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1997-03-13 第140回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成
九年三月十三日(木曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
松本
龍君
理事田野瀬良太郎
君
理事
西田 司君
理事
根本
匠君
理事
蓮実 進君
理事
坂本 剛二君
理事
玄葉光一郎
君
理事
中島
武敏
君 佐藤 勉君 下村 博文君 滝 実君 棚橋 泰文君 西川 公也君
村田敬次郎
君 茂木 敏充君 渡辺 喜美君 池坊 保子君
旭道山和泰
君
武山百合子
君 中川 正春君 山中 燁子君 近藤 昭一君 前島 秀行君
出席政府委員
国土庁大都市圏
整備局長
兼
国会等移転審
議会事務局次長
五十嵐健之
君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
東京大学地震
研究所教授
)
溝上
恵君
国会等
の
移転
に 関する
特別委員
会調査室長
白兼 保彦君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
国会等
の
移転
に関する件 ────◇─────
松本委員長(松本龍)
1
○
松本委員長
これより
会議
を開きます。
国会等
の
移転
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
参考人出頭要求
に関する件についてお諮りいたします。
本件調査
のため、本日、
参考人
として
東京大学地震研究所教授溝上恵
さんの
出席
を求め、
意見
を聴取したいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長(松本龍)
2
○
松本委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決まりました。 ─────────────
松本委員長(松本龍)
3
○
松本委員長
この際、
参考人
に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用のところ本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御
意見
を賜りますように
お願い
を申し上げます。 なお、議事の順序ですが、まず
溝上参考人
から三十分
程度
御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
に対してお答えをいただきたいと存じます。 御
発言
は
着席
のままで
お願い
いたします。 どうぞ、それでは
溝上参考人
、
お願い
いたします。
溝上参考人(溝上恵)
4
○
溝上参考人
溝上
でございます。どうぞよろしく
お願い
いたします。
日本
は
世界有数
の
地震大国
と言われております。
世界
全体の一〇%を超える
地震エネルギー
が
日本
の狭い
周辺
で解放されておりますけれども、私
たち
が
地震
のことについて語るときに、その
原因
となります問題に触れるときに、三つに区分けして考えることが大体
共通
になっております。 まず第一には、グローバルな
スケール
で考えるということです。その次には、リージョナルといいましょうか、
日本列島周辺
の問題について考える。それからその次は、
ローカル
。
ローカル
と申しますのは、
南関東
とかあるいは
神戸
の付近とかあるいは
東海
とか、そういう
スケール
の話になります。 第一にグローバルな問題ということについてでございますけれども、
地震
のそもそもの
原因
は
地球
の
内部
に潜んでおりまして、
地球
は誕生以来だんだん冷えてきているわけでございますけれども、
地球
の
内部
には非常に大きな
規模
の
対流
があります。そして
地球
の
中心部
から熱い物質がわき出てきて、そしてやがてまた
対流
を起こしながら沈み込んでいく、そういう大きな
メカニズム
がございます。その上に大陸が乗っており、
日本列島
が乗っているということになります。その結果、
地球
の
表面
はじっとしていることができない、常に移動しているわけでして、
地球
の
表面
は大体十数個の大きな巨大な
岩盤
、
プレート
というもので覆われております。その
プレート
と
プレート
の
境界
というのはしたがって非常に不安定な
状態
になっておりまして、
プレート
とお隣の
プレート
がこすれ合ったり、あるいは
プレート
が他の
プレート
の下に潜り込んだり、あるいは
プレート
と
プレート
が衝突したりして、そこで大きなひずみがどんどん蓄積されていくわけです。
日本列島
の場合にはどうなっているかと申しますと、四つの
プレート
がひしめき合っております。
一つ
は
海側
の
プレート
、すなわち
太平洋側
にある
プレート
ですが、
太平洋プレート
という巨大な
プレート
が
日本
の
太平洋側
の
沖合
にずっと続いておりまして、それはアメリカ大陸、メキシコの方にまで及ぶ巨大な
岩盤
でございます。これが
日本列島
の方に向かって毎年九センチメートルぐらいの
スピード
で押し寄せてきております。 同時に、もう
一つ太平洋側
に
プレート
がありまして、これは
フィリピン海プレート
という
プレート
でございますが、これは
伊豆半島
の西部、そして遠州灘、九州、琉球の方にまでずっと続いておりますけれども、この
プレート
は
太平洋プレート
よりはかなり小さいのですけれども、やはり毎年三センチぐらいの
スピード
で
日本列島
に押し寄せてきて
日本列島
の下に沈み込んでいる、こういう
図式
になっております。 さらに、
日本海側
の方にもこういった
プレート
の
境界
がございます。こういう
プレート
が沈み込んでいくときに、
日本列島
を乗せた
陸側
の
岩盤
を一緒に下に引きずり込みますので、だんだん
地殻
の変形が進んでいって、やがてそれが
限界
に来ますとぽんとはね返るという、そういう
図式
の
地震
、これが
日本
の代表的な
地震
、つまり
海溝
型とか、あるいはその
規模
からいいまして
マグニチュード
八クラスの
巨大地震
と呼ばれるものでございます。 これらの
地震
は、
プレート
が直接押し込んできて
発生
するという
仕組み
のために、
プレート
の運動を直接反映いたしまして蓄える
エネルギー
も非常に大きいのですけれども、
繰り返し周期
も百年ないし二百年、百五十年といったような
繰り返し周期
を持っておりまして、その
規則性
から、例えば
東海地震
のような場合にはある
程度
の予測を立てていこうということも十分考え得る
地震
ということが言えます。 一方、今度は
内陸
の方を見てみますと、たくさんの
活断層
が
日本列島
には刻み込まれておりまして、その
活断層
、あるいは
活断層
として
認識
はできませんが
地下
に潜伏している、潜在している
断層
、そういうものも含みましてそこにだんだんひずみがたまっていく。このひずみがたまっていくもともとの
原因
は、やはり
海溝型巨大地震
の
原因
と同じように
日本列島
に押し寄せてくる海の
プレート
の力によるものですけれども、何分にも
内陸
なものですから、まず第一に
海溝
型の
巨大地震
のためのひずみをどんどん蓄えていく、その
波及効果
として
内陸
にひずみを蓄えていきますために、そのひずみを蓄えるための時間あるいはひずみを蓄える割合が非常にゆっくりとしておりまして、
一つ
の
地震
が起きてまた次の
内陸地震
が起きるまでの時間の
間隔
というのは数千年とか、場合によっては一万年とか、あるいはもっと長い場合があります。 そのために、同じ
地震
と申しましても、
海溝
型の
地震
は百年とか二百年とか比較的、
人間
の一生の
スケール
と比べても何とか私
たち
その
間隔
と比較できるのですけれども、
内陸
の
活断層
あるいは
地下
に潜伏している
断層
に起きるそのサイクルというのは、数千年とか一万年ということになりますので、これをどう評価していくか、どう予測していくかということは大変難しいことになってまいります。このように、
