運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-27 第140回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十七日(火曜日)     午後一時二十四分開議  出席委員   委員長 綿貫 民輔君    理事 自見庄三郎君 理事 野呂田芳成君    理事 谷津 義男君 理事 柳沢 伯夫君    理事 鹿野 道彦君 理事 中井  洽君    理事 枝野 幸男君 理事 松本 善明君       赤城 徳彦君    臼井日出男君       大原 一三君    金田 英行君       熊代 昭彦君    杉浦 正健君       谷  洋一君    中谷  元君       中山 利生君    福田 康夫君       船田  元君    松永  光君       山口 俊一君    山本 公一君       伊藤 達也君    石田幸四郎君       今井  宏君    倉田 栄喜君       斉藤 鉄夫君    富田 茂之君       永井 英慈君    西田  猛君       増田 敏男君    宮本 一三君       安住  淳君    池田 元久君       木島日出夫君    畠山健治郎君       前田 武志君    土屋 品子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君         国 務 大 臣         (内閣官房長官梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君  出席政府委員         内閣審議官   畠中誠二郎君         内閣審議官   白須 光美君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         大蔵大臣官房金         融検査部長   中川 隆進君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵使用銀行局保         険部長     福田  誠君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         証券取引等監視         委員会事務局長 若林 勝三君         農林水産省経済         局長      熊澤 英昭君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政省貯金局長 品川 萬里君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         特別委員会第三         調査室長    田中 達郎君     ───────────── 五月二十七日  特殊法人財務諸表等の作成及び公開の推進に  関する法律案内閣提出第六九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金融監督庁設置法案内閣提出第六六号)  金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出第六七号)      ────◇─────
  2. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 綿貫民輔

    綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 綿貫民輔

    綿貫委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤達也君。
  5. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 先週に引き続き質問させていただきます伊藤達也でございます。  本日は、公的金融部門の関連から、金融の問題について中心的に質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。  この問題に入る前に、本日は総務庁長官に御出席をしていただくことができましたので、まず総務庁長官に一、二点お尋ねを申し上げたいと思います。  政府行政改革会議が先週までに、全体のほぼ半数にわたる十省庁ヒアリングを終えたというふうに思いますが、この中で、行政改革に資する自己改革案ヒアリングの中から出てきたのかどうかを含め、現在までのヒアリングについての御感想を総務庁長官からお伺いしたいと思います。
  6. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ヒアリングの初日はたしか労働省ほかであったと思いますが、そのときには全く前向きの発言はなくて、こちらの質問に対しては、すべて必要でありますというお答えだったものですから、私は、そんなばかなことはないんじゃないかということで、二日目からに対しては、あなたの方が主体的に、自主的に考えて、それぞれ自分の役所ではこういうところはスリムにできます、こういうところの仕事はやめてもいいんですというものを出してくださいということで質問をいたしました。残念ながら、その後それぞれ省庁やりましたけれども、ほとんどと言っていいくらいそれに対する前向きなお話はございませんでして、大変残念に思っております。
  7. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今、長官みずから、やはりこの行政改革を進めていくに当たって各官庁からの抵抗が非常に強いんだ、自己改革案をみずから出してほしいというお願いをしてもなかなか出てこないんだ、こういうお話でありました。  今問題になっています金融改革の問題についても、これは行政改革一体のものでありまして、ある意味では、政治が明確な責任を持って、英断を持って決断をして、そして進めていかなければいけない問題であります。  先週の私の質問では、住専等の問題で今までの金融あるいは大蔵省行政一体どこに問題があったのか、そして今回の政府から提出されているこの法案で、その問題の中のどの部分が解決をされて、どの部分がこれからの課題として残っているのか、そのことをしっかり明確化していかなければいけない、その問題を中心に質問をさせていただいたわけであります。  そこで、一つ課題として残っているのが財政金融分離の問題であります。ここでも何回か総務庁長官にも質疑がなされたというふうに思いますが、私の質問の中で大蔵省政府委員からは、金融要請財政要請、これは利益相反する部分があるんではないですか、こういう質問をさせていただいたところ、そういう観点でとらえるのは適切ではないんだ、こういうお話がありました。また、この問題については相当に質疑をさせていただいたのですけれども、官房長官からも、大蔵省というのは明治以来非常に自信にあふれている官庁なんだ、この一年間こんなにたたかれてもこれだけの自信を持っているというのはすばらしいんだ、こんなお話まで飛び出たような状況でございます。  しかし一方で、与党の合意の中で、財政金融分離をするんだ、行政改革一つの大きなテーマなんだ、こういうお話でございます。また、今まで与党委員からも、この財政金融については利益が相反する部分だ、こういう指摘も出ているわけであります。  したがって、今回の金融監督庁設置という問題がこの問題についての第一歩を踏み出したのか、それとも、いろいろ考えたけれども、これが最終的な結論なのか、財政金融分離という問題が課題として残っているのかどうか、この点についてもう一度明確な総務庁長官の御意見を賜りたいと思います。
  8. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いずれにいたしましても、この金融監督庁というのは、金融のすべてを大蔵省で一括やってきたところに住専その他の問題があった、その反省の上に立って、指導監督についてはこれは別の組織にしようということであって、それは私はそれなりに評価をすべきだと思っております。  そこで、残った金融政策をどうしていこうかというのが今大蔵省に残っているわけでございます。この金融政策立案をこれまた財政と切り離したらどうかという議論があることは、連立三党の金融改革全体にわたってのお申し合わせになった中にも分離すべきだという意見が書いてあるわけでございまして、その点は今御指摘のとおり、連立与党の中にもそういう考え方はあると思います。  私は、この間から答弁しておりますのは、これはいろいろと私ども今議論をいたしておる最中でございまして、実は正直、私自身結論を出しておりませんし、行革会議でも結論は出しておりません。一つ考え方は、やはり今国際的に見ても、必ずしも他国が全部財政金融政策とが全く別のところであるというところばかりじゃない、逆に、財政をやっているところが金融政策の少なくとも立案についてはやっておるんじゃないか。そうすると、G7などの会合においても、そういうことを踏まえてそれぞれ大蔵大臣が出てきてやるんだから、日本もやはり同じでいいんじゃないかという考え方片一方にあるということを、たしか私は申し上げたと思います。  それから、いま一方においては、金融政策の中で結局残ってきた部分は、銀行に対する金融政策、それから証券に対する金融政策、それを一つにして金融局という形にするという中で、それは考えようによっては、金融業証券業も言ってみれば一つ経済官庁の中であっても悪くはないんじゃないだろうか、産業政策一環として見られないのだろうか、こういう考え方金融財政を切り離したらどうかという意見も、正直、片一方にあるわけでございます。  その辺、私はこの間も御答弁申し上げたと思いますけれども、G7をやっておる今、毎年これはしょっちゅうあるわけでございまして、現実は当面なかなか難しかろう、将来はそういう議論も踏まえてどういう形がいいのかを、我々としても行革会議の中でもどちらかの方向にやはり結論づけていかなければならないだろう。今はその過程でございますから、こういう二つの意見があるということを私は申し上げて、私自身もまだ固まっておりませんので、私自身考え方も正直今申し上げられるところまでいっていないというのが現状でございます。
  9. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今長官からは、今回のこの案が最終的な結論ではなくて、結論を出していくまでの過程なんだというお話でございました。この問題については、また時間がありましたら、後ほど大蔵大臣並びに大蔵省政府委員の方に重ねて質問をさせていただければというふうに思っております。  次に、本委員会でも余り議論になっておりません、財政投融資全体の問題について、質問観点を移させていただきたいというふうに思います。  財政投融資の問題この改革をする必要があるのかどうか、する必要があるのであればどういう方向で考えていかなければいけないのか、この問題について三大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  九五年度末の財投の規模は四百五十二兆円に上り、ほぼGDPに匹敵する巨額の資金が、市場と離れた論理で回っていることになります。こうした国家金融をこのままの姿で放置しておけば、日本金融資本市場をゆがめてしまうわけで、ビッグバンを進めていくためにも、民間金融機関改革郵貯のような公的金融分野改革は、両方とも私は必要ではないかなというふうに思いますが、この点についての基本的な考え方をお伺いしたいと思います。  総務庁長官は、たしか五月の二十九日、ロンドン資金運用部の廃止について言及をされたのではないかというふうに思いますし、大蔵大臣もたしか、厚生大臣との間で年金自主運用検討する、そのことをある意味では約束をされたということであります。三大臣に基本的な考え方についてお伺いできればと思います。
  10. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、一時四十分からまた参議院内閣委員会に行かなければなりませんので、お二人にお許しをいただいて、私が最初お答えをしていきたいと思います。  これをお答えすればもうよろしゅうございますか。──それでは、これをお答えして参議院の方へ参りたいと思います。  私が考えているのは、たまたま今ロンドンでというお話でございますが、郵貯というか郵政事業についていろいろの議論が闘わされております。その中で郵貯だけを取り上げましても、やはり郵貯というのは金融業一環だと思います。金融というのは、やはりお預かりしたお金をいかにうまく運用して、その預金者に安心してまたいつでも利息をつけてお返しができるか、これをきちんとやるのが金融業だと思っております。  ところが、郵貯の場合には、全部、少なくとも資金運用部へまず入れてしまう。このごろは自主運用が少しふえてきたといっても、一応は資金運用部へ入れておいて、またそこから郵貯特別会計へ出して自主運用をやる。何もそんな面倒くさいことをやることはないんじゃないか、そのまま郵貯の方でおやりになればいいのであって、なぜ一遍資金運用部へ全部預けなきゃいけないのかというようなことから、あるいは後ほど大蔵大臣からお話があるのかもしれませんが、年金の分にしたって、年金保険料をなぜそこへ全部預けて運用しなきゃいけないのか、私は、そういう点が一つあるんじゃないかということで、資金運用部見直しをすべきだ。  それから、もう一点からまいりますと、どうも、少なくともこのごろ少しは大蔵省考え方を変えてきたようでございますが、かつては大蔵省は、平気でこれは第二予算という考え方財投を考えておった嫌いかないわけではない。だからこそ、安易に出ていって、結局、国鉄清算事業団にしろ国有林野にしろ大きな赤字を抱えてどうにもならないところへ来てしまった、あるいは道路公団その他住宅・都市整備公団にいたしましてもどんどん金を貸してしまった、先ほどの話でも、累積金額は大変大きい金額になってしまった。  ところが、それは一体返せるのか。道路公団にしたって、その他今申し上げた都市整備公団にしたって、赤字を毎年毎年続けている。普通、金融業だったら赤字が毎年続くようなところへ、企業へ貸すはずはございません、また貸してはいけないのですね。それを平気で貸しているというのは、一体、これは本当に投融資といいながら融資なのか。  だから、財政投融資というものは本当に、投資はこれは出資でございます、それは別といたしましても、少なくとも財投融資部分については、一日も早くそのような赤字を続けているようなところへは金を貸さない、いわゆる財投の金は出さない。それから、やはり第二予算という考え方ではなくて、それはどうしても政府仕事に近いことをやっているところだから、そこへのお金というものは融資をするけれども、しかし、それは返せる返済計画をちゃんと見てから貸すというような形で、きちんとしたことをやっていくのが財政投融資融資あり方ではないか。そういう面で、資金運用部なり財政投融資というもののあり方というのは、この際、財政構造改革あるいは行政改革をやっていく上においてはこれは放置できない問題だ、こういう認識で私は申し上げたわけでございます。
  11. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま総務庁長官からも話がありましたが、一点、問題点として、恐らくおわかりで欠落したと思うのですが、財政投融資資金は、長期に及ぶプロジェクト、単年度ごと一般会計予算ではなかなかなし切れない、やる大型プロジェクトはありますけれども、他の分野について有効適切、また費用対効果を出すという意味大型プロジェクト資金提供、こういうこと、端的に言いますと道路公団等々であります。  そういう中で、民間金融は、御案内のとおり三年から五年という言うなれば短期金融を行ってまいる、それは金利政策もあり、世界的な経済情勢もあって、株式会社である金融会社は株主に責任を負うという意味で当然のことでありまして、お互い長期短期役割分担ということが今日の日本を築いてきた一つの手法でもあります。  それはそれとして、財政投融資は、御案内のとおり、財政政策の中で有償資金の活用が適切な分野に対応をするという基本的な役割また必要性は、私は将来とも残っていくと思っております。しかし、その受け持つ具体的な役割は、社会経済情勢等変化に応じ変わっていくことの必要性、これは認めておるところであります。  したがいまして、財政投融資について改革を推進するとの基本方針のもと、対象となる分野事業について、公的部門は本来民間の活動を補完すべきものであるとの観点や、償還確実性といった観点などを見直すとともに、効率的かつ重点的な資金配分を図っていく必要があると考えております。  こうした考えのもとに、資金運用審議会懇談会をつくりまして、財政投融資について改革を推進する観点から広く意見を聞いておるところであります。本格的な検討研究がただいま進んでおると報告を受けております。小泉厚生大臣との関係におきましても、本件が真剣に研究検討が行われておるという観点で理解を求めたところであります。     〔委員長退席野呂田委員長代理着席
  12. 梶山静六

    梶山国務大臣 三大臣ということですから立ってまいりましたけれども、私の所管外でもございます。私見を述べることは差し控えたいと思います。
  13. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 所管外だというお話でありましたが、この問題は、行政改革会議あるいは財政構造会議の中で具体的に財投の問題を取り扱うということをちょっと切り離して、今大蔵大臣から御説明がありました資金運用審議会懇談会議論をしていく。これは主管は恐らく総務庁で、官房長官の担当ではないかというふうに思うのですが……(三塚国務大臣「それは私です」と呼ぶ)そちらですか、わかりました。私はぜひこの点についての意見をお伺いをしたいというふうに思いますが、もう一度、後ほど官房長官にはさらに重ねてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  今、総務庁長官の方からは明確な問題意識お話があったと思いますし、大蔵大臣の方からは、今までやはり財投財投なりの役割は非常にあった、ただ今の時代の変化を考えると、その貸出先については、対象についてはやはり見直しをしていかなければいけないのだ、基本的に改革必要性はあるのだ、こういうお話であったというふうに思います。  昨年の夏だったと思いますが、大蔵省によると、いわゆる財政投融資の使い残し、この残高が十兆を超えた、十兆一千二百八十九億円に上った、こういう発表があったわけであります。これは、公的金融資金の偏在が生じ、需給にミスマッチが生じている、そのことを端的にあらわしている事実ではないかというふうに思います。  また、先ほど総務庁長官から、貸出先幾つかの機関赤字になっていて、その金が返ってくるかどうかも疑わしいのだ、こんなことをやっていていいのか、こういうお話がありました。  国会でも一つの大きな問題になっているのが旧国鉄累積債務の問題であります。要処理額最初は二十二兆円と言っていたものが二十八兆円に拡大をして、財投から高い金利赤字を埋めていたことに大きな問題があるのではないか、こういう指摘もされているわけであります。また、財投から約三兆三千三百億円借りている国有林野事業特別会計も、七五年度以来の慢性的な赤字ゆえ返済が危ぶまれており、他にも財政投融資の回収が非常に危惧されている団体が幾つもあるわけであります。  そこで、大蔵省にお伺いをしたいわけでありますが、政府系金融機関の今の不良債権現状状況というのはどういうふうになっているのか、そして最近の傾向というものはどういうものなのか、お伺いをしたいと思います。
  14. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  平成七年度の大蔵省所管政府系金融機関輸出入銀行開発銀行及び国民金融公庫でございますが、これを取り上げまして御説明申し上げますと、延滞債権額、これは元金が六カ月以上延滞している貸出金のことでございますが、これが、それぞれ延滞率で申し上げますと、輸出入銀行が一・〇五%、開発銀行が〇・三一%、国民公庫が二・一六%、トータルしますと一・〇一%でございます。  ちなみに、全く同じ基準かどうかはわかりませんが、同じようなベースで民間金融機関不良債権率延滞、破綻というところだけで見ますと、三・三五%になっております。  時系列的に見ますと、先ほど私が申し上げました七年度末一・〇一というのは、その前の年は一・一六、その前の年が〇・九七でございますので、大体一%前後で推移しているというのが現状でございます。
  15. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 政府系金融機関は、大蔵省が他の省庁共管ということになっております。したがって、私は、大蔵省にこれをお尋ねをすればいろいろなデータがすべて出てくるのかなと思いましたら、大蔵省の方では、自分が直接監督をしているところしか出せない、それぞれの共管になっている各省庁に聞いて、それで出してもらえないか、こういうお話でありました。やはり共管問題点があるのかな、したがって、私は半日かかって他の省庁お願いをして、政府系金融機関の実態はどうなのか、その基本的なデータを集めるのに約半日かかったということであります。  そのデータを見てみますと、商工中金で平成七年度末で一二千六百十九億円、中小企業金融公庫、これが一千八百七十四億円、国民金融公庫千九百四十四億円、住宅金融公庫千九百三十七億円という数字であります。特に、住宅金融公庫は、平成七年度は件数が一万四千件になって、平成六年度と比べて倍に膨れ上がっている、そして不良債権の額は平成六年度に比べると五倍に膨れ上がっている、こういう状況であります。  したがって、公的金融分野市場経済の波に巻き込まれて、政府系金融機関においても不良債権拡大をしている、こういうことも言えるのではないかというふうに思います。  そういう意味では、この政府系金融機関検査監督というものを、政府が言われている新しい金融監督庁でこれはやるのかどうか、この点についても明確にする必要があると思いますが、ここはいかがでしょうか。
  16. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  御高承のとおり、今般の金融行政機構改革におきましては、民間金融機関等検査監督という機能、これを当該金融機関に係ります企画立案機能分離する、これによりまして市場規律を基軸といたしました透明かつ公正な金融行政への転換を図る、これを趣旨として行うものでございます。また、民間金融機関につきましては、その検査監督、この目的は、信用秩序の維持、預金者保護の確保、こういうことを目的として行っているところでございます。  対しますに、政府系金融機関につきましては、その行っております政策金融、これは政策的意義が高く、政府による公的関与を求められている分野のうち、民間金融のみでは適切に対応することが困難な分野資金を供給するものということでございまして、政府系金融機関に対します検査及び監督、これは、主といたしまして政策目的の実現という観点から、当該政府系金融機関政策目的に沿った業務運営を行っているかどうかということを監視し、また、必要な命令等を行うということを主たる趣旨としているということでございますので、これらの両者の検査監督、これについては、極めて性格、趣旨の異なったものということでございまして、今般の政府の方からお願いいたしております法案におきましては、政府系金融機関に対します検査監督につきましては金融監督庁の所掌とはいたしてないところでございます。
  17. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 ここでもやはり一つ問題点があるのではないかと思います。  今の御答弁は、一言で言えば、民間金融機関ではないから金融監督庁対象にならない、こういうお話であろうかと思いますが、先ほどお話をさせていただいた政府系金融機関、その中で幾つ行政改革の中で民営化の必要があるのじゃないか、そういうことで具体的に今俎上に上っているものがたくさんあります。そういう意味では、近日中に民営化されていくものも入っているわけであります。  また、監督行政検査行政の一元化ということを考えれば、やはりこれは金融監督庁に一元化をしてそして監督をしていくということ、先ほどおっしゃられたなぜやらないのかという理由を超える理由が何かあるのかなという感じがして、私自身は十分納得できないところであります。やはり、この点も議論として残っているところではないか。  私はどちらかというと、財政投融資の問題、この改革というのは、非常に利害関係が絡んでいて、政治的にも大きな問題であって、やはりこれに手をつけると大変なことになってしまう。そういうことで、金融検査監督の中で公的金融部門検査監督も本当は課題としてのせなければいけないのに、これをのせてしまうとやはりいろいろな問題が起きてしまう。したがって、今回は余りこの問題にさわるのはやめようじゃないかということがやはりあるのではないかという気がしてならないわけであります。  したがって、この国会でもそれほどこの問題が議論になってこなかった。しかし、これはやはりこれから考えていかなければいけない大きな問題点一つであろうというふうに思いますので、その問題点指摘をさせていただきたいというふうに思います。  次に、郵政省の政府委員の方においでをいただいていると思いますが、お伺いをしたいのは、バブル後の郵貯の預金残高の推移、それから伸び率と過去十年間で郵便局が都市部と町村部でどのように増減をしたのか、また、個人預金残高に占める郵貯のエリアごとのシェアといいますか、その特性についてお伺いをしたいと思います。
  18. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  まず、お尋ねの一点目のバブル後の郵貯残高伸び率でございます。バブル後というのをいつからととらえるかいろいろ見方があろうかと思いますけれども、平成四年度以降ということで申し上げたいと思いますが、郵便貯金の残高の伸びというのは、元加利子の伸び率と純増の伸び率、この二つに分解することができまして、これは分けて見る必要がありますものですから、この二つに分けて申し上げます。  まず、元加利子等の残高の伸び率は、平成四年度が五・八%で、平成八年度四・〇ポイントと低減しております。それから、純増の伸び率でございますが、平成四年度では三・五でございましたが、平成八年度では一・五%ということで、これも大幅に低下しております。トータルとしまして、平成八年度で申し上げますと、元加利子の伸び率、純増の伸び率合わせまして五・五%。これは、郵貯の戦後の伸び率の中の一番低い数字ということで認識しております。  それから、その次に、バブル後の都市部と町村部の郵便局の数ということでございます。先生の先ほどのお尋ねで十年間ということでございましたが、私ども、ちょっと申しわけないのですが、バブル後ということで、やはり同じように、これは直近の数字がわかりますものが平成七年が一番新しいものですから、過去五年間、平成二年から平成七年で調べてみました。  この間に、実は市町村の町村合併等がございまして、市の数と町村の数と違っておりますので、平成七年度末で市であるもの、町村であるものをベースに申し上げますと、市部にある郵便局は現在一万五千二百六十四で、平成二年と比べまして四百三十九ふえております。それから、町村にある郵便局は平成七年度末で九千三百十局、平成二年が九千二百八十六でございますので、二十四ふえておるということでございます。  それから、お尋ねの三点目の郵便貯金の地域別のシェアでございますが、都市部というのもなかなかとらえにくいのでございますが、ひとまず都市部というのを首都圏、近畿圏ということで見て申し上げたいと思います。  今、個人資産一千二百兆と言われますように、この数字で見るのが適当かと存じますけれども、残念ながら、地域別にこの一千二百兆というのがどのように分布しているかというのを私ども承知しておりませんので、いわゆる預貯金のシェアで申し上げたいと思います。首都圏、これは首都圏整備法で決まっております一都七県で申し上げますと三丁六%、それから近畿圏、これは近畿圏整備法に基づく二府六県で申し上げますと三四・八%でございます。九州、東北を都市部以外の地域と申し上げるのがいいかどうかあれですが、参考までに申し上げますと、東北六県で三六・三%、九州で四一・〇%、このようになっております。  以上でございます。
  19. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今の、恐らく私の質問趣旨はよくわかっておられたのだと思いますので、統計の出し方があれかなというふうに思うのですが、例えば郵便局の数なんですけれども、都市部と町村部、その九四年と十年前というものを比べてみると、都市部ではたしか一千百九局ふえているのではないか。そして、逆に、町村部では百十四局減っているのではないかというふうに思います。また、首都圏や京阪神では、個人貯蓄に占める郵貯の比率というのは伸びていまして、実はこれは、銀行が縦横無尽に出ているところは郵貯も伸びているのですね。それをある意味ではあらわしている数字の一つではないかと思います。  これは、別の観点からいえば、やはり民間金融企業を圧迫をしていることの一つの証左になるのではないかというふうに思います。財政投融資改革の中で一つ大きな問題点として挙げられるのは、民間金融企業に対する圧迫がある、同じ条件で戦えないんじゃないか、こういう点ではないかというふうに思います。  そこで、国際金融局長、おいでをいただいていると思うのですけれども、お伺いをしたいことがあります。  郵貯は、大体今二百二十兆円ぐらいの規模にあるのではないかというふうに思いますが、この郵貯を国際的なプレーヤーとして見た場合に、どういうふうにこれはごらんになることができるのか。そのことをちょっとお伺いをしたいと思います。
  20. 榊原英資

