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1997-04-03 第140回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月三日(木曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長 草川 昭三君    理事 栗本慎一郎君 理事 高市 早苗君    理事 根本  匠君 理事 浜田 靖一君    理事 上田 清司君 理事 大口 善徳君    理事 辻  一彦君 理事 正森 成二君       佐藤  勉君    新藤 義孝君       田邉 國男君    滝   実君       中野 正志君    原田 義昭君       柳本 卓治君    山口 泰明君       青木 宏之君    西村 章三君       野田  毅君    若松 謙維君       渡辺  周君    前田 武志君       武村 正義君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    平岡 哲也君         会計検査院事務         総長官房総務審         議官      牛嶋 博久君         会計検査院事務         総長官房審議官 円谷 智彦君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       重松 博之君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         会計検査院事務         総局第四局長  小川 光吉君         会計検査院事務         第五局長    森下 伸昭君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ───────────── 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     中野 正志君 同日  辞任         補欠選任   中野 正志君     熊谷 市雄君     ───────────── 四月一日  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書 は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件(会計検査院決算  検査報告等)      ────◇─────
  2. 草川昭三

    草川委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件、特に会計検査院決算検査報告等について調査を進めます。  まず、議事の順序について御説明いたします。  本日は、理事会協議により、会計検査院決算検査報告等に係る適当なテーマについて、まず会計検査院当局より説明を聴取し、その後、質疑を行います。  会計検査院当局に対する質疑は、まず委員長より総括的に質疑を行い、次いで各委員質疑を行います。  各委員質疑は、まず、あらかじめ申し出のありました委員から質疑を行い、その後、自由に質疑を行うことといたします。  それでは、まず、会計検査院当局より説明を聴取いたします。疋田会計検査院長
  3. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 会計検査院長疋田でございます。一言ごあいさつ申し上げます。  衆議院決算委員会先生方におかれましては、日ごろから、私どもに対しまして御指導、御支援を賜り、まことにありがとうございます。この席をおかりいたしまして、心より御礼申し上げます。  また、本日は、検査報告等に係るテーマ審査ということでございます。これを機会に、私ども検査活動及び検査結果につきましてより一層の御理解を賜り、引き続き御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。  それでは、お示しいただきましたテーマにつきまして、私ども事務総局次長の方から説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  4. 草川昭三

  5. 平岡哲也

    平岡会計検査院説明員 事務総局次長平岡でございます。よろしくお願いします。  お手元にお配りをしております「テーマに関する説明要旨」という資料ごらんをいただきたいと思います。  まず、農林水産関係公共事業についてであります。  農林水産業が大きく変化をしている中で、予算額多額に上っておりますことから、農業農村整備事業漁港整備事業などについて、事業計画、  工事設計積算施工事業効果の面に至るまで、合規性経済性効率性有効性観点から検査をしているところであります。  平成年度及び七年度検査報告指摘状況は、資料ごらんのとおりとなっております。  ここで、七年度のところに米印がついておりまして、十一億八百万円と出ておりますが、これは背景金額であります。いわゆるむだ遣いという感じになります指摘金額とは異なった概念でございまして、事業効果の発現に問題があるとして取り上げた事態などにつきまして、その背景となる金額を示しておるものであります。  指摘事例といたしましては、資料にございますように、七年度の「漁港施設用地等利用及び管理について」の指摘があります。これは、漁港施設用地──荷さばき所給油施設漁具保管修理施設などのための敷地でありますけれども、それが適切、有効に利用されていなかったりなどしている事態指摘いたしまして、将来に向かって改善処置要求したものであります。  なお、先ほどの十一億八百万円という金額は、この指摘案件におきまして指摘対象となった漁港施設用地に係る国庫補助金相当額合計額であります。  今後の検査の取り組み方でありますが、農林水産関係公共事業につきましては、今後とも、事業が経済的、効率的に実施されているか、事業所期目的を達成し、有効に効果を上げているかなど、幅広い観点から十分調査を行ってまいりたいと考えております。  第二に、公共事業について申し上げます。  公共事業につきましては、毎年多額資金が投入され、国民関心も高いことなどから、会計検査対象として重要な分野と位置づけており、計画設計積算施工などあらゆる面から、各種工 事に関する合規性経済性効率性、さらに、大規模プロジェクト等に関する有効性観点からの検査実施しているところであります。  農水運輸建設各省工事に関する指摘状況でありますが、広く各種施設整備について指摘を行っておりますので、予算上の公共事業概念よりも若干広いかもしれないわけでありますが、資料にございますように、過去十年間、昭和六十一年度から平成年度までの検査報告における指摘件数指摘金額は、三省合計で百八十件百六十三億円となっております。なお、このほかに、これら三省所管公団分指摘が十年間に三十七件二十六億円あるわけであります。  これらの中には、設計積算施工などいろいろな側面の問題が含まれておりまして、例えば積算についての指摘は、三省分の中に二十二件六億円、公団分の中に三十件二十三億円含まれている状況であります。  指摘事例についてでありますが、六年度検査報告の「多目的ダム等建設事業実施について」は、多目的ダム等建設事業で、事業着手後十九年ないし二十九年を経過し、六つの事業合計で八百五十億円を支出済みにかかわらず、ダム本体工事着工見通しが立っていないものなどについて指摘をいたしまして問題を提起したものであります。なお、この場合、この八百五十億円が指摘金額ではなくて背景金額に当たるわけであります。  七年度公共マリーナ等管理運営についての指摘は、全国の公共マリーナ等においてせっかく整備をしておりますのに十分に利活用が行われていない事態指摘をいたしまして、将来に向かって改善措置をとらしめたものであります。  今後の取り組み方でありますが、行財政改革が緊要な課題となっている今日、重点的、機動的な検査実施するなどして、公共事業に対する会計検査の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。  第三に、食糧費の問題であります。  国庫補助事業に係る事務費の中には食糧費というものが含まれておりますが、これの使い方に関しての社会的関心の高まりなどを踏まえまして、一昨年の検査中途において、急遽、農水運輸建設三省所管公共事業について検査実施をいたしました。その結果、食糧費使用国庫補助事業実施のため直接必要であるか否か判然としていなかったり、食糧費経理処理が明確でなかったりしている事態が見受けられました。  そこで、配付資料にございますように、農水運輸建設三省では、会計検査院指摘に基づきまして、都道府県通達を発するなどして、原則として懇談会経費補助対象としないこととするなど、食糧費使用及び経理処理を適切に行わせる改善処置を講じました。  これにつきまして、昨年の検査におきましては、三省以外の省庁対応状況を非公共事業を含めて検査いたしましたところ、三省以外の省庁でも同様の改善処置がとられているものと認められました。  他方、事務費のうちの旅費等執行についてでありますが、四十七都道府県から内部調査取り組み状況についての報告を受けるなどして、昨年検査したところであります。  会計検査院といたしましては、国庫補助事業における食糧費旅費等事務費執行については厳正な経理処理が求められておりますので、今後とも十分留意して検査に努めることといたしております。  第四に、高速増殖原型炉もんじゅ」のナトリウム漏えい事故についてであります。  多額の国費を投じた「もんじゅ」において、一昨年十二月、ナトリウム漏えい事故発生をいたしました。本院では、設計審査、製作、据えつけ時の検査が適正に行われたかという観点から、昨年検査を行い、その結果、検査状況特定検査状況として掲記をいたしました。  その中で、本院の所見といたしまして、資料にございますように、「しかし、以上のように、二次冷却系の温度計さやの設計については、その審査は必ずしも十分ではなかったと思料される。 したがって、今後、このような小型機器の制作についても、より一層慎重な設計審査が望まれる。  なお、事業団では、」「もんじゅの総点検を行うこととしているので、本院においても今後、その内容について注意深く見守ることとする。」と記述をしておるわけであります。  なお、この特定検査状況と申しますものは、社会的関心が極めて高い問題につきまして、指摘に至らなくても検査状況を広く明らかにするという考え方で、平成年度検査報告から新たに章を設けまして、検査報告掲記をするようになったものであります。  第五に、干拓干陸問題であります。  国が行う干拓事業には多額経費を要しますことから、関心を持って検査をしてまいっておりまして、特に、昭和四十五年に開田抑制通達が出て以降は、事業効果の問題に留意しながら検査をしてまいっております。そして、資料にございますように、累次にわたり検査報告掲記をいたしております。  昭和五十一年度検査報告では、工事が完了をしているのに造成地が配分されていない事態事業中途で長期間にわたって工事を休止している事態があり、投下した事業費が休眠しているとして問題を提起しております。  昭和五十五年度検査報告におきましては、農業以外の用途に転用している事態造成用地応募者がいない事態、休止せざるを得なくなっている事態、将来の営農の定着が容易でない事態などがあることを十分認識し、流動する社会経済情勢に対処して適切に事業実施する必要があるとして、問題を提起しております。  平成年度検査報告では、木曽岬干拓地につきまして、早急に県境問題の解決を図るとともに干拓地利用について多角的に検討する要がある旨、改善意見を表示しております。  平成年度検査報告では、国営羊角湾土地改良事業につきまして、造成農地の将来の取得者負担金の増大が見込まれ、今後工事を再開しても干拓での営農は相当困難な状況にあると見込まれ、農林水産省が協議中の対策が実施され、事態改善が図られることが望まれるとして、問題を提起しているわけであります。  最後に、六番目といたしまして、平成四、五年度決算議決について政府が講じた措置に至るプロセス等についてであります。  資料にございますように、平成八年六月十三日に当決算委員会において議決が行われ、翌十四日に本会議において行われまして、同日、内閣に対してその旨の通知がなされました。そして、内閣におきましては、この議決を受けて、所要の行財政上の措置を講じ、その措置について九年二月七日に衆議院報告を行っております。  決算に関する議決事項は、政府に対して適切な措置をとるよう求めるものでございますが、会計検査院といたしましても、その趣旨を検査に反映させるよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  6. 草川昭三

    草川委員長 これにて会計検査院当局説明は終わりました。     ─────────────
  7. 草川昭三

    草川委員長 これより会計検査院当局に対する質疑に入ります。  それでは、私から総括的に若干の質疑を行います。  まず、平成年度及び七年度検査を行うに当たり、会計検査院としてどのような方針で臨まれたのか、また、両年度検査結果の特徴はどのような点にあるのか御説明をいただきたいと思います。
  8. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 近年、相次ぐ社会問題の発生背景といたしまして、また、国の厳しい財政事情の中で、会計検査院が果たすべき役割について、国民期待が著しく高まってきているものと思われます。会計検査院といたしましても、従来から国民期待にこたえる会計検査を推進するよう努めておりまして、平成年度及び七年度決算検査におきましても、第一に、社会経済情勢の動向や予算額の推移に対応して、国民関心の高い分野に係る事項検査に積極的に取り組むこと。  第二に、検査観点について、会計経理が法令や予算に従って適正に処理されているかという合規性観点からの検査を十分行うほか、事務事業経済性効率性、すなわち費用対効果観点からの検査徹底を図り、さらにはそれらの執行結果が所期目的を達成し、効果を上げているかという有効性観点からの検査を一層拡大充実することなどを基本方針として検査実施してきたところでございます。  以上のような方針により検査いたしました結果、六、七両年度検査報告の主な特徴といたしましては、第一に、国民関心が高い問題について、政府開発援助補助事業食糧費あるいは国有林野事業経営、日本国有鉄道清算事業団土地処分、さらには高速増殖炉もんじゅ」のナトリウム漏えい事故など、数多くの検査結果を報告したこと。  第二に、有効性観点からの検査を重視した結果として、多目的ダム河口堰あるいは漁港施設用地公共マリーナ建設など、公共事業効果が発現していない事態を取り上げたこと。  第三に、適正公平な負担と受益が求められる社会保障分野につきまして、多額社会保険料徴収不足医療費老齢年金の不適正な支払い、老人介護に関する補助金過大交付等事態を多数指摘したことなどを挙げることができると思います。  また、第四に、七年度検査報告につきましては、国の財政等現状に関する情報を積極的に提供していく見地から、新たな記述の場を設けて、国の歳入歳出公債等債務特別会計の損益、旧国鉄の長期債務政府関係機関等延滞債権などの状況を総括的に記述したことも特徴の一つと考えております。
  9. 草川昭三

    草川委員長 次に、決算審査充実等のために、国会会計検査院との連携の必要性についてお伺いをしたいと思います。  憲法の規定により、会計検査院は国の収入支出決算検査して、内閣は、その検査報告とともに国の決算国会に提出することになっております。そして、決算委員会におきましては、総括審査の中で会計検査院長決算検査報告概要説明が行われ、また、分科会審査の中で当該所管省庁決算検査報告説明が行われております。  しかし、今日まで、今回のような、決算検査報告指摘された中からテーマを選んで会計検査院に対して集中的に質疑を行うということはありませんでした。税金の使途について国民関心が高まっている今日、決算委員会役割はますます重要となっており、本委員会活性化決算審査充実を図るためにも、このような質疑を定期的に行うことは意義のあることであります。  また、決算審査充実等のため、委員等からの資料要求に対する会計検査院協力も重要なことであると思いますが、これらについて御見解をお尋ねしたいと思います。
  10. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 検査報告国会決算委員会決算審査において活用されることは重要なことでございまして、また、会計検査院といたしましても、検査成果実効性確保という面で非常に有効であると認識いたしております。  その意味で、今回のように検査報告掲記した事項について集中的な質疑が行われることは、検査報告決算委員皆様により一層御理解いただき、その国会における活用の拡大に資することとなるものでございまして、意義深いものと考えております。  また、国等における会計経理事務事業の適正かつ効率的な執行確保し、健全な行財政活動を維持していく上で、決算委員会決算審査充実されることは極めて重要であり、検査に当たる会計検査院といたしましても、決算委員会における決算審査最大限協力をすべきものと考えております。  したがいまして、従来から、決算委員皆様などからの資料提出説明要求などに対しましては可能な限り協力を申し上げてきたところでございまして、今後ともそのような立場で協力してまいる所存でございます。
  11. 草川昭三

