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1997-04-10 第140回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十日(木曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 草川 昭三君    理事 栗本慎一郎君 理事 高市 早苗君    理事 根本  匠君 理事 浜田 靖一君    理事 上田 清司君 理事 大口 善徳君    理事 辻  一彦君 理事 正森 成二君       熊谷 市雄君    佐藤  勉君       菅  義偉君    田邉 國男君       滝   実君    原田 義昭君       平沢 勝栄君    柳本 卓治君       山口 泰明君    青木 宏之君       西村 章三君    野田  毅君       若松 謙維君    生方 幸夫君       渡辺  周君    前田 武志君       武村 正義君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省理財局次         庁       戸恒 東人君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省薬務局長 丸山 晴男君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         社会保険庁運営         部長      真野  章君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    平岡 哲也君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       重松 博之君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ───────────── 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   新藤 義孝君     菅  義偉君   柳本 卓治君     平沢 勝栄君 同日  辞任         補欠選任   菅  義偉君     新藤 義孝君   平沢 勝栄君     柳本 卓治君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの  件)  (第百三十九回国会内閣提出)  平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの  件)  (第百三十九回国会内閣提出)  平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その2)(承諾を求めるの件)(第百三十九  回国会内閣提出)  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書承諾を求めるの件)(第百  三十九回国会内閣提出)  平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書承諾を求めるの件)(第百  三十九回国会内閣提出)  平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (承諾を求めるの件)(第百三十九回国会、内  閣提出)  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書      ────◇─────
  2. 草川昭三

    草川委員長 これより会議を開きます。  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)外二件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書承諾を求めるの件)外二件、以上各件を一括して議題といたします。  まず、大蔵大臣から各件について説明を求めます。三塚大蔵大臣
  3. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま議題となりました平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件並びに平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度一般会計予備費予算額一千五百億円のうち、平成七年二月六日から同年三月二十四日までの間において使用を決定しました金額は、一千五十二億一千三百万円余であり、その内訳は、災害対策費として、災害救助費負担金不足を補うために必要な経費等の三件、その他の経費として、老人医療給付費負担金不足を補うために必要な経費等の五件であります。  また、平成年度特別会計予備費予算総額二兆七千六百七十九億七千五百万円のうち、平成七年三月二十四日から同年三月三十日までの間において使用を決定しました金額は、九百三十三億九千六百六万円であり、その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定繰り入れに必要な経費等特別会計の四件であります。  なお、平成年度特別会計予算総則第十四条の規定により、平成七年三月三十日に経費増額を決定しました金額は、七百九十八億七千四百三十万円余であり、これは郵便貯金特別会計一般勘定における支払い利子に必要な経費増額であります。  次に、平成年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成七年九月五日から平成八年三月二十七日までの間において使用を決定しました金額は、五百七十八億二百五万円余であり、その内訳は、災害対策費として、住宅施設災害復旧事業に必要な経費等の二件、その他の経費として、老人医療給付費負担金不足を補うために必要な経費等の十一件であります。  また、平成年度特別会計予備費予算総額二兆五千八百五十九億一千九百九万円余のうち、平成八年三月二十九日において使用を決定しました金額は、七百四十億円であり、これは外国為替資金特別会計における外国為替等売買差損の補てんに必要な経費であります。  なお、平成年度特別会計予算総則第十四条の規定により、平成七年九月五日から同年十二月十二日までの間において経費増額を決定しました金額は、百七十六億一千四百五十一万円であり、その内訳は、道路整備特別会計における道路事業及び街路事業調整に必要な経費増額等特別会計の六件であります。  以上が、予備費使用調書等についての概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
  4. 草川昭三

    草川委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  5. 草川昭三

    草川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各件審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ─────────────
  7. 草川昭三

    草川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
  8. 滝実

    滝委員 自由民主党の滝実でございます。ただいま大蔵大臣から、平成年度予備費使用状況等につきまして御説明をいただきましたので、主としてその予備費使用に関連して二点ほど申し上げたいと存じます。なお、持ち時間は九時三十五分までということになるようでございますけれども、時間を短縮させていただきまして、大体九時半ぐらいをめどに終了をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。  なお、質問の二点につきまして、第一点は予備費総額に関連して申し上げますので、まず厚生省の方からお尋ねをさせていただきます。次に、外国為替資金特別会計についてイロハのイをお尋ねいたしますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。  ただいま大蔵大臣の御説明にもございましたように、平成年度予備費予算現額千五百億のうち阪神大震災に充てられた金額は、私の計算では、実はそう多くはございませんで、厚生省関係災害救助費負担金百四十八億円強ではないだろうかと思うのでございます。一見いたしまして、あの大災害ということを念頭に置きますと、この予備費使用額がいかにも少ない、こういう感じを受けるのでございます。  もちろん、この予備費充当平成七年の二月六日に行われているわけでございますけれども、それから約三週間後に第二次補正予算を組まれておりまして、そちらの方で、阪神大震災の当面の経費については第二次補正で賄われる、こういうことで、第二次補正予算の方は約一兆円の予算になっていると存じますけれども、それにいたしましても、当面、あの震災の起きた直後の国費の使い方としては甚だ少ないんじゃなかろうかな、こういう印象を受けるわけでございます。  実は、もともと、国でもそうでございますし、地方団体でもそうなんでございますけれども、予算科目にございます予備費については、予算規模に比較いたしまして甚だ少ないという印象は前々からございます。現在もそうなんでございますけれども、当初予算における予備費総額というのは三千五百億円、ほとんど固定をされております。これはもう今から十数年前から国の予算はそうでございます。  ところが、この平成年度予備費、最終的な予備費現額は、千五百億なんでございます。なぜそうなったかと申しますと、これは申すまでもなく、平成六年の年末の第一次補正予算財源やりくりで、せっかくある三千五百億円の予備費を削りまして、二千億ばかりは一次補正予算財源に充てているわけですね。したがって、せっかく当初予算で三千五百億円の予備費を計上しながら、あの阪神大震災が起きたときには実際に千五百億円の予備費しか残っていなかった、こういうことでございます。それほどあの災害というのは人間の能力をもってして予測できない災害であったといえばそれまでのことなんでございますけれども、そこで、その辺の議論をする前に、まず厚生省にお尋ねいたします。  この予備費使用いたしました災害救助費負担金百四十八億円強というのは、一体何に充てられた予備費なのか、そこのところからまず御説明をいただきたいと存じます。
  9. 亀田克彦

    亀田政府委員 御指摘災害救助費負担金でございますが、平成年度予備費の額は、先生指摘のように約百四十八億二千七百万円でございます。  この使途でございますけれども、これは申し上げるまでもなく、阪神淡路大震災に際しまして、災害救助法に基づき兵庫県が行いました応急仮設住宅の設置に必要な経費使用をしたものでございます。
  10. 滝実

    滝委員 今御説明ございましたように、応急仮設住宅一万戸分の経費に充てる、こういうことで予備費使用をされた、こういう御答弁でございます。したがって、震災発生後約三週間で応急仮設住宅一万戸の予備費支出をお決めになったということは、それなりに大変スピーディーな処理だというふうに存じますけれども、問題は、その一万戸そのものが、これは御異論があったら御意見を伺わせていただきたいのでございますが、恐らく一万戸以上は間に合わなかったという考え方もあるでしょうけれども、もう一つは、予備費の残額に制約があったから一万戸しか予備費支出ができなかったというふうにもとられるわけでございますけれども、そのうちのどちらでしょうか。
  11. 亀田克彦

    亀田政府委員 大変大きな災害でございましたので、応急仮設住宅につきましても、何回か計算をし直しまして、何回かに分けて発注をして建設をする、こういう形にしてございます。  この平成年度予備費でございますが、これは先生指摘のように、これによりまして約一万一千戸つくったわけでございますけれども、その後、これも先生から先ほどお話ございましたけれども、補正予算におきまして約八百五十三億円を計上いただいておりまして、この分を合わせまして、平成年度ということで三万五百九十七戸の応急仮設住宅をつくってございます。また、この応急仮設住宅平成年度にもかけてつくっておりまして、平成年度が一万九千八十四戸ということでございます。合計いたしまして、六年度、七年度で四万九千六百八十一戸の仮設住宅をつくったところでございます。
  12. 滝実

    滝委員 財政当局からいたしますと、災害のときには財源関係なしに、あるいは予算関係なしに事業をどんどん進めるべきではないか、こういう議論もありますし、財源関係なしに予算をとにかく計上して、どんどん先へ進めればいいんだというのが財政当局の通念だと思います。ところが、実際そうでない方々財政関係余り詳しくない方々は、やはり予備費に幾ら残っているか、あるいは予算にどれだけ残っているか、こういうことが災害のときにも非常に気になるわけでございます。  専ら神戸で後日談として承らせていただいているところによりますと、国の方は、もっとどんどん金を使ってもいい、もちろん国民の税金でございますからむだ遣いというわけにはまいりませんけれども、災害のためにはどんどん金を使ってくれというぐらいのアドバイスがあれば、もう少し県も市もスムーズに対応ができたというような話も聞くわけでございます。  しかし、それは後の祭りでございまして、私は、あの混乱した時期、しかも大変大量の仮設住宅をつくらなければならない時期に、事務処理だけでもそう一挙にいくものじゃありませんから、予備費の当初の百四十八億強の一万一千戸の仮設住宅が少ないとか多いとかと言うつもりはございませんけれども、やはり印象としてそういうような受け取り方をされやすい、こう思うものでございますので、今後に当たりましては、予備費をもう少しけちらずに予算計上をする、それから、せっかくついた予備費は途中でもって、勝手にと言ってはなんでございますけれども、やりくりのために余り予算減額をせずに、できたらそのまま年度末まで持ちこたえる、このぐらいのことが必要じゃなかろうかと存じます。  先ほども申しましたように、現在の予備費は、この十数年間、予備費総額三千五百億円で固定をされておりまして、予算規模に対して従来から予備費の額が少ないということは、これはもう否定できないことだろうと思うのでございます。したがって、今後の問題として、やはりこの際、財源やりくりは大変でございますけれども、もともと予備費は、最後まで使われずに済めばそれにこしたことのない経費でございますから、多少多めに膨らませて計上しても文句の出る筋合いのものじゃなかろうと思うのです。文句が出るとすれば、それは議会で文句が出るわけでございますから、私は、この決算委員会議論として、予備費はもう少し大事にする、こういうことを記録にとどめていただきたい、こういう感じがいたします。  これは要望だけでございますので、今後の問題としてお考えをいただきたいと存じます。  厚生省はこれで結構でございます。  次に、外国為替資金特別会計について、イロハのイをお尋ね申し上げたいと思うのでございます。  平成六年から平成七年の夏にかけては専ら、円高と申しますかドル安と申しますか、要するにドルの価値が下がり続けた時期であるわけですね。ドル安円高の時期が平成六年から平成七年の時期について一貫して続いていく、こういうさなかであったわけでございます。したがって、その間のいろいろな問題が出てこようかと思うのでございますけれども、まず、平成年度は飛ばして、平成七年の三月から平成七年の八月にかけて、前後五回にわたって日米欧協調介入があったわけでございます。それだけ特に平成七年の三月から八月にかけてはドル安円高が進んだ、こういう時期であるわけでございます。こういうときの協調介入、こういうものは、外国為替資金運用利益が出るものか出ないものか、その辺のところをまず端的にお尋ねさせてもらいたいと思うのです。
  13. 榊原英資

    榊原政府委員 外為特会上、評価損評価益という項目がございます。それと、あと積立金という項目がございまして、介入をやりますときには新たに、例えば平成年度介入でございますと、ドルを買うわけでございますから、当然その外賃金利が積み上がるわけでございますけれども、それの評価損がふえるか減るかということでございまして、幸いなことに、七年度介入の際にはその後ドルが上がってまいりましたので、評価益が出ております。  具体的に申し上げますと、七年度末の評価損が十兆九百二十三億円だったわけでございますけれども、八年度末の評価損は七兆一千六百三億円ということで、ほぼ二兆九千三百二十億円の評価益が出ております。
  14. 滝実

