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1997-03-05 第140回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月五日(水曜日)    午前十時開議  出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 荒井 広幸君 理事 熊代 昭彦君    理事 住  博司君 理事 柳本 卓治君    理事 遠藤 和良君 理事 武山百合子君    理事 前原 誠司君 理事 木島日出夫君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       大村 秀章君    桜井 郁三君       田中 昭一君    戸井田 徹君       松本  純君    富田 茂之君       西川 知雄君    西野  陽君       西村 眞悟君    吉田 幸弘君       鳩山 邦夫君    山花 貞夫君       保坂 展人君    堀込 征雄君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君  委員外出席者         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       岩尾  隆君         参  考  人         (時事通信社編         集局総務解説         委員)     江口 伸幸君         参  考  人         (共同通信社論         説委員長)   加藤 純一君         参  考  人         (日本放送協会         放送総局解説委         員長)     中島  勝君         参  考  人         (毎日新聞社論         説副委員長)  長崎 和夫君         参  考  人         (日本テレビ放         送網株式会社報         道局解説室長) 菱山 郁朗君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ───────────── 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   保坂 展人君     秋葉 忠利君     ───────────── 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件(衆議院議員選挙  制度あり方)      ────◇─────
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  昨年十月二十日、小選挙比例代表並立制による初めての総選挙が行われました。当委員会におきましても、昨年十二月十二日に、さきの総選挙の経験を踏まえ、衆議院議員選挙制度あり方につきまして、小選挙比例代表並立制評価について、重複立候補について、選挙運動あり方について、以上の三項目について自由討議を行ったところであります。  本日はさらに、去る二月十九日に引き続き、参考人方々の御出席をいただき、御意見をお聞きすることにいたしました。  本日御出席いただいております参考人は、時事通信社編集局総務解説委員江口伸幸君、共同通信社論説委員長加藤純一君、日本放送協会放送総局解説委員長中島勝君、毎日新聞社論説委員長長崎和夫君、日本テレビ放送網株式会社報道局解説室長菱山郁朗君、以上五名の方々であります。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、何かと御多用中のところ、まげて本委員会参考人として御出席を賜りましたこと、まことにありがたく、委員会代表して心から感謝申し上げます。  本委員会は、公職選挙法改正に関する調査特別委員会というその名のごとく、代議制民主主義基本であります議員選出方法につき、その公職選挙法をより民主的に、より公正なものとなるように改正すべく調査研究、討議し、立法する委員会でございます。  御高承のとおり、昨年十月には、それまで四十数年続いた衆議院のいわゆる中選挙区制を改め、小選挙比例代表並立制で総選挙が実施されました。  この大きな制度改革には相当な議論がありましたし、立法過程におきましても、衆議院では僅差の可決でありましたが、参議院においてはこれが否決され、両院協議会において修正の上成立したことは御承知のとおりでございます。それだけに、この制度自体国民各界各層のさまざまな意見があり、また、実際に実施してみての問題点なども指摘されております。議会制民主主義基本であるだけに、国民の大多数の合意の上の制度に改正する義務が我々立法府に課せられていると認識いたしております。  参考人方々におかれましては、社会の木鐸としての自負をお持ちの立場であり、より多くの国民の声を代弁されるお立場でもあります。それゆえ、過去にとらわれることなく、我が国の議会制民主主義がよりよく機能するためにその選挙制度はいかにあるべきかという視点で、率直に御意見を述べていただくと同時に、積極的な御提言を賜れば幸甚に存ずる次第であります。  次に、議事の順序でありますが、江口参考人加藤参考人中島参考人長崎参考人菱山参考人順序で、お一人十分程度に取りまとめて御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず、江口参考人にお願いいたします。
  3. 江口伸幸

    江口参考人 時事通信の江口でございます。  昨年秋、初めて新しい選挙制度、小選挙比例代表並立制もとで総選挙が行われましたが、国選挙制度について意見を述べさせていただきます。  選挙を戦い、勝ち抜いてこられた皆様を前にして、一日の選挙運動もやったことがない者がいろいろ言うのも説得力が果たしてあるのかという気もいたしますけれども、投票をする側、選ぶ側、有権者国民がこの制度にどういう感じを持ったかという点でお聞きいただければと思います。  この制度の導入に当たっては、政党本位政策本位選挙になる、安定政権をつくる、政権交代可能な二大政党制を実現する、あるいは金のかからない選挙にするなど、さまざまな利点、期待が言われました。  実際、選挙をやってみてどうだったかということですが、確かに、今までよりはテレビや広告などに党首が登場して、政党本位政策中心印象はあったと思うのですけれども、必ずしも完全で はなかった。単独過半数安定政権は生まれなかった。二大政党にもなっていない。金も今までよりはかからなかったという声もありますが、逆にかかったというような声も聞こえてまいります。さらに、投票率議席数の間の乖離があり、民意が反映されなかったというような分析も新聞雑誌等でなされています。  しかし、私の率直な感想といたしましては、新しい制度の初めての選挙であればまあこんなものかなという感じがいたします。予想したとおり、思ったとおりにならなかったから、ここで選挙制度の根幹を再び変えるというようなことはどんなものか。審議過程で過去言われたことですが、選挙制度にベストはないというようなことだと思います。  極端な声としましては、新聞などで拝見しますと、もとの中選挙区の方がよかった、もとに戻した方がいいというような意見もあるようですが、五年間、五つの内閣にわたって完成させたこの制度であり、一回やっただけでもとに戻すというのは、いかにも御都合主義で国民を愚弄するものだと私は思います。何回かやっていく上で、この制度の本来期待した形が出てくるのか、違う方向になっていくのか、それを見るべきではないか。  国家の将来にかかわる政治課題が今現在山積しているわけですけれども、選挙制度改革しか政治課題はないんだというような過去数年の状況の再現は避けるべきだという気がいたします。  その上で、幾つか改めた方がいいと思う点を挙げます。  既に至るところで指摘されていますが、重複立候補による復活当選で、法定得票に達しなかった人、供託金を没収された人の当選という問題があると思います。国民の大多数に変な制度という印象を与えており、これはやめた方がいいと思いますし、意見の一致はそう難しいことではないのではないかと思います。  重複立候補自体にも疑問の声が少なくありません。少数政党に配慮をした面がある制度とは思うのですが、実際、無所属やローカル政党がこれで議席を得るということは大変難しいと思われますし、できればこれも廃止した方がすっきりするのではないか。残すと、惜敗率の問題とともにこの後議論がずっと続くことになるだろうと思います。  その場合、参院とますます似た制度になってくるという問題があると思いますけれども、参院選挙制度も、衆院の新しい選挙制度を受けた形でもう一回検討すべきだろうと思います。  あと、気になった点として、党名投票によって比例区で当選した人が、選挙後すぐ党籍を離れる事態が生じた際の問題があると思います。  憲法の問題その他いろいろあって、これを何かで縛るということはなかなか難しいのではないかと思いますし、除名とか自発的な離党とか、いろいろなケースもこれあり、一概には言えないわけです。さらに、任期数年のうちには、政党自体が解党したり、あるいは分裂したり、政党名がなくなったりというようなことも予想されます。  ただ、党名投票した側からいえば、せめて一回の通常国会ぐらいはその政党で活動していただきたいという気持ちではないかという気がいたしますので、どこかの場でこの点も議論されたらいかがかと思います。  あと投票方法で、文芸春秋の今月号にレポートが載っておりますが、電子式投票をぜひ真剣に検討してほしいと思います。  例えるのは適当でないような気もしますけれども、駅の改札自動改札になって、何の抵抗もなく我々は朝晩通過しておりますし、我々マスコミの世界も、原稿はペンと紙で書くものだと思っていましたけれども、今やペンも紙もない編集局になってきております。いろいろ克服すべき課題はあるようですけれども、時代の流れは間違いなくその方向だと思いますので、これも検討していただきたいと思います。  以上、思いつくことを述べさせていただきました。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  次に、加藤参考人にお願いいたします。
  5. 加藤純一

    加藤参考人 共同通信の加藤でございます。  こういう国政の最高の場で話ができるというのは大変ありがたいと感謝しておりますが、取材されるというのはめつたにないことなので、大変緊張もしております。私は元来、物をしゃべるのが不得手なもので、そういうこともあって記者になったというわけでございますので、本日もいろいろお聞き苦しい点があるかと思いますが、御了承いただきたいと思います。  それともう一つは、御了解いただきたいのですが、ここで申し述べますことは私の全く個人的な意見だということでございます。と申しますのも、共同通信社というのは論説は書いておりますが、いわゆる新聞社社論をまとめて社説を書くという形ではなくて、加盟社に送っております参考資料という形で論説を書いております。したがって、そういう意味でも社論を申し上げる立場にはないのではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  ちょっと前置きが長くなりましたが、本題に入ります。  最初の小選挙比例代表並立制という評価ですが、これは私にとっても実は大変悩ましいところなんです。と申しますのも、三年前にこの制度ができるときの経過を振り返りますと、論説を書く立場として、果たして満足できるような吟味をしたか、熱病にかかったようなところがちょっとあったんじゃないかということで、反省すべき点がいろいろあると思っているからでございます。  しかし、そういう反省反省として、この並立制ができてそれに基づいて行われた総選挙の結果から考えますと、これは国民の賢明な判断がもとにあったのだと思うのですが、それなりに機能したのではないかという感想を持っています。  新制度をめぐっては、この委員会中心に、本当に多岐にわたる議論が行われたと思います。  二大政党を目指すとしても、少数意見も含めて民意をきちんと反映できるかとか、死に票が多くなり過ぎるのではないか、その救済手段があるのか。政党政策中心選挙になるのか。それから、人材を選ぶ比例代表制効果を上げるのか。重複立候補惜敗率を含んだ制度の複雑さ、わかりにくさはどうこなせるのだろうか。  そういうさまざまな論点があったわけですけれども、選挙をやってみた結果は、それなりに二大政党の形は整えられたし、ほかにも民主党を初め多様な民意代表という道は残したという感じがしております。  死に票についても、確かに従来の中選挙区に比べると、率では倍近く、数でも倍近くなっていますけれども、復活当選という手段を通じて救われた部分かなりあったのではないかと考えられます。  政党政策中心選挙という意味合いでも、私も選挙戦をいろいろ見せていただいたのですが、結構その方向が生まれていたのではないかという印象を持ちました。  政策課題も今回はいろいろありました。官僚の問題から行政改革、もちろん大きな税の問題などもありましたし、そういうことを軸に、自民党対各党という対決もかなり目に見えたのではないか。それはもちろん、党と違うことを言ったということはいろいろあったかもしれませんけれども、政策という面で見ると、結構そこはあったのではないかという気がしております。  もちろん、この新制度については、復活当選の問題とか比例名簿順位あり方とか、相変わらずのどぶ板だとか金もかかるとか、いろいろ批判はあります。改善すべき点はもちろんあります。しかし、こうした点は、それぞれに議論して調整していけば何とかなるのではないか。制度そのものとしては、このままあと二、三回は選挙をやるにたえ得るのではないかというふうに考える次第です。  次に、重複の問題ですけれども、これも結論から申しますと、いわゆる小選挙区と比例代表をつ なぐ接着剤的な意味合いといいますか、そういうことから、それなりの機能は果たしたのではないかと考えます。これはまたちょっと逆説的でまことに恐縮なんですけれども、重複をめぐるかなり問題点がここではっきりしたという意味でも、これは意味があったのではないかという気もしております。  それなりに機能したというのは、第八次選挙制度審議会の答申でも言われました点ですが、小選挙区の死に票の弊害を緩和して民意を吸い上げる、野党向け救済措置も図る、そういう目標にはそれなりに沿えたのではないか、そういう意味で機能したのではないかと考えているわけです。  それから、接着剤的と申しますのは、比例名簿同一順位惜敗率とを組み合わせることで、有権者の意向もそこに反映されるのではないかということです。そういう意味でも、俗に木に竹を接いだ制度並立制は言われますけれども、重複というのは、ある意味で補完し合う関係をつくり出したのではないかという気もしますので、これも、すぐ見直すのもまたどうかなという感じもしております。  ただ、この重複の問題ではいろいろ問題点もはっきりしてきたわけで、同一順位で並べて惜敗率で決めるというやり方は、政党責任放棄ではないかと言われる問題もその一つです。飛び越し復活の問題とか、法定得票に達していない人や供託金没収の人でも復活した、そういうのは、それぞれにやはり検討されて見直されるべき問題ではないかという気はします。  そのやり方として、復活には一定の枠をかぶせるとか、それは先生方がいろいろ知恵を絞られる点かと思いますが、そういう調整の仕方もあるのではないかと思います。しかし、同一順位惜敗率という問題はなかなか難しい問題だなという気もします。先ほども申しましたけれども、接着剤的と考えられるとすれば、同一順位惜敗率の手法というのは一概に否定し切れないのではないかという思いもしております。  重複をやめて政党責任を持って比例順位を決めて提示するという考え方もありますけれども、これではどうも参院と同じ制度になってしまうのではないかということがどうしてもひっかかるのですね。  しかし、実際問題としては、同一順位惜敗率による復活当選という制度はやはり複雑過ぎるし、国民の側から見ても惜敗率というのは特にわかりにくい。どこでだれを競い合わせようなんて考えて投票する人はとてもいないと思いますし、そこでどういう数が出てくるかなんていうのも、とてもこれは、専門家でもなかなかわからない話じゃないかなと思いますので、そういう事実があるということも確かだと思うのです。  だから、これを長期レンジで考えますと、並立制でいくなら、重複をやめて、比例名簿最初から順位をつけて提示するという方式の方がやはりすっきりするのではないか。その上で、参院との同一性の問題などは、それぞれの院の特性を考えつつ、改めてこれは突き詰めた議論をしてみる必要があるのではないかという気がしております。  長くなりましたけれども、三番目の選挙運動の問題ですけれども、これについては、相変わらず利益誘導型だとか、どぶ板選挙だとか、政策中心より人中心の握手型の選挙だとか、もちろん金もやはりそれほど減っていないとか、いろいろ批判もされています。しかし、考えてみますと、今まで長い間中選挙区制の選挙になれてきて、制度が変わったからすぐ運動の仕方、選挙やり方も改革する、変わるべきだといっても、ちょっと無理な話のような気もします。  だから、むしろ私としましては、変わりつつある面を、よい点を積極的に評価して、例えばどぶ板といったって、それはいいじゃないか、住民密着型になったというあかしてはないか、草の根民主主義を掘り起こせるもとになるのじゃないかとか。連座制の強化とか政治資金公開限度額の引き下げなんかでそれなりの自粛の効果も出ているのじゃないかとか。政党に広く選挙運動が認められたことで政党中心選挙の芽生えがやはり出てきているのじゃないか、それは例えば政見放送なんかにも出ているのじゃないかとか。そういう変わりつつある面を前向きにとらえて少し見ていきたいなという気がしております。  ちょっとまとまりのない話、雑駁なお話でございましたけれども、感想的なものを述べてみました。御清聴ありがとうございました。
  6. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  次に、中島参考人にお願いいたします。
  7. 中島勝

    中島参考人 中島でございます。  最初にお断りしておきますけれども、これから申し上げることはあくまでも私の個人的な意見ということで、別にNHKとして意思統一したものではないということだけはお断りしておきます。  最初に、小選挙比例代表並立制という制度をう評価するかということでありますが、確かにいろいろ欠点はある、それはそのとおりだと思います。ですけれども、もうこれ一回きりで取りやめにするとか、あるいはまた新たな制度をどうしても設けなければならないとか、そういうことにはならないのではないか。改めるべき点は改めた上でなお存続を図るというのが現実的なやり方ではないかというふうに私は思っております。  この制度は、もともと選挙制度比例代表制度と、大変大きく異なる制度をいわば抱き合わせた制度でありますから、それぞれの長所が出ている点もあるし、欠点に着目すれば、それぞれの欠点がどちらも出ている、こういうことになるわけであります。  そこで、具体的な選挙結果に即してちょっと考えてみたいのですけれども、まず小選挙区についていいますと、第一党の自民党が三九%という相対得票率で、小選挙区の議席の五六%ですか、百六十九議席を占めた、ここの数字のところに着目をしていただきたいというふうに思います。  この結果をもとに大ざっぱに推定していきますと、仮にもし五百議席全部を小選挙区で選ぶというようなことを考えますと、単純に計算して、五百人の五六%ということですから二百八十議席ぐらい自民党が占めるということになるわけであります。三九%の得票率過半数を悠々と超えた安定多数が得られるであろうということになるわけであります。  こういうふうに考えてくると、小選挙単独制度というものは、得票率とそれから議席占有率もともと差が生じるということが小選挙区の一つ欠点と言われていたわけでありまして、三九と五六、この数字を考えますと、やはりそこまで民意を集約するというのはやや極端過ぎるのではないか。そういう意味では、小選挙制度単独ではなくて、これに比例を加味するということが全体の民意を酌む上ではやはりプラスなのではないかというような印象を持っております。  ちょうどまたその話と逆に、五百議席を全部比例で選ぶというようなことも考えられるわけでありますが、二百人の比例区十一ブロックの総計を見てみますと、自民党相対得票率が三三%で、ちょうど比例議席の三五%、七十議席を占めています。  ということは、全部比例でやったとした場合には、第一党の自民党もはるかに過半数に及ばない議席しか得られないということでありまして、恐らく全部比例で選ぶ世界というのは、ある政党単独政権を得るということはちょっと無理な世界、組み合わせばいろいろあるにしても、もう常に連立政権を想定した世界ということになるだろうと思います。  それで、政党というのはやはり単独政権を目指すというのが本来の姿ではないかというふうに私は思いますので、もともと単独政権に対するハードルが余りにも高過ぎる、実現しそうもないというような制度というのはやはりいかがなものか。ある程度努力をすれば単独政権もとれるというぐらいの可能性は残っている必要があるのではないかというようなこともありまして、比例だけの世界というものもやはり疑問に思うということであります。  そういうふうな形で見できますと、今度やった新制度の、小選挙区と比例を抱き合わせにした制度というのは、妥協の産物かもしれませんが、結果としては、私は、両方をプラスしたということにむしろ積極的な意義を見出したいというふうに思います。  となると、次に問題は、小選挙区と比例議席の割合をどの程度にするかということが問題になると思います。  今回は、小選挙区が三百、比例が二百ということで、六、四で小選挙区の方にやや比重がかかった制度になったわけでありますが、結果から見ると、まあまあのバランスかなという印象を持っております。ただし、比例部分について十一のブロック制度というのを導入したわけでありますけれども、これはどうなのでしょうか、やや疑問が残る。  それはどういうことかといいますと、比例長所というのは、言うまでもなく、民意を非常に正確に反映をするということなのですけれども、ブロックでなくて、もし仮に全国単一比例選挙区というものを考えたとすると、私どもがちょっと試算をしたところでは、もし全国単一にすれば、今回の十一ブロック議席のとれなかった政党のうち、新社会党が三議席程度、それからさきがけも二議席程度、それから自由連合も、もしかすると一議席程度とれたはずであります。  そういう意味でいいますと、やはり比例意味を積極的に生かすということからいえば、十一ブロック制よりは、全国単一比例で、二百で選んだ方がいいのではないかという感じがいたします。  次に、重複立候補についてお話をいたしますが、結論から先に申し上げますと、重複立候補はやめにした方がいいというふうに私は思います。つまり、小選挙区三百、比例二百という形で別々に独立して選ぶのがいいのではないか。  なぜ重複をやめた方がいいかということなんですけれども、重複立候補というのを認める以上、先ほどから話が出ているように、小選挙区で供託金を没収される人とか、あるいは法定得票数に達することがない方、それについても比例当選ということで一向に差し支えないわけであります。それはそうなんですが、しかし、有権者の方の感情からすると、どうも割り切れない点が残るというのもやはり事実ではないかというふうに思います。  それからもう一つ、これは言葉としてはまだ余り熟していませんが、飛ばし当選というんですか、小選挙区で二位の方は落ちているんだけれども、その下の三位、四位の人が重複当選してくる。これも重複が認められている以上当たり前のことなんですが、なかなか有権者の納得が得にくい点ではないかなという感じがいたします。  そうした点に加えて、同一順位惜敗率というような話が加わって、大変複雑な仕組みになってきますと、全体として、有権者にとっては非常にわかりにくい制度であるということになるのではないかという気がいたします。そういったことを考えて、やはり重複をやめて、小選挙区と比例とを別々に選ぶ。ちょうど、今の参議院でやっているのと同じような制度にする方がすっきりするのではないかという感じが私はいたします。  そうすると、衆議院と参議院と選挙制度が同じようなものになってどうかという議論もあるでしょうけれども、私の理解では、政治改革というのは、衆議院選挙制度を変えてそれで終わりというものではないはずであります。そこがまず手始めであって、当然次は、参議院の選挙制度の改革に取り組むべきであります。したがって、今ある参議院の選挙制度というものを不変のものであるというふうに考える必要は全くないというふうに思います。  それから、選挙運動あり方に移りますけれども、新しい制度の趣旨というのは、政党中心政党本位選挙、それから政策本位選挙になるというふうに言われていたわけでありますが、政党本位という点についていえば、比例部分が加わったというようなこともあって、選挙戦全体としては、これまでよりは政党色が出たことはそのとおりだと私は思います。しかし、当初目指したような政党本位選挙に本当になったかというと、まだまだ不十分ではないかなという率直な印象を持っております。  それから政策本位という点も、確かにそういう努力が見られたことは認めますけれども、結果としてはまだ期待外れ。多くの政党の主張が非常に似通ってきている、政策も根本的な差が余りないという時代にあって、争点を明確にするとか政策の違いを明らかにするというようなことがなかなか難しくなってきていることはわかります。しかし、政党をそれぞれ別に構えている以上は、日ごろの時間をかけた努力によって、争点を鮮明にしていくという努力がこれまで以上に求められると思うのですけれども、結果としては、私は、そういう政党の努力がまだまだ不十分だったのではないかというふうに思います。  ここで、非常に大きく評価できることが一つありますのでお話をしたいと思います。  それは連座制の強化であります。一連の政治改革の中で、この連座制の強化というのが、後から振り返ってみると、腐敗防止の決め手になったというようなことになるのではないかという予感がしております。これからは、同じ陣営の中で、違反者を出さないように相互にチェックし合うといったようなことが重要になってくるのではないかという感じであります。  それから最後に、その他として申し上げたいのは、やはり投票率の低下でありまして、国政選挙をやるたびに史上最低の投票率ということが続いているわけであります。どう考えても異常な事態でありまして、このまま放置しておいていいとは思いません。  もちろん、これをやれば投票率が上がるという決め手があるわけではありませんけれども、まず、やはり政党、それから政治家の皆さんの御努力によって、政治不信を少しでも解消していくということが大事だろう。その上で、なかなかいい方法もないのでしょうけれども、投票時間を延長するとか、あるいは、もう少し不在者投票が手軽に行えるようなことを考えるとか、いろいろ工夫をすることが必要ではないか。  この投票率の低さというのは、民主主義なりあるいは代議制の危機的状況であるというふうに私は考えます。  以上であります。
  8. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  次に、長崎参考人にお願いいたします。
  9. 長崎和夫