日本列島
というのは、
地震
国といいましても、その
地震
の
性質
をいろいろ考えていきますとさまざまな
地震
があるということがわかってまいります。 今回、三月三日から起きた
伊豆東方沖
の
群発地震
でございますが、これもやはり
群発地震
という、
地震
という名前はついておりますけれども、そもそものこの
原因
は
マグマ
が主役でございます。
伊東
の
沖合
、恐らくは十数キロのところにたまっている
マグマ
が何らかの
原因
によって
海底
に出口を求めて上がってくる、上昇してくるわけでございますが、そのときに
周り
の
岩盤
をめりめりと割るわけです。この
岩盤
を割るときのピシピシといった割れる音が無数の
群発地震
となって観測されるということになります。 そしてさらに、この
マグマ
がだんだん上がってまいりますと、時として
伊豆
の
沖合
の
海底
の中に隠れている
潜伏断層
、これは
活断層
によく似た
性質
のもので、ひずみを蓄えている
断層
が横たわっていて、そこに
マグマ
が上がってくることによって誘発されて
地震
が起きます。今回の場合も、四日に
マグニチュード
五・七という
地震
が起きましたが、これは
群発地震
の中に紛れ込んで
発生
をいたしましたけれども、よくよく見ますと、これは
横ずれ断層
がずれ動いて起きた
地震
ということになります。 そしてさらに、一九八九年に実際に起きたことですけれども、
マグマ
がいよいよ浅いところに達しまして、そして
海底
に顔を出しかけますと、
海底
の
海水
と接触いたしまして
マグマ
が
水蒸気爆発
、つまり非常に高温の
マグマ
と
海水
が触れることによって
水蒸気爆発
を起こす。これは
噴火
と言えますが、
噴火
が起きるわけです。
伊豆
の場合には、
群発地震
、中
規模
の
地震
、そして
噴火
、この三点セットというものが一九八九年に実際に起きましたが、多くの場合は
群発地震
で終わる。
日本列島
の中にも
火山
の筋がずっと
北海道
から
東北
をよぎり、そして富士山、箱根、
伊豆
、それから
伊豆
諸島につながっておりますが、その
地域
では
伊豆
と似たような非常に浅い
場所
で
発生
する
群発地震
が起きる
場所
があちこちに見られます。この
群発地震
というのは、先ほどから申しております
海溝
型の
巨大地震
とか
内陸
の
地震
とはまた
性質
の異なる
地震
でございます。 ところが、では
群発地震
というものがそれだけ単独で起きるかというふうに考えてみますと、
伊豆
の場合も比較的
大ぶり
の
地震
が起きて
伊東
市を大きく揺するということがありますように、例えば日光とか鬼首とか、
群発地震
が起きている
地域
のすぐわきでは比較的
規模
の大きい
地震
が
発生
するという
傾向
があります。それはまだよく研究はされておりませんが、
群発地震
と
内陸
型の
地震
というものは何らかの関係があるというふうに見るべきだろうと思われます。 このように、
地震
といいましても、我々
人間
の病気と同じように、さまざまの
種類
のもの、大きさのものがございますので、私ども、なかなか知識が完全に、
地震
のいろいろなことについて
調査
がついているというふうにはまだとても言えない
状態
でございます。 さて、
地震
の最近の
傾向
について申し上げますと、
東海地震
とかあるいは
首都圏南関東直下地震
とか、近い将来襲ってくるであろうさまざまな
地震
についての議論、
調査
がなされております。
東海地震
につきましては、
皆さん御存じ
のように、一九四四年の
東南海地震
のときに本来は
東海地域
が
地震
の
震源域
になるべきであったのですが、何らかの理由で割れ残りまして、その
一つ
前の安政の
東海地震
以来ひずみを蓄えに蓄え続けてきて、今や
臨界状態
に達しているということが
地震学者
の
共通
の
認識
でございます。そういう
状態
にありますので、
東海地域
というのは特別の二十四時間監視の体制がとられております。 一方、
南関東
について申し上げますと、一九二三年に
関東地震
がありました。その
一つ
前は一七〇三年に
元禄
の
関東地震
というのがありました。つまり、
関東地震
というのは、
東海地震
と同じように、これは
フィリピン海プレート
でございますが、海の
プレート
が
日本列島
の方にどんどん沈んでいく、そのときに
日本列島
を乗せた陸地を下の方に巻き込むように押し込んでいく、そしてそれが
限界
に達するとはね返るわけですが、
関東地震
も
東海地震
もほぼ同じような
原因
で起きる
巨大地震
でございます。
元禄
の
関東地震
は一七〇三年に起きたわけですが、
関東地震
が一九二三年、大体二百年に一度ずつ起きる。ところが、
関東地震
というのは
元禄
に比べますと若干
小ぶり
だったと言われます。次の
関東地震
がいっ来るかということでありますけれども、
大正
の
関東地震
が
小ぶり
であったということは、
元禄
と
関東
の二つの
巨大地震
の間が二百年でございますが、あるいは二百年もしないうちに次の
関東地震
が来るかもしれません。しかし、それにしても恐らく百五十年とかそのくらいの間を持って
発生
してくるでしょうから、今我々は
関東地震
の
発生
から七十年ちょっと超えたところでございます。道のり三分の一へ来ているということでありますが、ひずみも実際にいろいろ
測定
をしてみますと、次の
関東地震
を起こすまでの
エネルギー
のほぼ三分の一が
地下
に蓄えられているということが見当がついております。 そういたしますと、まだ三分の一だから安心だろうというふうに思いがちでございますが、決してそうではありません。既に
国土庁中央防災会議
が
平成
四年に
南関東直下地震
の「ある
程度
の
切迫性
」という
表現
で
大綱
によって示しておりますように、七十年たって
南関東直下
の随所にひずみが少しずつたまってまいりますと、
関東地震
ほど大きな
地震
ではありませんけれども、それよりも一回り小さい、一回り小さいといいましても、
関東地震
は
マグニチュード
八クラスの
地震
ですから、
神戸
くらいになるわけですね。
マグニチュード
七クラスの
地震
ということになります。
マグニチュード
が
一つ
違いますと
エネルギー
が三十倍違いますので、
神戸
のような
地震
を十数個から二十個あるいは場合によっては三十個ぐらい束ねたものが
関東地震
でありますから、その一回り小さい
地震
、といいましても
相当
大きな
地震
ですけれども、そういうものが
南関東直下
の不特定の
場所
で次々と
発生
してくる
可能性
が生まれてくるわけです。 これは何も推測のものではありませんで、実際に
元禄
の
地震
、そして
大正
の
関東地震
のときにも、
関東地震
が
発生
してくる
相当
前から
南関東
はだんだん
地震活動
は活発になってきて、そしてやがて親玉の
地震
、
関東地震
が
発生
する、こういう時系列的な
流れ
がございます。 一九二三年の
関東地震
が
発生
して、直後は
関東地域
一円は
関東地震
の
余震
が
発生
いたしますために
相当
騒がしかったのですが、一九三〇年代の後半になりますと
相当
余震活動
もおさまって、
南関東一帯
は非常に静かになりました。そして、一九四〇年、五〇年、六〇年と、
南関東
は本当に
地震
のない、
地震
を忘れてしまうかのような
状態
が続いておりました。 ところが、一九七〇年代に入りますと、これは
南関東
とは言えませんが、
南関東
の西のへり、
伊豆
で
伊豆半島沖地震
というのが一九七四年に始まりまして、それがどんどん
活動
が北に上がってきまして、現在見られるような
伊豆東方沖
の
地震
につながっていったわけでございます。 このように、
伊豆
の
活動
が一九七〇年代、七四年から非常に
活発化
の
傾向
を示し始めている、そういう
流れ
の中で、一九八〇年に
関東
では
千葉
県
中部地震
というものが
発生
いたしました。一九八〇年の
千葉
県
中部地震
のときには、
報道
の内容を見てみますと、
関東
にもこんな
地震
が起きるのかというような驚きの感じを含めた
報道
がされておりました。この
