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1997-04-16 第140回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十六日(水曜日)     午前九時四十一分開議  出席委員   委員長 武部  勤君    理事 小川  元君 理事 小此木八郎君    理事 中山 成彬君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 大畠 章宏君 理事 大森  猛君       甘利  明君    石原 伸晃君       小澤  潔君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    亀井 善之君       岸田 文雄君    河本 三郎君       自見庄三郎君    中島洋次郎君       中山 太郎君    林  義郎君       船田  元君    村田敬次郎君       伊藤 達也君    石井 啓一君       鍵田 節哉君    神田  厚君       古賀 正浩君    島   聡君       達増 拓也君    中野  清君       吉田  治君    松本  龍君       渡辺  周君    吉井 英勝君       横光 克彦君    前田 武志君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君  出席政府委員         経済企画政務次         官       河本 三郎君         通商産業政務次         官       石原 伸晃君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       谷口 富裕君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡本  巖君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課長    大森 勝良君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課防災環境         対策室長    野家  彰君         環境庁企画調整         局環境影響評価         課長      高部 正男君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君     ————————————— 四月十六日  古紙回収業者育成策の確立に関する請願(臼  井日出男君紹介)(第二〇九二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電気事業法の一部を改正する法律案内閣提出  第七九号)      ————◇—————
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田武志君。
  3. 前田武志

    前田(武)委員 おはようございます。太陽党前田武志でございます。同僚議員先生方のお許しを得まして、太陽党も早朝に質疑するのも似つかわしいのではないかという御好意でトップバッターを承りました。どうもありがとうございます。  さて、いよいよこの電気事業法改正して環境アセスを正式に法制化していこう。もちろん、これは環境委員会で並行して審議が進められる親法といいますか、環境アセス法というものと関連しての話であるわけでございますが、我が国電力立地、これは長い歴史があるわけでございます。  そういう中で、立地する地域との調和環境保全、そういったものについては電力並びにそれをずっと行政の面で指導してきた通産省環境保全に対する長い歩みがあるわけでございます。地域環境保全に対する取り組み、影響評価、そういったことについては省独自の、たしか省議アセス、こう言いましたですか、昭和五十二年以来そういった手法でやってきているということも承知をしております。  そういった背景を踏まえて、環境アセスそのものについても私もかつて直接関与したこともあるわけでございますが、経済成長に伴う公害問題、そして公害国会環境アセスというものの必要性、たしか閣議決定だったですか、そういう経緯の中で事業ごとに各省独自のアセスというものもやってきた。そして、環境アセス法案というものを何とか政府として早く策定しようという動き、それに対して、一方ではそれぞれ独自の事業分野との調整といったようなことで長い歴史があったわけでございますが、ここへ来てやっとそれが一つ法案にされたということであります。  考えて見れば、地球環境時代とか言われるようになったわけでございますから、いよいよ遅まきながら機が熟して一つ法案ということになったかな、こう思います。  もちろん我が国資源エネルギー消費国でございますし、その資源を外国に、海外に依存して、その資源国に対しては環境負荷をかけているわけでございます。そういった中で環境保全型の経済発展我が国にとっても今まで本当にいろいろな悲しい歴史もあるわけでございますが、そういう歴史を踏み越えてここに至っている。今後発展していく諸国に対しても、環境保全型のエネルギー政策といいますか、そういったことをトライアル・アンド・エラーでやってきたこの日本政策そのもの一つのモデルにもなっていく、こういうふうに思うわけでございます。  そういった観点に立って通産省側にお聞きするわけでございますが、今回の法制度に至る背景、そして親法との関係において、この電気事業法改正しての電力立地環境アセスの意義、まずそういったことについて簡潔にお答えを願います。
  4. 江崎格

    江崎政府委員 お答え申し上げます。  今委員指摘のように、私どもとしては、昭和五十二年以来、省議決定に基づくルールによりまして発電所についてアセスメントを実施してまいりました。これまで百件を超える実績がございまして、環境保全に非常に大きな成果を上げてきたというふうに私ども考えております。  今般これを法制化することになったわけでございますけれども、その背景としまして、発電所を含めて例外なく法制化するようにという方針を中央環境審議会の方で、ことしの二月でございますが、答申が出されました。  また一方、電源立地円滑化のために環境保全に万全を期すという見地から、引き続き従来の省議アセス手続を踏襲して、これを基本として法制化すべきであるという報告書が、これは電気事業審議会需給部会の方から、これもことしの二月に出されました。  私どもとしてはこの二つ報告書答申を尊重するということで法制化に踏み切ったわけでございまして、具体的な中身としては、発電所環境影響法案対象としまして、環境影響法案に基づく一般的な原則は、一般法に基づくルール発電所にも適用する、それから、他の一般的な事業と異なる特別な手続発電所固有手続については電気事業法改正で対応するということになったわけでございます。  今回の発電所アセスメント法制化に当たりましては、これまでの二十年間にわたる発電所立地に際しての環境保全を確保してきた現行の省議アセス手続基本としまして、発電所アセスメント手続法制化するものでありますけれども、このような発電所固有手続を設けることによりまして、これからも発電所立地に際して十分な環境保全が図られるものというふうに思っておりますし、また、こうした環境保全に万全を期すことによりまして、住民理解を得ることによりまして電源立地促進にも寄与するもの、このように考えております。
  5. 前田武志

    前田(武)委員 私の地元奈良県の吉野郡の大淀町というところがございまして、そこに北野台という新しい住宅地がございます。山間部吉野郡にしては珍しい住宅地なんですが、ここに実は関西電力の五十万ボルト、超高圧線、これの計画が持ち上がりまして、今地域において電力側地元話し合い等をしながら何とか送電線を円満に建設していく、そういう道を探っているところでございます。  この問題に関しては、本国会において既に三度にわたって質疑がなされております。本委員会においては初めてかと思いますのでちょっと御紹介いたしますと、奈良県の大体二分の一を吉野郡という広大な、紀伊半島のど真ん中をこの山岳地帯が占めております。実は私の本籍地もこの中にあります。この吉野郡、もちろん御多分に漏れず過疎がどんどん進んでいるわけでございます。しかし、その中で、大淀町というのはちょうどかなめになる町でございまして、この町だけは多少人口もふえている。そして、そういうところで人口一万人規模の北野台という住宅地計画され、まあ近くに近鉄の駅があるということもございます。すぐ下を清流吉野川歴史の川が流れておりまして、目の前にこの吉野川を越えて吉野の大台ケ原等、二千メートルに近い吉野山岳地帯がパノラマのように見えるというようなすばらしい環境のところでございます。その住宅地、大体、今のところ、計画一万人に対して一千戸三千人近くが入居しているわけでございますが、そこに関西圏における非常に大きな電力需要を賄う、非常に大きな供給を担う送電線計画がある、こういうことでございます。  そこで、既に国会で何度か議論されておりますので、まずこの計画の現状というものをどういうふうに認識されているか、資源エネルギー庁側にお聞きします。
  6. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  関西電力は、平成十二年以降の管内電力需要の増大に対応するために、四国から、電源開発及び四国電力からでございますが、百四十万キロワットの電力融通配分を受けるということになっておりまして、この電力近畿圏送電をするために、紀伊水道を五十万ボルトの海底ケーブルで横断をして関西の方面、需要地中心に送るということで、この送電ルートの新設を平成十一年十月使用開始を目途に今計画を進めていると聞いております。  このルートが、先生今お話しの奈良大淀町の北野台団地内を通過する計画になっておりまして、会社の方は、四十九年ごろから土地の取得をしてやってきているわけですが、平成六年ごろから電磁界問題への懸念等を理由に地元反対運動が起こってまいりまして、本年一月に関西電力ボーリング調査をやろうとした際に地元で騒ぎに至るというような事態も発生しているということで報告を受けております。私どもに対しても、地元住民方々から陳情なり要請なり行われているところでございます。
  7. 前田武志

    前田(武)委員 それでは、この当該送電線計画に対する地元のいろいろな論点、今話し合いをされているということでございますが、地元の主張する論点あるいは要望、それに対して関電側が今どういうような見解を示しているのか、簡潔にお答えを願います。
  8. 岡本巖

    岡本政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、一月二十二日の事態で、地元でかなり緊張する場面もございまして、その後大臣の御指示もありまして、誠意を持って話し合いをするようにということで、私どもからも指導をしまして、二月二十日以後、地元自治会との間で話し合いが今現在行われてきているところです。  そこにおける地元住民方々の主要な御意見というのは、電磁界影響、それから鉄塔安全性等について不安をお持ちでございまして、ルート変更を要望されているというふうに聞いております。  他方、その点につきまして、関西電力の側は、地元住民方々との話し合いの中で、電磁界影響について内外の調査研究の結果、あるいは鉄塔安全性ということについては、耐震性でありますとか、その辺を中心地元住民方々の御理解を得るべく計画の詳細について説明をしているというふうに承知をいたしております。
  9. 前田武志

    前田(武)委員 私ももちろん地元のことでございますからよく承知をしておりまして、また、せんだっても地元地元方々の御意見も聞き、現地も調査をいたしました。  要するに、この団地というのが、よく都市近郊にあるどんどん宅地化されていくといったようなところではなく、広大な吉野地域、しかも過疎化がどんどん進む、そういう中において唯一希望の持てる町づくり、非常に環境もいいということで、大阪等を含めて都会から、ぜひここを終生の住みかとしてと言って越してこられる方々もいる。また山間の、奥の方から、同じ郡内で、しかも通勤通学に便利だということで移ってこられる方々もおられる。  この大淀町というのは、地方拠点都市地域整備法に指定されておりまして、大淀町を一つのこの地域拠点として発展していこうというようなかなめの地でもあるだけに、この町づくり最大限協力をする、電力側調整をして、地元発展もよく考えてぎりぎりの努力をするというのが当然であろうかと思います。  今の御答弁に多少欠けているなと思うのは、要するに、この送電線が通ることによって町の発展というものについては大きな影響を与える、したがって、それほど大きなルート変更とかいうことではなしに、町の発展に最終的に協力するような知恵というのはあろうかな、こういうふうに思うのですね。  さらに申し上げますと、ここに越してきている方の中には、例えば、今吉野川の上流で大滝ダムという直轄ダムを建設省がつくっております。下流域水害防止、そしてまた水資源開発、これは逼迫している都市部水需給には非常に重要砥役割を果たします。電力開発もございます。この吉野川水系というのは、そういった意味では、永開発水資源利用といいますか、河川総合開発といった面では随分と協力してきたところでございます。そしてまた、山脈を越えたもう一つ水系の十津川・熊野川水系というのは、資源エネルギー庁承知のように、電力のメッカで、水力発電所が至るところに巨大ダムをつくってあります。  そういった意味では、吉野郡全体が日本経済発展のために、エネルギー政策あるいは水資源開発政策、そういったものに最大限協力をしてきた。そして結果、今過疎に随分と悩んでいる。そういう中で、この町づくりというのが一つ希望を持っておるわけでございますから、そういった意味においては、これからの立地政策の中でも当然考えなければいかぬ地域発展との調和、そういった面から、政府においてもこの町の発展電力との調整といった意味最大限努力をしていただきたい、こういうふうに思う次第です。通産省見解をお聞きいたします。
  10. 岡本巖

    岡本政府委員 今現在、地元住民方々関西電力との間で、問題の解決に向けて、両方が話し合いのテーブルについて真摯な話し合いを継続をしているところでございます。私どもとしましては、関西電力地元住民方々の御理解を得るように誠意を持って話し合いに臨み、問題の早期の解決がなされることを切に期待をいたしているところでございます。
  11. 前田武志

    前田(武)委員 この環境アセス法というのは、やはりこういう地球環境時代において環境保全をいかに維持しながら、電力を初め、いろいろな人間活動あるいはこういう開発事業等との調和を図っていくかということであって、精神としては、例外なき法制化あるいは住民参加原則というものが前提にあろうかと思います。そういうことであるだけに、ぜひこういった面でのこれからさらなる幅広い合意形成に向けての努力というものが官民一体となって必要かな、こういうふうに思います。その面での大臣の御見解を一点お聞きしたい。  そしてもう一点でございますが、これは最後の質問として、要するに電力そのものが、日本は非常に質の高い、どんなときにも停電はないよというぐらい質の高い電力を、電力会社努力等のおかげで今維持をしているわけでございます。さらに、お聞きすると、負荷率が五五%ぐらいだということは、非常に効率が悪い。毎年の需要の伸びを賄うには原子力発電所二つぐらいは必要だというふうに言われるような時代において、もっと私は政治の場でこういう環境自身が非常に大きな課題になり、省エネというものが必要な時代にあっては、もう少し国民との合意形成に向けて、ある種の質を低下させることも受け入れるような利用形態ということもありましょうし、負荷率を上げるようなライフスタイルあるいは産業形態というものもありましょうし、そういったことが非常に重要な政策になってきた、そういう段階を迎えていると思います。  この二点について、大臣の御見解をお聞きして終わります。
  12. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 まず一点は、お地元に絡む話だと思いますが、電力会社、これは言うまでもなく、やはり経済社会に貢献するために安定供給をするということは大事でございますが、加えて、やはり地方自治体との良好な関係を維持するように努力する、この方が、きょうもお願いをしております本法律アセスというものを法制化するという意味だと思うのです。一口に言えば、やはり安定と安全ということを電力会社として考えてもらわなければいけない。  具体的にこの大淀町は、委員指摘のように、参議院の商工委員会で、そして衆議院の予算委員会分科会で同じような質問がございました。要するに、大変地元にとっては関心の深い問題だなという認識を持ちまして、電力会社関西電力に対しましては、その都度やはり地元とよく話し合ってくれ、話し合って結論を出してくれということを再三申し上げているわけでございますが、きょうのお話も踏まえて、また新たな気持ちでもって電力会社の方に、地元住民との理解を得るように誠実に話を進めろ、こういうふうに実は指導してまいりたい、かように思っております。  第二点でございますが、電力会社負荷率の問題に対してでございました。  これは御案内のごとく、昨年の十二月に閣議決定いたしました経済構造改革プログラムの中において、電力について、二〇〇一年までに国際的に遜色のないコスト水準を目指すということをうたってございますが、やはりそのためには電力事業者経営効率化努力を加速化するというところでございますし、負荷率改善はそのための主要な対策だとされております。  また、四月の一日に行われました総合エネルギー対策推進閣僚会議においては、蓄熱式空調システム普及促進を初めとする電力負荷を平準化するための対策について政府一体となって取り組む、実はかようになっております。  そういうことでございますので、通産省といたしましては、国民各層の御理解を得つつ、負荷率改善に資する具体的な措置というものを鋭意検討して、着実な実施を図ることによって負荷率改善に実は取り組んでいる最中でございますので、委員の方でもってこうすれば負荷率が下がるというふうなお知恵がございましたらおかし願いたい、かように考えております。
  13. 前田武志

    前田(武)委員 終わります。
  14. 武部勤

    武部委員長 次に、吉田治君。
  15. 吉田治

    吉田(治)委員 まず最初に、私はある会議録を読ませていただきたいと思います。  私は、この環境基本法の原案を政権与党として議論いたしておりましたときから、最近それぞれの分野において進められている環境アセスメント実績というものはそれなりにきちんと評価したい、そして、これから先もそれぞれの分野におけるアセスメントというものがきちんと行われていくならば、強いて環境影響評価法案をつくらなければならない、あるいは環境基本法の中で環境影響評価法案をつくると明言する必要もないかもしれない、   私は、本来、それぞれの事業者がみずからの良心に照らして環境アセスメントというものは実施していかれるべきものだと思っています。  それだけに、わざわざアセスメント法案をつくらなければならないような事態が来ないことが一番望ましい。 こういうふうに質問をされている方がいらっしゃるのですね。これはどなたかといいますと、現総理橋本龍太郎氏なのですね。平成五年十月二十六日の環境委員会でこういう質問をされている。  その後、当時の環境庁長官答えがありまして、その答えに対して、  必要があればいつでも環境影響評価法案をつくる用意は政府としてはある、しかしそれをつくる必要のない時代で、それぞれの事業者良心において環境影響評価というものが行われていく状態の方が望ましい、そうした点では同じような考え方を持っていただいている。まさに今回の電事法改正のもとになる、俗称環境アセスメント法について、総理大臣自身がこういう認識を持っておられた。  しかもこれが、十年も二十年も昔の話ではない、ほんの数年昔の話だ。それが今や総理としての立場になりますと、いや、これを進めなければならない、七回目の悲願であると言われる。今般の法制等基本的な考え方というふうなものに対して、私は、総理並びに内閣基本的認識というのは、ひょっとしてこの四年前の質疑の中にあるのではないかな。  特に、今回の電事法改正であります発電所アセスメントにおいても、本当に今の時点でこういう法制化が必要なのかどうか、私は甚だ疑問を感じざるを得ない。何回もこの委員会でも質疑をさせていただきましたし、また大臣の方からも、また役所の皆さん方からも、規制緩和というふうなことについて非常に大きな議論をされている中で、こういう法案をつくっていくこと自身が、これは社会的規制と考えるのか経済的規制と考えるのか、多分社会的規制だと答えられるのではないかと思うのですけれども規制緩和というふうな流れというふうなものに対して——規制緩和の対の言葉は、何度も申し上げておりますように、自己責任ですね。規制緩和をするのだから自己責任だ。それは、環境アセスメントというふうなものをしなくて、おかしい環境体系にすれば自己責任で、例えば水俣病の例を引くまでもなく、企業は社会的にもまた経済的にもさまざまな責任を後日負わなければならない。そういう中において、こういう厳しい法律をつくっていくということが、規制緩和、これはいい意味での規制緩和流れに反するのではないかな。  そして、先ほどの同僚議員質問の中で、大臣はこう答えられましたですね、いや、電力会社地元とよく話し合ってください。これだけ厳しい法律をつくっておいて、後ほどいろいろ質問してまいりますけれども、国がさまざまな分野都道府県知事なり地元意見は聞きながら、しかしながら最終的には通産省並びに通産大臣というのですか、これが大きな関与をする。こういう電源立地という中でこれほどの関与をされる方が、いや、それはもう地元で話し合ってくださいと、まあ電源立地送電線の問題は違うとはいいながら、果たしてそういう考え方でいいのかな。  この辺について、私はまず最初大臣に、この法制定基本的な考え方というふうなものについて、認識をちょっと問わせていただきたいと思います。
  16. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃることも理解できないではございません。私はこう解釈しているのですが、今まさに、この環境問題というのは全人類の生存をかけるというか、大変大きな問題です。そういうことで、今まで省議アセスというふうな格好でもってこの抑制ということに努めてまいりましたが、片一方では、やはり日本の国は、俗に言う法治国家ということで、法律でもって縛るという方が何か国民にも行政の方にも力が入る、実はこんな効果からではないだろうかと思うのです。  また、当省自体、そうした考え方というのは、今般中央環境審議会答申において、「環境影響評価制度行政指導の形で実施することについては、行政手続法制定により許認可等への反映の限界が明確になった」、こういうふうな指摘がございまして、そこで法制化ということ、これをやはりしたものでございます。  加えて、この法制化に当たっては、発電所環境影響評価法対象とした上で、さらにやはり、こういうことを言うと御批判があるかもしれませんが、発電所につきましては、過去二十年間、電源立地円滑化のための環境保全に万全を期すという観点から、省議アセス制度において、手続の各段階から国が指導監督、こういうことで十分な実績を上げている、こうした自負もございますので、発電所固有手続、そういうものはやはり今の環境影響評価法対象にして、その中で特にまた細かい点というとあれですが、そういう点に関して、今度の法律改正、これをお願いしているわけでございます。
  17. 吉田治

    吉田(治)委員 環境影響評価法というのは、手続法という形で事業の可否を決定するものとはされていないということですけれども電事法による旧来の省議アセス制度をそのまま受け継いだ形のこのアセスの方法においては、工事計画の許可要件とされるということ、そして、手続の各段階におげる国の関与という意味でいったら、俗称環境アセス法よりも厳しい手続になるということですね。これは確認ですけれども環境影響評価の結果が工事計画の許可要件となる、そういうふうに考えてよろしいでしょうか。
  18. 岡本巖

    岡本政府委員 お答えを申し上げます。  環境影響評価法及び今回お願い申し上げております改正電気事業法に基づきますアセスメントの結果、それを準備書、その後審査を経て事業者が評価書というもので最終的に仕上げますが、そこに記載されているところに従って環境対策をしっかり講じていただくということを、工事計画認可に当たっての要件にする考えでございます。
  19. 吉田治

    吉田(治)委員 これは、基本である環境影響評価法に関しては、本会議質疑等々でも、諸外国でもこれはできている法律である、OECD加盟国、また中国ですらというふうな意見もあるんですけれども、この法制化に当たって、やはりことしの一月から二月にかけて、随分立法形態について環境庁との議論があったと聞いておりますけれども、その辺の論点というのは、通産省はこういう論点電事法改正で、環境庁としてはこういう論点でというふうなことが、それぞれ論点があったと思うんです。  それでないと、二カ月も三カ月もこの議論が続いたわけはないと思うんですけれども、この辺の論点というのは、それぞれ通産、環境、どういうことを主張し合ったのか。それぞれの省庁、お答えを賜りたいと思います。
  20. 江崎格

    江崎政府委員 環境庁との調整の問題でございますけれども発電所アセスメント法制化に当たりまして、どうしたら実効のある制度になるかということを基本的な観点で議論をしてまいりました。  おっしゃるとおり、私どもとしては、発電所については、従来からの実績もあり、また一般的な他の事業とも手続の面で異なることがあるということで、当初は、委員指摘のように、確かに電気事業法ですべて対応するということで議論をしてまいりまして、一方、環境庁さんの方は、むしろ一般法対象最初からすべきである、そちらで全部規定したらいいのではないかという議論が論点中心でございます。  その後、二月になりまして、先ほど大臣からもお話がありましたように、中央環境審議会答申等が出まして、例外なく法制化をする、それから、固有の部分について、従来の実績を尊重して法制化すべきであるということが電気事業審議会の方から出たわけでございまして、これを尊重する。  かつ、二月十二日でございますが、総理大臣から、衆議院の予算委員会におきまして、発電所一般法である環境影響評価法案対象事業とした上で、環境影響評価法案に基づく一般原則発電所に適用する、その上で、他の事業と異なる特別な手続電気事業法で規定することという答弁がございまして、私どもとしては、この考え方に沿って環境庁と調整をし、今回法制化を図ったものでございます。
  21. 高部正男

