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1997-05-20 第140回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 綿貫 民輔君    理事 自見庄三郎君 理事 野呂田芳成君    理事 谷津 義男君 理事 柳沢 伯夫君    理事 鹿野 道彦君 理事 中井  洽君    理事 枝野 幸男君 理事 松本 善明君       赤城 徳彦君    臼井日出男君       大原 一三君    金田 英行君       熊代 昭彦君    杉浦 正健君       谷  洋一君    中谷  元君       中山 利生君    福田 康夫君       船田  元君    松永  光君       山口 俊一君    山本 公一君       伊藤 達也君    石田幸四郎君       今井  宏君    岩浅 嘉仁君       倉田 栄喜君    斉藤 鉄夫君       富田 茂之君    永井 英慈君       西田  猛君    増田 敏男君       安住  淳君    池田 元久君       川内 博史君    末松 義規君       木島日出夫君    畠山健治郎君       前田 武志君    土屋 品子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君  出席政府委員         内閣参事官   安富 正文君         内閣審議官   畠中誠二郎君         内閣審議官   白須 光美君         内閣総理大臣官         房審議官    安藤 昌弘君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         大蔵大臣官房金         融検査部長   中川 隆進君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局次         長       溝口善兵衛君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         証券取引等監視         委員会事務局長 若林 勝三君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         郵政省貯金局長 品川 萬里君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁)松下 康雄君         特別委員会第三         調査室長    田中 達郎君     ───────────── 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   宮本 一三君     岩浅 嘉仁君   末松 義規君     川内 博史君 同日  辞任         補欠選任   岩浅 嘉仁君     宮本 一三君   川内 博史君     末松 義規君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金融監督庁設置法案内閣提出第六六号)  金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出第六七号)      ────◇─────
  2. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊代昭彦君。
  3. 熊代昭彦

    熊代委員 自由民主党の熊代昭彦でございますが、きょうは一番バッターで質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。  初めに、既にいろいろお話は出たと思いますが、きょうの議論前提といたしまして、再確認意味も含めて、一般的に言いまして、金融監督庁ができると、現状に比べて何がどのように改善されるのか、お答え願いたいと思います。
  4. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  住専問題等に象徴されます金融機関不良債権問題の顕在化等を契機にいたしまして、これまでの金融行政のあり方について、政策決定過程やルール、これらの点につきまして、不透明なところがあるということを含めまして、さまざまな御批判を国民各層からいただいたところでございます。  今般の金融行政機構改革は、これらにこたえるものでございます。金融監督庁を設置しまして、民間金融機関等に対する検査監督、こういう執行面機能金融監督庁が担いまして、企画立案という政策面機能大蔵省が分担する。これによりまして、市場規律基軸としました透明かつ公正な金融行政の転換に資するものと考えているところでございます。
  5. 熊代昭彦

    熊代委員 何が改善されるかという問いに対しては、極めて簡潔過ぎる答弁であるように思います。透明化するということのようでございますが、大蔵省の権限を分割していくということもあるのであろうというふうに思います。  それでは、先に行かせていただきまして、具体的にこれからの課題について、金融監督庁が成立した後の同庁と改正後の新大蔵省が、問題にどう的確に対応できるのかということを伺いたいと思います。  初めに、現下の金融行政課題でございますけれども、まず第一に、膨大な不良債権問題がある、これをどのように処理していくか、それが第  一の問題ではないかというふうに思うわけです。そして第二の問題としまして、来るべき金融ビッグバン、二〇〇一年とかいうようなお話も伺っておりますが、これにいかに対処するかというこの二点が大きな問題なのかなというふうに考えているわけでございますが、これにつきまして、こんなところの問題意識でよろしいかどうか、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  6. 三塚博

    三塚国務大臣 不良債権処理は絶対の要件です。御案内のとおり、金融経済活動の必要な資金を供給するという意味で、全体から見ましても、血液であるとか動脈であるとかと言われるほど重要な問題であります。よって、金融機関が健全化しておらなければなりません。不良債権を解消する努力をしっかりとサポートし、また、金融機関みずからも全力を尽くしておるものと理解をいたしておるところでございます。  さらに、ビッグバンの問題は、委員も御承知のとおり、我が国金融市場ニューヨークロンドン並みに復活をしていかなければ、円の価値が、また、基軸通貨と言われて第三の地位を今キープしておりますが、そういう点でローカルカレンシーに陥ってしまうのではないかという懸念もございます。そういうことで、外為法を先般両院を通過させていただきました。  そういう中で、規制緩和推進計画の再改定に当たりましては、業態別子会社業務範囲見直しなどの金融証券保険分野における大幅な規制緩和を決定いたしたところであります。さらに、証取法の抜本改正に加えまして、我が国金融証券市場の基盤を国際的水準に引き上げることを目的としました市場活性化のための新法制定など、各般の立法措置を講ずることを明らかにしたところでございます。  現在、これらの措置を、二〇〇一年まで改革が完了するプランをまとめるべく、関係審議会に鋭意審議をいただいておるところでございまして、来月にはそのプランの全貌を明らかにされるものと考えておるところであります。
  7. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございました。  大臣からお話もございましたが、金融ビッグバンビッグバンたるゆえんは、各種金融機関垣根をすべて取っ払う、そればかりではなくて、各種銀行間の垣根も取っ払うし、銀行証券垣根も取っ払うし保険との垣根も取っ払う、さらにはノンバンクバンク垣根すらも取っ払っていくんじゃないだろうか、ビッグバンという言葉からすると、そういうふうに思うわけでございます。  原則的に、何をやろうとも自由だ、また外国国内垣根も取っ払ってしまう、こういうことだというふうに思いますが、この基本的な考え方につきまして、それでいいかどうか、再確認をお願いしたいと思います。
  8. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  銀行証券間の相互参入につきましては、平成四年の金融制度改革によりまして、業態別子会社という方式による相互参入が既に実現しておるところでございます。  また、今般の金融システム改革の一環としまして、本年三月二十八日に閣議決定させていただきました規制緩和推進計画の再改定におきまして、今申し上げました業態別子会社業務範囲を、九年の下期より証券子会社現物株式に係る業務を除くすべての証券業務を解禁し、残余の業務範囲見直しにつきましても、金融システム改革全体の中で完了させるとしているところでございます。今後、これを受けまして、六月までには結論を得べく検討を進めたいと思っております。  さらに、これらのほか、金融システム改革におきましては、銀行証券本体での業務範囲拡大施策についても検討をしているところでございます。  また、銀行ノンバンクについてのお尋ねがございました。  現在、ノンバンク資金調達につきましては、出資法第二条第三項におきまして、社債の発行により不特定かつ多数の者から貸付資金受け入れることを禁止する等の制約がとられているところでございます。  今般、ノンバンクに関する懇談会におきまして、投資家保護の観点を十分踏まえつつ現行制約は基本的に廃止すべきであること、その際、ディスクロージャーの強化や、人的構成、これすなわちリスク管理体制でございますが、あるいは財産的基礎、これは自己資本充実等でございますが、を求めるべきであることなどの報告をいただいているところでございます。今後、同懇談会報告を踏まえつつ、どのような法律上の手当てが必要かなど、さらに検討を深めてまいりたいというふうに思うわけでございます。  大蔵省としましては、こうした施策によりまして、業態を超えました競争が促進され、金融サービス等の一層の多様化効率化が推進するものと考えております。  また、国内銀行外国銀行との関係お尋ねになりましたが、これは、従来から何ら銀行法上の差別はしておりません。これは、金融システム改革以降も変わらない方針でございます。  お答え申し上げました。
  9. 熊代昭彦

    熊代委員 現在は子会社を中心に注意深く動いているけれども、そのうち本体の会社の間も考える、ある、あり得るということのようでございますので、金融ビッグバンは、ビッグバンが原則的にすべて自由というようなことになれば、弱肉強食の社会になるということであります。これは自由な競争の本態でありますから、弱い金融機関はばたばた倒産してしまうのじゃないだろうか、そういうことも考えられるわけですね。これに対しまして、何らかの対策を考えているのか。あるいは、倒産するのは倒産するで、しようがないではないかということなのか。  私、十四、五年前にニューヨークに三年ほど住んでおりましたけれども、セービングズ・アンド・ローン・バンクSLバンクは、それぞれの銀行があと何カ月もつだろうという一覧表が毎日毎日ニューヨーク・タイムズに出ていたような状況がございます。そういうようなことになるのじゃないだろうか。  それから、外国銀行は現在も進出は自由だということのようでございますが、外国銀行もあらゆるところに、銀行業務以外にも進出してくるということでありますので、どういう状況になって、どういうふうに対処するのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  10. 山口公生

    山口政府委員 お尋ねの件でございますが、確かに、競争が激しくなっていくことは間違いないと思います。そのときに弱小の金融機関等がいろいろと淘汰されるのではないかという御指摘ももっともなところでございますが、金融システム改革は、市場を大きくすることによっていわゆるパイを大きくしていく、そういう目的もあるわけでございます。その中にあってこういった競争原理が働くということでございますので、まずは各金融機関が十分な自助努力をやっていただくということが前提だろうと思うわけでございます。  金融についてその状況を申し上げますと、先般の通常国会におきまして、金融三法をお通しいただきました。そのときに、金融機関健全性を確保するための早期是正措置というのを導入させていただいたわけでございます。これは、まずは自己査定をし、それに外部監査を入れて、それで検査のチェックをして、自己資本比率をもっていろいろな適切な対応をしていくということでございます。  これは、各機関にとってみますと、自分で判断をして、自己規律でもって対応していくということにつながるわけでございます。こういった形でもって、いろいろな自助努力を真剣にやっていただく。今、不良債権問題もまだまだ問題となっております。これも早期に償却していただくという努力が必要でございます。  ただ、こういったことをしましても、万一仮に金融機関破綻が生じるというようなことがあった場合には、預金者保護信用秩序の維持という大変重要な国家的な目的があるわけでございます。それは、せんだっての金融三法におきまして、今世紀中は預金者の全額を保護できるという仕組みをお認めいただいておりますので、これによって対応してまいるということを考えておる次第でございます。
  11. 熊代昭彦

    熊代委員 銀行の体質の強化自助努力、その上は保険で対処するというようなお話でございます。ビッグバンでありまして、原則自由ですから、それもやむを得ないかということでありますが。  その前に、冒頭にお伺いしました不良債権問題についてちょっとお伺いしたいのです。  住専問題で、一応住専処理されたと仮定しまして、現在処理中ではありますが、その後の不良債権というのは、現在どれくらいあるのか。それから、例えば、それは三十兆で、毎年一兆円処理したら三十年かかるのじゃないかとか、そういう見解を述べている人もいますけれども、そういうことじゃないと思うのですよね。私は、不良債権がどれだけあって、どれだけ民間処理されていっていて、それはどのようなペースで、何年というようなことははっきり言えないと思いますけれども、どのようなスケールのペース不良債権問題というのは今後処理される見通しであるのかということをお伺いしたいと思います。
  12. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  金融機関不良債権は、破綻、延滞、金利減免という統一的な基準でそのデータを集積しておるわけでございます。そのベースで、最近は半年ごとに統計をとらせていただいております。  直近のは去年の九月末でございまして、ことしの三月末はまだ決算が終わっておりませんのでまだよくわかりませんけれども、去年の九月期末におきましては、不良債権額が二十九兆二千億でございます。その半年前の八年三月末が三十四兆八千億でございます。その前の七年九月、つまりちょうど一年前でございますが、それが三十八兆ちょうどでございますので、一年間で大体十兆ぐらい減っているという計算でございます。  ただ、この不良債権額に対しまして、引き当て等をやっているものがございます。そういう処理が済んだもの、あるいは担保で十分カバーできるもの、こういったものを除きますと、要処理見込み額というのが出るわけでございます。それを申し上げますと、また逆算で言いますと、昨年の九月、八年九月が三兆三千億でございます。八年三月が八兆三千億で、七年九月が十八兆六千億でございます。したがいまして、それを見ましても、かなり減ってきているということはうかがえるわけでございます。  したがって、金融機関全体で見ますと、また統一的な統計ベースだけで見ますと、不良債権問題は確実に快方に、いい方に向かっているということが言えると思います。  ただ、これと個別金融機関の問題というのはまたちょっと次元が違いまして、個別金融機関経営はいろいろさまざまなものがございまして、そういう意味では、各金融機関ともに、それぞれの事情に応じて先ほど申し上げた自助努力をし、懸命なリストラをやっていただく必要があるということでございます。
  13. 熊代昭彦

    熊代委員 二色の数字を挙げられましたけれども、最初の方の数字で見れば、一年で三十八兆が二十九兆になっている。十兆円近く償却されているということですから、そのペースでいけば、三十兆円足らずというのは三年ぐらいでいくのか、大筋の話ですね、そういう規模の話だなというふうに理解させていただきたいというふうに思います。個々の銀行の問題は残るでしょうけれども、大筋でやはり三年とか四年とか、長くても五年、こんな話で不良債権問題は片がつくのじゃないだろうか、そういうふうに理解させていただきたいと思います。  それでは、ビッグバンの話に入らせていただきまして、個々具体的にちょっとお伺いしたいと思います。  次の各業態はこれまでどういう垣根で守られていたのか、その垣根が取り去られたらどういう事態になるのか、そのとき過当競争で倒産しないで生き残る道はあるのか、こういうことでございますが、都市銀行、地方銀行信託銀行長期信用銀行、信用金庫、信用組合労働金庫、それから農協等金融機関、それからノンバンク、それから証券、さらには保険がありますかね、インシュアランスの保険が、そのあたりをちょっと教えていただきたいと思います。
  14. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます前に、先ほど、私、要処理見込み額で、八年の九月、七兆三千億を違った数字を申し上げたかもしれませんが、これは正確に言いますと七兆三千億でございますので、もし間違っていたら御訂正をお願い申し上げたいと思います。  今のお尋ねの、各業態でいろいろな規制の形で業態別すみ分けみたいなのがあったのではないかということでございますけれども、確かに、銀行都銀、地銀、長信銀、信託、それから協同組織では信金、信組、労金、農漁協、それからそのほかノンバンクというような形で、それぞれの形を持ちながら、特色を持ちながらやっております。  総じて申し上げますと、銀行あるいは協同組織金融機関におきましては、その業態で守られているというような要素はかなり低くなっておりまして、例でいきますと、都銀に行きましてもあるいは信用組合に行きましても、預金者としては同じような扱いになっています。ただ、一部貸し出しには制限があるとか、いろいろな協同組織の性格からくる制約はございますけれども、ファンクションとして見ますと、それほどの違いはないということでございます。それぞれの金融機関が、全国ベースで展開する、あるいは地域特色を持って展開するというような形でのすみ分けというものが主たるものだろうと思うわけでございます。  ただ、ノンバンクだけはちょっと違いまして、これは、なぜノンバンクと言っているかといいますと、預金受け入れをしておりません。したがいまして、これは銀行等とは決定的に違うわけでございます。ただ、貸し出し等はやっております。したがって、預金受け入れをしておりませんと、いわゆる決済機能というものがそこにはないわけでございます。そこには厳然たる差があるわけでございます。  それから、破綻等の場合の対応につきましても、銀行それから協同組織農漁協はちょっと別の貯金保険機構がございますけれども、そのほかは一つ預金保険機構という形で、統一的に預金者保護を図っておる次第でございます。ノンバンクにつきましては、預金を受けておりません関係上、そういった預金保険機構的なものはございません。そういった形になっておるのが現状でございます。
  15. 熊代昭彦

    熊代委員 一つ追加的にお伺いしたいのですけれども、生命保険とか損保とか、この保険ビッグバン完成の暁にはほかの分野にも進出できるし、ほかの銀行とか証券とか、それが保険にも進出してくる、そのようなものであるというように理解してよろしいのでしょうか。
  16. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  生保、損保につきましては、お互いの生損の間での子会社による相互参入は認められております。これは、先般の保険業法改正の際にお認めいただいたわけでございます。  他の業態との関係につきましては、今度の金融システム改革の中で検討しているという状況でございますので、今の段階では認められておらないということでございます。
  17. 熊代昭彦

    熊代委員 現在は乗り入れがないけれども、検討中ということでありますので、あるいはあるのかもしれません。  それはちょっとさておきまして、それでは、金融問題と大きなかかわりがあると思うのですが、郵便貯金とか郵政三事業財政投融資制度、今話題になっておりますが、金融ビッグバンの時代には郵便貯金制度財政投融資制度というのはふさわしくないんだというような議論をしている人もいますけれども、私としてはよくわからないのですけれども、こういう議論に対してどのように思われるか、大蔵省さんと郵政省さん、それぞれお答えいただければ大変ありがたい。
  18. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 お答え申し上げます。  財政投融資は、今委員言われましたように、郵便貯金とか年金積立金などの資金を原資といたしまして、これを、民間では実施困難な大規模、超長期プロジェクト事業、それから金融としては、民間金融では困難な長期、固定の資金の供給ということをやっておるわけでございますが、これは、財政政策上の目的を実現する上で、有償資金で行うことがふさわしい分野について、投資とか融資という手法を用いる仕組みであるわけでございます。  そこで、財政投融資につきましては、やはり受け持ちます具体的な役割はその時々の社会経済情勢の変化において変わっていく必要があるとは思いますが、委員言われましたように、基本的にはこれは財政政策の中で、今申し上げましたような有償資金の活用が適切な分野だということに対応する基本的な役割とか必要性は、将来にも残るというぐあいに考えております。
  19. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘ございました郵貯の役割でございますが、御案内のように、金融ビッグバンというのは、我が国金融市場の厚みが増す中で、民間金融機関の種類を問わず、いろいろな活動が活発化しまして市場が膨らみのあるものになっていく、それに応じまして、預金者利便の向上に資するようないろいろなサービスが幅広く提供されていくという姿を目指しているものと私どもは考えております。  その中で、これは予測の域を出ませんけれども、状況によりましては、民間金融機関のより効率的な経営が進む中で店舗の集約化ということも言われておりますし、それによりまして、個人利用者にとってみますと、金融サービス地域間格差とか、あるいは利用者にとっての利便性格差というものも拡大をすることが、予測状況でございますけれども、考えられるところでございます。  一方、郵便貯金につきましては、御案内のように、今日、地域を問わず全国個人利用者利便本位あるいは効率性というものを加味しまして、バランスよく、非常に簡易に御利用いただけるように、また簡易に御利用いただけるようなサービスを提供しておるわけでございます。  特に、今後高齢化都市部あるいは過疎地を問わず全国的に進展する中で、高齢で単身のひとり住まいを余儀なくされている方々にも、自助努力の手段を御提供申し上げ、できるだけ簡易に御利用いただけるということは郵便貯金一つの大きな使命であるし、また、その要望がますます高まるのではないかというふうに考えておりまして、こうしたニーズにおこたえすることは、金融ビッグバンの中で、国民の生活の安定にとりまして大変意義あることではないかというふうに考えております。  したがいまして、今後のビッグバンの進展の中で、郵便貯金のこうした基礎的な役割を果たしていくことと、民間金融機関のさまざまなサービス多様化、両々相まって、全体として利用者利便個人投資家の利便向上に寄与するものではないか、このように考えております。
  20. 熊代昭彦

    熊代委員 金融ビッグバンの時代にも、その時代にふさわしい使命があるということでありますが、私も基本的にはそう思います。  しかし、この財政投融資制度、非常にいい役割もしてきたと思うのですけれども、国鉄累積債務が二十数兆円、それから林野特会三兆五千億ですか、そういうものが出てまいりまして、これは基本的には一般会計で補うということですから、不良債権でも何でもないということであります。それがこれまでの考え方であります。  しかし、一般会計がこれほど苦しくなってまいりますと、少し考え方を変えたらいいんじゃないかという気がいたします。財政投融資制度そのものの中に、いわば不良債権対策を盛り込むということですね。それで、貸し倒れ的なものがあれば、これはまずその不良債権対策の中で処理して、それでもだめならば一般会計で処理する、こういう大きなシステムの変更を考えるべきときじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。  具体的には、御承知のとおり、財政投融資制度というのは、財投に預託する金利と財投から貸し出す金利は同一なわけですね。財投金利ということで一本でいっているわけです。今、二・六%で預かって二・六%で貸し出すということなんですね。  ですから、多少の期間の操作で若干の余剰は出ているようでありますけれども、それではなくて、貸し倒れ対策的な思想を盛り込むとすれば、例えばの話でございます、これが固定したわけではございませんけれども、ある程度のマグニチュードを持つという意味で、例えば〇・五%の差をつけるということですね。ですから、二・一%で預かって二・六%で貸す、こういうことを基本にしますと、〇・五%の差が出てくるわけですね。  それで、この時代でございますから、今、極めて大ざっぱに言いまして、財投の貸し出しの残高は四百兆円ぐらいでしょう。これは、七年で預かって七年で貸し出しているのでしょうから、七年間すればすべてが〇・五%の差になるということですね。それで、四百兆円そのままでなくて、民間に任せるところは民間に任すということで、これも非常に明快に簡単に割り切れば、半分にする、二百兆円にしてもいいと思うのですね。  ですから、郵貯、厚生年金、それぞれ半分は〇・五%の低い金利で預ける、あと半分はちゃんと法律を定めてみずから直接運用したらどうだろう。こういうシステムにすると、財投も思い切ってスリムになってまいりますし、不良債権対策にも、過去のものについても対処していいと思うのですね。過去のものについても、ここで大きく考え方を変えて、一般会計に入れるわけですので、一般会計で対処してもらうということにしていいと思うのですね。  そうしますと、どういうことになるかというと、二百兆円の残高で七年後に〇・五%完全に差があるとすれば、毎年一兆円ずつのいわば不良債権対策のお金が出てくる、こういうことでありまして、これは非常に大きなことではないかと思います。そういうことを考える時代になったんじゃないか。それとともに、四百兆円の融資残高を二百兆円に抑えるような、それほどのスリム化を図っていく。  九五年度決算の数字で、これは朝日新聞の三月三十日付の記事でございます。正確かどうかわかりませんが、恐らく大筋では合っているんじゃないかと思いますが、三十九法人を調べたということです。三十九法人を調べて、そのうち三十七法人が補助金とか出資金とか貸付金を受けているということですね。それで、補助金などが二兆三千億円、出資金が九千億円、貸付金が三千億円、三兆五千億円ぐらいが行っているんだ、こういう新聞記事が出ておりました。  これは、一応大筋そういうことかということにしますと、予算ベースではなくて決算ベースでなきゃだめだという主張で書いてあるわけですが、補助金と出資金、これは一般会計だけじゃなくて特別会計も含まれているようですが、合わせまして三兆二千億ですか、貸付金を入れて三兆五千億です。  やはり新しい時代の財政投融資というのは、財投機関はプラマイ・ゼロで運営する、赤字じゃなくて、出資金とか補助金をもらわないでプラマイ・ゼロで運営するというようなことをシステムの中に盛り込めば、ここでもまた二兆円ぐらいは節約できるんじゃないだろうかということでございます。  財政構造改革、六つの改革すべてが政府の健全化をねらっているとすれば、一兆円プラス二兆円、三兆円ぐらいのマグニチュードの話というのは、本当に七年、十年かけてやるべき価値があるのではないかというふうに思うわけでございます。  こういう考え方に対しまして、この場で、直ちにやるとかやらないとか、そういうお答えも難しいとは思いますけれども、大蔵大臣、ちょっと御感想を聞かしていただければ大変ありがたい。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
  21. 三塚博

    三塚国務大臣 不良債権解消のためにという名目、この不良債権は清算事業団の不良債権なのか、また金融不良債権ということでありますと、なじまないな、こう思います。  それはそれとして、財政投融資制度の運用の基本的な方針とぶつかるところがある。預託金利二・六、そして御説のとおり、貸し出し二・六、こういうことで運用する。有利確実に運用して預託者に対して利益を還元する、利益じゃありませんね、利子を還元する、当然のことながら。この辺の今までの制度の基本と、それをカットして、〇・五拠出を願う、こういう形になりますと、形を変えた税金かなという反論も当然出てくるわけでございまして、その辺、真剣にこれは考えなければならないところで、直ちにどうということにはなりませんが、真剣に考えられた提案と受けとめます。
  22. 熊代昭彦

    熊代委員 大変いいお答えをいただきましたが、さらに申し上げれば、いわば不良債権対策と申し上げましたが、それと同時に、郵貯は公的信用を背負っているということでございますから、現行水準より低い水準でも、金融ビッグバンのような激しい競争の時代にはいいんじゃないだろうか。  民間金融機関も、一千万円までは保険がかかっているということはありますけれども、一千万円を超えたら返ってこないとか、郵貯は一千万円しか預けられないから同じじゃないかということがあります。しかし、心理的には非常に違いますので、公的信用をバックにしたものとしての低い金利、ただしその全部じゃないわけですから、半分は自主運用しなさいということとセットでありますから、これは検討に値することじゃないかというふうに思っているわけでございます。  十年物の国債は、今は表面利率、それから実効の利率もほぼそれに近くて二・四%であるということでございますから、それよりも〇・二%上乗せして預かっているわけですね。ですから、そのようにする必要があるのかどうかということでございまして、ぜひ、公的信用を負ったものが負う責務ということで、前向きに御検討をさらにいただければ大変ありがたいと思います。  ところで、郵貯民営化につきまして、小泉厚生大臣は、厚生大臣としてではなくて小泉衆議院議員個人として御主張であるというふうに思いますけれども、十ぐらいの株式会社にするとか、十とか十三とか、それで株を売却すれば十兆円ぐらいの収入になるんじゃないかというような、ある方の試算を援用しておられるようでございます。金融ビッグバンの時代に、厳しい民間、世界の民間企業との競争にさらされる、この御提案の十幾つの新しい株式会社の株は、投資という観点から買う価値があるのかどうかということをちょっと議論してみたいと思います。  厳しい民間との競争にさらされれば、先ほどの御答弁でもあったように、僻地、離島とか、効率的にできないところは、間尺に合わないところはみんな廃止せざるを得ないと思いますが、廃止した上で、しかも競争に勝ち抜くことができるのかどうかというふうに思うわけでございます。  NTTならば、これは、競争相手がほとんどいない会社を民営化して分割していくわけですね。それからJRも、確かに自動車に押しまくられた上の話ではありますけれども、あの新幹線のような超高速のものは競争相手がない、こういう超高速システムを持ったところの株というようなことでありますが、その株さえもやや売れなずんでいるというような状況であります。  それと、全く激しい競争に裸でさらされる、そういう郵貯が民営化して、もともとの資金が多いというだけで耐え抜くことができるのだろうかという気がいたします。私なら、この株はちょっと危ないから買うのをやめようかな、こういうふうに思うわけですが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  23. 三塚博

    三塚国務大臣 民営化論というのは、時代の流れのような風潮のもとに行われております。機関はそれぞれ使命を果たしておるかどうかということが行革の基本的な理念と私は思っております。それは、国民生活、地域にとって必要か必要でないかという理屈にも相通ずるわけですね。  そういう点で、ただいま熊代議員の、感想を求める御質問でありますが、これは、やはり国民的論議の中でどう対応していくのかというのが一つの大事な視点じゃないのでしょうか。今御指摘のように、山間僻地等、年金の受領を含め、その他等々業務がございます。そういう点で、民間銀行が、民間金融機関がそこに立地をしてサービスを担当することができるのかどうかという問題点も、ビッグバンの時代ではありますが、一つ残っておりますね。  こういうことを考えますと、もう一つ財政投融資資金のあり方、先ほど理財局長が答弁しましたとおり、本件の政策的目的に従って、長期大型プロジェクトに有償資金としてこれを提供し、有利確実に返してもらって運営をしていく、こういうことでありますから、全体を考えますと、民間に売り渡すというのはなかなか、これは言うべくして、整理をしなければならぬ諸問題、制度、それと大事なのは、国民論議というのがこの際は大事なところなのかな。  もうあれは役目を果たしたからいいんだよということであれば、また話は別です。存在の必要性、存在の利益、それから地域国民各位という意味になるわけでありますが、大体こんなことでおわかりいただけましたでしょうか。
  24. 熊代昭彦

    熊代委員 大変わかりやすい禅問答をしていただきまして、ありがとうございました。  たとえ売れても十兆円、一遍でおしまいでありますから、私が申し上げたように、一兆円ずつ毎年不良債権対策的なものが入るという方がはるかに永続的であるし、はるかに財政の改善効果があるというふうに私は思うわけでございます。十兆円前後の株が売れるか売れないかというのは、何かアル・カポネさえも、いいかげんに密造酒をやめて正業について、株でも買ったらどうだと言ったら、株は危ない、私はそれだけの度胸がない、こう言っていたというわけでございますが、本当に度胸のある人がいないと、とても十兆円売れないと思いますね。  そういう背景もあるということで、いっときのムードに流されて議論をしてはいけない、しっかり詰めていただく必要があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。  それで、六つの改革を進めていく基本哲学というのは、御承知のように奥野東大教授がまとめられましたように、政府の失敗を直していく、それとともに、市場も失敗する、市場の失敗も有効に補う、こういうことであるわけですね。  ですから、金融業界が、特に日本の金融がすべてを市場に任せて失敗は何もないというならば、確かに郵貯廃止というようなこともあり得るかと思いますけれども、しかし、金融資本というのは強大になり過ぎて失敗することもあるであろうし、やはり効率を最も重んじるのが金融資本でございますから、僻地とか日本の隅々を生かすということはできないということでありまして、市場の失敗を効率よく補うものが必要であろうというふうに思うわけでございます。  それとともに、民間金融が余りに小さくて、政府系の金融が大き過ぎるというならば、これも荒治療しないといけないと思いますが、日本の金融資本というのは十二分に大きくなったというふうに思います。  そういう意味で、民間資本だけに任すよりも、郵貯のような存在があっていい。ミクストエコノミーがこの場合最適ではないだろうか。民と官がミクストするというようなことであります。そういうふうに私は思うわけでございますけれども、それとともに、民間とのイコールフッティングも考えなければいけない。これは、郵便貯金についても非常に厳しいことになるわけですね。  それで、銀行業界等のいろいろな御要求もありまして、それも恐らく最大限の試算だと思いますが、税金とか積立金とか民間銀行ならばいろいろ義務づけられていることに対しまして、全部免除されている。今正確な数字をここに持っておりませんが、五、六千億円それがあるのじゃないだろうか。これは最大限に計算したところでございましょうが、それに比べましても、私が御提言申し上げました一兆円というのは、それをはるかに上回って、十二分にイコールフッティングの要求にこたえるものであるというふうに思うわけでございます。  ですから、民間とのイコールフッティングをきっちりやった郵貯と、民業圧迫分野から撤退して、まあ民業圧迫分野がそんなにやたらにあるとは思いませんが、しかしある分野もあると思いますね、それからしっかり撤退してスリムになった財投。私が申し上げたのは半分にしてしまうというのですから、大変なスリムでありますけれども、その郵便貯金財政投融資市場の失敗を補う、これこそが真の金融分野における行財政改革であるというふうに私は思うわけでございますが、大蔵大臣、御所見をまたお願い申し上げます。
  25. 三塚博

    三塚国務大臣 お答えします。  民業の補完という本来の基本的な使命があることは御説のとおりであります。それが行き過ぎてもいけません。いわゆる補完に徹し、その目的を達成する、こういうことである限り、調和された形の中で理解が進む、こういうことでありましょう。  しかし、時代が大きく流れておりますことは御承知のとおりまさに金融ビッグバン、思い切った金融システムの大改革が、グローバルスタンダードという名のもとに、国際化基準の中にこれがつくりかえられていく。  本来、自由市場というのは自由競争が大前提でありますから、努力しても、あるいは会社創立の目的を達成することはできないのかなという場面もあろうと思いますが、その中にありまして、協調、共同、合併それから系列化等々、それぞれの知恵の中で強力な企業体として生き延びていく、あるいは、時にそれが分社化をして進むことの方がいいのかな、こういうこともあります。  しかしながら、正当な血のにじむ努力をすることによって取り進む場合には、それなりのサポートが他の金融機関の中で行われることも予想できるわけでありまして、公的機関、公権力としてこれに直ちにサポートをする、介入するということは、自己責任を基本とする自由競争市場においてはとるべきことではないことだけは間違いありません。  そういうことでございますから、まさにその流れの中でみずからがどう取り組んで目的を達成していくか、こういうことでまずスタートを切らなければなりませんでしょうし、仮に批判があるとすれば、その批判にこたえて、率先してスリム化、リストラが取り進められていかなければならない。自由市場という大原則の中で、どうこれからその目的を達していくのかということになりますと、全体を見ていかなければなりません。  そういう意味で、財政投融資ということにつきましても、金融問題調査会で議論をされたこともあるわけで、また資金運用審議会の中で本件が真剣な議論が行われておると承知をいたしております。  官は民を圧迫してはならぬという原則は、特に自由市場という今日の世界的な潮流だけではなく、我が国改革の、改善の基本的な理念であることを考えれば、そこでどう取り組むかは、政府全体、また私どもも真剣に検討し、そして国会の論議の帰趨を踏まえ、最終的には国民議論の中で決していかなければならないことかなと思っております。  若干長くなりましたが、以上申し上げます。
  26. 熊代昭彦

