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1997-04-17 第140回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十七日(木曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 中村 鋭一君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 佐藤 剛男君 理事 斉藤斗志二君    理事 青山 二三君 理事 福留 泰蔵君    理事 肥田美代子君 理事 藤田 スミ君       大野 松茂君    小林 多門君       河野 太郎君    能勢 和子君       山口 泰明君    渡辺 具能君       長内 順一君    福島  豊君       松沢 成文君    松浪健四郎君       石毛 鍈子君    中桐 伸五君       中川 智子君    熊谷  弘君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君         経済企画庁物価         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         経済企画庁調査 中名生 隆君         局長  委員外出席者         警察庁生活安全         局生活環境課生         活経済対策室長 園田 一裕君         大蔵省銀行局中         小金融課金融会         社室長     古谷 一之君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       加茂川幸夫君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 堺  宣道君         農林水産省畜産         局畜産経営課長 西尾 吉昭君         農林水産省食品         流通局総務課長 星野  明君         農林水産省食品         流通局消費生活         課長      井上 隆昭君         通商産業省産業         政策局商政課取         引信用室長   今清水浩介君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      太田 房江君         通商産業省機械         情報産業局情報         処理システム開 振角 秀行君         発課長         郵政省電気通信         局電気通信事業         部業務課長   桜井  俊君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ───────────── 委員の異動 四月十七日   辞任         補欠選任    深田  肇君     中川 智子君  同日   辞任         補欠選任    中川 智子君     深田  肇君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等国民消費生活に関する件      ────◇─────
  2. 中村鋭一

    中村委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  3. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 本日は、経済企画庁長官経済論争を挑むわけではございませんが、現在長官が、大臣が非常に中心的な役割をなされて推進されております経済構造改革、他日の所信表明にあるわけでございますが、その問題について、その外延の問題といいますか、これから進めていく上で、財政赤字対策をどう進めていくかの過程で意外に官邸及び関係者が忘れられている部分が私はあると思っているのです。  これは極端な言い方をしますと、いろいろな雑誌、新聞、あるいは役所の中、大蔵省の中においても、財政赤字ゼロにする、こういうようなことを言っている人たちがいる。私は、そんなことは、財政赤字ゼロなんということをやることが間違いだということの観点でございます。ですが、私の立場はあくまでも財政再建論者であります。これは誤解のないように申し上げさせていただきます。日本財政赤字が非常に深刻であって、財政再建重要課題である。長官が日夜御努力されておられる立場とは同じでございます。  しかし、昨今の財政再建論者は感情的に走っている。第一が、財政本質の考察が欠けているということで、私は、きょう何枚かの資料を、事前に委員長の了解を得まして配布させていただきました。長官、ごらんいただきたいと思っているわけでございます。  特に、私はISバランスということで、私は通商調査課長通商白書をつくった男でございますので、恐縮でございますけれども、そういう論議を展開いたしますが、財政再建を行う場合にもこの観点を忘れてはいかぬということでございます。  それで、第一の間違い、今巷間言われている間違いは、日本財政状況先進国最悪だ、こう言っている。最悪ではないです。これは誤解でありまして、額は大きいです、最大と言ってもいいかもしれませんが、最悪ではない。  これはこの資料からとったんですが、国際比較統計日本銀行国際局、それで国際比較比較します。比較いたします資料が配ってあると思いますが、七十三ページの資料でございます。これによりますと、財政の規模はラージェストであります、しかしワーストじゃない、ワーストナンバーワンではない、こういう観点であります。  なぜそうかということの説明で、私は今七十三ページ、国際収支統計表を配りました。ちょうど、住宅ローンを借りる。当然返還します、金利も利ざやも払います。しかし、貯蓄があって担保がある、資産価値がある。あれば、その資産範囲内であればこれはいいんですよ。アメリカの場合は、問題は双子赤字と言われておるんですが、財政も赤、経常収支も赤。ところが、日本の場合には、財政は赤ですよ、しかし経常収支というのは黒、黒々としているわけです。  そしてさらに、財政赤字とそれを支えている民間貯蓄調査局長、あなたに質問するから、ちょっと具体的な数字大臣のお答えされる前でも、されてからでも補足していただきたいけれども、今日本民間貯蓄が幾らあるか、それから国際収支統計表において財政赤字は幾らか。  私の数字は、民間貯蓄四十四兆円、それから財政赤字三十三兆円、国際収支統計比較ですから、十兆円のプラスアメリカの方はみんな逆ですよ。アメリカというのは、自分の方の貯蓄がないから、日本外債日本側からいえば外債ですが、日本の金を借りて、金融機関から金借りてこなきややっていけない。イギリスもそう、それからドイツもそうです。フランスはほぼとんとんぐらいの感じ。  こういうふうな状況で見まして、財政の今の五百兆円とか五百四十兆円とか、建設国債赤字国債はもう最近は十把一からげに議論されておる、これもまた非常にゆゆしき話なんですが、建設国債というのは、道路港湾だ何というのは子々孫々の、子供たちのために建設国債でやっているんだ、だから建設国債認めようという話だった。ところが、最近の議論というのは、じいちゃんばあちゃんが借りた金というものはじいちゃんばあちゃんにちゃんと返してもらって死んでもらわないと困る、我々の責任にされては困るという議論を吐いて、そういうことを言う一流の経済論者が堂々と物を書いているから世の中おかしくなっている。  ですから、私は財政再建論者であり、その問題が重要であると思いますけれども、常にきちんとこの観点に立っていただきたい。  それからもう一つ、第二の点。ISバランスで、一九九二年のちょっと古い数字ですが、これは大臣にお見せください。これまた、私は法律屋ですけれども、官庁エコノミストと言われたものでございますから申し上げますが、どういうことかといいますと、総貯蓄というのはセービング、これは、個人の家計も入り、政府もあり、それから企業、みんな入れます。今どうなのかといいますと、個人の全体は一千二百兆円の金を持っておる、こう言われていますね、大臣。それから、企業は黒ですよね。それから、財政は赤。だから、赤でいいんですよ。これが黒になっちゃったら、これで経常黒字といったら、貿易摩擦が大変なことになる。この貿易の面の、国際収支の面が抜けちゃうと、大変なことになります。日米関係、すごい摩擦問題が起きますよ、大きくなりますよ、これは。  これはどういうことかというと、経常収支というのは、一つ貿易収支プラス貿易外収支、これを経常収支といいます。この経常収支は、別の式でいいますと、総貯蓄から総投資を引くんです。総貯蓄から総投資を引きます、そうするとそのときに、日本の場合には、この一九九二年の数字で引いてもこれは十五兆円、百円で計算して千五百億ドルだったわけです。それで、日本の場合には、総貯蓄というのがすごく大きいんです、Sが。それから、Iという、インベストメント公共投資。今削減削減、こう言っていますが、この公共事業というのは少ない。少ないから、個人貯蓄が一千二百兆ある、この部分のものをいかに活用するかの部分がないから、黒字がたまるんです。  だから、わかりやすく言って、ちょっとこれは卑劣な言葉なんですが、Sをセックスと言えば、Iを愛と言えば、愛なきセックスが多過ぎるから黒字がたまっちゃうというのです、不満がたまるというのです。そういうふうに考えてきますとわかるんです。こういうことを余り国会の場で言うのはいかぬが。  だから、そういうふうなことの状況を常に見ておかないといけないですよということでございまして、まず大臣のお答えの前に、調査局長、もう質問するぞといってきのうから言ってあるのだから、ちゃんと、私が言った民間貯蓄四十四兆、それから財政赤字三十三兆、国際収支統計だよ、それから、今アメリカ双子赤字といって日本と逆、そこのところの事実確認。答弁願います。
  4. 中名生隆

    中名生政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘のありました数字関係について申し上げますが、委員が御指摘のとおりでございまして、日本貯蓄投資バランスについて申し上げますと、これは一九九五年の数字でございますが、公共部門につきましては約三十三兆円の赤字でありますが、民間部門につきましては四十三兆円の黒字ということでございまして、したがいまして、一国全体といたしましては約十兆円の黒字ということでございます。  これに対しましてアメリカでございますけれども、アメリカの場合は、これはドルで申し上げますが、公共部門につきましては約二千五百億ドルの赤字でありますが、民間部門では約千五百億ドルの黒字。したがいまして、アメリカの場合には約一千億ドルの一国全体としてのISバランス赤字、こういう数字になってございます。(佐藤(剛)委員「けた数が違うのじゃないか、二十四億ドルが財政赤字じゃないか」と呼ぶ)約二千五百億ドルです。(佐藤(剛)委員「億ドルだよ、よく調べておけよ」と呼ぶ)はい。
  5. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 大臣、そういうことなのですよ。ですから、アメリカの問題は、前から双子と言っていた。財政赤字国際収支赤字、この双子赤字退治をやらなければいかぬと言っていた。しかし、これは変わっていないのですよ。よくはなってきたのですよ、財政部門について。ところが、ちょっとよくなってくると、日本はそればかり何か入れてきまして、いかにも急激に日本は突然悪くなったようなことを言うのです。  しかし、日本は、これは確かに二百四十兆の赤字地方が百二十兆、国鉄二十七兆、それから国有林野等々やると五百兆。隠れ赤字というと何か五百四十兆ぐらいの話で、対GNP、ほとんど近くなってきてしまったという話を言いますが、日本財政の支出、予算というのは七十七兆円ですよ。私の感じは、大体七倍ぐらいの範囲内であればまずとんとん、大丈夫なのです。それを超えると危険。つまり、その担保になっている意味です、民間貯蓄が大きいということは。この民間貯蓄が大きいわけです。今財政赤字より十兆円あるのですね、調査局長。ここの部分があるから慌てることはないのです。しかし対策が遅かったが、まだゆとりがあるのです。大臣、そうなんでしょう。  そこのところをひとつ根本的な形で政策の転換をしないと、何か巷間聞くと、すぐ公共事業道路予算を削れとか河川予算を削れとか、つまり七十七兆円の大体一二%の公共投資ですよ、下水道をつくってくださいとか。都市の議員の人たちが多くなりましたから、私は地方の、福島の片田舎ですから道路だ何だ港湾だというのは必要なわけですけれども、都市人たち公共事業は要らないなどという話をする。しかし、インベストメントが不足しているのだから、今のうちにきちんとやらないとだめなのです。だめだということは、経常黒字がますます黒々になってくる。愛なきというのはIが少ないのだから、Iが少ない形でのSが多くなってくると黒字がたまってきてしまう、こういう不満がたまってくるということを私は問題として指摘いたしたわけであります。  日本高齢社会に行っていますから、今Sが、総貯蓄が総投資より大きいのですけれども、私はいつかは逆転すると思います。これが二〇〇五年なのか二〇二〇年なのか、高齢社会で、皆子供は少ない何は少ないという形ですから、なりますが、経済企画庁それから長官は、このISバランスを常に重点的にお考えいただきたい。まずその点について、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  6. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今の投資貯蓄バランスの件につきましては御指摘のとおりでして、今、よくアメリカとの比較が出ますけれども、アメリカにおいても、随分内容がよくなったとはいえ、いわゆる双子赤字財政の方は随分改革されたことは間違いありませんが、他方、貿易収支が相変わらず赤字が続いております。そういった意味からいきまして、結果として、アメリカはよくなったとはいえ、一九九五年度末で八十五億ドルのいわゆる債務が立っておる、我が国の方は七十七兆円の黒が立っておるわけですから、こっちは債権国、向こうは債務国という大きな差があるという点がまず第一点。今言われたとおりの形で、確かにそうそう悪いわけでないこともはっきりいたしておると思っております。  そういった意味では、日本という国がアメリカの一九八〇年代のような非常に劣悪な状況にあることでないことは今御指摘のとおりなので、何となく新聞を見ていると、いよいよ破産じゃないかというような感じの方もいらっしゃるようですけれども、そういうことではない、これだけははっきりしておると思っております。  続いて今言われました、ただ長期的に物を見ますと、これは何だかんだいいながら、日本の場合は、二十一世紀初めまでには、子供を産まないから結果として高齢化の比率がえらく上がりますので、その段階になると、稼ぐ人より使う人の方が多くなってくるわけですから、今言われたように、どこの段階かは別にして逆転することははっきりしておりますので、それまでの間に、日本の立ちおくれております社会資本の充実等々はきちんとやらねばならぬという条件もある。傍ら、財政赤字も年々地方債を含めてふえて、五百兆という言葉が出ましたけれども、ほぼ五百兆になんなんとする額が平成九年度末で起きることもはっきりしておりますので、そういった意味では、どの程度バランスさせるかというところは、これは多分、今後とも頭に入れてこういったものをやっていかねばならぬ、御指摘のとおりだと思っております。
  7. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 大臣はそのような観点で進められておりますので安心いたしておりますが、内閣の中においても、大臣の中においてもそういう認識が欠けているやに私は見える大臣がおりますから、名大臣、どうかひとつそのときにはそういう説得を、そうじゃないよということでやっていただきたい。  というのは、何かもう最近になってくると、行政改革だとか、いいですよ、行政改革は。だが、事業団一緒にくっつけて、何か商工中金を民営化するとか、中小公庫、国民金融公庫開銀一緒にして、それはできないことはないですよ。それは今臓器移植時代でして、日本人たちアメリカに出かけていって臓器をもらってくるような時代ですから、国民金融公庫開銀、男と女を一緒にしてしまうような話だってやるぐらいの乱暴なことができないことはないけれども、それで改革の実が上がるかというと、首を切るわけじゃないのですから、上の理事長だの何だのを何人か減らすだけで、そんな話でやったというような話にされると困る。  これは山本七平先生という亡くなった先生が、大平総理の文化のブレーンで山本七平先生が座長をやっておって、山本先生が「空気研究」という本を書いている。それで、日本というのはある日ある時何か空気が漂う。ヘドロ問題が出るとヘドロがわあっと出る。それから消費者の問題が出るとわあっと出る。そのころに、ちょうど昭和四十年代の半ばには公害関係で、大気汚染から水から騒音から、全部そこまで出た。消費者保護基本法も、そういうのが出た。  それはいいですよ、消費者保護というのは。私も消費経済課長をやっていた男だし、そういう意味においては、消費者運動は二十世紀における、十九世紀労働組合運動と同じように立派な運動だと私は思っていますが、政治改革といったらすごい流れになってしまって、いつの間にか小選挙区制が実施された。それで、私なんというのは新しいところで、昔は海がなかったのですが、浜の方まで入ってしまった。大臣の御出身の相馬家ですけれども。それで、浜の方に行きまして、浜の男佐藤剛男ですなんてやっているのですから。そういうふうなものが起きてしまう。そういう点、日本というのは空気が何となく漂うと抵抗しがたいものができてしまう。  経済企画庁も、この末のころにはどこかとくっついてしまっているかもしれない、その案が出てくるかもしれない。通産省もなくなってしまって産業省と農林省と一緒になってしまうかもしれない。二十二が十一ぐらいになる。それはいいのです、その思想は。それはいいのだが、やったからといって別に国家公務員の数が急激に減るわけではない。生首をそんな簡単に切れるわけではない。  そこで、山本七平先生は、さらに「水の研究」という本があるのですよ。そういうときには水を差すということで、私は決して、水は飲んでいますけれども、水は差しているわけじゃございませんが、そういう観点を持っているわけでございます。  ですから、よく貿易赤字が三年以内に来るだろうという暴論を言う人もいますが、来っこないです、そんなことは。来るはずがない。それは私も言えるし、それから、私は自分通商調査課長時代からのそういう観点の分析から見て、そんなことはあり得ません。ずっと続いています。むしろ、今やることによって、アメリカは、経済企画庁長官アメリカに行かれますと、内需振興しろと出てきますよ。インベストメントが不足だ、Sばかりが多いじゃないか、SイコールIにしろ、そういうことを言われると思います。これがアメリカ立場です。それは正しいのですよ。ですから、そういうことを経済企画庁はむしろ積極的に物を言うべきなので、戦後の安本の時代のようなあの熱が、私はあってしかるべきであります。それから、財政赤字絶対悪、財政赤字がゼロだ、五百兆はいかぬなんというのは、これは大間違い。それから、日本財政最悪だ、これも間違い。ワーストナンバーワンじゃございません。ですから、いたずらにボルテージを上げて危機を強調するそういう人たちがいますが、それは正当ではございません。  ただ、先ほどお話がありましたが、一番大きな問題は少子化なんです。子供が少ない。この少ない問題をやらなければいけないのですが、政治家も、子供は票がないから、どうしてもお年寄りの方の高齢化の方に向いてしまって、高齢社会。  今私は厚生委員会理事で、介護保険の法案を通そうと思ってやっていますが、子供還暦親も立ち会う長寿国になってしまった。子の還暦に親は大体多いところは二人二人いますから、そういう時代ですから、少なくとも一人一人いますよ。そうすると、六十歳になったりしますと、あなたはあなたの親を見なさい、私は私の親を見ると奥さんが言って、ぶつぶつ言って、それならば離婚しましょうといって行ってしまいますよ。これを介護離婚というのだ。  それから、私の友達で、東京に親が二人いまして、寝たきりだった。福島に移った。それで週末にしょっちゅう帰ってこなければいけない。週末に帰ってくるのでくたびれてしまった。くたびれて死ぬのを過労死というのがありますね、過労死じゃなくて介護死というのだ。こういうのがはやり出したから、これではやはり血族とか親戚の範囲というのを超えて社会的な介護をしなければいかぬなということで、介護保険制度というのを平成十二年からスタートしよう、こういうことです。  ですから、今のところのISインバランスは、Sが少なくなっていくことは間違いないのです、いつしかは。これは二十一世紀になってきますが、今まだ日本にはその余力があるのであります。  私の友人で、恋人じゃないのですけれども、私の高校の同級生で、塩野七生という人が、大臣御存じだと思いますが、ローマにおります。ローマで今、ローマ史というのを書いている。ローマ史を五巻書いたのです。その人が、いろいろしょっちゅう送ってくるのですけれども、ギボンにかわってローマ史をつくるわけですね。今、日本祖国はと言うのです。これは愛国女性ですよ。愛国の士じゃなくて愛国女性ですよ。祖国は今大変のようであるが、勝者混迷ですと言っていますよ。勝った者の混迷にあるのだ。敗者混迷というのは、戦後の焼け跡、それは簡単に克服できた。しかし、勝者混迷というのは、これはすごく難しいのだ。そうでしょう。日本は今、日米世界の富の四〇%を占めている。日本は一五%を超えてしまったのだ。しかし、外見はいいけれども、根を見ると、根はもう縮れになったり、根分けしなければならない。これは教育にも出ている、財政にも出ている、行政にも出ている、安全保障にも出ている。それで改革をやっているわけです。  そこで、ローマの場合には、カエサルという貴族ですね、体制内の人日本でいいますと橋本龍太郎先生総理小沢一郎さんじゃない、菅さんじゃない、体制内の人がその政治改革というものを、そのときにはカエサル元老院を切った。元老院を切ったことによってローマというのが沈没しないで今日に至っておる。ですから、そういうものにおいて、ローマというのは世界史の中の一つのサンプルなのですよということを言っております。そして、今韓国もそういうものにぶつかってきている、韓国においてその翻訳権を出したと言っている。つまり、今日本勝者混迷だけれども、外から見ていると、ローマから見ていると、まだ余力がありますよ、日本の男性奮い立て、こう言っていましたよ。  ですから、先ほど申し上げましたISバランスの問題もそういう段階であって、今日勝者混迷にある、しかしまだ余裕がある、まだゆとりがある、そのうちにきちんとしたことをやれば私はこれを克服できるというふうな問題意識です、楽観論者でございますので。  それでは、時間でございますので、そういう見解について大臣の御見解といいますか、もろもろの問題についてお話を伺いまして、私は終わりにさせていただきます。
  8. 麻生太郎

