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1997-04-11 第140回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十一日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 市川 雄一君    理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 利明君    理事田野瀬良太郎君 理事 中島洋次郎君    理事 太田 昭宏君 理事 増田 敏男君    理事 石井 紘基君 理事 中島 武敏君       井奥 貞雄君    金子原二郎君       佐藤 静雄君    高市 早苗君       谷畑  孝君    玉沢徳一郎君       東家 嘉幸君    中山 利生君       萩山 教巖君    蓮実  進君       松本 和那君    赤羽 一嘉君       岩浅 嘉仁君    岡島 正之君       樽床 伸二君    西野  陽君       山本 幸三君    葉山  峻君       山本 譲司君    辻  第一君       中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         国土政務次官  井奥 貞雄君         国土庁土地局長 窪田  武君         法務大臣官房審         議官      柳田 幸三君         建設政務次官  佐藤 静雄君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 木下 博夫君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   伏見 泰治君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 山添 和雄君         厚生省年金局資         金管理課長   塩田 幸雄君         郵政省簡易保険         局資金運用課長 蝶野  光君         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ――――――――――――― 四月十日  高規格幹線道路の整備及び道路特定財源の確保  に関する陳情書外三件  (第一九三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三九号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 市川雄一

    市川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本幸三君。
  3. 山本幸三

    山本(幸)委員 新進党の山本幸三です。  きょうは不動産特定共同事業法等、いわゆる不動産問題について質問させていただきます。  まず最初に、この不動産特定共同事業法というのは二年前にできまして、そして今回改正されるわけでありますけれども、そもそもこの法律はどういうことを目的としてつくられたものなのか、そしてまた今回の改正目的というものも含めてお願いしたいと思います。
  4. 亀井静香

    亀井国務大臣 今まで不動産共同投資につきまして余り知識経験のない、またあるいは脆弱な資本基盤に立った方々が、これに対して参加する過程の中で不測の被害を受けられるというような状況がございましたので、そういう意味ではこれをきっちりと、そういう方々についての権利もお守りする、投資もお守りもするというような観点から許可制度と、あわせて、プロ投資家といいますか、経験豊富なそういう者に対しての制限というのは思い切ってこれを解いていくという、そうした二面を両方にらんでのこのたびの法律でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  5. 山本幸三

    山本(幸)委員 確かに、かつてこういう不動産共同事業でいいかげんなといいますか、事業者が破綻して、そして被害が出たケースがありました。それを救済しようということがまず最初にあったと思いますけれども、そして共同事業法という形でそういう被害者が出ないようにということが一つ目的、これはよくわかります。  そして同時に、資金をいろいろなところから集めようと、特にプロ投資家からはなるべく集めやすくしようということも含んでいるということ、よくわかります。その意味では、私はこの法律目的からすれば非常に望ましいものではないかなというふうに思います。  それに関連してお尋ねしたいのですけれども、それではその目的被害者救済、これについてはこの法律によって十分にそういうことができたというふうに判断しておられるでしょうか。
  6. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 被害者救済についてでございますが、ここで目的としておりますのは、被害が出ないという事前措置を主眼にして、そういう不祥の事態が発生しないようにという仕組みでございますので、現実に被害が出た場合を想定いたしますると、一定の救済措置はございますけれども、ある意味での完全な救済ということにつきましては制度的には十分な措置がございません。したがいまして、逆に事前防護措置といいまするか、それを厳重にいたしまして、そういう不祥事件の発生を防ぐという体制になっておる次第でございます。
  7. 山本幸三

    山本(幸)委員 ちょっとそれに絡みますけれども、それじゃこの共同事業法ができて、その実績というのはどういうふうになっていますか。
  8. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 この法律ができましたのは実は割合最近でございまして、御案内のとおり平成六年のたしか六月でございました。法施行平成七年四月一日ということでございまして、余り期間がございません。その上に、この時期といいますのはバブル崩壊の、市況としては一番悪い時期でございますので、ある意味では不動産投資にふさわしくない時期だったということでございまして、法施行後の実績は、数字でいいますると百八十二億円ということでございます。
  9. 山本幸三

    山本(幸)委員 件数は幾らですか。
  10. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 件数といいますのは、不動産共同投資事業ロットといいますか、プロジェクトロットでいいますると七プロジェクトでございます。
  11. 山本幸三

    山本(幸)委員 そうすると、この事業法ができて不動産共同事業というのはがくっと減っている感じがしますね。そういう意味では被害者が出るというのは確かになくなったのかなという気がいたしますけれども、そういうふうに理解していいのですか。
  12. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 この法規制がしかれたために事業が少なくなったというよりも、先ほど申し上げましたように、市況そのもの不動産投資に適さなくなった、こういう状況を反映しているのではないかというふうに理解をいたしております。
  13. 山本幸三

    山本(幸)委員 不動産市況が悪くなったから件数がなくなりたと。そうであると、今後不動産市況がもし回復すれば、この特定共同事業法ができたとしても、やはり被害は出るということになるのですか。
  14. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 多少御説明が雑でございまして……。  市況が回復すればベースとしての需要は出てぐるわけでございますが、かつてのような安易な事業が抑制される、そういう意味でブレーキがかかりますので、従来ほどの、非常に見境もなくと言っては失礼かもしれませんが、非常に不安定な状況での事業の仕掛けというのは減ってくるのではないかというふうに考えております。
  15. 山本幸三

    山本(幸)委員 今後はちょっとわかりませんが、今のところ、この事業法ができたからか、あるいは不動産市況が落ち込んだからか、よくわかりませんが、かつてのような被害が出てきたような共同事業というのは少なくなっているように思いますが、その評価はもうちょっと待たないといけないのかもしれません。  ただ、私どもがちょっと懸念するのは、せっかくこの不動産特定共同事業法というのをつくって、被害をなくそうということはもちろんですが、同時に、プロを含めて資金を少し集めやすくして、そして不動産投資プロジェクトを広げていこうというように意図したのだけれども、それにしては余りにも実績が少な過ぎる。  もちろん市況が落ちたという説明がありましたけれども、この辺はやはり、市況の問題があるかもしれないけれども、この制度自体が余り機能しないような問題点もあったのではないかと思いますけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  16. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 過去の実績という点でいいますと、ただいま私がお答えいたしましたように市況ということが大変大きく影響しているのではないかと思いますが、そもそもの仕組みにいろいろ問題があるのではないか、こういう視点で見ますると、確かにいろいろなことが関係者から言われておる次第でございます。非常にやりにくい点がある。  といいますのは、冒頭大臣から申し上げましたように、個人投資家念頭に置いた規制制限をきめ細かく置いておりますために、それだけ事業を実施いたします手間暇がかかるわけでございます。それが、習熟した、知識の豊富ないわゆるプロ投資家かち見ると余分なコストというふうに映るわけでございますので、その分だけ非常に非効率仕組みになっておるのではないかへこういう批判がございます。したがいまして、今回の改正も、プロ投資家について、非効率と映るような問題につきましては、ある程度リスクはそれぞれの投資家にとっていただくという前提で一種規制緩和をしたいという目的法改正をお願いいたしておる次第でございます。  なお、御指摘のように、この特定事業なるものは、私ども不動産市場を育成するという立場にあります建設省立場におきましても、将来における不動産投資の姿として、そしてまた、ディベロツパー自身のディベロッピングのあり方といたしましても、キャピタルゲインに依存しない、いわゆるディベロッパー本来の開発ノウハウをフィーとして取るという極めて健全な業態形ではないかというふうに思いますので、こういった業態が将来にわたって発展をしていく、それに応じて健全な投資市場が育成されていくということは望ましいことではないかというふうに思いますので、そういったこともにらみ合わせながら、この事業がスムーズに円滑に定着していくような努力をしてまいりたいと考えております。
  17. 山本幸三

