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1997-05-21 第140回国会 衆議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十一日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 市川 雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君    理事田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    金子原二郎君       佐藤 静雄君    高市 早苗君       谷畑  孝君    玉沢徳一郎君       東家 嘉幸君    中山 利生君       萩山 教厳君    蓮実  進君       松本 和那君    赤羽 一嘉君       岩浅 嘉仁君    岡島 正之君       武山百合子君    樽床 伸二君       西野  陽君    山本 幸三君       葉山  峻君    山本 譲司君       辻  第一君    中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 五十嵐健之君         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境計画課長 一方井誠治君         大蔵省主税局税         制第三課長   西原 政雄君         運輸省鉄道局都         市鉄道課長   榊  正剛君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  梅野捷一郎君         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ————————————— 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   赤羽 一嘉君     武山百合子君 同日  辞任         補欠選任   武山百合子君     赤羽 一嘉君     ————————————— 五月二十日  川辺川ダム建設の中止に関する請願(保坂展人  君紹介)(第二八五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第八五号)      ————◇—————
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武山百合子さん。
  3. 武山百合子

    武山委員 新進党を代表いたしまして質問いたします。たくさん質問したいと思いますので、早速内容に入らせていただきます。  さて、今回の法改正容積率緩和は本当に効果があるのかどうか、今回の改正によってどのようなよい効果が見込まれるのか、国民に安くて良質な住宅が提供されるのかどうか、その辺をちょっと聞きたいと思います。
  4. 亀井静香

    亀井国務大臣 この法律が御承知のように万能でもございません。しかし、住まいを求めようとすれば通勤時間が一時間半もあるいは二時間も押しくらまんじゅうでくたびれ果てて職場に到着するというようなことは嫌だと、できれば都心に住みたいというそうした方々にとって、入手価格が下がってくる、また、キャパシティーが増大して供給量がふえるというような意味においてはこの法律は私は機能をすると、このように思います。  一方では、土地価値が高くなるから地価上昇につながるんではないかという御意見もありますけれども、御承知のように、全体の需要供給関係の中で地価等も決まっていくわけでありますから、土地価値が高くなったということは上昇一つ要因にはなるかもしれませんけれども、しかし、トータルでいえば、我が国土地というのは極めて狭隘でありますから、狭隘な土地有効利用度が高くなることによって価値が高くなる、それが価格面についてプラスの影響が出るということ自体は私は否定すべきものではない、無価値なものにして価値を下げるということが私は土地政策ということではないと、このようにも思います。
  5. 武山百合子

    武山委員 それでは、もう一つ突っ込んでお聞きしますけれども、じゃ、住宅はどのくらい安く見積もれるんでしょうか。建設省はその辺どのくらいの試算で——例えば東京都の、これは「東京都区部における高層住居誘導地区対象用途地域」ということでこれは資料としていただいたんですけれども、二十三区内で四〇〇%以上の、これから六〇〇%になるであろうという地域地図をいただきました。かなりあるんですね。  国民にとっては、ここが本当に良質で、そして安い価格住宅が提供されればこんなうれしいことはないわけですけれども、実際に、本当に試算しましてどのくらい安くなるのか。場所によって大分差があるかと思いますけれども中間所得層の人が本当に買えるのかどうか、その辺の細かい試算をぜひ公表していただきたいと思います。
  6. 小川忠男

    小川政府委員 マンション販売価格というのは、恐らくいろいろな要素で最終的には決まってくるものだろうと思います。  ただ、今回御審議をお願いしております法案との絡みで申し上げますと、基本的には、容積率緩和することによって販売可能な床面積がふえる、それが結果として床面積当たり販売価格を下げるというふうなメカニズムを通じて安くなるというふうなことだろうと思います。  そういうふうな前提で幾つか具体的な事例に即してシミュレーション計算いたしますと、例えば港区の三田でございますが、現実に供給された七十五平米のマンション、これを、今回の措置がフルに適用されたというふうに置き直して試算いたしますと、かつて七千五百八十万円で一戸当たり分譲された住宅、これが五千六十万円、三三%下がります。  その裏側としましては、先ほど申し上げましたように、四〇〇%の容積率現実には斜線制限等々によって三〇〇%しか使われていない状況で供給されたという前提がございます。それが、今回の措置によりまして、最高限、目いっぱい六〇〇%、さらには、マンションの階段等々を除外するというふうな措置も加味いたしますと、フルにいきますと七二〇%まで使えるという前提計算 しますと、今申し上げましたように三三%の減になるというふうなことでございます。  また、若干場所を変えまして、江東区での現実マンション、百平米でございますが、やや大きな住宅でございますが、これについて同じようなシミュレーションをいたしますと、五千二百八十万円というふうなものが四千二百九十万円、約二〇%弱の減少になるというふうなシミュレーションがございます。  したがいまして、そういうふうな計算上の措置前提として、あとはいろいろなしがらみの中で価格は決まるとは思いますが、趨勢として、現実価格を引き下げる方向に働く有力な措置であるというふうに考えております。
  7. 武山百合子

    武山委員 お聞きしますと少しは安くなったという印象はしますけれども中間所得者にとってはその価格は買えるのかどうかと思いますと、私は、ちょっとまだまだ買えない値段であろうと思います。  土地取引はこのような状況によってどのように活性化されるのか。土地取引の方でちょっとお聞きしたいと思います。
  8. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど大臣からもお答えしましたように、今回の施策につきましてすべての土地政策をカバーできるとは私ども思っておりませんが、今のお話にございましたように、やはり、最近の都市構造の中では大都市圏問題と地方都市とはいささか様相を異にしておると思いますが、今回の対策は、主として大都市圏、あるいは、地方におきましてもブロックの中心的な都市における私ども課題だと承知しております。  その中で、今お話のございました土地有効利用ということをまず図っていかなきゃなりませんので、その際には、まず防災の点も先般の密集法でいろいろ御審議いただきましたが、片や都心の居住問題ということで、できるだけお住まい通勤難その他の解消ということも念頭に置きながら我々としては確保していかなきゃならないと思っております。  したがいまして、今回の一部規制緩和についていろいろ御意見ございますけれども、私どもとしては、都心部において大量のやはり住宅供給高層化で提供していくという新しい都市構造を求めていきたい。その際に、土地が関連いたしまして取引活性化されるということも副次的には起こってこようと思っております。
  9. 武山百合子

    武山委員 それはどの程度活性化を見込んでおりますでしょうか。
  10. 木下博夫

    木下政府委員 この法案を成立さしていただいた後、各地方公共団体がみずからの都市計画区域の中でどこにこういういわば誘導地区を設けるかによって違ってくると思いますが、私どもは、今回は相当思い切って高密度の利用の仕方について提案いたしましたので、実験的かもしれませんけれども、これから相当な促進がされると思います。  ただ、御質問の向きは、ボリューム的に、量的にどうかということについては、先ほど申し上げましたように、これからのそれぞれの地区指定によって私ども見込んでいきたいと思っておりまして、現在、そういう形での数字を申し上げる段階ではまだないわけでございます。
  11. 武山百合子

    武山委員 それではもう一つお聞きしますけれども人口はどのくらいふえる試算でしょうか。フォーカスといいますか、大体のアウトライン計算していらっしゃると思うんですけれども
  12. 木下博夫

    木下政府委員 御質問のありました人口でございますが、御案内のとおり、最近の都市圏におきましては、いささか都心部におきまして人口減退になっております。ですから、東京圏というある大きなエリアの中でのできるだけ都心へ持っていきたいと私どもは思っております。  一方では、一極集中という日本都市構造の中で大変大きな課題もあるわけでございます。そういう一極集中を進めるということでなく、むしろ現在の都市圏、特に東京圏とか大阪圏、そういうような大きな都市圏の中の移動として、お住まいとしてはより都心部に持っていきたい、こう考えておりますので、いわば全体のマクロ的な人口の増を見ておるわけではございません。
  13. 武山百合子

    武山委員 それでは、今、首都圏東京二十三区内を視点にしまして質問しましたけれども、では人口が例えば百万ふえるとか、五十万ふえるとか、そういう試算はしていないわけですね。
  14. 木下博夫

    木下政府委員 最近東京都でも、生活都市東京ということで、どちらかといえば質の問題として都市考えていただいております。  私どもは、これからの人口動態は、御案内のとおり、日本全国人口はそれほど伸びていかない、むしろこれから二十一世紀になりますと多少の減少傾向というのは生じてくると思っております。そういう意味では、私どもは新しい人口増をこの都市圏の中でさらに考えるという状況ではないということを重ねて申し上げたいと思います。
  15. 武山百合子

    武山委員 それでは、地方分権は大きな議論だと思いますけれども地方分権首都機能移転とはどのような整合性があるのでしょうか。
  16. 木下博夫

    木下政府委員 なかなか難しい御質問かと思いますが、私どもは、政府として首都機能移転ということについては今検討させていただいておりますし、国会においても御論議いただいておる、こう承知しております。したがって、我が国の全体の国土が有効かつ適切に使われるという意味では、その課題は引き続き掲げていかなければならないと思います。  地方分権につきましては、むしろ地方がもっと元気になるためには、権限あるいは財政あるいは人材、そういう点で我々としても地方にそれなりの、いわば有力な武器をこれから提供していくといいますか、備えていかなければならない、こういうことでございます。  私は、その両方の問題は必ずしも相対立するものではなくて、同時に進めていくものではなかろうかと存じております。
  17. 武山百合子

    武山委員 優先順位がどれかといいますと大変難しい問題ですけれども、本当にこれでいいのかなと思うのが私の意見です。  今回の、土地取引活性化されるわけですけれども、地主が土地の値上げに動くという話も伝わっているわけですけれども土地値段上昇建設省は考慮に入れているかどうかもお聞きしたいと思います。
  18. 小川忠男

    小川政府委員 先ほど冒頭に御説明いたしましたマンション価格シミュレーションにつきましては、地価が変わらないものというふうな前提でのシミュレーションでございます。ただ、今回の制度につきましては、容積率等々の緩和住宅に限っての措置でございます。  かつての一般的な地価上昇というふうな背景を見ますと、やはり商業系とか業務系と、住宅とが混然一体となって価格競争を行う。したがって、一番地価負担力の高い、例えば商業系用途価格住宅も引きずられるというふうなことが実態だったわけでございます。  その意味では、住宅に限っての特例でございますので、マンションとしての供給可能額、実需に見合った価格でしか恐らく地価は動かないであろうというふうな感じを持っておりますので、緩和イコール地価上昇という一般的な図式は今回については恐らく成り立たないのではないだろうかというふうな感じで受けとめております。
  19. 武山百合子

    武山委員 実際の容積率の活用は現時点でも五割未満と聞いているのですけれども容積率緩和に本当に効果があるのでしょうか。
  20. 木下博夫

    木下政府委員 御質問にありましたように、現在の容積率指定容積率のおおむね半分近くというのが確かに実態でございます。  ただ、これには二つぐらいの要素がございまして、一つはやはり公共投資といいますか、社会資本整備がおくれておりますから、条件的には、整備がされた後において期待される容積率を十分に使いこなすというものがあります。  それからもう一つは、数字的なことで申し上げて恐縮でありますが、一般的には、例えば病院とか学校とかその他の公共施設も多々ございますので、結果的にはそういうところが全体の容積率数字的には引き下げているところもあろうかと思います。  ただ、我々の課題としておりますのは、現在ある一定公共施設整備される、あるいは整備されることが期待される地域におきまして、むしろ先ほど申し上げたような都心居住という一つ住まい方として新しい提案をする、その際に、いわば容積をある程度緩和することは、むしろ住宅政策あるいは都市政策として十分な効果を期待しつつ、我々としてはやるべき施策ではなかろうかと思っております。現行において、確かに容積率数字が若干低いという事実は我々も承知しておりますが、そういう背景の中で私ども検討させていただいているわけでございます。
  21. 武山百合子

    武山委員 それでは、この対象となる土地はどのようなところでしょうか。
  22. 木下博夫

    木下政府委員 まず前提といたしまして、地区計画については、都市計画の一環の手続として決めておりますので、地方公共団体がまずお考えだと思いますが、私ども提案している立場から申し上げますと、かなり公共施設整備されつつある、あるいは整備されているという地域がイメージされるのではなかろうかと思います。  あるいはまた、今回は御案内のとおり日影規制等についての適用除外考えているわけでございますから、これは一般論でございますが、例えば地域的に川沿いだとかあるいは臨海部だとか、ある一定の空間が現在においても確保されているようなところが恐らく公共団体の中では計画としてこれから選ばれていく、あるいは検討されるのではなかろうかと思っております。
  23. 武山百合子

    武山委員 このアウトライン地図を見ますと、対象とする地域は二十三区内にかなりあるのです。それで、今のお話のような、いわゆる東京都が持っているような空白地域だけではないと思います。  土地流動化対象としてどのように考えているのか聞きたいのですけれども担保不動産とかという話も出ているのです。不動産業界大都市商業地域に所有している土地もあると思います。もちろん、今居住している住民を追い出すわけにはいかないと思いますけれども、以前のように地上げによる住民の追い出しのようなことが起こらないのかどうか、その辺を聞きたいと思います。
  24. 木下博夫

    木下政府委員 地区のことにつきましては、先ほど申し上げたようなイメージでございまして、結果的にはある一定土地がまとまって整理されれば、従前居住者がいらっしゃるようなところも建ち上がることもあると思います。  私どもとしては、担保不動産というお話がございましたが、それがまず最初にありきではなくて、やはり一定広がりを持った、むしろ先ほど申し上げた公共施設がある程度整備されて、あるいは土地としては低利用で行われているところ、そういうところをまず念頭に選ばせていただきます。従前居住者方々との調整は、地方公共団体地区をお決めになるときに、そのあたり念頭に置いて、ある一定広がりで決められるものと思っております。  もし、そういうトラブルといいますか、そういう問題が完全にないかという御質問であるとすれば、これからのいろいろな地区の選定の中で、県あるいは市町村がお考えになる際に、そういうところも考慮されながら地区指定が行われていくと私ども思っております。
  25. 武山百合子

    武山委員 そうしますと、担保不動産は頭にあるわけですね。そういうことに今私は聞こえました。  本当に具体的に公共団体が持っている土地だけですと、これに当てはまるところというのはそんなに多くあるとは思っておりませんけれども、まず具体的に今のお話担保不動産はあるのかどうかということもちょっと念のためにお聞きしておきたいと思います。
  26. 木下博夫

    木下政府委員 私のお答えが多少舌足らずなところがありましたら、再度お答えをさせていただきます。  担保不動産の定義もいろいろあろうかと思いますが、結果において、担保になっている不動産が、立地条件からいって使われることは全くないとは私は申し上げませんが、担保不動産が先にあるからこそ、そこを何とか利用しようということで計画されたものではなくて、もっと都市構造全体を直していきたい、あるいはこれからの新しい構造をつくっていきたいという姿勢の中で、今回こういう法案あるいは施策を出させていただいておりますから、結果においてそういうところがかぶさってくることも可能性としてはあると申し上げたので、第一義的に担保不動産からスタートした発想ではないことは重ねて申し上げたいと思います。
  27. 武山百合子

    武山委員 それでは、次に移ります。  まず、法案をつくりっ放しにするのではなく、効果度合いをきちんとデータとして調査していただいて、情報公開をきちっとしていただきたいと思いますけれども、その辺について、情報公開現実にされているのでしょうか。
  28. 木下博夫

    木下政府委員 情報公開という御質問でございますが、どの分野、どの程度のものをもって情報公開というか、私、ちょっと議論する際に、お答えするに当たっては前提を置かなければならないと思います。  そもそも都市計画につきましては、私どもは大変民主的な手続にのっとってやらせていただいておりまして、各公共団体公聴会とかあるいはそれぞれ審議会等公開制等も心がけております。その前にもう一つ、全体としてどういう町になるかということでは、市町村マスタープラン等もつくらせていただいて、それを住民方々に見ていただいております。  そこで行政住民との間の接触度合いがまだ足りないという御意見も一部にあることも承知しておりますが、これからさらにそのあたりについては、都市計画に対してやはり地元住民方々が十分承知していただくことがいい町をつくっていくという意味では当然でございますので、そういう意味では、我々も努力したいと思いますが、関係する当該公共団体も、そういうことでの手だては十分これからも努力していくことは、我々が言うまでもないことではなかろうかと思っております。
  29. 武山百合子

    武山委員 ここで情報公開議論はしたくありませんけれども情報公開というのは、やはり国民のための情報ですので、皆さんがお仕事している内容はすべて国民のための仕事であるわけですから、あらゆる情報公開というのは可能であろうと思います。その点をちょっとつけ加えておきます。  それでは、次に移ります。  建設委員会調査室が作成した資料を私持っておるのですけれども、「地価公示価格推移」と「宅地及びマンション供給量推移」というのがありました。これを見ますと、土地価格の低下が都心に近い宅地面積を拡大させたように見えるわけなのです。地価の下落こそ宅地供給増加の一番の要因ではないかと思いますけれども土地有効高度利用、そして良質な中高層住宅供給促進、それから職住接近都市構造実現、これらを実現するために建設省がなし得る政策は、今回の法改正以外に、ほかにどのようなものがあるのか、ぜひお伺いしたいと思います。
  30. 木下博夫

    木下政府委員 都市政策といたしましては、先ほども冒頭大臣からもお答えしましたように、建設省がすべてを仕切れるほどではございませんが、私ども考えつく話といたしましては、やはり各公共団体との連携のもとでございますが、しっかりとした都市マスタープランあるいは土地利用計画をつくっていくということが、まず一つ施策ではなかろうかと思います。  それに基づきまして、例えば都市基盤施設整備とか、それから、先ほど申し上げましたような防災町づくりのためのいろいろな諸施策もあろうかと思っていますが、さらには、土地取引活性化のためにはやはり土地税制の問題もあろうかと思います。  これらについては、政府の中で土地対策閣僚会 議などを設けておりまして各省とも連携しておりますが、いずれにせよ、日本の場合は大変桐密なところに人口が密度を高く住んでいるという前提でございますから、より土地対策の難しさ、難問もございますけれども、今申し上げたような種々の施策をより重ね合わせながら、連携させながら私どもは取り組んでいくべきではなかろうかと思っております。
  31. 武山百合子

    武山委員 この都内の今度の対象となる地域を見ますと、もう本当に建物密集地域ですので、この中で都市計画をつくって計画的な開発をするということは大変難しいと思うのです。ほかに税制の問題とか、それから、国民にとって良質で安い住宅を提供するというのが最大目標だと思いますけれども、その点に関して、税制とかいろいろな他省庁との連携も必要になってくると思います。  大蔵省の方に来ていただいておると思うのですけれども税制による優遇措置分権化に伴う人口移動による大都市集中の是正、それから高速交通網整備、これは運輸省にかかわりますけれども、それから、新幹線がもっと安ければある意味職住接近ども土地有効高度利用、そして先ほど申し上げましたような良質な住宅促進、それから職住接近という三点の実現に役立つと思います。  大蔵省の方に来ていただいておりますので、大蔵省の方にこの点、ぜひ縦割り行政の弊害を打破して、省庁間でいろいろなこのような目標実現するための連携話し合いが具体的にプロジェクトとして行われているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  32. 西原政雄

    西原説明員 お答えいたします。  ただいま御質問いただきましたのは、税制上の優遇措置といった点で各省間の十分な連携あるいは話し合いといったものがなされているのか、あるいはそういった点が重要と考えているけれども、どう考えているかというようなことかと思います。  これまでも、私たちは、関係省庁とは十分に議論をさせていただきまして、このようないろいろな施策に対して、どういう税制上の優遇措置を講じていくかというのを議論して施策を行ってまいっているわけでございますが、その際に考慮しなければならないと思いますのは、この税制上の優遇措置、すなわち、我々は租税特別措置というような言い方をいたしますが、特定の政策目的を実現するあるいは推進するというための政策手段の一つということではございます。  一方で、やはり税負担の公平をいかに図っていくか、あるいは中立、あるいは簡素、こういった税制の基本理念のいわゆる例外措置でもあるわけでございます。そういうことでございますので、この特例措置というのを検討するに当たりましては、やはりその政策目的や効果といった点についても十分な吟味が必要かと思っております。  御指摘のような、土地有効高度利用あるいは良質な高層住宅、それから職住近接、そういったもろもろの施策を推進していくということに関連しましては、これまでも、関係省庁相通じまして十分議論が行われ、その上で税制上の各種の措置を講じてきているところでございます。  今後も、我々は、この税制措置をいろいろ考えていく場合には、関係省庁と十分連絡をとり、連携をとり、議論した上で、必要な対応を図ってまいりたいというふうに思っております。その際、やはり配慮すべき点といたしましては、その税制措置の目的というものが現下の喫緊の政策課題、こういったものに資するものであるのかどうかといった観点、あるいは、政策目的を達成するために真に効果的な措置であるのかどうかといった観点、あるいは、既存のいわゆる特例措置、既にある措置、こういったものとの整合性が果たしてとれているのかどうか、こういったもろもろの諸点を勘案いたしまして、関係省庁とも十分に議論した上で必要な対応を図ってまいりたい、このように思っております。
  33. 武山百合子

    武山委員 非常に長い説明で、余り以前の税制に対する優遇措置は何か一歩も出ていないような感を受けました。  私は、そういうことを聞きたくて聞いたわけじゃ全然ないのですけれども、今までの税制による優遇措置が一歩でもこの議論の中で出たのかどうかという視点を聞きたかったのです。環境庁の方と運輸省の方にも来ていただいておりますので、一分ぐらいで簡潔にぜひお答えいただきたいと思います。
  34. 榊正剛

    ○榊説明員 現在、都市整備と鉄道整備連携の制度といたしまして、まず、大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法がございまして、これに基づきまして常磐新線は宅地開発と鉄道整備を一体的にやっております。このほか、例えば千葉ニュータウン、港北ニュータウン、泉北ニュータウン、多摩ニュータウン、西神ニュータウン、北摂ニュータウン等々がございますが、これらもすべて町づくりと鉄道整備連携してやってきたものでございます。  したがいまして、私どもは、鉄道が不便な地域におきまして町づくりが行われるというような場合には、この都市整備と鉄道整備連携いたしまして、効果的に着実に推進していくようにいたしたいというふうに思っておるところでございます。
  35. 一方井誠治

