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1997-05-23 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十三日(金曜日)     午後二時三分開議  出席委員   委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       伊吹 文明君    江渡 聡徳君       大村 秀章君    奥山 茂彦君       嘉数 知賢君    桜井 郁三君       桜田 義孝君    鈴木 俊一君       田村 憲久君    根本  匠君       能勢 和子君    桧田  仁君       松本  純君    青山 二三君       井上 喜一君    大口 善徳君       鴨下 一郎君    坂口  力君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       矢上 雅義君    吉田 幸弘君       米津 等史君    石毛 鍈子君       枝野 幸男君    瀬古由起子君       中川 智子君    土屋 品子君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省年金局長 矢野 朝水君  委員外出席者         文部省教育助成         局施設助成課長 玉井日出夫君         文部省体育局学         校健康教育課長 北見 耕一君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     桜田 義孝君 同日  辞任         補欠選任   桜田 義孝君     田村 憲久君     ――――――――――――― 五月二十二日  公的介護保障制度早期確立に関する請願(春  名直章君紹介)(第三〇二三号)  厚生省汚職の糾明、医療保険改悪反対に関する  請願石井郁子紹介)(第三〇二四号)  同(大森猛紹介)(第三〇二五号)  同(金子満広紹介)(第三〇二六号)  同(木島日出夫紹介)(第三〇二七号)  同(桑原豊紹介)(第三〇二八号)  同(児玉健次紹介)(第三〇二九号)  同(穀田恵二紹介)(第三〇三〇号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三〇三一号)  同(佐々木陸海紹介)(第三〇三二号)  同(志位和夫紹介)(第三〇三三号)  同(瀬古由起子紹介)(第三〇三四号)  同(辻第一君紹介)(第三〇三五号)  同(寺前巖紹介)(第三〇三六号)  同(中路雅弘紹介)(第三〇三七号)  同(中島武敏紹介)(第三〇三八号)  同(中田宏紹介)(第三〇三九号)  同(春名直章紹介)(第三〇四〇号)  同(東中光雄紹介)(第三〇四一号)  同(平賀高成紹介)(第三〇四二号)  同(不破哲三紹介)(第三〇四三号)  同(藤木洋子紹介)(第三〇四四号)  同(藤田スミ紹介)(第三〇四五号)  同(古堅実吉紹介)(第三〇四六号)  同(前原誠司紹介)(第三〇四七号)  同(正森成二君紹介)(第三〇四八号)  同(松本善明紹介)(第三〇四九号)  同(矢島恒夫紹介)(第三〇五〇号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇五一号)  同(吉井英勝紹介)(第三〇五二号)  医療等改善に関する請願浜田靖一君紹介)  (第三〇五三号)  同(小渕恵三紹介)(第三一二九号)  医療保険改悪反対建設国保組合の国の定率補  助削減反対に関する請願(辻第一君紹介)(第  三〇五四号)  医療保険患者負担大幅引き上げ中止に関す  る請願前原誠司紹介)(第三〇五五号)  公的介護保障早期確立に関する請願平賀高  成君紹介)(第三〇五六号)  同(古堅実吉紹介)(第三〇五七号)  医療介護の拡充に関する請願畠山健治郎君  紹介)(第三〇五八号)  同(藤木洋子紹介)(第三〇五九号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第三一三七号)  児童福祉法理念に基づく保育公的保障の拡  充に関する請願藤木洋子紹介)(第三一二  八号)  山西省残留犠牲者救済措置に関する請願(藤  木洋子紹介)(第三一三〇号)  児童を性的に搾取する行為を禁止するための児  童福祉法第三十四条の改正に関する請願藤木  洋子紹介)(第三一三一号)  療術の法制化に関する請願佐藤勉紹介)(  第三一三二号)  同(野田実紹介)(第三一三三号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願小野晋  也君紹介)(第三一三四号)  同(河村建夫紹介)(第三一三五号)  同(増田敏男紹介)(第三一三六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十二日  新薬の承認審査薬価決定見直しに関する陳  情書  (第三一九号)  障害者小規模作業所に対する国庫補助金制度の  改善充実に関する陳情書  (第三二〇号  ) 児童福祉法改悪反対に関する陳情書外一件  (第三二一号)  児童福祉法改正に関する陳情書  (第三二二号)  放課後児童対策事業法制化充実に関する陳  情書外三件  (第三二三号)  医療福祉との密着した公的介護保険の実現に  関する陳情書外一件  (第三二四号)  介護保険制度に向けたサービス基盤整備に係る  市町村に対する財政支援充実に関する陳情書  (  第三二五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  児童福祉法等の一部を改正する法律案内閣提  出第七一号)(参議院送付)  廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第八〇号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島豊君。
  3. 福島豊

    福島委員 厚生委員会審議が非常に長く続きまして、予算委員会審議時間を超えたということで、今国会は大変充実した委員会審議をさせていただいているなと思っております。まだ二本ございますので、しっかりと審議をさせていただきたい、そのように思っております。  児童福祉法改正案でございますが、まず、この法改正趣旨目的は何かということをお尋ねしたいと思います。  今回の法改正は、久方ぶりの大改正であるというふうにも最初伺いました。二十一世紀の少子・高齢社会を目の前にしまして、さまざまなことが問題になっております。お母さん方におかれては、育児不安を持つお母さん方がふえている。そしてまた児童虐待の問題、これも最近増加している。さらには、いじめ問題でありますとか、子供を取り巻く病理現象とも言っていいような事柄が増加しているのが今の状況ではないかと思います。  その中にあって、二十一世紀を担う子供たちをいかに健やかに育てていくのか、そしてその環境をどう整えていくのか、本来はそうしたことが児童福祉法の最大の目的だと思うわけでございますが、こういったことを踏まえまして、今回の法改正の御趣旨また目的につきまして、大臣から御説明をいただきたいと思います。
  4. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今回の法改正趣旨目的いかんというお尋ねですが、具体的に言いますと、主な点は三つあると思います。  まず第一には、就労形態多様化等により、保育需要多様化している状況に適切に対応し得るよう、保育所に関する情報に基づき保護者が希望する保育所を選択できる仕組みに改めること、これが第一点。二点目には、児童虐待、いじめの増加等児童をめぐる問題の多様化複雑化に適切に対応し得るよう、児童福祉施設名称機能を見直すとともに、地域における相談指導体制整備等を図ること、これが第二点。三点目には、母子家庭の自立の促進のため、母子寮名称機能見直し母子家庭就労促進など施策の充実を図ること。  これらを主な内容としておりまして、子育てしやすい環境整備を図るとともに、次代を担う児童健全育成支援する、これが今回の主な趣旨であり、目的であると私は考えております。
  5. 福島豊

    福島委員 今の大臣の御説明でございましたが、参議院での審議を私はずっと読ませていただきまして、なかなかよく理解できない点がございました。それは、今回の法改正というものが、今大臣が掲げられた三つのポイントがあるということでございますが、健やかに児童が育つ環境というものを整備するためにどの程度効果を果たして持つのか、そしてまた、子供のさまざまな病理現象に対して今回の児童福祉施設の体系の転換というものがどの程度影響があるのか、効果があるのか、この点について、実は審議の中でさまざまな答弁を拝見いたしましたけれども、よく理解できませんでした。これは御答弁を求めようと思いませんが、具体的な点について、後ほどお聞きしたいと思います。  そしてもう一つ、私がよく理解できなかったことは、厚生省最高責任者である大臣が、少子化問題というものに対して一体どのように取り組もうとしているのか、どのようにこれを解決しようとしているのか、その大臣の意欲といいますか、私は大臣答弁の中から余り感じることができませんでした。  例えば、大臣はこのような答弁をされておられます。少子化問題に対してどうするのか。  この問題は幅広くいろんな方の意見を聞いて、少子化時代にどう対応するか、またお子さんを持っている方に対して育てやすい環境をどうやって支援していくか、息の長い問題だと思います。 どうも非常にのんびりとした、こう言っては大変失礼でございますけれども、御答弁のような気がいたしたわけです。具体的にこうしますよ、これが柱ですよという御答弁になっておらない。  先日、東京商工会議所が「「少子化対策」に関する提言」というものを提出いたしました。この中ではこういうことが言われております。  少子化対策が将来の社会的費用を支える若年層を増やすための対策であることに鑑み、政策トップ・プライオリティとして位置づけ、これに新たな財源の優先的投入を行うことも、国民の理解を得られよう。 政策トップ・プライオリティーである、私もそのとおりだというふうに思います。  大臣参議院審議での御答弁では、いろいろと意見をお聞きしながら息長く考えていきましようというような印象を受けたわけでございますが、改めまして、大臣に、この少子化問題にどのように取り組んでいくのかということにつきまして、御見解また御決意をお聞きしたいと思います。
  6. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、少子化問題という重要性は私なりに認識しているつもりでありますが、少子化になったから、大変だ、何かすぐ手を打てということに対して慎重だと言っているのです。  少子化の問題は厚生省だけの問題ではない。なおかつ、今の時代に、産めよふやせよ、子供をふやせばいいというものじゃない。少子化に対応して、これから高齢者なり女性の方々に社会に参加してもらう方法考えなければならない。そして、少子化の問題というのは原因が一様ではありません。  そういうことにかんがみて、今少ない、さあ早く何かやれという問題ではないのじゃないか。重要性は認識しながらも、その原因対策、これはもっと幅広く、厚生省だけの問題じゃないから、幅広く意見を聞いて、総合的な視点から対策を打った方がいいのじゃないか。それじゃ、何で具体策をやるかと。これは、今すぐ何か気づいて思いつきでやるべき問題じゃないということを言いたいがために、とり方によっては何を悠長なというとり方をされるかもしれませんが、そんな単純な問題じゃないということを言いたかったわけであります。
  7. 福島豊

    福島委員 大臣のおっしゃることはよくわかりました。総合的な観点から、衆知を結集して、しかし、着実に取り組んでいただきたい。すぐにどうこうできるという話ではないかもしれません。こういう政策をしよう、こういう方向でいこうといいましても、それはスタートしてから実際に効果が出るまでには恐らく相当時間のかかる大きな問題なんだというふうに思うのです。そういう意味で、私の申し上げたいことを御理解いただきまして取り組んでいただきたい、そのようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、今回、保育所あり方が大きく変わるわけでございます。措置制度から選択制への転換、これは、保育に対してのニーズがさまざまに多様化している、また、就労形態もさまざまに多様化している、そういう社会状況変化というものを踏まえて当然のことであるというふうに御説明をいただいております。  参議院でも繰り返し質問がございましたが、今回の制度転換によって国の保育に対しての責任が後退するのではないか、そのような懸念があります。また、財政状況が大変に厳しい、そういうことを踏まえますと、過去にも保育に対しての公的な負担が大幅に減らされたときもあったわけでございまして、私は、今後の動向の中で一体どうなるのかなと率直に心配いたしております。この点につきまして、改めて御確認をいたしたいと思います。
  8. 横田吉男

    横田政府委員 今回の改正におきまして、保育所への入所方式というものを、従来の行政処分による措置方式から申し込みによる利用契約型の方式に変えることにしているわけでありますが、これに伴いまして、市町村責任におきましても、現行同様、申し込みがあったときには保育サービス提供義務を負うことになっております。また、費用負担の面におきましても、市町村保育所運営費を支弁することといたしておりまして、国といたしましても、その一部を国庫負担という形で負担するということで公的な責任を果たすことにしているところでございます。  財政状況、大変厳しい折ではございますけれども、保育に対する公的負担が後退しないよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  9. 福島豊

    福島委員 後退しないように努力するということで、参議院でもたびたび御答弁がございます。ただ、大臣からは「保育予算というものをどうやって重点的に配分していくかというのが今後厚生省としても大変頭の痛い問題であります。」と、これは大変率直な御意見だろうというふうに思います。  財政構造改革の中で聖域なき見直しを行う、そしてまた、医療に関しましても年金に関しましても一定の削減を行うという方針であるようにも、新聞報道を通じまして伺っております。となりますと、当然、保育予算につきましても同様の対応が必要であるという声が、この一、二ケ月、財政構造改革という議論の中で浮かび上がってくるのではないか、そのようにも思うわけでございます。  財政構造改革への取り組みという点から、この保育予算聖域である、別だという話になるのか、そうじゃないですよ、一緒ですよという話になるのか、そのあたりの点につきまして、努力されるという御意見は非常によくわかりますけれども、いま一度御見解をお聞きしたいと思います。
  10. 横田吉男

    横田政府委員 財政構造改革との関係でございますが、会議の「基本的考え方」におきまして、「あらゆる長期計画について、その大幅な縮減を行う。」とされております。この点につきましては、私ども、現在進めております緊急保育対策等五か年事業につきましても例外ではないというふうに理解しております。  しかし、少子化が進行する中で、子育て就労の両立を図るという喫緊の課題を考えますと、大変厳しい財政状況ではございますが、私どもといたしましては、種々工夫を図ることによりまして、平成十年度予算に向けて適切に対応していくよう努力してまいりたいと考えております。
  11. 福島豊

    福島委員 聖域なき見直しというのも大変大切だと思いますが、しかしそれは、一律にカットすると、これはみんな痛み分けということで話はまとまりやすいのかもしれませんけれども、決してそうであってはならない。見直しをするのであれば、将来に結びつくような見直しでなければいかぬ。この子育ての問題というのは、まさに将来を支える一番根っこになるわけですから、そういう意味では、私は、今局長から御答弁ありましたように、大事にしていただきたい、そのように思います。  次に、保育料変化につきましてお聞きしたいと思います。  今回の制度転換によりまして保育料が高くなるのじゃないか、そういう心配が国民の間にはあります。率直に言いまして、保育料水準、またそれを今後どのように、ある程度中期的にわたりまして決めていくのかということにつきまして、政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  12. 横田吉男

    横田政府委員 今回の改正によりまして、保育料負担方式につきましては、申し込み方法利用契約方式に変わるということでございますので、それに対応いたしまして、年齢別保育コストというのを一つ基礎といたしまして、家計への影響等も考慮しながら、将来に向けてできる限り差の少ない、均一的な保育料にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  ただ、現在、保育料の額というのは、十段階年齢別区分段階でございますが、分かれておりまして、これを一挙に均一化するということになりますと、低所得階層等に対して減免措置を講じるにいたしましてもなお、上の方は下がるわけでありますが、平均より下の方につきましてはかなりの上昇もするという御意見もございまして、私ども、当面この十段階を、できるだけ急激な負担増が生じないように、簡素化する形で実施してまいりたいというふうに考えております。  なお、十年度予算におきまして、具体的にはこれから検討することになっております。
  13. 福島豊

    福島委員 最終的には均一な保育料にしたい、応能負担から応益負担ということで均一な負担にしたいということでございますが、いきなりそれをやると大変国民の反発もある、今回は激変緩和ということで七段階にいたしましたという御答弁であろうかと思いますけれども、これはどのぐらいのスパンで、時間をかけてそういう形に持っていこうとするのか、その点についてはどうお考えなんでしょう。
  14. 横田吉男

    横田政府委員 これは、私ども、今申し上げましたように、現行段階のものをできる限り急激な負担増が生じないような形で、徐々に均一的な方向に持っていくことが必要ではないかというふうに考えておりまして、現時点でこれをいつまでに行うのかというところまでは、まだ明確に考えていないところでございます。
  15. 福島豊

    福島委員 また、原理的なことでございますが、応能負担から応益負担に変える、これは老人福祉の世界でも私はそうだと思いますけれども、果たしてそれがいいのだろうか、果たして国民はそれを望んでいるのだろうかということなんですね。  私は、実際に、保育料負担というのは、大変重荷に感じている方も多いと思います。応益負担の方が公平なんだという議論は一面的な議論じゃないかと思います。この点については、局長はどのようにお考えですか。
  16. 横田吉男

    横田政府委員 この保育制度がつくられましたのは戦争直後でございまして、そのころの保育所を利用される方と申しますのは、所得税課税世帯というのは全体の二割程度でございまして、八割の方は所得税非課税世帯というような、どちらかといいますと、夫婦共働きでないとなかなか生活が大変というような方たちが多かったと思います。  現時点におきましては、これがその後、共稼ぎ世帯一般化等に伴いまして所得水準も向上して、逆に八割近くの方が所得税を納める方に回っているということでございまして、現行保育料に対しては、上の方の世帯の方につきましては、かなり保育料負担が、保育単価全額が取れるということになっておりますので、高いという御批判をいただいております。また、所得捕捉率等もございまして、負担不公平感というようなものもかなり強く言われているわけであります。  私ども、こういった戦後五十年における変化を踏まえまして、このたび、入所方式利用契約方式に変えることに伴いまして、保育料につきましても、保育コスト基礎として、同じ保育サービスを受ける場合には基本的には同じ保育料をいただくというのが適当ではないかという考え方に従って、先ほど御説明申し上げましたような保育料の決め方というものを考えた次第でございます。
  17. 福島豊

    福島委員 しかし、そのように局長おっしゃられますけれども、例えば先ほどの商工会議所の行いましたアンケートでも、経済的な支援策を求める声というのは、実際には半数近くの人が子育てにかかわって経済的な支援を求めている。大変だということだと思うのですね。そういう状況を踏まえて、なおかつ均一にするということが公平なんだというのは、やはりどこか強引なような気がいたします。そういう意味では、均一化を図るといいましても、国民の声を聞きながら慎重に取り組んでいただきたい、私はそのようにお願いいたしたいと思います。  続きまして、保育所の今後のあり方ということでございますが、今回、選択制ということでいわば市場原理が持ち込まれたわけでございます。その中にあって、今後、保育を担うものは、公的な保育所が担うべきなのか、それとも民間保育所が担うべきなのか。それは福祉サービス全般に言えることでございますが、公的なサービスの供給がいいのか、民間がいいのか、これは大きな議論だろうというふうに思うのです。  中長期的に見て、保育サービスというものを担う主体は、民間が担うべきなのか、それとも公的に担うべきなのか、この基本的なことにつきましての厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  18. 横田吉男

    横田政府委員 最近、少子化が進んでおりまして、そういった中で、保育所につきましては、全体として減少傾向にございます。その中で公私別比率を見てみますと、民間の方は若干増加しておりますが、公営の方は減少しているというような状況にございます。  私ども、運営主体について公民の比率をどうしていくかということにつきましては、団体委任事務でございますので、保育事業実施主体である個々の市町村において決められるべきものだと考えておりますけれども、今回の制度改正によりまして選択方式を導入するということによりまして、保育所におきましては、利用者から選択されるようになるということでございますので、そういったことを通じて、保育ニーズに合った保育サービスを提供するところが選択されるようになるというふうに考えております。
  19. 福島豊

    福島委員 選択制の導入ということでございますすが、その一つの理由は、実際に、保育所の数そしてまた定員、充足率は八二%である、十分選択が可能であるということが一つの根拠になっているかというふうに思います。しかし、実際、私は都市部の出身でございますが、都市部におきましては、特に低年齢児保育に関しましては非常に待機児が多い、なかなか入れない、そういう不満の声も、地元に帰りますと多く耳にするわけでございます。都市部待機児の数は、四万人を超えるような待機児がおられる、東京、愛知、大阪等では三、〇%から四〇%の待機率である、そのようにも伺っております。  今回、選択制を導入するというわけでございますけれども、本当にこの選択制理念というものを現実に実現するためには、過疎地はともかくとしまして、都市部におきましては、さらに保育サービス充実というものを図っていかなければいかぬのじゃないかという話になろうかと思うのです。  都市部待機児の解消というものをどのように今後進めていくのかということにつきまして、御見解をお聞きしたいと思います。
  20. 横田吉男

    横田政府委員 現在、全国的な入所率というのは八三%程度ということでございまして、供給過剰な状態にあるわけでありますが、先生御指摘いただきましたように、大都市等におきましては低年齢児の待機者がかなりいるのが実態でございます。  ただ、東京都における状況等を見ましても、現実には、一万人ほど待機者がおりますが、実は二万人ほどあきがございます。こういったミスマッチというものがどうして生じるのか、さらに地域に分けて詳しく見ていく必要があるのではないかと思いますが、こういった状況を精査することによりまして、できるだけ待機児が現在の受け入れ状況、供給体制の中でも入所できるような指導を私どもしていかなくてはいけないというふうに考えております。  また、大都会におきましては、新しく保育所等をつくるにつきましても、用地の確保、コスト高といった問題もございまして、なかなか現実にはつくりにくいという状況にもございます。そういう状況に対応するために、例えば、今まで小規模保育所整備等を特例を認めてやってきておりますが、さらに設立しやすくするというようなことで、分園方式の導入等も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  21. 福島豊

