○
上田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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平成六年度
農林水産省決算概要説明
農林水産省
平成六年度における
農林水産省の
歳入歳出決算につきまして、その
概要を御
説明申し上げます。
一般会計の
歳入につきましては、当初
予算額は四千六百七十四億八千六百八十二万円余でありますが、
予算補正追加額等五億七十九万円余の増加がありましたので、
歳入予算額は四千六百七十九億八千七百六十二万円余となっております。
これに対し、
収納済歳入額は五千三十六億八百五万円余であり、これを
歳入予算額と比較いたしますと三百五十六億二千四十三万円余の増加となっております。これは、日本中央競馬会
納付金が予定より多かったこと等の理由によるものであります。
次に、
一般会計の
歳出につきましては、当初
予算額は三兆四千二百七十五億一千三百二十一万円余でありますが、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策のうち緊急に実施する必要があるものとして
地方公共団体等が施行する農村整備
事業の
事業費の一部
補助に必要な
経費等として
予算補正追加額五千五百四十二億五千百六十八万円余、既定予算の節約等による
予算補正修正減少額五百四億九千七百二十八万円余、北海道における農業生産基盤整備
事業を実施するために必要な
経費等について
総理府所管等から移替えを受けた額四千八十五億六千五百十万円、前年度からの
繰越額六千六百九億一千百五十六万円余、山林施設災害関連
事業に必要な
経費等として予備費九十六億二千九百三十一万円余の増減がありましたので、
歳出予算現額は五兆百三億七千三百五十八万円余となっております。
これに対し、
支出済歳出額は四兆四千八百十二億二千四百九十三万円余であり、これと
歳出予算現額との差額は五千二百九十一億四千八百六十五万円余となっております。
この差額のうち、翌年度への
繰越額は五千九十億五千三百三十二万円余であり、
不用額は二百億九千五百三十二万円余となっております。
このほか、これら
一般会計とは別に、大蔵省所管産業投資
特別会計に係る
支出済歳出額は十六億十四万円余となっております。
次に、
農林水産省の
一般会計の主要
経費別支出実績について、御
説明申し上げます。
第一に、社会保障関係費であります社会保険費につきましては、「農業者年金基金法」に基づく農業者年金
事業の実施及び農業者離農給付金の支給等に要した費用として一千百三十二億五千五百二十九万円余の
経費を支出いたしました。
第二に、文教及び科学振興費であります
科学技術振興費につきましては、農林水産業に関する
試験研究及び
試験研究機関の運営等に要した費用として八百八十六億一千五百十八万円余の
経費を支出いたしました。
第三に、
公共事業関係費につきましては、総額で二兆七千九百四十八億四千四十三万円余の
経費を支出いたしました。
その内訳といたしまして、治山治水対策
事業費につきましては、山地災害の防止、水資源のかん養等を図る治山
事業並びに海岸保全施設の
整備等により国土の保全を図る海岸
事業等に要した費用として三千五百二十四億七千九百三十三万円余の
経費を支出いたしました。
港湾漁港空港整備
事業費につきましては、我が国水産業の発展を図るため、その基盤である漁港施設の整備に要した費用として三千八十三億七千八百五十九万円余の
経費を支出いたしました。
農業農村整備
事業費につきましては、農業の生産基盤の整備、農村の生活環境の整備及び農地等の保全管理のための整備に要した費用として一兆六千五百十六億一千八百十八万円余の
経費を支出いたしました。
林道工業用水等
事業費につきましては、山村地域の基盤整備を図る林道
事業並びに沿岸漁業の安定的な発展を図る沿岸漁場整備
開発等の
事業に要した費用として二千九百六十三億九千百七十四万円余の
経費を支出いたしました。
調整費等につきましては、国土の総合
開発等の調整に要した費用として十五億七千二百五万円余の
経費を支出いたしました。
災害復旧等
事業費につきましては、災害を受けた農業施設、山林施設及び漁港施設の復旧
事業に要した費用として一千八百四十四億五十一万円余の
経費を支出いたしました。
第四に、
経済協力費につきましては、我が国海外漁場の確保と国際漁業協力を一体的に推進するために要した費用として五十一億七千三百四十二万円余の
経費を支出いたしました。
第五に、食糧管理費につきましては、生産性の高い水田営農を推進するための費用並びに食糧管理
特別会計の調整資金に充てること等のために要した費用として二千六百十四億九千四百十五万円余の
経費を支出いたしました。
第六に、その他の事項
経費につきましては、農林水産本省等の一般行政に要した費用として一兆二千百七十八億四千六百四十四万円余の
経費を支出いたしました。
次に、本年度において実施した主な
事業概要を施策別に御
説明いたします。
第一に、国民生活に欠かせない食料を安定供給する担い手の育成に関しての
事業概要であります。
まず、「新しい食料・農業・農村政策の方向」に沿って、経営感覚に優れた効率的・安定的な経営体が生産の相当部分を担う農業構造を実現するため、「農業経営基盤強化促進法」を柱として、法人化の推進、
経営指導の強化等により農業経営体の経営体質の強化を図ったほか、関係機関の密接な連携の下に農地の利用集積活動を推進いたしました。
また、農家子弟以外の者も含め、次代の農業を担う意欲と経営能力に優れた青年農業者等を育成確保するため、新規就農者対策の充実を図りました。
さらに、「新政策」に示された政策課題の実現に資するため、魅力ある農業を実現するための生産基盤の整備、快適で美しい農村空間を形成するための総合的整備及び安全な国土の維持・形成に資するための整備を課題とする第四次土地改良長期計画に基づいて農業農村整備
事業を着実かつ効率的に実施いたしました。
このほか、生産性の高い土地利用型農業の確立及び地域資源の整備・活用等による活力ある農村社会の建設のため、農業農村活性化農業構造改善
事業等を実施いたしました。
第二に、国土を保全し自然環境を維持している中山間地域等の活性化に関しての
事業概要であります。
まず、篤農家、指導者等の人材登録・あっせん、地域資源・作物別の優良事例の登録、提供等を行うセンターを全国段階に設置するとともに、特定農山村法に基づく「農林業等活性化基盤整備計画」に即して、地域の実情に応じた活動を支援するため市町村段階に資金を造成いたしました。
また、山村・過疎地域等における快適で活力ある地域づくりを推進するための
事業を実施するほか、地域の立地条件に即した農業生産基盤、農村生活環境基盤等の総合的な整備を実施いたしました。
このほか、農林水産業の振興と併せ安定した就業機会の確保、都市と農山漁村との交流等を推進いたしました。
第三に、立ち遅れている農村地域の生活環境の
整備等に関しての
事業概要であります。
まず、生活環境整備の中でも都市と比較して立ち遅れている農村の生活環境基盤を整備し農村の生活の質的向上を図るため、農業集落排水
事業、農道整備
事業及び農村総合整備
事業等を実施するとともに、農村景観や親水等にも配慮した整備を進め、豊かな農村空間の創出による活性化を図るため農村総合環境整備を実施いたしました。
また、生産基盤、生活環境等の整備と併せて景観形成、環境保全等に配慮した農山漁村の整備を行う美しいむらづくり特別対策を実施いたしました。
第四に、環境問題への積極的な対応と国際協力の推進に関しての
事業概要であります。
まず、地球環境保全対策としましては、熱帯林保全対策として、熱帯林の保全・造成を推進するための
開発途上国の林業技能者及び普及担当者の育成、さらに、持続的な農業・農村
開発に必要な
調査等を実施いたしました。
また、砂漠化防止対策として、東アフリカ地域等の基礎調査及び西アフリカ地域の実証調査を実施するとともに、地球温暖化対策として、温暖化が農林水産生態系に及ぼす影響の予測技術及び農業系から排出されるメタン等の実態把握と制御技術の
開発、
開発途上国における農業関連の温室効果ガス対策の策定についての助言、支援等を実施いたしました。
このほか、
開発途上国の現状に即した農林水産業協力の一層の促進を図るため、中長期的な農林水産業協力の推進方策等の策定のための基礎
調査等を実施するとともに、国際連合食糧農業機関のフィールドプロジェクト及び国際熱帯木材機関への拠出等国際機関を通じた協力を推進いたしました。
第五に、技術の
開発・普及による農業生産の効率化に関しての
事業概要であります。
まず、農林水産業に関する重要課題に対応するため、冷害等異常気象に対応した研究、高生産性土地利用型農業技術の確立のための研究、地域の多様な農林水産業の展開に資するための研究、環境問題に対応した研究を実施いたしました。
また、農林水産業・食品産業等の生産性の飛躍的向上、農産物・食品の高付加価値化等を図るため、イネ・ゲノム解析研究をはじめとする基礎的・先導的研究を実施するとともに、DNA及びDNA情報を体系的に収集・蓄積・提供するDNAバンク
事業の実施をはじめとする
研究開発基盤の強化を図りました。
さらに、国際的な研究交流を推進するほか、民間及び
都道府県の
研究開発に対する支援を実施いたしました。
これらの
技術開発の成果等について農業者への普及等を図るため、協同農業普及
事業等の効果的な推進を図りました。
また、農村地域等における情報交流を進めるため、各種情報システムの
開発整備等を図りました。
このほか、農林水産業の構造等の実態を的確に把握し、農林水産行政の効率的かつ適正な推進に資するため、一九九五年農業センサスをはじめ、各種統計
調査等を実施いたしました。
第六に、食生活の安全性確保・品質向上のための消費者行政サービスの充実に関しての
事業概要であります。