    草川委員長 次に、会計検査院検査体制充実強化等についてお伺いをいたします。  会計検査院が本来の職責を十分に果たすためには、予算人員確保が図られることが重要なことであることは言うまでもありませんが、過去十年間の予算、特に職員出張旅費、諸手当及び人員増はどのような状況にあるのか、御説明をお願いしたいと思います。  また、本委員会における平成年度及び五年度決算に対する議決案の中でも検査機能充実必要性指摘され、その結果、検査体制充実強化を図るため検査要員増員検査活動充実強化を図るため先端的機器の導入、また、研修研究体制充実強化を図るため研修所施設整備等措置が講じられたということでありますが、これらについて具体的に御説明を願いたいと思います。
  12. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 まず、本院の予算人員について申し上げます。  過去十年間の歳出予算額は、各年度増額して推移してきております。  まず第一に、出張旅費のうち、国内の検査旅費については平成年度以降同額となっておりまして、一方、海外検査旅費については毎年度増額となっております。  第二に、諸手当のうち、調査官等会計実地検査に従事した場合に支給される特殊勤務手当については、直近において制度の改定のあった平成年度以降同額となっております。  第三に、人員につきましては、毎年度一人ないし二人の増員措置されておりますが、このほか、林野庁職員等の受け入れのあった年度がございまして、結果的に一人から三人の増員となっているところでございます。  次に、国会決議について講じた措置でございますが、第一に、平成年度予算において、検査体制充実強化措置として、職員の数は、検査要員十人の増が措置されましたが、九人の定員削減協力いたしました結果、差し引き一人の増員となっております。また、専門調査官が二ポスト増設されております。  次に、検査活動充実強化措置として、超音波探傷器等先端的検査機器が新規に計上され、また、海外検査等充実も図られております。  さらに、研修研究体制充実強化措置といたしまして研修所設備整備に必要な予算が計上されておりまして、この中には特に、安中研修所工事検査実習に必要な屋内展示実習棟建設経費も盛り込まれているところでございます。  厳しい財政状況の中で検査機能充実のためにこれらの措置が講ぜられておりまして、本院といたしましても、さらに効率的な検査に努めてまいりたいと考えております。
  13. 草川昭三

    草川委員長 次に、会計検査機能充実強化観点から幾つかお伺いしたいと思います。  第一は、検査対象についてであります。  会計検査院が行う検査対象は、国の会計のすべての分野のほか、政府関係機関など国が出資をしています団体や、国が補助金その他の財政援助をしている都道府県、市町村、各種法人などに及んでおります。しかし、政府関係金融機関等融資先債務保証先に対しては、現在、会計検査院の要請に基づき政府関係機関等協力のもとに行われている現状でありますが、いわゆる肩越し検査についてどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。  また、企業の財務情報等のディスクロージャーにおいても、連結情報が重視をされている中で、国が資本金出資したものが更に出資しているものの会計、すなわち特殊法人子会社については会計検査院検査対象になっておりますが、その子会社出資法人やその子会社が関与して設置をされた公益法人については現在検査対象になっておりません。特殊法人等のいわゆる孫会社を含ん だ集団全体を検査対象にしていない現行制度をどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  14. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 まず最初に、肩越し検査について御説明いたします。  政府関係金融機関融資先に対する検査につきましては、当委員会を初め国会におきまして昭和五十年代にたびたび論議されたわけでございますが、それを受けて、五十六年及び六十年の二度にわたり内閣官房から会計検査院肩越し検査協力することを慫慂する通達が発せられましたことなどから、それまで肩越し検査協力していただけなかった金融機関についても協力が得られるようになりました。そして、現在のところ、この肩越し検査への協力を得て特段の支障もなく融資先調査を行っており、検査実効は上がっているものと認識いたしております。  次に、出資法人等検査関係でございますが、会計検査院検査は基本的に国の財政会計監督を本旨としておりますことから、会計検査院法上、国の会計のほか、国の会計結びつきの濃厚な国の二分の一以上出資法人などは必ず検査しなければならないものとなっております。また、これに準ずる孫出資法人や、国の支出検査徹底のための手段となります国の工事の請負人などは、必要に応じて検査できるようになっているところでございます。  したがいまして、国のひ孫出資法人あるいは国の孫出資法人が関与して設立されました公益法人についてまで会計検査院検査権限を及ぼすことが、国の財政会計監督上適当であるかどうかは議論のあるところと考えておりますが、いずれにいたしましても、現在のところは、国の出資法人等検査におきまして、必要に応じて、経営状況契約業務内容、あるいはその経理状況などについて調査、把握しているところでございまして、国や出資法人等検査上特段の支障を生じていることはないと認識いたしております。  会計検査院といたしましては、与えられた権限の範囲内で、国の財政監督機関としての職責遂行のため、最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  15. 草川昭三

    草川委員長 第二は、有効性検査についてお伺いをしたいと思います。  公共事業などの大規模プロジェクトにおいては、計画から完成までに相当な長期間を要するため、その後の社会状況変化等により、事業全体が所期目的を達成することが困難になっていると思われる事例が見受けられます。会計検査院として、大規模プロジェクトに対する検査及び評価はどのような観点から行っているのか、また、今後どのような方針で臨んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。  また、これまでの会計検査は、どちらかといえば、決算の計数が正確であるとか、会計経理予算や法令等に従って適正に処理されているかという点に重点を置いて指摘をされている感じを受けますけれども行財政改革必要性が高まり、より効率的な行財政執行が強く求められている現在、事業有効性に関してもっと政策評価に踏み込んだ指摘がなされていいのではないか、こう考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
  16. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 公共事業などの大規模プロジェクトは、御質問のように、完成までに長期間を要しますため、その間の社会経済情勢など、事業を取り巻く状況変化等により、事業必要性が薄れたり、あるいは状況変化等に対応した事業内容の変更などが必要となったりすることが考えられます。  したがいまして、これら事業検査におきましては、事業有効性観点から、当初の計画がその策定に当たって将来の動向を的確に予測するなど妥当なものであったかということのほかに、事業実施段階におきまして、事業着手後の状況変化等に対応して適時適切に計画を見直しているか、関連する他事業との整合性は確保されているか、また実施された事業が有効に機能しているかなど、多角的かつ総合的に検査、評価し、事業の見直しにも資するよう努めることとしているところでございます。  次に、会計検査一般の観点についてでございますが、会計検査院といたしましては、検査の基本であります会計経理合規性検査に一定の精力を注いでおるところでございまして、これまでの検査結果などから見てみましても、合規性検査は今後とも必要であると考えております。  しかし、一方で、事務事業経済性効率性、さらには事業や施策の有効性といった多角的な観点からも検査実施してきているところでございます。  その中で、事業や施策が所期目的を達成し、効果を上げているかという有効性観点からの検査は、近年会計検査院が重視して取り組んでいるものでございまして、これまでも、例えば国営干拓多目的ダムなど公共事業の大規模プロジェクトの投資効果の問題のほか、公団、事業団等の運営上の問題などについても数多く取り上げて、事態の打開や進展、あるいは見直しを図るよう問題を提起してきているところでございます。  もとより、会計検査院検査対象は、決算と各種の会計経理、すなわち予算や政策の執行過程あるいは結果でございまして、執行ということを離れて予算や政策それ自体を取り上げて評価することは立場上無理がございますが、その執行に問題がある場合には、原因の究明を徹底して行うことなどによりまして、関連する予算や政策の効果といったことまで含めて積極的に取り上げるよう努めてまいる所存でございます。  そして、その際には、先進諸国の会計検査院においても、事業や施策の有効性検査を重要な課題の一つと位置づけて鋭意取り組んでいるところでございますので、相互に情報交換するなどいたしまして、より充実した検査を行うよう努めたいと考えております。
  17. 草川昭三

    草川委員長 第三にお伺いしますが、いわゆるODA、政府開発援助でございます。  会計検査院では、相手国に対して検査権限が及ばないことや、事業現場が海外にあることなどの制約のもとで、毎年数カ国に調査官を派遣し、相手国の協力が得られた範囲内で各種の事業調査をされておられますが、これについてどのような見解を持っておられるのか、また、より効果的な調査を行うため、どう改善すべき点があるか、お伺いをしたいと思います。
  18. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 政府開発援助、いわゆるODAの問題は、非常に国民関心も高い問題でございますので、ODAの検査実施状況につきまして、平成年度以降、「特定検査対象に関する検査状況」という項目の中で報告を申し上げているところでございます。  ODA検査実施の困難性につきましては、先生御指摘のとおり、国内の検査とは違った問題がございます。特に、現地調査に当たりましては、何分現場が外国であるという事情から、時間と経費がかかることはもちろんでございますけれども、言語の問題がございましたり、治安、交通、衛生等の面でも大変恵まれていない地域に入り込んでいって現場を見なければいけないというようなことで、国内の検査に比べまして数多くの困難がございます。  しかし、会計検査院といたしましては、この問題については、今後とも国民期待に沿えるよう一層の努力を続けてまいりたいと考えております。
  19. 草川昭三

    草川委員長 では、会計検査院の広報活動についてお尋ねをします。  会計検査院においては、会計検査をより有効なものにするために広報活動など各種の活動が行われておりますが、広報活動の現状について御説明をいただきたいと思います。  また、今日、国民は税金の使途について非常に高い関心を持っておるわけですが、広報活動の観点からも、今後、国民に特に関心の高い問題については、会計検査院対応状況を適宜公表することも考えられると思いますが、どのような御見解ですか。お伺いをします。
  20. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私どもも、国民皆様や、国費の使用にかかわりを持っている機関の方々に対して、会計検査院の機能、活動状況、活動成果等について広範な広報活動を行うことが重要であると認識いたしております。  このため、昭和六十二年に官房総務課に渉外広報室を設置して広報活動の充実を図っているところでございまして、決算検査報告につきましては、記者発表や論説委員説明会などを通じてその周知に努めるとともに、検査報告内容をよりわかりやすくした小冊子や、会計検査院の組織、業務内容、活動等をわかりやすく紹介したパンフレットなどを発行し、それぞれ、国会先生方を初め、各省庁都道府県、報道機関、図書館など、各方面に配布しているところでございます。  また、各省庁会計課長等や、出資法人の監事、監査役に対しまして、毎年、検査報告説明会を開催し、同種事態の再発防止に努めたり、検査対象機関などで行っております研修会に随時本院から講師を派遣したりなどいたしております。  さらに、政府広報の媒体、例えば「フォト」や「あまから問答」などもたびたび利用するなど、積極的な対応を行ってきているところでございます。  今後とも、私ども検査活動がより国民皆様に御理解いただけるよう、各方面の御意見も承りながら、例えばインターネットの活用ども含め、広報内容、媒体等についてさらに検討を重ね、広報の充実を図ってまいりたいと考えております。
  21. 草川昭三

    草川委員長 では、最後になりますが、決算審査充実を図っていくためにも、会計検査院検査が今後ますます充実したものになることが重要だと思います。そのための検査院の取り組み、あるいは方策、あるいは御要望などがあれば御意見を賜りたいと思います。
  22. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 会計検査院といたしましては、検査報告国会の御審議に大いに活用していただくという観点から、その早期作成に努めますとともに、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により、意見を表示しまたは処置要求したときには、その都度公表しているところでございます。  また、検査実施状況内容処理の進捗状況につきましては、当委員会を初め国会方面などからお尋ねがあった場合には、従来から、検査報告の作成あるいは意見表示、処置要求関係なく、その都度お答えしてきたところでございますが、今後は、御質問のように、広報活動の観点も考慮しつつ、どのような形での公表が可能であるかといったような点についても検討してまいりたいと考えております。  我が国におきましては、極めて厳しい財政事情の中で、行政改革や財政構造改革が強く求められ、会計検査院に対しましても、効率的な行財政に寄与し得る検査実施が求められているところでございます。  会計検査院といたしましては、このような現下の情勢を踏まえ、その期待にこたえるため、限られた人員予算等の中で極力効率的な検査に取り組みますとともに、事業有効性観点からの検査をさらに拡大充実すること、社会経済情勢変化等に対応した新しい検査領域の開拓や新しい検査手法の研究開発に努めること、国の予算執行状況財政状況に関する情報提供を充実することなどに取り組んでまいる所存でございます。  また、検査成果実効性確保及び決算審査充実に資する観点から、国会とりわけ決算委員会と緊密な連絡協調体制を維持してまいりたいと考えておりますので、国会におかれましても、会計検査院検査成果行財政の効率的執行に一層役立つものとなるよう、検査報告決算審査等に十分活用されることを心からお願い申し上げたいと思います。
  23. 草川昭三

