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1997-05-07 第140回国会 衆議院 厚生委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月七日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 町村 信孝君    理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君    理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       江渡 聡徳君    大村 秀章君       奥山 茂彦君    桜井 郁三君       鈴木 俊一君    田村 憲久君       根本  匠君    能勢 和子君       桧田  仁君    松本  純君      山下 徳夫君    吉田左エ門君       青山 二三君    井上 喜一君       大口 善徳君    鴨下 一郎君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       枝野 幸男君    中桐 伸五君       瀬古由起子君    中川 智子君       土屋 品子君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       溝口善兵衛君         厚生政務次官  鈴木 俊一君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君  委員外出席者         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任  嘉数 知賢君     吉田左エ門君   家西  悟君     中桐 伸五君 同日  辞任         補欠選任  吉田左エ門君     嘉数 知賢君   中桐 伸五君     家西  悟君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提出第三六号)      ――――◇―――――
  2. 町村信孝

    町村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出健康保険法等の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、本案に対し、津島雄二君外二名から、自由民主党及び社会民主党市民連合の二派共同提案による修正案提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。津島雄二君。     ―――――――――――――  健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 津島雄二

    津島委員 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党及び社会民主党市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本法律案は、医療保険制度抜本的改革の一環として、当面の財政危機を回避し、引き続き医療保険制度改革を着実に進めていくことを前提として、給付と負担見直し等措置を講じようとするものであります。  本案に対する本委員会での審議等を踏まえ、薬剤に対する一部負担など実態に即した所要改正を行うため、本修正案提出するものであります。  修正の要旨は、  第一に、外来の際の薬剤に係る一部負担については、薬剤支給を受けるごとに、その種類数に応じ、二種類または三種類の場合は四百円、四種類または五種類の場合は七百円、六種類以上の場合は千円とすること。  なお、頓服薬及び外用薬については、一種類につきそれぞれ十円及び八十円とすること。  第二に、政府管掌健康保険保険料率を千分の八十五とすること。  第三に、老人保健法に係る入院一部負担金の額を、平成九年度においては一日につき千円、平成十年度においては一日につき千百円、平成十一年度においては一日につき千二百円とすること。  第四に、施行期日平成九年九月一日とすること。ただし、国民健康保険法の一部改正のうち、外来の際の薬剤に係る一部負担に関する事項及び国民健康保険組合に対する国庫補助に関する事項を除く規定は、公布の日から施行し、平成九年四月一日から適用すること。  第五に、政府は、薬剤支給に係る一部負担その他この法律による改正に係る事項について、この法律施行後の薬剤費を含む医療費の動向、医療保険財政状況社会経済情勢変化等を勘案し、この法律施行後三年以内に検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要措置を講ずるものとすること。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  4. 町村信孝

    町村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣意見を聴取いたします。小泉厚生大臣
  5. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案については、政府としては、現下の財政事情等から見て問題があるものの、諸般の事情を勘案して、やむを得ないものと考えます。     ―――――――――――――
  6. 町村信孝

    町村委員長 これより本案及び修正案を一括して質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島豊君。
  7. 福島豊

    福島委員 私は、今回、修正案提出されました経緯、これをまず最初に御説明いただきたいと思っております。  といいますのは、健康保険法改正案提出されまして、この委員会審議を重ねてきたわけでございます。その審議過程とは全く別のところで、どう修正するのかという議論が、まさに密室と言えば密室の中で行われて、そして本日、このような形で提出をされた。しかも、その提出された修正案に対して、お聞きするところによれば、本日採決をしてほしいと。これは余りにも乱暴な話でもありますし、そしてまた、国会での議論というものを軽視するやり方であると私どもは思っております。断じてこういうやり方は今後繰り返されてはならないのではないか、そのようにも思います。  まず初めに、この修正案提出された提出者の方にお聞きいたしますが、どのようにしてこの修正案がつくられたのか、どのような議論でこの修正案ができたのか、その点につきまして、議論経緯を御説明いただきたいと思います。
  8. 長勢甚遠

    長勢委員 政府原案につきまして、特に薬剤費負担につきましては、この委員会でも、また各方面からも、いろいろな御意見があったところであります。特に、一種類十五円という政府原案でございますが、これについては、極めて事務が煩雑になるのではないか、あるいは、患者さんにとってわかりにくい場合があるのではないか、さらには、薬剤費をめぐる諸問題についての効果が少ないのではないか等々の議論があったところであります。  我々、政党といたしまして、こういう問題に対処しながらこの法案処理に当たることが国民に対する責任である、こういう観点から、こういう問題について、薬剤費負担あり方について検討をしてまいりました。そういう観点で、今回の修正提案をさせていただいたところであります。  この提案は、お配りしてあるとおりでございますが、できる限り事務を簡略にする、そして、わかりやすいものにする、同時に、多剤使用なり高薬化へのシフトに対する効果ができる限り可能であるような仕組み考えたいということで作成をさせていただきました。  特徴的な点は、種類数に応じて定額とする、そしてまた、一種類のみの場合には負担はゼロとする、こういうところが原案相当程度に違うところでありますが、これは、今申しました趣旨からこういう提案にさせていただいたところでございます。ぜひとも御理解を賜りたいと思います。
  9. 福島豊

    福島委員 実態に即して、さまざまな議論を踏まえて修正案提出されたということでございますが、本日のマスコミ各紙報道では、大変に評価は低いのではないかというような気がいたします。この大見出しを読むだけでも、「患者負担増先行の恐れ」「ビジョン示せぬ第一歩」「妥協の力学繰り返し」等々の、余り肯定的な評価はないのではないかというふうに思います。  今、提出者長勢委員から御説明ございましたが、事務簡略化、わかりやすさ等々の利点があるのだ、こういうお話でございますが、この利点につきまして、原案に対して明らかにこの修正案がすぐれているのだ、ここがすぐれていると提出者として思うというところを、要点をもう一度説明していただけませんか。
  10. 長勢甚遠

    長勢委員 原案は、一日一種類十五円ということでございますので、種類数計算し、かつ、それに日数計算して御負担額を窓口で算定していただく、こういう仕組みでございます。これは事務処理等も大変に煩雑になるという心配が各方面から言われておるところでございますし、また、患者にとっても大変にわかりにくい面がある、このように言われております。  今回の我々の出しております修正案は、種類数に応じてそのまま定額ということを明示いたしておりますので、事務処理も大変簡略でございますし、どれだけの負担になるかということも患者にとって大変わかりやすいものであると思っております。そしてまた、ゼロ区分、また四区分を設けておりますので、高薬価シフトへの若干のそれなり抑制効果というものも期待できる、このように私どもとしては評価をさせていただきたい、このように思っております。
  11. 福島豊

    福島委員 今御指摘のありました点について、順次、後ほど御質問をさせていただきたいと思います。  その前に、今回の修正案提出に当たっては、医療保険制度に関する合意案となっておりますけれども、その書類では、「修正については」「昨年十二月十九日の確認及び本年四月七日の「基本方針」に基づいて対処する。」この二つ文書、私も拝見をさせていただきましたが、この二つ文書と今回の修正案というのはどういう関係があるのでしょうか。私は、拝見する限りではほとんど何の関係もない修正ではないかと思いますが、この点につきまして御説明いただけますか。
  12. 津島雄二

    津島委員 与党三党の間で昨年の予算編成過程から真剣な改革議論をやってまいりましたが、特に、同月十九日の医療保険改革についての申し合わせによりますと、「医療保険改革の方向については、広く国民的立場から議論を進めていくこと」、それから、「法律案については、国会公聴会の場で国民の幅広い意見を十分に聞き、その声を法案審議に反映させるよう真剣に努力する。」こと、それから、「法案施行期日については、国会審議の結果を踏まえ、かつ、三党間の合意により弾力的措置をとること」、以上のような合意が行われておるわけでございます。  一月以来、医療保険制度抜本改革及び法案の取り扱いについて引き続き協議をしてきたわけでありますが、この四月七日に医療制度改革基本方針というものが取りまとめられ、「二〇〇〇年を目途に実現するよう、精力的に取り組む。」こととなったわけであります。  今回の法案修正は、国会におけるこれまでの御審議、それから法案採決が五月以降にずれ込んでおること、したがって、施行期日についても対応が必要であるということ、それから、与党三党間のその後の協議公聴会における各方面からの意見等を踏まえて、これを総合的に勘案した上で修正の内容を決定したものであります。
  13. 福島豊

    福島委員 例えば基本方針の中にはさまざまなことが盛り込まれております。そういった諸点についてこの修正案が考慮しつつ決めたというような話には到底私は思えない。また、先ほど提出者から御説明いただきましたけれども、広く国民の声を聞いてということもおっしゃられましたが、公聴会も開かれていない。私は、そういうような審議の進め方で本当にいいのだろうかと再度申し上げておきたいというふうに思います。  先ほど提出者から、この修正案薬剤費別途負担あり方というのは非常にわかりやすい、簡素であるというお話がございました。順番は前後しますが、この別途負担につきまして引き続きお尋ねをしたいと思います。  まず、種類数計算ということでございますが、これは御確認でございますけれども、一種類というのは、一日合計二百五円以下であれば一種類とみなす、そのように考えてよろしいわけでしょうか。
  14. 長勢甚遠

    長勢委員 先生御存じのとおりでございますが、一処方について合計額が二百五円未満の場合は一種類とみなすという従来のルールがございますので、それに基づいて種類数計算するということで考えております。
  15. 福島豊

    福島委員 としますと、一体合計が幾らになるのかということで一つ一つまた計算をしてこの何種類かという区分けに当てはめなければいかぬという意味においては、煩雑であることについては余り変わりがないのではないか。日数部分だけ減ったということではないか。私は、それほど簡素化が進むということではないのではないかという気がいたします。  また、この定額負担についての御確認でございますが、これは二週間投与に対しての定額負担ということでよろしいわけでしょうか。
  16. 長勢甚遠

    長勢委員 種類数計算するということはそのとおりでございますが、政府原案に比べて日数部分がございませんので、また、四区分にしておりますので、事務は相当簡略になると私どもは思っております。  また、定額の算定の根拠についてのお尋ねでございますが、内服薬につきまして平均的な投与日数は大体十二・三だったでしょうか、十二日ちょっとでございましたので、それを前提にして、平均的な一種類当たり投薬額、十三円だったと思いますが、それを算定いたしまして、四百円、七百円、千円という額にさせていただいております。
  17. 福島豊

    福島委員 現在の薬剤投与は、薬剤によっては四週間投与が認められていると思います。この場合にも、負担修正案で定められている額と同じであるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  18. 長勢甚遠

    長勢委員 この修正案では、種類数だけで定額で定めさせていただくというふうに簡略にいたしておりますので、投与日数関係ございません。したがって、今御質問の点はそのとおりであります。
  19. 福島豊

    福島委員 また逆に、短い場合、風邪また下痢などの薬剤投与期間が比較的短い場合もあると思います。三日間だったら三日間、そういう場合でも、これは今提出者が御説明されました十二・何日ですか、約二週間に相当する分の負担を払わなければいけないということになるわけでございますけれども、それでよろしいのでしょうか。
  20. 長勢甚遠

    長勢委員 そのとおりでございます。
  21. 福島豊

    福島委員 私は、そういう意味ではこの負担あり方というのは大変公平性に欠けているのじゃないか。短期間投与の場合には大幅な負担増になるわけでございまして、そういう場合の負担の不公平、こういうものをどう考えるのか。それでもよろしい、これは仕方のないことなんだというふうに提出者の方はお考えですか。
  22. 長勢甚遠

    長勢委員 定額制考えます以上、今先生指摘の点も含めて、いろいろな意味で完全な公平というものは期しがたい部分があることは否めないことだと思っております。これはほかの仕組み考えれば別でございますが、定額制の範囲では、そういう問題は避けられない部分があるということは認識をいたしております。  その中で、事務負担をなるべく軽減をし、また、わかりやすいものにするということを最優先として考えましたので、今先生の御指摘のような問題が全くあり得ないというわけではないとは思いますけれども、しかし、現実平均日数がそういうことでございますし、今先生指摘のようなケースで、かつ、大変な不公平が生ずるというケースはほとんどないものというふうに思っておりますので、このような修正案で出させていただいております。
  23. 福島豊

    福島委員 今御説明の、そういう不公平はほとんどないという御説明が私にはよく理解できません。また、本日のマスコミ報道でも、逆に、同じ負担をするのだったら、できるだけ長い期間投与を求める、三日ばかりではなくてもっと薬をくださいという話になるのではないか、そうしますと、提出者が御説明のように、この薬剤費をいかに抑制するのかという課題に対して逆の効果を持つのではないか、そういう御指摘もあります。  これは、私、非常に起こり得る、蓋然性の高い話だというふうに思います。この点については提出者はどのようにお考えですか。
  24. 長勢甚遠

    長勢委員 御案内のとおり、現在の療養担当規則等規定によりまして、原則として内服薬は十四日分以内というふうに定められているところでございますし、今おっしゃったようなケースが起こるということであれば一種の乱用ということになりかねませんので、それなり審査等も適切に行われるべきであると考えておりますし、また、現実に副作用問題その他も取り上げられておる昨今、安易にそのような患者さんあるいはお医者さんの行動が起こるのかどうかということも、私は、そんなに起こる話ではないだろう、こう思っておりますし、また、あってはならないことだと思っております。  ただ、御指摘のような問題も、現実には絶対ないというわけではないと思います。しかし、これは、こういう制度でありますので、運用の中でそういうことがないようにするとともに、運用実態というものも見きわめなければわからない問題であります。そういうことで、この修正案にも、必要に応じて見直しをするという旨の規定も設けさせていただいておるところであります。
  25. 福島豊

    福島委員 また、上限を六種類、六種類以上はもう千円で打ちどめという話になっているわけでございますけれども、この六種類以上を千円ということに定めた理由、根拠というのはどのあたりにあるわけでしょうか。
  26. 長勢甚遠

    長勢委員 特に老人の方々については、手引等によりまして五種類ぐらいを限度とするようにという指導も行われておるというふうに理解をしておりますし、また、多剤使用がいろいろな意味で大きな問題として取り上げられております昨今でございますので、六種類以上については千円という形で、患者さんにも、またお医者さんにもコスト意識を持ってもらうということが正しいあり方ではないか、このように思っております。
  27. 福島豊

    福島委員 また、外用薬頓服薬、この負担決め方、八十円と十円ということでございますけれども、これも非常に唐突な感が否めないわけでございますが、どうしてこのような金額になったのでしょうか。
  28. 長勢甚遠

    長勢委員 外用薬頓服薬は、いわゆる一般内服薬と性格的に全く異なる処方が行われておる、これが現実でございます。投与日数等も定めなく投与されておるわけでございますので、現在の政府原案におきましても、内服薬とこの外用薬頓服薬については若干扱いが違う形になっております。これが医療現場での常識というふうに理解をしております。そういう観点から、外用薬頓服薬については、一般内服薬別建て仕組みとさせていただきました。  額につきましては、外用薬につきましては、一投薬当たり平均投薬額が八百三十円というふうなことでございますので、その一割程度ということで八十円、また、頓服薬につきましては、一投薬当たり平均額が百六十円ということでございましたが、頓服薬については極めて安価なものも多いという実態もあるというふうに承知をいたしておりますので、一投薬当たり十円ということで修正をさせていただきました。
  29. 福島豊

    福島委員 外用薬頓服薬につきましては、八十円、十円と、それぞれ、回数でありますとか投与量、こういうものに関係なしに定額にするという話になっているわけでございますけれども、これも、先ほど繰り返しになりますけれども、そうしますと、むしろこちらの方が、できるだけたくさんください、そういう話になりやすいのじゃないかというふうに私は思いますが、提出者はどのようにお考えですか。
  30. 長勢甚遠

    長勢委員 先ほどもお答えをいたしたとおりでございますが、私は、そういう意味での投与ということについて、お医者さんの方でも十分良識を持って対応されるものだと思いますし、患者さんの方でも、自分の問題でございますから、お考えになられるだろうと思っております。  また、一種間違ったといいますか、むだといいますか、こういうことがあれば、当然、審査して正確に行われるべきだ、このように思っておる次第であります。
  31. 福島豊

    福島委員 次に、今回の修正案のすぐれているという点としまして、四つの区分を設けた、そのことによって高薬価薬新薬シフト、こういうものを抑制する効果があるのだという御説明をいただきました。  しかし、この点については、現在までの委員会での審議に対して、厚生省の答弁でも、こういう新薬シフトであるとか高薬価に対してのシフトであるとか、原案でもこれはそういう効果はないのじゃないかという議論が繰り返されてきたわけです。  したがって、この修正案というのは、原案簡素化したというのにとどまるわけでございますから、そういう意味では、提出者がおっしゃられるような、高薬価薬へのシフトでありますとか、新薬シフトでありますとか、そういうものに対して抑制する効果というのは、やはり同様、ないのではないかというふうに思わざるを得ません。  なぜ修正案によってそういうことが改善されるのだという御主張をされるのか、よく理解できないわけでございますけれども、この点についての御説明をいただきたいと思います。
  32. 長勢甚遠

    長勢委員 政府原案と極めて大きく違う第一点は、一種類につきましては負担なしとしておるところであります。したがいまして、一種類のみを投与されている割合というのは三割以上に上っておるわけでございますが、逆に、二種類以上出す必要が、一種類にとどめてもきちんとした処方ができるというケースについては、その部分シフトをしてもらえるということもあり得ることだと思いますし、また、二―三、四―五というふうに区分分けをしており、その区分によって額が変わりますので、多剤使用についての抑制効果と同時に、先ほどお話がありました二百五円ルールの問題もございますので、そういう意味での高薬価シフトへの抑制効果というものはそれなりに期待できる、こう思っております。  ただ、これによって、言われておるような多剤使用なり高薬価シフトがどうなるかということになれば、これは基本的には薬価基準等々の抜本的な改正にまつべきものであろうという点は、多分先生と同じ考えになるだろう、このように思います。
  33. 福島豊

    福島委員 抜本的な改革薬剤費の問題をどうするのか、薬価基準決め方見直し、こういうことがやはり必要だというのは提出者の方も同じ認識だと思います。であるならば、私は、それを先行させる、その点について少しでも盛り込んだような修正案を出されてしかるべきではないかというふうに感じております。  この委員会での議論を踏まえて、また、尊重して修正案提出したのだというように御説明になりましたけれども、そういう観点からいいますと、少しも議論が踏まえられていないのではないかというような思いもいたします。提出者はどのようにお考えでしょうか。     〔委員長退席住委員長代理着席
  34. 長勢甚遠

    長勢委員 当委員会あるいは各方面の御意見にはいろいろなものがあるわけでございます。一つは、今おっしゃったように、薬価基準その他抜本的改正を早急にやるべきだという御意見は当然であります。もう一つは、この原案そのものについて、薬剤費負担あり方、一種類十五円というあり方自体が、やるにしても、煩雑でかつわかりにくくて、そのような効果も少ないのではないかという御批判もあったわけでございます。  この修正案は、その後者について特に関心を持って修正をしたものでございまして、前者の抜本改革については、今回の修正という段階ではまだ十分な議論ができておりませんので、抜本改革議論を待って早急に実現を図るべきものである、このように考えております。     〔住委員長代理退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  35. 福島豊

    福島委員 十分な議論をする時間がなかったのだという御説明かとも思いますけれども、しかし、昨年の暮れから考えますともう半年近くがたつわけでございまして、むしろ、それは取り組みの姿勢の問題ではないかという思いが私はいたします。  今、この修正案につきましてさまざまな点についてお聞きいたしましたので、次は全体的な話をお聞きいたしたいと思います。  今回の修正によって財政的にはどういう影響を与えるのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
  36. 津島雄二

    津島委員 今回の修正案による財政効果は、平成九年度で見まして、国庫負担政府案よりも一千五百九十億円増加をすると見込んでおります。  その内訳は、施行日を九月一日にしたということが大きいわけでありまして、一千三百三十億円増加、それから、ただいま御議論いただきました薬剤負担あり方についての修正によって二百六十億円増加ということであります。
  37. 福島豊

    福島委員 平成九年度、千五百九十億の国庫負担がふえるということでございますが、この点についてはどのように対応されるお考えですか。
  38. 津島雄二

    津島委員 千五百九十億円の国庫負担の増加がございますが、また、各保険会計にも影響がございますが、それぞれ対応を迫られることになりますけれども、政管健保につきましては、平成九年度で三千九百七十億円の赤字要因になるわけでございますが、これは、平成九年度におきましては過去の積立原資によって賄うことができるというふうに見られております。
  39. 福島豊

    福島委員 そうしますと、あえて補正予算を組む必要はないというようなことでございましょうか。
  40. 長勢甚遠

    長勢委員 国庫負担についての御説明は、今、津島先生からされたとおりでございます。これは、今後の保険財政全体の実態等も踏まえて、要すれば補正予算というものを検討する場合も出てくるだろうと思いますが、いずれにしても、今後の実施後の状況を踏まえて対応させていただきたいと思っております。
  41. 福島豊

    福島委員 その後のことでございますけれども、今回の政府案の提出の際には、平成九年度、十年度、十一年度、政管健保にしましてもそれぞれの財政の見通しというものが明確に示されておりまして、どういうふうな形になるのだという議論があったわけでございます。しかし、今回の修正案に対しましては、一体それぞれの財政がどうなるのかという見通しが全くないわけです。この点についての御説明をきちっとしていただきたいと思います。
  42. 津島雄二

    津島委員 確かに健康保険会計全体につきまして大きな問題が残されている、それだけに抜本改革が必要である、医療費全体あるいは薬剤費全体の適正化の努力もしていかなければならないということでございまして、その全体としての対応は、これから引き続き真剣に議論をいたしまして、抜本改革において解決策を見出すべきものであるというふうに考えております。
  43. 福島豊

    福島委員 納得ができません。抜本改革がなければ対応できないのだと。しかし、その修正案はそういったことに全く触れていないと私は思います。そして、財政の見通しについても、実はよくわからないというのが本当のところだというふうに思います。実際に修正案でやってみて、どういうふうな財政状況になるのか。まさに後追い的な対応が続いているというふうに私は思います。  ですから、私ども新進党が当初より申し上げておりましたように、負担増だけを先行させることがあってはならないと私どもは言ってまいりました。むしろ、その道筋を明確に示すべきであるというお話もしてきたわけでございます。  今回の修正案施行期日は九月一日からということでございますが、それまでに医療改革プログラムを策定するというふうにこの合意案には記載されております。九月一日までにこのプログラムをつくり上げるということであるのでしたら、いっそのこと、そのプログラムができ上がってから負担増をきちっとした形で、今後の財政の見通しがどうなるのかということもきちっと示した上で、本格的な修正をするのであれば修正案を出すべきじゃないか、そのように私は思いますが、提出者はどのようにお考えでしょうか。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 津島雄二

    津島委員 そのような議論は今回の政府案の提出のときからございまして、今の健康保険財政全体の問題を解決するためにはかなり大きな改革をしなければならないと指摘をされておるところでありますが、しかし、その改革全体の方向が決まりますまで猶予できないということもございまして、政府案は提出をされているわけでございます。それを土台に、私どもが、これまでの議論を参考にして、実態に即した修正をお願いしているというのが現状でございまして、もとより健康保険会計全体の問題につきましては、大きな課題が残されているということをお認めするにはやぶさかではございません。
  45. 福島豊

    福島委員 結局のところ、財政の穴のあいた部分にばんそうこうを張ったにすぎないというようなことかとも思います。  九月一日までにプログラムをまとめるということでございますが、これは本当にできるのか、見通しはどうなんでしょう。
  46. 長勢甚遠

    長勢委員 先般、与党三党で、今後の抜本改革のスケジュール、内容等についても合意をさせていただいたところでございますが、施行期日までに、与党協また厚生省において、何としても改革プログラムを作成するように努めるというかたい決意でございます。  今まで、今年に入りましてから相当日数を費やして検討し、四月七日に基本方針をまとめたところでございますが、それを踏まえて、国民の方々にこのような御負担を求める以上、何としてでも抜本改革のスケジュールを、プログラムを明示し、それをできるものから早急に実施していく、こういうかたい決意で我々としてはやっていきたい、このように思っております。
  47. 福島豊

    福島委員 かたい決意はわかるわけですが、同じ言葉が繰り返されてきたなという思いもあるわけでございます。九月一日、夏休みもあることでございますから、今国会中にはある程度の骨格が提出されなければなかなか議論が進まないのじゃないかというふうに思います。九月一日というゴールはよろしいわけですけれども、そこまでのスケジュール、これはもう提出者の皆様の頭の中にあらあらスケジュールがあるのではないかと私は思いますけれども、どういうふうな手順でというかスケジュールで進めていかれるのか、この点についてもう少し詳しく御説明いただけませんでしょうか。
  48. 長勢甚遠

    長勢委員 今申しましたように、先般、合意をしたところでございますが、今、この法案審議中でございます。この審議の状況も踏まえながら、今後、早急に与党改革協議会としての審議の方針あるいはスケジュール等々を決めることになりますので、今の段階で、私から具体的に申し上げる段階ではございませんので、お許しをいただきたいと思います。
  49. 福島豊

    福島委員 私がしつこくお聞きしているのは、審議を踏まえながらと、審議が反映されるのであればそれもいいわけですが、審議も適当なところで打ち切って採決という話になるわけですね。そうしますと、その後、審議はなくなってしまうのですよ。ですから、少なくともこの審議の間に、どういうスケジュールでやります、どういうふうに考えていますということぐらい説明していただいてもいいのじゃないかと私は思いますけれども
  50. 長勢甚遠

    長勢委員 抜本改革の基本的な方向につきましては、与党として、四月七日に、基本方針として国民の皆様にもお示ししたとおりであります。具体的な部分についてさらに検討しなければならない部分がありますけれども、方向としては、我々としては相当程度に踏み込んだ方向を出した、このように思っております。これを九月一日までにきちんと具体化していく、できるものをしていくということを精力的にやろうということを申し上げておるわけでございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  51. 福島豊

    福島委員 それは、与党三党の責任としてやるということでよろしいわけですね。努力するということではなくて、きちっと国民に対して責任を持ってやるのだということでよろしいわけですね。
  52. 長勢甚遠

    長勢委員 与党三党として合意をし、国民の皆様方にもお示しをしておるところでございますから、政党の責任として一生懸命やってまいります。
  53. 福島豊

    福島委員 わかりました。しっかりと頑張っていただきたいと思います。これからの経過というものをしっかりと私どもも注目をさせていただきたい、そのように思っております。  次に、入院における自己負担の問題につきましてお聞きをいたしたいと思います。  今回の修正案では、平成九年度は一日千円、平成十年度は一日千百円、平成十一年度は一日千二百円と、毎年百円ずつ上げていくわけでございます。毎年百円ずつ上げる、物価スライドでもありませんし、これはどういう理屈でこういう自己負担を求めるのか、そのあたりの根拠というものを御説明いただきたいと思います。
  54. 長勢甚遠

    長勢委員 入院費の自己負担につきましては、現行七百十円を政府原案では千円に引き上げるという案になっております。  これにつきまして、今、老人の方々についてのいろいろな問題の一つとして、病院が、通院のケースではサロン化している、あるいは入院のケースでは社会的入院が起きておるのではないかということが言われておるわけであります。  そういう中で、外来についての自己負担の今回の政府原案の対応と入院の自己負担の対応とには少しアンバランスがあるのではないか、こういう批判もありました。また、今、介護保険法案を御審議いただいておりますけれども、介護保険法案における自己負担のありようと老人の入院負担のありようによっては、社会的入院の解消ということにどういう影響があるかという御議論もありました。  そういう意味で、将来的に、介護保険法の施行に合わせる方向で考えていくことが適当なのではないかと我々としては考えたわけでございまして、そのために、段階的に介護保険法の方向に向けて入院費についての自己負担も御負担をいただくようにしてもらえないだろうか、こういうふうに考えまして、この修正案提出させていただいた次第でございます。
  55. 福島豊

    福島委員 介護保険法の負担あり方を目指して自己負担を拡大していくのだという趣旨かというふうに受けとめさせていただきました。  そうしますと、今回の修正案では十一年度までの入院負担あり方しか示されていないわけでございますが、提出者のお考えとしましては、この自己負担というのはどこまで拡大されるべきであるとお考えなんでしょうか。一割の定率負担をしていただいた方がいいのではないか、そのようにお考えなんでしょうか。
  56. 長勢甚遠

    長勢委員 今後、抜本改革全体を見ていくことになりますので、その過程において今の問題についても最終的な結論を出していくことになるだろう、していかなければならない、このように思っております。  今先生から、一割というのが適当と考えておるのか、こういう御質問でございます。私個人の問題としては、そういうのも一つの立派な意見だろうと思っておりますが、いずれにしても、これから各党内あるいは与党内、また、この場で議論をされて決めていくことでございますので、私の立場で私見を述べることは差し控えたいと思います。
  57. 福島豊

    福島委員 私は、元来、定率負担ということに対しては非常に反対の立場でございます。また、今回の自己負担についても、私は非常に大きな負担増だと思います。低所得者の高齢者の方には負担が大きい。この低所得者の高齢者に対しては、入院の自己負担ということにつきましても何らかの配慮はなされているのでしょうか。
  58. 長勢甚遠

    長勢委員 政府原案におきましても、低所得者の入院費の自己負担については配慮措置が講じてあると承知をいたしております。
  59. 福島豊

    福島委員 修正案でもそれは同じであるということでございますね。(長勢委員「はい」と呼ぶ)  また、高齢者の自己負担ということでございますが、保険内でこうした自己負担を求めるに当たって考えなければいかぬことは、保険外の負担もかなり大きいということなんですね。  これは厚生省に御確認でございますが、入院に際しての保険外負担というのは、成人の場合また高齢者の場合で種々違うと思いますけれども、一体どのような水準になっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  60. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  老人の場合でお答えをさせていただきたいと思いますが、老人の場合におきます入院の場合のいわゆるおむつ代等のいわゆる保険外負担でございますけれども平成六年度に調査を行っておりますが、その結果によりますと、費用を支払った人の、患者の方々の一月当たりの平均で申し上げますと、これは全国の平均でございますが、三万二千四百二十円という負担になってございます。若人だけについて、同様の調査を行ったものは現在のところはございません。老人について今のような結果がございます。  なお、このほか、いわゆる室料差額がございますけれども、これにつきましては、平成七年度に調査を行っておりますが、これは逆に老人も若人も全体を含めた数字でございますが、病院の全病床の一二・三%でいわゆる室料差額を取れるようになっておりまして、負担額は一日当たり千一円から二千円までが全体の一七%弱、これが一番多うございます。次いで二千一円から三千円までが一六・五%弱、こんなような実態になってございます。
  61. 福島豊

    福島委員 今お話がありましたように、合計しますと、数万、十万近くなるかと思います。ですから、こういう負担現実にはあるわけです。身近で聞きますと、十万以上のお世話代というのを取られている病院というのも本当に多いわけです。その中でさらに保険内での自己負担を拡大していくということについては、私は、慎重でなければいかぬというふうにも思います。  私は、あえて提出者の中川先生に御指名をさせていただきましたのは、いろいろと今まで主婦の立場で高齢者の方を、親御さんをお世話されてきたということもあろうかと思いますので――ですから、こうやって自己負担を拡大していくぞという修正案の、将来に向かっての決意がここに込められているわけでございますね。保険内での自己負担を拡大するのであれば、少なくとも保険外の自己負担あり方、現状でどうなっているのか、それをどうするのか、どうしたらこれを減らすことができるのかという、全体としての本当の負担、そういうことを私はやはり配慮すべきなんじゃないかというふうに思うのです。この点について、中川先生の御意見をお聞きしたいと思います。
  62. 中川智子

