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1997-05-09 第140回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月九日(金曜日)     午前九時三十四分開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       小澤  潔君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    岸田 文雄君       河本 三郎君    自見庄三郎君       中島洋次郎君    中山 太郎君       林  義郎君    船田  元君       伊藤 達也君    石井 啓一君       鍵田 節哉君    神田  厚君       古賀 正浩君    島   聡君       島津 尚純君    鈴木 淑夫君       中野  清君    松浪健四郎君       吉田  治君    末松 義規君       松本  龍君    渡辺  周君       吉井 英勝君    横光 克彦君       前田 武志君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         経済企画政務次         官       河本 三郎君         通商産業大臣官         房審議官    藤島 安之君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ――――――――――――― 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     松浪健四郎君   達増 拓也君     鈴木 淑夫君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 淑夫君     達増 拓也君   松浪健四郎君     鍵田 節哉君     ――――――――――――― 五月九日  一般廃棄物リサイクル推進に関する陳情書  (  第二八四号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第六八号  )      ――――◇―――――
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本日の委員会は、議題となっております法律案について、各会派委員から十分以内で順次意見を述べていただいた後に、委員間における自由な討議を行います。  討議を始めるに当たりまして、一言申し上げます。  今回の独占禁止法改正案は、戦後一貫して禁止されてきた持ち株会社解禁するものでありまして、昭和二十二年の法律制定以来の大改正であります。  当委員会といたしましても、このような重要法案につきましては格別の審議を重ねることが必要と判断し、四月二十二日の政府に対する質疑に続いて、五月七日に参考人質疑を行い、そして本日、皆様の御了解を得まして、本委員会としては新しい試みとしてこうした自由討議の場を設けることになった次第でございます。  本日の討議の成果を皆様の今後の法案審議にお役立ていただきますよう委員長として期待しておりますので、各委員におかれましては、活発な御討議をお願いいたしたいと思います。  では、各会派の御意見を賜りたいと思います。  まず、自由民主党の中山成彬君から御意見をお述べいただきたいと存じます。
  3. 中山成彬

    中山(成)委員 今回の独禁法改正は、財閥復活防止するための規定である第九条を五十年ぶりに改正しようとするものでございます。これまでにも何度か持ち株会社解禁論主張されたことがありますが、独禁法改正が現実のものとなるのは今回が初めてであります。  私は、昭和四十七年から二年間、公正取引委員会に勤務しておりました。不況カルテル合理化カルテルの審査、第一次オイルショック後の狂乱物価時代で、商社の行動が目に余るということで、総合商社実態調査を担当いたしました。この調査が五十二年改正での九条の二になったものです。  今国会で、適用除外カルテル等が廃止され、持ち株会社解禁や九条の二の見直しが論議されるわけで、まさに四半世紀の間の日本内外経済情勢変化、そして独禁法公正取引委員会役割変化を人一倍感じております。  さて、経済ボーダーレス化が急速に進展し、大競争メガコンペティション時代と言われる今日、我が国企業が、欧米に例を見ない持ち株会社規制によって国際競争力を弱められているとしたら問題です。また、企業の自由かつ公正な競争を促進し、その中で企業創意工夫ができるだけ生かせるような企業環境を整備し、活力あふれる経済構造を築いていくことが今求められています。  このような時代認識は、党派を超え、国民各層共通認識するところであると考えています。このような認識に立って、抜本的な規制緩和行政改革経済構造改革が推進されているところでありますが、独禁法についても、自由かつ公正な競争を維持促進するという基本は不変の原則として維持しつつ、時代、社会の変化に対応して、その具体的な規制のあり方については必要に応じて見直していくべきものと考えます。  その意味で、今日、事業支配力過度集中防止という独禁法の目的を踏まえつつ、持ち株会社という経営手法一定範囲内で利用できるようにするという改正は、大変意義のあるものと考えます。企業活動をできるだけ自由にするということは望ましいところですが、同時に、事業支配力過度集中を招いたり、不当な取引制限や不公正な取引方法が頻発するようなことになることも望ましくありません。そういう事態にならないよう、考えられる手だては整えておくべきだと考えます。その意味で、今回の改正法案は、いろいろな論議のあることは承知しておりますが、大いに評価したいと考えます。  なお、規制緩和や今回の持ち株会社解禁等に伴い、独禁法公取委役割は一層重要なものになると考えています。我々としても、公取委に対して、言うべきことは言いつつ、その活動に対して大いに期待し、支援していく必要があると考えています。  以上、私の個人としての考え方を述べさせていただきましたが、次に私は、与党独禁法協議会におけるメンバーとして、当委員会林先生甘利先生横光先生とともに、持ち株会社解禁問題にかかわる議論に参加いたしましたので、皮切りとして、与党独禁法協議会における議論論点及び合意内容を簡単に御紹介したいと思います。  与党独禁法協議会は、自民から五名、社民から三名、新党さきがけから二名の計十名で、本年一月二十九日から二月二十五日まで十一回にわたり会合を開催し、公正取引委員会から説明された改正案を踏まえて持ち株会社解禁問題について精力的に検討を行い、その結果、二月二十五日に独禁法改正に関する三党合意を取りまとめたものであります。この三党合意に基づきまして政府において独禁法改正案を作成し、三月十一日に内閣総理大臣から国会に提出されました。  それでは、与党独禁法協議会において特に議論となった論点について御紹介いたします。  まず、解禁位置づけでございます。今回の独禁法改正が、独禁法及び公正取引委員会弱体化につながるのではないかとの懸念に基づきまして、今回の独禁法改正位置づけを明確にすべきであるという主張がありました。  この点につきましては、与党三党としても、我が国経済において独禁法が重要な役割を果たしてきた点及び今後の規制緩和の推進に伴って競争政策をさらに積極的に推進すべきであるという点で認識が一致しておりまして、三党合意においては「独禁法が過去五十年間において公正かつ自由な競争確保することにより日本経済発展に果たしてきた役割を高く評価する。」ことを確認し、この共通認識を前提として、「今日では経済構造改革金融改革を進めることが強く求められている。企業経営多角化多様化を図ることは、大競争時代といわれる国際競争時代を考えても必須である。 従って、持株会社解禁することとしたい。」ということで合意いたしました。  このような持ち株会社解禁の方向の確認に基づきまして、持ち株会社解禁範囲監視手段金融持ち株会社の扱いなど一個別の論点について議論が行われました。  解禁範囲。第九条の規制に照らして、事業支配力過度集中することとなる持ち株会社禁止することに対しては、与党三党から特段の異論はありませんでしたが、「事業支配力過度集中することとなる」の内容について、さまざまな議論が行われました。その結果一事業支配力過度集中定義する際に留意すべき点としては、「戦後過度経済力集中排除法その他の立法により解体された財閥復活することがなきよう考え、また、不当な系列取引等をもたらすことのないよう経済力過度集中防止に配慮しなければならない。」と三党で合意したものであります。事業支配力過度集中することとなる持ち株会社三つ類型が今回の法案定義されていますが、これらは三党合意趣旨を踏まえたものであります。  禁止される持ち株会社範囲につきましては、法律にその定義をした上で、さらに規制明確化を図る観点から、公正取引委員会ガイドラインを示すとの案が示されました。公正取引委員会ガイドラインを作成することの当否について議論が行われましたが、その結果、禁止される持ち株会社については法令で明らかにし、「法令で明らかにしきれない場合はガイドラインを策定するが、そのガイドライン法令範囲内のものでなければならず、また、立法府の意見を十分聴取し、それを踏まえて策定されなければならない。」と三党で合意されました。今後、公正取引委員会においては、国会における法案審議等を踏まえて、客観的かつ明確なガイドラインを作成されるものと考えております。  禁止される持ち株会社のうち、規模が巨大で国民経済に影響を与える持ち株会社につきましては、その規模をどの程度にするかをめぐって議論が行われました。  この規模については、公正取引委員会から総資産二十兆円とする案が示されましたが、社民党から総資産十兆円との主張があり、自民党、さきがけから十兆円では低過ぎるとの反論があり、議論の結果、持ち株会社グループ規模が十五兆円程度とすることで三党で合意されました。この十五兆円という数字は、現在の六大企業集団のうち最小の企業集団の主要なメンバー持ち株会社によって統括される場合の規模に匹敵するものであります。  次に、届け出義務の対象となる持ち株会社範囲につきまして、公正取引委員会から総資産五千億円を超えるものとする案が示されましたが、社民党及びさきがけから三千億円との案が出され、議論の結果、届け出対象となる持ち株会社規模については、総資産三千億円ということで三党で合意に至りました。  金融持ち株会社につきましては、金融資本による産業支配他業進出に対する懸念から、金融持ち株会社は特に厳しく規制すべきであるという主張と、金融ビッグバンを進めるに当たって金融機関持ち株会社方式の利用をできるだけ自由にすべきであるという主張がありましたが、議論の結果、独禁法においては、一般の持ち株会社と同様、金融持ち株会社についても事業支配力過度集中することとなるものを禁止することとした上で、「金融持株会社解禁に伴い、金融業の持つ預金者保険契約者投資者保護等のための規制業務範囲ファイアウォール、ディスクロージャーなど)も必要であるとの観点から、別途金融関係業法改正を早急に行い、独禁法施行に間に合わせ国会に提出するよう努める。」と三党で合意いたしました。  その他の論点といたしましては、第九条の二及び第十一条や改正法案見直し期間について議論が行われましたが、第九条の二及び第十一条につきましてはその規制を維持することとし、見直し期間につきましては、五年とすることで三党で合意したところであります。  第九条の二の規制につきましては、先ほど述べましたように、オイルショック後の商社活動が目に余るものであったことにかんがみ、大規模会社株式保有について、純資産または資本金によって決定される基準額を超える株式保有を総額をとらえて禁止するという規制が導入されたものであります。この規制につきましては、関係方面から撤廃すべきではないかと主張されているところでありますが、私個人としては、先ほど述べましたように、当時総合商社に対する調査を担当した者としての経験から申し上げますと、基本的には存続すべきではないかと考えております。  独禁法以外の問題といたしましては、持ち株会社解禁によって生ずる労使間問題があり、昨年はこの問題について与党三党における合意が得られなかったものでありますが、今回は、この問題につきましては日経連経団連連合の間で御検討をお願いいたしまして、二月二十五日に合意に至った旨報告を受けたところであります。  この合意におきましては、「独占禁止法改正による持株会社自由化に伴う労使関係の対応については、労使協議の実が高まるよう、労働組合法などの改正の問題も含めて今後検討し必要な措置をとることとする。なお、検討期間は二年を目途とし、連合日経連経団連意見を十分に反映するものとする。」等の内容附帯決議とすることとされております。  この合意を受けて、どのように対応していくか、既に労働省から、国会における審議を踏まえてしかるべく対応していくといった趣旨の答弁もなされているところでありますが、労働省とも相談しながら進めていく必要があると考えております。  以上、私見を交えて御報告させていただきました。私個人としてもまだ詰め切れないところもありますが、きょうの討議を通じて論点が明確に整理され、持ち株会社解禁という歴史的な改正が行われ、国民生活の向上のために有益なものとなりますよう期待するものであります。  以上でございます。
  4. 武部勤