    麻生国務大臣 塩野七生の話が出ていましたけれども、おもしろい本でした。とても参考になる本です、あの本は。率直に、いい友人を持っておられるなと思って、うらやましいと思っております。  今のお話の中で、勝者混迷という表現が確かにあれも使ってあるのですが、確かに敗者のときは、黒船で一回、原爆で一回、それぞれこてんばんになったときの方が、やはりシステムを変えてやるのはやりやすいのだと思いますね。しかし、日清、日露に勝ち、第一次世界大戦にも勝って、大正から昭和に変わるときにやはり変わり損なってあのときは混迷の方に入りましたので、あのときは明らかに、勝者混迷というのだったら多分あの時代なのだと思うのですが、今回同じように冷戦に勝ち組に残り、貿易戦争に勝ち、経済戦争に勝って、それでシステムを変えるという話ですから、今回の方が、混迷という意味からいうのであれば勝者混迷というのは今の方が問題なのでして、何で変えなければいかぬのかというお話の方が圧倒的に多いわけですから、今までの間、既得権でぬくぬくとしておられた方々にとりましてはやはりしんどいところだろうと思っております。  先ほどの、その前の御質問にも関係しますけれども、全体として今の制度自体を、この国は明治維新この方約百三十年間の間、豊かになるためという国家目標があって、欧米先進国に追いつき追い越せということが国家目標だったのだと思うのですが、どうやら一九八五年のプラザ合意で、二百四十円まで上がっていた円が突如として百二十円までぽんと上がってくることになった。あれ以降、やはり経済的にはちょっと別のことを考えなければいかぬことになっているのだと思うのですね。おまけに、戦後の冷戦も五年後の一九九〇年五月には終わっておりますので、それ以後また制度を変えなければいかぬ。いろいろなことが全部今わっと来た段階でありますので、やはり豊かになるための国の制度としてはよくできた制度だと思っておりますし、それだからこれだけ豊かになったのだと思いますが、豊かになった国の制度としてはいろいろ規制がちょっと行き過ぎじゃないかとか、いろいろ御意見のあるところなので、もっと全体的なことを考えてやっていかなければいかぬところだと思っております。  特に、今あるように、Sがある間に、佐藤先生のお言葉をかりさせていただけば、セックスができる体力がある間にという表現にあなたの表現を変えさせていただければ、私の本来の表現の仕方ではないのですが、そういう表現を使わせていただければ、そういうものができる体力のある間にやはり愛を芽生えさせておかなければいかぬという、何だか少し逆になるような関係が、佐藤先生言葉を使えば逆になってしまうのですが、体力のある間にやはりもっと全体のことを考えておきませんと間違いなく、これは高齢化が悪いのじゃなくて少子化が問題なのでして、高齢化はその結果でして、沖縄を初め、これは高寿の県ですけれども沖縄あたりでは高齢化が進んでおりませんし、そういう意味では、基本的にはやはりそこらのバランスを考えて、二十一世紀初頭までには社会資本の充実等々、日本が他国に比べておくれていると言われている部分をきっちりしてその対応を練っておく、今のうちからやっておく。転ばぬ先のつえというところも大切なところだ。そう思って、このISバランスについてはよく配慮をいたしましてやっていかねばならぬと思っております。
  9. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 どうもありがとうございました。時間でございますので、大臣のさらなる御活躍、御健闘をお祈り申し上げまして、終わりにさせていただきます。
  10. 中村鋭一

    中村委員長 河野太郎君。
  11. 河野太郎

    ○河野(太)委員 毎回私は佐藤先生の演説の後に質問をすることになっておりまして、大変やりにくいのでございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  麻生長官所信表明演説の中に、消費者がもう少し自己責任を持ち、自立していかなければならないという一説がございました。今までは、がちがちに規制をしてリスクが全くない状況で、さあその中で動けということだったのを、少しリスクはあるけれども選択の幅を広げよう、動く幅を広げてやろう、そういうことではないかと思います。  多少リスクはあるけれども、こういうリスクがあるよというふうに明示をした上で、消費者が少し広い幅の中を動いていけるような社会にしていこうということではないかと私は理解をしておりますが、そういうことをやるためには、まずしっかりとした情報の開示をしていかなければいけないと思います。  情報の開示には二つありまして、事業者と消費者の間の情報の格差をなくすために、事業者の持っている情報をもっともっと積極的に開示していけということと、それから公文書等の政府が持っている情報を開示していけということの二つをやらなければいかぬと思うのでございます。  もう一つは、消費者にそういうリスクをとらせていろいろと動いてくださいというときのリアクションとして、まず消費者の方の近い現場、国に来るよりも地方自治体あるいは地方議会にいろいろなリアクションが出てくるのではないか。ですから、地方議会の動き、地方議会の請願なりなんなりの動きを国がなるべく早くすくってあげるような、そういう方策もとっていくことが必要なのではないかと思っておりますが、そのあたりについて長官の御答弁をいただきたいと思います。
  12. 麻生太郎

    麻生国務大臣 長いことやはりこの国は、お上という言葉がありますけれども、お役所できちんと対応をするのが当然ということになっておったと思っております。特に、よらしむべし知らしむべからずと、いろいろな表現が昔からありますが、明治この方は、少なくとも海外の方が進んでいるからだれか海外をと、世界で最初に国費留学生という制度を日本はつくったのですが、国費留学生をつくって海外に行かせて、勉強させて、日本に持って帰ってきてそれを翻訳して、それをそのとおり実行するというやり方でこれまでうまくいってきたのだと思っておりますが、だんだん時代が変わってきて、今多くの方々が海外に行かれてもちろん勉強をされる、日本国内でもされる。  官民の格差、いわゆる知識に関する格差も随分と、昔と比べてこんなに違いがあったものがずっと寄ってきて、むしろ場面場面においては、部門部門においては民の方がより高いレベルの情報を持っているという時代にもなってきた。これは今まででは考えられない時代になってきていると、私どもはそう思っております。  そういった流れに合わせて、国全体のシステムを豊かになった国の時代に合わせて、いろいろな意味で今行政改革の一環として省庁の統廃合等々話が進んでいますが、統廃合し規制を緩和すれば、早い話がお役人の数を減らして規制の緩和をするわけですから、それで取り締まれというのは手足を縛って泳げみたいな話で、なかなかそういうことは難しいのは当然なのです。したがって、役人の数を減らして規制を緩和した場合は、その分だけ取り締まる人が減って規則も減るわけですから、その分だけ自分でやらなければしようがないのですよ、その分だけ税金は安くなりますけれども、その分自己責任ということになっていかざるを得ない流れなのです。  そうした場合には、お金は預けておきさえすればこの銀行は絶対つぶれぬという前提でみんな預けているのですから、その銀行がつぶれるかもしれぬという状況になれば、その銀行の内容が、銀行といってもそんな信用できるものではありませんよ、お役人でもそんな信用できる人ではありませんよというようなことをきちんと、その人なりその銀行なりの資産内容等々が情報公開されておけば、それはそういうものがあるにもかかわらずそういったのに預ける方がおかしいとか、そういった商品につきましても、豊田商事等々、オレンジ共済、ああいったものに関しても私ども国民生活センターにいろいろ御質問がありました。それはおかしい、危ないですよ、今どきそんなうまい話はないと思いますがと我々が言っても、お預けになる方はいらっしゃる。  そういったときには、基本的には、そういったものの内容がいかがなものか、またその内容については実態というものをきちんと情報公開をしておくという前提がないと、御指摘のありましたように、業者と消費者との間の情報力、情報の絶対量の差がこんなについておりますと、これはこっちの方が強いことになりますので、やはり消費者保護の前提に立ちますと、そこらのところは情報公開をできる限りしておく、また政府でも持っておる情報をできる限り公開しておくという前提の上に立って、今申し上げたような流れが成り立つのであって、情報が非公開のままだとどうしてもこれは不公平ということになるのだと思っておりますので、流れとしてはそういった方向でいくのだと私どもは理解いたしております。
  13. 河野太郎

    ○河野(太)委員 ありがとうございます。私もそのとおりだと思います。消費者になるべく多くの情報を開示して、消費者がそのもとに消費行動を行う、リスクがある、ないというのは、消費者が与えられた情報をもとに判断して行動していかなければいけないのではないかと思っております。  それで、消費者問題特別委員会でございますから、きょうは少し具体的な話をさせていただきたいと思います。  実は、今、地方の五十余りの議会で、情報公開をしてくれ、情報公開というとちょっと違いますが、もっと消費者に情報を出してくれと言われている問題がございます。具体的に言いますと、遺伝子組み換えの行われた食品について、少し情報をきちんと表示をしてほしい、そういう動きが全国五十の地方公共団体で決議されております。  きょうは農水省と厚生省の方がいらっしゃっていただいているはずでございますので、まず最初に、今の日本に遺伝子組み換え食品がどのぐらい、何種類、量にしてどの程度入っているのか、現時点での表示はどうなっているのかということをお伺いしたいと思います。
  14. 星野明

    ○星野説明員 現在、食品衛生調査会で安全性が確認されたということで組み換えDNA技術が応用された食品といたしまして、大豆、菜種、バレイショ、トウモロコシ等、品目的に七種類のものが入っております。
  15. 河野太郎

    ○河野(太)委員 その七品目、量的にはどのぐらい入っておりますでしょうか。
  16. 星野明

    ○星野説明員 新しい技術でつくられた食品でございまして、実際にどういう形になっておるのか、具体的なデータにつきましては、私ども現時点では持っていない状況でございます。
  17. 河野太郎

    ○河野(太)委員 その七品目の表示はどうなっておりますでしょうか。
  18. 星野明

    ○星野説明員 この組み換えDNA技術を用いた食品につきまして、実は世界的にいろいろな議論がございまして、各国で検討なりが進められておるところでございます。これは、国々によりましてばらばらな取り扱いをするということになりますと、国際的に広く貿易されている品目等が多うございますから、こういうことにつきまして、現在実は最もホットな話題といいますか、現在進行形で、今週の月曜日からカナダのオタワにおきまして、国連の食糧農業機関、いわゆるFAOと世界保健機構、WHOの合同の委員会、コーデックス委員会というのがございまして、そこで現在議論が行われているところでございます。表示につきましては、そういうような状況で、具体的な形としてはまだどういう取り扱いにするか国際的に議論している状況でございます。
  19. 河野太郎

    ○河野(太)委員 コーデックスが始まっているのは承知をいたしております。コーデックスに臨むに当たって、コーデックス委員会からペーパーが出ている、そのペーパーに対しまして、ヨーロッパでは、ほとんどの遺伝子組み換えが行われている食品についての表示をするようなルールがEUのルールとして制定されつつある。  三月二十一日付のフィナンシャル・タイムズがここにありますが、EUはこれまで一部食品について表示を義務づけていた。ところがこれをほとんどの、ここにありますのはすべての遺伝子組み換えされた農場でっくられた、要するに農産物ということですね、農産物についての表示をする準備をしている。そして、フランスとイタリーは遺伝子を組み換えたトウモロコシの生産を国内で禁止した。あるいはオーストリアとルクセンブルクでは遺伝子組み換えをされたトウモロコシの輸入を禁止している。その他各国がいろいろな規制をかけつつあるということが報道をされております。  このコーデックス委員会に各国が参加をして意思表示をすることになっていると思いますが、遺伝子組み換え食品の生産国であります。アメリカあるいはカナダはどういう立場をとっているのか、主に輸入国でありますヨーロッパ各国あるいはEUがどういう立場をとっているのか、そして日本政府はこのコーデックス委員会でどういう意見を述べるのか、その辺を教えていただきたいと思います。
  20. 星野明

