭鉱業債務は約一千億と言われておりますが、このうち、最大債権者として政府が六百八十億ほどあると聞いておりますけれども最大債権者として関係金融機関と話し合いを持たれて、大筋の合意も得られたというふうに報道されております。つきましては、この債務処理に関してどんな見通しを持っておられるか、どんな方法について合意が得られているのか、あるいは、特に債務保証をしている親会社であります三井鉱山責任について、どういうふうに役割を求めていかれるのか、そのあたりについてお伺いをしたいと思います。
  13. 中村利雄

    中村(利)政府委員 債務処理でございますけれども三井石炭鉱業は、現実には土地が主たる資産でございまして、これを長期間にわたって売却して債務返済を行っていくということになるわけでございます。この計画につきましては、主要な債権者も基本的にこの方針を承諾しているところでございます。
  14. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 まだまだこの内容についてはこれからお詰めになることではないかと思いますし、親会社三井鉱山の問題等々につきましては、より大きな問題を惹起しないということも重要であろうかと思いまして、より適正に対処していただくようにお願いをいたすわけであります。  いずれにしても、三井石炭鉱業としては、保有する土地を売却しながらこの債務返済をしていくということになろうかと思うのですが、ややもすると企業論理が先行して、地域のためのという論理がないがしろにされやすいのではないかと思うわけであります。この際、例えば、三池港の港の機能を保持していくために水際線の後ろの必要なスペースを公共用地にしていくとか、あるいは学校公共用地無償で譲渡していただくとか、こういうことをぜひ考えていただきたい。政府としても、港の背後地あるいは学校等用地については無償譲渡会社にぜひお願いしていただきたい、地域づくり障害とならないように働きかけていただきたいと思うわけでございますけれども、この点に関して、通産大臣に御見解伺いたいと思います。
  15. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 この三池地区地域振興を図るに当たって、三井石炭鉱業が保有する広大な所有地をいかに活用していくか、これは極めて重要な問題だと思っております。通産省といたしましては、三井石炭鉱業が、地元自治体都市計画町づくり十分調整を図りながら土地資産の売却を行っていくように指導したいと思っております。  なお、今委員指摘三池港でございますが、これは、委員の古巣の方で今真剣に考えているようでございます。
  16. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 要するに二つのベクトルがあるわけでございまして、調整をとるのはなかなか大変だと思いますけれども、ひとつよろしくお願いする次第です。  それから次に、石炭鉱業構造調整臨時措置法に基づいてだろうと思うのですが、交付される閉山交付金について、先ほど大臣からもお触れになつていただきましたが、お伺いをいたします。  これまでにない多額の交付金になるのではないかというふうに聞いておりますが、この交付金の支払いは速やかに行われるべきだと考えます。組合側としては、職業訓練とか転居のことを考えて、ぜひとも七月の盆までには支払ってほしいという要望が出されているというふうに聞いておりますが、具体的にこういう要望にこたえていただけることになるのかどうか、いつごろになるのか、前向きの返事をいただきたいと思います。
  17. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘閉山交付金、これは会社側の方が、閉山というものが決まってこれの交付申請を行うということが手続でございますが、その場合には、会社による閉山対策が円滑に行われるよう、法令に基づく所要金額交付に遺漏なきようにしていきたいと思うのです。  今の御質問は、ではいついただけるかという問題だと思いますが、それに関しましては、従来、全部の坑口を閉鎖するとかいうようなことがございましたが、今回の場合には、当省としては、鉱山保安上の特別許可によって一部の坑口閉塞義務を免除したい、かように思っております。今までの通例で申しますと、三カ月から四カ月以内に支給しております。今おっしゃったお盆というのも旧盆と新盆があるわけでございますが、大体、今の三、四カ月ということが一応の目安になるのではないだろうか、こう思っております。
  18. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 今の大臣の御答弁をお伺いしますと、三、四カ月ということになると、恐らく組合の要求にこたえられる時期になるのではないかというふうに解釈をいたしておきます。  話題は少し変わりますけれども失業給付の問題ですが、いわゆる黒手帳緑手帳についてはいろいろ基準があるようでございます。形式的にこういう基準の審査をするのではなくて、やはりよく実態を勘案して、救えるものは救おうという方向で運用をしていただきたいと思うわけです。これは時間もありませんので要望という形にしておきます。  一つもっと深刻なのは、実は直轄人たちではなくてその周辺人たちでありまして、こういう方々も同じように苦しむわけであります。この人たちを救うには、特定雇用機会増大促進地域指定されるしかないわけであります。ぜひともその方向で対処していただきたいと考えておりますが、その可能性についてお伺いしたいと思います。
  19. 梶田洋二

    梶田説明員 御説明申し上げます。  三井三池炭鉱閉山に至った場合、地域雇用状況への影響が大変懸念されておるところでございますが、地域雇用開発等促進法に基づきます地域指定につきましては、地域における雇用状況に応じて行うということとされております。  御指摘特定雇用機会増大促進地域、これへの指定につきましては、閉山がそれぞれの地域雇用状況に及ぼす影響を十分見きわめながら検討してまいりたい、このように考えております。
  20. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 ぜひ前向きに取り組んでいただけるように重ねて要望させていただきます。  閉山による離職者問題は大変深刻でありますが、長い歴史といいますか、長い経緯の中でいろいろな支援措置も充実しているということも言えると思うのです。離職者方々もこの辺をよく理解していただいて、これらの措置の恩恵に浴するのは権利でありますけれども、一方では、やはり意欲を持って新しい三池づくり貢献をしていただきたいと思うわけであります。  こういう方々意欲を育てるものは、やはり職業訓練による技能や技術の習得ではないかと思うわけでありまして、現地にあります荒尾職業能力開発センターですか、こういうところで特設コースの新設とか定員増を考えておられるというふうに聞きましたので、ぜひよろしくお願いをいたします。この辺について御答弁をいただこうと思っておりましたが、時間がありませんので要望にとどめさせていただきます。  地域振興対策について少しお願いをしておきたいと思います。  まず三池港についてでありますが、三池港はやはり当地の有力な社会資本として活用されるべきだと思います。そのためには、前提になるのは、早く港湾計画をつくるべきでありまして、幸いなことに福岡県が単独で調査費をつけていただいたというふうに聞いております。評価するものであります。  したがって、国としてもこれにあわせて、調査に対して何らかの財政措置をしていただきたい。そして、整備を早くやるためには早く計画をつくる必要があるわけですから、一日も早く、一刻も早くどうか計画作成に取りかかっていただきたい。そして、港湾整備五カ年計画の今計画に入れていただくことはもちろんですけれども、同じ年度でも年度当初と終わりでは随分違うわけでありますから、少しでも早く港湾の整備に取りかかれるように、ひとつよろしくお願いをしたいということで、運輸省に、その辺どうなっているかお伺いしたいと思います。
  21. 川島毅

    ○川島説明員 お答え申し上げます。  運輸省としましては、三池港の港湾計画が早急に策定されるよう、福岡県及び大牟田市からの御要請に対して、所要の調査及び計画策定の段階で積極的に支援、協力申し上げる所存でございます。さらに、港湾計画策定後の施設整備につきましても、地元の御要望を十分に踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
  22. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 どうかよろしくお願いをいたします。  それから、この地域で大変話題になりましたのが、九州国際空港と新幹線をうまく活用していこうということであります。九州国際空港については、結果としてこの地域に来ればこれ以上幸いなことはないわけでありますが、何といってもまだまだ先のプロジェクト、先の見えないプロジェクトでもあります。こういう言い方はどうかと思いますが、行きがけの駄賃みたいな議論を余りにするのもどうか、そういう議論を離職者のせっぱ詰まった方々が聞かれたらいかがかという気もするわけであります。  そういう九州国際空港に比べれば、まだ新幹線の方が、実施の段階に来ておりますし、ルートも決まっているということで、昨年末の政府・与党の合意事項もありまして、その中にも入っていることでもありますから、船小屋−八代間ですか、ここに高いプライオリティーを置いてぜひとも整備を進めていただきたいと思うわけでありますが、私としては、本来、大牟田という地域を考えれば、船小屋−八代間に加えて、博多と大牟田を結ぶ新幹線をつけ加えることがこの地域にとって大変浮揚効果が大きいのではないかというふうに思うわけでございまして、早期の着工を望むものでありますが、運輸省、いかがお考えでしょうか。
  23. 平田憲一郎

    ○平田説明員 お答えを申し上げます。  整備新幹線につきましては、我が国の高速交通体系を形成する高速大量輸送機関でありまして、国土の均衡ある発展と地域活性化を図る観点から極めて重要なプロジェクトであることから、その整備を積極的に推進する必要があると考えております。  九州新幹線の鹿児島ルートにつきましては、現在、在来線から直接乗り入れをいたしますスーパー特急で八代−西鹿児島間の工事を着実に進めているところでございます。新規着工区間といたしましては、委員指摘のとおり、昨年十二月の政府・与党合意におきまして、与党三党の申し入れに基づきまして、船小屋−新八代間が新規着工区間とされたところでございます。博多−船小屋間につきましては在来線を走行することとなりますが、いずれにいたしましても、整備新幹線につきましては、政府・与党合意に基づきまして、整備区間ごとに収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担、並行在来線の経営分離につきまして、沿線地方公共団体の同意でございますとか、JRの同意などの基本条件を確認した上で適切に対処していきたいと考えております。
  24. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 時間がなくなってきましたので、本当は鉱害についても少しお願いしたがったのですが、ちょっと一点だけお願いをしておきます。  有明海の陥没対策ですけれども、どの地域が終わって、どの地域が終わっていないのか、それで埋め戻しがもとの水深まで来ているのか来ていないのか、こういう点について、漁業者と会社の方でどうも認識の差があるような気がいたします。どうかその辺を具体的にもっと詰めていただくように政府としてもやっていただきたいとお願いをいたしておきます。  時間がなくなってきましたが、最後に締めくくりとして、石炭政策の今後の展望について、ぜひとも通産大臣にお伺いしたいと思います。  今政府は、石炭八法などを終えんさせる、二〇〇一年までですか、ポスト八次ともいうべき新しい石炭政策を掲げておられます。そういう中でこの閉山が起こったわけです。このたびの閉山は、これまでの激動の石炭産業史の中でも重大な出来事であると思います。いわゆるあらかじめ対策もなかなか十分ではなかったというような反省もあるのではないかというふうに思います。閉山の処理も、まだまだ二〇〇一年を超えてかなりの時間を要すると思います。そして、まだ操業を続けている山もあるわけでございます。  このような中で、なかなかまとまりにくいかもしれませんけれども、今後の石炭政策の展望について、どう言うのでしょうか、ポストポスト八次ともいうべきなのでしょうか、今、この歴史的な閉山を前にして、今の石炭政策について感じておられることを通産大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  25. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 現在、地域実情等を踏まえ、産炭地域振興のための基金の造成を初めとする地域振興対策の実施に努めているところでございます。現在の石炭政策の期限である平成十三年度に向けて、今その着実な遂行に最大限の努力を傾注しているところでございます。
  26. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 どうもありがとうございました。  時間がなくなりましたが、これから労使の交渉の円滑な進展と、そして関係者方々の協力によりまして閉山が粛々として進められることを切望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  27. 鉢呂吉雄

  28. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、新進党を代表いたしまして、通産大臣、そして後ほど労働大臣お見えになるそうで、両大臣そして政府の方に質問をさせていただきたいと思います。  私は、今度閉山になると言われております、今問題になっております三井三池炭鉱がございます大牟田市、これを私のかつての選挙区とする、まさに私のふるさとでございまして、少年時代から、いわゆる石炭華やかなりしころといいますか、煙もくもくで本当に活気のあった、福岡県南の母都市と言われておったその姿を知っているだけに、今回の閉山というものは非常に感無量といいますか、そういう思いでございます。三井炭鉱をめぐります総資本、総労働の、いわゆる当時の社会党を支援します労働組合と自民党を中心とする総資本の血で血を洗うような長期にわたる争議も少年時代見てまいりまして、時代も変わったな、こういう思いでございますが、そういうノスタルジアだけでも解決しません。私は、まずはこの閉山ということで、私自身も問題にしたいわけでありますが雇用問題あるいは社宅問題、いろいろな当面の閉山に伴う対策、これも大変重要だと思うのですがまずその前に、やはり政府にひとつたださなければならぬことがあるということで御質問をしたいと思うのです。  といいますのは、このポスト八次、九次とは言いませんでしたけれども、ポスト八次策が議論された中で、この十年間はいわゆる最終的な調整の期間だ、地域なり企業はいわゆる新分野開拓、経営多角化に努力をする、そしてそれが終わった後にいわゆる最終的な均衡点を見出す、こういう話だったわけですね。  ところが、この三井石炭鉱業がやっております三井三池は、これは今までざっと三億トン掘ってきた、世界有数といいますか世界一と言ってもいい炭鉱であったわけですね。これが現在の生産レベルでいうと、三鉱あるわけでありますけれども、ざっと半分を占めておる。これが今度閉山になる。そうなりますれば、これからのエネルギーの需給見通しをどう政府は考えているのか。  これからいわゆる地域紛争も激化するでありましょうし、見通しが立たない面もございます。これだけ石炭の生産が減ってきた中で、最後の三つのうちの一つ、しかもそれは、これまでの日本炭鉱の中で最大のものであった。それが内外価格差三倍、もうもちませんということだけで、場合によっては四月、今月末をもって消えるということは、それは日本のエネルギー政策としてどう判断されたのか。今後のエネルギーの需給をどう見通され、そしてエネルギー安全保障、食糧も自給率は世界最低レベルでございます、為替レートが今後どう展開するかもわからない、経済そのもの、雇用そのものも空洞化して、生産拠点、ありとあらゆるものが海外依存を強めている、こういう中でますますいわゆる石炭依存というものがなくなるという、まさにその証明がこの三井鉱山閉山だと思うのですね。  私は、これを機にやはり政府として、エネルギー需給は長期にわたってこうだ、エネルギー安全保障についてはこういう総合判断の上で政府としてしっかり見ておる、大丈夫という一つの判断が必要ではなかろうかという重大事だと思うのであります。その点、通産大臣に、エネルギーの需給の見通しとエネルギー安全保障についての基本的な御判断というものをぜひお聞かせ願いたいと思います。
  29. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 長期エネルギー需給見通しにおいては、省エネ政策の推進ということを前提にいたしましても、一九九二年から二〇一〇年にかけては我が国のエネルギーの需要が約一・二倍になる、こういう数字がございます。また、世界のエネルギーの需要につきましては、国際エネルギー機関の見通しによると、二〇一〇年においては一九九三年よりも一・五倍に増大する、こうした見込みを持っております。  エネルギー資源の乏しい我が国においては、エネルギーセキュリティーの確保や地球温暖化防止への対応の観点を踏まえて、総合的なエネルギー政策を推進していく必要がございます。具体的には、石油、石炭及び天然ガスの安定供給の確保を図りながら、その適切な利用に努めるとともに、大事なことは、省エネルギーの推進や新エネルギーの導入促進に最大努力をすると同時に、やはり徹底した安全の確保あるいは平和利用の堅持を大前提として、国民の理解と協力を得つつ、原子力の開発利用を推進していくことが重要であろう、かように考えております。
  30. 古賀一成

