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1997-06-10 第140回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 中村 鋭一君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 佐藤 剛男君 理事 斉藤斗志二君    理事 青山 二三君 理事 福留 泰蔵君    理事 肥田美代子君 理事 藤田 スミ君       大野 松茂君    奥山 茂彦君       小林 多門君    河野 太郎君       能勢 和子君    山口 泰明君       渡辺 具能君    長内 順一君       福島  豊君    松沢 成文君       松浪健四郎君    石毛 鍈子君       中桐 伸五君    中川 智子君       熊谷  弘君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  山田 昭雄君         公正取引委員会         事務総局審査局         長       矢部丈太郎君         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君         経済企画庁物価         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         法務大臣官房審         議官      柳田 幸三君  委員外出席者         警察庁生活安全         局生活環境課生         活経済対策室長 園田 一裕君         大蔵省理財局総         務課たばこ塩事         業室長     小西  昭君         大蔵省銀行局中         小金融課金融会         社室長     古谷 一之君         国税庁課税部酒         税課長     岡本 佳郎君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       加茂川幸夫君         厚生省生活衛生         局指導課長   宮島 俊彦君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 堺  宣道君         厚生省薬務局監         視指導課長   間杉  純君         農林水産省農産         園芸局畑作振興         課長      坂野 雅敏君         農林水産省食品         流通局品質課長 村上 秀徳君         農林水産省食品         流通局砂糖類課         長       荒木喜一郎君         農林水産省食品         流通局食品油脂         課長      任田 耕一君         通商産業省産業         政策局産業組織         課長      板東 一彦君         通商産業省産業         政策局商政課取         引信用室長   今清水浩介君         通商産業省産業         政策局サービス         産業課長    宮崎 修二君         通商産業省機械         情報産業局総務         課長      小平 信因君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       加藤 文彦君         運輸省鉄道局総         務課長     春田  謙君         郵政省郵務局企         画課長     上田 誠也君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部事業政策課長 小笠原倫明君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ───────────── 委員の異動 六月十日  辞任         補欠選任   深田  肇君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   中川 智子君     深田  肇君     ───────────── 本日の会議に付した案件  物価問題等国民消費生活に関する件      ────◇─────
  2. 中村鋭一

    中村委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  3. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 佐藤剛男でございます。  過日、当委員会におきまして、大臣ISバランス論中心といたしまして御質問させていただきました。  きょうは、公正取引委員会関係中心に、そしてちょっと時間的に後半になるかと思いますが、大臣に、数次にわたる景気対策で相当の失業対策効果、つまり雇用増発効果産業連関表でいろいろ分析いたしますと出てくるのでありますが、雇用計数を使ったりしますと、大体六十数万出るのではないかという見通しを私は持っております。また、最近のいろいろな民間の調査等で、そのぐらいの下支えがあったと。その意味で、これまでの公共事業中心とする、特に建設業界への効果というのは非常にあったのではないかと思いますので、その点について少しくお話をお聞きいたしたいと思っております。  最初の方は、私が日ごろ当委員会において取り上げております不当廉売の問題をちょっとさせていただきたいと思っているわけであります。  今、小売店で非常につらい思いをしている業界があります。これは、一つ酒屋さん、それからもう一つガソリンスタンド、それから電器業界、大体ベストスリーというかワーストスリーがその三つなのではないかなと私は思っているわけであります。  なぜ苦労しているのかといいますと、これは仕入れ原価を割ったような、いろいろな手があるわけですが、大企業が乗り込んできたり過当競争の問題があるのですが、価格の破壊的な行動がなされておりまして、そして、これが小売店酒屋さん、あるいは規制緩和で今特石法の廃止になっておるガソリンスタンドを直撃しているというところでございます。  そして今日、こういう問題についての法律はどこにあるのかというと、公正取引委員会しかないのであります。公正取引委員会のどの法律かというと、私的独占禁止法独禁法体系しかない。各省庁の中において、この価格原価割れ状況という問題を取り締まる法律はないわけであります。  それで、もともとこのディレギュレーション、規制緩和というのはどこから発祥したかというと、歴史をさかのぼれば日本アメリカとの間の構造協議でありますが、一番大きく出てきたのが平成二年の海部総理ブッシュ大統領の、ちょうど選挙が平成二年の二月にありまして、そのときに、アメリカ日本を眺めていて、自民党が負けるのではないかなと思っていたのかどうか知りませんが、結構いいところへ行った、そこで海部さんがすぐ三月に呼ばれまして、ブッシュ大統領と直面するわけであります。  そこで二つの大きなことをコミットメントした。一つが、公共事業の四百三十兆円。四百三十兆円を内需振興で出す。それが六百三十兆円の方にその後変わりました。  第二は、これが一番大きかったのですが、アメリカトイザラス中心とする業界の圧力で、トイザラスというのは、トイズというおもちゃという意味とザラスという社長さんの名前でトイザラスというわけで、カテゴリーキラーと言われるような、それが入り込んできたら業界みんなつぶれてしまうというふうなもので、奈良に第一号をつくって、世界的な大繁盛を受けて、今、日本に五十三店ぐらいあります。それで、そのトイザラスは百店ぐらいを目指すような形で出ているわけですが、大店法の改正、大店法を緩和しろと。  公共事業大店法緩和という二つの柱が海部ブッシュ会談で決まった。それで規制緩和がそこから始まったわけであります。  それから小売店の非常な苦しみというのが始まりまして、今、各中心市街地に参りますと、まず、空洞化の問題というのが猛烈に起きているわけです。さらに、商店街だけじゃなくて、一つのソフト的な面で出ているのが価格破壊とか激安とか、価格が安いということは消費者にとったはいいことなのだけれども、私はよく申し上げるのですが、消費者の奥さんのだんなさんは社員なのですね。松下さんのどこどこの社員であるし、あるいは何々ビール会社社員でもあるわけでありまして、魚屋さんは肉屋さんに行けば消費者なのです。肉屋さんが八百屋さんに行けば消費者なのです。ですから、みんな国民全体が消費者なのであります。  アメリカ流規制緩和というのは、アメリカは必ず、ほっぽり投げないのです、規制緩和をやると。フェアトレードコミッションといって、日本公正取引委員会、これがアメリカの場合、一千人を超える人員もいます。そしてそれが、異民族であるところもあって、弱い人に対しては助ける。これがアメリカ規制緩和公正取引との両輪なのです。  ところが、それがなされないと、日本規制緩和規制緩和という形だけやっていきますと、公正取引委員会がそれに対して、今の動向を見ていますと極めて遅い。調査も、やったのか、シロだかクロだか灰色だかわからないで、うやむやに終わっている。例えば、ガソリンスタンドの問題にしてもそうでしょう。それから、酒屋さんの動向を見ていて、これはもう完全に仕入れ原価を割っておる。私が当委員会で出したダイエーの問題で、ダイエーが外国から輸入したビール目玉商品で売った、八十円だったか九十円だったかで売った。幾ら計算したって、こんなので売れるはずがない。こういうようなものをやった後の結果も、警告したのか勧告したのかもよくわからないという状況があるわけであります。  それは公正取引委員会というのが守らないと、この問題は、規制緩和規制緩和と口だけで言うが、アメリカはちゃんとそれに対する担保のものがあるのだから、それをやらないと、日本の弱い人たちというのはみんなやられてしまいますよ。  本件を一つの問題として取り上げます。一例として、まずガソリンスタンド。  私は、茨城県のガソリンスタンドで、ガソリンの八十二円という価格を見た。通産省、来ていますか。それで、私の理解するところは、大体ガソリン原価というのは仕入れで三十五円ぐらいでしょう。それから税金が六十円ぐらいかかるのです。もっと正確に言うと、五十八円ぐらいがガソリンに関税とかいろいろな税金がかかっている、それに消費税が五%かかるのですが、大まかに言いますと六十円ぐらい。そうすると、三十五円プラス六十円、それに利益率。  通産省、八十二円という数字原価を割っているのですか、割っていないのですか。ひとつそこから始めます。
  4. 加藤文彦

    加藤説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、現在各元売が月決めで公表しております価格ベースでいきますと、約九十円ちょっとというのが実態だと思います。ただし、これは標準的な仕切りでございまして、個々の特約店幾らぐらいで卸しているかというのは、規模とかその他の条件によって多少違っていると思います。しかしながら、八十二円というのは常識ではなかなか考えにくい数字だと考えます。
  5. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そうすると、この八十二円の一例というのは、非常に簡単に言えばダンピングですね、英語で言いますとダンピング。  アメリカというのは、ダンピングについてすごい規制をかけるのです。体刑までかける。それから、WTOの中において、ガットの中においてもそうなんですが、ダンピングをやったなんというと課徴金をかけられる。これはもう日本は随分かけられておりますが、そういうぐらいにはっきりいたしております。  それで、通産省に聞きますけれども、今、ガソリンについて、これはいわばダンピングだと私は思うのでありますが、そういうふうな実態、各地において、昨年の四月の規制緩和後、具体的な案件として文句だとかいろいろ相当来ていると思いますが、何件ぐらい来ていますか、大まかに。
  6. 加藤文彦

    加藤説明員 我々が事後的に各県レベルあるいは通産局レベル情報を収集しているところによりますと、規制緩和以降三十数件の申告案件があるというふうに理解しております。
  7. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それでは、公正取引委員会に聞きたいと思います。公正取引委員会としまして、ガソリン関係についてどのぐらいの件数調査しておるか。別にこれは秘密じゃないと思うのですが、調査の段階について、件数なりをお聞きしたいと思います。
  8. 矢部丈太郎

    矢部政府委員 不当廉売申告については、年間千件ぐらいあります。その中ではお酒が一番多いのですが、その次がガソリンでございます。  今通産省から御指摘がありましたが、三十件程度の申告があるということで、多分それは現在公正取引委員会審査しているところだと思います。
  9. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 私がここで問題にしたいと思っておりますのは、調査調査公取は言うのですよ。それで、いつの間にか、勧告も発しないで……。  独禁法体系というのはこうなっていると思うのですけれども、復習の意味で確認したい。  最終的には二年以下の懲役まであるのです、ダンピングで。どういう条項かというと、間違えたら正してください。私の理解では、今のガソリンスタンドの八十二円についてもし調査をして、そしてこれが独禁法の違法である。独禁法の違法というのは、独占禁止法の第十九条「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」という規定がございますね。そして、ダンピングというのは不公正取引体系に該当すると思いますが、まず、イエスかノーかお答えいただけますか。
  10. 山田昭雄

    山田政府委員 独占禁止法は、カルテルあるいは私的独占、不公正な取引方法を禁止しております。不当廉売は不公正な取引方法の一類型でございまして、これは独占禁止法第十九条において禁止されるものでございます。  また、どういう行為が不公正な取引方法に該当するか、具体的には不当廉売がどういう類型かということにつきましては、公正取引委員会告示一般指定というものを定めておりまして、その第六項に該当するものでございます。
  11. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そうすると、第十九条で、不公正な取引をしてはならない。不公正な取引があった、今告示六項の話がありましたね。告示六項でいろいろな条項を言っているのですが、それに違反をいたしますと、公正取引委員会というのは、そのやっている人、ガソリンを売っている人に対しまして「適当な措置をとるべきことを勧告することができる。」というのが四十八条第一項にありますね。そして、それに基づきまして、第四項で、勧告を受けて公取の言っているとおりだということで勧告を応諾しましたときは、「同趣旨の審決をすることができる。」審決手続と同じ効果を持つ形になるのです。  そういうことでしょう、公正取引委員会、確認してください。
  12. 山田昭雄

    山田政府委員 不当廉売は不公正な取引方法でございまして、十九条で不公正な取引方法は禁止されております。また、二十条で、不公正な取引方法につきましては、当該行為の差しとめ等の必要な措置を命ずることができることになっておりまして、具体的には、先生が御指摘のとおり、勧告等を行うということになろうかと思います。
  13. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 私が申し上げた条項でいいと思うのです。  それで、審決と同じように、私が悪かったということで審決手続をやる。それで、審決をやって、審決が確定した後にそれに従わなかった、相変わらず八十円台でやっている、七十円台でやっているということになりますと、第九十条「これを二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。」のですね。公正取引委員会、そうですね、確認。
  14. 山田昭雄

    山田政府委員 勧告等審決を行いまして、それが確定し、その確定した審決後におきましてこれに従わない場合につきましては、確定審決違反といたしまして、九十条で、御指摘のように「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。」という規定になっております。
  15. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それで、私が伺いたいことは、そういうふうな九十条まで来て、体刑まで来て、大したものですよ、経済罰で二年以下の懲役それから三百万円以下の罰金。こういうケースはやったことはありますか。
  16. 山田昭雄

    山田政府委員 確定審決違反という事例は、ほかにはございますが、不当廉売につきまして行ったことはございません。
  17. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そこなんですよ。ちゃんとした法制があって、独禁法しかなくて、それを運用するのは公正取引委員会で、公正取引委員会が裁量でここまで持ってきてきちんとやれば、経済秩序はきちんとできるのですよ。それをきちんとやっていない体系。  お伺いします。公正取引委員会には、たしか二年前に、私どもも応援しまして十七人か何かの増員をして、事務局長事務総長にしたり、部長を局長にしたりして応援したわけですひそれはなぜかというと、不公正取引方法の取り締まりをきちんとやれ、規制緩和が進むんだから弱い者をきちんと守れ。それと同時に持ち株会社の解禁をやれ。この二つをやっていたわけでありますが、どうも体制ができていない。  今、不公正取引方法について何人の職員が従事しているか、公正取引委員会、明らかにしていただきたい。
  18. 矢部丈太郎

    矢部政府委員 最近、公正取引委員会事務局を強化していただきまして、審査部門中心にして大分大幅にふえておりまして、特に不公正取引だけを担当するというものはございませんけれども、事件があればいつでも担当し得るような体制になっております。  なお、今佐藤委員からも御指摘がありましたように、規制緩和をする中で、不当廉売を含む不公正取引の適切な処理というものは重要であると認識いたしまして、四月に、不公正取引専門にする上席審査専門官を置きまして、そのもとに、現在六名ほどの人を置いておりますが、各地方事務所本局を通じまして不当廉売事案を含む不公正取引について迅速適切に処理していく、そういう体制でございます。
  19. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 先ほど公正取引委員会から、不公正取引案件で一千件ある、それからガソリン関係だけで三十件ある。もう一回お聞きしますけれども、何件をこの六人で処理しているのですか。  私は不十分だと思う。国を守る経済立法独禁法しかないのですよ。なくて、みんなふうふう言っているときに、一罰百戒でもいいんだからやったらいいのです。明らかに出ているのですから。  例えば、ガソリンの場合だったら、仕入れが三十五円、六十円が税金、九十五円だ。八十円で売っていたり、八十前まで行くような話をやっているじゃないですか。どうしてそれをきちんと調査して取り締まらないのですか。それを明らかにすることがもしできなかったら、幾らまでやるということを、透明性を明らかにするのが公正取引委員会の仕事じゃないですか、公正取引委員会の怠慢としか私は思えない。  私は、そういうようなことで規制緩和というのは進められない。規制緩和規制緩和と言って、だれしも規制緩和だ何だと言ってもうある種の空気が漂っているけれども、やるところがないんですから。アメリカはきちんとやっているんですよ、フェアトレードコミッションというのは。日本公正取引委員会というのはアメリカのマッカーサーが持ってきたものじゃないか。独禁法もそうですよ。その体系であるなら、アメリカ流にきちんとやらなきゃだめです。  今のような体系では私は不満であります。ですから、これについて公正取引委員会はもっときちんとした対応を、それには三倍も四倍も要ると思いますよ、まだ今三百人ぐらいの組織ですから。幾らですか、今。(「五百五十人」と呼ぶ者あり)五百五十で六人というのでは、ちょっとあれでしょう。それについて見解を問います。
  20. 矢部丈太郎

    矢部政府委員 ただいま佐藤委員の方からの、六名だけで不当廉売をやっているわけでございませんで、不当廉売集中管理といいますか、各地方事務所にもそれぞれ審査がおります。そこで申告を受け付けて処理しておりまして、先ほどの公正取引委員会全体では五百四十五名でございますけれども、そのうちの審査部門が二百四十名近くおりまして、迅速な対応をしております。  それで、ただ価格が安いだけで違反ということになっておらないわけで、そういう安い価格で継続して販売し、なおかつ周辺の事業者への影響がある、そういう要件がございますので、その要件に照らして違反かどうか判断するわけです。ですから、それをやっておりますと時間がかかるものですから、非常に簡易ではございますけれども、注意して早くやめさせた方がいいだろうということで注意にしている。あるいは、もう少し調べた上でやる場合には警告ということで、今までにも、ガソリンについてもビールについても警告した事例もございます。
  21. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ところが、公取警告したと言うけれども、警告を受けた方は警告なんて受けてないと言うんだ。きちんとしていないからそうなんですよ。警告を受けてませんよと言うんですよ。  私がここで取り上げた、ダイエートイレットペーパー並み目玉商品ということで輸入ビール、缶ですよ缶、腐るわけでもない。そういうものを持ってきてぽんと売り込んだ。これについてみんなから抗議が出た、小売店の。そして、そのときに警告を発したと言うけれども、警告なんて受けてませんと言っていますよ。  そこなんですよ、僕が言っているのは。あなた方は調査して警告を発したと言うけれども、法律できちんとやってないから。ちゃんと勧告みたいな形の四十八条を出して九十条に行くような形にきちんとやりなさい。一罰百戒。それをきちんとやってないから、泣いているじゃないですか。ガソリンスタンドだって一つやってごらんなさい。酒屋さんやってごらんなさい。  酒屋さんから私のところに駆け込みだけでこれだけ来ている。安いのがこれだけある。これは浦和の案件です。  まず、大蔵省に伺いたいが、酒。こんなことをやっていますと、小売酒屋さんはみんなひっくり返っちゃうよ。大規模店舗がそれを取り扱う、酒の安売りについて国税庁としてどう考えているのか、どういう指導をしているのか、それをお答えいただきたい。
  22. 岡本佳郎

    岡本説明員 佐藤委員の御質問にお答えいたします。  酒類販売というのは、基本的には自由価格で各企業が自主的に決められるものではございますけれども、酒類業者の経営の健全性の確保とか国民消費生活の安定、そういったことにこたえられるような合理的なまた妥当なものが望ましいと我々考えております。また、委員指摘のように、酒類取引に当たりましては、独占禁止法上の不当廉売に該当しない等公正な取引が確保されることが必要というふうに考えております。  具体的に、こうした考え方のもとに、国税庁といたしましては、総販売原価を下回るような価格での販売につきましては、これがひいては酒税の納付に困難を来すということも心配されますことから、そういう価格での販売が行われることがないよう、我々の立場としても酒類業者啓発指導に努めているところでございます。
  23. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それでは、公正取引委員会、酒の関係について調査をどのくらいやっていますか。
  24. 矢部丈太郎

    矢部政府委員 厳密な数字は持っていないのでございますけれども、各地方事務所あるいは本局におきまして数件の調査をしております。
  25. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 公正取引委員会、甘過ぎる。僕は公正取引委員会というのは応援している方なんだ、ずっと。組織も上げて、十何人欲しいと言えば……。もし必要ならばどんどん要求してごらんなさい、応援するから。それはあるいはできるんだから、内部において、カルテル以上に今重要な問題は、カルテル違反課徴金だの何だのの問題よりも重要な問題というのはそこですよ。規制緩和でふうふう言っているんだよ、小売店が。泣いているんだよ。  こういうことはできませんか、公正取引委員会。過去一定期間の平均仕入れ価格を下回ってはならない、こういうガイドラインを出せませんか。過去一定期間の平均仕入れ価格を下回ってはならない。先ほど国税庁は、原価を下回らないような形を指導しているといったって、国税庁指導したって国税庁の言うことを聞かないんだから。何のために免許をやっているんですか、小売店に。税金のために、国家の税金をするために免許制というのはあるんでしょう。それだって今言うことを聞かないんですよ。  それをやるのは公正取引委員会なんだ。ちゃんと来るんだから、調査しろと。僕のところにだってこんなに来ているんだから、随分来ていると思いますよ、公正取引委員会に。これは浦和の小売酒販組合理事長から来ている。十一件。来ていたって調査していないんでしょう、恐らく。  もう一回聞きます。答えてください。過去一定期間の平均仕入れ価格を下回ってはならない。これは検討してください、こういうガイドラインを出せないかどうか。いいですか、過去一定期間。難しい話じゃない、過去一定期間の平均仕入れ価格を下回ってはならない。当たり前の話じゃないか。これは独禁法違反じゃないのですか。これが違反でないなんという話をやっていたら、生ぬるくてあなた方に任せられないよ。それだったら、これは警察か何かの方にやっていた方がやりやすい。独禁法体系しかないんだから、しっかりやらなきゃだめだよ。はい、答え。
  26. 山田昭雄