    福島委員 大変なミスマッチがあるということのようでございますけれども、今後、さらに精査をしていただきまして、選択制になってもちっとも選択ではないではないかというような事態がないようにお取り組みをお願いしたいというふうに思います。  次にお尋ねしたいことでございますが、無認可保育所のことにつきましてお聞きをいたしたいと思います。  昭和五十六年に「無認可保育施設に対する当面の指導基準」ということをもって指導してこられておりますけれども、まだまだ多数の無認可保育所というものがあります。それは、認可される水準整備ができないようなさまざまな事情があってそのままでとどまっているのかなというふうにも思います。  今回の選択制の導入ということでございますけれども、中期的に見まして、こういった無認可保育所というものをどうしていくのか。例えば、基準を弾力化して認可に持っていくというのも一つ考え方ではないかと思いますし、この点につきましてはどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  22. 横田吉男

    横田政府委員 先ほども申し上げましたように、全国的に見ますと、保育所二万二千四百五十ほどございまして、定員百九十万人に対して百六十万人の入所ということで三十万人ほどのあきがあるわけであります。こうした中で、私ども、できるだけ質の高い保育サービスを安定的に提供していくということを考えますと、今後とも認可保育所を有効に活用していくのが基本ではないかというふうに考えております。  ただ、今御質問のございました無認可保育施設につきましても、いろいろなニーズから現実にかなりの数が大都会中心にございまして、そういった無認可施設につきましても、今後における基準の弾力化、あるいは単独で認可保育所への移行が可能なものについては認可保育所に移っていただきますとか、あるいは分園方式、本来の認可保育所の分園になるというような形の導入等も含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  23. 福島豊

    福島委員 一点追加して、これはちょっと通告しておりませんので恐縮なのでございますが、今回の法改正におきまして、保育所の情報公開、情報開示ということが言われているわけでございますけれども、無認可保育所に関しましても同じようなことが指導されるような形になりますでしょうか。
  24. 横田吉男

    横田政府委員 法律上、無認可保育所につきまして情報公開を義務づけているわけではございませんけれども、私ども、認可保育所にある程度準じまして情報公開が行われるような指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  25. 福島豊

    福島委員 次に、保育所の最低基準ということにつきまして、まだまだやはりこれはいろいろな意見があると思います。  例えば保母さんの数にしましても、もっと数をふやした方がいい、諸外国に比べるとまだ少ないのではないかというような意見もございます。そしてまた、一人当たりの面積にしましても、近年の住宅環境というのは着実に改善をしてきているわけでございまして、そういったことを反映しまして、さまざまな規制、基準を弾力化するといいましても、最低基準を引き上げるような、質的に改善されるような方向でこれは取り組むべきではないか、そういう御意見もあるわけでございます。この点につきましての御見解をお聞きしたいと思います。
  26. 横田吉男

    横田政府委員 今回の改正に伴いまして、保育所の最低基準をどうするかというのが次の課題になるわけでございますけれども、私ども、基本的には、時代の要請にふさわしいあり方について検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。  ただ、一律の改善、上に加えるということになりますと、その分、保育コストの方にはね返りまして、これは最終的には保育料の増にもつながるというような問題もございますので、できる限り効率的な、質の高い、なかなか相反するようなことでございますけれども、それを目指しながらこの問題についても取り組んでいく必要があると考えておりまして、法改正後、中央児童福祉審議会等の意見も聞きながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  27. 福島豊

    福島委員 都市部におきましては土地も高いわけでございまして、広げようと思ってもお金がかかる。いろいろなことをするのにお金がかかる国だなとつくづく思うわけでございます。しかし、児童の施設というものにつきましても、老人の施設に比べると、老人の施設は随分立派だけれども児童の施設は立派じゃないという御意見もあるわけでございまして、やはり私は、公的な支援も必要ではないかと思っておりまして、前向きなお取り組みをお願いしたいというふうに思います。  次に、特別保育のことにつきまして、延長保育でありますとか、低年齢児保育でありますとか、一時的保育ということでございますけれども、今回、選択制の導入ということでございますが、こうした特別保育につきましても選択制が導入されるような状況になるのかどうか、その点につきましてはどのようにお考えでしょうか。
  28. 横田吉男

    横田政府委員 延長保育につきましては、現在、六年度に作成いたしました緊急保育五か年事業におきまして推進を図っているところでございますが、現在の延長保育制度につきましては、一つは、これが市町村事業であり、市町村の認可を必要とするということもありまして、各保育所が実施したいと思ってもなかなか認可が得られないというような保育所サイドからの御批判もございます。また、利用者サイドといたしましては、あらかじめ一年を通じてどのような延長保育のパターンを選択するのかというようなことについて申し込みを行わなくてはいけないということで、残業等できょうは特別に一、二時間おくれるといった場合に延長したい、利用したいと思ってもなかなか利用できないというような御批判もいただいているところであります。  私ども、今回の改正において、保育所を選択できるような仕組みにするということでございまして、そういった意味で各保育所の創意工夫が一層促されることになるという点を通じて、利用者ニーズに即した保育サービスの提供という点について各保育所がさらに努力していただくようなことを期待しているところでございます。  また、延長保育制度そのもののあり方につきましても、今言ったような批判もありますし、また、現行の方がいいという御意見もございますので、十年度予算編成に向けまして、改めて審議会での御意見も伺いながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  29. 福島豊

    福島委員 御確認でございますけれども、今は一定の予算がありまして、その中で指定されたところがやっているということでございますね。ですから、その枠を外してしまう、また、保育所との個々の契約というようなことで保育料の設定はどうなるかわかりませんけれども、そういう形に最終的には持っていきたいというように考えてよろしいのでしょうか。
  30. 横田吉男

    横田政府委員 一つ考え方といたしましては、通常の保育の方に公的資源を重点配分いたしまして、延長保育については各施設が自由に実施する、認可も、届け出ぐらいは要るかどうかあれですが、各施設の判断においてできるようにする、料金につきましても自由料金、直接契約制というようなものが一つ考え方としてあることは事実でございます。  ただ、これにつきましては、それではそういった場合に保育料はどの程度になるのかとか、人員体制はどうするのかといろいろな問題もございますし、現行の補助金制度を維持すべきだという御意見もあるわけであります。私ども、両々踏まえまして、十年度に向けてこのあり方考えてまいりたいというふうに考えております。
  31. 福島豊

    福島委員 お母さん方の要望に合わせて的確な対応をしていっていただきたい、そのように思います。  また、延長保育からさらに遅くなりまして、夜間・深夜労働に従事する方の保育ということですね。私は医者をしておりましたから、看護婦さんは深夜勤務ということが多々あるわけでございまして、そういったときの保育というのはなかなか大変なわけでございます。全国でも夜間保育を行っているところは四十カ所である、参議院審議の中ではそのように出ておりましたけれども、この点につきましてもさらに拡大をしていく必要があるのではないかというふうに考えるわけでございますが、御見解をお聞きしたいと思います。
  32. 横田吉男

    横田政府委員 看護婦など、常に夜間仕事をしなくてはいけない方の児童保育につきましては、これを、通例昼間の保育を主眼としております一般の保育所において全部カバーするというのはなかなか難しいのではないかと私ども考えております。  したがいまして、従来より、こういった特殊なニーズにつきましては、事業所内保育事業ということで助成等を行ってきておりまして、現在、三千四百カ所ほどございますが、うち二千カ所ぐらいは病院の院内にできている事業ということでございます。  また、夜間保育所というのは全国で三十八カ所設立されておりますけれども、私どもといたしましては、事業所内の保育施設と相まちまして、夜間における保育需要への対応ということで、こういった夜間保育所整備につきましても積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  33. 福島豊

    福島委員 現状についての御報告がございましたが、潜在的なニーズを発掘してさらに対応を進めていっていただきたい、そのように私は要望させていただきたいと思います。  次に、保育所の問題から離れまして、今回の法改正一つのポイントであります放課後児童健全育成事業についてお聞きをいたしたいと思います。  これまで自治体の取り組みとして進められてきたわけでございますが、今回、法定化される、福祉事業の中に位置づけられるということでございますけれども、その趣旨目的につきまして御説明をまず初めにいただきたいと思います。
  34. 横田吉男

    横田政府委員 小学校低学年の児童につきましては、これは普通の保育と違いまして、終日保育を必要とするわけではないわけであります。したがいまして、私ども、保育としてやっております制度の対象にはなっていないわけでありますけれども、小学校低学年、何かと一人にしておくのは心配であるというようなこともあるかと思いますし、そういった児童健全育成を図るという観点から、平成三年度から放課後児童クラブ事業という形で推進してきているわけであります。  今回の法制化につきましては、この放課後児童健全育成事業児童福祉法上に明確に位置づけまして、市町村等におきまして相談、助言に乗るとか、その活用についても御努力いただくような規定を置きますとともに、社会福祉事業としても位置づけまして、最小限の規制が加わりますけれども、それに伴う優遇措置も受けられるようにいたしまして、事業の一層の拡大を図っていきたいというような趣旨でございます。
  35. 福島豊

    福島委員 今回法定化されたということは、それだけ、大切なことである、必要なことであるということで、真正面からお認めになったということだろうというふうに思うのです。  全国でも三分の一の市町村でしかまだ行われていないということでございまして、これがより速やかに行われますような取り組みをお願いしたいと思っておりますけれども、なかなか実施する場所がないというような御意見も地元ではお聞きいたします。学校の空き教室をもっと使わせていただければと思ったりもいたします。本日は文部省にはおいでいただいておりませんけれども、施設の有効な利用ということにつきまして、省庁間の縦割りということがあるかもしれませんが、私は、文部省の方にもより強力に働きかけていただきたい、そのように思っております。  そして、またもう一つは、この放課後児童健全育成事業につきましては、地域で既にさまざまな取り組みがあるわけでございます。例えば、私の地元におきましては、触れ合い事業というようなことを地元の自治体では行っております。これは、全校の生徒を対象として、むしろ年齢の異なる子供さんたちの交流、触れ合い、そういうものを図ろうということで、いわゆるかぎっ子ということだけでなくて、範囲を広げたような形で取り組んできているわけでございます。  先ほども局長おっしゃられましたように、児童の健全な育成という観点からは、かぎっ子に限る必要はなくて、もっと広げるという事業あり方が当然あってしかるべしてはないかというように思うわけでございますが、こうした従来からの自治体の取り組みにつきましては、これをそのまま尊重して認める、そのように考えてよろしいのかどうか、御見解をお聞きしたいと思います。
  36. 横田吉男

    横田政府委員 放課後児童健全育成事業が行われておる場所につきましては、現在でも約四割が学校の空き教室等を使われておりますし、あとは児童館等がかなりのウエートを占めているというような状況でございまして、私ども、地域の実情に応じてできるだけ多様かつ柔軟に行われるようにいたしたいというふうに思っておりますし、文部省等ともこの点につきましては十分連携をとってまいりたいというふうに考えております。  それから、現在、各種さまざまな形で行われているこの事業法制化に伴ってそのまま尊重されるのかということでございますが、この点につきましても、私ども、法制化して届け出等が必要になりますけれども、実施主体、実施形態等、それぞれの地域に応じましてできるだけ柔軟にできるような対応を図ってまいりたいと考えております。
  37. 福島豊

    福島委員 そして、もう一点でございますが、財政的な支援ということですね。これは通告いたしておりませんけれども、例えば指導員の方の給与もなかなか十分に払えないというような声も地元ではお聞きいたします。この点につきまして、法制化された、前向きに取り組んでいく、しかし、前向きに取り組んでいくといいましても、やはり財政的な基盤というものが必要ではないかというふうにも思うわけでございます。  大変に財政的に厳しい状況でございますが、前向きな取り組みをお願いしたいと思うわけでございますが、御見解をお聞きしたいと思います。
  38. 横田吉男

    横田政府委員 この放課後児童健全育成事業、現在、八千六百カ所で行われております。ただ、市町村数で見ますと全市町村の三分の一、一千ちょっとというところでございまして、地域によってかなりのばらつきがございます。これは、各地域における児童館の設置状況でございますとか学校の開放度などの違いもありますし、地域によっての必要度の違いというようなものもあるのではないかと思っております。  私ども、この事業につきましては、市町村事業として行われているもので、一定人数以上いるような健全育成事業につきましては、従来から国庫で助成を行ってきておりますが、これは今後とも続けてまいりまして、その数の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。
  39. 福島豊

    福島委員 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、保育所機能が今回付加されまして、さまざまな形で、地域での相談でありますとか指導でありますとか、そういう機能も付加されるという形になるわけでございます。私は、この地域社会子育て支援あり方というものに今真剣に取り組むべきではないかというふうに思っております。  といいますのも、地域において、かつてのような共同体というようなものがだんだん空洞化していっている。そしてまた核家族化している。お母さん方は、自分の子供と二人向き合って一日を過ごしていて、その中で育児の不安というのが生まれてくる。かつてであれば、大家族の中で、育児ということに対して、自分の親からどう育てるのかということについて細かなアドバイスを受けることもできたわけでございますが、なかなか今の社会はそうはいかない。また、隣のおばちゃんに聞くわけにもなかなかいかない。そういう状況になっておると思います。まさに、地域の子育て力といいますか、地域の教育力という言葉もありますけれども、子育てをする力というのがだんだん薄くなっていっているのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味では、子育て社会的に支援するという観点から、どのような地域対策をするのかという包括的な取り組みが必要ではないか、そのように考えるわけでございます。この点につきましての御見解をお聞きいたしたいと思います。
  40. 横田吉男

    横田政府委員 先生御指摘になりましたように、最近における核家族化あるいは共働き世帯増加等、いろいろございまして、地域における子育て機能が低下しているというようなことがあるかと思います。私ども、こういった地域における子育て支援という点につきましては、緊急保育対策等五か年事業におきましても、保育所に地域子育て支援センターというものを設けまして、その整備を進めてきているところでございます。  今回の改正におきましては、この地域子育て支援センターを設けているところ以外の保育所におきましても、地域の乳幼児等の保育に関する相談に応じるような努力規定を置いております。また、放課後児童クラブ、放課後児童健全育成事業というのも、そういった意味での一つ対策かと考えておりますし、さらに児童家庭支援センターの整備も図ることにいたしておりますけれども、これも、地域の身近なところでの児童なり家庭についての相談に応じやすくするための体制整備というふうに考えているところでございます。  今後とも、地域の子育てを、国、地方公共団体あるいは関係団体も含めまして、協力して支援していくような仕組みの構築に努力してまいりたいと考えております。
  41. 福島豊

    福島委員 地域子育て支援センターということでございますが、なかなか現実には数的にもそれほど広がっていっていないのじゃないかというような御指摘もあるわけでございます。実際に、保育所としましても、新たな任務がつけ加わるわけでございまして、大変忙しいとなりますと、とてもそういうことに前向きに取り組めないというような話も出てくるかと思うのです。相談に乗りましたから幾ら幾らお金をちょうだいいたしますというわけにもいかないだろうというふうにも思うわけでございます。  そういう意味では、そういう機能をつけ加えたとしましても実際にそれがうまく動いていくのかどうか、現実を踏まえて、そのあたりの見通しについてはどのようにお考えでしょうか。
  42. 横田吉男

    横田政府委員 地域子育て支援センターにつきましては、緊急保育対策等五か年事業の中では、計画期間中に各市町村一つ程度、三千カ所を目標に整備を進めることにいたしておりますが、今御質問いただきましたように、二年度終わった時点におきまして、予算ベースで四百カ所、実績数は二百八十八カ所ということで、その進捗状況は期待よりもう少しという感じがいたしております。  こういった状況につきましては、私ども、なぜ余り整備が進まないのか、各地方公共団体の御意見等も十分伺いまして工夫をいたしまして、その整備を今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  43. 福島豊

    福島委員 進まないには進まないなりのやはり理由が地域にはあるのではないかというふうに思います。そういう意味では、その現場の御意見というものを十分に生かしながら対応していっていただきたい、そのように要望させていただきます。  次に、自治体の取り組みということにつきましてお聞きしたいわけでございますが、現在の保育所の運営に関しましても、自治体の超過負担が非常に大きいというようなことも指摘をされております。参議院での審議の中でも、繰り返しこれは指摘されております。自治体の財政状況というのも決して楽なことではございません。この超過負担というのは、やはり国の支援が不十分であるというところに一つは大きな理由があるのではないかというふうに私は思うわけでございますが、今後、この点につきましてどのようにお取り組みになるおつもりがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  44. 横田吉男

    横田政府委員 保育所運営費につきましては、最低基準を定められておりますので、それの維持に必要な職員等の人件費につきましては、国家公務員の等級表を一定の基準のもとに当てはめまして毎年改定をしてきているところでございますし、その他の諸経費につきましても、物価等の動向を踏まえて計上してきているところであります。  私どもとしては、そういったことで、全国一律の今の措置費の基準、考え方としてはほぼ妥当な水準ではないかと思っておりますけれども、御質問いただきましたように、各地域、自治体におきまして、それぞれの実情に応じてそれぞれの判断で、国の措置基準を上回る保母の加配、あるいはその他も含めてかなりの上乗せの補助が、上乗せの費用がつけ加えられているというふうに承知しております。これは、一つは、国の基準よりも保母の配置が多い、あるいは給与につきましても、地方の公務員というようなことで、その給与改定に伴う上回る分、あるいは平均勤続年数が長いというようなことによる増分というふうにも考えているところでございます。  私どもとしては、今申し上げました国の措置費の基準、おおむね妥当ではないかと考えておりまして、今後とも、入所児童の処遇に必要な経費の確保につきましては努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  45. 福島豊

    福島委員 局長は加配というふうにおっしゃられましたけれども、何か余分につけ加えている、そういう印象を受けるわけでございますが、決してそうではないのだと思うのですね。保母さんの数にしましても、最低基準のあり方がどうなのか、議論するというお話を先ほどされておられましたけれども、諸外国と比べてどうなのか、そういうような観点からも、果たしてこの水準でいいのかということは再度御検討をいただきたい、そのように私は思います。  そしてまた、次にお聞きしたいことは、自治体のエンゼルプラン、自治体版のエンゼルプランの策定ということについてお聞きをしたいと思うのですけれども、例えば、先ほど待機児のお話をいたしました。都市部では待機児が非常に多い。これは、今でもミスマッチがあって、これを解消するために調査をしなきゃいかぬというお話があったわけでございます。ですから、これは、自治体みずからの手で、どういう保育の需要があって、それがどういう見通しであって、保育所サービスとしてはどの程度水準のものが必要なのか、そういうことを踏まえた計画をきちっと立てるということが必要なんだと思うのですね。ミスマッチをなくすためにもそういう計画を立てるべきである。  エンゼルプランについては、つくらなきゃいかぬということにはなっていないわけでございますけれども、これはしかし、現状の保育のミスマッチ等の状況を踏まえた場合には、私は、きめ細かく御指導なさって、自治体にやはりつくってもらった方がいいというふうに思うわけでございますが、この点につきましての厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  46. 横田吉男

    横田政府委員 いわゆる地方版のエンゼルプランにつきましては、平成七年度から、私ども、その策定に必要な経費の補助を行ってきておりまして、現時点における策定状況を見ますと、二十八都道府県六十四市区町村ということでございます。なお、十七府県百十六市区町村が現在策定中ということでございまして、本年度中には県レベルでは全県に策定がされる予定でございます。  これはさまざまな形で、子育て支援に関する地方公共団体の中での意識の高揚、関係者の理解を深めるのに役に立っていると思いますし、保育サービス等につきましては、全国一律の考えではなくて、それぞれの地域の実情に即した対応というのが必要だと考えられますので、今後とも、こういったプランの策定を私どもとして支援してまいりたいというふうに考えております。
  47. 福島豊

