○五島
委員 きょうのこの
委員会の質疑というのは、通常行われる質疑とは種類が違うと思います。
厚生省が
医療保険制度の
抜本改革案について試案をお出しになった。これは決して政府原案としてまだまとまったものではないはずでございます。したがいまして、この出された試案そのものについて、ここにこういう欠点があるじゃないか、ああいう欠点があるじゃないか、こうしろというふうなことをここで
審議しても、実は余り
意味がないことなのだろうと思っています。
ただ、今回
厚生省がお出しになられたこの試案の中で、かなり
厚生省がこういうことはしたくないんだなということが透けて見える、そこのところが大変問題なのではないかということで、その点を
中心に少し御
意見をお伺いしたいと思っております。
また、先ほど来多くの議員が質問しておられました。かなり重複するところがございますので、重複を避けて
議論したいと思うわけでございます。
まず、
基本的な問題として、皆
保険制度を前提とした場合の
医療保険の
システムの問題につきまして、先ほど坂口議員の質問に対し大臣は、第一案が
改革案としてよりいいと思うのだけれ
ども、もごもごというお話でございました。確かに
厚生省の出しておられるのは、地域保険として
医療保険を総合化するか、第二案としてあるように、職域、地域、老人、この三つの
保険制度でやっていくか、これはだれが考えてもそういうような形になってくるだろう。
じゃ、地域保険としてやっていくときに何が一番問題になってくるか。これもまたこれまでもほかの議員からも御指摘がございまして、ほぼ共通認識なんでしょうが、じゃ、
保険料はどのように
設定し、どのように徴収していくのか。この点で、
所得の捕捉が非常に不公平であり、そのことの
問題点、あるいは国保の徴収率の低さ等々が問題になっているときに、もし地域保険にするならばどういう
制度があるか。そこのところを十分に
議論もしないままに、ぽんと国保のやり方そのままでいきます、これでは一体そこら辺の問題はどうなるんだろうかと疑問が出るのは当然です。
また、都道府県の地域保険にした場合に、これまでも政管健保等を通じて指摘されておりました
保険者機能の弱体なことが数々の問題を生んでいる、これは一体どうなるんだろうか。そこのところを十分に
議論した上で第一案が出されているのか。どうも第一案、地域保険ということについては、
厚生省は無理やりに、現在の国保の
仕組みしかないよ、都道府県一本だよということだけを言って、現実性の問題としてはそこを
検討することを避けておられるのだろうか、そう思わざるを得ません。
また、第二案として出されております職域の問題。これも
厚生省案だけで見れば、政管健保に対する千分の十三の税の投入を避けたい、そこのところでいわゆる職域保険間の調整でこれをもっていきたい。その気持ちは分かるのですが、じゃ、そうなれば職域保険としての一本化ということはあるのじゃないのか、あるいは
基本的なところについては一本化し、その上について各保険組合ごとに付加
給付という形で独自にやるということもあるのだろう、そういうようなことは
検討されたのか。それを
検討しないままに、税は入れないよ、だから共済も組合健保も政管健保を救ってやってくれ。これで果たして本当にうまくいくのだろうか、そういう疑問が出てまいります。
老人保健の問題にいたしましても、独立保険、私は別に独立保険で結構ですが、独立保険を七十歳以上、従来どおりのやり方で本当にいいんだろうか。退職者健保はそのまま存続する。どういう根拠でそうなっているんだろうか。職域、地域というのであれば、むしろ退職者健保については、職域保険あるいは国保それぞれが退職者健保の年齢の間は面倒を見るという一定期間の突き抜け方式も当然
議論されているはずだ。それはどうなったんだろうか。しかし、それは余りやりたくないから触れなかったんだろうか。七十歳というけれ
ども、七十五歳の後期高齢期に入ってくれば、介護保険が成立すれば非常に
医療費は固定的、安定的なものになってくる。それをあえて七十歳というところのまま残したというのは、この
高齢化という時代をどう見ておられるんだろうか。幾つかの疑問が出てまいります。
そういうふうな
基本的な疑問点が
検討された上で一案、二案というものが出されたのかどうか。まず、その点からお伺いしたいと思います。