    山田政府委員 お答えいたします。  過去一定の期間の平均仕入れ価格を下回ってはならないということを不当廉売要件にすべきではないか、あるいはそのようなガイドラインを出したらどうかという御質問かと思います。  独占禁止法の目的というのは、これは言うまでもなく、公正かつ自由な競争を通じましてその競争を維持促進するということでございまして、事業者が創意工夫により良質廉価な商品を供給しようとする努力を助長しようとするものでございます。この意味では、価格の安さそれ自体を不当視するものではないことは当然でありますが、逆に、価格の安さを常に正当化するものではございません。企業の効率性によりまして達成した低価格の商品を供給するのではなくて、採算を度外視した低価格によって顧客を奪う、これを問題にしているわけでございます。  そして、その要件といたしまして、「正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること。」すなわち、独占禁止法は、競争を促進するという意味から、他の事業者の事業活動を困難にするというような競争への影響ということを要件にしているものでございまして、先生指摘のように、過去一定期間の平均仕入れ価格、これを下回れば即不当廉売に当たるということでなくして、やはり競争にどういった影響を与えるかということが必要であろうか、このように考えておるわけでございます。
  27. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 何言っているかわからない。今のは質問に答えていない。よく検討してください。  次に、国税庁とそれから通産省に質問します。  公正取引委員会がこんなような状況なんだから、あなた方、法律をつくりなさい。独禁法体系ではだめなんだから。  どういう法律かというと、アメリカによくあるのですが、マークアップ法というのがあるのです。マークアップというのはどういう体系になっているかというと、アメリカは州法になっているのですが、一定の仕入れ価格プラス小売の場合六%の利益を置く。卸の場合には二%置く。そして、それを割ってしまった場合には罰則をかけている。  こういうのは何なのかというと、先ほども申し上げたように、アメリカというのは異民族社会です。そういう中において規制を緩和すると、弱い者がいじめられる。それを救うというのは、アメリカのヤンキー精神というのは立派でして、きちんとやるのですよ。日本はほっぽり投げなんだ。  しかも、公正取引委員会は六人で、それで本日今話して何言っているかわかちないような答弁やっていたって、そんなこと言っていたって取り締まれない、やってもらわなきゃ。それなら一件ぐらい挙げろと僕は言っているのです、一罰百戒で。それならば、はっとみんな見るね。調査しているのか何しているのかわからない。警告したと言ったって、受けた方は、警告なんて受けていません、こう言うんだもの。こんなところへ経済の基本の法律独禁法体系、任せられない。  だから、マークアップ法をつくれ。国税庁通産省、一緒になって石油の関係についても検討しなさい。検討するかということを答弁を求めようか。ですが、それを言ってもちょっと無理だな。ひとつ公正取引委員会大蔵省通産省と、委員長、これはテークノートしてください。私はここで、公正取引委員会の運用というのは不満であります。そして、これはきちんとやっていかないと日本経済秩序はめちゃくちゃになります。この問題を提起させていただきます。  そして、公正取引委員会にもう一度申し上げます。酒については、過去一定期間の平均仕入れ価格を下回ってはならないというガイドラインを出しなさい。出せなかったら、出せないという理由を言いなさい。  それから、次に言います。公正取引委員会がこういうような状況だから、通産省、僕はこういうふうにしたらいいのじゃないかと思っております。ガソリンスタンドのところに電光掲示板か何かを置きまして、三十五円プラス六十円プラスアルファ、ガソリン価格。それを置きますと、あ、ここ見て安い、こんな安売りしてあったら大変なことになるというので業界が慎むと思う。公正取引委員会がやってくれないのだから、そのぐらいのことを通産省指導したらどうだ。  三つについてのいろいろなやり方があると思います。もう既に領収証については、出光系列あたりはいわば外税にして三本立ての表示などをやらせていると思いますが、堂々とやって、公正取引委員会は文句ないと思う。文句ないね。まず、それから聞きます。三十五円プラス六十円プラス何という表示は独禁法上何ら差し支えないと思うが、それについて公正取引委員会の見解を問う。
  28. 山田昭雄

    山田政府委員 まず、マークアップの話について一言御説明させていただきたいと思います。  アメリカの州法におきまして、公正取引法におきまして、仕入れ価格に一定の率をマークアップして、それを下回る価格ということを要件にしているものがございます。ただ、これも、競争者を排除したり、競争を制限する目的や意図を有する場合、これも要件になっておるということもつけ加えさせていただきたいと思います。  ただ、先生指摘のように、規制緩和された後において、不公正な取引方法とか優越的地位の乱用行為あるいは不当廉売といった不公正な取引方法を行っている行為に対して厳正に対処すべきである、こういうことにつきましては、そのとおりである、このように私ども考えておりまして、不当廉売につきましても、独占禁止法不当廉売に当たるものについては厳正、迅速に対処していこう、このように考えておるわけでございます。  また、透明性を確保しろという御指摘、前々からいただいておりますが、これにつきましても、措置をとったら申告者に対して直ちに通知するということ等を行っているわけでございます。  それと、もう一点のお尋ねでございますが、ガソリンスタンドの店頭において、仕入れ価格やこれにかかる税金等を明示させることが独禁法上問題にならないかということにつきましては、例えば、事業者価格の透明化を図るということを目的といたしまして、販売価格に含まれる税金金額あるいは販売価格の構成等を消費者に明示する、これが事業者において自主的に行われている限り、独禁法上問題になるものではございません。
  29. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 いい答弁がありました。独禁法上問題ないというから、通産省、よく検討してください。そして、公正取引委員会が六人ではどうしようもないのだから、あなた方の指導もやる。  それから、国税庁、あなたのところでも、今のことを踏まえて、過去においての仕入れ原価を下回ってはならないというようなことで、公正取引委員会も前向きの、間違えたら否定してください、前向きの答弁を、検討する、こり言っておったから、きちんとそれに応じてやらせてください。  以上の点について、公正取引委員会、いいですね。僕が申し上げた問題について、体制の問題も含めて、来年度、組織、人員確保の問題も含めて真剣に考えていただきたい。あなた方が、日本規制緩和をやったときの経済の、よくも悪くも、きちんと規制緩和できるかできないかを守ってくれる、そういう気持ちで本件の問題に向かっていただきたい。だめならば、アメリカに倣ってマークアップ法をつくりなさい。これは通産省の、あるいは全省を挙げて一つの仕事だろうと思っております。  それでは、残り時間は大臣に御質問させていただきます。  先ほど申し上げましたが、九二年の八月以来八回にわたりまして経済政策を打ち出されました。事業規模が約七十五兆円でございます。真水の額も二十七兆円に上りました。その経済対策でどれだけ雇用が創出されたのかということで民間の研究所でございますが、一つは、現在大臣中心になって進められている構造改革の問題、財政改革の問題、御苦労さまでございました。その中で、結局、公共工事の削減という問題が出ているわけであります。  その公共工事の削減だけれども、四つ例外があって、中心市街地の活性化の問題、拠点空港の問題、中枢・中核港湾の問題、それから高規格道路については特別なる優遇措置を講ずるということを配慮しながら、いずれにしても公共事業の削減という形になっている。これは今後、予算案、年末にかけて、またその実施において少なからず影響が出てくると私は思っているわけであります。  ということは、九二年の八月以来八回にわたって、本来なかったならばどれだけの失業が出たという計算をいたしますと、六十四万人程度の事業が、真水二十七兆円、それから事業規模七十五兆円のもので創出した、生まれた。大したものだと思うのですね、これだけは。六十四万人ですから。それで、六十四万人のうち、建設業が約三十八万人ある。半分以上です。  ですから、公共事業というのは、御承知のようにすぐに建設業で働いている人に、地方だと、地方の農家の人というのは働きに行くのですよ、道路などに。だから、道路だけをやっている建設業というのはいないのでして、その効果というのは──東京あたりで公共事業というのはもう要らないよというなら、要らないところにはもう予算なんてやらなければいいのですよ。地方なんというのは、私は東北の、片田舎ではありませんけれども、福島でございますが、そこではやはり道路だ何だというのは基本に必要なんです。港湾も必要なんでやっているんです。  そういう状況を見ていきますと、やはり減少するということは非常に大きな効果を地方経済に及ぼす。労働者に及ぼす。それは、建設の関係というのは、もう農業だけでやっている農家なんてないのですから、みんな働きに出ているのですから、そういう人たちの部門に影響いたしておると思いますが、こういうふうな考え方でやっていきますと、何か六十四、五万人が発生しているんじゃないか。九六年の失業率が三・四%。失業者数は二百二十五万人だとすると、もし潜在失業が出てきますと、失業率がずっと高まって、恐らく三百万ぐらいになってしまう、こういうことも考えなければいけない。  ですから、これは今後の経済運営の中で、経済企画庁長官としまして非常に御苦労の多い点だろうと思いますが、過去における経済対策と公共事業の問題と建設業とかそういうものについての雇用問題、このような問題についてどのように実態を把握しておられて、どのような対応をされるのか、そこら辺についての御見解をお伺いいたしたいと思います。
  30. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 先ほど御指摘にありました六十四万人という数字は、住友生命総合研究所だったと思いますが、あそこで出された数字を多分引用されているのだと思います。  今御指摘のありましたように、公共投資で約六十兆、六十一兆円プラス補正予算十五兆、合計の数字を今言われた、その数字を出させていただいた結果、景気の下支えとしては大変効果があったことは間違いないところだと思います。同時に、これは国だけの話でして、地方債が同様に多額の部分を公債で賄ったという結果、日本全体としては、よく言われる地方、国突っ込みで約五百兆の累積がこれだけたまったという数字になっております。  そこで、御存じのように、景気対策というのは基本的に三つでして、公共投資をふやす、金利を下げる、減税する、大体基本はこの三つで今までやってきたのです。その三つをかなり大幅にやらせていただいて、減税も十五兆、金利も公定歩合が〇・五%、もうこれ以上安くすると銀行に預けたら預かり賃を出せというようなことになるぐらいで、これ以上下げようがないぐらい下げましたので、とてもじゃない。  やる手口は全部、政府がこれまでやってきたいろいろな対策は、過去六年にわたって随分やらせていただいた結果が今の数字でありますので、おかげさまでその間、雇用をいろいろな意味で賄ったことは間違いありませんし、特に公共投資においては建設業関係で、六十四万人のうち約三十八万人は建設業と言われておりますので、そういった面からも非常に大きな効果があったのです。  同時に、同じ期間、九〇年から主に始まったのですが、冷戦が終わったこともあって一斉に世界が大きく動き始めて、それに伴って経済構造も変わったということで、日本としても経済構造の対応をしないと経済大国としての地位を失いかねないということで、今経済構造改革を積極的に進めさせていただいている。  最初の方に御質問のあった規制緩和等々もずっと出てきて、いろいろな意味規制緩和の方にも踏み込んで、随分いろいろ御批判があるのはよくよく承知をしておるところですけれども、経済構造改革をやらせていただいて、大店法でいけば、一年間平均、大店舗法のおかげで約四兆五千億ぐらいの新規需要が出た傍ら、今お話があったように、中小の小売店がつぶれた。そっちの方は同じように六千三百億ぐらい減少した。今申し上げたように、新しくふえたのは四兆五千、減りましたのは六千三百億、差し引き約三兆九千幾らのものがプラスとして出たという形になったとはいえ、減っている分がありますのはもう御存じのとおりでありまして、それが不当廉売のせいかどうかは別にして、かなりな部分減ってきているというのも事実です。  経済というのは生き物ですから、こっちがよければ全部が全部よくなるというわけではありませんが、トータルとして物価が安くなって、高コスト構造が是正されたりしていくのだとは思います。しかし、今申し上げたような結果、少しずつではありますけれども景気が回復の基調をとり始めておりますので、こういった機会に、公共投資等々がなくてもやっていけるような経済体制というものにさせていただかないと、なかなか国全体としての経済的な発展が難しいということになってきておるのだと思っております。  いずれにしても、さらなる財政出動というものをやりますと、短期的には今言ったような雇用の下支えになることは確かだと思いますが、中長期的に見ますと、財政構造がさらに悪化するというのは経済にとって非常にぐあいの悪いことになりますので、その意味では、安易に財政に頼らず、いろいろやっていかねばならぬところだと思っておりまして、ここらのところの扱いが最も難しいところだと思っておりますけれども、御指摘の点は十分に注意してやっていかねばならぬと思っております。
  31. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ちょっと中途ですので、河野先生に了解をとりまして、二、三分延ばしていただ、きます。  大臣、ありがとうございました。それで、私の見るところ、今日本の経済といりのは三極に分かれている。いいところがリストラを終わって上面にはい出して、電機関係中心に出ています。それから、水面下にいる証券とか金融関係とか、そういうのがあります。それで、この真ん中で浮いたり沈んだりしている部門というのが中小企業なんですね。中小企業の、毎年ずっと出てきているのを見ますと、対前年比マイナス二〇、三〇ですよ。もうこれは惨状ですよ。惨めな状況というのは、特に商業関係に出ておる。  私は先ほど中小の小売ガソリンスタンドとか酒屋とかというのをちょっと例にとりましたが、今もう猛烈に減って、小売店が今百五十万店ぐらいになってしまった。百六十三万ぐらいあったのですよ。今十万店ぐらい減っているのですよ。それで、これは恐らくさらに減りますね。農業みたいな格好になってきますね。そうすると、その十万店の、夫婦でいましても、それだけの人たちは出ていく、後継者問題もいろいろありますが。そういう面で、中小企業の問題というのは、特に地方において非常にまだいっていません。分極しています。  ですから、経済企画庁の見通しを見ますと何か非常に景気がいいような話が出ていますが、中小企業の部門は常にこの境を行ったり来たりしている、三極分化している現象ですので、その点について十分御配慮をお願いいたします。そして、先ほど申し上げたように、労働の関係のディレギュレーションに伴う、規制緩和に伴うミスマッチ、必ず過剰して、うまくいかないわけですから、これをひとつ経済企画庁、労働省とともに大きな政策として推進していただきたいとお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  本日は、ありがとうございました。
  32. 中村鋭一

    中村委員長 恐れ入りますが、委員におかれては、持ち時間の範囲内で質疑をお願い申し上げたいと思います。一時から本会議がございますので。  河野太郎君。
  33. 河野太郎

    ○河野(太)委員 遺伝子組み換え食品に関して、いろいろと御質問をさせていただきたいと思います。  遺伝子組み換え食品に関していろいろな話が飛び交っておりますが、最近のメディアの報道を見ておりますと、どうも事実と違うことを使ってやたら不安をあおる、そういう報道が随分目につくような気もいたします。必ずしもこれが一〇〇%安全かどうかということは私もなかなか確信が持てないのが現状でございますが、さりとてこれを最初から絶対にいかぬというようなセンセーショナルな報道の仕方もいかがなものかと思っております。  事態がこういうふうになっておりますから、まずやらなければいけないことは、この問題に関する情報の提供をきちんと行って、消費者の皆様に、これは一体どういうものでどういうことなんだという事実を知っていただいて、御判断をいただくというのが一番正しい道ではないか。むやみに事実を隠す必要もありませんし、間違ったことがあればそれを正すという必要もあるのだと思います。  そこで、まず厚生省、農水省にお伺いをさせていただきますが、遺伝子組み換え食品に関する情報公開が今どのように行われているのか。例えば、厚生省ですと食品衛生調査会その他でこの問題を取り扱っておりますし、農水省は表示問題懇談会等の部会もございますが、そういった審議会等を含めて今情報公開をどのように行っているのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  34. 堺宣道

    ○堺説明員 遺伝子組み換え食品の安全性評価の確認につきましては、食品衛生調査会で専門家によって科学的な審議が行われているわけでございますが、消費者等の間で遺伝子組み換え食品の安全性に関する漠然とした不安があることから、今後とも情報提供、遺伝子組み換え食品の安全性評価に係る情報提供に努めていく必要があるというふうに考えております。  そこで、遺伝子組み換えの安全性評価に関する情報公開についてでございますが、これまでに、食品衛生調査会の審議の内容の公開、遺伝子組み換え食品の安全性評価に係る申請書の一般公開を行っているところでございます。  遺伝子組み換えについては、遺伝子組み換え技術が高度な先端技術であり、食品分野への応用経験が少ないということから、これらについての消費者の不安を解消するため、こうした情報公開のほか、食品の安全性評価に関する具体的内容等を紹介したQアンドAを厚生省のインターネットに掲載することによって情報提供を行うということも現在予定しております。  以上です。
  35. 村上秀徳

    ○村上説明員 食品の表示の関係につきまして、現在、食品表示問題懇談会で御検討いただいているところでございます。  この問題については、国民の関心が非常に強いということで、できるだけオープンな形で御審議いただくという考えのもとに、先般開かれました第一回目の懇談会におきまして、会議の公開等について事務方から御提案を申し上げました。その結果、審議会において御議論をいただきまして、公開することによって審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合などを除きまして、原則として会議は公開で行うということ、それから議事録についても公開するということで御決定いただいた次第でございます。  その他コーデックスの関係資料等、できるだけ公開をしていくということで臨んでいるところでございます。
  36. 河野太郎

    ○河野(太)委員 厚生省にお伺いをさせていただきますが、食品衛生調査会の審議の議事録はどのように公開をされているのか。それから、申請書が一般公開されているという御発言がございましたが、一般公開というのはどのようなものなのかを教えていただきたいと思います。
  37. 堺宣道

    ○堺説明員 まず、審議会の公開についてでございますが、ことしの六月からは議事録の公開あるいは原則として議事の公開ということにしておりまして、それ以前は議事要旨の公開ということでございました。  また、資料の公開についてどのような形でということでございますが、この確認申請書というものは、閲覧という形で公開してございます。  以上でございます。
  38. 河野太郎

    ○河野(太)委員 閲覧というのは、どういう場所で、どういう時間帯で閲覧ができるのか。また、その際、かなり大部な資料だと思いますが、コピーはどのように許可されるのか。それから議事録の公開で発言者の氏名等もきちんと公開されるのか。そのあたりを厚生省にお伺いさせていただきます。
  39. 堺宣道

    ○堺説明員 まず、資料、申請書の公開についてでございますが、現在、社団法人日本食品衛生協会におきまして、月水金、週三回閲覧に供しておるということでございます。  それから、議事録について発言者の氏名ということですが、氏名についても議事録については公開していくということでございます。  コピーにつきましては、食品衛生調査会において科学的な審議に必要となる資料が申請者から出されているわけですけれども、申請者等の知的所有権の観点から、これらの資料については閲覧のみの扱いということにしてございます。  以上でございます。
  40. 河野太郎

    ○河野(太)委員 厚生省、情報公開が大事だという御発言の後に、非常に限られた場所で、限られた時間帯で、しかもコピーもとらせない。これが何の情報公開なんだ。閲覧だって、手書きで物を持っていけば全部写し取ろうと思えばできるわけですから、全く言っていることが筋が通らないのではないかと思います。  きちんとした形で電子情報にして、これを電子的に広める。インターネット等に乗せれば、北は北海道から南は沖縄までの人が好きな時間帯にアクセスすることができるわけですから、そういう措置がとられて当然だと思います。食品衛生協会というのが別に北海道から沖縄まであるわけではありませんから、沖縄の人がこれを見たいと思っても見ることができない。  これが一体全体何の情報公開なんだ。厚生省の今の方針は非常におかしい。こんなことをやっていて、これは安全なんですとか情報公開が大事ですと言っているのは全く筋が通らない話で、厚生省は一体何を考えてこういうことをやっているのか、非常に疑問に思います。  この問題は後でまた戻ることにいたしまして、食品衛生調査会が適合確認を、昨年の八月二十六日に七品種、本年の三月十四日に八品種行いました。品種という報道がなされておりますが、実はこれは品種ではなくて系統とでもいうべきものではないかと思いますが、ここで適合確認を受けたものがその他のものと交雑、交配を行われたものについても、これは認められているということなのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
  41. 堺宣道

    ○堺説明員 まず、系統という話でございましたが、現在、食品衛生調査会が適合確認を行っておりますのは、申請者から申請された品種の申請された系統についてでございます。  組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針におきましては、「組換えDNA技術応用食品・食品添加物を製造又は輸入しようとする者又は必要と認められる者は、その安全性の確保を期するため、当該生産物が本指針に適合していることの確認を厚生大臣に求めることができる。」とされておりまして、現状におきましては、適合確認を行ったものと他を交雑しているものについても同様の扱いとされているところでございますが、適合確認を行ったものと他を交雑したものの取り扱いにつきましては、現在、食品衛生調査会でさらに科学的な検討を進めているというところでございます。
  42. 河野太郎