    福島委員 参議院審議の中でも出ましたが、高齢者福祉児童福祉、これをドッキングさせてといいますか、合築とかという話があるわけでございます。ですから、地方自治体の中で両方の福祉をあわせて考えていこうというような考え方をしてもらうためにも、老人保健福祉計画があるわけでございますから、もう一つこのエンゼルプランというものをしっかりと自主的に考えていただいて、その二つの中で、限られた資源なわけですから、それをどうしたら有効に使えるのかということで知恵を絞っていただくということが必要なんじゃないか。そういう意味では、予算措置ということでございますけれども、この点につきましても、今のお話でしたら、まだ二百都市、市町村であれば二百になるのですか、まだまだ残りたくさんの市町村があるわけでございますので、積極的な取り組みをお願いしたい、そのように申し上げさせていただきます。  最後に、時間も残り少なくなりましたので、児童虐待の問題につきまして御確認をしておきたいと思います。  児童虐待の実態につきましては、現状どうなっておるのか、お聞きしたいと思います。
  48. 横田吉男

    横田政府委員 平成七年度におきまして、全国の児童相談所で扱いました児童虐待に関する相談件数は二千七百二十二件となっておりまして、ここ数年来の傾向を見ますと、年々増加傾向にあります。  虐待者で一番多いのが実母ということで、全体の五二%を占めております。実父が二七%、実父以外の父親が九%、実母以外の母親が五%というようなことでございます。  虐待の内容につきまして、一番多いのが身体的虐待ということで全体の五一%、それから養育の怠慢、ネグレクトと言っておりますが三四%、心理的な虐待が七%、性的虐待六%というような状況になっております。
  49. 福島豊

    福島委員 先日も、お母さんが生まれて間もない子供を窓の外に捨てるというような痛ましい事故がございましたけれども、本当にこれは年々ふえている、潜在的な部分ではもっと数があるのではないかとすら言われているわけでございまして、真剣な取り組みが必要だというふうに私は思います。  今回の児童福祉法改正で、この児童虐待の問題についての取り組みのあり方、体制というのが今まで以上に改善されていくのか、この点につきましての御見解をお聞きしたいと思います。
  50. 横田吉男

    横田政府委員 児童虐待の問題については、現在のシステムとしては児童相談所がその相談等の窓口になっているわけでありますけれども、全国で百七十五程度ということで、必ずしも十分カバーし切れていないわけであります。  一番必要なのは、やはり早期発見・早期対策ということではないかと思いますが、こういった考えに立ちまして、今回の改正では、できるだけ身近なところで相談が気軽に受けられるようにしたいということで、地域の養護施設等に児童家庭支援センターというのを設けまして、これは民間の施設の活用ということでございますが、ここにケースワーカー等を置いて、地域で、できるだけ身近なところで相談が受けられるようにしたいということが一つのねらいであります。  それからもう一つは、児童相談所が必ずしも十分にその機能を果たしてきたかというような御批判もございまして、こういった御批判に対応するためにも、その機能を強化するということで、さまざまな難しいケースについても的確な判断が下せるように、これも行革の時代でございますので、既存の各都道府県の児童福祉審議会を活用いたしまして、その中に特別部会なりなんなりを設けて、専門家も入っていただきまして、児童の最善の処遇を確保するようなバックアップ機能を持たせることにしているところでございます。  その他、現行制度におきましても、児童福祉法の中におきまして、この虐待への対応として、通告でございますとか、虐待している親の親権分離等いろいろな手続規定等もございます。ただ、十分活用されているかというような問題もございますので、現行制度の適切な運用をさらに図るというようなことも含めて、私ども、この問題に真剣に対応してまいりたいと考えております。
  51. 福島豊

    福島委員 養護施設に新たな支援センターをつくるということですね。養護施設というのが果たして身近なんだろうかという率直な感じを私は持っております。児童相談所は百七十五カ所しかない。もっと数をふやさなければいかぬということで、今回の法改正の中で養護施設にそういうものを併置できるようにするということですけれども、それで現実にはこれはかなり身近になるのでしょうか。
  52. 横田吉男

    横田政府委員 これは、養護施設の配置自身、かなり地域によってさまざまな違いがあると思いますが、私ども、児童家庭支援センターを養護施設にというふうなことを考えました趣旨は、一つは、行政改革の中で民間の活力も活用して、できるだけこういった問題に対応していく上で一番対応しやすい施設であるということ、それから、いざとなった場合の一時保護等につきましても、もともと保護する施設でございますので虐待等に対応できる、それから二十四時間の対応も可能であるというようなことを考えまして構想したものであります。  全体の配置につきましては、児童相談所、この児童家庭支援センター、両々相まってうまく地域をカバーできるように整備ができれば一番望ましいと考えておりますけれども、なお具体的な今後の整備につきましては、地域の特性等もよく見ながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  53. 福島豊

    福島委員 最後に、一つだけ申し上げておきたいのですが、先ほど地域子育て支援センターをつくる、これは数的に非常に多いわけですね。ですから、私はむしろ、そういうものと、今回の養護施設のセンターと児童相談所ですか、ネットワークをつくる、地域と結びつくネットワークをつくる。この児童虐待の問題は、待っていたらだめなんだというふうに思うのですね。地域の情報がきちっと入ってくる等、そういう流れをつくらなければいかぬのだというふうに思うのです。そういう意味では、立体的なといいますか、構造づくりのために努力をしていただきたいと最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  54. 町村信孝

    町村委員長 吉田幸弘君。
  55. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 私は、新進党の吉田幸弘でございます。  二十一世紀に到来する少子・高齢化社会において、高齢化対策と同様に少子化対策に取り組んでいかなければいけない、このことは言うまでもありませんが、高齢化社会を支える人材の育成、こういう意味のほかに子育て、この子育てという原点に戻って児童福祉法について考えてみたいと思います。  まず、児童福祉法が昭和二十二年に制定に至った経緯、そしてその後の社会背景とそれに伴う児童福祉法の内容の変遷について、厚生省にお伺いをいたします。
  56. 横田吉男

    横田政府委員 児童福祉法は、昭和二十二年に制定されたものでございまして、その当時の状況は、敗戦に伴う国民生活水準が極度に低下している、あるいは児童の保健衛生状態が悪化しているというような中で、多数の戦災孤児あるいは浮浪児の保護を直接の契機として制定されたものでございます。  その後、三十年代に入りますと、乳児死亡率がなお高いというようなことも踏まえまして、三歳児健診あるいは未熟児養育医療等の創設というようなことで、児童の健康面の施策の充実が図られたわけであります。なお、この時期に、非行児童が増加したというようなことを背景といたしまして、情緒障害児短期治療施設が児童福祉施設として新設されております。  それから、四十年代におきましては、心身障害者対策基本法などが成立いたしまして、そういったことを背景に、心身障害児対策の面で重症心身障害児施設が法制化されております。それから、精神薄弱児施設の在所期間の延長等の改正が行われております。  また、五十年代には、いわゆるベビーホテルにおきまして死亡事故が多発したというようなことがございまして、認可外の児童福祉施設に対する報告徴収、立入調査あるいは施設の閉鎖命令等の権限を規定するような改正が行われております。  しかし、この間、制度の基本的な枠組みは維持されて今日に至ったということでありまして、今回の改正は、この五十年間におけるさまざまな環境変化を踏まえまして、児童家庭福祉制度を再構築いたしまして、子育てをしやすい環境整備を図り、次代を担う児童健全育成支援したいということでございます。
  57. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 現在、この児童福祉法は、すべての子供たちに対して心身ともに健やかに育ってほしい、この願いをもとに、また、それを保障する法律であるのだ、このように解釈できるとも思いますが、本来、子育ては親の責務であり、この法律が存在すること、また、法律として多岐にわたって定めなければならないことに関して、私自身はいささかの疑問を持っております。  そこで、親、子供、友人、知人、そして教員等を含めて、本来の子育てとは何なのか、そして、児童福祉法で必要最低限定めなければならないことは何なのか、このことについて大臣に対してお伺いをいたします。
  58. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 児童福祉法は、今お話しのように、児童は心身ともに健やかに育成されるべきこと、児童生活を保障され、愛護されるべきこと、国及び地方公共団体は、児童保護者とともに児童を心身ともに健やかに育成する責任を負うべきことと、児童福祉法の基本理念及び児童育成の責任について明らかにするとともに、具体的な福祉の措置として、身体障害児に対する必要な医療サービスの提供、保護者がいないなど家庭に恵まれず保護を要する児童に対する児童福祉施設によるサービスの提供、保育に欠ける児童に対する保育サービスの提供等、次代を担う児童が心身ともに健やかに育成されるよう、児童福祉の基本法として必要な福祉の措置等を定めているものであります。  しかし、今までの御議論の中でもありますように、子育てあり方については、この五十年来、環境も大きく変わっています。戦後の時期には、戦争のために両親がいない、そういうお子さんに対してどのような健全な育成策を国が講じようかということでいろいろ施策が講じられましたが、現在、むしろ親御さんがいる家庭でも、愛護されるべきどころか、その肝心な親が虐待している場合もある。豊かになれば解決されるのだというのではなくて、この人間社会というのは実に複雑なものだ。貧困を解消しよう、豊かになれば解消されるのだ。豊かになって解消される面がありますが、同時に、その一つ目的を達成するとまた別の弊害、矛盾が出てくる。実に複雑怪奇な人間社会でありますが、子育ての基本はまず親が責任を持つ。しかしながら、親だけでは、親のいない家庭もあります。そういう児童をどうやって健全に育成するか、社会全体が育成していくか。大人全体が子供の育成のために支える体制をとっていく、これが私は大変重要なことではないか。  そういう意味におきまして、今回の児童福祉法改正法案も、五十年たちましていろいろな環境が変わっている、しかしながら、子供社会の宝である、次代を担う最も大事な人材であるという観点から、いろいろな施策が必要ではないかというふうに考えております。
  59. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 では、体罰という言葉また行為があるようですが、施設内での体罰とは一体どのような行為なのか。そして、昔はこのような行為が存在したのか、客観的な資料等をお示しいただきたい。  そして、学校教育法においては体罰の禁止規定を設けている。ところが、養護施設内での体罰禁止規定を設けないのは、これらの関係省庁の見解の相違なのか、厚生省にお伺いをいたします。
  60. 横田吉男

    横田政府委員 児童福祉法におきましては、入所中の児童で親権者等のいない児童については、児童福祉施設の長が親権を行うことになっております。また、親権者がいる児童につきましては、監護、教育、懲戒に関して、その児童福祉のために必要な措置を講じることができるというふうに規定されております。すなわち、児童福祉施設の長には、児童福祉の向上を図るための必要な措置として、限定的に懲戒に関する措置をとることが認められているわけであります。  体罰とは、こうしたものを逸脱した行為でありまして、入所児童に対する肉体的な侵害あるいは肉体的な苦痛を与える行為、人格的な辱めを加えるような精神的な罰が当たるというふうに考えているところでございます。  これまで、こうした体罰の事例が残念ながら過去においても発生しておりますが、私どもといたしましては、施設内における体罰はあってはならないということでございまして、これまでも各都道府県を通じまして、あるいは各施設に対しまして指導してまいっておりますが、今後とも、体罰の行使については行わないよう周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、学校教育法等との関係でございますけれども、学校教育法等におきましては親権の行使ということではないわけでありまして、校長及び教員に対しまして、学校教育法において、教育目的を達成するための懲戒権というものをこの規定によって創設いたしております。体罰の禁止は、その懲戒権の限界を規定しているものではないかというふうに考えております。  これに対しまして、児童福祉法の規定は、家庭にかわって児童を保護する福祉施設の長の親権に関する規定ということで、これは児童福祉の向上のために必要な措置として限定的に行使が認められているということでございまして、体罰が含まれていないのは当然である、改めて体罰の禁止規定を設ける必要はないと考えたものでございます。  なお、これは体罰を容認するということではございませんで、先ほども申し上げましたように、これはあってはならないということで、私どもは、再三都道府県を通じて各施設にもその周知徹底を図ってきているところでございます。
  61. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 次に、最近の若い者はとか、最近の若い者はなってないとか、いろいろ耳にするのですが、私も議員の中では若い方の一人でありますが、この言葉を生み出した原因子供のときの育った環境に少し原因があるのではないか、そのように思います。  実際、昔の子供と最近の子供で身体的な違い、精神的な違いが生じていることも事実であります。身長や体重の変化、また性的な兆候の変化は、人類の成熟においてこれは健全とみなすべきでありますが、糖尿病や肥満などの本来は子供がかからないような疾病に子供がかかっている、このように聞いております。  一体実態はどのようになっているのか。そして、家庭や地域での子育て機能の低下等が今のような疾病を引き起こしているのであれば、その対策はまずもって急務であると考えますが、実際どのような教育指導が行われているのか。今後の対策とあわせて、文部省と厚生省におのおのお伺いをいたします。
  62. 北見耕一

    ○北見説明員 文部省で実施しております平成八年度の学校保健統計調査によりますと、肥満傾向の子供につきましては、十年前と比べますとおおむね増加傾向にございます平成八年度の場合、小学校では、十年前には対象児童数の一・七%であったものが二・八%に、それから中学校では、十年前に一・二%であったものが一・八%へと増加しているところでございます。  また、平成四年度から糖尿病の早期発見を図る目的で尿糖の検査を健康診断項目として小中学校等に義務づけているところでございますが、平成八年度の学校保健統計調査によりますと、小学校では〇・○八%、中学校では〇・一六%の者が陽性というふうになっているところでございます。  それから、文部省といたしましては、学校におきまして、肥満等の生活習慣病の予防のために、若年期から運動、休養、食事を初めとする心身の健康に関する知識について理解をしていただくとともに、それを実際の生活に生かすことができるような能力や態度を育てていくことが重要であろうか、このことが生涯を通じて健康で充実した生活を送るために極めて重要であろうというふうに考えているところでございます。したがいまして、学習指導要領に基づきまして、小学校等の保健領域あるいは中学校の保健体育の保健分野などにおきまして、これらの疾病の予防について指導することとしているところでございます。
  63. 横田吉男

    横田政府委員 私どもで行っております小児慢性特定疾患治療研究事業というのがございますが、その実績によりますと、医療費の給付を受けている糖尿病児数は、平成二年度五千六百九十七人に対しまして、七年度には六千四百五十二人と増加傾向にございます。ただ、このうちの九割は先天的な若年型の糖尿病ということで考えられておりまして、いわゆる生活習慣等による成人型の糖尿病児はこの一割程度というふうに推計しているところでございます。この成人型の糖尿病患者の割合は、調査研究によりますと、年々増加しているという報告がございます。  この対策といたしましては、小児のときから生活習慣病を予防することが重要だということで、小児肥満予防教室の開催あるいは三歳児健康診査時の栄養指導等を通じまして指導を行ってきております。また、八年度からは、心身障害研究におきまして、小児期からの総合的な健康づくりに関する研究を進めているところでございます。  今後とも、こうした研究成果等を踏まえまして、小児の健康づくりの施策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
  64. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 糖尿病とか肥満のことばかり聞いているわけではないのですけれども、歯科の分野においても、歯周炎とか、本来子供がかからないような病気がふえてきているというふうに聞いておりまして、今後、この対策については十分前向きにお考えいただきたいと思います。  次に、昭和六十年に、日本学校健康会、現在は日本体育・学校健康センターと変わりましたが、この健康会は、障害見舞金の給付の約五五%以上が歯の障害である、この実態から、その発生を防ぐべく、歯牙障害調査報告書を発行し、関係機関に配付しております。文部省はこのことを御存じだったのか。そして、この報告書の要旨について御説明をいただきたく存じます。
  65. 北見耕一

    ○北見説明員 日本体育・学校健康センターの前身でございます日本学校健康会におきましては、昭和六十年に歯牙障害調査報告書を発行いたしまして、各都道府県支部それから各都道府県の教育委員会に配付したところでございます。  この報告書におきましては、昭和五十五年及び五十六年に発生した歯牙障害につきまして調査分析を行ったものでありまして、その発生件数、全障害に占める割合、学校種別の構成割合、発生状況等について取りまとめたものであると承知しているところでございます。  この報告書によりますと、全障害の中に占める歯牙障害の件数の割合は、昭和五十二年度に五八%となって以降五十八年度まで、毎年度五五%以上を占めております。最も高いのが昭和五十五年度の六三・二%というふうに報告されているところでございます。
  66. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 ということは、どんどん増加するという傾向にあるということで、このことは虫歯とかで歯が悪くなるとかいう問題ではなくて、子供たちが転んだときにとっさに前に手が出せないうまく転べない。私も、大学院のときにこのような調査に携わっておりまして、保育園や幼稚園の先生方とお話しさせていただく機会が多くありました。最近の子供は、本当に上手に転ぶことができない、何かにつまずいて、すぐ顔面、顔から転んでしまう。そこで、やはりけがをするのは前歯。乳歯のケースであれば次に永久歯が生えてくるという考えもあるのでしょうが、いきなり顔から落ちますと、あごの骨まで折れてしまう。こういう痛々しいというか、想像しただけでもぞっとするようなけがが子供の中でふえておるのが現状であります。  これはやはり、子供たちの育成を行うに当たって、生活環境、住宅環境の悪化、特に都市部において、部屋の中で遊ぶことが多くて、野外での活動が極めて少なくなってきて、体力づくりに悪い影響を与えているのではないか、そのように思います。  まず、この件に関する御所見、そして保育所において現在行われている指導、また今後の対策について等、お伺いをいたします。
  67. 横田吉男

    横田政府委員 御指摘の点につきましては、子供の遊びについて、野外での遊びが減ってきているということに原因一つがあるのではないかと考えております。  私ども、乳幼児の保育あり方につきましては、保育所保育指針というのを設けておりまして、年齢に応じて、安全にも注意しながら、外で十分に体を動かしたり、いろいろな遊具、用具を使った運動、遊びを行うような指導を行ってきております。  また、保育を実際に行う保母に対しましても、この保育指針を踏まえまして、子供自身が日常生活の中で自分自身で事故を回避できるような能力を身につけるような、そういったことを研修で指導してきているところでございます。  今後とも、こういった指導等を通じまして、御指摘の点について努力してまいりたいと考えております。
  68. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 野外で遊ぶ場所が減ってきている。例えば児童館などの地域の資源を有効に活用すべきであると私は考えるのでありますが、この点について、少し具体的に厚生省の今後の対策をお伺いしたいと思います。
  69. 横田吉男

    横田政府委員 児童福祉法で定められております児童厚生施設には、児童館、児童遊園等がございます。現在、児童館は四千二百二十九カ所、児童遊園は四千百六十九カ所というふうになっております。  児童館は、地域の児童健全育成の活動拠点として整備を進めてきたものでございますけれども、いろいろな年齢が異なった児童の交流あるいは放課後児童健全育成事業の実施の拠点などとして積極的に活用を図ってまいりたいというふうに考えております。
  70. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 さらに、子供たちの育成の場所として学童保育があります。私の知る限りでは、老朽化した民家の借用、アパートの利用が全体の二割程度を占めていると聞いております。現在の学童保育の施設の環境や指導員において改善があるとも聞いております。  また、先ほどお話しさせていただいたように、子供の体力づくりとか、本当にうまく転べない、このことにこだわりますが、こういうようなことをしっかりとやっていくためには、こういう場所に対してもしっかりと対策を講じなければいけないと私自身思っておるのですが、まずその実態、そして今後の改善についてお伺いをいたします。
  71. 横田吉男

