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1997-05-16 第140回国会 衆議院 環境委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十六日(金曜日)     午後一時三分開議  出席委員   委員長 佐藤謙一郎君    理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君    理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君    理事 長内 順一君 理事 田端 正広君    理事 小林  守君 理事 藤木 洋子君       江渡 聡徳君    大野 松茂君       河野 太郎君    桜井 郁三君       桜田 義孝君    鈴木 恒夫君       砂田 圭佑君    田村 憲久君       目片  信君    渡辺 博道君       大野由利子君    今田 保典君       武山百合子君    並木 正芳君       松崎 公昭君    生方 幸夫君       桑原  豊君    秋葉 忠利君       岩國 哲人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君  出席政府委員         環境政務次官  鈴木 恒夫君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局放射線         安全課長    森田 健二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部地球規模         問題課長    津曲 俊英君         文部省学術国際         局国際学術課長 岩本  渉君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     江頭  輝君         建設省建設経済         局国際課長   宮田 年耕君         環境委員会調査         室長      鳥越 善弘君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十六日  辞任         補欠選任   砂田 圭佑君     江渡 聡徳君   園田 修光君     田村 憲久君   目片  信君     渡辺 博道君   中村 鋭一君     今田 保典君   桑原  豊君     生方 幸夫君   土井たか子君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     砂田 圭佑君   田村 憲久君     園田 修光君   渡辺 博道君     目片  信君   今田 保典君     中村 鋭一君   生方 幸夫君     桑原  豊君   秋葉 忠利君     土井たか子君     ――――――――――――― 五月九日  南極地域環境保護に関する法律案内閣提  出第七〇号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月九日  環境行政改善等に関する陳情書外一件  (第二九四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  南極地域環境保護に関する法律案内閣提  出第七〇号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付南極地域環境保護に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。石井環境庁長官。     ―――――――――――――  南極地域環境保護に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 石井道子

    石井国務大臣 ただいま議題となりました南極地域環境保護に関する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  南極地域におきましては、一九六一年に領土権凍結軍事利用の禁止、科学観測のための国際協力目的とする南極条約発効し、以来科学観測の場として利用されてきております。近年、地球環境モニタリング等観点から、南極地域環境重要性が注目される一方で、基地活動観光利用の増加による環境影響も懸念されており、人類共通財産としての南極地域環境保護するための国際的取り組みの強化が要請されております。  このため、一九九一年には、南極地域環境の包括的な保護を図るための環境保護に関する南極条約議定書が採択され、同議定書におきましては、南極地域における活動を計画する際の環境影響評価実施動植物相保存廃棄物処理等の幅広い義務が規定されているところであります。この議定書の的確かつ円滑な実施を確保するために必要な国内担保措置を講ずるため、今般、本法律案提案した次第であります。  次に、この法律案内容概要を御説明申し上げます。  第一に、議定書の的確かつ円滑な実施を図るため、南極地域における活動主宰者及び行為者南極地域環境保護のために配慮しなければならない基本的な事項を定めて、公表することとしております。  第二に、議定書の定めに従い、南極地域におきまして、科学的調査を除く鉱物資源活動を禁止し、動物相及び植物相保存のために動植物の捕獲や持ち込み等を制限し、廃棄物の適正な処分及び管理を行い、南極特別保護地区への立ち入りを制限し、南極史跡記念物破壊等を禁止するとともに、南極地域大気の著しい汚染等南極地域環境に著しい影響を及ぼすおそれのある行為を禁止しております。  第三に、以上の行為の制限を確実なものとするため、南極地域においては原則としてすべての活動実施する場合に、議定書で禁止されている行為がないこと、議定書条件つきで認められている行為がその条件に適合すること、南極地域環境に著しい影響を及ぼすおそれがないことについての確認を受けることを義務づけることとしております。この確認のための審査に当たりましては、必要に応じ環境影響検討資料提出を求めるとともに、環境影響程度が軽微でない場合には、議定書締約国等意見聴取手続を行うこととしております。  このほか、報告徴収立入検査措置命令といった、南極地域環境保護のため必要な監督を行うとともに、周知、罰則、経過措置等に関し、所要規定を設けることとしております。また、この法律の制定に伴い、南極地域動物相及び植物相保存に関する法律は廃止することとしております。  以上が、本法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。
  6. 松崎公昭

    松崎委員 新進党の松崎公昭でございます。  アセス法も通過しまして、いろいろ環境問題、重要なときであります。地球環境一つの大きな柱であります南極の今回の法案も重要だと思いますが、その法案の御質問に入る前に、一つだけお聞きいたします。  五月十五日に朝日新聞に出ました環境省の設置、環境庁環境省にしたい、そんな記事でありましたけれども、この真意はどういうことでありましょうか、長官
  7. 石井道子

    石井国務大臣 委員指摘になりました問題につきましては、環境問題、環境行政というものはやはり人類共通課題であるわけでございまして、二十一世紀に向けて重要な政策課題一つでございます。その問題に適切に対応していくためには、総合的に、また効果的な環境政策を推進していくことが必要でございますので、現在、省庁再編あり方については行政改革会議において審議されているところでありますので、環境庁といたしましては、環境行政あり方、充実について今後よく説明をしてまいりたいとは思っております。
  8. 岡田康彦

    岡田政府委員 委員指摘の点について、後段、補足説明させていただきます。  行政改革会議におきましては、現在、各省庁に対するヒアリングを行っているところでございまして、環境庁に対するヒアリングは五月二十一日が予定されております。そのために私どもが用意しましたヒアリング資料が、十四日に行革会議事務局より各委員に配付されまして、公表されております。  今の御指摘の点でございますが、行政改革会議ヒアリング資料の中では、今大臣からも申し上げましたように、「環境問題は、二十一世紀に向けて政府が真っ正面から取り組むべき主要な政策課題であり、環境保全目的とした独立行政組織が必要である。」ということは述べております。  これは、実は質問がございまして、質問が、「環境行政について、個別行政分野事業を各省庁が所管する中で、独立した行政機関として存在することの必要性環境行政に関する組織あり方についてどう考えるか。」こういう質問でございました。したがって、これに対して、今大臣からもるる申し上げましたような基本的な姿勢について述べまして、その中で、「環境行政に責任を持つ大臣独立行政組織、例えば、諸外国に見られるように、環境省といった、環境中心とする組織を置くことが適当である。」という考え方をお示ししております。
  9. 松崎公昭

    松崎委員 この問題は余り突っ込んで話をする気はありませんけれども、ただ、確かに大臣のおっしゃるように、世界的なレベルからいっても、環境行政の大事さ、そして、しっかりと日本の中で環境行政を力強くするためには、国際的な信用のためにも省ぐらいの力をしっかり持ちたい、それは十分私も賛成なのです。ただ、今行革時代で、まさにこの新聞記事だけを見ますと、何か時代に逆行するみたいな感じがあったものですから。  ですから、質的に環境行政を後退させない、しっかり日本行政の中で環境行政を位置づける、形は何も省じゃなくてもいいわけでありますけれども、その辺、私は環境行政をバックアップするという立場で、ただ、国民の目から見ても行革に反しないような形でやっていただきたい、そんなふうに要望しておきます。  それでは、本来の、南極環境保護法について入っていきたいと思います。  二十一世紀に向けまして、革命的な断行、諸改革が行われるわけでありますけれども、今も言いましたように、地球環境保護というのは、まさにもう世界規模地球規模、そこで経済力を持った日本の、そしてまた世界に羽ばたいている日本役割は非常に大きい、そういうふうに思うわけであります。  南極というのは、さっき長官のおっしゃったとおり、地球上で最後に残された原生の地、しかも人為的な汚染がほとんどなく、地球温暖化オゾンホールなどの現象が顕著にあらわれる場所であります。その環境モニタリングすることが地球全体の環境を診断する上で大変重要ということで、二十三カ国が五十一の基地を置いて、五千人もの人たち地球環境データを集めるということで観測をしている。南極条約、これは、科学観測の場としてみんなで利用しようということで、領土権凍結でありますとか、それから軍事利用をやめようとか、そういうことで、科学的な調査のための基地活動を活発にするために、この条約が六一年に発効したわけであります。  しかしながら、最近の流れでは、基地活動活発化もそうですけれども観光に年間約一万人もの方がお見えになる。日本人ども六百人ほど入っている。まして日本人の場合は、世界に向かって、もう行くところがないなどという方が非常にたくさんいるわけですから、これからもどんどんこういう観光面人たちが入るおそれがある。そういうことで、これから、あのままでは、条約だけでは足りないということで、それを補完する、そして一歩進めるということで、一九九一年に南極条約議定書が、人類共通財産のあの場所をしっかり守っていこうということで採択されたわけであります。  さて一その協議国の中で、二十六カ国のうち最近米国が締結したわけでありますけれども日本ロシアが未締結国になってしまったわけであります。議定書締結ですが、参議院はこの前、三月に、そして四月三日には衆議院を通ったわけであります。今回の国内法、これを整備するということでできた法案でございますけれども、まず第一の質問は、環境に対しては日本先進国だというふうに私どもも思っておったわけでありますけれども、この議定書締結に五年半も要してしまつた、これは大変残念であります。この辺の理由はどういうことでありましょうか。これは外務省でしょうか。よろしくどうぞ。
  10. 津曲俊英

    津曲説明員 本議定書発効は、先生おっしゃったように、協議国二十六カ国全部が締結して初めて発効するという仕組みになっておりまして、政府といたしましては、この議定書及び附属書V発効見通し、ほかの協議国動向等を念頭に置きつつ、議定書附属書V内容並びにその実施のための国内法整備について慎重な検討を行ってまいりまして、今回、この法律案作成を踏まえて議定書締結すべく国会の御承認を求めた次第でございます。  今申し上げましたように、五年半を経過して、日本最後の二つの国に残ってしまったということは、おくれたということでございます。  たしかに、外国締結状況等を見ていた面もございまして、遅いのではないかという御疑念を持たれることはやむを得ないということでございます。
  11. 松崎公昭

    松崎委員 答えですか、今の――ああ、そうですか。では、我々の方で解釈しなきゃいかぬでしょうかね。大変残念ですね。  まして、ことしは十二月に温暖化防止京都会議が行われまして、議長国もやる。アセスメント法そのものが遅かったのですから、そういう意味で は余り大きな顔はできませんけれども。ただ、一つ日本のこの構造の中でこの辺のことはしっかり見直さないといかぬと思う。これは、一環境庁外務省だけじゃないと思います、内閣なり国会の意思としてしっかりやらないと。  最近の多国間条約とか議定書、十五のうち日本効力の発生に貢献したのは五つしかない、そういうことなのですね。ですから、これは、外務省の人手が足らないのか、あるいは海洋法条約が優先していたのではないかとか、あるいは通産関係の方々のこういう環境に対するブレーキがかかったとか、あるいは縦割り行政がいけないのだとか、いろいろな意見があるようでありますけれども、こういうことのないように、そして、世界に恥ずかしくないような形をお願いをしたい、そう思っております。  最後ロシアのこの未締結理由とそれから見通し。先ほどおっしゃったとおり、協議国すべてが締結しないと発効しないというのですから、幾ら皆さん国内法をやっても、どんどん時間は経過し、南極観光客はどんどん入ってくるわけでありますから、その辺のロシア見通し。よろしくどうぞ。
  12. 津曲俊英

    津曲説明員 ロシアにつきまして、締結作業がおくれた理由については明らかにはされておりませんけれども、現在、ロシア政府部内で議定書締結に向けての調整が行われた上で、三月中旬ごろにロシア議会提出され、その後、国内手続が進んでおり、締結に向けて作業は進んでいるというふうに聞いております。  それから、この議定書発効見通しでございますが、この議定書は、採択の日に南極条約協議国であるすべての国、二十六カ国が締結した日の三十日後に効力が生ずるということになっております。この南極条約協議国の中で議定書締結していない我が国ロシア締結手続を了すれば、その規定に従って効力を生ずることになります。ロシアの方も早期に締結したいという意向を有しているというふうに聞いてございます。  我が国といたしましても、先ほど先生お話ございましたように、議定書そのものにつきましては四月三日に国会の御承認をいただいてございまして、現在御審議いただいております当国内担保法案等審議を了していただければ、その後、所要政省令手続整備した後、速やかに締結手続をとりまして、それについて終わっていれば、その後、規定に基づきまして発効するというふうに承知しております。
  13. 松崎公昭

    松崎委員 はい、わかりました。  さて、私は素人でありまして、初めての国会でしたから、南極観測、この重要な日本観測というのが意外と、昔のタロージローとかそういうものはわかっておりますけれども、実際わかりません。昭和三十二年に西堀隊長の第一次隊で始まりましたが、この昭和基地、ちょうど四十年。この間の成果、また負の成果も含めてお知らせをいただきたい。そしてまた、日本南極観測の今後の課題、これは何でしょうか。これは文部省さんですか。     〔委員長退席小林(守)委員長代理着席
  14. 岩本渉

    岩本説明員 お答え申し上げます。  我が国南極観測は、昭和三十年十一月に閣議決定により設置されました南極地域観測統合推進本部におきまして、文部大臣本部長といたしまして、外務省環境庁等を初め関係行政機関の連携、協議及びその統合推進を図り実施しているところでございます。先生先ほどおっしゃいましたように、南極観測事業、かつては非常に国民的な関心を呼び、タロージローの話などは当時の若い人、子供たちは皆よく知っていたわけでございます。  今、何をやっているかということでございますけれども、私ども極地に関する科学総合研究及び極地観測を行うことを目的とする大学共同利用機関として国立極地研究所、これを文部省が所管しております。そこにおきまして、南極地域観測事業におきます高度の学術研究である研究観測、この研究観測内容といたしましては、例えば極域大気・雪氷・海洋圏における環境変動機構に関する研究でございますとか、そのほか地学系、生物・医学系等研究観測を行っております。また、隊員の訓練等につきましても、国立極地研究所中心的な役割を担っているところでございます。  また、最近の環境問題の重要性にかんがみまして、平成八年度からモニタリング研究観測、これはかなり長い期間データを蓄積していくという意味でのモニタリングでございますが、このモニタリング研究観測というカテゴリーを導入いたしまして、地球環境変動に伴う大気氷床海洋モニタリング等々を行っているところでございます。  そのほか、定常観測といたしましては、気象庁、海上保安庁等研究者によりまして、気象、海洋観測等について調査研究実施しているところでございます。  成果でございますけれども、例えば第二十三次隊、一九八二年九月のことでございますけれどもオゾンホール世界で初めて観測するといった学術的に高い実績を上げておりますし、この三月に帰ってまいりました第三十七次隊におきましては、氷床深層掘削、氷のコアを二千五百メートルまで到達するということで掘削をいたしまして、これは今後の研究によりまして過去三十五万年前までの気候変動研究に資するものでありまして、地球規模環境変動研究に関する有益な活動をしていると承知しているところでございます。  それから、今後の課題でございます。今後の課題といたしましては、先ほど先生おっしゃったように、南極環境保護という問題。これは、私ども南極観測隊科学的知見をもたらすということとともに、南極観測隊活動環境に負荷をもたらしているということもまた理論的には言えるわけでございます。そこで、廃棄物処理、こういった問題を適切に実施していくよう、もう既に各国と等しいあるいはそれにまさる程度の基準によって処理をしているところでございますが、今後、こういった面につきまして、本法律案成立以降につきましては、環境庁とも御相談しながらその執行に努めていきたいと思っております。
  15. 松崎公昭

