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1997-02-21 第140回国会 衆議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)     午前十時六分開議  出席委員   委員長 佐藤謙一郎君    理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君    理事 持永 和見君 理事 長内 順一君    理事 田端 正広君 理事 小林  守君    理事 藤木 洋子君       大野 松茂君    河野 太郎君       桜井 郁三君    桜田 義孝君       鈴木 恒夫君    砂田 圭佑君       園田 修光君    目片  信君       大野由利子君    武山百合子君       中村 鋭一君    並木 正芳君       松崎 公昭君    桑原  豊君       辻元 清美君    土井たか子君       岩國 哲人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君  出席政府委員         環境政務次官  鈴木 恒夫君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君         環境庁水質保全 渡辺 好明君         局長  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   米田  壯君         厚生省生活衛生         局企画課生活化         学安全対策室長 内田 康策君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備浄化槽         対策室長    山田 耕蔵君         厚生省薬務局安         全課長     植木 明広君         林野庁業務部経         営企画課長   前田 直登君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課オゾン層保         護企画官    上田  孝君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       市川 祐三君         建設省河川局開         発課長     竹村公太郎君         建設省道路局有         料道路課長   山川 朝生君         環境委員会調査         室長      鳥越 善弘君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   土井たか子君     辻元 清美君 同日  辞任         補欠選任   辻元 清美君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
  3. 杉浦正健

    杉浦委員 理事杉浦正健でございます。本来ですと、自民党質問としては筆頭理事がするのが慣例でありますけれども持永先生から、おまえは環境部会長だからおまえがやれという御下令がございましたので、お許しをいただきまして、私からまず大臣質疑をさせていただきたいと思います。  大変な時期に大臣就任で本当に御苦労さまでありますが、また重油流出事故という未曾有の大災害が起こりまして、大臣環境当局も大変御苦労いただいているところであります。また、本格的な環境調査がこれから始まりますし、あそこは国定公園もたくさんある、風光明媚な海水浴場もあるということで、原状の回復等、いろいろと取り組むべき課題が出てまいると思います。これは質問じゃありませんが、大臣初め関係当局には十分に対応していただきますように、まずもってお願い申し上げておく次第であります。  事業内容について質問に入る前に、当面しております環境行政上の大きな課題について三点ほどお伺いしたいと思いますが、まず第一は、橋本内閣の掲げる行財政改革についてであります。  総理から大臣に、特に環境庁関係で御指示があったのかどうか。また特殊法人等、いろいろと行政改革省庁の再編とかテーマがあるわけですが、総理の御指示のもとに何かそういった行財政改革関連で特にお取り組みになっていることがあれば、お話しいただければありがたいと存じます。
  4. 石井道子

    石井国務大臣 初めての環境委員会でございまして、いろいろ今後ともお世話になりますが、よろしくお願いを申し上げます。  杉浦委員におかれましては、環境問題に対して大変御熱心に取り組まれていただいておりまして、感謝を申し上げる次第でございます。  現在、橋本内閣におきましては、六つの改革の柱を立てております。その中で行政改革財政改革も重要な問題でございまして、特に全力を挙げて取り組まなければならない課題であるというふうに認識をしております。  今回の行政改革におきましては、国民立場から国の果たすべき機能を見きわめるということにしております。そして、二十一世紀人類生存基盤をも左右しかねない環境行政でございますので、国政運営の中でも重要な柱であると私は位置づけられていると考えております。  このような中で、できるだけ国民の信頼にこたえられるような行政の確立に向けて、環境庁としても行政改革推進に取り組んでいきたいと思っております。  今、特に総理から何かあったかという御質問でございますが、今のところは特に個別な問題はありませんけれども、しかし、今行政改革会議において検討されているところでございまして、これからも、環境問題は最も重要な柱として取り組んでいきたいというふうに思っております。
  5. 杉浦正健

    杉浦委員 環境行政環境の問題は、行革の中でも中心、これからの政府中心になっていくと思いますので、前向きに取り組んでいただきたいと思います。  また、今年度予算でも、我々、環境庁予算は少ないのですが、重要な予算ばかりでしたので頑張ったんですが、予算執行に当たっては、当然のことですけれども、釈迦に説法ですが、あれば使うということではなくて、できるだけ少ない予算で効率ある行政を上げる、百万円でできること を九十七万円でできないかということを真剣に事務当局にも御指示いただいて、少しでも、これは国民税金ですから、効率のよい行政執行を心がけていただくように、これはお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、いわゆる環境アセスメント法案ですが、二月十日に中環審から答申があって、政府提案ということで政府部内で調整が行われていると承知しておるわけでありますが、伝え聞くところによると、通産省電事法電気事業法の改正で対応するというようなことを報道をされまして、我々心配しておる面があります。ぜひ、統一アセスメント法できちっと対応していただきたいと思うのですが、通産省、ほかの省庁もありますけれども、他省庁との、特に通産省との調整状況はどうか、一言簡潔にお答えいただきたいと思います。
  6. 石井道子

    石井国務大臣 環境影響評価制度につきましては、その法制化の問題について大変長い経緯がございます。ようやく、中央環境審議会の方から総理に対して答申が提出をされたところでございまして、それを契機として、日本としておくればせながら、しっかりとした立派な環境アセスメント法案をつくっていくために今努力をしているところでございます。  発電所の扱いにつきましても、前々からいろいろと問題がございました。しかし、総理からも、発電所統一法に入るという認識の中で、お互いの考え方や立場を尊重しながら、通産省調整をきちんと行ってほしいという御指示もいただいているところでございまして、実効あるアセスメント実現という観点から、今精力的に調整を図っているところでございます。  今後も、実効のある環境アセスメント法実現に向けて法案の取りまとめをいたしたいと思っておりますので、どうぞ、環境委員会皆様方にも御協力、御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
  7. 杉浦正健

    杉浦委員 私ども、最近の状況としては順調に調整が進んでおるというふうに伺っておるところでありますが、ぜひとも中環審答申にのっとった統一法できちっと対応できるように、一層の御努力長官初め事務当局お願いしたいと思います。我々もバックアップをしてまいりたいと思っております。  三点目は、いわゆる水俣病問題でありますが、村山内閣のもとでああいう解決案が出まして、この六月で最後県債発行による支援チッソ支援が行われることになっておりますが、状況については、大臣御承知のとおり、地元の方でも抜本策を早急につくってほしいという強い要請がございます。補償実行のためにもチッソ支援は待ったなしてございまして、自民党としても水俣病対策小委員会でもう二回ほどやりまして、三月中に環境庁において調整案をつくってほしい、党としては四月いっぱいをめどに抜本解決策を策定しようということで努力を始めておるところでございます。  状況によりましては、与党三党の協議あるいは野党との協議もその間行っていきたい、こう思っておりますが、お答えはわかっておりますけれども大臣の決意のほどを一言お願い申し上げたいと存じます。
  8. 石井道子

    石井国務大臣 この水俣病問題につきましても、とても長い過程があるわけでございまして、ようやく平成七年の与党三党の最終解決案に基づいて、最終的な全面的解決を図るという合意関係者の中で成立をしたところでございますから、その合意を踏まえまして、今後も、内閣としても政府としても、その施策のために精力的に前向きに取り組んでいかなければならないと思いますし、環境庁としても私自身も何とか、チッソ支援の問題に対しましても、関係自治体協力をしながら、閣議了解をされました事項に基づいて着実に実行していきたいというふうに思っております。  このチッソ支援に対しましても、党の方でもいろいろと御配慮いただいているところでもございますが、現在検討中でもあります。はっきりとした今後の見通しをまだ申し上げる段階ではございませんので、御了解をいただきたいと思っております。
  9. 杉浦正健

    杉浦委員 それでは引き続いて、環境庁所管事業内容について若干御質問させていただきたいと思います。  私、環境部会長、もちろん初めてなんですが、環境庁仕事は、根本はやはり害を除いていく、広い意味でそういう仕事ではなかろうかと思っております。  中国に、「一利を興すは一害を除くにしかず」という言葉があります。調べてみましたところ、元のときの名宰相と言われております耶律楚材という方の言葉だそうであります。亡くなられました大平総理が座右の銘とされたと伺っておるところであります。  一利を興す、すなわち新しい事業を始めるについてはいろいろお金もかかるし、税金も使う、むしろ害をなくす、事業をやめた方がいい、その方が世の中のためになるんだ、国民のためになるんだ、こういう趣旨だろうと思いますが、環境庁仕事はまさに、総じて言えば、害を取り除いていく仕事だろう。  また、今の時代、大転換期と言われておりますが、私どもが迎えようとしている時代が害をまき散らかした——二十世紀は、ある意味では栄光の世紀だったわけであります。産業が発達し、技術が進み、私ども生活は豊かになってきた。資本主義の最も華やかな世紀だったと思いますが、私の政治上の恩師の福田赳夫先生が、最後の著書「回顧九十年」で申しておられますけれども、二十一世紀のことを非常に心配しておられるわけであります。我々は世界じゅうの資源を食い荒らした。つくりましょう、使いましょう、捨てましょう、ありとあらゆることをやって世紀末を迎えようとしている。このツケをこれから我々は払っていかなければならない。生活廃棄物から産業廃棄物CO2の問題、NOxの問題、地球はまさに人類存亡危機の中にあると言っていいかもしれないわけであります。  環境仕事というのは、これは、我が国のみならず世界じゅう取り組んでおる問題でありますが、二十一世紀に向かってまさに害を除いていく、そのために我々は力を尽くさなければならないということではないか、こう思っております。  ことしはそういう意味では、世界的に見ても一つの大きな転換点だろう。大臣就任のごあいさつの中で申されたとおりであります。十二月にはCOP3がございますし、六月には環境特別総会が行われる予定でございますし、また、環境サミットもその前に行われると聞いております。環境の問題は国境がありませんから、国際協力が不可欠でありますが、そういった国際的取り組みのまさにピークになる年でございます。大変御苦労でありますが、我々も支援してまいりたいと思いますので、ひとつ十分にお取り組み賜りたいと思います。  それで、私思うのですけれども、何と申しますか、人類存亡危機とかオゾンホールがあいて殺人光線が落ちてくるとか人類絶滅するとか、非常に暗い話になりがちなんですけれども、このCOP3、環境問題に取り組む、もう少し明るく、国民運動というと大げさでありますが、そういう取り組みが考えられないのだろうか。  例えば、オリンピックでは、三波春夫さんがオリンピック音頭というのを歌いまして盛り上げたわけですね。環境問題では、世界の著名な歌手が歌をつくってリオのときなんかはやったわけでありますが、日本COP3が開かれるのを契機に、若干その準備のための予算もついたようですから、NGOの方もいらっしゃるしボランティアの方たくさんおられるし、あるいは地方自治体に呼びかけるなんかして、その盛り上げる大会をやって、全国大会を開く、そのシンボルとして地球環境音頭と申しますか、盆踊りの音頭をつくるとか、まあそれは一つアイデアですが、明るくみんなで取り組もうよという国民運動を少し、こ れは官製の運動じゃいけないかもしれませんが、ひとつ知恵を絞っていただいて、我々も協力しますが、そういうことは考えられないか。  あるいは、事業として、例えば地球環境基金なんかは本当に微々たる基金でお恥ずかしいぐらいなんですが、これを機会に一千億円ぐらいの基金を、民間協力を呼びかけてつくるとか、何か前向きの明るい方向国民の世論を盛り上げるといいますか、お考えいただけたらどうかと思っているんですが、大臣のお考えはいかがでございましょう。
  10. 石井道子