千葉
県
中部地震
というのは、
マグニチュード
六の
地震
でございますからそう大きい
地震
ではありませんけれども、若干の
被害
を出しました。その次、一九八三年になりますと、
山梨
県
東部
で死者二名を含む
マグニチュード
六の
地震
が
発生
いたしました。 このように、
山梨
県
東部
とか
千葉
県
中部
あるいは
千葉
県
東方沖
、房総ですね、そして
茨城
県あるいは
茨城
県・
千葉
県県境といったところでぼつぼつと若干の
被害
を伴う
マグニチュード
六クラスの
地震
が見えるようになってまいりました。これの始まりが一九八〇年でございます。 この
一つ一つ
の
地震
をよくよく見てみますと、実は突然
マグニチュード
六の
地震
が顔を出したのではなくて、例えば
山梨
県
東部
の場合には、
関東地震
のときにその前後に非常に大きな
地震
が集中して
発生
いたしました。
関東地震
の前にも、それから
関東地震
の直後には
関東地震
の
余震
が
発生
いたしまして、その中にはM六、M七の
地震
が入っておりますが、
関東地震
が
発生
して非常に静かになったわけです。 ところが、一九六〇年ぐらいからぼつぼつと目立った
地震
が起き始めて、まだそのときは
小ぶり
だったのですが、そして
マグニチュード
五クラスになって、やがて六の
被害地震
が
発生
したということで、非常に
地震
の
規模
が時間とともに大きくなっていって一九八三年の
被害地震
に及んだという
流れ
がございます。 最近の
活動
を大体見回してみますと、このように、
関東地震
の
震源域
ではまだ非常に静かなんですが、その
外周り
の
地域
では既に
直下地震
の兆しを思わせるような
地震
がぽつぽつとあらわれてきているということが申し上げられるかと思います。そういう
意味
で、
南関東
というのは、
国土庁
の
中央防災会議
の
大綱
に述べられておりますように、だんだん
大ぶり
の
地震
が
外周り
から
発生
してきつつあるということは、私どもは実際の観測の事実として
十分心
にとめておかなければならない事実かと思います。 それと同時に、
地殻変動
の方でございますが、
建設省国土地理院
が全国の
地殻変動調査
を行っておりますが、その中で、
関東地域
を見てみますと、やはり先ほど申し上げましたような、
地殻
ひずみが
関東地震
のとき解放したものの量の三分の一は回復している。それから、最近のGPSという
宇宙技術
を使いました
地殻変動
の
測定
によりましても、
時々刻々関東
の
直下
にはひずみが蓄積されているということが手にとるように見えるわけでございます。 そういう
意味
で、
南関東
というのは、既に
直下地震
に向けてのある
ステージ
、つまり
静穏期
を終えて
活動期
に入りつつある
状況
にあるということが言えるのではないかと思っております。 さて、今度は、
伊豆半島
を挟みまして西の
東海地域
は、今申し上げましたように、既にいつ大
地震
が起きてもおかしくない
状態
ということでありますが、さらに西の
東南海
の方に行きますと、一九四四年に
東南海地震
が起き、一年置いて一九四六年に
潮岬沖
を
震源
とします
巨大地震
、
南海地震
が
発生
したわけですが、
東南海地震
というのが次にまた襲ってくるわけです。それはいつごろかということは今はっきりは申し上げられないわけですけれども、恐らく今から四十年ぐらいいたしますと、
東南海地震
が
発生
してくるという
可能性
が非常に高まってくると考えられております。 そういうことを考えていきますと、
南関東直下
、それから
東海
、
東南海
、そしてさらに西側の
南海地震
というものは、これは避けられない、非常に規則的に
繰り返し
てくる
巨大地震
でありまして、これが
発生
いたしますと、
沿岸部
は大きな
津波
に襲われる、それから
内陸
、
沿岸部
には大きな
地震
の
震動
によりましてさまざまな
被害
が生じるということが十分考えられるわけでございます。 さらに、
東北
の方へ目を移しますと、
三陸沖
では
津波地震
という特別な
地震
が
発生
いたします。これは、
日本列島
に押し寄せてくる
太平洋プレート
が
日本列島
の陸を巻き込むというスタイルの
地震
ではございませんで、
太平洋プレートそのもの
が引っ張られてぽきっと折れるという
表現
が適当かと思いますが、
太平洋プレート
が折れてずるっと先端の部分が沈み込んで、引っ張られてずれていく、そのときに非常に大きな
海底
の沈降が
発生
いたしまして、その結果、ぐっと上下に地盤が動きますから
海水
が移動して大
津波
が
発生
いたします。 この型の
地震
というのは、
地震
の
震動
は陸上ではほとんど感じない、若干小さな
地震
が
沖合
で起きたなというぐらいなんですが、そのかわり大
津波
が襲ってくるという恐ろしい
地震
でございます。このような
津波地震
というものをも含めて、
東北
の
三陸沖
から
一帯
は十分注意しなければならないということになります。
太平洋沿岸
は、おおむね、そういうものをずっと見てみますと、
北海道東方沖
、そして
浦河沖
、
十勝沖
、
三陸沖
、そして宮城県沖、福島県沖というふうに、それぞれ大きな
地震
の巣がずっと
日本列島
に沿いまして、これは
日本海溝
に沿ってですが、ずっと並んでおります。
伊豆半島
を越えまして西の方には、
東海
、
東南海
、
南海
という
巨大地震
の巣が並んでいる。そういう
意味
で、
日本列島
の
太平洋側
には
巨大地震
の巣が並んでいるという
図式
になっております。 一方、
日本海側
の方を見ますと、最近起きたことですが、
奥尻
島で大
津波
が襲いました。
マグニチュード
八には至りませんが、それに近い
地震
が
発生
いたしました。一九六四年には
新潟地震
というのがありましたが、その後、一九八三年になって
日本海中部地震
、そして
奥尻
島を大
津波
が襲った
北海道南西沖地震
、そして一九四〇年代には
積丹半島沖地震
というので、
日本海側
にも大きな
地震
が
発生
する
メカニズム
が潜んでおります。
内陸
には、既に申し上げましたような
活断層
にひずみがたまって、非常に長い
繰り返し周期
でございますけれども、
内陸
で
マグニチュード
七ぐらいの
地震
、例外的に
一つ
だけ
マグニチュード
八の
地震
がございますけれども、
内陸
でも
地震
が
発生
する。 そして、
火山地帯
に沿っては、
群発地震
というものが、さらにそれとはまた別の
性質
の
地震
が
発生
する、こういった
状況
でございます。 こう見ていきますと、
日本列島
というのはどこをとりましても
地震だらけ
というふうに考えられるわけでありまして、実際に、例えば
原子力発電所
を設置するときの
立地
を考えますと、まずどこに設置しても
マグニチュード
六・八ないし七ぐらいの
地震
は起きるものという前提で考える、しかもその
周辺
で歴史上最大どのくらいの
地震
があったかということも勘案するという、非常に慎重なといいましょうか、非常に最悪の
事態
を考えて
立地
を考えていくという立場をとっておりますが、それは
日本列島
というものの成り立ちを十分考えた非常に妥当な対応であろうと私は考えております。
南関東
の
地震
ということに、今度は
首都圏
にもう一度戻らせていただきますが、
関東地震
というものを軸に
地震活動
が推移してまいりますけれども、今、
関東地震
から七十年たって、また
活動期
に入ってくるという
事態
に入りつつあるわけですが、
日本列島
の
地震
というのは、空間的にどこにどういう
地震
が起きるというだけではなくて、今度は、
静穏期
と
活動期
という時間軸で見たときの推移が、消長がございます。 そのために、例えば新しい
都市
、
首都
の
移転
という問題を考えますと、どのくらいの時間の範囲を考えてその新しくつくる
都市
を考えていくかということによりまして、かなり問題が変わってまいります。 つまり、非常に大きな
地震
が起きたすぐ直後を考えますと、その
先相当
長い期間静かな時期が必ず来るでしょうけれども、かなりせっぱ詰まった、つまりひずみが満期に近づいている場合には、今は静かなようだけれども、その次の