    ○中川(智)委員 本当に先生のおっしゃるとおりでございまして、その中身も含めましての今回の提案になったのですが、やはり抜本改革をきっちりやって、自己負担に関しての軽減はこれから早急に取り組むべきだと思いますし、いわゆる保険外負担については従来から不適当な負担の是正に努めてきておりまして、例えばお世話料などのあいまいな名目で費用徴収を行っている部分に関しましては、それを行ってはいけない旨の指導をしております。  今後とも、不適当な保険外負担の是正のためにはなお一層努力をしていきたい、そのように考えております。
  63. 福島豊

    福島委員 中川先生与党の立場でよろしくお願いいたします。  引き続きまして、政管健保の保険料率の話なのでございますけれども、引き下げることにした、八六パーミルから八五パーミルになったわけでございますが、私は、これも非常に唐突だなという印象があります。なぜ引き下げるという話になったのか、今まで御説明がなかったと思いますが、この議論の経過を御説明いただきたいと思います。
  64. 津島雄二

    津島委員 政管健保の被保険者については、これまで当委員会審議でもいろいろ議論がございました。八六パーミルへの変更を政府案では提案されておりますけれども、この急激な増加を緩和する必要性についても御指摘があったところでありますが、昨年十一月二十七日の、医療保険制度あり方についての、審議会からの建議書におきまして、政管健保の過去最高の保険料率が八五パーミルであることを考慮して、その程度の水準まで引き上げることはやむを得ない、こういう建議でございましたことも参考にいたしまして、このような修正提案をさせていただきました。
  65. 福島豊

    福島委員 今後のことをお聞きするとあれでございますけれども、政管健保の財政状況が厳しいということが、一にも二にも今回の健保法の改正説明といいますか、厚生省からの御説明のポイントになっておったわけですね。そうしますと、その状況が変わらないわけですから、今回の修正案で八五パーミルに抑えると将来的にどうなるのでしょう。将来的にはどういうお考えですか。
  66. 津島雄二

    津島委員 政管健保の会計全体に大きな影響を与えますのは、まさにこれからの医療費の動向でございまして、そういう基本的な問題について抜本改革をしよう、そのプログラムを速やかに示していこうということは抜本的にこの問題を解決しようということでございまして、そのことを抜きに将来の保険料率議論し、ただ被保険者に負担をお願いするということはやはり適当ではないのではないかというふうに考えております。
  67. 福島豊

    福島委員 次にお尋ねしたいことは、三年以内に必要に応じて見直しを行うという話でございます。  先ほど、財政の見通しというのは明確な御説明がなかったわけでございます。今までの厚生省からの御説明をお聞きいたしておりますと、原案どおりだったとしても、三年間のうちには財政状況は再び大変悪化するということになるわけでございます。今回の修正案でもそれは同じことだと思います。  そうしますと、例えば薬剤費の別途負担にしても、これをまた引き上げようとか、そういう話が必ず出てくるのではないか。今、提出者はその間に抜本的な改革ということをおっしゃっているわけなのでございますけれども、本当にそれができるのかどうか、大変に疑わしいというような思いが実はしております。しかし、先ほど九月一日までにこれはしっかりと出すのだ、責任として出すのだとおっしゃられたわけでございますから、その点については九月一日までの経過を見させていただきたいと思っております。  そうしますと、三年以内の見直しという規定についてはどういうことを想定しておられるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  68. 長勢甚遠

    長勢委員 先ほど先生からも、今回の修正案についても各種の問題も起こり得るのではないかという御疑問もありました。また、財政的な影響がどういうことになるのかということについても、結果的には実施をしてみなければわからない点もあろうかと思います。  こういう点を踏まえて、どうしても改正をしなければ、見直しをしなければ修正案の所期の目的が達成されないというケースが起こり得ると思いますので、そういう点について、念のため見直し規定を置くことによって十分な御審議をいただきたい、このように思ったわけでございます。
  69. 福島豊

    福島委員 次に、医療保険構造改革審議会についてお尋ねをしたいわけでございます。  これは、先ほどの御説明ですと、九月一日を待つわけではなくて、四月一日にさかのぼって実施される項目であろうかというふうに思いますが、実際に五月を過ぎておりますけれども、この医療保険構造改革審議会はいつごろ設置されて、また、先ほど九月一日までにプログラムを出すというふうにおっしゃっておられるわけですから、その構造改革審議会はむしろ要らなくなってしまうのじゃないかというような思いすらするわけです。この点、与党のプログラムの提出という問題と構造改革審議会の関係、このあたりの関係はどうなっているのか、御説明いただきたいと思います。
  70. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今回の修正案が成立し次第早急に、厚生省案としての総合的な改革案を取りまとめたいと思っております。これは当然、九月一日までに間に合わせなきゃなりません。できるだけ早くまとめて、この案を与党協議会にもお示しする。同時に、審議会、そのときに審議会ができているかどうかまだわかりませんが、その案を審議会に諮って、審議会でも議論をしていただくという段階になると思います。
  71. 福島豊

    福島委員 審議会を早急につくって、与党とキャッチボールをしながら九月一日までに間に合わせますというふうな話と理解させていただきました。  次に、時間も限られてまいりましたので、修正案と若干離れますが、国保組合の国庫補助について最後にちょっとお聞きをしておきたいと思います。  国保組合の国庫補助については、今回、政府原案の中で修正するという話になっておりますね。この修正については、国保組合の組合員の方からは大変反対があります。それで、この国庫補助見直しによってどの程度の財政的な影響があるのか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  72. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 国保組合に対する国庫補助見直し政府原案でもお願いしております。これは、現在、国保組合については三二%の国庫補助が入ることになっておりますけれども、その中で、仮に、国保組合に入らなければ政府管掌健康保険に加入しなければならない方がおられます。この方々につきましては、承認を得て国保組合に加入することができる、こういう形になっておる。  そこで、政府管掌健康保険に本来入るべき方でありますから、そうしますと、政府管掌健康保険では一三%の国庫補助率になっておるわけであります。一方、国保組合の場合は三二%ということで、その間の公平を図る必要があるということから、今回、政府原案におきましても、新たにこれから、政府管掌健康保険に本来入るべき人であって、承認を得て国保組合に入る方についての国庫補助額は、政管健保並みの一三%にさせていただきたい、こういうことでお願いしております。  これを、政府原案ではことしの四月から施行させていただきたいということであったわけでございますけれども、今回の修正施行期日が九月一日ということになりますので、そういたしますと、政府原案では約五十六億円の国庫補助が従来よりも縮減されると見込んでおりましたけれども、今回の修正に伴いまして、これが三十一億円ということで、当初の政府原案に比べますと、本年度は国庫補助額が政府原案よりは二十五億円ほど増加する格好になる、こういうことでございます。
  73. 福島豊

    福島委員 政管健保との横並びということでございますけれども、しかし、国保組合そのものは、歴史が政管健保とは全く違うところからスタートしているということは局長も御存じだと思うのですね。その歴史的な背景というものをやはり尊重する必要があるのではないか。今まで国保組合の運営に多くの方が、その財政状況をよくするために努力をしてこられた。今、比較的財政状況はよろしいわけですね。財政状況が比較的よろしいから国庫補助を減らしても大丈夫だろうというような発想で減らすというのはいかがなものかというふうにも私は思うわけでございますが、再度、局長の御見解をお聞きしたいと思います。
  74. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 我が国の医療保険制度、これは保険者が相当多岐にわたっておるわけであります。そういった中で、それぞれ加入資格というものが定められておるわけでありまして、国保組合に入る方の中には、本来、政府管掌健康保険に入るべき方がおられます。国保組合については、そういう方について、承認を得て国保組合に入る、こういう例外的な取り扱いをさせていただいておるわけでありまして、その辺の制度的な取り扱いの是非という問題は根本的にございますけれども、少なくとも、そういった中で国庫補助というものを考える場合に、国庫補助の公平という視点もやはりこれは大事だというふうに考えております。  今回の措置というのは、そういった意味での負担の公平といいますか、国庫補助の公平という視点からこの見直しをさせていただいておるということでございます。
  75. 福島豊

    福島委員 しかし、本来、国保に入るべき人も三二%の国庫補助でしかないということを考えますと、そこにも不公平が実はあるのではないかというふうにも私は思うわけでございまして、この点につきましては、再度、別の機会で申し上げたいと思っております。  時間が参りましたので、以上で私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  76. 町村信孝

    町村委員長 山本孝史君。
  77. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 福島議員に続きまして、質問をさせていただきます。  まず、提案者にお聞きをいたしたいのですけれども、今回の原案は、与党としてお取り決めになって、閣議決定を経て国会の場にお出しになった。それに対して我々は真摯に審議をさせていただいているわけですけれども、なぜこの時点になって与党修正案をお出しになるのか、非常に国民としてはわかりづらい部分があります。この原案というのは、与党としては十分に審議をしたものではなかったというふうにお認めになるのでしょうか。
  78. 津島雄二

    津島委員 先ほども御答弁いたしましたが、医療保険の抱えております問題は極めて多岐にわたり、また、奥が深いわけでございます。抜本改革が求められているのはまさにそのためでございまして、抜本改革のために、与党三党では、昨年の予算編成の時期、そして、その後におきましても検討を重ねてまいり、四月七日に今後の基本方針を明らかにしたところでございます。これを受けまして、さらに、当委員会における審議で出されましたいろいろな問題点を勘案をして提案させていただいたのがこのたびの修正案でございまして、もとより医療保険全体の改革のためには、それは、今後とも大きな課題が残されていることはもちろんでございます。  そこで、今回の与党間の決定を見ますときに、あわせて、先ほどからも御答弁をしておりますように、九月の施行までに、今後の抜本改革のプログラムを与党協議会及び厚生省が協力して世に問うということを明らかにさせていただいたところでございまして、引き続き、本院においても、当委員会においても真剣な御議論をいただくとともに、与党としても努力を重ねてまいりたいと思っておるところであります。
  79. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今、津島先生お話しになった点は福島議員に対しての御答弁でもわかっておるのですが、私の御質問は、お出しになった原案というのは、与党として十分に審議をして、これでいいという形でお出しになったものではないのかということですね。  平成九年度の財政状況、赤字状況を見ながら、当面、こういうふうな財政改革はしなければいけない、小泉大臣としては、この程度負担であればお願いをするのだ、これは社会保障の構造改革の第一歩、医療保険の構造改革の第一歩としてこの程度負担は皆さんにお願いをするのだという形でお出しになった。当然、そういういろいろな御批判の声がこの厚生委員会の中で出てくることは御承知の上だったと思いますけれども、そういうものも踏まえた上で審議をされて、閣議決定をされて、この案を国会にお出しになったのではないのですかというところなんです。
  80. 津島雄二

    津島委員 与党間の話し合いにつきましては、既に五月六日、合意案という形で出されておりますように、与党合意として、「健保法等改正案修正は、以下の諸点とする。」ということで、当委員会にも御提出を申し上げさせていただいたところであります。
  81. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 どうも、さすが厚生大臣経験者でいらっしゃって答弁が非常にお上手だというふうに思いますが、私の御質問にきっちりとお答えをいただいていないと思うのですね。  我々がこの国会審議をする中で、修正案をお出しになる、あるいは何か違う方法を考えておられるという中で、いわば仮の案をずっと審議させられてきているという意味で、早くきっちりとした案をお出しくださいという形で、ようやくきのうの段階になって修正案云々という話になったわけですね。  後々の記録のためにもぜひ残しておいていただかないといけないのは、結局、その間ずっと我々は、今申し上げたような仮の案の審議をさせられてきた。そして、きのうの朝の段階になって、ようやく、連休の間で協議が決まりましたので、こういう案にさせていただきたいということでお出しになった。修正案というものをきのうの委員会提案説明もさせていただきたいという御説明もありながら、結局、きのうの夕方の段階でも出なかった。そういう状況で、けさ、この提案理由説明を、趣旨説明をなさり、そして与党側としては、きょうの夕方には採決をしてほしいというようなことをおっしゃっておられる。大変に強引なやり方だというふうに思います。  財政効果の表についても、結局、きょう、この「国庫負担への影響」という紙が一枚出てきただけでございまして、財政状況の表は一切示されていない。  後々の質疑でお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、もともとの原案に大変にいわば瑕疵があって、そしてそれを修正する、それは国会の中で修正をするのでいいと思いますけれども、大変強引なやり方で、きょう採決をしてほしいというような形は、提案者として、こういう強引なやり方は本当にいいのでしょうか。今後ともに、お出しになる法案は余りにも不十分なままでお出しになるということを今回お認めになるようにも思いますけれども、そういうふうに受けとめてよろしいのでしょうか。
  82. 長勢甚遠

    長勢委員 今後、我が国は、各般の面で行政改革、財政改革を進めていかなければなりません。その段階で、国民の方々の御意見を広く踏まえて理解していただくことが必要であります。そのためには、法案の形で御審議をいただく中でいろいろな意見を反映させていただいて、そして、立派な成案をつくっていくということが我々国会の役割である、このように私は認識しております。  今回の政府原案提出に当たりまして、与党三党でも議論いたしました。いろいろな意見がございましたが、我々としては、その時点で最善のものとして提案をさせていただいておるわけでございます。しかし、今申しましたような観点から、年末の与党三党の合意におきましても、「法律案については、」「国民の幅広い意見を十分に聞き、その声を法案審議に反映させるよう真剣に努力する。」ということを公表しておるわけでございまして、当委員会での審議、その他各般の御意見を踏まえて検討してまいりました。この時期、いよいよ法案も最終段階に参りましたので、修正案という形でお諮りをさせていただいている点であります。  スケジュール等について先生の御意見もあろうかと思いますが、この法案は大変大事な法案でございます。何としてでも早急に成立を図って医療保険財政の安定化を図らなければならない、こういう思いでおりますので、何とぞ御理解と御協力をお願いいたしたい、このように思います。
  83. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 大臣にお伺いいたしたいと思います。  先ほど、今回の修正案財政状況上に余りいい影響はないのだ、困るのだ、しかし、諸般の事情考えてこれも仕方がないかなというふうなお話をされておられましたけれども、今回、こういうふうな修正案与党と一緒になって政府与党として最終原案をお出しになって、それで、与党の側がいろいろと交渉する中でこういう修正案をお出しになってくる、しかも、それが厚生省にとって余りよろしくない効果を持っているような案が出てくるということについて、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  84. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 いかなる案を出しても、国会で過半数の賛成が得られないと成立いたしません。財政状況的に穴があきますけれども、また、五月一日に施行できないという状況を考えるならば、できるだけ多くの皆さんに理解を得られやすい道をとるのもやむを得ないのではないかなと。厚生省よりも国会の意思が上だというのは民主主義の原則であります。従わざるを得ないと思います。
  85. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今、与党としては、自民党とさきがけと社民党の三党でいわば過半数をとっておられる。この厚生委員会の中でも、今、この案で、原案でいっても、採決をすればこの委員会をぎりぎりのところで通るわけですね。そういう意味において、今の御答弁というのは少し実態と合っていないというふうに私は思います。  そこで、問題はその財政状況の見通しなんですけれども、「制度改正による政府管掌健康保険財政への効果」というようなものをかつて原案のときにはお出しいただいております。平成九年度収支、改正案の単年度収支差では五億円の黒字になるというような、こういう表が出ておりましたけれども、今回の修正案が成立しますと、この政管健保財政への効果というものは、今後、今年度あるいは平成十三年度に向かって各年度、どういう状況になるのか。  今回の審議をするに当たってこういう資料をお出しいただきたいというふうにきのう御要望を申し上げて、私の質問をする時点まで、まだ来ておりません。朝の理事会の中でも、そういう資料をくださいというふうに申し上げましたけれども先ほど申し上げた「国庫負担への影響」という一枚の紙しか出ていない。こういう表は、数字はいただけるのでしょうか。
  86. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今回の修正によりまして、政府原案に比べますと、政管健保の財政状況は悪化をいたします。  平成九年度は、政府原案では、収支差で申し上げますと、単年度収支差五億円ほどの黒字ということで見込んでおりましたけれども、今回の修正に伴いまして、三千九百七十億の赤字になるということでございます。  それから、平成十年度につきましては、政府原案の場合は、逆調に転じまして五十億の赤字が発生いたします。今回の修正案によりますと、千二百五十億の赤字ということで見込んでおります。  それから、平成十一年度につきましては、政府原案では、二千四十億の赤字が発生すると見込んでおりましたが、今回の修正案によりますと、三千二百五十億の赤字が発生するという格好になります。  それから、平成十二年度まで申し上げますと、平成十二年度につきましては、政府原案では、四千三百六十億円の赤字が発生するということでありましたが、今回の修正案によりますと、五千六百十億円の赤字が発生する。  収支差だけ申し上げますとこういうことでございまして、当初政府案を提出いたしました際にお示ししましたこれから五年間の収支状況というものに見合う、今回の修正案を取り入れた場合の状況につきまして、別途、資料を御提出いたしたいと思います。
  87. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 局長、別途ではなくて、私はこれを質問するに当たって、今後の財政状況がどうなるのか、ここは保険料率の引き上げあるいは一部負担見直し薬剤の金額も恐らく変わってくるのでしょう。それから、この政管健保全体の財政状況の見通しがどうなるのか、あるいは制度改正による実効負担率がどんなふうに変わるのかといったあたりの数字をお出しいただかないと、私、これ以上の質問はできないので、今そうやってお読みになっておられるのであれば、きっちりとした資料をこちら側に渡していただきたいというふうに思います。
  88. 町村信孝

    町村委員長 一応ちょっと答弁してください。
  89. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 それでは、手持ちの資料をお配りさせていただきたいと思います。
  90. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 手持ちの資料ではなくて、きのうの夜に、あの十一時の時点で、ちゃんと資料をお出しくださいということでお願いをし、きょうの朝の理事会でも、再度そういうことの確認もさせていただいて、それで、出していただかなくて、今手持ちの資料でやるというのは、これは質問者に対して大変失礼じゃないでしょうか。私は、そういうままでこの審議をするということはできませんので、委員長、ちゃんとした資料をまず出させてください。それから次の質問をしたいと思います。
  91. 町村信孝

    町村委員長 理事会でお話があったのは、財政収支の影響の内訳を出してくれというふうに私は聞いておりましたので、先ほどの資料が配られたものと。理事会で、「国庫負担への影響」の内訳が必要であるということで、各年度にわたる財政収支のあれについて出してくれという理解は私はしておりませんでしたが、今、山本委員の御発言でありますから、政府の方で今お持ちのものがあるならば、大至急コピーをとって、山本さん初め各委員に配ってください。大至急お願いします。――山本さん、よろしいですか。
  92. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 質問を続ける前に、これ、「(4)修正案による財政収支の見通し」、(4)と書いてあるので、恐らく(3)とか(2)とか(1)とか、あるいは(5)とか(6)とかあると思いますので、一緒にコピーしてください、質問している間に。よろしいですか。コピーをするように言っていただけますか。
  93. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 済みません。これは表題がついていないのが本来の資料でして、私が持っているのはついていないのですが、ちょっとこれは、ほかのあれをコピーしてしまったので、申しわけありませんが、表題を消していただきたいと思います。
  94. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 極めて奇妙な答弁をしないでいただきたいと思います。コピーをし間違えて、違うところのページをコピーして、上に(4)がついているのだけれども下の資料は生きているのだということであれば、その間違ったままに、上に(3)とか(2)とか(1)とかついたもの、あるいは(5)とか(6)とかある、そんなふうにしか考えようがないのですけれども、普通の考えでいけば。余り質問者を煩わさないでいただきたいというふうに思います。
  95. 町村信孝

    町村委員長 政府の方も、コピーの方には十分気をつけてください。
  96. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 申しわけございません。おわびして訂正させていただきます。中身は全く同じでありますので、申しわけありません。
  97. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 聞けば聞くほどわかりません。  先ほどの高木局長の答弁の中で、政管健保について言えば、今年度の事業運営安定資金の八年度末の金額というのは幾らになっていて、結局、そこからこの三千九百七十億を埋め合わせるというような趣旨での御答弁だったと思いますが、八年度末の金額と、それで、ここをどういうふうに調整してこの赤字を今年度は持っていくのか、もう一度御答弁をお願いします。
  98. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 この表が見づらくて申しわけございません。平成九年度の赤字額が三千九百七十億というのがございます。その下に、年度末資金ということで千五百十億というのがございます。これは、平成八年度末の収支差。いわゆる積立金ということで五千四百九十億、平成八年度末に積立金が残ります。この五千四百九十億で三千九百七十億を埋め合わせるという形になります。その差がここにあります千五百十億円ということでございます。若干、端数のところが四捨五入の関係でありますが、そのような形になります。  そこで、その下の欄をごらんいただきますと、別途、国庫負担の繰り延べ額が現在八千二百億ほどございます。これは、今手元に、厚生保険特別会計の積立金という形ではございませんけれども、これは厚生保険特別会計としては当然返還していただかなければいけないものでありまして、そういった意味で括弧書きに書いてございますけれども、この千五百十億と八千二百億を足しますと九千七百十億、それで、この九千七百十億の中で八千二百億が繰り延べ分でございます。こういうようなことで御理解いただきたいと思います。  なお、平成十年度についてちなみに申し上げますと、同じように読んでいただきますと、平成十年度は、単年度収支差が千二百五十億の赤字になります。この千二百五十億を平成九年度末の千五百十億で埋め合わせますと、残りが二百六十億の積立金が残るということになりまして、そして、その下の欄の実質収支をごらんいただきますと、二百六十億と八千二百億の繰り延べ分を足し込みますと、八千四百六十億というのがこの数字でございます。  以下、右の方、十一、十二年度、ごらんいただきますと、十一年度をちなみに申し上げますと、十一年度からは、赤字が三千二百五十億の赤字になっておりますけれども、年度末資金のところが網かけになっております。と申しますのは、三千二百五十億の赤字に対しまして手持ちの積立金が二百六十億でありますから、これは到底足りないわけでありまして、そうしますと、下の方の八千二百億の繰り延べの資金を返還していただかないとこの分は埋まらないという格好になりまして、これ以下は、この八千二百億を充当させていただかざるを得ないだろうというような仮の計算になっておるわけでございます。このように読んでいただきたいと思います。
  99. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 委員長繰り返しですけれども、こういう一番基本的な数字が出てこなくて、今ここでこうやって説明を聞いて、今後どうなるのですかということでもって質問をして、きょう、この質問が終わったら採決ですというようなことは非常におかしいということだけ、もう一度確認をさせていただきたいと思います。  この説明でいきますと、平成十年度末で手持ちの資金はなくなる、平成十一年度末で国に預けてあるお金を返してもらってもなくなるという形ですね。すると、原案で言われていた、三年程度は何とかもつのじゃないかという話じゃなくて、もうことしもつのが精いっぱいという、この表になってくる。それが、先ほど大臣おっしゃった、保険財政上は決していい修正案ではないのだけれどもというお話になるのだと思いますが、これは返していただくことが前提になっているような表にもなっていますし、ここは返していただけるのかどうかは行ってみなければわからないという話ばかりでしたし、年度末資金を使い切ってしまっていいのかというか、この事業運営安定資金を使い切ってしまってもいいのかというところもありますね。  とにかく、抜本改革に入るために当面の赤字財政というものを転換しなければいけないのだという意味で、ある程度の御負担を今年度はしていただかなければいけない、そこは御理解をいただきたいということで説明が来たわけですね。そこを、負担の割合を少なくすると、こういう表になってしまう。こうなってしまうことについて、どういうふうに厚生省としてはお受けとめなんでございましょうか。
  100. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 政府原案の場合ですと、平成十二年度に大幅に、十一年度もかなり、二千億からの赤字が出ますから大幅な赤字になりますが、ただ、積立金がまだございますので、それを充当できる。平成十二年度になりますと、これが四千億を超える赤字になる。この際にもまだ積立金を使うことができたわけでありますが、ただ、その際には、この繰り延べの八千二百億というものも手をつけていかなければならない。そういうような財政見通しをお示ししたと思います。  そういった意味では、今回、政府提案いたしておりました案につきましても、向こう三年間程度は何とか財政の運営が保てるけれども、それ以降は非常に厳しくなるというふうに申し上げてまいったわけであります。そういった意味では、やはりこの三年間の間に抜本改革というものをきちっとやって、そして、財政の安定というものを図らなければいけないということであったわけでありますが、今回の修正によりまして、それがさらに厳しい状況になっているというふうに考えております。  そういった意味では、この三年間の間に是が非でも制度抜本改革を行い、そして将来に向けた医療保険制度の安定というものを確保しないと、まさに制度そのものが崩壊をしてしまうという度合いが非常に強くなったということだというふうに理解しております。私どもとしましては、この制度の抜本的な改革というものは避けられない、これはぜひともなし遂げなければならないというふうに考えておりますので、そういった意味では、今回の修正というものをばねにして、さらにその改革の意欲を高めなければいけないというふうに考えております。
  101. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 再び提案者にお伺いでございますけれども、その抜本改革の案の取りまとめでございます。  先ほど長勢先生、政党の責任としてやるとはっきり明言をされたわけでございますが、薬剤費負担というか患者の一部負担の問題ですらこういうふうに混乱をするという状況の中で、本当に抜本改革案というのが取りまとめられるのだろうかというふうに思うわけです。  津島先生、政党の責任としておやりになるという御発言が社会部会長である長勢先生からありましたけれども津島先生としても同じお気持ちとしてお取り組みになる、自民党の命運をかけてお取り組みになるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  102. 津島雄二

    津島委員 私も今回の六日の合意案作成の場に立ち会っておりましたけれども与党三党の政策責任者が寄りまして、国民に対して強くこれをお約束するという決意にあふるる決定であったと思います。我々は、公党としての責任をかけてこたえてまいりたいと思っております。
  103. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今の点で重ねて御指摘だけ申し上げておきたいと思いますが、昨日、我々にお見せをいただきました今回の修正案の内容は、医療保険制度に関する合意案という形になっておりまして、案でございますし、どなたが合意されたかというようなことはございません。実際的には修正案という形でお出しになったという形でございます。  ここの中で、この1、2、3、4というふうにお書きになっておられます部分が今回の修正案の中に、先ほど福島議員も御指摘申し上げましたように、ほとんど触れられていないというか、全く触れられていない。合意案の2の中で、「医療保険制度抜本的改革の中心は、①診療報酬制度、②薬価決定方式、③高齢者に関する医療保険制度等であることを確認する。」というふうに三項目お挙げになって、再度、重要事項であるという確認をされておられますけれども、いずれの項目とも今回の修正案の中には盛り込みがされておられません。これも八月末までの改革案の中にお示しいただけるということの再確認を皆さんとしてはなさったのだというふうに受けとめをさせていただいております。  問題は、薬剤費のこういう負担で多剤投与の抑制になるのか。新薬シフトの抑制にはならないというのはずっとこれまで言われてきたとおりでありますし、多剤投与の抑制になるのか。逆に、投与回数がふえてしまうのではないかというふうに私も思うわけです。計算の仕方のややこしさというのは窓口では恐らく変わりませんね、この計算の仕方では。そういう意味において、問題は多剤投与の抑制になるのかという部分、本当にこれで抑制になるのでしょうか。厚生省として、この案だと多剤投与の抑制になるというふうに保険局長はお考えでございますか。
  104. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今回、政府案で薬剤の一部負担をお願いしておるわけでありますが、我が国の医療費に占める薬剤のシェアというのは諸外国に比べましても非常に高い、しかも、それがなかなか下がらないという問題がございます。  その原因として大きくは二つ指摘されるわけでありますが、一つが、まさに我が国の場合、非常に多くの薬が使われ過ぎているのではないかという多量投与の問題がございます。それからもう一つが、高い新薬の方にシフトしているという新薬シフトの問題。この二つの要因があるというふうに言われております。この二つの要因というものを是正することがやはり薬剤の適正化につながる、このように考えておるわけでございます。  政府原案並びに今回の修正案でございますけれども薬剤について一定の御負担をいただくということによりまして、薬に対するコスト意識というものの涵養が図られるというふうに思いますし、そういった意味では、現行の制度に比較いたしますと、薬剤の多量投与というものに対して一定の歯どめというものになるのではないかというふうに期待をいたしております。  それから、もう一つの高薬価シフトでございますけれども、これは、政府原案の場合はストレートに高薬価シフトに効くというふうには考えておりませんというふうに申し上げてまいりました。この問題というのは、やはり我が国の現行の薬価基準制度そのものに深く関係しているということで考えておりまして、そういった意味では、これを根本的に解消していくためには、現行の公定価格を定めております薬価基準制度そのものの根本的な見直しが必要であるというふうに考えておるわけであります。そういった意味では、先ほど合意案の中にもございましたけれども抜本改革一つの大きな項目として、この薬価基準制度の根本的な改革というものが挙げられているわけでございます。  政府案に比べますと、今回の修正案でございますけれども、これは、一種類の場合については負担をゼロとするという形になっております。これは、純粋な一種類しかもらわないケースというのがあると同時に、もう一つ、二百五円以下については一種類とみなすといういわゆる二百五円ルールというのがあるわけでありまして、これは種類数が多くても二百五円以下である場合については一種類とみなす、こういうケースで一種類の場合には負担がゼロになる、こういうような修正案になっているわけでございます。そういった意味では、できるだけ安価な薬を投与するというインセンティブが働くのではないか、そういうことが期待されるのではないかというふうに考えておりまして、そういう点におきましては、政府案になかったよさというものが盛り込まれているというふうに考えております。
  105. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ねらいどおりにいくことを期待しております。  老人入院の費用負担の点について、福島先生のところの質問でもう一度確認なんですけれども、低所得者に対する定額制度はそのまま継続するのだというお話でございました。原案では入院一日千円について低所得者五百円という形になっておりますけれども、今回の修正案で一年ごとに百円ずつ上がっていくわけですが、低所得者の五百円というのは据え置きなんでしょうか。従来は医療費の伸びに応じてスライドするというふうに言われておりましたけれども、このスライド方式というのはなくなったというふうに理解をしてよろしいのか。もう一つ、十二年度以降も百円ずつ上がっていくというふうなことなんでしょうか。三点についてお願いします。
  106. 長勢甚遠

    長勢委員 低所得者の入院に係る一部負担につきましては、低所得者に対する配慮をしなければならぬという観点から、段階的な引き上げは行わないということにいたしております。
  107. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 十二年以降と、スライド制はなくなるのでしょうか。
  108. 長勢甚遠