    横田政府委員 放課後児童クラブ事業の数は現在八千六百ほどございまして、その場所といたしましては、児童館、学校の余裕教室、保育所の空きスペース、それから御指摘いただきました民家、アパート等、さまざまな場所で行われております。また、その指導員につきましても、一人または複数の配置、勤務形態も常勤あり、非常勤あり、さまざまな形態で行われております。  今回の制度改正におきましては、この放課後児童健全育成事業児童福祉法上に位置づけまして、市町村において、その活用の助言、相談あるいはみずからの実施等についての努力義務を課しますとともに、社会福祉事業法上の事業としても規定いたしまして、各種の優遇措置によりその普及促進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  72. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 今のお話なんですが、緊急保育対策等五か年事業の中で、九千カ所を目標として整備されつつある。今回、この学童保育法制化されたことは極めて重要なことであり、大きな前進として評価するものでありますが、学童保育の一層の内容の充実の推進を図るべきと考えます。  ただこの学童保育のみにこだわるわけではありませんが、今後の取り組み方について、また、先ほどの、子供の健康状態が変わりつつある、また、精神状態も変わりつつあるのだ、こういうようなことに対して大臣の御意見を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  73. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 学童保育という問題がこれから大変重要だという御指摘ですが、これも大きな社会環境変化一つだと思います。本来、保育所というのは就学前の児童が対象であったのが、最近では、小学校へ入ってからもこの学童保育をどうしていこうかと。  我々の子供のときを考えてみますと、学校から帰ってくると、家の中にいたって遊ぶものはない、テレビもない、パソコンもない。自然、近所の友達と、どこか山へ遊びに行ったり海へ行ったり、鬼ごっこしたり、トンボとりをやったりセミとりをしたりした、そういう印象が強いのですが、最近は、これだけ産業構造が変化して、いっぱい家があるにもかかわらず、むしろ隣近所のつき合いかない、遊び場も少なくなっている、空き地で遊べば自動車が来て危ないということで、この五十年来、大きく変わってまいりました。  そこで、今後、家へ帰っても共働きで親御さんもいないという児童に対する遊びの点については、市町村における地域の実情に応じた多様な、また柔軟な対応が必要ではないか、そういう点から、厚生省としても、そのような学童保育に対する支援対策、いろいろな地域の実情に合わせた支援策が必要ではないか、その取り組みの促進方を今後とも図っていきたいと考えております。
  74. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 どうもありがとうございました。
  75. 町村信孝

    町村委員長 桝屋敬悟君。
  76. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 新進党の桝屋敬悟でございます。  引き続き、児童福祉法改正質疑を行わせていただきたいと思います。  聞きますと、厚生委員会予算委員会よりも時間が長くなっているという話も伺いました。今も同僚議員とここで、厚生大臣というのは大変な激務だな、恐らくバッジをつけている中で一番長時間座っておられる人じゃないか、こんな感想を持ちながら聞いておりました。お疲れと思いますが、おつき合いのほどよろしくお願いいたします。  最初だけ、大臣とちょっと議論させていただきたいと思いますので、その後、私は八十八分ありますから、どうぞお休みをいただきながら、トイレに行かれたりコーヒーを飲まれたりされても結構でございますので、耳だけおかしいただきたいと思います。  最初に、大臣とお話を申し上げたいわけであります。  先ほど同僚の福島議員の方からも話がございました。この二、三日の新聞を読んでおりますと、政府・与党におきまして、財政構造改革会議で検討が進められております。月内には最終報告がまとめられるということも報じられているわけでございます。この中で私どもが一番気になるのは、厚生委員会に所属する国会議員として気になるところは、やはり社会保障費の歳出削減、この議論でございます。歳出上限制を設けるとか、こういう議論も出ているわけでありまして、大変に頭を痛めながらこの報道を見ているわけでございます。  当然ながら、今国会で審議をしました医療保険制度改正あるいは介護保険、こうした制度の行く末にも影響を与える話でございまして、審議をしながらも大変に悩んでいるわけであります。医療費の患者負担増あるいは介護保険制度利用者負担増、さらには、これが一番大きいと思うのですが、年金の給付制限、こうした影響が出てくるわけであります。あるいはまた、今審議しておりますこの児童福祉法の一部改正、先ほど福島議員からも予算の獲得は大丈夫かという話がありましたけれども、そうしたことに影響を与える、反映をする話でございますから、他人事ではいられないわけであります。  大臣財政構造改革会議の話を聞くのは筋が違うとは思います。ただ、私が伺いたいのは、年金の問題もあるわけでありますが、大臣は、この委員会の席ではなくて、年金の問題についてはお立場からいろいろ御発言をされておられますが、特に政府・与党の財政改革案、九九年の年金財政再計算に先立って、上限制といいますか歳出削減策も講じなきゃならない、こんな議論もあるやに聞いているわけでありまして、こうした状況にありまして、厚生省として、厚生省大臣として、今後の社会保障の構造改革の検討を厚生省厚生省でなさるとこの前から何度もおっしゃっているわけでありますから、特に年金の九九年あたりをきちっと視点に置いて、これからの政策日程といいますか、構造改革に向かってどういう段取りで進んでいくのか。  今回、医療保険もやりましたし、介護もやりまして、我々、頭がぐちゃぐちゃになっているわけでありまして、国民もちょっとよく見えないところがあるわけでありますから、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  77. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 財政構造改革とこれからの予算編成に向けて密接に関連があるのですが、今言った年金改革の問題、当然、これから国民負担を将来五〇%を超えないようにしよう、そういう中での改革にどう取り組むかという問題なんですが、まず介護保険、そして医療保険の改革がなされた後、平成十一年度には年金の財政再計算期が迫っております。  その中で、これからますます年金を受け取る方、高齢者はふえてまいります。同時に、保険料を払う若い方々は減ってくるということで、二〇一三年に六十歳支給から六十五歳に変わる、二〇〇一年から、六十歳から、三年かけて一歳ずつ先送りして、二〇一三年には六十五歳支給にしようという段階で先年来改正がなされました。それを、今度は、今、平成九年ですが、平成十一年ではなくてすぐ、このままだったら若い人たち負担にたえられないのじゃないかということから、もっと早く改正できないかという議論があるのは事実であります。  しかし、私としては、年金というのは、支給開始年齢をいつからにするか、六十五歳がいいのか、六十六歳がいいのか、六十七歳がいいのか。同時に、給付、年金額、この額をどの程度にするのか。同時に、税金をどのぐらい投入するのか。それと保険料、若い人の保険料をどのぐらいにするか。今の制度を何もいじらない、改革は嫌だとなると、今の保険料を若い人は倍にしなきゃならない。一七%程度から三四%程度、厚生年金の場合はもちろん企業と折半ですけれども、それにたえられるか、三〇%を超えるなんというのはたえられないのじゃないかということで、改革をしなければならないということで、そうであるならば、支給開始年齢をもっと延ばすか、給付を若干下げるか、さらに税金を投入するかしかないのです。  ところが、もうこれ以上増税は嫌だという声がある。となると、増税は嫌です、赤字国債の発行もだめです、保険料の引き上げも嫌ですといったならば、給付を下げることと支給開始年齢をもっと先に延ばすかの組み合わせしかない。  しかしながら、私は、これは大変議論を要する問題ですから、六十五歳ということを先年決めたばかりですから、六十五歳をさらに先に延べるのはいかがなものか、余り好ましくないと私自身は思っておりますが、これからの問題であります。  その材料は、今後、この秋にかけて提供します。今の保険料、一七%の保険料だったら六十五歳支給で給付はどのぐらいになりますよ、その材料は提供します。そして、来年にかけてじっくりと年金の問題に対していろいろな識者の意見を聞きます。それで、それでは六十五歳にするにしても、二〇二二年に六十五歳にするのがいいのかどうか、三年に一歳ごとおくらせていくのがいいか、二年で一歳にすることができないか、その点も含めて選択の材料を提供したとしても、どんなに早くしても平成十一年より前にこの問題に手をつけるというのは困難であるということを、私は財政構造改革会議ではっきり表明しております。  しかしながら、いろいろな材料は提供する。今の仕組みは変えませんよ、給付も下げませんよ、年齢も六十五歳以上を変えませんよ、税金もこれ以上投入できませんよというのだったら若い人の保険料負担が多くなってしまうから、これもまた若い人は承知しないだろうということで、この組み合わせの材料、選択肢を、私は、一つじゃなくて複数提供して、どれがいいかということを、じっくりの判断の材料を今後国民の前に明らかにしていきたい。しかし、平成十一年前の、具体的な制度をいじるということは極めて困難であるということを、財政構造改革会議でもはっきり表明しております。
  78. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございました。  今の大臣のお話はもう何度も聞いた話もありますが、しかし大事なところは、九九年度まで、これは、一たん決めた、特に年金の部分については、ある意味では国民との契約のような話でありますから、これを簡単に変えることは難しいというお話でございます。そこはぜひお願いをしたいと思うのです。  もう一つ、私は、九月ぐらいまでに大臣がリーダーシップをとられて私どもに御提供いただけるものは、まず医療保険の抜本改革案というふうに思っておりましたが、今の話では、年金も含めて、幾つかの今後の対応策といいますか、示していこうという、できるだけ一本にしない、ぜひそれをお願いしたい。もうこれしかないという形でこの場に提供されますと私どもはいつも悩むわけでありますから、私はやはり、お役所は幾つかの案をつくる、それを政治の舞台で議論するということがまさにこれから大事だろうと思いますので、そこはぜひお願い申し上げたい。  医療保険の抜本改革案プラス年金も含めて、もっと言えば、社会保障の姿ということで厚生省の幾つかの対応策といいますか案が示される、こういうふうに理解をしておってよろしいですか。
  79. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 まず、医療保険の問題については、健保法改正案が今国会で成立すれば、できるだけ早く、九月一日の実施の前に抜本的な、総合的な案を厚生省としてはまとめたいと思います。そして、与党としてこの八月いっぱいにまとめる材料を提供したい。  その後、年金についても、この一つしかないという案じゃない、幾つかの選択肢を出して、秋には国民に判断とか批判とかできるような材料、給付の面においても保険料負担においても支給開始年齢においても、こういう選択肢がありますというような材料はことしじゅうには出してみたいと思います。
  80. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私たち新進党も、出されました案に積極的にかかわっていけるようにしっかり今から準備をしてまいりたい、こんなふうに思っております。  大臣おっしゃるように、九八年度だけで百万人新たにまた年金給付の方がふえる、この財源だけでも大変だという事態は私たちも十分わかっているわけでありますから、しっかり私たちも研究をしてまいりたい、こんなふうに思っております。  さて、もう一点だけ大臣とお話し合いをしたいのは、これは感想をお聞きしたいのですけれども、介護保険の議論をずっとやっておりまして、私どもは、国民介護という問題は老後だから、老後をみとるのはやはり国の責任でやった方がいい、税でやることも考えようじゃないか、こういう議論をしました。しかし、結果はあのとおりでありますが、特にその議論の中で、税というのは、やはり権利性で、なかなか国民に権利意識が生まれない、あるいは、柔軟なサービスといいますか契約型がなかなかできない、措置の体系を崩すことが難しい、こういう議論もあったかと思うのでありますが、今回の保育は、いみじくもこれは税を財源とした保育サービス保育行政、それを今回、措置型から、行政処分の措置からまさに利用者の選択といいますか、そうした道を開こうということでありますから、私は、税でもそういう柔軟なサービスというのはできる、契約型のサービスはできるということがまさにこの児童福祉法改正案の姿だろう、こんなふうに思っております。  もちろん、リスクとかいろいろな問題はあります、ほかの要素はありますが、今の観点での議論、私は、まさに介護保険とこの児童福祉法改正というのはまことにコントラストな二つの法案だな、こう思っておるのでありますが、大臣の御感想を、ずっと長い間審議されておる御感想を、新進党の主張も勘案の上御感想をいただきたいと思います。
  81. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護というのは、新進党は税でやれということなんですが、私どもとしては、年金も保険、医療も保険、そして、介護というのは税だけでやると必要最小限度のサービスの提供しかできないのじゃないか、それよりも、各段階サービス医療以上に介護の面においては、より快適さを追求する面においては、生命には関係ないけれども、段階は多いと思います。要望というのは多様だと思います。そういう面からいけば、年金医療も保険という制度から考えれば、私は、保険の方が理解しやすいし、民間参入を促す面において、競争することによってサービス水準が向上してくる、選択も広がるという意味において、公費も投入しますが、保険の方がいいのじゃないかと。  導入すれば、将来、私は、この介護保険制度というのはもうやめようという声にはならないと思うのです。不備だ、不十分だという声があっても、やめようという声は、私は、これは一度導入するとないと思います。どうやって充実させていくかということになりますと、それはやはり全国民で支えていこうじゃないかという雰囲気になると思うのであります。そうであればあるほど、私は、公費と保険を組み合わせていった方がいいなと思っています。  この保育所の問題、児童の問題におきましても、もうお仕着せの措置制度というよりも、ある程度民間に裁量権をゆだねる、そして、競争することによって保育サービス水準も向上させる、親御さんも、あてがわれた保育所じゃなくて、自分で選択できるという点から、より規制を緩和する保育所制度に改めるのが時代の趨勢ではないかなということで、今後さらに、保育所においても、今までのようにお仕着せだけじゃ済みませんよ、かなり競争が必要ですよという促す面も今回の改正法では持っているのではないかと思います。
  82. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣も大分お疲れのようでありまして、私が伺いたいことをあえてとぼけておられるのかもしれませんが、私が申し上げたかったことは、大臣がおっしゃったように、税を財源とする保育サービスでも措置を取っ払って柔軟なサービスをすることができるじゃないか、介護だってそれができる道はあったのじゃないでしょうか、こう申し上げたわけでありまして、あえて大臣は違うことを御答弁なったのじゃないか、こういう気もするわけであります。  少なくとも私は、一つ心配なのは、税収入よりも保険料収入でもって賄うというのは、保険料の方が多くなるというような国家の姿というのは本当にある意味では心配でありまして、そこにいらっしゃる官僚の方が作成したプランでどんどんと保険料がふえていくということは大変に心配だなというふうに思っておりますので、そんな姿勢でこれからも見守っていきたいと思います。  保育の内容に入りたいと思います。  保育所につきましては、保育につきましては、まさに今私たちがゴールドプランで取り組んできた経緯のように、実は私もゴールドプランを進めるときによく聞いた話は、昔は、郵便ポストの数ぐらい保育所をつくろうというキャッチスローガンで、ありとあらゆるところへ保育所をつくってきた、それと同じように今から老人のベースハウスもつくろうじゃないかと随分ハッパをかける厚生省のお声を聞いたこともあります。それぐらい、国の政策として保育所を本当につくってきた、保育を拡充してきたという経緯があるだろうと思います。その保育を今回大きく形を変えるということでありますから、私は、しっかりとこの委員会でも議論をしなければならぬ、こんなふうに思っているわけであります。  それで、最初にお伺いしたいのが、保育の前に、緊急保育対策等五か年事業、これはエンゼルプランの施策の具体化の一環として五か年事業が取り組まれております。まさにゴールドプランの最初のような感じがするわけでありますが、内容によっては随分進捗状況の厳しいものが見られるということがあります。この緊急保育対策等五か年事業の進捗についてどういうふうに分析をしておられるのか、あるいは、なかなか進まないという背景はどんなふうにお考えになっているのか概要をまずお聞きしたいと思います。
  83. 横田吉男

    横田政府委員 平成七年度から、エンゼルプランの一環といたしまして、緊急保育対策等五か年事業を推進しております。八年度でちょうど二年目が終わりまして、今年度、三年目に入ったところでございます。  御指摘のように、その進捗状況につきましては違いがございまして、延長保育あるいは放課後児童クラブ事業等のように順調に推移しているものもございますし、その一方におきまして、地域子育て支援センターあるいは一時的保育事業のように、必ずしも計画どおりにいっていないものもある状況になっております。  これらの事業は、大体、市町村事業として行われているわけでありますけれども、市町村、地方公共団体の取り組み姿勢がどうかということによる地域的な違いもありますし、また、実施状況等を見てみますと、民営保育所に比べまして公営保育所等の方が実施率が低いというようなことも一つの要因として考えられるのではないかと思っております。  私どもといたしましては、地方公共団体に対しまして、事業内容の周知を図るとともに、いろいろな御意見もお伺いいたしまして、工夫を図りながらその達成に努力してまいりたいと考えております。
  84. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 これは参議院でも随分議論がありました。五か年事業の中で、うまくいっているものもあればそうでないもの、特別おくれているものもあるというような御説明もあったわけでありますが、この資料をいただいておる中で、厳しいものについては一その前にちょっとお伺いしたいのは、保育所措置費・低年齢児の受け入れ枠の拡大、六十万の目標に対して、現在、九年度予算で五十一万、こういう数字になっておりますが、この六十万というのは何を想定した、具体的な目標設定の根拠といいますか、これをちょっとお教えいただきたいと思うのです。
  85. 横田吉男

    横田政府委員 緊急保育対策等五か年事業におきましては、低年齢児の受け入れ枠の拡大ということで、平成十一年度、六十万人を設定しております。  この設定の考え方でございますが、簡単に申し上げますと、入所待機児童等、保育所への入所を希望しても入所できない低年齢児のすべてが入所できる水準を確保するという目標を立てまして、平成十一年度時点における低年齢児の推計人口に、その時点における過去の入所率の傾向を加味した入所率を乗じて、さらに、そういった待機児童の解消が図られるということで積算した枠でございます。現在、この受け入れ枠につきましては、九年度予算において、乳児保育指定保育所というのがございますが、これが七千八百五十カ所から九千五百カ所に大幅な増加を図りまして、枠自身も四十九万人から五十一万人への増を図る計画にいたしております。積算につきましては、そういった考え方でござります。    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  86. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  この低年齢児受け入れ枠の拡大というのは、もう一回確認しますと、今の局長の御説明では、平成七年度、この五か年事業をスタートさせるときのいわゆる低年齢の待機児童の数、それを解消しようということで六十万という目標を立てた、こういうことですね。  そうしますと、この六十万は、今、九年度、ちょうど三カ年目の予算が五十一万という姿ですから、道半ばで五十一万ですから何とかいくのかな、こういう期待を持っておりますが、これがいってしまうと、先ほど同僚の福島議員が質問しましたような、乳幼児で待機みたいなことはなくなるわけですね。なくすということを目標に、また、具体的にそこを戦略として描いて進めている、こういうことですね。
  87. 横田吉男

    横田政府委員 御指摘のように、十一年時点におきまして待機児童が解消する、その時点における待機児童が解消するということを目指して目標を設定しております。  ただ、人口推計等につきましては、平成四年度の人口推計をもとに十一年度の低年齢児等の推計を行っております。現時点、最新の人口推計等を使ってまだ計算しておりませんけれども、出生率の低下等によりまして児童数が減っておりますので、そういったことで、今後、私ども、この進捗状況とあわせまして十分注意していかなくてはいけないと考えております。
  88. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の低年齢児は、そういうことでありますから、確かに児童が減少という、これは高齢者と違ってバックが違いますから難しいとは思いますが、私は、先ほどの同僚福島議員の指摘をも考慮していただいて、やはり地域的な戦略が大事だろう、都市部における戦略をどういうふうにお立てになるのかということは極めて大事だろうと思います。  それと、あと目標達成が厳しいのは一時的保育と地域子育て支援センターではないかというように思います。この二つは端的に言って目標達成は難しいのではないかと私は感じますが、いかがですか。
  89. 横田吉男

    横田政府委員 一時的保育事業につきましては三千カ所、地域子育て支援センターにつきましても三千カ所の目標を立てて進めているところでございます。  これにつきましては、二年度目を終わったところの状況といたしましては、十分な進捗状況ではないわけであります。この要因等を考えますと、一時的保育事業等、要件が十人以上というようなことになっているわけでありますけれども、地域によりましてはなかなかそれだけの需要がないというようなこともあるのではないかというふうに聞いておりますし、子育て支援センター事業につきましては、そのための職員を二人配置するようなことで考えておりますけれども、それに見合って事業をやるだけのニーズがあるかというようなこともあるやに聞いておりまして、私ども、地方公共団体等の意見も聞きながら、この事業がさらに進捗するように努力してまいりたいと考えております。
  90. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 かなり厳しい状況が、今お話がありました。達成が難しいかどうか、それは無理ですとはもちろん言えないと思います。それで、何とか達成に向けて努力をする、こういうお話でありますが、ただ、局長が今おっしゃったように、現場でニーズがないという声も聞いているという話も伺うと、私は、実際、この計画そのものが本当に妥当性のある計画であったのか、地域の実態からしてこの目標というのは見直す必要がある要素もあるのかなと思ったり、大変悩ましい感じがしました。  もう一回伺いますが、これは本当にこの目標を掲げて突っ走る、こういうことなのか、いや、ちょうど今からことしも入れてあと三年あるわけですが、状況をよく見ながら進んでいくということなのか、どっちですか。
  91. 横田吉男