    熊代委員 非常にいい、深いお答えをいただきましたが、若干私自身としては補いたいところがございまして、財投預託金利を貸出金利より〇・五%下げる、これは伝統的な考え方と物すごい乖離でありまして、大蔵大臣おっしゃったように、そう簡単に乗れる話ではありませんが、このビッグバンの時代それから大行財政改革、六つの改革の時代でございますから、伝統的考え方からぜひ思い切って飛躍するということが必要であると思うんですね。  先ほど申し上げましたように、〇・五%下げられれば郵貯も厚生年金も、これは飛び上がって驚きまして、これほど痛い話はないわけですね。大変な話であります。大変な話ではあるけれども、半分は自主運用をする、財投から借りないで、直接自主運用するわけですから。しかし、この自主運用も巨大な金でありますから、本当に今の金融情勢で二・一%を超えて三%ぐらい利益が上がるかどうか、それはわかりません。  ですから、これは、自主運用を義務づけるんじゃなくて、任意にする。自主運用もいいでしょう、財投に預けても結構です、こういうことですね。巨大な資金ですから、二・一%以上とても稼げないということなら財投に預けてもいい、それは任意にする。そうなりますと、例えば五割の義務づけが八割預けてきたということになると、一丁一%も悪くないのかな、こういう証拠になるわけですね。  これは、固定したものじゃありませんから、金融というのは生き物でございますから、どれだけの差がいいか、どれだけの比率がいいかというのは、その情勢の中であらゆることを検討してやらなければいけないということでありますけれども、いずれにしろ、御提案申し上げましたように、ぜひこの大飛躍を考えてほしいというのは、半分を義務で〇・五%の低い利率で預けさせるけれども、半分は自由にする、それはしかし、年金でしたらERISA法のような規制のもとに置きつつも責任を持ってやってもらう、こういうことでございます。  それを含めまして、後半は郵貯と財投の話にかなり特化いたしまして、恐縮でございましたけれども、今後の大競争時代の金融行政金融ビッグバンというふうに呼ぶだけでは、呼ぶのは簡単でございますけれども、この大競争時代の金融行政をしっかりと導いていって、実のある競争ができて、国民経済にいい影響を与える、そういう状況をつくり出すことが今後本当に大切だ、国民経済の基盤を決めるようなことじゃないかというふうに思うわけでございます。  今後の大競争時代に金融行政をどのように導いていく決意なのか、御決意を伺いたいと思いますが、まず総理府からお答えをいただきまして、そして最後に大蔵大臣に鮮やかに締めくくっていただきたいと思います。
  27. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  今般の金融行政機構改革によりまして設立されます金融監督庁におきましては、ルールに基づきまして公正かつ透明に検査その他の監督事務を行っていくということでございまして、まさにルールに基づいて行っていくということ自身が、金融システム改革ということの中で重要な意味を占めてくると思われます。  またさらに、いわゆるビッグバン金融システム改革、こういう中におきまして、金融機関健全性の問題その他、そういうような問題も当然御指摘のように発生してくるかと存じますが、そのようなものにつきましては、まさに早期是正措置を中心といたしまして、ルールに則して的確かつ迅速にこれらの問題に対処していくというふうに考えたいと思っております。
  28. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま政府委員から基本的な枠組みのお話がありました。  ビッグバンがこんなに早く取り進められるのかなという感想が金融界にもあるようでありますが、それでもロンドン・ビッグバンに比べますと十年おくれでスタートを切りました。おくれてスタートを切ったものですから、これだけ成熟した我が日本経済界、金融界でありますから、しかし護送船団という名がありますように、また、規制に縛られて云々という産業界でありましたり、そういうことで、自由社会における我が国経済活動金融活動というものは基本的に世界的な基準に、国際基準に合ったものでなければ生き残っていけないことだけは間違いがない。  こういうことでありますと、生き残るための思い切った制度の見直し規制の緩和・撤廃、こういうことでただいま作業が進められておるわけであります。自己責任の原則と市場規律の十分な発揮ということが、生き延びる基本的なポイントであることは申すまでもございません。  そういう中で、多様な商品、サービスを提供するものでありますから、情報開示がすぐれて期待にこたえるものでなければならぬことであります。そうでありませんと、預貯金者が大変な被害を受けるということで、いい方向に行くべきものが困難を増幅することのありませんように、そういう点で、ただいま説明のありました情報開示の促進や早期是正措置等ルールの明確化が必要でありますから、このことはきっちりと前に進めることによって、東京市場、日本市場は自由かつ透明で信頼のできる市場であるということにしていかなければならない、そのための努力をしてまいる決意であります。
  29. 熊代昭彦

    熊代委員 大蔵大臣、鮮やかに、さわやかに締めくくっていただきまして、まことにありがとうございました。  終わります。
  30. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長代理 この際、中谷元君から関連質疑の申し出があります。熊代君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。中谷兄君。
  31. 中谷元

    ○中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。  このたびの改革等につきまして、質問させていただきます。  まず最初に、金融システム改革並びにビッグバン等についてお伺いをいたします。  今回の改革は、いわば日本人の意識改革、一連の政治改革、行政改革と連動した中での金融システム改革だろうと思います。従来の、よく言われる護送船団方式に基づく業界保護志向型の金融システムを抜本的に改めて、利用者本位かつグローバルな、スタンダードな、整合的な金融システムを形成するということが最終目標でございますが、総論賛成、各論は異論がぼつぼつ出てきております。特に業界とか役所から、保護的な意見も出てきているわけであります。  ここで改めてお伺いをいたしますけれども、なぜこのいわゆるビッグバンを進める必要があるのか、仮にこのビッグバンをやらないとどのような問題が生じるのか、その必要性と経済危機管理の面でお伺いをいたします。
  32. 山口公生

    山口政府委員 まず、大臣のお答えの前に若干御説明申し上げますと、欧米の金融市場が、この十年で大きく変貌いたしております。これからも大変ダイナミックに動こうとしておりますし、通貨としても、新しいユーロというものが出てくるという事態に立ち至っております。したがいまして、我が国におきましても、金融証券市場を活性化させるということは、やはり大変大事な課題となっておるわけでございます。そういう市場という面からの必要性一つあるわけでございます。  それと同時に、千二百兆円という我が国個人金融資産の運用をどういうふうにするかという問題がございます。逆に、今度、調達側からいいますと、新しいビジネスをどうやって育てるのか、そういったところにどういうふうに資金を供給するかという、運用面と調達面とあるわけでございます。  さらに言わせていただきますと、金融あるいは証券保険等にかかわる業態というものがもっともっと伸びて、我が国の雇用問題等に寄与していってくれることを非常に願うわけでございます。  さらに、円というものが非常に使いやすい通貨になりますと、やはりアジア諸国における我が国のプレゼンスというものも非常に適正なものに、大きなものになっていくというふうなことが期待されるわけでございます。
  33. 三塚博

    三塚国務大臣 銀行局長の言われた基本的な位置づけ、そのとおりであります。  ビッグバンが、十年前ロンドン、ニューヨークはなおその前、世界の金融市場としても、絶えざる自己改革を取り進め、ただいまの優位を占めておるわけであります。  これに比して、三大基軸通貨、ある時期は、これはバブルの時期でありますけれども、ドルと円が世界経済に大きな影響を与えると言われた。バブルですから差っ引いて考えなければならぬことでありましたが、我々も、そこまで至らなかったことの反省はあります。要すれば、何でもできるという、資産総評価いたしますと合衆国が買い取れると、ばかな話が当時横行したことは、御案内のとおりであります。  そういう中で、政策による締めつけもこれあり、崩壊、不況。不況になりましたら内向きになりまして、グローバルな視野がそこから欠落をしていくということになりましたことも、御案内のとおりであります。  そこで、十年の立ちおくれのスタートが、そういう意味では、日本はどこへ行くんだろうかということ、真に現状を憂え、将来展望に立った、評論家や学者先生だけではなく、国会の中にも、また地域国民の中にも、汗をかいておる中小企業の代表者の中にも、そういうことがあったことも事実であります。  ならば、やはり思い切ったことをやり遂げていかなければならないだろうということで、橋本内閣、橋本首相が、金融システム改革を思い切ってやらなければならぬ、こういうことで、大蔵大臣に就任した直後、本件の断行を指示されたところでございます。全体を見て、全く同感なものでございますから、全力を挙げてこれに取り組んでおるというのが昨今であります。  特に、消え行くヨーロッパではないかと言われながら、ヨーロッパ連合の経験の中で、ヨーロッパ合衆国への一つベースができつつあることは、御案内のとおりであります。主権の最大の部分であります金融、いわゆる貨幣、こういう意味でユーロが共通通貨へ今確実に前進をしておるということで、米、欧という基軸通貨がこれによって協調の中で安定していくことは間違いありません。  アジアの先進国と言われる日本が産業経済国家としてこれに立ち向かってまいるわけですから、米国のよき点、ヨーロッパ市場のよき点、そして日本人の、アジアに向いておる金融市場という観点から、グローバルではありますが、これに対応し、立ちおくれを挽回しながら取り進んでいかなければならない、こういうことで、必死の思いで御審議を今お願い申し上げておる、こういうことでございます。
  34. 中谷元

    ○中谷委員 今の御答弁から、やはり円を強くする、円の信頼を大きくすることによって、アジア地域のためにも貢献できるし世界経済にも貢献する、そのためにもビッグバンをやらなければならないというお話でもありましたし、また、アメリカに二十年、イギリスに十年おくれたというようなことで、現在、国民の資産がどんどん東京の市場から外債の投資などによって外へ流出をいたしておりますので、この点について今やる必要があるというようなお話でした。  そこで、ではお伺いいたしますけれども、今度は、そのプラスの面に対してマイナスの面もあると思われますが、ビッグバンの副作用、例えば経済成長とか雇用などの面でいろいろと現象等も起こってくるわけですが、こういう副作用の点について、どういった点に留意をされて改革をされているのか、この点についてお伺いをいたします。
  35. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  今般の金融システム改革は、大変広範なもので、また抜本的なものでございます。したがいまして、各金融機関にとりましては、これまで以上に経営の合理化、効率化が求められるわけでございます。一方で、みずから創意工夫を生かして、顧客のニーズに合致した多様な金融サービスを提供していくことも可能になるわけでございます。そういった意味では、ビジネスチャンスの拡大につながるわけでございます。  確かに、強い大きな金融機関等がそういった機会を利用できることが多いということが考えられますけれども、中小の金融機関といえども、それは小さくとも特色を出して、自分の得意とする分野を伸ばしていくというようなことをやれば十分に対応できると思いますし、また、地域で活躍しておられる金融機関にとりましては、その地域の情報というのを一番よく知っているわけでございますから、そういった地域情報、顧客情報というのを十分に活用するということで対応は可能なわけでございます。  大変厳しい競争状況になりますので、各金融機関としてはこれまで以上に努力を求められるわけでございます。確かに、先生おっしゃるように、雇用の問題等が出てくるかもしれません。逆に言いますと、イギリス等で例がありましたように、むしろ改革によって雇用がふえるという面もあるわけでございます。  この金融システム改革を生かすかあるいは生かし切れないかというのは、これは、私どもの責任もありますけれども、各金融機関努力にもかかわっている。もし、その努力がプラスの面に働くということであれば、そういった副作用も最小限のものにとどまるであろうと思うわけでございます。  ただし、万一破綻等処理になりました場合には、それは預金者保護等の面から、私どもとしては、万全を期していかなければいけないと思っているわけでございます。
  36. 中谷元

    ○中谷委員 お話しのように、いろいろな問題はあると思いますけれども、規制によって業界を保護するということは、決してその産業を強くするということにはならずに、むしろ保護政策によって、国際的に見ると衰退化してしまうという面がございますので、業界保護のツケをサービス利用者や納税者に押しつけるような事態は避けるように、計画に基づいてやっていただきたいと思います。  そこで、お伺いをいたしますけれども、一応この計画の達成が二〇〇一年ということでございますが、果たしてこれだけの猶予があるかどうかという問題です。歳月人を待たずと申しますけれども、情報化や国際化が外の世界ではどんどん進展しております。もっと早く進むべきではないかという意見もございますけれども、この点についてはいかがですか。
  37. 三塚博

    三塚国務大臣 そういう意見が強まっておりますことを承知いたしております。  そこで、フロントランナーとして、外国為替管理法の「管理」を取りまして、まさに市場にふさわしい先兵としての役割外国為替法ということで、いっどこでも円が使えますと。もちろんマネーロンダリングその他を防止するための国際的な基準はきちっとやらなければなりませんが、使い勝手のいい、どこでもということで、円がそのことによって流通をしていくということで、国民各位に利便を与える、こういうことでございます。  そういう中で、日銀法も、ある意味ではビッグバンの一連の改革であると見てよろしいと思います。日銀の独自性、透明性、中央銀行としての位置づけ、そして本体が、検査監督庁が、金融機関としての使命を果たしていくという点において、大蔵省だけで一括管理運営、企画立案検査監督ということではなく、独立庁としてこれを行うべしという審議会及び研究会また三党の決定を踏まえてつくらせていただき、ただいま御熱心な審議をいただいておるわけでございます。  まず責任の分担、そしてその結果として、やるべき業務機能分担をして侵さず、こういうことの中で緊張状態を持ちながらこれをやり抜いていくことで、金融本来の、信頼性の高い、また強い機関がそこに生まれていくということも大きく期待しておりますことは間違いございません。  本年六月、金融関係審議会が中間取りまとめを出します。中間取りまとめといいましても、直ちにやれるもの、法制度改正を待ってやるもの等々の仕分けが行われて、出されるわけでございます。法律は来年の通常国会、秋に臨時国会があるのかどうか、国会のお決めになることですから、それには触れません。そういうことの中でいくことでありましょうし、諸改革はそれと並行して進むでありましょう。  二〇〇一年を目標、こういうことでありますが、二〇〇一年も十二カ月あるわけでありますから、二〇〇一年一月元旦というのも一番早い時期でありますので、その辺を視野に入れながら、よりよき制度でスタートをするわけでありますから、痛みの伴うものではありますが、経営の健全化のためにただいま日本の金融機関は頑張っておるわけでありますから、そういうことの中で十二分の対応ができるようになるのではないか、こんなふうに思っております。
  38. 中谷元

    ○中谷委員 今大臣の方から、企業の経営者は皆頑張っているというお話がありましたけれども、一まさしくそのとおりで、経営者並びに企業家は、まさに世界の中でひたむきに走っているランナー、いわゆる世界を相手にオリンピックをしているようなランナーだと思います。  しかし、そのランナーにとって、やはり先の道がわからないとベース配分もできませんし、戦略も立てられない。特に、日本の戦略がわからないことによって日本企業は相当いらいらしている面もあると思うので、早目にこの青写真とその改革の姿を示すことによって、民間の企業が国際戦略なり企業戦略が立てられるように、早くオープンにしていただきたいというふうに思っております。  そこで、次の質問ですけれども、こういった改革を進める前提として、やはり改革される業者の状況も考えないとなりません。ゲームに例えますと、やはり最高のベストコンディションでゲームにプレーヤーが臨まなければいけないのですけれども、今そのゲームをスタートしても、ゲームに参加できないプレーヤーがいる。非常に体力が弱っている状況でもありますし、下手に改革だといって無理して企業経営しますと、つい危ないところに手を出してしまって、それによって犯罪なり倒産等が多くなるわけであります。  そこで、現在の日本の不良債権処理の問題についてお伺いします。  現在、三十兆の不良債権、要処理見込み額が七兆三千億、半分は自力処理が可能で、残りが数兆円だというふうに言われております。しかし、ある専門家に言わせると、六十兆不良債権があるのではないか、政府の数字は過小評価であって、これがもし過小評価ならば、この処理については大変な事態になってしまうと。一説には、この処理には十兆円の財政投入資金が要るというような話もありますけれども、この不良債権処理早期に行うということでありますが、どのようにして行うのか、今の計画をお伺いさせていただきます。
  39. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  今先生から御披露いただきました計数でございますが、これは金融制度調査会の答申によりまして一つの基準をつくりまして、それで不良債権額統計としてとっているわけでございます。それは、破綻先、延滞先、金利減免と、一つのルールでもってとっておるわけでございます。それは、企業会計あるいは税務会計等との整合性から見て、そういう統計をとっておるわけでございます。  いろいろな不良債権というのをもっとずっと広く概念としてとり、もっと大きいということを主張される論者もいらっしゃいますけれども、私どもとしては、一つの客観的な基準で数字をとっておりますから、その系列でずっとトレースしていきますと、先ほど御披露しましたように、減りつつあるということでございまして、先生御指摘になったような計数になっておるわけでございます。  それにつきましては、全体として見ると、不良債権問題の処理が進んでいるということは言えようかと思うわけでございますけれども、個々の金融機関の問題になりますと、それはさまざまな事情があるということはしばしば申し上げているわけでございます。  問題は、御指摘の、ではもっと早期不良債権処理をどうやって進めるのだ、こういうお話でございますけれども、これは各金融機関が懸命なリストラをやり、思い切った処理をやっていくしかないわけでございまして、そのために、一つのインセンティブと言ってはおかしいのでございますけれども、来年の四月から導入します早期是正措置、実はこれはあくまで資産の自己査定ベースになっております。ということは、各金融機関が自己の資産を全部洗いざらい把握するわけでございます。それが前提になります。しかも、それに監査法人のチェックが入ります。したがって、そこには客観性を持たせなければいけません。  そうしますと、なるべく来年の四月までには思い切って不良債権処理をしてしまおうという動きが、もう現に出ておるわけでございます。体力のないところは大変苦しい思いをしながらやっておりますけれども、そういった形で、新しい透明性のある行政ということで取り入れております早期是正措置が、そういった各金融機関の自己規制のもとで不良債権問題の早期解決の方への力になっているということを申し添えておきたいと思うわけでございます。
  40. 中谷元

    ○中谷委員 今の私の質問は、政府の処理施策をお伺いしたわけでございますが、単純に考えられることは、まず景気をよくする、土地の先行取得また不動産の流動化並びに税制面での優遇措置等が考えられるわけであります。  いずれにしても、六月にシステム改革の答申が出るとするならば、この六月に不良債権処理のスキームをつくって、資金や組織また人材の手当てなど、何らかの結論を出すということが必要でもあるし、何の目的でどういう時期にどれだけ出すかということを国民に明示しておかないと、それこそ住専処理のように後追いに、言いわけの状況で財政支出をせざるを得ないわけです。  本来、こういう不良債権処理のための公的資金導入については、私は、税金をもって預金者に返すということになるから救いの面もあるし、景気効果もあると思うのですけれども、大蔵省国民の前で、こういう公的資金議論をこれを契機に早く本格的に始める必要があると思いますけれども、この公的資金の導入等、不良債権処理施策についてはいかがお考えでございますでしょうか。
  41. 三塚博

    三塚国務大臣 公的資金の導入という基本的な問題でありますが、既に住専問題の中で金融三法ということで、これのフル活用によりまして金融システムを安定させる、同時に預金者保護に徹する、こういうことで、時限法でございますが、いたしたこと、御案内のとおりでございます。  あくまでも預金者保護、そして預金保険機構を活用しながら対応していかなければなりませんし、同時に、金融機関もみずからの努力によりまして不良債権を乗り越え、そして健全体に戻る努力をしていただく、その限りにおいては当局としてもサポートを申し上げる、こういう姿勢でおるわけでありまして、新たに金融三法以外の公的資金を国会の承認を得て拠出するという状況にないことだけは御理解をいただきたいと存じます。
  42. 中谷元

    ○中谷委員 日本人というのは、忍びの美学というか、非常に引っ込み思案で、謙譲の美徳を持って、なかなか自分の恥を外にさらけ出せない面があって、それが各金融機関にとっても会社の信用につながるというようなことで、日本の伝統的な風土に基づいて、オープンにできない面がありますけれども、しかし、一説には、その不良債権が六十兆円あるという指摘がありまして、本当に今の仕組みで大丈夫なのかなと。  ビッグバンが起こるとしても、相当厳しい状況にある中で企業がばたばたいっては大変なことになりますから、やはり六月には不良債権処理のスキームをつくって、きちっと手当てをするということもビッグバンを成功させる一つの推進力になるとも思いますので、ぜひこういう不良債権処理努力をしていただきたいというふうに思いますが、それについてはこの前の改正で大丈夫だという御答弁でしたけれども、本当にそれで大丈夫なんでしょうか、もう一度お願いします。
  43. 三塚博

    三塚国務大臣 制度と経営者自体の自己努力、健全化に向けての諸施策経営方針に基づく諸方策、こう申し上げた方が正解だと思うのですが、両々相まちまして、いけると思います。経済も、ようやく政府見通しに向けて着実な下支えができつつあります。こういう中で諸改革が断行されていきますと、そのプラス効果が出てまいるわけでございますから、そういう点で、不良債権もその中で解消の方向でさらにスピードアップしていくのかな、ここは期待でありますけれども、そんな状況にあります。
  44. 中谷元

    ○中谷委員 そのお言葉を信じたいと思いますが、今後仮に大きな不良債権等の処理が出てくる事態も予想されますので、その辺の対応もぜひお願いいたしたいと思います。  そして、今、預金についてお伺いしましたけれども、今度は保険業界とか証券業界の仮の破綻処理ですね。ビッグバンを実施するわけですから、この処理手当てということも考えておく必要もあると思うのです。  現実に、日産生命の処理に関しましては契約者保護基金、また、証券に対しては寄託証券補償基金等があるというふうに言われておりますが、銀行に比べて保険証券はその経営破綻に対する備えの構築がおくれているというふうに言われておりますし、また、外国からの識者の発言によると、業界内で資金負担をして支援するということは非常にリスクのあることだという指摘もございますが、この保険証券に対する破綻処理についてのお考えはいかがでしょうか。
  45. 福田誠

    福田(誠)政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、ビッグバン規制緩和が進められる中で、やはり保険会社についてもいわゆるセーフティーネットの整備が求められるわけでございます。  今御指摘ございましたように、現在は、保険会社の破綻処理措置につきましては、昨年四月の新保険業法によりまして、破綻保険会社の保険契約を引き受ける救済保険会社に対して資金援助を行い、保険契約の移転を円滑に進めるための保険契約者保護基金が設立されております。今回の日産生命の処理につきましても、この基金の発動による処理スキームを考えております。  さらに、現在ビッグバン対応で並行して検討しておりますのは、救済保険会社が出現しない場合等について保険契約者をどう保護するかということでございまして、そういう観点から、保険審議会の中に支払保証制度に関する研究会を設置しております。  いわゆる銀行におけるペイオフのように、ある限度までは、救済保険会社があらわれなくても、契約者を保護するという制度でございますが、この保証制度の設立について鋭意検討を進めておりまして、今後結論が得られ次第、所要の法改正が必要でございますが、法改正を行った上で、契約者保護を万全なものとするように体制整備を図ってまいりたいと考えております。
  46. 中谷元

    ○中谷委員 あと一問。  六月にこの改革報告書を出すというふうに聞いておりますが、金融制度調査会や保険審議会、証取審などの議論は最初に六月ありきで、必ずしもその方向観とかスケジュールがそろっていないような気もするのですけれども、この報告書の位置づけはどのようなものになるのか。また、現在話題になっております金融持ち株会社の自由化等についても不透明ですけれども、この点はいつごろ結論が出るのか。この二点についてお伺いをさせていただきます。
  47. 長野厖士

    ○長野政府委員 ただいまの御質問に対するお答えの前に、先ほど証券会社の破綻につきましてお尋ねがございましたので、その点、御答弁させていただきたいと思います。  証券会社につきましては、銀行保険の場合と異なりまして、証券会社の顧客の資産は株式あるいは有価証券という形でそれ自体存在いたしますので、財産が全体として運用されておる銀行保険会社とは様相が異なりますが、しかし、取引の過程で証券会社に現金や有価証券を一時的に預けるという取引が信用取引などについて起こることがございます。したがいまして、そういった預かり資産を破綻のときにどう処理するかということでございます。  一点は、国内では破綻は起きておりませんけれども、ベアリングズ証券という、ベアリングズ事件というのがございました。そういった経験を踏まえまして、私ども、例えばデリバティブ取引をやる場合には、証券会社に行った預り金がそのまま取引所にスルーで預けられて、証券会社が破綻した場合には取引所から返還されるといったような分別管理の仕組みをとっておるのが一つでございまして、これは大事な方向であろうと思います。  もう一点は、先ほど先生御指摘になりました、しかし証券会社自身が預かっておってその中から返還が困難になる現金その他につきまして、寄託証券補償基金という制度を設けておりますけれども、御指摘のように、これは現在民間の、言ってみれば任意の仕組みとなっておりますけれども、この仕組みをもっと公的なものに位置づけ、そして内容ももっと拡充するということが必要であろうかと考えておりまして、そういう方向で検討いたしております。  それから、その次の、各種審議会で六月に向けての議論でございます。  金融制度調査会、保険審議会それから証取審等々、あるいは企業会計審議会、それぞれの審議会におきまして、それぞれの市場課題につきまして、答えを今六月に向けて整理していただいておりまして、方向観、スケジュールという御指摘ですが、スケジュールにつきましてはそろっております。  内容につきましては、それぞれの分野が抱えております問題、それぞれ弱いところを改めていくということでございますから、内容が横並びで一致しておるわけではございませんけれども、全体といたしまして、日本の金融システムの改革全体の絵柄がかけるように、私どもとしても、この関連します五つの審議会を横断的に連絡いたします金融システム改革連絡協議会といったものも設けておりまして、作業が個々ばらばらになるのではなく、全体一体のものとして取りまとめられるような方向で審議をお願いしておるところでございます。
  48. 山口公生

    山口政府委員 持ち株会社につきましては、ただいま独占禁止法の改正法案を今国会で御審議いただいている最中でございます。もしそれを成立させていただきますと、金融分野でどうするかという問題になるわけでございます。独禁法上の制約は外れましても、金融の場合は、例えば銀行法とか証取法とか保険業法とかいった業法でのいろいろな制約がございます。例えば、他業の禁止をこの持ち株会社制度を導入したときにはどういうふうに考えればいいのかという問題がございます。  したがいまして、私どもとしては、この金融持ち株会社制度というもの、あるいは銀行持ち株会社制度という名前がいいかもしれませんが、そういったものをどういうふうに構築すべきかを今金融制度調査会等で御議論いただいております。したがいまして、その結論を得ましたら、これはどうしても法的な措置として国会で御審議を願わなければいけないことになると思いますので、そのときにはまたよろしく御審議いただきたいというふうに考えておる次第でございます。一中谷委員「いつごろ結論が出るか」と呼ぶ一六月には一応方向性を出したいというふうに思っておりますので、比較的早い時期に国会での御審議をお願いしなければいけないと思っている次第でございます。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  49. 中谷元

    ○中谷委員 続きまして、金融監督庁について御質問させていただきます。  この質問の前に大臣にお伺いをさせていただきますが、金融監督庁の設置以前に、今内閣を挙げて行政改革ということに取り組んでおられますけれども、この中で、行政の中で一番権限も持ち、国の経営をしているのが大蔵省でございますが、すべての改革の最重点、一番の根本がいわゆる大蔵省改革ということで、非常に大きな社会的な話題にもなっております。  現在、金融監督庁改革ということでありますけれども、全体の大蔵省改革ということに対する改革の進展状況と、大蔵大臣大蔵省改革における御認識についてお伺いさせていただきます。
  50. 三塚博

    三塚国務大臣 行政改革はまさに時の声、国民の声です。そういう中で、ただいまスタートを切りましたのが、機構の中における、銀行及び証券の中における監督部門、そして、その大前提になる検査部門が独立をして、ただいま御提案を申し上げておる法律に相なっております。  もちろん、これは総理府主管、内閣総理大臣が主管大臣ということで法律提案になりました。そして、大蔵省企画立案、いわゆる政策分野法律制定分野、改廃分野、こうなるのでしょうか。金融局ということで証券銀行が合体をするという、この改革を前に今進めておるところであります。  金融ビッグバンも、まさにそういう意味で、従前の護送船団では健全な金融機関が育たぬだろう、こういうことで、規制を外し、自由闊達な活動を保障する、こういうことの中で、国際会計基準をにらみながら、ただいまスタートを切っておるところでございます。  その他、既に御案内のとおり、外国為替法が両院の御審議を経て制定されたわけであります。四月一日ではございますが、これに向けての諸準備が民間においても行われる、その準備が順調に進むようにサポートをしていくということに今日相なっております。  行政改革は、本年の十一月をめどに、橋本首相を本部長として行政改革本部が設置をされまして、真剣な論議が行われておるわけでございます。そういう中で行政機関のあり方が提示されるものと思っております。  そういう中で、大蔵省、財政と金融の分離という問題が出ておりますけれども、本件については、おのずから金融、財政というのは国の根幹の基本をなすものでこざしますから、一体的な把握が必要でありますし、企画立案の組織の存在、こういうものについても議論を行っていただきながら、あるべき姿が理解をされていくということになるだろうと思っております。  そういう中で、いずれにしても行政改革会議において、中央省庁再編のあり方の検討の一環として大所高所から十二分に議論をいただく、こういうことにいたしておるところでございまして、今国会に大蔵改革案の基本的な分野がスタートをして法律化され、御審議をいただいておるものと理解をしております。  日進月歩の昨今でありますから、絶えず見直すということは、いついかなるときも、また全体でありましようとも必要なことでございます。改革なくして前進なしであります。そういうことで、基本的に踏まえながら取り組んでおるところであります。
  51. 中谷元

    ○中谷委員 そういう改革について、行政機関のあり方についてはあらゆる分野検討しているというお話でございましたが、大臣も今は大蔵省のトップという官僚の立場と政治家の立場と両方おありでございます。  特に、予算の配分システム、現在主計局が中心になってやっておりますが、今財政構造改革会議ということで、官邸主導で、官邸の中で財政構造改革をやる久それから官邸が予算配分もすべきではないかというような動きもございます。国民からも、政治と官僚の役割ということで、やはり官僚に影響力を及ぼすような政治をという要請もございます。  アメリカの議会の予算も、大統領が中心となって編成した予算と、アメリカの議会との中で非常に緊迫したやりとりがあるというふうに聞いておりますが、大臣として、この主計局を中心とする予算配分のあり方、この政界、官界の役割分担について、どのような御所見をお持ちか、お話しいただきたいと思います。
  52. 三塚博

    三塚国務大臣 官邸機能強化のために予算編成権を官邸にという意見のありますことを承知いたしております。  最大の問題点は、総理大臣が大所高所から予算編成をする、やってやれないことはないという意見もありますが、極めて至難なことだろうと思うのです。各省大臣だけではなく、各種団体の意見を聞くこと、国民の声でありますから当然であります。日本の総理大臣は、G7構成国、そして国際、内政、またアジア、こういうことで大きな使命を果たしていかなければならない立場にありますので、やはり予算編成は主管大臣がこれを行うというのがG7構成国の基本になっております。  アメリカは、予算編成権は国会にございます。一般教書は大統領の施政方針でございます。こういう点、一点、アメリカの政治制度のユニークなところであります。こういう点を考えますと、他の六カ国は編成権は大蔵省が持つ、こういうことでありまして、集中して行うわけでございます。  これも、議院内閣制におきまして、今回の財政構造改革に当たり新たな基準をつくるということで議論は行われ、五月中には結論を得ることになっております。これまでも内閣における予算編成、これは閣議の決定を経て内閣の方針になるわけでございまして、トップである総理大臣とは絶えず連携をとりながら、重要問題を審議し、決定をいたしておるところでございます。そういう点から考えまして、批判のあるところがあるとすれば、それはやめなければなりませんし、是正をしなければなりません。  それ以上に、財政を考え、同時に税収を考え、国民負担を考え、費用対効果を考え、国のあり方、国際的な立場を考え、ありとあらゆる観点から、提起される各省の政策提言を、税収と支出というこの二つの基本を踏まえて、最も効率的な編成をしていかなければならない。閣議に、審議にたえ得る原案をつくるというのが今日の法律の建前でありますから、全体を絶えず理想的な姿を求めて検討はし是正をしてまいりますけれども、基本方針を踏まえてやるべきである、こう思っております。
  53. 中谷元

    ○中谷委員 今までの戦後の常識として、予算編成は大蔵省で行うというのがいわゆる常識でありました。しかし、考え方によっては、大蔵省が予算を決めても、ほかの政策を決める権限があるかといえば、ないわけであって、ただ単に財政的な面、また予算的な面で財政を配分するという役所であります。本来、ほかの省庁に対して十分に権限を持っていませんけれども、総理大臣という所管をするトップがいるわけであって、総理大臣がほかの省庁に対する権限も強化しなければいけないと思いますけれども、それと同時に、それによって財政がついてくると思うのです。  やはり国として何をしたいかという方向性を出して、それに伴って財政配分をするというのが本当の姿であって、本来は、新しい時代は、国の予算編成権は官邸に持って、国がこうするという名のもとに予算配分をすべきだと思います。  総理大臣一人だと、それは無理な話かもしれませんけれども、官邸にそういうスタッフだとか機能をつければ十分考えることができるわけでございますので、財政システム改革議論もそうですけれども、行政システム改革議論では、この予算編成における官邸の役割についても貴重なる御提言をぜひ出していただきたい。そして、日本の政治がリーダーシップがないというふうに言われておりますけれども、政治がリーダーシップができるような仕組みにしていただきたいというふうに思います。  そこで、今回の金融監督庁お話になりますけれども、私も、早期にこの省庁はつくらなければならないというふうに思います。  現在、大蔵省には、金融行政を担当する部局としては、銀行証券、国際金融、官房金融検査部、証券取引等監視委員会がございます。しかし、やはり時代の要請によって、大蔵省から金融行政を分離するということは、いわゆる財政管理をするということと金融行政との分離を図るということであるのにほかならないわけです。  そうすべき理由としては、まず銀行行政とか金融行政には、固有な専門知識と能力がますます必要となってきておるわけであって、その専門集団を早期につくらなければならない。つまり、市場におかしな動きがあったらそれを発見して分析をする能力、そして、その原因を除去するために、必要な行政措置に基づき、法に基づいて実施する司法的な専門能力、この能力が必要ということで今回つくられるということでございます。  もう一つの理由は、今後は、財政と金融一つの行政組織で一体的に管理されることの短所、これが大きくなると、いわば財政と金融間の利害の対立が高まってきて、これは収拾できない状況になるというようなことで、早期につくる必要があると思います。  そういう意味において、今度つくるこの金融の組織も三つの機能を果たしていただきたいと思います。第一には、そういう純粋な銀行や資産運用、資金供給機関といった金融機関を監視あるいは監督する機能である。二番目は、証券市場に限らず各種市場の動きをすべて監視して、弊害が生じたときに必要な対策を講じることができる。それからもう一つは、やはり国際的な市場監視という問題で、やはり国際と金融というのは連動しておりますので、大蔵省には、国際金融局ですか、そういう組織が残ると思いますけれども、そういう組織も含めた機能一つの省庁として持っていなければならないというふうに思っております。  よく言われる企画立案機能とそれから監督検査機能、これを今回分離したわけですけれども、それも一緒に金融庁として同じ組織にしたらいいのじゃないかという考えもありますけれども、これについて、財政と金融の分離が不徹底ではないかという指摘に対してどのようにお考えでございますでしょうか。
  54. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ただいま財政と金融の分離ということについてのお尋ねでございますけれども、まず、今回金融監督庁がそういうふうに設置されるという中身は、御承知のとおり、検査監督企画立案と分離するために行うわけでございます。それで、金融行政が専門知識に基づいて、あるいは法に基づいて厳正に実施されるということは当然のことでございまして、この金融監督庁の設置に伴いましてそういう方向に監督行政を転換していくということになるわけでございます。  そこで、三つの機能というお話がございましたけれども、それぞれ、銀行等の監督あるいは市場の監視といったようなことは監督庁の仕事になるわけでございます。そこで、なお財政と金融が一体というようなお話がございましたけれども、そのときの金融というのは一体何を指すのかということでございます。  時々金融政策と財政政策の利害が対立するというような御指摘がございますけれども、金融政策、すなわち公定歩合政策なり公開市場操作は、日本銀行が今回の法律改正に基づいて名実ともに独立して実施していくということになっておるわけでございます。  そうなりますと、検査監督金融政策というものは、それぞれそういう独自の組織によってなされていくわけでございますが、残されたものは、要するに金融制度の企画立案、あるいは市場のルールの制定、改廃、あるいは通貨制度そのものの維持というようなことになるわけでございます。そういう意味金融を考えました場合に、財政と一体的に把握し政策を企画立案するという組織がぜひとも今後とも大変重要になっていくのではないか。  と申しますのは、まず第一に、御承知のとおり、G7等におきます国際的な政策協調、これは財政問題から金融問題、国際金融問題すべてが議論され、プラザ合意等あるいはメキシコ通貨危機等に対応しておるわけでございまして、今後ともこのG7における国際協調というものが大変重要になるだろう。それから第二に、通貨ということがこれは制度的に国庫ということと密接不可分でございまして、そういう制度的観点からも、今申し上げましたように、金融と財政は一体的に把握されるべきである。  それから、今後二十一世紀に向かってグローバル化、高齢化などと言われておりますけれども、要するに、財政資金民間資金をどのように効率的に配分していくか。資金配分という意味では、マーケットでは財政資金民間資金も一緒に流れておるわけでございまして、そういうものも統一的に把握していくということ、そういう観点が重要になっていくのではないかというふうに思うわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、財政と金融のあり方ということになれば、先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、行政改革会議において中央省庁再編のあり方の検討の一環として大所高所から議論をしていただくというふうに理解しております。
  55. 中谷元