    ○星野説明員 ただいまお尋ねの点でございますけれども、遺伝子組み換え食品でございますが、この表示につきましていろいろな国でいろいろな動きが出ているわけでございます。  コーデックス委員会の場では、現時点において最新私どもが把握している状況によりますと、引き続いて検討する方向で今進んでいるところというふうに承知いたしております。会期は今週金曜日まであるわけでございますけれども、実質的には、さらに各国で検討を深めて、次の会合で議論をしようということになろうかと思います。  と申しますのは、実はアメリカでは一般的に表示を義務づけていないわけでございますけれども、一定の場合に表示を義務づけるということを検討するということになっておりまして、例えば、含まれた食品の中身の組成が従来のものと質的に変わる場合、それから導入される遺伝子がアレルギーの原因になるようなもの、そういうものとか、それから、特にこれは欧米諸国で大きな問題にいつもなるわけでございますけれども、宗教上あるいは倫理上の問題がある動物、例えば特定の宗教などで特定の動物についてこれを倫理的に禁止しているわけでございます。そういうものが入ってくるようなものについては、表示の必要性について検討するということになっております。  カナダにつきましても、ガイドラインの案がつくられてはおるわけですけれども、アメリカと同じような状況にございます。  一方、ヨーロッパ、欧州連合でございますけれども、ことしの一月に新しい食品の表示規則を決定いたしておりますけれども、これがどういう形で施行されていくことになるのか。今お尋ねの中に御指摘ございましたように、いろいろな動きが出ております。一つの大きな地域的なまとまりとして欧州連合が統一していこうという中で、各国がそれぞれ違ったような考え方なりルールを持っているということになりますと、国境がない世界で表示なり食品に対する考え方が違っておりますと、いろいろな混乱が起こるという問題があるわけでございます。  いずれにいたしましても、コーデックスの場で私どもいろいろな情報を把握して、これからその検討をしていきたいなというふうに考えておりますので、現時点においてお答えできる状況としてはこのようなものでございます。
  21. 河野太郎

    ○河野(太)委員 次の質問は厚生省にお伺いをするのがいいのかもわかりませんが、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンという、これはかなり権威のある医学誌であると思いますが、その中に、今御答弁のありましたアレルギーの問題が実は出ております。  一九九六年三月十四日号でございますが、ブラジルナッツの遺伝子を大豆に組み込んだ、ところがその大豆がブラジルナッツのアレルギー反応を引き起こすことが偶然にわかったというような研究の結果が出ております。要するに、遺伝子を組み換えますと新しいたんぱく質ができてくるわけですから、新しいたんぱく質がアレルギーを引き起こす、そういうことがあるよということが報告されているわけでございます。  厚生省の方は、遺伝子組み換えによって今までにないたんぱく質ができるわけですから、これが人間にアレルギーを引き起こすのかどうか、非常に判断に苦しいところがあるんじゃないか。これが実際にアレルギーを引き起こす今まで知られているアレルギー源に似ている、あるいは同じものであれば、恐らくこれはアレルギー反応をするのであろうということでいろいろ検査をやって確かめることができると思うのですが、全く新しいたんぱく質ができてしまった場合に、それがアレルギー反応を引き起こすのかどうか、あるいは個人差もあるわけですから、どういう人にアレルギーを引き起こすのかどうか、現時点では何かわかるすべがあるのでしょうか。
  22. 堺宣道

    ○堺説明員 遺伝子組み換え技術によって新たに導入された遺伝子、それからマーカー遺伝子などによりまして未知のアレルゲンがつくり出される可能性について、平成五年度の厚生省バイオテクノロジー応用食品等の安全性評価に関する研究班におきまして、導入された遺伝子がつくり出す、産生するたんぱく質がアレルゲンとして機能しないこと、それから組み換え前の食品が持つ既知のアレルゲンが増加しないことということが確認されれば、その食品の遺伝子組み換えによるアレルギーに関する安全性に対しては特段の配慮は必要ないという旨が報告されてございます。  この報告などをもとにいたしまして、食品衛生調査会の審議を踏まえて、厚生省におきましては、安全性評価指針を作成いたしまして、遺伝子組み換え食品の製造業者等がこれらの確認を行うように指導するとともに、製造者等の申請に基づき、安全性評価指針に沿って評価が行われているかどうかということを個別に審査しているところでございます。  このような審査におきまして、組み換え食品がアレルギーを引き起こすかどうかに関しましては、製造業者から提出された資料について、食品衛生調査会において専門家によって、遺伝子が産生するたんぱく質がアレルゲンであるか、既に知られている食物アレルゲンと構造が同じであるか、また既知のアレルゲンが増加する可能性があるかなどについての確認が安全性評価指針に従って行われていることを確認しているというような状況でございます。
  23. 河野太郎

    ○河野(太)委員 そうしますと、今まで知られているアレルギーのもと、アレルゲンについてはそういうことがないことを確認しろということになっているけれども、そうでない部分についてはよくわからぬ、そうでない部分については確認のしようがないのでそのままにしている、そういうことでよろしいですね。
  24. 堺宣道

    ○堺説明員 導入された遺伝子によって発現するたんぱく質、たんぱく質によってアレルギーというのが起こるわけでございますが、さて、その導入された遺伝子によって発現するたんぱく質というものはどういう確認をしているかといいますと、加熱によって分解されるかどうか、それから、万一人が食べても胃液によって分解されるかどうか、そういうことによりましてもまた安全性を確認しているわけでございまして、その点に関しては問題はないというふうに考えておりますが、ただ、現時点のすべての科学的な知見によって現時点では確認しているという状況でございます。あくまでもそういう状況でございます。
  25. 河野太郎

    ○河野(太)委員 できる限りのことはやっているが、その先にあることについてはわからないということではないかと思います。また、胃液で云々ということは、例えば、胃潰瘍の手術などで胃を取ってしまった場合にはそのまま直接腸へ入ってしまうこともあり得るということで、やはり必ず一〇〇%防ぐということは非常に難しいというふうに厚生省も認識されているのかなという気はしております。  ここにありますニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンでも、現在のFDA、これはアメリカの機関でありますが、FDAの規則でもすべてのアレルギーを把握することはできないというようなことが書かれております。そしてその論文の最後には、こういう遺伝子組み換えの規則を、あるいは表示の規則を厳しくすることによって安全性を高める、それによってこの産業自体が栄えるんだ、そのようなことが論文の最後にまとめられております。私もそのとおりだと思います。  現在、五十の地方自治体で、遺伝子組み換えについて非常に消費者が不安がっている、消費者が心配をしている、ぜひ遺伝子組み換え商品であるのかどうかの表示をしてくれ、そういう動きが出ている。さらにその数がふえるような感じでございますから、私としては、積極的にこの商品は遺伝子組み換え商品であるという表示をして、食べたくない人は食べなければいい、余り気にしない人はどんどん食べていただいて、ずっと食べているけれども何の問題もないよというふうな形で積極的に情報を開示して、それによって心配をぬぐい去っていく。  かつて原子力船「むつ」というのがありまして、情報をいろいろ隠しているがために結局役に立たなかった、あるいは最近では動燃が、いや安全だ、安全だとうそをつき続けて、うそがだんだんばれていくと、動燃が安全だと言っても裏があるのではないか、だんだんその信頼性がなくなってきてしまう、そういうことになってしまいますと非常にまずいのではないか。  この遺伝子の分野といいますのは、産業としてもかなり大きく成長をする可能性があるものだと思います。ところが、どうも遺伝子といいますと、その言葉を聞いただけで消費者が皆さん不安がってしまう。できるだけその不安を取り除くためにも、先手先手を打って積極的な情報開示をして、そうした不安がないのだということをどんどんオープンにしていかなければこれからはいけないのではないかと思います。  仮に今ある遺伝子組み換え食品に表示をするということになりますと、例えば現行の法律でいいますと食品衛生法、あるいは農水省の関係ではJASの関係の法律とかありますが、どういう法律を改正してといいますか使って、この遺伝子組み換え食品であることの表示ができる可能性があるのか。また、今ある法律のどれかを改正してこういう表示をした場合に、何か問題点が出る可能性があるのか。その辺を少し農水省、厚生省両方からお伺いをしたいと思います。
  26. 堺宣道

    ○堺説明員 厚生省でございますが、食品衛生法がございます。その第十一条におきまして、厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品等に関する表示について必要な基準を定めることができるというふうにされているわけでございますが、さて、その遺伝子組み換え食品というものは、遺伝子が組み換わるという点におきましては従来の品種改良品と同様でございます。さらに、食品衛生の専門家等から構成される食品衛生調査会の科学的な審議を経て安全性評価指針への適合を確認しているというようなことから、食品の安全確保を目的とした食品衛生法において、公衆衛生上他の食品と区別して表示を義務づけることは難しいというふうに現在のところ考えております。  それからもう一点、情報開示の問題でございますが、食品衛生調査会のバイオテクノロジー部会で確認作業というものがされているわけでございますが、その提出された資料、どういう資料に基づいて確認作業をしたかというような資料はすべて公開をして、情報開示に努めているというところでございます。  以上でございます。
  27. 星野明

    ○星野説明員 農林水産省におきましては、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、いわゆるJAS法を所管しているわけでございますけれども、このJAS法に基づきます品質表示基準につきましては、一般の消費者がその購入に際しまして、品質、食味とか調理特性とか日もち等を識別することが特に必要であると認められるものにつきまして、一般の消費者の経済的利益を保護いたしますためにその品質に関する表示の適正化を図る必要があるものにつきまして、製造業者または販売業者が守るべき品質に関する表示の基準、具体的に言いますと、原材料名とか賞味期限とか産地等を決めているわけでございます。したがいまして、遺伝子組み換え食品につきましても、品質の差異とか消費者における識別の必要性とか関係者の負担、あるいは表示を義務づけることの国際的規則、ルールとの整合性といったものを総合的に判断する必要があると考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、遺伝子組み換え食品の表示につきましては、コーデックス委員会の食品表示部会で今検討が行われております。こうした議論を踏まえまして、農林水産省といたしましても、遺伝子組み換え食品の表示につきまして調査検討してまいりたいと考えているところでございます。
  28. 河野太郎

    ○河野(太)委員 済みません、質問の時間がなくなりましたので手短にお答えをいただきたいのですが、先ほどお話のありましたマーカーの話でございますが、遺伝子組み換えをするときのマーカーとして抗生物質耐性のものを使う、それを食べ続けると抗生物質に耐性ができてしまうのではないかというような話があります。これは、遺伝子組み換え食品が怖いという前提に立った話でございますが、そういうことが実際に起こり得るものなのかどうか。  それからもう一つは、虫をよけるといいますか、虫を殺すためのBT毒素を出す遺伝子を組み込むものがございますが、BT毒素をすべての細胞が出すようになって、それを食べると虫が死ぬ、同じものを人間が食べて害はないのだろうか、そういう心配をされている方がいらっしゃいます。  その二点について、人間が食べてどの程度危険なものなのか、少し御説明をいただきたいと思います。
  29. 堺宣道

    ○堺説明員 それではまず、抗生物質耐性マーカーについてのお答えを申し上げます。  遺伝子組み換え作物をつくるときに、目的の遺伝子がちゃんと組み込まれたかどうかという判断をするために抗生物質耐性マーカー遺伝子を組み込む場合があるわけでございますが、これについては、安全性評価指針に基づいて、遺伝子それから遺伝子がつくり出す物質の特性や摂取に関する資料について調査会において審査されているところでございます。  さて、抗生物質耐性マーカー遺伝子が腸内細菌に抗生物質耐性を広める可能性につきましては、平成五年度の厚生省のバイオテクノロジー応用食品等の安全性評価に関する研究班の報告におきまして、植物から微生物へ遺伝子が移行するという知見は得られていない、それから、通常遺伝子によりつくり出されたたんぱく質は消化管において短時間で分解されるというようなことなどから、腸内細菌に与える影響は考えにくいというふうにされているところでございまして、腸内細菌に抗生物質耐性を広めるというようなことは考えてございません。  それから、害虫抵抗性の遺伝子組み換え食品についてのお答えでございますが、導入された遺伝子によって発現するたんぱく質というのが、特定の昆虫が食べた場合に、そのときだけその昆虫の消化管の細胞に作用して、その上皮を破壊して、えさの摂食が阻害される、それで死に至るというようなことでございます。バレイショ、トウモロコシに導入されている遺伝子によって生産されたたんぱく質というのは、特定の昆虫にのみ効果を示すということでございまして、ほかの昆虫、目的以外の昆虫を含めた動物、それから一番大切な人ですが、人に対しては影響がないというような報告がされております。  以上でございます。
  30. 麻生太郎

    麻生国務大臣 時間なのだと思いますけれども、一つ、表示の件について、何が難しいかというと多分こうだと思うのですね。  例えばウイルスに強い稲、これは日本で既に認可されておりますけれども、このお米を全然使っていない普通のお米とまぜて米ができる、そのお米は流通するわけですが、そのお米を入っていますよと言って、しかし、そのお米をまた使っておかきをつくる、お菓子をつくる、何をつくる、うどんをつくる、ずっと広がっていくわけです。それを全部追って表示していくかという話になると、これはとめどもなくなる。大豆にも同じようなことで、さっきのは大豆の例でしたけれども、それを使ってしょうゆをつくる、しょうゆに書いてあるけれども、そのしょうゆを使ってまた何をつくった、それにも入る。ずっといくと、エンドレスとは言いませんけれども、そういったことになる部分というのは、具体的にどれだけ書き出せるかというところが技術的には難しいかなという点、多分アメリカなんかがいろいろ大いに、物理的に可能かという点が一つ。  それから、今おっしゃった、本当の意味で、体内に長いこと、ずっと十年使っていった場合に、別の何か我々がまだ考えていないものが発生するかもしらぬという危険性。  この二つがどの程度で折り合うかというところが多分コーデックス委員会の一番の問題なのかなと思って、私どもとしても、消費者行政を預かる立場としては、この点については今後とも注意深く配慮していかねばならぬと思っております。
  31. 中村鋭一

    中村委員長 河野君、時間ですが、一言ありますか。
  32. 河野太郎

    ○河野(太)委員 時間でございますので終わりにいたしますが、コーデックス委員会の文書を見ておりますと、安全であるのは大前提で、安全でないものは市場に出してはならぬ、しかし、安全である商品に必要な情報を表示するというのもまた必要なことであるというようなことが文書にうたわれております。  まさにそのとおりでございますが、長官がおっしゃったような問題が、特に日本は大豆でいろいろなものをつくるわけですから、本当に表示をどこまでやるか、それと消費者に対する情報開示をどこまでできるのか、その辺の兼ね合いが非常に難しいことになってくると思います。  消費者問題特別委員会でございますから、少しこの問題をこの委員会で継続して御審議をいただきたい、そうお願いをして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  33. 中村鋭一

    中村委員長 この問題については、継続して審議をすることになると思います。  青山二三さん。
  34. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。時間に制限がございますので、早速質問に入らせていただきます。  まず最初に、公共料金についてお尋ねをしたいと思います。  四月一日から消費税率が五%ということで引き上げられましたけれども、それに伴う五種類の公共料金の値上げが行われました。消費税のアップ分二%は軒並みに上乗せされまして、その上買い物のたびに支払う消費税もアップ、さらに二年間続きました所得税、住民税の特別減税の打ち切りなどで、家計の負担はずっしりと重くなってしまったわけでございます。  こうした公共料金の値上げたけで消費者物価が〇・二%ほど押し上げられると経済企画庁は試算しているようでございますが、波及効果を考えますと、この程度で済むものとは思いません。今回の消費税率アップに伴う公共料金への転嫁はすべきではなかったのではないか、こんなふうに思うわけでございますが、消費税率アップに伴う公共料金への転嫁について、まず大臣にお伺いをいたします。
  35. 麻生太郎

    麻生国務大臣 青山先生の御意見は、多分公共料金には消費税を賦課すべきではないという大前提がおありなんだと思っておりますが、消費税というのはもともと、価格の上昇を通じて最終的には消費者に負担を求めるという税、これは消費税の根本だと思っておりますので、今御指摘のありましたところ、そこのところは大前提が少し私どもとは違っておるのだとは思っております。  ただ、私どもとしても、基本的には、まず今二%というお話ではございましたけれども、正確にはこれは百三分の百五ということになりますので、割りますと一・九四%になりまして、〇・〇六とはいえ二%までになっておりません。したがって、公共料金の改定を、私ども経済企画庁へ最終的に上がってまいります場合には、その点につきましては上がる率を一・九四以内に必ず抑えるように指導をし、事実そのとおりになっておるところでございますので、今後ともその点は十分に配慮していかねばならぬところで、今物価問題に関する閣僚会議におきましても、少なくとも、〇・〇六とはいえ、一・九四は絶対厳守ということで、すべてその方向でやっておるところでございます。  御指摘の点、私どももわからぬわけではございませんし、事実公共料金いろいろ御指摘のあるところでもありますので、今後とも最低限というところで抑えていくように努力をしていかねばならぬと思っております。
  36. 青山二三