    松崎委員 大変地味ですけれども重要な南極学術調査。確かに、この前新聞、テレビでも、二千五百メーターですか、三十五万年前の氷とか地層を持ってきたと。なかなかぴんとこなかったのですけれども、確かにしっかりやっていらっしゃると思います。  さて、この法案の具体的な中身に入らせていただきたいと思います。  先ほど長官お話の中にも、南極地域活動計画、今回の法案の中にもあるわけですけれども、一番の柱が確認制度、これは長官確認中心にしながら、これが一番重要な柱でございます。この法案で、環境庁並びに長官役割は本当に重要になったわけであります。  さて、この法案、これから南極をしっかり見定めていく、あるいはアセスをやるという場合に、環境庁からは準備段階として事前に南極へどのぐらい行っていらっしゃるのか。それから、先ほどのお話にあるように環境庁としての知見、この蓄積は十分あるのかどうか、環境庁として。それから、審査体制の確立はどのようにされようとしているか。この点、お伺いいたします。
  16. 澤村宏

    澤村政府委員 お答え申し上げます。  まず、法案作成に当たってどのような対応で臨んだかということでございますが、本法案検討を進めるに当たりまして、南極地域におきます観光利用実態を把握するために、平成七年十二月から八年一月にかけまして職員二名を現地派遣し、観光ツアー実態調査などの現地調査を行ったところでございます。  また、知見はいかがかというお尋ねでございますが、この法律は、南極で行われる活動につきまして、南極地域環境保護観点からその適否を判断するものでありまして、環境保護を任務とする環境庁が所管することとされたところでござい ます。  本法の適切な運用のためには南極地域現状等に関する情報が必要でありますが、環境庁として、これまでの我が国南極観測活動の中で関係機関が蓄積しているデータ知見、さらに諸外国知見等についても収集に努めることとしております。また、環境影響評価に必要な技術的知見につきましても、国内における環境影響評価経験や諸外国におきます実例等を踏まえることによりまして、十分対処できるものと考えております。  なお、確認申請審査に当たりましては、必要に応じて学識経験者にも意見を求めることとしておりまして、これらによりまして、本法の的確な審査に努めてまいることといたしております。
  17. 松崎公昭

    松崎委員 観光ツアー調査、もちろん一番これから問題になりそうな観光ツアーですから、調査に行かれたのはお二人で行ったそうでありますけれども、それはそれで十分重要なことなんですけれども。この法案を見ますと、環境庁はかなりしっかりとリーダーシップをとり、全部チェックしなければならないということになりますと、相当南極現状も承知していないと、今の段階でもいけないのじゃないかということでお聞きしたのですけれども、行っていないものはいたし方ありません。観光ツアーで二人しか行っていないということでありますけれども、この辺、ちょっと私は手薄ではないか、そんなふうに思っております。  さて、実績がないということは、これはしようがないことでありますけれども監視体制立入検査もあるわけですね。査察もあるのですね、これは全体でやるわけでありますから。その職員派遣体制なんかは今後どのように、間もなく発効するわけでありますから、その辺、どういう体制職員派遣も考えていらっしゃるか。
  18. 澤村宏

    澤村政府委員 ただいま先生指摘のとおり、国内法実施上、観光活動基地活動等について、現地におきまして法律履行状況監視指導等を行うことは大変に重要な課題であると認識しております。環境庁といたしましても、職員現地派遣することも含めまして、今後関係省庁とも相談して、効果的な体制整備に努めてまいりたいと考えております。  なお、この職員派遣の方法につきましては、南極地域での活動の実情も考慮しつつ検討してまいりたいということでございます。
  19. 松崎公昭

    松崎委員 これからいろいろされるということになるのでしょうけれども、我々素人から見ましても、どういうふうになるのかな。例えば、観測船が行っても年に二回行ったり来たりですから、その間ずっと向こうにいるのかとかいろいろ素朴な疑問を感じるわけでありますけれども、ひとつその辺はしっかりとやっていただきたいな、そんなふうに思っております。  先ほどからお話しになっておりますけれども南極地域への悪影響の一番懸念される材料といたしましては、どうも観光客影響が大きいのではないか。これに対する監視体制、これはもちろんこの議定書発効をすればなおさらでありますけれども、その場合に、監視体制整備について、国際協力、当然でありますけれども、この辺はどんなふうに今考えていらっしゃいますか。また、観光客実態はどんな状況でしょうか。
  20. 澤村宏

    澤村政府委員 観光ツアー監視に関するお尋ねでございますが、環境庁といたしましても、各国からの観光客が混在する観光ツアーのような活動監視につきましては、国際的な協力のもとに行われることが効果的であるというふうに考えております。  議定書におきましては、国際的な監視員による査察が実施されることとされておりまして、その具体的な方法や内容につきましては、今後協議国会議環境保護委員会などの場で具体的な検討が始められるものと認識しております。  環境庁といたしましても、このような動きをフォローしながら、南極地域環境保護が適切に図られるよう、国際的な査察制度との効果的な連携に努めてまいりたいと考えております。  なお、実態ということでございますが、南極に行きます観光客ということで申しますと、十年ほど前では六百人程度のものが昨今では一万人を超える、これは全世界の数字でございますが、そういう状況になっております。
  21. 松崎公昭

    松崎委員 これからの問題が多いわけでありますけれども、ただ、既に一万人観光客が入っているわけですね。今後もふえそうだというニュースがございます。あるいは、日本の旅行社も企画をしているというふうにも聞いております。ですから、これから国際的に、もっとも議定書発効しておりませんから、なかなか難しいとは思いますけれども。この辺は、それこそリーダーシップをとって、いずれ日本観光客も多くなると思いますから、よほどしっかりと国際協力をしながら確立をしていただきたい、そんなふうに思う次第であります。  さて、今法案のポイントは、結局国内手続でございます。この国内手続関係についてお聞きをいたします。  南極環境影響について、環境影響評価図書の作成をする。申請者が調査をし、予測及び評価を行わなければならないわけでありますけれども、こういう図書でありますとかというのは、余り南極に行っていない人がそれを申請するわけでありますから、具体的にどんな方法がよろしいのか、どういうふうな方法で申請者が図書をつくったりするのか、その辺お聞きしたいと思います。
  22. 澤村宏

    澤村政府委員 環境影響評価に関するつくり方等、そういった具体的な事務のことについてのお尋ねでございますが、南極地域環境現状環境影響のあらわれ方等につきましての情報や知見は、一般の国民にとりましては確かに入手しにくいものであるという点については御指摘のとおりでございます。  このため、環境庁といたしましても、環境影響評価に必要な各種の情報や知見の収集を進めるとともに、これらをデータベースとして整備することとしております。申請者に対しましても、求めに応じまして、現状データ等を提供することによりまして、円滑に環境影響評価実施されるように対処してまいりたいと思います。  また、具体的なことにつきましては、技術指針というようなものを別途定めることを予定しておりますので、そういうものによりまして、円滑にこうした環境影響のための図書というものの作成が行われるというふうに考えております。
  23. 松崎公昭

    松崎委員 今私は観光のことばかり言っておったのですけれども、これは通告しておりませんけれども、申請者の範囲が、学術的なことでありますと、大体国の機関が中心ですね。それから、あとは観光客、これだけなんでしょうかね。それ以外にも何か申請をしてきたりする人がいるのか。ちょっと通告なしで済みませんが。
  24. 澤村宏

    澤村政府委員 ただいま先生指摘のとおり、南極基地活動というようなものが現在考えられております最大の事業でございます。そのほかに観光業というものがあるわけでございますが、具体的には、日本の場合は外国観光業者が主催してやるものにいわばパッケージで入るというような形のものでございますので、具体的に現在提案されております法律手続によるものにはならないと考えております。  そのほか、例えば南極にどういう方々が行くかというと、確かに、民間では、例えば報道関係では、観測隊あるいは観光ツアー及び冒険家に同行しての取材というようなものがございます。あるいは、登山というようなこと、あるいは写真の撮影のためのもの、あるいは映画というようなことも将来可能性があろうかと思います。そんな形で、いろいろな形でもって今後こういった基地活動あるいは観光以外のものも出てくるのではないか、そんなふうに考えております。
  25. 松崎公昭

    松崎委員 わかりました。  特に、国内法を基準にしながら各国がそれぞれの国で申請をするわけでしょうから、そういう点で、やはり日本のチェックがしっかりしていませんと、向こうへ行って、日本から来たのはちょっ とだらしないななんということになってもいけませんから、その辺、先ほどの知見の収集でありますとかいろんな機関での情報をしっかり提供するというのは、環境庁へ行けばそういうものが全部いただけるというシステムになるんでしょうか。
  26. 澤村宏

    澤村政府委員 ただいま先生指摘のとおり、データベース化するとかいろんな形でもって情報を提供したいと思います。とりわけ観光客につきましては、さきに日本の京都で行われました協議国会議のときにも、観光についてのガイドラインというようなものも出されております。また、今度の協議国会議等においても、それらのことがさらに議論されるということを伺っております。そうしたものにつきましては、一般の国民にもわかるような形でもって適切にお示しをしていきたいというふうに考えております。  なお、各国の議定書の運用状況につきましては、毎年一回開催されます南極条約協議国会議の場等を通じて情報交換も図られるということになっておりますので、そういったようなところのプールも使いましていろいろと情報を提供してまいりたいというふうに考えております。
  27. 松崎公昭

    松崎委員 大分よくわかりました。  なかなか南極といいますと遠い存在で、我々には関係ないのかなというような感じがしましたけれども、そういう今の具体的なお話を聞きまして、それじゃ、結構我々でもそういう手続をしっかりやって行けるんだな、そんな感じをいたしましたので、しっかりやっていただきたいと思います。  ところで、先ほど触れました環境影響評価が、それぞれ各国任せなんですね。附属書にもありますように、予備評価、初期評価、包括評価、これがあるわけでありますけれども、各国任せですから、基本的には国内法中心でありますので、ばらばらではないか、本旨に反する結果が出るおそれがあるんじゃないかという心配をしております。ですから、環境保護委員会等で各国間の調整や統一基準の設定、これが必要ではないかと思いますが、環境庁としてどうかかわろうと考えているのか。長官でよろしいですか。
  28. 澤村宏

    澤村政府委員 具体的な運用のことでございますので、私から申し上げます。  ただいま申し上げましたように、毎年一回、南極条約協議国会議が開催されるというのが昨今の状況になっておりますので、そういう場で情報交換が図られるということでございますが、この議定書発効いたしますと、議定書の締約国により構成されます環境保護委員会というものがさらに設置されることになっております。この委員会におきましては、環境影響評価手続の適用、それから実施等、議定書実施に関する助言及び勧告等を行うということとされております。  したがいまして、南極条約協議国会議環境保護委員会の場を通じまして各締約国間の議定書の運用につきまして調整が図られるということになりますので、運用に当たりましては各国の大きなばらつきというものはなくなってくるもの、そういうふうに考えております。
  29. 松崎公昭

    松崎委員 次に、違反行為をした者に対して、「原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置をとるべきことを命ずる」としてありますけれども、「代わるべき必要な措置」とは例えばどんなような措置なのか。また、原状回復に必要な措置の確認、これは現場がはるか遠いわけですよね、その辺、環境庁長官はどのように行おうとしていらっしゃるのか。
  30. 澤村宏

    澤村政府委員 この法律は、南極地域環境の特性にかんがみまして、環境に関します悪影響を事前に抑止することを重視しているものでございます。原状回復、それからその代替措置ということにつきましても、そのような点に配慮しながら規定したところでございます。  原状回復命令の内容としては、確認を受けないで設置した建築物の撤去等、また、これにかわるべき措置の内容といたしましては、油漏れ等によって広範囲な土壌汚染を生じた場合に、可能な限り汚染土壌を除去すること、そのようなことが考えられるわけでございます。  そして、以上のような命令が履行されたかどうかの確認についてのお尋ねもあったわけでございますが、命令を受けた者から必要な事項について報告を求めるということ、あるいは必要に応じまして職員現地確認する、そういったことにより対処してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、この法律全体の、議定書全体の考え方は予防的な考え方に立っているということでございますが、それらを配慮しながら運用をしていきたい、そのように考えております。
  31. 松崎公昭

    松崎委員 予防的立場ということはもちろんわかりますけれども、こういう法律によってむやみやたらに南極に行っても、活動は決められたある程度権威のあるしっかりとしたところ以外は困るよ、そういうことでしょうけれども、先ほどちょっとお聞きした中に、映画のことでありますとか、ちょっと私も観光観測の人しか考えていなかったんですけれども、確かに、おっしゃるとおり、写真を撮りに行ったりいろいろありますよね。そういう場合に、今、原状回復云々の問題で職員がチェックをするということですけれども、そうなりますと、向こうに常駐するということですか、それとも国際的な機関でということでしょうか。
  32. 澤村宏

    澤村政府委員 お答えします。  職員派遣等につきましては、先ほど申し上げましたように、南極におきます。その活動の状況等を見ながらこれから関係省庁ともいろいろと詰めてまいりたいと思いますが、日本国の職員派遣されるということとともに、国際的には査察の制度というものもございます。そういう形で連携をとりながらいろいろと適切に対処してまいりたいと考えております。
  33. 松崎公昭

    松崎委員 大分先の予測で御質問ばかりしていてもいけませんけれども現状は、何せ遠いところで、しかも向こうはそう簡単に動き回ったりできる場所じゃありませんから、相当難しい話を前提に議論をしているわけであります。  もう一つだけそれを突っ込んでいきますと、違反者が原状回復等の措置を講じなかった場合、法律に書いてあるんですね。環境庁長官は、みずから原状回復をし、その費用をその者に負担させるわけでありますけれども、その人が民間の人で、時間の経過の中で破産、倒産、能力を失ってしまう、こんなこともあると思うのです。当然、南極で行われたことでありますと費用は大変高額になる、少し取り越し苦労かもしれませんけれども、こんなケースも考慮して、日本の中で活動確認段階において供託金を行為者に担保させる、そんな制度を検討しておく必要はないんでしょうか、よろしく。
  34. 澤村宏

    澤村政府委員 確かに、先生指摘のとおり、南極という我々の日常の活動から離れたところでのことでございます。そういう中で、今御示唆がありましたが、違反行為の実行を事前に抑止する、そういう観点からはそうした考え方も一つのアイデアではないかと思います。  具体的な検討につきましては、今後の研究課題というふうに考えております。
  35. 松崎公昭

    松崎委員 その辺もよく、日本だけじゃなくて結構だと思いますけれども、いずれお考えになった方がよろしいんじゃないか、そう提案しておきます。  さて、本法案のもう一つの柱でありますけれども南極地域活動計画確認と並んで、もう一つ南極地域における行為の制限、南極条約の精神にかんがみて、鉱物資源活動の制限とか動物相植物相保存、こういうことが盛られているわけであります。  さて、その延長線上でありますけれども行為の制限の中に廃棄物の適正処分及び管理、こんなこともあると思うんですけれども南極にどのぐらいの廃棄物が現在あるんでしょうか。そしてまた、日本が抱えております廃棄物の量と種類、この辺、お答えいただきたいと思います。
  36. 岩本渉

    岩本説明員 お答え申し上げます。  申しわけございませんが、南極大陸全体での廃棄物量というのは、私どもでは把握しておりません。私どもの方の南極昭和基地でございますが、これは南半球の夏に当たります十二月末から翌年の二月中旬まで約八十人、それから南半球の冬に当たります冬季に越冬隊員三十一名が滞在しているわけでございます。こういった人々が滞在している中で、昭和基地で一年間に出る廃棄物は、可燃物が約八・四トン、不燃物が約十九トン、し尿、汚水が約千四十三トンでございます。そのほかに、年により異なりますけれども、夏の期間に建築などのこん包廃材が約十トン排出されるわけでございます。今現在、使用済みの雪上車といった大型廃棄物が約五百トン蓄積されているのが現状でございます。
  37. 松崎公昭

    松崎委員 その処理計画はどうなっているのでしょうか。それから、現在出ている、今数字をおっしゃったもの、し尿とかの処理、これなどはどうなっているのでしょうか。
  38. 岩本渉

