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1997-03-24 第140回国会 衆議院 税制問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    平成九年三月二十四日(月曜日)     午前十時十六分開議  出席委員   委員長 原田昇左右君    理事 伊吹 文明君 理事 尾身 幸次君    理事 村上誠一郎君 理事 村田 吉隆君    理事 愛知 和男君 理事 赤松 正雄君    理事 日野 市朗君 理事 佐々木陸海君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       大野 功統君    岸田 文雄君       岸本 光造君    栗本慎一郎君       実川 幸夫君    下村 博文君       高鳥  修君    滝   実君       能勢 和子君    萩山 教嚴君       林  幹雄君    持永 和見君       森山 眞弓君    横内 正明君       石田 勝之君    北橋 健治君       左藤  恵君    田端 正広君       谷口 隆義君    中野  清君       西川 知雄君    原口 一博君       藤井 裕久君    山本 幸三君       石井 紘基君    鉢呂 吉雄君       古川 元久君    佐々木憲昭君       濱田 健一君    粟屋 敏信君       土屋 品子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁物価         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         国税庁課税部長 舩橋 晴雄君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         税制問題等に関         する特別委員会         調査室長    藤井 保憲君     ───────────── 委員の異動三月十一日  辞任         補欠選任   藤井 孝男君     実川 幸夫君 同月十九日  辞任         補欠選任   新井 将敬君     土屋 品子君 同月二十四日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     下村 博文君   正森 成二君     佐々木憲昭君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     能勢 和子君   佐々木憲昭君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   能勢 和子君     林  幹雄君 同日  辞任         補欠選任   林  幹雄君     小野 晋也君     ───────────── 三月十二日  消費税率五%中止に関する請願木島日出夫君  紹介)(第七一〇号)  消費税率五%への増税中止に関する請願中島  武敏紹介)(第七一一号)  同(正森成二君紹介)(第七一二号)  同(吉井英勝紹介)(第七二二号)  同(辻第一君紹介)(第七五五号)  同(藤木洋子紹介)(第七五六号)  同(正森成二君紹介)(第七五七号)  同(石井郁子紹介)(第八二二号)  同(大森猛紹介)(第八二三号)  同(金子満広紹介)(第八二四号)  同(木島日出夫紹介)(第八二五号)  同(児玉健次紹介)(第八二六号)  同(穀田恵二紹介)(第八二七号)  同(佐々木憲昭紹介)(第八二八号)  同(佐々木陸海紹介)(第八二九号)  同(志位和夫紹介)(第八三〇号)  同(瀬古由起子紹介)(第八三一号)  同(辻第一君紹介)(第八三二号)  同(寺前巖紹介)(第八三三号)  同(土肥隆一紹介)(第八三四号)  同(中路雅弘紹介)(第八三五号)  同(中島武敏紹介)(第八三六号)  同(西博義紹介)(第八三七号)  同(春名直章紹介)(第八三八号)  同(東中光雄紹介)(第八三九号)  同(平賀高成紹介)(第八四〇号)  同(不破哲三紹介)(第八四一号)  同(藤木洋子紹介)(第八四二号)  同(藤田スミ紹介)(第八四三号)  同(藤村修紹介)(第八四四号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第八四五号)  同(古堅実吉紹介)(第八四六号)  同(正森成二君紹介)(第八四七号)  同(松本善明紹介)(第八四八号)  同(矢島恒夫紹介)(第八四九号)  同(山原健二郎紹介)(第八五〇号)  同(吉井英勝紹介)(第八五一号)  消費税率五%の中止タクシー運賃非課税に関  する請願中島武敏紹介)(第八二一号) 同月十四日  消費税率五%引き上げ中止、医療へのゼロ税率  適用に関する請願木島日出夫紹介)(第八  九五号)  消費税率五%への引き上げ中止消費税廃止  に関する請願児玉健次紹介)(第八九六号  )  同(吉井英勝紹介)(第九九七号)  消費税率五%への増税中止に関する請願(菅原  喜重郎君紹介)(第八九七号)  同(瀬古由起子紹介)(第八九八号)  同(土肥隆一紹介)(第八九九号)  同(藤田スミ紹介)(第九〇〇号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第九〇一号)  同(太田昭宏紹介)(第九五六号)  同(佐々木陸海紹介)(第九五七号)  同(辻第一君紹介)(第九五八号)  同(寺前巖紹介)(第九五九号)  同(中路雅弘紹介)(第九六〇号)  同(東中光雄紹介)(第九六一号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第九六二号)  同(太田昭宏紹介)(第九九八号)  同(木島日出夫紹介)(第九九九号)  同(児玉健次紹介)(第一〇〇〇号)  同(春名直章紹介)(第一〇〇一号)  同(東中光雄紹介)(第一〇〇二号)  同(平賀高成紹介)(第一〇〇三号)  同(藤木洋子紹介)(第一〇〇四号)  同(吉井英勝紹介)(第一〇〇五号)  消費税率五%中止生活必需品非課税に関す  る請願坂上富男紹介)(第九〇二号)  同(志位和夫紹介)(第一〇〇六号)  消費税税率引き上げ中小業者への特例措置  改廃中止に関する請願佐々木陸海紹介)  (第九六三号)  消費税率五%中止に関する請願木島日出夫君  紹介)(第九六四号)  消費税率引き上げ中止食料品等非課税に  関する請願志位和夫紹介)(第九九六号) 同月十九日  消費税率五%への引き上げ中止消費税廃止  に関する請願松本善明紹介)(第一〇二八  号)  同(松本善明紹介)(第一一七二号)  消費税率五%への増税中止に関する請願石井  郁子紹介)(第一〇二九号)  同(大森猛紹介)(第一〇三〇号)  同(金子満広紹介)(第一〇三一号)  同(木島日出夫紹介)(第一〇三二号)  同(児玉健次紹介)(第一〇三三号)  同(穀田恵二紹介)(第一〇三四号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一〇三五号)  同(佐々木陸海紹介)(第一〇三六号)  同(志位和夫紹介)(第一〇三七号)  同(瀬古由起子紹介)(第一〇三八号)  同(辻第一君紹介)(第一〇三九号)  同(寺前巖紹介)(第一〇四〇号)  同(中路雅弘紹介)(第一〇四一号)  同(中島武敏紹介)(第一〇四二号)  同(西博義紹介)(第一〇四三号)  同(春名直章紹介)(第一〇四四号)  同(東中光雄紹介)(第一〇四五号)  同(平賀高成紹介)(第一〇四六号)  同(不破哲三紹介)(第一〇四七号)  同(藤木洋子紹介)(第一〇四八号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇四九号)  同(古堅実吉紹介)(第一〇五〇号)  同(正森成二君紹介)(第一〇五一号)  同(松本善明紹介)(第一〇五二号)  同(矢島恒夫紹介)(第一〇五三号)  同(山原健二郎紹介)(第一〇五四号)  同(吉井英勝紹介)(第一〇五五号)  同(吉田公一紹介)(第一〇五六号)  同(山原健二郎紹介)(第一〇七九号)  同(東中光雄紹介)(第一〇九九号)  同(佐々木陸海紹介)(第二三四号)  同(平賀高成紹介)(第一一三五号)  同(吉井英勝紹介)(第一一三六号)  同(瀬古由起子紹介)(第一一七三号)  同(中路雅弘紹介)(第一一七四号)  消費税税率引き上げ中小業者への特例措置  改廃中止に関する請願東中光雄紹介)(  第一一〇〇号)  消費税率五%への増税中止特別減税継続に  関する請願金子満広紹介)(第一一三三号  )  消費税税率引き上げ中止に関する請願矢島  恒夫紹介)(第一一三七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 三月十二日  消費税率五%の引き上げ中止に関する陳情書外  十件  (第一二五号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  委員長不信任動議  税制及び金融問題等に関する件      ────◇─────
  2. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 これより会議を開きます。  本日、愛知和男君外一名より、成規賛成を得て、私、委員長に対する不信任動議提出されております。  本動議は、私の一身上の問題でありますから、この際、本席を理事尾身幸次君に譲ることといたします。     〔委員長退席尾身委員長代理着席
  3. 尾身委員長代理(尾身幸次)

    尾身委員長代理 委員長の指名により、私が委員長職務を行います。  これより愛知和男君外一名提出税制問題等に関する特別委員長原田昇左右不信任に関する動議を議題といたします。  提出者趣旨弁明を許します。赤松正雄君。
  4. 赤松(正)委員(赤松正雄)

    赤松(正)委員 本日、私たち動議提出いたしました。  その内容は、   本委員会は、委員長原田昇左右君を信任せ  ず。という動議でございます。  その趣旨及び理由を以下申し述べます。  税制問題等に関する特別委員長である原田昇左右君は、新進党及び太陽党提出所得減税二法、すなわち、平成九年分所得税特別減税のための臨時措置法案及び地方税法の一部を改正する法律案の二法について、三月六日、七日の両日で質疑を行った後、質疑終局の宣言を行いました。  ところが、採決する条件はすべて整ったにもかかわらず、理解に苦しむ理由ともなり得ぬものを挙げて、さきに理事会で決めた採決の日程を不当に翻し、採決をいまだ行っておりません。  これは、当委員会運営に関する重大な誤りであり、当委員会の権威を大きく傷つける行為であると言わざるを得ないのであります。  既に質疑の終局した法律案採決し、本委員会の意思を明らかにすることは、委員長が行うべき当然の責務であります。  正当な理由もなく適切な委員会運営を行おうとしない原田昇左右君は、税制問題等に関する特別委員会委員長として信任することはできません。  これが、本動議提出する理由でございます。  委員各位の御賛同をいただきますようにお願いを申し上げまして、以上、趣旨の御説明とさせていただきます。(拍手
  5. 尾身委員長代理(尾身幸次)

    尾身委員長代理 これにて趣旨弁明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 尾身委員長代理(尾身幸次)

    尾身委員長代理 起立少数。よって、愛知和男君外一名提出税制問題等に関する特別委員長原田昇左右不信任に関する動議は否決されました。  委員長復席をお願いいたします。(拍手)     〔尾身委員長代理退席委員長着席
  7. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 ただいま委員各位の御理解と良識をもって信任をしていただき、ありがとうございました。  この重要な税制問題等に関する特別委員会が、今後とも一層実効ある審議ができるよう、また国民皆様方の期待に十分こたえ得るよう、私も努力いたしたいと存じますので、委員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)      ────◇─────
  8. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 税制及び金融問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗本慎一郎君。
  9. 栗本委員(栗本慎一郎)

    栗本委員 自由民主党の栗本慎一郎であります。  私は、元来大学教授だったのでありますが、今日もそうでありますけれども、国民の負託を受けまして議会に来て以来、講義ができなくて、大変、本来の職務の方もうちょっと頑張りたいと思っているところがありましたけれども、経済問題に関しまして、この委員会、今特別減税継続をめぐって審議しているわけでございますが、予 算委員会及び本委員会におきまして、経済情勢及び特別減税効果について、質問というより長々と講義を聞かされまして、私の方もちょっと腕を撫しているところがございまして、本日、若干の時間をいただきまして、今日の経済においては特別減税が直ちに経済上昇、簡単に言えば消費上昇等に、それ以外もございますが、つながるものではない、人々は貯蓄性向は持っているけれども消費を渋っているという別の条件があるんだというようなことについて御質問をしたいと思っているところであります。  私の大学におきます専門は経済人類学経済とついておりますが、最後は人類学でございます。経済学の方にも提案がございまして、有斐閣の経済学辞典等には経済人類学の項を私が執筆をしているという形になります。非常に長くなりますので、本当に簡単にポイントだけ申しますと、過去のといいますか、私にとっては過去の経済原論は、経済原論がもしも成立すれば、すべての国に対して、若干の修正はあるけれども、それは通用するだろうということが一つ中心になっております。それからマルクス経済学中心といたしまして、生産をめぐる条件あるいは生産構造が主である、それが一つあります。それにやや修正を加えた格好でございますが、近代経済学の方では需要が問題になってくる。需要というのは、しかし、かなり物的な要因によって切られる、決定されるというふうに、この二つが主として中心になっておりますが、いずれもそれについて否定といいますか、反論を加えているわけであります。  第一の点におきましては、一つ経済学が正しければすべての国に当たるといえば、これがある国を、例えば先進国を軸にして、その段階にまだ日本は至っていないとかいうふうなことが行われるし、その点で、今日でもそういう議論が行われておりますけれども、経済企画庁が出しました経済白書を読みますと、転換期と今うたっていますが、例えば、転換期というのは、不良資産の処理をしなければならないという形になっている。諸外国との比較が主としてあります。それから雇用形態変化、これもそうです。それから金融仲介システム日本型の雇用システム変化等がある。これにつきましても、転換点といっても、何か基本的な課題を書いているだけであって、基本的な転換点に立っているというふうに認識しているとはとても思えない。  それは、長くなりますからそこでとどめますが、要するに、一つ経済原論がすべての国に当たるのであれば、例えば、イギリスにおいては、十九世紀中に既に農業就業人口は五%ぐらいになっています。これに比較いたしますと、戦後になるまで日本農業就業者人口が二〇%等の、全国の四分の一、五分の一を超える水準であって、これはおかしいという話になります。おくれているという話にもなってまいります。ですから、一九六〇年代ぐらいまでは、日本資本主義はまだまだちゃんとした資本主義じゃないんだというようなことが国際経済学の中でもいろいろ語られているというような状況であった。  しかし、そうではないんだ。これは国民経済というようにとるのは非常に難しいですが、仮に使いますと、国民経済ごと消費の型が違ってくる、重点の置き方が違ってくる、キーポイントが変わるんだ、それから生産中心ではなく、むしろ消費が主軸である、経済の型はむしろ消費の型であるということを言ってまいりました。それを、生物学等を援用して、敷衍いたしまして書きましたのが「パンツをはいたサル」というものであったのです。  この中には、多くの経済学者理解し得ない─需要理解するときに物的な欲求から参りますけれども、ところが、人間の体の必要な栄養状態とかカロリーだとか、そういったものも文化の型によって違う。非常にわかりやすい例を出せば、氷の上に寝ていても凍傷にならないという民族が現実に存在した。イナゴのペーストだけで、別に栄養失調にならない人も存在した。文化の型は生理的なものにまで影響をするんだ、これは文化人類学の知見であります。それを含めてそうしたことを述べて、たまたまそれが有名になりまして、大学から外の世界につながった部分があったわけでありますが、その人たちが、それを全部含めまして、大体一九八〇年代前半に大きく、世界各国国民経済はそれぞれ違う型で動いているけれども、しかし、インターナショナルな部分というのは当然今日では存在すると。変わってきたと。  どう変わってきたか。言い方が違います。学者も商売をやっておりますから、トフラーさんは第三の波と言いますし、ドラッカーさんは新しい現実と言います。私は新たな大転換と言ったのですが、売れ方がこれは一番少ない。これは仕方がございません。いろいろな言い方をしている。マーシャル・マクルーハンも、既にグローバルビレッジというのはできているんだ、こう言っている。いろいろなことを言っている。ダニエル・ベルは、脱産業化社会だと言っている。  だけれども、中身を見ると同じであります。すべて、情報中心とは言いませんけれども、情報によって動くと。情報が最も経済的価値中心になる社会になったし、さらに、過去の、その前の段階消費需要はもう頭を打ったと。わかりやすく言えば、冷蔵庫も車ももう壊れなくてずっと使える。いいものがある。だから、一台必要だったけれども、それにさらに二台、三台買わせるための広告が打たれなければならないというふうになってきた。ちょうど、その時に応じて、だから広告は、質を言わずに、不思議大好きとか、何だそれはと。これは、どこの電機メーカー冷蔵庫を買っても大同小異、扉が右から開くか左から開くかはありますけれども、そういう形になってきた。  そして、次の段階。この次の段階についていろいろな意見があります。私は、ボーダーレスの中にボーダーが生まれる、そういう社会になってきているんだとか、いろいろなことを言っております。もちろん、私のが一番正しいと思いますけれども、ほかの方のニュアンスは随分違います。けれども、商品消費に関しては一致している。新たな需要は、特別な次の段階商品でないと喚起されない。目先を変えて売れることはできるけれども、これはたまごつちもそうだろうと思いますが、そういう状況に来ているんだ。  だから、このことが言っていることは何かというと、金があるから消費する、ないから消費しないというのは、以前から必ずしも一〇〇%の真実ではなかったが、ある程度当たっていた。しかし、今この段階におきましては、そういうことは直接的にむしろ当たらないんだ。非常にわかりやすい言葉で言えば、むしろコンシューマーズマインドマインドが響くんだということを、大体どの学者も、いろいろな看板の書き方はありますけれども、言ってきた。  それで、特別減税等の関係でいうと、ここで、後で経済企画庁意見をちょっと聞きたいと思うのですけれども、過去、例えば八八年十二月には、八九年四月に消費税が導入されるということで先行減税が行われた。だから、八九年度においては、先行減税効果は、もちろん消費税のアップがありますから相殺されたとか、いろいろな議論がありますけれども、ある程度のプラスが出なければならないということになるはずだけれども、八九年では貯蓄横ばいであるし、消費横ばいである。いささか消費がふえて貯蓄がやや下がっておりますけれども、基本的に両方横ばいである。その翌年に貯蓄が下がり、消費が上がるという形をとった。だから、減税効果というのをどうとるか。私は、減税自身効果はなかったというふうに考えているわけであります。  同じく、今度は九四年一月一日にやはり特別減税五・五兆円というのがあったのです。これが九四年度のデータにどのように響いているか。直接響いているとは言いませんが、しばしば、そういうものは直接響くというような講義を随分いろいろこの国会で聞いたものですから、欲求不満になって申し上げるのですけれども、貯蓄がふえて 消費が下がった、これは可処分所得に占める最終消費支出の割合でありますが、全体としてもそういうことが言えるだろうと思います。貯蓄に回っている。だから、先行き不安なときには、特に今のように時代が偏向し、さらにバブルがはじけたけれどもどうなるかわからないというようなときには、お金が来ると、むしろ貯蓄に回るという結果になる。それは当たり前のことだというふうに思うのです。  だから、ましてや、今議論になっております減税が、いや非常に日本は調子が悪いんだ、株も外人は売っちゃっているんだ、もうだめだ、政府が悪い、政府についての批判がたくさんある、だからせめて減税はしてやろう、こういう出し方では、また貯蓄に回ってしまうだろうと見るのが世界学者の見るところだろうと思います。ところが、エコノミストという方は、割に単純に、この数字がこっちに来たらこうなるとなりますから、そこが問題なんですけれども、せめてそれをしておかなければならないという話になる。私は、せめてじゃないんです。  それで、だから、こういった場合に、マインドが非常に大きな影響を与えるのですよ。こうした日本経済の問題は、与党がどこで野党がどこだからというようなことではないのですね。国全体の問題なんです。今、ここは、マインド経済をつぶす可能性──ついこの間、私は自分の友人の評論家講演を聞いてひっくり返ったのですけれども、評論家というのは常に悲観論を出さないとなかなか講演の依頼が来ないのですね。だから嫌で私は国会議員になったのですけれども、ことしじゅうに間違いなく株価は一万四千円を割る、それも橋本内閣が、特に橋本総理が明確な、いろいろやっているのだけれども、行政改革の案が出ればそれを機に下がる、こう言う。どういう根拠があるのかと言ったら、いや別根拠はないんだけれどもとはっきり言っていましたけれども、そういったことの方が売れる。そういったことを、今、国会にいわば持ち込んできているような議論があるように思える。  そこで、そのマインドに関しては、特に、ことしの元旦の日本経済新聞等々で物すごい悲観論ばばばんと出まして、そしてまた、それに前後いたしまして、外国人投資家日本の株を非常に売っているんだ、今後もどんどん売っていくだろう、これまで外国人は買ってきた、これからはもう売りに転じた、世界証券市場日本だけがマイナスに、これは事実なんだと言っている。  それは、日本だけがマイナスにいっていれば世界全体はプラスに転じているんだから遅かれ早かれ日本も上がるだろうというふうに論ずるか、あるいは、全世界プラスなのに日本だけマイナスなんだから日本だけ死ぬんだ、こういうふうに言うかは随分大きな違いでありますし、そこは一体どういう基準で出されるかわかりませんが、要するに、政権批判等々の形でこういう経済を論ずるべきじゃない、また減税の問題もそこから出るべきじゃないということであります。  ちょっとここでこれ以上やりますと、ずっと最後まで講義やっちゃうといけません。質問を私が受けるという格好になっても困ります。これは別個にやることにいたしまして、大蔵省にお聞きしたいのですけれども、一度議論になりましたけれども、大臣でも結構でございます、あるいは数字のことですから局長で結構でございますけれども、日本が一体売られているのか。特に問題になった一月前半で日本売り、橋本売り、ということは三塚大蔵大臣も売られているのでしょうけれども、そういったことが実際あったのかどうか。事実はどうなのか、あるいは世界の冷静な評価はどうなのかということについて、ちょっとお聞きしたいと思います。
  10. 榊原政府委員(榊原英資)

    ○榊原政府委員 東証が出しております数字がございます。東京、大阪、名古屋、三市場における投資部門別株式売買状況でございます。これは年初から三月十四日までの数字でございますけれども、外人は四千五百十一億円の買い越してございます。一月につきましては六百十五億円の売り越し、二月につきましては三千七百七十七億円の買い越し、三月は、まだ十四日間でございますけれども、千三百四十九億円の買い越してございます。  ですから、外人は日本の株を買っているということでございまして、先ほど先生からマインドの話がございましたけれども、これはメリル・リンチとギャラップが世界の投資家のマインド調査を毎月やっております。これが三月について出した数字でございますけれども、三月の投資家別、投資対象別のマインドでございますけれども、これによりますと、日本及びヨーロッパ及びアジアの株は買い、アメリカ及びイギリスの株は売りということでございます。日本につきましては、米国、英国、欧州大陸の投資家が全部非常に強気でございます。ただ、唯一残念なのは、日本のファンドマネジャーだけが日本の市場に関して弱気ということでございます。
  11. 栗本委員(栗本慎一郎)

    栗本委員 お聞きしないところまでお答えいただいたのですが、この中身の問題はちょっと大蔵省お答えになれないかもしれませんが、事実として、日本人のファンドマネジャーだけが日本の市場に関して弱気で、ほかのところは強気なんですね。ということは、普通に考えると、全世界の主要な証券市場の株はみんな上がっております。日本だけ下がっている。二月から見るとまたもう少し戻したりいろいろしていますけれども、確かに去年の十一月に比べれば下がってきている。一体那辺にこんなマインド変化が出たのかということについては、お答えはできませんね。何か一言、言える範囲で……。
  12. 榊原政府委員(榊原英資)

    ○榊原政府委員 ギャラップの調査等にもございますけれども、日本経済については日本人の悲観論が際立っております。これはもう外国人からもしばしば指摘されるところでございますけれども、先ほど御指摘がございました日本の一部マスコミ、一部評論家悲観論が際立っておるというのが大変な特徴でございまして、これは外国のジャーナリズム等でもしばしば指摘されているところでございまして、どうも客観的に見ますと、日本経済については世界では比較的楽観的に見ておる、不動産についても株についても、実際の統計がそういうことを指し示しているということでございます。
  13. 栗本委員(栗本慎一郎)