    ○中谷委員 今お話があったわけですが、一つ欠けていた視点に、やはり為替等を中心とした国際的な政策協調、これも金融分野としては大事な部分で、この監視部門も必要になってくると思います。  いずれにしましても、これからの経済の将来、やはりその信用秩序の維持だとか破綻処理の円滑だとか、そういった大きな問題が発生しようかと思います。そういう場合に、金融監督庁あり、大蔵省あり、日銀あり、預金保険機構あり、また関係金融機関の省庁あり、非常に当事者が多数いるために、その責任の所在が不明確になったり、押しつけ合いで対応がおくれてしまうような可能性もあるわけでありますし、ましてや金融監督庁の長官が国務大臣ではないとなりますと、ますますその責任の所在が不明確になってくるわけでありますけれども、そのような責任、守備範囲という点での心配に対してどういうふうに考えたらいいのか、お答えいただきたいと思います。
  56. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  責任不明確というような問題点についてのお尋ねだったかと存じます。  金融監督庁あるいは大蔵省、日本銀行、また預金保険機構、これらがございますけれども、これらにつきましては、それぞれの目的のもとに明確な役割を担っておりまして、基本的に、まず責任の所在が不明確になるということはないと考えているところでございます。  さらに、今般の監督庁設置法におきましては、例えば金融監督庁長官と大蔵大臣が緊密な連絡をとることとされている。また、これにあわせまして御審議いただいております整備法におきまして、改正後の預金保険法、これらにおきましては、預金保険機構の運営委員に、現行法上規定されております大蔵大臣及び日銀の総裁が指名する者に加えまして新たに監督庁長官が指名する者が出席できることとした。こういうような措置を加えておりまして、法令に基づきまして各機関関係が定められまして、かつ、各機関間の連携が確保される、これによりまして破綻処理等におきましても迅速かつ的確な対応が図られるものと考えているところでございます。  なお、国務大臣という点がございましたが、金融監督庁の所掌事務につきましては、内閣総理大臣が総理府の主任の大臣といたしまして、責任を持って金融監督庁長官を指揮監督いたしまして、その事務に遺漏なきを期すところでございまして、この点につきましても、責任不明確ということはないというふうに考えているところでございます。
  57. 中谷元

    ○中谷委員 それでは、大臣にお伺いしますけれども、今度の長官にはどのような人が望ましいのか、大体のお考えを聞かせていただきたいと思うのです。
  58. 三塚博

    三塚国務大臣 私より、本当は総理大臣監督下、総理府なんですけれども、あえて申し上げますれば、責任を持って行わるる気迫を持った方、そして、法律の基本を踏まえて、百万人といえども我行かん、こういうことでやり得る人材が選ばれるであろうと期待をします。
  59. 中谷元

    ○中谷委員 そのように人選を行っていただきたいと思います。  最後に、時間がなくなってしまいましたので、御指摘だけさせていただきます。  今度の金融監督庁は、行革の中で新しい省庁ができるわけですけれども、これは、金融の公正化、透明化のためには必要だというふうに思います。しかし、その人員の規模、これが余りにも少ないと、そういう公正化がかえって図られなくなって混乱してしまうということです。子供が百人いて、一人が百人管理しようとすると、部屋の中にかぎをかけて閉じ込めればそれで管理できますけれども、しかし、それは、オープンな公正自由競争をさせるわけですから、百人の子供を管理するには少なくとも十人の大人が必要であると同時に、やはりこれだけ複雑な金融世界を管理監督するには、それこそそれに見合っただけの人員と組織が必要ではないかというふうに思いますので、どうぞ、市場の公正化を図る、またビッグバンを成功させるという意味では、この監督機能は非常に充実したものにしていただきたいということを御要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  60. 綿貫民輔

    綿貫委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後、零時二分休憩      ────◇─────     午後一時三十五分開議
  61. 綿貫民輔

    綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 綿貫民輔

    綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  63. 綿貫民輔

    綿貫委員長 質疑を続行いたします。西田猛君。
  64. 西田猛

    ○西田(猛)委員 新進党の西田猛でございます。  この法案をここまでおまとめになられて、いろいろと国会の質疑に応じてこられた閣僚それから政府委員の皆様の御努力を多といたしたいとは存じますけれども、この法案につきましては、私あるいは私ども新進党は、いろいろと問題を含んでいる法案だというふうに考えております。そこのところを細かく、そしてまた骨太に私たちは内容を摘示させていただきたいというふうに考えています。  この法案の問題点、大きく三つあると思うんですが、まず第一に、この法案が提出されるに至った経緯、背景であります。  なぜ、この金融監督庁という新たな行政組織をつくっていこうというふうになったのか。もちろん、今までの国会審議の中でもいろいろと御質問がありまして、官房長官の方からも、それから、私はおかしなことだと思うんですけれども、大蔵大臣の方からもいろいろと御答弁がございました。しかし、今回のこの新しい行政組織は総理大臣のもとに置かれるわけでございますから、言うならば内閣総理大臣が、官房長官がお答えになられるべき問題ではないかなというふうに私は思っております。この法案のそういうふうな背景が一つ大きな問題としてございます。  それから第二番目に、その内容にわたります実効性の問題でございます。もしもこの法案のとおり金融監督庁が設置されたとして、果たしてどういうことができるんだろうかということでございます。  それから第三番目には、実態的な行政組織としてのあり方の問題も指摘されねばならないのではないかというふうに考えております。  まず、この金融監督庁法案、ただいま政府から提出されております法案を見てみますと、このようなことが法案の中に書いてあります。  まず、内閣総理大臣は、銀行保険会社、証券会社等に対し業務停止命令、免許の取り消し等の処分をすることが信用秩序の維持等に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、信用秩序の維持等を図るために必要な措置に関し、大蔵大臣に協議しなければならないということがうたわれております。  それからさらに、内閣総理大臣は、その適格性の認定等に係る預金保険機構等による資金援助が行われたならば、預金保険機構の財務の状況等が著しく悪化し信用秩序の維持等に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、信用秩序の維持等を図るために必要な措置に関し、これまた大蔵大臣に協議しなければならないこと。  さらには、内閣総理大臣は、この金融監督庁の権限とされております業規制としての改善命令、業務停止命令、免許の取り消し、合併の認可等の処分をしたときは、その旨を大蔵大臣に通知するものとする。  いろいろとございます。その他にも、例えば端的なことを申し上げますれば、証券取引法あるいは証券投資信託法、金融先物取引法等で、証券取引所それから証券業協会、証券投資信託協会、金融先物取引所等については、また大蔵大臣との共管とされておるわけでございます。  ざっと申し上げましたけれども、いろいろと問題点がありますが、この金融監督庁というものは、このように十重二十重に大蔵大臣との共管、重要なところはほとんど大蔵大臣との共管になっておるわけであります。  それからまた、大蔵大臣に対するいろいろな報告も義務づけられているというふうな中で、果たして一体何の目的で、もちろん金融の透明性確保だとか財政と金融の分離だとかいうことをるる、おっしゃるんだと思いますが、どうかお題目のようなお話ではなくして、実際本当にこの金融監督庁というものができたときに、内閣総理大臣は、あるいはその権限を受任した金融監督庁長官は、大蔵大臣あるいは大蔵省を離れて、どういうことを実効的にしていくことができるんだろうかということについて、まず所管の大臣になられる予定の官房長官にお聞きしたいと思うんですが、お願いいたします。
  65. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 大変多岐にわたる御意見と御質問の展開でありますが、この金融監督庁を設置するに至った理由については、再三私もここから申し上げておりますが、住専問題に端を発して、いわば大蔵省企画立案の能力とそれから検査監督の能力が混在をするところにその根幹があるという一つ指摘があったことは間違いがございません。ですから、この機能を完全に分離をすることによってひとつ透明化を図ろう、それから責任の明確化を図ろう、これが今回の金融監督庁を設置するおおよその理由であり、また、その方向づけのもとになされているということを御理解いただきたいと思います。  それから、順序があるいは逆になるかどうかわかりませんが、総理大臣大蔵大臣と協議をするというのはおかしいのではないかという懸念、私も、実はそう思ってこの組織を調べてみたんですが、内閣総理大臣というのは二面性がございます。一つは総理府の長である総理大臣、それから内閣全般を束ねる内閣総理大臣、この二つの機能があるわけでありますから、いわば行政の、総理府の長としてそれぞれ関係の省庁大臣と連絡連携をとることは、その他の事例でも数多くあるわけであります。  そういうものから考えますと、私も初めは素人考えに、なぜ内閣総理大臣は指揮命令ができるのに協議をしなければならないのかという疑問を持ったわけであります。私は不明でそれがわからなかったのですが、総理府の長である総理大臣、それと並列的な立場にある大蔵大臣、ないしはほかの省庁大臣もありますが、この問題で協議を調える場合は当然あることであります。実際には総理大臣みずから行うのではなくて、金融監督庁長官をして委任するわけでありますから、総理大臣みずからというよりは、金融監督庁長官が大蔵大臣と合い議をするという形になるわけであります。
  66. 西田猛

    ○西田(猛)委員 少し話が横道にそれるかもしれませんが、ただいま梶山官房長官がお答えになった内容についてちょっとお伺いをしたいのですが、総理大臣には二面性があって内閣の長としての性格もある、主管大臣としての性格もあるというお立場であるから、ほかの事例でも、ほかの大臣に協議をする、報告をするということは多々あるんだというお話でございます。  であれば、最初におっしゃった、金融と財政と混然一体としているのは問題があり得るからこれを分けるのだという立場からすれば、違う大臣を置いてもいいんじゃないですか。例えば金融監督庁の長官は、今までも総理府に置かれる三条の外局の長はほとんどが国務大臣をもって充てる外局でございますという常に従って見れば、これは国務大臣をもって充てて、それに主任の大臣をさせたらいいんじゃないでしょうか。官房長官、いかがでしょうか。
  67. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 不可能ではございませんが、それぞれの法律改正を必要といたしますし、省庁大臣を、国務大臣を任命するということになれば、当然、政務次官も事務次官も、その他一つの形を整えなければならないわけであります。  緊急に我々が願っている今の金融の透明性、独立性、そういうものについて我々はこれを確実に早くやらなきゃならないということと、行政改革その他の全般の形から見て、大臣をもって充てることがいいのかどうなのかというのは、当然これからの、ここにおいでになりますが、総務庁長官が中心になってこれから行政全般の改革を行うわけでありますから、例えば視野に入って、そういうことが可能であるかどうかというのは、また別な問題になろうかと思います。
  68. 西田猛

    ○西田(猛)委員 別の問題になるのだというお答えでございますけれども、これはせっかく、金融と財政が一つのところにあったのではいけない。それと、いろいろな問題がございました。また後でも取り上げてまいりたいと思っておりますけれども、それらの反省に立って、今回新たに金融機関に対する検査監督を専らにするそういう機関をつくろうというのであります。  そうしたら、これを機会に十分に議論を尽くして、何が本当に、今までの反省に立って、これからの国民経済に資する装置が、システムができていくのかということを、やはりこの場でも議論をしていくべきだと思うのであります。政府案がこうだからということで、それでもう推し進められていかれたのでは、私ども審議をしておっても何ら進まないと思っています。  したがいまして、この点については、もっともっと私は掘り下げていきたいと思うのです。  と申しますのは、細かな点をついてまいりましたならば、いろいろとおかしな点がございます。それらにつきましては、それはそれなりに、いろいろな問題に対するお答えを事務当局の方でも用意をしておられるでしょうし、それなりに理屈のつく話になってくるのかもしれません。しかし、どう考えても、この金融監督庁ができたときに、本当に実態的に、実効的にどういう機能を果たし得るかというのは全く私わからないんですね。  それで、きょうは総務庁長官にもお願いをして来ていただきました。と申しますのは、やはり行政機構全体の組織を管理監督されるお立場の総務庁長官でございますから、お尋ねをしたいのですけれども、今般新たに、国家行政組織法を改正して、総理府に三条機関としての外局をわざわざ設置するわけですね。わざわざ設置する以上は、それなりの効果があるということを認めた上でなければ、やはりこれは査定できるものではないと思うのです。  それで、大蔵省銀行局と証券局を統合といいますか廃止いたしまして金融局にするということでありますけれども、それで一体、行政機構全体としての効率性は高められるのか、あるいは目的は実効的に行使し得るのか。そしてまた、今行革の流れが出ておりますが、今橋本総理などがこの内閣で提唱しておられる行革のラインに沿えば、いずれ十省庁にまとめてしまおうという話にもなっておるわけでございますね。そういう中で、この金融監督庁というものがもしも来年十月からできたときに、果たして生き残っていけるのでしょうか。そこのところを全体的な行政管理をしておられる総務庁長官にお伺いしたいのです。
  69. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今回の金融監督庁というものは、先ほど来お話もありますように、もう何回もここでそれぞれお話があったと思いますが、要は、住専その他の問題で、金融行政に対して大変な国民の不信感を買ったという事実は私は明らかだと思います。そういう中で、やはり金融行政が、金融政策の企画立案もその指揮監督もすべて一つのところでやってきたところに問題があるのじゃなかろうか、こういう反省の上に立って、今回の日銀法の改正にいたしましても、この金融庁の設置法の問題にいたしましても、私はそういうところから出てきた問題だろうと思っております。そういう面では緊急性というものが私はあると見ております。  私どもの方の、今、行政改革会議を中心として、いろいろと行政改革をこれからどうしていこうかというのは、これはやはり新しい二十一世紀を迎えるに当たって、今までの行政の弊害というものも除去していかなきゃいけない、例えば縦割り行政というものの弊害を除去していかなきゃいけない。あるいは、新しい時代には、やはりもう今の日本を取り巻く環境は非常に変わってきておりますから、そういう内外の情勢の変化に対応して、新しい二十一世紀においてはどういうことを国家としてはやっていかなきゃいけないのか、また、そういう新しい時代の中でどういうことを国民は要請しておられるのだろうか。  そういうことをしっかりと踏まえて、一体、行政はどういう仕事とどういう仕事をやっていかなきゃいけないのか、それで、その仕事をやっていくにはどんな機構をつくっていかなきゃいけないのか。こういう形で私どもは新しい行政機構を、今まだ私ども、十省とかおっしゃいましたけれども、決まってはおりませんけれども、とにかくそういう形の中で、しかもできるだけ簡素で効率のよい行政機構をつくっていこう、こういう観点に立って今議論をしているわけでございます。  何にしても、時間も、それは明治時代から続いてきたものをすべてぶつ壊してしまってゼロから出発しようというのでございますから、そう簡単に短時日でやれるというわけにもいかないだろうと思います。ことしじゅうに何とか私ども、秋までには結論を出して、それに伴って新しい法律なり、あるいは従来の法律で変えるべきものは変えるなりあるいは廃止するなりしていかなければいけないと思っておりますけれども、いずれにしても、そういうことでございますので、これは時間がかかるわけでございます。  そして、片っ方は今申し上げた緊急性があるということで、私は正直、とりあえずと言うと表現が悪いのでございますけれども、今のこの時点では、やはりこういう形で、企画立案関係検査監督をしていく部門を分けるという形でこのような組織をつくることに対して、私どもも、結構でございますと。  しかし、この間私答弁いたしましたが、これがそのまま今御指摘のように生き残っていくかどうかというのは、二十一世紀における全体の行政機構をどうするかという中で当然議論をしてまいりますし、また一方においては、今ちょうどお話もございましたが、財政と金融とは切り離していくべきだという御意見もございますので、それらを踏まえて、どういう形に持っていったらいいのかということを考える中で、この金融監督庁も残していくかどうかを私どもは議論していかなければならぬ、こう思っておるわけであります。
  70. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今お答えいただきましたけれども、おかしなことに、どう考えても何かしら、例えば住専処理の問題、それから大和銀行ニューヨーク支店の問題とかいろいろありましたが、特に住専に対する不良債権処理の問題でございますね。これに対する日本のシステム全体の処理の過程で、大変な国民からの、当然ですけれども批判があって、我々としてもこれは何かを変えていかなければいけないなという中で出てきたわけですが、考えようによれば、何か本当に、住専処理の問題についてはもっと大きな原因があったはずなんですね。  それに対する国民ないし世界じゅうの批判の目をある意味でそらさんがために、明治以来ずっと続いてきた官庁の中の官庁の大蔵省を分離分割するぞ、金融と財政を両方とも持っていた大蔵省から金融検査監督機能を抜き出していくという、これは一見大手術に見えるから、そういうことをすればそれでいいのではないかという、これはどうもそういうある程度のびほう策を施している法律案としか思えないのです、どこを見ても。じっくり読んでみたらみるほど、おかしいところがたくさんあります。  例えば、今おっしゃった、言葉じりをとらえるわけではないですけれども、金融と財政を分けねばいけない、これは絶対分けなければいけないということではありません、当然。ただ、時として金融行政と財政が利益相反が出てくる場合がこれはございます。財政赤字を縮小するときとか、いろいろあります。  しかし、今大臣も言われたように、一応、分けるんだと言いながら、そう言い条、この法律を見てみますと、随所各所に大蔵省と一緒にやらなければいけないところがあるわけですよ、実際に。今その点を一番最初に御指摘申し上げましたらば、内閣総理大臣は内閣の首長としての立場もあるから、ほかの例にも見られるように、大蔵大臣も協議するんだよとおっしゃいましたが、それはちょっと問題が違うんだと思うのですよ、私は。  一つの例を申し上げますと、これは以前にもこの委員会で指摘がありましたが、実際に金融監督庁が組織体として行政を行っていくときに最も依拠しなければならない省令、これは金融監督庁でいえば府令になりますけれども、それが何と、金融監督庁の専権事項に属されていることでも総理府・大蔵省の共同省令として定めろというふうに、これは各所で書いてあるのです。また出たということなんですけれども、まさにそうなんですよ。  これについて、やはりなぜなのだということについてのお答えは出るでしょうけれども、そのお答えの中から、私はもう一つまた聞いていきたいところがたくさんあります。例えば、今度できる銀行法の第二十六条の第二項では、共同省令として定めろと書いてあります。これについて、政府委員でも結構ですから、まず御答弁をお願いしたいと思います。
  71. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  まず、省令全体の点でございますが、銀行法等におきます省令につきましては、銀行等に対します検査監督と申します個別具体的な行政としてではございませんで、銀行法等の法律、またこれを受けました政令、銀行法施行令の範囲内でこれを補充するルールを定めますいわゆる行政立法でございまして、企画立案としての性格を有するものでございます。  他方、省令につきましては、検査監督という執行面機能を実施する上での具体的、実際的なルールを定めるものでもあり、その制定、改廃に当たりましては、執行面機能を的確に発揮させる観点からの検討を行うことが必要であると考えております。  今般の行政機構改革につきましては、監督庁と大蔵省、これが相互に独立いたしました行政機関として、明確な機能分担と適切な連携を図ることとしておりまして、銀行法等における省令制定、改廃に当たりましても、こうした分担のもとで、執行面機能の的確な発揮という観点を十分踏まえながら、法体系上の整合性等を図ることが重要でございます。そのため、銀行法等における関連省令については、総理府と大蔵省の共同省令ということにしているところでございます。  なお、省令の実際の個々の具体的な制定、改廃に当たりましては、主といたしまして、検査監督必要性により定めるものにつきましては、総理府が主導的立場に立つこととなるかと考えております。  具体的に御指摘ございましたのは、営業所の設置等の認可申請であろうかというふうに考えておりますが、これにつきましては、銀行法におきましては、営業所の設置等の認可申請は、省令で定める場合を除きまして、省令で定めるところによって認可をするというようなことになっております。これらについては、監督上の必要性ということもございますけれども、もう一方で申しますと、認可の審査に当たりましての必要な事項を定めるということで、認可基準等と関連する面もあるというようなことで、法体系上の整合性を確保するというような企画立案の観点からの確認検討を行うことが適当であると考えているところでございます。
  72. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今、認可基準の部分が入り得るから、企画立案が関与してき得るので共同省令となっているというふうなお話ですけれども、全部がそうなんですよね。今おっしゃった企画立案の部分があるかというと、全部そうなっているわけですよ、総理府・大蔵省令と。では何のために今回金融監督庁なんでしょうかという疑問は、これは普通の人だったら必ず起こってくると思うのですよ。リーガルマインドを持っている人とまで言わなくても、常識を持っていれば、ではなぜわざわざつくるんですかと。逆に言えば、大蔵省のままでいいのじゃないですか、今のままで、その検査監督機能強化すれば、あるいは検査部を独立して。  対案を示します。私どもの持ち時間はきょうは少しありますので、後々対案を示します、いろいろ議論の順番がございますけれども。  このままの形では、どう考えたって大蔵省から離す必要はないと私たちはむしろ思うわけです。だからこそ、あえてこういうことをされるのは、何かしら国民の耳目をどこかにそらさなければいけないという意味合いもあるのではないかな、これは私どもの勘ぐりかもしれませんけれども。では実効性を証明していただきたいわけなんですよね、こういう実効的な効果があり得ると。まず共同省令はやめるべきですよ。これを削られたら、金融監督庁というものが独立してできるものだということは少しは認識できます。  ありとあらゆるところにそういうことがあるわけです。これももう既に取り上げられていると思いますけれども、地方における行政の行使については、何と財務局を使用するということになっているわけですね。これももう何度か議論が出たと思います。しかし、何度か議論が出ましたけれども、例えばこういうことでございます。  金融監督庁は、第二地銀とか信用金庫とかいった地方の機関検査監督は、大蔵省の地方財務局、財務局に業務を委任する方針だということでございますね。そうしたら、頭が金融監督庁じゃなくても同じではないですか、大蔵省がやっているのと。特に、その財務局の中におけるチャイナ・ウォールというかファイアウォールというか、金融監督庁筋の業務執行命令と、しかし、大蔵事務官であるわけですからね、財務局の人たちも、これをどういうふうに区域分けしていくのでしょうか。  私は、そのためにきょうは大変お忙しい中を総務庁長官に来ていただいたのですが、行政機構全般を管理されるお立場からして、一つの地方支分部局に両方の違った行政機関からの指揮命令系統が来るということが有効的に実施され得るとお思いになられますか。
  73. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いろいろとお話がありますけれども、今大蔵省そのままでいいんじゃないかというのは、私ども、少なくとも住専その他の問題から反省に立ってみると、やはりあそこで一緒に全部やっていたことがいけなかったと思っているわけですね。それは、そういう反省がなくて今のままでいいんじゃないかというのと、ちょっとそこは私は根本的に考え方が違うと思うのです。  それから、先ほど財政と金融と分けた方がいいと、私の意見というつもりで言ったわけではございません。そういう意見もありますということ、その点は今、私ども行政改革会議の中でも意見が分かれておりますので、そういう意見もあります、こういうことで御理解をいただきたいと思います。  それから、今の点でございますけれども、財務局、これはもう大蔵大臣の監督下にあるわけですから、そこへこの金融監督庁が直接監督をし、直接いろいろと指導して行政を行わせるということがどうかということで、正直私も疑問に思いました。結局、それは今度の法律の体系から見ますと、この金融監督庁設置法に伴って起きる関係法律整備法の方で財務局の所掌事務がいろいろこれだけまた書いてあるわけでございまして、それについてのみは金融監督庁の長官が直接指揮監督をする、こう書いてあります。  そういうことで、同じところではあっても、その局の中で人は違ってくるのではなかろうかという形で、もっと言えば、一番すっきりするのは、金融監督庁の各支局ができれば一番すっきりするということはもちろんでございます。しかし、それをやれば今度は行政機構が肥大化してしまうものでございますから、とりあえず今はこういう形で、そこの財務局の中で人を仕分けして、いわゆる大蔵省の、大蔵大臣の監督のもとに仕事をする人と金融監督庁の長官のもとに仕事をする人、そういう形で分けていくということで、私は理解をしていこうということにしたわけでございます。
  74. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今の武藤長官の前半の部分で、疑問に思われたということですばらしいお考えをお持ちの方だなと思ったやさきに、聞いてみたら、別にやるんだからと。それは別にやるんですよね。それはそうでないとおかしいわけなんです。だけれども、別にやると言ったから、別にやるんだろう、じゃいいなということではやはりないんだと思うのですね。一人の同じ人間に、こちらから総理大臣の権限を受任された金融監督庁長官がああだと言う、こっちは大蔵省が、大蔵大臣がこうだと言う。  しかも、具体的な例を挙げれば、その金融監督庁長官が独自に業務の停止とかをすることができるであろうと思われる。ということは、信用秩序に大きな影響を及ぼすことがない、すなわち大蔵大臣に協議することが必要ではないと思われる小さな地方の金融機関業務停止をしようということで、金融監督庁長官が財務局長を通じて指示を出した。しかし、それが財務局の中で、これは一つの課を分けるのかどうか、これからの話なのでわかりませんけれども、その辺に書類が散らばっている。それを見た財務局の他の職員が大蔵省筋に、今度この金融機関をもう業務停止にするらしいですよという話になって、そうしたら今度大蔵本省の方から、何だ金融監督庁の方は相談がないじゃないかというような話になるとか、いろいろこれは想定し得るわけです。  それはやはり、一つの地方支分部局のあり方ということそのものが問題ではございますけれども、その財務局を使って金融検査監督を地方の機関については行っていくのだという点も、先ほどの共同府省令と同じように全く私どもは理解ができない、これは考え直さなければならない点だというふうに思います。そのあたりの例を挙げていくと、これは幾らもございます。  それと、先ほど長官も行政管理の観点からおっしゃった。では金融監督庁の独自の地方支分部局を置いたらいいのかな、だけれどもそれだったら行政機構が肥大化するしと。おっしゃるとおりです。おっしゃるとおりなんですが、そこで、いい案があるんですよ、いい考えが。  それを申し上げる前に、実は先週の金曜日でしたか、この委員会でのお話の中で、官房長官がある委員の質問に答えて、今回の法律は、今もおっしゃったように金融の独立性、透明性をつくっていかなければならないから、とにかくこの方法でやらせてください、そして、法律で書いて組織をつくる以上は、組織も大切なんだけれども、だれがその長官になるか、まさに一にかかってここのところだ、こうおっしゃってきておられますから、ある委員が、じゃだれがなるのですかとまず聞いたら、いや、だれがなるかは当然決まっていない、じゃどういう人がなるのですか、それはわからないと。  午前中の自民党の委員の方の御質問に対しては、大蔵大臣が、それはもう何かすばらしい人で金融関係のことをよくわかっている人、こうおっしゃいましたけれども、それは当然だと思うのです。  しかし、そういうことではなくして本当に、官房長官は、だれがその長官になるのかそれが重要だ、それがすべてだというふうにおっしゃっておられますが、ではどういう方をイメージしておられるのか。だれということではございませんよ。例えば今までの証券取引等監視委員会のように検察出身の方だとか、お役人出身というのはきっと今のところ難しいのじゃないかなと思うのですが、どういうイメージを抱いておられるか、具体的に官房長官の方からお伺いしたいのです。
  75. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 行政というのは大体組織で動くものでありますから、私は組織を軽視するという気はございません。ただ、私が申し上げたのは、初動、第一回目の金融監督庁の発足に当たっては、その長官人事というのは極めて重要な意味を持っている、こう私は申し上げているわけであります。その長官のいわば人格というかあるいは判断能力、そういうものによって、初めての機構は、十分に機構を整えるまでの間のいわば補助的な役割が果たされるわけであります。  ですから、幾つかの要因があります。私自身も頭の中で実は整理したものがあるのですが、それは総理大臣が任命し、皆さん方がお決めになることですから、私がそのイメージを申し上げることはいかがかと思います。しかし、預金者保護信用秩序の維持等に責任を担う者であるから、この長官の任務が極めて重いということ、それから、この長官の人事はこれから検討するわけでありますが、国民各層から信頼を受けるような適材を得ることが非常に大切だという思いをいたしております。  ですから、恐らく皆さん方がこの法案にやがて賛成をしてくださるのでしょうけれども、賛成が願えて、一刻も早く発足の準備をするとなれば、総理にもそれぞれ早い機会にそういう人選のイメージをしてもらいたい、そういう思いがいたしますが、どうも野党第一党である新進党の方々が、まだにわかに賛成と言いがたいというような顔をしてじっと徘回しておられますので、その間、なかなか申し上げることができないでいるというのが現実であります。そのうち賛成になれば、早くそういう人選のイメージをつくり上げたいと思いますので、どうか前向きの御検討を願いたいと思います。  私は、仮定の人事として私なりに長官のことを、どんな方がいいかというと、例えば人格、識見があり、行政運営に対する相応の力量があること、金融、財政等の分野に造詣が深く、かっ国際情勢、とりわけ国際金融情勢にも明るいこと、こうなると縛りがかかってきてなかなか難しいのですが、大蔵省を初め関係各省に対し十分発言、主張ができ、かつ、関係業界等に対して指導性を有することが必要だ。国会答弁にも当然出てまいらなければなりませんから、私のような下手な者ではなくて、やはり明確に、それから言葉というかボキャブラリーをたくさん持っている方、そして、皆さん方を十分に説得できるような方があればということで、私なりの考え方のペーパーは総理にも渡してあります。  総理は大変難問だなと言うけれども、幾つかの事例を照らし合わせればそういう人が得られるのではないのかと私は確信をいたしておりますので、早くこの金融監督庁が発足できますことを期待申し上げる次第であります。
  76. 西田猛

    ○西田(猛)委員 まじめに金融監督庁法案の審議を粛々と続けていきたいなと思うのですけれども、今長官もおっしゃったように、これありきであって、早く通してくれて、できればイメージも出てくるし考えられるしということでは、とてもじゃないけれども、今申し上げたような矛盾点が幾つかあるわけでございます。  共同省令になっている点、それから地方では財務局を使う点、あるいは共管になっていること、多々あります。幾らでもこちらの方としては出せるのでありまして、これは、本当にここで少し根本的に見直さなければいけないのではないか。あえてこんな大きな苦労をして、あるいは組織をつくってやっていくような意味のあるものなのかなというところまでむしろ考えが及んでくるわけであります。  私どもは、これに対してどのようにしたら、いろいろな金融不祥事、あるいは、これからの二十一世紀のグローバルコンペティションに向けて、本当に活性化した我が国の経済のために、その根幹となる金融が健全に機能し得るのかということを考えてまいりました。  そこで、きょうはお忙しい中をわざわざ日本銀行の総裁にも来ていただいておりますけれども、私どもが、これはあくまでも私の私見、プラス少し党内で議論をまとめたところでありまして、本日午前中に国会の方に法案を提出させていただいたところでございます。それは、今もおっしゃったように、検査監督を、一つの筋をぴしっと地方までつくろうと。しかしながら、そのために財務局とは違う地方支分部局を新たに設置することになれば、これは行政の肥大に結びつくではないか、総務庁長官がおっしゃった、そのとおりでございます。  ですから、いいものがあったのですよ。あるのです。日本銀行を活用しようではないか。日本銀行全国に支店があります。しかも、今官房長官がおっしゃいました、金融、財政に明るくて、そしてまた弁も立って、国会の答弁もしなければならない、国際金融にも明るくなければいけない、こういうことをおっしゃった。ぴったりの人がいますよね、ぴったりの人がいると思うのです。この組織を、あるいはこの人材を使っていかざるべけんや。これを使っていけば新たな行政組織をあえてつくる必要もないし、難しい共同省令というようなことを考えていく必要もないし、一番いいのではないかというふうに思います。  私が考えますのは、まず日本銀行が今やっている考査というものを検査にして、そして日本銀行にすべての金融機関検査監督はお任せしよう、任せます。それで、先ほど来お話が出ていますように、もちろん金融に対する企画立案部門、これは純粋に行政的な分野が残りましょうから、大蔵省に少しは残しても結構でしょう。しかしながら、今ある銀行局、証券局、国際金融局の金融機関に対する業務は、すべて日銀がやるのですよ。  しかも、その根本はこういうことなんです。では日銀が行政をするのか、金融行政をするのかということに対しては、こうでございます。  すなわち、もう業規制ということはなしだ、業界に対する規制というのばなしにしていこう。そこが今までのいろいろな金融問題の根本であったのだと思うのです。いわゆるコンボイ、護送船団方式と呼ばれる、一番足の遅い機関に合わせてということがいろいろありました。そういう業規制はもうやめて、市場取引法みたいなものを、市場法のようなものをつくって、市場での取引を規制する公正かつ透明なルールを確立する。そして、そのルールが守られるように市場を監視する。これが金融市場規制のあり方だというふうに考えます。  そして、その市場の中で、マーケット参加者は、市場参加者は自由にみずからの能力と努力に応じて競争する。そして、預金者も含めて投資家の皆さんは、自己責任の原則に基づいて、その中でのマーケットの競争者に対して選別を行っていくという形が将来的に望ましいのではないか。これは、いろいろな大蔵省内のプロジェクトチームですとか、あるいは金融制度調査会でも提言されているところであります。業規制から市場取引規制へという形の流れですね。  したがって、もう金融行政というのばなしですよ、日本銀行検査監督はやるということなんですね。ただ、監督ということになりますと行政的な部分も残りますから、金融委員会というものを国家行政組織法第三条の委員会として、総理府の外局として置く、そして、その金融委員会で金融政策の決定権限及び日本銀行に対する監督権限を行う、そして金融機関に対する免許、検査等の監督権限も行う、そして実際の常務は日本銀行に行わせるというシステムを今後つくっていけば、十分に機能して、いいのではないかというふうに私は考えます。  そこで、きょうはお忙しい中を日本銀行総裁にも来ていただいております。現日本銀行総裁大蔵省での御経験もお持ちでありますけれども、今私どもが申し上げたような案、本当はいろいろ聞きたいのです、日銀としてどう思うかとか聞きましても、責任ある御答弁は今この場ではきっとおできになりにくいと思いますので、そういうふうな市場規制的な今後の金融行政のあり方についてどのようにお考えになられるか、御意見を伺いたいと思うのです。
  77. 松下康雄