    長崎参考人 毎日新聞長崎と申します。  本日は、こういう機会を与えていただきまして大変光栄に存じますけれども、と同時に、若干の戸惑いも感じております。  と申しますのは、皆さん方御自身が小選挙比例代表並立制という新しい選挙制度でまさに戦ってこられたわけでありまして、この制度がよかったのか悪かったのかは、皆さん御自身がまさに肌身で感じておられることではないかと思います。そういう意味で、傍観者だった我々が皆さん方にどれほどのことを言えるのか、自信がございません。むしろ、皆さん方が御自身で御議論を深められた方がより建設的かと思われますけれども、せっかくの機会ですので、意見を述べさせていただきます。  これは加藤さんも中島さんもおっしゃいましたけれども、以下述べることは、これも私限りの私見でございます。というのは、私は毎日新聞論説責任を持つ立場の一人なんですけれども、論説室として、意見表明を求められた問題のすべてについて検討を加えたわけではありませんし、実は私自身は、論説に来る前の政治部時代から、今回の政治改革については、本当にこれでよいのか、若干のというよりも相当大きな疑問を持っていたことがありまして、弊社の論説の基調から相当離れる部分もあるかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。  まず、今回の小選挙比例代表並立制評価についてでございますけれども、結論から申し上げますと、制度が目的としたことは余り実現されなかったのではないかと若干否定的に考えざるを得ないと思います。  その原因の一つには、この制度導入に当たって、本来、車の両輪として導入しておかなければならなかったはずの地方分権というのが後回しになつていたということだと思うのです。それが利益誘導政治を許してしまって、地元に利益をどうして還元するか、そういう競争になってしまったという感じがいたします。このため、国政よりも地元、痛みを伴う改革よりも既得権益擁護という五五年体制時代の政治を打破できなかったのではないかという感じがしております。  第二に、この制度は、政党が名実ともにちゃんとした体裁を整えて、組織化されて、自律的に機能しているということを前提にした制度だったと思いますが、しかし、政党そのものが流動化しているさなかに選挙戦が行われた。このため、政党選挙が貫徹できずに、選挙後に大きな政党が分裂を起こしてみたり、比例区で当選した議員が離党して別の党に移ってしまうという妙なことも起きてしまったのではないかという感じがします。  第三に、これはちょっと次元の違う問題かもしれませんけれども、死に票の余りの多さ、例えば小選挙区では五五%ですから、小選挙区で当選された方の平均の得票率は四五%であります。となると、その過半数だと、有効投票のわずか二三%の意思で国政が決まっていくという、多数決民主主義の根幹に若干触れる問題があったのではないか。  もう一つは、低投票率の問題だと思うのですね。一人区で当選者が決まってしまう、それが相当前からわかってしまうということで、選挙に対する興味を失って投票に行かない。逆に投票に行けば、自分の投票が死に票になってしまうということで政治への関心を失ってしまう。悪いスパイラルといいますか、悪い循環に陥ってしまう萌芽というのが少し出てきているのではないかという感じがします。  いずれにせよ、過渡的な状況下での選挙制度だけに、選挙制度だけは新しくなって、ほかのことが旧態依然であるということから、ちぐはぐな現象が目立ったのではないかという感じがします。  ところが、選挙結果そのものは、私は、ちょっと主観的に申し上げますと、絶妙な民意の発露ではなかったかと思います。有権者は、小選挙区と比例区の二票を実に巧妙に使い分けた、小選挙区と比例区のバランスをとった。これは制度をつくった方々の考えからすれば予想外のことかもしれません。  もっとも、選挙結果というのはあくまで個々の有権者投票行動の集計でありまして、絶妙の民意だとかあるいは微妙なバランス感覚という言い方は、いずれも言葉のあやにすぎませんけれども、ある新聞社のコンピューターを使った試算によりますと、中選挙区制の選挙でやったとしても、今回の選挙結果とそう乖離したものにならなかったという記事がありましたが、これは過度の民意の集中が起こらなかったせいではないでしょうか。  いずれにせよ、この制度が本当によかったのか、悪くて直ちに見直す必要があるのかどうかという問題については、やはり一回限りで行うのは無理だと思います。有権者の側も、選挙制度が変わったからといって、すぐには投票行動を変えるわけではありませんし、やはり制度的な条件と主体的な政党側の条件というのにミスマッチがあったわけですから、もう少し、数回様子を見て結論を出すべきだと思います。  しかし、見通しとして言えば、どうも総体として見た場合に、この当初の制度の目的というのが実現するのはなかなか難しかろうという感じはいたしております。  そこで、少し立ち入って、最初に申し上げた制度の目的が達せられたのかどうかということについてちょっと検討してみたいと思います。  まず、この今回の選挙制度もとになっている第八次選挙制度審議会というのは、この新制度導入の目的に五つくらい挙げておりますけれども、私が勝手に要約させてもらえば、まず一つは、政党本位政策本位選挙の実現ということがあります。第二に、小選挙区制で同じ政党の候補同士の同士打ちがなくなりますから、地元利益誘導とか利益還元選挙ということの必要性がなくなって、したがって金権選挙も追放できるだろう、金のかからない選挙が実現できるだろうということだと思います。第三に、その結果として民意の集中が可能になって、政権交代の展望が開ける。この三点ではないかと思います。  もしそれにつけ加えるとしたら、比例選挙少数意見の反映ができるとか、あるいは政党政党の主導権のもとで候補者の選定をするわけですから、世代交代などもスムーズに図られるということもあるかもしれません。  まず、その第一の政党本位あるいは政策本位選挙だったかどうかということですけれども、確かに候補者選定から始まって、例えば国がえをさせるとか比例区に特色のある候補を充てるとか、政党が主導権を握った形での政党本位という選挙というのが少しは体裁が整ったかなという感じがいたします。  しかし、政党政策そのものが未消化のまま各候補に押しつけられた。ちょっと新進党の方には恐縮ですけれども、選挙戦の途中で、十八兆円の減税だとか、ああいうふうな格好で押しつけられて混乱した面もありますし、それに、そもそも今申し上げている政策本位選挙だったかどうかということについては、大いに疑問を感じております。  全党と言ってはちょっと語弊があるかもしれませんが、大半の政党だということで言っておけば、国と地方合わせた長期債務四百四十二兆円という選挙戦当時の額を前にして、財政再建が急務である、そのために行革で小さな政府を実現しようという大合唱があったわけであります。ではどうするのかという各論がなければ本来政策論争にならないのですけれども、それに、その各論を述べてこそ各党の政策の違いが出てくるのでしょうが、それを言うと選挙民の支持を失うということを考えて、あえて各論については踏み込まない。結局だれしも総論として同じことばかり言ってしまって、結果的には行革の大合唱が選挙の争点を消してしまうという妙なことになったのではないかという感じがします。  そのために、政策でその違いを出すということよりも、例えば整備新幹線をどうするかとか、とにかくこんな箱物を持ってくるとか、補助金をどうするとか、地元利益誘導、票と利益還元との引きかえ、そういう選挙が横行してしまいまして、地元への面倒見合戦ということから、結局は金のかかる選挙というのが払拭できなかった。  確かに、連座制の強化などで、悪質な選挙違反がなくなったというか減りましたし、供応選挙なんかも非常に少なくなったようですけれども、もともと地方分権というのが実現していないものですから、やはり各候補者は、国と地方のパイプ役として売り込むということ、そして金を集中的に選挙区に濃密に使うということが、選挙に勝つ近道になってしまったのではないかという感じがします。  第三の、政権交代の可能性に道を開いたのかどうか、その展望ができたのかどうかということですけれども、これはそうだとも言えるしそうではないとも言えるのじゃないかと思います、ちょっとあいまいな言い方ですが。  選挙区個々に見てみますと、多くの選挙区では、やはり自民党と新進党の争いという一騎打ちの勝負というのが展開されたわけですが、それも票差でいえば、議席差では相当ありましたが、五千票から一万票が動けば結果が全く異なってきたかもしれないという、一種、二大政党制を予感させるような結果だったと思います。  しかし、これは現実には、選挙結果だけではなくて、その後の政党の離合集散といいますか、その結果でもありますけれども、新進党など野党陣営の混乱に乗じて自民党ばかり肥大化して、政権交代に逆にふたをするようなことになったという感じがいたします。しかし、これは選挙結果そのものが導いたのではなくて、その後の政党の動きだと思いますので、少しずれているかもしれませんが、そんな感じを持っております。  今のように地方分権も不十分なままで、政党もその有意な対立軸を提示しない、総論だけで政策論争を展開していくというようなことで推移していきますと、日本というのはやはり伝統的に農耕民族で、争いを好まない、多数決よりも全会一致をよしとされますから、田舎へ行けば行くほど、二大政党だとか新進党と自民党だとか、例えば民主党だとか、そういう対立ではなくて、地元代表はこの人にという意識が非常に強い。政党の違いは、永田町で見るよりも、地方に行けば非常に希薄になってきているという中で、この選挙が今申し上げたように、地方分権も十分に進まない、地元への利益還元、これがどうしても議員さんたちの大きな職務になってしまっているという状況が続くと、結果的には自民党一党支配もびっくりというような巨大な保守中道勢力というのがそれに収れんしてしまって、振り子が振り切れてしまうという心配があるのではないか。これが杞憂に終わればいいのですけれども、どうもそんなことも若干は見てとれるような感じがします。  それから、重複立候補について申し上げますと、これはドイツみたいに比例選挙と小選挙選挙が連続しているものではなくて、全く別の選挙を木に竹を接ぐような格好でくっつけた、そこから来ている問題だと思います。比例区で議席数が決まって、小選挙区の当選者でそれを埋めていくというなら重複立候補にも無理がないのですけれども、やはり今の並立制というのはどこかでひずみが出てくると思います。  しかしその一方で、重複立候補というのは、政党にとってみれば、有為な人材については保険を掛けてでも当選を確保しておきたいという要請もあるでしょうし、政党によっては小選挙区では人材難だとかいろいろな事情があると思います。  これは朝日新聞の先輩でもある石川真澄さんがある雑誌で書いておられたことなのですけれども、これは小選挙区が先に開票されて、後から何かつけ足しみたいに比例区が開票されるものですからどうもおかしな感じを受けるのですけれども、逆に比例区が先に開票されて結果が決まって、まず比例区の議員当選が決まった後で小選挙区に移れば、もともと重複立候補された方もまず比例区で議席を確保されるということですから、大いに胸を張っておれるだろうと思いますし、ある意味では、実は重複立候補の問題は、今度の制度について見ればそれほど本質的な問題ではないのではないかという感じがいたします。  この問題については、やはり有権者の側に立って考えることが必要ではないか。政党の都合からすれば人材を確保したいとかいろいろなことがあるのでしょうけれども、選挙民の側、有権者の側からすれば、小選挙選挙というのは、だれかを当選させるということの反面、この人だけは落としたい、それを選ばせる選挙でもあるわけですね。そういう、要するに逆の投票というか拒否するということも含まれているわけでありますから、そうすると、一位だけではなくて、ひょっとすると法定得票もいかず供託金も没収されたという人が当選してくることについては、やはり有権者の側からすれば非常に奇異な感じを持たざるを得ないという感じがします。  したがって、この点は、ファインチューニングというか、微調整という中で、例えば重複立候補を認めても、それが当選する場合には次点者だけに限るとか、あるいはもう少し敷居を低くすれば法定得票未満はだめだとか、それからもちろん供託金没収の場合はだめだとか、いろいろな歯どめをかければ済むのではないかという感じがいたします。  重複立候補という問題とあわせて、惜敗率の問題でちょっと意見を申し述べたいのですけれども、惜敗率というのはやはりどう見ても非常に奇異に感じるのであります。というのは、違う選挙区で全く違う政治状況、違う候補者と戦っているというのに一その候補者同士をただ単に数字惜敗率だけで並べて当落を決めるというのは、どこかやはり比較できないものを無理やり比較しているという要素があるのではないかという感じがいたします。  しかしその一方で、これもちょっと悩ましいのですが、僕は逆のいい面もあるという感じがします。というのは、さっきちょっと申し上げました小選挙区制になると、一人を選ぶことで、もし仮にその選挙区で当選者がもうあらかじめわかっているとなったら、有権者投票に行かなくて投票率が下がってしまうという心配があるのですけれども、重複立候補によって次点者も場合によっては比例区で救済されるということになれば、そういう意味でいわば有権者選挙に対する関心も少しは違ってくるのではないか。投票率をある意味では押し上げるもとになってくるのではないかという感じもいたします。  いずれにしても、この重複立候補の問題はそれほど選挙制度そのものの本質的な問題ではなくて、ファインチューニングといいますか微調整というか、そういう修正を加えていければ、有権者が奇異に感じなくて済む方法というのは必ず見つけ出せるのではないかと感じます。  最後に、選挙運動なんですけれども、これはもう先ほどから述べておりますように、どうも利益誘導選挙というのが横行してしまった。国会議員が、例えば世田谷区の区議会議員よりも狭い選挙区で小政治にきゅうきゅうとせざるを得ない。補助金をいかに分捕ってくるか、それから中央とのパイプということをやっている以上、やはり国政を考えるよりも身近な小政治を考えてしまって、区議会議員よりももう少しちまちました感じになっていくということがあるわけですけれども、やはりこの点は、地方分権というのを一方で強力に推し進めて、仮にその選挙区が小さくなっても、昂然と国政のことを考えられる政治家を輩出できるような選挙運動にするべきだと思うのですね。  いずれにせよ、選挙運動がおかしくなってきているのは、やはり地方分権が不十分であったというか、ほとんどできていないということが一番大きな原因ではないかと感じます。  ただ、もう一つ述べたいのは、選挙運動期間というのが何とも短過ぎるという感じがします。その十二日間というのはあっという間に過ぎるわけでありまして、報道する側からいえば、いいような悪いようなところがあるのですけれども、有権者からすれば、これはもうまさに有権者政党との接点あるいは有権者と政治家との接点、候補者との接点をもう少し広げないとおかしいのではないか。政党本位選挙とか政策本位選挙運動もまだ試行錯誤の段階でありますし、それならばなおさらのこと、選挙運動期間を延ばす必要があるのではないかという感じがいたします。非常に雑駁になりましたが、以上です。
  10. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  次に、菱山参考人にお願いいたします。
  11. 菱山郁朗

