○坂口
委員 大臣と私の間でそんなに大きな意見の違いがあるとは思いません。しかし、話が、順序が逆になっている、裏表になっているだけでございます。
大臣は、今回出されたこの法案は、だから具体案を出した、こうおっしゃいますけれども、確かに具体案を出されましたけれども、基本を明確にせずにこの具体案を出されたから私は言っているわけで、この具体案を出すのだったら、こちらの方に行きますよということを言うのだったら、さらにその行き着くところ、目標値、こちらの方向に向かって行きますよということをなぜ先に言わないのですか、そう私は言っているわけでありまして、そこが私と
大臣と、
大臣はわかっていてそこを、ごまかしていると言うと言葉が悪いのですけれども、言い逃れているのだろうというふうに思いますが、そこが、私は十分に理解をしてもらいたい。
一遍この法案を出されたのですから、それはメンツにかけてもこの法案を引っ込めるということは、それはできないのでしょう。そのことは私もわかります。しかし、この法案を出す以上は、この法案のさらに行く先を明確にすることもあわせて行うことが必要ではないですかと、こちらも随分これは折れた話であります。人によりましたら、おまえは何とだらしのない
質問をしているのだといって怒られるぐらい私は折れた話をしているわけでございます。
だけれども、
大臣は、それでもなおかつ、その先のことをやります、これが通ったらやりますと。いや、通ったらやりますじゃなしに、通る前にそれを示さないことには
国民に納得をしてもらえないということを私は再三申し上げているわけで、ここはひとつ宿題にしておきます。これをやっておりましたらいつまでたちましても終わりませんので、これは終わったと思わないでください。これは一遍お預けにさせていただきます。
さて、もう
一つは薬の問題でございます。
先ほどからもいろいろ話が出ました。オリジナルとゾロの話も先日来たくさん出ております。
医療従事者がいろいろおっしゃるのは、
日本の薬というのは
新薬がすべて高い、それで本当に使いたい薬というのがだんだんと消えていく。懐かしのメロディーじゃありませんけれども、それぞれの
先生方は、過去に使った薬の中で、あの薬だけは忘れられないという思い出の薬というのを二つ三つ皆持っておみえになるわけです。あれはいい薬だった、あれがもう一遍あったら、こう思われるような薬があるわけなんです。皆お持ちになっているのです。一遍、診療してみえる
先生方に投票してもらって、十傑を決めて、リバイバルで復活してもらったらいいと私は思うのですけれども、
患者さんには本当によく効いた、
副作用もないし本当によかった、そういういい薬があるわけです。
だけれども、そういう薬がじきに消えていくわけです。安くなるものですから、それを使うに使えなくなっていって、そしてもう製造されなくなっていってしまう、こういう薬がある。片や、それにかわって、作用はそれほどではないけれども、高い
新薬が次々と出てくる。これが、
日本の
医療の中で薬に対する
医療費がかさんでいきました根本だと思うのです。
厚生省は全体の
医療費の中で薬代がたくさんかかる、かかると言いますけれども、そのもとはといえば
厚生省がつくったのです。だれがつくったのでもないのですよ。
厚生省がその基本をつくった。その基本に乗っかってやったらこの結果になったわけでありまして、私は、そこは
厚生省も反省をしてもらいたいと思うわけです。いや、
厚生省だけ責めるのは酷かもしれません。
日本の
医療全体が、薬をたくさん使うというしきたりみたいなもの、そういう習慣みたいなものがあることも事実です。薬をたくさん出す
医療機関がよくはやる、薬を出さない
医療機関ははやらない、そういうことはたくさんあるわけでございます。
かつて、私も診療所に勤めたことがございます。まだ卒業いたしまして間もなくでございましたけれども、ある診療所に、勤めさせられたと言うと大変言葉は悪うございますけれども、行ってこいと言われまして山の中の診療所に行きました。薬はできるだけ使わないでおこうと思いまして使わなかったら、ある日、村長さんに呼び出されまして、坂口さん、もう少し薬を使ってくれと。なぜですかと言ったら、今度の
先生は薬をくれないとみんなが文句を言っている、そして、薬を使ってもらわないことには診療所の経営もなかなか難しい、済まないけれども、もう少し、効いても効かなくてもいいからと。私は忘れられません。その村長さんが言いました言葉を今も覚えております。効いても効かなくてもいいから済まぬけれども使ってくれ、こう言われたことを今も覚えております。いや、そんなこと言ったってと、私も若かったものですから反発いたしましたけれども。
やはり、薬を使う
医師というのは
患者の皆さん方から非常に喜ばれる。
病院の中でも、薬をたくさん出す