    岩本説明員 お答え申し上げます。  まず、可燃物でございますけれども平成五年度に昭和基地整備いたしました焼却炉で焼却処分いたしました。また、不燃物は、分別集積いたしまして、観測船「しらせ」で日本に持ち帰っております。し尿、汚水につきましては、現在希釈いたしまして海洋に排出しておるわけでございます。現在、汚水処理施設を建設しておりまして、これが平成十年度に稼働予定でございます。こうしたことによって、南極環境に与える影響が少ないようにしてまいる所存でございます。  それから、先ほど申しました約五百トンの大型廃棄物でございますけれども、五年計画で何とか持ち帰って処分しようということで、この四月に帰ってまいりました「しらせ」におきましては、そのうちの約二十七トンの大型不燃物を持ち帰ったところでございます。     〔小林(守)委員長代理退席、田端委員長     代理着席〕
  39. 松崎公昭

    松崎委員 日本基地だけでこれでしょうから、全部で五十一基地ですか、五千人、大変な量なんですね。ですから、よほどしっかりとやらないと、本当に観測隊自身が今回の議定書の対象になっているわけであります。浄化槽なども最近なんですね、十年ですか。一九九九年から本格的な浄化槽をやるんだ。これは一九九六年三月に帰国された越冬隊の石沢さんが、施設の方について言っていましたね。  それから、日本南極観測隊環境問題に着手したのは本当に最近なんだということであります。どうも今希釈して海洋に流してしまっているというのは、しようがないことで、今まではそれでよかったのかもしれませんけれども、この廃棄物の方はしっかりやっていただきたい、そんなふうに思っております。当然、これらの廃棄物影響が出ているのではないかという心配はしているわけでありますけれども、これは聞いてもしようがありません。  次に、エネルギーの問題です。観測基地のエネルギーは、ほとんど石油に依存しているようなのですけれども、燃焼とか廃油もやはり相当環境に負荷が多いのではないか。そんなことで相当問題化しているように聞いておりまして、代替エネルギーにそろそろ真剣に取り組む時期ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  40. 岩本渉

    岩本説明員 南極基地における代替エネルギーの利用の御質問でございます。現在、南極地域におきますエネルギー源といたしましては、各国とも化石燃料を主として使用しているわけでございます。ただし、私ども南極観測実施責任者評議会という国際的な組織がございまして、COMNAPと略称しておりますが、そういった国際会議におきまして、環境保全の立場から自然エネルギーの使用を推進するように勧告されているところでございます。  翻って日本隊ではどうしているかといいますと、無人観測装置の電源といたしましては、小規模な風力発電や太陽光発電を約二十年前から使用してきたわけでございます。平成八年度からは、昭和基地の発電の一部を負担する大規模な太陽光発電の装置の設置を四カ年計画で開始したところであります。これによりまして五十キロワットの発電装置を設置いたしまして、年間約四万キロワットアワーの発電、約十五キロリットルの燃料節減を図る予定としております。  また、風力発電でございますけれども平成十年度より五カ年計画で五十キロワットの装置を設置いたしまして、年間で十五万キロワットアワーの発電により約五十六キロリットルの燃料節減を図ることを目指しているわけでございます。  両装置が稼働いたしますと、発電に必要な燃料の一九%を削減することが考えられるわけでございますが、今後とも代替エネルギー源の導入に努力してまいりたいと思っております。
  41. 松崎公昭

    松崎委員 たくさん基地があるわけですから、私は素朴に考えるのですけれども、そういうエネルギーの開発は南極の風土だとかそういうものが大事です。やはりそこで開発するのがいいのではないか。南極全体のためですから、各国と情報交換して、お互いにいい方法で取り組み合う、そんなことはやっているのでしょうか。
  42. 岩本渉

    岩本説明員 お答えいたします。  先ほど申しましたCOMNAP、こういったところでは、国立極地研究所研究者あるいは環境保全等に携わる職員等が出席いたしまして情報交換をする、そういったやり方。それから、私ども、交換科学者とか、外国との共同観測という中で、例えば昨年も日本研究者をドイツのノイマイヤー基地などに派遣いたしました。そこで、せっかく外国基地に行くのであれば、どのような環境対策を講じているか、それも見てきてほしいということで、つい最近帰ってきていただいたところです。こういった国際面での情報交換等は、今後ともやってまいりたいと思っております。
  43. 松崎公昭

    松崎委員 よくわかりました。  さて、ちょっとショッキングなのですけれども南極地域の生物から重金属や有機塩素系化合物が検出されたということを聞きました。これはどういう意味があるのか、教えていただきたい。
  44. 澤村宏

    澤村政府委員 南極観測隊等が採取いたしました標本の分析によりますと、南極地域に生息するペンギンやアザラシからもPCBあるいはDDT等の有機塩素系化合物が検出されているというふうに聞いております。これらの物質につきましては、南極地域に何らかの汚染源が存在しているということを示すものではなく、地球全体にくまなく広がる環境汚染南極地域においても例外なく進行していることを示すもの、そういうふうに考えております。
  45. 松崎公昭

    松崎委員 まさに南極地球環境を見事に反映するというふうに受けとめるべきだろうと私は思っておりました。  さて次に、南極特別保護地区及び南極の史跡、記念物の保護のための制限がありますけれども、実際に日本関係する南極史跡記念物、こんなものはあるのでしょうか。
  46. 澤村宏

    澤村政府委員 お答え申し上げます。  かつて越冬の隊員でありました福島隊員の殉職、それの記念碑というものがございます。
  47. 松崎公昭

    松崎委員 それだけですね。そうですが。  また先ほどの観光客の問題に戻りますけれども、実は、何で観光客がこんなにふえてしまったのだろうということをいろいろ調べてみましたら、ソ連邦が崩壊した翌年の九二年からさま変わりした。ソ連の極地観測船の縮小だとか、砕氷船がカナダとかアメリカの観光のチャーター船になってお金を稼ぐ、そんなことも背景にあったということですね。ただ、随分、船の中では科学者が乗って自然保護の問題、特にこの南極の問題等をレクチャーする。ですから、観光客は大丈夫なのかなとは思うのでありますけれども、やはりこの辺これから一番の対象になるわけですから、最近日本でも直接行くような企画をしているようにも聞いております。これはもう向こうの業者がやる場合は向こうの業者任せだということでしょう けれども、やはりこういう法律ができたわけですから、日本でもその観光ツアーに参加する人までも広げて、そういう方々に南極の問題点、そういったものを指導すべきではないか、そんなふうに思いますけれども、業者の指導も含めてどのように考えていらっしゃいますか。
  48. 澤村宏

    澤村政府委員 確かに、先ほど来お話が出ておりますように、南極地域を訪れる観光客は今後ともふえることが予想されるわけでございます。こうした方々に対しましては、本法、それから議定書規定を遵守していただくということはもちろんのことでございますが、南極地域の原生の自然が残っている、そうした環境の特殊性あるいはその重要性について十分理解をしていただきまして、環境への影響を及ぼさないよう十分な配慮を講じつつ観光活動を行っていただく必要があるわけでございます。  先ほど触れましたが、九四年に京都で開催されました協議国会議におきましては、観光客に対するガイドラインも採択されているところでございます。環境庁といたしましても、これらが十分に配慮されますよう、周知のためのリーフレット等を作成し配布することなどによりまして、観光客への普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
  49. 松崎公昭

    松崎委員 よろしくお願いをしたいと思います。  さて、南極といいますと、もう我々すぐに思い浮かべるのがオゾンホールの問題でございます。これからまた紫外線を浴びる時期でもありますけれども、その影響が非常に懸念されます。最近も大きなオゾンホールが随分できている、また北極でも観測されたというふうにも聞いておりますけれども南極におけるオゾンホール、これは今どんな状況でございますか。
  50. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 お答えを申し上げます。  南極上空のオゾンホールについてのお尋ねでございます。  最近の気象庁の発表によりますと、平成八年におきましても過去四年と同程度の最大規模のオゾンホール観測されたということでございます。  ちなみに、今後のオゾン層の見通しでございますけれども、国連環境計画、UNEPの報告によりますと、すべてのモントリオール議定書の締約国がこれに基づく生産規制を遵守すると仮定いたしますと、成層圏中のフロンの量は一九九七年から一九九九年までをピークとして減少に転ずる、これに伴いまして、来世紀初頭からオゾン層は回復に転じまして、南極上空のオゾンホールにつきましても二〇四五年ごろまでには出現しないようになるということが予測されているところでございます。
  51. 松崎公昭

    松崎委員 確かに先進国は九五年で生産をストップしたフロン対策があるわけでありますね。ですから、既に相当の量が上がって、あとは、残っているものと、そして問題は途上国であるというふうに思いますけれども、確かに日本の量は世界的に見るとそれほどでもないかもしれませんけれども、やはり一刻でも早く、一日も早くフロン対策はやるべきだろう、進めるべきだろう、推進すべきだろう、そんなふうに思っております。  今後の見通し日本国内におけるフロンを一刻も早くなくすという見通しはどんなふうになっておりますか。
  52. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 今御指摘いただきましたように、既に生産をされたフロンについてはできるだけ排出を抑えていくという観点から、私どもとしてもオゾン層保護法等も制定をいたしまして努力をいたしておるところでございます。  平成八年末に環境庁が行いました調査によりますと、市町村が粗大ごみとして収集いたしました家庭用冷蔵庫、この中にフロンが含まれているわけでございますが、この回収率は、台数ベースでございますが五六%に上っていることに対しまして、業界におけるフロンの回収実績、例えば家庭用冷蔵庫もそうでございますし、カーエアコンあるいは業務用の冷凍空調機器等ございますが、これらにつきましては、特にカーエアコンについては、これも台数ベースでございますが回収率が七・二%、それから業務用冷凍空調機器につきましては一八%ということで、まだまだ私どもとしては回収について努力を要さなければならないレベルだという認識をいたしておるところでございます。  環境庁といたしましては、このような現状も踏まえまして、関係十八省庁から成りますオゾン層保護対策推進会議を設けておりますが、ここにおきまして、今後、回収でありますとか破壊のための仕組みづくり等、一層の促進策のあり方について検討を進めているところでございます。その結果を踏まえまして、都道府県単位で設置をされておりますフロン回収等推進協議会、この場の活用等も通じまして関係業界における回収なり破壊についてのコンセンサスの形成が進みますように実効ある対策を展開してまいりたい、そのように考えているところでございます。
  53. 松崎公昭

    松崎委員 フロンに関してはもう少しやりたかったのですけれども、まだまだ協議会設置も六〇%でありますとか、家電も非常に低いですね。ですから、この辺しっかりやっていただきたい。そしてまた、先ほど言いました途上国に関して、ODAを通じてあるいはJICAを通じながら、しっかりと、少しでも早く、一年でも早く途上国に今のフロンの生産をやめさせられるようにしていただきたい。  最後に、ちょっと一つだけ、諫早湾の問題。  これは、環境庁の見解は、最近大分問題になっておりますけれども、どんな見解でありましょうか、お尋ねいたします。
  54. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 諌早の干拓事業につきましては、その実施に当たりましてあらかじめ環境影響評価が行われておりまして、環境庁といたしましては、昭和六十三年それから平成四年に必要な意見を述べたところでございます。  昭和六十三年の意見では、調整池内の水質保全、それから鳥類の生息環境あるいはまた潮受け堤防の前面部におきます干潟の再生促進、その他いろいろ意見を申し上げております。  さらにまた、去る三月には、現在の環境保全対策の進捗状況あるいは締め切り後の水質変化の予測につきまして農林水産省あるいは長崎県に確認の上で、農林水産省それから長崎県に対しまして、水質の汚濁削減対策の推進、あるいは環境モニタリングとそれを踏まえた適切な対策の実施につきまして一層の配慮を要請をしております。  このように、環境庁といたしましては、この事業につきましての環境保全面での必要な意見は既に申し上げたというふうに考えておるところでございまして、環境庁といたしましては、これまで申し上げた意見に基づきまして、事業者それから地元自治体におきまして適切な環境保全対策が行われていると考えておりますけれども、今後とも、意見で申し上げたモニタリングの結果あるいは環境保全対策の進捗状況については継続的に把握をしてまいる、こういうふうに考えております。     〔田端委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 松崎公昭

    松崎委員 時間ですから終わります。ありがとうございました。
  56. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 桑原豊君。
  57. 桑原豊

    桑原委員 民主党の桑原でございます。  南極保護法案質問に入る前に、日本環境問題にとりまして大変喫緊の課題でございます、今お話にもございましたが、ひとつ諌早湾の干拓事業について長官の所感をお伺いしたい、このように思っております、  四月十四日に例の最後の潮受け堤防が締め切られまして、表現の仕方としてはあれですが、世界最大のギロチンが落ちた、こういうような表現もされておりますけれども、既に一カ月以上たちまして、広大な干潟には死臭が漂い始めておる、悪臭やガスも発生している、こういうようなことが伝えられておりますし、環境委員会佐藤委員長ども何回となく現地に足を運んでいろいろと視察をし、その問題点なども把握をされているわけでございます。  私は、残念ながら、何回も機会があったのですけれども、今のところとうとう一回も行けなかったのです。前々から、特にシチメンソウですか、あの紅葉の美しさというのはいろいろな絵や写真でも見ておりますし、すばらしい干潟だなということをそういったものを通じてつくづく感じておったわけでございますけれども、こういった事態に至った。  いろいろと議論されております。環境庁さんも今お話を申し上げておったようでございますが、いわゆる干潟がなくなることによって貴重な生物、植物あるいは鳥たちが生きていけなくなるということ、防災や農業の観点からしても必ずしも納得の得られる説明がなされていない、あるいは膨大な公共事業の経費がかかる。干潟を失ってしまうことは、まさに、貴重な生き物を失い、町を失い、そして我々自身の海、生活も失ってしまうという、そんな危機感が私どもにあるわけでございまして、国民的な大きな関心も呼んでおります。  私は、今この失われようとしているすべてが、ある意味では環境庁がすべてをかけて守り抜かなければならないもの、それではなかろうかというふうに思っています。環境庁にとって大切なものは全部なくなってしまうような、そんな危機感を私は覚えるわけですけれども、それゆえに国民の関心も、あるいは期待も、環境庁に対して大変高まっているというふうに思います。  私どもの党の方からも、ぜひ海水を流入させて生態系を維持してほしいという、そういう趣旨質問主意書を提出をいたしております。速やかに閣議をもって決定をしてそれにお答えをいただくということになろうかと思いますけれども、ぜひ環境庁長官の現時点の所感というものをお伺いしたい、このように思っております。
  58. 石井道子

    石井国務大臣 今大変な話題となっております諌早湾の問題でございますが、この事業につきましては、かなり長い経過がございます。そして、環境庁といたしましては、昭和六十三年と平成四年に、環境問題に対しまして必要な意見も述べてまいりましたし、また、ことしの三月にも、環境保全対策の問題について意見も申し上げてまいりました。  この事業につきましては、あらかじめ環境影響評価が行われてまいったわけでございまして、環境庁としては、環境保全の面から、調整池のヨシ原等の自然植生の維持とか、また、潮受け堤防前面における干潟の再生の促進でございますとか、また、水質汚濁の防止などにつきまして意見を申し上げてまいったところでございます。  今後の問題として、環境保全対策が確実に実施されるように見守っていかなければなりませんが、干潟の問題、またそこに生きている動物、植物の問題、これは環境の面から大変大切な問題として受けとめております。今までいろいろと農林水産省が事業を進めてまいった段階で、潮受け堤防が締め切られたという点につきましては、その結果起こった環境の変化ということについて、地元でもいろいろと検討がなされていると思いますが、さらに私どもは地元、また事業者ともいろいろと連絡をとりながら検討するように、私自身としては事務方に指示をしたところでございます。
  59. 桑原豊