    草川委員長 ありがとうございました。  これにて委員長の総括的質疑は終わりました。  これより各委員質疑に入ります。  この際、委員各位に申し上げます。議事整理のため、質疑の際は、挙手の上、委員長の指名により発言されますようお願いいたします。また、御発言はすべて着席のままで結構でございます。  それでは、あらかじめ申し出のありました委員質疑を行います。質疑時間が限られておりますので、答弁も含めておおむね一人十五分程度でお願いいたします。  浜田靖一君。
  24. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 自由民主党の浜田靖一でございます。  きょうは、決算委員会におきましてこのような形で、フリーディスカッション形式でやられるということは大変意義深く思いますし、決算委員会にかかわる者として、この委員会、そしてまた、国民のニーズが大変高まってきておるこの御時世でございますので、検査院の方々とともに、やはり国民期待にこたえるべく努力してまいりたいと思いますので、院長以下のまたお力添えを心からお願いする次第でございます。  総括的な質問に関しましては今委員長の方からあったわけでございますけれども、私は、具体的な部分でお話を伺っていきたいと思うわけであります。  今回、農林水産関係公共事業ということで質問させていただくわけでありますが、時間が大変短うございますので、特に水産関係の公共についてお話を伺いたいと思うわけでございます。  昨年、国連海洋法条約が締結をされまして、二百海里体制のもとでこれからの漁業を考えていかなければならない時代が参ったわけでございます。そしてまた、これから、世界の人口というものも二〇五〇年には八十億人にも達して、食糧問題というのが大変重要になってくる。そして、我が国の食糧政策といえば、これは農業にしろ水産業にしろ大変厳しい状況にあるわけでございます。  特に水産に関しましては、国民皆様方の理解というものについても、大変このごろはいろいろな意味で社会が変わってまいりまして、安い物が海外から幾らでも入ってくる、そして、我が国の周りは大変海に囲まれておりまして、動物性たんぱく質、これを摂取するには一番いい環境が整っておるわけであります。  しかしながら、国民のニーズとともにまた、産業ということになれば、当然、収益の問題等もあるわけでございまして、この点をいかに今後安定的に資源を確保しながらやっていくかという大変重大な時期に差しかかっておることも事実でございます。国の責任として、やはり国民の食糧需給というものをまじめに考えていかなければならない時期でございますので、我々も、予算を考える場合においては、本当に有効にこの予算が使われて、いかに効率的にそういうものを満たしていくかということを考えなければいけないわけでございます。その意味では、会計検査院等におかれまして指摘検査をされることは大変重要だと思うわけでございます。しかしながら、残念なことにいろいろと御指摘は多うございまして、その点につきましても、今から具体的にお伺いをさせていただきたいと思うわけでございます。  平成年度決算検査報告におきまして、いわゆる沿構と我々呼んでおるわけでありますが、「沿岸漁業構造改善事業による施設の設置及び運営について」ということで、これがまた処置要求事項として指摘をされておるわけでございます。そしてまた、この処置状況については平成年度検査報告で述べられておるわけでございますけれども指摘の概要とあわせて、この件について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  25. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 今議員御指摘のような状況、水産をめぐる状況を踏まえまして、水産庁でもいろいろの事業を行っておられるわけでございます。  六年度の沿構に関する指摘でございますけれども、沿岸漁業構造改善事業において設置される施設の中には、漁業協同組合等がこれを運営することによりまして漁家の漁業経費の節減や所得の向上を図ることなどを目的とする施設がございます。これらの施設の設置及び運営につきまして、漁家所得の向上などの所期事業効果が発現して いるかどうか、施設運営における収支がバランスはどうなっているかという観点から調査実施したところでございます。  そういたしましたところ、施設の運営費が、施設の設置、運営に伴う効果として具体的な数値であらわされた漁業経費の節減額あるいは漁家所得の向上額等、いわゆる直接的効果を上回っているというのがあったり、あるいは、収支が赤字になっておりまして施設の運営を継続することが困難であるというものがありまして、これらにつきまして事業効果が十分発現していないというものが、北海道ほか十三府県で、二十四件、事業費で十億円ほど、国庫補助金で四億円ほど見受けられました。  したがいまして、事業実施に当たっては、企業経営観点に立ちまして、事業効果的に実施されますよう、水産庁に対して、会計検査院法三十四条の規定によって是正改善処置要求したものでございます。  その後の処置状況でございますが、これに対しまして水産庁では、本院指摘の趣旨に添いまして、八年の六月に通達を発するなどされまして、これらの事業効果的に実施するために、水産庁、都道府県及び事業主体等におきまして、事業計画段階で経費効果との関連性などを十分に審査する、そのほか、事業実施後におきましても事業効果等を的確に把握しまして、体制を整備するなどの処置をとられたところでございます。
  26. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 沿構はそういうようなあれがあるわけでありますが、次に、いわゆる新聞等でもいろいろと騒がれておりますが、漁港関係の御質問をさせていただきたいと思うわけであります。  平成年度決算検査報告におきまして、漁港施設用地等利用及び管理について、これもやはり処置要求条項として掲載されておるわけであります。この事業に関しましては、昭和五十八年度決算検査報告でも指摘されておりまして、それ以来、また今回指摘をされておるわけでございます。今回は、これはどのような理由からこの件を検査対象とされたのか、お教え願いたいと思います。
  27. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 いずれの年度につきましても漁港整備事業というのが頭にかぶっておるので、ちょっとわかりにくいのかと思いますけれども漁港整備事業には多額資金と長期間を要しますことから、従来から本院としても重点的に検査をしてきたところでございます。  漁港整備事業により整備する漁港施設の中にはいろいろの施設があるわけでございますが、一つは、防波堤、岸壁等の基本施設がございます。それからもう一つは荷さばき所等の漁港施設用地等の機能施設という、この二つがございます。  昭和五十八年度検査報告では、漁港整備事業のうちの防波堤、岸壁等の基本施設の整備実施状況について調査いたしまして、所期の機能を発揮していない事態でございますとか、施設の利用が著しく低くなっている事態がありましたので、水産庁において的確な計画審査を行って、事業の適正な執行を図っていただくよう是正改善処置要求したものでございます。  その後、十数年経過いたしますと、その間に、我が国の漁業を取り巻く情勢につきまして、国内漁獲高の減少でございますとか漁業就業者の高齢化等の影響もあって、大きく変化してまいっております。他方では、国民の余暇の時間の増加に伴いまして海洋性のレクリエーションが普及しまして、漁港においてもプレジャーボート等の、漁船に支障がない範囲でございますけれども、受け入れの体制の整備を求められているというようなことがございます。  そこで、昨年、漁港整備事業により整備された漁港施設が、設置の目的、漁業情勢の変化国民のニーズに対応して適切に管理運営されているかという観点から、漁港整備事業のうちの漁港施設用地等利用及び管理について調査した結果が、先ほどの昨年の検査報告になっているというわけでございます。
  28. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 その意味からしますと、これはいろいろな資料等も出ておるわけでございますので私も読ませていただいたわけでありますが、実際に、自治体ですとか組合ですとか、そういうところが意外と内容を把握せずに勘違いをしておったような、そういう事例もあるわけでありますし、周知徹底というか、事業内容についてなかなか理解されないままにこのような事態が起こっているということも見受けられるわけでございます。その意味では、これから各省庁からの指導というものが大変重要なのかなというのを、私、今回勉強させていただいて感じたわけでございます。  時間の方も大変短くなってまいりましたので、いろいろとほかにも聞きたいことはあるのですけれども、最後に、農林水産関係公共事業の投資効果の問題についてはこれまで数多くの指摘がされておるわけでありますが、これらの投資効果検査に当たっての問題点なり課題などにつきまして、疋田院長から、今後の抱負も含めて御所見をお伺いしたいなと思うわけでございます。よろしくお願いします。
  29. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 先ほどの委員長の御質問に対しましてもお答えいたしましたとおり、私どもといたしまして、現在、一番力を入れて取り組む必要があると考えておりますのが有効性検査でございます。有効性検査を行う場合に一番問題となっておりますのが、先ほど先生おっしゃいましたような投資効果をどのように判定していくかという問題でございます。すなわち、投資効果を、何を単位として、何を根拠に測定し、どのレベルまでを妥当と判断するかという尺度の問題が、投資効果検査には一番大きな問題となってまいります。  そのような意味におきまして、会計検査院といたしましても、今後、事業効果検査を一層充実させる見地から、この課題に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
  30. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 時間が参りましたのでこれで終わりにさせていただきたいと思いますけれども疋田院長、それこそ門出に当たってはいろいろあったわけでございますけれども、ぜひとも精いっぱいの御尽力を願いまして、会計検査院の存在をしっかりと示すためにも、各課の皆さん方を含めて奮励されまして、ぜひともすばらしい結果を出していただくように心からお願いをし、また、それを一生懸命フォローアップすることをお約束いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  31. 草川昭三

    草川委員長 高市早苗君。
  32. 高市早苗

    ○高市委員 自由民主党の高市早苗でございます。  今回、私は公共事業テーマといたしましたので、建設省、運輸省、農水省所管の補助事業について、平成年度及び七年度検査報告書を拝読いたしました。補助金が不当と指摘されているケースの代表的な原因は、工事費の過大積算設計のミス、それから設計施工が食い違っている、この三点であると感じました。  再発防止のためのシステムづくりというものが何よりも肝心と思いましたので、まずは建設業者さん、それから県の土木事務所の職員の方に、設計から事業完成までの流れについてもいろいろ話を伺いました。建築物や道路や橋が完成するまでには、設計事務所に頼んだ設計が上がった時点で、技術的なものも含めて県が設計検査をし、また単価もはじき、落札した建設会社とは設計図も挟んで打ち合わせをし、事業の途中では、工事の段階ごとに県の土木事務所の監督員が検査をして、さらに出来高検査もあり、竣工検査もしているという話でございました。  これだけの手順を踏みながら、なお設計ミスや、設計施工の相違というものが会計検査院検査の日まで気づかれずに放置されている要因というものは、システム的にはどこにあると思われるのか。また、県の検査体制や、それから設計事務所の資質に問題がある場合もあると思うのですけれども、その場合、改善のためにどのような指導をされているのか、お伺いしたいと思います。
  33. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 工事設計業務につき ましては、事業主体において、簡易なものを除きまして設計会社等に業務を委託しております。そして、事業主体の方では、あらかじめ任命した検査職員が、委託成果品につきまして、発注の目的に沿ったものであるか否かということを検査いたしまして、適正なものであると確認した後に事業主体はその成果品を受け取ることになっております。また、施工につきましても、ただいま先生が御指摘になりましたように、数々の手順を踏んでいるところでございます。  そういった中で御質問のような設計ミスあるいは施工不良といったことが起きますのは、こういったシステムの運用上の問題ではないかというふうに考えております。  すなわち、設計ミスについては、設計会社等及び事業主体におきまして設計成果品の審査が十分でないこと、また、施工不良につきましては、請負業者の施工管理並びに事業主体の監督及び検査が十分でないことなどがその発生の原因であろうかと考えております。
  34. 高市早苗

    ○高市委員 今、原因はよく把握されているというのがわかったのですが、結局、事業主体の検査体制とかの問題ですね。それが十分じゃない。あと、設計事務所側の原因。こういったものの改善について、何かアイデア、お考え、また御指導されていることがありましたら、お聞かせください。
  35. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 建設省におきましても、会計検査院指摘あるいは国会議決を受けまして、研修会議等を通じまして、そのような不適切な事態が再発しないように事態改善を指導しているというふうに聞いております。  特に、指摘件数の多かった設計不適切の事態につきましては、平成七年の十一月に詳細設計照査要領というものを定めまして、各都道府県、政令指定都市に、事務連絡ということで、委託した設計成果品についてのチェックを十分に行うように指導しております。  また、コンサルタント、業者に対しましても、こういった指摘事例を踏まえまして、公共土木設計業務等標準委託契約約款というものがございますが、これに瑕疵担保などの条項を設けまして設計ミスの防止を図ったり、あるいはまた会議の際にコンサルタントの資質の向上につきまして指導をしたりしているという報告を受けておりまして、会計検査院といたしましても、こういった施策はそれなりの効果を上げるのではないかと期待しておりまして、いましばらくその成果を見守りたいと考えております。
  36. 高市早苗

    ○高市委員 このところ、週刊誌でも、年度末の予算使い切りのためにやたら道路を掘り返しているという指摘がなされております。個々の工事意義はともかく、年度末の予算使い切りという認識が国民の間に広く浸透し、血税のむだ遣いではという疑念につながっているのも事実でありますので、この疑念を晴らしていくことがまた納税者に対する政府、政治家の義務でもあると考えております。  いずれの公共事業も、当然のことながら予算と落札価格の間に差額というものが出てまいります。各県とも苦労してとった予算ですから、年度末に余った予算を国庫に返すケースはほとんどないと理解しております。例えば道路予算であれば、変更して延長で事業促進を図ったり、また用地の取得がすぐにできない場合でしたら流用手続をとって別の道路を手がけたりと、必要な事業にむだなく使われていることを信じたいとは思うのですけれども、これまでの検査検査で、公共事業予算の使い切りを目的にいわゆるむだな工事が行われた例があるかないかということ、また国民年度末のむだ遣いという疑念に対して検査院の果たすべき役割はあると思われますか。  以上二点、お伺いいたします。
  37. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 公共事業におきまして、使い切りを目的としたむだな工事であるということで会計検査院指摘した事例はございません。これは、一般の方々、特にマスコミに出るような事柄とはちょっと合わないような結果というふうにお考えになるかもしれませんが、ちょっとその点御説明いたします。  予算制度は御指摘のとおり単年度主義でございまして、工事も当該年度内に終了するのが原則となっております。しかしながら、大型工事工事期間を長期間要する場合ですとか、あるいは何らかの事情で工事の期間が伸びたりするといった、工事期間が複数年度にわたらざるを得ない場合には、必要に応じて、国庫債務負担行為ですとか繰り越しといった制度がございますので、これによって対応しているわけでございます。それが、確かに当初予定していなかった部分について、一般的な言葉で言えば予算が流用というふうに見えるわけでございますが、今申し上げましたような認められた制度に基づいて合法的に行われているということでございます。  なお、公共事業予算の単年度清算をやめるような予算制度改革ということ、そういう御議論があることは承知しておりますが、一義的にはこれは財政当局において検討をされる問題であろうかと存じますので……
  38. 高市早苗

    ○高市委員 それは通告はしたのですが、今伺っておりません。今伺いましたのは、国民の疑念を晴らすことに対して検査院の果たすべき役割はあるかというのが二点目の質問でございます。
  39. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 今ちょっと最初の部分で申し上げましたが、確かに当初予定していなかった工事、あるいは工事の部分に予算年度途中で振り向けるということはあるわけでございますが、これは必ずしもむだということではございませんで、既に認められた制度に基づいて、要するに年度途中でほかの必要な事業予算を振り向けるということでやっているのが普通でございます。  ただ、国民の方々から見まして、不必要な工事予算が使われているのではないかというような疑念もあろうかと存じますので、私どもとしましては、工事経済性ということだけでなく、工事目的達成、あるいはそういった有効性という観点からも、今後とも一層検査充実してまいりたいと考えております。
  40. 高市早苗

