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1997-06-13 第140回国会 衆議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十三日(金曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 市川雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君    理事田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    金子原二郎君       佐藤 静雄君    高市 早苗君       谷畑  孝君    玉沢徳一郎君       東家 嘉幸君    中山 利生君       萩山 教嚴君    蓮実  進君       松本 和那君    赤羽 一嘉君       岩浅 嘉仁君    江崎 鐵磨君       樽床 伸二君    西野  陽君       山本 幸三君    葉山  峻君       山本 譲司君    辻  第一君       中西 績介君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         参議院議員   松谷蒼一郎君         参議院議員   山崎 正昭君         参議院議員   市川 一朗君         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十三日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     江崎 鐵磨君 同日  辞任         補欠選任   江崎 鐵磨君     岡島 正之君     ――――――――――――― 六月十二日  建築士法の一部を改正する法律案参議院提出  、参法第八号) 同月十日  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する  請願一川保夫君紹介)(第三六九七号)  同(志位和夫紹介)(第三六九八号)  同(中路雅弘紹介)(第三六九九号)  同(畠山健治郎紹介)(第三七〇〇号)  同(吉井英勝紹介)(第三七〇一号)  同(井上一成紹介)(第三八七二号)  同(池端清一紹介)(第三八七三号)  同(木島日出夫紹介)(第三八七四号)  同(佐々木秀典紹介)(第三八七五号)  同(羽田孜紹介)(第三八七六号)  同(春名直章紹介)(第三八七七号)  同(横光克彦紹介)(第三八七八号)  国民本位公共事業推進に関する請願一川保  夫君紹介)(第三七〇二号)  同(坂上富男紹介)(第三七〇三号)  同(志位和夫紹介)(第三七〇四号)  同(中路雅弘紹介)(第三七〇五号)  同(吉井英勝紹介)(第三七〇六号)  同(池端清一紹介)(第三八七九号)  同(木島日出夫紹介)(第三八八〇号)  同(佐々木秀典紹介)(第三八八一号)  同(羽田孜紹介)(第三八八二号)  同(畠山健治郎紹介)(第三八八三号)  同(春名直章紹介)(第三八八四号)  同(横光克彦紹介)(第三八八五号) 同月十一日  川辺川ダム建設中止に関する請願濱田健一  君紹介)(第四〇二〇号)  同(保坂展人君紹介)(第四〇二一号)  同(佐々木秀典紹介)(第四一四八号)  同(辻元清美君紹介)(第四一四九号)  同(中川智子紹介)(第四三五六号)  同(菅直人紹介)(第四四四二号)  同(小林守紹介)(第四四四三号)  同(土井たか子紹介)(第四四四四号)  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する  請願遠藤和良紹介)(第四〇二二号)  同(児玉健次紹介)(第四〇二三号)  同(畑英次郎紹介)(第四〇二四号)  同(平賀高成紹介)(第四〇二五号)  同(松本善明紹介)(第四〇二六号)  同(石橋大吉紹介)(第四一五〇号)  同(岩浅嘉仁君紹介)(第四一五一号)  同(遠藤和良紹介)(第四一五二号)  同(玄葉光一郎紹介)(第四一五三号)  同(葉山峻紹介)(第四一五四号)  同(藤木洋子紹介)(第四一五五号)  同(粟屋敏信紹介)(第四二九二号)  同(土肥隆一紹介)(第四二九三号)  同(深田肇紹介)(第四二九四号)  同(北沢清功紹介)(第四三五七号)  同(小坂憲次紹介)(第四三五八号)  同(五島正規紹介)(第四四四六号)  同(田中慶秋紹介)(第四四四七号)  同(古堅実吉紹介)(第四四四八号)  同(堀込征雄紹介)(第四四九六号)  国民本位公共事業推進に関する請願遠藤和  良君紹介)(第四〇二七号)  同(児玉健次紹介)(第四〇二八号)  同(畑英次郎紹介)(第四〇二九号)  同(平賀高成紹介)(第四〇三〇号)  同(松本善明紹介)(第四〇三一号)  同(秋葉忠利紹介)(第四一五六号)  同(石橋大吉紹介)(第四一五七号)  同(岩浅嘉仁君紹介)(第四一五八号)  同(遠藤和良紹介)(第四一五九号)  同(玄葉光一郎紹介)(第四一六〇号)  同(葉山峻紹介)(第四一六一号)  同(藤木洋子紹介)(第四一六二号)  同(粟屋敏信紹介)(第四二九五号)  同(土肥隆一紹介)(第四二九六号)  同(深田肇紹介)(第四二九七号)  同(北沢清功紹介)(第四三五九号)  同(小坂憲次紹介)(第四三六〇号)  同(小林守紹介)(第四四四九号)  同(五島正規紹介)(第四四五〇号)  同(田中慶秋紹介)(第四四五一号)  同(中島武敏紹介)(第四四五二号)  同(葉山峻紹介)(第四四五三号)  同(古堅実吉紹介)(第四四五四号)  同(辻第一君紹介)(第四四九七号)  同(東中光雄紹介)(第四四九八号)  同(堀込征雄紹介)(第四四九九号)  川辺川ダム建設事業促進に関する請願東家  嘉幸紹介)(第四四四五号) 同月十二日  川辺川ダム建設中止に関する請願菅直人君  紹介)(第四五七六号)  同(佐々木秀典紹介)(第四五七七号)  同(大野由利子紹介)(第四八四七号)  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する  請願石井郁子紹介)(第四五七八号)  同(瀬古由起子紹介)(第四五七九号)  