まず、国民の健康で豊かな食生活を推進する観点から消費者への情報提供業務の充実、規格・表示の適正化等消費者対策を推進するとともに、牛乳・果実等の農水産物の消費拡大対策の推進を図りました。
また、農産物の価格については、需要の動向と生産性向上の成果をより的確に、かつ可能な限り反映し、農産物が国民の納得の得られる価格で安定的に供給されるよう努めました。
このほか、世界の農業・食料情勢の調査・分析等を行うとともに、飼料穀物等の備蓄対策を推進いたしました。
第七に、活力ある農業生産の展開に関しての
事業概要であります。
まず、生産者・生産者団体の一層の主体的取組みを基礎に、地域の自主性の尊重を旨として、「新しい食料・農業・農村政策の方向」に示された基本方向に即し、水稲作・転作を通じた望ましい経営の育成を図りつつ、生産性の高い水田営農を推進するため、水田営農活性化対策を実施いたしました。
また、生産性の高い農業の実現、高品質な農産物の生産、環境保全に配慮した農業の展開等を図るため、二十一世紀に向けた先進的農業というべき効率的で環境にやさしく、かつ農業者にとって魅力ある生産活動を推進する先進的農業生産総合推進対策を地域の自主性と活力を基礎に総合的かつ計画的に実施いたしました。
さらに、牛肉の輸入自由化等に対処するため、肉用子牛生産安定等特別措置法に基づき、牛肉等の関税収入を財源とした肉用子牛等対策を引き続き実施するとともに、畜産活性化総合対策により、生産から流通・消費に至る各種
事業を総合的に実施いたしました。
このほか、生産コストの節減等を図るため、革新的農業機械等の
開発・実用化、広域的な農作業受委託を推進する農業機械銀行の育成、肥料の合理的な流通方式の
推進等農業生産資材対策を実施いたしました。
第八に、食品関連産業の振興と輸出条件の整備に関しての
事業概要であります。
まず、農業サイドと食品産業サイドとの連携の下、原料農産物の安定供給と利用の
高度化等を図るため、食品産業原料対策を講じるほか、地域食品の高付加価値化による地域食品産業の
高度化を図るため、加工施設の整備、市場開拓等を総合的に推進するとともに、地域食品のマーケティング力を強化するため、ふるさと食品の情報提供等を実施いたしました。
また、食品産業の体質と経営基盤の強化を図るため、食品産業における廃棄物再生利用技術等先端技術の
開発を進めるとともに、食品産業の大半を占める中小企業の技術水準の向上を図るため、汎用性の高い技術の
開発等を推進いたしました。
さらに、生鮮食料品等の流通の合理化を図るため、卸売市場の計画的整備を図るとともに、消費者ニーズの多様化・
高度化、流通コストの上昇等に対処するため、食品流通の総合的な構造改善対策を推進いたしました。
このほか、我が国農林水産物の販路を拡大し、農山漁村の活性化等に資するため、輸出促進対策を推進いたしました。
第九に、農林漁業金融の充実に関しての
事業概要であります。
農林漁業生産の経営構造の改善、基盤
整備等の促進に資するため、
農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金等の各種制度資金について、所要の融資枠の確保、融資内容の充実を図るとともに、農業信用保証保険機能の充実を図りました。
第十に、緑豊かな森林の整備と山村地域の活性化に関しての
事業概要であります。
まず、最近における山地災害の発生状況等を踏まえ、保安林整備臨時措置法を延長し、保安林の計画的整備を推進するとともに、第八次治山
事業五箇年計画に基づき、治山
事業を推進したほか、多様で質の高い森林の整備を図るため、森林整備
事業計画に基づき、造林・林道
事業を推進いたしました。
また、健全な森林の育成を図るための間伐総合対策を実施するとともに、松くい虫被害対策特別措置法に基づく総合的な松林保全対策、林野火災予防対策、緑化対策等を推進したほか、森林計画制度の適正運用の確保を図りました。
さらに、林業経営の体質強化と山村の活性化を図るため、林業の担い手の育成強化、高性能林業機械の
開発、林業構造改善
事業、特用林産の振興等を推進するとともに、地域の環境と調和した生産・生活基盤を整備する等住みよいむらづくりの推進を図りました。
また、木材の供給体制整備と木材産業の振興を図るため、木材の低コスト安定供給体制の
整備等を推進するとともに、新たな用途への
技術開発及び実証・普及等による木材需要の拡大等を推進いたしました。
さらに、国内の森林を守り育てるため、森林整備活性化資金を創設する等、林業金融制度の拡充を図りました。
このほか、国有林野
事業については、国有林野
事業改善特別措置法に基づき策定された「国有林野
事業の改善に関する計画」に即して、経営改善を推進いたしました。
第十一に、国民に開かれた漁港・漁村の形成と豊かな海の保全に関しての
事業概要であります。
まず、二十一世紀に向けた漁業生産基盤を整備するため、第九次漁港整備長期計画及び第四次沿岸漁場整備
開発計画を新たに策定し、漁港漁村及び沿岸漁場の整備を推進するとともに、新沿岸・沖合域総合
開発地域整備(新マリノベーション)構想の策定、むらづくり対策、漁村地域の活性化等の諸施策を講じたほか、沿岸漁業活性化構造改善
事業、内水面活性化総合対策
事業等を実施いたしました。
また、沿岸新時代に即応した我が国周辺水域の漁業振興を図るため、漁業資源の調査と海の生態系の把握を行うとともに、資源管理型漁業の定着化、栽培漁業・養殖業の振興、漁場環境保全対策等の諸施策を講じたほか、海面の合理的利用を推進いたしました。
さらに、海外漁場の確保を図るため、国際漁業協力の推進と国際漁業
資源等の調査を実施したほか、漁業の合理化・近代化を推進するための
技術開発と水産施策の基礎となる
試験研究を推進・強化いたしました。
このほか、水産業・漁協の経営対策を講じるとともに、漁業就業者の育成確保、水産物の需給安定、流通・加工体制の
整備等の諸施策を推進いたしました。
第十二に、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進に関しての
事業概要であります。
ウルグァイ・ラウンドの農業交渉の合意を受け、新たな国境措置の下で、新政策の方向に即した望ましい農業構造が早急に実現されるよう農業の体質強化を推進するための条件整備を実施しました。
第十三に、その他の重要施策に関しての
事業概要であります。
まず、海岸
事業については、第五次海岸
事業五箇年計画に基づき、海岸保全区域における
事業の実施を図りました。
また、災害対策については、農作物
共済等の各共済に係る所要の共済掛金国庫負担金、農業共済再保険
特別会計の農業勘定における
平成五年度の再保険金の支払財源の不足に充てるため借り入れた借入金の利子等を農業共済再保険
特別会計に繰り入れたほか、農業共済団体の事務費等を助成し、農業災害補償制度の円滑な実施を図るとともに、災害営農資金等の利子補給に対する助成を図りました。
さらに、台風・豪雨及び阪神・淡路大震災等により被災した農地、農業用施設、山林施設、漁港施設等の災害復旧
事業を実施いたしました。
このほか、農業団体の整備についても、農業
委員会等に対して、引き続き
助成等を行いました。
以上をもちまして、
一般会計歳入歳出決算に関する御
説明を終わります。
次に、各
特別会計の
決算について御
説明申し上げます。
第一に、食糧管理
特別会計であります。国内米管理勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、
収納済歳入額は二兆三千五百九億五千二百七十八万円余、
支出済歳出額は二兆三千二百九十七億八千七百十六万円余でありまして、
歳入歳出差引き二百十一億六千五百六十一万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の
歳入に繰り入れることといたしました。また、このうち食糧管理勘定の損益計算上の損失は二千三百二十一億一千七百五十九万円余でありまして、調整資金を取りまして整理いたしました。
これにより、食糧管理法、農産物価格安定法及び飼料需給安定法に基づき、米、麦、でん粉、輸入飼料の買入れ、売渡し等を管理することにより価格の安定と国民食糧の確保を図り、国民経済の安定に資するための
事業を実施いたしました。
第二に、農業共済再保険
特別会計であります。農業勘定等の六勘定を合わせて申し上げますと、
収納済歳入額は四千三百二十六億六千二百九十五万円余、
支出済歳出額は四千七十五億七千三十五万円余であります。
歳入歳出差引き二百五十億九千二百六十万円余のうち、翌年度へ繰り越す額百八十八億百二十五万円余を控除し、六十二億九千百三十四万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、それぞれ翌年度の
歳入に繰り入れ、又は積立金として積み立てること等といたしました。
これにより、農業災害補償法に基づき、国が農作物
共済等の各共済についての再保険
事業を行うことによって、農業経営の安定等を図るための農業共済
事業の円滑な実施を図りました。
第三に、森林保険
特別会計であります。
収納済歳入額は百二十四億七千九十一万円余、
支出済歳出額は二十三億三千五百七十三万円余であります。
歳入歳出差引き百一億三千五百十八万円余のうち、翌年度へ繰り越す額九十億六千八百二十七万円余を控除し、十億六千六百九十一万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、積立金として積み立てることといたしました。
これにより、森林国営保険法に基づき、国が森林の火災、気象災及び噴火災を保険事故とする森林保険
事業を行うことによって林業経営の安定を図るための
事業を実施いたしました。
第四に、漁船再保険及漁業共済保険
特別会計であります。漁船普通保険勘定等の五勘定を合わせて申し上げますと、
収納済歳入額は五百六十二億三千六百六十四万円余、
支出済歳出額は三百七十九億五千四百四十六万円余であります。