    横田政府委員 現時点では、ちょうど二年目を終わった時点でございます。各地方におきまして理解が浸透してきている点もあって、ふえてきているものもあります。そういったことで、なお今後、しばらく推移を見ながら対応を考えてまいりたいというふうに考えております。
  92. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 目標は達せないというふうに私は理解をするわけでありますが、一つは、今回、児童福祉法改正ということも大きな要因だろう。したがって、この改正の姿も見ながら考えていくということだろうと思いますが、私は、安易にこの目標を捨てずに、ぜひ、先ほど福島議員からも、トッププライオリティーでこの子育て環境づくりは取り組むべきだという、少子化対策というのは極めて大事だろうと思いますので、安易にこの目標を見直すというようなことはやめていただきたい、頑張っていただきたいと思うわけであります。  そこで、私は、この一時的保育と地域子育て支援センターというのは、ともに保育所を舞台とした事業というように理解をしておるわけです。次のテーマに入るわけでありますが、保育所のグラウンド、いわゆるバックということを議題に上げたいと思うのであります。  はっきり申し上げて、保育所の措置というものを見直そうというのは、もう三年も前から、あるいは四年も五年も前からずっとある議論でありまして、これがなかなか手がつかなかったというのは、一つには、やはり公営の施設が多いといいますか、割方が公立の施設である。その背景というのは、先ほど申し上げたように、郵便ポストの数ぐらい保育所をつくろうということで、国策として取り組んできた背景があろうと思うのですね。そういう中で公営が大変多い。やはり公立の保育所が多いということが、多様な事業を展開する上で大変苦慮される一つの大きな要因になっているのかな、こんなふうに思っているわけでありますが、先ほど横田局長の方からも、その話はちらっとお言葉が出ましたけれども、その辺はいかがでありましょうか。
  93. 横田吉男

    横田政府委員 保育所につきましては、御指摘いただきましたように、ちょうど四十年代から五十年代前半にかけまして保育ニーズが急増した時代において、この整備を図っていく上におきまして、民間だけではなかなか追いつかないということもあって、公立保育所がかなり整備されたというような状況があるわけであります。こういった結果、現在、六割が公立、四割が民間というような形になっているわけであります。  一方、これまた御指摘いただきましたように、緊急保育対策等五か年事業等で取り上げられている事業の実施状況を見ますと、公私別には、乳児指定保育所では、公営は二〇%の実施率でございますが、民営では五五%、延長保育では、公営が四・三、民営が二四・三、一時的保育では、公営が〇・九、民営が四・三ということで、民営保育所の取り組みの方が進んでいるような実態にございます。  公営の保育所でなぜこういうことが起こるのかということでございますけれども、保母の配置に要する人件費のコスト、あるいは地方公共団体における定員規制などの問題がございまして、なかなか小回りがききにくいというような話を伺っているところでございます。
  94. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今私が申し上げている話題というのは極めてナーバスでありまして、なかなかに難しいところなんです。  実は、保育所の措置を変えようという三年前の議論のときも、私は個人的には、いや、それは無理だ、保育のグラウンドが、ある意味では公立に偏っていて非常にかたい部分があるわけだから、そこを柔軟に変えようというのは無理じゃないか、むしろ介護保険なんかの方が先だ、それから措置という体系が徐々に社会保障の中で変わっていくのじゃないか、こう思ったわけでありますが、今回、いみじくも一緒になってしまっているわけであります。  今回のやり方は、もう一回措置をそれこそ自由な選択にというこういうふうに変えるわけでありますので、まさに大臣が何度もおっしゃっているように、自由な競争を持ち込んで、その中で保育の世界がどうなるのか見ていこうじゃないか、こういうことだろうと思うのですね。そして、ポイントは、やはり国民のためといいますか、利用者の利便といいますか、利用者が使いやすい、利用者にとってプラスになるような方向保育の世界が動いていくのではないか、自由競争の世界に、自由な競争の原理というものがそうした方向へ動くのではないか、こう大臣も何度もおっしゃっているわけであります。  今も言われましたように、公営については一万三千カ所、九十万ぐらいの数、現員がいらっしゃって、全体で大体半分ぐらいあるわけであります。それから、民営が九千三百カ所で七十万ぐらいでありますから、これが四〇%ぐらい。それ以外に、無認可あるいはその他の施設が二十万ぐらいありまして、合わせて一一%ぐらい。今の保育の姿は、半分ぐらいが公立で、あと四〇%ぐらいが民営で、残りの一〇%ぐらいが無認可、こういうシェアだと思うのですね。  大臣、今から自由な競争をやってもらいましょう、こういうことなのでありましょうが、将来の姿として、これは全部民営にいくということをお考えなんでしょうか。障害児保育あたりはどうも公立を中心に進んできて、今や民間も随分おやりになっているようでありますが、私は、公立は公立としてそれなりの役割を果たしているというふうに思うのです。今後の保育の動きがどうなっていくのかということが私も見えないわけでありまして、大臣は、これからの保育の姿というものを、公立、民営あるいは無認可というような世界で分けるとすると、どんなふうな姿を描いておられるのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  95. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 現在は公立の方が民間を上回っているわけでありますが、これは地域によっても違うと思いますが、本来、保育事業については、民間の使命感、情熱あふれる方々が保育事業に携わる、これが私は好ましいものと思っています。しかし、公立は公立としての役割もあります。そして、サービス競争が始まれば、私は、民間の方がいろいろな父兄の要望にこたえ得るようなサービス事業を展開するのではないかなと思っています。そして、民間の割合の方がふえていくのじゃないか。  これは今後の展開を見ないとわかりませんが、いずれにしても、民間と公立のサービス競争によって保育水準の向上を図ってもらいたい。それが大事である。それによって利用者が判断する問題ではないか。サービス競争にしのぎを削って保育水準の向上を図るということが私は大事ではないかなと思っております。
  96. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  ここも、きょうは多くの傍聴の方もいらっしゃいますし、それから、現場の声としては本当に切実な声もあろうと思いますが、何も保育だけではない。例えば特養にしても障害者の施設にしても、地方では、事業団あたりをそれぞれ公立がつくって、半分民間に委託しているというような実態もあるわけであります。しかし、実態はほとんど公立。これはやはり、制度を始めるときはどうしても公立でなければできないというような背景があったりしまして、その形がいまだに残っている。  ところが、これを民間に移行するということはまことに難しいわけでありまして、私も大臣とほぼ同じ気持ちでいると思っているのですが、民間でできることを公がやる必要はない。私も、福祉事業ではそうだろうと思います。ただ、それは、移行するのは大変に難しいわけでありまして、今回はまさに、介護保険もそういう意味ではそういう部分がありますし、この保育にしたって、その一歩を始める作業であるわけであります。  そういう意味で、私は、契約型に移行して自由競争の世界にするということは賛成でありますが、それだけでは、余りにも国は冷たいのじゃないか、こういう批判もまた甘んじて受けなければならぬだろうと思うわけであります。先ほど言いましたように、国策として、国の政策として保育をどんどんと拡充してきた経緯があるわけでありますから、それを受ける形で現場では公立でやらざるを得なかったという背景も多分あるのだろう、このように思います。そういう意味では、今回は制度を変えて、さっきまさに大臣おっしゃったように、自由なる競争で、サービス合戦で、その中でどうおさまるかという、システムを変えるわけでありますが、私は、それだけでは本当に乱暴なやり方だろうと思うのですね。  もちろん、その方向しかないのかなと私も思うのでありますが、少なくとも、今までの公立の施設を民間に移行する、それがスムーズに進むようなインセンティブを何らかの形で考えていくべきだ。私も知恵はありません。だけれども、現場はすごく悩んでいるわけであります。それは、国は、制度を変えて、システムを変えて、あとは現場が考えればいいのだと。もちろん、現場の取り組みは第一でありますけれども、現場だって苦しむ。その現場の苦しみを国としても受けとめながら、何らかの知恵を考えていくべきじゃないか。私はそんなふうに思っているわけでありますが、大臣、いかがでありましょうか。
  97. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは、地域なり市町村なりがどう対応するかという部分が非常に多いのですけれども、基本的には、市町村としても、公立をふやすべきか、あるいは民間にゆだねるべきかということならば、むしろ民間がやりたいという意欲をそがないためにも、公立の方は一歩身を引いて民間の活力を促そうという対応に出た方が、私は、いろいろなサービスの面においても向上してくるのではないかなという感じは持っております。
  98. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣、今の話で、公立は身を引きなさいというのは、これはもう現場の公立保育所からすると大変につらい話であります。私は、そういう時代が来ているというふうに思っております。  ただ、具体的なお話、これは大臣にお聞きするよりもむしろ横田局長にお聞きした方がいいのかもしれませんが、少しでもそういう自由な、システムの変更と同時にいろいろな制度の中で移行過程が始まるわけでありますから、私は、細部にわたって市町村、県ともよく相談をいただいてお知恵を賜りたい、こんなふうに思っておるわけでありまして、そうした配慮を十分お願いしておきたいと思います。  具体的な話にいきたいと思うのですが、法改正後の保育の姿であります。これは参議院でも議論がありました。一つは、当然ながら、自由な競争ということですから人気のあるところにはどっと人が行く。片方、人気がないところには、サービス合戦で負けたところは定員に満たない状況が出る可能性があるわけでありまして、直ちに経営問題になるわけであります。参議院では、この法改正を受けて、現場の保育所が創意工夫をする、特別保育等を含めていろいろな取り組みをする場合は定員の弾力化等を行っていきたい、そしてサポートしていきたい、こんな御答弁もあったかと思うのです。定員の弾力化というのは具体的にはどういう措置になるのか、お伺いをしたいと思います。
  99. 横田吉男

    横田政府委員 現在、保育所におきましては、年度途中で入所される方の対策といたしまして、定員の一〇%を超える範囲で入所ができるというふうになっております。また、育児休業明けの年度途中の入所というような場合には一五%までいいというようなことになっております。  今回の制度改正を踏まえまして、私ども、受け入れ体制が整っているというような保育所につきましては、こういった弾力化の取り扱いをさらに拡大するというようなことを検討していきたいと考えております。
  100. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の御説明で、定員の扱いは、年度途中は一〇%まで定員オーバーを認めるということを今までやってきたけれども、これからはいろいろなサービスをやればさらにそれ以上の弾力化を認める、こういうことですか。ちょっと私もよく理解できなかったのですけれども。
  101. 横田吉男

    横田政府委員 定員をオーバーして入所する場合にも最低基準を満たす必要はあるかと思いますけれども、そういった条件のもとに、人気がある保育所につきましては、定員をオーバーして受け入れる幅を現在の幅よりもさらに拡大するということを検討したいということでございます。
  102. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今局長からお話があったように、当然ながら最低基準は守らなければいけませんが、それが守られておれば弾力的に、なお現状の一〇%以上のこともあり得る、検討したい、こういうお話でありました。  それで、逆の場合です。人気があるところにどっと人が行って、こっちは減ってしまった。それがたまたま公立ということになるかどうかはわかりませんが、何もそういう違いだけではないと思います。入所児童が減ったような場合の扱いについては、弾力的な対応というのはお考えなのでございましょうか。  私もいろいろこの措置費手帳を懐かしく見ておりましたら、現行保育所措置制度についても特別調整加算のような制度がある。暫定のようなシステムだろうと思うのですが、この制度改正によってそういう状況が出てきた場合は、入所児童減の場合も何らかの対応があるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  103. 横田吉男

    横田政府委員 今度の改正が行われますと、各保育所利用者に選択されるような創意工夫を促されることになるのではないかと期待しているところでございまして、そういった利用者による選択の結果、入所児童が減少する保育所が出てこようかと思います。そういった場合には、考えられる方策といたしましては、一つは、定員の見直しということであります。それから、放課後児童健全育成事業でございますとか一時的保育事業などの実施、あるいは老人福祉関係の施設との合築等によりまして、現在ある施設を有効に活用していただく方策を検討していただくということではないかと思っております。  それから、御指摘の保育所措置費特別調整費というのがございまして、これは、乳児とかあるいは延長保育等を熱心に行っている保育所におきまして、その地域の措置児童が著しく減少した場合、これは規模が減りますとそれだけ入所児童掛ける措置費ということで収入が減ることになるわけでありますが、この場合に、その減収分につきまして、原則として三年間、特別加算を行うことができるという制度であります。この仕組みそのものは今後とも維持していきたいと考えておりますけれども、乳児保育あるいは延長保育等の特段の努力をしていないようなところが選択の結果として減ってしまったというようなことにつきましては、その施設においてできる限りの創意工夫をしていただくということではないかと思いますし、熱心にそういう創意工夫をしているところとのバランスにおきましても、この制度の対象とするということはちょっと難しいのではないかと思っております。
  104. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 いずれにしても、この法改正の後、保育のグラウンドが相当動き出すだろう。いつごろからそれが始まるかわかりませんけれども、ぜひきめ細かな対策をする、そういう意味で、私は、将来の保育のグラウンドはどんな姿が望ましいのかということを先ほどお伺いしたわけであります。これはなかなか簡単にお答えできることではありませんが、私はやはり、民間中心になっていかざるを得ないのだろう、そういう中では悩ましいいろいろな現場の声があるから、特にこれは地方とも連携をとっていただきながらきめ細かな対策をお願いしたい。  例えば、私、きょう質問するということで、高知の保育所からもファクスをいただきました。直接今の話にかかわるわけではありませんけれども、例えば障害児保育あたりもやる場合に、障害児がいる場合はいいけれども、障害児を受け入れていて突然その障害児が入院をした、そうすると、その後、その保母さんはどうするのだろう、こういう問題も出てくる、やはり民間はこういう場合は大変に苦労するのですよと。こんな事例もいただいております。  私はやはり、措置費というのはこれからも残るのですよね、措置費という言い方はいいのでしょうか、恐らくこれからも残るのだろうと思うのですが、措置費の運用に当たっても弾力的な対応が求められるのではないかというふうに思っておりますので、ぜひきめ細かな配慮をお願いしたい。  それで、先ほど横田局長から、これからは、減ったところは、園の方針として、学童保育とかあるいは老人施設との合築等もどんどんやっていただきたい、こんな話がありました。老人施設との合築の数字は参議院で大体伺いまして、状況はわかっておるのですが、保育所が学童保育に取り組んでいるという実態はどのぐらいあるのでしょうか。時系列的にちょっと傾向をお示しいただければと思うのですが。
  105. 横田吉男

    横田政府委員 放課後児童健全育成事業については、平成八年度で全国で八千六百カ所行われていますけれども、このうち、保育所が実施しておりますのは二百九十四カ所ということで、三・四%に該当いたします。経年的には、ちょっと手元に資料がございませんので、後ほどお届けさせていただきたいと存じます。
  106. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 まさに、これは地域の実情だろうと私は思います。先ほど横田局長が言われたように、一生懸命取り組むところはそれなりの対応をというお話がありましたけれども、地域の実情に応じて、それぞれの地域でいろいろな保育戦略がこれから行われていくのではないか、私はこう思っております。  学童保育あるいは老人施設との合築、これなんかも、現場をしっかり検証していただいて、保育所子供が減ってあいているから老人施設と一緒にすればいいじゃないかという議論は確かにあるのでありますし、私もそういう現場を見てまいりましたけれども、これはまことにいいことだという議論が一般的にあります。しかし、本当にそうなんだろうかという疑問も私は持っておりまして、現場の検証ということは、制度の変革期でありますからぜひお願いを申し上げておきたいと思います。  それで、これは局長の方から何度もお話がある話でありますが、行政処分の措置から今後は利用者の選択による契約型になる、こういう御説明でございます。特定の施設へ集中する、そうした事例については公正な方法による選考を行うということになっておりますが、この場合は、希望した人が行けない、その第一希望へ入れない、だから公正な方法によって選考するということなんだと思うのです。希望した場合に、希望したところへ行けなかった人、これは行政処分というのは残るのですか、その部分は。
  107. 横田吉男

    横田政府委員 今後は、原則として行政処分による措置という入所方式はなくなりますので、あくまでも申し込みによる利用契約ということになるわけであります。  御質問の場合には、定員オーバーということで選考に漏れてしまったというときには、第二志望なり第三志望の保育所を申し込んでいただきまして、その該当したところでの利用契約を締結していただくということになるかと思っております。
  108. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今回の法改正では、市町村申し込みによって保育を提供しなければいかぬということになっておりますけれども、一次選考で漏れた方については、今の局長の御答弁では、その人はもう一回改めて二次申し込みをする、こういうことですね。どこまでも申し込みをまたやってもらわなければいかぬということですから、どうなんでしょうか、私もまだ頭が整理できていないからよくわからないのですが、利用者にとっては一次で漏れたらそれで終わりなわけですね、その一回目の申し込みは。それで今度は、もう一回、二回目の申し込みをしなければいかぬということでありますか。
  109. 横田吉男

    横田政府委員 実際のやり方といたしましては、最初の申し込みのときに、第一希望、第二希望、第三希望等を出していただきまして、改めて二回、三回申し込みを行わなくても済むようにするのが適当ではないかと思っております。
  110. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今は、保育所については、全国的なオーダーで見ますと若干あきがあるぐらいですから、申し込みがあってもあふれるということはほとんどないのでしょうが、自由競争になって、申し込んでも、第一、第二、第三まで書いたけれども結局どこも入れてもらえなかったということがあってはならぬな、こう思っているのです。  それで、申し込みはしたけれども選考に漏れてしまった、こういうことがないように、救済策はやはりきちっと、救済はされる、救済といいますか申し込みは必ず受け付けてもらえる、結果として保育所へ入れるという結果を利用者が得られるのかどうか、そこは私も大変危惧をしておるのですが、その辺はいかがでしょう。
  111. 横田吉男

    横田政府委員 全国的に見ますと、入所率が八三%ということでございますので、第一希望に入れるかどうかは別といたしまして、入れるということであろうかと思いますが、地域によりましては待機児がかなりおられるところもありますので、入れない場合も出てこようかと思っております。その場合には、現行のただし書きによりまして、これにかわる「適切な保護をしなければならない。」ということになっておりますので、市町村といたしましては、そういった努力を必要とするということになるかと思います。
  112. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 これにかわる「保護をしなければならない。」、こういう書きっぷりですね。それは具体的に言うと、必ず保育所を何とかします、二次申し込み、三次申し込みでちゃんとなりますよということで、そういうふうに理解していいですか。
  113. 横田吉男

    横田政府委員 その管内の保育所の入所状況等を申込者の方に示しまして、どこに申し込むか考えていただくということもありましょうし、また、その管内の保育所全部が埋まってしまっているということも場合によってはあろうかと思います。そういう場合におきましても、適切な保護に努力しなければならないということでございます。
  114. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私が大変心配しているのは、今回は契約型ということでありますから、ある方が、競争率が高くなるであろうと思われるところについては第一、第二、第三まで希望を書いて出す、そして、結果的に第一希望に行かれなかったという場合もあろうと思うのです、今の話では。そのかわり、次の希望のところへ入れるかどうか。ただ、それは契約ということが前提でありますから、今度は、大事なことは、この公正な方法による選考という場合は、私は、どういう公正な選考が行われたのかという情報の開示、あなたの申し込みはこういう処理をされてこういう結果になりましたよというその情報がぜひきちっと開示される必要があると思いますし、そして、二次の申し込みなんという話になりますと、私はやはり、契約でありますからきちっとその申込者の同意を得るといいますか、そういう仕組みが極めて大事だろう、こういうふうに思っておりますが、その辺はいかがでありましょうか。
  115. 横田吉男

    横田政府委員 申し込みが定員をオーバーする場合の選考方法につきましては、公正な方法でなくてはいけないということでございますので、この選考方法につきましても明らかにいたしまして、住民の理解を得ることが必要ではないかと思っております。また、利用契約そのものは必ず本人の申し込みに基づいて行われるものでございますので、そういう意味で、本人がここに入りたいという意思が前提になるものというふうに考えております。
  116. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大体同じことを言っているのだろうと思うのですが、最初の方、情報の開示については、どうですか、公正な方法による選考、くじになるのかどうかわかりませんが、こういう結果であなたは漏れましたということはちゃんとディスクローズされるのかどうか、もう一回確認させてください。
  117. 横田吉男