    山本(幸)委員 こういう不動産業界の方に聞きますと、共同事業法が機能しない理由が幾つかあるという点が指摘されておりまして、四つか五つあるんですけれども一つは、約款事前法律事項として決めなきゃいかぬということになっているものですから、これは本当に、不特定多数の人が投資する際には、例えば貸付信託証券みたいに定型化したようなことでやらなきゃいかぬことは出てくるのかもしれませんけれども不動産投文事業というのは、かなり個別のケースでやる話なんですね。したがって、事情がそれぞれによって違う。そのために、通常の場合の不動産取引と同じように相対取引的なところがあるんですね。そうすると、約款事前法律事項で決めておけと言われて、基本的なものだとして決めておいても、だけれども、実際にやり出すと、条件自体が変わってくると提示する金利を変えなきゃいかぬ、そのためにはほかの条性も変えなきゃいかぬということで、基本的款と合わないことが出てくる、そのためにうまくいかない、こういうことが一つ言われていますね。  それから、二番目に問題だとされていたのは、対象不動産特定のものであらかじめ決められていないとだめだ、そして、しかもそれは一つプロジェクトについて一つだけ、一つ不動産、そういう一体性ということが要求されていた、これが次の問題点として指摘されていました。実はこの二番目の問題点は、今度の改正で手当てされたわけでありますけれども、従来からこの点が問題とされてきた。  それから三番目がやはり、共同事業出資者がその債権譲渡できない、転々流通することができない。これはやはり投資家から見れば非常にやりにくいということが三番目の問題点。  それから四番目が、最低出資単位が大きい。そのために、せっかく被害者救済するという目的があってつくられたのだけれども、実際に参加できる人は非常に限られた、金額的にも最低現物出資で五百万以上で、金銭出資では一千万ですか、それ以上ですから、一億ですか、なかなか難しい。  それからもう一つ、根本的に、まずお金を先に集めさせておいてもらって、そしていろいろ計画をしたいと思うのだけれども、それができない。こういう問題点業界方々から指摘されているわけでありますけれども、これらの問題点について、今回の改正で手当てしたどころとまだできていないところについて、どういうふうにお考えでしょうか。
  18. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ただいま御指摘ありましたように、さまざまな面につきまして、実態にそぐわない点があるのではないかという御指摘でございまして、私どもでも実は同様の認識を持っております。  ただいま御指摘いただきました各項目は、すべてが法律事項ということにはなつておりませんで、制度上では、政令事項省令事項あるいは通達事項と多岐にわたる形で現在運用が実行されておるわけでございますがそれぞれにつきまして、基本的に言いますると、必要最小限度のことに限定しなうじゃないかという方針で政令以下の見直しを行うつもりでございます。  個別にお話がございましたので、それぞれ個別にお答えをさせていただきたいと思います。  まず最初の、通常金銭債権の場合には一般性があるので約款になじみやすいけれども不動産の場合には個別性が強いので、約款で一義的に決めるというのは無理があるのではないかということでございますが、まさにそのとおりでございます。  したがいまして、この点につきましても、先ほど言いましたように、必要最小限度のものだけを約款に書いていただきまして、その他の個別性のあるものにつきましては、個別の契約書によってある程度自由に変更できる、弾力的に対応できるという姿に変えたいと思っております。このためには施行親則改正が必要でございますので、この法律改正にあわせて改正をさせていただきたいと存じております。  それから、二番目におっしゃいました一体性の問題でございます。従来は、一つ特定共同事業一つ不動産対象として行う、こういう仕組みになっておりますが、今後は、幾つかの複数の物件を一つ投資対象として事業運営できるようにしたいと考えております。  それとあわせて、不動産特定性がこれと裏腹の制約としてございます。あらかじめ、どこの不動産投資するかということを約款にうたわなければいけない。そこが、個別性のある話でございますので非常に難しいわけでございます。例えば、再開発を実施いたしますると予定をいたしました地番が、分筆、合筆、そういった作業を行いますことによりまして変化せざるを得ないような事情がございます。  これまでは、言ってみれば形式的な変更なのでございますが、現行法では、特定した地番が変わるということによりまして、定款変更というのが一々必要になってくるという大変不便な仕組みになってございますので、そういう不必要な部分については、今後、義務的な定款事項としては省く、必要に応じて必要な範囲で契約上うたえばよろしいではないかというふうに変えたいと思っています。これは、規則に基づく運用通達改正すればできることでございます。  それから第三点でございますが、地位譲渡でございます。  この点につきましては、当初の立法のときにも大変大きな議論をしたわけでございますが、基本的には、地位譲渡といいますのは単なる金銭債権上の地位というものばかりではございませんでして、物によっては、組合活動に参加する、そういう地位も含むわけでございますので、そういう意味では、特定事業を経営する事業主にとってみますると、ある程度信頼できる事業参加者でなければ困るのじゃないかという心配もございます。したがいまして、転々譲渡してだれが参加者かわからないような状況になるのは困るなという心配も一部ございます。  もっとも、そういう心配はないんだと言う業界の方もいらっしゃいまして、実は、この辺につきましては業界サイドの意見も若干割れておるところがございますが、一般的には、おっしゃるように、この制度趣旨からすれば、なるべぐ流通性を持つことが望ましいというふうに考えておる次第でございます。  したがいまして、この点につきましては、直接譲渡性を持たせる、譲渡という形での流通性を持たせるということにはなりませんけれども、実はそのほかに、やや間接的な方法でございますが、一たん契約を解除しまして、その地位事業主に戻し、買い取ってもらう、それをまた再度事業主第三者に転売をする、こういうことによって、間接的ではございますが、譲渡が実現できるわけでございますので、当面はその方法を拡大するということを考えてまいりたいというふうに思っております。  現在、組合から脱退をして、売って次の人に渡すという、いわゆるバトンタッチ方式でございますが、これにつきましてもかなり厳しい制限を置いておるわけでございますが、この際、この制限緩和をいたしたいというふうに考えております。これは、関係する省庁もございますけれども、現在相当いろいろ御相談を申し上げ、一年程度そこで円満に事業活動をしていただければ、事業主が買い取って、さらに第三者に転売するという道を大きく開けるようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それから第四点の、出資単位が非常に大きな額であるので投資する人が限定をされるんではないか、これがこの事業を一般化する妨げになっているんではないかということでございます。  御参考までに、現行制度、御承知と思いますが申し上げますと、現物出資でありますると五百万円が最低単位でございます。それから金銭でありますると一億円という大変高い額でございます。もっとも、不動産特定事業を営む会社資本金十億円以上の大会社であります場合には一千万円まで最低投資単位を落とすことができる、こういうことになっております。つまり、しっかりした事業者であれば、割合小口の人が参加してもらってもリスクが少ないであろう、こういう趣旨で、こういう仕組みにいたしておるわけでございます。  それにしても、一千万円というのは高過ぎるんではないか。海外の、不動産に対する投資制度を見ますると、数万円単位投資ができるという例もございます。そういうものと比較いたしまするとまだ高いんではないかということが言われておりますが、実は現行制度は、不動産に対する一つ投資形態ではございますが、類似の、他のいろんな投資類型があるわけでございます。商品ファンド法に基づくいわゆる商品投資、そのほか債券投資、いろいろな投資形態があるわけでございますが、そのロットにつきましては、全体としてのバランスということを考えざるを得ないわけでございますので、そういうものを勘案した結果、ただいま申し上げました現行の姿になっておるわけでございます。  現在、いろんな投資形態を共通して投資単位を引き下げる必要があるんではないか、一種規制緩和としてそういうことを考える必要があるんではないかということで、方向性については関係省庁足並みがそろっておりますので、私どもとしてはそういう方向で歩みを進めてまいりたいというふうに考えているのです。ただ、これは私どもだけで判断し切れるという問題ではございませんけれども方向としては確実にそっちの方へ行けるというふうな見通しを持っておりますので、ぜひ努力いたしたいと考えております。  それから第五点でございますが、投資する対象がはっきり決まらないとお金が集められない、とにかくお金を集めてこれからやろう、そういうやり方ができない、非常に不便ではないかと。  確かにある意味では不便な面がございますが、もともとこの事業は、投資家を保護するというところからスタートいたしましたわけでございますので、一種の、あらかじめ情報開示するということが大事だという仕組みになっております。いろんな側面事業者情報を開示すべし、事業直前事業前、あるいは事業が始まっても、あるいは事業が終わっても、きちっと情報を開示しろということが一つの共通する考え方になっておるわけでございます。  そういう立場からいたしますると、何に投資するかあらかじめ特定せずにお金を集めるというのはどんなものかということでございまして、現行制度はどうなっているかといいますると、土地については地番まで書かせる、上物については建築確認がおりてからでないとスタートできない、こういうことになっておりますが、これにつきましても、必要最小限度のものに絞るという視点から、土地さえ特定できれば、その上に概略どの程度のものが建つかということさえはっきりすれば特定性が確保できるんではないか、建築確認までは必ずしも必要ないのではないかというふうに考えておりまして、その点についての規制緩和をあわせて今回行うことを考えておる次第でございます。  以上でございます。
  19. 山本幸三

    山本(幸)委員 幾つかありますが、前向きに検討してもらっていることは大変ありがたいと思いますが、約款については、規則の方でできるだけ、法律事項必要最小限にして、柔軟にしたいということですので、ぜひそれはお願いしたいと思います。  それから、特定一体性については、この特定性についても通達で手当てしたい、これもぜひお願いしたいと思います。  あと、流通性の問題と出資単位、それから資金選考というところが残るわけですが、出資単位は検討したいということですけれども、どれぐらいかのメルクマールはあるんですか。
  20. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ただいま私どもが目標として目指しておる数字でございますので、申し上げるのは適切かどうかわかりませんが、せっかくのおただしでございますので申し上げますが、現物出資につきましては百万円ぐらいに、現在五百万円とありますのを百万円ぐらいに落とせないかということを考えております。  それから、金銭出資でございますが、先ほど、十億以上の資本金会社事業を行います場合には一千万と申し上げましたけれども、この資本金要件を外せないかということを実は考えております。
  21. 山本幸三

    山本(幸)委員 ぜひそういう方向でやっていただきたいと思いますが、いずれにしても、それでも、現物出資百万円あるいは金銭出資通常は一億円だけれども資本金を外して恐らく一千万円になるんですか、そういう方向だとしても、これでもかなり大きいですね。  そうすると、やはりこの法律対象にしているのは完全に、やはり個人投資家そのものではなくて、一応不動産投資というものはどういうものかということについて理解しているそれなりのプロ、特に企業については金額を下げようということですから、そういう対象が、やはり不動産投資理解したプロが基本的な対象だというように理解していいんですか。
  22. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 最低出資単位につきましては、先ほど御説明さしていただきましたように、他の出資形態とのバランスということを考えざるを得ないということを申し上げましたけれども、その際に、例えば債券に対する投資不動産に対する投資と同じレベルで考える必要があるのかどうかという大事な問題があるわけでございますが、私どもとしては、この辺の最低出資単位につきましては、いろいろ投資実績でありますとか、一体それがどういうふうに運用されてぐるのかといったようなところともにらみ合わせながら、ある意味では、基本的には消費者を保護するという側面が欠かせないわけでございますので、そういった経験を積み重ねながら、その辺の判断については経験を踏まえた措置を講じていく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。  特定事業についてのみいいますると、実はその特定事業商品組み立て方というのは非常に複雑でございまして、複雑といいますのはいろんなパターンが考えられるということでございます。したがいまして、本当に個人投資家念頭に置いて事業を組み立てたい、商品構成をしたいということであれば、現物出資という形態をとれば百万まで落とせるわけでございますので、そこは、事業主がどういう階層を対象事業を組むかということが決まれば、それに応じた商品構成が可能にはなるんではないかというふうに考えております。
  23. 山本幸三