    滝委員 そこで、こういう問題があるわけでございます。  一つは、まずお尋ねしたいのは、平成七年はそういう、結果的にいわば利益が出てきた、こういうことでございますけれども、実際の売買に当たりましては珍しく差損が出ているのですよね。本来であれば、今の局長さんの御答弁のように、全体を通じて見ると何となく、利益が上がるのじゃないだろうかな、こういう印象は受けるのでございますけれども、平成七年の年度におきましては、この特別会計売買差損が出ているのでございます。この差損はどういうような事情で出てくるとお考えになっておられるのでしょうか。
  15. 榊原英資

    榊原政府委員 大変技術的になって申しわけございませんけれども、為替レート評価というのは、基準外国為替相場というもので評価しているわけでございます。これは、過去六カ月の平均というのをとっております。特に、平成年度における介入については、いわゆる押し上げ介入というのをやっておりますので、ドル価格を押し上げるという介入をやっておりますから、介入に入った時点では、その時点でのドル価格というのは過去の六カ月の平均価格より高いわけでございます。  そういう意味で、過去の六カ月の平均より高いところで介入しておりますので、形式的にはその時点では損が出る、こういうことでございますけれども、介入が成功すればさらにドルが押し上がるわけでございますから、結果的には、私が先ほど申し上げましたように、評価益が出るということでございます。形式的には評価損が出ておるわけでございますけれども、結果的に実質的には、介入が成功すればでございますけれども、成功すれば評価益が出る、そういう形になっております。
  16. 滝実

    滝委員 そこで、今も局長からお話がございました過去半年間の平均基準為替相場を尺度にしてはかる、こういうことでございますけれども、平成七年の一月から六月末までの基準相場は、たしか九十九円というふうになっていたと思うのでございますけれども、実際の円・ドル相場の動きからいたしますと、九十九円というのは数字が少し理解できないような数字なのでございます。その辺のところはどういうふうに説明されているでしょうか。
  17. 榊原英資

    榊原政府委員 基準外国為替相場というのは、過去六カ月の米ドル平均レートでございまして、例えば一月から六月についての基準外国為替相場は、前年の六月から十一月の平均をとっておりますので、六カ月の平均といいましてもかなり前の平均になりますから、円・ドル相場等が非常に激しく変動しておりますときには、そのときの市場価格とかなり大きくぶれることがございます。
  18. 滝実

    滝委員 外国為替資金会計は、要するに評価の問題が三つあると思うのです。一つ運用収入という観点からの問題、それからもう一つ売買によって差益が出るか差損が出るかという問題、それからもう一つ手持ち資金評価損がどうなのか評価益がどうなのか、こういうような三つの問題があると思うのでございます。  問題は、今度は年度を六年度に戻しますと、六年度運用収入あるいは売買利益、こういうものは相当に上がっていると思うのでございます。この外国為替特別会計で上がっている利益は基本的には翌年度一般会計繰り入れをする、こういうようなことになるのだろうと思うのでございますけれども、その繰り入れ基準ですね、一般会計繰り入れ割合はどの程度の割合をルールとして持っているのか。一方では、過去のいわば累積評価損という問題に充てるために積立金に充てる部分がございますけれども、一般会計一般会計財源として繰り入れる率、それからもう一つは、その残りを当然積立金に積み立てる、こうなるのですけれども、その辺の割り振りというのはどういうことになっているのでしょうか。
  19. 細川興一

    細川政府委員 今の御質問でございますが、一般会計へどれぐらい繰り入れるかにつきましては、それぞれ各年度予算編成の中で、一般会計財政事情、それからもちろんその特会状況等を総合的に勘案して判断していくというところでございます。
  20. 滝実

    滝委員 そうしますと、利益金が上がっても、別に、それを一般会計財源として繰り入れ割合、それから積立金として積み立てる割合、それは特別に決まっているわけではない、そのときの財政状況を勘案して判断されていく、こういうことだろうと思うのでございます。  そこで、もう一つの、積立金に積み立てるものでございますね。恐らく、これは過去の累積評価損と申しますか、手持ちの外資の評価損というのはたまっているはずでございますから、それのためにこの積立金を積み立てるのだろうと思うのです。現在の、平成年度年度末でいうところのいわば貸借対照表にあらわれる評価損というのは、恐らく九兆円ぐらいの評価損がございますね。片や積立金合計金額は、年度末で恐らく七兆円ぐらいになるだろうと思うのです。膨大な積立金があると思うのです。  そこで、不思議なのは、積立金があっても、この積立金を取りますということはまずないのだろうと思うのです。手持ちドルを金がなくなったから売るということは恐らくはないのだろうと思いますから、そうすると、評価損というのは、貸借対照表上九兆円ということがあらわれますけれども、それは観念上の評価損であって、積立金を崩して評価損を穴埋めする、こういうようなことはないのだろうと思うのでございますけれども、その辺の基本的な考え方はどうなっているのでしょうか。
  21. 榊原英資

    榊原政府委員 外貨資産を持っている場合には、当然のことながら金利収入があるわけでございます。それで、日米金利格差為替レートというのはかなり関連してございまして、例えばどんどん円安になっているときというのは、金利収入はかなり多いということでございます。その金利収入積立金に積み立てるということでございまして、一方での評価損というものをちょうど相殺するような感じになって積立金評価損というのが存在しているわけでございます。  また、その積立金部分については、これはいわゆる外貨準備というようなことになりますので、この部分、この外貨準備をもって例えば今度は逆の介入をするということがあるものでございますから、これは資産として保有しているということになっているわけでございます。
  22. 滝実

    滝委員 そういうような御説明を承りましてある程度の輪郭がはっきりするのでございますけれども、問題は、先ほど申しましたように、どうも七兆円の積立金根拠があって根拠のないような感じがするものですから、その辺のところをもう少しわかりやすい言葉で説明最後にしていただきたいと思うのです。  今の主計局次長さんの話でいきますと、一般会計繰り入れるか、積立金に何ぼ割り振るか、それはそのときの財政状況を勘案して決めるのだ、こういうことでございますと、何となく頼りない話でございますので、その積立金という観点からちょっと説明を加えていただきたいと思います。
  23. 榊原英資

    榊原政府委員 外為特会の健全性を維持するということで積立金を積んでおるわけでございまして、もちろん、その時々の財政事情によって一般会計繰り入れというのを決めるわけでございますけれども、外為特会の立場から、外為特会の健全性が確保できる範囲内で繰り入れをするということでございます。
  24. 滝実

    滝委員 一番最初に局長さんの方から御答弁がございましたように、平成八年ではその利益金が二兆円にも上る、こういうようなことも予測されるわけですね。そうしますと、ちょうど財政難の折でございますから、二兆円丸ごと一般会計財源に入ってしまう、こういうようなうがった見方もあるわけでございますので、その辺のところはやはりある程度きちんとした割り振りというものがないと、額が大きいだけに、何か、先にとった方が勝ちだ、こういうような印象が出てまいりますので、その辺のところはひとつ、きちんとしたルールみたいなものが内々あるのだ、こういうような感じで訴えていただきたい、こういう感じがいたしますので、あえて申し上げた次第でございます。  時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  25. 草川昭三

    草川委員長 次に、大口善徳君。
  26. 大口善徳

    ○大口委員 今回の予備費につきましては、今、さきの委員からも御指摘がありましたように、当初三千五百億、それが実際補正予算に回されて一千五百億になる、こういうことで、昭和五十四年から三千五百億という形で計上されていますが、この金額につきましてはやはりこれからきちっと議論をしていかなければいけない、そういうことを一つ指摘しておきたいと思います。  そしてまた、特別会計予備費につきましては、平成六年二兆七千、そしてまた平成七年二兆五千、かなり大きな金額なわけですが、実際に使用する額というのは非常に少ないわけです。このあたりにつきましても、この規模に対して使用額余りにも少ないということについて、これもこれから検討をしなければならないのではないか、そういうことを指摘をしておきたいと思います。  今、政府の方で、財政構造改革五原則につきましては、企画委員会ということで、大臣もその企画委員ということで、連日いろいろ積極的に発言もされておられます。企画委員というのは、全大臣が企画委員になれるわけではなくて、首相とそれから大蔵、自治、官房長官、そしてまた与党のトップという形で構成されているわけで、厚生大臣とかあるいは建設大臣、運輸大臣は企画委員になっておりません。そういうことで、企画委員でもって平成年度予算についてはその枠組みについて決めていくという報道もございました。  そこで、衆議院においてまだ財政構造改革五原則が議論されておりませんので、大臣に御出席いただきましたので、この機会にお伺いをしたいと思います。  財政構造改革五原則、これにつきましてはいろいろ批判もございます。例えば、平成年度予算が参議院でまだ審議されている間に、この三月十八日に出された。なぜ平成年度予算にこれを反映させないのか。あるいは、行政改革の全体像を示す中でないと、これは例えば官と民のあり方とか国とか地方の分担とかいうこととやはり不可分ではないかということで、その行革の全体像が明らかにされていないでただ単に歳出の圧縮と言うだけでは、ビジョンもなければ説得力もないのではないか、こういう批判もあります。  それから、二〇〇三年までに財政赤字対GDP比三%、こうなっておるわけですけれども、この文書の中にもありますように、九六年度末四百七十六兆円、これは隠れ借金も入れますと五百二十兆、こういう長期債務残高があるわけですけれども、EUにおいては通貨統合基準でGDPの六〇%という目標を立てているわけですが、それは今回外されている、こういう批判。それから、平成年度はマイナス予算にすると言いますが、例えば繰り延べとか繰り入れ停止というような操作によってマイナスということがなされる可能性もあるのではないか。それから、社会保障といいますかそういうものを切り捨てることになるのではないか等々。また、消費税率アップとの関係はどうなのか、非常に不明確な点もある。こういう批判がございます。  まず、財政構造改革五原則について取り組んでおられます大臣に、これについてお伺いしたいと思います。
  27. 三塚博

    三塚国務大臣 段々の御批判は承ってまいります。  同時に、衆参の予算委員会において熱心な討議が行われておりまして、そういう中におきまして、できるだけその委員会においてこの五原則、行財政改革等について御答弁を申し上げ、また意見を承ったところでございます。  企画委員会、三月十八日に設置を決めました。同時に、この十八日、与党三党の代表者、総理経験者、大蔵大臣経験者、御指摘の政府代表の私ども、そういうことで、現下の置かれております財政危機状況をいかに克服をするのかということでスタートを切りました。  簡単に言いますと、累増する赤字、またその必要な財源として国債発行を行い続ければ、利子負担がさらに驚異的にふえるわけでございますから、財政の健全性は完全にアウトになるであろう。悪循環を断つ、その心は、後世にツケ回しはしない。孫子の代に借金を送り、現代が、現代のレベル、現代の中負担の中でこれを通り抜ける。しかし、福祉は、福祉国家にふさわしい高福祉時代というものを目指してやってきた等々の問題がございました。そういう中で、あるべき姿として、まず政府みずからが行財政、特に財政再建に向けて全体の見直しを断行しよう、そして結果としてマイナスシーリングを基本として基準を決めていこう、こう決めさせていただいたところでございます。そういう中で、ただいま四回目の会議が行われており、各省大臣を中心に各項目について意見を聞く、当然これも大事な政治運営のポイントでございますから、その作業がただいま行われておるところでございます。  全体の問題については、これから機会を得て、できるだけ国会において各党に対して進行状況に理解を求める、また報告を申し上げ意見を聴取する、こういうことで、全体的な取り組みとして進めてまいりたい、こう考えております。
  28. 大口善徳