    横田政府委員 この垂オ込みの選に漏れた場合におきましては、これは、利用契約ということでございますけれども、異議申し立ての対象になるということでありますので、何で私が落ちたかというようなことにつきましては、行政側としては理由を説明する義務があろうかと思っております。
  118. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 異議申し立ての対象になるのですか。もう一回確認させてください。それは間違いありませんか。
  119. 横田吉男

    横田政府委員 この垂オ込み、それから利用契約というのは、公法上の契約ということで、あくまで契約でございますけれども、落ちたということに対する不服がある場合にはその行政庁に異議の申し立てを行うことができるというふうに法律で規定しております。
  120. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公正な方法による選考というのは、これはきちっとガイドライン等も定めて指導されるということでありますから、そこに期待をしたいと思うのですが、私は、できるだけ情報開示、今回、二十四条五項で情報提供という新しい条文が入りましたけれども、これは極めて大事だろうと思います。  しかし、この五項の情報提供というのは、申し込みをする際の保育所状況というものもしっかりディスクローズしようということだろうと思うのですが、今のような公正な方法による選考なんというような場合も、私は、ディスクローズの方法をぜひお考えいただきたい、このようにお願いをしておきたいと思います。  さて、時間もありませんが、保育料の問題を二点だけ確認させてください。  保育料につきましては、今後、均一的保育料を目指していくのだ、こういうことでこの前も議論がありました。私は、均一的な保育料方向というのは否定をするわけではないのですが、これは審議会では、どの程度負担が今後のあるべき姿なのか、保育に係る経費全体に対してどのぐらい、家計に与える影響等も考慮してということになっておりますが、将来、これから均一化に向かって動く場合に大体どの辺を目安に落ちついていくのか。私はその負担水準というものが気になるのでありますが、これは審議会では議論がございましたか、ちょっと審議会の議論をお聞かせいただきたいと思います。
  121. 横田吉男

    横田政府委員 保育料につきましては、利用契約に基づく保育料ということで、保育コスト基礎として家計に対する影響も考慮して年齢別に定めるというようなことになっておりまして、基本的には将来均一的な方向を目指したいということでございますが、当面は現行段階に分かれているところでございますので、急激な負担増を避ける見地からもこれを簡素化する方向が現実的ではないかと考えております。  最終的にどういったところの水準を目指すのかということでございますけれども、トータルとしての国庫負担水準というものが現行水準どおり維持されるというもとで均一化をしていくということになりますと、各階層の平均的なところに収れんしていくというふうに考えております。  ただ、その場合におきましても、低所得者に対するいろいろな配慮等も出てまいりますので、必ずしも一致しないわけでありますけれども、大まかな考え方としては、利用者の平均的な階層のところに落ちついていく、収れんしていく、そういうものではないかと考えております。
  122. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  いずれにしても、将来、今回を改正の第一歩として保育料負担については均一的な方向でということでありますが、しかし、私は、福祉的な措置である以上、今局長からもお話がありました低所得対策等、現行母子家庭や在宅障害者を抱えている家庭等への配慮とか、参議院で話がありました多子対策とか、その辺の福祉的な対策というものも十分考慮しながら均一化に向かってこれから知恵を出していくのだろう、こんなふうに期待をしているわけであります。  さて、保育は以上にいたしまして、次の話題として、私、今回どうしても十分理解がいっていないのが、児童福祉法上の児童施設の整理統合といいますか、児童施設の新しい体系についてお伺いをしたいと思います。  参議院の質疑を何回も読みました。何回も読んだのでありますが、禅問答が随分多いのでありまして大変に悩みました。これは私の不勉強も恥じるわけでありますが、理解のできないポイントを一つ申し上げますと、不登校の問題であります。不登校という言葉は適切でないかもしれません。結果的に学校へ行っていない児童、この取り扱いについて、随分、私のところにもいろいろな要望をいただいております。陳情もいただいております。参議院でも質疑がございました。  ただ、聞いていてもなかなかわからない話なんですが、一つは、実は私は、児童相談所にも、現場へ行ってみました。話も伺いました。それから、いろいろな施設も回って実態も伺いましたけれども、例えば十年、二十年前と比べて、児童相談所の業務の中で、いわゆる不登校といいますか、学校へ行っていない子供たちの取り扱いというのは、私は随分変わってきているのじゃないかという気がいたします。これはいろいろな社会現象もあるのだろうと思うのですが、一つは、そこの変遷といいますか、経緯といいますか、そこをしっかり押さえておかないとこの議論が私は理解できないのかな、こういうように思っているのです。  大臣の方からは、本会議でもたしかあったと思いますが、不登校ということを理由に施設へ入れるということはありませんよと。私は、これは何度も耳に入っているのでありますが、その言葉を理解する意味でも、ぜひ時間をかけてでも御説明をいただきたいのは、児童福祉の世界、児童相談所あるいは児童の施設、こうした中で、いわゆる不登校という児童の取り扱いをめぐってどういう議論がなされてきているのか。私は、恐らく、児童相談所で結果的に扱っている、これからもまた児童相談所で相談を受けていかなければならない学校へ行っていない子供たちもいるのだろうと思いますし、あるいはまた、不登校ということだけで児童相談所がタッチするのは適切でない、そういうケースもあるのだろう、そういう認識が実は私自身にも欠けておりまして、この議論というものをぜひ一回お聞きしてみたい、こんなふうに思っておりますが、厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
  123. 横田吉男

    横田政府委員 現在、児童相談所にさまざまな相談が持ち込まれておりますけれども、トータルとしては、平成七年度で三十一万二千件の相談がございました。このうち、不登校ということで分類されておりますのが一万六千六百件ということで、五・三%ということでございます。  私どもの児童福祉の分野におきましては、児童相談所、あるいは施設としての児童自立支援施設あるいは養護施設、情短施設、さまざまな施設がございまして、こういった児童相談所に相談が持ち込まれた場合、その児童の特性、家庭環境、交友・対人関係、さまざまな要素を総合的に勘案いたしまして、どういった福祉サービスを提供したらその児童のために最善になるかという見地から児童相談所の方は対応しているというふうに考えております。
  124. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私が聞きたかった御答弁はなかったのでありますが、以前は、いわゆる不登校という前に登校拒否という言葉もありましたね。学校へ行かない子供たち児童を、いわゆる登校拒否ということで安易に児童相談所が取り扱った時代というのもあるのじゃないか。その後、学校へ行かないというのは決して問題行動ではないと、いろいろな議論が出てきた。大別すると、私はこういうふうに理解しているのですが、そうは言いつつも、児童相談所で今も相談に、あるいは支援しなきゃならぬケースもあるだろうし、また、児相では適切でないようなケースもあるのだろう、そういう流れが出てきた。しかし、そこは、児童相談所の現場も、この不登校という現象をきちっととらえられる学習といいますか、レベルアップということがなかなかなされていない部分もあって、私のところにもたくさんお寄せいただいているいろいろな陳情の形になっているのではないかという気がしているわけであります。  そういう意味では、私は、今回の法改正の中で、児童相談所のレベルアップということが極めて大事だろうというふうに思っております。言葉をかえて言いますと、昔、怠学というような言葉も児童相談所でよくあったわけでありまして、私は極めて古い概念だと思いますが、そういう観点だけで不登校という児童をとらえていくということではなく、最近は神経症的ないろいろな事案もあるのだろう、そこに対する相談窓口というのはいろいろな形でできているわけでありますから、そういう意味では、インテークの段階といいますか、児童相談所のあるべき姿としてしっかりレベルアップしていく必要があるのかな、こんなふうに私は思っているわけであります。  そこで、そんなことを前提に考えながら、この改正で、教護院を児童自立支援施設として新しく名前を変えて、機能も、対象児童も、従来の児童に加えて、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」に拡大されているわけであります。  また私がわからないのは、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」というのは一体何だろうかというので、参議院の議事録を見ますと、家庭における養育が適切に行われなかったために日常生活における基本的な生活習慣が身についていないとか、良好な対人関係を結ぶことが困難であるとか、将来に対する自立意欲を欠いているような児童を想定しているのだ、こういうことでございますが、これを見てもまたなかなかわからないわけであります。  ここに書いてあることは、私、理解できるのです。かつかつ理解はできるのですが、これは単に、まさに大臣が何度も言っているように、不登校ということを理由にこの自立支援施設に入所させるということではないのだということだろうと思います。まさに、児童福祉の世界でかかわらなければいけないジャンルとして、学校へ行っていない子供たちもこういう要素で入ってくる可能性もあるけれども、ということだろうと私は理解をしているのであります。  それで、もう一つわからないのは、この教護院を児童自立支援施設にする、対象を生活指導を要する子供たち、そこまで広げるということですね。それと従来の養護施設、この養護施設も今回名前を変えられるようなんですが、この養護施設と自立支援施設、今までの教護院が機能が広がるということですが、ともに新しい形になった場合、この従来の養護施設と教護院の対象児童というのとはどう違うのかというのが私またわからないのでありますが、そこのところをちょっと御説明いただけますか。
  125. 横田吉男

    横田政府委員 御指摘いただきましたように、不登校児というものについての考え方というのは、この長い時期の間でかなり変わってきているのではないかと私も存じます。そういう意味におきまして、私ども、その不登校児ということを十把一からげにして議論して考えるつもりは全くないということを申し上げたいと存じます。  不登校というのは、そのものを現象的にとらえれば、学校に行っているか、行っていないかという違いによる区別でございまして、この問題について、直接には文部省の文教行政の分野に属することではないかと、私ども、この問題だけ取り上げれば考えているところでございます。  それから、児童自立支援施設の対象児童を新しく拡大することについてのお尋ねがございました。  これは、説明として、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」ということで、先ほど御指摘いただきました説明をしているわけですが、それだけでは大変わかりにくいという御批判もいただいているところでございます。  これにつきまして、私ども、今回の児童自立支援施設というものを、名称機能を見直すということといたしております背景を少し申し上げさせていただきたいと存じます。  この児童というものを二分いたしまして、非行児あるいは健全児童というふうなことで考えるのではなくて、現在、非常に問題が複雑多様化してきております。この二分方法だけではなかなか対応できない。不登校につきましてもそうかと存じます。非常に中間的な領域と申しますかグレーゾーンと申しますか、そういう幅がかなり広がってきているのではないかということでございまして、私ども、この従来の教護院改め児童自立支援施設の生活指導等を対象とする児童考える場合におきましても、単に施設に入所してこれを生活指導するというようなことだけでなくて、今回、地域に出ていくという考えに立ちまして、通所機能あるいは退所後のアフターケアも含めまして、機能そのものをかなり地域に拡大するという考え方に立っているわけであります。その上に立って、自立支援ということで自立支援施設へ名称を変更もしているということでございます。  また、児童の態様が非常に家庭環境も含め複雑化しているということに対応しまして、従来の二分的な発想による生活指導なり保護ではなくて、その灰色部分につきましても、この機能を用いて支援することがその児童の最善の利益になるというふうな児童につきましては、この施設の持っているサービスを利用していただくという考えに立ちまして、拡大も行っているということでございます。  例えば、非行までは、あるいは非行のおそれまではいっていない方に、義務教育を終了いたしまして就職したけれども、家庭環境等に起因する学力不足、あるいは対人関係等もうまくいかないということで仕事も長続きせず、改めて、仕事もやめてどうしたらいいか出直しが必要になっている、生活指導を含めた出直しが必要になっている児童もおられます。こういった方は、非行まではやっていないわけでありますけれども、例えば今度の児童自立支援施設に入っていただけますれば、その人の保護の態様に応じた自立支援の指導ができるだけの知識、経験、ノウハウをこの施設は持っているのではないかというふうに私ども考えているわけであります。  それから、親が長期にわたりまして児童、育児を放棄してしまっているというようなことで、日常的な最小限のしつけもできていないというようなことで、適応もできないような児童の方がおられます。こういった方につきましても、この児童自立支援施設の機能を活用いただければ、ある程度役に立てていただけるのではないかと思っておるわけであります。  先生お尋ねになりました、養護施設との違いはどこにあるかということに来るわけでございますが、ちょっと長くなって大変恐縮でございますけれども、この児童自立支援施設の本来の機能は、そういった家庭環境その他の理由によりまして生活指導等を要する、その児童の態様に応じまして生活指導を行うというところでございます。  養護施設の方は、これと違いまして、児童を養護する、一般的な養育、保護ということで、家庭養育の代替機能というようなことでございまして、それに対応した職員の配置なり処遇体系になっているわけであります。  ただ、今回、児童自立支援施設の対象に先ほど申し上げましたような児童が加わったことによりまして、児童によりましては、どちらに入った方が適切なのかという判断を要する児童も出てこようかと思っております。これにつきましては、児童相談所が、専門家がそろっておりますので、そこで、その児童状況、家庭の状況等を総合的に勘案し、かつ、児童福祉審議会の特別部会等にも諮って、いろいろな方に御判断をいただいた上で、適切な処遇を行えるような施設を選んでいただくということを考えているわけであります。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 長い御説明をありがとうございました。大分理解できたようにも思うのですが、なかなか理解もできない。一つわかったことは、グレーゾーンがあって、そこへいろいろその自立支援のシステムを入れていこう、こういう努力かな、児童福祉施設の体系化ということでは今までもその点は議論されてきたことでありますから、そういう方向なのかなと思っておるのですが。  しかし、そうはいいながら、やはり今までの教護院というのが余りにもカラーが強いわけでありますから、あの教護院へ入れられるのかという、この思いというのはあると思うのですね。  そういう意味では、現場ではどういう声があるかというと、いやいや、教護院じゃなくて、本当に自立支援が必要ならば養護でやってくれ、養護の方がソフトでいい、こういう声もあるわけであります。これはまさに、今までの経緯の中から施設の概念を現場の方も持っておられるからそうなるのだろうと思うのでありますが、新しい体系の中で、教護院から自立支援施設ですか、これはよっぽどのCIをしないと簡単にはなかなか認知いただけないのではないか。  単に教護院を、教護院は今半分ぐらいですよね、半分以下、四〇%をもう割っているかもしれませんが、数が少ないから、特にほとんど県立だから、必置義務でしているのだから、これはつぶすわけにはいかぬから、何か入れる子はいないかというのでちょっと名前を変えてやる、こういうイメージでとられてはならないだろうというふうに思うわけでありまして、今までの審議会の経緯等も踏まえて、私は本当にいい自立支援施設にしていただきたい。  そのためには、やはりこれから協議されます最低基準ですね。自立支援施設にされるということであれば、どういうふうに中が変わってくるのか、専門スタッフあたりがどういうふうに配置になるのかということは、今までの教護の歴史からいってもなかなか難しい問題があるだろう、私はこのように思っておるのですが、最低基準はどうされるのですか。いつぐらいまでにどのようにどういう観点で最低基準の検討をされるのか、お伺いしたいと思います。
  127. 横田吉男

    横田政府委員 今回の教護院の改正におきましては、この教護院、非常にマイナスイメージということで一般的にとられているのは私ども大変残念でございますけれども、現実にはいろいろなところで適応ができなかった児童に対しまして、その一人一人の特性に応じていわば個々別々の処遇を行えるような非常にすぐれた知識、ノウハウを持っている施設だと思っております。そういった特性なり実績を生かして新たに生活指導等を要する児童にもお役に立ちたいということでございまして、単に教護院の入所率が現在全国的に見て四〇%、低いところはもっと低いところもあるわけでありますが、その生き残りのためというふうには考えていないわけであります。  その機能自身については、一つは、嫌われていたというか、敬遠されていた原因といたしまして、正規の学校教育が受けられないという点もあったわけであります。この点につきましては、今度、この入所児童に学校教育を導入するという改正を行っております。また、従来は入所施設ということで閉鎖的なイメージが強かったわけでありますけれども、これに通所的な機能もつけ加える。また、単に入所者の保護、指導だけではなくて、退所した後もそのアフターケアをするというような機能強化を行うというふうなことを考えているわけでございます。  そうした上に立ちまして、職員配置等を含めた施設の最低基準のあり方につきましても見直しをしていくことが必要であると考えておりまして、私ども、今後、児童福祉審議会の方の御議論もいただきながら、来年度予算に向けて検討してまいりたいと考えております。
  128. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の答弁でははっきりしないのですが、最低基準の見直しというのは審議会の中でちゃんとやって、いつまでにどうするというのは決まっているのですか。
  129. 横田吉男

    横田政府委員 この御提案させていただいております改正法の施行が来年の四月一日でございますすので、それまでにどうするかということで、私ども、来年度予算編成を念頭に置きながら検討してまいりたいということでございます。
  130. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 五分前になりまして、もう少し教護院と養護施設の具体的な内容について議論をしたいのでありますが、時間がなくなりました。  それで、もう一点、先ほど児童相談所のレベルアップ、それから児童相談所の判定ということで話がありましたけれども、今回は審議会の意見を新たに求めるということであります。  具体的に、判定会議なり措置会議の流れの中で難しい子供の対応を検討しているわけでありまして、審議会が出す意見の法的な性格、端的に、児童相談所の判定結果、児童相談所の決定と意見が食い違った場合、この子はこうした方がいい、こういうふうに児童相談所はしたいと思っても審議会の意見が違う、こういう場合はどういう扱いになるのか、今の意見の性格を教えていただきたい。  それから、「一定の場合」という項目が入っておりますけれども、この「一定の場合」というのはどういう場合なのか、御説明いただきたいと思います。
  131. 横田吉男

    横田政府委員 児童相談所が処遇を決定する場合におきまして、入所措置を決定するのか、あるいは指導にするのか、判定に迷うようなこともございますし、果たして親権を分離すべきなのかどうか、なかなか判断がつかないような場合も出てこようかと思います。  そういった場合におきまして、私ども、児童相談所のそういった判断をバックアップするという意味において、都道府県の児童福祉審議会の中に専門家を構成員とする特別部会というようなものを設けていただきまして、そこで医師、法律家、施設関係者等を交えて御議論いただいて、適切な判断をしていただきたいという趣旨であります。基本的な決定権自体は児童相談所長にあるわけでありますけれども、私ども、そういったバックアップ機関としてこの審議会の意見というものは十分尊重される必要があるのではないかと思っております。  それから、意見を聞く場合の一定の要件でございますが、これにつきましては、基本的には、施設入所措置をとる場合あるいは児童福祉司による指導等、行政処分を行う場合を想定いたしておりますけれども、相談件数等あるいは審議の実効性、効率性ということも考えなくてはなりませんので、実施に当たりましては、各都道府県の意見を十分聞きまして具体化を図ってまいりたいと考えております。
  132. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 本当に児童相談所に持ち込まれているケースというのは、先ほど不登校の問題の取り扱いをめぐって信頼関係がないという話もいたしましたけれども、実は児童相談所の現場というのは大変な思いをして、さらに、親権剥奪というような重たい言葉を背にしょいながら動いているわけであります。  今お話を聞きますと、施設入所を伴う場合は審議会の意見を聞かなければならぬ、こういう仕組みになるわけでありますので、私はやはり、迅速な処遇という観点で、あるいはまた判断が違う結果が出る場合というのは、最終的には児童相談所の所長の決定というものはそれなりに意味があるのだろう、それがぐらぐらするようではいけないのではないかと思っております。もちろん、その審議会の意見を尊重しながらということが十分現場で、いわゆる児童相談所の機能の強化につながる形で運営されるように、しっかり現場とよく相談をしていただいて、実施に向かって御検討いただきたい、このことを私はお願い申し上げておきたいと思います。  時間が終了になりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  133. 町村信孝

  134. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  まず第一に、子どもの権利条約に関連して質問させていただきます。  子どもの権利条約は、一九八九年、国連総会で全会一致で採択されて、日本は一九九四年の四月に百五十八番目に批准をいたしました。この第四条では、「締約国は、この条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずる。」となっております。  そこで、大臣にお尋ねいたしますが、日本も批准国となって既に三年になっています。この間、政府厚生省は、立法措置と行政措置をどのように講じてきましたか。
  135. 横田吉男

