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1997-05-16 第140回国会 衆議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十六日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 市川 雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君    理事田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    金子原二郎君       佐藤 静雄君    高市 早苗君       谷畑  孝君    中山 利生君       萩山 教厳君    蓮実  進君       松本 和那君    赤羽 一嘉君       岩浅 嘉仁君    岡島 正之君       樽床 伸二君    西野  陽君       山本 幸三君    葉山  峻君       山本 譲司君    辻  第一君       中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ————————————— 五月十三日  川辺川ダム建設の中止に関する請願(中川智子  君紹介)(第二七六六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第八五号)      ————◇—————
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本和那君
  3. 松本和那

    松本(和)委員 おはようございます。自民党の松本でございます。  新人でございますけれども、先輩諸氏の御理解をちょうだいして、今回提出されました都市計画法及び建築基準法の一部の改正に関する法律案について暫時質問させていただきたいと思います。  まず、基本的な考え方でありますけれども、亀井建設大臣にお伺いいたしますが、バブル崩壊後、土地がかなり政策的にも冷やされてきました。その結果、経済がどうも余り思わしくないということでもって、今回新しい土地総合政策要綱によって土地有効利用を図ろうということで、その第一弾としてこの都心居住型の、容積率緩和して、大幅に土地有効利用を図ろうということになったんだろうと思います。  これは、従来日本土地というのは、なかなか売買も難しいし、それから貸すのも容易じゃない。どちらかといいますと、右肩上がり経済の中でもって、長い間土地問題というのは、やはり利益を得るとかあるいはキャピタルゲインとか、そういった形でのねらいがあって、一部でバブルの発生を見たわけでありますけれども、そういう中で、本当にお金を使わずに行政サイドから土地有効利用を図れるというのは、やはり容積率を思い切った形でもって使って、新しい形の町をつくっていくということが非常に大事なんだろうと思います。  そういう中で、今回のこの容積率緩和は、都心中心部でありますけれども、一番最初のねらいだろうと思いますが、そこでいろいろな日照権私権の抑制とか、土地問題というのは、後ほども申し上げますが、やはり戸建てで住んで、そこに長い間生活権を得ている。高層化というのは、いろいろな反対問題等あって、非常に難しいわけでありますけれども、そういう中でもってこの容積率を大胆に打ち出された、これは亀井建設大臣ならではの英断だろうというふうに思いますが、今後の基本的な考え方と、都心居住政策を進める町づくりの中で、これからの都市構造をどういう方向に持っていきたいのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  4. 亀井静香

    亀井国務大臣 我が国の都市づくりというのが、残念ながら、自然発生的といいますか、そういうことの中で、ある面ではスプロール現象というようなことの中で、不整然に都市がつくられてきておる状況が一般的ではないか、このように思います。やはり日本土地は極めて狭隘というこれから逃れることはできないわけであります。  国土の均衡ある発展という形で、都市部人口が集中しないような政策はもちろん大事でありますけれども、その人口が集中しておる都市において土地をどう有効的に活用していくかという、面積が限られておるわけでありますから、空間、地下を含めての多角的な活用を考えなければいかぬわけであります。  日照権等にいたしましても、従来のっぺらぼうに一元的にこれをとらえておったという嫌いがありますが、さんさんと光を浴びて生活をしたいという、そういうところに住居を持ちたいという方は、若干職住が遠くなっても郊外に住宅を選択される。逆に職住近接利便性とを中心生活をされたいという方々については、やはり日照問題等については我慢をしていただくというような、そうした選択に従った規制が必要なんではないかな。  そうした中で、都心部もいわゆるオフィスとデパート、スーパーだけで全然人が住まないという状況も、都市としてこれは均衡のとれたものではない、やはり都心においてもそうしたある程度の住居というのがきちっと確保されていくということも大事である、このように私は思います。  そういう面から、土地有効利用を図るという観点から、このたびそうした容積率について思い切った緩和処置を打ち出した。もちろん、これにつきましては、我々は、それぞれの自治体との連携をしながら、自治体の判断を尊重しながら進んでいきたい、このように考えておるわけであります。
  5. 松本和那

    松本(和)委員 ありがとうございます。  それで、この都心居住型の町づくりを行うにつきまして、当然ですけれども、土地が土台になるわけですが、この土地が、確かにバブルの形の中でもって、銀行不良債権になっている。それからその銀行がいろいろな問題を抱えていまして、融資体制につきましても、特に土地に対しては非常に難しい。それから、借りる方も、これは今事業をやってもなかなか採算が合わないというような形の中で、なかなか流動化しておりません。  ですけれども、やはりこの容積率緩和、大幅にこの規制を撤廃することによって、土地が今まではどちらかといいますと、先ほど申し上げましたように、日本人の土地に対する考え方というのは、利殖、キャピタルゲインねらいであったのですけれども、今、国民や企業の間でもだんだん、土地は有効に活用してこそ付加価値があって大切なんだという考え方にかなり変わってきた。ところが、一方、今言った不良債権を抱えた融資元である銀行の方のお金が流れてこないというような問題も抱えて、この流動化がいま一つばっとしない。  ですから、二つ目でございますけれども、この容積率緩和によって、土地流動化に関する、あるいは地価に対する影響といいますか、そういったものはどういった効果が得られるのか、局長にお尋ねしたいのです。
  6. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど大臣お答えしましたように、今やはり日本都市がどうあるべきかということをこの時期にしっかり考え、見定めなければならないという姿勢がまず基本にあると申し上げていいと思います。もちろん、副次的に土地流動化を図っていくということは、我々も大いに関心があるわけでございますが、それ以前の問題として、先生お話もございましたように、まず土地有効利用をしっかり図っていかなければいけない。  そのときに、やはり都市そのものは大変ダイナミックに動いておりますから、そういう都市が新陳代謝をして変わっていく中で、日本都市を見ますと、大きな大都市圏域の問題と地方都市問題がありますが、今回のケースは、比較的そういう大都市圏におきまして都心部人口が、この十年あるいは二十年というタームで見ますとかなり減ってまいっております。これは、結果的に、やはり都市のサラリーマンを中心とした人たちの住まい方として、決して適切じゃないのじゃなかろうかと思っております。  したがいまして、かなり都市整備が行われている、そういう既存ストックを生かせる方法一つとして、都心居住型を我々としては編み出していきたい、そういう意味での都市計画でございます。  先生がおっしゃったように、効果といいまして、具体的に住宅がどのぐらいふえていくかというのは、これからまた地区の定める状況なんかによって見ていきたいと思いますが、今回のこうした施策によって、それぞれの土地の持ち主を中心としての活性化がかなり図られていくのじゃなかろうかと私どもは期待しております。
  7. 松本和那

    松本(和)委員 この地価の問題というのは、すぐこういった形の中で反映はなかなか難しいのだろうと思いますけれども、建設省の方では、今回のこの容積率緩和の案では、マンション価格が大体二割から三割低下するだろう、そういう試算をされています。  私はその考えの中でちょっと不安に思うのは、例えば最近都心のちょっと外周部といいますか、下町の方でいろいろ開発されているマンションを見ますと、マンションの場合基礎工事や防災の安全上の費用が非常にかかるわけです。  ちなみに昨年江東区の大島でザ・ガーデン・タワーズという三十九階建てマンションと、西大島、大体近くなんですけれども、モンテベルデという十階建て、三十九階建てと十階建てでありますけれども、大体これは坪当たり、ガーデン・タワーズ三十九階の方が二百二十四万、それからモンテベルデ十階の方が坪当たり百八十六万ということで、逆に低い階層のマンションの方が効率がいいわけですね。こういった例もある。  それから、今大変大京さんが宣伝しています川口のエルザ・タワーなんか大体坪二百万ぐらい、これも十階建てよりは高くなっている、こういったことがあります。  それから、一般的には容積率を上げれば地価の上昇につながるのではないかというような考え方があるわけですね。ですから、汐留の入札がありまして、あそこの土地が売買されたわけでありますけれども、収益還元方式で坪千七百万の土地が大体二千三百三十六万で落とされているわけですよ。そうしますと、かなり土地というのは、今言った地価のあれもそうなんですが、予測がちょっとつきがたい面があるのではないかという気がするのです。  そこに加えて高層化していく一番の問題、後ほども建築基準法の方でちょっと御質問いたしますけれども、近隣問題があるわけですね。今ちょっと建設大臣もおっしゃったけれども、日照権の問題。容積率を上げていった場合にこの日照の問題がございますから、それが周辺影響して、思惑どおり容積率いっぱいを使い切ることが果たして可能か。  今ちなみに東京都の例を見ますと、千代田区だけが一〇〇%を超えている、一〇〇・五%ぐらい。中央区が七五%ぐらいです。あとは大体四〇%台から五〇%前半ぐらい、平均しますと五〇切っているわけですよ、容積率使用実態が。だから、この影響というのはやはり日影の影響などがあると思うのですが、この辺をとらえると、このマンション価格というのは期待どおり本当に二、三割下がるのかどうか、その辺についてちょっとお伺いしたい。
  8. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問の中には幾つかの基本的な論点というかポイントが入っていたと思います。一つには、一般的に容積率を上げれば利用可能性が高まるわけですから、一般論として地価が上がるというふうな議論というのはあり得るとは思います。  ただ、御留意いただきたいのは、今回お願いしております法改正住宅に限って容積率緩和するというふうな点でございまして、一般的に、地価が上がるときには、商業にせよ業務にせよ、最高に利用可能な価値、これをベースにして全体の地価が決められる。したがって住宅は相対的に割を食うというのが今までのパターンだったわけですが、住宅に限っての容積率緩和であるというふうなことでございますので、仮に地価が上がるとしても、それは住宅としての実需に見合った限りにおいて上がることはあり得べしというふうなことが基本になろうかと思います。それが第一点でございます。  そういうふうなことをベースにした上で、現実問題、マンション価格が下がるのかどうか、あるいはどの程度かというふうなことについて申し上げますと、最終的には需要と供給というふうな面がございますので、理論的な数値は割り出しにくい面がございます。ただ、最小限言えることは、マンションといえども、企業経営として供給される以上は、コストの積み上げによって最小限のコストが下がらない限りは価格が下がらない、これは絶対間違いないわけでございます。  そういうふうな面で分譲可能価格というふうなものは、例えば港区の三田あたりで現実に供給されたマンションを今回の制度に置きかえたならば一体分譲可能価格はどこまで下がるのかというふうなことを積算いたしますと、これは具体的な例でございますが、七十五平米の住宅でかつて七千五百八十万円で供給された例がございます。それが今回の制度をフルに当てはめた場合には、三三%減の五千六十万円で理論的には供給可能というふうな数字がはじき出されます。  それから若干細かい話で恐縮でございますが、例えば先ほど三十九階建てマンションと十階建てマンションお話をされました。技術的には、超高層になった場合に、ある階数のレベルを超えますと建築の単価がちょっと違った局面での価格になる。要するに、単純にふえる減るということではなくて、全く違った価格になるという点がございますので、超高層と通常の中層のマンションを単純に比較するというのはちょっと難しいのかと思います。  若干話があちらへ行ったりこちらへ行ったり恐縮でございますが、以上でございます。
  9. 松本和那