    古賀(一)委員 かつては、第一次オイルショックあるいは第二次のオイルショック、あのときも私は役所におりましたけれども通産省あるいはエネ庁挙げて、二十一世紀あるいは長期的な日本のエネルギーはこうだという燃えるような情熱、熱意というものを私は感じておったように思うのですね。何か最近感ずるに、そこら辺の視点がすぽっと落ちているというか非常に軽くなっているような感じがいたしまして、本当にこれで大丈夫なんだろうか。世界状況はどうなるかわからぬ、エネルギーは海外任せ、ケセラセラといいますか、何かそういう感じすら私は実際はします。  向こう側に自由民主党の自見庄三郎先生がおられますが、御一緒にかつてヨーロッパのエネルギー調査団で参りました。あのとき、たしか億トンを超える石炭をドイツはまだ掘っておりまして、褐炭という石炭でございますが、各地で、エネルギー安全保障という観点から、あれだけの火力発電を億トンを超える石炭を掘りながら維持をしておったというのを今思うわけでございます。  私は、ぜひともこの際、三井鉱山閉山対策対策でしっかりとお願いしたいわけではありますけれども、根幹には、石炭が疲弊し半減していく中で、本当に日本のエネルギー安全保障は大丈夫かという視点を持って、さらにねじを巻いて政府の方で対応を考えていただきたい、私はかように思います。  大臣からお言葉をいただきましたので、次に移りたいと思います。  閉山に伴う直接的な問題は、時間の関係もございまして、後半労働大臣がお見えになりまして質問しますが、もう一点は、今度調査団に新進党の調査団そしてこの委員会調査団と私は二度参りましたけれども、そこで必ず出た問題が、先ほど委員長からも御報告がございました有明海の陥没問題でございます。  なぜこの陥没問題をあえて冒頭に申し上げるかといいますと、今度の三井鉱山閉山というものは、将来は新幹線も来るという本当に人口桐密な平野部に位置する炭鉱、しかも大規模な炭鉱、それの閉山ということになるわけでございます。しかも歴史が、官営になって百二十四年、民営になって百八年という本当に長い間掘ってきた炭鉱でもある。そうしますと、単に炭鉱が閉まる、そこに勤めておる従業員雇用対策ということだけではない、実はいろいろな意味での影響がその地域に出るわけでございます。  いわば三井鉱山歴史は、戦後日本の近代化の歴史と言っても過言ではないし、とりわけ戦後の経済復興の礎といってもいい繁栄であったと私は思うのです。しかし、閉山となってきますと、その繁栄が終わったというだけではございませんで、その繁栄の後に残った傷跡というものが随所に出てくるのではないか。そういう広い視野で、この三井鉱山閉山というものを政府挙げて多角的に分析し、各省庁協議し、手をとり合って対策を講じていただきたい。そういう一つの、一番の事例としてこの陥没問題を挙げたいわけでございます。  この近辺にはざっと二十六の漁協がございまして、五千七百五十五名の組合員、漁獲生産高はこの二十六協同組合で百八十五億円。私、小さいころからずっと有明海を見て育ちましたけれども、有明海は宝の海と漁師さんたちはずっと言っておりました。しかし、もうこの十数年来、宝の海じゃなくて、どうもおかしいぞという声が昭和五十年代から出てきて、今日においては、うちの息子ももう漁業の後を継がない、死の海だということを堂々と言う漁師の方もたくさんおられるような状況になってきたわけでございます。  今度の視察では海底陥没まで見に行く暇はなかったわけでございますが、これは私が国会議員になる前から切実な声をずっと聞いてきたテーマでございまして、その被害の状況を詳しく申し上げませんけれども、いわゆる県南の一大産業であり、そして全国のノリ生産高の半分あるいは九州の漁獲高の半分を占めるこの宝の海有明海が陥没をしてきておる、こういうことで、その対策を今後どう講じていただけるかということをぜひ私はお訴えをしたいわけでございます。  これまで実は通産省といいますかエネルギー庁の方で、平成四年より、産炭地域振興臨時交付金産炭地域環境整備調査研究等調整額というえらい長い名前なんですが、これを予算化していただきまして、調査を始めていただいた。本当に御努力をいただいたことには深く深く感謝を申し上げたいと私は思うのですが、もう緒はっけていただいたと思います。今後、閉山後も深く、重く、長く残る一つの問題として、海底陥没問題及び陸上部の地盤沈下問題について、通産省として対応を真剣にお願いをしたい、私はこういうことを申し上げたいわけでございます。  一つの例として、鉱害復旧事業というものをここに適用すること、それを含めまして、政府の御所見をお伺いを申し上げたいと思います。
  31. 中村利雄

    中村(利)政府委員 海底陥没の関係でございますけれども、まず、有明海の海底陥没につきましては、これまで、三井三池炭鉱の生産活動も一因であるということで、現在までのところ、同社が漁業関係者と協議しまして埋め戻しの対策を講じているところでございます。したがいまして、これは閉山いたしました場合におきましても、引き続き三井石炭鉱業が適切な対策を講ずるように指導してまいるということでございます。  御指摘のように、鉱害復旧でできないかということでございますけれども、現在の臨時石炭鉱害復旧法、これは国土の保全、民生の安定といった見地から、農地、農業用施設、公共施設、家屋といった公共的な必要性の高い土地物件に限り、賠償義務者の納付金に国及び県などの公的資金を加えることによりまして、その土地物件が本来有していた効用を回復するよう復旧工事を行うこととしているわけでございます。  また、昭和五十六年の石炭鉱業審議会の答申におきましても「山林原野及び干潟に発生した鉱害については、その与える社会的影響からみて、公共的見地からの復旧になじまないこと等にかんがみ、復旧法の対象とすることは適切ではない。」という指摘を受けておりまして、以上の理由によりまして、現在のところ、海底陥没を臨時石炭鉱害復旧法に基づく鉱害復旧事業の対象とすることは困難であると言わざるを得ないと思っております。  また、干拓地の地盤沈下につきましても、これも長い議論がございまして、昭和六十二年には調査が行われたわけでございますが、その際には、原因を特定することが困難であるということでございました。その後特段の事情の変化がないということで、現在のところ再調査をする考えは持っておりません。
  32. 古賀一成

    古賀(一)委員 この問題は、私何度も、実はこの委員会あるいは商工委員会でもやったことがございまして、昭和五十九年ごろですか、政府が対応されまして調査をされた。必ずしも直接的な因果関係を証明することはできないということで延ばし延ばしになって、いよいよ閉山を迎える、こういうことなんですが、森林とか干潟云々という、それは不適切ということはございましたけれども、実は、これはもう強く申し上げませんが、現実として起こっていることを今後のために一つ申し上げておきます。  私の地元で、柳川という市がございまして、今四百何十億かけまして例えば下水道の埋設をやっておるのですが、これが不等沈下で管渠がずれる。柳川近辺を通りましても、この十年ぐらいで明らかに、十年前は道路と橋がフラットだったけれども、もうこの五年、十年でいわゆる橋脚、基礎を打ったところはそのまま残り、道路は沈下して結局橋が非常に盛り上がっている、こういう事例が山ほどあります。明らかに沈下をしている。下水道については、管渠がずれ始めているという話も聞きました。これは大変な問題なんですね。  だから、私は、鉱害復旧についてはこの前お聞きしましたけれども、何とこれまで鉱害復旧という事業に一兆円を国は投じた。今の問題になっている地域についてはゼロなんですね。漁業について、この前通産省から本当にやっていただいた、これを足したって国費で二億三千二百万。これまでいわゆる鉱害復旧で一兆円を投じてきたけれども日本最大炭鉱を抱えたこの地域、こういう現実があるにもかかわらず、実は鉱害復旧の適用なしということで、ほぼゼロということで推移してきたわけです。  私個人は、決して鉱害復旧にこだわりませんけれども、そういうしがらみの多いと言ったら怒られますけれども、むしろもっと前向きの対応を私はエネ庁、そして後半戦も水産庁に御質問したいのですが、例えば水産庁、そういうものが手をとり合って、会社も巻き込んで対応していっていただきたいと思います。  これはもう本当に重要な問題なので、きょうはちょっとこればかり言えませんのでこれくらいにしますけれども、そういう重要な問題が、現に干潟部でも森林部でもない、人間が住んでいる、しかも社会資本整備が行われている現場で今起こりつつあるということをはっきり申し上げたいと思います。  時間の関係で急ぎますが、さて、今申し上げましたような陥没問題、たった一つの問題でございます。もっともっとほかにも、この百年の炭鉱歴史、それが残した問題が今後いろいろ出てくると私は思うのです。  その一つが、上水道の問題ですね。三井鉱山の町、石炭の町、三井の町と言われた町でございますから、水道は、市水、大牟田市の水道と、社水、会社の水道、こういうのが入り組んでいるわけなんです。社水の方が安いとかいろいろあったのですが、水道をとってもそうだ。今言ったいわゆる地上、海底部の陥没問題もある。それから、今までの地域とは若干違って、県南の母都市と言われたこの大牟田がメーンの産業そしてそれに関連する産業を失う、こういうことでございますので、本当に多くの分野で今後長きにわたっていろいろな問題が出ると私は思うのです。  これに対応するには、我々新進党で調査団を派遣した折もそうでございました、この委員会でもそうでございましたけれども、やはり長い目で何でも対応できる一つの基金というものを用意すべきじゃないか、私はかように思うのですが、この点について、これまでほかの山の閉山のときにこういう中長期に対応する基金というものはあったのか、あるいはそれがあろうとなかろうと、今私が言いましたような特殊な事情にかんがみて、今回そういう、まあ私が勝手に名前をつけるならば地域復興維持資金みたいな資金を国、県、企業相協力してつくるということについて、国はリーダーシップをとるべきじゃないかと思うのですが、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  33. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 三井三池炭鉱の所在地である福岡県及び熊本県、この両県においては、国の補助金を受けまして、福岡の場合には福岡県産炭地域振興センター、熊本の場合には荒尾産炭地域振興センターというものを実はつくっておりまして、そこでもって企画調査事業だとか炭鉱跡地取得支援事業等の産炭地域振興対策を推進する、そうしたことをしております。  今後ともその有効活用ということが図られることを期待しておりますが、しかし、三井三池炭鉱閉山することになった場合に、対応すべき課題も非常に多いと想定されます。今後、さらに必要な対策については、現行の石炭政策のもと、関係省庁との連携を密にしながら毎年度の予算要求等において適切に処理していきたい、かように考えております。
  34. 古賀一成

    古賀(一)委員 今の毎年度の予算要求で対応というものは、それは道路は道路、建設行政は建設行政という各省ばらばらの予算要求への対応という意味でございましょうか。それとも、基金という一つの総合的な枠組みをつくって、毎年要望に応じて対応していくという趣旨でしょうか。ちょっと私理解しかねましたので、再度済みません。
  35. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 委員御存じのように、こうした基金造成というものに関しては、全国に五カ所、すなわち北海道の空知、釧路、そして御地においては筑豊、大牟田それに池島、こういう五カ所を既につくってあるわけでございます。  そういうことでございますので、今言ったように、地元要望がこれから閉山後は出てくることが予定されますので、そういうものを地元要望にということでございまして、今申したように、基金の造成資金という問題ではございません。
  36. 古賀一成

    古賀(一)委員 わかりました。  ちょっと時間の関係で急ぎっぱなしで恐縮でございますが、それではもう一点お聞きしたいと思います。  まず、これから労使関係の交渉というものが妥結へ向かって進んでいくのだと思うのですね。これについてはお任せしなければならぬ面もあるのでその周辺ばかりを申し上げておりますけれども、もう一点申し上げたいのですが、その一つに、これまでのポスト八次策というのは、新分野開拓そして経営多角化というのがキーワードであったように思うのです。これにつきまして、これまでの大牟田荒尾地域での新分野開拓、経営多角化の実績、あるいは芽が出ているものがあればそういうものの御紹介、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  37. 中村利雄

    中村(利)政府委員 三井鉱山グループは、新分野開拓事業といたしまして、これは平成四年度から制度が創設されているわけでございますけれども、これまで大牟田市でトラック架装事業、警備・ビルメンテナンス事業など十事業を、荒尾市でホテル事業など二事業を行ってまいりました。これら新規事業による新規雇用は数百人に上っておりまして、そのうち四十九人が炭鉱離職者となっております。事業によって業況とか雇用創出効果等にばらつきがございますけれども、全体として見れば、厳しい経済状況の中にあってそれなりの効果を上げているものと認識いたしております。  なお、昨日、閉山提案を踏まえまして三井鉱山グループから提出されていました新分野開拓計画の変更申請を承認したところでございます。変更後の計画には、新たに建設住宅関連資材製造・加工事業、コンテナ貨物輸送事業など十事業が大牟田荒尾地域における新規事業として追加されております。追加された事業による新規雇用人員は、平成九年度から十三年度までに百六十九人が計画されているところでございます。
  38. 古賀一成