    長勢委員 済みません。失礼しました。  十二年以降につきましては、抜本改革あるいは介護保険等々の関係もございますので、この法案では触れておりません。それは、ないとも言えませんし、あるとも言えませんが、今後の検討課題だと思います。
  109. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 もう一点、老人保健の外来の一部負担金のスライド制というのは、考え方としてはなくなるのでしょうか。
  110. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 お手元の修正案を見ますと、十二年度以降はスライドが復活する形になります。
  111. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ということは、十二年度までは今の考え方でいって、十二年度以降はまたもとの案に戻るという形であると。大変にややこしいので、十二年度までに抜本改革をぜひしないといけないと思います。――どうぞ。
  112. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今回の修正案、今見させていただいているところでは、入院につきましては、先ほどのようなことで十二年から復活をする格好になりますが、外来につきましては今回手が入っておりませんので、そういう意味では原案どおりでございます。したがって、十一年度からのスライドは動く格好になっております。
  113. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 十二年度からですか。
  114. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今、入院と外来を一緒に申し上げたのでちょっとわかりにくかったと思いますが、今回の修正では、入院について、平成十年度百円、平成十一年度も百円上げる、こういう修正が入ったわけでありまして、外来については従来どおり五百円、四回限りという形になっておりまして、このスライド規定については、外来については従来どおりでありますから、ここは変わりません。入院については、十年度百円、十一年度百円、こう上げる格好になりましたので、これについては十年度、十一年度はスライド規定の適用はない、十二年度以降もとに戻りますからスライド規定が生きてくる、こういう形になっておるわけでございます。私どもとしては、十二年度からは何としても抜本的な案に移行したいと思っておりますけれども、形としてはそういう格好になります。
  115. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 入院については十二年度からスライドに戻って、千二百円の段階からスライドに戻って、羽毛田局長部分としては、外来の五百円についてはずっとそのままスライドが続いていくのだという理解ですね。
  116. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今先生おっしゃったとおりでよろしいと思いますが、確認的にもう一度、どの時点から動き出すかということだけ申し上げたいと思います。  外来につきましては、そのままいけば十一年に初回のスライド規定に基づく改定があり得る、それから入院につきましては、十一年までのあれをしてからでございますから、十三年に初回の改定があり得る、こういう形になります。
  117. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 もう一遍、議事録を精査します。  一部負担に係る実効負担率のところも、数字を要求しましたけれども、出ませんでした。  老人の実効負担率、平成九年度五・五から、改正すると満年度八・八になるという実効負担率の案を前回出していただいておりますけれども、今回の修正案で、満年度になりますと老人、若人それぞれ実効負担率は幾らになるのか。これも紙があるのであれば先に配っていただきたいというふうに思いますけれども
  118. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 老人の場合に、平成九年度、満年度ベースで実効負担率につきましては、これまで入院、外来あわせて八・八%というふうに申し上げてまいりました。今回の案によりますと、これが八・四%という形になります。
  119. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 若人の方、一七が二二と言っておられましたけれども、二二の数字は幾らになりますか。
  120. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 申しわけございませんが、若人につきましては今計算をしているところでありまして、現在、手持ちではまだ計算ができておりません。また後日、御説明したいと思います。
  121. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 その部分もきのう申し上げて、きのう説明に来てくださった方が、もうとにかくこれは正確な数字は計算できないのです、修正案がこういうふうに出てきても我々としては計算が間に合いません、したがって、先生に責任ある数字をお見せできませんというのが、実はきのうの夜の説明に来られた方のお話でした。そういう状況の中で質問せいというふうに言われております。私自身、こういう強引なやり方というのはよくわかりません。全く納得できない。  それで、今、老人部分が八・四というふうにおっしゃって、私、ずっと今回の審議を聞いておりまして、厚生大臣も、この程度負担ならというお話の中で、一割程度負担ならというお話にとうとう最後は行き着きました。介護保険の一割負担ということも片方の頭の中にあるのだろうなと思いながら聞いておりました。  薬剤の一日一種類で十五円という部分が、厚生大臣の御説明でも、老人外来薬剤は一種類一日分百五十円程度であって、その一割の十五円なんですというこの十五円の根拠を御説明になっておられる。そこのところでも、うまいぐあいに一割という数字がずっと出てきたわけですね。今回の原案というのは、だんだん全体としても一割にいくという負担の中で、薬剤の一割負担というものがまずあるのかなというふうにも若干受けとめておったわけであります。  そういう意味で、今回、こういう形の修正をされてしまうと、一割に持っていくというふうにもし思っておられるのであれば、将来の制度への修正が大変難しくなるのではないかというふうに思うのですけれども提案者は当然そういうところはお考えの上でおやりである、あるいは、津島先生ですから、えいやといろいろと御答弁いただけると思いますけれども、将来、医療費は一割負担だというふうな思いで今回の案、改正されておられるのでしょうか。
  122. 津島雄二

    津島委員 国民にできるだけ負担を多くお願いをしないという気持ちは私どもはみんな持っておるわけでありまして、そしてそのために、抜本改革では、医療制度全般について、例えば薬剤費であるとか診療報酬のあり方であるとか、全体にわたって国民負担が過重にならないような努力をしたいという方向性を見ておるわけでありますが、そういう中で、今度の政府案にいたしましても、これに対する私ども修正案にいたしましても、それまでのプロセスとして何がいいのであろうかということを真剣に考えさせていただいたわけであります。  それで、定率制というようなある意味では単純明快な制度が入ってくれば、今委員は一割ということを盛んにおっしゃっておるわけでありますが、それは制度としてはある意味ではわかりやすいわけでありますけれども、しかし、今、国民世論がそういう定率制の全般的な導入を受け入れてくれるかというと、私は、まだ時期尚早であろう。そうしますと、それまでの間において、今度の私ども修正案は、先ほど政府側から御答弁ございましたように、政府案よりも実質負担率は軽減をする努力というものは示すことができたというふうに思っておるわけであります。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  123. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 いずれ、この平成十二年の介護保険の導入に合わせて新たな枠組みをつくっていくというお考えだろうと思うのですね。その場合に、今回の改革医療保険の入り口としておいて、この八月いっぱいでお出しになる改革案の中で、当然、介護保険との整合性というのを念頭に置きながら医療保険改革プログラムというのをおつくりになるのだろうというふうに思いますが、介護保険の発足を念頭に置いて医療保険改革プログラムというのを八月末までに一応おまとめになりたいというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  124. 津島雄二

    津島委員 本委員会におけるこれまでの質疑を承っておりましても、介護保険体制が来るときの状況というものを頭に置いて進めるべしという御指摘がたくさんございました。そういうことを私どもはやはり視野に入れて検討しなければならないと思ってはおりますけれども、その点については今後の検討にまつべきものであるというふうに考えております。
  125. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 同じ質問厚生省の方にさせていただきたいと思います。  平成十二年の介護保険の導入に合わせて医療保険の抜本的な改革というものを構想していく、与党としては、退職してもそのままもとの健康保険の制度に残るという形と、別個に高齢者だけの独自の制度をつくるという二つの案を念頭に置いて今後検討していくというふうに検討事項の中にお書きになっておられます。厚生省としても、四つの案の中から現実的にはこの二つの案に絞ってこられるのだろうというふうに思いますけれども、そういう意味で、今回の修正をされることで、介護保険との整合性、医療保険と介護保険の整合性をとっていくという意味において、今回の修正というのは逆の方向に向いていくのではないかというふうに思うのですけれども、そんなことはございませんでしょうか。
  126. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 医療保険抜本改革、なかんずく老人医療の制度をどのように仕組んでいくかということで、先生お挙げになりましたように、今、二つの案を中心にして今後検討が進められていく、そういうふうに枠組みが定められておるところでございます。  その中で、当然、どのような制度にしていくか、いずれの制度にいたすにしましても、今後におきましては、高齢者は単なる制度の受け手ではなくて自立した存在として位置づけていくということは大事になってまいりますでしょうし、それから、ふえていく医療費をどのように支え合っていくかという観点からするならば、世代間の連帯あるいは世代間の負担の公平というような視点はきちっと踏まえていかなければならないというふうに思います。そうした中で、どのように納得的に負担をしていただけるかということを考えていくことになろうかと思います。  そういった意味合いで、今後の老人医療を考えますときに、介護保険というものができることによりまして、医療と介護の役割分担というものをきちっとするということが医療保険改革を進める上でも一つの大きな前提になります。  そういう意味合いにおきましては、政府原案もそうでございましたし、今回の修正におきましても、そういった介護保険制度ができることを踏まえながら医療保険改革を進めていかなければならないし、そうすることによって医療保険改革のいわば前提条件も整ってくるという意味合いにおいては同様の考え方に立たなければなりませんし、今後におきましては、今回の、高齢者につきましても一部の負担をお願いしておるという考え方の延長線上で考えるならば、高齢者を単なる制度の受け手としてではなくて自立した存在として、制度のいわば支え手としても考えていくという方向は、介護保険においても、今回、御提案を申し上げておる中におきましてもそういう考え方を出しておりますし、今回の修正におきましてもそういう考え方は貫かれておるというふうに私ども考えております。  したがいまして、今回の改正によりまして医療保険制度抜本改革がやりにくくなる、あるいは介護保険との関係が難しくなるというようなことにはならないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  127. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 たびたび質問が中断しましたので、質問している側も前後入り繰りになっておりまして、申しわけございませんけれども、あと二、三点、ぜひお伺いをしておきたいという点があります。  去年の十二月に出ました老健審の意見書の中で、高額所得者である老人についての適用のあり方という点が出ておりまして、この適用について見直すべきという意見について「幅広い検討が必要である。」というふうにされております。  二月十九日の一般質問の折に、私、大臣にこの点について御質問申し上げて、大臣は、「高額所得者についてはある程度の制限は設けていいのではないか」、支給の制限は設けていいのではないかというふうにお述べになりました。三月十六日の財政構造改革会議の折にも、橋本総理、同様のお話をされておると新聞は報じております。  庶民感情としてはこの考え方はあると私は思うのですけれども、保険の契約という観念からしますと、この考え方は極めておかしいのじゃないか。保険料はきちんと言われるままに納めてきました、一生懸命働いてきました、そのおかげで自分は金持ちになりました、しかし、年をとって年金を受けよう、保険を受けようと思ったら、給付の制限がされているでは、私は何のために一生懸命働いてきたのだ、何のために保険料を払ってきたのだという話になって、これは保険の原理に反する話ではないかというふうにつくづく思い至ったのですけれども、大臣の御所見をもう一度お伺いしたいと思います。
  128. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、保険でそのような制限をするのか、税で制限するのか、違ってくると思います。  今、年金等は非課税限度があります。総合課税にすれば違ってくる。いろいろなやり方があると思います。確かに保険は全部くれという人もいるでしょう。それを総合課税にすれば変わってくる。保険でやるのか、税でやるのか、今後の検討課題だと思います。
  129. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 その議論をしたいのですけれども、そこが大変重要なところでして、高齢者に対する所得の捕捉をどうするのか、あるいは――でも、私、どう考えても、保険というものの原理の中でいけば、普遍性をうたう保険制度の中においては、保険料を払ってきた者はやはりそこに期待権があるわけだし、それに対するちゃんとした給付があるべき。そこにこそ負担と給付の関係がきっちりあるというのが保険制度ですから、いかに税がたくさん入っていようが、あるいは高齢者の所得をどういうふうに捕捉しようという話になっても、私はやはり、保険の原理をそこで崩してしまうというのは余りにも御都合主義に過ぎるのではないかという思いがしております。  私の考えは間違っているのでしょうか、どうでしょうか。
  130. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 理論は一筋ではございません。何筋もある。どれも一つの見識があって、どれが正しいというのは、なかなか言うのは難しいのではないかと思います。
  131. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 あいまいさが好きで、何となく物事が決まっていくという日本社会かもしれませんけれども、私はやはり、原理というものはきっちりとしたものがあるのだろう、筋があると思います。  なぜここでこういうことを言っているかといいますと、介護保険をやるときに、半分以上税が入っているからあれは税なんだというふうにおっしゃいますけれども、保険というものを前面に押し出している限りは保険制度なんですね。私は、そこのところを適当なところだけつまみ食いをして保険でないような話をするというのはいかぬのじゃないか。津島先生にはうなずいていただいておりますので、恐らく同じ御意見だろうというふうに思いますけれども。  もう一点、医療法の改正の中でお伺いします。  診療所が療養型病床群を設置できることになります。診療所は、医療法上、四十八時間の収容を目的としております医療機関でございますけれども、数字の上では、今、老人患者の四割が六カ月以上の入院になっているように思います。  ただ、診療所を療養型病床群にするに当たって、若干、療養型病床群並みに病室の面積は大きくするというふうにしておられますけれども、浴室、食堂は設置をされるのか、あるいは機能訓練室、談話室はどうなるのでしょうか、廊下の幅は広くなるのでしょうか。
  132. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 診療所につきましても療養型病床群として考えていくということで審議をお願いいたしておりますが、基本的には、病院の療養型病床群の人員配置あるいは構造設備を勘案した人員配置とか構造設備が必要だと考えております。  具体的な基準につきましては、この委員会での御審議等も踏まえまして検討していくことになりますけれども、診療所が小規模の施設であるということから、談話室と例えば食堂との併用といったようなことを考えて配慮する必要があるのじゃないかというふうに考えております。  なお、廊下の問題につきましては、現在の病院の療養型病床群につきましても、既存病床からの転換の特例ということが認められておりますけれども、廊下の幅そのものにつきましては、拡張する場合には建物全体の改築が必要になってしまうというようなことから、診療所の療養型病床群についても既存の建物からの特例ということを検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
  133. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 私、介護保険のときにも申し上げましたように、療養型病床群はまだしも、介護力強化型病院は絶対介護保険の対象にすべきではないというふうに何回も申し上げておりますけれども、今のお答えの中でも、診療所の廊下が狭いままであっては、結局、動きがとれない、ベッドの上にそのまま寝ていなさいという状況になりかねませんので、ここはきっちりとした施設の基準の見直しというものをしていただきたいというふうに思います。  済みません。前後しておりますけれども、医療経済研究機構が三月に老人医療費のシンポジウムを行いまして、今、老人医療のレセプトデータの分析事業というのをずっとなさっておられる、その中間報告的なものでございましたが、今、厚生省でやっておられる老人医療の年齢階級別の分析事業でやられたレセプトをずっと細かく分析しておられる。  その中で出てきたお話として、青森県の外来医療費をレセプト点検をしてみますと、入院あるいは入院外とも上位一五%の受診者が医療費の四〇から四五%を消費している、極めて限られたところの方たちに半分ぐらい医療資源が行っている。上位三%の患者が約一五%の医療資源を消費している。この三%については、半分ぐらいは入れかわりはあるけれども、かなり長く固定している人たちである。この傾向は全国的にも実は同じであるというふうなシンポジウムの中間報告があったというふうに読みました。  すなわち、医療費にかなり集中性があって、ある特定の人たちに医療費が集中的に行っていて、したがって、その人たちをうまくコントロールをすれば医療費の抑制につながっていくのだ、あるいは、吟味をすればむだな医療費が省けるのだということを青森の外来医療費を使って提言をしておられる。  こういうふうに、きちっとレセプト点検をしていけば、医療費というものがかなり減らせるのじゃないか。しかも、長期入院をしておられる方も、今追い出しというような形も言われていますけれども、きちっと内容を見てあげればしっかりとした受け皿に行けるのじゃないか。レセプト点検というのはそういうきっかけになるのじゃないかということですね。そこのところ、こういう一つの調査も出てきましたので、今後、もっと力を入れておやりになった方がいいのではないかと思うのですが、厚生省としての所見をお伺いします。
  134. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 現行のレセプトの内容を分析することが、これからの医療動向なり健康づくりなり、そういったものに対しても非常に有効である、そういうものをきちっと把握していくことが有効であるというふうに考えております。  そういった意味で、ただいま御指摘のようなケースというのは、これはかねてから言われていたことでありますけれども、実際にレセプトを分析してみると、そのような事例というものが青森県の場合にもはっきりしてきたということだと思います。  医療でありますから、必要な医療というのは、これはやはりきちっと提供される必要がある。そういった中で、医療保険制度という次元で考えますと、それをどういう形で負担するのかということではないかというふうに思います。これは保険制度でありますから、あくまでも助け合い、相扶共済の制度でありますから、そういった意味で、負担する方、それから実際に医療を受けられる方においても、受益と負担関係というものもございますでしょうし、そういった意味でのバランスということはきちんととっていく必要がある。  ただ、それが、一方、現行の医療提供体制の中で適正な健康対策なり治療方針なり治療対策というものが講じられないためにそのような偏りというものが見られるというふうにも言われておりますし、そういった意味で、その辺の対応ということが非常に大事だというふうに思っておりまして、レセプト点検というのは、点検といいますよりもむしろレセプトに基づく医療行動の分析というものは、そういった前向きな政策を考える上における有効な資料であり、材料でありますから、これを大いに活用していくことは非常に重要なことであると思いますし、今後とも、そういった意味での対応というものについては十分意を用いていく必要があるというふうに考えております。
  135. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 同じシンポジウムでもう一点指摘されている部分が、高齢者の外来の受診日数についての話なんですけれども、平均は三・二回というふうに平均値は言われていますけれども、このレセプト分析でいきますと、月一回の割合の人が三割、月二回が三割強、三日が一三%、四日が七%、四回までで全部合わせると八〇%強になるという数字になっているのですね。だから、八〇%の人は四回以下でおさまっているというふうに見えるというふうにこの調査は言っています。  これは大阪的な感覚なのかもしれませんが、四回を超えるとあと何回行ったって同じだという話になって、結局、この四回までと言っている部分が余り受診抑制にならないのじゃないか。あるいは、四回を超えてしまうと五回、六回行った方が得だというふうになるのじゃないか。お医者さんの方も、今回の薬剤のこの負担の方式でいきますと、何回も出した方がいいのだというような話にもこれなり、この辺はどういうふうに受診抑制になっていくのか。四回という部分と両方、お答えを願います。
  136. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今回の外来老人に対する負担でございますが、月四回までという形になっております。  老人外来負担考えます場合に、二つ相異なる要素を考えていかなきゃならないということがあろうかと思います。一つは、おっしゃるように、余り不必要な受診というようなことが起こらないようにコスト意識をきちっと持っていただくということが大事であるという視点と、それからもう一つ、必要な受診というものについてはそれなりの配慮がされていなければならないという要素があろうかと思います。  そうした考え方の中で、今回は、今までは月の初めに外来は一回、一機関一回払えばあとはむしろ何回でも同じという形になっておりましたのを、まさに先生おっしゃったような問題意識から、まずは各回ごとの支払いという形にいたしました。しかし、一方において、現在の制度もそうしておりますように、お年寄りの場合の必要な受診というものに対する配慮という意味合いから、四回までの払いということにいたしました。  そのことの結果、先生おっしゃいますように、現象面としていえば、それは五回、六回という形になっても負担という意味では変わらないではないかという現象が起こるわけでございますけれども、決して不必要に医療機関に通っていていいわけではございませんから、そこは別途、保健指導の面なり、そういったことの強化を通じまして適正な受診に心がけていただくという努力を、一方において保健指導あるいは健康づくりの事業をやっておりますので、そういった中でやっていくということが必要であろうというふうに考えておるところでございます。
  137. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 質問時間が来ましたので、再度申し上げますけれども、どう考えてもやはり余り理念の感じられない、一筋縄ではいかないとおっしゃいますし、完全なものはないというふうに大臣いつもおっしゃいますけれども、余りにも理念のない今回の修正案かなというふうに思います。将来への展開がかえって難しくなるのではないかというのが私の個人的な見解でございます。  先ほど資料もお出しいただきましたけれども、上に(4)と書いてありますので、私は、(3)、(2)、(1)が必ずあるというふうに思いますから、きちっとした資料をお出しいただいて、後々の審議に供させていただきたいということを再度お願い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  138. 町村信孝

    町村委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時十八分開会
  139. 町村信孝

    町村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田克也君。
  140. 岡田克也

    ○岡田委員 新進党の岡田克也です。  まず、昨日示されました医療保険制度に関する合意というものについてお聞きをしたいと思います。  この合意というのは与党三党における合意だというふうに私は理解をいたしますが、そういう理解でよろしいのでしょうか。
  141. 津島雄二

    津島委員 そのとおりでございます。
  142. 岡田克也

    ○岡田委員 ということは、社民党の合意も、社民党もこれに合意しているというふうに考えてよろしいですか。
  143. 中川智子

    ○中川(智)委員 そのとおりでございます。(岡田委員「大きな声でお願いします」と呼ぶ)  小さな声で言いたいのですが、そのとおりでございます。
  144. 岡田克也

    ○岡田委員 この文章の中に、例えば3のところで、「与党医療保険制度改革協議会と厚生省は」云々云々で「とりまとめるよう努める。」それから4のところで、「政府は」「速やかに実施する。」こう書いてありますが、これを見ると、まるで厚生省政府もこの合意案の当事者であるかのような書きぶりなんですが、厚生省はこの合意との関係はどうなるのでしょうか。
  145. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 合意案を尊重して対処したいと思います。
  146. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、与党三党による合意であるというふうに理解させていただきたいと思います。  そもそも、この合意に基づいて、けさ、修正案が示されたわけでありますけれども、その前のもともとの法案政府提案でございます。政府提案でありますから、与党もそれに対して異論があろうはずがない。与党の同意を得て政府としてお出しになったものだ。議院内閣制である以上、当然のことだと思うわけであります。その与党が同意されて、事実上与党がお出しになったと同じような原案与党みずからが修正されるということはちょっと理解に苦しむわけでありますが、一体どういうことなんでしょうか。
  147. 津島雄二

    津島委員 昨年十二月の予算編成時の三党合意におきましても、今後においても国民世論あるいは国会審議に十分に耳を傾けた上でよりよい方向を目指すということになっておりますので、私ども三党で改めて修正をいたしましたのは、そのような精神に基づくものであると考えております。
  148. 岡田克也

    ○岡田委員 国会での審議を踏まえてということでありますが、しかし、国会審議でも与党政府提案法案に対して異論があろうはずがないのであって、ということは、我々野党の意見を酌み入れてこの合意ができた、こういうことでございますか。
  149. 津島雄二

    津島委員 同じ本委員会委員としての御質問でありますが、私の方からむしろ問いただしたいわけでありますが、与党委員会委員は一たん政府案が出されればその後はこれに対して修正、改善を求めてはいかぬという考え方をもし岡田委員が持たれるとしたら、ちょっと私としては意見を異にすると言わざるを得ないわけであります。
  150. 岡田克也

    ○岡田委員 今のお話でありますが、しかし、議院内閣制のもとで政府案として法案が出てきたものをまた後から与党が変えられるというようなことでは、これは政府案というのは一体何なのだろうか、あるいは閣議決定を経たということは一体どういう意味なんだろうかという根本的な疑問があるのですが、そこのところはいかがでしょうか。
  151. 津島雄二

    津島委員 その点は、最初に申し上げましたとおり、昨年の予算のときから、国会における審議、それから国民世論の動向等に対して、今後十分に耳を傾けて進めていくべしというのが与党三党の間の合意にもなっておると考えております。
  152. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、与党の中での議論の結果こう変わったということですから、しかも、この委員会での審議の結果変わったということですから、具体的にお聞きしますけれども老人入院負担平成九年度が千円で、十年度、十一年度と年度ごとに百円ずつ上がっていく、これは与党の中の、この委員会におけるどういう議論に基づいてこういうふうに変わったのでしょうか。
  153. 津島雄二

    津島委員 当委員会において入院費用のあり方について御議論がございまして、例えば一例を申し上げますと、介護保険体制が始まりますと一割負担というものが予定をされておる、そういうことの中で今の政府原案の入院費というものをどういうふうに考えるのかという質疑応答がございましたが、そういうことについても我々は勘案した上で、外来と入院とのバランスということも考慮した上で、このような修正提案をさせていただいたものであります。
  154. 岡田克也

    ○岡田委員 確かに私も、介護保険で一割の定率負担がある以上、将来の負担あり方として定率にすべきであるということを申し上げた記憶がございます。しかし、今、津島委員おっしゃるように、そのことと老人の入院負担を毎年百円ずつふやしていくということは、むしろ定額ではなくて定率であるという話をしているわけですから、直接は関係のない話であります。私の記憶では、委員会にずっと出ておりましたけれども、入院患者のところについて定額で少しずつふやしていくという議論がされた記憶はございません。この点、中川委員、いかがでしょうか。
  155. 長勢甚遠

    長勢委員 今回御提案申し上げておりますような具体的な提案は、本委員会ではなかったかと思います。ただ、今、津島先生から御説明ございましたように、入院費の自己負担あり方については種々問題点が指摘されておったわけでございますので、そういう問題点を踏まえてよりよい修正をしなければならない、こういう判断のもとに修正をさせていただいたものでございます。
  156. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、今回、非常に問題だと思うのは、これは予算関連の法案だからであります。つまり、政府としては、予算案についてこれが最善のものである、こういうことで出してこられているわけです。予算委員会でも長時間の審議をした。しかし、今回のこの法改正によって予算も変わってくるわけです。厚生省の御提案でも、一千五百億円ぐらいの歳入減が生じる、こういうことになるわけであります。  そうすると、政府提出された予算案についても当然どこかでいじらなければいけないということになるわけです。政府が自信を持ってお出しになっている予算案についても、そういった形で勝手に後から変えることができるというようなことは、本来、予算について国会審議して通っているわけでありますから、私はあり得ないことだと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  157. 津島雄二

    津島委員 政府の側のお考えは、もしあれであれば大臣から御意見を賜るべきでありますが、私どもは、長い間の国会の歴史の中で、与党提案をいたしました予算案は予算案として、国民理解を得るために最大の努力をすると同時に、また、委員会等で交わされる意見あるいは国民世論に基づいてさらなる修正を加えるというケースはたくさんございます。特に、厚生委員会が扱うような国民生活に影響の大きい法案については、そのようなケースが非常に多かったと私は受けとめております。  そういう意味で御理解をいただきたいわけでありますが、ただ、当然のことながら、予算的な立場から申しましても、行政側において対応できるような最大限の努力をしなければならないということは当然のことでございましょう。
  158. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、ちょっと話が違うと思います。つまり、委員会で与野党が話し合ってその結果として法律原案修正を加える、あるいはその結果として予算も変わるということは、それは私はあって全くおかしくないことだと思いますけれども、野党サイドがそんなことを何も言っていないのに与党が勝手に法案を変え、予算も変える、こんなことは今まであったのでしょうか。私は、そこに基本的なおかしさがあるというふうに申し上げているわけであります。
  159. 津島雄二

    津島委員 与野党の枠組みというものがいろいろ変化してきておりますから、昔のことについては十分調べてみないと何とも申せませんけれども国会及び委員会審議あり方、建前から申しまして、そのことは拒まれている、つまり、与党修正をするということが拒まれているとは私は考えておりません。
  160. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、この点はどうしても納得することができません。とりわけ、予算について政府がお出しになって、それは、予算案が予算になったものについて、何ら特段の、外的な事情の変更があったりすれば別でありますが、そういうのがないのに、いや、あれは違っていましたということで差しかえてしまう。そういうことは、私、非常に考えにくいわけであります。この点について、私は、基本的な疑問があるということをまず申し上げておきたいと思います。  さて、そういう上での話でありますけれども、突然、きのうになってこの合意ができ、そして、きょうになってそれが法案の形で出てまいりました。これは、与党の中で御議論になった結果、こういうものが出てきたと思うのですけれども、社民党の方は、この合意及び改正案で了解しておられるわけですね。
  161. 中川智子

    ○中川(智)委員 議論はやはり物すごくありまして、最終的な形でこのようにお出ししたことに対しては、もう責任を持って提案者となりましたけれども、いわゆる抜本改革をまず指し示して、その後から国民負担をお願いするという姿勢は崩しておりませんし、さまざまなところでずっと主張してきたことはございます。  でも、そのようなさまざまな経過を経て、そしてこの形にならざるを得なかったじくじたる思いがあることは、本当に岡田委員おっしゃるとおりで、もういっぱいの議論がございましたし、譲れないところもずっと主張してきましたが、最終的にこのような形で出させていただいた。そのあたりでお許しください。
  162. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、許すとか許さないとかいう話ではもちろんございません。ただ、ここで言う負担増の話ですね、老人の、お年寄りの入院についても、当初は千円だったのが、年度を経るごとに百円ずつふえていく話でありますとか、外来薬剤負担の話でありますとか、こういうことについて、社民党さんもこれを熱心に主張され、法案の形で出されたということは事実であるというふうに、当然そうなるわけですけれども、もし御異論があればおっしゃっていただきたいと思います。
  163. 中川智子

    ○中川(智)委員 そのようなことをずっと主張してきた事実はございません。薬剤のところ、入院費のところに関しては、意見はずっと一貫して社民党は申し述べてきました。これ、この答えだけじゃだめですね。薬剤のところ、入院費のところは、もう国民負担がこんなに高くなるということに対しては、一貫して、それはたえられないという主張はしてまいりました。
  164. 岡田克也

    ○岡田委員 そういう主張はされたけれども、最後はこの法案提案者になられた、こういうことですね。  さて、この法案が出てきたのがきょうであるということで、私は非常に心配しておりますのは、この厚生委員会健康保険法改正案についてかなり審議をしてきたことは事実でありますけれども、この改正案についてはきょう議論が始まったばかりでございます。私どもは、どういう背景で出てきたのかもよくわからない、それから、先ほど来同僚議員がいろいろ厚生省に対して申し上げておりましたように、バックデータもそろっていない、そういう状況の中で今審議をしているわけであります。  私自身も、きのうの夜、この合意をいただいて、そして、慌てて問題点について夜遅くまでかかって検討した、今それに基づいて質問しているというのが現状であります。そういう中で、私は、まさかきょう最終的な結論を出すということにはならないであろう、こういうふうに思うわけであります。もし、きょう採決をするということになりますと、それはやはり、厚生委員会としての歴史に汚点を残すことになる。  私は、いつまでも採決をすべきでないということを言っているわけではございません。どこかでは結論を出さなければいけない、そのことは承知をしております。しかし、きょう提案して、きょう採決ということになれば、厚生委員会というのは一体何なんだ。結局、与党間でいろいろ協議をされる、その隠れみのになっているだけじゃないか。それは、私、やはり国会議員として耐えられないことであります。この点について、きょう採決だというお話もあるようですけれども提案者の皆さんはどういうふうにお考えでしょうか。
  165. 津島雄二

    津島委員 修正案が連休後にまとまるということになりまして、御指摘のような、時間が不十分であるというお考えがあろうかと思いますけれども、私どもは、これまで既に四十時間を超える審議を当委員会で本件についてさせていただき、その全体を見た上で提出をさせていただいた修正案でございますから、もとより、それぞれのお立場で、ああもしたい、こうもしたいという点は、これは当然おありかとは思いますけれども、これまでの議論を踏まえて、この辺で完結をしていただきたい、御意見を集約をしていただきたいと申し上げているわけでありまして、ぜひとも御理解をお願いしたいと思います。
  166. 岡田克也

    ○岡田委員 与党与党の中でいろいろ御議論されてきたかもしれません。だからもう十分だということかもしれませんが、我々は、きょう初めて目にしたわけです。それできょう採決しろと言われるのは、極めて不本意であります。私は、これはこの問題に限らない、もっと一般論として申し上げているわけですけれども、こういう形で政府案に対して与党が勝手に修正を出されるということが異例であれば、それに加えて、それを一日で審議しろというのも極めて異例で、これは本当に国会の自殺行為じゃないか、こういうふうに思います。  この点について、野党時代も非常に長くて、いろいろな御経験をされてきた社民党としてはどういう御感想をお持ちでしょうか。
  167. 中川智子

    ○中川(智)委員 そうですね、本当にそのことに対しては責任を感じますし、私は岡田理事のその御意見はもっともだと思いますが、やはりこれは、五月一日実施ということが、施行時期を先送りにして、予算関連ということでの緊急な事態だと思っております。
  168. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、大臣にお伺いします。  もちろん、これは委員会の運営の問題ですから、大臣、関係ないとおっしゃるかもしれませんが、しかし、事は厚生委員会の運営の問題であります。やはり私は、議員というのは国会でしっかり議論して、その中でいろいろなことを練り上げていくということだろうと思うのです。今回のように、与党の中で、もちろん連立時代ですから協議するなとは言いませんが、長く議論されて、それで、本来もう少し早く出るべきだったのだろうと思いますが、それがおくれおくれて突然出してきて、その日に採決だというのは、私は正常な議会の姿とは思えないわけでありますが、大臣に、厚生大臣としてではなくて政治家として、そういうことについてどう思うか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  169. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、委員会の運営は委員長初め理事委員の方々にお任せして、口を出す立場にはございませんが、厚生大臣として、この医療保険関係法案はかなり十分に審議していただいたと思っております。長時間にわたり、ほとんど議論が出尽くしたと言っていいぐらい、多くの方々に熱心に議論いただいた。そういう中での結論でありますので、私は委員会の決定に従わせていただきます。
  170. 岡田克也

