○疋田
会計検査院長 平成七
年度決算検査報告につきまして、その
概要を御
説明いたします。
会計検査院は、
平成八年十月四日、内閣から
平成七
年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、
平成七
年度決算検査報告とともに、
平成八年十二月十一日、内閣に回付いたしました。
平成七
年度の
一般会計決算額は、歳入八十兆五千五百七十二億一千五百八十一万余円、歳出七十五兆九千三百八十五億一千六百十三万余円でありまして、前
年度に比べますと、歳入において四兆二千百八十二億八百五十万余円、歳出において二兆三千二百四十九億一千七十三万余円の増加になっており、各
特別会計の決算額の合計額は、歳入二百六十七兆八千百三十六億二千九百六十七万余円、歳出二百三十二兆四千六百五十八億九千三百四十七万余円でありまして、前
年度に比べますと、歳入において二十兆六千六百五十七億一千七百六十八万余円、歳出において十八兆二千二百七億九千百二十一万余円の増加になっております。
また、国税収納金整理
資金は、収納済み額五十六兆八千三十三億六千三百六十三万余円、歳入組み入れ額五十三兆三千七百四十九億六千九百四十万余円であります。
政府
関係機関の
平成七
年度の決算額の総計は、収入七兆六千五百六十九億四千二十一万余円、支出七兆五千三百五十七億六千八百八十三万余円でありまして、前
年度に比べますと、収入において一千九百六十九億三千八百五十五万余円、支出において三千四百四十億二千六百八十二万余円の増加になっております。
平成七
年度の歳入歳出等に関し、会計検査院が、国、政府
関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、
計算書二十三万六千余冊及び証拠書類七千五百十一万六千余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等三万八千七百余カ所のうち、その九・三%に当たる三千六百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、
関係者に対して九百余事項の
質問を発しております。
このようにして検査いたしました結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その
概要を御
説明いたします。
まず、不当事項について申し上げます。
不当事項は、法律、政令もしくは
予算に違反しまたは不当と認めた事項でありまして、検査報告に掲記いたしましたものは、合計二百三十八件であります。
このうち、収入に関するものは三十六件、百七十八億七千二百四十九万余円でありまして、その
内訳は、租税の徴収額に過
不足があったものが一件、十三億四千九十二万余円、保険料の徴収額に過
不足があったものが二件、百六十億七千百三万余円、診療報酬の請求額が
不足していたものが三十三件、四億六千五十二万余円。
また、支出に関するものは百六十四件、三十九億九百八十九万余円でありまして、その
内訳は、保険給付に関するものとして、保険給付金の支給が適正でなかったものが五件、十七億四千六百十一万余円、医療費に関するものとして、医療費の支払いが適切でなかったものが二件、四億六千七百八十二万余円、補助金に関するものとして、補助
事業の実施及び経理が適切でなかったものが百四十二件、十五億一千二百八万余円、貸付金に関するものとして、貸付金の経理が適切でなかったものが十四件、一億六千三百七十万余円、その他、借地料の支払い額が割高となっているものが一件、二千十四万余円であります。
以上の収入、支出に関するもののほか、簡易生命保険の保険料、郵便貯金の預入金等について、職員の不正行為による損害が生じたものが三十八件、八億九千六百三十九万余円ありまして、これらの合計は、二百三十八件、二百二十六億七千八百七十七万余円となっております。これを前
年度の二百十七件、二百四億五千六十二万余円と比べますと、件数において二十一件の増加、
金額において二十二億二千八百十五万余円の増加となっております。
次に、
意見を表示しまたは処置を要求した事項について御
説明いたします。
平成八年中におきまして、会計検査院法第三十六条の
規定により、改善の
意見を表示いたしましたものは二件、改善の処置を要求いたしましたものは一件であります。
このうち、改善の
意見を表示いたしましたものは、労働省の、継続雇用制度導入奨励金の支給に関するもの、日本育英会の、育英奨学金の回収に関するものであります。
また、改善の処置を要求いたしましたものは、農林水産省の、漁港整備
事業により造成した漁港施設用地等の利用及び管理に関するものであります。
次に、本院の
指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御
説明いたします。
これは、検査の過程におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の
規定により
意見を表示しまたは処置を要求すべく
質問を発するなどして検討しておりましたところ、当局において、本院の
指摘を契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは二十九件であります。
すなわち、総理府(防衛庁)の、航空自衛隊のレーダー基地等の光伝送装置に
使用する光ファイバーケーブルの費用の積算に関するもの、総理府(経済企画庁)の、景気動向調査委託契約における法人企業動向調査に要する