    石井国務大臣 環境問題につきましては、人間の今、健康を保護する上でも、また自然環境を守る上でも、それがまた地球環境レベルで非常に重要な課題になっているわけでございまして、今ここのこの時代環境問題をしっかりと考えて手を打っていかなければならない、そういうときであろうというふうに思います。  今杉浦委員からも大変アイデアをいただいたわけでございますけれども、今後もこの環境問題、地球温暖化防止京都会議の、COP3の成功を目指しましても、特にそのような国民総ぐるみ活動を盛り上げていく必要があるということを考えているところでございます。今度の地球環境問題の解決のためには、生産や消費のパターンやライフスタイルを見直すということが必要でありまして、国民一人一人が環境保全のためにどのように取り組むかということが大変重要になってまいりました。  ことしは特に地球環境年とも言える年ではないかと思いまして、それだけ環境関係に対します重要な会議がメジロ押してございます。特に地球温暖化防止京都会議につきましては、二十一世紀温暖化対策の枠組みについて国際合意を図るものであると位置づけているわけでございまして、現在日本世界第四位の二酸化炭素排出国であるという、そういう状況を踏まえまして、特にこの会議成功に向けまして国内取り組みを充実させていくことが必要であると考えております。  今までも、このようなことに取り組む上においていろいろと活動もしてきたところでございますが、今環境庁におきましては、環境家計簿普及促進すること、またアイドリングストップ活動でございますとか、いろいろと地球温暖化を防ぐ四つのチャレンジといたしまして広く国民に呼びかけているところでございまして、関係者によりましては、このような問題に積極的に取り組んでいただいているところでもございます。  昨年の十二月には、ちょうどことしの十二月一日の京都会議の一年前ということになってまいりましたので、私も京都に出向きまして、関西地区自治体あるいはNGO方々との取り組みに対しましてもいろいろと具体的な御相談もしてまいりました。今回も環境庁の中に地球温暖化防止対策推進本部を設けまして、そして私も陣頭指揮に立ちまして、そして全国民を対象とした啓発活動を行うためにさらに具体的な対策について検討しているところでございます。  それで、環境庁あるいはまた地方自治体主催をいたします、民間主催のさまざまな取り組みが行われているところでございますが、今のところ合計百六十三の行事や施策環境庁にも登録をされているわけでございまして、準備が進められているという報告を受けております。今後も、国民が進んでこの対策に取り組むことができるように創意工夫を凝らした施策を進めなければなりません。そして、さまざまな団体や、国民影響力のあるマスコミとか出版社、あるいは芸術家、芸能人、そのような方々にも、それぞれの技能や持ち味を生かして呼びかけ、そしてアピールをしていただくことも今後も取り組んでいきたいというふうに思っております。
  11. 杉浦正健

    杉浦委員 我が国環境公害でも先進国だったわけでありますが、公害対策でも先進国、最先進国と言ってよろしいんじゃないでしょうか。  公害には、環境には国境はありません。国際協力が不可欠であります。そこで、私どもとしては、国際間のいろいろな協力に我々の先進的な知見を役立てて、大いに世界公害防止環境の改善に役に立っていけると思いますので、ひとつ国際協力の面では大いに御活躍をいただきたいと思います。  それから、特にこれはお願いしておきますが、大臣予算委員会が終わりましたら、極力海外へ足をお運びいただきまして、トップで国際協力の実を上げていただくようにお願いしたいと思います。  CO2の問題でも、最大の排出国で最も対応がおくれておるアメリカがぐずぐず言っておるということですから、大臣みずから行って、何とか進めてもらうように御説得をお願いしたいと思いますし、また、ODAというのは、これは要請主義なんですね。向こうから要請がなければ協力できない。これやれ、あれやれとこちらから押しつけられないわけであります。黙って大臣がお出かけになれば、環境の話が出て、あれやってくれ、これやってくれという話が向こうから出るでありましょうから、お出かけいただければ何らかの協力するプロジェクトは出てくるのではないかということもありますので、官房の方に聞いたら出張旅費は十分あるようでありますので、ひとつどうぞお出かけいただきたい。私ども、自費で参りますが、場合によっては露払いもやりますし太刀持ちもいたしますので、大いに首脳外交を展開していただきたい。これは答弁要りません。よろしくお願い申し上げる次第であります。  それから次に進みますが、新しい時代転換期、私はエネルギー転換しなければいけないと思います。今の化石燃料に頼っておるエネルギー体系では、CO2にしても何にしても、早晩、幾ら努力してもふやすのを防ぐのがやっとだということだと思います。原子力もいろいろ問題があります。将来核融合とか太陽エネルギー、風エネルギー等クリーンなエネルギー転換をしていく、転換時代は、エネルギーの面ではそういうことだと思っております。  ちょっと時間がないのであれですが、例えば自動車を例にとりますれば、究極の車はソーラーカーだろうというふうに思います。例えば、中国モータリゼーションが、化石燃料自動車モータリゼーションが進行した場合を想像しますとぞっとするわけなんですね。ぜひとも我々でしっかりした車を開発して、中国の人には無公害の車を使っていただくということでないと我々の環境が守れないということではないか、こう思います。  委員の各位のお手元に配付しました資料は、ある自動車メーカー技術屋の方が私に下さった資料ですが、アメリカでは、ビッグスリーと連邦政府協力をして、低公害車開発に向けて大々事業を展開している、その内容資料であります。この事業の中にはソーラーカー開発も視野に入っていると伺っているところであります。日本ではまだそこまでいっておりませんから、アメリカとはおくれをとっておるようでありますけれども、これは通産省音頭をとるべきことかもしれませんが、環境庁もひとつ大きな構想で、これはもう大国際競争ですから、アメリカが先に成功すれば中国の市場をとられてしまうということにもなりますので、ひとつ二十一世紀へ向かって、これは一年や二年の問題じゃありません。エネルギー転換、そして特に自動車は、国内国際社会もそうですが、低公害車で、できれば無公害車で二十一世紀モータリゼーションはやるという方向環境庁も御努力していただきたいと、これは私は願っておるところであります。我々も、環境庁も低公害車のことを一生懸命やっていますが、余り時間がありませんので、一言御答弁願えればありがたいと思います。
  12. 石井道子

    石井国務大臣 エネルギーの問題、非常に環境と重要な関係がありますが、新エネルギーの導入とか省エネルギー対策を積極的に進めていく必要がありますので、そのことについても取り組んでいるところでもございます。  自動車に関しましては、現在、大都市を中心にいたしましてNOx汚染等が大変深刻な状況でも ございます。それで、現時点では、利用可能な電気自動車または天然ガス自動車の低公害車普及拡大を目指しておりまして、環境庁でもその補助制度もつくっているところでもございます。  しかし、現在のところは、価格が高いことでありますとかいろいろと普及をするための障害もあるわけでございまして、そのこともだんだんと除去をしながら、できるだけ公害の少ない自動車普及のために努力をしなければなりません。これも、自治体に対しまして使っていただくようにお願いをいたしましたり、また今度オリンピックのときの車もそのような車を使っていただくようにお願いしたりとか、特にまた京都COP3のときにもできるだけ低公害車を使っていただくとかというふうなことで、今取り組んでいるところでもございます。
  13. 杉浦正健

    杉浦委員 時間がなくなりましたので——まだ五分ありますか。ちょっと五分では難しいかな。関連質問園田先生が恐らく触れていただくと思いますので、身近な環境の問題について、いい予算をと思って我々も一生懸命努力しましたけれども、お話を願おうかと思ったのですが、この点は園田委員の方にお譲りをさせていただきます。  環境行政課題はたくさんあり、これから二十一世紀に向けて非常に重要な分野でございますので、大臣におかれましては健康に御留意いただきまして、我々の先頭に立って御努力賜りますよう重ねて御祈念を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  14. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 この際、園田修光君から関連質疑申し出があります。杉浦君の持ち時間の範囲内でこれを認めます。園田修光君。
  15. 園田修光

    園田(修)委員 大変貴重な時間をいただきました。本当にありがとうございます。私の持ち時間が十分間ですから、長官、よろしくお願いをいたします。  まず初めに、大臣の今回の所信表明の中に「希少野生生物保護を図るため、生物多様性の保全施策と相まって、絶滅のおそれのある野生動植物の調査推進し、保護の拠点となるセンターの整備を進めます。」というのがあります。これが、ちょうど来年度から三カ年、私の地元である奄美大島に整備をされる予定と聞いておるわけであります。この施設については、全国でも七番目になるということであります。  私の地元は、東洋のガラパゴスという、世界的にも大変貴重な野生動植物が生息をしているところであるわけでありますが、ただ、生息はしているのでありますけれども、この生息に対して、生態等についてまだ明らかではないのです。ですから、このことについてもぜひ施設を通して研究をしていただいて、そして、それと同時に、やはり環境の教育でありますとか、そしてまた、我々地域の住民と共存して地域振興に一役担っていただきたい。そういう観点から、今回のセンターの整備に当たって、環境庁長官の御意見を聞かせていただきたいわけであります。
  16. 石井道子

    石井国務大臣 園田委員の地元ということで、大変御熱心にこのたびの問題については取り組まれていらっしゃることを伺っております。  奄美諸島は、特有の生物相が発達しておりまして、アマミノクロウサギ、それからアマミヤマシギ、ルリカケスのような固有の動植物が生息をしておりまして、非常に生物多様性の保全上重要な価値を持っているというふうに思っております。  このために、このような希少な野生生物や固有の生態系の調査研究、そして保護増殖、普及啓発等の事業を総合的に推進するための拠点施設として、来年度より三カ年計画で奄美大島に野生生物保護センターを整備する予定になっております。  このような整備の内容につきましては、今後も地元の皆様方と御協力もしていただきながら進めていく考えでございますし、当然この地域の拠点として地域振興のためにも十分にその機能が発揮できるようにすべきであるというふうに考えておりまして、ぜひ御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。
  17. 園田修光

    園田(修)委員 今長官から言われましたように、地元は大変な期待をしているわけであります。観光の面からも、そしてまた、そのアマミノクロウサギ自体もどう思っているか知りませんけれども、ただ、クロウサギもこれはよかったなと思っていると思っております。ですから、ぜひとも地域の皆さんと一体になって、環境庁の方でもその整備に努めていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いをいたします。.  次に、廃棄物問題についてお伺いをいたします。  NHKでありますとかマスコミ等が少し取り上げているところで、やはり私の地元の問題でありまして、地方において都市部で発生をしたごみを受け入れる、その場合、業者としては行政の許可を得て行っていることであっても、住民の不安がなかなが解消できないところがあります。  聞くところによりますと、厚生省においても廃棄物処理法の改正が検討をされているようでありますが、環境庁としても、廃棄物の適正な処理について住民の信頼感を回復する、このことについて積極的な取り組みが必要であると思っているところであります。そのことを、長官の決意を少しお聞かせいただきたいと思います。
  18. 石井道子

    石井国務大臣 廃棄物問題につきましては大変深刻な状況もあるわけでございまして、この問題については速やかに対策を講じていかなければならないというふうに思っております。  環境庁といたしましては、昨年の十一月から、中央環境審議会におきまして総合的な廃棄物対策のあり方について御審議をいただいております。この一月末に、中間取りまとめという形で提言を受けたところであります。そして、これを受けて、最終処分等に係る基準の見直し強化に取り組む所存でございます。  この中間取りまとめで提言されております適正処理のための排出事業者、処理業者の取り組みの強化等につきましては、今度の国会におきまして厚生省から廃棄物処理法の改正があるわけでございまして、それに適切に反映できるように環境庁からも厚生省に要請しているところでございます。  今後も廃棄物問題に対します住民の信頼を回復するために、厚生省と十分連携協力をしながら、廃棄物からの環境負荷の低減対策に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  19. 園田修光

    園田(修)委員 今長官のお話にもありました、環境負荷の低減対策を一生懸命やられる。ごみを出す方からの教育もしっかりやっていただかなければなりません。  先日、マスコミに出ておりますが、都内で発生する産廃の八割以上が都外で処理される。そして、二〇〇〇年には東京都で出す九七%を都外に持っていかなければならない。もちろん処理業者への指導もしっかり、そして出す方の指導も教育もしっかり、それと同時に、やはり都とそして捨てられる県と行政間での理解も必要である。それ以上に、都民とその捨てられるごみを持ってこられる地方の住民の皆さんの信頼関係、これが必要であると私は思っているところであります。  少し話は飛躍をするかもしれませんけれども、私は地方議員を経て国政に上げていただいたわけであります。国会で、今回の予算の審議の中にもありましたけれども、公共工事はもうむだだとか、新幹線の予算はおかしいのではないかとか、そういう都市部の皆さんの意見というのは地方には理解し得ない。それは、今我が鹿児島県に持ってくる産廃は全部船を使っているのです。船をとめるところは港です。港を整備する予算はだめだよと都市部の都民の皆さんが言われるようなことは理解がし得ない。  ですから、公共工事一つとっても、都民の皆さんも、やはり同じ日本の国の中にある地方というものをしっかりとその面からも考えていただいて、そういうところから都民の皆さんと地方の県民の皆さんの信頼関係が結ばれるのだよということもしっかり理解をしていただきたい。そのことは、今年度予算には地方の痛みもしっかりとつけていただきましたから、それをみんなで賛成をす るような形が必要であろうかと思って私の御意見を申し上げました。よろしくお願いをいたします。  済みません。もう時間が参りました。ありがとうございました。
  20. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 桜田義孝君。
  21. 桜田義孝