    菱山参考人 日本テレビの菱山と申します。民間放送がまだTBSとかテレビ朝日とかフジテレビとかたくさんありまして、そういう中で私ということで、大変戸惑っておりますし、ぜひ今後は、ほかの民間放送の代表もこういう席にお招きいただきたいと思っております。  私は、そういう意味では責任みたいなものも感じておりますが、個人的な見解もよろしいということでございますので、私の思うままを、大変僭越な言葉もちりばめてあると思いますけれども、お聞きいただきたいと思います。  まず、新制度もとで今回初めての総選挙が行われたわけですけれども、私、選挙本部の総括という立場でいろいろな選挙の実情等を耳にし、目にしました。いろいろな角度から検証いたした限りにおきましては、今回の総選挙は、いろいろな運用面それから実態面でこの選挙制度が目指しておりました目標とはかなりかけ離れたものであって残念ながら、仏つくって魂入れず、あるいはハードはできたけれどもソフトの方が追いつかないという感が深かったという指摘をさせていただかざるを得ないのであります。  すなわち、政党本位政策本位という選挙であるわけなんですけれども、今回の選挙戦を見ますと、各政党いずれも行政改革を断行するということで、そろって同じような公約を掲げ、それはそれぞれ個別に見ますといろいろあるわけですけれども、はっきり言ってその具体的な争点を国民の前に示そう、そして、我々がこれで政権を担ってやるのだ、つまり国民政策選択を迫ろう、そしてそのための政策はこうなんだという明確な、そういう迫力といいますか肝心なところがどうも終始あいまいであったなという感じを持たざるを得ないのであります。  はっきり言いまして、今のこの深刻な財政難、そういった中で、まだ決まってないのにもかかわらずここに整備新幹線を敷きますよといったような、かなり露骨ないわゆる地元利益誘導型の選挙戦も見られました。こういった地元利益誘導というのは地方議員に任せておけばいい。先ほど地方分権というお話がありましたけれども、まさしく今度の選挙制度というのは、そうではなくて、やはりもう少し大きな政治を目指す、そういう意味での選挙制度改革であったと私は思うわけであります。  また同時に、例えば消費税率の五%アップというのを一たん政府・与党で決めておいたわけなんですけれども、これについては、同じ与党内から異議を唱えるといいますか、決まったわけではないのだとかそういう発言をされた候補者も出たりしましたし、いきなり十八兆円減税という、おおっというような感じの公約を掲げた政党もございました。これにつきましては、同じ党内から、決まり方が非常に不透明だったという批判が出たり異論が出たりということで、実際にその公約を出した党の立候補者の方で、選挙区ではその公約は一切、一言も触れなかったという議員もおられました。  そういったようなことで、選挙制度の形、理念は別にして、選挙戦という運用の面では、残念ながら、やはり、先ほどお話ししたように、政党本位政策本位選挙にはとてもじゃないけれども達せなかった。つまり、党が決めた公約と各候補者の実際の選挙運動とのギャップの大きさですね、これが相当有権者に大きな戸惑いを与えたのではないか。  やはり、今度の選挙制度というのは、政治家の方々政党方々のみならず、有権者にもいろいろな意味で意識改革を迫るものです。これまでの、あいまいなと言ったらあれですけれども、ぬくぬくとしたと言ったらあれですけれども、やはり明確に、責任のある政治といいますか、日本は今大変な問題を抱えているのだ、こういう問題はこうやって引っ張っていかなければならないのだ、痛いことも伴うのだという、有権者に余り耳ざわりのよくないこと、よくない政策選択も、今後日本の将来の中では当然あるわけです。  そういう事態のときに、きれいごとだけで選挙に出てくる、勝つために選挙をやるというのではなくて、やはり私どもは、今度の選挙制度というのは、嫌なことも国民に訴えて、それで日本が乗り切らなければならないのだということを有権者に説得する、そういう選挙の姿にいずれ変わっていかなければならない。  したがいまして、小さな選挙区ということで、ついつい、先ほどお話しした整備新幹線のみならず地元利益誘導選挙の助長であるとか、いわゆるどぶ板選挙運動現象、こういったようなスケールの小さな政治家を中央に送り込むという選挙になってしまっては元も子もない。そうであってはならないのでありまして、小さな政治ではなく、より大きな政治、より責任ある、まさに哲人型のリーダーを育てていかなければならない。そういう今後の日本の将来を見据えた政治家を選ぶ選挙であるべきだ、そのための選挙制度の改革であったのではないかというふうに私は思っております。  政党中心政策本位選挙及び政治を実現して、政権交代可能な政治システムを導入することによって、政治にダイナミズムを与え、政治がリーダーシップを発揮する、そういうことによって、難問、課題を的確に処理して、一日も早く世界に顔を向けた日本となる、これがいわゆる新しい選挙制度の目指したもの、政治改革の目指したものであったはずであります。  したがいまして、改革の原点、初心に立ち返りまして、もちろん、政治倫理の確立とか新制度導入に伴いまして政党組織のあり方政策の立案形成、この辺も大変大きな問題が残されておりますので、今後、そういった問題について、ぜひ御努力を払っていただきたいと僭越ながら考えております。  重複立候補制度につきましては、いろいろ意見の分かれるところであると思いますが、はっきり言いまして、選挙制度というのはやはり有権者にとってわかりやすい制度であることが基本ではないかというふうに考えます。小選挙選挙供託金を没収された方までが比例選で当選されたケースがありましたけれども、これはやはり国民有権者としてはなかなか納得がいかないだろう。ますます低投票率に拍車をかけてしまう、そういうことにつながってしまうのではないか。したがいまして、この点、こういったケースがないように、今後一定の明確な基準を設定して見直しを図るべきではないか。  それから一名簿の同じ順位に何人もの候補者を並べた、いわゆる小選挙区での惜敗率当選を決めるという方式ですが、これも有権者にとっては非常にわかりにくい。今回、低投票率につながったわけですけれども、それは、やはりわかりにくい制度であるということで、選挙制度はもっとシンプルであるべきだと思いますので、この辺についても再検討して、この方式はやらない方がベター、やめるべきかなという感じを持っております。  それから、これは後で詳しくお話しさせていただきますけれども、候補者の選定基準というのをもっと各政党は明確に設けるべきだと思います。これによってより有為な人材の発掘とか育成に努めて、政党政治の活性化を図らなければならないというふうに思っております。また、名簿につきましては、例のオレンジ共済事件で、順位というか、名簿の重みというものは立証されたわけでありまして、各政党は、ぜひこの候補者の選定基準の適正な基準を持ちまして、その基準をもとに明確に順列をつけるのが筋であろうというふうに思っております。  次に、選挙運動あり方でありますが、これについても、やはり変えるべきであったのにもかかわらず、残念ながら変わらなかったと先ほどるる申し述べたとおりでございます。ただ、評価してよいという点では、連座制を強化したことによりまして、今までのいわゆる買収、供応型というか何というか、お祭り選挙といいますか、そういったような選挙かなり減ってきたかなということについては評価されてよいのではないか。  いずれにしましても、この連座制というのは公費の助成とワンセットでありますので、この厳罰主義といいますか、連座制の強化というものは、緩めるとか、何とかもう少ししてほしいとかという声があるようでございますが、私は、この連座制の強化は、あめとむちのむちの方でございますので、ぜひともこのまま適用強化の制度は守っていただきたいと思っております。  それから、どぶ板、地元利益誘導型という先ほど来出ている選挙運動なんですけれども、政策を競い合う政党主導型の選挙運動にしていくというためには、とりわけ小選挙区の選挙でいわゆる選挙マシンとなっております、まず個人後援会型、それから各業界団体、それから企業、労働組合、こういったいわゆる従来型の組織やシステムに依存する運動、こういった選挙運動をこれからは新しい時代に向けて変えていくべきだろう。  つまり、テレビとかインターネット、これは現行法では何か違反ということだそうですけれども、インターネットをなぜ活用できないのか。つまり、新しいメディアの活用を目指した選挙運動、こういったものの推進を図っていくべきではないだろうか。  それから、戸別訪問の自由化も、当然ながらぜひ検討していただきたい。それから、立会演説会についても復活をすべきだという声も多く聞かれますし、可能であるならばやった方がいいのではないか。それから、選挙運動期間ももう少し、ちょっと短過ぎるのではないかという感じを持っております。  それから、時間も迫ってまいりましたので、最後にといいますか、その他ということで、これは大変僭越な言葉で、皆様には、何を生意気なとおっしゃるかもしれませんが、私の個人的なひとり言だと思ってお聞きいただきたいのであります。  いわゆる政治改革というものはひとときの熱病であったというような言葉、あるいはもう既に過去のことだよというような声が少なからず今聞こえてまいります。  しかし、いわゆる選挙制度の抜本改革を柱としたこの政治改革というものは、あの八八年から八九年、いろいろな意味で皆さん思い起こしていただければ、消費税の導入ですね、かなり強引といえば強引な消費税の導入の経緯があった。そして一方では、いわゆるリクルートの株をめぐっての贈収賄事件、贈収賄に至らなかったたくさんの政治家がおられたわけでありますけれども、あのときは、右手で消費税、左手でぬれ手でアワのリクルートということで、本当に国民の皆さんは、何だということで、永田町、霞が関に相当怒りの声を根の方に持った、つまり未曾有の政治不信の高まりがありまして、これに対応しようとしたものがいわゆる政治改革であったのだろう。  それと同時に、より基本的には、やはり三十八年間に及んだいわゆる五五年体制、自民党の長期一党優位の政治システム、これがやはりどこかでちょっとおかしくなった。動脈硬化あるいは制度疲労、そういったことの帰結としまして、国の重要な政策選択、これがなかなかうまくいかなくなった。そういった構造的な行き詰まりといったこと、これに対しても、政治改革はそれに対応しようとする一つのばねであったと私は信じております。  また、外にありましても、アメリカとソビエトとのいわゆる冷戦構造の崩壊をきっかけにしまして、世界的な変動と改革のうねり、今のこの大競争時代の始まりがあったわけですね。でありますので、政治改革というか、いろいろな意味で今システムの改革が迫られているわけですけれども、これは、必然的に提起された、言ってみれば今なお引きずっている重い宿題ではないかと私は考えております。  最近起きました岡光前事務次官の問題、泉井石油商疑惑、それからオレンジ共済詐欺事件、永田町あるいは霞が関を舞台にしたこういった不祥事が今なお国民に政治不信症候群というものを与えておりまして、これがもうどうにもならなくなっている。  大変残念なことなんですけれども、この間の総選挙の公示の前日に行われました党首公開討論会、NHKが放送したのですけれども、これは二・三%の低視聴率ですね。残念ながら百世帯のうち二世帯しか見ていない。それから、この間、この大変重要な通常国会なんですけれども、代表質問、予算委員会、これも残念ながら二%程度の低い視聴率です。  私のところは世論調査室ということもやっていまして、世論調査をつい先々週やったのですけれども、依然として四七%の方が支持政党はなしという現状であります。  こういうことで、今、残念ながら、国民の皆さんが永田町あるいは霞が関、政治の世界に対して依然として冷ややかといいますか、そっぽを向いているのが現状でありまして、こういった現実をぜひ皆様方厳粛に受けとめていただきたい。政治改革というものは、やはり皆様方の不断の努力によってなし得るものでありまして、我々にはどうしようも、力はないのでございます。国民の政治への不信、これを解消する、その信頼回復なしには、やはりあしたの日本というのはなかなかうまいようにいかないのではないかというふうに、大変僭越ではございますけれども、一言発言させていただきました。  ありがとうございました。
  12. 中馬弘毅

    中馬委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  13. 中馬弘毅

    中馬委員長 参考人に対する質疑は、理事会の協議に基づき、まず、各党を代表する委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。  各代表委員の皆様方は、十五分以内に制限させていただきますと同時に、質疑の回答者は、それぞれの質疑者の方から参考人を御指名いただきたいと思います。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、着席のままで結構です。  大村秀章君。
  14. 大村秀章

    ○大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。  きょうは、参考人の諸先生方には、本当にお忙しい中お越しをいただきまして、そしてただいまの貴重な御意見をお伺いをいたしまして、本当にありがとうございます。  各党を代表してということでありますけれども、きょうは、これは前回も同じでありますが、あくまでも私の個人的な意見ということで、その私の個人的な意見、そしてまた関心から、二点ほど参考人の五人の先生方全員の方に、御見解をお聞かせいただければというふうに思っております。  今回の小選挙比例代表並立制につきましての課題といいますか、また実際に選挙をやった結果についてのいろいろな問題点につきましては、今、諸先生方が言われましたことで、マスコミ報道も含めて大体尽きておるのではないかと思うわけであります。  実際問題として、この制度自身、やった直後に各マスコミの方々がそれぞれ世論調査をされておるわけでございます。その中で特に、この制度をやってみてどうですかということについての世論調査では、大体四〇%前後の方々が、やはりこの小選挙比例代表並立制を改良して続けるべきだということで、一番多い。もちろん、このまま続けるべきだという方もおられることはおられても、この方々は大体一〇%いかない、一けたぐらいということのようにお聞きをしております。そして、大変多いのが、中選挙区に戻すべきだ、中選挙区の方がよかったという方々で、大体三〇%から四〇%ぐらいという結果がそれぞれの世論調査でも出てきているのではないか。  私自身も、実際に選挙区を回っておりましても、やはり戦後五十年間続いてきた区割りにしろ、それで四人、五人、特に自民党の場合はそれぞれ複数、三人、四人と立つということになるわけでありまして、そういう制度になれ親しんできたという意味で、選挙区の人で、もと選挙制度に戻るのではないかというようなことを言われる方がよくおられるのです。  私は、いや、もうこれは続きますよ、そう簡単に戻るような話ではない、今までいろいろな議論を積み重ねてやってきたのであって、もちろんあと一回、二回やってみてやはりどうしてもだめだということならそれでまた議論が盛り上がるとは思うのですが、この制度はしばらくは続くと考えて改良していくべきだということを申し上げておるのですが、それでもやはり前の方がよかったという人が根強くおられるわけでございます。  これは単なるノスタルジアなのか、それとも、先ほどある先生がおっしゃられましたけれども、日本の国民性に根づいているものか。現に、日本の国民性は、だれか一人というよりも複数選んだファジーな方がいいということを言われる方もたくさんおられるわけであります。  ですから、そういう見解もあることも事実ですから、改めて五人の先生方に、中選挙制度評価、これをどう見たらいいのか。日本型の比例代表制だというような声も実際にあるわけでありますので、そういったことについて、中選挙制度評価を改めてお伺いしたいというのが一点でございます。  それから、時間もあれでございますので、もう一点もあわせてお聞きをしたいわけでございます。  これも前回の御議論の中でも、そして今の諸先生方の御意見の中でも皆さんお触れいただいておるわけでございますが、やはり投票率が低かった、六〇%を割ったということでございます。衆議院選挙で六〇%を割ったというのは初めての経験でございますし、また、思い起こしてみますれば、一昨年の参議院選挙は四五%、私の愛知は参議院選挙はたしか四二%ぐらいで、私の地元は、参議院選挙は四〇%を切ってたしか三九%ぐらいだったわけでございます。要は、天気がよくなるとみんな遊びに行ってしまうということがほぼ定着をしておるのではないか。  実際問題、投票率を上げていくためには、やはり政策論争をおもしろくする、やはり選挙がおもしろければみんな行くのではないかということはそのとおりだと思うのですが、それ以上に、これは我々選挙を行う者、そしてまた政治に携わる者の責任ではあるのだろうと思うのですが、もう選挙に行かない、投票に行かないというのが相当定着してきている。やはりこれはもう手を打たなければいかぬのではないかというふうに思います。  私は二つ側面があると思います。一つは、今諸先生方の御意見の中にもありましたけれども、今回の選挙制度は、二票制でそれも重複があって惜敗率があって、とにかくわかりにくい。わからないから二票とも大村秀章と書いたという方が結構おられまして、それでは意味がないではないかという話を後でしたこともあるのです。そういう意味では、わかりやすい制度にしていくことが必要ではないかということ。  あわせて、もうこの際、日曜日の投票をやめて平日にするとか、二日にするとか、あと不在者投票をもっとやりやすくするとか、いろいろな工夫をやっていくべきではないかと私は個人的には思うわけでございます。そういった低投票率に歯どめをかけて上げていく工夫というようなことについて。  以上二点、余り時間もありませんけれども、五人の先生方に御所見をお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
  15. 江口伸幸

    江口参考人 中選挙区の評価ということですけれども、確かに我々は、中選挙区に投票する側もすっかりなじんで、今の国民有権者で中選挙区以外の選挙をやった人の割合は極めて少ないと思うのです。確かに日本人はファジーを好むとか、右か左か、黒か白かというような判定の仕方を好まないといろいろ言われます。さらに、中選挙区こそ日本人の知恵だというようなことを書かれた学者もあったかと思いますけれども、そういう制度もとでこれまで選挙をやり政治家を選んできた政治システムが、やはり今の時代に行き詰まってきたということでこの選挙制度改革議論は始まったと思うのです。ですから、一応そこは乗り越えた議論であると私は思います。  有権者から見れば、制度が変わるわけですから、大変な戸惑いがあったと思いますけれども、二回目、三回目になれば、また感じは変わってくるのではないかという気もいたします。  投票率の問題ですけれども、確かに大きな問題で、小選挙区になるとさらに投票率は下がる。アメリカなんか三〇%ですか、そういう話も聞きます。いろいろな手だてで投票率を上げるということは必要だと思うのですけれども、基本的なところでは、さっきから声がありますが、政治不信といいますか、選挙でだれが当選しても我々のあしたの生活はそんなに変わらないのだと国民は思っていると思うのです。  実際、自民党政権から細川政権にかわっても、我々庶民の生活は目に見えた形では幾らも変わっていないわけです。細川政権からまた自民党政権へ戻っても、さして日々の生活は変わっていない。選挙でいろいろな公約を各政党掲げられても、しかし、選挙のときだけの公約だろうという気がみんな国民はしていると思うのです。大減税があれば、やはりそっちがいいわけですから、そっちの政党投票に行くであろうし、消費税は上がるよりも上がらない方がいいわけですから、そっちの政党政権をとれば上がらないなら、そっちへ投票に足を運ぶ人はふえると思うのですけれども、選挙だけに、選挙用にどうせぶち上げているだろうというような感じがやはり国民の中にあると思うのです。  そういうことが投票へ行く人の足を遠のかせているという面も私はあると思いますし、そういう点では、やはり公約は実行されるのだということを有権者の前に、国民の前に実績として示されることが一番重要ではないかという気がします。  あと投票時間を延長するとか二日にするとか、そういう問題は、大切な問題ではあろうと思いますけれども、それで飛躍的に投票率が上がるというような気はいたしません。  それと、教育の中で、投票することが大事なのだということをやっているのでしょうし、成人式の式典なんかでは必ずそういう訓辞があるようですけれども、そういうことの積み重ねも大事ではないかという気がします。  以上です。
  16. 加藤純一

    加藤参考人 中選挙区の問題では、あの変える三年前の時点というのは、やはり中選挙区でやった利益誘導合戦みたいなものとか、支配政党の中でも派閥やポストの争い、いろいろなことがあったと思うんですけれども、さまざまな政治のスキャンダルなんかもありましたし、そういうことを通じて、そのメリットといいますか、それがもう限界に来ていたんじゃないかという気がします。戻ることは、恐らくそういう教訓からしたらあり得ないんだろうという気がしているんです。  ただ、先ほども話が出ましたけれども、日本の風土といいますか、多数決というか、個人が強く主張する、そういうことになじみが薄くて、割合に合意やコンセンサス型である。したがって、それを敷衍しますと、多党制といいますか、二大政党制というのはなかなかなじめない国民かなという気もいたします。  したがって、その多党制ということを考えますと、やはり中選挙区の方が多党化しやすいということもあるわけで、今度の選挙結果を見ましても、二大政党と言いながら、多党化への郷愁みたいなものが結果として出ていたんじゃないかという気がします。  それで、これも全く私の個人的な、乱暴な議論なんですけれども、そういう中で、何かものを改善していくとか変えていくというのには、どこかの場面で競い合いや緊張感というのが必要なんじゃないか。それがどこでできるのかというのは、中選挙区の方がそれがあったという議論は言えるかもしれませんが、だからこれを今度の小選挙区の中でつくっていく必要があるんじゃないか。  それは、先ほど申しました重複立候補の問題と若干絡むんですけれども、ある選挙区で、例えば重複で三人当選してしまうということが出てきますが、それは競い合いの結果であって、その選挙区では、若干中選挙区型の競い合いや緊張感を将来に残していくんじゃないか。一方では、その小選挙区でも、もし政策に失敗したらひっくり返るんだぞという緊張感とその二つが合わさって、何か改善していくエネルギーみたいなものをつくっていけるんじゃないか、そんな気がするんです。これは若干乱暴な意見です。  それから、投票率の問題については、この制度になりましたらますます下がっていくんじゃないかなという気がしているんです。決まりの選挙区というのがどうしても出てくるわけですし、それはほかの外国の例を見ても恐らくそうだろうと思うし、そういう学者の書いたものもございます。だから、僕らは新聞では、投票率は政治不信の最大のあらわれみたいに書きますけれども、この制度ではそう考える必要はないのであって、ある特定の選挙区で非常に競い合って、だから惜敗率が物すごく高くなったりとか、そういうことでいいんじゃないか。  だから、それを大きな数字として全体をならして投票率がどうだという言い方は、余り意味がないんじゃないか、意味がないというのはちょっと言い過ぎですが、私自身としては、そう考える必要はないんじゃないかなという気がしております。  特に、今いろいろな政策課題がありますけれども、結局行政改革にしろ何にしろ、みんな、だれも異議が申し立てられないような争点ばかりで、本当の争点かどうかというのは言えない状況なわけですから、ここもちょっと難しいところなんです。地元利益誘導型と私ども一くくりに言いますが、じゃ果たして整備新幹線、米の問題とか、そういうことが簡単に利益誘導だとか、地元利益という言い方で片づけられるのか、これも大変重要なこれからの争点なんじゃないかな、こういう合意ばかり多い争点の中では、という感じもしております。これはちょっと投票率とは関係ありません。  投票率については、いろいろ個人にペナルティーを科すなんという話もございましたけれども、ドイツ方式というのは、この間ちょっとにわか勉強して、参考になるなという気がしました。皆さんもちろん御存じでしょうけれども、投票数に応じてその比例議員の数を少なくしていく、増減させていくという方式で、これは、棄権が多い地域は議員が減りますよ、それでいいですかというやり方です。なかなかこれは参考にすべきじゃないかと思います、素人考えでございますが。  以上でございます。
  17. 中馬弘毅

    中馬委員長 ちょっと議事の整理をさせていただきますが、各党十五分ごとということにしておりましたので、途中でございますけれども、一応ここで切らせていただきまして、次の西川委員の方の質疑に移らせていただきます。  今の中選挙区制の評価の問題や投票率の問題は、また後ほどの議論の中で出てくると思いますから、それぞれまた中島参考人以下の方々はその都度御発言いただいて結構でございますから、一応ここで次の質疑者の方に移らせていただきます。  続きまして、西川知雄君。
  18. 西川知雄

    ○西川(知)委員 新進党の西川知雄でございます。きょうは、皆さん本当に御苦労さまでございました。  私は、一点に絞ってお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど、今度の制度改革政党中心それから政策本位制度である、こういうことで新しい選挙制度ができた、そして、この間の選挙で論点が少なかったと言われた参考人の方もいらっしゃったわけでございますけれども、私は大きな論点があったと理解しております。それは、消費税のアップ、これは非常に大きな論点であったというふうに思っております。  ところで、選挙公報、これで明示的に消費税のアップに反対した人が、我々新進党の調べで百十三名いらっしゃいました。社民党が六名、民主党が三十名、自民党が七十七名、合計して百十三名の方が選挙公報を含めて明示的に消費税のアップの反対、これをおっしゃっております。  参考のために一つ例を挙げますと、ある兵庫県の自民党の候補は選挙公報の中で、「'96総選挙三つの公約」ということで、「造反します!!」「消費税アップ」」と書いて、  国会でロクに審議もしないで3%から5%ヘアップした消費税を、総選挙後の新国会で再審議して、前国会での結論を白紙「3%」にもどします。政党の離合集散にうつつを抜かした前議員ではなく、消費税アップの議論に加わらなかった新人議員だからこそ、その主張ができるのです。税率アップを決定した過去にこだわらず、有権者意見を国政へ反映させなければなりません。景気が沈滞している今、消費税をアップしたら、景気は浮揚するどころか益々混迷します。 この方は、小選挙区制で落ちまして、比例区で当選をされております。  それからもう一人、これはある民主党の候補なんですが、「政治家に変節があってはなりません」しかも、この方は弁護士でございます、私も弁護士なんですけれども。「消費税アップは凍結し、行財政改革の推進と公正な税制を確立します。」  あと、たくさん言うと差し支えもあると思いますので、典型的な例、この二つを挙げさせていただきました。しかも、先ほどの造反すると言った人は、私、念のためビデオも持ってきたんですが、このビデオでも、その造反しますということを言って、皆さんに配っておられる。こういうことなんです。  十月二十日に選挙がございました。そして、一カ月ちょっとしてから、消費税据え置き法案を新進党が出しまして、それについての賛否を問いました。合計しますと、我々新進党は全員据え置きでございますので、これは過半数を完全にとれるなと。  十月二十日に投票を受けられた人で、しかも選挙公約で、口で言うならまだしも、こういう紙に書いた、そういう方がこれだけいらっしゃったので、絶対に勝つと思っていましたら、私は全部見ていましたが、造反された方はたった二人であった、笹川さんと高市さんだけであった。私はこれで非常に驚いた次第でございます。一カ月しかたたないのに、これは詐欺というよりも、何と言っていいのか私は全然わからないのですが、これはとんでもないことだ。  この間の新聞に、日大中退を卒業と詐称したというだけで、世田谷区議会の議長、この人が非常に今問題になっております。公職選挙法でも虚偽事項の公表を禁じております。これは、一カ月後にこんなことになったというのは虚偽事項だ、こういうふうに私は思わざるを得ません。中退を卒業と書いてしまったことを、本人はいろいろな事情で間違えたというふうに答弁をされているそうですが、消費税の三%から五%アップは凍結ということを言ってしまったのはいろいろな事情で間違えたという方もいらっしゃるかもしれませんが、これではとても選挙民は納得がいかない。  これは先ほど菱山参考人の方からも若干触れられましたが、私はこの点について、経歴詐称は当選無効でございますから、こういうようなことを言った人はやはり当選無効か除名にするというようなことを真剣に考えなければ、いつまでたっても国民の信頼は得られないと私は思います。  これについて、この間も私は質問しました。各紙の方は、明確な回答が全然なされなかったと非常に困っておられました。党籍を変えるということについては、例えば、次の選挙でやればいいのじゃないかと言われますが、平均して、衆議院選挙は二・五年に一回です。こんなときまで待っていたら、もうみんな国民は忘れちゃいます。しかも、何年かたってから意見が変わったのじゃなくて、一カ月で変わるわけですから、これはもう全然信じられないというのが、私の、また我々全員の意見でございます。  この点に絞って、各参考人方々から御意見をちょうだいしたいと思います。江口参考人の方からお願いできればと思います。
  19. 中馬弘毅