    ○河野(太)委員 例えばアグレボという会社が開発をした遺伝子組み換えが行われたカノーラというものがございます。このカノーラは、特定の遺伝子を組み換えた後、十二世代にわたって遺伝子組み換えを行われていないもとのカノーラと交配を行って、十二世代目のものが申請をされて安全確認を受けているわけでございます。  ところが、この十二世代目のものがほかのものと交雑されても認められるということであると、十三世代目のカノーラというものは十二世代目のカノーラと遺伝子が半分しか一緒ではない、そういったものができるわけです。その十三世代目のものもいいよということになりますと、十二世代目のもの、十二世代目のもの、それから安全確認を受ける前の十一世代目のものがもし何らかの理由で流出した場合に、これは十二世代目で、これは十三世代目で、これは十一世代目だというのを判別するのが非常に困難だと思いますが、そのあたりはどのように確認をされるのでしょうか。
  43. 堺宣道

    ○堺説明員 現在、適合確認を行ったというものは、今の委員のお話でございますと十二世代のものというものに限ってということでございます。
  44. 河野太郎

    ○河野(太)委員 そうすると、十三世代目のものについては、今認められていないということでよろしいのでしょうか。
  45. 堺宣道

    ○堺説明員 十三世代目のものというものは適合確認は行われておりません。
  46. 河野太郎

    ○河野(太)委員 日本でこうしたものを扱っております企業の説明によりますと、十二世代目のものが適合確認を受けると、これが交配されたものはすべて認められている、そういう説明が今行われております。もしそれが正しくないのであれば、それを正すような指導を厚生省が何らかの形で行っていく必要があると思いますので、これは早急に行っていただきたいと思います。  アメリカでは、例えばトウモロコシの遺伝子組み換え作物のようなものが認可をされておりますが、こうしたものを使ってつくられたコーンスターチあるいはコーンシロップあるいは異性糖というものが輸入されているのではないかという懸念がございますが、遺伝子組み換え作物からつくられだこうした加工物が輸入されているのかどうか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  47. 荒木喜一郎

    ○荒木説明員 御質問の物品でございますけれども、輸入統計等によりますと、コーンスターチにつきまして平成八年に百七十九トン輸入されておる程度でございますけれども、我が国で生産されております御指摘のコーンスターチ、異性化糖などの原料のほとんどは外国産のトウモロコシでございます。これらの輸入物につきまして、遺伝子組み換えのものが含まれているか否かにつきましては、当省としては把握していないところでございます。  以上でございます。
  48. 河野太郎

    ○河野(太)委員 遺伝子組み換え作物については調査会を開いて適合確認を行いますが、コーンスターチ、コーンシロップ、異性糖その他については全くそうした確認が行われずに、輸入されているのか輸入されていないかもわからないという事態は、少しおかしいのではないかと思いますが、政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  49. 荒木喜一郎

    ○荒木説明員 現在生産されております遺伝子組み換え農産物につきましては、食品としての安全性、環境に対する影響評価等所要の確認を経ているものと聞いておるところでございます。
  50. 河野太郎

    ○河野(太)委員 それでは、日本でまだ安全性の適合確認が行われていないトウモロコシを使ったコーンスターチが日本に輸入されてもわからないということなのでしょうか。
  51. 荒木喜一郎

    ○荒木説明員 農林水産省といたしましては、確認することは困難であるというふうに考えております。
  52. 河野太郎

    ○河野(太)委員 厚生省はこの問題についてどうお考えでしょうか。
  53. 堺宣道

    ○堺説明員 厚生省も同様でございます。
  54. 河野太郎

    ○河野(太)委員 そうしますと、厚生省がもっともらしく安全の適合確認等を行っておりますが、そうしたものを受けなくとも、アメリカあるいはカナダのコーンスターチ、コーンシロップその他にして輸入をしてしまうということは、いつの段階でもできるということでしょうか。そうすると、その安全の適合確認というのは一体何のために行われているのでしょうか。
  55. 堺宣道

    ○堺説明員 日本に入ってくる可能性があるというものについては申請をしていただいているというふうに考えておりますが、これはあくまでも法的規制ではないわけでございます。  以上でございます。
  56. 河野太郎

    ○河野(太)委員 厚生省は、遺伝子組み換え食品に関するいろいろな説明をするときに、少なくとも安全性に関しては厚生省のガイドラインにのっとってやっているんだという説明を消費者に対してやられておりますが、実情は、やっていないものも入っているのではないか。それは、企業が良心的であれば適合確認をやっているかもしれないけれども、全く日本でそういうことをやらずにやっているものがどんどん入ってきているのではないでしょうか。  事実、ビールメーカーあるいは飲料メーカーと話をしますと、そこはビールメーカーもよくわからないし、飲料メーカーに至っては、いや、これはやっていると言えば大変なことになるから、口をつぐんでひたすら下を向いて寝ていますというような話をされるところもあります。そうすると、厚生省は、遺伝子組み換え食品が安全ですよという説明をするときに、これは少なくとも厚生省の安全性のガイドラインに沿っていると言っていますが、沿っていないものもあるわけです。  そうすると、これに対する安全の説明は、厚生省の説明ではおかしいのではないでしょうか。
  57. 堺宣道

    ○堺説明員 その点につきましては、やはり国と国との信頼関係に基づいているものというふうに思っております。
  58. 河野太郎

    ○河野(太)委員 アメリカもカナダも、別にこれは国がつくっているトウモロコシでもなければ、国がつくっている菜種でも大豆でも何でもないわけです。利益を追求する企業がつくったもので、国と国との信頼関係と、企業がつくっている大豆とトウモロコシとどういう関係があるのか、今の御答弁、もう少し突っ込んでお伺いしたいと思います。
  59. 中村鋭一

    中村委員長 質問に対しては的確な御答弁をお願いいたします。
  60. 堺宣道

    ○堺説明員 まず、食品の安全性の確保というものは、第一義的に製造または輸入する者がみずからの責任において行うものということでございます。これは遺伝子組み換え食品についても同様でございまして、ただ、遺伝子組み換え技術が高度な先端技術であるので、厚生省としては、安全性評価指針によりまして、企業において安全性評価が適切に行われているかどうかについて確認しているところでございます。  また、国と国との信頼関係ということでございますが、私どもは、指針を調査会で作成した、あるいはこういうことでやっていくというのは、逐次、日本にある大使館の方々に集まっていただきまして、そこでそのような説明をし、日本にはこういうようなことがあるので、それに沿った形でお願いしたいということを十分お願いしているというのが現状でございます。
  61. 河野太郎

    ○河野(太)委員 何か、お願いをしているということはわかりましたが、要するに、厚生省は格好をつけて適合試験をやっておりますが、やっていないものについてはよくわからぬけれども、輸入者が安全だと言っているのだから安全だろう、そういうことのようにどうも聞こえます。  その辺は、もうこれ以上聞いてもお答えが出てこないでしょうから、ここは問題があるということを記録するにとどめて、それでは、少し具体的に、例えばお隣の中国で遺伝子組み換え作物がどの程度作付されているのか教えていただきたいと思います。
  62. 坂野雅敏

    ○坂野説明員 我が国におきまして食用として認可されています遺伝子組み換え作物としては、現在、大豆、菜種、バレイショ、トウモロコシがございますが、それぞれ、中国における作付面積でございますが、平成七年でございますけれども、大豆は八百十三万ヘクタール、菜種は六百九十万ヘクタール、バレイショ三百四十三万ヘクタール、トウモロコシ二千二百八十五万ヘクタールでございます。しかしながら、このうち、遺伝子組み換え作物がどの程度作付されているかについては承知しておりません。
  63. 河野太郎

    ○河野(太)委員 中国で、この遺伝子組み換え作物が安全かどうかという確認は、中国政府のどの部門がどのようなガイドラインでやっているのでしょうか。
  64. 堺宣道

    ○堺説明員 中国における遺伝子組み換え食品の具体的な安全性評価方法について、詳細は承知しておりません。在外公館等を通じて情報収集に努めていきたいというふうに考えております。
  65. 河野太郎

    ○河野(太)委員 そうしますと、中国で遺伝子組み換えが開発されて、安全の適合検査が日本の方式で行われていない食品が日本に入ってきているということがあり得るのではないでしょうか。  先ほどの御説明では、日本が認めている大豆、菜種、バレイショ、トウモロコシの作付面積と、それについて遺伝子組み換えをどの程度やっているかはわからないということでございましたが、それ以外にも、中国が独自に遺伝子組み換えの技術を用いた作物を使って、それを日本に輸出をしている、それで日本消費者がそれを買って食べている、そういうことが現に起こっている可能性があるのではないでしょうか。
  66. 任田耕一

    任田説明員 中国における遺伝子組み換え農産物の開発状況、詳細は不明でございますすれども、国際会合などにおいて研究者の方から伺うと、綿であるとか、たばこ、こうったものにつおいて試験栽培が行われているレベルというふうに聞いております。これが実用化されて、日本に輸入されたという事実は承知してございません。  いずれにしても、中国の組み換え作物に対する関心の高まり、こういったことは、厚生省と同様に情報の収集に努めたいと思っております。
  67. 河野太郎

    ○河野(太)委員 外資系の企業で遺伝子組み換えをやっている企業に、個人名を出していいかどうか御了解をいただいていませんから個人名は出しませんが、中国へ行かれると、試験的に作付をやっているとはいうものの、作付面積から考えてとても試験的なものではないだろう、これはもう実際に、ある程度実用的と申しますか、現実に作付をして、食べているあるいは輸出をしていると考えなければならないほどの広さの面積でこうしたことが行われているというようなことをおっしゃっておりました。  中国だけに限らず、この技術を用いた遺伝子組み換え作物、遺伝子組み換え技術を用いてつくられた作物が、全くそうとは知らされずに日本に輸入されて、日本消費者が食べているということがあるのではないかと思います。現在のように、わざわざ申請をしてきたところの安全の適合基準だけを確認して、それについては安全だと言いながらも、全くそういう申請がなく、諸外国でつくられ、諸外国から輸出されてきたものについては、安全かどうかもわからずに食べているということが現実的にあるのではないか、かなり高い確率であるのではないかと私は思います。  例えば、遺伝子組み換えを認めたトウモロコシを、一品種でも遺伝子組み換えを認めたものについては、どこの国から輸入されたものか、きちんと原産地を表示して販売をする。そのようなルールを仮につくったとすれば、消費者の方は、この国は遺伝子組み換え食品に対する安全基準がないのだから、ひょっとしてそういうものかもしれないから食べるのをやめようとか、この国は一応安全のガイドラインがきちんとしているそうだから、そういうのがまざっているかもしれないけれども、まあ安全だろうとか、そういう判断の基準になるのではないかと思いますが、これはまだまだ一例で、案の段階でございますが、例えば、仮にそういう表示をするとどういうことになりますでしょうか。
  68. 村上秀徳

    ○村上説明員 原産地表示ということでございますけれども、現在、一つの手法としまして、JAS法に基づく品質表示基準制度がございまして、一部の野菜についてこれを実施しているところでございます。今先生指摘になりました遺伝子組み換えの作物についてということでございますが、単に遺伝子組み換えを行ったか否かということ自身は、直ちに品質に結びつくものではないということでございますので、この表示基準制度は、農林物資の品質に関する表示の適正化ということでございますので、遺伝子組み換えということを根拠に原産地表示を義務づけるというようなことは難しいのではないかと思っております。
  69. 河野太郎

    ○河野(太)委員 表示というのは、厚生省なり農林省が安全だと思っていても、消費者は本当かどうか疑っている部分がございます。安全を確認する表示、それと安心のための表示というのは別物ではないかと思います。特に、今の現状では、厚生省が安全だと言ったものはすべからく全部危ないというのが常識になりつつありますので、しかも、今の厚生省の話を聞いていると、その厚生省の安全のガイドラインにも全くひっかかっていないものが出回っている可能性があって、それについても安全だとどのようにして言えるのかは、私は非常に疑問でございます。  こういう状況であれば、少なくとも、できるだけの情報消費者に出すことを考えていく。とはいうものの、その一方で、遺伝子組み換え作物というのが急速に普及をしているわけでございますから、そこの現実的な方法、コストその他を折り合って、どうするのが一番いいのかというのを考えていかなければいけないのではないかと思いますが、先ほどからの厚生省、農水省の答弁を聞いておりますと、全くそういう意思が見られないように思います。  事ここに至りましては、立法府である国会が何らかのきちんとした情報を収集して、まず、そういう基礎的な情報消費者に提供するところからスタートし、どういう方法がとれるのかを立法府が先頭に立って議論していくということをやらなければいけないのではないかと思います。急速に遺伝子組み換え食品が普及をし、アメリカ、カナダの作付面積は前年度の数倍になっているということもございますので、この問題については一刻を争うと言っても言い過ぎではないと思います。行政府がこのような態度をとっている以上、立法府が何らかのアクションをとらなければいけないのではないかと思います。  最初の質問に戻りますが、情報を公開するのに当たって、企業秘密といいますか知的所有権の問題があるのでコピーはできないというような話もございましたが、そういった部分も、閲覧されているのであれば、手で写す、あるいはテープレコーダーを持ち込んで読み上げる、方法はいろいろなやり方があるわけでございます。  閲覧を認めておきながら複写は認めない、あるいは場所と時間をこれほどまでに限定しなければならない理由が、知的所有権の保護ということでは成り立たないと思いますが、厚生省は、こういう事態であることにかんがみまして、電子的な情報を電子的に開示をする、あるいはそれが準備できるまでの間コピーを認める、あるいは開示の時間をふやす、開示の日数をふやす、そういった手段をとるべきだと思いますが、厚生省のお考えを伺わせていただきたいと思います。
  70. 堺宣道

    ○堺説明員 情報公開についてでございますが、特に、企業からの申請された資料ということにつきましては、先ほども申し上げましたように、情報等の財産権あるいは企業秘密にかかわる情報というのも入っている可能性があるわけでございまして、コピーの流用によって当該企業に不測の不利益が生じ得るというようなことを考えまして、閲覧ということ、それから閲覧に当たっても資料の公開の相手を確認しながら行っているということをやっているわけでございます。  ただ、閲覧ということも、以前は週二回ということを週三回というふうにふやしてまいりました。そういうような努力も続けてまいりたいというふうに思っております。
  71. 河野太郎

    ○河野(太)委員 本当に企業秘密が目の前にあれば、お金になるものであれば、百人、二百人と動員をしてそれを閲覧して、覚えてきたものを書き写す、その他いろいろな手段がございます。本当に企業秘密が含まれている、あるいは知的所有権の問題があるならば閲覧できないことになると思いますが、閲覧をしている以上、そういう事態はないのではないか。本当に知的所有権が盗まれるおそれがあるのならば、こういう閲覧の仕方をすれば、企業から何らかのアクションがあって、それを差しとめる、そうした訴訟等があってしかるべきだと思いますが、そうした事実があるのでしょうか。もしなければ、それは厚生省の考え過ぎだと思います。  それから、その週二日を週三日にふやしたというのを努力と称するのは、かなり一般国民の認識と行政の認識が違うと言わざるを得ませんが、例えばどこかの団体が、ではそれを電子化するのを手伝うよ、あるいは何らかのそういう申し出があった場合に、むしろそういうものを厚生省はうまく利用をして情報公開を進めていくべきだと思いますが、どの部分が一体企業秘密になるのか、そこをまず教えていただきたい。  それから、企業秘密に当たるところが閲覧をされているのであれば、もう既にそれは盗まれていると考えざるを得ないと思いますが、いまだにそうしたことに固執をするのは、それ以外に何かわけがあるとしか考えられません。一体何があるのか、厚生省にもう少しただしたいと思います。
  72. 中村鋭一

    中村委員長 質問に対してきちっと答えてください。
  73. 堺宣道

    ○堺説明員 企業から出されました資料についてでございますけれども、閲覧というふうにしておりますのも、企業の了解を得て閲覧というふうにしてあるわけでございます。
  74. 河野太郎

    ○河野(太)委員 企業が許可をしているならば、複写をしても、閲覧の方法をもっと情報公開ができる方法にしてもいいと思いますが、企業の許可があるにもかかわらず厚生省が情報公開を制限しているのは、いかなる理由からでしょうか。
  75. 堺宣道

    ○堺説明員 言葉不足で申しわけございません。企業の閲覧というのは、企業が、閲覧まではいい、コピーは困るということでございます。
  76. 河野太郎

    ○河野(太)委員 閲覧をしている以上、先ほど私が申し上げた方法で既にコピーが行われていると思いますが、いかがでしょうか。
  77. 堺宣道

    ○堺説明員 原則閲覧ということで、閲覧ということでございますが、コピーをとっていいかどうかというのは、個別に企業に聞いていただいているということでやっております。
  78. 河野太郎

    ○河野(太)委員 話が二転三転しておりますが、コピーをとっていいという企業があるのでしょうか。また、閲覧ならいいと言っているにもかかわらず週に三日しか認めていないというのは一体どういうわけなのか、そのあたりも教えていただきたいと思います。
  79. 堺宣道

    ○堺説明員 現在のところ、企業がコピーをしていいというふうな話は聞いておりません。
  80. 河野太郎

    ○河野(太)委員 週三日の理由は。
  81. 堺宣道

    ○堺説明員 週三日の理由というのは、あくまでもそれを閲覧をさせる場所の問題と、それから予算の問題その二点でございます。
  82. 河野太郎

    ○河野(太)委員 厚生省の今の答弁には納得がいきません。本委員会で、申請をした企業情報公開をどの程度認めるのか確認をした上で、立法府がその情報を入手して可能な限り公開をすべきだと思います。後の理事会等でお諮りをいただきたいと思います。  少し時間が足りなくなってまいりましたが、いろいろな企業あるいは流通業者その他とこの問題で話をしますと、独自の表示をやろうとすると圧力がかかります、そういう発言をされる方がいらっしゃいます。名前を挙げるとまた圧力がかかってしまうかもしれませんので、きょうは差し控えたいと思いますが、厚生省、農水省が、遺伝子組み換え食品に関する表示について具体的にメーカーあるいは商社、流通業者に対して何らかの指導をしたことがこれまでにありますでしょうか。
  83. 堺宣道

    ○堺説明員 厚生省といたしましては、表示の義務というのは課さない、難しいということを言っておりますが、あとは企業の御判断でということを言っておりまして、特に圧力をかけたとか、そういうことは一切ございません。
  84. 村上秀徳

    ○村上説明員 遺伝子組み換え食品の表示の問題について、いろいろ問い合わせなりあるいは説明をしてほしいというような要請はいろいろなところからございまして、積極的に内外の動向について御説明をするというようなことはしております。ただ、表示について、おっしゃったような指導をしたという事実関係は承知しておりません。
  85. 河野太郎

    ○河野(太)委員 先ほどのコーンスターチを使っている飲料メーカー、ビールメーカーその他から、遺伝子組み換え食品に関しては、もう十数年前、こうしたものが可能であるということがわかった段階で、この問題を消費者にどう受け入れていただくのか、パブリックアクセプタンスといいますか、どう消費者に納得してもらうのか、そこが非常に難しいのだという話があって、行政ともその件について十年程度前から話をしていた。しかし、結局オープンになって、こういう状態が引き起こされてしまったということがありました。  この十年間、あるいは遺伝子組み換え食品が可能であるということがわかってから今日まで、行政はこのPAに関して一体どういうことをやろうとしていたのか、あるいはやってきたのか、なぜそれが失敗をしてしまったのか。質疑時間がなくなりましたので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  86. 堺宣道

    ○堺説明員 遺伝子組み換え食品の安全性に関するパブリックアクセプタンスということにつきましては、組換えDNA技術応用食品の安全性評価指針を改定する際に、バイオテクノロジー部会から平成七年十月に出された報告書を消費者団体等に送付いたしまして、国内外からのコメントも考慮して、調査会で専門的に御審議いただいて、平成八年二月に改定しております。  また、指針改定に当たって参考とした平成五年度の安全性評価に関する研究最終報告につきましても、中間報告を関連学会、関連業界団体、消費者団体等に送付して、これらのコメントも含めて協議し、最終報告を取りまとめたものでございます。  また、これまでに、遺伝子組み換え食品の安全性評価に係る申請書の一般公開を行っているところでございますけれども、五月十三日の食品衛生調査会答申における「情報提供のあり方について政府として検討すべきとの意見」を踏まえまして、遺伝子組み換え食品の安全性評価に関する具体的内容を紹介したQアンドAを厚生省のインターネットに掲載する予定にしております。  さらに、食品衛生行政説明会というものを開催いたしまして、遺伝子組み換え食品の安全性評価の考え方等につきまして消費者の理解を得るように努めているというところでございます。
  87. 村上秀徳