    武部委員長 次に、新進党鈴木淑夫君にお願いいたします。
  5. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 新進党鈴木淑夫でございます。本日は、このような機会を与えられまして大変光栄に存じまして、喜んで参上いたしました。  新進党を代表してということでございますが、問題の性質上、どちらかといえば、委員先生方の御討議のお役に立つような問題点を私なりに整理して申し上げまして、それぞれの問題の所在について、この後先生方の御議論に多少ともお役に立てばという立場でお話ししてみたいと思います。  ただいま中山委員もおっしゃいましたように、戦後長い間禁じられてきました純粋持ち株会社、これは、財閥復活を阻止するという観点独禁法の九条に規定されております純粋持ち株会社一定条件をつけてとはいえ解禁をしよう、この大きな変化は、さまざまな時代的な背景変化、そこからの要請に基づくものであることは言うまでもありませんが、私は、一番大きな時代要請といいますか背景変化は、いわゆる経済グローバル化、申すまでもなく、各国経済各国マーケット地球規模で統一されてきている、その地球規模の大きなマーケットの中で、メガコンペティションと呼ばれるような厳しい競争が行われる、大競争時代に入っているという事実だというふうに思います。このことから、少なくとも二つ要請が出てくる。  一つは、国内市場シェアを問題にして、過度事業支配力が起きやしないかということを、これまでは割とそういう観点で、国内観点議論しがちでございましたが、今度この九条の改正を考えるときに見落としてはいけないことは、たとえ国内シェアが相当大きく見えましても、その市場というものが、性質上諸外国市場とつながって完全にグローバル化しているときは市場支配力が全く違ってきてしまうわけでありますから、そういうグローバル競争条件がある場合は、これまでの発想で単純に国内市場シェアを問題にして言ってはいけない、これが大事なポイントの一つではないかと思います。  それからもう一つは、主要国トップ米英、それからヨーロッパ大陸でもフランス等は、御承知のように既に純粋持ち株会社を活用して企業競争力を高めているわけでありまして、したがって、このメガコンペティション時代日本だけが純粋持ち株会社禁止していることによって、日本企業グローバル化した市場の中で競争力を失うというか、相対的に手足を縛られた形で競争せざるを得ないこのハンディキャップ、こういうものをやはり考えた上で今度の法改正をするのだという視点。この二つ視点が私は非常に大事だというふうに考えております。  今申し上げましたように、純粋持ち株会社というのは競争上非常に有利であるというふうに申し上げましたが、具体的に私は四つぐらい少なくとも利点があるというふうに思います。  一つは、いわゆる事業多角化の利益、スコープメリットですね。スケールメリットという言葉がありますが、これは規模経済性企業が大きくなることによって効率が上がるという規模経済性。ここで問題にしているのはスコープメリット。たくさんのスコープを持つことによってそのグループ経営効率が上がるという、このスコープメリットをフルに発揮するためには、純粋持ち株会社のもとにさまざまのスコープ事業分野を持った子会社が並んで、それ全体を効率的に事業を行わせていく。このスコープメリットを発揮する上で、純粋持ち株会社解禁されている国とそうでない国の間でハンディキャップが起きるということであります。  二番目は、資金面からいきましても非常に資金効率がよくなる。いわゆるダブルレバレッジがきくということでありまして、持ち株会社が調達した資金、これは持ち株会社増資ということもありますが、持ち株会社増資すれば、その自己資本充実ばねにして社債発行等々によって資金を調達してくる。それを今度は子会社増資資金という形で投資していきますと、子会社はその自己資本充実ばねにしてまた社債コマーシャルペーパー、借り入れ等々の形で資金調達力を高めてくる。グループ全体としては今言ったように二重のレバレッジがきいてきまして、資本資金効率がよくなる、だから競争力が強いという点であります。  三番目は、純粋持ち株会社形式をとることによりまして、新規事業を行う子会社リスクを限定化して、グループ全体に波及するのを防ぐ。しかし、その子会社リスクをあえてとって新規事業に挑戦する、こういうことをやりやすくするということがありまして、これもまた諸外国ベンチャービジネスが非常に伸びてくる、それに対して日本はそれがやりにくいというハンディキャップを負っているという点であります。  四番目は、今度は逆に、特定の事業分野を持つた子会社、特にこの場合は預金を扱っている金融機関銀行等ですね、ここに他の事業を行っている、例えば証券業とか保険業等々を行っている子会社リスクが波及してこないようにファイアウォールを立てる上でも、現在の日本では事業持ち株会社親子関係でしかやれませんが、純粋持ち株会社解禁になることによってファイアウオールをもっと立てやすくなって、預金取扱金融機関リスクが波及することを防ぎながら、なおかつスコープメリットを発揮できるような多くの業種を一つグループとして経営できる、こういうメリットがあるというふうに思っております。  以上は、先生方承知のとおりのことをただ私が整理しただけでございますが、この四つメリットというのは、これまでも日本でやれた事業持ち株会社にも若干はありますが、純粋持ち株会社の方がはるかにこの四つメリットを発揮しやすいということは言うまでもないところでございます。  こういうメリットがあるからこそ、日本会社、例えば日本銀行——米国ではすべて持ち株会社として登録しているわけですね。持ち株会社メリットをフルに使って競争しないと不利だからであります。また、米国自身銀行を見ましても、銀行持ち株会社というのは商業銀行の七割以上です。また、商業銀行資産の九割以上を純粋持ち株会社金融持ち株会社が持っている。銀行持ち株会社が持っているわけで、いかにこの純粋持ち株会社のシステムを活用することが経営効率に有利に働くかということは、このこと一つ見てもわかるのではないかというふうに思います。  最後に、私ども、この法改正に当たってよく議論してみなければいけないなと思うことを幾つか御参考までに申し上げまして、私の話を終わりたいのですが、まず第一は、事業支配力過度集中定義しているわけでございます。特に三つ類型を使って定義をしているわけでございますが、よく考えてみると、事業支配力集中それ自体が悪いわけじゃないのですね。事業支配力集中したって、そのことによって競争阻害が起きていなければいいわけです。  特に、グローバル化していますから、国内だけ見て事業支配力集中しているように見えたって、グローバルにつながった市場で厳しい競争が行われていれば競争条件阻害は起きないわけでありますから、そこのところを間違えないように考えないといけないのではないか。外形標準で余りにも予防的に防止をしますと、実は、せっかく解禁したのに諸外国に比べてまだ日本企業手足を縛られているということになりかねないということを私は懸念しておりまして、この点に諸先生方注意を喚起させていただきたいというふうに思います。  また、これとの関係で、伝統的な考え方として、金融資本の方が産業資本より強い、だから金融資本金融持ち株会社による過度支配を避けなければいけない、したがって金融持ち株会社金融以外の子会社を入れちゃいけないということを考えているわけで、私はとりあえず日本ではそれでいいとは思いますが、これまたややチャレンジングなことを申し上げて恐縮でございますが、金融資本の方が産業資本より強いというのはやや古典的な考えでございまして、経済学では今はそれは必ずしも常識ではございません。  十九世紀の終わりから二十世紀の初めぐらいまでは、金融資本による産業資本支配というのは事実としてありましたし、金融資本の方が強かったわけです。日本高度成長時代には断然金融資本が強かった。  しかし、現代においては、産業資本だって信用があれば証券化したこの金融の世界で幾らでも資金調達ができますから、むしろ信用の強い産業資本の方が金融資本より強いかもしれない。逆に、金融資本というか金融機関自分グループに引っ張り込むぐらいの資本支配力を持った非金融会社というのは幾らでもあるわけですね。諸外国の例を見てもそういうのは幾らでもありますから、何となく金融資本産業資本より当然強いのだということで法が構成されていることについても、この段階ですぐ直せとは申しませんが、先生方の御注意を私としては喚起させていただきたい。もう少し柔軟に考えないと、時代変化と食い違って、取り残されるということでございます。  それから、純粋持ち株会社解禁した場合に、純粋持ち株会社になる方法として、現行の商法はいわゆる抜け殻方式子会社に営業すべてを現物出資して自分持ち株会社に変わる抜け殻方式だけが可能だと思うのですが、御承知のように、株式交換方式というのがもう一つあり得るわけですね。子会社の株主が保有する株式新規に設立した持ち株会社株式と交換する方式であります。抜け殻方式は、これは債権譲渡の通知、債務引き受けの承諾、内外での行政上の免許等の再取得とか、いろいろ煩瑣なことがあります。それに対して株式交換方式の方は簡単でございますから、これを可能にする法整備というものも考えていいのだというふうに思います。  その場合に、もちろん税法上の問題がございまして、抜け殻方式の場合には、法人税法の五十一条の圧縮記帳の範囲を拡大しないと、これは簿価から時価に変わることによって税金を取られてしまうという問題があります。  それから、今私が申しました株式交換方式の方がはるかに容易でありますから、ぜひこれを合法化した方がいいのじゃないかと思っておりますが、この場合も、株式を交換した時点で株式譲渡益に課税を行ってしまうとこれはやはり非常に不利でありまして、課税は先に延ばしていただかないと困る。そういう配慮が必要かと思います。  以上は、持ち株会社化を容易化するという観点。  もう時間が過ぎてしまいましたので、あと項目だけ二つ申し上げたいと思います。  これは連結ベースをもっと重視する、連結ベースのディスクロージャーを一段と充実させる必要があるし、また納税も、私ども新進党主張しておりますように、連結納税制度の導入というのを早く考えた方がよろしい。純粋持ち株会社解禁する以上、連結納税制度の導入を早く始めた方がよかろうというふうに思います。  最後に一つ金融持ち株会社の検査監督はどこの官庁がどうやって行うかという問題が残っております。  金融持ち株会社子会社金融機関がある、例えば銀行,証券、保険と並んでいる場合に、銀行、証券、保険には検査に当然入るし、検査監督の官庁ははっきりしていますね。上にいる金融持ち株会社はどうするのだという問題があるように思います。  以上でございます。やや長くなって申しわけございませんでした。
  6. 武部勤

    武部委員長 次に、民主党の大畠章宏君にお願いします。
  7. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  独占禁止法改正案についての民主党の基本的な考え方を申し上げたいと思います。  基本的な考え方を申し上げる前に、この独占禁止法改正案をまとめるに当たって、林先生初め与党の皆さんがかなり熱心に御論議をされ、ここまで練り上げてきたことに対しては心から敬意を表したいと思います。  それでは、民主党の基本的な考え方を申し上げたいと思います。  経済グローバル化と大競争時代を迎え、企業活動の活性化やベンチャービジネス振興等に資する規制緩和等を通じて、我が国経済構造改革の一層の推進を図る必要がございます。このため、競争政策の分野でも、制定後五十年を迎えた我が国独占禁止法の基本目的についてはしっかりと堅持をしながら、同時に、今日的に見て、独占禁止法の目的達成のための必要十分な範囲を超えて一律かつ過度規制となっている部分があれば、これを見直すことは必要であります。  第九条の持ち株会社禁止とその後追加された第九条の二の大規模会社株式保有制限等の一般集中規制条項は、戦後解体された財閥復活防止、六大企業集団等の中核に位置する総合商社等による大量の株式保有による支配力拡大防止、さらに日米構造協議等で問題とされました我が国企業特有の閉鎖的な系列関係の是正等、我が国経済の民主化と事業者間の公正かつ自由な競争を促進する上で大きな役割を果たしてきたものと考えます。  これらの一般集中規制は、個々の市場における競争制限効果のみに着目をした十条の株式保有制限や十五条の合併規制などに置きかえられるものではなく、橋本総理も先日の本会議で、これらの規制を全面的に削除して、事業支配力過度集中することとなるような持ち株会社などの存在が許された場合、市場への自由な参入、取引先の選択の自由や取引条件の自主的な設定というものが制約され、市場メカニズムの機能が妨げられるおそれがあると答弁しているとおり、これらの規定の基本的枠組みはぜひとも堅持していくべきであると考えます。  以上の基本的視点を踏まえて、第九条については、第一条に掲げられている事業支配力過度集中防止するという目的に反しない範囲で、具体的に持ち株会社解禁の求められているのはどういう分野か、規制基準の明確化確保できるか、独占禁止法の他の規制との整合性を損なわないかなどの諸事情を勘案すると、今回の政府案で示されているとおり、六大企業集団内の一つに属する幾つかの有力企業を束ねるような規模持ち株会社等を禁止のターゲットとして、上位二百社の個々の企業に相当するような規模持ち株会社を常時監視下に置くという考え方は、おおむね合理性、妥当性を持つものと判断できます。  ただし、事業支配力過度集中することとなる持ち株会社範囲については、本来法律の中で十分に明確にすべきで、今回の定義規定でこれが十分明確にされたとは言えません。このため、ガイドラインを設けることはやむを得ないと考えますが、その策定に当たっては、立法府の意見を十分に踏まえ、個別事案ごとの裁量的判断の余地をできる限り少なくするよう、法律要件及びその解釈基準の明確化に努めることが必要と考えます。  また、持ち株会社事業活動の実態を常に的確に把握し、内部成長等その後の状況変化によって事業支配力過度集中することとなる場合には、機動的かつ厳正な排除措置をとることが必要であります。  第九条の二については、既に上位二百社相当の大規模会社に限った合理的規制であり、今回共同分社化や一〇〇%子会社ベンチャービジネス株式を適用除外株式に追加することで必要十分な規制緩和効果も期待できることから、これも合理性、妥当性を持つ改正であると判断いたします。  持ち株会社解禁我が国経済構造改革を進める上で必要なことであるとしても、このことが我が国の社会経済活動に及ぼすさまざまな影響については、これを十分に解明し、特に労使関係や消費者、独立事業者等に悪影響を及ぼすことは何としても防止しなければなりません。  このため、次の四つのポイントを申し上げたいと思います。  第一に、金融持ち株会社に関する法整備に当たっては、これまでの金融不祥事等の事件の再発防止も十分念頭に置きながら、また米国の銀行持株会社法も大いに参考にしながら、金融機関の健全性確保預金者等保護の観点から、事業子会社及び兼業の規制グループ金融会社間のファイアウォール規制等についての厳格なルールを設けることが必要です。  第二に、我が国では、奥村宏教授も述べておられますように、企業集団内の株式持ち合いや金融機関による株式保有率の高さ等がいわゆる法人資本主義といういびつな構造をもたらしており、こうした状況を見直し、健全な個人投資家が拡大するよう、証券市場の改革を図るとともに、子会社事業活動等についてのディスクロージャー、少数株主の権利保護等の面で、商法や証券取引法の見直しを図ることが必要であります。  第三に、企業グループにおける労使協議の実を高め、労使関係の安定を図るため、さきの労使団体間の合意を重く受けとめ、政府労働省の責任において、労使関係者を含めた協議の場を設け、労働組合法改正問題を含め、今後二年をめどに検討し、必要な措置をとることが必要であります。  また、分社化等に伴う労働契約関係上の問題について、労働基準法の精神を踏まえ、適切な労働基準監督行政を行うとともに、終身雇用の崩壊等の雇用慣行の変化の中で労働者の権利が損なわれることのないよう、労働基準法の見直し、拡充も検討すべきであります。  第四に、経済全体の規制緩和企業結合の複雑化が進むと、これらを背景に、市場における独占力行使や競争制限的行為が行われ、独立事業者や消費者の利益が損なわれるおそれがあります。このため、引き続き競争政策及びその執行体制の一層の強化を図ることが必要です。  その際、公正取引委員会行政委員会としてのあり方についても、その時々の政治情勢や与党からの圧力に応じて簡単に筋を曲げてしまうようなことがあってはならず、一層独立性、専門性を高める方向で検討すべきと考えます。  以上、民主党としての基本的な考え方を申し上げました。  以上であります。
  8. 武部勤