    ○榊原政府委員 お答え申し上げます。  郵貯が個人から貯金を集めるプロセス、これは全くローカルなプロセスでございますので、国際金融市場関係はございません。  ただ、御承知のように、郵貯特会の中に金融自由化対策資金というのがございます。それから、郵貯との若干の関連で、簡保事業団というのがありますけれども、この郵貯金融自由化対策資金と簡保事業団が、合計、これは七年度末の公表された数字でございますけれども、外債投資の残高が二兆六千九百九十一億円あるということでございます。全体から見ると外債投資の残高は非常に少のうございますけれども、この限りで国際金融市場にインパクトを持っているということだというふうに理解しております。
  21. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 重ねてお伺いをしたいというふうに思いますが、それでは、公的金融部門あり方ということについてでありますけれども、これは外為法の改正の影響について金融局長から当委員会でもお話があったわけでありますし、これからビッグバンというものを現実のものにしていかなければいけない、成功させていかなければいけない。そういう意味では、市場機能をしっかり発揮できるような環境をつくっていくんだ、そのためのインフラ整備として、公的金融部門あり方というものについて、これはやはり見直していく必要があるのではないかというふうに思います。  そういう意味では、国際金融局長の立場から、もう少し踏み込んだお話があってもいいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  22. 榊原英資

    ○榊原政府委員 郵貯公的金融がどうあるべきかというのは私の所管外でございますので、私、国会で個人的な意見を言うほど偉くございませんので、御勘弁いただきたいと思います。
  23. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 お答えをいただけなかったので非常に残念であります。どうもこの問題を話していくとみんなしり込みして、しっかりとした議論ができないのは非常に残念なんです。  そこで、ちょっと論点を変えて、欧米の公的金融状況一体どうなっているのか、民間金融とのすみ分けというものがどうなっているのか、その状況大蔵省の方からお教えをいただきたいと思います。
  24. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えいたします。  いわゆる財政政策といいますか、公共財とそれに準ずるようなものの供給でございますが、これを行うのに、委員御存じのように、主に三つの手段があるわけでございます。一つは税金、それから公債を財源とした予算、それからもう一つ有償資金でございます。  いずれも単独ということではなくて組み合わせがあるものでございますが、仮にすべてを税金で行うということになりますと、これは現世代が全部やることになって、税負担が非常に大きくなってしまうわけでございます。  もう一つ予算ですが、財源を公債に頼るということになりますと、これはその償還が将来の租税収入ということになるものですから、将来の世代が国民全体で負担するということになるわけです。  そこで大事なことですが、三番目の有償資金でございます。これは、有償資金事業を行っていずれ償還を求めるということになりますと、これは返済を、将来の租税収入ではなくて、まさに投融資事業資金回収によって行うわけでございます。これにはやはりふさわしい分野というものがあるわけでございまして、例えば有料道路の整備なんかは、やはり有料道路を通った人からそれは回収すべきであるということ、また例えば住宅とか農業とか中小企業も、これはやはり自助努力を求めるべき分野、そういう意味では資金回収を求めてしかるべきなんですね。  そういうことからいいますと、先ほど委員が言われました、欧米でも有償資金を活用する制度というのは、これはどこの国にもあるわけでございます。共通して、ございます。それは今、先ほど委員が言われました、では、全体の中でどういう位置づけになるかということになりますと、それはそれぞれの歴史とか沿革によって異なるわけでございます。  しかし、例えばアメリカ、これは連邦信用計画というのがございます。これはシェアというのは分子、分母、いろいろとり方、定義があるものですからなかなかとりにくいのですが、大体金融市場において十三から一九%のウエートを占めております。それから、フランスなども、これは我が国とかなり似ている財政投融資制度、似ている制度がございます。これもウエートでいきますと、預金供託公庫だけでいいますと一七%ですし、さらに特殊金融機関などを含めますと二三%にも達する。あと、ドイツも同じようなことが言えますし、イギリスは、これは住宅金融をやっておりませんので、非常にウエートが少ないのでございます。  そういう意味でいいますと、我が国の財政投融資計画ないしは公的金融金融市場に占めるシェア、これはいろいろな計算がありますが、大体一七から二七%という試算もしております。これは大体欧米の主要国と比べてみて、著しく大きいわけでもなく、似通っているというぐあいに考えております。
  25. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私なりにも調べてみたのですけれども、これは大体、特徴というのを見てみますと、欧米の主要国を日本と比較してみますと、その公的金融の規模とシェアはやはりこれはかなり小さいということだろうと思います。それから、欧米の取り組みというのを見てみますと、八〇年代以降は公的金融の縮小化そして効率化に向けた努力というのがやはり相当されてきたということでありまして、基本的には、日本のように受動的に資金を集める構造ではなくて、初めに出費の目的ありきのシステムになっている。また、財政的な政策コストは個別案件ごとに評価する仕組みが非常に明確にでき上がっているということではないか。ここに日本財政投融資改革を進めていくに当たっての一つの共通の課題というものがやはり学び取れるのではないかというふうに思います。  そこで、今までいろいろ議論を聞いていただいて、大蔵大臣にまずお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  これは、また郵貯の問題をお伺いして大変恐縮なんですけれども、欧米先進国を見ますと、いわゆる郵政事業の中で郵貯を残しているのはたしかイギリスだけではないか。アメリカ、ドイツ、フランス、イタリーと、ほとんどの国がやはりもうこの問題についてはしっかりとした結論を出しているということであります。つまり、官業としてそれをやめているという方向性ではないかというふうに思います。  一方で、日本の国内に目を向けてみますと、先週開かれた全国特定郵便局長会の総会で、これは与党も野党も、有力な先生から、行政改革の重要なテーマである郵政事業について、これは反対だという意見が出されたわけであります。  例えば、自民党の加藤幹事長からは、国民にとって大切なものは残っていく、郵貯、簡保も財投で国の経済に血液を与えている、こういうふうに述べられているわけでありますし、小渕前副総裁からも、群馬で大会を開きたかったのですが、よく考えてみるとまことに愉快じゃないかと思った、郵貯をやめたらよいと言われる政治家がこの神奈川に  神奈川で開催されたわけですが、神奈川におられるからです、そこで全国の局長さんが集まってこの制度の保護という大会を開く意義はまことに大きい、こういうお話をされて、ある意味では小泉厚生大臣がやり玉に上がったということであります。  これに対して厚生大臣の方からは、この大会はまさに既得権益を守ろうとする勢力の大集会でしょう、まるで行政改革反対を叫んでいるようだ、そしてさらに、郵政事業民営化なくして行政改革財政改革はあり得ません、時代の流れなんです、こういう反論があったわけであります。  そこで、大蔵大臣にお伺いをしたいのですが、小泉大臣とも非常に親しく、政治家としての活動をともにされ、また、今までの議論、まじめに私は議論をしてきたつもりでありますけれども、この一連の発言も踏まえて、また小泉厚生大臣の思いも踏まえて、もう一度大臣の方からお考え、御感想をお伺いできればというふうに思います。
  26. 三塚博

    三塚国務大臣 年一回、全特局長会議と言っておりますが、開かれることは承知をいたしております。また、報道で大会の模様なども拝見をいたしました。また、伊藤委員からせっかくのコメントの御紹介などもお聞きをさせていただきました。それぞれの立場でコメントしておることであり、私からは発言された方の一つ一つに反論しない方が正解だな、こう思います。  郵便貯金は簡易な少額貯金制度、こういうことでスタートを切り、一千万を上限としてそれ以下、こういうことであり、その地域地域にそれなりの貢献をしていることはわかります。同時に、本来の目的に沿って、民間金融市場との整合性というものも図っていく必要があると認識はいたします。同時に、政府事業の将来のあり方につきましては、国がどのような機能を果たすべきなのかという観点から、聖域なく検討が行われるものと私は考えております。
  27. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 これは官房長官お答えがしにくいところだと思うのですけれども、ぜひお答えをいただきたいと思います。  恐らく官房長官は、いわゆる郵貯あり方、存在に対しては非常にその意義も感じられている部分もあるのではないか。一方で、行財政改革の重要なテーマの一つであるということも認識されているのではないかというふうに思います。そういう意味では、これは非常に大きな問題でありますし、極めて政治的な問題の一つでもあろうと思います。そういう意味ではどうしても官房長官のこの問題についてのお考えをお伺いしたいと思いますので、ぜひ御答弁の方、よろしくお願いいたします。
  28. 梶山静六

    梶山国務大臣 ちゅうちょいたしましたけれども、たっての要求でありますからお答えを申し上げたいと思います。極めて私見にわたると思いますけれども、お許しをいただきます。  今冒頭に委員が御指摘になったように、官業が民業を圧迫するというか、あるいは官業は民業の補完的な役割ということを言われたわけでありますが、一般論としては理解をいたします。しかし、官業も民業も、利用をするのは一般国民であります。国民という視点を忘れてこの問題の解決はありません。私は、委員と違って農村部でありますし、また、年齢もはるかに高い。勤倹貯蓄の美風のもとに私たちはやってきた人間でありますから、地方にとって郵便局とは何なのかという、一つは確かに貯金を預かってくれるところというあれもありますが、官業というか、いわば公が地方にある唯一の機関と思ってください。  昭和三十年に、常陸太田というところが町村合併をいたしまして、一町八カ村が一緒になりました。そのときは八カ村には全部役場もありました。それから警察の派出所もありました、駐在所。ところが、合併をして十年たちますと、各市町村の中のいわゆる分室というか、そういうものは一切、役場が取り払われました。それから、警察はこれだけ人員をふやしておりますが、地方からはほとんどの駐在所を引き揚げて、大都市中心になっていることは、効率化、能率化、あるいは警察の任務である凶悪犯その他が都市部に多いという現実もあろうかと思います。そして今、わずかに残っているのは、一町八カ村のうちで──一町のうちには確かに民間金融機関がありますが、その他の旧村には一行もありません。役場の出先機関もないわけであります。  そういうところにある公の機関というのは、貯金業務を離れて一つの安心感、行政というのはあまねく公平、平等な、いや、最低限度の行政水準は維持をしなければならない、これを考えれば、私は、郵便局という名の公がそこにあることは、大変な利便であるし、住民に対するサービス。ですから、むしろ、郵貯をどうするかという問題以前に、あるいは戸籍業務やその他のことをそういう出先に任せることができるかどうかということを考えるのが、国民の行政水準を維持しようという立場であれば、当然やらなければならない。恵まれない地域、そういう地域にどういう行政を与えるかということが一点あろうと思います。  それからもう一つは、これは大変皮肉な言い方でありますが、毎日、きのうまでは第一勧銀への攻撃を聞きました、証券業界も聞きました。そこへいくと、前には若干の、二百万、三百万の使い込みが郵便局員にもなかったわけではございませんが、大きな貸し出しができないという一つの面もありましょうけれども、郵政の監察というのは大変厳しいもので、そういう意味での公金の取り扱いは極めて厳正である。ですから、郵便貯金が民間と比べて何と何と何に優位性を与えられているのかというものは、当然比較検討をしていかなければなりませんが、官業なるがゆえにというか、民間というか一般国民が要望するものを奪っていいのかどうなのかという視点も見なければなりません。  銀行はやはり危ないなという話がありますし、私の方の農村の御婦人や皆さん方から聞くと、郵便貯金がいっぱいになったから銀行も利用しよう、銀行の金は時々おろすのに使おう、そういう習慣というか、身を守ることがあります。一千万までしかどっちみち貯金はできませんから、ほかの金融機関、一千万までしかこれからは保証をしませんよと言われると、郵便貯金は、保証は一千万までといいながら、家庭にそれぞれあればやれるわけですから、その点は安心をいたしております。  私は、反面教師として言うならば、民間金融機関の堕落が郵貯をして強大にさせている。それは国民の選ぶ英知であります。それを無視をして、郵貯はだめだというのは、これは余りにも国民の権利を奪うものではないのかな、極論でありましょうけれども、そういう気もいたします。  そして、出口論をよく言いますが、入り口と出口、出口は間違いなく政府が全部やっている仕事です。大蔵省の理財局長、そこにおりますが、そういう方々がやっている。貯金があるからむだな道路をつくっている、この間NHKでやっていましたけれども、これも暴論だなと思うのですね。北海道の苫東の、一日八台しか通りません、これも財投があるからだと。確かに財投はわかる、それが郵貯改革論のいわばテーマになってあったのですが、これも論理の飛躍だという気もいたします。  どこでどういうボタンのかけ違いがあるかわかりません。しかし、郵貯というものが民間と競争するのに余りにも有利な条件があれば、それは直さなければならない。いや、民間よりは若干弱い条件でも戦えなければならないというのは、国家という背景、信用を持っているからであります。  そういうものを比べて、いい意味銀行が競争し合うという、私は官業の中でただ一つ役人が胸を張れるのは郵貯ぐらいしかないのじゃないかと思うほどすばらしいものであるのですから、そのすばらしいものを奪ってみると、みんなだめになる。そうすると、お互いにだめで渡れば怖くない、みんなで渡れば怖くないということになっては大変でありますから、銀行がちゃんとするまでは、官業である郵貯がしっかりとしていてくれることが国民の安全、特に地方ではそういう思いがいたします。  あえて私見を申し上げました。
  29. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今あえて私見をお述べいただきまして、どうもありがとうございます。  最後の部分が一番重要ではないかなというふうに思います。私は何も、郵貯が悪いというようなことはここで一度も話をしているつもりはありませんし、民間金融機関の努力がきちっとされているんだという話も一度もしたことがないわけであります。  しかし、これから外為法が改正をされて、いわゆるビッグバンというものを成功させていかなければいけない。その中で貫かれているのは、これはもう市場に聞けということであります。その中で、一番いい金融機関はどこなのかということが、これは利用者の側から選ばれていくということでありますから、そういう意味では、郵貯においても、やはり同じような競争条件の中で郵貯も戦っていかなければいけない、そういう時代にもう突入し始めているということではないかというふうに思いますし、やはり改革議論からは避けては通れない、今までと同じでいていいのではないということ、だと思います。  特に最後のところは、民間金融機関がもっとしっかりすれば、この問題についても議論していかなければいけない、そういう意味も含まれていたのではないかというふうに思いますから、そういう意味では、やはり民間企業がしっかりなっていく、これは短期間のうちにしっかりさせなければいけないというのがビッグバンの本来の趣旨でありますから、これは極めて短期的な、重要なテーマだと思いますので、しっかりとした議論をあわせてやっていかなければいけない、そしてできるだけ早くその方向性についても見出していかなければいけないというふうに思っております。  ここで、大変お待たせしまして申しわけございません、日銀総裁にお越しをいただいておりますので、総裁に二、三、最後に御質問をさせていただきたいというふうに思います。  総裁、個人貯蓄残高が今一千二百兆円に上ろうとしている中で、個人が中心となって預け入れていると思われている郵貯の残高は、平成八年九月末時点で二百二十兆円というふうになっています。個人の株式が約八十三兆円であることを考えれば、非常に突出したお金郵貯に流れている、こういう結果になっているというふうに思います。これはある意味では、市場を少しゆがめている、あるいは大きな影響を与えているというふうにも思えるわけでありますけれども、日銀総裁としてのこの点についての見解をお伺いしたいと思います。
  30. 松下康雄