    ○桜田委員 私は、海外援助に対する緑化政策と、主に私の地元の手賀沼について、二点お伺いさせていただきたいなと思っております。  今日、地球環境問題が世界的規模で議論され、科学的実証をもとに、大気、水質汚染防止、海洋環境保護、食糧問題の解決あるいは地球の砂漠化阻止、緑化政策、森林保全等、さまざまな分野で環境政策が実施されるに至っております。我が国でも四大公害事件をもとに環境庁が設置されましたが、環境政策の対象も、国内問題にかかわらず、国際的な問題として地球的規模に立って行わなければならないような事態に至っております。  特に、環境問題におきましては、我が国世界でも先進国の部類に入っております。地球環境問題は、特に発展途上国におきましては国内の経済事情に大きく依存し、途上国において自国経済の発展を優先的に考える余り、環境問題はややもすると二の次になる傾向がございます。  名指しで大変恐縮ですが、お隣の中国では、十二億を超える人口を抱えながら、いまだ石炭を主としたエネルギーに頼っているのが現状であります。その結果、我が国には酸性雨が降り、森林や緑化政策、人体等に悪影響が出る等、問題が顕在化しているところであります。  私は、これまで三回ほど中国を訪問しておりますが、乗っている汽車の車窓から見られるのは全く一面黄土の大地というのが率直な感想でございました。緑がなく、鳥が飛んでいないというようなことで、そのところは北京から北の方に列車で六時間、承徳市というところに行くときの光景でございました。  実は、承徳市というところは、私の地元であります千葉県柏市と八三年より友好都市という関係にあり、十周年記念事業として緑化事業への協力ということで、九三年から九八年までの五カ年で常緑樹友誼林、百ヘクタールのところに二十六万三千本を植樹することになっております。必要資金も一千二百万円、市と民間と半々の費用負担ということで緑化事業協力しているところでございます。それだけの少ないお金でそれだけのことができるのか、国家レベルだったらもっと大きな協力ができるのではないだろうかということで、もし百倍にしましても、一万ヘクタールのところに十二億円の資金で緑の友誼林に覆われた地域ができるということでございます。  そこでお伺いしたいのですが、所信表明におきまして、石井長官地球環境対策の一層の推進を図るということを述べておられましたが、環境問題が一国の国内問題にとどまらず、複数国間の国際問題と化しているところでございますので、我が国が拠出している政府開発援助、いわゆるODAで諸外国の環境政策を積極的に支援することが考えられます。地球環境対策の一層の推進という長官所信表明に関連して、我が国のODAが現在の環境保全にどのように活用されているか、そして拠出する側としていかなる基本的考えについておるか、そして、実績、今後の方針についてお伺いいたしたいと思います。
  22. 石井道子

    石井国務大臣 環境分野におきます国際協力につきましては、政府開発援助大綱において環境の保全を我が国援助の基本理念として位置づけております。大変重要な分野であると認識しているところでございます。  環境庁といたしましては、各種の調査研究を中心とした環境庁ODAの実施をすること、そして二国間の環境保護協定に基づく政策対話、また国際協力事業団により行われている途上国での環境センタープロジェクトへの技術支援を通じて環境協力に積極的に取り組んできているところでございます。  中国におきましても環境保全センターをつくったところでもありますが、今後も環境分野に関する国際協力のさらなる推進に向けて環境庁としても取り組んでまいりたいと思っております。
  23. 桜田義孝

    ○桜田委員 ただいま地球環境問題一般についてお伺いしたところでありますが、私、次に飛びまして、ここから、私の地元で、二十二年間水質汚染度全国でナンバーワンという手賀沼のことについてちょっと取り上げていただきたいなと思います。  私の生まれ育った柏市には手賀沼という沼があるんですが、私の小さいころにはほとんど汚染というものはなくて、透き通った水、豊富な水生生物が今でも思い起こされるのであります。あの手賀沼で、私は釣りをしたり水泳をしたり、あるいはコイ、フナ、エビガニ取りをしたことなどが非常に懐かしく思えるのであります。そしてまた、私の生まれ育ったうちの近くには手賀沼の源流であります小袋池という池がありまして、手賀沼と小さな川で結ばれているところであります。そして、その川では、私は毎日学校から帰ってきたらバケツや網を持って魚をとり、そして夕飯のおかずをつくるというのが日課でありました。小袋池と手賀沼の間には昔から大蛇が行き来しているという、非常に伝説のある湧水がある池でありますが、地元から長らく親しまれてきた小袋池と結ばれている手賀沼が全国で一番、ワーストワンという記録がなされていることは、非常に私にとっては遺憾の意を禁じ得ないわけであります。  また、私自身手賀沼とともに生活してきた一人として、従来より手賀沼問題については努力してきたところであります。青年会議所に所属していた関係で、昭和五十年から青年会議所では「水と緑のふるさとを。戻そう昔の手賀沼を」そういうスローガンのもとに鋭意取り組んできたわけであります。その結果、手賀沼ウオークラリーとかふるさとグリーンデイとかいろいろなことをやってまいりました。  また、行政面においては、二年前から手賀沼ハーフマラソンということで、地元の柏、我孫子、沼南町ということで、二市一町で持ち回りで開催され、全国から参加者を集め、今は五千名を超えるほどの規模になっており、手賀沼浄化問題も、市民はもとより周辺地域の人の意識も高揚し、理解が一段と高まっているところであります。  手賀沼の汚染は深刻の一途をたどっておりますが、特にヘドロのしゅんせつ等大変難しい問題を抱えているところであります。微生物から魚介類に至るまで生物多様性に悪影響を及ぼして、夏には大量のアオコが発生したり、非常に悪臭が漂っているところでございます。周辺都市における人口急増に関しては、都市基盤の整備が非常に人工増に追いつかないというような状況で、排水がそのまま手賀沼に流れている等いろんな問題点も従来から指摘されているところでございます。  そこで、全国の水質汚濁の状況を見ると、湖沼の環境基準の達成率が河川、海域に比べて非常に悪いように思うんですが、いかなる理由によるか、ちょっとお答えいただきたいなと思います。
  24. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 御指摘のとおり、公共用水域の水質観測結果、これは、平成七年度の数字で見ましても、河川や海域はかなり改善の傾向にあるわけでございますけれども、湖沼は依然として改善が進んでおりません。例えば、代表的な指標、化学的酸素要求量、CODという指標がありますけれども、これの環境基準の達成率は、河川あるいは海域でありますと七〇%から八〇%が某準を達成しているという状況なんですけれども、湖沼の場合には三九・五%ということで、相当大きな開きがあるのが現状でございます。  この原因は、やはり何といいましても湖沼等は閉鎖性水域ということで、水が滞留するということが第一。それから、汚濁物質がそこに蓄積しやすい、一たん蓄積をしますとそれを排除するのが難しい、そういう湖沼特有の特色によるものであるというふうに認識をいたしております。
  25. 桜田義孝

    ○桜田委員 とりわけ手賀沼は過去二十二年間水質がワーストワンということで、一体その原因はどこにあるかということと、環境庁としては過失 今までどのような取り組みをなさっていたか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  26. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 これもまた先生の御指摘のとおりでございます。  ポイントは、手賀沼の場合には、やはり周辺で住宅開発が進行をして、手賀沼に流入する汚濁量がふえているということだろうと思います。通常、ほかの指定湖沼でありますと、汚濁の原因の大体五割ぐらいが生活排水ということでございますけれども、手賀沼の場合には汚濁の原因の七割が生活排水によるということでございまして、この生活排水対策をやはり強化をしていかない限りは手賀沼の水質改善はなかなか進まないということでございます。  昭和六十年に、いわゆる湖沼法に基づきまして手賀沼を指定湖沼に指定をいたしました。そして、二回にわたりまして水質の保全計画を立てたわけでございます。下水道の整備あるいは合併処理浄化槽の整備、そういったものをやると同時に、工場からの排水の規制、先生が今おっしゃいましたヘドロのしゅんせつ、それから手賀沼に流れ込む河川の浄化対策、こういうものを相当なお金をかけてやってきたわけでございます。十年間で大体三千億近いお金がここに投入されたと思います。  こういう状況でございますけれども、なかなか遅々として進みませんので、環境庁といたしましては、この生活排水対策を前進させるために、手賀沼周辺の市町を水質汚濁防止法の生活排水対策重点地域ということで指定をいたしまして、各種の対策を重点的かつ計画的にやってきているところでございます。今後ともそういった方向対策を強化をしていきたいというふうに考えます。
  27. 桜田義孝

    ○桜田委員 生活排水対策ということで進める中で、地域住民の啓発というものが不可欠であろうかと思います。住民が、自分の排出する水だけでなく、地域にある水との触れ合いを通して水の大切さや水の循環について考えることを促すような対策が必要かと思いますが、この点についても環境庁はいかなる取り組みをしているか、お伺いしたいと思います。
  28. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 これもまさに先生の御指摘のとおりでありまして、特に地域住民の理解と協力というのが水質浄化のためには不可欠でございます。生活排水による汚濁が七割を占めるということでございますので、出す方についての自覚、そういうものも必要でございますし、同時に、水の大切さであるとか水循環について考える、そういうきっかけを与えるような、そういう場の設定が必要でございます。先生方の御支援を得まして、施設事業の中で、身近な水辺の環境の再生、あるいはアシとかヨシといった、そういうふうな自然物を用いました、生態系を活用した水質浄化事業というのをこれまでもやってきております。  それから、御質問の中にございましたように、柏市も大変な湧水を昔は持っておりました。一九九〇年の調査ですと、百十カ所ぐらい湧水があるということが報告されておりますが、現在ではその百十ぐらいの湧水のうち六十六が現存をし、四十幾つかは消滅をしているということでございますので、これを復活、再生するということも一つ手段として考えられるのではないかというふうに思っております。平成九年度の予算要求の中で、井戸水あるいは湧水を復活、再生するという事業を現在要求中でございまして、これらも活用をいたしまして、地下を通る水の循環というごとも、目に見えた形で住民に理解をしていただくというふうなことを考えたいと思っております。
  29. 桜田義孝

    ○桜田委員 平成九年度からの井戸・湧水復活再生事業を柏、我孫子、沼南地区にもぜひ適用させていただければありがたいなと思っております。また、そのことを要望させていただきたいなと思っております。手賀沼問題につきましては、水質汚濁防止法に基づいて、排水規制とあわせて、今後も実効的な対策環境庁主導で講じられることを願っておるところでございます。  そして現在、千葉県の柏市、我孫子市、沼南町に位置する手賀沼は、周辺地域において都市化が進展する中、水辺と緑が親しめる自然環境を有する大変貴重な空間として市民の憩いの場となっております。  今、手賀沼の水質は、最近特に悪化が進んでいるといいますか、ひどくなっているのが現状であります。平成七年度の指標では二十九ミリグラム・パー・リットルということで、全国一の汚染度が進行しているところでありますが、いわゆる北千葉導水事業は、治水など手賀沼の水質浄化を目的として昭和四十九年に建設に着手して、現在まで二十一年が経過をして、その完成を地元住民は非常に待ち望んでいるところでございます。  そして、そこで、北千葉導水事業平成十一年から本格的な運用がなされると聞いておりますが、北千葉導水事業による水質改善効果というものは現在どの程度見込まれておるか、ひとつお願いしたいと思います。
  30. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 北千葉導水事業は、治水、利水、環境の三つの目的で行っております。  治水は、松戸市、柏市、我孫子市の浸水を防除する内水排除、利水は、利根川で開発された水を東京、千葉へ持ってくるということでございます。三番目の環境でございますが、今先生が御指摘の手賀沼の浄化をねらっております。  現在、手賀沼の水の滞留時間は大体十五日間でございます。手賀沼が一回水がかわるのは大体十五日と思って結構でございます。そこに利根川から、私ども十トンの水を導入しまして、毎秒十立方メートルでございます、十立方メートルと申しますのは非常に大きな量でございまして、三メーター掛ける三メーターの大きな面が一秒間に一メーターずつ動くという非常に大きな量でございますが、その水を利根川から導水しまして、手賀沼に浄化用水として入れます。そのことによって、現在手賀沼の水が十五日間で一回かわっているのを五日間でかえようということで、約三倍の速さで水の入れかえをしようという事業でございます。  このことによって、CODが現在の半分程度、全窒素量濃度が現在の三分の一ぐらいの改善効果があるんではないか。数字でいうとわかりにくいので、私どもの希望的な実はシミュレーションでございますが、十トン入れることによって大体昭和四十年代ぐらいの水質に戻そうじゃないかという考え方で現在事業を進めております。
  31. 桜田義孝

    ○桜田委員 北千葉導水事業につきましては、特に地元の皆さんが本当に首を長くしているというような現状でございまして、その期待を非常に多く持っておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それで、特にこの問題は沼南町におかれることなんですが、北千葉導水事業におかれましては導水管が埋設されるということを伺っております。そして、その上部、いわゆる埋設管が埋められたその上の土地のことなんですが、その上部の土地は、ぜひ公園、遊歩道、緑化などの整備を行いまして、近隣住民が水と自然に触れ合う憩いの場として有効活用されたいなという希望を持っておりますが、建設省といたしましては、導水管を埋設した上部の土地の有効活用についてはどのような取り組みを行っているか、また現状と今後の方針というものをお聞かせいただければありがたいなと思っております。
  32. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 北千葉導水事業は全体で約二十八キロでございます。そのうち半分以上の十七キロが、地面の中に大きな管を埋めるという埋設管方式でございます。その十七キロの地表、土地の表面の幅は約二十メーター程度になります。  この十七キロ、二十メーター程度の空間というのは大変貴重な空間でございまして、私どもこの空間をその所在市町村と一緒になって環境整備、公園整備、サイクリング道路だとかさまざまな形で有効活用をいたしまして、手賀沼周辺を一体とした首都圏のオアシスにしたいという夢を抱いておりますので、今後ともよろしく御指導のほどお願いしたいと思っています。
  33. 桜田義孝