    ○高部説明員 今通産省の方からお答えがありましたことと同じようなことでございますが、これまで、環境影響評価制度をどうするかということで、通産省さんも含めて関係省庁と一体となって調査研究を進め、中央環境審議会審議におきましても、幹事ということで一緒になって進めてまいりました。  その過程の中で、答申は、先ほどお答えありましたように二月十日に出されているわけでございますが、その検討の過程の中で、私ども通産省さんと、効果的なアセスメントのあり方をどうすべきかというようなことでいろいろお話しさせていただき、私どもといたしましては、統一的な法体系の中で発電所アセスメントについても対象としていただけたらというような議論をさせていただいたところでございまして、その後、先ほど申されたような経緯を踏まえまして、私どもといたしましても、全体としてアセスメント法の対象にしつつ、これまでの実績等を踏まえて、発電所固有手続については電事法に規定するという形で整理させていただいた、かように思っているところでございます。
  22. 吉田治

    吉田(治)委員 電気事業法改正という形で、こういうふうな改正であるならば、今高部課長も言われたように、環境影響評価法に規定すれば十分ではなかったかという非常に強い意見が出るんですよね。まさに、環境庁と通産省での省利省略という形の戦いではなかったかと思うんですけれども、どうなんですか、課長電事法改正しなくても、環境影響評価法の規定で対応できたということは言えるんですか。
  23. 高部正男

    ○高部説明員 立法的にどのような形式でやったらいいのかということもいろいろ御相談し、検討もさせていただいたところでございます。  今回の整理につきましては、発電所アセスにつきましては、基本的な部分につきましては環境影響評価法が適用されるわけでございまして、そのほかの発電所固有の部分について、特に勧告あるいは変更命令といった監督、規制的な観点のものも含めて付加されている部分がございますので、こういうものは発電所固有のものだということで、むしろ電事法に規定する方が適当なのではないかという形でこのような整理になったというふうに認識しております。
  24. 吉田治

    吉田(治)委員 後ほど質問しようかと思ったのですけれども、話の流れからすると、今質問する方がいいのかなと思いますので申し上げますけれども環境庁もそういう認識の中で議論があった上で、こういう電事法改正という形になったときに、国が非常に強い関与をするということであるならば、国がこれだけ関与をすれば立地が進むのか。すべて事業者と現地とのお任せになるのか。関与するということは、そういう地元理解も含めて国が関与することによって、他の環境アセスメント法に基づくさまざまな開発に比べて、今度の法律によって果たして電源立地というものが進むという認識のもとにこの法改正がなされたのかどうか。その辺、ちょっとお聞きしたいと思います。
  25. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  電源立地計画的に進めてまいりますに際しまして、地元住民方々あるいは自治体の御関心というのは、すぐれて環境の面は大丈夫だろうかという点にございまして、そういう観点から、私どもこれまでも、環境保全という面に万全を期すということで、アセスメント省議決定に基づいて過去二十年やってまいったわけですが、その結果、関係者の間にせっかく定着をして、それなりの高い実績を上げてまいっております従来のスキームを基本的に踏襲するという形で今回法制化を御提案申し上げているところでございます。  したがいまして、私どもは、この今御提案しています内容のものに即して、引き続き地元住民方々あるいは関係の自治体の方々、それから中央においては環境庁なり水産庁なり、そういった方面との調整を進めながら電源立地に向けての合意形成を円滑に図っていく、その中において、御理解をいただくために万全の環境対策を講ずる、その核としてのアセスメントのこの手続というものを適切に運用してまいりたいというふうに考えております。
  26. 吉田治

    吉田(治)委員 じゃ、こういう認識でいいんですか。環境アセスメント法のスキームによるよりは、電事法の旧来のスキームでやる方が時間的に比べて早く電源立地ができるというふうな判断に基づいて電事法改正をしようということですか。
  27. 岡本巖

    岡本政府委員 電源立地を進めるに当たりまして環境対策という面に万全を期す、その一連のものを確保するためのプロシージャーとしてアセスというものがあろうかと考えておりますけれども、私どもとしましては、環境影響評価法案の規定による場合との比較ということで、時間的な長短の定量的比較というのはやったものではございませんけれども、先ほども申し上げましたように、関係者の間で定着をしております従来のスキームを踏襲する形での今回の電気事業法改正、それから根っこにあります環境影響評価法案、両法案をベースにしました環境アセスメント手続というものを着実に運用してまいることによって、引き続き環境保全に万全を期しつつ、電源立地円滑化も適切に確保してまいれるものというふうに考えているものでございます。
  28. 吉田治

    吉田(治)委員 わざわざこういう新しい電事法のスキームを変えてやるというのであれば、それなりの根拠というんですか、それがないと、私たち議員として審議というのは余り協力はできないと思うんですね。ただ単に、過去の環境のやり方がよかったから過去の踏襲でということではなく、いや比べてこうなんだよ、それだからこそこの法案が特別にこの商工委員会審議されているんだ、そういうふうに私は認識をしているわけでなんですね。  そうでないのであれば、何のためにわざわざ別の法でこういうふうにするのかということが、私は正直言って理解できない。理解ができないと言うと、おまえはばか者かということで終わりなのかもしれませんけれども、私はいつも役所の皆さん方の答弁、政府委員皆さん方の答弁を聞いていて、そこがセンスが違うんじゃないのというふうなことを非常に感じるわけなんですけれども、これはまた後ほど時間があれば質問を続けたいと思います。  この中において、環境影響評価法に関しましても電気事業法改正に関しましても、サンセット条項というんですか、総務庁の指針でもあるらしいんですけれども、十年後の見直しというふうなものが規定されている。何かこのごろそういうのがはやりで、ある意味では法規制の横並びという形でされているんじゃないか。  これから十年といいますと、さまざまな運用それから社会情勢の変化、それこそ環境対応の成果等を含めて、この両法を一本化するとか事細かな政府関与というふうなものについて、実質的な見直し等の再検討を行うべきというふうに私は思うんですけれども、十年後の見直しということについて、そのときになったら考えますというんじゃなくて、今現時点、十年先を見越してどういうふうなことを、十年先は一昔になるのでわからないかもしれませんけれども、今どういうふうな検討事項が入っているのか、具体的にお答えをちょうだいしたいと思います。
  29. 岡本巖

    岡本政府委員 ただいまの先生の御質問の中で先生まさに御指摘されましたように、平成六年の閣議決定に基づいて、今後規制の新設に当たっては、原則として一定期間経過後に見直すというサンセット条項を入れるということになって、それに則しまして環境影響評価法案も、私ども電気事業法改正法案においても、今先生指摘の十年経過した時点での見直し規定を入れているものでございます。  それについて十年後どうするかという点につきましては、先ほど先生がまさに御質問の中でもおっしゃったように、これからの法律の施行の状況、それに関連をして、環境影響評価の実態はどういうふうにこれから推移し、あるいは改善していくかというその辺を見きわめながら、私どもとしては今後検討してまいりたいというふうに考えているものでございます。
  30. 吉田治

    吉田(治)委員 見直しということがあるんで、十年たったら、申しわけないですけれども、部長はまだおられるかどうかわからないし、長官はおられるかどうかわからない、大臣もどうなさっているか、私たち自身もそのときまでここにおるかどうかもわからないんですけれども、これはやはり議事録に残ることでございますので、十年たって、あのときこう言った、ああ言ったということがないようにしていただきたいというふうに思います。  次に、本案の対象事業規模というふうなことで、先ほどからの議論にもありますように、発電所環境アセスというのは環境影響評価法対象事業とされております。一般的規定は同法が適用されるという形で、これからは、後、環境アセスメント法が決まりましたら政令で第一種事業また第二種事業が決められていくというのは御承知のとおりだと思うんですけれども、第一種事業の規模というふうなもの、現在省議アセスにおきましては、規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるもの、いわば火力発電においては原則として対象十五万キロワット以上の事業というふうなことが言われておりますが、私自身は、手元資料であります国内外の対象規模の比較、例えばカナダでありましたら三十万キロワット、イギリスも三十万キロワット、ドイツも二十万キロワット、オランダも三十万キロワットという諸外国の事例、また、環境保全技術が、まさに長官並びに部長が二十年間の今までの実績を踏まえてと言うが、やはりこの二十年間で私は随分環境保全技術の発達というふうなものは言えるのではないか。ただ漫然と二十年前と同じような技術でそのまま進んでいるとは考えられない。  一番最初規制緩和という言い方をさしていただきましたけれども、例えば自動車の整備一つにしても、車検制度を変えるというのはこの技術が発達しているから。同じように、環境保全技術の発達がなかったとは私は言わせない。こういうふうな場合において対象規模の引き上げというものも考えていく必要があると思うんですけれども、この辺の第一種事業の規模並びに対象規模の引き上げというふうなことについては、今どういう議論がなされているのでしょうか。
  31. 岡本巖

    岡本政府委員 これまで行っております省議アセスメント対象の規模につきましては、先ほど先生質問の中でお触れになられたとおりでございまして、火力について申しますと十五万以上、それから水力は、三万以上で環境保全上特に必要と認められるものということでやってまいっております。  今回御提案申し上げているようなことで法制化をして、第一種事業の規模というのをこれから定めていくことになるわけでございますが、その際に、一方で環境保全のための技術、あるいはアセスメントに関連する種々の調整をするそういった手法の改善というものは、私ども十分に視野に入れなければならないと思いますけれども、他方で、法制化をした途端に対象事業の規模が大幅に引き上げられるというようなことになりますと、地元中心として関係方々の御理解をいただく上でもやはり慎重に考える必要があろうかとも思いますので、私ども、今現在の考えといたしましては、第一種事業の規模につきましては、基本的には、これまで省議アセス対象としてまいっております規模要件というものを基本にしながら考えてまいりたいというふうに今現在検討しているところでございます。
  32. 吉田治

    吉田(治)委員 今部長のお答えの中で、言葉じりをとらえて申しわけないんですけれども、その対象規模の引き上げ云々のところで、関係者の、また当該地域方々の御理解、だれが理解させるんですか。
  33. 岡本巖

    岡本政府委員 個別の発電所立地計画につきまして地元の御理解をいただくということが実態上不可欠でございます。それに際しまして、アセスメントを適切に行ったか、その結果をしかるべく第三者の目による審査というものを経たか否かというようなことを含めまして、地元住民方々あるいは自治体の首長の方々の御理解をいただくに当たって、先ほど申しましたような点が一つの大きな論点になってまいるのがこれまでの実態でございます。  そういう意味におきまして、環境対策にせっかく万全の取り組みをしている電気事業者であれ、あるいはIPPのような電気事業者以外の発電事業を行う方々、そういう方々が実際の計画を進めるに当たりまして地元の御理解をいただく、得るという、それにつきまして、国によるアセスメントの審査の対象法制化を契機に一挙に大幅に引き上げられるというようなことになりました場合に、果たして、先ほど申しましたような地元方々の御理解を得るに当たって支障なきや否やという点については、私ども慎重に考える必要があろうかと思っておりますので、そういう意味から、基本的には、従来省議アセス対象としてまいっております規模を基本に第一種事業の規模というものは検討してまいりたいというふうに考えているものでございます。
  34. 吉田治

    吉田(治)委員 今までの規模を対象にするということであるならば、第一種事業というのは火力の場合に十五万キロワット、第二種事業対象規模について、これは私も特にお聞かせをいただきたい。  特にこの環境影響評価法におきましては、地域環境特性を踏まえ、アセス実施の要否を判定するいわゆるスクリーニングが実施されることとなっておりますけれども、私、問題点としては、今部長もちょっと触れられましたIPP、独立発電事業者、一昨年ですか、発電事業への参入自由化という形で、競争原理の導入による電力料金の低減ですとか、需要地に近接する電源立地という形で、例えば鉄鋼関係会社であるとか、さまざまな会社がここに参入をしていく。コスト重視という観点からいきますと、十五万キロワット以上にすると第一種になるということで、環境アセスが非常に負担が大きいということで、十四万キロワットでの落札案件が非常に多い。極端な例でいきますと十四万九千キロワットというふうなことを出して、それを二つ三つというふうなところもあるやに聞いております。  これはその人たちにとっては、もう現実に昨年度は入札をされておるわけでありまして、このIPPの人たちにとって、私は二点お聞きしたいなと思うのは、現在、昨年度入札しているそこのIPPというのは、事業収益見通しというふうなものは、この法律が出るということ、これに基づいてスクリーニング等々の必要性が出てくるということを認識されているかどうかというのは不明だ。まず、通産省に関して、現に入札されている会社は、そういう認識があっての事業収益見通しとか入札をなされたのかどうか。  また、この法案が出てくる、またこれに基づく環境アセス等々の手続があるということを知らずに入った場合に、激変緩和策という言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、昨年度入札したIPPに関しては何らかの措置というのですか、暫定措置というものをされるのかどうか、まずそれをお聞きをしたいと思います。
  35. 岡本巖

    岡本政府委員 まず最初に、IPPの方々もこれまで省議アセス対象に、電気事業者の場合と同様にいたしておりますし、今回法制化が行われた後においても、IPPの方々アセス手続の、規模に応じて対象になっていただくべきものと考えております。  それから、昨年、実際募集に対して応札をされ、三百四万キロワットぐらいのものが各電力会社との間で落札決定するに至っているわけでございますが、その方々が、十五万というこれまでの省議アセスの規模を下回る場合においても、多くは需要地近接の立地地点での計画ということもございまして、地元の自治体の条例によるアセスというものの適用を受けるという、そういう認識はお持ちになりながら計画を立案されている方が多いというふうに承知をいたしております。  それから、今回御提案申し上げております環境影響法案なりあるいは電気事業法改正法案との関係では、いわゆる経過措置の中で、施行に伴いましてアセスの一連の手続の手戻りというようなこと、あるいはこれまでの、適法に従来の法律なりあるいは省議決定に基づくアセス関連手続のもとで進められているような事業につきましては、既存のアセス制度を個別に指定をしまして、当該制度のもとで行われた手続というようなものは、施行後、新しい法律のもとで行われた手続とみなすというようなことを中心にしまして、一連の経過措置というのを設けることにいたしておりますので、そういう中で、実態上極力支障のないように私どもとしては手当てをしてまいれるものというふうに考えております。
  36. 吉田治

    吉田(治)委員 経過措置という形で手当てをしていくという答弁をいただきましたので、では、本年度以降の入札に対して第二種事業者として非常に気になるのが、検討の対象となる事業の規模の範囲やアセス実施の判断基準について明示をしてもらいたいというのは、多分非常に強い声としてあるのだと思います。特にこの判断基準の三つのポイント、これについて御答弁をいただきたい。  まず最初は、対象となる事業の規模、そしてアセス実施の判断の基準、そしてこの明示の時期の見通しというふうなもの、この三つが明示されなければ、本年度の入札についても、事業収益見通し等々も非常に厳しいのではないかなと考えられるのですけれども、この三つのポイントについてどういうふうにされていくのか、お答えを賜りたいところです。
  37. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  第二種事業対象規模の要件につきましては、先生承知のとおり、第一種事業に準ずる規模ということになっておりまして、発電所につきまして、具体的な規模要件に関しましては、IPPの入札による実際の事業の出てくる状況、それから地域環境特性に応じて、どれぐらいのものを法律によるアセス手続対象にするのが適当かという、その辺のことを見きわめながら検討してまいりたいと考えております。  第二種事業につきましては、環境影響評価法案の中で各事業一律に、一種事業との規模の比率において一律の数字がまず政令で定められ、その規模をまず横断的に押さえられた上で、各事業それぞれの事情を勘案しながら二種事業の範囲というのを別途政令で定めるということになっておりますので、そういう意味におきまして、環境影響評価法の方の施行の進捗ともにらみ合わせながら、私ども、先ほど申しましたIPPの実際の事業の出てき方、それからそういったものの地域での環境影響という面での受けとめ方、評価、そういったものを勘案しながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、判定基準の考え方でございますが、環境影響評価法案において、事業特性、地域特性等を勘案して判定が適切に行われるように、私ども環境庁と協議して定めるということになっておりまして、協議に先立ちまして、環境庁が影響評価法案に基づきまして基本的事項というものを策定をして、私ども、これを勘案しながら判断基準というものを定めることになっておりますので、今後の法律の施行の段階で、環境庁とも十分に連絡をとりながらやってまいりたいと思っております。  それから、基準の明示の時期につきましては、アセスメント法の公布から一年以内に施行することになっているところでございます。
  38. 吉田治

    吉田(治)委員 そういう形で第一種、第二種が決まっていくのでしょうけれども、政令という形で決められているということであるならば、これは今政府委員の答弁の中にもありましたように、環境庁との協議、調整という形になってくるのですけれども、ことしの一月、二月に起こったような政府部内での議論が生じることも私は懸念されると思うのですね。  環境保護の後退という発想でとらえるのか、あるいは過剰な環境対応の要請ととらえるのか、その辺が出てくると思うのですけれども、それぞれ省庁、この第一種、第二種に関しての調整というふうなものを具体的にどういうふうに進めていくのか、その中での問題点、障害というふうなものに何があるのかということについて、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  39. 江崎格

    江崎政府委員 事業対象規模を決める政令でございますけれども、これは御承知のように、環境影響法案に基づく政令でございまして、したがいまして、環境庁の方が政令の原案をおつくりになりまして、もちろん政令でございますから、発電所については私どもに御相談といいますか協議があるというふうに認識をしております。  協議があった場合の私ども考え方でございますけれども、先ほど来岡本部長からお答えしておりますように、これまでの省議アセス実績ですとか、あるいはIPPの入札の状況ですとか、それから、先ほど委員のおっしゃいましたような環境保全に関する技術の現状、こういったものを考えまして、環境保全を図る上で最も適切な要件になりますように政令の制定に向けて環境庁と調整をしたい、このように考えております。
  40. 高部正男

    ○高部説明員 具体的に政令で規模要件を定めていくわけでございます。これにつきましては、これまでの実績等もよく踏まえまして、関係省庁とも十分協議の上、適切な規模となるように定めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  41. 吉田治

    吉田(治)委員 私が申し上げました問題意識、過剰なのか、後退なのかというふうなことをぜひともうまく調整をしていただかなければならない問題ではないかなと思います。  続きまして、スコーピング手続という形で、環境影響評価法におきましては、環境影響評価項目や手法についての環境影響評価方法書を事業者が作成する制度が新たに設けられまして、関係地方公共団体に送付されるとともに公告、縦覧され、住民参加の機会も増大するという形になっていっております。本案では、あわせて通産大臣にも送付されることとされまして、審査を行い、必要な場合は勧告が行われる。これまでの発電所アセスにおいても、実態上多くの自治体において調査開始前の事前調整として行われてきたものでありますが、これによりまして、地域の自然的、社会的特性を考慮した環境影響評価の項目、調査及び予測、評価の手法が、住民や自治体の意見を踏まえ、国が妥当性を審査した上で選定されることになったというふうになってきております。この評価制度の実効性を高めるために、法的な仕組みも当然でありますが、調査の様態等を厳密なものにしていく必要があると私は感じるわけです。  現在でも、調査項目というのは、大気、水質、土壌、一般排水、振動など非常に幅広い内容となり、一年間、つまり四季を通じた調査が必要ということで非常に手間暇、時間と、もちろんそれにかかわる機材、人件費等々の費用がかかるし、極めて詳細な調査というのが実際上要求されている。このため、一地点だけで二十億から六十億の経費と一年半から二年以上の期間が必要とされています。  発電所環境アセスにおける調査項目、範囲、期間とも十分かつ適切なものとする必要性は言うまでもありませんが、先進国の中で我が国環境基準というのは最も厳しい。  何度も大臣質問を申し上げておりますように、大臣は、電気料金が高い高い、欧米並みに欧米並みにと。為替が百二十六円、七円になってくると、果たして大臣がお正月に言っていたことがそのまま正しいのかな、もしもこれが百五十円にでもなってしまったらどうなるのかなと。何度も為替のマジックだと申し上げているとおりなんですけれども、電気料金を押し上げる一つの要因としては、先ほどの同僚議員負荷率の問題もありますし、また、こういう環境調査、また環境対策にかかわる費用というのも相当膨大だというふうに感じております。  大臣調査の範囲が大幅に増大したり長期間を要するような事態は、私は避けなければならないと思いますし、いたずらに調査項目、調査範囲等を拡大することを是とすることなく、手法等を選定するために、主務大臣、つまり通産大臣が行う指針は、適正な環境配慮を行う上で合理的かつ妥当なものとしていく必要があると思うのですね。  ですから、一番最初にも申し上げましたように、環境保全技術の発展もある現状の中で、大臣の行う指針というのは非常に持つ意味が大きいと思うのですけれども、どのような取り組みをこれから行う御所存なのか、大臣見解をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 実はきょうの質疑論点もそこにあると思うのです。先ほどからお聞きしていても、委員指摘のとおりだと思いますのは、発電所といっても、昔と違って、水力もあれば火力もある、あるいはまた原子力もある、それぞれやはり設置の場所が異なってくる。水力の場合、極端に言えば山の中だ、それから原子力の場合は海辺だ、火力の場合は物によっては市街地に隣接したところにある。そこでまた、火力でも、使う燃料の種類、出力、全部異なるわけですから、環境評価といっても、いわゆる俗に言う環境の悪化を防ぐものもあれば、自然の破壊を防止しなければいけないとか、非常に多様にわたっていると思うわけでございます。  そういうことで、今回の場合でも、通産省省議アセス制度において定めました環境影響調査要綱を踏まえて、今のような計画の内容及び地域環境特性を踏まえて、調査、予測、評価の項目、その方法を具体的につくったところでございます。  一方、中央環境審議会答申では、環境基本法のもとでの環境保全施策の対象を評価できるように調査、予測、評価の対象の見直しが適当だ、こうしておるわけでございまして、そういうこともございまして、今回の発電所アセス法制化に当たっては、こうした現行の省議アセスの制度を基本として、中央環境審議会答申を踏まえて、スコーピング手続に関する指針の制定、これを適切なものになるよう検討してまいりたい、こういう趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。
  43. 吉田治