    ○大口委員 各批判点につきましては十分検討していただきたいと思います。  特に、長期債務残高についての目標、これが外されたということについて、それから操作、繰り入れの停止とか繰り延べとか、こういうようなことによって小手先でやるのじゃなくて、真正面から取り組んでいただきたいと思いますが、そのあたりはどうでしょうか。
  29. 三塚博

    三塚国務大臣 決してストックの残高処理について等閑視したわけではございません。私は、この問題も相並行して取り組むべきだと考えておる一員であり、ヨーロッパ、G7構成国の真剣な削減目標に向けての努力、サミットに参加をしておらない諸国もまさにそういうことで努力をし、好況を伝えられるアメリカ合衆国におきましても、このことの基本は踏まえながら、財政構造改革を進めながら健全財政へ努力をいたしておるわけであります。  これらにかんがみましても、三%、いかにこれを抑える、達成をするかということは、フローの当面の最大の目標。四百七十六兆という国、地方を合わせた残債と申しますか債務、これの問題についても、全体の運営の中で結果的にそちらに効果が出ていくようにしなければならない。ストックの部分については、国債費を十六兆本年は計上いたしておるわけでございますが、税金をもってこれを支払うことが到底でき得ませぬものですから、この部分やりくりについては、全体七十七兆の借入金を含めた歳入の中で割り振りをするということであります。  そういう意味で、公共事業を例外にするとかということはなく、防衛、ODA、各項目全体を見直し、内容を詰めて、編成に当たりましてはマイナスシーリングということでやらなければならぬ、隗より始めよということでスタートをさせていただいておりますものですから、今後も、この六年間の期間、最終的には残の二年で二〇〇五年でありますけれども、また格段の御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げている次第であります。
  30. 大口善徳

    ○大口委員 決算委員会におきまして、予算についてどう執行され、そしてまたその予算にむだがないかどうかという観点からの検証等も非常に大事になってくると思います。行政監視院というようなお話もあるように、これからの決算委員会審議ということを、大臣もきょう出席されておるわけですから、重視していただきたいということが一点。  そしてまた、一般歳出について前年度マイナスで十年、十一年、十二年と三年続けていくということでございますけれども、十三年以降についてはどうなのかということ。  そして、平成十年の予算編成につきましては、従来のシーリング手法ということではなく、新しい手法というものを検討しなければいけない。マイナスシーリングとおっしゃいましたが、一律でいいのかということについてもいろいろ御検討があると思いますが、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  31. 三塚博

    三塚国務大臣 決算委員会の重要性は御説のとおりであります。予算編成も重要であります。両輪でございます。国民が納めていただいた税金を使わせていただき、借金をして御辛抱をいただく、こういう運営の中であればあるほど、むだを省き、効率的な運営をしてまいる、また、国家的に、地域的に重要な問題については工夫をしてこれの前進を図るということは当然であります。その執行が厳正に行われておるかおらないか、これはまさに決算委員会の基本的な専権事項であろうと踏まえております。  委員会の御決定に必ず従いまして、外交日程の場合はまたお許しをいただくといたしまして、この審議がさらに国政の前進のために、国民各位の信任を得るために、取り組んでまいりたいと思っております。  今後三カ年、どのようにするかということについては、細川次長から説明をさせます。
  32. 細川興一

    細川政府委員 先ほど先生の方からシーリングの問題なども御指摘されましたが、概算要求基準、いわゆるシーリングにつきましては、機械的、技術的な手法によって算出した各省庁の要求の総枠を示したもので、各省庁はその中で優先度を選択して効率的な要求を行ってきているというのが現在の方式でございます。  今後の財政構造改革につきましては、先ほどから大臣が御答弁されているように、財政構造改革会議等で了承されました五原則あるいは基本的考え方に基づきまして、現在、企画委員会で、社会保障、公共投資、文教、防衛関係費を初めとするあらゆる経費を対象に、一切聖域を設けることなく検討を行うことといたしております。  概算要求の方式につきましては、「基本的考え方」におきまして、「本会議の結論のうち十年度に実現すべきものについては、概算要求段階から反映させていくこととし、これを踏まえた概算要求基準を検討する。」ということになっております。  御質問の点につきましては、同会議において、歳出の改革、縮減の具体的方策の検討を受けて、具体的に検討されることとなっております。
  33. 大口善徳

    ○大口委員 大臣に、今、十二年までについては前年度マイナスで一般歳出については考えますということであったわけですけれども、十三年以降についてどうなのか、そのお考えをちょっと伺いたいと思います。
  34. 三塚博

    三塚国務大臣 十三年度以降は健全財政への骨組みができ上がっておるころであろうと思いますが、若干のものが残る可能性なしといたしません。行政改革、また公社、公団の見直し等、積極的に行っておるところでございます。  そういうことで、残されたものについて見直しは絶えず行われなければなりませんので、財政によって行うことがどの程度までいけるのかということは、もう国会論議の中でも明確に示されてきておるところでありますし、企画委員会の中におきましても、本件についてはできるだけ民間活力を拡大して行ってまいりたいということで、経済構造改革が重要な柱の一本になっておるわけであります。  金融システム改革も、そういう意味で、経済の血液である金融が、需要に応じ、また活力を与えるようなシステムになり、一千二百兆と言われる個人預貯金が安心してその運用ができるような商品サービスがそこで提供されていく、国際社会においてもその質を争う提供をいたしまして頑張っていくということで取り組んでいければ、こういうことであります。
  35. 大口善徳

    ○大口委員 この三年間、集中してやるということでございますね。そして、それ以降安定させていきたいということであるとお伺いします。  次に、大臣は、この企画委員会で御発言をされておるわけですけれども、その中で、社会保障について、社会保障を高福祉・高負担から中福祉・中負担に移行する必要がある、そしてまた、年金制度を報酬比例部分を上乗せした二階建てから一階建てにすることが重要だ、こういうお話をされたようにお伺いしております。  現状は高福祉・高負担という御認識で、そしてそれを中福祉・中負担にしなきゃいけない、こういうことなのか。  それから、年金につきましては、大臣は企画委員でございます。厚生大臣は中に入れない。そういう点で年金について非常に重要な大臣の影響力があるわけでございますけれども、年金制度につきましてお伺いしたいと思います。
  36. 三塚博

    三塚国務大臣 企画委員会では、社会保障全般について、厚生大臣を中心に御出席をいただきまして、現下における問題点、今後の取り進め方等について承る時間は設定をすることといたしております。  そういう中にありまして、高福祉・高負担、中福祉・中負担という問題提起は、財政審議会において論議され、提言をされておる問題であります。私自身もかねがね考えてきた点に一致をいたしますものですから、本件を申し上げさせていただきました。  毎年、社会保障費、一兆円の自然増があるわけでございます。そういう中で、高齢化社会を迎え、推計によりますと深刻な問題等も提起をされておるわけでございますから、国民生活に活力が出る、経済活動に活力が出て前進をするということ等も考えますと、民活を含めた、自立を含めた諸制度が生まれていくということで、若い年代のころからこれに対応していくということも大事であろう、これが一点であります。  そういうことの中で、年全体制の受益と負担という基本的な問題を、片や五〇%以下に国民負担は抑えていかなければならないという国家目標もあるわけでございますから、そのすき間、ギャップをどう埋めていくかということについて、お互いが論議をし、国民論議の中で取りまとめ、最終的には二階建てでスタートを切った制度であります。この制度は制度としても、全国民全年金、こういうことであることに考えていけば、既得権を持つ年金生活者に備えた過去の積み上げというものをベースにしながら、一階建てへの移行がどの手法でいけば可能なのか、こういう意味の問題提起をさせていただいたところであります。
  37. 大口善徳

    ○大口委員 そうしますと、大臣としては一階建てへ移行をさせたいと、こういうことでよろしいですか。
  38. 三塚博

    三塚国務大臣 御提言のとおりです。
  39. 大口善徳

    ○大口委員 この二階建てを一階建てへということについてはいろいろ、切りかえのときに、今までの既得権者が給付が減るわけで、この点についてどう手当てをしていくかですとか、あるいは、今まで掛けていて二階建てだと思っていたのが一階になるということで、期待権、この点についてどうやっていくんだですとか、いろいろな難しい問題がございます。十一年の財政再計算までにそういうことも決めていかなきゃいけないわけですけれども、今、大臣の方針というのは承りました。  それにつきまして、厚生省として、この報酬比例部分の扱い、それから高額所得者に対する年金の見直し、それから医療、介護との調整の課題と、年金についていろいろな課題がありますが、このあたりについて議論がどうなっておるか、お伺いしたいと思います。(三塚大蔵大臣「その前に委員に対して一言、委員長」と呼ぶ)
  40. 草川昭三

    草川委員長 では、まず前に三塚大蔵大臣
  41. 三塚博

    三塚国務大臣 今大口委員が言われましたとおり、平成十一年、財政再計算、極めて重要な場面であります。抜本的見直しはその時点で行われるはず、よって、企画委員会も本問題を問題意識としてしっかりととらえながら論議を積み重ね、抜本見直しの際の一助となればと、こういうことであります。
  42. 矢野朝水

    ○矢野政府委員 平成十一年、次期財政再計算につきましては、非常に厳しい状況がございますので、出生率の低下ですとか経済がかつてのような高度成長が望めないとかいろいろな問題がございますので、これは相当思い切った見直しが避けられないと思っております。  それで、来月から年金審議会を開催いたしまして論議を深めていきたいと思っておるわけでございます。今御指摘のありましたような報酬比例の取り扱い、あるいは高額所得者に対する年金給付の見直しとか医療と介護の調整、こういったことも当然その見直しの一環として御議論いただきたい、こう思っております。
  43. 大口善徳

    ○大口委員 年金財政、厳しいわけでございますけれども、その中でむだもあるわけですね。  例えば一つ、年金の行政事務について考えてみますと、今、偶数月十五日、年六回この支払い通知というのが行われております。これの行政コストというのが百億あるわけです。年金全体から見れば百億というのは小さい額かもしれませんが、そういうことを国民は実は注視しております。行政コストをどう削減するか。英、米、独、これは年に一回の通知で済ませておるわけです。これを年に一回にするだけで、厚生省に試算していただきますと約八十億の削減になる、こういうふうに聞いております。こういうことにもやはり力を入れていくべきじゃないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
  44. 真野章

    ○真野政府委員 御指摘のとおり、現在、年金の支払いの通知は年六回行っておりまして、金額的には先生おっしゃられたとおりでございます。これにつきましては、現在の会計法制上、支払い通知は年金を支払う際に受給者に送付しなければならないというふうに定められております。また、いつ幾日支払いますということを年金受給者にお知らせをするという意味でも、行政サービスということで考えております。  ただ、御指摘のとおり、この簡素化という問題につきましては我々検討課題だと思っております。そういう意味では、受給者への行政サービスの低下にならないようにどういう方法があるのかと、受給者の数とか、そういうものとの関連も考えて検討をしたいというふうに思っております。
  45. 大口善徳

    ○大口委員 今か今かと年金の日を待ちわびているわけですから、通知をしなくても大体わかっておるわけですね。こういうことはまず率先してコスト削減をしていただきたい、こう思うわけでございます。  また、この財政について首相も、今回、補正予算のあり方について財政構造改革会議において、景気対策に対する補正予算での公共事業の追加は少なくとも今後三年間は実施しないとする基本方針を固めたと。こういうことで、公共事業についての補正予算についていろいろ御議論が企画委員会においてもなされております。また大蔵大臣も、積極的にこのことについては御発言もされております。きょうの日経新聞にも、「大災害の復旧など緊急事態、国家公務員の給与改定、税収見積もりの増減以外は視野にない」ということで補正予算について視野に入れていない、「ウルグアイ・ラウンド対策費や一般公共事業などの補正計上は認めない」、こういうことを大臣はお話をされております。  そこで、そこら辺の、補正予算で計上するとしたらこういう場合だということを委員会におきましてはっきり明示をしていただきたい。これが一つ。  それから、中に、ある大臣等は、絶対実施しないというのは政治的におかしいとか、経済の動向によってはあらゆる手段を駆使すべきだと、こういう批判がありましたり、あるいはサマーズ米財務副長官等も、内需拡大との関係でどうなのかと。あるいは、景気対策あるいは地方経済に対して減量財政のデフレ効果、こういうことを心配する向きもございます。しかしながら、首相あるいは大臣が、この補正につきましては、これは例外はあるとしても景気対策等についてはやらない、こういうことでございます。そのあたりについてお伺いしたいと思います。
  46. 三塚博