    ○岡田委員 全体としては、かなりの審議時間を費やしたことは私も認めます。ただ、けさ出てきたものについてはきょうが初めてだということも事実でありますので、そのことを指摘しておかなければいけないわけであります。  とはいえ、どんどん中身を詰めていかないといけませんので、進めさせていただきたいと思います。  さて、この中で、この法が「施行されるまでの間に」、つまり九月一日までの間に「医療改革プログラムをとりまとめるよう努める。」というのが合意の中身になっておりますが、ここで言う医療改革プログラムというのは、先ほどの御説明を聞いておりますと、スケジュール的なものなのかなという気がするのですが、そういったものなんでしょうか、それとも、具体的な改革案そのものが九月一日までに出そろうということなんでしょうか。いかがなんでしょうか。
  171. 長勢甚遠

    長勢委員 午前中も御答弁申し上げましたが、四月七日の基本方針を踏まえまして、具体的に内容を詰めていかなければならないものもございますし、また、全部を一遍にやれないでしょうから、それのスケジュール等も中身に入っていく、このように思っております。  どういうイメージでということを具体的に申せと言われましても、これから九月一日にかけて火の玉になって取り組む、こういう決意でございますので、今申しましたような内容で、国民の皆様方にこのような御負担をお願いする以上、きちんとしたものを責任を持ってつくり上げていきたい、このことを申し上げさせていただきます。
  172. 岡田克也

    ○岡田委員 火の玉は結構なんですが、例えばここの2のところで三つ書いてあるわけですね。「診療報酬制度薬価決定方式、高齢者に関する医療保険制度」、この三つについて九月一日までに与党の責任で具体案をおつくりになる、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  173. 長勢甚遠

    長勢委員 できる限り具体的な内容で、国民の方々に御理解できるようなものをつくっていきたい、こういう思いでございます。
  174. 岡田克也

    ○岡田委員 できる限りとか、いきたいとかいうことになりますと、本当にできるのかなという不安が先に立つわけであります。今までのいろいろな流れからいっても、結局は、最後に「努める。」というふうに書いてありますし、空約束になるのではないか。だから、構造改革負担増は一体だ、そうでなければできないということを私どもは申し上げてきているわけであります。  例えばここのところも、九月一日までにもし本当にできるのなら、九月一日まで法施行しなくてもいいのですよ。それまではこの法について審議しなくて、九月一日にできたときにこの改正案を通せばいいのです。今通す必要はないのですよ、本当にできるのなら。何でそういうやり方をとらないのですか。やはりそれは、できないということが念頭にあるからではないでしょうか。私としてはそういうふうに思わざるを得ないわけであります。  そこで、厚生大臣にお伺いします。  厚生省の方も、年内のできるだけ早い時期に具体案を出すというふうにたびたび答弁されておりますが、与党の方は、九月一日ということで一応期限を切られたわけでございます。厚生省の方は、それとの関連において、どういうタイミング、厚生省の出される具体案についてのタイミングをお考えでございましょうか。
  175. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 本委員会で、できるだけ早い機会に、年度内中に厚生省案としての総合的な、抜本的な改革案をまとめたいというふうに発言してまいりました。しかしながら、今回、修正案におきまして、与党の方から、九月一日までに厚生省として案を取りまとめろという方針が出てまいりました。年度内から年内に、さらにはできるだけ早いというのが九月一日以前というふうに区切られましたから、私としては、この法案が成立し次第、九月一日までの、八月末までのできるだけ早い期間厚生省としての案を取りまとめて、皆さんの前に提示したいと思っております。
  176. 岡田克也

    ○岡田委員 そうしますと、全体のイメージとしては、厚生省が八月末までのなるべく早い時期に具体案をおまとめになる、そして与党協議会としてもそれと並行して何かおまとめになる、つまり、二種類のものが九月一日というゴールを目指してでき上がっていく、こういうイメージでよろしいのでしょうか。
  177. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 厚生省としては、今までの審議していただいた意見、また審議会における答申等の意見も踏まえて、総合的な案を提出いたします。それに対して与党がどう反応するか、出てみなければわかりませんし、厚生省の案をどう評価するかというのは、それは皆さんでありまして、私どもが、今出ていないものを、出た後の評価せよといっても、今はできない。しかし、厚生省としては言われたとおり、八月末までに抜本的な案を提示します。
  178. 津島雄二

    津島委員 私の方からも、六日の合意前提に申し上げますと、「与党医療保険制度改革協議会と厚生省は」双方とも「今国会審議中の健保法等改正案施行されるまでの間に医療改革プログラムをとりまとめる」、それは双方に義務づける形で合意をしておるわけでありますから、今大臣御答弁ございましたように、当然、意見を調整した上で一つの明確な方向を打ち出すことになるというふうに考えております。
  179. 岡田克也

    ○岡田委員 今の御説明ですと、与党と、政府の一部である厚生省と御相談をして案をおまとめになるというふうにも聞こえるわけですね、別々のものではなくて。しかし、党と政府は別でありますから、本来であれば別のものが出てきてどこかで調整をする、あるいは、一方が出して、それに対して他方がいろいろ意見を言うというのが本来だと思いますが、今のお話だと、何か混然一体として、厚生省与党が一体になっておつくりになるというふうに聞こえますが、そこはそういうことなんでしょうか。
  180. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 厚生省としては、与党考え方、本委員会での今までの議論意見、これを参考にしながら、厚生省としての案をまとめるつもりでおります。それに対して与党がどういう反応をするか、これは今後の推移、経過を見なければ、今の段階で断定的に言うことは困難だと思います。
  181. 岡田克也

    ○岡田委員 今の説明でよくわかりました。  そこで、お願いをしておきたいと思うのですけれども厚生省が、政府として厚生省の案をおまとめになる、その段階で与党にお示しになるのだと思いますが、ぜひその段階で、当委員会にもその案をお示しいただきたいというふうに思います。  最近のいろいろな経緯を見ておりまして大変心配しておりますのは、もちろん連立与党の時代だから仕方がないのかもしれませんけれども、政党間だけで話が先行していく、そして、きょう見られるように、委員会審議が形骸化していく、こういうことが一般的になってくると、国会というのは一体何なのだろうかという、そういう議論に必ずなってくるように思います。  やはり国会の場できちんと議論をする、政府はそれに対して提案をする責任がある、それが本来の筋であるというふうに思いますので、厚生省がおまとめになる時期がいつになるかわかりませんが、たとえ閉会中であっても全く構わないと私は思うのです。できれば、この委員会に小委員会の形で受け皿も用意しておいて、そして厚生省の御提案になったものをそこでも並行して議論をしていく、そして恐らく厚生省厚生省審議会でも議論される、そういう形で進めていかないと議会制民主主義というものが非常におかしくなってしまう、そういうふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  182. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 厚生省としての案が出た段階で各政党なり委員会がどういう指示なり判断を下すか、今の段階で言えませんが、厚生省が案としてまとまったものを世間に公にするという段階で、委員会の御指示があれば、大臣としても、役所としても、委員会に出席せよということがあれば、私どもは当然出席いたします。その場でどのような議論を交わそうが、それは委員の皆様方の御判断に任せる、委員会の御判断に任せると。
  183. 岡田克也

    ○岡田委員 明快に答弁していただきましたので、ありがたく思いますが、ぜひ、委員長にもお願いしておきますが、厚生省がおまとめになったところで、当委員会でもその厚生省意見を聴取して、そして、この場でも積極的に議論していくというふうにしていただきたいと要望しておきたいと思います。  さて、与党協議の方に戻りますが、もし与党の方で九月一日までに議論がまとまらないということになった場合は、どうされるおつもりなんでしょうか。
  184. 長勢甚遠

    長勢委員 先ほどから繰り返し申し上げておりますとおり、与党三党一致団結をして、夏休みも当然返上して頑張る予定でございますので、そのようなことは全く考えておりません。
  185. 岡田克也

    ○岡田委員 今までのいろいろな流れを見ておりますと、予算編成時の与党合意、そして四月に出てきた基本方針、そして今回でありますから、私も非常に皆さん一生懸命やられるだろうとは思いますけれども、果たしてどうなんだろうかという気がするわけであります。  特に社民党さんの方は、構造改革が先であるということをずっと主張されてこられたわけですね。その上での負担増だと。それは我々の主張とも相通ずるものがあるわけですが、もし九月一日までにまとまらなければどうされますか。
  186. 中川智子

    ○中川(智)委員 私は、本当に楽観的な性格ですので、絶対にまとめてみせると。まとまらなかったことを考えたことはないものですから、まとめる方向で精いっぱいやるというお約束をいたします。
  187. 岡田克也

    ○岡田委員 今の御答弁、非常に重いと思います。重い答弁だと思います。政治家としても政党としても、構造改革をやるまでは負担増は認めないと言ってきた、それが今のこの形で九月一日ということで切れているわけですから、もし九月一日にきちんとしたものが出てこずに、そのままこの法律がもう通ったことによって負担増が始まるということになれば、それは社民党として極めて重い責任を負うことになる、そういうふうに私は思います。そのことだけ申し上げておきたいというふうに思います。
  188. 中川智子

    ○中川(智)委員 与党は一応自社さでございますので、社民党の決意は申し述べましたが、それじゃ自民党さんの決意をお願いします。
  189. 津島雄二

    津島委員 自民党も全く同じような決意で臨んでまいります。
  190. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、少し中身に入っていきたいと思います。  この5のところに①から④まで書いてあります。三党の合意ですね。その中で、「薬価差益の解消」「に努める。」、こういうふうに書いてあるわけですけれども、これがなぜここに出てきたのかもよくわからないのです。具体的に構造改革としては、最初の2のところで、「診療報酬制度薬価決定方式、高齢者に関する医療保険制度」ということで書いてありますから、ここは構造改革じゃなくて当面のものとして書いてあるというふうに私は理解するわけですが、具体的にどのような薬価差益の解消策を与党はおとりになるおつもりなんでしょうか。
  191. 長勢甚遠

    長勢委員 御指摘のとおり、最終的にといいますか、公定価格制度の解消というか廃止、見直しが根本的な解決策だろうと思いますが、当面、今現在進めておりますR方式といいますか、薬価基準を決める際に、価格決定の際にとっております薬価差解消の方式がございます。これを引き続きさらに強力に進めていくという方向で当面進めて、できる限り早く抜本改革を実現をしたい、このように思っております。
  192. 岡田克也

    ○岡田委員 ということは、九月一日より前に追加的な薬価差解消のための具体的措置をとられる、こういうことですね。
  193. 長勢甚遠

    長勢委員 薬価基準見直しにつきましては、それなりルールがございますし、時期もございますが、それに向けていろいろな所要の準備もございますが、不断の努力を今後とも引き続きやっていきたい、こういうことでございます。
  194. 岡田克也

    ○岡田委員 非常によくわかりにくいのですが、そういう、いつやるかわからないというお話ですと、この5のところに分けて書いてあるということがよくわからないわけであります。構造改革としては薬価決定方式そのものを見直すというふうに言っているわけですから、そのことと、ここに「薬価差益の解消」ということを改めて書いていることのその関係がわからないものですから、私、質問しているわけですが、いかがなものでしょうか。
  195. 長勢甚遠

    長勢委員 御指摘のとおり、この抜本改革とは、当面というよりも、できる限り現実にやれるものを早くやっていくという趣旨で5ができておるわけでございます。そういう意味で、ただ、薬価基準の改定そのものは、時期的に、ルールがございますので、それに沿った形でやることになりますけれども、そういう方針をここで明示しておるわけでございます。
  196. 岡田克也

    ○岡田委員 従来の厚生省の御答弁では、薬価差益の解消などということも非常に難しい、基本的にメカニズムそのものを、価格メカニズムを導入するようなやり方でやっていかないとできないのだという御答弁だったと思うものですから、ここに「薬価差益の解消」というふうに書いてありますので、非常に奇異な感じがして御質問したわけでございます。  それじゃ、その次の③の「不正請求の摘発と防止」と書いてありますが、これは不正請求がかなりあるという認識をお持ちなんでしょうか。
  197. 長勢甚遠

    長勢委員 あるという認識というよりも、あってはならない、また、そういう問題があるようでは、こういう国民の方々に負担をかける際に申しわけが立たない問題でございますので、こういうことのないようにというか、あってはならないことを防止するための、レセプトの審査等の充実や指導の強化ということをこの際さらに進めていこうということについての決意を表明しておるものであります。
  198. 岡田克也

    ○岡田委員 こういうふうにお書きになった以上、ぜひ単に書いただけではなくて、きちんとした対応策をとっていただきたい。また、その対応策をとる前提として、不正請求がかなりあるのだという認識与党サイドはお立ちになっているというふうに理解をいたします。  ④の「保険給付における薬剤費支出の不明朗な実態の解消」というのはどういう意味でしょうか。
  199. 長勢甚遠

    長勢委員 先般、一部マスコミ等に報道された記事がございましたりしたこともありまして、与党協議会におきまして、その協議過程で、いわゆる診療報酬の中で薬剤費に払われている費用と、あるいはメーカーの収入あるいは薬価の差、あるいは流通段階でのコストというものとの間に差があるのではないかということが議論になりました。  この点について、厚生省等に、与党協議会といたしましても、いろいろな意味で精査をするようにと強く指示をしてきたところでございますが、今正直言いまして、我々自身もはっきりした実態がつかめていないというのが状況でございます。こういうことはあってはならないことでございますので、何としてでも、不明朗であるかないかということは、これは国民の前に明らかにすべきことでございますので、厚生省においてきちんとこの状況を把握できるようにしてもらいたいということでございます。
  200. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、厚生省の方は、この5に書いてある①から④の点について、当面何らかの具体策を、与党の御要望ですからおとりになると思うのですが、その御決意をお聞きしたいと思います。
  201. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 5に書かれております内容、①につきましては、これは計画的な返済ということでございますので、むしろ厚生省というよりも大蔵省の問題ではないかというふうに思っております。厚生省としては、計画的な返済を求めていく立場ということになろうかと思います。  ②以下、こういったことについてはかねてから本委員会でも議論がなされておりますけれども、それぞれ適正化に努めていかなければならない問題ばかりであるというふうに思っておりますし、そういった意味では、これまでも私どもとしては努力してまいったつもりでおります。  なお、④でありますけれども、これは、今、長勢先生お話では、当委員会でもいろいろ御指摘がございました各種データを突合した結果、医薬品の生産量と実際に医療費で払っておる額との間で五千三百億ほどそごがあるではないかという問題もこの中に含まれるというふうに私は理解をさせていただいたのですが、この問題については、私どもとしても、当委員会でも御説明申し上げましたが、一定の資料に基づいて積み重ねてみるとその差が出てくる、ただ、これはそれぞれのデータの性格なり趣旨なりあるいは調査時点なりが違うということでありますから、この五千三百億をもってこれを不正請求だと判断するというふうなことは考えられないわけでありまして、要するに、私どもとしても、そのそごというものについては解明はいたしますけれども、これについてはなかなか難しいものがあるというふうに思っております。  実は、この問題については、それぞれの資料の内容も踏まえまして内部的には一から検討させておりますけれども、今の問題についてはそういうことで考えておりますが、ただ、ここは、このまま読みますと、「保険給付における薬剤費支出の不明朗な実態」というのがございますが、私どもとしては、「薬剤費支出の不明朗な実態」という点については今申し上げた範囲での理解でありまして、それ以上の理解はしておりません。
  202. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、先ほどちょっと申し上げましたように、この合意の中で、「診療報酬制度薬価決定方式、高齢者に関する医療保険制度」、この三つが中心である、こういうふうに書いてありますので、順次お聞きしていきたいと思うのです。  この合意では、「与党三党による昨年十二月十九日の確認及び本年四月七日の「基本方針」に基づいて対処する。」こういうふうに書いてありますから、この二つを参考にしながら、その線で、今言いました診療報酬制度薬価決定方式などについてこれから議論が進んでいくのだろうというふうに思います。  そこで、全体の大まかな方向だけでもこの場でお聞きをしておきたいと思うのですが、診療報酬制度につきましては、基本方針の中でも出来高払いと包括・定額払いの話が出てくるわけでありますが、基本的にこのところをどういうふうに与党はお考えなんでしょうか。これはそれぞれプラスマイナスがあるというふうに私も思いますけれども、量的には出来高払いを減らして包括・定額払いをふやしていく、私はそうすべきだというふうに思うわけですが、与党はその点についてどうお考えでございましょうか。
  203. 長勢甚遠

    長勢委員 診療報酬の見直しにつきましては、今先生指摘のとおり、基本方針に沿ってこれから進めていきたい、こう思っております。  基本方針では、いわゆる出来高払い制度について、我が国の良質な医療に寄与してきたことを評価しつつ、いわゆる定額・包括払いの積極的な活用を図ることによって出来高払いと定額払いの最善の組み合わせを目指すという方針を示しております。  出来高払いにおきましても、例えば急性期医療においては定額払いというわけにはいかないのではないかという御指摘もございますし、また逆に、長期療養型のようなものにつきましては定額払いの方がより合理的なのではないかという御指摘がございます。そういう意味で、各医療分野によりましてどちらがより効率的であるかという観点から、今後の診療報酬等を決定する段階で中医協等でこれからこういう方向で御議論していただきたい、このように思っております。その結果として、今先生の御指摘のような状況、ただ単に定額払いがふえればいいというものではございませんが、最善の組み合わせの中で今先生指摘のような方向ができ上がっていくものであろう、そのように期待をいたしております。
  204. 岡田克也

    ○岡田委員 長く議論されてきたからもう少し具体的なことが恐らくあるだろうと思うのですが、今少しおっしゃった、入院療養患者さんのように、ある意味で慢性的なものについては定額がいいというのは大体コンセンサスがあるのじゃないかと私は思いますが、それ以外に定額払いがどういう分野に適しているというふうにお考えでございましょうか。
  205. 長勢甚遠

    長勢委員 事は比較的専門的分野にわたりますので、明確な自信のある答えは私自身余り正確にできない部分がございますが、長期療養の場合ですとか、あるいは一種の検査等について包括的にまとめてできるようなケースですとか、いろいろなケースがあるということを私自身も聞いております。  ただ、それが本当に効率的な医療であるのか、それによって粗診粗療を招くことがないのかという点については、専門的分野から御検討いただくことが必要であろう、このように私は思っております。
  206. 岡田克也

    ○岡田委員 今の出来高払いというものが、これをすべて悪者にするつもりは私もありませんが、医療費増大の一つの原因になっているということはお認めになりますね。
  207. 長勢甚遠

    長勢委員 出来高払いは、わかりやすく言えば、医師の方々の御判断によって診療すべてについて診療報酬が払われるという仕組みでございますから、ケースによっては乱診乱療になるという御指摘もあるわけでございます。そういう意味で、医療資源の効率化を図るという観点から、仮に出来高払い制の中であっても、そういうことのないように注意していかなきゃならないというふうに思います。
  208. 岡田克也

    ○岡田委員 かなり慎重に言われたのですけれども、例えば、与党三党の十二月十九日の確認の中でも、「(試案)」という形でありますけれども、「出来高払制に伴う医療費増大の見直しなどは早急に着手していく。」ということで、出来高払いというものが医療費増大につながっているという認識は示されているわけですね。それから、「検討事項」の中でも、これは同じときに示されたものでありますけれども、「過剰な医療費の削減を図るために、出来高払い方式の診療報酬の見直しに着手する。」こういうふうに書いてあります。  つまり、去年の十二月の段階でこういう認識をお示しだったのが、今のような御答弁で、私から見ればかなり後ろに下がってしまったように思えるわけで、そういうのを拝見していると、本当に九月一日までにさらに前に向いて歩けるのだろうか、そういう不安があるわけでございます。この十二月の段階での、出来高払いが医療費増大の原因になっているという御認識、これは今もお持ちなんでしょうか、どうでしょうか。
  209. 長勢甚遠

    長勢委員 先生の御認識と私ども認識とは全く違いはないと私は思いますし、また、現在、年末のころの認識と変わっているということもございません。そのことを基本方針で表現をしておると私どもは思っております。  ただ、具体的に、今先生、最初に、どういうことを考えられるかということについて、あいまいな答弁をしたことを大変申しわけなく思いますが、事は極めて専門的な分野もあるものですから、この部分とこの部分定額にするとかしないとか、これを責任を持って与党協議会としてお示しする段階にはまだ至っていなかったというのが現実だと思いますし、このことをこれからの医療協議会でやっていくことがいいかどうか、中医協等もございますので、そこら辺はこれからまた議論をしなきゃならぬと思いますけれども、方針として、出来高払い制と定額制の最善の組み合わせを目指すという考え方は、年末の合意等と全く同じ考え方で取り組んでおるということは明言をさせていただきたいと思います。
  210. 岡田克也

    ○岡田委員 ぜひそこのところ、政治の世界での基本的考え方をきちんと明示した上で専門家に御議論いただくのはいいと思うのですけれども、そういう基本的な方針がないといつの間にか利害調整だけになってしまいがちでありまして、私も、出来高払いのいい面がある、物によっては出来高払いにしなきゃいけないということ、そういう場面があることは十分認識しつつ、しかし、やはり基本的な方針をきちんと政治が立てて、その上での専門的な調整に入らなければだめだ、そういうことを申し上げておきたいと思います。  さて、先ほど言いました三つの項目の中の薬価については、私は、この委員会での審議厚生省は大分踏み込んで御答弁いただいたというふうに思っておりますので、ぜひ価格メカニズムが生きる形で薬価の算定方式、あるいは薬価基準そのものについても抜本的な検討といいますか改正をやっていただきたい、こういうふうに思いますが、厚生大臣の薬価あり方についての御決意をもう一度お伺いしておきたいと思います。
  211. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 総合的な、抜本的な改革をするという以上、薬価の問題につきましても思い切って現行制度改正したい。その際、市場取引の実勢にゆだねるという原則に立って踏み込んだ改革案を出してみたいと思います。
  212. 岡田克也

    ○岡田委員 随分、薬価の問題を私も議論させていただきましたが、医薬分業一つとっても、これは時間のかかる話ですね。一年や二年では恐らくできないだろうと思うのです。そういう意味では、早く着手をして、方向性をきちんと行政なり政治が明示して、そして手際よく進めていかないと、とても薬価についての抜本的な改革はできない、五年、六年すぐかかってしまうということでありますので、ぜひイニシアチブを発揮していただきたいというふうに思います。  三番目の、高齢者に関する医療保険制度ということでありますが、ここで医療保険制度というふうに、保険制度というふうに書かれたのはやや私どもにとっては残念なんですが、基本的な考え方として当初は四つぐらいの案が示されていた。それに対して、与党の御協議の中で、高齢者についてだけ別にする案と、現役をそのまま突き抜け方式で上まで延ばしていく案と、大体この二つに絞られたのじゃないかと思いますが、そのうちのどちらを中心に与党の方はお考えでしょうか。
  213. 長勢甚遠

    長勢委員 御指摘のように、高齢者医療制度につきましては、現在の老人保健制度制度的にもう破綻に瀕しておるということは御承知のとおりであります。それについて今後どうやっていくか、特に高齢社会がますます深化をするわけでございますので、その中で老人医療費がますます拡大をしていくという中でどうするかということが喫緊の課題でございます。  今おっしゃったように、四つの案がございました。その中の、一種の独立方式、あるいは、何とおっしゃったですか、突き抜け方式、この二案が今後の検討の対象としてふさわしいのではないかというふうに絞ってまいりました。また、協議会の場、あるいはそこでのいろいろな方々の識者の御意見の中には、両者をミックスしたような案も意見として述べられたこともございました。こういう中で、これから、その二つあるいはその組み合わせという観点から、具体的な方策を模索をしていきたいというのが与党協議会での立場でございます。したがって、どちらにもそれなりにいい点、悪い点あるわけでございますので、どっちが中心ということについて明確に今申し上げる段階ではないのかなと私自身は理解をいたしております。
  214. 岡田克也

    ○岡田委員 私どもは、老人の医療については、別方式、しかも税を主体にということを御提案申し上げているわけでございます。いろいろな議論があると思いますが、私はやはり、老人医療についても介護についても、あるいは年金の基礎部分、基礎年金の部分についても、税というものをどう考えていくのかということを一度きちっと議論した方がいいのだろう、税方式と保険方式のメリット・デメリットというものをもう一度全体で議論し直す必要が出ているのじゃないか、こういうふうに思っておりますので、ぜひこの社会保障構造改革全体の議論の中でそういう視点もあわせて厚生省において御検討いただき、厚生省のお考えをお示しいただければ大変ありがたいことだというふうに思います。  いずれにしても、この社会保障構造改革というのは、私も野党だからといって逃げるつもりはありません。私ども検討させていただき、厚生省の案が出てくれば、それをたたき台にして私ども考え方も示させていただきたい、こういうふうに思っております。これは大変大事な話でありますし、同時に困難な話でありますけれども、私どもはこの問題について逃げるつもりはございません。前向きに取り組んでいきたいと思いますので、今後ともぜひ議論を続けていきたい、こういうふうに思います。  ありがとうございました。
  215. 町村信孝

    町村委員長 中桐伸五君。
  216. 中桐伸五

    中桐委員 民主党の中桐でございます。  冒頭、三党プラス一の協議会に建設的野党としての立場で参加をしてまいりましたが、その最大の目的は、この健保法の改正を医療構造改革の第一歩にしたいという強い気持ちでその協議に参加してきたわけでございますが、私といたしましては、この与党修正案、この内容が、甚だ、私どもの、構造改革の第一歩である健保法の改正という点から見まして非常に問題が多く残されたというふうに考えるわけであります。  そこで、提案者並びに政府の方に、まず、この健保法等の改正修正が、あるいは政府案から修正案に変わる中でどのような位置づけで行われてきたのかということについて、確認あるいは質疑をさせていただきたいというふうに思います。  御存じのように、民主党が提出いたしました修正案、これは大きく言って三つのポイントがあると思います。これは、あくまで医療構造改革の第一歩としてこの健保法等の改正に関する修正を行うという姿勢でございます。  第一点は、抜本的改革を行う第一歩として、多剤投与のみならず高価格薬品へのシフトがえを防ぐという工夫が要るということで出したのが二百五円という、この二百五円というのは一定額であるから、これ自体にこだわることはないけれども、高価格薬品へのシフトがえを防ぐ案に修正すべきだというふうに考えたわけでございます。これが第一点でございます。  次に、さまざまな多くの問題点を医療保険制度は抱えておりますけれども、その中で、今回の法改正を機に、健康保険及び医療保険負担の公平を図るべきである、あるいは給付の公平を図るべきであるという観点から、年収に対する保険料の負担というふうな提案をさせていただきました。  また、三点目の給付の公平という点では、乳幼児の給付を老人の給付と将来一致させる、また、家族の外来負担を、七割から八割へ公平な給付に変える、こういう観点で出したつもりでございます。  そこで、お伺いしたいわけでありますけれども与党が出されました今回の修正案が医療構造改革並びに医療保険制度抜本改革との関係で一体どのような意義があるのかということについて、まずお伺いしたいというふうに思います。
  217. 津島雄二

    津島委員 今回の修正案与党三党で合意をいたしますときに決定をいたしました考え方は、先ほどからも御答弁申し上げておりますように、基本的には、医療保険制度抜本改革のための基本方針を踏まえて将来の改革の第一歩にするけれども与党医療保険制度改革協議会と厚生省は協力をして、今回の法案施行されるまでの間に医療改革プログラムを取りまとめる、そして、政府はこの結論を尊重し速やかに実施するということを前提としての修正案であったということをお答えさせていただきます。
  218. 中桐伸五

    中桐委員 私は本会議で、構造改革なき負担増法案であると言いました。それは、将来こういうことをやりますということを言っても、その担保が明確でない。そこで、私どもとしましては、今回の健保法修正を第一歩とすべきであるというふうに考えたわけでありますが、その点から申し上げますと、やはり今のお答えでも、今後やりますのでこの修正案を皆さんのんでくださいというふうな形になってしまっているのではないかというふうに思うのですね。  そこで、逆にまたお聞きしますが、まず、私ども提案した薬剤費対策の、高価格薬品へのシフトがえに対してこの修正案はどのような効果があるのでしょうか。
  219. 長勢甚遠

    長勢委員 民主党さんからの御提案は、二百五円未満はゼロ負担、それ以上についてそれなり定額負担という提案ではなかったかと承知をいたしております。  ただ、その場合でも、どの程度の高薬価シフトへの効果があるかということ、もちろんそれなり効果があると私ども評価をいたしますが、私としてはそのように思っておりまして、一方、今、修正案で出しておりますのは一種類の場合のみゼロ負担ということでございますから、民主党の案に比べてより効果が少ないのではないかという御指摘は当たっておるかとは思います。  しかし、現在の政府原案に比べまして、ゼロ区分を設けたこと、そして四区分を設けたことによりまして、高薬価シフトへの抑制効果というものもそれなりに期待ができると思っておりまして、ほかの公平性の問題あるいは事務負担の問題等々総合的に考えまして、この修正案に至ったものであります。
  220. 中桐伸五

    中桐委員 一定程度評価されるというお答えなんですが、ここでちょっと確認しておきたいのは、薬剤費対策を自己負担という形で抑制を図るという方法というのは効果はそう大きくないということを確認したいと思います。つまり、供給側が、もっと厳密に言えば処方をする医師が、どのような薬剤を選択するかというところに最も大きなこれからの薬剤費対策の手法があるというふうに考えるものであります。ぜひ抜本改革の中で、この点を考慮に入れた適切な薬剤費対策を進めていってもらいたいというふうに思うわけであります。  さて、その次に、保険料の負担の公平をなぜ今回の改正のときに図れなかったのか。将来的に考えて、この点については、当然、論理的には標準月額だけではなくてボーナスも含めた年収全体に保険料の負担を将来はすべきだというふうに思うのですが、その第一歩を、なぜ民主党の提案に対してこれを与党修正案では盛り込めなかったのかという点についてお伺いしたいと思います。
  221. 長勢甚遠

    長勢委員 民主党さんからのその提案につきましては、十分検討に値するといいますか、理解できるものであるというふうに私自身は考えております。  ただ、今回、全体の抜本改革との関連の中で出されておる第一歩としての法案であります。その中で、この問題をさらに修正という形で御議論いただくことが国民の方々にこの時点で御納得いただけるかどうかということにつきまして、いろいろな御意見もございました。なるべく早い段階でそういう方向で具体化をしていくことについては割と賛同者も多かったのではないかと思いますけれども、今回の修正の中に盛り込むことについてはやや慎重であるということでこの修正案になったという経過であると思いますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  222. 中桐伸五

    中桐委員 何度も繰り返すのですが、世論といいますか、国民の皆さんは、抜本構造改革は言っているが、いつやれるのだというふうに、政治不信といいますか、そういったものが、あるいは行政に対する不信というものが非常にあると思うのですね。その点で、やはりこれは、将来の負担の公平を、是正していくための第一歩なんだというふうにやるべきではなかったのですか。そこが私は、大変基本的な、つまり当面の緊急避難的な財政対策というふうになってしまったのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  223. 津島雄二