    吉田(治)委員 それほど大臣に指針を出されて関与されていくという中で、一番最初の方の質問になるのですけれども電源立地の特殊性という形で、各段階で国の関与の仕組みが規定され、国が関与していくという中で、事業者が主体でと先ほどから何度も御答弁いただいておりますが、環境対応については国が関与と役割を分けているというようなことですけれども、そういうふうな認識でよいのでしょうか。電源立地における国の役割の明確化と遅延傾向にある電源立地について、国としてはどういうふうに考えられているのか。全部主体は事業者で、国は関与するだけという発想でいいのかどうか。  特にまた今度の法案については、こんな言い方、は非常によくないかもしれませんけれども環境影響評価法手続でいくと、やはり各都道府県知事意見というのが重きを置く、知事はやはり地元住民の声に非常に大きく左右される、だから、電源立地という特殊性から、国の関与という形で、スコーピングという手続はあるけれども、国が関与していく。それであるならば、国が関与だけではなくて、もっと役割も担って、電源立地というふうなものについて役割をどう明確化していくのか、そして、現在遅延傾向にある電源立地について国としてどういうふうに対応していくのか、お答えを賜りたいところでございます。
  44. 岡本巖

    岡本政府委員 電源立地についての国のかかわり方というお尋ねでございますが、個別の発電所立地計画を進めていくにつきまして、一義的には各電気事業者がその任に当たるというのが基本かと思いますが、私ども国の立場としても、特に多くの場合に地元方々の御理解をいただくのが大変難しい原子力発電の場合を中心にいたしまして、国みずからも、電源立地必要性安全性あるいは環境対策の面でこういうことだから大丈夫だというようなことを地元住民方々あるいは関係の地方公共団体の方々、そういう方々に御説明申し上げ、いろいろな御疑問にお答えするというようなことも実はやってまいっているところでございまして、例えて申しますと、一日資源エネルギー庁でありますとか、全国講演キャラバンでありますとか、各地区での懇談会とか、議会における説明とか、そういった一連の、私どもの担当者が各地に出向いていって御説明を申し上げるというような取り組みをいたしているところでございます。  それから、二番目にお尋ねの、スコーピングを初め、アセスメントの各段階において発電所の場合には国が主体的に関与するという点につきましては、私ども環境影響評価というアセスメント、それからそれに基づく対策という点については、引き続きこれからも万全を期していくべきものというふうに考えておりますが、地元住民方々あるいはその意を体した地元の首長の方々、それから中央における環境庁を初め建設省とか水産庁とか関係する省庁の方々の御理解を得て初めて、電源開発調整審議会に個別の電源開発計画を上程していくという手順で立地を進めているわけでございますが、その際における関係者共通の一番大きな関心事項というのが、環境の面は大丈夫かという点でございます。  したがいまして、一連の電源開発計画について、電調審を目指して合意形成のプロセスを牽引してまいるその任に当たらなければならない私ども通産省の立場として、早い段階からしっかりしたアセスメント、それに基づく対策が講じられるということについて、内容を精査して承知をし、関係方々にも十分に御説明ができるような状態にしておく必要があるということで、これまでの省議アセスのスキームでやってまいっているところでございまして、法制化に当たりましても同様の考え方で臨む必要があるというふうに考えているものでございます。
  45. 吉田治

    吉田(治)委員 事業者だけに任せるのではなくて、本当に国の役割というのも、部長の答弁じゃちょっと足らないのですけれども、もっと明確化して、あなた任せよではなくて、関与していただきたいなということを強く望むわけであります。  アセス手続というのは、今も申し上げましたように、開始から終了まで本当に長期間を要している。このスコーピング手続というのが新たに導入されて、公告、縦覧及び住民等の意見提出等の期間が上乗せというのですか、加算されていくことになると、今政府委員の答弁の中にも、地域の方また地方自治体の首長のお話をされましたけれども、本案において手続の処理期間は設けられてはいますが、例えばその自治体の処理が遅延したり、届け出の不受理、旧来の行政手続によく見られたように、持っていっても、それを受け付けないよ、地元がまとまらないからというふうなことによるアセス手続の遅延、ひいてはそれが電源立地の遅延を生じるおそれがあるのではないかな、国が関与しつつも、スコーピング手続によってそういうことが起こるのではないかなということを感じるのですが、その辺はどういうふうな対策、対応、また指導をしていくのでしょうか。
  46. 岡本巖

    岡本政府委員 今回のアセスメント手続法制化に当たりまして、踏むべき手続法律上明定いたしますと同時に、それぞれの手続をどういう時間的な範囲の中でやっていくべきかという点も含めまして明らかにされているところでございますので、私どもとしては、今回の環境影響評価法案及び改正電気事業法に基づくアセスメント手続は、基本的にこれまで発電所についてはやってまいっております手続と変わりませんので、所要期間が今回の法制化によって延びるということは基本的にないものと考えております。  先生御懸念の点につきましては、それこそ法律の的確な運用というものを確保する中で、そういった懸念というものを最小化するように、運用に当たって十分に配意してまいりたいというふうに考えております。
  47. 吉田治

    吉田(治)委員 一応私の質問は、新しいスキームに基づいて順番どおり質問していきまして、次がいよいよ、スコーピングが終わりまして、アセス準備書というものが作成され、提出されていくのですけれども、評価の審査を行うものに、環境審査顧問会というふうなものの存在があると聞いております。この環境審査顧問会の現状と審査形態というふうなものはどうなっているのか。  また、一部の議論の中には、こういうものを、電事法発電所のスキームだけじゃなくて、さまざまな部分で常設のものにしてはどうかという意見も強くなされているのですけれども、まず現状とそれから審査形態、そしてこの常設のものにするというふうな意見についてどういうふうに思われるのか、お答えをちょうだいしたいと思います。
  48. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  環境審査顧問は今現在三十三名ございまして、全体会合に加えまして、大気、温排水、自然、地熱、水力、五つの分科会で構成されております。それぞれのメンバーは、大気汚染、気象、温排水、海生生物、動植物等の各分野における造詣の深い学識経験者の中から、エネルギー庁長官が委嘱をしているところでございます。  私どもが準備書の審査を行うに際しましては、準備書に記載されております調査、予測及び評価結果について、地元住民方々意見、それに対する事業者意見、そういったものを全部顧問会にお諮りをして、顧問の方々意見を聞きながら実際のアセスメントの審査をやってまいっているところでございます。  常設化という点につきましては、私ども発電所についての環境審査顧問会というものは過去二十年やってまいっているわけでございますが、これからも改正電気事業法のもとでのアセスの審査を的確にやっていくにつきましては必要な組織、機関だと考えておりますので、これからもこの審査顧問会を十分に活用してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  49. 吉田治

    吉田(治)委員 その顧問会を通りましたら、実際アセス調査を行うのですけれども、どこの会社も自前でやっているところはない。大体外部の調査会社等に委託をしている。先ほどから、非常に費用がかかると申し上げておりますが、やはりこの調査会社調査に対して非常に費用がかかっているというふうなのが現実ではないかなと。一地点二十億から三十億、特に人件費等も含めたら相当膨大な金額になってくる。この費用の低減というふうなものについて、まさに調査技術、先ほどから言いました環境保全技術と同じように、調査技術も随分向上している。そういう中での調査の実施についての調査能力向上もあると思うのですけれども、この辺の費用の低減について、合理化対策等を含めてどういうふうに考えられ、またどう指導されるのか。  また、調査に携わる者に対して、これは資格が必要かどうかというのは、私はどうかと思うのです。資格にしてしまいますと、また特殊法人ができて、そこへ官僚のOBの方が天下り、何かいつもの構図になってしまいますので、資格をつくるというよりも、現状あるこの会社の人たち、これを先ほど言いました環境審査顧問会がフォローするような形で結果について信頼性を置く。私が聞く範囲では、さまざまな調査で出てきた結果を見ると、専門家が見ると、いいかげんな調査かしっかりやっている調査かというのは一発でわかるというふうに思いますけれども、その辺の信頼性の問題、合理化の問題。そしてやはり数社が寡占的にというか、最終的に専門技術的になるとその数社しかできないという話も聞いておりますが、新規参入という言い方がいいのかどうかわからないが、ほかの会社でも技術のあるところが入れるような、そういう体制づくりについてどういうふうに通産、環境とも考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  50. 岡本巖

    岡本政府委員 発電所に係ります環境アセスメントのために、先生指摘のようなオーダーの費用がかかっているのは事実でございます。これは、発電所の場合、一年のうち四つの季節、フォーシーズンにわたって大気それから水質、両方にわたって環境現況を非常に丁寧に調査をするということをやっておりますものですから、現況調査というところを中心に費用がかかり、さらに加えまして、影響予測の点につきましても、シミュレーションに加えまして、大気の場合であれば風洞実験、それから温排水の拡散予測という点につきましては水理模型実験で影響予測をやるという、非常に諸外国にない丁寧なやり方をやっておりますものですから、先ほどのようなオーダーの費用がかかっているところでございます。この点をアセスメントの制度という面で大きな後退なく費用の低減を図るということは、非常に大事な課題だと思っております。  この点につきまして、今回のスコーピング手続の導入によって、地域環境特性を踏まえながら非常に大事な環境要素の範囲というのがおのずから明確になってくる。それに伴って調査項目の重点化、効率化というものが図られるという一面があろうかと思いますが、加えまして、技術なりソフトな手法の開発という点におきまして、私ども資源エネルギー庁電力中央研究所その他に、排ガスの拡散予測の数値モデルの実証調査でありますとか温排水の拡散予測につきまして、従来よりもさらに精度が高く費用もかからないようなそういう手法がないかということで、調査研究をお願いをしてまいっているところでございます。そういった努力を通じて、可能な限りコストの面についても低減化の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  51. 高部正男

    ○高部説明員 まず、調査アセスに要する費用を低減なり合理化するという点でございますけれども、私どもといたしましても、今回導入することといたしておりますスコーピング手続というのが、論点の絞られた効率的なアセスメントをしていく、網羅的に何でもやればということにすれば、逆に一方ではなかなかその地域での問題点もわかりにくくなるというようなこともございますので、ポイントを絞ることによって効率的にやっていく、有効化に資することを期待しているところでございます。  それからもう一つは、私どもといたしましても、技術手法の開発でございますとか類似事例についてのいろいろな情報の集積、提供といったことに今後とも努力したい、かように考えているところであります。  それから、信頼性の観点からの問題でございますけれども、私どもといたしましては、アセスメントの信頼性という観点からいたしますと、一つは、やはりアセスの内容がいいものであるということが一番のポイントだろうと思いますので、そういう意味ではアセスメントの従事者等の研修等に努めますとともに、いろいろなマニュアル等で情報提示に努めているといったようなこともやっているところでございます。  なお、今回の法案の中では、一つの工夫といたしまして、委託を受けた、具体的に調査等に携わった会社の名前を準備書等に記載していただくというような工夫をいたしたところでございます。
  52. 吉田治

    吉田(治)委員 そういう形で調査を進めていく中で、やはり自治体の条例等々の関係というもの、答申では国の制度に一本化する必要性が述べられております。地方自治の精神というものは尊重されるべきものですけれども、例えば一つ発電所をつくる、埋め立て、発電、それから例えば石炭発電であるならばその石炭の燃え殻の、それぞれ三つについて環境アセスが必要だ。しかも国だけではなくて、例えば自治体が条例でそういうことを定めていくと、重複する場合もある。  今般の法律では手続の過程で地方公共団体の意見も聴取される仕組みになっていますけれども、そういう意味でいったら、事業者にとっては過剰な規制となる場合、重複する場合、同じようなことを何度もするというふうなこともあると思うのですけれども、過剰な規制となることがないような適切な対応を求めていく必要があると思うのです。いっとき横出し、はみ出しとかいう言葉も使われましたけれども、自治体の条例とこの法というふうなものについてどういうふうに考えているのか、通産、環境それぞれにお答えを賜ると同時に、最後に、この法律による電源立地考え方について大臣の御所見を求めたいと思います。
  53. 江崎格

    江崎政府委員 自治体の条例との関係でございますけれども、今回の環境影響法案の中におきまして、今先生の御指摘の問題についての所要の規定が整備されております。つまり、環境影響法案対象になります事業についてはこの法律の規定を適用するということになっております。当然私どもとしても、この法案と自治体の条例の関係を整理したこの規定にのっとりまして制度を運用してまいりたい、このように考えております。
  54. 高部正男

    ○高部説明員 地方公共団体の制度との関係につきましては、まず制度的に、大きな事業で国が関与するようなものを対象として地方の役割分担を図るという視点に立って、国の対象事業については、一つ事業についてアセス書が二つつくられる、あるいは二つ公告、縦覧が必要だというのはいかにも手続の重複でございますので、一つ手続を適用するという形にさせていただいております。  なお、こういう手続をとりますものの、この手続そのものが、地方公共団体の意見というのがこの手続の過程で十分反映されるものとなるような仕組みとなっているところでございます。
  55. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 発電所アセスメント法制化後においても、環境アセスメント制度の的確な運営を図って環境保全に万全を期すことによって、電源立地円滑化に努めてまいる所存でございます。
  56. 吉田治

    吉田(治)委員 もう時間ですから終わりますけれども、やはり国の役割をもっと明確化して、国が関与することによって電源立地がいい意味で進んでいく、しかも環境も大事にしていく、そして地方と条例とを含めたハーモニゼーションというのですか、調整というものをうまくしていただきたいということを希望いたしまして、質問を終わります。
  57. 武部勤

    武部委員長 次に、達増拓也君。
  58. 達増拓也

    達増委員 新進党の達増拓也でございます。  私は、環境問題に関連いたしまして、かつて仕事でアジア太平洋地球変動研究ネットワークという国際会議にかかわったことがございました。アメリカも含むアジア・太平洋、もちろん日本もですけれども、国々で集まって、地球変動、二酸化炭素の濃度の増加、それに伴う温室効果の傾向等、情報やデータを交換して共通の認識を形成し、世界的な環境に関する協力体制の一助とするということで、日米のコモン・アジェンダの中でも言及されていた会議でございます。  その会議に参加して非常に痛感いたしましたのは、環境問題というのは非常に不確実性がある問題でありまして、産業の過程でどういう物質がどれだけ出てくるのか、またどういう化学物質がどれだけ出れば環境にどういう影響を与えるのか、完全に予測し切ることができないというところもあり、さらには、それが特定の一地域のみならず、アジアといった広大な地域さらには地球全体となりますと、さらに予測が難しくなってくる。  一方で、それは地球大まで拡大していけばいくほど、その地球に暮らす我々にとって非常に重要な問題となるわけで、政治的な決断がより緊急に求められる。そのような不確実性の中で政治的な判断が求められていく。この環境問題というイシューについて大事なのは、まず関係者間の信頼醸成である。そして実態を調査し、分析し、そして政策を決めていくに当たっての手続の正当性というものが非常に重要なんだなということを感じました。  今回のこの発電所に関する環境アセスメントの場合にも、やはりそれにかかわる関係者、事業者住民、そして環境に関心のあるNGO等の方々、そして国、そうした関係者間の信頼を醸成してきちんとした手続、それぞれが納得できる手続にのっとって進めていかなければならないものだというふうに考えております。  そのような関係者間の信頼醸成や手続の正当性を確保していくに当たって第一に重要なのが、目的意識の共有であると考えます。電気事業法では目的が三つ定められておりまして、まずは「使用者の利益」、そして「事業の健全な発達」、そして第三番目に「安全」及び「公害の防止」とあるわけでありますけれども、これが「環境保全」というふうに改正される案が今出ているわけであります。  まずは、そもそも論でございますけれども、この第一条の目的のところで「環境保全」というふうに改正するに当たって、その環境という意味でございますけれども、これは、環境基本法第十四条で環境意味を規定しているわけでありますが、その環境意味というふうに理解してよろしいのでしょうか。
  59. 岡本巖

    岡本政府委員 私ども、今回改正法案のもとで「環境保全」という目的を追加しているわけでございますが、そこ輝おける環境の概念のとらえ方は、先生指摘のように環境基本法におけるものと同じものでございます。
  60. 達増拓也

    達増委員 環境基本法第十四条における環境の定義ですけれども、   人の健康が保護されへ及び生活環境保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。   生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。   人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。 というふうに定められております。  この規定でございますけれども、かなり抽象的あるいは主観的な内容も含まれていると考えます。特に、最後の「人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。」ということについては、ちょっとした広場、緑のある公園があればいいとしいうような考え方から、原生林、山野、そういう山や川がそのまま残されていなければ承知できないというような極端な立場まで、かなり幅があると思うのですね。  今回のこの電事法改正案によって環境アセスを行うに際して、まず事業者アセスを行うわけでありますけれども、そこに、住民ですとか都道府県知事、そして環境庁の長官がいろいろな段階意見を述べる仕組みになっております。住民については、当該地域に住んでいる住民のみならず広く資格を認めておりますので、いわゆる環境NGO、そういう環境に関心を持つ全国的な組織ですとかそういった人たちの意見もどんどん出てくることが考えられるわけであります。このような手続の中で、こうしたさまざまな主体の意見が大きく分かれて収拾が困難になる可能性というものがあり得るのではないかと思うのですけれども、その点、政府はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  61. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  環境保全ということにつきましては、先生指摘のとおり環境基本法十四条に規定されておりまして、この点について、事業者住民あるいは都道府県知事等において基本的な認識に差異はないものと考えております。  環境基本法十四条に言う環境について、先ほど先生がお読みになられましたように、確かに広範な環境を構成する各項目にわたっております。したがって、発電所についてアセスメントを行うに際しまして、先ほど大臣が前の先生の御質問お答えする中で私どもアセスメント調査要綱というものに言及されましたけれども、実はこんな膨大なものでございまして、大気とか水質とかはもちろんでございますが、動植物、生態系を含めて、各環境を構成する多様な項目に関連して十分なアセスメントを行うようにこれまでも発電所アセス手続の中でやってまいっておりまして、そういうものをこれからも適切にやっていく中で、関係者の方々の御理解を得るべく最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  62. 達増拓也

    達増委員 従来の環境問題というのは公害問題を中心として取り扱われてきたものだと思いますが、特に近年、そういう環境問題の重点が、かつての公害から、次第に公害以外の、快適さ、アメニティーですとか自然景観、そして、今の生活には直接関係ないけれども、将来の環境やあるいは人類の生存にかかわるような生物多様性といった、抽象度の高い、そして調査するに当たっても、ppmとかいったかなり客観的な数字で語ることができないような問題に重点がシフトしてきているということがあると思うのですね。将来、さらに一層そういう傾向は強まると思われますので、今までアセスをやる中で余り意見が割れてなかったとしそも、今後さまざまな意見が出てきて割れてくる可能性というのはあるのではないかと思っているわけであります。  今回の改正案の中では、方法書そして準備書を作成し、それを提出していく段階で、住民都道府県知事、そして、準備書の段階でありますが、環境庁長官意見を述べることができる仕組みになっているわけですけれども、その各段階で、通産省が最終的判断を審査という形で下すことになっているわけです。国の関与を各段階で行っていくということは、きちんとした厳しい審査を行って、環境問題に対して厳しい姿勢で臨んでいくということを確保することもできるわけでありますけれども、実はもろ刃の剣というところもあって、住民都道府県知事環境NGOといったところから、新しい観点に基づいてもっと厳しく見た方がいいのではないかというところに対して、事業者の側の事情、電源立地効率性の方を重んじる立場から、そういう新しい環境問題に対して緩い判断をしてしまう、そういう可能性もあるのだと思います。  その場合、住民や知事、あるいは、途中、環境庁長官意見提出というのも規定されているわけですが、そうしたものが形骸化してしまう危険性があるのではないかと考えますが、この点、いかがでしょうか。
  63. 岡本巖

    岡本政府委員 発電所アセスメント手続は、これまで通産省省議決定に基づいて行っておりましたアセスメン十の手続を踏襲するという形で、今回法制化を御提案申し上げているところでございますが、従来と同様、通産省が審査をするその際に、都道府県知事の御意見、あるいは事業者が出してまいります住民説明会における住民方々意見、あるいは文書で出してくる意見もございましょう、そういったものに対する事業者のコメントを付して出してくる、そういった方々の御意見を伺いながら、実はこれまでもアセスメントの審査をやっているわけでございます。  発電所立地ということは、環境問題を中心にして、地元の知事さんを初めとする地元方々の御理解をいただくということがあって初めて前に進むことのできる、そういう事業でございまして、アセスメントと表裏の関係電源開発調整審議会に向けての関係者の合意形成のプロセスというのがございまして、地元の知事さんの御意見なしに電調審にかけるということは実態上できない、そういう状況にございます。  それから、環境庁との関係につきましても、実は私ども、従来の省議アセス手続の中で、私どもが審査をし、それから電調審に上程するに際しまして、環境庁との間では徹底的なすり合わせをやってまいっております。  そういった関係者の意見を十分に聞きながら、事業者が出してまいります準備書の内容を精査して、不備があれば、それを的確に指摘しながら修正を求めていく、そういう厳正な審査の姿勢というものは、これからも私どもは堅持してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  64. 達増拓也

    達増委員 私が最初のところで申し上げましたように、この問題は関係者間の信頼醸成というのが非常に大事だと思いますので、今の答弁の中にも、そういう努力は今までもしてきたし、これからもやるということでしたので、その点は本当にしっかりやっていただきたいと思います。  また、手続の正当性ということにつきましても、これはかなり運用次第というところもあると思うのですね。関係者の意見を幅広く聞きながらも、最終的にどこかで判断し、決断を下さなければならないというところがあるわけでありまして、そこのところで、通産省の審査、これは非常に責任重大になると思います。  先ほど、吉田委員質問の中でも環境審査顧問会について質問がありまして、今の体制について御答弁をいただいたわけでありますけれども通産省による審査の適正さ、これを確保していくに当たって、今の環境審査顧問会のあり方を基本的にそのまま踏襲していくことになるのかどうか、伺いたいと思います。
  65. 岡本巖

    岡本政府委員 私どもは、これまでせっかく関係者の間に安定した制度として定着をしてまいっております今の発電所アセス手続が定着をしているということに加えまして、そのもとで、事業者努力もあって、世界に冠たる環境対策実績を上げている発電所アセスメントでございますので、その一翼を担っております環境審査顧問による審査体制というものはこれからもぜひ大事にしていきたいと考えておりまして、今の先生の御質問にありましたように、環境審査顧問会の体制というものをこれからも維持する中で、アセスメントの実を上げてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  66. 達増拓也