    三塚国務大臣 財政構造改革元年が九年度予算でございました。それで二年度に入りました。だんだんのお話質疑の中で申されましたように、また申し上げましたとおり、何としても赤字体質からの脱却、国債依存からの脱却、こういうことでまなじりを決し、不退転の決意でこれに取り組んでおるのがトップである橋本さん。私も、予算編成、原案づくりの主管大臣として、その価値観を共有しながら、しっかりやらなければならないと。  そういうことでありますと、予算編成は本来年初にこれを決めさせていただく。四月一日からのスタート、こういうことで常会も一月当初に召集をされ、予算委員会を中心に大論戦が行われてきておるわけであります。一年の歳入見積もり、歳出見積もりというものが明示をされていくわけでありますから、その中で全力を尽くすこと、当然であります。慣行によりまして予算補正が景気対策の観点から組まれてきたことだけは、過去において一つのパターンでありました。ここまで財政が逼迫する以上、当初予算において決定して、一年間これをもって執行しようということは、構造改革に臨む政府の基本的態度と存ずるわけでございます。  御指摘のように、財政法二十九条、災害等々についての緊急を要するものについては、国民の生活をお任せをいただき、預かっておる国会、政府としてやることの業務であるわけでございますから、その点を除き、一般会計予算、当初予算においてすべてが網羅をされる、こういうことでなければならない、その決心で、背水の陣で編成が行われる。各省、プライオリティーを決めて、全体が、全部必要だという理屈は今まであったわけでありますが、その中から、今日のような事態にこたえ、何を重要にし何を進めるか、こういうことであろうと思い、申し上げた次第であります。
  47. 大口善徳

    ○大口委員 今の大臣の御答弁で、平成年度補正予算のときにそういう御答弁がいただければよかったな、つくづくとそう思っておるわけでございます。  最後に、日債銀の問題につきましてお伺いをしたいと思います。  日債銀の問題につきましては、こういう事態になったということでは、やはり金融当局の責任は非常に大きいと私は思うわけでございます。そして、この日債銀の問題、そしてまた北海道拓殖銀行の問題というのが、金融不安ということで、そのことからいろんな形で波紋を呼んでおったわけでございます。  今回、日債銀につきまして、経営再建策という形を大蔵省主導で行ったようにお伺いをしておるわけでございますが、新聞等におきましても、この日債銀について、例えば四千六百億円の不良債権の処置についてはしたが、あと四千七百億、第三分類について損失の可能性があるんじゃないか、それに対する懸念ですとか、そういうこともございます。  こういうことで、日債銀、そして拓銀、道銀の合併、これによって金融不安は解消されたと言えるのかということを、まず一点お伺いしたいと思います。  そして二点目に、この関連ノンバンク三社、今回の日債銀の関連のもの三社につきまして、全部で約一兆九千億のうち日債銀の三千億を除きました約一兆六千億というものが、これが今までのように母体行が責任を負わないという形になりました。その中で、系統系が念書を受けている、あるいは念書をほごにしたということが報道されております。また、それ以外におきましてもそういうことがあるかもしれません。こういう念書について、これは債務保証ということになりますとまた再建計画に影響を及ぼしてきます。このことについてどうなのか。  そして三点目に、金融ビッグバン、大競争時代に突入したわけでございますけれども、こういう場合に、金融機関の再建におけるルール、阪和銀行はだめで日債銀はいいとか、あるいは合併なのか経営再建でいくのかとかいうことについてのルール、これは透明なもの、そしてきちっと決めておくべきものだ、こう思うわけでございます。  今回の措置が、大蔵省のルールがあると思うのですが、その中でどのように位置づけられるのか、これもお伺いしたいと思います。これは、日債銀の措置は初めてのことだと思いますが、よろしく御答弁願いたいと思います。
  48. 山口公生

    山口政府委員 大臣の金融不安は払拭されたかという答弁に対するお答えの前に、二つ目の、念書についてのお答えを申し上げたいと思います。  この関連ノンバンク三社に対して、農林系統に対し日債銀が念書を出したということでございますが、これは、日債銀関連ノンバンクの再建計画に関し、債権者の理解を得るために同行の指導姿勢についての表明をした文書と承知しております。  この文書が果たして法的な意味で債務保証に当たるかどうかというのはいろいろ議論はあると思うのですが、もし仮にそれが争いの対象ということでありますと、それは、当事者間というよりは司法の場で判断されるものだというふうに考えております。  それからもう一つ、三番目に申されましたルールの問題でございます。  今回の日債銀の抜本的な経営再建策につきましては、万が一同行の破綻という事態になりましたときには、国内の金融システムに大きな動揺が生じるのみならず、国際的にも金融不安が日本から波及していくという懸念があったわけでございます。そこで、経営責任の明確化、大胆なリストラの実施等を前提に、同行が関係金融機関等に増資のお願いもしている。それでまた新金融安定化基金からの出資を依頼してきたということで、それに対して、大蔵省や日銀もこれにできるだけの支援をするという方法で対応しようとしたわけでございます。しかし、これはあくまで破綻のケースではございません。再建でございました。  破綻について申し上げますと、現在、ディスクロージャーの状況、あるいは金融機関がまだ不良債権を抱えて信用不安を醸成しやすいという金融環境にあるということを踏まえまして、二〇〇〇年度までは、時限的な枠組みとして、預金保険法の特例として全額保護をできるようになっております。したがって、そういったことも十分活用しながら、金融システムの安定的確保のための万全を期してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  49. 三塚博

    三塚国務大臣 日債銀、道銀、拓銀の合併ということについていかん、こういうことであります。  本件は、いずれも自助努力、自己努力、自己責任ということで最大限、再建のために、活性化のために三銀行がやり得たものと理解をいたしております。高い評価を与えたというのはまさにそういうことでありまして、今後の金融不安解消に、この二案件の再建、活性化に向けての精いっぱいのリストラというものが大きく貢献するものであると考えております。
  50. 大口善徳

    ○大口委員 以上で終わります。
  51. 草川昭三

    草川委員長 次に、渡辺周君。
  52. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。先ほど来の委員質問と重複を避けるつもりではおりますけれども、若干、三番手ということもありまして重なることもあるやしれません。  先ほどの自民党の滝委員あるいは新進党の大口委員も若干触れられておりましたけれども、まず第一点、財政法二十四条の予見しがたい予算不足に充てるための予備費と、ここ毎回作成されます予算作成後に生じた事由に基づく補正予算、この二つを使い分ける基準、そういったものがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  53. 細川興一

    細川政府委員 財政法上、予備費使用の要件につきましては、ただいま申されましたように、第二十四条で「予見し難い予算不足に充てるため、」と規定されております。また他方、補正予算の提出の要件につきましては、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」を「行なっため必要な予算の追加を行なう場合」というふうに規定をされております。したがいまして、予備費使用補正予算提出の要件の間にはさしたる差異はなく、予算編成時に予見し得なかった事態が年度途中に生じた場合に、予備費使用によるか、あるいは補正予算の提出によるかは、法律上は政府の判断にゆだねられていると解されております。  ただ、国会の開会中におきましては、国会予算審議権との関係から予備費使用について節度があるべきだという考え方に立ちまして、閣議決定をもって、国会開会中の予備費使用を比較的軽微なものあるいはルーチンなもの、または義務的経費等に限定しているところでございます。  政府としましては、予備費の節度ある使用につきまして常に留意しているところでありますが、今後とも適切に対処してまいりたいと思います。
  54. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 特に、その中でも特別会計にちよっと触れたいなと思っておるのですが、特別会計については、その目的、業務、経理等のすべてにわたって細かく規定をしている設置法が存在をするわけであります。財政全般をカバーする一般会計に比べると、財政上の対応範囲というものははるかに限定されておりまして明確になっていますので、予見しがたい予算不足が発生する度合いというものは極めて小さいというふうに言えるわけであります。事実、特別会計勘定において、予備費使用頻度は一般会計と比べて極端に低い。  このように、一般会計に比べると財政上の対応範囲が限定されている特別会計予備費、この計上自体に疑問を持つわけなんですけれども、その点について御見解をお尋ねをしたいと思います。  そしてまた、特別会計予算総則では、さらに、弾力条項あるいは百分の五十を認める条項があります。これでは、国会予算を議決した後に予算が膨らんでしまう可能性があるわけです。それを考えますと、財政上の大原則であります事前議決の原則を何か大きく逸脱をしているような念を持つわけでありますけれども、こうした制度を改善するという必要性のあるなしについて、これは三塚大蔵大臣に御見解をお尋ねしたいと思います。
  55. 細川興一

    細川政府委員 やや技術的な点もございますので、まず、お答えさせていただきたいと思います。  二つ御指摘があったと思いますが、特別会計での予備費の計上の問題でございます。  特別会計、多岐にわたっておりますが、各特別会計につきましては、それぞれの設置目的に基づいて、特定の歳入をもって特定の歳出に充て、一般の歳入歳出と区分して、事業の弾力的かつ円滑な運用を行うために設けられているものでございます。その事業を行うに当たりまして、過去における使用の有無にかかわらず、相当と認められる金額を、それぞれの特会事情に応じて予備費を計上しているところでございます。  例えば、保険特会のように不測の保険事故に対処するものとか、あるいは外為の国際収支の状況等の不測の事態に対処するといった観点から、それぞれの相当額の予備費を計上しているところでございます。  それからもう一つ、いわゆる弾力条項あるいは五〇%増の条項がございます。その点の御指摘でございますが、まず、特会の弾力条項につきましては、特別会計において、事業量の増加等に起因して特別会計画有の収入金額予算額に比して増加する等、特定の要件のもとに、収入の増加と見合って支出の増加を図るものでございます。  また、いわゆる五割増しの条項につきましては、予見しがたい経済事情の変動等に弾力的に対応するために、公庫、公団等の事業資金を増加させることが特に必要である場合の措置でございます。  いずれも、財政運営の円滑な執行を図るという観点から設けられているものでございます。  なお、これらの条項につきましては、その発動の要件あるいは限度額等につきまして、予算総則において国会の議決をいただいているものでございますので、予算審議権を侵害するものではないと考えております。
  56. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまのような要件の中で取り進められております。  そういう点で、事前議決の原則はその中で総則として盛り込まれておる。しかしながら、国会にその報告をすることは当然でございまして、そのように相努めておるところでございます。
  57. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 先ほども、大口委員でしたでしょうか、触れられましたけれども、大蔵大臣は今年度予算について、予算の執行段階における節減を図るということを閣議でも発言をされております。この考え方は、予備費使用に対しても当然含まれるものであるとお考えでしょうか。その御見解を重ねてお尋ねします。
  58. 細川興一

    細川政府委員 今先生から御指摘ありましたように、四月一日の閣議におきまして、大蔵大臣から予算の執行につきまして、不急な経費を節減していただくなど、徹底した経費の節減合理化に最大限の取り組みの御協力を各省庁にお願いしたところでございます。  なお、予見しがたい予算不足に充てるという予備費の性格にかんがみまして、予備費使用に当たっては、従来より厳しい審査を行っているところであり、今後とも適切に対処してまいりたいと思います。
  59. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ここでちょっとまたお尋ねをしたいわけでございますけれども、労働保険特別会計雇用勘定には四千三百億円の予備費が計上されております。そうした中で、一般会計より二千九百二十億円を受け入れている。予備費をなくせば一般会計の負担がなくなるというものではないのですけれども、財政再建の折にどのようにお考えであるか、その点もあわせてお尋ねしたいと思います。
  60. 細川興一