    ○青山(二)委員 大臣の御答弁はわかるのでございますが、今回の公共料金の引き上げを具体的に見ますと、一円単位とか五円単位で値上げできないところは十円単位とか、あるいは高速道路などは五十円単位で値上げをいたしております。本当にこれで正当なのかどうか、消費者にも簡単に判断ができるような仕組みが必要だと思います。  消費者の十分な理解を得るためには、公共料金改定の理由、算定根拠などに関しまして料金内容の情報公開を徹底して進め、公共料金の透明性を高めるべきだと思っております。大臣も、所信の中で、公共料金の情報公開等の徹底を積極的に推進していくと述べられておりましたけれども、具体的な取り組みについてどのように行われているのでしょうか。また、公共料金に関する情報公開制度を早急につくるべきであると思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  37. 麻生太郎

    麻生国務大臣 公共料金につきましては、これは御存じのように、いわゆる競争が基本的にございませんので、そういう意味からいきますと、この内容が競争が希薄な分だけ事業が効率化しにくいということなんだと思っております。そういった意味では、私どもは、コスト・プラス・適正利潤・イコール・価格という形にどうしてもなりがちで、そのコストの内容がよく見えぬという御指摘なんだと思いますので、その点につきましては、これは情報公開は非常に重要な要素だと思っておりまして、所信のところでも申し上げたところですけれども、今後ともこの問題につきましては、物価安定政策会議の下にあります基本問題検討会におきまして既に検討を指示しておりますので、本年六月をめどに今御指摘の点の報告書を取りまとめることにいたしております。  法制化をどうするかという点につきましても、今後その検討会の報告を踏まえまして、法制化につきましても検討させていきたいと思っております。
  38. 青山二三

    ○青山(二)委員 そのようにぜひお願いをいたします。  今回のこの公共料金の値上げにつきましては、価格破壊が進行する中で、民間企業からは、コスト意識が少なく、合理化努力が足りないという批判にさらされているのが現状でございます。もともと日本の公共料金は、外国と比べますと割高なものが大変多いと思います。その公共料金の内外価格差を調べてみますと、電気はイギリスの約二倍、ガスはイギリスの三・四倍、郵便はアメリカの二・六倍、バスはイギリスの一・七倍、タクシーはアメリカの二・七倍にもなっております。  このように、国際的にも格段に高いわけでありますが、消費税率の転嫁もやむを得ないというのであれば、少しでも低目になるように努力すべきであります。アップすることばかり考えないで、値下げをするという努力をしてほしいと思うわけでございます。こうした努力は本当にされたのでございましょうか。政府は、公共料金の高値構造に大胆にメスを入れて、公共料金の水準を国際的な水準に向け引き下げていくことを目指すべきと私は考えますが、大臣の御所見を伺います。
  39. 麻生太郎

    麻生国務大臣 公共料金が割高という点につきましては、私ども、否めない事実だ、さように理解をいたしております。  今電気料金等々ございましたけれども、御指摘のとおりですが、一応安いものもあるという御理解を得ようと思って幾つか申し上げさせていただけば、少なくとも市内の電話、一通話十円などというのは、これは世界の中に比べても〇・五倍、六倍ぐらいの価格になりますので、近距離電話などは安いという点もないわけではないのですが、いずれにいたしましても、総じて高いということは否めない事実だと思っております。  そういう意味から、これは先ほど競争が少ないためと申し上げましたけれども、ある程度参入規制の撤廃等々、タクシーなどというものは今後いわゆる参入規制を約五年間にわたって運輸省が減らして、今タクシーは一物一価から一物何価になるか、幾つか出てくると思いますが、いろいろな値段が出てくるのを初め、また電力につきましても、各企業が電力を自分で自家発電をしておられます分は、余った分はそのまま捨てておった分を電力会社に売っていいと法律を変えさせていただいて、電力コストの削減を図ってみたりいたしておりますが、一つだけ青山先生に御理解を得ておかなければいかぬのは、やはり公共料金、中でも電力などというものは質が物すごく高いんだと思うのです。  質が高いというのは、例えば病院なんかでは、もしものとき、手術の最中に停電ということになったら大変だということでありますから、大病院というものは自家発電を直ちにできるように、切りかえるような設備というものは大体持っておるのですが、日本の場合は全く停電しないという前提になっておりますので、事実全く停電をさせないためにお互い電力会社が融通し合うというのは、全国全部送電、九州の電力を北海道まで送れるまでに全部しておるのです。  そういった質が高いのはどこに合わせているかというと、夏の甲子園の野球でクーラーとテレビを使う時間が目いっぱいに上がりますので、そこのところに全部サービスができるように電力のあれを合わせるものですから、冬なんかの減っているときの分もその高い分をどうしてもコストを維持しますので、そういったところからいきますと、電力を安くするのだったら甲子園の時期をずらしてもらうのが一番安くなるという説があるぐらい、これはそのレベルにびしゃっと合わせるわけです。  そうすると、全国で見ますものですから物すごい勢いで電力が上がって、その供給量を常に確保するという前提で設備を全部つくりますものですから、非常に高いものになっておるという面などなど、これは社会風土との関係もありますので、公共料金、中でも電気などというのは非常に高いという御指摘もありますが、結構電力会社、努力しておるのですが、その需要の背景が少し他国と違っておる点もありますので、そこのところは私どもとしても今後いろいろ、今エネ庁で努力をしておられるところですが、私どもとしても、参入規制やら何やらが非常に競争を阻害しているために公共料金が高いという点など、いろいろ今御指摘のある点につきましては、参入規制の撤廃等々を指導していかねばならぬと思っております。
  40. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変事細かに御答弁いただきまして、ありがとうございます。  実は私は、公共料金につきましては、二年前に本委員会で質問をさせていただいております。そのときの大臣は高村大臣でございましたけれども、公共料金といっても十把一からげには論じられない、努力しているところとそうでないところがあるかもしれないので、そのようなところは厳正に個別案件ごとに審査していく、このような御答弁をいただいております。  それから今日まで政府の対応に注目をしてまいりました。二年たっているわけでございますが、この間公共料金について個別案件ごとに厳正に審査され、対処され、その結果、値下げしたものが一体どれぐらいあるのでしょうか。今大臣からは一つ二つお話がございましたが、具体的にお答えいただきたいと思います。
  41. 河出英治

    ○河出政府委員 ただいま委員の御指摘のとおりに、私ども、個別案件ごとに厳正に取り扱ってきたわけでございます。こういったことで、公共料金も近年は落ちついた動きになっておりまして、例えば五年度は一・〇%の上昇率でございましたが、六年度は〇・九%、七年度は〇・三%となっているわけでございます。  個別で引き下げたものがあるかというお尋ねでございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、例えば電力・ガス料金、昨年の一月から電力料金につきましては平均で四・二%の引き下げを行ったところでございます。  それから、国内電話料金、特に長距離料金でございますけれども、昨年の三月に、百六十キロメートル以上の区間につきまして、それまで三分間百八十円のところを百四十円に引き下げたところでございます。さらに、ことしの二月からこの百四十円を百十円に引き下げたということで、かなり短い期間に大幅な引き下げを行ったところでございます。  このほか、携帯・自動車電話あるいはPHS、こういった料金につきましてもかなりの引き下げを行ったところでございます。
  42. 青山二三

    ○青山(二)委員 まさにこの公共料金の改革は、橋本内閣が重要課題として掲げる経済構造改革にとって不可欠なるものでございます。私はそのように認識をいたしております。郵便とか電気、ガスなどの独占企業の見直しや幅広い競争の導入は、関連業界からのいろいろな強い反発も予想されますけれども、今後ともこの分野におきましては大変な御努力をいただきまして改革をしていただきたい、このように思うわけでございます。国内産業の空洞化を食いとめ、国民生活レベルの向上を図るためにも、具体的な改革のプログラムをつくることが急務ではないかと思います。そうした意味で、これからが経済企画庁大臣の実行力が問われるときであると思うわけでございます。  そこで、公共料金の改革について、先ほども少し触れていただきましたけれども、大臣の大いなる決意をお聞かせいただきたいと思います。
  43. 麻生太郎

    麻生国務大臣 公共料金、やはり値段の問題、価格の問題というのは効率化というものが大事なところで、競争がないとなかなか人間努力いたしませんので、その意味では効率化は大変大事なものだと思っております。そういった意味では、効率化した方がいいよとか、いろいろな意味のやり方だと思って今実験中ではありますけれども、例えば、よく言われるヤードスティック方式とかゾーン制とか、航空運賃でいえば上限幅以外何をやってもいいとか、競争を導入させるべく今いろいろな方式をやっておるところでありますので、いずれも価格設定方式の問題が、これはコスト・プラス・適正利潤・イコール・価格だけでいきますと、そのコストの部分が常に情報公開されておりませんとなかなか値段が下がらないということにもなろうと思っておりますので、そういった意味ではその点が公開されるように。  また参入規制は、先ほど申し上げましたように、タクシーを含めて今までは、そのタクシーはこの地域におきましては、これまでのお客の乗車率を見てこれ以上お客はいないのだからタクシーの台数はこれだけでいいというように指導をする形になっておりましたものを、少なくとも向こう五年にわたっていわゆる参入規制を撤廃をいたすことになりますので、そういたしますとタクシーは、お客があるんだからといってふやすタクシー会社と、お客がとれないからといってだめになっていくタクシー会社とはこんな差がついてくることは覚悟していただくことによって、いわゆる価格競争が入ってくる。参入規制を撤廃することによって競争が起きますので、そういった意味では結果としてタクシーというものの価格が安くなってみたりサービスがよくなってきたりしていく。  また、情報公開。いろいろ方法があるんだと思いますけれども、こういったものを含めまして、今の規制緩和の一環でもありますけれども、この公共料金のものにつきましては、参入規制の撤廃、情報公開、そしていわゆるインセンティブという、やったらこれだけ出ますよというある程度えさが来ないとやりませんものですから、そういった意味のものを含めてやっていかねばならぬと思っております。  やはり公共料金というのは高コスト構造を招く、日本という国の高コスト構造につながり、それが産業空洞化にもつながっていく大変基本的なところを今御指摘をいただいておりますので、この面につきましては、きちんとそういった形で、国際的に見てもという点を観点に置いてやっていかねばならぬと思っております。
  44. 青山二三

    ○青山(二)委員 だんだん時間がなくなってまいりますので、次の質問に移らせていただきます。  今大変騒がれております牛の預託商法についてお伺いしてまいりたいと思います。  最近、牛のオーナーになって高配当をなどということで、元本保証、高利回りをうたった牛の預託商法が急増いたしております。オーナーへの配当は最高で年七%以上、飼育後に売却した利益を高利で還元するという新しいシステムであると聞いておりますが、これを扱う業者の実態などについてどのように把握されておられますでしょうか。
  45. 井上隆昭

    ○井上説明員 お問い合わせの家畜預託オーナーシステムでございます。実態はいろいろありますけれども、私ども農林水産省の方にも消費者の方から種々の問い合わせが参っておるわけでございます。こういうこともございまして、農林水産省といたしましては、業者の方が配布された広告、パンフレット、チラシ収集、まだそういう業界の方に対するお問い合わせなどを通じまして、可能な限り実態の把握に努めてきた“こういう状況にございます。その結果といたしまして、現在私ども農林水産省として把握している業者数は十七あろうかというふうに思っております。  ただ、その中で、例えばそれぞれの個々の業者の方が牛を何頭飼っていらっしゃるかとか、またどのくらいのオーナーを把握されていらっしゃるかということにつきましては、なかなかこの辺のことまで、届けていただくとかそういうことになっておりませんので、その詳細を把握していないということでございます。
  46. 青山二三

    ○青山(二)委員 そもそもこの牛の預託商法というのは、近代的な経営方法の一つとして編み出されたとか、あるいは地方自治体が平成元年ごろから村おこしの一環として始めたものであるとも言われているようでございます。正当に行われるならば、民間活力が叫ばれる中で、創意工夫、農業活性化にとっても大変重要なものであり、地道に続けている人もあるやに聞いております。  しかしながら、今回問題となっている牛の預託商法は、それとは全く別の商法であるようでございますが、これはいつごろから行われているのでしょうか。また、なぜこんなに牛の預託商法が広がるのか、この商法が急増した時期やその時代背景についてお伺いをしたいと思います。
  47. 中村鋭一

    中村委員長 一言注意しますが、答弁はきちんと、そんな譲り合うようなことはだめだ。
  48. 西尾吉昭

    ○西尾説明員 時代背景については農林水産省ではちょっとわからないわけでございますが、いつごろから出てきたかと申しますと、いわゆるふるさと振興みたいなもので、地域振興という意味で、その地域の特産品を牛のオーナーになってもらえば一年に何回か送りますよ、そういう形で行われているものは、昭和五十七年ごろから幾つかの市町村とか農協とか、そういうところで行われておりました。  最近、いわゆる高利益を配当する、それからまた元本保証というような形で、高い利益を消費者に還元するというような形で行われておりますのは、二年ほど前から急増してきております。その特徴は、今まで農業をやっていなかった人が、いわゆる他産業の方からオーナーを募るという形で行われてきております。  そういう時代背景と申しますのは、これが当たっているかどうかは別といたしまして、やはり今のいわゆる預金金利が低くなってきているということも一つの背景かというふうに考えております。
  49. 青山二三

    ○青山(二)委員 この牛の預託商法につきまして、いろいろな問い合わせが国民生活センターに寄せられている、殺到していると伺っておりますけれども、トラブル等の相談件数とか、またこの商法に関する実態をセンターではどのように把握しておられるのか、また問い合わせの際にはどのような指導とか対処をされているのか一お伺いしたいと思います。
  50. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  国民生活センターに牛の預託オーナーシステムに関する苦情の問い合わせというのが、平成四年度に十六件来ております。五年度に三十二件、六年度には二十七件、七年度には六十八件、八年度忙は四百九十九件ということで、八年度に急増しているというのが現状でございます。これは、勧誘の方法というのは、主として新聞のチラシでございますとか、あるいは雑誌への広告というふうなことでございまして、直接的な売り込みに対する苦情というものはほとんど聞いておりません。  私どもといたしましては、こういう広告等が消費者誤解などを与えるようなものがあるというふうな観点から、農水省に御連絡を申し上げたり、あるいは苦情相談の実態に関する情報提供というふうなものを行っております。  それで、特に最近でございますけれども、三月十九日に、これにつきまして国民生活センターの方から情報提供いたしました。消費者へのアドバイスといたしましては、牛の相場というふうなものは非常に変動するものでございますので、必ずこれがもうかるというふうなものではなくて、ハイリターンがあるものについてはハイリスクというふうなものがあるのではないかということで、十分御注意するようにというふうな情報提供をしております。  以上でございます。
  51. 青山二三

    ○青山(二)委員 この商法でございますけれども、農水省さんでも過日異例の通達を出しておりまして、出資法に違反する可能性がある、このように言われておりますけれども、私もこの商法は出資法に違反するのではないかと考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
  52. 古谷一之

    ○古谷説明員 出資法は悪質な利殖機関の排除を目的としまして立法されておるわけでございますが、その二条で、ほかの法律で特別の規定がある者、例えば銀行とか信用金庫とか農協といったものを除きまして、業として預かり金をしてはいけないという規定がございます。  この出資法上の預かり金の要件でございますけれども、不特定かつ多数の者から金銭の受け入れを行う、それが元本の保証が約されている、さらに、主として預けた人のために金銭の価値を保管することを目的としておるといった要件になっておりまして、そういうものに該当します場合には出資法違反になる可能性がございます。  ただ、具体的な事案がそれに当たるかどうかというのは個々に判断をする必要がございまして、最終的には、捜査当局が捜査をし、司法判断にゆだねられるといったことになっておるわけでございますが、農水省の方からも過日私どもに御相談がございまして、ケースによっては出資法違反の疑いがあるので注意をしてくださいという形の通達を農水省からも出していただいておるというふうに理解をしてございます。
  53. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、今回のこの商法は、例えば預託法とかあるいは訪問販売法などによって規制ができないのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  54. 太田房江