歳入歳出差引き百八十二億八千二百十八万円余のうち、翌年度へ繰り越す額百九十七億七千五百八十五万円余を控除し、十四億九千三百六十七万円余の
決算上の不足を生じました。この不足金は、法律の定めるところに従い、積立金から補足することといたしました。
これにより、漁船損害等補償法、漁船乗組員給予保険法及び漁業災害補償法に基づき、国が再保険及び保険
事業を行うことによって漁業経営の安定に資するための
事業を実施いたしました。
第五に、農業経営基盤強化措置
特別会計であります。
収納済歳入額は八百八十一億三百八十六万円余、
支出済歳出額は二百四十億九千百二十六万円余でありまして、
歳入歳出差引き六百四十億一千二百六十万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の
歳入に繰り入れることといたしました。
これにより、農地法等の規定に基づき、国が自作農創設のために行う農地等の買収、売渡し等に関する
事業、農地保有の合理化を促進するための
事業に対する助成、農業改良資金助成法の規定に基づく農業改良資金の
貸付事業及び青年の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の規定に基づく就農支援資金の
貸付事業を実施いたしました。
第六に、国有林野
事業特別会計であります。国有林野
事業勘定につきましては、
収納済歳入額は五千六百七十八億三千三百九十八万円余、
支出済歳出額は五千九百七十七億三千三百七十六万円余であります。この勘定の損益計算上の損失は一千二百四十二億四千六百九十一万円余でありまして、法律の定めるところに従い、損失の繰越しといたしました。治山勘定につきましては、
収納済歳入額は三千七百四十億三千百四十七万円余、
支出済歳出額は三千七百三十八億七千二百八十八万円余でありまして、
歳入歳出差引き一億五千八百五十九万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の
歳入に繰り入れることといたしました。
これにより、国有林野法に規定される国有林野の管理経営の
事業及びその附帯業務に係る
事業並びに治山
事業の計画的推進を図る
事業を実施いたしました。
第七に、国営土地改良
事業特別会計であります。
収納済歳入額は五千五百一億八千七百二十一万円余、
支出済歳出額は五千三百八億二百五十四万円余でありまして、
歳入歳出差引き百九十三億八千四百六十六万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の
歳入に繰り入れることといたしました。
これにより、土地改良法に基づき、すべての国営土地改良
事業、受託工事及び直轄調査に関する
事業を実施いたしました。
以上をもちまして、
平成六年度の
農林水産省決算の
説明を終わります。
なにとぞ、よろしく御審議の程お願い申し上げます。
…………………………………
平成六年度
決算農林水産省についての検査の
概要に関する主管
局長の
説明
会計検査院
平成六年度
農林水産省の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を御
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項十三件、意見を表示し又は処置を要求した事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の措置を講じた事項三件であります。
まず、
不当事項について御
説明いたします。
検査報告番号一二二号は、茨城県行方郡潮来町の小泉第一転作組合が実施した水田農業確立対策推進
事業におきまして、湿田の客土工事等について工事費の値引きを受けていたため、国庫
補助対象
事業費の精算が過大となっているものであります。
検査報告番号一二三号から一二五号までの三件は、群馬県が実施した広域営農団地農道整備
事業におきまして、設計が適切でなかったため橋脚が不安定な状態になっているものであります。
検査報告番号一二六号は、長野県小県郡真田町が実施した農村総合整備モデル
事業におきまして、設計が適切でなかったため橋脚が不安定な状態になっているものであります。
検査報告番号一二七号は、滋賀県高島郡マキノ町が実施した農業集落排水
事業におきまして、設計が適切でなかったため汚水処理水槽の前処理室等が不安定な状態になっているものであります。
検査報告番号一二八号は、島根県大田市が実施した畜産活性化総合対策
事業におきまして、
補助の対象とは認められない施設に係る設計費等を
補助の対象としていたものであります。
検査報告番号一二九号は、岡山県和気郡日生町の日生町漁業協同組合及び頭島漁業協同組合が実施した新沿岸漁業構造改善
事業(後期対策)におきまして、鋼管杭の設計が適切でなかったため、かき殻集積施設が不安定な状態になっているものであります。
検査報告番号一三〇号は、長崎県長崎市の株式会社総合給食たけやが実施した学校給食米飯導入促進
事業におきまして、炊飯
設備をリース契約により借り受けていたため、
補助の対象とはならないものであります。
検査報告番号一三一号から一三四号の四件は、農業改良資金の貸付けが不当と認められるものであります。
この資金の
貸付事業は、
都道府県が農業者等における農業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行うもので、その貸付けに必要な資金の三分の二を
農林水産省が無利子で
貸し付けているものでありますが、貸付けに当たり、借入者から事実と相違した内容の貸付申請書や
事業実施報告書が提出されていたにもかかわらず、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付金額を過大に算定するなどしていたものであります。
次に、意見を表示し又は措置を要求した事項について御
説明いたします。
その一は、沿岸漁業構造改善
事業による施設の措置及び運営に関するものであります。
水産庁では、沿岸漁業構造改善
事業により水産物加工施設等を設置する漁業協同組合等に対し
補助金を交付しております。これらの施設の中には、漁家の漁業
経費の節減や所得の向上を図ることなどを目的とするものがあります。
本件
事業について調査したところ、施設の運営
経費が漁業
経費の節減額や漁家所得の向上額等を上回っていたり、収支が赤字になっていて施設の運営を継続することが困難になっていたりなどしていて、漁家の
経費の節減や所得の向上に寄与しておらず、
事業効果が十分に発現していないと認められるものが十四道府県において見受けられました。
このような事態が生じているのは、水産庁において、企業経営的な観点から
事業実施計画を十分審査したり、
事業実施後において施設の運営状況を的確に把握したり、
事業主体等に対して
事業の内容等について十分検討させたりする体制が十分整っていなかったことによると認められました。
そこで、水産庁に対して、本件
事業についての事前審査やフォローアップの体制を整備することにより、効果的な
事業の実施を図るよう是正改善の処置を要求いたしたものであります。
その二は、肉豚に係る家畜共済
事業の運営に関するものであります。
農林水産省では、農業災害補償法に基づき、農業者が不慮の事故によって受ける農作物の被災や家畜の死亡などの損失を補てんするため、農業共済組合等が行う共済
事業の再保険を引き受けるとともに農業者の共済掛金の一部を負担するなどして農業災害補償制度を運営しております。
農業共済組合等が行う家畜共済
事業のうち肉豚を対象とするものの共済の引受けは、農業者が組合等に対して、飼養している出生後第五十日から第八月の月の末日までの肉豚全頭を一体として共済への加入の申込みをし、組合等が審査し、承諾することによって成立することとなっております。
また、肉豚が死亡した場合、農業者は、これを組合等に通知し、組合等は現地において死亡した肉豚が引受けの対象となっているものかなとの確認をした後、共済金の額を算定し支払を行うこととなっております。
そこで、組合等の共済の引受けや共済事故の確認等が適切に行われ、制度が適正に運営されているかについて調査いたしました。
その結果、五、六両年度で九十八組合等において、共済の引受け及び共済事故の確認に当たり、共済対象の肉豚の頭数を肉豚の飼養場所で実際に確認していないため、共済引受頭数や共済金を支払った事故頭数と実際の共済対象の肉豚の頭数や死亡頭数とがかい離していて、適切でないと認められる事態が農業者四百二十人について見受けられました。
このような事態が生じているのは、
農林水産省において、養豚経営の規模が拡大し一貫経営が増加するなどして飼養頭数の把握が困難となっているのに、これに対応した引受方法の見直しを行っていないこと、豚舎への立入りの容認など共済
事業における農業者の義務や責任を明確にしていないこと、
都道府県及び農業共済組合連合会において、組合等の引受審査、事故確認等の業務に対する指導・監督の体制が十分でないこと、組合等において、共済
事業についての認識、理解が十分でなく、農業者に対して適切な指導を行っていないこと、不適切な事態に対して共済金の支払免責など厳格な処置を執っていなかったことなどによると認められました。
したがいまして、
農林水産省において、頭数の把握が容易となるような引受方法に変更すること、農業者の義務や責任を明確にすること、
都道府県等における組合等に対する指導・監督体制を整備すること、組合等における制度の理解や適正な業務の遂行に対する認識を深めること、農業者に対する制度の趣旨の徹底と共済金の支払免責規定の厳格な適用を指導することなどの適切な措置を講ずることにより、共済
事業の運営の適正化を図るよう改善の処置を要求いたしたものであります。
その三は、国有林野
事業の素材生産及び造林の請負化に伴う社会保険料等に関するものであります。
林野庁では、国有林野
事業における素材生産及び造林の施行については、
農林水産省が策定した経営改善計画により、昭和五十九年度以降、請負化を推進しております。