医師と出さない
医師とがありましたら、薬をたくさん出す
医師の日の外来は満杯になる。これは事実でございます。そういう
患者さん側の、
国民の側のニーズといいますか習性もありますから、すべて
厚生省のせいとまでは私は言いませんけれども、しかし、
厚生省が、現在の
状況を生み出すそういう
保険点数の
あり方をしてきたことも事実でございます。
それで、一種類十五円どうしようこうしようといったって、それはその基本のところを直さないとこれはならないわけで、先ほど
局長さんも
お話しになりましたが、基本のところを直さないとこれはいけないわけで、たとえ十五円にしようと二十円にしようと、やはり薬がたくさん出るところは出るのではないかというふうに私は思います。そして、そういうふうに使ってくれる
先生のところに多くの
患者さんがやはり寄るのではないかという気が私はいたします。ですから、十五円つければ、あるいは二十円つければ、あるいは丸めて五十円にすればそれで済むというふうな簡単なものではないというふうに思います。
そこで、この薬の問題は、
新薬をなぜそんなに高くするのか。オリジナルだといいますけれども、その
日本のオリジナルがすべて本当のオリジナルかといえば、そうじやありません。ほとんどのものは、外国のどこかで出ていたものを、それを少し変えて
日本に一番先に入れた、一番先に
日本でつくったというのがオリジナル、そういうオリジナルが多いわけであります。だから、言ってみればそれもゾロです。世界の単位で見たらそれもゾロです。そしてまた、それに連なるゾロゾロが出てくる、こういうことになるのだろうというふうに思います。ですから、私は、
新薬といっても、本当に
開発された
新薬と、そうでない、どこかを少し変えた
新薬、そうしたものとはおのずから違うという気がいたします。
これは、もう時効になる話ですから薬の名前を申し上げてもいいと思いますが、アリナミンという薬がございました。これは、B1に、ある物質をくっつけてアリナミンという薬にしたわけです。B1はもともとあったものでありますから、それに、ある物質をくっつけてアリナミンという薬をつくった。今までのB1は飲みましてもなかなか吸収されない、たくさん飲んでも吸収されない、しかし、このアリナミンはそれが何倍も吸収されるようになった。だから、今までありましたB1に何かをくっつけることによって非常に吸収をよくする、付加価値を高める、そういう薬ができたわけであります。これなんかは、初めからつくった薬ではありませんけれども、
日本の薬としては非常にいい薬、オリジナルに近い薬だと私は思うのですが、ちょっと変えただけというのがかなりたくさんある。そうした問題を
厚生省の方はよく考えて薬の行政をやっていただかないといけないのではないかなというふうに私は思っております。
それで、今回の一種類十五円というこの決め方については私も納得しかねる一人でありまして、それならば、それこそ定率でいった方がまだいいと私も思う一人でございます。ぜひ、その辺のところにつきましても御検討をいただきたいと思います。
それからもう
一つは、定額制と出来高払い制の問題が議論されております。
これも、各国の
医療制度を詳細に見てみますと、定額制をとっておる国もありますし、出来高払い制をとっている国もあります。しかし、定額制をとっております国も、純然たる定額制かと思いますと、中をよく見ますと、さまざまな出来高払い制を加味した定額制を取り入れている。出来高払い制の国が全部純然たる出来高払い制かといいますと、そうではなくて、定額制を巧みに取り入れた出来高払い制をとっている。だから、言葉は定額制と出来高払い制と両極端のように書いてはありますけれども、中身はどちらがどちらかわからないような状態になっている国々がかなり多い。
そういう
状況でありますし、私は、
日本のこれからのこの
制度を考えていきますときにも、一〇〇%定額制とか一〇〇%出来高払い制というのはこれはなかなか難しい、それを維持することは難しい、これはいろいろの組み合わせによっていかなきゃならないだろうというふうに思います。
その中で、技術の
評価というのはどちらかといえば出来高払い制が向いているわけです。それに対して、
施設関連経費といいますか、そうしたものを見ていくというのは定額制が向いているわけであります。
施設関連経費をどう補てんしていくかというようなものは、これは定額制が向いているわけであります。その辺のところをどのように組み合わせていくかということが大事になります。こうしたことをひとつ十分に考慮して決定をするときには決定をしていただきたい、私は要望をしておきたいと思います。
あと五分になりましたので、そうしたことを主張いたしまして、そして、これらのことを含めてどうするかということをもう一遍お答えいただきたいと思います。