    松本(和)委員 わかりました。  次に、今回のこの容積率緩和、全国で大体四〇〇%の容積率のある地区、大体五千ヘクタールだそうでございますけれども、そのうち三千六百が都心の方であるということで、それを中心におやりになって、残りの千四百が地方の四〇〇%だそうでありますけれども、このやり方の順序として、実はなぜこういうことを申し上げるかといいますと、まず、都心の方でもって実験的に集中してやってみたらどうなのか。  地方というのは、地方の問題はまた言っておしかりを受けてしまっても大変なんですけれども、例えば地方のいわゆる市街地の駅前から一キロとか二キロ、いろいろな意味でもって商業空洞化が起きています。ですから、そういったことを今後取り入れる場合に、新しい法律なんですから、やはり集中的に都心地域でもってひとつ実験的にやって、そして地方に波及していく。  バブルのときの土地値上がりの例を見ていますと、あれも本来は都心三区だけの問題だったのですね。ところが、政策のいろいろなおくれや何かでもって地方に広がってしまった。全国的にバブルになってしまった。ですから、本来都心三区の問題で、中心だけを考えていればああいう結果にならなかったんだと思います。そういうこともありますので、今値上がり期待というのはそれほどないということでありますけれども、やはり新しい法律をつくっていろいろな日照問題とか私権の制限をしていくわけですから、そういうことを考えて、まずこの地区でひとつ始めたらどうかという考えがあるのですが、それはいかがでしょう。
  10. 木下博夫

    木下政府委員 今の御質問について二つお答えするべきだと思いますが、一つは、まずどういうところを今回の地区として想定しているかということでございます。  話がくどくなりますが、今都市計画での用途地域というのは全部で十二用途ございまして、この中で、住居系といわば非住居系が混在している用途五つございまして、今回はその五つ用途をまず念頭に置いております。  その上に、先生お話ございましたように、環境問題とかその他の問題種々ございますので、かなりの公共施設整備が行われている、あるいは多くの空間が確保できている、そういうこと等勘案いたしまして四〇〇%という、大変そういう地域の中では高い密度を期待している色が既に塗られているところを念頭に置いております。  こういうことを念頭に置きつつ、先ほど申し上げました都市構造として都心居住あるいは職住近接という言葉も合うかと思いますが、そういう目的に沿ったところはどこかということをそれぞれの地方公共団体がこれから選んでいかれると思います。しかし、やはり相当のストックを持ったところでございますから、おのずと先生お話のあったような地域念頭にあるのではなかろうかというふうに考えております。  その上でこれから各公共団体がこの制度を使っていただきますが、くどくなりますが、もう一つつけ加えさせていただくと、何ゆえにこういうところを選んだかといいますと、過去にこういう混在地域のところで、バブル期にいわば非住居系建築物住居系建築物を、大変言葉としてはあれですが、駆逐したような格好になっておりまして、住居系建築建て方が大変減ってまいりまして、せっかくの都心に住めないような状況、したがって、先ほど住宅局長からもお答えしましたように、今回の制度はそういう意味ではかなり住居系にてこ入れをさせた形での制度改正を願っております。  それから、先ほど先生おっしゃった、指定容積率の使い方でございますが、これは何といいましてもやはり道路その他の既に整備されているその他と関係しておりますから、我々は指定容積率ができるだけかなり高い率で使われることを期待しておりますが、いろいろ従来の規制からそれが十分使い切れていないところがありますが、これはまた今後の課題として十分検討してまいりたいと思っております。
  11. 松本和那

    松本(和)委員 そういう形でもっておやりになるのでしょうが、ひとつ、この地区決定、例えばこれは国が全部をやるわけじゃないのでしょうから、やはり都心でいえば港区とか、東京都がいろいろ地区を決めていくのでしょうけれども、今例えばさっきのエルザの川口の問題がありますけれども、あれをつくるために、やはり都心まで地下鉄、交通網、また、いろいろな形で整備していかなければならぬ問題があるわけですね。  ですから、都心でそういった、今局長がおっしゃったようにそういったものにねらいを定めていくというのは大変結構なんですが、これを、首都圏というのは東京だけの問題ではなくて、私は千葉県ですけれども、一都三県の、東京周辺部の問題として、やはりそういった問題について都道府県なんかも判断するべきだと思うのですが、その辺についてはどうでしょう。
  12. 木下博夫

    木下政府委員 まず、都市計画手続を簡単に申し上げた方がよろしかろうと思いますが、都市計画手続といたしましては、都市計画区域、あるいは線引きと称する市街化区域、調整区域の区分、あるいは地域地区、それから用途地域、これらにつきましては、大変広域的な視点で考えていくべきであろうということで、原則的には都道府県段階計画を決めるというのが現在の原則になっております。  しかしながら、地方に参りますと、そういう意味での広域性を多少配慮はしつつも地元でお決めになることも可能でございますので、地域によっては市町村決定ということも可能だと思いますが、今回の件につきましては、先ほど来お話がございましたように、都心地域という、県を越えた、通勤その他のことも念頭に置いておりますので、計画といたしましては、いわゆる用途地域を決める決定主体、言いかえますと、三大都市圏あるいは県庁所在地等、あるいは二十五万以上の都市におきましては、いわば都道府県決定というスタイルといいますか、手続をこの制度におきましても使います。  その他のところについては市町村でございますが、しかし、県が決めるといいましても、限りなく市町村の原案を練った上で、県と御相談されると思いますし、くどくなりますが、一方では、現在地方分権いろいろ議論もございますので、そういうものを考え合わせて、最終的には政令の段階でこの地区の決める主体を我々も決定していきたい、こう考えております。
  13. 松本和那

    松本(和)委員 先ほど都心には集中してというふうに私は申し上げたのですが、実はこれはもう一点ございまして、今回の規制緩和というのは六〇〇%から八〇〇%という大変画期的なことなんですが、これは、一面でもって、もうちょっと景気の回復を図るとかいうことになりますと、やはり投資というのは、ある面でこういう景気の悪いときには都心に一挙に、一気呵成投資する、そのことによって景気というのはアップするのだろうと思うのですね。  ですから、そういう意味では、これから金融ビッグバンや何か起きて海外からもお金が入ってくる、そういう時代になります。やはり、海外投資家が、日本に今魅力がないのですよ、投資するものが。  ですから、亀井大臣がここまで思い切ったことをやったんだから、私はこの容積率を将来二〇〇〇%ぐらいにしてしまって、これは大臣ならできるのではないかと思うのですが、そうすることによって、ああ日本お金投資して、あそこにはおもしろい話があるというふうに海外投資家たちが目を向けるような形、これを集中して、一気呵成にやったらどうだということで一応二〇〇〇%案ぐらい今出したところですが、亀井大臣、いかがですか、この件について。
  14. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は葡萄前進をする極めて慎重な男でございますので、委員の今の御提言、直ちにそのようにいたしますと言うわけにはまいりませんけれども、考え方といたしましては、やはり限られた土地をいかに有効に使っていくか、魅力のある土地にしていくことはやはり必要である、このように考えております。
  15. 松本和那

    松本(和)委員 大分御慎重なようでございますけれども、一応始まった制度ですから、ころ合いを見て、来年も抜本的な建築基準法改正があるようでございますから、将来そういったことでひとつまたお考えいただければおもしろいのではないかという気がいたします。  次に、政府予算制度住宅政策に対して今いろいろあると思うのですが、これをどういうふうにこの地区に生かしていこうとしているのか。ということは、例えば、地価を下げるためには、今一番いいのは、容積率緩和をやりました。それからもう一つは、土地の、住宅建て方法として定期借地権が、今、大体住宅中心になってきました。このよさというのは、御承知のように、申し上げるまでもなく、建てかえをする場合に、あるいは期限が設定されている、ですから非常に低価格で最初設定できる、こういう利点があると思うのですね。ですから、これをあわせてやる。  そしてまた、政府が何らかの予算制度を加えてやることによって、大幅に私は下落するのではないかという気がするのですが、その辺はどうでしょうか。
  16. 小川忠男

    小川政府委員 まず、都心居住関連でどういうふうな施策、主として予算関係を投入しているかというふうなことから先に御説明いたしたいと思いますが、都心居住というのは住宅政策上の表現でございまして、恐らくは、これを都市政策的に置き直すと都市構造の再編成というふうなことになろうかと思います。そういうふうな観点からの予算というのは幅広くございますし、恐らく、今の断面で持っている制度だけではなくて、やはり向こう五年間、十年間、少しずつ拡充していくべき性格のものと思います。  ただ、現段階でどういうふうな施策を持っているかというふうなことについて申し上げますと、一つには、平成七年度から都心共同住宅供給事業というふうなことで、今回法制度でお願いしているようなことを予算として念頭に置いた費目を設けております。  これは、具体的には調査費ですとか設計費、あるいは共同施設整備費の一部を補助するというふうな性格予算でございまして、平成九年度で申し上げますと、戸数にして六千戸、金額にして百億円強の予算を計上しているというふうなことでございます。  ただ問題は、都心居住というのはあらゆる政策を投入してというふうなことでございますので、予算面で申し上げましても、それに固有の今申し上げましたような予算制度だけではなくて、本来、一般的な制度、例えば、関連公共施設の整備費あたりを都心部の施設に集中的に投入するとか、あるいは、特定優良賃貸住宅という制度がございます。民間がおつくりになった賃貸住宅を公的に借り上げて公的な賃貸として管理するという制度がございますが、そういうふうなものを都心部で集中的に投入していくというふうなことで、百億円近くを九年度は予定しているというふうなこともございます。  現段階では今申し上げたような予算制度でございますが、これは引き続きできる限り拡充していきたいと思っております。  それからもう一つは、定期借地権お話をされました。私も実は全く同感だと思います。といいますのは、結局、こういうふうな、都心部でどういうふうに町をつくっていくかというふうなときには、やはり、所有権がどうなるかということよりも、土地の利用なり町の利用がどうされるのかというふうなことが実は最も重要な点でございまして、その限りでは、所有権云々というよりは、利用権がきちっとした形で利用される方のもとに集約化されるというふうなことが一番重要だろうと思います。その意味では、まさに定期借地権は、恐らく今後の物すごく大きな政策命題になると思います。  現段階では、住宅との絡みで申し上げますと、定期借地権というのは、郊外の二戸建て住宅の分譲のときに定期借地権を使っているというのがマーケットの現状でございますが、やはり政策的には、こういうふうな、都心部において定期借地権をもう少し普遍的に利用するような支援体制というふうなものを構築する、これは政策的には極めて重要なテーマになろうと思っております。
  17. 松本和那

    松本(和)委員 先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、このマスタープランをつくるのは、ベースになるのは、これは東京都ですね、やっていくのは。ところが、今、都心部というのに限らず、東京都のいわゆる住宅問題、こういった問題、先ほどから申し上げていますように、だれかその地域で何かやろうとしても一人反対があればだめだ、前の美濃部知事のときにも一人でも反対があれば橋はつくらないというような形の中でやられましたし、何か一〇〇%賛成の美学みたいなのがまかり通っているわけですね。  ですから、そういう形の方から考えますと、やはり都心に住むということは、ある面でもって自分のいろいろなメリットがあるわけですね、住む条件として。ですから、これはやはり少なくとも、私は、二十三区以内の戸建て住宅というのは超高層化して、固定資産税の問題等もありますけれども、一番上、てっぺんにペントハウスで住んでいただいた方がいいのであって、どうしても戸建てに住みたければ郊外に行くというのが、これは基本的な考え方でずっと論議されておりますけれども、そういったものをつくる場合。  それから、この後の質問になりますけれども、高層ではなくて、今度は中層、周辺部の開発。やはり、東京都の知事に、リーダーとしての何かさっぱり顔が見えないのではないかという気がするのですね。この辺を前回ちょっと、新聞報道では亀井大臣と知事がこれからのマスタープランについて、いろいろな事項について話し合ったそうでありますけれども、その具体的な内容というのをちょっとお聞かせ願いたい。
  18. 亀井静香

    亀井国務大臣 建設省の立場から土地政策を進めていく場合において、やはり自治体との意思疎通、協力関係というのは不可欠でございまして、先日、東京都知事と、四、五十分だったと思いますが、ひざを交えての、今後の東京都の土地をどう機能的に有効利用をしていくべきかというような観点からの率直な意見を交換いたしましたけれども、基本的には、委員も先ほどからおっしゃっておられますような、一元的な、平面的な活用ということではない、それぞれ用途に従った活用というような点につきましては意見が一致をいたしておるわけでございまして、今後、区あるいは民間、これあたりと一緒になって、一体となっての今後の計画をつくっていこうというような、そういう基本的な合意ができ上がっております。
  19. 松本和那