    ○一方井説明員 平成六年に環境基本計画が閣議決定されたわけでございますけれども、その際に、各省庁が共同で勉強をする、そういう場をつくろうということがございまして、現在、六テーマが各関係省庁との間で進行してございます。  その中には、例えば、環境庁、建設省、農水省、これはともに連携をしまして、二次的自然や都市の自然、これを含む生物多様性の保全と活用方策、あるいは環境庁、建設省、通産省が相共同しまして、地球温暖化防止のためのエネルギー対策住宅社会資本整備効果連携のあり方、こういう検討をしてございます。  環境庁といたしましても、このような具体的なテーマごとの検討を通じまして、各省庁間の連携を一層図っていきたいと思っております。
  36. 武山百合子

    武山委員 ぜひとも連携を深めてスピーディーに進めていただきたいと思います。  質問の時間がほとんどなくなってしまいました。最後になりますけれども、今回の法改正に基づくこの高層住居誘導地区対象用途地域において、まず火災、地震などに対する防災の面で不安が残るのではないかと思うのですけれども、不安はないのでしょうか。建設省の見解を聞きたいと思います。
  37. 小川忠男

    小川政府委員 建築基準法をきちっと守っている限りにおいては、防災、地震に対する安全は大丈夫だと思います。
  38. 武山百合子

    武山委員 きっとそのような答えが出ると思いましたけれども容積率緩和するのですから、街路の狭い地域においてはそれとセットで道路の幅を広げるような政策をとることが、交通アクセスの容易さ、快適な住環境などを実現するすぐれた街路網の整備には役立つことになるのではないかと思いますけれども、今回の法案には、このような視点からの政策はないように思いますが、今後、建設省にはぜひとも御検討をお願いしたいと思います。  これで私の質問を終わります。ありがとうございます。
  39. 市川雄一

    市川委員長 西野陽君。  新進党の質疑時間内で質疑を終了していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  40. 西野陽

    ○西野委員 新進党の西野陽でございます。  まず、大臣並びに建設省の皆さんに御質問をいたします前に、私が初めて本委員会質問をさせていただきました去る二月二十日、大臣初め省の皆さんに御質問を申し上げた点で、実は、その後時間が経過をいたしまして、一言お礼を申し上げて、御報告をしておきたいことがございます。  といいますのは、特殊法人にかかわる行政改革の視点だとか、さらには、首都高、阪神公団等の渋滞の問題を取り上げて御質問をいたしたわけでありますが、具体の問題で失礼でございますが、私の住まいをいたしております大阪、阪神高速道 路公団の東大阪線のいわゆる西行きというのは大阪都心に向けての道路なんでございますが、これが通常、人間の一日の社会活動をスタートするというのはおおむね八時ごろであって、八時から渋滞するのはよくわかるけれども、まだ理解はできるけれども、早朝六時になればもう三十分以上かかるというのは、これは高速道路という名前を変えたらどうですか、むしろ低速道路にしてはどうですかなんというようなことを私は申し上げました。  その後、鋭意緩和策が講じられておったわけでありますが、約束どおり、この四月一日からおかげさまですいすいと通過をいたしておりまして、これで阪神高速道路も名前、名称を変えなくて、低速道路にしなくて高速道路で結構だろう、このように思っております。  そういう推移がありましたことを御報告を申し上げながら、一言お礼を申し上げておきたいと思います。  さて、本件の高層住居誘導施策に関する問題でございますが、本案は、都市計画法だとかあるいは建築基準法改正いたしまして、職住近接、さらには、限られた土地でありますから、その土地を有効に高度利用していこう、そしてもって、都市人口の空洞化現象とか、さらには、働く場が都心にある方はどうしても住居が遠い、そして高い、狭いこういった住環境を改善するための方策として、私は本案は時宜を得たものであるというふうに認識をいたしておりますが、改めて大臣に、今回の改正についての趣旨、目的等を明確に簡単にお願いしたいと思います。
  41. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員が御質問の中で私どものねらっておることを既にお話をなされましたと私は思いますけれども、先ほどもお答えをいたしましたけれども、限られた土地をいかにやはり有効に活用していくか、日本のような国にとりましては、これが私は基本的にやはり大事だと思います。  それにつきまして、従来、のっぺらぼうな形での規制のもとで利用がされておった、これの反省をせざるを得ないわけでありまして、その意味では、もちろん、環境面に対しての配慮はもちろんしなければなりませんけれども、日照権その他にいたしましても、やはり地価の高い、職住近接、あるいは生活する面においてデパート等が近いような、繁華街に近いような、そういうところに住まれる方、選択される方と、あるいは郊外を選択される方にとって、日照権についてもこれは差があってしかるべきじゃないか、そういうような価値判断をいたしまして、みんなが我慢することは少しずつ我慢しながら、より多くの方々がその幸せを、これを増幅をしていく、そうしたやはり土地政策も必要である、このように考えておるわけでございまして、そういう観点からも、委員が御指摘のようないろんなことを勘案いたしまして法改正に踏み切ったということでございます。
  42. 西野陽

    ○西野委員 まあそういうことでありましょうし、ただ、今回のこの誘導されます地域指定と申しますか、対象区域というのは、住居が混在をしておる用途地域で、しかも容積率を四〇〇%の地域に限定をしておられるわけでありますけれども、その辺の理由を明らかにちょっとしていただきたいと思います。
  43. 木下博夫

    木下政府委員 私の方で考えましたお答えを申し上げますと、三つぐらい視点があろうかと思います。  一つは、今大臣お答え申し上げましたように、国土全体のあり方、あるいは都市構造として、これからやはり、公共施設等がある一定整備されたところを念頭にしながら、高度の土地利用をしていくところ。  それからもう一つは、住居系と今先生お話がございました非住居系がある程度混在しているところで、いささか申し上げると、住居系が非住居系、具体的に申し上げると、商業その他のビルが住宅の立地を抑制するといいますか、押しのけているようなところ、そういうものを解消していくということ。  それからもう一つは、やはり新しい都市環境としては、マクロ的な都市環境はもちろん周辺の公園その他で確保していきますが、個々については、ある一定日影規制等についてはお互いに融通し合う、この辺の視点が今回の施策課題ではなかろうかと思っております。  したがいまして、住宅あるいは商業系の立地状況を見まして、私どもは二〇〇から四〇〇ぐらいを模索しておりましたけれども、現在の状況からいきますと、やはり四〇〇%という容積のところが、相当の部分で住宅のシェアが抑制されているといいますか、追いやられているような傾向もございます。  それから、大都市を中心といたしまして、現在地方公共団体で実施されている日影規制等なんかの状況を見ますと、おおむね条例の世界でございますが、四〇〇%については各都市とも適用除外という一つのそれぞれの実績を持っておる。  これらを念頭に置きながら、今回申し上げました四〇〇%で、いわば住居あるいは商業系を中心とする非住居系の混在している、全部で十二ある中の五つの用途地域対象にするということで考えたわけでございます。
  44. 西野陽

    ○西野委員 それでは、その対象、四〇〇%の対象となります地域を参考に、県別にちょっとお示しをいただきたいと思うんですが、おおむね多いと思われる、東京ですね、それから兵庫県、神奈川県、愛知県、広島県、大阪府、できましたら、そのそれぞれの対象になります面積と全体に占めます比率ですね、パーセンテージでお示しをいただきたいと思います。
  45. 木下博夫

    木下政府委員 全国で、申し上げました五つの用途容積が四〇〇%になっておりますのは、先生の御指摘のあった府県が中心でございますけれども、全国で四千九百五十ヘクタールございまして、東京都がちなみに三千百八十、以下、ちょっと細かくなりますが、御質問でございますからお答えさしていただきますが、兵庫県が三百九十ヘクタール、神奈川二百四十、愛知二百三十、広島百八十、大阪府も百八十。  いずれの面積の全体の四千九百五十に対する占める割合を順次申し上げますと、東京が六四・三、兵庫が七・九、神奈川が四・八、同じく愛知が四・六、広島が三・六、大阪が三・六でございますから、状況的に、雑駁な言い方でございますが、相当の部分は東京都に現在四〇〇%の対象地域があろうかと思っております。
  46. 西野陽

    ○西野委員 そのとおりでございまして、今のパーセンテージだけ言いましても、東京で六四・三%でございますね。じゃ、他府県はどうかといいますと、第二位というのはおかしいですが、その次の多くを占めている県が兵庫県ですね。これが二けたじゃなくて一けたでございますね、七・八%でございますか。  以下、大阪、もう少し多いかなと思っておりましたら、三・六%、こういうことでございまして、これだけの数値を見ますと、どうも本案は、首都圏といいますか、東京都のために何かつくられたような感じがしてしようがないですが、どうでございますか。
  47. 木下博夫

    木下政府委員 確かに、申し上げました数字からいきますと、先生のような御指摘も当たっているといいますか、うなずけるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今回は、やはり相当の公共施設整備されておる、一方では都心の空洞化が起こっている、そこで、できるだけ通勤難を解消しつつ、都心のすぐれた都市環境を享受していただくということで考えておりますから、私どもとしては、現在の用途あるいは容積率前提として選んでみますと、こういうことでございますが、ここで大変それぞれの国民の支持の得られるようなものをつくり上げていきますと、恐らく、計画的には各県がまたお決めになるわけでございますけれども、新しい地区で現在の用途あるいは容積率の点検、見直しをする中で、我々の試みたこの新しい制度が、実績あるいは支持が得られればまたふえていく、その際には、今お話のあったようなところの地域的な状況も私も変わ っていくんじゃなかろうかと思います。  まずは、やはり相当のこれからの制度の一つの転換でございますから、いろいろ試行錯誤の段階で進めているわけでございます。
  48. 西野陽

    ○西野委員 どうもそういうことからして、先日の本委員会で、亀井大臣東京都の青島知事とは会ってしかるべく合意を得た、何かできているなという感じを受けるんでございますが、実は、大阪は非常に少ないんでどうかなと、私、今地元でございますから、そう思っておりましたら、いや、大阪の知事も近々来てもらって会うんだ、こうおっしゃいましたから、やはり二番手だななんというような気がいたしておるんでございますが、これは改めて大阪府の知事等とお会いになるのかなというふうに思いますが、これについてはどういう考えでお会いになりますか。
  49. 亀井静香

    亀井国務大臣 別に大阪を軽んじたり、よそを軽んじておるわけじゃございませんで、とりあえず東京都知事とお会いをして、具体的な意見交換もし、理解を深めるということをしたわけでございますが、近々大阪府知事、市長においでをいただきまして、この法案の我々の目的としているところも御説明し、委員が今御指摘になりましたように、これでもう凍結をするということじゃございませんので、今後、大阪府、大阪市の都市づくりといいますか、そういうものをどういう形で進めていかれるのかというようなお話も十分聞きまして、今後弾力的にこの法律が適用拡大をされていく条件が整うんであれば、そういうことで我々は努力したい、そういう気持ちも込めて今度お会いをするわけでございます。
  50. 西野陽

    ○西野委員 ところで、東京を初めとする兵庫、神奈川等々、この誘導地域の全体のイメージはどういうふうなものを考えて、想定をされておるのか、お答えをいただきたい。
  51. 木下博夫

    木下政府委員 具体的にどういうものが建つかということになりますと、それぞれの地主さんあるいは建て主の方の建築に対する考え方もあろうかと思いますが、都市という視点から申し上げるならば、私ども、かなり高密度な地域でございますから、高さもそれなりの高さを持った建築物が建ち上がっていくんじゃなかろうかと思いますが、一方では、周辺には、先ほども申し上げて、繰り返しになって恐縮ですが、道路の配置あるいは公園等々もやはり都市施設としてはある一定整備がされておるような空間でございますから、そういうものが相まって、私は、大変都市という中心部におきますメリットを活用できるような、そんなものがこの地域に備わってくるんじゃなかろうかと思っております。
  52. 西野陽

    ○西野委員 ということでございますと、この都心居住を推進するという点からいたしましたら、今回の四〇〇%の対象地域に、実はそれに連動するといいますか、連続するといいますか、連携をするといいますか、要するに、都心に、四〇〇%に連続した周辺部が当然あるわけなんですね。  例えば、また大阪のことで恐縮なんでございますけれども、周辺の容積率三〇〇%というところを見ますと、大阪では、同じ大阪の都心が、例を挙げますから、住吉区という区の名前を申します。同じ市内でありまして、住吉区からいわゆるその四〇〇%の都心まで行く例えば時間帯と、私の住まいをいたしております東大阪市から都心へ行く時間帯でいきましたら、私の方が近いんですよ。私のところは十分で都心に入る。住吉区からは三十分かかるんですよ。  ですから、単に市と、大阪市、例えば例でございますが、大阪市というだけで、ああこれは四〇〇%だからいいという、数値ではそう出ていますけれども、連続した都市の形態を見ますと、むしろ隣接しておる地域、例えば私のおります東大阪市とか守口市とか吹田市というのがあるんですけれども、そういった市の方が非常に都心部と、四〇〇%と隣接しているんです。ここらは、残念ながら三〇〇%になっているわけですね。  そういうことからいたしますと、これは三〇〇%に、場合によっては本案を、今回修正できなかったら近いうちにということもありましょうけれども、やはりそこまで広げるというぐらいのお考えはないのでしょうか。
  53. 木下博夫

    木下政府委員 都市のあり方というのは、先生おっしゃったように、なかなか各都市ごとに様相を異にしておりますので一概には決めつけられませんが、私の考えを申し上げますと、今先生おっしゃったように、四〇〇を三〇〇に下げて対象範囲を広げるという手法も一つの手法かもしれませんけれども、むしろ四〇〇%というのは、先ほど申し上げましたように、何ゆえ四〇〇に限ったかというのは、環境の問題あるいは住居系と非住居系との建て方の問題あるいは高度の利用の仕方ができるだけの基盤があるかということで選ばせていただいておりますから、おのずと各市町村が、こういう今回の提案を受けて、自分のところは従来は二〇〇とか三〇〇だけれども、それだけの整備がある程度進んでくれば、四〇〇にしてそういうことをやろうという試みが恐らく進んでいくのではないかと私は思います。  逆に、三〇〇まで広げてしまいますと、御承知かと思いますが、四〇〇%の対象地域、四千九百五十と申し上げましたが、おおむね十倍近くのいわば潜在的な予備軍がいるわけですから、これを一気に全部広げるということについてはいささか問題が大きくなろうかと思いますので、むしろ三〇〇をもう一度点検する中で四〇〇に切りかえて、その上でこの施策を受けていただく。  それについても、前提条件、いろいろな問題がございますから、各公共団体がそれぞれの中で選択されることであろうかと思いますが、私は、基本的にはそういう方が都市計画的じゃなかろうかと申し上げます。
  54. 西野陽

    ○西野委員 それはよくわかるのでございますけれども、今お答えがありましたように、私の調べでも、三〇〇%としますと、確かに今回で約五千でございますが、それに対して、全国では五万一千ヘクタールになります。  大阪でいきますと、大阪は百八十ヘクタールしか今回対象になってないのです。ところが、三〇〇%になりますと、これは十倍じゃないのですよ、七千二百十ヘクタールにも及ぶのです。  大阪の都市の形態というのはやや全国平均とは違う形態になっておるということを少し理解していただきながら、三〇〇%をすべて一挙にやることは、公共整備もできてないのにという危惧も当然ありますから、直ちにそうではなくて、四〇〇%に隣接する地域で、かつ、公共整備等が十分できておると思われる地域が相当あると思いますので、いや、それは都道府県がそれぞれ四〇〇%に都計審で変えればいいじゃないか、それを待っているよ、そういう見方もありますし、逆にこちらの方から、三〇〇%であっても十二分な本案の趣旨に沿っているような条件が整っておる場合は考えていくということも今後の課題として含んでいただきながら、亀井大臣が横山知事に会いましたら、横山知事は、大阪は周辺の方が少しそういう期待が多いのですよという話が出てくるように私は思いますので、あえて御指摘をしておいてのことでございます。  ところで、四〇〇%ということで本案が通りますと、容積率は六〇〇%になるわけですね。そこで、一挙に四〇〇から六〇〇なんですが、どうでしょうか、住環境、先ほど来からも多少心配の向きでいろいろ質問があったように思いますけれども、過密という問題に対して、住環境が損なわれるのではないか、そういう危惧に対しては何か心配ないという考えでもありましょうか。
  55. 木下博夫

    木下政府委員 都市計画を進めていく際に、今お話のございました環境問題というのも我々としては大変有力な考慮事項であろうということはかたくないわけでございます。  説明が一部、とかく語られるにつきまして危惧されますのは、何か一挙にすべての建築規制が全く適用除外になってしまうという誤解も与えているところがありますから、これはむしろ我々のPRが足りないところあるいは御説明が足りないところだと思います。  今回の場合も、いわば住居あるいは非住居が混 在している地域について、商業系の従来とられてきた規制を、建築上のことでございますけれども、取っていくということでございますから、おのずとそこにはある一定の、暫定的なといいますか、段階的な緩和は行われるわけでございますが、一定の規制が行われるということは言うまでもないわけでございます。  また一方、今回の法律の中には、そうした高層住居誘導地区都市計画といたしまして、環境上に配慮する点として、建ぺい率の問題とかあるいは敷地面積に対するいわば規定とか、そういうものを決めることができるとなっておりますので、それぞれの地域に応じて、私どももその点についてはこれから具体的な課題として取り組まなければならないと思っておりますが、今先生のお話にあったような懸念も十分私ども承知しておりますので、各地区において手だてとしてはそれを使っていただきたい、こう思うわけでございます。
  56. 西野陽

    ○西野委員 そういう意味では、住環境としては職住近接になってよかったという反面、やはり環境という問題についても当然ながら十分にチェックといいますか、留意しながら、この施策の遂行をお願いしたいというふうに思います。  ところで、もう一点、六〇〇%までなるのですから、当然ながら、一定の周辺の公共施設といいますか、公共整備はなされておるところを指定されるのだというふうに思うのですけれども、現場でそれらの整備がまだ不十分なところが万が一包含されるようなことになりますと、やはり影響が大きいというふうに思いますので、公共施設整備をされておるというチェックといいますか、そこらあたりを十分ひとつ見ていただきたいのですが、それは自信がございますか。
  57. 木下博夫

    木下政府委員 都市は、多少言い方は情緒的かもわかりませんけれども、常に生きておりまして、変わっていくわけでございます。  そういう意味では、私ども都市計画事業がなかなか遅々として進まないというような御指摘を受ける一方で、例えば十年とか二十年タームで振り返っていただきますと、そこそこは日本都市もそれなりの施設整備が行われてきたというふうに私は認めていいのじゃなかろうかと思います。  先生お話のありましたように、基本的には、できるだけ公共施設整備されたところを地区的には県あるいは公共団体としてお選びになっていくと思いますが、一方では、それではなかなか先に対する展望がないわけでありますから、立地条件その他から、先ほどお話のございましたようなことで、これからむしろ積極的に都心居住を進めていくというところについてはまだ公共施設が若干不足しているところもあろうかと思います。  そういう意味では、相まって、都市整備のいわば対象事業といいますか、そういうものを重点的にやっていくあるいは計画的にやっていくという面が必要だと思いますし、多少調子に乗って申し上げれば、今公共投資に対して大変いろいろな御意見がございますけれども、そういうところにつぎ込むことについては国民的には支持が得られると思いますから、予算配分あるいは地域配分においては我々もめり張りをつける、作業をやる際にこうした施策に十分整合性をとっていきたいと思っております。
  58. 西野陽

    ○西野委員 お示しをいただきましたので、少し安心をしております。よろしく頼みます。  ところで、これは住居でございますね。これは質問に出ているかもしれませんが、なかなかいろいろな方がおられまして、当初申請許可は住居でとりまして、でき上がったら実際は用途が別のものになっておった、こういうことがあっては本案の趣旨に合わないわけでありますから、その点どうですか、違反防止策とか、何かそういうのは考えておられますか。
  59. 小川忠男

    小川政府委員 御指摘まことにごもっともだろうと思います。建築基準法上のいろいろな特例というのは従来からもございましたけれども、今回の措置住宅という点に着目して、従来の枠組みをかなり大きく踏み越えたところで制度の枠組みを構築しております。かなり思い切った措置でございます。  その意味では、審査をきちっとするといいますか、転用防止、転用した途端に違法になるわけでございますので、一つには、やはり建築確認の段階において、マンションである以上は、台所ですとかふろですとか、住宅に固有の設備、設計がございますので、その辺はきちっと従来以上に審査、確認をいたしたいと思います。  また、特例的な措置として建築されるわけでございますから、個々の建築ごとに台帳をきちっと整備した上で、完成後も定期的なパトロール、点検をしたいと思います。  それから、かなり思い切った措置であるというふうなことと裏腹でございますが、転用した途端にこの法律改正の違反になるわけでございますので、一罰百戒というふうなこともございますので、場合によっては措置命令、罰則というふうなことについても十分念頭に置いた上で違反防止に努めたいと思っております。
  60. 西野陽