    ○桜田委員 そのことは私も、今回の選挙に当たりまして特に地元の自治体からの要請がありまし て、必ず御期待に沿うように努力いたしますということで選挙に出馬した経過もございますので、ひとつよろしくお願いしたいなと思っております。  それから、手賀沼についてのおおむねの環境庁取り組みについては、内容は理解さしていただいたというつもりでございます。  最後になりますが、環境庁長官にお尋ねしたいんですが、地元では、過去、手賀沼については現職の環境庁長官が非常に視察をなさっている場合が多いので、私も、桜田さん、どこに所属しているんですかと言われると、環境委員会の方ですと。柏、我孫子、沼南、二市一町の中心が手賀沼なんで、この対策ということで環境委員会に所属させていただいておりますと言うと、いつもお見えになるんですが、今度は、今の環境庁長官はいつお見えになるんでしょうかと、実は我孫子の有力政治家の方から、いつも私が御案内しているんだけれどもいつ準備したらいいかという催促のリクエストもいただいて、私が呼んだときには来てもらえないよということになるとちょっと私の方も肩身が狭いものですから、ひとつ全国一、汚染度ナンバーワンという不名誉な地域でございますので、とにかくここに住んでいる人間として、何が何でも二十一世紀に向けて手賀沼をきれいにしたい、やはり、「水と緑のふるさとを。戻そう昔の手賀沼を」、そういうことでひとつ鋭意私自身も取り組んでいくつもりでございますので、長官の格別なる御配慮をお願いいたしまして私の質問を終わらせていただきます。
  34. 石井道子

    石井国務大臣 手賀沼の問題につきましては、地元の議員といたしまして大変御苦労のあることでございます。  今までもいろいろ答弁がありましたけれども生活排水対策とかまた市街地からの排水対策、また自然環境の保全とか、さまざまな対策を、これからも各省庁と連絡をとりながら取り組んでいきたいというふうに思っております。  それで、ちょうど、湖沼法に基づく第三期の湖沼水質保全計画、これは平成八年度から十二年度ということで今策定中でございます。私も、現地を実際に見て湖沼の実態を知ることは必要であると思っておりますので、特に地元の桜田委員の強い要請があったということで伺いたいと思っておりますが、できれば環境の悪くなる夏場の時期に伺った方がいいんではないかと思っておりますので、また折を見まして伺わせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  35. 桜田義孝

    ○桜田委員 特別な前向きな御発言をいただきまして本当にありがとうございます。その前向きな心構えで長官も元気にひとつ毎日、今後の御活躍を祈念いたしまして私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  36. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 大野松茂君。
  37. 大野松茂

    大野(松)委員 自由民主党の大野松茂でございます。  私の選挙区御出身でございます大臣を前にいたしまして、初質問の機会をいただきまして、まことに光栄でございます。大変幅広い環境行政の中でございますが、限られた時間の中で、大気汚染防止の上から、また環境保全の観点から質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  石井長官におかれましては、環境基本法に基づく環境基本計画が目標とする環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築する旨の力強い所信表明をいただきました。環境保全施策を積極的に展開される姿勢、さらには京都会議成功に向けての御決意に敬意を申し上げる次第でございます。  早速でございますが、申し上げるまでもなく、大量生産、大量消費、そして大量廃棄を進めてきた我が国にとりまして、廃棄物処理の問題は地球環境を守る上でも重要な課題でございます。近年、焼却炉が発生源とされるダイオキシンが、史上最強の毒物、このように言われることから、各地で社会問題となっておりまして、廃棄物をめぐる諸般の情勢は一層深刻化しつつある、こう認識をしているところでもございます。これらに対処すべく、環境庁におきましては昨年十二月、環境への影響を未然に防止する観点から、ダイオキシンに係るリスク評価等について中間報告を取りまとめられて、健康リスク評価指針値を設定されましたことは、本問題にとって大きな前進でございます。  そこで、環境庁におきましては、今後、これをもとにいたしましてどのような対応を図られるのかをまずお尋ねをいたします。
  38. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 お答えをいたします。  環境庁におきましては、昨年の五月に、ただいま御指摘もございましたけれどもダイオキシンに係るリスク評価検討会を設けましたが、これにあわせまして、ダイオキシンの排出抑制対策検討会も同時に設置をいたしました。  この検討会におきましては、昨年の十二月でございますけれども、リスク評価に係る中間報告を踏まえまして、多様な発生源に対する排出抑制対策の基本的な考え方について中間的な取りまとめを行ったところでございます。  具体的に申し上げますと、この中間的な取りまとめにおきましては、ダイオキシンによる健康影響を未然に防止する観点から、総合的かつ計画的に排出抑制対策推進することが必要だと指摘をしております。  具体的に申し上げますと、一つは、規制的措置あるいは事業者による自主的取り組みの促進等さまざまな政策手段があるわけでございますけれども、これの適切な実施、さらには、環境濃度の状況でありますとか健康影響の現状を把握するためのモニタリングの充実でありますとか、あるいは、それらに関する情報の共有化をすることの必要性等が指摘されているわけでございます。  この検討会におきましては、さらに各種の発生源データでありますとか排出抑制技術の評価等を行いまして、ダイオキシン類の排出抑制のための具体的な対策につきまして、本年度末を目途として取りまとめることといたしております。  環境庁といたしましては、この検討会の成果を受けました後、関係省庁とも調整を図りながら、規制的な措置の導入も含めまして、ダイオキシン等の排出抑制対策を早急に講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  39. 大野松茂

    大野(松)委員 また一方で、厚生省におきましても、本年の一月、「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」を発表されました。  その中で、暫定基準値を超える施設に対して休廃止を含めた設備改善を緊急指示するとともに、ごみ処理の広域化、小規模な間欠運転炉の集約化・全連続炉化、焼却灰の溶融固化、溶融スラグの有効利用、余熱利用発電事業、そして最終処分場対策等、全般にわたって恒久的対策を示して、抜本的な改善を推進することとされました。  私は、言うなれば画期的な取り組みである、こう高く評価しているところでございますが、この具現化の上では多くの課題があるものと承知をいたしております。財源措置を含めまして、厚生省のこれからの対応をお伺いいたします。
  40. 三本木徹

    ○三本木説明員 先生御指摘のガイドラインでございますが、この一月に策定をいたしました。厚生省といたしましては、現在、ごみ処理に伴って発生しておりますダイオキシンの総排出量を五年後にはおおむね八六%を削減できれば、あるいは十年後には九八%程度、あるいはまた二十年後にはおおむね一〇〇%、ほとんどゼロに近づけるようなことを考えておるわけでございます。  具体的な施策といたしましては、このガイドラインでは単体のごみ焼却施設について、新しくつくるものにつきましては〇・一ナノグラム、ガス一立米当たりでございますけれども、これを欧米先進国並みの基準として設定しております。  さらにまた、御指摘のように現在三千三百の市町村それぞれがいわばごみ処理を行っているわけでございますが、焼却施設についてはできるだけ大型化して、大規模化していく。具体的には広域 化という言葉にあらわされておりますけれども、そういうような施策推進していく。それを具体的にドライブをかけていくためには、予算制度が大変重要だと考えております。  そういうこともございまして、現場でのいわば自治体に対するダイオキシン対策の指導、具体的なその削減に対する指導とともに、予算制度上においても手当てをしていきたいというふうに考えております。  具体的には、予算上の手当てにつきましては、現在も各市町村におきましては、このガイドラインに即しまして、燃焼管理、運転管理で対応できない場合には改造措置を講じます。その際には設備投資が必要になりますので、これにつきましては優先的に国庫補助の対象として採択していく予定にしてございます。  さらに、今後の焼却施設でございます。排ガスだけの問題ではございませんので、例えば先生御指摘の焼却灰の溶融固化という問題がございます。溶融固化するプロセスを経る過程におきまして、灰の中のダイオキシンが分解されるという利点もございます。それでも、一〇〇%分解されるということはございませんので、一部残るかと思いますが、それは固化というプロセスを経ることによりまして封じ込めが十分可能でございます。そういったことについて、この焼却施設の整備に当たって、あわせて灰の溶融固化設備も設置していただく。そういうものに対しましては大幅にといいましょうか、重点的に国庫補助の対象として検討することとしております。  ダイオキシン問題は、まだまだ知見も十分ではございません。あるいは、技術もまだまだ開発途上にあるものでございますので、厚生省といたしましては、これらの知見というものを十分そろえながら、各都道府県あるいは市町村に適時適切な情報を提供してまいりたいと考えております。
  41. 大野松茂

    大野(松)委員 ありがとうございました。それぞれに強力な推進お願いしたいところでございます。  次に、私の地元のダイオキシンにかかわる問題でございます。  埼玉県の狭山市、所沢市などの三市二町の接する地域に、実は広大な雑木林がございます。ここに多数の産業廃棄物処理施設が立地をいたしておりまして、殊に、半径五百メートルの範囲内に十五カ所もの五トン未満の小規模の産業廃棄物焼却施設が集中して、そこから高濃度のダイオキシンが検出されたことから大きな不安が広がっております。自然破壊、環境汚染は今社会問題になっているところでもございますが、実は、連日このようにコピーし切れないほどの新聞に報道されているところでもございます。  もともとこの雑木林の広がる地域は、百五十ヘクタールにも及ぶものでございますが、江戸時代の武蔵野開拓の遺構の一部でもございます。防風林、薪炭林として、また有機質源として今日まで機能を果たしてまいりました。先祖代々大切に受け継がれた農家の貴重な財産でございますが、相続税を納めるためにやむなく手放されて、それが産業廃棄物施設に姿を変えたものでございます。  この豊かな緑の景観地、豊かな自然環境、これを保全して後世に残していくためには、公有地化が何よりも望まれるところでもございまして、相続税の物納の方法によって公有地化を推進できないものか、こう願っております。この際、環境行政の面からの御支援を要望しておきたいと思います。  そこで、小規模の廃棄物焼却炉施設から排出されるダイオキシンやばいじんによる大気汚染についての対策が必要と思われるわけでございますが、環境庁としてはどのような対応が図れますか、お尋ねをいたします。
  42. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 ただいま小規模な焼却施設についての御心配の向きの御質問がございましたが、環境庁におきましては、廃棄物焼却炉につきまして、大気汚染防止法に基づくばい煙発生施設といたしまして、硫黄酸化物でありますとかばいじん、窒素酸化物、また塩化水素の排出規制を実施しているところでございます。環境庁といたしましては、都道府県に対しまして法に基づく立入検査や測定を計画的に行いまして、焼却施設における適正な燃焼管理でありますとかばい煙処理を徹底するよう、今後とも指導してまいりたいと存じております。  また、平成六年度より、廃棄物焼却炉から排出されるばいじんを含むばい煙の排出の実態等につきまして調査をしているところでございますが、この調査結果を踏まえまして、規制対象規模や排出基準等の見直しを図ってまいりたいと存じております。  なお、念のため申し上げたいわけでございますが、ばい煙中のダイオキシンというのは、ほとんどがばいじんに吸着されておりますので、ばいじんの規制強化を図ることによりまして、ダイオキシンの排出抑制につながるということが期待されるわけでございます。  以上でございます。
  43. 大野松茂

    大野(松)委員 この地域からも申し上げることができるわけですが、産業廃棄物処理施設については、今回の新ガイドラインでも規制外となっております。小規模施設の設置についても規制を講じないことには、ダイオキシン対策の完璧を期すことはできないと考えております。これらに対する厚生省の取り組みについても、あわせてお伺いをいたします。
  44. 三本木徹

    ○三本木説明員 先生御指摘の小規模な施設につきましてでございますが、全国的にも大変重要な問題だというふうに認識してございます。現在、厚生省では、廃棄物処理法の改正をすべく、全般的な見直しを行うべく作業を進めているところでございますけれども、その中で、あわせてこの規制対象となる産業廃棄物焼却施設の規模についても、並行して、より小規模なものについても規制ができるような方向で見直しを行ってまいりたいと思っております。  なお、廃棄物処理法での規制でございますが、具体的な処理基準というのは政令ないしは省令で細かく決めておるところでございます。具体的なこの処理基準の見直しにつきましては、実はダイオキシンにかかわらず、現在いろいろ問題になっておりますので、作業を進めておりますけれども生活環境審議会の中での専門委員会で検討しています。今後、産業廃棄物焼却炉に係る構造基準、維持管理基準、これにつきましては、ダイオキシンの発生抑制を考慮した上で、どのような基準にしていくかを検討していきたいと考えております。
  45. 大野松茂