    細川政府委員 今御指摘のありました労働保険特会の雇用保険の問題でございますが、雇用保険そのものは、失業等を保険事故として失業等の給付等を行う社会保険制度でございます。給付の財源には、労使が負担する保険料及び国庫負担が充てられております。  そこで、そこに計上されております予備費は、失業等給付費等に予見しがたい予算不足が生じた場合に、これに充てるために保険料を見合いの財源として計上しているものでございます。これに対しまして、国庫負担金は、失業者の生活の安定等に対する国の責任を果たすものとして一般会計に計上されているものでございます。  今申し上げましたように、両者は趣旨、目的及び財源の異なる経費でありまして、それぞれについて所要の額を計上する必要があると考えております。
  61. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 時間も半分過ぎましたので、ちょっと五月雨式で申しわけないのですが、こうして今まで質疑をさせていただいた中で、結果的には、毎年度、多くの勘定の中で予備費が計上されている。しかし、使われないまま不用額というふうになっている。この不用額の扱いというものはどうなるのか。この不用額の扱いについてお尋ねをいたします。
  62. 細川興一

    細川政府委員 各特別会計予備費は、予見しがたい予算不足に充てるため相当と認められる金額を計上しているところでありますが、使用の決定がなされなかったものにつきましては、不用となります。  この不用額につきましては、各特別会計において歳入歳出決算上の剰余の発生要因となりますが、結果として剰余が生じた場合には、各特別会計法の規定に従いまして、積立金として積み立て、翌年度の歳入への繰り入れ等の処理を行っております。
  63. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 そこで、もう一回大蔵大臣にお尋ねをしたいのですけれども、財政再建、あるいは予算の執行と今後の健全性を考えて、もう一度、予備費に対してのお考えというものをぜひお尋ねをさせていただきたいと思います。
  64. 三塚博

    三塚国務大臣 段々の御質疑の中で基本的な問題が煮詰まっておるわけですが、予備費はまさに不測の支出に対応する、こういうことでございますから、年度当初に、それに見合うものとして、基準は長年の積み上げ平均値を計上をするということになっております。そういう中で、予備費使用といえども、的確に、厳密にこれが行われていくというのは当然のことでございます。  そういう中で、引き続き、財政構造改革の元年予算であり、次年度の編成、基準つくりに全力を尽くしておることにかんがみまして、深い理解を求めつつ、その方向で努力をしてまいっておるところであります。
  65. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 時間も限られております。  それでは、ちょっと次の質問に移らせていただきたいと思うのですが、平成年度一般会計予備費使用調書の中で、平成年度予算では、予備費が水俣病の和解費用に使われている。これは繰り返しになると思いますが、事件発生から四十年、そして未認定患者等の認定をめぐって大変長い時間がたった。ある意味では、高齢化をされた被害者の方々、裁判の長期化等々を含めて、被害者の方々に言わせると厳しい選択をしながらもある一定の解決を見た。そうした中で和解の経緯というものをひとつお伺いをしたいと思いますし、また予備費の中から使用された理由についてお尋ねをしたいと思います。
  66. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 水俣病の問題でございますけれども、これは戦後の日本経済社会が残した未解決の問題の一つであったわけでございまして、今先生からございましたように、水俣病の公式発見以来四十年を経過いたしまして早期の解決が求められておりました。このような状況を踏まえまして、平成七年九月に与党三党が政治的に最終解決策を示されまして、これに基づきまして、関係企業とそれから被害者団体等の間での合意が成立をいたしました。政府といたしましても、その合意を踏まえまして、平成七年十二月に、閣議におきまして政府として行うべき施策を決定をしたわけでございます。  この最終解決策を実施するための関係経費につきましては、このとき既に、熊本県議会におきましてそのための財政措置に関する議決が行われておりまして、国におきましても、一日も早く対象者に一時金が支払われるようにするということとともに、水俣病の問題で疲弊をいたしました水俣地域の再生あるいは振興施策が推進されるようにということで財政措置を講ずる必要があったために、緊急に予備費で措置をいたした、こういう経緯でございます。
  67. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 この問題も大変長い歴史をしょいながら、しかし一定の解決を見たということで、我々の意識の中には、あるいは一般社会の意識の中から、もう既に完了したことだというような、もう完結したような意識がどうしても出てきてしまうわけであります。  例えば今回のこの予備費の問題に関連して言えば、エイズの和解についてもそういった費目がございます。水俣病のケースとはちょっと違いますけれども、このような政策の失敗、これは、予備費から支出して国会に事後に報告をするということでは、何か問題があいまいになってしまうのではないかなというようなおそれを抱くわけでございます。そういう意味において、特にこのエイズの問題では厚生省の元官僚が起訴されている、このような個人の責任が限定できる場合において、当該の担当の官僚の方に国が賠償責任を求めるということもあり得ると思うのです。予断を入れるような質問になるかもしれませんが、現在審理中の裁判で、万が一といいますか、有罪判決が出た場合に、厚生省として賠償責任を求めるということを想定されているのかどうか、ちょっと質問したいと思います。
  68. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 先生お尋ねのとおり現在刑事訴訟進行中で、仮定の話でございますので、恐縮でございますが、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
  69. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 多分そういうお答えだろうというふうには思います。それでは観点を変えますけれども、昨年度予算では、エイズ和解の履行のため百七十五億円が支出されました。これはやはり、先ほど申し上げましたような政策の失敗による後始末で、予算の執行に当たっては国会審議によって執行するべきであろうと思いますけれども、今回厚生省がこのような措置をとったということについてお尋ねしたいと思います。
  70. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 血友病エイズ感染者並びに発症者の方の問題につきましては、昨年の三月二十九日に東京と大阪で第一次の和解が成立いたしまして、それまで審議が進んでおりました百十八名の方全員の解決を見たわけでございます。それから、全体といたしまして千八百名近い方につきまして、全員の早期和解を進めるということで作業が進んでまいりまして、与党三党におきましてもプロジェクトチームをつくっていただきまして、関係委員会でも非常に集中的な御審議をいただきながら進んでまいったわけでございます。  これの費用につきましては、八年の三月二十九日からの出発でございますので八年度予算に計上ができなかったということで、予見しがたい予算不足に充てるため、財政当局の御理解をいただきながら、予備費の支出をさせていただいて今日まで来たわけでございます。本年度につきましては、和解に必要な五十億円ほどの経費を既に計上して万全の備えをしているところでございますので、御理解いただければ幸いでございます。
  71. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 もう残り時間が二分となってしまいました。この問題についてはまた別の機会に、問題の検証あるいはこの構造的な部分については他の委員会になりますか、あるいは本会議等も含めて、きょう、ここではできませんので、別の機会にいたしたいと存じます。  おしまいに伺いたいのですけれども、これは非常に基本的な御質問になるかもしれませんけれども、予備費使用国会に報告されたのに国会が承認をしなかったらどうなるのか。昭和六十二年度一般会計に関する報告が不承認だったのですけれども、その際どうなったのか。また、仮に両院で不承認になった場合にどうなるのかということをお尋ねしたいと思います。  また、あわせて、決算あるいは報告について不承認であった場合のこともあるわけですけれども、有識者がいろいろ指摘もされているわけですが、不承認でも実質的な効果がなければ、結局は予算は議会が議決した範囲内という財政民主主義という観点からどのようなことになるのか、お尋ねをしたいと思います。
  72. 細川興一

    細川政府委員 予備費使用につきましては、先生指摘のように、国会の議決を経た総枠の範囲内で内閣の責任でこれを支出することができることとされております。したがいまして、万が一仮に予備費使用について国会承諾が得られなかった場合においても、このことは、過去における予備費使用決定に係る支出等の法律上の効果に影響を及ぼすものではないと考えております。しかし、この場合、国会承諾が得られなかったことについて内閣がどのような対応をするかは、その時点で、個別、具体的に判断することとなると考えられます。  なお、元年十二月に予備費使用につきまして参議院の承諾が得られなかったことはまことに遺憾であり、今後とも予備費の適正な使用に一層努力していく旨の内閣総理大臣談話を出しているところでございます。  また、もう一つ指摘がありました点につきましては、予備費使用の不承諾とされた経費につきましては、御指摘のとおり、その後の予算編成に反映させるべきものと考えており、これまでも基本的にそのように対応してきているところでございます。  いずれにしましても、予備費につきましては、その節度ある使用に十分留意し、慎重かつ厳正な処理に努めてきておりますが、今後とも一層努力してまいりたいと考えております。
  73. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 もう質問時間が参りましたので、また改めまして御質問したいと思います。終わります。
  74. 草川昭三

    草川委員長 次に、正森成二君。
  75. 正森成二

    ○正森委員 先ほど、同僚委員から外為特会の問題について質問がございました。私もその問題について若干伺いたいと思います。  時間が短いので、局長の御答弁だと思いますが、あらかじめ資料をいただいておりますので私が数字を申しますから、もし間違ってなければ、そのとおりと答えてください。  外国為替資金特別会計から一般会計への繰入額というのがございます。八〇年代に始まりましたが、最近で見ますと、平成年度が、いただいた資料では八千三百億、平成年度が九千八百億、平成八年は七千三百億円、九年度予算ですが、これが九千三百億円で、総計六兆五百七十五億円になっております。大体間違いありませんか。
  76. 榊原英資

    榊原政府委員 間違いございません。
  77. 正森成二

    ○正森委員 次に、外為特会積立金について伺います。  この積立金は、昭和六十一年度に約三兆円余りでありましたものが、ふえてまいりまして、平成年度の予定額では七兆六千二百二十二億円ぐらいになっておりますが、間違いありませんか。
  78. 榊原英資

    榊原政府委員 間違いございません。
  79. 正森成二

    ○正森委員 この積立金利益というのは、資金調達を為券といいますFBで行っておりますが、その金利が通常公定歩合より非常に低くなっている。現在ではたしか〇・三七五%ぐらいだと思いますが、その調達資金と、そしてそれの運用益、主に米国財務省証券等で運用されておりますが、その差額の計上の累積だと思いますが、ほぼ間違いありませんか。
  80. 榊原英資

    榊原政府委員 そのとおりでございます。
  81. 正森成二

    ○正森委員 それでは伺いますが、外為特会では当然のことながら評価損が出ているはずであります。それは計上されていますね。それを見ますと、繰越評価損は年々ふえまして、平成年度には九兆七千八百八十三億、平成年度は十兆九百二十三億ぐらいになっているはずです。もっとも平成年度円安に転じましたのでこれが七兆円台に減るという見込みになっているようですが、大体間違いありませんか。
  82. 榊原英資

    榊原政府委員 間違いございません。七兆一千六百三億円に減る見込みでございます。
  83. 正森成二

    ○正森委員 そこで、その前提の上で伺いますが、積立金等にあらわされる運用益が出ているというので一般会計繰り入れるわけですが、まあ言えば、表現は悪いけれども、タコの足は膨らんでいるけれども元本のタコの本体自体はやせ細っておるということで、平成年度などは十兆円も損をしているということになれば、損をしているのに一般会計繰り入れるということを年々続けてきたのではないのですか。
  84. 榊原英資

    榊原政府委員 まず平成年度末、先ほど申し上げましたけれども、八年度末の評価損は七兆一千六百三億円でございます。これに対して積立金は七兆六千二百二十一億円でございまして、外為特会は八年度末には実質的に四千六百億円ほどの黒字になるということでございますので、外為特会の健全性は維持されておるというふうに考えております。
  85. 正森成二