    ○村上説明員 農林水産省では、遺伝子組み換え技術を含めまして、バイテク全般につきまして、パブリックアクセプタンスのためのいろいろな事業を実施しているところでございます。御案内かもしれませんが、「組換え農作物早わかりQ&A」というような冊子をつくったり、それから遺伝子組み換え技術についてのセミナー、研修会等々を実施しているところでございます。  それから、このようないろいろな情報につきましてホームページを作成して、一般に情報提供をしているということでございます。
  88. 河野太郎

    ○河野(太)委員 時間がなくなりましたので、少し超過したことをおわび申し上げるとともに、どうもこの問題に関しまして、特に厚生省の情報公開を拒む姿勢というのが大変顕著だと思います。行政に任せるのではなくて、立法府が少し主導権をとって、この問題をもう少し消費者にわかりやすい説明をする、そういう作業をすることが必要であると思います。  委員長理事の皆様には、その方策について御審議いただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  89. 中村鋭一

    中村委員長 河野委員指摘の件につきましては、理事会等を通じまして、後刻協議をいたしたいと思います。  青山二三さん。
  90. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  きょうは、消費者保護の法整備ということについて質問をしたいと思います。  最近、クレジットカードの使い過ぎや消費者金融などからの借り入れで債務がかさみまして、多額の借金を抱えて返済ができなくなり、自己破産するケースが激増していると聞いております。各地方裁判所への申し立ては、昨年十二月では五千八百七十九件に達しまして、一カ月の申し立て件数としては過去三年間で最悪の数字となり、個人の自己破産が史上最悪のペースで激増いたしております。そして、九六年一年間の個人破産の申し立ては五万六千四百九十四件となり、前年より三〇・一%もふえて、過去最悪となっております。  これらは必ずしも消費者金融によるものばかりではないと思いますけれども、消費者金融業者の設置している無人契約機での多額の借り入れによる破産がさらにふえてくるのではないかと懸念されております。マスコミの報道によりますと、破産予備軍が何と百万人もいるということでございます。  そこで、消費者金融に絡むトラブル、相談などの実態や最近の傾向についてお伺いをしたいと思います。
  91. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えをいたします。  国民生活センターでは、消費生活に関する消費者からの相談等々に直接対応するとともに、各地の消費生活センターに寄せられる相談情報というものを集めております。  これによりますと、銀行、保険、証券というものを除きまして、それ以外のサラリーマン金融でございますとかあるいはクレジット会社等の金融機関に対する全国の苦情、相談件数というのは、平成四年度約一万件、五年度は九千件、六年度も約九千件、七年度は一万一千件、八年度は一万七千件というふうになっております。  この苦情、相談の内容でございますけれども、多額な借金をしてしまった、その返済に非常に困っておるけれども、どうしたらいいかというふうなお話でありますとか、あるいは自己破産をしたいのだけれども自己破産の方法はどういったものかとか、あるいは多重債務の対応方法、あるいはまた、そういう状態につけ込んで、借金を整理してあげるといういわゆる整理屋さんというのがやってきまして、そういう人たちにだまされた、あるいはそういう人たちを信用していいのかどうかというふうな中身になっております。  以上でございます。
  92. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変相談が激増しているということが御答弁でわかるわけでございます。  そして、自己破産。そういう借金が返せなくなって、自己破産の多くは、住宅ローン返済の行き詰まりのケースと、さらにクレジットカードや消費者金融の乱用による破産であると言われております。こうした借金返済のためにまた借金を繰り返す、その結果が雪だるま式にふえていくという多重債務の急増は、昭和五十年代のサラ金苦以上に深刻だとも言われております。  しかしながら、自己破産という制度を知らずに、夜逃げをしたり、また自殺をしたり、多重債務で苦しんでいる人が数多くいると聞いております。返済が行き詰まったときは、だれでも破産法により裁判所に申し立てができるという自己破産の手続があるわけでございますが、この破産法が改正され、自己破産の手続がより厳しくなるのではないか、こんな心配も聞かれるわけでございますが、きょうは法務省さんにお見えいただいていると思いますけれども、法務省としては破産法の改正をすることを検討しているのでしょうか、お伺いをいたします。
  93. 柳田幸三

    ○柳田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員からも御紹介ございましたように、消費者の自己破産申し立て事件というのが増加をしております。  破産手続を規律する破産法は、大正十一年に制定された後におきましては、手続の全般にわたる見直しがされないまま現在に至っておりまして、現代の社会の状況に適合しないものとなっているという指摘もされているところでございます。  こういった状況を受けまして、昨年十月に、法務大臣の諮問機関である法制審議会に新しい部会としまして倒産法部会が設けられまして、倒産法全体について見直し作業を開始したところでございます。これを受けまして、昨年の十一月に、法務省が組織した倒産法研究会が発足をいたしまして、これまでに十二回の会合を開きまして、倒産法制の基本的な枠組みのあり方、現行の倒産手続の現状と問題点のほか、御指摘消費者を対象とした破産手続につきましても種々の観点から検討を行っているところでございます。  この倒産法制の見直しに当たりましては、論点が非常に多岐にわたっておりまして、各界の意見を十分聞きながら幅広く議論をしていく必要があると考えているところでございます。
  94. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいま御質問いたしましたのは、破産法の手続が厳しくなるのではないか、そういう質問がありますので、どうなのかというところなんですが、そのあたりの御答弁がなかったと思いますので、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
  95. 柳田幸三

    ○柳田政府委員 倒産法制の見直しにつきましては、さまざまな立場からさまざまな意見があるところでございます。  消費者破産の問題につきましても、例えば免責の問題などをめぐりましては、免責をもっと緩やかに認めていいのではないかという意見がある一方で、いいかげんな債務者が免責を受けることがないようにすべきであるということで、もう少し厳格にすべきであるというような議論もございまして、さまざまな意見があるところでございます。  現在、そういった種々の意見を踏まえながら、今後また十分関係各界の意見も聞きながら、この改正作業を行おうというふうに考えているところでございます。
  96. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、消費者を保護するという立場でしっかり検討していただきたいと思います。  多重債務を生む原因を考えましたときに、銀行や消費者金融会社、クレジット会社など貸し手側の安易な誘導、またそれを助長させる貸付責任も大きな問題があるのではないか、このように思っております。  そして、無人契約機の急速な普及に歩調を合わせるかのように、個人の自己破産が史上最悪のペースで増加していることを考えますと、無人契約機による無差別に近いと思われるカードの発行が、支払い能力を失った消費者へのさらなる借り入れをあおり、多重債務へと追い込んでいると考えられるわけでございます。  経企庁といたしましては、この多重債務を生む原因についてはどのように分析をされておられますでしょうか。
  97. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答え申し上げます。  国民生活センター等に寄せられる相談内容というものから判断をいたしますと、一つは、返済能力を超えた住宅や車のローンの設定をするというふうなところに一つの原因がありまして、それから多重債務に移っていく。それから二番目のカテゴリーといたしましては、遊興費にお金をどんどんつぎ込んでしまって、そのためのローンが重なってしまうというふうな問題。三つ目のカテゴリーといたしましては、連帯保証人として債務などの返済に署名をしてしまったというふうなことで、そのための返済に借り入れを行ってしまった。そんなふうなことが原因の幾つかとして見受けられるところでございます。
  98. 青山二三

    ○青山(二)委員 いろいろな原因があるわけでございますが、この無人契約機についてもう少しお聞きしてみたいと思います。  消費者金融各社は、例えば「¥enむすび」これは武富士でございます。「むじんくん」これはアコム。「いらっしゃいましーん」プロミス。「お自動さん」アイフル。「ひとりででき太」レイク。こんなふうに命名されておりまして、無人契約機は現在全国に三千もあると言われております。  この無人契約機は、安易に利用できるために、過剰融資を加速させ、多重債務を助長させるのではないか、こういう意見がありまして、無人契約機の排除を求める声が強くあるにもかかわらず、高利でお金を貸す機械が無人でフル活動いたしております。そして、そのCMについても何の規制もないのが現在でございます。  従来はひっそりと商売をしていた貸金業者が、繁華街の一等地で堂々と経営している社会というのはどこか異常ではないか、こんなふうに思うわけでございます。  大臣は、こうした無人契約機がはんらんしている日本の現状をどのようにごらんになっておられますでしょうか。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  99. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 いわゆる「むじんくん」という名前でよく使われますけれども、この無人契約機というものの登場によって、利便性が向上し、サービスがよくなったという点は確かに事実だと思いますが、今先生が御指摘のように、多重債務を含めて、いろいろ新しい問題が出てきておるということは承知をいたしておるところであります。  先生、これは難しいところで、一番問題なのは、借りて返さないやつが一番悪いわけですから、これは借りたらちゃんと金を払ってもらわないかぬ、かつ利息はつけて払わさないかぬというのが社会の常識なんですが、基本的には何となくそこらのところが、そういう常識が少し欠けておられる点に一番の問題があるとは思います。  ただ、昔に比べて、自分なりの経験から言わしていただければ、昔、大学ぐらいでしたか、予定外の人にばったり会って、どうしてもこっちがごちそうせないかぬところになって、金がないので、銀座で、おやじからもらっていた時計を質に入れて当時三千円借りた記憶があるんです。  当時おでこに千円張ったら銀座で飲める時代でしたので、三千円というのは結構なお金だったと記憶しますが、あれは「むじんくん」があったらあの時計うまくいったのになといろいろなことを、今お話を伺いながらそう思っていたんですけれども、いずれにしても、こういったものが、CMの話をしておられましたけれども、こういうのを含めて、何となく必要以上に借りた方が得みたいな話であおられるようなのはいかがなものかと思っておるところです。  いずれにいたしましても、これは与信業務という言葉が、法律用語で与信業務なんですが、与信業務が適正に運用されるに当たりましては、これは警察に限らずいろいろ各関係省庁が一生懸命取り組んでおられるところですし、私ども消費者センターにいろいろ電話がかかってくる内容が何となく複雑になってきておりますし、息子が勝手に借りて親が後からというような例も含めて、こういったものが余り安易に借りられ過ぎるという傾向につきましては、いかがなものかという感じが率直な実感です。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 青山二三

    ○青山(二)委員 昨年の十二月でございますけれども、大蔵省は戦後最大の自己破産状況を重く見まして、大手消費者金融会社に対しまして破産対策に取り組むように指示いたしております。  その内容といたしましては、まず一点目が、与信業務の厳格化。これは、消費者金融からの借り入れを原則三社以内にまとめること。例外的には四社までとすること。二点目といたしましては、過剰広告批判への対応。これは、無人契約機の広告で「簡単」とか「ラクラク」とか「誰にも会わずに」などという表現をやめまして、店頭と同じ審査をしていることを明示すること。三番目といたしましては、信用情報機関の体制整備。これは、信用情報センターが休んでいる時間の新規契約はカード発行だけとし、融資はしない。四点目といたしましては、多重債務防止対策の実施宣言や青少年向け啓発資料の作成などとなっております。  このように大手の消費者金融会社は対応策を打ち出したわけでございますが、その動きは業界全体には広がりを見せておりません。  さらに、この具体策では、五社で三千台に上ると言われております自動契約機は引き続き普及を進め、CM放送そのものは自粛しない、年二五%を超える貸出金利についてもすぐには変えないという方針だということを聞いております。  政府は、こうした内容の自主規制で本当に本質的な問題の解決になると考えておられるのかどうか、御所見を伺いたいと思います。
  101. 古谷一之

    ○古谷説明員 お答えを申し上げます。  私どもといたしましても、昨今の自己破産件数の急増に見られます多重債務問題ということに関しましては、大変重大な問題と認識をいたしておりまして、この問題の発生を防止いたしますためには、消費者サイドの自己管理ということも当然必要であろうかと思いますが、やはり貸し手側であります業者において、与信審査の一層の厳格化を図るといった対応が必要であろうと考えておりまして、貸金業規制法に基づきまして、強く業者に対する指導をしているところでございます。  委員から御指摘がございましたが、私どもも昨年来強く要請をいたしまして、大手業者を中心に与信の適正化といったことに取り組んでおられるわけでございますが、徐々に中堅どころの業者にも広がりを見せつつあると思いますので、こういった動き自体に対しては、私ども引き続き期待をしてまいりたいと考えております。  ただ、それだけで十分かどうかというのは当然御議論があるところでございますが、これにつきましては、昨月、五月の十六日に銀行局長の私的な研究会でございますノンバンクに関する懇談会で報告書がまとめられておりまして、そこで幾つか提言をいただいております。  借り手の自己更生を促す予防的なカウンセリングを実施するなど、カウンセリング機能の充実を図ること。あるいは、現在でも貸金業規制法で一定の行為規制は課されておるわけでございますが、貸し付け条件等の開示ですとか、広告・勧誘規制といった行為規制をさらに強化を図ったらどうかといった観点。あるいは、先ほどお話がありました整理屋といった悪質業者を排除するため、登録の拒否要件や取り消し要件を強化してはどうかといった報告をいただいております。  これらはいずれも制度的な対応を要するものでございますので、今後、関係省庁とも十分協議をいたしまして、法制面の対応等必要な措置について検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  102. 青山二三

    ○青山(二)委員 いろいろ御答弁いただきましたけれども、やはり今回の自主規制の内容を見てみますと、大蔵省の姿勢は、消費者を保護するという立場よりも、消費者金融業者に対する社会からの批判に備えて業界対応策をとらせようとした業界保護を意図しているように思えてならないわけでございます。今日の日本では、消費者が金融機関から借金した場合、自己責任を問い過ぎている一方、消費者を多重債務へと追い込んだ金融機関に対する責任追及は緩く、公平性を欠いているように思えてならないわけでございます。  こうした場合、政府はもっと厳しく貸し手側に責任を負わせるべきであり、消費者保護の立場に立つべきであると思います。ですから、今回の自主規制においては、返済能力がなくなった消費者にさらに融資をした場合の責任を厳しく問う内容がもっと盛り込まれるべきであったと思うわけであります。  こうしたときこそ、消費者保護の立場としての経企庁の出番であると思います。そこで、経企庁は多重債務に対する貸し手の責任問題に本格的に取り組んでいただきたいと思うわけでございますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  103. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 先ほども申し上げましたように、何だかんだ言っても、基本的には借りたお金は返さねばならぬ、しかも、知らぬ人からお金を借りたら、金利をつけて返さねばいかぬ。担保なしで金を借りておるわけですから、基本的にそれが一番大事だとは思っておりますが、今言われております内容の中にはかなり悪質なものもございまして、確かに、実際問題は、本人に負担能力がないとわかっていながらも、うまく貸し込むという言葉がありますけれども、そういったことをしておられるところも一部にはあるというところで、これは警察でもあり、またそれを所管しておられる大蔵省、また割賦販売の方は通産省がやっておりますので、これは分かれておるところがまた話を込み入らせておるのです。  そういったものを含めて、業者の方のそういった行き過ぎというものについていろいろやらなきゃいかぬということなので、これは国民生活審議会等々におきましても、業種や取引形態というものを問わずに、とにかく対応し得る具体的な、包括的なルールというようなものを今御検討をお願いしつつあるところなんですが、いずれにいたしましても、こういった話が、どこが監督するんだかどこが何だかわからぬまま、何となくだんだん広がっていくような感じがするのはちょっといかがなものか。ゆゆしき事態とまでは言いませんけれども、とにかくかなりぐあいの悪いことになりつつあるなという感じがいたしておるのは、率直なところです。  いずれにいたしましても、こういったものは基本的には自己責任ということなんですけれども、安易にそういうのができるようにし過ぎるという御批判のあることも事実だと思いますので、検討していかねばならぬと思っております。
  104. 青山二三

    ○青山(二)委員 最近の多重債務の特徴を見てみますと、自己破産に陥った人の圧倒的多数を中高年層が占めているという点でございますが、背景には、やはりバブルの崩壊や長引く不況があります。このままでは自己破産申し立て件数は年々増加いたしまして、ワースト記録を塗りかえかねない状況でございます。  多重債務者防止のためには、銀行、信販・クレジット、そして消費者金融業界の三者間の個人情報の交流が急務となっていると思われます。  最近、銀行系は全国銀行個人信用情報センター、KSC、信販・クレジット業界はシー・アイ・シー、消費者金融業界は全国信用情報センター連合会、全情連がありますが、それぞれが個人情報を登録管理はしておりますが、それぞれのセンターは独立しているわけでございまして、ブラック情報の交流はありますけれども、残高情報中心とするホワイト情報の交流はまだなされておりません。  こうした相互の情報交流がないために、信販系会社数社から例えば百万円の借り入れがある人も、消費者金融業者では借り入れゼロの優良顧客として扱われているというのが現状でございまして、返済能力を超えた借り入れが起きやすく、ここが多重債務の原因になっている、このように思うわけでございます。  情報交流につきましては、カード破産が急増した当時からたびたび指摘をされ、議論されていることと思いますが、プライバシーの保護の問題、また利害が一致しない業種間の調整などと絡んでなかなか進まないことは承知をしております。しかし、多重債務や自己破産者のこれ以上の増加は何としても抑えなければならないと思います。そのために、この三者間の個人信用情報の交流が急務であります。  こうした信用情報の交流について、三つの機関がプライバシーの保護に配慮しながらお互いに情報を利用し合うことは十分可能であると思いますが、情報交流の考え方と今後の対応について伺いたいと思います。
  105. 古谷一之

    ○古谷説明員 お答えを申し上げます。  御指摘ございましたとおり、多重債務に陥っておられる方は、複数の業態にまたがって借り入れをしておられる場合が多うございます。したがいまして、過剰与信の防止という観点からは、残高情報等のホワイト情報の交流が有効であることはかねてから指摘をいただいておるところでございます。  それで、この交流の必要性を言われながらなかなか進まなかった原因が幾つかございまして、これも御指摘ございましたが、個人信用情報に係るプライバシーの保護の問題が一つございます。それから、各信用情報機関の間で信用情報の質的な差異がある。これは、名寄せをしているかどうかとか、あるいは情報の収集とか更新の頻度がそれぞれによって違うといった点でございます。それから、情報交流をいたします場合には、そのためのインフラといいますか、コンピューターの費用等でかなりコストがかかるというようなことが指摘をされておりまして、なかなか進んできておりません状況でございました。  このうち、個人信用情報に係るプライバシーの問題につきましては、四月から通産省と共同で個人信用情報保護・利用の在り方に関する懇談会というのを開催をいたしまして、年内に結論をいただくべく、今そちらで検討していただいております。その結果も踏まえまして、私どもとしても、今後鋭意検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  106. 青山二三

    ○青山(二)委員 そのようによろしくお願いをいたします。  それでは次に、貸し手の責任を考えましたときに、高金利の問題にどう対応するかがまず考えられます。  日銀の公定歩合は史上最低の〇・五%、これにスライドして調達コストも当然下がっているはずでございますが、貸金業界だけはなぜか高どまりしたままであります。消費者金融の大手は、以前よりは金利を下げたとはいえ、年二五%から三〇%ぐらいの金利を取っております。返済が困難になっている場合には、この高い金利のために元利が膨らみ、自己破産に追い込まれるというケースが後を絶たないようでございます。  そこで、この高い金利を何とか引き下げられないものかと思いましていろいろ調べてみましたところ、利息は一つに決められているというものではありませんでした。  例えば、貸金業者には出資法が適用され、上限金利四〇・〇〇四%を超えると刑事罰の対象になると定められております。一方一利息制限法を見ますと、上限で年二〇%を超える金利は無効となっておりますが、これには罰則規定がありません。せっかくこうした利息制限法がありながら、出資法の刑罰対象となる金利の範囲内であれば金利を自由に設定できるということになっており、これは大変不合理に思えるわけでございます。さらに、貸金業規制法では、年二〇%を超える金利についても条件つきで有効とされております。  このように、借りる人間一人に対しまして上限金利が幾通りにも設定できるというのは、利用者にとっては複雑でわかりにくく、たとえ利息を払い過ぎていたとしても容易にわかるものではございません。  そこで、この金利の上限を利息制限法に一本化できないものか、こんなことを素人考えではございますけれども思うわけでございますが、いかがでしょうか。上限金利が引き下げられれば、消費者に対する過大な負担も軽減されるのではないでしょうか。将来的に実現可能なのかどうかも含めまして、御所見を伺いたいと思います。
  107. 古谷一之