    ○松下参考人 私ども中央銀行は、金融市場の中に位置しておりまして実際に日々の金融取引を行っておりますので、金融機関行動とかあるいは市場取引の変化などを敏感にとらえるということが可能でございます。また、金融の技術革新につきましても把握しやすい立場にございます。中央銀行がこのような日々の金融取引等を通じまして取得をしたノウハウを、市場でのリスクの把握とか、あるいは個別金融機関のリスク管理手法の点検などに活用していくということは、市場時代の金融システムの安定確保の上で今後一層重要になってくるものと思います。  私ども、現在、取引金融機関との契約に基づきまして考査を行っておりますけれども、考査を行います目的は、取引相手の経営内容についてこれを把握し、リスクのあり方を探るということと、また、決済システムを円滑に運用できるように確保しますことで金融システムの安定を図っていく、そういうことを目的といたしまして、ただいま申し上げましたような市場の取引を通じるノウハウの活用という手法で考査をしているところでございます。  ところで一方、政府の側におかれましては、銀行法に基づきまして、免許の付与でありますとか各種の命令の発出でありますとか、直接的な行政権の行使を行っておられるわけでありますが、これは、ただいま申し上げました私ども中央銀行の日々の機能とは性格を異にする面がございます。  こういった点から見ますと、金融業務金融取引が一層高度化、複雑化していきます中で金融システムの安定を維持していきますためには、やはり行政当局と中央銀行とがそれぞれの本来的な性格に基づきまして役割と責任を分担していくということが望ましい、私どもの業務の運営上より望ましいことであるというふうに考えております。
  78. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ありがとうございます。今の御意見は、賛成とも反対ともおっしゃらずに、しかしながら、なかなか現政府に配慮された御発言だったなというふうに私は思うわけであります。  その御発言の中で思いますのは、確かに政府の役割と中央銀行としての日本銀行役割、これは当然分けて考えていかなければならない、それは私が今申し上げた考えでもそうなのであります。したがいまして、金融における企画立案、これはあえて大蔵省に残しておこうと。しかし、申し上げましたのは、では日本銀行が残りの今大蔵省がやっておられるような金融行政をするのですかというと、そういうことではないわけでございます。  私どもが申し上げたのは、根本的にもう金融行政はなしで、市場というものに対するルールの確立と監視、これでこれからの金融活性化、ひいては経済の活性化を図っていこうということであります。それと、日本銀行を行政組織化しようということでもありません。中央銀行としての独立性と中央銀行としての行政からの隔離、これは当然担保しておるわけであります。したがって、新たに設けるものとすれば、金融委員会という行政組織を国家行政組織法第三条の外局として総理府に置く、それが日本銀行を管理監督して検査監督等を行わしめるということを私は申し上げているわけでございます。  一つの例はアメリカ合衆国に求められるわけでありまして、アメリカ合衆国では、フェデラル・リザーブ・ボードが、連邦準備委員会が、いろいろな企画立案、それから検査監督の指針等を出します。しかし、連邦準備銀行はみずからやる手足はないわけでありまして、それぞれ、各連邦の中の地方にございます例えばニューヨーク連銀とか、そのような地域準備銀行が、その実際の検査監督業務を行っておるわけであります。  私は、この案については、十分今後検討していくに可能な、あるいは今の金融監督庁という、がばっと抜き出してつくってしまおうという手荒な案よりは、よりソフィスティケートされた、洗練された進化した案ではないかなというふうに思っているわけでありますが、その具体の案について、なかなかおっしゃりにくいかもしれませんが、最後に総裁の方から、将来的な展望、あるいは、そうなったときの日銀の運営としては、全くできないのか、いやそれはたえ得ることができるのか、その程度のことで結構ですから、御意見を賜りたいと思います。
  79. 松下康雄

    ○松下参考人 米国の例をお引きになりました。  確かに、米国におきましては、金融機関の監督が大変多元的でございまして、財務省の中にございます通貨監督官、これが監督をしながら検査もいたします。また、連邦準備制度に加入の金融機関につきましては、地区の連邦準備銀行検査をいたします。それから、州法銀行がございますので、これは州の方の管轄でございますし、また、預金保険機構が非常に広大、広範な銀行の監督の権限を持っているようでございます。  これらのものが従来からの経緯と伝統を踏まえまして並列をしているわけでございますけれども、やはり、それらが個々ばらばらで検査監督をするということはいろいろ金融機関に過大の負担を与えますので、統一的にこれを行っていくという努力は、実際いろいろとやっておられるようでございます。  そのように、米国におきましても、なかなか、金融機関の監督行政的な機能と、それから中央銀行の持っております金融政策に絡んだ銀行に対するリスク把握の機能というものを両立させていくような試みは、大変考えながら今日まで実行されてきているところであると思います。  そこで、私どもの場合でございますが、金融機関に対します法律的な監督でありますとかあるいは行政でありますとかというものの必要性そのものにつきまして、私が申し上げる立場ではございませんけれども、そういったものが諸外国の例のように残っていきます場合に、やはり私どもの持っております、中央銀行としてのマーケットでの指導をするという立場の金融機関に対するいろいろの指導的な措置というものを、両方をかみ合わせながら活用をしていきますれば、その検査の的確性でありますとか効果というものも強くなってまいると思っております。  ですから、これは現状の、監督の行政権とそれから中央銀行と、その立場両方を前提としたお答えでございまして、私ども、違った制度についてお答えをするということは差し控えさせていただきたいと思いますが、現状を踏まえますとそのようなことになると思っております。
  80. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ありがとうございました。  今の制度、それから現実を踏まえて、もしもそうなったらということに対してはお答えは当然おできにならないわけでございますけれども、しかしながら、言葉の端々に、そうなれば十分に職責を果たせるがなというお考えがにじみ出ていて、私どもは、なかなか来ていただいたかいがあったなというふうに思っております。  総裁におきましては、お忙しいと思いますので、どうぞもう御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  それでは、続きまして、総務庁長官もお忙しい中おいでいただいておりますので、総務庁長官に対して、少しこの流れでお伺いしてみたいと思うのです。これは本当に細かい話なんですけれども、政府がこの金融監督庁法案をつくってきて、政府提出法案でございますから当然それでよろしいのですけれども、どういうふうにこれを見ているかということを、一つの例で示してみたいと思うのですね。  私ども、政府の方から御説明を受けたときに紙袋をいただきまして、紙袋を見ますと、金融監督庁設立準備室、こう書いてあるわけですね、紙に。金融監督庁設立準備室というのは一体何でしょう。こういう組織なんてあったのかと私は思うのですけれども、これについて、まずちょっと事務当局から、その組織の実態についてお聞かせ願いたいのです。
  81. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答え申し上げます。  金融監督庁の設立準備室の組織のことでございますが、基本的には、私どもといたしまして、総理府本府の内部組織につきましては、国家行政組織法の第十四条第二項の規定に基づきまして細かな所掌事務や組織の体制を訓令により定めまして、内部機関及び職員に通知しているところでございます。  ただいま御質問の金融監督庁設立準備室につきましても、平成八年十二月二十七日の閣議了解におきまして金融監督庁設立準備委員会が設置されまして、その庶務を内閣総理大臣官房で行うということとされたことを受けまして、その業務を行う組織体制を内部的に明らかにするための訓令を定めたところでございます。  したがいまして、この準備室につきましては、訓令を根拠にいたしましてその所掌事務、体制等は定めているところでございまして、これはあくまでも国家行政組織法の範囲内で、総理府本府の内部組織を明確化するものとして規定しておるところでございます。
  82. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今の説明ですと、閣議了解があったのは金融監督庁設立準備委員会ですか、これは事務次官等で構成されているものだと思いますけれども、そういうものが閣議了解されて、それに基づいて、庶務は総理府で扱うということが書いてあるのでしょう、それを扱わしめるためにということだと思うのですが、あたかもそれは、もう金融監督庁というものが先にありまして、それの設立準備室もできているのだ、だからもうどうだどうだという形で審議を進める、あるいは世間に対するアナウンスをしていくということでは、本当に、この行政改革特別委員会審議している、これは一体何なんでしょうかという話になってくるのだと思うのですね。  そこで、総務庁長官にお伺いしたいのは、そのような行政機構を、勝手にと言うのはなんですけれども、つくってしまって、それでもうどんどん進めておられるわけです。しかしながら、全体的な行政管理の立場から、今のような現状についてどのようにお考えになられますか、この金融監督庁法を今審議しているという状況の中で。     〔委員長退席、柳沢委員長代理着席〕
  83. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これはやはり、全く新しい行政機構をつくっていくわけでございますから、従来のような、ただ国家行政組織法あるいはそれぞれの設置法などの改正一つのものをつくっていくのとはおよそ違っていると私は思っておりまして、今お話しのように、総理府において内閣総理大臣の訓令という形でつくっていくということは、準備室ですから、これは自然に、発足すればもう要らないわけでございますから、そういう面において私はやむを得ないことかと思っております。
  84. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そのようなお答えになるかなとは思いましたけれども。きょうはお忙しい中を来ていただきまして、総務庁長官にはもう御退席いただいて結構でございます。  これから少し、大蔵大臣が手持ちぶさたでいらっしゃいますし、官房長官もいらっしゃいますので、お二人にちょっとお聞きをしていきたいと思います。  やはり、この行政改革特別委員会における本法案の質問に対して、大蔵大臣が逐一お答えになっておられたというところを見ましても、これはもちろん大蔵大臣は好んでお答えになられているのではないのだと思うのですけれども、私は、どうもおかしいというふうに思うわけです。  しかしながら、先ほど来話が出ておりますのは、この金融監督庁ができれば金融検査監督のあり方については非常に透明性が確保できていくだろう、あるいはそういう試みに近いんだというふうなお話がございます。それでは、その金融監督庁ができていない今の段階で、しかしながらこの目の前に起こっているいろいろな金融関係の不祥事について、大蔵省は、大蔵省はというか、今の内閣は一体どのようなお立場で臨んでいかれようとしておるのか。そこをつまびらかにしておきませんと、新たな組織ができても同じようなことの繰り返してはないかというふうに私たちは思うわけです。  そこで、まず古い方からまいりましょうか。平成四年に、日本住宅金融という住宅金融専門会社がございました。そして、その日本住宅金融の、いわば当時出資していたいわゆる母体行の一つであります、もう事実ですから申し上げますが、三和銀行が、これは私はあるテレビ番組を見ておりまして、克明に取材しているなというところを、もう大分前の話ですが、ずっと興味を持って調査をしてまいりました。  そうしますと、三和銀行が、当時の日住金が事実上倒産状態にあるという結論に達して、どんなに救済措置を講じてみてもあと二年ほどで消耗してしまうだろう、これはもう破綻させてしまうしかないというふうに考えた。それで、そのことを当時の大蔵省銀行局だと思いますが、銀行局の担当の方に、幹部かもしれません、日住金を破綻させます、処理しますという相談に行ったら、端的に言うと、それは困るというふうに言ったと。  なぜかと言えば、農協系、それから地方銀行に悪影響が及ぶから、今、そのときの時点で日住金を処理してしまうことは困ると。きっとやめろとは言わなかったと思うのですね。でも、困るということで、結局三和銀行はできなかった、そういうことができなかったというふうに聞いているのですけれども、このことは、大蔵省の方がこれは困るというふうに意思伝達をして、三和銀行の日住金の早期処理にいわば待ったをかけたということは事実なのかどうかについてお伺いしたいのです。
  85. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  日本住宅金融の再建計画が関係金融機関の間で議論されておりました当時、三和銀行から、日本住宅金融を正常資産を引き継ぐ存続会社と不良資産を引き継ぐ清算会社に分離して、不良資産の元本ロスを母体行が負担するという処理案が示されました。しかしながら、その案につきましては、結局母体行間の同意が得られないとの事情がありまして、三和銀行みずからがとり得ないとして撤回したものと承知しております。
  86. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今の局長の御答弁ですと、母体行の方から、みずから協議案がまとまらずに案を引いたというお話でありました。  ところが、続いてその番組には、こういうふうなくだりがあるのです。実は平成五年の二月、その翌年の二月でございますね、三和銀行が日住金の母体行会議を招集して、大蔵省とも連携をとった再建案を提示した。ところが、その再建案を提示したときの冒頭、三和銀行の方から、これが最終案だ、実は大蔵大臣の談話ももう既に用意されていると大蔵省の意向を伝えた。ところが、その母体行のメンバー行の担当者からは口々に反対の声が上がった。もうこれは、日住金はきっとだめだろうから、幾らやっても無理なので、もうやめましょうよというふうなお考えだったと思うのです。三和銀行の当局者の方の証言によれば、これでは後々に問題を残すことになる、先の見えないことをやれというのはつらいというふうにある銀行の担当者は言っていたということだそうなんです。  そして、会議が紛糾しできますと、実に奇妙なことが起こった。それはどういうことかといいますと、反対を唱えている銀行の担当者のところに外部から電話がかかってきて、携帯電話だったそうですけれども、その反対をしていた銀行の担当者が携帯電話に出ると、今度戻ってくれば、ついに反対の矛先をおさめてしまうということらしいのです。  この報道番組をつくった局、これは日本放送協会ですけれども、私はその番組を見ただけですが、そのNHKの解説によればといいますか、これはNHKの断定になっていましたけれども、こういうことなんだそうです。  その母体行会議に出ていた三和銀行の担当者が、反対をしている銀行の名前を携帯電話でだれかに言って、そのだれかというのは実は大蔵省銀行局の幹部なんだそうですけれども、その幹部の人が、そうか、X銀行か、今度はその幹部の方が、これはNHKの番組が言っているのですよ、その幹部の方が、今度はその反対している銀行の頭取に電話をして、反対しているらしいよと。そこのやりとりは言っていません。今度はその頭取の方から部屋の中にある携帯電話にかかってきて、反対している担当者を呼び出してこう言ったというのですね、もう反対する必要はないと。それで、一人一人反対している担当者はおさまっていって、結局は、再建が行き詰まることは目に見えていたけれども再建が決定されたというふうに、その報道番組は言っております。  もしこれが事実だとすれば、今局長が言われた、いや母体行の方から、みずからその案は引かれたんですよというのは、形式的にはそうかもしれませんけれども、実質的には当局者が関与しておられたわけですよね。この事実についてはいかがでしょうか。
  87. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  日住金の再建策については、実は第一次再建と第二次再建がございまして、先ほど委員の方でお尋ねがございましたのは、第一次再建の案の中の一つにそういうものが三和銀行からあったということでございます。今の、平成五年とお尋ねの件は第二次の話でございます。第二次の再建計画の策定に際しての報道ということでございます。  それについて申し上げますと、当局として、非常に難航しておりました当事者間の協議が円滑に行われるように願っておったわけです。それはなぜならば、あくまで住専各社、関係金融機関の協議、合意によって策定すべきものであり、そういう認識は十分持っておるわけでございますが、この問題が他の住専の各社の処理にも大変影響があるということで、それで、この負担分担の合意形成がおくれるということになりますと、非常に金融システムに対する不安感を醸成する状況にあったわけでございます。したがって、当局としては、その関係当事者間にできるだけ早く合意形成をしていただきたいということでいろいろ要請をしていたというのがその背景でございます。  そういう事情を御理解いただきたいと思います。
  88. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃったのは、合意形成が早くなされることを望んでいた。そうすると、もう再建できないという合意形成、その合意形成というのはあり得ないのですか。
  89. 山口公生

    山口政府委員 一応、第二次再建計画では、再建をするということでの合意形成でございまして、もし再建ができないということになりますと、それはその時点におきましては金融システムに対する不安感が大変醸成されやすい状況にあったわけで、それはいい方策ではないという判断があったわけでございます。
  90. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それはいい方策ではないという当局者のお考えだったということでございます。そうしますと、第二次の案が出てきたということですけれども、もう再建はできないと第二次案に反対していた母体行はどこですか。
  91. 山口公生

    山口政府委員 当事者間でいろいろ御議論があったということは聞いておりますが、どこが反対し、どこが賛成したかという過程は私はつまびらかにしておりません。
  92. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今のお話を聞いていますと、再建はもうできないというふうに当事者の方たちは思っておられたのですけれども、そこで、この日住金を破綻させるということは日本の金融システム全体に対してよくない影響を強く与えてしまうから、再建するという合意を得てもらったということは、これは大蔵省としての権限の範囲内に入っているのでしょうかね。  それと、私は不思議に思うのは、あくまでも日本住宅金融というのは民間の会社でございますけれども、それに対しての出資者であるところの銀行間で、もうこれはだめだろう、要するに純粋に市場の原理に従って、経済原則からもうこれは存続させることができないと考えたわけですけれども、それが、当局の方ではいろいろなお考えがあって、そうじゃない方がいいとしてこれをひっくり返したということでよろしいのでしょうか。
  93. 山口公生

    山口政府委員 第二次再建計画は、いろいろな御議論はありましたけれども、結果としてはあくまで住専各社、関係金融機関の協議、合意によって策定されておるわけでございます。
  94. 西田猛

    ○西田(猛)委員 はい、そのとおりです。それは私も否定しておりません。  今我々が知っていた事実では、母体行の皆さんがこの第二次案をまとめられたわけですけれども、私はそのプロセスのことを言っておるわけでして、今私、ちょっとここでの再現というような形でその報道の内容をお伝えしたのですが、その報道の内容についてはどのように承知しておられますか。報道の内容をどう承知しているかじゃなくて、その第二次案がまとまるに至った過程を、その当時は局長ではあられなかったと思いますが、どのように聞いておられますでしょうか、まとまった過程について。
  95. 山口公生

    山口政府委員 当時どういうようなやりとりがあったかまでは詳しくは承知しておりませんが、関係者がいろいろお話し合いをなされ、それで合意形成されたわけでございますが、その間において、当局としては、やはり金融システムの維持と  いうのがいかに大切なものかということを強調させていただいておったということでございます。  しかし、あくまでそれは当事者間の合意の形成というのが最も重要でございまして、この会議の結果それが策定されたということで、第二次再建策がそれからスタートした、こういうことでございます。
  96. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃいました、その当事者間の協議がある過程で,当局としてはいかに金融秩序の維持というものが大切であるかということを指摘をさせていただいたのでございますということでございました。そして、それを踏まえて再建案はできたのだということですが、そうしますと、このNHKの報道の内容はある意味で正しかったのだなということが今私どもは理解できたわけですね。  要するに、当局者がそこにかんでおられたわけでして、私がなぜこの話を申し上げたかというと、別に私ども何を言いたいというよりも、本当にこれからの透明で公正な金融市場の確立、そしてそれこそが経済立国日本にとって必要なことですから、これを私たちは今この行政改革特別委員会という特別委員会審議しておるわけですね。これからこういうふうにマーケットの原理が働いて、市場としての活力が出てくる金融が行われなければならないという立場で審議をさせていただいているわけなんです。  そういう中に、かつてそういう行政があったという事実がございます。もう住専の問題については、我々、目の前で見ておりますように、ところがそれがその後大きく尾を引いたわけでございますね。結局、住専に対しては早期不良債権としての処理もできないままに、ずるずると来て、そしてついにあのような公的資金を導入して処理をしなければならなかったというところがございます。  そういう行政の仕方があったということを踏まえて、今金融監督庁ができるこの時点において、あのときを振り返って、そういう金融秩序の維持が大切なんですよということを申し上げさせていただいて案がまとまりましたという行政の仕方と申しますか、それを振り返っていただいて、どのようにお考えになられるかお尋ねしたいのです。
  97. 山口公生

    山口政府委員 あくまで民間が自主的に判断をするというのが基本だと思いますが、信用秩序の維持あるいは預金者保護ということは国政にとっても大変大事なことだと思うわけでございます。そこで、自然に任せればすべてうまくいく場合はもちろん自然に任せるべきであり、自己責任の範囲でやってもらう必要があると思います。しかし、適切にそこは、当局としては果たすべき役割を果たす、その姿勢は守っていく必要があるだろう。そこの兼ね合いを、やはり国民の批判を浴びるようなことがないようにやっていくことも大変大事なことと思います。  したがいまして、私どもとしては、これからの行政はできるだけマーケットを重視しながら、行政自身も透明性を持たせながらというような方向へ行きたいと思うわけでございますが、国家行政として大変大事な預金者保護とか信用秩序の維持ということは、いっときも忘れないでやっていく必要があると思っております。
  98. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大蔵大臣にお伺いしたいのですが、今局長がおっしゃっておられました、住専一つである日住金に対してそういう行政措置があったわけですけれども、それらを踏まえて、今の批判にさらされている金融行政を考えてみて、今後の金融監督庁等のあり方などについての御所見をちょっとお伺いしたいと思うのです。
  99. 三塚博

    三塚国務大臣 金融監督庁が法案化され、審議の段階に入りました。その大前提は、住専の深刻な論争の中で、その中で金融秩序のために、また預金者保護という観点もこれあり、金融三法、公的資金の導入ということで決着を見、今日にあります。その間、金融制度に対する強い批判、また大蔵省に対するさまざまな批判等々があったことも御承知のとおりでございます。  そういう中で与党三党、本件についてその批判を率直に受け、新しいスタートを切るためにはどうすべきか、二度と住専のような問題がありませんようにという基本的目標の中で、約一年余にわたる論議が展開をされ、そういう中で、検査監督、そして企画立案、これを分離することによって、独立した機能として設置される目標に誠実に対応をしていかなければならない、こういう経過でありますことは御案内のとおりであります。  ただいまNHK報道の件、私も聞いておりました。見てはおりませんけれども、そういう段々の論議の中で感じますことは、やはり主管庁の中における銀行局ということで、金融の秩序の維持、こういうこと、ひいては預金者保護という観点、金融三法で時限法でペイオフを二〇〇〇年までという特別措置住専のときはとられましたけれども、そういう状態のない中でどうするのかということになりますと、それぞれ金融会社の最大の努力の中で、仮にそれの相談を受け御指導を得たいと言えば、公正中立な立場の中でその時点におけるベターな案、ベストを目指して、ベストはないわけですから、ベターな案をサポートするというのは行政の範囲内で許されたものと思います。  そういう中で、今日の機能分離、その分離の中で精いっぱいの努力をして、透明な金融政策、これを行って国民各位の信認を得るということであれば、ただいまの監督庁というのは成功させなければならない、このように思っておるわけでございます。
  100. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今もお話が出てまいりました、そういういろいろな過去の経緯、それから反省に立って、今回金融検査監督部門を何とかしなければいけないのではないかということですけれども、それであればあるだけ、本法案を見ておりますと、先ほど前半の部分で申しました共同省令の部分、それから財務局を使う部分、共管になっているところ、そして重大な信用秩序に影響を及ぼすというときには事前に協議をしなければならない、これはもう金融監督庁がひとり立ちできるという状況にはないのだと思います。  ですから私どもは、まさに今大蔵大臣も言われたとおり、官房長官も言われたとおりです。問題意識は全く同じなんです。あるいは、先ほど局長も言われたとおりです。それらの反省の上に立って、大蔵省としてもこれからこうしたいとおっしゃっているわけです。私たちも問題意識は全く同じなんですけれども、どうもこの新しいスキームではそれが十分に担保されているとは思えない、こう具体的に申し上げているわけなんです。これはぜひ法律の一部修正案なり、あるいは時間がなければ、もっと慎重に考えるべきではないか。  今の大蔵省検査体制のままでもうある程度十分に機能しているわけなんですね。要は、組織がどうということではなくして、それをいかに動かしていくかということはもう当然でございましょう。これは官房長官も先ほどおっしゃいました。人が人がと自分でも言ったけれども、組織が大切なんだ。組織は今あるわけでございますから、現に。しかも、この百年、十分と大蔵省はやってきたわけですよね。ある時期はそれが奏功した場合もある。ただ、それがうまくある時期適合しなかったがために問題がどっと出てきて、それで今度分離されようとしているわけです。  だったら、それに適合できるようなやり方をやっていけばむしろいいわけですよね。この金融監督庁法案については、どうしても私どもはおかしな部分が余りにもあり過ぎる、どうもおかしい、あえてこれを分割しようという意図がわからないわけです。  そこで、もう一点、では今の時点での、今後の金融不安、金融機関不良債権などなどに関する大蔵省の取り組みについてちょっとお伺いしたいのです。  これは非常に今日的な問題ですので、私もこの具体の一行だけを取り上げて問題にすることは本意ではないのでありますけれども、事の性質上、もうやっていかざるを得ないのだと思うのです。いわゆる日本債券信用銀行は、今の段階でもう既に債務超過に陥っているという検査の結果があるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  101. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  日債銀の財務状況についてのお尋ねでございますが、同行が今回再建策を策定するに当たりまして、改めて監査法人とも十分に協議しつつ、自己査定を行っております。大蔵省としては、その結果の報告を受けるとともに、査定の考え方及び内容について十分にチェックしております。これにより、大蔵省としては、同行が債務超過ではないということを確認しております。
  102. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そして、けさの新聞報道などにもよりますと、ついに、十一行でございましたかは、日債銀に対する出資に応じる方向へというふうに報道されておりました。これは、こういう一連の事実を聞いてみますと、またぞろ従前どおりの金融機関の再建策なわけでありますね。何のために例の金融三法というものをつくって、枠組みをつくったのでありましょうかと考えざるを得ないわけであります。  もう重々御承知のとおりだと思いますが、現行のいわゆる金融三法等のスキームでは、信用組合にのみ公的資金を導入する。その公的資金導入というのも、これは正確に言っておきますれば、預金保険機構の支払いについて、特別勘定が借り入れる際に政府が保証することができるという点においての公的資金の導入、発動が信用組合についてのみ認められているという状況であります。  そうすると、まだやはり他の機関についてのそういういわばセーフティーネットの枠組みができていないということなんですね。ですから、今回、日本債券信用銀行のような、いわば興長銀、長期信用銀行の三つのうちの一行、大きな銀行であります。だから、ツー・ビッグ・ツー・フェールだというのであれば、いろいろな矛盾点がここで出てまいります。  御指摘を申し上げますと、今大蔵大臣戻られましたので、日本債券信用銀行の問題をやっておりまして、日債銀の重要な問題なんですけれども、日債銀に対する今の政府、大蔵省の救済策なり対応策はまたぞろ昔どおりの方法をやっているではないかと。けさの新聞なども見ておりますと、十一行ですか、主要な銀行が出資を了承する方向へ、こうなっているわけですね。  政府の現行の枠組みは、例えば住専対策であった六千八百五十億円を最後にして、今後ノンバンクには公的資金を投入しない。もちろん、申し上げておりますように、先ほども話がありましたが、預金等を受け入れるデポジッタリーバンクスと違ったノンバンクバンクスに対しての公的資金は導入しない、こういうふうに言っておられるわけです。  それから、いわゆる金融三法により、さっきも言いました信用組合対策についてのみ公的資金を導入する、そして二〇〇一年まではペイオフはしない。対外的には大銀行二十行はつぶさない、これは今申し上げたツー・ビッグ・ツー・フェール・ポリシー、これが半ば国際公約化しているのではないか。そして、預金保険料を、一般勘定が三倍でしたか、特別勘定が四倍でしたか、逆でしたかね、それで〇・〇八%とするというのが現行の枠組みだと私は理解しております。  そうしますと、今局長の御答弁では、日債銀は債務超過に陥っていないんだ、だから出資を仰いでやっていくことができるんだということなんですが、基本的な事実認識として、債務超過じゃないからいいということで、またまた奉加帳を回しましてちょっとずつ出してくださいという従前どおりの救済策をとっていたのでは、何ら変わっていないのじゃないですか、銀行行政は。  そのために私は、決して楽しい話ではありませんけれども、昔の平成四年、五年の話を出しまして局長にもお聞きしたわけなのですよ。今後は違うのでしようとお聞きしたら、違う、こうおつしゃったのですけれども、また同じなのじゃないかなと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  103. 山口公生

    山口政府委員 今金融三法のお話もかなり詳しくお話しいただきましたし、ノンバンク預金受け入れ金融機関との扱いの違いもお話しいただきました。ただ、今回の日債銀の問題は、その破綻処理ではございません。今御紹介いただきましたように、債務超過ではない状態だから出資を仰いだのだろう、そのとおりでございます。  それで、その出資を仰いだのが奉加帳方式ではないか、従前の方式ではないかという御批判でございますけれども、これはあくまで日債銀がみずからの厳しい自助努力でやり、なおかつそこで関係先に出資を求める、こういうことをやっているわけです。私どもとしては、それについて、これだけの大きな銀行で対外的に、国際的に日本発の金融不安を引き起こしてはいけないということもあって、いろいろ形で日債銀のプランを支援するということはやりました。しかし、奉加帳だと言われるような半強制的に出させるというようなことはやっておりません。  なぜならば、大銀行にお願いしておりますのは、皆さん株主でございます。それから株主でないところも一部ありますが、それは長期信用銀行で、同じような金融債を発行しているような銀行でございます。そういったところに株主としてひとつ増資に応じてもらえないかということを、日債銀がお願いしているわけでございます。  それから、あわせて生損保には劣後ローンを提供していただいておりますが、劣後ローンでありますと、このままいくとひょっとしたら毀損するかもしれない、したがって、これを一部でございますが、ひとつ出資に振りかえてもらえないかということを日債銀が希望しているわけでございます。こういうお願いの前提は、もちろん厳しい、驚くようなリストラが前提になっておるわけでございます。  そこで、日銀も大蔵も、そうした努力があるのであれば、やはり金融秩序の維持のためにも、あるいは日本の国際的な評価のためにも、ひとつそれはできるだけの支援をしようということで、関係先にその背景の説明をしてあげたりということをしたわけでございます。  したがいまして、これはあくまで、我が国信用秩序を維持するとともに、国際的な評価を落とさないためのぎりぎりの措置だということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  104. 西田猛

    ○西田(猛)委員 結局同じことでありまして、唯一そのおっしゃっている論拠となっているのは、日債銀が債務超過ではない、だから再建可能なのだという一点にかかって論理を構築しておられると言っては失礼ですけれども、事が進んできたわけでありますね。もちろん行政当局がやったことではないです、今おっしゃったように、日債銀がみずからの自助努力でリストラ計画を出され、そして株主であり、あるいは金融債を出しておられる、あるいは生損保については劣後債の発行をお願いして、ということでございます。  しかし、さっきの話にもありましたように、三和銀行住専に対する母体行の案にしても、いや、向こうがお引っ込めになられたのですよ、しかしその過程では、金融秩序の維持というのがどれだけ大切かということを申し上げましたというようなことですし、私も十何年間か行政府にいましたけれども、もちろんそれはわかります、こちらとしては、やり方として、いろいろそういうことをやっていかなければいけないということもあるのですけれども、ただ、結局それが今もうワークしなくなったという認識が高まってきている状況にあると思うのですね。  だから、これは本当に私は大変なことになるのじゃないかと思うのですよ。心配しているのは、もし日本債券信用銀行が、やっていければいいですけれども相当の無理をしないとやっていけなくなる、そのときに、相当無理をするのですが、出資をする銀行、あるいは不良債権処理したスキームもそうだったと思うのですが、それは預金者預金でいっているわけですよ。あるいは預金者預金を回した利子でいっているわけですね。  では、もっとそういう不良債権処理する資金があれば、あるいは日本債券信用銀行を、無理やりと申すとあれですけれども、生き延びさせていくための資金があれば、預金者あるいは株主に還元するとか、そういうことが市場原理の働く資本主義の世界では当然考えられていくべきだというふうに思うわけです。  要するに、資金の正常な経済原理にのっとった還流、還元がなされていない、すなわち、市場原理を曲げていることが多々行われてきた、そして今も行われているというのが私は現実ではないかなと思うのであります。難しい問題でございますので、今後さらに検討を加えていきたいと思います。  さらに、甚だしき例が一つございまして、これも事前にお話を申し上げておりますのでお許しを得てお聞きしますが、今問題になっております日産生命でございます。これも、実は九三年には債務超過に陥っていたことがわかっていたのではないかという一部の報道もありますけれども、いかがでしょうか。
  105. 福田誠