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  商品の預託を受ける取引は、いわゆる預託法と申しております特定商品等の預託等取引契約に関する法律による適用を受けるものがございます。この法律におきましては、顧客が三カ月以上の間政令で指定する物品等を業者に預けまして、その期間が経過した後に預託に関して財産上の利益が提供されるということを約束する等の契約を対象として、幾つかの義務を業者に課しておるわけでございますが、例えば契約時の書面交付義務ですとか、それから不当な勧誘行為の禁止、さらには業務、財産上の状況を記載した書類の閲覧の義務などを課すとともに、消費者側、預託者側に対しましては十四日間のクーリングオフを認めるというような制度がこの法律で整っております。  こういった規制を行っておりますのは、預託取引契約というのが、顧客誘引力が高い一方で、契約の履行可能性ということになりますとリスクが高い、こういうことに着目をして規制を行っているわけでございますけれども、この牛の預託商法につきましては、現在、牛が政令の特定商品に指定されておらない、こういうことでございますので、法律の適用対象外となっております。
  55. 青山二三

    ○青山(二)委員 という御説明でございますので、こうした悪徳商法でございましょうか、つぶされても、手をかえ品をかえて消費者をいろいろと混乱に陥れるわけでございます。  そこで、この種の問題解決に即応できる、またこうした悪徳商法を一網打尽にできるような法律をつくる必要があると思いますけれども、大臣の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  56. 麻生太郎

    麻生国務大臣 大体、こういううまい話はこうやって聞かなければいかぬのですけれども、ひっかかる方もひっかかる方だなと思うぐらいうまい話に皆ひっかかるので、もうかった人は皆黙っておるのですけれども、損をすると皆こっちにお見えになるというのが実態なんですね、こういう話は。  したがいまして、これは消費者保護会議において関係法令の厳正な運用を行うということの決定はされておるのですけれども、今、御存じのように、経済社会というものが随分複雑になったり多様化したりしておりますので、先ほど佐藤先生、また河野先生から御質問があっておりましたように、基本的には個人の自己責任ということで、情報公開を前提にしてやっていかなければいかぬところだとは思っております。  今後とも、とにかく民事ルールを立法化するかとか、いろいろそういった点で今継続的にそういったものの検討をさせているところなんですが、一つできるとまた別の商法ができて、どんどんできていきますものですからなかなか追いつかないというところで、目下総合的な検討をさせているところです。  いずれにいたしましても、こういったものが消費者利益を著しく損なっている可能性が非常に高いことは確かでありますので、こういったものにつきまして、消費者保護というのを前提に環境整備をやつていかねばならぬということで、目下指示をいたしておるところであります。
  57. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  だます方も悪ければだまされる方も悪い、こういう大臣のお言葉かと思いますけれども、これだけ低金利が長い間続きますと、消費者の方も、少しでもいい利息のものを、こういうふうに考えるのは人の常でございますので、どうか、こういう問題が起こりましたときは的確な処置を心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  58. 中村鋭一

    中村委員長 青山委員、御苦労さまでした。福留泰蔵君。
  59. 福留泰蔵

    ○福留委員 新進党の福留泰蔵でございます。当消費者問題等に関する特別委員会で初めて質問させていただきます。  この委員会は、消費者の利益を守るということで、今の行政が縦割り行政の中で進められているとも言われているわけですけれども、消費者という視点から消費者のかかわるさまざまな問題について質疑をさせていただけるということで、大変重要な委員会だろうと思っております。そういう観点から、本日は、私は、プライバシーという問題と、それから個人情報の保護という観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず、プライバシーというのは、言葉の定義としては、個人の生活と秘密を他人に侵されない権利であるというふうに言われているようであります。長官もほとんどプライバシーのない生活をしていらっしゃるかと思いますけれども、普通の生活をしていらっしゃる方は、当然プライバシーというものは大変重要なものであろうと思います。  それで、個人情報の保護という観点からこのプライバシーというのを見ていきますと、自分にかかわる情報を自分がコントロールできる権利を有しているということが前提になっていくのだろうと思うわけでございます。  しかし、日本の現状というものはまだまだそういう状況にまで立ち至っていないのではないかというのが、今、私の一つ時代状況認識でございます。個人情報というのも、実はプライバシーにかかわる問題でいえば、個人の固有情報というもの、つまり、その人の自己の道徳的自律にかかわる問題といいますか、また、生存にかかわる事柄というような問題、宗教の問題だとか、それから出身の問題とか、これがこういうものに含まれると思います。また、そのほかに、外縁情報とも言われているようですけれども、その外の事柄の問題等があろうというふうに聞いております。  一般的に、固有情報というものは、私は収集されてもいけないと思いますし、利用されることもあってはならないと思っておりますけれども、外縁情報というものは、それが活用されることによって私どもはこの社会の中で利便性を得ている面もあろうと思います。  この外縁情報の中には、いわゆる顧客情報というものと個人信用情報というものが今あるのではないかと私は思っているわけでございますけれども、例えば、顧客情報というのは、いわゆるダイレクトマーケティングに利用されるような個人の住所とか氏名、性別、生年月日、電話番号、家族構成、職業等の情報だと言われております。これは、私たちがいろいろな商品を買った際にアンケートに答えたりして、それが収集された情報、これを業者があらゆる手段を用いて一方的に収集、蓄積、利用、売買しているものと言われております。  この顧客情報については、業者が収集、利用した場合にプライバシーの侵害に当たるかどうかというのは、いろいろな学説があるようでございます。また、先ほどいろいろ青山先生の質疑にもありましたけれども、悪徳商法の問題もございます。長官は、だます方も悪いけれどもだまされる方も悪いという、極端な話で申しわけありませんけれども、そういう面も否めないと思いますが、しかし、この個人情報の問題について言えば、いわゆる多重被害の問題もあるわけです。一度だまされた人のリストが出回ってしまっている、だからそういう人たちがまた対象になってしまうというふうな事例もあるわけでございまして、個人情報が持つ怖さみたいなものがそこにあらわれているのではないかなと私は思っているわけです。  また、個人信用情報というものは、金融機関など、信用取引をする消費者の財産状況個人的信用に関する情報だと言われています。これは金融機関にとっても、過剰貸し付け、また不良債権を防止するために重要な情報であります。また、その受益者であります消費者も、個人信用情報を収集、利用されることによってその人の信用が保証されるという面もあるわけでございます。  この個人信用情報というのは、いわゆるブラック情報、事故者情報というのでしょうか、それからグレー情報、要注意情報、それからホワイト情報、優良顧客情報というふうに分けて登録をされていると聞いているわけでございます。  今、時代は、コンピューターが発達しました、また通信手段も発達しました、高度情報通信社会という言葉が言われているわけでありますけれども、大量のデータが収集、蓄積されて、それに短時間のうちにアクセスでき、いろいろな利用ができる時代になったわけです。情報を活用するという意味では社会の発展ともとらえられるかもしれませんけれども、大量のデータが利用できるということは、ある意味で悪くも利用できる時代にもなったと私は思っているわけでございます。  また、この個人情報のさまざまな問題点が昨今いろいろ出てきているとも思っているわけでございまして、消費者行政を預かる経済企画庁としても、さまざまなこの個人情報にかかわる問題について現状の認識をお持ちであろうと思いますので、まずその現状認識、どのような苦情、相談が寄せられているのかということをお尋ねしたいと思います。
  60. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  国民生活センターに個人情報保護に関する件で相談が来ているものを整理いたしますと、件数全体を特定することはなかなかできないのでございますけれども、例えばブラックリストでございますとか、あるいは信用情報機関、あるいはクレジットの申請に対する拒否がなされたというふうな苦情が、平成八年度におきまして、ブラックリスト関係について約七百件、信用情報機関については約二百件、クレジットの申し込み拒否については約百件、そんなふうな苦情申し込みあるいは相談というふうなものがなされております。
  61. 福留泰蔵

    ○福留委員 今、国民生活センターに寄せられている相談、苦情の御説明がありましたけれども、昨今の新聞紙上でも、この個人信用情報の不正流出という問題で、最近の主な事件だけでも五件あります。  昨年は、消費者金融を装った十三業者が貸金業協会に加盟し、全国信用情報センター連合会管理下のコンピューターから約八万人の個人信用情報を引き出した、信用調査機関や金融機関などにそれを販売したといった事件もございました。また、今年に入ってからも、シー・アイーシーで社員が長期間にわたって外部に個人信用情報を漏えいしていた事件も発覚しております。  いずれにしても、この個人信用情報というものはその人のプライバシー権に属するものでありまして、その取り扱いについては厳正にしていかなければならないのは言うまでもないと思うところでございます。  私もこの問題について少し勉強させていただきますと、各省庁それぞれの取り組みをなされているように聞いているわけでございます。  まず、今の問題とちょっと関連するかもしれませんけれども、通産省におかれましても、この個人情報の保護という観点からさまざまな取り組みをされてきていると思いますけれども、その取り組みの現状と今後の対策について、お考えがあればお伺いしたいと思います。
  62. 振角秀行

    ○振角説明員 通産省の情報処理システム開発課長でございます。ただいまのお尋ねに対して答弁させていただきたいと思います。  先生も御指摘になりましたように、情報化の進展によりまして個人情報が大変蓄積されるようになってきているところでございますけれども、それには、一方では、顧客情報というような形で取引を円滑化させ、消費者の利便を向上させるというプラスの面があると我々も認識しておりますけれども、他方では、そういうように大量に蓄積された個人情報が漏えいされたりあるいは侵害されるという懸念が非常に重大になってきているというマイナスの面と、両面あるというふうに我々考えているところでございます。  したがって、通産省としましては、一方では、自由な経済取引ということによりまして経済が効率的に発展をするということを保証しつつ、一方では、実効性のある個人情報保護施策がとられることが重要ではないかというふうに考えているところでございます。  このため、業種、業態によりまして、個人情報といってもいろいろ種類があると先ほど申されましたけれども、そういうような実態とか、あるいは取引実態等が大きく異なることや、消費者ニーズもいろいろ多様化しておるということを踏まえまして、基本的な考え方というのをまず明示した上で、民間事業者が個人情報保護に関しまして業種、業態に応じた自主的な対応を行うことをまず促すために各般の施策を講じておるというのが実態でございます。  具体的に申し上げますと、第一点としましては、いわゆる個人情報保護ガイドラインというのを策定しておるところでございまして、去る三月には、個人情報の収集、利用、提供等についての基本的な考え方を示すとともに、先ほど先生も権利だと言われましたけれども、消費者の側の権利につきましても明確にした指針、いわゆるガイドラインを告示しているところでございます。  通産省としましては、各事業団体に対しまして、当省のガイドラインを踏まえまして事業実態に応じた業種別のガイドラインを策定していただくとともに、また、個別企業にはそれを踏まえた、企業ごとに実践遵守計画、英語で言いますとコンプライアンス・プログラムというのを策定していただくよう現在要請しているところでございます。  さらに、今後におきましては、個人情報保護に関して不適正な措置を行っている企業につきまして改善を促すような監視機関制度等についても引き続き検討していきたいというふうに考えているところでございます。  また、個別分野で、特に先ほど侵犯事例が多いと言われました個人信用情報につきましては、大蔵省と共同で、個人信用情報保護・利用の在り方に関する懇談会というのを今回設けることにしまして、個人信用情報の保護、利用のあり方について幅広い観点から検討することとしております。  これら各般の施策を通じまして、また経企庁等関係省庁とも連携をとりながら、効果的な個人情報保護施策が講じられるよう今後とも努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  63. 福留泰蔵

    ○福留委員 今の通産省の御答弁については後でまたお尋ねするかと思いますけれども、とりあえず一きょう来ていただきました各省庁にお伺いをしておきたいと思います。  二番目に大蔵省の方にお尋ねしますけれども、まず大蔵省としての取り組みの状況について、それから今後の考え方についてお尋ねします。  今、日本の中でこの個人情報の保護という観点から法律があるとすれば、貸金業の規制等に関する法律と割賦販売法があると言われておりますが、この中には、個人情報の保護に対する規定はあるけれども罰則規定がないということがかねてから指摘されているわけでございます。ですから、個人情報の保護という観点からすると、今通産省の方からお話ありましたけれども、ガイドラインによって指導監督をしていくというふうなお立場であるというふうに理解しておりますが、もう一歩踏み込んで、法律をつくる、法制化を考えていく、また現状ある法律についても罰則を強化していくのが筋ではないかと考えております。大蔵省の方で現状のお考え、これからのお考えについてお尋ねしたいと思います。
  64. 古谷一之

    ○古谷説明員 委員指摘をいただきましたように、大蔵省所管のノンバンクの個人信用情報の保護に関しましては、過剰融資を抑制するという観点から個人信用情報を活用することと、その個人信用情報につきましては融資目的以外に利用してはいけないということが決まっておるわけでございますが、罰則等でそれが担保をされていないということで、諸外国の消費者信用保護の法令等に比べますと非常に見劣りがするという御指摘をいただいておるわけでございます。  特に最近、自己破産がふえておるといった多重債務などが非常に問題になってきておるわけでございますけれども、それに対処いたしますためにも、先ほど委員が御指摘いただきました、グレーとかホワイトといった情報の交流が信用情報機関同士で必要になってくるわけですが、そのためにも、一方では個人信用情報の保護という体制をきちんとしなければいけないということであろうかと思います。  先ほど通産省から御答弁がございましたが、このたび、販売信用を所管しておられます通産省と共同で個人信用の利用と保護についての勉強会を始めることになりまして、その中では、御指摘のございました法的な措置の可能性も含めて今後検討させていただきたいというふうに考えております。
  65. 福留泰蔵

    ○福留委員 今答弁にありました、先ほど通産省の方からも答弁にありましたけれども、通産省と大蔵省で共同で、個人信用情報保護・利用の在り方に関する懇談会というのが開かれるようになった。きょう第一回の会合を開催するというふうに伺っているわけでございますけれども、私はこの懇談会は前向きにとらえております。この懇談会の中で、先ほど申し上げましたとおり、法制化を含めてぜひ検討をしていただきたいと思っております。  引き続き、郵政省も来ていただいておると思いますので、郵政省についてもこの個人情報の保護という観点からお伺いします。  今、発信電話番号通知サービスの試験的導入がなされております。この発信電話番号通知サービスというのは、これまでの迷惑電話の防止だとか、そういったたぐいのことに対して大変効果が期待されると私も理解しているわけでございます。  ただ、マイナス面もある程度想定しなければならないと思っているわけですが、消費者企業、商店なりに電話でアクセスをして商品を発注する、そうすると、企業なり商店にはもう電話番号だけでその情報が蓄積されていくわけでございます。そして、その電話番号の持ち主がどういう商品を買ったのか、どういう趣味を持っているのかというのが大量に蓄積されていく可能性があるわけであります。そういう意味でいいますと、そこに新たに蓄積されていく個人情報をどのように保護していくかという前提がなければ、またこの発信電話番号通知サービスというものも大変な危険性をはらんでいるのではないかとも私は思っているわけでございます。  また、郵政省の方は、放送にかかわる問題でも個人情報の保護という観点からも重要な課題を抱えていると思っております。  まず、郵政省の個人情報の保護という観点からの取り組み、これからの考え方についてお聞かせ願いたいと思います。
  66. 桜井俊

    ○桜井説明員 委員指摘のとおり、高度情報社会を迎えまして、電気通信分野におきます利用者のプライバシーの保護あるいは個人情報の保護というのが大変重要な課題になってきているというふうに認識しているところでございます。  郵政省といたしましては、平成三年九月に、電気通信事業者が取り扱います個人情報の保護につきましてガイドライン、具体的には、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインというものを策定いたしまして、事業者にその遵守を指導してきているところでございます。  ただいまお話ございましたNTTの発信電話番号通知サービス、これは本年一月から横浜、名古屋、福岡で、六月までという予定で試験サービスを開始しているわけでございます。これにつきましては、このサービス開始前、認可に当たりまして、電気通信審議会からの要望も受けまして、平成八年十一月でございますが、このサービスによって通知されます電話番号の取り扱いにつきまして、発信者情報通知サービスの利用における発信者個人情報の保護に関するガイドラインというものを策定いたしまして、各省庁それから関係事業者団体等に周知徹底をお願いしているというところでございます。  また、放送分野でございますが、最近いわゆるペイテレビといったものが大変普及してまいりました。そういうことを踏まえまして、昨年の九月でございますが、加入契約を伴う放送サービスを提供する放送事業者が取り扱う視聴者の個人情報の保護につきまして同じくガイドラインを策定いたしまして、事業者団体に提示して個人情報保護に関して指導を行ってきているところでございます。  郵政省といたしましては、引き続き、このようなガイドラインの実施状況といったものを踏まえまして、電気通信の利用者のプライバシーあるいは個人情報の保護に努めてまいりたいというふうに考えております。
  67. 福留泰蔵

