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1997-06-04 第140回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月四日(水曜日)    午前十時一分開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       甘利  明君    石原 伸晃君       小澤  潔君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    亀井 善之君       岸田 文雄君    河本 三郎君       自見庄三郎君    中島洋次郎君       中山 太郎君    林  義郎君       船田  元君    村田敬次郎君       伊藤 達也君    石井 啓一君       鍵田 節哉君    神田  厚君       古賀 正浩君    島   聡君       島津 尚純君    達増 拓也君       中野  清君    吉田  治君       末松 義規君    松本  龍君       渡辺  周君    吉井 英勝君       横光 克彦君    前田 武志君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       河本 三郎君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         通商産業政務次         官       石原 伸晃君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官事務代理   越智 謙二君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         通商産業省機械         情報産業局長  中川 勝弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡本  巖君         中小企業庁計画         部長      田島 秀雄君         中小企業庁小規         模企業部長   篠原  徹君  委員外出席者         法務省入国管理         局政策課長   塩口 哲朗君         労働省労働基準         局監督課長   青木  豊君         建設省都市局都         市政策課長   中島 正弘君         自治大臣官房地         域政策室長   山下 貴史君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ――――――――――――― 六月四日  インドネシアヘの原発輸出に対する外為法上の  許可反対等に関する請願(辻元清美君紹介)(  第三五一五号)  同(中川智子紹介)(第三五一六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十二日  住宅用太陽光発電普及推進に関する陳情書  (第  三二九号)  著作物再販制度維持に関する陳情書  (第三三〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。船田元君。
  3. 船田元

    船田委員 商工委員になりまして初めての質疑でございますので、よろしくお願いをいたします。  既に商工委員会ではこの国会で幾つかの重要法案審議をされまして、私どももその審議に加わってきたわけでありますが、いわゆる持ち株会社解禁あるいは適用除外廃止を目指した独禁法の改正案、さらには地域産業集積活性化法案、そういったさまざまな、経済構造改革を推し進めよう、着実に前に進めよう、そういう法整備を我々真剣に議論をして今日まで進めてきた、このように自負をしているわけであります。  ただ、経済構造改革とかあるいは規制緩和というのは、確かに経済活性化にとりましては大変好ましいアナウンスにもなるし、実際の効果も持つわけですけれども、本当に実体経済にその影響が、プラス影響が出てくるまでにはやはりかなり時間がかかるのではないか、タイムラグというのがあるのではないかな、そのように私は思っております。  そこで、我が国経済の、景気の現状というものが一体どうなっているか、そして今後、適時適切な経済運営というのでしょうか、財政出動も含めた経済運営というのが必要であるのかどうか、こういう点についてまず質問をしていきたいと思っております。  まず最初に企画庁長官お尋ねをいたしますけれどもバブル経済の崩壊によりまして長い間我が国不況にあえいでいたわけですが、平成五年、一九九三年十月に底を打った、こういう確認がされております。  実は私は、平成五年六月に、現役の企画庁長官としまして景気底入れ宣言というのをやりました。ちょっと四カ月ほどフライングをしたのかなというふうに今ではやや反省、責任感じているわけでありますが、理由は、その平成五年の夏というのが異常な冷夏であったということ、あるいは長雨でもあった、さらには政治的な混迷があった、こういうことで、決して言いわけではありませんけれども経済にとっては足を引っ張る要因というのがその後幾つか出てしまって、結局、景気底入れということが数カ月後におくれたのではないか、このように認識をしているわけであります。  その平成五年十月に底を打ってから、今日、平成九年五月まで、四十三カ月連続して経済は拡大している、こういう大変長い回復基調になっているわけです。もちろん長いのは大変結構なことなのですが、例えば、業種によって、いいところ、悪いところ、まだら模様であるという点、さらに問題であるのは、私も多くの財界の方あるいはもちろん中小企業のおやじさんとか、いろいろ聞くわけでありますが、景気回復実感が非常に薄い、これが今回の回復過程における大きな特徴ではないか、そう私は思っております。  具体的にちょっと数字を調べてみました。円高不況昭和六十一年ぐちい円高不況がありました。それ以後、回復に入ってからバブル経済のピークに至るまでの間、十三・四半期をとりまして計算をしましたら、四半期ごと成長率がその十三・四半期のうちでマイナスだったのが一回、それから〇・〇%から一・〇%までのプラス成長を示したのが四回、それから一%以上の成長を示したのが八回。一回、四回、八回という数でございます。  それに比して、今回の、底を打ってから今日に至るまでの十三・四半期をとりましたところ、その四半期のうちでマイナス成長が四回、それから〇・〇から一・〇%のプラス成長が七回、一%以上の成長率を示したのが二回ということで、前回回復のときよりも今回の回復のときの方がマイナスも多いし、それからわずかの上昇、一%以内の上昇というのも七回、一%以上というのはわずか二回しがない。  こういうことで、前回と今回の回復過程における特徴というのですか、それがこの数字にあらわれているのではないかな、つまり、回復のスピードが遅いというのがどうもその回復実感がわかない理由ではないか、こう思っているのですが、長官として、この考え方あるいは見方について、御意見を聞かせていただきたいと思います。
  4. 麻生太郎

    麻生国務大臣 ただいま御指摘にありましたとおりに、過去のイザナギ景気岩戸景気、いろいろ景気のいい話があったのですが、そのときに比べましての経済成長率のパーセントに差があるというのは、御指摘のとおりだと思っております。  今回の場合は、特に今御指摘にありましたように〇・何%の成長というのがありましたので、そういった意味では、緩やかな回復という表現をたびたび経済企画庁が使わせていただいておる背景もそういうところにあると思っております。  また、数字としては明らかに、指標というのは、昨年、一九九六年、会計年度でなくて暦年でいきますと三・六%という数字になっておりますので、その意味からいきますと、先進諸国の中では最も経済成長率が高かったアメリカの二・四を一・二上回っておる形になりますので、そういった意味では、数字の上ではやっと明るくなりつつあるかなという数字が出てきておると思っております。  ただ、それにもかかわらずその景気回復感が出てこない理由というのは、基本的には、岩戸景気昭和三十三年から三十六年ですから、昭和三十五年の日本の国民総生産が十六兆強、四十年で約倍の三十三兆、そして四十五年で七十五兆ぐらいでありますが、今は実に五百兆という数字になっておりますので、当時の一〇%で一・六兆、二〇%伸びたことはありませんけれども、二〇%でも三・二兆ぐらいだったものが、今五百兆ですから、一%伸びても五兆、二%で十兆という形になりますので、その絶対量が物すごく大きくなっておりますので、感じとしてはなかなか感じにくくなってきておりますのが一つ。  それからもう一つは、やはり今回のバブル対策というもので、中小企業の中でもいいところと悪いところ、それから大企業の中でももちろんいいところと悪いところ、同じ業界の中でも、自動車はいいと言われますが、いいと言われる会社とそうでない会社というように、バブル対策を早く行ってリストラ等々かなり進んだところと、なかなかまだそこまで追いついていないところ、それが同じ業界の中、同じ中小企業の中でも非常に差があるというのが、今回なかなかみんなでよくなったという感じがしてこない理由かなという感じがいたしております。  いずれにいたしましても、なかなかわあっという感じにはなりにくい状態にありますことが間違いないところでありますのは、もう一つは、やはり世界経済の枠組みが物すごく大きく変わっておりますなどなど、今までにない条件が非常に多いというのが、今回なかなか景気感というものが出てきていない背景だと考えております。  いずれにしても、これらの対策は大事なところだと思っておりますので、注意深くやっていかねばならぬと思っております。
  5. 船田元

    船田委員 ありがとうございました。  大体認識が同じでありますので安心はしておりますが、そのためにやはり対策をきちんと考えなければいかぬということだと思います。  ちょっと細かくなりますので、事務当局でいいと思うのですが、この四月に消費税が三%から五%へアップ、それから総額約二兆円と言っておりました所得税特別減税制度廃止をされた。かつて企画庁は、たしかこの二つのGDP押し下げ要因として、約〇・九ポイント押し下げる、このように予測をしていたようでありますが、現実にこのような数字が、もちろん隠れている数字ですけれども、そのような影響が出ているというふうにお考えであるのか。  特に住宅投資、これは昨年の秋には年率で百七十一万戸程度だったものが、ことしに入ってから、前半でございますが、百五十万戸台、場合によっ七は百四十七万戸ぐらいですか、そういうふうに少なくなって、自動車なんかも、しばらくは一〇%近い、あるいはそれを超える伸びを示していたのが、四月にはマイナス一四%と、耐久消費財あるいは住宅、そういったものを中心に、かなり四月に入ってマイナスが続いているように思うのですが、これはこの状況がいつ回復をしていくのか、消費税アップそれから所得税減税廃止、これが今どう影響が出て、これからどうなっていくのか、その辺の見通しをぜひ聞かせてもらいたいと思います。
  6. 土志田征一

    土志田政府委員 お答えをいたします。  消費税率の引き上げに伴う影響あらわれ方でございますけれども個人消費につきましては、ただいま先生からも一部御紹介がございましたが、三月に大きく駆け込み需要があって、四月にはその反動が見られております。  例えば百貨店の販売額、三月は前年同月比で二一%増ということでございましたが、四月は店舗調整後で一二・三%の減というような形になっております。この反動というのがどのくらい続くかということでございますけれども、五月に私ども景気懇談会ということで十一業種業界方々経営者方々からお話を伺いましたところでは、大体もう既に終息しているというような業界もございますし、六月までにはこの反動というのは消えるであろうというふうに見ておられるようでございます。  それから、住宅につきましては、これもお話がございましたが、昨年秋、単月では年率で百八十万戸を超えるようなこともございましたけれども、これまで減少しておりまして、着工戸数が四月で年率約百四十八万戸となっております。  大体こういったことは、消費の面、住宅の面も、私どもも、あるいはそれぞれの業界の方も予想範囲内であるというふうにおっしゃっておりますし、そういう意味で、今年度の政府経済見通しを固めました際に、およそそういった影響消費税率アップ特別減税廃止というようなものの影響を〇・九%程度と織り込んでおりますけれども、そういったことで、今のところ考えていたようなことで進んでいるのではないかというふうに思っております。
  7. 船田元

    船田委員 終息に向かいつつある、あるいはほぼこの調整は済んでいるという見立てと思いますが、なお特に公共工事公的資本形成といっていいのかどうかわかりませんが、公共工事発注量とか、そういったものがかなりこれまた減っております。  これは、確かに昨年あるいは一昨年、累次にわたって、景気刺激策ということで、主に公共投資ということで追加を行ったりということをやりまして相当膨らんだわけですね。数字の上では、何もやらなければ、つまり通常のベースで公共投資を行っていれば、当然前年比でマイナスマイナスということがしばらく続くであろう。それはやむを得ないことだと思いますけれども、ややこういう公共工事マイナス、あるいはきのう政府・与党におきまして財政構造改革会議、そこでは公共事業費を毎年七%マイナスとするということが既に決定をされております。これを当然実行しなければいかぬわけでありますが、そういうことを重ねていきますと、やはり公共事業というのは今後はふえないんだというアナウンスを、マイナスアナウンスメント効果ということが、相当実体経済影響を与えていくのじゃないかというふうに考えているわけです。  そこで、もう一度企画庁長官お尋ねといいますか、考えをお聞きしたいと思うのですが、経企庁というのは、適切な経済運営を行う、またその総合調整官庁としての役割があるんだ、こういうふうなことを私もかつて声高に言ってきたわけであります。その役割、決して衰えているものではないし、ますます重要だというふうに思っているのですが、今のような財政構造会議の結論とか、そういう状況考えますと、本当に景気刺激しなければいけないというときに、いわゆる財政出動、いわゆる公共事業というものが制限をされてしまう、そしてその発動ができない、その可能性が全くなくなってしまうということが、本当に適時適切な経済運営というものになるのかどうか、非常に手足を縛られて厳しいことになるのではないかなというふうに思っております。  もちろん、規制緩和あるいは経済構造改革ということで、そちらでとにかく頑張っていけば、相当実体経済にもいい影響を与えることは事実だと思います。ただ、さっき申し上げたように、それが効果を発揮するまでには相当なタイムラグ、時間のずれがあります。ですから、そういうことを考えますと、やはり何らかの公共事業の固まりを適時適切に追加する、出す可能性があるんだよということを政府が持っているということは、私はセーフガードという意味で非常に大事だなと思っているのですが、長官はどのようにお考えでしょうか。
  8. 麻生太郎

    麻生国務大臣 御指摘のように、経済は生き物みたいなものですから、今のような予想が何かの条件でいきなりまた悪くなるという可能性がないなどということは、これは全く言えないところでして、逆によくなるかもしらぬ、悪くなるかもしらぬというのは極めて判断の難しいところだとは思っております。  したがいまして、今御指摘のように、手足を縛っておくというのはいかがなものかという御指摘はまことにそのとおりでして、今後ともそういったようなことが起きた場合には、しかるべき財政出動やら何やら、金融政策を初め、いろいろ出てくるのだと思いますが、今の状況といたしましては、ただ、今現在の状況として申し上げさせていただければ、やはり少子化に伴う高齢化とか、いろいろな意味日本経済を中長期的には、これは財政破綻ということは非常に大きな問題を後に引きずることになりますので、やれるべきところには財政は健全にしておく努力をしておかねばならぬのは当然のことだと思っております。  ただ、財政再建したけれども経済は破綻したなどというあほらしい話はとてもやれることではありませんので、そういった意味では御指摘のようなところは十分に考えてやっていかねばならぬところだと思っております。  今、補正予算等々やらぬという前提で一応この内閣としてはスタートをさせていただいておるところでありますけれども、九五年の秋のときも極めて厳しい状況になったときには財政出動をしたりいろいろなことをやっておりますが、きのうの財政構造改革会議の中でも、今後そういったような状況になったときにはしかるべき対応をせねばならぬという中に、減税とか低金利政策維持とかいろいろな御指摘があっておりましたけれども、そういったものを含めて注意深く見守っていかねばならぬところでもありますし、財政再建は当面の目標であっても、経済状況に応じていろいろ対策考えねばならぬのは当然のことだと思っておりますので、注意深くやっていかねばならぬと思っております。
  9. 船田元

    船田委員 私も決して財政再建あるいは財政構造改革、これはだめだと言っているわけじゃ全くありませんで、これは当然、将来にツケを回さないためにも、何としてもこれは痛みを分かち合いながらやらなければいけない、これは当然のことだと思いますが、今長官おっしゃったように、やはり経済運営というのは、もちろん財政も見なきゃいけないけれども、その限られた財政範囲の中で、しかしながら機動的に財政出動あるいは財政の向かう対象物ですね、何に使うのかということについても、より効率的な公共事業公共工事というものを心がけながら、しかし本当に経済を、瞬時とは言いませんけれども、非常に早く刺激を与える、そういう手段というのはやはりフリーハンドとして持っておくべきだと思います。またそれを言えるのは、大蔵省はなかなか言えないと思いますから、まあ通産省も言えるかどうかわかりませんが、企画庁がまさに中立的な判断で物を言っていくという観点で非常に大事な役割を担っておりますので、ぜひ長官にはそういう立場で頑張っていただきたいというふうに思っております。  次に移りたいと思います。  PL法関連です。平成七年の七月一日付で製造物責任法施行されました。もうそろそろ二年たとうとしているわけですけれども、若干最近、これはマスコミが悪いのかどうかわかりませんが、いわゆるPL法関連話題であるとかあるいはそういう話というのが、やや聞こえにくくなっているというふうに思います。もちろん、特に大きな消費者の被害というのが幾つかありますけれども、それほど大きくは取り上げられないものしかないという点ではこれはまあ安心していいのかなと。  むしろ、話題がない方がいいのかなというふうには思うのでありますが、ただ、やはり現実PL法については、我々、私も含めて多くの者が関心を持ち、そしてその施行状況というものをもっと知りたいという点があるかと思うので、この点、企画庁の方がもちろん所管はしておりますけれども、そのPL法に基づいてどういうふうに苦情処理がふえていったのか、あるいは減っていったのか。あるいは国民生活センターというのが中央にあるわけですが、都道府県消費生活センターネットワークを結んで、それで全国をネットで結びながらこの苦情処理あるいは商品テストなんかもやってもらっていると思いますが、そのネットワークもちょっと細いのではないかなという気がするのですが、その辺も含めてちょっと説明してください。
  10. 井出亜夫

    井出政府委員 お答えを申し上げます。  製造物責任法施行されて以降、国民生活センターあるいは都道府県消費生活センター、ここに寄せられました製品事故にかかわる苦情相談件数というのは、施行の前に比べますと約二倍ぐらいになっております。これは、一つ法施行による消費者製品安全に対する意識の高まりということではないかというふうに認識をしております。これらの苦情相談でございますけれども消費生活センター等におきまして助言あるいはあっせんというふうなことを行いまして、一応適切な対応のもとに処理をされているというふうに考えております。  それからまた、事業者の側でございますけれども事業者の側におきましても、製品安全性確保のために、より安全性を高めた商品開発ですとかあるいは表示ですとか取り扱い説明書充実というふうなことに努力をされております。それから、業界内に、これも対応のための委員会というふうなものを設けておられるところもかなりございまして、製造物責任法導入効果というものはこういうところでも十分あらわれているのではないかなというふうに認識をしておりまして、以上総じて申し上げますと、法律施行以降今日まで、製造物責任法我が国経済社会の中に非常に着実な形で定着をしているのではないかというふうに認識をしておるところでございます。  今後とも、国民生活センターPL法関連のもろもろの事業というものを着実に実施をいたしまして、皆様方の御期待に沿えるようなことをやっていかなきゃならないというふうに考えているところでございます。
  11. 船田元

    船田委員 件数が倍だというお話なので、これは安心していいのか心配していいのかわかりませんが、それだけ関心が高まってそういう数字にもなっているのだと思います。ぜひ適切な対応をこれからもお願いして、特に広報といいますかPR、これがまだまだ私は少ないのではないかと思っておりますので、その辺の充実をぜひお願いをします。それは応援をいたしますので、よろしくお願いします。  企画庁はこれで終わります。  次に、通産大臣、お待たせをいたしました。沖縄の問題、いろいろとお聞きしたいのでありますが、先日、六月二日は通産大臣のお父様の佐藤栄作先生の二十三回忌でございまして、改めて御冥福をお祈りいたしておるわけですが、佐藤総理のときにまさに沖縄返還がございました。大変な大きな出来事だったわけですが、また大臣自身もたしか沖縄開発政務次官をかつてやられていたということもありまして、とりわけ沖縄に対しては強い思い入れがあるのではないかと思っておりますが、大臣沖縄への思いという、ちょっとこれは質問にはふさわしくないかもしれませんが、何か語っていただけるとありがたいと思います。
  12. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今船田委員お話しのように、私自身参議院に議席を持っておるときに、たしか昭和五十二年でしたか、沖縄政務次官を拝命いたしました。そのときに沖縄に参りましているじくも申し上げたのは、私の父が、沖縄返還ということで、総理に就任して那覇空港に行って、沖縄返還なくして戦後は終わらない、こういうことを言ったと言われておりますが、私自身はその言葉を引用して、父の思い、考え方は誤解があったのではないだろうか、沖縄返還でもって戦後が終わったというのは実は本土の認識だ、沖縄県民の認識というのは返還と同時に戦後が終わったのではない、この昭和二十七年、講和発効して日本が独立国になった、それとの差、二十年のギャップというものをこれから埋めなければいけない、こんなことを申したわけでございます。  その思いはずっと続いておりまして、思うと、あのときはやはり地域の振興ということで海洋博を計画して、たしか五十一年でしたか、五十二年にかけて行われましたが、結果的にはあれは予測したように需要というもの、これを喚起しなかったということだと思うのです。  そこで、今橋本総理が、実は長年の当時の父の思いというもの、これを念頭に置かれて沖縄のこれからの振興というものに取り組まれる。また、私自身もその振興にも関係がある通産省の大臣を拝命している。こういうものでもって、これからも私自身も内閣の方針に従って一生懸命この沖縄の振興というものに関して全力を挙げたいな、かように思っております。
  13. 船田元

    船田委員 ありがとうございました。  現状でも沖縄県民所得は、本土と言ってはいけないのですが、それ以外の地域に比べてまだ七割程度、こういうことでありますから、まさに今大臣がおっしゃったように、沖縄振興というのは、返還後も、さらにまた現在でも非常に大事である。特に沖縄の米軍基地、特措法の問題が一応当面は先延ばしということになったわけでありますが、振興策というのはまさにこれからでありますので、ぜひ大臣のリーダーシップで頑張っていただきたいと思うのです。  ただ、一つだけ具体例で、この辺はもう少しうまくならないのかなという点を申し上げてみたいと思うのです。  それは、沖縄県と、それから沖縄県に置かれましたマルチメディア推進協議会、これがことしの五月にスタートしているわけですが、いわゆるマルチメディア・アイランドあるいはマルチメディア特区という構想を打ち出していこう、こういう話のようであります。  通産省は、このマルチメディア・アイランド構想ということで、その調査費を一億円出す。それから郵政省の方は、マルチメディア特区調査ということで五千万円の調査費を出す。合わせて一億五千万。それから、具体的な事業も始まるようでありまして、特に通産省は二つあります。一つ沖縄コンテンツ制作支援事業。県内の企業でマルチメディアのさまざまな内容、コンテンツをつくる、それを助成していこうという事業のようですが、それに二億円。それからもう一つは、沖縄県産品電子商取引等推進事業。要するに、インターネットなどを通しましてマルチメディアを使いながら情報発信をし、それで沖縄県の県産品がもっと売れるようにしよう、こういうことなんだと思います。それに五千万、こういうことであります。  ほかに郵政省も国土庁もそれぞれ具体的な事業費を数億円出す、こういうことになっているわけですが、何となく、マルチメディアということだけに限定されているのかもしれませんが、金額だけで評価してはいけないのですけれども、どうも何かけたが違うんじゃないかな、そんな感じがするのです。  しかも、事業の中身は、県内企業を育成する、これも大事なんですけれども、それで何か終わってしまうのではないか。もっと、本土と言ってはまた恐縮なんですが、ほかの地域からどんどん企業が入ってきて、もちろん地場産業と一緒に手を組みながら、いろいろなマルチメディアとか情報通信とかそういった産業をどんどん集積をしていく、こういうふうな、もっと何か大仕掛けの、大がかりなことをやらないと、本当の意味沖縄振興にならないのではないか。どうも沖縄振興のデパートみたいなもので、こんな商品があります、これでいいでしょうか、こういう感じがちょっとしているものですから、非常に私は心配なので、この辺、できれば大臣に御答弁願いたいと思うのですが。
  14. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、この問題というのは、ちょうど昨年から特措法絡みという問題で、もちろん関係がないと言ったらうそになるが、これは余り関係づけるということはいかがなものだろうかということで、特措法の決着がつくまではこの基本的な振興策というものが打ち出せなかった、こういうふうに御解釈願いたいと思うのです。  そこで、今、御存じのように、沖縄県と、それから今の橋本内閣の方で沖縄政策協議会というものをつくってあるわけで、そこでもって、ちょっとおくれておりますが、七月になると思いますが、基本的な話が出てくると思うのです。その中に、一部では蓬莱経済圏というような話がございますね。先ほどちょっと私自身は申しませんでしたが、今、船田委員指摘のように、どうしてもあそこでは製造業の比率が低いということからいって、やはり第三次産業というものが主体と言わなければだめだろう、こういうことになると、やはり国際都市沖縄、こういうことになってくるだろうと思うのです。少なくともまずその大枠が決まらないと、今おっしゃるように、そういうことが決まらないので、今のところは、やはり従来の考え方というと恐縮でございますが、そのような延長でもっていろいろな案を出しているというのが現状だというように御認識願いたいと思うのです。  それで、国際都市構想ということになると、予算よりか制度という問題が実は絡んでまいりますし、しかも、蓬莱経済圏という場合に、やはり外交的な問題からいって、蓬莱というと沖縄を中心に台湾、中国、こういうふうになるわけでございますが、そこもまた複雑な様相があるということです。  いずれにしろ、そうした方向性を出してきて、その中においてあらゆるもの、例えばその場合には港湾だとかいうふうなインフラ整備から始まって、そして、今情報化時代でございますので、このマルチメディア・アイランド構想、それもその中の一環だとお考え願いたいと思います。
  15. 船田元