同(土井たか子紹介)(第四五八〇号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第四五八一号)  同(山元勉紹介)(第四五八二号)  同(海江田万里紹介)(第四六五九号)  同(仙谷由人紹介)(第四六六〇号)  同(辻一彦紹介)(第四六六一号)  同(中沢健次紹介)(第四六六二号)  同(前田武志紹介)(第四六六三号)  同(石井郁子紹介)(第四七六七号)  同(岩田順介紹介)(第四七六八号)  同(小沢鋭仁君紹介)(第四七六九号)  同(大森猛紹介)(第四七七〇号)  同(金子満広紹介)(第四七七一号)  同(穀田恵二紹介)(第四七七二号)  同(佐々木陸海紹介)(第四七七三号)  同(志位和夫紹介)(第四七七四号)  同(菅原喜重郎紹介)(第四七七五号)  同(辻第一君紹介)(第四七七六号)  同(寺前巖紹介)(第四七七七号)  同(中桐伸五君紹介)(第四七七八号)  同(中路雅弘紹介)(第四七七九号)  同(中島武敏紹介)(第四七八〇号)  同(中西績介紹介)(第四七八一号)  同(春名直章紹介)(第四七八二号)  同(肥田美代子紹介)(第四七八三号)  同(平賀高成紹介)(第四七八四号)  同(不破哲三紹介)(第四七八五号)  同(藤田スミ紹介)(第四七八六号)  同(古堅実吉紹介)(第四七八七号)  同(正森成二君紹介)(第四七八八号)  同(松本善明紹介)(第四七八九号)  同(矢島恒夫紹介)(第四七九〇号)  同(山原健二郎紹介)(第四七九一号)  同(吉井英勝紹介)(第四七九二号)  同(権藤恒夫紹介)(第四八四八号)  同(濱田健一紹介)(第四八四九号)  国民本位公共事業推進に関する請願石井郁  子君紹介)(第四五八三号)  同(瀬古由起子紹介)(第四五八四号)  同(土井たか子紹介)(第四五八五号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第四五八六号)  同(山元勉紹介)(第四五八七号)  同(海江田万里紹介)(第四六六四号)  同(仙谷由人紹介)(第四六六五号)  同(辻一彦紹介)(第四六六六号)  同(中沢健次紹介)(第四六六七号)  同(石井郁子紹介)(第四七九三号)  同(岩田順介紹介)(第四七九四号)  同(小沢鋭仁君紹介)(第四七九五号)  同(大森猛紹介)(第四七九六号)  同(金子満広紹介)(第四七九七号)  同(穀田恵二紹介)(第四七九八号)  同(佐々木陸海紹介)(第四七九九号)  同(志位和夫紹介)(第四八〇〇号)  同(菅原喜重郎紹介)(第四八〇一号)  同(辻第一君紹介)(第四八〇二号)  同(寺前巖紹介)(第四八〇三号)  同(中桐伸五君紹介)(第四八〇四号)  同(中路雅弘紹介)(第四八〇五号)  同(中島武敏紹介)(第四八〇六号)  同(春名直章紹介)(第四八〇七号)  同(肥田美代子紹介)(第四八〇八号)  同(平賀高成紹介)(第四八〇九号)  同(不破哲三紹介)(第四八一〇号)  同(藤田スミ紹介)(第四八二号)  同(古堅実吉紹介)(第四八一二号)  同(前田武志紹介)(第四八一三号)  同(正森成二君紹介)(第四八一四号)  同(松本善明紹介)(第四八一五号)  同(矢島恒夫紹介)(第四八一六号)  同(山原健二郎紹介)(第四八一七号)  同(吉井英勝紹介)(第四八一八号)  同(権藤恒夫紹介)(第四八五〇号)  同(濱田健一紹介)(第四八五一号)  地下室悪用マンション建設制限に関する請願  (中田宏紹介)(第四七六六号) は本委員会に付託された。 六月五日  下水道事業対策に関する陳情書  (第三八七  号)  安定的な水資源確保に関する陳情書  (第三八八  号)  四国縦貫横断自動車道など基幹道路等整備  促進に関する陳情書  (第三八九号)  東九州自動車道早期実現に関する陳情書  (第三九〇号)  南九州西回り自動車道早期完成に関する陳情  書(第三九  一号)  北薩横断道路整備促進に関する陳情書  (第三九二号)  国道二二六号の早期整備促進に関する陳情書  (第三九三  号)  国道二六七号大口人吉間トンネル本格着工  に関する陳情書  (第三九四号)  島原・天草・長島架橋建設に関する陳情書  (第三九五号)  太平洋新国土軸構想及び地域連携軸構想推進  に関する陳情書外一件  (第三九六号  )  リニア中央新幹線早期建設促進する大深度  地下利用のための法的整備の確立に関する陳情  書  (第三九七号) 同月十一日  道路特定財源確保に関する陳情書  (第四一六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建築士法の一部を改正する法律案参議院提出  、参法第八号)      ――――◇―――――
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  参議院提出建築士法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。参議院議員松谷蒼一郎君。     —————————————  建築士法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 建築士法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  現在、設計等を委託する建築主利益保護を図る要請が高まっております。さらに、さきの阪神淡路大震災経験から、建築物安全性確保と質の向上が社会全体の要請となっております。  本法律案は、このような観点から、建築士事務所業務の適正な運営等を図るため、所要の改正を行うものであります。  次に、その概要について御説明申し上げます。  第一に、建築士説明義務建築士事務所開設者書類閲覧義務と書面の交付義務を新たに規定するほか、建築士事務所登録規定改正することとしております。  第二に、建設大臣は、建築士事務所業務の適正な運営及び設計等を委託する建築主利益保護を図ることを目的として設立された公益法人であって、指導苦情処理研修等業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、申請により、その業務を行う者として指定することができることとしております。  以上が、本法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。  以上でございます。
  4. 市川雄一