    松下参考人 いわゆる日本版ビッグバン構想でございますが、これは、我が国の金融資本市場ロンドン、ニューヨーク並みの活力のあるグローバル市場に発展させていくことを目指すものでございます。そのためには、市場参加者が自己責任原則に基づきまして自由な金融取引を行い、あわせて、市場原理が十分に働くような市場環境を整えていくということが今大切な課題であると思っております。その際に、私どもの立場からの一般論として申し上げますけれども、郵便貯金を含みます公的金融につきましては、官業は民業を補完するということを基本原則としてまいることが適当であると考えております。  郵便貯金につきましても、そういった基本原則のもとで、市場原理のもとで動いている民間金融機関の活動に及ぼします影響にも十分配慮されながら、市場原理との調和が図られますように運営されていくことが、ビッグバンを行っていこうということの中でますます重要となってくることであると認識をいたしております。
  31. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今、総裁からは、やはり郵貯の問題についても市場原理との調和の中で考えていかなければいけないんだ、そういうお話であったと思います。  そこで、最後に二つお伺いしたいのですが、これは、金融政策の独立性にかかわる部分についてお伺いをしたいと思います。  バブル期においては、金融政策は、財政政策のしわ寄せの結果、公定歩合を歴史的に低い二・五%とせざるを得なかったという議論があります。この委員会でも、何度か大蔵省政府委員からも触れられて、それに対して反論があった点であります。ただし、一方で、財政も昭和六十二年の景気対策を打ったということは、これは余り知られていない事実であります。すなわち、低金利財政出動がバブルの原因とも考えられるのではないかというふうに私は思います。  こうした中で、バブル期における金融政策へのしわ寄せ論ということが言われておりますけれども、このしわ寄せ論について日銀総裁としてどのようにお考えになられているのか、お伺いをしたいと思います。
  32. 松下康雄

    松下参考人 私どもは、金融政策を行ってまいります上で、政府大蔵省とは一般金融経済情勢等につきまして日ごろから意見交換をよく行っておりますけれども、金融政策の決定自体につきましては、これまでもあくまで日本銀行がみずからの判断と責任において行ってきたところでございます。  こう申し上げました上で、バブルの当時を振り返ってみますというと、いわゆるバブルの発生というものは、自由化、国際化などの経済環境の変化や、首都圏への一極集中とか、あるいは土地取引に関する法制、税制など、さまざまな要因が相互に影響をして生じました複雑な現象でございましたけれども、私ども、長期にわたる金融緩和にもその原因の一端があったということは否定できないと思っております。  ただ、当時は、景気回復が強まる中で、物価の安定基調は維持されておりましたし、また為替、円高のデフレ的な影響が非常に強く懸念をされておりまして、国の経済政策の上でも、大幅な経常黒字の是正とかあるいは円高の回避が最優先的な課題とされていた時期でございます。そういった中で、金融政策運営面でもぎりぎりの選択を迫られたということと理解をいたしております。  このような経験を踏まえまして、私どもといたしましては、金融政策の運営上大事なことは、為替相場の安定とかあるいは対外不均衡の是正のために過度に金融政策に依存した対応をとることは適切ではないので、あくまでもインフレなき持続的成長というものを目標としていくべきである、また、資産価格とかマネーサプライの動向などにも十分注意をして早目早目に対応をとるべきである、そういうふうに考えているところでございます。私どもは、日銀法改正が行われまして独立性が名実ともに強化をされますれば、これに対応するために、こういう点を十分念頭に置きまして、今後とも適切な金融政策運営に努めてまいりたい一と思っております。
  33. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今のお答えの最後の部分に関連するところでもあるのですけれども、重ねて総裁にお伺いをしたいと思います。  アメリカでは、昨年の大統領選挙においても、国民との契約の第一に財政再建が挙げられていたわけであります。さらに欧州でも、EMUへの加盟条件の中に財政についての基準があり、各国とも財政健全化に向けて努力をしている最中であります。  こうした中、景気対策については財政に依存しないで金融政策で対処していくというのが欧米先進国のコンセンサスになっているのではないかというふうに思います。つまり、財政が出ずに金融政策で景気を調整することは、一番に言われるしわ寄せ論ではなくて、これこそが私は日銀の活躍の場になるのではないかというふうに思いますが、この点についての御見解をお伺いをさせていただきたいと思います。
  34. 松下康雄

    松下参考人 現在の各国の財政状況のもとにおきまして、財政再建というものは、中長期的に見ますと、我が国経済にとりましても、またG7等の主要先進国経済にとりましても、非常に重要な課題であると思っております。これは、非効率な財政支出が削減されあるいは財政赤字の累増を回避することによって財政に対する信認が回復されれば、それは、民間部門における規制緩和などと相まちまして、中長期的に見ていけば各国経済の健全な発展に資することだからであると思っております。  それでは、最近の国内経済情勢政策運営において私どもはどういう考え方に立っているかと申しますと、私どもはこれまで、景気を自律的な回復軌道にしっかりと移行させるということをねらいといたしまして、思い切った金融緩和措置を講じてきたところでございます。現在は、消費税の引き上げなど財政面からの影響が強くあらわれる局面に入っておりますが、民間部門におきます生産、所得、支出をめぐる近時の好循環の強まりを踏まえますれば、そういった財政面からの影響を乗り越えて景気が回復傾向を持続するという可能性が高まってきているように見ております。  しかしながら、差し当たり、このあたりにつきましてはなお見きわめてまいる必要があると思っておりますので、当面の金融政策運営に当たりましては、景気回復の基盤をよりしっかりとすることに重点を置きまして、情勢の展開を注意深く見守っているところでございます。
  35. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 この後、財政金融分離の問題も含めて質問させていただきたいというふうに思っていましたが、時間が参りましたので、これで終わりにさせていただきたいというふうに思います。  きょうの質問では、私は、公的金融部門金融関係を中心に質問をさせていただきました。私は確かに東京選出で年齢的にも若いところがありまして、かなり生意気な話もさせていただいたというふうに思いますが、私は、今回の質疑の中でも、公的金融部門をこれからどうしていくのかということについて、やはり十分な議論がまだなされていないのではないかということを感じてならないわけであります。  この問題は、先ほど三大臣からもお話がありましたように、やはり避けては通れない問題でありますし、喫緊の大きな課題でありますし、これは早急に答えを出していかなければいけない問題であろうかというふうに思いますので、この点について、私ども立法府においてもしっかりとした議論がなされるよう私自身も努力をしてまいりたいというふうに思います。  これにて質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  36. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長代理 この際、倉田栄喜君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。倉田栄喜君。
  37. 倉田栄喜

    ○倉田委員 野村証券と第一勧業銀行事件、この二つ、証券界、金融界の不祥事件がございました。我が国の証券界そして金融界、世界の市場に与えた信用の低下というのは免れない、こう思います。  前回の質問の終わりの方で、私は大蔵大臣に、野村証券も第一勧業銀行もそれぞれ執行陣は責任をとられて退陣をされた、新しい体制をつくられていく、そういう状況の中で、俗に言えばはしの上げおろしも指導をしてきたといういわゆる大蔵省監督行政、この大蔵省監督行政というものの責任はなかったのでしょうか、あったと考えるのであればその責任のとり方はどういうふうにつけられるのでしょうか、そういうお尋ねをいたしました。  大臣からは、まあ前回御答弁もいただいたわけでありますが、時間がなかったものですから、私は、政治も行政も国民に対する信頼を取り戻していくためには、やはりきちっとしたけじめ、責任のとり方、これがきちっとなされなければ信頼回復はならない、こういうふうに申し上げて時間が参ったわけであります。  そこで、リピートになるかもしれませんが、大蔵大臣にこの点を重ねて、野村証券事件そして第一勧業銀行事件、この両事件に対する大蔵省監督行政責任、そしてその責任のとり方はどうされると考えておられるのか、この点からお尋ねをいたしたいと思います。
  38. 三塚博

    三塚国務大臣 両事件、事案に対するただいまの段階は御案内のとおりであります。強制捜査の中で、それぞれのトップが辞任ということの中で行われた、しからば大蔵省は、こういうことであります。  御案内のとおり、監視委員会が全力を尽くして、少ないメンバーの中で法令に違反をする行為のないようにやってきたことは事実。銀行局また、二度にわたる検査の中で全力を尽くしたことだけは御報告を申し上げます。  そういう中で、本疑惑を持たれた案件についての書類の提出が欠落をいたしておった、みずから第一勧銀のトップが疑念を晴らすことの責任が不十分であるという表現だったと思います。そう言われたことは、基本的な問題、任意、法令に基づく検査とは言いながら、書類の提出を求めて、それを精密に点検をして、問題があるとすれば改善命令を出す、また注意を与える、こういうことであったわけでありますが、本体の部分についての問題がないということでありますと、それをもって責任はどうするかということにはならないと思うのであります。総じて、住専問題以来さまざまな御批判、そしてその後の金融システム安定に関する主管庁としての責任いかん、こういうことになりますと、御批判はあえて甘受をしていかなければなりません。  そういう中で、目指す方向は事態の解明、なぜそうなったかということ、検察、証券委員会等で行っておりますけれども、当局もその視点に立って厳しく解明をする、こういうことでなければならないと本件については責任者に指示を与えておるところでございます。
  39. 倉田栄喜

    ○倉田委員 先般、公務員の方々の懲戒処分等々の発表がありました。私はそういうことを申し上げているのではなくて、司法は司法、行政行政、政治は政治の立場で、一つの結果というものに対して責任というものをきちっと明確にしていく必要があるのではなかろうか。そうでなければ、時間がたてばそのことは終わり。確かに行政の継続性という形の中で、では具体的な形の中でだれが責任をとるのだという問題は難しい問題だと思います。  しかし、それでは行政というのは無責任なのか。今大臣お答えになったお答えは、要するに、そういうことが起こらないようにしなければならない、さらにそういうことが起こらないように検査監督というものをきちっとしていって、そういう過ちなきような行政をきちっとしていく、それが責任のとり方だ、いわばこういうふうなお答えなのだろうと思います。  しかし、やはりこの点も、そうではなくて、政治家が責任をとる、それは進退をかけて責任をとるという場合と同じように、行政責任のとり方、国民から目に見える形で、それは法令に違反するということのみならず、私は結果の責任ということも含めて考えてしかるべきだろう、こういうふうに考えております。  そこで、それでは大蔵省はこの野村証券に対して、また、後でお聞きいたしますけれども第一勧業銀行に対して、どういう検査を、いつ、どのような形で実施をされてきたのか。不祥事は繰り返されてきたわけです。その検査によって、前回行った検査によって今回のことが防げなかったのか。それは検査がおかしかったのか、あるいは検査を受ける方がより巧妙だったのか、どうもそこらのところが釈然といたしません。  まず野村証券でございますけれども、この野村証券に対する検査監督というのは、一番直近のもので言えば、いつ、どのような形で、どのような内容の検査監督を行われてきたのか、これをまずお答えをいただきたいと思います。
  40. 若林勝三

    ○若林政府委員 野村証券に対します直近の検査でございますが、それは平成六年の八月に実施いたしましたところでございます。その具体的な内容についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、検査の実施に当たりましては、各種の市場ルールの遵守状況を多角的に点検するということ、さらに投資関与の実情等の営業姿勢とか内部管理体制の仕組み、またそういった仕組うようなことについて確認するなど、行っておるわけでございます。そして、そういう結果、仮にも法令違反が、問題点があれば、一般論でございますが、厳正に対処してきてまいっておるところでございます。
  41. 倉田栄喜

    ○倉田委員 まことに一般論的なお答えをいただいたわけであります。中身については具体的にはお答えできない。しかし、前回もあったわけです。どういう検査か、具体的な中身の問題として、例えばそういう経営陣のあり方とか、あるいは総会屋との関係とか、そういう具体的なことで検査の項目というのはないわけですか。
  42. 若林勝三

    ○若林政府委員 検査に当たりましては、今申し上げましたように、大きく三つあるのかなという感じでございます。その一つ市場ルールの遵守状況はどうなっているのだろうという点、それから二番目が投資関与の実情等の営業姿勢がきちっと行われているか、それから内部管理体制がそれに応じてきちっとできておるのだろうかということでございまして、今般問題になっております野村証券の問題につきましては、まさにその第一番目に申し上げました各種市場ルールの遵守がきちっと行われておるかどうかということでございます。こういうものを多角的に点検させていただいておるわけでございます。  具体的には、各取引の中身につきましては、それぞれ取引状況について全部を見るということは不可能でございますけれども、一定の考え方で抽出をいたしまして、こういう取引の中におかしな取引が入っていないだろうかというようなことを抽出いたしまして調べる、そしてそういった中に違法なものがあれば、もちろん告発等の今回のような問題になるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そんな形で検査が行われているわけでございます。
  43. 倉田栄喜

    ○倉田委員 重ねてお尋ねをいたしますけれども、その平成六年の八月の検査市場ルールというものが遵守をされていたのかどうか、その視点から見たときに、その検査では、市場ルールというのは遵守をされている、そういうふうに結論を得られたわけでしょうか。
  44. 若林勝三

    ○若林政府委員 我々検査をいたしますときに、一定の計画を立てて検査をいたすわけでございます。その中では最大限いろいろな観点から見るわけでございます。そういった中で違法な取引があれば、それについてはきちっとした対応をするということが一つございます。  それともう一つ市場ルールに関しましては、一般の検査とはまた別に、市場における取引を監視いたしております。それは日ごろの市場の動き、具体的に申し上げますと、株価の動向でございますとかそういったものを具体的に見て、何か不自然な動きがあるものがあればその内容を分析していって、例えばある銘柄について動きがあれば、これは一体どこの証券会社が主に扱ったのだろうか、そのときに具体的にどういう事情でこうなったかというようなことをまた分析をさせていただく。そういった監視活動の中で、今般、野村証券の問題について我々は不自然な取引を把握するに至り、今回の告発に至ったわけでございます。
  45. 倉田栄喜

    ○倉田委員 そうしますと、今のお答えは、平成六年に行われた検査、監視、その一連の検査、監視の中で今回の不祥事件の原因みたいなものを把握をして告発に至った、こういうことですか。
  46. 若林勝三

    ○若林政府委員 今申し上げましたように、検査市場監視という両面からいろいろな取引を、我々監視といいますかチェックいたしまして、そんな中で今回の問題を把握いたしたわけでございます。
  47. 倉田栄喜

    ○倉田委員 平成六年の八月に検査に入られて、その後監視も続けてこられたのだと思いますが一現在平成九年であります。平成六年の検査、監視で、問題があるのではないのか、こういうことをもし予測ができたというふうに今お答えの中にあったのだとしたら、告発の時期がこんなにおくれたのはなぜですか。
  48. 若林勝三