    船田委員 もちろん予算だけではなくて、今のような制度、一国二制度というとまた怒るところもあると思いますけれども、そのぐらいの気持ちでぜひ沖縄を、マルチメディアでもいいし、また貿易の非常に自由な地域でも結構ですし、そういうグランドデザインというのがなかなか描けない、そこにやはり施策が細かくなってしまう原因があるんだと思うのですね。ですから、ぜひ閣議等あるいはいろいろな政府の会合等で、この沖縄振興というものをどういう方向に持っていくんだ、このグランドデザインをぜひ大臣のお立場でどんどん引っ張っていっていただきたいなというふうに考えております。  一つだけ、これは紹介に終わると思うのですが、社団法人ニュービジネス協議会というのがあります。あの大川さんが会長をやっておられますが、通産省の所管でもあるというふうに思いますが、このニュービジネス協議会として、沖縄の、特にやはりマルチメディアということを考えた貴重な構想案があります。もちろん通産省でも把握しておられると思いますが、かなり意欲的なアイデアで、特に沖縄の地域的な特性からして、東南アジアあるいは東アジアに非常に近いわけですので、そういう国々とネットワークで結んで、それで全体を振興していこう、こういう考え方で、全然沖縄にとどまっていない、非常にオープンなアイデアが出ております。時間がありませんので細かくは紹介できませんが、ぜひこれを参考にしていただければいいものができるのではないかな、こう思っておりますから、よろしくお願いします。  最後の質問になります。  つい一カ月ほど前でしたか、ある新聞にサイバー法という考え方が出ておりました。その記事は、まずは何か郵政省が次期通常国会かその先に向けてサイバー法案というものを出してみたい、準備をしたい、こういうふうな記事であったわけです。サイバー法というのは、まだなかなか中身が煮詰まらないようですけれども、要するに、例えば電子マネーというのはどう考えたらいいのか、それから、いわゆる電子決済、電子商取引あるいは電子認証、コンピューターのネットワークの中でいろいろな商取引を行うというための何かルールづくりをしなければいけないのではないか。  それから、個人情報、プライバシーの保護ということも、インターネットの中でやや侵害をされているというところも指摘をされておりますから、そういうプライバシーの保護ということもまた一方で大事ではないか。コンピューターのネットワークをつくったということによって、各方面にわたって、こういういろいろな問題が出ているわけですね。  したがって、ある方が、高速道路というのは非常に便利だ、インターネット、これもやはり高速道路、情報の高速道路である、しかしながら、高速道路を全くむちゃくちゃに走ったら命がすぐなくなってしまう、やはり高速道路の走り方をみんなで決める必要がある、それがサイバー法ではないか、こういうふうに非常に言い得て妙に話をされた方がいたわけです。  通産省では、電子取引、エレクトロニックコマースというようなことで調査を始めているようなんですけれども、将来、できればこの種の問題については、サイバー法という名前がふさわしいかどうかわかりませんが、個別的な法案ではなくて何か包括的な法案をつくりまして、政府挙げてこれをやっていくというのが、今後非常に大事ではないかと思うのです。その点について、通産としてのお考えを伺いたいと思います。
  16. 中川勝弘

    中川(勝)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、電子商取引、いわゆるデジタルネットワーク経済とも言われるわけでございますが、人、物、金が物理的に移動をしないで、コンピューターネットワーク上で商取引が済んでしまうという、従来の書面をベースにした現実経済とは違う事態が二十一世紀には本格的に来るという予想を私どももいたしております。  ただ、これはいろいろな商売の形態があるわけでございまして、企業消費者の間でございますと、弱い消費者を保護するための消費者保護法制が今でもございますけれども、これをそのネットワークの上でどういうふうに適用していったらいいかという問題もございますし、企業企業の間でございますと、私的自治の原則ということで、企業企業のいわば契約で済むところもあるわけでございます。したがいまして、いろいろな諸要素、業種、業態に沿った新しいルールづくりをしていかなければいかぬと思っておりまして、直ちに全部法規制が必要だということにも必ずしもならないわけでございます。  現実に、技術進歩が非常に速うございますので、例えば、セキュリティーを確保するために、クレジット番号がネットワークからとられるというようなときに、暗号技術が開発されますと、いわば法的規制よりも技術開発によって、実際はセキュリティーの確保ができるということもございます。どういう格好で進展をしていくかということがまだ必ずしも明らかでないところもございますので、私どもとしては、実は実証実験事業をやっておりまして、技術的に解決のできるところ、あるいは最低限法律規制を強化しなければいけないところ、あるいは商売の取引慣行、いわゆるデジタルネットワーク取引慣行みたいなものが自然に生まれてくるところというようなところで、どういう格好になっていくかということを見きわめたいと思っております。  いろいろな規制がございますので、電子マネー等は、大蔵省のいわば通貨発行にもかかわる問題でありますから大蔵省さんの検討になると思いますし、民・商法の統一ルールを直さなければいけないということになりますと、法務省になります。いろいろな役所が、実はネットワーク経済が社会経済全体にかかわり合いがありますので、なかなか、統一的な一本の法律で一つ決まるというわけにもいかないのかなという気もいたしております。  したがいまして、関係省庁は、こうした新たな事態に備えて、現在行われている規制とのバランスも含めた上で、どういう新しい規制なりルールなりが必要かということをじっくり検討しなければいかぬと思っております。そういう意味では、じっくり検討しつつ、技術進歩の速さにこたえていかなければいけないわけでございますから、ゆっくり、かつ急いでやらなければいかぬということだと思っております。
  17. 船田元

    船田委員 どうぞ、しっかりやってください。  以上で終わります。ありがとうございました。
  18. 武部勤

    武部委員長 次に、中野清君。
  19. 中野清

    ○中野(清)委員 新進党の中野清であります。  私は、川越の商人といたしまして、三十七年間商売をやってまいりました。県議、市議といたしまして二十六年間、また、川越の商店街連合会の正副会長として二十数年間やってまいりまして、商人であることを誇りに生きてき、そしてまた、商店街の盛衰といいましょうか、移り変わりを自分の目で見続けてまいりました。その立場から、きょうは中心商店街と中心市街地の活性化と大型店の問題について、質問をさせていただきたいと思っております。  御存じのとおり、商店街は広範な分野において地域社会に貢献をしてきました。しかし、昨今、中心市街地の多くは、複合大型商業施設等の郊外への出店、中心市街地にある既存大型店の撤退等により、空洞化がますます進行し、そこに立地する商店街は、顧客の減少、空き店舗の増大に悩んでいるのが実情でございます。  特に、空き店舗につきましては、日本商工会議所の調査によりますと、空き店舗のある商店街は全体のうちの八五%に及んでおりまして、空き店舗比率は八・八%であります。一商店街の平均空き店舗数は五軒であります。空き店舗比率が商店街の中で一割以上ある商店街というものが全体の三分の一となっておりまして、商店街の衰退化、空洞化は、単に一地方の問題でなく、全国的な問題になっていることも明らかでございます。こうした空洞化につきまして、深刻、問題であるとの危機意識を持っている自治体というものは七四%に及びまして、今後、深刻、問題となると考えている自治体は八六%にも上っております。  もとより、この商店街の衰退というものは、商業者自身の自助努力によって解決しなければならない、これは当然のことでありますが、現在進行している事態、すなわち、大型店によって町が盗まれる、こういう事態というものは、商業者の努力を超えた問題であるということも事実でございます。  そこで、通産省にお伺いいたしますが、こうした空洞化を招いた原因そして現状はどういうものであるか、これをどういうふうに認識しているか、まずお伺いをしたいと思います。
  20. 篠原徹

    ○篠原政府委員 近年、我が国の流通業は、消費者行動の変化、あるいは都市構造、交通体系の変化等によりまして、大きな環境変化に直面いたしております。特に、モータリゼーションの進展等を背景といたしまして、郊外の幹線道路沿い等に大型店の出店が増加しているところでございます。これらの動きを受けまして、小売業におきます競争も、中心部と郊外との間や、あるいは都市と都市との間で行われるようになってきておるところでございます。  こうした中、中心市街地の夜間人口の減少等も相まちまして、中心商店街等の空き店舗が深刻化いたしております。先生今御指摘ございましたとおり、具体的には、空き店舗比率が一割を超える商店街が全国の約三分の一に達しておりまして、一商店街当たりの空き店舗数につきましても、平均約五店というふうになっております。  こうした原因でございますけれども、今申し上げましたとおり、モータリゼーションの進展あるいは消費者ニーズの変化、消費者も、ワンストップショッピングによりましてできるだけ短い時間でお買い物ができる、あるいは物品の購入だけではございませんで、そこでいろいろなレジャー等々含めまして時間を消費するというふうに変化をいたしてきております。  こういった複合的な要因によりまして問題が生じているというふうに認識しておりますけれども、いずれにいたしましても、中心市街地、特に商店街の空洞化は、市町村の町づくりの観点からも深刻な問題というふうに私ども認識しているところでございます。
  21. 中野清

    ○中野(清)委員 同じような見解でございますから、そこから出発させていただきまして、大店法の見直しと、それに関連する問題についてお伺いをしたいと思います。  大店法は、御承知のように過去三回規制緩和が行われましたが、むしろ規制効果がゼロというようなこの改正の結果によりまして、今お話しのように、中心市街地から郊外へ人の流れが変わり、空き店舗がふえ、車を使えない高齢者にとっては郊外の大型ショッピングセンターへの買い物が非常に不便になっている、交通事故や交通渋滞が増加した、排気ガスやばい煙、都市環境が悪化しているという問題が生じております。  前回、本当にすごい大店法の改正のときに、通産省は商店街の振興についてはさまざまなメニューをつくりました。当時一私も商店街の現場にいまして、通産当局は本気でもって商店街対策考えたなと実は感銘を深くしたのです。しかし、その努力にもかかわらず、この五年間、商店街は、さきに述べた空き店舗問題を初めとした大変深刻な状況になっております。中小企業を所管する通産省として、この中心市街地商店街の活性化に向けてどのような取り組みをしてきたか、お伺いをしたいと思うのです。  そしてあわせて、この大店法の見直しというものが、五月二十一日から産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議で大店法の見直し作業に着手されていることは御承知のとおりでございますが、商店街、商業団体から、これ以上緩和は必要ないとの声が上がっております。過去三回の、極限とも誓える限りなく廃止に近い規制緩和で、出店調整の円滑化の目的は十分達したと思われるのでございますが、いかがでしょうか。  しかし、このままでいいというわけでもございません。それは、今お話もございましたけれども、町づくりの発想への転換が必要だからでございます。大店法をめぐる状況は、制定した当時と大きく時代が変わってきております。ただ中小企業事業確保をするために大型店の進出を規制するという政策から、もっと幅広い視点で総合的な町づくりを進めることが必要になっておりますが、その点をお伺いしたいと思います。  つまり、言いかえますと、大型店の進出がもたらす影響というものが、地価の高騰、乱開発による都市の荒廃、廃棄物の増加、交通渋滞、景観、町並みの破壊というような複合的な都市問題になっている。この複合的な都市問題を解決しつつ、市民のいわゆる定住条件を高める政策を確立して、一つ一つ具体的な問題を課題として、その一つとして大型店の出店というものを考えなければならない、そういう町づくりの視点が必要と思いますけれども、この点について簡単に御説明を願いたいと思います。
  22. 篠原徹

    ○篠原政府委員 平成三年度の大店法改正以降につきましても、意欲ある中小小売商業者が環境変化に的確に対応し得ますように、魅力ある商店街、商業集積づくり、あるいは共同化、情報化等によります業務効率の向上、あるいは個々の商店の魅力アップに向けまして、各般の施策、支援策を講じてきたところでございます。  特に、魅力ある商店街、商業集積づくりに関しましては、ハード面におきましては、商店街ぐるみで取り組むという事業に加えまして、一部の有志、例えば五人以上集まっていただきましたら、商店街パティオ事業だとか空き店舗対策事業ができますように、支援メニューも追加したところでございます。  また、ソフト面につきましては、全国都道府県にございます中小商業活性化基金に加えまして、新たに空き店舗を活用した新規開業の促進など、商店街活性化のため、先進的な取り組みをモデル事業として追加してきたところでございます。  このほか、安価で操作性の高い業務用ソフトウエアの開発を初めといたしまして、情報化の推進などによりまして、中小小売店の業務効率向上に向けます支援を大幅に拡充強化しているところでございます。  今後とも、厳しい商店街につきましては、その活性化に向けまして強力に支援してまいりたいと思っております。  次に、町づくりとの関係でございます。  先生御承知のとおり、特定商業集積法の法律に基づきまして、商業集積を核といたしました町づくりの観点から、大型店と中小小売店の共存共栄によります商業振興というのをやってきておるところでございます。この特定商業集積法につきましても、平成八年度からは、商業機能の空洞化が進行しつつございます中心市街地におきまして、大型店と中小店との共存共栄によります小売業の一層の活性化を目指しました中心市街地活性化型の親類型を設けたところでございます。  今後ともへ関係省庁との連携を図りまして、町づくりの観点を含めました商業集積支援策を講じてまいりたいというふうに存じております。
  23. 中野清

    ○中野(清)委員 今御答弁いただきましたけれども、いろいろな原因については私どもと同じ考えだということで御確認させていただきたいと思います。  それで、そういう意味で現行の大店法に大きな限界がございますから、これについてお伺いをしたいと思っております。  その第一は、都市における商業土地の利用が混乱しておりまして、これは解決できないことです。  大型店の多くが、都市の中心部でなく郊外の地価の安い地域に拡散をしております。その結果、中心商店街や長い年月をかけてつくられてきた繁華街が寂れ、空洞化が深刻になっているというのは今お話しのとおりでありまして、私どもも同感でございます。大店法には、大型店を都市のどの地域に立地するのが最適なのか、あるいはより望ましいかという視点は全くないわけでございます。都市の商業施設をどのように配置すれば消費者の利便にとって、土地利用の最適化という点にとっても好ましいかという、そういう政策というものは不在でございます。これを要求するのは無理かもしれませんけれども現実にないということだけ御確認願いたい。  そして、アメリカやヨーロッパ各国では、いわゆるマスタープランや土地利用計画で、どれくらいの商業集積が妥当か、どこに配置すればいいのかということを中長期的な視野で進めているシステムがあるということはよく知られているところでありますが、後ほどこれもお話ししたいと思います。  第二は、大型店ができることによって副次的に発生する環境問題への対応、これが不十分だということであります。  例えば、具体的に幾つか申し上げますと、北関東のある都市で郊外に大型のショッピングセンターができました。来客の自動車が狭い道路に殺到いたしまして大渋滞が起きてしまった。たまたまその道路は工業団地に出入りする大型のトラックがたくさん通行する道路でありましたので、そういう工場の材料や製品を搬入するトラックの輸送に支障が出てしまって、工場が大変困ったということもございます。  また一方、大型店が東京などの住宅地でできる場合に、交通問題というのは、これもまた深刻であります。  世田谷の経堂に出店することが決まっています。ある大型店の場合には、幅員が大変狭い裏通りに大型店の配送の出入り口ができましたので、ただでさえ通りにくい道路が一層混雑して危険だということでございます。付近の住民が、配送出入り口の場所を表通りに変更してもらいたいということを大型店に申し入れをしておるそうでございますし、また、地元の警察も何回か、これはそのとおりだということで変更を申し入れているようでございますけれども、一向に聞き入れない。これは、大店法の許可が出たから、建築確認がおりたから、今さら変更には応じられないということのようでございます。  このような問題というものは、大店法の審査の段階や建築許可の段階で本来は十分検討、解決すべき問題でございますが、実際にはほとんど検討されず、大店法や建築基準法の許可がおりた後で問題が発生してトラブルになる例が多いわけでございます。大店法では、売り場面積、休日日数、営業時間、開店日、いわゆる調整四項目が主体でございまして、ですから、そういう点はやってないんだと言われればそれまでかもしれませんけれども、そこに限界があるわけでございます。  アメリカなどでは、環境法や都市計画、建築許可、都市の条例などできめ細かくチェックをしているようでございまして、日本でもこの交通問題や環境面での対策が不可欠だと思うのです。  それからもう一つ、第三番目といたしまして、町づくりと地域社会との関係が十分調和できてないんじゃないかと思うのです。  例えば、現在の大店法では、第一種大規模小売店舗というものは通産大臣が直轄いたしまして、それ以外の規模のいわゆる第二種大規模小売店舗は、都道府県知事が所管するという形になっております。大規模な店ほど地域社会に与える影響が大きいのです。影響の大きいものが地域から遠い中央官庁が調整するという形は矛盾があるように思うのでございますが、これらの問題についてどのように認識しているか、ぜひお聞かせを願いたいと思います。
  24. 越智謙二

    ○越智政府委員 お答えを申し上げます。  大規模店舗法でございますけれども、これは先生御案内のとおり、消費者利益の保護と周辺中小小売業の事業活動の機会の確保の双方の観点から、審議会の審議を経て調整が行われているわけでございますが、御指摘の土地利用の適正化にかかわる規制あるいは環境問題への対応などは、基本的にそれぞれの課題に即した制度的な枠組みの中で検討されることが適切と考えております。例えば自治体や警察がおのおのの権限の範囲内で交通問題等々に指導を行うことは、基本的には大店法の趣旨に反するものではないというふうに考えております。  ただ、御指摘のように、交通、環境等の面で大型店が与える影響についていろいろ議論があるということはもちろん認識をしておりますし、現在開催をしております審議会の中では今後議論がなされることもあろうかというふうに考えております。  それから、大規模小売店舗の国と都道府県の仕分けでございますが、店舗面積が三千平米以上の第一種大規模小売店舗については、その出店の影響が広範囲に及ぶという観点から、都道府県ではなく国が調整を行うようにしているところでございます。  ただ、この場合におきましても、大規模小売店舗審議会の審議に当たりましては、出店予定地の消費者、小売業者、学識経験者等から意見を聴取しておりますし、案件によりましては市町村長、都道府県知事からも意見の申し出がなされている現状でございます。
  25. 中野清

    ○中野(清)委員 大店法の限界については、もう少し皆さんが御理解願いたいと思うのです。といいますのは、大店審とかいろいろなところでもって、我々現場におきましては、この四項目以外のことは無理だ、そのとおりだと思うのですね、法律的に、だからだめなんですというので全部門前払いだ、そういう現実を私は御理解願いたいという意味で第一に申し上げたので、決して皆さんが怠けているというのじゃないのです。しかし、現実には四項目しかだめですよと言われてしまうと、環境問題にしろ交通問題にしろ全部だめだというので、そこに限界があるということだけはまず御理解を願いたいと思うのでございます。  そして、そういう今の大店法が、現行法体系に限界があるといっても、現実には、緊急に解決しなければならない問題は、今おっしゃるようにいっぱいあるわけなんです。  その中に、簡単に幾つか触れましたが、今、大型店というと、まず交通問題について、先ほどの経堂のような場合に警察の署長が善処を申し入れても、さっき言ったように、建築主は、建築許可がおりているのだ、大店法の許可がおりているのだから、今さら荷物の搬入口を変えられない。本当に現実に狭いところなんですよ。これはどうしようもないと地元が言っているにもかかわらず、巻き込んでトラブルになっております。  そして、そういうときに、今お話しのとおり、交通の悪化の対策のためには自治体や警察が何かやった方がいいのじゃないか、そのとおりでありますけれども、じゃ警察や自治体はどう考えているのか、私も伺いたいと思うのですよ。  それから、いわゆる大店法においての調整四項目以外のこういう交通問題とか環境問題、いろいろな問題について今地元の警察や自治体というものがいろいろやっていますけれども、出店者側は逆に、大店法の十五条の五、いわゆる横出し禁止とか、今まで自治体が過度な規制をやってきた、やめてもらいたいというこの規制でございますけれども、これを盾にとって、余計なことを言うなということが現実にあるわけでございますけれども、今のような例の場合には、それでは十五条の五に該当する問題かどうか。私は、大店法の精神からいって十五条の五はこの四項目以外は何でもいいか、そういうことじゃないと思いますけれども、その点について伺いたいと思います。  それに関係して、実は最近、自治体が大型店の出店に際して独自の要綱をつくって町づくりを進めるというケースがだんだんふえてきました。前ほどじゃありません、それはさっき言った十五条の五があるからそう簡単にできませんから。  しかし、例えば川崎市では、住宅地内で店舗千平米、それから商業地では千五百平方メートルの大型店を対象に、大店法に関する四項目に加えまして、都市計画などの町づくりとの整合性、駐車場、駐輪場の整備計画と交通対策、それから地域の環境保護に向けての取り組み、地域社会への貢献などあらかじめ届けるように求めております。また個性的で快適な町づくりを進めるために生活に密着した市町村の独自性を高める必要があると考えますが、こういう観点から、今後私は川崎市や横浜市のような事例がふえることが望ましいと考えますが、御見解を伺っておきたい。  それに関係しまして、ついでにもう一つ申し上げますけれども、実は日本商工会議所の方からこの大店法改正について幾つかの御提言がありましたけれども、その中に大事なことが三つございました。  それは、一つは、出店時の受理の要件として、地域の社会とか自然とか環境、今言ったいろいろな問題について悪影響を及ぼすおそれがないという証明といいますか、そういうものを出店者側としてやる義務があるのだろうということを提言されております。  それから、同じように出店に際しまして、地域とか環境保全に関する影響について地方自治体の事前協議を制度化させてもらいたい、そうしなければいつになってもできない、そのことを言っておりますけれども、これについての御見解を承りたい。  三番目といたしまして、先ほど来言いました第二種大型店舗、これは五百平米から三千平米でございます、政令都市では六千平米になっておりますけれども、この面積を引き上げて、先ほど私はちょっと申し上げましたけれども、地方自治体の裁量、そういうものを、現場の声というものをもっと拡大するということを言っておりますけれども、これについてあわせてお伺いしたいと思います。
  26. 越智謙二