    山本(幸)委員 そのところはなるほどなかなか難しいところかもしれませんですね。  日本の場合、これはどういうわけかわかりませんけれども、伝統的に、金融商品に対する投資不動産投資というのは全く違うんだというような感じがありまして、いかにも不動産投資というのはリスキーなものだということがあって、制度とか、あるいは税制度も含めて、実に不動産投資は不利な扱いがされるのですね。  ここのところは、私はアメリカで生活したこともあるんですが、どうも欧米の考え方とは違って、欧米では、それは金融商品だって安全なやつもあるけれども、リスキーなやつもある、不動産投資だって一緒だ。それについて、投資商品としての違いはそれぞれないのだ。もしリスクが高ければ逆にそれなりにリターンも高いという形で、高いリスクには高いリターンで応じる。そのかわり、低いリスクならば収益も低いという形でバランスがとれていて、特別に金融商品不動産投資商品というのはその形態によって差があるように思えないのですけれども、日本の場合はちょっとそこが違うのですね。そのためにこの不動産投資というものが日本ではかなり限定されたことになっている。  これは後でちょっと触れたいと思いますけれども、そういう問題があると思いますね。だから、その意味では、それを少しずつ、一遍に変えるというのはなかなか難しいですから、ぜひそういう方向でやっていただきたいなというふうに思いますが、問題はその流通性のところですね。  確かに、今は、やるときは主たる営業者が買い取るということになっているわけですけれども、そのことが投資家から見ると非常にやりにくい。先ほどもちょっと触れたように、現状は、やはりある程度の金額を持っていて、しかもそれなりに参加者制限していくわけですから、当直はまだプロの世界でこれは始まっている。将来は、ぜひこれは、今言ったように、日本人の感覚自体が変わっていけば、金融商品と同じようにしていかなければいけないと思いますけれども、まず現状は、これはプロの世界でやられている事業だと思いますが、そうすると、もうある程度不動産資文のことを知っている、そしてその対象のことについても知っているというそれなりのプロの間で、一々また主たる営業者に買い戻して一恐らくそのときは税金もかかるのじゃないかと思いますけれども、そういうコストも負担しながらさせるということの方がいいのか。  それとも、もうそういうプロの間で参加者制限しているわけですから、その間だったらもういいじゃないかということができないのか。あるいは、その対象不動産が、例えば限定的なもの、今日の不良債権問題の解決から考えれば、例えば銀行の競売、担保不動産だとか、あるいは大蔵省の国有財産の相続税で物納された物納物件であるとか、そういう今日本経済が本当に解決しなければいけない問題の部分、そういう対象の物件については、しかもプロの間では、もう自由でいいじゃないかというようなことはできないのですかね。
  24. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ただいまの御質問に直接お答えする前に、理解を得やすくするという意味で申し上げてみたいと思いますが、欧米における不動産の流通形態と、日本の少なくとも現在までの流通形態との間に大きな差異があるのではないかというふうに思います。  欧米の場合には、割合地価が安定的に推移しているということもございますものですから、現に収益を生んでおります建物自体が売り買いされる、こういう市場がございます。オフィスビルが売り買いをされる、ホテルが売り買いをされる、ショッピングセンターが売り買いをされるという実態がございます。  最近、これは余談でございますが、インターネットが発達しておりまして、世界じゅうの不動産の売り立てが見られますが、ごらんになるとわかりますが、主としてそういうところに掲載されておりますのは、現に稼働中の不動産物件でございます。したがいまして、テナントも入っておりますので、年間どのぐらいの家賃が入ってぐるかというのははっきり計算できるわけでございます。そういう市場が実は発達しておるわけでございますので、不動産に対する一般投資家投資というのもかなり歴史的に経験を積んできておる、こういう実態はございます。  それに引きかえまして、日本の場合には地価の上昇が大変急激でございましたので、不動産に対する投資というのはどうしてもキャピタルゲインねらいの投資に向いておったという嫌いがございます。  この点につきましては、将来に向かっては欧米流のインカムゲインねらいの不動助産投資に変わっていく必要があるのではないかというふうに私は考えておりまして、そのための一助にということでこの共同事業、あるいは今回の改正も実はお願いをいたしておるわけでございますが、そういった日本の現状におきましては、居抜きのビルを買い取るという市場が実は余り発達しておらないのではないかというふうに考えております。  そこで、一般の投資を募る際にも、そういう市場がないものですので、そういう物件を対象とする商品がつくれない。したがいまして、ディベロッパーさんが中心になりまして新しい物件を開発して、その開発案件について投資を募ろう、こういう手法を開発したわけでございます。それが実はこの特定共同事業でございまして、欧米の一般化されております不動産流通と私どもが提案しております特定共同事業の大きな違いは、その点に実はあるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、将来、不動産特定共同事業のようなシステムを通じましてだんだん市場が開拓をされてくる、その結果、先ほど言いました欧米型の居抜きのビルが売り買いされるという市場が発達してくるのではないかと期待をいたしております。  あるいは、御議論があろうかと思いますが、最近、抵当物件の流通化を図るためにいろいろなアイデアが出されておりまして、SPCという特別目的会社をつくって証券化をして流通を促進しようといったような議論もあるわけでございますが、そういったいろいろな動きが市場の発達を促していくのではないか。そういうことによりまして市場が発達し、投資家経験を積んでいくということによりまして、いろいろな投資商品が豊富に構成をされ、投資家はそれぞれを見ながら、どれが自分に合っているかということで選択の幅を広げていくということになるのではないかというふうに思っております。  したがいまして、先生がおっしゃいましたように、特定事業という土俵で、すべていろいろな投資家事情に、ニーズにこたえられるようにすべきではないかという御指摘ではないかというふうに思いまするけれども、そういうことも一つのお考えかもしれませんけれども、いろいろな手法を組み合わせてニーズに合わせていくということがふさわしいのではなかろうかなというふうに考えておる次第でございます。  もちろん、特定共同事業の範囲でできるだけ流通市場を広げるという努力は私どもいたしたいと思っております。
  25. 山本幸三

    山本(幸)委員 ちょっと幾つか若干私の理解と違うのですが、欧米でもそれは地価は安定していたわけじゃなくて、乱高下したわけですね。アメリカだってそうでしたし、八〇年代の終わりは日本と同じようにバブルを経験し、あるいはそのバブルの崩壊を経験した。ほかの国も大なり小なりそういうことを経験しているのですね。  しかし、にもかかわらず、アメリカはそういうものの処理がスムーズに、証券化なりこういう不動産事業プロジェクトに対して資金が流れるような仕組みができていて、しかもそれが流通していって回収ができてきた。  私は、そこのところはむしろ日本の方はそういうものを、資金が流れるようにするための仕組み自体がちゃんとしていないのじゃないか、この問題点があると私は思っているのですね。別に日本だってアメリカと同じように仕組みをつくっていれば、少々時期によって地価が乱高下したところで、当然こういう商品が生まれて、発展したのじゃないかなと思っているのですね。  それに関連してちょっとお伺いしますけれども、例えばアメリカで不動産抵当証券、REITというのがありますけれども、どうしてアメリカでそのREITが発達して、日本ではそれが発達しないのか、これについてはいかがですか。
  26. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 REITについてのお尋ねでございますが、日本では不動産投資信託というふうに言っているようでございますが、これは私どものちょっと専門外に当たりますので、多少粗っぽい御説明になるかもしれませんけれども、これは株式会社をつくるわけでございますが、投資家から投資を募って株式会社をつくり、その株式会社不動産経営をやり、その運用収益を投資家に還元する、基本的な構造自体は私ども不動産特定共同事業と同じなのでございますが、実は投資のためにつくられる株式会社に非常に大きな税法上の恩典がついておりまして、基本的にはすべての課税が非課税ということになっています。  その趣旨は、この株式会社は本来の企業としての活動を目指しているのではなくて投資家のためにのみ存在する、いわゆる代理を果たしている、そういう概念でございますので、私の理解によれば一種の仮の会社というふうに観念をいたしまして、税法上の恩典を与える。そのかわり、すべての経済活動の成果は投資家に帰するわけでございますので、投資家に対して課税をするということによりまして税の公平を保てる、こういうふうな仕掛けになっているのではないかというふうに思いますが、日本の場合には、残念ながらそこまでまだ十分な税制上の措置が施されておりませんので、同じようなことが実はできないわけでございます。
  27. 山本幸三

    山本(幸)委員 全くそのとおりですね。なぜ日本でそういう、市場でできないかというと、制度上それがうまく機能するようにできていない、特に税制なんですね。今、日本経済が抱えている最大の問題を解決するためには、どうしても不動産投資不動産取引に対してかかっている税制の問題を何とかしない限り全く動かないし、解決できないと私は思うのですね。  アメリカはその点をちゃんと手当てした制度が既にできてあって、したがってそれがうまく動いている。このREITに関してはちょっとまた後で触れますけれども、その意味で、この不動産特定共同事業も、さっき言った幾つかの問題点があって、そのうちもう既に対応しましょうというのがあって、大いにやっていただきたいと思うし、期待しておりますけれども、まだ不足しているところも、まさに営業譲渡の話のところはこれはやはりもう少し思い切ってやってもらいたい。特にプロに対しては前向きに考えられないかと思っておりますので、やってもらいたいと思います。  しかし、そういうことのほかに、致命的な欠陥というのは税制上の問題がある。この不動産特定共同事業で任意組合型と匿名組合型あるいは賃貸事業型というのがあるわけですけれども、例えば匿名組合型をつくったとき、恐らくディベロッパーが主たる営業者になってその人に対してみんな出資する。そしてその営業者が不動産開発をやって、その収益をまとめて費用を引いて配分するというようになっているわけですが、このときに、もしそういう不動産開発して分譲したりして不動産を売却するということになった場合に、その売却益に法人税がかかる。法人税がかかるのですが、本来はその出資した人の収益から当然引くべき話なんだけれども、この場合、日本の法人税法上これは営業者の利益だというふうに見られて、営業者の他の所得から法人税を払わなきゃいけない。営業者はたまったものじゃありませんから、当然その分の追加出資をしてもらわなきゃいけない。翌年恐らくその分の資金を集めるという形になるのでしょうが、そうすると、今度はもう一回売り上げに立って、また法人税がかかる。  そういうことになっていて、例えば匿名組合では開発してもそれを売却するというようなことは事実上できないような税制上のネックがある。そのほかにも譲渡益課税とか幾つかありますが、特にこの問題について、そんなばかなことをやめなければ、この不動産特定共同事業の匿名組合事業というのはつくったけれども全く動かないというようなものになりかねないのですけれども、この点について、建設省のお考え、そしてそれから大蔵省のお考え、いかがですか。
  28. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ただいまの、匿名組合不動産開発し、それを売却をしてその収益を還元する場合の税の扱いでございますが、実は昨日御質問の予告を受けましていろいろと勉強させていただきまして、担当の方では大蔵省ともいろいろ相談したようでございますが、確かにおっしゃるように、先生のような手続をとりますと、一たん法人が税を払い、かつ翌年その税相当額を出資者から再度返してもらう、そういう手続をとりますると二重課税の心配が出てまいるわけでございますが、それを避けるために、収益を配分するときにあらかじめ法人税額を控除してその残りを配分すれば翌年度返してもらう必要が起こらないわけでございますので、そういう処理をすれば、御指摘の二重課税の問題は生じないのではないかという結論に達しております。  なお、これ以外につきましても、いろいろ不動産特定共同事業についての税の問題はございまして、実は大きな課題でもございますが、また御質問があればお答えいたしたいと思いますが、今の具体の問題に限らず、御指摘のようにいろいろ税についても課題はあるということだけお答えをさせていただきたいと思います。
  29. 山本幸三