    市川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 市川雄一

    市川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井紘基君。
  6. 石井紘基

    石井(紘)委員 まず、提案者皆さん、御苦労さまでございます。  ただ、これは参議院提案されて、そして、どうも参議院でもって提案されてから衆議院に回ってくるまで何か電光石火で、私ども、提案者皆さんからあらかじめ御説明を受ける間もなかったというのが経過の実情なんですが、参議院でもって提案をされたのは正式にはいつだつたのですか。
  7. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 六月四日であります。
  8. 石井紘基

    石井(紘)委員 それで、一昨日の本会議で通って、その前の日に十八分間の審議を行って、参議院で通ったというふうに聞いております。議員立法ということは一般的には大変結構な面もあるわけですけれども、しかし一方では、こういうような賛否いろいろ分かれる問題を議員立法提案されて、それをほとんど審議もなく採決をされて通ってくる、こういう経過ですと、私どもじっくり検討する暇もないというのが今回のケースでありまして、そうした点についてこれはやはり若干の問題点を指摘をしておきたいと思うのですね。  そこで、内容に入らせていただきますと、まず、今回の法案において業務上のいろいろな責任が明記されているわけでありますが、この点について説明をしていただきたい。建築士としてどういう責任が新たに課されるのか、あるいは建築事務所に対してどういう責任が課されるのかという点について簡単に説明をしていただきたいと思います。
  9. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 本法律は、建築士法の一部改正でございます。建築士法では、資格者である建築士についてその責任を明確にしているところでございます。しかしながら、建築士を使用して設計業務を行う建築設計事務所、あるいは建築士そのもの事務所を経営する場合の建築士事務所等々におきます書類閲覧義務でありますとか、あるいは契約についての適正化を図るような規定が従来ございませんでした。  したがいまして、そういうような規定を今回明確にすることによりまして、阪神大震災等でいろいろな事故がございました。その事故の場合に、設計事務所責任になるのか、施工者責任になるのか、その辺の明確な区別ができないような状態がございましたので、そういう点を明確にしようということで本法律案改正案提案したところでございます。
  10. 石井紘基

    石井(紘)委員 建築事務所に対する責任を課したということでありますが、建築士に対してはないのですか。それから、建築事務所に対する責任というのは、内容はどういうことでございますか。
  11. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 建築士については、もう既に既存の建築士法の中で責任が明確になっております。今回の法改正によります建築設計事務所書類閲覧義務あるいは契約適正化等につきましては、建設大臣指導監督規定規定されまして、これに違反する場合には、建築士事務所登録の停止、あるいは罰則が規定されておるところでございます。
  12. 石井紘基

    石井(紘)委員 事務所義務責任というのはそれだけですか。書類閲覧義務ということですね。契約をする際に書類閲覧させるということですね。そこが変わったわけですか。
  13. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 閲覧義務もありますし、この法律にございますように、建築士事務所開設者がその事務所の中に、当該建築士事務所がどういうような内容について実績経験があったかというような書類を備えなくてはならないし、それを求めに応じて閲覧させなくてはならないということでございます。  建築設計事務所というのはいろいろございまして、例えば構造計算中心とした構造計算事務所的な設計事務所もあります。あるいは設備を非常に特徴としている事務所もあります。あるいは都市計画的な設計事務所もあります。そういうような設計事務所のこれまでの実務の経験を明確にするような書類設計事務所内に備えまして、建築主が求めた場合は閲覧をさせなければならない、こういう規定を追加したわけであります。
  14. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうしますと、実績を持っている建築事務所というものと、それからまだ駆け出しでもって実績を持っていない、そういう事務所等があると思いますが、実績を豊富に持っている事務所が有利になってくるということはありませんか。
  15. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 確かに実績が多いところは、建築主建築設計依頼する者から見ればこれだけの実績があるということで有利になる場合もあるかもしれませんが、そうはいいながらも、実績経験がなくてもすぐれた建築物設計をしている、あるいは専門的に構造方面にすぐれた業績があるとか、そういうようなものは、たとえ実績がなくても建築主依頼をするということになるのではないかというように思います。
  16. 石井紘基

    石井(紘)委員 この法案の中のもう一つの大きなポイントは指定法人をつくるということでありますが、法人を法定化することの目的について述べていただきたいと思います。
  17. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 本法案における法人指定制度は、建築士事務所業務適正化建築主利益保護、こういうようなことは本来民間団体による自主規制が望ましいということを基本としてはいるわけでありますが、いろいろな公益法人がございます。そこで、建築物安全性確保するという目的のために一定基準を定めまして、その基準に適合いたしました団体指定をして、建築物の質の向上、水準を確保しようというものであります。  建築設計界にはいろいろな団体がございます。例えば、芸術家中心としたような建築設計事務所団体もありますし、大工、工務店等中心とした設計事務所団体もあります。全国的な広がりを持っている団体もあれば、地域的な広がり団体もございますが、それらにつきましても、建築物の質の向上安全性確保を図るために一定基準を定めて、その指定基準に適合した団体指定することによって所期の目的を達成する、すなわち安全性確保を図る、こういう趣旨指定をするものであります。
  18. 石井紘基

    石井(紘)委員 今のお話の中で、一つは、建築主利益保護のために指定をするのだということをおっしゃったと思うのですが、これは建築主利益保護だけでしょうか、いわば建築士事務所の側の利益はどうなんでしょうか。  例えば、建築主が約束と違う仕事が行われたという場合に苦情を述べる、そうすると、その苦情を今度はこの指定された団体へ持っていくわけですね。そうすると、そこで一つ問題になるのは指定された団体というのがどういう団体であるかということですが、この指定された団体というものが建築士事務所の今の連合会とほぼイコールの、同一の団体というようなことになりますと、つまり仕事をする方の人々が仕事を出した方の苦情を受けるという形になってくるわけですね。こうなりますと、これはどうでしょうか、建築主依頼者の方の利益擁護に果たしてなるのかどうか。  よく世の中にはこういう例がございまして、例えば株の取引なんかでも、証券会社がつくっている団体が買い手のユーザーの苦情を受ける、こういうようなシステムなんかも幾つかあるわけでありますが、そういうことを考えますと、この指定される団体というのは、そうでない第三者の中立的な団体に果たしてなり得るのか。それとも事実上、実態としては、今の建築士事務所連合会というようなものが名称を変えるなりなんなりして指定される団体ということになるのでしょうか。そのあたりはいかがお考えでしょうか。
  19. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 建築設計事務所構成員とする団体をこのたび建設大臣指定することができるということになったわけであります。  それは、建築士事務所業務の適正な運営を行うこと、それから設計等を委託する建築主利益保護を図る、これを目的として設立された公益 法人であって、法律の中には四項目が列挙されておりますが、契約内容適正化とか建築主利益保護を図るために、この団体建築士事務所に対して指導をやっていく、これを目的としたことで建設大臣公益法人指定するわけでありますので、あくまで目的建築主利益保護を図るのだ、また建築設計事務所業務適正化を行うことによって結果的には建築主にそれを還元をしていくのだ、こういう目的でこのたび法人指定を行うわけであります。
  20. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっと建設省に伺いますけれども、私が今申し上げたこの指定される団体法人というのは、これは幾つかあり得るとしても、今の建築士事務所連合会というものが事実上名前を変えるなりなんなりということはあるかもしれませんが、指定されるということはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  21. 小川忠男