    ○越智政府委員 まず、大店法の第十五条の五の問題でございますけれども、大店法に規定する調整制度に加えまして地方公共団体が独自に条例、要綱等に基づいて小売業の事業活動について規制を行う場合には、大店法の趣旨を尊重して行うべきとする旨が定められているのは先生指摘のとおりでございます。  ただ、大店法は、先ほども申し上げましたように、大規模小売店舗における小売業の事業活動につきまして、消費者利益め保護と周辺中小小売業の事業活動の機会の確保の双方の観点から調整を行っているものでございますので、こういう大店法の趣旨から申し上げますと、大店法の調整四項自以外の事項について、交通問題等の観点から、大店溝の手続とは別個に自治体や警察がおのおのの権限め範囲内で指導を行うことは基本的には大店法の趣旨に反するものではなく、十五条の五との関係が問題となることはないというふうに理解をしております。  次に、川崎市の要綱の問題でございますが、これは、地域の良好な都市環境の保全と安全で快適な町づくりの形成を図ることを目的としまして、先生指摘のような内容、手続を定めていると伺うております。  地方公共団体がその所掌する事務の範囲内で交通、環境対策等の大店法の対象以外の問題につきまして所要の対策を講じることは、基本的に各自治体の判断を尊重すべきものと認識をしております。しかしながら、大店法十五条の五が設けられた趣旨からいい標すと、例えば商業施設のみに着目して大型店の出店や営業を規制する場合に、その運用によっては十五条の五の趣旨に反することもあるものと考えております。御指摘の要綱につきましては、今後の運用も含めて、そのあり方について引き続き注視してまいりたいというふうに考えております。  それから、最後に御指摘のございました日商の提言でございますけれども、御案内のように、この問題は、これ以上の規制緩和絶対反対から廃止まで、幅広い意見が存在しておりまして、大店法の制度のあり方については、先生指摘のとおり、この五月より審議を開始しました産構審と中小企業政策審議会の合同会議で御議論をいただくことになっているわけでございます。委員の中には日商の代表の方も入っておられますのでその議論の中で御指摘の提言の内容についても取り上げられることがあろうかというふうに認識をしております。
  27. 中野清

    ○中野(清)委員 十五条の五につきましては、これからも慎重にやってもらいたいということでございまして、特に今の御答弁で私どもも心強く思っておりますので、大型店がこれを盾にとってどうこう言われないようにひとつお願いをしたいと思います。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕  続きまして、幾つかもう少し根本的な問題について話させていただきますけれども、大店法の考え方を根本から見直しく町づくりや地域環境の問題と調和を図るというように、私もおっしゃるとおり世の中は変化していると思います。ただ、今までの大企業と中小商店の利害調整という考え方で大型店規制をやっているのは、日本とフランスとイタリアだけだと思います。アメリカやドイツやイギリスなどは、地域計画や土地利用、環境といった面から調整をしているわけでありまして、しかも、それは地方自治の権限で今おっしゃるとおり行われているわけであります。  日本もこうした市民社会のあり方にふさわしいことに移行すべきでありますけれども、残念ながら、今はコミュニティーとかそういう議論を通り越してしまって、大型店と中小小売店の対立というのが今日までの姿だと思います。私は、そういう点について、まず第一に、アメリカやイギリス、ドイツ、またフランスについては、これは簡単に、私が申し上げる程度で結構ですけれども、どういう認識か、お伺いをしたいと思います。  そしてまた、例えばアメリカについては都市計画条例などで用途規制をしているのが実情でございますが、その目的は、土地利用の計画的な推進を図り、乱開発や商業施設の無秩序な拡散を防止するとともに、都市商業の健全な発展と生活の利便を保障することになっておりますが、こういう点にかんがみまして、第二に、我が国においても都市計画制度によって無秩序な商業集積の拡散を食いとめ、美しく快適で個性豊かな都市をつくるべきと考えますが、この点については、きょう建設省がいたら見解をいただきたいと思います。  三番目といたしまして、我が国で今言った町づくりを考える場合に自分たちの町、コミュニテイーをどうデザインするかという視点がなければなりませんが、そのためにも、今何回も市町村の問題が出ておりますけれども、市町村が詳細に地域の計画を決められるよう、自治体め裁量権というものを私は拡大する必要があると考えます。町づくりにおける市町村め役割をどう考えているか、通産省、建設省、自治省各省から簡単にその点について伺いたいと思います。  きょう一番私がお伺いしたいことがございます。それは、先月から産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議で大店法の見直しが始まったわけでごいますけれども、非常に私どももこれにりいては注目をしておるわけでございます。今後どのように審議が進むのか。また、審議では、今言った四項目を初めとする規制のあり方以外に、中心市街地の現状や外国の取り組み状況を踏まえた上での審議、そういうことも対象になると聞いておりますが、そういう点いかがか、まずお伺いをさせていただこうと思っております。  そして、その中で、審議委員については、今までの流通問題という視点でもって、どうもても流通の専門家、そういうのが多かったと思うのです。これから都市政策とか町づくりという視点で、特別委員とか委員さんに都市政策、町づくりの関係者を、多少幾人か私は入っていると思いますけれども、これは後ほど中心市街地の活性化もお伺いしますので、そういう意味で、その中に町づくりの専門家、それからまた都市政策の専門家というものをもっともっと入れるべきではないか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  28. 越智謙二

    ○越智政府委員 まず、外国の法制についてお答えいたします。  大型店の出店に対する規制でございますが、これは各国の歴史的事情あるいは流通業を取り巻く環境、土地利用に対する考え方等によってさまざまでございますけれども、御指摘のアメリカ、イギリス、ドイツの各国につきましては、商業調整の観点からではなく、専ら都市計画の観点からの規制を採用しているものと承知をしております。  御指摘のように、例えば米国におきましては、都市計画の観点から市町村等の地方自治体が規制を行うゾーニング制度がございまして、一般的には市町村または郡といった個々の地方自治体のレベルにおいて、幾つかの地域に区分をして土地建物の用途等を規制しているわけでございまして、これに基づき、商業施設についても立地場所等の規制が行われていると承知をしております。イギリスにおきましても都市田園計画法、あるいはドイツにおきまして建設法典等々により、同様に立地、用途に係る規制が行われているというふうに承知をしております。  それから次に、今後の産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議審議についてでございますけれども、この合同会議におきましては、年内の取りまとめに向けまして、望ましい都市のあり方という視点も踏まえた上での中心市街地の商業を活性化させるための商業振興策及び大店法の制度の見直しについて、御議論をいただく予定になっております。検討の過程におきましては、御指摘のように、欧米各国への調査団の派遣や地方でのヒアリングを行う予定にしておりますし、流通業を取り巻く環境変化を踏まえて、さらに諸外国の商業に対する規制の現状や動向、あるいはその考え方についても把握した上で議論をしていただく所存でございます。  審議会の委員の構成につきましては、御指摘のとおり、都市計画の専門家も委員に加わっていただいているところでございます。さらに、都道府県知事会、市長会、町村会からもそれぞれ地方自治体の長の参加を得ていただいているところでございまして、都市政策、町づくりについての知見も得られるものというふうに考えております。
  29. 篠原徹

    ○篠原政府委員 町づくりにおきます市町村の役割についてでございます。  地域の商業の活性化を図る上におきましては、そもそも市町村が町づくりにおきまして商業をどのように位置づけていくかが大変重要だというふうに認識いたしております。こうした認識に立ちまして、通産省といたしましては、市町村によります地域の商業集積、商業のあり方等に関します研究、具体的な構想づくりなどにつきまして、補助金等によりまして支援を行っているところでございます。また、特定商業集積法におきましては、支援の対象となる個々の特定商業集積の整備に関します基本構想の作成につきましても、市町村がその主体となっているところでございます。  今後とも、市町村が地域の町づくりに主体的に役割を果たすことができますよう、十分配慮しながら施策の推進に努めてまいる所存でございます。
  30. 山下貴史

    ○山下説明員 町づくりにおきます市町村の役割についてお尋ねがございましたので、お答えを申し上げたいと思います。  委員も御案内のように、全国各地で今、広く住民の参加のもとに地域の特性を生かした個性的な町づくり、地域づくりということが積極的に取り組まれているわけでございますが、そうした中で、市町村は当然その中心的な主体としてそうした計画の推進にこれまでも十分努めてきたところでございますし、もちろん今後ともその役割が強く期待されているところでございます。  自治省といたしましても、最近におきます地方分権の考え方なども踏まえまして、引き続き市町村が自主的、主体的に市街地開発でありますとか町並み整備等を推進していくことができますように積極的に支援に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。     〔小川委員長代理退席、委員長着席〕
  31. 中島洋次郎

    中島説明員 二点お尋ねがございました。  まず、都市計画制度で商業立地をコントロールして、個性的な町づくりを目指したらどうかということであります。  我が国の都市計画制度では、基本的に、商業施設を含めまして、土地利用の規制は用途地域で大枠を決めております。平成四年にこれも改正をいたしまして、詳細化を図りまして、商業施設につきましてもきめ細かいコントロールができるようにしたところではありますが、何といいましても、この用途地域というのは基本的な大枠を決めるシステムだと思っております。さらに詳細な、市町村がそれぞれ独自の土地利用をしたいというときには、御案内の地区計画制度、これによって建築物の用途、規模などを規制していただくことは可能であります。現に多くの市町村で活用していただいていると思っております。  さらには、こういう直接規制をする手段の前に、そもそも町づくりをどうしたらいいのかというマスタープランといいますか、それを住民と意見交換をしながらきちっとつくっておくということが大事だと思います。  これも平成四年の改正でいわゆる市町村マスタープランというものを制度化いたしまして、町づくりの具体的な将来のビジョンを決めていただくようにしておりまして、現在多くの市町村で鋭意策定が進んでいるところでございます。このような制度を活用して、それぞれの市町村で個性的な町づくりを進めていただきたいと思うわけでありますが、そのときに市町村の裁量性を高めるということは基本的に大事なことであろうと思っております。  今申しました制度はいずれも決定権は市町村にありますが、さらに裁量性を高めるという意味では、制度そのものは自由にといいますか、幅のあるものとしてつくっておいて、制度発足当時は、地区計画、五十五年でありますけれども、私どもも例えば通達でこうしたらどうか、ああしたらどうかと言った時期もあるのでありますが、今はなるべくそういうことを言わないようにしまして、むしろいろいろな町で行われた先進的な事例を御紹介するとか、意見を交流する機会をつくるとか、そういったことで創意工夫して活用の幅をふやしていっていただきたい、こういうふうに思っております。
  32. 中野清

    ○中野(清)委員 それぞれ御答弁ありがとうございました。  特にこの見直しについて、大臣に申し上げますけれども、私の町にもトイザらスが来たのです。来まして、もうはっきり言って何でも自由だというふうな格好でもってやってきました。商店会にも入りません。会議所にも入りません。入ってくださいというので約束はしたけれども、入ってくれないのです。それは今多くの大型店がそういう傾向にはなってきております。  その中で、実はこの見直しについて私はお願いがございますけれども一つは、私は通産省がこの審議の内容について未公開とか、決してそんなことは申しませんけれども、どうしても私たちは雲の上で決まっているような印象を持たざるを得ないのです。どうかそういう点については、私はこの審議会の議事録については公開をしてもらいたい。多くの学者がいろいろなことを言ったり、学説としては立派だと思いますけれども、それについても全部責任を持ってもらいたいと思うのですよ。そうしないと、どこかでもってすごい景気のいい議論になってしまって、それが何かあたかも――――ということを私はこの国会に来ていろいろなところで感じますので、どうかそのことについてはぜひお願いしたいということ。  それから、この大店法の見通しについて、今私も、大臣が大店法の見直しということをあるところでコメントしたものを見ますと、本当に良心的に大臣が答弁しているのを見させていただいて、そのことを一々あげつらうのではなくて、本気になって考えていらっしゃるのだなと思います。  そういう意味で、本当にこの問題がどこにあるのか。例えば、今アメリカから、いわゆるアクションプログラムの中で年内に決めるというけれども、そんなに大事な問題だったのだろうかということを私はむしろ疑問に思っているのですよ。この大店法を見直すということが今それほど問題なんだろうか。むしろ限りなく廃止に近いこの現状を認識すれば、閣議で決定してまで大変な問題だというのじゃないのだろうと思うのですけれども、その点についてだけ伺いたいと思います。
  33. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 大店法、これは今度の経済構造改革、この中において、規制緩和において、初めのプログラムでは平成九年度中に見直すとなっていた。それを若干早めて、この間の行動計画では平成九年中に見直す、かように変えてきたわけです。今御指摘のように、この問題というのは随分内外の温度差がある、こういうことをまず申し上げたいと思うのです。  外にあっては、先日からパリのOECDの会議に行って、米国のデーリー商務長官に会ってみて、その前においてもアメリカにおいてデーリー商務長官、引き続きこういう人に会うと、日本の構造改革へ一生懸命やる意欲は買うという話から始まって、最後はやはり大店法というもの、これがあらゆるものの障害になっている。  例えば、今委員御存じのように、フィルム問題というのがございまして、WTOにこれは提訴というか持っていっておりますが、その場合にも、大店法があるからコダックが売れないのだと、関係ないことなんですが、そのように何かこじつけてくるということで、まさにこれからの、俗に言う摩擦関係の代名詞のように言われるようになる。片一方、国内においては、今委員御指摘のように、この問題は私自身も実はいろいろな意見を聞いていて思うのですが、非常に反対というか、もうあれだけ、三回もやったじゃないか、これ以上一体何をやろうというのかという声が強いことも承知しております。  事実、私自身も、自分なりに調べると言ったらあれですが、自分なりに勉強させてもらいますと、確かに全国において地域差がある。だから委員の川越のような立派な都市と、商店街と私の地元となると、これはまた格差があります。しかし、川越と東京とか、みんな格差があることはおわかりのようでございますから、それでもって、果たして見直すという場合は一体何に手をつければいいのだろうか、実はこんな気がして、今のところは、学者の先生を初めとして消費者あるいは商店でもって実際的に現場にいらっしゃる方とか、いろいろな御意見を広くお聞きしてというのが産構審、こうなるわけです。  ちょっと話が飛びますが、先はどのように、産構審の議事録ふこれの公開というのは今もしておりますしへもちろん必要があれば、今非常にインターネットみたいなものも広まうておりますから、そういう方面で、どういうふうにして配備するかということは別問題ですけれども、少なくとも公開はしておりますが、そういうことで活発な意見交換をしてもらおうと思うのです。  私自身は、望ましいのは、地域によっては、地元とこの大型店との共生というのが大前提じゃないだろうか。しかし、どうしても共生ができないところもある。きょうの委員の御意見そしてまた答弁をお聞きしていてもわかることは、これからはこの商店街の振興というものを、大店法と関係があるが、別にやはり都市計画主体に考えろということで、私も全く同感なんです。  後から御質問があるかもしれませんが、今中心市街地活性化、こういう問題がございまして、党によっては、それを中心に入れると思うのですね、研究会を開いていると。これなんかがこれからの、やはり来年度に向けての一つの焦点だろう、こう思っております。
  34. 中野清

    ○中野(清)委員 大臣、本当にありがとうございました。心を打たれる御答弁をいただきまして、これからもよろしくお願いします。  今お話しのとおり、それでは中心市街地の活性化対策についてお伺いしたいと思います。  私も、この中心市街地の活性化対策で都市機能の再構築、商業の活性化と産業業務機能の集積促進という二つの命題を掲げたことにつきましては、これは本当に評価をさせていただいておりますし、期待をいたしております。そういう意味幾つか御質問したい。特に通産省としてのお立場について質問をさせていただきたいと思います。  今この中心市街地の活性化等について、町づくりの支援策の拡充が強く求められておるわけでございますけれども幾つか具体的に申し上げますと、その第一に、例えば駐車場とかコミュニティー施設の商業基盤施設の整備とか、商店街の業種、業態の再編成への支援とか、空き店舗対策など商店街活性化のための各種の取り組みへの支援とか、道路、駐車場等の交通基盤の整備とか、官公庁、福祉施設、公園等の各種の公益、公共施設の整備を図る必要があります。これは建設省の問題はございますけれども、まず通産省としてはどう考えているか、お伺いしたい。  そのほかに、恐らく通産省としても今まで一生懸命やっていらっしゃることを私もよくわかっておりますが、例えば中小商業活性化基金の積み増しをすべきだろう、商業ベンチャーとか新規開業の支援をすべきだろう、そういういわゆるソフトの支援策というものも必要と思いますけれども、今まで私は本当に一生懸命やったと思うのですけれども、なかなか効果が上がっていなかった。それについては、これからそれ以上の展開というものが期待されると思いますけれども、お伺いをしたいと思うわけであります。まず、それだけお願いします。
  35. 篠原徹

    ○篠原政府委員 中心市街地の活性化につきまして、先生指摘がございましたとおり、これまでも私どもも商店街あるいは商業集積づくりという観点から、駐車場対策あるいはコミュニティーホールの整備、こういった商業基盤整備等々いろいろやってきたわけでございますけれども、御指摘のとおり、まだまだこれが実効が上がっていないというのが現状でございます。  先般、五月の十六日に閣議決定されました経済構造の変革と創造のための行動計画、これによりまして、現在関係九省庁が連絡会議を持っておりまして、この行動計画にうたわれていますとおり、都市機能の再構築、あるいは商業活性化、産業業務機能の集積の促進、こういった視点に立ちまして、総合的な対策を推進すべく勉強を始めているところでございます。  また、産業構造審議会あるいは中小企業政策審議会の合同会議におきましても、大店法の見直しにとどまりませんで、こうした中心市街地の問題、あるいはそれを含みます中小小売商業政策のあり方等につきまして、ただいま先生から幅広く御指摘いただいたような項目につきましても十分御審議をいただきまして、私ども、新たな施策の構築に努めてまいりたいというふうに存じております。
  36. 中野清

    ○中野(清)委員 今御答弁をいただいたわけでございますけれども、なかなか時間がございませんから細かい問題については御答弁願えませんでしたけれども、これについては、通産省としての方向をしっかり出していただきますようにお願いしたいと思うんです。そうしますと、その問題をもう一回、別の角度から、視点から申し上げてみたいと思うんです。  といいますのも、今申し上げたいろいろな問題というものが、すべて都市構造の変化に対応した施策として必要になってくるわけなんです。そういうためには、もう一回視点を変えてみたいと思うんです。それは、中心市街地の問題について言えば、住環境の整備や都市型住宅などの誘導による定住人口の増加という問題があるはずだと思います。これについてどうお考えになるか一  それから、先ほども出ましたけれども、駐車場などのいわゆる都市基盤整備、車社会への対応という課題があります。それから、公共とか民間のいわゆる都市基盤施設といいましょうか、そういうものを、今までは都市の中心にあったんですけれども、それが郊外、郊外へと行ってしまっている。ですから、それを集積によるところの昼間人口の増加、それから新しく進出する商店街とか既存店の改修、いわゆる商業投資の誘導によるところの商業集積の魅力の向上、こういう問題が、角度を変えて言えば言えるはずなんです。そういう施策が必要と思いますが、この点について通産省としてどうお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。  しかし、こういう問題をやったときに、町づくりへの対応というものを商店街が単独でやってきた。非常にこれが限界があったわけでございます。今まで通産省は、私が本当によくやってくれたなと思ったのも、商店街に対する単独の補助については、前回、本当にもうよくやってくれたなと思ったぐらいにやっていただきました。  しかしこれからは、どうも通産省、建設省、自治省を中心とした関係機関が一体となって環境整備をすべきじゃないだろうか。マスタープランの作成といいますと、例えば町づくりのルールとか基準づくりとか政策メニューとか、誘導策を決めなきゃならない。そうすると、先ほども出ておりましたけれども、商業集積法に見られるような施策というものを、あの商業集積法の考え方というものが私は大事なような気がします。どうもマスタープランといいますと、後ほど質問しようと思っておりますけれども、これは建設省の問題だというふうにしないで、むしろその中で一番重要な商店街の、商業の問題というのは通産省が責任がございますから、お願いをしたいと思うんです。  同じことを、実は私の町にも振興組合が五つばかりございますけれども、全国商店街振興組合連合会が、空洞化に対応する町づくりとして五つの提言をしていますので、これもちょっと申し上げまして、この点についてもお考えをいただきたい。  恐らく、全国商店街振興組合連合会でも皆さん方へ要望があると思いますから申し上げますと、その第一は、地域の特性や地域のストックを地域ぐるみで見直してやっていかなきやいけないんだろう。  それから二つ目は、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、商業集積地内、いわゆる中心都市内での大型店の役割というものをもう一度見直すべきだろう、我々もそう思っております。決して、何でもかんでも大型店がだめだというんじゃなくて、郊外にやってきて、その町のキャパシティー、容量以上のものをつくって全部崩壊しちゃうから、これはだめだと言っているのでありまして、一緒にやってくれるのでしたら結構だと思っておりますから、その点が二つ目。  三つ目には、町づくりについて、どうも今までの商店街もそうですけれども、全国画一の銀座が全部できちゃったということじゃなくて、その地域の環境や地域特性というものと商店街を調和させた、そういうものができるべきだろう。特に、都市のアメニティーと、四番目として、町並み景観の確保が必要だろう。それから五番目として、町と商店街の共存が必要だろう。  特に、今いろいろおっしゃっていまして、通産省も一生懸命やっていただいている。この官の役割と民の役割というものをもっとはっきりすべきだろう。そして、それぞれがそれぞれの責任を持ってやるべきだろうと言っておりますけれども、この点について御見解をいただきたいと思います。
  37. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 先ほど申しましたように、私自身もこの東京の近郷の商店街、また、先日外国で会議があったとき、暇を見て、そうした大型店の進出状況、自分なりに勉強させてもらいました。その体験というか感想を申し上げて、委員のお考えの一助になればと思うんです。  この間、パリに実は参りまして、御存じのようにあそこは、市街地の中心地というのは、パリの中心地はロワイエ法というので縛られていて、郊外に行っているんですね。郊外にという場合に、高速道路網、そういうところの乗り込むインターチェンジというのは、日本と違って円を描いて乗り込む。そのところに大きな店が出ている。専門店、日本でいうハンズ、ああいうのが出ている。また、その周りに新しい企業が出ている。こんなところを見ましたし、何といっても町並みは、古い店、そのままの昔の、中世というと大げさですが、何十年もたったようなお店が並んでいる。日本の場合はというと、古い町並みの中に新しい商店が進出している。混在している。この辺も違うのかなという気がしてまいったのです。  そこで、私自身先ほどから申すように、地域差があるので、今までのように通産省で一つだけのメニューをつくって、これを北海道から沖縄まで押しつけることは無理だ、かように思っております。そこで、きめ細かくおろしていかなきゃいけない。   先ほどから申し上げるように、その場合には、商店街の振興といっても、今までのようにただ商工会を中心に経営指導員、こういうものをふやしてとかいうだけでは、それからまた、画一的にカラー舗装するとかあるいはアーケードをつくるとか駐車場というだけではもう解決しないんじゃないだろうか。  まさに新しい、地域の歴史とか伝統、そういう実態に合うような町づくり、商店街づくりということで、先ほどから申し上げますように、やはり各省庁集まって、大体十二省庁ぐらいと思いますが、御存じのように、中心市街地活性化というものを今からスタートして研究するわけであります。  昨日政府で閣議決定いたしました財政改革、あれももう既に委員御存じだと思いますが、きょうの新聞に一斉に出ておりますように、非常に財政的に厳しいので公共事業その他を抑制するということになっておりますが、あの中で、経済構造改革関連というものをやはり別に考えるということが決めてございますし、その中においては、わざわざ中心市街地の活性化、これの意味するのは中心市街地整備ということ、これを実はうたっているわけでございます。  なお、ちなみに来年は中小企業予算、これは全部抑制でございますが、地域における経営指導員というもの、これを一般財源化するというような報道もございます。それはまだ検討中でございますが、その中において私たちの方は、もちろん商工会、商工会議所というものを別に無視するわけじゃございませんが、先ほど委員御指摘のような商店街振興組合というもの、これがやはり本当に地元の商店街振興、また市によってはいろいろな商店街というものが二つも三つも分かれていますから、組合もまた二つも三つもあるわけでございます。小さい町村において、商工会議所が一つで、そしてこうした振興組合も一カ所というなら非常にいいんですが、違う場合があるということで、これに対して直接に中小企業庁との連携というものが密にできる方法、これもやはりこれから検討してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  38. 中野清