    中馬委員長 ちょっとその前に、五人の方全部にしますと時間がオーバーしますので、できたら三人までに絞っていただきたいと思います。
  20. 西川知雄

    ○西川(知)委員 それでは菱山参考人の方から。先ほどちょっと触れられましたので。
  21. 菱山郁朗

    菱山参考人 消費税の問題ですが、これは、今おっしゃった変節といいますか、既に決めてあったことを選挙公報では反対とか、造反とか、実は、こういうふうに言うこととやることにギャップがあるといいますか、まことに失礼ですが、そういう政治家の方が出てこないような制度、それが本来の新しい制度であるべきだ。  つまり、中選挙区制のときは、同じ選挙区に同じ党の人が出て、いろいろな意味で言いたいことをかなり言い合って、そういう、言うこととやることにギャップの多かった方がおられたと思うのですが、新しい制度に変わった以上は、今御指摘のあったように、選挙公報では反対と言って選挙を戦ってくる、そういう二枚舌の候補者の方はやはり責めを負うべきであるというふうに私は思っております。  ただ、実は、党首公開討論で小沢一郎さんに質問しました。小沢さん、十八兆円も含めてそうだけれども、小沢さんの「語る」という本の中では、国民に迎合する政治はだめだ、言ったことは必ず実行するのが政治なんだ、それから消費税についても、おれとしては、七%のときも、七%では少ないと思ったけれども、やむを得ず七%になりたというような本音を書いておられます。つまり、政治家が、言うこととやることのギャップ、これをどうやって埋めていただけるかということを我々は注視している、注目しているわけでございまして、それによっては、政治家の方への信頼回復の一つの大きなステップになるというふうに思っております。  御指摘の点については、そういうような事態が起きたことについては、この制度をうまくというか、ちゃんとしっかり運用しておらなかったということで、責めを負われても仕方がないというふうに申さざるを得ないと思います。
  22. 西川知雄

    ○西川(知)委員 どうもありがとうございました。  あと七、八分で我々の方は終わらなければいけないと思いますので、政治家の言ったこととやつていることが違うという一般論じゃなくて、今度の、例えば今私が申し上げました消費税に絞っていただいて、ちょっと長崎参考人の方から御意見を伺いたいと思います。
  23. 長崎和夫

    長崎参考人 基本的な問題は、さっき申し上げたように、政党がまだ非常に流動化していて、政党としての自律性、組織政党としての自己完結性というか、それが確立されていないから、その構成員たる候補者が、特に、当選したいがためにいろいろな方便を使ったということであります。その候補者の人格にかかわる問題でしょうけれども、そのことについての判断は有権者がするだろうし、あるいは、そういうことを発言なり公約した議員に対しての処分なり意見を聞くということは、その政党自身がすべきことであって、それを、別のことを言ったからといって、例えば国会としてそれは除名だとかなんとかということにするのはいささか飛躍があるのじゃないか。  逆に言えば、党内でいろいろな意見がある、むしろ、その決めたことから一歩も外に出ないという議論しかできないということになったら、自由濶達な議論も封殺されるわけであります。それと公約とはちょっと分けて考えなければなりませんけれども、いずれにせよ、その辺については有権者が判断することであり、政党自身がその候補者をどう判断するかということを考えるべきだと思うのですね。  その前提として、今度の消費税の問題について言えば、これはまことに恐縮なんですけれども、今回の選挙は、税金を上げるということは選挙前には非常に言いにくい、だから、税金を上げると言った方が負けるであろうという、かつての常識から言えば、まさに西川先生のおっしゃるとおりのことかもしれません。しかし、それが逆になったわけですね。税金を上げるということを言った政党がむしろ勝ちをおさめたということ。これはやはり有権者の方が非常にさめた判断をしたのではないか。  その大前提で言えば、これもまた恐縮ですが、この場でこういうことを言っていいのかどうかちょっと考えるのですけれども、西川先生の新進党のある幹部の方に、去年の七月ごろだったと思いますけれども、こんな話を聞きました。  要するに、九月前に総選挙をしないというのは、消費税を上げるということが確定する前に解散・総選挙になれば、そのことだけが争点になって、候補者全員が消費税据え置きなり消費税廃止という議論になっちゃう。となると消費税アップの議論はできなくなる。だから、我が党、すなわち新進党も含めて、暗黙の合意といいますか、もうこれは上げざるを得ないということを含んだ上で、それで秋以降の選挙になるんだということを解説していただいた先生がありまして、ある幹部の方ですが、実を言うと、これはまさに本音の部分だと思うのですね。  その辺、有権者の方も消費税については、要するに、選挙公約で言っているけれどもそれはできっこないよということを前提にした投票行動があったのではないか、そういうふうに見ざるを得ないという感じがします。
  24. 西川知雄

    ○西川(知)委員 済みません、いろいろな御議論はわかるのですけれども、私さっき申しましたように、国民が判断するというのは二年半に一回しが判断できないので、これは現実的じゃないと思うのです。それともう一つ、私はさっき経歴詐称のことを言いましたけれども、中退を卒業と言っただけで当選無効になる、こういうこととの比較においてどういうふうに思われるのか、加藤参考人にお願いいたしたいのですけれども。
  25. 加藤純一

    加藤参考人 当選した後の党籍変更というのは、確かに大変な問題だし、筋として言えば有権者への背信だと思いますね。しかしそれも、僕たちはそういうことを書くことはできますけれども、実際問題としてそれをどうするかというのは政党の問題であるし、やはり国会の問題だと思うのです。だから、僕たちが言えるのは、やはりそれは背信であると。これをどうするか、やめさせろなんという議論は私たちはできないと思います。
  26. 西川知雄

    ○西川(知)委員 あとお二方にもお聞きしたいのですけれども、ちょっと時間がないので後の議論に任せたいと思うのですけれども、政党で判断するということが現在のところできないというのが実態なわけですね。  要するに、選挙では好きなことを言っているけれども、造反すると言った人も造反していないし、例えば自民党であれば、七十七人全員が逆の立場をとってしまった、これは政党が動いていない。そういうときにどんなふうなことを考えればいいのだろうか。国民は、消費税アップに反対している人の方が多いと思っていたのにそうじゃなかったということに対して、どういうふうにしていけばいいかということを、午後からでもまた御意見をお尋ねしたい、こういうふうに思います。  終わります。
  27. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、山花貞夫君。
  28. 山花貞夫

    ○山花委員 きょうは、貴重な御意見を伺ってありがとうございました。  私は、この十年余、一貫してこの委員会で政治改革の議論に参加をしてまいりました。その体験から、私の実感としては、先ほど菱山参考人がおっしゃったとおり、なお政治改革は重いテーマである、引きずっている、そうなんだと思っています。道半ばだと思っております。短い時間ですので、民主党として今全国会議員にアンケートを実施しながら、選挙の総括及びきょうお話しいただいた議論について整理をしているさなかでありますので、そのことを踏まえながら、以下若干の質問をさせていただきたいと思います。  この間の経過を振り返りますと、一番の端緒は、もう二十年前、市川房枝先生が選挙の結果に対して、一票の格差是正を求めて運動を起こされたわけであります。このことについて、八五年ごろ、違憲判決相次ぐ中、衆議院の坂田議長が見解をお出しになって、以下国会の決議、八次審の議論、そして今政治改革に至る議論、こうした全体にかかわりまして、この間お話がありましたとおり、一票の格差問題を超えて、極限を超えたと言われている国民の政治不信に対してどうこたえるか、こうした全面的な政治改革論議があったと思っています。  そんなことを考えますと、今回実施されたさきの総選挙の正しい検証をするということは大変大事なことだと思っておりますが、その際また必要なことは、さっきの中選挙区論議にもあらわれたような、議論を逆行させるということがあってはいけないのじゃなかろうかと思っています。道半ば、次の第一歩を踏み出すのが今の私たちの責任ではないかと思っています。  では、一体次の政治改革の新しいステージというものは何がテーマとなるのだろうかということを考えた場合には、やはりこれまで振り返りまして、全体としての政治改革論議が選挙制度にすりかえられたという意見にもありますとおり、ともすると選ばれる側、既得権にしがみつく議員政党の論理が優先してきたということを反省しなければならないと思っています。次の新しい政治改革のテーマは、選ぶ側の論理、有権者の視点から、求められている政治改革は何かということを見きわめてステージが開かれるもの、私はそう考えています。  民主党の中での議論も踏まえて、短い時間で、午後にも譲る分はありますけれども、お話を伺いたいと思いますのは、そうした立場に立ったときには、きょうも低投票率お話がありましたけれども、そうした問題について、政治の側にある責任を前提としながらも、やはりやるべきことはやっていくということを次々に実現すべきだと思っています。たまたま五日は韓国で補欠選挙投票日で、やはり平日にやっているというようなことなども私たちは考えるべきだと思いますが、国民の政治参加を可能にする制度的な保障というのがあるのじゃないだろうか、私はそう思っています。  テーマとして従来民主党で議論してまいりましたのは、在外邦人の選挙権の問題、在日、とりわけ定住外国人の地方参政権の問題、十八歳選挙権の問題等々ございます。全体、そんな問題認識を持っていることを御紹介させていただいた中で、時間の関係もあります、午後の議論あとは譲るとして、十八歳の選挙権問題について、参考人先生方はどのようにお考えになっているか御見識を伺いたい、こう思います。  それでは、一つのテーマですので、江口参考人の方から、できれば五人の参考人に一言ずつでもお話しいただければと思います。
  29. 江口伸幸

    江口参考人 詳しく外国の制度を勉強しているわけではございませんけれども、外国も十八歳以上というのは結構あるようでございまして、国民の政治参加の機会ということと投票率の問題とかいろいろ考えると、十八歳も検討していいテーマであろうと思います。
  30. 加藤純一

    加藤参考人 私も全く同じでございまして、それ以上つけ加えることはございませんけれども、ただ、低投票率という点から考えたときにそれが解決策になるかどうかというのは、なかなか保証できないのじゃないかなという感じはいたしております。
  31. 中島勝

    中島参考人 私ども、いつも選挙のときに出口調査というのをやっておりまして、その質問項目の中で、あなたは二十代ですか、三十代ですかというような質問をしているわけです。そのデータから見ますと、投票に来る人が非常に少ないのは二十代と三十代であります。六十代以上が非常に多い。そこから考えますと、二歳引き上げても、やはり出てこないのではないかという感じがするのですが、それは投票率との関係の話でそういう事実があるということを指摘しておきたいと思います。  十八歳にすることについては、一向に差し支えないのではないかと思います。
  32. 長崎和夫

    長崎参考人 世界の大勢がもう十八歳だと思いますし、働いている者は納税義務を負っているわけですから、これはもう当然で、むしろ遅きに失しているのだと思いますね。投票率を上げる話はまた別の話だと思います。
  33. 菱山郁朗

    菱山参考人 私も、基本的には十八歳以上はもう大人だと。少年法の改正等もにらみながら、やはり十八歳以上は参政権、政治に参加できるというシステムをつくって、一日も早く、若い人が日本の政治の将来を真剣に考えるチャンスを与えるという道を開くべきだというふうに考えております。
  34. 山花貞夫

    ○山花委員 ありがとうございました。  私は、投票率の問題としては、別の問題点があると思っています。  私は、これまでの経験で、成人になったばかりの人がどれだけ選挙に行ったのかということを、数カ月後のある選挙で調べてみました。投票所によっては一〇%に満たないという数字を見て、昔とは随分違ってしまったんだということを痛感した印象もございます。しかし、投票率とは別の問題として、やはり進めるべきではなかろうかと思っております。これからまた当委員会議論をしていただく努力をしたいと思っています。  時間の関係でさらにお伺いできるようですので。  在外邦人の選挙権の問題について、今これはそれぞれの党で議論を進めており、私どもも新進党の皆さんと具体的な詰めの作業などに入っておる、また、各党の皆さんにも御意見を伺いたい、こう思っているところですが、これまた長い懸案でして、御記憶のとおり、一たん法案までできたわけですけれども、残念ながら今日まで実現しておりません。問題点議論し尽くされたという感もあるわけですが、機は熟しているのじゃないか、こんな気もいたします。  在外邦人の選挙権の問題についても、できましたならば各参考人にそれぞれ一言ずつコメントをいただければと思います。江口参考人からお伺いをしたいと思います。
  35. 江口伸幸

    江口参考人 投票の機会はあるべきだと思います。
  36. 加藤純一

    加藤参考人 私どもも、もちろんそれは何回もその方向で書いてきた話でございますし、最近の動きは歓迎すべきことだと思うのです。ただ、その投票やり方、便宜の与え方、その辺をきちんと詰めていただきたいと思います。
  37. 中島勝

    中島参考人 たしか、参議院議長をなさった徳永さんが大変一時熱心に言っておられて、私なんかも、国会で通るのかなと思ったような時期もありましたけれども、またいつの間にか消えてしまった。今、第二波が来て盛り上がりつつあるということで大歓迎であります。  実際問題として、小選挙区の投票をどうするのか、比例代表をどうするのかということになると非常に難しい問題がありますね。比例だって、ブロックだとするとどのブロックに属するのか。そうすると、やはり私が先ほど言ったように、全国一本という形にしておけば、小選挙区はできないけれども、少なくとも比例は海外で投票できるとかいうことがあるのではないかなと考えております。  以上です。
  38. 長崎和夫

    長崎参考人 あのロシアでも、と言ったらロシアにしかられますけれども、ロシアの大統領選で、日本に来ている船員さんまでが投票しているということですが、僕は、これはある意味では当然だと思いますね。  そのときに、問題がいろいろあると思います。今中島さんがおっしゃったような問題もあるし、それから、これもさっき申し上げたように、選挙運動が十二日間だと、その間に事務作業を進められるわけがありませんし、そういう技術的な問題をクリアして、極力早く実現すべきだと思います。
  39. 菱山郁朗

    菱山参考人 私もこの制度については、いろいろ難しい問題点はあると思いますが、インターネット時代、通信革命時代にありまして、可能な限り速やかに実現をさせる方向で進んでいくべきであるというふうに考えております。
  40. 山花貞夫

    ○山花委員 ありがとうございました。  今、長崎参考人から、ロシアでは船員さんもというお話がございましたが、実は、ついせんだって、全日本海員組合の皆さんが民主党の方にいらっしゃって、「実現させよう洋上投票 船員の基本的人権確立!」という、非常に長い間取り組んできた運動についてお話を伺いました。  パンフレット等を拝見しますと、実態も調査されて、真剣にこの問題に取り組み、また、船上ではなく、地上にいるときの投票活動の実態についても把握されておるということの中から、大変説得力のある要請をいただきました。  技術的な難しさについては、ファクスの投票を認めたらどうか、こういうような提案まで中には含まれております。また、こういう要請に至る現状といいますか、最近の船舶の専用船化あるいは高速船化によって停泊時間が非常に短くなっているということもあって、不在者投票制度を活用することが非常に難しくなっている。こういうような事情も兼ね合わせた中で、ファクスということで、いろいろ問題点があるなと思いながら、実は冒頭お話しいただいた電子投票の問題と、今、菱山参考人のおっしゃったインターネット等の活用等々含めると、これは少し知恵を絞れば可能性はあるのではなかろうかという気もしないではないわけです。  投票について、日本はこれまで、秘密投票制度とか投票の公正さという極めて潔癖な投票制度だったわけですが、何らかの、電子投票あるいはそこに至るまでの段階の中で、どちらを優先させるかということになると思うのですが、こうした船員の皆さんの投票権問題などを拡充するということについては、何か知恵を含めてお話がないだろうか。  時間の関係がありますので、電子投票に触れていただいた江口参考人と船員に触れていただいた長崎参考人、それからインターネットに触れていただいた菱山参考人のお三方に、この点だけお伺いしたいと思います。できれば江口さんから。
  41. 江口伸幸

    江口参考人 これも詳しく勉強しているわけではないのですけれども、自書式投票というのはもう日本ぐらいだというようなことが書いてある論文もありますし、冒頭言いましたように、こういう問題がある、ああいう問題があると言っているうちはなかなか物事は進まないと思うのですね。こういうメリットがある、こういう利点があるという、デメリットをカバーして余りある利点があると思いますから、やはりそれも実現へ向けて検討をすべきテーマだと思います。機械式、電子式の質問に対するお答えということですけれども。
  42. 長崎和夫

    長崎参考人 日本の制度は非常に厳密な秘密投票ということになっていますけれども、例えば、自書式だから立会人が動きを見ればわかるとか、カーテンが個室に区切られていないからむしろ日本の制度は余り秘密投票ではないという論評も逆にあるくらいであります。  どこまで秘密投票を確保しながらそういう電子投票なりをやるかということは、技術の進歩もありますし、私はそういうことに全く暗いのですけれども、これは可能だという意見の方が強いのだと思うのですね。そういう意味では、そういうことで道が開けるというふうに感じます。
  43. 菱山郁朗

    菱山参考人 ちょっときのう聞いたばかりの話なのですが、とにかくパソコンネットワークとか、いわゆる情報通信、CS、BS、それからもう少したつと、成層圏に上げるバルーン式の新たなシステムみたいなものができるということで、二〇二〇年はまさに情報通信のピークを迎えるというお話なのです。いずれにしても、この情報化社会では、新しい制度もそれに合わせて変えていくべきだ。  先ほど自書式、記号式の話がありましたけれども、私は、やはり記号式投票は、選挙制度の改革の一つのシンボリックなものであったと思います。ただ、自分の名前を書いてもらいたいという議員心理、議員先生方の気持ちは重々御理解いたしますが、いわゆるこの三分の二条項と差しかえといいますか、どさくさ紛れと言ったら失礼ですけれども、自書式になってしまった。  私は、選挙制度の改革は、ぜひ皆さん、そういうようにばたばたと変えるのではなくて、自信を持ってこれをつくったんだから、やはりそれを生かしてもらいたい、どんどん前へ進めていただきたいということで、そういう将来の新しい通信革命、技術革新に備えての投票制度をぜひ採用していただきたいと思っております。
  44. 山花貞夫

    ○山花委員 ありがとうございました。
  45. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、木島日出夫君。
  46. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  端的にお伺いしたいと思うのですが、選挙制度を考えるときに考慮すべき要素、メルクマールというのはいろいろあると思います。民意の正確な反映、民意の集中、集約、政権の創出、交代、政党本位政策本位、金権選挙打破、その他いろいろあると思うのです。八次審答申の話も出されましたが、八次審答申もはっきりした価値基準というものを打ち出していると思います。  きょう長崎参考人がお見えなんですが、毎日新聞が九三年十一月十九日付で、ちょうど小選挙比例代表並立制の関連法案が衆議院で採決された翌日の朝刊で長崎参考人が論評しております。持ってきておるのですが、「本当に「改革」なのか」「選ぶ側の論理無視」という見出しで大変重要な指摘をしているわけです。  その中に、「選挙制度は、その国がどういう民主主義を根づかせようとしているか、と密接不可分な問題である。そして民主主義思想の発展と表裏をなす現代の選挙制度は欧米を起源に二百年以上の歴史を刻むが、民意の「反映」と「集約」という相矛盾する要請に対する模範解答はどこも見いたしていないのが現状である。」まさに私は、この模範解答を見つけ出す責務が当委員会にもある、その一環として皆さんからのお知恵も拝借したいということで、忙しい中、参考人としておいでいただいて、貴重な意見を開陳していただいていると思うのです。  一般に、民意の反映を徹底した制度比例代表選挙であり、民意の集約を重視した制度が小選挙区制だと言われていると思うのです。今度の選挙の結果、はっきりとそれは数字で出てきたと思うのです。比例代表の各政党得票率議席占有率、小選挙区制の方の同じ得票率議席占有率、この乖離の状況。  そこで、まず第一点ですが、参考人各位は、我が国で民意の重要な要素の二つである反映と集約、どちらをより重視すべきだと考えているのか。先ほど中島参考人からは、六対四だ、バランスがまあまあだという御意見もあったわけでありますが、非常に大事なところだと思いますので、御意見をさらに突っ込んでお聞きしたい。長崎参考人の論評を引用いたしましたので、ぜひ中島参考人長崎参考人に御意見を賜りたい。  そして、非常に重要な点だと思いますので、江口参考人加藤参考人菱山参考人に、直接これに関する論述はありませんでしたが、どういうメルクマールが一番重要な点だと考えているのか、ぜひ御意見をお聞かせ願いたい。これが一つ。  そして、さらに突っ込んで、バランスはまあまあだという御意見、さっき言われたとおりですが、では一体、得票率議席占有率の乖離をどこまでなら許容できると皆さん方は考えているのか。例えば、小選挙区、比例代表を合わせますと、自民党は三五一七二%の得票で四七・八%の議席占有率ですから、一二%の差があるわけです。私ども日本共産党は非常に甚だしくて、小選挙区制は一二・五五%の得票で議席占有率〇・七%です。比例を合わせましても一二・八二%の得票率で五・二%の議席占有率です。  そこで、突っ込んで、今の議会制民主主義ということを根本に据えたときに、どこまでぐらいの乖離ならば我慢できると皆さんはお考えなのか、非常に重要な点ですので、ひとつ答えていただきたい。
  47. 中島勝