    小川政府委員 今回の改正法案におきましては、建築士事務所業務の適正な運営等目的として設立されました民法三十四条法人で、建築士事務所開設者に対しまして指導勧告等業務を適正あるいは確実に行うことができると認められるものを、申請に基づきまして建設大臣指定することができる、こういうふうにされております。  建設省といたしましては、この法案指定要件に合致しているというふうな団体からの申請であれば、これを受けて指定するというふうな段取りになろうかと思います。
  22. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、この適正な運営ができる、つまり、法案にも書かれておりますように、例えば研修だとか今の苦情処理だとかあるいは各事務所への指導だとか、そういうことが行える団体ということになりますと、実態としては今の建築士事務所連合会は適格ということになるのですか。
  23. 小川忠男

    小川政府委員 この法律が成立いたしました段階では、建築士事務所協会連合会から申請があれば、この法律に則しまして判断した上で指定するかしないかということを処理する、こういうふうなことになろうかと思います。
  24. 石井紘基

    石井(紘)委員 局長、もう少しざっくばらんに、申請があれば審査するというのじゃなしに、ほかにも適格なところがあればそれも指定するということはあり得るということまでは私は一歩下がって申し上げてもいいと思うのですが、今の建築士事務所協会連合会というものが申請をしたら、これは適格だと判断されるとかされないとか、今言えないなどと、そんなことを言わないで、そうなるでしようという答弁はできないのですか。
  25. 小川忠男

    小川政府委員 非常に有力な候補だとは思いますが、法律が成立したら、申請を踏まえまして対処させていただきたいと思います。
  26. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、今言いましたように、事務所指導をするとか、研修をするとか、苦情処理を受けるとかということですから、これはこの建築士事務所協会連合会の会員を統括するような、そういう団体を想定されているのだというふうに思われますね。そこで、そうすると、それ以外の適格な団体というものはあり得るのでしょうか。どうですか。
  27. 小川忠男

    小川政府委員 私ども、改正法案を読ませていただく限りにおきましては、指定法人は必ずしも一つに限定されるものではないだろうというふうに受けとめております。したがいまして、法案に則しまして、具体的な申請があれば、必ずしも一つではなくて複数を指定することもあり得るというふうに現段階では考えております。
  28. 石井紘基

    石井(紘)委員 非常に一般的な答弁なのですが、しかし、全国にどのぐらいありますかね、事務所協会連合会の会員というのは、大体二万ぐらいあるわけですね。それを全部包含しているわけですから、そのうちのごく一部だけ、あるいは建築士関係の団体は四団体あるわけですが、その他を含めた、建築士関係を抱えている、抱えていないと研修とかそんなことがなかなかやりにくいというねらいなのだろうと思うのですが、そういったところでも指定をすることは適格性という点では可能だということですね。
  29. 小川忠男

    小川政府委員 改正法案におきましても幾つかの指定要件法律上列記されております。これに則しまして判断をする。したがいまして、適格なものについては指定をすることはあり得べしというふうなことでございます。
  30. 石井紘基

    石井(紘)委員 業務の適正な運営を図るために指定法人をつくるというわけですが、そこで、その内容というのは今の三つの点で、そのうちの例えば研修なんということは、これは指定法人がなければできないということじゃないのでしょう。今までだってやっているのでしょう。これは何も指定法人がなければできないという問題じゃないのですよ。  それで、苦情処理というのは、むしろそういう同じ仲間が、要するに仕事を受ける方が団体をつくって発注する人の苦情を受ける、これはまさに中立的でもない、公正でもないということになるわけで、これは、苦情処理というものはそうではない第三者の中立的な機関でもって行われなければ本当の苦情処理にはならないわけであります。ですから、例えば裁判所なりその他で解決を、最終的にはそういうふうになってしまう、そういうものなのですね。  それから、指導という面につきましては、これはどういう指導なのかということです。どういう指導かというと、恐らくこの建築士事務所としての標準的な約款を正しく扱うとか、事務所としての仕事をルールに基づいて責任を持ってきちっと遂行をするというようなことだと思うのです。こんなことは当たり前の話であって、指定団体をつくらなければできないなんという問題ではないわけですよ。  そうすると、この業務の適正な運営を図るために指定団体をつくるというのは全くおかしな話になってくるわけですね。これは一体どういうわけですか。私の申し上げたことに何か反論がありますか。
  31. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 今いろいろ石井先生からお話がございました。  ただ、冒頭にこの法案提案理由説明の中で申し上げましたように、阪神淡路大震災における建築物のかなりの数の倒壊がございました。それは施工面に起因するところもありますが、設計画に起因するところもある。建築主から設計依頼された場合、あるいは監理を依頼された場合、明確にこれを実施している設計事務所が少なかったのではないか。こういうような反省に立ちまして今回の法改正を行ったわけでありますが、特に、例えば建築物設計及び監理の場合、監理の内容というのは非常に多岐にわたっておりまして、例えば建物の現場に監理事務所をつくって数人の担当者が常駐をして朝から晩まで監理するというような場合もありますでしょうし、あるいは事務所まではつくらないにしても、施工事務所と兼ねて監理を行うというところもありますでしょうし、あるいは設計事務所から日参をしながらやるような場合もあるし、ひどいときには、監理をうたいながら、ほとんど実際の現場監理の要員を備えていなかったというような場合もあります。  したがいまして、こういうことについて契約内容をきちっとする必要があるというようなことから、こういった規定を設け、さらに公益法人につきましても、数多くの公益法人がありますから、そのうち特に一定基準に適合した団体建設大臣指定として、今申し上げましたようなことをまずは構成員である会員にきちっと普及をさせていく、こういうことを目的として法人指定を行うこととしたことであります。
  32. 石井紘基