    福田(誠)政府委員 国会でたびたび御答弁申し上げておりますが、日産生命につきましては、平成七年九月の検査を実施した段階で資産内容が悪化していたために、その当時、資産を時価で評価してみましたところ、時価ベースで負債が資産を超過する状態、いわゆる実質債務超過状態にあるとの事実を把握したわけでございます。  そこで、検査結果を踏まえまして、行政当局で日産生命から事実の調査をいたしましたところ、それ以前においても実質的な債務超過であったということがわかりました。したがいまして、債務超過がわかりましたのはあくまで平成七年九月、約一年半前のことでございます。
  106. 西田猛

    ○西田(猛)委員 その債務超過が判明した後、どのような措置をすぐとってこられたかについて、お伺いできますか。
  107. 福田誠

    福田(誠)政府委員 日産生命の今回の破綻の原因は、一つは、バブル期に高利回りの商品を他社に比べても異常なほど大量に販売したことと、そしてこの一年間に株式投資等で失敗した点にございますが、今の御質問につきましては、大蔵省としましては、検査以前の同じ平成七年の五月には、経営改善計画、すなわち新契約費、新しく契約するときの費用でございますが、新契約費の削減とか安定的収益の確保等を柱とした収支改善計画を作成するよう指導し、実施を求めておりました。  さらに、今申し上げた九月の検査結果を踏まえまして、一層強く財務の改善を指導したところでございまして、平成七年度決算におきましては、単年度収支において黒字を計上するなど、経営改善の効果がかなり出ていたわけでございます。  また、平成八年度からは、一層のリストラによる事業費の圧縮なり、グループ企業の支援による基金の増強、営業力の強化等を柱とするさらなる経営改善計画の策定を指導し、実行を求めてきたわけでございますが、八年度末におきまして、市場金利の低下とさらなる株価の低下の影響等で事業の継続が困難な状況に立ち入ったものでございまして、七年九月の時点におきましては、経営改善計画も策定、実施されており、経営努力による再建は可能と考えていたものでございます。経営改善計画を中心とした強い努力を求めてきたところでございまして、大蔵省としてはしかるべき措置を、あるいは指導してまいったというふうに考えております。     〔柳沢委員長代理退席、委員長着席〕
  108. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃったように、平成七年の検査で債務超過が発見されて、しかしながら、平成八年の指導で若干改善したけれども、その後の株取引で失敗して、ついに今日ここに至ったという話なんですけれども、その後の株取引で失敗したというのも、それだって監督官庁が資産の運用計画なり指導して、了承していたことなのではないでしょうか。
  109. 福田誠

    福田(誠)政府委員 御指摘のように、同社の作成しました経営改善計画におきましては、有価証券の運用につきましても安定的な収益の積み重ねというような内容でございました。しかしながら、実態は、今申し上げましたように、八年度におきまして、同業他社がリスク資産を極力縮小するような運用をいたしましたのに反しまして、日産生命においては、ちょうど平成七年度中に株価が徐々に好転したこともありまして、八年度はさらにまた株価が上昇するであろうとの恐らく相場観でこれを積極的に投資をしたということでございまして、私ども、やはり個例会社の資産運用そのものにつきましては、あくまで経営の自己責任でやっていただくべきものであり、まして経営改善計画におきましては、先ほど申し上げたような内容でございましたので、その細かな個別の運用までは目が届かなかったわけでございます。
  110. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃったように、もちろん株のことですから何にしても上がり下がりがあります。ですから、それで失敗したということなんですけれども、要は、その一つ一つのことではなくして、こういう金融機関が、先ほどの日住金の話でもそうでございます。それから今の日産生命でも、日債銀の話でもそうです。こういうふうな状況に至ったときに、国民経済的観点からどうこれに対処していくかという基本的なスキームをしっかりとつくっておく必要があるのではないでしょうかということを私どもは従来申し上げているわけです。そういう観点から、金融監督庁というか、金融検査監督のあり方も、枠組みをつくっていくべきだ、こう思うのです。  先ほど申し上げましたように、今、金融機関破綻処理あるいは債権処理に関するスキームというのは、信用組合に対する公的資金の導入ということが盛り込まれた、それだけのセーフティ──ネットのスキームしかないわけであります。ほかの金融機関が倒れそうになったときに、預金者の、保護はどうする、株主の保護はどうする、国民経済的な損失についてはどうするのかというスキームをつくっていかなければいけないと思うのですが、今度金融監督庁を、成立した場合には所管することになられる官房長官、そのあたりのスキームについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  111. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 いずれにいたしましても、バブル時代の不良債権を引きずった結果が顕著に出たか、まだ慢性的に出ているのかという違いが今日まで尾を引いているわけであります。本質的には、預金保険機構的なものをもっともっと拡大ができるものかできないものか、各業態別にそれができるものかできないものか。その本質的なスキームをそれぞれの金融機関がみずからの努力で、そして場合によっては、そういう懸命な努力があるならば、ある意味での若干の公的な保証というか、そういうものも考慮に入れないで、この金融監督庁ができればすべてが解決するという問題にはいかない。  しかし、少なくとも大蔵省銀行局、証券局その他を通じて、そういうものが企画するものが業界全般としてどんな姿であるべきかという絵図面をかかないで、この問題はただ単に検査をすればよくなるというものではない。長い先においては自己責任でなるでしょうけれども、過去のバブルを引きずった形が今の推移でおさまっているのかどうなのか。これは神ならぬ身でありますから、若干の違いが出てくる。  今の日産生命の問題でも、過去で若干の株価の持ち直しがあったからできるのではないかという一つ予測が、逆に参ったわけでありますから、それをどこにその損失補償を求め、投資者やあるいは保険者やその他に責任を譲るのか、この道はもうちょっと私は真剣に討論をし、そして機関を思い切って考えないと、何となくいくだろう、そういうものではなかったはずだと思います。  かつてのアメリカの例を見ましても、委員御承知のように、大変思い切ったことを幾つかやっているわけでありますから、このことに関しては、これができれば万能だとは言いませんが、少なくともこの機構を通じて新たな発想ができる体制をつくり上げたい、このように思います。
  112. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今のお話は大変力強く感じておりまして、まさにそのとおり、これから真剣に議論をしていただいて、そのスキームをつくっていかなければいけない、この形ができたからそれでもう全部、快刀乱麻、オーケーですよということはこれはないわけであります。しかしながら、その中でも、今もおっしゃった、ベストはないけれども、なるべくその次善を目指していくためには、やはり私は、今度この法案に戻りますけれども、金融監督庁、このあり方はどうしても納得がいかない。  実は、今回の勉強に当たって、いろいろ私も友人の話を聞きました。今、現に大蔵省の中でばりばりとやっている若手の人に聞いたのです。どう思いますか、この金融監督庁案。そうすると、彼は何となく困ったような顔をしながら、我々の立場では与えられたものを粛々とこなしていくしかないものですからというふうな話がありまして、それはもう彼の立場としてはそういうことだと思います。しかし、私たちは、せっかくこういうものを、今まで一生懸命金融行政をやってこられた大蔵省から分離して新たなものをつくろうというわけですから、国民経済的な立場に立てばもっとすばらしいものができていくのではないかなとどうしても思うわけです。  今度、金融監督行政を持っていかれるお立場の大蔵大臣とされて、しかし、私、冒頭申し上げました、いろいろな協議事項とか、それから共管、共同省令、財務局の問題がありますが、それらを踏まえて、今後の運用について、もしこの法律案ができたときに大蔵大臣としてはどのようにお考えになられますか。  要するに、私の聞いておる点は、今度、金融監督庁ができたときに、しかしながら、大蔵大臣にいろいろな意味で協議をするとかなっているわけですね。それらの運用について、大蔵大臣、政治家としてのお考えでも結構ですけれども、厳しく協議を求めていくのか、あるいは抑制的に考えていくのかとか、そういうところであります。
  113. 三塚博

    三塚国務大臣 今回の金融監督庁の基本は、今まで申し上げたとおり、自律、自助努力、自己責任というのが金融機関を問わず自由市場下における企業の大原則なわけです。だれか助けてくれるだろうということで安座してやってきたのではないかという、住専のとき厳しい批判が、母体行初め金融機関にありました。その他の金融機関にも、系統金融機関も含めてたくさんのものがありますが、そういうことであったことだけは間違いありません。これを契機として、企業である以上、自己責任、自己規律、こういうことでやってほしいということの転機を今迎えておるわけであります。  そういう中で、この法律に盛られている一点、御懸念のところは、もうオープンに自律させてそのままやったらどうですか、この意味もわかるわけです。  今日、G7七カ国、世界のマクロ経済、また金融システムの安定、その基本に立って為替の適切な維持、激しく上下するレートでありましては安定した経済政策の遂行が極めて至難になります。そういう意味で、二カ月に一遍定期的に全体を見て協議をするという慣行になっておるわけでございますが、時々に、やはり果たさなければならない我々の責任というものを協議をし、再認識をしておるわけで、金融秩序の安定、維持というのは一国の利益にもかないますが、一国の利益でやっても成功しないわけでありますから、グローバルな形の中で行う必要があるということだけは痛切に感じておるところであります。  世界的な不況、波の中で、座して見ておるだけで、自律を期待することで物事が成功しない場合のことを考えますと、ベストな道ではない、ベター、これしかないということしかないわけですから、そういうことで相協議をするということは当然でありますし、協議の呼びかけがなければ見ていますけれどもね。いわゆる国内金融秩序に大きな影響を与えるであろうということであれば、そうでない観点で協議が持ち込まれるのではないでしょうかと思います。  そんな点で金融監督庁、スタートをいたす、だんだんに運営していくことによって、自律をしていく日が一日も早いことを願う、こういう気持ちでいっぱいであります。できたから直ちにこれをどうするということでは、これだけの練りに練ったことでつくり上げて、御議論、御審議をいただいておるわけでございますから、スタートを切った以上、ベストを目指して全力を尽くすことは行政機関として当然の務めであろうと思っております。
  114. 西田猛

    ○西田(猛)委員 スタートを切った以上は全力を尽くしてやっていただく、それはもうそのとおりなんですけれども、まだスタートを切っていないのですよ。どういうふうにやっていただこうかということを今我々は考えておるわけでありまして、少しでもいいものを、これは本当にどう考えてもやはりおかしいのです。  そこで、細かなことを大大蔵大臣にお聞きして恐縮なんですけれども、先ほど来ちょっと問題点にしております。いろいろ御勉強の中でもう御認識もしておられると思いますけれども、実際に役所が物事を行っていくときに依拠するべき一番大切な省令を、どうしても事前に大蔵省金融監督庁が共同して作業をしてつくっておかなければならないという、この共同省令を置いているというのは、物すごいポイントだと思うのですよ、要するに事前の行政のルールをそこで引いておくわけですから。その後どう運用するかということ、それはもう金融監督庁にお任せですよ、そうかもしれません。  しかし、ではどういうルールに乗って、どのレールに従ってどこへ行くのかということを大蔵省と最初に決めておかなければいけないということであれば、その役所を独立してつくらしめる意味はないのではないか、私どもはどう見てもこう思えるのですけれども、大臣いかがでしょうか。
  115. 三塚博

    三塚国務大臣 共同省令の研究がされておることは知っております。政令にしろ省令にしろ、法律が制定されたその瞬間からスタートをするべきものだ、これが議会制民主主義のまた原点である、このように思っておるわけです。  成立するまでの間は論議の中でいろいろな協議が行われるわけでありますからという、可能性の前提もあることは当然でありますから、政治というものは、特に内閣は、法律が制定をされたそこからスタート、よって、施行日をずらすことは御案内のとおりであります。
  116. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ありがとうございます。おっしゃるとおりなのです。  ですから、その法律が制定された途端に、公布されて施行の日からすぐできるように、政令も省令もそれは決めておくのですけれども、それをなぜ大蔵省金融監督庁が一緒にしなければいけないのですかということも私はお聞きしたのですよ。だから金融監督庁だけで決めておけばいいのじゃないですか、施行日にちゃんとできるように。それをちょっと、番外と申し上げてはなんですが、今まで何度も出てきた論点ですから、もう頭の中に入っておられるだろうと思ってお聞きしたのです。  これはやはりどうしてもおかしい点だと思いますよ。これは協議をお受けになる大蔵省の立場でしょうけれども、金融監督庁のひとり立ちという点からすれば、総理府令だけでいいのじゃないでしょうか。
  117. 三塚博

    三塚国務大臣 政府委員から後で答えさせますが、やって協議、勉強はしているのじゃないでしょうか、現行法でやれる部分、新しくスタートした部分でやれる部分ということを。もともと現行法に基づいて、企画立案検査監督、こういうことで政省令が、特に省令が細部にわたって行われている、それがそのままその後も通用できるところと改めるところとあるのじゃないでしょうか。詳細はまだ小生聞いておりませんけれども、そんなことで、準備の段階とすれば、準備室においてやられておるのかなと思います。
  118. 西田猛

    ○西田(猛)委員 企画立案という分野も入っているから共同省令でいいじゃないかというふうなお話があるのかもしれません。あるいは逆に言うと、今現在ですら既に、銀行行政あるいは金融行政証券行政は連綿と行われているわけですから、その行政の依拠している大蔵省令というのは現にございます。ですから、それが今度は、金融監督庁の味を加味して、総理府令、総理府・大蔵省令ということになるのだといえば、そうなのかもしれません。  しかし、ですから、私が今回のお昼からの質問の中で冒頭申し上げた、なぜ今この金融監督庁なんでしょうかというところを考えれば、私は、この案がこれは零点だというのじゃないのです、間違っているとは言っておりません、しかし、もう少しいろいろなことを考えてもいいのじゃないかと私たちは思っております。したがって、このことを、今後とも粛々と論点を詰めていきたいというふうに思っています。  それから、あと同僚議員の富田委員が一時間半にわたってまた詳しく質疑をさせていただきますので、私は最後に、金融危機に対する私どもの基本的な対応についてちょっと考えておきたいと思うのです。  先ほど日本債券信用銀行の話が出ておりましたが、例えば、もしも日債銀の債務超過という事実、あるいはそういうことに至ったときに、大変な問題が出てくる。それは、もしも日債銀を破綻処理してしまったならば、これはツー・ビッグ・ツー・フェール・ポリシーという半ば国際公約化していることに反してしまうという矛盾があるし、公的資金を導入してしまったならば、信用組合対策にしか出さないという矛盾も出てくるし、やはり世間からの批判も出てくる。というふうに、いろいろな意味での矛盾が出ております。  ですから、先ほど官房長官にお尋ねいたしましたように、そしてすばらしいお答えをいただきましたが、やはりあらゆる銀行、あるいはあらゆる金融機関に対処し得るような総体的な市場原理に基づいたスキームを、そしてそれにまた基づいた、我々消費者あるいは預金者、こういう日本人の今まで依拠するところが多かった、規制を受けることをよしとしていたという意識じゃなくして、自分でリスクをとるんですよ、自己責任の原則なんですよということをやはり意識改革をしていっていただかなければいけない。これも非常に大切なことなんだと私は思います。  大和銀行ニューヨーク支店事件にも見られましたように、あの事件の報告を怠っていたということが、これもいろいろと事実で言われておりますけれども、その大変なことになっているという報告を受けた日本の大蔵省銀行局でしょうか、当局者がすぐにアメリカの当局に報告しなければいけないという法律がアメリカにはあって、それに反した場合には大変重い罪になるんだという法律の存在を、残念ながら御存じなかったという事実もあったようでございます。  しかし、それ以上に私は、日本人のこの意識の中に根づいておりますことが問題であって、要するに、例えばインサイダー取引の例を引いて見ればよくわかるのですけれども、何やら我が国では、ある人が極秘の株なりなんなり投資の情報を持っていたら、その人は何か偉い人なんだ、その人が、いやいや、だれだれさん、今度は株が上がるからぜひこれを買ったらいいよというふうな情報を流したとしたら、我々日本人は今まで、この人はすばらしい人だな、インサイダー情報を知っていていいなというようなことを考えるわけですね。  ところが、アメリカでは、私もアメリカでいろいろとやっておりましたが、そういうインサイダー情報を流す人間というのは醜悪に思われるわけですね。そういうインサイダー情報に基づいて取引をして自分だけもうけようということは悪だ、そういうことを認識している人間はいけないことなんだというふうに認識しておられます。そういう彼我の差がありますので、この大和銀行事件の問題も、すぐに報告しなければいけないのを怠っていたというふうな問題が我が国で生じたのだと思っております。  したがいまして、今後とも我々といたしましては、この住専処理の問題が預金者じゃなくて経営を救ってしまったのだという、その誤りだったということ、それから、今申し上げております金融三法というものは、今の不良債権現状と外為法改正、これも法案になりました、そして金融ビッグバンをこれからやろうとしております、そういう市場における優勝劣敗の中に我が国金融機関が、証券会社も銀行も置かれていくということを考えれば、非常に不安な気持ちを抱かざるを得ないわけであります。  我が国金融機関が大変な状況に置かれてくるのではないかと思います。したがって、先ほど官房長官に御答弁いただきましたような、金融システム安定のための全体的なセーフティーネットを今後とも統一して考えていかなければならないというふうに考えております。  そのような考えを御披露申し上げまして、同僚議員の関連質問に移らせていただきたいと思います。
  119. 綿貫民輔

    綿貫委員長 この際、富田茂之君から関連質疑の申し出があります。西田君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。富田茂之君。
  120. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田茂之でございます。  官房長官が四十五分から記者会見ということで、まず官房長官に先にお尋ねして、御答弁いただいたらもう退室していただいて結構でございますので。  五月六日の審議からずっと始まりまして、各委員の御質問を伺っておりまして、いろいろな委員の方の質問に出てきてはおるのですが、御答弁をお聞きしてもなかなかすんなり納得できないなという点がございます。  それは、きょうの午前中の審議、中谷先生の最後の質問にもちょっとありましたが、財政、金融分離論、これについてどう考えるんだという御質問に審議官の方で答えておりましたけれども、この点について、実は昨年、衆議院の解散される前、九月二十五日付の日経新聞に、編集委員の藤井良広さん、署名入りで今回の金融監督庁の法案について論文が載っておりました。解散前の慌ただしいときでしたので、そのときにはちょっと目にとどめることができなかったのですが、今回の質問に当たり、勉強しまして、当時からいいこと言っているなと思いました。ちょっと御紹介をさせていただきたいと思うのです。   総選挙目前の政治は、もはや「大蔵改革どころではない」ようだ。住専問題で露呈した金融行政混迷の落とし所は、有権者を意識して、大蔵省に一見、厳しい形をとった。だが実現性は選挙次第で流動的なうえに、組織いじりに終始した結果、金融危機の際の政策対応能力を今以上にあいまいにする懸念もある。   連立与党案は一言で言うと、「道半ば」の言葉がふさわしい。大蔵省が固執した国税庁タイプの外局構想や、一時出ていた検査機能だけの分離案を退けた点は一歩前進だが、世上の「大蔵解体論」で問われてきたのは、単なる組織いじりではない。大蔵省の集権構造を是正する一方で、金融不安を抑え、公正で効率的な行政を確立する視点だ。こういうふうに言われた上で、   不公正で非効率な金融行政の根源は、金融当局の裁量性(さじ加減)であり、その裁量性が長年にわたる検査の不十分さと監督のあいまいさをカバーしてきた。指導される側の金融機関は、当局の裁量性と裏表の関係にある天下り構造を受け入れることで、経営の安定を図ってきた。   そうした構造の行き詰まりが住専問題であり、気が付いてみると、住専に限らず、金融システム全体の効率性が長年の裁量行政と相いれなくなっている。従って、連立与党の議論が「不透明な金融行政との決別」に集中したのは必ずしも非難されるべきではない。議論のポイントはいいというふうには褒めているのですね。   だがその処方せんが、金融検査・監督機能と企画・立案機能を分離し両者の間に「強い緊張関係を持たせる」との結論では「マナ板の上の鯉」をさばく包丁の入れ所を間違ったと言わざるを得ない。裁量性の源泉は金融行政の政策機能からも生じるが、大蔵省全体で言えば財政と金融の一体構造からだ。 ここが問題なんだというふうに指摘されております。そして、   バブルの発生は財政の出番を遅らせ、金融にツケ回しをしたマクロ政策の裁量性の結果だった。住専処理で裁量行政が行き詰まり、金融機関内で分担ができなかった分を財政支出にゆだねたのも、この一体構造からだった。銀行検査不良債権に気付いても、税収確保の観点から見て見ぬふりをするとの声もある。これは我が党の鈴木委員の質問の中でもちょっと御指摘されておりました。  そして、最後にこういうふうに藤井さんは言われております。   検査・監督機能を分離し金融政策機能だけを大蔵省内に残すと、広がりの大きな金融破たんを眼前にした場合、国としての政策責任があいまいになりかねない。監督機能を重視すれば、新機関がその責を担うだろうが、住専問題のような政策判断を伴う処理を果たして新機関だけで対応できるのか。包丁は財政と金融の間にこそ入れるべきだ。包丁の入れどころが違うのじゃないかという御指摘でございます。  こういう御意見に対して、官房長官はまずどのように思われますか。
  121. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 この金融監督庁の設置問題と若干離れたというか、大きく離れた議論としては、財政と金融の分離というのは、実はこれは向井さんのやったかつての第一臨調時代から予算編成権を内閣に置けという議論はあったわけでありますから、財政と金融というよりも、その他の分野とはみんな截然と分けろという、それにはそれだけの機能が既に、この議院内閣制というかそれでもうできるではないかという議論が前々からあったことは、御案内のとおりであります。  しかし、この問題に実は合わせてこの論調が書かれたわけでありますが、私たちは、一昨年の住専問題の発覚というか問題になって以来、やはり金融行政が政策も執行も一緒にやったところに、緊張感がないために実はそういう傷口を広げてしまったという反省があるわけであります。  ですから、昨年の議論の終始を見れば、ほとんどが大蔵省がだめだという議論があり、ようやくその住専問題のスキームができて前の国会で終わったわけでありますが、その後、我が党を初めとする与党三党の議論の大半はこの大蔵省の組織機構論、そしてようやく去年の暮れになってから、金融行政はどうあるべきか、そういうところに帰納をしてまいって、とにもかくにも緊張感を持って、企画立案検査監督を峻別する、それがまず第一に大切だろうということで今回の金融監督庁のいわば提案になったことは、およそ御理解がいただけるのではないのかなという気がいたします。  それともう一つ別に、財政と金融の分離というのは、よしんば財政と金融が分離されても、今委員がおっしゃるように、金融のいわば政策部門と執行部門を一緒にして、いわばなれ合いと言っていいのか、あるいはそれが相連携しながらやることがいいのだという、しかし、今まで過去に相連携をしてやってきたところに弊害が出たということを考えれば、この金融分野の二つの分離というのは一つの前進であり、緊張感を保たせるもとである。ですから、財政と金融の分離ということを言う中にも、金融の中が二つに分かれていなければこの緊張感は保ち得ないという気が私はいたします。  ですから、財政をどうするかという問題はもっと大きな問題でありまして、これを同一の論で、いわば金融監督庁をつくるのは一つの前進だけれども、それをやめて財政と金融の分離をすれば金融はまた一緒でいいという議論には、まあそうではないんでしょうけれども、一挙にはつながらない。そういうことを考えますと、またまた問題が出てしまう。  そういうことを考えれば、やはり金融監督庁をつくり、緊張感をつくり、そして、それですべてが先ほど申し上げましたように解決するわけではありません。バブルの後遺症というか、非常に財務体質が弱くなっている現実の金融各界の状況でありますから、これに外為法の改正や、それからいわば金融国際化というか、通称ビッグバンと言われるものが、荒波が押してきて、この二つが相乗効果をあらわしたときに、果たして今のままで健全でいけるのかどうなのか。今のまま金融界というのは再編されなくていいのかどうなのか。それを行う意欲が金融界自身にあるのかどうなのか。それをだれがチェックし、注意を喚起できるのか。こういう問題は、すべてこれから本当に考えてやっていかなければならない問題であります。  ですから、ここで財政というものと金融というものの分離、現実には大蔵省の省内では局という分野でちゃんと分離はされているんですが、思い切ってこれを大蔵省から分離しようという案は各界に出ていることは出ておりますが、それが大勢になり得るのかどうなのかは、これからのいわば行政改革の推移を見守っていかなければ、今にわかにここで即断ができない。その問題といわば金融監督庁というものを歩調を同じゅうして、それができるまで金融監督庁を延ばしていいということにはならないという気がいたしますので、ぜひひとつ御理解を賜りたい。
  122. 富田茂之

    ○富田委員 官房長官、もう結構でございます。  三塚大蔵大臣、今の点なんですが、官房長官のお考え方はよくわかりました、そのまま理解できるという意味ではございませんけれども。  先ほど御紹介させていただきました日経の藤井さんの意見ですけれども、こういう切り口論ですね。今、官房長官は、財政をどうするかという点がまた別にあるし、行革を考える中で私の紹介した意見が大勢となるかどうか見きわめたいというようなお話もございましたけれども、こういう切り口論ということに関しては、大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。
  123. 三塚博

    三塚国務大臣 本問題については、官房長官も言われましたとおり、それぞれの役目の中で適正を期さなければならない。昨今のいわゆるディスクロージャー、その政策決定の道行きあるいは新しい政策の転換をする場合の透明性というものが国民の理解を深めるということだけは間違いございません。  論説に書かれていることについては、それはそれなりに今お聞きをさせていただきました。人それぞれ、本問題について議論を展開されております。行革においてもそのように承っておるのでありますが、基本的には、十一月に行われるであろう行政改革会議での中央省庁の再編、そしてそのあり方の一環として本問題は深刻な論議を経て決定をされていくだろうと思っておりますが、私の考え方をということであれば、御承知のとおり、国民本位の行政の実現、これは今申し上げました行政の透明性が大前提。  また、行政組織のあり方を考えるに当たりましては、複雑多岐な行政課題に、縦割り行政の弊害を越えて、効率的に対応できるスリムな柔軟な行政組織をつくり上げるというのは国民の願いであり、私もそう思っております。特に財政、金融については、これらを一体的に把握して、政策を企画立案するという組織であります。そういう意味で、この存在はG7等における国際的な政策協調への対応、通貨という、国庫という制度的視点、通貨大臣、国庫大臣とも言われるゆえんがそこにあるのでしょうか。  また、三点として、グローバル化と高齢化が進展する二十一世紀において、限られた資源を効率的に配分するという観点から、私は、この問題は冷静に客観的に論議されて決せられるべきである、こんなふうに思っております。
  124. 富田茂之

    ○富田委員 今の大臣の御答弁の中に、国民本位の行政の実現、透明性がまず一番大事だ、そして、縦割り行政の弊害を打破して効率的でスリムな行政を実現していく、これが十一月に予定されている中央省庁再編に向けた行革の中で検討されていくだろうということでございました。  実は、私ども新進党の若手議員の方で、政府の行革に一生懸命取り組まれている方にも来ていただきまして、勉強会等を行いました。そういう中でいろいろ教えていただいて、個人的にもいろいろな質問をさせていただいたりしたのですが、こういうことを言われた方がおりました。  財政と金融の分離問題に関して、財政と金融を完全に分離したとする。そうすると、何か問題が発生した場合、金融機関破綻が生じたとか、そういう問題が発生した場合に、財政と金融のどちらが発動すべきか、そういう判断に迷うときがあるだろう。そういう場合に、財政と金融がきちんと分離されていれば、そういう問題が発生したということが内閣まできちんと上がってくる。各省庁の現場で終わらないで、内閣まできちんと上がってきて、そこで議論の対象となる。  内閣まで上がってきて議論の対象というふうになれば、それは国民の目もきちんと届くのではないか。閣議でどういうふうに話がされたとか、閣議の内容が外に全部漏れるとかそういうことでなしに、今内閣でこういう議論がされているということがわかるだけでも、国民の目が届くようになるのではないか。  ところが逆に、財政と金融が完全に分離されていないと、例えば、大蔵の皆さんは本当に優秀ですから、何か問題が出たら内部で全部整理されてしまう。この問題はここが問題なんだ、これをどうにかすれば対処できるよというふうにされて、全部きれいに整理されたものが内閣にすうっと上がってくる。上がってきたものを見たら、もう解決策まで出ているわけですから、余り内閣で議論にもならずに、国民の目からは問題の所在すらわからない、そういうふうになってしまうのじゃないか。  今後行革を進める際に、大臣言われたように国民本位の行政ということを考えた場合に、こういうふうに内閣に上がってくるということが大事なんだ。そういう意味からも、財政と金融というのはきちんとまず分離して、そこで何か問題が発生した場合には、内閣で政治がリーダーシップをとって判断していく、これが今後の行革のあり方ではないかというようなことを教えてくださる方がいました。  この意見は本当にわかりやすくて、国民一般にも理解できる意見だと思うのですね。ただ、閣議がどうなっていくかは、私たちは入ったことはありませんからどういうふうにされるかわかりませんけれども、国民の目から見たら、こういう意見が本当に行革になるんじゃないかというふうに思う、私も思うのですが、こういう意見は大臣はどう思われますか。
  125. 三塚博

    三塚国務大臣 分離した場合と分離しないで行政を進めるという視点の御意見を御紹介いただきました。いずれも、本件については、視点によってそうだということになるんだと思うのです。  私の言いたいことは、財政の出動だけでやり得る限界はあり得るだろう、金融またしかり。これだけ構造が複雑化してまいりました国家行政、国民生活、経済の状態、こういうことを考えますと、両方、両々相まって運用することによって実を上げるのかな。  限られた財源の中でどう対応するかということであれば、数年にわたる諸対策を講じようとすれば税源を求めなければならない。しかし、税の徴収が、公約、あるいは経済状況国民的な動向によってお許しをいただけぬ環境であれば、国債発行をするか金融的な手段によってこれに対応するか、こういうことでありますから、両々相まったことの方が理想国家に近づくためにプロセスとして大事なのかな。  これを割り切ってやることで果たしてうまくいくのかなということを懸念をいたします。政策がよく見えるという意味では、一面そういうことであります。若干時間がかかると思いますね、財政的手法と金融的手法とやらなければなりませんから。そうしますと、もう一回それぞれの関係大臣に戻して協議をしろ、こういうことになるのでしょうか。そういうことで、特に急を要する諸対策について間に合うのでしょうかという問題もあろうかと思います。  これは、富田議員の御質問でありますから私の見解を申し上げただけでございまして、行政改革という大命題の中で取り組んでおりますから、その中で決められることには、小生、意見を言えと言えばその段階で意見を言いますが、基本的にはそれをお支えをしていく立場にあります。
  126. 富田茂之

    ○富田委員 両方相まっていくべきだという意見はそのとおりだと思うのですが、その両方がどういうふうにうまく発動していくのかなという、そのきっかけがどういうふうにとられるのかなという問題だと思うのですね。同じ省庁内にあって、両方がうまく相まった方がいいのか、きちんと分かれた上で、それが内閣に上がった上で、どちらを発動するんだ、また、一緒にやっていくのかというような判断をやはり政治の方がリーダーシップをとってやるべき時期に来ているんだというふうに私は思っておりますし、大臣も恐らくそういう理解の上で御答弁をされたんだと思います。  もう少し財政と金融の分離論について、ちょっとわからないので委員会の議事録等もよく読ませていただいたんですが、自民党の柳沢先生の最初の質問が、なぜこういうふうな検査監督体制を分離して金融監督庁という形で法案化されてきたのかということを丁寧に御説明していただいた質問で、一番わかりやすかったです。  ただ、柳沢先生の質問の中に、どうも財政、金融分離論と今回の法案との差がどうして出てきたのかというところの説明が若干理解しにくいな、うまくごまかされてしまうなというようなところがございまして、ちょっと取り上げさせていただきたいと思うのですが、柳沢先生は、企画立案と執行の業務とがこれまで混然一体となってきたからいろいろまずい点が出てきた、そこをきちんとしていかなければいけないんだ、これを分離しないと行政がどんどん肥大化していってしまう、そういう御指摘をされていました。  それはもう確かにそのとおりだと思うのですが、今回の金融に関する企画立案検査監督というのは、ここで柳沢先生が最初に質問で取り上げられた企画立案といわゆる執行、そういうふうに明確に分離できるものなのかなというふうに、御質問を伺っていて思いました。  先生の質問では、主税局と国税庁の関係を取り上げられて、そこに緊張関係があったから今までうまくいってきたんだというように例を取り上げられておりました。これは確かにそのとおりだと思うのですね。国税庁の相手というのは一般国民国民の権利義務に対してずっとかかわっていくわけですから、その執行機関の権限がどんどん強大になって、好き勝手なことをするようになっては困る。そこをきちんと企画立案部門が抑えるというのはよくわかるんですが、今回のように、金融の部門で検査監督というのを分離していくときに、そこは、企画立案検査監督がいわゆる企画立案と執行のように厳然と分別できるのかなというような思いがいたしました。  そこの部分の認識の差というか考え方の違いが、財政、金融分離論と、そうじゃない、今回のような企画立案検査監督を分離するんだという考え方の相違になっていったんだと思うんですね。それは考え方の違いだと言われてしまえばそれまでだと思いますので。  ただ、柳沢先生が御指摘されていた、すばらしいなと思いましたのは、ルールは政治がつくるんだというふうに言われているんですね。企画立案部門が何かルールをつくるような感じの答弁とかもされているんですが、そうじゃない。企画立案部門は議院内閣制のもとで政治の手助けをする、その企画立案部門から上がってきたルールをきちんと国会の場で議論をしてルールをつくっていく、執行部門はそれをただ執行していけばいいんだ、それが一番望ましいんだということを柳沢先生も何度も強調されていて、そのとおりだと思うのですが、今回の金融に関する企画立案検査監督が、今回のこの法案できちんとしたルールづくりができているのかな。  先ほど西田委員の方からも、この法案ではちょっと厳しいんじゃないか、共同省令の問題等も取り上げられて個々具体的に言われていましたけれども、ルールをきちんとこの国会でつくるんだ、そして監督庁にそのとおり執行してもらうんだという観点から見た場合に、今回の法案というのは余りにも大ざっぱ過ぎて、設置法案ですから大ざっぱなことしか書けない、権限とかそういうものしか書けないんだと言われるかもしれませんが、みんな関連法案の方に逃げていて、どうもそこの部分、この国会で議論して企画立案のルールをきちんとつくるという観点からはちょっとずれているんじゃないかと思うのですが、その点は何か御意見ありますか。
  127. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  今般の金融行政機構改革の二法案におきましては、民間金融機関に対します検査その他の監督権限、これは、免許、店舗設置の認可あるいは検査、商品認可等も含めまして、さらに改善命令、業務停止命令、免許取り消し等の権限を含めましてすべて金融監督庁の方へ移すということで、これは検査監督という権限は基本的に明白に移しているわけでございます。  これに伴いまして、ただ、企画立案検査監督を分離ということで、個々の権限行使というものについてはそれぞれの各業法の規定におきましてこれを監督庁の方へ移すということをいたしているわけでございますけれども、企画立案関係、特に制度あるいは市場ルール等の立案、これは法律等につきましては当然立案ということでございますが、これらの点につきまして大蔵省が行うということで、大蔵省設置法等に規定を置くことになっている。  なお、必要に応じまして、企画立案を行います大蔵省、また検査監督を行います金融監督庁、これが適切な連携を図りまして金融危機管理に万全を期すという形をとっているところでございます。
  128. 富田茂之