    中島参考人 なかなか数字で示すのが難しい話なのですが、今度の選挙の結果を総体として見ると、先ほども私申しましたけれども、六、四の比率、これぐらいでそれぞれの欠点を相互に補い合っているかどうか。五分五分という意見もあるかもしれませんが、五分五分にするとかなり単独政権の難しい世界に入り込みかかるのかなという感じがするわけであります。どうでしょうか、そういうことを全部総合的に言って、私は、六、四のところがまあまあのバランスではないかと申し上げた次第でございます。  得票率議席占有率の乖離がどの程度まで許されるのかというのは個別の数字ではあらわせませんけれども、今回の制度は大体のところに落ちついた、そういう評価をしておる次第であります。
  48. 長崎和夫

    長崎参考人 妙な昔のものを引用されてしまいましたが、実はちょっと裏話をいたしますと、その同じ日に、今私がおります論説の方は早くこの法案を上げろということでして、全く相反することを書いたので、ちょっと社内でも物議を醸しました。  それは別にしまして、私個人的には、やはり基本的には、例えば小選挙比例代表並立制よりも併用制の方がいいのではないか、民意の集中と反映ということでいえば、やはり反映ということにもう少し重きを置かれるべきではないかという個人的な考えを持っております。  しかし、では得票率議席率のどの程度の乖離が許されるかという問題ですけれども、これは数字としては言えないのでありまして、というのは、例えば共産党さんのように全部小選挙区に立てられてやっておられるところと、例えばピンポイントといいますか、一地方で集中的に候補を立ててやっておられるところでは、全国平均すれば、当然、議席率の乖離もあります。しかし、それがどの程度なら許容されるか、どの程度なら許容されないかということは、その選挙の戦い方いかんとも相当関係してくるものですから、一概には言えないのではないかという感じがします。例えば、議席の乖離を、二回投票にして五〇%にいくまでやるフランスのような方法だとか、多数を確保するということにいろいろな知恵を出してちょっとこれは話が違いますけれども。  今の話に戻りまして、私自身、では連立政権単独政権という場合、果たしてそんなに連立政権が悪いのかという感じがするわけであります。むしろ、単独政権だからよしで、民意の集中だから果断な政策決定ができるかというとそうではない場合もあるだろうし、要するに、民意の反映に基づいた連立政権だから政策の意思決定ができないということでもないのではないかという感じがいたします。  ちょっと散漫でしたけれども……。
  49. 江口伸幸

    江口参考人 民意の反映と集約、どちらも重要だと思うのです。どちらも重要だと思うのですが、衆議院は、どうしても政権をつくるというか、政権の基盤になるところですから、そういう意味で六対四になったと思うのです。私としては、それはそれでいいのではないかという気がいたします。  最初の二百五十対二百五十が、幾つかの経緯を経て、審議過程でも、六対四ぐらいが妥当なところではないかというような議論を経て三百対二百になってきたと思いますし、三百対百七十ならどうなんだということになってくるとあれですけれども、いろいろな議論を経て調和点を見出した部分がこの数字であろうと思います。  それから、得票率議席数の乖離の問題ですけれども、少ない得票差で大きな議席の差につながるというのが小選挙区の特徴でもあるわけです。そういう点でいえば、また乖離は、逆にこれを使えば、与野党、野党が次回の選挙でまたひっくり返す機会が非常に多い選挙制度だろうと思いますし、それがまさしく小選挙区の特色であるということで、数字でお答えできる回答はないのですけれども、そういうふうに考えます。
  50. 加藤純一

    加藤参考人 大変難しい話なのですが、集約と反映というのは、ここは衆議院ですので衆議院に限って考えますと、やはり先ほどどなたか言われた六、四ぐらいの感じで集約かな、そういう感じがするのです。むしろ反映の方を参議院に求めたい、私個人の考え方なのですが。だから、そういう二院制のあり方選挙制度でも考えていっていただけないかという気がしております。  それから、得票率議席率については、これは一番冒頭でも申し上げたのですけれども、結構民意は賢い判断をしたなということです。自分自身も投票に行ってわかったことなのですが、やはりスプリットボートというのが非常に多かったのではないか。要するに小選挙区と比例を使い分けた。それで今度の場合、確かに議席率と得票率の差が随分共産党の場合もあらわれたと思うのですが、一方で、共産党が重複復活してきた場面というのが大変多かったとも思います。だからその辺は、事前にいろいろ検討された結果だとも思いますが、そこが、制度がうまく働いたと言った意味でもあるのです。  ただ、これが何回もやっているうちに果たしてどうなるかという保証はちょっとわかりません。もしかしたら非常に定着してしまって、緊張感も何もない選挙になってしまう可能性もあるのかな。そうすると、その制度をなかなか動かしにくい状態になってしまうのかな、そういう気もしますが、そこのところはちょっとわかりません。  数字であらわすのは、私もとてもそこまでは言い切れませんので、御勘弁願いたいと思います。
  51. 菱山郁朗

    菱山参考人 民意の反映と集約、これは本当に両方とも大変大事なことでありまして、どちらが有利かという御質問については、非常に難しい。  ただ、日本の国が置かれている現状、これからのことを考えますと、やはりいろいろな意味で大変大きな決断を迫られている。大転換といいますか、基本的な構造改革とか、そういう意味では相当思い切ったことをやらなければならない。世界の中の日本という問題を考えましても、今や日本はパッシングからナッシングということで、日本は世界の中でかなり沈没をしかかっている。そういう中で、日本がこれから世界に向けて発信していくためにも、やはりいろいろな形でのリーダーシップというか、もっと世界に顔を向けた政治になっていかなければならない。  ですから、内向きなというか、内政論議も大事なのですけれども、外に向かっていくためには、やはり決断力それから政策に対する責任、そういう意味では、国民投票とか、場合によってはテーマごとにそういう選択肢も含みながら国民政策選択を迫るというようなことも視野に入れつつ、やはり私は、今の六対四という形で、小選挙区で民意の集約を図る、比例民意の反映ということでいいのかなという感じを持っております。  ですから、得票率議席占有率の乖離をどこまで認められるのかという御質問なのですけれども、共産党さんは、御質問の木島先生の党は、十五議席であった前回から二十六議席というふうに大きな躍進を遂げられた。非常に歯切れのいい野党らしさというものが大変受けたのではないかということで、この制度は、共産党さんは反対をされたわけですけれども、だんだんと共産党さんにとっても、これ逆質問はできないということでありますけれども、これからは、場合によっては政権に参加しなければならない時代が来る可能性もなくはないのです。  ということで、政治というものは常にダイナミックに、ダイナミズムで変わっていくべきですし、ぜひその辺を御検討いただきたい。ちょっと言い過ぎて申しわけございません。
  52. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、保坂展人君
  53. 保坂展人

    保坂委員 私は、五人の参考人の皆さんが実例としてお挙げになった、供託金を没収されたにもかかわらず当選をしてしまうという本人なわけです。  その立場からちょっと質問させていただきたいのですけれども、世の中いろいろ予想外のことが起こるものでございまして、私、選挙に出ようなんということは九月の段階では全く思っていませんで、十月一日に比例の候補として東京で選挙をやるということが決まったわけなのです。さらに、十月六日、これは本当に奇跡的な早さで、もう直前なのですけれども、小選挙区の立候補を決めた。したがって、選挙が始まりましたというときには、選挙カーもないという選挙の出方をしたわけであります。  それはどうしてそんなことをしたのかといいますと、一点、やはり比例選挙ということを体験された方がこの中にもいらっしゃると思うのですけれども、もちろん党の比例区候補といったすきをかけて、個人名も出せない、そしてその党として、いわば漠然とした選挙運動をせざるを得ないという形になるわけです。  私自身は、教育や子供のいじめの問題などでかなり個人名で訴えたい政策を持っていましたので、顔の見える選挙ということで小選挙区にも立候補したというのが経過なのですけれども、そうやって、期せずして両方の選挙を一人で体験したという珍しい当事者ではないかと思うのですね。要するに、午前中選挙区をやって、午後には東京のあちこちに行くということでした。  そういった体験から思いますのは、今回、だれが見てもおかしい当選者ということで、例えば毎日新聞などにも、落選しても国会へなんというふうに写真入りで出てしまったわけなのですが、よく考えてみますと、社民党に入れた東京の二十八万票ということで、一人だけしか当選しなかったのですが、割合で言うと五・四%の票をとっているわけですね。小選挙区で十二日間だけの運動で五・八九%の票なのですね。だから、そこそこ同じようなものだったわけです。  例えば、長崎さんは併用制のことを挙げられましたけれども、ドイツの選挙制度でも、かなり厳しい阻止条項というのがあって、これは五%を超えないと政党として議席がもらえないという阻止条項なのですけれども、この供託金のレベルというのは一〇%なのですね。  いろいろマスコミの皆さんの御質問に答える形で、そして海外にも私の例が響き渡ったようで、取材も来られまして、ドイツのアクセル・クラインさんという方ですが、読売新聞一月十六日に記事が出ているのです。例えばコール首相も小選挙区で落選をするということもある、あるいは、有名なゲンシャーさんは常に一〇%前後、ノーベル平和賞の候補になったときですら一五%しかとれていないが、そのことを問題にする人はだれもいないということなんです。  特に、併用制あるいはこの選挙の現状に問題があるというふうにおっしゃった長崎さんと菱山さんに、先ほどの御見解を、今のお話を踏まえてどういうふうにごらんになるかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  54. 長崎和夫

    長崎参考人 基本的にはさっき申し上げたとおりのまた繰り返しになりますけれども、ドイツと基本的に違うのは、向こうは比例代表が主ですから。日本の場合は、小選挙区と比例代表という全く別の制度をつないで、その間のブリッジが、ある意味で、逆に言うと重複立候補が逆にブリッジだけをしているという感じなわけですね。そういう中で、比例代表が決まって、そこを小選挙区の議員が埋めていくというなら非常に連続性がありますけれども、今回の場合は全く別の選挙で、両方に保険を掛けている。  そういう意味では、政党の側からすれば、確かにこの人は、保坂先生はもう何としてでも入ってほしいからということで一位にして云々ということなんでしょうけれども、そういう意味では政党の側の理屈はわかるんですけれども、じゃ、有権者の側からすれば、要するに、一位の方の一四%弱ぐらいしかないという得票ですね。  そうすると、さっき申し上げたように、この小選挙区の特徴は、要するに、当選させたい議員を選ぶということの反面、あの人だけは落としたいという投票行動も可能なわけでありまして、そういう意味も込められている選挙だとすると、それが次点ぐらいまでだったら結構なんでしょうけれども、やはり先生の選挙区でいえば、明確にいわば十何%の支持しかなかった、それが片っ方で全体では受かってくるということになると、そこの選挙区の有権者からすれば非常に割り切れない気持ちがあるだろう。  それならば、潔く最初から比例区だけの方で、おまけに東京という、いわば選挙区が全部くっついている非常に戦いやすいところですから、先生の場合は、これはまことに失礼ですけれども、小選挙区に出られずにやられた方がむしろすっきりしたのじゃないか、こういう感じがします。
  55. 保坂展人

    保坂委員 菱山さん、お願いします。
  56. 菱山郁朗

    菱山参考人 大変先ほどは失礼なことを言ってしまいましたけれども、やはり今の長崎さんと同じでありますが、やはり選挙というのは非常に厳粛で、国民投票することによって出た結果というものは現実として厳しいものである。ですから、東京二十三区、山花先生も出られたわけですけれども、どうしても今回の選挙の結果、どこかおかしいところがあるかという非常に象徴的な、シンボリックな選挙区として、申しわけありませんが、五・九%で当選されたというのは、非常に残念な結果ではありますけれども、これを評価するわけにはまいらない。  ただ、比例という制度で出られたんですから、先ほど長崎さんがおっしゃったように、私は、小選挙区に出馬されないで比例だけで全国を回られて、我が社民党の中にはおれがおるよ、そういう運動をされた方がよかったのではないかという気持ちを持っております。  以上です。
  57. 保坂展人

    保坂委員 要するに、だれが見てもおかしいという当選者は、私の目から見れば、例えば汚職議員というふうに言われた方が堂々当選したり、あるいは厚生省の問題でも、かなり高い得票で落選された方が逮捕というようなことにもなっています。  当選後の私のこういった質問の機会というのは、実はきようで十回目なんですね。法務委員会で三回、文教で三回、そして予算で三回ですか、その都度、リゾート法だとか、国連の子どもの権利条約だとか、薬物依存者に対するケアサポートシステムだとか、あるいは高校中退、いじめの問題とか、いろいろやっておるんですが、ぜひマスコミの皆さんも、だれが見てもおかしいと書いた以上は、ちゃんと追跡して、本当におかしいのかどうかを検証していただきたいなと思います。  一点だけ最後に、企業・団体献金の廃止という問題がこの政治改革論議の中で繰り返されてきたと思うのですね。五年間で見直しということになっているんですが、私としては、あるいは社民党としても、これは、企業・団体献金は廃止ということがセットでなければ政治改革は貫徹しないんじゃないかという立場なので、それについても簡潔にお一言ずつお願いしたいと思うのですが、江口さんからお願いします。
  58. 江口伸幸

    江口参考人 現実に、政治に金がかかるということが一つあるわけですね。選挙制度がどんな選挙制度であっても、選挙に金がかかるというような現実が一つあるわけですし、他方、個人献金というのは、これはもう論じ尽くされている話ですけれども、日本人の考え方にまだ定着していないというような部分があるわけですから、ある程度の企業・団体献金は仕方ないかなという気がいたします。要は、監視をきちんとして透明の度合いを図るということが大事だろうと思います。
  59. 加藤純一

    加藤参考人 これは全く私としましては妥協の余地のないことで、そういうふうにも書いておりましたし、政党助成というのはそのための見返りなのであって、二重取りはお断りでございますということは書きましたし、その考えは変わりません。
  60. 中島勝

    中島参考人 政治にお金がかかるということはそれを認めるとして、じゃ、だれがそれを負担するのかということですけれども、なかなか個人の善意といっても集まらないのも現実であります。いろんな経緯があって今税金をかなり部分投入しているわけでありますが、じゃ、全部税金でやるとかいうことについても、なかなか国民的合意も得られないでしょう。  そういう事態の中で、企業・団体の献金は、方向としては私は廃止に当然向かうべきだと思いますが、今直ちにやってうまく全体が機能するのか。だから、目標としてはいずれそれをゼロに漸進的に持っていくということが現実的ではないかというふうに思います。
  61. 長崎和夫

    長崎参考人 ほぼ同じですけれども、中島さんよりかもう少しスピードアップして廃止を早くすべきだというふうに考えます。金はかかっているんでしょうけれども、かけているという逆の実態の方が強いのではないかという印象を持っています。
  62. 菱山郁朗

    菱山参考人 私の基本的な考え方も、きょう、あしたというわけにはいかぬと思いますが、企業・団体献金は基本的にはなくすべきである。  やはり、それにこたえるというか、政党助成で一人コーヒー一杯分、三百九億とか言われておりますが、私は、このお金をぜひ、政党政策スタッフの強化とかシンクタンクを必ず設けるとか、人材養成機関、大学みたいなものを設置するために使ってほしい。役所に依存して情報をとる、業界に依存して情報をとるということではなくて、やはり政党の近代化というのがこの新しい公費助成という制度の大きな目玉であります。  ましてやそういう政党が企業、団体とかからお金をもらうということじゃなくて、アメリカもイギリスも、それぞれ、民主党であればブルックリン研究所、共和党もヘリテージ財団、イギリスも、政策研究センターとか、労働党もIPPRとか、直属ではないにしても、それぞれの党がちゃんとしたシンクタンクを持っている。こういったような、政党のさらなる政策形成能力を高めるためにお金を使ってもらいたい。そのためには、私は個人的な考え方ですが、コーヒー一杯分ではなくて、カレーライス一杯分ぐらいにしてもいいと思います。  そして、今、各政党がばらばらにあちこちに政党本部がございますが、私は、国会の中に政党会館を建てて、これは公費でつくっても構いません、それから与党本部は官邸の隣につくるというような、政党と各機関を非常にスムーズなものにするということで、ちょっととっぴな発想ではありますが、ハウスの改革なども将来は行う。ハウスの改革というのは、国会をもう少し、今の上意下達式な審議のシステムになったこのハウスの器そのものを変えていくといったようなことも含めて、企業・団体献金のテーマから大分それましたけれども、せっかく制度化した公費助成というものは、党の近代化のため、あるいは政党がみんなで賄い合えるというようなシステムに変えていくべきだと思います。
  63. 保坂展人

    保坂委員 時間で、もう終わりますけれども、企業・団体献金の廃止について、やはりこれは五年間という、今経過中でございますけれども、しっかり国会の中でも議論を深めていきたいと思います。  そして、選挙の戦い方の御助言もいただいたわけなんですけれども、私は、この小選挙比例代表並立の選挙制度そのものに対して、参議院の否決ということもございましたし、かねてから深い懸念というか、疑問を持ってまいりました。そういう選挙制度、ここに矛盾ありということを実証したという、名誉を犠牲にしながらですが、そういう意味はあったのかなというふうに思っております。そういう意味で、あるときには参考人になりながら、この選挙制度問題の議論に参加をしていきたいと思います。  ありがとうございました。
  64. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、堀込征雄君。
  65. 堀込征雄

    ○堀込委員 五人の参考人方々、本当にきょうはありがとうございます。いろいろ御指摘をいただいて、私もこの問題にかかわってきた一人として、今度の新しい選挙制度による選挙の幾つかの問題点がわかったと思うわけであります。  きょうは、そういう中の問題点一つ、大変失礼でありますが、前回の各社の皆さんにもお聞きをしたわけでありますが、小選挙比例代表並立制の場合、特に小選挙選挙の場合、マスコミ報道と投票行動の関係について伺いたいわけであります。  場合によれば、このマスコミ報道、世論調査の発表、これが当落の死命を左右するような実態もなきにしもあらずなわけであります。そういう意味で、世論調査の報道、あるいは選挙の予測報道、まあ週刊誌なんかが半年前から丸、バツ、三角つけるのは別にしまして、世論調査の結果で、だれそれ一歩リードとか有利とか報道されますと、小選挙区の場合はどっと投票行動が流れるという傾向が、率直に言って、各所の選挙後のいろいろな投票行動の調査によっては出ているようでございます。  これは、今の地方公共団体の長の選挙なんかもそうでありましょうが、やはりこの制度は、マスコミの予測報道が投票行動に相当影響をもたらすという弊は免れないのではないか、こう思うわけでありまして、フランスなんかではそういう弊害もございまして、一週間前ですか、幾日か前から世論調査の公表禁止の法律もできているわけであります。  こういう点について、まず新聞の方といいますか、文字メディアの方の、江口加藤長崎、三人の参考人方々に、我が国もある程度規制したらどうかという考え方を私が持っているとしたらどうお考えか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 江口伸幸

    江口参考人 もう一歩と書かれる方が一番中選挙区では有利だったということをよく言いますけれども、事前の情勢は、先生方から見れば相当無神経なように見えるかもしれませんが、書く方は随分神経を使って書いているんですね。注意して書いていますから、書いているということをまず御理解願いたいと思います。  それと、大きな選挙の流れを、今の状況はこういう選挙の流れになっていますよとこのまま知らせるのも、マスコミの大事な仕事だと思います。
  67. 加藤純一

    加藤参考人 大変乱暴な言い方になりますけれども、そのくらいは織り込み済みで、やれるしぶとさを持っていただきたいというような感じがするんです。  ただ、この問題は、やはりそう簡単に規制できるような話でもないし、例えば一週間前から禁止するといっても、それがどの程度公平な結果につながるかというのは、なかなか検証できないと思うんです。例えば、一週間前までのものは公表されているとしたら、それがそのままもし続いているとするとどうなのかとか、いろいろ問題があると思うので、むしろそれは、余り細かい機械的な作業をしないで、最初に申し上げたようなことでやっていっていただいたらいかがかなと思います。
  68. 長崎和夫

    長崎参考人 まず、今回のことだけでちょっと申し上げますと、今回の選挙では、マスコミの報道と選挙結果が意外に乖離しなかった割合珍しい、珍しいと言うと、これは自己否定になっちゃいますね、ちょっとこれは訂正します。というか、最近になく非常に一致していた選挙ではなかったか。それは、一つは、マスコミ報道によるアナウンス効果と、それから勝ち馬に乗りたいというバンドワゴン効果というのがある意味では相殺されたという要素が強くて、予想どおりの結果になったということがあるという、その事実だけまず申し上げておきます。  選挙予測報道については、基本的には私は、これは報道側の自主的な、自制にお任せいただきたいと。例えばフランスの場合も、今先生御引用になりましたけれども、あのときも、ちょっと私、もうつまびらかに、前はちょっと覚えていたんですけれども、忘れましたけれども、非常に強権的にやった。結果的に言うと、何が起こるかというと、要するにマスコミに全部、調査も禁止させるということになると、そういう調査機能を持っている政党だけが情報をとってしまうということになって、これは逆におかしなことになる可能性があるわけですね。  やはり今我々としては、先生方から見れば非常に不十分かもしれないけれども、江口さんがおっしゃったように、特に一人の当落でありますから、その表現については非常に神経を使っているところであります。その辺もマスコミ側の自主的な、ある意味では、一部の調査機関を持っているところだけが知って、それを独占してあるところだけに流すというようなことではなくて、やはりマスコミを通じて全体に、全有権者がそういう情報に接するということが必要ではないかと思いますし、それは権力側というか、介入すべき問題ではないというふうに考えます。
  69. 堀込征雄

    ○堀込委員 これは、権力側というか、そういう話じゃなくて、やはり、そうはいってもある程度自制ある報道、有権者の選択の中で行われるようなことが欲しいかなという感想を私は持っているものですから、ちょっと今申し上げました。  そこで、今度、中島菱山参考人にお尋ねを申し上げたい。  今の問題と、それから最近、出口調査というのが、今度の選挙でもしきりに行われまして、投票所が閉鎖する前に、午後三時か四時ごろから午前中の出口調査の結果みたいなのが報道されたところもあるわけでございまして、非常にこれは投票行動に大きな影響を与えるんじゃないかということで、前段の問題とあわせて、テレビ側というか、メディア側として、その辺についてお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  70. 中島勝