    ○若林政府委員 市場取引といいますのは、先生御案内のとおり膨大なものがあるわけでございます。そういった膨大な中に一つ二つおかしなものが入り込む、これを見つけ出すというのは、一つは非常に難しいという点がございます。仮に何か不自然だなというふうに感じても、具体的にどう不自然で、何がどういう法律にどう触れているのかということまできちっと詰めてまいりますには、当然、いろいろな資料、情報の収集、関係者からの意見聴取、こんなことに相当時間がかかるということもまた事実でございます。  今回の野村問題につきましては、我々そういった何か不自然な取引があるなという感じを持ちましたのが、平成七年の暮れでございます。それからいろいろその事実関係について関係の情報収集をいたしまして、さらに平成八年、昨年の夏ごろから直接野村証券に調査いたしまして、関係者から直接事情を聞く等の作業を行い、さらにはことしになって東京地検と合同で強制捜査をする、そういった形で、比較的長い道のりとおっしゃられればそのとおりでございましょうけれども、そういう膨大な取引の中から一つを抽出して絞り込んでいくという作業、相当時間と労力のかかる作業であったこともひとつ御理解賜りたいと思います。
  49. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それでは同じことを、第一勧業銀行事件といいますか、この第一勧業に対して検査というのは直近でいつごろお入りになって、どんな検査をされたのか、お尋ねいたします。
  50. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 お答えをいたします。  第一勧業銀行に対します直近の検査及びその検査内容という御質問でございます。第一勧業銀行に対します検査、直近では平成六年の十月に実施しているところでございます。  従来から、個別の金融機関に対します検査の内容を詳しく御答弁申し上げますことは差し控えさせていただいておりますけれども、一般に金融検査は、預金者保護信用秩序の維持等を図りますために、金融機関の財産、業務の健全性、適切性を確保することを目的といたしまして、資産内容の把握、リスク管理、内部事務管理体制のあり方、あるいは法令、諸規則等の遵守状況等、多岐にわたる事項のチェックを行っているものであります。  第一勧業銀行につきましても、今申し上げました観点から厳正に検査をし、問題点があれば指摘をしたということでございます。
  51. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その平成六年の十月の時点で厳正に検査をされ、問題があれば指摘をした、こういうことでありますけれども、平成六年の十月の時点で今回の事件の原因につながるもの、それはお気づきにならなかったのでしょうか。
  52. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 ただいま捜査段階でございますし、詳細の御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先般第一勧銀みずからが、当局の検査に際しまして、現在調査中であるということでございましたけれども、その本件債務者に関連しまして検査官に対して抽出、分類を回避した疑念があり、現在調査中ということでございます。  私どもといたしましても、そういう第一勧銀からの報告を踏まえまして、当時の検査状況をチェックしているところでございますけれども、何分、先般も御答弁申し上げましたけれども、こうした上位都市銀行の場合におきましては融資案件だけで百万件を超えます。また、我々の検査におきましては、問題のある債権あるいは大口債権、問題のある債権といいますのは例えば延滞であるとか赤字先、単に赤字先というだけではありませんけれども、いろいろそういう意味で回収の可能性に疑義があるとか、あるいは利息を貸しているとか、いろいろな問題につきましては抽出をして提出するように指示をいたしまして、そういう案件につきまして、大きい銀行でございますと万の単位になるわけでございますけれども、問題点を個々に洗い直しまして、問題があれば指摘をしている、そういう状況でございます。  本件につきましても同じような観点から検査をいたしまして、問題点につきましては指摘をしたということでございます。
  53. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今それぞれその検査、監視の内容、その時期等についてお答えをいただきながら、検査対象というのは非常に多岐、膨大にわたる、その中から法令に違反をしているものあるいは不正がないかどうか、それを発見するのは大変なんです、いわばこういうふうなことにつながるのではないのか。  そういたしますと、検査対象がそれだけ膨大で、融資案件も何百万というか百万を超えるというのか、それを一々チェックをしていくことは本来不可能なのではないのか、そういうお答えになりませんか。その点どうですか。
  54. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 ただいまも御説明いたしましたように、今先生の御指摘のような範囲ではおのずから検査には限界があるわけでございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、金融検査といいますのは、あくまでも金融機関の協力のもとに検査を行うわけでございます。銀行法におきましても、犯罪捜査を目的とするものではないときちっと明確に書かれているわけでございます。その範囲内で、検査官といたしましては金融機関から必要な資料を徴求し、それを分析をし判断をし、問題点があれば厳正に指摘をしているということでございます。  その意味でいいますと、金融機関の協力がありませんと、あるいは虚偽の説明があり報告があるという場合には適正な検査ができないということがあるわけでございまして、それを担保するために罰則が規定されているわけでございます。
  55. 倉田栄喜

    ○倉田委員 確かに法令違反を摘発をする刑事司法の分野とは違うのでしょう。そういう意味からすれば、不正があったかどうかということを事細かくチェックをするのは難しいかもしれません。これはお互いに、相手方機関との信頼関係の上できちっとした情報提供がなされている、そういう検査なのだろう。そういう、相手がきちっとしたものを出してくるということを前提にしている検査だとすれば、相手が違ったものを出してくれば、どこかには矛盾はあらわれるのだと思いますけれども、それを発見するのはなかなか容易なことではないだろう、私もそれはそう思います。そこがそうだとしたら、私は、検査監督の中身、内容、あり方、それも今までとは違う視点で、司法と違う、不正のチェックということでないのだとすれば違う目的を持って、違う視点のやり方というのがあってしかるべきではなかろうか、こんなふうに思うわけであります。  従来、大蔵省は、証券市場証券界、あるいは銀行界に対しても、いわゆる通達行政、かつては非常に膨大な通達を随時いろいろな形で出されてきました。これは、不明確ということもあって、大蔵省自身検討をされて、通達の、あるものは法律化をされ、通達そのものも随分少なくされた、そういう努力をされてこられたということは承知をいたしております。  しかし、先ほど御答弁の最初にありましたように、法令、市場ルールをちゃんと遵守をしているかどうか。つまり、今まで言われてきた護送船団行政、そういう方針のもとでいわゆる通達もなされ、そしてそれにちゃんと横並びしているかどうか、変に突出をしていないかどうか、そういう検査監督が主だった、非常に感想で言わせていただきますと、そういうふうに思えてならないわけであります。  大蔵省は、平成七年十二月二十六日に、金融検査監督等に関する委員会で、「今後の金融検査監督等のあり方と具体的改善策について」という報告をまとめられております。  例えば、「内部検査の充実」だとか、「外部の専門家による業務監査の実施」であるとか、それから「内部監査担当者及び法令遵守担当者の設置等」、それから「市場関連リスク管理体制の確立」。先ほどのところへいけば、内部監査担当者あるいは法令の遵守担当者、かなり従来の通達行政とは違う形でこの委員会の報告がなされているように私も読ませていただきました。  ただ、読ませていただきながら、一方で、二十一世紀、我が国の東京市場をニューヨーク ロンドン並みの国際市場にするのだ、こういう総理が掲げられる大目標に向かっていくために、例えば、いわゆる大競争の時代、メガコンペティションというのか大競争の時代の中に、競争力の強化とか、どうしたら国際競争に立ち向かっていけるのだろうか、そういうふうな体質になっているのだろうか、そしてそれと同時に、いわゆる横並びの護送船団みたいな従来のそういうもの、今批判をされている検査あり方の転換というのがこの項目にあらわれているのかどうか、どうも明確に見えません。  私は、前回も前々回も、ここで、いわゆる検査監督あり方、内容、それは変わるのですか、変わらないのですか、変わるとしたらどういうふうに変わっていくのですかと。報告はいろいろ、それは大臣の談話の中でも市場ルールであるとか自己責任であるとか、なされております。しかし、どうもそれが明確に見えておりません。与えられた課題はもちろん、二十一世紀に、我が国の証券界、金融界、銀行等々、国際競争の中で本当にきちっとした機関になっていくのかどうか、これが一つの大きな与えられた課題であると思うのです。そのための検査監督なのか、それは違って、それはもっと違うところでやるところなのか、ここがよくわかりません。  この辺は、検査監督の中身の中にそういうことがあるのかどうか、あるいは、それは違うところでやるのか、違うところでやるとしたら、それは一体何なんだ、ちょっと私も、どうも釈然とわからないところがありますので、ここは御説明をいただきたいと思います。
  56. 長野厖士

    ○長野政府委員 証券サイドでお答えをさせていただきたいと思います。  検査監督、どうあるべきかというお尋ねでございまして、今、一瞬御答弁に立つのがおくれましたのは、実は、証券市場の場合には、検査監督を峻別すべし、それが一体のところでやられるべきでないということで、先ほど来御答弁申し上げておるように、監視委員会において検査を行う、私どもはその結果を踏まえて行政的な対応を行うということになっておりますが、そういった仕組みのことはともかくといたしまして、あえて、今先生の御指摘の点、例えば、思いつくままでございますけれども、こういう思いを持っております。  野村証券の事件につきまして、およそ金融機関である以上、その社内において不正な取引が行われないようなチェック体制というのは必ず持っておる。これは、不心得な社員がいつ何どきどういう資金の動きをするかということがあり得ますので、そういったチェックのシステムがあり、大体ダブルチェックで、一件一件の取引をチェックするシステムは大体持っておられます。  監視委員会につきまして先ほどお尋ねでございましたが、監視委員会証券会社が行うすべての取引を事後的に全部一件一件チェックするというシステムには、それなりの膨大なシステムがかかりますし、恐らく検査を受ける側は耐えがたいことがございましょう。  内部にそのような取引についてチェック体制を持っておるにもかかわらず、そういったチェック機能が、今回の取引においては内部でそれをチェックするシステムがワークしなかった可能性があるのではなかろうか。あるいは、それがあの方がやっておる取引だから特別にそういったチェックが外れておる、下世話な言葉で言えば、私は、顔パスの危険性、こう思っておるわけでございますけれども、そういったことが起こらなかったか。  したがいまして、こういった事案の再発を防止するためには、先ほど若林事務局長の方からも、検査において三点大きな項目があるとおっしゃった中で、内部管理体制のチェックということをお話しになっておられましたけれども、つまり、そういったシステムがきちんとワークしておるかどうかをいわば検査サイドなり監督サイドなりでチェックをしていく、そして、そういうシステムがきちんと社内においてワークするようにしむけていくというのがこれからの大切な課題になっておるのかなと。  この事案は全貌がまだわかっておりませんので、印象だけを申し上げて恐縮でございますけれども、そこらにポイントが一つあるというふうに考えておりますし、したがいまして、事件の解明を待たずに、私どもの方から野村証券に対しまして内部管理体制の再点検ということを指示いたしましたのも、そういう思いからでございます。
  57. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今のお答えの中にありましたけれども、一方で内部管理というのがきちっとできているかどうかという部分については、それはある意味では自己責任部分だと思うのですね。一方で市場ルール、いわゆるフリー、フェア、グローバルのそのグローバルの部分、国際標準の市場ルールに乗っかっているかどうか。この二つの項目が立てられる。そして、今、局長御答弁になりましたけれども、検査監督はそれぞれ峻別をする。  私たちも、この委員会で、党として、検査は、市場ルールに基づいているかどうか、そういう検査が重要になってくる、一方で、今までやってこられたようないわゆる通達行政、その監督というのはほとんど、どんどん少なくなっていくのではないのか、そういう方向であろうかと思っております。  そうだとすれば、やはり、法案が仮に通ったと仮定をして、これからできる金融監督庁検査監督、それは、何回も議論になりましたけれども、従来の護送船団方式あるいは業者行政というものの転換がなされるとすれば、金融監督庁で行われる検査監督というものは、その視点もあり方も当然違ってこなければならない、そう思うわけです。  それがどういうふうに違うのか、どういうふうに違ってくるか、そのために体制をまた別個にして、新しい検査監督あり方というのがどうも今回の法案の中身で見えてきません。どうも従来と同じような、単に組織、検査監督を委任をして代行という、地方財務局の問題をこの間いたしましたけれども、金融監督庁をつくって、そこで従来と同じような中身でやるのではないのか、そういう懸念が消えないわけであります。  大蔵大臣お尋ねをいたしますけれども、今局長お話しになりました、検査監督というのは違うのだ。そしてお答えの中に、自己責任ということも市場ルールということも、実は、言葉には出ませんでしたけれども、含まれていたと私は理解いたします。そうだとすれば、やはり金融監督庁における検査あり方監督あり方というのは、当然従来の大蔵省が今まで行われてこられた検査監督あり方と違ってこざるを得ない。  一方で、大競争時代の中に、我が国の証券市場金融市場というのがその競争に打ちかっていけるかどうかという大きな課題を抱えているわけです。打ちかっていけないところはやはり、そこはそれなりの手当てがなされなければいけない部分も私は理解をいたしますけれども、淘汰の世界、そこに入らざるを得ない、こう思います。  大蔵大臣お尋ねをいたしますけれども、金融監督庁で行われる検査監督、これは従来とどういうふうに違いますか。
  58. 三塚博

    三塚国務大臣 新しい行政機関をつくるということが一点であります。公取型という考え方一つの視点として提示されましたけれども、それを含め、独立した機関をということで、三条行政機関として、検査監督にふさわしい体制をということで考えられたことであります。  それと大事について、長官人事は内閣総理大臣がこれを決定をする、こういうことであります。長官の資格はいかん、こういうことでたびたび各委員からの質問もこれあり、官房長官、主管大臣代理として出席でありますから、お聞きのとおりのお話であります。  私は、問題は監督長官、この人材にあると思います。  住専以来のさまざまな懸念また批判、そして基本的には金融システムの安定のためにはどうあるべきか、こういう深い反省の中で構築をされ誕生した、この一点を見てまいれば、かねがねの護送船団という大蔵省挙げての形の中でという批判も根っこに強くあったことも承知をいたした上で、新組織をつくり上げてきたわけであります。  まさに、そういう意味機能分担、執行面は金融監督庁責任においてこれを行う、こういうことであり、新たにできる金融局は企画立案行政のルールを政策としてつくり上げ、法律としてつくるという本来の企画立案政策面を担当するということであります。よって、ここで業界から一歩距離を置くという、機能分担という形の中で新たに設置される金融監督庁、そして金融局ということで、銀行証券を統合しまして、そこの中でビッグバンに対応する組織としての活動を展開をしていかなければならぬ、こういうことであります。  設置者そして主管大臣は内閣総理大臣、そして官房長官が補佐するという形にただいまはなっておりますが、法令上は、長官は内閣総理大臣の任命するところにあるということでありますから、長官大事によって体制がつくられ、そして執行面のもろもろの業務が行われていく、こういうことでありますので、そこのところは分担が明確である、こう申し上げさせていただきます。
  59. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大臣お答えは、組織も違います、機能的にも分担をいたします、そして金融監督庁長官にすばらしい人材を得て、その長官のいわゆる指導力、これに期待をいたしたい、いわばこういうお答えであろうかと思います。  しかし、私が問題提起をいたしましたのはそうではなくて、どういう検査をするのかということについては検査をする基準があるわけでしょう。どういう監督をするのかということについては監督をする基準があるわけでしょう。そういう検査監督の基準というものが、先ほど申し上げました、平成七年の今後のあり方と具体的改善についてで、例えば一つの、どういう方針で検査をするのだ、どういう方針で監督をするのだというそのあり方が示されている。しかし、このあり方の中には、どうも従来と基準そのものが同じなのではないのか、そこに、二十一世紀に向かうべき新しい基準の姿というものが、市場ルールという言葉はありながら見えてこないのではないのか。  そこで、いわば検査監督が変わるのですか、変わらないのですかとお尋ねしたのは、そこの、それに基づく基準というものが変わるのですかということをお尋ねをしたわけであります。  そういう意味で、今大臣お答えいただいた答弁は私は納得できませんけれども、それはまたほかの委員お尋ねをするといたしますので、私が申し上げた趣旨というのを理解をしていただいて、お答えをお考えいただきたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので、官房長官に二点だけ、この間途中で御退席をなさいましたので、お尋ねをいたします。  一点は、先ほども、野村証券に対してあるいは第一勧業銀行に対していつ検査に入られましたかということについて、お答えがありました。具体的な中身についてはお答えできませんということでありました。  これからの金融監督庁検査とか監督の結果について、いわゆる従来蔵検という、大蔵省検査という蔵検という個別的な具体的な資料というのは公開をされた方がいいのではないでしょうかとお尋ねをしたときに、大蔵省の担当審議官は、やはり個別なことなのでそれはなかなか公開は難しい、こういうお答えでありました。  金融監督庁を所管される官房長官、やはりできるものはできるだけ公開されたがよろしい、このことについてどうお考えになるか、これが一点であります。  それからもう一点、これは本当に全く違う視点であります。今回の金融監督庁設置法案は、三党合意に基づいて、最終的にはそれぞれお役所の方が鋭意いろいろなところの調整をされながら御努力をされてつくられました。いわゆる閣法という形で提出をされました。これは、政府にとっても、いわゆる大蔵省改革行政改革一つの大きな目玉だと位置づけておられると思います。  今後この種の行政改革法案というものもできてくると思います。そのときに、具体的な実際の中身の段階になって、いわゆる役所、そこに関係しておられる方が具体的な法案をつくっていく。比喩的な言葉で言えば、コイがみずから包丁を握って料理をする。そういうことで果たして問題提起をされた要求にこたえられるような最後の中身の姿になってくるのかどうか、私は非常に疑問を持っております。  こういう行政改革関連法案は、官房長官みずからが陣頭指揮をされて、いわば政党なら政党で、三党合意に基づくものを、最後まで責任を持って中身までつくり上げられるべきものではないのか、こういう気がいたしてなりません。  この二点についてお尋ねをして、私の質問を終わります。
  60. 梶山静六

    梶山国務大臣 第一点の大まかに言って情報公開の問題でございますが、私は、この金融監督庁ができる以上、そういうものの存在、それから一般の金融機関やいわば預金者等に対する信頼感、こういうものはやはり情報が公開されて初めてそういう環境が整うと思います。ただ、私は、原則公開でありますが、個々の問題で、これを行うことによって著しくプライバシーの侵害になる、ないしは事件を拡大をする、そういうときは若干の時期を置いて後刻行われるべき、影響がなくなるときに行われるべきだと思います。  それから、前段の大蔵大臣に対する質問でもありますが、住専問題に端を発して、やはり大蔵の金融行政の中で政策面と執行面が分離をしていないところに、いわばなれ合いという表現がいいかどうかわかりませんが、安易感が生まれた。それが発端で、その分野分離すべきだという議論が昨年来高まって、今回に至ったわけであります。ですから、これに関しては、三党が合意をして、しかるべく政府でつくれという御下令があったので、準備室を設け、閣議決定をしてつくり上げたのが今回の法案であります。  ただ、委員指摘のように、大蔵省はそのままで、今までの体制でいいのかといいますと、私は、やはり住専の時期の問題意識と、今こうやって第一勧銀を初めとする金融の不祥事がさらに深刻化をした、前は不用意な放漫さがあの住専を招いたとするならば、今回は内部的な経営者のいわば資質の問題、こういう問題もあるわけですから、おのずと検査監督の方法は違ってまいると思います。  そして、この機関が、いつ金融監督庁が発足をするかわかりませんが、この今大変苦渋に満ちた大蔵省金融検査監督機能、この中から新しく生み出されるべき今回の反省というものが次に結びつかなければ、新しい組織もこれまた機能しなくなるわけであります。絶えず犯罪的なにおいもしてくるわけです。単なる瑕疵あるいは見込み違いというものではない問題も多発をするかもしれない。  先ほど話にあったように、内部チェック制度、二重にも三重にも私はあろうかと思いますが、もとのボタンをかける人が違ったときにはこれは大変な間違いになるわけでありますから、そういうものを視野に入れながら、今鋭意、大蔵省検査監督の部門は苦悩をしながらこの作業を進めていただいているわけでありますから、この重大な貴重な体験というものを次に引き継がなければならない、このように思います。
  61. 倉田栄喜

    ○倉田委員 議員立法の件はどうですか。
  62. 梶山静六

    梶山国務大臣 それは冒頭触れましたように、受けて政府法案をつくれということでありますから、法案をつくって内閣の責任においてこれを出したわけであります。
  63. 倉田栄喜