この請負化の担い手である林業
事業体には零細な規模のものが多いことなどから、林業
事業体の育成・強化のための諸施策の一環として、林業
事業体が雇用している現場作業員の社会保険等への加入を促進して労働条件の改善を図っております。このため、素材生産
事業及び造林
事業の予定価格の積算に当たって、現場作業員に係る社会保険料等の
事業主負担額については、現場作業員の全員が加入しているものとして、これを労務関係費として計上しております。
そこで、林業
事業体に雇用されている現場作業員の社会保険等への加入状況等を検査いたしました。
その結果、百十
事業体、四百九十九件の
事業において、二つの不適切な事態が見受けられました。一つは社会保険に加入できない者に係る
事業主負担額を含めて労務関係費として積算していた事態、二つめは
事業体において、社会保険に加入すべき者等を加入させていないため、積算で見込んだ労務関係費がその効果を発現していない事態であります。
このような事態が生じた主な理由は、一の事態については、現場作業員の個別の加入状況を調査しないまま、全員が加入しているものとして労務関係費を積算することとしていたこと、二の事態については、林野庁において、社会保険等への加入の促進を実効あるものとするための具体的な方策を定めておらず、営林(支)局、営林署に対しても、現場作業員の雇用形態、年齢等についての実態把握を十分させていないこと、また、営林署において、
事業体に対して、具体的に加入の促進を指導するなど実効ある措置が執られていないことであると認められました。
したがいまして、林野庁に対して、一の事態については、営林(支)局及び営林署に、各
事業体の現場作業員の社会保険等への加入状況を的確に調査させ、加入の実態を把握させるとともに、これを労務関係費の積算に適切に反映させることにより、適用除外者等に係る
事業主負担額を含めないようにさせるよう、
会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求しました。また、二の事態については、社会保険へ加入すべき者等で未加入となっている者について、労働条件の改善を図るなどの方針に沿って加入が促進されるよう具体的な方策を定め、また、営林(支)局及び営林署で、関係行政機関との連携の下に、
事業体を通じて現場作業員の社会保険等への加入を一層促進させるため指導を強化するよう同法第三十六条の規定により改善の意見を表示したものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御
説明いたします。
その一は、農業農村整備
事業の実施における水道管等の移設補償費の算定に関するものであります。
農林水産省では、土地改良法等に基づき、農業・農村の健全な発展を図ることを目的として、ほ場整備
事業、農業集落排水
事業等の農業農村整備
事業を実施する
都道府県、市町村等の
事業主体に対し、
事業の実施に要する
経費の一部を
補助することとしております。
そして、
事業主体は、このような
事業の実施に当たって、道路を掘削する際に、埋設されている水道管等が障害となる場合には、この水道管等を管理する水道
事業者と協議するなどして、水道管等の移設に関する移設補償契約を締結し、水道補償費を支払うことになっております。
今回、
補助対象
経費として計上された水道補償費が適切に算定されているかについて調査しましたところ、
事業主体では、水道
事業者が設計図書に基づき算出した水道管等の移設工事費である設計金額を基として水道補償費を算定し、この金額により水道
事業者と移設補償契約を締結して水道補償費を支払い、その全額を
補助対象
経費としておりました。
一方、水道
事業者は、当該移設工事を実施するに当たって、この設計金額を基に予定価格を設定して競争入札等に付し、予定価格以下の落札価格等で契約していたため、その工事請負契約金額は、水道補償費の算定の基礎とした設計金額を下回っている状況となっておりました。
しかし、水道補償費は、
事業の施行に伴い障害となる水道管等の機能回復に要する費用を補償するものであり、その補償に当たっては、実際に要した移設工事費である工事請負契約金額を基に算定した金額で補償すれば足りると認められ、そのようにすれば水道補償費を節減できたと認められました。この点について当局の見解をただしましたところ、
農林水産省では、七年十一月に地方農政局等に対して通達を発し、
都道府県等が支払う水道補償費は、工事請負契約金額に基づき算定した額によることとする処置を講じたものであります。
その二は、国庫
補助事業に係る食糧費の使用及び経理処理に関するものであります。
農林水産省では、土地改良
事業、治山
事業、漁港修築
事業等の公共
事業を実施する
都道府県に対し、国庫
補助金を交付しております。
これらの公共
事業に係る国庫
補助対象
事業費には、工事費のほか事務費が含まれており、事務費は、国庫
補助事業の実施に直接必要な人件費、旅費及び庁費から構成されております。そして、この庁費の一部に食糧費が含まれておりまして、食糧費の使用範囲は、交付規則等によると、国庫
補助事業の実施のために直接必要な場合に限るとされております。
しかしながら、食糧費が国庫
補助事業の
補助目的に沿って適切こ使用されているか、経理処理は適切に行われているかという観点から経理関係書類等に基づき調査しましたところ、食糧費の使用が国庫
補助事業の実施のために直接必要であるか否か判然としていなかったり、食糧費の経理処理が明確でなかったりなどしている事態が見受けられ、改善の要があると認められました。
この点について当局の見解をただしましたところ、
農林水産省では、七年十一月に
都道府県に対して通達を発するなどして、
(一) 用地買収交渉等国庫
補助事業実施のため特に必要な場合の地元関係者、学識経験者等との懇談会を除いて、原則として懇談会の
経費は
補助の対象としないこととするなど国庫
補助の対象となる食糧費の範囲を具体的に定め、
(二) 食糧費の使途内訳について、
農林水産省で審査・確認の徹底を図ることとし、
(三)
都道府県に対し、①国庫
補助対象
事業費と単独
事業費の経理を区分する、②経理関係書類に目的、内容、
出席者の範囲等を明示する、③
都道府県の会計機関において的確な審査・確認を行うよう指導し、
食糧費の使用及び経理処理を適切に行うよう処置を講じたものであります。
その三は、外国産米の港湾荷役業務における運搬費に関するものであります。
食糧庁では、
平成五年産米の不作によりまして、五年十一月から六年八月にかけて、タイ、中国、アメリカ、オーストラリアの四箇国から計二百五十九万トンの外国産米の輸入を行いました。
この外国産米の輸入に係る業務には、外国産米を本船から岸壁に取卸し、これを岸壁から港頭倉庫まで運搬する港湾荷役業務があります。この港湾荷役業務のうち、岸壁から港頭倉庫までのトラックによる運搬費につきましては、一般区域貨物自動車運送
事業運賃料金のうち、時間制運賃率表に掲載されている八トン車の運賃に基づいて定められていました。
一方、食糧庁では、国内産米や買い入れた外国産米を売却するなどのためにトラックにより運送する場合の運送費につきましては、より大型の十トン車の運賃に基づいて算定し支払っていました。そこで、港湾荷役業務における運搬費を算出する基となったトラックの車種等が運搬の実態と適合しているかなどの観点から調査しましたところ、今回の運搬に使用したトラックの車種の実績は、ほとんど十トン車となっている状況でありました。したがいまして、外国産米の港湾荷役業務における運搬作業につきましては、経済的となる十トン車の運賃に基づいて単価を定める要があると認められました。
この点について当局の見解をただしましたところ、食糧庁では、七年九月に、運搬費の単価をトラックによる運搬の実態に即したものに改め、同年九月以降締結する契約から適用することとする処置を講じたものであります。
なお、以上のほか、
平成元年度
決算検査報告に掲記いたしましたように、国営木曽岬干拓
事業により造成された干拓地について、及び
平成五年度
決算検査報告に掲記いたしましたように、飼料用外国産小麦の売渡しによるふすまの増産について、それぞれ意見を表示し又は処置を要求いたしましたが、これらに対する
農林水産省の処置状況についても掲記いたしました。
以上をもって
概要の
説明を終わります。
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平成六年度
農林漁業金融公庫業務概況
農林漁業金融公庫
平成六年度における
農林漁業金融公庫の業務の概況についてご
説明申し上げます。
国においては、新農政の本格的な展開と、ガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意成立に伴う今後の国際化の進展を踏まえた国内農業の体質強化等を図ることを基本として諸施策が展開されました。
こうした国の施策に即応して、当公庫は、業務の運営に当たりまして、関係機関との密接な連携のもとに、農林水産業の生産基盤の整備及び経営構造の改善のための融資を推進するとともに、多様化する資金需要に対応して、融資条件の改善を含め、融資の円滑化に配慮してまいりました。
平成六年度における貸付計画について申し上げますと、貸付計画額は六千億円を予定いたしました。
これに対する貸付決定額は四千百五十五億三千五十七万円となり、前年度実績と比較して四百八十六億八千四百万円余の減少となりました。
この貸付決定額を、農業・林業・水産業に大別して申し上げますと
一、農業部門 二千五百七十億五千四百八十四万円余
二、林業部門 四百七十五億三千百六十三万円余
三、水産業部門 二百七十八億五千八百四十九万円
四、その他の部門 八百三十億八千五百五十九万円余
となりまして、農業部門が全体の六十一・九%を占めております。
次に、
平成六年度の貸付資金の交付額は四千七十二億三千二百二十三万円余となりまして、これに要した資金は、