    松本(和)委員 ありがとうございます。  そういう形の中で、今回の改正法、中心部でありますけれども、都心居住型の高層、実は、東京都の十四区の中心部の三分の二が住居専用地区なんです。私は、そこもやはり高層化ということを考えていくべきだろうというふうに思うのです。  なぜかといいますと、例えば新宿は、今、西側、それから歌舞伎町のあたり、あの辺が中心になるのかと思いますけれども、ちょっと外れて大久保の方へ行きますと、外国人居住地になって、スラムまではいきませんけれども、風紀上も住居上も余り芳しくない形になっているわけです。ですから、そういう肝心なところを、十四区のうち三分の二の住居専用地区のあたりを、中高層住居専用地区なんでしょうけれども、その辺についての考え方はどうなんでしょうか。
  20. 木下博夫

    木下政府委員 用途の色塗りにつきましては、東京都全体なり、あるいは、東京都という地方公共団体考えにまずゆだねるべきだと私は思っておりますので、いささかその辺についてはお答えが中途半端になると思いますが、ただ、やはり、首都東京という点からいきましても、大変、世界に誇れる日本の顔として整備していくということも同時に考えなければならないと思います。  御質問のありました、中高層住居専用地域についてこの制度をどういうふうに考えたかということでございますが、先ほどのお答えと若干重複いたしますけれども、住宅糸と、商業系といいますか非住居系との、いわゆる混在する地域をまず考えておりますし、先生十分御承知だと思いますが、いわゆる中高層住居専用地域につきましては、容積が最高三〇〇という状態でございますので、先ほど申し上げました、いろいろな規制緩和という意味での、例えば日影問題などにつきましても、既に四〇〇%を前例としてやっておりますので、まずは、先生の御質問の中にもお言葉がありましたが、拝借いたしますと、実験という点で、我々は、まず、いいものをそこでつくって、先ほど来お話がございましたように、近隣の方々、いろいろ御不安なところもあろうかと思いますが、まず、そういう姿を見ながら徐々に広げていくのが、多少歩みとしてはゆっくりかもしれませんけれども、市民、都民に対しての姿ではなかろうかと私どもは思っております。
  21. 松本和那

    松本(和)委員 わかりました。セカンドプランとして、そういったことをひとつ考えていただきたいと思います。  次に、建築基準法の一部改正について、ちょっとまとめてお伺いいたします。  今回の建築基準法改正で、前面道路幅員があります。また、斜線制限の合理化、それから日影規制の適用除外、これは、それぞれ大変画期的なことでありますけれども、実は、これを進めていくには、この都心居住型の考え方の中で一番問題になるのが、やはり道路なんですね。  東京都とニューヨークを比較しますと、御承知のように、東京の道路率というのは二一二%、ニューヨークは三八%。東京は過密だといいますけれども、なぜ過密かというと、平家の平面過密なんですね。東京の場合、立体は過疎なんです。ニューヨークは立体過密に近い形になっている。ですから、やはり、道路問題というのは、今回の建築基準法改正の中で非常に重要になってくると思うのです。  そこで、第一点目に、今、建築基準法でもって、非住居地区は前面道路に対して十分の六、住居地区は十分の四を掛けるわけですね。そうすると、五〇〇%の容積率でいきますと、十分の六掛けると、実際は三〇〇%しか使えないという法律上の欠点があるわけです。ですから、小さな容積率を採用することになってしまいますので、この辺はどうなのか。  それから二点目は、共同住宅の廊下、そういったものは今度の容積率から外されていますけれども、今建築業界の方は、何とか収益を上げたりするために、実際、マンションの廊下なんというのは大体外部なんです。それから階段も外部階段ですね。ですから、この要件を当てはめても、もうそれほどメリットはないのですね。  ですから、私は、エレベーター前とかパイプスペース、本当はそういったものもこの中に取り込めば生きてくると思うのですが、もう業者の方がそういうところは全然先へ行っていまして、なるべく収益を上げようということでそういう形をとっているわけですね。ですから、この辺の問題をどうお考えになるのか。  三点目に、日影規制であります。これは、一団の大きな土地で、そこで、大体三分の二ぐらいですか、形のあれをとるわけでありますけれども、これは、幾ら高くしても、やはり、先ほどから申し上げております近隣の住民の反対があるのではないか。その場合に、この日影規制というのは、こう立っていたものが、四十階のものが三十階になるおそれが実はあるだろう。ですから、私は、周辺部も影のあれから外すという形になりませんと……。  ですから、当初申し上げました、都心に住む以上、やはり、住む住民の側に対しても、一つの住まい方、哲学といいますか、そういったものをきちっと植えつけていかないと、なかなかこういった協力体制は得られないというふうに思うのです。日本住宅問題の都心部の問題というのは、いろいろな意味でこれに尽きるわけですね。ですから、その辺の日影規制考え方。  その三点について、まとめてひとつお願いします。
  22. 小川忠男

    小川政府委員 ただいま三点の御指摘がございました。  まず、斜線制限あるいは前面道路幅員による容積率の制限でございますが、よく言われますように、指定容積率を一〇〇%使い切れない制度的要因の何がしかは、今御指摘のございました、前面道路の幅員が狭いことによって斜線制限なり容積率のカットを食うというふうな点にあろうかと思います。  今回は、単に、容積率を表向き何割を増すということだけではなくて、その裏側として、基準法を改正いたしまして、斜線制限あるいは前面道路幅員による容積率制限を緩和したという点が一つございます。  その基本的な考え方でございますが、基準法の基本的な考え方は、住居系地域とそうではない地域によって、斜線制限の厳しさ、あるいは、幅員による容積率カットの厳しさが異なっております。  今回の改正のポイントを一言で申し上げますと、住居系の基準でございます、前面道路幅員掛ける〇・四、ないしは、斜線制限の比率は一対一・二五、これをすべて、商業系、住宅以外のゾーニングの比率、つまり、幅員については掛ける〇・六、斜線制限については一対一・五というように置きかえたというふうな点がございます。  したがいまして、町並みのつくり方からいたしますと、とてつもない町をつくろうというわけではなくて、非住居系のような町の景観、形態というところが住宅としてきちっと使われることを制度的には想定しているというふうなくらいのイメージで御理解いただければと思います。  それから、もう一つは、マンションについての容積率不算入の考え方でございます。  これについてはいろいろな議論がございます。例えば、今回措置いたしましたのは、共同住宅の共用の廊下、階段部分でございます。例えばエレベーターはどうだ、あるいは、マンションでございますと、集会室とか管理人室等々、共用部分というのはほかにもいろいろございます。そういうふうな場合に、一体どこまでを不算入の対象にするのかというふうなのは、実は、極めて難しい問題でございます。  ただ、一つ言えるのは、容積率そのものの基本的な考え方の枠組みというのがございますので、それを不算入というふうな形で特例を設けるには、おのずからの限界がございます。  例えば、エレベーターについて申し上げますと、超高層の場合には、廊下とエレベーターと階段、これだけで、恐らく五割近くを占めます。全体の容積の半分近くがエレベーターと階段と廊下で消えてしまう。そうしますと、単純な特例措置というだけで五割違う。一〇〇〇%の超高層の容積が一五〇〇%になってしまうというふうなことは、通常の特例措置というふうな範囲から考えますと、やや行政側としては厳しいというふうな面がございます。  そういうふうなことから、算定し得る最大公約数というふうなことで、今御提案申し上げております共用の廊下とか階段を全国適用の制度として不算入にさせていただいたという点でございます。御理解いただきたいと思います。  それから、日影の関係の話でございますが、確かに今回の御提案申し上げている法律制度では、日影規制法律上適用除外にするというふうにしております。これは、ただ社会的実態としては、いろいろな意味で日影をめぐる紛争というのがございます。これについて一言で申し上げますと、恐らく社会的事実でございますので、制度的な決め手はないというのが本音でございます。  ただ、一つ言えることは、やはり住まい方についてのコンセンサスというか、共通の認識をどうやって醸成していくのかというふうなことの積み上げが基本的に必要だろうと思います。そういうふうな場合には、法律制度として、こういうふうな場合の住み方の問題として日影は法的には保護されないというふうなこと、一国の法制度としてやはりきちっと位置づけるような場合もあるというふうなことは、きちっとした形で制度上表現させていただきたい。そういうふうなことを踏まえながら、やはり社会的実態としての考え方、これの機運を盛り上げていくというふうなことが基本的に必要じゃないかというふうに考えております。
  23. 松本和那

    松本(和)委員 時間がなくなってまいりましたので、ちょっと一問カットさせていただきます。  最後に要望を申し上げておきたいのですが、実は、今回の容積率というのを大変画期的なものということで私は大歓迎なんですが、これを大臣、将来——実は、二年前の神戸の震災のときにサラリーマンの方たちが、例えば年収五、六百万の人たちが倒れた場合に、かなりの事例があるのです。  私は神戸のある都市銀行をちょっと内密に調べさせてもらったのですが、年間五百万ぐらいの収入の給与者でローンの返済が大体今まで年間百六十万ぐらい、それで生活費が二百四十万、それからその他で、今度新しくまた建てかえるために借り入れる分が百四十万。前回の分がまだ七、八年残っているわけです。ですから、なかなかこれは思うように、ローンの二重払いになってしまって——やはり東京も、これからこれだけ地震が起きている中でもって避けて通れない問題だろうと思います。  ですから、密集市街地の問題やいろいろな形で今回大変御努力をいただいて、法律を通して災害に強い町づくりをしようということなんだろうと思いますけれども、今回のまとまった敷地を使った場合、加算率が二〇〇%をプラスされて八〇〇%になるのですね。これを将来、東京都の都心において震災が起きてマンションが倒れた場合、今の建築の技術からいくとなかなか倒れないという確率も高いのですけれども、これはわかりません。ですから、その場合に、ローンの二重払いを避けさせてやるという意味において、この二〇〇%を、震災の再建マンションのボーナス加算制度を将来つくったらいかがというのが私の考え方であります。  それで、今まで例えば二十階しか建たなかったやつが、この二〇〇%を加算することによってちょうど二十五階が建つ。その五階分は全員の権利者の共有の一つの財産として売って、それを二重払いのローンに充てるという形によって、これは国は金をかけるわけではありませんし、どこからも金が出てまいりません。ですから、そういう意味では、ちょっと容積率をいじくってやるだけで、せっかくまとまった土地で二〇〇%やるのですから、そういう震災用のあれとしても、ひとつボーナス加算制度というのを将来考えていただきたいということを最後に御要望申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  24. 市川雄一

    市川委員長 樽床伸二君。
  25. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床伸二でございます。  今回提案されております都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対しまして、大臣及び建設省の方々に御質問をさせていただきたいと存じます。  まず、今回の都市部におけるいろいろな要求の中で数点にわたりましての改正、こういうことでございますが、本日の質問に際しましては、いろいろ質問が重複することもあるかもわかりませんが、その点はどうかお許しをいただきたい、まず冒頭に申し上げたいと思います。  そういった中で、まず、この都市計画及びいろいろ国土の住環境ということを考えますと、今回の問題で当然すべてであるわけではございません。今回の施策を行うことによって、一体我が国はどのような都市構造を目指そうとしているのか、都市とはいかにあるべきなのか、都市と人間がいかに調和を図りながら生きていくのか、そういったことを大前提として、目指すべき都市構造について建設省としてのまず大方針が当然なければならないはずでありまして、そういった方針にのっとった今回の改正であるべきはずであります。  そういった私の認識に基づきまして、今申し上げましたそのような大方針につきましてどのようにお考えなのか、日本都市はどういう構造になっていかなければならないとお考えなのか、ぜひともお聞かせいただきたいと存じます。
  26. 亀井静香