    津島委員 委員がお述べになりました構造改革の三つの要点のうちの第一歩、つまり一種類二百五円というものが、ドクターの側、供給側において処方されるときに念頭に置かれ、できるだけ効率的な処方をされるという意味で大変に意味があるということで、私ども修正案にこれを盛り込ませていただいた。一種類の場合には負担を求めないというのは、まさにそれでございます。  残りの二点につきまして、私ども考え方では、相当広く共感する意見はあるなと。例えば、今の負担を年収ベースで求めることについてはどうかということ、あるいは先ほどお述べになった乳幼児についての給付の問題、この点については、いろいろ検討いたしましたけれども、やはり抜本改革で対応するのが自然ではなかろうかという結論になったというふうに私は受けとめておりますが、ただ、そのような建設的な御提案があったということは、この委員会審議の完結の際に何らかの形で記録にとどめるべきではないだろうかと、私は提案者の一人として感じておるところでございます。
  224. 中桐伸五

    中桐委員 ぜひ、国民の皆さんがわかりやすいように、抜本改革の一歩を始めるのだということがわかるようにすべきだというふうに思うのですね。  次の質疑に移りたいと思うのですが、五月六日に、医療保険制度に関する与党合意案なるものが出されました。これは抜本改革のことが前提に書かれてあるわけでありますが、まず、昨年十二月十九日の与党協議会における確認及び四月七日の基本方針、これに基づいて医療保険制度に対しての改革あるいは健康保険法等についての改正に対処するという形になっておるわけでありますが、この基本方針と、それから医療保険制度改革、これとの関連をどのようにお考えになっているのか。  といいますのは、二点目に、「医療保険制度抜本的改革の中心は、①診療報酬制度、②薬価決定方式、③高齢者に関する医療保険制度等である」というふうに書いてあるのですが、医療保険制度抜本的改革先ほど基本方針とは枠組み自体が随分違うわけであります。そこで、提案されている与党修正案合意案にあるところの医療保険制度抜本的改革というものの中に、基本方針というものとの関係ではどのような位置づけになるのかをまずお聞かせください。
  225. 長勢甚遠

    長勢委員 今後、与党といたしましては、基本方針に基づいて医療改革プログラムを九月一日までに取りまとめて、そして、その実現を図っていくということを至上命題といたしております。  基本方針は、医療提供体制と医療保険制度二つの分野について方針を述べておりまして、医療保険制度につきましての大きな柱が、ここに書いてございます「診療報酬制度薬価決定方式、高齢者に関する医療保険制度等」でございます。  今、医療保険制度仕組み自体が財政的にも破綻に瀕しておるということが今後二十一世紀に向けての最も深刻な課題でございますけれども、この課題を克服していくためにはこの三つは何としても抜本的に改革をしなければならない、こういう認識議論を進めてまいりました。このことをここで再確認しておるものであります。
  226. 中桐伸五

    中桐委員 そうしますと、三点目にある医療改革プログラムを、健保法等改正、仮に今の修正案が可決されたといたしますと九月一日から施行ということになりますから、その時点までに基本方針に関するところのプログラムを提示されるのか、あるいは医療保険制度の項目のプログラムを提示されるのか、どちらなんでしょうか。
  227. 長勢甚遠

    長勢委員 基本方針には、医療保険制度とは別に、開かれた医療を目指すことでございますとか、プライマリーケアの機能強化でございますとかという方向性が明示をされております。プログラムの中では、当然、この基本方針に基づいて、これらをさらに敷衍すべきもの、具体化できるものを盛り込むことになる、このように理解をいたしております。
  228. 中桐伸五

    中桐委員 そうしますと、基本方針に書かれてある内容についてのプログラムを九月一日までに示すというふうに理解してよろしいですね。
  229. 長勢甚遠

    長勢委員 スケジュールという意味でのプログラムもございますでしょうし、具体化すべき内容の明示という部分も含まれると思いますが、そういう方向でプログラムを取りまとめていくことになると思います。
  230. 中桐伸五

    中桐委員 そこで、次に、そのプログラムをつくる仕組みについてどのようにお考えになっているかをお聞きしたいと思います。まず、提案者の方にお伺いをしたいと思います。
  231. 長勢甚遠

    長勢委員 先ほど来、厚生大臣から、厚生省において案づくりを進める、こういう御決意が述べられておりますし、与党協といたしましては、厚生省と連携をとりつつ、医療改革協議会としての結論をつくり上げていきたい、こういう方針で進めることになると思います。
  232. 中桐伸五

    中桐委員 厚生大臣にお伺いしたいのですが、医療保険構造改革審議会でしたか、新たに審議会を設けて審議するというふうな形になっていると思うのです。それとの関連で、厚生大臣あるいは政府が、今、与党の方から、協議会の方から、政府厚生省と連携をとって構造改革を進めるというふうにお答えがあったわけですが、その審議会等との関係で、もう一度厚生大臣にその確認をしたいと思います。
  233. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 新たな構造改革審議会、まだ名前は決まっておりませんけれども、その審議会が設置されるのは九月一日以降であります。その前に、厚生省は、今回の合意案によって案を取りまとめなければならない。その厚生省の出した案を、与党改革協議会においても、新しい審議会においても、私は当然俎上にのってくると思っております。
  234. 中桐伸五

    中桐委員 ということは、与党協議会と、政府厚生省のところで、その審議会以前に基本的なプログラムを出すというふうに理解してよろしいのですね。
  235. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 そのとおりであります。
  236. 中桐伸五

    中桐委員 そうしますと、やや細かくなりますが、先ほど来、いろいろ具体的に基本方針の中身が議論されているのですが、私どもがまだ構造改革の最終的な内容として民主党として結論を出していないところが幾つかございますが、基本的には、与党基本方針の中にある項目という点で言えば、ほぼこれらの問題についての医療構造改革をやらなきゃならないというふうに私ども考えている。  その中で、いろいろな議論がたくさん、多方面にわたりますが、その中でも特に、一つ医療保険制度という狭い枠組みの中でこれから極めて重要なのは、現在の保険者の集団の機能をどのようにするかということがあると思います。それとの関連で、老人保健制度という問題が先ほどもちょっと議論になっておりましたが、非常に重要な関連があると思うのであります。その点で、私どもといたしましては、とりあえず今回の修正案では、負担の公平と給付の公平をやや是正するために、第一歩の提案をさせていただいたところであります。  さて、この修正案を出された提案者の皆さん方といたしましては、老人保健制度と、保険者集団の機能を強化するという点との関連性についてどのような議論をされたか、お教えをいただきたいと思います。
  237. 津島雄二

    津島委員 高齢者医療制度あり方については、大変根本的な議論が行われ、また、その論点が残っているということを申し上げざるを得ないわけであります。高齢者だけの制度をつくりますと、これは例えば外国にあるメディケアの制度のように、保険数理として成り立たせるのが非常に難しいという難点があります。そうなりますと、先ほども御議論が出ましたけれども一般会計から相当の財源を入れなければいけない。そうすると、仮に税の中で共益部分をはっきりさせられるような税があればそれとの関係をどうするかというような議論につながってまいります。  そのような考え方と並んで、先ほども突き抜け方式というお話が出ましたが、現役時代からリタイアした後までつなげて持っていただく、数理計算をする、そういうものと組み合わせた高齢者保険制度をつくるという考え方が出てまいりましょう。それから、専ら一般会計で面倒を持てというような話になれば、そういうような議論だってあり得る。そういう議論がまだ完全にこなされておらないけれども、将来に向けてのこれは一番大きな問題点の一つでありますから、厚生省におかれても、また我々与党の側でも、真剣に議論を詰めて間に合うように結論を出さなければならないというふうに考えておるところであります。
  238. 中桐伸五

    中桐委員 私は、医療というサービスは、今、行財政改革が日本の最大課題の一つでありますけれども、これはやはり地方主権といいますか、そこのレベルへ大胆に移行させる必要がある。しかし、国は財政調整なり、そういう機能は当然必要であると思いますけれども、基本的には地方主権の方へシフトをしなければいけないというふうに思うのですね。  そのときに、今の歴史的につくられてきた日本の医療保険制度、この中で特に問題になるのは政府管掌健康保険国民健康保険の再編成だというふうに思うのですね。これは特に老人保健制度との関連でいいましても非常に比重の大きい部分を占めているわけでありまして、そういう点からいいまして、私はこの抜本構造改革の非常に大きな課題だろうというふうに思うのですが、その点についての議論はされたのでしょうか。
  239. 津島雄二

    津島委員 私は、与党協の中のこれまでの議論の全部をフォローしているわけではございませんけれども国民健康保険のあり方と関連した議論が当然あったはずだと思っておりますし、同時に、委員はお触れになりませんでしたが、介護保険が同じように地域レベルでできてくる、そういうことをやはり頭に置いた上で議論をしないと将来構想というのはきちっと打ち立てられないということで、当然、これまでも、そしてこれからも議論していかなければならないというふうに思っております。
  240. 中桐伸五

    中桐委員 基本方針の中に「保険基盤」というふうな表現で出ていたと思うのです。この「保険基盤の安定化」というところが私の今議論しているところなんでありますが、ここに今言った将来の大きな地方主権というところが少しも出てこないので、この基本方針の方向性という点でもそこらあたりが非常に問題ではないのか。結論的な話をここにすぐ書けるか書けないかという問題はあるとしても、議論の方向性としてそういう行財政改革の大きなところが抜けているのではないかと思うのですが、いかがですか。
  241. 津島雄二

    津島委員 確かに「医療保険制度の保険基盤の安定化」というところでは、「地域社会の著しい変貌に対応し、保険集団のあり方等について、運営の安定化を図るとともに、」「公平、公正の観点から見直す方向で」と書かれておりまして、十分に詰め切った方向が示されておらないという御指摘だろうと思います。確かに、福祉全体がそうでありますが、医療においても、地域の単位できちっと物事を構成していくという考え方が一番自然であろうと思います。  しかし、同時に、もう委員も御承知のとおり、地域差がますます大きくなるという要因もございまして、そうなってくればくるほど、今度は全体の助け合いの仕組みとどのようにつなげていくかという大きい問題がございますので、なかなか容易ではない問題があると思っております。  いずれにしても、今度のプログラムを出すまでには、厚生省におかれても御議論されるし、私どもも真剣に議論して結論を出さなければいかぬというふうに思っております。     〔委員長退席住委員長代理着席
  242. 中桐伸五

    中桐委員 先ほど介護保険の問題もお触れになりましたが、私はやはり、福祉の基礎単位、福祉を運営する主体の単位と、医療を運営する主体の単位というのは、それぞれ若干違うというふうに思うのです。ですから、一応、今の行政区域でいけば都道府県ということの中に幾つかの医療保険という形で編成されている、そういう枠の中で医療というのは考えなければいけないだろう。福祉の問題についての、例えば介護サービスというふうなことになってくれば、基礎自治体の再編成ということも重要な問題としてあると思うのです。やはりそれぞれ違った地方主権といいますか、そういった形のものと、国レベルでの調整という形でぜひ検討していっていただきたいというふうに思います。  最後に、この与党合意の中に三年以内に見直すというふうに書かれてあるのですが、これは先ほどの抜本構造改革との関係でどのように位置づけておられるのかをお伺いして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  243. 長勢甚遠

    長勢委員 抜本改革が実現をするための法律案その他ができる段階で、現在審議をいたしております法案の内容等について変更があり得るということは、当然のことだろうと思っております。  ただ、今度の修正に伴う見直し規定は、考え方といたしましては、薬剤費についての自己負担等の、今御審議をいただいております修正内容について実行する段階で、いろいろな予期せざる問題があったり、あるいは財政上、あるいは事務処理上、あるいはお医者さんなり患者さんなりのビヘービア等にどういう影響があるかということも考えられますので、そういう問題が起きたときに必要に応じて見直しをして合理的な改正をしていく必要がある、こういう観点からこの規定を置いておるものでございます。抜本改革との関連ということについていえば、その範囲に限定して考えておるものであります。
  244. 中桐伸五

    中桐委員 どうもありがとうございました。
  245. 住博司

    ○住委員長代理 次に、五島正規君。
  246. 五島正規

    ○五島委員 今回の医療保険改正問題につきまして、与党三党の皆さん方が大変努力をして修正にも取り組まれ、また、その過程において、我が党との協議を通じて、抜本改革の方向性、そしてその必要性については、非常に多くの部分で共通の認識を得られたと思っております。ただ、残念ながら、我が党としては最終的にこの与党の皆さん方の提案をともに提案するという状態には至らなかったということについては、大変遺憾であります。  それで、本日は、この問題につきまして、あらかじめ通告した内容に基づきまして質問させていただくわけでございますが、それに先立ちまして、二点だけ確認をさせていただきたいと思います。  一つは、厚生省の方から、先ほど修正案による財政収支の見通し」の表が提案されました。また、この委員会でこの問題が取り上げられる初期の段階において、「制度改正による政府管掌健康保険財政への効果」という数値が提示されました。その中で、当然、今回の修正とそれから前回の内容とは違いますから数字が違って当たり前でございますが、詳しく比較してまいりますと、一体これは何だという数字に出くわしてくるわけでございます。  例えば「一部負担の増被用者本人二割」、これは今回も被用者本人二割でございます。平成十年度、けさお配りいただいた数値では二千三百八十億、平成十一年度二千四百八十億、平成十二年度二千五百七十億云々、こういう数字が並んでおります。前回お配りいただきました数値によりますと、平成十年度三千八百二十億、平成十一年度三千九百七十億、平成十二年度四千百二十億、非常に大きな数字の違いがございます。  また、「薬剤修正案)」につきましても、当然、一日一種類十五円と今回の修正案とでは、数値が違うのは当たり前でございます。それにしても、平成十年度、満年度において、前回のお出しになった数値では三千三百五十億という数字が出ております。したがいまして、平成十年度、いわゆる五十億の穴あきという数字、今回も出ております。ところが、今回の修正案によりますと千四十億、差額は二千三百億に及びます。十一年、十二年、十三年それぞれ同じ数字が並んでいます。同じ厚生省委員会にお出しになる数字の中で、なぜ二千億も三千億もの数字がこのように違うのか。  しかも、平成十二年度、平成十三年度、非常に財政が厳しくなってくる。厳しくなってくる数字の中には、この委員会の一番最初の段階に、平成十二年度からの介護保険の拠出料というものがそのまま入っている、そしてそれに見合ったところのいわゆる保険料の収入を入れていない、これはおかしいではないかと指摘したその数値がそのままになったまま、本日も出されています。一体これはどういうことなのか、御説明をいただきたいと思います。――そちらで相談しておられるようですから、時間がもったいないので、この答えは、きちっと答弁できるようになり次第答えていただきます。  次の質問に移らせていただきたいと思います。いま一つは、与党の皆さんにお伺いいたします。  この医療保険制度に関する与党三党の合意案の内容を見てみますと、その中に、  3 与党医療保険制度改革協議会と厚生省はこれらの問題と別途論議中の財政構造改革との関係を重視し、上記の方針に基づき、今国会審議中の健保法等改正案施行されるまでの間に医療改革プログラムをとりまとめるよう努める。  4 政府与党医療保険制度改革協議会の結論を尊重し速やかに実施する。 こうなっています。  先ほど来の大臣のこの問題に対する御答弁を聞いていますと、厚生省が取りまとめ、それを、一方において与党医療保険制度改革協議会にお示しし、そしていま一方は、つくられるであろう、仮称でございますが、医療保険構造改革審議会にお諮りになるというお話でございます。  そうなりますと、この内容とは若干矛盾してくるのではないか。この合意案では、それぞれ両者が一緒にか、あるいは並行してそのプログラムを取りまとめるのであるが、政府与党協議会の結論を尊重し速やかに実施する、こうなっています。  一体、この辺の状況はどうなのか。厚生省が出されたものを与党協議会としては待った上で、そこから作業に入られるのか、それとも、九月一日の実施までに与党自身がこの医療改革プログラムを取りまとめるように努力をされるということになっているのか。御提案者である自民党、社民党、両党の方にお伺いしたいと思います。
  247. 長勢甚遠

    長勢委員 今回の修正は、与党三党が責任を持って出させていただいておるものでございます。そして、年末来、与党三党で議論してまいりましたことは、抜本改革には三党協力一致して取り組んでいくという方針でございます。  そういう意味で、九月一日までに与党協議会として一定の結論を出す、プログラムをつくっていく、こういう決意でございますが、同時に、政府厚生省におきまして当然御議論もされておられますし、それとの連携を図る中で与党協議会としての結論を出していくということになる、このことをこの合意文書で示しているものでございます。
  248. 中川智子

    ○中川(智)委員 ただいまの長勢議員の御答弁と同じです。
  249. 五島正規

    ○五島委員 与党二党の御返事は了解いたしました。  そうであるとしますと、先ほど来大臣おっしゃっておられましたが、九月一日までに厚生省としてプログラムをつくるというお話でございました。もちろん、与党でございますから、厚生省と協力して一体としてつくるということは、これは当然あり得る話でございますから、そういうふうな形でおつくりになるということなのか、厚生省厚生省独自でつくり、先ほど私の聞き違いでなければ、与党並びに審議会それぞれで御議論願うというふうにも聞こえたわけでございますが、その辺、どうなんでございましょうか。
  250. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 厚生省は、与党のいろいろな議論合意案意見を参考にしながら、独自の案を取りまとめたいと思っております。それを与党協議会と審議会に提示して、国民の批判を仰ぎたいと思っております。
  251. 五島正規

    ○五島委員 行政の長としては、厚生省は、与党のお考えも聞き、そして厚生省独自の考えも持って取りまとめ、そして、新たに設置される審議会並びに与党協議会にも案を出したいとおっしゃっている。これも厚生省としての筋だと思うのですね。一方、自民党さん並びに社民党さんは、同じ時間帯の中において与党厚生省とも相談しながらこれをつくるのだと。  これは二本できるのですか、一本になるのですか。両党でなくて結構ですから、どなたか明快にお答えください。
  252. 長勢甚遠

    長勢委員 各般の議論があると思いますし、プロセスもいろいろあり得ると思いますが、最終的には一本の形になるものと思っております。
  253. 五島正規

    ○五島委員 どのように一本の形になるのかということがやはり見えていないということだけは御指摘申し上げておきたいと思います。  そこで、厚生省先ほどの問題点、明らかになりましたか。
  254. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今、資料を取り寄せていますが、同じような表題で数字の中身が違う資料の比較になっていたように思いますので、もうちょっとお時間いただきたいと思います。
  255. 五島正規

    ○五島委員 中身が違うわけがないのです。どちらも政管健保という形でこの委員会の資料として出されたものでございます。しかも、被用者本人負担二割になったときの数字が一千億からも違うなんというばかな話はないわけです。もうしばらく時間は提供したいと思いますので、次の質問に入っていきたいと思います。(発言する者あり)新進党さんのお話はそれとして進めていきたいと思います。  いま一つ、今回の合意案についてお伺いします。  政管健保の保険料を八・六から八・五%に引き下げられる、これによる財政効果としては、社会保険全体からいうと約年間七百億ぐらいの社会保険料の減になってくるというのは既にわかっているわけでございますが、なぜこういうふうな措置をされたのか。  率直に申し上げまして、今回の与党協議の中の議論を見ていますと、医療保険制度の危機感、放置しておれば年内にも政管健保が崩壊するかもしれないという、その危機感からこうした問題に取り組んでおられることについて、民主党もまた疑うものではございませんが、にもかかわらず、その議論になってきますと、二つの欠点をお持ちになっていると思います。  一つは、もちろん配慮しなければいけないけれども、いわゆる公費の状況はどうなるのか、公費の投入が穴があくかどうか、そのことにばかり大きな議論が行って、健康保険制度全体、健保財政全体の問題からは少しそれていたのではないか。公費問題だけを議論してきた結果として、この全体を見失うような議論になったのではないか。  同じ問題の裏表でございますが、今度は、せっかく医療保険制度改革につながる、抜本的改革につながる、その第一歩としての当面の改革とおっしゃりながら、これがどのように抜本改革につながっていくのか、そのことが見えない。  抜本改革というのは、基本的にこれまである諸制度の中で――医療保険制度は、税と保険料とそして本人の自己負担で成り立っています。この三つの費用をどこをどのように置きかえるかということだけを議論し、制度改革によってそれがどのように合理化され、そして、その費用がより小さなものになっていくのか、伸び率が小さくなっていくのか、そのことの議論が十分されていないのではないか。  我々は、そこのところにかなり大きく期待いたしました。それは、あくまで、前回も申し上げましたが、期待値であると言われれば期待値である、しかし、期待値を持たないような改革案というのはこれは制度負担の置きかえにしかすぎない、その期待値が確実なものであるようにその制度改革を進めていくということが原則である、そのように思うわけでございますが、その点についてどのようにお考えでございましょうか。
  256. 長勢甚遠

    長勢委員 五島先生の御意見は大変立派な見識であると、私ども尊敬を申し上げる次第でございます。  今、どの部分についてどのように御答弁を申し上げればいいのかちょっと迷うのでございますが、一つは、保険料の引き下げの部分でございましょうか。  この全体の負担あり方について、先生の御意見もございますが、今回、医療保険審議会等々でも千分の八十五というような数字が建議の中に書かれておったという経緯もございます。また、諸般の中で、国民の皆さん方の負担の余りに大きくすることについて御疑問を呈する向きもございまして、そういう観点から、この修正案では千分の八十六から八十五に引き下げるということにさせていただいた次第でございます。  ただ、抜本改革の第一歩という位置づけでございますけれども、何よりも財政上破綻に瀕しておるこの事態を、財政基盤を安定させることが何よりも抜本改革を進める上で必要不可欠なことであるということに重点を置いた改正でございますので、先生指摘のような点、広範にわたって抜本改革に踏み出すことができないでいる部分があることは否めないことだと思います。この点を、これから与党協議会において、国民の皆様方の御期待に沿うようにきちんとした姿を何としてでもつくっていきたい、この決意を申し上げさせていただいて答弁にさせていただきます。     〔住委員長代理退席、委員長着席〕
  257. 五島正規

    ○五島委員 この保険料の問題についても、時間がありませんから余り申し上げませんが、政管健保の法定限度額、限界率は千分の九十一でございますね。この保険料率をどんどん上げていって、そして、介護保険が医療保険に上乗せして徴収することになっているという状況を考えますと、我々は年収賦課ということを主張したわけでございますが、その問題については、先ほど他の議員に対して津島議員から非常に共感を寄せていただいたということで了解いたしたいと思います。  そして、今回の薬剤措置についてでございますが、二つ、三つ質問を、時間がございませんので続けてさせていただきますので、提案者並びに厚生省の方からお答えいただきたいと思います。  今回の与党三党のこの措置というのは、多剤投与という意味においての抑制はかなり効く制度であるだろうというふうに思います。同時に、投与が長期、慢性の患者に対しては、非常に短期間投与繰り返しということが減ってまいりまして、それは一定の抑制効果として医療効果があるのだろうなということは理解できます。  しかし、同時に、先ほど他の議員の方から、高額医薬品へのシフトがえの問題について質問出ましたので、そこのところは触れないといたしましても、どうしても心配になってまいりますのは、これまで三日分とか四日分の投与で済んでいた急性期の治療に対する投薬、これがその投薬のたびにお金を払わなければいけないということで一週間分とか十日分の長期投与になるのではないか。  これは、医薬品のコストを上げるということだけでなくて、例えば抗生物質等を私は想定するわけでございますが、抗生物質等については、場合によっては、短期間投与の中において頻繁に切りかえて治療しなければいけないケースが大変多うございます。そうした場合に、その都度御負担願うということに対して、大変だ、患者さんの方もお望みになるということで、一週間投与とか十日投与ということになりますと、非常に治療の上においても問題が出てくるかもわからない。その不安についてはどのようにお考えになっているのか。場合によっては、そのことによってせっかくの薬剤抑制効果が吹っ飛ぶかもしれない。  今、お年寄りで、月に十日前後の投与日数になっているけれども、これが投与日数が短いところが長くなってしまって、結果において十二日とか十三日とかいうことになってきますと、二割、三割の投与量の増加になります。そうしますと、とてもじゃないが財政効果というのは期待できないわけでございまして、その辺をどういうふうにお考えになっているかということが一点でございます。  同じような問題の裏表の関係でございますが、長期慢性患者について言えば、恐らく医療機関は月に一回とか月に二回の長期投薬という形に、やはり患者の要望にこたえてする形になるのかなと思います。その場合に、与党基本方針の中にも、「医薬分業を推進する。」ということを非常に明確にお書きになっておられます。  しかし、現実に合わせて考えた場合に、今、医薬分業、すなわち院外処方を出している医療機関の処方せんの日数というのは、大体三、四日から一週間くらいというのが通常でございます。この処方せんについて、従来どおり医療機関が、自分のところで薬を出すのではないからということで三、四日の処方、しかも、医学的には安心できるということで処方を出した場合、医療機関において投薬を受けるケースと院外処方を受けるケースにおいては、患者さんが自己負担としてお支払いになる費用が結局二倍にも三倍にもなりかねない。結果として医薬分業を非常に阻害する要因になるのではないか、これはかなり切実な心配だと思います。そういう心配はあるのではないか。  そうしたことに対して、厚生省は何らか、そういうことが起こらないような対応策をお持ちになっているのかどうか、この点について、提案者の方と厚生省にお伺いしたいと思います。
  258. 長勢甚遠

    長勢委員 まず、投与期間が長期化をするのではないか、それによってかえって薬価コストがふえていくのではないか、薬剤費負担がふえていくのでないか、こういう御指摘でございます。  今先生指摘のように、殊さらにわざわざ投薬期間を長くするということが実態としてどの程度起こるのかわかりませんし、それ以上に、療養上の必要なく、そういうことがあってはならないことだと私は理解をしております。  また、投薬期間についても、内服薬については十四日以内を原則とするという指導も行われておると承知をいたしておりますので、先生の御指摘のような点はそれほど心配する問題ではないのではないかと理解をし、また、そういうことがあってはならないことでございますので、審査の厳格化なり、またガイドライン等による指導というものを徹底していくべきである、このように思っております。  また、医薬分業に悪影響を及ぼすのではないかという御指摘でございます。  院外処方にするかどうかについて、薬剤投与期間によって医師の方々が御判断をされておるのかどうか、そういうことが今後ふえていくのかどうかということは必ずしも明確ではございませんけれども投与期間といった観点から医薬分業に特段の影響が起こるというふうには今現在は思っていないわけでございます。  ただ、先生指摘のような問題、新しい制度でございますので、実施する段階でいろいろな影響が出てくることもあり得る、こう思いますし、そういうことがあっては、この修正案効果、所期の効果は達成されませんので、その時点で必要に応じて見直しをすることも必要になるであろう。そのために見直し規定も特段に置いたわけでございますので、今後、今回の修正に伴う患者さん、お医者さんの行動のパターン、また影響等々をよく見きわめて、さらに見直しをしていくということが必要である、このように理解をいたしております。
  259. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 私どもも、今、長勢先生からお話のあった考え方は共通であります。政府案でも薬の一部負担をお願いしているわけでありますが、これは、薬剤使用の適正化に資するためにということでお願いをしているわけであります。  それぞれ、いろいろなメリット・デメリットがあり得るわけですが、今回の案と政府案と比べた場合には、今回の案の場合、負担額計算の簡便化というような点を踏まえて、日数については平均的なものを採用し、また種類については、ある程度グルーピングしてそこら辺の簡便化に資する、こういう格好になっておるわけであります。政府案の場合は、投与日数が多ければ多いだけ負担をしていただくということになりますから、そういった意味から比べますと、多量投与という面での効果政府案の方があるのかなというふうに思います。ただ一方、制度の簡便化等々のことを考えた場合に、政府案は非常に煩雑であるという批判が非常に強いわけであります。  そういったような中で今回の案が出されたわけでありまして、今回の案のそういった面については、やはり基本的に、医師が適正な医薬品を投与するという、そこのところを徹底していくということに尽きるわけでありまして、既に御紹介申し上げましたように、専門家から成る、いわゆる医薬品投与のマニュアルというようなものも作成しておりますし、そういったものの徹底というものを図っていって、全体的に、こういった医薬品の投与についての理解を深めていくということをしていかなければならないというふうに思っております。  それから、医薬分業との関係でありますが、医薬分業というのは、これはまさにその本旨に返って、我が国においてもその普及を図っていくべきである。要するに、それぞれの専門家がそれぞれ専門知識を発揮して、薬に対するいろいろな弊害というものを生じないようにするというのが医薬分業の本旨でありますから、そういった意味での推進というのは図っていかなければならない。  今回、この処方せんの中の薬の量によってこの辺のところが阻害されるのではないかというおそれを御指摘でございますけれども、この辺のところは、実態というものも見ながら、一方そういうことがないように、冒頭申し上げましたようなことで、薬の投与に対する医師の理解を深めていくことがやはり基本だろうというふうに思いますし、そういった意味では、私どもとしては、今回のこういう負担の仕方が医薬分業の阻害になってはいけないという角度から十分これから見てまいりたいというふうに思っております。
  260. 五島正規

    ○五島委員 そういう抽象的な答弁を聞きたいわけではないのです。  現実問題として、四百円か七百円、投薬を受けるときには患者さんが負担しなければいけない。医療機関へ行けば、慢性疾患の場合は二週間単位くらいで薬を出すというのは目に見えていますよね。それが院外処方に切っていく場合には一週間単位が精いっぱいだろう。そうすると、仮に七百円とした場合、医療機関へ行けば一月千四百円だ、しかし、処方せんを切ってもらった場合には、その薬局の窓口での負担が二千八百円である、そういう差が出てくるではないか。そういうことを起こさないためには、例えば医療課の方で、そういうことをさせないようにどのような措置考えているのかということを聞いているわけであって、局長の、そういう専門家の感覚という話ではない。  これはやはり、一たん制度として発してしまう以上は、そこで明確に歯どめのきくことを厚生省として考えないと。これまでもそうなんですが、何か制度をつくっても、その制度だけでこの二十七兆という巨大な医療費をコントロールし切れないわけですから。当然、もし与党がこういう案でいこうとするのなら、そのことによる決定について、厚生省はそこのところでは、それの効果が上がるためにどのようにしていくかということの案を具体的に用意してくれないと、効果があるかどうかわからないではないですか。どうなんですか、それはこれから検討するのですか、もう検討しているのですか、簡単に答えてください。
  261. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 この修正案というのは、まさに連休明けにこういう格好で固まったわけでありまして、私どもとしては、それぞれの案を補強するためのあらゆる制度というものを実際に研究しております。ただ、それがまだ具体的に案として採用できるまでになっておりませんけれども、私どもとしては幅広く検討はしております。
  262. 五島正規

    ○五島委員 大臣、我々は、与党のこの案に対して、当面三年間、よくもって三年間ぐらいのものですから、むしろ抜本改革が大事という認識も持っています。にもかかわらず、これに乗れない最大の理由は、こうした問題に対して、厚生省がどこまで政策目的としてきちっと明確化されたものに対してあらゆる方法をもってフォローアップするか、それが今までできていないじゃないか、そこのところが一体として出てこない限りは、結局残るのは負担の増だけだということになりかねない、そういうところに大きな不安を持っておるわけです。その点について、ぜひ大臣としてのお考えをお聞きしたいと思います。  それから、厚生省、まだ数字が出ないのですか。私の質問時間が終わりますがね。ぜひお答えください。
  263. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今日までの議論でもいろいろ出ていましたけれども、この三十数年来、ほぼ抜本改革の方向というのが出ていながら、なぜできなかったのか。これは、直接患者さんの負担が上がるのはだれでも好みません。これはもう安ければ安いほどいい。三割より二割の方がいい、二割より一割の方がいい、それは千円より五百円の方がいい。これは、問われれば国民はほとんどそう答えます。  しかしながら、この医療費というのは、患者負担と、保険料を負担する人、給付を受ける人、税金、その組み合わせしかないという中で、今まで、思い切った案というものに対しては、それぞれの立場から反対が出てできなかったという反省も踏まえまして、これから抜本的な改革をしなきゃならない。特に、今回提出しました政府案並びに与党修正案についても、これまたこれで十分だという人はほとんどいないでしょう。こういう議論の中で、財政的にももう既に深刻な破綻に瀕している、もう若い人にツケを先送りすることはできない、そこから、給付と負担の均衡を図るということから、ようやく抜本改革、総合改革の必要性が与野党を問わず出てきたのだと私は認識しております。  まさにこれから、この機運を千載一遇の機会ととらえて、厚生省のみならず、議員も政党も本格的な抜本的改革に立ち向かわなきゃいかぬ、その決意を私は今固めております。
  264. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 大変手間取りまして申しわけありません。  他の先生方はお手元に資料をお持ちじゃないのでわかりにくいかもしれません。五島先生のお持ちの資料、二種類ございますけれども一つが「制度改正による政府管掌健康保険財政への効果」、もう一つが「制度改正による政府管掌健康保険の五カ年の財政収支の見通し」というタイトルでございますか。違いますか。
  265. 五島正規