一般会計からの
出資金四百八十九億円、資金運用部からの借入金二千三百二十五億円、簡易生命保険からの借入金二百六十五億円、農業経営基盤強化措置
特別会計からの借入金七十二億五百二十万円余並びに貸付回収金等九百二十一億二千七百二万円余をもって充当いたしました。
この結果、
平成六年度末における貸付金残高は五兆九百十三億五千四百八十五万円余となりまして、前年度末残高に比べて一千五百二十七億二千二百九十二万円余の減少となりました。
貸付金の延滞状況につきましては、
平成六年度末におきまして、弁済期日から六か月以上経過した延滞貸付金残高は八百八十四億二千六十四万円余、このうち一年以上延滞のものは七百九十億六千百十四万円余となっております。
次に、
平成六年度における収入支出
決算の状況についてご
説明申し上げますと、収入済額は、収入
予算額三千四百四十四億四千三百四万円余に対し三千四百四十一億六千五十九万円余となりました。
また、
支出済額は、支出
予算額三千五百九十二億一千三百五十四万円余に対し三千四百三億七千百四十九万円余となり、支出に対し収入が三十七億八千九百十万円余多くなっております。
最後に、
平成六年度における当公庫の損益計算の結果について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は三千五百九十九億六千七百十三万円余、借入金利息等の総損失は三千五百九十九億六千七百十三万円余となり、利益と損失が同額となりましたため、利益金はなく、国庫納付はありませんでした。
これらの業務の遂行に当たりましては、常に適正な運用について、鋭意努力してまいりましたが、
平成六年度
決算検査報告におきまして、農林漁業構造改善
事業推進資金の貸付けにつきまして
不当事項として指摘を受けたものがありますことは、誠に遺憾に存じております。指摘を受けました事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後、このような事態の発生を防止するため業務運営の適正化に一層努める所存であります。
以上が、
平成六年度における
農林漁業金融公庫の業務の概況であります。何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。
…………………………………
平成六年度
決算農林漁業金融公庫についての検査の
概要に関する主管
局長の
説明
会計検査院
平成六年度
農林漁業金融公庫の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を御
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項二件であります。
検査報告番号二〇六号及び二〇七号の二件は、農林漁業構造改善
事業推進資金の貸付けが不当と認められるものであります。
これらの資金の
貸付事業は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して
貸し付けるものでありますが、貸付けに当たり、借入者から事実と相違した内容の借入申込みや
事業完成報告がされるなどしていたにもかかわらず、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付金額を過大に算定するなどしていたものであります。
以上、簡単でございますが
説明を終わります。
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平成七年度
農林水産省所管(
一般会計及び
特別会計)
決算に関する
概要説明
農林水産省
平成七年度における
農林水産省の
歳入歳出決算につきまして、その
概要を御
説明申し上げます。
一般会計の
歳入につきましては、当初
予算額は四、八一八億七、三三六万円でありますが、
予算補正追加額等二五億七、七八九万円余の増加がありましたので、
歳入予算額は四、八四四億五、一二五万円余となっております。
これに対し、
収納済歳入額は四、八七六億五、二七三万円余であり、これを
歳入予算額と比較いたしますと三二億一四八万円余の増加となっております。これは、日本中央競馬会の
決算上の
剰余金が予定より多かったこと等の理由によるものであります。
次に、
一般会計の
歳出につきましては、当初
予算額は三兆八一七億二、四七六万円余でありますが、経済対策の一環として内需の拡大を図るため
地方公共団体等が施行する農村整備
事業の
事業費の一部
補助に必要な
経費等として
予算補正追加額九、七〇六億七、一一七万円余、既定予算の節約等による
予算補正修正減少額三三七億九、三八一万円余、北海道における農業生産基盤整備
事業を実施するために必要な
経費等について
総理府所管等から移替えを受けた額四、〇二〇億九、三〇九万円余、前年度からの
繰越額五、〇九〇億五、三三二万円余、食品流通等対策に必要な
経費等として予備費一五億七六九万円余の増減がありましたので、
歳出予算現額は四兆九、三一二億五、六二三万円余となっております。
これに対し、
支出済歳出額は四兆一、九五四億二、一一九万円余であり、これと
歳出予算現額との差額は七、三五八億三、五〇三万円余となっております。
この差額のうち、翌年度への
繰越額は六、八〇八億五、七二七万円余であり、
不用額は五四九億七、七七六万円余となっております。
このほか、これら
一般会計とは別に、大蔵省所管産業投資
特別会計に係る
支出済歳出額は一一九億七、四三八万円余となっております。
次に、
農林水産省の
一般会計の主要
経費別支出実績について、御
説明申し上げます。
第一に、社会保障関係費であります社会保険費につきましては、「農業者年金基金法」に基づく農業者年金
事業の実施及び農業者離農給付金の支給等に要した費用として一、〇七二億七、七七〇万円余の
経費を支出いたしました。
第二に、文教及び科学振興費であります
科学技術振興費につきましては、農林水産業に関する
試験研究及び
試験研究機関の運営等に要した費用として九五四億七、九七九万円余の
経費を支出いたしました。
第三に、
公共事業関係費につきましては、総額で二兆四、七四一億六、三五九万円余の
経費を支出いたしました。
その内訳といたしまして、治山治水対策
事業費につきましては、山地災害の防止、水資源のかん養等を図る治山
事業、海岸保全施設の
整備等により国土の保全を図る海岸
事業等に要した費用として三、〇八〇億三、四八〇万円余の
経費を支出いたしました。
港湾漁港空港整備
事業費につきましては、我が国水産業の発展を図るため、その基盤である漁港施設の整備に要した費用として二、七一〇億九、一一〇万円余の
経費を支出いたしました。
農業農村整備
事業費につきましては、農業の生産基盤の整備、農村の生活環境の整備及び農地等の保全管理のための整備に要した費用として一兆四、八五七億九、二七八万円余の
経費を支出いたしました。
林道工業用水等
事業費につきましては、山村地域の基盤整備を図る林道
事業及び沿岸漁業の安定的な発展を図る沿岸漁場整備
開発等の
事業に要した費用として二、五六二億三、八二八万円余の
経費を支出いたしました。
調整費等につきましては、国土の総合
開発等の調整に要した費用として五億三八一万円余の
経費を支出いたしました。
災害復旧等
事業費につきましては、災害を受けた農業施設、山林施設及び漁港施設の復旧
事業に要した費用として一、五二五億二七九万円余の
経費を支出いたしました。
第四に、
経済協力費につきましては、我が国海外漁場の確保と国際漁業協力を一体的に推進するために要した費用として五一億七、一三二万円余の
経費を支出いたしました。
第五に、食糧管理費につきましては、生産性の高い水田営農を推進するための費用及び食糧管理
特別会計の調整資金に充てること等のために要した費用として二、六八六億七、三七六万円余の
経費を支出いたしました。
第六に、その他の事項
経費につきましては、農林水産本省等の一般行政に要した費用として一兆二、四四二億六、七〇三万円余の
経費を支出いたしました。
次に、本年度において実施した主な
事業概要を施策別に御
説明いたします。
第一に、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進に関しての
事業概要であります。
まず、効率的かつ安定的な農業経営が生産の大半を担う農業構造を実現するため、育成すべき農業経営への農地利用の集積、経営体の安定的な営農展開のための負債対策、土地改良負担金対策の推進を図るとともに、就農支援のための無利子資金の貸付けによる新規就農者の確保、国境措置の変更に伴う各作物の特色に応じた対策を実施いたしました。
また、効率的かつ安定的な農業経営による生産展開のための基礎的条件の整備を図るため、高生産性農業基盤の整備の重点的かつ加速的な推進を図るとともに、地域の農業生産の
高度化等のための諸施設の整備を推進いたしました。
さらに、中山間地域等の農山村地域の活性化のため、新規作物の導入推進のための無利子資金の貸付け、生産基盤と生活環境の一体的整備、地域産品・地域
資源等に関する情報の発信拠点の大都市における整備を図るとともに、農地保全活動を推進いたしました。
第二に、担い手に焦点を置いた効率的かつ安定的な農業経営の育成に関しての
事業概要であります。
まず、農業経営基盤強化促進法に基づく基本構想の早期実現に向けた活動への支援、経営改善支援センターの機能の充実等のソフト
事業を引き続き行うとともに、土地基盤や近代化施設等ハード面の
整備等を行う農業経営基盤強化促進対策
事業を新たに実施いたしました。
また、次代の農業を担う意欲と経営能力に優れた青年農業者を育成確保するための対策の充実強化を図りつつ、女性の地位向上、能力発揮等を一層推進するとともに、高齢者が健康的な生活を営み得るための環境整備及び能力を発揮できるようにするための条件
整備等を実施いたしました。