    桑原委員 今こうして議論をしている間にも、深刻な事態が進行していると思います。いろいろな意見を今まで申し上げたということで、それがどういうふうに反映をされていくのか見守っていきたいというような、ある意味では、そういう悠長なことを言っておるときではないというふうに私は思います。国民の期待もやはりございます。環境庁の使命もあると思います。きちっとした、それも速やかな対応を、環境庁がリーダーシップをとってやらなかったらどこもやるところはないと私は思います。そういう意味では、国民にとっては最後の頼みの綱だというふうに私は思いますので、ぜひもう一つ踏み込んだ答えをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  60. 石井道子

    石井国務大臣 先ほども申し上げましたように、この事業につきましては、事業者とまた地元の皆様方にも環境保全の面から十分に意見を申し上げてまいりましたし、そのことでまたいろいろと、現地におきましても水質汚濁削減対策を推進するため、また、環境モニタリングなどの対策も行っているというふうに聞いているところでもございますが、さらにそのような面について環境庁としても十分に意見を申し上げ、そして対処してまいりたいと思っております。
  61. 桑原豊

    桑原委員 非常に回答は不満でございますが、ともかく現地の状況をしっかり把握をしていただいて、近く閣議決定をもって我々の質問主意書にもお答えをいただくことになろうかと思います。環境庁としての毅然とした環境を守ろうという、そういう意思が伝わるような判断をしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  それともう一点、これは通告がしてございませんので大変恐縮なのですが、野村証券が特定の政治家や官僚を優遇した、いわゆるVIP口座というものの存在が今問題になっております。これは今すぐお答えをできかねるような内容かとも思うのですが、環境庁関係の高官でこれにかかわる人がいるのか、そういったものが今把握されているのか。あるいは、把握されていないとしたら、後日お調べいただいて御報告をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  62. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま私どもが承知している限りでは、そういうものを承知しておりません。調べてはみます。
  63. 桑原豊

    桑原委員 お願いをいたします。  それでは、法案質問に入らせていただきたいと思います。  まず、この南極保護法案の核心でございます、いわゆる確認制度についてお尋ねをいたしたいと思います。  議定書におきまして、南極のそういう環境を守っていくための包括的な制度というものが定められて、それを補足するために附属文書もあるわけでございまして、議定書の中では環境影響評価の制度というものが一応規定をされております。そして、それを受けて、国内法のこの法案の中では、この議定書と附属書、五つございますが、その全体を含めて、国内的に環境保護を担保するというような形で、国内手続としてこの確認制度がつくられておるように伺っておるわけですが、こういった確認制度をとったことの意味と、それからこのメリットといいますか、こういうことをとることによってよりよいものが確保できるんだというような、そういったことがあると思うので、そこら辺を少し教えていただきたいと思います。
  64. 澤村宏

    澤村政府委員 お答え申し上げます。  この法律は、議定書南極地域を平和及び科学に貢献する自然保護地域として指定していることを踏まえまして、南極地域におきます活動につきましては、環境保護観点から一元的にその実施の可否を判断する必要があるという基本的な認識に立っているところでございます。  このため、一つは、議定書において禁止されている行為がないこと、第二には、議定書条件つきで認められている行為についてはその条件を満たしていること、第三には、環境に対する著しい悪影響を及ぼさないこと、これらにつきまして事前に環境庁長官活動を一括して審査し、確認を経なければならないということとしたものでございます。  このような仕組みとすることのメリットについてでございますが、動物の捕獲等、議定書におきましては個別に許可を得なければならないとされているような行為につきまして、全体の活動と一体的に確認されることによりまして、別個に許可を得る必要がなくなるというメリットがあるものと認識しております。
  65. 桑原豊

    桑原委員 そういったことでメリットがあるということでございますが、単純に議定書国内法を比較しておりますと少しわかりにくい点もございますので、ぜひそういった制度の趣旨といいますか、そういうものがわかりやすく、一般の申請をされる方々にしっかりと伝わるようにいろいろ と工夫、御努力をされたい、こういうふうに思っております。  それで、議定書では、活動南極環境に与える影響を三つの段階に分けておりまして、一つは軽微な一時的な影響を下回るもの、二つ目は軽微な一時的な影響、三つ目は軽微な一時的な影響を上回るもの、こういうふうに定めておりまして、一の場合は当該申請に係る活動を直ちに実施することができる、こうなっておりまして、二、三の場合は審査を受けるための初期の環境評価書の作成を義務づけている、こういうふうになっております。  そこで、この法案では、すべての南極地域活動がすべて申請をされるということになっております。環境庁長官がこういった審査を適正に行うため、必要があると認める場合には、先ほど来少し議論になっておりました図書を提出していただくとか、あるいは、申請者の方で自発的にそういったものを出してぜひ理解を求めたいというような場合にはそういう図書を提出することができる、こういうことになっておりまして、どちらにしろ任意で、任意といいますか、明確な基準でどうこうということではございません。  図書提出の基準が、議定書の初期の評価書の場合には、先ほど言いましたように、どんな場合に評価書を出すかというのが大変はっきりしておるわけでございますが、本法案ではそこら辺がはっきり明示をされていない。これは図書の提出の場合もそうですし、図書の記載事項の修正または補充を命ずる場合も、どういった基準でやるのかというのがはっきり明示をされていないように思うのですが、その点についてはなぜなのか、教えていただきたいと思います。
  66. 澤村宏

    澤村政府委員 この確認につきましてのことでございますけれども、今御指摘ありましたように、環境庁長官は、確認申請書が提出された場合に、申請にかかわります活動環境影響程度について判断いたしまして、その程度が極めて軽微なものである場合を除いて、すなわちこの場合には必要がないわけでございますが、そういう場合を除きまして、議定書環境評価書に相当する図書の提出を申請者に命ずるという運用を行っております。そういう中には、今御指摘ございましたように、自発的に提出されるということもあるわけでございます。また、軽微または一時的な影響、または、軽微なまたは一時的な影響を上回る影響がある場合には環境評価書を提出するという議定書の要請を、この法律においては満たしているところでございます。  いずれにいたしましても、これからいろいろな活動に当たりまして申請書が出てくるわけでございますが、そういう実務の積み上げの中で具体的な基準を示していけると考えております。
  67. 桑原豊

    桑原委員 それでは、具体的な運用としては、この図書の提出が必要だという場合は、軽微な一時的な影響、あるいは、軽微な一時的な影響を上回るもの、そういったものについては図書の提出を必要として求めるんだというふうに理解をしてよろしいわけですか。
  68. 澤村宏

    澤村政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  69. 桑原豊

    桑原委員 そうしますと、この法案の図書は議定書の定める初期の環境評価書に相当する、こういうふうに思うわけですが、その中身は一体どういうふうなものが決められることになるのか。議定書では、いわゆる計画された活動の記述はもちろんでございますが、計画された活動の代替案及び当該活動が及ぼすおそれのあるすべての影響検討、いわゆる累積的な環境影響、そういうものも含めて初期の評価書に盛り込むようにというふうに規定をされておりますが、そういったものがこの図書に盛り込まれるというふうに理解をしてよろしいわけですか。
  70. 澤村宏

    澤村政府委員 議定書には記載項目というものも示されております。そういうものを受けまして、今後技術指針ということを定めまして、そういう中で、先生今御指摘のようなことを実現していく、そのように考えております。
  71. 桑原豊

    桑原委員 私は、そういうものが実際的に盛り込まれるならば、内容的に連動いたしますので、それはそれでいいといいますか当然だというふうに思うのですが、ただ、やはりそういったことを申請者に求めるということになりますと、ある意味では大きな責任であるとか義務というものを申請者に課するものであるわけですから、そういったものを技術的な指針に回すのではなしに、できれば法案の中に明文化をしてはっきり示していく、議定書のようにはっきり示していくことが必要なのではなかろうかというふうに思うので、何でも技術的な指針というようなのは少しどうかなというふうに思うのですが、その点どうでしょうか。
  72. 澤村宏

    澤村政府委員 確かに、そういう御指摘もあろうかとは思いますが、これまでのところの経験によりますと、例えば、英国外務省等におきまして、南極地域におきます活動環境影響評価ガイドラインというようなものが出されております。そして、これまでに各国がいろいろな形でもって、そういう事業を認めるに当たっての事例が既に積み上げられているわけでございます。南極におきましてはまだまだわからない要素もたくさんあるわけでございますので、それを一義的に、そのすべてを記載するということもなかなか難しい要素があります。  そういうことで、この議定書発効いたしますと、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな情報交換というものがなされる、そういう中で、具体的な事例についてもよりわかりやすいものになってくるのではないか、そのように考えております。
  73. 桑原豊

    桑原委員 はい。  それでは次に、廃棄物としての放射性物質についてお伺いをいたします。  議定書では、その附属書の何番目でしたでしょうか、廃棄物としての放射性物質は当該廃棄物の発生者が南極条約地域から除去するというような処理の仕方になっております。しかし、この法案では、この放射性廃棄物については本法案の適用除外、こういうふうになっておるわけですが、それはどうしてですか。
  74. 澤村宏

    澤村政府委員 放射性の物質につきましては、原子力基本法中心といたします体系でその規制を行っているところでございます。環境本法第十三条におきまして、汚染の防止のための措置は、原子力基本法その他の関係法律で定めるところによるものとされているところから、本法案におきましても適用除外としたものでございます。
  75. 桑原豊

    桑原委員 そうなりますと、放射性廃棄物、放射性の物質につきましては、例えば、科学技術庁の所管をする原子炉等規制法でそれらが規制をされるというふうに思いますが、科学技術庁にお伺いしたいのですけれども、現在、そういった形で規制を受けながら、科学技術庁の所管の中で、いかなるそういう物質が南極に存在をするのか、そのことについてどう把握されておるのか、お伺いしたいと思います。
  76. 森田健二

    ○森田説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のとおり、科学技術庁におきましては、原子炉等規制法、それから放射線障害防止法、いずれも略称でございますが、この両法におきまして、核燃料物質ですとか放射性同位元素、一般にラジオアイソトープというふうに言っておりますが、こういうものの取り扱いについて規制をしてございます。これは、日本人が公海の上またこの南極地域等で行う場合につきましても同様に規制されるものでございますが、現在のところ、こうした放射性物質につきまして、南極地域で使うということに関する許認可等は受けたものはございません。  以上でございます。
  77. 桑原豊

    桑原委員 科技庁の所管に係るそういった放射性の廃棄物というものは現在は存在しないということだと思うのですが、将来的にそうしたものが出てくるというようなことになった場合には、そういった法の適用をすることによって議定書附属文書などに定めている処理の仕方が確実に担保さ れる、こういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  78. 森田健二

    ○森田説明員 御説明申し上げます。  先ほど御説明しました法制度におきましては、例えば、その使用の場所でありますとか使い終わった後の放射性同位元素等の管理の仕方等も規定してございます。  したがいまして、一般的に、ほうり出すといったようなことはあり得ないということでやってございますが、さらに確実にその南極地域から撤去するというふうなことにつきましては、許可に当たりまして、その使用上の条件を付するということがございます。この中に、御指摘のように、放射性廃棄物等を南極地域から除去することといったような条件を付してこれを許可するということで考えてございます。
  79. 桑原豊

    桑原委員 はい、わかりました。  それから、今、科技庁の所管にかかわるものについてのお話がございましたが、それに限らず、放射性廃棄物はいろいろなものが想定をされるのではないかと思います。例えば医療用の放射性物質、そういうものもこれからは出てくるのではないかというふうに思いますし、またそれ以外のものも想定をされるわけです。これは、全体を統括をされておいでる外務省さんに少しお聞きをしたいのですが、それ以外の想定をされる放射性廃棄物の除去についても、今ある国内法を適用することによって、議定書附属書のそういった除去、処理というものがきちっと担保されるというふうに理解をしておいでるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  80. 津曲俊英

    津曲説明員 先生指摘の放射性物質に関する担保でございますけれども、これまでお話のございましたもの以外で、医療用の放射性物質、それから実験用アイソトープなどが考えられると思います。  まず、放射性医薬品に係ります放射性廃棄物につきましては、放射線障害防止法によって規律はされておりませんけれども、これらの放射性医薬品は半減期が短く、通常は、医療施設における診断、治療計画に基づいて、製造所において診断、治療の数時間前に製造され、航空機等によって速やかに医療施設に輸送され、使用されるものだということでございまして、したがいまして、この放射性医薬品に係る特殊性にかんがみますと、そもそも、私どもとしまして、南極地域に若いてこの医療用の放射性物質というのは使用されることは想定してございません。  それから、実験用のアイソトープにつきましては、南極条約地域において放射性物質を取り扱う事業等の許可などに際しまして、同地域において発生した放射性廃棄物について、その地域より一定期間のうちに除去する旨の条件を付すなどによりまして担保できるものと考えております。
  81. 桑原豊

    桑原委員 今、放射性廃棄物一つとっての質問であったのですけれども、物によってかようにそれぞれ適用法律が別だということで、これを除去する場合に大変ややこしい話になると私は思うので、むしろ、南極問題、南極環境保護、そういったことはもう一元的に環境庁がやるのだというような方が、きちっとわかりやすくて、また責任体制がはっきりすると私は思うのです。環境本法でそのように定めてあるからというような理屈もわからなくはございませんけれども南極環境保護というような責任ある、そういう保護という立場からすれば、むしろこの法律の中で適用除外をせずに除去する、こういうようなことにした方がいいのではないかと思いますので、私の意見として申し上げておきたいと思います。  最後に、もう時間もございません、先ほども質問がございましたが、南極といえばオゾンホール、そして日本がそのオゾンホール昭和基地で最初に発見をした、こういうようないわく因縁もございます。  そういう意味では、オゾンホールの原因物質が南極から発生するということではございませんで、南極地球の一番感じゃすいセンサーとしての役割を果たしているからそういうことになるわけでございます。日本として、フロンの規制が当初順調に進んだのが少し今壁にぶつかって、なかなか期待されたような回収や破壊の処理が進んでいないように見受けられるわけですけれども、どんな問題点があって、どこにネックがあってそこに力を注いでいきたいのだということをもう一度わかりやすく説明をしていただきたいと思いますし、あわせて私は、このオゾン層保護法の改正なども視野に入れていく必要があるのではないかな、こんなふうな気もいたしておりますので、その点についての御見解をお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。
  82. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 フロン対策についてお答えを申し上げます。  環境庁におきましては、これまでもフロン等の回収・破壊を促進しなければならないということで、フロン回収促進のための関係者を対象にいたしましたセミナーを支援する事業でありますとか、あるいはフロンを破壊処理するためのガイドラインを公表したり、また破壊モデル事業実施してきたところでございます。  しかしながら、先ほど松崎委員の御質疑にお答え申し上げましたように、フロン等の回収の状況から見てみますと、市町村における取り組みは比較的進んでおりますけれども、業界における取り組みが余り進んでいないという問題がございます。そういうことで、全体としてはまだまだ十分な状況とは言えないということでございまして、私ども、今後とも一層の努力をしなければならないという認識に立っております。  そういうことで、環境庁といたしましては、関係十八省庁から成るオゾン層保護対策推進会議におきまして、回収・破壊のための仕組みづくり等、今後のフロン等の回収・破壊の一層の促進方策のあり方につきまして現在検討を進めてきているところでございまして、その結果を踏まえまして実効ある対策を今後展開してまいりたい、そのように考えております。
  83. 桑原豊

    桑原委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  84. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 藤木洋子さん。
  85. 藤木洋子