    ○福留委員 私があえて通産省それから大蔵省、郵政省の方に御答弁願ったことは、現状の個人情報保護に関する私の認識というのは、日本はヨーロッパ、アメリカ等におくれているという認識があります。そして、今その取り組みが、実は各省庁ごとにガイドラインをつくって対応しているという点があろうかと思います。  私のきょうの質問で実は結論的に申し上げたいのは、消費者保護という観点から、個人情報の保護という基本法、いわゆる包括法みたいなものをつくるべきではないか。その包括法で足らざるところ、各業界ごとにいろいろな事情が異なるところについては各業界ごとの個別法の法整備をやっていくべきではないかというのが私の考え方でございます。今、各省庁からいろいろな取り組みを聞きました。それは、基本的には、今ガイドラインの段階でとどまっている、法制化も念頭に置いて勉強会を始めたところであるというところだろうと思います。  私なりに諸外国の立法状況等も調べてみました。個人情報の保護という観点からいうと、一九八〇年にOECDがプライバシー保護理事会勧告、いわゆるOECDの八原則というものを提示してございます。世界的にはプライバシー保護という流れがここから、明確に八原則が提示されて動いてきているのだろうと思います。ヨーロッパ評議会では、一九八〇年に採択され、一九八五年に発効しました個人保護条約というものができております。また、国連においても、一九九〇年の総会決議で、コンピューター個人データファイル規制ガイドラインということで九原則が提示されているわけでございます。  こういう状況の中で、個人情報というのは、行政機関が収集、蓄積する個人情報と民間企業が収集、蓄積する個人情報の二種類がございます。日本の取り組みというのは、実は、行政機関が収集、蓄積、保有する個人情報については、一九八八年に、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律というものが一応できてございます。私が先ほど来申し上げておる民間企業が収集、蓄積する個人情報の保護については、いまだ法律が、さっきの貸金業の法律と割賦販売の法律、まだ不十分でございますけれどもこの二点があるだけで、ほとんど法制化はなされていないというのが私の現状認識でございます。  それではヨーロッパ等はどうかというと、一九七三年を皮切りにこれまで、スウェーデン、アメリカ、ニュージーランド、西ドイツ、フランス、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、ルクセンブルク、アイスランド、カナダ、イギリス、フィンランド、アイルランド、オーストラリア、オランダ、ポルトガル、ニュージーランドと、すべて先ほど申し上げたものについて法制化が既になされております。それで、そのほとんどが行政機関の保有する個人情報並びに民間企業の保有する個人情報あわせて法制化している、また、個別にしても両方とも法制化がなされているのが今諸外国の状況であろうと認識しております。  今、時代は国際化の時代と言われ、人、物、金、情報が国境を越えて、またリアルタイムでいろいろ交流する時代となってまいりました。個人信用情報等も、これは世界的に信用情報というものが利用される時代になってくるのだろうと思います。日本個人情報の保護に対する体制が不備であれば、やはり世界の中から日本が取り残されていく可能性も私は懸念をしているところでございまして、そういう観点から、ぜひとも早急に法制化を図っていくべきだろうと考えておるところでございます。  ガイドラインをつくることによって実効性はあるのだという認識があろうかと思いますけれども、私はそれでは不十分ではないかというふうな認識でございまして、今るる申し上げてまいりました状況の中で、これは基本的には、消費者保護会議の幹事でございます経済企画庁長官麻生長官の今の話についての御感想なり、またお考えがあればこの際お伺いしたいと思います。
  68. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今御指摘のあっております点が、先ほど青山先生の御質問にも答弁させていただいた一部と重なるとは思いますが、このところ、経済生活、社会生活が多様化、複雑化した結果、今申し上げたような点が出てきて、かつ、それに情報化が加わったものですからさらに話が込み入っておりまして、小売より通販の方がということになると、さらにその通販部門においてもこの情報は非常に値打ちのあるものでありますので、その情報なりというもの自体が値打ちを持つということになってきておる状況でありますので、今申し上げたようなことが犯罪につながっていったり、いろいろプライバシーの侵害を通り越す部分まで出てきておるというのは事実であります。  したがって、昭和六十三年の九月に国民生活審議会消費者政策部会におきましても、これは報告が既にその当時から少しずつではありますけれどもなされておるところでありまして、個人情報保護の立法化についてのコンセンサスが形成されるように努力をせねばならぬということで、今お話があっておりましたように、四月十四日、通産、大蔵がともに新聞発表しておられますが、個人信用情報保護・利用の在り方に関する懇談会の開催についてということで、本日第一回目の会合を両方でしておられます。  これは信用情報というのを主に置いておられますが、情報は信用情報に限らずほかにもいろいろあるわけですので、これは全部というのは一挙になかなかいかぬところだとは思いますけれども、六十三年以後、今のガイドラインはその種のコンセンサスづくりにも大変資するところだと思っておりまして、きょう第一回が始められることになりましたけれども、その他の情報に関しましても、徐々に必要性がだんだん理解を得つつあるところだと思っておりますので、今後とも私どもとしては、個人情報保護という観点に立ちまして、この法制化についても十分に検討をしていきたいと思っております。
  69. 福留泰蔵

    ○福留委員 ありがとうございます。今長官の方からもお述べになりましたとおり、既にもう約十年前、昭和六十三年に国民生活審議会の消費者政策部会の報告の中で、法制化を講ずる方向で考慮すべきであるというふうな報告がなされております。ただ、その前提としては、法律技術的な検討課題があるという認識の上で、国民的コンセンサスの形成を図りつつ、行政、事業者、消費者、それぞれの立場個人情報保護を図っていく必要があるという認識が十年前でございますので、私は、十年たちましたので、これからコンセンサスということではなくて、もうほぼそういうニーズというのは高まってきているのではないかと思いますので、早急に法制化を実現されるよう要望する次第でございます。  それで、立法化について最後に私の個人的な見解を申し上げますと、いろいろな条件があろうと思いますけれども、一つは、やはり包括立法をまずするべきではないか、包括立法をした上で、個別のそれぞれの業態、業種に合った法整備を行っていくべきではないかなと思っております。  それから、その前提としての、先ほど私が申し上げた自己情報コントロール権としてのプライバシー権というものを法律の中で明確にしていく必要があるのではないかなと思っております。  三点目は、先ほども若干お話ありましたけれども、こういう個人情報の監督を行うような第三者機関をやはりつくっていかなければならぬのじゃないかなと思っております。個人情報というのは、本日この委員会で取り上げさせていただいた以外にも、医療情報、その人の病歴だとかそれぞれの健康状態の情報も、既にもう病院等に収集、蓄積されてもいるわけでございます。これは、実はそういう情報が活用されるためには流通しなければならない、流通されることによってむだな検査は必要ないということもありますので、当然利用されなければならないけれども、それはきちっと保護されなければならないという部分もあろうかと思います。  今申し上げたとおり、これは大蔵、通産、郵政だけではなくて、さまざまな分野にわたる個人情報の問題でございまして、私は、ぜひとも包括立法ということを前提にこれから取り組むべきではないかということを申し上げまして、質疑を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  70. 中村鋭一

    中村委員長 福留委員、御苦労さまでございました。中桐伸五君。
  71. 中桐伸五

    ○中桐委員 民主党の中桐伸五でございます。私は、前の質問者の中にもございましたが、悪徳商法の問題につきまして、具体的な事例を取り上げながら、今後どのように対処していくかという点について質疑をしたいというふうに思います。  まず第一に具体的に取り上げたい課題といたしまして、朝日ソーラー株式会社の事件がございます。  この点につきましては、本年の四月十日付で、経済企画庁の特殊法人である国民生活センターから、消費者に適切な情報を提供するということで、具体的に事業者名を挙げて情報公開が行われた。この点については、消費者に注意を呼びかけるということが悪徳商法の対策として大変重要であるということから、私としては非常に高く評価をしたいというふうに思っております。  しかしながら、この国民生活センターが情報提供をしていただきました内容を見てみますと、この情報提供が必ずしも迅速であったかどうかという点でやや問題が残るのではないかというふうに考えるわけでございます。  もう既にテレビのコマーシャル等でこの業者は非常に国民の間に知られるところとなっておるわけでありますが、国民生活センターが情報提供した内容を見てみますと、強引な押し売りもどきの行為などもありますし、また虚偽的トークというふうなことも指摘されておりますし、何よりも重大なのは、心身障害者の方や高齢者に対して相当不当な販売を行っているというふうな事実が情報公開されております。  その情報公開の中に、全国の主な消費生活センターに寄せられた消費者からの苦情の処理件数が報告をされております。これによりますと、一九九二年度には三百九十二件苦情の訴えがあった、九三年度には六百五十八件にふえている。さらに、九四年度には倍近い千百十二件、九五年度も同じく千百二十一件、九六年度が千百七十八件というふうな苦情件数が、同時にこの情報提供の中で報告をされておる。  そこで、最初の質問の意図を繰り返すわけでありますが、実名を挙げて公表するというこの対応は非常に重要だというふうに思うのですが、その発表の時期が一年前あるいは二年前であれば、もっと被害の発生を少なくすることができたのではないかというふうに考えるわけであります。この点について、まず経済企画庁の方にお伺いしたいというふうに思います。
  72. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えをさせていただきます。  朝日ソーラーの実名公表の件でございますけれども、実名公表というのは、公表された事業者の事業活動に非常に大きな影響を及ぼす可能性があるということから、事実関係調査でございますとかあるいは改善方策に関する話し合いというふうなものを行った上でやる必要があるというふうに考えておりまして、こうした活動によっても事態が改善をしないというときに、消費者被害の減少を図るにはもう実名公表以外に方法がないというふうな判断に至って初めてなされるべきものではないかということで、そういう意味では極めて慎重であるべきでございます。  しかし同時に、先生の御指摘のこともわかるわけでございますけれども、本件について申し上げますと、国民生活センターが、平成七年ごろから、朝日ソーラーの問題の商法に関して苦情件数の多さというものに着目をしてまいりました。それで、同社に対しまして再三改善の要望というものをやってまいりまして、そのたびに同社から販売員の指導などを行う、問題商法の改善に向けては努力をしますという約束が出てまいりましたものですから、センターといたしましては、同社のそうした改善の効果というものを当面の間観察をするというふうな態度で処理をいたしました。  しかしながら、センターからの再三の改善要望というものに対しまして、確かに同社は種々改善に向けて努力をしたというところも一部認められるわけでございますけれども、その効果というのが、センターの改善要望の期待には必ずしも沿うような効果が出てこない。どういうところで出てこないのかというふうなやりとりもやりました。しかし、そういうことでございまして、末端までどうも行き届いてはいないのではないか。依然として苦情の件数も激減するというふうなことはないし、それから販売方法につきましてもやはり無視し得ない問題というふうなものがあるものですから、さらに追跡調査等を行いまして、事実関係の確認を行ってまいったものでございます。  それからさらに、この調査結果を踏まえまして、法律の専門家から成ります苦情対策委員会というところの意見を聞きまして、これは公表をするというのが最も妥当であろうということで、実名公表を決定したものでございます。
  73. 中桐伸五

    ○中桐委員 この情報公開されたものによりますと、九五年二月ごろから改善要望のアクションをとってこられたというふうになっております。九五年という段階というのは、九四年に倍増に近い形で苦情件数がふえたということからそういうアクションをとられたというふうに理解してよろしいわけですね。  そうしますと、この改善要望の行動の内容をもう少しお聞きしたいと思うのですが、つまり、会社と直接一対一で対応するという形でおやりになって、あるいは消費者、苦情を申し立てている方々に対する調査とかそういうものも含めて、どのような形で改善要望というのを行ってこられたのかということについて、簡単で結構ですから。
  74. 井出亜夫

    ○井出政府委員 それにつきましては、会社と直接、あるいは弁護士さんなどが中に入りまして、むしろ客観的に見た場合にこういうところに問題があるのではないかというふうなことでセンターの方から指摘をいたしまして、それに対しまして、会社の方は事故件数を目に見えて少なくする努力をやりたいというふうな回答をしてきた経緯が二回ぐらいございます。
  75. 中桐伸五

    ○中桐委員 重要なのは、消費者との間でこういう朝日ソーラーのような会社が密室状態で話をするわけですよね。第三者がいない。そういう状態でありますから、やはり苦情件数が急激に多くなり、しかもまとめられている内容を見ると非常に悪質であるということですから、そういう場合は会社とだけ対応して改善要望をして終わるのではなくて、何らかの形でもう少しパンチのきくといいますか、そういう改善の指導の方法というのも工夫しなければいけないのではないかというふうに思うのです。  その点についてはぜひ改良といいますか、そういうものをやっていただきたいと思うのですが、そういう改善をするに当たって、そういうアクションを起こすに当たる何か基準というかマニュアルというか、そういうものは経済企画庁はおつくりになっているのでしょうか。
  76. 井出亜夫

    ○井出政府委員 実名公表をする際には、情報提供をした方が公共の利益に合致するとか、あるいはそれを行うことが公益を図るために必要であるとか、あるいは情報の内容自身が真実である、あるいは真実相当性を有するというふうな点が一つのポイントになろうかと思います。それから、特定の事業者にかかわる相談の事例というのが非常にたくさん寄せられている、あるいは相談が増加傾向にある、あるいは内容が消費者に重大な影響を与えまたは与えるおそれがあるもの、そういうふうなことで、どちらかというと、今までの判断基準というものはやや抽象的に過ぎたのではないかなというふうに思っております。  今回、最近こういう事件が非常に多いものですから、地方消費生活センターとの連携のとり方でございますとか、どういうふうな現象が出てきたときにはどういうふうなウォーニングをするとかいうふうな、もうちょっときめ細かいマニュアルというふうなものをつくったらどうかということで、国民生活センターの方と相談に今入っているところでございます。
  77. 中桐伸五

    ○中桐委員 情報が消費生活センター及び国民生活センターに入ってくる、これは大変貴重な消費者からのメッセージだと思いますから、それを適切に処理をする、そういう判断基準といいますか、行動の基準といいますか、そういったものはぜひ早急につくっていただいて、公表もしていただきたいというふうに要望しておきたいというふうに思います。  実は、この朝日ソーラーの事件でも大変驚いたんですが、さらに、最近、ことしの一月十日付で横浜地裁から破産宣告を受けたココ山岡宝飾店の問題に関連して、こういった問題にどういうふうに対処していったらいいのかということをちょっと議論したいというふうに思います。  このココ山岡宝飾店においては、五年後に九十万円以上のダイヤモンド製品は販売価格で買い戻すとか、あるいは三十万円から九十万円の製品は売り値の七〇%で買い戻すというふうなキャッチフレーズといいますか、そういうふうな形で事業を行ってきたというふうに聞いております。かなり強引なキャッチセールス、要するに呼び込みというか、呼びとめて行うというふうな形でキャッチセールスをしていたとか、あるいは先ほどの買い戻し特約というような形をくっつけて商売をやっていたというふうに聞いているんですが、この点について、現在、破産宣告を受けてから被害が一気に表面化したというふうに聞いております。今、これはかなり膨大な数に上っているのではないかと思うのですが、全国的にどのような被害といいますか、これにかかわっている方がいらっしゃるのか、まず経済企画庁と通産省の両方に、把握している実情をお伺いしたいと思います。
  78. 井出亜夫