    ○古谷説明員 お答えを申し上げます。  御指摘のございました二つの金利、高い方の四〇・〇〇四というのは、刑罰法規であります出資法で定められておる上限金利でございます。これ以上の金利を設定いたしますと刑罰がかかるということでございまして、この金利につきましては、昭和五十八年の貸金業規制法の制定以降、一〇九・五%というところから四〇・〇〇四まで下がってきております。  現在、まだ利息制限法の二〇%を超えて金利を設定している貸金業者が大半でございますので、こういう状況下で四〇をいきなり下げますと、業者がいわゆるやみ金融に走るといった問題もございますので、その点は、貸金業者の実態も踏まえながら検討してまいる必要があろうかと考えております。  一方で、利息制限法の二〇%という金利は、これは民事紛争上使われる金利でございまして、債務者がわかっておって任意に弁済をすれば貸金業規制法上は有効になるということになっております。こちらにつきましては、金利はそもそも規制緩和の中で規制する必要はないのではないかという意見もございますけれども、多重債務に陥っておられる方というのは金利に対する感度が全くなくなっておられますので、ある程度こういう規制は残さざるを得ないと私どもは考えております。  ただ、水準につきましては、現在の貸金業者の営業の状況といったことも踏まえまして、これは法務省と共管の法律でもございますので、今後、慎重に検討させていただきたいと考えております。
  108. 青山二三

    ○青山(二)委員 なかなか金利を下げることは難しいということが御答弁でわかったわけでございますが、さらなる御検討をよろしくお願いいたします。  そしてもう一点、無視できないことは、無人契約機の普及に伴う消費者金融に対する消費者の考え方の変化またはイメージの変化があると思います。これまでは、借金というと何か暗いイメージで、反道徳的な行為と考えられてきましたけれども、クレジットカードや分割払いになれ親しんでいる大体四十歳以下の世代になりますと、借金に対してそれほどの抵抗感は持っていないように感じます。  こうした消費者の安易な利用を促す危険を回避するためにも、学校などでは、正常な金銭感覚を育てるための教育がぜひとも必要であります。また、この際、適切な判断能力を備えた消費者を育成するための施策、すなわち徹底した消費者教育が必要ではなかろうかと思いますけれども、こうした消費者教育についての取り組みを文部省と経企庁にお伺いしたいと思います。
  109. 加茂川幸夫

    ○加茂川説明員 お答えをいたします。  消費者教育につきましては、学校のみならず、家庭、社会が連携を図りながら取り組む必要があると考えておりますが、とりわけ消費者としての正しい態度や知識を身につけることは、学校におきます重要な課題の一つと認識をいたしておるところでございます。  このため、従来から、小学校、中学校、高等学校を通じまして、例えば社会科、家庭科といった教科を中心に、子供の発達段階に応じて、消費者保護、あるいは消費者保護と契約、または消費生活消費者としての自覚といった事柄について指導を行っておるところでございます。  一例を申し上げますと、中学校におきましては、社会科公民的分野で消費者保護というのを取り上げております。その際には、近年におけるクレジットカードや訪問販売等を初めとする取引や契約の多様化の実態を踏まえて、現代社会における取引の多様化や契約の重要性を取り上げるとともに、消費者として主体的に判断し行動することが大切であることを考えさせることとしておるところでございます。  実際に、こういった教科等の記述指導事項を踏まえまして、教科書レベルにおきましても、例えば収支のバランスのよい経済生活あるいはクレジットカードの使用上の注意、カード社会の問題点、消費者としての権利や責任などについての記述が取り上げられておるところでございます。
  110. 中村鋭一

    中村委員長 時間が迫っていますので、簡潔に答弁をお願いします。
  111. 井出亜夫

    ○井出政府委員 消費者の自立を支援するための環境整備というのは大変重要であると私ども認識をしておりまして、消費者みずからが必要な情報を選択すること、それからそれを正しく理解をしていただく、適切に活用していただくということに尽きると思うわけでございます。このために、例えば昨年十二月に開催をされました消費者保護会議におきましても、消費者教育あるいは情報提供の推進というものを消費者行政の一つの大きな柱としております。  また、昨年の十二月、これも同じでございますけれども、国民生活審議会の消費者政策部会におきまして、今後一層の消費者教育の重要性という指摘をいただきまして、もろもろのことをやっております。  これらを踏まえまして、国民生活センターにおきましても情報提供あるいは研修というふうなことを大きな柱としてやっておりますし、また文部省との共管で設立をされております消費者教育支援センターというところにおきましてももろもろの活動が行われており、私どもとしましても、これを積極的に支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  112. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  それでは、時間が迫ってまいりましたので、最後の質問をさせていただきたいと思います。  悪質な取り立ての禁止などの消費者金融に対する規制は、現在、大蔵省が所管する貸金業規制法、通産省担当の割賦販売法などそれぞれ違う業法に分かれて規定をしており、さらにまた先ほどから指摘いたしておりましたように、消費者金融に対する上限金利の規定など、業法によってばらつきがあります。  また、銀行には、過剰な融資の禁止や契約を結ぶ際の書面の交付、深夜にわたる過剰な取り立てなど、ノンバンクのような禁止行為規定はありません。銀行も個人向け無担保ローンに力を入れ始めている現在、銀行による過剰融資の禁止規定を明確にするなどの規制強化を含め、貸し手への責任を問う姿勢を強めるべきであります。  そこで、多重債務による自己破産の増大や金融自由化の進展に対応するため、現在、消費者金融やクレジット会社など業種ごとに縦割りになっている規制を統一して、包括的な消費者保護を内容とした新たな法整備を早急に図るべきであると思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。また、この新法制定についての今後の対応大蔵省通産省にお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  113. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 先ほど一部関連のことを答弁させていただいておりますけれども、ノンバンクに関する懇談会というのが、大蔵省銀行局長のもとで今年の五月十六日に報告書が出されていると思います。  いずれにいたしましても、先ほど御指摘になりましたように、割賦販売につきましては通産、それからいわゆる消費者金融につきましては大蔵と所轄官庁が違っておりますところで、情報がなかなかうまくいかない等々の御指摘もあっておりました。そういうようなところが問題のすべてではありませんけれども、いずれにいたしましても、そういったものを含めて包括的な民事ルールにつきまして、今検討をお願いをいたそうと思っておるところであります。
  114. 古谷一之

    ○古谷説明員 お答えを申し上げます。  大臣から御答弁をいただきましたように、ノンバンクに関する懇談会におきましても、消費者信用分野における法整備といたしまして、消費者信用を行うすべての業態に横断的に適用される法制の整備ということを報告でいただいております。  私どもといたしましては、その報告を踏まえまして、今後通産省ともよく相談をして、そういう方向で検討させていただきたいと考えております。
  115. 今清水浩介

    ○今清水説明員 お答え申し上げます。  大蔵省のノンバンク懇談会におきまして、統一的な消費者信用保護法の必要性が指摘されたのは承知しているところでございます。  私ども、その意味は、今後ビッグバンの進展によりまして、消費者に対しても一層の自己責任が求められていくということが予想されるわけでございますが、一方、取引条件の開示とか、過剰与信の防止とか、取り立て行為規制あるいは個人信用情報の保護、こういった論点についてどのようなルールのあり方が望ましいのか、消費者サイドに立ってもう一回検討し直そうじゃないか、こういう意味だと理解しております。  通産省としましても、こういった考え方に立ちまして、積極的に大蔵省と検討をしてまいる所存でございます。
  116. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  時間でございますので、終わらせていただきます。
  117. 中村鋭一

    中村委員長 松沢成文君。
  118. 松沢成文

    ○松沢委員 新進党の松沢成文と申します。  長官、初めまして。きょうはよろしくお願いします。昼食の時間で、皆さん相当おなかがすいていると思いますが、私、四十分間でありまして、本会議もありますので、きちっと最後は終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。  私はきょう、今政治の最大のテーマであります行政改革、特に民営化あるいは規制緩和国民経済、国民生活の関係について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。  日本の政府というのは、高度経済成長に伴ってどんどん大きくなってきた、また、今気づいてみると大きくてむだの多い政府になっている、これが今後の日本の発展を阻害してしまうのじゃないか。こういう危機感があって、小さくて効率的な政府につくり直さなければいけないということで、行政改革あるいは財政構造改革、こういうものを政府もいろいろ会議をつくりまして今検討している、こういう状況だと思うのです。  小さくて効率的な政府をつくる、そういうふうに政府をリストラする、それには民間でできることはできるだけ民間でやってもらう、あるいは民間的手法で効率化するところはできる限りそういう方法を取り入れて、政府は政府でなければできない仕事、もう一回この守備範囲をきちっとして見直してみよう、こういう目標だと思うのです。  まず、長官、橋本内閣の一員として行政改革、財政再建を進めなければいけない、そこで行政改革会議、財政構造改革会議二つ会議をつくっておるわけですけれども、この二つ会議の意義、目標というのは長官はどんなふうにとらえておられるか、まず最初に質問したいと思います。
  119. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 今、二つ会議というのが出ておりましたけれども、昨年十一月に第二次橋本内閣が発足をいたしましてから今日まで約七カ月がたっておりますが、その間、日本のこれまでのいろいろな制度を切りかえる必要というもので、主に六つの改革ということで意見を述べてこられたのも委員御存じのとおりなのです。  一番大事なところは、私どもは、目的と手段とが混乱をしておられるような議論をよく見受けるように思いますが、今御指摘があっておりましたように、本来、今回の財政構造改革、行財政改革は、一般的には、五十年間の制度もしくは明治の御維新から数えてかれこれ百三十年間に、少なくとも日本体制というのは欧米先進諸国に追いつくという目的を持ってつくられて、すなわち簡単に言えば、貧しい国が豊かになるための国の制度としてはかなりよくできた制度だったがゆえに、これだけうまくここまで作動したのだと思います。  一九九〇年のソ連の崩壊か、一九八五年九月のプラザ合意か、これは歴史家がいずれかを言うのでしょうけれども、あそこらで、日本という国は本来の明治以来の目的なり敗戦後の目的なりがいずれもどうやら届いたというところで、これからは、やはり貧しい国が豊かになるための国の制度から、豊かになった国の制度に切りかえなければいかぬという大事なところに来ているというのが多分大前提。  そういった中で、この六、七年の間に、冷戦構造が終わったのに伴って物すごく大きく世界の経済構造も変化した中にあって、気がついてみたら日本は極めて高コスト構造な経済体制になった結果なんだということで、いわゆる行政改革、財政改革、すべての一連の改革は、その高コスト構造を是正することによって国際競争力を維持し、そのために企業はあえて海外へ行く必要に迫られることなく国内で製造をし続けることも可能で、よって雇用が安定し、結果として民政が安定し生活もよくなるというのが本来の目的でありますので、目的はここで、その他は全部手段ということなんだと理解をいたしております。
  120. 松沢成文

    ○松沢委員 それでは、一つ一つ質問させていただきたいのですが、まず、今政府がやっている公営企業ですね、土光臨調で民営化が提案されて行われて、それまでは三公社五現業という言葉がありましたけれども、基本的なことですが、三公社五現業というのはどこを指すのか。また、土光臨調、中曽根内閣以降この中で民営化された公営企業はどことどことどこなのか。基本的な質問ですが、まずお答えいただきたいと思います。
  121. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 担当じゃございませんので正確には存じ上げませんが、まず三公社は、国鉄、専売、電電、それから五現業は、塩、アル専、林野、あと二つ何だったか、そういうふうに承知しております。直接の担当じゃないので申しわけございません。
  122. 松沢成文

    ○松沢委員 それで、その後聞いた質問は、そのうち民営化されたのはどこだということを聞いたのですが、それは国鉄、電電、たばこですね、この三つが民営化されてきたのです。  それでは、ちょっとそれぞれについて民営化後の状況についてお伺いをしたいのですけれども、まず国鉄。国鉄は、JR七社に分割・民営化されて現在に至っているわけですね。  そこで、現在の七社の経営状況。あるいは運賃、サービスが民営化されてどう変わったか。あるいは七社の収益の状況はどうか。その収益によっては納税をしているJRもあると思うのですね、税金を納めている。あるいはJR株の市場への上場によってどれぐらいの収益があって国家財源にメリットがあったか。細かい点ですけれども、こういう点について民営化後の変貌の状況をまずお知らせいただきたいと思います。
  123. 春田謙

    ○春田説明員 お答えをいたします。  国鉄改革につきましては、昭和六十二年の四月に、従来の公社制でありましたところの国鉄、これを改めまして、先生おっしゃられました七社のJRに分割・民営化をしたところでございます。その基本理念といりのま、分割 民営化によりまして、効率的で地域の実情に即するかつ責任のある経営を可能とするということで、これによりまして事業の再生を図ろうとするものであったということでございます。  先生御質問の具体的な各項目につきまして、それでは民営化してどういうことになったかということで御説明申し上げますと、まず収益の点でございますが、JR七社の合計で、昭和六十二年、発足の年度でございますが、一千五百十五億のいわゆる経常の利益を上げてございます。それが平成八年度、ついこの前の年度でございますが、二千百五十一億というような形で順調に収益を伸ばしてきているというところでございます。  そういうような中で、実はサービス面におきましても、JRになりましてから、生産性を高めるというような努力の中で、列車の高速化でありますとかあるいは列車の運転本数の増加というようなことでサービスの向上が図られているところでございます。  また、この間、運賃改定につきましては、国鉄時代、昭和五十年以降になりますと毎年のように実は運賃改定を行っておりましたが、民営化いたしました後におきましては、いわゆる運賃改定は、消費税関係の導入あるいは改定の際の改定を除きますと、JR北海道、四国、九州の三社につきましては平成八年の一月に改定をいたしましたが、それ以外は据え置いているという状況でございます。  また、先ほどお尋ねの、いわゆる納税、国の方に税金等で納めている額がどういうふうに変化したかということでございますが、国鉄時代におきましては、五十七年度以降、大体納付金というようなことが中心になりますが、三百五十億から五百億の納付金がございました。これがJRになりまして、平成七年度までのところで、千七百億から二千六百億ぐらい毎年納税がなされるというようなことになったわけでございます。  一方、国鉄改革の際に、いわゆる長期債務、当時三十七兆一千億という長期債務があったわけでございますが、そのうち清算事業団という法人で、特殊法人でございますが、二十五兆五千億の債務を引き継ぎまして、一方で、先生今おっしゃられましたような、土地であるとかあるいは株式、こういったものの売却に努めてまいったわけでございます。  土地につきましては五兆六千億、これは六十二年度から八年度までの十年間の実績でございます。それから株式につきましては、JR東日本株式とJR西日本株式、合わせまして約一兆六千億というものを売却処分しているということでございます。  なお、これによりましても残ります長期債務残高、今年度首には二十八兆一千億というような見込みでございます。これにつきましては、今年中にその具体的な処理方策をまとめるということになっているところでございます。
  124. 松沢成文

    ○松沢委員 ありがとうございました。  長期債務、国鉄清算事業団の中にたくさん残っていて、これが大きな問題ではありますが、民営化によって、お互いのJR各社の競争もあるでしょう、私鉄との競争もあるでしょう、そこでサービスもよくなり、運賃改定も少なくなって、また収益も上がり、税金も納めて国家財政にも寄与するような企業体に生まれ変わった、そんなふうに私は今の話を聞いておりました。  それでは次に、国鉄の場合は、赤字垂れ流し、非常に職員の勤務状況も悪いということで随分国民の評判が悪かったわけですね。それで、民営化という議論が出てきたときに、そうだという国民の支持もかなりあったと思うのです。もう一つの大きな公社でありました電電公社、電電公社はその後NTTになったわけですが、今分割の議論も行われていますが、このNTT、民営化されてどのように変貌を遂げたかお聞きしたいと思います。  例えば、電話料金の問題。あるいは電話機の普及、どれぐらいふえてきたか。あるいは携帯電話とかPHSとか、電話の多様化というものによって情報のネットワークが非常に多種多様に大きくなってきたと思うのです、そういう状況。さらには、NTT株がどれぐらいで売れて財政に貢献しているか、NTTの収益状況、納税額等々についてお知らせいただきたいと思います。
  125. 小笠原倫明

    ○小笠原説明員 お答え申し上げます。  まず、NTTの民営化につきましては、先生指摘のとおり、臨調答申を踏まえて実現されたわけでございますが、当時の臨調のお考え方として、電気通信事業の性格と申しますか、先生指摘になりましたように大変急成長といいますか、市場の成長の潜在的な可能性が非常に高い分野である、しかもあらゆる産業の中でも最も技術革新が著しい分野の一つである、それから、ちょっと順番はあれかもしれませんけれども、巨大な設備に支えられました装置産業、資本集約産業とも申し上げられるかと思いますが、そういう性格がある。そういう性格に着目して、当時の電電公社では、そういう設備の近代化が図られていながら職員の削減というのは必ずしも進んでいない、こういうような指摘も答申の中にございました。  以後、昭和六十年に民営化がなされまして既に十二年たっておりますが、その間、長距離の電話料金でございますが、民営化の当時は、大体一番遠い距離で三分間四百円という料金でございました、例えば東京から大阪に電話をかけますと。現在それが、NTTの場合ですと百十円、こういうことになっております。  そのほか要員数の削減といったことも、経営の効率化も行われまして、その間NTTから携帯電話の会社が分離されまして、その携帯電話も、PHSという簡易型の携帯電話も含めまして現在二千九百万台というような状況になっておるところでございます。  そして、先生から株の売却益ということがございましたが、ちょっと細かな数字までは手元にございませんが、約十兆円の株の売却益が国庫に収納されたというふうに承知しております。  総体として電電公社が民営化によってどのように変わったのかという御質問の趣旨かと思いますけれども、十二年間を通じまして、電気通信事業の性格と申しますか、先ほど申し上げましたような装置産業、著しい技術革新あるいは市場の成長性といったようなものに応じた経営体質に向けまして努力が行われてきたのではないかと認識しております。  ただ、現在、これもまた先生の御指摘にございましたけれども、近年この分野はさらに一層技術革新が進んでおりますし、国際競争力の拡充という課題もございますので、現在、NTTの再編成という法案を国会に提出させていただきまして、逓信委員会の方で御審議をいただいておるところでございます。  納税額は、現在、例えばNTTの今年度の経常利益の見込みでございますと、最近ちょっと修正になりまして三千八百七十億という見込みでございますので、実効税率、ちょっと変わりますが、約半分というふうに考えますと、その程度の額が毎年国庫に納められているということかと思います。
  126. 松沢成文

    ○松沢委員 ついでにと言っては失礼ですけれども、もう一つの専売公社の変貌もちょっとお聞きしたいのです。たばこ自体、禁煙ブームで消費量を伸ばすのは大変難しいと思うのですが、公社の時代とまた民営化された現在、収益にはどういう変化があるのか。あるいは納税額。それと、JTの場合はいろいろ新規事業も展開をされているというのですが、民営化になって新しい展開というのがあったら、そういう変化をお知らせいただきたいと思います。
  127. 小西昭

    ○小西説明員 お答え申し上げます。  御指摘ございましたとおり、専売公社は、昭和六十年の専売改革によりまして日本たばこ産業株式会社ということになったわけでございます。その眼目と申しますか、まさにその合理的な企業経営が最大限可能なという観点から特殊会社の形態に、株式会社でございますが、改組していったということでございます。  それによりまして、具体的には、公的関与と申しますか、それまでは投資及び借入金につきましては大蔵大臣の認可、それから給与の総額等が予算にかかっていたのが廃止されたというようなことで、たばこ産業の健全な発展を図るという政策目的を達成するための必要最小限のものという、規制が緩和されたという状況でございます。  そういったことを受けまして、昭和六十年の専売改革以降、制度改革の趣旨を踏まえまして、一方で輸入たばことの競争という事情があるわけなんですけれども、経営基盤の強化のための合理化施策、新製品の開発等も進めております。御指摘のとおり、医薬品事業ですとか農業関連、食品等につきましても、多角化にも努めておるというところでございます。  収益状況と申しますか、いわゆる数字の面でございますけれども、昭和六十年、JTになった当時でございますけれども、経常利益が九百七十一億でございました。平成八年につきましては、たばこ事業関連で申しますと、千三百六十七億の経常利益となっております。  それから、税、たばこにつきましてはたばこ税というのがあるわけでございますけれども、JTが納税しましたたばこ税、七年度の数字でありますが、一兆六千三百二十二億円という状況になっております。  以上でございます。
  128. 松沢成文