    ○藤木委員 法案審議に先立ちまして、緊急な問題として、先ほど来同僚議員も取り上げております、諌早湾の干拓事業で湾奥部が締め切られた問題について、最初にお伺いをしたいと思います。  最初にお伺いしたいと思いますのは、農水省が設置をいたしました学者、専門家による諌早湾防災対策検討委員会が一九八三年に中間報告を行いました。これが今日の干拓事業を決定する基本となったものでございます。ところが、この中間報告はなぜか要約しか発表されておりません。全文が公表されておりませんでした。要約では全く触れられていなくて、故意に隠されていたものが実はこの全文に書かれているという問題です。  それは、干拓ができても洪水時には背後地の旧干拓地で広範な浸水被害が起こると想定されていたことです。これは、干拓事業の防災効果を強調してきたことが実は全くでたらめだったということになります。  そこで、大臣はこの中間報告をごらんになられたのかどうか、見ていらっしゃらないとすれば、これだけ重大な情報を公開もせずに水門の締め切りを強行した農水省の態度は断じて許すわけにいかないと思うのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  86. 石井道子

    石井国務大臣 ただいまお話のございました農水省が出されました昭和五十八年の諌早湾防災対策検討委員会の中間報告につきましては、詳細には読んでいないのでございますが、これは防災効果の確保の観点、そして漁業の振興の観点から締め切り面積について検討されたものと承知をしているところでございます。
  87. 藤木洋子

    ○藤木委員 大臣がごらんになりましたのも、やはりその要約でしがなかったということでございます。私は、それを許せないと思うのですね。大臣が許せないというわけではございませんで、委員会の報告が正しく行われなかったということが 許せないと思うわけです。干拓ができても浸水被害が起こる、こういう重大な報告を故意に隠したままで水門の締め切りを強行する、こういうことは許すわけにいかない。  そこで、環境庁は、問題の全容をつかまないで干拓事業を容認すべきではないと思うのです。大臣は、環境の保全に責任を持つ閣僚として、中間報告の公開を求めていただきたい。干拓事業によって広範な浸水被害が起こるというのであれば、干拓事業の見直しを求めるべきだと思うのですが、その点いかがでございましょうか。
  88. 石井道子

    石井国務大臣 その問題につきましては、所管が違いますので申し上げられませんが、この中間報告につきましては、環境面から検討されているものではなくて、既にこの事業について環境庁としては昭和六十三年と平成四年に必要な意見を述べてきたところでございますので、現状ではそのような認識のもとに当たっているところでございます。
  89. 藤木洋子

    ○藤木委員 先ほど来のお答えの中にもあったのですが、これまで環境庁は二度の意見書で、干潟の水質のモニタリングをやって、そして水質が悪化するなら必要な措置をとれ、そういうことを農水省に要請してこられたのは確かでございます。最近では、三月に水質保全対策を求める要請を農水省と県に対して行ったということも聞いております。  水門が締められまして一カ月が過ぎ、堤防内の干潟は乾燥が進んで、貝類やカニ類の腐臭が漂い始めていると伺っております。調整池も淡水化で生態系の変化が起き、有機物による水質の悪化も進んでまいります。  環境庁は、内水面の水質保全と生態系の保全という観点からも、必要な措置などという程度の抽象的な要請ではなくて、水門をあけるという具体的な要請を農水省にすべきではないでしょうか。私は、大臣の英断を強くお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  90. 石井道子

    石井国務大臣 この問題につきましては、先ほど来申し上げてまいりましたように大変長い経緯があるわけでございまして、この事業については、事業者及び県に対して環境庁としていろいろと注文もつけてまいったところでございまして、締め切り前の状況については、支障がないというような報告も受けてまいりました。  そして、現在は水門が閉じられているということになりまして、それによって環境が変わってきているという実情があるやに聞いているわけでございますし、悪臭の問題とか、あるいは水質の問題でございますとか、そういう点についてはその後の環境の状況を的確に把握していかなければならないというふうに考えているところでございます。そのことについて、現場に対して一層の配慮をするように、そして現状を把握できるようにということで今いろいろと努力をしているところでございます。
  91. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本でも有数な干潟である諌早湾の干潟、これすら守れないようでは、南極環境など到底守ることができないのではないかと極めて心配するところです。今すぐでも水門を上げ、死にかけている諌早湾の干潟を守る必要があると思うのです。  大臣は、危機に瀕している諫早湾干潟と干拓事業の問題の全容をつかむためにも、至急現地をみずから訪れていただくように要望したいと思うわけです。いろいろと御指示をされているということは伺いましたけれども、どうかみずから足を運んで一度見ていただきたい、そのことを強くお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  92. 石井道子

    石井国務大臣 今のところは現状の把握に努めているところでございまして、直ちに視察をするということは考えておりません。
  93. 藤木洋子

    ○藤木委員 極めて残念なお答えでございます。ぜひお越しいただきたいということを重ねて強く御要望申し上げたいと思います。  それでは、南極環境保護法案に関連した問題を伺ってまいります。  南極条約議定書の附属書のIIIの廃棄物の処分及び廃棄物の管理の中で、ポリ塩化ビニールなどの廃棄物南極条約地域から焼却処分をせずに除去し、使用の抑制、管理を厳しくしておりますけれども、当然、南極条約地域の環境、生態系などに悪影響を与えるので、厳しく規定していると思います。  それでは、ポリ塩化ビニールなどの廃棄物につきまして、廃棄物処理法などの国内法律では、焼却処分、使用の抑制、管理など、どのような規定になっているのか、厚生省にお伺いをしたいと思います。
  94. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  そもそも南極におきましては、環境への影響を回避するために、原則として廃棄物処理は行わず、自国に持ち帰って適正に処理するという理念に基づいているため、南極におきましてはプラスチックの焼却等の処理は行われないこととなっていると聞いております。  廃棄物処理法につきましては、南極から持ち帰ったものも含めまして、他の廃棄物と同様に、八百度以上の燃焼等衛生的な処理が行われることとなっております。しかし、特に塩化ビニールの焼却は禁止していない、こういう形になっております。
  95. 藤木洋子

    ○藤木委員 結局、国内法では何らの規制措置もないわけですね。ポリ塩化ビニールなど塩素系のプラスチックも含めて、使用の抑制や管理もなく、全部焼却をしてまいりました。しかし、このポリ塩化ビニールなどは、焼却によるダイオキシン発生の源になっていることはよく知られているところです。ダイオキシン汚染実態から、当面、附属書Ⅲで規定されているように、少なくともポリ塩化ビニールなどの使用は抑制をし、排出物は焼却せずに徹底して分別収集する、このことが求められていると思うのですけれども、厚生省のお考えはいかがでございましょうか。
  96. 三本木徹

    ○三本木説明員 お尋ねのごみ焼却施設で焼却されますごみの種類とダイオキシン発生との因果関係といいますのは、今現在明らかでない部分もかなり多いわけでございます。  塩化ビニール類も含めまして、プラスチック類すべてを除去した場合でありましても、ごみの中にはダイオキシン類の生成に十分な塩素が存在しております。そういったことから、塩化ビニール類を分別収集し、焼却しないということにいたしましても、その効果というのは必ずしも明確ではございません。  また、塩化ビニールを含むごみを焼却いたしましても、高温での完全燃焼など必要な対策を講じますれば、ダイオキシン類の排出濃度は十分に削減することが可能でございます。  したがいまして、ダイオキシン対策としては、必ずしも分別収集する必要はないのではないかと考えております。  しかしながら、容器包装リサイクル法でございますが、これに基づきまして、塩化ビニールを含めたプラスチック類の容器包装については、平成十二年度から分別収集を開始することとなっております。今後は、多くの自治体におきまして、他のごみと分別して適正なリサイクルを進めていくことになるというふうに考えているところでございます。
  97. 藤木洋子

    ○藤木委員 因果関係がわからないから焼いてもいいということではないと思うのですね。  実際、厚生省も去年の十月に、ごみの焼却施設排ガス中のダイオキシン類濃度についての全国調査実施しておられます。これによりますと、報告がございました千百五十施設のうち、緊急対策の判断基準である八十ナノグラムを超えた施設は七十二施設あったとのことでございます。そして、この最高値は九百九十ナノグラムと、判断基準の十二倍を超えておりました。  実はこの最高値の施設は、私の地元兵庫県の千種町というところにございます宍粟環境美化センターの焼却炉から出たものでございます。私も早速聞いてまいりましたけれども、炉内の一酸化炭素濃度が極めて高く、焼却時の不完全燃焼がダイオキシンを生成させた可能性が高い、このように 言っておりました。同センターの副管理者の波賀町長は、場合によっては塩化ビニールなど発生源の分別収集など住民の協力を求めたい、こういう話をしておりました。  ところが、この焼却施設には焼却炉が二基ございますが、二号焼却炉は百八十ナノグラム、一号焼却炉が何と一千八百ナノグラムでございました。確かに平均をいたしますと九百九十ナノグラムになることはなるわけです。しかし、実態は一千八百ナノグラムも排出していたわけです。  同センター以外で兵庫の施設のような平均値しか出していない施設はほかにもあるのでしょうか。もしあるといたしましたら、どのような数値になっているのか、明らかにしていただきたいと思いますが、厚生省にお答えをお願いいたします。
  98. 三本木徹

    ○三本木説明員 私ども千百五十カ所の施設について公表したわけでございますが、昨年の夏に通知をいたしたわけでございますが、それでは、各焼却炉、複数炉を持っている焼却施設がございます。これは通常は一体的に管理をされておりまして、一本の煙突から煙が出されるという形になっておりますので、サンプリング等々の関係から、もし各炉についてやっていればそれぞれを平均して出していただきたい、報告をしていただきたい、こういうことでやっております。施設によりましては、煙突の段階でサンプリングをいたしますので、複数の焼却炉のそれぞれが混合した状態でのサンプリング結果、測定結果、こういうふうになっているわけでございます。  現在、残念ながらその個々の焼却炉の炉自体のデータはちょっと私ども持ち合わせておりませんので、今のようなケースがどの程度あるのかをこの場では御返答申し上げることができないことを御理解いただきたいと思います。
  99. 藤木洋子

    ○藤木委員 初めての調査ではございますけれども、それにしても極めて不十分で、実態を正確に把握しているとはとても思えません。直ちに改善をしていただくことが大切ではないでしょうか。  同センターは、ごみ焼却の方法が悪かったのではないかと、施工メーカーの三井造船の職員を呼びまして運転をしてもらいましたり、焼却炉の操業時間を倍にするなどの措置をもしたわけですけれども、それにもかかわりませず、二月の調査では平均で二百十ナノグラムが検出されました。そこで、同センターは改良が完了するまで焼却の操業を停止することにいたしました。読売新聞調査によりますと、四月末現在で十六施設が休廃止になっておりましたが、この報道は間違いでないのでしょうか。それも後でお答えをいただきたいと思います。  また、同センターのように、再度の調査結果で操業の停止などの措置をとった施設はどのぐらいございますでしょうか、明らかにしていただきたいと思いますが、厚生省どうでしょう。
  100. 三本木徹

    ○三本木説明員 読売新聞の報道につきましては、私どもその正確な状況を把握できていないわけでございますけれども、現在私どもが承知しておりますのは、七十二の施設が八十ナノグラムを超えておりまして、一部のものについては既に休廃止を予定する、こういうふうなことを聞いております。その数が把握できておりますのは三カ所でございます。  なお、現在、各市町村におけるこれらの施設の対策の実施状況、それと今後の予定につきまして、都道府県を通じて確認を行っているところでございます。できるだけ近日中に取りまとめまして、さらに休廃止の予定についても現在調査を進めさせていただいておるところでございます。
  101. 藤木洋子

    ○藤木委員 地方自治体は真剣に対応するために今取り組んでいるわけですから、本当にできるだけ早く、早急に正しく実態をつかんでいただきたいと思います。  埼玉県の朝霞市の市クリーンセンターでございますけれども、ここの焼却炉からは二百七十ナノグラムのダイオキシンが検出され、同市は、この焼却炉を使用中止にし、もう一基の焼却炉を二十四時間連続運転をするとしております。同市は、使用中止にする理由といたしまして、炉を直してダイオキシンを低くしようとしても莫大な経費がかかり、人体に与える影響を考えると使用中止を決めたとしております。確かに、兵庫の施設も厚生省のガイドラインに従って改良いたしますと二十億円程度の費用がかかることになるわけです。地方の負担は極めて大きいわけですね。  そこで、当然、焼却炉の改善については大幅な国の助成が必要だと考えるのですが、補助率の引き上げや改善のための補助金の増額、こういったことをお考えになっていらっしゃるのかどうか、厚生省に重ねてお伺いをいたします。
  102. 三本木徹

    ○三本木説明員 ごみ焼却施設の改造事業につきましては、廃棄物処理施設整備費国庫補助金の対象としているところでございます。これらのダイオキシン対策は大変重要かつ緊急に行わなければならない、こういう観点に立ちまして、この補助制度のもとで優先的に国庫補助の対象とすることといたしております。  先生指摘廃棄物処理施設整備費国庫補助金のいわば補助率でございますが、一般的な地域では四分の一、それから特別の地域では二分の一という補助率で実施しているところでございます。
  103. 藤木洋子

    ○藤木委員 やはり補助率の引き上げをぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  しかし、もう一つの問題は、そもそもプラントメーカーの専門の職員が運転しましても、ガイドラインに従って操業時間を倍にしてみても、ダイオキシン濃度が判断基準を下回らない、二十億円をかけて改良しなければ使用できない。これは、プラントそれ自体に構造的欠陥があるということになりますし、当然プラントメーカーの責任は免れないと思います。しかも、その標準仕様を指示されたのは国でございますから、その国の責任もまた問われなければならないと思うわけです。そうした意味からいっても、地方に負担を押しつけるというのはいかがなものか、国の責任を果たすべきだと思うわけです。  さらに、プラントメーカーと国の責任ということで申しますと、プラント価格の高騰を野放しにしているという問題があると思うのです。廃棄物年鑑を見てみますと、九四年度のプラントの一トン当たりの建設単価が一千八百十六万六千円、これに対しまして、実勢価格が実に五千六百四万五千円と、三・〇九倍にもなっているという問題です。また、九〇年度を基準にいたしまして九四年度の伸びを比較してみますと、建設単価が七%しか増額しておりませんのに、実勢価格は五〇%も急増しております。このプラントメーカーの便乗価格とも言えるような実勢価格が自治体に押しつけられているのではないでしょうか。厚生省は、この実態調査して適正な価格を指導し、自治体の超過負担を軽減すべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  104. 三本木徹

    ○三本木説明員 先生御案内かと思いますが、このごみ焼却施設の整備事業実施主体、すなわちごみ処理の事務というのは市町村の固有事務という形で行われているわけでございます。したがいまして、この施設建設につきましても、市町村の固有事務の範囲内で、範囲というか、それを前提にいたしまして建設というものが行われる、事業実施主体が市町村として建設事業が行われることになるわけでございます。  しかし、確かに先生指摘のように、国庫補助制度との関係がございますので、実は、平成二年度から五年度にかけましてごみ焼却施設の建設単価の高騰が見られたというのは事実でございますが、平成五年度にこの事業費の高騰抑制を図るために御指摘の標準事業費を国として設定をいたしまして、これを参考に事業実施をしていただきたいという旨の市町村への指示をしているところでございます。平成六年度以降につきましては、建設単価の高騰には一定の歯どめがかかり、実勢単価が低減したということでございます。  なお、このように、廃棄物処理施設整備費につきましてはこれまでも工事費用の縮減について積極的に取り組んできておりますけれども、さらにこの四月二十二日に策定いたしました廃棄物処理 施設整備事業の費用縮減行動計画、これを厚生省として定めております。これに基づきまして標準的な施設仕様についての検討会を設置することといたしております。それによりまして、費用縮減の観点を含めこの設備仕様等についての見直しを行うこととしているところでございます。
  105. 藤木洋子