    横田政府委員 児童福祉法におきましては、児童福祉理念として、児童は心身ともに健やかに育成されるべきこと、児童生活を保障され、愛護されるべきことというような規定がございまして、私ども、児童の権利条約が平成六年に締結された際、政府部内におきまして種々検討を加えたわけでございますけれども、同条約の趣旨につきましては確保されているという整理が行われたところでございます。  厚生省自体といたしましては、この児童福祉法理念に沿いまして、保護を要する児童に対する施設サービス等の提供、保育に欠ける児童に対する保育サービスの提供、さまざまな母子保健サービスの実施、児童館の整備等による健全育成対策の推進、児童手当等の給付を行うこと等によりまして、児童福祉の増進を図ってきたところでございます。  今回の福祉法の改正におきましても、施設入所に際しまして、児童の立場が尊重される仕組みの導入、あるいは権利条約の趣旨の具体化を図る観点から、さまざまな規定を盛り込んでいるところでございまして、今後とも、こういった趣旨を尊重しながら、適切な制度運用を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  136. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私自身も、この児童福祉法の果たしてきた役割については認めているつもりなんですけれども、要するに、この権利条約が批准されて、全面的にもう一度見直してみる、このことが大変大事だと私は思うのです。  世界では、国連のもとに、子どもの権利に関する委員会が設置されて、そして今、国連のこの委員会には各政府からの報告が出されています。その中で、新たな、子供の基本的な法律を制定した国だとか、子供の権利に関する規定を国内法に盛り込んだ国ですとか、また、省レベルの実施機関を設置した国、子供局とか子供省とか、こういうものをつくったところもあります。それから、実施を監視する機関、こういうものをつくったところもあります。北欧などでは、例えばスウェーデンやノルウェーなどでは、七〇年代、八〇年代に、親と子の間でも体罰や暴力を禁止する、こういう法律もつくられております。  そこで、日本では外務省が実は「児童の権利に関する条約の説明書」というのを出しているわけですけれども、「条約の実施のための国内措置」として、一つは、この子どもの権利条約の実施のための「新たな国内立法措置を必要としない。」それから二番目には、なお、「この条約を実施するためには、」「予算措置は不要である。」わざわざ、やることないと言って明らかにしている。世界の流れからいっても、大変恥ずかしいというふうに私は思います。  皆さんのお手元に、委員長にもお願いをいたしましてお配りさせていただいておりますパンフレットは、これは三重県の、児童保護者用につくった、この権利条約についてのパンフレットでございますけれども、三重県は、小学校低学年、高学年用、中学生、高校生用、こういう形で一人一人に配って周知している。こういう取り組みも行われております。  こういう国内での取り組み、そして世界での取り組み、こういう努力に学んで、子どもの権利条約の趣旨が生かされるように、今後、法的にも行政的にもきちんと整備をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  137. 横田吉男

    横田政府委員 私ども、今申し上げましたように、今回の児童福祉法改正におきましても、この条約の趣旨を踏まえまして、種々のところに具体的な規定を盛り込み、その具体化を図っているところでございます。今後の制度運営におきましても、こういった権利条約の趣旨も十分踏まえながら、適切な運営を図ってまいりたいというふうに考えております。
  138. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 では、具体的に保育についてお聞きしたいと思います。  児童福祉法は五十年ぶりの改正で、批准後初めての改正という形になります。実際には、この権利条約に言う、子供の権利を主体とする理念子供に最善の利益をという理念も明記されていない、こういう改定になっております。  あなた方が、今お話ありましたように、今回の改正に当たって権利条約の趣旨を反映させたとして、例えば保育所については、保護者が希望する保育所を選択できるような仕組みにした、このように言っておられます。  今、児童福祉法二十四条では、  保育に欠けるところがあると認めるときは、それらの児童保育所に入所させて保育する措置を採らなければならない。ただし、付近に保育  所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護を加えなければならない。としております。これは措置制度の重要な柱なんですね。  権利条約の三条の二項には、「締約国は、」「児童福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。」このように書かれています。これは児童福祉法の精神に合致していると私は思います。  同時に、この権利条約の三条の一項には、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、」「児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」こういうふうにあります。いわゆる措置をする場合に児童に最善の利益が必要だ、このように言っているわけですね。  では、具体的にお聞きしますけれども、今、乳児保育を受けられない子供や延長保育が受けられない子供待機児童がどんどんふえている状況があります。厚生省の一番新しい資料で、昨年の十月でも四万八千人を超えている、このように報告されていますけれども、これは児童福祉法第二十四条の精神からいってもあってはならないことなんですね。  そこで、質問をいたしますけれども、今回、措置制度を外すことで、このようなあってはならない待機児童は一体なくなっていくのでしょうか。措置制度がなくなったら、国や市町村責任が一定免除される、後退するということがあって、さらに待機児童がふえるということにはなりませんか、いかがでしょう。
  139. 横田吉男

    横田政府委員 現在の保育所の入所の仕組みにつきましては、措置という行政処分によって入所させるということでございまして、これは、入所の権利でなくて、措置という行政処分の反射的利益であるというふうに解されているわけであります。これを、今回の改正によって、申し込みがあった場合には保育サービスを提供しなくてはならないということで、市町村の方に保育サービス提供義務を課しております。権利性という点につきましては、従来よりも市町村責任ははるかに強くなったのではないかと私ども考えておりますし、選択権が利用者の方にできるという点におきましても、児童の利益の観点から改善というふうに考えているところでございます。  それから、待機児童の問題でございますが、これは、全国的には八三%の入所率ということで、三十万人ほどのあきがございます。ただ、地域によりまして、低年齢児におきまして、御指摘のような待機児が存在するわけであります。ただ、東京都を見ますと、これが一万人ぐらいいますが、この状況を見てみますと、東京都の中でもあきの方が二万人ぐらいいる、供給過剰であります。ただ、現実に、この適否を見るためには、さらに細分化いたしまして、市区町村のレベルにまでおりていって、果たしてどういうことでこういったミスマッチが出ているのか、私ども、十分精査をする必要があると思っております。  こういった改正が今回行われますと、市町村保育サービス提供義務というのが強まりますので、入所を待っている待機児童の解消についても大いに効果が期待できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  140. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 この児童福祉法には、権利性というものがないのでしょうか。あなたが先ほど読まれました児童福祉法の精神、理念の中にきちんとその権利性があります。そういう点では、その立場からきちんと今回の保育措置制度については私は考えていただきたいと思うのです。  今言われましたように、一方では八三%の入所率。あなた、ミスマッチと言われましたけれども、現状はどうかということなんですよ。選択しようとしても、乳児だとか延長だとか一時保育だとか障害児保育、こういう形で、実際に入りたい園が、定員がいっぱいで入れないとか、そういう体制ができていないという実態があるわけですね。入りたい保育園に入れない、選択したくてもできないという状況があるわけです。ですから、あなたたちの言うミスマッチをどうやってなくすか。もっと効率的に入れるのだ、こういうふうになりますと、結局、あいているところにいろいろな形で、先ほどお話ありましたね、途中で入れるとか定員をうんとふやしてその中に詰め込む、こういう形でやると、本当にこの保育園に入りたいのだといったって、逆に選択ができないというようになりませんか。
  141. 横田吉男

    横田政府委員 東京都等の事例を見てみますと、定員につきましては倍ぐらい上回っている、一万の待機者に対して二万のあきがある。なぜこういうことが生じるのかというのは、先ほど申し上げましたように、地域ごとに見ていく必要があると思いますけれども、私どもが伺っておりますのは、人員の配置なり施設の設備につきまして十分でありましても、年齢別の定員というものを設定しているとか、いろいろな理由によりまして、入ったくても入れない状況が生じているわけであります。  今ある施設というものをできる限り有効に活用していただく、また、そのためにはどうしたらいいのか、個々の地域の実情ごとによく精査いたしまして、私ども、この問題について取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。
  142. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 子供にとっても親にとっても、選択するという場合は、どこへ入れてもいいというものではないのですね。この権利条約に言う子供の最善の利益、子供の発達に応じた形の保育園に入れたい、そういう声があるわけです。また同時に、保育園にしても、自分の身近なところで、子供たち生活を日常している場所の保育園に入れたいという問題があるわけです。あちらの遠いところであいているからあそこへ入れればいい、こういうものではないわけですね。国や市町村がきちんと子供保育しなきゃならない、保育に欠ける子供についてはちゃんと責任を持つ、それは、今の措置制度をもっと充実させる、そういう方向でやれば、もっといろいろなところで、希望するところで乳児保育をやれる、それから保育時間も、お母さんたちが働いている時間帯に合わせて、措置制度の中で延長していくということだって考えられるわけです。そういう措置制度充実させるという方向でやれば、子供の最善の利益を保障するという形で、選択できる保育園というのは可能じゃないですか。いかがでしょう。
  143. 横田吉男

    横田政府委員 措置制度というのは、あくまでも市町村行政処分によって児童を入所させるという仕組みでございますので、現実に希望をとっている場合が多いかと思いますけれども、希望しているところに入れない、兄弟が違ったところに措置された、あるいは年度途中で措置がえをされたというような話も聞くわけであります。私ども、今度、利用方式に変えることによりまして、少なくとも、自分が申し込みをすることができる、選択することができるという自由が与えられるわけであります。そのことを通じまして、各保育所の方から見ますと、これは逆に選ばれるということになるわけでありますから、ニーズに適応した努力を促されるということになるわけでありますので、私ども、結果といたしまして、より効率的で質の高い保育サービスが柔軟に提供されるようなシステムになるのではないかと考えております。
  144. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 別に措置制度をわざわざ外さなくても、措置制度の中で充実させるということは十分可能なんです。  今の段階で親のニーズに応じた形で保育園を変えるということはどういうことか、このことについて質問したいと思うのですけれども、まず、今の保育園の措置制度の重要な柱に最低基準というのがありますでしょう。これは、都市部であろうと郡部であろうと、公立であろうと民間であろうと、保育所が全国で一定の水準、大変低いと私は思っているのですけれども、これを保ってきた、そういう基準があるわけです。  例えば、職員の配置基準はどうなっているかというと、零歳児から二歳児は、子供六人に対して保母一人、三歳児は二十対一、四、五歳児は三十対一、こういう割合になっている。これは外国から比べて大変低い水準です。アメリカでは、零歳児は一対一、三歳児は五対一、四、五歳児は七対一、イギリスでは、零歳児が三対一、二歳児は四対一、三歳以上で八対一、こういうふうになっています。こういう人の配置が大変ひどい状態のまま放置されている。  それから、延長保育の問題についても、八時間分の措置費の中には実質十時間の保育ができる分の費用が含まれているよという通達が出ている。それで、十時間を超す午後七時までの保育部分にはわずかの補助金しか出さない。こういう実態が実はこの最低基準をめぐってございます。  そこで、今、市町村が大変苦労しているのは、しかし現状に合わないものですから、保母さんを特別に配置しているとか、また、保育時間を親の要望に合わせてやるためにかなり持ち出しが多くなってきております。そういう意味で、私の活動している地域ですけれども、名古屋などでは、国の保育費用の算定額百九十五億円ですが、実際には三百三十三億円かかっている。市の持ち出しが百三十八億円にもなっているわけですね。こういう実態がございます。  最低基準をうんと引き上げるというのは、厚生省責任があると私は思うのです。  実際には、児童福祉施設の最低基準の厚生省令を見てみますと、第二条では、  児童福祉施設に入所している者が、明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員の指導により、心身ともに健やかにして、社会に適応するように育成されることを保障するものとする。 と書かれております。  第三条には、「厚生大臣は、」「最低基準を常に向上させるように努めるものとする。」このように言われています。  先ほどの御答弁の中で、この基準をもっと緩和していく、こういうように言われておりましたけれども、これは、この最低基準、もう今でも上げなきゃいかぬ最低基準を引き下げるというようになりませんか。厚生大臣、いかがでしょうか。
  145. 横田吉男

    横田政府委員 最低基準の話でございますが、諸外国との比較についての御指摘がございました。これは各国によってさまざまでございまして、御指摘のように日本より多いところもあるわけでございますが、その内容を見ますと、これは、必ずしも我が国のように保母という有資格者だけではなくて、非常勤あるいは無資格者等もかなり含めた数というふうに伺っておりますし、一概に保育の質というものを人数だけで比較できないのではないかというふうに考えております。  また、我が国におきましても、最低基準ということで、設備、人員配置を省令等で決めているわけでありますけれども、補助制度といたしまして、各種延長保育あるいは乳児保育を一生懸命行っているような保育所につきましては、保母を加配するというような形での事業をやってきているわけでございまして、両々相まって必要な水準を確保できているのではないかと私どもは考えております。  今回の改正に伴いまして、各保育所が創意工夫をしやすいということで、地域の実情に応じてさまざまな弾力化が可能なような措置を検討してまいりたいということを申し上げたところでありますけれども、その際に、これは弾力化すれば必ずサービスの低下を招くというようなことではないのではないかと私ども考えているところでございます。  基本的には、そういった施設が創意工夫を図ることによりまして一人当たりのいわばサービスの度を上げていただく、企業ベースの話でいきますと、生産性を向上していただくという努力によって効率的で質のよい保育サービスを提供していただくということが必要ではないかと考えております。
  146. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 保育園というのは人間を育てるところでしょう。物をつくるところじゃないのですよ。生産性を向上するなんてとんでもない話ですね。  保育サービスというのは大半が人件費、これがかかるわけですね。あなたは創意工夫と言われたけれども、今の最低基準のひどい状態の中で創意工夫するというのは、どうなるのか。実際には、人件費をもっと低く下げるか、それとも保育サービスを低下させるか、こういう問題になるでしょう。それ以外に、ほかに方法がありますか。どうやって創意工夫があるのか、明らかにしてください。それでどうして保育サービスが向上するのですか。
  147. 横田吉男

    横田政府委員 例えば保育所の開所時間につきましては、現在、朝の七時から六時までということで一律に決めているわけでありますけれども、これを各施設において自由に設定できるようにするというようなことは一つの弾力化だと思っております。今のこの全国一律ということによりまして、例えば漁村地域等の場合においては、早朝から午後の方はそう遅くなくてもいいというようなニーズのあるところもあると思いますし、またサービス業等におきましては、朝はゆっくりでもいいから夜は少し遅目にという保育ニーズが多いところもあるわけでありますので、地域のそういった保育ニーズ状況に応じて施設が自由に設定されるようになるということであります。これは明らかに利用者の利便に資するものというふうに私ども考えているところでございます。
  148. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 それぞれ地域では、市町村は、子供状況や親の状況を見て、一定、弾力的にやっているわけです。そのためにたくさんの超過負担を抱えているわけですよ。むしろ硬直的なのは、その間の時間しか出さないという厚生省の基準そのものが硬直化しているのだというふうに私は思うのです。  それで、先ほど、私ももう聞き捨てならぬというふうに思っているのですが、厚生大臣、公立は身を引いた方がサービスは向上するなんて言われましたでしょう。子供を育てるそういう保育の現場、措置費の大半が人件費、今こういう中で、多くの人たちがこうやって苦労して、子供保育に欠ける状況、これを何とか保護する、そして保育をするための努力がされているわけですよ。そういう意味では、民間でやれということになりますと、結局、人件費や保育サービスそのものは、それは見た目にはわからないということがあるかもしれませんけれども、中身の上ではやっぱり後退するということは考えられるのじゃないですか。いかがでしょう、厚生大臣
  149. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 その点は、共産党と自民党の私とは根本的に違うところですね。民間人でできることは民間に任せた方がいい。役人じゃなきゃ公共的な仕事はできないというのは、これは共産主義的な考えであって、私は断じてとるところではない。  基本的に、民間でも公共的な仕事ができるのだ。民間人でも、かつては役所しかできない、役人しかできない仕事を今どんどんやっています。民間企業でやることは公共的な仕事ではないかというと、とんでもない。これから私は、民間人でも、本来公共的なある仕事をやりたいという人はどんどんやってもらいたい。保育にしても教育にしても、本来、役人がやるよりも、教育に情熱を持っている、保育に情熱を持っている民間人にやってもらってサービス競争をしてもらう。そうだったら、別に役人がやる必要ないのです。公費を投入して、もう民間にやってもらえばいいのです。民間人がやるから公費を投入しないかというと、とんでもない。私立大学だって私立学校だって、国費や公費は投入しています。  本来、情熱のある人が、役人だったら何年かやってすぐかわる順繰り人事、そういうものじゃない、一生涯私は保育事業にかかわりますよという民間人の経営にある保育園が、自分の保育所はこういうサービスをやっていますと利用者に情報を開示してもらう、それを利用者が選択できる、それに対しては必要な費用は公費で投入しますよといってやった方がはるかにサービス競争が始まると私は思います。
  150. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、全部公立でやりなさいと言っているわけじゃないのです。公立でやろうと民間でやろうと、保育所というものは人間を育てる場所でしょう。それは人件費というものがかかるわけですよ。措置費の中に人件費がそれなりに占めているわけです。そういう中でやる場合に、今の水準が大変低いということで市町村が困っている。もっと上げてもらいたいと言っている。ぐんと基準を引き上げた上で子どもの権利条約に言う最善の利益を保障していく、うんと基準を引き上げていくということが本当に今求められているのだということなんです。  民間人でももちろん熱心にやられる方はあるでしょう。しかし、では今公立で不熱心かというと、そうじゃないですよ。一生懸命やっていたって、今の水準では限界があると言っているのです。そこをうんと引き上げた上で、きちんと市町村、国が公的な保育について責任を持っていくということが今大事なのではないかということなんです。いかがですか。
  151. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 同じ費用の中で公立と民間とどっちがいいか。それは別に、時間においても、規制を緩和すれば、公立だったらば、同じ時間内でやりなさい、民間だったら、時間の制限を取っ払ってくれればもっと自由にやりますというところも出てくるでしょう。同じ費用でどっちが利用者から喜ばれるかというのは、私は、公立、民間問わない、ぜひともサービス競争をやってもらいたい。  公立が全部だめとは言っていません。民間のいいところは、いろいろな創意工夫を発揮して、余りああせいこうせいと言わないで少しは自主性を発揮させてくれと言う民間人もたくさんいるわけであります。余りにも、公費を投入する、役所がやるのだからと規制をし過ぎるとサービス競争の発揮する範囲も少なくなってくる。その調和だと思います。自主裁量権と、必要な規制はする、その調和をどこに置くかということがこれから大事じゃないかと。
  152. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 公立だって、自主性を発揮するということは可能なんですよ。民間人なら特別に自主性を発揮するなどという根拠があるのですか。  先ほど私が言いましたように、子供を育てる場合には、措置費というのは人件費が大半を占めているのですよ。その中で、創意工夫をやって、民間人ならもっといろいろなことができると。どういう工夫ができるのですか。結果としては人件費を減らすということでしょう。保育サービスを下げるということじゃないですか。もっといい知恵があるのですか。
  153. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、ただ金をかければいいというものじゃない、公立をふやせばいいというものじゃないということを言っているのです。現実に、同じ金、同じ人でやっていながら、ある場合によっては公立の保育園より民間保育園の方が喜ばれるという場合もあるのですよ。また、逆の場合もあるでしょう。限られた金の中でどうやってサービス競争をするか、利用者に喜ばれるかというのは、これから保育所としても大事な視点ではないでしょうか。
  154. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もともともっと水準を上げてほしいというのが声ですから、限られた低水準のところでやろうとして、そして、結果としては子供保育サービスや人件費にしわ寄せする、これが流れたというふうに思うのですよ。実際には、公立でも民間でも、人件費についてはきちんと同じ水準の保障をしている自治体もあるわけです。それはやはり、保育所という、人間を育てる場所だからこそなんですね。そこを、何とか競争させて生産性を競うような、私は全く発想が現状に合っていないと思うのです。  時間がないので次に進みたいと思うのです。  例えば保育料の問題なんですけれども、国民生活白書の中では、今、子供を産みたくてもためらう原因として、子育ての費用が大きい、それから、育児する施設、制度が不十分、こういうのが出てきております。参議院の参考人質疑の中でも、実際には保育料が高過ぎて退所したという人たちがどんどん出てきているというお話もございました。  臨調が始まって以来、父母負担がどんどんふえて、六二年度は三五・二%だったのですが、七二年度は三七・六%、八二年は五丁一%と、父母負担がどんどんふえてきております。私は、父母負担保育料というのはもう限界に来ているというふうに思うのです。  今日、経済的な能力に応じて費用徴収が行われる、これが措置制度なんですけれども、今回、制度改正、改定によって、保育所が措置施設から利用施設になる、そうすると利用者負担の原則という仕組みに変わってしまうのではないですか。いかがでしょう。
  155. 横田吉男

