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山本(孝)
委員 私の友人が岡山で保健婦をしておりますけれども、岡山は全部の市
町村に最低一人ずつは保健婦を配置する、これは知事の方針でそうなったそうでありますけれども、そういう形もしておりますので、ぜひ保健婦さんの役割、
高齢者介護の点でも大きいと思いますので、増員に取り組みをしていただきたいというふうに思います。
何点か要望を申し上げて最後に
大臣の御所見をお伺いをしたいと思いますけれども、京都市の児童
福祉事務所等では、児童の施設の
選択権を認める処遇をしております。ぜひこういう先例を踏まえて、この点を考えていただきたいということが
一つ。
それから、
子供たちにぜひ意見表明の機会を与えていただきたい。要望ですので、ぜひお受けとめをいただきたいというふうに思います。施設
利用者の権利のガイドブックというようなもの、欧米では随分つくられておりますけれども、こういうガイドブックを施設に入所する際に
子供たちに渡して、何らかの意見を表明したいときはということで、受取人払いの封筒のようなものを中に入れて、そして、施設長を通じないできっちりとした意見の表明ができるようなルートをつくってあげるということが大変必要ではないかというふうにも思います。
それで、養護施設の問題について、余り今回の審議では触れられませんでした。いろいろ論文を読んでおります中で、津崎哲雄先生の論文、「
社会福祉研究」に載ったものですけれども、大変に興味深い点がありまして、採決間近で皆さんお集まりですので、ぜひ、長文ですけれども読ませていただいて、御
検討いただきたいというふうに思います。
これは、オックスフォード大学のグドマンという先生が、一九九一年に日本に来まして、八カ月間、我が国の養護施設に関するフィールドワークを行って、欧州との比較において日本の養護施設を特徴づける問題提起を行ったというふうになっております。十四項目ありますけれども、読ませていただきたいと思います。
いわゆる欧米の国と比較しての日本の養護施設の特徴という意味でとらえる。
①児童の平均入所期間は何故そう長いのか。各施設間の入所期間に大きな違いがあるのは何故か。
②施設から里親や養子縁組に出される児童が何故そんなに少ないのか。
③施設職員は何故そんなに少ないのか。
④施設にヴォランティアが何故そんなに多いのか。
⑤多くの施設が施設祭・バザー・後援会に熱心になるのは何故か。
⑥民間施設の多くが同族経営であるという事実の意味(重要性)は何か。
⑦全般に条件や設備がより劣悪な民間施設ではなく、現在閉鎖されつつある施設に公立が多いのは何故か。
⑧親と子の権利の衝突をめぐる
法律上の争いが何故そんなに少ないのか。
⑨児童相談所のケースワーカーと彼らが施設措置した児童の関わりが欠落していることの意味は何か。
⑩児童
福祉施設における規制・体罰の問題に関する公の議論が実質上なされないのは何故か。問題が発覚しても
制度を変えるべきであるとうたう調査報告や提言が出されず、原因を個々の職員の
個人道徳に帰する
傾向が強いのは何故か。
⑪家族ソーシャルワークや家族
支援ケースワークがほとんど実施されていないのは何故か。
⑫養護施設長が日本の児童
人口全般の減少やその施設入所児童数への
影響をなぜそんなに心配するのか。
⑬単純に言うと、日本の児童
人口が劇的に減少しているのに、施設児童数が過去二十年間に非常に安定していた(約三万人)ことは、どのように説明され得るのか。
⑭
厚生省が措置として不登校児童を養護施設に入所させようとする意味は何か。
という十四の指摘を、欧州、ヨーロッパの養護施設との比較の中で、日本の施設を八カ月回ったオックスフォード大学のグドマン先生は指摘をしているわけですね。
厚生省にすれば、当たっている点も、あるいは当たっていないというふうに御主張されたい点もあるのだろうと思います。ただ、私、聞いておりまして、かなり日本の養護施設全般について当たっているのじゃないかと思いました。
今回、残念ながら、この審議の中で
保育問題等に意見が集中しているように思うわけですけれども、衆議院の厚生
委員会としては児童
福祉施設の見学に行く時間が若干ありませんでした。今、
理事会の協議の中では、ぜひ、この法案審議がきょう終わっても施設を見に行って、児童
福祉体系全般について考えていこうということを考えているわけです。
教護院と不登校問題についても随分取り上げられました。私、友人が北海道
家庭学校で働いておりますけれども、ぜひ教護院ということについてのイメージを変えていただきたい、ぜひ現場を見ていただきたい、現場を見てからこの児童
福祉施設をどうするのだということをぜひ考えていただきたいというふうにこの友人も言っておりました。ぜひ、施設全体をもう一度見直す中で児童
福祉施設の考え直しをしていかないといけないのじゃないかと思います。
特に施設の最低基準の問題について、一人二・四七平米という形で最低基準が設けられている、すなわち、六畳の部屋に四人を入れるという形になっているわけです。最低基準の中では、もちろん個室はありませんし、学習室も娯楽室も食堂もありません。こういう中で今、高校進学率、養護施設は六〇%というふうに聞いておりますけれども、こういう劣悪な生活
環境、学習
環境並びに大学へ進学するという夢を持てないという中において、一般の高校進学率が九〇%を超える中で、養護施設、ようやく上がってきたといってもまだ六〇%台の進学率しか持ち得ない、この点は大いに反省すべきだというふうに思います。
四八年にこの
法律ができて、今回、大
改正になるわけですけれども、この点は残念ながら
改正されていない。施設最低基準について、余り見直しに積極的でなかった
厚生省は大いに責められるべきだと思いますし、国会の側も、そういう
状況を放置してきたということについては率直に不明を恥じ、
関係者にわびなければいけないのじゃないかというふうにも思っています。
そういう点においても、ぜひ施設の現場を見るところからもう一度、この児童
福祉法についての体系全体を見直さないといけないのじゃないか。今回の審議は、そういう意味で、私は、残念ながら極めて不十分であったというふうに思っています。
厚生省としても、今後、審議会等を踏まえて政省令を定めていかれるというふうに思いますけれども、細部については、先ほどの法務省との協議であるとか、あるいは通知の内容をどうするのかという点も含めて、まだまだ
検討課題が残っているというふうに思うのですね。そういう意味では今回の
改正ですべてが終わるわけではなくて、さらなる見直しが必要であることは間違いない。
大臣に最後にお伺いをしたいわけですけれども、
法律は
改正をすればそれで終わりではなくて、問題があればいつでも
改正していけばいいではないかというのが
大臣の基本的なお考えだと思いますけれども、今回の児童
福祉法の審議を踏まえて、本当に五十年来の
改正、大
改正になっているわけですから、施行
状況を見ながら、期限を切るのはなかなか難しいでしょうけれども、三年
程度のところまでの間にはもう一度見直しを
厚生省としてもしていくのだ、その中で、
子供の権利をしっかり守っていきます、
子供の自立
支援もしっかりと応援していきますという姿勢を、最後、ぜひ
大臣からお伺いをさせていただきたいと思います。