    古賀(一)委員 今それなりの効果が上がっておるという答えがございましたけれども、これまでの地域と違いまして、先ほどからくどく言っておりますけれども大牟田荒尾地域は、まさに最大炭鉱で、両地域で三十万近い人口を抱えた地域なのですね。去年の実績で生産二百二十七万トンですか、それが一気に生産をとめるということでございます。ホテルの事業あるいは車体工場が来ました。それは確かに一つ一つの積み上げというのは重要なのですが、これまでの高度経済成長の、日本経済そのものが体力があって伸びていく中での閉山でない、そして、先ほど言いましたように、百年余にわたりあの平野部にいろいろなかかわりを持ってこられたこの炭鉱が閉じるということから見ると、私は、パラダイムを変換したといいますか、もっと骨太の新分野開拓というのがこの地域にはまさに必要だと信じて疑わないのですよ。  しかも、この三井鉱山閉山というものは、単に大牟田あるいは荒尾、あるいは三井のある炭鉱閉山するというだけの問題じゃなしに、これからの日本産業、経済を象徴していると私は思うのですよ。いわゆる素材産業あるいは資源産業というものが、日本が高度化したために、あるいは豊かになったために、内外価格差あるいは円高というものでもたなくなって撤退していかざるを得ないという、まさにその典型例なのですね。これは石炭だけじゃないですよ。程度の差はあれ、これからもいろいろな分野で日本経済はこういう三井三池のような問題を経験していくと私は思うのです。  そういう意味で、これだけの炭鉱閉山するということでございますから、私は、通産省お願い申し上げたいのは、経済官庁のトップで、地域の振興なり経済運営なり、あるいは国際社会の中でのいろいろな事案にもかかわっておられる通産省でありますから、やはり通産省がまさに先頭に立って、これからの日本経済のサバイバルといいますか、あるいは地域のサバイバルをここで実験をしてみる、そういう時代だというような気持ちでこの問題に立ち向かっていただきたいと思うのです。  そこで、最後になりますが、通産省が音頭をとって、座長になって、関係省庁を全部巻き込んでの強力で実効ある、いわゆる関係省庁連絡協議会といいますか、こういうものをひとつやっていただきたいと私は思う。これからいろいろな地域で、産業は別、地域も別でありましょうけれども、こういう問題がいろいろ起こってくると思うのですよ。そういうことに関して通産省が本腰を入れて、これからの通産省の仕事のあり方だ、行政の一つの進め方だという気持ちでぜひやるべき時代だと私は思うのですが、それについて通産省の御所見を、やる気を、大臣の御意見をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  39. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 通商産業省といたしましては、閣議決定に基づき設置されております産炭地域振興関係省庁等連絡会の場を通じまして、工業団地あるいは道路及び港湾等の産業基盤の整備、住宅及び下水道等の生活環境基盤の整備並びに地方財政支援等について、従来にも増して関係省庁との連携を密にして、総合的な閉山対策に万全を期していく所存でございます。
  40. 古賀一成

    古賀(一)委員 私もかつて役所におりました。その中で、各省庁連絡会議とか、何とか閣僚会議とかたくさんございましたけれども、やはりこれはこの問題だけじゃなしに、まさに日本がここまで成熟化したというか、あるいは縦割りが行き着くところまで行ったといいますか、そういうところに行政の隘路があると私は信じて疑いません。この問題を機に、私は、通産省が、本当に実効が上がる各省庁連絡協議会というものを、がりがりごりごり押して押しまくるぐらいやっていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。以上です。
  41. 鉢呂吉雄

  42. 岩田順介

    岩田委員 民主党の岩田でございます。  当時政府から三井石炭に移られた団琢磨さんが、当時は有明海の沖合に停泊しておった石炭船に小舟で三池石炭を運んでおったという現状が、何となくこれは効率が悪い、そしてあの三井三池港というのができたというお話を伺いましたが、その際に団琢磨さんは、三井石炭は百年後には終わるけれども三池港だけは残るというふうに話をされた。有名な話ですね。  ちょうどそういうふうになってしまったわけであります。百二十四年の三井石炭歴史を閉じるわけでありますが、今さまざまお話もございましたように、三池・安保闘争という六〇年のときに、どちら側にいても、あの時期青春を過ごした者にとっては極めて残念だというふうに思いますが、現実はまた冷厳に受けとめていかなければならぬと思います。  そこで第一の質問ですけれども通産省責任の問題、今も大臣からお話がありましたが、本当はここでもう少し時間があれば、例えば、この閉山によってどれくらいの人口が減るのか、大牟田荒尾や、六条町村のいわゆる財政指数がどれくらい変動するのか、工業出荷高が落ちるのかどうなのか、そして一方では、三井が独自にやってこられたいわゆるあらかじめ対策、それから大臣もおっしゃっていましたけれども産炭地域振興実施計画都市計画その他の発展計画がありますけれども、そういうものがどういうふうにバランスがとれて発展していくのかというシミュレートがあれば本当は議論しやすいのですが、何もないのですよ。ですから、ぜひこれはまた機会をつくっていただいて、できる限りの状況を通産としてはお示しいただきたい。これは大臣にも委員長にも要望しておきたいというふうに思います。ショックがどれほど大きいのか、将来どうするのかというつかみどころのない話では、具体的な詰めができません。  そこで、それは前提として質問しますけれども、この百二十四年の歴史というのは、言ってみれば日本石炭政策は三井を中心に行われてきたというふうに言っても過言ではないのです。したがって、閉山は残念だというのは、閉山に怒りを持って思っている市民も多くいることは当然であります。協力してきたという思いもあります。  そこで、冒頭言いましたような現状と将来、例えば産炭地域振興計画がある、都市計画がある、いろいろありますけれども、これは三井が存続するという前提でっくられたものもあるのですよ。したがって、土地の問題を中心に自治体の要求もあるでしょう、地元の漁連の要求もあるでしょう、そのミスマッチがありますね。  それについて通産大臣にお伺いしたいのですが、三井には社会的責任企業責任というのがありますが、これは甘やかすと言うのは言い過ぎであるかもしれませんけれども、とにかく完全にやってもらうということで御指導いただきたい。また、通産大臣としてのそういう意味での決意も改めてお聞きをしたい、かように思います。
  43. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、岩田委員おっしゃるように、百二十四年の歴史、これが今まさに閉じようとしている、こういうときに、それに携わっている方々思いは実はみんなそれぞれ異なるものがあっても、非常に感無量という一語に尽きてしまうだろう、こう思うのです。確かに今の大牟田にしろまた荒尾にしろ、あるいはその近隣の町村にしろ、三井と、三池炭鉱と過ごした百二十四年、こういう思いが非常に強いだけに、今の委員のような御質問になると思うのです。  先ほど申したように、それだけに、閉山となつた場合には地域経済情勢雇用状況に大きな影響を及ぼすということでございますので、当然三井石炭鉱業及びその親会社である三井鉱山が、雇用対策地域対策というものに万全を期すという社会的責任があるということは十分に認識しております。そうはいっても、この会社でやること自体限界があるわけでございますから、通産省としても、両社鉱害復旧だとか再雇用対策について万全を期するように指導するとともに、我々としても地域に対してできることをする、こういうことを申すわけでございます。  具体的には、先ほどから繰り返して申し上げるように、まず当省といたしましては、閉山交付金を可及的速やかに、申請があり次第交付をして、そして閉山が円滑に行えるようにしなければいけない。それから、何といっても離職者の再雇用対策及び地元への企業誘致、こういう地域対策に対して、今の両社のみならず三井グループに対しても要請していくことが必要だろう。そして、同時にまた、三井鉱山グループの行っています新分野開拓事業、これも支援してまいります。さらには、地元自治体関係省庁とも連携をとりながら、工業団地の造成だとか地域活性化に対するプロジェクトの推進、こういうことで地域対策雇用対策、こういうものに万全を期していくというのが当省の決意でございます。
  44. 岩田順介

    岩田委員 閉山交付金のこともお話がありましたが、私企業でこういう手当てをするというのはないのですね。それは与野党超えて長い歴史の中で合意してきたことですから私は言いませんが、しかし、下降している石炭の現実から他分野への展開もあったことは事実であります。そういう観点からもこれは社会的責任というふうに私は申し上げておるわけでありまして、ぜひともお願いをしたいと思います。  もう一問だけお伺いしますが、先ほどの御質問で、将来のポストポスト八次はどうなるかという御質問がありました。それについて大臣は、着々と遂行しているという御答弁がありました。これはこの際もう少し明確にする必要があるのではないでしょうか。二〇〇一年までというのは区切っているわけです。そして八次策の後に議論した際には、いわゆる均衡点ということが問題になりました。これはおおよそ国民的な合意ということで、内外の価格差を意味した議論がありましたが、定義ははっきりしないままに今日まで来ているわけですね。  そして、三つ残った石炭社の中で、二百二、三十万トンの三井三池閉山をするわけですから、果たして残った二山をどうするか、これは明確でなければなりません。石炭鉱業審議会の議論を経なければならぬということは当然でありますが、残すとすれば、今の価格差をどうするのか、国民合意をどうするのかという議論があります。いわゆるエネルギーセキュリティーの観点からも、一たん三井三池閉山しますと技術もすべてゼロになっていくという危険性もあります。  きょうは言い尽くせませんけれども、そういう観点から今後の石炭政策、いわゆる審議会の議を経なければならぬということは前提ですが、通産省として考えがないはずはない。ひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  45. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御指摘のように、三池炭鉱閉山ということになれば、残るのは北海道の太平洋炭鉱と長崎の池島炭鉱、この二つになるわけでございますが、両方においてコストの削減等の構造調整最大限の努力を傾注しているということは委員も御承知のとおりでございます。  そこで、通産省といたしましては、平成十三年度までの間、引き続き現行の石炭政策を着実に推進することによってこうした石炭会社の構造調整努力というものを支援してまいります。  そしてまた、現行の石炭政策の中で、アジア地域石炭需給等を踏まえながら、国内炭鉱の技術の維持やその活用を通じた安定供給の確保等の国内炭の国民経済的な役割と、これを支える国民経済的な負担とがどのように均衡するか、今言われた均衡論でございますが、石炭鉱業審議会等の場を活用しながら検討してまいる所存です。  いずれにいたしましても、二炭鉱のあり方については、こうした現在の石炭政策や均衡点のあり方に関する検討結果を踏まえながら、石炭会社が経営問題として判断すべきものと判断しております。
  46. 岩田順介

    岩田委員 これで終わりますが、今大臣もおっしゃったように、アジアにおける石炭の需要は急速に伸びます。確かな推計によりますと、日本も数年後には一億三千万トン超の石炭の需要、こう言われております。そういう観点からは、これは当該者も関係者努力するでしょうが、日本の将来を考えて、ぜひとも存続するということを強く要望して、一たん質問を終わりたいと思います。
  47. 鉢呂吉雄

  48. 吉井英勝

    吉井委員 私は、二月十四日の予算委員会で、既に日本のエネルギー政策とそれから三井三池問題について総括的に取り上げました。三井三池閉山となれば、産業への影響は三百二十五億円、三千人強の雇用対策が必要、人口への影響は七千八百人とされている問題なども紹介して、長期の不況、地域経済の沈下の進んでいる中で地域の住民や自治体にとって深刻な問題だ、それだけに、日本のエネルギーセキュリティーを考えても、地域経済と社会への影響を考えても、私は、国として今回の会社閉山提案、方針を認めるべきでない、撤回を求めるべきだということを主張しました。そのときに、三井グループの今日あるのは三池のおかげだということ、また、社会的責任を果たさせるということを、大臣もその立場で答弁をされました。きょうはその上に立って質問をしたいと思います。  今、三池でも筑豊でもじん肺が大問題になっております。二月二十八日、福岡高裁は、筑豊じん肺訴訟について三井鉱山及び三井石炭鉱業など被告五企業に対して和解勧告をしました。社会的責任を果たさせるというなら、過去のじん肺問題についての九五年七月の福岡地裁飯塚支部の判決でもじん肺患者に損害賠償を命ずる判決が出ておりますし、また、最近では、細倉じん肺訴訟では三菱マテリアルが和解、それから、筑豊じん肺でも古河機械金属が既に和解をいたしております。  ですから、現にじん肺患者が亡くなりつつある現状を考えると、本件は和解による早期解決が相当であるという裁判所の勧告を重く受けとめて、三井グループに和解をして速やかにじん肺患者の人たちに損害を賠償するようにさせる、そういう強力な指導をすることが私は社会的責任を果たさせるという点でも大事だと思うのですが、これについて、まず大臣の決意というものを伺っておきたいと思います。
  49. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 吉井委員にお答えいたしますが、企業が和解に応ずるかどうかというものは、これは各社の判断にゆだねるべきものである、また国を含めて係争中の事案であることから、国が企業指導する立場にはない、かように実は考えております。
  50. 吉井英勝

    吉井委員 今、三池ではじん肺患者が五百人、それから二、三級を入れると一千人と言われております。そして、三井三池がもし閉山するとなれば、閉山してから二、三年後にも新規の発生が出てくるというふうに言われているだけに、その場合、一体どこへ話を持っていったらいいのかわからない、これは地元の皆さんの非常に深刻な不安の声です。社会的責任を果たさせるというのは、やはりこういうことに対して責任を持って解決させるということだと思うのですよ。それで、この和解勧告に三井グループがどのように対応するかということは、三井石炭閉山提案とこれに伴う対策といっているものが、その場しのぎのでたらめなものか、多少ともまじめに取り組むという意思を示したものかを判断するリトマス試験紙になってくると私は思うのです。  そこで、筑豊じん肺訴訟についてやはり裁判所の和解勧告に応じるようにさせる、三池の訴訟でも和解させる。私は、大臣が先ほど来社会的責任を果たさせると言ったからには、今、国のことを言っているのじゃないですよ、やはりこれはこの立場で被害者の救済に当たる、これぐらいのことをやらせるということは最低限必要なんじゃないですか。
  51. 中村利雄

    中村(利)政府委員 じん肺の問題につきましては、これは先ほど大臣から申し上げましたように、和解に応ずるかどうかは個々の企業が判断をするという立場でございます。もちろん、その結果については、会社責任を全うし得るように私どもとしては努力をするということでございます。
  52. 吉井英勝