    ○倉田委員 最後の部分は、私は、今回の金融監督庁の一番細目的部分で当初の趣旨が生かされているかどうか、そこにも疑問を持っております。ですから、これからいわゆる橋本行革と言われる形の中でさまざまな行革案が出てくる、やはり最後まで責任を持ってつくらなければならないのではないのか、そのことを御指摘申し上げまして私の質問を終わります。
  64. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長代理 この際、鹿野道彦君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。鹿野道彦君。
  65. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私の後に剛速球の持ち主である中井議員から質問がなされるわけでありますが、その前に、私はスローボールきり投げられませんので、思い切って振っていただいて、わかりやすく、限られた時間ですけれども、お考えをお示しいただきたいと思います。  今回の準備室において、法案についていろいろとつくり上げられたわけでありますが、ここに派遣された省庁のメンバーの比率をお示しください。
  66. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 総勢三十名でございます。すべてが併任でございます。そのうち約三分の二が大蔵省との併任者でございます。
  67. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 三分の二以上が大蔵省のメンバーによってこの法案がつくられた、こういうふうなことであります。  そういうふうな中で、今倉田委員からも、また今日の新進党の質疑におきましても、どこがどう変わるのか、こういうふうなところがなかなか私ども理解ができない状況にあるわけであります。  それは、引き続いてさらにこれから同僚議員からお聞きをするということに相なるわけでありますが、私は基本的に、との金融におけるところの不祥事件あるいはいろいろな破綻というふうな今日の状況の中で、責任に対する基本哲学というふうなものをやはり明確にしていく必要があるのではないか、この点一点についてひとつお聞きをいたしたいと思います。  消費者の人たちからするならば、金融機関というものの中身がわからないわけです。ですから、わからないから、経営はうまくいっているんだろうな、安全でしょう、こういうふうな感じでいるわけです。このような中身がわかっていない中において、結局国民の人たちにかわって、それは大丈夫かどうかということをきちっと診断をしながら、健康体であるのかどうかということを見きわめていくというふうなこと、これが行政責任であるわけなんです。  ですから、これだけの不祥事件、破綻、こういうふうな中において、本来ならば、行政のその責任というふうなことからするならば、ドクターストップをかけておかなければならなかったのじゃないかな。すなわち、木津信においても、兵庫銀行等々、たくさんの問題が起きておるわけでありますけれども、腐っておる中身、病気にかかっておるというふうなことをそのままにしておくということは、結局表に出ない限り生き残っていくというふうな状況でありますから、そこで本来ならば行政がドクターストップ、これをかける必要があったのではないか、こういうことです。  それに対して、先ほども官房長官からも大蔵大臣からも、今日までも全力を尽くしてきた、行政としても全力を尽くしてきた、いろいろとあらゆる努力もしてきたと。確かにそうでありましょう。また一方においては、患者側が、いわゆる銀行なりあるいは保険会社等々がみずからやはり本当のことを言わなかった、だからそのことはなかなかわからないところがあったのですよ、こういうふうなこと、これも一つの理屈でしょう。  しかし、名医というのは、そういう不健康な状況になっているということを見抜く、このこともやはりやっていかなければならぬわけであります。そのこともやはり消費者サイド、国民サイドからは要求されるわけであります。それが本当の検査能力というふうなものではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  68. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 検査に際してどうしてわからないのか、そういうものもきちっと発見をするのも検査の能力ではないか、こういう御趣旨の御質問かと存じます。  ただ、先ほども御答弁申し上げましたように、検査そのものにつきましては、どういうふうにやっているかというのは先ほども御説明したとおりでございますけれども、検査そのものは、金融機関の経営の健全性、資産内容の健全性というところが主眼でございます。もちろんそのほかにも経営の適切性というのもチェックしているわけでございますが、何分、先ほど申し上げましたように、犯罪捜査を目的とする、あるいは強制調査をする、そういう権限でやっているわけではありませんし、おのずから限界があります。ただし、限界はありますけれども、その範囲内で最大限の努力をしているということでございます。
  69. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 限界があるということは同じことが繰り返されるというふうなことでありますから、そうであってはならない。再犯防止に向かってこれは当然やっていかなければならぬわけであります。  そこで、いろいろと今のように行政側から、限界があります、こういうふうな言葉が出てくる。一方、経営の責任を追及する。そうなると、経営者は、もうやめて、これで責任をとらせていただきます、こういう状況では、その被害を受けた人たちはどうやって責任を追及していったらいいかわからない。  平成三年度におけるところの不祥事件、その後の住専問題についても、何で私たちがそういう不祥事件の後始末に税金を払わなければいかぬのか、今回の不祥事件、経営破綻、こういう問題についても、一体だれが責任をとってくれるのか、そういうふうな素朴な疑問が当然起きてくるわけであります。  そうすると、そのために金融監督庁というふうなものを設置することになったのですよということが、先ほど倉田議員からも何回かにわたってその考え方をお聞きしたのですけれども、いま一つ何も変わったところがないのではないか。  すなわち、一つ考え方として、野球に例えさせていただくならば、その他のいろいろなスポーツのプレーに例えさせていただくならば、なかなか思うように試合が展開できなかった、どうも監督の失敗等々によってうまくいかなかった、では監督をかえようというふうなことにもなるわけです。ところが何か、監督はかわったけれども、その後ろに元監督がいつも立っておる、そういうふうな感じが今回の金融監督庁の実態ではないか。私は、質疑においてもそのようなことも指摘をさせていただきました。  そういう中で、いま一つ、これからの金融におけるところのいろいろな責任というものをどうするか。先ほど申し上げましたとおりに、ほかの社会的な罰則というふうなものをもっと強くしていく、アメリカのように再犯防止のために罰則を厳しくしていく、そういうことも必要でありましょう。それからさらに、ディスクローズというものを求めていく、確かに必要でありましょう。  しかし、基本的に、いろいろとそういう経営の責任なりあるいは監督責任というものを考えてまいりますと、結局は、監督責任を果たせなかった、そういう状況をそのままにしておいた政治家の責任ということになるのではないか、こんなふうに思うのですが、いかがでございましょうか。これは両大臣、どちらでも結構です、政治的な判断ですから。
  70. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、究極的にはそういうことになります。  本件についてまさに、突っ込み切れない、最終の体制をつくり上げることができなかったのではないかという意味で、制度的な問題点もあるわけです。相手がそういうことをやるはずがない、信認性を大事にし、公共性を持つ金融機関がみずからの首をはねるようなことはあるはずがないというところで構築をされた、こういうふうに思うのです。  よって、金融監督庁、新たに出ますと、この視点をにらみながら、証券に書いてありますから、大銀行ですから、住専ですから、この視点に立って、総理大臣監督のもと、新長官に委任される、大部分はそうだと思うのですが、その中で、検査体制、監督体制というものに万全を期してくるだろうと思っておるところです。
  71. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 平成三年の不祥事件等々におけるところのそれぞれの総理大臣、国務大臣の基本的な考え方、まことに責任が重い、新たな決意によってまさしく国民の信頼にこたえていきたいというふうなこと、ここの議事録にもたくさん載っているのです。  私は、基本的には、そういうことを考えた場合に、まさしく国民の信頼、これが新たなビッグバンを迎える中においての不可欠の要因である。そういうふうなことを考えた場合に、政治家そのものも責任をいつもとっていくのだというこの基本姿勢がない限り、私は、この金融のいろいろな諸問題におけるところの国民からの信頼というものを取り戻すことはできない。  そういう意味で、私自身の基本的な考え方でございますけれども、今後このような事件が起きる、不祥事件が起きる、あるいは金融破綻が起きたというときには、政治家がみずからやめて責任をとることが望まれることではないか、このことを申し上げて、同僚議員に質問を譲らせていただきます。
  72. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長代理 この際、中井洽君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。中井洽君。
  73. 中井洽

    ○中井委員 官房長官が記者会見にお出になるといいますので、官房長官に対する質問から先にやらせていただきます。  平成三年に、証券業界の損失補てん事件、あるいは東洋信金の問題、あるいは富士銀行の不正融資と相次ぎまして、国会には金融証券不祥事等に係る特別委員会がつくられる、そして政府におきましても、臨時行革審にお願いをして証券監視のあり方についての答申をもらい、今日の証券取引等監視委員会、こういうものがつくられた状況にあります。  今日、橋本内閣におかれましては、行革を一番の政治使命とされて、行政改革会議というのをつくられて今盛んに論議が行われているところであります。今回、どうしてこの行政改革会議議論結論というものを待たずに、大蔵省銀行検査の部門だけ、このような形で先におやりになったのか。待っておれば、ちょうどこのいろいろな証券、あるいは野村証券、第一勧銀の不祥事と絡まってじっくりとした議論ができて、過般から同僚議員や各党の議員さんから出てきたような幅広い論議を踏まえたいい機構改革ができたのではないか、私はこう思うわけであります。どうしてお急ぎになってこの金融監督庁法案だけお出しになったのか、この点を責任者としてお聞かせをいただきます。
  74. 梶山静六

    梶山国務大臣 大変難しい広範の問題でありますが、私なりに整理をしてお答えを申し上げますと、事金融というのは、国民のいわば資産を預かっている分野であります。ですから、この預金者保護というものには特段の配意を払わなければならない。一般行政改革は、それなりの行政の効率化、能率化、近代化を求めるわけでありますから、よくなるにこしたことはありませんが、大きな意味では国民の財産に影響があるというものの、金融のような、いわば緊急性、身に迫った問題ではないというふうに考えます。  先ほどの鹿野委員質問にもございましたけれども、金融界のよって立つ基盤は信用であります。ですから、昭和の初期に大変な事件がございましたけれども、それ以来七十年いろいろな、戦争やその他を経ながらも、金融自身に対する大きな意味での、インフレやその他の不満はあるけれども、個々の金融機関それ自体が破綻をしたということは、私は大きくは知っておりません。整理統合はございましたけれども、それによって預金者が大損失を受けたというようなことはなかったわけであります。  ですから、金融というものは、約定というか、預金の保護ないしは金利、そういうものの約定に従ったものが完全に履行されればいいわけでありまして、政府行政はどうやって、金融信用を、秩序を、それから預金者を保護するか、これが一義的な責任を感じなければならない点だというふうに考えております。  残念ながら、一昨年、いや、それ以前から発生をしていたのでありましょうけれども、住専は、そういう意味では完全に預金者を守り得ないという状況があったので、いわば破産的処理を行いながら公金を投入をして救済を図ったことは、大変な非難を受けながらも、皆さん方御案内のとおりであります。  金融機関は、不健全部門を自己責任で何とか回復をしなきゃならない。どうしてもだめならば、業界、そういうものがいわば共同責任で負っていただかねばならない。ですから、事故が起きたからといって、すぐさま罰則適用というものが、個々にはいいけれども、果たして金融界全般としていいのかどうなのか。先ほど病気に例えられて言われましたけれども、病気を治す力があればみずからの力で治してほしい。死刑宣告をして、あんたはどうこうしろと言うわけにもまいらない。  そういうことでありますので、バブルの時代のいわば資産のインフレ、そしてその後に来たデフレ、この原因論を今さら──私も私なりに考えておりますし、その責任論というのも、私は一昨年、みずから若干の小冊子に論文を掲げたこともあります。責任の所在を明らかにしろ、ペコラ委員会的なものをつくって糾弾をしろ、そういう思いかないわけではありませんが、それによって預金者が保護をされないという状態だけは、いかとしても避けなければならない。これは、直接の預金者ではないという農林系のこともありましたけれども、いずれにしてもそういう問題の、いわば破綻を我々は防ぐために第一次の目的を行ったわけであります。  ですから、今考えられることは、大蔵省に企画立案とそれから検査監督の部門が共存をしていたところに、いわばはっきりした責任分野というか、明確な相互チェックが働かなかったかという、そういう観点のもとに、今回の金融監督庁の独立を急いで、国民のいわば預金を保護するという、そういう問題です。既に過去にそういう事例が出ております。ですから、この問題だけは、いわゆる一般の行政機構改革と軌を異なるものにしてやらなければならないという緊急性、重要性があったればこそ、この問題を取り上げたわけであります。  そしてやがて、これから行政全般に対するいろいろな思いの中でどういうふうにした方がいいかという問題になれば、これはまた別かもしれませんが、しかし、預金者の保護と金融秩序を維持するということは、どんなことがあっても、どういう改革が行われても守っていかなければならない分野でありますので、分離、先行をしたわけであります。
  75. 中井洽

    ○中井委員 四十時間ぐらい質疑をさせていただいて、私どもできる限り理解をしてと思うのでありますが、今のお話は、それなりに筋も通っておりますが、この金融監督庁をつくる、つくらなきゃならないというところと違うのじゃないか、このように思っております。  平成三年の金融不祥事の結果、証券取引等監視委員会がつくられましたときには、いわゆる通達を法令化をする、こういった措置もとられたわけでございます。法改正も行われた。証券業界の自主ルールの確立ということも行われたわけでございます。金融不安、これを一刻も早くなくすためにということであるならば、そのときにも論議になりました銀行局のいろいろな通達、こういったものも整理が行われて当然であろう。  あるいはまた、先ほどから倉田さんや鹿野さんからお話がありましたけれども、責任体制、これに伴う法改正、こういったものも一緒でなければならないだろう。検査の部門だけ、しかも中央だけ別にして、どうして金融秩序が回復をするのか、信頼が回復するのか、あるいはまた住専のような問題が二度と起こらない体制になったと言えるのか、私どもはそれがさつばりわかりません。したがいまして、この法案には反対、こういう形で今日まで論議をしてきたところでございます。私も、持ち時間の間、そういう方向で論議を進めていきたい、こう考えています。  大蔵大臣、今回のこの制度改革の中で、銀行法の改正、通達の問題やあるいは法改正やらを全然おやりにならなかった、こういったことはどうしてですか。
  76. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、官房長官言われましたとおり、行政改革に軌を合わせてやるのではなく、昨年の二月から三党協議が行われまして、住専の反省の中で、分離独立をする検査監督機構というものをつくり上げることが第一、そこに最大の視点を合わせたわけでございます。  よって、今御指摘の通達、行政指導、既に、証券等の第一回の不祥事件で通達ということはしない、よって証券監視委員会がこれに対応をする、法令に基づく指揮監督、こういうことに限定したことは御案内のとおりだと思います。  よって、草々の間という御批判が一つあるわけでありますが、必然性のしからしむるところ、早急にこれをつくり上げて金融界の緊張を保つ、また、自己責任による、自主独立というのでしょうか、その経営というのでしょうか、そういうことにしむけていくための重要なポイントがあったと理解をするわけでございます。ただいまの、その他の省令、また通達等はどうしてということについては、新たにできる検査監督庁が成立をした時点で、共同省令はこちらにありますけれども、準備として、その他の分野については新長官のもとで行われていくものと私は思っております。
  77. 中井洽

    ○中井委員 銀行局長お尋ねをいたします。  この金融監督庁がつくられて、金融機関に対する検査の中身が具体的にはどこが変わってくるのですか。
  78. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 検査の御質問でございますので、私から答弁させていただきたいというふうに存じます。  新しい金融監督庁ができてということではなくて、先ほど委員の御質問もございましたけれども、どういうふうに変えているのか。今、私の立場でございますから、現在既にどういうふうに変えているのかということを簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。  検査につきましては、従来、先ほども御質問ございましたけれども、平成七年の……
  79. 中井洽

    ○中井委員 そんなこと聞いていません。金融監督庁ができて全く新しい監督になるんだ、金融界がどうだと言うから、それでは何を変えるんだと聞いておるんです。そんなのだめです。監督の中身を変えないんでしょう。
  80. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長代理 質問者は銀行局長に聞いているんですから、ちゃんと答えてくださいよ。
  81. 山口公生

    山口政府委員 検査の話も含めて、監督という観点からお答え申し上げます。  金融監督庁ができて検査監督の中身がどういうふうに変わるかということでございますけれども、最近までの行政でいろいろ批判されますのは、制度的にいろいろ金融機関が守られてきたのではないかというようなことをよく指摘されるわけでございます。つまり、ある意味では監督金融機関が守られてきたというような批判がございます。それがだんだん市場メカニズムが働くようになり、自己規律が発揮されることが必要になつてまいりますと、今後は、金融機関がみずからリスク管理を行い、また健全な経営を行うというのが基本になるわけでございます。それを外部のマーケットがチェックし、また監督及び検査がそれをチェックしていくという形になっていこうかと思います。  したがいまして、ある意味では、言い方としてはちょっと語弊があるかもしれませんが、制度に寄りかかった、あるいは業態別のそういった規制というものに依存してきたというような金融機関の体質というものが、これからはルールあるいはマーケットのそういった目にたえられるようにみずからが自己規制を行っていく、それを監督庁として検査監督でチェックをし徹底していく、ニュアンス的にはこういう新しい行政になるのではないかというふうに思っております。
  82. 中井洽

    ○中井委員 国民が、こういう金融等の不祥事で、大蔵省何やっているんだ、大蔵省監督検査は何やつておるんだ、こういう怒りを出し、国会でたびたび質問されて、そして議論がなされる中で、隔靴掻痒の感がありますのは、大蔵省監督検査というのは、大蔵省の企画立案のためにもあるからでしょう。国民は、銀行とか金融機関あるいは証券会社、お金にまつわるところだから悪いことをしょっちゅうしておる、それを監督する、監視するのはどこだ、大蔵省じゃないのか。それじゃ、今度大蔵省と分けてこうやってつくるけれども、それが本当に従来以上に厳しい犯罪捜査やら犯罪監視やらをやるのかというと、何にも変わっていないからやらないんでしょう。  確かに官房長官おっしゃったように、ここ五十年、銀行はつぶさない、こういう形で来ました。 しかし最近は、阪和銀行含めて御決断いただいてやっていますから、監督という面では違う面が出てきた、こう思っています。しかし、いわゆる一般の方々が、金融不祥事や金融の今日の混乱の状況の中で、銀行検査あるいは金融機関検査監督というものに対して持つイメージは、大蔵省のおやりになっていらっしゃる、あるいはこれからやろうとしているものと違うんだと僕は思います。これを変えなくて形だけ変えたって一緒でしょう、こう申し上げているわけでございます。  例えて例を挙げると、先ほどから倉田議員から、野村証券に対して、第一勧銀に対しての検査の話がございました。これ、見つからないんだろうと僕は思います。例えば第一勧銀なら第一勧銀へ入って、百四、五十万ぐらいあるんですかね、融資だけで。そのうちのどこかの支店とどこかの支店の不良債権を出しなさい、こう言って出されたものをチェックなさるんだろう。それはそれでまじめに厳しくおやりになっているんだろう。しかし、銀行側が出さなかったらわからない、証券会社が出さなかったらわからない、そういう検査である限りは、今日のような、本当に一体どんな検査をやっているんだと言われるようなことがしょっちゅう起こるんだろう。これらを防ぐための検査監督というものをみんな求めているんではないか、こう大蔵大臣に申し上げているんですが、いかがですか。
  83. 三塚博