さらに、「新しい食料・農業・農村政策の方向」に示された政策課題の実現に資するため、魅力ある農業を実現するための生産基盤の整備、快適で美しい農村空間を形成するための総合的整備及び安全な国土の維持・形成に資するための整備を課題とする第四次土地改良長期計画に基づいて農業農村整備
事業を着実かつ効率的に実施いたしました。
また、経営体の育成強化を主要課題としつつ、広域にわたる地域間での連携の確立、新たな所得雇用機会の創出による農業経営の多角化の促進等多面的な視点から地域農業の基盤の確立を短期間で行う地域農業基盤確立農業構造改善
事業を推進し、経営体等を核とした生産体制の確立、国際化の影響を強く受ける作物及び地域の特色を生かした多様な農業生産等を推進する農業生産体制強化総合推進対策を地域の自主性と活力を基礎に総合的に実施いたしました。
さらに、牛肉の輸入等需給事情の変化に対処するため、肉用子牛生産安定等特別措置法に基づき、牛肉等の関税収入を財源とした肉用子牛等対策を引き続き実施するとともに、畜産再編総合対策により、生産から流通・消費に至る各種
事業を総合的に実施いたしました。
また、生産者・生産者団体の一層の主体的取組を基礎に、地域の自主性の尊重を旨として、「新しい食料・農業・農村政策の方向」に示された基本方向に即し、水稲作と転作を組み合わせた望ましい経営の育成を図りつつ、生産性の高い水田営農を推進するため、水田営農活性化対策を実施いたしました。
このほか、生産コストの節減等を図るため、革新的農業機械等の
開発・実用化、広域的な農作業受委託を推進する農業機械銀行の育成、肥料の合理的な流通方式の
推進等農業生産資材対策を実施いたしました。
第三に、農山漁村地域の活性化に関しての
事業概要であります。
まず、山村等の振興を一層促進するため、山村等の多面的機能の発揮を通じ総合的視点に立った地域の活性化と定住の促進のための支援措置である山村振興等農林漁業
特別対策事業を実施いたしました。
また、中山間地域総合整備
事業については、従来の数集落を対象とする集落型に加え市町村全域から複数の市町村にまたがる地域を対象に地方単独
事業とも連携しながら広域的な活性化を推進する広域連携型、高付加価値型農業の展開に必要な生産基盤の整備を単独でも実施できる生産基盤型を創設いたしました。
さらに、都市と比較して立ち遅れている農村の質的向上を図るため、農業集落排水
事業、農道整備
事業、農村総合整備
事業等を実施いたしました。
このほか、環境と調和した豊かな地域づくりを進めるため、生態系の保全、景観を配慮した整備を行い、広域的な環境ネットワークを構築する総合型の農村自然環境整備
事業を新たに実施いたしました。
第四に、新技術の
開発普及の
推進等に関しての
事業概要であります。
まず、農林水産業に関する重要課題に対応するため、生産現場に直結した新技術の
開発、生産性の飛躍的向上のための基盤技術の
開発、環境問題に対応した研究を実施いたしました。
また、農林水産業・食品産業等の生産性の飛躍的向上、農産物・食品の高付加価値化等を図るため、イネ・ゲノム解析研究をはじめとする基礎的・先導的研究を実施するとともに、DNA及びDNA情報を体系的に収集・蓄積・提供するDNAバンク
事業の実施をはじめとする
研究開発基盤の強化を図りました。
さらに、国際的な研究交流を推進するほか、民間及び
都道府県の
研究開発に対する支援を実施いたしました。
これらの
技術開発の成果等について農業者への普及等を図るため、協同農業普及
事業等の効果的な推進を図りました。
また、農村地域等における情報交流を進めるため、各種情報システムの
開発整備等を図りました。
このほか、農林水産業の構造等の実態を的確に把握し、農林水産行政の効率的かつ適正な推進に資するため、各種統計
調査等を実施いたしました。
第五に、環境問題への積極的な対応と国際協力の推進に関しての
事業概要であります。
まず、地球環境保全対策としましては、熱帯林保全対策として、焼畑移動耕作地域において住民による森林造成を促進するために必要な基礎
調査等を実施するとともに、持続的な農業・農村
開発に必要な
調査等を実施いたしました。
また、砂漠化防止対策として、東アフリカ地域等の基礎調査及び西アフリカ地域の実証調査を実施するとともに、地球温暖化対策として、温暖化が農林水産生態系に及ぼす影響の予測技術及び農業系から排出されるメタン等の実態把握と制御技術の
開発、環境保全に配慮した土壌管理指針の策定等を実施いたしました。
このほか、
開発途上国の現状に即した農林水産業協力の一層の促進を図るため、中長期的な農林水産業協力の推進方策等の策定のための基礎
調査等を実施するとともに、国際連合食糧農業機関のフィールドプロジェクト及び国際熱帯木材機関への拠出等国際機関を通じた協力を推進いたしました。
第六に、食品加工・流通及び消費対策等の推進に関しての
事業概要であります。
まず、食品産業の競争力の強化と国産農産物の利用拡大との両立を目指し、農業生産から加工、流通、消費までの食品の流れである「フードシステム」の全体としての
高度化のための
事業を実施いたしました。
また、食品産業の体質と経営基盤の強化を図るため、環境負荷の低減技術等先端技術の
開発を進めるとともに、食品産業の大半を占める中小企業の技術の向上を図るため、汎用性の高い技術の
開発を推進いたしました。
さらに、日付表示の点検指導の実施等、規格、表示の適正化の推進を図りました。
また、生鮮食料品等の流通の合理化を図るため、卸売市場の計画的整備を図るとともに、消費者ニーズの多様化、
高度化、流通コストの上昇等に対処するため、食品流通の総合的な構造改善対策を推進いたしました。
このほか、我が国農林水産物の販路を拡大し、農山漁村の活性化等に資するため、輸出促進対策を推進するとともに、世界の農業・食料情勢の調査・分析等を行いました。
第七に、農林漁業金融の充実に関しての
事業概要であります。
農林漁業生産の経営構造の改善、基盤
整備等の促進に資するため、
農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金等の各種制度資金について、所要の融資枠の確保、融資内容の充実を図るとともに、農業信用保証保険機能の充実を図りました。
第八に、林業・木材産業の活性化と緑豊かな森林・山村の整備に関しての
事業概要であります。
まず、木材需要の重要な部分を占める木造住宅建築において、木材供給の低コスト化を図るための総合対策を実施したほか、森林の流域管理システムを実行段階に移し、高生産性の林業を実現するため、林業施策の効率的かつ集中的な投入を行う流域林業総合推進対策を新たに実施するとともに、中山間において、林業・山村の活性化を図り、活力と魅力ある地域づくりを推進するため中山間地域林業山村活性化総合対策を実施いたしました。
また、多様で質の高い森林の整備を図るため、森林整備
事業計画に基づき、造林・林道
事業を推進したほか、第八次治山
事業五箇年計画に基づき、治山
事業を推進いたしました。
さらに、木材の有効な利用を推進するため、新たな用途への
技術開発等を行うとともに、充実しつつある我が国人工林資源の有効利用を促進するため、品質の確保された木材製品の安定供給体制の
整備等を図りました。
また、林業・山村の活性化を図るため、林業担い手の育成強化、高性能林業機械の
開発、特用林産の振興、林業構造改善
事業等を推進するとともに、交流・滞在活動基盤の
整備等による活力ある住みよいむらづくりを推進いたしました。
さらに、健全な森林の育成を図るための間伐総合対策を実施するとともに、松くい虫被害対策特別措置法に基づく総合的な松林保全対策、林野火災対策、緑化対策等を推進したほか、森林計画制度の適正運用の確保を図りました。
このほか、国有林野
事業については、国有林野
事業改善特別措置法に基づき策定された「国有林野
事業の改善に関する計画」に即して、経営改善を推進いたしました。
第九に、二十一世紀に向け新たなニーズに対応した水産業の振興と活力ある漁村の形成に関しての
事業概要であります。
まず、漁業経営の改善合理化・体質の強化を図るため、漁業経営改善促進資金を創設する等、水産制度金融の拡充・強化を図るとともに、漁業生産構造の再編整備の促進、漁業災害補償制度等の充実、漁業・漁協経営基盤の強化等の諸施策を推進いたしました。
また、水産物の需要・価格の安定と流通・加工体制の整備を行うため、水産物調整保管
事業について所要の改善を行ったほか、複数の漁協が連携して広域的に協力を行う体制を整備するとともに、水産物の利用動向の調査分析等を通じた消費拡大対策等を実施いたしました。
さらに、漁業生産基盤・漁村生活環境の整備と漁村の活性化を図るため、新マリノベーション構想を推進するとともに、漁港漁村の整備並びに沿岸漁場整備
開発事業及び沿岸漁業構造改善
事業を推進したほか、むらづくり対策、漁業の担い手の育成確保等の諸施策を講じました。
このほか、我が国周辺水域の持続的かつ高度な利用を図るため、資源調査を充実強化するとともに、資源管理型漁業の推進、栽培漁業、養殖業及び内水面漁業の振興、漁場環境保全対策等の諸施策を講じたほか、海外漁場の確保を図るための国際漁業協力と海洋水産資源の
調査等の推進、漁業の合理化・近代化を推進するための
技術開発と水産施策の基礎となる
試験研究の推進・強化等を実施いたしました。
第十に、その他の重要施策に関しての
事業概要であります。
まず、海岸
事業については、第五次海岸
事業五箇年計画に基づき、海岸保全区域における
事業の実施を図りました。
また、災害対策については、農作物
共済等の各共済に係る所要の共済掛金国庫負担金、農業共済再保険
特別会計の農業勘定における
平成五年度の再保険金の支払財源の不足に充てるため借り入れた借入金の利子等を農業共済再保険
特別会計に繰り入れたほか、農業共済団体の事務費等を助成し、農業災害補償制度の円滑な実施を図るとともに、災害営農資金等の利子補給に対する助成を図りました。
さらに、台風、豪雨、阪神・淡路大震災等により被災した農地、農業用施設、山林施設、漁港施設等の災害復旧