    中島参考人 出口調査の方からお答えいたしますが、出口調査という手法が盛んになってきましたのはこの四、五年で、経験を積むに従って、はっきり申し上げて非常に正確であります。事前の世論調査などは足元にも及ばない精度を持っていますので、我々としても、正確に早くいろいろなことを判断するという意味からこれを重視しているわけでありますが、これを導入するに当たって一番我々が気を使ったのは、まさに今御質問のあった点であります。  ちょっと内部事情にかかわることでありますけれども、午前八時とか九時ぐらいからずっと調査を始めて、夕方の四時、五時ぐらいまでやるわけでありますけれども、途中で集計をしたりするデータが全国から集まってくるわけであります。かりそめにもこれが選挙の陣営に漏れるとか外部に出るというようなことになると、これはもう明らかに選挙の公正を害するわけでありますから、表現としては、NHKの中にある極秘情報の中でも最大の極秘という扱いをしております。  絶対に漏らしてはならないということで、実はこの管理に非常に頭を痛めているところであります。今、ファクスは発達しているし、すぐコピーはやるし、何かたたくとすぐ画面には出てくるし、こういう時代になっていますので、いろいろな暗号コードをかけるとか、それぞれ地方においてもそれに目を通せる人間は一人、二人に限定するとか、非常に苦心を払っているということを申し上げたいと思います。  それから、予測報道のことでありますけれども、私ども、放送というのは放送法の規定があるし、さらに公職選挙法の規制もかかってくるということで、公平な選挙報道ということは、これはもう法律から要請されていることであります。そういう中で、我々としては、やはり個別の選挙区について個々の方の強弱を世論調査に基づいて伝えるということはやはりいかがなものかということで、それはもう伝統的にやっておりません。  ただ、全体の流れとして、この政党過半数をとりそうかどうかとか、新しい党が意外に善戦しているとか、苦戦しているとか、そういったものは有権者投票行動に対して非常に重要な情報を提供するという考えから、世論調査自体を全部公表しないということではありませんけれども、一々の当落に関係するようなことは厳に慎みたいというのを基本方針にしております。  以上です。
  71. 菱山郁朗

    菱山参考人 今中島参考人がおっしゃったこととほぼ同じでございますが、日本テレビも、私は世論調査室長というのを兼任しておるのですが、出口調査を先駆けてスタートさせた民放としては、日本テレビが最初でありました。それで、その精度といいますか、大変当たってしまいまして、例えばおととしの統一地方選挙のとき、これはもう一位から五位までぴつたしカンカンで、余り当たってしまったので、これはどうなんだ、ノーベル賞だというような話も出たくらい、その出口調査が当たってしまいました。  ですから、テレビ局としては出口調査に勝負をかけて、投票終了と同時の夕方六時から、大変僭越ながら、こういう結果が出ましたと出口調査もとに大胆な大勢判明をやります。そういう私どもの一つの目玉商品といったらあれなんですけれども、やはりこれは朝から晩まで投票所で調査、集計するわけで、その情報の管理は本当に先ほど中島参考人と同じように徹底して厳しくやっておりまして、今回どこかで漏えいしたという報道が一部にありましたけれども、私どもの系列ではそのようなことは厳に慎んでおって、そのようなことはなかったということであります。  それから、事前の世論調査ですが、これは私個人の本当の気持ちをもし言わせていただくならば、アナウンスメント効果というのが今回やはり二五から三〇はあったなと。かつて田中判決選挙のとき、中曽根政権のときだったのですが、「自民安定多数確保の勢い」という見出しが出たわけですけれども、あのとき自民党は少数になって、たしか新自由クラブと連立を組んだ。そういうことを繰り返してというか、歴史的にそういう経過がありますので、事前の調査というのは必ずしも当たらない。  ただし、バランス感覚みたいなものがあって、アナウンスメント効果というのは、有権者に対して、ああそれでは余りこの一党を勝たせてはいかぬなとか、そういう何かブレーキ役というかハンドリング、ある意味では、いいか悪いかというのは別にして、有権者を非常に冷静にさせる、そういう要素みたいなものがあるのかもしれません。  いずれにしましても、新聞社の皆さん方が社運をかけてやっておられることに、民間放送機関がどうだとか、そういうことは言う立場にありませんので、事前の予測報道についてはコメントのしようがありませんけれども、ただ、日本テレビとしましても、一定の事前調査データをもとに、個別小選挙区については一切触れませんが、大勢として、先ほど中島参考人からもお話があったように、やはり新制度の導入ということもございまして、事前のある一定の段階で、大きな流れというか、大勢的な全体の流れについてはこんなようなデータがありますよという報道はいたしました。  でも、それは参考情報ということで、個別の選挙区や候補者のことには一切触れておりません。白か黒か一人を決める選挙というこの新しい制度の導入によって、その辺の個別の選挙区についての予測報道はすべて避けました。ただ、全体の流れについてのみ情報は伝えました。  以上です。
  72. 堀込征雄

    ○堀込委員 時間ですので終わります。
  73. 中馬弘毅

    中馬委員長 各党一巡の代表質疑はこれで終わります。  午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ────◇─────     午後一時三十二分開議
  74. 中馬弘毅

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  午後からは、参考人に対し、各委員が自由に質疑を行います。  質疑の際は、議事整理のため、委員長の指名により発言されますよう、また、所属会派及び氏名を述べた上、お答えいただく参考人のお名前をお告げいただきたいと存じます。  なお、一人一回の発言は三分以内にまとめていただくようお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  75. 大村秀章

    ○大村委員 先ほど江口参考人加藤参考人にお聞きしたわけでございますが、時間切れでお聞きできなかったものですから、改めての中選挙区の評価ということと、低投票率に対してどう考えたらいいか、どういうふうな方策が考えられるか、妙案か何かがあればお考えをお伺いしたいということで、この二点につきまして、中島参考人 から順次お願いできればと思います。
  76. 中島勝

    中島参考人 中選挙制度については大変な議論があるわけですが、私は一点だけ申し上げたいと思いますけれども、一番の問題点は、過半数を目指す政党が結局一党に絞られてしまう、野党の方は、もう候補者数から見ても過半数など放棄してしまって、万年野党というような形になっていくということではないかと思うのですね。  ですから、立候補者の数をずっと見てみるとよくわかることだと思うのですけれども、余り古い話をしても始まりませんが、保守合同とか社会党の左右統一後、最初に行われた選挙がたしか昭和三十三年でありますね。それからずっと、中選挙区で最後になった四十回の選挙まで、衆議院の総選挙が十三回行われていますけれども、議員過半数というのはその時代によってそれぞれ違いますけれども、過半数以上の立候補者を立てた政党が複数、二つあった選挙というのは、ただ一回しがないのですね。私が言いました昭和三十三年の選挙では、もちろん自民党と、統一した社会党が、いずれも過半数を超える立候補者を立てております。  しかし、その後の十二回の衆議院選挙というのは、過半数を超える候補者を立てた政党は自由民主党だけ、あと政党はそれに遠く及ばない数の候補者しか出していない。つまり、一党で、単独政権を目指すという構えを、もう既に立候補者の段階から放棄しているということであります。その結果として何があるかというと、自由民主党の一党支配が永久化していく、片や野党は万年野党という形で、政権に参加しないという状態が恒常的に続く。  私は、中選挙制度というのは、時代が経るに従ってこのことを制度的に裏づけてしまったというところにやはり一番の問題があるのではないかというふうに思います。そういう意味で、戦後日本の政治をずっと見た上で、中選挙制度に対する歴史的評価というのは定まっているのではないかというふうに考えるわけであります。  失礼ですが、もう一点は……。
  77. 大村秀章

    ○大村委員 もう一点は低投票率についてですが。
  78. 中島勝

    中島参考人 低投票率ですか。これは、具体策といっても、いいのがあればすぐやっているでしょうから、なかなか難しいのですけれども、先ほども私申し上げましたけれども、まず政党、それから政治家の皆さんに、政治をおもしろくするという一点で御努力を願うということがまず一つだろうと思います。  それから、あと、技術的なことで少しでも改善につながると思うことはなるべくやってみたらどうかという感じでありますが、まず、投票時間の延長ということもどうでしょうか。今の時間帯よりも、特に夜の方を長くするというようなことが必要ではないか。立会人の確保その他で大変難しい点があることはわかりますけれども、夜の八時ぐらいとか九時ぐらいまでは投票時間を延長するというようなことはどうか。  それから、複数投票日というようなことをおっしゃる方もいますけれども、やはり投票日は一日ということでいいのでしょうけれども、その日、旅行に行ったり遊びに行ったりということもあるわけですから、常に不在者投票をもっと気軽にできるようにする。今、不在者投票をするといったってなかなか手続が難しいし、どこでやっているのかもわからないわけですから、もっとそれを大々的に宣伝して、投票日に投票に行けない、あるいは行けなくなるかもしれないという人は、思い立ったときになるべく早目にどんどん投票しておくというようなことならば、かなり現実的に手がつくのではないかという感じがします。  どうも私も、思い立ってこうしたらいいんじゃないかということになると具体的な案は持ち合わせていないのですけれども、この辺で御勘弁を願いたいと思います。
  79. 長崎和夫

    長崎参考人 たしか政治改革の直前のころ、何かニューズウイークで、中選挙区制と、それから派生した五五年体制について、これほど変化をおくらせる見事なシステムはないと、非常に皮肉なことを書いてあったのが記憶にあります。  確かに、中選挙区制のもと自民党の派閥政治が横行し、金権政治が横行し、その温床になっていった。それが腐敗、あげくは、一党支配が続いたことによるいろいろな矛盾が出てきたということだったと思うのですね。そういう意味では、中川選挙区制は非常にマイナスの要素が多いのです。  しかし、選挙制度そのものとして考えた場合には、中選挙区制というのは準比例代表というか、少数意見も適度に反映されるし、それから、民意の集中ということも、これは今中島さんがおっしゃったように、確かに過半数を超えるというか、政権をうかがう政党がなかったのは事実でありますけれども、これは裏返しの問題として、日本は東西冷戦構造下で自由主義陣営、市場主義経済の方に身を置くという選択をしている中で、それに対する軸として、社会党が反安保、護憲とか、いわば非常に硬直したアイデアしか出さずに、中選挙区制の中の一定の住みよいところで安住してしまったということが大きいのであります。  要するに、冷戦も終わって、対立軸というのはまだ明確になっていませんけれども、小さな政府だとか大きな政府だとか、国家を重視するのかとか個人を重視していくのかとか、いろいろな軸ができてきて、やりようによっては、僕は別に、中選挙区制だから政権を担おうとする政党が一党しか出なかったというのは必ずしもパラレルというかイコールではないのではないか、現に中選挙区制のもとでああいう細川政権が誕生するということもあったわけですから。  そういう意味では、中選挙区制が諸悪の根源だというふうに決めつけたのが、僕は実は、ちょっとその最初のところでボタンのかけ違いがあったのではないか。特に、一九八八年に竹下内閣のもとで、政治改革をいつの間にか選挙制度改革にすりかえていって、それで議論をそこから組み立てていったということが、どこかいまだに釈然としない思いがあります。そういう意味では、僕は、制度として見ればなかなか、日本的かもしれないけれども、いい制度ではなかったかなという感じがします。  しかし、じゃ今からこれを戻せばいいんじゃないかという議論が当然今もあるわけですけれども、これは私、去年のちょうど今ごろだったと思いますけれども、当時の議員有志の方でつくっておられたのでしょうか、社民党の方を中心にして、中選挙区制を志向している議員の集会がありまして、そこへ呼ばれてお話をしたのです。  しかし、そのときはまだ選挙前ですから、あなた方自身、この中には何人もあの制度について賛成した方がいらっしゃる、一貫して反対したというならともかく、党としても賛成し、やってきたのじゃないか、その方が、今からもう、やる前から戻そうというのはおかしいよと。過ちは改むるにはばかることなかれとおっしゃった方もおられましたけれども、やはり朝令暮改的に、やりもしないうちに制度を変えようというのは、むしろ逆に、それこそ政治不信を倍加させるものであろうということ。  それからもう一つは、もし戻せというならいい方法がありますよ。あなた方、自分自身の判断を、いわば国政の最高機関で判断を間違ったのだ、その不明を恥じて、あなた方が向こう三回とか十年間ぐらい立候補されないということと、もう一つは、片っ方で三百九億円という政党助成金をもらっているのだ、それを返還してきれいさっぱり、私はともかく自分の不明を恥じて、だけれども過ちは改むるにはばかることなかれで、もとへ戻そうとおっしゃるなら私は賛成しますよと。  その二条件もなしに、自分自身がどうも小選挙区制のもとではやれないからもとへ戻したいというような、そういう了見では困るというお話をしたのです。  それで、今度の結果で見ると、これもさっき申し上げたように、割合とうまい民意を示した。これはたまたま、今回限りかどうかわかりませんけれども、自民党に勝たせたけれども過半数は与えないとか、さっき申し上げたように、ある新聞社が試算したところによると、中選挙区制でやった場合、区割りも全部変えてみてもそれほど大きな差がなかったということだとか、いろいろな意味で今度の制度は小選挙区制と比例区のバランスが、今回限りかどうかわかりませんけれども、うまくいったんじゃないか。だから、これは当面、やはり何回か続けていって、基本的な問題があるならそこでやるべきである、見直しを考えるべきだと思います。  それと、投票率のアップでございますね。投票率の方は、これは二つあると思うのですね。技術的に解決できる問題と、より根源的な問題があると思うのです。技術的な問題というのは、例えば今も中島さんおっしゃったように、平日投票を導入するとか投票時間の延長とか、それから不在者投票の活用ですね。  ちょっと余談で申し上げますと、私の息子が不在者投票に行ったら、区役所で事細かに理由まで聞かれて非常に不愉快な思いをした、さも投票するなというような格好で言われた。たまたまそういう思いをしていたら、永六輔さんが私どもの紙面の中で、不在者投票へ行ってみて非常に不愉快な思いをしたことを書いておられたのですけれども、その辺をもっと改良するとか、いろいろな方法があると思うのですね。  そういう技術的なことで解決できる問題と、それと、より根源的な問題といいますか、やはり政治が関心を持たれるように、政治不信を解消して政治の方に国民の顔を向けるようなことを政党自身、国会自身が努力されないと、基本的にはなかなか難しかろうという感じがします。  それと、これはちょっと相矛盾するかもしれませんけれども、より根源的なことでいえば、小選挙区制になれば、どうしても当落が判明して、もう最初からアプリオリにわかっているという選挙区があるわけでありまして、そこのところでどうも、投票もともと行かないということになる。  それから、投票率が下がること自体が絶対悪かというとそうではなくて、ある意味では、現状に対して安心感を持っているとか、危機感がないと言えばその裏返しですけれども、そういう要素というのもあると思うのですね。  だから、あるところで昔聞きましたけれども、もう来なかったら戸板に病人まで乗っけて投票に行くなんということで無理やり上げるというようなことじゃなくて、やはりその辺は自然体で、行かない部分がある程度あるというのは甘受した上で、政治家の努力で政治の方に向かせる、あわせて技術的な、投票に行きやすくする工夫をいろいろ重ねていくということが必要ではないかと思います。  以上です。
  80. 菱山郁朗

    菱山参考人 中選挙区制についての御意見ということですが、ほどほどの民主主義といいますか、何となくおおらかな中選挙区というか、郷愁みたいなものも私の心の中にないわけではありません。あのころ、つまり私が政治記者をやり始めた四十八年とかそれからしばらく、何となくみんなおおらかに、自民党方々も私が言ったことに一々腹を立てたりビデオでチェックしたりというようなことはなかった。かなりおおらかな時代でありました。ところが、新制度になってからは非常にシビアになった、つまり白か黒かを決めろということで。だから新制度が百点満点ではないという一つの論拠にもなるわけではありますが。  ただし、やはり大きな歴史の転換点というか、戦後の政治の中で、自民党がいろいろな意味で非常にフレキシブルに、柔軟にいろいろな国のかじ取りを、何とか社会党と協力しつつ、対立もしながらやってきた。それはやはり、アメリカとソビエトという米ソ冷戦構造の中での、国内のそういう対立システム、それで来たということで、ある程度は中選挙制度は機能して、その制度は生かされたというふうに──私は、だから小選挙比例代表制が絶対だめだというわけではないのでありますが。  ただし、先ほどお話ししましたけれども、八八年、八九年ごろ、やはり世界的な大変動、そして国内では消費税の問題とか、リクルート事件や金丸・ゼネコンとか、いろいろと一連の不祥事がなぜどうしてこう起きるのだろうというふうに振り返ってみますと、やはり基本的には、中選挙区では同じ政党の同士打ちによって、どうしても政策論争が不在になってしまう。大政策の選択が中選挙区のシステムではなかなか難しくなってしまう。まあ直結するのは難しいかもしれませんが。いずれにしましても、政策論争が不在であった。  それで、スキャンダル合戦とか、それからやはり過熱したサービス合戦。これはお祭り事とか。私の息子の卒業式にある政党から祝電が必ず来ていた。当時与党の人からでしたけれども、一中学校に祝電が必ず来るということは、同じ選挙区内の全部の学校に多分出しているに違いない、そうすると相当なお金のむだ遣いだということで、冠婚葬祭にお金をかける政治というものが、やはりサービス合戦ということで中選挙区制の中ではかなり行われていた。  それから、大きな問題としては、自民党に三角大福中という日本の政治を担ってきたかなり立派なリーダーがいたことはやはり事実であります。そういう方々が日本の大きな節目節目でいろいろな仕事をされた。そういう自民党のボス支配型政治といいますか派閥支配政治といいますか、それは、中選挙区制であるからこそ、つまり、定数五人のところに、自民党から出る場合はあの派閥に入らないと出られない、そういうことで、派閥がどうしても温存、助長されてしまう。つまり、自民党のボス支配型の派閥政治というもののまさに元凶が中選挙制度にあったということは事実であります。  一方で、本当は中選挙区制で社会党がもう少し頑張ってくれていたら政権交代があったかもしれませんが、社会党がどうしても、申しわけありませんけれども、労働組合依存体質みたいなものがこびりついてしまって、五人のところに一人しか出せないというような残念な状況になってしまって、政権交代が永久に不可能な状況がずっと続いてしまった。  つまり長期自民党優位体制、すなわち政権交代なき政治システム。そして自民党が数の力でいろいろ大きなことをやって、政策的な成功もあるわけですけれども、不祥事を起こした。ロッキード事件とか先ほど言ったいろいろな不祥事。こういう派閥政治、それにつながる、お金がなければ政治を動かせない、そういう金権腐敗体質というものがこの中選挙制度もとではどうも定着してしまったのではないかという感じがしております。  いずれにしても、こういう大変動期では、これから政治のリーダーシップが問われていく、責任のある政策の選択をやらなければならないという意味で、今度の新しい制度は、ある意味では政策選択を迫る選挙制度ということで、歴史的な意味を持つ改革であったというふうにとらえております。  それから、低投票率につきましては、もうるる先ほどからお話が出たのであえてつけ加えることはございませんが、最大の課題は、やはり政治は変わるのかな、何かこれはちょっと変わりそうだなと。先ほど失礼なことを言いましたけれども、やはり党首公開討論会にしても、お互いに相手をがんがん攻め合ったりしないで、非常におとなしいといいますか、先のことを考えて、政権の枠組みというものが常に頭にあるものだから、とにかく今は非常に、ぬえ的なと言ったら失礼ですけれども、やわらかいことを言う方がどうしても要所要所につく。だから、別に小沢さんをかばうというわけではないけれども、がんと思い切った、ビジョン型と言ったら褒め過ぎかもしれませんけれども、何かああいうきついことを言う政治家がだんだんこれから少なくなるということはちょっと心配だなという感じを持っております。  いずれにしても、政治をまずおもしろくする、政治が変わるのだということを国民の前に見せていただくことが、低い投票率を上げる最大のステップというふうに思っております。  それから、技術的には、投票時間の延長、二日間にわたっての投票、それから十八歳以上、在外邦人、それから不在者投票、こういったものをもっとスムーズにやることも大事だろうと思います。  それから、私がさっきからしつこく言っておりますが、やはりニューメディア、通信革命時代でありますので、いろいろな政策や個人のキャラクターも含めて、インターネットであるとかパソコンネットワークとかテレビのいろいろなメディアを使う。そういう形で、三百チャンネル時代が間もなく来ます、パーフェクTV、ディレクTVとか、いわゆるCS、BSテレビなども活用しつつ、テレビなどをもう少し有効に選挙活動につないで、投票率のアップにつなげられないかという感じを持っております。  以上です。
  81. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 五人の参考人の皆さんに聞きたいと思うのですが、衆議院の総定数五百に対するお考えでございます。五百をこのままで維持すべきだという意見、それから削減をすべきだという意見、前回も参考人の皆さんからいろいろお聞きしました。議院内閣制の趣旨からいって、これ以上議員の数を減らすべきではないという意見がありました一方で、行革をやるのだからみずから定数削減をすべきだという意見、ちょうど半々ぐらいだったように思いますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。  そして、もし削減する場合は、例えば皆さんのお話があったのは、並立制の六対四のバランスはなかなかいいバランスだという意見があったのですけれども、民意集約の方に若干力点を置いている今の制度、この六対四のバランスは変えないで削減すべきと考えるのか、このバランスを変えるとすれば、どちらの方に力点を置いて削減を考えるのかということを教えてもらいたいと思うのです。  それからもう一点ですけれども、当面は並立制を二、三回やるべきだというふうなお話だったと思うのですが、その後はどういう選挙制度が個人的に理想と考えていらっしゃるのか、この辺も含めてお考えをお聞かせ願えればありがたいと思います。  前回の皆さんのお話では、例えば将来は、並立制だけれども、小選挙部分の三百、比例部分を百ぐらいがいいのではないかとか、あるいは五百全部比例にした方がいいのではないかとか、あるいは三百の単純小選挙区にした方がいいのではないかとか、総定数五百で併用制にして、小選挙部分を三百にした方がいいのではないか、こういうふうな意見があったように記憶をしているわけでございますが、本日御出席の皆さんはどのようにお考えなのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
  82. 江口伸幸