ステージ
には近いうちに大きな
地震
が襲ってくるという、そういう
繰り返し
がございますので、
地震
の問題は、空間的な問題だけではなくて、そういう大きな
地震
がどのくらいの
繰り返し期間
で襲ってくるかということと組み合わせて考えていく必要があるのではないかと思います。 以上、
日本列島
の
地震環境
ということ、
日本列島
の
仕組み
と、それから
日本列島
で
発生
する
地震
の
種類
ということについて私の考えをお話し申し上げました。 どうもありがとうございました。(拍手)
松本委員長(松本龍)
5
○
松本委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
の開陳は終わりました。 ─────────────
松本委員長(松本龍)
6
○
松本委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行います。 この際、
委員各位
に一言申し上げます。
質疑
につきましては、
理事会
の協議により、一回の
発言
時間は三分
程度
となっておりますので、
委員各位
の御協力を
お願い
をいたします。また、御
発言
は、挙手の上、
委員長
の許可を得た後に
お願い
をいたします。
発言
は、
着席
のままで結構です。
根本委員(根本匠)
7
○
根本委員
自由民主党の
根本匠
です。 ただいま大変貴重な御
意見
をお伺いしまして、ありがとうございました。 ここは
首都移転
の
特別委員会
ということですから、
地震
の問題はそれぞれの、今の東京の現状、これからどうなるのかという今の
首都
の
状況
と、それから
移転候補地
が十カ所
程度
あるわけですが、その
移転候補地
が、空間的に見て、そして、特に
先生最後
に御指摘になった時間軸という観点を取り入れた場合に、それぞれの
候補地
がどのような
状況
にあるのか。来年に
候補地
を選定するということでスケジュールが進んでいますから、この点が
首都移転
の
候補地
を選ぶ九つの条件のうちの重要なポイントだと思うんですね。その点で、今の
移転候補地
の空間的な、時間軸を入れた、要は
地震
に対する脆弱性の
程度
、逆に言えば安全性の
程度
、それがどういう関係になるのかということを
一つ
お聞きしたい。 それから、
地震
の予知問題観測システムが近年急速に進んできてというお話がありましたけれども、
地震
の予知あるいは観測システム、例えば、阪神大震災のときに非常に
活断層
が有名になりまして、ただ、あれは全国に
活断層
いろいろ走っているんだけれども、それを全部
調査
するにはあと十年ぐらいかかる、資金的なこともあって。ということも言われておりますが、そういう観測あるいは
地震
の予知という研究開発の進展
状況
、つまり、急速に進んでいるというお話がありましたけれども、その辺の予知を含めた
地震
の観測システム、これのこれからの
状況
がどうなるのか。この二点についてお伺いしたいと思います。
溝上参考人(溝上恵)
8
○
溝上参考人
第一点目につきましては、今の段階で、どの
地域
が
地震
のサイクルから見てどの
程度
安全でどの
程度
危険性をはらんでいるかということをかなり確実なというか確度の高い話として申し上げるほどの知識を我々は持ち合わせておりません。 ただ、それぞれの
地域
の一般的特性と申しましょうか、先ほど申し上げました
プレート
の沈み込みとの関係で、過去にどういう
地震
が起きて、少なくともここ一世紀ぐらいの間の蓄積された知識から、どういう
種類
の
地震
が起きるであろうかということはある
程度
申し上げられると思います。
地域
を特定してどうこうというのはなかなか難しいんでございますけれども、例えば北
関東
全般を見てみます。北
関東
は、栃木県とかそういう
地域
はございますが、私どもも栃木県にはしょっちゅう観測に行っております。栃木県の付近には、宇都宮の北、今市、日光とありますが、日光は、昭和、北
関東
で名立たる群発
地域
でありまして、その
地域
で小さな
地震
を観測いたしますと、
マグマ
からの反射波が非常に明瞭に観測できます。ただし、その
マグマ
はすぐ
噴火
につながるというようなものではございませんが、やはり
火山
前線という
火山
の
地域
であります。 そのそばには今市
地震
という
地震
がある。これは
マグニチュード
七には達しませんが、そういう
地震
が
発生
いたします。すぐその北には田島
地震
、会津田島でございますが、田島
地震
というやはり今市
地震
と同じような
地震
が一九四〇年代に起こっております。 これは大体栃木県北西部からずっと
東北
を北に上がっていく
火山
の並びの地帯ではいずれも
共通
の
性質
でありまして、非常に大きな
被害
を及ぼすものではございませんけれども、特徴として挙げられるのはそういうものです。 それから
茨城
県の方に行きますと、
茨城
県では、
茨城
県南部、南西部の
地震
というのはしばしば起きます。これは
茨城
県沖から沈み込んでくる
太平洋プレート
と、それから相模湾から沈み込んでくる
フィリピン海プレート
が、深さ七十キロぐらいですが、そのくらいのところで二つの海の
プレート
が接触し合っております。そのために非常に頻繁に
地震
が起きまして、その揺れば東京でもしばしば感じられますが、深さが非常に深い。そのために、過去に大きな
被害
を生んだことはございません。 ただ、たびたび揺れますので、しかも揺れば決してそう小さいものではありませんので、
被害
には及ばないけれども、かなり、震度四とかあるいは震度五ぐらいのことになる場合にちょっと不安になるということはあります。そういう特徴を持っております。 今度は
茨城
県の
沿岸部
になりますと、
茨城
県沖
地震
というのが起きます。しかし、ここでは一番大きい
地震
が起きても、過去には
マグニチュード
七でございまして、
三陸沖
のような大
津波
が襲ってくるというような
地震
がそこで起きるわけではございません。 そういう
意味
で、
茨城
沖と栃木県のあたりは、若干
状況
は違いますけれども、非常に大きな
被害
というような
地震
を起こすものが潜んでいるかどうかということは、今までの
地震
の観測等から見ると比較的今安全な
地域
ではなかろうかというふうに思います。 それから西の方に参りますと、これは
東海
から浜名湖、そしてさらに愛知県知多半島、この
沿岸部
というのは、先ほど申し上げましたように、すぐ
沖合
で
巨大地震
が
発生
いたしますから、
繰り返し周期
は百五十年とか二百年ぐらいのものでありますけれども、非常に
津波
が襲ってくる。それから当然大きな揺れも来るということです。さらに、
内陸
に入りますとたくさんの
活断層
がございます。 そういう
意味
で、
地域
地域
によって
地震
の
性質
、起こり方がかなり違うということが申し上げられるかと思います。 それから二番目の
地震
の観測でございますが、
地震
の観測にはおおむね二つございます。
一つ
は
地震
の
性質
そのものをよく研究して、そして予測に結びつけていくというものと、それから、
地震
が
発生
した後に初動体制を立ち上げるためのリアルタイム
地震
学と申しましょうか、震度計を置いて、それをすぐ行政の防災担当のところに集中して、どこでどれだけ揺れたかというものをつかんですぐ出動する、そういう計測震度計のネットワークというものが今構築されつつあります。 この二つはかなりその目的が違いまして、予知、予測をねらう観測の方は、たとえ非常に小さな
地震
であっても、つい先年の十月五日には静岡県の川根という
直下
でごくごく小さい
地震
が起きましたが、それでもその
性質
が非常に心配な
性質
のものであれば十分それを追及していかなきゃいけない。しかも二十四時間もうずっと連続で観測する。
人間
の体の病気でいいますと、たとえ一ミリぐらいの微小がんであっても、それが悪性のものであれば十分注意、分析して、大きな
地震
につながるものかどうかということを研究していかなければいけない、そういうものが
東海地震
の予知のための観測でございます。 一方、大
地震