    ○松沢委員 ただいま三つの公社の民営化後の変貌について、いろいろ数字を出して御説明をいただきました。  繰り返しになりますけれども、民営化によって競争することによってサービスもよくなり、料金も下がり、そしてまた、民営化によって株を売却することによってそれが国家財政にもつながる。あるいは、民営化というのは規制緩和でありますから、いろいろ新規の事業も展開できる、経営の多角化ができる。私、こう判断しますと、民営化というのは随分メリットが多いなというのが正直な感想なんですね。  そこで、まず長官に伺いたいのですけれども、この三公社の民営化、それぞれやってきまして、その国民経済に与えるメリットあるいはデメリットをどうお考えになるか。民営化してやはりよかったなという思いが強いか、それとも、いやいや、待てよ、問題点も多いぞ、むしろ前の公営企業のままの方がよかったのじゃないか、こういう考えもあるかと思うのですが、長官は、この民営化のメリット、デメリット、国民経済への影響をどうお考えでしょうか。
  129. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 今それぞれの監督官庁の方から既に数字の上での御説明がありましたように、三公社に関しましては、雇用の面を除けば、総じてメリットが多かったと思っております。  ちなみに、運輸省の方は説明されませんでしたけれども、私ども元経営者から言わせていただければ、やはり人件費比率が八〇%ぐらい行っていたと思いますね、私の記憶では。それが今五〇%、JR東海が三〇%ぐらいまで、まあ、あそこの場合はちょっと特殊事情もありますけれども、総じて人件費の比率がぽんと減っておるという部分は、その分だけ逆に雇用の面においてはマイナスの面があったということになりますので、デメリットをあえて挙げさせていただければそこが一番大きかったであろう。総じてメリットの方が大きかったと判断をいたしております。
  130. 松沢成文

    ○松沢委員 メリットが多かったという御判断ですけれども、今、三公社を民営化してきたわけですね、そうしますと、あと五現業という大きな現業分野が残っている。民営化によってメリットが大きいじゃないかとするならば、次の五現業についても、できる限り民間でやれるところは民間に任せていく、こういう方向は当然必要だと思いますし、また行政改革会議の方でもそんな議論もされていると思いますけれども、長官は、五現業の分野の民営化もどんどん進めていくべきだとお考えでしょうか。
  131. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 ちょっと全部は担当しているわけではありませんのであれですけれども、印刷、いわゆるお金の印刷ですね、それから造幣がコイン、それからアルコールがアルコール専売、それが今特別会計がなくなっているということで、アルコールはちょっと詳しく知らないのですが、あと林野、郵政と五つあるのだと思っております。  いずれにいたしましても、経済審議会やら何やら、全体の流れとしては、官から民へとか、民でできるものは民でとか、官でしかできないから官とか、いろいろ表現がありますけれども、基本的な流れとしては、民間でできることは民間でやってもらおうという流れだと思っておりますので、私ども基本的にはそういう方向でいくべきものだと思っております。  ただ、お金の印刷なんかちょっと危なっかしくてとてもじゃありませんので、コインも危なっかしくてちょっとやってられませんので、なかなかできない部分もあるのだと思いますけれども、基本的な方向としては、そういった流れでやっていく方向であるべきだと理解をいたしております。
  132. 松沢成文

    ○松沢委員 基本的な方向としてということですけれども、民営化を進めていくべきだ、こういう御答弁でありました。  そこで、その五現業の一つであります郵政三事業の問題を少しお聞きしたいと思うのです。  郵政三事業、郵便の事業と、郵便貯金の金融事業と、簡易保険の保険事業、この三つで構成されているわけですが、もう既に金融と保険の分野は民間企業と競合関係でやっているわけですね、国営でありますけれども。唯一、信書、手紙、はがきの配達の分野は、郵便法五条によって国家独占でやっている。ただ、郵便局の配達の仕事の中で、小包については五条の規定がありませんから、民間企業が参入して民間企業と競合状態になっているわけであります。ヤマト運輸等々、民間の企業も郵便小包と競争しながらサービスを展開しているというわけなんです。  そこで、一つの例として、小包の分野に民間企業が参入し始めてどれぐらいたつのか、はっきり年限はわかりませんが、小包の分野に民間企業が参入し始めて小包配達の市場にどういう変化が出てきたのか、ここを聞きたいのです。  まず、郵便小包だけの時代の取扱量、それから民間企業が参入してきて現在の郵便小包の取扱量、需要がどれだけふえているのか。それと、郵便小包の取扱量がその後減ってきているのか、ふえてきているのか、また、民間の企業が扱う宅配便の取扱量がふえているのか、この辺の変化について。そしてまた、民間企業と競争するようになって、例えば配達の速度とかあるいは配達の料金にどんな変化があったのか。この辺について、まず郵政省の方から教えていただきたいと思います。
  133. 上田誠也

    ○上田説明員 お答えいたします。  小型物品の分野に関しての競合関係につきましては、先生御承知のとおり、郵便事業の制度創設以来お互い競合関係、競争関係という形でやってきておるわけでございますが、具体的に民間宅配便が入ったのは、ヤマト運輸ですか、あれが入ってきたのは昭和五十一年あたりからだろうと思っております。  しかしながら、ちょっと手元の方にその時点のデータというのはございませんので、宅配便の総取扱個数が初めて発表されましたのは、昭和五十六年度に発表されております。そのときの小型物品全体の総取扱個数というのは約三億三千万個、それで郵便小包がその時点で約一億六千万個ということでございまして、取り扱いのシェアは約四七%であったというふうに思っております。  その後、平成七年度におきましては、小型物品市場全体の総取扱個数というのは約十八億三千万個になっております。郵便小包はその中で約四億個ということで、約二二%のシェアをとっているわけでございます。この間、小型物品市場が拡大しまして、郵便小包も全体として二倍以上になっているというのが現実でございます。  それと、先生お尋ねのサービス関係でございますが、もちろん当方としましても利用者の要望等々にこたえていくといりよりなことで、いろいろな割引制度を設けたり、あるいは夜間再配達をやったり、あるいはチルドゆうパックの実施といったような各種のサービス改善に努めておるわけでございます。  もちろんその間、手紙、はがきの分野におきましても、いろいろな、広告郵便物の導入とか、市内特別郵便の改善とか、あるいは当然、書留の夜間再配達とか、利用者の方のニーズに応じましてサービス改善を実施しまして、平成八年度の引き受け物数は約二百五十五億通ということで、史上最高を記録しているということでございます。  以上でございます。
  134. 松沢成文

    ○松沢委員 民間が参入してくる前は取扱量が三・三億、それが現在では十八億ですか、物すごい需要が大きくなっているのですね。これはやはり国営で一社が独占でやっているよりも、民間も入ってきて数社で競争して、いいサービスを提供して、料金も安くなって、需要がどんどんふえてきているのですね。  さて、ここでちょっと長官の考えをお聞きしたいのですが、小包の分野でこういう民間参入によって需要もふえて、競争によってサービスもよくなり、料金も下がる、これは実証されたわけですね。それでは、郵便法五条で規定されている信書、手紙やはがき、この手紙やはがきについても同じ配達物ですね。こういう民間の参入によっていい意味で郵便局にも競争してもらって、それでいいサービス、安い料金、需要拡大、これができるのではないかと私は思うのですけれども、長官はいかがお考えでしょうか。
  135. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 慣習によりまして他省庁管轄のことはなかなかしゃべらないことになっておるのですけれども、長官の私的御見解なんと言われるとついついしゃべりたくなって、後で多分問題が起きるのであれなのだと思いますが、基本的には信書というところが一番難しい表現なんだと思うのです。  いずれにいたしましても、日本の封書は高い、これだけははっきりしておると思っておるのです。高いというのが一番の問題でして、はがきに比べて特に封書は高い、今八十円だと思うのですが。  先生アメリカにいらしたから御記憶もあろうかと思いますが、我々が学生のときは、あれは十五セントか二十セントだったのですね。今はそれが三十五セントになったのだと思うのです。あのころは円が三百六十円ですから、ちょっと比較になりませんので、円で計算すれば逆に向こうは安くなった形になりますので、ちょっと円でいくのはいかがなものかと思って今セントで申し上げたのですが、日本の場合それが八十円ですから、これはどう考えたって高いということになる。  それに比べて小包の方は、たしか近距離については郵便の方が、ゆうパックの方が安いけれども、遠距離になるといわゆる宅配便の方が安いということになっていると思うのですね。それで、もしあれがなかったらもっと値上がっておったのかもしれぬではないかという、もしとか仮定でしゃべり始めますと幾つもの仮定ができますのでなかなか言いにくいけれども、競争があればいろいろな意味でもっと努力があったかもしれぬということは事実だと思います。そういった意味では、この信書の問題などなど、いろいろな考えなければならぬところは幾つもあるのだと思います。  基本的には、今申し上げたように、やはり競争というのは非常に多くのインセンティブ、刺激を与えて、それによって競争がコストを下げるということにもなってまいりますので、やはり日本の郵便物のコストはアメリカに比べても、ちょっと円があれですけれども二・三倍ぐらい高い。はがきはフランスやら何やらに比べて日本の方が安いというところもあるのですが、少なくとも総じて封書が高いというのは事実でありますので、そういった問題を含めて、競争が即すべての答えとは思いませんけれども、一つの方法として検討されるべきものだと思っております。
  136. 松沢成文

    ○松沢委員 積極的な、前向きな御答弁で、やはり競争によって料金を下げ、サービスの競争をするということは重要な視点だというお答えでした。  さて、郵政省の方にお伺いしたいのですけれども、郵便法五条で信書の配達は国家独占でやっているわけなんですが、これは五条を改正して信書の分野も民間参入を認めてもいいのではないか、こういう意見も最近出てまいりましたけれども、郵政省はこの件についてどうお考えなのか。どうしても信書は国家独占でなければできない、郵便局、郵政省がやらなければできないというのであれば、その理由は何なのか。時間がないので、端的にお願いします。
  137. 上田誠也

    ○上田説明員 お答えいたします。  確かに一部にそういう声があることは事実でありますけれども、基本的に、手紙、はがきのサービスといいますのは、制度創設以来、全国均一料金ということで、あまねく公平にだれでも簡単にポスト投函で利用できるというふうになっているわけでございます。  それで、全国均一料金ということになっておりますために、一通当たりの配達費用というのは都市部と地方で当然差があるにもかかわらず均一料金となっておるわけでありますので、仮に民間参入ということになりますと、都市部の一番利益の上がる部分、そこに参入することは当然予想されるわけでありまして、極端ないいとこ取りが発生する。  そうしますと、現在簡便に御利用いただいておりますが、それに対抗しまして我々も都市部の対抗料金をつくるということになりますと、かえって逆にその他の地域あての、地方あての料金というのは大幅な料金アップということになってくると思います。その結果、五十円、八十円という全国均一の安価な料金が維持できなくなるというふうに思っておるわけでございます。  そして、その結果、また均一料金が崩壊しますと、簡便なポスト投函制というものも不可能になってくるというふうに思っております。それと、郵便局にとっては引き受けに際して一々チェックする必要がありますし、そして利用者の方も、差し出すときにどこどこあては幾らだというのを調べる必要があるということで、全体的にコストがアップするのではないかというふうに思っておるわけでございます。  結局、郵便料金の値上げ、全体としての一層の値上げとか、あるいは不採算地域からの郵便局の撤退、あるいは政策料金の廃止等々が出てきて、非常に国民、利用者にとって御不便をかけるのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  以上です。
  138. 松沢成文

    ○松沢委員 聞いているとだんだん説得されてしまう説明なんですけれども、それでは、例えば政府が規制として郵便の市場には条件を課す、一つは、全国都道府県でサービスをしなければいけない、もう一つは、基本的に全国一律料金でやらなければいけない、この二つのユニバーサルサービスとしての大変重要な条件をつけて、この条件でやるのであれば民間の参入も認める、そして競争によって、いいサービス、安い料金を実現する、こういう考え方はいかがでしょうか。
  139. 中村鋭一

    中村委員長 答弁は簡略にお願いします。
  140. 上田誠也

    ○上田説明員 いわゆるいいとこ取りせずに参入しろということでございますが、そのためには、毎日約二千八百万カ所、我々は毎日配っておるわけでございますけれども、そういう世帯に事業者が実際に配達する手紙サービスのネットワークが必要になってくるわけです。それも全国津々浦々までやっていかなければならない。  一方、宅配便の関係は、一番大きなところでも一日に約百八十万カ所、それも八百円程度の料金で荷物を運んでいるというようなことでございます。したがいまして、郵便事業が明治以来築いてきましたネットワークと同等のネットワークをそう簡単に一気に完成することは無理だろうというふうに思っておるわけであります。  仮にそれができたとしても、郵便事業というのは成熟産業でございますので、競争によって市場が飛躍的に拡大するという分野とは異なるものだと思っておりますし、信書の分野に関して二つのネットワークが配達するということになれば、一つ事業者のみが配達する場合に比べて、各事業者一カ所当たりの配達部数は減少して、配達効率も低下して、かえって料金も上がるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  141. 松沢成文

    ○松沢委員 ありがとうございました。  最後に、行政改革会議で、郵政三事業についても恐らく民営化なり、独立政府系法人というのですか、今の国直営から少し民間の活力を利用した形に、民間に任せていこうという方向を打ち出すと思うのですけれども、橋本内閣の一員として、長官、こういう方向性はどうでしょうか、御支持いただけますでしょうか。
  142. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 十分に検討に値するという表現が最もお役所的返答なのかもしれませんけれども、基本的には高コスト構造を引き下げるというのが本来の目的でありますので、最近役所は信用がないものですから、何となく役所がやっていることはすべてよろしくないという雰囲気があちこちに見られるのもいかがなものかと思いますし、また民間がやっていればすべて善とも思いませんけれども、いずれにしても、結果としてコストが下がるという方向でやっていくのが、本来の目的はそこにありますので、そういった方向が出てくるのであれば、それなりの検討に十分に値することだと思っております。
  143. 松沢成文

    ○松沢委員 どうもありがとうございました。
  144. 中村鋭一

    中村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ────◇─────     午後二時三分開議
  145. 中村鋭一

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中桐伸五君。
  146. 中桐伸五

    ○中桐委員 民主党の中桐伸五でございます。  私は、継続的役務の業務に入る中の四業種、エステティックサロンに関するもの、外国語会話等に関するもの、家庭教師に関するもの、学習塾に関するものについて質疑を行いたいと思いますが、特に重点的には、エステティックサロンに関する質疑を中心に行いたいというふうに思います。  まず、これらの継続的役務の業務については、さまざまな規制をするに当たって、あるいは消費者が安全なそして良質のサービスを受けるという点での質的レベルを向上させる、あるいは契約上のトラブルを防止するという点について非常に難しい面があるというふうに聞いているのです。とりあえず、まず一番最初に経企庁の方に、これら四業種に関する苦情が最近五年間にどのような実態にあるのかお聞きしたいと思います。
  147. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  国民生活センター及び各地の消費生活センターに寄せられました相談あるいは苦情を集計いたしますと、エステティックサロンにつきましては、平成四年度が五千九百件、五年度が五千四百件、六年度が四千五百件、七年度五千百件、八年度六千八百件。それから、外国語会話教室につきましては、四年度二千件、五年度二千五百件、六年度二千八百件、七年度千七百件、八年度二千二百件。それから、家庭教師、学習塾につきましても、特に近年急増という感じではございませんけれども、アップ・アンド・ダウンをしたというふうな状況が今日の状況ではなかろうかと思っております。
  148. 中桐伸五

    ○中桐委員 今御報告がありました中で、特にエステティックサロンについては、件数の絶対数も多いし、八年度には過去五年間の最高レベルに達しておりますし、それから外国語会話教室についても、二千件というかなり大きな苦情が寄せられているというふうなこともあるわけです。  さらにこの内訳、特にこれから議論したいエステティックサロンに関してだけで結構でございますので、どのような苦情の内訳がなされているのか、それについて報告していただきたいと思います。
  149. 井出亜夫

    ○井出政府委員 苦情の中身といたしましては、執拗に勧誘をされた、それから解約に応じない、それから料金の解約料というのが非常に高額である、それから提供されるサービスの内容が当初の説明と違う、大体そんなふうな類型に分かれると思います。
  150. 中桐伸五

    ○中桐委員 契約、解約というところがかなり大きな問題になっているようでございますが、この点で、警察庁にお伺いしたいのですが、警察庁が先ほどの四業種に関して関与した事例がございましたら報告をお願いしたいのです。
  151. 園田一裕

    ○園田説明員 お答え申し上げます。  警察におきましては、御指摘のような悪質な業者等に対しましては、あらゆる法令を適用して厳正な取り締まりを行っておるところでございます。  御指摘事例でございますけれども、まず、エステティックやマッサージに係る検挙事例といたしましては、最近では、両まゆもの皮膚部に麻酔剤を塗りまして、針を刺しながら色素を注入するなどの美容整形を行っておりました美容サロンの経営者を医師法違反で検挙した事例がございます。また、クイックマッサージと称して、無資格であんまマッサージ指圧の施術を行っていた痩身美容店の経営者を、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律違反で検挙した事例がございます。  次に、英会話の教材販売等に係る事例といたしましては、格安に旅行に行けるというような電話をかけまして、事務所に呼び出した上で、長時間にわたって執拗に入会を勧めまして、英会話ビデオなどのクレジット契約を無理に締結させていた英会話教材販売会社の支店長らを恐喝未遂で検挙した事例、あるいは、あたかも家庭教師を派遣するかのようなことを言いまして、学習用教材を販売していた学習教材販売業者を訪問販売違反で検挙した事例などがございます。  以上でございます。
  152. 中桐伸五

    ○中桐委員 苦情の件数と比べますと、先ほど四件ほど報告されたのですが、統計的に網羅的に調べておられないということもあるかもしれませんが、非常にそのギャップが大きいといいますか、そういう実態があるのではないかというふうに思うのです。  私は、これは警察的に取り締まりを強化していくという形で基本的な取り組みをやるのがいいというふうには考えるものではありません。しかし、この点では、一つ今後の課題として残るのではないかと思うのですが、こういう消費者にとって非常にトラブルになっている問題を一番基本的なところで防止するということになりますと、やはり業界そのものが自主的にレベルアップを図るということが、フェア取引をするということが重要になってくるのだろうというふうに思うのです。  そこで、先ほどから契約あるいは解約にかかわる苦情が非常に多いという実態がございますので、通産省としては、この点についてどのような受けとめをされ、そしてどういう対処をされていくのか、御意見を伺いたいというふうに思います。
  153. 宮崎修二

    ○宮崎説明員 お答えさせていただきます。  ただいま委員指摘のような、いわゆる継続的役務取引につきましては、契約あるいは解約上の問題が多いということがございまして、通産省といたしましては、平成四年に、弁護士、学識経験者、さらには消費者の代表でありますとか関連業界の代表の方々をお招きしまして、継続的役務取引適正化研究会というものを開催いたしたわけでございます。  その結果、各業界におきまして契約適正化に向けたガイドラインでありますとかモデル約款といったものを策定するように、自主的努力ということになりますが、これを促すように指導すべきではないかとか、あるいは消費者に対しても普及啓発活動をより一層強化することが必要ではないか、こういう御指摘をいただいたわけでございます。  これを受けまして、関係省庁とも協力をいたしまして、エステティック、外国語会話、学習塾、家庭教師派遣の四つの業種につきまして、自主ルールの策定ということを指導したわけでございます。  その結果、平成六年の一月から三月にかけまして、この業界団体におきまして自主ルールを、これは標準約款を定めるとか、あるいは契約内容を記載をした書面を交付する、あるいはクーリングオフを認める、中途解約を認めるといった内容が主でございますけれども、こういうルールが策定をされたわけでございます。  私ども通産省といたしましては、今後ともこの自主ルールが業界内において周知徹底が図られていくように業界指導してまいりたいと思っておりますし、また消費者に対しましても、こういうルールがあるということの普及啓発に努めたい、いろいろな政府広報でありますとかそういうものを通じまして普及啓発に努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  154. 中桐伸五

    ○中桐委員 平成六年の段階で自主ルールができたということなのでありますが、七年、八年と苦情の件数を見てみますと、必ずしもこれが有効でないのではないか。  例えば、エステティックサロンの場合は七年が五千件で八年は六千八百件というふうになっておりますし、それから外国語会話も七年が千七百件で八年は二千二百件、家庭教師派遣についても七年が八百五十件で八年が千二百件というふうになっておりまして、時間がそうだっていないということもあるかもしれませんが、しかしそれを差し引いても、どうも有効性にやや疑問があるというふうに思うのであります。  そういう点で、法的整備について検討されていく方向性はあるのかないのか、通産省の方にお聞きしたいと思います。
  155. 宮崎修二