    大野(松)委員 それぞれ大変ありがとうございます。  環境庁長官には、ダイオキシン対策推進に向けた御決意のほどをお聞かせいただければありがたいのですが。
  46. 石井道子

    石井国務大臣 ダイオキシンの問題は、国民の健康影響を未然に防止するという点で、特に対策を急がなければならない問題であるというふうに思っております。このために、環境庁といたしましても、今まで有識者によりますダイオキシン排出抑制対策検討会を設けまして、ダイオキシン対策のあり方について検討を進めまして、その最終報告が年度内にまとめられるという予定になっております。今後、検討会の成果を踏まえまして、できるだけ早期に規制措置の導入も含めて対処していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  47. 大野松茂

    大野(松)委員 どうもありがとうございました。ダイオキシンそのものが見えないものだけに、不安が大きいものでもございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  ちょっと時間がございますので、低公害車問題についてお尋ねをいたします。  低公害車は、現在、天然ガス車、電気自動車、メタノール車、ハイブリッド車に分類されております。基本認識として、これらは環境保全に有効な交通手段として、近年特に注目をされているところでもございまして、先ほど杉浦先生からも御質問があったところでもございます。大量普及が あってこそ、その効果も高まるものでありますが、余り進んでいない、このようにも仄聞しております。低公害車普及は、国民の理解が不可欠でありまして、極めてまた重要と考えております。  そこで、本年十二月に開かれる京都会議、さらには明けて来年の二月の長野オリンピックと、国際的な催しが続いているわけでございますが、この機会に低公害車の重要性を国民に広くアピールする、そして世界我が国取り組みをアピールする必要がある、こう思っております。  これについては、自民党の低公害車普及推進委員会でもかねてより指摘しているところでもございますが、環境庁の対応の御所見、あわせて持続可能な二十一世紀実現に向けて、環境に優しい交通体系を確立することが不可欠でございます。自動車交通の低公害化、低公害車普及促進について、時間がございませんので、失礼でございますが、環境庁長官の御決意を承らせていただきます。
  48. 石井道子

    石井国務大臣 低公害車普及を図るということは、国民の目に見えるところでやはりいろいろと対策を講じているという点で、大変重要であるというふうに思います。  この普及につきましては、大気汚染防止地球温暖化防止にも大変有効な施策でございますので、環境基本計画あるいは自動車NOxの削減計画等に位置づけまして、その推進を図っているところでもございます。今後も、その普及を図るために、関係省庁また地方自治体などとも連携をいたしまして、低公害車普及に最大限の努力を払っていく所存でもございます。  低公害車の重要性を広くアピールするために、特に京都会議におきまして、COP3におきまして低公害車フェアの開催をいたしますとか、あるいは長野オリンピックでの低公害車の導入促進という点で、鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
  49. 大野松茂

    大野(松)委員 それぞれに積極的な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。今後の取り組みに大きな期待をいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  50. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 田端正広君。
  51. 田端正広

    ○田端委員 新進党の田端正広でございます。  環境庁長官には、大変御苦労さまでございます。  きょうは、まず最初に、先日のロシア・タンカー・ナホトカ号の重油流出事件についてお伺いしたいと思います。  これは大変な、思ってもみなかった大事故でございました。かってない海洋汚染ということになったわけでありますが、日本海沿岸の八府県ですか、沿岸住民には大変に御苦労をおかけしていることと思います。  私も、先日、現地福井県の三国町の方に伺いましたけれども、あの重油のにおいといいますか、本当にすごいなということも感じました。寒さときついそのにおいの中で、大変現地の方が御苦労なさっているということで、本当に申しわけない思いもしたわけですが、長官も十五日の日か何かに伺ったというふうに聞いております。そのときの印象等もおありかと思いますが、環境庁の中に、少しおくればせながらといいますか、二月七日に重油流出事故環境影響評価総合検討会というものが設置されたというふうにも伺っておりますが、今後のこの環境影響評価についての調査をどういうふうにやっていかれるのか、まずその辺をお伺いしたい、こう思います。
  52. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 環境調査につきましては、事故発生直後の状況を掌握するということで、一月十五日から十七日にかけまして、国立環境研究所の専門家を派遣をいたしましてサンプリングその他を行ってまいりました。それから、三月にかけまして、とりあえず水質、大気、それから底質、生態系、景観、こういう幅広い分野で調査をまずやりたいと思っております。その後、一定の期間を置きまして、例えば、六カ月後、あるいは一年後というふうなことで調査を行い、評価を実施したいと考えておりますけれども、今回の事故は大変重大なものでございますので、そういう点を考えますと、影響が長引く可能性もあるのではないか。そういう点に立ちまして、今、先生御指摘ございました総合検討会、これは幅広い専門家にお集まりいただいておりますので、ここの意見をよくよく聞いて今後のスケジュールを考えていきたいというふうに思っております。
  53. 田端正広

    ○田端委員 ぜひひとつしっかりとこれからも追跡調査お願いしたい、こう思います。  私は、今回現地に行って感じたことは、民間ボランティアの皆さんの御苦労、これは大変なことだと。そういう意味で、例えばこういう思ってもみない自然災害とかこういう事故とか、こういうことに対して、環境庁としての危機管理という視点から、民間との連係プレー、ネットワークづくり、こういうことを事前に、従前から絶えず意識しておく必要があるのじゃないか、こういう思いをいたしました。  例えば水鳥についての手当てにしても、日本野鳥の会の皆さんとかそういうボランティアの方にお世話になった、こう思いますが、そういう意味では、これから国際的な事件にしても、例えばNGOの活躍等、民間のもあるわけですから、ぜひ環境庁として民間とのネットワークづくり、こういうものもお考えいただきたい、こういう思いでございますが、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  54. 石井道子

    石井国務大臣 このたびのナホトカ号による重油の事故につきましては、本当に現地の皆様方の御苦労は並々ならぬものがあるわけでございまして、私も現地視察をいたしまして感じたところでございます。その後の経緯につきましては委員御案内のとおりでございまして、かなり長期的な取り組みが必要になってきているところでもございます。環境庁といたしましても、対策検討委員会もつくり、そして環境影響を的確に把握をして、そしてそれを評価をして、今後の対策に生かせる環境調査に着手をしているところでございます。  これからもやはり段階的に、継続的に取り組まなければなりませんので、特に自然環境につきましては、一度破壊されたものが回復するには相当な時間がかかります。労力も必要でありますが、今後はできるだけそのような問題事故とかそのようなことに備えまして万全を期していきたいというふうに思っております。  このたびも、特に環境関係につきましては、環境団体、ボランティア、NGO方々の団体がかなりあるわけでございまして、そういう方々の御協力もいただいているわけでございますし、特に水鳥の保護につきましても、地元の獣医師会の方々の大変献身的な御協力をいただきましていろいろとやっていただいているわけでございます。そういう点では今後も、人材を育成していくこととか、あるいは情報を速やかに提供できる体制を整えることとか、できるだけ活動するための資金を確保することとか、そういう点で配慮しなければならないというふうに思っているわけでございまして、今回も、環境事業団の中の地球環境基金による活動の資金の支援も行ったところでもございます。  危機管理に対しましての対策は、今後、環境庁も十分にこれから対策を立てなければならないと思いますし、それ以外の省庁におきましても、特に日本海における海の特殊な状況もありますし、今まではその危機管理に対しての備えが非常に弱体であったということを反省して、今度の経験をこれからの対策に十分生かすべきであるというふうに思っております。
  55. 田端正広

    ○田端委員 次に、環境影響評価制度法制化についてお伺いしたいと思います。  この地球環境問題というのは、二十一世紀人類にとって最大のテーマになっていくのではないか、そういう認識を私はしておりますけれども、今回、中央環境審議会答申を受けて、昭和四十六年ですか、環境庁創設以来の悲願ともいうべき この環境アセスの法制化がいよいよ実現化ということになったわけでございまして、私も、そういう意味では皆さんの御努力に大変敬意を表したいと思います。  そういう意味で、法制化に際して、長官がおっしゃっているように、OECDの中で唯一日本だけが取り残されたという意味の汚名を持っていたが、これでそういう汚名も晴らせるということでございますけれども京都会議もあることですから、ぜひCOP3の成功に弾みをつけるような形で統一的な法制化というものを実現していただきたいな、こういう思いでございます。先に長官の御決意をちょっと一言よろしくお願いをいたします。
  56. 石井道子

    石井国務大臣 環境アセスメント制度につきましては非常に長い経緯があるわけでございまして、この問題は、環境汚染を未然に防止するためにぜひとも必要な制度でありますし、その的確な推進を図るということが必要であるというふうに考えております。  今度、ようやく中央環境審議会におきまして総理に対します答申がまとめられました。このようなことを契機といたしまして、これからも充実した法制化に向かって今努力をしているところでもございますが、早い段階からこの環境影響評価を可能とするような制度にすべきであるというふうな基本原則も示されているところでございますから、ぜひこのような答申を尊重いたしまして、そして取り組んでいきたいと思っております。  特に、OECDの国の中では日本だけが法制化されてないという残念な状況でもありますし、今度十二月に行われます地球環境温暖化防止京都会議の場におきましても、日本の積極的な取り組みを示さなければなりません。そういう意味で、今度の国会におきまして環境影響評価法案を提出いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  57. 田端正広

    ○田端委員 それでは、その中身について少しお伺いしたいと思いますが、法案の大前提として、情報公開を貫くということが大変大事な原則だ、こう思います。ぜひその辺のところをしっかりと認識していただいた法案にしていただきたい。それがその実際の運用面でざる法になってしまったのではもう何の意味もないわけですから、ぜひ情報公開ということを原則にお願いしたい、こう思います。  それから、アセスの実施の時期でありますけれども、今までと違って、計画段階の基本構想、基本計画の時点でも適用される、こういう方向でございますので、ぜひこれもそういう意味でその時点での変更、中止も含めた適用をできるような法案お願いしたい。  それから、建設省とかという事業主体が大型公共事業、例えば高速道路とか大きな橋をつくるとかという場合に、事業者が建設省になるわけですが、そういう主体者、事業者に対して、環境庁としてきちっと歯どめといいますか、物が言えるのか、そういうことを大変私は心配しております。もちろん住民や知事の意見を集約するということになるのでしょうけれども、実際面として大型公共事業のときに建設省が主体的にやっている場合に押し切られないか、そういうことを非常に懸念するわけであります。  きょうたまたま一般紙にも出ておりますが、利根川下流の銚子新大橋、これは茨城県と千葉県との県境をまたいでかけようとしている橋だと思いますが、ここにヒヌマイトトンボという絶滅の危機種に指定されているイトトンボの生息地があるという、つまり、ここの利根川のアシのところに生息しているわけです。  この新聞の報道によりますと、自然公園法で定められた調査というものをしないで、着工した後、アシを刈り取った後に調査をして、もういないから工事を進めていいんだ、こういうことを進めた、こういうことがわかったので、環境庁が何か聴取するということになっているようであります。つまり、事業者が事前にすべきアセスといいますか調査を、工事を始めてしまって、それでやった日付だけ事前の日付に合わせるというとんでもないことをやっているようでありますが、こういうことが起こるのだったら幾ら立派な法律ができても何にもならない、そういう懸念をしています。  だから、私が懸念していたことがこういう形できょうたまたま報道されておりますけれども、この報告も含めて、環境庁の方からの決意のほどをお願いしたいと思います。
  58. 澤村宏