    江口参考人 定数の件ですけれども、与党三党の申し合わせでも定数を削っていくことを検討するようなことがうたわれているようですが、それはそれでいいかと思いますし、自民党あたりから、削る場合は比例区の方から削減していくというような声もあるようでございまして、これは少し党利党略が絡んでいるのかなという気がしないでもないのです。  先ほど言いましたように、衆院は安定した政権をつくるという一つの大きな要素があるということであれば、定数を削っていく場合に比例区の方から数を少し減らすという主張も、それはそれで理解できることだと思います。ただ、私、五百を四百とか四百五十にしたらとかいう案は特にありません。国民から見て、十人減らした、二十人減らしたということが、国会議員は身を削っているというふうに果たして映るかどうかと思うのですね。  国民から見て、国会議員が多過ぎるのではないか、国費のむだではないかというような印象を与えるのは、国会審議などで空転が続く、昼は何も動かないのに夜になって国会は動くとか、一体国会は何をしているのだというようなときにそういう批判につながってくると思うのですね。だから、国会が国会らしく機能していて、政治家が国民課題に真剣に解決に取り組んでいる姿があれば、今日本の国会の衆議院の五百人というのは、うんと多い数でもない、多過ぎる数でもないと私は思います。  それから、理想的な選挙制度ということですけれども、これも冒頭申しましたけれども、選挙をやったことがない人間が、これが絶対ですよというような案はもちろん思い浮かばないわけですけれども、一つの案として、衆院と参院をセットで考えた場合に、衆院を小選挙区にしてしまって、それで参院比例区的なものにしてしまうということも一つの考え方かなという気がいたします。  参院はむしろ、そうなると政党色が余計強まるわけですけれども、本来参議院は、個人の見識とか良識とか、そういうことを重視した政治家で衆院のチェック機能といいますか補完的な機能を果たしていくという位置づけからすれば、ちょっと矛盾することになるわけですけれども、ただ、現実問題として相当政党中心の運営がなされているわけですね。それをむしろ前提にして考えるというのも一つの考え方ではないだろうか。その場合に、党議拘束とかそういう問題をできる限り参院は緩やかにして、個人の識見で投票、議決に参加できるような道を開くとか、そういう考えも一つあるかなという程度の提案でございます。
  83. 加藤純一

    加藤参考人 最初に定数の問題ですけれども、この問題は根本的な話、例えば代議制度はどうあるべきかとか、国の役割と地方の役割、これはもちろん地方分権とセットになる話ですけれども、その辺を詰めた上で出てきた方が筋が通るのではないかという気がするのです。ただ今の行革の流れに沿って、少し痛みを分けるとか、そういう話は何か筋が違うのではないかという気がするのです。  そういう点でいいますと、今新しい制度が始まったばかりで、三百、二百という六、四の比率を考えてこれには相当の議論もされたわけですし、それをすぐ、ではどこかを減らしましょうという話は、何となく納得できないなという気がいたします。もう少し国の役割と地方の役割を詰めたり、そういう議論過程で、では国民とのパイプ役として衆議院はどういう役割があるのかという話が必要ではないかという気がいたします。  したがって、結論でいいますと、今のままで変えるべきではないという気がいたします。したがって、変えるわけではないということなので、バランスもそのままでいいかと思います。  二、三回やった後はどうかというと、先ほど私も申し上げたのですけれども、衆参の役割分担みたいな感じで申しますと、先ほど江口さんも言われたように、衆議院はやはり民意の集約という機能かと。そうしますと最終的には全部小選挙区、そのときには、もちろん数をいじることはあってしかるべきだと思います。それから、参議院についてはやはり比例中心という感じがします。  ただ、いきなりそういう状況というのは考えにくいわけで、では、衆議院並立制をやったから、参議院は併用制でいって比例中心にやってみたらどうか、これは非常に妥協的な、日本的な考え方かもしれないのですが、そんな感じもいたしております。  以上です。
  84. 中島勝

    中島参考人 総定数の五百という数字は、私は多過ぎるということはない、適正な数字ではないかというふうに思います。ただ、国会の方で行政改革をやりたいとか、そういうことのために率先して数を減らすというか、選挙制度と別の意味合いで取り上げるということであれば、それはそれなり評価してもいいかなと思いますけれども、制度的に、五百では多過ぎるということはないと思います。  したがって、私は先ほどから申しているとおり、この六、四の微妙なバランスというのが、一回だけの経験からいうと、うまく機能しそうかなという感じがしますので、この六、四のところを余り大きく崩すようなことになると、やはり全体の性格が変わってくるのではないか。だから、削減されるとしても、このバランスはなるべく維持をするのがいいのではないかというふうに思います。  それから、理想の選挙制度は何か、こう言われるわけでありますが、これも私冒頭のところで申し上げましたけれども、小選挙区だけというのもいかがなものか、比例だけというのもいかがなものかということになりますと、それが理想かと言われるかもしれませんけれども、やはり両方抱き合わせる、まさに並立制。ただしその場合に、小選挙区については、今の二倍を超える定数の格差があるというのはどうしても妙なところでありますから、定数三百で小選挙区でやるとしても、もうちょっと定数是正をきちんとした形の小選挙区、比例は全国一本、無理に木に竹を接ぐようなことはやめて、すっきり別々に独立させる、とりあえずはその辺が理想ではないか、こういうふうに考えます。  以上です。
  85. 長崎和夫

    長崎参考人 これは非常に大ざっぱなことで、欧州の方は、議員数は多いけれども名誉職的で、手当その他が少ない、アメリカは、議員数が少ないかわりに非常に手当その他が多い、日本はいいところ取りして、議員数が多くて手当も多い。こういうことで、今言ったのは地方議員も全部含めての話ですけれども、国会も人数が多いように見られますけれども、五百人というのは、比例区も含めれば二十五万人に一人という代表ですね、小選挙区だけでいえば四十万人に一人、これは実は非常に適正な数字ではないかという感じがしますし、この程度で一人の代表を出すということは、僕は何も多過ぎるということにはならないと思います。しかし、それでも与党で合意されて減らすというなら、そのバランスの関係ですけれども、アプリオリに、まず今四十七都道府県に一議席ずつ与えている、これがもうすべて定数格差二倍以内におさまらない元凶ですから、これは撤回して、それと同時に比例区を減らすというならわかりますけれども、やはりこのバランスというのは軽々に崩すべきではない。  要するに、どうも人数については、減らすというのにみんな思惑があって、比例区を減らして小選挙区制の方に誘導していきたいとか、いろいろな思惑があるのでしょうけれども、減らすなら両方ともイーブンで減らすべきであって、特に一票の格差是正のためには、四十七都道府県にアプリオリに与えた分は、これは何とか解消するという方向で、それとペアで比例区の方を動かしていくということが必要ではないかという感じがします。  将来的なといいますか、理想の選挙制度というと非常に悩ましい問題でありまして、選挙制度というのは、政党なり政党制というものに、非常にバイタルな、決定的な影響を与えるものですね、何も政党制選挙制度が乖離してあるのではなくて、ある選挙制度ができたら、そのもと政党制というのが必然的に編まれていくという状態ですね。そういう中で、僕は軽々に変えるべきではないと思います。  これまで日本の選挙制度は、百余年の間に小選挙区、大選挙区、小選挙区、中選挙区、大選挙区、中選挙区と、これで七回目だけれども、その過半が中選挙区制のもとでやられているということを考えると、これはさっきから何度も申し上げておりますように、現状では、この制度は、一回見た限りで全部言えませんが、なかなかよくできてはいるなと思うし、僕は、当初抱いていた危惧は割合と解消されたような感じがします。それが将来的にも本当にこの比例区と小選挙区のバランスでうまくいくのかどうか、もう少し見ないとわからない。  だから、このままでもいいと思いますけれども、でき得れば、やはり民意の反映ということをもう少し重視したというか、決定的に比例並立制とは違いますが、小選挙比例代表併用制の方を志向すべきではないかというふうに考えております。  以上です。
  86. 菱山郁朗

    菱山参考人 定数五百人というのは、三百、二百ですけれども、これはかなりバランスのとれたいい数字ではないかなということで、私は、しばらくというか当面、この人数、定数でやっていくべきだというふうに考えております。  ただし、今二・三倍を超える選挙区が七十選挙区ぐらいあるそうなんですけれども、この一票の格差の問題については二倍原則ということで、区割りの問題があるわけですね、この区割りの変更というのをもう少し、例えば二年ないし三年ごとに弾力的にやる。自動的にやるとか。それは基本的には難しい問題かもしれませんが、私は、格差の是正というのは、これから人口動態のいろいろな変動に合わせてスムーズに時間を置かずに、区割りの変更、自動的にふえたところは格差を是正していくというシステマチックな対応をやっていくべきではないかというふうに考えております。  それから、理想的な選挙制度ということなんですが、当面は、やはり新しく導入されたこの制度を少なくとも一、二回はやった上で、それでその中で問題点が出てくれば改めていくということで、直ちに今のこの制度を変えることは、見直しは先ほど来提案をさせていただきましたけれども、大きなところでは、今すぐ変えるということではありません。  一つの例示といたしまして、ハードはできたわけですが、ソフトがまだまだだという、そのソフトの点についてちょっとお話ししたいのですが、つまり、候補者を各政党が選定する、名簿づけをする、この候補者の選定基準は、しっかりとしたものを設けるべきだというのが私の提案でございます。  例えば、これは自由民主党が九一年の五月に取りまとめた「制度改革に伴う党運営方針」というものの中で、党としての意思決定に当たっての自由闊達な論議の保障と正しい手続の確保とか、それから共通の政策もと選挙を勝ち抜く組織としての秩序の保持の二点、こういったものを置いた上で、議員後援会組織の党地方組織への全面的な編入、それから地方組織の役員選出に当たっての一般党員、民間識者の起用の制度化、それから党の政策立案機能の強化を目的とした地方組織による定期的な世論調査の実施及び選挙区支部における政策形成のための専門機関の設置、あるいは議員定年制の導入とか、かなり前向きなというか、一つの見識のある基準が、ある一時期できたのですね。  ところが、一たん党議決定はされたのですけれども、紆余曲折の末にこれが白紙に戻されたということで、今は、こういうのは自民党内にドキュメントというか記録文書として残っているにすぎないのです。私は、こういうことをやはり政党は果断に実行をして、政党のさらなる新しい制度に対応した党組織、それから党の政策立案能力の形成という方向で、さらに前へ前へと進んでいっていただきたいというふうに思っております。  理想的な選挙制度というのは、皆さんが御議論した上で、これから一歩一歩改めていかれると思うのですが、こういった候補者を決める選定基準というようなものは、各政党がしっかりとした形で設けるべきではないか。内規で持っていらっしゃる政党もあるかもしれませんが、たまたまこういうのが一たん決まってほごにされたという話を伺ったものですから、もう一回原点に返って、こういうことをまじめに議論していただいたらどうかなということを、大変僭越でございますけれども、述べさせていただきました。  以上です。
  87. 荒井広幸

    ○荒井委員 きょうは、大変参考になりまして、ありがとうございます。  中島参考人さんと菱山参考人さんにまずお聞かせいただきたいのは、政党法という存在も考えていかなければならないというふうに思っておるのですが、この政党法と、今度の新しくなりました選挙制度をどういうふうに考えたらいいかというところにお触れをいただきたいと思います。  それから、我々政治改革をやっているときに、選挙制度改革になってしまいましたが、万全な制度はないということは当然のことですが、魂を入れるんだというのがある時期流行語になったわけです。それには、政治家、政党が一番責任があります。次にマスコミにも、私は多大なる責任があるだろうというふうに思っております。  そういう意味で、先ほどから民意の反映と集約というお話があるのですが、午前中一部触れられておりましたけれども、選挙直前、そして選挙中、そういったところの世論調査という形でのものは、その民意の反映と集約にどのような影響を及ぼしているとお考えになり実行されているのか、あるいはセーブされているのか。  これは非常に難しい問題だと私思っております。テレビの方は放送法があるということを先ほど言っておられました。しかし、実際には、朝の新聞を流す形でいろいろな報道がされているのですね、こういうふうになっていると。そういうようなこともありまして、これは両側のチェックということも非常に必要なことだと思いますので、加藤参考人、それから江口参考人、そして長崎参考人、お三方に、いわゆる世論調査というものが、選挙直前、選挙中、これが民意の反映と集約というところに、先ほどバンドワゴンあるいはアナウンス効果、いろいろ言われておりましたけれども、どのような影響があると考えておられるかお尋ねします。
  88. 中島勝

    中島参考人 政党本位選挙ということからいえば、政党法というのは、本当は参議院に比例を導入した段階からもっときちんとしておかなければならなかったのではないかという感じがするのですが、どうもその辺があいまいなままずるずると来てしまった。しかし、もう政党に助成金を出すという形ですが、今一番選挙関係の整備のおくれているところではないかなという感じがしております。  ただ、この政党というのが一番大事なものだということで考えていっていいのかどうかということも実はありまして、どういうことかといいますと、これだけ価値観が多様な時代に、すべて政党で縛ってしまうというようなことを前提にしていいのかどうか。  先ほど選挙公約と個々の議員方々選挙区での主張との食い違いとか、そういう話もありましたけれども、そういうお話を聞いていて私が感じるのは、昔みたいに一枚岩の政党というのが存在して、すべての考え方、党員はこれに従わなければいかぬ、一点でもはみ出すところがあったら党紀委員会にかけて除名だというような政党あり方というのが、果たして時代に合っているのかどうか。−もちろん政党の存在というのは必要かもしれませんけれども、場合によっては、ある問題ごとに政党の枠を超えて、この問題については、政党の党議みたいなものがあるのかもしれませんが、それを超えたところ、違った行動をして、政党ごとにいろいろな人が多数派を形成していくというような議会の運営の仕方というのも私はあるだろうというふうに思いますので、一枚岩的な政党を前提あるいは当然視するようなものに余り比重がかかってしまうとどうなのか。やはりそういうものを超えて、政党の枠を超えた形での意見集約みたいなことができる制度というのを残しておく必要があるのではないか。  それは、恐らく法律というよりは国会の中の改革でもって、党議拘束みたいなことをなるべく緩やかにしていくとか、むしろ国会改革の方に属する分野なのかもしれませんけれども、その辺との絡みがあるので、非常に厳密に、政党というのはこういうものだ、それで政党法をきちんとしてがんじがらめにしてしまう方向がいいのか、今ぐらいのちょっとあいまいな感じを残したままがいいのか、すべて政党政党ということで議員個人の余地が余りなくなるような形がいいのかどうか、正直なところ、私もまだ結論が出ていないところであります。  それから、世論調査については午前中もお答えをいたしましたけれども、民意の集約、反映とどう関係があるか、こういう大変難しい御質問でありましたが、全然影響がないということは当然のことながらあり得ないと思います。あり得ないと思いますが、NHKでいいますと、全体としての投票をする上で参考になるような、情報提供になるようなもの、特に政策的なもの、そういったものについては積極的にやっていくべきであろうというふうに考えますが、少なくとも選挙運動の結果として強弱にわたるようなところについては厳に慎むという、非常に単純な基準でやっております。  先ほどはテレビは新聞をみんな映してしまうではないかということを言っておりましたが、少なくともNHKについてはそういうことはやっておりませんということを御理解をいただきたいと思います。  以上です。
  89. 菱山郁朗

    菱山参考人 政党法については、ドイツとか実施している国があっていろいろ参考になることはたくさんあると思うし、私が午前中お話しした民主主義のコスト、政治に金がかかるということ。政治に金がかかるのを、選挙運動ではなくて、みずからの生活のためではなくて、やはり政党の本来のあるべき姿といいますか、シンクタンクとか研究スタッフ、政策スタッフをちゃんと置いて、そして情報をより早く取り入れて政策決定につなげる、そういう意味で、政党が民主主義のコストとしての公費を受ける、私は国がそういう政党の前向きな経費について支出するのはやはり当然だと思います。それから、毎月たしか六十五万円の政策何とかというのが出ていますよね、それが果たしてそのとおりに使われているのかというと甚だ疑問であるということもこれあり、やはりもう少し政党の公費の使い道については、一定の方向、方法、それを決めたりした方がいいのではないか。  そういうことを考えていきますと、だんだんと政党法みたいなものの概念が近づいてくるわけでありますが、私は、先ほど中島参考人がおっしゃっていたように、日本の社会に政党法というものを今ここでつくって、それでいろいろな縛りをかける、規制をかけるということが果たしていいのか、それが日本の政治風土になじむのかという観点で考えますと、必ずしもそうとは思わない。むしろ今は、ボランティアであるとかいわゆるNPO、NGOとか、いろいろな形での非営利団体の政治活動への参加とか、民間のいろいろな方々の力みたいなものがやはり政治への影響力を増してきている。  それから、やはり投票率が低いということでは、投票所に行かない、砂のような大衆と言ったら失礼かもしれませんけれども、政治や選挙に関心を持たない方々、こういう人たちを意識した場合に、政党法と、そういう選挙や政治にそっぽを向いている国民有権者とのギャップの大きさみたいなものも感じざるを得ません。  ですから、政党法については一つの検討課題、研究課題として、公費の助成という制度ができたわけですから、いろいろな意味であめとむちというものが当然あるわけですし、研究することは必要だとは思いますけれども、直ちにこれを具体的な形で導入とか直ちに検討というのはまだまだ早いのではないかなという感じを持っております。  それから、世論調査といいますか、先ほど荒井委員からの、選挙調査民意の反映と集約への影響ですね、これについては午前中もお話しして、今中島参考人お話ししたのとほとんど、全くと言っていいほど同じ回答になってしまいますけれども、確かに言論機関、報道機関が事前の形で、世論調査選挙の大勢はこうだよと言ってしまうのは、ややおこがましいかなという感じは私は持ってはおります。  しかし、日本のマスコミもある意味では全くブレーキがきいてないわけではなくて、それぞれやはりしっかりとした見識を持ち、ここまで歴史的な伝統を持ってきた機関でありますので、やはり報道の自由、表現の自由というものの重みということを考えていただきたい。  この民意の反映、集約ということへの影響というのはないとは言い切れませんけれども、やはり私どもとしては、有権者に、選挙がこんな状況でやっているんだよという大きな情報を伝えるという意味で、選挙の事前の多少の予測の情報も伝えるのはやむを得ない。ただし、テレビでございますので、先ほどお話のとおり、個別の選挙区についての予測は一切いたしておりません。大きな流れだけは何となくちょっとした、昔は番組「11PM」の枠の中でどんと大々的に実はやっていたのですけれども、制度が変わりましてからはやっておりません。  以上です。
  90. 江口伸幸

    江口参考人 事前調査、報道の御質問だったと思いますけれども、一度お答えしましたが、確かにそれはあると思うのです。中選挙区の場合は、安定だと書かれた人は地盤が緩んでしまって、もう一息と書かれた人が大変有利になるというようなことも言われました。それだけに、我々は非常に神経を使って慎重に表現も何回もチェックしながら記事は書いているということで、これも先ほど申しました。  その民意の反映、民意の集約への影響ということですけれども、全く情報空白の中に有権者を置いてということよりも、むしろ民意の反映、民意の集約のためにある程度の情報を提供するというのも報道機関の大事な役割ではないかということを考えます。その場合、意図的な情報とかそういうのはもちろん大変危険なことになるわけですし、正確でバランスのとれた公平な情報でなければならないというのは言うまでもないことであります。  以上です。
  91. 加藤純一

    加藤参考人 世論調査とか情勢報道の件ですけれども、先ほども申し上げたのですけれども、その辺ものみ込んだ上でそういうしぶとさ、たくましさという言い方でえらい簡単に申し述べましたけれども、ちょっとそれを敷衍しますと、やはり報道、ジャーナリズムというのは、基本的に言うと、国民の知りたい、普通の人が知りたいという欲求にこたえるものであって、俗に言えばやじ馬根性みたいなものだと思うのです。いろいろ理屈づけもされていますけれども、基本はそこだと思います。  例えば、選挙のときにずらっと名前が書いてあって、今の情勢は何日目ぐらいのときでどうなんだろうというのは、やはり知りたいところではないかなと思うのです。それは、私自身、もしこういう会社に属していないで普通の一般会社だったら、その辺はわかりませんから、やはり知りたいなと思う、それにこたえることはあってもいいのではないか。それで、政治家には、そんなことは平気だといったくましさを持っていただきたいというのが一つでございます。  もう一つは、政党中心政策中心選挙を目指すのだといってこういう制度をつくってきたわけでございますから、しかも、小選挙区というのが主体になっているとすれば、政党政策で争っているのであれば、多少のアナウンスメント効果があろうがなかろうが、それで動くような票は無視してもいいのではないか、理想的に言いますと。しかし、現状は必ずしもそうではないかもしれません。  そんな気で、選挙報道の件は、ある意味での遊びといいますか、ゆとりの部分だと考えていただきたいなという感じがしています。
  92. 長崎和夫