    武部委員長 次に、日本共産党の大森猛君にお願いします。
  9. 大森猛

    ○大森委員 日本共産党の大森猛です。今回の持ち株会社の条項についての改変は、五十年ぶりになるものでありますけれども、先般の委員会での、五十年間なぜ持ち株会社禁止してきたのか、こういう私の質問に対して、公取の方からは三つの理由を挙げられました。  一つが、持ち株会社の持つ反競争性。二つが、沿革的理由。そして三つが、市場の開放性、透明性の確保日本経済の実態から来るこういう三つの理由を述べられたわけでありますけれども、この三つの理由からいって、持ち株会社解禁するという理由は何一つ出てこないということであります。  したがって、日本共産党はこの解禁に反対をするものでありますけれども、きょうの議論でも、あるいはこれまでの当委員会での議論の中でも共通して言われているのは、メガコンペティションあるいはグローバルスタンダード等、経済環境の変化国際競争力との関係で、持ち株会社解禁をうたわれているわけであります。  しかし、共通しているのは、だれが何のために国際競争力をつけるのかという点はあいまいなままで、この点で、先日の当委員会での私の質問に対し、与謝野官房副長官が正直に答弁をされております。つまり、持ち株会社解禁すればなぜ国際競争力が強まるのかという私の質問に対して、経営者にとっては欧米先進諸国との競争場裏において同じルールで戦うことができる、そういう意味である、こう答弁をされました。  これには二つの問題があると思います。一つは、ここにあるのは、消費者、労働者、国民の視点ではなく、経営者、それも既にグローバル規模企業視点ということであります。もう一つは、これまで日本がルールなき資本主義と言われてきた、国際的にも批判を受けたその中身というのは、持ち株会社禁止ということではない。  先日の実方謙二参考人も、国際的な常識では、日本競争政策がこれまで十分に実施されてこなかったため、日本企業が有利になったり、日本市場が閉鎖的になっており、これを是正するためには、日本における競争政策を強化するべき、こう述べておられるところであります。  第一の点について申し上げれば、戦後の日本経済を貫いてきたのが、結局、大企業の国際競争カイコール日本経済の発展、こういう立場であったと思います。その結果、私たちは日本経済二つの顔と呼んでおりますけれども、非常にゆがんだ今の日本経済の姿がつくられてきたと思います。  第一の顔は、経済大国日本の顔。これは言うまでもなく大企業の顔であります。第二の顔は、経済大国日本とほど遠い国民生活がおくれた今の日本の顔。  第一の顔の点でいえば、例えばフォーチュン誌世界企業番付、一九六四年では二百社中十一社だった。それが、一九九五年ではその約三分の一、六十二社になった。あるいは粗鋼生産については、国、企業とも世界トップ。自動車は、世界全体の生産量の二九・八%。さらにVTRの生産ウエートでは九二・二%。半導体については、日本企業が三六・七%を占める、こういう超一流の姿をあらわしている。  一方で、第二の顔である国民生活関係でいえば、例えば労働時間一つをとってみましても、ドイツでは九五年に既に週三十五時間、フランスでは八〇年代に三十九時間。ところが、日本ではやっとことしの四月に四十時間、しかも極めて不十分な状況というわけであります。こういう点につきましては、実は私どもだけではなくて、盛田昭夫元ソニー会長が、かつて、五年ほど前になりますけれども、「「日本経営」が危い」、文芸春秋で見解を披瀝をされております。  これを若干紹介をしますと、「「欧米に追いつけ、追い越せ」という共通の目標のため労使が一体となって技術をみがき、生産効率を上げ、品質の向上に励むという欧米とは異なった企業風土を生み出すこととなりました。」「政府の産業振興政策の影響もあって、各分野で過当競争といわれるような熾烈な競争が行われるようになったのです。」「こうしたやり方は企業の体質を強化することに大きく役立ってきましたが、その半面、利益を従業員や株主、または地域社会などに還元していくという側面が陰に隠れてしまったきらいがあります。」  労働時間、給与水準あるいは労働分配率、欧米とは大きな格差、これを紹介されて、結論的に、「欧米から不信の目で見られているような状況は何としても変えていかなければなりません。そのための大事な一歩として、日本企業が欧米と整合性のあるルールの上でフェアな競争をしていくことが何としても重要なのです。」  その点で幾つか述べておられるのですが、その中身というのが、一つが、「生活に豊かさとゆとりが得られるように、十分な休暇をとり、労働時間を短縮できるよう配慮すべきではないか」「現在の給与は、企業の運営を担うすべての人達が真の豊かさを実感できるレベルにあるのか。」三番目が、「欧米並みの配当性向を確保するべきではないか」その他、「積極的な社会貢献に努めるべきではないか」とか、あるいは、環境保護、省資源対策に十分配慮しているか、こういうことを述べられているわけです。  「このことが欧米と整合性を持った競争ルールの確立を通じて欧米の対日不信感を払拭し、グローバルな課題解決のための日米欧の緊密な協力関係を築き、ひいては豊かな日本の創造にも結びついてくる」、こういうぐあいに述べられているわけでありますけれども、私は、あえてきょう持ち株会社解禁の問題に当たって、こういう視点が今必要ではないかということを述べたわけであります。  今、こういう中で、大競争時代国際競争力を強めるなどの政策は、ますますこういう二つの顔、ゆがみを増すことになっていくのではないかと思います。私ども日本共産党は、最近も「新・日本経済への提言」こういう提言も行っております。この二つの顔、日本経済の持つ大きなギャップがなぜ生まれたのかという点から出発して、財界からの戦略的方向ではなくて、国民の側からの日本経済再建の戦略的方向を示しているわけであります。  国際的な経済力についても、もちろん弱い方がいいということではなくて、日本経済の土台でもある、国民生活の基盤でもある中小企業、農業をもっと力をつける施策をとって、大企業も含めて全体として日本経済が大きな力を持っていく、そういう立場を目指しているわけであります。  あと、具体的にまず三つ類型についてでありますけれども、実方参考人は法案支持を表明されながら、しかし意見表明の中では大変重大な問題も指摘をされております。  過度経済力集中規制基準を設定することは技術的に困難だ、だからこれまで全面規制されてきた。それでは、今回の法案過度経済力集中防止についてこの技術的困難が克服されているかといえば、これはやはりされていない。なぜなら、これは実方氏は、過度経済力集中防止についてそれが有効に実現できるかどうかは運用いかんに左右されると陳述されていることからも明らかだと思います。  大体この九条五項あるいは定義の改変の部分については矛盾と問題点に満ちているのではないか。財閥復活の可能性はないと言いながら、類型あるいはガイドライン財閥復活を想定した、そういうものになっております。  それから第一類型企業グループ規模についても十五兆円、根拠について若干先ほど説明がありましたけれども、委員会の質問でも申し上げたように、公取委員長自身が、あるようなないようなというような非常に根拠があいまいなものであるということ。  あるいは公取委の四章研中間報告とその後の動き等を見ても、過度経済力集中防止の基準の策定あるいは権限の行使という点で、その力を本当に発揮できるかという点にも大いに疑問があるわけであります。  現実の経済の中でさまざまな組み合わせの持ち株会社が可能になってくるわけで、例えば第三類型では、都市銀行三位の住友、証券一位の野村証券、こういう企業を傘下にする持ち株会社も可能になるという点で大変重大な問題があるのではないかと思います。  さらに、先日の参考人質疑の中でリストラ問題を伺いましたけれども、労働組合幹部の方が再三にわたって繰り返し、雇用責任、使用者責任の不明確性への懸念を表明されたわけでありますが、同じ参考人質疑の席上で私の方から、新日鉄幹部の持ち株会社に雇用責任を求めるのは筋違い、こういう発言に対して弓倉参考人が、全く異論はないと述べられました。これはいろいろな面で、いろいろな場でこういう発言があるわけでありますけれども、現在でも事業持ち株会社のもとでリストラに伴う労働者の出向、転籍の名による事実上の首切り等が横行している中で、こういう持ち株会社解禁、これは一層こういう状態に拍車をかけることにつながっていくのではないか。非常にこの点も今回の法案の重要な問題点の一点ではないかと思います。  以上で表明を終わります。
  10. 武部勤

    武部委員長 次に、社会民主党・市民連合横光克彦君にお願いいたします。
  11. 横光克彦

    横光委員 社民党横光克彦でございます。  この法案により、純粋持ち株会社の設立を禁止する独占禁止法第九条が改正されることになるわけでございます。この九条は、独禁法第一条の目的に定められております事業支配力過度集中防止することを具体化した規定、手段であるとともに、戦前の財閥再来を防ぐことを直接的な使命ともしておりました。過度集中防止規定は、独禁法の体系において、カルテルなどの競争制限的行為を禁止する規制、合併など個別市場における集中過程をチェックする規制等の補完機能として重要な役割を担ってきたわけでございます。こうした戦後経済の民主化に果たしてきた役割から、戦争放棄をうたった憲法第九条になぞらえ、もう一つの九条問題とも言われてきたわけでございます。  しかし今回、国際競争に対応し、経済構造改革の進展を図っていくという観点から、事業支配力過度集中に結びつかない持ち株会社については認めることに私たちも合意したわけでございます。ただし、過度集中を招く持ち株会社とそれ以外の持ち株会社を区別し、前者については引き続き禁止する規定に改めるものであり、公正な競争政策の確立を目指す独禁法の理念に反しない範囲におさまっていることは明らかであります。  事業支配力過度集中することとなる持ち株会社としましては、一つ企業グループ規模が極めて巨大な場合、例えば旧財閥に代表される巨大企業集団のように。そして二つ目に、大規模金融会社一般事業会社とをともに傘下におさめる場合、いわゆる都市銀行等企業支配。そして三つ目に、相互に関連性を有する事業分野においてそれぞれ有力な事業者を擁する場合、例えば自動車やタイヤやガラスという関連事業、そしてまた銀行、証券、保険等の結合というような相互関連型の新企業集団の結成がこれに当たるわけですが、こういった三類型の判断基準、いわゆるガイドラインを示し、これに該当するものを原則禁止にしているわけでございます。  中でも、過度集中に当たる数値的な尺度として、例えば企業グループの総資産規模を十五兆円に圧縮し、届け出基準も五千億から三千億に引き下げた、公正取引委員会のチェック可能な基準ということで引き下げたわけですが、持ち株会社容認に伴う独禁法の骨抜き化を阻止する上でも私は意義があるんではなかろうか、このように考えております。  一方、持ち株会社解禁メリットは、複数の企業が水平的に統合されるために、人事や給与体系を一緒にしなくても他社を傘下に加えることが可能になるなど、企業が環境変化に柔軟に対応できる点にあると言われております。  もう少し詳しく申しますならば、既存会社事業部門をそれぞれ別会社とすることにより、いわゆる純粋分社化ですが、このことにより事業部門ごとの経営責任の明確化が可能になり、組織の活性化が図られる。また、経営不振会社の救済目的で利用することもできる。さらに、ベンチャービジネスへの投資、新規事業分野への進出の手段ともなる。また、金融会社金融関連異業態への相互参入の手段にもなる等々が考えられるわけでございます。言いかえますれば、欧米企業並みの企業経営の選択肢が認められたことによって、国際的な大競争を乗り切る条件整備がなされたという見方もできるのではないでしょうか。  しかし、早急に見直しが求められている課題もたくさんあると思います。現行の商法のままでは、傘下企業の役員が事業に失敗し損失を発生させても、持ち株会社の株主は役員の責任を聞えない事態も容易に想定できるわけでございます。さらには、持ち株会社の設立によって子会社や孫会社経営内容がますます不透明になり、経営者の暴走をチェックする機能が弱まる心配もあるのではなかろうか。また、子会社の債権者や少数株主の利益保護について詳細な規定を持つドイツの株式会社法を初め欧米流の情報開示のあり方なども含めまして、持ち株会社解禁、施行に向けてまだまだ学ぶべき点は多いと思います。また、金融持ち株会社の具体的な枠組みは、独禁法とは別に関係業法の手当てによって定められるわけでございますが、経済活動の秩序形成に影響を与えることは必至とはいえ、十二分な検討が望まれると思います。  労使関係をめぐる調整も残されております。労働組合法改正を前提に、子会社の労組に持ち株会社、いわゆる親会社経営者との団体交渉権を認めるかどうか、二年越しの協議で結論を得ることになりました。しかし、持ち株会社解禁は労働問題における禁断の果実とも言えるものでもあり、運用を誤るならば、経営者側の絶対的な優位を保証しただけで終わることにもなりかねないわけでございます。さらに、納税額圧縮のための魔法のつえにもなり得るグループ企業全体の所得と損失を合算して課税する連結納税制度の導入問題も、今後の検討にゆだねられました。  禁止対象持ち株会社を判定するガイドラインの設定作業はもとより、このように細心の注意を払って詰めなければならない課題も山積しているわけでございます。透明度の高い取り組み、そして作業なくしては、国民の理解を置き去りにしたままの施行という憂うべき事態さえ待っていることを決して忘れてはならないということを申し上げまして、意見とさせていただきます。
  12. 武部勤

    武部委員長 次に、太陽党の前田武志君にお願いいたします。
  13. 前田武志

    ○前田(武)委員 太陽党の前田武志でございます。  もう既に各委員から問題点の指摘もあり、また私自身も当委員会において何度か質疑をさせていただき、この持ち株会社解禁という、日本の独禁政策、戦後五十年の中で一大転換を図る、まだそういう転換を図る大きな状況変化というものを随分と認識をするわけでございます。  もちろん、この背景にあるのは市場経済の最近の急速な、圧倒的な拡大があると思います。しかも、その市場経済そのものが非常に情報化をしてきた。当委員会開始の冒頭、佐藤通産大臣出席のもとの総括質疑のときにも、私、ある例を引いて、インターネット上のいろいろなサイバーコマースといいますか、そんなことの例を持ち出して議論をしたことを記憶しているわけでございますが、この圧倒的な拡大とそして情報化というものは、多分、十年前の市場というものと性格的にも変化し、この地球上の人間の活動、そのベースになる経済活動、そういったものに対して非常に大きな支配力というか、ほとんどカバーし始めていると言っても過言じゃないと思います。  そういった状況の大変化の中で、日本経済社会というものがもっと活力を持って、この市場変化にどう対応していけばいいかという中での一つの大きな転換ではなかったのかな、こういうふうに思うわけであります。したがって、先ほど来御指摘のように、この大きな市場においてのプレーヤーとしての企業であったり、その活動が十分に知恵を出し、また努力をして活力を生み出していく、経済活力を引っ張り出していく、そういうものにしなければならないと思います。  特に金融持ち株会社、これは今検討を並行してやっているわけでございますが、これについても既にいろいろ議論がこの場で出ております。片一方で金融監督庁というようなことで、既に為替自由化、これは本国会自由化を図り、来年の四月から動くわけでございますが、もう待ったなしの状況の中で、市場における企業のさらに創造力を発揮しての活動、そういったものに対する環境整備だろう、こう思います。  しかし、それもこれもせんじ詰めれば国民の利益を実現するための経済の活性化、そういうことなんだろうと思うのです。ただ私自身は、この問題、非常に難しい専門的な分野だなというふうにつくづく思うのですね。先般、参考人の方々にも聞いてみたのですが、持ち株会社解禁になって、実際に日本企業活動経済活動がどういうふうにこれを利用して、どういうような持ち株会社が出てくるのかといったようなことについても、これは実際に動き出さないことにはなかなか想定しにくいようなところがあるのではないのかなという印象を受けました。  そしてまたその議論を通じて、持ち株会社そのものは、我々は政治の場で、立法府として国民の利益をどう実現するか、国民の福祉をどう増進するかという観点から議論をしているわけでございますが、一たんこの持ち株会社解禁されますと、企業は、それぞれの利益をどう最高度に達成するかという視点で動くのは間違いないわけでございますから、そうするとこの持ち株会社なるものは、情報の隠ぺいであったり、利益を何とか企業の中でうまく使おうというようなことで、国民に結果としてどう還元されるかというのは、何か企業の良心だとかそういったことのみに依存するのではなく、制度としてきちっとしたものをつくっていかなきゃいかぬ、それがこの市場のルールだろうと思います。そういった意味では、公正取引委員会の持っている役割それから責任というのは飛躍的に大きくなっていくのではないのかな、こういうふうに思いました。  この連休にアメリカの国会議員との交流で行きましたときに、下院のリーチ銀行委員長に会いました。ちょうどアメリカの下院でも銀行関係金融関係の大きな改革を今やっているところでございまして、その中で、いみじくもリーチさんいわく、立法府はこういった問題についてはなかなか弱いんですといったようなニュアンスのことを言われた。もう全くそのとおりでございまして、我々はこの面の、これはもう本当に精緻な経済の理論も必要でございましょうし、また企業活動そのものについて専門的な知識も必要でございましょうし、そういった意味では、具体的に論じられる個々の問題については、知識のことでいうと私なんかはまことに素人でありまして、難しい。しかし、あくまでも立法府としては国民の利益という立場から考えていかにゃいかぬなということを、議論をすればするほどその思いを強くするわけでございます。  さて、この規制緩和、そしてこういうふうに拡大してきた市場機能というものをいかに日本においても享受していくか、日本市場というものもそれに合わせていくかということで、今各種の改革が行われているわけでございますが、そういう規制緩和市場機能の拡大というものをやればやるほど、片一方で独占禁止法、要するに不公正な取引であったり、あるいはもろもろの弊害がございます。もちろん、事業支配力集中防止というのがこの持ち株会社について解禁すると一番大きな懸念になるわけでございますが、その他にももろもろの弊害があるわけでございまして、特に、日本の麗しき文化、伝統というもの、私自身はこの日本の伝統というものはすばらしいな、もともと選挙区は大和、歴史の発祥の地でございまして、和をもってとうとしとなすという風土でございますから、これが行き過ぎると、ある意味では、カルテルであったり談合であったり、まさしく市場のルールというものが犯されるおそれもあるわけでございます。  本来的にそういう意味では独禁法の持つ精神というものが軽視される風土というものも片一方であるわけでございますから、そういうことも含めて、公正取引委員会、これはまさしく、その時々の政治的な影響というものに左右されずに市場の持っている意味合いというもの、そういったものを深く考察されて、そして国民の福祉の実現のために大いにその力を発揮していただきたい、こういうふうに思います。  多少まだ時間があるようでございますので、後ほどの議論でもまたいろいろと開陳させていただきたいわけでございますが、特に一つ触れますと、先ほど鈴木委員も、証券化というものが今どんどん進んでおって、そういう証券化された金融市場というものの中では事業会社というものも大きな力を持ってくるというような御指摘がありました。  実は、私は、金融監督庁、ビッグバンあるいは為替自由化、そういった中で一番危惧を抱いておりますのは、日本の一千二百兆円という国民貯蓄というものが今のところどうしても日本市場の中では行き先を見つけられなくて、それが有効に生かされていない、大抵外へ出ていってしまっている。例えば町づくりであったり住宅づくりであったりというようなことについても、何となく今や公共事業でやるというような感じになってしまっております。  したがって、財政再建の中でちょっと公共事業費を抑制しなければいかぬというようなことになってくると、この辺が随分影響を受けるのではないか、こういうふうに言われるのですが、日本だけでございまして、ほかの国は、共産国の中国まで、それこそ日本の国民貯蓄を利用して町づくりをやっているような状況でございますから、そういう意味で、やはり市場において証券化の手法というものがどうも欠落してしまっているところに大きな問題があると思います。一見、持ち株会社関係なきように見えますが、持ち株会社解禁になると、この面での、国民経済に寄与するような企業活動というのが随分と急速に拡大してくるのではなかろうかな、こういうふうに私は思います。  いずれにいたしましても、一つ問題点だけを指摘して、結論としては、つまるところ、大きく進化を遂げてきた市場というものに、いかに日本がその中で多様なプレーヤーが活躍できるようにし、利用者、そしてまた当該の持ち株会社におきましては働く者、そしてトータルには国民の利益というものをどういうふうに実現していくかという観点からの議論をさらに尽くさせていただきたい、こう思う次第であります。  ありがとうございました。
  14. 武部勤