    ○高市委員 私自身、会計検査院の持つべき役割、そして御活躍に対して大きく期待をするものなのですが、最後に嫌な質問をして申しわけないのですが、平成八年十二月十一日の読売新聞の夕刊の記事についてお尋ねしたいと思います。  まず、記事を読みます。   検査院幹部によると、省庁の中には、「一件あたりの指摘金額を一億円以下に抑えてくれなければ検査協力できない」と抵抗するところもあるという。   ある検査院OBは読売新聞社の取材に対し、「ミスを認めさせ、事態改善させることを条件に、指摘金額を減らすことはよくある」と、過去に〟減額修正〝があったと証言している。減額修正は、抽出件数を減らすなどの方法で可能になるという。   問題が判明しながら検査報告に掲載されない案件もある。  各省庁の最高幹部は、検査報告とりまとめの直前、検査院幹部に「陳情」と呼ばれる行為を繰り返している。  表向きは「今年指摘された点についての説明をしたい」と言って訪れるが、「省益にかかわるため、検査報告に載せないで欲しい」と頼み込むケースもあるという。  「こうした陳情を受けること自体、国民に誤解を与える」と、陳情に批判的な声は検査院内部でも強い。 と、びっくりする記事だったのですが、以上の部分について、事実関係を御答弁いただきたいと思います。
  41. 平岡哲也

    平岡会計検査院説明員 会計検査院の所見は、検査対象機関の会計経理を批判をいたしまして、その批判の情報国民に提供するものでありますことから、判断の公正を確保し、誤りなきを期することが大変重要であります。このために会計検査院では、検査の結果、不適切ではないかと思われる会計経理を発見した場合には、検査対象機関 の責任者に対しまして、事実認識の確認でありますとか疑問点の解明などのために、書面をもって質問を発しまして見解を徴するほかに、直接口頭による当局者の意見あるいは弁明も聴取をしているところであります。  先ほどおっしゃいました、あるいは新聞に書かれております、検査報告掲記をすべき事態であるかどうかといったことにつきましては、あくまでも、会計検査院内部における数次にわたる慎重な審議を経まして、独自の立場で判断をしております。報道されておりますような、指摘金額検査報告掲記につきまして考え方を曲げるというようなことはないわけであります。
  42. 高市早苗

    ○高市委員 どうもありがとうございました。  納税者の権利を守るということ、それから各事業主体において、設計ミスにしても積算ミスにしても、同じようなパターンの過ちが繰り返されないように、どうかこれから一般国民に対しましても、あと各都道府県、特に土木担当者に対しましても、活発な広報活動を御期待申し上げたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  43. 草川昭三

  44. 若松謙維

    ○若松委員 新進党の若松謙維でございます。私は、平素の会計検査院皆様の御努力に対して、敬意を表します。  そして、きょうは、食糧費等いわゆる官官接待、空接待、空出張、さらには、おからじゃございませんが「から」がいっぱいありまして、空雇用そして空使用、そういった今社会的な非常に関心が高いところの点について、まず、検査院の院長に御質問させていただきたいと思います。  平成年度検査報告書におきましても、この国庫補助事業に関する事務費執行というところで、しっかり食糧費等を含む事務費指摘がなされております。そして、これは読売新聞の、九六年七月、若干古いのですけれども、三十七都道府県でオンブズマンが調査をしておりまして、そのうち二十一都道府県でこういった空事務費の疑惑があった、こういう報告もなされております。そして、先ほどの七年度報告書によりますと、北海道、宮城、秋田、新潟、三重、鹿児島、この六道県を特に調査されまして、そのような旅費等の、また食糧費等のいわゆる不正、調査結果が全部で五十六億一千万円出ております。  こういった非常に国民関心の高いところに対しての会計検査院としての取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  45. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 食糧費等の問題につきましては、冒頭に事務総局次長の方から御説明を申し上げましたように、私どもも非常に重要な問題であるということを認識いたしております。  食糧費につきましては、平成年度の本院の指摘などを踏まえまして、国庫補助事業を所掌しております省庁におきまして、食糧費使用経理処理を適切に行うよう各都道府県に対して通達を発するなどの改善措置が講じられているものと認識いたしております。したがいまして、会計検査院といたしましては、今後、都道府県におきましてその徹底が図られているか否か、厳正に見守っていく方針でございます。  次に、旅費等執行につきましては、平成八年十月末現在で、四十七都道府県から受けました内部調査取り組み状況などの報告によりますと、先ほど委員指摘の六道県におきまして不適正な経理処理が行われておりまして、国庫補助金の返還等を実施あるいは実施を検討している状況でございます。これらの六道県につきましてはなお内部調査が継続して行われておりまして、また、他の都府県におきましても内部調査が行われているものがある状況でございます。したがいまして、本院といたしましては、今後、都道府県における実態解明の推移を注視いたしますとともに、これに関連する国庫補助事業につきまして都道府県と所管省庁から報告を受けまして、その内容調査検討する方針でございます。  会計検査院では、食糧費及び旅費等事務費執行につきましては、社会的関心が高く、厳正な経理処理が求められておりますので、今後とも、国庫補助事業に係る事務費執行について十分留意して検査してまいる所存でございます。
  46. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひとも会計検査院、この食糧費等のためだけに各地方に検査に行くわけではありませんけれども、やはり何らかの目的で四十七都道府県全部行かれますので、その際には、ぜひこの関心の高い食糧費旅費等に関する検査を必ず入れていただき、国民期待にこたえていただきたいと思います。  続きまして、特に食糧費なのですけれども金額的には空出張というのが非常に多いわけでございます。しかし、この補助事業ということに関して、食糧費というところに結局目を当てなければいけないのではないか。といいますのも、やはり補助金を得るためにこの官官接待を行う、そのために食糧費が必要となる。  こういったところで、特に秋田県が、先ほどの平成年度、八年度も含みますけれども食糧費として四億一千二百万円のお金を使っている。その中にはもちろん空接待もありますし、やはり強烈なのは──ことしの三月二十五日に秋田県が出しました資料がございまして、これはかなり強烈な内容になっているわけです。当然、都道府県はそれぞれ東京に事務所がございます。その人たちが中央の官僚の方たちを一生懸命接待する。東京事務所の人たちもフォアグラになって大変だろうなと思いながら、その回数を見ますと、平成年度だけで千三百二十六回ですか、その結果、金額が一億二千四百万円。一番多いのが建設省三百十回、自治省二百九十四回、農水省二百九十三回。こういったところがビッグスリーなのです。  こういった官官接待並びに空出張に対して非常に今頑張っているのが、秋田県だけではなくて、全国的に注目を浴びておりますいわゆる市民オンブズマン、これがかなり指摘をしております。そんなことで、秋田県におきましても、現県知事を追い詰めて、いわゆる辞職にまで追いやったという経緯もございます。そして会計検査院として、これは私からの要望なのですけれども、こういう非常に見識の高い、中には市民オンブズマンと称して恐喝まがいの、それで捕まった方もいらっしゃいますけれども、そうじゃない、良識のある方と、やはり会計検査院はアンテナを高くして、そして情報源を広く持つ、そういう意味からもそういった市民の方またはオンブズマン等の方との接点を広く求めるべきではないかと思いますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  47. 平岡哲也

    平岡会計検査院説明員 会計検査院といたしましても、国民の方々から寄せられるさまざまな情報が、適切に会計検査実施していく上で重要なものと考えております。そこで、国の会計経理にかかわる外部からの情報提供につきましては、検査資料として活用できますように、窓口として、昭和六十二年、渉外広報室を設けて、全国から寄せられる多くの情報や意見を随時受け付けております。現に、毎年かなりの件数に達するわけでありますが、これらを直ちに担当検査課において検査活動の中に取り込ませるようにしておるわけであります。  先生おっしゃいます点でございますが、情報化時代あるいは情報公開の時代における情報収集のあり方ということになろうかと思います。会計検査院の公正中立の立場と相入れるような形になるのかどうかとか、あるいは、相互に情報交換をするということになりますと国家公務員の守秘義務との関係をどう考えるかとか、いろいろな検討をしなければならない問題があろうかとも考えておるわけでありますけれども、今後ともに十分に研究をいたしまして、国民の方々からの貴重な情報についても、積極的に会計検査に生かしていくように努めてまいりたいと考えております。
  48. 若松謙維

    ○若松委員 会計検査院にも、広報課ですか、ございますし、日本の広報課というと、どちらかというとその省庁の発信ということで、余り受信という意味合いがありません。海外ですとパブリックリレーションズという形でツーウエーなのです けれども、ぜひとも受信というところを、明確に、国民にわかりやすいように、そういった努力をよろしくお願いいたします。  そして、これがやはり最大の核心なのですけれども、三月二十五日、特に食糧費に関しまして、食糧費だけではないのですけれども、秋田県の特に東京事務所の六年度分の報償費関係文書ですか、これを県から秋田のオンブズマンの方に出したそうなのですけれども、そこで、書類が八割以上紛失している。こういう実態で、私も、仕事が公認会計士をやっていますのでほとんど知っていますけれども、何でこういう公文書がなくなるのかというところは、やはりシステム的に問題があるからなくなるのだ、そういう把握をいたします。  そして、秋田県の総務部の組織図を見ますと、総務部の中に全部で七課ぐらいあるわけなのですけれども、まず、こういう空出張とか空接待とかいうものをチェックする機能が、やはり総務部の中に行政考査室または財政課というところがあるにもかかわらず、結果的にそういうチェック機能がない。ましてや先ほどの文書、公文書ですから一つ一つの伝票でも非常に大事なのですけれども、そういったものに対して、やはり総務部管轄で学事文書課、いわゆる公文書館ですね、こういったところがそういった書類をしっかり管理しなくてはいけないにもかかわらず、もう八割近くなくなっている。これは、もう企業においてはあり得ません。当然、その責任者は首です。そういった、システムが不備というところにこの秋田の、特に食糧費等に関する実態の不備のいわゆる際立った欠陥が出ているのだと思います。  そういった点、やはり会計検査院としても、会計検査の範囲が広いわけですから、非常にシステム的な対応というものをやはりしなくてはいけないと思いますけれども、こういった問題に対して、会計検査院としてどのようにアプローチされますか、それともどのように改善を要望していきますか。
  49. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 食糧費、それから旅費等の不適正経理につきましては、第一義的には、当事者である都道府県がみずからの責任で必要な措置をとることによって実態が解明されることが重要であると考えております。しかし、こういうものには、国庫補助事業でありますと国の補助金が入っていますから、そういう立場から、検査院としてもそれが適正に使われているかどうかということを、食糧費については平成年度、秋田県を含めて検査したところでございます。  その食糧費につきましては、そのときには、経理処理が非常に不適切である、国庫補助金とそれから国の単独事業費とが混在して、区分して経理されていないとか、それから経理関係書類に必要な情報がきちっと書いてないとか、いろいろな問題がございました。そういう点につきましては、平成年度決算報告におきまして、経理処理を国の補助金と県のお金とを区分して経理するように、それから、食糧費をどういう目的のために使ったか、そういうことを明記するように、そういういろいろな改善要求を行っておりまして、こういう会計検査院指摘に基づきまして、各省庁におきまして通達を出しまして、経理処理を適切に行うよう都道府県に対して指導を行っております。
  50. 若松謙維

    ○若松委員 先ほどのこのシステム対応というところですけれども、少なくとも、公文書紛失というのは非常に罪が重い。こういう決算委員会で余り政局的な話をするのは私も好きではないのですけれども、今度秋田で知事選があるわけですけれども、こういった組織に、直接担当してきた責任者がそのまま立候補するという感覚が私は理解できないし、ましてや国民は、もう怒り心頭だと思います。  ですから、そういったシステムをやはり改善しないとこういう問題は解決しませんので、これは事実の指摘ではなくて、その根底にあるシステム改善にももっともっと会計検査院の強烈な指摘というものをぜひどんどんしていただきたいと思います。  そして、最後なのですけれども、先ほどおっしゃいましたように、やはり補助金事業というのは当然県で記帳しているわけですから、なかなかその線引きも難しいし、調査しにくいと思います。だけれども会計検査院法二十三条の任意的な検査事項、その一項三号できちんと調査できる権限があるわけですから、ぜひともこういった権限を最大活用して、調査をしていただきたい。ぜひとも国会として、この委員会も含めてしっかりとそういった調査の今後の成り行きというものを見守っていきたいと思いますし、また、その経過報告もなるべく頻繁に国会に御報告をいただきたいと思いますが、会計検査院、いかがでしょうか。
  51. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 本院としましては、先ほど院長から御答弁がありましたように、現在、都道府県におきまして内部調査が引き続き行われているものがありますので、そういう内部調査の実態解明の推移を引き続き注視しますとともに、関連する国庫補助事業につきまして、都道府県及び所管省庁から報告を受けた上で、その内容調査検討することとしております。  具体的には、ことしの一月から、都道府県の通常検査の一環として、内部調査関係資料経理関係書類等に基づきまして、都道府県及び所管省庁から受けた報告内容及び処置等が妥当なものになっているかについて、調査検討しております。
  52. 若松謙維

    ○若松委員 ありがとうございました。
  53. 草川昭三

    草川委員長 辻一彦君。
  54. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、きょうは「もんじゅ」の問題と原子力の問題について、二、三伺いたいと思います。  というのは、私の郷里は福井県ですが、今、原子力発電所をいろいろ見ますと、いろいろな形がありますが、十五カ所あって、電力の容量は約千二百万キロワット。これは世界一の原子力の発電基地に現在なっております。そういう意味で、この事故の問題は非常に私も深い関心を持っておりますので、そういう点から伺いたいと思います。  まず、「もんじゅ」の事故は、プルトニウムを使う高速増殖炉の原型炉で起こったのでありますが、いま一つは、動燃の東海で、再処理工場の事故が起きております、これは使用済み燃料からプルトニウムを取り出す過程でありますが。いずれにしても、日本の原子力政策、言うなればエネルギー政策のこの二つの柱、これが今この事故によって大きく揺すぶられている、そういう意味で、「もんじゅ」と再処理工場の事故は極めて重大である、こういう認識を私は持っております。  そういう中で、今までも会計検査院は原子力問題等の検査は例がなかったようでありますが、今回「もんじゅ」を取り上げた理由というのは大体どういうところにあったのか、このことをまずお尋ねしたい。
  55. 森下伸昭