    吉井委員 大臣、やはり社会的責任を果たさせるという意味は、実は十二月に会社に行ったときも、社会的責任という問題については、この問題を含めて社会的責任を果たす考えだと言っていますよ。しかし、そういうときに、大臣社会的責任を果たさせるのだと言いながら、こういう個々の具体の問題になったらさっぱり、それは企業の問題だということで逃げてしまったのじゃ、これは本当に社会的責任を果たすということにならないのじゃないですか。私は、多くは要らないのです。大臣、一言、これはやはり社会的責任を果たさせるという上に立って指導を進めていきたい、努力をするということは語ってもらう必要があると思いますよ。
  53. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の委員要望会社側には伝えます。しかし、最終的には、先ほどから申しておるように企業の判断というものを優先すると思いますが、今おっしゃるように、会社としての責任ということについては私の方から言う必要があろうか、かように思っております。
  54. 吉井英勝

    吉井委員 さきの予算委員会でも、三井石炭鉱業閉山のような最高の経営決定について企業判断だけで決めるものではなく、通産大臣指導監督に従うとしていることについて、長官は承知していると認められ、そしてそれだけに、三池閉山というのは三井石炭鉱業だけじゃ決められない問題なんですね。通産大臣閉山を決定したから、三井石炭鉱業閉山提案してきたのじゃないですか。
  55. 江崎格

    ○江崎政府委員 三井石炭鉱業は、これまで行ってきました国の構造調整対策ですとかあるいは我が国を取り巻く全体的なエネルギー情勢、石炭情勢、こういったものを総合的に考えまして、将来の展望が開けないということで閉山労働組合提案したというふうに私ども承知しておりまして、国の承認を得たとかあるいは国の指示に従って閉山を決めたということではないというふうに考えております。
  56. 吉井英勝

    吉井委員 結局、三井の方の企業判断ということですね。  これは、国策だから政府はこれまで三井石炭鉱業債務の肩がわりもやったし、六百三十七億円の補助金も出してきたし、さらに一千七十四億円の債務の八三%、八百九十三億円までは政府系資金ですよ。ですから、三井三池で財をなし、三井石炭債務を押しつけて、言ってみれば国におんぶにだっこのお世話になっているわけですから、これは三井石炭鉱業の経営判断で閉山できるものじゃないのですよ。だから、三井の判断でという今のお話ですが、しかし、先日も議論したように、通産大臣指導監督に従うと言っているわけですから、しかも、これまでの累次の石炭政策で、国内炭の縮小策は通産省企業と一体となって進めてきたわけですから。私は、通産大臣、これは大臣閉山とするから企業閉山提案しているわけですから、そうじゃないというのだったら、国の責任が非常に大きいわけですから、大臣として、これは閉山を撤回させる。日本のエネルギー政策の根幹なんですから、一私企業の判断ではだめだ、大臣として、閉山提案を撤回しなさいと、やはり強力なそういう指導こそするべきだと思うのです。
  57. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 政府といたしましては、これまで三井石炭鉱業に対し、補助金、政策融資等の措置を講じてきたことは確かであります。しかしながら、その主な目的というのは、あくまで石炭鉱業の構造調整努力支援することでありまして、その維持だとか存続自体を目的としたものではございませんでした。このことをもって政府閉山提案の撤回を求めるべきではない、かように実は考えております  また、三井石炭鉱業においては、自社の経営状況、それから採掘条件等はもとより、こうした政府措置をも総合的に勘案し、経営判断として閉山提案したものでございまして、政府がその判断に変更を求める立場ではないという点を御理解いただきたい、かように思います。
  58. 吉井英勝

    吉井委員 もう時間が参りましたので、残念ながら終えますけれども、しかし、大臣も認められたように、三池のおかげで今日の三井の財をなしたわけです。総資産三井グループの二十六社だけでも百六兆円、体力は十分あるのです。しかもこれは、採炭を続ければ巨大な石炭備蓄基地ですが、一度閉山すれば技術的にもう再び採掘は不可能だということをこの間も現地で社長が言っておりました。そういうものなんですから、これは企の判断で日本の国内資源をつぶすということはできませんから、やはり大臣が国の政策として閉山を撤回させる、強力にその立場で当たるべきである、私はこのことを申し上げて、終わりたいと思います。
  59. 鉢呂吉雄

  60. 中西績介

    中西(績)委員 与えられた時間が十分ですから、大変短時間の中で確認をしていかなくてはなりませんけれども、先ほど私は予算分科会である程度論議してまいりましたので、残っている分野について質問を申し上げたいと存じます。  一つは、先ほど同僚の古賀委員の方から質問がありましたように、三池関係の鉱害問題について質問を申し上げたいと思います。  現状について、一つは年間補償費がどのようにされておるか、補償費というのか賠償金というのか、これについてお答えをいただきたいと存じます。
  61. 中村利雄

    中村(利)政府委員 現在、会社は有明海の海底陥没及び農地に係る鉱害対策を実施中でございまして、具体的に申し上げますと、海底陥没及び農地に係る金銭補償と海底陥没の埋め戻し工事を実施いたしております。金銭補償につきましては、年間約三億円程度でございます。
  62. 中西績介

    中西(績)委員 そういたしますと、この三億円という金額で海底沈下による復旧なりあるいは対応がなせるものかどうか、この点についてお答えください。
  63. 中村利雄

    中村(利)政府委員 先ほど申し上げました三億円は金銭補償でございまして、これに埋め戻しの工事費がかかるということでございます。
  64. 中西績介

    中西(績)委員 そうしてみますと、いわゆる先ほどから論議されておりました鉱害復旧、原形復旧という体制にはなっていないということになれば、ノリのひび等については全く生産ができなくなる可能性だってあるわけでありますから、こうした問題についてはどのように対応しておるかについて御説明いただきたいと思います。
  65. 中村利雄

    中村(利)政府委員 埋め戻しにつきましては、これまで漁業関係者会社が協議をいたしまして、これを実施してきているわけでございます。累計で申し上げますと約一千二百万立方メートルの埋め戻しを実施しておりまして、八年度においても約九十万立方メートルの埋め戻しを実施しているところでございます。ただ、どこまでやるべきかということについて、会社側と漁業者側に意見の差があることは事実でございます。  いずれにいたしましても、仮に閉山いたしましても、三井石炭鉱業が継続して自分の責任の分については適切な対策を講ずるということで指導をしていくことにしているわけでございます。
  66. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、先般調査に行ったときにそれぞれの市、町周辺の皆さんからこうした問題等について指摘がされておったわけでありますし、埋め戻しをするときの砂あるいはそれにかわるものの品質等についていろいろ指摘もございました。そうした問題については、皆さんの言われておる点はまだ五割程度だというような発言があっておりました。  したがって、あとの問題等については、今指摘のございました賠償という措置によってこれらの問題については一応両者が確認をし、そしてこの復旧措置については全く義務的なものになっておらない、こういうように考えてよろしいですか。
  67. 中村利雄

    中村(利)政府委員 先ほど申しましたように、埋め戻し自身については、例えばどの砂を使うとか、どこのをしゅんせつして持ってくるかとか、そういうことも含めて漁業者と相談をしてやっているということでございます。ただ、どこまでやらなきゃいけないのかということについて会社側と漁民の間で意見の差がある。したがいまして、この差については今後両者が誠意を持って話し合う必要があるということでございます。  それから、金銭賠償の部分については、例えばさお代とかそういういろいろな増嵩経費がかかるとか、そういうものについて補償をいたしておるということでございます。
  68. 中西績介

    中西(績)委員 時間がございませんから、干拓地、先ほど出ました陸地部分ですね、ここに相当の被害が出ておるということを私たちのところに陳情を受けることたびたびでありますが、この対応はどうなっていますか。
  69. 中村利雄

    中村(利)政府委員 これにつきましては長い経緯がございまして、昭和六十二年の四月には専門家による調査報告において、有明地区の陸上の地盤沈下はその原因については特定できないということになっているわけでございまして、鉱害対策としての国や会社による対策は実施されておりませんが、例えば農林省の方とかあるいは建設省の方等でいろいろな対策が講じられていると承知いたしております。
  70. 中西績介

    中西(績)委員 この種問題については、今回答がございましたように、因果関係が不明であるということでやっておらないようでありますけれども、今後の問題として、私もこれからまた勉強させていただいて、これらについて対応していきたいと思っています。そこで、先ほどから出ておりますように、企業責任ということに先ほど私随分こだわったわけでありますけれども、こうした中で、この地域におけるいろいろな問題から考えてまいりますと、やはり一番の問題は、先ほども出ておりましたように、私たちが指摘をしなくてはならない点は、各省庁の連絡会議ということでやっておりますけれども、これは年間どれぐらいの頻度でやっておるかについてお聞きしたい。
  71. 中村利雄

    中村(利)政府委員 産炭地域振興関係省庁連絡会は、年間二、三回程度開催いたしております。
  72. 中西績介

    中西(績)委員 どういうメンバーで構成していますか。
  73. 中村利雄

    中村(利)政府委員 これは昭和四十四年の閣議決定によりましてできているものでございまして、関係十四省庁課長、さらに関係地域公団等が入って設置されているものでございます。
  74. 中西績介

    中西(績)委員 私は、事務的な打ち合わせだけでなしに、この分野につきましてはやはり一つの方針を出す必要があるのではないかと思っています。そうなってまいりますと、各省庁から集まつた皆さんが一定の判断をするに当たって、課長の皆さんで事務的なことはできたといたしましても、政策的なものとしてこうした問題等について結論を得、そして、特にこのような、先ほどから出ておりますように、補助金だけでもこの二十年間でこの地域に八百八十四億、あるいは、この年限からいたしまして大変多く、民間になってから今まで二億九千万トンという生産をし利潤を上げてきたところです。それが今度は一挙に閉山になるわけでありますから、この地域対策をどうするかということになってまいりますと、ある程度そうした政策的なものを十分踏まえた上で方針を出し得るような体制というものが必要ではないだろうか、こう考えております。  したがって、この会議のあり方等についての今後の方向性についてどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  75. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今中西委員のおっしゃるとおりだと思うのです。そこで、会議会議としても、要するに実効性が上がらなきゃいけないし、また、政策の決定というようなものの場合には大臣同士が話して決定するということも可能でございますから、当省が責任を持って運営に当たっていきたいと思っております。
  76. 中西績介

    中西(績)委員 今大臣からお答えいただきましたように、責任ある、そうしたこの地域全体の、もう三池は最後でございますし、こうしたことを考えますと、ぜひ対応の仕方を変更していただいて、一定の政策を打ち出せる体制をつくっていただきたいと思います。  そして、最後に付言いたしますけれども企業の側にこうした企業責任というものを明確にした上で指導していくということをもう一度確認をして、終わります。
  77. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておるように、三井石炭鉱業並びにその親会社である三井鉱山、そしてまた三井グループ、こうしたものに社会的な責任があるということは言うまでもございませんし、そういうことで、これからの閉山がスムーズにいくように、また、その後の地域開発、そういうものにも貢献させていく、そのように指導してまいりたいと思います。
  78. 中西績介

    中西(績)委員 終わります。
  79. 鉢呂吉雄

    ○鉢呂委員長 佐藤通産大臣は、予算委員会分科会で大変お疲れのところ、ありがとうございました。通産大臣への御質疑はこれで終わります。  それでは、質疑を続けます。  岡野労働大臣、予算委員会分科会で大変お疲れのところ、ありがとうございます。  原田義昭君。
  80. 原田義昭

    原田(義)委員 自民党の原田義昭でございます。大臣、お忙しいところ恐縮でございますが、ぜひ現状の厳しさを踏まえて、何とぞ政策の運営よろしきをお願いを申し上げたいと思います。  私も、先月二十六日の現地調査に参加いたしました。既に議論されておりますように、大変大きな問題が山積をしております。官民挙げてこれに取り組んでおられますこと、一方では心強く思うと同時に、もう既に指摘されておりますように、いろいろ課題も多いと私は思います。先ほどから企業社会的責任三井石炭三井鉱山を含めてそういう指摘がほとんどの委員からございましたけれども、私も、率直に言っていま一つ努力が要るかな、こう思うわけでございます。もとより、行政の指導の範囲内にあるものと、もちろん立派な企業ですから企業の自主的判断に任せなきゃならぬものもありますけれども、何とぞ事態が解決するように心から祈るものでございます。  問題は山積しておりまして、雇用の問題、補償の問題、地域振興の問題、インフラ整備の問題いろいろあります。きょうは、労働大臣お忙しいところでございますので、雇用の問題を中心にお話を伺いたいと思います。  先ほど同僚の渡辺具能委員からちょっと個人的なお話もございました。実は私も、個人的な話で恐縮ですけれども、筑豊で生まれまして、私のおやじも炭鉱に勤めておりました。それで、炭鉱閉山をしたものですから、私、家族は離職者として県外に移ったということでございます。渡辺委員は、寂しい、友人を見送った方でありますが、私は見送られた方でありまして、それだけに、この三井三池従業員の皆さん、さらにはその御家族が、本当につらい、しかも、きょうこのごろだけではなくて恐らく何年も前から、会社がどうなるだろう、こういうような思いを持っておられたと思います。それだけに、従業員雇用の問題にはやはり全力を挙げて取り組む、このことが、政治、行政の与えられた役割だ、こう思います。  そういう意味で、労働大臣おられますが、この雇用に力点を置きまして、今度の閉山にかかわってどれぐらいの従業員関係の方が職を失い、またそれに対して今のところどういう対策がどの辺までめどが立っておるか、この辺をお示しいただきたいと思います。
  81. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 今回の閉山に伴う離職者の発生状況について申し上げますと、会社側からの報告によりますと、閉山に伴う離職者の数でございますけれども直轄で千二百七名になるというふうに聞いております。また、下請従業員でございますけれども、現在三百三十二人が在籍をしておるというふうに聞いておるところでございます。  また、予想される離職者に対しまして雇用の受け皿でございますけれども会社側提案時は千七百四十四人でございましたが、最新の時点では、二月二十八日現在の数字で申しますと、全体で二千六百五十三人という状況というふうに聞いております。このうち、地元の受け皿でございますけれども大牟田市、荒尾市、高田町、いわゆる狭い意味のこの二市一町の求人で見ますと三百二十八人。筑後地区あるいは熊本県の城北地区といった形で、通勤圏内というような形で広げてみますと五百七十六人という状況になっているというふうに承知をいたしております。
  82. 原田義昭