    武部委員長 これにて各会派代表の皆様による御意見の表明を終わることにいたします。     —————————————
  15. 武部勤

    武部委員長 これより委員各位による自由な討議に入りたいと思います。  なお、議事整理のため、御発言は、挙手により、委員長の指名に基づいて、自席から着席のままお願いいたします。また、一人一回の発言は三分以内におまとめいただきますようにあらかじめお願い申し上げたいと思います。  それでは、御発言のある方は挙手をお願いいたします。
  16. 小川元

    ○小川委員 私は実は、先ほどの中山委員が公取におられて不当行為をやっている商社を取り締まられたときにその財閥系の商社におりまして、今、そんなに悪いことをしていたかなと一生懸命昔のことを思い出しているわけでございますが、ただ、それはそれといたしまして、私は、この規制緩和時代持ち株会社であるからいけないというルールはもう適用できないであろう、こう思っております。  また同時に、先ほどから旧財閥系の話がたくさん出てきますが、私は、一つ会社の経験でありますが、どうも旧財閥、戦前のような財閥復活というのは考えにくいのではないか、こう思うわけであります。それは幾つか理由がありますが、一つは、昔は各財閥の一番トップは個人、いわゆるオーナーだったわけですわ。三菱でいえば岩崎、三井でいえば三井家、そういう、人が君臨していたもとのいわゆる財閥だった。今は資本ですから、なおかつその資本はかなり分散をしておりますから、ああいう形の財閥というのは、旧財閥系ではなかなか復活しないのではないかな。  むしろ、我々がこれから気をつけていかなくてはいけないのは、オーナー型のいわゆる持ち株会社、これがやはりどんどん大きくなって何かの弊害をもたらすというようなことはあり得るかな。現に、今も事業持ち株会社の形をとりながら、実質的にそういうところがあるような気がいたします。そういうことはあるのかなというふうに思っております。  しかし、日本の場合に、欧米にない、やはり気をつけていかなくてはいけない点もある。それは、日本の社会は一家社会、群れ社会である、したがって仲間は大事にするけれども外には冷たい。企業でいえば、経営者それから従業員は大切にされるけれども株主は軽視されておる、いわば株主は自分たちの一家ではないというような感じがあろうかと思っておりますので、そういう点は、今後持ち株会社形成に当たっては相当気をつけていかなくてはいけない点だろう。  先ほど鈴木委員が御発言されましたが、私はやはりこの持ち株会社がうまくいく、あるいは弊害が起こらない一つの要件は、グローバル社会における競争条件、そして規制緩和、自由に競争できるという要件が整っていることだと思っておりまして、そのことがないと、これはもう独占につながる、寡占につながるということになろうかと思いますから、これはやはり相当しっかりやっていかなくてはいけないと思います。  それと同時に、やはり公取の機能は非常に大切になるわけでして、私の個人の経験で、カナダへ行きまして、アメリカのナイアガラのすぐそばまで仕事で行った。時間があって、一緒に行ってくれたカナダの会社の人と、ちょっとナイアガラへ行ってアメリカ側に渡ろうよと言ったら、いや、おれはだめだ、実は独禁法違反で訴追されておって、アメリカへ入った途端に逮捕される、こう言われてびっくりしたのですが、やはり公取の機能というのは非常に大切であり、日本はどうも遵法精神が多少ないのではないかと思う。  例えば、一流企業の社長等に、談合をやりながら、いや、談合をやらなければおれたちの業界は食えないから談合をやるんだと平気で言っている人がいる。そういうのは信じられない話でありまして、それをまた、談合をどうも公取が見過ごしているのではないかという批判もある。このようなことから考えて、やはり公取というものがよほどしっかりしてもらわなくてはいけないと思っております。  時間が追ってまいりましたが、私が申し上げたかったことは、先ほどから民主党さんのお話、社民党さんのお話がありました労働問題、あるいは情報開示、特に持ち株会社が非上場である、あるいは持ち株会社だけが上場されているというような場合のグループ全体の情報開示、これは連結決算も、税の軽減だけではなくて情報開示の面から十分考えていかなくてはいけない問題であると思います。  そうした問題を含めて、独禁法改正だけが先行してその他の条件づくりがおくれてしまうということは絶対避けなくてはいけないのではないか、もう少し総合的に、これは国会においても政府においても、この独禁法改正に伴う条件づくりを精力的に、グローバルに、全体を含めて検討していく必要があるのではないか、こう考えていることを発言させていただきました。
  17. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 持ち株会社の問題につきましては、先ほど鈴木委員から大変明快な形でメリットを整理されましたし、また小川委員からも、日本の村社会という状況かち、ぜひともグローバリゼーションに対応した競争条件の整備ということを言ったわけで、基本的には私も同感でございまして、やはりグローバリゼーションという流れから、持ち株会社解禁というのは必然の流れであろうというふうに感じております。  そこで、私としてさらに問題提起をつけ加えたい点は、今までの議論事業支配力集中をいかに規制するかという視点から議論が多く行われてきたわけでございますけれども、それは確かにそうなんですが、もう一つ日本の今までの戦後の発展から見て非常によかった点は、日本企業が非常に長期的な視点から行動してきた、長期的な視野、利益を追求することによって日本経済発展が可能になったという点があるかと思います。特に技術革新とか設備投資というのは大変時間のかかる話であって、それが最終的にいいかどうかを見きわめるのに非常に時間がかかるわけで、必ずしも短期の視点から議論しても十分わからないという点があります。  また、日本企業は、特に労使関係においても、労働争議を減らす、長期的な労使の安定した関係を持つことが長期的には非常に大きな利益である、そういう視点のもとに行動してきたわけであって、非常に企業が長期的な視点で動いてきたということが大きな意味があったと思います。  ただ、このような形で純粋持ち株会社解禁をされて、それは今後日本企業構造に大きな影響を与えるでしょうし、特に今までの日本企業事業部門と戦略部門が未分化の形で、特に戦略部門が弱かったということが指摘されておりますが、持ち株会社解禁されれば、先進諸国の主要企業と同じような形で、戦略部門の強化という形でこれが拡充されるかと思います。  ただ、そこで一つ危惧する点は、そういう形になった場合に、いろいろメリットがある反面、企業の行動がより短期の利益の追求にだんだん重点が移っていくのじゃないのか。金融上の利益あるいは当面の利益をいかに最大化するかという点から行動するようになって、むしろ中長期の問題には十分な視点が失われる可能性がある。そういった意味では、技術革新とかあるいは設備投資の問題、労使関係の上でやはりこれが大きなマイナス要因となる可能性もあるので、この点をどうカバーしていくかという視点からの議論をこれから大いにしていく必要があるかと思っております。  それからもう一点、やはり消費者の利益をどうするかという点がありますので、この点につきましても十分な議論を今後重ねていく必要があると思うわけでございまして、事業支配力集中をいかに規制するかという点のみならず、今申し上げたような点を含めて、どう新しい日本型の純粋持ち株会社条件を整備していくかということをぜひ検討すべきだと考えております。  一応、問題提起でございますけれども、一言述べさせていただきました。
  18. 岸田文雄

    ○岸田委員 私は、この大競争時代を迎えて、国際競争力あるいは活力、日本経済の活性化、こういった見地から、持ち株会社解禁に賛成の立場で申し上げるわけですが、ただ、ぜひこの持ち株会社の可能性に期待をするわけではありますが、ややもしますと、この持ち株会社解禁されると、日本経済すべてバラ色に動いていくんだ、すべてうまくいくんだというような錯覚をもたらすような意見に関しましては、多少慎重に対応しなければいけないなというふうに思っています。  日本以外の状況を見ましても、例えばドイツにおきましては、ダイムラー・ベンツ、かつて持ち株会社に移行したにもかかわらず、どうもうまくいかない、結局事業部制に戻したというような話も聞くわけですし、またアメリカにおきまして、先ほど鈴木委員も、金融部門におきまして持ち株会社は大いに活用されているというわけですが、全体の業種を見た場合、全体の割合としては、持ち株会社の利用は、解禁されているにもかかわらず余り高くないというような評価もあるのも事実であります。また、欧州におきましてもそれほど利用が高くないということもあるわけでありますから、これは持ち株会社解禁すれば日本経済すべてうまくいくというような錯覚に陥ってはならない。やはり持ち株会社にはプラス、マイナス両方あるんだということはしっかり踏まえておかなければいけない、冷静な目を持たなければいけないと思うわけであります。  そこで、やはり一番大きな問題になりますのは、競争環境の整備ということから、事業支配力過度集中をいかに排除するかという部分が一番大きな問題になるのでありましょう。そのために、ガイドライン、そして企業活動のためにも明確な基準を設けなければいけないという議論が進んでいるわけであります。  しかし、私は、幾らガイドラインそれから基準、明確に示そうと努力しましても、やはり抽象的な条文である以上、これは最初からパーフェクトなものをつくることは非現実的だと思うわけであります。これは大いに努力しなければいけないけれども、最初からすべて基準が明らかになると期待してはならないと思うわけです。やはり実例を積み重ねてこそ、初めてそういったガイドラインや基準が明らかになっていく、時間もかかるというふうに思うわけです。  ですから、私は、こういったガイドライン、基準の明確化に努力すると同時に、まずは情報公開、それから企業活動の透明性の確保、これに力点を置くこと、こっちの方にまず力を注いでいくこと、これが大切ではないかなというふうに思うわけです。  そして、情報公開の中身ですけれども、従来のように単に投資家、株主に対する情報公開のみならず、取引先ですとかそれから競争者、あるいは先ほど遠藤委員の方から消費者の話も出ておりましたが、消費者に対する情報公開、そしてその情報公開の中身も、企業グループ全体の連結情報公開というようなものに踏み込んでいかなければいけないのではないかというふうに思います。  こういった情報公開が進むことによって、欧米諸国からの日本経済におきます系列問題、こういった不信感に対して答えることにもなるのでありましょうし、持ち株会社が利益操作の巣になることに対する不安にも答えることになるのでありましょうし、また連結情報公開を進めることによりまして、連結納税制度の理解にも進むのでありましょうし、企業グループ全体の労使交渉権という部分の議論にも理解が進むのでありましょうし、企業グループ全体の株主の違法行為差しとめ請求権といったような問題にも理解が進むのではないかな。こういった連結情報公開、企業グループ全体の情報公開を進めるということによって、そういった問題にも理解が進むのだということを考えますときに、とりあえずこの情報公開、透明性に力を置くことによって、持ち株会社におきます企業支配と責任とのバランスを考えていくことに資していくのではないかというふうに思っております。  それが一つと、それからあと、先ほど鈴木委員がおっしゃっておられました、国内シェアだけを見るべきではない、グローバル視点でというようなお話があったかと思います。その部分で一つ思うわけですが、聞くところによりますと、日本以外の諸国、独禁法の運用協力協定というのを結んでいる国があるというふうに聞いております。例えば、ボーイングとダグラスの合併問題のときに、アメリカとEUはこの協定に基づいて協議したというような話も聞きます。グローバル視点でということであるならば、そういった部分についても少し議論を深める必要があるのではないかなということも思います。  それから、最後に一つ、これは素朴な疑問でありますが、今回の持ち株会社解禁に当たりまして、子会社の規定が、株式保有五〇%超という規定になっておるわけでありますが、日本の現状を見るにつけまして、どうも五〇%超という基準、現実に即しているのだろうかなという疑問を持っています。五〇%を超えなくても、役員の派遣等で企業支配は十二分にできているという実例を見るにつけましても、この基準につきましては多少疑問を持っております。  以上です。
  19. 茂木敏充