    栗本委員 私も、基本的にはそういう認識を持っています。三市場総合の証券ベース、ずっと数字を見ますと、八年の十月に総選挙があったわけであります。もしも自民党に対する何といいますか期待が極めてマイナスであれば、直ちに株が下がったりしなければならないのでありましょうけれども、この場合は、十月、十一月、日本人の証券投資家は、証券会社を含めてですけれども、買い越している。十二月になって突然六千億円の売り越しに、これは日本人でありますけれども、なっております。この段階で、まだ外国人投資家は六百億弱買い越している。ただし、よく見ると、八年十月、十一月、十二月と弱気が見えるということは言えるだろう、客観的に言って。八年十月と八年十一月は、外国人投資家は売り越してきております。これをどう考えるのか。  自民党が選挙で勝ったから売り越したのか、あるいは過半数がとれないから売り越したのか、この辺の議論は多分してもしようがないだろうというふうに思いますが、少なくとも、橋本内閣ができて、そしてまた予算を組んだら下がったという話は、これは通らない話だろう。  例えば整備新幹線が予算に組み込まれたから下がったという暴論がありますけれども、私も整備新幹線は直ちにはやるなという意見であります。将来に関しましては、国土全体をクリーンに結ぶ輸送形態としては整備新幹線はいいのではないかというふうに思っていますが、例えばことしとかいった場合にはと思っている。けれども、これもまた、野党の皆さんはどうお考えかわかりませんが、自治大臣が入りまして、実際使うのか使わないのかというのが玉虫色の格好になっている。現地とJRの合意がなければ着工しない、だから幾らでも反対をしようと思うとできるというふうに なっている。これがまた推進派の方々には不満なところでありますが、この話は前からいわばあったのであって、確かに予算には組み込まれた、けれども急に何か出てきて絶対にこれがあったら死ぬというような、急に今悪化したという状態で出てきたんじゃないというふうに思う。  日本経済新聞でありますけれども、実は、アメリカのウォールストリート・ジャーナルが、一月二十一日でしたか、アジアの証券についての展望をコラムで書きまして、中身は、日本人は自分の国の株が下がったのをおれたちアメリカ人のせいにしているけれども、随分タフになったものだ、自分たちが売っておいておれたちのせいにするという状況じゃないかということを言っております。これは一月二十一日のウォールストリート・ジャーナル。その後も、この論調は変わっていないのですね。  多分、そのきっかけになりましたのが、日本経済新聞全体もそうであったのですが、コラムがありまして、一月十九日「株安で日本は沈むか」、あえてどなたが書いたか別に申し上げませんけれども、これが、市場が予想する日本防衛軍の対抗手段は、だから既に防衛しろと言っているのですが、特別税減税継続と追加的な所得税減税を打ち込むカンフル攻撃と言っていますね。すごいですね。それから整備新幹線凍結、不良債権処理への公的資金導入、これはまた反対された方もいたわけですけれども、こういうことを言っている。  ところが、これはわずか六段になっている記事なんでありますけれども、確かに日本の株は下がったが、これは事実ですね、その最初の一撃は不明であると言っている。最後に、最後というかやや後半に、実は、この考えられる原因が二つある。株価が下がった最初の一撃、予算だとか橋本内閣だとか言ってないんです。与野党内の反橋本勢力が仕掛けたという政治謀略説、それから米金融資本の国際陰謀説の二つ。この米金融資本の国際陰謀説にウォールストリート・ジャーナルが、何言ってるんだといわばかみついた。それから与野党内の、与野党というと与党の中にもいるということになりますので、コメントしっかりできませんが、政治謀略説。そうすると、これは与野党。プラス日本人がかなり急激に十二月に売り買いの動向を展開しておりますから、先売り先買いというふうなことをやれば、これは国会ですからめったなことは申せませんけれども、下がった方がもうかるという株式投資家も出ることがあるわけです。そうしたことが大きな影響を及ぼすことがある。  そういったものが今後の経済において政治的なものと結びついたりしたら、そんなことはないと思いますが、非常に大きな問題を持ち得る。しかもマインドだからというこの時期においては、二十世紀末から二十一世紀の初頭ぐらいまでは、そういう国会議論が全体の経済の動向に大きく最初の一撃、次の一撃になる危険性がある、こういうふうに思われる。  この日経の記事にもう一度戻りますと、これは私が大学教授で私の学生が書いたなら不合格にします。中の筋が全部ぐるぐる変わっているのです。最初に、日本経済に対して日本政府はきちっとやっていないからだと言っていて、途中で、しかしだれが始めたのだかわからない、だれかがやったのだろうと言って、その二つ理由が考えられるのが米金融資本か与野党内の反橋本勢力である、最後に、だから市場の警鐘とはやし立てていいのかと言っている。中が支離滅裂でありまして、だから、これはこんな国際的な議論を呼び起こしたであろうコラムでありながら、最後まで読むと、大したことはないのではないか、こういうふうに言って、だれかが仕掛けたのではないだろうかというふうなことを言っている。  先ほどの、いろいろな特別減税とかあるいは整備新幹線の問題はずっと前からあった。特別に悪化したわけではないということであります。これはもちろん処理しなければならない問題でありますし、私も現状のままでそれがいいというふうに考えるわけではありませんけれども、これが今の一月二十一日のウォールストリート・ジャーナルのものに結びついたのです。その辺は多分榊原さんは十分御承知だろうと思います。  したがって、その後の世界日本経済に対する見方は、強気というのはおかしいですけれども、そういったものがある。もちろん問題点は指摘されている。そういう状況の中で、私は、総合的な政策として全体のバランスをきちっととって、特別減税だけではなく、ここはこうでこういうふうにと、もちろん野党の方もそれはお考えなのでしょうが、たまたま通らなかった場合に特別減税だけを取り出して、これがあればマイナスにならない、あるいはせめてマイナスが少なくなるという議論をされるのは、見方をされるのはいかがなものかというふうに思うわけであります。  それで、ここで経済企画庁に今後の展望と、それからそうしたものがどの程度経済影響するというふうにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。まず経済企画庁、今後の展望と特に所得の関係についてお話を願いたいと思います。
  14. 土志田政府委員(土志田征一)

    ○土志田政府委員 お答えをいたします。  個人消費の最近の動きでございますけれども、耐久消費財が堅調に推移しておりますし、また雇用情勢について回復の動きが見られるということで、雇用者所得などが改善の動きを示しております。これを踏まえまして、個人消費も緩やかな回復傾向をたどっております。こういった条件でございますので、平成九年度につきましても、引き続き徐々に雇用をめぐる環境が改善するということで、雇用者所得の緩やかな回復が持続するというふうに見込んでおります。  消費税率の引き上げ等で、やはり駆け込み需要の反動というようなこともあろうかと思いますので、その影響は年度前半にはあろうかと思っておりますけれども、年度全体を通じましては、個人消費は総じて見れば緩やかな回復を続けていくというふうに考えております。この結果、平成九年度の民間消費支出は一・五%程度の成長を見込んでいるところでございます。  所得との関係ということで減税その他御議論がございますけれども、減税は当然可処分所得の増加でございますけれども、全部が消費に回るわけではない。特に、限界的にはかなり貯蓄に回る割合が高いというふうに考えております。それが全体として、例えば乗数効果というような御議論のところに反映しているかというふうに考えております。
  15. 栗本委員(栗本慎一郎)

    栗本委員 それでいいのですけれども、どうも不満なのは、学者の時期にも今議員になりましてもずっと白書を読ませていただいても、事実だけを取り上げていまして、もちろん事実でないことを白書で書いてもらっては困るのですけれども、それにしても、八〇年代からずっと、七〇年代、六〇年代からずっと読んでいますけれども、先ほど申し上げたような段階転換というのは本当に今あったと思うのです。  評論家とか講演を引き受ける学者は常に転換期と言うのです。私もやっていました。嫌だからやめたのです。転換期だからこうなるのですよと言わないと、講演の依頼なんかありはしないわけであります。去年と構造は変わらないけれども、この部分がこの要因だけ変わるのですよなんというのでは、何も七十万円の学者を呼ばないで、五万円の統計を理解する方を呼べばいいという話になってくる。だから、ちょっと大きなことをつい。大きなことを言うときには常に危機だ転換点だと言うのだけれども、先ほど申し上げたことは、本当に高名な学者なりあるいは文明史も含めた経済学者が、軒並み八〇年代前半には変わるぞと言って、実際変わってきていると思うのです。言い方はいろいろあります。その辺についてどうお考えなのか。  だから、例えばこの一月、二月も家計にお金は入っていますね。ふえていますね。それは駆け込み需要があるかもしれない。だからこのことについてもお聞きしたい、駆け込み需要だと思われるのはどのような要因だと。ということは、消費税がもし五%になればやがてフェードしてしまうだ ろうというのはどういうものだと考えているかということもお聞きしたい。その辺のお考え、お答えできるでしょうけれども、本当にこの構造の転換、トフラーに至ってはこれは農業とか工業、続いて今情報という第三の波だと言っているのです。五年、十年の転換ではない。そういった話が全然出てこないのです。何もトフラーがどうこうと書かなくていいのですけれども、その辺について一体どうお考えなのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  16. 中名生政府委員(中名生隆)

    ○中名生政府委員 大変難しい御質問でございますけれども、お答え申し上げます。  経済白書、年次経済報告書を引いての御質問でございましたが、可処分所得消費の関係をどう  いうふうに見ているかということでございますが、私ども、大きく申し上げますと、可処分所得というのは消費を規定する要因になっているというふうに考えております。ただし、委員が御指摘になられましたように、消費マインドというものも消費に与える影響が大きいというふうに考えております。例えば、消費マインド影響すると思われます物価の動向でありますとか、あるいは資産価格の動向でありますとか、さらに金利がどういうふうに動くか、あるいは雇用情勢がどうなっているか、こういうものも消費の動向に影響を与えているということで、昨年度の経済白書ではそういうものについても一定の分析をしているということでございます。  それから、最近の動向ということで委員御指摘ございましたけれども、例えば増減税をした場合にそれが消費にどういう影響を与えるか、別な言い方をいたしますと、中立命題といいますか、そういうものが成り立っているかどうかという点でございますけれども、これは一昨年と昨年の白書で検討いたしておりまして、九〇年代に入ってそういう傾向が少し強まっているけれども十分には成立をしていないと見られるということを言っているところでございます。  なお、消費税率変更に伴う駆け込みの動きがどうかという御指摘がございましたけれども、これにつきましては、住宅建設につきましては、昨年の九月までに消費税率の変更を見込んで契約が行われて、それが十月以降の住宅着工の動きという形で影響が出ているというふうに考えております。それから車の販売につきましては、昨年の十月以降高い伸びになっておりまして、特にことしの一月、二月というところも非常に高い販売になっておりますので、これは車の買いかえサイクルとか新しい車が出てきたということもございますけれども、消費税率変更に伴う前倒しの需要というのも入って高い伸びになっているというふうに考えております。  その他の消費につきましては、まだ三月は一週間残っておりまして、もう少し状況を見る必要がございますが、これまでのところは消費税率導入のときのような大幅な駆け込みは見られないというふうに考えております。
  17. 栗本委員(栗本慎一郎)

    栗本委員 そのお答えでとても満足はできないのですが、後ろの方からやじとも愚痴ともつかぬ声で、そんなこと聞いたってわかるわけがないじゃないかという声がちょっと耳に入りまして、私もひるむところもあるわけですけれども、確かにそれもわからないじゃない。しかしそれにしても、ですから要望を申し上げておきますけれども、外部の方のある程度頭脳を入れて白書をお書きになっているのだから、しかも何百年に一回という段階変化だとかなり一致して言っているのだから、少しは反映させなさいよ。勉強しましたよというぐらいのところは見せてもらいたいということです。  今のお話でも、本当に数字の話だけですよね。そんなことで動いてきていないでしょう。車を買ったってわかるでしょう。八〇年代までは、例えば車を買うときに、ミニカー、大衆車、中級オーナーカー、それから高級車といって各メーカー三種類か四種類あって、大体四年ごとにモデルチェンジをしていくということである。それが家計に組み込まれたというけれども、今言ったような変化に基づきまして、ボーダーレスの中にボーダー現象が起きてしまったために、それから、もともと技術的には、失礼ながら大衆車と言われる車でもベトナムに行くと高級車になっているというふうな状況で、見えとかステータスとかいうことを除くと、余りそれは違わない。そもそも壊れないという話になってきて、逆に言えば、これは我慢すれば使えるというものになってきた。  我慢すれば使えるのを買いかえさせるのにどうするのか。民間は大変苦労して、そのときこの広告をやっている業者の方も大変売り上げがある。コピーライターという分野が、これまで非常にサブな分野だと思われていたものが、ワンコピー、要するに文句を書くだけで二千万円だとかいうふうになる。コピーライターだけじゃなくて、なぜそういうコピーがいいんでしょうかというふうなことを言っている学者まで、それは私なのですけれども、講演を頼まれて、お小遣いがもうかる。余り引き受けませんでしたが、そういう状況になって、明らかに変わってきているのです。  だから、日本の車は、諸外国との関係がありますけれども売れて、また国内需要が伸びて今はいいのですけれども、バブル期というか九〇年前後は非常にまずい状態でした。つまり、たくさんの車を、モデルをつくっていかなければいけないし、そうするとそのモデルチェンジのときのいわば純新規需要みたいなものも見込めないし、部品はとっておかなければいけないしということで、国内では非常にまずい状態だ。ランニングが非常に難しくなってきていたわけですね。これが日本の自動車産業の若干の勢力の順番変化影響があったのは多分御存じだろうと思いますけれども、消費というのはそういうふうに動いてきている。  消費というのは気分的なものだからはかれないということも、それはないのだ。だから消費の型を理解していく。マインドだけじゃなく、また物的要求だけじゃなく理解していく、そういう学問が経済学の中に出てきたということでありまして、また講義になってしまいましたけれども、少しは入れて考えてくださいよ。  だから、あなた方の書いている転換期というのは、先ほど言ったように雇用形態変化する、不良資産の処理はしなければいけない。それはそうですね。しなければいけない。キャッチアップ経済は終わった。随分前に終わっていると思うのです。金融仲介システム日本雇用システムが変わる、日本的な企業間関係システムが変わってきつつある。どう変わるのだ。どうしたらいいのだ。日本的企業間システムというのはよかったのか悪かったのか。  私は、すべてのものに根拠があって、それなりによかったからこれまでやってきたんだというふうに思います。それがもし変わらなければいけないというのなら、単に国際的な対応だけではない。はっきり言えば、国際的な対応を主に考える必要はない。もしそういうことが主であれば、もう第二次大戦前から日本の農民人口を減らすための努力を一生懸命しなければいけなかった。離農のために国はたくさんの金を用意するとかいうふうなことをしなければならなかった。それはある程度しましたけれども、それはならずにここまでやってきて、それはそれでいいわけですね。ですから、今特に、家計にどれだけお金を供給すれば消費にどうなるんだというふうなことが非常に問題になっているときには、改めてそれを入れていただきたいというふうに思うのです。  そこまで要望しておきまして、もう一つお聞きしますけれども、あなた方は、あなた方はというのはおかしいですけれども、恒常所得という考え方があって、これが資産プラス期待所得なんだ。それが消費の動向を六割方決定するというふうにおっしゃっている。資産はいいです。わかります。期待所得というのは一体何なんですか。それは何で決定されるのですか。それから、そのマインドというようなもの、あるいは政治的プロパガンダも含めていろいろなことが言われるわけで す。それはどういう影響を受けるのですか。そして、今あなた方はどう考えているか。どうしても特別減税しなければならないということも含めて言っていただきたいと思います。
  18. 中名生政府委員(中名生隆)

    ○中名生政府委員 お答え申し上げます。  今委員から御指摘がございましたように、昨年度の年次経済報告書では、消費の動向を分析いたしまして、消費を規定する要因といたしまして現在の可処分所得というのが四割程度消費影響を与えている、それから六割程度は恒常所得によって影響されているということを言っております。  恒常所得と申しますのは、もう委員に申し上げるまでもございませんけれども、その期の所得ということではなくて、生涯に得られる所得の期待値ということでございます。そういうものが六割程度は影響を与えているということを申し上げております。  それからもう一つは、減税増税の効果という意味で、それが消費にどの程度影響を与えるかということで、これは一番極端な場合には、先ほどもちょっと申し上げましたが、中立命題という形で増減税によって可処分所得が動いてもそれは貯蓄変化をさせるだけで消費には全く影響を与えないという考え方もあるわけでございますが、これについては九〇年代に若干それに近い動きというのは統計上見られるけれども、それが十分には成立していないということを言っているということでございます。
  19. 栗本委員(栗本慎一郎)

    栗本委員 どうもよくわからないのですけれども、一言だけ。では、恒常所得が六割で可処分所得が四割だという根拠は何ですか。大ざっぱにちょっと教えてもらいたい。
  20. 中名生政府委員(中名生隆)

    ○中名生政府委員 お答え申し上げます。  どうして四割六割という数字が出てくるかということでございますが、これは昨年度の経済白書の七十四ページのところに表を載せてございます。これは推計の仕方によりましていろいろ数字というのは幅があろうかと思いますけれども、幾つかの変数を入れまして、もちろんその中に現在の所得、それから一応想定される恒常所得というものを入れまして、それがどの程度消費の動きを説明できるかということを計算した結果の計数から出しております。
  21. 栗本委員(栗本慎一郎)

    栗本委員 もう全然わからないのですよね。変数が何なのだかわからないし、今マインドが重要な段階になっているというのに、マインドなしでやっている。ちょっと基本的に考え直していただきたい。  もしそれが正しければ、可処分所得は四割の影響しかないというのですね。私は、時には可処分所得が十割になり、時には二割になる、こういうふうになると。だから経済の動きを見ていかなければいけないのだ。  これは後ほど、お待たせいたしましたので大蔵大臣にも大所高所からの御見解を伺いたいと思いますが、可処分所得が全体の消費動向に四割だというのでしょう。それで、可処分所得のうちどんなに高くても一八%強ぐらいのところしか、ここのところであればですね。これも一九八〇年代になって上がったのですね。それまでは貯蓄性向が非常に強かったのですね。これに対してアメリカに比べて貯蓄し過ぎるという批判がいろいろありましたけれども、私は、それに国民がこたえたのじゃないと思う。  それはもう買ってもいいなという、そこまでは需要我慢があった、車にしても冷蔵庫にしても。特に耐久消費財ですね。住宅にしてもそうなんです。もう買ってもこれは壊れないな、心配しなくていいな。大蔵省のつくった車は壊れるけれども、経企庁のつくったのは壊れないとかいう話が八〇年代頭まであったわけです。みんなそう思っていた。だけれども、もうこれはどこのを買っても格好の問題だということになって、だから、いわば別の意味の駆け込み需要がありて、消費が可処分所得の中で貯蓄率を上回るようになった。それから土地が上がり始めたという感じで、これも駆け込み需要ですね。早目に買っておかないと通勤圏内に住宅がキープできないんじゃないかというふうなドライブもかかった。だから上がった。いずれにしても、上がっても一八%をなかなか超さないわけであります。  ということになりますと、その四割のうちの二割ですから、全体で、それを掛ければ、可処分所得消費に対する割合というのは一割ぐらいだというふうなことにもなってしまう。大ざっぱな計算ですよ。だけれども、こんなものは細かくしてもしようがない。大ざっぱであります。さらに、期待所得というのがあってと、こういう話なんだ。  もう経済企画庁に聞かずに大臣にお聞きしたいと思うんです、大きな問題でございますから。  期待所得というのがさらに恒常所得の中に入っておりますから、要するに、まとめまとめて経済に対する展望とか気分とか、気分と言うとあれですけれども、ある。これがかなり政治のもたらす役割だと思うんです。  ファンダメンタルズは、諸外国のファンドマネジャーや諸外国経済学者、エコノミスト、日本のエコノミストは違いますね。日本のエコノミストはしばしば、まずい、まずいと言っております。その方が商売になるのかもしれません。学者も、講演を引き受ける人はしばしばそういうことを言っています。私の友人の評論家は、根拠なしにと認めておりましたが、間違いなく一万四千円台にことしじゅうになる。これは結果が出る話ですから後で責められるんですけれども、評論家をやっているときに結果ではっきり間違っても、評論家は責められないんですね。いい商売だ。(「収入も減らないし」と呼ぶ者あり)減らないんです。  一度私は、評論家の採点表をつくったことがあるんですけれども、六カ月前に何言っているかということについては皆さん全然関心がないんです。もちろん、私だけ一番正しかったんだけれども、特別に評価も高くならない。だからやめてしまった。ある総合雑誌が、私がそういう採点表をつくって、これは結果が出るんだから、だれが戦争が起きると言った、だれが何とかなると言った、無責任である、六カ月後に全部出すように、六カ月前のものを出そうじゃないかと言ったら、この企画は絶対売れないからやめましようと言われました。ということは、もう間違ってもいいという前提になっているんですね。  我々はしかし、そうではないと思う。今、ファンダメンタルズとしては、下がらないというふうに多くが見ている中での話でございます。ぜひとも大臣に、総合的な、どこに触れてでもいいですけれども、お答えをいただきたいと思います。
  22. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 ただいま、今は衆議院議員ですが、プロフェッサーの経済原論を傾聴しました。  その中で、景気は気からというんでありますが、これは人生、経済社会の原理であります。病気も気から、こう言います。景気は気からという、最近日本を代表する情報通信企業のトップと懇談する機会がありました。そこで言われたのは、まさに景気は気から。  昨今のエコノミストを含め学者先生まで、ここ数カ月、口を開けば日本売り。内閣は何をしているのか、政治は何をしているのか、官界はその目的を達しておるか、まさにだめと。だめ、だめ、だめ、だめと。日本には世界の通信社だけではなく、新聞社の特派員も来ております。やはり何十回も言われりゃ、それもバラエティーが富んでいけば、本国に、新聞には何回か連載をするということになります。  極めて残念なことは、政官経がこれに向けて、意図的なものなのか、自信を失ったのかという懸念を、論議を通じて痛感をしてきました今日の国会論議でございます。ようやく官界の諸君も自信を持ちつつあり、その辺もマインドを変えてくる一つの要素かなと。しかし、残念ながら野党の皆さんの御質疑は、平成九年度財政構造改革の元年、経済システム、高コスト改善、ニュービジネスの展開に向けての諸政策も一顧だにいたしてくれませんでした。そういう中で、あしたにも大変だという論調でありましたこと、残念であります。代表質疑者の論陣はそういうことでありまし た。  そういう中で、これからの経済というのは、まさに切れ目のない経済運営、予算成立が年度内に期されることによりまして行ってまいる。諸改革も、激励と受けとめてまいりましたけれども、橋本内閣は六つ並べたけれども、何もやる気はないのではないかと言う。御激励と受けとめると橋本さんもそう言った。私もそう言いました。先週、五原則を出させていただいたところであります。まなじりを決し、不退転で、この急場を乗り越えるためには、健全な国家財政、そして行政改革、許認可が先陣を切ってスタートを切っておるわけでございます。  金融システムの改革。一千二百兆の個人資産、預貯金が金融市場にあるわけであります。世界の預貯金の総額の三〇%が、まさに預貯金としてキープされております。こんな国は世界にありません。底力があるわけであります。この底力をいかに導き出すかというのが、政治に与えられた、与野党を超えた大きな目標でなければなりません。そういう点から、この金融システムも相並行して取り組んでいかなければならぬ時期に来たと思っております。  まさに景気は気からというのがいみじくも極めて正しく表現されておるのが昨今ではないでしょうか。委員言われる期待所得というものも、景気は気から。そういう中で、新しい製品のスタートを目指して頑張り抜く。そうしますと、一応満ち足りた、大分昔、三Cという話がありましたが、すべて冷暖房完備するような感じの昨今の我が国経済社会国民生活の実態であるわけですから、目先を変え、ニーズに合ったものが売り出されていくということになりますと、そこから経済の回転が出るのではないでしょうか。  御案内のとおり、マーケットは、一部の業種を除いて確実に買われております。それは日本の企業に対する、経済力に対する再認識、期待というものがあると思います。  一点残っておりますのは、不良債権の処理の問題。全力を尽くしてこの問題に取り組んでおる企業群、また政府としてもこれを激励する。早期是正という大きな課題を課しまして、来年四月一日からは金融機関すべて基本的な問題をディスクローズしなければならぬ、こういうことでありますから、リストラに向けて全力を尽くしておるわけでございまして、そういう意味の不安は最小限にとどめるところに向けて、ただいま諸制度を見直し、どうすれば具体的に取り組めるか、そして財政の出動を待たずして日本経済を活性化せしめる諸施策は何か。金融であり、税制であり、行政のあり方であり、いろいろあるでしょう。こういう問題に、予算成立後、積極的に取り組むことといたしてまいります。  どうぞ、議会制民主主義の国家、政治が、今栗本議員言われましたとおり、期待所得に向け、それから景気は気からという、この経済の原理原則の根幹を踏まえて、自信を持ってやるということが大変大事な時期に来たと改めてしみじみと痛感をいたしたところであります。
  23. 栗本委員(栗本慎一郎)