    ○中野(清)委員 本当に大臣ありがとうございます。  伺ってみまして、長年中小企業について御理解あると伺っておりましたけれども、これからもよろしくお願いしたいことを、再々でございますけれどもお願いしたいと思います。  時間がありませんから、私は町づくりについては実行ツールが幾つかあったんですけれども一つだけ申し上げ、あと大臣お願いさしていただきたいと思いますので、一緒に言わしていただきますので、ひとつお願いしたいと思うんです。  今この町づくり、市ではマスタープラン、そういうものの実行に当たりましては、町全体を視野に入れたいわゆるタウンマネジメントの導入というものが必要なはずでございます。具体的には、施設の管理だけでなくて、景観づくりやコミュニティー活動、マーケティング活動、イベント活動、空き店舗対策、テナントミックス、交通対策など、総合的な町づくりを進める必要がありますが、そのためには、今大臣はいろいろ中小企業さんのことをおっしゃっておられましたけれども、おっしゃるとおりでありまして、タウンマネジメントを行う人材の育成制度というのはこれから不可欠じゃないだろうかという考えでおります。  そういう点の、例えばミュンヘンの話をちょっとある都市計画の人に聞きましたら、二千四百人市に職員がいて、その中で三分の一の八百人が都市計画とか町づくりとかそういう関係者だ。なぜかといったら、ミュンヘン市が都市間競争で優位に立って大勢の人たちに来てもらうには、都市づくりを進める、これしかないんだということでやっている。そうしますと、我が国においてもそういう意味でタウンマネージャーの養成というのが必要だと思うんですけれども、御確認をいただきたいと思うんです。  私はそういう意味では、「街づくり会社」とか、それから商工団体によるところの、先ほど大臣おっしゃった町づくり指導員とか、それから建設省でのタウンマネジメントセンターとかいろいろありますけれども、これを何とか総合的に有機的にできないかということをお伺いをしたいと思うんです。  時間がございませんから、最後に大臣にこれもあわせてお伺いして、御答弁を願いたいと思っております。  先ほど来何回も大臣から御答弁いただいて私もそれなりに納得しているわけでございますけれども、御承知のように、現行の大店法による大型店の出店規制というものはなかなか難しい問題だ。さっきおっしゃったとおり、ただ単に大型店と地元小売業の対立という構図でなしに、これはむしろ総合的な問題だ印そうしますと、現在の限りなく廃止に近い規制緩和という問題を考えたときに、この抜本的な見直しについては先ほど来何回も御答弁いただきましたけれども、最後にひとつもう一回、大店法の見直しについての大臣のコメントをいただきたいと思うんです。  実は私もこの間予算委員会のときに建設大臣に、町づくりについて、これはいわゆる大型店がやるんじゃないんだ一商店街や町の人や自治体がやるんだということを申し上げましたら、亀井大臣は、「大スーパーだけあって商店街が火の消えたような町、そんなものは、どんなに整然と開発されようが、これは私は、人間の住んでいる町とは言えない、」とはっきりと御答弁をされましたけれども、私は先ほど来の大臣の御答弁をいただきながら本当にすばらしいと思っておりますし、今商店街がそういう意味で本気になって努力をしております。そしてまた今まで、大臣就任以前から中小企業に対して温かい御支援をなさっておられる大臣から、ぜひ商店街や商店に対してのコメントをいただきたい、それが一つでございます。   それからもう一つ、最後でございますけれども、申し上げますけれども、先ほどの中心市街地の活性化対策でございます。これはわかりやすく言えば、美しく、安全で、人のにおいのする町、これは亀井大臣がよく言っておりましたけれども、私ども大臣も同じ考えだと思います。そうしますと、今お話しのとおり九省庁が一生懸命やっているということでございまして、私はそれがすばらしいと思っております。  しかし、現実考えていきますと、現行の都市計画やマスタープラン、地区計画などの手法を活用して、通産省は通産省でやっているんだ、それから自治省は自治省だ、そういう考えでもって本当にできるんだろうかという考えが実はございます。むしろ新しい町づくり法のような、新法みたいなものをつくってどこかに統一した方がいいんじゃないか、そういう考えもございますけれども、その点について大臣としてはどうお考えになっているか、お伺いをしたいと思うんです。  そして最後に、先ほど言いましたように九省庁一体になる、この縦割り行政の弊害は乗り切らなきゃならない、これはもうおっしゃるとおりでございますから期待をいたしておりますけれども、特に私は、通産省が単に商業問題という立場からこの中心市街地の活性化とか町づくりというんじゃなしに、むしろ町づくりを推進する、前進させるリーダー的な官庁だ、そういう意味で、今日までのいろいろな問題についての反省やまた教訓というものを踏まえてどうやって取り組んでいくか、私はそういう意味でいろいろと大臣のお考え、御抱負があると思います。御決意があると思いますので、それについても伺わしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  39. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 まず、大店法をいかにこれから考えるのかということでございますが、先ほどから申し上げましたように、今結論を出す、見通しを出すことは大変難しい話でございますが、私自身は、少なくとも今のこれを完全撤廃というか廃止というのと、それから現状維持、この間において処理すべきことではないだろうか、かように実は思っているわけでございます。  それから、今の市街地活性化、その場合に、もう少し通産省云々という話がございました。大変ありがたい激励でございますが、率直に言って、やはり省庁が多く集まるときに、どこが主導権を握るかということによってはできるものもできなくなるというのが今までの通例でございます。ということで、私たちの方は、私自身の性格もございますが、名を捨てて実をとるようにしなきゃいけない、何でもかんでも通産だ通産だというと袋だたきに遭って、できるものもできないだろう、かように思っております。  いずれにいたしましても、きょう委員からすべてにおきまして御示唆に富むお話がございましたので、きょうの質疑、この内容、これをやはり精査して、これからの中心市街地の活性化あるいは大店法の見直しというものに関しまして参考にさしていただきたいと思います。  これからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  40. 中野清

    ○中野(清)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  41. 武部勤

    武部委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  42. 武部勤

    武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島津尚純君。
  43. 島津尚純

    ○島津委員 新進党の島津尚純でございます。  昨年暮れより電力問題が注目を集め、関心を持たれてまいっておりますので、今回はこの電力問題につきまして大臣のお考えをじっくりお尋ねをさせていただきたい、このように思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  昨年の十二月十七日に閣議決定された経済構造改革計画で二〇〇一年までに電気料金を欧米並みにする目標が定められ、本年の一月七日には、通産大臣が、電力会社の発送電分離も研究課題との発言がありました。また、五月十六日に閣議決定されました経済構造の変革と創造のための行動計画が発表されまして、その中で電力に関しましては、電力コストを中長期的に低減する基盤の確立、電力供給システムの見直し、そして料金改定が大きな柱となっておるわけであります一さらに、五月二十七日のOECDの規制緩和報告では、電力に関して発送電分離等の政策提言がなされたわけであります。今回の電力供給システムの見直しは、海外の規制制度改革を踏まえて、電力事業にさらなる競争原理を導入しようというものであるというふうに理解をいたしております。  ここで私たちがぜひとも再認識をしていかなければならないことは、経済成長が中長期的に鈍化している中にあって、エネルギーに占める電力の割合であります電力化率が、昭和五十四年に三二%であったものが現在では四〇%と増加しており、また業務用を中心とする冷房需要が増加しておる、急増しておる。そのために負荷率が悪化しておるわけでありますが、電力の需給バランスを保つために、発電設備を平成十八年までに七千三百万キロワット増加させなければならないといったような現状にもあるわけであります。  そこで、この電力化率がなぜこのように上昇してきたのか、さらにはエネルギーに占める電力の割合が今後どのように推移していくと思われるのか、まずこの辺からお尋ねをさせていただきたいと思います。
  44. 岡本巖

    ○岡本政府委員 お答え申し上げます。  平成七年度における一次エネルギー全体の供給に占める電力向けエネルギーの割合は、いわゆる電力化率でございますが、三九・五%でございます。  電力は、産業、それから国民生活ともに不可欠であるのみならず、利便性あるいは安全性というような特性を持っておりますものですから、今後ともエネルギー全体の中に占める電力の割合というのは上昇する傾向にあると見ておりまして、現在私どもがよりどころとしております平成六年に策定しました長期の需給見通しでは、二〇〇〇年度に四〇・六%、二〇一〇年度には四二・四%に上昇していくものと想定いたしております。
  45. 島津尚純

    ○島津委員 今御答弁がありましたように、電気はクリーンで利便性が高いものでありまして、産業社会あるいは私たちの国民生活にとって大変重要な問題でありますので、それだけにこの電力問題というものは慎重に対処をしていかなければならない、このように思うわけであります。  ここでさらに強調しておきたいことは、我が国が非常に停電が少ない国であるということであります。欧米と比べまして、我が国の一件当たりの一年間の平均の停電時間というものは七分でありまして、欧米は七、八十分でありますから、まさに十分の一、大変優秀なものであります。あわせて、電圧。周波数変動も少なく、高品質な電気を必要とする電気製品も、さしたる自衛手段も講じなくて使えるという状況にあるわけであります。  こうした背景には、発電について、事故時に対応させるために、系統容量の一〇%程度の供給予備力を常に保持しておるということ、それから系統設計、運用においては、電源と需要との地理的、物理的諸条件を勘案し、送電の基幹系統を強固なものとして、電力を安定的に送電できるようにしておるということ、さらには一回線の送電では長時間の停電につながりやすいために、これを可能な限り二回線としているなどの、停電を極力回避しようとする電力会社の長年の熱意と努力があってこそ可能となったものと認識をいたしておるわけであります。  この我が国の一件当たり非常に少ない停電時間、すなわち高い信頼度についてどのようにお考えになっておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  46. 岡本巖

    ○岡本政府委員 ただいま先生指摘のように、我が国は諸外国と比べましても、年間の停電時間というメルクマールで見ました場合に端的に顕著な事例としてわかるわけでございますが、大変供給信頼度が高いという点については、私どももそういう認識を持っております。反面、送電から変電、配電といった流通設備が、日本の場合、電気事業用の全体の固定資産の中で二分の一強を占めるということで、大変流通設備にかかるコストが割高になっているという側面もございます。  したがいまして、私ども我が国の電気事業のコストを削減をしていくという方向を目指すに当たりまして、送電、変電、配電、一連の流通設備に関しましてオーバースペックにわたるような部分がないか、あるいは、保安規制についても諸外国に比べて過剰な規制といったようなものはないか、そういう見地からの見直しをする必要はあろうかと考えております。今回行動計画にもお示し申し上げておりますように、今後、大臣の諮問機関であります電気事業審議会の中でも、そういった問題意識を前提にしながらの御審議お願いしたいと考えているところでございます。
  47. 島津尚純

    ○島津委員 今後の見直しをされる上でも、やはり現在の非常に高い安定供給ということはぜひ踏まえながら見直しを進めていただきたい、このように存ずるところであります。  世界に冠たる日本の信頼度、電力の質を保持し供給できる体制、つまり、現在の電力会社の仕組みというのは一朝一夕で成り立ったものではないわけであります。政府が実施しようとしているこの電力供給システムの見直しということに当たりましては、ぜひ、今申し上げましたようなこの高い供給信頼度あるいは電力の質というものを今後も維持していくというような方針を明確に打ち出した上で着手をいただきたい、このように思うのでありますが、その辺についてはいかがでございましょうか。
  48. 岡本巖

    ○岡本政府委員 供給信頼度を重視をすべしという点は、まことにごもっともだと私ども考えております。これから電気事業審議会で御議論をお願いしようと考えているところでございますが、供給信頼度と、それから電力のコストを下げていくこと、両者の関係をどういうふうに問題設定をして考えていくかというところが非常に大事かと思うのでございますが、供給信頼度を損なうということがない場合においても、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、電力の流通設備の仕様というような面で、あるいは国の保安規制の面で、外国に比べてオーバースペックにわたっている部分とかあるいは過剰な規制にわたっているような部分、こういったものを供給信頼度を大きく損なうことなしに見直しをする、そういうアプローチの仕方というのはあろうかと思っております。  それから、日本の電力が、電圧とか周波数の変動という点でも大変安定した電気の質のものとして供給が行われているわけでございますが、例えば、非常に電圧とかあるいは周波数のぶれというようなものを嫌がる需要家の場合に、CVCFという、コンスタントの電圧、コンスタントの周波数、それでの電気を受けるように需要家の側で設備対応をするというようなことも場合によっては可能でございます。そういうことをすることによって、特定の需要家については本当に極端に高品質の電気を引き続き供給する、そういうことを可能にしながらコストの低減の方策を探るというアプローチもあろうかと思いますので、私ども、供給信頼度というものは引き続き大事にしなければいけないと思っておりますが、今言ったような幅広い角度からの御議論というのを、これから審議会で、需要家の方々あるいは御専門の方々の御意見を伺いながら御審議を願いたいと考えているところでございます。
  49. 島津尚純

    ○島津委員 ただいまの御答弁は、私もそのとおりだというふうに思います。  もう一度確認させてもらいたいのでありますが、現在の電力設備は、送配電関係の設備が二分の一以上ということで非常に高い、この辺のオーバースペック等々を見直していくということでありますが、私の今の質問に対しまして、この安定供給についてはこれを壊すということはなく、やはりオーバースペック等の見直すべきところは見直していきたいというような御答弁。ということは、やはり今後の見直し作業にあっても、現在非常に高い、世界に冠たる日本の安定供給というものは崩さないでいきたい、いくというような御発言とおとりして結構でございますか。
  50. 岡本巖

    ○岡本政府委員 私ども、電力の安定供給ということは、国民生活の面でもあるいは産業活動の面でもこれからも非常に大事にしていかなければならない、そういうものとして十分に認識をいたしておりますので、先生の御趣旨のように、安定供給を損なうことなく、これからのコスト削減の方途というのをいろいろな角度から勉強していきたいと考えております。
  51. 島津尚純

    ○島津委員 大変ありがとうございました。  次に、電力会社の膨大な設備投資を必要とする電気事業を自由競争の原理にゆだねた場合、過剰な設備が低稼働を余儀なくされ、料金上昇、サービスレベルの低下、ひいては電気事業そのものが成り立っていかない状況が、最悪の場合、想定をされるわけであります。コスト削減を目指すはずの自由競争がかえって利用者の利益を阻害するものになりかねないわけでありまして、したがって、電気事業の地域的独占を今日まで許し、そして料金等は国が認可していく、許可するという電気事業の仕組みが考えられて現在に至っているというふうに考えるわけであります。  そこで、現在の我が国の電気事業におきます地域独占体制ということにつきましてどのようにお考えになっておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  52. 江崎格

    ○江崎政府委員 お答えいたします。  今御指摘のように、電力は地域独占、供給義務というものを前提にしてあるわけでございますけれども、電力というのは、御案内のように貯蔵が困難でありますし、また、電力事業というのは非常に膨大な設備を必要とします。こういう特性にかんがみますと、電気事業を全く自由競争にゆだねるということにいたしますと、やはり安定的かつ低廉な電気の供給ということが非常に難しいのではないかというふうに思います。  こうした観点から、今、電気事業法に基づきまして、電力会社に対しましては、供給区域を設定いたしまして、その中での単独供給、地域独占を認める、しかし、その供給区域内におきましては、需要家に対してすべて供給義務を課しまして、その供給の条件につきましては、料金を中心に国が認可をするという形をとっているわけでございます。  ただ、一方におきまして、高コスト構造の是正というのが、今日本の社会にとりまして非常に大きな課題になってきているわけでございます。こうしたことを頭に置きまして、電力の供給システムにつきまして、この望ましいあり方につきまして、今後、欧米における電気事業の規制制度改革の実態などを調査いたしまして、こうしたものを踏まえて真剣に勉強しなければいけないテーマだというふうに私ども認識をしております。  この勉強の中で、今後とも需要の増大が見込まれます中で、国民生活に不可欠なエネルギーである電気の安定供給がどうしても必要であるというその必要性の問題、それから、これも最近課題になっております炭酸ガス抑制を中心とした環境配慮の問題、それから一方、今申し上げました電力のコスト削減の問題、こうしたことを総合的に考えまして電源構成のベストミックスのあり方というのを考える必要があるわけでございますが、こうした中で、御指摘の地域独占の問題、また供給義務の問題につきましても検討する必要があると思っておりまして、具体的には電気事業審議会の場でとりあえず議論を始めていただきたい、このように思っております。
  53. 島津尚純

    ○島津委員 ただいまの長官の御答弁の中で、現在の電力会社に供給義務を課しておるという御発言がありましたけれども、それにつきまして次に質問をさせていただきたいと思います。電気事業法によりますと、一般電気事業者の許可の基準として「その事業の用に供する電気工作物の能力がその供給区域又は供給地点における電気の需要に応ずることができるものであること。」そして供給義務の規定として「一般電気事業者は、正当な理由がなければ、その供給区域における一般の需要に応ずる電気の供給を拒んではならない。」供給約款については「一般電気事業者は、電気の料金その他の供給条件について供給約款を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。」、こういう規定があるわけであります。  現在の高い供給信頼度、つまり停電が非常に少ない状況、こういうことは、設備面では電力の需給バランスを中長期的に確保することは当然のこととして、発電設備の適正な供給予備率と、先ほど申し上げました二回線の送電等によるところが大であります。  今申し上げましたような電気事業法の条文を読み合わせますと、この高い供給信頼度は、一般電気事業者である電力会社に供給義務として法的に課せられているというふうに、先ほども長官、御答弁ありましたように、私もそのように考えております。  これは法的にきちっと位置づけをされているものかどうか、この辺をお尋ねをしたいと思います。
  54. 岡本巖

    ○岡本政府委員 電力会社に対する供給義務の点は、電気事業法の十八条第一項で、先ほど先生もお読みになりました、「正当な理由がなければ、その供給区域における一般の需要に応ずる電気の供給を拒んではならない。」という形で規定をしているところでございます。  この規定の具体的に意味するところは、需要家から電気の供給の申し込みを受けた場合に原則として拒んではならないということと、継続供給の義務というものがかかるわけですが、この義務が免除されるのは、天災とか事故とか、あるいは料金滞納という例外的な場合には免除されるということになっているところでございます。  電力会社は、この供給義務を履行するために、みずから電源開発を行うというところがこれまでは圧倒的に中心でございましたが、卸電気事業者、あるいは従来の卸電気事業者に加えてIPPと言われる独立の発電事業をやって電力会社に卸供給をする、そういう人からの電気の購入ということを通じて供給義務を履行するための電気を賄うということも最近では始めているところでございます。
  55. 島津尚純

    ○島津委員 今の御答弁、はっきりしないわけでありますけれども、今後例えばIPPの導入拡大であるとか、そのような新しい制度を導入してくるということは当然でありますが、そのようなときに、基本的にこの供給義務といいましょうか、そういうものを最終的に持つ者はどこになってくるわけでしょうか。
  56. 岡本巖

    ○岡本政府委員 現在の供給システムを前提にして申し上げれば、一般の需要家との関係での供給義務、先ほど先生おっしゃいました最終的な供給義務というのは、各一般電気事業者が負担をしているところでございます。
  57. 島津尚純