    ○井出政府委員 ココ山岡の件でございますけれども、実は、これは破産宣告を受けた後に、ことしの一月十日以降、これに関する相談件数というのが極めて急増しておりまして、センターに寄せられたものを集計いたしますと、大体八千三百件ぐらいの問い合わせ及び相談がございます。  ただし、それ以前の状態でございますが、破産宣告以前の平成七年は五百八十二件、八年も六百件ぐらいというふうなことでございまして、その内容というのは、解約したいができない、あるいはキャッチセールスで強引な販売方法に遭ったとか、あるいはクーリングオフ等に関係するものでございましたけれども、破産宣告の後には、相談内容のほとんどが宝石の買い取り保証ができるのかどうかというふうな問い合わせでございまして、私ども聞いているところでは、各地の被害者弁護団が行った説明会には合計で一万人ぐらいの人が参加をしたのかなというふうな情報を得ておるところでございます。
  79. 今清水浩介

    ○今清水説明員 お答え申し上げます。  私どもで把握しております数字でございますが、ココ山岡宝飾店と宝石の購入契約を結んだ消費者のうち、クレジットを利用した購入者の数でございますが、これが約十四万件というふうに把握しております。ただ、これは買い戻し特約つきの宝石の購入であるかどうか、その内訳については不明でございますので、その一部と考えております。  なお、割賦販売法という法律では、その第三十条の四に基づきまして、いわゆる抗弁権の接続という制度がございます。現在、この制度を利用しまして割賦販売業者の方にその接続を主張している購入者の数、これは約三千八百件でございます。
  80. 中桐伸五

    ○中桐委員 お聞きしますと、相当の数に上るということを認識いたします。  そこで、相当強引なキャッチセールスをやっていたというふうなことが問題になっていたようでありますが、消費生活センターであるとか国民生活センターの方にはそういう苦情が既に出されてきていたということも先ほどの報告であるんですが、こういう場合、先ほど朝日ソーラーの事件については大胆に公表されたわけでありますが、同じようにこのココ山岡の場合の国民生活センター及び消費生活センターの行動といいますか対策について、簡潔で結構ですから、お聞きしたいというふうに思います。
  81. 井出亜夫

    ○井出政府委員 先ほど御説明申し上げましたとおり、相談件数の急増というのが破産宣告以降大変多くございまして、それ以前の相談件数というのは一けたあるいはそれ以上少なかったわけでございます。  それで、その間におきまして、個別の各地における消費生活センターの対応というのがそれぞれなされたはずでございますが、国民生活センターが全体としてこの問題を各地の消費生活センターにこういう事情であるということを申し上げたのはことしの破産宣告がなされた時点で、こういう状態になっているという事実説明と、その際における消費者の対応のあり方というふうなものを連絡をしたというふうなことでございます。
  82. 中桐伸五

    ○中桐委員 このココ山岡の事件は、クレジットのシステムが非常に重要な関連性があるというふうに私は考えるものであります。こういう悪徳商法がクレジットという方法でセットで出てまいりますと、非常に被害が大きくなるというふうに考えるものであります。  そこで、次の議論に移りたいんですが、このクレジットのシステムは通産省の方で管理をされている、実際の消費者の苦情処理というのは経済企画庁の管轄のもとで行われている。そこでお伺いしたいわけでありますけれども、経済企画庁として、消費者立場から見て、クレジット産業を所轄している通産省と、こういう事件に対する対処を早急にしていくに当たってどのような橋渡しをすることができるか、また、しようとされているか、消費者行政立場から経企庁のお考えを伺いたいと思います。
  83. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは先ほど青山先生の御質問にもあったところだとは思いますが、基本的には自己責任に基づきというところなんだとは思います。  今、情報の公開がやはり大事なところなんだと思うのですね。だまされた方をだますように情報は公開せぬようにしておるわけですから、そういった意味ではやはり情報公開というのが非常に大事なところだと思っております。  このココ山岡の件に関しましては、私どもとして、とにかく苦情相談への対応ということで情報の収集やら何やらずっと行ってきたところではあります。ありますけれども、今情報がその中へ全部入ってきたわけではありませんので、今後とも関係省庁でこういった情報の交換をやらなければいかぬところだと思って、また、今お話があっている通産省の割賦販売等々でいえば、そういったところと情報交換を行うというのも当然なことだと思います。  これは経企庁だけでできるはずもないという御指摘もありましたとおり、関係省庁と連絡をとりつつ、この種の問題というのは、今後、コンピューターやら何やらの発達に伴って、先ほど福留先生からの御質問にもあっておりましたけれども、いろいろな意味で我々の今までの法律ではなかなか対応しにくいところが多分出てくる、情報、コンピューター、そういったものを使った感じの今までとは違った種類のものがもっと出てくる可能性が高いと思っております。  そういった意味では、この問題については、こちらの頭脳を超えて向こうの方が回っておる部分もありますので、後追いになるところはやむを得ないところだとは思っておりますけれども、御指摘の点はよく理解できるところでもありますので、関係省庁といろいろ連絡をとりながら対応をしていきたいと思っております。
  84. 中桐伸五

    ○中桐委員 長官がお答えになられましたように、これはやはり一省庁で対応できるものではないということだと思いますので、今回のケースであれば、経企庁と通産省が密接なる連携をとって対処していっていただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。  さて、この事件の中で、これは具体的な名前は、いろいろなことがありますので、事実関係の確認という問題もありますので申し上げませんが、消費者がキャッチセールスのような形でつかまえられて、そして、そこで話が進み始めたところで情報が一挙に、先ほどのコンピューターの話ではありませんが、クレジットの方に情報が販売店から行って、そこで消費者の信用状況をチェックして、すぐさまリターンで情報が返ってきて契約が進行するというようなこともクレジットのシステムの中では十分あると思うのですね。  そういう点から、通産省も平成四年五月二十六日付で通達を出して、いわゆる加盟店管理をきちんと強化してやってくれという通達をクレジット産業協会及び全国信販協会に対して出しているわけですね。これは非常に適切な通達だというふうに私も考えるわけでありますけれども、そういうふうなことを通産省はやってこられているわけでありますが、さて、こういう事件、先ほど抗弁権の接続というふうなこともございましたが、通産省としては、今後、こういう事件を防いでいく上でどのようにお考えなのか、御見解を伺いたいというふうに思います。
  85. 太田房江

    ○太田説明員 お答え申し上げます。通産省といたしましては、今先生指摘のとおり、国民生活センター、各地の消費生活センター等関係機関との連絡を密にし、連携を強化いたしまして、消費者相談、苦情に関する情報の収集、分析に努め、そのうち法令違反に該当するものについては厳格に行政措置を発動していくという態度で臨みたいと思います。  ただ、必ずしも法令違反に該当しないものでありましても、消費者保護観点から必要なものにつきましては、悪質商法の手口などの的確な情報提供ですとか契約に際しての注意喚起等、消費者啓発を広く積極的に行っていきたいということでございまして、その際、経企庁等、あるいは国民生活センター、消費生活センター等との連携を強めながらやっていくということは言うまでもないことでございます。  なお、御指摘のクレジットの関係でございますが、これについての苦情が今回の問題等を含めましてあることも事実でございます。私どもといたしましては、引き続いて、クレジット業界における加盟店契約の際の審査管理の強化ということについて、御指摘の通達の延長線上で、さらにこれを強く要請してまいる所存でございます。
  86. 中桐伸五

    ○中桐委員 経企庁も通産省も、連携をとってこれからさらに強化したいということで、ぜひその方向で進めていただきたいというふうに思います。  今後、具体的にどのような連携をとっていかれるのかということについては、こういう事件はまだまだ後を絶たなく起こる可能性もありますので、今後の議論をさらに続けてまいりたいというふうに思いますが、きょうは時間がありませんので、次の私の最後の質疑に移らせていただきたいというふうに思います。  これは、青山さんが私の前に取り上げた事件でございますが、牛のオーナーシステムの問題を最後に議論をしていきたいというふうに思います。  既に青山さんの質疑の中で大枠の議論がなされておりましたので、残っている時間は非常に短い時間でございますが、今後の対応ということで、私の場合は、警察庁の対応がどのようになっているかということを議論したいというふうに思います。  簡単に繰り返しますと、この事件については、国民生活センターが三月十九日に消費者被害速報を発表しておられる、これは情報公開として非常にいいことだというふうに思います。それから、農水省でも、三月十四日に、都道府県等に通達を出して消費者の注意を喚起するということを呼びかけておる。こういうことが非常に重要だろうというふうに思います。  この事件は、青山さんの質疑で問題になりました、金融機関として許可を受けていない者が不特定多数から預かり金行為を行う、それは、つまり銀行もどきの行為であるというふうに理解ができるということが大蔵省の方の答弁で明らかになったと思います。つまり、金融機関でない、そういう許可を受けていない者が行うということで出資法違反に当たる疑いがあるということが言われたと思うのです。  私は、この事件、余り詳しい情報を手に入れているわけではありませんが、しかし、場合によっては、牛一頭に一千万円のお金を出しているというふうな人もいるやに聞いているわけでありまして、大変重要な問題だと思うので、この点について、時間が参りましたので簡単で結構ですが、警察庁は十分御存じだと思いますが、今後どのような摘発等を行っていかれる御所存なのか、見解を伺いたいと思います。
  87. 園田一裕

    ○園田説明員 お答え申し上げます。  委員指摘のいわゆる和牛オーナー商法につきまして、最近非常にマスコミ等で大きく報道され、あるいは先ほど御指摘のとおり、農林水産省において地方農政局や都道府県等の各担当者に対して注意喚起あるいは指導等を促す通達を発出したというようなことも私ども承知しておるところでございます。  この問題につきましては、今後とも農林水産省等関係行政機関において所要の被害防止対策がとられることを期待しておるところでございますけれども、警察といたしましても、十分関心を持ちまして、これら行政機関と緊密に連携して、現在、被害実態の把握等に努めておるところでございます。今後、個々具体的な事実関係に基づきまして、刑罰法令に触れる行為があれば厳正に対処してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  88. 中村鋭一

    中村委員長 中桐伸五君、時間ですので。
  89. 中桐伸五

    ○中桐委員 時間が来ましたので、もうコメントなしで終わります。どうもありがとうございました。
  90. 中村鋭一

    中村委員長 御苦労さまでした。  藤田スミさん。
  91. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、きょう、食品の表示の問題についてお伺いをしたいと思います。  食品の安全性や鮮度に対する関心というのはかつてなく高まっています。国民にとっては健康、命にかかわる切実な問題であり、その正確な情報を知りたいと願うのは当然の権利であります。しかし、それを唯一保証する食品の表示については、消費者の思いとは逆に動いているというふうに言わざるを得ない状況が出てきております。  そこで、先ほども出ましたが、大事な問題ですので、私も遺伝子組み換え食品の表示に関してまずお伺いをしていきたいと思います。  先ほども御紹介ありましたが、昨年、遺伝子組み換え技術による大豆、菜種、トウモロコシなどが認可されたことによって、それらを原料とした食用油や加工食品が食卓に上るようになってきました。遺伝子組み換え食品は、全く未知の食べ物を口にするわけでありますから、消費者がこれに大きな不安を持つのは当然のことであります。せめて消費者が選択できるように、最低限表示をしてほしいという声がたくさん出てきています。また、そのような声を背景にして、遺伝子組み換え食品に表示などを求める意見書を採択する自治体もふえてきています。  そこで、経企庁は消費者団体の要望を把握する立場にあるわけでありまして、経企庁として、消費者団体が遺伝子組み換え食品の表示に関してどのように要望しているかを把握していらっしゃるか、また、自治体でのこの問題での意見書採択などの動きについての把握、これをまずお聞かせください。
  92. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  遺伝子組み換え食品に関しまして、消費者組織あるいは地方自治体から関係各省庁に対しまして遺伝子組み換え食品の表示に関する要望というものが出されております。特に、これは今年に入りまして非常に多いというふうに承知をしております。  当庁も、消費者組織や地方自治体から関係省庁等がこれらの要望を受けているということを承知をしております。具体的には、農林水産省、厚生省、公正取引委員会に対しまして、消費者団体、地方自治体よりそういう要望が多数提出されているというふうに承知をしております。
  93. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 昨年十一月七日、八日に開かれました第三十五回全国消費者大会でも、この表示を求める大会決議が行われています。また、ことしに入りまして、四月四日、消費者団体や生協など五十四団体が、コーデックス委員会に表示を求める要望書を提出するとともに、農水省、厚生省、科学技術庁の各省庁にも提出をしています。私の把握しているところでは、自治体は八十を超えているということでありますが、この数字がおかしかったら言ってください。  それから、四月二十三日には、安全な食と環境を考えるネットワーク、日本消費者連盟、主婦連などによる遺伝子組み換え食品はいらない・世界行動デー、これは世界各国で行われる行動に足並みをそろえた集会が持たれると聞いております。  こういう消費者団体に共通しているのは、要するに、遺伝子組み換え食品を知らないうちに食べさせられることは納得できない、少なくとも不安を抱く消費者が自主的に選択できるように、原材料として使用したものを含め表示を義務づけるべきだという点であります。  経企庁として、これらの消費者団体の要望を関係省庁にどう反映させようとされているのか、そこを聞かせてください。
  94. 井出亜夫

    ○井出政府委員 経済企画庁といたしましても、そういう消費者団体あるいは地方自治体の要望があるということははっきり把握をしておりますし、また、同じようなものが各省庁に要望という形で行っておるものですから、各省庁もまた、そういう要望というものを踏まえた対応あるいは認識というものをしていただくものと考えております。
  95. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は大臣にぜひ聞いていただきたいわけです。消費者行政の総合調整機関としての役割は経済企画庁にあります。消費者団体の意見、要望を各省庁の施策に反映させるために努力をしていくという、言ってみればそういう役割を果たしていただかなければならないと私は思うのです。  私は、ことし農林水産委員会で大臣にこの問題を質問いたしました。大臣は「この遺伝子組み換え食品であるという表示が欲しい、消費者の側から見れば、そういうものであるということを承知の上でそれを食するとか食しないとかそういう判断の材料にしたいという御意見については、私ももっともな御意見だと思っております。十分に検討させていただきたいと思います。」ということで、表示についての検討を約束されました。しかし、先ほどの厚生省の答弁を聞いていただいておわかりのように、厚生省は表示を義務づける必要はむしろないというお立場のようであります。  先ほどからも、開かれているコーデックス委員会の中で把握した各国の動きという御報告もありましたけれども、実は昨年の十一月十四日に、欧州議会はアメリカ産の遺伝子組み換え大豆の全面表示を決める決議を採択しています。ここにはこう書いています。狂牛病によって既に食品に対する消費者の不安が高まっており、さらに遺伝子組み換え食材の有無に関する消費者の権利が否定されれば、消費者の不安は高まり続ける。そういうことで、今度は欧州連合はすべての遺伝子組み換え食品の表示制度をスタートさせる見通しというふうに言われているわけであります。こういう動きはもう既に各国に出ております。  私は、先ほどのコーデックス委員会での日本政府の対応ということを聞きたかったわけですが、残念ながら日本政府がどういうふうな立場でコーデックス委員会に出ておられるのかということの御答弁がなく、むしろコーデツクス委員会の結論を待って、検討を待ってということでありました。  しかし、大臣、大豆とかトウモロコシとか菜種といえば、日本人が日々に食べる食品の六割以上に使われる一般的な原材料であります。しかし、その大半は輸入に依存しています。穀物も、日本の穀物の自給率は百四十六カ国中百二十三番目、あるいは百二十四番目というふうに言われているわけであります。だから、世界最大の輸入国であるこの日本に、遺伝子組み換えの食品があっという間に食卓に登場してくるということははっきりしています。それだけに、消費者の要求は一層切実であります。  だから、私は、消費者の権利を守る立場から表示が求められている、そういうことでコーデツクスの場でも日本政府として積極的に発言をするべきだし、また、消費者保護行政に関しての所管大臣として消費者の切実な願いを実現できるように前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  96. 麻生太郎

