○小
鷲政府委員 ただいま御
指摘ありましたように、さまざまな面につきまして、実態にそぐわない点があるのではないかという御
指摘でございまして、私
どもでも実は同様の認識を持っております。
ただいま御
指摘いただきました各項目は、すべてが
法律事項ということにはなつておりませんで、
制度上では、
政令事項、
省令事項あるいは
通達事項と多岐にわたる形で現在
運用が実行されておるわけでございますがそれぞれにつきまして、基本的に言いますると、
必要最小限度のことに限定しなうじゃないかという方針で
政令以下の見直しを行うつもりでございます。
個別にお話がございましたので、それぞれ個別にお答えをさせていただきたいと思います。
まず
最初の、
通常の
金銭債権の場合には
一般性があるので
約款になじみやすいけれ
ども、
不動産の場合には
個別性が強いので、
約款で一義的に決めるというのは無理があるのではないかということでございますが、まさにそのとおりでございます。
したがいまして、この点につきましても、先ほど言いましたように、
必要最小限度のものだけを
約款に書いていただきまして、その他の
個別性のあるものにつきましては、個別の
契約書によってある
程度自由に
変更できる、弾力的に対応できるという姿に変えたいと思っております。このためには
施行親則の
改正が必要でございますので、この
法律の
改正にあわせて
改正をさせていただきたいと存じております。
それから、二番目におっしゃいました
一体性の問題でございます。従来は、
一つの
特定共同事業は
一つの
不動産を
対象として行う、こういう
仕組みになっておりますが、今後は、
幾つかの複数の物件を
一つの
投資対象として
事業運営できるようにしたいと
考えております。
それとあわせて、
不動産特定性がこれと裏腹の制約としてございます。あらかじめ、どこの
不動産に
投資するかということを
約款にうたわなければいけない。そこが、
個別性のある話でございますので非常に難しいわけでございます。例えば、再
開発を実施いたしますると予定をいたしました
地番が、分筆、
合筆、そういった作業を行いますことによりまして変化せざるを得ないような
事情がございます。
これまでは、言ってみれば形式的な
変更なのでございますが、
現行法では、
特定した
地番が変わるということによりまして、
定款の
変更というのが一々必要になってくるという大変不便な
仕組みになってございますので、そういう不必要な部分については、今後、義務的な
定款事項としては省く、必要に応じて必要な範囲で
契約上うたえばよろしいではないかというふうに変えたいと思っています。これは、
規則に基づく
運用通達を
改正すればできることでございます。
それから第三点でございますが、
地位の
譲渡でございます。
この点につきましては、当初の立法のときにも大変大きな議論をしたわけでございますが、基本的には、
地位の
譲渡といいますのは単なる
金銭債権上の
地位というものばかりではございませんでして、物によっては、
組合活動に参加する、そういう
地位も含むわけでございますので、そういう
意味では、
特定事業を経営する
事業主にとってみますると、ある
程度信頼できる
事業参加者でなければ困るのじゃないかという
心配もございます。したがいまして、転々
譲渡してだれが
参加者かわからないような
状況になるのは困るなという
心配も一部ございます。
もっとも、そういう
心配はないんだと言う
業界の方もいらっしゃいまして、実は、この辺につきましては
業界サイドの意見も若干割れておるところがございますが、一般的には、おっしゃるように、この
制度の
趣旨からすれば、なるべ
ぐ流通性を持つことが望ましいというふうに
考えておる次第でございます。
したがいまして、この点につきましては、直接
譲渡性を持たせる、
譲渡という形での
流通性を持たせるということにはなりませんけれ
ども、実はそのほかに、やや間接的な
方法でございますが、一
たん契約を解除しまして、その
地位を
事業主に戻し、買い取ってもらう、それをまた再度
事業主が
第三者に転売をする、こういうことによって、間接的ではございますが、
譲渡が実現できるわけでございますので、当面はその
方法を拡大するということを