    亀井国務大臣 日本都市のあり方、私はこれも余り一律的に考えるべきではないと思います。やはりそこに都市が形成をされていく一つの歴史的な背景、地域的な事情等あるわけでありますから、そういう意味では、私は、やはりそれぞれが個性を持った都市日本列島各地に形成をされていってしかるべきだ、このように思います。  そういう意味では、極めて抽象的なことを申し上げますけれども、そうした地域の伝統、文化、風土、そういうものがやはり色濃く反映をされ、人間のにおいのする町が形成をされなければならない。日本じゅうのっぺらぼうな、どこに行っても映画のオープンセットみたいな都市がきれいにでき上がっていくことが都市ではない、私はこのように思います。そういう意味では、東京と大阪、それぞれ性格も違うわけでございますから、やはり変わった都市が形成されてしかるべきだと思います。  ただ、そうした場合、それをただ自由に任せておけばその地域に合った都市が形成されるだろうということで、放置するわけにもまたまいらない。それを無制限に放置をいたしますと、スプロール現象といいますか、無秩序な形で形成されていくという危険性がございます。現にそういう状況が全国各地にあるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、個性は大事にいたしますけれども、土地利用計画というのをそれぞれの地域に合った形で策定をしていき、日照を含めていろいろな規制についても、それぞれ個別化といいますか、それをやっていかなければならない、このように考えておるわけであります。  そういう意味では、東京あたりにいたしましても、二十三区の都心部の中は商業地域あるいはオフィス街にして、住むのは外に住むというわけにはいかない。やはりそれぞれの、江戸時代から住んでおられる方もおられるでしょうし、あるいは全国から集まってこられる方もおられるでしょうけれども、職住近接といいますか、そういう形の中で生活をしたいという方もいらっしゃるわけでありますし、また、休みになると、そこに住んでいる人がだれもいなくなるという状況がいいかどうか、私はやはり問題があると思います、  そういう意味で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、住むことについては選択肢を多く用意をしていくということがやはり住宅政策としては必要なのではないか。  便利なところに、デパートの近いところに、あるいはオフィスに近いところに住むということであれば、日照問題等についてはやはり我慢をする。逆に、日照について一〇〇%あるいは欲しいということであれば、郊外に土地を求めて、通勤時間については我慢をするというような、そうした選択肢を広げていく、そうしたことが住宅政策一つとして私は必要なんではないかな、このように考えておりますが、都市のあり方として、私はやはり、個性のある都市が全国にそれぞれでき上がっていく、それを大事にした政策を我々は進めていくべきだ、このように考えております。
  27. 樽床伸二

    樽床委員 まさに今大臣の方から、個性、うまり都市の顔、それぞれの都市それなりのにおいというものが、そこに住んでおられる方のにおいとあわせて一体化したような都市でなけりゃいかぬ、こういうお話でありました。  私も全くそのとおりだと思っておりまして、全国至るところに行きまして、駅前に一番多いのは何々銀座という地名でございまして、ついつい皆さん、銀座がいいのか悪いのか知りませんけれども、あこがれの対象であろうかとは思いますが、至るところに銀座がある、こういう状況に今我が国がなっておりまして、それが果たしていいのかどうかというのは、私はかねてから大変大きな疑問を持っておりました。そういう発想が、やはり都市のそれぞれの個性をなくしていく。東京に近づけば、イメージとして近づけば、何かすべてそれがいい方向に向かっているという、どうも誤った考え方が蔓延しているのではないかという感じが大変強くいたしております。  そういった前提に基づきまして、今回の施策改正が行われるということでございますが、その前に、今職住近接、こういうようなお話もございましたが、今都市構造についての考え方を聞かせていただきましたけれども、都市には当然住宅の問題がございます。  住宅政策につきまして、戦後いろいろな経緯の中で、社会の状況に合わせて住宅政策も変遷をしてまいりました。そういった中で、これまでと同じ住宅政策をやっていっていいというふうには私は思っておりません。やはり、人口もこれから減少していくという大きな、これは有史始まって以来のベクトルの変化でありまして、余談でありますが、我が国は、私の認識では、有史始まって以来一貫して人口が増加をし続けてきた国であります。  その国が、二十一世紀は長期的な減少過程に至るというふうに予測がなされております。予測がすべて当たるとは思っておりませんが、しかし、考えられる範囲でそういうことが言われておるということは、これはまことに大きな転換を意味するわけでございまして、そういった中で、我が国全体の住宅政策、今後の基本政策ということにつきまして、御所見をいただきたいと思っております。
  28. 亀井静香

    亀井国務大臣 私この前、ニュージーランド、オーストラリアにちょっと行ってきたんですけれども、住宅に対する考え方が相当日本と違っているというようなことも一つ感じてまいりました。  あのあたりでは、一生同じところに、同じ住宅に住み続けるという思想が非常に薄いようでありまして、新婚時代の住宅、それと子供が三人、四人できた、いわゆる家族として住まいをする住宅、そのうち子供が独立をして出てしまって、またもとの老夫婦に戻ったときの住宅、それぞれを住みかえていく、そういう思想が非常に強いようであります。  日本の場合は、一生一度の財産といいますか、人生の目的みたいな形で住居を持つという考え方が非常に強いようでありますけれども、私はこれを別に否定するわけではございませんけれども、しかし、所有から利用といいますか、そういう形に、住宅に対する感覚も変えていっていい面が私はあるのではないか、このように思います。  だから、そういうものに従ったメニューを、民間のディベロッパーを含めてどうこれを用意をしていくかということも、今後の一つの私は住宅政策の課題ではないか。それには、今のように、所有権の移転に伴って税金がぼんぼこいろいろな形でついてくるというような、そうしたネックもあるわけでありますから、そういうものを、やはり自由に住みかえていくというようなことについての環境整備、税制面を含めてやっていく必要もあるのではないかな、このように考えております。
  29. 樽床伸二

    樽床委員 案外、私予想しておりませんでした答えが返ってまいりまして、いささかちょっとびっくりをしておるわけでございますが、確かに、今大臣おっしゃいました所有から利用へ、こういうことにつきまして、私は、今後そういう形態は大変広がっていくと思います。  実は、そう言う私も、これまで、政治家というのは余り住居をかわらないというのが大体のイメージでありますが、私もここ数年の間に、何度というわけじゃありませんが、かわっております。  それは当然、子供がいないときに住んでおった住居と、子供が大きくなって、それじゃもう手狭だというような状況等々の中で、だんだん私も住む場所が変わっていっておるわけでありますが、我々の世代といたしましては、そういうことに対してかなり抵抗がなくなってきておるというのは、大臣の御指摘のとおりだと私は思っております。  ただ、全員がそうであるわけではありませんので、今、税金の問題等々の環境整備、こういう御発言がございました。ぜひとも、大臣の内閣における強力なリーダーシップと、その強い個性のもとにおきまして、そのような環境整備をぜひともしていただきたい。  本当に、住宅を売ったり買ったりするたびに莫大な税金を払うのはいいかげんばからしくてやってられないという声は、実は本音で多くの方が持っておるわけでありますから、今の発言を私は大変心強く思っておりますので、ぜひともその実現に向けて御努力をいただきたい、このようにお願いをさせていただきたいと思います。  さて、そのような中で、職住接近という、今のお答えにはなかったわけでありますが、最初のお答えに職住接近という話が、柱がございました。この職住接近以外の住宅政策都市構造における柱というのは、何かはかにございますでしょうか。職住接近だけが都市構造住宅政策の柱である、これはそれのみというわけにはいかないわけであろうと思いますので、ほかにどういう柱を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  30. 亀井静香

    亀井国務大臣 またこれは、職場に、あるいはいろいろな、デパート等に近いところに住んで便利であればいいというものではないと思いますので、快適な住居空間というものを都市に形成をしていくということ、これは防災的な観点もございます。それがやはり必要である、このように考えておりますので、このたび、密集市街地の整備に関する法律もお出ししておるわけでありますけれども、そうしてまた、このたびの容積率の中で、集積に対する割り増し効果というような形で、ペンシルのようなマンションが林立するという不整然な状況を、地域をできるだけ広げて、その中に緑とか空間をできるだけ確保をするというようなことの中で、快適なそうした住居をつくっていく。これはまた、震災等の防災的な威力も発揮をしていく、このように考えておりますので、やはり、そうした公園を含めての、あるいは道路の幅員等を含めての快適な住居環境というのが一つの大きな目的、また防災的な配意というのが一つの目的であろうかと思います。
  31. 樽床伸二

    樽床委員 今まで大体概略的なお話、また質問をさせていただいてまいりました。  それではもう一点だけ、少し全体の質問をさせていただきたいんですが、それは、今回の改正に対しましても、一部で、一部と言ったら怒られるかもわかりませんが、いろいろな、さまざまな意見がある中で、土地の値段の問題についての懸念というのもなされておるわけでございます。この点につきまして、建設省とその懸念をされておられる方々の見解というのは、いささか乖離している点もあるであろうというふうに考えております。  いろんな意見がありますが、例えば、容積率が上がればそれは当然地価は上がるんだ、それがこれまでの傾向であったんだと。ですから、容積率緩和するということは、当然その土地の値段が上がっていくというふうなことが考えられる。  いや、建設省におかれては、それは時代が違うからそういうことにはならないだろう、恐らくこういうお考えであろうというふうに拝察をするわけでありますが、そんないろいろな意見が混在をしておる中で、地価の現状に対してどのような今後の予測、今後の趨勢、また、地価の水準がどのような方向になればいいのか、こういうようなことにつきまして、まず大前提として、地価の、土地の値段の現状把握、将来予測、そしてあるべき姿というものにつきましてまず大前提として御質問させていただきたいと思います。
  32. 亀井静香

    亀井国務大臣 今、地価状況は、御承知のように、住宅地については大体横ばい、商業地については下落傾向ということが現在続いておるわけでありますが、一時のような、バブルが発生したときのような急激な上昇、あるいはバブル崩壊直後のような急激な下落という乱高下の状況からは今脱しておるということであろうと全体的には思います。  このたびの法律地価にどういう影響を与えるかという点の御質問もございましたけれども、土地利用が高度化する、簡単に言いますと、一定の土地の利用がもっともっと高度化することによって価値が高くなるわけでありますから、土地価値が高くなるということは、土地の値段が上がるということに結びつくという面も一面あります。  しかし一方では、逆に、需要供給の関係からいいますと、一定の限られた面積の価値がでかくなるわけですから、土地供給が実際ふえたという効果も一方ではあるわけでありますから、そういう面では、土地価格を押し下げるという効果があらわれるという場面もあろうかと思います。  要は、土地に対する利用可能性と実際の実需というものが土地の動向には決定的に影響を与えておるわけでございますから、その背景には、やはり一つは、全体の経済が今後どうなっていくかという大きな背景といいますか、それを抜きにして土地価格がどう推移をしていくかということの見通しは立たない、このように思います。  だから、この法律で直ちにどうこうというよりも全体の経済が今後どう動いていくか、望ましいのはやはり安定的に推移をしていくということでありますし、土地がどんどん下落していくということはやはり実体経済が元気がないということの一つの象徴にもなっていきますから、土地が下がればいいといって単純に喜んでおれないという面もあろうか、このように思います。
  33. 樽床伸二