    原田(義)委員 今、大分努力は進められておる、こういうことはよくわかりましたけれども、まだまだ皆さんを安心させるところまでいっておりません。  私ども現地調査でも、再雇用先として、何といってもやはりぜひ地元お願いしたい、広くても福岡県内、熊本県内、いわゆる近在のところに再雇用したい、これはもう当然のことだと思います。雇用といいますと、なかなか今言ったように、数字はぴしっと合うといいますか、数が間に合っても、実際には一人一人、また一カ所一カ所、本当にマッチングするかどうか、そういう点検が必要でございます。  そういう意味で、私は、職業訓練というか、これに対する対策というのがやはり大変重要ではないかと思うわけであります。恐らく離職される方は、もう既に中高年に差しかかっている人も多いと思いますし、あわせて、産業、業種の違いから、体力はあってもなかなか新しい業種に適応できない、こういうようなことが考えられるわけでございます。  そういう意味では、機動的な職業訓練、こういうことで短期間にちゃんとした人に仕上げて新しい雇用先に送り込む、こういうことが必要ではないかと思いますけれども、この辺について行政の方はどういうふうに準備されておるのでしょうか。
  83. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 先生御指摘のとおり、再就職のためには職業訓練が大変大きな役割を担っていくことになるだろうと思っておりまして、重要かつ緊急な課題として積極的に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。  今回の三井三池炭鉱の場合でございますけれども地元荒尾にも公共職業能力開発施設がございますので、こういった施設におきまして、現在設けられている訓練科につきましてその定員の枠を拡大をする、あるいはそこに三井からの離職者を優先的に受け入れをするといったような対応をしてまいりたいと考えておりますし、また、訓練の希望者が多いのではないかと見込まれます例えばフォークリフトですとかクレーンといった建設機械の運転科につきましては、特別にそういったコースを新設をしていく、また、大型自動車運転、こういったものにつきましては地元の自動車教習所等へ委託訓練をする、こういったものを通じて訓練枠の大幅拡大を図ってまいりたいと考えております。  特に、荒尾の職業能力開発促進センター、これは雇用促進事業団が運営しておりますけれども、ここでは、全国的なネットワークを活用して指導員の応援体制、こういったものを確立することができますので、そういったものを通じて多様なニーズに対応できるような訓練を積極的に手がけてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、閉山後に、離職者に対しまして希望する訓練科目等についてアンケートを実施をすることにいたしております。そのアンケートの結果を十分に尊重しながら、そしてまた、その地域雇用動向といったものを総合的に勘案した上で、機動的かつ効果的な訓練を迅速に実施をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  84. 原田義昭

    原田(義)委員 先ほど渡辺委員のときもちょっと似たような質問がありましたけれども雇用促進に関連しまして、地域雇用促進法に基づく特定雇用機会増大促進地域指定、これについて、ぜひその方向お願いしたいと思いますが、もう一回力強いお答えをいただきたいと思います。
  85. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 雇用機会増大促進地域といいますのは、今既に荒尾も、それから大牟田指定をされておるところでありますが、特定雇用機会増大促進地域といいますのは、その中でも特に雇用難だというようなものについて改めて指定をするわけであります。  ただ、現在、三井石炭鉱業会社当局と、それから現地労働組合との間におきまして協議が行われている真っ最中であります。したがいまして、我々はそれの推移を見守っているところであります。  見守っているというと何もせぬようでありますが、先ほど来高齢部長がお話をしましたように、こうなったならばこうしよう、こういう現象になったらばああしようということは腹の中で十分考えているところではありますが、そういった時点でありますので、今後の推移を見守りながら、先生のおっしゃる特定地域ということに指定するか否か、また存分に検討させていただきたい、こう思っております。
  86. 原田義昭

    原田(義)委員 この離職者対策に万全を期すというために職業安定所の体制整備も必要かと思いますが、この観点から、今どういうことが行われているか、所見をお聞きしたいと思います。
  87. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 三井三池炭鉱閉山という事態に立ち至った場合には、一度に大量の離職者が発生することが予想されるわけでございまして、そのため、離職された方々のための就職援護のいろいろな制度がございます。そういったものの説明会の開催ですとか、あるいは臨時に職業相談所を開設する、こういった措置を機動的に講じていく必要があるわけでございます。  こういった対応をしていくためにも、他の公共職業安定所からの応援も仰ぎながら、大牟田荒尾両安定所の体制整備を図っていくということが必要になろうと思っておりますので、そういった方向で現在いろいろと準備を考えておるところでございます。
  88. 原田義昭

    原田(義)委員 いろいろお答えいただきましたけれども、いずれにしても三井石炭閉山問題、たくさんの課題があるわけでございますけれども、労働大臣、ぜひこの失業問題、雇用問題には万全を期して対策お願いをしたいと思います。最後に大臣の決意をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  89. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 労働省といたしましては、過去に、北炭幌内千七百の離職者が出た、あるいは大夕張二千二百の離職者が出たというような経験を持っております。その際の手法というものは何でありたかというのも、今もう一遍トレースをしているわけであります。  ただしかし、北炭幌内と申し、あるいは大夕張といいましても、これはやはり北海道のどちらかといいますと都市とは言えない山間部が中心だった。今度の大牟田荒尾三井三池におきましては、これは都市部の閉山というような意味合いで……(発言する者あり)どちらかというと山間部という表現を私はしたつもりであります。私は美唄も存じております。  要するに、今度は大牟田荒尾という都市部であります。そういうような意味合いの中で、その千五百三十九人という方が一応会社側の把握によれば離職予定者だということであります。そういう意味合いでは、在来の公共職業安定所の全国ネットワークによる広域職業ネットワークがありますが、はてさて前回のように役に立つかどうかという点について、もう一遍我々は見直してみなければいけないな、こう思っております。  それから、先生お話がありました職能訓練といいますか、新しい技能を身につけていただいて、自信を持ってこういう職業につきたいというような意味で、これが非常に大きな武器になろうかと思っております。高齢部長からいろいろお話をいたしましたもろもろの施策を講じて、ひとつ立派な技術を身につけていただこう。  あとは、炭鉱離職者の求職手帳、これの活用。  三面だと思っておりますが、やはり今回は、言いますならば会社が準備した地元の就職先というようなものが限られている。しかしながら、平均年齢は離職予定の皆さんは四十七歳だ。そうするとどうしても、私もそうでありますが、もう長く住んだところにいたいという気持ちがあろうというような中で雇用対策というものをどう展開をしていくか。ひとつ団体交渉等々終わりましたならば、いろいろ知恵を絞って万全の対策を講じてまいりたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  90. 原田義昭

    原田(義)委員 大変力強い御答弁、ありがとうございます。どうぞまたその勢いで、ぜひとも問題の解決お願いしたいと思います。  同じ現地調査のときに、短い時間でありましたけれども地元商店街をみんなで視察をいたしました。大牟田市の目抜きの商店街でございましたけれども、そこがもう本当に歯抜けになっておる。私は、これは石炭影響ばかりじゃないと思いますけれども、それにしても全体としていろいろ商店の存在が難しくなってきておる、こう思います。  それで、商店ばかりでなくて、大きな会社がなくなるわけですから、今までの下請企業、また直接、間接にかかわりを持っていた中小企業、これが大きな影響を受けるというのは間違いないことだと思いますが、中小企業対策がどういうふうに行われているか、これをお聞きをしたいと思っております。  産炭地域振興臨時交付金、こういうのが既に行われておりますけれども、その融資制度の貸付限度額の引き上げ、利率の引き下げ等貸し付け条件の緩和、こういうものの是非について通産省からお聞きしたいと思います。
  91. 中村利雄

    中村(利)政府委員 先生御指摘のように、産炭地域振興臨時交付金の中に、石炭鉱業の構造調整による影響を受け、苦境に陥っています商店主等の中小商工業者に長期低利の貸し付けを行う道県に対し支援を行うという制度がございます。現在、これまでの金利を下回る低利融資制度の創設について地元自治体で検討が進んでいると承っておりまして、当省としては可能な支援を行ってまいりたいと考えております。
  92. 原田義昭

    原田(義)委員 時間がありませんので、一つだけ。  実は、これは三月一日の西日本新聞なのですけれども、これにこういう記事が載っております。大牟田荒尾日本最大の太陽光発電、風力発電の装置を設置する、こういうような記事です。要するに、石炭がなくなってくる、そしてこのそばに三井グリーンランドという大きな遊園地があるのですけれども、その一角に光発電、風力発電の大きな施設をつくる。例えば風力発電については、四十四メートルの塔に大きなプロペラを取りつけた、最大出力が二百五十キロワットアワー。それからもう一つは、NEDOとの共同研究開発で光発電の施設をつくる、これは最大出力三十キロワットアワー。こういうもので、この装置がことしの七月に完成する、五年ぐらいかかったということですけれども。そうすると、この遊園地の電気需要の一割を賄えるようになる、こういうような記事であります。  私は、大変感心したのは、実業家である社長さん、名前は幕孚さんというのですけれども、この人も炭鉱のOBでございますけれども、この人は、炭鉱閉山というのは時の流れだ、いずれか来るのは避けられない、新エネルギー発電は採算性はまだであるが、閉山をばねに新しいことに挑戦することも必要である。さらに、この大牟田はそれこそ石炭百年の大きな都であった、これから新しい時代に向けてこの三井三池を今度は新エネルギーの都にしたい、こういうような気持ちで取り組んでおられるそうであります。閉山というと、どうしても暗い、寂しいニュースが多い中に、こういうふうに前向きに挑戦をする、しかもそれを企業化しようという話があるということは、大変私はうれしく、心強く思ったわけであります。  そういうことで、お聞きしたいのは、この閉山する大牟田荒尾、これに新エネルギーを核にして、起爆剤にして新しい町づくりをしょう、これを行政、通産省はどういうふうに評価するかということと、もう一つお聞きしたいのは、このところちょっと省エネルギーとか代替エネルギーという議論が少し弱くなってきたのではないかなと、これは私の個人的な印象なのですけれども、世界の石油需給が不景気やら何やらで緩んでくると、どうしてもそちらの方の力が弱まっているような気がいたします。こういうものを機会にもう一回、新エネルギーの見通しとか、これを全体のエネルギー政策の中でどういうふうに考えておられるか、これもあわせてお聞きしたいと思います。
  93. 江崎格

    ○江崎政府委員 最初におっしゃいました荒尾市の三井グリーンランドの件でございますが、私ども、これは大変すばらしい試みだというふうに思っておりまして、実は、平成八年度の予算におきまして、今御指摘の太陽光発電システムにつきまして、国としてもこれを支援しようということで、二分の一補助でございますが、二千四百万円の補助金の交付ということを考えております。  それから、新エネルギー、省エネルギー全体の問題でございますが、御指摘のように、まず省エネルギーの問題でございますと、この一、二年日本のエネルギーの消費の伸びが、従来一%ぐらいに想定をしておったのでございますけれども、実は三%台というかなり高い伸びになっております。  緩やかな景気回復とかいろいろな背景がございますが、結果として非常にエネルギーの消費が伸びているということで、これは放置しますと日本のエネルギー事情に非常に悪い影響があるということで、ここで改めて省エネルギーに力を入れる必要があるというふうに思っておりまして、実は、先日内閣に音頭をとっていただきまして、今関係各省が抜本的な省エネルギー対策というものを検討しておりますが、できれば八年度末か四月に、エネルギー対策閣僚会議の場でこうしたものを持ち寄りまして、抜本的な省エネルギー対策をまとめて国民に訴えたいというふうに思っております。  それから新エネルギーでございますが、やはりこれも私どもの想定では二〇〇〇年には総エネルギー供給の二%、二〇一〇年には三%ぐらいに持っていきたいというふうに思っておりますが、実は、技術の問題ですとかコストの関係でなかなか思うように進んでいないというのが実情でございます。問題はコストが高い、技術が高いということで、これをどのように解消するかということでございますけれども、一つはやはり人工的といいますか、初期需要を政策的につくりまして、これによって量産効果をもたらして全体の設備を下げるということを考えたいと思っておりまして、そういうことのために、実は今度の国会に新エネルギー利用促進法案というのをお願いをしております。  それからもう一つは、こうした問題はある意味ではローカルエネルギーとも言えるものでございますが、地方自治体における先進的な取り組みというのが非常に大事だと思っておりまして、そうしたことを支援するための予算措置も来年度の予算に私ども提案させていただいておりますので、お認めいただければこうした分野でも力を発揮できるのではないか、このように思っております。
  94. 原田義昭

    原田(義)委員 どうしても閉山の議論は暗くなりがちでありますけれども、今エネ庁長官からもお話がありましたように、むしろ災い転じて福となすというか、これを奇貨として新しい社会に生まれ変わる、こういうことが私はぜひとも必要ではないかなと思います。  また、今のお話は、これから産業をいろいろ転換する過程で、石炭はもうこうしてなりましたけれども、いろいろなところで起こってくると思うのですよ、空洞化とかなんとかで。そのときに、やはり新しい産業に転換するというようなたくましいエネルギーというか、そういうものを行政、政治もバックアップするということもこれから必要になるのではないかなと思う次第であります。  時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  95. 鉢呂吉雄