    栗本委員 ありがとうございました。  景気は気からではございますが、気の最初は大蔵大臣でございますから、大丈夫だということでぜひとも引っ張っていただきたいし、また金融改革はわかりやすく前に出していただきたいと思います。  本来ですと、国会審議のあり方が、やりとりができますと、新進党の山本議員とか鈴木議員とやりとりができたのですが、これは残念でございます。学者として参考人にでも招致していただければ御質問を受けることはできるのですが、また改めて別の場でそれはぜひともさせていただきたいと思っているところでございます。  なお、途中で経済人類学などという私の分野のことを申し上げました。これはとても展開できませんでしたが、有斐閣から「経済人類学を学ぶ」という学術教科書も出ておりますので、お暇な折には見ていただきたい。  それから、要するにポイントは消費なのだとずっと前から言ってきております。生産の型じゃないのだ。需要というのも、需要は、それは気からと言ってしまうとそれまでなのですけれども、十分析出し得る基準としてそうしたものがあるのだということを申し上げたところでございます。  どうもありがとうございました。これで質問を終わります。
  24. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 滝実君。
  25. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 自由民主党の滝実でございます。  ただいまのハイレベルの議論と打って変わりまして素朴なことを中心にして御質問をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。  私は、ただいまも大蔵大臣のお口からございましたように、金融改革ということが言われているわけでございますけれども、それに伴って、やはり税制面で公平な制度を貫くということになりますと、大変努力が要るのじゃなかろうか、こういう観点から主として御質問をさせていただきたいと思っているのでございますけれども、その前に、素朴なことで、御注文と申しますか中身をただすと申しますか、そういうことをまず申し上げたいと思うのでございます。  四月一日からの消費税あるいは地方消費税合わせて二%のアップに関連いたしまして、政府広報の文書があちこちで目につくわけでございますけれども、その中でいろいろ基本的な考え方がこの消費税の問題について政府広報で取り上げられているわけでございます。  もう少し具体的に中身を見てまいりますと、まず言っていらっしゃいますのは、先行減税をしている、こういうこと、それから現在の制度減税の中で消費税アップとおおむね見合うのだ、こういうようなことを政府広報の中で取り上げていらっしゃるわけでございますけれども、紙面が少ないという制約もこれあり、一般の国民からいたしますと、なかなかこれが理解しにくい点がございます。もちろん、二年前と申しますか、平成六年の秋の税制改革で枠組みが決められている問題でございますから、もう大蔵省当局もこれは決着済みというような御認識があるのだろうと思うのでございますけれども、国民は、今見ると、先行減税というのは何だ、大体幾らぐらいだとか、あるいは制度減税と今度の消費税アップがおおむね見合う、こういうふうにいつも表現されているのでございますけれども、その中身がわかりにくい点がございます。したがって、その辺のところから、まずこの際、再度念のために明らかにしていただきたいと思うのです。  まず、先行減税平成六年、七年、八年と先行減税をしてまいったわけでございますけれども、結果的にはいずれも単年度五兆五千億の先行減税でございますから、合計すると十六兆五千億、こういうことになるわけですね。したがって、十年でこれを償還すれば単年度一兆六千五百億の償還が要るというのは、これは子供でもわかる算術なのでございますけれども、具体的にこの先行減税の十六兆五千億、これを何年かかって毎年幾らずつ返していくのか、その辺のところからまず確認をさせていただきたいと思います。
  26. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 御指摘のように、平成六年に五・五兆の特別減税をいたしておりまして、その後平成七年、八年、特別減税を二兆円規模で行っております。  今の御質問、かなり幅広い御質問でございましたが、まず、平成六年秋の税制改革におきましては、簡単に申し上げまして、消費税税率を三から四にする、地方消費税一%を創設する、ただし景気との関係からこれを平成九年四月から実施する。一方、所得税、個人住民税の恒久減税、これは一度決めますとずっと恒久的に効果があるものですが、これを一年間三・五兆円規模で実施していく、あわせて福祉予算の充実を五千億円毎年やっていく。その他細かい点もございますが、省略いたします。  一方、消費税率、両方加えて五%になるわけでございますが、これは一年間で五兆円程度の増収になるわけでございます。このうち、国と地方政 府が購入する場合に、値段が上がっているということで、消費税がふえる分は大体七千億円と見ておりますので、五兆円増収とはいいますけれども、国民の負担になりますものは〇・七を引いた四・三兆円。  いろいろ申し上げましたが、消費税、地方消費税分として四・三兆円の増加に対して、他方、恒久減税で三・五兆円、福祉予算で〇・五兆円等々で、大体それに見合うものを裏腹で出している、あるいは引いているという形になっているということでございます。  なお、先行減税十六・五兆円というのは、この制度減税分とそれから特別減税を両方加えたものでございまして、一年五・五兆円規模のものを三年続いてやっているわけでございます、これは六年、七年、八年。やや複雑になりますが、ところが、平成八年分の特別減税は、これは赤字公債で実施しております。この分は、そういう意味では今後の財政の全体の中で考えていくということになります。  そうしますと、平成六年と七年の特別減税あるいは先行減税についてどう処理するかということでございまして、この点につきましては、簡単にこれも申し上げますと、償還財源として大体五千億円、毎年これを負担していくということになります。
  27. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 ただいまの御説明でも出てまいりましたけれども、消費税、地方消費税合わせて二%のアップで五兆円の収入がある、こういうことですね。それに対して、片や、今後ずっと続けられる制度減税がもう既に組み込まれているわけでございますけれども、それが三兆五千億。要するに制度減税としては三兆五千億でアップ分が五兆円だ、こういう単純な算術からいたしますと、国民の中には素朴に、一兆五千億ぐらい特別減税してもいいのじゃないか、こういうような気分が残るわけでございまして、そこのところは政府広報で、数字は出すと非常に煩雑だということもあるのでしょうけれども、もう少しきちんと、一般の有権者の皆さん方、納税者の皆さん方がわかるような広報をひとつやっていただきたいというふうに思います。  やはり有権者の皆さん方と話をしますと、一兆五千億どこへ行った、こういう素朴な疑問でございます。今の主税局長さんの御答弁のように極めて単純な話なのでございますけれども、その単純なところがどうも外に出ていないというようなうらみがございますものですから、四月一日からの実施で今ごろこんなことを言うのは時期がもう多少ずれているのでございますけれども、その辺のところはよろしくお願いを申し上げたい。一々集会でそういうことを説明するというのも手間のかかる話でございまして、理解をしていただくのは大変難しい状況でございますので、よろしく御配慮のほどをお願いを申し上げたいと思うのでございます。  それから、その中で毎年五千億の福祉関係経費が支出として出ているのだ、こういうことでございました。これは、平成六年の枠組みを決めた際にそのような考え方が前面に既に出ているわけでございますけれども、昨年の十二月の中旬から下旬にかけての与党三党の合意におきまして、この辺のところが要するに弱者救済という形で多少上積みされている点があるのではなかろうかと思うのでございます。その辺のところは多少政府広報に数字も出ているのでございますけれども、最初の平成六年のときの枠組みの点と、それにプラスアルファした点と、もう少し明らかにしておいていただきたいと思います。
  28. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 御説明申し上げます。  一つは、税制改革におきます先生御指摘の五千億でございますが、年金等の物価スライドで一千億、それから社会福祉、これは平成九年度からでございますが、これで四千億でございます。内訳は、老人介護で三千億、少子対策で一千億でございます。  このほか、先生御指摘の消費税の引き上げに当たりまして社会的弱者に対します激変緩和措置、これもとられてございます。  これについて申し上げますと、一つは給付金でございます。消費税の引き上げに伴います激変緩和として給付金を給付することにしております。これは三つに分かれておりまして、生活保護世帯、それから老齢福祉年金等の受給者に一万円の臨時福祉給付金を支給するということが第一点。二番目に、低所得の在宅寝たきり老人等に対しまして三万円の臨時介護福祉金を支給するという点。それから三番目に、六十五歳以上の低所得者の方、住民税の非課税の方でございますが、これに一万円の臨時特別給付金を支給するということとされております。こうした給付金は、まさに真に手を差し伸べるべき方々への配慮といたしまして、消費税率の引き上げによって生じます物価上昇に対しまして、激変緩和の観点から行われるものでございます。  また、これに加えまして、社会福祉・医療事業団に五百億円を出資いたしまして、高齢者・障害者在宅福祉等整備基金を設置することによりまして、ボランティア団体等多様な主体が参加した在宅福祉の充実を図るなど、従来の施策の枠を超えたきめ細かい在宅福祉事業を実施することとしてきております。  以上でございます。
  29. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 ただいまの御答弁の中でございました、最後の点でございますね。福祉基金と申しますか、ボランティア団体のきめ細かい介護サービス等に充てるためにファンドを積み込む、それに対して五百億円を出資する。こういうことでございますけれども、これはどこにそのファンドを置くのか、どういう格好でそれを活用していくのか。その辺についても、少し説明をしていただきたいと思います。
  30. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 今申し上げました五百億円でございますが、これは社会福祉・医療事業団に出資をいたします。出資をいたしまして、それの運用益でもちまして、例えば地域の福祉・介護のネットワークの形成、あるいは在宅福祉の推進、あるいは高齢者、障害者の社会参加の促進、あるいは市民活動法人等によります福祉・介護活動の支援、こういうことを対象にいたしまして支援をしていくということでございます。御案内のとおり、従来の施策の枠を超えたよりきめ細かな在宅福祉事業を実施するという趣旨でございます。
  31. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 社会福祉・医療事業団にファンドを設置する、こういうことでございますけれども、こういうようなことが一般に周知徹底しますと、各種団体がこの基金を利用したい、こういうことで当然御要望が出てくると思います。ぜひひとつその透明な活用ができますように、そういう要綱とか当然おつくりになると思いますけれども、幅広く周知徹底をしていただきますように、大蔵省の方からもよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、従来から消費税については益税問題が言われてまいりまして、当然益税に対応する言葉として損税という言葉も生まれているほど、この益税問題をめぐってはやかましい議論が続いてきているわけでございます。現在では益税の問題は相当程度解消されているといいますか、相当きめ細かい配慮が既になされてきているというふうに考えておりますけれども、益税という言葉が定着してしまっているものですから、その辺のところがどの程度まで改善されているかという点につきますと、これもなかなか認識が徹底していないうらみがございます。  現在、益税対策としてどういうところまで進んでいるのか、どういう効果まで出てきているのか、その辺のところについて御答弁をいただきたいと思います。
  32. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 平成元年に消費税が導入された際に、この種の税金は日本では経験のない税金でございます。中小零細の方々が事務負担を負わなければならない、税の負担は消費者なのですが事務負担は中小零細の事業者の方々であるということで、負担の公平の問題と、それから事務負担が過重に零細の方にかからないようにというバラン スの中から、いわゆる中小企業者の特例というものを設けたわけでございます。  それが今御指摘のいわゆる益税ということにつながるわけでして、どういうことかといいますと、例えば限界控除制度というものを設けました。これは免税事業者と課税事業者のところが一挙に変わることが衝撃が強過ぎるということで限界控除制度を設けましたし、また、消費税の計算というのは売り上げに税率を掛けて、仕入れに税率を掛けてということなのですけれども、仕入れというのはなかなか複雑で難しいということで、売り上げたけから計算できるようにということで簡易課税制度を入れました。これは外国にもありますが、日本の場合は、この簡易課税制度を使える事業者の範囲が非常に広くつくられたわけでございます。一言で言って、課税取引が年間五億円ということで導入されました。  このように中小特例をつくったことによりまして、税金としていただいて売り上げに入ってきた分がそのまま税務署に入っていないのではないか、事業者の懐に残っているのではないか、これが益税と言われたところでございます。  私ども、益税につきましては、それは事業者がどういう値段で売っているかという問題であって中小特例と直ちにリンクするものではないとは考えておりますけれども、それはそれとして、消費税が事業者あるいは消費者の皆様にだんだんなれていただいて習熟されてくれば、先ほどの中小零細事業者の事務負担に配慮するという点も後退していってもいいのではないか、むしろ負担している消費者の公平感が大事ではないかということで一歩一歩前進させてきていただいております。  平成三年には、与野党一致の法案で、例えば簡易課税制度上限五億円を四億円にいたしました。それから、簡易課税制度のみなし仕入れ率というものが九〇%と八〇%だったのですけれども、これを七〇%、六〇%というものも入れました。  そういう意味で前進してまいりましたが、今回の平成九年からの消費税率、地方消費税をあわせて五%にするに際して、さらに一段の進歩をいたしております。  まず、一番大きいのが限界控除制度をやめるということでございます。これは、ある意味では一番いわゆる益税というものにつながるものですから、これがなくなるということは益税が大きく前進するという説明につながるということになります。それから、簡易課税制度につきましては、四億までよかったのを年商二億までに下げます。事業者の方々にはつらい面もあろうかとは思いますけれども、これによって格段にこの問題も前進する。特に、みなし仕入れ率に五〇%というのを入れました。これによりまして、実情に合った仕入れ控除ができるということになろうかと思います。  なお、三千万円の免税点につきましても、資本金一千万円以上の新設法人については不適用にするとか、あるいは免税点以下の方々が仕入れにがかった税金以上のものを値段に乗せないようにという指導を非常に強くさせていただいておりますので、いろいろな面で前進ができていると思っております。  なお、計数的には何とも、いわゆる益税分を計算するわけにはいきませんが、御指摘のように、大きく前進している、益税はなくなってきているという方向で前進してきているというふうに申し上げることができると思います。
  33. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 それに関連いたしまして、基本的な枠組みとしては益税の解消というのは相当進んできている、こういうふうに認識をいたしておりますけれども、その反面で、この益税問題の議論が大分きめ細かくなってきていると思います。そういう観点から、全体としては解消してきているはずでございますけれども、きめ細かい点が最近では出てきておりますので、その点について三つほど御答弁をいただきたいと思うのです。  一つは、ただいまもございました、限界控除は免税点業者とのバランス上こういう措置が必要だった、こういう御答弁でございますけれども、その肝心の免税点業者は多少手直ししましたが、三千万円という数値はそのままでございます。それをほうっておいてこの限界控除だけ廃止するということのバランスをどう考えていらっしゃるのか、それが第一点でございます。  それから二点目は、今までは帳簿方式一本やりのような感じがございましたですね。日本の場合にはインボイスじゃなくて帳簿方式で課税をする、こういうことでございましたけれども、したがって今までは「帳簿又は請求書等」というような表現が、今回の改正で「帳簿及び請求書等」というふうにかなり請求書のウエートが高くなってきている。こういう点から、多少実際の取り扱いの実務では不安もあるやに聞いておりますので、その辺のところはどういうふうにお考えになっているのか、それが二点です。  それから三点は、これはもともと益税全体について外国の例をとって言われた点でございますけれども、インボイス方式をとるにしても帳簿方式をとるにしても、こういうような消費税という問題が出てまいりますと、もう面倒くさいから節税の観点からいうと現金決済で証拠が残らないようにしようなどという、そういうような説も一部にはささやかれているわけでございますけれども、この点についてどういうふうにお考えになっているのか。その三点について、簡単で結構ですから御答弁をいただきたいと思います。
  34. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 最初に、三千万円の免税点についての御質問でございます。  年間の課税売上高三千万円というこの水準については、今回もさわっておりませんので今後もこれでいくということになります。この点と限界控除制度とのつながりのお話でございました。三千万円をどうするかにつきましては、私どもいろいろ調査いたしますと、年間の売り上げが三千万円という方々というのは、イメージとしては、使用人が二人とか三人いらっしゃるような本当に零細な事業をされている方でございます。そういう……(発言する者あり)まあ、そうかもしれません。二人から三人以下だと思います。その御商売がおそば屋さんであるとか、何をやっているかによって違うのかと思いますが、おっしゃるようにそういうレベルでございます。そういたしますと、そういった方々にさらに下げていいかどうかにつきましては、私どもそれは無理だと思っております。そういう意味で、三千万円は下げませんけれども、三千万円超えたところでメリットのある限界控除制度は、これはやめましようということにさせていただいたわけでございます。  それからもう一つ、帳簿との関係で御質問がございました。  これは、この四月から請求書も保存するということにさせていただいております。これは、方向としてはより透明性のある納税をお願いいたしたいということからさせていただいているわけでございまして、ただ、一面では、普通、法人なりあるいは事業をやっている方々は、相手の方々との間で請求書だとかあるいは納品書だとか必ず交わしているわけでございます。法人税だとか所得税の計算上、必ずそういうものは置いてあるのが当然でございますから、そういう意味では保存しているのが当然だと思いますので、そういう意味では確認的でございます。  あわせて、今事務が煩項になるのではないかという不安があるという御指摘でございます。これは、昨年来、例えば税理士会等々から大変なことになるのではないかという御質問もいただいておりますが、国税庁におきましてこれに対しては自然な形で対応する、一々一つ一つの品目ごとに帳面に写さなければ帳簿等の証票が保存していないことになるということにならないように対応するということで、大体お話は理解されてきていると思っております。  最後の現金決済の話は、まさにそういう帳簿との関係なのかと思いますが、ちょっと趣旨理解できないままに参りましたので、これで失礼します。
  35. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 益税問題は、とにかくだんだん議論が 細かくなってくる、今こういうような状況でございまして、それだけ基本的な問題がクリアされてきた、こういうふうに認識をいたしておりますけれども、さらに実際の税の執行上の問題として、この税が健全に育ちますようにできるだけの御配慮をお願い申し上げておきたいと存じます。  最後に、これは御答弁いただきにくい問題だと思うのでございますけれども、欧米各国でとにかく日本消費税に類するものが相当のウエートを占めてきているのが国際的な税制状況でございます。こういった点を踏まえて消費税率についていろいろな議論があるだろうと思うのでございますけれども、今後の消費税のあり方について大蔵省当局がどういうようなお考えをお持ちなのか、お聞きをいたしておきたいと存じます。
  36. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 この四月から五%にさせていただくという状況のもとで、まず、これが混乱なく自然に定着していくことを心から期待しているわけでございます。  なお、国にとって、国が行う事業、行政サービス、この水準が適正かどうかということが今大きな議論になっているわけでございまして、この議論がまず行われると思います。その上で、国民の皆様が必要な行政サービスを提供するのに必要なトータルとしての税収というものが決まってくると思います。この税収をどの税金で賄うのがいいかという点につきましては、基本的には、国民の皆様の御議論の中で決めていただくのがいいかと思います。  ただ、中長期といいますか、長い目で見た場合に少子・高齢化社会がどんどん進むと予測されております。そういった中でどうやって国民がみんなで負担していくのかということを考えたときに、勤労世代だけに、給与所得にだけ重い税金をかけていくというのはなかなか無理があると思います。私自身も含めてこれから高齢に入っていくわけですが、そういったときに、給料はないけれども消費に応じて老人としても負担していくのだというようなことがあることによって、私たちの子供や孫たちが少しは楽になってくる、こういうことも考えますと、中長期的にはやはり消費課税というものは大事にしていかなければいけないと思っております。
  37. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 税は国の行政、政治の根幹であります。昨今よく言われる少子化・高齢化社会、これは世界の中でハイスピードで我が日本が迫られておる現況にございます。そういう中で、国民が安心をして生活でき得る、老後社会においても安心して人生を全うできるようにするというのは、けだし政治の根本であります。そういう点で、諸改革を断行することにより活力のある日本を復活させることによりまして、この問題に対応していかなければならない。そういう意味で、直間比率の問題が長い間の論議にあります。  所得税中心の我が国税制、源泉徴収ということできっぱりと納税をしておる勤労世帯、これに引きかえて、昨今トーゴーサンとかという言葉は余り聞かないようになりましたことは、それなりの努力が前進をしておるものと思います。しかしながら、やはり税負担の重い感じがありますことはそのとおりでありますし、今後の行政サービスというものを進めていくに当たりましても、決めていく最小限のシビルミニマムは、ナショナルミニマムとしてこれは達成をしなければならぬ、こういうことになりますと、財源は必要になります。  そういう点で、今後とも税制全体をにらみながら、同時に経済の活力を取り戻すための全体の政策展望を追求しながら、両々相まっていくようにしなければならない。今日ただいま議員の御指摘の中にありますように、税のあり方は絶えず見直しをしながら、公正、公平という税の原理を追求しながら、全力を尽くしてあるべき税の姿を探求し、取り組んでいくということであろうと思います。
  38. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 ありがとうございました。  この消費税に関連して、銀行局長さんもおいでをいただいておりますので、お尋ねをしておきたいと思うのでございます。  この消費税、地方消費税合わせて二%のアップによって、影響をそれほど受けない業種もあるでしょうし、それなりに影響を受ける業種もあろうかと思います。そういうことを予想した上で考えておかなければならないのは、そういう影響を受ける業種についてはせめて金融面で一時的に支えてあげる、こういうような姿勢も必要ではなかろうかというふうに感じております。  そんな点で、政府系金融機関を中心にして今の状況の中ではかなりこの問題に取り組んでいただいていると思うのでございますけれども、その辺の事情を銀行局長さんの方から御答弁をいただきたいと思います。
  39. 山口政府委員(山口公生)

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  中小企業の金融につきまして、民間の状況をまず申し上げ、それから政府状況を申し上げたいと思うのでございます。  日本銀行の調査におきますと、中小企業者に金融機関の貸し出し態度がどうかというのをヒアリングしておりますが、確かに大きな企業に比べますと、緩いという判断をしている人は少のうございますが、全般的に見ますと、厳しいという人より緩いという人の方が多いという状況になっておりまして、それほど金融が厳し過ぎるという状況にはなっておりません。しかし、先生御指摘のように、今金融機関は不良債権問題とか、あるいは資産をどんどんふやすようなことをとっておりませんので、審査等において結構その辺はいろいろ個別に見て厳しくやっている点もあろうかと思うわけでございます。  しかるに、公的な機関であります中小公庫とか国民公庫等がまたその役割を果たさなければなりませんが、これも不良債権という問題は民間だけではなくて政府系金融機関にもございまして、その面では余りルーズな審査でいいというわけではございません。ただ、もともとこういった機関がその役割を果たさなければいけませんので、窓口においてはきちんとした審査をやりながらも、できるだけ相手方の事情もよく理解して対応することが大切だろうと思うわけでございます。  現在、申し込みに対する実行率を見ましても、最近特にこれが落ちてきているという状況にはございません。したがって、現在においてもその辺の対応は十分してきているとは思っておりますが、加えまして、高い金利で借りられた方に対して金利の減免措置をやるとか、あるいはいわゆる国民公庫のマル経資金という特別な無担保の融資がございますが、これの上乗せをまた延長していただくというようなことをやっておりまして、制度面でもかなりの対応をしております。  御指摘のように、この問題は非常に大切な課題でございまして、今後とも中小企業金融の円滑化に最大限努力してまいりたいと思っております。
  40. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 中小企業金融の問題は、現実問題としては現場ではなかなか難しい問題が個別にあると思うのでございます。その際に、やはりみんなの意識としては、大蔵の検査が厳しいからどうも貸し出しも内輪内輪になる、こういうようなことでございます。それは当然といえば当然のことなのでございますけれども、順調に回っている企業についてはやはりその企業の経営を信頼して目いっぱいの金融ができますように、大蔵当局も御配慮をいただけたらというふうに考えます。  次に、金融の改革に関連して、全く素朴な質問で恐縮なのでございますけれども、一つ二つお尋ねをしておきたいと思うのです。  経済関係の雑誌を見ておりますと、金融自由化の中で、特に為替自由化をとらえて、これはどういうことかというと、今までは、例えば日本国民がアメリカにドル建ての預金口座は設定できるけれども、円建ての預金口座はアメリカに設定するわけにいかぬ。ところが、為替自由化によってそういうようなことが可能になる。可能になるとどういうことになるかというと、日本は基本的に所得課税は源泉徴収制度が徹底しておりますけれども、日本と違って諸外国の場合には必ずしも源泉徴収制度が徹底しておりませんから、アメリカに円建ての預金口座ができると、かなり税の世界 では節税になるというか税を免れることができるといいますか、そういうようなことになるのだと言わんばかりのことがちらちらと記事に出ているわけでございます。実際に、そういうようなことに対して、税を公平に確保するという観点からいたしますと、やはり一抹の心配がございます。  大蔵省の事務当局として、こういった点について、税制の公平を確保するという観点からどういうような対策をお考えになっているのか。今までの研究のあらましと申しますか、それは今後の問題が多いと思いますけれども、概略御披露をいただきたいと思うのです。
  41. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 金融システムが改革される、特に為替の自由化が来年四月から行われるということがスケジュールにのっているわけでございます。税金が先行して何かを、経済を動かしていくというのはいかがかとは思いますが、経済がそのように変わっていく際に、それに応じて税制も適切に対応していくべきことは言うまでもないところでございまして、そういう意味で、今委員御指摘のような点につきましても考えなければいけないということで、今検討をいたしております。  ポイントといたしましては、今まではある意味では為替管理ということで守られていたというか、税制もそこまで言わなくてもよかったという面があるわけでございますが、為替が自由化になった場合、例えばアメリカでは為替は自由化になっております。そのアメリカにおいて何が行われているかといったようなことを調べたりしますと、一つ出てまいりますのは、先進諸外国、フランスなどもそうなんですけれども、クロスボーダー取引についての資料を税務関係官署が入手できるような制度にしておかないといけないということでございます。  金融なり産業なり、これは市場主義といいますか、クロスボーダーというかボーダーレスの世界がこれから発展していくというのは否めないところだと思いますが、税金というのはそれぞれが主権を持って課税をし、その国、国民に必要な財源を調達する仕組みですから、これが全く自由になって税金がなくなっていくということではおかしいわけです。一方で、市場主義をとる産業にストップさせてはいけない。このバランスをどうとるかということでございます。  端的に申し上げれば、例えば海外送金とか海外から入金があった場合に、一定金額以上のものは御報告をしていただく、そのことによって公正な課税あるいは税収の確保ということを求めていくことが本筋ではないかと思っております。  この点につきまして、外為法の改正法案がもう出ております。また細目も詰められてきております。また民間の方もこれへの対応をいろいろ考えていると思いますので、この対応ぶりを私どもがさらにフォローして、税制上おかしくならないように追っかけて手当てをしていきたいと思っております。
  42. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 税の世界も、国際的なやりとりをしなきゃならぬということになりますと大変難しいことになってくるんだろうと思うんでございますけれども、それに関連して、細かいことで恐縮でございますけれども、さらに一つだけお尋ねをしておきたいと思うんです。  現在、為替取引と申しますか、国内の日本人が日本の銀行に、例えば一千万なら一千万の金額の日本円を持ってドルを買いに行きますと、当然銀行の窓口では、これはマネーロンダリングじゃないかというような観点から一応の聞き取りをして確認をする、その上で五百万円をオーバーしている部分については日銀を通じて大蔵省に報告をする、こういうようなことをやっていると思うんでございます。よく考えてみますと、為替取引の差益を、法人の場合には所得を把握することはこれは割とできると思うんでございますけれども、個人の場合に、これからそういうようなところも為替自由化で抜けちゃいますと、なかなかそういう点での税収の把握というのは難しいんじゃなかろうかな、こういう感じがするわけでございますけれども、そういった点についてはどうお考えになっているんでしょうか。
  43. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 法人の場合については、御指摘のように、法人税課税上為替差損益が出れば、これは損金の額あるいは益金の額に計上していくのは当然のことでございますが、個人におきましても、事業をやっている方々が事業に係る為替差損益が出れば、これは法人税と同様に事業所得の収入または必要経費に算入されるわけでございます。その際に、なかなかそれが把握しにくいだろうということだと思います。  こういった点につきましては、鋭意国税庁においては対応をしておりますし、今後とも、自由化になった中で適切にやっていくということになろうかと思います。
  44. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 次に、時間が余りありませんけれども、外国税制に関連している問題を一つ二つまとめてお尋ねをしておきたいと思うんです。  先般のマスコミの報道によりますと、日本の企業が海外へ出る際に、現地で税制上の優遇措置を受けるということになりますと、今度、日本の本社サイドでは、みなし外国税控除ということで、税金が現地で課税されたという仮定をして日本の国内では本社で税制上の特典を受ける、こういうような、いわばみなし外国税控除制度というのが行われているわけでございますけれども、どうもこれは、お互いに国際的な競争をフェアにしようという観点から廃止するんだ、こういうような報告が出されているやに聞いているわけでございますけれども、こういった点についてどういうような方針で臨まれようとしているのか、また、こういうことに関連して、国際的な取り決めといいますか、そういう点についての動きはどうなっているのか、そういった点についてお答えをいただきたいと思います。
  45. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 大変専門的な分野の御質問でございます。  みなし外国税額控除という仕組みがありまして、通常ですと、二重課税を防止するために、外国でかかった税金を日本の税金を計算した上で差し引くという外国税額控除というのがあるわけですが、相手国が例えば日本の企業を誘致したいがために特別措置を講じたというときには、外国での税金は安いんですけれども、そこでかかったかのように日本の税金から引いていいというのがいわゆるみなし税額控除でございます。  このみなし税額控除につきましては、これまでの長い流れの中で、相手国の事情も考え、こういうものを認めるという時代がありました。現実に、現在も認めている相手国はございますが、世界の潮流といたしまして、この種のものはだんだんやめていくべきではないかという考え方が今や主流になってきておりまして、それが、今御指摘のように、国際機関でも今議論されている。OECDの租税委員会におきまして、税の公平という基本原則を確保しようということで、また、有害な租税競争、タックスコンペティションと言っておりますけれども、これを牽制する観点からみなし外国税額控除のあり方について検討が重ねられております。この検討の方向は私ども日本の基本的ポリシーとも一致するものでありまして、同委員会の検討に当たっては積極的に貢献していきたいと思っております。  具体的には、私ども、相手国の事情によりまして、サンセット方式をとるなり、あるいは条約の改定のときに新たな目で、相手国がもう発展途上ではないではないかという状況であればこれをやめていただくという方向での交渉を重ねてきているところでございます。
  46. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 同じように国際税制の問題で、これは税の公平に関連する問題でもございますのでお聞かせをいただきたいんでございますけれども、ひところと申しますか、数年前に移転価格税制というのがアメリカと日本の間で問題になりました。  日本の企業がアメリカに進出した際に、日本の現地の企業に日本から部品を送る際に、その部品の価格を高い値段で売りつけていきますとアメリカで取るべき税収が減っちゃうからというんで、アメリカの財務省が日本にクレームをつけてき て、そういう場合には企業との間、大蔵省も中に入って、要するに部品の値段を適正価格にして、アメリカはその分だけ税収を余計取る、日本はその分だけ税収が減っちゃう、こういうようなことでございますけれども、最近はこの問題がやや落ちついたのか余り新聞に報道されておりませんけれども、このような問題をめぐって今どういう状況になっているのか、お聞かせをいただきたいと思うんです。
  47. 舩橋政府委員(舩橋晴雄)