    ○正森委員 そこで、さらに伺います。  外為特会で使われております資金、これが介入資金になっているわけですが、それは予算総則で限度額を決められておりまして、それでFBということで調達されている。あるいは、もっと言いますと、これは、大蔵省証券、通常蔵券といいます、それから食糧証券、通常糧券というそうですが、それと並んだFBの一種ということで、講学上は、年度途中において発生する一時的な資金不足を補うために財政法や各特別会計法の規定に基づいて発行されるものである、その発行方式は定率公募残額日銀引き受け方式、こういうことになっておりますが、その利息が公定歩合よりさらに低いということだから一般的には引き受け手がないから、ほとんど大部分が日銀引き受けになっておる、こういうことではありませんか。
  86. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えいたします。  今言われました外国為替資金証券、いわゆる為券を初めといたしまして、委員が言われました蔵券、糧券を含めました政府短期証券の発行は、定率で市中公募を行いまして、市中から応募がなかった額につきまして日銀が引き受けるという方式で行われているわけでございます。  それで、実際の例えば最高額、限度額は、これは各特別会計法等で予算総則で各年度限度額が定められておるということでございます。具体的に為券についていいますと、外国為替資金特別会計法第四条二項に基づいて予算総則で定めております。
  87. 正森成二

    ○正森委員 理財局長が非常に慎重に答えて、大部分は日銀引き受けになっているのではないかという一番大事なことは答弁しないということでお答えになりましたが、大部分は日銀引き受けで行っていることは、ここに松下総裁も来ていただいておりますが、否定することのできない状況であります。  そして、為券の発行限度額というのは予算総則で決まっております。私は予算委員会で質問したこともございますが、例えば昭和五十年度の限度額は四兆五千億円でしたが、それがどんどん膨れまして、八〇年には、あるいはプラザ合意のありました八五年ぐらいから急速にふえて、現在では昭和五十年度の、驚くなかれ、ほぼ八倍の三十九兆円になっております。つまり、三十九兆円、ほぼ全額日銀引き受けで出しておる。しかも、FBというのは短期証券で、大体六十日ということになっているはずです。いわゆる大蔵省証券や食糧証券というのは、一時的にはふえましても数カ月後にはほぼゼロになるということですが、この為券に関しては、出されても回収される分はわずかで、ほとんど発行されっ放しであります。今、発行残高は幾らになっておりますか。
  88. 榊原英資

    榊原政府委員 平成九年三月末の為券発行残高は、二十九兆八千三百六十億円でございます。
  89. 正森成二

    ○正森委員 今お聞きになったとおりで、私の耳に誤りがなければ、二十九兆とおっしゃいましたね。私が持っている資料では、九六年二月末の発行残高は二十四兆余りでした。それが今は二十九兆です。二十九兆といいますと、厳重な制限のもとに市中公募されている国債が今二百四十二兆ぐらいで、今年度末で二百五十兆を超えるわけですから、それの十数%になるわけですね。これだけをほぼ日銀引き受けで出しておる。  松下総裁に伺います。  財政法の四条と五条の規定がありますが、その規定ではどうなっておりますか。
  90. 松下康雄

    松下参考人 突然のお尋ねでございますので、条文が十分頭に入っておりませんが、長期国債の日銀引き受けは、財政法上禁止をされてございます。
  91. 正森成二

    ○正森委員 そうですね。建設国債とかあるいは出資金というようなものは別ですが、それも、出す場合は市中公募で、日銀が引き受けるということになってはならないということになっております。これは戦争の痛切な反省から行われているもので、これは、私は前にも予算委員会で引用したことがありますが、念のために申しておきますと、「財政法逐条解説」というのがあります。  これは平井平治さんといいまして、大蔵省の有名な課長さんで、その方が在職中に「公債及び借入金の制限」という項目の中で、「第四条は健全財政を堅持して行くと同時に、財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしている規定である。」ということを言いまして、これは詳しいものですから全部は読みませんが、戦争中の財政が、公債をどんどん発行して、将来のインフレなども構わずに資金を調達して、その結果として戦争が行われた。したがって、その金というのは、当時は日銀が全額引き受けまして、一たん資金を散布した後で、それをまた貯金などで回収する、そういうことの繰り返しをやったわけですが、それが今日の事態を招いたという反省を、当時の大蔵省の担当者がしているわけですね。  ところが、この為券の場合はその例外的なもので、短期証券だというのに、六十日だというのに、限度額は三十九兆円で、そのうちの二十九兆円は、長期公債と一緒で出しっ放しである。そして、為替の変動によりまして元本の損失は、今はちょっと円安に振れたので縮小しましたけれども、去年までは約十兆円あったということなのに、非常に低い、公定歩合より低い金利で出して、外国の、アメリカの金利が高いからそれで運用したら、元本の損失は全然カウントしないで、安い安い日銀から、本当は財政法上やってはいけない、そういう安い金利で取得して、それを為替差損考えずに外国で運用すれば利益が上がるのは当たり前で、その上がった利益は、事もあろうに一般会計繰り入れて、一般会計の財政として使うということをやっているんですね。これは非常に問題があるというように言わなければなりません。  大蔵大臣、あなたはもちろん最近の大蔵大臣ですが、昭和二十一年ごろの大蔵官僚は、私が読み上げた平井さんのような立派な課長がおって、大臣に誤りなきように補佐していたわけです。このごろ三塚大蔵大臣を補佐している官僚は、こういう精神を忘れてしまっているんじゃないですか。 だから、よっぽど大臣がしっかりしないと、我が国の財政のかじ取りはできないんじゃないですか、大蔵大臣
  92. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま、財政法に基づく段々の歴史と経過を拝聴し、なかなか我が国財政も厳しい中でやりくり算段が続いたのかなという感懐はあります。しかし、法治国家でありますから、これに沿ってしっかりとやらなければならぬと心得ております。
  93. 正森成二

    ○正森委員 法治国家のもとということですが、無論、今政府が行っていることは予算総則で限度額は承認を得ておりますし、それから、一定の根拠に基づいてそれは出しているんですが、それが財政法の精神といいますか、我々の歴史上の反省に大きく乖離してきているのではないか。  それから、榊原さんですか、国際局長に伺いますが、あなたは、このごろ円安に振れているから、元本の損失はあるけれども、それが十兆円から七兆一千億円ぐらいに減る予定になっておるということの弁解をされましたが、しかし、私の調べによりますと、ここに日本総研が、あなた方は当然お読みだと思いますが、「わが国の外国為替市場介入外貨準備政策の問題点」という論文を書いております。これなんかを見ますと、単に、積立金やあるいは一般会計繰り入れた分、それと全体の評価損というののトータルだけで見るべきではない。  松下さん、あなたの方は、しようがないからと言うたらいけませんが、大蔵省から言われて日銀引き受けで資金を供給しておりますが、それは現在〇・三七五という、公定歩合よりまだ低いというとんでもない金利であります。あなたの方はそれで介入資金を出しますと、原則として円を売ってドルを買うわけですから、そうすると、当然のことながら円が市場にあふれてまいります。この間のバブルのときも、プラザ合意以後の異常な介入資金がマネーサプライを増大させたというのは、日銀の当時の幹部の痛切な反省であります。  松下さん、あなたは去年の暮れの記者会見で、このFBというのを全額日銀引き受けではなしに、市中金利で調達するということも考えてみてはどうかということを記者会見で発言されているようでありますが、それは、これらの点について、日銀当局として一定の危惧を持っているからにほかならないというように私は思っております。この点についての日銀総裁の率直な意見を、この機会に承りたいと思います。
  94. 松下康雄

    松下参考人 この問題につきましては、その後、日銀法の改正の準備に伴います中央銀行研究会また金融制度調査会における議論を踏まえまして、大蔵省と日本銀行の実務者間で検討を行うこととなっておりまして、現に検討が進んでおります。私どもといたしましては、この検討の推移を見守ってまいりたいと思っております。
  95. 正森成二

    ○正森委員 検討の推移を待ちたいということで、明快な答弁がございませんでした。  しかし、三塚大蔵大臣、私が問題提起しましたのは、これは我が国の財政法上も非常に重大な問題だというように思っておりますので、委員長、残念ながら時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますが、いずれ日を改めて、ゆっくりと議論をさせていただきたいと思います。  これで終わります。
  96. 草川昭三

    草川委員長 次に、前田武志君。
  97. 前田武志

    ○前田(武)委員 太陽党の前田武志でございます。先ほど来、予備費議論を興味深く拝聴しておりました。  そこで、いよいよ財政再建あるいは歳出削減、そういったことについて、大蔵大臣、非常に強い決意を持ってお取り組みをいただいているわけでございますが、先ほど来の議論の中で、予備費というのは、額的にはわずかなものでございますし、内閣の責任において事前に総額予算の中に盛り込み、この決算委員会等において国会承諾を得て初めて内閣の責任が全うされるという性格のものでありますが、この予備費補正予算関係その他、今、同僚議員のいろいろな御指摘がありました。そういうものを聞きながら、財政再建、歳出削減といったようなことに、いかに我が決算委員会が責任を持って、国会一つの大きなこの面における責任委員会でございますから、やっていかなければならないかということを感じておったわけでございます。  そういったようなことを前提にしながら、一つ例として、予備費ではないのですが、予備費と非常に関連のある災害復旧費というようなものを取り上げてみたいと思うわけであります。  この災害復旧費のここ十年、何年でも結構でございますが、毎年、当初予算にどの程度計上され、そして最終的に、決算においてどの程度になっていたかということを簡単に教えていただきたいと思います。
  98. 細川興一

    細川政府委員 例えば八年度の例で申し上げますと、当初予算では六百八十二億、それから補正で二千二百三十二億でございます。それから、ちなみに過去十年の平均をとってみますと、当初予算では六百七十三億程度でございます。
  99. 前田武志

    ○前田(武)委員 大体そういうことのようでございます。私もちょっと調べてみたのですが、当初予算が六百八十億とか七百億前後になっているのでしょうか、それに対して、決算額においてはやはり一けた違いぐらいの額になっております。八千億とか九千億だとか、そういうことがずっと続いておるわけでございますね。  災害復旧費というのは、もちろん過年度に起きた災害の復旧のための予算というものと、そして当年度に発生すると思われる予期できない災害の復旧のための予算を含んでおるわけでございます。したがって、当初予算にそういう少額、なるべく少額にしておいて、それを上回る場合にはすべて補正等できちっと審議していくという考え方、これはやはり予算の議決主義と申しますか、そういった面から当然のことであろう、私はこういうふうに思うわけです。  しかし、考え方によれば、災害費そのものが毎年毎年一けた違い、当初予算の十倍程度必要であるということは経年的にもう何十年実証されておるわけでございますから、逆に言うと、当初予算の中にその経年的な平均、しかし阪神震災だとか、年によって多大を要する場合があるわけでございますから、そういった平均のさらに六掛けだとか五掛けぐらいでもいいのだと思いますが、そういうものを計上すべきではないかというふうにも思うのですね、合理性という意味において。  そして、時間的に間に合わないような場合であるとか、あるいは軽微な場合というときには予備費から相当流用しておるわけでございまして、例えば七年度一般会計予備費を見ておりますと、当然のことながら、農林水産省、建設省等にいずれも予備費を充当して阪神震災の対応をしておるわけでございます。これは同僚議員の御指摘にもあったわけでございますが、本来ある程度の額を災害復旧費に組んでおきますと、こういった予備費をそれほど充当する必要もなかろう、大きなものについては補正予算を組むべきである、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  100. 細川興一

    細川政府委員 今先生指摘になりましたように、災害復旧に係る当初予算につきまして、毎年災害の予測をするのはその事柄の性格上甚だ難しいという点もございますし、厳しい財政事情のもとで緊急に措置しなければならない災害に対処するため、必要最小限の所要額を当初予算では計上しているところでございます。その事柄の性格上、どの程度を見込むかということは非常に難しいところでございますが、過去十カ年の最低の被害報告額を基礎に算出して計上しているところでございます。
  101. 前田武志