  96. 古賀一成

    古賀(一)委員 通産大臣に引き続きまして今度は労働大臣にお見えいただきましたので、労働省及び大臣、そして関係省庁質問をさせていただきたいと思います。  大臣、実は先ほど、通産大臣が前半お見えでございまして、そのときに今度の三井鉱山閉山に対する私の基本的な思いというものを申し上げたわけでございますが、再度大臣にも申し上げたいのです。  それは何かといいますと、これまで空知あるいは芦別等々閉山が続いてまいりましたけれども、今回の三井鉱山閉山というものは、先ほど大臣もおっしゃいました、いわゆる人口稠密なる平野部に展開する炭鉱であり、そして百二十四年の歴史を誇り、そして累積で三億トン近い石炭を掘ってきた炭鉱であるということで、いろいろな面で積み残された、あるいは傷跡として残る問題が大変多い炭鉱であろう。  そういう意味で、今、原田議員の方から新しい挑戦という話が出ましたけれども、私はぜひ通産省皆様方そして労働省の皆様方あるいは関係大臣お願いしたいのは、これまではこうやっておった、そういう発想ではなくて、本当に新しい時代の新しい挑戦をする、そういう気持ちでこの三井鉱山閉山対策にいろいろな分野で当たってもらいたい、これが私の基本的なお願いでございます。  さて、まず冒頭でございますが、そういうことを申し上げた上で質問を申し上げたいのですが、私は、三井鉱山雇用対策あるいはそれに付随しますところの住宅の手当ての問題、いろいろあるわけでございますが、これは大げさに言えば、これから日本は経済の空洞化あるいは雇用の空洞化等々、本当にこれまでにない大変な問題を起こすだろう、直面するだろうと思います。しかも低成長でございますから、なかなか雇用先も、かつての筑豊などが閉山したときとはわけが違う。そういう意味で、成熟化した後の苦しみというものを経験すると思うのですね。そういう面では、そのまさに平成不況といいますか、日本の経済がターニングポイントにかかったというその時期の閉山であるだけに、ここでの労働省の対応というものは、これを本当に前向きに、新しい知恵を出して新しいやり方でやっていけるかどうかというのは、大げさに言えば私は今後の労働行政そのものも占うのではないか、かようにも思うところでございます。  私は、今の日本の経済状況を考えれば、企業内に相当の潜在余剰人員というものを抱えておるだろうと思います。一方で高齢化が進んでくる、若年者が足りない。あと十年も二十年もしたら、本当に一千万とかウン百万単位でサラリーマン等を職業訓練して、新しい日本の生産性、企業の生産性、日本そのものの生産性を高めるような、そういう大配置転換をしなければならないような時代も来るのではないか、こういうような思いもございます。そこまで大げさに言いませんけれども、そういう意味で、今度の三井鉱山閉山も前向きに、くどいようでございますが前向きに、かつ新しい手法もいとわずお願いをしたいと思います。  その中で、第一点でございますけれども、まず閉山交付金の話でございます。  これは通産省になるわけでございますが、地元から、閉山交付金の弾力的かつ迅速な支給をお願いしたい、こういう要望がるる参っております。これについて、かつての閉山した炭鉱とは若干違いまして非常に坑道、坑口が多いわけでございまして、これを全部閉鎖しないと交付金がおりない、そうしますと退職金も渡らぬ、退職金を実際もらわないと退職した気にならない、こういう組合要望もございました。  まず第一点、通産省にお伺いしますけれども閉山交付金の弾力的、迅速な支給ということについて、真剣に取り組んでいただいておるのだと思いますが、現段階でどうお考えか、お答えをお願いします。
  97. 江崎格

    ○江崎政府委員 会社の方から閉山交付金の申請が行われた場合には、私どもとしましては、閉山対策が円滑に行われますように、法令に基づきまして遺漏なく交付金交付するように準備をしております。  交付の時期でございますけれども組合の方から七月中旬までにという要望が出ていることは私ども承知しておりますけれども、御承知のように、閉山交付金交付の条件として坑口をすべて閉鎖するということになっておりますけれども、今回の場合には、鉱山保安法上の特別の許可によりまして一部の坑口について閉鎖しなくても交付できるようにということを現在私ども真剣に検討しておるところでございます。
  98. 古賀一成

    古賀(一)委員 坑口の閉鎖について極めて弾力的にというお言葉でございました。今後とも、ほかにもいろいろこういう問題はあろうと思いますけれども、今冒頭申し上げましたように、要するに新しい、これまでこうやっておったからというようなことじゃなくて、何としても積極的に対応をお願いしたいと思います。  第二点目でございますが、今の閉山交付金とも絡むのですが、雇用対策の方でございます。いわゆる黒手帳炭鉱離職者求職手帳、緑手帳、特定不況業種の離職者求職手帳の問題でございますが、これにつきましては、実は今まで閉山が続きました北海道と違いまして、九州の場合は、いわゆる関連会社化といいますか、下請化といいますか、今までは石炭会社そのものが掘りもする、上げてきたものを運送もする、港へ運ぶ、そういうふうに石炭会社そのものがそういう幅広い業務をやっておったのですが、この三井三池の場合には、いわゆる選炭場どまりで、後は、輸送会社は別会社あるいは鉄道で運ぶところまで運ぶのも別会社等々、いわゆる子会社化といいますか、関連会社化が大変進んだ実態にあるわけです。  この人たちにいわゆる黒手帳交付をぜひお願いしたいという要望も大変強いものがございますし、先ほどの閉山交付金についても、いわゆる炭鉱下請従業員直轄並みに扱ってほしい、こういう要望がございますが、この点につきまして、黒手帳緑手帳交付につきまして、そういったもろもろの弾力運用といいますか、実態に合わせた対応をお願いしたいという要望に対してどうこたえていこうとされておるのか、労働省のお考えをお聞きしたいと思います。
  99. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 いわゆる炭鉱離職者求職手帳の発給の問題でございますけれども、先生御案内のとおり、坑内作業等の炭鉱における一連の基本的工程に属する業務に従事している労働者であれば、これは下請も含めて、いわゆる黒手帳の発給の対象になるわけでございます。また、黒手帳対象とならない下請労働者についても、一定の条件を満たせば、特定不況業種の離職者求職手帳、緑手帳が発給されるということになるわけでございます。  現在、私どもといたしましては、地元の公共職業安定所を通じまして、具体的に個々の労働者がどういった業務に従事をしているのか、事前の調査をしておる段階でございます。今後、閉山という事態に立ち至った場合には、発給の基準というものがございますので、そういったものも踏まえながら、個々の労働者が従事している業務の実態に即して迅速また適正な手帳の発給を行ってまいりたいというふうに考えております。
  100. 古賀一成

    古賀(一)委員 もうあと時間がございませんので口早に申し上げますが、もう一点、新聞等でよく出ておりますのは、いわゆる直轄といいますか、三井石炭鉱業の社員、そして今おっしゃいましたような直接的に関連する企業従業員ということで、千二百余名のいわゆる就職あっせんの問題が出ておりますけれども、先ほども同僚議員から紹介がございました九州経済調査会の調査によれば、離職者は三千名に及ぶだろうということで、炭鉱マンは直接は千三百人、あと何と、農林水産の七十名を含めて、金融・不動産百十名、運輸・通信二百八十名、公務・公共八十名、卸小売四百五十名、サービス業五百二十名と大変広い分野に離職者が及ぶという予測でございます。これは大牟田という、あるいは三井三池という炭鉱の特殊性もあるんだと思うのですね。この点につきましても、質問はしませんが、これが一番私は深刻な問題の一つじゃないかと思うのですね。これに対しても、ひとつ十分労働行政の立場から意を用いていただきたいと要望を申し上げたいと思います。  あと、職業訓練につきまして質問しておりましたけれども、十分意を用いて対応していただいておるということをいろいろ聞いておりますので、これはこれで私はもう了解とさせていただきまして、もう一点、労働組合の方から、この前現地調査に参りました折るる要望がございました一点をお聞きしたいと思います。  鉱山保安法によりまして、各種資格があるそうでございます。地下の坑道の中でいろいろな機械を扱う、その資格が、実はおてんとうさまのもとに上がってきますと、適用法律が違いまして労働安全衛生法ということになるということで、この点につきまして、ほとんど機械あるいは作業の形態が類似のものは、当然一週間程度の講習で、地上に上がってくれば、好きこのんでじゃなくてもうやむを得ず地上勤務になるわけでありますから、資格を同等化してもらいたいという強い要望がございました。この点につきまして、どういうお考えでありましょうか。
  101. 坂本哲也

    ○坂本(哲)政府委員 鉱山保安法に基づく資格と労働安全衛生法に基づく資格の乗り入れの問題でございますけれども、これまでも、例えば発破ですとかガス溶接とか、こういった業務について言えば、逐次乗り入れを行ってきたところでございますけれども、特に、平成三年六月の石鉱審の答申がございました。また、その後、平成六年二月には鉱山関係労働組合の皆さん方から熱心な要請もいただきました。こういったものを受けまして、双方の資格全般について、業務の類似性といった観点から、乗り入れについて全面的な検討を行いました。その結果、平成六年九月の時点で関係法令を一部改正を行いまして、クレーンの運転士免許ですとかボイラー技士免許あるいは車両系建設機械の運転技能講習を初めといたしまして、合計十二件について乗り入れの措置を講じたわけでございます。  さらに、私どもといたしましては、労働者の安全の確保というものを考慮しながら、鉱山離職者の再就職の一助となるように、一定の鉱山保安関係の資格を有する方に対しましては、労働安全衛生法で義務づけられている、例えば特別教育についてその全部あるいはまた一部を免除する、そういったことについてさらに検討してまいりたいというふうに思っております。
  102. 古賀一成

    古賀(一)委員 労働関係もあとあるのですが、実は他省庁からもお見えをいただいておりまして、ぜひ私も聞きたい項目がございますので、ちょっと矛先を変えるといいますか、水産庁の方にお聞きをしたいと思います。  先ほど来、実は、有明海の漁業の問題、とりわけ有明海の海底陥没の問題が出ておりまして、大変切実な問題、現実的な問題、しかも、やるべきことも割とはっきりしている、こういう御指摘がるる続いておりまして、私も地元中の地元でございます。先ほど通産省のお答えでは、三井石炭鉱業に今後ともいわゆる陥没復旧を閉山後も続けるように指導するというはっきりとしたお答えをいただいて、それはそれでいいわけでございますが、一面で、水産庁の方も、この問題をもう十年前から認識して対応していただいておりました。私もよく海に行きまして、その復旧の跡を、いわゆる埋め戻し、夜砂事業、砂をもう一回覆する、これを見て、その効果の大きさに驚いておるわけでございますが、水産庁の方で、有明海を対象としまして、いわゆる漁業振興という観点から埋め戻し、覆砂をやっておられる。今後これについてどういう方針で望まれるか、これを機会にぜひお聞かせを願いたいと思います。
  103. 櫻井謙一

    ○櫻井説明員 先生御指摘のとおり、有明海におきましては、かなり干満の差が大きい海域でございまして、広大な干潟が形成されまして、アサリとかそういった貝類の増養殖とか、それからタイラギの潜水器漁業、こういったようなものの非常に良好な漁場となっております。水産庁といたしまして、こういったような特性に対応した地域の漁業振興を図るといった観点から、漁場保全対策の事業を行っておるわけでございます。  今後とも、こういった保全対策の事業につきましては、適切に対処してまいる所存でございます。
  104. 古賀一成

    古賀(一)委員 通産省と若干スタンスは違うかもしれませんが、問題解決の効果といいますか、それは全く一緒でございまして、この際ちょっと申し上げておきますと、平成二年七百トンに落ち込んでおりましたアサリが、五年後の平成七年六千トンまで回復をいたしております。今後、水産庁は水産庁で事業をぜひ育てていただきたいと思うのです。  それとまたあわせ、私は、これからの行政というものは、水産庁は水産庁、通産省通産省会社会社ではなくて、先ほど来も出ましたけれども、いわゆる有明海の総合的な漁業振興という立場から、たしか平成四年ですか、水産庁、福岡県庁そしてエネ庁が一体となって有明海の漁業振興調査をやっていただいたわけです。県庁の当時の担当次長は、もう涙が出るほどうれしいと私に言っておりました。そしてその効果は、先ほど言いましたようにすごいものがあったわけで、今後とも、省庁の壁を超えて、最も効率的な復旧というものを過去の縄張りにこだわらず総合的に対応していただきたいと私は強く強く要望をいたしておきたいと思います。  そして、ついででございますから申し上げますと、この前、現地調査に参りました折、当日参加された方は聞かれたと思うのですが、実は熊本県に菊池川というのがあるのです。そこの河口から有明海にかけまして大変砂がたまって困っておる。ところが、福岡県側といいますか、今の陥没の問題等々、あるいは陥没にこだわらず、いわゆる有明海の漁場の質改善のためには砂が要るのです。福岡はそれはもうぜひ欲しい。そこら辺のところがございまして、熊本も喜ぶ、福岡も喜ぶ、そういうお話が実はございますので、ぜひそれを水産庁、質問ではございません、頭に置いて対応をお願いしたいと思います。  さて、そろそろ最後に近くなってまいりましたけれども、冒頭、自民党の渡辺委員の方から一番最初に御質問がございました。その折に、実は現地調査で大変問題になりました、とりわけ熊本県の方から強い強い要望が出されました、いわゆる九州国際空港でございまして、同じ委員会でございますので、実は渡辺委員の方がはるかに専門に近い御経歴をお持ちであろうかと思うのですが、先の見えないプロジェクトにという話がございましたので、私はこれはちょっと言わなければという気持ちで、関係省庁もおられますので申し上げたいと思うのです。  私は、これは先の見えないプロジェクトでも何でもない。本当は博多から大牟田まで新幹線を引っ張ってくるよりもこれはよっぽど早くできる。しなければならないし、またできる問題だと、もう哲学としてそう思っております。これにつきまして、荒尾市、熊本県、あるいは熊本県知事あるいは熊本財界、強い強い要望がございました。  私はこの大牟田の問題というものを、むしろ日本全体の問題にダブらせて考えたときには、もう絶対この機に、いわゆる三井鉱山閉山をする、三井三池がなくなるというこの機に、通産省が音頭をとって、日本の経済空洞化、とりわけハブ空港が今日本にはないわけであります。国際空港で滑走路が一本しかない空港は世界で三つしかない、そのうちの二つ日本です。  しかも、あと二年後、全く有明海と形状を同じくしました韓国の仁川、あそこに新メトロポリタン空港が開港する。もう成田どころではない、成田の三倍ぐらいあるハブ空港が開港する。時を同じくして一九九九年、日本の第四次円借款の金も導入して上海にこれも巨大空港が開港するのです。これは間違いないのです。運輸省の皆さんに聞きますと、いや、それは二〇〇五年でしようと言うけれども、違います。私はもう一年に三回、四回上海に行っていますから、高官から聞きます。一九九九年に中国共産党結党五十周年を記念して開港するのです。  そうしますと、一九九九年に巨大空港が、日本の東京よりも西日本から近い地域二つの巨大ハブ空港が開港する。その五、六年後に、実は通産省、エネ庁が二百八十億でしたかをつぎ込んで各国と一緒になってやっているHST、あるいはそれから派生しますSST、いわゆる超音速機ができる、就航するのです。これはもう予算委員会で、政府としても二〇〇五年にSST、マッハ二から二・五の、コンコルドよりもっと効率のいいものが就航する、日本政府はそう見ていますという答弁をかつて私いただきましたけれども、するのです。  そうしたときに、過去百ウン十年間日本経済を支えたこの大牟田の地に、私の持論からいえば、たった十三キロ向こうには普賢岳が見えまして、普賢岳の土砂が二億五千万立米あるのです。これのたった五分の一をしゅんせつ船でベルトコンベヤーで運べば、関西空港の十分の一ぐらいの予算でハブ空港の島ができる、こういうことなのです。  だから、ぜひ先ほど言いました新しいものへの挑戦ということで、私は、労働省の方からこういうことはなかなか言えないと思うのですが、これは本当は運輸省だと思うのです。あの港湾だって五カ年の途中で三池港を入れるのですから、私は第七次空整でこれを入れるべき時期が必ず来るだろうと思っています。日本の経済空洞化、空洞化は別に雇用だけではないのです。もっと大きいマクロで日本経済を見たときに、私は絶対ここに最大のつくる理由とチャンスがあると思いますので、その点、ちょっと長くなりました、運輸省お見えいただいておると思うのですが、今まで予算委員会と運輸委員会でやってまいりましたけれども、この三井鉱山閉山を機に、その場所に適地がある、ひとつここで検討してみようというお答えを期待しまして、質問をいたします。
  105. 横田和男