    ○茂木委員 先ほど遠藤理事の方から、経営マネジメントと事業マネジメントを分離した場合のメリット、デメリットに関して、今まで日本経営の中でよく指摘されてきた長期的視点に立った経営というのが欠落して短期的になるのじゃないかと。確かに、アメリカなんかの七〇年代、八〇年代の経営というのを見てみると、そういうつまみ食い的な経営で結局結果が残らなかった、そういうところはよく指摘されているところであります。  そういう中で、私は、もう一つの軸といいますか、日本経済の状況、現状というのを見てみると、今がかつての日本のような安定期、成長期からやはり変革期に変わってきている。非常にリストラクチャリングが必要であって、余り同じ分野に集中して長い視点で見ていても困ってしまうような状況が出ているのではないか。そういう意味で、私は、現状においては経営マネジメントと事業マネジメントは、今まで日本経営では一体だったものというのがある程度分離されないと、例えば企業のリストラクチャリングとか新規事業の育成というのが難しいのじゃないかな、そんなふうに思っております。  特に重要なのが、まず第一に時間の問題でありまして、時間さえあれば幾らでもリストラクチャリングできるわけです。ところが、ここ二、三年、五年ぐらいの間にある程度企業としてもリストラクチャリング、多角化というのを終わりにしなければならない。こういうことを考えると、経営マネジメントと事業マネジメントを分離させていくような制度というのは必要だな、こういうふうに私は思っております。  もう一つの点は、やはり人材の問題であります。どうしても、同じ会社の中で例えば事業部制をとったり、事業持ち株会社という形ですと、賃金体系、職種別、いろいろなことで人材のフレキシブルな運用というのができてこない、こういう問題があります。  例えば、具体的なわかりやすい例を出させていただきますと、おもちゃの業界を見ましても、例えばバンダイという会社、最近いろいろたまごっちとかつくっていますけれども、男児玩具が得意なわけですね。それに対して、もう一つの競合相手のタカラというのは女児玩具が得意なわけです。同じおもちゃだからつくれるのじゃないか、こういいましても、男児玩具というのは人間から遠くなくてはいけないわけです。非常にロボット的な、合体ロボットとか、人間から遠い存在をつくっていくのが男児玩具でありまして、逆に女児玩具というのは、リカちゃん人形じゃないですけれども、人間に近いものをつくっていかなくてはならない。全く同じおもちゃでもできないのです。幾らタカラが頑張っても、男児玩具はできません。逆に、バンダイが頑張っても、女児玩具はできないのです。人材が違うわけです。  同じようなことで、同じおもちゃ業界だからとか、同じプラスチックをやっているからということでできないことがたくさん出てきてしまう。そすると、やはりそれは同じ会社の中での事業部をかえるとかいうことじゃなくて、職種をかえ人材をかえるような制度をとっていかないと多角化というのもうまく進んでいかない。多分、データによりますと、今の大企業多角化事業の七割がまだ日本では赤字です。これは先進国の中でもかなり悪い状況であります。やはりここら辺を制度を改善する、こういうことが必要なのではないかな、私はこんなふうに思っております。
  20. 中野清

    ○中野(清)委員 経済の九条というべきこの解禁につきましては、私もグローバル化という状況の中で賛成であります。しかしながら、今大勢の委員さんがおっしゃったとおり、この持ち株会社というものは一つの選択にすぎないのであって、選択肢の可能性を認めたということで私ども評価しておりますが、そのことの中で、これが決してバラ色ではないということを私は申し上げたいと思うのです。  と申しますのも、先日、本委員会におきまして、日商の小柳委員から中小企業の立場でお話がございました。私は小柳参考人の話を聞きながら一つの感慨がございました。それは、日本の中小企業が今日置かれている状況というものは、持ち株会社を認める認めないにかかわらず非常に厳しいものがある。しかも、その中で適正な競争と言っているけれども本当にそうだろうか。そういう疑問については何ら答えていない。そのことは、まず私は、この論議をする上において前提として考える必要があるだろう。しかし全体的な問題としては、やはり一つのトレンドとして、選択するものとしてこの持ち株会社を認めるべきだということについては賛成であります。  その中で、一つは、例えば中小企業が、持ち株会社として株の取得等があった場合に、現状において今までいわゆる取引だとか発注とか資材の手当てとか融資とかということで物すごく関係がある、そういう中で対等な関係ではないんだということはやはり理解をしなければいけないんだと思うのです。そうすると、それについての歯どめについても何らかの形でもって、ガイドラインというもので考える必要がある、そのことは私としては考えております。  それから、先ほどもお話がございましたけれども、中小企業事業分野、これに対しての不当な圧迫はしないようにということについての公取の監視強化の必要性というものも私はあるような気がいたしております。そのことについてお願いをしたいと思っているのです。  私は、小柳委員の言葉に感銘を深くしたというのは、それにもかかわらず賛成をしていこう、この時代において日本の国が国際的に競争力をつけるためには必要だ、そういう意味でもっておっしゃっているこの中小企業の気持ちというものをもっと理解をしてやる必要があるだろう。それには、先ほどもおっしゃいましたけれども、各委員がおっしゃったとおり、この独禁法改正だけではなくて関連するいろいろな諸法規についても当然整備をする、その中できちっとやっていただかなければ困るのではないかという議論については賛成でございまして、ぜひそういう方向で今後お願いをしたいと思うわけでございます。  ですから、例えばこの間の読売新聞でちょっと出ておりましたけれども、金融持ち株会社についての、子会社の持ち株についてのいわゆる観測記事でございましょうが、これも出ておりました。そうしますと、そういう格好で一つ一つなしましにやっていくんだということについては、私は、やはり国会の場においてきちんとした討論がなければ、議論がなければ困るということだけは申し上げたいと思います。  特に、これは直接関係ございませんけれども、私は商店でございますから、大店法の問題等を見ましても、論議だけはありましたけれども、結局、今、日本の国においてのいわゆる商店街の空洞化、市街地の空洞化という現象が現実にもう起きております。ですから私は、今言ったように、この問題についても必ずしもバラ色の論議だけではなしに、そこから起きる影響についてももっともっと考えてやっていただきたい、やるべきだということだけは申し上げておきます。
  21. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 今回の、歴史的なと言ってもいいと思いますが、独禁法改正に当たりまして、このような意見交換の場をつくっていただきましてありがとうございました。  今回の改正我が国企業が海外の企業と互角の競争力を持つという上で、海外諸国と同様持ち株会社制度の活用を認めて企業経営の選択肢の多様化を図るということで、極めて重要な時期でございますから、基本的に大いに進めなければならぬと思うわけでありますが、先ほど岸田委員もお話しになりましたように、これは即バラ色ではないかもしらぬ、そのためには、これをうまく活用するための周辺的な手法をもっとしっかり重視していかなければならぬし、片やまた心配もいろいろあるわけであります。ただいま中野委員の御発言もございました、そういうようなこともあります。そういったことを今後抜かりなくしっかりと手をつけてやっていかなければならぬというふうに思うわけであります。  持ち株会社禁止制度というのは事業支配力過度集中防止ということであったわけでありますが、それだけに、今回これを外すということになりますと、適切な競争政策の運営確保ということもますます重要になるわけでありまして、公正取引委員会の御努力、もう大変期待されるというところであるわけであります。  そういう中で、大企業がその優越的な地位を利用して中小企業の意に反して傘下におさめるというような行動であるとか、不当な取引の強制や不当な取引先の切り捨てなど、現在でも独禁法や下請法の規定で対処されておるということにはなっておりますけれども、この種の問題については今回の改正によってますます留意をしていかなければいかぬのではないか、こういう思いがいたしております。  去る七日の参考人の意見聴取のときに、日商の小柳さんが御心配しておられた発言もございました。我が伊藤達也委員の質問に対しまして、中小企業が取引上困ったときに個別に物申せる場をつくるというようなことが必要だというようなお話もあったわけでございまして、私も全くそのとおりだというふうに思うわけであります。  そこで、すなわち公取の機能、執行体制の強化ということが非常に大事でございまして、しっかり頑張っていただきたいと思うわけでありますけれども、それだけではなくて、先ほど大畠委員からの御懸念の発言もございましたけれども、競争当事者等の民間の活力利用がもっとあっていいのではないか、こういう思いがしてなりません。諸外国のように、当局の措置のみならず一般市民の民事訴訟によっても競争秩序を守るのに貢献できるようにする、そのようなやり方がもっと日本でもあっていいのではないか。  御案内のとおり、日本の民事訴訟法あたりは非常にそういう差しとめ請求等が限定されておるわけでありまして、独禁法関係からまいりましても、基本的には、いろいろな問題が起きたときには公取委員会に対して、現在の独禁法の四十五条には「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」ということで、これで公正取引委員会活動に結びつき、公正取引委員会からの対応ということになっているわけでありますけれども、諸外国のように差しとめ請求を民事的にもっとばしばしやれるような道を開いたらどうだろうかなと、私はこんな思いがしてなりません。これをひとつ皆さん方に、御提案として問題の提起をさせていただきたいと思います。  現在の持ち株会社禁止は、もう韓国と日本だけだという話であります。韓国でこの差しとめ請求がどんなふうになっているのか、つまびらかにいたしませんけれども、ひとつ、不当な強制や切り捨てなどに対しまして、民事訴訟による差しとめ請求の道を開くみたいなことを本格的に検討、考慮していいのではないかな、こんな思いがしていることを申し上げて、私の意見といたします。
  22. 船田元

    ○船田委員 では、お許しをいただきまして、論点のみ申し上げたいと思います。  これまでも各委員から大変貴重な意見の御開陳がありましたが、私自身もこの持ち株会社の原則解禁ということにつきましては、基本的には賛成でございます。  なぜならば、現在の日本企業活動、いろいろな制限が確かに加えられております。そういったものが今回の制度の改正によりまして、例えば、分社化の問題、新規事業への拡大が容易になるという点、あるいはベンチャーキャピタルが活用されるのではないかという点、さらには本社機能が、特に手足と頭と考えれば頭の機能に特化される、そういう利点が数多く挙げられるのではないかということであります。  現在、日本経済はかなり持ち直してはきておりますが、アジアのほかの成長している国々に比べて、あるいはアメリカ、ヨーロッパの一部に比べてなかなか活性化ができていない、こういう観点がございます。したがって、この時期において持ち株会社解禁ということは、日本経済の再活性化の上において極めて大事だ、このように思います。  ただ、せっかく持ち株会社解禁をするといっても幾つか懸念されるものがあります。  一つは、ガイドラインというものを公取委におきまして今後示すということがあるわけでございます。設立等を認めない持ち株会社の姿をガイドラインで示したいということでありますが、確かに、株の持ち合い制度あるいは系列取引というのが日本の今の商取引の中でまだまだ多いという観点からすれば、ある一定ガイドラインを示すということは大事だと思います。しかし、余りあれもだめ、これもだめというような包括的なガイドラインを示すということは、やはり不透明な行政裁量の余地を残してしまうということにもなりかねませんので、私は、ガイドラインというのはなるべく個々具体的に示すということ、そして、あくまでも法令中心であるということで運用すべきである、このように考えております。  それから二番目には、税制の問題もあると思います。持ち株会社制度というのを有効に活用するためには、やはり税制もそれに伴わなければいけないというふうに思っています。  平成九年度の政府の税制改正におきましてもかなり議論があったわけでありますが、分社化に伴う譲渡益課税の見直しのこと、それから連結納税制度の点、特にこの二つの点は、もちろん持ち株会社をやるからということでやらなければいけないというわけではありませんが、やはりこの際、制度の趣旨をより有効に生かすためには、この二つの税制改正というものを当然のことながら平成十年度の政府税制改正において行うべきである、このように考えております。  それから、金融持ち株会社も基本的にオーケーになるわけでありますけれども、この点については、私は少し慎重に考えるべきではないかというふうに思います。  これについては、やはり金融持ち株会社グループ全体としての株式の保有についてある一定の制限を加えるとか、あるいは、銀行と不動産がこの持ち株会社を介して連動して動く、こういうことになりますと、これはかなりいろいろな問題を起こすのではないか、こう思っておりますので、金融持ち株会社については、今申し上げた全体の株式保有一定の制限とかあるいは業務の範囲一定の制限というものを何かガイドラインで示しておく必要があるのではないかな、このように考えております。  最後になりますが、持ち株会社とその子会社の従業員との労使関係、これは、前回の参考人の連合の方からもいろいろな懸念が示されたわけであります。現実に、労働界としては多分、法整備というのは当然のこととして考えるべきだ、こういう意見だと思います。一方で、経済界の多くは、いやそれは必要ない、これまでの親子会社の間でも当然いろいろなケースがあって積み重ねられているから法整備の新たな必要はないではないか、こういう話でございました。  私もまだどうすべきかという結論は自分でもなかなか持ち得ないわけでありますけれども、持ち株会社という戦後においてずっと行われてこなかった新たな事態でありますので、労使関係ということにおいてもさまざまな未知な部分があると思いますので、この点については、私は、もしできるのであれば法整備ということを考えた方がよろしいのではないかな、こんな感じがしているわけでございます。  以上、懸念されるといいますか、気をつけなければいけない点を申し上げましたけれども、基本的に、これは大いに持ち株会社は進めるべきである、制度として利用すべきであるという観点で一賛成の意見を申し上げます。  以上です。
  23. 島聡