    ○五島委員 けさ配られた「修正案による財政収支の見通し」と「制度改正による政府管掌健康保険財政への効果」、この二つの間において変わってはならない数値まで大きく変わっているが、一体どっちが正しいのかと聞いているのです。
  266. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 けさお出しした数字と、もう一つの数字との関係でありますけれども、けさお出しした数字、例えば「被用者本人二割」というのが、二割負担のところでございますけれども、これは満年度同士で見てみますと、平成十年度、「被用者本人二割」二千三百八十億、こういうふうにございます。一方の資料は、平成十年度で見ますと、「被用者本人二割」三千八百二十億とございます。  この差はデータのつくり方の問題でありまして、被用者本人二割、三千八百二十億は、一部負担を一割から二割に引き上げますと、それに伴って医療費の縮減効果というものがございます。いわゆる長瀬計数というふうに呼んでおりますが、この長瀬計数に伴う縮減効果も加味したものが三千八百二十億でございます。  それからまた、もう一つ、これが縮減されることに伴って、これは老人保健の制度も変わりますので、それに伴って全体的に政管健保の拠出金の金額が減ってくるというような問題もございまして、この被用者本人二割が三千八百二十億と書いた資料は、それらを加味したものでございます。  それに対して、けさお配りした、被用者本人二割、二千三百八十億というのは、まさに二割にすることによって一部負担が増加しますから、その増加する額だけを書いたものでございます。それでは、そのいわゆる長瀬効果のようなものはどこに入っているのだということになりますが、その下に「その他」というので、平成十年度、二千八十億と書いてございます。ここの中にまとめて長瀬効果分が書いてある。  そういうようなことで、この数字の持つ意味が違うものですから、非常にわかりにくくなって申しわけなかったのですが、そのような形でございます。  ですから、合計いたしますと、平成十年度、長瀬効果も含めた数字の方も、単年度収支差は五十億の赤字となっておりますし、それから、けさお配りしたものについては、これは今回の修正案によりますと千二百五十億の赤字になりますが、「(参考)」の方に書いてあります政府案の場合の単年度収支差、五十億、ここのところが一致しておりますけれども、そんなような形で、数字が入り組んで書いてあるものと、それぞればらして書いてあるものがあるものですから、こういう格好になっています。(五島委員薬剤は」と呼ぶ)  「薬剤」についても同じような考え方でありまして、薬剤平成十年度は、長瀬効果を含んでいるのが三千三百五十億でございます、これは政府原案の方でありますが。それに対しまして、けさお出ししました修正案は千四十億ということでありますから、この千四十億というのは長瀬効果を含まない分ということでございます。
  267. 五島正規

    ○五島委員 時間が参りましたので終わりますが、恐らくこの資料を請求された山本さんも、数値として比較できるものを求められたと思いますね。今の話は局長の口頭での話であって、それが本当にどうなのかという比較の数字じゃない。やはりこういう委員会の席においてはきちっと裸のデータをそのとおり出していただきたい。そのことをお願いして、終わります。
  268. 町村信孝

    町村委員長 高木局長、今の資料は、追加して五島委員に出しているなら、ほかの委員の皆さんにも配ってください。今の、何か別の数字があるとかいうのを大至急皆さんに配ってください。  瀬古由起子さん。
  269. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  私は、まず修正案について、提案者に質問いたします。  薬剤一部負担についての修正案は、厚生省の、高齢者の平均的な通院の場合で計算いたしますと、平均三・二回の通院でその都度、三・二回の処方がされるということを想定しますと、現行の千二十円から三千八百四十円と実に三・八倍にもなります。政府案は、現行の二・八倍で二千八百八十円、修正案は、さらに九百六十円もの負担増になるわけです。若い人の通院の平均的な場合で計算いたしましても、現行の千四百七十円から三千七百八十円となりまして、当初案の三千六百円よりさらに百八十円の負担増という形になります。さらにこの上、頓服薬だとか外用薬別建てで取るというわけですね。  この修正案というのは、政府案よりも患者負担を一層強めて、一層の受診抑制になり、政府案よりひどいものだというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  270. 津島雄二

    津島委員 瀬古委員前提ではじいてみますと、委員のおっしゃるような数字にはなりません。  一カ月三・二回通院といたしますと、患者負担が、現行では一千二十円、政府案では二千八百八十円、修正案では二千六百十円と変化をいたします。今回の修正により、例えば若人の場合でも、同一保険医療機関に一カ月に二・一回通院するといたしますと、現行では患者負担は千四百七十円ですが、政府案では三千六百円、修正案では三千五百四十円と変化をいたします。  いずれにしても、今回の修正案は、政府案の場合よりも平均的に見て負担の軽減になっております。
  271. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今言われた内容でいいますと、厚生省原案では、例えば高齢者の場合は三・二回の通院で三・二回の処方というふうになっていたわけですが、今の修正案のモデルといいますか、そういうケースでいうと、三・二回の通院で二・一回しか処方しない、こういう計算になっているのじゃないですか。ですから、実際にはここにはごまかしがあると私は思います。きちんと計算をすれば、三・二回の通院で三・二回の処方というふうにすれば、当然、負担はふえるということは明らかです。  この点について、その計算は間違っているというふうに思いますけれども、いかがですか。
  272. 長勢甚遠

    長勢委員 今、津島先生から御答弁があったとおりでございます。  政府案につきましても、三・二回通院でございますけれども、その場合の平均的な処方回数は二・一回でございますので、そのように計算したところ、二千八百八十円が政府案であり、修正案では二千六百十円になる、こういうことでございます。
  273. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 だから、そこにごまかしがあるのですよ。今まで、政府案でいえば、三・二回通院していれば三・二回の処方となっていたのを、わざわざ二・一回に低くして計算している。これはごまかしがあります。そのことをまず伝えておきます。――いいです、もう結構です。(長勢委員「二・一回という答弁をいたしました」と呼ぶ)二・一回と言われたでしょう。(長勢委員政府案でもです」と呼ぶ)
  274. 町村信孝

    町村委員長 ちょっと、こういうやりとりはやめてください。だめですよ、許可得ないでやったら。
  275. 長勢甚遠

    長勢委員 誤解をいただいておるようでございますが、政府案でも処方回数は二・一回という計算でやっておりますので、ごまかしは全くございません。
  276. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 政府案では、三・二回通院して、そして一回につき四種類の薬を六・七日分もらった場合という形で計算されていますから、当然、回数については三・二回で計算されています。それは間違っています、間違っています。よく勉強して提案してください。
  277. 長勢甚遠

    長勢委員 計算すればわかると思いますが、先ほどのとおりであります。
  278. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 間違っていますから、よく勉強されて、もう一度、原案見直して御提案いただきたいと思います。  二番目に質問いたします。  薬剤の一部負担についての修正案は、投薬ごとに種類数に応じた定額としたことによって、薬剤の二重負担の矛盾点はこれでなくなるのでしょうか、いかがですか。
  279. 長勢甚遠

    長勢委員 薬剤の二重負担という意味でございますが、全体について、一般の場合に、二割いただいたほかに薬剤について別途定額でいただくという意味での二重負担という意味であれば、政府原案もそういうふうになっておりますが、修正案でもその仕組み修正をさせていただいております。
  280. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 この委員会でも論議されていまして、一たん保険による負担も取る、また別個に取る、本当にこういう矛盾点を指摘されたにもかかわらず、この修正案は二重負担の矛盾点はなくならないということが明らかになっております。  さらに、私、質問させていただきますけれども先ほども出されておりましたが、良心的なお医者さんの立場からしますと、患者さんの容体を見ながら薬剤の短期投与で、例えばおなかが痛いといったら頓服を出すとか、二、三日、様子を見ながら薬剤を出していく、組み合わせを考えていく、こういうように慎重に診断したり治療を進めているわけです。  ところが、今回の修正案になりますと、こうして患者さんの容体を見ながら調整をしたり、組み合わせを考えたり、薬を出したり、すればするほど薬剤患者負担がどんどん膨れ上がるという仕組みになる。患者負担を少なくしなければいかぬなということで回数を減らしますと、きめ細やかな対応ができなくなる。これでは良心的な治療というのが、これでできるのですか、いかがでしょうか。
  281. 長勢甚遠

    長勢委員 ほとんどの医師の方は良心的に治療なさっておられると信じておりますが、平均的に一回当たりの投与日数は十二・三日だったと思いますが、そういうことを根拠にさせていただいておりますので、今先生のような御心配はほとんどないものと考えております。
  282. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 現場の先生に聞いていただきたいと思うのです。実際には患者さんの状態を見ながら薬を出しているわけです。ところが、今回の修正ではきめ細やかな対応ができなくなる、そういう不安が出ているのです。ぜひその点もよく踏まえていただきたいというふうに思います。  同時に、先日行われました参考人の意見陳述におきまして、こういう意見が出ておりました。薬剤投与を決めるのは医師であり、患者ではないと。患者さんが、自分はもうこの一部負担が嫌だからといって一種類でいいとか、二種類ならいいとか、三種類ならいいとか、こういうふうに選べるわけじゃないです。そういう意味では、薬剤処方するのは医師の側であり、患者には薬剤種類や量を判断することはできない、こうふうに思うのですけれども、いかがですか。
  283. 長勢甚遠

    長勢委員 実態としてそういう面があることは否めない実態だろうと私も理解をいたしております。  そういう中で、医師の側においてもコスト意識を持ってもらい、また、患者の方々にもコスト意識を持ってもらう中で、今後の医療資源の効率的な活用を図っていく、その一助としたいというのが今回の修正であります。
  284. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 患者コスト意識を持ってもらいたいといったって、患者は自分で選べないわけですから。結局、本来、患者自身が選べない薬の種類とか量を患者負担で制限するという、これはペナルティーをかけるということですけれども、とんでもないことだと思います。  では、次に質問いたします。  高齢者の入院負担の問題ですけれども、これは、毎年これから値上げをしていくという、先の値上げ案まで出されている。一体これによって、年度別にいいますと、どれだけの収入増になるのでしょうか。
  285. 長勢甚遠

    長勢委員 今回の修正案によりまして、平成十年度において老人の入院負担を一日千百円とした場合に、政府原案に対しまして国庫負担は九十億円減少する、また、政管健保保険収支につきましては四十億円の改善が見込まれると思っております。  同様に、平成十一年度において老人の入院費負担を一日千二百円とした場合には、政府原案に対しまして国庫負担で百八十億円の減、政管健保保険収支については八十億円の改善が見込まれると思っております。
  286. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 結局、国の負担を減らそうというわけでしょう。実施時期のおくれによる収入減が千五百億から千六百億と言われていますけれども、こういうものもこうした患者負担で埋め合わせる、この一部を埋め合わせるというのは、本当に私はとんでもないものだというふうに思います。  さらに、三年後は医療費の伸びに応じてスライドするという政府案はそのまま認めるということになるのじゃないですか。
  287. 長勢甚遠

    長勢委員 この修正案ではそのとおりにしております。
  288. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 値上げをして、そして医療費の伸びに応じてまた上げていく、本当にひどい話だと思います。これは結局、高齢者を病院から追い出していくということになるのではないかと思うのです。あなた方の修正案は、修正の名のもとに矛盾に満ちた政府案に一層国民負担を押しつける、私は改悪を求めるものだというふうに思います。  修正する前にやるべきことはきちんとあります。今までもう何度もこの委員会でも論議されました高薬価の問題、また、国庫負担の復元の問題など、高薬価の問題にメスを入れれば二兆円以上の財源が生まれてくる、こういうことも明らかにされていますし、また、国庫負担も八〇年度の水準に戻すだけで一兆六千億円ものゆとりが生まれる。これもはっきり私たちも指摘しているわけですね。こういう大事なところになぜメスをあなたたちは入れないで、いいかげんな政府案より悪い改悪案を出してくるのですか。
  289. 津島雄二

    津島委員 瀬古委員の御指摘、お考えを敷衍いたしますと、老人に対する負担はなければないほどいいと。  委員に申し上げますけれども、高齢者がふえてまいりますと、我が国ばかりではなくて、世界じゅうの国が高齢者の医療費をどのように公平に分け合うかという深刻な議論がございます。これは当然御承知のとおりでございますけれども。そういう中で、高齢者の医療費を全部税金で持てという恐らく瀬古委員のお考えでございましょうけれども、しかし、税金といえどもこれは打ち出の小づちではございませんので、国民負担をするものでございます。しからば、保険で持つ場合にどうなるかといえば、現役で収入を得て保険を払っておられる若い方々に負担が行っているわけであります。ですから、そのいわゆる世代間の負担の公平ということも考えなければならない。  ですから、出発点が一切負担がない方がいいというお考えに立てば先ほどからのような所論になると思いますけれども、しかし、これはどのように負担を分かち合ったら公平かという、もう少しきめの細かい真剣な御議論をいただきたいと思います。私どもの案は、政府案に対して、いずれも負担は軽減をしております。
  290. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もう少しまじめに真剣に本当に検討していただきたいというのは皆さんの方ですよ。なぜ医療保険がこんなに赤字になり、破綻してきたのか。ここに、世界でも異常な高薬価の問題や、そして国庫負担はどんどん減らしてきた問題があるということを私たちは何度も指摘しているわけです。何も税金で全部賄えと言っているわけじゃないのです。今、当面この赤字を解消するためには、本来この赤字構造をつくってきた問題にしっかりメスを入れればやれるじゃないかと。それを全部税金でやれというのかなんて居直るのは全くのすりかえだというふうに思います。  では次に、政府案について質問をいたします。  愛知県の民主医療機関連合会が行いました、今回の医療改定についての新聞の意見広告に寄せられた声を紹介したいと思います。   私達夫婦は国民年金で生活しなければなりません。消費税二%上がって最近は生活費も節約しています。その上医療費・薬代も上がればお医者さんにもいけなくなります。 こういう声ですね。   私は六十八歳、妻六十四歳で年金も少なく、二人とも高血圧症にて長年通院中。今回の医療改革は私どもに死ねという法案です。 こういう声です。こういう声がどんどん寄せられたそうです。今、私たち厚生委員のところにも、全国から切実なはがきやファクスの声が寄せられていますでしょう。  参考人の意見陳述においても、八田英之さんが言っていましたけれども、消費税が上がって、医療費も四月から上がったと思われて、慢性疾患で年間でコントロールしている予約の患者の一五%が来ていないというのですよ。電話をすると、十四日分を二十八日、一カ月に延ばしているのです。薬を延ばして飲んでいるのですよ。実際に上がったら大変なことになる、こういう発言がありました。  厚生大臣、しっかり聞いていただいていますか。負担が嫌で受診抑制する人はいないなどとあなたは答弁していますけれども、実際には受診抑制はどんどん進んでいるではありませんか。どう思いますか。
  291. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、健康と命にかかわる問題で、千二十円が一回五百円になった、それで行かないという人はごくまれであると言っているのであります。健康と命を考えるのだったらば、五百円程度負担はこれはお願いしたい。  医療費というのは、税金で面倒見るか、若い人の保険料でこれを支えていくか、患者さんの自己負担で支えていくか、この三つの組み合わせしかないのです。ということを考えれば、むしろこれからの世代間の均衡を図るためにも、給付と負担、この均衡を図るためにも、そして、何とか増税を避ける、若い方の保険料をできるだけこれ以上ふやさない、むしろ下げていくということを考えるならば、今の高齢者に対する一月千二十円を一回五百円、四回を限度とする、そして薬剤費でのある程度負担は、これは一定の理解を得られるのではないかと思います。
  292. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ごまかさないでいただきたいと思うのですけれども、今回、政府案だって若い人はさらに負担がふえるわけですよ。命と健康にかかわる問題だからこんなぐらいの負担で受診抑制する人はいないといったって、まだこの健康保険が改定されていないのに、実際には患者さんが減っているということが報告されている。切実な声が、もうこれ以上上がったら生活できない、こういう声がわき出ているということについては明らかだと思うのですね。  では、どういう負担をするのかという問題にしても、先ほど私が修正案で言いましたように、本当に医療の浪費構造にどうメスを入れるかということなんですよ。どうやって負担をやってもらうかなんというのではなくて、今のこの委員会の中の審議でも明らかになりましたように、この保険財政を破綻させてきた、この赤字をつくってきた問題について、もっと真剣にまじめに取り組むべきだというふうに私は思うのです。新薬シフトの是正の問題、また製造原価をオープンにさせた適切な価格設定の問題、これらのことについても、橋本総理大臣も小泉厚生大臣も、薬価の基準の見直し、医療機器の価格設定の透明化に向けて積極的に取り組んでいきたいと答弁しているのですよね。そうでしょう。あなたたちの言う医療保険の一兆五千億円の赤字も、本気でまじめに取り組めば、二兆円や三兆円の財源が生まれる。これを先にやるべきじゃないですか。いかがでしょう。
  293. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 根本的な薬価基準見直し、診療報酬の見直し等をしても今程度負担は避けられない。当然、この法案が成立次第直ちに手をつけます。  しかし、その抜本的な改革をやったからといって、今よりも患者さんの自己負担が減るということは私はあり得ないと思います。
  294. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 まともにこうした高薬価の問題などに取り組んでもいないのに、そんなのやったって、それでこれぐらいの負担は当然という、こういう姿勢を私は全く傲慢だと思います。  私たちがきちんと計算もし、専門家の中からも随分意見が出ていました。高薬価のところに、また、高い医療機器、異常な高さですよね。本来、こういうところにメスを入れれば、ちゃんと二兆円、三兆円の財源が生まれるということまで明らかにしているのに、それをやったとしても負担がこのぐらいはやむを得ないなんて言うのは、私は、本気でやる気があるのかどうかということを疑わざるを得ないですね。  では、次の質問にいきたいと思います。  政府管掌の健康保険は、九二年に国の負担割合を減らしましたけれども、そのときに、赤字になったら国の負担をもとに戻すということを約束して、「所要措置を講ずるものとする。」と法律にも実は書き込んでいるわけですね。今回の法案では、赤字となった政府管掌の健康保険への国の負担をふやすどころか、逆に八百七十億円さらに削減すると。もう考えられないですね。一体どういうことでしょう。はっきり答えてください。
  295. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 九二年改正においては、経済状況がかなり違いがあるわけでありますが、当時、政管健保の財政状況も非常に好調でありまして、一兆円を超える積立金が発生した、そういった状況のもとでありました。  同時に、当時、いわゆる看護体制の強化ということで、医療保険の中における看護婦さんの処遇の改善、それからまたその配置の充実ということが診療報酬改定の中で大きな項目として取り上げられていたわけであります。しかし、当時からやはり国家財政は非常に厳しいものがあったわけでありまして、そういった中で診療報酬の改定をして看護体制の強化をしていく、そのためには一定の、当然のことながら保険料財源、それからまた国庫財源というものを必要としたわけであります。  そこで、今申し上げましたように、政管健保の財政状況は非常によかったというようなことを背景としまして、当時、国庫負担率を引き下げさせていただき、また、保険料もたしか引き下げたはずでありますけれども、そういった中で、この国庫補助率を引き下げた分については診療報酬改定に充当をして、結果的には医療保険制度の体制の強化に使われた、こういうふうに私は理解をしております。  それで、今日、状況ががらりと変わったわけでありまして、そういった中で、この政管健保の中における国庫負担あり方をどうすべきか、根本的な問題ございますけれども、昨年の十一月二十七日に出されました医療保険審議会の建議におきましても、現下の国の財政状況というものをかんがみたときに、現在でも医療保険全体に対して六兆円を超える国庫補助をしている、そういった中でさらに国庫補助をふやしていくということはやはりこれは現実的には難しいという建議をいただいておるわけであります。この医療保険制度の中における国庫負担あり方、これは根本的な問題として検討していかなければいけませんけれども、現下の財政状況の中で、今回の改正においてこの国庫負担の引き上げをするというような状況にはないということでございまして、その点について御理解を賜りたいと思います。
  296. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 診療報酬を引き上げたからと、また、今日財政的な事情が大変な状況があると、だからといって、九二年に国の負担割合を減らして、きちんと、もし赤字になったら戻すのだということを約束までして、そして法律まで書き込んだ、こんなことはいいかげんに扱っていいということなんですか。事情がその後変わればどうなったっていいということですか。まじめに、まともに国会審議してこういう論議がされたわけでしょう。ちゃんと法律で書き込んだわけでしょう。その後事情が変わりましたと、それで済むという問題なんですか。
  297. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 やはり制度というものがその時々の経済状況あるいは社会環境状況の中で変化していくわけであります。当然、国会での審議の結果ということは、これは非常に尊重していかなければならないことは当然であります。しかし、今回の改定におきましても、審議会を初めとする一定の手順を踏み、その中の御議論においても、先ほど御紹介したような建議もいただいておるわけであります。  そういった中で、今回の改正案につきましても、これまでの経緯を踏まえて国会で御議論いただいておるわけでありまして、私どもとしてはやはり、この医療保険制度の中における公費のあり方を含めて、まさに抜本的に国民的な合意を得ていかなければならない問題であるというふうに考えておりますし、それからまた、現に、現在のこの医療保険制度の中における国庫のウエートというのは非常に重いものがございますから、国庫全体のバランスの中で物事を考えていかなければならない。そういった意味で、これからの新しい時代に向けてそこのあり方がどうあるべきかということは常に検討していくべきだというふうに考えております。
  298. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 国会で論議されて法律までつくり上げられたものをその後の政府事情だけで平気で踏みにじる、本当に私はこういう姿勢は許せないと思うのですよ。きちんと約束どおりもとに戻せば、今回の財政破綻、健康保険財政の破綻も、これも解決できるわけですよ。こういうところに本当に、政府は踏みにじっていくということは私は許せないというふうに思います。  小泉厚生大臣、この国庫負担、これをきちんともとに戻すと言った約束をこうやって簡単に踏みにじられていいものなんでしょうか。それから、今回、負担をふやすどころか逆に削減している、こういう問題についてはいかがですか。
  299. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私も、政府がやっていることがすべて正しいとは思っておりません。現に赤字国債などは、特別に例外で一年限りと言っておきながら毎年出している。これは特例でも何でもない。通例になってしまっている。こういうところを見ると、今までの約束がすべて守られているとは言えない。  しかしながら、全体の予算を見ると、もうこれ以上増税はできない、赤字国債も発行できない、なおかつこれからも高齢者がふえる、どうやってこの保険財政を維持していくかとなると、お互い、税金も使いましょう、保険料も負担しましょう、自己負担もしましょう、この組み合わせをどうやって考えるかということでありますので、今、共産党の立場のように、それは患者さんの負担は軽ければ軽いほどいい、これはみんな歓迎する。ところが、一方でどこで負担するかということを考えますと、私は、給付と負担の均衡を適正に図っていく以外ないのではないかということで、今回、若い方々も一割から二割に負担をしていただきます、高齢者も、低額ではございますけれども、一月千二十円を一回五百円にして四回を上限、薬剤にも若干の負担をしていただくというのは、これはやむを得ないことではないかと。御理解をいただきたいと思います。
  300. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 大体、今回の医療保険財政の赤字の問題も、本来の浪費構造にもメスを入れないと、これは国の財政だって同じなんですよ。今大きな問題になっている、例えば大手のゼネコンや大企業のための公共事業にメスを入れるとか、軍事費にメスを入れるとか、こういうことをやればちゃんとできるということも私たちは明らかにしています。そういうことを、あなたが閣僚なら、そういう国全体の財政のむだについてもちゃんとメスを入れる、こういう姿勢に立つべきだと思います。政府がやるべきことも法律が求めていることもやらない、国民には負担のみを押しつける、今回の法案は全く道理がなく、私は撤回すべきものだと考えます。  反対署名は今一気に広がって一千四百万人を超えております。先日、五月三日、日本は憲法施行五十周年を迎えたばかりです。このとき、国民の生存権をうたった憲法を踏みにじる法案を強行するなどということは到底許されないことです。政府案、修正案とも撤回を要求して、質問を終わります。  以上です。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  301. 町村信孝

    町村委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂口力君。
  302. 坂口力

    ○坂口委員 質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。  総理にお聞きをいたします前に、きょうは与党三党の代表の皆さんもお座りでございますので、一言だけ、先にお聞きをしておきたいと存じます。  昨夜からけさにかけまして、与党三党のこの修正案がまとまり、それがマスコミに流れまして、多くの医療従事者の皆さんや労働組合の皆さん方からお電話をちょうだいいたしました。その皆さん方の異口同音おっしゃいますことを一言で申しますと、政府提案の案もまずかったけれども、今度の修正案はもう一つまずくなった、まだ前の方がましだったという声が非常に多かったわけであります。  私も実はそう思う一人でございまして、特に、きょうも午前中、労働組合の皆さんとの会合がございましてお会いしましたが、そのときに、その中の一人が、社民党の方は今まで構造改革前提としたお話であったのに急に妥協をされた、この責任は非常に重いという発言がございました。  中川さんはまだ国会にお見えになりまして間もないわけでございますし、お聞きするのはいささかつらい思いもいたしますけれども、党代表としてお座りをいただいておりますので、今までの構造改革前提としてお考えになっていたそのことが急に変わったその意味を先にお聞きしておきたいと思います。
  303. 中川智子

    ○中川(智)委員 お答えいたします。  今の坂口議員のお話の中で、社民党の心変わりのようなことをおっしゃられましたが、そのようなことは一切ございません。  その中に盛り込まれていますように、施行は九月一日ということでございます。そして、まず協議会と厚生省が互いに協力しつつ抜本改革をしていく中でのことでございますので、その中身に関して我が党の主張は変わっていないということを明確にお話ししてこの修正案が示されている、そのような姿勢をはっきりとお伝えしておきます。
  304. 坂口力

    ○坂口委員 きょうは総理の御出席をいただいておりますので、総理にお聞きする時間が短くなりますから、また政党間の問題は後に回させていただくといたします。  さて、総理、この厚生委員会におきましても、かなりな時間を費やしましてこの法案審議が続いてまいりました。非常に熱心な議論であったというふうに思っております。  過去を振り返りますと、健保法案ということになりますと、乱闘国会がございましたり、さまざまな歴史がございまして、なかなかこの健保法案というのは通らない、非常に難しい法案一つに今までなっていたというふうに思います。そのことを思いますと、今国会におきますこの議論は、大変真摯に、大変落ちついた中で真剣な議論が進められてきたというふうに思っております。  しかし、大変残念に思いますことは、この委員会においていろいろ議論をされましたことそのことと、今回出てまいりました修正案とは中身がかなり違うということでございます。今回のこの委員会における審議、ここでいろいろなことが審議されましたが、その審議審議、そして修正案修正案、別のところで行われている。いわゆる委員会の形骸化という言葉がございますが、まさしく委員会審議がこの修正に結びついていない、これは大変残念なことだというふうに思っております。  過去の委員会におきましては、乱闘国会もあったりいたしまして、そんなとき、総理と同じ委員会で対面したこともございましたけれども、そのときには真剣なやりとりがありまして、そのことが直接修正案等に結びついたということも中にはございました。しかし、静かな中で審議はされましたけれども審議審議修正案修正案、別の場所で行われているということは、議会政治にとりまして大変残念なことに思うわけです。  総理にこのことをお尋ねすると、総理は、それはまあ国会でおやりいただいていることですからひとつ国会の方で十分やってくださいというお答えになるのだろうというふうに思いますけれども政府に対して委員会でいろいろと質問をする、政府国会という関係の中で、私はやはり、もう少し成熟した形をつくっていかなければならないのではないか、そうしなければ国会そのものが成長をしないのではないかというふうに考える一人であります。  六つの改革を掲げておみえになります総理として、この委員会政府との間の関係、どのようにしていったらいいというふうにお考えになるか、まずお聞きをしておきたいと思います。
  305. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員と、この厚生委員会と労働委員会が分かれます前、社会労働委員会と申しました時代から、随分何回か議論をさせていただいてまいりました。しかし、今のようなお尋ねを受けたのは今回が初めてです。そして、私どももまた与野党双方の理事として、委員会審議と並行しながら、この健康保険法案だけではなく、幾つかの法律案修正というものを煮詰めてきた経験をお互いに持っております。  そうした中で、私は、確かに模範回答は、議員がはしなくも言われましたように、国会の中のことは国会の中でお決めくださいと申し上げるのが模範回答なのかもしれません。  しかし、私は、今回のその医療保険制度についての御議論というものは、私が漏れ聞きます限りにおいて非常に真剣に与野党ともに議論をしていただいた。それは、医療保険制度の長期安定というものを求めていく中でどうすれば一番いいのか、こうした視点からの御議論を続けていただいたと承知をしております。そしてそれは、医療提供体制及び保険制度の両面にわたる、根本的な今後の見直しにつながるものであったと思います。そうした中で、与党医療保険制度改革協議会、ここの場におきまして、医療保険制度抜本改革についての検討の成案として、医療制度改革基本方針がまとめられてまいったと承知しています。  私は、今回行われた修正案と申しますもの、これはまさに、本委員会におけるその審議とまた与党協議というもの、その両面を受けてまとめられたものだと理解をいたしております。そして、この委員会における御議論が全くむだであった、そのような感じは、私は受けておりません。  そして同時に、私は、これから先のことを考えました場合に、これは、医療保険制度、健康保険制度だけの問題ではありません。我が国の、私どもがまさに与野党の理事として議論を闘わせておりました当時から考えますと、想像できない少子化の状況になりました。高齢化の見通しの方はそう違っていたとは思いませんが、出生率の低下は、私ども議論をしておりました当時のその基礎としていた数字とは全く今違った状況にあります。こうした中で、医療保険制度改革というものにつきまして、まさに国民的な視野を持って幅の広い検討というものが必要になりますし、その中からいかにして国民意見の集約を図っていくか、こうしたことが非常に重要になるであろうと思います。  そして、まさに、本委員会における御論議というものは、今回の法律案の議了とかかわりなく、そうした視点から続けられるでありましょうし、そうした御意見というもの、これは、国民合意というものを形成していく上で、私は、大きな役割を果たすものだと思っております。  そして、その上で、我々もまた、この改正案が成立をいたしました後、できるだけ速やかに、国民的立場に立った抜本改革案というものをお示しをし、幅広く国民の批判、また選択に供したいと考えておりますが、そのためにも、本委員会の御議論というものは、決して議員が今述べられたようなむなしいものではなかった、今後に生きていくものである、私はそう信じております。
  306. 坂口力