    ○西野委員 わかりました。  ところで、本案は、容積率を上げまして職住近接という大きな趣旨があると思いますし、これらの施策はこれだけではなくて、御案内のとおり、市街地再開発法によって進めるもの、さらにはさきの国会で密集市街地の再整備の問題とか、あるいは今検討いただいております新総合土地政策推進要綱にもいろいろ出ておりますし、そういったいろいろなこれらの施策都心にかかわる問題を推進するに当たって、実はそれと関連する問題点がちょっとありますので、それを少しばかりお尋ねをしたいというふうに思います。  まず、宅地開発指導要綱という点でございますけれども、実は、私は地方議員になりましたのが昭和五十年でございまして、その翌年に人口がぐっとその付近で急増になりまして、各地方公共団体で開発指導要綱なるものを設置したのですね。どうもそれがばらばらでございまして、それで大阪の実態だけを持って建設省にお邪魔したことがあるのです。建設省の担当の方は、そんなんですかということで率直に言って驚かれまして、調べるとおっしゃいまして、その後調べられました。  確かにいろいろな問題が出てきたようでございまして、例えば公園の面積を開発に当たって法律では三%ぐらいになっておるのですけれども、それが開発面積の六%以上というふうに、一戸当たりですよ、要綱で指定したり、あるいは開発負担金なるものが、相当の負担金を要望したり、あるいは開発時に周辺の住民との同意を、同意判をとれとか、さらには、それを聞かなかったら、開発されて家が建ちましても水道の供給をしないとか、これは裁判がどこかであったようでございますけれども、そういういろいろな制裁措置というか、やや行き過ぎの指導要綱が、目に余るものがあったのです。  それに対しては、確かに建設省も、調べましたら昭和五十八年、平成五年、平成七年にそれぞれ是正についての指導をされておるところでございますけれども、この関係の方がおいででございましたら、この開発指導要綱の行き過ぎ等についてどう受けとめておられるか、お示しをいただきたいと思います。
  61. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 開発指導要綱の問題でございますが、ただいま御指摘のありましたように、昭和四十年代後半から都市部への大規模な人口集中が起こりまして、東京、大阪周辺を中心にいたしまして、人口集中に伴う地元財政負担が大変だということ、それからいわゆるスプロールというかミニ開発というか、そういう町づくりの面でもいろいろ問題が生じつつあるということを背景にいたしまして、市町村が主体となっておっしゃるような開発指導要綱というものをつくりまして、施設整備水準についてかなりグレードの高い水準を要求する、あるいはそれに伴う財政負担につきまして開発者に負担を求めるといったようなことがほうはいとして起こってきたわけでございます。  最近の状況でございますが、若干当時と比べますると人口集中の度合いが緩やかになってきておる、こういう背景がございます。逆に言うと、人 口抑制的な色彩が比較的少なくなってきまして、本来のいい町をつくっていくための指導をやろう、こういうふうに傾向としては変わってきておるわけでございます。  しかしながら、従来から行われておりましたいい町をつくろうという動機においては功の部分があるわけでございますが、やり方の点におきまして余りにも過重な負担を開発者に負わせているのではないかということにつきましては、従来からたびたび、自治省とも協力しながら、行き過ぎの是正ということを市町村を通じましてお願いをしてまいったわけでございますが、必ずしも、その行き過ぎがすべて是正されたかといいますると、そういう状況でもないわけでございます。逐次是正されつつはあるわけでございますが、まだまだ若干の行き過ぎと見られる点があるわけでございます。  平成七年の末でございますが、個別具体的に要綱を見直してほしいというお願いをいたしております。例えば、例示的に、負担を求める場合にはどういうものの負担を求めるのか、どの程度負担を求めるのかということを文書化をする。そしてそれをオープンにする。  運用で、あるケースの場合にはこれだけ、別のケースの場合にはこれだけということをやみの世界でやるのではなくて、ルールを決めてオープンにしていただきたいといったようなこと、あるいは具体的に、公園の面積については六%以上とるといったようなことは見直しをしてほしいといったことを示しまして、見直しのお願いをいたしております。  その後、平成七年の末の時点で、見直しがどの程度進んでおるかということを調査をいたしております。その結果によりますると、調査時点で既に見直しをした、終わったという市町村の数が全国で二百五十一団体ございました。全体の中での比率でいいますると、一六・六%が平成七年の末の段階で見直しを着手いたして、完了いたしております。それから、今後見直しを検討しておるというところが六百十三団体ございました。これは全体の中での四〇・五%の割合でございます。  このように、行き過ぎ是正につきましては、かなり機運が盛り上がってきております。中でも公園の面積のとり方、あるいは開発負担金の問題、この点について見直しをしたいという意見が多いようでございます。ごく最近の数字についてはまだフォローしておりませんが、時期を見てさらに最近の状況もフォローし、一層の指導に努めてまいりたいと考えております。
  62. 西野陽

    ○西野委員 認識なさっておるように、確かに見直しを、是正を指導していただいて効果は上がっているのですが、これまた大阪の例で恐縮なのですが、極端なのです、いまだに。  例えば、大阪市は開発負担金ゼロ、北部にあります、ちょっと市の名前を申し上げるのは控えますけれども、後ほどなんでしたら申し上げますけれども、一戸当たり六十万。ゼロと六十万。両市とも人口増は現在ありません。にもかかわらずゼロと六十万では、これは相当違うのですよね。そういった問題。  しかも、何ですか、開発の内容によっては市長と別途協議するというのですね。市長と別途協議するというのは、これは何か。今のお話ではなくて、透明性がないのですよ。どこかでやっているのでしょうかね。そういうまだまだ不備なところがありますので、どうぞひとつさらに徹底をしてこれらの開発指導要綱に係る過重といいますか行き過ぎについては是正をさらに進めていただきたいというふうにお願いをしておきます。  それと、別件でございますが、関連する点で、良好な住宅の供給という点からしましても、先ほども少し触れられておったのかもしれませんが、土地税制ですね。これはいろいろ見直してほしいと思うのですが、例えば地価税なんというのは、御案内のとおり、亀井大臣のもとでも新総合土地政策推進要綱で指摘をなさっているようですね、これは幅広い検討をする必要があるというふうに。これなんか、平成四年に導入されたというのは、バブル経済のもうまさに崩壊しつつあるときに、これはえらいこっちゃというので、バブル経済のときにつくられた遺産みたいなものだというふうに私も思うのですね。ちょっと時間の関係でさらに申し上げません。  土地の譲渡益課税なんというのは、これもそうですよ。大体御案内だと思いますが、二〇%、二五%、三〇%と三段階になっているのですね。これは、バブル経済の前までは二〇%だったのですよ。今やはりこれは三〇%というのがありますからね。これなんかももとに戻してやるべきではないか、私はそのように思います。  その他登録免許税とかこういうのがあるのだけれども、税収だけで実績で平成七年で約八千億あるのですね。それは結構なことでありますけれども、これらのこの土地に係ります税制というものが、かつてのバブル経済のときのものがそのまま遺産としていまだに残っておるんでございますから、これらを、これは大蔵省なのかもしれませんけれども、是正をしていくという、見直しをしていくということも、土地の供給、住宅の供給を円滑にするという観点から大事なことだというふうに思うんですが、お考え大臣いかがでございますか。
  63. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のように、大蔵省も悪意で意図的に怠けておったりしておるわけではないとは思いますが、過去のそうした税務行政推移を見ておりますと、どうもタイムラグが起きておるということを私は否定をできないと思います。  そういう意味で、特に土地税制については、そうした意味では、打つべきときに打たないで、打たないでもいいときに税制がそのまま残っておるというのが現在の状況であると思います。  私は、委員のお考えに全く基本的には同感でございまして、やはり、税制というのはそのときそのときの経済社会情勢の推移にきちっとフィットしておるものでなければならない。税収を上げるというそういう一点にだけこだわって、そうした実態と乖離をした税制というのは国民を苦しめる面も出てくるわけでございますし、また、経済の活性化を阻害をしてくる場合も出てくるわけでございますから、土地税制につきましては、建設省としては、これを時に合った税制に変えるべく今後とも全力を挙げて努力をいたしたいと、このように考えております。
  64. 西野陽

    ○西野委員 大臣からそういうお答えをちょうだいいたしましたので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  もう一点、ちょっと簡単にお答えをいただきたいんですけれども、関連するやつなんですが、近畿圏で工場等制限法というのがありまして、これは国土庁の方になるのかもしれませんけれども、要するに、千平米といいますから約三百坪でございますね。三百坪以上は工場も増改築できないんです。人口増で、工場があって邪魔になるからということで、工場の適正配置という意味からこういう法律ができたんだと思いますけれども、既存で運営している工場が、一つの会社でございますから成長していくわけですね。増改築ができないというんですよ、その地域では。  こんなのはもうええかげんにやめてほしいんですわ。私のおるところ多いんですよ。東大阪というのは、また地元の話で恐縮ですが、東京の大田区もそうですけれども、こんなの何であるのかなと思うんです。国土庁さん、えらい申しわけないんですけれども、どうですか、こういうのはもう無用の長物じゃないですかね。いかがですか。
  65. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  工場制限法につきましては、先生御指摘のような、大都市地域においてそういう規制は緩めるべきではないかという御意見が一方で強くあるわけでありますけれども、もう一つ、余り大都市地域にそういう工場なりあるいは雇用の場が集中し過ぎた場合に、やはり地方における活性化がなかなかできないという御意見がまた強くあるわけでございます。  そこで、国土庁といたしましては、基本的には 現行の制度を守りつつ、一昨年、それから昨年、その前の年からですから、三年続いているような形での緩和措置は講じてきております。  現時点で考えますと、一番強いところが、つまり規制の内容も強いんでありますけれども、集中の程度も強い。それも首都圏であります。首都圏でも最近の人口の集中の動向等は変わってきているというようなこともありますので、今後どうしたらいいのかというのは、基本的に見直すべき時期に来ていると判断しております。  たまたま、今、近畿圏につきましては、近畿圏の今後のあり方ということで近畿圏整備基本計画審議国土審議会で始まっておりますので、この中でこの問題について御議論いただいて結論をいただこうと考えております。
  66. 西野陽

    ○西野委員 本法案に関連してということでいろいろな内容のことを申し上げましたですけれども、ぜひこれは、町づくり、良好な住宅都心、そういういろいろな要素を勘案して推進するためには関連する大事なことでございますので、ぜひお取り組みをいただきたいと思います。  時間がもうわずかしかございませんので、最後に私のちょっと考えを申し上げて、できましたら亀井大臣考え方をお示しいただいて終わりたいと思うんです。  法律ができた、よし、それじゃそこへ建てようと、お金を持っている人は自分の資力で建てますからこれは大丈夫なんですけれども、そうはいかぬと思うんですね。いや、それはいいことでやろうと思っても、お金が足らない。どうしますかね。銀行で借りなきゃならぬでしょう、銀行は貸しませんで。きょうは大蔵省呼んでませんけれども、なかなか、そういうマンションを初めとする住居に対しては、金融引き締めなんていうような言葉じゃないです。貸さないです。  ですから、実際、そういう受け皿と土壌はできたにもかかわらず、資金がなかったらできないです。じゃ公的資金といったって、そうもいかないですね。住宅金融公庫なるものがありますね。これはやはり一つの枠がありましょうから、非常に難しいというふうに思います。  そこで私の考えなんでございますけれども大臣、公共事業でもそうですし、民間のそういうものでもそうですが、すべて公共事業は、税金と、郵貯を初めとする財投等によってなされておるわけでしょう。その財源というものを租税だけに求めるところに私は多少やはり限界があるのかと。少し、もっと活用できるところがあるんじゃないか。  例えば、国民の預貯金は今は約一千二百兆ぐらいあるんです。かつては……
  67. 市川雄一

    市川委員長 西野委員、簡潔にお願いします。
  68. 西野陽

    ○西野委員 はい、終わります。  かつては七%、八%金利がありましたから相当なものだった。今は残念ながら〇・二五%です。ですから、預金している国民も、低金利で困っているわけです。  それを例えば、例えばですよ、高層住宅建設割引債というようなものを民間の銀行等が発行しまして、そうすれば、三%だったら十年間で三〇%ぐらいでございますから、年に三%なり四%の金利をもらえるということになりますと、これは貯金している人も大変喜ぶわけでありまして、預金者も喜ぶし、そういう資金もできるしということで、その運用あるいは……
  69. 市川雄一

    市川委員長 簡潔に。
  70. 西野陽

    ○西野委員 その資金源というものについて……
  71. 市川雄一

    市川委員長 簡潔に。
  72. 西野陽

    ○西野委員 ひとつ発想を変えて取り組んでいただくようなことをぜひ検討の一助にしていただけたらな、どうかというように思いますが、一言だけ大臣お願いします。
  73. 市川雄一

    市川委員長 一言で、大臣。時間過ぎているので……。
  74. 亀井静香

    亀井国務大臣 そうした民間における資金調達についても、委員御指摘のように、今の銀行は、雨が降っておれば傘を貸さない、降り出したら取り上げるという非常に悲しむべき状況があることは事実でございます。  今後、資金調達の多様性につれていろいろな商品が開発をされていくのは当然であろうと思います。
  75. 西野陽

    ○西野委員 以上で終わります。
  76. 市川雄一

  77. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  時間の制限もありますので、早速、この都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案についての質疑を行わしていただきたいと思います。  先日のこの委員会で、委員の方から、今回の法律案の提出は余りにも拙速じゃないかと、こんな質問亀井大臣お答えになられまして、いいものであれば早いにこしたことはないと。当然私も同感でございます。しかし、ただし今回の法律案、この間の質疑を聞いてみましても、疑問点あるいは不安な点というものがまだまだたくさんございます。そういった疑問点などを整理をしながら質問を進めさしていただきたいと思います。  まず最初に、今回の改正案は土地有効利用というものを、目的、ある意味でうたい文句にされているわけなんですが、政府のこういった土地政策を決めるに当たって、総理大臣の諮問機関で土地政策審議会というのがあると思うのですが、この土地政策審議会が平成八年十一月二十一日に答申を出されています。所管は国土庁なんですが、当然建設省とも連携をとっていると思います。去年の十一月の審議会の答申の中で、土地有効利用というのはどういった定義づけになっているのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  78. 木下博夫

    木下政府委員 議員御質問のございました昨年の十一月二十一日の答申に出ておりますが、この中では特に「土地有効利用の基本的方向」といたしましては、おくれている都市基盤施設整備を初めとして、先ほどもお答えしておりますが、防災町づくりとかあるいは職住近接とか、こういうようなことをテーマといたしまして、これからの都市のつくり方の一定の方向を示しております。  私どもはそれがいわば新しい都市の軸をつくるといいますか、そういう点からいきましての土地有効利用とつながっていく、こう考えております。
  79. 山本譲司

    山本(譲)委員 この審議会の答申を見てみますと、社会効果的な利用ということで、例えば公園、緑地、森林など、こういったオープンスペースをつくる、利用面でいいますとまだまだこれでは低密度で高度利用ではない、しかし社会的観点からすると大変有効に利用されている、そんな考え方がこの答申の中で示されておりますし、また、自治体のマスタープランに合致をした土地利用であれば低度利用有効利用である、こんな考え方もやはり示されております。  そこで、二月十日に閣議決定をされました新総合土地政策推進要綱を見てみますと、当然この要綱は審議会の答申が前提になっていると思うのですが、ちょっとその辺に至ってはトーンダウンをしているような感じがするのです。  と同時に、やはりこれは平成八年十一月二十六日に経済審議会の行動計画委員会ということで、「六分野の構造改革の推進について」、こういった報告が出されておりますが、この中で都市計画あるいは建築規制の問題については、「容積率規制が大都市圏における集中の利益を阻害しないように、道路を中心としたインフラ整備」を行う。また、「容積率の引き上げと相まって、道路率や公園率等のインフラ率を大幅に引き上げる」、こういった考え方も出されているわけです。  さらに、「住民参加の下で街区単位としての土地有効利用を図り、良好な都市環境を維持すべきである。」これは経済面を中心に議論した報告書でありますが、この経済対策の側面からも、オープンスペースでありますとか、インフラ整備ということをかなり強く打ち出されているわけなのです。  ところが、建設省が今進めようとしている今回の法律案を見てみますと、どうも都市基盤整備でありますとか、道路率、公園率といったオープン スペース、ある意味で低利用かもしれませんが、こういったものの充実というのが前提になかなかなっていない。そうは感じられないわけであります。  こういった議論はまた後ほどに回すといたしまして、今回の法改正の運用に当たっては、先ほどの審議会の答申の中でもありますように、やはりこれは地元自治体の意向を最大限に尊重するということではなくて、先に地元自治体の意向ありきという立場で当然臨むべきだと考えますが、その辺についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  80. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは、建設行政を地元自治体の意向を無視して進めるつもりは全然ございません。
  81. 山本譲司

    山本(譲)委員 ぜひ地元の意向ありきというところで進めていただきたいと考えております。  続きまして、建設省はこの改正案の成立をある意味で見越して、都心居住推進本部というものを四月三十日に設置されたということであります。この会議では、それぞれ都心部の各自治体からどのような意見があったのか、かいつまんで説明をしていただければと思います。
  82. 木下博夫

    木下政府委員 制度をつくってそれで終わりということではいささか問題であろうと私どもは思います。そういう意味では、東京都との間でやりました都心居住推進会議ということは、ある一定の見込みとしてやったことは事実でございますが、先般この委員会でも御議論いただいた密集法ども防災に強い、かつ都心に勤められる方の状況をできるだけ整備していくという点では、私も別の意味でこの線に沿った形であると思います。  いずれにせよ、前置きが長くなりましたが、四月三十日に開かれました会議は、東京都の方から副知事その他関係局長、それから都心の十八の区の区長さんあるいは助役さん、さらには建設省からは私と住宅局長が参りまして、住宅公団の副総裁も出ておりますけれども、この四つのグループがそれぞれ率直に都心居住をこれからどう進めていくかということについて議論したわけであります。  出ました意見につきましては、区の方を中心といたしまして、町づくりの主体を行政実態としてしっかり位置づけてほしい、それをサポートしてほしいと御要請がありました。先ほど大臣から申し上げましたように、当然でございまして、都市計画の制度を我々はつくってまいりますけれども、実際に動かすのはそれぞれの公共団体であり、あるいは住民方々であるという認識は私ども持っております。  それから、一部には、この委員会でも御議論がありましたが、今回の制度について多少懸念を持っておられる方々、それから都心の二十三区といいましても相当地域によっての差がございますから、それぞれの地域ごとに自分たちとしてどういうことにテーマを置いて取り組んでいくかということについて御議論をさせていただいております。
  83. 山本譲司

    山本(譲)委員 かいつまんでということで、なかなか具体的な意見は出なかったのですが、例えば豊島の区長さんからは、豊島区は人口密度が全国で二位という自治体でありますが、既に豊島区は人口過密だという意見でありますとか、良好な環境を維持するといった平成四年の法改正に反するのではないか、あるいは日影規制の除外というのは建築紛争の激化につながるのではないか、あるいは個別のプロジェクトへの関与というのは分権という流れに反するのではないか、こんな指摘もあったやに聞いておりますが、この辺はいかがでしょうか。
  84. 木下博夫

    木下政府委員 逐一お答えしなかったのはあれですが、まさに議員御発言の中で御紹介されたようなことも事実ございました。  ただ、そのときにもお話ししましたのは、まさに町づくりについての考え方は、私どももいろいろ御相談には乗らせていただきたいと思っておりますが、当然地元の住民方々も中心でございます。区なりあるいは都がしっかりつくっていただくことは言うまでもないことでありますから、それをサポートしていくということでの、先ほど申し上げました一致点があった、それが本部につながっているという意味で御紹介させていただいたわけでございます。
  85. 山本譲司

    山本(譲)委員 これは豊島区に限らず、新宿区でありますとか渋谷区でありますとか、この法改正について懸念をするようなさまざまな意見が出されたということも聞いております。こういうぐあいに、都心区の中ですら、改正法とこれを運用するための都心居住推進本部というところに対する批判というものも大きいわけであります。  したがって、今回の提案は高層住居地域の迅速な適用を目指しているわけなんですが、仮に改正案が成立しても、地域指定に当たっては自治体の意見を尊重する。先ほど亀井大臣から、それは当然だという話がありました。それと同時に、平成四年の法改正のときには、分権型での都市計画法改正をするんだ、こう言っていたと思います。  こういった考え方に変わりはないのかどうなのか、しつこいようですけれども、確認をさせていただきます。
  86. 亀井静香

    亀井国務大臣 この法案改正が分権型に逆行しておるという御指摘でございましたが、理由を詳しく、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  87. 山本譲司

    山本(譲)委員 その辺の理由は、今後、この後の議論の中で指摘をさせていただきたいと考えております。  続いての質問でありますが、この改正案のねらいというのは、都心部に安い住宅を供給して人口を呼び戻すということでありましょう。  これで、建設省が先ほど来港区三田のケースということで、分譲住宅が、マンションが安くなるという試算をされております。しかし、当然容積率を引き上げれば収益還元率も上がるわけで、当然地価も上がると考えるのが当然だと思うのですが、この試算によりますと、全く地価の変動はない、そのままということが前提になって、ちょっと余りにも恣意的な試算なのではないかなという感じがしないでもないのですが、その件についていかがでしょうか。
  88. 亀井静香

    亀井国務大臣 ちょっと私頭が悪いものですから、理解しかねる点が多いのですけれども、それでは、いろいろな規制を厳しく強化してその土地利用が非常にしにくくなる、そういう状況にした方が、そこにおいて地価が確かに安くなりますね、しかし、そうしたことが良質な住宅利用者に対して供給していくという形になるのでしょうか。私はそうではないと思います。  やはり、限られた土地価値を上げていくということは、それは地価が下がらないという形になるのは私は当然だと思いますね、成り行きとしては当然だ。しかし、それを超えて有効に利用されていくということであれば、付加価値は増大するということであれば、私は、当然プラスのメリットが必ずはね返ってくるものだ、このように思います。そういう意味では、若干の、価値が上がることによって地価が上がるよりも、それ以上のメリットが生まれれば、やはり私はそれは歓迎すべきことである。  ただ、一時のバブル時期のような、そうした高騰を招くというような、そういうことがあってはりませんけれども、この法案によってそういうことが生まれるという可能性は私は全然ない、このように思いますから、私は、頭が悪いものですから委員の御質問の趣旨がちょっとよくわからないのですが、もうちょっと細かく御質問いただければありがたいと思います。
  89. 山本譲司

    山本(譲)委員 端的に申し上げます。  今、大臣お話では、規制を緩和することによって付加価値も出てくる、いろいろな側面でのメリットが出てくる、したがってそのメリットというものを追求されようとしているわけなのでしょうけれども、このそもそものねらいは、安い住宅の供給ということですよね。では、安い住宅につながるのかどうなのかということなんですよ。
  90. 亀井静香

    亀井国務大臣 ですから、地価が若干でも、それは下がるよりも上がるということよりも、メリットがでかくなりますから、トータルとして安く供給できるということになると思いますね。
  91. 山本譲司

    山本(譲)委員 建設省みずから、今回の法改正というのは経済活性化がねらいであるというようなことも一部言われております。この経済の活性化、景気対策、これは不動産流動化というものを当然見込まれているわけなのでしょうが、そうなりますと、この流動化というのは当然地価上昇を招くと思うのですよね。そうなった場合、安い住宅を供給するということと反するのではないか。
  92. 亀井静香