    ○島委員 私は、今回の純粋持ち株会社というのは、時代の趨勢、背景からして当然解禁すべき問題であると思っております。このグローバル競争状態、本当に多くの方が言われたわけでありますが、国内市場シェアを問題にするような状況ではいけないということは当然なことだと思います。  それで、このように純粋持ち株会社解禁して日本企業国際競争力を向上させるという意味では、今回の自民、社民、さきがけさんの案というのは、いろいろな譲歩があったせいか、どうも中途半端だなという感じがして仕方ありません。  一番のポイントは、一番わかりやすいことで言いますと、この外形基準、総資産が十五兆円とか、それから届け出が三千億円とかいうのは、これは何か届け出の方から見ますと、九六年の四月ごろは社民が一千億と言って自民が五千億と言っていたから、中をとって三千億とか、それから厳重審査の方も、社民が十兆円で自民が二十兆円で、真ん中をとって十五兆円とか、こういう精神が貫かれているようでは、どうもこれは本当にこのままでいいのだろうかというようなことが一つ感じられて仕方がないというのが全体の私の思いであります。  そういう中で、私自身は、日本経済のいわゆる供給力といいますか、それをどんどんよくしていく意味でもこれは賛成でございますけれども、同時にやはり、これは先ほどから委員が幾つか指摘されておられましたけれども、例えば情報公開、株主とか、そういうものをきちんとやらなくてはいけない。  特に、ヨーロッパの事例ですけれども、持ち株会社を利用する効用では、株主の子会社運営状況に対する追及を遮断する効果がある、あるいは、持ち株会社を利用して安定株主工作を図ることができるので、経営陣は株主の追及から身を守ることができるというような指摘があるわけであります。そういう意味では、まだまだ情報公開、株主というものの内容についてそれではどう対処していくかということが必要でございますし、さらには、複数の持ち株会社を頂点とした複雑に絡み合った企業集団内部で価格維持工作が行われますと、情報が隠ぺいされてその立証は極めて困難になるという指摘もあるわけでございます。  こういう意味では、さらに、何か不正行為が行われ、あるいは競争政策が少しでも阻害されるようなことがあれば、それをきちんとできるようなことを公正取引委員会はどのような形でやっていくべきかということを、機能も含めて今後とも議論をしていく必要があると思う次第でございます。  以上です。
  24. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今回の独占禁止法改正案は、持ち株会社の設立等の一律禁止を改め、持ち株会社解禁については、旧財閥復活、また現在の企業集団や各種の系列が高進されるのではないかといった懸念の声も随分聞かれております。  これに関しましては、委員会等の質疑でもありますように、持ち株会社ガイドラインを具体的に明示するというふうなことで対応されるということなんですけれども、行政当局の法解釈を明らかにされるということは、法運用の透明性を確保する意味から大変有益なことであると思います。  事業支配力過度集中についての公取委め解釈については、禁止される持ち株会社範囲がだれにでも明確にわかるように、また、個別の持ち株会社に関する審査の結果が公取委の裁量に左右されるといったことのないように、一義的で明確なものにしていただきたい、かように思うわけであります。  しかしながら、この事業支配力過度集中するというふうなことを言われましても、具体的にどういうことなのかといいますと、正直言って私はわからない。平成九年二月十四日の公取委の説明資料、また平成九年二月十三日の公取委からの資料等を読んでいきますと、公取委にはガイドラインというのはあるのだけれども、それをもっと明確にしてもらいたい。数値の部分はいろいろ出ているのですけれども、結果的にその数値を組み合わせていくと、六大企業グループはオーケーだ。それならば、海外企業日本でする場合、国内シェアの問題等がありますけれども、それでいいのかどうか。いろいろなファクターをこういうふうに組み合わせると、おまえたち素人が考えても、おれたち専門家、うまり公取委が考えるのと同じ判断になるだろうといったぐあいの、そういうガイドラインというものをぜひとも私は出していただきたい。  そして二点目に、企業合併につきましては、公取委が当事者の事前相談に応じて、合併について独禁法上問題となる事柄を案内しているということを言われています。事前相談制度。そこでは、個別の合併事案に対する公取委の実際の法律解釈が当事者には示される。しかしながら、事前相談の内容は、当事者以外には一切開示されない。そして、開示がなされないから、業界シェア二五%を超えるような合併は公取委では一切認めない方針だといったうわさや憶測というのが今ささやかれている。  私は、持ち株会社でこういうことがないように、事前相談の経過や結果というものは、後日、事例集か何かの形で公表するというような形で、しっかりした情報開示を行ってもらいたい。そうすれば、個別の持ち株会社について、公取委が実際どのような考え方でもって、事業支配力過度集中している、していないという判断をしているかわかるのではないのか。まさに公取委のさじかげん一つですべてが決まるというふうなことではないようにしていただきたい。  もちろん、事業支配力過度集中について、公取委法律解釈に対して素人が異論を差し挟むことはできませんけれども、事前相談の経過や結果について一般向けの情報開示がしっかりなされれば、いろいろな分野の専門家も見るわけですし、それによって、必ずみんなが納得するような法律解釈、法律判断がなされるようになるはずだと私は考えます。独禁法の運用の透明性がさらに高まるということ、盛んな議論と自由な批判の過程で正しい解釈、判断が導かれる、これが非常にいい結果になるのではないか。  公取委には、禁止される持ち株会社範囲がだれにでもわかるようにガイドラインで明確に示していただくということと、個別の持ち株会社についての事前相談の内容の開示をしていただくということをまず最初に指摘をさせていただきたいと思います。  私は、今度の持ち株会社解禁につきましては、今申し上げました公取委ガイドライン及び事前相談制度について、そして先ほどから議論されております税制改正について、そして最後に持ち株会社の設立方法について、三つ問題点がある。  二点目の問題点といたしましては、分社化等をされていく中で、同僚議員の発言にもございましたように、連結納税制度の問題、これは今後の税制議論の中で解決をしていかなければならない問題だと思いますが、もう一点は譲渡益課税、特に、日本では持ち株会社によって分社化をされる、企業分割をしていく。しかしながら、我が国法律には企業分割について規定するものはない。そのため、こうした分社化は子会社設立の形がとられ、子会社に対する親会社資産譲渡の際に多額の譲渡益課税が発生する。この譲渡益課税については、リストラクチャリングを目的とする分社化に関し、圧縮記帳の優遇措置もあるのですけれども、譲渡資産に土地が含まれるときは、譲渡益の圧縮を八割までとされている、通常、大体一〇%の上乗せになるというふうに言われております。  NTTの分離分割等々におきましては特段の配慮がなされたということですけれども、この譲渡益課税の問題についても、これから、国会において、また行政においても議論をしていただかなければ、結果的には、法律つくって魂入れずとなるというふうに言われているような状況が起こるのではないかということが二点目の指摘。  そして三点目、持ち株会社の設立方法についての問題ですけれども、この持ち株会社の設立につきましては、昭和四十年代、当時の帝人の社長であります大屋晋三氏が、日本における外資の自由化というふうな中において、ヨーロッパから、こういう持ち株会社というふうな発想をもう一度する必要があるのではないかと強く発言をしたということから広がったと聞いておりますが、持ち株会社について議論を進めてまいりますと、実は、合併制度にかわる企業統合の選択肢の一つとして期待される一いわゆる合併代替型の持ち株会社の設立は簡単にはいかないのだぞということが非常に理解されてまいります。  持ち株会社が傘下に置こうとする会社には、既にたくさんの株主がおります。持ち株会社となる会社は、こうした株主から一々株式を買い取っていかなければ最終的に持ち株会社になることはできない。こうした株式買い付けが円滑にいくような制度も我が国にはありません。また、仮に、株式買い付けが相当進み、特定の会社子会社とすることができたとしても、株式買い付けに応じなかった者が子会社の少数派株主として残ってしまい、子会社を通じた企業経営にさまざまな影響が及ぶことも予想されております。  こうした問題について具体的な検討がなされているというわけではありませんが、将来の課題として、子会社となる会社株式持ち株会社株式と一挙に交換することができ、かつ、これに反対する株主の権利にも一定の配慮をした制度が商法等に導入される必要があるのではないか、そのための検討が開始されてもいいのではないかというふうに思う次第でございます。  私は、以上三点を今回の持ち株会社解禁に伴う独占禁止法改正案に対して意見として申し上げ、発言を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  25. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 こういう自由討議の場を持っていただいた武部委員長に感謝をしております。  私ども、野党でございますから、先ほど中山理事からお話がありました十一回の経過もつまびらかにいたしておりませんし、それに先んじての四十回のいろいろな与党の御協議も中身は承知をしておりません。そこで、私は、三党の取りまとめであり、この法案のキーパーソンであられる林先生がおいでですから、私も、林先生にお尋ねするような形で発言をさせていただきたいと思うわけでございます。  一つは、我が党の古賀代表が本会議で質問をいたしました際に申し上げたのでございますけれども、私も初日の七十分の質問の中でも取り上げさせていただきましたが、与党三党の考え方が、まことに失礼な言い方ですが、先ほどの島委員が的確に言っていただきましたように、具体的にはああいう違いが出ております。その結果、合わせて五十一回の会議が持たれたということに象徴されるように、十分に審議がされたといえばそれはそうなのでございましょうが、私ども野党側から言わしむるならば、メガコンペティション時代といい、国際競争力が低下をし、既に四位に落ちているという客観的事実がある中で、日本経済運営に責任を持たなければならない与党がこういう大切なものを上程するのに時間をかけ過ぎたのではないか、遅きに失したのではないかという感を指摘せざるを得ないわけでございます。  その背景には、いわゆる三党のバランスをとるということに余りにも配慮をされ過ぎた結果こうなったのではないか、こういうふうに私どもは憶測をいたすわけでございますけれども、本音のところを林先生に教えていただきたい。これはぜひ伺いたいと思っております。  それから、先ほど岸田委員から、私、特に後段の部分については大変適切な御指摘だったと思うのですが、透明度を高めていくというのを企業や産業界の自律性に求めていいのだろうか。それはきちっとやってくださるところもあるでしょうし、そうでないところも出てくる。そうなると、このいわゆる純粋持ち株会社制度が公取委が心配しておられるような相続税対策に使われたり、何かいろいろな違う抜け道に使われるようなことになってはいけない、そういうことを考える。  また反面、ディスクロージャーをどんどん徹底していくことによって、株主に、親会社子会社、そういう関係のいろいろな経営情報や戦略の情報の開示というものを義務づけていく法制上の整備というものを私としては強く求めるわけでありますけれども、なぜそれがこのたび消極的であるのか。  それから、連結納税制度についても、つくればいいというだけじゃなくて、いろいろな問題があるとは思いますけれども、これも私は、このたび部分的にとはいえ純粋持ち株会社制度を解禁するに当たって、片手落ち、その効果を十分に発揮できないことにつながってしまうのではないか。そういう点についてはどういう御議論があって、このたびはこれをそこまで踏み込まない形で出されたのかというようなことにつきまして伺いたいわけであります。  そして、特にリストラクチャリングのための手段として大変有効であるというならば、企業組織の変更が円滑に行われるように、資産譲渡益課税に関する圧縮記帳の優遇措置というのは一般的に企業では行われているわけです。特に、NTTではそういうことについてのいろいろな配慮があったわけです。ところが、一般の税制上は十割を圧縮記帳として認めるのに、なぜこれを八割にしようとしているのかなと、十分の効果を図るためには、もう一つ画竜点睛を欠いたような感を野党としては持たざるを得ないのですが、こういう原案を上程されるに至った与党側の背景を伺いたい、こういうわけであります。
  26. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党の大畠でございます。  先ほど、民主党としての基本的な意見表明をさせていただきましたが、少し観点を変えて、それを補足する意味林先生に少し御意見をいただきたいと思います。  私自身も林先生経済理論というのは大変尊敬をしておりますが、そういう見地から、今回独占禁止法改正法案というのをまとめる上での経過等も含めて、ちょっと御意見を賜りたいと思います。  確かにこの独占禁止法は、先ほどからさまざまなお話がありましたとおり、戦前の財閥というものにかなり注目をして純粋持ち株会社禁止というものをうたったものと思います。  これは、いわゆるアメリカ軍が日本を占領した後、なぜ日本がこれだけの軍事力を持って、かつ第二次世界大戦というものに突入したのか、その根底を尋ねると、どうも軍部に対して資金供給をしている財閥にあったということから、財閥を解体する一環として純粋持ち株会社禁止というものをうたったことは、歴史的に多分そのとおりだと思うのです。  しかし、時代が変わってきまして、財閥復活というのはほぼ、もう日本の中でなかなか難しい状況になったと思います。大きな会社の社長さんなんかも、結局は昔の社員がずっとそのまま社長さんになるとかなんとかという経緯になっていますから、この財閥復活というものは、ほぼ私は可能性として消えたものと思います。  そうなってきますと、国際的な、いわゆるグローバル経済競争の中で、日本も、アメリカ、ヨーロッパが持っている純粋持ち株という経済行為のツールを取得したいという思いが出てくるのはそのとおりだと思うのです。したがって、こういう形になってきたのですが、そのときに懸念されることが幾つかあったと思うのです。  その一つは、日本企業の特異性、あるいは日本の社会の特異性というものが一つ挙げられると思うのです。単に国際的なイコールフッティングという観点から日本でも純粋持ち株会社解禁したいというその意思はわかるのですが、日本の特異な社会性、あるいは企業のあり方というものが非常に問題点をはらんでいるということも事実であります。  かつて、日本の中でこの純粋持ち株会社解禁するという報道をしたところ、アメリカの商工会議所がいち早く賛成を表明しましたが、その話をいろいろ聞いたら、いわゆる規制を緩和するということはアメリカの企業日本に入りやすくなるということだからいいことじゃないかという観点から賛成した。しかし、どうもよく調べてみると、日本の中のいわゆるグループあるいは系列化というものがどんどん強くなるのではないかという懸念があるということがわかって、いま一つ純粋持ち株会社解禁についてはどうかなという疑問符を呈するというような報道も一部されました。この日本企業の特異性というものを、先ほどの岸田委員の話ではありませんけれども、透明性をどう高めるか、ここが私は重要だと思うのです。  三月二十六日に新聞報道されましたけれども、野村証券に強制捜査が入った。これも総会屋対策としてVIP口座をつくって一部のところに不正な資金を流していたということがわかって、証券会社ですらそういうことをやっていたわけです。また、いろいろな議論の中で、株主総会というのがありましたね。株主総会もしゃんしゃんで済ませていいんだろうか。これは世界を見ても、そんな三十分で済ませるとか二十分で済ますとか、そういう株主総会というのはないわけなんですね。  そういう日本企業独特の習慣、慣習というものを今のままにしておいて、そして国際的なメガコンペティションだからということで純粋持ち株会社という制度を導入していいんだろうかという疑念もあるのですね。ここら辺のところについては、どうも今回の与党議論の中で、日本企業企業倫理、あるいは透明性というものにメスを入れようというような動きは、議論はあったと思うのですが、具体的な形として動いておりません。  したがって、私は、もしもメガコンペティションということであれば、日本独特の企業慣習等々、アメリカ、ヨーロッパから見て不可解と思われるものについては透明性を高めるというメスも一方で入れる必要があると思います。  それから、もう一つ金融問題でありますが、この純粋持ち株会社解禁するに当たって、その発端はどうもやはり銀行界のいわゆる不良資産の処分の問題あるいはそういうものを発端として金融持ち株会社解禁したいという思いがあってかなり動いた形跡がございます。  しかし、この問題についてはさまざまな問題があるということで、金融持株会社法を新たにつくろうということで与党内で整理をされてこられましたので、これはこれとして評価をしたいと思うのです。  もう一つ、三点目の問題点はいわゆる労働問題でありまして、これは林先生も、労働問題がある、そして純粋持ち株会社解禁することになってこの労働問題はふえるかもしれないという御認識をお持ちだと前に伺っておりましたけれども、この労働問題については、日経連経団連あるいは連合の三者において、二月二十五日に合意をされました。その文言が、「独占禁止法改正による持株会社自由化に伴う労使関係の対応については、労使協議の実が高まるよう、」……
  27. 武部勤

    武部委員長 発言中大変恐縮ですけれども、大分持ち時間をオーバーしています。
  28. 大畠章宏

    ○大畠委員 どうも済みません。一年分の話を、思いをちょっと言っているものですから、大変申しわけない。「実が高まるよう、労働組合法などの改正の問題も含めて今後検討し必要な措置をとることとする。なお、検討期間は二年を目途とし、連合日経連経団連意見を十分に反映するものとする。」というような内容附帯決議に入れるという条件合意したという話でありますが、ここら辺、私は今回の独占禁止法改正に当たっては、十分こういう経緯を織り込みながら対応をしなければならないと思いますが、ちょっと長くなって大変恐縮でありますが、このような問題に対しての林先生の御見解を例えればと思います。  以上です。
  29. 林義郎