    達増委員 この一連の手続の中で、一番最後の審査に当たる環境審査顧問会と並んで、もう一つ非常に重要なのが、一番最初事業者環境評価、アセスメントを行うところ、そのスタートのところだと思います。  いろいろ聞くところによりますと、事業者アセスメントを行う場合に、調査会社、コンサルタント会社に委託をして行うのが通例である、その際に、先ほどやはり吉田委員質問の中にもありましたように、一件について二十億円から六十億円の費用がかかっている。その分、非常に広範で丁寧な調査を行っている、環境評価を行っているという答弁を先ほどいただいたのですけれども、素人考えで素直に考えて、かなり値段が高いな、かなりの費用がかかるものだなというふうに思うわけであります。できるだけこの費用を低減化させていくことが重要ではないかと考えるわけであります。いわゆるIPP、独立発電事業者がどんどん新規参入をしていくことができるようになっておりまして、そうした規制緩和流れの中で、電力料金をできるだけ下げていきたい。  電力というものは、一般家庭はもちろんですけれども、産業界でも、それなくしては先に進めない非常に重要なインフラでありまして、最近、三カ月ごとに為替変動等によって電力料金が見直されるわけですが、今、三カ月ごとにどんどん電力料金が上がっていることに対して、そういう一般家庭や産業界からの怨嗟の声も高まっている状況ではないかと思うわけであります。  電力料金を下げていく一環としても、コンサルタント会社アセスの費用の低減ということは重要なポイントではないかと考えるわけでありますけれども、改めて、コンサルタント会社環境評価にそういう費用がかかる事情、そしてコンサルタント会社というところには一体どういう人材が集まってやっているのか、ある意味では、手続の最後を締める環境審査顧問会、それに匹敵するような、すぐれた人材が集結してその最初のところの評価をやっていく必要があると考えるわけですけれども、その辺の事情、把握されている範囲でお教えいただければと思います。
  67. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  発電所アセスメント先生指摘のような多額の費用がかかっております事情は、現況、今現在の環境の状況を調査するということにつきまして、大気とか水質とか、そういう環境項目について年間を通じて四季のデータを観測するということを事業者に求めておりまして、そのために事業者は、例えば気象データを集めるために、バルーンを大変な数上げて予定地の周辺における気象データを集める、そういう作業を調査会社に委託するというようなことを通じて実施をしているわけでございます。  それから、そこで発電所をつくった場合に環境にどういう影響があるだろうかという予測の作業に関しましても、コンピューターによるシミュレーションというものに加えまして、大気であれば風洞実験というものによって補完調査を行う、それから、温排水の拡散予測に関しましては、水理模型をつくって、それによる実験でシシミュレーション結果の補完的な調査をやるということで、外国になく、非常に丁寧な形で現況調査及び影響予測というものをやっているわけでございます。  このアセスメントの費用を低減するということについては、今電気事業者は、先生指摘のように、料金というかコストの低減に向けて一連の効率化の努力をやっている最中ではございますが、一方で、環境アセスメント、あるいはその影響を実行可能な範囲で最小化するための対策という面で手を抜くということでは地元の御理解を得られない、ひいては電源立地が円滑に進まないという事情もございますので、そういう制約の中で、可能な限りのコストの低減努力というのは各事業者において鋭意努力をしているものと承知をしておりまして、私ども国の立場でも、先ほど御説明申し上げましたけれども、新しい予測手法の開発等の面で予算措置を講じながら、支援をしているところでございます。
  68. 達増拓也

    達増委員 発電所アセスメントを行っている民間のコンサルタント会社というのは、今のところ、例えば関東であれば東京電力の関連会社、東海地方であれば中部電力の関連会社関西では関西電力の関連会社というように、大体電力各社の子会社あるいは関連会社がやっている状態というふうに聞いております。今後、環境について社会的な関心が高まるに従って、また、電力業者の方に新規参入がふえるに従いまして、このアセスを行う会社についても、新規参入がどんどんふえていくような状況になって、費用も低減化していくことができれば望ましいのではないかというふうに考えます。  また、アメリカのクリントン政権のイニシアチブで、世界各地の小学校で子供が百葉箱などを使って環境、気温等の基礎データを観測し、それを世界じゅうインターネットでつないで地球変動予測に役立てようというプランがあって、実行に移されつつあるわけであります。  子供のそういう調査が直ちに環境アセス、今までプロが行っているようなことに取ってかわるわけではないのでしょうけれども、物の考え方といたしましては、環境NGO等、環境に関する社会的な関心も高まり、また地域地域で改めて自分たちの山や川を見直そうという動きが広まっている中で、そうした人たちが今後パソコンなどを使って、より専門的なデータの蓄積とか分析ができるような世の中になっていくのではないかと考えます。そういった人たちとの協力の中で、社会全体としてより効率よくアセスを行って、適正な判断が下されるようになっていくことが望ましいのではないかというふうに考える次第であります。  さて、この本改正案ですけれども、十年後の再検討が規定されております。先ほどの答弁の中で、状況の推移を見守りながら検討していくんだということでありましたけれども手続自体を変える、変えないということのほかに、その運用について、例えば法律では直接規定されていない環境審査顧問会の構成とかそういったものの見直し、あるいは住民都道府県知事との関係についての運用の見直しとか、そういう細かい見直しについては随時検討していく必要があるのではないかと思うのですけれども、その運用面での見直しについてはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。
  69. 江崎格

    江崎政府委員 今御指摘の見直し規定でございますけれども、これは平成六年の閣議決定に「今後における行政改革の推進方策について」というものがございまして、ここにおきまして、規制の新設に当たりましては、原則として一定期間経過後に見直すということになっておりまして、これに従いまして、今回の環境影響評価法案、それから、審議をお願いしておりますこの電気事業法改正法案、いずれにおきましてもこの見直しの規定を入れたものでございます。  これは、法施行後の十年を経過しました段階で、私どもとしては、環境影響法案における見直しに係る検討状況を踏まえ、また、電気事業法改正に基づきますアセスメントの制度の施行状況につきまして検討いたしまして、その結果に基づいて必要に応じた改善などを行います。  それから、その途中の段階でも、今先生、運用に当たって種々いろいろ検討を加えて、直すべき点は直すべきではないかとおっしゃいましたが、もちろん当然だと思っておりまして、運用に当たりまして改善すべき点が出てまいりますれば、もちろんそのように対応したいというふうに考えております。
  70. 達増拓也

    達増委員 それでは最後の質問をさせていただきます。  この環境アセスメントをめぐりましては、冒頭で、関係者間の信頼醸成、そして手続の正当性が重要であると指摘させていただいたわけであります。今までの省議アセスの運用の中で、環境保全に関する基本的認識関係者間でかなり共有されているのではないかという答弁をいただいたわけでありますけれども環境をめぐる考え方が大きく変化しつつある今日、そしてまた近い将来にわたって、そうした電力安定供給ということと環境保全ということの両立に関する基本的認識を今後も関係者間で共有していくための工夫というものをどのように考えておられるのか。  また、関係者間の共有という際に、同じ政府の中でも関係省庁間の認識の共有というのも非常に重要になってくると思いますけれども、その点もあわせて御答弁いただきたいと思います。
  71. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 達増委員の言われるように、こういう問題に取り組むときには、いわゆる目的認識の共通性から始まって、相互の信頼そして手続の正当化、全く同意見でございます。  従来から、省議アセスを通じまして環境保全に万全を期すことにより、電源立地円滑化を図ってきたところでございます。今般の法制化に当たっても、方法書とか準備書の段階住民等の意見関係都道府県知事意見を聞くことによって、事業者環境影響評価にこれらの意見が十分に反映される仕組みが今度の法律の中に織り込まれております。本制度の定着と円滑な運用を図ることによって、住民や地方自治体等における電力安定供給環境保全の両立についての基本的な理解が醸成される、こんなふうに思っております。  そこで、まさに他省庁、そしてまた関係者との共通の認識の問題でございますが、先ほどから御答弁申し上げておりますように、やはり環境問題というのは人類がその持続的発展を可能にするために解決を図っていくべき重要な問題だということで、今の橋本内閣でも、これは極めて重要な課題だ、こんな認識を持っております。そこで、従来型の産業公害対策等の問題に加えまして、地球環境問題や廃棄物問題等の顕在化も踏まえまして、経済発展環境保全の両立を図っていくというふうな認識を持っております。  政府部内においては、環境政策を推進していくためには、環境庁を初めとする関係省庁が一体となってこの環境問題に取り組むことが必要であり、通産省といたしましては、今後とも関係省庁と十分連携をとりながら環境問題への取り組み方、これを進めてまいる、こうした所存でございます。  よろしくお願いいたします。
  72. 達増拓也

    達増委員 質問を終わります。
  73. 武部勤

    武部委員長 次に、大畠章宏君。
  74. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  電気事業法の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。  今、達増委員からも御質問等ございましたけれども、今回のこの環境影響評価というものを法的に整備するというのは大変重要なことだろうと認識をしております。特に、これまでの経過、この法律制定に至る経過については、御存じのとおり、戦後のいわゆる産業復興あるいは経済復興の過程の中でさまざまな環境問題が発生をいたしました。水俣病もそうでありますし、また大気汚染もそうでありますし、水質汚染もそうでございます。  こういうものに対して、昭和四十二年に公害対策基本法が制定をされまして、それ以降さまざまな経過がございましたけれども昭和四十七年に「各種公共事業に係る環境保全対策について」という閣議了解がされましたけれども、それ以降、社会的な、あるいは産業界の理解がなかなか得られないという状況から、この法律案制定というのがずっとできなかった。  そういう意味ではい今回、この国会でこの環境影響評価というものが、環境庁の方でも、また通産省の方でもそれぞれ法制化に踏み切ったというのは大変高く評価をするところでございます。  そういう経過をたどってきたわけでありますけれども達増委員からもお話ありましたように、なぜ私たちが今この環境影響評価というものを法制化しながらそれぞれ努力をしなければならないかといいますと、一つは、もちろん環境保全でございます。私たちが生活をする大変便利な社会になってまいりましたけれども、将来の子供たちに対してきちっとした責任が持てる環境を残せるかどうか、大変不安視する傾向も世界各国で起こってきています。そういう意味では、未来に責任を持つためにもこの法律案をつくることは大変重要なことでございますが、と同時に、さまざまな産業界、あるいは通産省関連でいいますと、発電所の周辺の住民の皆さんが安心して、あるいはまたその事業に対して信頼できる状況を築いていくことが大変重要でございます。  後ほどまた渡辺周同僚議員からこの法律案について詳しく質問させていただきますが、その住民の信頼を得るという観点からいいますと、動燃の東海事故というのは大変残念な事故でございまして、地元の東海村あるいは茨城県、関係の市町村も、今回の動燃東海の事故に対して大変強い懸念を表明し始めています。  この法律案は大変重要でありますが、その以前の問題として、この動燃東海の事故について二、三御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、これは通産省の管轄の事業所ではございませんけれども通産省関連のいわゆるエネルギー政策に大変強い影響を与える事故でございまして、科学技術庁、きょうは来ていただいていると思いますが、科技庁として、いわゆる監督責任官庁として今どのようなことをやろうとしているのか。けさの新聞等でもまた一面をにぎわしているような状況も拝見させていただきましたけれども、科学技術庁としての責任において今何をどのようにしようとしているのか、現状についてお伺いしたいと思います。
  75. 大森勝良

    大森説明員 御説明申し上げます。  原子力施設、特に核燃料関係施設の安全確保にとりまして、火災、爆発を防止し、放射性物質を閉じ込める機能を確保するということは大変重要なことであります。  しかしながら、今回の動燃東海再処理工場のアスファルト固化施設におきましての事故では、施設において火災、爆発が発生し、多重防護の機能が失われ、環境影響を与える程度ではないものの、施設外に放射性物質が放出されるとともに、微量とはいえ従業員の体内に放射性物質が吸入されるという事態になり、重大なものと受けとめております。さらに、情報伝達に不十分、不適切な対応があったことにより、地元住民方々を初め国民の皆様に多大な不安を与えたことはまことに遺憾であります。  科学技術庁といたしまして、事故の翌日に事故調査委員会を設置し、これまで六回の会合を全面的な公開のもとに開催し、徹底した原因の究明などの検討を行っているところであります。  また、三月二十一日に原子炉等規制法に基づく動燃事業団より提出されました事故報告書の中の記載の一部に偽りがあったことにつきまして、具体的な経緯及び事実関係について四月十日に報告の提出を求め、四月十四日にその提出を受けるとともに、四月十四日、四月十五日と原子炉等規制法に基づく立入検査を実施いたしました。その結果、本日、動燃及びその職員数名を原子炉等規制法の虚偽報告の罪で告発するというふうにしているところでございます。  今後とも、法令に基づき、毅然として取り組むとともに、事故の徹底的な原因究明と万全の再発防止対策を講ずることにより、地元方々を初めとする国民の不安、不信を払拭するために全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  76. 大畠章宏

    ○大畠委員 今マスコミ等々もいわゆる動燃事業団に対する大変強い風当たりの中でありますが、動燃事業団は事業団として、信頼回復のためにこれは全力で当たっていただかなければなりません。したがって、けさの新聞等の報道というのは、私自身も非常に残念なといいますか、理解しがたい状況に至っているなということでありますが、動燃事業団に対してはまた別な形でいろいろ指摘をさせていただきます。  その動燃事業団は今事故対策等でかなりの精力を注いでいますが、科学技術庁として、いまだ余り科学技術庁にスポットは当たっていませんけれども、今日までの動燃事業団に対する指導の仕方という意味では、今お話がございましたけれども、やはり科学技術庁の責任も重いと私は思っております。したがって、ぜひ、これは科技庁の責任だけじゃなく、日本の原子力政策そのものに大きな影響を与えるところまで至っていますので、これからも全力で国民からの、あるいは住民からの信頼回復のために、科技庁を挙げて対策をしていただくようお願いをしたいと思います。  次に、通産省でありますが、科技庁の方、結構でございますので、どうぞ。  通産省の対応でございますけれども、科学技術庁の方はそういうことでさまざまな形でまさに事故対策に当たっておるわけでありますが、通産省も、前にもお話し申し上げましたとおり、大きな影響を受けているわけですね、原子力政策という意味で、したがって、今事故が起こってから随分さまざまな事象があらわれてまいりましたけれども通産省として、大臣としてこの動燃事故に対してどのような指示を与え、あるいはまたどのような対策を今講じておられるのか、現状をお伺いしたいと思います。
  77. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 通産省の対応をお話しする前に、この問題、地元ということで非常に深い御関心というか、御地元だけに直接批判もできないし、しかし弁護もできないというのが委員の立場じゃないだろうか。先ほど残念というお言葉を使われたのは、そういうことじゃないかと思うのです。  私は、率直に言って、やはり通産省の私たちが進めておる原子力政策、これに大きく影を差すというか、とんでもないことをしてくれたなという一語に尽きます。それは、余り言っても、私の役所の問題ではない、科技庁さんの方の批判にもつながりますが、こうした事業団に勤めている方が上から下までどんな使命感、責任感というものをお持ちでもって事故に対したのかな、それが欠如していたから、実はこんな気がしておるわけでございます。  私の方は、早速、このことで信頼回復ということがございますが、その前として、事故の翌日に、私たちの通産省の傘下である電気事業者、ここに対して、原子力発電所の固体廃棄物処理施設及びトラブル発生時の通報連絡ということが一体どうなっているかということの再点検、これを指示をいたしました。御案内のごとく、実際的に動燃のやっている作業方法と九電力、中には違うところもございますし、そういうことで特段に問題がないということを確認すると同時に、やはりさらなる原子力発電所の安全管理、これに努めております。  同時に、同じように危険物を扱うガス会社、石油会社あるいはまた化学薬品、そしてまた製鉄会社、そういうところにもすべて実は同じように安全の確認の指示をいたしました。  一方、今科技庁を中心に事故の原因の究明というものが行われておりますが、通産省としては、科技庁からの要請を受けまして、この委員会に、通産省の工業技術院の爆発現象に関する専門家というのがおりますから、それを参加させましたり、またアスファルトに関する専門家、これは当省にはおりませんで民間会社でございますが、そういうところを紹介するということでもって側面的な支援を行っております。  これからもこうした事故の原因究明作業、それから動燃改革検討委員会の検討状況、これを踏まえつつ、適切に対応をしてまいりますし、科技庁と協力して、原子力政策に対する国民の信頼の回復ということに努力してまいる所存でございます。
  78. 大畠章宏

    ○大畠委員 通産省としてもあるいは大臣としても、今一生懸命この問題についてさまざまな観点から取り組むというお話といいますか、御意見を賜りましたが、ぜひ大臣としても真剣なお取り組みをお願い申し上げたいと思います。  きのう、実はフランスの原子力の関係者の方が私を訪ねてまいりまして、この動燃事故問題について幾つかの質問をされておりました。フランスの方から見ると、なぜ今この動燃の事故に対して大きな話になっているのか、事実からすればよくわからないという話がありましたけれども日本の原子力政策というのはいわゆる信頼の上に成っている、住民の、あるいは地元の方の自治体の信頼の上に日本の原子力政策は成り立っているのだ、その信頼が非常に損なわれている、したがってこれは大きな問題なのだ、事象も問題かもしれませんが、その信頼関係が崩れつつあるところに大変な問題があるのだというような話を申し上げました。彼はフランス国内で原子力政策を担っているメンバーとして大変苦労しながら今日まで来たそうでありますが、その問題は同じだろうということで帰っていきました。  地元で、今回の事故を契機として、いわゆる原子力防災特別措置法というものを求め始めています。これは、茨城県の地元の東海村だけではなく、石川県の自治体からもそういうふうな要請が来始めています。すなわち、内容はいろいろありますが、地域住民の立場からの調査の実施、これは信頼性だと思うのですね。それから、いわゆる第三者機関による調査、あるいはまた事実に基づく事故情報の的確な通報体制、あるいは地方自治体の事故情報を分析する能力の確立の問題、あるいはそれを分析した結果、関連市町村と連携をとりながら対応するという連絡体制といいますか、そういう対応をする体制の整備とか、さまざまな内容を含む原子力防災特別措置法というものの設立を要請する声が出てきておりますが、私ども民主党としても、この特別措置法については、この問題については積極的に対応していきたいと思いますが、現在どのような形でこの地元の声を受けとめておられるのか、伺いたいと思います。
  79. 野家彰

    ○野家説明員 お答えさせていただきます。  まず、一般に防災対策につきましては、地域の実情に応じた迅速な対応が要求されるということから、地域住民に密着した地方自治体が主となり、国がこれを支援するというのが基本でございます。現行の災害対策基本法もこのような考え方でできております。  原子力防災につきましても、このような考え方に基づきまして、国、地方公共団体がそれぞれの役割に応じた措置を実施してきたところでございます。しかしながら、御指摘のような原子力防災に関します地元の要請、防災のより一層の充実強化を求める声ということを真摯に受けとめまして、今私どもの方では次の三つのような取り組みをしてございます。  まず第一に、現在、中央防災会議で国の防災基本計画の改定作業が行われてございます。これにつきましては、自然災害に係る防災基本計画と同様に、具体的かつ実践的な内容となるように、予防ですとか応急対策とか、そういった各段階ごとに実施すべき措置、施策等をできる限り具体的に書いていく。それを通じて、国、地方公共団体が緊急時に果たすべき役割と連携の明確化を図っていこう、このような作業を進めておりまして、科技庁としてもこれに協力しているところでございます。  それから、原子力防災の技術的事項を定めております原子力安全委員会が定めた防災指針というのがございますけれども、これにつきましても、緊急時の判断基準ですとかあるいは防災訓練のあり方とか、そういった事柄についてより実践的なものになるような改定作業を進めているところでございます。  さらに、これらと並行いたしまして、科技庁の方で原子力防災検討会というものを関係自治体の参加も得ながら開催しておりまして、その中で、科技庁として講ずべき施策の充実強化策、そういったものを検討しているところでございます。  このような取り組みを重ねまして、地元方々に安心していただけるような防災対策の充実強化ということに今後とも取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。
  80. 大畠章宏

    ○大畠委員 先ほども言いましたけれども、フランス国内でもかなり突っ込んだ防災対策というものを実際に始めているということを伺いました。かなり進んだ考えでこの防災対策をとっておるようですから、フランス国内の状況等も十分勘案しながら、特に地元関係市町村あるいは住民の御意見を十分聞きながら対策をしていただきたいと思います。大森原子力安全課長も一生懸命頑張っておられますが、ぜひここら辺、科学技術庁を挙げてこの対策について取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  さて、動燃の事故問題については以上で終わりまして、この発電所アセスメント法でございますけれども、いずれにしても、この法律も、言ってみれば住民の信頼というものをどう確立するかということが大変大きなポイントになると思いますが、これまでも通産省関連のいわゆる発電所アセスメント関係については、環境手続についてはかなりの細心の注意を払いながら今日まで来ています。従来のアセスメント手続と今回の法案手続との間にどのような違いがあるのか、概要をお伺いしたいと思います。
  81. 岡本巖

    岡本政府委員 発電所アセスメント手続は、過去二十年間にわたる運用を通じまして、事業者はもとよりですが、地元住民方々あるいは関係の自治体等との関係において定着した制度になっておりますので、法制化をするに当たりまして、私ども基本的に、従来の省議決定に基づいてやっておりました省議アセスのスキームを踏襲するという方向で改正法案を用意して、御提案申し上げているところでございます。  したがいまして、今回の法制化されます発電所に係るアセスメント手続というものは、基本的に従来やっておりました手続をそのまま踏襲するということで、大きな違いはございません。スコーピングでありますとか、スクリーニングでありますとか、中央環境審議会答申を踏まえて手続が導入された部分がございますけれども、一部は中環審答申を踏まえて我々も手続に若干の修正を加えるというところがございますけれども基本的なところは、これまで事業者に対してやってもらっていたそういう手続、あるいは自治体等との関係でもやってまいっておりました手続法制化したものでございます。
  82. 大畠章宏

    ○大畠委員 私もそういうふうに受けとめております。発電所関連の環境アセスについてはかなり緻密にこれまでもやっておりますし、それをきちっと法制化したというような内容だろうと受けとめております。  そこで、そういうことなんだと思うのですけれども、今回の動燃事故でもわかりますとおり、その追跡調査といいますか、本当にアセスメントで設置前にシミュレーションしたものと同じなのか。あるいは異なった現象が起こった、あるいはそういう形で認可したのだけれども、想定した状況とは異なる事態に至ってしまったというような場合をどのような形で追跡調査して改善をさせるのか。そういう仕組みについて、ちょっとこのアセスメント法とはかけ離れるかもしれませんが、そのことについてお伺いしたいと思います。
  83. 岡本巖