    亀井国務大臣 いやいや、これは見方の違いといいますか、先ほど言いましたように、確かに、利用価値が高まるわけですから、地価が下がるというよりも上がる方向にそれは振れるかもしれませんけれども、我々が考えておりますのは、そうした土地の売買による売買利益をもたらしていくということではなくて、いわば所有から利用へ、そういう観点に立って、利用の高度化を図っていくということに我々の主眼があるわけでございます。  そういう意味では、反射的利益として土地価値が高くなるのですから、土地に従来見向きもしなかった方が土地に目を向けるというようなことが土地流動化を進めるという形にはなるかもしれませんけれども、この法律の目的というのは、あくまで限られた土地を有効に利用して安いマンション等を供給しようということでありますから、委員のような見方もあるかもしれませんけれども、トータルにお考えいただければ、これがマンション価格を高騰させるという形に私はならぬと思いますよ。高騰することになりますか。
  93. 山本譲司

    山本(譲)委員 例えば、既に自治体がいろいろな容積率緩和の特例制度を使ってやっていますね。特に、住宅については用途容積地区計画制度、こういったものも数カ所でやられている。こういった地区計画によって安い住宅が供給された、そんな実績、データというのはあるのでしょうか。
  94. 木下博夫

    木下政府委員 今手元に、個々についてのいわば効果がどうかという数字でお示しすることはできませんが、先ほど来大臣申し上げましたように、大変私ども日本国民は、バブルに一つの教訓といいますか、反省をしておるわけでありまして、これからの状況を我々見ますと、今のこの制度が直ちに実需を伴わないものを発生させて、しかもそれが将来的に実効ある住宅政策あるいは都市政策につながらないというようなものであったら、我々はよくないと思っております。  したがいまして、これは制度的に実効あらしめるということが我々としては大切だと思っておりますし、その際に、当然地価の動向についても関心を持っていくことは言うまでもないことだと思います。  今御紹介がありました。途別容積地区計画、これは、御承知かと思いますが、全国で九地区でありますから、地区的にはまだ我々は少ないと思っていますが、ぜひこれは、今回のこうした誘導地区にあわせた形で、それぞれの地区内で活用していただく制度でもあろうかと思っています。  考え方としてはある程度の共通性は持っておりますが、一方では、今回の地区は、都市のいわばゾーンとして都市レベルでの施策でございます。一方、地区計画は、御承知のように、それぞれのコミュニティー単位でつくってまいりますから、当然その広がりのエリアの違いというものがあるわけでございますから、政策的にもこの両者を我々は兼ね合わせて実行していくということも当然考えていかなければいけない、こう思っております。  効果については、手元に数字は持っておりません。
  95. 山本譲司

    山本(譲)委員 中央区の大川端が、指定容積率が五〇〇%のところがこの用途容積地区計画制度を使って七〇〇%にした。しかし、それを調べてみますと、住宅は全然ふえていない。確かに一戸一戸の面積はふえた、その分値段も上がっている、そういう結果になってしまっている。そういった点のないように、仮にこの案が通りましたら、運用をぜひ自治体の皆さんと、ぜひ分権型で政策を進めていただきたいと思います。  そこで、先ほど来どうも、都市政策を実行する上でというようなお話がありましたけれども、その都市政策自体が、この容積率緩和ということが都市政策目標なのか。やはりバブルの教訓というのは、計画なくして開発はしてはいかぬのだ、こういう認識に多くの方が立たれたと思うのです。どうも全体的な絵というのが見えない。面が見えなくて点だけをこうやって進めていく。またちぐはぐになってしまうのではないか、そんな危惧が非常にするんです。その点、いかがでしょうか。
  96. 亀井静香

    亀井国務大臣 ですから、計画なくしてそうした開発がされてはならぬという立場で、私どもとしては、こうした改正案も出しておるわけでありまして、あくまで自治体の主体的な御判断、取り組みなくして、建設省が出かけていって高層住宅をぶつ建てるなんというものではございません。この法律をごらんになりましても、どこにもそんなことは書いていないわけでありまして、これは自治体が住民のために主体的にこの法律を運用していただくということに尽きるわけでございます。
  97. 山本譲司

    山本(譲)委員 しかし、既に自治体の中では、今お話をさせていただきました。途別容積地区計画制度あるいは総合設計ですとか町並み誘導型の地区計画ですとか、いろいろな制度があるわけで、まだまだ使われていないところもいっぱいあると思います。適用したら本当にいい町になるなというようなところも、私も率直に感じ地域もあります。こういった自治体が行う政策がある中で、なぜまた新しい制度が必要なのか。いかがでしょうか。
  98. 亀井静香

    亀井国務大臣 どうも委員議論がかみ合わないので、ちょっといらいらするんですけれども委員、国として政策誘導をしてはいかぬのですか。私は、東京都、大阪あるいは兵庫、それぞれ自治体としての独自性、それに基づいての政策決定がなされていくべきだと思いますけれども、国として、トータルとしてのやはり都市政策、これを推し進めていくということは私は必要だと思うわけでありまして、そういう形で我々やっているわけであります。
  99. 山本譲司

    山本(譲)委員 いや、聞いた趣旨と違うんです。  行政として、いろいろな制度がある、つくる。だから、自治体で活用できるいろいろな容積率緩和のための特例制度があるわけで、さらにこの法律改正をする、新しい容積率緩和法律としてつくらなければならない、その理由です。
  100. 木下博夫

    木下政府委員 いろいろな制度がありますので、おっしゃられるように、新たな制度をつくるときには従前の制度との違いを議論するのは当然だと思いますが、先ほど申し上げましたように、地区計画というのは、何といいますか、ある小さなコミュニティーエリアで考えられておりますから、実効も上がっていないというのも、実はこれから、現在、都市計画審議会の中で、地区計画制度そのものは大変有効なんだけれども、どうして使われないのか、非常にわかりにくい、使いにくいというようなことも御意見がありますから、地区計画そのものも今検討している状況でございます。  それのもう一つ、レベル的にはもう少し広いといいますか、都市レベルでの大きなゾーニングの対象として用途地域というのがありますが、用途地域あるいは地域地区レベルで、今度新たにこういう制度を、誘導地区を決めさせていただいたわけであります。  したがいまして、くどくなりますが、それぞれの区域割りをまずこういうことでやりまして、その上で、各地区、もう少し小さいコミュニティーでどういう仕掛けをやるかというのは、従来とってまいりました施策なんかも大いに織りまぜてや っていただければと、先ほど申し上げたようなことでございます。
  101. 山本譲司

    山本(譲)委員 例えば、この中の再開発地区計画、この制度ですと、これは二号施設が必要になってくるんですね、道路だとか公園だとか。どうですか。
  102. 木下博夫

    木下政府委員 今回の制度につきましては、先ほど住宅局長からもお答えいたしましたが、限りなく住宅にシフトした仕組みでございますし、それから、おっしゃった施設の問題ももちろん背景に置いておりますけれども、新たな建築規制あるいは日影規制というものについて、その地区の特色を考えまして、かなり高密度で都心居住実現する、そういうエリアを決めるということでございますから、くどくなりますけれども、従来ありました地区計画、いろいろなタイプの地区計画がございますが、それはそれとして個々のコミュニティーで整備をしていただくときに使っていただくということで、私は、それは相矛盾するものではありませんし、むしろ両方兼ね合わせて活用していただく手ではなかろうかと思っております。
  103. 山本譲司

    山本(譲)委員 高度利用前提というのは、当然、道路あるいは公園といったインフラが整備をされていること、これが前提だと思うのです。しかし、今回の高層住居誘導地区、これはインフラなしに高度な容積率を進めるという制度なんですか。
  104. 木下博夫

    木下政府委員 地区の決め方にいたしましては、今申し上げたようなことでありまして、その際にインフラがどの程度必要か、あるいは地区を決める際にインフラの現状はどうかということは、それぞれの公共団体地区指定する際に考えますから、当然、将来的に備わっていないものについては整備するのは当たり前でありますし、その際に、それぞれ公共投資が必要になってこようと思っております。
  105. 山本譲司

    山本(譲)委員 そうしますと、各自治体に任せるにしても、では、当然いろいろなシミュレーションをされていると思うのですね。指定されるのは大体どれぐらいの面積になると考えられているのか。
  106. 木下博夫

    木下政府委員 先ほどの御質疑の中でも出ておりますが、全国で今回の四〇〇%ということで決めました地区が候補として四千九百五十ヘクタールございます。  どの程度になるかというのは、これはこれから法律を通していただいた後に各公共団体が、もちろん我々の考えも申し上げたいと思いますけれども、それぞれの地区の中で選別されていくと思いますから、現在のところどのぐらいになるかという具体的な数字として申し上げる段階ではなかろうと思っております。
  107. 山本譲司

    山本(譲)委員 何かさっきからかみ合わなくてあれなんですけれども、では、前向きに受け取って、今回の制度は、立地もよくて、道路も整備をされていて、公共施設も整っているところ、ここは指定をされる予定だということですか。
  108. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員はどこの出身ですか。(山本(譲)委員東京です」と呼ぶ)東京でしょう。何区ですか。(山本(譲)委員「三多摩、立川」と呼ぶ)立川の市長さんにお聞きになったらどうでしょうか。そういうことは自治体においてお決めいただくことでございまして、建設省がどことどことを指定くださいなんて言うつもりはございません。
  109. 山本譲司

    山本(譲)委員 自治体がやるんだったら、何でこれを決めなければならないのかですよね。自治体もあるんですから、もう制度が。  都市局長の話で、インフラ整備もしなければならない。でも、東京の道路率というのは一体どれぐらいなのか。よくマンハッタンなんかは、あれだけの高容積率の町でビルが林立しています。しかし、道路率は三七・六%です、ニューヨーク、マンハッタンは。東京だと一番道路率が高いところ、千代田、中央、この辺でも二〇%ぐらい、その他の周辺区部になりますと、一〇%ぐらいですよ、道路率が。  実際、これは東京都の都市計画局というところが出している都市白書という中で、道路網、これは必ずしも容積率が四〇〇%以上に指定されているところが道路密度が高いところとは言い切れないというようなことも書かれているのです。そういう意味では、今回の制度というのはごく一部にしか適用されない制度になってしまう。いかがでしょうか。
  110. 木下博夫

    木下政府委員 適用しない方を望んでおられるのか、適用しろとおっしゃっているのか、ちょっと私もよくわかりませんが、申し上げましたように、現在ある程度インフラが整備されているところは私はスムーズにいくと思います。  しかし、都心居住という意味では、立地条件ではまだインフラが多少おくれておってもやらなければいけないところ、これは地元の方のいろいろな御相談事であろうかと思いますが、区長さんなり東京都知事が新しい生活都市東京という構想を立てられて、住宅マスタープランもお決めになったわけでありますから、都心の中にもう少し人が住んで、せっかくの過去に投資された都市インフラを使っていくためには、立地条件は大変いい、それに備えるためのいわば公共投資もつけなければいけないということの覚悟ができれば、私は、大臣が申し上げましたように、それぞれの公共団体がお決めになると思います。  その際に、我々にもやはりいろいろなところで応援してほしい、いろいろなところというのは、例えば予算的にとか、あるいは計画として協力してほしい、あるいは相談してほしいというために、先ほど大変批判が多いとおっしゃいましたけれども、私は、そうではなくて、居住本部で同じ土俵にのって真摯に検討しようということでありますから、それぞれの御自身のお考えを示される場に登場されることは、私は何ら双方を拘束するものではないと思いまして御提案をさせていただいております。  これからも私は、東京都が初めてでありますが、そういう都市インフラがある程度準備できているところに住んでいただいて、せっかくの都市環境を私は活用するための住宅は進めていくべきだと思っております。  確かに、おっしゃるように、道路網のネットワークも必ずしも日本都市は十分ではありません。これからも努力していかなければいけないと思っております。
  111. 山本譲司

    山本(譲)委員 中曽根民活のときでさえなんて言ってはあれですけれども、中曽根さんのときもいろいろな規制緩和をやられました。しかし、基本的に、やはり総合設計だとか再開発地区計画、こういった開発計画が決まったものに対する緩和だったと思うのです。  今回は、具体的な開発計画がなくとも緩和をできるわけですね、理論的に。その考え方でいいのですか。
  112. 木下博夫

    木下政府委員 私は基本的に、ちょっと申し上げてあれですが、緩和という言葉は余り使うべきじゃないと思っております。規制はある程度見直していくことがありますしへその見直しの中には、確かに、立場を違えれば緩和と見られるかもしれませんし、一方では、やはりいい町をつくっていくためには、逆に、景観の問題とかその他を考えますと、規制を強化していかなければいけないところもあろうと私は思います。  たまたま今回の制度は、そういう意味では、制度的には、より多くの方々が住んでいただく高密度の住宅供給をするという意味での、建築あるいは都市計画の世界での一定の条件を商業系を初めとしたそういうものにそろえたわけでありますけれども、その際に、野方図に広げたわけではありませんで、東京都は条例等で、一つの例で申し上げますと、既に日影規制については条例で四〇〇%の地区は実績として持っているわけでありますから、過去の先例などにかんがみて四〇〇に限らせていただきました。  一方では、四〇〇では候補地として、先ほど御議論あったように、少ないじゃないか、もっとやれという声も、一方ではありますが、私どもは、一つずつの経験を積んで、国民が納得できるようなそういう方策としてお示ししたわけですから、 ぜひ、ある程度限定的な制度かもしれませんけれども、私は活用していただくように大いにこれから励んでまいりたい、こう思っております。
  113. 山本譲司

    山本(譲)委員 日影規制の話が出ましたが、実はこれ、七年半ぐらい前ですか、東京都では、当時都議会議員でこの問題にも取り組んだのですけれども、日影規制の話が出たものですから話をちょっと移しますが、今回の建築基準法ですね、そもそも法改正全体の目的は都心居住の回復ということですが、この建築基準法は、当然、都心部以外、これも一律に適用されることになるわけです。この容積率は実際どのくらい緩和されることになるでしょうか。
  114. 小川忠男

    小川政府委員 お尋ねの趣旨がマンションについての廊下、階段等を積算から外すというふうなお尋ねだとするならば、一般的に申し上げますと、ばらつきがございますが、二割前後かというふうな感じでおります。
  115. 山本譲司

    山本(譲)委員 これは現在でも、住宅地、都心部じゃなくて、杉並だとか世田谷だとか私の住んでいる多摩地域、こういったところでもマンション紛争がもう後を絶たないわけですよ。当然、容積率緩和をされるということになりますと、さらにこの紛争というのがふえるのではないか、これは容易に想像がつくと思うのです。  これでは、どうも郊外においてすらも良好な環境がつくられないのではないか。選択して、やはり私は太陽が欲しい、したがって三多摩に行きます。三多摩に行ったら、また容積率緩和マンション紛争になっちゃった、そんなことだって起こり得るのではないでしょうか。
  116. 亀井静香

    亀井国務大臣 当委員会でもいろいろ日照の問題について御質問もされておりますけれども、基本は、もうそれはさんさんと日光を浴びる生活をしたいというのはだれもの願いだと思いますよね。  では、この狭い国土で、しかも大都会にどんどん田舎から出てきて、私の田舎なんかというのは、曇り、雨の日以外は日光がさんさんと降り注いでおりますけれども、残念ながら、どんどん都会に出ていって、住んでくれなくなっておりますね。  そうして、大都会に出てきて、それでそうした、自分だけが日光を浴びたい、そういうことのために、ほかの人がここにたくさん住むことを拒否する、拒絶するということは、私はやはりエゴだと思いますね。やはり自分が住みたいところには大勢の人も住みたがる。それについては、やはり日照の点についても我慢をするということがなければ、成り立たない。そういう個人の欲望を最大限満足する政治を民主党がおやりになるとすればどうおやりになるのか、私は逆にお聞かせ願いたいと思いますね。
  117. 山本譲司

    山本(譲)委員 いや、そもそも、太陽が欲しい、あるいは会社に近い、どっちを選ぶか、その選択制だということを盛んに言われる。  この間、郊外に住んでいた人が必ずしも太陽だけを求めていたのか。それは、都心じゃ住めない、いや、地価が安いからというのもあったと思うのですよね。ただ、選択をしようと思っても、それは懐の状況と相談しないと、これはなかなか選択できませんよね。単にだから全く同じレベルで選択をするということはできないと思う。  さらに、郊外に行ったら、私もいろいろな方から相談を受けたりしますよ。確かにそれはエゴという面もあるかもしれない。しかしそれは、当然行政として調停だとかそういう制度もある。それまでは、かなり今突っ込んで業者の方と住民の方は当然真摯に話し合われているのです。それでマンションの階数が減ったとか、そういう例もある。  確かにバブルの時期以上に日照権の問題の紛争というのはふえているのですよね。そんな中で、さらにそういう状況というのをいろいろなところへ波及させていくのか。なかなかこれは、本来の目的の都心居住の回復というところとやはり別問題として考えなければならないのではないかな、全国に波及していくわけですから、そういう制度が。ですから、できればこういった問題というのは、本当、切り離して考えたい。  確かに日照の問題というのは、単に日照だけじゃないですよね。やはり一番多分計算しやすいのでしょうね。だから、ある意味で環境全般のバロメーターになっているんじゃないか、メルクマールになっているんじゃないか、騒音ですとかプライバシーだとか、それは太陽だけじゃなくて。ぜひそういったことをさらにいろいろな地域に引き起こさないように、この辺は本当、この都市計画法改正と切り離して考えていただきたい。いかがでしょうか。
  118. 亀井静香

    亀井国務大臣 ですから、切り離すいい方法があったら教えていただきたいということを私がお願いするわけでして、人が集まってくれば、必ず騒音の問題も発生しますね。交通渋滞の問題も発生をしますし、あるいは空気の汚染の問題も発生します。いろいろな問題が発生をしてくるわけで、それを我々がどういう形でトータルとして除去するかという努力はしなければなりません。  しかし、あわせて、やはりそこに生活をしあるいは働いている方々が、一〇〇%田舎と同じような自然環境のもとでは生活をできないという、受忍といいますか、その覚悟も全然なければ、私の田舎のようなど田舎と同じような自然環境、生活環境を東京のど真ん中に確保しろといっても、これはできない話でありまして、だから、そこが、私が何度も言っております、政治ができるだけトータルとしてそういう環境を少しでも向上させる努力はいたしますけれども、やはり住民、そこにおる人自体もそれについて、自分だけじゃなくて、大勢の人が集まりたいというわけですから、自分以外は排除するというような、そういうことはやはりエゴにつながっていく場合があると私は思いますね。  また、よく町なんかを見ますと、マンション建設反対、これは理由がある場合もあると思いますよ。だから私はどこだとは言いませんけれども、自分が高層マンションに住んでおって、隣に対しては日照を阻害しているわけですね。ところが、その隣にまたマンションが建つことによって、自分の家の日当たりが悪くなるというので、新しいマンションの建設反対といってまん幕を堂々と出しておられる方もいらっしゃいますね。  そういうことを私は例に出すわけじゃございませんけれども、何度も申しますように、みんなで少しずつは我慢をしながら幸せになっていこうという視点を除いてこの日照の問題というのは解決しないと私は思います。
  119. 山本譲司

    山本(譲)委員 政治は物をトータルで考えなきゃならないと言われているわけですよね。今回はどうも、都心の居住人口の回復、それに従って起こる問題、当然、今おっしゃった、交通渋滞、騒音あるいは日照の問題、これはもうやはり連動して、トータルで提案をしていただかないと……(亀井国務大臣建設省がやっているでしょう」と呼ぶ)いや、だからそれを、例えばさっきの制度、それは自治体だってやっているのですよ、地区計画の中で。公開空地をつくったり、何かやっているのですよ。それをどうも、個別個別、さっきも言ったように、せっかく面整備をしているところを点々でやっていくというような嫌いをどうも感じてしまう。インフラ整備が必ずしもこの容積率緩和にたえ得るものなのか、そういうことを言っているのです。  それで、時間も本当になくなってきましたので、最後に意見を言わせていただいて終わります。  さっきから局長からの話も、試行錯誤を続けていい制度になればというような、どうも東京がある意味で実験台にされるような感じがするのですよ。結局……(亀井国務大臣「被害妄想だよ、それは」と呼ぶ)いやいや、やはり全体計画がないと、全体計画があっての個別政策に行くわけですから。個別個別でやって、結局、おふろのついたオフィスがいっぱいその辺にふえてしまう、地価も上がってしまう、そういう危惧を抱かざるを得ないのですよね。本当にこれは心配なんですよ。だ から最後に、一時的なある意味での景気対策のために、取り返しのつかないことにならないようにぜひ要望をいたして、後ほど修正案を提案をさせていただきたいと考えております。  以上、終わります。
  120. 市川雄一

    市川委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  121. 市川雄一

    市川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事梅野捷一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 市川雄一