    山本(幸)委員 収益からその分を引けばいいということですのでその点は私の理解が間違っておったのかもしれません。大変いいことですが、しかしそれでも、法人税の分を、個人の収益になったときに二重課税の調整というのはしないと思うのですけれども、その点はいかがですか。
  30. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ちょっと今の御質問の趣旨がはりきりとしない点もございますが、法人税額を除いたものを収益配分してもそれ自体に税がかかるのではないか、こういう御質問と受け取ってよろしいのでございましょうか。  実は、そういう趣旨でありますると、この不動産投資に限らず、いわゆるいろいろな投資形態についても基本的には同じような税の構造がございます。株式配当にいたしましても、株式会社が税を取られ、株式配当についても税を取られる、こういう構造になっているめではないかと思います。  私ども、税の専門家でもございませんので、基本的にはそうではないかなというふうに思っておりますので、まだ何か誤りがございますれば御指摘いだだければありがたいと存じます。
  31. 山本幸三

    山本(幸)委員 問題意識は、アメリカのREITのように、要するにこういうのは、投資家資金を借りて不動産投資をしている、主たる営業者というのは、まさにその代理人というか管理者としてやっているわけですから、その収益がかかるときに、アメリカのREITのようにそこで法人税なんかかけないで一そして本来収益を丸々配当して、その時点で投資家としての課税をすればいいじゃないかという問題意識を持っているわけですけれども、そういうふうにならないのですかということなんです。
  32. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 御質問の趣旨がよくわかりましたのでお答えいたしますが、少なくとも現行法制では難しいめではないかというふうに思いますので、仮にそれをやろうとすれば税法上の改正措置が必要になるのではないかというふうに思いますが、その点につきましては、実は三月の末に政府部内の担保不動産関係連絡協議会におきまして担保不動産等流動化総合対策というのを決定させていただいておりますが、この中で「担保不動産の証券化」というくだりにおきましてSPCについての考え方が示されておりまして、「SPCの法的整備等の検討を含め、十年度本格導入に向けて進捗させる。」こういう方針が関係御当局の方針として示されております。  この「法的整備」の中には、結論はどうなるか別にいたしまして、恐らくそういった税制面における議論も含まれているのではないかといすふうに私どもは期待しておりまして、そういう議論とも関連をする話でもございますので、そういう議論の中で我が方の特定共同事業についての税の扱いについても研究させていただきたいと思っております。
  33. 山本幸三

    山本(幸)委員 大蔵省、今お話が出ましたSPCについての法人税はかけない、そういうふうにしているのですか。
  34. 伏見泰治

    ○伏見説明員 今お話がございましたSPCの関係でございますが、今建設省の方から御説明がありましたように、三月の末でございますが、大蔵省の銀行局を中心といたしました関係省庁の協議会、そこで昨年来、いわゆる担保不動産の流動化につけてどういう手法があるだろうかというのでいろいろな観点から検討がなされてきたわけでございます。ありとあらゆるアイデアを募っての検討がなされたと聞いておりますが、その中で一つの方策としてSPCというアイデアが出てきた、これは御指摘のようにアメリカ等で例が見られるものでございます。  今後は銀行局を中心にいたしまして、とりあえずいわば今後向かっていく方向一つとしましてSPCが出てまいりましたので、恐らく具体的なスキームという形での検討がさらに進められるだろうと思っております。具体的なスキーム、形が出てまいりませんと、一体、税の場合どういうところに当たりが来るのか、仮に何らかの措置をするとしている場合、どういう措置が必要かというのが具体化してまいりませんが、今後、銀行局を中心といたしまして、その検討を踏まえまして私どももよく相談をさせていただきたいと思っておるところでございます。
  35. 山本幸三

    山本(幸)委員 具体的な例が出ていないと言うのですけれども、こんなものはもうここに出ておることを見ればすぐわかるのではないかと思うのです。しかもアメリカの例がある。  そうすると、SPCも今度の対策で本当に動くためには法人税が非課税にならない限り動かない話ですね。そんなばかなことをやる人たちが出ない。そうすると、これはもう非課税になるということが前提でなければこんな対策は意味がない。  これについてまた後でちょっとやりたいと思いますが、もしSPCで非課税になるというような話になると、この不動産特定共同事業法でもこういう事業についてそもそも法人税がかかるということ自体がおかしいのではないかなという話に当然なってくると思うのですけれども、今言った匿名組合の売却益等に法人税をかけている、これをやめることはできないのですか、大蔵省。
  36. 伏見泰治

    ○伏見説明員 まずSPCに絡んだ観点でございますが、アメリカの例を見ましても、SPCが成り立つためにはいろいろな条件がついているわけでございます。同じSPCと申しましても、日本とアメリカ、前提となる不動産マーケットあるいは担保土地状況等当然違うと思いますが、それを踏まえた上で一体どういう措置が必要になるのか。例えば法人格の乱用防止というふうな観点をどういうふうにしていくのか。あるいは出資者に対する利益分配についての制限が必要なのかどうか。あるいは保有資産に制限が要るのかどうか、アメリカ等いろいろついているわけです。そういったいわば具体的なポイントをさらに詰める必要があるだろうということでございます。  それから、今の不動産特定共同事業関係でございますが、これはある意味でいうと、アメリカではリミテッド・パートナーシップというふうなケースがございます。この不動産特定共同事業の場合には、御指摘がございましたように現行の匿名組合方式をうまく使われているわけでございますが、いわば営業者に対しましては、その利益を分配した後その分だけについて課税をするというような格好になっておりまして、いわば一つの工夫としてそう奪う措置が行われているということではないかと思います。
  37. 山本幸三

    山本(幸)委員 ちょっとはっきりしたいのですが、この不動産特定共同事業では、利益を分配した後に課税されるので、組合段階では課税されない、そういうふうに理解していいですか。
  38. 伏見泰治

    ○伏見説明員 今お話がありましたように、その匿名組合にいわば一種たまるようなタイミングがあるのだと思うのですが、その段階での課税というのではなくて、投資家に対して利益の分配が行われた、そのあとの残余の方だけについて課税が行われるということだろうと思います。
  39. 山本幸三

    山本(幸)委員 そうすると、私が最初指摘したように、例えば出資して匿名組合つくって、そこで開発して分譲住宅なりつくって、それを分譲した、その場合は、匿名組合段階で法人税はかからないのですか。そういうふうに理解していいですか。
  40. 伏見泰治

    ○伏見説明員 あくまでも、匿名組合段階では出資者等に分配をされました残りに対しての課税だということだと思います。
  41. 山本幸三

    山本(幸)委員 そうすると、最初に私がちょっと心配したことはないということなので、これは先ほどの経済局長のあれとちょっと食い違うのですが、どうですか。
  42. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 実は、先ほど言いましたように、昨日担当者レベルで相談をさせていただいた結果を私報告を受けましてそのとおりお答えしたわけでございますが、今、税制一課長さんがお答えしたところが税務当局の権威ある御回答ではないかと思いますので、そのようにひとつ御了解いただきたいと思います。(亀井国務大臣事前に正確なことを大蔵省ちゃんと説明しておけよ」と呼ぶ)
  43. 山本幸三

    山本(幸)委員 そのとおりで、そういうところがはりきりしていないと動かないのですね。  ただちょっと、実は業界の人に聞いたら、そういうものがかかるから、しかも二重にかかるからこれはうまく機能しないのですよという説明を私は聞いたのですよ、勉強しているとき。だから、本当に大蔵省が言っていることは大丈夫かいな、そこまで大蔵省踏み切っているのなら大いに結構なことだなと思いますので、もう一回確認してください。この不動産特定共同事業法では、匿名組合、任意組合つくってやりますけれども、課税はすべて収益を分配した段階でやられる話であって組合段階ではないのだ、いいですか。
  44. 伏見泰治

    ○伏見説明員 今の御指摘のとおりでございます。
  45. 山本幸三

    山本(幸)委員 それは大変ありがたいことでありまして、本当にそういう理解であれば、業界の人たちも誤解していたということですから、大いに喜ぶと思…ます。そうすると、かなり収益上はうまみも出てくるかなという気がいたしますね。  ちょっと教えてもらいたいのですけれども、今までに七件具体例が出ているということでありますけれども、この調査室につくってもらった資料を見ると、売り主が三つで、ちょっともう一個ふえたらしいのですけれども、今現実の出ている例で大体収益利回りというのはどれぐらいで回っているのでしょうか。
  46. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 利回りの関係につきましては、利回りそのものを保証するタイプと予想配当率という形で実績に応じて配当するタイプとあるわけでございますが、保証型につきましては四%、予想利回りのタイプにつきましては五・五から六%という例になっております。
  47. 山本幸三