    ○前田(武)委員 ちょっと今の答弁は、いかにも無理がありますよ。けた違いなのに最低限でやっておりますとか、これはまじめな答弁になっていない。  私ももう少し議論したいことがありますのでそれはそれとして、その次に、予備費、これはお聞きしようと思っていたのですが、調査室で調べてくれた資料を見ておりますと、予備費の経年的な ものをずっと見ておりますと、毎年三千五百億円が上がっております。そして、使用額が大体一千億から一千五百億、時には、これは平成二年、湾岸があった年でございましょう、三千二百億だとか、こういうことになっておるのでしょうか。そういった意味で、これも、先ほど来の議論にあったように、経年的に見ると三千五百億というものは必ず減額補正をしているわけですね。  さて、先ほど来の議論を聞いておりまして、もっと予備費を計上しろ、使いやすくしろという議論がありました。それに対して、こういう財政事情の中、国の将来のことを考えると、大臣の意欲的な取り組みどおりでございまして、やはり予算の適正な執行であり、あるいは政策の効果的な成果を得るための予算、あるいはその執行の結果についての吟味、決算委員会に大きな役割があるわけですが、そういった、何といっても国会における審議というものを通じて、国会自身も相当これは勉強してやっていかなければならぬのだろうと思うのですね。そういう意味においては、補正予算というものは、その時々、予期せざる歳出の必要が生じたときに、もちろん景気対策も含めまして、財政出動ということも含めまして、その都度国会審議を通じて国民の意思を明らかにして決めていく、そういった姿勢こそ非常に重要なことではないのかなというふうに思うわけでございます。  まずは、そういった面で大臣の御見解を、予備費そして補正予算先ほどちょっと御指摘がありましたが、そういった関連において大臣の御見解をお伺いします。
  102. 三塚博

    三塚国務大臣 前田委員予算編成論、そして予備費論、補正予算のあり方等について傾聴いたしましたし、議会制民主主義の中において議院内閣制という政府の立場等々を考えますと、まさに正論でございます。そういうことどもの中で、一連の歳入歳出は、まさに一回決定をして、十二カ月、全力を尽くして効果的な運用ということでなければならない。何回も申し上げますが、災害時、予測しがたい問題については財政法二十九条があるわけでございますから、そういうことで対応していくという規律を持った財政運用というものが、極めて構造改革、財政のあり方──タックスを使わせていただくわけでございますから、その点で規律を持ってまいりたいと思います。
  103. 前田武志

    ○前田(武)委員 大臣の御答弁を踏まえて、もう一度主計局に聞きますが、財政法二十九条で補正予算のことを規定しております。そして、そういったことを根拠に、予備費使用補正予算の編成か、いずれをとるかは政府の選択にゆだねられているという、先ほどの主計局の次長さんの答弁にもありました。しかし、予算国会の事前議決に基づいて支出されるべきものであるということ、今大臣の御答弁にあったことを考えると、やはり基本的にはこういう予期せざる支出というものは補正予算処理するのが原則である、こういうふうに考えますが、主計局、どう考えますか。
  104. 細川興一

    細川政府委員 先ほど答弁の繰り返しになりますが、補正予算予備費かという問題につきましては政府の判断にゆだねられていると思いますが、先ほど申し上げましたように、国会開会中につきましてはやはり節度を持って、閣議決定に従いまして、例えば比較的軽微なもの、あるいはルーチン的なもの、あるいは義務的経費等に限定するということで対処してきてまいっておりますし、今後とも予備費使用については節度ある態度で臨んでいきたいと思っております。
  105. 前田武志

    ○前田(武)委員 要するに私が言わんとするのは、こういう状況の中で、行財政改革、本当に火の玉になって総理初め大蔵大臣はやろうとされているわけでございます。そういうときにあって、議会は議会の責任を果たさなければいかぬ。むしろこの決算委員会においては、大蔵大臣、主計局の応援団のつもりでありますから、ここの議論をしっかりと踏まえて、そして、効果的な予算の執行であったり、あるいはまた予算の編成であったり、歳出の削減であったり、そういうことをやっていくための、議会が根拠を与える立場にあるわけですから、そういう立場で質疑をしておるわけでございます。  時間が参りましたので、最後に、今申し上げた災害の問題、これはこれとして、予備費そのもののことにつきましても、こういう予期せざる事態に対応する歳出の面についてはあらかじめ、やはり時間的に間に合わないだとかそういったことを想定して、なるべく実績を踏まえて、予備費の場合には少額を組んでおくべきじゃないか、実績を踏まえてですよ。災害の場合においても、これも実績を踏まえて、余りかけ離れた、けた違いの、十倍以上毎年支出されるのにその十分の一しか当初に組んでないというのも、これまたおかしな話であります。  そういったことを踏まえて、もちろん開会中の予備費の扱いについての規定もございます。その精神は、やはり議決主義ということを前提にしているんだろう、こう思うのですね。通年国会をやれ、日本の国会は働いていないじゃないかというような議論もあるような状況です。必要なときには直ちに臨時国会を召集して、そして国民の代表に議論をさせて、的確迅速に対応させるというのが政治の務めでありましょうから、そういったことも踏まえまして、最後に大臣の御見解、御決意をお聞きして終わります。
  106. 三塚博

    三塚国務大臣 財政運営のあり方、議決のあり方、国会のあり方に論及をされ、実績を踏まえて対応すべしということは、重く受けとめます。
  107. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  108. 草川昭三

    草川委員長 これにて各件についての質疑は終局いたしました。     ─────────────
  109. 草川昭三

    草川委員長 これより平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)外五件について、一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  110. 上田清司

    ○上田(清)委員 新進党の上田でございます。  与党の皆様方の時間の配分の御配慮に対する敬意を表しまして、早口で討論をさせていただきます。  私は、新進党を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外五件の承諾を求めるの件について、賛成の意を表明するものであります。  予備費は、その使途、目的及び個々の支出金額が未定のまま国会審議を経ていることから、事前議決の原則の例外であり、可能な限り当初予算により国会審議を得るようにすべきものであります。したがって、予備費使用は、憲法及び財政法にも明記されているように、「予見し難い予算不足」に限定されるべきものであることは言うまでもありません。  そのような観点から、一般会計予備費使用の主なるものは、平成年度(その2)におきまして、老人医療費の増加による老人医療給付費負担金予算不足を補うために必要な経費、療養給付費の増加による療養給付費等負担金等の予算不足を補うために必要な経費等であり、平成年度におきましては、老人医療費の増加による老人医療給付費負担金予算不足を補うために必要な経費、閣議決定等に基づき水俣病問題解決支援財団に対して熊本県が行う出資の一部を補助するための支出に必要な経費等であり、やむを得ないものであります。  特別会計予備費の主たるものは、平成年度(その2)におきましては、輸入食糧管理勘定において、調整勘定経費財源として同勘定へ繰り入れるのに必要な経費不足を補うために必要な経費、郵便貯金特別会計において、郵便貯金の増加等に伴い、支払い利子予算不足を補うために必要な経費等であり、平成年度では、外国為替等の売買に伴って生じた損失の補てんに要する経費に支出するため使用決定されたもので、やむを得ないものであります。  また、特別会計予算総則に基づく経費増額についても、その増額は妥当なものであり、承諾を与えることに賛成いたします。  しかしながら、一般会計予備費使用状況を見ても、従来補正予算で減額されており、計上金額に特別の決定基準があるとは思われません。そのため、巨額の予備費を計上するのは決して好ましいことではありません。予備費補正による恒常的な財源化を避け、当初予算編成時にできる限りの正確な見積もりを行うべきであることを強く要望いたします。また、予備費をほとんど使用しない特別会計勘定にあえて予備費を計上し続けることは極力避けるべきであります。  予算をめぐる環境の変化に伴って、予備費についても不断の見直しは不可避であり、予備費計上の必要性、計上金額の妥当性を十分吟味する必要があるので、従来の慣例にとらわれることなく、決算委員会において十分審議時間を確保することが重要であることを指摘しまして、私の賛成討論を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  111. 草川昭三

    草川委員長 次に、正森成二君。
  112. 正森成二

    ○正森委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました予備費承諾案件のうち、平成年度一般会計予備費使用調書及び平成年度特別会計予備費使用調書の二件について不承諾の意を、また残余の四件については承諾の意を表明します。  平成年度一般会計予備費使用調書には、イスラエルとシリア両軍の兵力引き離しと停戦監視、巡回という明白な軍事行動を主任務とするゴラン高原兵力引き離し監視軍に自衛隊員を司令部要員として派遣する経費等が含まれでおり、これは、憲法の平和原則はもちろん、PKO協力法にさえ明白に違反するものであり、断じて容認できません。また、アジア開発銀行出資に必要な経費は、発展途上国の自主的、民主的発展に貢献するものとは必ずしもなっていない同銀行の実態に照らし、承諾できません。なお、水俣病対策など、同総調書のその他の内容は、国民の生活と権利に密接に関連する経費であり、これらの予備費使用には反対するものではありませんが、特にゴラン高原への司令部要員派遣の重大性にかんがみ、全体としては承諾に反対いたします。  また、平成年度特別会計予備費使用調書には、異常円高是正の過程で一層の円安誘導のための円売り・ドル買い介入を行った結果生じた損失を補てんするための外国為替資金特別会計予備費使用であり、円安誘導という点では必ずしも全面的反対ではありませんが、外国為替資金証券を日銀引き受けにして調達した巨額の資金ドル買いを行って国内に円をだぶつかせる一方、ドルを米国財務省証券で運用して米国の財政赤字を事実上ファイナンスすることや、情報の非公開など、外国為替資金特別会計は深刻な問題点を多く抱えており、この予備費使用には承諾できません。  残余の四件の内容は、医療・社会保障、災害復旧等々、国民の生活と権利に密接に関連する当然の経費でありますので、いずれも承諾するものであります。  以上、各案件に対する態度とその理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
  113. 草川昭三

    草川委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  114. 草川昭三

    草川委員長 これより採決に入ります。  まず、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書、以上各件について採決いたします。  各件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 草川昭三

    草川委員長 起立総員。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。  次に、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書、以上両件について採決いたします。  両件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 草川昭三