    ○森下会計検査院説明員 会計検査院は、会計検査に対する一層の国民の理解と信頼を得ますために、本院の活動状況国民に対して十分説明する必要があると考えているところでございます。このため、不適切な事態を不当事項などとして検査報告記述するだけではなく、国民関心が極めて高いテーマについては、どのような検査をしてきたかを明らかにする必要があると考えまして、平成年度から、「特定検査対象に関する検査状況」として、その検査状況検査報告で明らかにしてきているところでございます。  今回の「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故につきましては、大変国民関心が高かったということ、それから、「もんじゅ」の建設には多額の国費が投入されております。建設費は約五千八百億円、そのうち政府出資金が四千五百億円ばかり投入されているわけでございまして、こういうことから、会計検査院といたしましても、契約の執行等を会計経理の面から検査をいたしました結果「特定検査対象に関する検査状況」ということで、昨年の平成年度決算検査報告掲記をしたものでございます。
  56. 辻一彦

    ○辻(一)委員 フランスにスーパーフェニックスという世界でも有名な高速増殖炉があります。今回、会計検査院が扱ったのは、「もんじゅ」の温度 計の設計に関する問題を取り上げておりますが、フランスのスーパーフェニックスにおいても、前に、溶接部からナトリウムが漏れて大きな問題になった。そして、四十五本ある温度計のうち八本を除いて三十七本を取りかえており、これは相当な期間をかけて取りかえている。そしてその結果は、フランスの原子力関係の公聴会において報告され、公聴会の報告書として公にされている。そういうのは、動燃にしても科学技術庁にしてもすぐに入手している。だから、それを見れば同様なことは起こさないことができるはずだと私は思うのです。  若干、具体的に申し上げると、ナトリウムが漏れた場合、これは火災が起こります。その火災対策も、フランス等では十八カ月かけて、ナトリウムが漏れた場合に早く検出するのに、一つの種類ではだめだというので三つの角度から検出ができるようにしているとか、あるいは監視の窓を設けるとか、監視のテレビカメラを設けるとか、入れるとか、それから部屋を区切るとか、あるいはマニュアルを大きく改訂するとか、事故の原因であったナトリウムをボタン一つで全部抜き取ることができるとか、十八カ月にわたってこういうような大きな改造をやり、手当てをしている。そういうものは、また同様、フランスの公聴会、これは原子力庁というのが推進側、規制当局は原子力施設安全局というのが別個の規制機関としてやっておりますが、公聴会を開いてちゃんとやっておるのですね。その結果も全部出している。  そういうものを見ておれば、私は、未然にこのような事故を抑えられたのではないか。したがって、国民のこれだけ大きなお金をかけてやっている、これはある意味においては重大な損失ですから、そういうことを防げたのではないかと思うのです。  これは海外の例でありますが、しかし日本では、「もんじゅ」にさかのぼる「常陽」という実験炉でいろいろな実験をやっている。そこの経験をもうちょっと生かせば、外国の経験のみならず国内の経験においても対応できたはずだと思うのですが、これらを、「もんじゅ」の温度計を検査された角度から、「常陽」等の経験をなぜ学び得なかったか、どう考えていらっしゃるか、お尋ねしたい。
  57. 森下伸昭

    ○森下会計検査院説明員 会計検査院といたしましても、原子炉等の安全性が非常に重要であることは十分認識しているところでございます。  検査報告には、スーパーフェニックスの事例を直接は記述しておりませんが、動力炉・核燃料開発事業団がみずから手がけました「常陽」の成果が「もんじゅ」にどう反映されたのか、そういうことを反映させる必要性があったのではないかというようなことについて、ただいまの検査報告記述しているところでございます。  さらに、「もんじゅ」の一次冷却系の温度計のさやの形と二次冷却系の温度計のさやの形の比較検討を行うということも必要ではなかったのかということなども記述することによりまして、動力炉・核燃料開発事業団におきましては「より一層一慎重な設計審査が望まれる。」という所見を述べておるところでございます。
  58. 辻一彦

    ○辻(一)委員 会計検査院指摘をしていますね、報告書を読みますと。前の「常陽」において、一次系と二次系に二つずつの会社が関与して分担していると。今度も、「もんじゅ」の場合にも同様の分担をしているのですが、一次系の、一番最初の大事なところですね、ここは全部温度計は短いのを使っているのですね、二つとも。ところが、第二次系も、三つ目は短いのをやっておる。四つ目の、それが長いのを使っているんですね、温度計の。だから、比べてみたら、全部短い温度計が振動の点からいいという判断でやっているのに、そこだけが長かったら、そんな専門的なあれで考えなくても、常識的にこれは問題があるというふうにチェックされるべきであると思うのですが、そこを会計検査院指摘をしているのですが、それは確認できるのですか。
  59. 森下伸昭

    ○森下会計検査院説明員 検査報告の中で、ただいまのようなことに言及をしております。したがいまして、私どもは、科学技術、原子力技術の専門家ではございませんが、そういったところにやはり問題点があるのではないかということを示唆したつもりでございます。いろいろな実験結果であるとかあるいは理論的な知見であるとかによって、現在ではそのことが裏づけられていると考えられますが、そういったものも背景にいたしまして、やはりその点での検討が十分でなかった面があったと思料される、こういうふうに考えているところでございます。
  60. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今度の再処理工場の事故を見ても同様のことが私は言えると思うのですが、一九八一年にベルギーのユーロケミックという、これは欧州でやっているところですね、ここでもドラム缶の中に同じような火災が起きているのですね。そのときには、水を大量に使わなければならぬということがそこの改善点であったわけです。それから八三年、だからその二年後に、動燃は、ベルギーの責任者二人、ユーロケミックの運転部長とアスファルト課長を呼んで、わざわざ実験をやっているのですね。そこの実験結果をずっと見ると、これも、炭酸ガスはだめだ、だから水をかけなければいかぬ、五分間かける必要がある、消えたと。しかし、完全消化には八分要るんだということを、そこのみずからの実験でちゃんと出しておるのですね。ところが、今回のを見ると、一分間で家庭のふろおけ一杯分ぐらいをかけて、炎が消えたと判断をした。しかし、熱は残って、詳しいことは抜きにして、爆発するまでに至ったと思われるわけですね。そうすると、そういう海外の経験、みずから自分でやった国内の実験の結果、こういうものが「もんじゅ」で同じように生かされていない。  そういう点から、これはこれからの問題でしょうが、会計検査院としては、「もんじゅ」同様に、この再処理工場のこういう問題についても検査を行う考えがあるのかどうか、どうなんですか。
  61. 森下伸昭

    ○森下会計検査院説明員 ただいまの動力炉・核燃料開発事業団東海事業所のアスファルト固化処理施設の火災爆発事故につきましては、検査院といたしましても強い関心を持っているところでございます。科学技術庁、動力炉・核燃料開発事業団から逐次その事故の状況報告を受けるようにしているところでございます。  ただ、現在のところ、その原因については十分解明をされていない状況でございますので、今、私どもといたしましては、当局における原因究明の推移を注意深く見守りまして、その結果を踏まえて、会計検査院としてのどのような対応があり得るのか、十分検討したいというふうに考えております。
  62. 辻一彦

    ○辻(一)委員 しっかりやってほしいと思います。  そこで、これは最後ですから検査院長の方にお尋ねしたいと思うのですが、あるいはほかの方でも結構ですが、それは、日本の原子力発電所は今五十カ所、それから、有数の研究施設をいろいろ持っている。そういう点では、アメリカ、フランスに並ぶ原子力、原発を使っている大国になっておるのですね。そういう中で、規制機関というものが非常に弱体であると私は思うのですね。アメリカは、かつての推進も規制も一緒にやっておった原子力委員会が今度は分かれて、規制はアメリカ原子力規制委員会、行政委員会に切りかえて、二千五百名の人員を擁する、スタッフを持った強力な規制機関を持っている。  フランスも、私はこの間、正月に行って見てみましたが、原子力庁というのが推進側、片方は、規制するためには原子力施設安全局というのが独立して、ここで規制機能を持ってやっている。  我が国の場合は、原子力委員会が分かれて原子力安全委員会が五十年過ぎに設置されまして、形は総理に直結する、直属下にあるところの原子力安全委員会であるが、このスタッフ等は、行政庁であるところの科学技術庁の安全局の事務局の上に乗っているのですね。これではやはり独自の調査も、それから十分な機能も発揮し得ないのではないか。  そういう意味で、ある意味では世界有数の原発大国になっている我が国においては、安全の確保のためにもつと原子力安全委員会の機能を強化すべきである、拡充すべきであると思いますが、この問題は、会計検査院の守備範囲であるかどうかになるとなかなか、別の問題かもわかりませんが、そういう意識を私は持っているので、これについての御見解があれば、せっかくですから伺っておきたいと思うのです。
  63. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 ただいま辻先生お示しの件につきましては、私ども基本的には会計検査を行うという立場にございますので、その会計検査の一環として、いろいろな規制の体制がどのような形になっているかというようなことは、きちんとした会計検査を行う場合にはそういったことを把握するというのは当然のことでございますので、今お示しの件につきましても念頭に置きながら、今後の検査に当たってまいりたいと考えております。
  64. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。
  65. 草川昭三

    草川委員長 正森成二君。
  66. 正森成二

    ○正森委員 私は、公共事業の問題について、特にきょうは農水省所管の農地の造成のための干陸干拓むだ遣いの問題について伺いたいと思います。  会計検査院から事前に資料をもらっておりますが、例えば木曽岬というところがありますね。そこを見ますと、あなた方は今まで、昭和五十五年、平成二年等、何回も会計検査で問題提起をしております。  資料を見ますと、当初の総事業費は二十七億七千五百万円、それが現在では百六十三億五千万円で、五・八倍にもふえております。それからまた、財投からお金を借りておりますが、借入金が四十一億八千百七十九万円だのに、これに対する利息が累計四十一億三百四十二万円というように書いてあります。しかし、これは現段階ではありませんので、一番新しい平成年度の利息は累計幾らになっておりますか。私の知っている限りでは、七十八億円となっていますが、間違いないんじゃないですか。
  67. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 七十八億円で間違いございません。
  68. 正森成二

    ○正森委員 元気よく大きい声でな。  そういうぐあいになった大きな原因は、愛知県と三重県との間で県の境について争いがあるということで、もめにもめたのが非常に大きな原因なんですね。既に昭和四十四年の十二月に、農林省の東海農政局長が立ち会いで、両県知事の間で、地元の町村長の間で協議して解決するということになっているのに、延々と二十二年間争うているのですね。そのために事業費が膨らむは、利息は、今お聞きになったように、財投から借りた金が四十一億だのに利息だけで七十八億円、ほとんど倍になるというようなことになっているのですね。あなた方もこの点は指摘していますが、ここに所轄省庁が来ていないのですが、農水省の態度というのは言語道断だと思うのですね。  その結果、当然のことながらこれは農地にするつもりだったのですが、十アール当たりの値段がべらぼうに高くなって、こんなものは今さら売ってみたって、農業として採算が合わないということになっているのでしょう。  ところが、これは木曽岬ですから、名古屋市から十キロしか離れていないのですよ。だから、市街地としての評価をやれば名古屋近郊の数分の一だということで、いっそのこと農業地をやめて他用途に変更しようというようなことを言っておる。  それで、会計検査院もそれにほぼ同調するような趣旨の意見を出して、あなた方の表現によれば、立地条件や将来の農業情勢等を総合的に勘案して、多角的に検討する必要があると認められた、こう言っているのです。これが会計検査院特有の用語で、多角的に検討するというのは用途を変更しろという意味のことを言っているのですね。だけれども、こんなことを土地改良法でできるのですか。
  69. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 木曽岬干拓事業につきましては、農業経営の規模拡大と自立経営農家の育成を目的として多額の国費が投下されているところでありまして、会計検査院としても、議員御指摘のとおり、過去にも検査をしてまいっておりまして、その結果、土地価格の状況等から見まして農業の健全経営が困難であるというふうに予想されるということで判断、特記事項あるいは改善意見の表示をしたものでございます。  そこで、多額の国費をこのように投じました干拓地が、有効利用を図るという観点から、議員御指摘のように、多角的利用の……(正森委員「聞いているのは根拠法規だからな、予定原稿をただ読んでいるだけではあかんで」と呼ぶ)  土地改良法の第九十四条の規定により、農林水産大臣が管理または処分するということになっていると承知しております。
  70. 正森成二

    ○正森委員 事前に担当者から聞きまして、土地改良法の八十七条の二というところを引用して、九十四条の二号ですか、「第八十七条の二第一項の規定により国が行う同項第二号の事業によって生じた土地」というのを農林水産大臣が処分できるという規定がありますね。今あなたが言われたこの規定だと思うのですが、それは完全なと言ったらえらい失礼ですが、誤りなんですよ。  これで処分できるのは、本来の農業目的やそれに密接に関連した水利施設等ということで、受益団体あるいは受益の個人に売る場合にはこの規定でできるのだけれども、こんな、用途を変更して市街地として利用するとか売り飛ばすなんということは、土地改良法上はいかなる規定もなしに、不可能なんですよ。それは、私が農水省を呼んで何回も確かめた結果、そうで、それは当たり前の話なんです。だから、別の法体系があるのを知っていますか。
  71. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 公有水面埋立法等で用途変更の協議ができると……
  72. 正森成二

    ○正森委員 会計検査院を追及する目的でやっているのじゃないですからね。本当は主役はここにおらない農水省というわけだから、余り担当者に御迷惑かけたらいかぬから言いますと、その根拠法規は一あなたは局長ですか、(小川会計検査院説明員「はい」と呼ぶ)国有財産法にあるのですよ。国有財産法の十条とか十四条で、用途を変更する場合には大蔵大臣が閣議の決定までやって、その上でなければ変えられないようになっているのですよ。  だから、そういうことをやらなければならないようなことだのに、境界争いをして、二十二年間もどんどん国費を使う。考えようによったら、昭和四十四年あるいは四十九年にもう工事は済んでしまったのだけれども、それから見ても二十二年間、思うに、農林水産省や東海農政局長は、これはとても農業ではやっていけぬ、地価も上がりよるし用途を変更せないかぬけれども、しばらくほっておけ、そのうちにもうしようがないから会計検査院も用途変更に同意するだろう、勘ぐれば、そういうことで二十二年間地元でけんかして、それで何か平成八年か何かにやっとけんかがやんで、そしてどういう目的に使ったらいいかという協議会ができたということになっているのでしょう。うなずいたってわからぬ、議事録に残らぬから。
  73. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 さようでございます。
  74. 正森成二