    ○藤木委員 確かに、直近のものは本当にわずか減っておりますが、それはその一年前に逆戻りをしたという程度にしかすぎません。今おっしゃるような仕組みになっているからこそ地方自治体はプラントメーカーの言いなりなんですよね。もう職員まで呼んできて教えてもらわなければ使えない、こんな状況ですから、言うならプラントメーカーの言いなりにならざるを得ない。そこのところをしっかり考えていただいて、メーカーには気兼ねをせずに指導をしていただきたいと思います。  少なくとも、ガイドラインで実施が求められている年一回のダイオキシン検査、これは国が助成することを検討すべきではないでしょうか。これも一検体についてかなりの費用がかかるわけですが、その点、厚生省いかがですか。
  106. 三本木徹

    ○三本木説明員 御指摘のように、このダイオキシンの分析費用、かなり高額なものになっております。しかし、現在、ダイオキシンの測定については、ごみ焼却施設の維持管理の一環、すなわち、これは市町村に責任があるという形で、そういう体系のもとで行われているものですので、そういう意味では施設の設置、管理を行う市町村において負担すべきものではないかと考えております。なお、その分析の、もう少し簡単なといいましょうか簡易なといいましょうか、あるいはコストの安い分析方法がないものかということを現在私ども検討を開始しているところでございます。
  107. 藤木洋子

    ○藤木委員 ガイドラインでは、ダイオキシン排出削減対策の効果の見込みを三期に区切りまして二十年計画を立てて、そこでほぼ一〇〇%達成するという目標を掲げていられるわけですよね。これは、実効を上げようと思えば、具体的な手だてをどうしてもとらなければならないと思います。今お考えの方法もその一つでしょうけれども、それができますまではぜひ補助をしていただきたい、助成策を検討していただきたいと思います。  さらに、問題なのは、少なくとも一般廃棄物処理施設にはガイドラインによる行政指導が行われていますけれども、一般廃棄物の約四・二倍の量が中間処理されている産業廃棄物処理施設につきましては、何らの指導もございません。排出実態もつかんでいないということが問題だと思います。埼玉県の所沢市周辺では、環境庁の土壌推定濃度二十ピコグラムの数倍に当たる百三十ピコグラムのダイオキシンが検出をされ、全国で初めてダイオキシン規制条例を制定しているところです。  環境庁のダイオキシン排出抑制対策検討会の最終報告書では、産業廃棄物の焼却施設も大気汚染防止法の指定物質排出施設に指定することが適当、このようにしております。国は、国民の健康と環境を守るという立場に立ちまして、産業廃棄物処理施設についても、その実態調査し、焼却の基準、焼却炉の構造、維持管理の規則などの規制をすべきだと思いますが、これは厚生省、環境庁のそれぞれにお答えをいただきたいと思います。
  108. 三本木徹

    ○三本木説明員 産業廃棄物の焼却量でございますが、これは家庭から出てくるごみの焼却量に比べますとおよそ一割から二割の間ぐらいではないか、全体の量でございますが。焼却量としてはその程度ではないかというふうに思っておりますが、排出量ベースでいきますと、一般廃棄物およそ数千万トンに対して七、八倍ということになっているかと思います。  そこで、厚生省といたしましては、これら一般廃棄物、産業廃棄物を問わず、この焼却炉に伴うダイオキシン対策については排出削減のための対策を講ずるということが必要であると考えているところでございます。このために、産業廃棄物処理施設も含めまして、廃棄物処理法に基づく施設の構造基準あるいは維持管理基準の見直しあるいは強化が必要であろうと考えておりまして、現在その基準の強化をするために専門家による検討を行っているところでございます。これによりまして法的規制が図られる、こういうことで作業を進めているところでございます。
  109. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 私どもといたしましては、大気保全の立場から、当然、産業廃棄物焼却施設も含めまして対応を図らなければならないということでございますが、先刻出されました排出抑制対策検討会の報告につきましては、ダイオキシン類の排出実態環境中における推移などの科学的な知見現状では必ずしも十分ではないということで、健康影響の未然防止の観点に立って、科学的知見の充実を図りながら、実施可能な対策を着実に推進することが重要とされておるところでございます。  私ども、そのような観点から、ダイオキシン類を大気汚染防止法に基づく指定物質として指定し、廃棄物焼却炉につきましても排出抑制対策の推進を図ってまいりたいと思っておりますが、具体的な方法につきましては、現在、中央環境審議会の大気部会におきまして御審議をいただいているところでございます。環境庁といたしましては、答申をいただいた上で、速やかに所要の制度改正等に取り組みたいと考えております。
  110. 藤木洋子

    ○藤木委員 環境庁は、ダイオキシン排出抑制対策検討会の最終報告書に基づいて中央環境審議会で審議をしていて、今、時期はおっしゃいませんでしたけれども、たしかことしの夏にも、こういうふうに伺っております。大気汚染防止法の指定物質に指定をして排出抑制基準を設定する、こういった対策を推進することというふうにしているわけです。しかし、この規定には罰則規定はないわけですね。ダイオキシン類を測定する体制も随分おくれておりまして、とても十分効果が上がるかどうか疑問視されているところです。  この制度では、施行後三年目を目途として検討を加えるというふうになっていますので、早急に排出基準の設定など、思い切ってダイオキシン規制強化に踏み切っていただかなければならないのじゃないかというふうに考えますけれども、その点は大臣にお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
  111. 石井道子

    石井国務大臣 ダイオキシン対策につきましては、緊急を要する問題であると思います。ダイオキシンなどの有害大気汚染物質対策につきましては、科学的知見が十分でないということで、対策の実施が手おくれになってしまうということもあってはならないことでございますが、環境庁としては、科学的知見の充実を図りながら、実施可能な施策を早急に着実に実施できるように、そして、その成果等を踏まえて制度の充実を図ってまいりたいと思っております。
  112. 藤木洋子

    ○藤木委員 環境庁の方は夏にもと言っておりますし、厚生省の方は秋にもということで、少し時間のずれがあるのですけれども、これを夏の方に足並みをそろえていただきまして、今大臣が決意を述べられましたけれども、本当に実行可能な措置がとられますように、全力を挙げて取り組んでいただきますことを重ねてお願いをさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  113. 佐藤謙一郎

  114. 秋葉忠利

    秋葉委員 南極環境についての条約国内法整備ということで今回の法案提出されているわけですが、さまざまな環境関連の条約についての国内法整備、今までにも行われてまいりました。その中でも、やはり私は、今回の法案について審議するに当たっても、環境庁としてこれまでどういった実績があるのか、その点をきちんと整理する必要があると思います。  その観点から何点か質問したいのですが、私は環境庁の応援団を、ここにいる環境委員の皆さん恐らく同じだと思いますが、応援団であることを自任いたしております。できるだけ環境庁に頑張ってもらっていい環境をつくっていきたい、後世に残していきたい、そのためにもつともっと環 境庁に頑張っていただきたいと思っているのですが、歯がゆい面もございますので、少し厳し過ぎるところが出てまいりましたら、それは環境庁を応援する余りのフラストレーションだと善意に解釈していただけると大変ありがたいと思います。  その観点から特に私が質問したいのは、昨今問題になっております諌早湾の干潟の問題でございます。ラムサール条約、それから二国間の渡り鳥の保護条約、それから生物多様性の条約、それに関連した種の保存法等、条約国内法が一体になっているべき問題が種々ございますけれども、特にラムサール条約その他の自然環境保護する条約の精神から考えた場合、そして特に環境庁設置法の精神をもとに考えた場合、現在の諌早湾の干潟の問題は非常に重い問題だと思います。  現在のまま、排水樋門というらしいのですけれども、ゲートを締め切ったままですと、この干潟は消滅いたします。この干潟にすんでいるさまざまな種類の生物も当然死滅いたします。環境保全ということが最大の目的である環境庁長官として、こういった状況をどうお考えになっているか、どうお感じになっているか、そこをまず伺いたいと思います。     〔委員長退席、萩山委員長代理着席
  115. 石井道子

    石井国務大臣 諫早湾の問題につきましては、いろいろと御意見があるところでございます。  干潟の問題につきましては、一般論として申し上げれば、干潟というのは鳥類の生息地であるということで、野生生物の保護上重要であるというふうに考えておりますし、さらに、水質を浄化する機能を持っているということで、環境保全上は大変重要なものであると認識をしているところでございます。  ラムサール条約の関連もありましたが、ラムサール条約に基づく湿地の登録に当たりましては、条件としては、国際的に重要な湿地であるということ、そして国設の鳥獣保護区特別保護地区等の地域指定が必要であるということ、また将来にわたって自然環境の保全が図られている場所であって、地元の自治体から登録への賛成が得られているところについて登録をする方針が条件づけられているところでございます。  そのような点で、今までの長い間の諌早湾の干拓事業につきましての経緯を考えて現在に至っているわけではありますけれども、この事業については、環境庁といたしましても、既に環境影響評価が行われていると考えておりまして、既に昭和六十三年と平成四年に意見も申し上げてきたところであります。その中に、調整池のヨシ原等の自然植生の維持とか、また潮受け堤防前面における干潟の再生促進とか、あるいは水質汚濁の防止などについて意見を申し上げてきているところでございまして、今後は、これらの環境庁が申し上げました点について環境保全の対策が確実に実施されるように期待をしているところでございます。
  116. 秋葉忠利

    秋葉委員 私がまだ質問していないところまでお答えをいただきまして、環境庁として、今回の干潟が干上がってしまうことについて、やはり内心じくじたるところがあるからこそ、そういった質問していない点にまでお答えいただいて、環境庁が一生懸命やっているというところを示したい、そういうお気持ちだったのだろうと思います。  その点については結構なのですけれども、ラムサール条約規定する登録簿に登録する手続は今いろいろあるということをおっしゃっていただいたのですが、現在の状況の中でも、今まで登録していないという事実はわかりました。  しかし、今のお答えの中にもありましたように、干潟をつぶしても新しい干潟をつくることが大事なのだということを同時にうたっていらっしゃるわけですから、干潟の重要性を否定されているわけではない。  となると、今後できるかどうかわからない干潟を再生させるという努力をする以前に、今ある干潟を、ゲートをあければ間に合うわけですから、できるだけ早急にこの登録手続を行うという努力を始める。そのためにも、時間が必要ですから、早急に水門を上げる、ゲートを上げるという措置をとることがまず必要ではないかと思うのです。それが、今お答えになったことの中で、どうも最後に、ちょうど干潟から潮が浄化されて出てくることがあるのですが、その美しい水滴のようなものが――その水門をやはりあけたいのだ、ラムサール条約の登録簿にぜひ登録したいのだという、そういうふうに受け取れたのですけれども、今からでも間に合うと思うのです。やっていただけるのでしょうか。
  117. 石井道子

    石井国務大臣 先ほど申し上げましたように、ラムサール条約に登録をするには条件があるわけでございまして、現在干拓計画が実施されておりまして、登録に対する地元の合意がないという点がございますし、また、国内法による湿地保全の担保措置というものも整っていないものですから、今から登録湿地として指定する状況にはないと判断をしているところでございます。
  118. 秋葉忠利

    秋葉委員 登録する状況にないというふうに簡単におっしゃいますが、環境庁長官現地を訪れたことはおありにならないわけですね。
  119. 石井道子

    石井国務大臣 残念ながら、まだございません。
  120. 秋葉忠利

    秋葉委員 この委員会も含めてですが、国会ではさまざまな委員会日本国内現地視察をしたり、高いお金を使って海外にまで視察を行います。それはやはり現地を見ることが大事だというふうに国会で考えている、私たちも考えているというふうに思いますが、現地を訪れるということの重要性国会委員会もそれを認めている。国会そのものも認めている。現地を訪れることの重要性は、そういうふうに証明済みだと思いますが、その点について、環境庁長官、いかがお考えでしょうか。
  121. 石井道子

    石井国務大臣 環境庁といたしましても、この事業についてはいろいろ今まで申し上げてきたところでありますし、現在はまた新しい環境の変化が起こっているというような点からも、現地の状況の把握に努めているところでございまして、今のところ私が現地を視察するという点は考えておりません。
  122. 秋葉忠利

    秋葉委員 現地に行かなくても現状の把握はできるというお考えのようですが、となると、国会の各委員会が海外視察を行うことは廃止すべきであるということを閣議で御提案になりますか。
  123. 石井道子

    石井国務大臣 現状の把握につきましては、事務方、専門家に現地を見ていただくように指示をしているところでございます。
  124. 秋葉忠利

    秋葉委員 どうも現地に行かれることに非常に抵抗を持っていらっしゃるようですが、現地に行くことに関して、何か環境庁長官現地に行くとまずいような事情でもあるのでしょうか。まず見ていただいて、この環境委員会委員長佐藤謙一郎さん、現地に参りました。私も、環境委員長からぜひ行くべきだということを伺って、行ってまいりました。その結果として、現地にはさまざまな意見があるということ、これがよくわかりました。賛成の意見ももちろんございましたし、反対の意見もございました。そういった皆さんの御意見をその場で、そして干潟を自分の目で見るということによって得られた点が非常に多いというふうに私は感じました。  ですから、現地を見るということは、我々は水門を、ゲートを上げるべきだということを言っていますけれども、何もそのことに賛成することでもなければ反対することでもなくて、環境行政の基本である事実をまず把握するということですから、その点からぜひ長官現地を訪れるということ、それをまずやっていただきたいと思うのですが、最低限それを御検討いただけないのでしょうか。
  125. 石井道子

    石井国務大臣 この干拓事業につきましては、長い経緯がございます。そしてその中で、環境庁としてもその立場から環境保全のための意見も申し上げてきたところでございます。  この事業主体は農林水産省そして長崎県でございまして、その事業主体が今後も環境対策に対して十分に配慮をしていただくような、そういう適 切な対策をとっていただくように、今後も要請をしていきたいと思いますし、先ほども申し上げましたように、来週早々にでも専門家を派遣いたしまして、現地を的確に把握をしていただくように努めてまいりたいと思っております。
  126. 秋葉忠利

    秋葉委員 現地視察の件については、またこれからの長官の勇気ある行動を見守っていきたいと思います。  先ほど登録の件について申し上げましたけれども、実はラムサール条約内容は、登録をしていないものについてもきちんと管理をする、保護をする、そういった努力をする必要があるということをきちんと述べております。例えば、第三条の一、第四条の一というようなところがございます。こういったラムサール条約の遵守といった観点から、湿地の保全、これをラムサール条約規定に従って環境庁としてはきちんと全うする義務があるのではないでしょうか。
  127. 澤村宏

    澤村政府委員 環境庁におきましては、ラムサール条約締結後、いろいろな機会に、この条約趣旨等につきまして、国民の皆様あるいは地方公共団体等、関連の皆様方にも説明し、理解を求めてきているところでございます。とりわけ……(秋葉委員「今の点だけ答えてください」と呼ぶ)はい。ただいまの点につきましては、当然、湿地及びその動植物、特に水鳥の保全促進のためのいろいろな措置等を行うということになっております。
  128. 秋葉忠利

    秋葉委員 その保全を行うことになっているんですよね。ところが、ゲートが締まっていると、干潟は今月中いっぱいで死滅する。死滅することが保全することと矛盾するというのをあえて私が申し上げるまでもないと思うんですが、そうすると、その義務を果たしていないということに結論としてはなってしまいます。環境庁が意図する意図しないとにかかわらず、結果として、環境を守るべき環境庁がこれを見捨てたために、ラムサール条約の義務、それ以前の問題として、環境庁ができたその背後にある世界的な大きな目的である環境の保全という目的が達成されなかった、そういう事実ができ上がります。  干潟だけではありません。種の保存に関する法律というのがございますけれども、第三十四条、三十五条、三十六条、こういった中で、生息地並びに希少野生動植物、この保存ということがうたわれておりますし、また、これが環境庁を設置されたその目的でもあるはずですけれども、この諫早湾の干潟に生息している多くの生物が現状のままでは死滅をしてしまう。ということは、この種の保存に関する法律の三十四条、三十五条、三十六条違反であるということを言わざるを得ない。それをどう認識されているんでしょうか。
  129. 澤村宏