    三塚国務大臣 本来、行政機関に頼るのではなくして、企業トップであるならば、特に金融機関、我が国経済、産業界の血液、こういうことであるならば、その自覚に基づいて、行政機関の手を煩わすことなく、ある意味で干渉を排して、みずからの責任と努力で信頼をかち取っていくべきものだと思うんです。それが、住専の問題、またさかのぼって証券の問題等々の深い反省の中で国民の批判が出てくる。これにこたえて、これ以上の不祥事は起こしてはならない、日本金融界の根幹を揺することになるやもしれずという危機感の中で行われた、先行して行われた改革であったと私は理解をしております。  要すれば、心機一転、そうした新しい組織の中で国民の期待にこたえてその行政に専念をしていくという、こういう気迫でこれが行われるものと期待をしておりますし、そうなければならない、また、そうするように国会の側としても、政治の側からいたしましてもやっていかなければならないことであろう、こう思うのであります。
  84. 中井洽

    ○中井委員 それじゃお尋ねをいたします。  今回第一勧銀が銀行局の検査に対して、いわゆる総会屋の弟の企業融資しておった件を検査で出さなかった、わざと隠しておったとしたら、一体どういう罪が第一勧銀に与えられますか。
  85. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  まだ事実関係の詳細は、また調査をさせておりますので、今先生がおっしゃったような検査のときの忌避行為というものが仮にあったとした場合の前提でお話ししますと、銀行法の六十三条に「第二十五条第一項若しくは第二十五条第二項」これは検査の規定でございます、「による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」、これが六十三条で五十万円以下の罰金に処するというふうになっております。これに当たる可能性があるということでございます。
  86. 中井洽

    ○中井委員 それではお尋ねいたしますが、大和銀行が数年前ニューヨークで巨額の損失事件を起こしました。この事件で、大和銀行は、十幾つあります。アメリカの支店すべて撤退、そして三億四千万ドル罰金、二人の方が裁判で実刑、こういうことになっております。この厳しい判決。これを監督する大蔵省は、大和銀行に対して、司法当局にどういう罪でお訴えになったのですか。
  87. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  刑事上の犯罪は、外国のアメリカで行われた犯罪でございまして、現地の当局の方で処理されております。我々当局としましては、大和銀行のこうした行為がやはり適切なものではないということで、銀行法上、第二十六条で業務改善命令を出しております。
  88. 中井洽

    ○中井委員 大臣、何かといったらこれ、業務改善命令なんですよ。痛くもかゆくもない。何の罰も与えられていない。これ、みんな業界対策なんです。検査して悪いところが見つかって、あるいはほかからやられても、みんな業務改善命令、それもみんな打ち合わせ。こういうことでございましょう。  大和銀行の事件だって、大和銀行は世界じゅうで活動しておる、アメリカでやったらこれだけ巨額な罰金と重い罰が与えられる。だけれども、日本だったら、同じ事件を大蔵省が調べて、大蔵省にも虚偽の報告をしているわけですから、にもかかわらず業務改善命令で済む、こういう法令の不備。  これは、大蔵省が許可をした、大蔵省監督をしておるから、銀行も生命保険もそれから証券会社も悪いことはしない、するのは行員だ、だから、悪いことをしたら銀行証券会社はその行員を早く訴えなさい、銀行に対しては業務改善命令だ、こういうことで済ませてきたところに、今日、いつまでもいつまでもこういう問題が起こる原因がある。  私は、総理がこの間、罰金五十万の世界はいかがかと言われて罰則強化を言われた、これは大いに結構である。大蔵大臣経験者として、御自分も不祥事を随分言われたこともありますから身にしみてお感じになっているが、こういう法案を審議するならば、そして目的がおっしゃるようなことであるならば、当然こういう罰則等の強化、発想の転換、これがあってしかるべきであろうか。それなしで、これだけをやって、行政改革だ、金融界の秩序を新しくするんだ、そういうことを言われても、それは変わらないんじゃないでしょうか、こう申し上げているのであります。
  89. 三塚博

    三塚国務大臣 中井委員の、金融の使命というものを憂え、今後の再発防止に毅然たる態度をとるべきであるという発露の御発言と受けとめます。深刻に受けとめて、対処をしてまいります。
  90. 中井洽

    ○中井委員 もう一つ申し上げたいことがあります。大臣が真剣に受けとめるとおっしゃっていただいたから、申し上げる。  これは、先ほど鹿野理事質問をいたしました責任問題であります。さっきも言いましたように、金融界で不祥事があると、トップへ行かない、そしていつの間にか終わってしまう、また繰り返される。これを改めなければならない。日本の会社という組織の中で、トップが責任をとらないこの姿が続く限り、いろんな古い形態が、あるいは嫌な話が続いていく、こう考えております。  例えば、平成三年、国会で損失補てんに関して野村証券の田渕さんを証人喚問いたしました。このときに私も、当時は民社党でございましたが、メンバーで質問をいたしました。田渕さんは、暴力団とどうして知り合ったんだという亡くなられた大野さんの質問に対して、大野さんが委員長でございましたが、その質問に対して、昭和六十一年にある総会屋からの紹介でと、こう平気で国会で言ったんですね。もう信じられないことを言う。ところが、そういうことを言い、許してきた人が責任をとった。何だといったら、取締役、相談役になった。トップをやめたからいいじゃないかと大蔵省は私どもに言われる。しかし、トップをやめても会社に残られて、給料は前と一緒、待遇は変わらない。歴然と地位を保っておられる。  こういう事例がいっぱいあるのであります。このことが、いつまでたっても不祥事が昔の影を引きずって残っていく原因になると僕は思っております。  あるいは、先ほど言いました東洋信金事件で、興業銀行のトップの方が大きなミスをしたと僕は思う。この人も国会で参考人で呼ばれ、質疑がありました。この方は、例えば住専でまた大失敗して数千億の処理をしておられる。ところが、何も責任はとっていない。  私は、今回の野村あるいは第一勧銀でおやめになる、おやめになるけれどもみんな月給はそのままもらう、こんなものは責任でも何でもないと思います。責任だというのなら、退職金もなしでおやめいただく、会社と縁を切っていただく。これが責任であり、そういうことによって、金融界におられる方は身を引き締めて法令を守る、ルールを守る、こういう風習がつくのだろう。大変厳しい言い方でありますが、本当に産業界あるいは資本主義の血脈、こういうものを維持し守っていくためには、これぐらいの決意が必要だと私は思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
  91. 三塚博

    三塚国務大臣 経営者のポジションというのは、トップであればまさにその銀行の存在全部を背負っていくわけでありますし、行員に対する責任これまたしかり、国民に対し、預貯金者第一義でありますけれども、その深刻な責任を負わなければならぬわけであります。経営者としての自覚にまっというのがそういうことで、今日の段階で私の言えることはそういうことだと思います。  銀行というのは、どこの企業よりも一〇〇%の信頼を持って認識をされ迎えられておることでありますだけに、みずからの信用を傷つけた、汚した場合は、責任のとり方は、経営者それぞれの判断ではあると思いますが、そういうことで、この際、実態が明確に解明されておらない時点でございますので、以上のことで申し上げさせていただきました。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 中井洽

    ○中井委員 あえて私は名前をお一人を挙げさせていただき、お一人は銀行名だけにいたしました。お一人は、さすがに二回目ということもあって会社からお引きになるということでありますが、もう一つはという思いもあります。いろいろな意味で私どもは、政治家も含めて、責任のとり方が少し甘いのじゃないか、こういうことであえて意見を申し上げさせていただきました。  それからもう一つ、この委員会議論で気になりますことは、この法案が盛んに、住専の失敗これありという形で、大蔵省の償い、こういう意味で出てきたという説明がされていること、私は大変気になっております。私自身はあの住専法案質疑に加わらなかったのでありますが、私は、あの本当に熱心な長期にわたる質疑、国民的な議論、いろいろ聞かせていただきまして、それはそれなりの思いがありますが、本当にあれは大蔵省検査のミスなのか、こう考えますと、簡単に言えば農林省の間違いじゃないか、僕はこう割り切って考えております。農協さんあるいは農協の預金、これらを守るということについては、私どもも、方法についていろいろ議論はありましたが、異議ありません。しかし、本当にあれは大蔵省銀行局だけのせいだ・つたのか、こう思うと、ちょっと違うのじゃないか、そういうことでこの金融監督庁ができるというのは少し冷静さを失っているのではないか、こんな思いを抱いています。  農林省にお越しをいただいておりますが、農林省は、大蔵省住専責任金融監督をこういうふうに分ける、こういうことについて、お考えを聞いても言ってはくれないと思いますが、農林省自体は、農協あるいは農協の系列の機関、こういうところの監督に関してどういう新たな対応をしようとなさっておられますか。
  93. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  住専問題の御論議の中で、種々農協系統組織のあり方についても御指摘をいただきました。  特に、農協系統の場合には、先生御承知のとおり、信用事業を含めまして、経済事業、営農事業、総合的な事業をやっているわけでございますけれども、その中でも信用事業は大変重要な柱として事業の推進を図っているわけでございますが、そういう中で、農協系統組織全体として体制が弱いのではないか、不備があるのではないか、そのために農協系統全体の組織を抜本的に見直してリストラをし、体制強化を図るべきではないかという御指摘をいただいたというふうに承知をいたしております。  そこで、系統組織は、そうした御指摘を真摯に受けとめておりまして、現在、全国農協中央会を中心といたしまして、系統組織を挙げて組織の再編整備に取り組んでいるところでございます。特に、農協の合併の促進とか、あるいは全国連と県連の統合とか、あるいは業務体制、監査体制の強化、そういったことを推進しているということでございます。  また同時に、制度面で支援をするということで、昨年の暮れにいわゆる農協改革二法を成立させていただきました。そういう中で、業務体制の強化あるいは監査体制の強化、自己資本の充実、そういった点を盛り込んだあの農協二法を成立させていただきました。そういうことで、農協の体制の整備ということを推進してまいりたいというふうに考えております。  また同時に、検査体制のあり方についても御指摘をいただきました。私ども今国会で、農林省設置法の改正を御論議いただきお認めいただいたわけでございますけれども、設置法改正に基づきまして、今般、大臣官房に農協検査部を設置するということで、検査体制の強化を図ることといたしております。そういうことで、今後とも系統組織の改善、体制の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  94. 中井洽

    ○中井委員 今回の法案で、与党三党の方でも、検査部門というのをとにかく一つにまとめて、農協も含めて検査を統一していく、こういう方向が出された。私どもは、そういう方向が出されておったらこの法案もかなりましな法案だろうと思っておりましたところ、折衝で、従来どおり農協に関しては共管、こういうふうになりました。農林省は、これからも農協や系統の検査、十分やっていける自信がおありですか。
  95. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  農協の検査につきましては、先生御承知のとおり、農協自体が、信用事業のほかに経済事業、営農指導事業あるいは福利厚生事業、そういった幅広く事業を行っている総合体でございますので、私ども、そういう意味では農政の観点から、農業者に対しまして農協がきちっと事業を健全に運営をしていく、そういう観点から信用事業を含めました事業全体について検査をするということで、今後とも検査が必要だというふうに考えております。  先生の御指摘の中で、検査の体制でございますけれども、今申し上げましたけれども、今般の設置法の改正によりまして大臣官房に検査部を設置をいたしまして、体制の強化を図りたいということで、これは人数もふやすことにいたしておりますし、また検査の回数もふやしていきたいということで、検査内容を充実してまいりたいというふうに考えております。
  96. 中井洽

    ○中井委員 お答えをいただきましたが、例えば先ほどから、農協、系統、合併を急ぐとか統合を急ぐというお話は、去年の住専の審議の中では盛んに出ましたが、のど元過ぎれば何とやらで、ちっとも進んでいない、これが現実ではないでしょうか。  あるいは、ちょっと新聞に出ていたものですから、農林省から資料をもらいましたが、例えばこの田無農協、正組合員五百八十名、役職員と職員が百二名、これでこの貸出金回収不能額は八十四億円、貸出金の約二〇%、こういう状況、どうして五百人の正会員で百二人も役職員がおるのだろう。もちろん金融だけじゃないことは承知をいたしておりますが、こういうことを含めて、リストラも何もやられていない、こういう状況ではないかと思っております。  農協、協同組合ですから、それの監督ということについては、農林水産省がおやりになることに何も異議申しているわけではありません。しかし、郵便貯金に次いで二番目の金融機関として莫大な預金を持っておられるわけで、この監督が本当に今の体制でいいのか、私どもは心配をいたしております。  この間、住専のときには、私流に言えば、担保もなしに数兆円の金を貸して、そしてそれを取り返したのですから、大変な金融機関だと僕は思います。担保なしに貸し出して、それを倒れたというのに全部取り返した、こういうのですから大変なものだ。しかし、こんなこと二度とできませんよ。これから出てくるのじゃないですか。  例えば、日債銀の系列のノンバンク三社が倒産、こういうことになりまして、この間から破産手続をいたしました。従来は、大銀行の子会社、系列は大銀行が面倒を見る、こういうことでありましたけれども、住専以来変わってきたんだ。これは、農協さんの住専におけるあるいは農林水産省の住専における対応が、金融機関として少しアマチュア過ぎたんじゃないか、こういう反発が金融機関に出てきたんじゃないか、心配をいたしています。  例えば、この日債銀系の三つのノンバンクに系統さんはどれぐらい貸し出しをしておったのですか。どれぐらい貸し倒れになるのですか。
  97. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  日債銀系列のノンバンク三社のうち、そのうちの一社のクラウン・リーシングに対しまして、系統金融機関平成八年十二月末現在におきまして貸出残高が約二千三百億円となっております。なお、現在クラウン・リーシングは破産手続をとっておりますので資産内容が確定しておりませんので、この二千三百億のうちどの程度貸し倒れ金になるかということは、まだ不明な段階でございます。
  98. 中井洽

    ○中井委員 それは、ちゃんと担保とってありますか。
  99. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 具体的な額は手元に持っておりませんが、一部担保はあるというふうに聞いております。
  100. 中井洽

    ○中井委員 農協さんあるいは系統全体で、住専のように、金融機関とみなすから担保はいいんだ、こういうことで貸し出している金額がかなりある、これはかなり回収不能だ、私どもは前々から心配をいたしております。こういったことの検査等がきちっと今の農林水産省の検査でおできになっているのか、その点大丈夫ですか。
  101. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 現在、系統金融機関についてディスクロージャーの推進を行っております。現在までのところ、中金それから信連についてはほとんど不良債権のディスクロージャーがなされております。単位農協についてはまだこれからでございますが、現在ノンバンク向けの融資、六兆強でございますけれども、そのうち昨年、八年の九月末で不良債権として、これは全銀協の分類基準と同じでございますが、報告を受けている不良債権の額が二千四百八十億でございます。
  102. 中井洽

    ○中井委員 二千四百億円で済めば結構なことだと僕は思いますが、先ほどの一社だけで二千三百億円という話もあります。それらが全額返ってこないということではないでしょうが、これらを含めて心配をいたしております。住専住専でお互い、国民全体も含めて大変な論議があったわけです。そして、国民の税金でふいたわけであります。これが二回、三回と繰り返されるとは期待していない、このことはおわかりだろう。そういう意味で、検査というのを従来と同じように甘くしておっていいのですかと申し上げているのです。  私どもは、地方の県庁の、皆さん方が機関委任をされておる検査がどういう格好で行われているか知っています。例えば私の郷里三重県では、東海の財務局から県へ、訓練させていただきますから勉強にお越しいただけませんかと言っていますが、いまだにこれが実現がなされておりません。地方の県庁の単位農協を検査する方々を、例えば農林省が中央へお集めになって、検査というのはこういうものであると徹底的におやりになるとか、そういう対応策を含めて、農林省は農林省で検査をやるというのなら強化をなさるべきだと思いますが、いかがですか。
  103. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、農協法に基づきまして国が全国の団体、県連を直接検査をいたしておりますが、法律に基づきまして県内の農協につきましては都道府県が検査をしている、これはもう先生今御指摘あったとおりでございます。連合会、単協につきましては、通常二、三年に一度検査をしてまいっておりますけれども、特に信連につきましては、こうした昨今の金融事情をめぐる変化にかんがみまして、平成八年度からは毎年検査をするということにいたしたわけでございます。  また、検査体制の強化でございますけれども、先ほど申し上げました官房検査部、平成九年度、今年度設置するということでお認めをいただいたわけでございます。平成八年度で、農林省の農協と水産業協同組合と森林組合の検査員合わせまして四十一名でございますが、バックアップ体制の充実も含めまして五十五名に拡充をいたしまして、検査体制、検査能力の向上を図ってまいりたいというふうに考えています。  それから、研修でございますけれども、今先生の御指摘の例について私ちょっと存じ上げませんで、また必要に応じて指示、指導はしてまいりたいというふうに考えております。  本省でやっております研修でございますが、初任者研修、中堅者に対する研修、それからさらにその上の専門的な検査技術の研修ということで、毎年県の方からは、初任者研修ですと平成八年度で八十九名、中堅研修ですと百九名、そういった研修はやっておりますが、今後また充実させてまいりたいと考えております。
  104. 中井洽

    ○中井委員 もっと言いたいこといろいろあるのですけれども、住専の問題というのは大変な反省をそれぞれ与えたわけであります。しかし、一番考えていただかなければならない、またまだまだ不安材料もある農協あるいは系統、これらの検査あるいは監督が従来とちっとも変わらない、しかも、金融監督庁という名前で新しいシステムをつくるけれども、ここらの監督については従来どおり、こういうことでは私どもは、何ら日本金融システム全体の国民に対する安心感、こういったものが増加するとは思えない、このように考えます。  例えば、大臣、私どもは、友達の中でもゴルフ場の会員権のことが盛んに議題になる。償還であります、ゴルフ場の会員権の償還。ところが、このゴルフ場の会員権の管轄は通産省。今回はこういう検査も通産省にそのまま残る。通産省に残っているのもいっぱいある。ありとあらゆるものが従来どおりで、この金融監督庁というものが何のためにつくられるのか、わかりにくい。  そういった意味でも、私どもは反対だ。せめてこの部分だけでもすばっと切って、各役所にある検査監督分野を集めておやりになる、こういったことを私どもは提言をいたしますが、いかがですか。
  105. 三塚博

    三塚国務大臣 総理府に、総理大臣を主管大臣として検査監督庁を置きました。そういう中で、私は、本来であれば全機関がと、大臣になる前からそう思っておりました。しかし、主管大臣になって、バッシングの真つただ中ですから、みんな集めるというと焼け太りの最大のものか、こういうことが予測をされましたから、特に各省、通産、農林、労働省でしょうか、それぞれの中央金庫、それぞれの金融機関を持っておるわけでありますから、政策的な目的でそれを設置したものでありますから、我が省でやります、こういうことで共管検査監督庁の責任者内閣総理大臣共管検査をやります、こうなってしまったものですから、これ以上申し上げることはない。時代の潮流の中で先々変わっていくものだろう、こう思っております。
  106. 中井洽