    ○正森委員 そうやろう。そういうことをやりよるのですよ。だから、もってのほかだというように言わなければならないのですね。  その次に、羊角湾について聞きます。  羊角湾では、これもやはり干陸等ですが、あなた方もこれは何遍も指摘していますね。その結果、これについてはたまりかねて、それでこう言っているのですね。「本件事業について、」「次のような方向で関係機関と協議を行っているところである。干拓事業及び水源施設については、当分の間事業を休止させ、その間に事業実施について多角的に検討を行う。」また多角的、こう言っておる。「また、事業完了を待たずに、県及び受益者の負担金相当額の償還を開始する。」こうなっているのです。償還は行われましたか。それでまた、ど れぐらい金がかかったのですか。
  75. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 償還についてはまだ行われていないところでございます。
  76. 正森成二

    ○正森委員 あらかじめ資料をもらいましたが、この羊角湾の土地改良事業は、干拓事業と農地開発事業と二つに分かれております。干拓事業平成年度末で既に五十九億円余り出しております。そのうち県の受益者負担額が十九億余り、発生した利息が十億九千七百五万余円で、その合計は約三十億になります。こういう膨大なことをやって、会計検査院検査があるからごまかすためであろうと思いますが、まだ事業が完了していなくても金は返すということをちゃんとここに書いてあるのですね、そのために始めると。  ところが、法律をよく読むと、こういう施設は受益者である農民に土地を売って登記もできてから金を返し始める、こうなっているのです。だから、幾らこんなことを書いたって、工事も完了せず土地も受け取っていないし、登記もかわっていないのに、そんな償還なんてやるわけがないんです。  そんなことを関係機関が協議してやるということを解決の一つになんてしているというのは、言葉は悪いけれども農水省と会計院が心を合わせてというか、ぐるになって国民国会をだましていると言われても仕方がないんじゃないですか。  あなた方からこんな資料をもらっているんだから、ちゃんと。
  77. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 干拓事業等につきましては、事業が長期化いたしまして、議員御指摘のとおり利息等が膨らむということがございます。したがいまして、会計検査院としてはそういうことも考えまして、長期化するような事業については利息が膨らむというようなことを考えまして、その時々に、適宜適切な時期と申しますか、その時期に検査実施して検査報告掲記しているところでございます。
  78. 正森成二

    ○正森委員 もう一つ、中海・宍道湖について言いますと、これは行政監察局が意見を書いて、はっきり中止せよとは言わないけれども、相当厳しい意見を書いたわけです。  ところが、それについてどういうことが国会で起こっているかといいますと、武藤長官は、よく読めば事業中止もあり得るとの表現は入っている、こういうぐあいに七日の参議院予算委員会で言いましたが、藤本農相は記者会見で、行政監察について中止は盛り込んでいないということを言いまして、農水省の農水次官もそう言っているのです。農水省の事務方は正論を言っている。食糧自給率が低下する中で、やる気のある農家の育成と優良な農地の確保は今後の農政の基本であるというようなことを言っているのです。  ところが、これに対して世間の評価はどうかといいますと、いろいろ言いませんが、例えば日経新聞の三月三日を見ますと、   減反下の農地造成は本当に農家のためなのだろうか。農家のニーズより土建業者や、役所の農業土木技官の仕事確保のために税金がつぎ込まれていると考えざるを得ない。   こうした行政観察結果をまとめながら総務庁が、例えば中海干拓に、明確な中止勧告を出さないのは理解に苦しむ。同庁の存在意義が問われているというべきだ。   もっと非難されるべきは農業関連土木事業の無駄遣いを続ける農水省であり、壮大な無駄を放置し補正予算でウルグアイ・ラウンド農業対策費を追加した橋本内閣であり、それを通した国会の愚かさだ。 こうなっておるのです。  いいですか。だから、監察局がやってもあかん、そして、会計検査院がこういう、ある意味では及び腰の意見を書いているというような状況では、これは国会会計検査院なりあるいは新しく法律をつくって何かやらないと、こういう状況を変えて国民の負託にこたえることはできないというような意見を持たざるを得ないのですね。  これは会計検査院だけを非難しているのじゃなしに、大もとである我々国会あるいは行政の反省しなければならないという点を会計検査院報告をかりて述べたわけで、会計検査院だけを非難するわけではございませんので、真意は理解していただきたいと思いますが、最後に、会計検査院長の御所見を承って、私の質問を終わります。
  79. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 ただいま先生御指摘の御議論につきましては、会計検査院としても関心のあるところでございます。例えば、決算委員会改善を求めて議決なさいましたことに法的拘束力を持たせようという、そういうような議論につきましても私どもといたしましては関心を持っているところでございますが、決算をどのように審議され、その結果をどのように取り扱われるかにつきましては、会計検査院として直接意見を申し上げる立場にございませんので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  80. 草川昭三

    草川委員長 以上で正森さんの御質問は終わりたいと思います。  前田委員にお願いいたします。
  81. 前田武志

    ○前田(武)委員 太陽党の前田武志です。  テーマ審査ということで、同僚議員がもう既に具体的なテーマについて非常に明快な分析を行い、鋭い指摘をされてきたわけでございますが、一応このテーマ審査のたたき台になった案の中に、平成年度、五年度決算において、議決事項として今までの決算委員会における議決とは多少趣の違った議決をしております。それは、今、行政改革、財政改革が日本の政治の非常に大きな課題になってきているというような背景を踏まえて四年度、五年度議決になったわけでございまして、特に一番の「行財政改革を強力に推進し、財政の一健全化に向けて、早急に対策を講じるべきである。」ということを述べているわけでございますが、こういうような観点から、同僚議員のお許しを得て、どちらかというと検査院に対して叱吃激励、応援団の気持ちで申し上げるわけでございます。  もちろん、その国会議決については政府において真摯に受けとめてやっていただいているものとは思いますが、しかし例年、この委員会で問題になるごとく、いささか形式的に過ぎるのではないかというような懸念もするわけであります。本委員会においては、この国会における、委員会における議決がどのようなプロセスを経て各省の責任ある部局に受けとめられて、それが一年間かかって、どういうような予算執行を通じて、問題意識を持ってその指摘事項が改良に向けて実現されていったか、そして、それがどういうふうに内閣の統一意思として議会に報告され、我が委員会で議論になるのか、その辺のことについてお伺いをしようと思っているわけでございます。  去年の議決事項についても、我々国会議員は、それぞれのレターのボックスにこういうふうに処置をいたしましたという総理大臣から議長に対する報告書、その報告書の冊子をボックスから引っ張り出して見る程度で終わっておるわけですね。そういうところにもいささか形式的に過ぎるというような感じがするわけです。  まず最初に、検査院にお聞きいたしますが、今申し上げたような観点から、この決算委員会における議決というものがどういうようなプロセスを経て政府の各責任分野に周知徹底され、そして予算の中にどういうような形で反映され、また議会に報告されるのか、その辺のことについて、検査院の立場としてお答えできる範囲で結構ですからお願いをいたします。
  82. 平岡哲也

    平岡会計検査院説明員 内閣によりますと、六つの段階を経ておるということであります。  第一は、衆議院議決が行われますと、衆議院議長の方から内閣総理大臣あてに通知が行われます。第二に、衆議院からの通知を受けた内閣は、その旨を内閣官房長官名で大蔵大臣に通知をいたします。第三に、大蔵大臣は、その旨をさらに関係省庁の長に通知をいたします。その際、予算執行等に当たって議決内容を十分尊重し遺漏なきを期するよう、要請をいたします。第四に、関係の各省庁において、国会議決したところに従って行財政上の所要の措置を講ずるとともに、大蔵大臣に 対して当該措置報告をいたします。第五に、大蔵大臣は、関係省庁からの措置報告を取りまとめ、関係大臣と共同で国会報告するための閣議を請議いたします。第六に、閣議の請議を受けた内閣は、措置報告内容について閣議決定の上、内閣総理大臣から衆議院議長あてに報告をする。  以上のようになっているということであります。
  83. 前田武志

    ○前田(武)委員 検査院の検査、そしてその報告、そしてまた我々が決算委員会において政治の立場からこれをいろいろ議論するわけでありますが、この両輪相まって初めて行政の効率的な執行、特に予算執行というものが可能になるわけであります。  そういった意味においては、今御報告をいただいた、御説明をいただいた、この委員会における、国会における議決事項というものが、プロセスを聞くと、それなりにきちっと受けとめられて責任を持ってやられておるかに受けとめるわけでございますが、この両輪の一つである決算委員会の去年の議決事項について、具体的に各省各部局、責任部局の予算執行において、この決算委員会議決された事項が前へ向いてどういうふうに進んでいくのか、そういったことに検査院の立場からどのようにかかわり、どのように成果を上げられたのか、その辺についてお答えを願います。
  84. 平岡哲也

    平岡会計検査院説明員 会計検査院といたしましても、国会と緊密な連絡協調を保っていくことが大変重要であると考えております。したがいまして、従来から、国会とりわけ決算委員会につきましては、常時局長などが待機出席をしておりまして、決算に関する議決事項を初め、その審議に大きな関心を持って耳を傾けておるところであります。  また、具体的に検査の要請がございます場合にはこれに積極的に応じることとしておりまして、決算委員会の御審議の趣旨を検査に取り入れました結果、検査報告指摘事項等として掲記をいたしまして、検査の実を上げている例も少なからずあるわけであります。  昨年六月の議決の中の行財政改革に係る事項についてでありますけれども、昨年末に作成をいたしました七年度検査報告におきましても、この行財政改革の論議を踏まえまして、一つには、現状のまま推移をすると一層事態が悪化するおそれのあります国有林野事業経営の問題、あるいは国鉄清算事業団土地処分の問題につきまして、事態の打開や進展を促すために問題提起を行いましたり、あるいは財政の厳しい現状に関する情報を提供いたしまして国会の御論議の参考に資するなどの見地から、新たな記述の場を設けまして、国の歳入歳出公債等債務等々にわたりまして総括的に記述をしたりしておりまして、そういった努力をしてまいっておるところであります。  今後とも、議決の御趣旨を十分踏まえまして、私どもといたしましては、行財政改革に寄与し得る検査に努めてまいりたいと考えておるところであります。
  85. 前田武志

    ○前田(武)委員 多少隔靴掻痒の嫌いがないでもないのですね。要するに、片一方でGAOの議論が出てきたり、そういう中で我々は検査院に大きな期待をかけているわけですが、制度的にいうと確かにある限界があって、検査院さんの範疇ではない、あるいは内閣との関係においてもっと政治が制度的に対応しなければ乗り越えられないところが多々あることも承知はしているのですが、せっかくこの決算委員会において問題意識を持って取り組み始めているだけに、検査院においても、多少矢弾を受けてでも、車の両輪として、予算執行の効率化、もちろん合規性というものが前提にあるわけでありますが、その効率ある執行、そしてそれを通じての行財政改革というものが可能になっていくように取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  そういった意味で、最後に、この決算委員会における議論あるいは議決、そういったことを踏まえて、会計検査院において、これから我々のこういった議論、議決をどういうふうに取り入れていくか、積極的な御決意をお聞きして、終わります。
  86. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私ども会計検査院といたしましても、国民の負託を受けた財政監督機関として国民期待にこたえることが最も重要なことであると認識いたしております。  その意味で、国民を代表するお立場にあります国会の御審議を常に注視いたしますとともに、緊密な連絡協調のもとに、その御論議や御決議を検査に取り入れていくということが必要であると考えております。今後、より一層そういった点について推進してまいる所存でございます。  それからまた、御指摘のように、今日、複雑膨大な国の財政につきまして、その現状国民の前にわかりやすくお示しする、こういうことが求められておりますことから、財政監督機関としての情報提供のあり方を検討しつつ、積極的に対応してまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  87. 前田武志

    ○前田(武)委員 まだちょっと時間が余っておるようでございますので、最後にもう少し申し上げます。  もちろん各省においても、例えば議決事項の中にも幾つか具体的なものがございます。新規産業の育成といったような、日本の経済社会の将来を生み出すそういう積極的な施策をしっかりやれというような議決もあれば、厚生省における国立病院・療養所の合理化みたいな問題ですね、担当の行政部署の方々は相当前向きに取り組んではおるのですが、何といっても今までのシステムで、政治と行政、そして業界との癒着関係というものがあるものですから、具体的にそこを前向きに進めようとしても非常に難しい状況にあるようでございます。  それだけに、やる気のあるそういう行政府の担当者の人たちは、この決算委員会における審査あるいは議論、そういったものが一つの非常に大きな国会の意思としてバックアップしてくれているのだというような意識も持つようでありますから、それを受けて検査院さんが具体的なそういうテーマについて大いに各行政部局を指導していただければ、行財政改革は進むのだ、こういうふうに感ずる次第であります。
  88. 平岡哲也

    平岡会計検査院説明員 今後とも、議決事項を十分に踏まえまして私どもとしても努力をしてまいりたいと思っております。  今までに、過去の具体的な議決事項につきまして、検査に取り入れました事例をちょっと一、二御紹介をさせていただきたいと思います。  一つは、昭和五十八、五十九両年度決算に関しまして、六十二年に政府開発援助の適切かつ効果的な実施を求める議決が行われました。会計検査院といたしましては、これを踏まえまして昭和六十二年に外務検査課を新設いたしますとともに、同年以降ODA検査に本格的に取り組み、六十三年度決算検査報告では、特記事項として指摘をし、平成年度決算検査報告からは毎年検査状況掲記をいたしております。  それから、もう一つ御紹介をさせていただきますと、平成年度決算に関しまして、五年に入札談合の防止や入札制度改善を求める議決が行われました。これを踏まえまして、五年以降、入札談合問題が提起をされました公共調達分野につきましての検査を積極的に行うようにいたしまして、中央省庁発注の印刷物の調達について、あるいは日本下水道事業団の電気設備工事の発注、あるいは国際協力事業団の技術協力機材の調達などにつきまして、それぞれ検査状況掲記しているところであります。
  89. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  90. 草川昭三