    樽床委員 私も、最後に大臣おっしゃいました、とにかく土地が、値段が下がることイコール善である、上がることイコール悪であると、余りにも単純に考え過ぎるのはいかがなものかという気は大前提でいたしております。  これも余談になりますが、銀行は、全く余談になりまして恐縮なんですが、現状におきましては、土地にかわる基準を持っておりませんので、そうすると、おのずと土地を担保にして金を借りざるを得ない、また貸さざるを得ない、こういう状況になりますので、土地が上がればいいとは思いませんが、しかし、安定的な土地の値段というものがあって、そしてきちっとした評価に基づく値段の差があるというのは、これは当たり前の話でありまして、正常な状態にいかなけりゃいかぬだろうというふうなことは私も思っております。  しかし、その実需ということに関しますと、昨今の地価の動向も、いい場所の土地は余り下がらない、そして使い勝手の悪いところは結局だれも買いませんからどんどん下がっている、こういう二極化の状況もあるというふうに言われております。  今回提案されております施策、また後で具体的な細かいことも聞かせていただきたいと思いますが、トータルでうまく働けば、当然、そこの土地は使い勝手のいい場所になるはずであります。そうすると、使い勝手がいい場所になっていくと値段は上がるのじゃないか、こういう意見もまた一方にあるわけでありますが、これが、まあ、うれしい悲鳴なのかもわかりませんけれども、こういった点について、ぜひともきちっとした配慮をしながらこの改正案に基づく施策を行っていただきたいというふうに強くお願いをしておきたいと思います。  この問題につきまして議論いたしましても水かけ論議に終わることはよくわかっておりますので、これ以上質問は差し控えておきますが、しかし、そういう懸念を持っておられる方が大勢おられるという、この事実はしっかりと踏まえていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第であります。  さて、そういった中で、今回の改正案につきまして、高層住居誘導地区をつくるのだ、こういうことでありますが、この地区が全国的に、四〇〇%の容積率のある地域が対象だということでありますが、一般的に言うと大体三大都市圏に集中しているのかなというふうにイメージをしておるわけでありますが、全国的に、その三大都市圏のどういった地域、ある程度想像はできるわけでありますが、どのような地域がどの程度の、全住宅面積の割合でいうと例えば何割ぐらいに相当するのか、ちょっと教えていただきたいと存じます。
  34. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど来大臣に対しても御質問もございましたように、我々、これからの日本のあり方の中で、いろいろ経済、産業の問題もあろうかと思いますが、ちょっと前置きになって恐縮でございますが、やはり国土、これは我々に与えられた大変限られた資源でありますから、その資源をいかに有効に活用していくか、生かしていくかということ、それからその中に、大臣申し上げましたように各都市が元気で個性ある姿を出していくということでやっていかなきゃならないと思っております。今回の施策は、そういうことの一環と言うには少し大げさかもわかりませんが、私はそのぐらいの気合いで今回の法律を出させていただいております。  御質問のありました高層住居誘導地区につきましては、先ほどの御質問の中でもお答えしたわけでありますが、十二の都市計画で決められております。途の中の五つ、いわば住居糸と非住居系が混在している地域に限って、しかも四〇〇%という、既に色塗りとしては大変高度な使い方を認知しているところでございます。  面積的には、御案内のございましたように、全国で四千九百五十ヘクタールということでございますが、うち三大都市圏で八八%、数字的に申し上げて四千三百五十ヘクタール、それから地方圏、三大都市圏以外で六百ヘクタール、全体では一二%。したがいまして、かなりの部分は三大都市圏、しかも四千三百五十ヘクタールのうちの首都圏が三千五百五十でございますから、現在の用途のままでいけば首都圏が多いと思っております。  しかし、これから各ブロックの中心とかそういうところが、先ほどお話にございましたように、自分たちの地域においてより職住近接型あるいは都心居住型を求めるだけのいわばポテンシャルが高まってくれば、そこはそれぞれの地域の方が御判断いただくと思っております。  それから、御質問で、もう少しイメージをとらえるために、五つの申し上げた混在糸の用途の中、全国で七十七万ヘクタールございますけれども、これに対しての割合は大変少のうございまして、〇・六%となっております。
  35. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  今御答弁の中で、大変気合いの入ったお話がございました。かなり気合いを入れてこの改正をやるんだ一こういうことでありますが、その強い意気込みは大変私も評価をするものでございますが、国が制度をつくって、そして地区を指定するのは当然知事さんになるわけでありまして、そしてそれを実際に現場でいろいろやっていくのは市町村、こういうことになります。  国の、今建設省が決意を述べられた大変強い気合いと、都道府県、そして実際に現場で住民の方々、そしてまた民間の方々と接する市町村、末端の自治体、こういう間でうまく連携がとれなけりゃいかぬわけでありますが、建設省がいかに力を入れて、これは、もうこれで大きく都市の問題を変えていくんだ、またはよくしていくんだという思いがありましても、なかなか都道府県市町村において、いかがなものかという懸念もないわけではありません。特に、このような建築関係の問題といいますのは、行政の姿勢、態度というのは結局は民間の方々に大きく影響を及ぼします。  それは、あくまでもいろいろな許可が要ったり、また末端のいろいろな紛争が発生したりするものですから、行政がどのような姿勢で臨んでおるのかということを民間の方は大変注目をして見ておるわけでありますから、建設省の意気込みと合ったような自治体の意気込みが果たして実現するのかどうか、また実現するにはどのような形で連携をとっていけばいいのか、ちょっと抽象的な質問でありますが、その点につきまして御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  36. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のように、建設省がしゃかりきになりましても、自治体にやる気がなければどうにもならぬわけでありまして、そういう意味で、東京都知事との間では先日私とのさしの会談を持ちまして、東京都のそうした土地の利用計画の将来について、また、この容積率改正をにらんだ都心における住居高層化問題等、相当具体的な話もいたしまして、両者で、区も入れて協議機関もつくるということで合意をいたしておりまして、協議機関、これはできております。  あと大阪の知事と市長、これは近々においでいただきまして協議に入る予定にしており、その後、愛知県、名古屋市長にもおいでをいただいて、そうした打ち合わせをいたす予定にいたしております。
  37. 樽床伸二

    樽床委員 亀井大臣ならではの強力なリーダーシップのたまものであるなという印象を今持ったわけでございますが、その大臣のリーダーシップ、また、建設省の全精力を挙げてこの問題に取り組んでいくという決意のようにお伺いをいたしました。  そういった中で、地域のそれぞれの方々は、余り建設省が力を入れ過ぎますと、向こうはびびってしまいまして、言うことを聞かぬとまた後で怒られるのと違うか、こんなことをまた思いがちでもありますので、そこら辺のさじかげんのところをぜひともうまくやっていただきまして、中央、地方あわせての協力体制の確立をよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  続きまして、私が記憶をしておる範囲におきますと、一九九二年、用途別容積型地区計画というものが行われておるわけでありますが、今回の改正と何か似ているような似ていないような、そんな気もいたしております。  九二年に行われましたこの施策の実績、そして本制度との相違点、こういうふうなことにつきましてお伺いすると同時に、一部の強力な意見といたしまして、今回の改正地区計画ではなく地域計画にしてやったらいいじゃないか、こういう意見も実は私どもに寄せられておるわけでありますが、そこら辺の問題をトータルに考えての御見解をぜひ賜りたい、このように考えております用地区計画ですね、失礼いたしました、今回のやつを、用途地域制度におけるものではなくて、地区計画でこういうことをやったらどうか、こういう意見が現実にあるわけでありますので、そこら辺の問題等もあわせてお答えいただきたいと思います。
  38. 木下博夫

    木下政府委員 都市計画につきましては、いろいろなレベルで制度があってしかるべきじゃなかろうかと私は思っています。お話がございましたように、ある狭いといいますか一定の地区内での計画考えていく、こういう制度も当然これからも大いに整備をしていきたい、私はこう考えております。  ただ、今回の場合は、もう少し広いゾーンを都市の中に位置づけていくという、いわば用途地域を活用した地域地区という形をとらせていただいております。したがいまして、その網のかかったところにつきましては、またそれぞれの地元の地権者といいますか、それぞれがお考えいただいてその制度を活用されるわけでございますが、地区計画になりますと、かなり個別のエリアが前提となりまして地区計画というものが動かされていくわけでありますから、範囲としては若干狭い状況になろうかと思います。  実績をお尋ねでございましたが、平成八年三月末現在で、全国で用途別容積地区計画は、九地区、五百五十三ヘクタールでございます。  たまたま資料がございますので、ちょっとくどくなりますが、九地区のうちで東京関係が七地区、それから神戸、広島が各一地区ということでございます。せっかく制度をつくりまして、我々もこれを何とか使っていただこうと思っておりますが、実績としてはまだそういうところで、いささかこの点というのは、正直申し上げて、我々の力不足もありますが、地元の公共団体に対してももう少し活用方をお願いしていきたいと思います。  それから二つ目に、差は何かということでございます。  先ほどのちょっと前置きの中にも、長くなりましたが、今回の制度もそうでございますが、住居系と非住居系という混在しているところの整備という意味では同じでございますし、それから住宅に係る容積率を上げていくということについても、手法的には類似しております。  ただ、今回の場合は、先ほど来議論ございましたように、前面の道路幅員等あるいは日照権、こういうものについてのいわば商業系あるいは四〇〇%ということを前提にした今までの実績にかんがみまして、これを法律的にしっかり位置づけているところが地区計画といささか異なると思います。  それから、ちょっと補足でございますが、私の答弁が多少力が入り過ぎておりまして、大変高圧的だといいますが、四月三十日に、大臣もお答えいただきました東京都あるいは区の方々のお話し合いも、私も自身答えさせていただいていますが、大変率直な意見交換をさせていただいて、むしろ何を地元が悩んでおられるか、どういうことを制度的に構築してほしいかということをこれからも御注文いただきたいと思います。  これは、先ほど来大臣がお答えしましたように、制度としては我々つくらせていただきますが、あくまでもそれを動かすのは地元の方々ですし、我々は予算その他を含めて支援していくというのが基本的スタンスでございます。
  39. 樽床伸二

    樽床委員 私は余り専門家でありませんので、詳しいところまではよくわからないのですが、これまで九地区の整備が行われた用途別容積型地区計画ですが、これと今回の改正とをうまくリンクしていけば、またいろいろな形のバリエーションが生まれてくるのかなあという漠然としたイメージもあるのですけれども、これをうまいことリンクしながらやっていくということは当然可能であるというふうに考えてもいいのでしょうか。
  40. 木下博夫

    木下政府委員 結論を先に申し上げますと、まさにおっしゃるとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、都市計画のいろいろな制度といいますか仕組みとしては、用途とかあるいは地域地区というレベルと地区計画といういわば仕組みとは当然オーバーラップして使っていきますし、とりわけ、先ほども申し上げましたように、例えば敷地の規模をできるだけ細かく切っていこうという方向を阻止するとか、あるいはペンシルビル的なものが建たないためにやはり一定の建ぺい率についての歯どめをかけるなどというのも、実は今回の法律の中にも手続というのはございますが、計画的には、地区計画を私は大いにこれと重ねた形でお使いいただくところが適当じゃなかろうかと思っております。
  41. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  ちょっと今御意見を聞いていましてふと頭に浮かんだのですけれども、こういう問題というのはどんどん複雑になってきておりまして、ちょっと聞いただけではようわからぬ、こういう状況にどんどん陥っていっているように思います。  それは確かにいろいろな方々の要求が、バリエーションが多くなってくるわけでありますから、それに一つ一つ対応していこうという努力の結果、逆にわかりにくいものになってしまっておるというのも今感じたわけでありますので、必要ないとは言いませんが、できるだけそこら辺のいろいろあるやつをうまくまとめてシンプルに——私は、時代が複雑であればあるほど、物事はシンプルに考えた方がいいというのが私の持論でありまして、そういうことにおいて、私の個人的な見解ではありますが、複雑な多数にわたる制度をできるだけシンプルにきちっとまとめてわかりやすいものにしていただきたい、このように要望だけしておきたいと思います。  続きまして、今回、高層住居誘導地区は、先ほどお聞きしましたように、四〇〇%の容積率地域だけに限定をされておるわけでありますが、そういう地区だけではなくて、ほかにこういう容積率を認めてもいいような地区が恐らく日本の中にはあるのではないかというふうに私は思っております。  今回の改正の趣旨とは若干異なるかもわかりませんが、そういう地区以外に、恐らく多数存在しているであろう、具体的には私は申し上げることはできませんが、恐らくあるだろうと思っております。そういう地区について、今後こういう容積率のものを認めていくようなお考えはあるのかどうか、まだそういう可能性について、よければお答えいただきたいと思います。
  42. 亀井静香