    市川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  123. 市川雄一

    市川委員長 質疑を続行いたします。葉山峻君。
  124. 葉山峻

    ○葉山委員 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について若干の質問を行いたいと思います。  ついせんだって、五月の連休を利用いたしまして、私も藤沢に住んでおりまして、藤沢の子供たち百人ほどとジュニアオーケストラでメキシコ移民百年を記念しての文化交流記念公演というのを、黒沼ユリ子さんと一緒にメキシコの諸都市をドボルザークの「新世界」等を公演して回ってまいりました。非常にさわやかなすばらしい交流でよかったと思っておるんでありますが、メキシコとか、あるいは途中ロサンゼルスとか、若干、都市を回りますと、その町並みとかいろいろな都市のことが、私も長らく市長をやっておりまして気になるわけであります。  甚だ独断的になるわけでありますが、やはりどうしてもいい都市というのは何だろうかと、こう考えてしまうし、そして、外国の諸都市を見ると、結局自分の中で反すうしているのは、旅はいつでも同じでありますが、自分の生まれ育った町との比較の上でやはり反すうしているんだなということを感ずるわけであります。  私はそのとき改めて思ったんでありますが、よい都市とは何かということになりますと、一つは、だれしも結婚をし、子供が産まれる、すると、子育てということを考える。この町にやはりちゃんとしたいい学校が幼稚園から大学まであるだろうか、スクールのこと、教育のこと、この学校ということでまず考えると思いますね。  それから、人間、命が大事でありますから、そこに頼りになる病院、そこによきお医者さんがおり、親切な看護婦さんがおり、きちっとした医療設備がありということを含めまして、ホスピタルと申しますか、やはり病院のことを考える。もう少し広く言いますと、ヘルスといいますか、健康全体について考える。  それから三番目、最後でありますが、学校、病院に次いで何かということになりますと、やはりつまるところ環境じゃないかなというふうに思うわけであります。先ほどからお話が出ております、さんさんとした太陽、日光というような問題もあるでしょうし、緑という問題もある。あるいは水という問題もありますし、空気という問題もある。もっと強いて言いますと、騒音とか静けさというようなものもあるかもしれない。総じて言って、エンバイロンメントと申しますか、エコロジーと申しますか、ともあれ環境のことは欠かせないと。  つまり、大きく言ってよい都市ということを、甚だ私の個人的な、独断的な考え方でよい町ということを考えると、やはり教育とか文化という問題と、それから二番目にはやはりヘルス、健康の問題と、最後に環境と、エンバイロンメントと、この三つが非常に大きな要素だ。そういうことを中心にしてやはり私たちは都市というのを見ているんじゃないかなということを感じて帰ってきたわけであります。  そこで、今回、この都市計画法並びに建築基準法改正に付する問題について、法改正の本当のねらいは何だろうかということについてはたびたび御議論はありました。若干重複するかもしれませんけれども、よい都市とはまず何か、あるいは職住近接の問題、あるいは都市有効高度利用の問題、あるいはこの利便性の問題、利便性のすぐれた高層住宅の誘導について、こういうような問題がありました。  大臣も、ついせんだっての中で、ニュージーランドに行かれての、世帯別の住宅への住みかえの問題ということにも触れられて、独身のころと子供が産まれたときの住宅と、あるいは老夫婦になって年金生活するときのあれと別々に住宅はあってもいいんじゃないかと思ったというようなお話もされていましたし、そういった意味での、所有という問題から利用の問題へというようなことを述べておられたようにも思うわけであります。  防災の問題も含めましていろいろなお話を伺ってきたわけでありますが、改めて、今後よい都市とは何かということを基本的にどうお考えになっておられるか、そして、先ほど触れたようないろいろな諸問題について大臣の率直な御見解をまず伺っておきたいというふうに思います。
  125. 亀井静香

    亀井国務大臣 よい都市とは何かと、非常に私は難しい御質問でもあろうかと思いますが、これは、まず私は、やはりそこに住んでおる方々にとっていいところであるかどうかが第一だと思うんです。もちろん、排他的なというわけではございません。外から訪れる人にとってもいい町でなければならないと思いますけれども、まずもってそこにいる人たちにとって、ひとりぼっちではなくて、ここに自分が住んでおることの幸せを毎日の生活の中で感じていけるような町が理想的な町ではないかと私は思います。だから、外形的にきちっと区画が整理をされて、見た目がきれいな町並みであるということが必ずしもいい都市だということにはならない。  非常に抽象的なことを申し上げますけれども、それは今委員がおっしゃられましたような、教育とか文化とか医療だとかあるいは生活環境、いろいろな要素があると思いますけれども、基本はやはりそこに住んでいる方々の、そういう生きていることの幸せ感、特に、ひとりぼっちではないという、かたい言葉で言えば連帯感といいましょうか、そういうものがある都市が大事であって、都市の再開発とか都市整備というものがそういう人間関係を切り刻んでいくようなものになっていってはならない、私はこのようにも考えております。
  126. 葉山峻

    ○葉山委員 確かに一人一人の個人にとって、よい都市というのはいろいろな価値判断があろうかと思うわけでありますが、職住近接というような問題も含めまして、住宅の場合、いろいろな問題がございます。そうした中で、バブルがありまして、地価の問題とかいろいろありますけれども、今回の改正で、何回も議論されていることでありますが、地価とかマンションヘの影響がどうなるのだということがまず考えられるわけであります。  今までの中で、容積率ということを問題にしますと、商業地域を中心として、大体地価は値上がりをしたという実例が多かったように思います。しかし、今回の場合、容積率を例えば四〇〇に限ったわけでありますが、これを六〇〇までにしたということになりますと、それだけ余計にふえるわけでありますから、マンションの単価は上がるのではなくて下がるのではないか、こういう予測もされるわけであります。  実のところ一体どうなるのかということは、まだお釈迦様ぐらいしかわからぬのではないか。また、そういう高層化の中で、受けとめ方もさまざまであろうかと思うのでありますが、率直に言って、地価とかあるいはマンション価格への影響が 今回の改正で果たしてどうなるであろうかということについて、今考えられている範囲で結構でありますから、お答えをいただきたいというふうに思います。
  127. 亀井静香

    亀井国務大臣 これはもう委員承知のように、マンション価格というのは、基本的には需給関係でこれは決まっていくわけでありますから、このたびこういう措置をとって、コストに占める地価の比率というのが、各部屋部屋にとってのコストの比率が下がったからといってマンションに対する需要がうんと出てくるような、経済の状況関係があるわけでございますが、出てきた場合に確実に予定どおり下がっていくかというと、私は、委員御指摘のようにそういうふうにはならない場合も起きてくるかもしれません。  しかし、一方、そうしたマンション需要というのは、手をこまねいて今の容積率を固定化しておいても、マンションへの需要が変化することは制御できないわけであります。マンションへの需要が急激に出てきますと、マンション価格は急上昇していくという結果になるわけでありますから、少なくともこの容積率緩和してマンションの各部屋にとってのコストを落とすということが、そうした急上昇にならない一つの仕掛けにはなるであろう、私はこのように思います。
  128. 葉山峻

    ○葉山委員 なかなか予測が難しいと思いますけれども、そういう中で住環境の問題は、五つの苦しみ、五重苦があるとよく言われます。  その第一は遠い、それから高い、狭い、醜い、危ない、つまり危険だということです。この五重苦があるとよく言われるわけでありますが、この問題を解消していかなければならないのは、私たちの大きな課題であると思いますし、なかんずくバブルの反省によって、特に都心についてそれをどのように考えるか、このことは非常に大きな問題であろうというふうに思うわけであります。  先ほどのお話のように、バブルがなぜ起きたかということについてはいろいろな見方はあるでありましょう。しかし、例えば需要と供給の関係の中で、供給が足りなかったからバブルが起きたのだということがありますけれども都心三区よりずっと拡大したのは、予測に反して事務所などの計算が過大に見積もり過ぎた、それでわっと日本全体に波及してしまったのだというような異常な事態が起きたことは間違いないわけであります。特に、都心の問題というのは非常に重要だというふうに思うわけであります。  私も前に、幾人かの建築学者とかいろいろな方々で出されている「都市の再生」という本を読んだのであります。その中でフランスのジャン・ジャック・グラネルという住宅専門の都市計画家が、やはり都心の重要性ということに非常に触れております。言うなれば、  フランスでは——ヨーロッパで一般的に言えることですけれども——、都心は非常に重要だと考えられています。諸々の機能を果たすところですから。フランスでは一九五〇年代に論争があり、都心は将来アメリカの都市のように荒廃していくのか、いつまでもこれらの機能を十分果たしていけるものなのかという議論がなされました。 それで今日に至っている。八〇年までずっとパリで議論されてきた。こういうことでやはり都心の問題というのは非常に大事だと思います。  それで、そういう点で先ほどの御議論にもありましたとおり、幾つかのメニューを用意して、これは数え切れないぐらいあるわけです。それを選択するのは地方自治体の問題なんだというような御議論もされていたように思うわけであります。  この住宅都心についての政策には、グラネルさんはリニューアルという問題とリストラシオンという問題と両論があるというようなことを述べられておりますけれども、この都心の問題について、特に住宅政策に関して、先ほど言ったような五重苦、つまり、遠い、高い、狭い、醜い、危ない、こういった問題について住宅局長は率直に言ってどのように考えておられるか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  129. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、やはり真っ先に防災という視点を大都会の場合は外してはならない、このように思います。これはこの間の阪神・淡路大震災のときのあの悲劇的な状況を振り返ってまいりましても、東京にいたしましても、あの程度の地震が襲った場合のことを考えた場合、まずそれを防ぐ努力を住宅政策の中でもやっていかなければならない。  今国会で御成立をいただきました密集市街地整備、これもそういう観点から取り組んでおるわけでございますし、このたびの容積率を大幅に緩和していくということも、では、そうしたところに人を集めることになるのではないかという御批判もありますけれども、このたびの法律の中に、集積効果によって、容積率の割り増しというようなインセンティブも与えて、その地域を、ペンシルのマンションということじゃなくて、地域をもうちょっと広範囲に、公園も緑地も含めての、快適なといいますか、防災的な面でも効果のあるマンションに変えていこうというような、そういうこともねらっておるわけでございます。  防災的な観点とあわせて、やはりサラリーマンにとって高過ぎる都心部マンション値段をできるだけ下げたい。委員御指摘のように、上がるかもしれません、それは将来、経済状況によっては。しかし、その場合もできるだけ上がっていかない、歯どめになる措置であることは私は間違いない、このように考えております。  お答えになったかどうか、お答えできたかどうかわかりませんけれども、まず私は、やはり防災という観点を今の都市状況を見ますと外すわけにいかない、このように考えております。
  130. 葉山峻

    ○葉山委員 今は防災の問題を中心にお話しになられました。確かに、私もあの阪神の大地震の際に大変衝撃を受けました。一月ぐらいたったときでありますが、大学に行っている息子と二人で、運動靴を履きまして、リュックを担いでずっと長田地区の方まで歩きました。  そして一体何が問題かということをつぶさに見てまいりましたし、また、駅前、駅頭に立って一千万円以上もの市民の街頭カンパがありましたので、これを神戸の市長さんとか芦屋の市長さんとか、直接私から手渡ししてまいりました。あの防災の問題についていろいろ考えるところは多かったわけであります。それで考えるのは、やはり東京はこの程度ではますます済まないなということは改めて思ったわけであります。  防災も含めまして、何よりも都市計画こそがやはり根本でありまして、これができていないことには防災に強い町づくりもできないし、すべてのことはでき得ない。  ところが、先ほどから御議論あったように、日本社会資本の投資というのはヨーロッパに比べても非常におくれておることは御承知のとおりでありますし、街路、公園、下水を含めまして、このマスタープランをきちっと市民参加の中でつくって、都市計画をつくり出していく、このことが何といっても重要だということは大臣もよく御認識されているというふうに思うわけであります。  特にバブルのあの深刻な経験から、土地計画利用の重要性を痛感されて土地基本法を制定された。それから都市計画法改正されて、私が市長になった二十数年前にはまだ住居専用地域を一種、二種とか、それに準住居地域、あと工業地域を準工業と二つに分けるとか、商業地域を分けるとか、何種類もなかったですけれども、現在ではもっと細かく分けられて、こういう用途地域の詳細化とか、あるいは、全国三千幾つにマスタープランのない都市はほとんどないというような、都市マスタープランを自治体がつくるような制度改革を行ってきたわけであります。  これを踏まえまして、この東京都でも、用途地域指定がえ作業は基礎地元自治体と住民との地道な話し合いによって合意を見るに至ってきているということは、御承知のとおりだと思います。  本来、自分たちがどのように住むかというのは、私の年来の信念でありますが、地元住民と自治体が決めるべき事柄である、地方自治体に都市 計画を任せ、そして都道府県、国が調整していけばよいわけで、基本は市民参加の都市計画、市民参加の町づくり、つまり、町づくりには地方分権が欠かせないというふうに思うわけであります。  そういう意味からいうと、容積率という問題でありますが、容積率のようにちゃんとした町並みができるかどうかわからないあいまいな手法でやるのではなくして、きちんとした都市計画、新たなゾーニング、市民参加の都市計画がやはり必要であるというふうには思います。  先ほどから、単位自治体のそのあれを十分に尊重して国がお手伝いをするのだということを再三おっしゃられておりますが、私がちょっと懸念をしますのは、例えば東京都であれば高層住居誘導地区を区が決定するのか、それとも都が国の認可を得て決定するのかということは、非常に大きな違いがあるわけであります。  これまででも容積率緩和する高度利用地区とか地区計画等の制度はありましたが、これらはいずれも市町村の定める都市計画でございました。都の特別区については若干の特例がありますが、地方分権を推進する観点から考えれば、特別区の権限を一般の市町村と同等にする方向で整備すべきものであるというふうに思います。  したがって、高層住居誘導地区の制度は、大都市圏においては市町村決定を基本としていた容積率緩和も都道府県が決定する方向に改めるなど、これは地方分権化の方向に逆行するだけでなく、容積率緩和をインセンティブとして考えるだけの制度、土地の高度利用とあわせて住環境を確保するという目標が希薄な制度になってきているのではないかということが懸念されているわけであります。  それともう一つ、例えば日影の問題があります。この都の条例では、高度利用地区地区計画の区域を日影規制の対象外としておりますが、これらは区市町村に定める都市計画でございます。これらと都が定めることとなる高層住居誘導地区を同列に扱うかのように法律で日影規制の適用除外を設けることは、非常に大きな疑問とせざるを得ない、私はこういうふうに思います。  そういう点で、今回の区から都へというだけでもかなり住民としては縁遠くなってくるわけでありまして、こういうことはやはり地方分権に逆行するものではないのかという事柄についてどのようにお考えになっておられるか、伺いたいというふうに思います。
  131. 亀井静香

    亀井国務大臣 地方自治の御経験の深い委員の御発言、いろいろ示唆に富んでおるわけでありますけれども、私は、そうした市町村、区と都道府県との関係を対立的な関係にはとらえるべきではない。別に委員が対立的にとらえておられると私は言っておるわけじゃございませんけれども、やはり、より広域的な見地から、東京都に例をとりますと、区としての判断もございますけれども東京都としての土地利用計画といいますか、あるべき東京都の姿を描いておるわけでありますから、そういう観点でこのたびの地域指定についても責任を持つ。  しかし、その前提として区等と十分意見調整をして区の判断を尊重するということが、都というものがなければ別でございますが、県がなければ別でございますが、現在の制度下におけるそれぞれの自治体のあるべき機能であろうか、このように考えております。
  132. 葉山峻

    ○葉山委員 大臣が言われることもわからないわけじゃないけれども、やはり知事さんと区長さんとでは、大分そこに住んでいる住民としては感じが違うのです。また、お役人に対する住民の対応の仕方も大分違ってくる、こういうふうに思いまして、やはり、こういう住民参加とか市民参加という、それぞれの地域の中での町づくりというのは、本当にひざを交えた中での、大きな夢と、それはもちろん、都市計画マスタープランを持たなければいけないわけでありますが、そういうことの中で積み上がった中に、いい町というか、美しい、よりよき町が生まれてくるというふうに思うわけであります。  ところで、時間がそろそろ迫ってまいりましたので、最後に伺いたいのが一点だけです。  容積率アップによる高密度、高層化というのは、一言で言うと時代おくれではないのかということであります。  例えば幕張の例がありますが、これは、きのう私が質問をした都市計画課の若い職員は、幕張は、このごろ民間ディベロッパーでも、高層住宅区とか超高層地区というのを余りしたがらなくなってきているというけれども、本当かね。簡単に言うと、やはり超高層だとお金がかかり過ぎる、それからロットが大き過ぎて、こういうバブル後の売れないときにはなおさら売れないから、みんなそういう一時のはやりのそれは避けているという話をしましたら、いや、そうでもない、結構売れている、近くのところなんかは売れているんですよというお話も伺いましたけれども、そういう傾向もないとは言えない。  それからまた、近代化されたニューヨーク、なかんずくマンハッタンの例がよく出るわけでありますが、しかし、私は、あのマンハッタン、アメリカの都市の中ではあのくらい容積率競争を極端に行ったところはないわけでありまして、私は、あそこはとても例にならぬというふうに思います。  そういう意味では、欧米では少なくとも、先ほどパリの話も出しましたけれども、ロンドンでも、やはり高層住宅はもうやめる方向にあるというふうに言われております。  私の親友であります、法政大学の先生の田村明先生ときのう電話で話したのでありますが、いや、峻ちゃん、リバプールに行ったら、数年前にも高層住宅一つだけあったんだけれども、みんな窓が割られていた。今度行ったら、窓が割られているだけじゃなくて、塔みたいな高い建物が姿を消していた。結局、高層住宅というのは人間の住むところじゃないんだねという話をしていましたよ。  したがって、やはりこれは、アメリカ的なところ、ニューヨーク的なところと、パリ的なところ、あるいはドイツ的なところ、イギリス的なところ、それぞれお国柄で違いはあるけれども、高層はヨーロッパでははやっていないということだけははっきり言えることだろうと思います。  そういう中で、今度、四〇〇だけに限っておる、最高六〇〇まで認めよう、こういう措置一つの選択としてとられたわけでありますけれども、私は、この容積率は、住宅市街地でも二〇〇%が限界と考えていいんじゃないかというふうに思っております。  例えば、二種住専のときに、最初、二〇〇、これでどうだろうかという話も私も議論したことがありますが、結局最後は一七〇とか一五〇ぐらいに大体落ちついてきましたけれども、大体、このアジアモンスーン地帯の中で、湿気が多い、そして、日本人は特にそうですが、子育てなんかしているときにはやはり日光が欲しいのですよ。  先ほど山本さんが言っていましたけれども、やはりマンションでも何でも、日影の問題というのが一番トラブルの原因になっている。こういうことで、日照は、日照自体でなくして、採光とか通風とか、あるいはプライバシーなど、住環境の一つのメルクマールと言ってもいいんじゃないか。  そういう意味で、その他、維持管理とか、エレベーターなどの最近起きている犯罪とか、広島の高層アパート火災など、居住者への身体的、精神的影響、災害危険性があるというような問題があるわけでありますが、高密度、高層化住宅、こういう高層住宅が質の高い住宅と果たして言えるのかどうか、このことについて住宅局長さんはどうお考えになっておられるか。
  133. 亀井静香

    亀井国務大臣 かわってお答えいたします。  それは、平家建てに住むのが一番理想だと思いますね、これは。一番高価な住宅は平家建てと決まっておるわけであります。  しかし、一億円も二億円もする都心の平家建てに住むことができない、十階建てかもしらぬけれども、適正価格都心に住みたいという方々の ニーズがあるわけでありますから、それにどうこたえていくかということであろうかと私は思います。  また、狭い、例えば百坪の土地に、全然空き地もない形で、軒を接して、一階建ての建物、二階建ての建物が密集した状況でお住みになるのが防災上の観点からもいいのか、あるいは、その百坪の中に共同してマンションをお建てになって、適当な空間をとって、そうしたものについて安心した住居にお住みになるのがいいのか、これは選択の問題であろうと思いますけれども、外国と違いまして、国土が極めて狭隘だという絶対的条件下において住宅政策をどうするかという点であろうかと思いますので、これは、聡明な委員におかれましては十分御承知だと思いますけれども、私どもはそれで苦慮をしておることも御理解を賜りたいと思います。
  134. 葉山峻

    ○葉山委員 熱心に、また局長にかわってまでお答えをいただきました大臣の熱意に心からお礼を申し上げます。  また、いろいろ議論はこれからもしていかなければいけないと思いますが、御熱心に御答弁をいただいたことを感謝しつつ、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  135. 市川雄一