    石井(紘)委員 阪神・淡路の大震災の中でもって、手抜きとも思われるような建物の崩壊が必要以上のものがあったとか、そうしたものがないように仕事をきちっとみずから律してやっていこう、そういう構えといいますか、そういう御趣旨は大変結構だと思いますが、それでは一体、阪神・淡路の大震災のときに起こった崩壊が、しっかり施工して管理をしておれば、ああいうことは起こ らなかったはずなのにと思われる部分がどのくらいあったのか。そして、この法律が通れば、そういったところはああした震災の際には崩壊しないで済むのかどうなのか。そういうことは私は言えないはずだと思いますので、阪神・淡路の大震災を例に出されるというのは、私はどうもちょっとその話を聞きますと、かなりアバウトなお話のような気がしてならないわけであります。  そこで、そもそも指定法人というのは、今建設省の所管で幾つあるのでしょうか。
  33. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  建設省所管の指定法人の総数がどうかというお話でございますけれども、私どもの所管の法律によって建設大臣指定しているいわゆる指定法人は、現在十五ございます。そのうち、国の行政代行的な機能を果たしている指定法人が七法人、それ以外は一般的に法律による指定でございますけれども、例えば不動産流通機構のような媒介契約に伴う物件の依頼を受けた場合に登録をする指定法人といったようなものがございます。
  34. 石井紘基

    石井(紘)委員 この指定法人というのは、社団法人や財団法人の中から今言われたように国の行政の代行をする、つまり、登録をやるとかあるいは試験をやるとか、大ざっぱに言いますと、そういうことをやらせるために国が指定するというものですね。そうすると、この十五の指定法人というものは、いわば役所が本来やればいいような事務を、いわゆる半分民間というようなところにやらせるといいますか、そういう性格だと思うのです。  ですから、そうすると、ここには当然、天下りだとか補助金だとか、そういうものが行っているわけですね。補助金は必ずしも全部行くわけではないのでしょうけれども、大体いわゆる天下りというか、役所からそこへ行って、専務なり理事長なりということでやっているというのが恐らく大部分じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  35. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  十五の指定法人の具体的な役職員の天下りと申しますか、建設省のOBが行っている状況は、必ずしも十分、きょうちょっと書類として持ってきておりませんであれでございますけれども、例えば会長クラスを例にとりますと、確かにお話のとおり、半分近くは建設省のOBが会長を務めているというのがございます。  ただ、いずれにいたしましても、法律によってきちっと資格要件を定めまして、ある一定業務をやってもらうために必要な観点からの、いろいろなその法人の適正性あるいは妥当な法人であるかどうかといったようなことをきちっと審査をした上で指定をする、それによって具体的な業務をやってもらう、こういうようなことになっております。  それから、補助金の方でございますけれども、こういう具体的な指定法人に補助金を出すということ、幾つかの例はもちろんあると思いますけれども、一般的に、例えばある試験をその指定法人にやってもらうというがために補助金を出すというようなことは、私どもの役所の場合にはまずないと考えていただいていいと思います。
  36. 石井紘基

    石井(紘)委員 今行政改革ということで、スリムにしようということで国を挙げて取り組んでいるという中において、今の提案者の方の御趣旨はわからないでもないんですが、指定法人というものをこうしてまた一つふやして、そして役所の指導監督ということで、一つの業界をまたより強固に束ねていくということはいかがなものかというふうに私どもは思うわけであります。  そこで今後、建築基準法の改正等が今審議会で議論をされていると思うのですが、恐らくことし中ぐらいにはある程度の一定の報告が出てくるだろう。そういう中での議論を巷間伺いますと、例えば建築確認申請等について、今の建築主事ということでは到底間に合わない、こうした新たな事業を民間にどんどんおろしていこうじゃないかという議論がなされていると思うのです。こうしたシェアといいますか、この仕事の新たに創出される量というものは相当のものがあると思うのですが、こうした新たに創出される事業というものは、建設省としては、民間にどういう形でもって出していくかということは何かお考えでしょうか。
  37. 小川忠男

    小川政府委員 今年の三月だったと思いますが、建築審議会でいろいろな御議論がございました。その中で、建築行政の執行体制を再編強化する、こういうふうな観点から、御指摘のように、現在は行政だけで行っております建築確認あるいは検査といった業務につきましても、民間の企業あるいは団体で、その一部をお任せするという方策が考えられないのかというふうな提言がございました。  私ども、こういうふうな建築審議会の答申を受けまして、それを制度的にどういうふうにすれば組み立てられるのかということを中心にいたしまして、現在鋭意作業をやっておるというふうな状況でございます。もう少し時間をおかしいただきたいと思います。  ただ、一つだけ付言いたしますと、現在、確認申請の件数は、年間百万件というふうな状況でございます。百万件というのは、行政が一〇〇%正確に処理するにはやや力が及ばない数字だというふうなことは率直に認めざるを得ないと思います。  そういうことを踏まえまして、どういうふうな体制を構築すればいいのか、どういうふうな手続をつくればいいのかということを現在検討しているというふうなことでございます。
  38. 石井紘基