    山本(幸)委員 それは現状では投資対象としては非常にいい投資になりますね、今国債の指標銘柄の長期金利というのはもう二%切るかなんて言っているわけですから。それに対して、四%の利回りが保証される。あるいは実績配当になるけれども、ちょっとリスクを覚悟すれば五一五から六%保証される。しかも、リスクを覚悟するといったって、参加している連中は不動産投資プロですから、そこが大体どれぐらいの価値を持っているというのはある程度わかるわけですね。  そうすると、この不動産投資事業というのはなかなかいい投資ではないかなというように思うんですけれども、そうであれば、やはりより投資者を広げるということを考えていく必要があるし、日本に存在する不動産に対する投資ですから外債投資なんかとわけが違う。そういう意味では、リスク上も、プロが見ればそれほどないような気がして、なかなかいい投資じゃないかと思いますが、そういう不動産投資に、今後は日本の個人貯蓄を含めて資金を回すような仕組みにしていかなきゃいかぬ、そういうふうに思います。  ちょっとそれは後で触れますが、最後に、この法律関係一つ気になるのは、不動産特定共同事業協会というのを、この法律の中で公益法人としてつくろうという話があるわけですが、これはまだできていないということですが、こういう法律をつくってそういう事業を育てるのはいいんです。そのときに、今までの役所の例というのは、また何とか協会というのをつくって、天下り先をつくろうとしているのかどうか知りませんけれども、じゃ、この協会が本当に必要なものかどうかというと、指導監督をやると言っているんですが、そういう不動産事業をやるというのは、そういう協会が研修をしたとかそんなことで身につくような話じゃないような気がして、よっぽどやはり現場で鍛えられて、それなりの知識経験を積まないと、そういう事業はできないんじゃないかと思います。  この協会はその意味で、今いろいろ問題になっている公益法人の問題、そういうものを考えると、一応法律の条文にあるんだけれども、まだできていないようですから、もうつくらない方がいいんじゃないかなというように思いますけれども、その点、いかがですか。
  48. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 先生御承知のとおり、不動産特定共同事業法上、御指摘事業協会に関する規定がございまして、「不動産特定共同事業者は、事業参加者の保護を図るとともに、不動産特定共同事業の健全な発展に資することを目的として、不動産特定共同事業者を会員とし、その名称中に」「協会という文字を用いる民法三十四条の規定による法人を設立することができる。」というふうにわざわざ書いてございます。  これは、実は不動産特定共同事業法のみの体系ではございませんでして、同じような事業規制を行っておりますほかの法体系の中にも、関係者による法人組織をつくって、その法人組織が、会員内の啓蒙活動あるいは内部規制といいまするか、そういうこと、あるいは苦情の処理、そういったことを行うことを期待をする法律の構成となっておるわけでございますので、当法におきましても同じような方向性をとったものでございます。  基本的には、今言ったような業界団体による自主的な、言ってみれば市場の円滑化、育成、保護、そういったことを期待することは妥当ではないかなというふうに行政上は判断いたしておりますけれども、一方では、最近公益法人についていろいろな問題がございますので、そういう点につきましては、まさに世論からいわば問題視されているような問題が生じないような形で、こういう協会が円滑に運営されていくことが望ましいんではないかというふうに考えております。  御指摘のように、天下りのためにこういうものをつくるという考えは全くございません。
  49. 山本幸三

    山本(幸)委員 関係業界が何か懇談したい云々があれば、これはその関係業界が独自に任意組合でもつくってやればいいじゃないかなという気がしておりますし、国家試験、宅建業法みたいに国家試験をやるならまだしも、そこまでにきちっとしたものじゃないような、研修だけをやるというぐらいだつたら、もう業界の任意組合だけでいいんじゃないかなという気がしておりますので、この点はどういう形になるか、今後を待たなければいけませんけれども、最近批判の対象になっているという公益法人なんかをどんどんつくってやっていくということで問題になっているわけですから、ぜひ気をつけていただきたいなというふうに思います。  さっきの話にちょっと戻りますが、この不動産特定共同事業というのは四%保証される、あるいはちょっとリスクをとれば五・五から六%ぐらいになる。そういうものであれば、ぜひ有利な投資先として広く資金を集めることが望ましいというふうに思いますが、日本の今の金融資産上の問題というのは、円がどんどん安くなっている。それは、恐らく円が外に出ていっているということですから、外債投資がどんどん進んでいるということでしょう。  今千二百兆円の個人金融資産があると言われているわけでありますけれども、非常に日本のいびつなそういう金融資産の状況というのは、例えば一九八九年から一九九五年を比べてみますと、現金、預金というのは五八%だったのが六二%に上がっている。年金、保険というのも一九%だったのが二五%に上がっている。それに対して、日本では株式が一四%だったのが七%に半減している。  他方、アメリカでは同じ一九八九年から九五年に個人の金融資産で何が起こったかというと、現金、預金が二八%だったのが二一%に下がった。それから、年金、保険が二五%だったのが二四%に下がった。そして、株式が一四%だったのが二〇%に上がった。  つまり、日本では、この六、七年の間に金利がこれだけ下がったにもかかわらず、現金、預金と年金、保険に個人の金融資産がふえていっている。他方、株式市場からは減っていった。アメリカは全く逆で、現金、預金や年金、保険に対しては投資が下がっている。株式市場その他に投資が振り向いていった。  この資金の流れの基本的な違いというのが、今日本の経済のお金の面での大きな問題を起こしているわけですね。一つには円安であり、一つには株式の下落であり、必要なところにお金が回っていない。ところが、不動産投資、これは個人金融資産ですから、不動産投資というのが挙げられておりませんで直接できませんけれども、アメリカの場合は、不動産投資に機関投資家が、株式と同じようにちゃんと投資が振り向けられている。先ほども指摘したとおりですね。  これはそういう投資アドバイスをするプロがそろっていて、ミーチユアルファンドというので、その投資顧問業者がアドバイスをして、そしてアメリカにある年金とかあるいは保険会社に、こういうふうに不動産投資したらいいですよというアドバイスが行われて、そしてそこに資金が振り向けられる。  ところが、日本の場合は、年金や保険のお金個人の現金,預金のところはもちろんですけれども、何人が預けて、そして、それが膨大な金額になっている年金やあるいは保険というものから、日本の国内に対する株式投資もさっき言ったように減っているし、もう不動産投資なんて問題外で全然行かない。せっかくお金があるのに、そのお金を串本では活用できないんですね。もしこういうお金を株式市場だけじゃなくて不動産市場に活用することができれば、今の地価の問題もかなり早く解決のめどが立つ、そういうふうに思うのですが、しかし資金の面からこれはできない。  では、なぜかという話になって、やはり少しずうそういうものができるようにしていかなきゃいけない。特に、せっかくこの不動産特定共同事業法をつくつたわけですから、この不動産特定共同事業にそういうお金が入るような仕組みにどうしてできないんだろうかなと私はずっと思っているんですが、そういう仕組みになっていない。  特に簡保とか年金基金の問題があるわけですけれども、簡保なんというのは自主運用をすると言ってやっているわけですが、あるいは年金も自主運用すると言ってやっているし、将来的にはどんどんそれが、もう自主運用ばかりになっていって財投は消えるということになるんじゃないかなと思ったりもしていますが、いずれにしても、そういう自主運用をやるときに、この不動産特定共同事業にどうして振り向けることができないんだろうか。簡保資金をこの不動産特定共同事業に振り向けることができないのか、あるいは簡保の不動産投資について、直接の不助産投資もありますし、この共同事業を通じた不動産融資事業、こういうものに対してどうしてできないんだろうか、この点、郵政省はいかがですか。
  50. 蝶野光

    蝶野説明員 簡易保険の不動産に対する投資についての御質問でございましたが、簡易生命保険の杖立金の運用につきましては、その運用に関する法律というものがございます。その中で、確実、有利、なおかつ公共の利益という三つの原則に基づいて運用しなさいという形が決めてございます。  さらに、個別の運用方法につきましても具体的に決められておりますところでございまして、現在、国債、地方債等の債券への運用でございますとか、地方公共団体や財政投融資機関、いわゆる財投機関への貸し付けなどを行わせていただいているところでございます。  不動産への運用につきましても、私ども予算要求をさせていただいたり、政府部内で検討をさせていただいたことはございます。その中で、さまざまなお考えがございまして、現時点といたしましては、簡保資金としてそういう意味での不動産運用について結論が得られていないというところでございます。  郵政省といたしましても、簡保資金不動産投資していく、運用していくということにつきましては、今後とも財政当局とも十分慎重に検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  51. 山本幸三

    山本(幸)委員 簡保資金は、外債は投資していますか。
  52. 蝶野光

    蝶野説明員 外国債に対して投資いたしております。
  53. 山本幸三

    山本(幸)委員 外債の投資とこの不動産特定共同事業における投資と、一体どっちがリスクがないか。明らかに外債の方が大きいと私は思いますね。外使に投資して、最後のその一日に円が百二十五円から百十円になっただけで、金利が五、六%違っていたって、あっという間に一日で吹っ飛んじゃうわけですね。  それに対して、この不動産特定共同事業というのは、さっき示されたように四%保証されるような投資なんです、今。あるいは場合によってはもう六%を上がるような投資なんです。しかも、これは日本の国内で、行けばそこにあるよ、こういうプロジェクトだね、これほどの程度売れるかというのはプロならわかる。そのリスクと、何が起こるかわからないという外債のリスクとを比べてみたら、どっちが確実か。明らかに私はこの不動産特定共同事業の方が確実だと思いますけれども、この点は、大蔵省がうんと言わないからそういうことができないということなんですか。
  54. 蝶野光