が起きた直後にどこがどれだけ揺れるということを調べるのはまた別の問題でありまして、震度計を置いて、そして大きな
地震
が起きたとき、そのときにどの地点でどのくらいの
被害
が起きているかということを判別する観測がございます。 これは各自治体等が今大いに進めているところでありますが、ここに
一つ
問題がありますのは、非常に進んだ技術が取り入れられてはおりますけれども、こういった観測というのは、いつも大きい
地震
が起きるわけではございませんので、最初つくった段階では非常に機械も新しく、つくった人はそこに張りつくわけですが、時間がたつにつれ、一年二年たっても大きな
地震
が起きないうちに人員配置とかあるいは更新の問題が出てきて、恐らく、何年かするうちに、だんだんその機械を使うことも、十分習熟した者もいなくなって、そしてそのときに大
地震
がやってくるというようなことがあるのではないか、それが
一つ
懸念されるところであります。
地震
の観測技術が進んでも、それを動かすのは
人間
でございますので、その
人間
がどのくらいそれに十分張りついて、十分機能を発揮するようにそれをオペレートしていくかという問題が、とりわけ後者の、大
地震
が起きた後の初動を立ち上げるというところでは今問題になっております。
玄葉委員(玄葉光一郎)
9
○玄葉
委員
どうしても同じような質問になってしまうのですけれども、国会
移転
の
委員会
ですから、今の
根本委員
と同じような質問になってしまうと思います。 玄葉と申しますが、時間軸と空間軸で考えなければならない、グローバルとリージョナルと
ローカル
という話がありましたが、
ローカル
な質問になってしまいますね。 今お話がいろいろありましたけれども、それでも起こりそうなところと起こりにくいところというのはどうしても存在するんだろうなというふうに思うのです。これは先ほど申されたように、空間軸と時間軸と総合して、これはまだしっかりとした蓄積されたデータはありませんというお話でありましたけれども、これはっくつていただかないと、なかなか審議が有意義なものにならないというところが国会
移転
審議会の中で出てくるんじゃないかというふうに思うのですね。 今さっとお聞きしても、結局、
地震
は大まかに言うと
プレート
型と
活断層
型があって、例えば空間軸だけで考えたら、要は
プレート
型の
地震
が起こりにくいいわゆる
内陸
部、それで、
内陸
部の中で
活断層
がないところというふうに素人目からまず単純に考えられるわけですね。 それにプラス時間軸を考えていったら、なかなか起こりにくいところというのは見出されてくるのかなと思ってみたりするわけですけれども、これはぜひ、これから国会
移転
審議会が恐らく現地
調査
なんかを十カ所、十五カ所、何カ所になるかわかりませんが、していくと思いますが、やはりそれぞれについてデータをきちっと整理をしていただいて、御説明をぜひいただきたいなというふうに思うのです。 ぜひ、先ほどのつけ足しになっても構いませんが、そんな観点でさらに補足いただければありがたいというふうに思います。
溝上参考人(溝上恵)
10
○
溝上参考人
今おっしゃったことは私非常によくわかります。これは
立地
の問題でございますから、サイエンスの問題として議論していることとは違う側面がどうしても出てくると思います。そのときに私どもが考えなければいけないのは、
海溝
型の
地震
、それから
活断層
、これはもう目に見えておりますから、それを十分
調査
して、それをどう評価するか。 もう
一つ
残こるのは、先ほども触れたかと思いますが、実は
活断層
と同じ
性質
を持ったものが存在するんだけれども、
地下
に隠れていて見えていないという場合があるんですね。それが実際に
地震
を起こした例がたくさんあるんです。そういうものが
調査
が進む間に、つまり、今盛んに国もいろいろ
断層
の
調査
をしておりますが、
活断層
を
調査
するときの手法がだんだん進みますから、そうすると、目に見えている
活断層
だけではなくて、
地下
に潜んでいる
潜伏断層
が見つかる場合がこれから出てくると思います。 例えば東京湾北部で見つかったとか、大阪平野の中にこんな
断層
があったとか、今後急速にそういう
調査
が進んでいく中で、我々今の時点で知らないものが見つかるということは十分考えられますので、それをどう考えていくかということが
一つ
ありますね。 ですから、まず実際に目に見えているものからきちんと評価して、その危険度をなるべく定量的に扱いつつ、そして今の段階では見えないけれども数年先を考えた場合には何かわかってくる、それをどう判断して、そして相互に比べまして、そして決断するという、その最後の決断がどうしても必要になりますが、そういうことを進めていけば絞り込みはできるわけであります。 絞り込んだ結果、例えば複数になった場合どうするかということ、
性質
が違う
地震
、でも、どちらが安全かと言われても困る、ただこれとこれは
性質
の違う
地震
であって、横並びで比べることは非常に難しいということもあろうかと思います。やはりそのときもまたある種の腹をくくるというか決断が必要で、これはサイエンスの問題というよりはやはり行政の問題になろうかと思いますが、そこへ持っていくまでのいろいろな評価というものはできるだけサイエンティフィックにやっていく。 そしてそこから先は、恐らく、横並びになってしまうこととか、あるいは将来もうちょっと時間を待って
調査
すればわかるかもしれないということがあるかもしれません。その場合には、やはり科学の領域ではなく行政の御判断で……
玄葉委員(玄葉光一郎)
11
○玄葉
委員
ぜひ、その定量的なサイエンティフィックなデータを、もちろんそういう心構えで先生いらっしゃると思いますが、そろえていただきたいと思うんです、今でき得る範囲の中でですね。
溝上参考人(溝上恵)
12
○
溝上参考人
当然その評価は、現在の非常に未熟な
地震
学の中で行うわけですから、その幅がある。 私の希望といたしましては、新しくできる
都市
というものが従来型の
都市
と違って、
地震
に対して非常に強いものであると、それだけのアローアンスがふえますから一その部分が危険度とよくバランスできて選択肢がふえるという方向に向かうと非常にいいのではないかと思います。それは私の希望といいましょうか、願望でございます。
蓮実委員(蓮実進)
13
○蓮実
委員
ちょっとお伺いいたします。
首都移転
の大きな要素の
一つ
はやはり災害だけに、本日は、非常に貴重なお話をお伺いできまして、大変ありがとうございました。 先ほどの
根本
理事
からの関連でございますが、全国で今、約十カ所前後
候補地
が出ております。例えば那須とか福島はどうなのか。その危険のランクづけで、例えば、ランクづけでABCとかそういうことをつけて、そして分類ができるのかどうか、そんなことをお伺いをしたいと思うのですが。
溝上参考人(溝上恵)
14
○
溝上参考人
ABCということは、この安全度が一、二、三というか、それは手順から申し上げますと、先ほどの話に返りますけれども、できるだけサイエンティフィックにこれから
調査
を行いまして、そして国民だれから見ても、これは今の段階の知識ではやむを得ないだろうという
一つ
の評価をして、そしてその後、これがABCだというそういう結論へ持っていくことは不可能ではなかろうと思いますが、今、私ここで、那須がAだとか、阿武隈山地がCだとかということは、私の知識では、そういうような目で
地震
をまだ十分見ておりませんので、これからいろいろ
調査
をした結果、こうだということは、あるいは申し上げられるかもしれません。
池坊委員(池坊保子)
15
○池坊
委員
私、東京から京都に結婚いたしますときに、京都は
地震
がないから大丈夫だよと言われて結婚いたしましたけれども、昨年ですか、
神戸
の
地震
が起きましたね。事ほどさように、一般的には近畿圏は
地震
がないと言われておりましたにもかかわらずあったということは、これからもっともっと研究すればそういうデータも出てくるとは思いますけれども、やはり思いもかけないところで
地震
というのは起こり得るのではないかと思うのです。 昔は、確かに、
都市
を選びますときには、天災のないところというふうに選んでまいりました。ですから、そういう
意味