    市川委員長 石井紘基君。
  136. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 二日間近く議論が続いてきているわけですが、大体これまでの議論で、どうも、この建設省の今回の法改正については、ほとんどこれは展望がない、何を考えているのかよくわからぬということがだんだんと明らかになってきて、私も、質問するといってもこれは困るのです。  例えば、これは、私どもの同僚で民主党の仲間であります今の葉山議員の地方分権との関連の話、あるいはまた、山本議員の都市計画等についての関連の議論、こういう中で特に明らかになってきましたのは、これは大臣が、例えば、すし詰めの満員電車に揺られて来るのは解消しなければいかぬとか、こう言われる。あるいは、お互いに、何もかも満足のいく住まいというものは、これはこういう社会の中ではある程度我慢をしながら生活しなければいかぬ、こういうふうに言われる。  それはそれで結構な御答弁だと思いますが、しかし、それでは、満員電車がどのぐらい解消するのかとか、あるいは、一極集中東京に一千百万も二百万もいるというのが、そうして都心にさらに誘導することによって、どれくらい人口がふえるのか。こっちにあるリンゴをこっちに持ってくれば、こっちのリンゴは一つ少なくなるわけですから、そうすると、どの辺がどのくらい人口が減っていって、東京圏というものが全体としてどんなぐあいになるのかとか、その他もろもろ、インフラの問題、交通や環境や教育やその他の問題、そうした事柄がどんな方向で東京なり日本都市というものが向かっていくのかというようなことはほとんど全くない。要するに容積率緩和だけだということが明らかになってきたと私は思うわけであります。  ところで、具体的な質問をさせていただきたいと思います。住都公団は最近新宿の河田町のフジテレビの跡地を買収したというふうに聞いておりますが、これはいつ幾らでどのくらいの面積を購入したのかということをお伺いします。
  137. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 お答え申し上げます。  フジテレビの跡地につきましては、平成五年度でございますが、東京都から、臨海副都心地区へフジテレビが移転をされる、その跡地の開発についての御要請を受けまして、新宿区の策定しましたマスタープランに基づいて再開発の御要望が私どもにもあり、それに対してこたえるかどうかということを検討した結果、この敷地は二・六ヘクタールございますけれども、その二・六ヘクタールの敷地を購入いたしたものでございます。  買いましたのはことしの四月でございます。四月七日に契約をいたしたというところでございます。それから、金額でございますが、全体としては約百八十五億円ということでございます。
  138. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 この百八十五億という金額はどういう基準で決まったのですか。これは国土法が適用になっているのですか。それともどういう形で決まったのか。  それから、先ほど東京都から話があったといいますが、東京都が仲介をして話があったのか、それともフジテレビが売りたいと言って話に乗ったのか、公団が買いたいと言って買ったのか、どうなんですか。
  139. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 私ども、この手の敷地、土地を買う場合には、当然近傍類似の価格を参考にして適正な価格であるかということを検討して取得をいたすわけでございます。もちろんその価格において私ども計画する事業が成立するかどうかということは当然でございますけれども価格の絶対値そのものは、そういうことで検討させていただくわけでございます。  また、この敷地につきましては、フジテレビが臨海部に移転をされたわけでございますが、この場所におきます跡地がどういうふうに移転後に整備されるかということについては、東京都がそういう意味で大変関心を持っておられたわけでございまして、その臨海部東京都の土地をフジテレビにお売りになる際の一つの一貫した話として、跡地についての住宅地化へのお考えがあった。そういうことに基づいて私どもにそういうものの意向打診があり、検討を求められたという経緯でございます。
  140. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 適正かどうか検討して決めた、それは当たり前のことですが、どうして百八十五億になったか。  これは、例えば登記料とか、今取得税とかというのは、民間ですと、これだけの金額だとやはり莫大な税金がかかるわけですが、そういうものはないわけですね。それはどうですか。
  141. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 私どもが用地を取得する際に、お売りになった側の不動産売却に伴います税金につきましては特別の減免が行われているということでございます。
  142. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 わかりました。  それから、今東京都がイニシアチブをとって住宅にしたいという意向を持ちながら住都公団にあっせんをしたという話だったと思いますが、この土地利用計画について伺いたいと思います。  二・六ヘクタールですから二万六千平米ですか、そうすると、利用計画というか、今後住都公団が集合住宅を建てよう、そういうふうに思っているのだろうと思いますが、どのような規格でどのぐらいの規模の住宅を建てようとしているのか。
  143. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 このフジテレビの跡地につきまして東京都が御関心を持たれたのは、先ほど申し上げましたように、都心居住あるいは新宿区の住民居住者の社会的な空洞化等の状況を受けてお考えになったわけでございますが、特にその中で、一般の民間の賃貸住宅、分譲住宅等の開発という動きはもちろんあるわけでございますが、特に公団賃貸住宅のような住宅にお住まいになる人々の定住の場というものに大変御関心があったので私どもお話があったということでございます。  私どもは、そういう都なり区の御意向を受けまして、ここにできるだけそういう方々がお住まいできるような都市型の賃貸住宅を可能な限り供給していこうという考えでございまして、今後詳細は詰めていくことになるわけでございますけれども、現在のところ九百五十戸程度都市型のいわゆる賃貸住宅を供給しようというふうに考えているところでございます。そのためには周辺の道路でありますとか、いろいろなことも当然あわせて整備をしながら、その程度の規模の開発に最終的にはセットをしていきたいなというのが現状でございます。
  144. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 建設費に関してはどうですか。予算をどのぐらいの規模で考えておられるのですか。それから、単位平米当たりの家賃というのはどのぐらいを見込んでおられるのですか。
  145. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 先ほど申し上げましたように、正式に契約を結びましたのはこの四月でございますので、今後この敷地につきまして具体的な計画を当然東京都あるいは新宿区と十分協議をし、また これだけ大きなプロジェクトでございますから、周辺の皆様方との協議もございます。そういう中で固めていく予定でございますので、現在最終的にこの事業規模が総額としてどれくらいになるかということについては、明確なものを今即し上げられるような固まった数字はございません。  それから、そうはいっても、どれくらいの家賃の住宅が先ほど申し上げましたような戸数で供給できるかということについては、当然検討を進めておるわけでございますが、この手の類似の都市型の賃貸住宅というものが、私どもが手がけたものもございますし、あちこちにございますけれども、それらを見ますと、例えば恵比寿というようなところもございますし、それから天王洲のようなところもございます。  それらの家賃の水準でこのプロジェクトもおおよそいけるだろう、採算性の面と家賃水準の面と両方で十分対応できるのではないかという状況でございます。
  146. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それはどのぐらいになるのですか、単位平米で。
  147. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 たまたま今例示に挙げました例えば恵比寿ビュータワーで申しますと、平米当たり三千五百円弱でございます。初年度の家賃が平米当たりそれくらいの家賃でございます。それから、天王洲の場合も、それぞれ一戸一戸の場合は規模がございますのであれでございますが、平米単価で申し上げれば、天王洲でも大体三千円程度というような状況でございます。
  148. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 この用途地域は何ですか。
  149. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 この敷地の用途地域は、大部分が第二種住居地域でございまして、建ぺい率が六〇%、容積率が三〇〇%の第二種住居地域でございます。これが大体九五%くらいを占めておりまして、残りの五、六%が近隣商業地域でございまして、この用途地域の建ぺい率と容積率は、八〇%、四〇〇%でございます。  この敷地を今の比率で加重平均いたしますと、建ぺい率が、上限が七一%、それから容積率が三〇六%ぐらいというのが都市計画上の上限になる地区でございます。
  150. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 この法律が通って施行になりますと、新宿区からたっての頼みで仲介をされて、ここに都心居住促進したいということで買ったということですから、そうすると、この容積率等々、今一部四〇〇%があるということでしたが、この計画というのは、この法律が施行になりますと、さらにこの法律を適用して変更するということが可能になってくるわけですね。
  151. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 今回の法律改正を御審議いただいているわけでございますが、この改正が、特に都心部におきます土地有効高度利用を通じて、良質な都心型の共同住宅の供給を促進しようという御趣旨でございますので、そう理解しているわけでございますが、先ほど来申し上げておりますフジテレビの跡地の開発も、そういう意味で山手線の中におきます代表的なプロジェクトでございますので、今の御審議いただいている法律の趣旨において、それに沿うものだというふうに私ども考えております。  具体的に措置されます事項の中で、この法律改正に伴って、現在地元とも公共団体ともお打ち合わせさせていただいている内容を大幅に変えるかどうかというようなことについては、現状では、あの地区の特性、周辺との今までの経緯等からいいますと、具体的な計画は持っておりません。
  152. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 私が聞いたのは、その近隣の地域との交渉、やりとりの中で変えるとか変えないとかということではなくて、東京都にそういうふうなことで仲介をされて買った、そうすると、それを変える、さらにこの法律を適用して、より効率的なものに計画を進めていくということが可能なんでしようと、そういうふうに言ったので、そうであるか否かということで返事をしてください。
  153. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 私どもは、それぞれの地区におきまして、与えられましたさまざまな制度の中で、最も有効で合理的な計画を求めるわけでございまして、当然ながら、今回の改正の趣旨からいえば、原理的には、もっと容積を上げる、あるいはその他の緩和の、規制の見直しの効果を取り込む可能性は当然あるわけでございますけれども、現計画についてどうかということについては、先ほど申し上げたようなことでございます。
  154. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 同様に、足立区に、ある民間の会社の工場の跡地がありまして、今のフジテレビは二万六千平米なんですが、どうもここの跡地も公団が買収をしたらしい。これは十七万五千平米という広大な土地であるわけですが、これはいつ購入をしたのか、そして用途はどうなのか、それから面積についても、買収価格についてもお答えをいただきたいと思います。
  155. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 お答えします。  ただいまの御質問は、足立区のトーア・スチールの工場跡地の件かと存じますけれども、このトーア・スチールの、足立にございます、御指摘の約十七ヘクタールの敷地において存在しておりましたトーア・スチールの東京製作所という工場でございますが、それの移転に伴いまして、トーア・スチール自体と、それから他の民間ディベロッパーその他と私どもにもその跡地の開発についてのお話がございました。  その後、民間事業者は、さまざまな事情もございましたし、だと思いますけれども、最終的には民間事業者が、一部を開発する一社を除きましてそれぞれ御辞退をされたということで、現在、公団が、その十八ヘクタールの土地につきまして、ほぼ全面的に取得する状況になったということでございます。  それで、これも、この開発計画そのものは、足立区が作成しております新田地区の、ここを中心とします六十四ヘクタールにわたります住宅市街地総合整備事業という住宅供給事業の区域を足立区が持っておられるわけでございまして、その中の一環として、私どもにも区からもお話があるということでございます。  その結果、昨年の十一月に取得をいたしまして、私どもの取得面積は十七・四ヘクタールでございます。取得価格は約三百三十億でございます。
  156. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 用途指定についての答弁がなかったのですが、これは準工業の地域だと思います。  同じく、足立区がそういうことで何らかの形で介在をしているようですが、そうしますと、ここにはどのくらいの規模の集合住宅を建設をする予定なんでしょうか、規模、計画、着工予定。
  157. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 足立区におきましては、先ほど申し上げましたように、大規模な、広大な工場であった場所でございますけれども、そこを新しい住宅地に切りかえていこうという考えで、先ほどのような計画も持っておられるわけでございまして、その中で私どもが協議をさせていただいておりますのは、国あるいは公共団体のそれぞれおやりになります事業と一体となりまして、例えば、道路、公園あるいは小中学校、スーパー堤防、あそこは両方川になっておりますが、スーパー堤防、それから下水道のポンプ施設、それから消防訓練センターというようなものも取り組む予定でございます。  それで、そういうものと一体となりまして、全体はそういう規模でございますが、戸数としては、私どもが全部やるとは考えておりませんが、全体としては約二千五百戸弱、そういうようなものを現在は想定をしているところでございます。
  158. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 これも先ほどのフジテレビと同様に、この法律が通って、施行になりますと、同様にやはりこの効果というものがたちまちあらわれてくるわけであります。  ここが二千五百戸、先ほどのフジテレビの跡地が九百五十戸ということでありますが、御案内のように、今日、賃貸住宅というものは、もう一方に近い数が、借り手がなくてうろうろしているという状況は先刻周知のとおりなのですが、そこで建設大臣は、今国会におけるさまざまな委員会、本会議等の答弁の中でも、一貫して、賃貸住宅の 分野からは一部限定的なものを除いて撤退するというふうに繰り返しておられるわけであります。  そこで、この一部限定的なものというのは何か、どういう意味かということを考えるわけですが、いろいろ調べてみましたら、ある雑誌のインタビューに大臣お答えになって「今後、賃貸の建て替えなどいろいろな問題が出てくる。その絡みで、あくまで応用動作としては若干あるかもしれない。」こういうくだりがあったのですが、多分このようなことを一部限定的な、こう言われているのかな。  あるいは、私に言わせれば、賃貸住宅というものは、ずっとこれを供用して、借り手と契約を結んで、そして国が責任を持って貸してきているわけですから、これはやはりそう無責任に賃貸住宅をどこか民間に早速にこれを移してしまうというようなことは、私はできないだろうと思うのですね。  そういう意味からいきますと、この賃貸住宅の管理運営というようなこともやはり責任持ってやっていくということが、公団は、大臣を初めこれはもう廃止するとおっしゃっているわけですから、公団そのものではないとしても、その後のやはり対応としてはそうしたことが必要だろうと思うのですが、一部限定的なというわけですから、それを除いたら撤退するというわけですから、これはいかにも、舌の根も乾かぬうちにというか舌の根がまだ動いているうちに、こうやってどんどん賃貸住宅をつくろうということで、土地の買収を進めている、そして計画、プランもこのように、もう粗設計ぐらいまではもうつくっているというようなことは、これは一体どういうことなのでしょうか。
  159. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は再三申し上げておりますように、住宅供給政策としては、住都公団が戦後五十年担ってきたそうした大きな役割、これは現時点においては大きな変化が起きてきておる。時代のニーズとともに進んでいかなければいかぬわけでありますから、民間ディベロッパーが大きく育ってきておる現状においては、低所得者層等に対する供給等を地方の公社等に肩がわりをしていくというようなことを含めて、住宅供給という面からは引いていく、そういう意味では、分譲はもう完全撤退するということを申し上げた。  そういう中で、賃貸につきましても現在七十三万戸ございます。これの維持、今後の管理の問題、建てかえの問題もございますし、それと、都市の再開発の中で、地方自治体等あるいは住民方々含めまして強い要望がある場合、それに住都公団がコミットをして、都市再開発という視点からも事業推進をしていくということを申し上げておるわけでありまして、そういう意味では、今二つの例を出されましたけれども、私も細部までは聞いておるわけではございませんが、これは聡明な牧野総裁のリーダーシップのもとで運営をされておるわけでございますので、私のそうした方針を踏まえて取り組んでいくものと思われます。  都市の再開発といいますか、今の例なんかで申しますと、フジテレビがその地域から撤退してよそに移動していく。またもう一つの方は、民間企業が移転をしていく中で大きな空洞が起きてくるわけでありますから、そこを都としてあるいは区として空洞のままで放置をしていくわけにはいかない。  これをいかに有効利用をしてその土地活性化していくかという視点から取り組まなければならぬわけでありますから、それに対して住都公団が協力をしておるということであると思いますから、中身について、どういう形、分譲住宅なんかつくることは絶対ございませんけれども、では、全部が賃貸という形になっていくのか、あるいは別な形になっていくのか、またそれに民間ディベロッパーまで加わっていくことになるのか、住都公団独自でやっていくのか、私は、詳細は聞いておりませんけれども、私と総裁の間で合意した方向の中で具体的にこれは処理をされていくもの、このように理解をいたしております。
  160. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 建設大臣は詳細を聞いてないというのだから、住宅局長、これはまずいのじゃないですか。  建設大臣は、再三再四にわたって「賃貸につきましても、一部限定的なものは除いてそこからは撤退をする、これは基本方針でございます。公団総裁とも基本的に合意をいたしておるわけであります。」これはこの建設委員会で同僚の太田議員に対して答弁をされたものです。  あるいはまた予算委員会でもいろいろと繰り返し同様のことを言っておられまして「分譲住宅あるいは賃貸住宅からのそうした撤退の方針、これはだらだらとやるわけにはまいりません。既に着手をしておる分野については、これはそのまま継続してやらなければなりませんけれども、そうした新規のものにつきましては、計画を思い切って早期にこれは見直してまいりたい。」  このように明確におっしゃっているわけでありまして、この我が大臣は、めったにうそをつかない大臣でありまして、物事を明確にいつもおっしゃるわけで、責任をとられる大臣でありますので、これは住宅局、大臣に相談もしない、報告もしないでそういうことをどんどん進めていってはまずい。  大臣も今、これはどうするかということについて触れられましたので、新規の着工は賃貸であってもやらないということを明言してください。
  161. 亀井静香

    亀井国務大臣 こちらに聞いたって、やらないなんて明言するわけはございませんから私が申し上げますが、私は、都市再開発に伴ってのそうした一部限定的な賃貸住宅というのはやる場合があるということは、今までも申しておる。  ただ、全体として、トータルとして住都公団が住宅供給という面からは引いていくということ、分譲についてはやらない、賃貸については限定的と言っておりますから、この二つのところで、土地の再開発上、その土地が繁栄していく上において、住民なり区なり都の意向等の中で、一部そうした分譲住宅じゃない賃貸住宅が建設されるということは、私が言っていることに反しておるわけではございませんので、別に私の舌が乾かぬうちにというような大げさな表現をされるような事態では私はないと思っております。
  162. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 最後に、一言申し上げます。
  163. 市川雄一

    市川委員長 質疑時間が大分経過しましたので、簡潔にお願いいたします。
  164. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 大臣は確かに、都市再開発については、公団が今後そういう方向に方向転換をしていきたいということで、都市再開発の方に、賃貸やら何やらの、ちんたらちんたらした部分をどんどん持っていこう、こういうお考えがどこか頭の隅にあるのじゃないかと思う。  ところが、私が先ほど来言っていることは賃貸住宅でありますから、これは矛盾ですね。  都市再開発で、今回の推進本部の中にも住都公団がやはり中核的な役割を果たして参加しているわけです。その推進本部の中で住都公団は何をやるかといったら、これは区画整理だとかあるいはいわゆる基盤整備の事業をやるといって、もうどんどん手ぐすね引いて、腕まくりしてやっているわけですよ。それはそれで、都市再開発でそういう方向でやるのは、私はこれはまた一概に、公団のノウハウというものがありますから、それは悪くないと思うけれども、今までのように都市再開発で高層ビルをどんどん自分でつくってしまって大赤字ばかり出しているということではまずい。
  165. 市川雄一

    市川委員長 簡潔にお願いいたします。
  166. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 こういうことで、その推進本部の中でも、公団は私が今指摘した以外のところでもまだやろうとしているのです。自分で高層住宅を建てようとしている。それで、この法律が通ったら、この法律の適用第一号は、まさに今のフジテレビと足立区が第一号、第二号になるのです。民間業者はなかなか寄りつかないから、住都公団がどんどん基盤整備をやって……
  167. 市川雄一

    市川委員長 簡潔にお願いいたします。
  168. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ずっとやっていくということになるわけなので、そういうどうも腑に落ちない点が余りにも多いという点を、改めて私はまた別の 機会に言わせてもらいますけれども建設省住宅局、ぜひひとつよくお含みをいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  169. 市川雄一

  170. 中島武敏

    中島(武)委員 だんだん最後の方になってきましたのでダブる部分もあろうかと思いますが、まず最初に大臣に伺います。  今度の法律改正の目的は何なのか。特に、都心居住、高層住居誘導地区制度を設けたのはなぜなのか、これを簡潔にひとつ御答弁いただきたい。
  171. 亀井静香

    亀井国務大臣 今までも何度も申し上げておりますので、委員委員席でお聞きになっておられると思いますので、簡潔に申し上げますが、これは職住近接のサラリーマン層の要望も非常に強い、そうした中で、その住居をできるだけ安価に提供する一助にしたいということでございます。それとまた、その地域を高度的に活用して土地利用価値を高めるということでございます。
  172. 中島武敏

    中島(武)委員 目的の中には、そのほかに、民間による都市開発投資の拡大、誘導を通じて、低迷する我が国経済の活性化を図る必要がある、この問題は入っているのじゃありませんか。
  173. 亀井静香

    亀井国務大臣 土地利用の高度化によって価値が上がるということは、それだけその土地に対する需要が喚起をされていくという意味で、経済活性化に寄与するということは私は結果としてあろうかと思います。
  174. 中島武敏

    中島(武)委員 ちょっと細かいことを伺います。  これは局長の方に伺いますけれども都心居住を望む人口というのは、一体どれぐらいのものでしょうか。
  175. 小川忠男

    小川政府委員 厳密な推計というのはしょせん無理でございますし、恐らくほとんど意味のない話だとは思いますが、ただ最近のマンションの販売状況を見ますと、都心回帰というのでしょうか、ひところの郊外部よりはかなり都心に戻ってきているという状況がございます。したがいまして、かなりやはり都心に住みたいというふうな一般的な希望というのはかなり高いというふうに見ております。  参考までに、行政としてある種のシミュレーションというふうなのをやっておりますが、向こう十年間でどのくらい中高層の住宅都心部で建つのだろうかというふうな若干の推計がございますが、十年間で百万戸建つうち、中高層が六十万戸くらいであろうと見ております。ただ、趨勢的には、単純なかつての事実を延長すれば五十万戸くらいでございます。したがいまして、計算の裏側には十万戸程度政策努力によってさらに上乗せをするというふうな感じで見積もっております。(中島(武)委員東京はどれぐらいですか」と呼ぶ)  今申し上げたのは、都心と言いましたのは、計算上は東京十四区と大阪市域の全域、それから名古屋の旧市街地というのでしょうか、七区でしょうか、これでございますから、恐らくは、今手持ちはございませんけれども、全体の六割から七割が東京だろうと思います。
  176. 中島武敏

    中島(武)委員 対象面積がどれぐらいになるかということと、もう一つ伺いたいのは、どういう人が居住することになるのかなということと、それから家賃はどんなふうになるだろうかという問題について、また改めてちょっと伺っておきたいと思います。
  177. 小川忠男

    小川政府委員 面積についての推計をしたものは、申しわけございませんが、ございません。  どういうふうな人が住むかというふうなことなのですが、いろいろな生活の仕方というのがこれから出てくると思います。一つには、当然のことながら、昔からいた人が、居住形態は変わってもマンションに住みかえるという形態もあるでしょうし、あるいは若い方で職住近接というふうなものに最高の価値を見出すという若い人たちというのもこれからいるでしょうし、あるいはやはり、職業柄、都心部で深夜業が多いとか、いろいろな形で都心の居住を好む方もいらっしゃると思います。その意味では、潜在的にはいろいろな意味でやはり都心居住を望む方というのはいらっしゃると思います。  恐らく、御質問は、所得関係でどのくらいの方々というふうな御質問がメーンだろうと思いますが、何度かシミュレーションの結果を申し上げました、三田、それから江東区の例で。例えば江東区の場合には、実物の例でいきますと、五千二百万円強が四千万円強、約二〇%くらいの減になるというふうなシミュレーション結果も何度か御説明いたしました。  もしこれを前提にいたしますと、平均的な首都圏の勤労者の年収の五倍前後というふうなことでございますから、割合ずばっとお答えをするとすれば、一般的な、平均的な勤労者の所得で、頑張ればそれなりのマンションが買えるというふうな結果になろうかと思います。
  178. 中島武敏

    中島(武)委員 随分楽観論ではないかなというのが私の感じなのですけれども都心に今度の法律改正によって実行してみる、マンションをつくるという場合に、果たして本当にそんなにその程度の所得の人が安くマンションなり、三分の二以上ですね、都心居住を手に入れることができるか甚だ、率直に言って私は信じられない。  この間からの議論を聞いておりますと、土地代の方は一定しているというような感じ計算されたものをお答えになったりもしておられるわけですけれども、私は、こうやってくると、今さっき大臣が言われたように、土地価値が上がる、つまり土地が上がるわけですよ。土地代、土地価格は上がっていく、そういうことは当然考えられるのですね。そうなってくると、家賃の方も非常に高くなってくるということになるのではないかということですね。やはりそういうことは十分考えなければいかぬと思うのです。  私、この間、森ビルの城山タワーを実は視察をしました。そうしましたら、ここに入っている人は半分は外国人なのですね。それから証券・金融関係で働くビジネスマン。日本人も、オーナーや大企業の部長クラスが入っている。社宅になっているのですね、実際は。社宅になっているのです。家賃はどれぐらいかと聞きましたら、七十万から八十万ぐらいだというのです。これは社宅でなかったら、とてもじゃないけれども、入れるものではありません。  森ビルの調査というのは、もう御存じのとおり、割としっかりしているというので有名なのですけれども、この調査によりますと、高級マンション、これに住むのは一体どんな人か、こういうと、これは、企業経営者トップ層、それから隠居老人、自由業、水商売の人、パトロン生活者、外国人ビジネスマン、外国人エグゼクティブ。これで月額百万円以上はざらにある。  だけれども、外国人や企業のトップなどは法人所有のものに住んでいるというのですね。社宅といいますか、そういう格好になっているのですね。じゃ、一般の労働者、サラリーマンは一体どこに住むのかということになりますと、やはり社宅、寮、官舎、こういうところだという調査結果を出しているのですね。これによりますと、社宅や寮や官舎というのが一般サラリーマンの住む主要な住宅である、極論すれば一般サラリーマンの住める可能性はこのタイプ以外にない、一方では社有地の有効利用で社宅は減少しており、官舎も移転の方向に向かう可能性があるということを言っているのですね。  これはちょっと古い資料ではありますけれども、傾向的に言うとこういうことが当たるんじゃないか。今度の法律改正によって都心居住を大いにつくる、だけれども、やはり価格は高くなって、なかなか手にすることもできなければ、賃貸で住むこともできないということになるんじゃないか、私はそういうことを率直に申し上げたい。
  179. 小川忠男