    蝶野説明員 先ほどもお答えいたしましたように、政府部内でさまざまな御意見をいただいておりまして、その中でまだ調整ができていないということでございます。  先生御指摘のような形で、長期的な観点でそれなりの安定的な収入が確保できるのじゃないかというふうな御意見ももちろんございますし、過去数年間の経験の結果、価格変動リスクが大きくて、運用対象として慎重であるべきじゃないかというふうなお考え、さらに、国が直接運用対象といたしますにつきましては、現在の財政法の体系を含めて、不動産投資対象としてやりていけるのだろうかなというふうな制度的な問題、さらに、簡保資金をこういう分野に導入をさせていただきました結果、経済的な効果が期待できるのかできないのか等々、さまざまな論点で現在検討させていただいておりまして、まだそういう意味で結論が得られていないという現状でございます。
  55. 山本幸三

    山本(幸)委員 だって、財投の預託金利、今幾らですか。
  56. 蝶野光

    蝶野説明員 現在の財政投激賞関係の預託金利につきましては、七年以上ということで二・七%でございます。
  57. 山本幸三

    山本(幸)委員 財投に出して二・七%で不動産特定共同事業に出したら四%保証されるんですよ。どっちが確実で有利ですか。明らかにこっちの方が有利じゃないかと思いますけれども、どうしてこれができないのかよくわからない。大蔵省は担当者がいないのかな。まさにこういうことが日本の不動産市場に対してお金が回らない最大の問題なんですね  大蔵省はどうしてこんなことをストップかけているのか、よくわかりませんけれども、きょうは主税局税制一課長来ていますから、ぜひ理財局に言っておいてください。きょうはちょっとお呼びしていなかったので、いずれまた機会があれば大にやらせていただきたいと思いますので、そういうわけのわからない非合理なことを考えちゃだめだ。有利で確実というのは、まさにこっちの方が有利で確実じゃないかということははっきりわかっているわけです。財投に預託するよりこっちの方が確実なんですよ。ぜひそういうことを大いにやってもらいたい。  同じように年金基金、これは五・三・三・二とかいろいろ規制があったのですが、規制緩和の流れがあると聞いていますが、年金の方も個人から集めてきて、それを二・七%の財投に運用するぐらいだ。たら、これに運用した方がよっぽど年金受給者のためになるんじゃないかというように思いますけれども、厚生省いかがですか。
  58. 塩田幸雄

    ○塩田説明員 公的年金の積立金の自主運用につきましては年金福祉事業団が行っているところでございまして、年金福祉事業団は、実際の運用は、生命保険会社とか信託銀行に委託して行っているわけでございます。その一環として、制度としては不動産投資することは可能であろうかと思いますけれども、先ほど来議論がありますように、価格変動が大きいこととか、あるいはリスクとリタトンの関係が必ずしも明らかじゃない、あるいは流動性が乏しいというような理由から、現在は行っていないところでございます。  年金資金あるいは年金積立金の運用につきましては、年金加入者のためにできるだけ有利に運用するということが私どもの使命であろうと思っております。その観点から現在、年金積立金はすべて資金運用部に預託するという形で運用し、その資金を借りて年金福祉事業団が運用するという仕組みになっておりますけれども、このような仕組みが年金保険者としての責任を果たす運用であるのかどうか、私どもも真剣に検討しているところでございます。  今後、年金積立金の運用、全体の見直しの議論の一環の中で御指摘の問題も検討させていただきたいと思います。
  59. 山本幸三

    山本(幸)委員 年金運用リスク・リターンの関係は明らかでないと言うけれども、今私が示したように、これほどリスク・リターンの関係が明らかなやつはないのですね。リスクはないんです。保証してくれている。しかも、リターンは高い。財投に回すより一・三%高い。  どうして年金受給者のためにそういう有利な、しかも確実な運用をしないのか。これはやはりむしろ年金を払っている人に対してはちゃんとその責任を果たしていないのじゃないかなという気がいたします。これから検討するということですから、いつごろまでに結論が出るのですか。
  60. 塩田幸雄

    ○塩田説明員 公的年金資金運用の全体の見直しにつきましては、平成十一年に次期の年金制度改正が予定されておりまして、それまでの間にそのあり方について検討し、結論を得るということで作業を進めております。その一環として検討させていただきたいと思います。
  61. 山本幸三

    山本(幸)委員 平成十一年度ということですから、ちょっとまだ先のような感じがしてならないのですが、大蔵省も厚生省も郵政省も、先ほど私が示したように、日本経済の大きな問題というのは、お金があるのにかかわらず、それが国内の必要なところに回っていないということなんですね。これをちゃんとやることを早く考えないと、日本経済は回復なんかしませんよ。これは、僕は別に不動産業界、建設業界の利益を代弁しようと思って言っているのじゃないので、日本経済が早く回復しなければ税収なんて上がりませんよ。そのためには、これは十一年度まで待っているような問題じゃないと思うのですね、本当は。  これは本当に,政府が三月の末に出したやつがあるわけですから、せめてこの夏ぐらいまでに検討して、そういうお金がせっかくそこに集まっている、いまだにそこにどんどんふえている、しかし、それがどこに行っているかといったら、海外に行っているのですよ、みんな。しかも、それがリスクがないかといったら、リスクはある。非常に大きい。一たん為替レートが変わったら、かつて生命保険会社が大損したように全然吹っ飛んでしまう。  それに比べると、これは吹っ飛ぶおそれがない。ぜひそういうことを大蔵省、厚生省、郵政省考えてもらって、建設省もぜひ働きかけて、せっかくこの特定共同事業をつくってやるのですから、大いにそういうお金が回るような仕組みとして育てていただきたい、そういうふうに思います。ぜひよろしくお願いします。建設大臣、ぜひ。
  62. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほどからの委員の御質問をお聞きしておりまして、我が国の経済をどう活性化をしていくかという視点からいいましても、極めて貴重な御意見をいただいておるというように私は聞いておりました。  ただ、日本の場合、例のバブルの発生、崩壊という大きな傷跡を残す中で、不動産投資について、これが一時はバブルをあおる、またその後は、それをやることが極めて危険だというような、そうした一面的な理解とか雰囲気が現在もなお色濃く残っておるのではないかと思います。それと、やはりアメリカあたりは土地について、ガラス玉とは言いませんけれども、日本のようにダイヤモンドを扱うようには扱わない。土地に対する感覚的な違いもあろうかと私は思います。  しかし、委員が御指摘のように、不動産投資、我が国の土地に対する投資でありますし、また今問題は、土地を動かす、いわゆる転売等していく流動化、その中で利益を上げていくということではありませんので、そうじゃなくて、付加価値をつけていくという利用、土地を利用する中で付加価値をつけていくということに今政府自体も転換をしておるわけでありますから、その点について利益を出すことについて厚生省や郵政省が着目をして、資金をどんどんつぎ込んでいくということは、委員指摘のとおりに、何ら私は問題のあることではない。外債をどんどん買う、そういうリスク面を含めて、そういうことよりも我が国経済に対して寄与する点は多大であろうと思います。  今厚生省が十一年と言っていたね。だれがそんなことを言ったの。私が逆に政府に質問してはいかぬけれども、今行財政改革をやるということを橋本政権は宣言をしておるわけでありまして、財政再建法案も六月には準備をしていくということであります。平成十年の通常国会には行政改革の法案も提出をしていくということでありますから、そうした年金あるいは簡保の資金運用について、その後の十一年までに結論を出すなんて、これはちょっとずれているんじゃないの。小泉大臣に私はこの点を確かめたい、このように思います。建設省立場から、委員指摘のように、それは推進をしてまいりたいと思っております。
  63. 山本幸三

    山本(幸)委員 大変積極的な姿勢でありがたいと思います。大いに建設省から厚生省、郵政省、大蔵省を含めて働きかけていただいて、そしてまた、この特定共同事業がそういう意味で国民のよき投資対象として育っていくというようにお願いしたいと思います。建設大臣の前向きな姿勢に敬意を表し、ぜひよろしくお願いします。  ちょっと問題を日本の不動産あるいは不良債権の問題に変えたいと思いますけれども不動産の流動化が進まなければ、日本経済の回復というのは本当はあり得ない、これは先ほど指摘したとおりだと私はずっと思っています。一部の企業は、製造業は確かによくなっているかもしれませんけれども、それがすそ野が広がるような形にどうしてならないかというと、この不良債権という問題ががっちりと日本経済に組み込まれていて、ここが全然動かないから、何をやったって、あるいは少々いいところが出てきたって動かない。  この不動産の流動化策というのは、私は基本的には四つの対策を考えなければいけないと思いますけれども一つは税制ですね。二つ目が、従来のやり方の中で改善できるところを改善していく。三番目が、私は、この不動産特定共同事業というのは大いに役割を果たす可能性がある、その役割を担ってほしい、そういうものに資金を集めて開発するという役割を担ってほしいというふうに思っています。四番目に、これとも関係しますけれども、新たな資金を投入していくという形で不動産の流動化をしなければいかぬ。  もう既に幾つかの問題点については申し上げましたけれども、ひとつ在来的な方法の改善策というもので幾つかあるのですが、例えば競売制度をちゃんと改善しないといかぬ。  日本の場合、今は不良債権が、処分したいと思ってもなかなかその競売が進まない。裁判所の方からもらった資料によりますと、平成四年ぐらいでは東京地裁で不動産の平均処理期間というのは十二・五カ月ぐらいだったのですが、昨年の平成七年にはこれが二十六・四カ月、二倍以上の時間がかかるようになってしまった。  いろいろそれなりに努力はしてもらっているのです。執行官の数もふえていますが、しかし、そのふえ方も、東京地裁だと、平成四年二十七人が平成八年に三十五人になったということですが、実務的なそういう業界の人に聞きますと、もう手いっぱいで、実際に現地に行って所有者に会ってどういうものかというのをチェックすることもなかなかできないぐらいだ、たくさんだまってしまって、努力はしているけれども進まない、また、不動産市況状況もあってなかなか売れない、その結果、平均処理期間がこんなふうに長くなってしまっているということです。  そういう中で、業界の人から聞きますと、うまくいかない最大の問題は、最低落札価格というのを決めてやるのですが、時間がたりていくものだから、だんだん実際の時価が下がってしまつて、いざ売るときにはその最低落札価格が実態よりも高過ぎるもの確から売れない。それを繰り返してるということがあって、この最低落札価格というのはやめてしまったらどうだ。もうそういうものを、不動産を出したらそのときに市場が決める値段で売れればいいではないか、アメリカなんかはそうやったわけですね、そういうふうに思うのですけれども、これは何か不動産執行法で決められているというように仄聞しているのですが、これをやめるということはできないのでしょうか。法務省、いかがですか。
  64. 柳田幸三