    澤村政府委員 保護に当たりましては、種指定をされているものにつきまして保護するということでございますので、その限りにおきまして、その違反、そういうことにはならないと考えております。
  130. 秋葉忠利

    秋葉委員 その指定をするのはだれですか。
  131. 澤村宏

    澤村政府委員 制度上は環境庁長官ということになっております。
  132. 秋葉忠利

    秋葉委員 本当に保全をしたがったら、環境庁の責任において指定をすることができる。その結果として、保護をしなくてはならない義務が生ずる。保護をしてないじゃないかという問題提起に対して、指定がされていないからというふうに答えるのは、まさに絵にかいた官僚答弁であって、自分の責任を放棄するに等しいと言われても仕方がありません。  やる気がないんだったらやる気がないとはっきり言って、環境庁を私は解体すべきだと思いますけれども、しかしながら、皆さんは頑張っていらっしゃるという前提で伺っているわけですから、早速指定する力があるわけですから、この干潟に生息しているさまざまな生物について指定を行った上で保全をすること、それを早急にやる気があるかどうか、もう一度伺いたいと思います。
  133. 澤村宏

    澤村政府委員 先ほど長官の方からも御答弁いたしましたが、この指定等に当たりましては、他の公益との調整ということ、これも重要な要素でございます。そしてそういう中で、とりわけ地元の賛意を得られているということ、これが大変に大きな要素になっているわけでございます。先ほど申し上げましたが、一般論といたしましてそういう努力はやっておるわけでございますが、個々の事例に当たりましては、他の公益との調整、そういったことも重要であるということを申し上げたいと思います。
  134. 秋葉忠利

    秋葉委員 環境庁が設置された主たる目的は、地元との調整を行うことでしょうか。
  135. 澤村宏

    澤村政府委員 自然保護行政を進めるに当たりましては、いろいろな保護区等の制度があるわけでございますが、そういう制度を円滑に進めるためには、やはり、地元の協力ということ、理解と協力、そういったことは大変に大きな要素であると考えております。
  136. 秋葉忠利

    秋葉委員 地元の利害関係については、例えば知事であるとかあるいは市長、その地方自治体の議会等、その利害関係をきちんと代表する地方自治の制度というのは、憲法にも描かれておりますように、そういったシステムをきちんと持っております。  環境庁が設置されたのは、そういった地方自治体の声をまず優先させるということではなくて、何よりも環境を保全するということを最大の優先事項として事に当たるということだと思いますけれども、今のお答えを聞いていると、環境は二の次、三の次になっても地方自治体あるいは他の省庁との調整ができればいい、そんなことでやってきたから、絶滅種がなかなか保護できないというようなことに私はなっているんだと思います。  それでは伺いますけれども、地方自治体との調整をするに当たっても、この問題についてこれほど世論が大きな関心を抱いている時点で、環境庁長官は地方自治体の長と直接ひざを交えて、環境上重要な問題なんだから協力をしてほしいというようなことをおっしゃいましたか。
  137. 石井道子

    石井国務大臣 この事業につきましては長い経過がございますので、私が環境庁長官になりました時点では、そのような地方自治体の長とお話をする機会がまだございません。
  138. 秋葉忠利

    秋葉委員 重要な問題であれば、責任者がもう一方の当事者の責任者と直接に話をする、これはクリントン・橋本会談、日米会談でも通常行われていることですから、今のお答えの中で、調整が大事だ、環境を保全するという目的以上に調整が大事だというようなことをおっしゃっているんですから、当然そのくらいのことはされても私は罰は当たらないと思います。説得をぜひお願いしたいと思います。  そのためにも時間が必要ですけれども、農水省、なぜゲートを上げられないのか。これほどゲートを上げろという声が国会の中でもごうごうと耳をつんざくばかりに大きくなってきておりますし、全国津々浦々、一部の新聞やマスコミを除いて、良識のあるマスコミは、この問題を非常に大きく取り上げております。  この問題について、改めてゲートを上げて、その中で賛成、反対についての事実に基づいたきちんとした議論を、時間を限ってもいいと思います。一年、時間を限るなら限って、きちんと公開された議論をもう一度やり直すべきだと思いますけれども、ゲートを上げられない理由は何なんでしょうか。
  139. 江頭輝

    ○江頭説明員 諌早湾は、御承知のとおり、干満の差が非常に大きく、五ないし六メーター、こういうふうな大きな干満の差を持つ海域でございます。また、その周辺地域は、歴史的に干拓を繰り返しまして、非常に低平な地域になっております。  その潮受け堤防の排水門でございますけれども、これは、外海の潮汐の影響を遮断することによりまして、調整池内の水位を低く保つ、そういうことによりまして、周辺の低平な地域からの排水を改善する。それから、外潮位が高いときに、上流からの洪水を……(秋葉委員「それはつくった理由で、委員長」と呼ぶ)
  140. 萩山教嚴

    ○萩山委員長代理 私語は慎んでください。
  141. 江頭輝

    ○江頭説明員 一時貯留いたしまして、外潮位が降下した段階で安全に放流する、こういう機能を持っているわけです。  このようなことで、既に操作を開始しているところでありますが、五月十三、十四日にも相当な降雨があったわけでございますけれども、排水改善の効果は既に実証されてきている。そういう中で、今後雨季を控えておりますし、防災に対する地元の期待が非常に強い中で水門を開放するということは困難であると考えております。     〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
  142. 秋葉忠利

    秋葉委員 今、長々とお述べになったのは、農水省がこの堰を締めた、あるいはそれ以前に防潮堤をつくった理由であって、上げられない理由とは、これは全く次元の違う問題であります。  事実、四月十四日にこの堰が締められるまでは、人によっては、これはギロチンが落ちたというふうに表現される方もいらっしゃいます。長官、ぜひ聞いていただきたいんですが、現地に行くとギロチンが落ちたという表現がなぜ使われたのか、そのことがよくわかります。ぜひ行っていただきたい、もう一度お願いしたいんです。  それでは伺いますけれども、それ以前、例えば昨年の同時期から四月までの一年の間に、今おっしゃったような防災上の問題が事実どの程度起こったのか。今回の降雨の際の冠水と比較してそれ以上の防災上の問題となるような事実は起こっていたのか、お教えいただきたいと思います。
  143. 江頭輝

    ○江頭説明員 今回の降雨は日雨量で百五十一ミリ、時間雨量に直しますと四十三ミリという二年間に一遍程度の規模の降雨でございました。  そこで、今まで諫早市で湛水する区域というふうにして色を塗っておりましたところがほとんど湛水ということはございませんで、十センチ程度の湛水が小面積あった、このような報告を受けております。
  144. 秋葉忠利

    秋葉委員 過去一年あるいは過去数年でもいいですけれども、それを聞いているので、ゲートを締めたから状況がよくなったとおっしゃいますけれども、過去数年間でもその状況はそんなに変わりていないんですよ。しかも、今冠水の程度が少ないというふうにおっしゃいましたけれども、その部分もポンプを二十四時間稼働して結局排水しているわけですから、事実上それほど変わらない。そういう状況で門を締め切っているという理由は全くありませんということを私は申し上げたいわけです。  あと時間が少々ありますので、南極のこの問題についても関連したことで伺いたいんですけれども、実はこういった問題が生じてきた理由一つは、この工事の始まる以前にも、あるいはそれ以後も十分にこの干潟の状況についての監視を行ってこなかった、十分な現状把握が行われてこなかったというところに一番大きな理由があると思います。.今回のこの南極条約関連の国内法の中で、活動終了後の報告を集める、これは二十一条ですけれども、それから立入検査、二十二条ということが定められております。こういったことによって南極条約違反の事例というものを十分に把握することができるのかどうか疑問に思いますけれども、システム上どういったことによって事実把握ができるのか。さらにまた、責任を追及することができるのか。そのシステムを簡単に御説明いただきたいと思います。
  145. 澤村宏

    澤村政府委員 ただいまのお尋ねは、どうやって監視指導等をしっかりするかということでございますが、まずは現地派遣する職員等による監視、指導のほか、必要に応じまして報告徴収立入検査を行うということが法定されているわけでございます。これらによりまして法律履行状況の把握に努めてまいりたいとまずは考えております。  また、議定書におきましては国際的な監視員による査察も実施されることになっておりまして、環境庁といたしましても、これらと効果的な連携をとることによって適切に法を施行してまいりたいと考えております。
  146. 秋葉忠利

    秋葉委員 先日はこの衆議院では環境アセス法審議をいたしました。その審議の中でも何度となく指摘されたことは、法案として、法案が提起をしているアセスのやり方についていろいろと問題がある。問題があっても環境庁が本当にしっかりとした仕事をするのであれば、そういった問題は余り私たちとしては心配しないでもいいんだ、そういうお答えが環境庁からございました。本当にその言葉を信頼できるのかどうかというのは、例えばこの諫早の干潟において環境庁がどういう行動をとるかにかかっているのではないか、あるいはほかの環境の問題についてごれまで環境庁がどういう仕事をしてきたのかにかかっているのではないかと思います。  さまざまな大事な点で環境庁、頑張ってこられました。この干潟についてもなお一層勇気ある決断を環境庁長官以下皆さんにお願いをいたしまして、アセス法についても、参議院において、そうだ、環境庁に任しておけば大丈夫なんだというような信頼がそこから芽生えて、さらに環境保全の方向で日本社会が大きな一歩を踏み出すようになることを期待し、またお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  147. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 岩國哲人君。
  148. 岩國哲人

    ○岩國委員 岩國哲人でございます。太陽党を代表して、環境庁長官質問させていただきます。  まず最初に、私も、鈴木永二さんを筆頭といたします臨時行革審の専門委員を一年半務めさせていただきました。暮らしの部会、そして国際部会で仕事をさせていただき、多くのことを勉強させていただきました。その中で、我々の提案の中に、環境庁環境省に格上げし、充実すべきだ、こういう意見を添えて報告をしたことがあります。これについて先ほど別の委員の方からもそのような提言といいますか質問がございましたけれども環境庁長官としては、行革という大きな枠組みの中で、しかし行革というのはすべて小さくすればいい、少なくすればいいというような行革ではなくて、行政の効率の切れ味を鋭くしていくということが、そして国民の期待に行政がどうこたえていくかというその新しい体制づくりが私は行革だと思っております。とすれば、環境庁ではなくて環境省に格上げ、充実する、これは海外諸国からの日本環境問題に対するリーダーシップに対する大きな期待があります。それにこたえる意味からも私は環境省に格上げすべきではないか、そのように思います。環境庁長官の御意見を承りたいと思います。
  149. 石井道子

    石井国務大臣 今岩國議員が御指摘のとおり、環境問題は今大変重要な課題でございますし、行革の問題も、やはり新しいニーズにこたえたそういう行革が必要であるというふうに私も考えております。そういう点からいえば、ほかの省庁と一部違いまして、環境庁環境行政というもの、これはまさに新しい課題として、また将来を見越してこれからの人類の存亡にかかわる重要な問題を考え、そして科学的な知見に基づいた政策を進めなければならない、そういう役所でありますし、また、今までの調整官庁ということだけでは十分に力が発揮できないということを私自身も感じてまいりました。ですから、国際社会の中にあって、環境問題を重点に考えて環境省という形で取り組んでいっている国も随分多いわけでございますし、環境庁という名前を使いながら実態環境省に並ぶようなそういう事業を進めている国もあります。  そういう点で日本が決して環境行政に対して先進的な国ではないというような思いもしながら、また、環境アセスメント法案がおくればせながらようやくこの間衆議院で可決をしていただいたわけでございますけれども、そんなような状況を踏まえてできるだけ、これからの日本にとって環境行政は大変重要であるということで、環境省という形でさらに環境行政を充実していかなければならない、そういうふうな思いでいろいろとこの間申し上げたところでございます。
  150. 岩國哲人

    ○岩國委員 長官の前向きな御答弁を了としたいと思います。ぜひ、この行革という大きなあらし  の中でたった一つ例外として、充実し、拡大し、あるいは格上げが実現したのは環境省だったと言えるような成果を引き出すように、長官も閣議で大いに頑張っていただきたいと思います。  また、そのような方向でお考えであればなおさらですけれども、私は、この二十一世紀の国際協調の一番大きな問題は、戦争とかあるいは飢えの問題も大切ですけれども、より大切なことはこの地球環境の問題ではないかと思います。日本には技術があり、知識があり、経験があり、資金があり、そして人材が育っている、そういったすべてのものをもってこの地球環境に取り組めるのは日本である、そういう自負を持つ時期が来ておると一私は思います。  ならば、国際連合、国連の中で、今安全保障理事会というのがあります。日本はその常任理事国に立候補しようという愚かな考えを持っておりますけれども、平和を破壊しようとする人との戦いが安保理事会であります。私は、地球破壊との戦いというのは、場所は安保理事会ではなく、当然のことながら環境保全理事会、安保ではなく環保の時代に今来ているのではないかと思います。  既に一部の新聞等でも報じられておりますけれども、このように、国連に環境保全理事会を設けるべきであるという考えに対して長官はどういうお考えをお持ちですか。
  151. 石井道子

    石井国務大臣 実は、ことしは国連の環境特別総会が六月に開かれるわけでございますが、その他、十二月には地球温暖化防止京都会議も開かれるということがありまして、国際社会の中でかなり環境問題に対する関心も高まり、世界を挙げて取り組まなければならないという機運が高まってきているというふうにも感じているところでもございます。できるだけそのような手続、また実績を踏みながら、国連の中にあっての扱いについては今後十分に検討していくべきであろうというふうに考えております。
  152. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございます。  日米安保の問題に若干触れますと、このような日本が、他国の戦力によって守られているという国が、安保理事会の常任理事国に立候補するという時期ではないと私は思っております。自分のことは自分できちっとできない国がよその国の安全保障にいろいろとお世話をする、それを小さな親切大きなお世話と日本語では言います。  そういうことはさておきまして、環境保全理事会を国連の中でつくっていこうということについては、環境庁長官として折を見て、できるだけ数多くの国際会議でも日本にそういう構想があるということを、そして日本が二十一世紀地球環境の保全のためにより多くの責任を果たす、それがある意味では私は世界全体の安全保障につながっていくのではないかという気もいたしますので、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  次に、質問の視点を変えまして、こうした南極環境保全という観点からいいますと、南極の地図というのは極端に言いますと時々刻々変化するわけです。高さも変化し、大きさも変化し、そして気温も変化する。普通のこの辺の地図といえば二十年、三十年変わらないということは多いわけですけれども、今、建設省あるいは国土地理院等でその準備が進められております地球地図、これは九四年十一月に、島根県の出雲市で、十五カ国の国の代表が集まって出雲宣言が採択されました。この出雲宣言に基づいて今準備が進められておりますけれども、こうした南極条約における環境保護において、環境庁長官としてはこの地球地図というものをどのように認識しておられるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  153. 石井道子

    石井国務大臣 国際的な協力によって地球地図を整備しようという構想の背景としては、地球環境の変動の監視をすることとか、環境解析に有効な情報を正確な形で共有することが求められているからだというふうにも認識をしているところでございます。  南極地域環境保護を進めるに当たりましては、科学的知見の的確な活用が不可欠と考えておりまして、地球地図の情報を初めといたしまして各国の情報を積極的に活用しながら、今後さらに南極地域環境に関する最新の科学的知見の収集そして把握に努めていかなければならないと考えているところでございます。
  154. 岩國哲人

    ○岩國委員 京都で国際環境会議が開かれますけれども、ぜひそういった席でも、日本がそのような点において資金的にもあるいは人材的にも前向きに大きな責任をとりつつあるということを各国にも御説明いただきたいと思いますし、またその国際会議の席上でも、こうした地球地図の作成が促進されるような動きをしていただきたいと思います。  なお、建設省の代表の方もいらっしゃると思いますけれども、十二月の京都国際会議までにどの程度成果として発表できるのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  155. 宮田年耕