    草川委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  118. 草川昭三

  119. 三塚博

    三塚国務大臣 平成年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書を会計検査院の検査報告とともに国会に提出し、また、平成年度の国の債権の現在額並びに物品の増減及び現在額につきましても国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は八十兆五千五百七十二億千五百八十一万円余、歳出の決算額は七十五兆九千三百八十五億千六百十三万円余でありまして、差し引き四兆六千百八十六億九千九百六十八万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計平成年度の歳入に繰り入れ済みであります。  なお、平成年度における財政法第六条の純剰余金は六千百七十三億七千五百八万円余となります。  以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額七十八兆三百四十億五百八十三万円余に比べて二兆五千二百三十二億九百九十八万円余の増加となりますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額二兆千百五十九億五千二百十七万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純増加額は四千七十二億五千七百八十万円余となります。その内訳は、租税及び印紙収入における増加額一兆二千四百九十七億七千八百二十三万円余、公債金における減少額七千八百四十九億七千六十二万円余、雑収入等における減少額五百七十五億四千九百八十万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額七十八兆三百四十億五百八十三万円余に、平成年度からの繰越額二兆九百六十五億九千百七十二万円余を加えました歳出予算現額八十兆千三百五億九千七百五十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は七十五兆九千三百八十五億千六百十三万円余でありまして、その差額四兆千九百二十億八千百四十二万円余のうち、平成年度に繰り越しました額は三兆六千七百七十三億二千二百六十八万円余となっており、不用となりました額は五千百四十七億五千八百七十三万円余となっております。  このうち、予備費でありますが、平成年度一般会計における予備費予算額は二千億円であり、その使用額は五百七十八億二百五万円余であります。  また、一般会計の国庫債務負担行為につきましては、財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は三兆四千五百二十六億三千九百三万円余でありますが、契約等による本年度の債務負担額は三兆千二百六十一億千五百八十三万円余であります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は一千億円でありますが、契約等による本年度の債務負担額はありません。  次に、平成年度特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十八でありまして、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  なお、歳入歳出決算に添付されている国の債務に関する計算書による債務額でありますが、平成年度末における債務額は三百八十六兆二千八百六億千百七十万円余でありまして、前年度末債務額三百四十六兆千三百九十八億千五百七十九万円余に比べて四十兆千四百七億九千五百九十万円余の増加となります。  このうち、公債でありますが、平成年度末における債務額は二百二十八兆四百八十八億千三百三十八万円余でありまして、前年度末債務額二百九兆四千二百九十六億二千三百四十六万円余に比べて十八兆六千百九十一億八千九百九十一万円余の増加となります。  次に、平成年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は五十六兆八千三十三億六千三百六十三万円余でありまして、この資金からの一般会計等の歳入への組み入れ額等は五十六兆七千九百六億九百二十三万円余でありますので、差し引き百二十七億五千四百四十万円余が平成年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、平成年度の政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、平成年度末における国の債権の総額は二百七十七兆九百九十五億二百十九万円余でありまして、前年度末現在額二百六十九兆千九百六十六億七千八百六十一万円余に比べて七兆九千二十八億二千三百五十七万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、平成年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品の増減及び現在額でありますが、平成年度中における純増加額は八千二百四億八千三十万円余であります。これに前年度末現在額十兆二千四百三十一億九千九十六万円余を加えますと、平成年度末における物品の総額は十一兆六百三十六億七千百二十七万円余となります。その内訳の詳細につきましては、平成年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上が、平成年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書等の概要であります。  なお、平成年度予算の執行につきましては、予算の効率的な使用、経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、二百三十八件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算の執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。  次に、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに平成年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院の検査報告とともに国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について御説明いたします。  平成年度中に増加しました国有財産は、行政財産七兆八千三百八十九億七百八十七万円余、普通財産六兆七千六百二億五千百三十二万円余、総額十四兆五千九百九十一億五千九百二十万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産十兆八千百四十九億一千三百七十六万円余、普通財産三兆五千六百六十五億八千八百八十一万円余、総額十四兆三千八百十五億二百五十七万円余でありまして、差し引き二千百七十六億五千六百六十二万円余の純増加となっております。これを平成年度末現在額八十七兆二千十七億一千五十二万円余に加算いたしますと八十七兆四千百九十三億六千七百十五万円余となり、これが平成年度末現在における国有財産の総額であります。  この総額内訳を申し上げますと、行政財産四十五兆一千二百八十三億三千六十八万円余、普通財産四十二兆二千九百十億三千六百四十七万円余となっております。  以上が平成年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、平成年度国有財産無償貸付状況計算書概要について御説明いたします。  平成年度中に増加しました無償貸付財産の総額は六千九十二億二千五百七十三万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産の総額は一兆二千三百五十五億四千四百六十万円余でありまして、差し引き六千二百六十三億一千八百八十七万円余の純減少となっております。これを平成年度末現在額一兆七千六百五十五億八千六百五十四万円余から減算いたしますと一兆一千三百九十二億六千七百六十六万円余となり、これが平成年度末現在において無償貸し付けをしている国有財産の総額であります。  以上が平成年度国有財産無償貸付状況計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  120. 草川昭三

    草川委員長 次に、会計検査院当局から各件の検査報告に関する概要説明を求めます。疋田会計検査院長
  121. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 平成年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。  会計検査院は、平成八年十月四日、内閣から平成年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、平成年度決算検査報告とともに、平成八年十二月十一日、内閣に回付いたしました。  平成年度一般会計決算額は、歳入八十兆五千五百七十二億一千五百八十一万余円、歳出七十五兆九千三百八十五億一千六百十三万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において四兆二千百八十二億八百五十万余円、歳出において二兆三千二百四十九億一千七十三万余円の増加になっており、各特別会計の決算額の合計額は、歳入二百六十七兆八千百三十六億二千九百六十七万余円、歳出二百三十二兆四千六百五十八億九千三百四十七万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において二十兆六千六百五十七億一千七百六十八万余円、歳出において十八兆二千二百七億九千百二十一万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済み額五十六兆八千三十三億六千三百六十三万余円、歳入組み入れ額五十三兆三千七百四十九億六千九百四十万余円であります。  政府関係機関の平成年度の決算額の総計は、収入七兆六千五百六十九億四千二十一万余円、支出七兆五千三百五十七億六千八百八十三万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において一千九百六十九億三千八百五十五万余円、支出において三千四百四十億二千六百八十二万余円の増加になっております。  平成年度の歳入歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十三万六千余冊及び証拠書類七千五百十一万六千余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等三万八千七百余カ所のうち、その九・三%に当たる三千六百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して九百余事項の質問を発しております。  このようにして検査いたしました結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。  まず、不当事項について申し上げます。  不当事項は、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項でありまして、検査報告に掲記いたしましたものは、合計二百三十八件であります。  このうち、収入に関するものは三十六件、百七十八億七千二百四十九万余円でありまして、その内訳は、租税の徴収額に過不足があったものが一件、十三億四千九十二万余円、保険料の徴収額に過不足があったものが二件、百六十億七千百三万余円、診療報酬の請求額が不足していたものが三十三件、四億六千五十二万余円。  また、支出に関するものは百六十四件、三十九億九百八十九万余円でありまして、その内訳は、保険給付に関するものとして、保険給付金の支給が適正でなかったものが五件、十七億四千六百十一万余円、医療費に関するものとして、医療費の支払いが適切でなかったものが二件、四億六千七百八十二万余円、補助金に関するものとして、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが百四十二件、十五億一千二百八万余円、貸付金に関するものとして、貸付金の経理が適切でなかったものが十四件、一億六千三百七十万余円、その他、借地料の支払い額が割高となっているものが一件、二千十四万余円であります。  以上の収入、支出に関するもののほか、簡易生命保険の保険料、郵便貯金の預入金等について、職員の不正行為による損害が生じたものが三十八件、八億九千六百三十九万余円ありまして、これらの合計は、二百三十八件、二百二十六億七千八百七十七万余円となっております。これを前年度の二百十七件、二百四億五千六十二万余円と比べますと、件数において二十一件の増加、金額において二十二億二千八百十五万余円の増加となっております。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  平成八年中におきまして、会計検査院法第三十六条の規定により、改善の意見を表示いたしましたものは二件、改善の処置を要求いたしましたものは一件であります。  このうち、改善の意見を表示いたしましたものは、労働省の、継続雇用制度導入奨励金の支給に関するもの、日本育英会の、育英奨学金の回収に関するものであります。  また、改善の処置を要求いたしましたものは、農林水産省の、漁港整備事業により造成した漁港施設用地等の利用及び管理に関するものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、検査の過程におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発するなどして検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは二十九件であります。  すなわち、総理府(防衛庁)の、航空自衛隊のレーダー基地等の光伝送装置に使用する光ファイバーケーブルの費用の積算に関するもの、総理府(経済企画庁)の、景気動向調査委託契約における法人企業動向調査に要する経費の積算に関するもの、法務省の、矯正施設における下水道料金の支払いに関するもの、文部省の、小中学校クラブハウス整備事業の実施に関するもの、国立大学附属病院の入院料に係る診療報酬の請求に関するもの、厚生省の、特別養護老人ホーム等の医師の人件費の算定及び入院患者日用品費の支給等に関するもの、国民健康保険の療養給付費負担金の交付に関するもの、療養環境加算等の診療報酬の算定に関するもの、農林水産省の、加工原料用果実価格安定対策事業における平均取引価格の算定に関するもの、政府米の運送に使用するパレットに係る費用の算定方法に関するもの、運輸省の、公共マリーナ等の管理運営等に関するもの、労働省の、地方公共団体の非常勤職員に対する労働者災害補償保険の適用に関するもの、建設省の、開削工法による下水道管布設工事における埋め戻し工費の積算に関するもの、国庫補助事業に係る道路用地取得の事務処理に関するもの、自治省の、国会議員の選挙等の委託費の算定に関するもの、日本道路公団の、トンネル工事における覆工防水工費の積算に関するもの、道路建設工事におけるプレストレストコンクリートけたの鉄筋の加工組み立て費の積算に関するもの、首都高速道路公団の、高速道路の清掃業務における路面清掃費の積算に関するもの、阪神高速道路公団の、高速道路の清掃業務における路面清掃費の積算に関するもの、住宅・都市整備公団の、エレベーター設備工事における自動通報システムの設計に関するもの、宅地等の造成工事における切り土のり面の整形工に関するもの、電源開発株式会社の、火力発電所の定期点検工事等における一般管理費の積算に関するもの、国際交流基金の、海外への図書等の寄贈事業における図書等の送付方法に関するもの、日本電信電話株式会社の交換機の監視試験装置の設計に関するもの、光配線盤の接続部品である光コネクターの装着設計に関するもの、電話番号案内業務委託契約における社会保険料等の事業主負担額の積算に関するもの、西日本旅客鉄道株式会社の、耐震補強工事における鋼板取りつけ費の積算に関するもの、九州旅客鉄道株式会社の、旅客車用品リネンサプライ作業の業務委託契約における作業単価の積算に関するもの、エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社の、デジタル移動加入者交換機の音声処理装置の設計に関するものであります。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について御説明いたします。  これは、事業効果または事業運営等の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは二件であります。  すなわち、国有林野事業の経営に関するもの、日本国有鉄道清算事業団の保有する土地の処分に関するものであります。  最後に、特定検査対象に関する検査状況について御説明いたします。  これは、本院の検査業務のうち特にその検査の状況を報告する必要があると認めたものについて記述したものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは四件であります。  すなわち、政府開発援助に関するもの、国庫補助事業に係る事務費の執行に関するもの、高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関するもの、東京共同銀行に対する日本銀行の出資に関するものであります。  以上をもって概要説明を終わります。  会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。  続きまして、平成年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。  会計検査院は、平成八年十月二十二日、内閣から平成年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成年度国有財産無償貸付状況計算書の送付を受け、その検査を終えて、平成年度国有財産検査報告とともに、平成八年十二月十一日、内閣に回付いたしました。  平成年度末の国有財産現在額は八十七兆二千十七億一千五十二万余円でありましたが、七年度中の増が十四兆五千九百九十一億五千九百二十万余円、同年度中の減が十四兆三千八百十五億二百五十七万余円ありましたので、差し引き七年度末の現在額は八十七兆四千百九十三億六千七百十五万余円になり、前年度に比べますと、二千百七十六億五千六百六十二万余円の増加になっております。  また、国有財産の無償貸付状況につきましては、六年度末には一兆七千六百五十五億八千六百五十四万余円でありましたが、七年度中の増が六千九十二億二千五百七十三万余円、同年度中の減が一兆二千三百五十五億四千四百六十万余円ありましたので、差し引き六千二百六十三億一千八百八十七万余円の減少を見まして、七年度末の無償貸付財産の総額は、一兆一千三百九十二億六千七百六十六万余円になっております。  検査の結果、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成年度国有財産無償貸付状況計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、平成年度決算検査報告で不当事項等として掲記したものはありません。  以上をもって概要説明を終わります。
  122. 草川昭三

    草川委員長 これにて平成年度決算外二件の概要説明は終わりました。     ─────────────
  123. 草川昭三

    草川委員長 次に、資料要求に関する件についてお諮りいたします。  平成年度決算の審査に当たり、決算の検査報告に掲記されました会計検査院の指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べについて、大蔵省当局に対してその提出を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ─────────────
  125. 草川昭三

    草川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  平成年度決算外二件、平成年度決算外二件、以上各件の審査のため、本会期中、日本銀行並びに公団、事業団等、いわゆる特殊法人の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 草川昭三

    草川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十一分散会