○吉田(治)
委員 この問題についてもっと
質問したいのですけれ
ども、時間の都合がありますので……。
では、違法性
判断基準にしないということであるならば、これはまさに、先ほどの合併の
ガイドラインのように、事前相談制というふうなものに移っていくのだと思うのですね。公取委の
ガイドラインに関して、本当に個々具体のケースで事前相談が行われている。そういう中で、公取委と当事者の間で、正直言ってオープンという言い方がいいのかどうかわからない、しかしながら、いろいろなやりとりがある。もしそれが事実であるならば、
ガイドラインは公取委の裁量の
範囲を狭めるものではなく、もしかしたら公取委の恣意的
判断の隠れみのになるのではないか。そういうふうな疑惑ということも
感じられなくもないんですね、今の
委員長の話を聞いていますと。
実は、さっきの合併の
ガイドラインの話ですけれ
ども、重点審査
基準ということで、個々具体の事例の適法、違法についてだれがどこでどんなふうに決めているのかはっきりしない。先ほどの合併のところの続きを読んでいきますと、個々具体の
会社合併が
独占禁止法上問題となるかどうかの
判断が容易ではないこともある、だから公取委が事前に個別の相談に応じると。
私が知っているのは、これまで
企業合併について公取委が当事者の事前相談に応じていて、合併について
独禁法上問題となる事柄を
指摘し続けているということなんです。でも、こうした事前相談の
内容は、当事者以外には詳細には開示されていない。事前相談の中で公取委は何をやっているのか、私は大きな疑問を
感じざるを得ない。
先日の
フリーディスカッションでその話をしましたら、早速公取の担当の方から、いや、
先生、「結合事例」というのを、こんなのを毎年出しているのですと資料を持ってこられました。私はこれを読ませていただきまして、これは新聞発表を代議士のところに、さも、私はやっているのだと言わぬばかりに持ってくるというのはいかがか。
内容的にも、では、これを見てこれから
企業合併をしようという人たちが、うちはこれによったら
企業合併できるのかなとうかな、そんなものは何も書いてないですね。
例えば、私の手元にあります「平成六年度における主要な
企業結合事例」。「事例一 三菱化成と三菱油化との合併」、この三ページ「考慮事項」の中の「ア」、いろいろ
問題点はあるけれ
ども、最後、「輸入量が増大
傾向にある。」。「イ」「基礎製品」「海外メーカーもかなり優位な供給者とみられる。」。同じく「(イ)」「他の共同販売
会社が有力な
競争者として存在する。」だから「実質的に制限することとなるとはいえない」。基礎的データは何もないのです。情念の言葉です。「輸入量が増大」、どう増大しているの。「優位な供給者」、どう優位な供給者なの。「有力な
競争者」、どう有力な
競争者なの。まさに事前相談制度の
問題点というのは、それができていないと私は前から申し上げているのです。
よろしゅうございますか、
企業が合併をしたい、後ほど申し上げますけれ
ども、先日の参考人質疑で専修大学の鶴田
先生は、いや、
日本もアメリカのように、反トラスト法の運用は判例中心で白黒つけたらいい、そういうふうな形で白黒つけていけばいいというお話でしたけれ
ども、
日本はそれ以前の問題として、事前相談で来て、イエスかノーかという話が来ているわけです。
新
日本製鉄が合併して、今になってどういう話が言われているか。この
持ち株会社解禁のときにおいて、鉄道レールが、富士と八幡が一緒になるとシェアが一〇〇%になる、だから、そのときに公取委はどうアドバイスをしたか心合併はするのは構わないけれ
ども、この鉄道レール一〇〇%についてはよくないから、ほかの業者にもさせるようにしなさい。それから
日本の鉄道のレールは、富士、八幡のみならずほかの製鉄
会社もするようになった、こういうふうなことが、合併されて何年もたってから出てくる。それであるならば、何のための事前相談制度なのか。
そしてもう
一つ言えるのは、結合事例ばかりで、なぜだめなのかということが全然述べられていない。新聞発表に行かない事例もたくさんある。
企業のそういう秘密、
企業秘密の保護等には
一定の配慮をしなければなりませんけれ
ども、例えば事例集として当事者の名称を匿名にするなど工夫をして出すことがない限りは、正直申しまして
国民全体は、こんな言い方、よくないかもしれません、
委員長はそうお考えでないかもしれませんけれ
ども、公取委というのは、
委員長は検察の御出身ですから、
国民が検察に対して抱いている信頼感というものを、では公取委が持てるのかな、
国民の味方の公取委になれるのかな。どうも見ていると、実質的にはどこか裏の
世界、失礼、裏と言ったらよくないです、公取委と
企業がどこかに集まって、これはあかん、これはいい、するにはこうしなさいと、まさに今問題になっている実質の許認可になるのではないかな、そういう危惧を抱くのです。今後のこの事前相談制度における
持ち株会社の情報開示等を含めて、公取委の
委員長、どうお考えなのですか。