    亀井国務大臣 このたびは、ある意味では久しぶりに思い切って踏み込んだわけでありますが、私どもも、しかし、一挙にそうした土地利用に関する価値判断の転換、我々が住まいするわけではございませんので、現に住まいされる方、その周辺の方々を含めてそうした頭の切りかえもしていただかなければいかぬわけではあります。そういう意味では、先ほどもちょっと葡萄前進と申しましたけれども、私ども、非常にそういう点は慎重でございまして、そうしてやはり最初はいわば限定的な処置から始めたい、このように思っておりますので、これを固定をして考えておるわけではございません。
  43. 樽床伸二

    樽床委員 そういうようなことで、今後また時の推移によって柔軟に対応していただきたい、このようにお願いを申しておきたいと思います。  次に、ちょっと細かい質問になって恐縮でありますが、今回の法改正におきましては、住居割合が三分の二以上のもの、こういうふうになされておりますが、この三分の二という根拠がもしあれば、教えていただきたいと思います。
  44. 木下博夫

    木下政府委員 もともと、先ほど来の御議論にありましたように、高層住居誘導地区につきましては混在地域でございまして、それで、その中で、例えば我々が常に容積率考えるときには、公共施設の整備状況、それから、そこに立地いたしました建築物から発生する交通量、こういうものをおおむね念頭に置いて従来まで決めてまいりました。  今回もそういう意味では大変思い切って改正をさせていただきたいと思っておるわけでありますが、何をさておきましても、やはり都心居住というねらいの中に沿った形からいきますと、住居系で、かつ、それが一定割合といいますと、例えば半分という話と全部という、いろいろ、両面あろうかと思います。  中をとって三分の二という、そんな乱暴な議論はしておりませんが、やはり何といいましても、住宅がかなり多いということになりますと、先ほど申し上げましたように、交通量からいきますとさほどの負担にならないということで、私どもは三分の二ぐらいという数字を言っている。  念のためでございますが、ほかに、従来からやっていました都心居住の総合設計などは四分の三というような数字も使っておりますので、これは特に絶対的な数字ということではなくて、経験的な数字というふうにお答えするのが適当かと思っております。
  45. 樽床伸二

    樽床委員 大体そんなところであろうというふうに認識はいたしておりますが、大体住居が多い建物、こういう中で大体三分の一と三分の二に分けられたのかなという感じはいたしております。そういうことは別にためにする質問でもございませんので、余り気にしていただかなくて結構かと思います。  今回の改正の中で、住宅割合に応じて容積率を引き上げるのだ、それで最大限六〇〇%までだ、こういうことでありますが、この住宅割合に応じて、例えば、そうであるならば、三分の二のときには何%であって、五分の四になると何%で、一〇〇%になると六〇〇%、そんなことで何か基準みたいなものは考えておられるのでしょうか。
  46. 小川忠男

    小川政府委員 多少技術的なお答えで恐縮でございますが、先ほど都市局長から御答弁がございましたように、本来この制度住宅割合が三分の二以上のものだけを対象にするというふうなことでございますが、三分の二以上といっても、全部が住宅のものまでいろいろなバリエーションがございます。したがいまして、三分の二を超える割合が多くなればなるほど割り増し率を高くして、最高は一・五倍までいく。では、どの程度割り増すのかというふうなことは、具体的には都市計画でお決めいただきたいというのが本来の制度でございます。  したがいまして、大ざつばに申し上げますと、住宅割合が三分の二以下のときには本来の四〇〇%が適用になる。それから、逆の面で、すべてが住宅だった、最高の一・五倍が適用になったとした場合には四〇〇が六〇〇までかさ上げになる、こういうふうな状況でございます。
  47. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございました。  次に、先ほどにも申し上げた点と若干絡むのですが、当然、このような緩和がなされますと、今でさえもちょっとマンションが建つとなると、建設反対という看板がいろいろ地域に立つというのが日常茶飯事であります。  そういう中で、日照権問題等々、それは全部緩和するわけでありますから、より一層そういう紛争が起こると考える方が大体当たっているだろうというふうに、常識的にはそう考えるわけであります。そういう中で、当然、そういう緩和をすると住環境が悪くなるから反対だ、また、交通事情が混雑して子供に危ないから反対だ、こういう意見が必ず今以上に出てくることはまず予想をしておかなければならないだろうというふうに思っております。  そういう点について、中立的な調整機関というものがどういう形でできるのか、私も余り突っ込んだ考えを持たずに漠然と申し上げておってまことに恐縮でありますが、より一層紛争がふえるかもわからないという前提に立って、どういう調整ルールをしいていけばいいのかということについてイメージがあるのかどうか。また、逆に建設省からされると、別に紛争はふえませんよという意見をお持ちなのかもわかりませんが、そういった点も踏まえて御意見を賜れればと思います。
  48. 亀井静香

    亀井国務大臣 建設省といたしましては、残念ながら、住民意識の中までこちらが立ち入ってどうだこうだとする力はございません。  しかし、都心の便利なところに自分が居住をしておって、そうして、日照の問題を含めて、一切自分は快適な状況についていかなる制限も受けないという主張が健全な市民として通用するのかどうか。自分さえよければいいという、自分がそこに住んでおるわけですから、というような私は基本的な意識の問題があると思います。  やはりそうした、自分だけよければいいというような意識の人たちだけが集まって住んでいて、その町がよくなるはずは絶対ない。やはり私は、日本国民の良識を信頼する以外にはない、このように思っております。
  49. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。かなり思い切った発言で、なかなか普通の方ではできそうにない発言であったというふうに私は思っておりますが、要は、大臣のおっしゃる意見というのは、そのぐらい、日本国民であるならば人のことも考えろ、端的に言うとそういうことであって、自分の権利だけを主張するのではない、それが今の日本がおかしくなった原因ではないか、こういう御趣旨であろうというふうに理解をするわけでありますが、個人的には私も全く同じ意見を持っております。  もともとマンションが大きなのが建っておって、マンションだけではありませんが、環境の悪いところに土地の値段が安いからといって移っていって、移ってからここは悪いと文句を言っている。あなたは一体何のために安いところに移ったのだというふうに私もついつい思ってしまうわけであります。  しかし、現実、地元の行政の方が、気持ちは、大臣、私も同じなんですけれども、いろいろ推進するとなると、やはりまだそういうみずからのエゴを主張される方もたくさんおられます。それが、主張されるのがみずからのエゴだけでない場合もこれはあるわけであります。  反対されている方がすべてみずからのエゴだけで反対していると言い切るのもまたいささか問題があるというふうに思っておりますので、地元の行政がうまく、スムーズに進んでいくためには、一体どのようなお考え、精神は私も一緒でありますが、その精神に基づいて、よりそれを現実的に解決をしていくに当たっての、技術的なといいますか、具体的な、現実的な話でも結構ですが、御意見を賜ればと思います。
  50. 亀井静香

    亀井国務大臣 これはやはり自治体がそういうことをきっちりと調整をし、理解を求めるために飯を食っておるわけでございますから、建設省が出張っていってということよりも、私は自治体が積極的にそういうことをやっていただきたい。  それには、例えばマンション建設業者等が自分たちの利益を上げるために容積率緩和を手段として最大限駆使をしていく、そういう姿勢はやはりとってもらっては困ると私は思うわけでございまして、やはり地域の住民の方々の幸せを少しでも考える中でそうした建築をしていくという姿勢が基本的になければならない、そんなことを自治体地域住民の方との間に入ってきっちりと調整をしていただきたい、このように思っております。
  51. 小川忠男

    小川政府委員 ただいまの大臣の御答弁、若干事務的に補足をさせていただきます。  今大臣が申し上げましたように、本来的には意識の問題であり、当事者間の問題だろうとは思います。ただ、そうはいっても、地方公共団体としてはやはり一汗も二汗もかいていただきたいと私ども思いますし、そういうふうな観点から申し上げますと、中高層建築物についての紛争を事前に予防するというふうなことから、計画をあらかじめ事前公開するとか、あるいは紛争のあっせんでございますとか、調停を行うというふうなことを、条例をつくってそういうふうなシステムをつくる、ないしは条例とまでいかないまでも要綱で実施しているというふうな公共団体が全国で相当数に上っております。  具体的な紛争予防のための条例をお持ちの公共団体が全国で十七ございます。また、要綱をつくって努力している公共団体が七十七ございます。合計で九十四公共団体で、行政みずからがあっせん、調停に乗り出しているというふうな制度を持っております。   〔委員長退席、太田(昭)委員長代理着席〕
  52. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。私も思いはほとんど近いというふうに自分では思っております。ちょっとしつこいような質問になりましたことは申しわけなく思っておりますが、現実的にいろいろなそういう紛争が起こっておるという現状に基づいて質問をさせていただいた次第であります。  さらに、次の、二つ目改正の、共用部分を容積率に入れないという改正でありますが、単純なようでかなり思い切った改正かなというふうに私は認識をいたしております。  これも瑣末な質問になって恐縮でありますが、法案によりますと、廊下と階段、これは限定をされて書かれているように思いますが、共用部分というのは廊下と階段だけになるのか。例えばこれが共用となるのかどうかわかりませんが、マンションにみんなで使う集会所をつくるとか、その集会所は容積率に入れてもいいのかもわかりませんが、いろいろな形の共用部分というのはこれからまた考えられてくるのだろうというふうに思っておりますが、廊下と階段のみという限定をされた法案だと思いますので、廊下と階段に限定した経緯、またお考えというのをお聞かせいただきたいと思います。
  53. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  通常のマンションを想定いたしますと、共同住宅の廊下、階段部分を容積率の対象から不算入にするというふうなことによりまして、標準的には容積率が二〇%前後割り増しするというふうな結果になります。  ただ、その場合に、いろいろなことを議論し出しますと、容積率の構成要素、いろいろございます。その中で、今御指摘になりましたように、例えば集会所であるとか、管理人室であるとか、あるいは階段、廊下に近いものとしてはエレベーターなどなどはどうなんだろうかというふうな議論がございます。  ただ、そうなってまいりますと、究極的にはやはり容積率とは一体何なんだというふうな基本論が一つ出てまいります。そういうふうな、容積率とはというふうな基本論が片方にあるという大前提のもとに、特例という形で不算入を制度化するというふうな場合には、恐らくどこかでおのずからの限界があろうかと思います。  その場合に一つ参考になりましたのは、従来から外気、外側に面した非常用の階段ですとか、あるいは外側、外気に面した片側式廊下、これについては算入対象外になっているというふうなことを前提にしまして、内廊下方式等々であっても算入の対象外にするというふうに判断したというのが率直なところでございますが、ただ、冒頭、標準的には二〇%と申し上げました。その場合に、例えばエレベーターを入れますと、超高層なんかの場合には、実はエレベーターと階段と廊下、これだげで五〇%近くを占めているというふうなのが超高層の現実でございます。  したがいまして、エレベーター等々を入れて、特例が、例えば一〇〇〇%のうちさらに上乗せ五〇〇%が特例であるというふうなのは、やはり容積率の本質論からしてやや限度を超えているのかなという実態上の、これは制度論ではございません、実態上の判断もございます。  そういうふうな非常に悩ましいプロセスを経まして階段と廊下というふうな結果に落ちついたというふうな心中を御理解いただきたいと思います。
  54. 亀井静香