    岡本政府委員 発電所につきましては、工事の段階はもとよりでございますが、運転を開始した後においても、環境に適切な配慮をしながら維持、運用に努めるようという、そういう努力規定を今回の法律の中にも入れております。  それから、私ども発電所について、例えば公害防止の関係ということであれば、それから今回の評価書に基づいて事業者がとるというふうにコミットをした環境保全対策等につきましては、電気事業法報告徴収とか立入検査とか、そういったものを通じて適切にフォローをしていくという方針でございまして、そういう中にあって、公害防止等の関係で放置できないというような場合には、電気事業法に基づきます命令その他の規定を的確に運用することによって、事業者に適切な対応を求めていくということにいたしたいと考えております。
  84. 大畠章宏

    ○大畠委員 けさの新聞の情報等を見ましても、そういう発電所あるいは施設の運用の情報というのがどうも外に出にくい、いわゆる内部にしか伝わらない、住民にはそこを加工しながらしか情報を流さないというところに今回のトラブルも起こっていますし、信頼の失墜もあるのだと私は思うのですね。  したがって、私は、住民の信頼を得るためにどうしたらいいかということについてちょっとお伺いしたいと思うのですが、やはりそういうモニタリングポイントの情報を、例えば役場の中とかあるいは住民と共同で第三者の監視機関をつくっておくとか、そうすれば、出たか出ないかというのは、知らせてもらうとか知らせなかったというのではなくて、だれでも見られるのですね。そういう実態にしておかないと、どんなにこの環境アセスメント法で事前の調査をし、シミュレーションをし、そしてこういう形でやるのですというふうに住民の方に理解してもらって事業を進めた、その結果として、その運用体制のところでトラブると、やはり総体として問題になってしまうのですね。  したがって、そういう事業体の運営の情報を住民の方あるいは地方自治体と一緒に、情報を管理する、通報するとか通報しないではなくて、モニタリングポイントとかあるいは煙突の中の放射線の状況というものをみんなが見られるような状況にしておくことは、大変重要なポイントだと私は思いますが、今この問題についてどういうふうな形で住民と情報を共有して、そして信頼を得ようとしているのか、そのポイントについてお伺いしたいと思います。
  85. 岡本巖

    岡本政府委員 発電所について事後のモニタリングを行うということを求めますと同時に、そういう中で、大気等についての情報については事業者地元の自治体にオンラインで連絡をするというようなことも行われているところでございます。  ただいまの先生の御質問は、原子力発電所に係るいろいろな情報の伝達、開示という点に主眼があろうかと推察申し上げますが、この点につきましては、昨年、通産大臣の諮問機関でございます総合エネルギー調査会の原子力部会で一連の議論をしました際に、国民の信頼を得るために、国はもとよりですが、事業者を含めまして、情報のディスクロージャー、開示、提供ということについて、従前以上に格段の努力をすべしという御指摘をいただいたところでございまして、事業者においても、さらなる情報の提供ということに向けて、地元の自治体、住民方々を含めまして、そういった方面への情報提供に向けて今鋭意努力をしているところでございます。
  86. 大畠章宏

    ○大畠委員 フランスでは、発電所の情報というのは住民の方と一緒に共有しているという話をきのう伺いましたけれども、やはりそこら辺だと思うのですね。  情報は発表するか発表しないかという話ではなくて、やはり事実を住民の方と一緒に共有していれば、その発表がおくれたとか何かという話ではなくて済むわけなんですね。どうも今回の、これまでの原子力事故等々で、住民との間でトラブるのはそこがポイントなんですね。したがって、この環境アセスメント法は法としながらも、やはり住民の信頼を得るということの目的には、そういう環境アセス法のときに検討したチェックポイントについては住民と情報を共有するというのが、私は大変重要なポイントだというような感じもいたします。  この点についてはぜひ検討していただきたいと思いますが、今どういうふうな御意見をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  87. 谷口富裕

    ○谷口(富)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のフランスのケースは、フランスの場合はミニテルというコンピューターネットワークにかわる非常に便利なシステムができていまして、それを通じて発電所の情報を随時流しているということでございますが、日本の場合には、一部の立地地域ではCATVのラインへ原子力情報をローカルに流しているというところもございますが、通常、先ほど御指摘のモニタリングポストの数値等は常時町の中の役場なりしかるべき施設で見られるようになっている。  今後の課題としまして、先ほど岡本部長から説明がありました原子力部会の報告でも、さらに情報を積極的にわかりやすく提供する、あるいはそれを通じて対話をしていくということに非常に重点を置かれておりまして、私ども、そういう方向でいろいろ努力、検討をしておりまして、今後、例えばインターネット等も活用しました新しいタイプの、住民ともっと密接な情報の提供、交流に努めてまいりたいというふうに考えております。
  88. 大畠章宏

    ○大畠委員 大臣にも最後にお伺いしようと思ったのですが、時間が参りましたので、以上で終わります。  ありがとうございました。
  89. 武部勤

    武部委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  90. 小川元

    ○小川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡辺周君。
  91. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。  大変委員方々がお忙しいようでございまして、何か寂しい思いをしながらやるわけでございますが、まず第一点、今回の電事法改正につきまして、通産大臣にお尋ねをしたいと思います。  地球環境保全環境意識の高まりとともに、諸外国で、例に挙げるならば、OECD加盟国二十九カ国中、我が国を除く二十八カ国のすべての国で環境影響評価手続を規定する何らかの法制度をこれまで整備をしてまいりました。  私、実は中環審の答申が出ました後に、二月十四日だったでしょうか、予算委員会の席におきまして石井環境庁長官あるいは佐藤通産大臣に、この答申を受けての法制化についての御見解をただしました。そこで、その予算委員会の延長ではございませんけれども、今回、この電事法改正ということになりましてお尋ねをしたいと思いますが、総理の諮問を受けた中環審が、「今後の環境影響評価制度の在り方について」、本年の二月十日、出されました。  現在、環境影響評価法案そして電事法改正による電源開発アセスというようなことになるわけでございますけれども、エネルギーの安定供給の確保という任務から、通産省は、これまで発電所立地円滑化、開発ということに取り組んできました。開発官庁の責任者として佐藤通産大臣、今回の中環審の答申をどのように位置づけられまして、また環境影響評価法案をどのように受けとめて、そして今回の電気事業法改正に取り組まれたのか、お答えをいただきたい。まず一点、お尋ねをしたいと思います。
  92. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 渡辺委員お答えいたします。  今御指摘のように、予算委員会でも御質問がございました。この発電所アセス手続については、各事業共通の手続というものは環境影響評価法に規定してございます。そして他方、この発電所アセス固有手続電気事業法に規定して、この二つ法律に基づいて実施をしていくとしたものでございます。  今般の発電所アセス法制化は、御指摘のように、総理の諮問を受けて検討を行ってまいりました中央環境審議会答申を十分に踏まえたものであり、答申の内容についてはすべてを満たしている、かような認識を持っております。
  93. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 そうした認識の中で、もう一回お尋ねをしたいのですけれども、当時の予算委員会の中で、今の時代というものはもう環境というものが優先する時代になったという背景があるんだと御答弁をいただきました。そうした中でこれまで何度か過去この環境アセス法が提出をされようとした、あるいはされた。その上で、通産省が常に、電源立地促進のブレーキになるのではないかというようなことで非常に慎重論が多かった。そのため過去六回ですか、環境庁の悲願ともいうべきこの環境アセス法がなかなか成案として成らなかった。  そしていよいよ今回が、ある意味ではCOP3の開催国として、ある意味では本年中に、答申が出てからわずかの間に今回この成案が出された、法案が出された。それを考えますと、再度お尋ねをしたいのですけれども、これまでの通産省環境庁のいろいろアセス法をめぐるいきさつの中で、総括的にどのように大臣は、率直な、政治家として中で生きてこられて御判断されたかという過程をもう一度お尋ねをしたいと思います。
  94. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御指摘のように、やはり時代背景というものが私はあると思うのです。もちろん言うまでもなく、戦後やはり大量生産、大量消費ということで、経済中心でもって日本の運営というものをなしてきた、それの弊害としていろいろな問題も起こして、その代表的なものが公害というこうしたことだと思うのです。公害という事態が発生したのですが、それがさらに最近では、大きく地球の環境、人類の生存の問題、こういうことになって、環境に対する考え方が公害の防止からやはり非常に広がってきて、人間が生活する上における環境ということで、いわゆる自然の破壊、こういう問題にも留意していかなきゃいけない、かように実は変わってきたということがございます。  一方、発電所の場合を一つ見ても、やはりかつては水力、火力、しかも火力の熱源で一番多かったのが石油だった。それが新たに天然ガス、LNGが出てきて、そしてまた原子力、こういうふうに非常に多角的になってきたということでございますから、もちろん、発電所それぞれの性格によってつくる場所も変わってきたということで、非常にこの問題が重視されてきたと思うのです。  そういうことで、今までと違って、省議アセスということよりか、やはり一つ法制化をすることによって、国民に対して、関係者に対しても国の姿、行政の姿として、これから環境というものとの共生によって経済の発展を図るのだという道をはっきりしなきゃいけないということで、今回、中央環境審議会答申もございましていわゆる法制化ということに踏み切った、かように御理解いただきたいと思います。
  95. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 そうした答弁を受けてお尋ねするわけでございますけれども中央環境審議会は、今回の答申におきまして、発電所アセス例外とせずに、環境アセス法による統一的制度の対象にするように提言をされました。ところが、通産省は、発電所環境アセス法対象にするけれども、一方で一連の手続通産省が主体的に関与するために、電気事業法改正にその手続を定めた。こうした特例を設けたということは、それ相当の理由があるというふうに思うわけでありますけれども、ほかの我が国アセス対象事業と比較して、発電所アセスを特例とするその根拠、お考えというものを、その御見解をお尋ねしたいと思います。
  96. 岡本巖

    岡本政府委員 発電所アセスメントにつきましては、昭和五十二年以降二十年間にわたって、百二十件の発電所についてのアセスの審査をやってまいりました。事業者の取り組み、それから地元関係自治体の長の方々の御意見、あるいは中央における環境庁初め水産庁とか建設省とか、そういった方面の方々の御意見を集約しながら、私ども、この省議アセスのもとで、発電所についての環境対策という面では世界に冠たる実績を上げてまいったというふうに認識をいたしておりますが、その中にあって、発電所立地も円滑に進むという実績もこれまたあるわけでございます。こういうふうに、関係者の間にせっかく定着をし、一つの安定した制度となっておりますものですから、私ども、今回発電所アセス手続法制化するに際しまして、今申しましたような安定した制度になっているものを基本的に踏襲した方がいいだろう、そういう考え方のもとに検討をしてまいったところでございます。  もう一点、発電所については、ほかの事業は多くは国なり国の関係機関なり、そういうところが事業主体になる事業でございますが、発電所の場合には民間の企業が行う事業、それが同時に電力安定供給という国のエネルギー政策とも密接な関係を持っている事業でございますが、そういう特殊なステータスにある事業対象にするという側面がございます。  したがいまして、私どもは、環境対策には引き続き万全を期す、それなくして地元方々の御理解をいただくことは難しいという観点から、これまでその環境対策を支えてまいりました省議決定に基づくアセスメントのスキーム、これを踏襲する中において、そこには通産省が早い段階から関与するという先生指摘のような手続も加味されているわけでございますが、同時に、例えばスコーピングの段階で、調査、予測それから評価の手法を必ず出してもらって、それを私どもが審査するというようなところもこれまでやってまいっているわけですから、そういうものも含めまして、従来からやってきておりますスキームを踏襲する中において、環境保全の実を上げ、あわせて電源立地円滑化をよく図り得るというふうに考えて、今回御提案しておりますような内容での電気事業法改正を御審議願っているところでございます。
  97. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今いろいろと御答弁をいただいたわけでございますけれども、先ほど来各委員から御指摘がありますように、この発電所アセス手続の中で、通産省における審査、勧告あるいは変更命令という内容を含めて、大変通産省関与をしているというような事実がございます。  しかし結果的に、これは例えば通産省設置法等を見ましても、やはり一つには電源立地の開発であり、エネルギーの安定供給というような義務をしょって通産省というものがある。その反面で、これだけ発電所アセスの中に通産省が出てきますと、これはある意味ではやはり環境庁の、これは私自身の考えでございますけれども、もうちょっと関与する余地もしくは、私自身の考えとしては、通産省にゆだねるのではなくて、地元住民なり環境庁、第三者機関の方が非常に客観的な判断をされる、あるいは信頼性が高まるのではないかなというような意見を持つわけでありますが、今回この電事法改正まで至るに当たりまして、環境庁とその点どういうふうなお話があったのか、これは双方からお答えをいただきたいと思っております。
  98. 岡本巖

    岡本政府委員 私ども環境庁との関係では、御提案申し上げております環境影響評価法案及び電気事業法の一部を改正する法律案において、スコーピングの指針に関して、環境庁が基本的な事項を定め、主務大臣が指針を協議をしながら定めていく、そういう点とか、あるいは準備書の段階で、私どもが審査し、勧告をする場合に、環境庁の意見を聞くということを法律上も明定をいたしているわけでございます。  こういう環境庁との連携ということにつきましては、実は省議アセス段階から緊密な連携を保っておりまして、環境庁は御案内のように電源開発調整審議会の法定メン、バーでございますので、私ども、審査をやり、電調審に計画を上程するに際しましては、環境庁との間でこれまでも十分に時間をかけて緊密な意見調整をやってまいっていたわけでございます。そういう実績を踏まえながら、今回御提案しております法案の中におきましても、準備書という早い段階環境庁の意見を伺いながら、私どもの審査をより的確、厳正なものにするというふうに心がけているところでございます。  そういう形でこれからも引き続き、法律の規定もそうなっておりますし、実際の運用に当たりましても、環境庁との間の緊密な連携というものには十分に意を用いてまいりたいと考えております。
  99. 高部正男

    ○高部説明員 環境影響評価法案発電所対象事業としているところでございまして、私どもといたしましては、この環境影響評価法案というのは業種横断的に定められて、それが環境影響評価の方法でございますとか手続が適用されることが必要だということで考えてきて、そういう観点から対処してきたところでございます。  先ほど来通産省の方から御答弁がありましたように、これまでの実績、その観点からの制度的安定あるいは発電所というものの事業の特性といった観点から、共通に適用される手続環境影響評価法案により、また固有手続電事法で、こういう整理になったところでございます。  この考え方で、これも今答弁ございましたけれども、例えばいろいろな技術指針を定めるときには、環境庁が定めます基本的事項を踏まえていただくような形になってございますし、また通産大臣が勧告されるときに環境庁長官意見をお聞きいただくというような形になってございますので、この種の環境庁の役割を的確に果たすということで万全を期してまいりたい、かように考えているところであります。
  100. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 時間が半分になりましたので、ちょっと個々の手続の中の問題に移らせていただきたいと思うのですが、環境影響評価法案アセス手続においては、事業者は、直接住民関係都道府県知事意見を聞いて、準備書、評価書の作成に反映をすることになっております。一方で、この電事法改正について、通産省のみが住民、知事の意見を集約し、事業者に伝え、指導するということになっているわけでありますけれども、この中で、通産省に非常に情報が集中するといいましょうか、手続の透明化というところからしますと、何か非常に逆行しているのではないかなというような懸念を持つわけでございます。  こうした部分においての情報を公開する、透明化するというような観点から、どのようなことを今後お考えになるか、その点についてお考えをただしたいと思っております。
  101. 江崎格

    江崎政府委員 御指摘の情報の公開の問題でございますけれども、特にこういった環境アセスメント手続に関しては、情報の公開ということが非常に大事だというふうに私ども思っております。  今回のこの発電所アセスメントでございますけれども住民意見、それから知事の意見、それから事業者見解、これはいずれも、アセスメント法の二十一条にございますけれども、評価書の内容に記載されることになっておりますし、それから、通産省の勧告の内容につきましても、これは電気事業法改正法案の四十六条の十五の二項でございますが、これも評価書の中に記載されます。この評価書につきましては、公告、縦覧ということになっております。したがいまして、すべての人に公開されるということになっております。
  102. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 時間がありませんので、この手続についてはこれから少し論議をしたいところなんですけれども、ちょっと予定している質問がまだございますので、次に進みます。  こうした手続の中で、発電所について、明らかに実際に建設される市町村の関心の方が都道府県よりも高いわけでございます。地方自治体の意見は結果的に都道府県知事が集約をしていくわけでありますけれども、例えば、昨年ございました新潟県巻町ですか、一九九六年の八月四日、こうした原子力発電の立地をめぐって住民投票が行われた。小さな町ではありますけれども、反対するという意見が過半数を占めた。賛成が七千九百四票、反対が一万二千四百七十八票、大変な大差で反対をするという意思表示がされました。ここの町長さんは電源開発基本計画から除外をしてくれというような要望書を提出したというのは、記憶に新しいところでございます。  例えば、こうした地元と新潟県、立地市町村と都道府県の意見が異なる、こういうような場合、通産省としてはどのような対応をしていくのか、一点お尋ねをしたいと思います。その点についてのお答えをいただきたいと思います。
  103. 岡本巖

    岡本政府委員 環境基本法におきまして、「都道府県は、主として、広域にわたる施策の実施及び市町村が行う施策の総合調整を行う」、そういう位置づけになっております。このために、環境影響評価法案及び電気事業法改正法案においては、こういう広域の総合調整を行う立場にある都道府県知事が、関係市町村長の意見を勘案して、方法書及び準備書についての意見を、私どもに、あるいは影響がある場合は事業者に対して述べるということになっておりまして、私どもは、こういうふうにして出されてきた都道府県知事意見を勘案した上で審査、勧告を行うということで、手続を今御提案申し上げているところでございます。  ただいまの先生の巻町を例に挙げてのお尋ねは、アセスメント手続と若干離れて、発電所の具体的な立地計画について地元の市町村の意向と県の意向が分かれた場合にどうするのかというお尋ねかと思われますけれども発電所立地を実際に進めるに当たりましては、御案内のように地元理解を得るということが不可欠であります。したがいまして、事業者は、早い段階から、市町村や住民方々の御理解を得るために、いろいろな説明とか、あるいはPA対策というふうに総称されております一連の活動を行っておりますけれども、私ども、国の立場におきましても、原子力の場合を典型に、市町村なり都道府県の御理解をいただくべく、直接の意見交換でありますとか、いろいろな説明会、講演会、そういったところに国みずから積極的に出向いていって、いろいろな御意見に耳を傾け、あるいは、疑問とか不安に対しては丁寧に御説明申し上げるというようなことを通じまして、いずれにしましても、地元の市町村を含む関係者の方々の御理解をいただけるよう、できる限りの努力をしてまいっているところでございます。  こういった取り組みは、個々の発電所立地計画をこれから進めていくに当たりまして、引き続きぜひとも重点的に努力をしていくべきものと考えております。
  104. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 それでは、この問題についてはちょっと、時間が残りわずか五分ほどでございますので、次の質問に移らせていただきたいのですが、事例としてもう一点お尋ねをしたいと思います。  先ほど来大畠委員からも御質問がありましたが、先月も東海村の核再処理工場の爆発事故というようなことがありまして、若干の放射性物質が漏れた。今までに至るようなこの不祥事、いわゆる、伝達がおくれた、あるいはその意識の問題等々言われておりますけれども、こうした放射性物質の漏えいということに関して、この原発のアセスというものは、このような事態も想定して環境影響評価は行われるべきではないか、その点についての御見解をお尋ねしたいと思います。事故の場合の影響の重大性というものを考えますと、これは、放射能漏れ事故の影響も含めて、いろいろなシミュレーションのもとにアセスを行うべきだと考えますけれども、その点についていかがお考えか。
  105. 岡本巖

    岡本政府委員 環境影響評価法案、それから、今回私ども環境アセスメントのために電気事業法の一部改正法案を御提案申し上げているわけですが、アセスメント関係では、いわゆる放射性物質に係る安全というのは対象にいたしておりませんで、その点については、実用の発電炉であれば、これまでどおり電気事業法及び原子炉等規制法に基づく許可に当たっての審査その他の規制をやってまいるところでございます。  お尋ねの、放射性物質の漏えいその他の安全につきましては、多重防護の考え方のもとに、私ども自身が徹底した審査を行いますとともに、科学技術庁の原子力安全委員会によるダブルチェックを通じて、安全の審査ということには万全を期しているところでございます。
  106. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 最後、あと一問かそこらになるかと思いますけれども、今回、この電事法改正ということについて、通産省関与が非常に強く言われてまいります。強く権限が働くというふうに理解をしているわけでございます。しかし、決して通産省の設置自体については私はどうこう言うわけではありませんけれども、やはりこれは、電源開発促進なり、エネルギーの安定供給というような点で通産省が存在をする、その上でこのアセスを考えるというときに、この審査を繰り返していっても、結果的には、やはり電源開発というものを実現するということを前提にアセスが行われるのではないかなというような感を私は抱くわけでございます。  確かに、エネルギーの供給、これは大事な問題であります。そして、これから日本が産業発展を、低空飛行とはいえ続けていく中で、どうしても必要である。しかし、その上で、反面、これは新エネ法のときにも私は申し上げたかもしれませんが、総需要抑制ということをせずに、ただ供給量の点だけを見て考えていく。これでは幾らたっても続けていかざるを得ない。そのために、当然、この煩雑なアセスというものを地元住民理解を得ながら続けていかなければならない、これはずっと繰り返されるだろうと思います。決して私は否定しているわけではございませんけれども、そういう意味でのエネルギーの総需要の抑制というような観点で、再度通産大臣にお尋ねをしたいのですが、この省エネというような政策について今後どのように考えていかれるか、その点について強い御答弁をいただいて、質問を終わりにしたいと思います。
  107. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、供給面で、新エネということでこの間も新エネ法、これをお願いしたところでございますが、なかなかやはり奨励してもこれが急激に伸びるとは考えられない。また、三本柱の一つである原子力というのも、この間からの動燃のああした不祥事から見ると、なかなかやはり政治、行政に対する信頼というもの、これの回復も難しい。そうなると、御指摘のように省エネというものに力を注いで、総需要量の抑制というものを考えなければいけないだろうと思うのです。  この総需要量の抑制の中には、今申した省エネと同時に、一つ負荷率改善ということも大きな要素になりますが、この二つということで、御案内のごとく、省エネに関しましては、先日の総合エネルギー対策閣僚会議ということで、この省エネ計画について、実施について閣議了解を得たところでございます。  私はまだ検討はしておりませんが、要するに、やはり今ある省エネ法というもの、これも再検討していく時期になっているのではないだろうか、こう思って、今委員の御指摘のように、供給、それよりか総需要抑制というこの方面にメスを大いに入れていく必要があろうか、かように考えております。
  108. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 終わります。
  109. 小川元