    ○中井委員 私ども新進党、民主党さん、共産党さん、それぞれ案を持っておるわけですが、それぞれ共通した部分はここだ。監督というものあるいは検査というもの、金融機関のものを一体として独立してやらせるべきである、こういう主張であるということもぜひ頭の中にお置きいただきたい、このように申し上げておきます。  具体的な問題にもう少し入らせていただきます。  この委員会で、我が党からいわゆる野村のVIP口座なるものについて議論がなされました。そして、委員会でも、理事会でも、このVIP口座の中身について国民に納得がいくような資料を出すべきである、こういう要求を今日まで続けてまいりました。残念ながら、きょうお昼の理事会におきましても十分な答えが得られておりません。  今、このVIP口座というものは現実にどこにあるんですか。
  107. 長野厖士

    ○長野政府委員 私どもはVIP口座なるものを持ってはおりません。  現在、野村証券にはもろもろの捜査が入っておりますが、捜査の御当局の方が、自分でそれを押さえておるとおっしゃるやら、その件はノーコメントとおっしゃるやら、それは私は承知いたしません。
  108. 中井洽

    ○中井委員 証券監視委員会はお持ちじゃないんですか。
  109. 若林勝三

    ○若林政府委員 証券取引等監視委員会では日ごろから、市場における取引状況をチェックする、監視するという形でいろいろな資料、情報を収集をいたしております。そうした中で、取引の公正を害するようなものがあれば厳正に対応する、今回のように、野村の場合には告発をするということで対応しているわけでございます。  そして、そういう過程で資料、情報収集いたしたものにつきましては、一体どんな資料、情報を収集したかとか、その中身は何かというようなことについては、今後のこの調査に影響があるということからそのお答えを差し控えさせていただいておるわけでございますが、一言付言いたしますと、証券取引等監視委員会は、去る五月十三日に、証券取引法に違反する損失補てんという嫌疑で野村証券及びその元役職員三名について東京地検に告発いたしておりまして、それにあわせて関係の資料も東京地検の方に提出したということでございます。
  110. 中井洽

    ○中井委員 今のお話を聞くと、委員会は提出をしたけれども、資料あるいは分析をしたものは残っておる、こういう理解になると僕は思うのですが、出すとか出さないということじゃなしに、お持ちであるかどうか、それぐらいはお答えをいただけるだろうと思います。
  111. 若林勝三

    ○若林政府委員 ある特定の資料、情報について我々が保有しているかどうかということも含めまして、従来からお答えを差し控えさせていただいておるところでございますけれども、あえて一言付言させていただきましたら、今回の告発に絡みまして、関係書類は法律に基づいて東京地方検察庁の方に引き渡すということになったわけでございます。
  112. 中井洽

    ○中井委員 大蔵省証券局は、野村証券に対して、このVIP口座なるものについて問い合わせをし、そして資料を出すように請求をいたしましたか。
  113. 長野厖士

    ○長野政府委員 いたしておりません。
  114. 中井洽

    ○中井委員 どうしてですか。
  115. 長野厖士

    ○長野政府委員 証券取引法におきまして、法令の違反等の疑念があり、そのことにつきまして検査、監視する機能証券取引等監視委員会及び司法当局の方で行われるという仕組みになっておりますので、私どもはそのような事柄につきましては差し控えておるわけでございます。
  116. 中井洽

    ○中井委員 大蔵省証券局は、不正があるかないかわからないけれども、二月に予算委員会でも論議され、普通は耳にしないような口座が日本一の証券会社にある、こういったときに、そういったものは本当に存在するのか、そういうものが存在するとしたらどうしてつくられたのか、こういったことを問い合わせる権限はないんですか。あるいは、お仕事上これは問い合わせなくていい、これを問い合わせるのはすべて証券取引等監視委員会ですか。
  117. 長野厖士

    ○長野政府委員 一般的に、犯則事件の捜査ということではなく、証券会社が営業姿勢として顧客管理といったものをどのような方針で行うかということを聞くことは、あるいはあり得ようかと存じますけれども、今回は証券取引等監視委員会が、かねて御答弁申し上げておりますように、犯則事件にかかわっておりますので、そのようなことを差し控えておるわけでございます。
  118. 中井洽

    ○中井委員 二月から、当国会の予算委員会で我が党北側君が問題にした口座であります。今若林さんのお答えで、五月十三日、こういうことでございます。この間、問い合わせがなされない。このことは、少し私どもは納得いきません。  また同時に、書類が押収されても、コンピューターでありましょうから、バックアップセンターなりなんなりにそういったものが残っておると私どもは思います。したがって、当然、野村証券に問い合わせていただいて、この資料をお出しをいただく。もちろん、プライバシーということは私どもよく承知をいたしております。しかし、これだけ論議になっておる中で、VIP口座というものがある、それがこの国会に出されてこない、論議にならない、こういうことでは、この委員会においても十分な審議をしたと言えないと私は思います。
  119. 長野厖士

    ○長野政府委員 VIP口座なる一定の形のものがあると申しますよりは、もろもろの状況からいたしますと、顧客の口座のうちの一定範囲のものについてそういう符号をつけて管理をしておる、これは国会でも野村証券責任者が御答弁申し上げておったかと存じますけれども。  私どもの観点からいたしますと、問題は、そのような分類を受けたものであろうと、あるいはそういったほかの符号で管理されておるものであろうと、そういう取引において違法な、法令違反等が行われておるかどうかということのチェックが必要かと考えております。言ってみれば、VIP口座でなければそれでは全く問題ないのであるかとか、VIP口座という言葉を使うのをやめれば何も問題がなくなるのではないかということとは全く異なるわけでございますから、どういった顧客管理上の分類をしておるかということとはまた別に、その口座の置かれておる取引がどのようなものであるかということをチェックしていくべきものと考えております。
  120. 中井洽

    ○中井委員 長野さん、若林さんのところで、その口座を含めて野村証券全体、不正で不公平なことが行われておったかおらなかったか、告発も含めてお調べをいただいておる、その中から地検へ告発がなされた、こう考えますけれども、証券局としては、こういう国会での論議、そして疑惑が言われている中で、当然問い合わせをして、出せるものは出させて、そしてそれを国会へ報告をしていく、当然のことではないでしょうか。
  121. 長野厖士

    ○長野政府委員 繰り返しになりますけれども、どういう口座の管理上の分類をするにせよ、その中におきます取引においてどういったことがあるか、その中に法令違反のものが含まれておるのかおらぬのか、おるとすればそれを調べなければいけないということであろうかと思いますので、VIP口座一般という問題というよりは、一つ一つの口座に関してどういう行為がなされておるのかということに尽きるのではないかと考えます。
  122. 中井洽

    ○中井委員 一つ一つの口座がどういう中身であるかということに尽きる──これが公平にやられているかやられていないか、私どもは捜査を待たなければわかりません。しかし、疑惑ありとして我が党からも提言をされ、そしてマスコミ等でもいろいろなことが書かれておる中で、疑惑がないならないなりの、ないというあかし、あるいはせめて、VIP口座はどういうことでつくられたんだ、どういう人たちが入っておるんだ、全体としてどういう取引のためにやったんだ、こういう分類ぐらいは言われてしかるべきではないか。  例えば証券業界の自主ルールの中には、株式公開時における株の割り当てやあるいはCBの割り当てやワラント債の割り当てのときに、これぐらいまではお得意さんには優遇していいよというような自主ルールもあるのでありましょう。そうすると、このVIP口座というのは、そういう野村証券が日々大きくお取引をしておるお得意さんの口座なのか、あるいは小池という男はこのVIP口座の中に入っておるのか入っていないのか、こういったことについて質疑ぐらいできなかったら、当委員会として責任を果たせない、私はこのように考えます。
  123. 長野厖士

    ○長野政府委員 国会におきましては、大蔵委員会でございますけれども、経営者側であります酒巻参考人から、VIP口座につきましてはもろもろの御説明があったと承知いたしております。これが恐らく現段階で野村が最も公に御報告しておるものであろうと思います。その中には、総会屋親族企業の法人口座はVIP口座ではございませんという報告は含まれております。  また、どういう基準で分類したかということにつきましては、議事録の引用で恐縮でございますけれども、例えば、「ありていに申し上げますと、その方の社会的立場にかんがみて対応に留意するお客様、そういうお客様とか、過去に電話や店頭で大変厳しい御指摘を浴びたようなそういうお客様、こういうお客様も留意客として入って」おります等々の御説明がなされておると考えます。
  124. 中井洽

    ○中井委員 証券局長は当委員会理事会で、四大証券のうちの他の三つに対してもこういう口座があるのかないのか問い合わせ中である、こういうことを言われました。また、野村証券からは既に、三月末をもってVIP口座をなくしました、こういう返事が来ているという話も聞かせていただいております。何も悪いことをしていない、何もおかしいことがなければそのまま残しておいて、堂々と分類ぐらいお出しになればいいという疑惑を持たれても仕方がないでしょう、もし何もおかしなところがないんだったら他の証券会社に問い合わせることもないのでありましようと、こういうふうに幾らでもこの議論が広がるわけであります。  かつて私も、あの損失補てんのときに当時の証券局長さんと議論をいたしました。そのときに僕は最後に、せめて二百数十社の損失補てんの相手先の中に政治家や政治家の団体あるいは親族、そういったものが入っているかどうかを答えたらどうだ、こう言ったら、それも答えられない。当時、今の総理大臣大蔵大臣でありまして、帰りがけます証券局長、松野さんでしたが、つかまえて、しゃべれ、こう言うものですから、松野さんはしゃべって、政治家は入っておりません、こういう答えをなさいました。  例えばこのVIPの口座に政治家や高級官僚が入っておるのかどうか、官房長官はこの内閣僚の御返答をいただいておりましたが、こういったことを検討して、やはりきちっと当委員会法案採決までに明らかにしていく、このことが大事だと私は思います。  委員長において、これをいつまでも議論していても時間がかかりますので、今夕の理事会においてお取り計らいをいただきますようお願いいたします。
  125. 綿貫民輔

    綿貫委員長 わかりました。  ただいまの件につきまして、後ほど協議させていただきます。
  126. 中井洽

    ○中井委員 それでは、次の問題に移ります。  過日、保険会社で初めて、日産生命が債務超過で業務停止という事態に陥りました。この問題についても当委員会議論が行われておりますが、改めてお尋ねをいたします。  この日産生命の処理、あるいはこの日産生命に保険を掛けていらっしゃる個人、団体、この人たちの財産保全、こういったものがどういうふうになるか、大蔵省お答えいただきます。
  127. 福田誠

    福田(誠)政府委員 お答えいたします。  今般、日産生命が破綻いたしましたが、私どもといたしましては、破綻した以上できるだけ早期に処理するということが行政上の責務であると考えております。具体的には、新保険業法におきまして契約者保護基金の制度が昨年四月から設けられておりますので、契約者の保護のためには、まず保険契約を継続するということが最も肝要であると存じますので、この日産生命の保険契約を引き継ぐ会社に対しまして契約者保護基金を発動いたしまして、できる限り保護を実現したいというふうに考えております。ただいま、その処理スキームにつきましては保険管理人の方で契約移転計画を策定中でございます。現在の段階で、方向性までは申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  128. 中井洽

    ○中井委員 大体何月ぐらいにきちっと処理が固まって発表できますか。
  129. 福田誠

    福田(誠)政府委員 契約者も大変不安な状態にございますので、行政当局として一日も早くと考えておりますが、とりあえずのスケジュール的なもので申し上げれば、各保険会社は、夏に総代会というのがございます。そこでその契約の移転等についての総代の同意を得る必要がございますので、やはりできるだけ早くでございますが、六月中あるいは六月のできるだけ早いうちに、ある程度の方向性が見出せればよろしいのではないかと期待しているところでございます。
  130. 中井洽

    ○中井委員 どのぐらい契約者がおられるかわかりませんが、この契約者の契約状況というのはすべて守られる、あるいはまた、この再建案づくりの間に亡くなったりしても契約どおり履行される、こういうふうに考えていいですか。
  131. 福田誠

    福田(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在、保険管理人が関係者間でどのようなスキームを設けるかということを検討中でございまして、まだはっきりした見通しは申し上げられませんが、先ほど申し上げましたように、被保険者についてできるだけ保護されるように私どもとしても指導したいと考えております。  しかし、これから問題といたしましては、具体的には、まず日産生命の財務状況をきちっと把握することが第一でございまして、それに基づきまして、設けられております二千億の保護基金をどのように発動するのか、保護基金の限度額で十分か否か、そして、引き継ぐ保険契約に含み損がございますのでその辺をどう処理していくか、そのような点がポイントかと存じます。
  132. 中井洽

    ○中井委員 できる限りというところが気になります。契約者は今、この破綻をした日産生命ですけれども、払い続けているのです。解約をさせてくれと言ったら、だめなんですね。金を払わないと失効になるというのです。金を払い続けるけれども、六月か、七月か、多分九月ごろまでかかるのでしょう、九月ごろに再建ができたら、条件変更だ、こんなやり方はあるのですか。例えば、同じ大蔵省銀行局が管轄をなさっておられるのでは、めちゃくちゃな経営をして、めちゃくちゃな高利で預金を集めまくって破綻をした、こういう信組やらに対しても全額預金は払い戻しをされているのではないですか。また、二〇〇一年までそういう形で守ります、銀行には預金の心配はありません、こういうことで保証なすって、生命保険はどうして条件変更になるのですか。僕はわかりません。大臣、いかがですか。
  133. 福田誠

    福田(誠)政府委員 まず、前半の方についてお答え申し上げますが、現在、御指摘のように、解約については停止されております。解約を停止しておる理由でございますが……(中井委員「いや、僕が間違うていたら言ってください、そんなことは聞いていませんよ」と呼ぶ)  それでは、銀行との違いという点で申し上げたいと存じますが、御指摘のように、保険会社の破綻は、事実上、戦後の混乱期を除きますと初めてでございますので、破綻処理がどのように行われるか、国民、契約者の間に不安があることは事実だと存じます。ただ、元本保証のある預金と異なりまして、保険は、本来保険事故の起きない限り払い戻されない性格のものでございます等々、おのずと預金と保険については性格の異なる面もあるのではないかと存じております。  保険契約そのものについては、継続を何とかするということでスキームづくりを考えておりますが、その条件等についてどうなるかにつきましては、まだスキームの検討中であるということでございます。
  134. 中井洽

    ○中井委員 申し上げますが、時間がありませんから、一まとめに言います。  この委員会で、五・五%という高利で契約者を集めたから破綻をしたという答弁がありました。しかし、当時五・五%というのは何も高利ではありません。それから、生命保険会社全体、団体保険で高利で五・五とか六とかやっておったのは、法律で下げられるようにしたのではありませんか。個人を下げられるようにしなかったために、個人の契約の多かった日産生命が、銀行の公定歩合〇・五%、これが長引きますから倒産をした、こういうことでありましょう。  また、直接の原因は何だ、こう言いましたら、平成七年度は黒字だった、八年度の夏に株の投機で失敗して破綻をしたのです、こういうことでありました。しかし、私どもから言わせたら、日本の生命保険会社がわずか一回か二回の株の投資で破綻するのですか。大蔵省は日常の監督の中で、保険会社の資産の一七%ですか、株運用はそれを上限としてチェックをしているはずでしょう。それなのに、どうして平成八年から平成九年、わずか半年ぐらいで破綻するような株の投機が行われたんですか。これは、みんな日常監督しておる大蔵省責任がないのですか。東京の二信組や大阪の木津信組やもろもろの、銀行の経営のあり方融資あり方を考えましたときに、日産生命とどこが違うのですか。こういう銀行の預金は全部守る、保険会社の契約は守らない。片一方は預金だから、片一方は保険契約だからとおっしゃるが、それは世界じゅう、ある意味では掛け捨ての契約が多いんでしょう。アメリカなら通用するかもわかりません。しかし、日本ではあえて貯蓄型の生命保険をお勧めになっているでしょう。ましてこの日産生命の個人保険、猛烈な勢いで各地方銀行が売るのをお手伝いになったじゃありませんか。  そういうことを考えますと、初めての生命保険会社の破綻、確かに二千億の保護基金をおつくりになって、もうまるで日産生命の倒産にお備えになってそれから破綻をさせたとしか言えないほどの準備のよさでありますけれども、やってみたらやはり二千億では足りない。こういう状況の中で、各生命保険会社やグループ企業やら必死に説得なさっておられるけれども、みんな嫌がってお出しにならない、だから契約者泣かそうか、こういう話じゃないんですか。私は、それはそれで、ルールで、それでいくというのならいいけれども、本当に生命保険の信頼がそれで成り立ちますか、私はそう申し上げたい。  大蔵大臣、大変長い演説になりましたが、私の父親は満州帰りでございまして、一切、生きておる間保険に入りませんでした。一遍、大変な金額掛けておったのに戦争で負けてだめになった。私も保険は入っていません。弟は大蔵省におりますから入っているのかもしれません。しかし、今回、これはまた古い方々には戦前のことを思い出させます。  生命保険といえども倒産する、それはそうでしょう。そういうビッグバン、そういう社会でいくんだということは事実でしょう。しかし、今までそうだったんですか。この日産生命の監督、こういったことに大蔵省責任ないですか。こういったことを十分考えて、契約者に何ら不安のないようにおやりになるべきである。同時にまた、個人の利率、これらについても団体と同じく、これは長期のことですから考えていかないと、ここだけじゃないでしょう、こういうふうに思います。  この二つの点で、大臣お答えいただきます。
  135. 三塚博

    三塚国務大臣 保険は老後に備えて常時積み上げていくものであります。これも会社と契約者の信頼関係、お説のとおりであります。  不幸な状態で、日産生命破綻処理、こういう事態になって、これに対処をいたしました。保険協会、御案内のとおり保険管理人ということになりまして、契約移転計画の策定を命じ、現在、関係者間で真剣な検討に入っておるということであります。私もその努力をサポートしながら対応していかなければならないと、ただいまの段階、御趣旨を踏まえながら全力を尽くしてまいるということで御理解をいただきたいと思います。
  136. 福田誠

    福田(誠)政府委員 大変厳しい御指摘をいただきまして、大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。  今後のあり方としても、例えば保護基金については引き受ける保険会社の存在が前提でございますが、これからの問題としましては、引き受ける会社が出ない場合にも最小限の保証ができるような支払い保証制度というものの創設も検討してまいりたいと存じます。  それから、長期的に、金利水準に応じて予定利率が変動するような仕組みが必要ではないかという御指摘もございます。個人年金のような長期の生存保障保険における予定利率の水準の妥当性あるいは固定金利とすることの是非につきましては、現在、各会社とも問題意識を既に持っております。今後の各社の商品開発等においても適切な対応がなされることを期待しております。
  137. 中井洽