    ○島津委員 次に参ります。  電力供給システムの見直しに当たりまして、コスト削減のはずが逆にコスト上昇、停電の頻発など、サービスの低下にならないようにすることがぜひとも必要なことでありますが、電圧、周波数の維持は電気事業法において努力規定とされておるわけであります。  この電圧、周波数と同等かそれ以上に重要な供給信頼度の維持について、具体的には供給予備率あるいは二回線の送電体制について、これもやはり努力規定として法的に明確に位置づけられるべきものじゃないか、このように思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  58. 岡本巖

    ○岡本政府委員 先生ただいま御指摘の二回線の送電網という、基幹送電線について、メーンのほかに予備のループを用意するという点は、一方で技術の進歩というようなこともありますので、法律的な義務としてそれを課すということについては私どもはいろいろな角度から慎重に考える必要があろうかと思いますが、今の技術を前提にして考えました場合に、二回線ループというものが供給の信頼度を高めるということに寄与しているという点は、先生の御指摘のとおりだと思います。
  59. 島津尚純

    ○島津委員 今のお話でありますと、技術的な進歩があるから法的に位置づけるのはどうかというようなお話でありますけれども、そうしましたら、電圧、周波数の維持努力規定として位置づけられておるわけでありますが、この辺はどうなってくるでしょう。
  60. 岡本巖

    ○岡本政府委員 電気というサービスを供給するその質の問題でございまして、法律でもって直ちにそれを義務づけるという方法に必ずしもよらなくても、需要家の方々のニーズを踏まえながら、電気事業者も民間のビジネスとして需要家のニーズにこたえるような、そういうクオリティーのサービスを提供するということでこれまで努力してまいっているかと思いますので、これまで需要家の方々のスタンドアローンのシステムでもって、例えば電圧とかあるいは周波数変換に対応するという対応をこれまで日本の需要家の方々は余りなさらなかったがために、電力会社の側で系統運用上の工夫というものを通じて非常に高い信頼度、すなわち周波数なり電圧のぶれが極端に少ない、そういう質の電気の供給をやってきているわけでございますが、これは需要家と電気事業者との間で、質、それに伴う価格をめぐっての話し合いの中でおのずから形成されていくのが自然ではないかと思いますので、法律での義務づけということについては私どもは慎重に考えたいと思っております。
  61. 島津尚純

    ○島津委員 わかりました。  次に、信頼度がないがしろにされた場合の最悪のケースが大規模停電の発生ということになるわけであります。英国でも、民営化されました九〇年以降、大規模停電寸前までいったというような話も聞いております。  経済性を追求すれば、まず系統での最大規模の電源がストップした場合を想定して、迅速な対応が可能な水力発電所等を常に系統容量の一〇%程度待機させ、供給予備力としておくことは、ある意味では設備のむだだということさえ言えるわけであります。また、二回線の送電設備につきましても、常時は送れる電力の半分以下でしか送電せずに、片方の送電線に落雷等の事故があった場合にもう一方で二回線分送れるように設備設計がなされ、電力が送られている、こういうことであります。経済性という点では、設備容量は半分しか使わないわけでありますから、非常にむだが多い、こういうふうなことになってくるわけであります。  投資コストを削減するため、事故等への対応能力のある水力発電所等を予備力として保持せず、また送電線の二回線化や配電線のループ化を図らなかった場合、当該送電線が復旧するまでの間は停電が継続することになります。さらには、周波数の低下等により電源が連鎖的にストップした場合には本当に大規模停電に至る、このようなことであるというふうに思うわけであります。  我が国では、大地震等の自然災害の場合を除き、昭和四十年六月の御母衣事故以来、大規模停電というものは発生をしておりませんが、欧米では、経済的運用を図るため、送電線等を容量の限界近いところで運用しているケースがあるわけでありまして、欧米におきます近年のこのような大規模停電の事故発生状況についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  62. 岡本巖

    ○岡本政府委員 お尋ねの近年の大規模停電ということでは、昨年の七月とそれから八月に続けて、アメリカの西海岸、カナダ、メキシコを含めまして西海岸十四州で七月二日に、それから、同じくアメリカ、カナダ、メキシコの西の方を含めまして九州で八月十日に数分から五、六時間に及ぶ停電がございました。  私ども、流通設備の効率化ということをコストダウンとの関係でこれから真剣に検討していきたいと考えておりますが、必要以上の効率化ということによって大きな停電を招く、そういったようなことはないということを肝に銘じながら検討していきたいと考えておりますが、そういう前提に立って考えました場合にも、日本の流通設備が外国の流通設備に比べて大変厚着をしている部分というのもあるやに指摘をされておりますので、そういった点についての見直しは真剣にやっていく必要があろうかと考えております。
  63. 島津尚純

    ○島津委員 ただいまのお話によりますと、数分から六時間、日本ではまさに考えられないような状況であり、我が国は本当に停電というものはあり得るものではないというような感じになってきておるわけであります。  さらに停電の問題でありますが、停電が長時間にわたりますと、製造業においては原料の固化や炉の破損、官公庁、サービス文化施設では給排水、空調、照明、エレベーターの停止、さらには交通混乱、上下水道、ガスの一部停止、マスコミ、通信への影響と、電気の使用が社会の隅々まで行き渡っている現代社会においては、その影響は非常に深刻なものであります。  このような状況を踏まえて、今後の電力供給システムの見直しを行っていく上におきまして、例えば電気料金が安くなる、そのかわり停電もあるよというような国民的なコンセンサス、合意というものが果たして得られるかどうか、その辺はどのように我が国においてはお考えでありますか。
  64. 岡本巖

    ○岡本政府委員 供給の信頼度ということと電力のコストをどう低減していくかということとの関係でございますが、停電を甘受していただくか、あるいは今のように割高な料金水準を甘受するかという問題設定の仕方のほかに、極力供給信頼度というのはこれまでの高いものを維持しました上で、行き過ぎた仕様とかあるいは保安規制を見直すことによって、その際に諸外国の例なんかも参考にしながら見直すことによって、流通設備に係るコストを下げていく、そういうアプローチがあろうかと思います。  あるいは、先ほどもちょっと申しましたが、非常に質の高い電気をどうしても必要とされる需要家の方々、周波数とか電圧のわずかなぶれでも例えば塗装にむらが生ずるということで、自動車メーカーの方々は大変それを嫌われるわけですが、例えば、そういう大変高品質の電気をどうしても必要とされる需要家向けには、需要家サイドで設備対応をしていただくということによって、引き続き信頼度の高い電気を供給するという方途もあろうかと思います。私ども、信頼度をいたずらに犠牲にするということは毛頭考えておりませんけれども日本の流通設備に係るコストが諸外国に比べてかなり高いというのも一方で事実でございますので、信頼度を犠牲にすることなしにコストを下げるという方途を幅広い角度からこれから勉強をさせていただきたいと考えております。
  65. 島津尚純

    ○島津委員 今まではいろいろ細々としたことをお伺いをさせていただいたわけでありますが、次の質問が本当にきょう申し上げたい質問でありまして、ぜひ大臣に御答弁をお願いを申し上げたいと存じます。  と申しますのは、大臣が一月七日の年頭の記者会見におきまして、タブーとも言えます発送電分離ということに言及をされまして、それ以来大変な波紋を呼んでおるわけでありまして、政治家としてタブーに挑戦するということはすばらしい姿勢である、勇気であるというふうに高く評価するわけでありますが、私はちょっとよって立つ考え方が違うというようなことであります。  この大臣の発送電分離の発言でありますが、これはイギリスの民営化を念頭に置いたものではないかというふうに考えられます。九〇年から始まったイギリスの民営化はいろいろな問題もあり、まだ評価は定まっておらないわけでありますが、全体としてはうまく滑り出しているというようなことではないかと思います。  しかし、我が国とイギリスの国情の違いは歴然としておるわけでありまして、例えばイギリスは、エネルギーの需給率で一一〇%、最大需要電力の伸びはマイナス一・三%。電力のピーク時が、日本は夏ですが、あちらは冬である。そして、そういうことで負荷率が非常に高く、六七%。あるいは、先ほどからずっと申し上げてきました停電の問題ですが、我が国は七分ですけれども、イギリスは年間八十分ぐらいの停電、このようなことであります。  また、我が国での発送電分離の実施は、供給信頼度の低下あるいは大規模停電の発生、これらによる被害の発生と社会的混乱、需要家が自衛策のために設備をつくるためにコストが増加する、あるいは原子力発電所の立地の阻害などが懸念材料として挙げられてまいります。  昭和二十六年以来続いてまいりました我が国の電力供給体制を見直し、電気料金を国際水準並みに引き下げるという大臣の意欲は評価をさせていただくわけでありますが、この国情の違いや我が国の懸念材料を考慮されてもなお、最終的には発送電分離まで持っていくべきだとお考えなのかどうか、この辺で大臣の思いのたけを明確に述べていただきたいというふうに思います。
  66. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  この問題、若干時間をいただきますが、私自身日本の電力というものについて自分なりに研究というか、疑問を長く持ち続けてきたのです。  エネルギーの重要性というものは今さら言う必要もございませんが、日本のような資源のない国でもって、そして経済成長を続ける、あるいは民生の安定、輸送の状況という場合に、やはりエネルギーというものをどういうふうに位置づけるか、その中の電力、こういうふうな思いがしたわけでございます。  電力に関して言うと、ややもすると、装置産業ということからいって、今御指摘のように、電気事業法における電力供給の義務というものをある意味では逆手にとって、そして安定供給ということ、これに力を入れてきた。もう一つの大事な問題はサービスという部門ですが、これを怠ってきたんじゃないだろうか、こういう気がしておりました。そこでやはり、確かに日本は安定供給してもらえるけれども、海外に比べて料金が高い。これでもって一体どうなんだろうか。  それは、もちろん日本の場合、今申したように資源がない、そして電力といえども石油、これが今までは大体基準でございました。そしてまた為替の問題があるということで、どうもしっくりこない。こうした思いを長らく持ち続けてきまして、関係者と議論をしようとしましても、はっきり言ってタブーというか、相手にされない。その話はまたいずれという話でもって、話が進まないということでございました。  しかし、エネ庁の方はエネ庁の方として、そうした大変難しい関係にありながら、長年にわたってそれなりにサービスの向上を図ってきたこと、これは否定いたしません。そして、私が大臣に就任して、橋本内閣、この六大改革という中に、経済構造改革、通産省が中心になってまとめるというわけで、これは二〇〇一年を目指して外国と同じような条件にしよう、こういうことですね。  その中において、当省の所管でない、例えば運輸部門、物流ということでは、今までこれもタブーになっていた内航船だとかあるいはまた荷役業者、こうした需給調整の規制、これに対してもメスを入れるというときに、通産省として困難な問題は一体何だろうかというと、エネルギー問題、その中における電力というもの、これを国際価格並みにしようじゃないかということで、一応それを昨年の十二月のプログラムにうたったわけです。その中においても、きょう御指摘のように、負荷率の問題から始まって、IPPあるいは小売、いわゆる経営の効率化ということを主眼に置きましたが、どうもパンチがきかないな、実はこんな思いがしておりました。  その後やはり、外国の事情もわかるような気がいたしまして、ちょうど今御指摘の一月七日に、一月の二日か三日の新聞に、パリで行われるOECD、このときの議題として分離分割という問題が出てくるだろう、こういうことになったので、このときに備えてどういうふうに回答するのかというふうなことから研究に入りたいということを一月七日に申し上げたわけでございます。  その後、行動計画の方では、形を変えるというか、その前段である区分経理ということを打ち出しております。今御指摘のように、外国にも調査団を派遣いたしまして研究いたしますと、確かに分離分割、こうした国が英国を初めとしてスペインもあるし、その他アメリカの一部でもあります。ところが、御指摘のように条件が違うのは、今までみんな国営だった企業を民営化してやるということでありますから、そこが日本とは大きな違いがあることも百も承知しております。  しかし、今申したように、きょうの御議論のように、今までまずタブーになったことでもって、国民に果たして今までのような、確かに安定はしている、停電が少ない、しかし料金が高い、どちらがいいのか。こういうことを率直に問いかける機会にもなる。そのことが、これからの二十一世紀に向かって、日本におけるエネルギー問題というものに関心を持ってもらうことにもなる。  片一方では、御存じのように、環境問題というのが非常に言われているわけですから、そういう思いがしてこういう問題を提起させてもらっているわけでございますが、今おっしゃるように、一体将来どうするのかというのは、あくまでも行動計画にのっとって、やはり実績を積むように、まず国民にわかりやすいようにしたい。  先日、電力会社の中の一部のものが、来年から料金の見直しをする、下げるということを発表しておりますが、これは、先ほど申したように、長年にわたってエネ庁が指導してきたことによる経営の効率化の一部だというふうにお考えになって結構でございますが、今申したように、これから一体どっちがいいんだろうかということも真摯に議論をしていきたい。かようなことを実は電調審の方にもお願いしておるわけでございます。
  67. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  大体大臣の今までのお考えの流れというものは理解をさせていただいたわけでありますが、もう少しさらに突っ込んでお話を聞かせてもらいますと、一つありますのは、日本の電気料金を国際水準並みに引き下げるということがございます。それを電力会社がいろいろな努力をしてやっていくわけでありますが、電力会社が、例えば今ありますIPPの導入の拡大であるとか、あるいは負荷率の圧倒的な改善であるとか、そしてまた経営効率に対する努力であるとか、そういう努力によって下げていけるならば、それが一番いいだろう。極端に言えば、今までの、言うならば供給体制を解体するようなことよりも、やはりそういう問題で欧米並みにしていくならば、それが一番とるべき道であろうというふうに考えております。  大臣としましては、今申し上げましたように、そういう努力で国際水準並みに日本の電気料金が落ちつくならば、発送電分離とかそういうところまで踏み込む必要はないというふうに腹の底ではお考えなのかどうか、お尋ねいたします。
  68. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 これは今おっしゃるのがそのとおりでございますとも言いにくいのは、ややもすると、今までやはり独占というか、こういうことにあぐらをかかれた業界としては、余り甘いことを言うと、はっきり言ってやってくれない、こういう思いも実はございます。  しかし、もう一つは、御紹介したいのは、この間のOECD、その前のIEAにおいても、日本はこういうふうに改善するんだといって胸を張って申しましたら、どうも外国もみんな電力の値下げというのをやっているので、ある意味では日本がおくれているということが言えるんです。  だから、今の水準に日本が下げたとしても、さらにヨーロッパ、アメリカの方が下げた場合どうするか、こういうことになるわけで、そのときに、あらゆることをしたけれどもここまでしか下がらないということならば、みんな国民も納得してもらえるだろうが、しかし、まず国民が期待するほど料金が下がらない場合、なぜあそこに手をつけないだろうか、こんな議論が出てくることは必至です。  だから、そういうことでこの場をかりてお願いしたいのは、国民の皆様方の理解と同時に、電力会社もこれは本気だぞということでもって、徹底した合理化、そして負荷率の改善と一口に申してもやはりいろいろな条件がございまして、これこそ国民、消費者の御協力、御理解をいただかなければできないことでございますが、少なくともIPP、こういうものに関しては、電力会社の方も最大限今までの考え方を変えてもらいたい、かように思っております。
  69. 島津尚純

    ○島津委員 私は、電気料金を引き下げるということは重要な課題であるというふうに思っております。しかし、先ほども申し上げましたように、事は電気料金だけではなくて、電力の安定供給あるいはエネルギーの安全保障、地球環境にもかかわる問題であります。そのような観点から、現在の電力供給システムを根幹から変えてしまうことが、果たして我が国にとって合理的な選択であるかどうかということを疑問に思っておるわけであります。  それよりも、まさに政府がこれから実施しようとしております負荷率の改善、IPPの導入の拡大、あるいは電力各社のさらなる経営の効率化努力、そういうことによりまして、日本の電気料金が国際水準並み、あるいはそれ以下に必ずできるのじゃないかというような確信も持っておりますので、今後の供給見直しにおきましては、どうかこのような問題を勘案をいただきまして検討いただきますことをお願いを申し上げたいと思います。
  70. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 もちろん、安定供給ということは必要なことも重々わかっておりますが、申したように、実はこの電力の前に前段があるのは、まず、このエネルギー問題において、電力とガスと石油との問題、これをいかにしてベストミックスするかということになり、それから今度、電力だけをとった場合には、まず省エネという問題、これを徹底するということ、そしてまた新エネの開発、そして原子力というもの、これが実は今までの三本柱でございましたが、やってみると、省エネというのはなかなか難しゅうございます。しかし、これはやらなきゃいけません。新エネの開発もやはり必要ですが、なかなか、時間がいたずらにたつばかり、こんな気がいたします。そしてまた原子力発電というもの、これはやはりなかなか、国民それから地域の方々の御理解をいただくのはこれから難しい問題ではないかと思うと、やはりそこにおいて化石燃料というもの、これをどういうふうに織り込むかというのが大きな政策の柱となります。  そういうことになってくると、片一方では料金を上げるような要素もその中に入ってくるということで、大変な問題でございますが、ただ申し上げられることは、先ほど申したように、料金の値下げという問題は、先ほどの行動計画で示されるように経済構造改革の一環として始まった話で、ややもすると、今の安定供給というか電力会社の問題そのものとは本質的にはちょっと出発が違ったような気がいたしますが、そういうことでございますので、非常にその辺が難しい采配を振るうことになるだろう、こう思っております。しかし、今おっしゃるように、いかにして国民の皆様方が安心して電気が使えるかということが前提であることは言うまでもございません。
  71. 島津尚純

    ○島津委員 わかりました。今後、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  時間が迫ってまいっておりますので、次に、IPPの問題に入らせていただきたいと思います。  我が国の電力業界において、新しい競争原理を導入するという意味で、私はIPPの導入、今積極的に拡大すべきである、このように思っております。  それで、昨年初めてこの入札が行われまして、三百五万キロワットが落札をされたわけであります。今回の行動計画によりますと、このIPPの一層の活用のために、ことしの秋を目途にIPPの潜在供給力を調査して、その入札目標を九年度末までに設定していく、このようなことが盛り込まれておるわけでありますが、果たしてこの潜在供給力というのが日本にどのくらいあるのか。今回はどうも一%強ぐらいであった、この三百五万キロワットですね、一%強であったと言われておるわけでありますが、この数字をどの辺まで拡大していくのがいいことなのか、その辺をお聞かせをいただきたいと思います。
  72. 岡本巖

    ○岡本政府委員 IPPの募集は平成八年度から始めて、昨年度は、二百六十五万の募集に対して四倍強の千八十一万三千キロワットの応募があったところでございます。この中で、三百五万弱を実際落札に至ったわけですが、一千万強の応募があり、他方、民間の調査機関なんかで、シンクタンクで調査をやった結果では、二千万キロワットを超えるのではないか、そういう数字も言われております。  私ども、これから、今調査をちょうど設計しているところですが、秋にかけて調査をやろうと思っておりますのは、先々ともIPPを積極的に活用してもらいたいと思っているわけですが、その総量のめどとそれからポテンシャルという場合に、電力会社が自分でやる場合の自主電源のコストとコンペティティブなコストでもってやれるようなものが果たしてどれぐらいあるだろうかという、そこの見当をつける必要があろうかと思っておりまして、そこの数字は今の時点で申し上げるということはちょっとできませんが、かなりのポテンシャルがあると言われているIPPについて、定量的なポテンシャルの数字を押さえて、その上で、電力各社に長期的にIPPを使うという準備をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
  73. 島津尚純

    ○島津委員 同じ行動計画の中で、このIPP導入に当たって、IPPと現在の電力会社と対等な条件で競争させる、当然のことでありますが、そのために区分経理の導入を検討したい、このようなことであります。それは結構なことだというふうに思うのですが、この電力会社とIPPの問題で、電力会社が、我が国は三%ぐらいの勢いで相変わらず電力需要は伸びておる、それに対して設備をしていかなきゃならない。あるいは厳しい環境規制のもとにもあるわけです。あるいはエネルギーの安全保障の見地、いろいろな問題があります。さらには、割高なコストであります原発の建設、こういうことにも政府と一体となって今日まで取り組んできた。こういうふうな電力会社に課せられたいろいろな問題があるわけであります。  そういうものを、区分経理をしてIPPと電力会社を競争させるのですが、そういう荷物を背負っているということをどのように整理して、いわゆる対等な競争関係に持っていこうというふうにされるのか、お伺いをします。
  74. 岡本巖

    ○岡本政府委員 区分経理の導入を含めた新しい制度の御審議を電気事業審議会でお願いしようと考えているわけですが、区分経理の方は、先生も御賢察のように、電力会社がいろいろな事業をやっておりますので、私ども、火力の発電部門というのを完全競争の対象ということで考えているわけですが、それ以外の事業分野でのいわゆる収益でもって競争にさらされる事業分野に内部補助が自由に行われるということでは、これでは対等な、フェアな競争にならないということで、区分経理というものに着目して、それの導入に向けた審議をこれから審議会でお願いをしているところでございます。
  75. 島津尚純

    ○島津委員 この問題はまた別の機会に、ちょっと時間が迫っておりますので行かせてもらいまして、いま一つ、このコスト削減のための中核的な対策というのは、日本が欧米と比べて圧倒的に低い負荷率の改善であるというふうに思います。  現在、日本は五五%の負荷率でありますので、言うならば四五%の設備というものは遊んでいるというような状況で、国家的にも大変な損失である、これを向上させるということが急務であるというふうに思うわけでありまして、いろいろな手だてが行われております。政府の蓄熱式空調システムに対する助成であるとか、それから電力会社は需要調整契約であるとかいろいろなことをやっておられますが、しかし、残念ながら一向に負荷率の改善は見られないし、ある意味では、蓄熱式空調システムというものの採用というものはなかなかはかどらないというのが現状ではないかと思うのであります。  そこで、これはお隣の韓国が九二年に、先ほど申し上げました蓄熱式空調システムの法的な義務づけを導入をしておるわけでありますが、このくらいのことをしなければ済まないのじゃないかな。そして、現在の日本の負荷率を低下させてきておる最大の原因は業務用の冷房でありますので、ここに焦点を絞らなければ、いろいろなところにやっておってもこれは間に合わないのじゃないか。このような法的な義務づけ等々の導入を検討するような用意がおありになるのかどうか、こういうことをお尋ねさせていただきたいと思います。
  76. 岡本巖