    ○富田委員 どうもよく理解できないんですが、ここでルールをつくって、それを金融監督庁が執行するんだという形にはこの二法案はどうもなっていないんじゃないかな、そういう思いがあるので、先ほど西田委員もああいう具体的な質問をずつとされてきたんだと思うんですね。今の御答弁をお伺いしても、どうもそのまま納得はなかなかしにくいなというふうに思います。  こればかりやっているわけにもいきませんので、次の質問に移らせていただきますが、今回の法案では、個別金融機関破綻や、また取りつけ騒ぎなど、金融システムの不安が実際に起きた場合、金融監督庁大蔵省がどう役割分担するんだ、この点がはっきりしていないんじゃないか。マスコミの皆さんもかなりいろいろなところで、新聞にもありますし、報道等でも言われております。こういう批判がありますけれども、大蔵省や監督庁の方はこの点についてはどういうふうに考えているのでしょうか。
  129. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたとおり、破綻処理関係といたしましては、一つ銀行法等の業法上における行政処分の権限、これは業務停止でございますとか免許取り消しとか、そういう規定がございます。また一方、預金保険法におきます措置というものがあるわけでございます。  銀行法等に基づきます銀行等破綻処理につきましては、先ほど申しましたとおり、これらの行政処分の権限はすべて金融監督庁の方へ移っているということでございまして、さらに、預金保険におきましても、個別の金融機関に対します預金保険機構からの資金支援、これの要件でございます適格性の認定、これは金融監督庁が行うというようなことになっております。したがいまして、破綻処理につきましても、通常のケースにありましては、金融監督庁が現行の法令のもとでもって既存の方策で対応するということになるわけでございます。  ただ、現行法令下で既存の方策で対応するのみでは信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあるというように金融監督庁長官が認める場合、これには金融監督庁長官の方からの企画立案を要するということで大蔵大臣に協議をいたしまして、両者が連携いたしまして金融の危機管理に万全を期していくという形をとっているところでございます。
  130. 富田茂之

    ○富田委員 今の法の枠組みの説明は了解しますが、今言われたように、個別金融機関破綻処理については、まず金融監督庁の方で判断する、信用秩序の維持等に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときには事前に大蔵大臣と協議するというような規定ぶりになっていると思うのですが、今言われたこの規定ぶりの中で、信用秩序の維持等に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき、これは何かメルクマールとか、こういうときにはこれに当たるんだというようなものは具体的にもう想定されているのでしょうか。  破綻処理にはいろいろなケースがあって、あらかじめこういうことが起きた場合には今の規定に当たるんだというのはなかなか決めにくいとは思うのですけれども、これが全く決まっていないと、金融監督庁は自分の権限でやれると思って、全く大蔵大臣にも協議しなかったのに、大蔵省の方から見たら何やつているんだというようなことが生じないとも限らないと思うのですね。そこのところはどうなんでしょうか。
  131. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、何分にも信用秩序という話でございますので、あらかじめという形で個別具体的にはなかなか申し上げにくいところではあるわけでございますけれども、まず第一に、信用秩序の維持ということでございますので、これは預金受入機関の場合でございますが、決済機構を通じました金融組織、これがすべてネットワークでつながっている、そのネットワークそのものに重大な影響ということを意味するとか、あるいは連鎖とか、そういうような、一つにとどまらないで次々とというようなことがまず第一でございます。  それから第二に、先ほど申し上げましたように、これは監督庁長官がみずからの権限によりまして、現行の既に与えられている既存の方策、これだけで対処することによってはそういう信用秩序の維持が図れないというように長官が判断したということでございますので、いわば対応策といたしまして現行の対策を超えるという、両々相まちまして、いずれにいたしましても、かなり大きな規模のものということになるのではないかというふうに考えております。
  132. 富田茂之

    ○富田委員 今後ろの方から、だれが判断するんだというような意見が出ておりますけれどもね。  今の説明は、説明としては理解できるのですけれども、法文の規定上は総理大臣がとなっていますよね。総理大臣が長官に委任するから、現実問題として長官が判断するというふうに今答弁されたと思うのですが。  総理が現実にこの部分を判断していくのであれば、内閣の中心者なんですから、リーダーシップを持って自分の判断でやるんだということはできると思うのですけれども、委任を受けた金融監督庁の長官が、本当に御自分の判断でどこまでできるのか。現行の方策ではもう対処できないんだというような判断が、委任を受けた長官の方では本当にできるのか。それがこの規定だけでは心配だなというところで、今回の法案は役割分担がはっきりしていないんじゃないかという批判を浴びる原因になっていると思うのですよ。  金融システムの問題なので、あらかじめ予定して、こうこうこうですよというふうな書きぶりはなかなかできないと思うのですけれども、こういうふうに協議の規定がありますと、金融監督庁長官の方と大蔵大臣の方でケース・バイ・ケースで相談していくんだということに現実としてはもうならざるを得ないのではないか。  そういうふうになってくると、何のために二つの機関に分けたのか。それぞれが、いや、そっちで判断してくださいみたいになっていったときに、責任の押しつけ合いになってしまうのではないか、そういうふうな懸念もこの法案にはやはり含まれているのですね。そういうことがないんだ、この規定ぶりできちんとそういう対応ができるんだというふうに大蔵省の方は考えているわけですか。
  133. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  まず、法文におきましては、処分を行うあるいは協議等につきまして内閣総理大臣と規定しているわけでございますが、この協議等の規定を含めまして金融監督庁長官に委任されているということで長官と申し上げているわけでございます。これは、金融監督庁長官の名において協議が大蔵大臣とされるということでございまして、もとより、委任している範囲でございましても、総理府の長といたしましての内閣総理大臣の指揮監督のもとにあるわけでございますから、重要な事項につきましては、当然総理大臣の御判断を仰ぎました上で、両者が、総理また長官が軸になりまして、必要と認めまして大蔵大臣と協議して処理をしていくということでございます。  もとより、この協議を行うという方につきましては、これは当然金融監督庁の方の責任でございますし、また、協議の対象というものは、免許取り消してございますとか業務停止とかいうことの是非そのものではございませんで、信用秩序を維持するための措置についての協議ということでございますので、これは企画立案を要するものということでございますから、まずそれについては、主といたしまして、両者が相談していくわけではございますが、企画立案を担う大蔵大臣、これも相当の分担をしていただくということになろうかと考えております。
  134. 富田茂之

    ○富田委員 今の点はそれなりにはわかりますけれども、やはり破綻処理というのは、一つ間違うと、今審議官も言われていたように、連鎖的な破綻を生じかねないとかそういう場合があるわけですから、金融システム全体の不安につながらないように、本当は明確な規定を置くべきだと思うのですね。  なかなか置きにくいんだと思うのですけれども、不明確な規定というのがアキレス腱になりかねないということを認識した上で、監督庁の長官になられる方もきちんと御自分のリーダーシップで判断していかないと、この規定があるがために責任の押しつけ合いになるんじゃないかという懸念もありますので、そこはぜひ注意していただきたいと思います。  次に、預金保険機構の点について、何点か御質問したいと思います。  今審議官の御説明の中でも、個別の破綻処理では、金融監督庁預金保険による資金援助が預金保護に必要かという適格性の認定を実施するんだというような説明もありました。それが第一段階だと思うのですが、ただ、五年間の時限措置となっている一定限度額までの預金払い戻しを超える特別資金援助は、金融監督庁大蔵省が共同で決定する。また、もう一つ金融機関が払い込む一般保険料率の改定や定款変更の認可など預金保険機構の運営に関する認可権はこれまでどおり大蔵省に残されている。  こういうふうに三段構えの預金保険機構に対する監督体制になっているのが今回の考え方だと思うのですが、なぜこのような三段構えの監督体制になったのか、その理由を教えてもらえますか。
  135. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  預金保険関係の行政機関の分担という点につきましても、先ほどの企画立案検査監督、この考え方をいわば適用するという形でその分担を判断していったというものでございます。  まず、先ほど申し上げました個別の破綻金融機関に対します適格性の認定、これはまさに個別機関に対するものということで、検査監督をいたしております金融監督庁がその実態を十分把握しているというものでございますので、まさに監督庁が所掌すべきものというふうに考えたわけでございます。  他方、預金保険機構が設定いたします保険料率の設定の認可でございますとか、業務の範囲にかかわります定款変更の認可、あるいは出資の認可、これによりまして整理回収銀行等々につきまして出資がされておるわけでございますが、これは預金保険制度の基本的な枠組みにかかわるものであるということで、制度の企画立案機能を担います大蔵省が、まさにその制度そのものを担っております法人といたしましての預金保険機構の監督とともに所掌すべきであるというふうに考えたわけでございます。  それで、両者がこの預金保険業務に関し相互に連携協力していくべきということが当然でございますので、先ほどお話のございました、破綻処理の特例としての時限的措置とされている特別資金援助の必要性の認定、これは、一方で個別のものであるという面がございます。もう一方で、これは本来、二〇〇一年までの特例の措置といたしまして、さらにその特別勘定というようなことで保険料そのものにも直接的にかかわってくる。さらには、この預金保険、それまで預金の元本を保証するというような話、この政策ともかかわるということでございますので、これはまさにその両者が相ともに行うのがふさわしいであろう。  さらに、これはかなり細かい話になりますけれども、保険金の支払い決定の期限の延長でございますとか特別払い戻しの決定、これらは、総理の同意を得て大蔵大臣名で行うというような形で、これらが共同で行うというような形で連携する。こういうことで、三段階という形を考えたものでございます。
  136. 富田茂之

    ○富田委員 今の点はよくわかりました。  この預金保険機構についてなんですが、この日曜日、月曜日、五月十八日付の新聞と五月十九日付の新聞にそれぞれかなり大きな取り扱いで預金保険機構のことが出ておりました。一方は、旧木津信組の破綻処理で信組特別勘定が赤字になって日銀から五千四百億借り入れを行っていた、それを民間対象に借りかえをするんだというような記事でした。もう一つは、かなり大見出しで「預金保険機構 保険見直し提言試算基に通産省二〇〇一年資金、米の六分の一」というような大見出しがついて新聞報道されておりました。  木津信組の関係で日銀から五千四百億借りたというのはそのとおりだと思いますので、その借りかえを行うとか、二〇〇一年のレベルで見るとアメリカの六分の一しか資金的に実質的にはないというような状況等が報道されるのを見ておりますと、このままの運営状況あるいは資金状況預金保険機構が本当に機能していくのかなという不安も覚えるんですね。  まあ新聞報道だけですから、どこまでどういう状況にあるのかがよくわかりませんけれども、そういう意味で、今の預金保険機構の運営状況資金状況がどうなっているのか、また、この新聞報道で言われているような預金保険料率の引き上げの必要性はないのか、その点についてはどのようにお考えになっていますか。
  137. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  預金保険機構保険料率につきましては、最近の破綻状況等を踏まえまして、八年度から、七年度の料率に比べまして七倍に引き上げたところでございます。これによりまして、八年度以降五年間の利用可能額は二・七兆円程度となる見込みでございます。  これに対しまして、八年度以降に決定しました同機構の資金援助は七件ございまして、その中には木津信組という大変大きなものが含まれております。これを含めまして一・四兆円弱となっておるわけでございます。  なお、八年度におきまして、この木津信組等の大規模資金援助案件がありましたので、一時的な資金不足が起きております。そのために借り入れを行っておりまして、現在、日銀の借入残高が五千四百億円、御指摘のとおりでございます。  ただ、これは将来どれくらい破綻が起こるのかという見込みと、今後入ってまいります保険料、それとの追っかけっこみたいな形になるわけでございまして、したがって、将来、例えばこの新聞記事等であります二〇〇一年のときに幾らになるか、幾ら残っているだろうかというのはなかなかこれは見通すことができない。  したがって、今の時点でその保険料が足りない、あるいは余るということはなかなか見通しできないのでございますが、この八年度に導入されました特別保険料率につきましては、預金保険機構の特別勘定の損益の状況金融機関の財務内容等を勘案の上、十年度末までに見直しを行うことともいたしておるわけでございます。
  138. 富田茂之

    ○富田委員 金融機関の中には、金融不安のある銀行から余分に取ったらどうだとか、そういう意見もあるようですし、一般の都市銀行の方からは、債券等を売っている銀行の負担が軽いんじゃないかというような批判もいろいろあるようです。そういうところも勘案されて保険料率を決められているとは思いますけれども、今後どういう破綻状況になっていくのかわかりませんので、その点にも注意を払いながら行政を進めていっていただきたいと思います。  もう一点、この預金保険機構関係で、今回の金融監督庁法案が出てくる中でこういう意見がありました。預金者保護のために公的資金を使う前に預金保険機構が前面に出るのが筋じゃないのか、預金保険を大型の破綻処理にも対応できる制度に変えていくべきではないのかというような意見を読みました。  預金保険機構については、ことしの四月十四日付の「金融財政事情」に機構の理事長の松田さんがインタビューに答えられておりまして、自分たちは「五五〇兆円の対象預金預金者代表である 衆知を集めて、プラスワンの力を発揮しうる専門家集団を目指す」ということで本当に丁寧にインタビューに答えられて、どういうふうに仕事に取り組まれているかというのを切々と訴えられておりました。これを読んでおりますと、本当にこれだけの機構をもう少し利用しない手はないんじゃないか。  今回の金融監督庁法の中で、何か預金保険機構だけ先ほどの三段階の過程に押し込められてしまって、ちょっと横に置かれているんじゃないかなという印象を受けたんですが、もう少し大型の破綻処理にも使えるような制度改正というような考え方は、今回、その法案ができてくる過程の中では出てこなかったんでしょうか。その点、ちょっと教えてもらえますか。
  139. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  預金保険機構につきましては、先般の通常国会におきまして大改正をやっていただきました。それは、一言で言いますと、二〇〇〇年度までは預金を全額保護し得るという制度をお認めいただいたわけです。これはあくまで特例でございます。そこには、大型であろうが小型であろうが、破綻に対しては資金援助という形で運営委員会が決めれば出せるという形をお認めいただいているわけではございます。  ただ、この財源というのはあくまで保険料でございますので無限にあるわけでございません、負担できるかという問題がありますので。一番大事なことは、そういった社会的コストをできるだけ少なくするという努力をしなければいけない、そのために各金融機関にかなり努力をしてリストラをやっていただき、そういう破綻にならないようにしてもらうことがまず大事だと思います。  しかし、いざ、こういうことが不可避的に起きる場合があります、そうした場合に、今おっしゃいました預金保険機構にかなりの幅の広い機能を与えていただきましたので、現在、実際にこれを運用しますときにも、私どもも預金保険機構とよく連絡をとりながらやらせていただいておりまして、預金保険機構自身の運営委員会等にも私ども出席して、そういった預金保険機構機能を最大限活用させていただいているところでございます。  今後とも、御指摘のような考え方でやってまいりたいと思います。
  140. 富田茂之

    ○富田委員 預金保険機構に関してはこれで終わりますけれども、一点、ちょっと細かくなりますが、大蔵省金融監督庁のどちらの役割になるのかという点で、新商品が開発された場合の許認可問題というのがあるというふうに聞きました。  例えば、大蔵省内には、個別金融機関の新商品許認可は監督庁、業態そろっての新商品認可は制度の企画立案に当たるので大蔵省だという意見があるとか、一方で、監督が分離されて監督庁の権限に入ってきたんだから、すべての新商品認可は監督庁に移管すべきだという主張もあるというような議論があったというふうに聞いておるのですが、この問題はどういうふうな形で決着を見ているんでしょうか。
  141. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  金融監督庁におきましては、民間金融機関等に対します検査その他の監督事務につきまして、いわゆる商品につきましての認可、商品認可を含めまして所掌するものでございます。
  142. 富田茂之

    ○富田委員 わかりました。  検査権限の一元化が可能かという観点から一つまた御質問をさせていただきたいんですが、この点について、何人もの委員の方がいろんな角度から質問されておりました。ただ、今後どういうふうにやっていくのかという点について余り具体的な答弁がなかったものですから、重ねての質問ですけれども、御質問をさせていただきたいと思います。  金融監督庁の方は、第二地方銀行や信用金庫といった地方金融機関検査監督大蔵省の地方財務局に業務委任する、これはこれまでの検査監督体制と変わらないわけでありますね。また、都道府県の信用農協連合会の検査監督も、これまでどおり農水省との共管で地方農政局が担当するんでしょうけれども、共管相手が大蔵省から金融監督庁に変わるだけだ。こういうふうになりますと、監督庁がどの程度共管のときにかかわっていくかが実際には不透明なままじゃないか、事実上は、引き続いて農水省地方農政局が検査監督を主導していくんじゃないか、こういうふうに思われます。  また、ノンバンクについても、大蔵省がこれまで管轄してきた貸金業者に対する検査監督権限は金融監督庁に移る、ただ、割賦販売業などは引き続き通産省が受け持つんだというような今回の法の割り振りのようであります。また、信用組合や農協の検査監督も、これまでと全く同じように都道府県への機関委任事務で、これまでどおりの縦割り行政がやはり続いていく。  こういうふうになっていきますと、金融監督庁大蔵省の地方財務局、共管相手機関、都道府県等の連携というのを今後一体どうやって図っていくんだ。共管は共管でわかるし、業務委任したり機関委任するというのは、法の形態がそうなっている以上それはそれでしようがないと思うんですが、実際に連携をどうやって図って、検査監督の主導権をどうやって監督庁が持っていこうとされているのか、その点はどんなふうに考えているんでしょうか。
  143. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる共管金融機関等につきましての検査監督、この辺が中心かと存じますが、御指摘のように、今般の法律におきましては、これらの点については基本的に大蔵省の権限を金融監督庁に移すということにいたしているところでございます。  ただ、先般来、総理等も御答弁になっておられましたところでございますが、金融監督庁というのは、今回、検査監督を専門に行う機関としてこれを設立するということでございますので、当然、いわば組織の存在価値そのものが検査監督のみにある機構でございます。  したがいまして、そういう専門の機関という立場を踏まえまして、監督庁発足の後におきまして、私どもは、まだ総理府の準備室ということでございますので監督庁長官の権限を先取りするようなことも言いにくいわけではございますが、金融監督庁におきまして、その適切な対処、検査監督の、特に検査系統の対処ということが問われるものと思っておりますが、特に、御指摘のように、地方におきますこれら共管民間金融機関に対する検査、これらを適切に行っていくためには、やはり金融監督庁と財務局がまず機能的に一体となりまして、地域のこれら金融機関等経営状況等の把握に努力するとともに、共管相手先の官庁、また機関委任事務を取り扱っております都道府県等と適切な連携を図っていくことが重要というふうに考えております。
  144. 富田茂之

    ○富田委員 今、適切な連携と言われましたけれども、適切な連携じゃなくて、まだ準備室だから言いにくいと言われていましたけれども、もっと強力に押し出していただいて、今審議官言われていたように、検査監督の専門機関だ、そういう認識でつくる省庁ですよね。  メンバーもそういう意識の人たちが集まってくると思いますし、本当にそういうプロ集団になっていくと思いますので、これまでの答弁のようにそれを適切に連携するんだとか、具体的にどっちが主導権を持っていくんだということについてなかなか答弁しにくいのかもしれませんけれども、これは金融監督庁が仮にできた場合にはもう監督庁の方が主導権を持ってやっていくんだとやはり答弁で言い切るぐらいの気力がないと、これはまた農水省やほかにいろいろやられちゃいますよ、今のような答弁では。今のような答弁をしている限りでは、検査監督部門を独立させた意味がないんじゃないか。  今回の改革案というのは、住専処理や大和銀行の巨額損失事件で浮き彫りになったその不透明な金融行政の是正がねらいだったわけでしょう。特に、住専問題で、去年、これは予算委員会で、この委員会室で本当に真剣な議論をされましたけれども、銀行と農林系の金融機関、また大蔵省と農水省が負担と責任の押しつけ合いをしたわけですよね。  そこに縦割り行政の弊害があるんだということで今回のような改革案になったと思いますので、今審議官が長官の権限を先取りして答弁できないと言われたけれども、そこはもう一歩踏み込んで、監督庁が主導権を持ってやっていくんだということをやはりきちんと答弁として言われるべきだと思うんですね。その点、どうですか。
  145. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  若干補足させていただきたいと存じますが、特に、その共管の相手先官庁等との関係でございますが、これらにつきましては、情報交換あるいは共同検査等を通じまして、適宜適切な情報及び意思の疎通を図っていく必要があるかと考えています。このため、今般、金融監督庁設置法案の五条におきまして、金融監督庁の事務の効率的運用を確保するために、監督庁長官が関係行政機関の長に対しまして、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる旨の規定を設けたところでございます。  金融監督庁がこの規定に基づきまして的確な情報の把握を行うことによりまして、特に金融行政の観点から検査を行います専門の機関といたしまして、この両者の間で適切な位置を占めて検査監督を行っていくということになるものと期待いたしております。
  146. 富田茂之

    ○富田委員 審議官の立場ではそこまでしか言えないのかもしれないのですけれども、今の御答弁ですと、五条の一項に、金融監督庁の長官は、関係行政機関の長に対して、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。この権限をきちんと長官の方が行使すれば、いわゆる普通の対等な関係で、お互いになかなか言いたいことも言えないというようなこともなく、検査監督の専門機関の能力を本当に発揮できる、発揮していけるのだというふうに考えているという御答弁というふうに理解してよろしいですか。いいですか。
  147. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  そのように、発揮なさるということを想定いたしまして法文を作成しているということでございます。
  148. 富田茂之

    ○富田委員 今のことに関連するのですけれども、我が国金融機関の総貸出額約七百兆円のうち、経営破綻などで金融不安の火種になっているのは、農林系や信組など約四十兆円の部分で、いわば大蔵省がこれまで直接的に検査監督し得なかった周辺部分だ、これにノンバンクなどを加えて一元的に健全性をチェックしなければ本来の検査機能は果たせないのだというように、今回の法案に関して意見を言っている方がおりまして、これはもう本当に大事な指摘だと思うのですね。  今審議官が答弁されたように、この五条一項が本当に有効に機能して、監督庁の長官が他の共管庁に遠慮することのないように、自分が主導権を持ってきちんとやるんだ。それはもう総理から委任されている権限なわけですから、総理と同じような立場になって、きちんと自分が主導権を持ってやっていく、責任をほかに押しつけたり、そういうことのないように、そういうところをきちんと理解した上でやっていっていただきたいなというふうに思います。  次の質問に移らせていただきます。  大蔵省金融監督庁関係について何点か確認させていただきたいのですが、今回金融監督庁をわざわざ分離して設置するということで、監督庁の人事というものが本当に大切になっていくと思うのですね。  西田委員の方からは、長官としてはどういう人物を想定しているんだという点でかなり突っ込んだ質問がされておりましたけれども、長官の人事は別として、監督庁全体の人事の独立というのも、やはりこれから新しく設置していくという中で非常に大事な問題になっていくのではないかというふうに思っております。この監督庁の人事の独立というのは、今回の新しい法制度の中ではどのように担保されているのでしょうか。
  149. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 金融監督庁の職員の人事のお尋ねでございます。  金融監督庁の職員の大事につきましては、その任命権者たる長官の人事権が厳正に確保されることを当然の前提といたしまして、長官がその判断により業務を的確に遂行できるよう、適切に人事権を行使し、望ましい人材を確保していくものというふうに考えております。  なお、これは当然のことでございますが、人事を通じて特定の省庁が他省庁に不当に影響力を行使することがあってはならないことは言うまでもないことでございます。
  150. 富田茂之

    ○富田委員 大事に他省庁が介入してはならないという御答弁がありましたけれども、この金融監督庁の人的規模がどういうふうになっていくのかがまだはっきりしていません。この委員会でも、審議官の御答弁でしたか、三百人規模というような御答弁がありましたけれども、まだ予算の要求もしていないのだからはっきりしたことは言えないというようなお話でした。  ただ、午前中に中谷委員の方からも、要望という形で午前の最後の審議の際に御質問がありましたけれども、どういう規模でやっていくかということが、本当に検査監督の権限をきちんと行使できるのかという観点から見て実に重要だ、そこをきちんと考えなければいけないのだという御指摘がありました。本当にそのとおりだと思うのですね。  この前の御答弁であった三百人規模という人事規模というのは、今考えている金融監督庁検査監督を一手に引き受けてやっていくのだということを考えた場合に、本当にそれだけの規模で全部の権限を実際に行使していけるのでしょうか。その点の検証とかそういうものは、これまでどういうところでやられてきたのですか。そのあたり、もしわかるようでしたら教えていただきたいのですけれども。
  151. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 金融監督庁規模についてのお尋ねでございます。  これはたびたび御答弁申し上げておりますが、具体的には平成十年度の予算編成過程において詰めるべき問題であろうかと思います。ただしかし、この前もお尋ねがありましたので、おおむね三百人台というふうにお答えいたしました。  これは、現在大蔵省において民間金融機関等検査を行っている官房検査部というのがございます。そこの定員が現在、九年度で約百五十名だと思います。それから、証券取引等監視委員会、これの九年度の定員が約九十名。それの業務が移管されるということでございますので、人員も当然移管されるというふうに考えますと、それだけで約二百四十名ということになろうかと思います。  その上にさらに、現在銀行局と証券局が行っておられます監督に関する業務に従事している人員がプラスされます。また、官房系統の人員も必要だろうということで、おおむね三百名台の人員規模が目安になるのではないかというふうに申し上げた次第でございます。
  152. 富田茂之

    ○富田委員 今審議官の答弁された人数というのは、実はことしの三月九日付の日経新聞に、総理府の同庁設立準備室関係者が明らかにしたという内容で報道されているのとほぼ同じような内容なのです。  今の御説明ですと、大蔵省の官房検査部で今実際に検査に当たっている人員百五十、証券取引委員会の実際の委員会のメンバー九十人、あと銀行証券局の監督の人員の方たちが来て、監督庁の官房部門を合わせて三百ということになると、これまでの金融に関する検査監督に当たっていた人員と変わらないわけですよね。  わざわざ大蔵から独立させて、しかも本当に専門化するのだ、検査監督の専門機関だというふうに先ほど白須審議官もおっしゃっていました。そういうことを考えた場合に、これまでの担当者を横滑りさせるだけの規模で、わざわざそんな新しくつくるだけの価値があるのか。せっかくこれだけの審議をして、もしっくるのであれば、最初が肝心ですから、もっと強力にやっていくんだということで、ここまで本当は必要なんですよというのをこの委員会でオープンにしたらどうですか、それで予算的にもこれだけ必要になると。  その予算要求は十年度の予算要求でやっていかれるのでしょうけれども、今の説明では、この新聞記事にあったように、要するにこれまでのそれぞれのセクションでやっていた人間がただ異動するだけだ。新たに独立してつくって本当にプロ集団としてやっていくという気概もちょっと感じませんし、それで本当にプロ化してやれるのかなという感じがするのですが、その点はどうですか。
  153. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、今回の機構改革の趣旨にかんがみますれば、金融監督庁につきましては、その検査機能が適切に発揮できるようにするとの要請にこたえるとともに、信用不安の回避など危機管理について万全の体制としなければならないというふうには考えております。  一方、現在、財政構造改革会議等で人件費の抑制等々、人員の抑制等々も御議論になっているということも十分承知しておるところでございまして、先ほど私が申し上げた万全の体制としなければならない要請と、この行革の基本を踏まえまして、十年度の予算編成過程において関係当局と十分相談しながら期待におこたえしていきたいというふうに考えております。
  154. 富田茂之

    ○富田委員 ちょっと質問通告していなかったのですが、官房長官、よろしいですか。  今の点なんですけれども、財政構造改革会議の中で公務員の圧縮とか予算規模を縮小していくんだというような話があるので、審議官としても今のような答弁しかできないと思うのですが、これは、金融システムの安定を図るということもきちんと考えた上で、金融監督庁をきちんとつくって、検査監督のプロ集団にしていくんだということを考えた場合に、これまでの部門の横滑りだけではこれまで以上の仕事はできないのではないかと思うのですね。  能力のある人たちが横滑りするから大丈夫だというふうに言われるかもしれませんけれども、人的規模も予算規模もきちんとやった上でこれだけの仕事をしますよというのを見せなければ、何のために新たな庁をつくったんだということになると思うのですが、その点はどうでしょうか。ちょっと通告していなくて申しわけないのですが。
  155. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 出先までひっくるめまして、前々から足りないのではないかという議論があることは承知をいたしております。しかし、行政改革その他の観点から見ましても、いたずらに人をふやすということのみで済むわけではございません。  ですから、今、金融監督のプロというのは大蔵省にしか現在はおりません。ほかに多少はいるのかもしれませんが、そういうことを考えますと、このプロ集団に全部これから身分をかえていただいて来ていただく。  それから、いわば独立官庁としての金融監督庁が、長官のもとにこれからの新しいテーマを決めて、どういう監督業務をやっていけばいいのか、検査業務をやっていけばいいのかというルールに従ってやるならば、私は、今までと違った緊張感というのを、絶えず、いわば政策面の担当と異なった意味でということになりますと、思い新たにそういう集団ができ得るもの、決して十分だとは申しません、必要最小限度のものは少なくともやれるはずです。  それから、これがやれれば金融機関全部の安泰につながるかという問題は、先ほど申しましたように別個の問題があろうかと思いますが、この問題に対して、とりあえずこの機構を正式に立ち上げれば必要な体制はとり得る、そういう確信のもとに、そういう説明を受けながらやってまいったわけであります。
  156. 富田茂之

    ○富田委員 説明を受けながらということが最後に出ましたけれども、やはり強化すべきところは強化すべきだと思いますので、ぜひ官房長官のリーダーシップでそこは頑張っていただきたいと思います。  人事の件に関して、金融監督庁の設置に当たってずっと議論されてきている中に、先ほど審議官も、他省庁からの人事介入は絶対させないという御答弁がございましたけれども、検査監督のプロ集団にするんだということを考えると、大蔵省から出向してきて、何年かやったからまた戻っていくというのでは、とてもプロ集団にならないのではないか。そういう議論の延長として、ノーリターンルールというのですか、もう帰らない、出てきた省庁には戻らないんだというようなルールが採用されるのではないかというような報道がいろいろされております。  この点については、これまでの金融監督庁議論の中でどういうふうな考え方が出てきているのでしょうか、ちょっと御説明いただけますか。
  157. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  金融監督庁大蔵省等との人事交流を一般的に遮断すべきであるという御意見があるということは承知しておりますが、これにつきましては、まず一点として、省庁間の人事交流というのはいわゆる縦割り行政の弊害の是正に資するものであるということで、先般の閣議決定でも、むしろ積極的にやるべきだという方針が示されているところでございます。  二点目に、先ほど官房長官もお答えされましたが、国民に信頼される金融行政を実施していくためには、検査監督の実務と制度の基本等の双方に通じた人材を養成する必要があるということなども十分に踏まえるべきであるというふうに考えております。  いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、金融監督庁の長官が、厳正に独立の人事権を行使して適切な人事を行っていくことになろうというふうに考えております。
  158. 富田茂之

    ○富田委員 今のは、金融監督庁の大事に他省庁からの介入はさせないんだというふうに審議官が最初に答弁されたのと大分観点が変わってきてしまっているのではないですか。  人事交流が大切だというのは、それはわかりますよ。自分の省庁のことしかわからなくてどんどん上に行ってしまうと、国、国民のためではなくて、自分の省庁のことしか考えないお役人さんができてしまう。ほかの省庁へ行ってきて、国民のいろいろな行政要求に対応できるような官僚になっていくんだという意味で、人事交流は本当にそれは大切だと思いますけれども、それと、この金融監督庁大蔵省から分離して総理府の中に置くという今回の法の趣旨とは、ちょっと違うのではないですか。だから、ノーリターンルールが採用されないのかというような議論が出てきたのではないですか。  あと、企画立案部門と現場との情報交換、これも確かに必要だと思います、これは後で聞こうと思ったのですけれども。それがないと、企画立案部門の方で現場の情報を具体的に知った人間が企画立案できないから困るではないか、これは本当にそのとおりだと思うのですね。  ただ、今回金融監督庁を設置するに当たって、大蔵省との関係がずっと言われてきている。大蔵の出先機関ではないのかとかいろいろな批判が国民の中にあるわけで、そういうときに、現場を知らないと企画立案できないんだという一般論でそこを乗り越えてしまおうというのは、ちょっと違うのではないか。他省庁からの介入をさせないと最初に明確に言われたわけですから、ここはノーリターンルールをきちんと何とか採用していく、そういうふうには考えられないのですか。どうですか。
  159. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 他省庁からくちばしを入れさせないということは申し上げました。それは要するに、金融監督庁の大事について、それは当然のことながら金融監督庁長官の御判断になる、金融監督庁長官が独立に人事権を行使するということを申し上げたわけでございます。  それで、その人事権の行使の仕方でございますが、要するに全くノーリターンでいいのかということにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、縦割り行政の弊害の是正とか人材の養成とか、またたびたび指摘されるように、長期間の任用になりますと癒着のおそれとかいうこともございますので、そういうことも総合的に判断して、長官が厳正に人事権を行使すべきものというふうにお答えした次第でございます。
  160. 富田茂之