    ○林(義)委員 今お話がありましたから、全部お答えになるかどうか、私もメモをとっておりましたが、抜けたかもしれませんから、その点をお許しいただきまして、お答えをいたし、それから後、私自身の考え方を申し上げたいと思っております。  まず、西川さんのお話ですが、遅きに過ぎたじゃないか。これはやはり三党まとめてやるということは、議会の中で、各党個人個人で私はやってもいい話かもしれないと思うのですが、やはり今の日本の政党政治のもとでは政権与党合意をとってやろうというようなシステムになっていますから、実は、私自身は、この問題は議員提案にした方がいいのでないか、政府提案より議員提案の方がいいのでないか。議員提案なら、私が提案して私がやりますから、私が全部答えても、それでも私はやるだけのなにがある。  しかし、そういったような問題であるし、経済憲法と言われるような話ですから、議員の中でもいろいろな御意見があるから、やはりその前にまとめてやっていこうという話で始まって、昨年まで、実は大畠さんはそのときには一緒に議論をした仲間で、私と同じような意見で、この人の意見に対しては反対だとかなんとかというような話も随分やったのですね。自民党の中でも意見が違う。  そういった形でまとまったものですから、私は、まとまってこんなように出てきてよかったなと思う。  それから、きょうの話を聞いていますと、今まで議論をしていた内容が皆さん方も大分よくわかってもらっている、特にグローバリゼーションの問題であるとか国際的な問題というのは非常によくわかってもらっている、こういうふうに私は思いましたし、御意見は非常に尊重してやらなぐてはいかぬし、皆さん方も恐らく大多数の方々はこの法案が成立するということを期待をしておられるのだろうと思っています。  それから、もう一つの問題は、透明度の話ですね。この問題もまさにありまして、私は、公正取引委員会過度経済力集中を排除するというところのルールを全部書け、大体これは国会事項じゃないかと。不当な取引制限とか独占とかあるいは不公正な取引方法というのを禁止、それも全部書いてあるのですね。  だから、正直言って、だれだったか、吉田さんでしたか、お話があったように、この話はよくわからぬ、過度集中というのは一体何を指すのだ、どこまでが過度集中で、どこまでがそうでないのか、よくわからぬじゃないか、こんなものははっきりしろ、そんなことをはっきり書けと。しかし、私はなかなかそれは自分では書けないが、公取の方におまえ書けと言って、では先生書けますかと言うから、いや、正直言って私もよく書き切らぬなと。書き切らぬから、これはやはり皆さん方の議論を踏まえてやる話だし、やはり国会でいろいろ議論が出てくるから、私は、やったらいいのじゃないかな。かつて独禁法で問題がありましたのが、今の新日鉄をつくるとぎの八幡、富士の合併ですよ。これはいいかどうかというような話がありました。やはりそのときだって国会でいろいろ議論をされたのだと私は思うのです。  こういったものは、法律にこう書いてあるからという形でなくて、やはり議論を尽くしてその議論の中でやっていくということが私は必要だろうと思うし、もしもそういったような問題で持ち株会社がどうだこうだというような話があったら、本当は国会の担当委員会であるところのこの商工委員会でまず議論をしてやるのが筋じゃないか、皆さん方の御意見でやったらいいのじゃないか、こういうふうに私は思っておるところです。公取でどれだけ書かれたところで、よく書き切らぬ問題ではないかな、こういうふうに私は思っています。  それから、あと相続税対策等ありますし、それから税制対策、西川さんおっしゃいましたよね。それから、多くの方々から、税制の対策をつくらなくてはいかぬ。これも随分私、もう初めからこの議論をしたのです。議論をしまして、ところが、税制の議論までやると、今度は商法を一体どうするかという議論になってくる。  この話をやるときに、今度は、きのう国会で電電公社の分割法の話がありましたよね。あれのところでも、東京会社はもうかるが、関西会社はもうからぬ。だけれども、もうかっているところからこっちへ持っていって利益をやる、一体そんな話が分割した会社であり得るのかね、どうなのかねというような議論があるわけですよ。  それから、資産の譲渡をしたときの課税をどうするかというような話も当然に出てくるわけですから、そういった問題はやっていきましょう。西川さんはその話と一緒にやれというお話ですが、まだ話がまとまらぬ間にまたやったら怒られてしまいますから、こういうふうな形でやっていこう、税制は税制の問題として考えていかなくてはならない。  税の立場からいいますと、いろいろ問題があるのです。さっきのように、もうかる会社ともうからぬ会社二つに分ける。足したところで税金をかけるというのが全体の会社考え方。ところが、損をする会社があったら、普通の税法でいうと、損をする会社は赤字でゼロですよ。もうかった方は全部税金をかける、こういうことです。税金を取る方からすれば、たくさんもうかったところの会社から取ればよろしい、赤字になって大損したのはそのままほっておく、こういう考え方ですが、それを連結で一緒にやろうということはちょっと虫がよ過ぎるのじゃないかという議論さえ実はあるのです。  その辺の議論を正直詰めていかなければいけませんし、今の話はもう一つ言うと、日本企業とアメリカの企業が合弁会社をつくる、香港の企業とどうするかというような話のときもみんなその話が出てくるわけですから、そんな問題は少し時間をかけて詰めてやらなくてはいかぬのじゃないかな、私もこう思っています。  そういった中に、さっきお話がありました相続税対策の話。これは純粋持ち株会社というのは大会社だけじゃありませんよ。田舎の小さな会社で、おやじさんが八百屋をやって、少し子供にスーパーをやらせましょう。スーパーも、乾物屋をやるスーパーと食料品店のスーパーと雑貨売りのスーパーとみんな、子供三人に分けてやる。全部持ち株会社にしてやるということになったら、資本の数は非常に少なくてよろしいから、相続税対策にはあるいはなるかもしれない。そういったようなことをやはり抜け穴がないように考えていかなくてはならない問題だろうな、こう思っています。  それから、大畠さんの話ですが、大畠さん、もう随分やったから中身の方はよく御存じでしょうからあえて申しませんけれども、やはり規制を緩和をしていく、こういうことで、純粋持ち株会社にしたらかえっていろいろな形で規制の強化になる、規制というよりは日本のコントロールを強くするんじゃないかなという御意見がアメリカの方からもあるだろう、こんなふうな話。私もそんな話を時々聞くのです。  ただ、これは、日本の実情からいいまして、純粋持ち株会社だったらすぐにそれがずっと発展していくかというと、私はそう思いません。現実に、事業持ち株会社で、たくさんの会社持ち株会社でやっている。日立製作所なんというのはたしか三百ぐらいの持ち株会社があるわけですね。今度中国に行ったら、中国の持ち株会社をまた二百とかなんとかみんなつくるわけです。上海につくり、大連につくり、南京につくり、重慶につくり、みんな持ち株会社でやるわけですね。そういったような形でやりますから、私は、それが規制なのかどうか。  要するに、規制でやると、今度向こうで困るのは、日立に物を納める、日立と取引をするときに系列に入っていなかったならばだめだ、こういうふうな話ですから、系列取引の問題をどうするかということを私は考えていかなくてはいかぬ。これは、今の独禁法では不当な取引制限あるいは不公正な取引方法に当たる話ですから、そういったような問題について独禁法で新たなメスを入れる、こういうふうなことは考えてやってもいいのじゃないかなと私は思っています。  それで、メスを入れる方法としては、公正取引委員会が例えば不公正な取引方法という形で抑えることができる、こういったものがあったら公正取引委員会に、先ほど古賀さんだったか、だれか話をしておりましたように、だれでも独禁法に違反するような事項があったら申し出をすることができるという話がありますから、だれでも申し出をして、そういったような形でやったらどうだというような話をやっていく。  ある会社がおかしいということになってしまったならば、その会社が不当な利益を得たり、あるいは不当な損をしているというようなときには株主訴訟か何かで訴えていくというのが今与えられた方法ですが、果たしてそれだけでいいのかどうかというのはお互いこれは勉強してみなくてはいかぬ話だと、吉田さんだったか、さっきそんな話がありましたけれども、私は、この問題は、独禁法というものは経済ルールですから、経済ルールは決して公正取引委員会政府がつくるんじゃないのですよ。ルールをつくるのは我々国会ですよ。だから、私たちは国会でこの辺は大いに議論してやったらいいんじゃないかな、こういうふうに思っております。  ルールの話になりましたから私は申しますけれども、鈴木さんは専門家だからあれですけれども、金融持ち株会社の話、金融の話だって、言いますと、アメリカの銀行委員会、さっきあなただったか、前田君かな、だれか話をしておられましたけれども、向こうも、いや、なかなか我々も知識がなくてなどということを言っていますが、私は、アメリカの銀行委員会というのは大変な権威のある委員会だ。アメリカの連邦準備理事会とか、あるいは歳入庁とか、あるいは財務省とかありますが、その上にあるのが銀行委員会。  その銀行委員会は、いろいろな金融持ち株会社だとかファイアウォールの話だとかというのをやっていくわけですから、我々国会もその辺については権威を持ってやったらいい。何かわからぬから全部役所に任せるなどという話でなくて、私たちが独自の力で、独自の考え方でやはりこの制度をつくっていくのが私は本当に必要なことじゃないかと思いますし、そういった議論をぜひこれからもやっていかなくてはならない話だろうと思っています。  労働組合の話がさっきありましたが、労働組合の話は、大畠さんと一緒にやったころからずっと話がありましたね。ありましたが、最後には、日経連連合と話をしたというので持ってこられまして、国会附帯決議にというような話がありました。私はそのときに申し上げたのは、労働組合の方の問題、労働関係の問題というのは十分に私たちは考えていかなくてはいかぬ。本当はこれは独占禁止法の問題とは違う話だ。それは、労働関係というのはまさに労働関係独占禁止法というのは企業経営の問題であるし、会社の取引の問題ですから、違う話だ。  しかし、そういったものがいろいろ影響を及ぼすという話で、法律論として申し上げるならば、最高裁の判断で、子会社の労働組合が親会社と交渉することは妨げないという話がありますから、それは私はできる話になっていると思うのです。しかし、法律でやっているのを、判例法で決まっているからそれだけでいいかということになってくると、その辺は少し考えてみた方がいいだろうな、こう思います。  そういった意味では、私は、この場でやるのがいいのか、労働委員会でやるのがいいのか、やはり議論をしてもらったらいいと思うのですね。あるいは、この商工委員会から労働委員会の方に、こういった問題があるのだけれどもどうだろうかという連合審査を申し入れて、一遍議論をしてみるということが必要じゃないかな、私はこう思っているのです。今回やれというのじゃないですよ。そういった問題ですから、ちょっと時間をかけてやらなくてはいけない。  というのは、私は昭和二十二年に大学に入った。そのときに最初に労働組合法を聞いたのですよ。それはアメリカの法律だというのです。日本には労働組合法というのはなかった。だから、アメリカのまさに判例法に基づくところのルールの法律でしょう。だから、判例法に基づくルールの法律というものは、ルールを積み上げてやっていくのが正しい方向だと思いますし、いろいろな意見が出たら、それでどういうふうにしてやっていくか。こんな方向で話がまとまったから後は役所に任せて、ばっとやれなんというのは、とるべきでない方法だ。お互いが権威を持って、こういったルールづくりをしていきましようというような話を私は独禁法と同じようにつくっていくことが必要だろうと思いますし、それから国会の中で……
  30. 武部勤

    武部委員長 林先生、御発言中まことに恐縮ですが、おまとめいただきたいと思います。
  31. 林義郎

    ○林(義)委員 もうやめますが、この委員会附帯決議なんかやるのはどうかな、これは理事の方々にお任せしますけれども、労働委員会もあるしほかの委員会もあるでしょう、だから、それを商工委員会で全部やってしまうというのはどうかなというような感じが私はします。  皆さん方、大体問題点を皆知っているわけですから、きょうも随分この話が出たのですから、この意見政府の方が尊重しないなどということはあり得ない話だ。それをわざわざ何か書いてやるよりは、我々の議論が正当だということで、これからどうしてやっていくか。立法するのが我々の仕事ですから、私は、立法にこそかけるべきで、附帯決議の文言でどうだこうだと言ってやるより、立法すればいい話ですから、そういうことで処理をされたらどうか。これは私の意見ですから、申し上げておきます。  もう時間がないようですからこれでやめますが、最後に申し上げますけれども、過度経済力集中というのは、過度経済力集中排除法というのが戦後にありまして、財閥を解体いたしますと。財閥経済力が非常にあるのと、同時に家族支配であったと思うのです。それがやはり日本の戦争を支えたわけです。だから、それを解体しようというのがアメリカの占領軍の政策だったわけですから、そのために財閥を解体したのです。  その財閥にならないような形で持ち株会社を、純粋持ち株会社だけは抑えておいた方がいいだろうという形で、防止の規定を置いている。ところが、二十九年に過度経済力集中排除法がなくなった。そのときにあるいは廃止をすべきだった話かもしれないと思います。というのは一アメリカにもヨーロッパにも純粋持ち株会社禁止するなんというような法制はないのです。こんなものがあるのは韓国だけです、日本と韓国。  だから、そういった意味では、もうやめたらいいと私は思うのです。国際的な状況になってきたし、皆さん方の御理解をいただいて立派な法律ができて、これからいろなことをやっていかなくてはいけない。独禁法というのはまさにルールの法律ですから、ルールをどうしてやるか、こんなルールをつくったらどうだということをやっていくのがお互いの責任、仕事じゃないかな、あえて申し上げて私の陳述を終わります。
  32. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、まず、現行独禁法の第四章、とりわけ九条が独禁法の背骨をなすものですが、これについてはやはり経済民主主義の方向を示しているものであり、これは既にいろいろな方から御発言がありましたように、経済分野の憲法九条という非常に重たい意味があって、まずこのことに非常に重要な意義というものを今日も持っている、ますます大事になってきているということを最初に申し上げたいと思います。  この第一条の目的の中で、やはり大事な点、私的独占、不当な取引制限及び不公正取引方法禁止事業支配力過度集中防止というのがありますが、同時に、公正かつ自由な競争の促進、さらには雇用及び国民実所得の水準を高めることや、一般消費者の利益の確保国民経済の民主的で健全な発展の促進というのを目的に挙げているわけです。  ですから、この独禁法の目的ということに照らして、今いろいろ議論になっておりますことを幾つか考えてみますと、国際的な問題で、メガコンペティション時代国際競争力を強めるんだ、だから純粋持ち株会社解禁をという九条改正という議論一つあります。  そうすると、先ほど大森議員の方からも議論がありましたように、では日本は今国際競争力は非常に弱いのかどうか、これはやはり一つ事実の問題としてきちっと押さえておかなければいけないと思うのです。  大森議員の方からいろいろな指摘がありましたから私は多くは繰り返しませんが一例えばフォーチュンの世界企業五百社の中で、九三年に日本は百三十五社入っていて、これはアメリカの百五十九社に次ぐものですが、実はアメリカが七五年から減少している中で、日本は五百社に入るところが大きくふえているわけですね。  それから、世界の鉱工業上位二百社の中でも、日本は九〇年の四十社が九四年に五十六社と、九〇年不況の中でも大きくなっていっている。そして、自動車生産は世界の三割を占め、トヨタが世界三位ですが、自動車、電機を中心として、日本の輸出企業上位三十社で輸出の五〇%を国内でも占めておりますが、世界的にもこれらの企業は多国籍企業化して非常に大きな力を持っているのが現実の姿としてあるということが一つ大事な点だと思います。  問題は、だから国際競争力が強いわけですが、どうしてこれが強くなったのかというこのなぞ解きが一つ大事で、そのときに実は独禁法の目的の中で言われている公正かつ自由な競争の促進とか、雇用、国民実所得の問題にかかわってくると思うのです。  これは、独禁法の目的に定められておりますように、非常に大事な意義を持っているのですが、問題は、日本国内では中小企業事業所の九九%、雇用の約七割、製造業分野でいえば生産額の約五割という、日本の中小企業というのは日本経済のいわば中心的役割を担っている部分なんですが、そこが本当にこの九条の改正によって公正で自由な競争の促進が守られるのか、ここのところが非常に大事な点だと思っているのです。  これはこの委員会でもこれまで取り上げたことがありますから余り多くは述べませんが、例えば、今度要請書を経団連会長として出していらっしゃる豊田さんのところのトヨタ自動車を実例に挙げますと、野村総研の研究員の方がかつてトヨタ自動車の研究をやっていた中で、なぜトヨタが強くなったか。それは、私も調査に行きましたけれども、一人の労働者は一日に十九キロ走りながら働くという超過密労働、それから徹底した下請単価の切り縮め、下請いじめといいますか、これはトヨタだけじゃありませんが、自動車関連は、浜松へついせんだって調査に行きましたときに、これまでに比べて下請単価は半値の六掛け二割引きだ、それでないと仕事がもらえないという状態ですね。  そうして、労働者そして下請中小企業の皆さんのそういう負担の中で、徹底してコストダウンをどんと図って輸出を進める、貿易黒字を生み出す、これが円高を生み出し、円高でも国際競争力を持てるようにということでさらなるコストダウンが図られていくというこのやり方を野村総研の研究員は悪魔のサイクルと名づけておりますが、このまま行ったら破局的な方向へ行くということを言っているわけです。  やはり独禁法の九条改正によってますますこれらの一部の巨大企業事業支配力を強化していったときに、これで、国際的にはもう既に国際競争力を持っているのですが、国内で本当に公正で自由な競争なりあるいは中小企業事業活動が保障されるのかというこの問題が大事な点として考えなければいけない問題だというふうに思います。  そういう点で、やはり今大事なことは、現行の独禁法を厳正に実施して、日本はルールなき資本主義という言い方も世界からされたりもしますが、日本の大企業の実態をせめて欧米並みの資本主義のルールを守るように、そういう点ではそういう国際基準に合わさせていくといいますか、そこのところこそ今強めなければいけないところだと思います。
  33. 武部勤