    ○岡本政府委員 負荷率の改善は、日本の電力のコストを下げていく場合に、中長期的に非常に大事なテーマだと思っております。それだけに、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、いわば国民運動、国民の需要家、消費者方々、それからビルの建築、設計の関係者の方々、それから冷熱機器のメーカーの方々、広範な関係者の方々の御努力を総結集する必要があるテーマだと思っております。  先生指摘の業務用の、オフィス等に蓄熱式、あるいは韓国の場合にはガス冷房、いずれかの設置を義務づけているわけでございますが、私ども、先ほど申しました関係する各方面の方々の取り組みをお願いし、御努力お願いするということで、電気事業審議会の中で先ほど申しましたような方々をすべて網羅した小委員会を設けて、集中的にこれから御審議を願おうと思っておりますが、その中の一つのテーマとして、一定の場合の義務づけということについても真剣に問題提起をして御議論をいただこうというふうに考えております。
  77. 島津尚純

    ○島津委員 時間が参りましたので、これできようの質問は終わらせていただくわけでありますが、きょうは我が国の電力供給システムのあり方について、あるいはIPP導入について、また負荷率の改善についてお尋ねをさせていただいたわけでありますが、この問題は今後の見直し作業の根幹をなす問題であるというふうに思っております。  申し上げましたように、欧米並みの電気料金、さらにはそれ以下にしていくということは、まさに高コスト構造改善の中で重要な課題であるわけでありますが、それ以上に私は大事だというふうに考えておりますのは、世界に類例のない、先ほども申し上げましたけれども、安定供給の高い信頼度、こういうものをコスト削減の中でいかに保持していくかということであろうと思います。どうか今後このようなことを考慮いただきながら作業に取り組んでいただきますことをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  78. 武部勤

    武部委員長 次に、末松義規君。
  79. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  本日は、私、私の地元が東京の小平を中心とする多摩地域でございますので、その地元の方々と日ごろからいろいろな話をしておりますが、その結果も踏まえながら、特に中小企業対策、それから小規模小売店あるいは商店街の活性化、そういった問題に焦点を当てながらお話をさせていただきたいと思います。特に、次代を担う若々しい地元のJCの理事長さんや幹部の方々とか、真剣に町づくりを行おうとしている、例えば小平商工会の会長さんとか、あとまたさまざまな消費者方々、商店街の方々、また中小企業経営者方々、非常に今問題を抱えております。私も、そういう方々お話をしながら、ずっとその苦しみ、痛みというものを感じてきたわけでございます。きょうは、その辺をぜひさまざまな形でお答えをいただきたいと思います。  まず、中小企業問題についてでございます。  私がいつも尊敬している中小企業経営者の方、地元の方なんですけれども、本当に今まで海外に余り行ったことがない方が、今世界経済と連結されて、生き残りをかけて一生懸命にやられておられます。この社長さんなんですけれども、ばねを商品にして、それを製造して、韓国と争い、またトルコやパキスタンの市場に出かけていって取引して、四苦八苦しているわけです。一実際に日々の為替の変動とかあるいは資金難をどういうふうに解消していくかということで、本当に毎日が戦争だと言われておられました。そういった意味で、これからの中小企業、本当に日本だけじゃなくて世界を相手にやっていかなければいけない。これから単に経営の改善というだけではなくて、本当に生き残りをかけた壮絶な戦いというものになると思います。  またこの新しい動きとして、外為法の改正が来年の四月に行われます。そういった意味で、今まで国会の審議をしてきたわけですけれども、そうすると、世の中の激変という意味で、また世界が一歩近くなってくる、そういうこと、そして今政府が進めようとしておりますビッグバン、この影響は産業界がもろにかぶってくると思いますが、それに対しまして通産省の御認識をお伺いしたいと思います。
  80. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、大変世界が変貌しつつあるという実感でございます。日本においても、中小企業、これのいわゆる空洞化現象の中において、中小企業が随分海外にも進出しているというのは事実です。  そこで、今御指摘のように金融ビッグバンという問題、これはもう委員御存じのとおりでございますが、大蔵省関係がビッグバン、ビッグバンと言っておりますが、イギリスにおいては、御存じのように証券街でこれが始まったということで、日本は金融ビッグバンという言葉を使っておりますが、私に言わすと、今度の六つの構造改革そのものが、それをまとめて実はビッグバンというのだろうと思いますし、私たちが今やろうとしている経済構造改革も、これはまさに経済界のビッグバンだと思うのです。  そこで、金融面におきましては、今御指摘のように、外為法の改正というのが来年の四月から施行される一これによって、今までと違って国内の資金というものが海外に出ていく。これが中小企業に及ぼす影響ははかり知れないものがあるだろうと思って、これからこれに対して私たちは注意深く見守ちなければいけないだろう、かように考えております。
  81. 末松義規

    ○末松委員 その中で、大臣もちょっと今お触れになられましたけれども、本当に中小企業の経営に与える影響というものが懸念されるわけですが、特に中小企業の関係で、このビッグパンからの影響、それについてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  82. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答え申し上げます。  金融ビッグバン、フリー、フェア、グローバルという原則のもとで、我が国の金融・資本市場の再生、活性化を目指して改革を図る、こういうものでございまして、現在、金融制度調査会等で御検討をいただいておるというふうに承知をしております。  中小企業に与える影響を正確に見きわめるということはなかなか難しい面がございますが、資本市場におきます規制緩和によりまして、中小企業にとりましても新たな資金チャネルの道が開けるといったような面が期待される反面では、民間金融機関が競争を一層激化していくといったようなことで、これらの金融機関が収益性とか効率性を追求するということにもなろうか。そうしますと、そういったプロセスの中で、リスクの高い新しい事業や新しい分野へ進出を計画される中小企業でございますとか、あるいは小規模零細企業等を中心に、選別融資でありますか、貸し渋りとか、そういったおそれがあり得るのではないかというふうな懸念を持ってございます。  私どもといたしましては、こうした中小企業皆様方に必要な資金が円滑に安定的に供給されるということが大変大事だと認識をいたしておりまして、そのためにも、政府系金融機関の機能の活用、あるいは信用保証協会の信用補完の事業等々、いろいろな手だてを尽くして適切な対応をいたしてまいりたい、こういうふうに存じております。
  83. 末松義規

    ○末松委員 私も、大蔵委員会にも入っておりますので、ビッグバンのことについていろいろと質問をさせていただきました。そのときに大蔵省の榊原金融局長お話ししたときも、まず規制が全部取れて、それからビッグバンというものをやればいいではないか、外為法の改正をやればいいではないかという意見があるがという話に対しまして、同局長が答えたのは、まず外為法をやって日本のつえを一回取る、そうすると、いやが応にも、どんどん雪崩を打った形で規制を取って世界との競争に備えていかないと日本が負けてしまうという意味で、待ったなしの改革が一挙に出てこざるを得ない、そこが一番大きなねらいであるという話を伺いました。  そういった意味で、産業界の方も本当に待ったなしの状況が出てくるわけですから、ぜひ通産省の方も、まだ一年あるということでございますから、その前に、例えば世界の状況を見る。例えば、前にそれをやったイギリスの状況はどうなったか、先ほど大臣から御指摘もございましたけれども、さまざまな形で中小企業にそれがどういうふうな影響を及ぼしたのか、そういうふうなことを調査していくべきだろうと思うのですけれども、そういう調査はなされているのか、いかがでしょうか。
  84. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、中小企業の資金供給の円滑化という観点から、私どももこうした世の中の動向をよくウォッチをしながら、適切な対応をしていかなければいかぬ、こういうことを考えてございまして、その際に、今具体的に調査をいつ幾日どうこうというようなことはございませんけれども、おっしゃられたような英国等の先進国の先例、事例、状況ども参考としながら遺漏のないようにやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  85. 末松義規

    ○末松委員 ぜひ事前に、役所の方は高い立場から早く調査をして、そして、それに備えるべきものがあれば備えるべく政策をつくっていただきたい、そういうふうに思います。  少し話題を変えまして、中小企業の話を進めさせていただきます。  特に、大企業中小企業との関係で、こういう平成の大不況になりますと、パイが小さくなるものですから、例えば、うちの小平なら小平の建設一つとうても、通常は大手ゼネコンが出てくる幕ではないのだけれども、もう大手ゼネコンがどっと建設事業をとってしまって、地元の建設業者がほとんど入れないというふうなトラブルも出てきております。また、不況のツケをどこに回すかということで、大企業から中小企業、下請企業に、いろいろなツケ回し、あるいはいじめというものが起こっているという話を地元でもよく聞かされております。また、円高やコスト高というふうな理由で、先ほども申し上げました中小企業の海外移転というもの、あるいは海外進出というものがいや応なしに進んでいくということでございます。また、その際、大企業との関係でトラブルが結構起きているという話を聞いているのです。  例えば、この前、商工委員長のお取り計らいで、大田区に視察に参りました。そのときに会長さんが強調しておられましたけれども、こういった例があるというのですね。  中小企業者が大企業から海外移転を頼まれた、頼まれた後、実際に移転をしたら、しばらくしてその中小企業者に対して注文が途絶えたというわけです。そして、それを分析してみると、どうも大企業の方がその中小企業の技術を盗んで、そして自分の海外現地法人に製品を低価格でつくらせたりしていた、それが渡り渡って中小企業の経営をつまずかせて、結局大企業がその中小企業を乗っ取ったというようなケースがあった、だから大企業は本当に怖いのですよという話をされておられました。  私も、同じようなケースを何例か聞いたことがあるのです。中小企業というのは、本当になかなか応用がきかずに、そこに行ったら行ったきりで、一つがつまずいても、ほかの事業で収益をふやして穴埋めすることができない、そういうところがございます。  通産省にお聞きしたいのは、海外進出に関するトラブル、こういうケースも御存じでしょうか。
  86. 田島秀雄

    ○田島政府委員 先生が御指摘をされたケース、不勉強で具体的に承知をいたしておりませんけれども、私どもの行いました中小企業の海外展開の動機等々の調査というのがございまして、それによりますと、生産、販売拠点の多極化とか、現地市場の新規開拓など、設立動機は多いわけでありますが、一方では、親企業や主力受注先からの受注を目指して、そういうのを想定して出られるというのも相当数あるというふうに承知をしております。  他方、同時に、海外からの撤退をされた事例につきましては、現地パートナーとの不調和とか、生産コストが上昇して予定が狂ってしまったといったようなことが圧倒的に多いのでございますが、これらと並んで、親会社の海外戦略の変更というようなことが撤退の理由に挙げられているケースもあるというふうに承知をいたしてございます。
  87. 末松義規

    ○末松委員 今の例でもそうですし、部長さんが言われた親企業の方針変更で、中小企業が、おまえ要らないよと言われて、えっという話で、驚いてどうしようもなくなるというケースもあるということを私も聞いたのですけれども、こういうふうな例があるときに、中小企業の身になってこういう中小企業を守る、そういうふうな施策というのは何かお考えになっておられますか、あるいは、そういう施策はございますでしょうか。
  88. 田島秀雄

    ○田島政府委員 海外進出の場合だけではございませんけれども、取引先の大企業中小企業に対しまして取引を中止をする、あるいは縮小をするといったようなことは、中小企業にとりましては大きな影響を持つものでございます。特に、海外展開の場合なんかは状況がより深刻だというふうに考えられるわけでございまして、こういったことを回避するために、リスクを分散をするというような対応が何よりも大事であると思うわけでございます。  先ほど申し上げましたとおり、海外戦略の変更等も理由一つにあるわけですが、原材料の調達でありますとか、あるいは労働力の安定的確保等々といったような海外展開の理由といいますか背景と並んで、取引先の安定的な確保はいかがなものかといったようなこと等も含め、十分に事前にそういった調査を行うことが何よりも大事だ、こういうことでございます。  私どもといたしましては、海外展開等を中小企業皆様方も検討されておられるという実態、あるいはそういう状況であるという実態にかんがみまして、中小企業事業団あるいはジェトロ等を通じまして、各種のいろいろな情報の提供、相談の事業を行っているほか、個別のケースに応じましては、その道のプロ、専門家による個別の企業に対するアドバイザー、アドバイスをするといったようなことできめ細かい対応をしておるところでございまして、今後とも、この事業、実は海外展開指導事業と難しい名前で言いますけれども、こういった事業を活用しながら、海外展開に先立ちますところの事前のいろいろな調査、情報の取得というようなことを御支援を申し上げて、不測の事態の発生を極力回避するということをお手伝い申し上げたい、こういうふうに思ってございます。  それからもう一つ。これはジェトロでございますが、欧州とかアジア等々、現地の法律事務所とか会計事務所と契約をいたしまして、そういったトラブル等が起こった場合に、これは現地で起こる場合は日本では対応できませんものですから、法務、税務等々につきまして個別にも相談をするというような対応もいたしておるところでございます。
  89. 末松義規

    ○末松委員 確かに、アドバイス、アドバイザーが非常に重要なポイントになってまいります。先ほど言われましたアドバイザーなんですけれども、ちょっと突っ込ませていただいて、そういうふうなその道のプロの方というのは、そこはかなり調達、調達という言い方はおかしいですけれども、そういう方を雇用しておられるのか、あるいは何か委託契約みたいな形で結ばれておられるのですか。それと、年間、例えばどのくらいの件数そういうふうな相談があるのか。わかる範囲で結構ですから、それは本当に少ない例なのか、かなり多いのか、そういうところをちょっと教えてくれますか。
  90. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたアドバイザーでございますが、中小企業事業団に専門家をリストアップをしておきまして、どういう方かと申しますと、いろいろな前歴がございますが、海外関係の多い仕事をされてこられた方で商社をおやめになられた方とか、そういった、要するに専門的な知識がある、もちろん一人の方がいろいろな国をすべて網羅するというわけにはいきませんので、例えば東南アジア方面には比較的詳しい等々のエリアはございますけれども、そういった方を今事業団では三百五十名ぐらいリストアップしてございまして、中小企業者の方の御要請に応じ、適切な方と思われる方を御紹介を申し上げて、アドバイザーの謝金等につきましては事業団が御負担を申し上げる、こういうシステムでありまして、年間大体七百件くらいの例になってございます。
  91. 末松義規

    ○末松委員 これは基本的に一般の方が気軽に相談させていただけるようなシステムなんですね。(田島政府委員「はい」と呼ぶ)わかりました。それをちょっと確認させていただきました。  ちょっと話題を変えまして、次に、中小企業の立場から、本年四月から時短が始まっております。週四十時間労働となっているわけなんですけれども中小企業の場合、零細企業を中心に、この平成不況の中、本当に生き残るのが必死なので、とても今の四十時間という時短では耐えられないということ。例えば、小平の会長の方も言われておりましたけれども、最低週四十八時間じゃないと会社自体がつぶれてしまう、そういう厳しい状況を嘆いておられたのですけれども中小企業庁の方は、こういうふうな状況認識されて労働基準法の改正のときに特例措置等とってきていると思うのですけれども、それが今二年間、指導期間という話でしょうけれども、現状に対して認識をお伺いしたいと思います。
  92. 田島秀雄

    ○田島政府委員 労働時間の週四十時間制の移行の問題でございますが、中小企業者におきましても労働時間に対する真剣な取り組みをかねて行ってきているところであるというふうに承知をしておりますけれども中小企業を取り巻きます短期的な景気循環的ないろいろな困難な問題、あるいは構造的な困難な問題等々が大変厳しい状況にあるということや、あるいはこういったことを背景といたしまして、昨年の秋の調査で、実は猶予対象ということで四十四時間の猶予を行われていた中小事業所があるのですが、その企業の四十時間の達成率というのが大体四割ぐらいというようなことであったこと等々から、ことしの四月一日から週四十時間労働制移行に法律上なるわけでございますが、そういった案に沿った時短と、それに伴う賃金的な負担、それから雇用の維持といったようなことを同時に直ちに実現をするというのはなかなか難しい面があるのじゃなかろうか、こういうふうに認識をいたしまして、その点につきましての御理解を得ながら、円滑な実施が必要ではないかという問題意識を抱いてまいったところでございます。  こうしたような実態を踏まえまして、本年四月から、御指摘のとおりでございますが、週四十時間労働制の円滑な移行が実現するようにということで、この国会で時短促進法という法律が改正をされ、政府によるきめ細かな指導、援助を実施をしていくということ、それから、かたがた省力化投資等で週四十時間労働制の移行に取り組む中小企業者の方々を支援をするといったような措置を講じられているところでございます。  それからさらに、中小企業団体等におきましても、週四十時間労働制への移行はやはり難しいことは難しいのだけれども、寝っ転がってやらなければいいということではないのだというような認識は大変強いものがございまして、円滑な移行に向けてそれぞれ団体がパンフレットを作成し、傘下会員に対する周知徹底とか、移行に伴ういろいろな問題点に対する相談窓口の設置とか、こういった御努力をいただいておるところでもございます。  いずれにいたしましても、引き続き労働省とも密接な協力をしながら、中小企業の週四十時間労働制を円滑に定着ができるように努力をしてまいりたい、こういうふうに存じております。
  93. 末松義規

    ○末松委員 通産省さんの認識も非常に厳しいという認識でございました。  労働省の方はおられますね。労働省の方に、私、通産省に逆に成りかわって、零細企業対策等、本当に実施が難しいので、この二年間という指導期間が果たして本当にそれで済むのかという気がするのですけれども、場合によっては計五年間とか、そういったかなり段階的な、状況を見ながら、あるいは通産省がさらに何回か調査をして、その状況次第によってはさらにそれを延長するとか、そういった措置が必要ではないか。また、あるいは罰則を緩和するような、ある意味ではソフトランディングの時間をある程度与えてやらないと、激変緩和という意味では非常に不十分ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  94. 青木豊

    ○青木説明員 ことしの四月から中小企業を含めまして全面的に週四十時間労働制が適用になったわけでありますけれども、今御指摘ありましたように、中小企業におきましては大変その実施というのが難しいという事業場も少なからずあるということで、さきに御可決いただきました時短促進法できめ細かな指導、援助を行うということで、二年間の指導期間を設けたところであります。この二年間の間に一生懸命指導を進めていきたいというふうに思っているわけであります。  特に、この二年間において、四十時間労働制の定着のために、一つには、いろいろな業務遂行方法だとかあるいは労働時間制度の改善等についての説明会を開催したり、あるいは集団指導を実施したりしましてそういったことが採用されやすいようにするとか、あるいは労働時間短縮に伴ってコストアップになるということに対しまして、そういう中小企業に対しましては、四十時間労働制定着のための省力化投資等を行ったことに対する助成措置としての助成金を活用してもらったり、あるいは中小企業事業主団体に対しまして、会員企業に対するいろいろな改善指導を行ってもらうというような、そのための助成金制度をつくっておりますので、そういったものを活用してもらつたりしまして、円滑に、着実にこれが定着していくように努力をしたいというふうに思っております。  今のところの、とりあえず四月から今までの状況を見ますと、一つには、中小企業団体におかれましても、既にその傘下の企業に対しまして、文書で週四十時間労働制への移行というのは必要不可欠なのだということをきちんと説明をしていただいておりますし、それから実態としましても、東京管内だけでありますが、東京労働基準局で、四月一日移行に際して、労働時間制度を改正しますと、就業規則等を変更しなくてはいけませんし、監督署にそのための届け出をすることになつておりますので、そういった届け出件数を見ますと、この三月、一月間だけで五千四百八十九件、前年の三倍にもなっているというような状況でございます。そのうちの多くは労働時間に係るものでございます。  それから、今申し上げました助成金についても、既に五月の段階で指定申請済みあるいは指定申請の意向ありというものを含めますと、もう百四十七件になっている。とんな状況を見ますと、中小企業を含めまして、四十時間労働制の定着に向けて着実に取り組みが行われているというふうに今認識をしているところでございます。  そういうことでございますので、引き続き一生懸命努力をして、指導をしていきたいというふうにまずは考えているところであります。
  95. 末松義規

    ○末松委員 今課長がおっしゃられた定着するように努力されるということで、それは私は異論はないわけですけれども、ただ、なかなか定着てきなくて企業がつぶれるというふうな状況の場合、その場合には、ソフトランディングのための措置というものをまた考慮してくださいということを改めて要請をさせていただきたいと思います。  次に、この前大田区に視察に行ったときに出た言葉が、中小企業というのは、給料が少ない、仕事が多い、そして労働環境が悪い、非常に経営環境も厳しいということで、人材の確保が難しいのだということを強調されておられました。この大田区への視察では、鋳物を扱っている企業経営者の方が、雇用促進事業団の助力を得て、若者に鋳物づくりの楽しさをPRして危機を乗り切ったのだ、それで高校生が来て人材が確保されたのだということで、その成功例を言っておられました。  ただ、同時に、外国人労働者を雇っていますかという私ども質問に対して、表向き、あれは不法の労働者だったのか必ずしもよくわかりませんけれども、実際にコストの面でもうやっていけないから、外国人労働者をどんどん扱っている企業は知っているというふうなことを言っておられました。  実際に、ちょっと通産省の統計などには出てこないかもしれません、場合によっては不法労働者を雇用すること自体が不法ですから、そうかもしれませんが、このコストの安い労働者を雇いたいという中小企業、零細企業の要望は切なるものがあると思うのですが、その辺、中小企業庁としてどういうふうに認識されておられますか。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕
  96. 田島秀雄

    ○田島政府委員 労働省の外国人雇用状況報告というのがございまして、平成八津の六月ということですと、外国人労働者数というのは全体で約十五万人強。このうち従業員三百人未満の企業、これを中小企業と見ますると、九万八千人強の外国人の方が中小企業で働いておられる。もちろん不法就労等云々ということですと、これは不法でありますから統計に出てこないということなんですが、この九万八千人の中には、専門的、技術的分野にかかわるということで合法的に入っておられる方等々が入っておる、あるいは留学生の方の合法的な範囲内の仕事とかいうのも入っておるということであります。  これはもう御案内のとおりでございますけれども、外国人労働者問題に関する我が国の基本的な考え方というのは、平成七年十二月に閣議決定をされております第八次雇用対策基本計画というものに書いてございまして、専門的、技術的分野の労働者は可能な限り受け入れる、一方、いわゆる単純労働者の受け入れについては、我が国経済社会に広範な影響が懸念されるということから慎重に対応する、こういうものでございます。  こういったことで、中小企業におきます外国人労働者の雇用につきましては、発展途上国の経済発展の基盤整備、人づくりといいますか、そういったことに寄与するという観点から、出入国管理法等に定める外国人研修あるいは技能実習というスキームの中で受け入れを行っているところでございまして、本年四月には、この研修及び実習期間の合計が、今まで最長二年だったものを一部職種については三年に延ばすといったようなこともやっておるわけでありますが、こういう観点で適正なこの制度の運用ということを図ってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。  中小企業における労働力確保の一般問題につきましては、労働省と御協力を申し上げまして、平成三年に中小企業労働力確保法という法律を御提案申し上げて成立をさせていただいたところでございますけれども、これに基づいて予算あるいは金融等々の御支援もやっております。中小企業の労働力を確保するためには、やはり中小企業の経営がしっかりすること、魅力のある職場環境がつくられるといったようなこと、いろいろなことが必要でございますが、そういったことに全体的な観点で総合的に御支援を申し上げたい、こういうふうに思っております。
  97. 末松義規