    ○澤村政府委員 私の方から、ただいま先生御指摘の点につきましての事実関係につきまして申し上げますが、本件につきまして、私どもも詳細を承知していないところでございますので、早速来週にでも千葉県を呼びまして、事実関係をまず確認したいというふうに考えております。  そして、法の運用の適正ということでございますが、適正に実施しているものと期待しているところでございますが、事実関係が明らかになった段階で、必要があれば県を指導する、そういうことで対応していきたいと思います。
  59. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 アセス制度につきましては、答申をちょうだいしてからただいま鋭意立法作業に入っておるところでございますが、先生今御指摘になりました何点かにつきまして、まず情報公開でございますけれども、アセス制度にとりまして情報を早く住民に開示するというのは非常に重要なことでございまして、答申にもそういうことがうたわれておりますので、できるだけ早い段階から情報を出していって意見を聞いていく、こういう仕組みにいたしたいと思っております。  それから、早期段階から着手をするということでございます。これまでは、今の制度では、確かに準備書の提出によりまして事業関連の情報が住民や地方公共団体に提供された、こういうことですが、この時点では事業の概略がほぼ固まっている、こういう現状でございますので、答申におきましては、できる限り早い段階で情報を収集して幅広く提供が行われるということが提言をされておりますので、私どもといたしましても、そういうことで、事前に、準備書の作成の前に、事業者が調査、予測を開始する際に情報を提供して地方公共団体なり住民なり専門家の意見を聴取する、こういう制度、いわゆるスコーピング制度といいますが、これを導入することが提言をされておりますので、このような手法を導入いたしまして、事業計画の早い段階から環境配慮に資するということが期待できるわけでございます。  私どもは、これもこうした答申の趣旨を踏まえまして法案に取りまとめていきたい、こういうふうに思っております。  それから、事業者に物が言えるかということでございますけれども、これまでの制度でも、環境庁長官は要求されたときに意見を申し上げていたわけでございますけれども、それでも各省は相当尊重していただいたと思っております。  今後は、答申におきまして、必要に応じて環境庁長官が意見を述べるということがうたわれておりますので、主務大臣はその意見に配意して審査をするということにされておりますので、これによりましてさらに主務省庁においても十分環境庁長官の意見が尊重されて適切な環境配慮ができるものというふうに思っております。  いずれにいたしましても、答申の趣旨を踏まえまして立法作業を鋭意進めているところでございます。
  60. 田端正広

    ○田端委員 環境庁長官が意見を述べるようにするということですけれども、だって、それは今までもあったわけですから、聞いてみますと、現実には二百七十九件の中で長官が意見を述べたのは十九件にすぎなかったということでございますが、その長官の意見が実態的にどれだけの重みを持っているのか。例えば計画変更とか修正とかというところまで食い込んだ意見であったのかどうか。  逆に言うと、長官の意見がお墨つきになって、だからやっていいんだというようなことに逆に言えばなることも心配なわけでありますから、今までの例からいくと、長官の意見というものが私は そういう意味では少な過ぎるという気もしますし、また、もっと環境庁がしっかりとリーダーシップといいますか、運用面のところにまで食い込んでいくべきではないか、こういう思いをしているわけで、形で言っているのじゃなくて、実態面でもっとしっかりとしたものにしていただきたい、こういう思いでございます。  それからもう一つは、地方自治体で、既に五十一団体ですか、アセス条例をつくって実際に行われているわけですから、その法律と自治体の条例との重複といいますか、これについて既に自治体の方が先行しているわけで、それよりも後退したものであってはならないんじゃないか。  そういう意味で、ぜひこの地方自治体の条例等もよく参考にしていただいて、その辺の関係性を明確にしていただいた方がいいのではないかな、こういう思いがします。  この今の二つは、さっき申し上げた銚子新大橋の問題とも私は絡んでいるのだろうと思います。つまり、国定公園を管理する知事の認可を必要としている事業であるにもかかわらず、工事を着工してから調査したものを事前に調査したといううその報告をしてこの銚子新大橋の着工に入ったということになれば、これは条例や法律が幾らあっても、現実的にこういうことが行われるのであれば環境保全ということは体をなさないのではないか、こういう思いがするわけであります。  そういう意味で、特に、ここは淡水と海水がちょうど入りまじった河口の近くで、こういうところにしかヒヌマイトトンボというのが生息しないという、そういう珍しい動物であるわけですから、そういうものを守っていくという意味でも、こういうとんでもないようなことをしていたのでは幾らいい法律をつくっても実態が伴っていかない、こういうことを心配するわけで、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  61. 石井道子

    石井国務大臣 委員の御心配をなさいますこと、ごもっともでございまして、今度のアセスメント制度の運用に当たりましては、環境庁の役割は大変重要であると認識しております。  今までは、意見が求められればそれに対して答えるという形でございますから、先ほどの数字も、多分意見を求められた件数が少なかったということではないかというふうに思いますが、今回中央環境審議会答申におきましては、環境保全行政を総合的に推進する立場から、環境庁長官が意見を必要に応じて述べることができるというふうになっておりますから、それだけ大きな責任もありますし、発言権も与えられたということであろうというふうに思いますので、それだけ重要な役割を十分に認識をして、そして事に当たらなければならないということを痛感しております。  これからも、環境庁の果たすべき役割を的確に遂行する、そして大規模開発事業の実施に際しまして適切な環境への配慮が行われるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
  62. 田端正広

    ○田端委員 ぜひ環境庁のリーダーシップを発揮できるようによろしくお願いしたいと思います。  続きまして、地球温暖化防止京都会議COP3の問題をお伺いしたいと思います。ことしの十二月一日からということで京都で行われるこの気候変動枠組み条約第三回締約国会議は、参加国も百七十カ国ぐらいですか、そしてまたその他国際機関、NGO政府関係者、マスコミ、総人数にすると五千人ぐらい、こういうことも伺っておりますけれども、そういう意味では大変な、日本で開かれる国際会議としては最大級の会議になるのではないかな、こういう思いをいたします。  そして、そこで二〇〇〇年以降の温室効果ガス排出についての数量目標について新たなる取りまとめをしていく、こういうことになるわけでありますが、日本として議長国として議定書の取りまとめ等に大変長官も御苦労があろうかと思います。そういう意味では、国内はもちろんですが、世界において日本が今度環境面でリーダーシップをとる大きなチャンスではないか、私はそういう思いもいたします。  二十一世紀地球というものを守るその先頭に日本が立つという、その辺のところの評価につながるような、そういう会議にしなければならないと思うわけでございますけれども国際舞台での大きな活躍が期待される長官としての抱負をまずお伺いしたいと思います。
  63. 石井道子

    石井国務大臣 このたびの地球温暖化防止京都会議は非常に重要な意味を持っているというふうに思います。委員御指摘のとおり、この際、日本のリーダーシップを十分に発揮して成果を上げなければならないわけでございます。  そして、このたびの京都会議で結ばれる国際約束につきましては、各国の交渉担当者間で検討の段階に入っております。準備のための会合が何度かあるわけでございまして、その中で幅広い論点を余さず取り上げて、そして具体的な選択肢を示して議論を徹底して行うことが肝心であるというふうに思います。日本といたしましても、議定書のたたき台を示すということも行いますとともに、さまざまな機会を設けて国際的な議論を促しているところでございます。  議論は最後の段階まで続くというふうに思いますが、最終的な合意形成の段階におきましては、現状の気候変動枠組み条約の仕組み上の欠点を確実に改めること、それから将来の外交交渉が円滑にできて対策が充実強化されやすくなるような土台をつくるということ、そのようなことを判断の基準として、国際的議論を収束させる努力をしているところでございます。  この京都会議における国際合意に至るまでの過程においては、特に我が国が開催国であるという立場上、政治的なリーダーシップも期待されるところでありますし、日本といたしましても、G7のサミットや、また国連環境特別総会が六月にございますから、そのような機会をとらえて、環境保全上実効ある国際合意に向けまして、各国が政治的な決断をすることの必要性を訴えていきたいと思っております。  特に、日本の開催国としての立場は、まず国内での対策が必要でございますから、そのような対策の実施上の不安からせっかくの国際合意に消極的になるような事態を避ける必要があると思いますし、そのために国内において国民総ぐるみ対策に参加をしていただいて、そして二酸化炭素の排出量を減らすことができる自信が高まる中で京都会議を迎えていくように今取り組んでいるところでございます。
  64. 田端正広

    ○田端委員 これはぜひ成功させていただきたいと思いますが、今の現実の国際的な各国の目標といいますか、非常にばらつきが多いと思います。小島嶼国なんかは二〇〇五年に二〇%削減とか、こう言っておりますし、またドイツなんかは二〇〇五年で一〇%、二〇一〇年で一五から二〇%、こういう目標を出しているようでありますが、正直言って、日本は総排出量が、一九九〇年レベルに比べて、一九九四年で七・二%上回っている。そういうことであれば二〇〇〇年までの目標すら達成できない、非常に厳しい状況にあるのじゃないか、こう思うわけです。  議長国の日本がそういう現状で、果たして口でリーダーシップをとるとかそういうことを言って大丈夫なのか。仮にそういう状況の中で新しい議定書で二〇〇〇年以降のことを取りまとめても、本当に実が伴ってくるのだろうか、こういう心配をするわけですけれども、この点についてはどうでしょうか。
  65. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、近年の我が国におきます二酸化炭素排出量の推移を見てまいりますと、現行のままでは二〇〇〇年目標の達成は非常に難しい状況にあると考えておるところでございます。排出量のシェアが比較的大きい産業部門はもとよりでございますが、近年非常に伸びの著しい民生部門、運輸部門も含めまして、対策の一層の強化が必要な状況になっていると認識しております。  したがいまして、私どもといたしましては、二〇〇〇年目標の達成に向けまして、一層の対策の強化をしてまいりたいと考えておりまして、環境庁初め、各省庁におきまして、省エネルギーの強 化、新エネルギーの導入促進を初めといたしまして、地方公共団体の事業への支援、あるいは産業界の自主的対策の奨励、さらには国民が日常生活の中で取り組むことのできる対策普及などの対策の充実強化を図っているところでございます。  私どもの専門家の検討結果によりますと、技術的な検討におきましては、二〇〇〇年目標の達成は決して不可能ではないというような検討結果も得ておるところでございまして、現在、既に実用可能な技術が積極的に採用されていくように、私ども政府、各省庁挙げて対策推進をしてまいりたいと考えているところでございます。  さらに、環境庁におきましては、今後、京都会議国際的な合意がなされまして、二〇〇〇年以降一層厳しい対策を実施する必要がある、そういう必要が生ずるものと考えておりまして、そうした観点から、地球温暖化防止行動計画を全体として一層効果的に実施できる形に改めるための準備も、早い段階から進めていく必要があると考えております。このような観点から、平成九年度の政府予算案にも、地球温暖化防止行動計画の見直しのための調査費も新たに計上しているところでございます。
  66. 田端正広

    ○田端委員 理屈で余り言ってもあれですから、つまり、国民生活の視点で温暖化というものをどういうふうに考えていくかということも必要だと思いますから、少しその辺のところを議論してみたいと思います。  例えば、この百年間で地球の温度はどれぐらい上がったか。〇・六度と言われておりますが、では今後百年、二一〇〇年にはどのぐらいになるかということを今の現状から算出されますと、平均二・五度前後上がるだろう、こう言われております。そうしますと、今の東京の年平均気温というのが十五度Cだそうですけれども、二・五度上がればどの辺になるかというと、鹿児島ぐらいになる。つまり、二一〇〇年には東京が鹿児島の方に行ってしまう、こういうことになるのだろう、こう思います。  そうするとどういうことになるかといいますと、これは例えば、国際的にも、世界的にも穀物の生産がもう大変動を来すと思いますね。日本は輸入国ですから、非常に影響が大きいと思います。しかし、お米の場合でも、例えば今私たちが新潟米、新潟のコシヒカリとか、おいしいと言っているものが、二度上がれば、これはもう大変なことだろうと思います。だから、日本ではもうササニシキやコシヒカリはとれなくなってインディカ米になるのではないか。それは極端かもわかりませんが、しかし、そういう変動が起こるだろう。  あるいは、蚊が媒体になったマラリアの流行ということも考えられる。私は大阪ですが、先般大阪で、セアカゴケグモ、毒グモですね、亜熱帯地帯における毒グモが関空近くに出てきたというので、大きな話題になりました。  こういった現象が、二度上がれば当然起こるだろう、こう思うわけでありまして、北国では雪が少なくなって、ことし既に利根川の渇水が、冬場で二年連続渇水状況が続いているようでありますけれども、こういうことがもっと深刻になるだろう等々、いろいろ考えられます。  それから海面が、二度上がれば一メートルぐらい上がる、こう言われております。そうすると、防波堤を五十センチか一メートルまた継ぎ足さなければならない。こういういろいろな状況が起こってくるだろうし、海水浴ができる砂浜がなくなってしまうとか、こういうことにもなるのだろう。  そういうことをもっと、こういうふうにわかりやすく言えば、国民の皆さんも、温暖化というのは大変なんだということがわかる。だから、エネルギーを節約しよう、こういうことになるのだ。したがって、国民が理解できる、そして国民が参加できるような運動といいますかキャンペーン活動、そういうものをCOP3に向けてやっていく必要があるのではないかということを感じます。先ほども少しお話がありましたが、そういう意味で、ぜひこのキャンペーン活動をやっていきたいと言っていただきたい、こう思うわけです。  ごみを減らすとかエネルギーを節約するとかということは当たり前なのですが、例えば、全国一斉に、日にちを決めてノーマイカーデーを設定するとか、この日だけは全国マイカーを全部やめる、こういうふうに一回やってみるとか、それがどういう効果をもたらすかわかりませんが、そういう試みも必要だろう。  あるいは歩け歩け運動。電車通勤を促進する何かきっかけをつくる。そういうものを環境庁が主導的にやってみるとか、あるいは、一番省エネでいいというのは自転車ですから、官房長官が、緊急時に大臣に自転車を購入するようにというお話がありましたが、そうではなくて、日常的に自転車をもっと愛用する運動を進めるとか、こういう何かエネルギーを節約する視点での国民ができるようなものを、この京都会議に向けて何かやられたらどうか、こういう思いをしておりますけれども、いかがでございましょうか。
  67. 石井道子