    亀井国務大臣 実は私も委員と同じような問題意識を持っておりまして、少なくともエレベーターというのは階段を機械化したんじゃないか、なぜそれが入らぬのだということで、実はぎつく入れることを私は指示したわけでございますけれども、実は法制局との関係等で、今局長が申し上げました従来の容積率ということの概念、それで建物外の廊下だとか階段の拡張解釈という形で容積率から除外をするという法律的な観点から、引き下がらざるを得なかった。  これをさらにやっていけば、今国会提出が間に合わないというタイムリミットもございまして、そういう処置をとったという事情があることを御理解いただきたいと思います。
  55. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  とにかくいろいろな経緯はあったといたしましても、今回、単純なようで結構思い切った措置かなというふうに私自身は考えております。ぜひとも当局の御努力もお願いしたい、このように考えております。  それから、実は私どもにいただきましたペーパーに、参考として、総合設計についての運用改善の項目がございました。説明はいたしません。当然御存じのことでありますので、省略をいたしますが、要は、敷地を集約化するインセンティブがこれで生まれるであろう、こういう御判断であります。  私もそれはそのとおりだと思いますが、それにつきまして、土地区画整理が最近、大臣のリーダーシップのもとで、かなり弾力的に運用しろ、こういう御指示があったように私は耳にしておるわけでありますが、そういう区画整理事業の弾力化とあわせてこれをやっていくと、さらにインセンティブ、インセンティブだけではなくて、環境的にそれがやりやすくなる、こういうことになろうかと私は思っておりまして、そこら辺の、どのようにリンクをしていくのか等々の全体像のイメージをお聞かせいただけたら幸いであります。
  56. 木下博夫

    木下政府委員 この国会におきまして、先ほど大臣申し上げましたように、都市計画法と基準法の改正案を出させていただいております。  お話のございましたいわゆる区画整理事業というのは、本来ですと長い歴史を持っておりますけれども、関東大震災以来、あのころは耕地整理法等に準拠しておりますが、新市街地でいわば一定の広さを持ったところを区画を割る、それでその際には、一つはそういう区画を割りながら新たな公共事業といいますか、公共施設を整備していくということも区画整理の目的でございます。  ただ、最近の状況から見ますと、もちろん新市街地の整備も十分あるわけでありますが、既成の市街地におきましてのいわば敷地の整序ということも大変効果があります。この際には、既存の公共施設がある程度一定水準に達しておりますので、その中では、言葉はいろいろ使われておりますけれども、既成市街地における区画整理は、新たな公共施設、公共事業を編み出すというよりは、今申し上げました区画ごとの整序型という傾向の区画整理事業をねらっております。  今先生お話がありました総合設計制度も、都心部におきましての新しい町づくりといいますか、そういう面でありますので、この区画整理事業と総合設計制度というのをうまくつなぐというのは、これは所管が住宅局と都市局とに分かれておりますけれども、この法案もそうでございますけれども、両局で連携をしながら、当然それぞれの仕組みのいい面をつなぎ合わせれば町づくりに貢献できる、私はこう考えております。
  57. 樽床伸二

    樽床委員 ぜひそのような形で、それぞれの所管をまたいだ連携の中で都市環境をよりよいものにしていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第であります。  時間になりましたので質問をそろそろ終了させていただきたいと思いますが、私、かねてから、みずから都市部に住んでおります関係で思っておるという傾向もありますけれども、やはり人口の大多数が都市部に現在住んでおる、こういう現状からすると、私は以前から都市型建設行政という、これも何が都市型かということを定義し出すと大変なんですが、イメージとして概念的に考えていただければ結構なんですが、都市部に大変配慮をした建設行政というもののウエートがさらに高まっていかなければならないし、どうも地方型の、これは言葉が不適切かもわかりませんが、地方重視の建設行政ではなくて、都市にも最大限の配慮をした建設行政に、そういう割合もどんどんふやしていただきたい、このような願望を持っております。  大臣とされると、もうそんなのやっておる、こういうことかもわかりませんが、そういった趣旨にのっとって今回の改正が行われるわけでありますが、正直言いまして、今の日本の現状でいきますと、いろいろな改正を言い出しましても、いい面と、それにまつわるマイナスの面、予想されるマイナス面というのは必ず同居をしておると言っても私は過言ではないと思います。  ある施策をすると、いいことばかりであるというようなことはなかなかないわけでありまして、いいこともあれば悪いこともある。その悪いことといいことのどちらの割合が多いのだろうか。悪いようになる割合が多いことは、これはやめればいいわけでありまして、少しでもいい方に向かうということであるならば、悪い点ができるだけ出ないようにしてその施策を進めていくということが必要だというふうに思っております。  今回のことにつきましては、いろいろ言われておりますように、都市部高層化が進んで、いろいろな意味でいいインパクトを与えるという反面、環境の問題等々での問題もあるということをぜひとも両面考えていただきまして、悪い面が出ないような運用をしていただきたい。  最後にそのことを改めてお願いをいたしまして、私の質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。     〔太田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 市川雄一

    市川委員長 辻第一君。
  59. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、今回の都市計画法及び建築基準法改正案について質問をいたします。  今回の改正は、土地の有効高度利用を通じ、良質な共同住宅供給促進を図り、職住近接都市構造を実現するためのものとされておりますが、今回の法案の提出経過を見てまいりますと、急にといいますか、唐突に提出になったという感じがいたしております。  毎年、通常国会の冒頭に内閣官房がまとめております「内閣提出予定法律案・条約要旨調」には出ておりませんでしたね。また、これは去年ですが、七月二十六日の日刊建設工業新聞では、小川住宅局長が、これは建築行政全般の問題についてでありますが、その会見で、建築基準法改正は一九九八年度になるとされる、このようにおっしゃっていたわけであります。  ところが、ことし一月に入って、亀井建設大臣の記者会見など、今国会でという話が出てきたのですね。今の時期になぜこのように急に提出されたのかということをお尋ねしたいと思います。  そして、このようなことに関して、三月八日付の朝日新聞では、建設大臣が一月十七日に、一カ月でまとめろ、このような指示をされたのですか、そこから急に動き出した、このような記事がありますが、とにかく急であった、このように思います。  三月二十六日の朝日新聞は、「また土地で金もうけなのか」という社説を掲げています。社説は、地価が下がるという「こうした大きな流れを踏まえたうえで、しっかりした都市計画をつくらねばならない。」「ところが政府・自民党には、土地を手っ取り早く景気対策や不良債権対策に使おうとする動きが目につく。透けて見えるのは、地価下落に歯止めをかけ、あわよくば値上がりさせようという、不動産業界をはじめとする経済界の思惑だ。」このように書いているわけです。  私もそのとおりだと思うのですが、このような新聞の報道など、建設省はどのようにお考えになっているのか、お尋ねいたします。
  60. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは、世論については謙虚に耳を傾けながら行政を担当しておるつもりでありますが、このたびの法案について、朝日新聞はそう書いておりますが、他の新聞は、極めて時宜を得たこれは法案だという社説を各紙も出しておるわけでございまして、赤旗と朝日新聞が否定的である、このように私は承知をいたしております。  非常に拙速じゃないかというお話ですが、私は、やるべきことはどんどん時間を置かずにやるべきだ、このように考えます。私が大臣をいつまでやっておるかわからぬわけでありますから、私が大臣としての土地政策あるいは住宅政策を実施をするのはこの通常国会しかチャンスがないわけでございます。恐らくそのうち私は首になると思いますから、私が首になってから法案を練り上げてつくるというような無責任な態度を私は大臣としてとるわけにはまいりません。そういう意味で、今通常国会に出せるように至急検討しろということを指示をした。  来年の今ごろは私は大臣をやっておらぬだろうから、そうしろと言ったわけでございまして、私は当たり前の指示をした。それがけしからぬとおっしゃる心情が私には理解できないわけでございます。  要は、法案の中身がいいか悪いかということになるわけで、急いで出したから欠陥商品であるということであればこれは間違いでありますが、赤旗と朝日新聞以外は立派なこれは法案だと言っておるわけでございますから、現在我々は自信を持っておるわけであります。
  61. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろと御答弁いただいたのですが、私がお尋ねしたことにお答えいただいていない側面もあるように思うのですが、時間がありませんので前へ行きたいと思います。  私どもは、この法案は本当に、地域整備計画なしに個別に高密度の建築を認めようとするもので、住民合意に基づく良好な市街地の形成をかえって阻害するのではないか。あるいは、東京などは本当に超過密都市ですね。そういう中で、さらに都市の過密を招いて住環境を悪化させるのではないか。それから、勤労者の住宅難の解消に役立たず、地価の上昇を招くのではないか。あるいは、都心の住機能の回復にはならないのではないか。こういう点で、私どもはこの法案に賛成できないわけであります。  そして、本当に今深刻な不況が長引いて、バブルが崩壊し、金融機関や不動産業界が不良債権の処理に大変な状態でありますね。この時期に規制緩和都市開発事業の採算性を高めることによって、土地流動化を促進し、金融機関や不動産業、大手ゼネコンの救済をしようというようなのが本当のねらいではないのか。重ねて申し上げて、次に移りたいと思います。  今回の規制緩和によってもたらされるものは何かと考えますと、容積率の引き上げでありますが、この容積率の引き上げというのは、建設省は、住宅建設のコストに係る用地費が下がって住宅価格が下がるというようなことを先ほどもおっしゃっておりましたが、住宅価格は市場バランスで決まるものであり、市場価格よりもコスト低減分だけ安く供給されるという保証は私はないと思うんですね。経済原理からいえば、コスト低減分は開発者利益として吸収されるのではないか、このようにも思うわけです。むしろ問題は、土地の収益還元価格が上昇するだけ土地価格が上昇することが考えられます。  中曽根内閣時代に、都市計画規制緩和で、あの地上げの横行や地価の急騰した経験もあるわけであります。この土地価格の再上昇の問題について、建設省はどのようにお考えになっているのか。
  62. 木下博夫

    木下政府委員 いろいろたくさん前提でお話がございましたが、ビジョン不足ではないかというお話も、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、国土の新しい都市構造ということを念頭に、るる申し上げております。  今その中で、地価についての御質問がございました。これは、先ほどの御議論にありました、いわば現在の地価水準については大臣からお答えしたわけでございますが、しかし、いささかバブルという時期を経験してきておりますから、現在の地価そのものが実需に基づいた、いわば実効的にどうかということはいろいろ評価は分かれるところがあろうと思います。  私は、今回の制度に限って言えば、これだけやはり国民が多くの教訓を学んだ上でスタートしておりますから、もちろん金融とかその他の仕掛けも関係しておりまして、都市計画ですべて地価を仕切れるほどの自信はございませんが、新しいやはり実需に基づいて住宅供給できる、住宅取得をできる能力で企業が提供していく、それのお手伝いをこの制度ができると私は思っておりまして、そういう意味では、従来のバブルをまた再現するなんということは制度的には私ども考えておりません。
  63. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり、もう既に土地のいわゆる売り惜しみというんですか、そういう状況が起こっているというふうにも報道されているわけですね。やはり土地の再上昇、そのことについても十分な、それを許さないための努力をしていただきたい、お願いをいたします。  今回の改正のような制度容積率緩和、道路や公園の整備を伴わずに行われるわけでありますが、そこで恩恵を受けるのはだれか、これも問題であります。  それぞれ状況が違うので一律的には言えないでしょうが、対象地域内やその周辺にある住宅や商店など、これらの宅地所有者が恩恵を受けるとは考えられないわけです。何度も申しますが、住環境の悪化はもちろん、こうした人たちが住めない、あるいはそこを出ていかなくてはならない、こういう可能性が高いのではないかと思います。  そしてまた、従来そこに住んでおられた方が、そこに新しくつくられた住宅に入れる保証があるのか。一般国民あるいは勤労者がとても入れるような、安くなるなんといっても、そのような家賃とかあるいは購入費にならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。  本当に、当該地域に住んでいらっしゃる住民の皆さん方を大切にするといいましょうか、あるいは住民参加、住民合意、こういう都市計画行政が今本当に求められているのではないかと思うんですが、いかがですか。
  64. 亀井静香