    ○坂口委員 超高齢社会を迎えまして、また、少子社会を迎えまして、医療制度が大変難しい状態にあることを私たちも十分によく理解をいたしております。国民の皆さん方に御負担をいただかなければならない問題は、やはり率直に申し上げなければならないとも思っているわけでありますし、また、医療従事者に対しましてお願いをしなければならない問題は、これまた率直に申し上げなければならないというふうに思っております。私たちも、十分な議論の中で建設的な取り組みをしていきたいというふうに思っているわけでありますから、ひとつ、その辺をお含みをいただいて、この政府国会とのあり方につきましても、これからさらに改革に取り組んでいただきたいと思います。  中身に入らせていただきたいと思いますが、医療経済と申しますか、これは、統制経済と言って言い過ぎではないというふうに思います。したがいまして、うまくいかない点があったといたしましたら、それはやはりこの統制の仕方の問題が大きいわけでありまして、医療機関や、あるいはまた患者の皆さん方にその責任を押しつけるわけにはいかない。今回のこの法案が出されましたときに、患者負担をする前にもう少し全体の抜本改革の姿を示すべきだという意見が出ましたのは、その辺の事情を物語っていると私は思うわけです。  したがいまして、どうしてもその改革の方向を示さなければならないわけでございますが、残念ながら、ここでいろいろの議論をしてまいりましたけれども、この法案の通過をいたしますまでに、その姿がはっきりといたしませんでした。厚生大臣からは、できるだけ早くその改革案を示すという表現はございましたけれども、現在のところはございません。  そこで、総理にお聞きいたしたいのは、その内容につきましては、これは厚生大臣からもお話がなかったわけでございますから、総理にどのようにというふうにお聞きをするのは失礼かというふうに思います。しかし、どこをまず優先的に改革をすべきかということについてだけはお聞きをしておきたいと思います。総理は、言うまでもなく厚生行政に大変明るい方でございますから、どこをまず改革すべきか、この点だけはひとつ明確にしていただきたいと思います。
  307. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 恐らく、私は、本委員会における今日までの御論議の中におきましても、幾つかの問題点は既に浮き彫りにされているだろうと思っております。  まさに、現在、私どもは、この医療保険制度の財政の安定を確保しておかなければ次のステップに入れない、そうした思いの中で、この財政の安定というものを緊急の課題としてとらえ、今回、改正法案提出をさせていただきました。  その上で、我々は、長期的に安定した医療制度を確保していくためにも、先ほど申し上げましたように、医療の供給体制、医療保険制度両面にわたる改革というものを進めていかなければならない、いわば総合的な対策を進める必要があると考えております。  恐らく、今日まで御論議になってこられたであろうその中には、例えば、老人医療制度あり方、あるいは診療報酬体系の見直し薬剤使用の適正化あるいは医療提供体制の見直し、こうした早急に手をつけなければならない問題というものは既に浮かび上がっているのではないかと思いますし、これらが皆、抜本的な改革に結びついていくものであることは今さら議員に申し上げるまでもないと思います。  その上で、私見としてこれはつけ加えさせていただきますけれども、私は、日本が国民皆保険にいこうという決断をいたしました時点で、一つ、設計の上で考えておくべきであったと今になれば振り返るべきことがあるように思います。  御承知のように、我が国の診療報酬体系、いわゆるドクターズ・フィーとホスピタル・フィーの混在化した仕組みであります。そして、医療機関の経営の安定のために、薬価の差益というものを用いて、これをもってある程度柱立てができる仕組みをつくっております。果たしてこの制度が、私は創設した当時には非常によかったと言っていいのだと思うのです。しかし、今日までの時間の経過するまでのどこかの時点において、むしろ、薬価差益というものに依存しないで医療機関の経営が成り立つ診療報酬の仕組みというものはどういうものか、その中で医師の技術評価というものはいかにあるべきか、この点を我々はもっと掘り下げて議論をしておくべきではなかっただろうか。そうした試みが何回か行われ、挫折をしたプロセスは議員も御承知のとおりでありますし、私自身がそうした思いでこうした問題を提起をいたしたこともございました。しかし、結果として、そこまで掘り下げた診療報酬の姿というものは残念ながら十分な論議をされてこなかったのではなかろうかという思いを今持っております。  議員はみずからも医家としての立場でこうした問題に関心をお持ちであったことを私自身存じておりますので、あえて個人的な私見をつけ加えて答弁をさせていただきました。
  308. 坂口力

    ○坂口委員 ただいま総理から医療保険制度の問題につきまして詳しくお話があったわけでございますが、今回の与党三党の合意案を拝見をさせていただきますと、二項めに、「医療保険制度抜本的改革の中心は、診療報酬制度薬価決定方式、高齢者に関する医療保険制度等であることを確認する。」こう書いてございます。  これを拝見いたしまして感じますことは、診療報酬制度にいたしましても、薬価決定方式にいたしましても、これは、現在の医療保険の中でどのように財源を使うかという使い方の方に力点を置いた内容でございます。そして、高齢者に関する医療保険制度というのも、もう一つございますけれども、この三項目、どちらを見ましても、これは供給をする中をどう変えるかという話でありまして、今総理から若干触れられましたけれども、そうではなくて、どのように財源を確保するかということについては一向にこの中に出てこないわけでございます。  これを拝見いたします限り、政府与党与党三党かちょっとよくわかりませんが、与党三党で考えておみえになります抜本改革というのは現在の保険制度の中でどのようにそれを使うかという使い方の問題にだけ目が行っている。むしろ、そうではなくて、世代間の負担の公平化ということが今一番大きな問題になっていると私は思うわけでございますが、そのことがこの中には出てこないわけでございます。  そこで、津島先生にちょっとお聞きをしておきたいというふうに思います。  与党三党が考えておみえになります改革案というのは、使い方の問題であって、そういう、どちらかといいますと矮小化された中での考え方ではないかと私は思えてならないわけでございますが、それをお聞きしておきたいと思います。
  309. 津島雄二

    津島委員 四月七日の基本方針、それを受けての今回の合意、大観をいたしまして、重要な問題点として挙げられている三点が、給付と申しますか、どうやって提供するかという側に偏っておるという御指摘でありますが、私は必ずしもそうは思っておりません。  それは、先ほど議論がございましたように、いわゆる老人保健制度をどうするかという問題に入ってまいりますと、これは、保険の仕組み、それから国の補助、そしてまた本人負担、そして、この保険制度は高齢化の進展に伴って構成が非常に難しゅうございますから、国の負担をどのくらい投入するかという租税の問題ともつながってくる、租税の問題につながっていけば、その中で最も共益費的なものはどういうものであるかという議論にもつながってくる、そういう萌芽を持っているというふうに私は考えております。
  310. 坂口力

    ○坂口委員 そのことがこの文言に出ていないわけでございます。一番考えなければならないのは、現在の社会保障制度の中で年金、医療、福祉、そうしたものをどのようにこれから位置づけていくか。それぞれ、医療は医療、あるいは年金は年金、あるいは福祉は福祉というふうにばらばらに考えるのではなくて、それを総合的に、これから整理をし、考えていかなければならないわけでございますが、そうした観点もこの中には見られない。  そして、それだけではなくて、医療保険の中で保険を提供する側のと申しますか、保険者の側の公平の問題、高齢化社会の中で今そこが一番問題になっているわけであります。若い人たちの割合が減り、高齢者の割合が多くなってきている、この中で高齢者の負担をどうしていくか、それが今問題になっているわけでありますから、そここそ一番の中心でなければならないと思うわけでありますが、そのことがこの中に欠落をいたしております。  この文章を拝見する範囲におきましては、どうも、この三党の考え方は、現在の供給体制をそのままにしておきながら、その中の手直しをしていこうというのが何となく抜本改正だというふうに考えておみえになるような気がするわけであります。  今御指摘になりましたように、税と保険の問題、その他全体の中でやるのだということをおっしゃるなら、それは私も賛成でございますし、結構でございますが、この中には少なくともそういう文言がないという指摘をしたいわけでございます。その点で私は大変残念に思っている。  そういうふうな意味で私は総理にも先ほどお聞きをしたわけでありますし、総理の方からは、現在の保険制度あり方につきまして初期の段階における問題点等も御指摘をいただいたわけでございますから、総理の頭の中にはそのことも含まれているというふうに理解をさせていただきますけれども、この与党三党の文章の中からはそれが読み取れていないということを指摘したいわけでございます。  これが二点目でございますが、三点目といたしまして、今申し上げましたように、社会保障制度全体の中で医療保険のことを考えなければならないのだろうというふうに思います。  来年はいよいよ年金の問題が登場してくる年でございます。したがいまして、年金と医療とのかかわりが一体どうなるのか、あるいは福祉との関係、介護との関係がどうなるのかということをもう一度見直さなければならないというふうに思いますが、抜本改正をいたします場合に、やはり年金や福祉とのかかわりの中で医療制度というのも考えてもらわなければならないと思います。医療は医療、年金は年金、厚生省の中での縦割りの中でそれぞれ考えてもらっていてはいけないのではないか。  例えば、今回の医療の改正の問題におきましても、現在のお年寄りは年金はたくさん出るようになった、かなり裕福になった、その年金の中でもう少し負担をしてもらってもいいのではないかという御意見といいますか、答弁がございました。  ところが、来年はその年金の問題が出てきて、その年金を減らしますよということになりましたら、ことしの議論は何だったのかということになるわけでありますから、どこを中心にして、その関係をこれからどうしていくのかということが重要になってくる。それらの視点が欠けていはしないかということを危惧する一人でございます。  政府と申しますか厚生省関係の中にも、例えば審議会がたくさんございます。きょう、ちょうだいをいたしましたけれども、例えば老人保健福祉審議会、社会保険審議会、医療保険審議会、年金も入れますと年金審議会、中央社会福祉審議会、あるいは医療審議会等々、挙げれば切りがないわけでございますが、よく似た審議会がたくさんあって、それがそれぞれの結論と申しますか、意見を答申されるというようなことになっている。これはやはりもう少し整理をしていただいて、そして、年金、医療、福祉、全体の中で将来の社会保障をどうしていくのかという視点でやっていただく必要があるのではないかというふうに私は思っておりますが、それに対する総理の、あるいは厚生大臣でも結構でございますが、御意見をいただきたいと思います。
  311. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、厚生大臣のお立場から厚生省における審議会についてはお答えがあろうと思いますけれども、従来からそうした論議というものは時々提起をされておりました。  そして同時に、内閣には総理大臣の諮問機関としての社会保障制度審議会が存在をすること、議員御承知のとおりであります。そして、ある意味では、この社会保障制度審議会がそれぞれの個別審議会から出されました専門審としての意見を総合判断し、それが妥当なものであるかどうかを判断していくというのが本来想定された機能であったと存じます。  今、厚生省、各審議会のトップの方々、横に連携をとっていただくとか、さまざまな工夫をしておられるはずでありますが、私は、専門審は専門審としてのよさを持ち、それをどう総合的に一つの体系に組み立ててその御意見というものを有効に活用していくか、問題はそこではないか、そのように受けとめております。
  312. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 審議会が多過ぎるという批判は、かなりの方面から出ているのは承知しております。  そこで、今御審議いただいている法案においても、今後、医療制度に関する構造改革については、今までの老人保健福祉審議会と医療保険審議会、これを廃止しまして、新たに一つの構造改革審議会を設けることにしております。できるだけ各審議会が連携をとれるように、むだな審議会がないように、今後とも、整理統合の視点を持ちながら、適切な審議会の運営なり設置を考えていきたいと思います。
  313. 坂口力

    ○坂口委員 厚生大臣はこの委員会での答弁で、できるだけ早く厚生省としての医療制度に対する考え方をまとめたいという発言をされました。先ほどから指摘をいたしておりますように、医療制度改革につきましても、ただ単に現在の医療保険の中での使い方の改革もあれば、保険も全部含めての改革の問題もありますし、それから社会保障全体にかかわります制度改革もあるわけでございます。  厚生大臣が今頭の中に描いておみえになります改革というのは一体どの辺にあるのか。ただ単に木のこずえの先あたりの改革なのか。それなら私はこの審議中に出していただいてもよかったのではないかというふうに思っておりますが、もう少し根幹にかかわるところからの改革考えておみえになるのか。大体アウトラインはでき上がっているのだろうというふうに思いますが、その辺をひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  314. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは、今、橋本内閣の目指しております六つの改革の中で、社会保障の改革も大きな柱であります。そして、今回の与党合意案にもありましたように、財政構造改革で論議中のこの方針も踏まえて改革案を考えるわけですから、将来、高齢者がますますふえる、若い世代が減る中で、国民負担も五〇%を超えないようにしようというこの大方針の中に、年金も医療も介護も考えていかなければならない。  そういう中で、医療制度については、三十数年来できなかった、薬価基準においても、診療報酬においても、医療提供体制においても、私は抜本的な案を示したい。こういう機会はめったにない、厚生省の信頼が問われる、厚生省の見識が問われる、そういう気持ちを持って、私は、厚生省としての案を遅くとも八月末までには出して、国民の前に、また議員の前に、審議会の前に提示したい、御批判を仰ぎたい、その決意を固めております。
  315. 坂口力

    ○坂口委員 その決意どおりに、ぜひひとつお願いを申し上げたいと思います。残念なのは、それがこの審議の間に出てこなかったことでありまして、できることならばこの審議の最中にそのアウトラインだけでも示してほしかった、そう思うわけでございます。  それにつけましても、先ほどから何度か申し上げておりますように、与党三党のこの文言が気にかかるわけでありまして、与党三党の方ももう少しこの根幹にかかわるところからの取り組みがひとつなされなければならないというふうに思いますので、これは津島先生にお願いをしておきたいと思います。  さて、次の問題でございますが、特に今回の改正薬価の問題が非常に大きな問題になりました。  この薬価の問題につきましては、先ほどからも御指摘がございましたし、五島先生からも、この修正案は本当に薬価を減らすことができるのかどうか、それは疑問だという御指摘がございましたが、私もそう思う一人でございます。むしろ薬価はふえるのではないかというふうに思います。  そうした薬価に対する意見というのは、医療費全体の中で薬価の占める割合が非常に高いということであり、そして今回の改正案または修正案は、その中で、患者さんに対する負担が余りにも多過ぎるではないかという意見でございます。  私はこれはそのとおりのことだというふうに思いますが、今言われてはおりませんけれども、もう一つ大事な問題があるというふうに私は思います。それは医療制度の医療そのものへの介入の問題でございます。医療制度が医療そのものに介入することになりはしないかという問題点でございます。  よい医療、悪い医療、これもなかなか基準も難しいわけでございますが、よく言われますように、高齢者が入院をしておりまして、褥瘡をつくる病院もあれば褥瘡を治す病院もあるとよく言われます。あるいはまた、手や足の硬直をつくる病院もあれば硬直を予防する病院もある。しかし、結果としては、褥瘡をつくったり、あるいはまた硬直を起こしてしまうような病院の方が保険点数、医療点数としてはその分だけ多くとっているわけでありまして、褥瘡を予防し硬直を予防している病院は、その分だけと申しますか、かえって収入は少ないわけであります。  いい、悪いを論ずることはなかなか難しいのですけれども、そうしたよい医療をしているところに対しましては評価をするということは私は大事だと思いますし、そして、合併症等を次から次へと起こすような病院に対しては、それはやはりペナルティーもあっていいのだろうというふうに私は思っております。  しかし、この薬剤費の問題を考えました場合に、薬剤治療がいいのか悪いのかということは、患者さんによりまして薬剤治療が一番適している人もあれば、薬剤治療ではないほかの治療方法が適している人もあるわけであります。また、薬剤の多い少ないにつきましても、やはり多くの薬剤を必要とする人もおれば、薬剤が少なくていい人もあるわけであります。だから、この薬剤治療ということがいいとか悪いとかということはなかなか言えないわけでありますし、ましてや、多い少ないがいい悪いということも言えないわけであります。治療にとりましてはニュートラルな問題だと私は思います。  こういうところを制度の中で特定の方向に向けるような取り組みというのは私はいいことではないと思っております一人であります。むしろ、患者さんとして御負担をいただかなければならないということであるならば、すべての治療をトータルで見て、その一〇%とか一五%とか御負担をいただくという方向の方が制度としてはいいのではないか、制度によって医療というものの内容に介入していくような方法というのは私はよくないと考えております一人でございます。  そういう制度と医療の内容とのかかわりにつきまして、これから制度改革をしていく上でどのようにお考えになっているか、一言お聞きをしておきたいと思います。
  316. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員は、薬剤の使用量から医療の良否を決するというわけにはいかないのではないか、そうした問題提起をされました。  私は、これは一つ考え方として、例えば昭和四十二年の健保法改正案、この中に薬剤一部負担が入っておりましたものを、今議員が述べられましたような御議論もありまして四十四年改正でその一部負担を外した、そのプロセスの中でもそうした御議論があったことを記憶をいたしております。  ただ、そういう議論になりますと、私は実はもう一つ前の段階の問題があるように思います。それは、医療保険制度がどこまで予防という部分をカバーし、予防という部分にその費用を投入することによって疾病を防ぐかという点でありましょう。  これは、従来から議論が続きながら、お互いになかなかいい結論を見出すことができずにきた問題点でありますが、私は、実はこれと薬剤の問題というのは非常に似た性格があると思うのです。どこから治療を開始して、そしてその治療を開始した時点における患者本人の疾病の状況によって、当然、選択される薬剤には違いがある。また、主として使用される薬剤の性格により、補薬を必要とするかどうかという問題点が出てくる。これはまさに医師としての診断の問題でありまして、これを第三者が力ずくで抑える、必要な薬を投与できない状態をつくり出すことがいいことでないことはそのとおりです。  しかし同時に、過剰な投与というものに対しての何らかのブレーキはあっていいのではないか。これも従来からお互いに議論を交わしてきた問題点の一つでありました。私は、今の議員の御議論というものに一定の理があることを決して認めないというのではありません。しかし、やはりどこかで、一つの常識としての線はあっていいのではなかろうか、そういう思いは率直にいたします。
  317. 坂口力

    ○坂口委員 この薬剤費の問題は、薬剤を出しますときの保険点数とのかかわりも大きいと思います。むしろ私は、診療の際の保険点数、そして薬剤治療に対する保険点数、そうした保険点数のあり方が現在のこの状況を招いていると考えております。  したがいまして、その根幹にかかわるところを直すことなしに、ただ薬剤費の多いところがあるからというのでペナルティーをかけるだけでは、私は、これは問題の解決にならないというふうに思っております。そこをこれからどうしていくのか、その辺のところが全然見えてこないわけでありまして、今回の案は、多くの薬剤を出しているところに対してペナルティーを科すような制度でございます。これは私は、これだけをやるということは一方的ではないか、制度として余り好ましいことではないというふうに思っております。  一般の社会の中で、薬剤をたくさん使い過ぎる、病院は薬を出し過ぎるのではないかという批判のあることも私は十分に存じております。しかし、それは一つの治療方針でありまして、そのことに余り介入をし過ぎると、これは医療そのものをゆがめていく結果になりはしないか。  例えば、たくさんの検査をする病院がある、あるいは余り検査を行わない病院がある。では、そのときには検査をたくさんする病院に対してはペナルティーを科すのかといえば、そこは何も現在のところは行われていない。多くの薬を出すところに対してペナルティーを科すというのは、医療全体の中で見ると、私は少しゆがめていく可能性があるのではないかと危惧をいたしている次第であります。そうした意味で、私はこの問題を取り上げさせていただきました。  以上、私が申し上げさせていただきましたのは、これから改革を行っていくに当たっての重要な点の指摘を幾つかしたわけでございます。  今総理から御指摘をいただきました予防の問題も、これは大きな問題でございます。私も何度か御質問をさせていただいたことがございますが、なかなか予防の問題というのは、保険点数の中でどうそれを位置づけるかということは非常に難しい話でございます。しかし、予防にまさるものはないわけでありまして、できる限り疾病を起こさないようにするためにどのように保険点数を配分するか、そういうことはもっと制度の中に取り入れられていいのではないかというふうに考えております一人でございますが、これはぜひこれからの重要な課題の一つにしてもらいたい。総理の側からその御指摘をいただいたわけでありますので、これはどうしてもその中の一つに加えてもらいたいと思う次第でございます。  せっかく御指摘をいただきましたので、もうちょっとお答えをいただければありがたいと思います。
  318. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 何か余計なことを言ってしまったでしょうか。  ただ、私、本当に、以前からあります議論の中で非常に関心を持ちながら、自分自身で、どう仕組めばそれが一番よい形になるのか結論の出せない問題にまさにその予防というものがございます。  たまたま私の若いころ、岡山大学の医学部公衆衛生学教室が、ちょうど高知県で非常に実験的なデータを収集したことがございます。一定の地域の中の住民すべての方々をカルテにし、そしてその方々を、健康状態、半健康状態、半疾病状態、疾病状態という分類をし、その上で生活指導等、栄養指導等を組み合わせられた非常にユニークなものでありました。そして、これには非常に保健婦の方々の活躍というものが大きかったわけであります。  そして、最後の状況まで私は実は細かく存じておりませんけれども、その中途で私がそれを拝見させていただきました時点では、特に保健婦さんたちの、その地域に、その季節に得られる食材でいかにバランスのとれた食事指導をするか、これが半健康状態あるいは半疾病状態に分類された方々の健康管理の上で非常に大きなウエートを持っておったことを記憶をいたしております。ただ、これが医療保険の中で対応し切れない部分を持っておりまして、残念でありますが、あれは途中で終わってしまったのではないかと記憶をいたしておりますが、私は実はこのケースが今も非常に頭の中に残っております。  それだけに、むしろ、医師を中心にもちろん置きながら、保健婦さんたちあるいは看護婦さんたちのチームというもの、さらに栄養士の方々の協力を得ることができればなお結構でありますけれども、その地域の中で生活指導、当然、栄養指導を含めました生活指導というものを行っていくことによって疾病の発生を低下させることができるとするならば、これに対する給付というものを医療保険の中から何らかの形、例えば健康指導といった項目を立てることによって合理的な設計ができるのではなかろうか、そうした思いは、その高知県における実験を現実に見てきた当時から脳裏にしみついておりました。  そして、それ以来その問題は、厚生省事務当局の諸君に対しましても、あるいは日本医師会、病院協会等々の専門団体に対しましても、何回か提起をいたしたことがございます。非常に興味を持っていただきながらも、仕組みとしてなかなかうまくそれが組み立てられなかった点に私は心残りな点を持っております。  こうした点につきましても、よき考え方がありますならぜひお教えをいただき、そうしたものも取り込んだ将来の日本の社会保障体系というものを組み立てることができれば、これにすぐる喜びはない、今御質問を拝聴しながら、そのような思いを持っておりました。
  319. 坂口力

    ○坂口委員 今御指摘をいただきましたように、医療制度の中には改革をしなければならない点が多々あるわけでございます。看護婦さんの問題や保健婦さんの問題はその一つかと思います。むしろ最近は、医師よりも看護婦さんや保健婦さんの方を重要視する声すらあるわけでありまして、いい看護婦さんの病院に行きたいと主張する人もあるわけでございます。  先ほど申しましたように、褥瘡をつくるのも、あるいは硬直をつくるのも病院ならば、それをなくするのも病院でありますし、予防するのも看護婦さんたちの力であります。大変大きな力を発揮しているわけでありますが、しかし、看護婦さんというのは、患者さん入院の場合にも何人に対して看護婦さん何人というふうに頭数でそれは処理をされている。そのいい看護というものが今評価をされていないわけであります。こうした問題もございます。  こうしたことを考えてみますと、医療制度改革というのには、本当にさまざまな面で改革をしていかなければならない点がある。ですから、もういよいよお金が足らないという事態になって、慌てて患者さんの皆さんに、あるいは国民の皆さんに負担をしてくださいというような、こういう制度あり方ではいけない。もっと本格的な制度改革というものをしていかなければならないわけでありまして、思いついたように、火がついたように改革をするというようなことではできないわけであります。その点は厚生省は十分に理解をして行うべきでありまして、今回のような改正案に対しまして、私たちは大変残念に思うわけでございます。  ぜひ、そうした意味で、今日までの議論を続けてまいりましたが、さらなる議論が続くように期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。  ありがとうございました。
  320. 町村信孝

    町村委員長 五島正規君。
  321. 五島正規

    ○五島委員 総理、大変御苦労さまでございます。  また、今総理のお話を聞いていまして、私は岡山大学から高知に派遣され、今総理がおっしゃったような活動に従事してまいりました。その結果、結果として高知に居ついてしまうことになったわけでございますが、その話を公衆衛生の先輩でございます坂口議員とやりとりしておられるのを聞いている中において、やはりあの時代、例えば国保活動にしても大変活気があった。当時、成人病と言われてきたさまざまな疾病を地域の中で予防していこうという熱意にあふれた試みが大変積極的にやられ、そのことがやはり日本の医療をつくっていく一つの大きな役割を果たしてきたということをしみじみ思い出したわけでございます。  そういう意味で、きょうせっかく総理お見えでございますので、大きなポイント二つに絞ってお伺いしたいと思います。  まさにこれまでの日本の医療制度というのは、世界に比べても大変コストパフォーマンスがよく、しかも、非常に質の高い医療制度を生み出してきたのではないか。これは諸外国と比べてみて、今盛んに、アメリカがどうだとか、ドイツがどうだとか、イギリスがどうだとか言われておりますが、それに比べてもはるかに早期に治療でき、そして全国津々浦々、世界的水準からいえば一定の水準の医療は普及している、こういう状況をこのように非常に低いコストの中において達成した国はなかったと思います。  やはりこのことはこのこととしてきちっと評価しながらも、我が国が高度経済成長の時代が終わり低成長に入りました。加えまして、急激な勢いで高齢社会が進んできている。そういう意味においては、この医療の制度というものをよりコストパフォーマンスのいいものに変えていかなければいけない。そういうさらに一層の努力が求められる時代に入ったのだな、しかしながら、我が国がこれまで持ってきた皆保険制度というのは実にすばらしいものであったし、その長所をどのように生かしていくかということはこれからますます大切になってくるのではないかと思っているところでございます。  そういう意味におきまして、今、日本の医療制度が財政的に大変厳しい状況になってくるという中において、総理の所属しておられる自民党の中においても、例えば米国のHMO方式などの民間保険の活用という声もあるやにも聞いています。まず総理に、我が国の公的皆医療保険制度、この制度は今後も引き続いて継続していく、長期にわたって継続していく、そういうふうにお考えなのか、もうそろそろ高齢社会も来て成熟社会になってきた、皆保険制度そのものの見直し、医療本体部分の中にも民間保険を導入しなければいけない、そのようにお考えなのか、その基本的なところについてお伺いしたいと思います。
  322. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員から、アメリカのHMOのお話が出ました。私は、保険者と医療供給者が合体をした、そして保険料前払い方式、言いかえますなら会員制医療提供プランとでもいいますような、このシステムがそれなりのよさを持っていることは認めます。  その上で、私は、こういう制度が日本の中で中心になるということは決して好みません。そして、国民皆保険というのは、我々の先輩が大変すばらしいことをなさった、そして、これは誇るべき制度だと私は思っております。なぜなら、この皆保険制度というものが定着をした中で、我々はいつでも、どこでも、安心して一定レベルの医療を確実に受けることができるようになりました。そして私は、これは国民の健康保持の上にも、生活の安定という面でも、非常に大きな役割を果たしてきたと思っております。ですから、私は、将来ともに国民皆保険という仕組みは維持していくべきものだと考えております。  その上で、国民皆保険が達成されましてからいつの間にか三十年余りの日々がたちました。そしてその間に、産業構造が大きく変わったこと、そして高齢化の進展というもの、これは高齢化の進展の方はある程度従来からの予測が間違っておりませんでしたけれども、少子化がこれほど極端に進展するという予測はだれも実は持っておりませんでした。こうした時代の変化というものを我々はいや応なしに意識せざるを得ません。そしてその上で、その変化の中で今後とも存続できる国民皆保険の仕組みというものはどうあるべきなのか、我々が考えなければならない医療保険制度の構築というものはそういうものであろうと思います。  そして、抜本的な改革というものの持つ究極的な目標、それは、この時代の大きな変化の中で、なおかつ国民皆保険という仕組みを維持するためには我々はどこまでの負担を我慢する、あるいは言いかえますならば、どこまでの負担をすることによって現在の平均的な享受している医療の水準を低下させずに存続させていくことができるか、これを模索することであろうと思います。
  323. 五島正規

    ○五島委員 総理の方から、少子・高齢社会に存続し得る、対応でき得る国民皆保険制度の創設といいますか維持というところで抜本改革の基本的な原則があるというお話については、私は全くそのとおりだということで、ぜひその方向に国会議員は各党政党を超えて努力をする必要があるだろうというふうに考えています。  ところで、この医療保険制度改革議論の中におきまして、この与党合意案の中においても指摘されておりますが、盛んに薬の問題が指摘されまして、薬価差益の解消という言葉が盛んに使われます。薬価差益の解消という言葉を言えば問題解決するのかといえば、そういう単純なものではない。実は、皆保険制度のもとにおきましては、医療保険制度は基本的な性格は統制経済のもとに置かれていることはもう言うまでもございません。この統制経済のもとにおいて医療を実施していく上において、提供していく上において必要なキャピタルコストや一部のランニングコスト、これは診療報酬という形においては措置されておりません。したがいまして、このキャピタルコストや一部のランニングコストというのは、結局、各医療機関の経営努力の中において捻出するという建前になっています。  そして、医療がきちっと行われているそういう医療機関をとりましても、経営努力の結果、それらの費用が捻出できるのはどこなのかと考えてみますと、それは、より多くの、すなわち、医師や看護婦にとって十分な医療が提供できるかどうか疑わしい、いわゆる三時間待ちの三分間医療という言葉で非難を受けているように、大量の患者さんを診察する、そのことによってキャピタルコストを生み出すか、あるいは、我が国は長くマンパワー不足の医療という指摘を受けてまいりました、すなわち人件費を削減してそれらの費用を捻出するか、あるいは薬剤や医薬材料費の保険診療とのコスト差、いわゆる薬価差をもってそれに充てるか、これがいわゆる経営努力の実態でございます。  そして、乱診と言われている三時間待ちの三分間医療ということでは医療の質が問われる。また、マンパワー不足の医療ということに対しての国民の批判は非常に強いということの中で、現在、約一兆二千億とも三千億とも言われております薬価差益が存在し、それが医療のキャピタルコストあるいは診療報酬に措置されていないランニングコストになっているというふうに考えております。この薬価差益をなくするということは、このキャピタルコストをどこかで何らかの形で措置するということでもない限り医療が成り立たないのは言うまでもございません。  逆に、経営努力の足りない国公立病院の中においては、やはり民間病院に比べて薬価差益が少ない、すなわち購入価格が高い、その結果としてさまざまな地方あるいは国の税の部分からの非常に大きな金額がそこに投入されているという事実を見たとき、このキャピタルコストというものをどこによってどのような形で措置するのかというこの前提抜きに薬価差益の問題を議論してみても、それはしょせん抜本的なものにはならないのではないか。もちろん、薬価差益で医療のキャピタルコストを捻出するということになってまいりますと、いわゆる馬に食わすほどの薬を提供するのかとか、さまざまなむだが出てくる。そういう意味からいって、健康の面からも医療経済の面からいっても、非常に問題があることは言うまでもございません。  しかし、このキャピタルコストを一体どこからどのような形で措置するのか。このことが与党の中においても全く議論されていないまま、薬価差益、薬価差益と言われているような気がします。これは、ひょっとすると与党だけではございません。私ども民主党の中においても、この議論をするときにこの問題が非常に置き忘れられて、どうするのかという、実体のない、実感のない議論になってしまっているという気がいたします。この点について、やはり総理から、これはどういうふうに仕分けするのかということについて、お考えございましたらお述べいただきたいと思います。
  324. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私自身、何回か、今、五島議員が述べられましたような考え方で議論を提起してみたことがございます。しかし、これは必ずしも政党の問題ではなく、医療関係の方々と議論をいたしましても、いつの間にかこの議論というものは途中で消えてしまう性格のものでありました。  そして私は、多少時間をいただいて恐縮でありますけれども、よく申し上げてきたことがある。医師一人当たりの所得と言うとき、往々にして、日本の医師の所得は欧米の医師の所得に比べて数倍という数字が出てまいります。しかし、そこで注意しなければならないことは、欧米における医師の収入として計上される数字、それはまさに医師の技術料、その評価の集積によって得られた収入であります。そして、ホスピタル・フィー、ドクターズ・フィーというものがある程度整理をされております。ですから、医師の収入として出てくる部分はまさにドクターズ・フィーの部分であります。  ところが、我が国の診療報酬体系はこれが混在しており、しかも、医療機関は一定の薬価の差益を得て医療機関の経営をすることが前提として診療報酬体系が組み立てられておりましたために、その部分が全く明確にならないままに、医師の所得というものは見かけ上非常に大きな数字で出てくるという性格を持っておりました。そして、それは今日も残念ながら是正されておらないわけであります。  そして、ドクターズ・フィーとホスピタル・フィーの分離を、私は実は日本医師会にも病院会にも病院協会等にも何回か申し上げたことがありますが、よい話だね、やれたらいいねというお返事は返ってきても、現実に、それでは体系をどうすればという専門家としての助言は得られませんでした。そして、今日も同じような状態が続いております。  大蔵大臣在任中、私は主計局の諸君とこの問題を議論したことがあります。しかし、これをそのとおりに実行したとすると、今の薬価差というものを保障し得るだけの診療報酬体系となりますと、実は、その時点においての医療費は膨らむという性格を持っております。それだけに、私も、そこまで強引に進めるだけの、しかも、ほかに全く援軍の得られない中で、これを推し進めるだけの勇気を持つことができませんでした。  しかし、その結果として、実は、議員が御指摘にならなかったもう一つの問題点がございます。  恐らく今、我が国の流通関係で一番古い流通形態を温存しておるのは医薬品の流通ではないでしょうか。殊に医家向け医薬品の流通ではないでしょうか。そして、必ずしもそのコストに対する意識が高くないと言われましたが、実は、国立病院等も含めまして、国公立あるいは大学付属病院、私は、むしろその担当者たちは、現金問屋の山買い等で象徴されるような、非常に無理な医薬品の入手を行っている部分が現在も残念ながらないとは言えない。また、薬価基準改定を目前にしたような時期に価格決定をしないままの医薬品の納入を行わせ、新たに設定された薬価によっての支払いを強制し、それに対しての反発があった場合には、その以降の問屋をかえるといった非常に前近代的な手法によってこの流通が傷つけられているのではなかろうか、こうした問題点もあることは議員よく御承知のとおりであります。  せめて、この医薬品の流通について標準営業約款をつくらせようと、随分私は試みてみた時期がございます。しかし、残念ながら、ほとんど成功はいたしませんでした。言いかえれば、薬価の差益というものに医療機関が温存する体質を残している限り、この問題の本質的な解決にはならない。診療報酬体系そのものが、ある程度、私は、ホスピタル・フィーとドクターズ・フィーが分離できるような、そうした体系に持っていくことが実はこの薬価問題というものを本質的に解決する一番の早道ではなかろうか、そのような思いを従来から持っておりました。
  325. 五島正規