事業を実施いたしました。
このほか、農業団体の整備についても、農業
委員会等に対して、引き続き
助成等を行いました。
以上をもちまして、
一般会計歳入歳出決算に関する御
説明を終わります。
次に、各
特別会計の
決算について御
説明申し上げます。
第一に、食糧管理
特別会計であります。国内米管理勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、
収納済歳入額は三兆四一五億三、三八九万円余、
支出済歳出額は三兆三一一億八、五二九万円余でありまして、
歳入歳出差引き一〇三億四、八五九万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の
歳入に繰り入れることといたしました。また、このうち食糧管理勘定の損益計算上の損失は二、七五三億三七万円余でありまして、調整資金を取りまして整理いたしました。
これにより、食糧管理法、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律、農産物価格安定法及び飼料需給安定法に基づき、米、麦、でん粉、輸入飼料の買入れ、売渡し等を管理することにより価格の安定と国民食糧の確保を図り、国民経済の安定に資するための
事業を実施いたしました。
第二に、農業共済再保険
特別会計であります。農業勘定等の六勘定を合わせて申し上げますと、
収納済歳入額は二、五四四億六、一八〇万円余、
支出済歳出額は二、一八四億九、〇三三万円余であります。
歳入歳出差引き三五九億七、一四六万円余のうち、翌年度へ繰り越す額二〇三億四、一五九万円余を控除し、一五六億二、九八六万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、それぞれ翌年度の
歳入に繰り入れ、又は積立金として積み立てること等といたしました。
これにより、農業災害補償法に基づき、国が農作物
共済等の各共済についての再保険
事業を行うことによって、農業経営の安定等を図るための農業共済
事業の円滑な実施を図りました。
第三に、森林保険
特別会計であります。
収納済歳入額は一二二億三、二二四万円余、
支出済歳出額は二九億三、九四〇万円余であります。
歳入歳出差引き九二億九、二八四万円余のうち、翌年度へ繰り越す額八九億一、八三六万円を控除し、三億七、四四八万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、積立金として積み立てることといたしました。
これにより、森林国営保険法に基づき、国が森林の火災、気象災及び噴火災を保険事故とする森林保険
事業を行うことによって林業経営の安定を図るための
事業を実施いたしました。
第四に、漁船再保険及漁業共済保険
特別会計であります。漁船普通保険勘定等の五勘定を合わせて申し上げますと、
収納済歳入額は五〇〇億五、一九〇万円余、
支出済歳出額は三〇八億五、八八三万円余であります。
歳入歳出差引き一九一億九、三〇六万円余のうち、翌年度へ繰り越す額二二四億二、九九三万円余を控除し、三二億三、六八六万円余の
決算上の不足を生じました。この不足金は、法律の定めるところに従い、積立金から補足することといたしました。
これにより、漁船損害等補償法、漁船乗組員給与保険法及び漁業災害補償法に基づき、国が再保険及び保険
事業を行うことによって漁業経営の安定に資するための
事業を実施いたしました。
第五に、農業経営基盤強化措置
特別会計であります。
収納済歳入額は一、〇二五億一、六四二万円余、
支出済歳出額は三〇二億二、九二二万円余でありまして、
歳入歳出差引き七二二億八、七二〇万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の
歳入に繰り入れることといたしました。
これにより、農地法等の規定に基づき、国が自作農創設のために行う農地等の買収、売渡し等に関する
事業、農地保有の合理化を促進するための
事業に対する助成、農業改良資金助成法の規定に基づく農業改良資金の
貸付事業及び青年の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の規定に基づく就農支援資金の
貸付事業を実施いたしました。
第六に、国有林野
事業特別会計であります。国有林野
事業勘定につきましては、
収納済歳入額は五、三四四億九、〇七〇万円余、
支出済歳出額は五、六四七億一、八一七万円余であります。この勘定の損益計算上の損失は一、三一七億六、三一九万円余でありまして、法律の定めるところに従い、損失の繰越しといたしました。治山勘定につきましては、
収納済歳入額は二、六七八億九七七万円余、
支出済歳出額は二、六七〇億六、一〇二万円余でありまして、
歳入歳出差引き七億四、八七五万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の
歳入に繰り入れることといたしました。
これにより、国有林野法に規定される国有林野の管理経営の
事業及びその附帯業務に係る
事業並びに治山
事業の計画的推進を図る
事業を実施いたしました。
第七に、国営土地改良
事業特別会計であります。
収納済歳入額は六、三八一億八、五九六万円余、
支出済歳出額は六、一七八億一四万円余でありまして、
歳入歳出差引き二〇三億八、五八二万円余の剰余を生じました。この
剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の
歳入に繰り入れることといたしました。
これにより、土地改良法に基づき、すべての国営土地改良
事業、受託工事及び直轄調査に関する
事業を実施いたしました。
以上をもちまして、
平成七年度の
農林水産省決算の
説明を終わります。
何とぞ、よろしく御審議の程お願い申し上げます。
…………………………………
平成七年度
決算農林水産省についての検査の
概要に関する主管
局長の
説明
会計検査院
平成七年度
農林水産省の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を御
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項十三件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。
まず、
不当事項について御
説明いたします。
検査報告番号一四六号は、秋田県が実施した予防治山
事業におきまして、法枠工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。
検査報告番号一四七号は、山梨県中巨摩郡白根町の農事組合法人白根フラワーコーポラティブが実施した高品質生産流適合理化促進対策
事業におきまして、共同栽培施設の設置工事について工事費の値引きを受けていたため、国庫
補助対象
事業費の精算が過大となっているものであります。
検査報告番号一四八号は、三重県員弁郡大安町が実施した新農業構造改善
事業におきまして、
補助事業で設置した運動広場施設の一部を無断で処分しているものであります。
検査報告番号一四九号は、徳島県が実施した広域営農団地農道整備
事業におきまして、設計が適切でなかったため擁壁が不安定な状態になっているものであります。
検査報告番号一五〇号は、愛媛県東宇和郡野村町が実施した林業地域総合整備
事業におきまして、設計が適切でなかったためパイプカルバートが不安定な状態になっているものであります。
検査報告番号一五一号は、大分県日田郡大山町の日田郡森林組合が実施した森林災害復旧
事業におきまして、
補助金算定の基礎となる
事業費が適正でなかったため、国庫
補助対象
事業費の精算が過大となっているものであります。
検査報告番号一五二号は、鹿児島県が実施した農地
開発事業におきまして、設計が適切でなかったため洪水吐が不安定な状態になっているものであります。
検査報告番号一五三号から一五八号までの六件は、農業改良資金の貸付けが不当と認められるものであります。
これらの資金の
貸付事業は、
農林水産省が、農業者等における農業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行う
都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の三分の二を無利子で
貸し付けるものでありますが、借受者が貸付対象施設を県に無断で売却したり、施設等を
貸付対象事業費より低額で設置又は購入したりなどしていたものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御
説明いたします。
これは、漁港整備
事業により造成した漁港施設用地等の利用及び管理に関するものであります。
水産庁では、漁港の区域内において、防波堤、岸壁、泊地等の基本施設及び漁港施設用地等の機能施設の整備を
補助事業等により実施しております。このうち、漁港施設用地の造成に当たっては、漁港管理者である
地方公共団体は水産庁と協議して漁港施設用地の利用計画を策定することとされており、造成完了後はこの利用計画の定める目的に沿って利用しなければならないことなどとされております。また、プレジャーボート等の漁港の利用については、漁港管理者はその受入れ体制等を整備することとされております。
この漁港施設用地等を調査いたしましたところ、長期間にわたり利用計画に沿って利用されておらず、
事業効果が発現していないと認められるものや、占用許可を受けられない者に占用許可を与えているなどしていて、
補助の目的を達していないと認められるものが七十二漁港管理者が管理する百八十五漁港に係る用地三十二万余平方メートルで見受けられました。また、漁港区域内において、漁港管理者に無断でプレジャーボート等が係留されているなどしていて、漁港の管理が適切でないと認められるものが十五漁港管理者が管理する十八漁港(無断係留隻数千四百五十九隻)で見受けられました。