    石井(紘)委員 この建設委員会でも私はかつて、例えば道路公団の道路施設協会というようなものを、これは建設省のかつての道路局長局長通達を出して、そして事実上道路施設協会という財団法人をつくって、そこにもうかる仕事をどんどんやっていって、その道路施設協会が既に六十七も子会社、孫会社をつくってしまって、事業をひとり占めにしてきたというような例を申し上げたことがあるわけであります。まあ、今回のこの指定法人がそうだとは必ずしも申さないわけですけれども、しかし、形としては、つまり今後いろいろと民間に出していかなければならない事業の受け皿を、建設省の場合は前例があるわけでありますから、事前に指定団体のようなものをつくっておいて、そしてそこに受け皿をいち早く準備しておく、大変上手なやり方をされておられるものですから、気になるから申し上げるわけであります。  この今回の法案に示されている指定法人というものは、確認申請百万件と言われましたが、こうした事業とは全く無関係であるということは建設省はおっしゃるんでしょうか、どうなんでしょうか。
  39. 小川忠男

    小川政府委員 両方の法律の成立を待って、両方の条文を正確に突合した上で判断すべき問題だとは思いますが、ただ、現段階で率直にどうだろうかと問われますと、若干両方の法律、性格、趣旨を異にしていると思われます。したがいまして、建築確認、検査を行う団体として、この建築士法に基づきます指定法人が直ちに建築確認あるいは検査を行うというふうな団体とイコールであるというふうには、現段階では若干距離があるのではないかというふうな感じで受けとめております。
  40. 石井紘基

    石井(紘)委員 局長の答弁、例によってなかなかつかみにくい答弁なんですが、そうすると、この建築確認の問題にはなじまないんだということなんですか、それとも可能性としてはこの団体もやり得るというものなんですか、どちらですか。
  41. 小川忠男

    小川政府委員 両者の法人の性格からいたしますと、若干趣旨、性格、それを相互に異にしている、したがいまして、必ずしも直ちに検査、確認を受けて立つ団体になり得るという感じではないというふうに申し上げたわけでございます。
  42. 石井紘基

    石井(紘)委員 私どもは、こういう指定法人というようなものには、ここのところはやはりどうしてもひっかかる。先ほど来申し上げましたように、これをつくって業務を適正かつ確実に行うた めだ、その中身は、事務所指導し、苦情処理をし、研修をすることだというのですけれども、こんなことは指定法人がなくてもできるということが明らかになって、それじゃ指定法人というのは何のためにつくるんだろうということです。  率直に提案者にお伺いしたいのですが、この指定法人には建築士のいろいろな団体、四つぐらい大きい団体がありますが、これらの団体はすべてこのことを求めていらっしゃるのか。そして、この指定法人というものができますと、一体今の建築士事務所というようなもののステータスの問題といいますか、これが公的に、国家的に認められた一つの権威という点をお考えなのか、その二つの点ですね。要するに、この指定団体というのはそういう権威のためにつくられるのかどうか、それからまた、これには建築士団体皆さんがこぞって賛成をしていらっしゃるのかという点についてお伺いをしたいと思います。
  43. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 今石井委員の御質問でございますが、これにつきましては、繰り返しになりますが、建築物の質の向上建築主利益確保のために、公益法人の中で一定基準を設けて建設大臣がこれを指定していくということでありますので、権威という、まあそれは結果的に建設大臣から指定されれば多少は世の中には認められるようになるかもしれませんが、権威づけをねらってやったわけではございません。  それから、住宅局長から答弁がございましたように、この指定法人が直接的に建築審議会の答申の建築基準法の確認、検査の委任を目的としたものでもございません。そこのところは提案者として明確に申し上げておきます。
  44. 石井紘基

    石井(紘)委員 大変ありがとうございました。  私は、仕事がしやすいように権威を高めるというのは結構なことだと思うのです。それはそのことを私は決して否定するつもりはございません。ですから、ひとつこの指定法人については今後とも、いろいろな従来問題が起こっているようなことがないようにやっていただきたい、このように思います。  提案者皆さん、大変御苦労さまでございました。  以上で終わらせていただきます。
  45. 市川雄一

    市川委員長 辻第一君。
  46. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、建築士法の一部を改正する法律案改正内容についてお伺いをいたします。  建築士さんには、一級建築士、二級建築士、木造建築士がございますが、それぞれ建築物設計、工事監理を行う技術者であり、今日、オフィスビルから個人住宅に至るまで、良好で安全で質のよい建築物をつくる上で建築士さんは非常に重要な役割を果たしていただいておるということでございます。  ことし三月の建築審議会の答申は建築物の単体規制について触れております。この結果から、建築士建築事務所の果たす役割も変わってくると思うのですが、それらと今回の改正とはかかわりがあるのかどうか、まずお尋ねをいたします。
  47. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 本年三月二十四日の建築審議会の答申には、建築基準の性能の規定化、確認、検査の事務を民間も行えるようにするといった建築基準法の改正項目が含まれております。この点については、今回の建築士法改正は関係はございません。建築基準法の確認、検査の業務を民間に委託するということは、さきに住宅局長から、政府委員から答弁がございましたように、百万件を超す確認事務を何とか簡素化をしていこうという行政改革の一環として行うものではないかというように私は思っております。  今回の建築士法改正は、るる申し上げましたように、提案理由説明でも申し上げましたが、建築士事務所の質の向上を図る、それから建築主利益保護を図る、これを目的として改正するものであります。
  48. 辻第一

    ○辻(第)委員 この法案提案理由でも、建築主利益保護や建物の安全性確保と質の向上が社会全体の要請になっているとして、建築士事務所業務の適正な運営を図るため所要の改正を行う、このようにしておられます。  このこと自体は当たり前といいましょうか、当然のことでありますが、第一の改正点で、建築主利益保護という点では書類閲覧、書面の交付等が入ります。ところが、設計に関し、設計の委託者への建築士説明は努力義務規定になっています。なぜ義務ではなく努力義務なのでしょうか。また、書類閲覧、書面の交付について、これを形だけのものにしないよう実効性を高めるためにどのようにされるのか、お尋ねをいたします。
  49. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 建築士説明義務を努力義務とした理由でありますが、設計内容についてのトラブルが従来幾つもございました。そういったトラブルを防止するために、単なる通り一遍の説明ではなくて適切な説明を行う、この設計は例えば基本計画だけではなくて詳細な設計まで行うんだとか、そういうような説明をきちっと委託者にすべきである。これは当然なことでありますが、これを法律の中でうたうことによって、建築士事務所全般についてその趣旨を徹底させようということでございます。  それから、今お話がございました閲覧義務の問題でございますが、これにつきましては、従来、建築設計事務所に適切な書類を備えつけておくというようなことの義務規定はございませんで、一部自主的には行われてはおりますが、これについてもまちまちでございまして、これをできるだけ統一した基準のもとに、建設省の省令に基づいてきちっとした閲覧義務を課そう、こういうことでございます。
  50. 辻第一