    ○五島委員 時間がないのが大変残念でございます。非常に核心をついた議論を十分してみたい大事な点だと思います。まさにこのキャピタルコストを薬価差益に温存するがゆえに医薬品の流通が非常に旧態依然となっており、そこには非常にむだも生まれている、おっしゃるとおりだと思います。  しかし、同時に、それではこれをどのような形で処理していくのか。よくドクター・フィーに乗せろという話がございますが、アメリカの例を見ても明らかなように、これは医療費の青天井になってしまう。盲腸の手術が、八万円のところを十二万円にして、どこまでが技術料で、どこまでがキャピタルコストかわからなくなる、そういう問題を持っています。  そういう意味では、まさに総理がおっしゃるように、これはホスピタル・フィーの中にどのように措置していくのか、それをどのように薬価と置きかえていくのかという緻密なその作業の積み重ねからしか出ていかない。それを、薬価差益があるからけしからぬ、それを削除するからけしからぬというかけ声だけでは問題は解決しないのであろうというように思っています。  総理はそのあたりよくおわかりだと思いますので、ぜひそのような形で、厚生大臣ともども、このまま放置すれば、皆保険制度が財政面で破綻するのがもう目に見えています。ぜひヘゲモニーをとっていただきたい、お願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  326. 町村信孝

    町村委員長 児玉健次君。
  327. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  この重要な案件について、私は、引き続き真剣な審議を尽くしたい、このように思います。  さて、総理にお尋ねしますが、今、私たちの委員会がこの間の審議の中で問われてきたものは何か。それは、医療保険をどのように国民の立場で民主的に再建するか、この点です。最大の問題が薬価にある、これは各党ほぼ完全な合意に達していると私は考えています。そして、その中で、とりわけ新薬シフトの是正、この点は、一月二十三日の衆議院本会議以来、総理も含めて何回かの議論をやってまいりました。  最近、私が拝見した一九九六年「医療白書」によれば、一九八〇年から九一年までの十二年間、世界で新薬として承認されたのは四百六十三点です。その中で、日本は実に百九十八点、四三%を占めています。薬の開発力で定評のあるアメリカが百一点、ドイツが五十一点です。日本は百九十八点、だれがこれを承認したのか。人任せの議論は許されませんね。厚生省がさまざまな審議過程を経たとしても、これを承認したのはやはり基本的には政府の責任です。  この新薬シフトをいかに是正していくか、とりわけ原価に着目して薬価の透明化を図る、この点で総理のお考えを端的に聞きたい。
  328. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 確かに、今議員が述べられましたように、しばしば御党からは高薬価あるいはその新薬シフトというものについての御論議がございました。確かに、その医療費に占める薬剤費の割合が下がらない原因として、薬剤の使用量がふえている、また、医療機関において処方される医薬品が、安価な古い薬から高価な新薬に使用が移行する傾向、こういったことが指摘をされております。  こうしたことから、薬剤の使用などの問題について、今回の制度改正薬剤種類数に着目した定額負担を設ける、こうしたことによって薬剤使用の適正化を図ることとしてまいりました。また、私は新薬を幾つ開発したかまでは実は存じませんので、その点についてのコメントは控えますが、その薬価の問題につきましては、保険で償還する医薬品の価格を公定価格として定める、これに伴って高薬価シフトするといった問題もあろうかと思います。  このため、薬の価格については市場取引の実勢にゆだねるという原則に立って薬価基準制度の根本的な見直しに取り組むこととしており、法案成立後できるだけ速やかに、具体案をお示しをし、国民的な議論を踏まえながら成案を得たいと考えている、こうしたことは既に厚生大臣からも御答弁を申し上げておると思いますが、改めて私からも申し上げます。
  329. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、議論をかみ合わせたいのですが、今総理がおっしゃった市場における取引の実勢価格にゆだねる、このやり方では薬価は下がりません。  というのは、先日の予算委員会であなたと論議をした医療機器を見ればはっきりしているじゃありませんか。医療機器は完全に市場の取引価格にゆだねております。そしてその結果、欧米に比べて割高になっている。やはり製造原価、もちろん開発費も含め、一定の流通経費、マージンも含めてですが、それらを含めた公正な薬価を設定していく、そのことは着手が直ちになされるべきです。  そしてもう一つは、先発品とゼネリック、先発品がゼネリックの二・五倍である、そこのところについては、ゼネリックの普及によって、これはもうあすからでも医療保険財政の浪費構造を是正していくことが可能ですね。その点、どうでしょう。
  330. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 まず、薬価基準制度、これは公定価格を定めているわけであります。そのために、現実の問題として薬価差というのは、この発生は免れない。こういった中でさまざまな問題が起きているわけでありまして、そういった意味では、これまでも御答弁申し上げているとおり、薬の値段についても、やはり市場取引の実勢というものを基本にして、そして、適正な価格の形成がなされるような仕組みを構築をしていくということが一番適当であろう。  また、このことは既にヨーロッパ等諸外国でも実施されている制度でもございますし、そういったものをそのまま我が国に当てはめるということではなくて、そういった中で我が国に一番ふさわしい制度というものをつくっていく、これがまさに薬価基準制度の抜本的な見直しであるというふうに考えております。  先ほど、ペースメーカー等のお話がございましたけれども、この問題も、どれもこれも同じようにすればいいということではないと思います。やはり薬については、日本の現状というのはむしろ供給過剰だ、こういう中での価格形成をどう考えるかという問題でありますし、ペースメーカー等につきましては、むしろ我が国の場合は輸入品に頼っておる、そういった中で、供給はむしろ寡占状態、それからまた流通慣行というものも諸外国と比べて大分違っております。そういった意味で、かなり値段がはね上がっておるという指摘もございますし、この問題は現在調査をしておるわけでありまして、そういった中で適正な価格形成というものを図っていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
  331. 児玉健次

    ○児玉委員 次の問題は、医療保険会計に対する国の負担をどうするかという問題ですね。  厚生省からいただいた資料によれば、国民健康保険の赤字は九四年度千三百七十億円、九五年度が千六十九億円。今回の改定に当たって、国は、国保に対する国の負担を増すのでなく、逆に千三百七十億減ずる、九四年度の赤字と全く同じですね。  先ほど議論した政管健保、九二年の議論のとき、私も当事者の一人であるし、一緒に議論した方がこの中に何人かいらっしゃる。あのとき、厚生省が明白に述べた、「万一財政状況が悪化した場合の措置については、」、その「万一」が今起きているのです。そのことについて、一点の痛みもない形で負担を減じていく、このやり方は一方的だと思いますね。内閣の責任者である総理の御答弁を求めます。
  332. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 国庫負担をどの程度医療保険の中でやるべきか、これは一つの大きな問題でございます。  今御質問のございました改正の際、確かに政管健保の国庫負担率を一六・四%から若者については一三%の現行に引き下げをいたしました。その当時の政管健保の財政状況は一兆円を超える積立金を持っておりましたし、そういった中で、保険料率もあわせてあのときは引き下げておりますけれども国庫補助率も引き下げさせていただきました。ただ、そのときはやはり国家財政はかなり厳しいものがあったわけであります。  そういった中で、当時の状況は、むしろ医療機関におけるマンパワーの強化、とりわけ看護体制の充実ということが課題になっておりました。そのためには、当時の診療報酬、特に看護体制強化のための診療報酬の引き上げということが大きな柱になっていたわけでございます。  ところが、そういったものを実現するためには、やはり適正な財源の配分の中で実現しなければならない。ところが、政管健保の財政は好調でありますが、国庫財源の方は非常に厳しい。そういった中で、政管健保の国庫補助率を下げさせていただいて、しかし、その財源というのは、これはまさに医療費改定の中でマンパワー対策に向けられていたわけであります。  今日、今回、医療保険改革の、財政の窮迫の中で、その運営の安定化を図るための改正をお願いしているわけでありますけれども、これは昨年十一月二十七日の医療保険審議会における建議にありますように、現下の国家財政、この中において現行の医療保険制度における全体の国庫負担、これは六兆円を超えております。そういうふうな大変な医療保険に対する国庫の助成というものが国家財政そのものを圧迫している。そういうふうな状況の中で、この国庫負担を引き上げるということはこれは難しいという建議もいただいております。  そういった中で私どもとしては今回のお願いをしているわけでありまして、この医療保険制度の中における国庫負担あり方、これはまさに、今後、医療保険制度の体系というものを根本的に考える際に、やはりきちっとした議論をし、そしてその位置づけというものを定めていきたいというふうに思っておりますが、今回の改正においては、医療保険財政の状況、それからまた、さらに厳しい国家財政の状況を考えますと、この点については御理解を賜りたいと思います。
  333. 児玉健次

    ○児玉委員 みずからの見通しの誤りについては何ら恥じることがない、そして負担増だけ国民に押しつける、その態度が明白ですね。  政府案と修正案の撤回を求めて、私の質問を終わります。
  334. 町村信孝

    町村委員長 中川智子さん。
  335. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党市民連合の中川智子です。  総理にお伺いいたします。  長い間、抜本改革に着手できなかった政府のツケを国民に今回お願いするわけでございますので、この状況をきっちり見据えて質問をさせていただきます。  社会保障に投入する国費については、少子・高齢化の進展など、社会の変化に伴いまして増加をさせる必要があると痛切に思っております。財政構造改革の中で、これまで他の分野に回されていた国費を社会保障の分野に回していくことをしっかりとこれからやっていかなければ、この抜本改革もできないと思いますし、また、その姿勢を総理にお伺いいたします。国費の投入を社会保障の分野に回していく決意もあるやなきか、お願いします。
  336. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員がよく御承知のように、今、我が国、毎年新しく年金の受給権の発生される方、百万人ぐらいという数字が続いています。そして社会保障関係費、これは全く実は新しい施策を何ら行わなくても、多分一兆円近い自然増というもの、当然増というものが見込まれる状況でありましょう。これちょっと今、私、最近の数字、正確なものを存じません。――今、八千億と厚生大臣から言われました。しかし、一方で、我が国の財政が公債残高二百五十四兆円に達するという厳しい状況にあるということは、これもよく御承知のとおりのことであります。  今、財政構造改革会議におきまして、与党各党一緒になって、財政構造改革の五原則というものに従って、一切の聖域を設けず、歳出の改革と削減に努めております。そして、その目標とするものは、例えば明年度予算編成に向けては、少なくとも本年度の予算を下回る、マイナスにするということでありますから、これは言うべくして簡単なことではありません。社会保障の分野というものは、その中でやはり例外ではないのです。必要な給付は私たちは確実に保障していかなければなりませんけれども、同時に、今後、医療、年金を中心にして必要な見直しを行って、若い方々が減っていってもその方々が背負える仕組みというものを我々は工夫していかなければなりません。  当然のことながら、各分野の合理化を図り、むだを省いていく、そうした努力の上で社会保障予算というものを見直していかなければならない性格にあること、その中で、どうやって必要な財源を工夫していくか、お互いに力を合わせていくべき課題だと思っております。
  337. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございました。  私は、きょう、議員になってここに来まして六カ月近くで初めてそこの席に座りまして、発する言葉の重さということを痛感いたしました。本当に言葉が重いということを実感した上で質問させていただきますが、本案及び修正案について、社会民主党市民連合は諸手を挙げて賛成したのかという御質問をいただきました。そして、本当に痛い思いで答えを返させていただきました。この質問に対しての答えの責任を国民にきっちりとお示ししなければなりません。抜本改革負担を軽減することをきょうしっかり約束して、それに取り組む総理の決意をお伺いしたいと思いますが、大臣が先でもいいです、お二人、お願いいたします。
  338. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますが、抜本改革によって負担を軽減するというお約束をしろと言われましたが、私はそれはできません。言葉の重みというものを議員も言われました。むしろ、これから先の我が国の社会保障全体を考えますときに、これから先、高齢化が進めば進むほど、そして若い方々の数が減れば減るほど、今の仕組みをそのまま存続していたのでは、その負担に若い方々がたえられなくなります。だからこそ、若い方々が減っていっても、それでもきちんと国民皆保険の仕組みは守りたい、年金の仕組みも守りたい。その中で、ある程度国民の御負担を願う部分というものは出てまいります。そして、我々はそれを少しでも少なく抑えたいと今努力をしております。  そういう状況の中で、抜本改革によって国民負担を減らせという約束を求められるのでありましたなら、それに見合った給付の水準まで内容を低下させるということとあわせてでなければ、責任を持ったお答えはできません。しかし、私は、医療保険の給付水準、今国民が平均的に得られる医療の水準を下げるべきだとは考えておりません。その場合には、ある程度の御負担を願わなければならないのが事実であることは、どうぞ御理解をいただきたいと存じます。
  339. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 何度もお答えしておりますように、どのような抜本改革案、構造改革案がなされようとも、今提出している法案程度患者負担増は避けられない。これ以上低くすることはいかなる改革案が出ても無理だということを、再三お答えしているとおりであります。総理と同様であります。
  340. 中川智子

    ○中川(智)委員 終わります。
  341. 町村信孝

    町村委員長 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  総理は御退席いただいて結構でございます。
  342. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 動議を提出いたします。  本案及び修正案に対する質疑はこれにて終局されることを望みます。(発言する者あり)
  343. 町村信孝

    町村委員長 佐藤剛男君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  344. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、本案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  345. 町村信孝

    町村委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。能勢和子さん。
  346. 能勢和子

    ○能勢委員 私は、自由民主党及び社会民主党市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となっております健康保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対して自由民主党及び社会民主党市民連合提出した修正案につきまして、修正案及び修正案を除く原案に賛成の意を表するものであります。  本格的な高齢社会の進展や産業構造の変化等医療保険制度の基盤となる環境が大きな変化を続けている中で、国民だれもがいつでも安心して医療を受けられる皆保険体制を維持していくためには、二十一世紀にふさわしい医療保険制度を確立することが必要であります。しかしながら、現状のままでは、財政状況が逼迫する中で、医療保険制度が破綻してしまうことは明らかであります。  したがいまして、国民の立場に立った医療提供体制及び医療保険制度の両面にわたる抜本的な改革に着手するとともに、当面の財政危機を回避し、安定的な運営を確保することが避けては通ることができない喫緊の課題であると考えております。  与党としては、抜本的な改革が二〇〇〇年を目途に実現するよう精力的に取り組んでいくこととし、具体的にはこの法律案及び修正案施行されるまでの間に医療改革プログラムを取りまとめるよう努めるとともに、さらに検討を進め、国民意見の集約を図りながら、逐次実施していくことといたします。  政府原案は、このような要請にこたえて、引き続き医療保険制度改革を着実に進めていくことを前提として、制度の安定的運営の確保、世代間の負担の公平等を目指すものであり、その趣旨については評価できるものの、主として次のような諸点に所要修正を行うことにより、一層の内容の改善が図られるものと考えます。  第一に、外来の際の薬剤に係る一部負担について、支給を受ける薬剤が一種類の場合には負担を求めず、二種類または三種類の場合は四百円、四種類または五種類の場合は七百円、六種類以上の場合は千円とし、また、頓服薬及び外用薬については一種類につきそれぞれ十円及び八十円とすることであります。  これは、薬剤の多用と高薬価薬剤への使用の偏重という現状の是正を行って薬剤使用の適正化を図るとともに、医療機関の実務に配慮したものであります。  第二に、政府管掌健康保険保険料率について、当面の経済情勢に配意して、その被保険者の保険料負担を緩和する観点から、千分の八十五とすることであります。  第三に、老人の入院一部負担金の額について、平成九年度においては一日につき千円、平成十年度においては一日につき千百円、平成十一年度以降においては一日につき千二百円とするとともに、当該一部負担金の額の改定措置平成十三年度から実施することであります。これは、一部負担における外来と入院との均衡を考慮するととともに、激変緩和の観点から、段階的な施行を行うことといたしたものであります。  第四に、政府は、薬剤支給に係る一部負担その他この法律による改正に係る事項について、その施行後の薬剤費を含む医療費の動向、医療保険財政状況社会経済情勢変化等を勘案し、この法律施行後三年以内に検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要措置を講ずるものとすることであります。  以上の修正は、本委員会審議を通じ、最善の努力を尽くした上での結果であり、これにより、さらに本法案の目的の達成と円滑な実施に資するものと考えるものでございます。  このように、健康保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対して自由民主党及び社会民主党市民連合提出した修正案は、二十一世紀に向けての医療制度抜本改革の第一段階となるものであり、私どもといたしましては、この修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。  最後に、重ねて今後の医療保険制度抜本改革の重要性を強調し、与党として全力を挙げてこれに取り組む決意を明らかにしたいと思います。  これをもちまして、私の討論を終わります。(拍手)
  347. 町村信孝

    町村委員長 大口善徳君。
  348. 大口善徳

    ○大口委員 私は、新進党を代表いたしまして、本日提出修正案及び修正案を除く原案に対し反対の討論を行うものであります。  まず、今回の改正案及び修正案提出に至る過程におきまして、与党三党は、厚生委員会審議をよそに与党三党の協議が行われ、国民の見えないところで合意をし、修正案提出したことは、これは議会制民主主義の根底を覆す暴挙であるわけでございます。  我々は、国民生活に広く深く重くかかわる医療改革の重要性にかんがみ、審議してまいりました。しかし、与党三党は、国会以外の国民の見えない場で密室協議を行い、国会審議の形骸化をさせたのでございます。  本日、外来時の薬剤負担、高齢者入院負担、また被用者の保険料の引き上げ変更、施行日等、重要な事項について、連休明け突然にこの大幅な修正案提出されました。財政効果計算も十分でなく、資料も出さない、そしてまた根拠のあいまいな修正案を本日提出し、そして、これは国民の生活に非常に関係するものであるわけですから十分な審議をしなければならぬのに、その十分な審議を封殺をして、本日、強行採決を図ろうとしている、こんなことは断固として私は許されない、そう思うわけでございます。  今回の改正案修正案というものは、医療保険の構造改革について明確な方向を全く示しておりません。良質な医療の提供、医療制度の適切な効率化、薬価差、新薬シフト、高薬価シフトの解消、世代間の公平、高齢者医療の改革等、この構造的な抜本的な改革を、これを先送りし、国民負担増を求めるものであります。  サラリーマン、被用者の一部自己負担増、高齢者の外来、入院自己負担増外来患者薬剤負担増政府管掌健保の保険料アップ等、これは厚生省のモデルケースを見ましても、高齢者の場合、七十歳以上、一カ月三・二回の通院で千二十円が二千六百十円、二・五六倍、またサラリーマン等の被用者の本人、一カ月二・一回平均の通院で千四百七十円が三千五百四十円、二・四倍、これだけの負担増を強いるわけでございます。  そのときに、やはり政府としてこれだけむだ遣いを省いた、これだけの改革を示したということがなくて、四・一消費税をアップさせたその直後にこういう負担増を何の理念もないままに、何のビジョンもないままに課する、こんなことは到底許されるわけがございません。  今回の修正案の中で、例えば薬剤負担につきまして、厚生省は、医療機関そして患者コスト意識を持たせるため今回こういう形で種類別の定額負担というものを行った、こう言っているわけでございますが、しかし、一度に薬剤を多く渡すという傾向になってくるわけで、私は、多剤投与を抑制することは今回の修正案でもできない、そしてまた二百五円以下一種類等々の組み合わせも考えますと、決してわかりやすいものではない、そう考えるわけでございます。  そしてまた、高齢者の入院負担につきましても、段階的に九八年、九九年と百円ずつアップしていく、このことについても、今回、全然議論もされていなかった、突然出てきたことであります。百円アップする根拠というのはあいまいなわけでございます。  こういう今回の修正は、保険料の引き上げ緩和、薬剤費負担修正、高齢者の入院の引き上げ等、小手先の修正で、何の根拠も原理もないわけでございます。これはその場しのぎの負担増の内容であり、三年後再び財政危機に陥り患者にツケを回すことになる、そういう点で抜本改革なしの一時的な財政対策は許されない、こう断言するものでございます。  今回、与党三党合意の中で、健保法改正施行時期、平成九年九月一日までに医療改革プログラムを取りまとめるとしております。しかし、今回の改正案修正案策定においても、与党三党にさまざまな方面から働きかけがありました。そして、そのために与党三党、揺れました。そして今、その改革についても大きな溝があります。果たして、四カ月後にこの抜本的改革案がまとまるのでありましょうか。私は、到底そのことを信用することができません。むしろ、国民負担増だけがなされて、抜本改革先送りになることを私は一番危惧しておるわけでございます。  厚生省与党三党が本当に九月一日までに医療改革プログラムを出す、そして改革案を出すということであるならば、九月一日まで今回の法案を凍結し、構造改革とセットで出すべきだ、そうでなければ納得いかない、このことを断言をしておきたいと思います。  以上の理由をもって、今回の修正案そして修正案を除く原案に対して反対の討論といたします。  以上です。(拍手)
  349. 町村信孝

    町村委員長 家西悟君。どうぞ着席のままで結構です。
  350. 家西悟

    家西委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となっております健康保険法等の一部を改正する法律案並びに同法案に対する修正案に対しまして、両案に反対する立場から討論を行います。  政府管掌健康保険を初めとする医療保険財政は、構造的な赤字に陥っており、市民・患者サイドも何らかの対策が必要であることは理解しています。  しかしながら、今回の改正案は、専ら患者の自己負担や保険料の引き上げのみによってその財源を賄おうとするものであり、到底容認できるものではありません。仮に、今回の措置国民皆保険を維持するため、やむを得ない負担として国民に対し理解を求めるにしても、現在の医療制度が抱えるむだな部分を徹底的に検証し、医療サービス内容の改善が国民にはっきりと示されない限り、国民理解は得られないと考えます。  二十一世紀の少子・高齢社会において、医療費を含む社会保障費用の増加は避けて通れない情勢であります。それならば、国民皆保険体制を維持しつつより安定的な医療保険制度の運営を目指すためには、単なる財政対策だけではなく、医療及び保険制度の両面にわたる抜本的な改革を急がなければならないのです。  私たちは、この間、全党的な議論を何度も重ね、抜本改革の基本方向のあるべき姿を積極的に提起してまいりました。結果として、四党協議の中で私たちの考えが全く生かされなかったことは非常に残念です。また、与党修正案について、私たちは、抜本改革につながらないと考え、反対いたします。  しかし、私たちは、ただ反対するのではなく、抜本改革についても平成九年度改正についても精力的な議論を行い、その考えを広く国民に示してまいりました。  抜本改革の具体的中身としては、医師と患者の意識改革を初め、患者の権利の確立、インフォームド・コンセントの制度化、政管や組合の健康保険と国民健康保険の負担の一元化と老人保健制度改革、さらには、現行出来高払い中心の診療報酬体系を見直すこと、薬価差問題のある薬価基準制度を廃止し、参照価格制度など新しい制度検討すること、そして、現行の保険集団及び保険者のあり方を見直すことなどであります。  また、平成九年度改正について言えば、今回の制度改正が医療及び保険制度抜本改革のための第一歩としての具体的な位置づけを持ち、その改革の中身とプロセスが国民の前に示されることが重要だと考えます。特に、薬剤費の別途負担については、高価格薬品へのシフトがえを抑制するものでなければ意味がないと考えます。  さらに、政府管掌健康保険に対するこれまでの国庫負担繰り延べ措置に係る残額の八千億円については、少なくとも毎年一千億円規模の計画的な返済を行うものでなければ国民理解は得られないこともつけ加えておきます。  最後に、本委員会において先日も申し上げましたが、私は、血友病患者として長期療養している一人として、この医療費の問題は他人事ではなく、特に薬剤費負担について大変に危惧しております。長期療養する者にとって、小手先の改正によって医療費負担がふえるということは大変な不安で、弱者に対して社会全体が助けていくことが必要です。  そういう意味からも、民主党は、医療保障としての医療保険制度を維持し安定させると同時に、患者の立場に立った医療制度をつくるための抜本的な構造改革を進めることに今後とも邁進していくことを申し上げ、私の討論を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  351. 町村信孝

  352. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等改正する法律案及び修正案に対する反対の討論を行います。  第一に、厚生省自身が八千五百億円と試算していた受診抑制、特に老人の間で受診抑制が早くも現実となっているということです。  四月に入って以来、消費税増税の影響もあり、各地の病院で受診が減り、改定が行われる前から、薬代を払えないので薬を減らしてほしいと訴える患者が続出しています。早期発見・早期治療こそ国民医療の本来の道です。この道が損なわれたら、病気の重症化を進め、結果的には医療費の支出の増大を招きます。  第二は、医療保険財政の赤字の大もとにメスを入れていないことです。  世界一高い薬価にメスを入れれば二兆円から三兆円の財源が生まれることは論戦を通じて明らかです。総理も厚生大臣も、日本の薬価が異常に高いことを認め、薬価基準見直しや価格決定の透明化を約束し、医療機器の異常な高値についても見直しを確約しました。この確約を直ちに実行し、既に根拠が崩れた二兆円の国民負担増はやめるのが筋です。  第三は、国民医療費に占める国庫負担の割合をもとに戻さないということです。  国庫負担を八〇年度の水準に戻すだけで、一兆六千億円も保険財政にゆとりが生じます。国庫負担を計画的にもとに戻すべきです。  第四は、医療保険の浪費構造の大もとにある医療、福祉の分野での政官財の癒着に全くメスを入れようとしないことです。  製薬業界の売り上げの八割は保険財政からの支出です。また、医療保険への補助金の原資も国民の税金です。企業・団体献金の禁止など政官財の癒着を断ち切ることこそ真の行政改革です。  以上の立場から、私は政府案に反対するものです。  また、修正案は、政府案と同様、医療費の浪費構造に抜本的なメスを入れることなしに、薬剤負担、高齢者の入院負担など患者負担を強め、受診抑制につながることは政府案以上です。修正案といいながら、一層過酷な患者負担を求めるなど、前代未聞ではありませんか。修正案政府案同様撤回すべきです。  最後に、審議の経過そのものも問題です。  政府案の審議入りから一カ月足らずです。さらに審議を尽くすべきです。重要な歳入法案でありながら、公聴会もテレビ放映も行われておりません。全く異常な審議と言うほかありません。  まして修正案は、正規の国会運営をないがしろにして、一部の政党間の密室協議を経てけさ提案されたばかりではありませんか。  医療保険の改悪に反対する国民の請願署名は一気に広がって、千四百万人を超えました。この国民の声にこたえて、政府提出の改悪案及び修正案を直ちに撤回するよう重ねて強く要求し、反対討論を終わります。(拍手)
  353. 町村信孝

    町村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  354. 町村信孝

    町村委員長 これより健康保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、津島雄二君外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  355. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  356. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、本案修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  357. 町村信孝

    町村委員長 この際、本案に対し、佐藤剛男君外三名から、自由民主党、民主党、社会民主党市民連合及び21世紀の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。佐藤剛男君。
  358. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 私は、自由民主党、民主党、社会民主党市民連合及び21世紀を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     健康保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一 医療保険制度抜本改革に向けて、その全体像を速やかに国民に示し、できるだけ早期に改革が実現するよう取り組むこと。  二 政府管掌健康保険に係る国庫補助の繰入特例措置分及びその利子については、国及び政府管掌健康保険財政状況を勘案しつつ、できる限り速やかな繰り戻しに努めること。  三 被用者保険の保険料負担について、賞与等を含めた年間の総報酬に保険料を賦課する方式への移行を検討すること。  四 老人医療制度について、介護保険との給付と負担の整合性も念頭に置きつつ、できるだけ早期に新たな制度の創設も含め見直しを行うこと。  五 就学前児童の一部負担について、少子化対策の観点及び地方公共団体における単独事業の実情も踏まえ、その軽減を検討すること。  六 現行の出来高払い中心の診療報酬制度見直し、慢性期医療等に対する包括払いの積極的活用を図ること。  七 高薬価シフトを防止し、薬価差の縮小を図るため、薬価基準制度の廃止も含め、薬価基準制度を抜本的に見直すこと。  八 医薬分業の推進のため、今後とも所要措置をとること。  九 医療費の不正請求を防止するため、審査及び指導監査の充実等医療費の適正化を図るための対策を強化すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  359. 町村信孝

    町村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  360. 町村信孝

    町村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉厚生大臣
  361. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ただいま御決議の附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して努力いたします。(拍手)     ―――――――――――――
  362. 町村信孝

    町村委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  363. 町村信孝

    町村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  364. 町村信孝

    町村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会