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点は、移転価格にかかわる現在の状況でございます。  移転価格につきましては、外国の課税当局が課税を行った場合あるいは我が国の課税当局が課税を行った場合一それによりまして両方で二重課税になってしまうということを避けるために、外国の税務当局との間で協議を行って、そして合意を経て、対応的調整と言っておりますが、そういう、一方では減らす、一方ではふやすというような形を行っている税制でございます。  現在OECD等でガイドラインが設けられておりまして、私どもそういったガイドラインの考え方に沿ってこの対応を行っておりますけれども、昨年の六月末現在で、現在協議中の件数は三十一件というふうになっております。
  48. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 この移転価格制度は、見ようによりましては、諸外国日本の法人税の実質的な税の水準が違うというようなことから、日本としても楽観を許さない問題があるだろうと思うんですね。やはり、税の公平を確保するという観点から、今後とも大変関心を持たなければいけない問題だろうというふうに認識をしている次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後に、地方税に関連して、金融関係の税制と  いうことでお尋ねをしておきたいと思うんです。  現在、国税、地方税を通じて預金利子、利子課税については、国税の場合には既に昭和四十六年から現在のような源泉分離課税というものがほぼ固まってきて今日に至っているわけでございます。それに相当おくれて、地方税におきましても利子課税について、昭和六十三年から利子課税が五%の税率でもって現在行われているわけでございますけれども、六十三年、地方税が出たときから問題になっておりますのは、割引債については、これは地方税で課税できていないわけでございます。理由は、要するに、どこの地方団体に帰属するのか、こういうことをめぐって議論があるからということになるわけですね。最初発行するところで課税するのか、転々として移転するものですから最終的に償還する段階で課税するのか、いろいろ地方税の税の帰属議論として、どこに帰属するかという議論が先行するものですから、なかなかこれは解決しない問題がございます。  一方、この問題について、じゃ、国税でそれを上積みして課税しているかというと、そうでもない。完全に、国税でもその分だけは、要するに、普通の利子に比べて割引債の場合には、いわば所得課税が低いということになっているわけですね、地方税の五%分だけはどこも課税していませんから。しかし、これは、税の公平という観点から考えますと、大した大きな数字にはならないと思うのでございますけれども、多少問題があるように思うのでございます。自治省の税務局の方でこれからどうするのか、その辺の考え方をお尋ねしておきたいと思うのです。
  49. 湊政府委員(湊和夫)

    ○湊政府委員 割引債の償還債券についてのお尋ねでございます。  今委員から御指摘ございましたように、割引債に対しまして住民税を課税するといたしますと、やはり本来は、償還時の割引債の保有者の償還債券に対して課税するということになろうかというふうに思いますが、割引債の性格上、これは転々流通いたしますので、最後まで、償還期限まで保有していた者の負担、それと中途で売却した方との負担バランスの問題が一つあること、そのことは同時に、課税団体と納税義務者の帰属の関係にもかかわる問題でもございまして、これまでなかなか地方税レベルで解決ができずに来ておる課題の一つでございます。  この点は、今御指摘ございましたように、課税の公平という観点からいたしますと、問題があることは事実でございます。多分に技術的な問題が絡んだ問題、それから、その把握の難しさという点がございますけれども、これまでも、利子割等についても、割り切り等も含めていろんな問題に対処してきたという経緯もございます。今後とも、私どもとしては、いろんな角度から、環境の醸成等も見ながら検討を重ねていきたいというふうに思っております。
  50. 滝委員(滝実)

    ○滝委員 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、税の公平という観点からいたしますと、その範囲が、今の割引債の利子割じゃありませんけれども、数字的には大したことない数字であっても、公平という観点から、やはりこういう大きな変革の時代に、そういう点、従来の懸案もできるだけの解決をされますよう御要望だけを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  51. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  52. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。谷口隆義君。
  53. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 新進党の谷口でございます。質疑を始める前に一言委員長に申し上げたいと思います。  新進党、太陽党共同提出法案、特別減税継続法案でございますが、委員長質疑終局宣言をなされていらっしゃって、かつ採決が行われておらないということでございます。極めてこれは異常な事態であります。どうか一刻も早く採決をお願いいたしたい、厳重に申し入れたいと思います。  次に、消費税の問題を……
  54. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 ちょっと待ってください。今の話は、先ほど不信任がそのために出てきたのじゃないんですか。
  55. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 ですから、あえて申し上げているわけです。
  56. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 それで、先ほどのとおり決着がついておると私は理解しておりますから、よく理事と相談の上、御発言いただきたいと存じます。
  57. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 採決をやっていただきたいと思います。採決をやるのが当然じゃないですか。(発言する者あり)不信任とは関係ないじゃないですか。採決の問題じゃないですか。採決をやってもらいたい、このように申し上げておく次第でございます。
  58. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 よく理事と相談してください。
  59. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 消費税の問題について本日はお聞きいたしたい、このように思います。  もう一週間ほどしますと四月に入ります。御存じのとおり、消費税が五%に上がるわけであります。我々は、この消費税五%、約五兆円でございますが国民負担がふえる、景気に水をかけないか、冷や水をかけていかないか、このように大変危惧いたしておるところでございますが、今回のこの消費税の問題で何点かお聞きをいたしたいところでございます。  特例の問題についてお伺いいたしたいと思います。  現行の消費税について、これはもう四月から新たに五%に上がるわけでございますが、中小企業の特例というのがございます。私は、今質問するのは、この特例は必ずしも中小企業だけではない、こういう特例があるんだということをまず申し上げて、これに対する御答弁をいただきたい、このように考えておるところでございます。  大企業においても特例がある、こういうことであります。課税売上割合、売り上げのうち課税売り上げと非課税売り上げ、このように二つに分か れるわけであります、このような課税売上割合が九五%以上の場合には仕入れ税額を全額控除してもいいという特例がございます。これは中小企業だけではなくてすべてのところが対象になる、こういう特例であるわけでございますが、私は、この問題についてたしか昨年大蔵省に、これは小川事務次官が主税局長のときでございましたが、質問いたしたことがございます。今回の消費税の改正で全くこの問題に触れておらなかったわけでありますので、もう一回あえて質問いたしたい、このように考えておるところでございます。  当時小川主税局長が課税売上割合九五%以上の場合について、預金利子等についてのお話を主になさったわけでございます。今消費税非課税取引というのは土地の譲渡また土地の賃貸、こういうのがあるわけですね。または金融機関の預金の利子なんかもこの非課税取引に入るわけでございますが、問題になるのは土地の譲渡また土地の賃貸の部分、不動産取引の非課税の問題について、これは極めて問題がある。今回の中小企業特例の中に免税業者の特例、また簡易課税という特例がございますが、考えますと、このあたりよりも金額が大きいのではないかと思われる特例であります。  まず初めに、この課税売上割合九五%以上の場合の仕入れ税額全額控除ということについてのお考えを御答弁をお願いいたしたいと思います。
  60. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 御質問の九五%ルールは、この税が、課税仕入れにがかった税金は控除できる、それは課税仕入れに係る仕入れ控除ということでして、本来ならば課税売り上げであるか非課税売り上げであるか、それに対応して個別に対応しなければいけないというのが基本原則になろうかと思いますが、これをすべて基本原則どおりにすることが適切かどうかという判断の問題かと思います。  今御指摘いただきましたように、預金利子等の非課税売り上げは普通の場合ほとんどの事業者に存在すると我々見ております。その一方、こういったものについての課税仕入れというのはないケースが多い、通常である、こういったときまで厳密に、先ほど申し上げたような仕入れ税額控除の計算を義務づけることは事務負担の増大につながるのではないかというのがこの制度の趣旨でございまして、これはヨーロッパの各国においてもそれぞれそれなりの工夫により同種のものが設けられているというふうに承知しておりまして、御指摘のように、私どもこの点については関心は持っております。また、日本税理士会等からも意見などをいただいておりまして、検討もいたしましたが、これは現行のまま維持したいと思っております。
  61. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 今、薄井主税局長がおっしゃいましたように、本来原則的には、課税売り上げに対する課税仕入れ、また非課税売り上げに対する非課税仕入れ、こういう対応を突き詰めていかなければいけないということであります。ですから、原則的には個別対応方式であるとか一括比例案分方式であるとか、このような方法があるわけでございます。  先ほど御答弁の中に事務処理の簡便化というようなお話がございましたが、先ほど私申し上げましたが、中小企業特例の簡易課税であるとか免税業者であるとか、こういうのは極めて企業規模が小さいわけでありますので、事務処理能力がそこまで至らない、ですから簡便的な方法を認めてやろうという趣旨はよくわかるわけでございますが、何兆円も売り上げがあるような企業にもこのような簡便な方法を認めていいものなのかどうかということを問題にいたしておるわけであります。  この課税売上割合九五%以上の場合の仕入れ税額の全額控除というのは、これはイギリスでも行われております。付加価値税を導入した当初のイギリスにおいてもこれが行われた。イギリスでは、非課税売上割合が五%以下の場合にプロラタ計算を行わないで仕入れ税額の全額控除を認めておった。今の我が国と同じですね。しかし、事業者がその材料の有償支給を無償支給に切りかえるというようなことで、この課税売上割合を恣意的に変える、こういうようなことが行われた結果、一九八七年四月、ですからもう十年前ですかの改正で廃止をしたものなんですね。現在は一部零細事業者のみ行われておるというようなことを聞いておりますが、このようなイギリスにおいてもう廃止をされたものが、どうして今我が国において行われておるのかということであります。御答弁をお願いいたしたいと思います。
  62. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 英国では、今お話がありましたように経緯がありまして、七三年以降、このいわゆる五%の、九五%ルールに関して変更の経緯がございます。ただ、イギリスにおきましても、非課税売上割合の基準は廃止してはいるのですけれども、一方で、一般的な事業者が行う土地取引とかあるいは有価証券取引のようなものは、課税売上割合、分母に入れないという形で処理しているようでございまして、これはこれなりのイギリスの考え方かと思います。  したがって、九五%ルールのところだけ取り上げますと確かにそのとおりではございますが、日本のように、課税売上割合を使う際に、当然のことながら非課税売上高を分母に入れてやっているケースとそこは違うと。それからもう一つは、英国の例が出ましたが、よその国はよその国のように、プロラタ方式を使っているところもありまして、この点は各国それぞれという面はあります。
  63. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 この議論は、極めて専門的な議論で非常にわかりにくいので、余り取り上げられておらないのですが、先ほども申し上げましたように、これは金額がかなり大きい。私がまた後で、次に質問する項目も含めて、金額が大きいのですね、この特例の。ですから、これは大きな問題であるという認識の上で質問いたしておるわけでございます。  例えば、一兆円の売り上げを上げる中堅の商社があったとしましょうか。一兆円の売り上げでございますので、五%は五百億でございます。五百億以内の非課税売り上げ、この非課税売り上げと申しますのは、先ほど申し上げましたように土地の賃貸、土地の譲渡、このようなものがこの非課税売り上げになるわけでございますが、例えば土地の賃貸をやっておった、これは非課税売り上げでございますので、マックス五百億までいける。五百億と考えますと、この経費がどのくらいになるのか。これは一つ、みなし仕入れ率というのがございます。今回の改正で、不動産事業におけるみなし仕入れ率が六〇%から五〇%になりました。これは要するに不動産業者にとって厳しく変わったわけでありますが、このようなみなし仕入れ率を、一つの指標といいますか、とってくるのも考え方の一つでございまして、そうしますと、この五百億に対する五〇%、二百五十億、二百五十億の五%、十二億五千万、この十二億五千万が払わなくてもいいのです。要するに税金として納めなくてもいい。大企業にもこのような益税がある。  これは一兆円の企業でございますが、これが十兆円ぐらいの売り上げを上げておる例えば商社があったとしましょうか。十兆円の売り上げを上げておるところは五千億であります。極めて大きな金額になります。  そのようなことを考えますと、これは決して無視できるようなものではないのではないか、このように考えております。これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  64. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 委員が今お示しになりましたような計算で計算すれば、確かにそういう数字が出てくるかと思います。  九五%ルールの適用になるような企業に生ずる非課税売り上げがどういう内容のものであるかということを客観的に考えていったときに、今のような例が現実的であるかどうかという問題になってくるかと思います。また、五〇%の仕入れ率ということでしたけれども、預金利子の受け入れだとか金融取引、あるいは土地取引等が通常この非課税売り上げに入っていると思いますが、そう いった場合に、五〇%もの仕入れ率になっているとは考えられないわけでございます。したがって、個別対応方式をそういう場合にとれば、通常の場合、課税仕入れに係る仕入れ税額がほぼ全額仕入れ控除できるのがほとんどだと考えられますし、九五%ルールの適用をした場合とほとんどその場合は変わってこないのではないかと思います。  結論的に申し上げますと、確かにそういうケースを考えればそういう数字ですけれども、一般的にそうであるとは考えられない。一方で、通常の大きな企業あるいは一般の企業も含めて、非課税売り上げというのは一定率あるのが通常でございますし、それについての仕入れの内容が小さいとすれば、この点については他国でも用いているような九五%ルールを使った方が簡素化になるということではないかと思っております。
  65. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 私が申し上げたいのは、どうしてこのような簡便法を認めるのかということでございます。原則法を貫いて精緻な方法、さっき申し上げましたように、個別対応であるとか一括比例案分であるとか、このような方法があるわけでありますので、このような九五%ルールというものをどうして認めておるかということでございます。御答弁をお願いいたしたいと思います。
  66. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 付加価値税制度は、最初に申し上げましたように、仕入れと売り上げ、それから課税売り上げと非課税売り上げ、これとの対応で精緻に理論的には構成されているわけですが、それを実際の取引の中でどこまで細かく厳格に取り込んでいくことが適当かどうか、また、そのことがどれだけの現実的な意味があるかどうかということから、九五%ルールを用いることが事務負担の軽減という意味にもつながり、一方で、税収等の関係でほとんど影響がないのではないかと思われるものですから、この仕組みをとってきているわけでございます。  ただ、委員御指摘のように、そういう実例が本当に一般的であるというようなことであるならば、これは私ども、常々関心を持っているところでございますので、今後ともフォローしていき、制度の改善、合理化というのは今後とも課題としてまいりたいと思っております。
  67. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 先ほど申し上げましたように、大企業は十分それに対応するだけの事務処理能力を兼ね備えておるわけでございますので、事務処理の簡便化を図る必要がないのではないか、私はこのように思っております。中小企業の特例は、これはまた別でございますから。ですから、そういう意味において、これはかなり金額的にはあるのではないかというように私は思っておるところでございまして、今、主税局長の御答弁では、これはまたこれからそういうことで実態を見ながら考えていきたいというような御答弁でございましたので、これは、私は極めておかしな制度であると思いますので、廃止の方向でぜひ考えていただきたい、このように思います。ぜひよろしくお願いします。  それに関連して、もう一つ消費税の問題をお聞きいたしたいわけでございますが、事業者認定という問題があります。要するに、消費税法上、事業者とはどういうものなのか。反復、継続、独立して事業を行っておられる、こういうようなものを一般的に事業者、このように言うわけでございます。なぜこのような質問をするかと申しますと、例えば、零細事業者が賃貸用の店舗を新築した。このような場合に、例えば具体的な例で申し上げますと、一億を出して土地が三千万、建物が七千万というような賃貸用店舗を取得した。土地は、先ほど申し上げましたように非課税でございますので、消費税はかからない。建物七千万に対してこの四月から五%の消費税がかかりますから、七千万の五%、三百五十万、これを消費税として支払う。この店舗を賃貸するわけですね。賃貸して、一億の物件ですから、六%で回ると考えて年間六百万の売り上げ、こうしましょうか。六百万の売り上げで消費税が三十万かかるということになります。  何が言いたいかと申しますと、この事業者は、新規に取得した建物の消費税の三百五十万を、事業者として原則課税の届け出を出しますと還付されるのですね。この三百五十万から本年の売り上げに対する消費税の三十万を引いた三百二十万が還付される、このようなシステムになっております。いわば弱小といいますか、極めて零細な事業者がこのような還付を申請して還付をされておるという実態があるわけでございます。  このような実態、このようなところをいわゆる事業者として認定していいのかどうかという問題なんですが、それについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  68. 舩橋政府委員(舩橋晴雄)

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、消費税法上、この課税となりますものは、事業者が事業として行う課税資産の譲渡であるということで、まさに委員御指摘のとおり、対価を得て行われる資産の譲渡、貸し付け及び役務の提供が反復性、継続性、独立性を持っているという考え方で私ども認定を行っているところでございます。  したがいまして、今御指摘の具体例につきましても、そのような考え方で進めさせていただいております。
  69. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 再度お聞きしますが、事業者とは、どのような形態のものを事業者として認定されるのでしょうか。
  70. 舩橋政府委員(舩橋晴雄)

    ○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  事業というのは、例えば、個人が消費者として行うような行為、例えばサラリーマンが生活用に持っていた自動車を売るような行為、こういったものは事業ではございませんので、そういうものを除外をする。したがって、その逆の意味では、課税対象は、先ほど申し上げました課税資産の譲渡が反復、継続、独立して行われているかどうか、その規模を問わず事業として判断をしていくということでございます。
  71. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 私は、ちょっとこれでいいのかなというように考えておるのは、先ほども申し上げましたように、新たに賃貸用の建物を取得してそれに対する消費税を払った、その年は、いわゆる課税事業者、原則課税の適用事業者としての届け出を出す。これは二年間は続けなければいけませんので、その二年を経る前に、先ほどの例で申しますと、年商が六百万ですからこれは免税業者なので、免税業者の届け出に切りかえるわけです。そうしますとこの建物の取得に要した消費税はほとんど返ってきて、免税業者になった段階消費税は支払わなくてもいい、こういうようなことになるわけで、これは実務の世界では一般的によく行われておるのですが、これについて問題意識は持っていらっしゃいませんでしょうか。
  72. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 消費税の制度の面から申し上げますと、いわゆる免税事業者といいますか、三千万以下の方であっても、仕入れ控除、物を購入するときには税金の乗った物を購入しているわけでございますから、この方が課税事業者を選択した場合に、課税の累積を排除するという観点から、仕入れに係る消費税額を控除するという仕組みは当然のことかと思います。申告の結果還付になるということ自体は問題はないと思います。  ただし、それをうまく活用することによって税を逃れているのではないかというようなことについての御指摘かと思いますが、この点、制度の仕組み方としての限度は、これも御指摘のように、一度選択したら二年間は戻れないということでそこを担保するということが、この消費税制度、かつ免税点制度を設けざるを得ない中においての一つの組み合わせだと思っているわけでございます。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  73. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 やはり私はちょっとおかしいのではないかというように考えておりまして、このあたり、またよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、先ほど午前中聞いておりますと、この問題について質問が出ておったのですが、ビッグバン。これは、二〇〇一年三月までに、こういうように総理がおっしゃっておられますが、フロント ランナーとして来年の四月から外為法が自由化になる、こういう法案がこれから審議されるわけでございます。順調にいきますと来年の四月から外為法が自由化になるというようなことでございまして、私は、これは方向としては正しいが、今極めて状況が悪いのではないか、こういうように考えております。  一つは、金融機関の不良債権の処理が極めて注目すべきところに来た、最終局面に来たのではないか、このように考えておるところでございます。外為法の自由化が行われますと金融機関の業況を悪化させないのか、こういうことで、その道筋をまずつけておく必要があるのではないか。  また、二つ目は、これは規制を撤廃していかなければいかぬ。外為法が自由化になりますと、ロンドン市場であるとかシンガポール市場であるとかニューヨーク市場であるとか、どんどん自由に行くわけでありますので、我が国の市場が十分国際的に通用できるような、有取税を廃止したり手数料を自由化したり、このような規制の緩和、撤廃をその前段階で進めておく必要があるのではないか。  また、もう一つは、税制上の対応であります。この税制上の対応というのも、短期的な対応と中長期の対応があると思います。短期的な対応は、先ほど午前中の話にも出ておりましたが、税の捕捉の問題があります。中長期には、我が国の税体系の問題があると思います。  御存じのとおり、我が国の法人税率は欧米に比べて高い、また、所得税率も極めて高い。このような状況の中で外為法が自由化されますと、どんどん海外に流出するのではないか、税制上の問題も含めて、一千二百兆円と言われるような個人資産が流出するのではないか、こういう危機感をおっしゃる方がいらっしゃるわけであります。私もそのように考えておるわけでございます。ですから、そういう意味において、我が国の税体系そのものを、グローバルスタンダードとして、国際的整合性と申しますか、こういうようなことをまずその前段階でやっておかなければいけない、このように考える次第でございます。  例えば、法人税で申し上げますと、アメリカは三五%、イギリスが三三%、フランスが三三カ三分の一、こういうような表面税率でございますが、我が国は三七・五%。これが、シンガポールになりますと二六%、香港は一六・五%、このような法人税の税率になっておるわけであります。また、我が国の所得税も、御存じのとおり、国が最高税率五〇%、地方が一五%、六五%という極めて高い所得税の税率になっておるわけでございます。  こういうような税体系が一つのインセンティブになってこの資金流出に拍車をかけていくのではないかというように考えておるところでございますが、このあたりにつきまして、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  74. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 来年からの為替の自由化、そして金融システム改革が今後進んでいくという中にあって、新しい経済環境の中にあって税制もそれに合ったものにしていかなければいけないという御指摘は、基本的にはそのとおりかと思います。  ただ、金融あるいは経済の市場主義ということと税制という問題は、税制には税制のもう一つの役割なり持つ性格の違いがあります。それを生かしつつ、あわせてこれからの金融のシステムの改革にどう合わせていくか、このバランスを考えていかなければいけないということが最大のポイントかと思います。  二つの、法人税と所得税についての御指摘がございました。私ども、あるいは政府税調におきましても、日本の、国税である法人税率及び地方の法人課税を足したいわゆる法人課税の表面税率と言われるものが、欧米あるいはその他の国に比べて高いという認識は同様に持っております。したがって、これを引き下げていくのが中長期的な方向だと思っております。ただし、その場合、その財源をどこに探すかという問題についても、国民的な理解を得ながらいかなければならないと思っております。  また、所得税の税率、これは国税である所得税と地方の住民税、加えて六五でございますが、政府税調のあるときの答申では、両方足して五〇%ぐらいということも触れております。そういう意見があるということを触れております。これも財源をどこに求めるかということを考えながら、方向としては委員おっしゃるような方向にいくことが適当だと私も思っております。
  75. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 時間が参りましたので、最後に一つだけ質問して終わりたいと思います。  今、主税局長がおっしゃったように、税体系も変えなければいかぬ、また、例えば、聞くところによりますと、相続対策を海外不動産に求めてやるのではないかというようなことであるとか、今現実の問題として、タックスシェルター、タックスヘーブンと言われるところに資金を持っていって節税を行っておるというような状況もあります。また、公社債利子について、これが源泉で捕捉できるのかどうかというような問題もあります。  このような税の捕捉、税が空洞化するのではないか、こういうような危機感があるわけでございますが、この税の捕捉という観点で御見解をお伺いいたしたいと思います。
  76. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 市場といいますか、経済の活動分野が広がっていく、かつボーダーレスになっていくということは、税の立場からすると、今までのような把握システムでいいのかということについて、新しいテーマを投げかけられているわけでございまして、公平、適正な課税を行うために、新しい手法も含めて、これまでもやってまいりましたが、これからも考えていかなければならないところです。  その際には、たびたび申し上げておりますが、今までにない状況が出てくるわけですから、それに合ったシステムも国民の皆様には甘受していただきたい。税は規制ではないわけですから、適正、公平な課税のために、最小限必要な何らかの義務というものが新たに設けられた際に、これは受け入れていただきたいと思うわけでございます。
  77. 谷口委員(谷口隆義)