    小川政府委員 ただいま御質問の中で引用されました森ビルの城山ヒルズ、実は私も住みたいなと思うくらい超高級のマンションのようでございまして、やはり政策として議論する場合には、そういう極めて特殊な超高級マンションというふう なことよりは、やはり一般的にいかにすれば大量に供給できるのかというふうなことだろうと思います。  先ほど私がお答えいたしましたものも、シミュレーションとしてやればそういうふうなことだということですが、社会的な現象として一般的に安くなるというためには、時間と大量の供給、この二つが必要です。  私どもが制度として準備したのは理念型としてはそのくらいで供給可能な枠組みを準備するというふうなことでございまして、それを駆使していただいて、それなりの時間とそれなりのエネルギーをかけてそれなりの量が供給されれば普通の方々でも買えるような状況になることを念頭に置いておる、というふうなことを申し上げたわけでございます。
  180. 中島武敏

    中島(武)委員 念頭に置いておられても、さっき楽観論だと言ったのは、果たしてそういうふうになるかどうか、これが問題なんですよ、現実が。その辺のところを私たちはかなり渋く見ていますということを申し上げて、次の問題に行こうかと思うのです。  この法案策定に至る経過について、簡潔で結構ですから、御説明ください。
  181. 木下博夫

    木下政府委員 法案の準備に入りましたのは、正直申し上げて比較的最近でございます。大臣から一月の半ばに私どもが指示をいただきまして、二月二十日に素案を出しました。各方面からいろいろ御意見をいただきましたが、その過程におきまして、都市計画審議会あるいは建築審議会には二月の末に諮らせていただきまして、特に三月四日には都市計画審議会の総会にも御報告しております。  実は、前後いたしますが、都心の四区につきましては、かねてより都心居住について、自分たちもいろいろな施策をやっておりますけれども、重ねて積極的な都心居住が図れるような方策を要請しておられましたので、今回のような法案を出させていただいた経緯でございます。
  182. 中島武敏

    中島(武)委員 都市計画審議会でもこの問題についての審議をおやりになっていらっしゃいますか。
  183. 木下博夫

    木下政府委員 先ほどちょっと触れましたように、都市計画審議会の下に土地利用委員会というのを基本政策部会の中に設けておりまして、この小委員会に諮らせていただいておりますし、それから報告事項として都市計画中央審議会に三月四日にさせていただいております。
  184. 中島武敏

    中島(武)委員 報告をしたのであって、諮問あるいは審議をやってもらうということはやってないわけですよね。今の答弁によりましても報告ですよね。皆さんの方から報告をなさったということですね。
  185. 木下博夫

    木下政府委員 事実、報告でございます。  ただ、もう一つだけつけ加えさせていただきますと、現在、土地利用委員会では地区計画制度のより積極的活用を図っていただくことと、それから、容積率を含めてでございますが、都市計画のそういう土地利用規制について議論をさせていただいておりまして、この辺についてはこれからのお話でありますが、できますれば近々中間報告を出し、最終的には答申というような手続もテーマによっては諮られることになろうかと思っております。
  186. 中島武敏

    中島(武)委員 実は、今のは率直に言って、私が思うのは、報告なんですから、ですから建設省が、言葉は悪いかもしらぬけれども、一方的に押しつけた、こういう感じを受けるのですよ。  それで、実はある専門委員の方はこう言っているのですよ、御存じと思いますが。今回の施策は建築審議会、都市計画審議会での議論とは直接かかわりなく突然新聞発表されたものであり、正直戸惑っている、こんなふうに述べています。これらの人たちの意見というのは、やはり耳をかす必要があったんじゃないだろうかと思うのですね。この人たちに報告したときに意見がいろいろ出たんじゃないですか。
  187. 木下博夫

    木下政府委員 審議会でいろいろ御意見があったことは、そのとおりでございます。したがいまして、その際に出ました意見を我々の方も真摯に受けとめさせていただきまして、当初二月二十日に素案を組んでおりますが、その後、法制局との協議、審査の際にも御意見をいただいた部分について十分御披露させていただきながら、法案として、あるいは現実的な都市政策住宅政策としていかがなものかということの議論の中で参考にさせていただいたのは、当初の中ではそこまで詰めておりませんでしたが、容積率四〇〇%のところについて限らせていただいたこと、あるいは建ぺい率とか敷地規模についての条件をつけていった方がいいんじゃないかという御意見をいただきましたので、これについてはこの法案の中で十分採用させていただいておるわけでございます。
  188. 中島武敏

    中島(武)委員 今度のこの都市計画法の問題はかなり大きな改正だと私は思うのですね。そういう点でいうと、やはり審議会にちゃんとかけるということが必要だったんじゃないかと思うのですね。そういうことからいいますと、もうちょっと聞きたいのは、今までは大体審議会にかけていたんじゃないですか。
  189. 木下博夫

    木下政府委員 各種制度なり施策についてすべてかけていたか、あるいは審議会の場合は、こう申してはあれですが、極めて基本的な総括的な御議論をいただくことが十分でございますので、もちろん我々は、審議会という場がありますし、そこにおられます学識経験者の御意見をいただくことについていささかも拒否するものではございません。  今回の場合が異常であったかというような御質問でございますが、私は、先ほど申し上げました小委員会の先生方、それぞれ相当の専門家がいらっしゃいますが、そこで御議論いただいたことはしんしゃくさせていただいたつもりでおります。
  190. 中島武敏

    中島(武)委員 それは建設省としての見解ですね。だけれども意見を言った人たちの中から、いや、こういうのはちゃんとかけてもらいたいよという意見を現在でも述べている方がいらっしゃるのですよね。  だから、そういう点では、単に報告した、意見を聞いたというだけじゃなくて、審議会にきちんとかける、あるいは専門委員会でもよく議論する、これでよいのか法案を示してやるというふうにするべきじゃなかったかということを、御答弁ですけれども、重ねて私の意見を申し上げておきます。これをやっていますとずっと進んでいきますので、私は意見を申し上げておくということです。  それから、事務所ビルに住宅が転用されるおそれはないのかということなんです。  それで、実はこれも森ビルの調査なんですけれども、こういうことになっているのですね。「マンションのオフィス利用の変遷」ということで、港区全体の調査。細かいことは省きます。昭和四十八年、二・六%転用、昭和五十六年の調査、一八・七%、昭和六十二年、二四・三%。このデータはちょっと古いです。だけれども、こういう傾向はずうっと続いています。  私も港区の諸君を随分知っています。マンションに住んでいる諸君も知っています。随分変わっちゃっている。もう圧倒的に事務所ビルになっている。要するにふろつきの事務所なんだということを多くの方は言います。  私は、その点では、これまた森ビルの調査です。赤坂Aマンション二九・四%、赤坂Bマンション四〇・三%、青山Cマンション六七・三%、これぐらい、どんどん事務所ビルに変わってしまっているのですよ。ですから、そのおそれはないのか。そして、法律改正の趣旨は住宅ですから、三分の二以上ですから、そうさせないことのどんな方策を持っているのかということをお聞きしたいと思うのです。
  191. 小川忠男

    小川政府委員 ただいまいろいろな数字をお示しになりました。ただ、事実として、法律制度の前提条件をはっきりさせておいた方がいいと思いますが、一般的に、商業系地域などにおきまして、マンションとして住宅をつくった、確認を受 けたというふうなものを事務所に転用すること自体は基準法上は決して違法ではございません。  マンションも可能ならばオフィスも可能、許容されている用途の範囲内で、竣工した後で用途をその枠内で変更することは決して違法ではないという状況のもとで、例えば、港区の商業系のウエートの高いような場所で、事実、事務所に転用されているという例があるというのは、御指摘のとおりだろうと思います。違法ではございません。  ただ、今回の制度について言いますと、先生おっしゃいましたように、まさに、住宅であるという点に着目して容積率の割り増しを行ったわけでございますので、厳密に申し上げますと、一戸でも事務所に転用した場合には即違法、基準法上違反というふうなことになります。したがいまして、建築確認というふうな場合には、本格的なマンションとしての構造、設備というふうなものは備えられているのかどうかというふうなことは、従来以上にきちっと点検をいたします。  それから、何度かお答えしておりますが、きちっとした台帳を整備いたします。事後の点検もさせていただきます。したがいまして、かなり悪質と認めざるを得ないようなケースについては、措置命令、罰金というふうなことも懐に入れて対応いたしたいというふうに考えております。
  192. 中島武敏

    中島(武)委員 言っていらっしゃることはごもっとものように聞こえますが、そんな点検をする体制は、建設省がやるわけじゃなくて、自治体がおやりになるのですよね。そんな体制がありますか。  これも私の調査によれば、中間検査一割、完了検査四割、こういうのが実態だというのですね。さあ、今度はそういう、都心居住の建物ができた、今局長言ったように、厳重にやるということなんですけれども、体制がないのですよ、体制が。どうやってやるのですか。そういう点で言いますと、うたっていることがちゃんといかないということになるのじゃないかと私は思うのだけれども、いかがですか。
  193. 小川忠男

    小川政府委員 二点、お答えさせていただきたいと思います。  一つは、先ほどの数字というのは、通常の確認を受けて、通常にコマーシャルベースで建てられたというわけでございますが、港区の例を盛んにお引き合いに出されますので、一つだけ私の方からも港区の例で事実を御説明したいと思います。  一般的なマンションが建てられた場合ではなくて、港区には住宅附置要綱というのがございます。事務所をつくる場合には、事務所の割合に応じてそれなりの住宅をつくるという要綱がございます。  これについての省としての評価はいろいろございますが、ただ、事実として、港区が関与した形でマンション住宅が供給されたというふうな場合のそれの転用状況、つまり、行政がちょっとかんだ場合の転用状況というのは、先生お示しになりました先ほどの数字と一けた違いまして、住宅附置要綱ででき上がった住宅は二千二百七十二戸ございます。このうち、マンション以外に転用された数字は若干ございますが、一・八%、四十二戸であるというふうなことで、違法ではないという状況で転用されているのと、行政が関与した上で住宅がつくられた、それを転用するというのは、一けた違うというふうな実態がございます。それが一つ。  その場合に、今回の場合には、単に行政が関与したということだけではなくて、そもそも、違法になるというふうな基本的枠組みがまるっきり違うという点が一点ございます。  それからもう一つは、中間検査、完了検査、一割、四割というふうな数字を御指摘になりました。現状ではおっしゃるとおりでございます。  ただ、これにつきましては、若干時間をかしていただきたいと思いますが、建築基準法を根こそぎ改正いたしたいと思います。その中で、執行体制、監督体制についても基本的なところで体制を強化したい。これについては若干時間をかしていただきたいと思います。
  194. 中島武敏

    中島(武)委員 改正するのは結構なんですが、しかし、人手不足で実際にはやれてないという実態なんですから、人手もふやすということを伴いませんと、これはどういうふうに改正しても実行できにくいものなんだということを申し上げます。  それから、今局長が言われた、港区で、二千二百七十三戸のうち、一・八%というふうに言われましたのは、おっしゃるとおり附置義務のものなんですよ。前回話を聞いておって、そんなに少ないかというので港区へ問い合わせたのです。そうしたら、これは附置義務のものだということがわかって、建設省にもお尋ねしたら、附置義務のものだ、こういう話で、と思ったのですけれども。  附置義務の場合に、港区で何でこんなに少ないか。それは、ちゃんとそのことが義務づけられていて、しかも住民票をちゃんと提示するようになっているのです。先ほどのお話だと、台帳に記入するというお話だったのですけれども、私は、ちゃんとやるのだったら、住民票を提出させるというふうにした方がいいのではないか、港区のようにやった方がいいのではないかということを申し上げておきたいと思うのですけれども、どうですか。
  195. 小川忠男

    小川政府委員 具体的な、住民票云々、実際、港区がどういう手続でおやりになっているのかはよくわかりませんが、違反が発生しないような有効な措置があって、公共団体が実行可能なものであるならば、いろいろな手法をとりたいと思います。
  196. 中島武敏

    中島(武)委員 実は、次の問題なんですが、これはしばしば先ほどからも、また先日も議論になってきているのですけれども、この法律によって高層住宅が建設される。そうなりますと、そこに住んでいる人が実際には追い出されてしまうとか、それから、周りの人の住環境が非常に奪われてしまう、悪くなる。  それは、具体的な中身で言えば、特にしょっちゅう問題になりますのは、日照問題なんですね。私はやはり、ずっと長く住み続けてきている人たちがそういうふうに追い立てられてしまうとか、あるいは環境がかえって逆に悪くなるということは防がなきゃいかぬのではないかということを思うのですね。では、この点、どうなんですかね。
  197. 亀井静香

    亀井国務大臣 たまには私が答えましょう。  多々、私のところなんかに今、電話とかいろいろなファクスその他で来ますのは、今先生御指摘の、現に居住している方、マンションを建て、古くなって建てかえでもしなければどうしようもない、しかし今のまま建てかえるには負担がでかくて踏み切れない、そういう方々から、一日でも早く法案を通していただきたいというのが来るわけですね。  これは黙っていても廊下あるいは階段部分が算入されませんから、二割増しのものが建てられる。そうしますと、その部分を売るなり賃貸するなりで、いわゆる改築の資金がトータルとして捻出をできるということに大変期待をしておられるのですね。そういう——いや、本当ですよ、そういう状況があるわけでありますから、必ずしも、委員が御指摘のように、現に居住する者が追い出されるということではないし、私、かねてから申し上げておりますように、私ども住宅政策は、その町に住んでいる人を大事にするということが基本でありますから、そこのけそこのけと追い立てて、跡が高級マンションになって、高額所得者だけが住む町にしていくということが我々の住宅政策ではございません。  そういう意味でも、その土地利用価値を高くして、付加価値を高くすることによって安くそこに住める工夫をするということでございまして、これがこのたびの一環でございますから、どうぞ委員におかれましては本法案に御賛成をいただきたいと思います。
  198. 中島武敏

    中島(武)委員 先日の答弁とは大分傾きが変わってきたように私は思います。私はちゃんとこの前の答弁も聞いておったから、きょうも同じ答弁 が返ってくるのかなと思ったら、そうではなしに、大分傾きが変わったというのが私の受けた印象です。  そこで、実は、実際にこんなものがどんどん、高層なビルディングが建っていくということになりますと、実際どうなるのか。今東京はいろいろな問題で——いろいろな問題というのは、この問題でマンション紛争、随分ぶつかっているのです。さっきもお話がありました。  実はこれは文京の例なのですけれども、文京の千石二丁目の話です。ここは、大手マンション業者の大京が約千二十三平方メートルの土地マンション建設を始めているわけなのです。高さ三十メートル、地上九階建て、用途地域は準工業地域、したがって、その容積率は四〇〇%、建ぺい率六〇%。細い路地に矢板が威圧するようにたくさん立っているのですよ。それで、周囲の小さな家々には、大京は日照権を奪うな、こういうステッカー、ポスターがもう非常に目立つのですね。  実は、この土地はどういう土地だったのかということを調べてみましたら、当初地上げが始まったときよりずっと前の話です、あのバブルの時期の話、始まったときには、有料特別養護老人ホームの用地だというもので、それだったら余り高い建物じゃないなというふうに近所の人は思っていたというのです。  ところが、その土地は相互地所が買い取って、天方開発に転売されて、東京ファイナンス・テクノロジーというところに転売されて、それで、住専の一つで後に倒産するエクイオン、ここにその土地は移ったというのです。そのエクイオンは、住専ノンバンクの住総からも融資を受けていたけれども、負債は三千百億円だった。土地はその後どうなったか。大京が昨年の夏、七月に購入した。三・三平方メートル当たり二百二十万円だ、総額六億円だった、こういう話なのです。  これは住専絡みで塩漬けになっておった土地活性化をしていくという典型的な一つの例だというふうに私は受けとめておりますけれども、地上げで十四、五軒立ち退いた、十四、五軒。今住んでいるのは、親の代からここを離れられない、そういう人たちが住んでいるのです。  それで、半年間の運動で業者の側が譲ったのは何かといったら、最上階のロフト部分三メートルを削除する、それから民家との境界線を十センチ下げた、これだけなのです。  それで、結局、御存じかもしれませんけれども、ちょっと念のために言っておきますと、補償金は、日照被害——もちろん法律はクリアしております、だけれども、補償金は一時間につき十五万円なのです、十五万円。一日のうち八時間日照を奪われる民家が三軒ある。それで補償は百二十万円。工事の迷惑料が五万から二十万。それで、住民が望むような町づくりとは無関係行政がこういうことを進めるというのに住民は非常に怒っているのですよ。  こういうことを言っているのです。都市計画法建築基準法に違反するところは全くない、許可はきちんとおりている、行政の言うとおりの町づくりを大京は行っているのだ、そういうふうに大京は言うというのです。それで、あなた方はそれを妨げているのだと言わんばかりに怒るというわけです。  それで、その住民は何を思ったかといったら、この住民は言うのです。政治と法がだれのために利益になるようにつくられているかということに気がついた、皆さんこう言うのです。それで、そういうさっきの大臣の答弁もありましたけれども、やはりそこに住んでいる人たちのことも十分考えるというものでなければならぬと私は思うのです。こういう人たちはみんなどこかへ出ていってしまえ、これではやはり政治も行政もないと住民は言いますよ。  私は、念のために申し上げておきたいのですけれども価格は一体どうかということを聞きましたら、一DKで二千百万円から、三LDK、七十五平方メートルで七千百万円だというのです。これは三LDK、ファミリー向けといったって、ちょっと今手が出ますかね、普通の労働者に。こういうことが現実に行われておって、何もこの文京だけの話ではない、もうどこもみんな、あちこちですよ、この種の問題が起きてきておりますのは。  今度の法改正によって都心居住促進されるということになったときに、やはりこういう問題が続出するのじゃないだろうかということを非常に私は恐れます。そういう点で言うと、ここは、ただいいことばかりあるというのじゃなくて、考えなければならぬ点があるのだということをやはり十分腹に入れる必要があるのじゃないかと私は思います。
  199. 木下博夫

    木下政府委員 これから制度を具体的に実施してまいりますから、先生の御指摘のありました一部の例を引いての御説明かと思いますけれども、私どもは、限りなくやはりまずどういう場所で今回の地区をやるのかということについては慎重であらねばならないと思っております。慎重と申しますのは、その点、従来の公共施設整備状況なり周囲の環境に配慮していかなければならない。  ただ、余りにもそういうことのいわば過去の反省をそのままこれから引き続いてやるというのでは人間としては前進がないわけでありますから、やはり行政としても、あるいは企業としても、社会的責任を当然持っていただかなければいけないと思いますから、その両者の中でよりよきものをこれからつくっていくということでは、今の経験あるいは紛争等があれば、それは整理していきたい。  むしろすべてを都市計画制度とか建築基準法等の規制でし切れるかどうかというのは、私どもも若干考えるところがあります。しかし、運用するのは我々行政であり、あるいはそれに関係される方々は数多くあるわけですから、そういう方々の協調関係の中でやはりやっていかなければならないかと、こう思っております。
  200. 中島武敏

    中島(武)委員 今申し上げたような文京の例というのは、私、たった一つですけれども、じゃ、文京区は、行政の側です、何でこんなことを黙っているのでしょうか。私は、こういう一つ一つがテストケースだと思うのです、今度実行することについての、そう思わなければいけない。  だから、行政の側が、そういうひどいことにならないようにやります、ちゃんとこういうふうに言っても、現実にみんなが体験しているもの、東京二十三区の人間が体験しているものというのは、こういうことはたくさんたくさん経験しているわけですよ。率直に言って、私の事務所なんかにだっていろいろなものがたくさん飛び込んできますよ。  だから、じゃ今度はそれは改まるのか、この新しい都心居住をつくるというこの法律改正によって改まるのだろうか。これは皆さん、だれも信じないですよ。そこがやはり一番肝心な点だと私は思うのです。大臣の答弁はいいです、確かに、きょうは、さっきのは。だけれども、それはちゃんと本当に実行しようと思ったら、やはり人間がやるのだ、行政がやるのだ、地方自治体がやるのだというだけでは済まないのじゃないかということを私は思います。  続けて言えば、何かといえば、行政の側も考えている面もあるのです、区によっては。私は、別に港区を褒め上げて持ち上げようというわけではないのだけれども、まあ言えば、何に努力するか。都心人口を呼び戻したいと、何を努力しているか。それは都市局長は御存じだと思うのですけれども、何よりも、やはり家賃補助ですよ。この家賃補助を続けるという決議を、これは自民党、建設大臣も所属の政党ですよね、この自民党も一緒になって、これは満場一致で決めて、区に要求しているわけなんです。  それから、それだけじゃない、環境をよくする、やはりそうしなきゃいかぬ、こういうことで、緑を復活させるとか、あるいは公園などの公的な施設を充実させるとかいうことにやはりもっと力を注がなければなりませんよ、これは。  それから、やはり、事務所ビルなんかに、さっ き答弁のありました住宅の附置義務、これをもっともっと奨励する必要があるんじゃないですか。さっきお話があったように、これはほとんど転用されてないんだ。それは大したものだと思いますよ、私は。そういうのを、やはりちゃんとどんどん進めていくというようなことがないと、私は、これはうまくいかないんじゃないか。  そういう点から、私、今度の法律改正を見ると、それは、言う言やよし、しかし、実行した段階においてはうまくいかないなということを感じるわけであります。どうですか。意見、あったら言ってください。
  201. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは、黙ってさわればぴたりと当たるような、そんな政策は直ちにやれるものではないと思っております。特に我が国の場合は自由主義社会でございますから、御党が目指しておられる社会とはちょっと違うとは思うわけでありますが、そうした状況の中で、委員がいつも主張されますような、弱者といいますか、そういう者の権利なり生活を自由な競争の中でどう守っていくか。この視点は絶対に忘れてはならない、これは住宅政策の中においても忘れてはならない、私はこのように考えておりますけれども、しかし、先ほどから申し上げておりますように、すべて一〇〇%一挙に解決できる問題ではないと私は思いますので、おたくの方も、ベストでない場合、ベターの政策にも賛成するようなマターもとっていただければ、極めて建設的に進んでいくと私は思います。以上。
  202. 中島武敏