    草川委員長 以上で、あらかじめ申し出のありました質疑は終了いたしました。  これより、各委員の方々から関連質問あるいはまた自由に質疑を行いたいと思います。  では、こちらの方から。中野君。
  91. 中野正志

    中野(正)委員 自民党の中野正志でございます。  委員長にぜひ重大な御所見を賜りたい、こう思って、質問を申し上げます。  きのう、いわゆる玉ぐし料訴訟、個人的には大 変残念ですけれども、最高裁で最終的な判断が示されました。会計検査院としても、現実的には重く受けとめていかざるを得ない。  そんな中で、二つあるのですけれども、一つは、公益法人扱いの宗教法人が現実に税免除をされている、あるいは税軽減措置をとられているということについて、当然ながら今後問題になってくると思うのですね。宗教法人でも、選挙運動に狂奔するような宗教法人が公益法人扱いでいいのかどうか、いろいろ議論もあるところでありますけれども、まずそれが一点。  それから二点目は、今回の判決の趣旨を行政各部に、職掌に照らしますと、私学振興助成法、これが問題となってくるであろう。平成六年、七年も、大分多額の私学振興助成法に基づく助成金が出ているわけですね。文部省から私学振興財団、私学振興財団から大学、短大にという格好で出ております。  そういう中で一番問題なのは、宗教法人でありながら実質的に学校法人を取得して大学を設立するわけでありますけれども、例えば、率直に申し上げますが、宗教法人が日本で一番大きい団体、創価学会が設立母体の創価大学、平成年度でいいますと、四年制と短大で二十億円以上の国庫助成金をちょうだいされているわけです。そうしますと、今回の判決の趣旨をそのまま照らすということになりますと、宗教教育をやっております。そういう大学に、二十億円もの多額国民の税金を支援支出するのがいいのかどうかという問題は当然出てくると思うのでありますね……(発言する者あり)ですから、そういう意味で……(発言する者あり)当然ながら、クリスチャンスクールだってやはり全部入るわけですよ。ただ、違いますのは、私見でありますけれども、私もクリスチャンスクールだったのですが、宗教教育は押しつけていない。押しつける学校もある。やじを飛ばしたところは恐らくそうでしょう。  そういう意味で、会計検査院としても、こういった私学振興助成法の問題だけで結構ですから、当然ながら内閣法制局あるいは大蔵省、文部省と協議を早速ながら進めていかなければならないと私は考えておるのですが、いかがでございますか。
  92. 草川昭三

    草川委員長 ちょっと中野委員に申し上げたいと思うのですが、実は私が今皆様方に御質問のお願いをしましたのは、よく聞いていただきたいのですが、本日はテーマに絞っての審議をしておりまして、そのテーマに関連する御質問をお願いをしたい。これは今、栗本理事からもそういうようなサジェスチョンがございまして、そういうつもりで今運営をさせていただいておる次第でございます。  それからなお、質疑時間が限られておりますので、一回の御発言は三分以内でお願いをしたいということでございます。  では、根本理事の方から御質問をお願いいたします。(中野(正)委員委員長は今、自由な質問をと申し上げられたんですよ。速記をちゃんと調べてください。自由な質問をと言われましたよ、委員長」と呼ぶ)だから、自由な質問も含めての話です。(中野(正)委員「だからいいんじゃないですか、答弁を」と呼ぶ)だから、それはそれで、私が今この委員長として皆様方にお願いしているのは、きょうは主要なテーマに絞ってを中心にしておりますので、それをまず優先に、そしてまた自由な討論もお願いをしたい、こういうことで今運営をさせていただいておるわけです。──それじゃ、ちょっと栗本理事……(中野(正)委員委員長、議事進行。もう質問しちゃったことに、今さらだめだよ、そんなこと」と呼ぶ)  では、今栗本理事からもそういう質問がございますので、会計検査院の方から、今後の私学助成等の御見解がありましたら御答弁を願いたいと思います。
  93. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 まず、中野委員の最初の御質問でございますが、公益法人の税法上のそれを……(中野(正)委員「それはいいですから、私が求めたのは二番目のだ」と呼ぶ)
  94. 草川昭三

    草川委員長 ちょっと、委員長の許可を得て発言をしてください。  では、疋田院長。
  95. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私学助成の問題につきましては、私どもも、重要な検査対象の一つであるということで、従来から鋭意検査を行ってまいったわけでございます。  今回、最高裁で判決がおりましたこととの絡みで、会計検査院としても検討すべきではないかという御意見でございますが、私どもも私どもなりに、会計検査院としての立場で検討させていただこうと考えております。
  96. 根本匠

    ○根本委員 中野委員から大変重要な指摘もありましたが、私も理事でありますので、このテーマに即した質問をさせていただきたいと思います。  ODAの問題、先ほどODAの問題が出ましたけれども海外調査、これは確かに困難が伴うと思いますから、国内と同じような現地でのチェック、これはなかなか難しい、これは私もわかります。  ただ、六年度でも指摘されていますように、例えば六事業において、需要動向を的確に把握していなかったなどのため、導入した機械が十分利用されていなかったりと、こんなくだりがありますけれども、こういう問題が出てくるというのは、海外に直接行かなくとも、そもそも制度のシステム、運用、ここに問題がありはしないか、こういうところに援助するということについて。つまり、どういうものにお金を援助するのかというところの、多分書類審査になるんでしょうけれども、この辺のシステム上の問題がないのか。こういう素朴な疑問がちょっとありましたので、その点をお伺いしたい。  あと二点ありますけれども、一つは、他の援助諸国もこれは似たような問題があると思うんですね、援助をしている国に対して。前回の参考人の質疑でも、それぞれの外国の会計検査院状況が紹介されました。ほかの援助している国の会計検査院を含めて、国のこの辺の援助のチェックはどうなっているのか、これが二点目。  それからもう一つは、援助された国との連携ということでありますが、国内であれば、こういう問題が起これば、補助金適正化法の問題があって、補助金は返還しなさい、こんな問題になると思うんです、国内法では。海外の場合はこの辺がどうなるのか。あるいは、援助を受けた国の主体的な責任として、この辺のチェックをどうしているのか。途上国でしょうから、この辺の制度は十分でないのかもしれませんが、その点がどうなっているのか。  以上三点をお伺いいたします。
  97. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私どもの各局の所管の検査にわたる事項でございますので、当面、担当局長からお答えさせていただきたいと思います。
  98. 深田烝治

    ○深田会計検査院説明員 お答えさせていただきます。  まず一点目、検査報告掲記されておるような事態は、現地調査をしなくても書面でわかるのじゃないかというような御指摘であったかと思います。  私ども検査に当たりましては、書面でわかりましたことも現地で確認いたしまして、確かにそうなっているということを確認しまして初めて検査報告掲記する、その程度が検査報告掲記されるような程度でございましたらば掲記するということで、現地確認というものを非常に重く考えております。したがいまして、現地を確認するということがやはり重要ではないか、そのように思います。  それから、相手国に対するチェックといいますか、相手国でのチェックといいますか、あるいは国内での補助金適正化法に似たものがあるのかどうかというような御指摘だったと思いますけれども、ODAにつきましては、適正化法といいますか、そういうものはございません。  また、OECFの有償援助、これは貸付金でございますけれども、それにつきましても、我々が指摘しました事案につきましては、その問題点を 日本から援助国に指導するといいますか、こういうことをもう少し改善してほしいというようなことを言いまして、その援助事業がよりよく目的を達するように努力する、そういうことでやっているものでございます。  それから二番目の御質問、外国では、検査院のODAに対する検査はどういうふうになっているかという御質問だったかと思いますが、この点につきましては、特に、法律上といいますか、検査条項といいますか規定をいたしましてやっている国というのは、少なくとも主要国ではないのではないかというふうに私どもは認識をいたしております。言うなれば、やはり日本と同じように、援助国の協力を得まして、そして海外調査実施しているというのが一般的ではないか、そういうふうに受けとめております。
  99. 根本匠

    ○根本委員 私の言った第一の質問は、要は、援助をする際の条件等の制度的なフィードバックはないのですかという趣旨なんですよ。要は、援助する際にいろいろな条件をつけるんだと思うのですね。需要動向を的確に把握していなかったなどのためなんというくだりがあるということは、最初に援助するときの制度の仕組み、そこに問題がないんですか、会計検査院がチェックしている制度にフィードバックして、その辺の支援の仕組みに問題ないのか、ここをお聞きしたがったのです。
  100. 深田烝治

    ○深田会計検査院説明員 お答えいたします。  そのシステムといいますか、制度的な問題点がある場合もございます。そういう点につきましては、それぞれの主管省で今後のODA事業改善に資する、そういうことでやっております。
  101. 上田清司

    ○上田(清)委員 三点ほど、御質問を関連でさせていただきたいと思います。  まず一点は、高市議員が質問された件でございますが、いわば年度末のむだな工事ではないか、使い残しがあってむだじゃないのかというような御質問に対して、そうではないというような御見解もあったわけでございますが、例えば経済同友会の政策提言書の中でも、九五年度内に消化できずに九六年度に繰り越してしまった河川、道路、港湾、農業の四公共事業に関して、合計金額が一兆七千六十一億という大変大きな数字を繰り越している。これはいろいろな事情があったということが前提でしょうけれども、それにしても多過ぎる。あるいは、物の考え方として、もともと消化できないほどの予算づけをしたんではなかろうかというような考え方もできると思うのですが、この点について御見解を一点。  それから、若松議員の関連でございますが、いわば空出張等々の問題は、過去に、鉄建公団の二十年ぐらい前の事件から始まってその都度その都度あるんですが、なぜ何度もこういうことが起きるのか。適時の検査と適切なサジェスチョンをなされているということを言っておられますが、なぜ続くのか、私にはよくわからない部分があります。その点が一点であります。  それから第三点目に、正森議員の関連でございますが、羊角湾の土地改良事業について、小川局長が、適時適切にその都度検査しているというような御答弁をなされておりましたが、各省庁会計検査院は全く違うと私は思っております。適時適切にやっている、それは当たり前のことでありまして、適時適切にやらなければ意味がないわけであります。問題は、その結果どういうふうな形になっていっているのかということをやはり具体的に述べていただく習慣をつけていただかないと、各省庁と同じようなことをやっておられれば意味がないということを私は強く御注意申し上げたいという思いがありますので、この点についても院長の見解をいただきたいと思います。第三点目だけは院長に見解をお願いいたしたいと思います。  以上です。
  102. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 年度末になってなかなか公共事業関係予算を消化できない、そういう事態があるということは私どもも承知いたしております。したがいまして、私どもも、予算の繰り越しという点については検査報告で、決算の概況記述という中でも特に触れているところでございます。  また、その使い残しの原因ということでございますが、正直申し上げて、私どもはなかなかそういうことをシステム的に研究するところまでいっておりませんが、一般論的に申し上げまして、委員指摘のように、執行能力に比べて相対的には過大な予算が、特に補正予算、景気対策等で必要なときには、場合によってはなかなか限られた執行人員では消化できない点もあるのではないかというふうに考えておりますが、特に会計検査という点から、その点実証的に確認したことはございませんので、この程度で御容赦いただきたいと存じます。
  103. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 なぜこのように空出張が減らないのか、問題点が次々と起こってくるのかという点につきましてお答えいたします。  検査院も過去には、架空の名目による旅費、会議費等に関するいろいろな指摘を行っています。五十三年度、五十四年度、五十六年度と、国の機関とか特殊法人とか、そういうものについての空出張とか、そういうものの指摘をかなり行っているのは先生も御存じのとおりと思います。こういうことで最近は、国の面につきましては、こういう指摘を行ったことの影響があってかなり改善されてきているのではないか。これは推測でございますけれども、現在はそんなに空出張の問題というのは出てきていない。これが現状だと思います。  それでは地方公共団体ではなぜ起こっているのかということでございます。会計検査院としましては、国の補助事業につきましては今まで、特に公共事業につきましては、本体工事、これは非常に大きいものでございまして、旅費等は割合からいきますと数%とか、食糧費もそうですけれども、非常に低いということで、本体の工事費の方に重点を置いて検査を行ってまいりました。その結果、事務費といいますか、旅費とかそういうものにつきましては検査が若干手薄であった、そういうことであります。  しかし、平成年度、七年度決算報告掲記しておりますように、本体工事工事費だけではなく、事務費の中の旅費、食糧費等についても検査をしてきております。今後も引き続き検査を進めてまいりたい、そのように思っております。
  104. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 上田先生御質問の最後の点は、私ども指摘の結果についてのフォローアップの問題かと受けとめました。それでよろしゅうございますか。(上田(清)委員「はい」と呼ぶ)  私ども検査の結果、一番厳しい指摘でございます不当事項から、あとは意見表示、処置要求処置済み事項、いろいろな指摘の態様がございますが、私ども指摘いたしました事項につきましては、それが是正されるまで徹底的に追跡調査を行うというのが私どもの基本でございます。もちろん毎年定期的に報告を求めておりますし、さらには、実地検査の際などにおきましても、なぜ早く是正されないのかというようなことについて御指摘申し上げるとか、そういうことで、私どもが一たん指摘した事項については、完全に是正されるまでフォローアップをしているということでございまして、今後も同じような形で、徹底的に是正が図られるように追跡してまいりたいと考えております。
  105. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございました。
  106. 滝実