    ○小川委員長代理 次に、吉井英勝君。
  110. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は最初に、この法律案理解を深める上でといいますか、環境庁に聞いておきたいと思いますが、二月の中環審の答申基本考え方というのを大体私なりに理解をして要約すると、通常のアセスメントというのは、まず事業者アセスメントを行う、それに対して住民や地方自治体が意見を出して、事業者が直接声を聞いてアセスメントをやり直したり、手直しをしたり、そういうことも行って、そうして審議や評価をする機関の評価を得て、国が許認可等によって事業関与する際に、アセスメントの結果を事業の許可あるいは不許可を含めて適切に反映させる仕組みになっている、大体これが中環審の考え方に基づくものではなかろうかと思うのですが、そういうことでいいですね。    〔小川委員長代理退席、中山(成)委員長代理着席〕
  111. 高部正男

    ○高部説明員 アセスメントの大きな流れ、趣旨等から見ますと、おっしゃったとおりだと思います。
  112. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、アセスというのは事業者が行うものなんですね。  そこで、通産省に伺っておきたいのですが、電気事業に関して通産省というのは許認可の官庁なのか、それとも事業官庁といいますか、事業推進官庁になるのか、いずれの性格を持っているか、ここのところを次に伺いたいのです。
  113. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  電気事業法の目的は、電気事業の運営を適正かつ合理的なものとする事業規制を行い、電気の使用者の利益を保護し、電気事業の健全な発達を図ることを目的とするという、いわゆる業の健全発達という面と、それから電気工作物の保安規制による公共の安全等を確保するという大きく二つの目的を持っております。したがいまして、私ども、電気事業の健全な発達ということに加えまして、公害防止を含めまして、これまで発電所を含む電気工作物に係る保安規制を所管してまいっているところでございます。
  114. 吉井英勝

    ○吉井委員 今、電気事業法に則しておっしゃったのですが、もともと通産省については設置法第四条で、これは電源開発、電気施設建設の推進、それから電気需給調整とか電気施設の認可、原発設置の許可、認可とかですね。  ですから、許認可の官庁である性格と事業を推進する性格の官庁の二つの性格をあわせ持っていることは明白だと思うのですが、今大体お答えいただいたこと、そういうことなんですが、もう一度確認だけしておきたいと思います。そういうことでいいですね。
  115. 岡本巖

    岡本政府委員 御指摘のように、私どもその二つの任務を持っております。
  116. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこで、電気事業審議会受給部会電力保安問題検討小委員会報告というのをいただいて読ませていただきましたが、「発電所環境影響評価制度の在り方」、これはことしの二月ですね、これによりますと、なぜ発電所アセスを別建てにするのかということの説明として、行政手続法制定により省議アセス法制化する、法制度にしなければならぬというのが一つですが、それ以上にここで大事なのは、中環審答申にある早期段階での環境配慮、住民等の関与の拡大など十項目に関する基本原則に従い、その内容の実現を図る制度とする、そして「電気事業法との一体的運用の実績及び」とした後に、「国の主体的関与必要性を踏まえ、」としているわけですね。  そして「国の主体的関与による厳格な環境影響評価手続」というものとしく大体二つのことを挙げておりますが、一つはへ長期的な電力需給の見通しのもとで計画的に進めていくことが必要だ、もう一つが、発電所の建設は、これは当該特定地点の需要増加を賄うだけのものではなく、供給区域全体の電力需要の増加、さらには広域融通を前提に長期的電力需要の増加に対応するためのものであるとしておるわけですね。  しかし通産省の方は、今、発電所については、これは推進官庁であるわけですよ。いわば事業主体側になるわけですね。電力会社と一体となってアセスメントの早い段階から発電所建設の事業者という性格で関与することになる。これは今度の一部改正を読んでいますと、そういう問題があるのですね。  つまり、事業者と許認可官庁の立場は本来違うはずなんですが、これが一体になると、事業者の方がアセスの評価もやれば審査もやる、つまり自作自演で行うということになってくるわけですね。それは中環審答申などで期待されている本来のアセス制度のあり方からは外れたものと言わざるを得ないんじゃないでしょうか。どうですか。
  117. 岡本巖

    岡本政府委員 私どもは、電力安定供給という観点から電源立地を推進するという任務を担当し、その関係する業務を所管いたしておりますが、お言葉ではございますが、事業者と一体という、そういう関係認識は全く持っておりませんで、事業者自身は、実際の発電所立地を、個々の地点で計画を立てて地元に御理解をいただきながら計画を進めるという立場にございますが、先ほどまさに先生御紹介になった電事審需給部会の小委員会報告にありますような観点から、発電所立地計画的に進めていく必要があるという認識は、私どももちろん持っております。  その際における私ども環境アセスメントというものに臨む姿勢は、私どもはこれまでも、先ほど申しましたように電気事業の健全な発達ということと同時に、電気事業法は現行アセスメントについても公害防止を含む一連の保安規制をやっている。その両方を担当する立場にございますが、アセスメントに関して申しますれば、事業者がまず方法書をつくったものについて、我々事前審査という形でそれをチェックし、さらに環境レポートという形で準備書が出てきたものについては、各分野の専門家の御意見をいただきながら大変厳正にこれまで審査をし、事業者に対して環境対策の中身なんかを場合によっては修正するように指示をするというような形で運用してまいったところでございまして、その結果として、日本発電所環境対策というのが今日世界に冠たる実績を上げているものでございます。  そういう過程においで、もう一つ理解をいただきたいのは、発電所アセスというものは、やはり知見と経験の集積というのが大変大事なポイントになってまいります。これまで二十年間にわたって百二十件の発電所アセスの審査をすることを通じて、通産省に必要な知見、経験の集積というのがなされているというところもございますものですから、こういうものを活用しながら、法制化した後におけるアセスの実際の審査というのもやっていった方が所期の効果を上げ得る、そういう考え方も私ども持っております。  以上申しましたようなところから、御提案申し上げているような内容での発電所に関するアセス手続を御審議願っているところでございます。
  118. 吉井英勝

    ○吉井委員 エネルギーとか電力とか発電所が要らないとか、そんなあほなことで言っているわけじゃないのですよ。ただ、問題は、発電所の建設に当たって、いかに環境アセスメントというものをきちっとやり抜くかということを考えたときに、やはり通産省が許認可官庁と事業推進官庁の二重の性格を持っているわけですよ。つまり、電気事業者発電所をつくろうというときに、全くのイコールということを言っているわけじゃないけれども、しかし推進官庁としては、事実工事業者と近い性格もあるわけですよ。  ですから、少なくとも環境影響評価法案と比べてみて、事業者によるアセス準備書の作成の前の段階事業者によるアセス評価書の作成の前の段階という二つ段階で、事実上の事業者と近い関係にある推進官庁が関与することで、関係自治体の知事の意見を直接電気事業者に伝わらない仕組みにしてしまっている問題などは、これはやはりアセス法案に比べてみても大きな後退だと言わざるを得ないのじゃないですか。
  119. 岡本巖

    岡本政府委員 再度御答弁させていただきます。  私ども通産省の早い段階からの関与手続というのを御提案申し上げているのは、大要次の三点でございます。  一つは、過去二十年間制度として関係者の間に定着をし、今日安定的な制度になっている今の発電所アセススキームを、法制化に当たって踏襲するということにすることが望ましいというのが第一でございます。それから二番目は、先ほども申しました、これまでの知見と経験の集積を活用する、それによってよりいいアセスメントの審査ができるであろうという考え方。それから三番目に、電源立地との関係でございますが、私ども電源立地を推進する、そういう立場にございます。  これに向けて、最終的には電源開発調整審議会に向けて、地元を含む関係者の方々合意形成を図っていく。その際に、電源立地の推進の任に当たる通産省として牽引役を務めるということになろうかと思うのでございますが、関係者の方々がひとしく大きな関心を持っておりますのが、環境への影響の面は大丈夫かという点でございます。県知事さん、市町村長さんあるいは住民方々、中央における関係省庁もそうでございます。  そういう方々との間で意見調整を進めていく立場にある通産省が、事業者環境影響調査の結果を十分に精査をして、それで各方面の御意見を伺いながら、よりいいものに、万全なものにしていく。そういうコーディネーションの役割を果たすについて、私どもが審査、勧告をするという、これまで省議アセスでやってまいっております役割を担うことによって、電調審に向けての関係者の合意形成というのを円滑に進めていく。  そのことは決して環境対策をないがしろにするということではございませんで、繰り返し申し上げておりますように、発電所立地地元方々中心関係者に御理解いただくためには、万全の環境対策をこれまでと同様今後も引き続きやっていくということが必須である、そういう認識に発して、私どもとしては、今回一般の環境影響評価法案に比べまして加重的な内容を含む電気事業法改正というのを御提案申し上げているところでございまして、今申しましたような事情をぜひとも御理解願いたいと存じます。
  120. 吉井英勝

    ○吉井委員 もう少し簡潔にやってくださいね。  今の二十年来の経験だ、知見だ、何だというのは、これは別に今度のような制度にしなくても生かせるわけです。環境庁が本来そういうことはやらなければいけない話なんです。  それで、さきの報告によると、「国が主体的に関与する手続を採用することによって、いやしくも電源立地推進の立場を環境保全に優先するようなことがあってはならない。」としているのですね。それならば、なぜ、推進官庁を準備書、評価書の作成の前の段階関与させることで、電源立地の方を環境保全に優先し得る発電所アセス手続に変えたのかということは、やはり問題になるところです。  事前に御説明に来ていただいた方、アセス法より非常に厳しくしているのだというお話も伺いましたが、仮にそういう部分があるとするならば、これは基本法の環境影響評価法案の方で厳しいものを持ち込んで一層よいものにすればいいわけですね。そうすれば、発電所だけを別建てにするという意味は全くなくなるわけですよ。なぜこれを別建てにしてしまったのか。今のお話では非常に論拠が薄弱ですね、はっきり言って。簡潔に答えてください。
  121. 岡本巖

    岡本政府委員 私どもが準備書の段階で審査し、勧告を行う、あるいは方法書についても同様に審査、勧告を行うという、早い段階からの国の関与手続を御提案申し上げているわけでございますが、これは先ほど来申し上げております省議アセス手続段階からやってまいって、その結果、地元方々を含めて関係者の間で定着しております今のスキームを踏襲するという考え方のもとにお願いを申し上げている手続でございます。  それから、発電所固有手続という部分がほかの事業一般の手続と違う点については、発電所についてこれまでやってまいった一連の発電所アセスについての手続の中で行われてきている部分、これを基本的には踏襲するという中で、例えて申しますれば、スコーピングの段階で必ずいわゆる環境への影響調査、それから予測、評価の手法というのをこれまでも私ども必ず決めて出してくださいと。先ほど申しましたように、例えばフォーシーズンのデータをとるとか風洞実験をやるとか水理模型実験をやるとか、そういうことを現にやってまいっておりますので、それを後退させることなくしっかりしたアセスをやっていただくために、そういう加重的な部分というのをお願いしているところでございます。     〔中山(成)委員長代理退席、小此木委員     長代理着席〕
  122. 吉井英勝

    ○吉井委員 今いろいろおっしゃったのだけれども、要するに、それだけ自信をお持ちのものがあって、いいものがあると言うんだったら、それは環境影響評価法案にもっと盛り込んで生かせばいいことなんですよ。なぜこれだけ別建てにするかというところについて、やはり問題は、あなたのところは推進官庁でもあるんですよ。発電所問題については、発電所建設の推進官庁なんです。  その官庁が早い段階から関与するというのは、これはやはり、さっき言いましたように、自分で評価して自分で審査するのと同じものになっていくんですよ。自作自演ですよ。これはやはり仕組みそのものを、環境庁のアセス法案、この基本法でやれるわけですから。それでさらに、今までの二十年の経験を生かしたいとおっしゃるんだったら、それはこの法律案をつくる段階環境庁にもっと働きかけをされたらよかった話です。  さて、この報告の方は、「調査・予測・評価の実施」「制度化の方向」「評価の視点」という中で、「評価の手法として、個々の事業者により実行可能な範囲内で環境影響を最小化するものであるか否かを評価する視点を取り入れる」。実行可能な範囲とは、技術的可能性、費用対効果等を勘案して実行可能かどうかを評価して判断するというふうにしておりますが、そういう精神が法律に盛り込まれてきているわけですが、「実行可能な範囲で環境影響の最小化を図るものか否かの判断手法として、複数案の比較検討を通じて実行可能な最適な環境保全対策の検討を行う手法とする」というふうに一応しているわけです。  そこで、伺っておきたいんですが、実行可能な範囲内では最小化できない場合に、このとき事業計画を中止させるのか。それとも、事業推進官庁の立場から、あくまで推進の立場で準備書や評価書の作成に関与していくのか。いずれの立場をとるのかということが、先ほど来の議論をもう少し具体のものにする上でかかわってくるのですが、この点はどうですか。
  123. 岡本巖

    岡本政府委員 実行可能な範囲内で影響を最小化する措置を講ずるというのは、発電所のみならず、中環審答申で各事業共通に提言をいただいているところでございます。  その上で、先生ただいまの御質問の、最小化のための措置がとれない場合に中止をするかどうかということでございますが、アセスメント基本的な考え方は、まさに環境への影響を適正に調査、予測して、その上で影響があるという場合に、実行可能な範囲内でその影響を最小化するための措置を講ずるという、そういう作業に関して、地元住民関係市町村、都道府県あるいは国の関係の省庁含めまして、関係者の意見を集約しながら、アセスメント及びその対策の中身につきまして、より適正な内容のものにしていくという一連のプロセスでございます。  したがいまして、事業の中止そのものを最初から前提にするような、そういうプロセスじゃございませんで、計画されている事業についてどういう影響があるか。今の実行可能な影響を緩和する、あるいは小さくする手段の中で、ここまでの措置をとることによって、環境への影響というのをミニマイズできるじゃないかということについての関係者の合意を取りつけていくプロセスでございますので、事業の中止というのを、アセス意見集約の中でそういう結論に持っていくというのは、私は慎重に考えるべきではないかと思っております。
  124. 吉井英勝

    ○吉井委員 実は、アメリカのアセス法、これは、アメリカは国家環境政策法ですが、この中で、代替案を示すということでは一緒なんですが、その代替案の中には、事業計画の中止というのがあるんですね。実行可能な範囲内で最小化できない場合に、事業計画中止の代替案を提出させるとか、あるいはアセスの評価として通知するということが、本来アメリカなどの場合できるんですね。日本ではそれがない。事業計画中止の代替案がない。  それで、推進官庁がアセスの早い段階関与するということになるとアセス評価書で、環境影響の最小化はできなくても、推進の立場で評価書がつくられていく。その評価書に従うたものであることが認可の要件というのが、今度の法律の中で示されているところです。結局、事業者と推進者のいわば合作で、アセスメントの結果は発電所建設を妥当とするという、こういうふうにもなるわけですね。ほかに選択肢がないということになるのです。この辺は、アメリカなどの考え方と随分私は違うように思うんです。  だから、先ほど来言っているのは、推進官庁が加わると、こうなるんですね。許認可官庁だけであれば、事業者の方から出てくるものについては、それは事業計画中止も含めた代替案もあり得るんだから、それも含めて代替案を出しなさいということが言えるでしょうが、あなたのところは推進官庁なんだからそこができないというのが、やはり今の問題に結びついていくんじゃないですか。簡単でいいですから。
  125. 岡本巖

    岡本政府委員 実行可能な範囲内で影響を最小化するための措置を講じて、なおかつ関係者がその事業について前へ進めるということについての合意が得られない。特に、発電所の場合には電調審を必ず経なければいけないわけですが、そこに向けて、都道府県知事を初め、環境庁もそうでございますけれども関係者の合意が得られない場合には、事業計画そのものの中止ということを含めて対応するということになろうかと思いますので、そういう意味で、いかなる場合においても前へ進むということでは必ずしもございません。
  126. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、今度の電気事業法一部改正に言うアセスというのが、環境庁の最初御答弁いただいたようなアセス制度と似て非なるところがあるんですね、非なるものがある。それは、電気事業法だけなぜ別建てにしたかという問題と深くかかわるわけですね。推進官庁と許認可官庁の二つの性格を持っている、その推進官庁の側がかかわると、やはりこういう問題は出てくるんですよ。ですから私は、あくまでも発電所だけ別建てにしようとするこのやり方は改めるべきだということを申し上げて、もう少し次の問題を聞いていきたいと思います。  昨年八月の巻町の原発住民投票のときに、東北電力が買収まがいの投票工作を行ったことが問題になりました。これは私も調査にも行き、国会でも取り上げました。このとき、資源エネルギー庁の方もわざわざ巻町で連続的な講演会を開いて、いわば推進派の事実上の主力部隊の一角を担うということもされました。  投票結果はどうなったかといったら、反対がダブルスコアで圧倒的多数となりたわけですが、その直後に巻町の町長が資源エネルギー庁を訪ねてきたのはテレビ、新聞でも紹介されましたが、会おうともされなかったんですね。原発推進という国策に従わなかったら、住民や町長に会わないという姿勢をとっているわけですよ。  こうなると、さっき言いました「調査・予測・評価の実施」「住民関与」というところで、住民等が環境保全の見地からの意見を述べ、通産省がその意見及び事業者見解を踏まえて審査を行う過程を通じて、事業に係る意思決定に反映させるべき環境情報の形成に住民が参加するものとして位置づけるというふうに小委員会報告ではしてきたわけですが、実態としては、原発推進という国策から住民の側が外れてしまうと、通産省の方は、国策に従わない住民の参加や関与などは無視するということになってしまっているのが現実の姿なんじゃないですか。
  127. 岡本巖

    岡本政府委員 巻町の町長さんが住民投票の後に私どものところにお見えになるということで、事前に助役さんその他と打ち合わせをして、先方も、担当の課長に会うということで結構だというお約束のもとにお見えになったわけでございます。したがいまして、長官は当時、他用がありましたものですから外出をされていてああいう結果になった次第でございまして、私どもが特別の意図を持ってああいう接し方をしたということではございませんので、その点はよろしく御理解をお願い申し上げたいと思います。  それから私ども、巻町を含めまして、原子力についてその必要性あるいは安全性について御説明をし、いろんな御質問なり不安にお答えするということで、巻町でもやりましたが、それこそ二十数カ所で全国講演キャラバンをやるとかシンポジウムをやりますとか、あるいは一日資源エネルギー庁をやりますとか、総合エネルギー調査会の地方部会というような形で各地へ私ども出向いていって、原子力を含むエネルギー政策全般についての御説明というものをやっているわけでございまして、巻で行ったのも、あるいは新潟で行ったのもその一環でございます。
  128. 吉井英勝

    ○吉井委員 私はやはり、原発推進が国策だ、推進官庁だ、それは、長官が今いろいろおっしゃったけれども、しかし当時の報道で、また現地巻町の皆さんのお話を聞く範囲ではやはり違いますよ、違う理解を皆さんはしていますよ。それで、自分たちの国策に従わない住民は、いろいろ言ってきても関与しない、参加などについては無視だという、そういう姿に少なくとも現実には受けとめられているということをやはりきちっと考えてもらわなきゃいかぬと思うのです。  小委員会報告では、環境影響評価は、「発電所について、地元を含む関係者の合意形成を進める上での重要なステップ」だとしていても、住民投票の結果を無視するなら、もともと合意などということを無視しているということになるわけですね。だから巻町の例などについて、では、逆に伺いたいのですが、事業者側に住民投票の結果を尊重せよと、これははっきりそれを指導されるのかどうか、これを次に伺っておきたいと思います。
  129. 岡本巖

    岡本政府委員 先ほど来、先生、推進官庁とそれから規制官庁あるいは審査官庁が一緒になるという点についての御指摘を繰り返しなさっているわけでございますが、実は、環境影響評価法案対象としておりますほかの事業の多くにおきましても、主任の大臣というのはそれぞれの事業を推進するというお立場の大臣であって、そういう方々が、ステージは評価書の段階でございますけれども、審査をして意見を言うということになっておりますので、その点は多くのほかの事業と一緒でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから、環境影響評価の一連の手続の中で方法書あるいは環境レポート、法律上の準備書ですが、これを公告、縦覧に付し、それから説明会を開いて住民方々意見を聞くという手続でございますが、発電所は、これまでの実際の運用に当たりましても、事業者一つ発電所についてそれこそ百回を超える説明会の開催をして、住民から、その中には推進、反対両方ございますが、その立場からの環境関係する意見というのは私どもに間違いなくお出しいただいて、私どもそういう中で環境審査顧問の方々にもお見せをして、御意見を伺う際の一つの資料にするという形でやっていますので……(吉井委員「そういうことは聞いていませんので、巻町の投票結果に従うように指導するかどうかだけ聞いていますので、そこだけ答えてください」と呼ぶ)  住民投票あるいはその結果の扱いについて、これは地方自治の問題でございますので、私どもの立場でコメントをするということは控えさせていただきたいと思います。
  130. 吉井英勝