    ○辻(第)委員 さて、建築士あるいは建築士事務所に関してお尋ねをいたします。これは建設省にお尋ねをいたします。  基礎的なことですが、建築士の数それから建築士事務所登録数、その関係する団体の状況について御説明をいただきたい。
  51. 小川忠男

    小川政府委員 平成八年度末現在の状況でございますが、建築士登録者の総数でございますが、一級、二級、木造、三つの建築士を合計いたしまして八十六万人というふうな数字になっております。また、建築士事務所登録数でございますが、これも一級、二級、木造合わせまして、合計で約十三万事務所というふうな数でございます。  それから、建築士にかかわります公益法人でございますが、全部で四つございます。このうちで、建築士という個人の資格を中心として組織されました団体が三つございます。構成員は、それぞれ二千三百人、六千四百人、十四万人というふうな数になっております。また、建築士事務所中心として組織されました公益法人一つございます。傘下の会員数は約二万事務所というふうな状況でございます。  以上でございます。
  52. 辻第一

    ○辻(第)委員 建築士事務所指導する民間団体指定について伺うのですが、指導苦情処理研修などの業務民間団体にやらせるのはなぜなのか、提案者に伺います。
  53. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 これにつきましては、今回の提案をいたしております法律案提案理由の中にもございますし、要綱の中にもございますが、建築士事務所業務の適正な運営及び設計を委託する建築主利益保護を図ることをまず第一義的に目的とする。さらに細かくは、建築士事務所業務監視、契約内容適正化を図っていく、あるいは建築主利益保護を図る、さらに建築主からの苦情処理を行う、さらに建築事務所開設者に対する研修を行う、そういうものをある一定基準のもとに行っていただこうということで建設大臣指定を行うものでございます。
  54. 辻第一

    ○辻(第)委員 今回の改正によりますと、建設大臣団体指定をやることになっておりますが、この指定団体の数は一つなのかあるいは複数なのか、提案者建設省、それぞれお尋ねをいたします。
  55. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 私どもの考えでは、一つの場合もあるでございましょうし、さらに数多くある 場合もあるというように考えております。法律的には、全国で一つ団体指定するとは書いてございませんので、複数の団体指定することができる、かように考えているところでございます。
  56. 小川忠男

    小川政府委員 改正案文を読ませていただきます限りでは、建設大臣によります団体指定は必ずしも一つに限定されるものではないというふうに受けとめております。
  57. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、指定法人について申請を予定している団体があるのか、提出者は想定している団体があるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  58. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 この法案はまだ成立しておりませんので、民間団体がどういうようなことで行動されるかはまだ十分理解はしておりませんが、しかし、この法案が成立をすれば申請をしたいというような団体はあるというように私どもは想定をしております。  しかし、特に各公益法人の定款を私ども綿密に調査したわけではございませんが、この法律の中にありますように、建築士事務所業務の適正な運営及び設計等を委託する建築主利益保護を図ることを目的として設立された公益法人というものは現在あるのかないのか、私の貧弱な知識の中では、ないのではないだろうか。となれば、これはやはり定款の改正を伴うものではないかなというように思っております。
  59. 辻第一

    ○辻(第)委員 今の御答弁でもう一遍お尋ねするのですが、ある特定の団体を想定されているのですか。
  60. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 いえ、特定の団体を想定しているわけではございませんが、有力な団体幾つかあることは事実であろうと思います。その有力な団体といいましてもただ一つではございません。
  61. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど来の御答弁の中に、一つの場合もある、複数の場合もある、そういうようなお話がありました。そしてまた、有力な団体幾つかあるというようなお話もあったのですが、建築士関係の団体は、日本建築士連合会と日本建築士事務所協会連合会、新日本建築家協会、全日本建築士会、これが先ほど建設省から御答弁いただいた団体の具体的な名前ではないか、このように思うのです。そういう中で、これ以外にもいろいろな団体があると思います。また、未加盟者も多くて、現実問題としてどの団体建築士建築士事務所を代表するものとは言いがたいと私は思いますね。また、その業態もさまざまであって、同じ建築士事務所でも、設計事務所と工務店では現実問題としていろいろ立場が違うようにも思います。  建築士建築士事務所実態というのは、著名な建築家や町の設計事務所、ゼネコン、コンサル会社の職員、工務店、大工さん、行政関係者などさまざまであって、建築に果たしている役割も大きく異なります。  特に、木造軸組みの在来工法による住宅建設は、伝統的に施主と工務店、大工さんが協議しつつ、設計、施工を一体的かつ柔軟に行う場合も多い。設計・施工監理を施工から切り離して設計事務所にゆだねることが必ずしも適切でないという状況だと思います。設計事務所と工務店は、法律上同じ建築士事務所でありますが、立場が異なる、こういう状況であります。  そして、そういう中で一律に指導研修といっても無理があるのではないか。特定の団体一つの場合もあるとおっしゃったのですが、もしそういうことになって、特定の団体のみに一定の権限を与えて、指導権限を持たせるということについては、これは大きな問題があろうと思うわけであります。  特定の業態の団体指定法人として指導監督の権限を付与する、例えば一つというような場合、これは適切ではないのではないか。特定団体一つだけでなく、少なくとも先ほど名前が出てきた、きちんとした実績を持っておられる関係団体はそれぞれ指定されるなどの方法を十分考えていただきたい、重ねて要望するわけでありますが、この点に関して、繰り返して恐縮でありますが、提案者建設省の御見解を伺いたいと思います。
  62. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 さきに申し上げましたように、この法律規定されております目的並びに基準に適合いたしております法人は、これを指定するということにしておりますので、これは必ずしも一つ団体を意味しているものではありません。  ただ、やはり実効性を確保するために、業務が適正に行われる法人指定する、これが業務が適正に行われなかった場合には、この指定を解除するということもこの法律案の中では規定しているわけでございますので、そういう意味で、指定については厳正な基準を持って指定することになるというように私どもは考えております。
  63. 小川忠男

