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小野委員 委員長のお
立場からは仏ということはなかなか言いにくいのでありましょうが、仏の
教えというのは一切衆生の救済であり、すべてのものを生かすということだと浅薄な知識の中で私
ども理解をしているわけでございまして、そんな
思いを持って、特に
弱者に対する
配慮のある
公正取引委員会であっていただきたいと御
要望申し上げたいと
思います。
さて、きょうは、具体的なテーマといたしましては、
酒類小売業における
不当廉売問題を取り上げさせていただきたいと思っております。
まず、
大蔵省の方に来ていただいていると思うのですが、この
部分、ちょっと時間がないですから
質問は省かせていただこうと
思いますが、ただ、きょう述べようと
思いましたのは、
酒類販売の
指導監督に当たっておられる
大蔵省の諮問をしている
審議会、
中央酒類審議会において、
酒類の
小売店の
免許要件としての
人口基準、
距離基準というものを撤廃する
方向の
議論が今行われているのだというようなことが報道がなされたり、また、
業界団体の
皆さん方からの
お話の中に出てきております。
私は、この
人口基準、
距離基準という問題について、これは
自由化の
流れの中において
一つの
考え方であろうとは思うのですけれ
ども、しかしながら、現在の
競争状況の中においてこの
基準を撤廃するということになりますならば、恐らく中小の
小売店は壊滅的な打撃を受けてしまうという危惧を持っているわけでございます。
業界の
皆さん方と話をしておりましても、
安売り店等の
販売価格が
小売店の
卸値よりも安い
販売価格で継続的に
販売されているというような
状況が続いている中で、この
規制までが撤廃されてしまったら、とてもじゃないけれ
ども、もう経営が成り立たないというような
お話でございます。
要望だけさせていただきますが、もうあした
結論を出そうというような動きもあるそうでございますけれ
ども、ぜひ、この点については、
競争条件を十分に考慮された上での
結論を出されますように、この点をお願いを申し上げておきたいと
思います。
そして、それに関連をいたしまして、これから
公正取引委員会の方の
質問になってくるわけでございますけれ
ども、先ほど申しました
人口基準、
距離基準、これは、長期的な視点で見るならば、だんだんと
規制緩和の
方向にあるような
潮流に、私
どもも話を聞いておりますと感じているところがあるわけでございます。そうなりますと、
公正取引委員会がみずからの
仕事の
スローガンとして語られる
言葉というのは、公正かつ自由な
競争という
言葉なんですね。そのときに、今やられている作業というのは何かというと、ひたすら自由に
競争させようという
側面ばかりが今強く表に出されていて、その自由な
競争の裏で公正な
競争を保障する
状況というものが余り感じられないという点があって、この点に非常に強い疑問を私は抱いている次第でございます。
ある
先輩議員と
お話しを申し上げておりますと、
アメリカや
ヨーロッパも基本的には自由な
競争の
社会になってきているけれ
ども、例えば
アメリカにおいては、自由は尊重するけれ
ども、一方で
競争に伴うルールというものを厳格に適用して、これに違反する人間には厳罰をもって処することを通して、この自由な
競争が
過当競争になり過ぎないようなうまい運営をしているのだ。そしてまた、
ヨーロッパにおいては、エリートの
自己規制意識が強いということで、
強者が必ずしも
弱者を圧殺してしまわない、抑制する
気持ちを持って対応することをもって共存する
社会が生み出されている。
それに対して、
日本の
社会の場合は、
皆さん御存じのとおり、
スローガンが
一つ上がったら、もうその
スローガンだけが正義になってしまうよるな国でございますから、
自由競争だと言えば、その
自由競争だけが御旗になって、それ以外の
要素は全部捨てて、勝てば官軍で、とにかく勝ちさえすればいい、何でもありというような
風潮があるということでございます。
大蔵省は、その
あたりを憂慮されながら
酒類の
廉価販売に対して
指導に取り組まれることもあるそうでありますが、
行政指導を行おうとすると、
公正取引委員会側は、この種の
行政指導は適正ではないから、それをやらないようにというようなことも言われたという話をお伺いするわけであります。
そういう
状況を前提にしまして、私はなぜ公正な
状況が今保たれていないという
議論をさせていただいているかというと、やはり
リベートの問題なんです。
先ほど申しましたとおり、小さな
小売店が
卸値でもらっている酒やビールの
値段よりも、
大手の
ディスカウントストアは、正当な
販売をしていると言いながら、それよりも安い売値で売れるというような
状況が、本当にこれが公正でありましょうか。全く対等の
卸値のもとで、小さな店は小さな店なりの
努力、大きな店は大きな店なりの
努力というようなことがなされているのであれば、ある
意味での公正が保たれているでありましょうが、
最初から
卸値段が違うというような
状況のもとで戦い合うようなことをするなら、勝負は
最初から目に見えているわけであります。
そのことを考えてまいりましたときに、
公正取引委員会の語る公正という
基準に、今のこの
酒小売店が置かれている
状況というのは当てはまっていると考えているのかどうか、この点について
お尋ねしたいと
思います。