    ○宮田説明員 地球地図につきましては、先生お話しのように、一九九四年に出雲市で宣言をいただきまして、その後、十三カ国の関係者によりまして地球地図の国際運営委員会が設置されております。そこの中で推進活動を今展開しているところでございまして、その一環として、国連におきましても地球地図の重要性を認識していただいて、昨年の十一月にアメリカのサンタバーバラで、開発援助行政管理局主催によりまして地球地図国際セミナーが開催されたところであります。  そういう動きと連動いたしまして、私ども建設省といたしましても地球地図の構想実現に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
  156. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございました。ぜひその努力のペースを緩めることなく、そうした成果が次々と国際会議で発表できるように御努力いただきたいと思います。  そうした国際協調、あるいは我が国環境問題における国際協力あるいは国際貢献が進む中で、残念ながら、最近、我が国のいろいろな立法化がおくれているという批判も聞いております。  例えば、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、いわゆるワシントン条約ですけれども、これは一九七三年に提案されて、それから七年かかってようやく締結されておるとか、あるいは世界遺産条約は七二年から二十年もかかったとか、さらに今の環境保護に関する南極条約については二十六カ国の中で二十六番目。ということは、はっきり言ってびりというペースで来ておるとか、こうした国際関係の自然環境保護に関する法制化が、なぜ日本ではこのように他国に比べて遅いのか。この点について長官の御意見を伺いたいと思います。
  157. 石井道子

    石井国務大臣 地球環境の保全を促進する上で各種の環境関連条約はそれぞれ重要な役割を果たしておりますし、我が国としても、これまでその締結に向けて努力をしてきたところでございます。  この議定書につきましては、平成六年に京都で南極条約協議国会議が開催をされました際に、当時の広中長官我が国の早期締結を呼びかけたところでございまして、今後も環境関連条約の早期締結につきましては、必要に応じ関係省庁に働きかけてまいりたいと思っております。
  158. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございます。  次に、中海、諌早の問題についてお伺いいたします。  これは、余りにもこの二つの事業は長い時間が経過し過ぎた、こういったことから、それに対するいろいろな評価も変わってきているのではないかと思います。また、環境アセスも当時の技術と今の技術では違うと思いますし、アセスの中身も違ってくるだろうと思います。  そういった観点からお伺いいたしますけれども、この諫早、中海について、環境アセスを行ったのはいつであったのか、そして二つの干拓事業環境庁が認めたのはいつだったのか、そして三番目に、ラムサール条約発効したのはいつだったのか、それをお伺いしたいと思います。
  159. 澤村宏

    澤村政府委員 諌早湾の干拓事業につきまして の環境影響評価が行われたのは、昭和六十三年でございます。その後、平成四年にまた再び必要な意見を述べたところでございます。  ラムサール条約につきましては、昭和五十年の十二月二十一日に発効したところでございます。  中海のアセスについてのお尋ねでございますが、これにつきましては、いわゆるアセスメントはしておりません。
  160. 岩國哲人

    ○岩國委員 これはある新聞の報道でありますけれども環境庁担当者は、国会審議中の環境アセス法案について、「諌早湾干拓は、公有水面埋め立て法に基づく環境アセス実施環境庁も一九八七年に干拓を認めた。その後「事業必要性」と「世論」の二点は変化したかもしれないが、環境面の判断はそう変わらない」、このような説明をされる一方で、「干拓を認めた後、ラムサール条約締約国会議などを経て干潟の重要性も高まってきた。今、諌早湾干拓のアセス実施すれば、干拓に反対するだろう」、このような意見環境庁関係者から述べられた、このように報道されております。  ラムサール条約発効してからこうした環境アセスがより厳しくなった、あるいは、今中海あるいは諫早両湾の干拓について、環境庁が干拓についての環境アセスを求められたならば、意見は変わると思いますか、全く変わりませんか、その辺を確認させてください。
  161. 澤村宏

    澤村政府委員 先ほど答弁が十分でなかったわけでございますが、我が国のラムサール条約への加入は昭和五十五年六月ということでございます。五十五年六月に寄託をいたしまして、その四カ月後に締約国になったということでございますので、ただいまお尋ねの件につきましては変わることはない、そのように考えております。
  162. 岩國哲人

    ○岩國委員 長内委員からも、四月二十二日のこの委員会において、こうした長い時間を経過したものについては、当然のことながら環境に対する国民の関心あるいはいろいろな国際的な判断の基準も違ってくるわけでしょうから、長い時間を経過したものについてはもう一回やり直すべきではないかという意見も出ております。私も、四月十八日にこの委員会においてそのように発言したことがあります。  環境庁長官として、このように国民的な関心の高まりを見せているこの両干拓事業について、もう一度環境アセスの評価をやり直すべきだ、そのように思われますか、思われませんか。
  163. 石井道子

    石井国務大臣 この事業につきましては、大変長い経過がありまして、その間のさまざまな変化も起こってきているということでありますが、今回は、事業主体そして地元という形での長年の積み重ねがあるわけでございますので、その点も配慮をすべきであろうというふうにも思います。工事を始めました後の環境アセスにつきましては、今後の課題として考えていきたいというふうに思います。
  164. 岩國哲人

    ○岩國委員 我々今審議中のこの南極条約、こうした我が国から非常に遠い南極の問題も大切でありますけれども、自分の国の中のこと、そして我々にとって一番大切な納税者の間に、むだ遣いだとか環境破壊だとか、いろいろな意見が高まっている、それに対して対応できないような環境行政では、私は、こうした国際条約に加盟する資格さえもない国ではないか、そのような懸念を持っております。  こうした公共事業、特に大型公共事業の中止の手順だとか、あるいは中止した場合の負担のあり方について、早急に政府としてもそのようなものをまとめていかないと、結局は、批判があっても中止できない。そして国民は、政治は何をしている、行政は何をしている、そのような政治不信、行政不信の象徴となってしまう。環境庁としても、環境の問題がありと新聞等でこれだけ指摘を受けながらアクションもとれない。仮にとったとしても、事業官庁として中止することはできない。中止する手順そのものができていない。あるいは、中止した場合、国と自治体との負担の問題がきちんと整備されていない。だから、中止ができない。中止ができないだろうから、環境庁も動きをしない。こうした悪循環に陥っているのが、この日本環境問題の、あるいは大型公共事業の悲劇ではないかと思います。  ちょうど自動車の運転に例えれば、環境庁という交通信号はあっても、走っている車にブレーキがない、したがって赤信号が出てもそこへ突っ込んでいかざるを得ない、このような事態になっているのではないかと思います。京都の重要な国際会議を控えて、一日も早く、大型公共事業に問題があるときには、合理的な手順、そして負担の方法というものをまとめておくこと、これが大切であるということを指摘したいと思います。  環境アセス、そして南極条約とこの委員会審議が進んでおりますけれども、こうした環境問題にこの委員会の各委員も積極的に行動しておられますし、また政府にも協力してきているわけです。そしてまた、有言実行という言葉はありますけれども、この諌早、中海については、これは有言実行どころか有害実行じゃないか。害があるということをわかりながらとにかく実行している。こういう諫早、中海という非常に恵まれた反面教師のような存在もあるわけですから、こういう国民の関心と批判の強いときに、今長官はその重大な責任を引き受けておられるわけです。先ほど桑原委員指摘されましたけれども最後の頼りは環境庁だ、そういう国民の期待が今非常に高まっております。環境庁の長い長い歴史の中で、これだけ国民から期待されたときがあったでしょうか。  長官としても恐らく、大臣なら、長官なら何でも引き受けますという気持ちで引き受けられたのではないと思います。こうした内外の非常に大きな批判があるとき、そしてこれだけ大きな仕事をしなければならないというときにこの環境庁長官をあえてお引き受けになったそのお気持ちを再度お伺いしたいと思います。
  165. 石井道子

    石井国務大臣 この事業の問題につきましては、長い経過があるということでございまして、さまざまなその間のいきさつもあったわけでございます。このような問題を事前に防止するといいますか、そのためのまさに環境アセスメント法であるというふうにも思いまして、今後は当然、事前のチェックを十分にできるというような形になることを私は期待をしているわけでございます。  環境問題は今最も重視をされている分野でございまして、これだけ環境問題に対して国民が、また市民が取り組んでいただけるということ、これは大変心強い限りでもありますし、今後も環境保全という立場で環境庁長官としての責任を果たしていきたいというふうに思っております。
  166. 岩國哲人

    ○岩國委員 環境庁意見が、これから時として、農水省とか建設省とか、事業官庁の意見と対立することは、これからこのような法律が次々とできていきますと、環境庁の責任範囲が広がっていく、国民からの期待も大きくなる、当然のことながら長官としての判断が他の閣僚と意見一致を見ない、そのようなときにはこうした国民の期待にこたえて、そして日本環境を守るために長官辞任する、そのような覚悟もお持ちでいらっしゃいますか。
  167. 石井道子

    石井国務大臣 それは事と次第によると思います。
  168. 岩國哲人

    ○岩國委員 大変失礼な質問だったかと思いますけれども、私は長官のそのような率直な、事と次第によっては辞任する、こうおつしゃったその言葉を真摯に受けとめたいと思いますし、またそのようなお気持ちでぜひともこうした南極条約その他のいろいろなものを――法律だけつくったけれども実効性がない。結局行政の中で大型公共事業は批判を浴びながらもどんどんどんどん進んでいくばかりではないか。むだ遣い、環境破壊ということにストップをかけていただく最初の環境庁長官であってほしいと私は切望いたします。  そういった観点から、今度かなりの税金を使い、国費を使って京都で国際会議が開かれるわけでありますけれども、最近は納税者の間から役所のお金のむだ遣いということが言われておりま す。決してこの国際会議は私はむだ遣いだとは思っておりませんし、そういう声も現に起きておるわけではありませんけれども、納税者の間に環境批判、そしてむだ遣い批判が起きているときに、先ほど環境庁長官として諫早を視察する気持ちはない、このようにおっしゃいました。そのような考え方は現在ない、行きたいけれども行けませんということではなくて、考えそのものがないという答弁をされたわけです。この点について私は大変心外だと思っております。そのような長官としての責任、これだけ国民が期待しているときに、ほかの委員が行かなくても私が行ってみせる、それこそ環境庁長官ではないでしょうか。諌早を視察する考えは本当にないのか、私はそういう長官では失格だと思います。  政治は何をしているか、行政は何をしているか、これだけマスコミも動き、そしてふだんはこういう問題に関心のないような人たちまでが批判し、私は政治家として、私の選挙区へ帰るといたたまれないような気持ちになります。あなたは何をしているんだ、環境庁何をしているんだ、長官は何をしていらっしゃるのか。長官が女性であるだけに、女性の皆さんも期待をかけておられるということも踏まえた上で、もう一度、諌早に行ってみる気は全くないとお考えになっていらっしゃるのかどうか、お伺いいたします。
  169. 石井道子

    石井国務大臣 この問題につきましては、今までもたびたび申し上げておりますが、長い経緯があるということ、そして現状の把握について私は今役所の方に、専門家に申し上げまして、的確に把握をしていただきたいと申し上げているところでございます。この事業についての、環境を大切にする立場、また地元として事業を推進しなければならない立場、さまざまなお立場の方があるとは思いますけれども、私といたしましては、まず現状を十分に把握した上で考えるべきであるというふうに思っております。
  170. 岩國哲人

    ○岩國委員 まず現状を把握してからとおっしゃいますけれども、その現状把握は具体的にどういうことをどういうめどでやっていらっしゃるのか、これが一点。  それから、長官としてはいろいろな国会の日程もおありだと思います。しかし、それ以外に局長、いろいろと部下の方がたくさんいらっしゃるわけです。環境庁の幹部で、ことしに入ってからこれだけ批判の高まりを見せている諫早に足を踏み入れた環境庁の管理職は何人いらっしゃいますか、どういう立場の方が行かれましたか。
  171. 石井道子

    石井国務大臣 今ちょっと調べていただいておりますが、とりあえず私は来週早々に事務方にお願いをいたしまして現地に入っていただくということを指示しております。政府委員から答えさせていただきます。
  172. 岡田康彦

    岡田政府委員 突然のお尋ねですので正確にはあれですが、これは長いですから従前からはいろいろな人間が行っていますが、最近特に今行っているということについては承知していません。承知していませんというより、今現在行っているという話についてはここでわかる限りにおいてはありません。
  173. 岩國哲人

    ○岩國委員 先ほどから私は長官に再三申し上げております。この国民の関心の高まり、期待の高さ、今こそ環境庁、動くべきときではないでしょうか。我々環境委員会委員はこれだけたくさんおりますけれども、我々が行ってどうこうするというのではなくて、行政に対する批判あるいは期待、不信、それが渦巻いている中で、環境庁の幹部がまだことしになって現地に足を踏み入れていないというのは、私は行政の怠慢ではないかと思います。ぜひとも、来週早々とおっしゃるのであれば来週早々にでも、長官の命令で必ず環境庁のしかるべき幹部の方、そして環境庁長官のお気持ちの中ではそのときに事と次第によっては恐らく派遣されるでしょうが、だれを派遣するお気持ちなのか、そのお考えを聞かせてください。
  174. 石井道子

    石井国務大臣 できるだけ早くということで、来週月曜日になるかと思いますけれども、その道の専門的な方、この問題に前々からよく精通をしている方、その方を派遣したいと思っております。
  175. 岩國哲人

    ○岩國委員 もう質問時間が終了しましたので、最後に要望といたしまして、長官がこうした大事な役目をお引き受けになった以上は、全力を挙げて政治生命をかけて、ぜひとも国民の政治家に対する不信、行政不信をこの環境問題の一点にかけて解決してみせる、そのようなお気持ちで対処していただきたい。そのためには、事と次第によっては諫早を視察していただくこと、そして事と次第によっては長官辞任していただくことも含めてお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  176. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  177. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付南極地域環境保護に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  178. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  179. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、杉浦正健君、田端正広君、小林守君、藤木洋子さん、秋葉忠利君、岩國哲人君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。田端正広君。
  180. 田端正広

    ○田端委員 私は、ただいま議決されました南極地域環境保護に関する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び太陽党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     南極地域環境保護に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 環境保護に関する南極条約議定書実施状況の検討など環境保護委員会の重要な任務が十分達成されるよう我が国として積極的な役割を果たすこと。  二 南極地域活動に係る環境影響評価審査体制の充実・強化を図るとともに、締約国間における同制度の運用方針の確立を急ぐこと。  三 本法に基づく規制の実効性を確保するため、南極地域環境庁職員を必要に応じ派遣する体制の確立を図るとともに、環境保護に関する南極条約議定書に基づく査察制度との効果的な連携に努めること。  四 南極地域における観測活動に伴い基地周辺に集積・保管されている雪上車、ドラム缶等の廃棄物の早急な除去及び生活排水の適切な処理等を行うなど観測活動を行う際の環境保全体制の確立に努めること。  五 南極地域環境保全のため、南極観測活動に必要なエネルギー供給源として風力発電、太陽光発電等の自然エネルギーの利用を推進すること。  六 南極地域活動を行うすべての者に対し、本法規定する「基本的な配慮事項」を周知するとともに、特に、観光活動については、国際的に共通する効果的な環境教育プログラム及び普及啓発のためのパンフレット等の作成に積極的に協力するとともに、観光業者及び旅行参加者に対し、当該観光南極地域の生態系等に及ぼす影響を最小限とするよう万全の措置を講じるよう指導すること。  七 南極地域においてオゾン層の破壊によるオゾンホールの拡大や地球温暖化によるとの指摘もある棚氷の崩落が観測されていることにかんがみ、国際的な連携を図りつつ、地球規模で原因物質の排出を抑制する等の地球環境保全対策の一層の推進を図ること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  181. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石井環境庁長官
  183. 石井道子

    石井国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  184. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  186. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十三分散会      ――――◇―――――