    ○谷口委員 それでは終わります。ありがとうございました。
  78. 村田(吉)委員長代理(村田吉隆)

    ○村田(吉)委員長代理 西川知雄君。
  79. 西川(知)委員(西川知雄)

    ○西川(知)委員 西川知雄でございます。  きょうの税特は、大蔵大臣がきようであれば五時間ぐらい時間がとれるということでございまして、先ほどからの質問は主税局とかそういうところに集中しておりましたので、私は、ぜひ午後のひととき、大蔵大臣と質疑、答弁、これを政治家としてやりたい、こういうふうに思っております。  私、予算委員会で総括とそれから一般質問をさせていただきまして、大蔵大臣は非常に税について深い造詣をお持ちである、私はそういうふうに思っております。本当の話、そう思っております。特に、私が道路の特定財源について御質問をしたときも、大いに国民的な議論をして前向きに考えていこう、こういう非常に積極的な発言をされたということ、そしてその発言が次の日の日経の第一面に出たということは、私は、これは非常にいいことである、こういうふうにまず申し上げておきたいと思います。  ところで、消費税の話をまず私、させていただきたいと思います。  先ほど滝委員の方からもいろいろな御質問があり、その際に、五兆円の消費税アップ分、これが一体何に使われているかということについて論議がございました。高齢化、少子化に向けて税構造の改革は必要である、消費税が三%から五%にアップするということは高齢化・少子化対策のために特に必要である、こういうことでございましたが、先ほどの答弁でも明らかなように、高齢化対策、老人介護対策に使われるお金は三千億円、そして少子化対策に使われるお金は一千億円でございます。  すなわち、四・八兆または五兆と言われる三% カら五%への税収アッフ分につき、国民社会福祉のためにこのお金が使われていくのだというふうに実は思っているわけです。  橋本総理が予算委員会等々で、高齢化、少子化に備えて税構造を変えていかないといけない、そういうふうに抽象的におっしゃっております。しかしながら、具体的な数字を見れば、五兆のうちわずか四千億しか高齢化、少子化のためにその税率のアップ分は使われていない、これをまず第一、私は指摘しておきたいと思います。  そこで、平成六年の六月、税制調査会の答申において、どうして今度三%から五%へ上げないといけないかということの一つの答申の文章があります。これはどういうことかというと、先ほど申しました五兆のうちの三・五兆分、これが所得税、住民税の減税ということに使われております。そして約三千億円が相続税のブラケットの変更による減税分です。したがって、五兆円アップした分について、実は三・八兆がそういう所得税減税、住民税減税、そして相続税の減税に使われているわけでございます。  ところで、その三・五兆というのは主にどういうところに使われたかというと、先ほどの税制調査会の答申には次のようなことが書いてあります。すなわち、今回の改正においては、「所得税率二〇%及び個人住民税率一〇%の適用ブラケットの幅を中心に、バランスのとれた累進構造が得られるよう、各ブラケットの幅をできる限り拡大することが適当である。」こういうことで実は消費税のアップが基本的には図られたわけです。  すなわち、平成六年の十一月の改正前までは、一千四十六万八千円未満の収入の人が限界税率二〇%を払っていればよかった。それ以上の人は三〇%だったわけです。それじゃ非常に重税感がある、これはだれが言ったのか知りませんが、重税感があるということで、この二〇%が適用される限界税率の適用範囲を一千四十六万八千円から一千三百四十九万四千円に変えたわけです。すなわち、一千四十六万八千円以上一千三百四十九万四千円以下の人は、今まで三〇%の限界税率を払っていかなければいけないところを二〇%で済むようになった。したがって、そういう人たちの重税感、そういうものをなくすということで三%から五%への引き上げが行われたわけです。  私は、大蔵大臣にぜひお聞きしたいのですが、この千万円から約千四百万円という所得の人、私はこの人は結構な収入がある人ではないかというふうに考えております。そういう人の税金を安くする、一〇%分安くする、そして住民税で五%分安くするということのために今度の三・五兆円を生み出したわけでございます。  これは新進党として、また私としても基本的にはこのアップに反対でございますが、ここで国民が知りたいことは、一体消費税というものは、この税率は今後もどうやって決められていくのだろうかということだと思うのです。  すなわち、三%から五%へアップしたというのは、実は、簡単に言えば一千万円以上一千三百五十万円以下の人が三〇%の税金を本来払うところを二〇%になった、こういうことなんです。  それでは、今後世の中が変わって、そして景気もこれから変動していく、そしてまた歳出もふえたり減ったりするのでしょう。そういうときに、じゃ今後五%から四%に下がり得ることもあるのか、五%から七%に上がり得ることもあるのか、また五%から一〇%に上がり得ることもあるのか、こういうことはあり得るでしょう。しかし、どういうようなメルクマールで、どういうような基準で上がったり下がったりするのか。  今の三から五は、基本的に言えば、千万円から千三百五十万円の人、この重税感をなくすということでそういう措置がとられた。これが現実なんです。だから社会福祉なんかにはほとんど使われないのです。  だけれども、今後例えば五から六に上がるとか五から四に下がるとき、どういうことを具体的に基準にして直間比率を見直していくのか、どういうことがあれば五から六になるのか。例えば、千四百万円の人が、三〇%では高い、やはり重税感があると言ったら、今度はブラケットを千三百五十万円から千四百五十万円までに上げて、そしてまたその減税になった分を消費税で上げたりする、そういうことをするのか。  一体、政府としては、大蔵大臣としては、税体系というのは非常に重要ですから、この日本の国を動かす意味で、この五%を変えていくときにはどんな基準を持っておられるのか。その辺のことを大蔵大臣、国の予算とそして税制を預かる第一人者としてぜひ明確な御答弁をしていただきたいと思います。
  80. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 西川議員さん、専門家ですから、詳細な数字を挙げての御質問であります。  上げ下げのポイントは何だ、現行五%をさらに上げることはあるのか、下げることはあるのか、その基準、こういうこと。基本は、財政運営の基本にイコールでリンクしていると思うのです。  ただいま来御指摘のありました社会福祉の関係、御老人のためにといっても合わせて四千億円かと。これは、そのもの自体を見れば四千億でありますが、税の大宗は所得税であり、法人税であり、以下国税が幾つか並びます。そういう中に、直間比率の是正ということ、広く公平に負担をいただくという意味で、消費税、間接税が、逆進性は若干ありますけれども、水平的な公正という観点から言えば一番望ましい税体系ではないのか。  これ以上、御指摘のように所得税が家庭生活にまた市民生活の中に活力を失うような所得税体系ではいかがなものかということで、中堅サラリーマンの皆さんがこの国のまさに中堅としてそれぞれの分野で全力を尽くしております以上、そこにポイントを当てて進めなければならぬという政策の中で、これがたまたま三・五兆、消費税アップの財源の中で全体のプールで考えられますから、突き詰めて言うと、今、西川議員言われたような議論も的を射た議論として、こちらから見た場合、そういうことだと思うのであります。  要すれば、ですから結論として申し上げますことは、四月一日から五%に相なるわけでございますが、そういうことになりますと、これで当分財政の効率的な運用を進める、片や諸改革を断行することによって経済の活力をもたらす、こういうことで税収のアップを期待をする、こういう率直な形もあるわけでございます。  ですから、上げるときはどうするかと言えば、ありとあらゆる支出の面の分析、高齢化社会において社会保障制度を充実をしていかなければならない、しかし一般会計を必要とする、財源を必要とする、国民の御負担が限界だということであればどこから財源を求めるかということになりますと、公正、公平な財源とは何かということで国民論議の中でそれではということもあるでありましょうし、下がる場合は何でしょうかというと、なかなか、下がる場合は無税国家にでもならなければ、地方分権が確立をされて、国と地方の関係がきっちりと財源的な面でも分離、分配ができるということであればその時点というのがあるのでしょうか。しかし、地方税に振りかわっていっているのではないか、トータルとして国民の一人として同じじゃないかという議論も出るところでありましょうし、その辺のところ、やはりその場合でありましても国民論議が基本になっていく、こういうふうに思います。
  81. 西川(知)委員(西川知雄)

    ○西川(知)委員 今の御答弁にありますように、国民的なコンセンサスというものができないと五%からそれ以上に上げることはない、こういう御意見であったというふうに思います。私は、それは非常に正しいことでございますが、国民的コンセンサスというのは一体何なのかということをやはりよく考えて、主管の大蔵大臣としても、そのコンセンサスはどういうふうなコンセンサスというものが専門的に考えても一番望ましいかということを、単に直間比率の是正とか、高齢化社会に向けてとかいう、これは一応、世界平和とか友愛とかいう言葉を使うのと同じようによくわかることですが、もっともっと具体的に詰めていっていただきたいなというふうに私は思います。  この間の十月二十日の総選挙のときにありましたように、消費税五%を絶対反対、私は絶対に命をかけても反対するといって当選した人が自民党で七十七人、民主党で三十人、社民党で六名ということになっております。それなのに、三%据え置きを我々が言ったときに造反した人はたった二人であったという世にも不思議なことが起きておるわけでございますから、抽象論でなくて、今後どういうときに、本当にこの税の直間比率を見直していくのかということを、ぜひ大臣、いろいろな税理論を交えて大蔵省内で議論をして、そしてまた閣内でも議論をしていただきたいと思います。  そこで、その点についてもう一度、大蔵大臣のこの税の見直しについてのちゃんとした基本方針を、大蔵省内でも話して、そしてまた閣内でも話す、そういう御確認の御答弁をここでいただきたいと思います。
  82. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 ただいま直ちに税を見直すというタイミングではございません。それは御案内のとおりでありますから、その程度にとどめさせていただきます。  しかし、基本的な問題として、税金があって行政運営ができるわけでございますから、国民サービスができるわけでありますから、それは国民負担との関係で解決をする方法が一つあります。しかし、そのときの状況国民活力と言った方がいいんでしょうか、そのことがそこに追いつかないなということでありますと、活力のないのにさらに税負担をお願いをするということの矛盾はどうなるのかと必ず反論があります。  そこで、目指す国の行政のあり方、地方自治体のあり方、それと官から民へとよく言いますが、この方向がやはり思い切って進められる形で行政のスリム化が図られなければなりませんでしょうし、三割自治とよく言いますが、しかし、それぞれ工夫の中で五割のところもあるし、東京都のようにほぼ自治法の基本を踏まえてやられておる自治体もあるわけですから、そういう点を考えますと、それは特別というか別として、全体の問題を考えますと、分権、地方自治体のあり方というのも見なければなりません。しかし、そのことはある程度ミドルの論議になりますので、常に財政当局、税務当局とすれば、税の公正、公平と、所得、消費、資産という、こういう税理論の一つの原則を踏まえながら、適正な税負担とは何かということについて、それは毎日と言っては過言でしょうが、少なくとも税務当局は、また主管省である大蔵省はそこに思いをいたして、税とは何かという基本的原点で勉強していることだけは間違いありません。  それで、国民論議を起こすためには、やはりそれは、政府みずからが国会提出するのが一番ストレートでありますけれども、国民論議という民主主義の原点もありますから、政府税調、その他関連する機関に政府としての考え方を提示をしながら御検討をいただく。ストレートに提言をするか、間接的に環境整備全体のあり方についてぜひ御勉強をいただきたい、この方法があると思うんです。ストレートにいく方が私は正しいと思っております、そのことによって世論が起きるわけでありますから。そういうことを絶えず考えていかなければならぬ時期に来ているな。  ただ、橋本内閣においては、改革なくして増税はないという基本的なイズムが流れております。まず諸改革を行うことによって、スリムにすることによって収支バランスが保たれ、赤字国債の解消にそのことが役立つ、国民負担がそういう意味で正しい意味の負担とはというところに行き着くようにということでありますので、主管大臣である者として、税とはかくあるべきだと御質問に答えた次第であります。
  83. 西川(知)委員(西川知雄)

    ○西川(知)委員 そこで、ちょっと消費税の話ではございませんが、今の熱意あふるる大蔵大臣にぜひ一つ聞いていただきたいこと、そして改善していただきたいことが、ビッグバンについてございます。  私、国際金融の仕事を弁護士として二十年間やっておりました。したがいまして、いろいろな新しい金融商品、こういうものが果たして、日本でいろいろな制限とか規制とかがあって、果たしてこれは日本に持ってきても大丈夫かというような質問を私どもにまた私にされることが、これはもう何十回とありました。  今規制緩和、規制緩和と言われておりますが、実は新しい金融商品に対する規制というのは、多いようでまあそんなには実はないんです。だから、今度外為法が改正されるということで、それはまたますます金融商品に対するそういう意味での規制は余りなくなってくる、また少なくなってくる。そういう意味ではよりやりやすくなるというふうに私は思うんです。  ところが、一番問題は税なんです。租税法定主義、租税法律主義と言われるように、税金というのは、法律で幾らかけるよというふうに書いてなければ本来は税金はかからないものなんです。ところが、新しい商品に対して大蔵省の対応が機敏ではない。したがって、ある商品をつくろうというときに、例えば国税庁に聞きに行くと、そうしたら国税庁は、新しい商品だからもっと内容をよく聞いてみないとわからない、そのほかの国の制度も調べてみないとわからない、わからないことずくめで、一カ月、二カ月、三カ月、四カ月、一年たつと、そうすると経済状況も変わってきて、もう新商品はもはや新商品ではなくて、結局売れなくなる。  また、本来は、さっき申しましたように、国税庁じゃなくて、国税庁は税を税法で決めたその範囲に従って単にそれを執行する機関であるべきなのに、各税務署の職員なり国税局の人たちが、いやこれは大体これぐらいだと思う、これは実質を見るとこういう取引になるから何百億ぐらいかかるかもしれない、そういうふうなことを我々にまた外国の金融機関に言うわけです。そうすると、その人たちは、いやこれは困ったな、一体どういうふうに税の効果が生まれてくるんだろうということで、結局新しい商品日本で開発する、また売るということができなくなっているんです。  私は、やはりはっきりとした新しい商品に対する税の効果、そしてどういう課税関係にあるかということは、なかなか難しいことだとは思いますが、やはりそれは法律を解釈し、そして通達とかそういうことをそもそも基本的に考える大蔵省の主税局がしっかりとして、そして新しい商品が来たら、これは何日以内に答弁しますとか、こういう方向で考えておりますとか、そういうふうなことを言っていただかないと、ビッグバンといっていろいろな商品が新しく来ますけれども、実際は課税関係がわからなければ、これはみんな商売ですからね、何億円の税金かけられるかわからないというんじゃ、幾ら規制緩和しても、私はビッグバンというものは成功しない。これは実際の実務経験からわかることです。  この辺についての大蔵大臣の御見解と、それから、日本型ビッグバンをやるということは、そういう意味で、日本が新たに開かれた市場として、ちゃんと日本でももうかる、そしてここに税金も落としてもらう、そしてまた新しい金融市場としてちゃんとやっていこうということだと思うのですね。それについて、非常に前向きな姿勢を大蔵大臣も示しておられますので、さっき言いました税との関係で、ぜひ大蔵大臣の御見解、そして決意のほどをお聞きしたいと思います。
  84. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 ビッグバン、まさに金融システム改革、グローバルスタンダードな税制、こういうことになると思うのであります。新しい商品についての税務当局の回答が遅いということで新商品でなり得なくなる、この懸念に対しましてはきっちりとしなければならぬと思いますし、即応体制を、御提言もこれあり、それに向けて準備はしているのでありますが、さらにその辺のめどが立つように取り組んでいただくということになります。  私どもですら、日進月歩の証券界、マーケット、わかりません。デリバティブといいましても、何回聞いても、何となくわかるけれども、一 日たちますと、あれは一体何だっけなという感じのものがございます。そういう点で、しかしながら、そういう時代に来たことだけは間違いありません。  ですから、これに伴う税制については、主税局長もおりますし、この辺にしまして、彼からもちょっとその対応について聞いてやっていただけますか。御提言はしかと受けとめました。
  85. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 委員御指摘の点につきましては、私どもも新しい事態の中でどう対応していくかということを常々心しておるわけでございます。一方で、企業会計審議会において、新しい状況の中でどういう会計処理がいいかということを、新しい考え方を含めて考えていると思います。そういうことを踏まえつつ、私どもも前進してまいりたいと思っております。
  86. 西川(知)委員(西川知雄)

    ○西川(知)委員 質問を終わりますが、最後に、私は前の予算委員会でも、道路財源について、特定財源を一般財源化してはどうかとか、そして今の質問でも、国税庁に対して、もっとはっきりとすぐ返事をするような体制にしてはどうか、そういうような、一般的に言えば、非常にある意味では過激な発言を私はしております。そういうことをすると、建設業者からの支援がなくなるとか、税金で税務署から嫌がらせを食うとか、そういうことでしない人が多いわけですけれども、私は、これはやはり日本の国家を再建していくために、与党野党なく、新しい聖域なくいろいろなことを議論していく、これがやはり政治のあるべき姿であると思うし、そのためにこそこういう委員会があると思いますので、そのことをよく御理解いただいて、ぜひ大蔵大臣、新しい積極的な姿勢でもって日本の国を一緒に改革していっていただきたい、こういうふうに思います。  私の質疑を終わります。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席
  87. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 次に、中野清君。
  88. 中野(清)委員(中野清)

    ○中野(清)委員 新進党の中野清でございます。  私は、川越の商人として三十七年過ごしてきました。県議、市議として二十六年、川越の商店街の正副会長を二十年以上やってまいりまして、商人であるということを誇りとして今日まで生きてまいりました。今、この税制改革特別委員会で、日本じゅうの中小企業、特に多くの商人の皆さんの声を少しでも伝えたい、そういう思いで御質問をしたいと思います。  まず第一に、特に消費税税制については国会でいろいろな議論がありましたが、実際に消費税や税金を徴収されている立場、お客様から消費税をいただき税務署に納めている、そういう立場での御発言というのは少なかったと思います。ですから、そういう意味できょうは、大臣、現場の声をお届けしたいと思いますので、多少素朴な点、未整理な点はお許しを願いたいと思います。  今の西川議員の御質問の中の大臣の答弁で私も感銘しましたので、御確認させていただきたいと思いますけれども、消費税五%を実施するのが八日後に迫った今日、直間比率の問題について、大臣が、直ちに五%を上げるという見直しはしない、タイミングでないという御答弁がございました。そして、橋本内閣は改革なくして増税なしだ、このイズムがある、私はよくわかります。ですから、この際でございますから、私ども素人にわかりやすく、できれば、橋本内閣がいわゆる六つの改革をする、国民的なコンセンサスを得ないうちは五%から値上げしない、そういうことについて、私は今大臣の答弁を伺って信じたわけでございますけれども、御確認を願いたいと思います。
  89. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 これはもう四月一日からスタートを切ることになる、こういう前提で申し上げたことは委員も認識をいただけると思うのです。  それと、西川議員がいわく、上がる基準、下げる基準はあるかということで、その場合の財政の状況について、上げざるを得ない状況もあるでしょう、国民負担の問題との関連であるでしょう。下げる場合はなかなか難しい。そういう要件があるかどうか、それは無税国家になればそういうことになりますが、容易ではない。しかし、増税については、全く私は否定するものではないわけです。長い国家経営の中で、そういう場合も出てくるときがあるだろう。そういう場合は政府税調等を通じて御論議をいただく、国民論議をいただくことが大事だ。しかし、国民論議も、政府みずからが問題点を明記をして論議をいただくことのベースをつくらないといけないのではないか、こういうことであります。これも……(中野(清)委員「わかりました。時間がないので結構です」と呼ぶ)わかりましたですね。橋本内閣のことはことでありますから。
  90. 中野(清)委員(中野清)

    ○中野(清)委員 物価問題に関する世論調査でいいますと、今、例えば値上がり感の強いというもので、交通費が一一・九、医療費が一〇・六、光熱水道費が一〇・二というので値上がり感が非常に強いわけです。その中で、まず第一に、御承知のように、我が国の電力、ガス、水道料金は外国に比べて高い。そういうことについて、なぜ下がらないのだろうか。  そして、この消費税の値上げとの関係で、公共料金の問題がございます。過日、この十日でございましたか、物価問題関係閣僚会議におきまして、消費税の値上げに伴うところの公共料金二%が了承された。これは一・九四%、すなわち消費税の二%以下だからいいんだというような感じの経済企画庁長官からの御発言があったと伺っております。私はこれは納得できない、はっきり申し上げまして。つまり、消費税といえども、これは転嫁だとおっしゃるけれども、やはり消費者にとってみれば値上がりであることは変わりない。それが一点であります。それをどう思っているか。  少なくとも政府のお立場として、便乗値上げもしない、それから公共料金も値上げしない、そうおっしゃっている以上は、せめて、この二%について安直に認めるのじゃなしに、少なくともこの二%は据え置きをして、物価については下げるんだ、そういう意識がなければ私は困ると思います。その姿勢についてはあったのかどうか、具体的にお話を願いたい。また、国民の皆様にもその点での御理解をさせてもらいたい。お願いします。
  91. 河出政府委員(河出英治)

    ○河出政府委員 お答えをいたします。  公共料金につきましては、従来から経営の徹底した合理化を前提といたしまして、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取り扱ってきたところでございます。しかしながら、ただいま委員御指摘のとおりに、我が国の公共料金は国際的に見まして割高なものが多いということも、否定し得ない事実でございます。これは、個々にはいろいろな事情があるわけでございますが、全般的に申しますと、公共料金につきましては、一般に競争が少ないために事業効率化へのインセンティブが弱いということが一因になっているというふうに考えている次第でございます。このため、公共料金につきましては、参入規制の緩和あるいは価格設定方式の改革、情報公開の徹底等を図りまして、事業の効率化を進めていくということが重要であるというふうに認識をしているところでございます。  先般、物価安定政策会議の中の基本問題検討会というところで、公共料金分野に競争を導入していくための方策を中心として報告書の取りまとめが行われたところでございます。今後、こういった施策の具体化を通じまして、公共料金の低廉化に向けまして努力をしていきたいというふうに考えております。  もう一点、第二番目で、公共料金につきまして、消費税率の引き上げにつきましては据え置くべきじゃないかというお話でございましたけれども……
  92. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 答弁者に申し上げますが、簡明にひとつやってください。
  93. 河出政府委員(河出英治)

    ○河出政府委員 これにつきましては、消費税というのは御承知のとおりに、価格の上昇を通じまして最終的には消費者に負担を求めることを予定している税とあるわけでございますので、公共料 金の改定申請がなされた場合には、こういった基本的な性格を踏まえまして、円滑かつ適正な転嫁を基本として、また、物価及び国民生活に十分配慮して厳正な取り扱いをしてきたところでございます。
  94. 中野(清)委員(中野清)

    ○中野(清)委員 今の御答弁は、まさに官僚の御答弁でございまして、本当に納得しません。  しかも、四月に値上げをしない中には、例えば今後の料金改定の際に税率を考慮して上げるというものが、例えば乗り合いバス、大阪とか横浜の地下鉄なんかがあります。これも料金値上げを前提にしている。つまり、そこに今の公共料金に対する取り組みの問題がある。しかも、世論調査によれば、去年一年間で物価が上がったと感じている人は五七%もいるのですよ。消費税が五%になったときに、八割以上の人が物価が上がるともうあきらめてしまっているのです。  ぜひ大臣、そういう点については、国民にとって消費税がやむを得ない負担とするならば、物価を上げないという努力をどうやってやるか、お伺いしたいと思います。
  95. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 これは、経済システム構造改革、こう言わざるを得ません。許認可の問題の見直し、そういうことでコストダウンを図りながら、のみ込んでいかなければならない。消費税によって二%分アップするわけでありますから、公共料金の中にその部分が取り込まれていかなければならぬ。これはやむを得ない結論であるので御理解を得たい、こういうことです。
  96. 中野(清)委員(中野清)