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  今委員が御指摘になりましたように、この四つの業種にかかわります苦情、相談件数というのは、一たん減少を見せたわけでございますけれども、その後反転いたしまして、現時点において件数は減少傾向にあるとはなかなか言いがたいところであろうかと思っております。  しかしながら、自主ルールを策定をいたしました業界団体におきましては苦情の件数が少ないといったような効果もあることがわかっておりますので、事業者におきまして、この自主ルールを遵守するとともに、この自主ルールに加盟をする業者をふやすということが重要ではないかと考えております。  今委員指摘のように、自主ルールは策定をいたしましてまだ三年が経過をしたところでございますので、私どもは、苦情、相談の状況なども踏まえながら、引き続きその効果について見守っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  156. 中桐伸五

    ○中桐委員 自主ルールがこういうトラブルを少なくするという方向で有効性を発揮するならば、それが一番ベストであろうというふうに私も思うわけでありますが、そういう点からいいますと、もう少し経過を見てということでございましたので、その点についてはどのぐらいの時点まで経過を見るのかということもございます。そしてまた、業界については、先ほどの四業種の範囲内で、どのぐらいそういう業務をやっている事業所があって、業界組織されている、組織率といいますか、加盟率というのですか、そういったものはどのような実態にあるのかという点、これをお伺いしたいと思います。
  157. 宮崎修二

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  業界につきましては、実はこれは明確な統計等がなかなかとりにくい部分もございますけれども、例えばエステティックサロンについて申し上げますと、大体全国で一万六千ぐらいの店舗数があるのではないかというふうに言われております。あるいは、外国語会話教室について申し上げますと、これは教室の数で申し上げますと大体三千三百ほどではないかというふうに言われております。  先ほどの御指摘にございました自主ルールにつきましては、エステティックサロンあるいは外国語会話につきましても、統計上の母数の問題もございますが、大体一〇%内外ぐらいのインサイダー率ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  158. 中桐伸五

    ○中桐委員 そうしますと、これは、一〇%ということは一割ですから、非常に加入率が低いということなわけですね。その点については、やはりそこの対策がはっきりしないと、自主ルールでいきますといっても今言ったように苦情件数はふえているわけなんで、そこら辺の実態をきちんと把握して、強力にサポートしてもらって、そういう業界に加盟するということをしていただきたいというふうに思いますし、また、一定の時期を見て法的整備等についての検討もやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  159. 宮崎修二

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  この四業種、それぞれ自主ルールを策定をいたしました団体に対する加盟率の向上につきましては、まさに御指摘のように、私どもといたしましても業界指導していきたいというふうに考えておる次第でございます。  また、先ほどの立法の関係でございますけれども、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、この自主ルールというものが、今後この適用をする業界あるいは事業者がふえていくということのために努力をしていきたい、そういったことから引き続きその動向を見守っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  160. 中桐伸五

    ○中桐委員 いつごろに判断をするという数字が出てこないのですが、ちょっと時間もございませんので、ぜひそういう業界への加盟をサポートしたり、実効性のある対策をやるように強く要請をしたいというふうに思います。  次に、時間がございませんので、エステティックサロンの問題についてさらに質疑を行いたいと思うのです。  まず、先ほどは、契約、解約時の問題が非常に多いということになっておるわけですが、苦情の件数の中に、サービスの質、エステで行っている施術に関する苦情というのもあるだろうと思うのですが、その点について、一体どういうふうなものがあるか、経企庁にお伺いしたいと思います。
  161. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  苦情の中から判断されるところでございますけれども、例えば、顔を美しくするとかあるいは脱毛サービスをするとか、そういうふうなことでございまして、これは例えば医師法ですとかそういうものに抵触するおそれがないかどうかというふうな問題。それから、要するに非常に肥満型の体をやせるように、非常にスマートにするためのサービスというふうなものもあるようでございます。それからまた、サロンで行うサービスに附帯をいたしまして、化粧品でございますとかあるいはマッサージというふうなものをやりながら、ある種のエステティックの効用をサービスするというふうなものが、苦情に関連したサービスとしては多いように承っております。
  162. 中桐伸五

    ○中桐委員 脱毛をする施術であるとか肥満のやせに対するサービスであるとか、そういった問題があるというふうに思うのでありますが、苦情の中にそういうサービスに関連する苦情がかなり含まれているということになりますと、やはりこれはサービスのレベルを向上するというか、サービスの質を一定の安全なレベルに維持するというか高めるというか、そういう必要があると思うのですが、その点については、これは厚生省の分野だと思いますので、厚生省はそういう苦情がある現状に対してどのように対処するおつもりかをお伺いしたい。
  163. 宮島俊彦

    ○宮島説明員 お答え申し上げます。  サービスの内容に関するトラブルという点に関しましては、先ほど来お話があります標準契約書の約款において、そのサービスを受ける前にアレルギー体質ではないかとか敏感性の肌の持ち主かどうかとかいったことを確認していただく、あるいは、そのサービスを提供して異常が生じた場合にはすぐサービスを中止して皮膚科のお医者さんの診療を受けていただくといったような内容を標準契約書の中に盛り込んで、安全なサービスの提供を確保できるように努めているところです。  また、今現在、財団法人の日本エステティック研究財団の方におきまして、サービス提供者の質を高めるため研修を実施してはどうかという動きがございまして、医師法との関連はあるところでございますが、これにつきまして必要な指導を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  164. 中桐伸五

    ○中桐委員 今、エステティック研究財団という財団の名前が出てきましたけれども、この財団を通じてということは、先ほど通産省の方から、業界が自主的なルールをつくって、レベルも含め、契約上の問題も含め、苦情が起こらないような取り組みをしたいということとの関係で言うと、この日本エステティック研究財団というのはどのような意義を持っているというか、目的を持っているというふうに言えるのか。エステティック研究財団の構成や活動というものをもう少し紹介していただきたいと思います。
  165. 宮島俊彦

    ○宮島説明員 先ほど来の消費者問題ということの中には、契約に関するものというのがありますが、一方で、そのサービスの提供によって健康被害が生じないかという、その二つ類型があろうかというふうに思うわけでございます。  日本エステティック研究財団は、施術者の代表の方あるいは皮膚科の先生の方、そういった方を理事にお願いいたしまして、エステティックサービスそのものが有効で安全に行われるということを目標に、エステティック業界の技術レベルの向上を図ろうという観点から活動をしている、そういう違いがあるわけでございます。
  166. 中桐伸五

    ○中桐委員 私が調べたところによりますと、国際的には国際エステティック連盟というものが設立をされておって、ここでは、サービスの向上のためにいわゆる国際パスポート、つまり免許、これは法律で決められた免許ということではなくて、この連盟が発行するパスポートというふうな意味、国によっては法律でその免許が決められているという国もあるかもしれませんが、その辺も厚生省の方にお聞きをしたいとは思いますが、こういうレベルを上げるためにパスポートというふうなものを交付する。そのパスポートを交付するに当たっては、当然その養成プログラムがきちんとつくられて、カリキュラムがあって、それをちゃんとクリアした上で出されるという自主努力が行われているというふうに聞いております。  このような国際的な動向に対して、我が国においてもそういうことがまさに必要だと思うのですが、そういう意味で、エステティシャンというのですか、これを養成する機関の現状あるいは整備の方向性、あるいは、自主的なものであるか公的なものであるか二つあると思いますけれども、とりあえずは自主的なレベルでパスポートあるいは免許みたいなものをやろうとしているのかどうか、そういう検討が行われているのかどうか、また、将来そういうことをやろうとするのかどうか。厚生省にお伺いしたいと思います。
  167. 宮島俊彦

    ○宮島説明員 エステティックに関しての身分法制化についての御質問というふうに承りますが、これは若干内情が複雑なところがありまして、エステティックの中で特に脱毛行為というのは、医師法十七条で医師でなければ医業をしてはならないという規定がございまして、昭和五十九年に医師法違反であるという通知、これは医療関係の部局の方から出された通知がございまして、これによりまして警察の方で数件の取り締まりが行われたという経緯があるわけでございます。  したがいまして、その違法であるものをそれではどうやって技術レベルの向上を図っていくかといいますと、財団の活動でお願いするとはいえ、そこのところをどうやって解決していくかという問題があるわけでございます。  現状でいいますと、そういった通知がなされておりましても、なかなかこれは女性の方の要望が強くて、全部取り締まるというわけにもいかないということもありますものですから、これは法律に基づく身分ということではなくて、とりあえず財団法人日本エステティック研究財団の方で、研究を通じて、また美容の医療でありますとか皮膚科の先生との連携を図る中で、自主的な研修事業というものをやりながら技術レベルの向上を図っていってもらってはどうかということで、現在、その研修のあり方について検討を続けさせていただいている、そういう状況でございます。
  168. 中桐伸五

    ○中桐委員 ぜひ、自主的なレベルの研修という点については、これはどんどん積極的に進めていっていただきたいというふうに思うわけです。  ところで、国民生活センター、これは経企庁のもとですね。この国民生活センターが、「エステティックトラブル一一〇番報告書」なるものを平成五年三月付で出しておりまして、「消費者苦情からみた問題点と今後の対応」というところに、実は先ほど厚生省の方からも答弁がありましたところが「今後の対応」として述べられております。  そこを少し紹介しますと、   エステティックサロンでは医師法に抵触する恐れのある施術、サービスに付帯して売られる健康食品や化粧品では薬事法に抵触する疑いのあるもの、新聞折込みチラシや雑誌広告等では痩身効果を強調するものなどが散見される。今後、医師法や薬事法、不当景品類及び不当表示防止法など現行の法令等による一層の取締りの強化が望まれる。 というところがございます。そして、少し前にさかのぼりますが、「法令等の整備」という項目で、実はエステティックサービスについて、それを直接規制する法律的根拠がないということが言われております。  その点について、先ほど厚生省の、具体的に言えば脱毛であれば、医師法十七条で医師でなければならないというふうになっているのに、それを公的な免許状ということにはならないというのは全くそのとおりでございまして、ではそこをどうするのかという問題でございます。  さてそこで、これは厚生省も関係するでしょうし、それから法的整備はやらないで自主的にやるというふうに言った通産省関係するわけでございますが、それぞれ厚生省と通産省、その点について簡単で結構ですからお答えください。
  169. 間杉純

    間杉説明員 お答え申し上げます。  今先生から薬事法との絡み、特にやせる健康食品ということでございましたので、その範囲でお答えをさせていただきたいと存じます。  いわゆる健康食品そのものは、これは薬事法の規制対象ではございませんが、仮にそこで医薬品的な効能、効果を標榜するということになりますと、これは薬事法上医薬品であるというふうな取り扱いでございます。これまでも、やせるということに関しましては、いろいろなブームもございまして、幾つか行政実例も積み重ねられてきております。  やせるという効果について、単にカロリーが減少するということで結果的にやせるということでございますと、これは医薬品的な効能、効果とは言えないと思いますが、そうではなくて、人体に対する作用、例えば脂肪を溶かすとか体外に排出をするとか、そういうまさに医薬品的な効能、効果というものをうたうということになりますと、これは本来薬事法上の物の承認あるいは許可が要る話でございますし、そういった許可なしにそういう効能、効果をうたうということになれば、これは薬事法上は無許可医薬品ということになるわけでございます。
  170. 宮崎修二

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  ただいまの御指摘につきましては、役務の質に関する問題であろうかと思いますが、これは先ほど厚生省の方から御答弁をいただいたところだと思っております。  私どもの方では、役務の質が実際に役務の、債務の不履行のような形で認定できるかどうかというようなことにつきましては、なかなか困難な部分があるのではないかというようなことを認識をしておりまして、私どもといたしましては、この役務の質の問題について、さらに厚生省さん等の御検討をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  171. 中桐伸五

    ○中桐委員 時間がなくなりました。ちょっとこの時間の中では明確な結論を、きちんとした結論を得るのは難しいので、引き続きこの問題については双方検討したいというふうに思います。  最後に、経企庁の方に。こういう指摘をされていることは大変よろしいのでありますが、経企庁の方には公表制度というのがあると思うので、この公表制度の活用を行うことによってこの苦情の件数を防止できるようにはならないのかをお伺いして、私の質問を終わります。
  172. 井出亜夫

    ○井出政府委員 国民生活センターに全国から寄せられる苦情を分析、整理いたしまして、関係省庁にも資料提供を従来も行ってまいりましたが、同時に、ある一つのまとまりになったところではマスコミに発表するということを従来もやってまいりましたし、また、今後もよりよい消費者に対する啓発と申しますか、注意喚起ということを続けてまいりたいと思っております。
  173. 中桐伸五

    ○中桐委員 どうもありがとうございました。
  174. 中村鋭一

    中村委員長 藤田スミさん。
  175. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうは偶然にも同じテーマで、私も消費者金融会社の無人契約機それから多重債務の問題を取り上げることになります。多少重複するところがあると思いますが、お許しをいただきたいと思います。  いずれにしても、先ほどの御紹介にありましたように、何だかとても気楽につき合えるような「むじんくん」だとか、「お自動さん」初めは、お地蔵さんかな、お不動さんかなと思っていたら「お自動さん」。コマーシャルを見たら、初めはかさ地蔵でも何かやっているのかなと思ったら、それが実は消費者金融の、いわばサラ金会社のコマーシャルであって、びっくりしました。  私はまず最初に、これは先ほどの質問にもありましたけれども、国民生活センターなどに寄せられている苦情や相談の中から、どういうふうにその現状を把握していらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  先ほどは、銀行、保険、証券を除くサラ金、クレジットに関係する苦情ということで、一九九二年は一万件に対して、九六年には一万七千件になっているという御答弁であったかと思いますが、私は、多重債務に関する相談あるいは無人契約機そのものに対する苦情などもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  176. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  国民生活センターに寄せられた苦情、相談の中で多重債務の件数を合計いたしますと、平成四年度が約六千件、五年度五千二百件、六年度四千八百件、七年度六千三百件、八年度は一万件をちょっと超えるくらいな感じになっております。これが多重債務を一応取り出したものというふうに考えております。  それから無人契約機でございますけれども、無人契約機そのものについての苦情、相談と申しますのは、平成六年度はございませんでした。七年度二件、八年度八十四件、そんな状況になっております。
  177. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 件数が多重債務でもふえてきているし、それからもっと包括的な苦情、相談ということになれば、いずれももう本当にここ二、三年の間に倍増に近い形でふえてきているということが明らかであると思います。  全国一斉クレ・サラ一一〇番活動というのを弁護士さんたちが中心になって行われたのが、全国クレジット・サラ金問題対策協議会であります。この協議会は、こうした活動の集計結果から、無人契約機が消費者の安易な利用を促進し、本来サラ金などの消費者信用利用に際して、借金をするということに対して必要と考えられる慎重な考慮をおろそかにさせる極めて危険な作用を持つものであって、このまま放置すると過剰融資の増大を加速させると考えるということから、先ほど御紹介がありましたが、無人契約機の排除を求める決議というのが上げられることになったわけであります。  私も、実際どういうものかなと思いまして、無人契約機の中へ入っていったんです。そうしたら、身分証明にかわるものが要りますので、健康保険証か免許証があったらいいんですね。向こうが言うとおりにボタンを押したりなんかしていけば、一定の手続ができるわけです。そして、受けとったカードで、今度は自分が欲しいお金だけそのカードで出していったらいいんですが、あなたの借りられる金額は幾ら残っていますという紙が出てきますので、いつの間にか私は預金を出しているという、銀行のキャッシュカードを使うような気分になってしまって、これは本当にうちの子供がこういうことをしたら嫌だなということをつくづく思いました。  そして、無人契約機というのは、その最大の動機は、いかに借り入れ余力の大きい新たな利用者を獲得していくか、ここにこの動機があるわけです。九六年の消費者金融白書を見ましても、新規顧客、新たな利用者の伸びは前年比三七・〇%の大幅な伸びを示していますが、この新規顧客の中で無人契約機によってふえている部分というのは五割から七割を占めるというようなことでして、いかにこの無人契約機の動機、ねらいというものが的中しているかということは、九五年三月末にはわずか三十六台しかなかった無人契約機が、何と九六年十月になると二千七百七十台にまでふえたということ、これは大手だけの数ですが、これを見ても明らかであります。  そういう新規顧客の獲得が、さっきも言いましたように、今まで金を借りに行くといったら相当の緊張感を持ったものですが、そういう緊張感がもうなくなって、そして、借金するということに抵抗のあった人や信用力に問題のある人まで取り込むということで拡大してきたのが、今日の多重債務問題であります。  昨年の個人破産件数は五万六千件を突破していますが、これは九三年に記録した過去最高の四万三千五百四十五件をはるかに上回るものでありまして、少なくともその背後には百万から百五十万の多重債務者、破産予備軍がいるというふうに言われているわけです。  だから、私は、こうした状況を一層加速させていく大変危険なものをはらんだ無人契約機というものに対して、経企庁としては消費者保護の立場からどういうふうに考えられ、どういう対応をとろうとしておられるのか、お示しをいただきたいわけです。
  178. 井出亜夫

    ○井出政府委員 私どもといたしましては、消費者教育を通じましたりあるいはさまざまな情報提供を行う一方、国民生活センターに寄せられる苦情情報への対応というものをしっかりやって、消費者対応を図ってまいりたいと考えております。
  179. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、経企庁が情報提供したりあるいは消費者教育ということをおっしゃることは否定するものじゃありません。しかし、多重債務問題の最大の原因は、こうした消費者金融会社による消費者の支払い能力を超えた過剰融資と高金利にあるということはしっかりと見ていただきたい。だから、消費者教育、それはもう消費者の自己責任だということを強調するだけでは、現在の多重債務問題は解決しないということをぜひ見ていただきたいわけですが、この点はどうですか。
  180. 井出亜夫

    ○井出政府委員 昨年の十二月でございますが、毎年開いております消費者保護会議というのがございます。ここにおきまして、貸金業規制二法の厳格な運用等の具体的な方策が決定されているところでございまして、私どもといたしましては、この消費者保護会議における決定というものの具体的な効果をあわらすように、関係省庁とも連携をとってまいりたいと考えております。
  181. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう一度後で聞きたいと思いますが、大蔵省にお願いをいたします。  消費者金融会社は、無人契約機でも与信審査は対面契約と全く同じようにしているのであって、それは過剰与信だとか多重債務につながらないというふうに言っているわけであります。しかし、私は、過剰与信をチェックする信用情報機関でのチェックシステム自体が今問われてきているというふうに考えるわけであります。  そこで、これはもう御答弁いただくまでもないと思いますが、消費者金融会社と銀行そしてクレジット・信販業界、この三業態がそれぞれに信用情報を照会する機関は持っているわけですが、その三業態の情報交換というのは、現在は、借りたお金を遅延させたり、貸し倒れしたり、破産したりするいわゆるブラック情報、そういうものに限られている、これでよろしいでしょうか。
  182. 古谷一之

    ○古谷説明員 お答えを申し上げます。  御指摘がございましたとおり、事故情報の交流は行われておりますけれども、残高情報等いわゆるホワイト情報につきましては、業態ごとに把握はしておられるようですけれども、交流はまだ行われていないというのが実情でございます。
  183. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これが問題なわけなんですね。大手は、無人契約機の貸し付けについても自主規制をどんどん行うようにしてきている、例えば、新たな融資というものに対しては、ほかの消費者金融から借りている場合その会社は四社以内を原則にするというようなことで大いに自主規制を強調されるわけですが、消費者金融会社の情報機関では、ブラック情報とそれから先ほど御説明のあったホワイト情報、これを持っておりますから、消費者金融から借り入れようとする者の状況というのは極めて把握しやすいわけです。ところが、銀行やクレジットの債務状況というのは、全くホワイト情報についてはつかむことができません。  だから、多重債務者の大半は、銀行だとかクレジットでもう返済に困り果てて、そして行き詰まったあげくサラ金会社の無人契約機などから借金返済のために金を借りてくる、そしてまたその返済のために借金を繰り返す、こういう自転車操業と呼ばれるようなやり方が行われて多重債務になっていくというような、特にこのところ中高年が、バブルの崩壊後リストラだとか失業だとかで、高い家を買うてローンを払わないかぬけれども、もうそれもあかんというので、いよいよここへ来て自転車操業ですぐにも破産するというようなケースも、私のところにもよく相談に来られるわけです。  しかし、自転車操業しているときは少なくとも優良客として扱われるわけですから、これはもう急ぐべきは、事故情報の交換だけではなく、消費者金融会社と銀行とクレジット・信販会社が、三業態がホワイト情報を交換できる体制というものを本当に急がなければならないわけでありますが、大蔵省、それは一体どうなっていますか。私が聞きたいのは、その交換をする上で特に何が障害になっているのですか。
  184. 古谷一之