    ○吉井委員 これはアメリカの国家環境政策法とそれからカリフォルニアなんかの州の住民投票制度が結びついて、例えば六〇年代から七〇年代にかけてのカリフォルニアの例でいえば、サンフランシスコ湾にかかる自動車専用横断道路橋計画というのが、結局、住民投票の結果とこの国のアセス法と一体になって計画中止にいっているのですね。住民投票が巻町であった、それは地方自治の問題で知ったこつちゃないということで、推進官庁だから全然気にもとめないという、やはり私はその姿勢は問題だということを指摘しておきたいと思います。  それで、今もおっしゃったように、他の省庁でも同じように推進的性格を持ったところはあるじゃないかとおっしゃったわけです。まさにそういうところでも、しかしこれらは全部今度の環境影響評価法基本法でいくわけですよ。だから、通産省についても例外じゃなくてそれでいけるわけですよ。なぜいけるのに、とりわけ発電所問題だけ取り出して、皆さんのところはこれがあるわけですが、まさにそこの推進官庁なんだから、これだけ別建てにするのはやはり考え直さなきゃならぬということを私は改めて言っておきたいというふうに思います。  それで、だんだん時間が残り少なくなってまいりましたので、このアセスの問題にあわせて防災アセスについての議論も先ほどもありましたが、例えば東京電力の昨年の姉崎のLNG火力の爆発事故を見ても、あるいはかつての関電海南発電所で、ギアのところのシャフトカバーが、二トンの鉄製のものが二百メートルもすっ飛んでしまった爆発事故を見ても、環境アセスの項目としては防災アセスメントというものはやはり今後きちっと考えていかないと、発電所についてもこれは大事な問題だと思います。  それから中部電力新名古屋火力の場合には、これは電力側が七十ホンを超える予測評価結果を出しながら、うそのものを出したとか、そういうこともありました。本当はこの経過について確認しておきたいと思ったのですが、事前に、そういう事実があったということをもう認めていただいておりますから、私はそれは省略をしまして、最後に大臣にだけ聞いておきたいと思いますが、私がきょうずっと議論してまいりましたのは、発電所について、通産省電力会社と事実上一体の事業推進官庁という性格を持っているわけです。だから巻町の場合、住民投票に直接間接の関与もしたし、住民投票は通産省の施策に従わないとみなすと、自治体首長にも会わないという態度もとってきたわけですよ。一方、これまでのアセスの中には、今言いました中部電力のごまかしアセスの評価書を出した問題とかいろいろな問題もあるし、東電や関電の事故に見られるように、通産省が建設にゴーサインを出した発電所での爆発事故などもやっているわけです。  だから、発電所に関しては、推進官庁がアセスの早い段階関与をすることをやめて、環境庁の出してきている基本法で本来十分なんですし、それを厳格に実施していく、そしてこのアセス法が不十分だとおっしゃるのだったら、それ自体をもっと厳格なもの、いいものにしようという努力はよくわかる、努力をしていくということはわかるのですが、本来この基本法でやるべきで、発電所だけ別建てにするという別建ての扱いというのは撤回をするべきだと思うのですが、最後にこの点、大臣に聞いておきたいと思います。
  131. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 時間がないのですが、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、ずっと吉井委員の御意見を聞いていて、公益部長との話、かみ合わない。かみ合わないはずだと思ったのです。それは、事務方で非常に答えにくい質問だったと思うのであります。率直に言って、なぜこれを別建てにしたかというふうなことですが、それを余りせんじ詰めると、やはり環境庁がお出しになっている法律そのものの批判にもつながるということでもって遠慮したのだろう。その辺がおわかり願えなかったんだろうと思うのです。  要は、今言われたように、推進する方と監督する方と一緒でいいのかということですが、実は、これが電気事業法の一部改正ということですからきょう、エネ庁の方が出席しておりますが、実際的には、この環境問題ということでは通産省の中に環境立地局があることは御存じだろうと思いますが、そこが主にこうした環境問題全般について環境庁との話し合いをしたというふうに御理解いただきたいのです。  その段階において、環境庁の場合には、通産省だけではなく運輸省も農林省もすべてに関係してくるというので、ちょっと言葉がきつうございますが、ある程度みんなに共通するのでふわっとしているような向きがある。それでは、実際的に非常にこうした問題にシビアに立ち向かわなければいけない電源立地の場合には、役に立たないと言ったら大変失礼ですが、的確にやはりつかめるだろうかということで、もともと御存じのようにほかの方の環境アセスというものは閣議アセスがございました。その当時も私の方には省議アセスがあった。それをそのまま法律に盛った、こういうふうに実は御理解いただきたいのです。  それから、もう一点申しますと、巻町の話でございますが、私は実は理解は大きく違います。ということは、あれは御存じのように、今からもう二十数年前に町でも、それから県議会でも全部決定して、その段階でもって当然この省議アセスに従ってしたのだ。そして、電調審においてもこれが前向きな結論が出た。ですから、電力会社の方は漁業者に対しても漁業補償を行った。ところが、いかんせんあそこは、率直に言って今までの政争の、実は町長選をめぐる、これは我が党の古い歴史の中における恥部ですが、あったということからいって、一部の用地の取得が実は済んでいなかった。その問題からあのような事態発展した。でございますので、この問題自身が直接今の住民環境問題に関する反対から起きた問題とも言いがたい、かように認識をしているところを御理解いただきたいと思います。  以上でございます。
  132. 吉井英勝

    ○吉井委員 残念ながら、時間がありませんので、終わります。
  133. 小此木八郎

    ○小此木委員長代理 次に、横光克彦君。
  134. 横光克彦

    ○横光委員 横光克彦でございます。よろしくお願いいたします。  質問させていただきたいと思います。  私たちの国は、戦後五十年間、経済至上主義のもとに著しい高度経済成長をなし遂げたわけでございます。しかし、そういった経済発展とともに、環境も破壊されてきたこともこれまた事実であり、さらに環境のみならず、水俣病等に代表されるような数多くの公害も発生してきた。経済発展とともにこういった諸問題というのを、いわゆる影の部分といいますか、そういったものをどうしても引きずってしまうわけでございます。時代の変遷とともに環境の重要性が、これは産業界のみならず、国民の皆様方の間でも大変大きな問題となっているわけでございます。  開発と環境保全というのは、これは確かに両立するということは非常に難しいわけでございます。しかし、難しいことではありますが、何としても両立させていかなければならない、これもまた必要であろう、このように考えております。環境と開発を別々に考えるのではなく、一体的に取り組むことが、そういった必要性が今問われているのではなかろうかと思います。二十一世紀が間もなくやってまいりますが、これは人類と環境が共存していかなければならない、私はそういった世紀になるんじゃなかろうか、もっと大げさに言えば、人類やあるいは各種の生態系の存亡をかけた世紀にもなるんじゃないかという気がしてならないわけでございます。  そういった中で、OECD加盟諸国では、ほとんどの国が何らかの形で環境アセス法制化が行われ、またアジア諸国においても立法化が進んでいる状況でございます。我が国においても、ようやく今回環境影響評価法が上程され、法制化されようとしているわけで、これは大変大きな前進である、このように受けとめております。  その中でも電気事業法改正でございますが、従来の行政主導ベースによる発電所アセスメント、先ほど御説明ございましたが、昭和五十二年から平成八年までに百二十の実績がある、そういった従来のアセスメントもそれなりに有効に機能していたと私は考えております。それが今回の本法案により法手続が明確に定められること、これは大きく評価しなければならないと思っております。  しかしながら、今同僚議員から御質問がございましたように、この電事法改正という形態が果たして必要であったのか、あるいはまた環境影響評価法案発電所アセスの規定を盛り込むことも可能ではなかったのか、そういった疑問も若干残らないわけでもございません。  今回、立法の過程において、通産省とそしてまた環境庁の間で法制化形態の議論もあったわけでございますが、大事なことは、現在の環境対策水準、これをいかにして維持していくか、そしてさらにこれを向上させていくか、これが今私は求められていると思うのですね。今後、各省庁が協調して適正な法運用に取り組む必要性があろうと思います。  本法案は、別途環境委員会で付託、審議されております環境影響評価法を補完するものだと思うわけですが、今後とも政府部内が一致した、要するにこの不統一がないような取り組みが重要であるということは、これはもう言うまでもございません。アセスメント法制化において、政府部内で省庁間の調整、特に通産省環境庁との一致した取り組みが重要であると考えておるわけですが、その取り組みについての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。     〔小此木委員長代理退席、茂木委員長代理着席〕
  135. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 横光委員からお話がありましたように、開発と環境の共生、そうした時代になっている、だからこの二つの輪がうまく回って人類の未来があるんだというような御説、至極もっともですし、共感を得るところでございます。  今言われるように、こうしたことだから、ほかの省庁、特に環境庁との取り組み、この重要性を指摘されました。この環境アセスメントというものは、事業者があらかじめ環境への影響調査、予測、評価し、環境保全に努める制度として、今申したような環境調和経済社会、これをつくっていく上で極めて重要、こうしたことが当省だけではなく内閣全体の認識でございます。  そういうことで、若干誤解もありましたのは、通産省としては、環境保全上実効のあるアセスメントをいかにするかという観点からこの電気事業法改正をお願いしたわけでございますので、今後とも環境庁を初めとして各関係省庁と一体となって密接な協力関係を図りながら、今申した電気事業法改正及び環境影響評価法の円滑な施行に向けて努力してまいりたいと思うのです。  ちなみに、蛇足ではございますが、先ほども申したように、実はこの法律改正電気事業法ということで、エネルギー庁が主体となって御答弁申し上げていますが、実際的なこうしたほかの省庁との橋渡しというか、そうした関連においては、環境立地局、これがやはり中心になって、そして円滑な連絡を、密接な連絡をとりながらやっていく、かように御理解いただきたいと思います。
  136. 横光克彦

    ○横光委員 どうか今の御答弁のように政府部内が一致して取り組んでいただきたいと思っております。  次に、ちょっと細かいことをお尋ねいたしますが、本法案対象発電所のみとなっております。発電施設、例えば送電線等、これは今般のアセスメント法制化対象事業となっていないわけでございますが、この理由をちょっとお聞かせください。
  137. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  中央環境審議会答申におきまして、アセスメント対象事業につきましては、規模が大きくて環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業というふうに指摘をされているところでございます。  送電線につきましては、大気汚染でありますとか水質汚濁でありますとか、典型七公害がほとんど生じないという事情がございます。それから、土地の改変を伴う面積の面でも、今一番大きい五十万ボルトの送電鉄塔の場合におきましても、一基当たり〇・〇九ヘクタールということで、閣議アセス対象事業の多くの規模が今百ヘクタール以上ということになっているのですが、そういうものと比較しましても、土地の改変をする面積も非常に小さいという事情がございます。景観の問題というのが送電線の場合にあるわけですが、これにつきましても、送電線鉄塔と同規模の建造物と比較しますれば、送電線背景を遮る面積というのは建造物の七、八%ということで、大変小さいというようなこともございます。  以上、申しましたように、中環審答申対象事業を取捨選択する提言に照らしまして、送電線は非常に影響が小さいということから、除外した次第でございます。
  138. 横光克彦

    ○横光委員 今、そのようなお答えでございます。  確かに、一定規模以上の大きな発電所でないというお話でございますが、それでもそういった発電所が設置された場合、五十万ボルトあるいは百万ボルトの高圧線が、百メーターぐらいの高さの鉄塔が必要となってくる、そしてまた、それが一キロメートルごとに、かなりの長距離にわたって設置が必要になってくるわけですね。お話にございましたようにいわゆる典型七公害ではないかもしれませんが、それでも、うなりとかあるいは景観とか、それに最近ちょっと問題になっております電磁波の問題とか、そういったこともあるわけでございます。  送電線は、国の今回のアセス制度の対象ではない、また、地方独自の条例の対象となっているところもありますが、なっていないところもある。国も地方もアセス対象としないような場合は、果たして十分な環境配慮がなされるのかちょっと心配なんですが、それはいかがでしょうか。
  139. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  地方自治体で環境条例とか要綱を有しているところで送電線対象にしている自治体が、県、市町村合わせまして、私ども調査したところでは約四十に上ってございます。それから、送電線の敷設につきましても、電気事業者地元の御理解をいただく話し合いの経過等を通じまして、低光沢の鉄塔にするとか、そういう環境配慮を行っているところでございます。  それから、電磁波の問題につきましては、事業者もそれぞれ地元で説明をしているかと思いますが、私どもも、平成三年から二年強かけて、公益事業部の中で専門家にお集まりいただいて検討して、現時点で電磁波が人体に有意な影響を及ぼすものではないという一応の結論をいただいて、ただ、この点は、引き続き科学的知見の解明を待ちながら勉強していきたいというふうに考えております。
  140. 横光克彦

    ○横光委員 国の方の対象外とはいえ、非常に関連する部分でございますので、どうか環境配慮のために十分な取り組みをしていただきたい、このように思います。  次に、評価の審査に当たって、ちょっとお伺いしますが、学識経験者と公正な第三者機関による関与が求められており、中央環境審議会答申においても専門家のグループの柔軟な活用が必要だという指摘がなされております。現行のこの発電所環境アセスにおいては、環境分野の専門家や学識経験者が中心となった環境審査顧問会が審査に当たっておるわけですね。客観的な環境審査が行われてきていると聞いておりますが、この環境影響評価法が施行された後、この審査体制は変わるようなことはないのか、そこのところをちょっとお伺いしたいと思います。
  141. 岡本巖

    岡本政府委員 環境審査顧問会は、私ども発電所アセスの審査に当たりまして大変重要な役割を果たしていただいておりますので、私ども、従来の発電所アセスのスキームを踏襲するという基本方針の一環としまして、環境審査顧問会による審査という体制は今後とも維持してまいりたいというふうに考えております。
  142. 横光克彦

    ○横光委員 評価の審査に当たっては、今、大変重要だというお話でございます。技術的分析の審査が客観的に、おくれることのないように実施されることが求められておるわけで、今後とも適切な審査体制が形成されるよう取り組んでいただきたいと思います。  次に、発電所環境アセスについては、事業者が行う環境影響評価は、実際には調査を請け負う専門的なコンサルタント会社等によって実施されているわけでございます。電気事業者における調査を受注する会社は比較的限定されているわけですね。そして、調査結果もいろいろな場面でチェックされることから、調査の信頼性も非常に高いと言われております。今後とも引き続き、専門的な知識を有する人材の育成、そしてまた調査技術の向上が図られるとともに、信頼性の高い調査、予測の技術手法の開発などが求められていると思っております。  現在のアセス調査の実施の態様あるいは信頼性、調査方法において、なお一層改善すべきと思われる点があろうかと思いますが、もしそのようなことがありましたら御説明いただきたいと思います。
  143. 岡本巖

    岡本政府委員 事業者が、環境現況の調査をしましたり、それから、一定の施設を建設した場合における環境への影響の予測をするという点については、外部のコンサルタントに委託をして調査をやっているという場合が多うございます。私ども、そういう予測の際にも使えるということになりますでしょうし、それから、私どもがクロスチェックの審査をする際にも役に立つ、そういう考え方のもとに、大気とか水とかについての環境影響の予測、評価の手法の開発というのを大分前から予算措置も講じながらやってきているところでございまして、そういうことを通じて、さらなる改善にできる限りの努力をしてまいりたいと思います。
  144. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、未来を予測するわけで、非常に難しい仕事であろうかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。  これは電気事業に限らず、今回、環境評価表示法等が法制化されることによって、アセス調査、これがこれまで以上に非常に重要となり、私は業務量が非常にふえる可能性があると思うわけです。そういった意味で、専門的な知識を有する人材の確保あるいは育成、こういったもののためにも資格制度などを設けてはという意見もございますが、このことはどのようにお考えでしょうか。
  145. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 アセスメントの実施にかかわります人材の確保につきましては、中央環境審議会答申でもっとにその重要性を指摘しているところでございます。また、通産省におきましてもその重要性を十分認識しているところでございます。  このため、通産省の各種施策普及の活動の中で意を払っているところでございますが、産業界におきましても、環境アセスメント調査会社の業界団体でございます日本環境アセスメント協会で、海外研修会あるいは教育研修会などの研修活動を活発に行っているところでございます。また、この環境アセスメント分野は、今後の環境産業の一分野として非常に大きく育つことを期待しているところでございます。このため、当面、各般の施策普及活動あるいは業界団体の活動を通じまして、市場経済活動の中でよりよい人材が育成されることを期待しておるところでございます。  いずれにいたしましても、長期的な産業分野のあり方の議論として、先生の御指摘も踏まえながら長期に研究してまいりたいと考えております。
  146. 横光克彦

    ○横光委員 次に、先ほどから質問が出ました、アセス調査には非常に高額の費用がかかる。二十億から六十億ぐらいかかることもある。これは四季を通じて調査したり、大変な人件費が中心であろうかと思いますが、しかしまた、調査の合理化ですね、ダブったりむだなことがあるのではないか、あるいはこの調査の結果を収集したり整理したり評価を行うことに機械とかコンピューターを導入したり、もっともっと合理化を図っていく必要があろうかと思っております。  さらに近年では、従来の公害抑制型を中心とした環境対策から、生物の多様性の維持や、あるいは先ほどからお話に出ております景観配慮、こういった総合的な環境影響評価手法の重要性が指摘されてきているわけでございます。環境対応がアメニティーまで求められているわけでございます。  いわゆる典型七公害については、排出抑制基準やあるいは測定手法など、客観的評価技術がほぼ完成していると思っております。しかし、景観維持や生物の多様性の確保等については、一体的な評価も必要とされるとともに、これは個人の価値観にも差異があるわけで、必ずしも明確な指標がないとされておるわけでございますが、生物の多様性の確保あるいは景観の保全等、評価が困難なものについての指針の整備あるいは評価手法の開発等が必要ではなかろうかと思うのですが、そのための取り組みはいかがでしょうか。     〔茂木委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 江崎格

    江崎政府委員 発電所アセスメントの費用の問題につきましてお答えいたします。  発電所環境アセスメントでございますけれども、今委員指摘のように、かなり費用がかかっておりまして、これは、どういった燃料を使うかとか……(横光委員「いや、費用じゃない、指標」と呼ぶ)先に費用のことをおっしゃいました。ちょっとそのことを少し。  それから、どういうところに立地するかというようなことで、場所の問題とか事業の特性によりまして額が違っておりまして、今までの経験ですと、大体二十億円、多い場合には六十億円ぐらいという非常に膨大な費用がかかります。  何にこれはかかるかといいますと、やはり主として環境の現況調査にお金がかかりまして、四季を通じてそこに観測機器を設置してそこに人員を配置するというようなこととか、大体費用の半分くらいがそういったことにかかるというふうに聞いております。  これは合理化によりましてなるべく低減しようということでございますが、今般のアセスメント制度におきましてスコーピング手続というのが導入されることになっておりまして、これによりまして、環境特性を踏まえてその地域で何が環境の要素として大事かということをあらかじめ明らかにしまして、それによって調査項目の重点化を図資こうしたことを通じましてコストの低減を図ることを私どもも期待しておるところでございます。
  148. 横光克彦

    ○横光委員 最後に、大臣にもう一言お尋ねいたしたいと思います。  現在のように際限のない電力需要増加、これに対応して発電所立地供給力の確保、これはもちろん必要でございます。しかし、確保のみならず、その前に、先般法案が成立しました新エネルギーの推進あるいは省エネ、さらにライフスタイルの転換等の取り組み、いわゆる国民の意識改革も私は必要であろうと考えております。このことが環境配慮の観点から重要であると思うわけでございますが、こういった問題に関しましての大臣見解をお聞かせください。
  149. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 委員指摘のとおり、近年深刻化する地球環境問題への適切な対応ということは、エネルギーセキュリティーの確保とともに、エネルギー政策の転換を図る上で大変大きな課題、こんな認識を持っております。  そこで、今おっしゃるように、省エネというもの、これについては、今月一日の総合エネルギー対策推進閣僚会議、ここにおいて、政府を挙げて総合省エネルギー対策を策定したところでございますし、今後は、本対策の策定を契機として、ライフスタイルの転換を含め、省エネルギーに対する自発的な努力、こういうものを消費者、生活者の皆様方に働きかけていくという方針でございます。  そして、新エネルギーに関しましては、技術開発、導入支援、そして規制緩和等を強力に推進していくということと、また先般、こうした政府の取り組み方を明確化するために、基本方針等を盛り込みました新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法、これをおつくりいただいたわけでございますが、これからはその着実な施行に努力してまいりたい、かように考えております。  今後とも、新エネルギー、省エネルギーの推進に向けてあらゆる対策の強化、これに努めていく所存でございます。
  150. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  151. 武部勤

    武部委員長 次に、岸田文雄君。
  152. 岸田文雄

    ○岸田委員 自由民主党の岸田文雄でございます。  佐藤大臣も大変お疲れでございましょうが、最後の一人でございます、もうしばらくおつき合いいただきたいと存じます。  きょうは環境庁に来ていただいておると思いますが、済みません、環境庁にまず最初にまとめてお伺いさせていただきたいと存じます。よろしくお願いします。  今回、この環境アセス法という法律我が国はOECD加盟国二十九カ国の中で唯一アセス法というものを持たない国だということが指摘される中で、前回この環境アセス法案国会に提出されたのが十六年前ということでありまして、それから幾多の挫折を経て今国会環境アセス法が提出され、審議されているわけであります。環境アセス法の成立は、環境庁にとりましていわば悲願であるというようなことも言われてきたわけであります。  こうした経緯を振り返りまして、まず、法制化されることの意義ということ、環境庁はどのようにお考えになっておられるか、お聞かせいただけますか。
  153. 高部正男

    ○高部説明員 お答え申し上げます。  環境アセスメントは、我が国におきましては、旧法案が廃案になって以降十余年にわたりまして、閣議決定等に基づく行政指導によりますアセスメントの着実な実績の積み重ねによりまして、環境配慮を確保する有効な手法として定着してきていると思っております。  環境アセスメントの制度の形式につきましては、これまで行政指導で行われてきたわけでありますけれども中央環境審議会答申で示されましたように、一つは、立場の異なります広範な主体がかかわり、それぞれの役割あるいは行動のルールを定める制度でもありますので、このような制度は法律によって定めることが基本であるという点が一点でございます。また、行政手続法制定等によりまして行政指導の限界が明らかになったこと、このような理由から、法律によりますアセスメント制度を設けることが必要と考えているところでございます。  環境基本法を受けまして、我が国環境政策の積年の課題でありますアセスメント法制化を図りますことは、環境問題がますます重要となるであろう二十一世紀に向けまして、我が国環境政策の基盤を確立するとともに、環境保全に積極的に取り組む姿勢を内外に示す上でも重要な意義がある、かように考えておるところであります。
  154. 岸田文雄

    ○岸田委員 次に、これは後で通産省にもお伺いして、ちょっと考えを整理する上でお伺いするのですが、環境アセス法という手続法によって一体何を評価するのかということをお尋ねしたいと思います。いわば環境影響のみなのか、ほかに判断、評価する要素があるのかどうか、この点につきましてどうでしょうか。
  155. 高部正男

    ○高部説明員 環境影響評価法案は、事業にかかわります環境保全について適正な配慮がなされることを確保するために、手続でございますとか、アセスの結果が事業の内容に関する決定に反映されるといった措置を規定するものでございます。  そういう意味で、この制度におきましては、結果を事業の内容に反映させる面におきましては、事業必要性でございますとか公益性といった環境以外の観点とあわせて判断されることになるという場合もございますけれども、この環境影響評価手続の中で評価書が完成して公表されるまでの手順、この中におきましては環境保全観点といったものに絞って取り扱う、かようになっております。
  156. 岸田文雄