    亀井国務大臣 ちょっと今の委員の御質問をお伺いして、私は頭が悪いから理解できないのかもしれませんけれども、この処置によって、その地域に住んでおられる方が、マンション建てかえを含めて、住めなくなるという改正では私はないと思いますね。  もちろん、マンション価格というのは市場価格であり、自由競争のもとで形成されていくわけでありますが、少なくとも、このたびの処置によって、これは理論的かもしれませんけれども、相当価格は下がるということが予想されるわけでありますから、今住んでおられる方が住めなくなるような改正だというようには、私はどう考えても理解できないわけです。  都心における住居環境をきっちりと整備をしていき、しかも、庶民に少しでも安いマンション供給をされるということを目的としておるわけでありますから、ぜひ、委員及び共産党におかれまして、この法律がおかしいというんであれば、じゃ、どうしたらいいのか、そういう目的に照らして、ぜひ代案を、修正でも独自の法案でもいいですから、お出しをいただきたいと思います。
  65. 辻第一

    ○辻(第)委員 すぐ共産党はというお話であります……。  この地域というのは、いわゆる住居とか非住居、それが混在している地域ですね。そこでは、これまでの住居に住まわれている方なんかもたくさんおられるわけですね。そこへ、こういう高層マンションが建つわけですね。そうしますと、いろいろな問題で、日照権の問題も当然入ってきますし、そこに住めないという状況が私は起こると思うんですね、それは当然。住環境が悪くなりますよ、それは。  その建ったビルに住まわれる人は、それはまあまあ納得してお住みになるんでしょうけれども、そこにこれまでおられた人にとっては、やはり、日照権の問題や風の問題、いろいろな問題が私は出てくると思うんですね。  本当にそこのところで、公園だとか道路だとかそういうものが整備されてやられるんならまた話がわかりますよ。これだけ先にどんと建てるというようなことでは、私はそれは大変な問題だと思う。あるいはそこへ入りたいと思っても、なかなか、入れる家賃やあるいは家を購入できる額ではないと思うんですね。そういうことであります。  本当にそこの住民を大切にした都市計画行政をやっていただきたい。重ねて要求をいたします。  今回の規制緩和の結果、高層マンション建設で環境が悪化し、周辺住民との紛争が激化するだろう、当然ですね。  これは読売です。朝日と違います。例えば、改正に賛成基調の読売も、三月二十八日では「心配な点もある。中高層マンションが林立するようになると、日照問題をはじめ住環境の悪化が避けられない。」このように書いているんです。  しかし、今回の場合は、地域全体の整備計画なしに個別に高密度の建築を認めようとするもので、いわば虫食い的な開発になるということは当然考えられますね。都市や住環境の悪化は深刻なものになる可能性があります。  都内の今回の対象になる土地は、現実に、指定容積率の半分も使っていないようであります。それは、敷地規模や周辺状況から、高い建物が建てられないからのようであります。そこで日影規制まで外してしまうというわけですから、本当に深刻な状況になろうと思います。建設省は、こうした事態が生まれるおそれはないと考えておられるのか、いかがですか。
  66. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもとしては、最初から申し上げましたように、都心における、一つは、居住環境を整備していく、それのインセンティブがやはりこの法律によって起きるということも期待をしておるわけでありまして、そういう意味では、この集積効果による割り増しも認めておるわけでもあります。  また、委員の御指摘の中に日照の問題を指摘されておられますが、これは今までの、私は、他の委員の御質問にもお答えをいたしておりますけれども、日本は非常に狭い国土であります。そうした中で、狭い都市に大勢の人が住まいをしておられる、そういう中で、やはりすべてを享受したいという権利は保障され得ないと私は思います。やはりそれぞれが我慢し合うというところがなければ、委員にしても、共産党にしても、そういう個人が無制限に権利を主張される、その権利をきっちり守りながら、トータルとしての生活をきっちりと保障されるという政策は不可能だと私は思います。  そういう意味では、やはり便利な都心部に住んでおられる方はそれなりの、日照その他についてはある程度は我慢をしていただく、それが嫌な場合には郊外その他にお住まいをされるという、そうした選択の自由まで拒否されておるわけじゃございませんから、そうしたことを前提にしなければ、のっぺらぼうな形での規制はやるべきではない、このように私は考えております。
  67. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど対案というようなお話がありましたけれども、共産党はもうかねがね、土地問題、住宅問題については民主的な、建設的な政策を発表しているわけでありますから、今度一遍持っていきますから読んでください。  それで、先ほどの、大臣は我慢をしてもらわにゃいかぬということでありますけれども、本当に安心して快適に住める住居というのは、これは人間一番大事なものですね。日本で今一番おくれているものですね、この住宅問題が。それを土地流動化云々、そういうことも含めて、日照権が保障されないような住宅がどんどん建設をされるということは、これは将来にわたって非常に残念な、嘆かわしい問題ではないか、私はそのように思うわけであります。  そういう例で、工学院大学の教授の石田先生が、都市計画の専門家でありますが、容積率緩和について・「東京都内でかなり圧迫感を感じる住宅団地、たとえば江東区の大島六丁目団地や葛飾区の金町団地でも二五〇%程度です。住宅だけで三〇〇%を超えるところはほとんどありません。」「六〇〇%といってもイメージを描きにくいんですが、いまでさえ高くて棟の間隔も狭いと感じる大島六丁目団地などを、高さだけ三倍ほどに伸ばした姿を想像してみればわかりやすい」、こうした住宅が良質と言えるのかと疑問を投げかけているわけであります。このことも紹介をして、時間がありませんので次へ行きたいと思います。  この改正が目指すものに、職住接近とか都心居住とか言われております。できる建物と周辺環境の問題だけでなく、この制度による住宅職住接近や都心居住に資するものかどうか問題です。  日経新聞の四月二十三日、日経新聞です、「マンション価格下落は期待薄」との見出しで、「建設省規制緩和都心部マンション価格が下落すると試算しているが、不動産業界では疑問の声が多い。」と書いています。規制緩和による地価の上昇もあるでしょうし、容積率緩和によるマンション価格の下落はわずかとも言われており、業界では、価格は当面変わらないという見方が主流のようです。こういうことですね。  実際に、都心にあるマンションが多くの国民の手に届かない価格であることは大臣も御承知だと思います。結局、庶民の住宅供給には役立たない、このような心配があるわけであります。建設省の所見を求めます。
  68. 小川忠男

    小川政府委員 マンション価格といいますのは、恐らくいろいろな複雑な要因で結果として価格が決まるというふうなことだろうと思います。ただ一つ言えることは、やはり供給側にとって、利用可能な枠組みが広がればその分だけ供給力がふえ、床当たりの価格が下がっていくというふうなことは、少なくとも計算上は出てまいるわけでございますから、そういうふうな状況を前提とした上で、あとは供給、需要というふうなバランスの中で現実の価格は決まっていくというふうなことだろうと思います。  ただ、いずれにいたしましても、こういうふうな規制緩和によって、単価といいますか床当たりの供給コストは下がる、これはもう間違いないわけでございますから、そういうふうなことを前提とした上で企業相互間の競争が行われ、現実の価格が決まるというふうなことでございますから、私どもは、程度は別としまして、間違いなく下がる方向に働いていくというふうに思っております。
  69. 辻第一

    ○辻(第)委員 建設省の思っていらっしゃるように下がらないというのは、もう間違いないことだと思います。  さて、規制緩和で安くて大量の住宅が建設されるという考え方でありますが、神戸大学の早川和男教授は、朝日新聞で、これは朝日です、「住宅の建設を業者にまかせている限り、そうはならない。緩和地価上昇につながり、高度利用による利益は業者に吸収されてしまう。都心では住むには高すぎて、事務所などに転用される。」このように述べておられます。  住宅割合三分の二以上の場合に容積率緩和をするものですが、建築後、事務所に転用されたらどうなるのか、転用されない保証があるのか。現実問題として、港区など都心マンションで当初住宅用として建てられたものが、いつの間にか、ほとんど事務所として使用されている例は少なくないんですね。どのように対応するのか、お答えをいただきたい。
  70. 小川忠男

    小川政府委員 一般に、住宅として、マンションとして構造上つくった建物を全く違った用途に転用するというのは、一般的に申し上げまして、構造上極めて難しいだろうと思います。  それで、現実の行政実務の場では、したがいまして、建築確認におきまして、マンションに固有の設備、構造というのはあるわけでございますから、台所でございますとか、ふろでございますとか、あるいは居住空間相互がきちっとした構造壁で隣と区分されているというふうなこと等々はマンションに固有の構造でございますので、そういうふうなものは普通の確認以上にきちっと見たいと思います。  それから、やはり特例的な容積率制度を適用するわけでございますから、きちっとした台帳は整備させていただきます。定期的な検査もやらせていただきます。したがいまして、仮に極めて悪質な用途違反というふうなものがあったとするならば、私どもの姿勢としては、基準法上でき得る最高限の態勢で対応いたしたいと思います。措置命令等を発したいと思います。  また、先ほど港区の例を引き合いに出されました。私の手元には確かに同じようなデータがございます。御参考までに申し上げますと、港区では二千二百七十三戸のマンション、これについての現実の転用というふうなものの調査を行っております。二千二百七十三戸のうち四十二戸、一・八%、これについては事務所的な使い方をしていたというふうなことがございます。私どもとしては、恐らく一般的に言われるよりはかなり低い数字でないかと思います。
  71. 辻第一

    ○辻(第)委員 この問題に対する自治体の対応を見てまいりますと、四月三十日に、東京都心居住推進のための会議が、建設省、都、特別区と住宅都市整備公団が参加して開かれたようです。東京都心居住推進本部が設置されたそうですが、建設省都市住宅局長も参加されたと聞いています。  そういう中で、中野とか足立など五つの区が参加を見送った、このように報道されています。理由はいろいろでありますが、参加している自治体の対応や立場はなかなか複雑です。それぞれの区の都市計画との関係などもあり、参加した全区が無条件に賛同しているわけではないと伺っています。この規制緩和の持つ問題点の反映だと思いますが、こうした状況を踏まえて、上から一律的に規制緩和を行うのではなく、それぞれの地域レベルで、地域の合意の上に、その地域にふさわしい方法こそ必要ではないのか、このように考えるが、いかがですか。
  72. 木下博夫

    木下政府委員 四月三十日の件については、私も多少発言をさせていただきたいと思っています。  新聞に、五区が出なかったという、出席しなかったという方を強調した見出しを私は拝見して、大変残念でございました。といいますのは、先ほど来申し上げておりますように、私どもは、東京都あるいは区が自主的にやっていくことを我々として応援させていただこう、あるいは制度のねらいをよくわかっていただこう。  その席で、私に対してもいろいろな指摘がございました。例えば、地元に対しての主体的なことについて省くのじゃなかろうかと言われておりましたが、私は、話し合った結果は、双方は十分理解できたと思っております。先ほどからお話ございましたように、やはりこれは地方公共団体が、どこにそういう地区を定めるかというのは、みずからが考える権限を持っているわけでございますから、私はそれに対して応援させていただきたい、こう思っております。
  73. 辻第一

    ○辻(第)委員 それぞれの地域レベルで、地域の合意の上に、地域にふさわしい方法で進めていただきたい、重ねて要望いたします。  町づくり都市計画は、二十年、三十年という長いスパンの政策でありますから、それを一時的な景気対策の道具にすることは許されることではないと思うのですね。  先ほどの石田教授は「銀行不良債権をなくす代わりに、後世の人たち都市の「不良物件」を残すようなことになってはいけません。」このようにおっしゃっているわけであります。建設省はこのことも踏まえて事に当たっていただきたい、そのことを要望いたしまして、質問を終わります。
  74. 市川雄一

    市川委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会