    ○中野(清)委員 公共料金の値上げについて、ぜひ下げるような御努力を御期待したいと思います。  それと一緒に、私は、物価憲法といいますか、そういうものを制定した方がいいと思っているのですよ。といいますのは、国民が安定した生活をするためには物価の問題が基本だ、この基本方針を広く国民世論の形成の中でやるべきだと思っているのです。特に重要なことは、内外価格差を考慮した、現行の物価水準の引き下げじゃないかと思うのですよ。  そして二番目には、公共料金について言えば、今までのコスト積み立て方式とか、総括原価方式というものが果たしていいのだろうか。そしてまた、料金コストについてもなるべく公開をしてもらいたい。また、経済規制とか安全性の社会的規制とか市場原理の導入とか、いろいろ議論があるはずでありますけれども、それを国民的に議論をして、物価の安定、そして物価政策に対する国民的な合意を一日も早く取りつける必要があると考えておるのです。  国民がひとしく共有するこの物価憲法、これは例えば綱領的なものになるか、物価基本法的なものになるか、これは皆さんの御意見で結構でございますけれども、早急に定めて、公共料金を抑える努力をしていただきたい。これはできれば経済企画庁にもお願いしたいし、大臣はこういう点どう考えるか、お伺いしておきます。
  97. 河出政府委員(河出英治)

    ○河出政府委員 物価の安定に向けました政府の基本的な取り組みでございますけれども、これまでも適切な財政金融政策の運営、あるいは競争政策の推進、あるいは物価動向の調査、監視、こういったことによりまして総合的な運用をしてきたところでございまして、我が国の物価は落ちついた動きを示しているところでございます。  ただ、ただいま委員が御指摘のとおりに、公共料金制度の改革のために、先ほども申し上げましたが、参入規制の緩和、撤廃の問題、あるいは価格設定方式の改革の問題、あるいは情報公開の徹底の問題、こういった施策を通じまして、今後とも公共料金の低廉化のために最大限努力を尽くしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  98. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 もう経企庁、物価担当省言われたとおりでありますが、消費税は、転嫁をするということでお互いが共存をするという基本税制理論で来ております。そういう点で、物価を安定させる経済企画庁の最大の設置目標、日銀もそういうことであります、大蔵省ももちろんそうでありますが、ただいまのところは世界的にもほぼ安定をしつつある、これだけは間違いありません。しかし、アップ分は二%アップで、その影響は出ますことは既に御案内のとおりであります。
  99. 中野(清)委員(中野清)

    ○中野(清)委員 これについての議論は私は大臣と異にしますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  益税の問題について少し取り上げたいと思うのです。先ほど主税局長から、益税について解消に対しての前進がしてあると御答弁がございますけれども、私はこの益税の問題の本質の中には、中小企業の事業者に対する役割をどう評価するか、育成するかという問題があると思うのです。特に、中小企業者が消費税をお客様、消費者に転嫁できるかどうかという問題と密接な関係があるはずなのです。転嫁ということは、納税の方法じゃなくて、実際は財とかサービスの市場の状態、つまりお客さん、消費者との力関係によって決まってくるはずなのです。ところが、どちらかというと益税の問題が、いわゆる事業者が消費税を全部懐に入れてしまってというような、そういう論議が先行しているような感じがしております。  この論議の背景の中には、消費税がすべて一〇〇%消費者に転嫁されているという前提があるはずなんだ。大臣、本当に一〇〇%転嫁されていると思いますか。免税点約三千万円以下といいますと、先ほども三人とか五人とか言いましたから、私はせいぜい奥さんと御主人と一人か二人じゃないですかと申し上げたつもりでありますけれども、規模が小さいのです。そして、力関係からいっても、零細な三千万円以下のサービス業や小売業の皆さんは、ほとんど自分たちが税金をかぶる。具体的にはいっぱいございますけれども、時間がございませんから、その現実をどのように大蔵当局としてつかんでいらっしゃるか、まず第一点としてお伺いしたいのです。  それからもう一点は、今まで売り上げ三千万円ということが表に出てまいりまして、この三千万円の免税点があたかも、これは決して正確な議論じゃないのですけれども、一般的な印象としては三千万円の益税だというふうに受け取られております。しかし、今まで三%のときは、例えば具体的に言いますと、三%ですから九十万円ですね。それのうち、例えば小売は今八〇ですけれども、七〇としても六十三万円ですから、今まで二十七万円だったのです。今度五%になっても、百五十万円のうちで百五万円が仕入れ控除になりますと四十五万円。これが一店当たりの益税の最高値なのです。ですから、私は、今後三千万円の益税という言葉はやめてもらいたい。むしろ、四十五万円の益税問題だと正確に言ってもらいたいと思っております。  そこで、いろいろと御議論をさせてもらいたいと思いますけれども、一つは、消費税が導入後八年たちました。大蔵省として、この益税、そして転嫁の実態というものを私はもう調査すべきだと思うのですよ。今までの、単なる理論といいましょうか、学者の理論や推計値でもってこの益税の議論をされたのでは困る。国民の前に現実の姿を明らかにしてもらいたい。このことを私はお願いしたいし、どうお考えになっているかお伺いしたいと思うのです。  それから、今後、税の論議をするときに、いわゆる学者評論家の皆さんや団体の皆さん、結構でございます。それと一緒に、少なくとも税金を払っている、例えば消費税でいえばお金を取り扱っている商工業者、この人たちの声というものをその議論の場において反映させなければ本当の議論はできない、そう思いますけれども、この点についてお伺いします。
  100. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 幾つか御質問ございました。  三千万円の益税というのは確かにおかしい話で、今計算されましたように、四十五万円転嫁するのが正しいことで、これを超えると便乗値上げになるということになるかと思います。  なお、どの程度益税があるかということは、委員が一番御存じのように、どういう値づけをできるかということで、個々の企業の相対的な経済力 の問題かと思います。この点につきましては、平成元年、二年に、私ども、転嫁ができているかどうか、これはアンケート調査でないとできないものですから、これで調べてみますと、大きな企業につきましてはほとんど転嫁できておりますが、サービス業とか小売業の、かつ零細な企業におかれましては、なかなかそのまま転嫁できない、ある程度転嫁はしているけれどもという答えが大分返ってきていることは事実でございます。  今回、三%が五%に上がるに際しましても、私ども、益税が云々となりますと数字は出てこないと思いますが、転嫁がどの程度進むのか、できないのか、この点については、三月三十一日前と四月一日後に分けまして調査を行いたいと思っております。  なお、商工業者の方々の御意見を伺うべきだということはもう当然のことだと思います。私ども、中小企業庁を通じて声を聞いておりますし、あわせて、直接的にも、税金を納税ということで負担していただいている方々の声を聞くケースをできる限りつくってきておりますが、今後とも、先生初めいろいろな方々の御指導を賜りたいと思っております。
  101. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 私、平成元年、政務調査会でした。そういうことの中で、本件は、免税業者三千万以下の小売というときの問題点で、たびたび野党代表の各位とも議論をいたしました。経験者からも御質問をいただきました。  そこで申し上げましたのは、急激な三%のアップをこれからのみ込んでいかなければならない。インボイスによってこれが行われるのと違いまして、全くの零細業者が新たに税理士を雇うか事務員を雇うかということでありませんと、商売は成り立たなくなります。税によって、一生懸命頑張る零細商店が、業者がつぶれるということはいかんともなしがたいことであり、政府・与党の合議の中で三千万以下は免税業者として指定をした。そこで頑張っていただくことにいたしておる。ただいま言われましたとおり、四十五万円がそうなるであろう。しかしながら、それは免税業者でありますから、店がつぶれないように頑張ってくれということであるわけですし、それを超えれば納税義務者になるわけでありますからということであります。  長所短所ありますが、定着するまで進めなければならぬ問題点のありますことは承知をいたしております。
  102. 中野(清)委員(中野清)

    ○中野(清)委員 今の大臣の御発言のとおり、日本じゅうの商人、だれも何も免税業者になりたいという人は一人もいないのですよ。そういう意味で、ぜひこれは商人の心を御理解願いたいと思います。  もう一つ、時間もありませんから、軽減税率についてお伺いをしたいと思います。これは、導入についての議論をさせていただきたいと思います。  御承知のように、先ほど大臣も、税の原則は公平、中立、簡素だとおっしゃっておりましたけれども、その中で、私ども商人にとってみますると、今回の帳簿または請求書というこの制度の改善についてはまことに評判が悪い。先ほど主税局長からは、もうそろそろ事務のことについてはそういうものを緩めていいような御答弁がありましたけれども、私は反対であります。  そういう立場でもってこの軽減税率を申し上げますと、今いろんな意味で、弱者救済という声や、例えば複数税率として、現行は土地のみだったのを、建物とか食料品とか衣料品とか、そういうものに拡大してほしいというのはあります。私は、これはよくわかります。しかし、消費税税率をこれ以上上げられたのではたまったものではないというのが中心だということだけは、どうかこの際申し上げさせていただきたい。  そして、その中で、いろいろなことがございますけれども、とにかく事務の改善についても、これ以上負担させられては困る、何とかその点について、今の事務でも、本当に私たちが必要なのはお客への奉仕であって、これは、国に対しては義務ですから当然やらざるを得ない問題でありますけれども、そういう点で、この軽減税率についての話は、私は慎重にやってもらいたいと思っておりますが、御見解を伺いたいと思います。
  103. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 税率日本の場合一本であるということで、事務が非常にやりやすいという点からの御指摘だとすれば、私どももそのとおりに思っております。  ただ、ヨーロッパの例によりますと、税率が高くなった場合に、すべてがそのままにしていいのかどうかという問題が生じてくるということで、現状におきましては、私どもも一本税率であることが望ましいと思っております。
  104. 中野(清)委員(中野清)

    ○中野(清)委員 そういう意味で、ぜひこれからもよろしくお願いしたいと思います。  実は、先ほど主税局長の方から、経済変化に対応して税制を適合する努力をしたいという御答弁がございましたが、幾つか用意しましたけれども、時間の中でできる限り質問をさせていただきます。  まず第一に、同族会社の留保金課税について今までも国会議論があったと思うのです。私は、結論から言いますと、この留保金課税というのは廃止すべきと考えておりますが、これはもういろいろ議論があったわけでございますから、その点について、何といっても中小企業の体力をつける、そして資本の蓄積をする、そういう意味でもって大事だと思いますので、お伺いをしたいと思います。しかも、昭和四十四年に、国会でも、検討する余地があると言っておられるわけでございますから、これを伺いたいと思います。  それからもう一点は、これもあわせて伺いますので御答弁願いたいと思いますけれども、利子税及び延滞税についてお伺いしたいと思うのです。  税金を納めるとき、一日でもおくれれば延滞税がかかりますが、これは当然であります。現在、税率は一四・六%になっておりますが、これは国税通則法が制定された昭和三十七年以来三十五年間も変わっていないと認識しています。  また、利子税は、例えば所得税では、三月の十五日までに二分の一以上を納めれば、残りは五月三十一日まで延納できて、そのときの利息は七・三%であります。また、相続税は六・六%でありますが、財産に占める不動産の割合によってこれよりも低く設定して、例えば七五%以上不動産があったときには二十年間四・二%だ、七五から五〇%は十五年間五・四%となっておりますが、私は、この利子税や延滞税というものは、そうちょくちょく変わっていいとは決して思っておりません。しかし、この所得税の利子税七・三%というのは、これもさっきの延滞税と同じように、恐らく三十五年以上変わっていないはずなのです。今日の長期金利二%台というこの現状の中で、今こそ納税者の事情を配慮した弾力的な見直しというものをやはり税として考えていいのじゃないだろうか、お伺いをしたいと思うのです。  あわせて、延滞税についても、いたずらに罰則規定があるからということで性格だけ強調するのでなくて、何らかの配慮があってもいいのではないかということをお伺いしたいと思います。  また、これはついでにお伺いして申しわけないのですけれども、納税者が逆に国に納め過ぎのとき、そのときはどういう利息になっているか。これも聞かなければ、取る方だけではなくて、今度、逆の点、これもわかったら教えていただきたい。
  105. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 同族会社の留保金課税が最初の質問でございました。御趣旨については御理解いただいているようですし、また、昭和四十五年以来、定額の基準が二百万円から現在では千五百万円に引き上がっているといったようなことでの対応は図ってきているつもりであるということを申し述べておきたいと思います。  また、延滞税につきましては、御指摘の点について私ども考えていることは、延滞税の性格が単なる約定利息ではなくて遅延利息であるということからこういう水準が定められております。また、御指摘のように、これを市中金利に応じて変 えていく性格のものであるかどうかというような問題もありますので、各税ごとの利子税の問題等々につきましても、私ども中長期的な観点から関心を持ってまいりたいと思います。
  106. 中野(清)委員(中野清)

    ○中野(清)委員 これで終わります。
  107. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 古川元久君。
  108. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 民主党を代表して質問させていただきます。  消費税の引き上げまであと一週間に迫ったわけでありますが、この消費税の引き上げにつきましては、政府は福祉社会を支える二%といったような広報をしておられますけれども、一般にはやはり相変わらずこの消費税引き上げに対しては大変に国民の不満が強い。もちろんだれでもどんな税金であっても税負担が上がるのは嫌なことであるわけでありますが、しかし、消費税は私は二十一世紀の日本社会を支える基幹の税の一つであると思うのですが、そうした基幹の税であるべき消費税についてこれほどまでに大変に国民の不満が強いというのはまことに残念と言わざるを得ないと思うのですけれども、こうした状況につきまして大臣は一体どのようにお考えになっておられるか、また、なぜこのように消費税引き上げというものについて国民が不満を持っていると思われているか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  109. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 お答えしますが、我が国民、税金は好きでありません。世界国民もそうであろうと思うのですが、しかし、タイミングを見て決めるというところはあります。そういう点が一つありますが、では、上げざるを得ない客観的な状況、財政の問題、国民負担の問題、よく言う少子・高齢者社会、活力をどうやって経済界にもたらすか、また、国全土にその機を醸成をするか等々、説明不足かなという反省はあります。しかし、それをしませんと借金をして支出の分をカバーしなければならぬという現実だけはおわかりをいただいてきたようでありますから、歳出の執行を厳正に効率的に行えるようにしていくことにより、諸改革を前進をせしめることにより理解を求めていくということにしたいと思います。
  110. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 歳出の執行を厳正に、的確にというふうにおっしゃいましたが、私は、国民消費税引き上げに対して不満を持っている一番大きな原因は、引き上げで納めた税金、消費税だけじゃないです、所得税もそうですが、国民が納めた税金がちゃんと使われてないのじゃないか。もちろん少子・高齢化という中で負担が必要だということ、必要な経費がかかるということは、これは国民理解しているはずであります。そこについての費用を負担するつもりがないわけじゃない。費用を負担するのはやぶさかではないけれども、残念ながら、政府が出されました来年度の、九年度の予算案を見ても従来型のばらまき型で、公共事業中心の硬直的な予算配分は変わってないわけですね。そういった予算配分の仕方、歳出の面の税金の使われ方といった面に大変に不満がある。その辺が、やはりそういった歳出の面のばらまきといったものが、歳出構造の変革がなされないでいて消費税を上げると言っても、それを理解しろと言ってもそれは無理だと思うのです。  そういう形で税の使途が非常に不明確ではないかという不満があるわけですから、これは大臣が野党におられたときに出たことですから関係がないと言えば関係がないわけでありますが、一時、細川政権では消費税を七%に上げて国民福祉税という形にするという話も出たわけであります。ですから、この際、その消費税の使い方をはっきりさせるといった意味で、福祉なら福祉という形で消費税の使途を明確にされてはいかがでしょうか。
  111. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 税の一般的な考え方からすれば、硬直化していく目的税化というのは望ましいことではないと思います。ただ、何に使われるかということが国民にわかることが、その税を受け入れる気持ちをつくるという意味では委員御指摘のような方向があろうかと思います。ただ、消費税のような、現在十兆円規模の税金でございますけれども、こういう大きな税金につきまして目的税化してしまうということは、財政全体の中からいかがかと思います。  なお、御指摘のように平成六年二月に国民福祉税草案というものを政府は出しておりますが、この草案のもとでも、これを例えば特会で別会計で経理するといったような趣旨でこの草案ができているとは私ども考えておりません。
  112. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 今、特会のお話が出たわけなんですけれども、それで、ちょっと特会の方に話を進めていきたいと思うのですけれども、現在でも三十八に上る特別会計が厳として存在しているわけです。この特別会計には一般会計の方からかなりの金額そして割合が流れていると思うのですが、それは大体どれくらいに今なるのでしょうか。
  113. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 平成九年度におきまして、一般会計予算から特別会計への繰入額は四十五兆七千六百三十七億円、一般会計予算額のおおむね六割を占めております。  また、特別会計繰入額のうち、一般歳出外の地方交付税交付金、国債費、産業投資特別会計繰り入れ、これが三十二兆四千五百四十八億円ございますので、これを除いたいわゆる一般歳出で見てみますと十三兆三千八十九億円、一般歳出のおおむね三割を占めるところとなっております。
  114. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 いずれにしても、これはかなりの金額でも割合でもあるわけですが、そもそもこの特別会計というのは一体どういう趣旨で設けられたものなんでしょうか。
  115. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 特別会計の趣旨でございますが、財政法によりまして、特別会計の設置は三つございます。国が特定の事業を行う場合、二番目に、特定の資金を保有してその運用を行う場合、三番目に、その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合、この三つの場合に限って、法律をもってこれを行うということが認められているわけでございます。  もう既に御案内と存じますが、特別会計は、例えば特定の事業についての事業収支あるいは受益と負担との関係を明確に示すことができるという、これは利点、メリットでございますけれども、反面、会計として独立しているために、他の施策との調整あるいはバランス、こうしたものが難しくなるという問題や、財政全体としての一覧性が難しくなるという問題がございます。  したがいまして、財政法で今申し上げたようなことで要件を限っておりまして、みだりに行うべきではないと考えております。
  116. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 今次長の方から、みだりに行うべきではないというふうに言われたわけですけれども、現に三十八も存在して、しかも一般会計からそのうちの六割が特会の方に流れているということは、これはほとんどというんですか、かなりの部分が、見方によっては特会によって硬直化している。一般会計というポケットのほかに三十八のポケットをつくって、そこに予算を振り分けている。ですから、いわばこの特会の一つ一つのポケットがそれぞれ既得権みたいな形になって予算配分を硬直化している一面があるんじゃないかと思うのです。  とりわけ、この特会を見ますと、公共事業特別会計というのが五つありまして、国営土地改良事業、港湾整備、空港整備、道路整備、治水とあるわけですが、この辺の公共事業特会の分け方、これが現代にそもそもマッチしているかどうかは非常に疑わしいような気がするのです。  財政改革と言うならば、こうした特会というものを、例えばこの公共事業特会でも、これを一つのポケットにして、もう一度ゼロから配分を見直すということを考えてみてはいかがかと思うのですが、いかがでしょうか。
  117. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 特別会計につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、その経理を一般会計と区分して行うことが特定の行政目的を達成するために真に必要かどうかということについて厳しく検討していくことを基本としているところでございまして、既存の特別会計につきまして も絶えず見直しを行ってきたところでございます。そのため、ピークでは四十五ございましたが、その後改廃がございまして、現在三十八になっているというところでございます。  あと、特別会計があるがために歳出規模が既得権化しているのではないかという御指摘でございますが、例えば道路について申し上げますと、いわゆるこれは特定財源制度というのをとっておりますけれども、受益と負担との関係にかなり密接な対応関係が認められる場合には、私ども、一定の合理性を持つものと思っております。  道路につきましては、いずれにしましても、国民のニーズ等にかんがみまして、御案内のとおり一般財源をも投入している現状にかんがみれば、少なくとも現時点では御指摘のようなことが財政の硬直化を招いているとは言えないのではないかというように考えております。
  118. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 こちらが聞く前から道路の話に持っていっていただいたわけなのですが、その道路の話をちょっとお伺いしようと思っているわけです。  この道路整備ですけれども、今も後ろの方からちょっとお話があり六兆、国だけでも、九年度予算案でも道路歳出で三兆四千億、こういう形です。私は道路というのはもちろん大事なものだと思うのですけれども、道路も交通網整備の一環であるというふうに考えてよろしいとは思うのですが、しかし、果たして今こんなに道路をほかの交通網よりも優先して整備する必要が一体あるのかどうか。とりあえず建設省の御意見をお伺いした  いと思うのですが。
  119. 佐藤(信彦)政府委員(佐藤信彦)

    ○佐藤(信彦)政府委員 お答えいたします。  道路整備につきましては、これまで我が国におきましては、道路整備の水準を上げるため必死になって整備を進めてきているところでございますが、道路整備を上回ります勢いでモータリゼーションの進展が行われておりまして、さらにそういったことによりまして渋滞等が生じておるということとか、それから、新しい産業の創出等によりまして経済構造改革を支援するための基盤となります高速道路等の整備といった問題とか、そういったもろもろの道路に対する需要は十分今でも大きいわけでございます。  そういったことは、例えば一例を挙げますと、道路については舗装率が上がったとかそういうことが言われておりますが、例えば都市の渋滞を緩和する環状道路、これなどはアメリカでは大体、十万以上の都市について言うなら、五〇%の都市でそういったものができております。しかし、我が国におきましては一割程度といった状況で、そういったことでもちろん整備はおくれていますし、先ほど申しました高規格幹線道路につきましても、高速道路でございますが、これも整備水準が二分の一といった状況でございます。  そういったことで、先ほどお話もございましたように、一般財源で十分に足らないといったことで、特定財源としてのガソリン税、それから自動車重量税を含めまして、そういった特定財源を投入しているわけでございますが、それでも足らないということで、現在、高速道路、これは欧米では無料になっているところが多いのですけれども、我が国の場合には借入金を投入しながら整備しているといった状況でございます。
  120. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 建設省からすればそれは道路をつくることだけが目的になってくるのかもしれませんけれども、じゃそもそも政府として、総合的な交通網体系について、どういうプライオリティーを持って、どういうふうな形で整備していくべきであるというふうに考えておられるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
  121. 坂本(導)政府委員(坂本導聰)

    ○坂本(導)政府委員 委員御指摘の総合交通体系につきましては、昭和四十六年十二月の臨時総合交通問題閣僚協議会におきまして、交通政策の総合化、体系化による柔軟な対応、それから受益者負担の原則、それから各種交通機関の適切な競争と利用者の自由な選択による交通分担関係の確立という内容をもって政府の基本的な方針がまとめられておりまして、昭和五十七年の二月における担当官会議でもこれが妥当だとされております。  そして、今委員御指摘の、全体としてプライオリティーをどうつけるかということにつきましては、その時々の状況等に応じまして、各種長期計画の作成あるいは毎年度の予算などで反映させていくというふうに考えております。
  122. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 ということは、今平成の九年を迎えているのにもかかわらず昭和四十六年のがベースで、そのままのが今にもそもそも当てはまるのかどうかということが、私非常に疑問だと思うのです。仮に一歩譲ってそれが当てはまるとしても、じゃその時々に応じてだれがプライオリティーを決めるのですか。先ほどの建設省の話であれば、建設省はもちろん道路の話を言うでしょう。あるいは運輸省だったら空港の話を言うかもしれない。その全体に向かって、じゃどこが統一的に、国の中で交通体系として何が今喫緊にやらなければいけない問題なのか、そういうことをちゃんとプランニングしていくんですか。
  123. 坂本(導)政府委員(坂本導聰)

    ○坂本(導)政府委員 一昨年末に策定いたしました政府経済計画におきまして、構造改革のための経済社会計画ということについて、物流あるいは旅客サービス等について、高コストの是正あるいは活性化のための行動計画を定め、物流、旅客サービス、こういったものについて効率的、整合的な交通体系に資する、つまり高コスト是正あるいは規制緩和、そういう見地から進めるものというようなことを中心として考えております。
  124. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 高コストの是正とおっしゃるのであれば、例えば関空なんというのは物すごく発着料が高くて、これで本当に国際的なハブ空港としてやっていけるのかという批判があるわけですよね。そういうことをおっしゃるのであれば、確かに道路も、決して日本の道路は安いと思いませんけれども、しかしそれ以上に、国際的な競争力とかいう点からも考えたら、空港なんかをまず道路よりも優先しなければいけないのではないかというふうに思われますが、いかがですか。
  125. 坂本(導)政府委員(坂本導聰)