    麻生国務大臣 先ほど河野先生からの御指摘のところにも一部御答弁を申し上げさせていただきましたけれども、一応日本でも、ウイルスに強い稲とか、ウイルスに強いトマトとか、もう既に認可をされておりますのが何種類かあるのは御存じのとおりだと思います。この種のものを含めて、今幾つか科学技術の進歩によって、食糧事情等々を長期的に考えれば、そういったものに強いものが出てくるのは、私はそれなりに必要性があるからだと思っておりますが、傍ら、それが人体の中に長期間にわたって滞留した場合どのようなことが起きるかということに関しては、まだまだはっきり結論が出たというだけの時間がたっておりませんし、そういったものがまだよくできていないという点から考えれば、大丈夫かなという気持ちが消費者側に起きるのは当然だろうと思っております。  そういった意味で、今いろいろ検討がなされておるところだと思っておりますが、私どもとして、農林大臣の方からもお答えがあったそうですが、基本的には、こういった内容のものが今入っていますよということを示すのは気持ちとしてはわかるところだと思っておりますので、その点に関して全然否定するものではありません。  ただし、現実論としてどうかといえば、例えば日本の場合は輸入されてきた大豆がほとんどなんですが、その大豆を使って日本で豆腐をつくるのですが、その中に遺伝子組み換えの大豆が何%で、そうじゃないものが何%か表示できるであろうかというと、これはなかなか難しい。豆腐になると、この豆腐の中にはこれこれというのを各豆腐全部書けという話に結果的になるので、そこのところが物理的にいろいろ難しいから、技術的な問題点を検討しなければいかぬところだろうなと思っております。  基本的には消費者立場、食べる人の立場に立って、今言われたような線で検討するのが正しい方向だと思っております。
  97. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 どこの国でも表示ということを決めようという立場で進めているわけです。だから、大臣がおっしゃったような御心配というのは、いざ表示ということになったらそんなに難しい問題ではないと思います。御理解がある御答弁というふうに受けとめまして、大臣が積極的にこの問題でも御努力をいただくことを重ねて要望しておきたいと思います。  時間が非常に制限されておりますので多少はしょった質問になりますが、次は、食品に対する日付表示の問題であります。  この問題は、日付表示が賞味期限表示に義務づけられて、二年間の移行措置をとられてきましたけれども、ことし三月三十一日でその移行措置が終わって、いよいよ四月一日から賞味期限表示ということになりました。  しかし、この二年間の経過措置の中で、製造年月日の併記を求めたいとする消費者の声が一層強くなったというふうに私は思います。したがって、そうした声にこたえるために製造年月日との併記を継続してとっていこうというスーパーや食品メーカーもありますし、それから、日本生協連も、製造年月日は消費者にとって必要な情報だということで、コープ商品などには従来どおりの併記を行っていくという姿勢を明らかにしています。  私は、任意表示で、消費者の求めに応じて表示をすることは各企業、販売店の自主的な対応の範囲内でありまして、賞味期限一本に絞れと強制指導することはあってはならないというふうに考えます。御答弁ください。あなた方は私の質問に対して、農林水産委員会で、これは制度的には禁止されているものではない、強制されるものではないと大臣答弁も含めていただいておりますが、御答弁ください、短く、簡潔に。
  98. 星野明

    ○星野説明員 お答え申し上げます。  食品の日付表示につきまして、先ほど藤田委員の御指摘のとおり、消費者の側からいろいろな要請が出ているわけでございます。  これは、表示の問題につきましては、日もちに関する情報が非常に重要になってきておる。それから、厳しい日付管理といったものが深夜とか早朝の操業なり、大量の返品といったものの誘因になっている。それから、国際的にも期限表示といったものが要請されているということで、製造年月日表示から期限表示に切りかえたわけでございます。  それで、結局、制度としては製造年月日の併記については禁止されているわけではないのですけれども、これが全く自由に放任されますと、事実上併記という形になって、改正の趣旨が阻害されるおそれが強いということで、日もちが五日を超えるような賞味期限を付するものにつきましては併記を避けるよう通達で要請をいたしております。
  99. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 あなたが今おっしゃった製造年月日の表示が厳しい日付管理による過度の深夜、早朝の操業、多頻度小口配送、返品の誘因になって、中小零細な食品メーカーへの影響が大きいという理由は、もはや消費者の方から覆されていますよ。  それは、例えば神奈川県消費者の会の連絡会が二十八の企業に対して、そういうことで期限表示に移行すればどういうふうに影響が出てくるかという点では、深夜、早朝の操業について、変わらないというのが二十八社中二十一社です。それから、小売業者からの多頻度小口配送の要請が減ったかというのに対しては、減ったというのはたった一つです。返品が変わらないと答えたのが二十八社中二十社。だから、結局、期限表示に移行すれば事業者に対する負担が軽くなるということが理由に挙げられていますが、そうじゃないわけです。  しかも、期限表示は可食期限内なら幾ら前倒しをしてもいいということになっているために、非常に過度な係数が掛けられた商品が多く、それを消費者は知らないわけですから、その商品がもっと賞味期限よりも早い間に捨てられてしまうという点では、これは資源の浪費、環境汚染につながっていくというような指摘もこういう調査の中から出てきています。  したがって、あなた方、決して強制してはいけない。何も放置せよと私はそこまで言っていません。しかし、強制してはいけない。まして地方自治体は、消費者保護基本法でも、地方公共団体の責務として「当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者保護に関する施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」という立場から、地方自治体は消費者の要求に沿って独自の基準を設ける、そういう措置をとっていますが、あなた方はそれに対しても通達で指導していらっしゃる。  新聞報道などでは、WTO協定が加盟国が独自規制を持つ自治体に協定を遵守させるということを求めているから、こういうふうに強制的な指導になるのだ、しかし、それでいいのかというような指摘もあるわけであります。私は、消費者の意向に応じた地方自治体の判断というものはやはり認めるべきだというふうに考えますが、いかがですか。
  100. 星野明

    ○星野説明員 お答えいたします。  多くの食品は都道府県等の範囲を超えて流通しているわけでございまして、個々の地方自治体ごとに表示の方法が異なっていたりしますと、製造業者なり消費者に混乱を招くおそれがあるということで、私どもといたしましては、都道府県等に対しまして、独自で地方自治体がつくっておる食品の日付表示制度についても、今回の改正の趣旨なり内容に沿ったものにしてほしいという要請を行っているところでございます。
  101. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 要請であって強制ではない、そのことをはっきりおっしゃってください。
  102. 星野明

    ○星野説明員 要請を行っているものでございます。
  103. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 最後になりますが、この賞味期限の表示をめぐって、製造年月日のように客観的なものじゃありません。何月何日までにこの水を飲んでください。この水はいつ入れられたのかということはよくわからない、こういうことなんです。  したがって、これを何日までに飲んでくださいという根拠を消費者は知りたい。ところが、製造年月日がないからわからない。とにかく何日までに飲めと書いてある。それじゃ、その何日までに飲めと書いてあるものについて、科学的な根拠となるデータを行政機関に提出する義務はあるのかというと、これはもう時間がありませんから私が言いますが、義務はありません。  賞味期限の場合は、まさにその期限が妥当なものかどうか、そういうことを消費者は全くわからないわけです。そして、そのデータの公表もありません。判断するすべもありません。おまけに期限設定の妥当性を行政が検証する体制、こういうものも今ないでしょう。私はそれを最後に求めたいと思いますが、御答弁をお願いします。
  104. 星野明

    ○星野説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘でございますけれども、期限表示につきまして、個々の食品の品質保持に関する情報を持っておりまして、当該の製品に責任を負っている製造業者等が科学的合理的根拠を持つて適正に設定すべきものだと考えているわけでございます。ただ、国といたしましても、農林水産省の農林水産消費技術センターにおきまして、市販品を買い上げて、個々の食品の期限設定が適正に行われているかどうか検査を実施しているところでございます。
  105. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので終わりますが、あなたの今の御説明は、これは決してきちんと責任を持ったそういう体制ではないという点で、この点でも大臣にお願いをしておいて、もう御答弁結構です、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  106. 中村鋭一

    中村委員長 御苦労さまでした。  中川智子さん。
  107. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  私は、主婦に永年勤続表彰などがいただけるものなら、しっかりいただいているほど長く主婦をしておりまして、同時に消費者であった、そのような立場から、きょうは長官にいろいろと易しく御説明をいただきたいと思って立っております。  ずっとこの間議論になっておりました遺伝子組み換え食品のことについて、まず最初に質問をさせていただきます。ちょっと通告の順番が違っているのですけれども、そのあたりはよろしくお願いいたします。  私も、去年の秋から遺伝子組み換えが、いつの間にかわからない間に自分も食べ、家族も食べしていることに対して非常に恐怖感を持っておりました。そのデータというのが、非常に短い期間の中で、言ってみれば人体実験に近い状況じゃないか。それが非常に危険だということがわかったときにはもう既に手おくれだという遺伝子組み換え食品に対して、やはり今たくさんの国民の声が上がっているわけなんです。  ことしの二月十九日の厚生委員会で、小泉大臣が私の質問に対しまして、表示のことなんですけれども、このようにお答えくださったのですね。「特に、日本は食糧輸入大国です。消費者から見れば、これは遺伝子組み換えの食品なのかな、そうでないのかなとか、どういう手順でできたのかなといろいろ知りたいと思うのは当然であります。」そして、もう一つの御答弁の中に、「私自身も食品の安全には、これからの健康問題を考えると若い世代にも大変大きな影響を与えるものですから、十分な注意を厚生省も払うべきだ、そういうふうに思っております。」というお答えがございました。  そしてまた、三月三日の予算委員会の分科会で、私はもう一度遺伝子組み換えのことで質問いたしました。そのときに、藤本農水大臣は、質問に対してこのようにお答えになりました。「消費者立場に立てば、この食べ物は遺伝子組み換えの食品であるということとそうではないということを、表示によって選択権を消費者が持つということは非常に大事なことでございます」、そのように御答弁がありました。  それに立って私も先ほどから長官の御答弁を伺ったら、ほとんど同じような危惧は持っていらっしゃる。表示に対しては前向きに取り組まなければいけないけれども、その準備にもう既にかかろうと思われるようなお考えをお持ちなのか。そのあたりを厚生省や農水省などと、遺伝子組み換えのことに関してはいろいろな形で表示に向けて前向きに御相談などがあったかどうかというのをまず伺いたいのと、もう一つは、やはりこの組み換え食品に対して、食べない自由を消費者に保障するのが今の国のとるべき施策として大事だなと思いますので、この二つに対しての御答弁をお願いできますか。
  108. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今御指摘になっておりました小泉先生、藤本先生ほど易しくお答えができるかどうかは別にして、少なくとも今の中で、先ほど河野先生と藤田先生からの御質問に答弁をさせていただきましたように、物理的に、技術的に難しい。  先ほど豆腐の例としょうゆの例を引きましたけれども、例えばお豆腐というのは大豆を使うのですが、遺伝子組み換えの大豆でつくった豆腐ということになるわけですね。豆腐にも遺伝子組み換えの大豆を使ってありますよと、豆腐の中にもずっと波及していきます。おしょうゆにも大豆が入っていますから、しょうゆを入れてつくった商品にも全部それを書かなければいかぬということに法律的には全部ずっとなっていくと、範囲が物すごい広いことになるので、例えばしょうゆの入っている煮込みはどうだなんということになると、難しい問題があります。  ちょっと物理的に、技術的に難しい点が、波及するものが物すごく大きいという点が一つあるのだと思うのですね。お役所というところは一回決めたらそれは全部やることになりますから、与える影響は物すごく大きいことも考えますから、少し気になっているところが一つ。  ただ、先ほど大前提というのを申し上げましたように、こちらとして、食べる方の側に立てば、大丈夫かというのはこれは当然のことなんであって、胃の中に入ったら、ほかのアレルゲンと当たれば、全部分解するのを前提にしているとか言うけれども、それをずっと十年間食べ続けて蓄積した場合はどういう影響が出るかという実験はまだ完了していないわけですから、そういう意味では、大丈夫かいなというのは、これはだれでも心配になるところだと思っておりますが、これは断固表示すべきという──これは多分イギリスというかヨーロッパ連合対アメリカとの間のいろいろな問題、輸出国、輸入国との関係、いろいろあるのだとは思いますけれども、今コーデックス委員会等々で、農林省が出かけていって、特に今度はプロの人たちが出かけてまいりますので、私ども経企庁としては消費者側に立ちますので、そういった関係省庁の話、専門の話をよく聞いてみませんと、私どもそんなに詳しいわけではありませんから、そういったものを聞いた上で、農林省等々と話をさせていただき、コーデックス委員会等々の意見も聞かせていただいた上で、私どもとしては、基本的には消費者の気持ちに立つ経企庁といたしましては、そういったものを考えて検討していかねばならぬなと思っております。
  109. 中川智子

    中川(智)委員 ぜひともこれに対しては前向きに検討いただきたい。ただ組み換え食品を使っていますというラベルでもべたっと張ってもらったら非常にわかりやすいのですが、そのように大変なことというのはよくわかっていますけれども、そこのところをきっちりと責任を持ってやっていただきたい。〇・〇〇〇〇一入っていても表示を求めているのが消費者の気持ちだということを認識いただきたいと思います。  きょうは、楽しみにして来たのですけれども、十分しかなくて、あともうちょっとしかないのです。  私、この間、きょうここに質問に立つということで、周りの仲間は全部消費者なものですから、いろいろな集会とか集まりを持ちまして聞いた中に、皆さん御承知の大きな書店なのですけれども、そこの本屋さんの店長さんが、物すごく万引きが多い、それで店長の仕事は、今万引きに対してこれをいさめる、そしてこの処理をどうしようかというのが大きな時間を占めていると言われたのです。  若い中学生、高校生の万引きの現行犯を捕まえますと、学校に言うぞ、警察に言うぞと言ったらば、それはやめてください、それはやめてくださいといって泣いてしまう、わめいてしまうという状況がある。捕まってしまうということを考えないで万引きしているのかと言ったら、ほとんどそうだ、もう成功することしか考えていない、捕まった後のことは全然考えていないということで、非常に驚いている。私も驚いたのです。  また、今「むじんくん」とかというのがありますね。平気でお金がどんどん借りられる。欲しい物はいっぱいあるのだけれども、財布の中にお金がない。ああ、カードがあったらそれで欲しい物が買える。でも返す当てがない。自己破産する想像力を持っていない。私、政治家というのも想像力は大事だと思うのですが、本当に消費者というのも想像力を大事にしなければいけないと思ったのです。  つくづく、ここで欠けているのはいわゆる消費者教育。学校教育の中で、今消費者教育というのがどの程度行われているのか。また、そのような今の若い人たちの感覚に対して、文部省としてはどのように考えていらっしゃるか。急遽文部省さんにお願いしたのですが、よろしくお願いします。
  110. 中村鋭一

    中村委員長 時間がありませんから、答弁は要点のみ、簡潔に。
  111. 加茂川幸夫

    ○加茂川説明員 消費者教育についてのお尋ねでございます。  先生指摘のように、学校教育におきましても、消費者教育を円滑にまたは必要かつ十分に実施することは大変重要な課題の一つであると考えております。このため従来から、小中高等学校それぞれ児童生徒の発達段階に応じまして、教科で申しますと社会科あるいは家庭科を中心に消費者教育を行ってきておるところでございます。  特に、現行の学習指導要領では、この消費者教育についての見直しを行ってきておりまして、幾つかの改善が図られております。小中高等学校それぞれございますが、例えば中学校で申しますと、社会科の公民科という分野で消費者保護を取り上げることになっております。ここにおきましては、例えば近年におけるクレジットカードや訪問販売等を初めとする取引や契約の多様化という実態を踏まえて、現代社会における取引の多様化あるいは契約の重要性を取り上げることとしておりますし、その際には、消費者として主体的に判断し行動することが大切である、こういうことを考えさせること、取り上げることにいたしておるところでございます。  そのほか、中学校で申しますと技術・家庭科、あるいは高等学校の公民科の各科目、家庭科の各科目でもいろいろな形で消費者保護を取り上げておりまして、学校教育におきましては私どもは消費者教育を適切に行ってきておると考えておりますし、これからもそういった教育が行われるようにいろいろ指導してまいりたいと思っております。
  112. 中川智子

    中川(智)委員 また質問に立ちたいと思いますので、遺伝子組み換えのことと消費者教育、本当によろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  113. 中村鋭一

    中村委員長 御苦労さまでございました。
  114. 中村鋭一

    中村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 中村鋭一

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十五分散会