    ○滝委員 二点について御意見を申し上げたいと思います。  一つは、先ほど高市議員がお述べになった点でございますけれども、新聞によりますと、会計検査院関係省庁が陳情をしておる、こういうことでございます。それに対しての会計検査院の御答弁がございましたけれども、陳情というから異様にニュアンスが怪しく聞こえるのでございますけれども会計検査院検査報告に載せる載せない、あるいは載せるとしてもどういう格好で載せるか、表現をどうするかというのは、関係省庁と当然協議すべき話だと私は思うのですね。結果的にどういう結論を持つかというのは会計検査院の専管事項でございますけれども、途中過程では協議 をするというのが当然だと私は思うのです。  特に、新しい事業をする場合には、その評価方法、評価をめぐっては当然意見の対立が出てまいります。会計検査院側の評価方法に対する認識と実際に事業を推進する省庁との間では当然違いも出てまいりますから、むしろ協議をするのは当然だ。それを陳情というから変な話になってしまうので、そこのところはひとつこれからも、やはり協議すべきものは十分に意見を闘わせる、しかし最終的な決定権はあくまでも検査院がお持ちになる、これは当然でございますから、そういうようなことを、私は自分の体験から、心配でございますので、ひとつ意見として御要望申し上げておきたいと思います。  それから二点目は、公共事業に関連いたしまして、最近のように設計単価などが安定している場合には余り問題にならないと思うのでございますけれども設計単価について検査院は当然お調べになっていらっしゃると思います。しかし、あの四十八年のようなオイルショック、そういうような特定のときを除いては、余り検査報告には出てまいらないと思うのでございますけれども、常時、設計単価についてどういうような角度から検査院としてはお取り組みになっているのか、その辺のところについて考え方をあらかじめお示しいただければありがたい。  この二点について申し上げますけれども、一点は御意見があればちょうだいしたいと思いますけれども、特別な御意見がなかったら結構でございます。
  107. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私の方からまず第一点についてお答え申し上げます。  私ども検査の結果不適切な事態あるいは問題だと認識した事態が生じました場合には、当然のことながら、院内で慎重にその事案について検討いたしますと同時に、検査を受けております相手省庁ともそれぞれの段階で相互に十分な意見交換を行いまして、少なくとも事実関係についてそごがないように努めてきているところでございます。  先ほどもちょっと陳情というお話がございましたけれども検査を受けておられる側で、それぞれのお立場の方がいろいろと私どもと話し合いをするわけでございますけれども、当然のことながら、秋の検査報告取りまとめで非常に忙しい時期に、検査を受けておられる省庁の幹部クラスの方などが実情の説明に来られることがあるわけでございまして、従来これを私どもも俗に陳情というような言い方をしておりましたものですから、非常に誤解を受けやすいと思うわけでございますけれども、私ども、決してその言葉どおりの陳情を受けるというようなことはございませんで、十分なお互いの見解を自由闊達に述べ合うという形で意見交換に努めているところでございますので、よろしく御理解賜りたいと思います。  残余の点につきましては、担当局長からお答えいたします。
  108. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 委員御質問の第二点目でございますが、公共工事の単価ということでございましたが、一般的に事業費の問題ということでお答え申し上げます。  我々の検査のやり方としまして、まず第一には、その工事費の積算の基準が正しいかどうかという点がございます。積算の基準は、基本的には標準的な世間一般で行われております工事の実態に合わせて、標準的な形が基準に反映されているかどうかという点で検査を行うわけでございます。  それから、個々の工事費の問題につきましては、この積算基準が的確に適用されているかどうかという点、それから単価という意味では、例えば労務費の単価ですとか材料費の単価、そういった問題があるわけでございますが、こういったものにつきましては、私どもも、その業界における取引の実勢価格ですとか、あるいはこういったものを調査した専門機関の公表している調査結果、あるいはまたいろいろな事業主体がございますから、そういった事業主体の間でどういうばらつきがあるかないか、そういった多角的な観点から事業費が適正かどうかという点の検査を行っております。
  109. 辻一彦

    ○辻(一)委員 二点伺います。  一つは、科学技術の場合には、片面では有効性ということが非常に大事ですが、また、自由な研究、創造性というものも非常に大事なので、そういう点も勘案しながら、検査院としては科学技術全体に対してどういう観点でこれから検査に臨もうとするのか、その点が一つ。  もう一つはODAの問題ですが、時間の点で詳しくは申し上げませんが、私も農業関係があって、各国への日本の農業支援等を見ていますが、途上国等々は、我が国に要請する場合に非常にレベルの高い最新の研究施設等を要求される。それをいろいろ支援をされる。その援助期間中は有効に使われるのですが、期間が終わりますと、簡単に言うと試薬がないとか運営費が足りないとかいうことで、せっかく日本が支援した最新の機械が、研究施設がその後有効に使われない懸念があるのです。これは、有効な活用という点からいえばひとつ考えなくてはならない点ではないかと思う。  この二点についてお尋ねしたい。
  110. 森下伸昭

    ○森下会計検査院説明員 最初の、科学技術の有効性検査という点には難しい面もあるのではないかというお尋ねでございますが、全く私どももそのように考えております。  科学技術の分野といいますのは、ただいまテーマに取り上げられました原子力開発のほかに、宇宙開発、情報通信、その他基礎研究等々、多分野にわたるわけでございます。そのために、まず検査をするに当たりまして、やはり必要な基礎知識を私どもは身につけなければいけない、これ自体もなかなか大変なことでございます。さらに、研究開発におきましては、それが高度な政策判断によって行われているものもございますし、それから、開発をすれば必ずしも事業化につながる、実用化につながるというものでもございません。こういったこともございまして、いろいろそういう困難を踏み越えながら、科学技術予算というものが近年非常に増大してきておりますので、積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  111. 深田烝治

    ○深田会計検査院説明員 ODAの関連で、援助資材といいますか、そういうものにつきましては最新の施設を供与した、ところが、相手国ではその維持がうまくいかないということで、言うならばせっかくの援助が継続しないといいますか、そういう事態があるんじゃないかという御質問だったと思います。  私どもも現地に調査に赴きまして、確かにそういう事態というのはございます。しかしながら、その維持といいますのは、第一義的にはやはり被援助国の自助努力で行われるべきではないかということで、こういうものがありますれば取り上げまして、その相手国の自助努力を促すように求める、そういう指摘もいたしております。物によりましては、日本の方の追加的な措置というものが必要ということになりますればそういうことも考えたらどうか、そういうことも指摘をしてきております。
  112. 原田義昭

    ○原田(義)委員 食糧費について、もう既に議論がありましたけれども、余談ですが、私はこの食糧費という言葉が今の世の中で大分時代錯誤な言葉だな、まずそんな感じがいたします。一般の人が聞いたら、みんな最初は噴き出しますよ、これもちろん、会議費とかなんとかいう言葉で実際は飯を食っておるというよりは正直でいいけれども、私は、多少役所の言葉もやはり新しい感覚に改めるという必要があるんじゃないかな、その最たるものがこの食糧費だと思います。  それは別としまして、先ほど局長も、国の予算の中の食糧費は本体に注目をしたために余りちゃんとした調査をしていないというようなことを言われたような気がします。その上で、平成何年ですか、通達を出して注意を促した。にもかかわらず、私も実は余り名誉でない県から来ておるのですけれども、大きな問題になっております。そういうことで、自治体の費用についてはいろいろき ちっとした反省が行われておるようですが、国のこと、国費についても問題ないのかどうか、改めてお話を伺いたいと思います。
  113. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 私、先ほど答弁をしましたのは、国と申しますか、国の補助事業国庫補助事業におきますと、そういう補助金は地方公共団体に交付されるわけですけれども、そういう検査を行うに当たっては本体の、公共事業ですと本体の工事費を重点に検査をしてきた、それで、食糧費事務費の一部ですので、そういう面については今までは若干手薄であった。  そういう点で、六年、七年、八年と検査しておりますけれども、そういうことで、大分改善するための通達が所管省庁から出されています。その通達は、平成八年四月以降、食糧費使用についてということになっていますので、これからの食糧費使用につきましては大幅に改善される、そのように予測しております。  それから、国自体、特殊法人の旅費とかそういう問題でしょうけれども、その点についても留意して検査してまいりたい、そのように考えております。
  114. 大口善徳

    ○大口委員 私も食糧費についてお伺いをしたいのですが、会計検査院が各都道府県に、昨年十月末時点における内部調査を文書で報告するようにということで、六都道府県から報告があった。その後また、東京あるいは群馬県から出てきたということなんですが、これは、文書で報告するようにということについて、期限はいつまで、また今後も出てくるのかということをまずお伺いをしたいと思います。  それから、今若松委員の方からも話がありましたけれども、市民オンブズマンとの連携という点について、中立性だとかあるいは守秘義務というお話がございましたけれども情報公開法がこれから制定をされていくと言われますと、非常に全国民が目を光らせている、やはりそれとどう連携をとっていくかということが非常に会計検査院の機能を充実させていくと思います。  そういう点で、今高知県では、知事がインターネットで、どことどういうところでどういう会合をしたかということを発表している、それが非常に、一番アクセスが多いと言われております。やはりインターネット等も利用して、どう国民から情報を入手していくか。中立性だとか守秘義務は、工夫していけばそれは恐らくできないことはないわけで、そういう態度といいますか、やはり非常に大事ではないかと思う。この点につきましては、院長、お願いします。
  115. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 第一点目についてお答えいたします。  平成八年の十月に全都道府県から、七都道府県から、どういう内部調査を行っているか、その結果どういう不適正経理が行われているか、そういう報告検査院が求めました。その結果、六道県におきまして不適切な経理が行われていた。その結果、国庫補助に絡みます問題は、国に補助金を返還するとか、そういうことを今協議されている段階でございます。確かに委員指摘のように、その後いろいろ、新聞等の報道を見ますと、またほかの県にそういう空出張等の問題は広がっております。  私ども、空出張等の問題について、その内部調査の結果をも踏まえまして、平成九年から検査を始めているわけですが、検査の範囲は、その検査報告に書きました六道県に限定しませんで、その後報道等で入ってきていますところも視野に入れまして、検査を進めております。  今後も適当な時期を見つけまして全都道府県からまた再度、どういう結果になっているか、その後の状況変化があるかどうかについては報告を求めることも考えております。(大口委員「いつごろまでに出せということまでは言ってないですか、期限は切ってないんですか」と呼ぶ)その適切な時期を今、前回は平成八年十月末現在ということで一回とりました。その後、逐次特定の県についてはもらっているところもありますけれども、全都道府県からもらうのはもっと後で、今後いつにするかということはまだ決めておりませんけれども、ある適当な時期にそういうことも検討しなければならないと思っております。
  116. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 オンブズマン運動をやっておられる方々との連携のお話でございますけれども、私といたしましては、ここ数年来、このような運動をされておられる方々の御労苦なり御実績には高く敬意を表したいと、私個人としては考えております。したがいまして、一国民というお立場で私ども情報を提供していただけるということでございましたら、非常にありがたい情報だということでちょうだいをいたすようにいたしております。  そのほか、より緊密な連携をというお話もございますけれども、先ほど事務総局次長から申し上げましたように、守秘義務の問題、あるいは、私どもはもともと独立機関として厳正中立の立場で会計検査業務を行う、そういう制約もございますので、そのあたりの問題をいろいろ検討しながら、委員お示しの方向で私どもも鋭意努力してまいりたい、このように考えております。
  117. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 自民党の山口泰明でございます。  一点は御要望と、一点は御質問をさせていただきたいと思います。  私は、中小企業の、六十名足らずの民間会社の専務から昨年いきなり当選したわけなんですけれども、先ほど院長さんのお言葉の中にも、国民の前にわかりやすく、こういう言葉がありましたけれども決算委員会はそうでもないんですけれども、まあ予算委員会に出てみたり、私は文教委員会と、ほかの委員会も見させていただいた中で、政府委員さんの御答弁の中で、肯定しているのか否定しているのか、聞いているとよくわからないものがある。  ですから、国民というのは本当に、私は政治に興味がありましたけれども、私以下と言ったら大変失礼なんですけれども、かなりの方が無関心というか、政治用語とかいろいろ難しいことを言われてもわからないものですから、なるべく平易に、わかりやすい言葉で伝えていただけると、政治不信とか政治離れも幾らか解消されるんじゃないか。私自身がわかりやすい政治ということでお訴えして、政治公約にも掲げたものですから、それはお願いです。  もう一つ、先ほどやはり院長さんの言葉の中に、ODAの問題で、金と人の問題もあるということがありましたけれども、私は、会社でいえばこれは監査機能ですから本当に大事なポジションだと思っております。ですから、今、行革行革と言われておりますけれども、確かに、私民間の目で見て、非常に人が多いなというところが多々見られますけれども、この会計検査院に限ってはやはり、ほかは削っても、もし現状の人数とか、それに時間、人の問題、合理的にやっているんでしょうけれども、実際、この人数の今の体制できちっとしたこういう業務が、検査機能が果たしてできるのかどうかという素朴な疑問なんですけれども、教えていただければありがたいと思います。
  118. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私ども人員予算関係について御質問がございましたので、その点についてお答え申し上げたいと思います。  私ども会計検査という仕事は、どれだけの活動をしたからどれだけの成果が出るという形で数字で明確にあらわれるという点においては、非常に難しい仕事をしているわけでございまして、人数が多ければ多いほど検査成果が上がるということは抽象的には申し上げられますけれども、では、どの程度の要員、組織でやったらいいのかということになりますと、これは、大きい意味での政策判断の問題にもなろうかと思うわけでございます。そういった点につきましては、国民皆様がお決めいただくべきことではないかと考えております。  ただ、私どもといたしましては、現在の活動をより充実していくために最小限必要なものにつきましては、関係当局にお願いをいたしまして毎年措置していただいているわけでございまして、そういった形でお認めいただいた組織、人員の中で、 私どもなりに努力を積み重ねることによりましてより充実した検査活動ができるようにということを第一義に鋭意努力してきているところでございますので、そういった事情につきまして御理解を賜ればありがたいと思います。
  119. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 まさに私の先ほど言った国民の前にわかりやすくというのとちょっと、今の言葉を聞いていても、やはり院長さんなのですから、これだけあれば絶対と、私に任せろと、そのくらいの気持ちでやはり、それは間違っていてもいいですよ、例えばほかからそんなことを言ってと怒られても。今みたいなのをやっているからわからないのですよ、一般の人は。わかりますよ、ある程度は。だけれども、やはり院長という一つのトップなのですから、これだけは私に任せてくれと言ってどんどんかけ合った方が、権威も高まるし、院長の下にいる部下だってやりやすいと私は思いますよ。ぜひそういうことでお願いします。
  120. 草川昭三

    草川委員長 では、予定した時間も参りましたので、本日の質疑はこの程度で終了することといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時一分散会