    ○岸田委員 ありがとうございました。手続の中では環境保全のみというお答えだったかと存じます。  次に、環境庁にお伺いしますのは、昭和五十九年から閣議アセスというものが行われてまいりました。この対象事業種でありますが、十一種ということになっていたわけであります。今回法制化されるに当たりまして、これに発電所が加わったわけであります。なおかつ、これは政令によりまして大規模林道ですとか在来線鉄道、こういったものが加わることになるだろうと言われておるわけであります。しかし逆に、今回、ゴルフ場とかスキー場、これは対象業種から外れたわけであります。この対象業種の選定基準、選別の考え方、これについてお聞かせいただけますか。
  157. 高部正男

    ○高部説明員 環境影響評価法案対象事業種でございますが、お話ございましたように、法律レベルで発電所を加えておりますほか、政令で定める際に、具体的な対象事業種として、閣議アセス対象としていなかったものといたしまして、大規模林道、在来線鉄道を加えることを想定しているところでございます。  対象事業につきましては、中環審の答申におきまして、一つは、規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれがあり、かつ、国が実施し、または許認可等を行う事業対象とすることが適当という点が一点ございます。具体的にどの事業種を対象とするかにつきましては、現在の閣議決定要綱によりまして環境影響評価が行われるものに加えまして、対象を拡大することが適当だ、このような考え方が示されたわけでございまして、これを踏まえ、また事業の態様でありますとか閣議アセス等の実績等を踏まえまして、関係省庁とも調整の上、判断したものでございます。  なお、ゴルフ場、スキー場のお話がございましたけれども、今申し上げたような考え方対象を選んでおりまして、ゴルフ場、スキー場につきましては、事業そのものをとらえる許認可法がないこと、それからもう一つは、環境影響評価制度を有します地方公共団体の制度におきまして、既に大部分の制度におきまして対象事業として扱われている、地域環境保全を図る立場から適切な配慮がなされているというふうな実態もございますので、対象事業とする必要はない、かように考えた次第であります。
  158. 岸田文雄

    ○岸田委員 そして、対象事業種であります発電所につきまして、今回いわば特例扱いというものが行われようとしておるわけであります。この発電所アセスの特例扱いということでお伺いするのですが、これは先ほどたしか達増委員質問の中で通産省へ同じ質問があったのですが、要は発電所アセスを特例扱いすることによって、環境庁の意見の反映とか判断それから影響力が弱まるということをおっしゃる方もおられるわけであります。先ほどは通産省への質問でありましたが、環境庁はこの点につきましてどのように感じておられますでしょうか。
  159. 高部正男

    ○高部説明員 環境影響評価法案におきましては、環境庁長官の主要な役割といたしまして、まず一つは、評価書について主務大臣等に環境保全の見地から意見を述べること、それから二点目といたしまして、第二種事業の判定の基準でありますとか環境影響評価の項目等の選定の指針につきまして基本的事項を定めること、それから、これらの基準や指針について、その策定に当たりまして主務大臣から協議を受けることといったようなものが規定されているところでございます。  このうち、環境庁長官意見につきましては、発電所にかかわります特例で通商産業大臣が準備書について勧告を行うことができるといった仕組みとされたことに伴いまして、環境庁長官も準備書について意見を述べることとしておるところでございまして、環境庁長官意見の意義自体に変更をもたらすものではないというふうに考えております。また、判定の基準でございますとか環境影響評価の指針につきましては、発電所につきましても本則の適用があるところでございまして、特例は定められていないところでございます。  このように、電気事業法の一部改正によりまして環境庁あるいは環境庁長官関与が弱まるといったことはないものと承知しております。
  160. 岸田文雄

    ○岸田委員 続いて、発電所アセスを特例扱いするということについてお伺いするのですが、中央環境審議会答申の中に、法制化に当たって盛り込むべき内容を十項目挙げられておるわけであります。この十項目に関しまして、今回発電所アセスが特例扱いされたわけですが、そのことによってこの十項目の内容が損なわれることはないとお考えでしょうか。十分に十項目盛り込まれる結果になっていると環境庁はお考えでしょうか。
  161. 高部正男

    ○高部説明員 お答え申し上げます。  発電所の扱いにつきましては、先ほど申し上げましたかと思いますが、基本的な環境影響評価の共通的な手続の部分につきましては環境影響評価法が適用されます。発電所につきましては、これまでの制度の実績でございますとか、発電所事業は民間事業でありながら国の電力供給といった国の施策との関係が強いといったような観点からの事業の特殊性、こういったものからその特例を電気事業法に定めるという形にしてございます。そういう意味で、共通的な部分につきまして環境影響評価法案が適用されることになります。  環境影響評価法案は、中央環境審議会答申いただきました基本原則を盛り込んだ形で案をつくらせていただいておりますので、発電所につきましても中央環境審議会で示されました考え方原則といったものが漏れるといったようなことはないもの、かように考えております。
  162. 岸田文雄

    ○岸田委員 一応、答申の十項目は十分盛り込まれているというお答えだったと存じます。  それで、もう一つ環境庁にお伺いしたいと思っておりましたのは、法制化された場合、自治体アセスとの関係についてでありますが、これにつきましては、午前中、吉田委員質問等にもございましたので、そのお答えはいただいておりますので質問は省かせていただこうと存じます。  しかし、都道府県それから政令指定都市五十九団体中、五十一団体まで独自のアセスを持っている状況にあるわけであります。重複とか過重な負担にならぬよう、わかりやすい運用、法適用を心がけていただきますようひとつお願い申し上げ、指摘申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。  以上、環境庁にお伺いさせていただきました。  それでは、今度は通産省の方にお伺いさせていただきたいと存じます。  まず、これは各委員質問の中で、随所でそれに触れられた部分があったかとは思いますが、まず通産大臣に、発電所アセス法制化されることの意義につきまして、改めて御所見をお聞かせいただけますでしょうか。
  163. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 岸田委員お答えいたします。  今般の発電所アセスメント法制化は、過去二十年間にわたって発電所立地に際しての環境保全を確保してきた現行の省議アセス手続基本として、発電所アセスメント手続法制化する、こういうものでございまして、今後とも発電所立地に際しては十分な環境保全が図られるもの、このように実は認識しております。
  164. 岸田文雄

    ○岸田委員 この発電所アセス法制化ということでありますが、法制化によりまして訴訟が多発するのではないか、これによって電源立地影響が出るのではないか、こういった心配の声が従来法制化が進まなかった一つの要因だと言われてまいりました。この点につきましてはどのようにお考えでございましょうか。
  165. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  今般の発電所アセス法制化に伴いまして、訴訟上の新たな争点が生ずるという点は事実でございます。  ただ、法制化に当たりまして、公告、縦覧、住民等の意見の聴取、それから方法書及び準備書の審査等の各手続に要する期間や方法を法律の上ではっきり明定することにいたしました。それから二つ目に、過去二十年間の省議アセス実績から、アセスメントの制度自体が、発電所について、事業者とか住民関係者の間で定着してきているという事情がございます。さらに三つ目に、調査、予測、評価技術等の科学的な知見が集積されて、予測、評価に伴う科学的な不確実性というのが小さくなってきているという事情もあろうかと思います。以上のような事情から、訴訟は考えられますけれども、実際に争点となる要素が少なくなってきているのもまた事実かと思われます。  私どもとしては、御提案申し上げております法案に基づくアセスメント手続を厳格にかつ誠実に運用することによって、訴訟が提起されるような事態を生じないように極力努めていく考えでございます。
  166. 岸田文雄

    ○岸田委員 先ほど環境庁にお伺いしたことですが、要は環境アセス法という手続法で何を判断、評価するかという質問ですが、あのとき環境庁は、環境アセス法という手続法、この手続の中では、環境保全、これのみを判断、評価するというお答えだったかと存じます。  そこで、通産省にお伺いするのですが、今回発電所アセスを特例扱いすることの意味なんですが、要は環境への影響以外の要素がこの手続による評価に入る余地があり得るかということも含めて、この発電所アセスの特例扱いを行う意味、お聞かせいただけますでしょうか。
  167. 江崎格

    江崎政府委員 まず最初に、特例措置を設ける理由といいますか、背景でございますが、一つは、これまで二十年間、電源立地円滑化を図るというために、環境保全に万全を期するという観点から省議に基づくアセス制度をやってきたわけでございます。これは御承知のように、早い段階から国がいろいろな形で関与をするという形でやってまいりましたけれども、この制度によりまして、環境保全ということにかなり大きな成果を上げたというふうに私ども思っておりますし、また、この制度が我が国の間にかなり定着をしているというふうに考えております。そのことが一つ。  それからもう一つ電力の開発事業、これは個々の事業者発電所の建設という開発行為が、地域全体といいますか、あるいは国全体のエネルギーの需給に非常に大きな影響を与えるということで、国の施策と非常に強いかかわりを持つという特殊性があるということがございます。  今までの実績とそれから発電所の建設という事業の特殊性、この二つを考えまして、環境影響法における一般的な手続とは異なるといいますか、あるいはそれに上乗せする固有手続を設けることが適当だというふうに考えたわけでございます。  今度電気事業法という中で、特殊といいますか、上乗せの部分を規定したわけでございますけれども、これは発電所のような電気工作物につきましては、これまでも電気事業法に基づきまして公害防止といったような観点から所要の規制をしてまいったわけでございますけれども、電気工作物の工事、それから維持運営に係る規制につきましては、電気事業法において一体的に運用を行っております。  こういうことを考えますと、今回アセスメントにかかわる固有手続につきましても、これは法律上といいますか、法制上の判断としまして、一般的な部分は環境影響法案によって規定しまして、それから固有の部分はこの電気事業法に規定をして、工事、維持運営などに係る規制と一体的に運用するというのが適当だというふうに判断したわけでございます。  それから、今回の改正の部分について、環境保全以外の部分が判断として入る余地があるかどうかという点ですが、今回の改正部分に関して申し上げれば、これは環境保全だけが判断要素でございます。
  168. 岸田文雄

    ○岸田委員 ありがとうございました。  次に、発電所アセスの時間と費用という点、これは再三いろいろな委員から御指摘がありました。ほとんど費用の部分でありましたが、ここでちょっと改めてお伺いするのですが、費用の負担が大きいという点、これはたびたび指摘があり、数字等も出ておりましたが、私は考えるのですが、発電所アセスというものは、時間におきましてもかなり大きな負担があるのではないかなというふうに思います。発電所アセスの時間と費用の負担ということにつきまして、具体的な例を幾つか挙げていただけますでしょうか。
  169. 岡本巖

    岡本政府委員 アセスメントに要するまず時間の方から申し上げますと、最低でも一年はかかっております。これは環境の現況を調査するにつきまして、四季、フォーシーズンの現況データをとることということで指導してまいっておりますので、一年を最低にして、場合によっては二年、三年かかるというケースもございます。  それから費用の点でございますが、LNG火力という比較的環境への影響項目が少ないもの、負荷の少ないものの場合でも二十億ぐらい、それから石炭火力に至れば五十億から六十億ぐらいのアセスメントの費用が現にかかっている実態にございます。
  170. 岸田文雄

    ○岸田委員 時間にしても一年から、多いときで二年、三年、それから費用におきまして二十億から六十億、そういったお話があったわけでありますが、この発電所アセスの時間と費用の負担というのは電力料金のアップの一因になっているという指摘もあるわけであります。  今回法制化することによりまして、このアセス制度の中にスクリーニング制度あるいはスコーピング制度、こういった制度が取り入れられまして、こういったものが目玉だというようなことが言われておるわけであります。こういった制度、見方によりましては極めて柔軟な制度であるわけでありますが、こういった柔軟な部分は、運用次第でさらに事業費の負担増になる可能性を含んでいるということは言えると思うわけであります。  先ほど横光委員質問の中にもございましたけれども環境優先かあるいはエネルギーの安定供給が優先かというこの二つの事柄、これは決して対立するものではないというように私も思うわけであります。これは両立、調和させることが肝要だと私も感じるわけであります。  こういった考え方から、今回の新しい発電所アセス、この法制化に当たりまして、合理的なアセス制度の構築それから運用、こういったものを心がけていく必要があるのではないか、そういった運用を心がけていかなければこの両立は難しくなってくるのではないか、こんなことを考えますが、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  171. 岡本巖

    岡本政府委員 先生の御懸念は全くごもっともだと思います。  ただ、発電所につきましては、言及のございましたスコーピングとかスクリーニングというのは実はこれまでも現にやってまいっております。したがって、それを法制化するということに伴って直ちに事業者に負担増をもたらすということはないというふうに私ども考えております。  それから、今回、環境影響評価法案電気事業法改正法案それぞれにおきまして、特に環境影響評価法案の方でございますが、各手続について一定の期間を定めて公告、縦覧をする、そこから一定の期間内に意見を出していただくというふうにルールを明確に定めるというような配慮も実は加えられているところでございまして、こういった環境影響評価法案及び改正電気事業法の運用を的確にやることによって、先生指摘のような御懸念が極力小さくとどまるように、私どもも十分に意を用いて運用に当たりたいと考えております。
  172. 岸田文雄

    ○岸田委員 そのあたりの問題は、先ほど吉田委員達増委員の御質問の中にもありましたIPP、卸供給事業者の育成の問題にもかかわってくるかと私も感じております。  市場原理の導入ですとか、電力料金の引き下げ等の期待のもとにこのIPPの育成を言われておるわけでありますが、とはいっても、IPPだから別扱いということにはいかないのでありましょう。  しかし、事実、アセスの負担減を期待いたしまして、十五万キロワットという限度ぎりぎりのものが多く見られるということがあるわけでありまして、第二種事業のスクリーニングに当たっては、IPPの見地からも、少なくともより明確な判定基準、こういったものを示す必要はあるのではないかと考えております。この辺も午前中の質疑の中にお答えもありましたので、御答弁は結構でございますが、指摘をさせていただきたいと存じます。  それから、昭和五十二年以来、省議アセスという形でこの発電所アセスが行われてきたわけでありますが、この実績につきまして、通産省は世界最高水準ということを強調されておられます。具体的な論拠について挙げていただけますか。
  173. 岡本巖

    岡本政府委員 日本発電所環境対策ですが、まず、環境対策を伴って環境への影響を小さくするという点では、一つの手法としてNOx、それからSOxの排出量が、先進六カ国平均と比べましてそれぞれ八分の一、二十四分の一ということで、断然低いものにとどまっております。  それから、アセスメントをやるにつきましての調査、予測の項目でありますとかやり方でありますとか、そういう点においても格段に日本は進んだやり方をやっておりまして、例えて申しますと、諸外国では行われておりません。般排水、土壌汚染、振動等の調査を、日本の場合には幅広くやってもらっております。  それから、予測、評価の方法という点におきましても、諸外国ではこれまた行われていませんが、日本の場合には、風洞実験、水理模型実験というような精緻な予測、評価手法を採用しているところでございまして、対策の面におきましても、最新鋭の脱硫、脱硝、集じん装置を設置するというようなことを初めとして、日本発電所は格段に進んだ環境対策をこれまで講じてきているところでございます。
  174. 岸田文雄

    ○岸田委員 今論拠としまして、SOx、NOx、こういったものも挙げていただきました。  そこでお伺いするのですが、発電所について、二酸化炭素、CO2の排出というのは諸外国と比較してどのようになっているのか、把握されておられるのでしょうか。そもそもCO2排出はアセス対象になっているのかをまずお伺いしたいと存じます。  九二年の地球環境サミット、気候変動枠組み条約署名に当たりまして、我が国は一人当たりのCO2排出量も、またCO2総量に当たっても二〇〇〇年以降、一九九〇年レベルでいくのだという公約をしておるわけであります。ただ、この目標達成は極めて難しいのではないかと危惧する声もあるわけであります。  この目標を達成するに当たって、もちろん省エネということでこの目標達成に努力しなければいけないと思うわけでありますが、省エネでこの目標達成に近づくと同時に、例えば発電所立地段階でCO2の排出抑制を考える必要というのはないのでしょうか。そして、考える余地はないのでしょうか。この点につきまして、どうでしょうか。
  175. 江崎格

    江崎政府委員 炭酸ガスの問題でございますが、今回は、制度の見直しに関連しまして、炭酸ガスの排出もアセスメント対象にする方向で今検討しているところでございます。  今の日本発電所実績でございますけれども、単位発電量当たりの炭酸ガスの排出量は、先進国の平均に比べますと、大体七割ぐらいということで、日本の方が低くなっております。その理由は、日本の場合には石炭火力の比率が、諸外国は大体半分ぐらいのウエートを持っておりますが、日本はまだ十数%ということで、石炭火力のウエートが低いということと、それから発電の方式がかなり効率のいい、例えばボイラーですと非常に高温高圧のものを使っているとか、それからLNGですとコンパインドサイクル方式をこのごろ導入しているというようなことでございまして、効率のいい発電方式を使っているというようなことから、炭酸ガスの排出も低くなっております。  今後、炭酸ガスの排出をアセスメントの評価項目に入れた場合に、これをどうやって評価するかということなんですが、炭酸ガスの問題ですから、直ちにそれによって環境への影響はこうこうこういうふうに悪くなるというのはわかりにくいわけでして、むしろこれは排出量の抑制がどのぐらい行えるかということで評価するということになろうかと思います。つまり、二酸化炭素の排出を実行可能な範囲で低減化するということで、発電効率の高い方式の採用を検討しまして、よりよい技術が採用されているか否かということを検討しまして、それで二酸化炭素の排出に関する環境保全対策を評価するということが可能かと思っております。
  176. 岸田文雄

    ○岸田委員 ありがとうございました。  アセス対象に検討されておられるということでありますから、ぜひ前向きに御努力いただきますようお願いいたします。  そして、今CO2の排出抑制の話が出ましたので一つお伺いするのですが、CO2の排出抑制の観点からも、新エネルギーの導入の必要は言われるところであります。しかし、主に費用、負担の問題から新エネルギーの導入はなかなか進まないというのが現状であります。  こうした状況におきまして、今注目されておりますのがグリーン料金制度という制度であります。新エネルギーの開発、設置コストを補てんするために、希望する需要家が自発的に割り増し料金を払う制度ということで、一部の主体的な意思によって支えられる住民参加型であるということで、環境保全意識をくすぐるというようなふれ込みで今注目を集めているということを聞きます。事実、アメリカ、オランダ、ドイツ、オーストリアあるいはニュージーランド、こういった国々の一部で導入が検討されている、そして、導入もされているというようなことも聞くわけであります。我が国におきますこのグリーン料金制度の可能性、どのように通産省はお考えでしょうか。
  177. 江崎格

    江崎政府委員 今委員の御指摘になりましたグリーン料金制でございますが、これは、新エネルギーの導入に賛同する需要家から自発的に割り増しの費用を特別料金として納めていただくという制度でございまして、御指摘のように、幾つかの国で、ドイツとかアメリカでございますが、導入が行われております。  一方、我が国の料金制度でございますけれども、これは御案内のように原価主義に基づいておりまして、つまり、特定の者に対して不当な差別的な取り扱いをしないという、公平な負担という考え方原則にしておりまして、そういうことからいいますと、特定の需要家から特定の割り増し料金を取るというのは、私どもとしては慎重に考えるべきではないかなというふうに思っております。  今新エネルギーの導入促進、これはどういうことで財源を手当てしているかといいますと、電気の消費者に電源開発促進税というものを広く負担をお願いしておりまして、これによりまして必要な財源を確保しておりまして、例えば、太陽光発電ですとかその他の新エネルギーの導入に努力をしているという状況でございまして、今後ともそういう方向で努力をしたいというふうに思っております。
  178. 岸田文雄

    ○岸田委員 ぜひ、また新エネルギー導入に御努力を続けていただきたいと存じます。  そして、同じくCO2の排出問題としましてお伺いするんですが、ことし十二月、第三回気候変動枠組み条約締約国会議、COP3というのでしょうか、我が国で開催される予定になっておるわけであります。COP3につきましては、政策と構造、あるいは数量化された目的を含む二〇〇〇年以降のCO2の排出抑制のあり方について結論を出すということになっておるわけであります。要は、二〇〇〇年以降の国際的な対策の枠組みを決定しようとしておると聞いております。  この大切なCOP3、我が国は議長国として取りまとめに努力しなければいけないわけであります。通産省は、環境庁あるいは外務省等とともに大きな役割を、この会議成功のために努力をしなければいけない役割を担っている、そのように思うわけでありますが、このCOP3にどのように臨むおつもりか。これは、できましたら大臣にお伺いさせていただけますでしょうか。
  179. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今岸田委員お尋ねの件、これは今大変大きな問題だと思うんです。率直に申し上げて、ことしの十二月に京都でもってCOP3をやること、そして議長国が日本であること、これは決まっております。そこに関係する省庁というのは、環境庁を初めとして、当省もございますが、外務省もある、科学技術庁もある、運輸省等、ほかに農林ですかな、六省庁実は関係しているわけでございまして、現在、それの各事務方でもって、どういうことをしようかというふうに、打ち合わせというか検討中というのが率直な事実でございます。  同時にやはり、今環境問題というのは世界じゅうの大関心事でございまして、ことし行われるデンバーのサミットにおいても、それは総理が御出席でございますが、その前に私も出席いたします四極通商会議にしろOECDにしろ、その議題というか、問題はこの環境問題。そして、この十二月に対する各国の対応、こういうものが国際的にそれぞれやはり綱を引き合っているというのが現状でございますので、そうした推移を見きわめながら、そして早く日本としての方向性、これはもちろん議長ですから、余り議長が先走って意見をというのもいかがなものかと思いますが、国としては、やはり方策を立てなければいかぬ。  その前に、今申したように、六省庁の中からどこが実は議長になるのかというのもまだ決まってないというのが現状でございますので、そういうことで、いずれにいたしましても、COP3が成功するというためには、やはり関係省庁が協力していくということが大事だ、かような実は認識を持っております。
  180. 岸田文雄

    ○岸田委員 いずれにしましても、今回の法案審議を通じ、また今後の政策を通じまして、ぜひ、環境とそしてエネルギーの安定供給、この調和に向けて、しっかりとした政策を推し進めていただきますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと存じます。  ありがとうございました。
  181. 武部勤

    武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十五分散会