で京都も選ばれてきたのですけれども、これだけ科学技術が発達いたしましたら、国会を
移転
いたしますときには、建物の構造を、十分に
地震
に耐えられるものをつくりますので、
地震
が起こるかどうかの予測に立って、起こらないだろうというところをわざわざ選ぶ必要はないのじゃないか。 むしろ、
地震
研究の方に
お願い
したいことは、先ほどいろいろな
種類
の
地震
があるとおっしゃいましたけれども、そのいろいろな
種類
の
地震
に耐え得る建物とか
都市
整備はどうしたらいいかということの方が大切なのでないかと私は思うのですね。 仮に
地震
が起こらないというところを選びましても起こり得るかもしれないし、起こると言われているところを選んでも起こらないかもしれない、そういう未知数を多分にこれからも含んでいると思いますときに、大切なことは、
地震
に耐え得る
都市
計画なのではないか。 そういう点も連携をとって、建設省でしょうか、どこになるのかわかりませんけれども、住民の住まい、あるいは建物などにも配慮をしていただきたい、そういう
意味
での研究をしていただきたいと思いますのが一点と、もし今のように東京に
直下
型の
地震
が来るとしたら、私
たち
は、一体ここに住んでいる
人間
はどうなるのだろうか。国会
移転
をして国会は大丈夫だったけれども、ここにある企業並びに住んでいる
人間
は全滅あるいは半滅してしまうのか。とするならば、国会
移転
と同時に、東京の
地震
に対する整備というのもあわせてしなければならない、それは大きな課題だなというふうに思っております。
溝上参考人(溝上恵)
16
○
溝上参考人
第一点、京都のお話が出ましたが、京都は
断層
でできた盆地でございます。比叡山と琵琶湖の間には
活断層
が走っております。ですから、安全なところではございませんで、あれはまさに
断層
の上に立っている感じでございます。今、しばらくのところ静かなようですが、かつて京都は
地震
に痛めつけられたところであります。 それから、西
日本
は、一九四四年、四六年の
巨大地震
が起きる前には鳥取
地震
が起きまして、その後、
東南海地震
が起き、三河、
南海地震
、それから福井
地震
等々、実は半世紀さかのぼりますと、西
日本
も大きな
地震
を受けて一万人弱の人が亡くなったということが、ごく五十年前にあったわけです。 二点目の、防災に強い
都市
づくりということでありますが、実際、今の技術をもってすれば、私は素人でございますが、幾らでも強いものはできるわけです。ところが、経費との関係がありまして、絶対壊れない高速道路をつくって、国民がほとんど飢え死にするというようなことではいけないので、やはり、どのくらいの経費をかけて、しかも人が死なないぐらいに抑え込むかということがポイントだろうというふうに思います。 ただ、やはり
地震
国ですから、
都市
をつくるときに、どのくらい強い
都市
がつくれるかということは、我々
日本
民族のかなり長期的な展望でもって臨むべき課題だろうと思います。ただ、常につきまとうのは経費との問題でございまして、技術力をもって、経費を全然考えないでつくれば、
相当
強いものができるかと思います。 あと、実際に、国会を含めて
移転
されるその土地が、若干
地震活動
が高いといたします。そうしますと、やはり
伊豆
の場合も、ごらんになってわかりますように、揺れます。揺れると、どうしても
人間
というのは落ちつかなくなる。国の重要なことを審議する機関が揺れる、しょっちゅう揺れる
場所
の上にあるというのが、刺激になればよろしいのですが、どうかということ。 それから、同時に、実際に国家公務員の方が家族と一緒にそこに住まわれるわけで、そのときに、地面がしょっちゅう揺れる、あるいは
群発地震
が起きるとか、横を見たら
火山
が煙を噴いているのは景色はいいかもしれませんが、そういうことも、やはり、心理的な問題も含めて、なるべくなら安定した、よく調べてみてもそういう
地震
が余り来ないはずだというところが選べると本当によろしいのではないかと思います。
中島(武)委員(中島武敏)
17
○中島(武)
委員
私、共産党の中島
武敏
でございます。 私は、
首都
機能
移転
に反対の立場なのですけれども、二つ伺いたいと思っているのですが、最初に伺いたいのは、今、
首都移転
誘致に名乗りを上げているところは十幾つかある、だけれども、そういうことにかかわりなしに、この
日本列島
全体を眺めて、先生、これは比較的な話です、比較的安全だなと位置づけていくというような感じで地方なり県なりの名前を挙げるとすると、どこになるのでしょうか。
溝上参考人(溝上恵)
18
○
溝上参考人
相対的な問題になりますけれども、東京に今
首都
がある、現在の東京と比べてより危険なところに移るというのは、やはりこれはよろしくない。現在の東京というのはどの
程度
危険かということの評価をした上で、そして、それに比べてどうかということになりますね。 東京の場合には、先ほどから
直下地震
のことを申し上げましたが、この
地震
というのは、よく誤解されるのですけれども、
関東地震
が再来するのではないか、起きたら東京が全滅するというふうに受けとめますが、決してそうではありません。
国土庁
の
大綱
にもありますように、
直下地震
というのは、ある
意味
での局地
地震
でございます。いろいろな詳しい
調査
は今東京都がやっておりまして、この夏に、恐らく
被害
想定の取りまとめが発表されると思います。その内容をちらちら見ますと、やはり、
直下地震
というのは、
周り
から救援できるという範囲のそういう
地震
なのですね。 ただ、東京の非常に密集した
地域
では、なかなか、
被害
を直接受けた場合には、大変な
状況
があります。それで、東京としては、恐らく、私などもそういうものをいろいろ見聞きするには、
被害
が起きたときに、どこか新しい
首都
があったとすると、東京で
被害
を受けた人がそこへ送られていって、そこにあいた病院があって、そこで十分治療を受けられるような、そういう感じになりますと、共存できる。そういうところは、やはりなるべく安全なところがいい。 そうしますと、先ほどから何度も出ておりますのをあえて申し上げますが、例えば栃木県は、そういう
意味
では非常に強烈な
地震
が来るという
可能性
の低いところですね。ただ、
群発地震
が起きたり、今市
地震
ぐらいのは来ます。 それから、阿武隈は確かに非常に頑丈な大地でございまして、
太平洋側
はいろいろ
震動
を受けるでしょうけれども、阿武隈の大地というのは比較的安定した地盤でございます。 それから
茨城
県南部、南西部も、確かに揺れますけれども、人命の損傷を受けるようなものではない。そういう感じで、いずれも、比較的
日本列島
の中では
地震
の
被害
を受けにくい
場所
だ。 東京と比べますと、東京は
地震
が来ます。来ますけれども、先ほど申しましたように、
関東地震
の再来というのは、我々が生きている間には来ないわけですね。ですから、もし考えられるならば、東京で
直下地震
が起きて、
関東地震
ほどではないけれども、いろいろ傷を受けたりした人がいた場合に、大概の病院はもう満杯ですから、そういうところであいた医療施設があって、お互いに助け合えるような、そういう関係がもし生まれてくると、これは全く私の感じでございますけれども、非常にいい計画に発展し得るのではないかというふうに考えております。
中島(武)委員(中島武敏)
19
○中島(武)
委員
ちょっとリージョナルに申し上げるところをおっしゃっていただけたら……。東京及びそれから──大変いいお話を伺ったと思っておりますが、もっと広げて
日本列島
……。
溝上参考人(溝上恵)
20
○
溝上参考人
日本列島
全体からいいますと、
北海道
は、
太平洋沿岸
あるいは積丹半島の方、それからちょっとオホーツク海寄りというところは問題でございますが、札幌
周辺
とか、ああいうところは
地震
が今のところは非常に少ない。
内陸
部ですね。
坂本(剛)委員(坂本剛二)
21
○坂本(剛)
委員
坂本でございます。 皆さん今まで出てきた
意見
と重複することもあるかと思いますが、本当に、さっきもお話出ましたように、阪神、宝塚などというのは一番安心だなんて言われていましたけれども、それがもろくも崩れたわけです。 今一番私が心配しているのは、この国会