    ○古谷説明員 お答えを申し上げます。  多重債務問題に対応いたしますためのホワイト情報交流の促進というのは、御指摘のとおり、従来からその必要性は言われてきておりまして、業界の中でもそういう認識はお持ちのようでありますけれども、三つほど大きな障害があろうかと思います。  一つは、個人信用情報に係るプライバシーの保護の問題について解決がなされていないという点でございます。それから、名寄せ等の情報精度の問題ですとか、情報の登録、更新の頻度など、信用情報の扱いに業態間で差があるという点でございます。三つ目は、交流には多大なコストを必要とするということです。  このうちプライバシー保護の問題につきましては、どちらかといいますと私どもが、行政がインフラの問題として取り組まなければいけないという問題意識で、このたび通産省と共同で検討会を設けておりまして、年内に何とか結論をいただきたいということで進めております。  二つ目と三つ目は、どちらかといいますと業態側、民間でぜひとも克服をしていただきたいことでございますので、プライバシーの問題等インフラ整備とあわせまして、早急にホワイト情報の交流ができるような体制を民間に整備していただくように強く要請をしているところでございます。
  185. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ホワイト情報交換の必要性は、もう九二年の十月に、大蔵省銀行局長の研究会、ノンバンク問題懇談会でも、中間まとめの中で、消費者向け金融部門における個人信用情報の交流の充実など望まれる、こういうふうに出されているのですね。九二年ですから、もう五年目ですか。ことしの五月十六日のノンバンクに関する懇談会報告書では、もちろん個人情報の保護の対策ということも言われていますけれども、今度はもっと言葉を強くして、実現されるよう早急な検討が望まれるというふうに言われているわけです。  指摘されてからもう五年もたつのです。何年か前にも私は大蔵省に同じ問題で、質問じゃありませんが聞いたことがあるのですが、大体同じようなことを今もって言っておられるわけです。  ただ、先ほどの個人信用情報保護・利用の在り方に関する懇談会では、確かに、個人情報保護・利用施策のあり方についてというところで、これは十二月までをめどに検討するということですから、私は、恐らく、順調にいけば、そしてそれこそ大臣のお力もおかりすれば、この個人情報の保護の法的整備というのは、来年の通常国会で法整備を整わせることができるというふうに思うのです。  ところが、問題は業界なんですね。業界は、皆さんの言い分を聞いているとどうも業界が言っていることと余り違わないんじゃないかなと言いたくなるのは、例えばこういうことを言っています。  これは消費者金融会社の方ですが、三業態、三者間で情報の質をそろえることが条件だ、そうでないとこちらが持ち出しになる、こう言って抵抗しているわけですね。こちらが持ち出しになるというのは、消費者金融会社の方が情報をずっとたくさん持っていて、銀行もクレジット・信販も皆目情報を持っていないじゃないか、そういうところにこっちがわざわざ持ち出さにやならぬのか、こういう抵抗をするわけです。  だから、私は今本当に大蔵省に、この三業態の情報交換というものについてはめどを示していただきたい。個人情報の保護の法整備の方はもう大体目鼻がついてくるかなと思った上で、めどを示していただきたい。
  186. 古谷一之

    ○古谷説明員 お答えを申し上げます。  業界側に御指摘がございましたような御意見があることは私ども承知しておりますけれども、信用情報が不十分である場合、多重債務問題というのは、業界側にしてみますとそれだけ貸し倒れリスクが大きくなっているということでもありますので、業界自体の問題として取り組んでいただきたいということは従来から私ども強く要請をしておるわけでございます。  御指摘のありました個人信用情報保護・利用の在り方に関する懇談会の結論が年内をめどにおまとめいただけますので、それから法制面の整備を含めまして、現時点で次期通常国会等具体的な時期を申し上げることはなかなか困難でございますが、速やかに対応するよう努力をしてまいりたいと考えております。
  187. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、多重債務者の大量発生というのは、もちろん大臣がおっしゃるように個人の自覚の問題というものを無視するわけじゃありませんけれども、やはり私は、消費者信用業界の責任、それからそれを指導監督する行政の側の責任も大いに問われなければならないというふうに思うわけです。  多重債務者といりのま、消費者信国産業が発展する中で、経済構造的な層として生まれてきたわけです。その層は無人契約機がどんどんふやしていっていると言っても過言ではありません。したがって、ホワイト情報交換は速やかに一日も早く実施するべきですし、きょうは触れませんが、二五%を超える高金利についても是正をしなければなりません。無人契約機のあり方は、過剰融資、誇大広告を禁止した貸金業法の趣旨からも大いに問題があるというふうに思うわけです。  私は、この問題をいろいろ調べていく中で、やはり大蔵省は業者側、通産省もクレジット・信販の業者側、消費者側って一体どこなのということになると、これはあかんと思いました。やはり消費者保護庁というべき経企庁に、本当に消費者保護の立場から、消費者信用業界指導を徹底できるように積極的な取り組みをお願いしたいし、関係業界にも働きかけをお願いしたいわけであります。  もう一つ大臣に御答弁を求めますが、私、大蔵省が五年間もほってきたとは言いませんが、今日まで五年間もこの情報交換の問題がずっと長引いてきて、懇談会で再度指摘をされるというのは一体何なのかなと思って考えていました。  今、政財官の癒着ということが言われておりますが、実は、このサラ金業界の武富士とかアコムそれからアイフル、レイクというような大手のところに大蔵官僚が十三人天下っております。これでは物が言いにくいなと、大方の人はそんなところでうなずいて、改めてこれはだめだなということを思うわけでありますが、大臣に、この点についても私はただす立場で御答弁を求めておきたいと思います。
  188. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 藤田先生御存じかと思いますけれども、日本の都市銀行というのは基本的に個人に金を貸す能力はないのですよ、それだけの情報がないから。失礼ですけれども、普通の方々に、金を貸してくれと言ったって土地を持っている以外は金を貸したことないのですから、日本の銀行というのは。だから、早い話が、融資審査能力がサラ金に比べて極めて劣っています。これははっきりしていると思っていますよ。  したがって、私は、昭和五十八年だったですか、大蔵委員をやっておりまして、このサラ金業法はたしか議員立法でつくったという記憶があるのですが、そのころは大手の銀行の方に比べてサラ金の業者の方の地位は極めて低く、高利貸しという言葉は最近なくなりましたけれども、あの当時、一〇九%ぐらいまでのあれをとにかく四〇・〇〇三だか四だかにするという話を最終的に合意したのだと記憶をしますけれども、あのころから個人の需要というのが昔に比べてふえた。  加えて、キャッシュレスというようなものでクレジットカードというものが、何とか信販だとかいろいろなものがずっとふえていって、現金を持ち歩かなくてもそういうものができるようなものが随分ふえてきて、多分一番極端なのはレンタカーだと思いますけれども、レンタカーはクレジットカードを持っていないと逆に車が借りられないというような話で、すごくはやったのですね。  そのときぐらいから、逆に今度は、個人の情報を持っている今言われたような方々の情報能力は、銀行からはのどから手が出るほど欲しい情報に変わったのだと思うのですね。その情報はお金になったのだと思います。  だから、その情報をとられたら、今度はいよいよそこのところに銀行が乗り込んでくるわけですから、いわゆる調査能力に基づく、今までずっと銀行に比べればはるかにそちらの人たちの方が個人情報の収集に関しては地道な努力をしておられたわけで、その方々の持っている情報をむしろ銀行は欲しい側に回っておられる、需給関係からいったら多分そうなっていると思います。  したがって、それを出したら今度自分たちの仕事がなくなってしまう、銀行はさらに大きな資金で安く、いいところだけをとられちゃかなわぬ、多分サラ金業界の方はそういうぐあいに考えるから、出したくない、出したら自分たちの仕事が全部銀行にとられる。多分そういう関係になっているだろう、私は業者じゃありませんのでよくわかりませんが、大体そんなところですよ。だから、銀行に対してサラ金業者は出さないということになっているのだと思う。  ですから、そこのところは大蔵省が圧力をかけていったって、それは自分らの商売を、大きな銀行が入ってきて、あっち二五%、うち二三%でいいとか、そういうことをやられたらとてもかなわぬと多分思っているのがなかなか進まない大きな理由だと思います。これは私の想像ですけれども、そんな詳しいわけではありませんので。  しかし、いずれにいたしましても、「むじんくん」を初めいろいろなものが、多重債務を招く大きなもとになっているという点も確かだとは思いますけれども、お金を借りるのに人の顔を見ると何かつらいところで、僕は、ちょっと例えとしてはいかがなものかと思いますけれども、人の顔を見なくて旅館に入れるようになったのがあの産業が非常に大きくはやった大きな理由ですから。そういった意味で、人の顔を見ないでやるというのは非常にいい、何というか、顧客拡大のためになっていったことは確かだと思うのですね。だから、それはまさに機械の発達のおかげ、コンピューターの技術の発達のおかげ、いろいろなものがずっと回り回っていったのだと思います、そう簡単に言えるとは思いませんけれども。  いずれにいたしましても、ちょっと最近の流れとしては、三千台というお話がありましたけれども、その量は、特に集中している場所がいわゆる繁華街と言われるようなところで、昔とは随分状況が変わってきておるというのもよく承知をしているところでもありますので、今言われました点は消費者の立場に立っては非常に大きな問題だと思ってもおりますので、この問題については十分に検討させていただきたいと存じます。  天下りの件につきましては、これは正直、今サラ金にどれくらい人が、今十何人とおっしゃいましたけれども、ちょっとその実態内容がよくわかりませんので一概に言えないところですが、最近の状況をよく知りませんが、その当時は、そういった業界は余りにもひど過ぎるという状態でありましたので、これは逆に入ってもらわぬと信用がないという時代が最初のころだったのですが、以来十年以上たっておりますので、少し状況も変わってきているだろうなとは思ってはおります。  いずれにいたしましても、ちょっと今実態の大きさがわかりませんので、十何人という数が果たして適正なのかという点から言わせていただければ、ちょっとそんなに必要かねという感じが、正直な私の実感であります。
  189. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう時間が過ぎましたので終わります。ただ、経企庁としては、ぜひとも消費者保護の立場から、本当に積極的な取り組みを求めておきたい。何だか大変業界に理解のあり過ぎるような御答弁で、これで終わるのは嫌だなと思いますが、ノンバンクに関する懇談会の中でもちゃんと指摘されていることを私は申し上げております。これが世論でありますので、肝に銘じていただきたいということを重ねて求めて、終わりたいと思います。
  190. 中村鋭一

  191. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  きょうは、この間ずっと気になっております遺伝子組み換え食品のことについてお伺いいたします。  最初に、ちょっと順番が変わりますけれども、厚生省の方に伺いたいと思います。けさほどの河野委員の質問を受けて、厚生省さんにぜひとも伺っておきたいと思うことがございますので、質問させていただきます。  まず、この間ずっと、最初の菜種、ジャガイモ、大豆、その他の食品に対して、遺伝子組み換え食品がやはり心配だ、食べたくないから表示してくれ、そのような世論がかなり急激に多方面にわたって起きております。にもかかわらず、五月十三日、新たに八品目を認めました。食品衛生調査会、五月十三日にお認めになったわけですけれども、これだけ消費者が不安であるにもかかわらず、それを形としては一切無視して認めたことに対して、まず最初に、どうなっているのかという怒りとともに、そのような思いがあるということをお伝えしたいと思います。  そのときに、「国民の選択に資するような情報提供のあり方について政府として検討すべきとの意見があったことを申し添える」という異例の一文が付記されました。これに対して、厚生省は具体的にこれをどのような形で生かしていくか。お願いいたします。
  192. 堺宣道

    ○堺説明員 遺伝子組み換え食品の安全性評価の確認につきましては、食品衛生調査会で専門家により科学的な審議が行われているわけでございますが、消費者等の間で遺伝子組み換え食品の安全性に関する漠然とした不安があるというようなことなどから、今後とも、遺伝子組み換え食品の安全性評価に係るあらゆる情報提供を行う必要があるというふうに考えております。  これまでも、食品衛生調査会の審議内容の公開のほか、遺伝子組み換え食品の安全性評価に係る申請書の一般公開ということを行っているところでございますが、今後、遺伝子組み換え食品の安全性評価に関する具体的内容などを紹介したQアンドAというものを厚生省のインターネットに掲載することを予定しているところでございます。  今後とも、厚生省として、遺伝子組み換え食品の安全性評価に関する情報提供としてどのようなことを行うことができるか、具体的な方策について検討してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  193. 中川智子

    中川(智)委員 それはやはり一方的な情報公開で、安全だと言っているところが安全でないかもしれないので怖いというふうな申し出に対しての答えにならないと私は思うのです。  農水省が先日懇談会をつくられまして、それは新聞に載りまして、かなり私たち消費者の間でも、評価する、今こういうことをしてほしいのよねというふうな話があったのですけれども、厚生省はやはり農水省を見習って、そのような部会など、勉強会などおつくりになる御予定はおありでしょうか。それとも、全く考えていないのでしょうか。
  194. 堺宣道

    ○堺説明員 お答え申し上げます。  消費者の選択に係る表示というものに関しては、現在のところ予定はございません。
  195. 中川智子

    中川(智)委員 でしたら、その場合、これは国会図書館の資料で非常にわかりやすくて中立的な立場でお書きになっているなという資料がございますが、この中で、「結局、安全性は完全には証明されていないが、反対に危険であるという証拠もない。」という、両方とも本当に話していると水かけ論で、いつも時間のむだだと思うのですけれども。その中で、結局、「最終的な安全性は人間が実際に食べてみることでしか確認できない。」という一文がありまして、私は非常に感動したのですが、もうこれは人体実験なんだなと思いましたね。  それで、人体実験をされてもいいという人にはそれは結構ですが、私は人体実験なんかされたくないという人に対して、厚生省は、やはり事故があったときの責任、そしてこれを守る法律というのは、食品衛生法では、ないでしょうか、あるでしょうか。明確にお答えください。
  196. 堺宣道

    ○堺説明員 食品の安全性ということについては、食品衛生法というものがございまして、それによっております。  以上でございます。
  197. 中川智子

    中川(智)委員 ここにいらっしゃるすべての方がやはりそのお答えって一体何だろうと思われたと思いますが、では、事故があったときに、その責任の所在というのはどうなるんでしょうか。この間の質問では、企業というふうに答えられたのです。それをつくられた企業。じゃ、企業なのでしょうか。国としては、厚生省というのは、私はもうずっと国民の命と健康を守ってくれるところだと思って、厚生委員会にも入り、一生懸命頑張っているのですけれども、ここでは、命と健康を守ってくれない厚生省さんがいらっしゃるのでしょうか。お願いします。
  198. 堺宣道

    ○堺説明員 食品の安全性の確保といいますのは、一義的には製造あるいは輸入を行う営業者がみずからの責任において行うものであります。ただ、事故が起きた、何か起きたという場合には、食品衛生法によって適切に処置をしていくということになります。
  199. 中川智子

    中川(智)委員 でも、この遺伝子組み換え食品というのは安全だということを厚生省は認められていますから、食品衛生法の中にはこれは適用されないですよね。お願いします。
  200. 堺宣道

    ○堺説明員 食品衛生法によりまして、公衆衛生上の見地から、危害が起こるかどうかということで、それについての安全確認というのをしておりますので、食品衛生法に基づく表示というのは難しいだろうというふうに考えております。
  201. 中川智子

    中川(智)委員 わかりました。  それでは、次回もございますので、そこのところはもう少し、業界用語で、精査して、もう一度また質問させていただきます。  農水省の方にちょっとお伺いしたいのですけれども、この間地方自治体から国への意見書提出が、たくさん来ているというふうに伺いました。また、表示を求める決議採択、自治体でやっていらっしゃる数を把握していらっしゃると思うのですけれども、その数を、数だけお答えください。農水省、お願いします。
  202. 村上秀徳

    ○村上説明員 お答えいたします。  遺伝子組み換え食品に関する意見書を提出いたしました地方議会の数は、現在で約百四十でございます。
  203. 中川智子

    中川(智)委員 意見書と表示を求めるというのは別建てで来ていると思うのですけれども、一緒ですか。
  204. 村上秀徳

    ○村上説明員 意見書という形で、表示の実施とか、それから安全性確認についての努力とかを求める内容になっております。
  205. 中川智子

    中川(智)委員 そうしたら、これに対する不安が多いのでということで表示を求める消費者団体、市民団体というのは、感覚として、割とたくさん来ている、ほとんどわずかだ、どちらかでちょっとお答えいただきたいのです。消費者団体からの要請に対して、ああ、結構来ているなという感じなのか、これぐらいだったら物の数じゃないなと、どうでしょうか。
  206. 村上秀徳

    ○村上説明員 農林水産省に提出されております消費者団体等からの要請書は、約六十でございます。関心の高さをあらわしているというふうに理解しております。
  207. 中川智子

    中川(智)委員 私も、最初余りこれに関心がなかったというか、割と、死ぬときは死ぬなと思って生きていたのですけれども、この間も集会があるのでちょっと来てくださいと言われたら、千人規模。また、関西とかいろいろな地方です。最近はすごく大きな生協がやはりこれに対して、絶対うちでは売りませんとか売りたくないとか、菜種なんかも出どころがはっきりしているところの菜種油しか使わないとか、物すごく、これはどうにかしなきやという運動が結構今起きています。  今、厚生省、農水省にお話を伺ったのですが、経済企画庁といたしましては、消費者保護の立場から、このような今の状況というのはどのようにお考えになるか。大臣、お願いいたします。
  208. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 これは中川先生、午前中も同僚の方の御質問を聞いておられたと思いますけれども、アメリカとヨーロッパと対応が違っておりましょう。答えの内容が違っておりまして、アメリカの方は大丈夫、こっちはどうかなという話と、かなり違っているのが現状だと思っております。総じてこちらはアメリカのものを買っている方が多いものですから、何となくそちらの方の意見の方がまあいいんじゃないのと、大体アメリカの方、そちらの方になってきておったのが今までだと思いますね。  それが、何となく、どうやらおかしくなってきたのはといって、地方議会から、いろいろ今御報告があっておりましたように百幾つも出てきたりなんかしてきたのと、山梨県だったかどこだかの生協が、とにかく表示しないとだめだというのが出ましたでしょう。そういったのが出始めたものですから、関心が上がってきているところなのだと思いますし、この委員会で特に熱心に取り上げていただいているものですから、何となく農林省の方も、あのHIVの厚生省の二の舞をしたくないなとかいろいろな気持ちがおありだと思いますよ。そういうことはおっしゃらないような習慣になっておりますけれども、気分的には多分そうなのだと思うのですね。  それで、五月の二十六日だったと思うのですが、何の委員会かよくわからぬ委員会がたくさんできるのですが、農林省で、食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会という、長ったらしいですけれども、明らかに目的がわかる委員会が発足をしておられて、その内容を拝見をさせていただくと、目的は極めてきちんと書いておられる。  多分この紙を持っておられたと思いますけれども、「厚生省により遺伝子組換え食品の安全性確認が行われ、」ここが問題なのだとおっしゃりたいのでしょうが、「遺伝子組換え食品の市場流通が現実のものとなったことから、消費者等から遺伝子組換え食品についての表示を求める声が高まっている。」というのでこの委員会をつくりますということで、委員の構成の中にもとにかく婦人団体や生協や主婦連の方やら消費者側の方もずらっといられて、食品部会の委員というのを一応決めておられるようにお見受けをいたします。  いずれにいたしましても、こういったものが皆さん方の関心の高さを示しておるように思っておりますので、私どもといたしましても、消費者保護の立場から見ましても、こういった問題意識が関係担当省庁の中に出てきつつある、少なくとも農林省からそういうことが出てきておるということでありますので、当然のこととして、関係省庁とよく連絡をとりつつ、適切にやらせていただかなければいかぬところだと思っております。
  209. 中川智子

    中川(智)委員 もう時間ですので、今のお言葉を受けて、やはりぜひとも厚生省にもこのような部会をつくっていただきたい。食品衛生法でぜひとも表示に対してどうにかならないかということを強く要望し、あわせて、この消費特で、これからも検討委員会を何らかの形でつくっていただきたいと委員長に心からお願いして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  210. 中村鋭一

    中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十三分散会