    ○坂本(導)政府委員 全体として高コスト構造の是正という見地から、空港あるいは道路、港湾等々、全体を含めて考えているわけでございまして、どれが特別に優先するという考え方ではなくて、全体としてそれが総合的につながって高コスト是正に資するということを考えております。(発言する者あり)
  126. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 今お話ありましたけれども、だれが一体政府の中で、ではそれは大蔵省がやるのですか。もし、それだったら大蔵省が予算──では、大臣ぜひ、今道路が大事なのか空港が先なのか。
  127. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 平成九年度予算編成も全体を見てプライオリティーをつけてやったことは、精査をいただければおわかりいただけるのです。それ以上申し上げません。  よって、今度、次年度を迎える平成十年予算編成、御案内のとおり五月中旬までに最終の企画委員会の議を終えます。全体会議に上げまして、そこで方針を決めます。五原則は、既におわかりのとおり明示をいたしておるところでありまして、政策、事業の各全般にわたり聖域を設けることなく、正式にいいますと、集中改革期間というのは三カ年ですが、来年度予算編成に向けての具体的な取り組みとして、歳出の改革と縮減は一切の聖域なしとする、引き続きこの集中改革期間において、主要な経費について具体的な量的縮減目標を定める、こういうことにいたしておるわけでございまして、初めて概算要求の中に具体的に目標を立て、マイナスシーリングという枠をはめまして、その中でプライオリティーをどう決めるかは、まさに第一次予算編成の、大蔵原案作成としての、大蔵大臣である大蔵全省でこれに当たっていかなければならない、こういうことであります。
  128. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 大臣がはっきりと、道路か空港、どっちに今プライオリティーをつけるのだと言わないで、よく精査してくれとおっしゃいましたのであえて申し上げますが、九年度の予算案を見ると、道路は三兆四千億、国費で。空港の方は四千七百億。空港は八年度よりも減っているのです よ。ということは、ことしにおいては道路の方を優先をしてつけたというふうに理解してよろしいのですか。
  129. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 高規格道路を起点としての整備をまず地域振興のために進めるべきであろう、こういうことで、高規格の効率的、集中的な活用という意味で重要、こういうことにしました。  それと、航空は、ほぼ国内航空基地については整備が終わり、新しいものがわずかということになりました。いよいよ残っておりますのは、首都圏及び大阪圏、名古屋圏も入れてなると思うのでありますが、そういう中で、ハブ空港としての性格云々ということがあり、着陸料が高い。こういうこともありますものですから、その低減に向けて格段の努力をするように、こういうことで一部縮減をいたし、その部分を航空運賃の低減に財源として使ったという経過はありますけれども、これから本格的に空港活用が進みますと、そこにおいてハブ空港の機能が強化をされる整備が行われる、これも特会であります。特会の中におけるやり方の創意工夫を運輸省当局に求めておるところであります。
  130. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 今大蔵大臣は、空港の基本的な整備は終えたというふうなお話があったわけですが、運輸省、それでよろしいのですか。
  131. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 ちょっと大臣の御答弁に補足をさせていただきますが、平成九年度予算案におきましては、空港につきましては、国費は千四百億から千五百三十八億ということで八・八%の増加でございます。これに比べまして、道路は、全体として〇・八%。ただ、大臣が申されましたように、高規格幹線道路については一三・七ということでございますが、空港につきましても、事業の進捗状況等を見まして、限られた予算の中で精いっぱいの努力をしているということを御理解いただきたいと思います。
  132. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 私は、空港とか道路だけ言うわけではなくて、鉄道とか港湾も含めて、こうしたものは交通網整備という観点から一まとめにして、その中でプライオリティーをやはりちゃんと政府としてつけて、そして予算配分をしていくべきだと思うわけです。そういう意味では、もし特会の意味づけというものを、利点を考えるとすれば、今の道路特会とかいろいろ分かれているものを総合して、総合交通整備特会みたいなものを設けてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  133. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 本件は、国土庁、経企庁、関係省、協議をしながら総合交通体系というものをつくり上げてきておるわけであります。その方針に従って今後取り組んでいかなければなりません。しかし、大型の財源も要することでありますから、この執行について今後見直していかなければなりません。御指摘の、特会をその中にどうかませていくのか、あるいはどう位置づけるのかは、まさにこれからの検討の一つの課題でありますから、それはそれとして受けとめてまいります。
  134. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 私は、こうした特会を設けて、その中で旧国鉄の債務の返済とかあるいは整備新幹線の建設といったものを考えていくべきじゃないかと思っているわけです。さもないと、二十兆を超える旧国鉄の債務などは、新たに増税をしない限りはとても返済のしようがないと思うのですけれども、この点について、運輸省は何かいい知恵を持っていらっしゃるのですか。
  135. 梅崎政府委員(梅崎壽)

    ○梅崎政府委員 国鉄長期債務でございますが、この処理に要する費用は先生御承知のとおり極めて膨大でございまして、昭和六十三年の一月の閣議決定におきましても、処理のための新たな財源措置について検討するということになっておりますが、このためには国民的な論議を十分尽くすということが必要でございますし、また、国鉄改革の経緯を踏まえながら、あらゆる選択肢につきまして精力的に検討していく必要があると考えております。  昨年十二月の閣議決定におきまして、債務処理のための本格的な処理策を、平成九年中に成案を得まして、十年度から実施をするということになっておりますが、私ども、このような方向で成案を得るべく最大限努力してまいりたいと考えております。
  136. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 どうも運輸省はさじを投げているみたいなのですが、これは財政当局として、大蔵省はこの債務を返済しなければいけない責任がある者として、一体これをどうするつもりですか。増税するつもりですか。
  137. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 これは、今鉄道局長言われましたが、民営・分割化を断行する決心をした運輸省であります。その前が私、その後橋本さん、志の高い意気軒高な運輸省ですから、いい知恵が出てきますから、それを今待っておるところです。
  138. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 待っていて出なかった場合にはどうするのですか。大蔵省は財政当局、そんな無責任な話ではできないはずですよね。
  139. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 それは、本年中に結論を出すということにいたしておりますので、どんなにつらくてもやり遂げなければなりません。そういう点で明示をさせていただきます。
  140. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 それは増税も含めて考えるということですか。
  141. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 増税という意味は、ただいまある消費税を含めてどうやるのかということでありまして、ストレートな増税ということは、橋本首班も、財政構造改革に取り組み、歳出カットをしていかなければならぬ時期に、特に消費税、スタートを切らさせていただくことをかんがみ、まずもって経費の節減、縮小をもって当たらなければならない、こういう方針になっておりますから、それは直ちにそのことで取り組むということにはならないと思います。  先々、これに充てる、ある程度のミドルの期間で、幾ら残りますか、二十兆残りますでしょうか、あるいはそれを割るかもしれないとすら言われておりますと、それをミドルの期間でどう年次償還をやる、その場合のスタイルは、方式は何か、こういうことで、本日ただいまの段階は、まだ財政当局も含め運輸省も特に真剣にその議論を詰めておりますので、小生、これ以上申し上げることは、責任の箇所に責任を持って試案を出せ、こう言っておるものでありますから、暫時の間お待ちください。
  142. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 私は、そういうことも含めて、これ以上の負担を国民に求めなくてもいいように、限られた財布の中身でやりくりを考えていくことが政府の役目だと思いますから、その意味で総合交通網特別会計のようなものをつくってその中で処理をしてはどうかという提案をさせていただいているわけでありまして、ぜひともそれはやはり真剣に考えていただきたいと思うのです。  時間になりましたが、私は、とにかく予算の使われ方についてこれほどまで国民の不安感が強い現状においては、最初の、一番頭のところに来るわけですが、消費税収の使途を明確化するということも、別に特定財源にしろとか目的税にしろというわけではありません。そういう形ではなくて、やはり歳出構造の変革がしっかりと行われて、柔軟な、そしてまたちゃんと適正な資源配分が行われるような財政になったらそのときにはまた一般財源に戻してもいいと思うのですが、今のような非常に税の使われ方に対して不信感のある状況では、一時的にでもせよ消費税の使い道についてある程度特定化していくことも真剣に考えていくべきじゃないかと思いますので、最後にその点を大臣にお願いをさせていただきたいと思います。
  143. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 先ほど若干触れました財政構造改革会議、そのもとにできます企画委員会、予算成立直後から精力的に会議を開き、こういう難関の問題を一つ一つテーマとして協議し、方向づけをしてまいります。  多様な選択肢があろうと思います。基本的には歳出を節減をすることによって、その中から全体が出ないまでも、できるだけのものが出るという形のことも一つであろうと思うのでありますが、いずれにいたしましても、企画委員会において、ありとあらゆる観点からこれを詰めましてベストな道を選ぶということになろうと思いますし、私 もそのメンバーでありますから、全力を尽くして討議をして決定をしてまいりたい、こう思います。
  144. 古川委員(古川元久)

    ○古川委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  145. 原田委員長(原田昇左右)

  146. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。消費税の問題を中心質問をしたいと思います。  四月を目前にいたしまして、国民の間で消費税増税に対する怒りの声というのはますます広がっております。昨年の総選挙以後、我が党に寄せられた請願署名は一千百五十二万人。朝日新聞にはこのような意見広告も出ております。「五%の中止を求めます。」  中日新聞の世論調査によりますと、「消費税が五%になると、重税感を感じるか」、こういう問いに対しまして、八四・七%が感じる、少し感じるというのが一一・二%であります。合わせて実に九五・九%が重税感を感じる。この調査では八三・八%が消費税の増税に反対をしております。  大蔵大臣に伺いますけれども、このように消費税増税について批判が強いのはなぜだと思われますか。
  147. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 本件は、率直に言いまして、どなたも増税ということは好きではない。そして、そういう中で、現況を見ればどこかに財源を求めざるを得ない、こういう帰結の中で取り組むことになるわけでありまして、そういう点でいろいろな理由づけがなされておりますけれども、そのことを理解する方と反対ということで言われる方、反対という方が調査では多いことは私も認識をいたしておるところです。
  148. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 国民の間にこれだけ怒りがひどいのは、広がっている理由は、負担がふえるということに対する不安もありますけれども、それだけではないというふうに思うのです。それは、政治家が、公約との関係で、その公約を誠実に守っていないのではないか、こういう点で大変な怒りを持っているからだと思うのです。  私は、ここに衆議院議員全五百人を調査をした公約の一覧表を持ってまいりました。この公約の一覧表を見てわかりますように、後で配ってもよろしいわけですけれども、この中には、三塚大蔵大臣については、読売では「延期」、朝日では「決定通りとすることが責任ある態度」、こういうふうに極めて正確に紹介をしているわけでございます。  きょうは個々人のことについて質問させていただくことはやめますけれども、実は一番大きな問題は、今回当選をした五百名の中で、消費税五%をやります、このように公約した衆議院議員は約八十人にすぎない、わずか一六%だという点でございます。したがって、この国会が増税をやる資格があるのかどうかということが問われているわけであります。この税制特で申しましても、消費税五%を公約した議員はこの四十人の中で十人しかいない。(発言する者あり)はいと言う方もいらっしゃいましたけれども、二五%、あとは反対、延期、凍結、あるいは行革先行などの条件つきということであります。このようにして、四月実施を容認しなかった議員は全体で三百六十人、七三%に上っているわけであります。  自民党はどうかといいますと、二百三十九人の当選者のうちで五%賛成を明言したのはわずかに七十人、百二十人以上が四月からの引き上げを容認しない主張をしているわけであります。この中には反対、凍結、延期、景気低迷の現状では消費税アップはノー、行革を徹底推進、その後消費税率を検討など。こういう状況があって、自民党の中でも過半数にそれが達しているわけであります。  それなのに消費税増税を強行するというのは、私は、これは議会制民主主義そのものを根本的に覆す行動だと思うわけであります。増税予算を通したのは、こういう状況の中では公約違反ということになるのではないかと思うのですが、大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  149. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 先般の総選挙の前、政局が緊迫する中で、自由民主党執行部において五%の問題にいろいろと論議があった。しかし、総理・総裁の基本方針であり、本件については公約として掲げ実行をする、こういうことを取り決めたわけですが、その経過の中でいろいろと、自由民主党の中は、自由にして民主主義という、何でも言える雰囲気のところでありますから、ただいまの段階で云々することはという条件つきの話があったことは事実であります。行革を断行してそれからやれ、こういうのもありました。  しかし、それはそれとして、党公約には明記をしたわけであります。よって、橋本総裁、百四十カ所ですかね、遊説の中で、五%の必要性、二%アップを御理解をいただきたい、少子・高齢化社会、活力のあるこれからの日本を築くために、こういうことで、新人を中心に、苦戦をいたしておる現役のところで遊説をいたしたわけでございます。ですから、その点は明示をされておりますし、小生も地方遊説を含めまして申し上げたところで、御党が言われている読売の凍結というのは、あれは抗議を申し込んであるのでありまして、そういう間違い、あれ一社だけですからね、全体は全部推進、こうなっているのですよ。
  150. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 自民党は自由だ、何を言っても自由だ。そこで三塚大蔵大臣は、読売には延期、朝日には増税、こういうことでは、全く国民に対する公約としては統一したものになっていないことは明らかでありまして、しかも、個々の自民党の候補者は選挙民に対して、私はこうですということをそれぞれ公約をされているわけですね。したがって、その公約を信じて、ああ、この人は延期なんだな、凍結なんだなということで当選をされてきているわけですよね、選挙民がそのようにして投票したわけですから。それを、いや、自民党の公約は違うのだ、このようにおっしゃっても、そういうことをやればやるほど国民の信頼感は失われていく、こういうことになるわけであります。  そこで、もう一つ公約違反問題で重要なのは、税制問題等特別委員会を設置してそこで徹底的に議論するという公約、これは自民党の亀井建設大臣も、我が党の志位書記局長質問に対しまして、選挙後国会特別委員会を設置して消費税等について議論することが自民党の公約ですと答弁をされました。社民党の土井党首は、二カ月くらい議論すべきだと言っていました。ところが、臨時国会、ここではわずか一日、七時間しか当委員会は開かれなかった。通常国会に入ってからは、自民党の抵抗によって、予算案の採決前には一度も開かれなかった。そして、予算案だけは無修正で通す。これでは、圧倒的多数の国民に背を向けて、国会の責務を放棄するものだと私は言わざるを得ないと思うのです。  公明党の委員長だった矢野絢也さんは、このような公約違反の数々につきまして、三月二十日付のある週刊誌で次のような怒りの文書を載せています。「自民党も「造反します! 消費税」などと反対論・凍結論を叫ぶ候補者が多かった。社民党も「白紙から議論すべきだ」と主張し、反対の急先鋒だった土井たか子党首は昨年十二月の決着時、「通常国会でも引き続き特別委を開き、消費税の不公平さ、欠陥を論議する」と述べた。共産党以外は皆、嘘だった。」「問題は嘘を言ったことにある。」「選挙公約をこうまで弊履のごとく捨てさって平然としている政治家は、詐欺男・友部達夫参院議員にも劣る厚顔無恥と言っていい。」  これは、私が言っているのではなくて、矢野さんがおっしゃっている。ここまで言われているわけでありますから、これでも、消費税を引き上げることは公約違反ではない、そのように言い張るつもりでございますか。
  151. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 公約違反ではないとも申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、党決定は、五%堅持、二%アップ、これは明示をいたしたわけであります。それで、おっしゃるとおり、総理大臣以下党首脳は遊説の中で、私も含めましてすべ て、消費税二%アップ、地方分一、国税分一、こういうことで高齢化社会に対応する、この遊説をしておるわけでありまして、個々の候補者が聞きようによってそうとられた場合もあるのでしょう。  特に私の場合は、全マスコミを呼んで、そこでブリーフィングをし、総選挙に臨む基本的態度を明示したわけです。それで全員、共同、時事通信も含め、地元紙も含め、そこで読売も含め、丁寧にその後十分ずつ、五大紙、通信社は私がみずから会見をしてやったわけですから、それはないわけです。ですから、読売だけがそういう書き方をしましたこと極めて遺憾、こういうことで原局に抗議を申し込んでおると。  ですから、全体の公約違反は事ほどさように、とり方が、必ずしも私拝見をしておりませんから、条件つきというのは行革を断行してということであれば、これを……(佐々木(憲)委員「やっていないじゃないですか」と呼ぶ)今やっているんじゃないですか。だからそういうとり方を、基準を、スタンダードな基準で御議論ください。
  152. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 今問題なのは、聞きようによってはということをおっしゃいましたが、これは極めて重大な発言ですよ。聞きようによっていろいろな聞き方ができる問題じゃないんだ。それぞれが、新聞のアンケートあるいは選挙公報、その中ではっきりと書かれている客観的事実をもとに、私は先ほどこれを問題にしたわけであります。  ですから、私は、この国会が過半数、七割が四月から上げることには賛成していないわけですから、それなのにそれを入れた予算を通すということは選挙民に対して公約違反になるではないか、このことを指摘しているわけであります。実際、これはもうだれが見ても明らかであります。  例えば、三塚派の二十一世紀を考える会、そこで二月十三日に開かれたその会議の記録がありますけれども、この記録の中でこのように言っているのですね。元防衛庁長官の玉沢徳一郎氏は、消費税問題で、「こんなことでは、自由民主党はうそをついたと。消費税に反対して当選した人は、そこでうそを一つついてますね。それからこれもやったら、」「これ」というのは医療保険の引き上げであります、「二回うそをついたことになる。国民に負担を求めるわけですから。」こう言っているわけです。  ですから、これはだれが考えても、どこから見ても、自民党の中でさえ公約違反を認めるということになるわけであります。ですから、こういう点でも、公約違反じゃないというのは、これは決して国民の中に通用する話ではない。  次に、私、重大な問題だと思いますのは、例えば消費税をこれから上げてもいいという人がいる。三塚さん、いいですか。これから上げてもいいという、そういう方の中でも、しかし四月一日からはちょっとこれはタイミングが悪い、四月一日からはやめてもらいたい、こういう方もかなりいるわけです。  財界の中でも増税予算の評判が非常に悪い。例えば、経済同友会が一月二十日に発表した景気定点観測アンケート調査、これによりますと、今度の予算を評価できない、このように答えた人は七五・九%、全体として不満である、こういうふうに回答したのは二四・一%、合わせて一〇〇%なんです。つまり、評価しない、不満がこの経済同友会のアンケートでは一〇〇%だ、評価するはゼロ、こういう状況であります。  経済同友会の幹事である奥谷禮子さんは、赤旗の日曜版に登場をいたしまして、この中でこういうふうに言っているのですね。「私は(日本共産党とは違って)個人的には消費税率は上げるべきだと思っているんです。直間比率の見直しも必要です。だけど、今回のように、九兆円の負担増を求める前に、政府はやることがあるでしようといいたい。もともと、消費税率引き上げは、行政改革実施が前提になっていたはず。それを先にやらないで、いつもいつも目先のことばかりで、何百兆円もの借金をかかえて、「大変だ、大変だ」といっているだけでは話になんないと思う。」このように経済同友会の幹事が赤旗に述べているわけであります。  政府は財界の言うことを従来からよく聞いておられるようですけれども、こういう財界の声には耳をかさない、こういうことなんでしょうか。
  153. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 自由民主党は、政治改革をやりましてからは、財界といえども、また労働組合といえども、一山村の組合といえども、全部公正、公平に意見を聞き、対処をいたしておるわけでございまして、財界であるからといってお話は聞きません。  逆に、財界の各位に、日本売りなどというばかなことを言っておるようではますます景気の気が遠のくのではないかと苦言を呈し、そして、やはり経済活力をつくり上げるためにリーディングカンパニーは国家と地域に責任を果たしてほしい、こう申し上げておるところであります。
  154. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 佐々木さん、委員長からちょっと申し上げますが、論議は闊達にやるのは結構なんですが、私的なグループの論議を引用して、あたかも公党の意見であるように主張されるのは非常に問題がありますので、その点は御注意申し上げます。
  155. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 これは私的なものではなくて、三塚派の中でこういう議論があるということを紹介したわけでございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  156. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 だから、それを公党の意見であるかのごとく引用される、主張されるのは問題があるということを申し上げているのです。
  157. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 公党の意見とは申しておりません。自民党の中でこういう議論があるという紹介をさせていただいたわけであります。  次に、逆進性の問題についてお尋ねをいたします。  特にお年寄りに厳しいというのが今回の消費税の内容でございまして、全国の高齢者世帯のうちで年収二百万円以下の世帯というのは非常に比率が高いわけでございます。総務庁の全国消費実態調査によりますと、年収二百万円未満の高齢者世帯、これは夫婦のみの世帯ですけれども、その統計によりますと、夫が六十歳以上の夫婦世帯では消費税の負担率が三・二一%という計算ができるわけであります。つまり三%の消費税率より負担率が高いわけです。なぜそうなるのかといいますと、収入が足りないので貯蓄を食いつぶす、こういう生活をされているからだと思うのですね。この負担率というのは、五%になりますと五・三五%になる。したがいまして逆進性が一層大きくなるわけでございます。  しかし、それを緩和する措置ということになりますと、政府の側がまともにやられていないのではないか。わずかにやっているのは、六十五歳以上の低所得者に対する三つの臨時福祉特別給付金を支給するだけであります。  そこでお伺いしたいわけですけれども、これは厚生省にお伺いしますが、三つの給付金はそれぞれ一人当たり幾らで、その対象人員は何人でございましょうか。
  158. 亀田政府委員(亀田克彦)

    ○亀田政府委員 臨時福祉特別給付金でございますが、先生御指摘のように三種類ございますけれども、まず臨時福祉給付金、これは老齢福祉年金等の受給者が対象でございます。一人当たり一万円、予算上の支給対象予定人員は百九十九万人。それから次に臨時介護福祉金、これは低所得の寝たきり老人等が対象でございます。一人当たり三万円、予算上の支給対象予定人員は約三十九万人。最後に臨時特別給付金でございますが、これは市町村民税非課税の老人が対象でございます。一人当たり一万円、予算上の支給対象予定人員が約一千十六万人でございます。  なお、予算上の支給対象予定人員につきましては既存の資料をもとに積算を行ったものでございますが、今の三つの数字を合計いたしますと一千二百五十四万人ということになっております。
  159. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 これは国民から見ますとスズメの涙といいますか、この点について怒りの声さ え上がっておりまして、例えば朝日新聞三月十四日付の投書、これは六十六歳の男性の方ですけれども、このように投書がありました。「ある亡くなった政治家が言って問題となった”疑似餌”かなと考えた。消費税率の二%引き上げに対し支給される給付金一万円は、五十万円の物を買えば消えてしまう。私の場合、年金だけの生活なので二カ月足らずで無くなる計算だ。後はどう暮らせば良いのか思案がつかない。」それから、もう一人は毎日新聞三月十三日付に載ったものですけれども、最も深刻な六十八歳の男性の投書が出ております。「今でさえ、一日二度に食事を減らしているのに、どうすればよいのでしょう。国がわずか一万円を恵むとは子供だましもいいところで、この先も税をとり続けるのです。経済弱者は最低限の生活も維持できず、病人やホームレスが増えるでしょう。この際一万円はいりません。せめて食品への課税だけはやめて下さい、と叫びます。」大変切実な声でございます。  先ほど全国消費実態調査を挙げましたけれども、それによりますと、夫六十五歳以上の年収二百万円未満のお年寄り夫婦世帯の場合、年間の消費税増税分は約三万円になります。夫婦で二万円受け取っても、これは数カ月で消えてしまう。これでは年も越せない、こういうことになるわけであります。  この事実を認めるかどうかということをまずお聞きをしたいと思います。
  160. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 今の前提により計算をすれば、二百万円の年収で増税分でどれだけ税負担がふえるかという計算を先ほどの家計調査から持ってくると、プラス三万円という計算になるということについては私どももそうだと思います。
  161. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 したがいまして、例えば夫婦で二万円ですと数カ月で消えてしまうということになるわけですね。  そこで、今こういうパンフレット、リーフレットですか、これを配付をしまして、一万円、三万円、一万円とこの三種類の給付金を支給すると。その際に、ここに書いてあるんですけれども、「三月二十五日までに申請書の提出が必要となりますのでご注意下さい。」こうなっております。三月二十五日といいますとあすが期限でございまして、昨日の中日新聞の報道によりますと、例えば、「愛知県春日井市の例では、対象者約一万三千人のうち、手続きの出足は予想外に出遅れており、申請はまだ半数の七千人だけ。」このように報道されております。  厚生省にお聞きしたいわけですけれども、あすが期限ですけれども、これまでにどの程度の申請が出されているのか、それは受給対象者の約何割に当たるか、この点についてお答え願いたいと思います。
  162. 亀田政府委員(亀田克彦)

    ○亀田政府委員 給付金の申請の状況でございますが、先ほど、予算上の支給対象予定人員一千二百五十四万人と申し上げましたけれども、ちょっと古くなりますけれども、三月七日時点で各都道府県から中間的な報告をいただいておるわけでございますが、これによりますと、支給対象者の見込み数は千五十九万人、七日時点でこのうち約二割の方が申請をされておる、こういう状況になっておるという報告になってございます。  なお、その後市町村等で精力的にこの周知徹底がなされておりますので、申請期限、間もなくでございますが、申請期限までにはおおむね今申し上げました支給対象者見込み数、これらの方が申請をされるもの、こういうふうに考えているところでございます。
  163. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 高齢者の中には長期入院だとかいろいろな都合で申請に間に合わないという方も出てくるわけでありまして、場合によっては、四月に入ってから気がついて申し込みたいということもあると思うんですね。そういう方々に配慮するというのはこれは当然だと思うわけでございます。  大蔵大臣へお伺いしますけれども、この期限を過ぎても申し込みたいという方があった場合、これをシャットアウトするのかどうか。シャットアウトしちやいますと、これはもう政府は血も涙もないということになるわけでありますから、これを受け付けるのかどうかということについてぜひ御答弁を願いたい。政府の基本姿勢にかかわるというふうに思いますので、いかがでしょうか。
  164. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 期限は切りまして、政府広報、また関係省、誠意を持って徹底をいたしておるところでございます。  限られた期間でありますが、今厚生省答弁のようなことを期待をするわけでございますが、四月一日からの税率引き上げに間に合わない、病院その他等々の事情があるということも承知いたしておりますので、災害、長期入院等の事情による請求の遅延、また、やむを得ない事情のある場合には弾力的に申請を受け付けるということといたしております。
  165. 佐々木(憲)委員(佐々木憲昭)