    武部委員長 吉井君にお願いですけれども、持ち時間を倍ぐらいオーバーしておりますけれども……。
  34. 吉井英勝

    ○吉井委員 はい。ぼちぼちまとめに入ります。  それで、やはりトヨタなどが強力な支配力を持っているのに、純粋持ち株会社解禁すれば、一部巨大企業企業グループ事業支配力がますます強化され、下請中小企業と労働者、国民が打撃を受けるということになるのは必至だと思うのです。  この点は、せんだって実方参考人の方も、やはり九条改正競争政策全体の後退を招く契機としてとらえられるおそれも大きいということとか、競争的環境を整えるためのルールとしての独禁法規制はむしろ強化されるべきだという意見がありましたが、私はこの点が非常に大事だと思うのです。  最後に、公取の海外実態調査報告書が長く隠されたままだったのですが、この報告書の中で、アメリカでは純粋持ち株会社禁止法律はないが、この形態をとる会社はごく少数、例外的という事実を示していますね。  これは実は、財団法人企業活力研究所の調査では、金融を除く百社の中のわずか四社だけというふうな実例もありますし、ドイツのダイムラー・ベンツの失敗の例も紹介されていますし、ヨーロッパでは法律禁止する規定を持つ国はない、が、しかし持ち株会社はディスクロージャー回避の手段として期待されていることなど、解禁の効用には否定的見解というのが示されております。  ですから、これは企業活力研究所の調査の中でも、アメリカの状態に照らすと、わが国の一〇〇%以下の株式所有による他社支配は、競争政策上、また企業グループ内の子会社、従属会社の独立確保上、危険を孕んだものといえそうである。 という指摘とか、あるいは  企業グループ内の子会社の利益がグループの利益のため犠牲にされるおそれに対する規制は、どの国でも厳しくなる傾向である。このことが、一〇〇%以下の子会社所有を避ける一つの理由となっているのは確かである。わが国の企業グループ規制が、この点で、国際基準に達しているかどうかは、検討の余地があろう。むしろ、日本は少数の株式の所有によって支配できるという点で、この点では純粋持ち株会社解禁となりますと、一層巨大な事業支配が行われていくことになると思うのです。この点では、やはり国際基準に合わせるとかハーモナイゼーションという理由づけでもって解禁というのは当たらない。  この点でも実方参考人が、持ち株会社については、先進諸国では有効な企業戦略として広範に活用されているわけでもなく、むしろ持ち株会社形態に伴う取引の不透明性が指摘されている。国際的ハーモナイゼーションのためには、むしろ企業結合に関する規制を国際的レベルまで引き上げることが求められるという指摘がありましたが、私は、今こういう立場にこそ立って、この委員会議論を、もっと時間をかけて十分な論議がなされるべきであるということを最後に申し上げまして、終わります。
  35. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 新進党の石井でございます。  もう随分議論が進みましたので重複するところがあるかと思いますが、意見を申し述べたいと存じます。  私は、今回の改正案に基本的に賛成でございますが、ただ、まだいろいろな課題が残っているというふうに認識をしております。  一つは、先ほどから出ておりますけれども、事業支配力過度集中禁止する具体的な基準をやはりきちんと明らかにしていく必要があるであろうということ、あるいは情報開示、株主の権限の保護、連結納税制度、また金融持ち株会社等々、非常に重要な課題がまだ残されておりますので、今後真剣に議論をしていく必要がある、このように考えております。  その中で、特に申し上げたいのが商法の問題でございます。我が国の商法は会社を独立の単体として扱っているわけでありますが、現状でも企業グループというのは、親会社を頂点にしましてさまざまなグループ企業が一体的、有機的に運営をされているわけであります。今回この純粋持ち株会社が許可をされれば、許されれば、そういった実態がより性格が強まる。こういう実情を反映した、企業結合法制といいますか企業グループ法制といいますか、そういったものがやはり今後必要になってくるのではないか、このように考えます。  それは、一つは、経営責任という問題でありまして、例えば、これは子会社経営者に全部責任をとらせるということになりますと、持ち株会社経営者の責任というのはどういうふうになるのか、こういう経営責任の明確化という問題。あるいは、株主の経営チェックといいますか、株主に対する情報開示という面でも、持ち株会社の株主になった場合でも、その子会社も含めたグループ全体の業務の状況をやはり把握する必要があろうかと思いますし、また子会社の株主にとりましてもやはり親会社経営方針というのが非常に重要なわけでありますから、そういうグループ全体の情報開示という面、さらに労使交渉権の問題についてもこういった観点から議論をすべき必要があるのではないか、このように考えます。  以上でございます。
  36. 伊藤達也

    ○伊藤(達)委員 伊藤達也でございます。  今回の自由討議は本当にいい討議であったなというふうに思っております。そういう意味では、今までの議論の中で、相当な問題点についてしつかりとした議論ができたのではないかというふうに思います。  ただ、その中で、持ち株会社がバラ色かバラ色じゃないかという議論がありましたけれども、やはりこの制度を生かすも殺すもこれは経営者の問題でありまして、先ほどダイムラー・ベンツの問題も出ておりましたが、これは持ち株会社だから失敗したということではなくて、企業経営者の判断としてそういう結果が出たのではないかというふうに思います。ですから、そういう意味では、やはり今、日本企業が世界の国際的ルールにのっとって企業経営ができる、そういう環境をしっかりつくり上げていかなければいけない、この点を私はちゃんと押さえておかなければいけないというふうに思っているところであります。  先ほど林先生の方からこの問題についての問題点や課題について明確に御整理をしていただいたわけでありますが、その中で私一つ感じますのは、国際的な視点の中で十分にこの問題に対応できるような体制になっているのかなという点が、やはり大きな疑問として残っているところでございます。  十年前でしたか、小川先生おられますけれども、私もアメリカの議会におりまして、先生が御視察に来られたときに、いろいろ意見交換をさせていただいたことがありました。そのときにアメリカは、これからのアメリカ経済にとって、国際的視野の中でアメリカの経済力というものをしっかり発展させることができるのかどうか。そして、国際的な視野の中で、アメリカ市場の自由と公正というものを確保することができるのか。そういう意味では、グローバル化への対応ということをしっかり議論をしておりました。  今回の法改正の中で、この点についての議論が研究会の中ではされているというふうに思うのですけれども、持ち株会社解禁されたときに一番危惧をされるのは、やはりMアンドAの問題であります。これは、参考人の方からもこの点についての危惧が出ておりました。しかし、この点について、本当に今の日本の体制の中で十分に監視体制というものが機能していくのか、ここについてはもっと真剣な議論をしていかなければいけない。  先ほど、岸田議員の方からもこの点についての指摘はございました。日本の中で、きっちりとした国際的な視野の中での監督権、あるいはほかの国々の方々と協力をしていく、その中の協力権の確立ということは、これは早急にやっていかなければいけない点ではないかというふうに思います。  それと、今回の持ち株会社解禁されることによって何もかもできるというふうには思ってはいけないところがありまして、この問題を解禁することによって、日本国内の先ほどから出ている税制の問題やあるいは商法の問題、このことについては本当にいろいろな課題が出ているわけでありますから、ここをやはりしっかり解決をしていかなければいけない。  その中で、林先生の方からも立法府の使命ということが御指摘をされていたわけでありますから、私は、大体の論点が今回の自由討議の中でも十分に出ていると思います。したがって、やはり立法府が指導をして、これからの商法というものを国際的な視点の中からどういうふうにやっていくのか。あるいは、税制の問題についても、やはり日本企業というものを、企業競争力というものをしっかり回復をさせて、そして日本経済規模というものを拡大をしながら税収というものをふやしていくにはどうしたらいいんだ、そういう視点も十分に押さえながら、この問題というものを真剣に考えていかなければいけないのではないか。法の問題については、整備されていない点が多々あるわけでありますから、その問題について、本当にいち早く機動的に立法府が対応をしていかなければいけない、このように考えております。  以上であります。
  37. 茂木敏充

    ○茂木委員 先にお許しをいただきまして、一点だけ。  この法案、非常に国際的視野というのが重要だということなんですが、先ほどの吉井委員の発言についてちょっと私なりの考えがあるので、簡単に申し述べさせていただこうと思ったのです。  やはり、日本企業国際競争力というのは圧倒的に落ちてきているんではないかな、私はこのように考えております。  フォーチュンの例等々出されておりましたけれども、日本企業が今強いのは、自動車とか電機とかおっしゃっていますが、部品点数が大体一つの商品、製品で千点から十万点ぐらいの商品でありまして、そこの中にたまたま自動車や電機が入ってきます。しかし、その下の方の千点のところは、もうアジアの国々がほとんど入ってきています。逆に、十万点を超えるところというのは、航空機であったりとか、日本がまだまだ全然入れない分野でありまして、かなりの圧迫を受けているところであります。  また一方で、アメリカなんかで伸びていますソフト関係とかベンチャーを見ても、日本の場合、今廃業率が開業率を上回るような状況になってきて、かなり厳しいということで、私は、国際競争力ということを考えても、今、日本企業日本経済というのは決して楽観できるような状況じゃない。少なくとも競争条件が国際レベルになるような制度整備、独禁法改正を含めて必要ではないかな。もちろん、これによってすべての大企業がこの制度をとって、日本で中小企業がなくなってしまうとか、すべてが圧迫される、そのような懸念というのはないのではないかなと考えております。  ただ、各委員から御指摘がありますような税制の改正であったりとかチェック機能を行政としてしっかり持っていく、小川理事も最初に御指摘されていましたが、そういった周辺環境の整備というものは早急に必要だ、このように考えております。
  38. 林義郎

    ○林(義)委員 吉井さん、大森さんからお話がありましたから、あえて私は言っておきますが、アメリカでも持ち株会社はニュージャージー州の法律によって解禁されてやってきて、その後、鉄道であるとか公共事業持ち株会社についていろいろな規制がある。それは、公共事業持ち株会社ということです。  実はそのほかに、一体ヨーロッパはどうなっているのかなと私は調べてみて、国会図書館に頼んで、昔からあった持ち株会社論というのはどこら辺にあるんだと調べてもらったら、カール・マルクスの「資本論」に持ち株会社というのがあるんですよ。ヒルファーディングの「金融資本論」というのにも持ち株会社があるんですね。鈴木さん御承知のように、「金融資本論」はまさに持ち株会社をどうするかという話なんですね。  だから、もうヨーロッパでは普通に一般的にある話だ。弊害が出たらどうするかという話と、持ち株会社そのものがいかぬとかという話とは私は違う話だ。だから、弊害がもしも出たならば、弊害を抑えるためには、先ほど話があったように、独占であるとか、不当な取引制限であるとか、不公正な取引方法で抑えることを考えていけば私はいいのではないかな。  それから、金融関係は別にまた金融としてのルールがありますからやりていく、こういうことでやったらいいので、共産党の皆さんは立場上そうだという話ならしようがないけれども、私は、資本主義社会というものがずっと発展していく過程において、一つの経過的事象だというとらまえ方をしていただいた方がいいんじゃないか。その事象に対してどうするかということであって、この事象をこうやったからすぐに悪が出てくるなどというのは、論理が短縮しているのではないかなということを私は申し上げておきたいと思います。  以上です。
  39. 武部勤

    武部委員長 議論も尽きないところであろうと思いますが、本日の討議はこの程度で終了することにいたしたいと思います。  委員各位におかれましては、忌憚のない御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  本日の委員各位の討議を振り返りますと、今回の独禁法改正に当たりましては、一部に反対論はありましたが、グローバル化の中で、我が国経済の活性化のためには重要といういろいろな御意見もございました。  主な御意見を順不同でまとめてみたいと思いますが、  第一に、持ち株会社解禁と今後の我が国企業経営のあり方について、  第二に、持ち株会社解禁に伴う競争条件の整備と公取委の機能強化について、  第三に、禁止される持ち株会社範囲公取委ガイドライン、事前相談のあり方について、  第四に、持ち株会社解禁と情報開示、税制、労働関係企業グループ金融持ち株会社等の関連諸制度の整備について、  第五に、独禁法の目的と第九条の本来の意義についてなどの御意見があったと存じます。  また、法案策定の具体的な経緯につきましては、林先生から御説明がございました。  本日の討議を通じまして、各委員皆様のこの法案についての御議論は一層深まったもの、かように考えます。  今後の委員会審議におきましても、本日の成果を踏まえまして活発な議論がなされますよう委員長として期待したいと存じます。  以上で討議を終わります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十九分散会