    ○末松委員 通産省自身でその実態調査みたいなことを、一応法務省が主管ですから、通産省はなかなかやれないという話になるのかもしれませんが、ちょっと私の要望なんですけれども、この中小零細企業における外国人の雇用について実態調査を進めていただくことが、これからの外国人問題にも本当に役に立っていくと思います。本当に中小企業にとって、日本人の給料というものは世界で一番高いということですし、給料も高いし、土地代も高いし、税金も高い、だから日本から逃げようというのが空洞化ということだと割り切って考えると、その中で企業は出ました、ただぽっかりあいた中で日本人だけが残りました、失業の憂き目に遭いますという話の中で、しかも日本人の給料は高いという話になると、これは外国人の労働者を雇わざるを得ないような状況というのが、もういい悪いにかかわらず、計算的に出てきますので、そういったところはぜひ実態を押さえていただきたいと思います。  ここで私自身、今後、将来的な日本の外国人の受け入れについてちょっと意見を申し上げさせていただきたいと思います。  幾つかの理由がございまして、外国人をもっと受け入れろというのが私の結論なんですけれども一つには、中小企業を初め、現実がそこまで切迫してきているということだし、二番目に、将来少子化になって人口構造がこういうふうにだんだん少なくなってまいります。そのときに、産業界を支えていくのはだれなんだ。みんなホワイトカラーであればいいんですけれども、そうじゃない人たちもたくさんいるわけです。そうして、高度教育化で大学をほとんどの方が出られる中で、本当に十分な労働力が得られるのかという懸念があること。  三番目に今度、介護サービスなんか含めて福祉大国ということで、これまた労働力が必要になってまいります。労働力の供給源としては、女性の労働力化とか、あるいはシルバーの活用といったことしか出てこないわけですけれども、さらにそれで足りるのかという状況。福祉大国というからにはそれにふさわしい体制をつくっていかなきゃいけない、それがあると思います。  四番目に、また日本が世界と緊密な共生関係を図って、日本自身が本当の意味で国際化をしていくという中で、日本に外国人がもっともっとふえていくことは、非常に日本人の意識そのものが変わってきますので、これは極めて重要なことであるし、もう一千五百万人の日本人が海外旅行に行く時代ですから、もっと日本の中で外国人を得て、単に単一国家、単一民族の国家というのを図るのじゃなくて、もうちょっと多民族国家の中でこの日本が繁栄していくことが重要であろうと思います。  最後に五番目に、実際に欧米諸国を見ても、ロンドンでもパリでもあるいはドイツなんかでもそうなんですけれども、地理的に近いという意味もありますけれども、アフリカの方あるいはアラブの方、アジアの方、かなり受け入れておられます。そういった意味も含めて、実際に外国人労働者の規制緩和をもっともっと、日本の未来というものを考えた場合、積極的に進めていくべきではないかと思うんですけれども、これは法務省の方、来ておられますか。ちょっとお答えお願いしたいと思います。
  98. 塩口哲朗

    塩口説明員 お答え申し上げます。  いわゆる単純労働者の受け入れについて、今御答弁があったとおりでございますけれども、私どもの持っております入管法では、専門的技術、技能、知識等を持って我が国で就労しようとする外国人につきましては、可能な限り幅広く受け入れる道を開いております。今までも入管法は必要な場合に法改正をしておりますので、今後とも、必要に応じ、そういう場面が出てくればその可能性もあろうかと存じます。  また、それ以外にも、今御答弁のございましたように、国際貢献、国際協力の観点から、技能実習制度というのがございます。これにつきましては、我が国との雇用関係のもとで外国人労働者がより実践的な技能等を習得できるようにしておりまして、専門的技術、技能、知識等を有しない外国の方については、このような知識等を有するようにするための技能実習を目的とする場合に限定いたしまして、日本において技能実習の機会を設けておる。これも一つのアイデアとして平成五年に始まった制度でございまして、順次拡大をしてきておるところでございます。
  99. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の質問、大変私も興味を持っている話なんです。今度の経済構造改革、この中で、私自身、今回の行動計画の中には入っておりませんが、これをぜひやはり研究というか対象にしなければ解決しない、かように思っているんです。というのは、今お聞きのように、やはり研究員だとか技術員、そうした産学官の提携とか、そういう意味では、留学生制度から始まっていろいろ文部省が考えておりますが、今御指摘のように、一般労働者というか、これの問題が大きな問題だろう。ほっとくわけにはいかない問題であろうと私は思うんです。  ただ片一方、やはり日本の国ではまだまだ古い、島国、単一民族という考え方が根強くあります。ですから、ある意味では一挙にはできないだろうと思いますが、この問題を解決というか、方策を考えないと、本当の意味の国際化ということは実現しない。だから、今言っている経済構造改革においても、やれグローバル化とか、ボーダーレスとか言っているけれども、これが一番問題であろうという認識を私は少なくとも持って、そのような認識を通産省は今持っておりますということだけを報告しておきます。
  100. 末松義規

    ○末松委員 今の大臣の御指摘、本当に私は適切な御発言をいただいたと思っております。多分経済界から始まると思うんですね。ビッグバンの次は、私はもう労働界の再編成というか、労働市場をもっともっと大きな形にしていかないといけない、それが産業のネックになってくると思います。  そのときに実際にどうするんだ。だから、法務省さんの答え方を見ていると、どうもその実態をどこまで踏まえていられるかというのは、私はちょっと疑問に思ったんですね。ただ、それはつかさつかさの話ですから、本当に言えば、通産省さんの方でどんどん必要なときには押していかなきゃいけない。それに内閣全体で取り組んでいく、それが必要な問題だろうと思います。この点についてはこれ以上触れません。  次にちょっと、商店街問題を扱わせていただきます。  小平市の商店街の、やはりあるすばらしい会長さんからこういう話を聞いたんですが、そこの商店街が六十二店舗あるんです。その商店街の活動費は毎月一万千五百円らしいのですけれども、最近、虫食い状態になっていたのが一店舗埋まった。それがカメラ屋さんが入ったというわけですね。その商店街の会長さんが行って、活動費を下さいと言ったら、おつき合いで二千円まではおつき合いしましょう。でも、それ以上はびた一支払わない。もしここでもうからなくたって、もうからないんだったら次のところにすぐにもう変えますよという話をされた。そこで、商店街の人がそれを聞いてみんなぎょっとしまして、やはりその町というか、地域をみんなで支えていこうという意識が全くない。そういうのは本当に困るんだ。その辺から、寂しい都会とか寂しい町というふうな言葉が出てくるんだということをしみじみ言っておられました。  実際に、先ほどからも聞いていますと、空き店舗問題、非常に深刻だということでございます。この現状を問おうとしましたのですが、先ほども大体お聞きしましたので、かなり厳しい状況だなということだと思います。  商店街の活性化というのは、単に空き店舗を埋めるという努力だけじゃなくて、先ほども議論に出ておりましたけれども、町づくりの中で商店街の位置づけをはっきりさせる、そして消費者のニーズを早くとらえて、あと人をいかに確保していくか、そういった努力が非常に重要だし、また、町の住民を中心とするような都市計画の存在なども本当に重要だということ、これも先ほどから聞いております。  先ほどもお話がありましたけれども、通産省の方で審議会を開いて、商店街の活性化とか中小企業対策、これを今話し合っているというお話でございました。この審議状況を極めて簡単に御紹介いただければと思います。
  101. 越智謙二

    ○越智政府委員 御指摘のような中心市街地の空洞化等が進んでおる現状等を踏まえまして、去る五月十六日に閣議決定されました経済構造の変革と創造のための行動計画においても、関係省庁の連携によりまして、都市機能の再構築、商業活性化等の観点から総合的な対策を年内に検討し、速やかに所要の措置を講ずるとされたところでございます。  通産省としては、今御指摘のように、五月二十一日に審議が開始されました産業構造審議会、中小企業政策審議会の合同会議においても、望ましい都市のあり方という視点を踏まえた上で、中心市街地の商業を活性化させるための商業振興策のあり方について検討を進めることにしておりまして、この際、総合的な対策を推進すべく、通産省、建設省、自治省等々、関係省庁間の連携を密にしながら、幅広い視点から検討を進めていくということになっております。
  102. 末松義規

    ○末松委員 町全体の中で商店街の活性化を図る。商店街がにぎやかじゃない町というのは、やはり寂しい暗い町なんだという気がします。そうすると、やはり商業というものを中心に考えていかないといけない。  その中で、先ほど町の中心街を活性化させようとか、いろいろな案が今出ているという話も私もお聞きしました。その中で、国といいますか、中央省庁の方で支援事業のいろいろなメニューが出てきております。私も中小企業庁が出している白書のようなものをきのうずっと読んできましたけれども、さまざまなメニューが出てきて、そこはかなり充実はしてきているのではないかなという表面的な印象を持ちました。ただその中で、先ほど中央省庁の連携をもとりながらというお話がございましたけれども、どうも実際に町の意見を聞いてみると、国の中で、都市計画は都市計画で建設省がやっている、通産省は通産省でやっている。ほとんど連携が実際にとれていないというのが町の人の多くの意見でした。  結局何が足りないのかというと、総合的なコーディネーターというものがいないんじゃないか。そして国の皆さんがなかなか出てきてくれない、そういう不満もたくさん聞いたわけであります。ですから、国としても三千三百ある市の、町の事業一つ一つかかわっていく、そんなことはできない。  とすれば、その折衷案として、モデルの町づくりというんですか、そういったことを何十カ所か幾つかのところでやって、そして、こういうふうにやればいいじゃないかという成功例をつくっていくことが非常に効果的なんじゃないか。ただ、そのときには町づくりでその地域その地域のコンセプトが要ります。やはりコンセプトなしにただ人を充ててこうやればいいじゃないかという話では、まずもって失敗するというのが状況です。  そしてその町づくりの中で、何といいますか、実際にコンセプトができた段階で、この辺に高層住宅を配置して、こちらに公営アパートを配置して、人集めというんですか、それを実際にやっていかないと、幾らコンセプトがよくていい町になっても、人が実際にいなければなかなかそれは集まらないという話になってくる。そういったことを実際にやってくれるようなコーディネーターといいますか、それが必要だなと私も痛感しているんですけれども、この前、通産省主導で「街づくり会社」というのがあるというふうなことを聞いたんですけれども、その現状とその評価についてお伺いしたいと思います。
  103. 篠原徹

    ○篠原政府委員 今先生から御指摘いただきました「街づくり会社」でございますけれども、これは市町村等の地方公共団体、それから商店街振興組合等が出資あるいは拠出いたしました第三セクターでございまして、地域が一体となりまして、商店街などの商業施設と公共施設の一体的な整備を進めているものでございます。平成三年に制度を創設いたしまして、これまでの間、小売商業振興法に基づきまして三十四件を全国で認定しておりまして、中小企業事業団からの出資あるいは無利子融資等によって支援をいたしております。  こういった「街づくり会社」にとどまりませんで、先生指摘のとおり、地域でそれぞれ商業を振興するという観点に立ちますと、それぞれの地域でその町の顔は違っておりますし、また、地域の特性を生かすということが重要でございます。  そういう意味で、今後商店街の活性化を図る上におきましては、景観づくりだとかあるいはコミュニティー活動、マーケティング活動、イベント活動、空き店舗対策あるいはテナントミックス、交通対策等々、町全体を視野に入れました総合的なタウンマネジメントの手法が非常に重要になってこようかと思っておりまして、先ほど申し上げました「街づくり会社」もそういったタウンマネジメントの中核になるというふうに今後育てていきたいと思っております。  それから、タウンマネジメントをやる上においては、人材の育成が非常に重要でございます。それぞれ商店街のリーダーもさることながら、地域の地方公共団体におきましてもこういった専門家が必要でございます。また私どもも、現在の制度といたしましては、中小企業事業団からシニアアドバイザーの派遣だとか、あるいは中小企業大学校でもそういった専門家研修コースを持っておりますけれども、今後そういった専門家を人材育成するという観点から対策を強力に進めてまいりたいというふうに思っております。
  104. 末松義規

    ○末松委員 タウンマネジメント、なかなか響きのいい言葉で、本当にそれはいいと思いますが、その中で地元の人を中心に町づくりをしてくれという地元の声も強いものですから、それを支援するような形で、例えば私が今言ったマネジャーというのは、基本的にはそういう支援する外側にいて、何といいますか、各省庁がそろって会議を聞くというようなイメージですけれども、それがもしできないんだったら、そういう各省庁のことに精通している町づくりの専門的な知識を持った人を置いて必ずそこに同席させて、そして各省庁の支援の事業があらゆるメニューがすぐに活用できる、そういう体制をつくってほしいということなんですね。  ちょっと時間がなくなりましたから大店法の問題にもかかわらせてもらいますけれども、先ほど大店法の議論を聞かせてもらいまして、結局は規制緩和で競争力を強化して、そして消費者にとって便利な大型店が優勢になって小売店が劣勢になった。これは数字でもあらわれておりまして、経済企画庁がつくりましたこの規制緩和のメリットというぺーパーに、大型店の出店急増で、九〇年から九五年の間で実際に国民の間で需要拡大が四・五兆円起こりました、これはメリットです。ただし、小規模小売店が六千三百億円の売り上げが減っております、つまりこれはデメリットです。ということで、小売店の六千三百億円の売り上げが減った分だけ、店もかなりつぶれてきたということであろうかと思います。  結局、将来的に新たなすみ分けをどうするかというのが大店法の議論の心髄になろうかと思いますけれども、その中で、先ほども出ていましたが、言葉では美しいんですね。大きな店舗と小さな店舗が共存共栄を図っていくような形、これは確かに言葉としては美しいし、日本的な美意識にも沿ってはいるんです。その裏に苛烈な競争というものが実際にあって、これは力関係、アイデア関係で決まっていくというのが現状なんでしょうけれども、また大臣も、それが国際的にも各国で違うし、温度差があるし、また日本国内でも地域的に違う、その温度差があるということは言われて、今幅広い意見を聞かれておられる最中であるとおっしゃっていらっしゃいましたね。  問題は、結局小売業もお客さんあっての話なんで、市場の力というものには逆らえない、これは基本原則ではあろうと思いますけれども、町づくりという地域に対する責任役割、これをやはりきちんと持っていないといけない。例えばスーパーにしても、もうもうからなくなったからすぐにどんどんかえてしまいますねという話は困るわけです。それは地域に対して責任を持ってもらう人がより優遇されるという原則はやはり必要なんだろうと思うんですが、その中小小売店の役割ですか、それについてもし御見解がございますれば、お聞きしたいと思います。
  105. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今末松委員御指摘のように、まず大店法、これは確かにいろいろな比較もございますが、一つだけ忘れてはいけないのは、大きな店舗ができることによって雇用がそこで生まれるということ、これはやはり地域によっては大変なメリットではないだろうか、こう思っております。  そこで今の問題でございますが、これからの商店街のあり方いかんということで、やはり一口に言うと、地域地域によって違ってくるんじゃないのか。末松委員の選挙区の小平、あの周辺、昔は武蔵野という、今でもまあ武蔵野でございますが、私も今から四十数年前に吉祥寺に住んでおりまして、この間久しぶりに行きましたら、やはり昔の様相とがらりと変わって近代的な町ができている。まさにあの辺も急速に都市化してきたのではないだろうか。そういう何にもないところに新しい、何にもないと言うと大変語弊がありますが、新しい町ができるときには、やはりああした大型店というのは非常に役立つだろうと思うのですが、古い、都市化が進んでいない地方において大型店ができると、それが大騒ぎになるだろう、こんなことも実は先ほど考えていたわけでございます。  そこで、今おっしゃるように、商店街の振興といってもお客様があっての商売だ、こういうふうに考えますと、昔のように対面で商売をする、あるいはまたその場がその地域の情報の収集の場になる、情報交換の場になる、こういうような役目があったのが、今の電子、通信、そうした情報化、こうした動きによって変わってきたのではないだろうかと思うので、何といっても、やはり地元の人たちの意見を聞きながらつくっていかなければいけないだろうと思いますが、今御指摘のように、一つ大きいのは、先ほどの大田区の話にもございましたが、企業、大企業経営者のモラルというか、また商店街の場合、地域に対する責任感、使命感、こういうものをどういうふうに持ってもらうのかなと思いますと、なかなかこれは法律だとか行政指導ではいかない問題だなと思っております。  いずれにいたしましても、今のような認識のもとに、やはりこれから大店法の改正、見直しにしろ、また新しい町づくりにしろ、今までとは違った発想でやっていきたいと思いますし、また、中心市街地活性化に関しては、今までのように各省が縄張り争いを持っていたのではいい町はできてこないだろう。その中において、通産省がプロモートするというか中心的になって、そして地域住民の話をよく聞きながら、建設、自治その他の役所との連携をとりながらやっていきたい、かように考えております。
  106. 末松義規

    ○末松委員 非常に傾聴すべきコメントをいただきました。先ほども中野委員が通産省主導でやってくださいというのは、確かにテクニックの面でなかなかあれかもしれません。通産省自身も使命感に燃えておられると思うのですが、本当にそういった意味で、通産省のその役割における期待は大きいものがございます。ぜひ、そこはよろしくお願いしたいと思います。  ちょっと時間がなくなりましたのですが、最後に、商店の後継者問題、これも今厳しい状況だということですが、実際にこれはもう商店が自分で経営革新をやっていかなきゃいけない、魅力のある商店、あるいは魅力のある商品を置かなきゃいけないということですが、ちょっと私、この通産省が出している「元気のある商店街一〇〇」ですか、こういう成功者の事例をどんどん集めて参考にさせること自体が極めて大きな活性化の力になると思うのですよ。私は、これは本当に褒めるというか称賛したいと思います。  そういったことで、成功者の町に入るにはやはり成功者と話さなきゃいけない、あるいは成功事例に接しないと人間なかなかぴんとこないものなんですね。そういった意味で、これからもそういうふうな元気が出るためのさまざまな成功事例あるいはアドバイス、それをぜひ通産省に強く強くお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  107. 小川元

    ○小川委員長代理 次に、大森猛君。     〔小川委員長代理退席、委員長着席〕
  108. 大森猛

    ○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。  既に、きょうの委員会でも五人のうち三人の方が大規模小売店舗法、大店法の関係で質問をされたわけでありますけれども、私もこの問題で大臣の見解をお伺いしたいと思います。  既に御答弁にもたびたびありましたように、これまで、九〇年以降、法改正を含む規制緩和措置が大店法についてはとられてまいりました。さらに、ことしじゅうにこれを見直しを行って法的措置を行う、こういうことも既に明らかにされているわけでありますけれども、きょう、三人が質問された、そういう意味では今回、一般質疑が半ば集中審議に近いような形になったわけでありますけれども、加えて、この委員会でもたびたび各党の委員からされました。  また、今国会において、例えば予算委員会等々でもこの大店法問題あるいは地域の商店街の問題等が議題として取り上げられたわけでありますけれども、それぞれの角度、切り口は違いますけれども、共通しているのは、地域の商店街が危ないということだと思うんですね。これは最近出された全国連、全国商工会連合会、この意見書の言葉をかりれば、地域商店街の崩壊、町の存立にかかわるというような本当に深い危機意識が、今国会における各党各委員のこの問題を取り上げる背景としてあるのだと思うんですね。きょうはこの関係で、まず、この間の規制緩和、これは一体どこが緩和され、その結果どういうぐあいになっていったのか、事実に照らして明らかにしていきたいと思います。  まず、九〇年以降三たびにわたる規制緩和措置でありますけれども、第一が、調整期間に上限を設置する、これはその後短縮をされたわけですけれども、加えて閉店時間あるいは休業日数の緩和、これもその後さらに規制緩和をされる。第二に、商調協が廃止され、地方自治体の独自規制が抑制をされる。第三に、一千平米未満の出店については原則自由化、こういうことがやられたわけでありますけれども、これによってまずどうなったか。  これは既にお話もありましたけれども、具体的な数字で、第一に、大規模店舗の進出ラッシュが起こった。ちなみに、九〇年以前の五年間で大規模の新増設の届け出件数、年平均六百十件、それが九〇年以降の五年間では千六百十七件と、一挙に二・七倍になってしまった。しかも、九五年度は二千二百六件、九六年度は二千二百六十九件と、史上最高という届け出件数を更新するようになったわけで、まさに出店ラッシュ、こういうことになるわけです。  第二に、店舗数、店舗面積、これはさらに急増しております。例えば一九八五年、一種、二種合計の大規模小売店舗の売り場面積シェア、これは三一・九%、これが九四年には三五・七%に増大をする。さらに、これは大型小売店販売統計によりますと、売り場面積が千五百平米以上のスーパー、百貨店で見ると、店舗数、面積ともに、九〇年から九六年、六年間でそれぞれ三〇%前後も伸ばすというような状況であります。  特にそういう中でも大スーパーですね、これがもう大変な伸びで、例えばダイエー、これは大スーパーのトップでありますけれども、店舗数でいえば百九十一から三百七十五店と一、九六倍ですか、それから、売り場面積は百四十二万平米から二百九十五万平米と二・〇倍。ジャスコも同様に九〇年から九六年で、店舗で一・四五倍、売り場面積で一・七五倍。上位十社だけで、店舗数で一・二倍、売り場面積で一・五倍、こういう大変な大スーパーの進出ラッシュをもたらしたわけでありますけれども、こういう数字について通産省は、間違いないと思いますが、念のため確認をしておきたいと思います。
  109. 越智謙二