    ○横田説明員 九州の国際空港について、九州の各界でいろいろな検討が進められているということについては我々も非常によく承知しております。また一方では、我々運輸省としましては、今後の日本の航空を考えたとき、国際ハブ空港を最重点課題としてやっていきたいというふうに思っておる次第でございますけれども九州の問題につきましては、現段階ではどこにつくるべきだとか、そういうような段階にはまだ至っていないのではなかろうかな、こういうふうに思っております。  そういうような認識のもとに、しかしながら、長期的に要らないものであるというふうには我々はまた思っておりませんので、そういう長期的な視点で慎重に検討していきたい、こういうふうに思っております。
  106. 古賀一成

    古賀(一)委員 今度調査団で行きまして、行かれた方は広大な土地が、貯炭場とかそういうものがあの海辺に干拓地としてあるのを見られたと思うのです。私はそれがもっと見えるように、灯台まで上って見たのです。ざっと見たところ、集約すれば二、三百ヘクタールあるのではないか。成田は五百ヘクタールちょっとですよ。そうなのです。だから、これは私は三井関係企業にも商工会議所にも言いましたけれども、どこか集約してあと二百ヘクタールぐらい埋め立てすれば国際空港ができるではないか、しかも、たった一千億もかからぬ金でできるではないか、こう申し上げたわけです。どうでしょうか、私は亀井静香大臣にそしてその後亀井善之大臣にこの問題を質問しましたところ、二回とも両大臣から本当に貴重な意見だと、亀井静香大臣に至りましては、全く同感で西日本に必要だというようなお話があったのですが、この三井鉱山閉山、大変なこの事態に、運輸省ひとつ、亀井善之大臣も貴重な意見だから検討するというお答えがあったのですけれども、具体的に現地調査へ行ってコストを試算するようなことはお考えではございませんでしょうか。
  107. 横田和男

    ○横田説明員 昨年十二月に閣議決定させていただきました第七次空港整備五カ年計画におきましても、こういう問題につきましては、地域において多様化し着実に増大すると見込まれる国際航空需要の動向等の対応について調査検討を行う、こういうふうにさせていただいておりますので、そういう線に沿って我々検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
  108. 古賀一成

    古賀(一)委員 検討するということでございますが、これは今までの地方空港とはわけが違うと思うのですね。羽田空港の拡張が、地元要望があった、地元の意見がまとまったからやっているわけじゃないんです。まさに国策としての空港。とりわけハブ空港はそうなんですよ。私はかつても言いましたけれども、要するにこのハブ空港、マレーシアだってどこだってもう巨大空港はできているから、通産省は、あるいは大牟田地域が、三井鉱山だって千五百億ぐらいの借入金があるわけです、そこに一つ検討が始まっただけでも、三井が借金だらけで持っているあの広大なる土地も、国も金を貸しているわけですから、一発でこれも解消するのです。そして、韓国に若干はおくれるでしょうけれども負けない、少々おくれるかもしれないけれども対抗し得る空港ができるのです。  私はこれが実現するまでライフワークとしてやろうと思っていますので、これはもう質問じゃございません、強い強いそういう、総合的に見てこれはぜひやるべきだということを再度申し上げまして、終わります。
  109. 鉢呂吉雄

  110. 岩田順介

    岩田委員 労働大臣には、先般、労働委員会でも見解を求めておりますが、改めて一点だけ確認をしておきたいと思います。  私は筑豊炭田の出身でありますが、三十年代に石炭がなくなりました。そのときに大量の失業者が出るわけでありますが、大量の失業者とその家族が大量に移動するんですね、関西や関東に夜汽車に乗って移動するのでありますが、これはぜひとも大牟田ではそういうことがないように、さまざま質問がありましたが、ぜひ御奮闘をお願いをしたいと改めてお願いをする次第であります。  重ねてお尋ねしたいという点は、先ほども何人からも出ましたが、緑の手帳と黒手帳の問題。これは採炭現場から船積みまで、中には選炭があるし輸送があります。そしてどこにかかわっているか、また直轄かいわゆる下請かによって黒か緑かというのは分かれてくるわけです。それから、間接的にかかわっているという業者などもたくさんおりまして、しかもそれは緑にもかからないという状況。したがって、これをどうするかというので弾力的運用をお願いしました。これにつきましては前向きに、積極的に検討するという御返答をいただいたわけです。  しかし、弾力的運用を一〇〇%、法律の運用、解釈をして実施されたとしても、それからまだはみ出るというか、その法の網にかからない方々が多いのであります。これは中小零細の業者であったりいわゆるその労働者であったり、これは相当出ますけれども、それはもう想定できていると思いますね。坂本部長来ていますが、想定できていると思いますよ。したがって、これらの方々や事業主が将来の展望をどう求めていくかという意味で、一体どういう労働省の支援があるかという場合に、一つの支援策として、特定雇用機会増大促進地域という地域指定をすればかなり展望が持てるだろうということで先般もお願いをしたわけです。  今大臣は、シナリオは書いているけれども労使交渉とおっしゃいましたが、これは労使交渉もそうでありますが、影響度は労使交渉のまとまりぐあいにも若干関係しましょうが、しかし、関係しない分野で早目にやっていくということがこの場合非常に大事だというふうに私は思うのです。もし仮にこの問題で検討の余地がまだ残っているとすれば、荒尾大牟田地域をどういうふうに見るのか、どういう影響が、熊本福岡と県境を挟んであるわけですから同一地域にするのか別々にするのかということがありましょうけれども、これは大臣、もう一日でも早い、即断というか結論を出していただきたい。もう出るのじゃないかと思いますが、もう一度明確な御答弁、御決意を聞いておきたいと思います。
  111. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 岩田先生のお話の中で、黒手帳緑手帳、前段にございました。これは先般の労働委員会での先生の御質問でございました。これについては、よく承った、先生の趣旨はわかったという御返事を差し上げましたのですが、よろしいですか。  それから今お話しの、特定雇用機会増大促進地域、これの指定を早うしろというお話でありますが、先ほど原田先生にお答えをしましたような次第で、目下団体交渉中であります。離職者がどのくらい出るのか、閉山が三十日と言っているが、その案を組合がのむのかどうか、あるいは条件闘争だというようないろいろな情報があります。私は、だからこれを見守りたいと思っておりますが、見守っているだけではないというお話は、さっきお話をしたとおりであります。今の雇用機会増大促進地域に特定を上乗せするかどうか、これもひとつ存分に検討をさせていただきたい、こう思っております。
  112. 岩田順介

    岩田委員 一日も早くこの政策意思決定をしていただくことが極めて大きな好影響を与える、気持ちの上でも好影響を与えるということをぜひ御勘案の上、御努力お願いをしておきたいと存じます。  通産の部長、エネ庁の長官、残っておられますから関連をしてお尋ねをしていきたいと思いますが、先ほど、大臣への質問の際に冒頭、どういう影響が出るのかということは後日お示しいただきたいと思いますが、これは唐突な質問ですけれども、これは後日でいいのですが、一体、三井三池炭鉱、鉱山の保有する遊休地がどれくらい出るのか。それから簿価での換算はできるでしょうけれども、実際に時価で換算した場合どれくらいになるのかというのは一つ興味がありますね。これは後ほど、きょうでなくてもいいです、お示しをいただきたいというふうに思います。  具体的な質問は、漁業の問題です。有明漁協は、漁連は六百戸の漁民から成っております。それで、先ほどもお話がありましたが、干満の差が非常に著しい。干潮時は大体五キロぐらいが干潟になるのですね。ところが今は水深が深くなりまして、ノリの竹ざおが、五十二、三年以前は四尺の高さで済んでおった、今、七尺から八尺要るというんですね。だから倍になっておるんですよ、水深は。それだけ干潟が浅くなった。干潟が浅くなっているということは、日照時間が、いわゆる日の当たる時間が非常に短くなっている分野が多くなっている。そうすると影響が出てくるわけですよ。卵を産まなくなった、育ちが悪くなった。先ほどアサリの生産が戻ってきたということがありますが、これはいろいろなところから取り寄せた稚魚を放流をするからそういうふうになっているわけでしょう。漁場としては極めて環境がよくなっているとは言えないわけであります。そういう状況の中で、部長がおっしゃいましたように、臨鉱法では、いわゆる海底は対象にならない、土地の上の農地だとか建物だとか公共物、こうなっているのは事実です。しかし、それは年間三億。砂を入れているというのですね。竹ざおを出している。これはほぼ原因、因果関係として、下を掘っている、陥没しているということを認めているということがあります。これは安心ですが、干拓地が下がっているということについて、これは明確になっていませんね。  この際にいつも問題になるのは、いわゆる加害者というか原因者がどう挙証責任を明らかにするかということなのですよ。通産省としては何回も学者を入れて調査をやったけれども、それは影響がないのではないかという、ここはこれから心配になるのです。したがいまして、これはやはりもう少し通産としても慎重かつ重要に受けとめて検討していただきたい、これは私の一つの要望であります。  それから同時に、漁業権の問題については、これはいつ鎮静化するかというのが見通しがつかないわけですよ。九年度までは漁業補償の問題は交渉が詰まっております。十年度もやろうというふうになっていますが、状況を見てということになっていますから、両者の合意はできているようでできていないと私は思いますね。  問題は、そういう状況の中で、両者の食い違いが、科学的な根拠が提示されてもなおかつ食い違う場合が想定されます。その場合、通産省としての三井社に対する責任の問題をどう判断していくのかということが一つです。  それから、これは想定しておりませんが、その時点になりますと水産庁の問題にもなっていくと思いますが、やはり今日時点から、海洋資源をどう守るのか、沿岸資源、いわゆる干拓の資源をどう守るか。これはもとに戻らないと思いますよ。そういうことを含めて、先ほど水産庁は、いわゆる資源確保の観点から対応するということをおっしゃいましたが、いや、それならば十分ですよ。しかし実際に、有明干拓の現状から近未来の心配を含めてどういうふうに責任をとるのかということについては明確な答弁がありませんでした。それは後日私は伺いますが、通産としては、水産庁との省庁連絡会議で既に責任が発生したと思いますが、これらについての御回答をお願いしたいと思います。
  113. 中村利雄

    中村(利)政府委員 海底陥没につきましては、先ほど申し上げましたように、どこまでやるべきかということについて会社側と漁民の方との間でそごがあるということでございますが、会社側は、平成九年度においても従来どおりの埋め戻しを行うということを言っているわけでございます。  したがいまして、それは私ども責任を持ってやっていただくということでございますが、干拓地につきましては、これは先ほどからいろいろ議論になっておりますけれども、やはり因果関係が特定できない、その直下で掘っているわけではございませんので因果関係が特定できない、しかもそういう結果が出ているわけでございまして、その後大きな変化がないということで、現在、それを鉱害として取り扱っていくということは非常に難しいということでございます。  ただ、私どもも、水産振興という観点につきましては、有明海沿岸の産炭地域の振興を図るという観点で今までいろいろな調査をいたしてきております。さらに、平成六年度におきましては、有明海水産振興対策協議会で助言、提言が行われているところでございまして、今後、これまでの調査をもとに事業化をぜひしたいということでございましたら、私どもとしても、その要望について鋭意検討してまいりたいと考えております。
  114. 岩田順介

    岩田委員 これで終わりますが、かつての豊漁だった時代に比べて、落ちていることは事実ですよ。何が原因かというのは、ほぼ常識ではわかるわけです。したがって、あなた方が、通産省が、漁民を見るのかどこを見るのか、これは企業社会的責任とおっしゃいましたが、六百名の生活権を守るという意味では、ぜひ頑張っていただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。
  115. 鉢呂吉雄

  116. 吉井英勝

    吉井委員 大臣には先日予算委員会でも既にお聞きをいたしましたが、あのときに通産大臣は、今日三井のあるのは三池のおかげだ、今の三井石炭で財をなしたことは否定できないとした上で、三井社会的責任を果たさせるという答弁でした。  それで、内閣一体ですから、これは質問すると当然だと言われることになるかもしれませんが、労働大臣社会的責任を果たさせるという立場で臨まれるということについて、これだけ最初に確認しておきたいと思います。
  117. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 三井石炭鉱業株式会社三井三池鉱業所を長年にわたって経営をしてきた、それが閉山に至ったということでありますならば、今までともに働いてきたそこの従業員諸君並びに周辺の皆さんの、もし離職ということになるならば、これの再就職方について全力で努力をすべきである、こう考えております。
  118. 吉井英勝