    ○中井委員 それでは、時間の配分でさっき少し飛ばしたんですが、時間がありますから、今度、検査のことでもう一、二、大蔵省お尋ねをいたします。  この野村証券の今回の不祥事を起こしましたいわゆる総会屋、この総会屋の取引で、毎年五億円ぐらいの利益が出ておったと言われております。これ、証券取引等監視委員会のこの調査は、野村証券やら証券会社に行かれて、こういう毎年異常なもうけをしておるような口座というものをチェックするシステムにはなってないのですか。
  138. 若林勝三

    ○若林政府委員 証券会社に検査に参りました場合、いろいろな口座を当然ながらチェックいたします。その際に、その口座における取引の規模でございますとか取引の状況、例えば、特定の非常に投機的な先物であるとかオプションとか、そういう取引をやっているかどうかとか、その取引の性格に応じて見てみまして、その中で特に問題ありそうなものをチェックしていくというようなことでやっておるわけでございます。
  139. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、今回のこの取引というのは前々から、先ほどは、最新のが平成六年に入った、こういうことでありますが、このときにはわかっておったのか、調査の対象であったのかなかったのか、お答えをいただきます。
  140. 若林勝三

    ○若林政府委員 何分証券会社の取引口座は膨大なものがございます。どの口座をチェックしてどの口座をチェックしなかったかということを今ここで申し上げることは難しいことであろうかと思いますが、かなり金額の大きいような口座については、当然検査に当たった者がそれなりのチェックをしたのではないかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、今回告発いたしました取引は平成七年以降に行われた取引ということで、その具体的取引については、多分その当時は当然ながら見当たらなかった、ただ、口座として当時検査官が関心を持ったということは当然あり得ることであろうと思いますが、それ以上今申し上げることは差し控えさせていただきます。
  141. 中井洽

    ○中井委員 警察にお越しをいただいておりますが、警察にはふだんから、暴力団あるいは暴力団の企業舎弟あるいは総会屋それから総会屋グループ、こういったものの名簿がある。そして、総会屋対策を含め、企業金融機関に暴力団や総会屋が食い込まないために、金融機関や普通の会社が問い合わせをすれば、それは総会屋だ、いや違う、こういうことぐらいは教えると僕は思うのですが、どうですか。
  142. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 私どもといたしましては、暴力団の排除、あるいは暴力団と関係のあります人々によりますところの不当な要求を排除するという観点から、もろもろの情報を収集し資料化いたしていることは御指摘のとおりでございます。  ところで、各企業等から個別、具体的な相談がありました場合、その動機はいろいろございますので、その企業が本当にそういう不当な要求を排除するために、また敢然とその要求を拒絶するというような姿勢で私どもの方に相談が参りました場合には、最も有効な情報を私どもの資料から提供しているところでございますが、いろいろな相談のあり方がございますので、もろもろでございます。
  143. 中井洽

    ○中井委員 かつて大蔵委員会でかなり暴力団の税金の問題が論議をされまして、国税庁の中にこの暴力団専門の徴税の班をつくる、つくらない、かなり与党、野党でやりとりがございました。その当時、結局、国税庁と警察が十分な連絡をとってやる、表面に立って国税の中にそういうものをつくると脅迫されたりいろいろなことがあるのだ、こういうことで決着をして、その後、国税においては、暴力団の徴税、こういったことも見逃さないということでやっておると信用をいたしております。  私はなぜこんなことを聞いたかといいますと、証券監視の委員会銀行局の検査は、検査にお入りになるときにこういうリストを持ってお行きにならないのか、あるいは、金融機関が総会屋に不当な利益を与えておる、こういうことだけでお入りになったということは一度もないのか、こういうことをお尋ねしたいわけであります。
  144. 若林勝三

    ○若林政府委員 証券会社の検査をいたします場合、特にその口座がどういう口座かというその属性等に絡みまして、今委員指摘のような点というのは非常に貴重な御示唆であろうかと思うわけでございます。  確かに、そういう資料、情報として携えていくということの重要性はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、関係御当局の情報をいただくということで、そういう工夫をいろいろしていくように今後とも努力していくべきだと思っております。
  145. 中井洽

    ○中井委員 銀行
  146. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  金融機関は、当然でございますけれども、その公共性にかんがみまして、業務の健全かつ適切な運営を求められるわけでございます。したがいまして、社会的批判を受けるおそれの強い融資等は厳に慎むべきだということで、そういう指導も監督部局の方からしているところでございます。  ただ、今御指摘検査につきましては、当初からそういう商法違反等、犯罪の観点から検査をするという目的になっておりません。もちろん検査過程でそういう事実が判明いたしました場合には、厳正に対処することは当然でございますけれども、金融機関の経営の健全性、資産内容の健全性、そういう観点を中心に検査をしております。いずれにいたしましても、今後とも、そういう社会的公共性という観点につきまして問題のある事案がありました場合には、厳しく指摘をしてまいりたいと思っております。
  147. 中井洽

    ○中井委員 今の検査部長のお答えは、私ども納得できません。  そういう、公平にやっているか、健全にやっているかという前に、金融機関たるものが総会屋や暴力団に不当な利益を与えていないか。僕らから見れば信じられないことですが、信じられないことが次から次へと起こっているのですね。こういうものは調べて当たり前であります。今のお二人のお話を聞いていると、そういうことを目的で名簿を持っておやりになったことは一度もない。やっておられれば、こんなのとつくの間に見つかっておるのじゃないでしょうか。  例えば、先ほど言いましたけれども、平成三年に国会で野村証券は、総会屋の紹介で暴力団とつき合うようになった、こういうことをはっきり言われたわけです。そうしたらば、当然、その後できました証券監視の特別委員会はそういったことを調査されるべきでしょう。  大臣、ひとつこれ、新しく金融監督庁ができるならば、金融監督庁また監視委員会は、全金融機関に警察と連携をとってお入りいただいて、それはその人たちも普通の口座を持っておるのはあるのでしょうが、徹底的に一度チェックをしていただく。もうそんなのとっき合っておるやつは業務停止命令をかける、これぐらいのことをやる、それで初めて、そういう強い姿勢でいくからこそすっきりとしたスタイルが出てくる、国民の信頼が戻ってくると私は思いますが、いかがですか。お約束ください。
  148. 三塚博

    三塚国務大臣 問題のポイントを明確にされておりますが、監督庁、スタートをするのは法律成立後の施行日、こういうことになります。それまでの間、銀行局、証券局、監視委員会、全力を尽くしてやっておるものと信頼をいたしておるところでございますが、ただいまの指摘、御参考にさせていただきながら、万全の調査を展開をしなければならない、こう思っております。  既に、今次事件についての徹底した調査を行うようにと指示を申し上げておるところでありますが、改めての御提示でありますから、銀行局、証券局、信頼を申し上げておるわけですから、今の質疑を聞いておりますので、対応をしていただき、新しくできましたら、その伝統がそちらに継承されるように努力をしてまいります。
  149. 中井洽

    ○中井委員 余りお聞きをいただいていなかったような答弁だと思いますが、まあやるということでございますから御信頼を申し上げ、とにかくこういう陰の部分、暗い部分日本金融証券の業界はきちっと縁を切る、また、いろいろなことで入ってきても金融監督庁や監視委員会が見逃さない、こういう強い姿勢が必要だと思いますので、あえて申し上げておきます。  ただいま調査中で、それぞれにというお話がございましたが、例えば、野村証券に対しまして、お取引先から一斉にこの野村を外す、こういう意味での忌避が行われ、ある種の社会的ペナルティーがかかっていると私は思っています。同じようにびっくりするようなことをやりました第一勧銀に対して、一向にそういう動きはありません。あるのかしら。  私はこれ、国が、わかりませんが、例えば第一勧銀等に中小公庫や国金の代理貸し等をやらせておる、こういうのは一切取り上げるべきだ、裁判で、法で裁かれてから業務改善命令を出して罰金五十万の世界などというのでは、到底ビッグバンに対応できない、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  150. 山口公生

    山口政府委員 私どもが承知している限りにおきまして、二、三の大きな市で、市債の幹事メンバーから外すとかいうような話が起きているやに聞いておりますが、もちろん確認したことではございません。  いずれにせよ、この一勧の動きということにつきましては、社会的にもかなり批判が強うございます。いろいろな形でのそういった御批判が形として出てくることは十分に考えられますが、当局としてそれをどうこうするということはちょっと差し控えるべきかというふうに考えております。
  151. 中井洽

    ○中井委員 しかし、これは大蔵省そのものも、国金や中小公庫、御関係がおありですから、一応政府含めて厳しい対応をしてほしいと思います。  そういった意味で、官房長官、お越しいただきましたから、政府全体、野村証券や第一勧銀に対してどういう対応をしていくか、お聞かせをいただきたいと思います。
  152. 梶山静六

    梶山国務大臣 直接、金融監督庁、まだ法律は通っておりませんし、発足は来年の七月でありますから、それを所掌するという意味で今申し上げることは差し控えたいと思いますが、一般論として、こういうことはあってはいけない事象であります。  前段、記者会見に行く前に私は申し上げているが、金融界の、預金者の保護、ないしは信用の回復、ないしは円滑化、そういうものを目指すのであって、犯罪を目指すものではない、こう言ったのは、今までではありますが、今回の第一勧銀、私は想像で物を言っちゃいけませんけれども、世の中の常識として通っているのは、一行員が意図して悪いことをやって上から抑えるということではなくて、どうも企業のトップがこの問題に関与をしていたのではないかという疑いが大変濃厚であります。こういう犯罪を私は許してはいげないという思いがあります。  ですから、今までの銀行法による指導というのは、それなりに私は重いものがあったと思いますが、もう一面、こういうものにペナルティーをどうやって科すかということも視野に入れなければ、私は昨日も申し上げたのですが、どうも彼らの善意だけ信じていたのではどうにも仕方ない、やはり厳しい罰則があればこそチェックできるのではないかという一面も、あえて罪人扱いをするわけではないし、大半の方々がそうではないと思いますが、そういう立場にもしもなるとするならば、何らかの方法は講じなければ社会の信用を守ることはできないという気がいたします。
  153. 中井洽

    ○中井委員 実は、私はこの委員会で二時間にわたって質問させていただいて、本当に情けないなと思っていますのは、平成三年の金融証券の不祥事のときに質問したのと同じようなことを言わなければならない、同じことの繰り返しをやっているような錯覚に陥っております。  もうとにかく、人間ですから、お金もうけの現場は必ず悪いことをする、こう思って、大蔵省監督するから、役人さんが許可するからまじめに法律を守ってちゃんとやるのだという世界ではないのだ、また、大蔵省金融監督庁というところで監視や監督だけなんて到底できない、それは法改正からもうありとあらゆることをやらなければだめだ、こういうことを含めて御決意のようにお取り組みを賜りたい。また、あした総理がお越しをいただくならば、我が党石田議員からそういった点を中心にお考えを聞いてまいりたいと思います。  同時に、先ほど私、野村や第一勧銀に国としていろいろな形での、裁判が終わるまでの間にペナルティーがあるだろうということを申し上げましたが、本当に国民は公定歩合〇・五%、預金の金利全然なしで、これ、じっと我慢しているのですよ。去年の住専のときだって税金をつぎ込む、ことしの消費税の値上げ、国民はよく本当に御賛同いただけるものだ、日本人はすごいと僕は思っています。しかし、限度がある。やはりこういう人たちの我慢にきちっとこたえるような対応をとらないと、信頼というものはなくなってくる。預金をするとか生命保険に入るとか、こういったことが世界一スムーズというかレベル高く行われている国が、そういう基本が崩れていく、このことを心配いたします。  どうぞ、そういった意味でお取り組みを賜りますようお願いを申し上げ、最後に、もう一つひっかかっておる問題をお聞きをいたしたいと思います。  先ほど私どもは、政府の関与する金融機関検査監督、一本にまとめるべきだ、ばらばらではだめだ、こういうことで法案に反対だということを申し上げました。もう一つこの法案に反対の大きな理由は、実は我が党を含めて、金融ということについて、この行政改革のメンバーは専門家じゃない人もたくさんおるわけでございます。しかし、あえてこの法案がここへおりてきたのは、行政改革ということでおりてきたのだろうと思っております。ところが、承れば、地方の検査官は地方財務局にお残りになる、証券取引等監視委員会もそういうシステムになっていらっしゃる。証券監視の人たち、地方におられる方々は百二十名ぐらいおられる。銀行関係の地方の監視官、こういった人をあわせて、これ、どうして中央へ行かないのだろう。  証券監視委員会はそのままこの今回つくられる金融監督庁へ入る。しかし、地方はそのまま残る。そうすると、これ、例えば証券監視の地方の監督官という人たちは、金融監督庁長官の依頼でこの調査をやるのか、あるいは証券監視委員会委員長のあれで行くのかという組織問題を含めて、大変おかしな形が出てくるのじゃないか。  これ、私は大体事情はわかります。与党の皆さん方もすっきりとまとめようとなすったのだろうけれども、労働組合の関係で社民党さんが強く御反対なすってこういう形になったのだろうと、僕は外から見ております。これは行政改革あるいは機構づくりという意味からも決していいことではない。政治はもちろんいろいろとあるのでしょうけれども、どう考えてもこの分野はおかしいと思わざるを得ません。この点、責任者として、官房長官、いかがですか。
  154. 梶山静六

    梶山国務大臣 率直に申しまして、十分の策ではございません。しかし、行政改革という一つの、官庁その他をスリム化するという今の大きな流れに従って、最小限度どの分野でやればできるのか、その知恵を絞った結果が、いわばその、二またと言われるかもしれませんが、思い新たに、金融監督庁長官が、委任をすればできるということにしたわけであります。  人間、組織が変わりますとそれなりの反応は私は出るはずだと思います。思いを新たにしてやっていただくようにすべきだし、それから、ただ単に合理化、能率化というだけで処理ができる問題でないことも万々承知をいたしております。しかし、開くときには小さく産んでみて、どうしても必要があれば、どう直していくかということは次の策であろうかと思いますし、金融行政分野を二つに分けることが昨年来の懸案であったわけでありますから、今々、これを明確に、透明度を高めて分けることによって、緊張感を保ちながら第一歩を進めてまいりたい、このように考えます。冒頭申し上げましたように、いわば一般の行政改革とは全く違った意味での一つの過去の事例に照らし合わせた改革を、まずこの大蔵省から分離をして行う。確かに、出先に関する問題があることは承知をいたしております。その問題は、実績を重ねながら、どういう形になるか、これからの検討にまつべきものが多いと思います。
  155. 中井洽

    ○中井委員 お話してはございますけれども、橋本内閣の初めての行政改革としての提案であります。中央においてはいろいろ議論はあり、不満はありますけれども、分離することによって企画、監督というところを分けていく一つ方向だろうという評価も、我が党にもあります。  しかし、それではといって、見れば地方はそのままだ。今、小さく産んで云々というお言葉がございましたが、証券取引等監視委員会の方はもう数年前から生まれて、今日もまだ分離のまま。今回もまた分離でいく。これでは、せっかくのお言葉だけれども、私どもは、将来新しい方向が出てくると思いません。そういう意味で、労働組合の方々はそれはそれなりの動きもおありでしょう。しかし、今回は何も、人員を減らす、首を切る、そういうことでもないのであります。中央は分離するのですから、地方においても分離いただく。  私どもも、これはたびたびこういう議論をいたしましたら、例えば、四国や九州で財務局から分かれて金融監督庁の支局をつくると、そこへ総務課をつくらなきゃならないとか、人数が小さくてどうだとかいうお話がございます。そんなのは、九州と四国と合併すればいいわけですから、四国へ橋三本もつくるようなことをやっておるのですから、交通の便など何も悪いことはありません。  そういうことが行政改革ではないでしょうか。重ねて、大蔵大臣官房長官、この点について御答弁をいただきます。
  156. 三塚博

    三塚国務大臣 財務局をして検査監督庁の支局とせしめたというのは、いろいろなうわさも聞きますが、私はこれを推進する側の一人として、官房長官とも絶えず打ち合わせをしたのでございますが、行政改革の基本的理念、機関はつくる、新しく採用、このことは極めて至難、スタートしましたら、直ちにその機能を発揮しなければならないという観点をきっちり踏まえたことだけは間違いございません。同じではないか、従前と変わらぬではないかという一点に、財務局長大蔵大臣の指揮下にあるものでございますから、同じことではないかねという根拠もそこにあろうかと思います。  しかしながら、総理大臣が主管大臣、そして直接には委任を受けて長官がこれを担当するということでございますから、私から、大蔵大臣という立場から、支局を監督、財務局長を指揮するということは本件に関する限り全くない、これだけはきっちりといたして、次にバトンタッチしますから、これだけは御信頼ください。
  157. 中井洽

    ○中井委員 次にバトンタッチするということは、大蔵大臣の間はこのままだということでございましょう。(三塚国務大臣「そういう意味ではない」と呼ぶ)  これは逆に言えば、中央は分けなければ絶対だめだ、地方は一緒でいいということであるならば、地方の財務局長は企画立案に一切関与していないということですか。地方の財務局にお勤めの方々は、銀行金融証券制度の企画立案に一切関与していない、こういうことですか。関与しているのでしょう。
  158. 三塚博

    三塚国務大臣 これは中井議員、そこのところはこう御理解をいただければよろしいと思います。  財務局長は併任になるわけですから、局長であり検査監督庁の支局の責任者になるわけですから、そういうことで、それをセクションに命令をする、専ら検査監督業務をやっておる財務局の大蔵事務官、これがおるわけでございますから、これを指揮監督して、決められた検査要綱でしっかりと業務を遂行する、こういうことになる、そう申し上げておるわけです。
  159. 中井洽

    ○中井委員 こういう大事な時期の金融監督に関する重大な法案だ。この法案が成立して無事金融監督庁が発足をして、大蔵大臣がさっきから言われるように、金融業界に対する国民の信頼が戻ってくる、また襟が正される、そういうことであればまことに結構なことだと僕は思います。  それだけに、逆に、国会において各党がみんな賛成だ、こういう方向で成立するということも大事なことだと思います。しかし、今のままでいけば、この点に関してだけでも私どもは反対だ。民主党さんや共産党さんも、違いはあるけれども、お尋ねしお聞きしておると、ここら、あるいは先ほどの、政府金融のトータル的な監督ではなしに従来と同じ共管である、こういうシステムに対する不満、この二つがこの反対の理由になっているのだろうと。与党の中にもいっぱいこういったことに関して、議論過程をお聞きしておると、賛成の方もおられる。  そういう意味で、こういう大事な法案なだけに、政府与党側が柔軟に対応されて、多数の賛成のもとで成立を図られる、こういったことに努力をされることを強く要望して、質問を終わらせていただきます。
  160. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次回は、明二十八日水曜日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十八分散会