    石井国務大臣 委員御指摘のとおり、国民総ぐるみ運動を展開することによって、この温暖化に対します対策を進めることが必要でございます。  このような目標のもとに、環境庁におきましても、京都会議が開かれます十二月の一年前ということで、昨年十二月一日に京都に参りまして、関西地区自治体方々、それからまたNGO方々にもお会いをいたしまして、その対策、御協力に対してお願いをしたところでもございます。  この具体的な事業計画につきましては、それぞれの地元で計画を立てているというケースもありますが、ちょうど六月の五日が環境の日でございまして、六月が環境月間ということになっております。そのようなときをとらえまして、できるだけ幅広く、国民皆様方にも、PRを兼ねて具体的な温暖化防止対策取り組みお願いしたいと思っているところでございます。  今後も、そのような活動推進するためには、環境庁はもちろんでございますが、関係省庁、それから地方自治体、また関係団体、NGO方々、そういう方々と連携をとりながら、より効果的に事業を進めていきたいと思っておりますので、どうぞ、地元におきましての取り組みに対しまして、委員の御協力も御指導もお願いしたいと思っております。
  68. 田端正広

    ○田端委員 もうちょっと提案しておきたいと思います。  例えば、やはり二十一世紀というのは地球環境問題が大変大きなテーマになるわけですから、これについて、各国がばらばらでは実効ある対策がとれませんから、そういう意味で大事になってくるのは国連だろう、私はそう思います。したがって、国際的な組織の体系化といいますか、そういう意味一つの意見交換の中心に国連というものを位置づけて、国連の中に地球環境保全理事会、安保理に匹敵するような地球環境を守るための理事会というものを国連につくれば、各国の調整もチェックも指導監督もうまくいくのではないか、こういう思いがしますので、ぜひこれは大臣国際的な会議の場で提案をしていただきたい、こう思います。  それから、国内的には、やはり国民の意識を喚起するという意味では、例えば平成十年を地球環境年とかこういう年にしようというキャンペーンを張ってみたらどうだろう、こういう思いもします。  それから、もう一つ申し上げますが、この京都会議の直前の国会において、地球環境を守る国会決議みたいなものをまず、日本が議長国でやるわけですから、率先してそういうことをやったらどうか、こういう思いがいたします。これは私の意見としてぜひお聞きとどめていただきたい、そして機会あるときには御検討いただきたい、こう思います。  次に、花粉症のことでお伺いしたいと思いますが、ちょうどきょうから花粉が大分飛んでいるようでありまして、花粉症の季節といいますか、そ ういうことになってきました。ここ二月、三月、四月いっぱい、ここ二、三カ月が大変だと思います。この罹患者の数というのははっきりしていませんが、一千万人とも一千五百万人とも言われているわけでありまして、私は、花粉症は現代における国民病だ、こう思っております。ちょうどきょうは、きのうですか、二月二十日がアレルギーの日だということでありますが、このアレルギー患者、罹患者というのは、子供で三五%、成人で二九%と言われています。これは三人に一人という非常にすごい数値だなと思いますが、そういう意味で、これは命に別状ないからといって、もうほっておけない状況に今なっているのではないかな。  一昨年のこの委員会で私この問題を取り上げさせていただいたときに、同僚の議員から、大変いい質問をしてくれたとたくさんの方から言われました。要するに、国会議員の私たちの仲間の中にも花粉症で困っている人はたくさんいるわけでありますから、そういう意味で、本当にこれは放置できないのではないかなと思いますが、私はあのときに発生のメカニズムの解明ということを強調しました。そしてそれ以後、関係省庁環境庁中心に、厚生省、林野庁、気象庁あるいは科学技術庁等が連絡会議を持たれたりいろいろされたようでありますけれども、パンフレットとかいろんなものもつくられて、また今回も、予算に対しても非常に前向きに取り組んでこられたようであります。しかし、決定的な花粉症に対する解答がまだ出ていない、治療法もまだはっきりしていないし、そしてまた原因もまだはっきりしていない。  その中で唯一、ディーゼル排気微粒子、DEPというものがこの大きな原因ではないかということが科学的にも立証されつつある、こう思います。環境庁ですか、厚生省ですか、いただいた日本公衆衛生学会の「大気汚染と花粉症の相互作用に関する基礎的研究」の報告レポートを見ましても、このディーゼル排気が鼻の粘膜との関係で反応を起こしているとか、いろんな動物実験の結果が報告されておりまして、そういう意味で、杉花粉というものとディーゼル排気微粒子、DEPとの関係というのは非常に疑わしい、クロに近い、こういうことが言えると思います。したがって、このディーゼル排気ガス対策というものにぜひこれから力を入れていただきたいと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  69. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 お答えを申し上げます。  環境庁におきましては、ディーゼル排気微粒子、DEPと略させていただきたいと思いますが、この対策といたしまして、従来から黒煙の自動車排出ガス規制を実施してきたところでございますが、これに加えまして平成五年度から、黒煙を含むDEP全体の規制を開始したところでございます。  また、DEPの排出量をさらに六割以上を削減する規制を、車種に応じてでございますけれども平成九年から平成十一年までに実施することといたしております。なお、この規制のさらなる強化ということにつきましても、平成八年の五月、昨年でございますけれども中央環境審議会に諮問をさせていただきまして、現在御審議をいただいているというところでございます。  さらに環境庁におきましては、平成九年度からでございますけれども、黒煙のほぼすべて、それからDEPの八割程度を除去するディーゼル排気微粒子の除去フィルター、DPFと言っていますけれども、この普及を図るために、その実用性を実証するための調査を行うこととしております。  今後とも、一層DEPの削減対策に努めてまいりたいと存じております。
  70. 田端正広

    ○田端委員 ぜひ環境庁中心になって、関係省庁とプロジェクトチームを組むなり、研究成果を意見交換するなり、いろいろな総合的な視点から対策をひとつ進めていただきたい、こう思います。命にかかわりのないことでありますけれども、これはもう現代病として欠かせないことになっていると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  そこで、つい先日、この花粉症の薬でベストスリーになっている、トリルダンという商品名ですね、テルフェナジンというのが不整脈を引き起こしているという症例が十七件ですか、十九件ですか、起こったということで話題になっています。つまり花粉症の場合、今これは耳鼻科で使われているようですけれども、耳鼻科に行く人とかあるいは内科に行く人とかさまざまいろいろ、眼科に行く人とかあるようです。しかし、そういう耳鼻科で最も使われている薬が副作用を起こすということになりますと、これは大変なことになりますので、この点については既に適切な通知、徹底をされているかと思いますけれども、これからがちょうどこの花粉症の時期といいますかシーズンになるわけですから、再度安全を期して、こういう薬害が再び事件として起こらないように厚生省に最後お願いして、質問を終わりたいと思います。
  71. 植木明広

    ○植木説明員 テルフェナジンの副作用と安全対策についての御質問でございますが、テルフェナジンは、平成二年の一月に承認されました抗ヒスタミン作用を有するアレルギー性の疾患の治療薬ということでございまして、現在までほぼ七年にわたって使われてきております。  本剤につきましては、委員御指摘のように、特に注意する必要のある副作用といたしまして、QT延長などの不整脈がございます。これまでに十七例報告されてございます。厚生省といたしましては、定期的に発行いたしております医薬品副作用情報誌によりまして、これまでに三回にわたりまして、医療関係者に対して、テルフェナジンによる副作用でございます不整脈に関する情報提供を行いますとともに、平成七年の一月には、添付文書の「使用上の注意」に新たに警告欄を設けまして、不整脈を防止するための対応として、テルフェナジンを使用してはならない場合を強調して情報提供するように、そういうように関係業者を指導してまいりました。  また、今般厚生省では、これまでに報告されました十七例の症例につきまして、不整脈の副作用の背景因子をよく改めて検討いたしまして、新たに、抗生物質であるクラリスロマイシンを投与中の患者とかあるいは透析中の患者につきまして、テルフェナジンを使用してはならないという、いわゆる禁忌の取り扱いにするなど「使用上の注意」を改めますとともに「緊急安全性情報」を配布いたしまして、医療機関に対して注意を喚起するよう、関係業者を指導したところでございます。  テルフェナジンにつきましては、「使用上の注意」に記載されております不整脈を起こしやすい患者に投与されなければ、重篤な副作用の危険は少ないものと考えております。今後とも副作用の発現に注意するとともに、一層の安全確保に努めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  72. 田端正広

    ○田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  73. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  74. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武山百合子さん。
  75. 武山百合子

    ○武山委員 私は環境委員会で初めて  委員会も初めて環境委員会に入りまして、そして初めて質問をするわけなんですけれども、まず、環境委員会のこの部屋に入りましたら、暗くてそして狭くて、それでまたテレビ放映もなく、非常にがっかりいたしました。まず、環境問題を討論するのに環境が整っていないなと思いまして、本当に心苦しい、冒頭からの話なんですけれども。まさに国会内も国民にも開かれた立法府なのに残念だなと思っております。ぜひとも開かれた国会にしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  まず、長官所信表明は非常に——こんな優しい顔をして辛らつな質問をするのですけれども、抽象的で非常にわかりにくい、先日の所信表明を読みまして私はそう感じました。抽象的で非常にわかりにくい。言語明瞭、意味不明。やはり言語明瞭、意味明瞭にしていかなければいけないと思っております。そういう活動をするために私は国会に入りました。だれが聞いてもわかるように、もっと具体的な表現をしてほしいなと思います。  例えば、一月二日に起きたナホトカ号の事件についても、重大な環境汚染であるとの認識があるにもかかわらず、「適時適切な環境調査を行い、その結果を的確に把握、評価し、今後の対策に生かしていく」ということでしたが、現実はそのような悠長なことを述べているときではないと思います。その他「進めていく予定でございます。」とか「重要な政策課題になっております。」とか「努力が不可欠です。」「考えております。」「前進させるべき年です。」等々、一つも具体的なものが出ていないということを痛感いたしました。  今、ボーダーレスな時代で、地球環境を守ることは全人類で取り組まなければならない課題なんですけれども長官所信表明がこのような抽象的であいまいなものでよいのかどうかと私は考えさせられました。  そのほか、本年十二月に開催される地球温暖化防止京都会議に「具体的なたたき台を示す」とありますが、開催まであと十カ月、「具体的なたたき台」とはどのようなものか、ある程度、今決まっている部分だけでもぜひお話ししていただきたいと思います。  また、地球温暖化防止行動計画、二〇〇〇年目標達成のために「一層効果的な仕組みに改められるよう、必要な作業に着手いたします。」とありますが、二〇〇〇年まであと三年なんですけれども、本当に短い期間、作業の具体的な内容はまずできているのかどうか。それからその進みぐあい、その状況はどうなっているのか。  それから、地球環境研究機関設立にいろいろな「所要の準備を行います。」と言われていますが、いつからどのような準備を行うのか、それも聞きたいと思います。  一つ一つ挙げれば切りがありませんけれども、だれが聞いてもわかるような具体的な所信表明お願いしたいと思います。  あと、いろいろな質問を行いますが、環境アセス法について、初めに長官お願いしておきます。  それは、環境基本法制定のために廃止されました昭和四十二年に制定の旧公害対策基本法は、公害対策をめぐる基本的な見解や利害関係などの対立が激しかったために、妥協的な表現として、第一条二項に、公害対策は「経済の健全な発展との調和が図られるようにする」という条件をつけたために、公害対策が大変消極的になってしまったわけですね。環境アセスメント法はくれぐれもこの轍を踏まないでほしいと思います。
  76. 石井道子

    石井国務大臣 初めての御質問ということでございまして、私の所信に対する御意見も伺わせていただきました。  所信表明の時間というのは、今までの国会の習慣からいいますと大変短い時間しかとられていないのでございまして、予算委員会の合間を縫ってお昼休みに三十分間というふうなとり方でございまして、これは国会運営上の問題かとも思います。そうなりますと、その所信の中に盛り込まれるべき内容についてはある程度長さが制限をされるわけでございまして、そういう点では余り具体的な問題は盛り込めなかったというのが実情でもございます。しかし、このような委員会の場でそのような具体的な細かい部分についていろいろとやりとりができればよいのではないかというふうに思っている次第でございます。  この環境アセスメント法案につきましては、今回、中央環境審議会答申総理に対して出されたわけでございまして、これは、内外の環境影響評価制度の各自治体におきます実施状況等も踏まえながら、法律による制度とすること、そして、早い段階からの環境影響評価を可能とすること等の、新たな制度が備えるべき基本原則が示されているところでございます。これは、諸外国に比較をいたしましても引けをとらない仕組みを御提言いただいたと私は認識をしております。  おくればせながら、日本も立派な環境アセスメント法案をつくるために今努力をしているところでございますが、この審議会に盛り込まれた中身を具体的に実現するために、いろいろと、今度の国会におきまして環境アセスメント法案を御審議いただくことになっているわけでございまして、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  77. 武山百合子