    横田政府委員 今回の改正によりまして、利用契約方式になるわけでありますが、その費用負担につきましては、従来と同様、保育に係る費用から徴収金を引きまして、残りを国庫で、公費で負担することにしておりますけれども、その公費の負担割合はおおむね二分の一ということで、この割合を維持したいと考えております。そういった意味におきまして、従前と同様というふうに考えております。
  156. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 要するに、今のこの保育料ではもう本当に高くて、何とか国はもっと保育料を引き下げる努力をしてほしい、援助をしてほしい、このような声が生まれてきています。これは、以前、国庫負担が八割だったのを五割にしてきたという経過もあります。国は、きちんと保育について責任を持つという意味でも、こうした保育料の軽減措置、このことをもっと考えるべきだというふうに思うのです。  その点で、今日、先ほど言いましたように、能力に応じて費用徴収するということから、今回は利用者負担という原則の仕組みに変わっていくのではないかという心配があるわけですが、その点、もう一度伺います。
  157. 横田吉男

    横田政府委員 今申し上げましたように、費用負担につきましては、保育サービスに要する総コストの半分程度を国、県、市町村等で負担する方式につきましては、今後とも維持したいというふうに考えております。
  158. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もう時間がございませんので終わりますが、本当に子供たちに最善の利益をという立場で、ぜひこの児童福祉法の改定に当たっては見直しを求めて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  159. 町村信孝

    町村委員長 中川智子さん。
  160. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  児童福祉法がこの世に誕生したのはちょうど私が生まれた年でした。そして、こんなおばさんになって、五十年目の初めての改正ということで、私は、この児童福祉法が本当に今回の改正によってもっともっと充実し、喜ばれるものになっていくために、そのような思いを込めまして、まず最初に大臣に伺いたいと思います。  午前中の審議の中でも少子化のことをおっしゃっていましたし、また、その中で、厚生省だけではだめなんだ、政府全体で、国を挙げてこの少子化の問題については取り組んでいかなければいけないとおっしゃったのですが、本当にそのとおりだと思います。  私は、まず国会で恋愛をテーマにした討論会をやることから始めるのが一番いいのではないかななんて思っておりますけれども、子供が産みづらい前に、結婚もしたくないという人がふえておりますし、そして、結婚しても子供は要らないという人がふえています。それは、おのおのの考えがあっていいのですけれども、私は、産みたいけれども産めないというこの状況をまず認識すべきだと思います。  私は子供を二人産んだ経験がございまして、もう大きいのですけれども、最初は五人ぐらい欲しかったです。でも、二人にしておいてよかったなとつくづく思うのです。どうしてかと申しますと、本当にお金がかかります。もう大変です、子供はと思って、そういうふうな声がわっと世間に出回りますと、それじゃ、二人で大変なら一人にしておこうかというふうになりますね。そうしたら、やっと一人産んだけれども、一人でも大変そうだから産むのやめておこうかと。  そういうふうなことの根拠には、やはり育てにくい、そして子供にとって本当に幸せな環境なのか、この世に生まれてよかったと子供が思えるような今の日本というのがあるのか。そこから討論していかなければ、少子化の問題というのは解決できないと思います。  子供たちに聞きますと、本当に夢が持てない、人生に夢が持てない、大人たちは何だか暗い顔をして毎日毎日大変そうだと。ですから、まず大人が明るい顔をして生きていくのが一番かなとも思ったり、いろいろなことを思って、この児童福祉法の中身を読みました。  きょうは、学童保育についてまず質問をさせていただきたいのです。  私は、子供を育てている、小学校に行っている最中に、我が子は学童保育には行ってなかったのですけれども、学童保育子供たちがどんなふうに放課後を過ごしているかということに関心がありましたので、何度か部屋をのぞきに行きました。そこでは、学校の空き教室を使っていまして、家庭科準備室というところで、畳が敷いてあるのですけれども、窓もない、二十畳ぐらいのところで五十人ぐらいの子供が詰め込まれ、宿題もできないのですね。机が置けない。子供がいるだけで精いっぱいですので、机が置けないから宿題ができない。ですから、みんな廊下で座って宿題をやっていたり、そういう状況でした。その中で、子供たちが毎日暮らす場所がこんなところだったら本当に悲しいと思いまして、PTAで問題にして、学校の校庭の隅に施設をつくる運動をし、それが実現して大層うれしかったことが記憶に物すごく刻まれております。  今回の神戸でも、民間で、自分たちの力で、お父さんやお母さんが運営していたところは、ぼろアパートが多かったので、ほとんど全壊しました。そして全壊した後、また新たにお金を出し合ってアパートを借りていくという、そのような状況があって、自治体によって全く今違っています。  ですから、この児童福祉法で初めて学童保育法制化され、レベルアップして、子供たちが放課後、夏休みも冬休みも、先生たちの安定した身分が保障され、子供たちにもそれによって喜ばれる環境整備がスタートしていくということを、私はとても期待しております。  その上での質問なんですが、この学童保育充実に対して、このたび法案に盛り込まれたその姿勢と、大臣の、少子化に対する私の一番最初の発言に対する御感想などを伺いたいと思います。学童保育は後で質問しますので、最初は大臣にちょっと全般的なところでお願いします。
  161. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 子育てしやすい環境というのは、本当に難しいと思います。  もっと日本が貧しかったころ、今よりも子育てしやすい環境だったかというと、そうじゃないのですね。戦争時代、戦前、今よりもはるかに貧しく環境は悪かったにもかかわらず、あのころは大変子供が多い。四人、五人は当たり前。今、当時から比べれば豊かになった。子供も大事にされている。にもかかわらず、少子化の傾向になっていく。だからこそ、この少子化の問題というのは、原因は一様ではない、非常に難しい問題をはらんでいる。生活水準を向上させよう、むしろ生活水準が向上している国の方が子供は少なくて、どちらかというと発展途上国の方が子供は多い。だからこそ、この少子化の問題というのはいろいろな理由があると思いますので、今後、各方面の意見を聞きながら、どうやったらば子を産みやすい、子育てしやすいような環境をつくるかということが大事であります。  また、時代が変わるにつれて、考え方も変わってまいります。お子さんが多いときは、男性も女性も、女の仕事は家事、育児だということについて疑問を持たなかったのじゃないでしょうか、女性自身も。家事、育児は当たり前だと。ところが、今はとんでもないです。女の仕事は家事、育児なんて言ったら、とんでもない、怒られちゃう。むしろ、男も女も家事、育児に共同して参加するという時代になってきた。  保育に欠ける児童だけでなくて、今の保育の問題も、むしろ、就学前のことが保育所じゃなくて、就学した後も、小学校に入ってからも、児童健全育成をどうしようかという問題も出てきますから、もういろいろ問題は変わっていきますし、解決しなければならない課題は山積しているわけですが、これから子育てしやすい環境といいますと、今や夫婦で仕事と家庭を両立させようというのは当たり前の環境になってまいりましたから、若い方々が結婚して仕事を持っても、そしてお子さんを自分で世話できなくても、それでは社会でどうやって支えていこうかということで、保育所充実策をこれから考えなきゃならないわけでありますので、私としては、この問題については、できるだけ仕事と両立を図れるような社会支援体制をどうやっていくか。保育所だけじゃありません。お子さんを持ったお母さん方が、保育所に入れないでも会社を休むことができる、一定期間休んでまた仕事に復帰することができるというような育児休業制度の拡充も必要でしょうし、そういう面は、単なる厚生省だけではない、いろいろな関係省庁と連携をとりながら、子を産みやすい、また、お子さんを持ちたいという方には持っていただく。  そして、子は社会の宝でありますから、私も子供を三人持ってみて、子育ての苦労はありますが、それよりも増して、子育ての生きがい、充実感という喜びも大きいものであるということを実感として持っている人間でありますので、できるだけ若い方々にはお子さんを持ってもらいやすいような、育てやすいような環境整備していく必要があるなと思っております。
  162. 横田吉男

    横田政府委員 放課後児童健全育成事業、先ほども御説明申し上げましたように、全国で八千六百ほどございますけれども、まだ三分の一ぐらいの市町村で行われている状況でございます。地域によって非常にばらつきが大きいということで、これはそれなりに、地域の学校の開放状況ですとか児童館の設置状況なんかの違いもありますし、また、ニーズそのものにも違いがあるというようなことによるのではないかと思っておりますけれども、今回、法制化いたしましてその一層の普及を図ってまいりたいということでございます。
  163. 中川智子

    ○中川(智)委員 その中身でちょっと伺いたいのですけれども、事業名称が学童保育からわざわざ放課後児童健全育成事業というふうになっていますが、もう学童保育というのは既に広辞苑とかそういう辞書にもありますし、わざわざこういう長ったらしい、よくわけがわからないような名前にしたのかということを一点伺いたいのです。どうして学童保育事業ではいけないのでしょうか。それを明確にちょっとお答え願いたい。  そして、この中に対象児童を「おおむね十歳未満」というふうに書いてありますが、私たちの希望では、大体小学校六年生までは自由に選択できるということで、ここの年齢制限は要らないのじゃないかと思いますが、「おおむね十歳未満の児童」と限定することはないと思いますが、この二つに対してお答えをお願いします。
  164. 横田吉男

    横田政府委員 私ども、保育と申しますと、昼間保護者が労働等により忙しいということで保育に欠ける就学前の児童を対象といたしまして、保育所に入所して子の保育を行うという意味で現在使っているわけであります。  放課後児童健全育成事業ということでございますが、これは小学校にもう入学されている児童を対象ということでございまして、この意味において、就学前の児童保育とは違っているということであります。この対象といたしましては専ら小学校低学年の児童ということで、授業が終了いたしましてから、適切な遊び場なり生活の場を提供いたしまして健全な育成を図っていくということでございます。  これは、従来から私ども、放課後児童クラブ事業ということで助成等も行ってきているということもございまして、今回の法制化に当たりまして、保育と区別する必要もあるということ、それから、従来からの事業の延長ということもございまして、放課後児童健全育成事業という形で規定させていただいたものでございます。  それから、対象児が十歳未満の児童を対象としているという点についてでございますが、これは、ニーズといたしましては小学校低学年の児童が高いのではないか、やはり一人でほっておくわけにはいかないということだと思います。現実にも、現在八千六百の事業のうちで約九割ぐらいの児童が一年生から三年生ということでございまして、今回の法制化に当たりましても、こういった実態を踏まえて「小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童」というふうに規定いたしております。  ただ、これは、十歳以上の児童が参加することはいけないという趣旨ではございませんで、運営主体の自主的な判断によりまして、地域の実情に応じて柔軟に対応していただいて差し支えないのではないかというふうに考えております。
  165. 中川智子

    ○中川(智)委員 そうしたら、厚生省の方は、小学校六年生でも、その子が家に帰ってひとりぼっちじゃ寂しい、そのような子はきっちりと入れるようにという指導を市町村にもするのですか。希望すれば入れるということでの「おおむね十歳」ですか。
  166. 横田吉男

    横田政府委員 法律の規定はそういったことでございますが、運用につきましては各実施主体の判断にゆだねられるということでございます。
  167. 中川智子

    ○中川(智)委員 それが今は、小学校三年、それで四年生に上がったら、もういっぱいだから来ちゃいけないというような形で運用しているところが多いのです。ですから、親が、うちの子はまだ行きたいと言っているけれども入れてくれないという苦情をたくさん聞きますが、そういうことに対してはどのような御認識でしょうか。
  168. 横田吉男

    横田政府委員 その事例を具体的に存じ上げませんけれども、例えば、場所がいっぱいでそういった限定がされていることもあるのかなと思いますけれども、私どもといたしましては、その地域の実情に応じまして、実施主体においてそのあたりは弾力的に御判断いただくべき事柄ではないかと思っております。
  169. 中川智子

    ○中川(智)委員 それは地域の実情でやるべきことではなくて、子供や親が希望すれば、地域を先におっしゃるのはおかしいのじゃないですか。
  170. 横田吉男

    横田政府委員 法律上の規定は十歳未満の児童を対象ということでございまして、従来から助成事業を行っておりますのも、市町村事業として、こういった方を対象におおむね二十人以上、放課後児童健全育成事業をやっているというところについて助成をしているというようなことになっております。ただ、その場合におきまして、実際上は六年生の方が入っておられるというようなこともあるわけであります。これを、私ども、いけないとかいいとか、こちらから一々指導するような事柄でもないのではないかということでございます。
  171. 中川智子

    ○中川(智)委員 そうしたら、先ほどの大臣の御答弁の中の、産み育てやすい環境をつくっていくということと反するのじゃないでしょうか。せっかく法律でこうつくるのに、そのあたりを、地域の実情じゃなくて、親や子供ニーズに応じてこの学童保育というのをやっていくべきだというふうな形で進めていかないと、全く中身に関しては前に進まないのではないでしょうか。
  172. 横田吉男

    横田政府委員 当然、この事業というのはその地域におけるニーズが高いから行われているのではないかと私ども考えておりまして、そういったニーズに応じましてこの事業がさらに普及いたしますように、私どもといたしましては、この法改正も含めまして引き続き努力してまいりたいと考えております。
  173. 中川智子

    ○中川(智)委員 それでは、たくさん質問したいのに時間がないので、そのことはまた確認で次回に質問させていただきます。  施設について伺いたいのですけれども、先ほど神戸の例を申しましたが、今、日本で本当に喜ばれているような学童保育の施設というのは、政令指定都市でもまだ少なくて、東京都が一番いいというアンケート結果が出ております。身近な社会資源を利用するというふうなお立場でこれからお進めになっていくと思いますけれども、身近な社会資源というのがどのようなものを考えていらっしゃるか。  その例といたしましては、今、学校施設の空き教室が多いのですけれども、学校施設は文部省、学童保育厚生省、ですから子供たちが学校のガラスを一枚壊しても、それは文部省の方になりまして、こちらは厚生省というふうになって、本当にトラブルが多いのです。そして、子供たちを遊具で遊ばせていましても、けがをしたら学校の責任になるとか、いろいろ責任も不明確です。でも私は、そのような空き教室を、がらんとクモの巣を張らしておくのじゃなくて、しっかりとそのようなものを利用したらいいと思うのですね。  一つの例では、危険な道路を何個も何個も渡って、十五分も三十分も子供たちが歩いてその施設に通って交通事故に遭ったとか、そしてお寺の境内で、お墓が幽霊が出そうで泣いちゃって、もうこんなところへ来るのは嫌だとか、いろいろなそのような劣悪な施設で今学童保育というのがあります。  でも、そのような学校施設などをきっちりと使うような形で、厚生省と文部省が手を取り合ってこのたび進めていくのか。まず、文部省に施設のことを伺いたいと思います。最初に文部省にお願いします。
  174. 玉井日出夫

    ○玉井説明員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、現在、児童生徒数の減少によりまして、都市部を中心にかなり余裕教室が生じてきております。私どもは、その施設の有効活用という観点から、学校教育以外の用途にも積極的に活用していきますように、市町村などに対しまして指導をいたしておりますし、あわせて、この場合、財産処分ということが必要になってまいりますので、その手続の簡素化も進めているところでございます。それによりまして、余裕教室等の学校施設が放課後児童クラブ施設へも既に相当数転用されていることは御案内のとおりだろうと思います。  地域には生涯学習のニーズだとか、あるいは今議論されております放課後児童健全育成事業に対するニーズだとか、さらには、今後の高齢化社会考えれば、デイサービスセンターといった高齢者福祉という面もいろいろニーズがあろうかと思います。  したがいまして、私どもとしましては、今後とも、余裕教室等の学校施設が、放課後児童健全育成事業を含めまして、生涯学習だとか福祉だとか、地域のそれぞれのニーズに即してより一層積極的に活用されるように努めてまいりたいと思います。  その際に、御指摘のとおり、この放課後児童健全育成事業につきましては、厚生省との連携が大切だと思っております。既に連携をとっているところでございますけれども、お互いに実情を把握するという意味におきまして、今後、必要に応じましてさらに連携を深めてまいりたい、かように考えております。
  175. 横田吉男

    横田政府委員 放課後児童健全育成事業が行われている場所は、一番多いのは学校の余裕教室、あるいは敷地内施設ということで、四割ぐらいを占めております。その次は児童館ということで、二二%というようなことで、これで六割ぐらいを占めている状況でございます。  私どもは、この実施につきましては、文部省あるいは市町村の中における福祉部局、教育委員会等との連携も密接にしながら取り組んでまいりたいと考えておりますし、保育所等におきましても、あきがある状態でありますから、大いにこういった事業にも今後活用していただくよう推進してまいりたいと思っております。
  176. 中川智子

    ○中川(智)委員 もう時間が終わりましたけれども、今拝見していますと、学童保育だと空を見て言えますけれども、放課後児童健全育成事業というのは、下を向いて皆さんおっしゃっていましたね。どうして一々下を見なければいけないような名前に変えるのか、まだ納得できません。終わります。      ————◇—————
  177. 町村信孝

    町村委員長 次に、内閣提出参議院送付廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。小泉厚生大臣。     —————————————  廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改  正する法律案    〔本号末尾に掲載〕
  178. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ただいま議題となりました廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国においては、経済成長や国民生活の向上等に伴い、廃棄物が大量に排出される一方で、廃棄物の減量や再生利用は必ずしも十分に進んでいない状況にあります。  他方、廃棄物を適正に処理するために必要な最終処分場等の廃棄物処理施設については、近年の廃棄物処理に対する住民の不安や不信感の高まりを背景として、その設置や運営をめぐり地域紛争が多発し、その確保がますます困難となっており、このような傾向が続けば、将来、廃棄物の適正な処理に支障を来しかねない深刻な状況にあります。また、産業廃棄物の不法投棄が後を絶たず、その解決が強く求められております。  こうした状況を踏まえ、廃棄物の減量化・再生利用の推進、廃棄物処理施設に係る規制の見直し、不法投棄対策等の総合的な対策を講じ、廃棄物の適正処理を推進するため、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、廃棄物の減量化及び再生利用の推進を図るため、都道府県知事が多量排出事業者に作成を指示する処理計画について、廃棄物の減量の視点を明確化するとともに、廃棄物の再生利用について、厚生大臣の認定制度を設けることにより、生活環境の保全に十分留意しつつ必要な規制緩和を図ることとしております。  第二に、廃棄物処理施設の設置について、生活環境影響調査の実施、申請書等の告示・縦覧、関係市町村長の意見の聴取等の許可手続を明確化するとともに、許可要件の見直しを行うことにより、周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされた施設の設置を進めていくこととしております。  第三に、廃棄物処理施設の維持管理について、施設の設置者に対し、維持管理に関する記録の作成や閲覧、維持管理費用の積み立てを義務づけることにより、その適正かつ確実な実施を確保することとしております。  第四に、産業廃棄物の適正な委託処理の推進を図るため、現在、特別管理産業廃棄物にのみ交付が義務づけられている管理票制度について、その適用範囲をすべての産業廃棄物に拡大することとしております。また、管理票制度については、事業者の負担の軽減を図るため、管理票の交付にかえて、電子情報処理組織を使用することができることとし、このために必要な業務を行う民法法人を、厚生大臣が情報処理センターとして指定する制度を設けることとしております。  第五に、産業廃棄物の不法投棄に対する罰金額の大幅な引き上げなど罰則を強化し、廃棄物の不適正処理の防止を図ることとしております。  第六に、不法投棄が行われた場合の原状回復措置の円滑な実施を図るため、都道府県知事等が原状回復措置を命ずることができる者の範囲を拡大するとともに、命令を受けた者が直ちに必要な措置を講じない場合にはみずから必要な措置を講じ、その費用を命令を受けた者等に負担させることができることとしております。  第七に、事業者による産業廃棄物の適正な処理の確保を図るための自主的な活動を推進することを目的とした民法法人を、厚生大臣が産業廃棄物適正処理推進センターとして指定する制度を設けることとしております。このセンターは、事業者等の出による基金を設けて、原状回復措置を講ずる都道府県等に対する資金の出捐等の業務を行うこととしております。  このほか、廃棄物処理業の許可要件の強化、名義貸しの禁止等の改正を行うこととしております。  最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内で政令で定める日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  179. 町村信孝

    町村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、来る二十七日火曜日午後一時四十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時散会      ————◇—————