    吉井委員 雇用についても全力で努力する社会的責任ということが今おっしゃったことなのですが、働く皆さんにとって、職場と社宅というのは一体なのですね。それで、実は会社の方は組合への閉山提案をしているわけですが、その中で、よく見てみますと、筑豊のかつての閉山のときには、例えば三井の田川鉱などでも、住宅からの追い出してはなくて、現在までずっと社宅に住み続けることができていますし、中には市が譲り受けて改良住宅にして、そして住み続けることもできているわけです。今回は、三池は、閉山させて一年以内に出ていけ、こういう提案ですが、職場も住宅も奪ってしまうと、これはいわば大量のホームレスを生み出すようなやり方になるわけで、これは人道的にも企業倫理にも反するものだというふうに思うのですね。  この間の委員会でも論議しましたように、三井グループとしては百六兆円の総資産を持つわけですし、社会的責任を果たす体力がないなどとは絶対言えないわけですから、これは労働大臣、やはり関係大臣とよく共同をして、住宅について、筑豊のときのように、追い出すようなことにはならないように、そういうことはさせないように、やはり社会的責任をきっちり果たさせる、こういう立場で指導に当たるということを求めたいと思いますが、大臣、どうですか。
  119. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先生おっしゃる社宅につきましては、目下労使の間で話し合いをしておりまして、情報によりますれば、会社当局の方は八カ月プラス四カ月、労働組合側の方は一年半ということで、それぞれの考え方が異なるようであります。  団体交渉、話し合いはまだ決着をいたしておりません。決着をいたしておらない段階で行政府があれやこれやと言うことにつきましては、私は慎んでおります。
  120. 吉井英勝

    吉井委員 今も言いましたように、三井の田川の場合などは、ずっと住み続けられるようにしているわけです。これはやはり追い出すようなことにならないように、きちんと社会的責任を果たさせるように、そういう立場で私は指導をしていくべきだというふうに思います。  それで、仮に閉山となると三千六百人が職を失うということも言われておりますが、先ほどの答弁の中にもあったように、現実には三井組合への提案というのは、月末段階で二千六百五十三名分を確保しただけ。しかし、その中身は、三井鉱山三井グループ合わせても当初の五百八十四名プラスアルファというところで、さらに地元だけを見てみると、三百二十八人分しかないというのが現実です。これでは、三井石炭の関連の千五百三十九人はもとより、関連する人々を合わせた三千六百人ほどの失業者には、全くめどが立たないということになるんじゃないでしょうか。  ですから、社会的責任を果たさせるというのは、やはり三井自身に雇用に本当に責任を持たせることだというふうに思うわけです。この点についての大臣の考えというものを伺っておきたいと思います。
  121. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 吉井先生がお話しになりました数字については、私も同様の数字を情報として入手をいたしております。したがいまして、先ほどもお話をいたしましたが、会社当局としては今二千六百五十三人分の就職先というものを準備をしている。しかしながら、よわい四十七歳を平均とする離職を見込まれるといいますか、そういう皆さんが希望している地元の再就職先、これを極力、より多く準備をされるように会社当局は努力をすべきだ、私はこう思っております。
  122. 吉井英勝

    吉井委員 数だけ膨らませても、それは本当の意味で社会的責任企業は果たしたことにはならないと思うのですね。やはり約三千六百人に及ぶこの人たちについて、企業として、地元で三百二十八人分しかないというこの現実では、とてもじゃないが本当に責任を果たしたということにはならないと思います。  それで、先日の予算委員会でも示しましたように、これまでの三井三池の縮小とかあるいは部分閉山が繰り返されてきた中で、そのたびにあらかじめ対策ということが強力に取り組まれたということになっています。しかし、全く成果を上げていなかった。それどころか、大牟田市の大企業従業員数は十年間で大体半減ということですし、また法に基づく再就職計画も成果がもう一つ上がっていない、こういうところですから、雇用吸収力を持たず、逆に雇用者数も人口も減ってしまった、これが実は地元の実態ですね。  そこで、今日の状況としては、新規産業誘致による雇用といっても、何しろ海外移転、空洞化の時代で、企業誘致というのは期待できない。既存企業への就職といっても、長引く不況、大企業のリストラで企業自体が自分のところの社員の首を切っているときに、三井石炭と関連下請の社員を特別に受け入れるということにはなかなかならない。この間も現地に行きますと、商店街も今非常に打撃を受けています。そういう状況ですから、商業、流通関係への雇用のめども立ってこない。全国的にも雇用が深刻なときですから、この三井石炭と関連合わせた三千六百人の雇用をどうして生み出すのかというのは、私はこれは気休めの話じゃなくて、どんなめどをつけるのかというのが今一番大事なところに来ていると思うのですね。  そういう点で、労働省としてこの三千六百人のめどを具体的にどういうふうにつけていらっしゃるのか、これを伺いたいと思います。
  123. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先生、産業の空洞化、雇用の空洞化というお話が先ほどここでも出ておりました。やはり産業の空洞化というものは、生産拠点が海外へ出ていったという後始末のように思いますが、この三井三池は、三井三池という百何十年にわたって営業してきた、これが閉山になるわけですね。これは産業の空洞化そのものだと思っております。雇用の空洞化であります。  したがいまして、でき得るならばここに新たなジャンルの産業、ベンチャー企業等含めて、きょうもいろいろな先生、古賀一成先生その他からも発想が提供をされているわけでありますけれども、ここに新しい産業が芽生えるならば、これは地元において就職をするという意味合いにおいても、我々非常に望むべきことだ、こう思っております。いろいろ知恵を絞りつつ、雇用対策についても手法がありますので、それらを駆使し、あるいは新たな手法も考えて、この雇用に万全を期してまいりたい、こう思っているところであります。
  124. 吉井英勝

    吉井委員 これらの新規産業の創出とか、夢は夢として、現実の問題として、この三千六百人ほどの雇用創出について、現段階でこういうふうに具体的にめどがつけられます、そういうものは労働省としてあるのですか。
  125. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 冒頭私ここでお答えをしたわけでありますが、広域的な公共職業のネットワークというのがございます。これをフル活用をいたしたい。  もう一つは、技能をそれぞれの皆さんに身につけていただいて、新たなジャンルの産業、そういう企業等々にも再就職が可能なような、そういう努力をしたいという意味合いで、職業能力の開発のための研修。ああやる、こうやるというのはもう何遍も私も言ってまいりましたので、この程度で省略をいたします。最後が、岩田先生からもお話が出ました、ほかの方からも出ました黒い手帳、緑の手帳。したがって、失業給付金等々考え合わせて、二年とか三年とかいうようなサイクルの中で、ひとつミスマッチができるだけ少ないような、そういう雇用確保を図っていきたいものである、こう存じております。
  126. 吉井英勝

    吉井委員 これは、いろいろ訓練とかそういうことは、どういう時代だって、当然時代が変化するわけですから必要なものだと思います。ただ、今現実に関連合わせて三千六百人に及ぶ雇用の喪失が生まれようとしているときに、将来の夢じゃなくて、具体的に三千六百人の雇用がきちんと確保できるということでなければ、ミスマッチといったって、ミスマッチを受ける側は大変な話であって、私は、そこにやはり労働省として本当にこうするんだというめどをみずからつけるなり、あるいは企業社会的責任においてそこをきちっとさせるなり、そこのところが必要だと思います。  この点では、時間が大体参ったようですので最後に一言伺っておきたいのですが、やはり現地の職安の頑張りなどだけではめどは出てこないのですよ。三池鉱にかわるような雇用というのは簡単に生まれないのですね。それで、先ほど来議論ありましたように、二十一世紀初頭にもエネルギー需給は逼迫する、そういう中にあって、採掘する限り巨大な石炭備蓄基地であることは間違いないのです。日本のエネルギー源を、国内資源をつぶすのかどうかというときですから、私は最後に、三池閉山提案を認めないで、やはり存続こそ雇用を守る上でも日本のエネルギーの将来を考えても大事なことですから、この点についての労働大臣見解を一言伺って、終わりにしたいと思います。
  127. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 会社側は、三十日をもって閉山だと、この旨労働組合の方に通告をし、それに基づいて労使で協議が行われているところでありますので、これを見守りたいと存じます。
  128. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  129. 鉢呂吉雄

  130. 中西績介

    中西(績)委員 私は、先ほどの予算の分科会で、通産大臣にはいろいろ企業側の責任等について確認をいたしてまいりました。残念ながら、今回の場合、労働大臣はまた別の時間になりましたので、こういう状況にあるということだけは御認識をいただきたいということを申し上げたいと思います。  それは、端的に申し上げますと、先ほども回答がございましたように、我々調査へ行ったときには二千三百人ということを言っておりましたけれども、二千六百人を超える求人を集約をしてはあるということを言われておりますが、よくお考えいただきたいと思うのだけれども、この前調査に行ったときは、この三井グループだけを考えてまいりましても五百人、そしてそのうち九州外が二百六十人、しかも通勤圏域ということで絞っていき、四十五歳以上になるとこれはだめだ、こう言っているということになってまいりますと、二百四十のうち一握りしかいないということになってしまうのです。ですから、先ほどもありましたように、企業側のそうしたことに対する態度が非常に鈍いし、サボっておるとしか言いようがないと私は思うのですね。  と申しますのは、なぜ私はこのことを申し上げるかというと、地元の財界に対して、例えば九州・山口経済連合会あるいは九州経済同友会、福岡経済同友会、九州商工会議所連合会、福岡商工会議所連合会、福岡商工会議所、なお自治体周辺のそういうところに、以前だったら、我々だったら、全部これは要請に行きますよ。一切行っていないじゃないですか。通産局の局長は、この前も言っておりましたように、こういう経済界だとかいろいろなところはみんな回ったというのですよ。三井関係の人は、鉱山もあるいは石炭関係にしても回っていないのですね、要請していない。  ですから、今申し上げるように、九〇%以上の人が地元を志向し、しかも平均年齢が四十八歳を超えていますよ。そういう中でこういう態度であるということは、非常に私は心外だと思うくらいに、全く雇用という問題を、一人をどう就労させるかという問題意識が欠如しておるとしか言いようがない。ですから、この点を踏まえた上で、これから我々はどのように企業責任を追及し、そして確認をしていくか、こうしたことがなかったら私はこれは大変な誤りを犯すのではないかと思うわけですが、これに対してこれからどうするおつもりですか。
  131. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 これからといいますよりはもう既に用意ドンになっているわけでありますが、三井三池閉山に伴いますところの雇用対策、労働省は関係省庁と綿密な連携を維持しながら全力投球で解決をしてまいりたい、こう思っております。  その解決をする中において、先生のただいまの三井石炭鉱業当局がどこそこの団体に行っておらない、どこそこの団体に行っておらない等々の御発言がありましたことは、その真偽を含めこれからの参考にさせていただきます。
  132. 中西績介

    中西(績)委員 ですから私は、一番問題は、やはり今まで明治以来、民間経営になりましてから百八年と言われておりますし、三億トンに近い生産をし、しかもここ二十年間で八百八十四億円の補助金を受けておるこの三池炭鉱ですから、何もしなくたって何とかしてくれるぐらいに思っているのではないかという気がしてならぬのですよ。だからそういうところが一番今問題にしなくてはならぬところだろうと私は思っています。したがって、ぜひこうした点について御認識をいただいた上で対応をしていただくということを要請をしておきたいと思っております。  それから、今二点目に言われました各省庁との関係でありますけれども、先ほども確認いたしましたけれども、今までは連絡会というのは課長が皆さん集まっていただいて論議をしてきた。先ほど通産大臣にこの点について御確認をいただいたのですけれども大臣がやはり政策的にこれらの問題について、この地域をどうするのか、そして将来的な問題も含めまして対策を、これはもう最後の山ですから、こうした点を追求していただくということを先ほど御回答いただいたのですけれども、今もありましたように、政策全般ということになってまいりますと事務方の皆さんではなかなかだろうと思いますので、そういう立案なりをしていくという過程はありましても決定はやはり皆さんでありますから、そこいらを含めて、これからもこの点を十分御理解をいただいた上で、各省庁間におけるそうした問題等につきましても皆さんで方針を明確化していただくということをぜひ要請をしたいと思いますが、いかがでしょう。
  133. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 労働省の中におきましては、坂本部長を中心とする三井三池閉山に伴うところの雇用対策本部というものをつくっております。しかしながら、労働省だけでできるものではないということを先ほど私もお話をいたしました。したがって、各省庁との連絡を十分とりながらともお話をいたしました。とりわけ通産大臣は、十六年の長きにわたって御交誼をいただいている佐藤信二先生であります。おい、おまえというような仲であります。大分差がありますけれども、私の方はそう思っております。したがいまして、時のよろしきを得てまた問題のよろしきを得て十分大臣同士でも話をしながら進めてまいりたい、こう思っておりますことをお答えいたします。
  134. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、これから後、財政問題、自治省の関係ありますし、あるいはアクセスの問題、建設省の関係ありますし、いろいろたくさんのそうした関係が出てくるわけでありますから、ぜひその点の強化をお願いを申し上げたいと思っております。  最後になりましたけれども、先ほどもちょっと出たと思いますが、特定雇用機会増大促進地域指定、各地域の市、町あたりからの要請が強く出ておりますので、これはもう有無を言わさずにいち早く御決定をいただいて促進をしていただく、こうしたことをぜひお考えいただきたいと思います。この点について、何かございますか。
  135. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 十分検討させていただきます。
  136. 中西績介

    中西(績)委員 いや、もう十分検討しても、それは最後だめだといったらあれですから、やはりこの点については前に進むということが前提で、そのようなお答えをいただいたというふうに理解をしてよろしいかどうか。
  137. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 私が申し上げたとおりであります。
  138. 中西績介

    中西(績)委員 時間が参りましたからこれで終わりますけれども、いずれにしても、この種問題については、大きな財政的な問題等があって困難だという中身ではないのですよね。ですから、これらの問題こそいち早く、皆さんに政府の態度なり行政の態度はこういうものだということをお示しする一つの例証として、この点についてはぜひ実現をするように要請をして、終わります。
  139. 鉢呂吉雄

    ○鉢呂委員長 これにて本日の質疑は終わります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十七分散会