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  166. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 濱田健一君。
  167. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 四月一日からの消費税五%、この導入に当たりましては、私たちは、竹下消費税導入時の問題点というものを大きく改善をさして導入すべきだというふうに思っておりました。  これまでの経過から申し上げますと、九一年に議員立法で家賃とか出産費とかというものが消費税の対象から外れたということもございますし、九四年のいわゆる消費税五%導入を決めたときの村山内閣の方向性といたしまして、先ほどからお話が出てきておりますとおりに、限界控除の廃止、そして簡易課税制度の思い切った縮小、日本型のインボイスの導入等々不公平の是正をやっていくという、ある意味での透明性が図られてきつつあるということは一定の評価をしてもいいのではないかというふうに思うのでございますが、やはり今回の与党合意、昨年の十二月十二日でございますけれども、先ほど谷口委員から出ました仕入れ税額控除方式、いわゆる大企業の益税の問題や、中野委員から出ましたいわゆる消費税を取れない小さな零細の皆さん方を含めた中小特例制度、これらを改善していく方向というのは、いろいろな改善の仕方というのはあるんですが、やはり必要だというふうに思います。  十二月十二日の合意の中で、「制度に対する国民の信頼を高める観点から、事業者の事務実態等の調査を行い、その調査結果を踏まえ、仕入税額控除方式の在り方、中小特例措置の在り方等について、今後さらに検討し、改革に取り組む。」ということがうたわれておりますけれども、これから導入される新しいものについてやはり速やかな調査検討が必要だというふうに私は思うのでございますが、それらの日程や内容等も含めた段取りはどうなっているのか、お答え願いたいと思います。
  168. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 御質問の点につきましては、消費税制度についての国民の信頼を高めるという観点から、今御指摘の与党三党の確認も踏まえまして、これらの今回の制度改正に伴う転嫁の実態あるいは中小事業者の事務の実態等の調査を行いまして、そうした調査結果を踏まえながら検討をさらに深めてまいりたいと思っております。  御質問は、具体的にどうするのかということでございました。大蔵省では、中小事業者の消費税の転嫁の実態を把握するために、ことしの、これから参ります四月一日の消費税率引き上げの前後におきまして、小売業、サービス業、飲食店業の販売価格動向調査を実施したいと考えております。対象を一万者程度選んでやりたいと思っております。  また、通産省におきましても、主要な消費財、サービス及び生産財等約百五十品目につきまして、小売、卸、製造の業者五千数百社になろうかと思いますが、それを対象として転嫁状況についてのアンケート調査を予定していると聞いております。また、中小事業者の問題が出ました。この点の転嫁状況、それから事務負担の実態、これも中小事業者の特別な状況もあろうかと思います。そういったことを把握するためのアンケート調査 を別途行うという予定であると承知しております。
  169. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 考えられる限りのしっかりとした調査をしていただいて、これからの問題点というものはしっかりと把握し、次の改善の施策の中に織り込んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  もう一点は、具体的な課題なんですが、先ほど佐々木委員からもお話がありましたとおりに、消費税五%移行に伴って、弱者の皆さん方に手を差し伸べるという観点で、三つの特別給付金の制度が五百億から一千五百億という形で昨年の暮れに決定をされてまいりました。この通知徹底の方法というのを各紙いろいろ述べております。「通知対象で自治体困惑 課税データで〝特定〟か 経費かけて「全員に」か」ということがいろいろな新聞で出されているわけでございますが、先ほどもお話がありましたとおりに、あしたがその締め切りになっているということです。  一千五百億というお金が一人当たり一万円と三万円という数になったときに、国民の皆さん方にとって大きいのか小さいのか、評価は分かれるところでございますが、せっかくつけたこういう制度であり、お金です。落とすことのないようにもらっていただくために、この徹底の仕方はどうだったのか、厚生省と自治省にお聞きしたいと思います。
  170. 亀田政府委員(亀田克彦)

    ○亀田政府委員 臨時福祉特別給付金の支給でございますが、実はこの措置、昭和六十三年度におきましても、平成元年の消費税の導入に際しまして同様の措置がとられたところでございます。六十三年度のときは補正予算の成立が三月七日でございましたので、それと比べますと、今回は一月三十一日に補正予算を成立させていただいておるわけでございまして、私ども、支給対象者に対する広報活動等、その周知徹底のために相当の期間を確保することができた、比較的にそう考えておるところでございます。  具体的には、厚生省といたしましては、支給対象予定人員、予算上一千二百五十四万人でございますが、これを大幅に上回ります二千五百万枚のパンフレットを作成しまして、都道府県を通じまして市町村に送付をいたしております。また、厚生省直接に新聞、テレビ等による広報も徹底をしてきたところでございます。また、地方自治体におきましても広報紙あるいはマスコミ等を通じまして周知徹底を図りますとともに、社会福祉協議会、民生委員あるいはホームヘルパー等の御協力もいただきまして、支給申請の促進等につきまして周知徹底をするということに自治体も万全を期しておる、こういうふうに承知をいたしておるところでございます。
  171. 湊政府委員(湊和夫)

    ○湊政府委員 私どもの方で直接広報そのものを担当しているわけではございませんので、広報全般については厚生省さんを通じまして地方団体で取り組んできたということかと思います。  私どもの関係で申しますと、この給付金の関係の要件として、市町村民税の所得割あるいは市町村民税そのものが課せられていなかったという旨の証明が必要になるということでございまして、この旨は既に厚生省さんからお出しいただいております要綱でもその確認の手続について書いてございますけれども、それぞれ市町村の税務当局にも、こういう事務手続が開始され、その要件として市町村民税の納税に関する書類の提出が求められることになっているということを周知したいということで、私どもの方からも事務当局、税務当局の方にこの制度の証明についての事柄について通知を出させていただきました。  また、普通の納税証明の場合には単なる市町村民税が納められているかどうかだけの証明をすればいいわけでございますけれども、今回は特に所得割が課されているかどうかということも含めて内訳も必要になるということでございますので、特にその点について注意を喚起して、そういう手続をするようにという旨の通知を私どもとしてさせていただいているところでございます。
  172. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 先ほどの大臣の御回答の中に、長期入院者等については二十五日という期限は切らないというふうな御回答がありましたけれども、それは、役所の方でこういう人たちについては期限は切らないということだけなのか、ある程度の時間的な幅を一カ月なり二カ月なり持たせて、届け出があった時点では相当な時間的な幅を持たすということも含まれているのか。
  173. 亀田政府委員(亀田克彦)

    ○亀田政府委員 この申請の期限でございますが、この予算、先ほど申し上げましたように平成八年度の補正予算に計上いただいておりますので、今お話しいただきましたように、申請の期限を三月二十五日、こういうふうに原則いたしておるわけでございますが、例外といたしまして、災害でございますとか、あるいは長期入院等の事情がございまして請求がおくれた、あるいはそれ以外にもやむを得ない事情があった、こういう場合には例外として取り扱うということもあわせて示しているわけでございまして、私ども、この二十五日を過ぎましても、申請がありました場合には、それぞれの個々の実情に応じまして、せっかくの一時金でございますから、できるだけ弾力的に対応してまいりたい、かように考えております。
  174. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 では、今の件については、期限は切らないということで確認をさせていただきたいというふうに思います。  福祉予算について、ある意味で目に見えるような形といいますか、拡充策がつくられました。けさからの論議にもありましたとおりに、高齢者・障害者在宅福祉等整備基金というものがそれに当たる一つの制度としてつくられました。これは、いわゆる障害者プランや新ゴールドプランの既存の施策のすき間を埋めて、ボランティア団体などが多様な、そして主体的に参加のできる在宅福祉の充実を図る観点ということを私たちは認識しているところでございますけれども、これらを私たちユーザーが生活者サイドからの積極的な提案を積み上げる中で、この新しい基金の意義というものは高まっていくというふうに私は思っているわけです。  そういう目的を踏まえるならば、この整備基金、いわゆる特殊法人を使うわけですので、適正な運用等が何よりも求められております。これらの運用実績等にかかわる情報公開というもの等々、いろいろなものをフォローアップして、ボランティアの皆さん方がある程度自由にこれを使っていけるようにやるべきだと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  175. 亀田政府委員(亀田克彦)

    ○亀田政府委員 高齢者・障害者在宅福祉等整備基金でございますが、この基金は、この四月からの消費税率の引き上げ等を踏まえまして、早急に社会的弱者対策の充実を図る、こういうことから、先ほど先生お話しいただきましたような趣旨で、特殊法人の社会福祉・医療事業団に五百億円の追加出資をする、こういう形で設置をしたものでございます。  それで、この基金によります助成事業の実施に当たりましては、新聞あるいは雑誌等を通じまして広く関係団体に周知を図りますとともに、助成の結果につきましても、例えば助成先の団体名、事業の内容、助成額等を一般に公開したい、こういうやり方で進めていきたいというふうに考えておるところでございます。また、この助成事業に係ります財務諸表につきましては、規定によりまして、厚生大臣の承認を受けた上で官報に公告をする、こういう規定になってございます。  特殊法人で直接やるわけでございますが、厚生省といたしましても、事業の実施あるいは情報公開が先生お尋ねの趣旨に沿って適正に行われますよう、社会福祉・医療事業団を十分指導いたしますとともに、十分にフォローアップをしていきたいというふうに考えております。
  176. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 よろしくお願い申し上げたいと思います。  納税者番号制度について質問をいたします。  逆進性の問題等々、いわゆる税を適切に、公平、公正にいただくためには、所得というものを確実に把握しなければならないということが絶対 条件でございます。  社会民主党は、納税者番号制度早期導入を主張しているところでございますが、去年の暮れには、先ほど出ました高齢者や生活保護の皆さんを含めたいわゆる生活弱者に対する激変緩和の取り組みは、数字の多い少ないは別として対応ができました。しかしながら、現職の皆さん方で税金を払っていらっしゃる皆さん方に対する対応というのはなかなかできなかった。そういう意味では、所得制限つきの減税継続等も私たちは考えてみました。しかしながら、いわゆる必要な人に適正な措置をするということをやるときには確実な所得の把握が可能となる土壌をつくっておかなければならないということで、断念せざるを得ないという経過もございました。これは、私の質問に対しての大蔵の回答からそういうことを感じたところでございます。  しかしながら、抜本的な逆進性緩和について引き続き与党三党は検討するということで、この納税者番号制度の導入について主張をしたいわけでございます。かつてこの納番制について少女趣味だとやゆした方もいらっしゃいましたけれども、今消費税が五%になるという状況の中で、所得が多い少ないにかかわらず負担を求めるこの状況の中で、この論議というものが同じように少女趣味だなんという形で許されてよいはずがないと思うのですが、いかがでしょうか。
  177. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 税務執行といいますか税務行政をやる上で、納税者番号があり、それに基づいて国民の一人一人が、煩わしさを感じながらも、仮に取引をすべて税務署に事業者を通じて連絡していく、これは特に資産所得なり資産が中心になると思いますが、そういう仕組みが納税者番号制度の目的かと思います。  この点については、そういう観点からはプラス面あるんですが、もう一方、プライバシーの問題というのが常に議論されております。ヨーロッパでは付加価値税が高い税率で実施されておりますが、納税者番号は、イギリスにもドイツにもフランスにもございません。課税当局が導入しようとしていた時期もありますが、プライバシーの問題にひっかかって実現できないできている。  そういった本質的な問題を並行して議論しないといけないということで、政府税調の場におきましては、国民の皆様に納税者番号というものはどういうプラスがあり、一方でどういうことを国民にお願いしなければならないか、我慢していただかなければならないかということをよくわかっていただいて、十分議論していただくべき問題であるということで、私ども、パンフレットをつくることとか各種説明会等においてこの問題を取り上げて議論を続けてきているというのが実情でございます。
  178. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 必ず返ってくる答えはプライバシーということで、それもわかります。そのことは後ほど言いますが、納税者番号制度の導入というものについて今の厳しい財政上の制約があるといっても、これは番号制度そのものを導入することとは無縁だと私は思います。  政治の決断さえあれば大きく前進するというふうに思うんです。やはり、不公平であるという国民の税に対する感覚を一日も早く解消するために所得の適正把握を第一とする、そういう仕組みをつくるということを政府が決断し、納税者番号制度の実現に向けて早急にその仕事を、今もやっていらっしゃるとは思うんですけれども、進めていくということを決意していただきたいというのがきょうの質問趣旨です。  そして、その上で、例えば納番制をつくって確実な所得が出てきたときに、抜け道を探す人たちが出てきます。海外まで視野に入れた租税回避行為が出てくるでしょう。または、例えば金とか絵画とかという形で、そういう資産へのシフトを考える方も出てくると思います。または、逃げ足の速い金融資産等に対して総合課税を追求すべきなのか、それとも租税回避行為を誘発しない水準での分離課税を設定して、課税最低限も機能する、そういう方法もあると思います。こういうのは、やはり主は大蔵委員会だと思うんですが、大蔵委員会や税特委員会等々で論議をし続ければ私はいいと思うのでございます。  先ほど主税局長が言われましたプライバシーの問題についても、この保護に万全を期して、資産シフトへの一定の効果が設定できる、期待できるというようなことを、手順を踏んだ上で納税者番号制度を導入するという方向を決定していくことは消極的であってはならないというふうに思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  179. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 税が公正、公平、簡素なものでなければならないという大原則の中で、痛みをこらえていただきながらちょうだいをするという基本論からいたしますと、納税に不公平があってはならないという御指摘はまことに同感であります。  濱田議員は、プライバシーの問題の検討、研究についてはさらに進めろということでありますし、かねがねの御持論の展開でございますが、本件も真剣に論議を進めながら、プライバシーの保護をきっちりとしたものに、納得のいく形のものに仕上げるべきだという御提言もあわせいただいておるわけでございますから、その方向で検討、勉強をしてまいりたいと考えております。
  180. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 ことしの一月からは基礎年金番号制度というのがスタートをいたしました。住民番号制度というのも検討されておりますが、これはなかなか導入について、与野党そして国民の間でも方向性がまだ決まらないところでございます。今大臣も答えてくださいましたように、鋭意努力していただくということでございますが、やはり情報の漏えいや流出等にかかわる措置を確立していくということにすれば、財政当局が心配する問題は解決する、そういうふうに信じざるを得ない段階に来ていると私は思っております。  それで、今いろんなことが出されますが、プライバシーの保護でこういう憂慮するところがあるのだという具体性のものがありましたら、この際、明確にしていただけませんか。
  181. 薄井政府委員(薄井信明)

    ○薄井政府委員 そもそも税務行政といいますか税務関係の資料につきましては、御存じのとおり、税務職員に厳しい守秘義務がございまして、それぞれの方々は、現時点でもいろいろな情報を国税当局に直接的、間接的に報告していただいておりますので、税務当局部内において入手した資料が外に出ていくとか出ていかないとか、そういうことについては問題はないと私ども思っております。長年の経験の中でその面のプライバシーはきちっと守られている。  しかし、納税者番号を導入するということは、例えば金融機関の方々に、ある方の資産の状況貯蓄の残高等を税務署に報告してもらうということになるわけですから、そうすると、金融機関がたくさんの方の資産状況、その預金の残高というような意味ですけれども、それを知ることになる。現実にもう知っているのかもしれません。それを義務的に税務署に報告することになる。しかも、それを番号で名寄せしていくということになりますと、これを民間サイドでアプローチしたときにどこかに抜けていくことはないだろうかといったようなことがまず最初に考えられるわけです。つまり、民間との接点の中で資料なり情報が整理される、しかも整理された番号で検索できるというものが世の中に出てくる、このことが一つ大きな問題になろうかと思います。  具体的には、民間経済の中でこの種の情報がどう使われるか、またもう一つは、番号ができることによって、それをいろいろな形で今度は民間が使い得るかもしれない、この辺について法的な規制をどうするかという問題もあろうかと思います。  それから、さっきちょっと触れましたが、ドイツやフランスでの議論を見てみますと、そもそも資産の残高を税務署に示すことが許されるのだろうかということを国民サイドがおっしゃっているわけですね。税務署サイドは、それは欲しいわけですけれども、そういう問題であるということを国民の皆様が知っているかということからスター トしないといけない、まあこのことを私ども始めているわけですけれども。私どもとすれば、公平な、適正な課税をするためには資料があった方がいいに決まっているわけですけれども、それは、そのときには国民の方の納得を得ていなければいけない、こういう意味でございます。
  182. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 今主税局長がおっしゃるような懸念は当然あると思いますが、私も、国会議員になる前まで給与だけの生活でありましたし、議員になりましても歳費だけの生活でございます。個人所得税の大半を占める給与所得者、これらはもう源泉徴収の中でほぼガラス張りなのですね。ほとんどすべてが見透かされているという状況の中で、過去のグリーンカードのてんまつもございました。適正な所得把握に対して最も嫌悪感を抱いているのは現にここにいる私たち政治家ではないかというような印象をいまだに強く持っていらっしゃる方も多いのですね。  それが誤解だということを立証するためにも、与党三党で確認をしております二十一世紀初頭の速やかな導入というものをしっかりと目指して、わずかあと三年ぐらいしかございません。そこにある意味では期日を設定するぐらいの形で、この納番制の導入に向けて再度の大臣の決意をいただいて、終わりたいと思います。
  183. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 財政構造改革の全体会議、企画委員会、ここでも論議をしてみたいと思っております。その後、引き続き全体の会議で、本件がそういう国民各位からの懸念を持たれませんように打って出なければならぬことであろうと思います。
  184. 濱田(健)委員(濱田健一)

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。
  185. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 粟屋敏信君。
  186. 粟屋委員(粟屋敏信)

    ○粟屋委員 今朝来、消費税中心として熱心な税制論議が闘わされました。税制は、よく言われますように、所得と資産と消費のバランスのとれた税制でなければならないし、また中立、公平、簡素でなければならない。私は、当然そのとおりだと思うわけでございます。今後、税制改革を進めるに当たりまして、また財政再建論議を進めるに当たりまして、直間比率を含め、消費税についての論議が相当多くこれから行われることになると思うわけであります。  消費税は、本日議論がございましたように、国民生活、また我が国経済にも非常に大きな影響を及ぼす税制でございますので、税率あるいは税の仕組み、さらに将来軽減税率とかゼロ税率の必要性も出てくるのではないかと私は思いますけれども、消費税問題については、今後とも政府におかれては、国民にわかりやすい御説明をされて、理解を得る努力をされる必要があると思いますし、また、国会においてもたゆまずその論議を深めていかなければならないと思っておるところでございます。  消費税中心の論議は既に各委員からなされましたので、本日はせっかくの機会でございますので、財政構造改革につきまして御質問をいたしたいと思います。  先般の予算委員会の総括質問におきまして、私は、アメリカ並びにEUの財政再建に取り組む姿勢、またその実績についてお話をいたし、やや日本は立ちおくれているのではないかということを申し上げたわけでありますが、去る十八日に、財政構造改革会議において、橋本総理から指針が示されたようであります。先ほど三塚大蔵大臣もお述べになりましたように、政策歳出について聖域を設けない、あらゆる政策歳出が検討の対象になり、削減の対象になるというお話でございました。まさに時代が変わり目に来ておりまして、戦後五十年の惰性に陥ることなく、抜本的な見直しが必要であることは当然であると思っておるわけであります。その中におきまして、二〇〇三年までに単年度の赤字をGDPの三%以内に抑えるということが方向づけをされたようでございます。  そこで、これは事務当局でもよろしゅうございますが、現在の単年度赤字のGDP比は幾らか、また、これは大蔵大臣に伺いますが、単年度の歳出の削減目標でなくて、ストックの赤字削減の目標を示すべきではないかと思いますけれども、その点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  187. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 ただいまの国、地方を合わせました財政赤字、約九%程度でございます。
  188. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 ストックの分についてなぜないのか、こういう御指摘でございます。  本件は、当初二〇〇五年まで、赤字公債に頼らない体質の第一弾として、発行をそこでもって終わりとする、こういう目標を立てました。しかし、先週十八日、財政構造改革五原則を明示することによりまして、その中で、二〇〇五年までではなく、二〇〇三年までの、来年度からの編成からいいますと六年間においてフローにおいてゼロとする、こういう目標を立てたわけであります。そうなりますと、三%以下になるという計算であります。六カ年でありますから、一兆二千五百億円程度の赤字公債発行を抑えていかなければなりません。  そういう形でありますが、同時に、こちらのストックの部分の四百七十六兆円、これについてどうするのか。これは、これ以上ふえない体質を目指してやるということで、ただいまこちらの赤字公債依存の体質から脱却をするということにまず全力を尽くす、こういうことになったものでございますから、こちらの方は努力をいたしますけれども、まずこちらの赤字公債のゼロ、これに向けて、ゼロというのは発行ゼロ、こういうことで取り組んでまいりたい。精いっぱい、もっと目標を高くすればあるわけですけれども、確実にそのことを実現してまいりたい、こういう決意であります。
  189. 粟屋委員(粟屋敏信)

    ○粟屋委員 EUは通貨統合を目指しまして、フローにおいて三%以内、またストックにおいて六〇%以内、そういう目標を立てて努力をいたしておるところでございます。  先ほど、フローの点においては国、地方を通じて九%、こういうお話がありましたけれども、これを三%以内におさめる、これもなかなか大変なことだろうと私は思います。ストックの面におきましては、国、地方を通じてGDP比が九三・四%、こう私は記憶をいたしておりますが、これを六〇%、EUの目標程度に抑えるのはなかなか大変なことであろうと思うわけであります。  そこで問題になりますのは、歳出削減、これは私は大いに切り込んでやるべきだ、こう思っておるわけでございますが、問題は、経済マイナスになったり停滞をした場合に、果たして財政赤字の削減がうまくいくかどうかという危惧があるわけであります。  アメリカも、平成四年には二千九百四億ドルという単年度財政赤字でありましたけれども、平成八年度は千百六十八億ドル、前年比二九%減と大幅に改善を見たわけであります。これはかねてから財政収支均衡法とか包括財政調整法によりまして歳出削減の努力をしてきた、この成果でもあろうと思いますが、同時に、クリントン政権になりましてから経済が好調であるということも大きな原因になっているのではないかと思います。  また、我が国の過去の例を見てみましても、竹下内閣総理大臣が赤字国債発行ゼロを目標とするということで、公共事業についても伸び率ゼロという予算をお組みになったわけであります。ところが、その目標を達成しましたのは平成二年、三年、四年、五年であります。これは、ある意味ではバブル経済影響を受けまして経済が好調であった。特に、土地譲渡益課税のときは大幅増をしました。これが赤字国債の発行ゼロ、あるいは財政再建に力をかしたのではないかと思うわけでございますが、財政再建を進めるに当たって、歳出削減、これは思い切ってやっていただかなければなりませんけれども、経済との関係をどういうふうにお考えになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  190. 林(正)政府委員(林正和)

    ○林(正)政府委員 大臣の御答弁の前に、ちょっと数字の話でございますが、三%というのはGDP比でございますが、先ほどちょっと勘違いをいたしまして、国民所得比で申し上げましたが、G DP比で申し上げますと八年度七・三%、九年度五・四ということでございます。大変失礼しました。
  191. 三塚国務大臣(三塚博)

    ○三塚国務大臣 経済の動向と歳出カットの関連という御質問でございます。  歳出削減は、それだけ財政の規模が収縮をいたすという意味も、別途、財政構造改革ですからございます。しかし同時に、限られた財政規模の中でどうやるかということになりますと、一律マイナスシーリングではありますが、プライオリティーをきっちりと見きわめて決定をしていかなければなりませんし、また見直しの大前提は、それぞれが法律あるいは閣議決定等によって決められておる歳出があります。こういう問題に切り込むためには、制度の見直し、また運営の見直し、全体の期限の見直し等々が当然企画委員会において論議が出るところでございます。プライオリティーを決めて経済の活力をもたらすように平成九年度予算もそれなりの努力をいたしたところでありますが、さらにそれを深めてやるということで経済に活力をもたらしめなければならない。  同時に、経済構造を低コストに向けて、既に始めておりますが、目に見える形を出していかなければなりませんし、金融システムの問題も非常に深刻な問題もありますけれども、これをやはり恐れつつ、前進をせしめていく。そのための諸制度、新たなものを必要とするもの、前段の議論でも御提起をいただきました税制上の問題を含め、それぞれの問題がございます。  弱肉強食は決して民主主義の目指すところではございません。そういう中で、しかしながら、やはり国際的な基準というものを大事にしなければなりませんし、預金者の立場に立った運用ということの問題もありますから、そういう点で努力をし、成果を出すことによりまして全体が持ち上がっていくでありましょうし、財政の中期展望において示させていただいたとおり、三・五%の経済成長見通しの、これは名目成長でありますけれども、その点だけは達成をしていけるのではないか。こういうことで、まずカット。しかしカットのしつ放してはなく、構造改善を前進せしめることによりまして、着実に、前三カ年集中期間といたしましたが、この期間の内で確実に見とれる展望を開いていく、こういうことになります。
  192. 粟屋委員(粟屋敏信)

    ○粟屋委員 大蔵大臣の御説明もまだ明快な御回答になっていないと思うわけであります。  しかし、これは本当に真剣に考えていかなければならない課題だと思いますし、正式に財政構造改革会議において結論をお出しになる際には、今の経済との関係の問題を含めて赤字解消の方策をきちんとお示しいただきたい、こう思うわけでございまして、企画委員会、構造改革会議の御検討を心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  193. 原田委員長(原田昇左右)

    原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会