    ○越智政府委員 あらかじめお断りしておきたいと思うのでございますけれども、最近の流通業の環境変化というのは、もう先生重々御承知のとおり、モータリゼーションの進展、消費者の行動パターンの変化等々、非常に大きいわけでございますが、その中で御指摘の三度にわたる規制緩和を行いましたので、今のデータの変化につきましては、そういう環境変化の中で生じたものでございますので、否定するわけではもちろんございませんけれども、大店法の規制緩和影響効果だけを取り出して比較するのは非常に難しゅうございます。  そういう点を踏まえた上でデータを御紹介いたしますと、これは先生指摘のとおり、大型店の出店届け出件数については確かに非常にふえておりまして、平成二年度の届け出が千六百六十七件、平成八年度、御指摘のように二千二百六十九件というふうにふえておりますし、例えばおっしゃった店舗面積三千平米以上の大型店舗につきましても、平成四年度の二二・五%から八年度は二六・二%というふうに、確かに上昇傾向にございます。  それから、チェーンストア、百貨店の上位十社の企業について見ましても、平成二年度の売り上げで八・一兆から平成八年度で九・八兆円というふうにチェーンストアでふえておりますし、店舗面積についても、七百二十二万平米から千八十七万平米というふうにふえておりますけれども、これは十社の中でそれぞれの会社の戦略といいますか、個別の会社にブレークダウンしますと、いろいろな差がございます。これは省略させていただきます。  百貨店については、売上総額については、平成二年から八年度、逆に五・三兆円から五兆円というふうに減少しておりますけれども、店舗数及び店舗面積につきましては、例えば店舗面積は二百十三万平米から二百六十万平米というふうに拡大をしております。
  110. 大森猛

    ○大森委員 大規模店舗の進出ラッシュが九〇年以降急速に行われたということは、これはお認めになると思います。  ちなみに、日本リティリングセンターの調べでは、特に年商五十億円以上のビッグストア、これの小売業総売上高に占める割合も非常に飛躍的に高まって、例えば一九七〇年、シェアが一七・二%、それが一九九六年には四四・二%、これは年商五十億円以上のビッグストアということでわずか八百数十店ですよ。八百数十店の店舗で日本の売上高の四四・二%を占めるまでに今日来ているというのが現状であると思うのです。さらに言えば、上位二十社だけでいいますと、一九九六年末に十九兆三千四百二十一億円、シェアもこれが一八・九%と、上位二十社だけで日本の総売上高の二割近くを占めてしまうような状況まで今日来ているわけであります。  その一方で、じゃ中小小売店はどうなったか、この点をちょっとお聞きをしたいのですが、第一に、九一年から九四年の数字で、従業員一人から四人の商店の店舗数の減少数と減少率、それから二番目に商店街の実態調査、繁栄している全国の商店街、一体どれぐらいの比率であるのか、それから三つ目に商店街の販売額、九四年の動向についてお聞きをしたいと思います。
  111. 篠原徹

    ○篠原政府委員 三年ごとに通産省におきましては商業統計というのをやっておりまして、直近のものは平成六年、平成三年でございます。  この商業統計によりますと、商店街、全国で約一万九千あるというふうに私ども見ておりますけれども、この約一万九千の商店街の全売上高でございますが、平成三年が六十七・八兆円、平成六年は六十六・五兆円ということで、若干減少いたしております。それから、従業員四人以下の売り上げでございますけれども平成三年と平成六年を比べますと、一三%程度売り上げが落ちておるというデータがございます。
  112. 大森猛

    ○大森委員 一方では、わずか上位二十社で全国のシェアの二割近ぐを占める、飛躍をする一方で、今お話があったように、商店街は若干減った、とおっしゃったのですが、昭和五十四年に集計が始まって以来初めてのマイナスですよ。こういう点はやはり重要な事実としてぜひ認識していただきたいと思います。既に都市部では、この間の出店でオーバーストア状態になっていると思うのですね。その上に一層の出店ラッシュが今襲いかかろうとしているということで、非常に事は重要であると思います。  東洋経済誌が最近、首都圏の出店予定ランキングベストスリー、こういうものも発表いたしました。一位が横浜市、二位が千葉市、三位が川崎市と、これはいずれも、私は南関東ブロックですから、我が選挙区であるわけでありますけれども、そこに、千葉市でいえば既に七九・六%大規模店が売り場面積を占めているところに、新たに二十六店が出店予定している。これは大変な状況で、大型店同士の過当競争状況も生まれているのじゃないかと思います。  ことしの一月一日に日経新聞が「小売り 大競争時代に」、こういう特集記事を組みました。こういう中で、大型店同士の陣取り合戦、ライフストアの清水社長は「強者生存、淘汰の時代」、東急ストアの原澤社長、商圏が昔ニキロ、今は五百メートル、こういうようなことまでこういう大型店の社長さんは言われているわけですね。  私も、この間ずっと各地の大型店が進出する地域等々を調査へ行ってまいりました。例えば横浜市の南区、ここに、エンジニアリング会社の日揮の跡地にイトーヨーカ堂の出店が決まったわけなんですが、とにかく京浜急行の上大岡駅を挟んで千数百メートルの円内に既にイトーヨーカ堂、ダイエー、ダイクマ、三越、東急、長崎屋、マルエツ、七店があるわけですね。それにさらにこの日揮跡地にイトーヨーカ堂が進出する。ですから、将来、このイトーヨーカ堂自身を含めて、大型店による閉鎖、撤退が生まれかねない、こういう状況が今ここで生まれているわけですね。  それから、さらに言えば、スーパーの撤退、これは新しい問題に今なっているわけなんですけれども、地場スーパーがどんどん撤退、これも始まっております。  これも現地に調査へ行ったわけなんですが、千葉県の流山市平和台駅前商店街、ここはイトーヨーカ堂が出店した。これまであった地元のスーパ一が撤退してしまった。ですから、近所のお店の御主人は、とにかくスーパーができてお客が減り、今度はスーパーが撤退してまたさらにお客が減る、子供さんがそのときおられたのですが、もう心中しかないと、どきっとするような大変深刻な事態が今生まれているわけですね。  最大の問題は、こういう既にオーバーストアの状況の中で、さらに進出がどんどん行われようとしている、無秩序な出店のし放題とともに、ちょっと売り上げが減ったら、こういうぐあいに後は野となれ山となれで撤退をやってしまう、こういうことが野放しにやられていることだと思うのですね。  この点で、とにかくこの地域で営々として築いてきた商業集積のメリットを吸い上げるために出店するけれども、結局そこで魅力がなくなったらさっさと引き揚げる、こういう大型店の大変身勝手なやり方、ここをやはり何とかしなくてはいけないのじゃないか。ですから、地域の中小商店が本当に、これはもう既にきょうもお話がたびたびありました、何とか共存共生しようじゃないか、いろいろな努力をされている、そういう努力も全く一瞬の間にこれは水泡に帰してしまうという状況があると思うのです。  ことしの五月発表された日本商工会議所の全国の調査の集計結果によっても「平成八年の一年間に、都市中心部の衰退や大型店同士の過当競争の結果等により、大型店の撤退・閉鎖があったとする地域は百五土地域、回答全体の約四割で、撤退閉鎖店舗数の合計は二百七十八店、一地域当たり一・九店になる。」、特に大型店の撤退、閉鎖の多い地域として、一年間で何と仙台、西宮は八店もあった。こうやって全国の状況ども紹介をされておりますけれども、通産省はこういう状況をどのように認識されているのか、加えて撤退件数について、その実態について明らかにしていただきたいと思います。
  113. 越智謙二

    ○越智政府委員 撤退といいますか、廃止届け出の件数でございますが、八年度で第一種、第二種合計をいたしまして三百三十三件と、先生指摘のようにかなりの数字に上っておりまして、大変厳しい状況だというふうに認識をしております。
  114. 大森猛

    ○大森委員 かつて私どもがいただいた資料では、第一種だけなんですが、八〇年代以降、三年ごとの数字もいただいておりますけれども、明らかにやはり九〇年代以降数がふえているわけですね。  通産大臣にお伺いしたいのですけれども、こうした撤退がふえている。これは九五年の四月九日付の日経新聞でありますけれども、「大店法の出店規制緩和により郊外への出店が容易になったことが、さらに中心街のスクラップを後押しした。」これは非常に的確な指摘をしていると思います。きょうの大臣の答弁の中でも、それから先般の吉井議員の答弁の中でもモラルの問題ということで言われておりますけれども、これではやはりこういう状況を変えることはできないと思うのですね。橋本総理も我が党の予算委員会での質疑の答弁の中でこの撤退の問題についても触れられ、「町が真っ暗になるというのは、私本当に好きじゃありません。」「いつの間にか商店街にぼつりぼつりとくしの歯が欠けるような状況が生まれてくる、そういう体験をいたしました。」、こういうような答弁もされているわけなんです。  佐藤通産大臣は、ことしの一月の山口での記者会見で、商店街が疲弊しようとも消費者利益を確保し規制緩和を進めていかなくてはいけない、そういう趣旨の会見をされたということを時事通信で拝見しましたけれども、こういう状況は資本主義の論理、弱肉強食の論理で仕方がないとするのか、それともこれに行政の光を当てなくてはいけないとするのか、そこらの御見解をお聞きしたいと思います。
  115. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今のは、まず一月の記者会見、ちょっと内容が違うので、その話はちょっとこつちにおいておいてもらいたいのです。  申し上げたいのですが、今おっしゃるように、地域による、この大型店の進出の現状、よく認識しております。今の質疑をお聞きしてもわかることは、ちょうど過去三回の大店法の改正によって出店規制が緩和された、九〇年代に入って非常にふえた、これはまさにバブル時代だったと思うのです。そこで、そのときは確かに地域の小売商業者を圧迫したと言えますが、今は、御指摘のように大型店同士の競争になってきた。様相が変わってきているような気がいたします。そういう中において、ほっておいていいわけはもちろんございせん。  ただ、切り離して考えなければいけないのは、大店法による大型店の問題と商店街の振興という問題、私は分けた方がわかりやすいのではないだろうか。というのは、商店街が疲弊した原因に大型店の出店、これを否定するものではありませんが、では大店法というものを逆に強化すれば今起きている疲弊その他が解消するかというと、これはまた別の問題ですから、これはこれでやらなければいけない、こういうふうにまず認識願いたいのです。  そこで、一つの問題、大店法の見直しという問題がございます。これは、先ほどの答弁でも申しましたように、内外の温度差がある。外国に行くと、日本の閉鎖的経済社会の代名詞として大店法が言われる。フィルムの問題でも、アメリカのコダックが売れないのは大店法があるからなんだ、規制をしているから売れないんだ、こんな言いがかりをつけられる。それに対して、実態は今この委員会で御指摘のとおりでございますが、一部の、国内でもそうした意見に同調される方がいないと言ったらうそになります。これからの日本の将来を考え、六大改革の中において経済構造改革に今真剣に取り組んでいる我々としては、その対象としてこれをやらないほど通産省は、内閣は構造改革に不熱心だ、こう言われたのではたまったものではありません。この辺を一体いかに考えるかという問題です。  そこで、今、地域差もございます、そういうことで大勢の地域小売商業者、そして、何といってもお客様である消費者、あるいは学者、あらゆる方の意見を聞いて、最もいい方法でもってこの大店法の見直しをしようということであります。ですから、そこでもって圧倒的に、この問題をこれ以上にやること自体は今日本考えている経済構造改革、これに水差すものではないのだというふうな国民の合意ができればいいですが、先ほど申したように、何もやらない自民党政権、これではたまったものではありません。  もう一つは、疲弊する商店街に関しては、先ほどから申し上げるように、中心市街地活性化という問題を今度の構造改革などでも取り組んで、これを真剣に、やはり地域地域に合うようにした新しい町づぐりをやっていこう、こういうことでございます。
  116. 大森猛

    ○大森委員 午前中の同じ議題での大臣の答弁の中で、なぜことし中に見直しをやらなくてはいけないのか、なぜ新たな規制緩和をしなくてはいけないのかという趣旨の質問に対して、私は明確な答弁をされなかったと思うのですね。これだけ多くの商店街の疲弊が起こっているのです。その理由についてはまた述べますけれども、ただ規制緩和計画があるから規制緩和をやるのだということでは、これはやはり回答にならないと思うのですね。山があるから山に登るのだ、これは登山家としては許されるかもしれないけれども、今、地域の商店街のこういう深刻な状況を前にしてなぜ新たな規制緩和をしなくてはいけないのか、この点についてのお答えはなかったように思います。  私が今申し上げているのは、商店街のこういう疲弊、こういう荒廃の直接、最大の要因が大型店の規制緩和にあるのではないかということを申し上げているわけなんですがへそこのところを午前中からの答弁の中で、やれモータリゼーションだ、いろいろなことを言われているわけですね。やはりここは、今商店街の空洞化の問題、本当にこれを打開しようと思えば、この大型店の問題をきちんと対処しなくてはいけない、このことを申し上げているわけであります。  ちなみに、モータリゼーション、きょうも何回となくこれは出てまいりましたけれども日本におけるモータリゼーションというのは、それこそカーブでいえば六〇年代、七〇年代で、むしろ大型店の規制緩和の始まった九〇年代なんてほとんど伸びてない。あたかも最近になって急にモータリゼーションが始まったかのような答弁は通用しないと思うのですね。  これを申し上げて、次の、今回の新たな規制緩和の焦点とも言われております閉店時刻の延長、休業日数の短縮についてもお聞きをしておきたいと思うのです。閉店時刻の延長、休業日数の短縮と、この間、大きく緩和が進められてきたわけなんですが、現在の実態と、それから九〇年以前の状況について、明らかにしていただきたいと思います。
  117. 越智謙二

    ○越智政府委員 まず、閉店時刻でございますが、平成五年度に調査した際には、二十時、午後八時より遅い店舗が一二%でございましたけれども平成八年度には二四%と増加をしております。  休業日数でございますが、平成五年度には年間二十日未満の店舗が三二%であったものが、平成八年度には四三%に増加をしております。  九〇年度以前の数字、ちょっと今手元にございません。調べて、後ほど御連絡させていただきたいと思います。
  118. 大森猛

    ○大森委員 平成六年以降、大型店の大半が八時までの営業、九〇年以前が大半が六時までの営業だということと比較しても、この点でも大幅な規制緩和が行われたと思うのですけれども、最近は、とにかく大手スーパーが元日営業まで強行するような状況まで生まれております。これはもう単に中小商店や商店街への影響ばかりではない、地域社会の風習、習慣まで変えてしまうような、本当に深刻な問題を投げかけているのではないかと私は思います。  この点でも、諸外国との関係でいって、非常に大きくかけ離れていると思うのですね。諸外国では、営業時間、休日について、若干緩和された点はありますけれども、それでも法律上の許可制となり、多くのところで日曜は休業もしくはかなり厳しい制限が課せられているわけで、こういう点でも日本の場合、極めて特異な状況になっていると思います。  次に、きょう、いろいろ皆さんの中からも出ましたけれども、町づくりあるいは交通問題、環境問題、こういう点からの具体的な事例でお聞きをしたいと思います。  これは大店法の運用にもかかわるわけなんですが、先ほど述べました、横浜市南区の日揮跡地へのイトーヨーカ堂進出問題。  これは、これまでの大型店進出問題では珍しいとも言えるのですが、住民の環境や交通問題での運動組織、日揮跡地周辺の生活環境を守る会がつくられ、いろいろなチラシなども出されたわけですね。「私たちの街かわら版」というような形で、騒音の問題、排気ガスの問題等々、いろいろ訴えてこられました。しかし、結果は一万二千八百平米が一万五百平米に削減等々で、審議結果、理由及び議事概要等では、申し出者から意見書提出というようなことは記されておりますけれども、こういうような環境に対する、あるいは交通等に対する意見がどう審議され、どう結果に反映されたのかが明らかにされていないと思うのです。   この問題に即して具体的に御説明いただけるでしょうか。
  119. 越智謙二

    ○越智政府委員 地元意見の審議内容への取り込みでございますけれども、大店審の調査審議を行う際の指針といたしまして、商工会議所または商工会に依頼して集約された意見をできる限り尊重しつつ、消費者の利益の保護への配慮一周辺の中小小売業の事業活動の機会の適正な確保及び小売業の正常な発達の観点から検討を行い、その結果を総合的に判断するということになっております。  今先生指摘のイトーヨーカ堂のケースでございますが、本件については、今申し上げました意見集約会議は行われておりませんけれども、地元の意見としましては、地域特性を生かした町づくりへの影響、御指摘がありました交通、環境問題等について意見が出されたというふうに承知をしております。  大店審は、聴取した意見をできる限り尊重しつつ、繰り返しになりますけれども消費者利益の保護等も考慮して総合的に判断したと理解をしております。  なお、大店法は、繰り返しになりますけれども消費者利益の保護と周辺の中小小売業の事業活動の機会の確保の観点から調整を行うものでございますので、交通、環境問題は考慮要因となっておりません。
  120. 大森猛

    ○大森委員 それではだめだと、現に大店審の審査要領で配慮事項として盛り込まれているじゃないですか。でありながら、結果としては何一つこれが配慮されない。  大店審の結審と民意のギャップでもっと大きい最近の事例を申し上げますと、五月二十日結審しました静岡市の日東紡績跡地ジャスコ建設計画。  時間がありませんのではしょって申し上げますけれども、これは、それこそ消費者も含めて、商業者、学識経験者の意見集約を商工会議所が行いまして、その中で一致して出店凍結という意見集約をされました。さらに、道路、交通、環境の問題がクリアできれば、店舗面積一千平米以内で出店を認める、こういう意見集約をやったわけですね。ところが、結審はどうか。結審はこうした住民の意見が全く無視された。これらの意見集約の最大の要点というのは、こういう交通問題、環境問題、これらをクリアしない、これらのことと四項目の調整は切り離すことはできないのだという、今日の時点では極めて明快な指摘であると思うのですが、一八%削減のみで終わって、地元の新聞は、「「出店凍結却下」に地元衝撃」、こういう大きな見出しで言っているわけですね。この報道の中では、「静岡市商店会連盟の河村新一会長は「最終意見集約は消費者、商業者、学識経験者の全員が一致した結果。これを無視した結果には憤りを超えてあきれるばかり」と語気を強めた。」、こういうぐあいになっているわけです。  本当は、こういう地元意見の集約、商工会議所等の意見集約については尊重する建前もあるし、また最近の、例えば全国連の意見書でも、「商工会等の意見集約は幅広い層から行われており、少なくとも意見集約結果が一つにまとまったものは最大限尊重すべきである。」こういうことをわざわざ改めて要望を出さざるを得ないような状況があるのだと思うのです。  先ほど来出ております日商の提言の中でも、今や大型店問題は、商業調整消費者利益といった経済的規制の範囲を超えた事項を多く抱えている、こういうぐあいに指摘しているわけですね。具体的に交通渋滞等々、社会、生活環境上の問題、森林の伐採、緑地の減少等の自然環境上の問題等を挙げているわけなんですが、こういう点からいって、今や、この大型店問題は町づくり問題を避けて考えることができないということは明らかだと思うし、これこそ大きな流れであると思います。  本委員会で吉井議員が二月に取り上げました諸外国の規制でも、都市計画の観点から各地で行われているわけでありますけれども、大店審の審議のあり方、意見集約等について、審査要領に町づくりに配慮する、こういうことを記載するだけではもはや不十分であるということも明らかではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  121. 越智謙二

    ○越智政府委員 先ほどの大店審の意見集約結果のほかに、考慮要因として、具体的に申し上げますと、その地方の人口の増減度でございますとか小売商業施設の充足度、あるいは大規模小売店舗の占有率といった定量的要因、並びに消費者利益との関係、あるいは中小小売業への具体的な立地場所による影響程度、それから、今御指摘のありました、当該地域の町づくりの計画の有無と計画への影響というのが定性的要因になっておりまして、その限度で総合的な判断をするということで、先ほど申し上げましたように、交通、環境はそこに含まれておりません。  先生指摘の具体的なケースにおきましては、意見集約とそういうもろもろの判断要素を含めまして総合的に判断されたものと理解をしておりまして、意見集約の結果と異なる場合もあることは、制度としてそうなっておりますので、御理解賜りたいと思います。  日商の意見については承知しておりますけれども、これは午前中にも触れましたけれども、現在審議を始めました産業構造審議会と中小企業政策審議会のメンバーにも日商の代表者も入っておられますので、場合によってはそういう点も議論になろうかと存じております。
  122. 大森猛

    ○大森委員 もう時間がなくなりましたので、最後に、大臣に一言だけ伺って終わりたいと思います。  最近、これは千葉県の中小企業総合指導所が県内の消費者団体に意識調査をしたわけなんですが、そういう中で、消費者が今後の商店街に求める事業内容として第一位だったのが高齢者対策、七〇・〇%、コミュニケーションが二位で四五・〇%、この高齢化社会における商店街の役割、あるいは地域のコミュニケーションを支える意味での地域の商店街の役割というのは、本当に大きいものがあると思います。高齢化社会あるいは地域のコミュニケーションを支える、そういう点から、全国各地で、先ほども紹介があったような、それこそ元気のある各商店街でいろいろな試みがやられて、それが一定の成功への道を開いているところもあると思うのですね。  しかし、私もこの間、各地のこういう成功している商店街の事例なども直接お話を聞いてまいりましたけれども、こういう試みを本当にやる際に、いつ隣に大型店が来るかもわからない、それが大きな不安材料になって、こういう高齢化社会で役割を発揮する、コミュニケーションを支える、そういう役割を発揮する上で、やはりこの大型店問題、最大の障害の一つになっていると思います。  この間、私も全国商店街振興組合連合会、全国商工会連合会、日本専門店会連盟、全日本小売商団体連盟、全国中小企業団体中央会と、中小企業関係の主たる団体すべてと、それから横浜市商工会議所初め各地の商工会議所とも懇談を行ってまいりましたが、大臣も言われたように、これ以上の規制緩和反対と共通して出されたわけなんですが、最近はそれにとどまらないで、運用上はさらに強めてほしい、こういうような声にも変わってきていると思います。  そういう意味で、先ほど来の答弁の中で、大臣のスタンスとして、廃止かこれ以上の規制緩和反対か、その範囲でというようなお話もあったわけなんですけれども、そういうものに固定しないで、やはり場合によっては規制強化も必要だということも、そういう決断も必要なときもあるのではないかと思います。  それも含めて、最後に大臣の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
  123. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の大店法という法律、これを強化ということ、これは事実なかなか難しいわけでございまして、そこで今、御存じのように中心市街地活性化、これは法律にするかどうかというのは別でございますが、やはり建設、自治省その他と組むということは、組むというか、一緒になってこれの研究をする、新しい町づくりをするということは、すなわち建設省の方の都市計画、こんなものもこれに使えるんじゃないだろうか、かように思っているのです。  いずれにいたしましても、今のように、全国それぞれ事情が違うので、一つの法律でもってびっしりやることは難しいだろうと思っておりますが、今おっしゃるように、地域地域に合い、また年齢層にも合うような、地域の特色ある町づくり、商店街、これがこれから必要だな、こう思っております。
  124. 大森猛

    ○大森委員 どうもありがとうございました。
  125. 武部勤

    武部委員長 次回は、来る十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十四分散会