    小川政府委員 政府といたしましては、指定申請が個別具体的に上がってきた場合には、成立いたしました法律の要件に則しまして判断した上で個別具体の指定をする、あるいはしないというふうなことになろうかと思います。
  64. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ一つというふうなことではなしに、少なくともきちんとした実績を持つ団体をそれぞれ指定されることを強く求めておきたいと思います。一つだけというようなことになりますと、結局ほかの指定されない団体を結果的には排除するような、そういうことにもなるわけでありますから、十二分に御対応いただきたい、お願いをいたします。  さらにまた、本法案に関して、ことし三月に出ました建築審議会の「二十一世紀を展望し、経済社会の変化に対応した新たな建築行政の在り方に関する答申」、これを見ますと、「建築士等の業務責任の明確化」のためにとして「建築設計・工事監理業務標準委託契約約款の整備等により契約慣行を改善するとともに、情報開示等の業務体制の整備を図る。」としております。また、長期課題として「建築設計・工事監理に関する紛争処理体制の在り方について検討する」、このようにしております。  紛争処理体制は、建築審議会の今後の検討課題と位置づけています。そうした中で、建築審議会の検討もないまま今回の改正で特定の法人に紛争処理をゆだねているのではないか、こういうことを私ども考えているわけであります。そういうことも含めまして、審議会の検討を踏まえて法制化を検討すべきではないか、このようにも考えるわけでありますが、提案者の御見解を伺いたい。
  65. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 今、委員からお話がございました苦情、紛争処理の問題でありますが、この指定法人におきましては、苦情処理というのは、建築主等からの苦情を受け付けて、苦情のあった建築士事務所業務について善処を求めていこうということで、いわば構成員中心とした会員相互の中で、一定基準をもとにして適正な処理を行っていこうという自主規制の考え方が中心になっております。  一方、紛争処理というものは厳格な手続で行っていくべきものでありますので、そういう意味では、紛争の処理をこの法人で、いわば裁判所的な行為をこの指定法人に行わせるというようなことは考慮していないのでございます。
  66. 辻第一

    ○辻(第)委員 建築士事務所登録規定改正でございますが、建築士事務所建築士を使用する事務所をいわば同列に規定をしております。従来とどこが変わるのか、改正したのはなぜなのか、お答えをいただきたいと思います。
  67. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 この建築士法が制定されました当時は、いわゆる資格者である建築士がみずから建築設計事務所を開設し運営を行うというのが大部分でございました。現在では、建築士を使用をいたしまして、建築士でない組織の長が建築士事務所運営管理するというような設計事務所が非常にふえてまいりました。したがいまして、そういった建築士を使用して建築士事務所運営をする設計事務所と、建築士みずからが設計事務所を管理運営する場合とを並列的に規定をするということとしたものでございます。
  68. 辻第一

    ○辻(第)委員 建築士皆さんの意見をいろいろ 聞いてみたのですが、こうした指定法人の制度というよりも、建築士皆さんがその専門性をきちっと発揮して仕事のできる環境といいますか、委託者との関係でも対等の立場で専門性が発揮できる環境を求めておられるわけでございます。こうした点についてどのようにお考えなの史お尋ねをいたします。
  69. 松谷蒼一郎

    松谷参議院議員 今委員がお話をされましたように、建築士がきちっとその専門性を発揮できるような環境というものをつくっていくということはそのとおりでございます。あわせまして、建築士事務所業務の適正な運営を図っていくということもまた一つの柱でございまして、これは相反するものではないというように考えております。
  70. 辻第一

    ○辻(第)委員 繰り返して恐縮ですが、最後に、本当に団体指定については複数ということでひとつお考えいただきたい、建設省もその辺十分御対応いただきたい、強く要請をいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  71. 市川雄一

    市川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  72. 市川雄一

    市川委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。中島武敏君。
  73. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、日本共産党を代表し、建築士法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  今政府は、建築審議会の答申を受けて、建築物単体に関する基準を性能基準に変更すること、建築物の確認、検査の一部を民間団体に委託することなどを検討し、来年の通常国会にも関係法律改正案を提出することを予定しています。そうなれば、設計・施工監理のあり方、建築士建築事務所業務や社会的役割に極めて大きな変化をもたらすことは明らかです。本改正案に盛り込まれている紛争処理体制についても、建築審議会の答申では、今後長期的に検討する課題とされています。  もともと建築士事務所は、設計監理業を独立専業に行っているものばかりではありません。そうした実態を無視して特定の団体建築事務所指導、勧告等の権限を付与するのは、業界の健全な発展よりも無用の混乱を招くおそれがあります。  建築士事務所のあり方については、設計監理のあり方、建築物の確認、検査のあり方について、消費者の意向も踏まえ、関連業界の中で十分検討した上で民主的に決めるべきものであります。そうしたことを尽くさないまま、特定の団体の要望を受けた法改正を行うことには反対であることを申し上げて、討論を終わります。
  74. 市川雄一

    市川委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  75. 市川雄一

    市川委員長 これより採決に入ります。  参議院提出建築士法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  76. 市川雄一

    市川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 市川雄一

    市川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  78. 市川雄一

    市川委員長 次回は、来る十八日水曜日に委員会を開会することとし、開会時間は、追って公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十五分散会      ————◇—————