    ○柳田政府委員 委員指摘のように、民事執行法六十条で最低売却価額の制度が定められておりまして、「執行裁判所は、評価人の評価に基づいて最低売却価額を定めなければならない。」ということになっておりまして、不動産の競売におきましては、この最低売却価額を下回る価額での売却は許されないということになっております。  これは、競売不動産が不相当に低い価額で売却されるということを認めますと、一方で、その債権者の債権回収は不十分になるということになりますし、それから、不動産の所有者である債務者にとってもその利益が害されるという結果になりますので、このような事態を防止するために設けられている制度でございます。  この最低売却価額の制度は、適正な価額による売却を実現するということを目的として設けられているものでございまして、競売手続が、債務者から売却権限を奪いまして強制的に国家の手によって換価をするという手続であることにかんがみますと、この制度をやめてしまうということは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
  65. 山本幸三

    山本(幸)委員 その不動産の価格は一体だれが決めるのですか、その評価人が決めた価格というのが本当に適正な価格だと言えるのですか。価格というのは、私は経済学を勉強したが、需要と供給で決まるのだから、買いたいという人が決めるのじゃないですか。
  66. 柳田幸三

    ○柳田政府委員 この最低売却価額は、評価人の評価に基づいて決定されるということになっているわけでございます。ただ、競売の制度は、通常は期間入札という形で行われているわけですけれども、これは、入札する側の適正な競争によって適正な価額による落札がされる、そういうことを期待しているわけでございますが、これは必ずしもそういった適正な競争がされるとは限らないわけでございます。  例えば、一人しか入札者がいないということになりますと、極端に言いますと、この最低売却価額の制度がございませんと一円でも落札が認められてしまうという結果になりまして、公の制度としては適切でないということになってしまうおそれがあるわけでございます、
  67. 山本幸三

    山本(幸)委員 それは伺っているのですね。問題は、最低価額制度というのではなくて、そういう市場のすそ野が広くなるように努力をすることが一番大事なのではないかなというように思うのですね。たった一人とかが落札するような状況をつくってしまうと勝手な値段でするかもしれませんけれども不動産を買いたいという人が市場参加者としてたくさんいればそういう問題はなくなるのです。  だから、市場をつくるという努力さえすれば、これは経済原則で解決できるので、この最低価額がないとだめだというのはいかにも経済原則を無視したようなことで、本来のやるべきことをやってないで、そして結局、処理がどんどんおくれるという弊害を招いているというふうに思いますけれども、いかがですか。
  68. 柳田幸三

    ○柳田政府委員 この最低売却価額は、一たん定めた後でございましても、民事執行法の六十条の二項によりまして、執行裁判所は、必要があると認めるときはこれを変更することができるということになっているわけでございます。何回か売却を実施しても買い受け人があらわれないということがその最低売却価額が適正でないということに起因するものであるならば、それは執行裁判所としては、再度この六十条二項の規定を適用しまして適正な価額にこれを改めるということが可能となっているわけでございまして、恐らく、執行裁判所としてもそのようなことで適切に対処されるということになるのではないかと思います。
  69. 山本幸三

    山本(幸)委員 うまくいかなければ変えることができるというのは、結局、買い手が出るところに合わせていくわけですね。そうでない限り取引は成立しない。  だから、私はまだ納得できないのですが、やるべきことは、そういう競売市場というものを本当の不動産市場というものにちゃんと乗せていく。そのためには、建設省なりも大いに協力してもらって、不動産業界とタイアップして、その市場がうまく機能するように、市場に変なことが起こらないようにするということは、これはどの市場でも、証券市場でもそうですけれども、そこで暴力団が介入するとか、そういうことがあれば厳罰で対処すればいいので、むしろ市場機能というものをよりつくるということの方が先決で、その努力をしないでおいてこの最低売却価額制度というのだけを維持していくというのは、どうも経済原則からいって納得できない。  これ以上これはやりませんけれども、また少し事例をそろえていずれかの機会にやりたいと思いますが、少し裁判所も法務省も、経済原理と全然別のところで動いているわけではないのですから、そういう問題を問題意識として持って、今後検討していただきたいと思います。  それからもう一つ、従来の制度で、そういう不動産を流動化するということのネックになっているというのが国有財産の取り扱いなんですが、国有財産で物納物件というのはたくさん上がっている。大体小さいものが多くて、あるいは虫食い状態のものが多いわけですが、これを売るときに、そういう小さいのとか虫食いとかいうのがあってなかなか売れないのです。これも、関係者から言わせると、そういうものを売ろうとしたら、やはりいいものと組み合わせて、あるいは複数のものとまとめて幾らという形でないと絶対に売れませんよと、いいものはすぐそれだけで売れていくわけですから。しかし、それだけやっていたらどんどん小口の悪いものが残っていく、そのことが競売がどんどんおくれていっているということにつながっているわけですね。  したがって、この国有財産のまとめ売り、これを認めてやらないと、今でもどんどんふえている物納物件の処理というのは恐らくできないのじゃないかと思いますけれども、私の聞いているところでは、根拠法でそれができないんだということなんですが、その辺の実情と、これを、まとめ売りを認めるということができないのかどうか、大蔵省、いかがですか。
  70. 山添和雄

    ○山添説明員 一点、先生の御指摘の中で、国有財産、物納財産の状況でございますけれども、毎年二千件ないし三千件のいわゆる更地、未利用地が入ってきております。  それで、現在、平成七年度末におきまして、未利用地の保有状況は七千七百六十四件、国有財産台帳価格で申しますと九千八百六億円になっております。この土地につきましては二つの方法で売っておりまして、その前に、先生御指摘のとおり、そのうち、七千七百六十四件のうち、三百平方メートル以下の小規模な物件が約三六%を占めており、ます。さらに、三百平米から五百平米までのものが二二%ということで、大半が小規模な物件でございます。  このような小規模な物件につきましては、もともと相続税物納という、個人が利用されていたものでございますので、国有財産の処理の原則、公用、公共用に適するものについては国または地方公共団体にすべて情報を提供いたしまして、使っていただけるものについては使っていただくことになっておりますけれども、何分にも小規模なものが多いということで、基本的には三百平米以下の宅地につきましては、価格公示売却と申しまして、定価を示して応募者を募って、応募者が多い場合には抽せんでお売りする。  それから、それ以外のものにつきましては一般競争入札ということで売っておりまして、現在、年間約二千五百件程度の売却を実施しておりまして、一般競争入札の場合ですと八〇%強の成約率、それから、先ほども申しました価格公示売却でございますと八割の成約率を維持しておりまして、以前、成約率が、平成七年あるいは六年は、もう少しといいますか、六割台の時期もあったわけでございますけれども、最近は、PR等に努めまして非常によく売れているという実情でございます。  ただ、売れやすいものから売っておるという関係がございまして、今後、なかなか売りづらい物件がストックとしてはたまってきておりますので、それについてはいろいろな、分筆するとかあるいは何らかの手を加えるとか、売れやすいような工夫を今考えているというところでございます。  それから、一緒に売るということにつきましては、それぞれの物件につきまして、今のところ一般競争入札あるいは価格公示売却で八割を超える成約に至っておりますので、一緒に売るといいますか、今のところの扱いですと個々の物件ごとに入札ということになりますので、入札に参加していただいて最高価格をつけていただいた方にお売りするということになっておりますので、今のところ、一緒にあわせて売るということは考えておりません。
  71. 亀井静香

    亀井国務大臣 今委員の御指摘の問題については、最近、物納が大変ふえておるような状況でございまして、そうした虫食い状態で点在する国有地が有効に利用されていないという状況、実は先日、大蔵大臣、国土庁長官、私と、土地の有効利用について今後どうするかということを協議をいたしましたときの一つの大きなテーマでございまして、これについては、このたび土地区画整理法の適用等について要件緩和等の措置建設省は進めておりますけれども、それと御承知の容積率の緩和等を含めて土地の高度有効利用ができる、しかも土地の集積等も行うという思い切った政策を実施をしておりますが、それとの関係で、大蔵大臣も、今後そうしたものを交換分合その他含めまして、できれば住都公団あたりも出動させまして、委員指摘のようなことにこの際積極的に取り組んでいこうという基本的合意に三大臣で達しておりますので、この点を御説明申し上げたいと思います。
  72. 山本幸三

    山本(幸)委員 その点は大いに結構なことで、やっていただきたいと思いますが、ちょっと心配するのは、そういう公共用地用に使えるようなものだったらいいのです。ただ、それにも達しないような小さいものが多いのですね。ここのところが、どう処理するかというのが恐らく最後に残ってくる問題だと思うので、これはやはり知恵を働かせないとできない話なので、これは大蔵省、もう絶対やらないということなんですか、それとも検討する可能性はあるんですか。これは本当にやらなかったら残ったままずっとたまっていくのじゃないかと思いますけれども、その点いかがですか。
  73. 山添和雄