移転
から離れて、
津波
の問題ですね。これに全然無防備なんですね、国民が。危機管理という点からすれば、行政も全く無防備に等しいと思うのですね。ちょっとした
津波
で、従前、昭和三十年、四十年代につぐつた防波堤は、構造上の欠陥いっぱいありますから、壊滅してしまいます。ですから、全然無防備なんですね。だから、三陸に大
津波
などというお話もありましたけれども、こんなの発表したら大騒ぎになるんじゃないでしょうかね。 とにかく、
日本列島
の沿岸で生活している人
たち
に対して、
津波
の危険性、それから危険度の強いところというのはやはり公表をして、政治、行政も含めて、危機管理体制を早く組むべきなんじゃないのかなと思うのですけれども、先ほど先生、未熟な
地震
学ではなどというお言葉があって、がっくりしてしまったのですが、これは言っても無理かなと思ったのですが、具体的に話が出てきたから今お聞きするわけなんです。 国会
移転
という面でも、今中島先生から、全く安全なところはどこなんだというお話がありました。これも当てにならないなとは思いつつも、
北海道
だって福岡だって本当に安全だというなら、
日本
人の危機管理からすれば、そちらへ移すのが私は当然じゃないかと思っているのですよ、二百キロ、三百キロ圏内なんて言っていないで、本当に安全だとわかるならば。 危険地区も予測のできないような、
地下
に潜っている見えない
活断層
などという話もありますので、それが発見されたころ、また新たな見えないものがあるなんて出てきはしないかなと思って心配するわけです。したがって、
日本列島
というのは、これは
火山
と
地震
はつきものなんですから、これに対してどう我々備えていくかということも踏まえながら、安心なところもあるはずなんだろうな、こう思うのですね。 今、比較的ということでしか我々は議論できないわけですよね、国会
移転
。そういう
場所
をぽんと打ち出していただくと、かえってそちらに集中が起こってきて、今の三大
都市
圏が、集中が、
都市
の集積が分散されるのではないか、こんな気もします。
北海道
は全く安全だとか、あるいは福岡は全く大丈夫だと言ったら、五十年、百年後には、だっとこの列島が散っていくのじゃないか、そういうようなことも一方では考えてみてもいいんじゃないか。 したがって、阪神・淡路の後に、あれはどこで出したデータでしょうか、新聞に全国の
活断層
の分布図がありましたね。あれは信じていいのかどうか。海の
津波
の件と、あれを信じていいかどうか、これもぜひお伺いをしたい。
溝上参考人(溝上恵)
22
○
溝上参考人
先ほど、
地震
学は非常に頼りないと申し上げましたけれども、それはちょっと控え目に言ったのでありまして、非常に精密なことが言える部分もあります。
津波
につきまして申し上げますが、気象庁がこの一、二年
相当
にハイテクを導入いたしまして、
津波
が
発生
したらすぐ、二、三分以内に情報を出して、刻々
津波
は押し寄せてきますから、その押し寄せてくる水位を含めて情報を出していく。スーパーコンピューターを使いまして、
津波
の波形、波の形そのものを描いて、それをデータベースに入れておいて、それで
三陸沖
で
地震
津波
が起きたら、その波がどう伝わってくるかということを、昔はただ波の高さだけだったのですけれども、時々刻々の波の形そのものを再現して、そしてその
地震
の
状況
や風向なんかによってそれを若干修正しなければいけないわけですが、そういう形で正確な
津波
の予報を出すというシステムを導入いたしました。 これは、情報としてそこの住民に伝えるテクノロジーとしては非常に高いもので、最近私の友人が、やはりギリシャとかイタリーでも地中海の
地震
が起きますから、その気象庁のテクノロジーを何とか自分
たち
にも分けてもらえないかと言うようなぐらい非常に高い技術を開発して、それを実際に実用化しております。 ただ、
津波
の予報を出す一番重要なことは、今の段階で気象庁は陸地に
津波地震
計を置いているわけです。本当は
津波
が起きるその
場所
に
津波
計を置いて、
海底
ケーブルで持ってきて、そして気象庁なら気象庁で監視していますと、
津波
が起きた瞬間に、
海水
がぐっと盛り上がりますから、その分だけ
海底
の圧力が変わります。ですから、
津波
が起きた瞬間に、
津波
が
発生
した、どのくらいの大きさの
津波
かというのが即刻わかるわけです。その技術は実はあるわけです。 それがわかれば、あと、
津波
は
相当
の
スピード
で、新幹線よりも速い
スピード
で襲ってきますけれども、
三陸沖
の場合には
相当
時間がかかるわけですね、何百キロ先ですから。その間に十分各漁民とか漁村では用意ができるわけなんです。 そういう
津波
計のネットワークというのをつくったらということは、専門家に非常に声は高いのですが、なかなかそこまで行かない。なぜかといいますと、
海底
ケーブルという、かなり経費がかかりますから、それで今のところは気象庁が陸上に
地震
計を置いて、陸上でつかまえたものでもって、どのくらいの
津波
かということを間接的に推測して、そして
津波
の予測を立てて「ひまわり」を使って全国に情報を伝える、そういう手続をとっております。ですから、近い将来もし予算的な措置が講ぜられるならば、
津波
計を本当の
震源
地に置けば、
津波
の
被害
というものは
相当
に防げるというふうに考えます。 あと、安全度、絶対安全ということがございますが、もし仮に、ある
場所
、ここは安全だと思ったところに
活断層
がないといたしましょう。ところが、すぐお隣に、数十キロ離れたところには間違いなく
活断層
がある。 そうすると、その
地震
が
発生
いたしますと、その揺れば
地震
波となって伝わってまいります。ですから、
日本
のような幅の狭い国、縦には長いでしょうが、ずっと
日本列島
に沿って
断層
があり、
プレート
が沈み込んでいるところでは、お隣さんの
地震
は自分の
地震
なんですね。揺れを感じますと、揺れからは避けることができません。ですから、例えば
神戸
の
活断層
がずれ動いて、
神戸
の方は集中的にやられましたけれども、隣の
地域
にも大きな揺れが伝わって、
周辺
部は
相当
の
被害
を受けるわけです。 もう
一つ
は、
一つ
の
活断層
が動いたことによって一お隣にもたくさん
活断層
があるわけです。
神戸
の
周り
には無数と言っていいぐらい
活断層
がありまして、その
神戸
の
活断層
が動いたことによって、そこのたがが外れたようになりますから、すぐ隣の
断層
に集中的にひずみがたまり始めるというようなこともありますので、隣の問題ではない、
日本
の場合には。そして、絶対に安全な
場所
というのはちょっと選びにくい。あくまで相対的に物を考えていかなければならない。 これは、
日本列島
の特性がそういうふうになっておりますので、今おっしゃったように、絶対に安全なところがあるとよろしいのですが、なかなかそれは難しいのではないか。相対的に安全なところをなるべく一生懸命探すということがせいぜいではなかろうかと思います。
渡辺(喜)委員(渡辺喜美)
23
○渡辺(喜)
委員
いつもすっとんきょうな
発言
で申しわけありませんが、
日本
という国が
地震
の巣の上にあることは有史以前からそうなのだろうと思います。 そこで、これは先生の御学問とはかなり違ってきてしまうかもしれませんが、天変地異、とりわけ
地震
が一番大きなものだと思いますが、この天変地異が続発すると時代が変わっていくのかなという気がしておるのでありますけれども、そういうたぐいの御研究などをされておられる方はいるのでしょうか。
溝上参考人(溝上恵)
24
○
溝上参考人
特にいないと思いますが、
地震学者
は、知らず知らずのうちに一ずっとやはり昔からの
地震
を見ていきますから、そういった天変地異が国の
状況
を変えた、あるいはたまたま変えることになってしまったという例はよく知っております。 それで、随分古い話は私は知りません、私の知っている範囲で申し上げますと、一八五四年の安政の
東海地震
ですが、そのときにはちょうど
日本
が開国前夜でありました。ロシアの軍艦が、ディアナ号というのが下田に来ておりまして、そのときに大
津波
を伴った安政の