考えてまいりたいというふうに思っております。
現在、
組合から脱退をして、売って次の人に渡すという、いわゆる
バトンタッチ方式でございますが、これにつきましてもかなり厳しい
制限を置いておるわけでございますが、この際、この
制限を
緩和をいたしたいというふうに
考えております。これは、
関係する
省庁もございますけれ
ども、現在相当いろいろ御相談を申し上げ、一年
程度そこで円満に
事業活動をしていただければ、
事業主が買い取って、さらに
第三者に転売するという道を大きく開けるようにいたしたいというふうに
考えておる次第でございます。
それから第四点の、
出資単位が非常に大きな額であるので
投資する人が限定をされるんではないか、これがこの
事業を一般化する妨げになっているんではないかということでございます。
御参考までに、
現行制度、御承知と思いますが申し上げますと、
現物出資でありますると五百万円が
最低単位でございます。それから
金銭でありますると一億円という大変高い額でございます。もっとも、
不動産特定事業を営む
会社が
資本金十億円以上の大
会社であります場合には一千万円まで
最低投資単位を落とすことができる、こういうことになっております。つまり、しっかりした
事業者であれば、割合小口の人が参加してもらっても
リスクが少ないであろう、こういう
趣旨で、こういう
仕組みにいたしておるわけでございます。
それにしても、一千万円というのは高過ぎるんではないか。海外の、
不動産に対する
投資制度を見ますると、数万円
単位で
投資ができるという例もございます。そういうものと比較いたしまするとまだ高いんではないかということが言われておりますが、実は
現行制度は、
不動産に対する
一つの
投資形態ではございますが、類似の、他のいろんな
投資類型があるわけでございます。
商品ファンド法に基づくいわゆる
商品投資、そのほか
債券投資、いろいろな
投資形態があるわけでございますが、その
ロットにつきましては、全体としての
バランスということを
考えざるを得ないわけでございますので、そういうものを勘案した結果、ただいま申し上げました
現行の姿になっておるわけでございます。
現在、いろんな
投資形態を共通して
投資単位を引き下げる必要があるんではないか、
一種の
規制緩和としてそういうことを
考える必要があるんではないかということで、
方向性については
関係各
省庁足並みがそろっておりますので、私
どもとしてはそういう
方向で歩みを進めてまいりたいというふうに
考えているのです。ただ、これは私
どもだけで判断し切れるという問題ではございませんけれ
ども、
方向としては確実にそっちの方へ行けるというふうな見通しを持っておりますので、ぜひ努力いたしたいと
考えております。
それから第五点でございますが、
投資する
対象がはっきり決まらないと
お金が集められない、とにかく
お金を集めてこれからやろう、そういうやり方ができない、非常に不便ではないかと。
確かにある
意味では不便な面がございますが、もともとこの
事業は、
投資家を保護するというところからスタートいたしましたわけでございますので、
一種の、あらかじめ
情報開示するということが大事だという
仕組みになっております。いろんな
側面で
事業者は
情報を開示すべし、
事業直前、
事業前、あるいは
事業が始まっても、あるいは
事業が終わっても、きちっと
情報を開示しろということが
一つの共通する
考え方になっておるわけでございます。
そういう
立場からいたしますると、何に
投資するかあらかじめ
特定せずに
お金を集めるというのはどんなものかということでございまして、
現行制度はどうなっているかといいますると、
土地については
地番まで書かせる、上物については
建築確認がおりてからでないとスタートできない、こういうことになっておりますが、これにつきましても、
必要最小限度のものに絞るという
視点から、
土地さえ
特定できれば、その上に概略どの
程度のものが建つかということさえはっきりすれば
特定性が確保できるんではないか、
建築確認までは必ずしも必要ないのではないかというふうに
考えておりまして、その点についての
規制緩和をあわせて今回行うことを
考えておる次第でございます。
以上でございます。