    中島(武)委員 それは、私は、判断の問題ですよ。建設大臣が、これはベストでなくてベターだと言われる。しかし、そうかなと私たちは思うのです。むしろこれは、ワーストじゃないかもしれぬけれども、何かそれに近いぞ、こういう感じを持つ面があるわけですよ。  これはちょっと最後になるんですけれども、これは朝日新聞の三月八日付の夕刊であります。これによりますと、建設大臣のことが随分載っているのですよ、これだけずっと載っているのですから。お読みになっていらっしゃらないかな。   「私が大臣でなくなってから結論を出すなんて、ふざけた話はない」。中曽根内閣当時から検討課題だった容積率緩和は、亀井静香建設相が一月十七日、「一年かけて結論を」と説明した事務次官らに「一カ月でまとめろ」と指示したところから急に動き始めた。   亀井氏はこの夜、容積率緩和を唱えていたマンション業界大手・大京の横山修二社長らがいる会合で、このやりとりを披露。二月に入ると省幹部と一緒に、三菱地所、三井不動産など大手七社から要望を聞いた。 こうあるのですけれども、これは事実ですか。
  203. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、独断専行の行政をやるつもりはございませんので、常に、そうした民間の方々の御意見をいろいろな機会に丁寧にお聞きする努力をいたしております。それを行政の中で反映をしていきたい、しかも、やる場合には、時間を置かずに、やるべきことは即座にやっていくべきだ、このように考えております。
  204. 中島武敏

    中島(武)委員 民間とおっしゃっても、一般国民も民間でありますし、大手のマンション業者も民間なんですよね。大手のマンション業者の意見だけ聞いて、一般国民意見をやはり広く聞く、審議会の意見なんかも十分聞く、こういう姿勢が必要じゃないかと私は思うのだね。  それで、ちょっと私、調べたのです。そうしたら、九六年度の政治資金報告、これによりますと、自民党の政治資金団体である国民政治協会に、不動産協会が二千二百万円、日本ビルヂング協会が一千万円、日本高層住宅協会が九百万円の政治献金を行っているということがわかりました。個々の不動産業者や大手ゼネコンなどを含めると、相当の政治献金になるんじゃないかと思います。  私は、この法案による規制緩和規制緩和という言葉は嫌だということをさっき言っておられましたけれども、この法案による規制緩和は、やはりこの業界に多大の貢献になると思いますね。そのお礼に政治献金をするような、そういう癒着を防止することこそ本当の政治改革じゃないかと私は思います。  そういう点で、バブル時期に、銀行もゼネコンも、大手ゼネコンです、投機目当てに暴力団まで使って地上げをやって、そして都心住民追い出しをやった、その反省こそが今求められているんじゃないでしょうか。  私はこのことを指摘して、どうやら紙を持ってこられましたので、これで私の質問を終わります。
  205. 市川雄一

    市川委員長 中西績介君。
  206. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間がずっと迫っておりますから、はしょってお聞きするかと思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。  もう何回も皆さんにお答えはしておりましたけれども、本法案が出された経緯、背景ですね、大臣からお聞きしたい。
  207. 亀井静香

    亀井国務大臣 何度もお答えをいたしておりますけれども、私ども都市政策の中で、職住近接の強い要望に対してどうこたえていくかという、一つの大きな年来の課題がございます。できるだけ安くそれを供給していく。しかも、狭い土地を、ペンシルマンション状態でそれを進めていくということではなくて、できるだけ集積効果を上げて、広い土地として、緑地、あるいは、そうした生活環境をよくしていく、そうした面を促進をする、そケいうことについてのインセンティブを与えるということも配慮した施策が必要であるというような観点から、このたびの改正をいたした次第でございます。
  208. 中西績介

    ○中西(績)委員 これを提出されるに当たりまして、審議会なり、いろいろなところの意見をお聞きしたのではないかと思います。先ほども民間の意見もお聞きしたということを言っておられましたけれども、特に、ここ一年間の間に、規制緩和を含めて、経済審議会行動委員会、あるいは本年の二月十日の閣議決定、あるいは三月二十四日の建築審議会の答申、あるいは三月二十八日の閣議決定等、もう軒並みこうした問題について触れておられますけれども、それぞれ、ちょっとニュアンスの違いもあるわけですね。  私は、こうした点、どのように建設省としてはそれぞれの問題提起について受けとめておられるか、簡単に触れていただきたい。
  209. 木下博夫

    木下政府委員 今先生お話ございましたように、この一年間、各種の審議会等々で御提言なりをいただいております。  私どもといたしましては、確かに各審議会の主張されている分野は多少それぞれ立場上違うといいますか、担当している分野が違うわけですから異なっているかと思いますが、基本には、先ほど来大臣からお答えしておりますように、従来の土地のいわば地価抑制から、できるだけ土地を有効に活用して国民生活に資するという姿勢の中で考えておりまして、今回のこの法案につきましても、そういう意味での利用面での活性化を図りつつ、都心の居住への方向を何とか実現していきたい。  ちなみに、首都圏では大体六割以上の方々通勤時間一時間ということで、関西あるいは名古屋圏は五割ぐらいでございますが、こういう状態を見ましても、我々としては、先ほど来そのボリュームがなかなか把握できないというようなことで御議論もありましたけれども、確かに直接的ではございませんけれども、やはりこれから相当な都心への誘導を図っていく。それが既に投下された都市インフラを使っていく方策ではなかろうか、我々としてはこう思っております。
  210. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、こうした問題について、例えば昨年十一月の経済審議会行動委員会あるいはそれぞれの、三月二十八日の閣議決定、建設省関係じゃありませんから、直接的にそれについての公開された意見等についてここではお聞きはいたしませんけれども、これらについて総合的に、今改めて日本国土開発をどうしていく、再編をどうするかという問題等を含めて、先ほどから大臣も言われておるように、都市構造の場合には防災をとか、いろいろあるわけでありますから、こ うした点をこれから後やられるとするならば、それぞれの省庁なりと合同部なそうしたものを立案、計画するなり、提言をするなり、こうしたことはやはり行われる必要があるのではないかと私は思っています。  そこにやはりこれから後の行政改革の大きな絡みとの傾向が出てくるわけでありますから、この点についてどのようにお考えか、お答えください。
  211. 亀井静香

    亀井国務大臣 国土政策、また土地利用計画等につきましては、委員御指摘のように、各省庁が縦割りでやることではございませんで、特に国土庁を中心として私ども建設省、農林省あるいは運輸省等が常時閣僚レベルにおきましても事務レベルにおきましても緊密な連絡をとる努力はさせていただいております。
  212. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、これらについては、さらに建設省の所管する建築審議会等におきましても、いろいろ中身をずっと精査いたしますと、特に地域住民を含め、十分な意思疎通を図っていくということがやはりこれからの行政のあるべき姿として大変重要視されておるようでありますから、こうした問題等を含めまして、地域的にあるいは行政的にどうするかという問題等、ぜひ多くの国民情報公開をすることによってその意思を伝えていただき、そして集約をする。こうしたこれから後の行政のあるべき姿そのものも、この種問題について特に大きな課題としてこれから出てくるのではないか、私はこう考えますので、ぜひ強めていただくように要望をいたしておきたいと思います。  そこで、本法案におきましては、都市計画あるいは建築基準等からいたしましていろいろ検討いたしたようでありますけれども都心部における住宅供給促進がどのように試算なりされてこうした計画を立てられたか、この点についてお答えください。
  213. 小川忠男

    小川政府委員 計量的に幾らであると断定するのはなかなか難しい問題だとは思います。ただ、第七期の五カ年計画を策定するときに、ただいま御指摘ございました大都市圏都心部でどのくらいの住宅、特に中層住宅が供給されるかというふうな若干のシミュレーションを行っております。その場合に、十年間で約六十万戸というふうな数字をはじいております。  ただ、その前提として、今までの趨勢というか、実態が年間五万戸ぐらいですから、五十万戸と六十万戸の差、約十万戸をこれからの政策努力によって上乗せするというふうな前提条件でおります。したがいまして、私どもの腹づもりとしては、その上乗せ部分の政策努力の一環として今回の措置もお願いする、こういうふうに理解いたしております。
  214. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お答えありましたように、従来からの増加戸数からいたしますと、この政策で十万戸以上を上乗せしていくという見方をしておるようでありますけれども、こうなってまいりますと、さらに先ほどからずっと論議を聞いておりますと、やはり住宅価格の問題が必ずこれに付随して出てくるものだと思います。  先ほどお答えをいただきました中身からいたしますと、約一千万程度くらい低廉になるということを言われておったようでありますけれども、その前提になる金額そのものを現状の地価から割り出しておるということから考えますと、では果たしてこうした状況が維持できるかどうかというのは、先ほど大臣も、需要が多くなれば活性化するのだから当然高くなるのは必然的だということを言っておられました。私は、そうしたことはあり得ると思いますけれども、むしろ今までの地価状況はどうであったかということを先にお聞きしたいと思うのです。  先般、十六日に発表されました短期地価動向調査結果を見ますと、一月から四月における状況というのは、住宅地はやや下落、横ばい、商業地は下落、やや下落という状況、特にこの東京都を中心にするところにおきましてはまだこれが安定化しておらないということが言えるのではないか、この数値を見ますと。  特に、汐留における第一次分の価格などを見ますと、予想に反して高価であったということが言われていますね。特に、外国からの参入等もあったということも聞きまして、これは再び地価高騰に結びついていかないのか。  というのは、投機的心配が、先ほどから言っておるように、例えばゼネコンにしましても、あるいは金融にしましても、その他の企業のモラルといいますか、そうした点が本当に、バブルにおける破壊状況になった中で反省をし、そしてこれからあるべき姿というものを本当に打ち出しておるかどうかということを精査しますと、そうはなっていないのではないか、またすきあらばという状況の中でしか推移していないのではないかという気がしてなりません。特に私は、金融関係の方と話をしてみたときに驚きました。  ですから、こうしたことを考え合わせてまいりますと、今マイナスになっている部分をまた再びという、こうしたことにつなげていく可能性がなきにしもあらずと私は考えます。したがって、そういうことからすると、まだ下落しなければならぬのに、これをさらにまたそこで歯どめをし、押し上げる、こういう作用につながっていくのではないかということを私は一番恐れます。こうした点についての見解はお持ちですか。
  215. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘の問題に正確に未来を見通してお答えするということは、私はそんなに自信はございませんけれども、今までの経験則その他から判断をいたした場合、このたびの改正という処置が、土地有効利用上、極めてこれが有効であるということを私どもは確信をするわけでありますから、そのことが土地価値を高めていく。  じゃ、価格でどうなるかといいますと、これはトータルの経済活動がどう活発化していくかというようなことを含めて、マンションへの需給関係がどうなっていくかというようないろいろな要素が介在をしてまいりますから、これによって、価格面という形になりますと、直ちにどう反映していくかということは推しはかりかねる面が私はあろうかと思います。  しかし、このことが引き金になって土地バブルが再燃をするということには、私はなっていかない。少なくともこれは、所有権の移転に伴うもうけといいますか、そういうものにインセンティブを与えるという法律ではございませんで、むしろ所有から利用へという、そうした利用段階における価値を増殖をするということに資する法律でございますから、私は、土地取引がバブル化をしていくという契機にはなり得ない、このように判断しております。
  216. 中西績介

    ○中西(績)委員 大臣の判断のようになれば、これは私、活性化という視点からすれば大きく寄与するところがあると思いますけれども、先ほど申し上げるような、投機的心理がまたぞろ出てくるのではないかということを懸念をいたしております。したがって、先ほど申し上げたように、これらについてこれから後の各省庁間における、こうした経済動向をどのようにこれから行政的に保っていくことができるかということが、また大きな課題にもなるわけですね。ですから、そうした点について心配をする多くの皆さんがおられるということをぜひお気づきいただきたいと思っています。  そこで、高層住居誘導地区指定対象となる容積率四〇〇%の地域は、全国四千九百五十ヘクタール、三大都市圏で四千三百五十ヘクタール、八八%を占め、地域圏で六百ヘクタールと言われています。そこで、地区指定の最低単位はどれくらいを目指しておるのか。特に東京首都圏域ではどの程度の数のものが、地域指定されることになっておるのか、この点はおわかりですか。
  217. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど来の議論の中でも少しお答えしております。重ねてですが、お決めになりますのは、この制度をお認めいただいた上で、それぞれ都道府県あるいは市町村にお出しするわけでありますから、そこの地区ごとにお考えいただ くことになりますが、御質問でございますので、あえて多少大胆な割り切りで申し上げますが、先ほど申し上げましたように、地区としてはある一定広がり公共施設等も周辺部がある程度整備されていることが必要でなかろうかと思っております。  ですから、ロットとしては、やはり小さい場合は数ヘクタールぐらいになりましょうし、場合によっては、例えば私お答えしましたように、臨海部とか河川の、そういったある程度の空間がもう既に確保されているようなところでありますと、数十ヘクタールぐらいになろうかと思いますが、これはそれぞれの区がある程度周辺の住まい方を念頭に置きながら、一定用途地域の中で、その下に地域地区という考え方を持って決めますので、それぞれ各公共団体にお考えいただきたいと思っております。  それから、先ほどちょっと御質問がありましたようなことで、遊休地とか未利用地なんかについての御懸念があります。もちろん、私どももそういうところは、場合によっては今申し上げたエリアに入ってくることもあろうかと思いますが、先にそういうところをプロットしておいて、それを拾っていくというのではなくて、はっきりと申し上げて、やはり都心に住んでいただくいい環境、これを将来つくるためにどこが適切か、それは交通機関、施設等の各種施設の配置状況考えながら決めていくわけでございますから、結果において一部そういうものが含まれることも否定できないと思いますが、状況としてはまず今申し上げたようなロットじゃなかろうかと思っております。
  218. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、この点が各自治体において、東京であればまた各区ごといろいろあるようでありますけれども、これらについて効果が限定されるのではないかということを懸念をしておりますので、これらについても最新の行政的な打ち合わせなり、今後の課題として検討しておいていただきたい、こう思います。  それから次に、特定用途の建築物容積率を、東京都区部でも現在、この充足率が四七%であるのに、最大六〇〇%に引き上げた場合生ずる問題点、何か予測していることはありますか。
  219. 木下博夫

    木下政府委員 容積の決め方は、これも御議論あったかと思いますけれども、当然その新しい建築物ができますと、それによっていわば発生交通量がどの程度か等々を考えながら、決めてくるわけであります。  したがいまして、この地区を決めることによっての先々のことを何を展望するかといえば、当然それに付随した公共施設が現在、あるいは将来にわたってどう整備されるかということがまず一番大きなことでありましょうし、そのほか、やはり環境的なことについても十分配慮していかなければならないと思っております。  ただ、イメージとしてどうかといいますと、例えば八階とか十階程度の建築物がある一定のエリアにおいてそろって建つということは、状況次第でございますけれども、外国などの例を引くまでもありませんけれども、例えばパリの中心地などについてはそれほどの威圧感は私は感じないというのも、一つの我々の経験でなかろうかと思っておりますので、もちろん周辺にある程度緑とかそういうものもあわせて備えていかなければいけないことでありますが、いわゆる建物だけで議論すると、都市全体の環境問題を見失うことにもなろうかと私は思っております。
  220. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで、問題を一つだけお聞きしたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、建築審議会答申の中身の中に「地域特性に対応した多様な取り組みの展開」、この中において「住民の参加と協働によるまちづくり」ということがうたい込まれております。  そうなってまいりますと、きょうも論議の過程の中に出ておりましたけれども、日照権、日影規制の問題を初め、多くの住民の意思を無視することはできない、こうしたことがやはりこれからの課題になってくると思いますね。したがって、地域的に想定して法改正してまいりますと、高層住居誘導地区には、日影規制という問題をこれからどのようにして理解させ、そして皆さんが今目指しておるような状態をつくり出すことができるのか、この点についてどうお考えか、お答えください。
  221. 木下博夫

    木下政府委員 今回の法案は、都市局と住宅局と共同で出させていただいていますので、住宅局長の分まで私がお答えするような格好になろうかと思いますけれども、やはり個々の建築物としてのいわば日影問題もあろうかと思いますし、それからもう一つ、先ほども申し上げましたように、それを含めた包含的な都市環境という点もあろうかと思います。  私、いろいろそんなに知恵はありませんが、過去のいろいろ公共団体なんかの話も考え合わせますと、一つの例えばシミュレーションを最近のいろいろ、例えばコンピューターグラフィックなどというような機器なども使って、国民の方、あるいは都民の方々住民方々にそういう形でお示ししていくことは、一つのやはり安心感といいますか、目に見える形でなかろうかと思います。  それから何せ、やはりどういう地区にそういう誘導地区を設けるかということについては、先ほど来申し上げておりますように、これは地域地区制度の中でやりますので、現在のところは三大都市圏あるいは県庁所在地においては、権限的には私どもは知事のところに置いておりますが、一方では、地方分権議論の中ではできるだけ地方におろせということもございますので、けさほど来の御議論の中では、それぞれの決定権者については市町村等へ限りなくおろしているという傾向の中で、これからも政令等ではどう考えるかということもあわせて考えていきたいと思っていますが、その過程におきまして、今申し上げたような手順あるいは手段も使わせていただきたいと思っております。
  222. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お答えありましたように、十分意思統一ができるような状態をつくっていただいて、これからの行政のあり方を、こういうところからやはり信頼を回復するという大変重要な意味を持っておると思いますから、ぜひ留意をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  まだ私、やりたいと思っておりましたけれども、十五分に終わると言ったものですから後の会議を設定しておりますので、これで切り上げさせていただきます。  終わります。
  223. 市川雄一

    市川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  224. 市川雄一

    市川委員長 この際、本案に対し、石井紘基君外二名から、民主党の提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。山本譲司君。     —————————————  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  225. 山本譲司

    山本(譲)委員 私は、民主党を代表し、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及びその要旨を御説明いたします。  現在、都心部における人口の流出は、コミュニティーの崩壊を招くなど深刻な事態に至っており、土地の高度利用を図りつつ都心部の住環境を改善し、住みよい共同住宅を供給することが必要であります。  しかし、かつてのバブル経済の教訓は何かというと、都心部の住商混住地域において旺盛な業務ビル需要が発生すると、住宅が駆逐されて住環境の悪化と地価上昇をもたらし、人口が流出してしまうということであり、これを防ぐためには、用途地域などのゾーニングを強化することが不可欠です。  また、容積率緩和して土地の高度利用を推進するに当たっては、都市基盤の整備をあわせて実 施し、高密度に伴うマイナスを除去することが重要であります。しかも、東京全体の人口密度は相当高いことを考えれば、都心に集中している業務機能を分散することが必要です。  都心居住は、こうした諸施策をバランスよく組み合わせることによって推進すべき課題であります。  ところが本法案は、都心居住の推進を、容積率の例外的緩和と日影規制の一律的適用除外で対処しようとするものであり、現在自治体が行っているきめ細かな個別対応を不可能とし、既存市街地における住環境を悪化させる懸念が強いものであります。  これが本修正案を提案する理由であります。  次に、修正案の要旨を御説明いたします。  第一に、高層住居誘導地区対象地域の限定であります。原案においては、高層住居誘導地区指定することができる用途地域を五地域としておりますが、このうち、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域については、指定対象から除外することとします。  第二に、原案では高層住居誘導地区における日影規制を一律に適用しないこととしておりますが、この条文を削除することとします。  以上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
  226. 市川雄一

    市川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  227. 市川雄一

    市川委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。辻第一君。
  228. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、政府提出の都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び民主党提出の同案に対する修正案に対し、反対の討論を行います。  まず初めに、政府案の高層住居誘導地区関係する改正は、高層住居誘導地区を創設するとともに、同地区内における建築物の容積率等の緩和や日影規制の適用をしないなど、大幅な規制緩和を行うものであります。この規制緩和が、計画的な町づくりを阻害し、高層住宅を林立させ、現居住者を追い出し、日照等、環境悪化をもたらすことは明らかであります。  問題の第一は、今回の制度は、地域整備計画のないまま、個別に高密度の建築を認めようとするもので、虫食い的な高度高密度開発を促進し、良好な市街地の形成を阻害するものであります。  第二は、道路や公園の整備のないまま六〇〇%、八〇〇%の大きな建物が建築され、日影規制の適用除外となれば、周辺住環境の悪化を招き、マンション建設の紛争の増加、さらには、建設される高層住宅もその林立により日照、通風等が阻害されるなど、全体として都市の過密を招き、住環境を悪化させることになります。  第三に、容積率の引き上げで建設コストが下がっても、住宅価格は市場バランスで決まることから、住宅価格が下がる保障はなく、土地の収益還元価格上昇するだけ地価上昇し、これが引き金になり、バブルの再来を招きかねません。  第四に、仮に都心住宅が増加しても、それは、都心に働く証券、銀行、マスコミなど二十四時間産業に働く人々を対象としたものであり、都心居住者の居住環境を整備し、都心人口を呼び戻すものではありません。  次に、政府案のマンション等の容積率制限の緩和は、周辺環境への影響を大きくし、マンション建設紛争を拡大することにつながりかねません。  以上の点で、高層住居誘導地区制度の創設には反対であり、マンション等の容積率緩和についても、指定容積率が大き過ぎ、周辺住民の意向無視のマンション建設が行われる現状のもとで、容積率の一般的緩和には反対であります。  なお、現に容積率を超えているマンション住民から容積率緩和の要求がありますが、今回の措置で建てかえが可能になるわけでなく、地区計画等の町づくり計画の中で別に対策を講じるべきものであります。  以上、政府案に反対であります。  次に、民主党の修正案について申し上げます。  民主党の修正案は、高層住居誘導地区を定めることができる地区から住居系の三地区を削除するとともに日影規制適用除外条項を削除するもので、政府案に比べ多少の緩和措置ではありますが、なお、政府案の根幹を変えるものではないので反対であります。  以上、政府案及び民主党の修正案に反対の理由を述べ、討論を終わります。
  229. 市川雄一

    市川委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  230. 市川雄一

    市川委員長 これより採決に入ります。  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、石井紘基君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  231. 市川雄一

    市川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  232. 市川雄一

    市川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 市川雄一

    市川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  234. 市川雄一

    市川委員長 次回は、来る六月四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十九分散会      ————◇—————