東海地震
が起きまして、そのロシアの軍艦はひっくり返って帰れなくなったわけですね。そのことによって幕府が倒れた、ある
意味
では、経済的ないろいろな
状況
もありまして。そういう非常に大きな時期に、国の変わり目、体制の変わるときに
日本
の代表的な
巨大地震
が起きた、しかも、ロシアの軍艦がそのとき
津波
によって難破したという、そういうような事件がございました。これが
一つ
ですね。 それからもう
一つ
、一九四四年、それから四五年、四六年と立て続きました
東南海地震
、三河
地震
、そして
南海地震
というのは、ちょうど
日本
の終戦ですね、一九四五年を挟んでその次の
東南海地震
が起きました。ちょうど百年とか百五十年というその間は、国の体制が大きく変わる。 ですから、一番最近でいきますと、幕府が倒れたとき前後に、開国前夜に
巨大地震
が起きた、全く同じ
性質
の
地震
が同じ
場所
で起きたときが、終戦の前の年とその後の年、こういったこれらの例はよく引き合いに出されるのですけれども、最近そうだということです。 もっとさきに上りますといろいろあるのでございましょうけれども、国の体制というものがそう具体的に見えた時代でもないでしょうけれども、十九世紀からもう二度もそういうことが、たまたま、偶然と言っていいでしょうけれども、起きました。 そういうことについて研究したという人は私、まだ聞いておりません。
渡辺(喜)委員(渡辺喜美)
25
○渡辺(喜)
委員
たまたまなんですか、因果関係が何かあるのでしょうか。
溝上参考人(溝上恵)
26
○
溝上参考人
日本
の政治の体制のことは……。
中島(武)委員(中島武敏)
27
○中島(武)
委員
もう
一つ
、ほかでもないのですけれども、私は、二月七日付で
日本
地震
学会
理事会
が政府の
地震
調査
研究推進本部あてに出した要望書、これを拝見して非常に驚いたのです。といいますのは、
地震
の観測網をしっかりつくって、それを解析をしたり、また広報したりということは非常に大事な問題だと思うのですけれども、その問題をめぐって外注化のおそれだとかいろいろ指摘されておりまして、それから、これに必要な人員というのも随分確保を要望しておられる。 そこで、これだけ今議論が沸騰したり、あるいは観測強化
地域
を
東海
と東京と二つ設けたりしてやっているのですけれども、先生がおいでになるのだったら、この問題についてはかの御
意見
がなかったらですけれども、率直な
意見
を聞かせてもらいたいな、そういうことを思いました。
溝上参考人(溝上恵)
28
○
溝上参考人
これは非常に深刻な問題でございまして、
地震
学会の私どもの世代も含めて、私よりもずっと若い世代も含めて、今後の
日本
の
地震
学を考える上で非常に重要な問題です。
日本
の
地震
の非常に詳しい観測が始まったのは一九六〇年代からなんですが、そのときには、各大学がそれぞれ機械を開発いたしまして全国に
地震
観測網を展開して、それはそのときの一番若い世代の研究者が、自分でネットをつくり、そして自分でデータを読み、そしてこれまで非常に正確なデータを積み上げてきたわけです。そういういきさつはずっとあったのですが、それまでは、ですから、文部省が中心、大学中心で積み上げてきたのですね。 その
流れ
が
神戸
の
地震
でもって大きくさま変わりしようとしております。大学に任せていた観測網を一元化という名のもとに集約して、どこかでまとめてやる。 ところが、正確なデータというのは、本当に研究者が自分のフィールドを愛して読めばこそ正確なデータが出てくるわけですね。そういうものをまた別のものに切りかえていく、一元化のもとに。そして、それを一カ所に何か集めて外注に出すというようなことになったときに、なろうとしているわけですが、果たしてそのデータというものは、これまで研究者が本当にすべての
エネルギー
を注いでやってきた、そういうレベルのものであり得るのだろうかということが非常に心配です。今後研究を進めていくためには、やはり高いレベルの観測精度というものを維持していきたい。これを落とすことによって、何か一見、見かけ上能率を上げる、そういうことは今後の研究の成果にとって大きなマイナスであろうという危機感を持った人は大変多いわけです。 もっと具体的にはいろいろありますけれども、どういうところがどう外注しようとしている、あるいは、どこの省庁がどういうようなことをしようとしているのかとか、いろいろありますけれども、それは省略いたしまして、基本的に言いますとそのことに尽きるわけです。もし精度が十分どのような方法であろうと維持できるならばそれでよろしいのですが、その保証がないと私は思います。
中島(武)委員(中島武敏)
29
○中島(武)
委員
ありがとうございました。
松本委員長(松本龍)
30
○
松本委員長
ほかにございませんか。 それでは、私の方からちょっと最後に質問をしたいと思うのですが、お話をお伺いしまして象徴的でしたのは、やはり、
日本列島
の成り立ちから、先ほど原発などは
マグニチュード
の六から八に備えるだけのものが必要だというふうに言われましたが、まさに私はそうだろうと思います。 そういう
意味
で、先ほどの池坊さんの話に絡むのですけれども、耐震性をしっかりして、経費はかさむけれどもタイトな建物を建てるのが一番だというふうな話ですけれども、
日本
は災害国でありますので、防災の面から、どこに
立地
をしてもこれだけ必要なものが要るんだ、空間が要るんだ、あるいは緑が要るんだということがあると思いますけれども、耐震性の高い建物のほかに、最低必要なものということでいえばどういう事柄がありましょうか。
溝上参考人(溝上恵)
31
○
溝上参考人
私は
地震
以外のことは全くの素人でございますが、やはりそこに多くの方が住まわれるわけでございますから、何といいましょうか、筑波の学園
都市
をちょっと想像するのですけれども、非常に限られた職種の人が、限られた世代といいましょうか、そういう人
たち
がっくるコミュニティーというものが
人間
的に必ずしも住みやすいところではない。ですから、もし新しいところができても、国家公務員と議員と最高裁の判事だけが住んでいて、あと若干のそれ以外にサポートする人が住んでいるというイメージはちょっと私にはわかないのです。 筑波学園
都市
では自殺が続きましたね。あれは、今でも決してあそこは住みよいところと言っている研究者はいないわけです、もちろん筑波おろしがございますが。やはり町というのは、私の感じでは、いろいろな人が一緒にごちゃごちゃ住んでいて、
人間
的な温かみというものを伴う
都市
、ヨーロッパの
都市
もそうですよね、古い
都市
は。そういうところがあればこそ、我々はあこがれてあそこへ行って、何となくリラックスするというところがありますが、つくられた
都市
の冷たさというものが、果たして、国会がそこに
移転
して国の非常に重要なことを審議なさるわけですが、冷たい人工的な
都市
で、官僚、国家公務員がいて、それ以外は実質的には何もないところというのは、余り
都市
という気はしない。ですから、何か二十一世紀に向けて、
人間
らしい姿をその中に加味していただく。 それと、東京との関係も、やはり東京はいろいろな問題を抱えておりますけれども、東京がさらに伸びていくために新しい
都市
がそれをサポートしていくというような感じになれば、東京とのいろいろな関係も非常にうまくいくのじゃないか。今、私が見たところ、必ずしもうまくいっていないのじゃないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。 そういう感じです。
松本委員長(松本龍)
32
○
松本委員長
ありがとうございます。 以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人
に一言お礼を申し上げます。
溝上参考人
におかれましては、貴重な御
意見
をいただきまして、まことにありがとうございました。
委員
一同を代表いたしましてお礼を申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせをすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時二十一分散会