    長崎参考人 これもさっき申し上げたのですけれども、世論調査をやって、それを報道することで民意に対して何がしかの影響があるということは必然であるし、それを僕は否定というか、当然影響はするものだと思いますね。  その場合、それを与えるからおかしいという観点だとしたら、ちょっとこれは間違いではないか。例えば逆に、こういう状態を考えて、いわば選挙公報だとか政党だとか候補者からの政策情報その他しか与えない、そういう中で、あとの情報を一切遮断して投票行動を決めろという方がむしろおかしいのではないか。  やはり今加藤さんがおっしゃったように、我々としては、有権者が知りたいと思っていることを、プライバシーだとか人権だとかいろいろな問題に配慮しながら、極力その欲求に、ニーズにこたえていこう、やはり開かれた情報を開かれた格好で提供していくことがある意味では民主主義社会の健全な発展につながっていくだろう、それは選挙についても例外ではないだろうという感じがしております。  しかし、その辺については、確かに個々人の議員さんや候補者にとっては大変センシティブな問題ですから、非常に繊細な神経を使ってやらなければいかぬでしょうけれども、そのこと自体は、例えば世論調査結果を見て投票行動を変える、では変えてはいかぬのか。投票行動を変えるということは、要するにそれ自体がやはり一種の民意なのですね。それも全部織り込み済みで今選挙が行われているということをお考えいただきたいというふうに思います。
  93. 荒井広幸

    ○荒井委員 よくわかりました。  しかし、私は、ちょっと質問の仕方が的確性を欠いたかもしれませんが、判断材料をそれほど多く提供されていらっしゃるだろうか、またそれにふさわしい我々の政治活動というのは日常あるのだろうか、そして同時に、皆様方がそれぞれ御意見をお持ちのように、社としての評価というのはあろうと思うのですね。そういう評価、そしてそのフォローアップというのがあるはずなのです。そういう中での一連の世論調査なり選挙の情報、強弱情勢ということになりますと、一方で民意の純粋な反映というものに寄与していたのだろうか、こういう反省があってしかるべきだと私は思います。  二つ目には、私は意見がはっきりしてもいいと思っております。私は、集約に対する意見を逆に言って積極的に認めたいと思っている方なのです。ですから、そういう意味で、今の選挙周辺にまつわるタイミングでの報道は、少なくとも政策に対する継続的な判断材料を提供してきた総集編として、あるいは皆様方の評価として、褒めるところは褒めてもらい、悪いところは悪い、これでいいと思うのですが、そういうことが十分なのだろうか。そういったところが相まっての世論調査であり情報、報告でないといけないと思うのですね。  そういうものがないと、我々は何遍も皆さんと御一緒に、国会の場で、紙面を通じてあるいはテレビを通じて全国民の皆さんにも言っていた、制度に万能はないのだ、魂を入れるのは政治家であり、政党であり、国民の皆様方である、そして、それをつなぐのがマスコミなのである。私は、そういう意味でも、その辺の意識というのがないと、ともに厳しい状況にこれからなってくるなと。  それは、先ほど投票率が上がらないといってもいろいろなとらえ方がありますけれども、この辺につきましても、またそういった関係で、納得するから行かないという場合もあると思いますが、なるほどそういうことかというので行く場合も出てくると思いますので、大変恐縮でございますが、私は要望させていただきたいと思っております。
  94. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田でございます。私の方から、戸別訪問の点と連座制強化の点の二点について御質問させていただきたいと思います。  戸別訪問につきましては、菱山参考人が午前中の意見の開陳の際に、運動論として自由化すべきだというお話がございまして、前回の当委員会参考人質疑の際も、日経新聞の金指参考人と朝日新聞の吉田参考人からも、菱山参考人と同じように自由化すべきではないかというような御意見を聞かせていただきました。ただ、戸別訪問に関しましては弊害論もまだかなり強くて、前回の制度改正の際も、最終的に妥協ができなくてこれは改正が見送られたわけですけれども、その弊害論を乗り越えても自由化すべきだというふうに考える根拠を菱山参考人からお聞きしたいと思います。それが第一点。  あと連座制強化の点について、午前中、中島参考人菱山参考人お二人が評価できるというふうに御発言されました。確かに、連座制の規定がかなりきつくなりまして、選挙運動の際も、候補者は自分の陣営の皆さんに、こういうのに注意してくださいと、これまでの選挙に比べて相当言ってきたと思います。ただ、表面上そうなったけれども、潜行化してしまった、潜在化してしまったのではないか、買収、供応に関してはそういう思いもあります。  それはおいておくとしても、この連座制の規定の適用問題は、当選無効、立候補制限という効果が出るわけですけれども、地方議員選挙ではこれまで何件か適用されて、当選無効になったり立候補制限というふうになっているようですが、前回の衆議院議員選挙では、これはまだ実際に適用問題が出てきておりません。かなりいろいろ問題はあったと思うのですけれども、せっかくつくった規定が適用されていないということに関しては、中島参考人菱山参考人の方で連座制強化を積極的に評価すると言われたのですが、その適用問題についてはどのようにお考えになっているか、お二人の参考人から御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  95. 菱山郁朗

    菱山参考人 戸別訪問の自由化については私が午前中提案させていただきましたけれども、これは、実際に選挙運動期間中の前には、皆さん方、今回、選挙選挙だといって、ずっと一日百軒とか、戸別訪問をやっていらっしゃったわけですね。それが選挙運動期間中だけだめだというのは、余り説明というか筋が通らない。  もちろん、弊害論というのがあって、ここで不正が行われるとか、いろいろまずいというようなことが言われていましたけれども、私は、すべて物事は前向きに、人間は決して悪いものではなくて性善であるというのが持論でございまして、戸別訪問したからといって汚い選挙につながるというふうには考えてはおりません。むしろ、自由にする。ビラはいかぬとかパンフレットならいいとか、そういう瑣末な問題がありますけれども、そういうことだけではなくて、やはり政策を訴える上で、一人一人戸別訪問した上で顔と名前を売りつつ政策を訴えるという形にする。  現在、日本と韓国ぐらいですか、戸別訪問が禁止されているというのは。欧米なんかではもう戸別訪問こそが選挙運動であるということで、日本もぜひほかの先進国並みに戸別訪問については完全自由化をすべきだというのが、先ほどお話しした持論であります。  それから、連座制の強化につきましては、今回のいろいろな選挙区を見ますと、お互いに相互監視をした。これでやられると、いわゆる候補者とは全く無関係の人が選挙違反をやった場合にも候補者の当選が無効になるという、相当厳しい適用だということで、連座制の強化がなされたわけです。  ただいま現在のところ、うわさに幾つか、あれは宮城県の方とか、何カ所か名前が挙がっていますね、和歌山県の方とか。それは、地元の事情とか何とかよくわかりません。最初ということで、かなり慎重の上にも慎重であるのだろう、やはり衆議院議員という国を代表する議員選挙違反事件については、相当慎重な捜査を、裏づけを進めているのだろうというふうに思いますが、この問題については、やはり厳しく適用をし、可能な限り、たとえ候補者は知らなくても、しかるべきかなりの重要な人物が違反行為をした場合には、連座制の適用は前向きに、積極的に適用に踏み切っていくべきだというふうに考えております。  やはり日本の国というのは、ある意味では礼節を重んじる国というか、きちっとけじめをつける大事な原点というものをこういう選挙制度でせっかく、今までややあいまいだったものを明確な形で今回取り決めをしたわけですから、この連座制の強化については、これは検察とか関係当局の捜査の問題であるわけでありますけれども、政治的にいろいろな水面下の動きがあったりしてなかなか思うように進まない面もあるかもしれませんが、私は、この連座制の強化は適用を厳しく運用していくへきだ この厳罰主義は堅持していくべきだと考えております。
  96. 中島勝

    中島参考人 連座制の強化ですけれども、私、一連の政治改革の中で大変評価できると申し上げたわけでありますが、もうちょっと具体的に申し上げると、秘書に範囲を適用したとか執行猶予でも広がるとか、そういった面がありますけれども、やはり決め手になっているのは、同じ選挙区からもう立候補できなくなるというところであると思います。  もう一点、従来の連座制とちょっと考え方が違って、選挙というのは、どんな選挙にしても、何らかの形で組織みたいなものを使いながらやるものだというところに着目をしまして、そこで管理的な立場にあるような人についても対象にするというような形になってきて、ある意味では、非常に厳密にこれを適用していくと、あらゆる選挙運動が対象になってくるような面もあるのではないかと思うのです。  したがって、この問題は、ただいいことだ、厳しくどんどんやれと言っているだけではなくて、その力が大変強力なものであるだけに、特に捜査当局は非常に厳正に捜査をして、しかも公平に事を処理するということが裏側の問題として重要なのだろうというふうに思います。  それで、その適用についてどういうふうなことになっているか、現実の話について私余り情報がありませんけれども、例えば統一地方選挙について言えば、かなりの無効訴訟が起こされて、ほとんど当選無効というような判決が下っているケースが多いと思いますけれども、この間の、去年の十月の衆議院選挙についても、同じような基準で厳正公平にやるのは当然のことだろうというふうに思います。百日裁判とかいろいろなことがあって、裁判が終わった後その訴訟が起こされるのでしょうから、まだ途中経過のことであって、適用するとかしないとかいうことが決まった話ではないというふうに理解しております。  以上です。
  97. 武山百合子

    ○武山委員 私は、日本テレビの菱山さんとそれからNHKの中島さんにお聞きしたいのですけれども、無党派層が五〇%近くいるわけです。そして、もちろん政治不信という今状態ですけれども、それを払拭するための一つとして戸別訪問、イギリスなんかは本当に盛んに行われているのですけれども、今富田委員の方から戸別訪問についてはもうお聞きしましたので、私は、立会演説会、公開討論会というようなものを、やはりテレビというメディアを通して、それからインターネットを通して文字で行う。一番身近に、国民の側からしますとその人の政策と人柄とを身近に感じるものがないわけです。まさに無党派層は、全く極端な話、どんな人が出ているかもわからないというようなことを言っている人もいるわけです。  ですから、今回は選挙制度が変わって初めてでしたので、わかりにくいわかりにくいの言葉一つに集約された面もありましたけれども、立会演説会や公開討論会をやはり復活させて、先ほど委員長から経緯はお聞きしましたけれども、そういうものが必要ではないかと思っております。その辺についての所見をお願いします。
  98. 中島勝

    中島参考人 戸別訪問を解禁するというのは、余り反対する理由はないのですけれども、正直な気持ち、大分うるさくなるのではないかなという気持ちもあるのです。その辺、だから解禁するのは結構ですが、政党側あるいは陣営側に相当節度を守っていただくということがやはり必要ではないかというふうに思います。  立会演説会についてはそれなりの理由があって廃止になったわけでありまして、今すぐこれを復活することが、直ちに政治に対する無関心とかあるいは無党派層といった人たちに政治への関心を呼び起こすことになるのかどうか、やや疑問かなという感じがするわけであります。  これは全く私の子供のときの記憶でありますけれども、私の通っていた小学校でやはり立会演説会があって、なぜか父親が私を連れていきまして、そのときの立会でやった人が鳩山一郎、野坂参三、浅沼稲次郎、もう一方どなただったかな、大変な大物がそろっていました。私は小学校三年ぐらいでしたけれども、もちろん中身は何だかわかりませんでしたけれども、はあこういう人たちかと思っていたような記憶もあって、懐かしいのではありますが、さて、今の時代にどの程度その復活が決め手になるかどうか、ちょっとどうでしょうか、正直に言って私としては判断がつきかねるところでございます。
  99. 武山百合子

    ○武山委員 ありがとうございました。  政党本位政策本位、二大政党制という形に流れは行きっっあるわけですけれども、そういう視点に立っては、やはり必要であろうと思うのです。  菱山参考人、その点についてお願いいたします。同じ質問です。
  100. 菱山郁朗

    菱山参考人 立会演説会というのは確かに、面倒くさいからやめようとか、意味がないからやめようとかといって、やめたときのいきさつが大分前にあって、談合的にやめたような感じがしたんですが、前向きに考えると、私はあった方がベターかなと思います。  選挙のときに政治家が政策を訴える、これが新しい制度のまさに目玉でありますので、ただ戸別訪問、連呼活動、街頭での演説だけではわからない。ですから、今コミュニティーセンターとか、いろいろな施設がたくさんできておりますので、先ほど午前中に提案したとおり、立会演説会の復活をまじめに再検討していただくのは、私は当然ではないかと思います。  ただ、私も、例えば美濃部都知事と松下正寿立教大元総長の都知事選挙のときに立会演説会に行った経験からいいますと、かなりやじがばあっと飛んで、終わってしまうとあくびをして出ていったり、非常に応援団というか、やらせというか、八百長というか、そういう動員合戦みたいなものがあったり、まだまだ後進的な動きというか、そういう要素が確かにこれまであったわけですね。  ですから、立会演説会をやられる場合にしても、何らかの工夫で、あるいはやり方も、パソコンネットワークを使ってパソコンを通しての立会演説会とか、テレビ中継をCATVとか地元のローカルテレビ局を通してやるとか、いろいろな形で立会演説会のスタイルを変えていくのも一つの手かなという感じは持っております。  それから、公開討論会ですが、これはテレビの活用を先ほど何回もしつこく、私テレビ局の人間でございまして、言いましたけれども、本当のことを言いますと、二%しかとれない党首公開討論会で、NHKさんはそれで全日視聴率が大変ダウンして、局としては余りプラスにはなってないのです。申しわけないのですが、逆に日本テレビは別の番組で視聴率を稼いでしまったというようなことでありました。  できるならば党首公開討論会は、これは会社でわかってしまうと怒られますから、余り言いたくないんですけれども、やはり民放の場合は視聴率を稼がなければならないので、公開討論をやる場合は、かなり視聴率がとれるような討論会にしなければならない。そのためには質問陣も、大体いつも定番であります記者クラブの企画委員、私も実はこの間代表質問をやらせていただいたんですが、ちょっとおもしろくないんですね、もう少しアメリカの大統領選挙並みに質問者もいろいろな人を入れて、一般の市民等も入れて、この公開討論会を視聴者の皆さんに見てもらえるような討論会に変えていかなければならないだろう。  いずれにしても、これは日本記者クラブで、大統領選挙のビデオなどを参考に、今後の討論会のあり方などの検討を今進めておりますので、すぐにというふうにはいかないと思いますけれども、公開討論会なども大いに活用して、選挙を盛り上げていくことは当然必要ではないかというふうに考えております。
  101. 山花貞夫

    ○山花委員 午前中、お伺いできなかったことで一つお伺いしたいと思うんですけれども、かねてから話題となっています在日外国人、定住外国人の地方参政権の問題について、参考人の皆さんはどうお考えになっているか、このことについて、江口参考人から、簡単で結構でございますので、お考えをお聞かせいただければと思います。
  102. 江口伸幸

    江口参考人 地域によっては非常に数が多いところもあるようでございます。ここの委員会ですか、一回数字が出ていますけれども、地域によっては二二、三%外国人居住者の地域があるというようなことで、一方、今どんどんまたいろいろな国からふえてきていると思うんですね。実際にどういう分布になっているかというようなことは、私今回の材料も持たないわけですし、この問題はいつまでも放置はできないという気はいたしますが、今ここでどうすべきであるというようなまとまった意見は、残念ながら持っておりません。
  103. 加藤純一

    加藤参考人 基本的に、こういう開かれつつある世の中ということから考えますと、やはりかなり程度認めるべきではないかなという気がします。  ただ、私自身もそこは非常に詳しくないもので、それは溶け込みぐあいだとか、そういう人たちが地域でどういう活動をし、どういう役割を果たしているかとか、それから、認めた場合にどの辺のレベルまでかとか、その辺のことはちょっと私自身もつまびらかではないもので、きちんとしたお答えができないので、恐縮です。
  104. 中島勝

    中島参考人 基本的には地方参政権を認めるということでいい話ではないかと思うのです。ただ、どうなんでしょうか、相互主義みたいなことは必要かと。逆の立場になったときに、日本人がそこの国で地方選挙に参加できるという意味では当然やる、というようなことから順々に突破口を開いていったらどうなんでしょうかと思っています。
  105. 長崎和夫

    長崎参考人 私も詳しくないのですけれども、基本的には、これだけ定住外国人がふえてきていろいろな問題があるときに、前向きにやっていくべきであろうというふうに思います。
  106. 菱山郁朗

    菱山参考人 地方自治体にいわゆる国籍条項の排除とかいろいろ動きが出てきておることは事実でありますが、南北朝鮮半島の方もたくさんいらっしゃるとか、いろいろ複雑な問題も抱えておりますので、私は時代の流れとしてはそうなのかなという思いをいたしつつ、はい賛成と今手を挙げるだけの自信はありません。少し勉強してから、改めてこの問題について自分の意見を言わせていただきたいと思っております。
  107. 山花貞夫

    ○山花委員 せっかくの機会ですから、先ほど連座制について中島菱山参考人からお話を伺いましたが、この点についての評価を、江口加藤長崎参考人からも、簡単で結構でございますので、お伺いしたいと思います。  実は、これは法律ができたときから、先ほど御指摘ありました、組織的選挙運動管理者の概念が構成要件として明確でないではないかというような疑問点がありました。  また、先ほど来話題のとおり、昨年六月、最高裁判所で初めての連座制適用ということで、一昨年の自治体選挙当選した方が当選無効、五年間の立候補制限ということになる。自治体選挙については、たしか私の知っているところでは、二十四件ほどずっとあって、ほとんどが裁判が確定しつつあるというのが現在だと思います。衆議院選挙については、三件ほどあったんじゃないかと思いますけれども、ただ、これは検察官の立証活動と裁判官の認定等、それぞれかなり厳しい議論が続いているところだと思っています。  一言で申しますと、ちょっとあいまいな規定で、他人がやったことについて議員責任をとって資格を失い、五年間も選挙に出れなくなるというのは、ほかの問題とは違って、これは厳し過ぎるんじゃないかということだったわけですが、現実には動き始めて、立法過程ではなく、裁判所の判例などを通じていろいろ流れができつつある、こういう現状だと思います。そうした立法では、もうだれもが疑わないぐらい明確な規定じゃなかったんだけれども、若干そこにゆだねるところもある中で今進んでいる。  こういう連座制の問題について、よかったのかという検証も必要だと思うものですから、全般的な印象としてでも結構ですので、お三方に御感想を伺いたい、こう思います。
  108. 江口伸幸

    江口参考人 細かいことはわからないのですけれども、全般的な印象でいいということなのでお答えしますが、今度の選挙で、金がかからなかったという人の理由として、かなり連座制がきいたなというような声を聞きますし、そういう点ではプラス評価したいと思います。  今度は有権者の方も候補者も、何といいますか、手探り状態というか、戸惑いがあったと思うのですね。これも少し時間とともにこなれてくるのかなという気がしています。
  109. 加藤純一

    加藤参考人 私もちょっと大ざっぱな話になりますが、この何年ですか、もう随分長いことですけれども、検察と警察の名を上げてやるような政治、そういう印象がずっとしていて、もし、この連座制強化で責任者の問題があいまいだったとしたら、これはやはり怖い問題だと思います。しかし、その辺は私も全く素人でわかりませんので、それはむしろ先生方が、判例が形づくられようが何しようが、やはり変えるべきだとしたら変えていかなくちゃいけない話で、そこに検察、警察の名を上げるような事態があったら、それは困ることと思います。  ただ、もう一つ申し上げたいのは、政党を育てて政策を磨こうという選挙制度にしたわけですから、これに反するような動きというのは、やはりこの選挙制度とは全然関係ないところできちんと処理していっていただかないと、選挙制度そのものがあいまいになって壊れていってしまうのじゃないかという気がしますので、そういう意味では、連座制強化というのは、そのものは、基本的には私も評価したいと思います。
  110. 長崎和夫

    長崎参考人 先生おっしゃったように、何かいろいろ構成要件等難しい問題があるということだけは承知しているのですが、具体的なことはほとんどつまびらかじゃないので意見としては申し上げられないのですけれども、しかし、このことの政治的な意味といいますか、実態的な意味として、非常にこれがきいたといいますか、この規定があることによって選挙そのものの戦い方が変わってきた、買収、供応等が非常に抑制されたということは事実だと思うのですね。これはよかったのではないかと思います。  ちょっと違う話をさせてもらうと、そもそも、今度の小選挙比例代表並立制もとになると、中選挙区制時代のときとは議員有権者の関係は当然のことながら変わってくるのだと思うのですね。  中選挙区制時代だと、やはり有権者と候補者の個人的な支持関係だとか後援会システムによって票を集めるということ、これが非常に主流なんですけれども、小選挙比例代表並立制もと政党本位になってくると、むしろ政党の方が、有権者が何を望んでいるか、その有権者のニーズをつかまえた政策を提示して、その中で支持を広げていくという関係になって、そういう後援会活動だとか今までの組織を使った集票ということは、本来それから脱皮していかなきゃいけない問題だと思うのですね。そこのところでいうと、旧来型の、後援会だとか組織依存型の選挙ということがまだ横行しているがゆえに、この問題がいろいろなところに出てくるのではないかという感じがいたします。
  111. 中馬弘毅

    中馬委員長 本日の参考人に対する質疑は、この程度で終了することといたします。  参考人方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  それでは、参考人方々には、御退席をしていただいて結構でございます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五分散会