    ○山添説明員 現在のところ八割を超える成約率ということで売れておりますので、売れづらい物件とあわせて売るということは今のところは考えておりませんけれども、今後の問題としまして、先ほど申しましたように売りづらい物件についてどういうふうな処理をするかということを部内でも検討しておりますので、委員の御指摘に対しましては考えてみたいと考えております。
  74. 山本幸三

    山本(幸)委員 それも平成十一年度とかいうようなことがないように、建設大臣が言われたように、せめてことしじゅうぐらいには前向きの結論が出るようにぜひやっていただきたいと思います。  それから、不良債権の問題で、私は従来からずっと主張しているのですけれども、世に言われているのは、不良債権問題というので銀行が大変困っていて、これについてはいろいろなことをやってそれなりの処理ができつつある。  先日も、政府が発表した担保不動産等流動化総合対策、これを見ましても、結局これは、先ほどのSPCに対する税制問題とかが解決しないと動かないと思いますけれども、そういうものがもし解決したとしても、どの人たちが利益を享受するかというと、これは担保不動産つきの債権を持っている金融機関ですね。そういう金融機関がそういうものをSPC、特別目的会社譲渡したりして自分のところの債権、不良債権というものを減らすことができる。あるいは証券化というのもそうですね。そういう債権を持っている人が証券化によって自分のバランスシートから落とすことができる。  したがって、この対策を見ても、恐らくどの経済の部門に利益が生ずるかというと、これはまさに金融機関、そういう不良債権、担保不動産を持っている金融機関が荷が軽くなるような対策であるなという気がするのですね。  それは大いにまた結構なことなんですが、しかし私は、基本的に銀行の負担が少なくなれば日本経済はよくなるかというと、そう思いません。銀行というのは金融仲介機構ですから、少なくとも貸し付けの収益を得て預金者に対して預金利息を払えればそれ以上もうける必要はないのですね。ここが幾らもうけたって、日本経済自体がよくなるわけじゃない。  問題は、その銀行から融資を受けている、実際に日本経済を動かしている部門、この部門が本当によくならないと日本経済はよくならない。その部門というのは、まさに不動産業界であり、建設業界である。この点を私は予算委員会で大臣にも御質問させていただいて、大臣からも前向きの御返答をいただきましたけれども、要するに、建設業界不動産業界、七百万人従事している。家族を合わせると大体二千五百万人、日本人の五人に一人は何らかの形でこの業界関係している。  ところが、この業界がまさにどっぷりと借金の大きな負担にあえいでいる。ここは全然解決していない。この業界の借入金というのは、今GDPの大体二五、六%分ぐらいあります。今低金利だからまだいいけれども、これは金利が上がってくると大変なことになる。  しかも、この業界は、そういうふうに借入金であえいでいますから、なかなか新しいことができない。新しいことをやるためにはニューマネーが必要なんですが、それがなかなか得られない。自分で得られないから、少し得られやすくしてやろうというのがこの不動産特定共同事業法一つのねらいでもあると思うのですけれども、しかし、それにしても、本当にこの業界がしっかりとやる気が起こるようにできないと、本当に土地は動かないし、日本経済はよくならない。  ところが、そのための方策というのはちっとも出てこないのですね。これはいろいろな不動産流動化策とか出てきますけれども、よく読んでみると、銀行の方は、債権を持っている方は得するけれども、債務を持っている方は得しない。もし、唯一この対策で債務者が得をするということがあるとすれば、公的資金でその債務者が持っている担保の土地を簿価で買ってやるということがあれば、確かにその債務者は買ってもらった値段で銀行に借金を返せますからいいのですが、恐らく公的資金でそういうものを買うといったときに時価で買わざるを得ないと思いますね。簿価で買うということは考えていないと思います。  ちょっとこれは確認させてもらっていいですか。公的資金でそういう担保不動産を買うときには簿価で買うのですかね、時価で買うのですかね。
  75. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 担保不動産を実際に売買する場合には、原則的には簿価ではなくて時価で売買せざるを得ないのではないかと考えております。
  76. 山本幸三

    山本(幸)委員 そうですね。そうだとすると、結局こういういろいろな対策はどうも一番困っているところの救済にはなかなかなりにくいのじゃないかというふうに思いますね。  例えば、昔百億円で借金した。今その時価が三十億になった。銀行から返せと言われるけれども、処分して返せと言われるけれども、処分して三十億の金ができて返しても残りの七十億の借金は依然として残るから、そんなばかなことをしたってしようがないというので、じっと何もしないでいるというのが現状だと思うのですね。  これを解決するためには、銀行がその七十億の債権を放棄してやるしかないのですね一その放棄をするときに、特定目的会社とかをつくって、そしてそこに移したときにその差額の分は銀行が放棄してやりますよということがあれば、本当に債務者のところの負担がなくなって、元気が出てきて、動き出して、そして土地が動き出すと思うのですけれども、それがない限り、銀行のバランスシートがよくなるようなことだけやっていても経済の実体はよくならないのじゃないかというふうに思うのですね。この点は、かなりめちゃくちゃといえばめちゃくちゃな政策なんですね。  しかし、かつて造船がだめになり、あるいは繊維がだめになり、石炭がだめになったときには、それなりにやはり業界を救うためにかなり思い切った対策を打ってきた。私は、それに値するぐらいの被害がこの業界に出ているというふうに認識していて、ここのGDPの二六%に値するような借入金の問題というのを解決していかないと、経済は決して動き出さない、そういうふうに思うのですけれども、私はこの点、建設省、ぜひそういう問題意識で大蔵省とやってもらいたい。  ただ、問題は、これをやるときに税制上の問題が出てくるのですね。銀行は一、二の特別な銀行を除いては業務純益が物すごく上がっていますから、これはやろうと思えば処理していくことはできる。本来、業務純益をこれだけ上げさせているというのは、その処理をさせなければいけない、そのために上げさせているのですね。しかし、そうしていない。そうなっていない。一方、債務者の方は全然変わらない。  銀行は、業務純益は物すごく上げさせてもらうという、低金利政策をとって純益を上げながら、本来は、その業務純益を使って不動産業界なり建設業界に乗り込んでいって、リストラをして、だめなものはだめ、いいものはいいと残して、担保の土地は処分してという努力を各銀行が必死の思いでやって、そこから動き出すのですけれども、その努力を一切しない。  机の上に座って、買取機構にバランスシート上債権を移して、あるいは債権償却特別勘定に引当金を積んでバランスシート上の処理だけをやって、しかもその処理が無税償却を認められている。銀行は、ただ机の上に座って、何も努力しないで無税の恩恵を受けているわけですね。この数年間で十兆円以上の無税償却がありましたから、半分、五兆円以上は国民の税金がそこに使われている。本来払うべき税金を銀行は払っていない。それでいて実体経済は何も動かないというおかしなことになっているわけですね。  ところが、その債権放棄をやろうと思ってすると、相手がつぶれてしまえば簡単にできますけれども、相手が上場企業で生き残っている場合にはこれはなかなか難しい。もしそれをやると、銀行は寄附金の問題が出てくる。あるいは、不動産業者の方は特別利益の問題が出てくる。そして、無税償却できないという問題が出てくる。  この税制上の問題を解決していかないとこれはできないのですが、しかし、これをやらないと、私は、これから経済が少しずつよくなったといったって、決して生き生きとした日本経済になると思わないですね。この問題意識をずっと前から持って何度も指摘しているのですが、建設省として、大蔵省に不退転の気持ちで申し入れる気持ちはありませんか。
  77. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員指摘の問題は、極めて当を得ている面が私は多いというふうに考えております。  このたびのブラックホールの解消を含めて、金融秩序の正常化、健全化についての動きの中で、議員御指摘のように、銀行への預金者あるいは農協への預金者、そういうものを保護する、これは当然の話でありますが、そこの視点からのやはり処理という傾向が非常に強い、これはある面では当然であります。  一方、いわゆるこの御指摘のような、建設業界を初めとする銀行から金を借りておる債務者、これについて銀行が全部債務免除するのかどうか。ドラスチックなことを含めて、そういうことについての救助策というのが事実上なされていないことは私は事実だと思います。  しかも建設業、御承知のように、二〇%近くの雇用面での大変な比率を占めてもおるわけでありますから、そのあたりが依然として立ち上がれない状況が国民経済に大きな影響を与えていることは事実だと思うのです。  そういう意味では、委員指摘のように、〇・五%という史上空前の、私は、これは銀行に対する補助金を出していると言ってもいい面があろうかと思います。  そういう大きな支援を受ける中で、自分たちだけが立ち直るということじゃなくて、そうした建設業初め融資先に対して、もっともっと社会的責任を自覚したビヘービアが必要であろうと思いますが、残念ながら、現在の金融界というのは、天気のときはどんどん傘を貸せるということで、どんどん押しつけ融資みたいなことまでやって、いざおかしくなると、雨が降り出すと傘を取り上げるという、私は、極めて社会的責任を感じないビヘービアが一般化してきておるということを非常に残念に思うわけでありまして、大蔵省、担当者が来ておらぬかもしれませんが、大蔵省も自分の監督下といいますか、自分の縄張りの中にある銀行については、いろいろな形で面倒を見るわけでありますけれども、それ以外のところに対して、銀行に対してきっちりとした行政指導をやるというようなことを、私は、今大蔵省は十分やっておるとは思えないわけでありまして、何のための銀行局かと言われても、私は仕方がない面があろうかと思います。  そういう意味では、大蔵省が行政指導という観点でも思い切って、委員おっしゃられますようなことについての努力を私はしてもらいたい。このようにかねがねも言っておりますが、今後とも言ってまいりたいと思います。
  78. 山本幸三

    山本(幸)委員 建設大臣の積極的な姿勢に大変敬意を表して、ぜひ、政府部内でこういう方向が出るようによろしくお願いしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  79. 市川雄一

    市川委員長 次回は、来る十六日水曜日正午理事会、午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時一分散会