    ○富田委員 金融監督庁の長官がここにいないのでこれ以上言えませんけれども、官房長官、先ほど我が党の方から政治が判断すべきだというやじが飛びましたけれども、やはりここは国民がそれを期待しているわけですから、少なくとも国民に今後疑惑を生じさせるような変な逆の人事交流みたいなのがないように、ぜひ官房長官の方でも目を光らせていっていただきたいというふうに御要望申し上げておきます。  あと、大蔵省金融監督庁関係で一点だけ、先ほども西田委員の方から質問がありましたように、せっかくこの金融監督庁法の第四条でいろいろな監督権限が金融監督庁に移ってきた。ただ、実際に、省令、府令ですか、これは大蔵との共管になってしまう、共同で定めていくということになるという点を大分西田委員は質問していました。  この点と、もう一つ関係法律整備に関する法律案、いろいろな法律が出ていますけれども、その中に、大蔵大臣は、銀行保険会社、証券会社等に対しては、その制度の調査、企画または立案をするため特に必要があると認めるとき、その必要の限度において、資料の提出その他の協力を求めることができるというふうな規定がそれぞれ入っております。  これは、大蔵大臣はというふうになっておりますけれども、実際はもう大蔵省金融局の方で、これは新しくできる金融局の方で、民間金融機関の情報やノウハウも全部この条項を利用して握れるようになっている。これは企画立案のためだという説明が先ほどもありましたけれども、これでは、政省令も共同で出す、資料も全部要求できる。  先ほど白須審議官の方で、五条一項の資料要求ができるから金融監督庁の長官がかなりの権限を持ってほかの省庁にいろいろな意見を言っていけるんだと言ったように、資料要求ができるということは、もういろいろな意見を言える、介入できることになるわけですね。こういう規定を置いておくということは、せっかく検査監督権限を金融監督庁に与えると言っておきながら、結局、検査監督まで二元化されてしまうのじゃないかというふうに私は思うのですが、その点はどういうふうに考えているのでしょうか。
  161. 白須光美

    白須政府委員 お答え申し上げます。  銀行法の五十七条の四などにおきまして、大蔵大臣が一定の範囲で金融機関から資料の提出等の協力を求めることができるというように規定いたしているわけでございます。これは、金融の実態を銀行法等の金融関係法令の企画立案に的確に反映させる、そのためには、その企画立案を担います大蔵大臣が実態についての資料等に基づき検討することが必要であるということでございます。  このため、まず大蔵大臣の方では、第一義的には、検査その他の監督を通じまして実態を把握いたしております監督庁長官に対しまして資料の提出を求めることができるといたしているわけでございますが、それを補完するものといたしまして、特に必要な場合に限り、かつその必要な限度において、民間金融機関等に対して資料の提出等について協力を求めることができるということにいたしているわけでございます。  これの資料提出等につきましては、金融監督庁民間金融機関等の監督の一環として行います報告徴収、これとは目的、要件、対象等を異にするものでございまして、御指摘のような二重行政というようなものではないというように考えているわけでございます。  なお、運用上も、大蔵大臣は、こういう任意の協力を求めるに当たりましては、負担が過大とならないよう配慮していただくべきことは当然というふうに考えております。
  162. 富田茂之

    ○富田委員 答弁にあったように、本当に監督権限の二元化にならないように、きちんとした運用をしてもらいたいと思います。本当にその企画立案に必要な範囲での協力要求であっていただきたいなというふうに要望いたします。  最後に、大蔵省の方で出されております平成七年六月八日付の「金融システムの機能回復について」という報告書の中で、こういうような表現がございました。「近年の金融機関を巡る環境の変化に対応するため、検査・監督にかかる要員や研修の充実等に努め、検査・モニタリング機能の一層の活用を図る。」というふうに報告されておりまして、これが今審議の対象になっております金融監督庁法案の方につながってきたのだと思うのですが、「検査・監督にかかる要員や研修の充実等に努め、」というこの具体策は今どういうふうになっているのか。  デリバティブ、金融派生商品など、新しい金融技術とか商品の開発等に対応できる金融専門官をどう育成していくのかというのは、今回、金融監督庁の発足に当たって本当に大事になってくると思うのですが、この点はどういう具体策がとられているのですか。また、どういう検討状況にあるんでしょうか。
  163. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 お答えをいたします。  平成七年六月八日の報告の中に、今御指摘のとおり、「検査・監督にかかる要員や研修の充実等に努める」ということがございます。  私ども、今先生御指摘のとおり、昨今の金融機関をめぐる環境の大きな変化の中で、一層検査監督の充実に努める必要があるとかねがね認識をしておるわけでございますが、今御指摘報告書等も踏まえまして、平素から検査監督に係る要員や研修の充実に努めてまいったところでございますけれども、この報告書等も含め、さらに近年、例えばこの二年間で、検査官につきましては本省、財務局を通じまして、この厳しい定員事情の中で約百名の増員を図っていただいているところでございます。  このうち、今御審議いただいております監督庁に移るという話もございますけれども、本省分について申し上げますと、この二年間に、本年度につきましては約十八名の増員をいただく、前年度につきましては二十名の増員をいただくという、厳しい状況の中で増員が図られているところでございます。  また、研修の充実につきましては、従来から職員を海外等に長期派遣し、研修に努める、あるいは外国監督当局の研修に参加する。あるいは、国内におきましても、検査官の研修期間あるいは研修の内容につきましても充実を図る等々充実に努めているところでございます。  今御指摘のございましたように、昨今、いろいろデリバティブ取引等、取引も複雑になっておりますし、こうした状況対応できる専門家を養成するべく対応しているというところでございます。今後とも金融の高度化、複雑化に対応できるよう引き続き研さんに努めてまいりたいと考えております。
  164. 富田茂之

    ○富田委員 今の検査監督に係る要員や研修の充実の項目の次に、こういうような表現がありました。さらに、「検査・モニタリングの結果、多額の不良債権の発生等が認められた場合には、時機を失することなくこれに対応しうるよう、客観的指標に基づき金融機関経営早期是正を求める措置の導入等について検討する。」というふうにありました。  これについてはどこまで検討が進んでいるんでしょうか。具体的に一九九八年度導入というようなことも聞いておりますが、もう少し具体的に教えていただけますか。
  165. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  このような新しい監督手法、すなわち早期是正措置の導入につきましては、金融制度調査会における議論を経まして、昨年の通常国会において御審議をいただいたいわゆる金融三法に所要の規定を盛り込み、来年の四月から導入することといたしております。  この早期是正措置の具体的な発動基準や措置内容等につきましては、専門的な検討を行う必要があることから、専門家から成る検討の場を開きまして、昨年の末に、同制度の骨格について中間取りまとめを公表いたしております。この中間取りまとめの考え方に基づき、省令、通達の作成、見直し等の作業を進めておりまして、六月ごろまでには詳細を固め、民間金融機関がこれに基づいて自己査定等の努力をしていただくよう期待しているわけでございます。  実施は来年の四月でございます。
  166. 富田茂之

    ○富田委員 六月までに詳細をまとめて来年の四月から実施されるということですけれども、昨年金融三法が成立して、今回この金融監督庁法が出てくる中で、この早期是正措置というのは監督庁法とどういう関係が出てくるのか。  本来でしたら、裁量行政の不透明さを排除するんだ、客観的な基準である自己資本比率に基づいて銀行への改善命令や業務停止などを発動するというのがこの早期是正措置だと思うのですけれども、これは、監督庁の権限の中に入ってきて、監督庁長官が主体となって発動していくというふうになるんじゃないんですか、これだけ監督権が全部移ってくるというふうになると。そういうふうに思うのですが、実際の動きとしてはそういう方向になるのですか。ここはどうなんでしょう。
  167. 武藤敏郎

    武藤政府委員 早期是正措置が導入された場合には、その発動は監督庁の権限でございます。  早期是正措置は、御承知のとおり、自己資本の比率に基づいてどういう是正措置をとるかという一般的な基準を定めますけれども、その基準を定めることは企画立案の作業でございます。なぜなら、個別金融機関の問題ではなくて、一般的ルールを定めるものでございますから、そういうことでございます。  個別の金融機関に対する早期是正措置の発動はまさに監督庁長官の責任、こういうことでございます。
  168. 富田茂之

    ○富田委員 今の御説明ですと、基準値は企画立案だから大蔵省の方で定める、それに基づいて監督庁が早期是正措置を発動するかどうか判断するんだというふうに聞こえるのですが、それだと、監督庁にその監督権限があるといっても、結局、大蔵側がきちんと判断しない限りは監督庁は何もできないということになりませんか。そういうことじゃないんですか。
  169. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ただいま、私、大蔵省と申し上げましたけれども、誤りでございまして、共同省令で決めるということでございます。
  170. 富田茂之

    ○富田委員 これはまた共同省令の問題に戻ってしまうと思うのですけれども、せめてこのぐらいは、早期是正措置を発動するかどうかの判断ぐらいはきちんと監督庁に任せる、大蔵省もそのぐらい決断した方がいいですよ、せっかく監督庁をつくるんですから。  またこれは共同省令の問題に堂々めぐりで戻ってしまって、質問していて、何かまた戻っちゃったなという感じがするんですけれども、大蔵大臣、官房長官いらっしゃるので、ここはもう政治の判断で、堂々めぐりにならないように、監督庁がばしっとできるような体制にしていっていただきたいと思いますし、法案もそういうふうにぜひ修正していっていただきたいというふうに御要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  171. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、川内博史君。
  172. 川内博史

    川内委員 民主党の川内でございます。  官房長官、大蔵大臣、お疲れのところ大変恐縮でございます。ありがとうございます。敬愛をする梶山官房長官に、私、初めて質問をさせていただけることを光栄に存じております。沖縄問題に命をかけて取り組まれて、その後、やめたいやめたいというふうにいろいろなところでお話をされているようでございますが、まだまだいろいろな問題に命をかけて取り組んでいただかなければならぬというふうに思っておりますので、どうかよろしく御指導をお願い申し上げます。  本委員会は行政改革特別委員会でございます。行革に絡んで、行政改革会議あるいは財政構造改革会議などでも、公共事業見直しが大変に議論をされているようでございまして、まずその辺について御質問をさせていただいて、具体的に金融監督庁の質問をさせていただきたいと思います。  公共事業見直しといえば、今大変に話題になっておりますのは、官房長官からはしつこいぞとおしかりを受けるかもしれませんが、諌早湾の干拓事業のことでございます。  きょうの夕刊によりますと、けさの閣僚懇談会で、この諌早湾の干拓事業については継続することを了承したというふうに出ております。また、藤本農林水産大臣は「潮受け堤防による防災効果が出ており、地元の方々からは感謝されている。水門を開けるわけにはいかない」と会見で述べられているようでございます。  そもそも、この諌早湾の干拓事業というものは、防災事業なのか、干拓事業なのか。農水省から、防災か干拓かだけお答えください。
  173. 山本徹

    山本(徹)政府委員 諌早湾の干拓事業は、諌早地域が高潮、洪水の常襲地帯でございますので、これを防ぐための防災とあわせて、この長崎の地域は平たんな農地に乏しく効率的な農業経営が展開できにくい状況にございますので、生産性の高い平たんな農地を造成するということを目的とした事業でございます。
  174. 川内博史

    川内委員 では、防災に主眼があるということですか。もう一度。
  175. 山本徹

    山本(徹)政府委員 防災は重要な目的でございます。
  176. 川内博史

    川内委員 私、きょう、手元に「国営諌早湾干拓事業における排水改良効果」という資料を持ってまいりました。こちらは、農林水産省構造改善局、今御答弁をいただいた局長が責任者でおつくりをいただいた資料でございます。  こちらの資料によりますと、仮に潮どめが行われていなかったとすれば、五月十三日から十四日における雨により湾奥部の水位は満潮時で約二メートル高くなっていたものであり、過去の実態から見て、大きな被害が生じていたと考えられるというふうに、この潮受け堤防が大変に防災に効果があった、寄与をしたと説明していらっしゃいます。  また、農林水産大臣も、きょうの閣僚懇談会の後で記者会見をしている。そしてまた、この懇談会事業継続を了承したということは、他の閣僚の皆様方、官房長官もまた大蔵大臣も、御説明を聞いて、そうだろうというふうに御納得をされて、了承されたというふうに推察をいたします。  まずこの資料自体の議論をさせていただきますが、この資料については、構造改善局は橋本総理にも説明をされていらっしゃいますね。
  177. 山本徹

    山本(徹)政府委員 ただいま御指摘の資料は、先週五月十三日、十四日に相当量の降雨がございまして、諌早地域の低平地に住んでおられます地元の住民の方々の生活実感として、今回の潮受け堤防の潮どめによりこれまでのような被害がなかったという声が寄せられておりますので、それについて分析した資料でございまして、このような現地の状況を首相官邸に御報告申し上げました。
  178. 川内博史

    川内委員 それでは、地元の方々というのは、潮受け堤防による防災効果を、防災事業を望んでいるのであって、干拓事業を望んでいるのではないんじゃないですか。
  179. 山本徹

    山本(徹)政府委員 この干拓事業の重要な目的は防災効果を発揮することにございますけれども、あわせて、長崎は平坦な農地が少ないところでございますが、この諌早湾の地域も春ジャガイモは日本一の産地でございますように、野菜の生産等大変熱心に取り組んでおられる農家がおられまして、平坦な農地を造成し、生産性の高い効率的な農業経営を実現するということもあわせて目的にいたしておりまして、これらは農業団体等から強く要望されているものでございます。
  180. 川内博史

    川内委員 効率的な農業経営をしていただくようにしていきたい、それは農業団体からも強い要望があるというふうに御答弁があったわけでございますが、その辺の営農計画については後ほどまた聞かせていただきます。  まず、この五月十三日から十四日の防災効果があったんだという資料について、幾つか御質問をさせていただきます。  まず、「浸水区域調査概図」というのがございます。従来であればこの黄色い地域が浸水をしていたはずであったが、今回の雨の場合には、潮受け堤防があったので、浸水地域は約二十分の一、六十ヘクタールぐらいで済んだ。従来であれば千何百ヘクタール浸水をしていたはずが六十ヘクタールで済んだというふうな図でございますが、この黄色い地域というのは、昭和五十六年に諌早市が作成をしたものでございます、この浸水地域は。  昭和五十六年というのがどういう時期であったかということを申し上げますと、長崎大水害が起こる前です。あの大変な被害を出した長崎大水害の前に、諌早市が、時間雨量四十ミリぐらいでこのくらいのところが浸水をしますというふうに、黄色く地図を塗ったわけですね。それを今持ち出してきている。  つい平成四年、平成五年にも、時間雨量五十ミリ、四十ミリの雨が降っています。平成四年の時間雨量五十四ミリの冠水は二百五十ヘクタール、平成五年の時間四十二ミリの雨の場合には冠水ゼロというふうになっております。  ですから、この図が大変に恣意的な図になっているというふうに私どもは考えておりますが、なぜ昭和五十六年の地図をわざわざ今持ち出していらっしゃったのか、どうして平成四年、五年のときの資料をお使いにならなかったのか、それをお答えいただけますか。
  181. 山本徹

    山本(徹)政府委員 御指摘の資料は、諌早市が、関係の町内会、自治会の会長の協力を得られて、時間雨量四十ミリ程度の降雨により浸水する区域を取りまとめられた資料でございますけれども、昭和五十六年以降の資料がございませんので、とりあえずこの資料を使わせていただいているわけでございます。  浸水による被害の程度は、今御指摘の時間雨量、それから総雨量、さらに潮位との関係、干潮であるか満潮であるか等によって大きく異なってまいりますし、また、この地域はだんだん市街化しておるような状況にもございます。そういったことで、いろんな状況によって浸水被害の状況は変わってまいります。  私ども、現存するデータとして諌早市の資料を使わせていただいたわけでございますけれども、このような被害が大幅に軽減されたという事実は、諌早地域の低平地に住んでおられる住民の生活実感として、この際、先週、地域の住民の方々がそういったことを体験されたという事実を率直に御説明申し上げたわけでございます。
  182. 川内博史

    川内委員 昭和五十六年以降の資料がないというふうにおっしゃられましたけれども、防災効果も事業一つの大きな柱であるというふうにおっしゃられながら、昭和五十六年以降、平成四年、五年あるいは昭和六十三年、大雨が降っているわけです。では、そのときにどのくらいの被害の状況であったのかということを全く調査されてなかったのか。防災効果が大きな柱であるとおっしゃりながら、これは大変な矛盾だと思います。  それからもう一点、興奮して、言うことを忘れてしまいました。済みません。  それから、長崎大水害の後、本明川というのは一級河川でございますので、建設省さんも一生懸命に河川改修などで、それこそ防災事業を、治水事業を行っていらっしゃるわけでございます。ですから、その本明川そのものの治水効果というものも上がっているはずです。その本明川そのものの治水効果が上がった結果として、平成四年の時間五十四ミリでは二百五十ヘクタールの冠水、平成五年の時間四十二ミリの雨では冠水ゼロ。潮受け堤防があろうがなかろうが、そういう被害になっているわけです。ですから、今の構造改善局長の御説明というのは大変に矛盾をしているのではないかというふうに思うのですよ。  もう一度御説明いただけますか。
  183. 山本徹

    山本(徹)政府委員 この諌早湾の周辺の低平地の農地及び住民の方々は、この地域の高潮、洪水によりまして、例年のように浸水の被害を受けておられます。これは地域の住民の方々の生活実感でございまして、これが今回の、先週の十三、十四日の相当の降雨の際にそのような被害がなかったというような、多くの住民の方々の生活実感としての声がございます。私どもは、これは、今回の潮受け堤防の締め切りというものが大変大きな効果を発揮したものであると考えております。
  184. 川内博史

    川内委員 生活実感としての声があるので、何の根拠もなくても、潮受け堤防の成果である、潮受け堤防ができたから被害が少なかったんだというふうに、そんなむちゃくちゃな議論をされるんですか。  第一、官房長官、大蔵大臣、私興奮していますのでうまく説明できるかどうかわかりませんが、この五月十三日から十四日にかけて時間四十ミリの雨が降ったときは、諌早湾は引き潮なんですよ。ところが、この構造改善局がつくったペーパーの一番上には、時間雨量四十ミリ程度の降雨で湾奥部のほぼ全体の農地が長時間にわたり冠水していた、満潮時で約二メートル水位が上がっていて大きな被害が生じていたと考えられると。これは、たまたま四十ミリの雨が降ったときに引き潮だったから被害が少なくて済んだというのが、正確なこの五月の大雨に対する理解じゃないですか。  潮受け堤防があったから被害が少なくて済んだというのは、それは、付近の住民の方の生活実感からそう私どもは考えておりますというんじゃ、何千億というお金をかけて行う事業が、付近の方々がそう思いますから私どもはそう思うんですよ、それで理解してくださいというのは、あんまりじゃないですか。
  185. 山本徹

    山本(徹)政府委員 お手元の資料があるかと思いますけれども、十三日から十四日にかけての潮位と雨量のデータがございます。  雨量は棒グラフでお示ししておりますけれども、これと、諌早湾の干潮、満潮のグラフがございますけれども、潮どめが行われなかった場合に湾奥部の水位は、これは降雨とこのときの浸水と若干ラグがございますけれども、湾奥部の水位は満潮時で約二メートル高くなるというような結果がございまして、そういった場合に相当の浸水の被害が発生した可能性があると考えております。  これに対して地域の住民の方は、このような降雨時には従来では浸水の被害があったはずだけれども、今回はそういった被害が生じなかった。これは、長年その地域に住んで、高潮、洪水の被害を六月から十月の降雨時には心配されながら生活し、また必要な場合にポンプを稼働されたり、また避難されるというような悩みを抱えて生活された方の実感というのは、これは大切にしなければならないし、また、そういった方々の心配を取り除くために今回のこの干拓事業を実施しているものでございます。
  186. 川内博史

    川内委員 だから、生活実感があるからその潮受け堤防が効果があったんだという議論では余りに根拠が薄弱ではないですかと。そういう人々の声を大事にしているんだ、もちろん私も地域で粒々辛苦営農をされていらっしゃる皆さん方の気持ちは本当に一番大事だと思います。だから、その声を大事にするんであれば、これは防災事業あるいは田畑からの排水事業というものを主眼にすべきであって、干拓事業ではないんじゃないかということをもう一度改めて御指摘させていただきます。  今の構造改善局長の御答弁では、もう干拓のことなんかどこか行っちゃって、とにかく、付近の人々が防災に効果があった、防災に効果があったと一生懸命おっしゃるんで我々は潮受け堤防をやっているんですとおっしゃるが、しかし、この五月十三日から十四日の大雨では、潮受け堤防があったから被害が少なかったということは言えませんよ、余りにも根拠が薄弱じゃないですかということを申し上げているわけです。それに対して、構造改善局長は情緒的な御答弁しか今ないわけですよ。  実際に、平成四年、五年の、官房長官、大蔵大臣、特に平成五年の時間雨量四十二ミリ、ほとんどこの五月の、ついせんだっての雨のときと一緒です。時間雨量四十二ミリのときの被害というのは、田畑の冠水はゼロヘクタール、ないんですよ。このときは潮受け堤防はないんですから。しかも、この五月の十三日から十四日にかけての大雨のときは、一番たくさん降ったときは引き潮なんですから。潮が引いているんですよ。だから、たまたま被害が少なかったというだけでしようということを私は申し上げているわけです。  だから、干拓事業を一生懸命おやりになりたいのはわかるんです。わかるんですけれども、根拠が薄弱なものをねじ曲げてこういう資料をつくって、国政に命をかけていらっしゃる大蔵大臣や官房長官にお見せをして、判断を誤らせるようなことがあったら、これは国益を大きく失うんじゃないですか。どうですか。
  187. 山本徹

    山本(徹)政府委員 この諌早の干拓事業は、昭和二十年代から、この地域で高潮、洪水に悩んでおられる方々の防災、また優良で平たんな農地をつくるという目的のもとに、地域の住民、農業関係者、また低平地に住んでおられる農家の方、また漁業関係者等が長い時間かかっていろいろな議論をされた結果、昭和六十一年に、現在のように、七キロの潮受け堤防と、またマイナス一メートルに水位を維持する調整池を整備し、また約千五百ヘクタールの農地を干拓によって造成するという事業を、地元の関係者の総意のもとに計画し、地元の県、市町村との協議、同意のもとに進めてきているわけでございます。  早速に、四月の堤防締め切り後、五月の降雨のときにそのような成果があらわれたと私どもは考えておりまして、先生のお手元にございますように、単に情緒的ではございませんで、満潮、干潮のグラフ、それに対して、満潮のときには一メートル以上に水位が上がるわけでございますけれども、調整池ではマイナス一メートルに水位を調整した結果、水位はゼロ以下にとどまったわけでございます。  この大きな二十五ミリあるいは四十ミリを超えるような雨量のとき、これは満潮時も、ここに先生もごらんいただけますように、満潮時があるわけですけれども、このときに、もし従来のような潮受け堤防がない状態でございますと、この水位がプラス一メートルあるいは七、八十センチという時期と、大量の二十数ミリあるいは四十ミリというような降雨の時期が重なって相当の被害が生じたはずでございまして、そういったデータを読み取っていただくためにこの資料は整理したものでございます。  私どもは、地元の、ぜひこの地域の防災対策のためにこの事業を着実に進めてほしいという御要望を現在も強くいただいておりまして、環境保全対策、またしっかりした営農対策というものを私ども確立しながら、この事業を着実に推進してまいるのが私どもの責務であると考えております。
  188. 川内博史

    川内委員 ですから、防災事業をおやりになりたいのであれば、もっと別なやり方があるでしようということを申し上げているわけでございます。  それから、データを示しているとおっしゃいますけれども、示していただいているデータでは、たくさん雨が降ったときには、この日はたまたま干潮で、時間四十ミリの雨が降ったときには、水位は海抜マイナス七十センチぐらいにまで引いているわけですから、排水に関しては何ら問題はないわけですから、この日、潮受け堤防がなかったとしても。  ですから、潮受け堤防があったから防災の効果があったんだというような言い方は、それは閣議のメンバーの判断を誤らせることになるでしょう、もし本当に防災に効果があるんだというのであれば、もっと我々をしっかりと理解させられるような資料をおつくりいただく必要があるでしようということを申し上げたいというふうに思います。  何か反論したいですか。はい、どうぞ。
  189. 山本徹

    山本(徹)政府委員 高潮、洪水常襲地帯でございます諌早地域の防災対策、防災事業がどのようなものであるべきかということについては、地元長崎県、地元諌早市等の市町村、また国としても、昭和二十年代以降長い間かかって検討してまいりました。その結果、現在進めております諌早湾の干拓事業が最も地元に即した適切な事業であるということを、地元の総意とまた国の考え方が一致いたしまして、この事業を六十一年から進めさせていただいているわけでございます。  また、防災効果につきましては、五月十三日、十四日、先ほど御説明申し上げましたような、潮位及び調整池の水位の管理、雨量から読み取っていただけるわけでございます。  また、この防災効果につきましては、七キロの潮受け堤防と、またマイナスーメートルに維持いたします調整池によりまして、今後、伊勢湾台風級の高潮が発生すると同時に諌早水害級の水害が発生した場合にも、この諫早湾地域においては非常に軽微な被害で切り抜けられる。このような伊勢湾と諌早水害が同時に発生する確率、危険率は五百年に一度と見通しておりますけれども、これによってもほとんど水害の被害というものが発生しないというような事業の内容であるということを、地元関係者と長年協議し、御理解いただいた上で現在の事業を進めさせていただいております。
  190. 川内博史

    川内委員 やはり防災防災とおっしゃるわけですけれども、それであれば、潮受け堤防の内側に千五百ヘクタール以上の干拓地をつくって、またその外側に内部堤防を、何キロになるのでしょうか、張りめぐらして、まだまだ相当お金がかかるわけです。  地元の方々が防災を望んでいらっしゃるのであれば、それは、もうここの潮受け堤防だけにして、時々六時間ごとぐらいに潮を入れたり出したりしながら、大災害のときには遊水池として使用する、防災に効果を発揮していただくということで十分じゃないですか。わざわざここに千何百ヘクタールも田んぼ、畑あるいは酪農、夏になってこんな暑いところで牛が乳を出すんですか。どうもわからないのです、私は。  ですから、防災をおっしゃるのであれば、ここの干拓をやめて、内部堤防も物すごくお金がかかるでしょう。両大臣、潮受け堤防はまだ今高さ三メートルですから、あと四メートルかさ上げして七メートルにすると今おっしゃいました。それを七キロまたやるんですよ、七キロ。内部堤防をずっと張りめぐらして、この内部堤防がまた十五、六キロになるのですか。これは物すごいお金ですよ。  また、そこを干拓して田んぼや畑になるようにして、それで十年後、二十年後にそこに草しか生えていないということになったら、これは一体、それは構造改善局長は今お仕事として一生懸命おやりになっているというのはわかるけれども、十年後も構造改善局長としておれが責任を持つんだ、だれもいなければおれが一人でここを耕してみせる、おれは一人でやるんだというぐらいならわかりますよ。どうでしょう、官房長官、大蔵大臣
  191. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 大変難しい議論をされているようでありますが、私たちは、けさ閣僚懇談会では、せいぜい五分、十分程度のいわば聞き取りであります。聞いたことは、今世上騒がれているこの水門をあけて海水を入れるか入れないかという問題の一点にまず中心は絞ろう。それからもう一つは、干拓事業がこれから日本になじむかなじまないかという問題、その問題があるわけでありますから、今回は、海水を入れることがいいかどうかという問題をまずきょうじゅうにできたらば閣僚の意見の集約を行いたい。その意味での説明を聴取いたしました。  ですから、この説明を聞きますと、確かにこれは、防災防災というから干拓ではないではないかという議論がありますが、私の理解ですと、いわゆる潮どめ堤をつくらなければ干拓はできないわけであります、塩害が出てしまいますから。ですから、この干拓を行うにはどうしてもこの七メートルの高さの防潮堤というんですか潮受け堤をつくることが大切だ。  ですから、この事業は昭和六十一年から、平成十二年を完成目標にしているわけでありますが、予算総額は二千三百七十億だ。そのうち、残り工事は七百億。そして、この潮受け堤に千七百億のお金をかけているわけでありますから、この干拓事業の大半のものは潮受け堤をつくることだ。潮が入っては干拓にならないということでありますから、その工事の大半は、潮受け堤、防災ということが金額的には大きいわけであります。  事実、今話がありましたように、昭和三十二年の諌早の大洪水、これは約千ミリ降った、それから伊勢湾台風、これを念頭に入れた設計でありますから、私は技術屋の良心と日本の技術の優秀さを確信いたしておりますから、この意味では成り立つ。  しかし、今委員が御指摘になったように、この前の洪水がどうであったかというと、干潮時であればそんなものは関係ない。しかし、干満というのは絶えず差があるわけですから、満潮時にどうなるかという問題でありますので、満潮時の潮を受けないで済むような設計になっていることは当然でありますから、これをもって、少なくともこの周辺の農地や宅地、住宅等に被害を抑えることのできる効果、一時的な防災としての効果は今あるというわけであります。  それから、やがての干拓を考えますと、干拓というのは、皆さん方、海水を入れれば、ここは淡水になりません。淡水にならないということは干拓が成立しないということであります。ですから、将来ともこの干拓を行うとするならば、一日も早く締め切って、二度と潮が入らないようにしておかなければ、塩分はしばらくかかりますから、これをやらなければならないということであります。  そして、この干拓に関して、今までのように水田農業をするとかなんとかというのじゃなくて、これも初めの計画は、家族農業をやろうという計画で入植者を求める。しかし、そういうことは私は今の時代には余り合わないのではないか。これは、今度は私の私見でありますが、千五百ヘクタールに及ぶこれを国営化あるいは企業農業化、何が適地適産なのかわかりませんが、世界に冠たる農業をここにひとつつくり上げればいいではないか。バレイショがいいか何がいいかわかりませんけれども、世界の農業と競争して、十分に利潤を上げ得る農業をここにつくり上げる。  日本というのは土地の少ないところ、平地の少ないところでありますから、干拓というものは、ある意味で環境その他に大きな影響がなければ、水平の土地を求めることは当然でありますから、これからやることは、細分化をした農業ではなくて、どうやれば世界の農業と太刀打ちができるかという観点でやれば、既に千七百億を投資して潮受け堤ができておるならば、あと七百億でこの干拓地が全部でき上がるということであれば、むしろ農業構造改善、私は不改善だと言っているのですが、本当の意味で日本の農業を改善する気が、改良する気があるならば、そういう農業をやることが当たり前で、私は少なくともその干拓の方式を反対はしません。しかし、営農形態をどんなふうにするのかという問題については、これから英知を絞って、世界に冠たる日本農業をつくり上げることのパイロットにしたい、私はそういうふうに思います。
  192. 川内博史

    川内委員 官房長官に御答弁をいただくと私も急にしゅんとしてしまいそうになるのですが、そうもまいりませんので、元気を出して、とりあえず反論をちょっとだけさせていただきます。  まず、私がこの資料について疑問を指摘させていただいたのは、官房長官がいみじくも御答弁の中でおっしゃったように、引き潮のときに大雨が降ってもそれは委員がおっしゃるとおりであろうというふうにおっしゃられました。私は、時間四十ミリの雨が降ったときには諌早は引き潮だったじゃないか、それにもかかわらず、こういう資料をつくって、橋本総理に説明をし、事業の正当性を主張しようとするというのは、逆に勘ぐられる結果になるのではないかという危惧を持っているからでございます。  防災を地域の方々が本当に強く望んでいらっしゃるのであれば、私は、官房長官もおっしゃられたとおり、干拓をどうしていくのかということをよく議論しなければいかぬだろうと思うのです。そういう意味では、潮受け堤防そのものを壊しなさいとか壊した方がいいなんということは私どもは全く考えていないのです。  結局、二千三百億余りの事業費のうち、もう既に千五、六百億ですかを使って、もう残りわずか。残りわずかなのに、まだまだ潮受け堤防をあと四メートル、七キロかさ上げしなければいけない、そしてまた内部堤防を十五キロ張りめぐらす、そして土壌をつくって排水がきちんとなるようにする、これは大変な事業だと思うのです。多分、今構造改善局長に、あと幾らかかるのですかと聞いても、残り九百億でやらしていただきます、頑張りますとしかおっしゃれないと思う。正直には答えられないと思うのです。だから、そういう事業であればとりあえず、防災のために調整池にすることに関して我々は何にも反対しないのですよ。  官房長官、大蔵大臣、この水門というのは、それは潮の満ち引きがありますから、あけたり閉めたり潮を入れたり出したり、簡単にできるのですよ。海水が淡水化するのに、そんなに時間はかからないのです。これは農水省の方に僕がきのう聞いたのです。その方、ぽろっと口を滑らしたのかもしれないですけれども、私も、今の発言は具体的な根拠のある発言ではないですから、後日調べなければならぬとは思います。  しかし、実際に、これから大変な巨額の資金がかかるであろう事業に対して、その干拓の是非を論じるときに、調整池として使うことは私どもも賛成です。その場合に、潮を入れたり出したりするのは簡単なことなんです。水門をあけたり閉めたりして水位を調整するのは、そんなに難しいことではないのです。それをやって、官房長官、本当に世界に冠たる農業をつくろう、私も大賛成なのです。日本の農業を本当にやっていかなければいかぬと思うのです。  しかし、私たちが子供たちに残していかなければならないもの、この極東の、アジア大陸の東の果てにあって、美しい自然があって、そういう生物を守る、そして災害が起きた場合には潮をさっと抜いてそこを調整池にして、いつ雨が降るかなんて今すぐわかるわけですから、大体あした雨が降りそうだと思ったら、前の日に潮を出し入れすればいいわけです。そういうことは今大変な技術を持っているわけです。私も技術屋を信頼しておりますから、そういう意味ではそういうことが可能ではないか、それを探りましようということを申し上げているのですけれども、今度は大蔵大臣
  193. 山本徹