このような事態が生じているのは、①漁港管理者において、利用計画の策定に当たり、漁協等関係機関との調整が十分でなかったり、漁業情勢の変化等に対応して利用計画の見直しを行っていなかったこと、また、プレジャーボート等の受入れ体制の整備が十分でなかったこと、②水産庁において、利用計画の策定の協議に当たり、漁港施設用地の利用実態を確認し審査する体制及び指導が十分でなく、また、漁港の管理・使用状況について適時的確に把握し、指導する体制が十分でなかったことによると認められました。
そこで、水産庁に対して、利用計画の策定の協議に当たり、漁港施設用地の利用実態等について確認し、審査できる体制を整備するとともに、漁港の管理・使用状況について適時的確に把握し、漁港管理者を指導する体制を整備することなどにより、
事業効果の発現が図られるよう改善の処置を要求いたしたものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御
説明いたします。
その一は、加工原料用果実価格安定対策
事業における平均取引価格の算定に関するものであります。この加工原料用果実価格安定対策
事業とは、加工原料用果実の価格が著しく下落した場合に、各道府県の果実生産出荷安定基金協会が実施主体となって、農協等を通じて生産者補給金を交付するものでありますが、本件
事業において、生産者補給金の交付単価の基になる平均取引価格に奨励金等及び手数料等を加算していないため、算定が適切に行われておらず生産者補給金が過大に交付されている事態が見受けられました。そしてこれは、農協等において県協会に報告すべき取引価格等の内容を十分理解していなかったり、県協会の審査・確認が十分でなかったことによるものと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、
農林水産省等では、八年十一月に通達を発し、県協会及び農協等に対して平均取引価格の趣旨を周知徹底させるとともに、果実加工業者からも取引価格等を報告させることとするなど県協会が取引価格等を正確に把握するための具体的な措置を定める処置を講じたものであります。
その二は、政府米の運送に使用するパレットに係る費用の算定方法に関するものであります。
食糧庁では、政府米の迅速かつ円滑な輸送・荷役を図るため、政府米をパレットと呼ばれる木製の荷台に積み上げ、そのままこれをフォークリフトにより鉄道コンテナ等に積み込んで、生産地から消費地まで一貫して輸送するパレット輸送を行っております。そして、このパレット輸送を行うために、運送業者は、事前に、政府米の到着地の倉庫から出発地の倉庫までパレットを回送しておくこととしております。
このパレットの回送作業について、食糧庁では、到着地の倉庫のパレットを、いったん集約倉庫に集め、その後に出発地の倉庫まで回送すると想定しており、また、使用するパレットは事前に損傷等について検査を受けることとしておりました。そして、上記の回送方法に基づいて、パレットに係る費用の算定を行っていました。
そこで、今回、このようなパレットに係る費用の算定に当たって想定しているパレットの回送作業が、実態と適合したものとなっているかなどの観点から調査を行いましたところ、パレットは、集約倉庫を経由することなく、直接出発地の倉庫に回送されていたり、また、パレット検査につきましても、枚数の確認と記録が行われている程度となっていたりしている状況でありました。したがいまして、パレットに係る費用の算定に当たりましては、このような実際には行われていない作業に係る費用を除き、実態に適合した経済的なものとなるよう改める要があると認められたものであります。
このような事態が生じていたのは、パレット回送作業の実態の把握が十分でなかったことによると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、食糧庁では、八年九月及び十月に、契約単価をパレット回送作業の実態に適合したものに改めて、それぞれの月以降から行うパレット輸送について適用する処置を講じたものであります。
なお、以上のほか、
平成元年度
決算検査報告に掲記いたしましたように、国営木曽岬干拓
事業により造成された干拓地について、
平成五年度
決算検査報告に掲記いたしましたように、飼料用外国産小麦の売渡しによるふすまの増産について、及び
平成六年度
決算検査報告に掲記いたしましたように、沿岸漁業構造改善
事業による施設の設置及び運営について及び肉豚に係る家畜共済
事業の運営について並びに国有林野
事業の素材生産及び造林の請負化に伴う社会保険料等について処置を要求し及び意見を表示いたしましたが、これらに対する
農林水産省の処置状況についても掲記いたしました。
以上をもって
概要の
説明を終わります。
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平成七年度
農林漁業金融公庫業務概況
農林漁業金融公庫
平成七年度における
農林漁業金融公庫の業務の概況についてご
説明申し上げます。
国においては、「新政策」の方向に沿って、わが国の農業、農村が二十一世紀に向け自立を遂げ、持続的に発展していくことができるよう、農業の体質強化と活力に満ちた農村地域の建設を図るため、所要の施策が積極的に推進されました。
こうした国の施策に即応して、当公庫は、業務の運営に当たりまして、関係機関との密接な連携の下に、農林水産業の生産基盤の整備及び経営構造の改善のための融資を推進するとともに、多様化する資金需要に対応して、融資条件の改善を含め、融資の円滑化に配慮してまいりました。
平成七年度における貸付計画について申し上げますと、貸付計画額は六千億円を予定いたしました。
これに対する貸付決定額は四千七十八億四千百四十七万円余となり、前年度実績と比較して七十六億八千九百九万円余の減少となりました。
この貸付決定額を、農業・林業・漁業等に大別して申し上げますと
一、農業部門 二千六百三十一億八千二百二十九万円余
二、林業部門 四百八十六億二千九百九十五万円余
三、漁業部門 二百十六億七千二百六十六万円余
四、その他の部門 七百四十三億五千六百五十六万円余
となりまして、農業部門が全体の六十四・五%を占めております。
次に、
平成七年度の貸付資金の交付額は三千九百八十五億一千五百二十七万円余となりまして、これに要した資金は、
一般会計からの
出資金九十九億円、資金運用部からの借入金一千二百八十億円、簡易生命保険からの借入金百四十億円、農業経営基盤強化措置
特別会計からの借入金百五億六千七百二万円余並びに貸付回収金等二千三百六十億四千八百二十五万円余をもって充当いたしました。
次に、
平成七年度末における貸付金残高は四兆七千四百八十九億四百二十七万円余となりまして、前年度末残高に比べて三千四百二十四億五千五十七万円余の減少となりました。
貸付金の延滞状況につきましては、
平成七年度末におきまして、弁済期日から六か月以上経過した延滞貸付金残高は八百八十八億六千七百九十三万円余、このうち一年以上延滞のものは八百二十六億九千六百四十七万円余となっております。
次に、
平成七年度における収入支出
決算の状況についてご
説明申し上げますと、収入済額は、収入
予算額三千二百九十九億八千七百万円余に対し三千二百四十七億八千九百八十六万円余となりました。
また、
支出済額は、支出
予算額三千三百六十八億二千三百七十六万円に対し三千二百十億九千六百三十一万円余となり、支出に対し収入が三十六億九千三百五十五万円余多くなっております。
最後に、
平成七年度における当公庫の損益計算の結果について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は三千三百五十五億七千百六十九万円余、借入金利息等の総損失は三千三百五十五億七千百六十九万円余となり、利益と損失が同額となりましたため、利益金は無く、国庫納付は有りませんでした。
これらの業務の遂行に当たりましては、常に適正な運用について、鋭意努力してまいりましたが、
平成七年度
決算検査報告におきまして、農地等取得資金等の貸付けにつきまして
不当事項として指摘を受けたものが有りますことは、誠に遺憾に存じております。指摘を受けました事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後、このような事態の発生を防止するとともに、当公庫に与えられた使命を果たすべく努めてまいる所存であります。
以上が、
平成七年度における
農林漁業金融公庫の業務の概況であります。何とぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
…………………………………
平成七年度
決算農林漁業金融公庫についての検査の
概要に関する主管
局長の
説明
会計検査院
平成七年度
農林漁業金融公庫の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を御
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項二件であります。
検査報告番号二二〇号及び二二一号の二件は、農地等取得資金等の貸付けが不当と認められるものであります。
これらの資金の
貸付事業は、農林漁業者等に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して
貸し付けるものでありますが、貸付けに当たり、借入者から事実と相違した内容の借入申込みや
事業完成報告がされるなどしていたにもかかわらず、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付けの対象とならない
事業に対して
貸し付けているなどしていたものであります。
以上、簡単ではございますが
説明を終わります。
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