経費の積算に関するもの、法務省の、矯正施設における下水道料金の支払いに関するもの、文部省の、小中学校クラブハウス整備
事業の実施に関するもの、国立大学附属病院の入院料に係る診療報酬の請求に関するもの、
厚生省の、特別養護老人ホーム等の医師の人件費の算定及び入院患者日用品費の支給等に関するもの、国民健康保険の療養給付費負担金の交付に関するもの、療養環境加算等の診療報酬の算定に関するもの、農林水産省の、加工原料用果実
価格安定対策
事業における
平均取引
価格の算定に関するもの、政府米の運送に
使用するパレットに係る費用の算定方法に関するもの、運輸省の、公共マリーナ等の管理運営等に関するもの、労働省の、地方公共団体の非常勤職員に対する労働者
災害補償保険の適用に関するもの、建設省の、開削工法による下水道管布設工事における埋め戻し工費の積算に関するもの、国庫補助
事業に係る道路用地取得の
事務処理に関するもの、自治省の、
国会議員の選挙等の委託費の算定に関するもの、日本道路公団の、トンネル工事における覆工防水工費の積算に関するもの、道路建設工事におけるプレストレストコンクリートけたの鉄筋の加工組み立て費の積算に関するもの、首都高速道路公団の、高速道路の清掃業務における路面清掃費の積算に関するもの、
阪神高速道路公団の、高速道路の清掃業務における路面清掃費の積算に関するもの、住宅・都市整備公団の、エレベーター設備工事における自動通報システムの設計に関するもの、宅地等の造成工事における切り土のり面の整形工に関するもの、電源開発株式会社の、火力発電所の定期点検工事等における一般管理費の積算に関するもの、国際交流基金の、海外への図書等の寄贈
事業における図書等の送付方法に関するもの、日本電信電話株式会社の交換機の監視試験装置の設計に関するもの、光配線盤の接続部品である光コネクターの装着設計に関するもの、電話番号案内業務委託契約における社会保険料等の
事業主負担額の積算に関するもの、西日本旅客鉄道株式会社の、耐震補強工事における鋼板取りつけ費の積算に関するもの、九州旅客鉄道株式会社の、旅客車用品リネンサプライ作業の業務委託契約における作業単価の積算に関するもの、エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社の、デジタル移動加入者交換機の音声
処理装置の設計に関するものであります。
次に、特に掲記を要すると認めた事項について御
説明いたします。
これは、
事業効果または
事業運営等の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは二件であります。
すなわち、国有林野
事業の経営に関するもの、日本国有鉄道清算
事業団の保有する土地の処分に関するものであります。
最後に、特定検査対象に関する検査状況について御
説明いたします。
これは、本院の検査業務のうち特にその検査の状況を報告する必要があると認めたものについて記述したものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは四件であります。
すなわち、政府開発援助に関するもの、国庫補助
事業に係る事務費の執行に関するもの、高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関するもの、東京共同銀行に対する日本銀行の出資に関するものであります。
以上をもって
概要の
説明を終わります。
会計検査院といたしましては、機会あるごとに
関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、
関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
続きまして、
平成七
年度国有財産検査報告につきまして、その
概要を御
説明いたします。
会計検査院は、
平成八年十月二十二日、内閣から
平成七
年度国有財産増減及び現在額総
計算書及び
平成七
年度国有財産無償貸付状況総
計算書の送付を受け、その検査を終えて、
平成七
年度国有財産検査報告とともに、
平成八年十二月十一日、内閣に回付いたしました。
平成六
年度末の国有財産現在額は八十七兆二千十七億一千五十二万余円でありましたが、七
年度中の増が十四兆五千九百九十一億五千九百二十万余円、同
年度中の減が十四兆三千八百十五億二百五十七万余円ありましたので、差し引き七
年度末の現在額は八十七兆四千百九十三億六千七百十五万余円になり、前
年度に比べますと、二千百七十六億五千六百六十二万余円の増加になっております。
また、国有財産の無償貸付状況につきましては、六
年度末には一兆七千六百五十五億八千六百五十四万余円でありましたが、七
年度中の増が六千九十二億二千五百七十三万余円、同
年度中の減が一兆二千三百五十五億四千四百六十万余円ありましたので、差し引き六千二百六十三億一千八百八十七万余円の減少を見まして、七
年度末の無償貸付財産の
総額は、一兆一千三百九十二億六千七百六十六万余円になっております。
検査の結果、
平成七
年度国有財産増減及び現在額総
計算書及び
平成七
年度国有財産無償貸付状況総
計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、
平成七
年度決算検査報告で不当事項等として掲記したものはありません。
以上をもって
概要の
説明を終わります。