    山本(徹)政府委員 マイナス一メートルの淡水湖をつくる計画はこの干拓事業の一部でございますけれども、淡水湖にいたしますのは、これは、一つには、干拓いたします農地等に対する用水を確保するという目的がございます。それからもう一つには、塩水というのは低平地の農地、農作物に潮風害、風が吹きますと、潮風、塩水が当たりますと、農作物の生育に大変大きな支障、被害を与えます。  と同時に、一般の家庭の生活におきましても、例えば電気製品とか自動車の耐用年数が非常に短縮するということで、この潮風害というのは、農業生産や生活に大変大きな被害を与える面がございます。したがって、これは地域の住民の方々の総意、住民の方々の御要望も踏まえて、淡水湖でマイナス一メートルに水位を調整いたします。  それから、水門の操作が簡単だとおっしゃいましたけれども、水門の操作というのは、六時間ごとに潮の干満が参りますけれども、これをにらみながら潮位をマイナス一メートルに常時調整する。  これは、本当に気象の予測ができればよろしいわけですけれども、数時間先にどの程度の雨が降るか、どういう地域にどの程度の雨量になるかというのは、気象予測はできますけれども、これが本当に当たるかどうか非常に不確定でございます。したがって、そういった予測せざる降雨を、この辺は豪雨の常襲地帯でございますので、あらかじめ気象予測を一〇〇%的中させることは困難でございますので、常時マイナス一メートルに維持することが必要であるということ。  それから、操作を非常に注意いたしませんと、諌早湾の外湾では多くの漁船が操業しておられます。それで、操業に大変悪影響を与えます。また、早い潮流を発生するような操作をいたしますと、底の土あるいは泥を巻き上げて、海面あるいは淡水湖の水質に対して、大変水質を悪化させるおそれもございます。  そういったことを総合的に勘案いたしまして、現在、マイナス一メートルの淡水湖をここで常時維持するように水門を操作するということが工事計画の一部になっており、これは、昭和六十一年の事業計画の策定時に、地元の住民の皆様方と十分に議論してこういった計画を定めておりますので、これと違った操作をするということは、例えば、極端に言いますと、これによって何らかの被害が生じる、あるいは生じるおそれがあるというような場合には、行政訴訟あるいは国家賠償責任を私どもが問われる可能性もございます。  あらかじめ六十一年に、昭和二十年代から長い間かかってきたこの工事計画をこのとおりに推進するということが、現時点においても地元の長崎県初め地域の住民の総意でございまして、ムツゴロウや干潟の問題が指摘されておりますけれども、ムツゴロウも漁獲対象魚種で、最近は漁獲量が増加しておりますし、そういった環境等にも配慮しながら着実に進めてまいりたいと考えております。
  194. 川内博史

    川内委員 いや、構造改善局長はこの事業にそれこそ命をかけていらっしゃるなというふうに思いますが、昭和二十年代からやっているから、地元の総意があるから、これは現状の計画のままやるんだと幾ら力まれても、それは、とてもじゃないけれども、国民の皆さん方を納得させる理屈ではないと思うんですよ。  私たちは、地元の方々の要望というのは防災だと思うんです。地元の方々の要望は防災です。そしてまた、その防災を満足させるためには、水門を開閉して潮を入れたり出したりして、それは、何時間先に雨が降ってくるのかはわからぬかもしれぬが、しかし大体長期予報で二、三日先に雨が降りそうだと言ったら、潮を全部出しちゃえばいいんです。潮を出してもどうせ雨が降るわけですから、干潟の生物は助かりますしね。そういういろんな知恵があるんじゃないでしょうか。  理屈は本当に百人いれば百通りでしょうから、もう水かけ論になっちゃいますので、最後に、官房長官に御答弁をいただきたいのです。  あと残り八百億だか九百億だかの事業費の中で、これは、まだ残っている事業というのは大変な事業です。潮受け堤防を七キロにわたって四メートルかさ上げをするとか、内部堤防を十五、六キロメートル張りめぐらす、また、そこを田畑として耕作できるように土地改良をしていく。物すごい事業費になると思うんです。  そういうことを、官房長官、責任を持ってもう一度調査していただいて、この潮受け堤防の内部をどうするか、あるいは水門をあけ閉めして遊水池として利用できるようにするだけで終わるのか、もう一度どこかの場で、はっきりと答弁をいただけるかどうか、今、官房長官が責任を持って、よしおれが調べるというふうにおっしゃっていただけるかどうかだけ御答弁をいただければと思います。
  195. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私の調べたことが間違っているのか、あるいは委員が御指摘になることが正しいのかどうかは定かではございませんが、少なくとも、私は、今委員がおっしゃるように、ゲートを上げ下げして海水を入れるということに関しては、今までやってきた工事をむしろ無にしてしまうということであります。これだけの長い間、これは、漁業権の消滅をさせ、そして淡水化をし、その淡水をどう利用するか、やがて、長崎というのは水の足りないところでもありますから、そういう利用計画まで持っているところであります。  これが環境にどんな影響を及ぼすかということは、確かに、干拓事業なりあるいは潮をとめればそれなりの若干のあれはあるかもしれませんが、それが悪い方向にあるのかいい方向にあるのか。それは、淡水魚でないムツゴロウとかそういうものがそこで死滅をする。これが天然記念物なのかどうか私はわかりませんが、大変繁殖力の強い魚でございますから、そちらこちらで大変よく食べているようでありますが、有明湾に全くなくなったわけではありません。  できたらば、私も、かわいそうですから、それをすくって堤外に出すような努力をすることはいいことだと思うんですが、淡水化をするということに目的があり、そして、もちろん潮のあれによって水害その他を防ぐという二つの目的があり、なおかつ、そういうあれがなければ良好な干拓ないしはその周辺農業が成り立たないということをお考え願えれば、逆に、情緒的に、ムツゴロウがかわいそうだということで海水を入れたり出したりするのではなくて、海水は入れたり出したりしないで、干潮時には表の水を、真水をどんどんどんどん海に流して、それから満潮になるに従ってとめていくという機能を持っているわけでありますので、私も勉強しますが、委員もひとつ勉強して、どちらがいいものか、御研さんを願いたいと思います。
  196. 川内博史

    川内委員 わかりましたと申し上げたいところでありますが、あと私の質疑が十分という紙が入りましたので。  私は情緒的に申し上げているわけではなく、だから、潮受け堤防については我々何も言いません、この干拓事業の是非そのものについて官房長官として御調査をいただけますか、あと八百億だか九百億だかしか残っていない事業費でこれだけの大規模事業をやるには無理があるでしょう、その辺についてはきちっとした御調査をしていただけますかということをお尋ねさしていただいたんですけれども、もう一度、しつこいようですが、干拓事業そのものについて。
  197. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 金は何兆かかろうとも国の大事業はやらなきゃならないし、一銭でも節約はしなきゃなりません。ここに大番頭の大蔵大臣がおりますから、大蔵大臣が査定をして、これが国家国民の将来のためにいいということになり、あるいは地元のいろんな水害を救うということになれば、それは、当然仕事をやるでしょうし、無用なものはやらないでしょう。それは、私、判断能力は十分に政府にあるというふうに御理解を願いたいと思います。
  198. 川内博史

    川内委員 いや、判断能力は本当におありになるんだと思います。ですから、きょう私が御指摘を申し上げた点をほんの少し心にとめていただいて、二十三日の閣議に臨んでいただければと思います。  それでは、大変にお待たせをいたしました。金融監督庁について質問をさしていただきます。  それほど時間もございませんので。私はいつも思うんですけれども、金融機関が幾つか破綻をいたしましたけれども、破綻する前と破綻した後と、いつも不良債権額にこんなに開きがあるんです。例えば兵庫銀行であれば、破綻前には六百九億円と言っていたものが破綻後には一兆五千億円というふうに、恐ろしい額にふえるわけですね。これは、検査そのものが何ら意味がないんじゃないかなというふうにも思ってしまうんです。  私、昔、実は、皆様方に大変に御迷惑をおかけいたしました大和銀行というところに勤務をしておりまして、営業をさしていただいていたんです。集金かばんを持って、お客様のところに、御預金はいかがでしょう、あるいは、融資の相談に乗らせてください、あるいは、財産の運用の相談に乗らせてくださいということで一生懸命営業をしていたんです。  しかし、支店長やあるいは部長さんから、今度大蔵の検査があるから、あるいは日銀の考査があるから資料をつくりなさい、物すごい資料をつさらされて、そんなことよりお客さんのところへ行きたいなと思いながら、資料をつくっていたんです。だけれども、そういう銀行検査というものが、バブル以降の一連の金融機関破綻を見ておりますと、その検査そのものに何か意味があるのかなというふうに思うんですが、検査の意義そのものについて、まず大蔵大臣、御答弁をいただけますか。
  199. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 お答えを申し上げます。  検査の意義あるいは検査目的という御趣旨かと思いますけれども、金融検査につきましては、委員も御承知かと思いますけれども、それぞれ業法がございます。業法に基づきまして、例えば銀行の場合ですと銀行法二十五条がございますが、それぞれの業法に基づきまして、金融機関業務の健全かつ適切な運営を確保するため、経営管理のあり方あるいは資産内容の状況など、金融機関経営全般にわたる業務、財産の実態を的確に把握すること、これが目的、意義でございます。
  200. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、銀行金融機関は公共性が基本、信認がなければこれはだめでありますから、信認を裏切るようなことのありませんように、検査をやることによって緊張感をつくる、精励格勤、公共性に徹しよう、こういうことであります。
  201. 川内博史

    川内委員 金融機関に対して緊張感を持たせる、あるいは経営健全性を把握するということでございますが、果たしてその把握が今までしっかりできていたのかどうか。しかも、今回この法案で、大蔵省から検査監督の部門が金融検査監督庁に移る、人も横滑りで移って、地方財務局が委託を受けて銀行検査に入るわけでございますが、まあ実態としては、今までと何ら変わらないというふうに思うのです。  具体的に、例えば今、第一勧業銀行の問題が大変大きな話題になっておりますけれども、特殊株主の方にこの第一勧業銀行が大変な額の貸し出しをしている、しかもその貸し出しは不良化しそうだというようなことを、実際に検査に入って把握ができていたのかどうか。それとも、全くわからず、今回の告発によって、ああなるほど、そんなことが第一勧業銀行で行われていたのかというふうにわかったのか。そのあたりについては、検査当局としてはいかがでしょうか。
  202. 中川隆進

    ○中川(隆)政府委員 第一勧銀に対する検査について、検査状況で把握していたのかということでございます。  第一勧銀に対します当局の検査、従来、個別の金融機関検査につきましては、詳細につきましてお答えは差し控えさせていただいておりますけれども、今御指摘銀行に対します検査、直近は平成六年十月に行っております。それぞれの検査の時点におきまして、相当の人数の検査官が相当期間検査をするわけでございますから、事実関係につきましては、あるいは資産内容の状況経営の管理の状況等、幅広く検査をしているところでございます。具体的な内容につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
  203. 川内博史

    川内委員 相当の人数の検査官の方が相当の期間をもって金融機関検査に当たっておりますということですけれども、把握をしていたかいなかったか御答弁がいただけないわけでありますが、まあ個別の、特に刑事事件にもなっていることですから御答弁がいただけないのかなというふうに思うわけです。  しかし、この新しい法案でいえば、大蔵省金融検査監督庁が金融システムの維持について、最終的には大蔵大臣が責任を負い、検査監督については金融検査監督庁が検査監督をし、最終的な部分で大蔵省と協議をするということなのでしょうけれども、こういう事件が起こったときに、どういうふうにして国民の皆さん方に情報を公開していくのかということが大変に重要だと思うのですね。最後の最後まで協議だけしていて、破綻をしました、それでまた最終的なツケは国民に回りましたということでは、今までと全く一緒なわけです。  ですから、情報公開について、大蔵大臣に最後に、今後は、危ない銀行に関してはもう大蔵省もそんなに面倒見ずに、積極的に国民の皆さん方にお知らせをしていくのだ、それがマーケットのルールだというふうに御答弁をいただけますか、私が言ってしまったらまずいですが。
  204. 三塚博

    三塚国務大臣 検査は、検査目的、ただいま政府委員からも小生からも申し上げた視点で行います。よって、その報告ということになりますが、民間会社でもございますので、絶えずそのことは公表するという体制になっておりません。  それで、問題が起きた場合の再検査というのもあります。ありますが、これも、私企業ということで限界があることだけは、信用事業という観点からこれあり、なかなか熱弁を振るわれた委員の言うわけにはまいらないということを御理解ください。
  205. 川内博史

    川内委員 官房長官、大蔵大臣、ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。
  206. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、木島日出夫君。
  207. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  私は、五月九日に続きまして、野村証券の総会屋企業への利益提供事件について質問をしたいと思います。  野村証券が、九五年一月から六月にかけて、自己売買で得た利益を総会屋グループの代表の親族企業の口座に総額約五千万円ほど不正に提供していた事件、野村証券の元常務ら三人、総会屋兄弟が逮捕され、証券監視委員会も野村証券を告発したわけであります。  野村証券は、六年前の証券不祥事でも、広域暴力団稲川会幹部への巨額の資金提供、また、大企業など特定の大口顧客への約二百七十億円にも上る損失補てんを引き起こしている、証券業界トップの企業であります。  一連の不祥事を深く反省して、しかも証券取引等監視委員会がつくられたにもかかわらず、その監視委員会の目を盗むような形で、今回このような事件が内部告発をきっかけにして発覚したということは、私は、大蔵省証券行政の根幹に大きな欠陥があるということを示しているのじゃないか、この根本的なところにメスを入れなければ、これからもこういう不祥事は証券業界にも金融業界にも後を絶たないのじゃないかと思わざるを得ないわけであります。  そこで、総括的に大蔵大臣に、二点について端的にお伺いしたいのです。  一つは、今回の野村事件が示した証券会社とやみ勢力との癒着がこうも切れなかった理由はなぜかということ、大蔵大臣はどう見ているのかということ。そして二つ目は、この事件から何を教訓として大蔵省大蔵大臣は引き出そうとしているのか。この二つを、まず所管の最高責任者としての明快な答弁を求めたいと思います。──いや、大臣答弁を。総括的にこの大きな事件をどう見るかということです。
  208. 三塚博

    三塚国務大臣 それでは、基本的認識を申し上げさせていただきます。  今回の事件はまことに残念至極、遺憾なことであるとまず申し上げます。  特に、御指摘ありましたとおり、証券不祥事の反省を踏まえて、監督行政から事後的監視行政に切りかえる視点から監視委員会が設立をされ、常時監視体制の中にあったことは事実でございます。独立して事実認定をした上で、行政処分等を大蔵大臣に勧告するというシステムが確立をされており、行政としては、このシステムに従いまして、勧告を受ければ厳正に対処をしてまいる決意でございます。  また、不正があれば必ず摘発され、厳正に処分されることが極めて重要なことであります。このような事件を教訓として、日本版ビッグバンというべき金融システム改革の重要な課題として、監視体制の一層の充実強化など、透明で信頼のできる市場の確立に取り組んでまいることが重要なことであります。  証券業界とやみの癒着はどうだ、こういうことでございますが、今回強制捜査に相なっておるわけでございますから、そういう事実が明快になってくるであろう。監視委員会も、勧告を提出する段階になれば調査の内容等も報告があろうと思います。  一言でこの関係を言えば、前回の反省が全くなかったのかな、こういうことであろうと思います。
  209. 木島日出夫

    ○木島委員 反省すべきは、私は、事件を起こした野村証券だけではなくて、これを監視できなかった、見抜けなかった行政もやってもらわなきゃならぬと思うわけであります。  この総会屋グループが野村証券に食い込むようになったきっかけは、八九年に、総会屋が野村証券を初め大和、日興、山一、大手四大証券の株を三十万株ずつ取得して、株主総会で役員解任の提案権を持つ、そういう大株主になったからであります。その購入資金が事実上無担保で、第一勧銀から、そして関連のノンバンクから融資されたことが大問題、ああいう総会屋企業を育てたのは第一勧銀だったと言えるわけです。  八九年、四大証券の株百二十万株の購入資金三十一億円。九〇年、山梨県のゴルフ場、いまだにできていないゴルフ場をつくるということで、これは我が党の正森委員が法務委員会でも追及いたしましたが、全く担保価値ゼロに等しいものを担保にして三十億円の融資。そして九二年、追加融資二十億円。  そして、きょうの読売新聞の一面トップを飾っておりますが、九四年、これらの借り入れを返さないわけです、当然返すべき利息が積み上がっていきます、その利息を追加融資で六億円ノンバンクを通じて貸し出して、焦げつきという形を消す、こんなことまで第一勧銀がやったということが明らかにされ、今司直の手が入ったわけであります。  大蔵省大蔵大臣、なぜこんなことが第一勧銀によって行われ続けていたのか、真相の徹底的解明がなされることが求められていると思います。御答弁を。
  210. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、第一勧銀、本日強制捜査が入ったと報告を受けました。捜査によって事実は解明されるであろうと期待をいたしております。捜査中のことでございますから、私自身からこれ以上のことは申し上げません。  それと、証券監視委員会も野村事件ということで調査を進めておるわけでありますから、いずれ勧告が出るということでありますから、厳正に対処をするということであります。
  211. 木島日出夫

    ○木島委員 検察庁は法律違反で強制捜査に入ったわけであります。監督権を持つ大蔵省がどういう調査に入るか、これは全く別ですよ。  銀行法二十四条、銀行業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があるときは、いつでも大蔵大臣報告、資料の提供を求めることができる。二十五条、立入検査ができる。銀行法二十六条、業務停止処分ができる。二十七条、免許取り消し処分ができる。これは大蔵省の権限です。これは法律にも書いてあります、犯罪捜査のためと解してはならぬ。  これは何を意味するかというと、時効がないということですよ。犯罪捜査の方は時効の壁があります。それは捜査ができないかもしらぬですね。しかし、大蔵省はそんな時効の壁は何もないのです。行政目的達成のために徹底して、司法とは違う観点で入らなきゃいかぬのです。それを今、司法、司直が入ったから大蔵省は何も物が言えないなんという答弁は、私、納得できないですね。違う観点から、銀行法の観点から徹底して入るべきだ、そして、それを国会に報告すべきだと思いますが、答弁を求めます。
  212. 三塚博

    三塚国務大臣 第一勧銀のことを聞かれてもわかりません、今、何の報告もないわけですから。そういうことであります。
  213. 木島日出夫

    ○木島委員 今、五月のこの時点で何の報告もないから銀行法を発動しないというのは、本当に私は大蔵省は無責任だと思うのです。これまでもマスコミその他を通じまして、野村証券の総会屋企業への利益の不正提供事件の出発点にこの勧銀の不正融資があったということは報じられていますし、あなたの管轄下にある証券監視委員会がそれは摘発しているわけでしょう。  ここまで事実が明らかになっている今なお、銀行法に基づく第一勧銀に対する、不正融資事件ですよ、これの調査に入らないというのは、私は大蔵省は任務放棄していると言わざるを得ないと思うのです。はっきり、銀行法に基づく調査に入ると答弁してください。
  214. 山口公生

    山口政府委員 第一勧業銀行が総会屋の関係者に対して融資を行っていたこと等については、既に調査を指示しているところでございますが、その内容につきましては、大臣が申し上げましたとおり、現在捜査当局により捜査が行われているところでございまして、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにせよ大蔵省としては、捜査状況を見守りつつ適切に対処してまいる所存でございます。
  215. 木島日出夫

    ○木島委員 捜査当局に任せる、私は、銀行法の所管省大蔵省としては全く無責任だと思います。やはりそこに私は、大蔵省銀行業界との癒着というのを見ざるを得ないのです。  今回は、内部告発があって、野村証券のみが司直による、司法当局による捜査の対象にされておる。また、今銀行局長の答弁にありますように、大蔵省銀行法に基づく調査の対象にされています。しかし、同じ状況に大和証券、日興証券、山一証券の三証券会社も置かれていたはずであります。  証券監視委員会は、この三証券会社に対する検査、調査に着手しておりますか。その方針を持っておりますか。
  216. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答え申し上げます。  証券取引等監視委員会では、日ごろより市場取引に関するさまざまな資料と情報の収集、分析に努めておりまして、こうした資料等を総合的に判断することにより、証券市場の監視を行ってきたわけでございます。そういった中で、今回の野村の問題についても我々は事実の解明に努めてまいったわけでございます。  委員会といたしましても、今後とも証券会社を含めた市場参加者に対する徹底した監視活動を行い、証券取引法違反の疑いのある行為については予断を持つことなく調査を進め、取引の公正を害するような悪質な行為につきましては厳正に対処する所存でございます。
  217. 木島日出夫

    ○木島委員 質問に答えてください。  三十万株、それぞれ大和も日興も山一も、この小池なる総会屋関連企業に持たれたわけですね。それで、野村ではこういう事件が発覚してここまで来ているのです。この三証券会社に対する調査に入るかと聞いているのです。入る方針があるか。一般論じゃないです。
  218. 若林勝三

    ○若林政府委員 ただいまお答えいたしましたように、いろいろな資料、情報を収集しておりまして、そういった中で問題があれば厳正に対処するということでございまして、個別具体的にどういう証券会社にどういう対応をするかということについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  219. 木島日出夫

    ○木島委員 だから、問題があると認識しているのかどうかを聞いたのですよ。そこを答えてください。これだけの状況が出ているわけですから。
  220. 若林勝三

    ○若林政府委員 たびたび同じことで申しわけございませんが、資料、情報を収集いたしておりまして、そういった中で問題があれば厳正に対処するというふうにお答えを申し上げているところでございます。
  221. 木島日出夫

    ○木島委員 問題ないのですか。この企業が勧銀から融資を受けて、それぞれ三十万株ずつ、大和、日興、山一の証券会社から株を取得した。それでは、その証券会社と証券取引はどうか、問題ないのですか。
  222. 若林勝三

    ○若林政府委員 市場取引、いろいろなものがございます。そういったものを情報収集して、分析をして、その中から問題点があるかないかを我々としては検討して、あれば厳正に対処をする。あくまでも今そういった検討をするための資料、情報収集をいろいろな形ですべての問題についてやっておる、そういった中で問題があれば対応させていただくというふうにお答えをしておるところでございます。
  223. 木島日出夫

    ○木島委員 全く納得できませんが、次の問題に進みます。  今度の野村の問題で最も重大な問題は、VIP口座の問題だと思うのです。野村証券の酒巻前社長は、四月十八日の衆議院大蔵委員会の参考人質問に答えて、野村証券の口座数は約五百万件、その中でVIP口座は八千から九千と答えています。それが事実とすれば、五百万の中から一万弱を選び出すわけですから、どういう場合にVIP口座とするのかの基準が社内の内規としてあるはずです。それがなければそういうランクづけはできないはずであります。そして、報道等によれば、同じVIP口座の中でもランクづけがされているとさえ言われているわけであります。  大蔵省はその事実をつかんでいますか。その内容を明らかにすべきだと思いますが、答弁願います。
  224. 長野厖士

    ○長野政府委員 いわゆるVIP口座とは、野村証券が顧客管理の必要性から実施していた分類のことであると聞いておりますし、その性格につきましては、各支店その他でそれぞれ独自の基準でやっておるといった御報告が、御指摘の大蔵委員会におきます酒巻参考人の御答弁にあったかと存じます。  仮にVIP口座と名乗るにせよ、それから外れておるにせよ、証券会社の口座におきまして法令違反等不適切な行為が行われておれば、証券監視委員会等が適切に対処すべき問題であると考えます。
  225. 木島日出夫

    ○木島委員 この問題では、大蔵省は一貫してVIP口座がつくられたそのこと自体は何の問題もないという態度ですね。その口座の中で違法な証券取引があったらそれが問題なんだ、そういう態度です。そんな問題はもう国民に通用しないですよ。  ことしの三月十二日、野村証券株式会社が一定の声明文というのですか、発表いたしました。いろいろ述べられております。その述べられたことをそっくりそのまま、四月十一日の大蔵委員会で証券監視委員会の若林事務局長も長野局長も、今と同じような答弁を繰り返しているだけなんですよ。要するに、野村証券が三月十二日に発表したそのものを受け売りしているだけなんですよ。しかし、今VIP口座というのがあって、そこには大変な利益を与えているんじゃないかという疑惑はすべての国民が持っているわけですね。  なぜ五百万件の野村の口座の中から八千から九千人だけが選ばれてVIPの判こが押されたのか、どういう人をどういう基準で選び抜いたのかということ、その内訳は、政治家が何人で官僚が何人、そして特にいわくつきの文句ばかり言っているお客が何人、そういうことを徹底して明らかにして、そんなものは単なる符号ではない、そういう口座があること自体が不法な不当な利益提供の温床になるわけですから、それをあらわしているものだと思うわけですから、野村の言っているものを信じるのじゃなくて、本当にどういう基準でそういうVIPを属性を認定したのか、なぜVIP口座にその顧客を置いたのか、それをやはり徹底して証券監視委員会なり大蔵省は明らかにして、そういうものはやめさせるというのが、先ほど大蔵大臣が言った監視体制の充実ということになるんじゃないんでしょうか。  VIP口座があることそのものは何の問題もないな人という態度で、これに全くさわろうとしないこと自体が、こういう不正を野放しにすることになるんじゃないんでしょうか。大蔵大臣、どうですか。
  226. 三塚博

    三塚国務大臣 本件だけでそう決めつけられてもいかぬのではないでしょうか。証券監視委員会、少数メンバーで全力を尽くしてやっていることは、大蔵委員会でも申し上げたとおり、本委員会でも改めて申し上げます。必ずきっちりとしたことで本事件については勧告が出ることでしょう。
  227. 木島日出夫

    ○木島委員 直接金融たる証券市場で最も大切なことは、何といっても証券取引の公正の確保です。証券取引法の目的もここにあります。法一条に明記されています。証券業協会の目的もここにあります。法六十七条でも明記されています。公正に証券取引が行われるという、信頼されることが最も大事だ。  皆さん方、ビッグバンビッグバンなんて言って世界からお金をここに集めたいと思ったって、公正さ、そして公正らしさがなければ、お金が集まるはずないですよ。VIP口座なるものが存在すること自体が、私は、特定の顧客に対する特別扱いを前提としておる、そして特別の利益の提供を推測されるもの、許されるものじゃないと思うわけであります。  やはりどういう属性の顧客がそれに指定されたのか、何人ぐらいいたのか、そしてどういう取引が現実に行われていたのか、新規発行の転換社債やワラント債の配分に優遇がなかったのか、徹底した捜査を、調査をすべきだと思うのです。  VIP口座の中には、政治家、高級官僚、そのOB、財界人、地方有力政治家、司法関係者ら多くの名前が挙がっていると言われています。検察当局はもう口座をとっているわけでしょう。司法がここまでやっているのでしょう。私は、司法以上に、銀行法証券取引法所管である大蔵省こそが真っ先に行って、持ってくるべき性質の事件じゃないんでしょうか。  元参議院議員の糸山英太郎氏は、五月十六日付の読売新聞紙上でこう言っているのです。大変な指摘ですから、読み上げます。  「政治家は、みな金もうけが好き。株投資に走る国会議員も多かった。損が出た場合には、証券会社に「どうしたらいいのか」と迫る議員もいて、知っている範囲だけでも、証券会社による議員への利益供与が横行していた」「その手口は、新規公開株を割り当てる方法などが多かった」こうまで言っているのです。  そして、「不正な利益供与を受けた政治家の名前については「数十人はいるが、その名前を明かせば私の存在価値がなくなる」」ここまで言っているということが、日本で最大の部数を誇る新聞に書かれているのですよ。本当に重大な指摘ですよ、これは。真相の徹底的な解明が必要なんじゃないんでしょうか。  政治判断が求められていると思うので、まず官房長官、そして大蔵大臣、徹底したVIP口座に関する調査に入るべきだというこの指摘に対して答えていただきたい。
  228. 三塚博

    三塚国務大臣 それは見ております。  そういうことで、私どもは、法令違反行為、そして不適切な行為については、監視委員会、独立して職権を行使するわけでございます。よって、問題が明確になれば適正に対処をしていくことだけは、何回も申し上げておるわけです。
  229. 木島日出夫

    ○木島委員 幾ら大蔵大臣がそんなことを言ったって、VIP口座の存在そのものは問題ないなんという態度を大蔵省がとっている限り、これはだめだと思いますよ。そこに問題があるからこそ調査に入る、調査に入ったからこそいろいろな不当な証券取引法違反の証券取引の実態が見えてくるんじゃないんですか。そう思います。  では、証券監視委員会、調査に入るべきだと私は思います。遅くないから、もうきょうから、あしたからでも、検察に先に持っていかれましたが、このVIP口座そのものについて調査に入るべきだと思いますが、監視委員会、どうですか。
  230. 若林勝三

    ○若林政府委員 証券取引等監視委員会では、証券取引の公正の確保を図る、また市場に対する投資者の信頼を保持するということで、多角的な監視活動を実施してきておるわけでございまして、そういった中で、法令違反、ルール違反等の問題があれば厳正に対処してまいりたいと思うわけでございます。  今御紹介がありましたマスコミ報道等も承知いたしております。我々、そういったマスコミ報道等すべて貴重な資料、情報ということで収集をして、そういったものを含めて収集をいたし、分析をして、問題があれば対処するということでございます。
  231. 木島日出夫

    ○木島委員 政治家にかかわる口座の多くが仮名また借名だと言われております。証券監視委員会が発行している平成四年から八年までの活動状況、四冊あります。私、全部読んでみましたが、毎年の証券取引における取引名義の貸借、仮名取引の受託があったと指摘されています。  そこで、証券監視委員会に、平成四年に発足した委員会でありますが、年度ごとの証券会社に対する検査件数、発見された仮名取引の件数、それに対してとった措置の内容を手短に報告してほしい。
  232. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答え申し上げます。  平成検査事務年度における被検査会社数、四十九社でございます。同様に、五年度におきましては百四社、六年度におきましては六十四社、七年度におきましては九十九社、八年度におきましては六十一社、これは三月末現在の数字でございまして、六月末までまだ残っております、中途の段階でございますけれども、六十一社ということになっております。  そういった中におきまして、仮名取引につきましては、証券会社がこういった仮名や借名取引があることを知りながら注文を受託するということにつきましては、証券業協会のルールで禁止をされております。  そういったことで、委員会も、検査に当たりましてこういった点についてチェックをいたしておるところでございますが、何分その計数そのものを全体を集計しておりませんので、ちょっと把握しておりませんことは御了解いただきたいと思います。
  233. 木島日出夫

    ○木島委員 毎年の報告書で、仮名取引の受託があった、自主規制ルール違反だ、証券取引における名義等の貸借があった、自主規制ルール違反だ、ここまで指摘しているんですから、その数すらとっていないというのは、私は本当に、もっと徹底して調査もやり、その報告をこういう形で国会にしてもらわないといかぬと思うのです。  ただいまの監視委員会の調査件数を伺っておりますと、日本に大体二百数十社証券業者がありますから、三年に一回しが調査に入れないんですね。だから、まだできて四年ですから、言ってみれば野村証券にまだ一回しが調査に入っていないという勘定になるんです。  しかも、先ほど来指摘しておりますように、VIP口座が問題になっても、それが問題ないなんという態度では、これではやはり違法、不当は摘発できない。それが摘発できなければ、日本の証券業界、金融業界への信頼は回復されない。それが回復されなければ、お金は日本に集まってこないということにならざるを得ないんです。これは政治問題ですよ。そう思うんです。  今回の野村証券事件の、また第一勧銀事件の大きさにもかかわらず、重大さにもかかわらず、私は、政府、大蔵省が真相の徹底解明に非常に消極的だと思わざるを得ない。また、証券業界、金融業界に対して大変甘い姿勢に立っていると言わざるを得ないと思います。  証券界と政官界との構造的な癒着をしっかりと断ち切る、そして証券業界では、非常に嫌な言葉でありますが、ごみ、括弧つきです、扱いされてきた小口の一般投資家を守るためにも、私は、VIP口座をめぐる疑惑を初め徹底、厳正な捜査、調査のメスを入れることが求められていると思います。  そんな意味で、野村証券の元社長酒巻氏の大蔵委員会での参考人としての発言は、真実を語っていないと思います。既に当委員会で松本善明理事から証人喚問を要求しておりますが、ぜひ委員会におきまして酒巻英雄氏を証人として喚問されるようお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  234. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 時間超過ですが、発言をお許しいただきたいと思います。  本来ならば、本日の委員会の冒頭に発言を求めるべきことでございましたけれども、五月十六日の当特別委員会において、安住委員から、いわゆる野村証券のVIP口座について調査をすべきではないかとの質問があり、私から全閣僚に問い合わせをしたい旨の答弁を行ったところであります。  これを踏まえて各閣僚に問い合わせを行った結果、現在野村証券と取引を行っている閣僚は三名おります。それから、過去にあった者が二名。  野村証券は、いわゆるVIP口座とは顧客管理の必要性から実施していた分類であるとの説明をしているところであるが、いずれにせよ、三名の閣僚の取引の内容は、閣議において取引の自粛の申し合わせを行っている株式や転換社債ではなく、国債、公社債投資信託、中期国債ファンド等であり、特段の便宜が図られたという認識は全くないという報告を受けております。  ちなみに、内閣の発足当初において、株式の取引の自粛及び保有株式の信託について申し合わせを行っているところであります。  この指摘は、一旬刊誌と言っていいんでしょうか、それからの問い合わせと記事があったことでありますけれども、あえて、取るに足らないと言ってしまえばそうかもしれませんが、李下に冠を正さず、瓜田にくつをいれずという思いから、きょうは各閣僚の聞き取りを行った結果であります。  御報告を申し上げます。
  235. 木島日出夫

    ○木島委員 重大な報告をされましたが、もう時間が過ぎておりますので、今の問題については、後ほどまた私から質問させていただきたい、そのことだけ申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  236. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十九分散会