    ○武山委員 ありがとうございます。  まず、習慣ということですけれども、社会の状況、そしてその習慣ができた状況と今大変変わっております。国民は、私は国民の代表なものですからその立場でお聞きしているんですけれども、非常に公明で、透明で、情報公開をされた社会という欧米のものを見たり、聞いたり、体験をしているわけですね。ですから、昔からの習慣だからといって、それを大事に守っていく部分がこの環境委員会に適応するかどうか、またこれも問題ですので、原点に返って、ぜひそういう問題もこの委員会で討論していただきたいと思います。お願いいたします。  次に、大臣にお聞きしますが、日本人ほど自分の住む村、町、国の環境の汚染に無関心な国民はないと思いますが、いかがでしょうか。  そこで、まず申し上げたいのは、一つの国並びに民族が衰退するケースは三つぐらいあるとよく言われているんですけれども一つ国民、民族の精神的荒廃、次は組織の硬直化、三つ目は環境の破壊と言われております。精神的荒廃と組織の硬直化はこの委員会で論ずることではありませんので、環境の破壊の方に絞りたいと思います。  まず、日本は昔から山紫水明の国と言われてまいりました。まさに、ウサギ追いしかの山の童謡にありますように、夏は甘い水を求め蛍が舞い、秋には青空にアカトンボが飛び、この情緒が日本人の情感をはぐくんできたのではないかと思います。私たちの周りから蛍が消え、これはあすの日本世界人類の運命を予測しているというか暗示しているのではないかと思います。私たちは、蛍の光を、あの美しさを取り戻さねばならないときが来ているんじゃないかと思います。  ところが、現在の日本は、物質的繁栄と科学の進歩こそ先進国とばかりに、自然を顧みず走り続け、世界一美しい水の国なのに、今地方都市まで日本が浄水器を取りつけたり、ミネラルウオーターを日常生活に使うありさまなわけですね。私も実は、衆議院の宿舎でミネラルウオーターを飲んでおります。水道の水が非常にまずいからなんですけれども。  日本列島の山々は、林野庁職員の高齢化で山林の手入れができず、荒れ放題なわけですね。そしてあげくに、日本の端から端まで驚く数のゴルフ場が次々と森林を伐採し、破壊し、雑草から芝生を保護するためにと大量の薬剤を今散布し続けているわけですね。データによりますと、いまだに三十種類もの薬剤が使われているということで、私は大変驚きました。確かに環境庁の基準には達していますけれども、三十種類の薬剤がまかれているということには大変驚きました。  人間の命の源、その水の源である山や谷をこのままで破壊してしまった国は、世界にも類を見ないと思います。自然が破壊され、科学文明、化学物質のみがばっこすることにより、日本列島を公害が覆いかぶさり、公害による数多くの難病が人間の体をむしばんでおるのが今の現状なんですね。水俣病もそうですし、アトピーもそうですし、また、先ほどお話にも出ましたように、花粉症もそうですね。数え上げたら切りがないというほど多いわけです。  そして、環境問題はたった一つ取り上げても、環境庁だけでなく多岐にわたっておりまして、各省庁にまたがる問題が大変多いので、特に水資源 の源であります国有地の山林の荒廃が目を覆う今日、ここを離れて環境問題のみを論ずることはできません。そこで、林野庁の分野に踏み込むことになりますので、御理解いただいて、質問させていただきます。  林野庁を運営する国有林野特別会計の赤字は現在三兆三千億円と、目のくらむような金額なんですね。何しろびっくりいたしました、この金額に。今後、このままだと年間どれくらいの赤字がふえるのかということをぜひ質問したいと思います。
  78. 前田直登

    ○前田説明員 御説明申し上げます。  国有林野事業の財務状況関係でございますが、御指摘がございましたように、現在累積の債務が三兆三千億ございます。国有林野事業につきましては、御案内のように、独立採算性の企業会計で運営しているわけでございますが、収入の大半を占めております林産物の収入、これが伐採量の減少ですとかあるいは木材価格の低迷といった中で大幅に減少いたしておりまして、その結果、引き続き借入金に頼らざるを得ないというような状況でございます。そういった中で、毎年二千億近い借入金がふえているというような状況にございます。
  79. 武山百合子

    ○武山委員 毎年二千億円ということですね。いや、もう大変な額を国民税金で支払うわけですけれども、約九万人近い職員を一万七千人にまでリストラしたと報道はされていますけれども、現在の若者は重労働の山仕事を嫌いますし、私は、林野庁の努力ではなく、自然リストラに近いものじゃないかと思います。今さら責めても間に合いませんけれども、林野庁は、旧国鉄のように、赤字になろうとも国が面倒を見てくれるという甘えの意識が職員全体の根底にあったから、このように借金がふえたものと推測いたします。  林野庁の借金は財政投融資資金からですが、財投は、このような借金を払うためのものなのでしょうか。会計検査院が昨年国有林野事業の破綻を発表しまして、会計検査院は今まで政府にこの状況を勧告しなかったのかどうか、その辺も聞きたいところですけれども、これはちょっとここの場にはふさわしくありませんのでお話だけで、そして、政府は勧告を受けながら今まで何一つ対策を立てなかったのはなぜなのか。そして、この借金はどのように払い、林野庁をどのようにされる計画なのか。これは一言、話だけをいたします。  次に、一説では、国有林の管理を民間に委託するとか、環境庁に管理がえしようとかの意見もいろいろ学者から出ているようですけれども、現時点でどのように進んでおられるのか、その辺ちょっと聞きたいと思います。
  80. 前田直登

    ○前田説明員 御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたように、国有林野事業の財務状況、大変厳しい状況にございます。私ども、決して甘えた心でやってきたわけじゃございませんで、実は現在も、平成三年に改善計画をつくりまして、それに基づきまして事業実行形態の効率化ですとか、あるいは組織機構の簡素化、合理化、あるいは要員の適正化、こういったことに努力してまいったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような状況のもとで林産物収入がダウンするという中で、大変厳しいということでございます。  それで、私ども現在、こういった状況に対処いたしまして、実は、今後の国有林野事業のあり方につきまして、昨年十一月、林政審議会、これは国の審議会でございますが、その中に基本問題の部会を設けまして、今後の国有林のあり方につきまして論議、検討をしていただいているところでございます。今後、そういった中で、今先生の方から御意見、御指摘ございましたような問題も含めまして御論議されていくことになろうかと思います。  私ども、こういった林政審議会の論議、検討を踏まえまして、本年中に政府一体となりまして抜本的な改善策を検討、策定いたしまして、全力を挙げて国有林野事業の経営の健全化に努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
  81. 武山百合子

    ○武山委員 甘えた心でやってきたわけではない、確かに一生懸命やってこられたと推察しますけれども、この三兆三千億円というのは、どう説明しても説明のつかないほどの、その厳然たる数字というのは、やはり長い間に積み重ねてきた負債なわけですね。そういうものに対して、だれが責任をとるのでしょうか。やはりそこに勤務してかかわってきた方々が一番現状をよく知っていて、一番責任をとる立場なわけですよね。日本国民はみんな静かで、一揆を起こしたいくらいですけれども、起こさないわけなんです。そういう危機管理というか、これだけの財政破綻を来している、その危機管理というものをやはりきちっと感じていただいて、それで、もう過去は過去として新しい出発ということで、他の答申だとか人の答えを待っているのではなく、林野庁みずからがやはり自己改革して自立したものを目指さないと、とても国民に理由の説明がつかないと思います。ぜひそういう覚悟でやっていただきたいと思いますけれども、覚悟のほどをお聞きしたいと思います。
  82. 前田直登

    ○前田説明員 ただいま国有林野事業の今後のあり方につきまして御説明申し上げたところでありますけれども、もちろん私ども、この間、決して手をこまねいてきたわけではなくて、五十三年に改善計画をつくりまして、やはり血のにじむような努力——病院につきましても先ほど先生お話ございましたように、かつて八万九千人を擁しました職員、現在一万七千人まで減ってきているわけでございます。また、さらに今後、平成十二年末までには一万人規模に持っていこうということで努力しているところでございますし、また、そういった中で営林署の統合、改組、あるいは事業所の廃止、こういったことで努力を続けてまいっているわけでございます。  そしてまた、今後のあり方につきましても、私ども今真剣に検討しているところでございますが、そういった中で、広い見地からいろいろな御意見もいただくという観点で、林政審議会の中でのいろいろな御議論、こういったものも踏まえまして、私ども抜本的な改善策、こういったものを何とかつくりまして、国有林野事業の健全化に全力を挙げていきたいと思います。よろしく御指導をお願いしたいと思います。
  83. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひ裸になって頑張っていただきたいと思います。これは昔のことだったら腹切りだとか、何しろ責任をとらなければいけないと思うのですね。国民は見ていて、だれも責任をとらないところに怒っているわけですよね。あなたを責めるわけじゃありませんけれども、こういう破綻を来してもだれも責任をとらないところに国民は怒っているわけですけれども、ぜひ私は期待したいと思います。あすへ期待したいと思いますので、頑張っていただきたいと思います。  次に移ります。  まず、日本全国の水資源確保、国土保全、大きな台風や洪水による土石流等の発生があった場合を考えますと、環境問題からも、国有林を管理する林野庁問題は最優先事項であると言われております。私もそう思います。ですが、もし環境庁管理ということになりますと、それはまた政府、林野庁職員の怠慢で、私は怠慢だと思っております。この三兆三千億円を国民税金で払うことになるわけですけれども、これは国民の側からしますと一揆を起こしたくなる金額なわけですね。そして、最初に補助金をつけて民間に管理を委託した方が、これ以上の税金のむだ遣いも借金もふえなくて済むのではないかという最良の考え方もありますけれども、それについてはいかがでしょうか。
  84. 前田直登

    ○前田説明員 先ほど御説明申し上げましたように、国有林野事業につきましては、現在、経営改善計画に基づきまして、事業運営の効率化等々の改善合理化を進めているところでございまして、そういった中で、事業の実行につきましては、いわゆる切ったり植えたりといった現場の業務、こういったものにつきましては民間実行の徹底を 図っていくという観点から請負化を推進しているところでございます。
  85. 武山百合子

    ○武山委員 ちょっと残念なのですけれども、ちょっとどころか、すごく残念ですけれども、これだけの負債を抱えて、何かやっと今みこしを上げたというような印象なのですよね。前からそういう対策を考えていなかったのかなと不思議に思いますけれども、それは先ほども言いましたように、過去のことはやはり過去として、新しい出発をするよりほかに方法はないと思います。もっと早く林野庁の運営方法を政府が真剣に考えて実行に移していたら、日本の山野はここまで荒廃しなかったのではなかろうかと残念でなりませんけれども、早急に、約束していただきたいと思います。  ところで、現在、日本全国のゴルフ場は相当あるわけですね。そして、オープンしているもの、造成中のもの、申請中のもの、倒産して閉鎖しているもの、その辺の数と、相当あるというだけで、どのくらい数があるかということは私はわかりません。それから、その面積等も教えていただきたいと思いますけれども
  86. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 ちょっと古いですが、これは環境庁平成四年にゴルフ場の建設及び運営に係る環境配慮指針を策定した際に取りまとめましたデータでございますが、これによりますと、平成三年三月現在で、既設のゴルフ場が千七百六カ所で、総面積は十六万六千五百六十九ヘクタールでございます。それから、民間資料によりますと、平成七年六月現在で営業しておりますゴルフ場は全国に二千百四十二カ所ございまして、その後も増加をしておるのではないか、こういう認識でございます。経営を中止したり倒産したりというところまではデータを持っておりませんので、御了解いただきたいと思います。
  87. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございます。  ところで、大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、成田空港から東京方面を上空からごらんになったことはありますでしょうか。私は一度、ヘリコプターで成田から横浜まで乗り、驚いたのですけれども、あぜ道と畑と田んぼばかり見えたのですね。それで、操縦士さんに、全部畑と田んぼですかと尋ねたら、全部ゴルフ場ですと言われたのですね。それで笑われてしまいましたけれども、あぜ道に見えたのが森や林だったわけですね。思わず寒けがいたしました。  ここまで森林を破壊していいのか、これで国土と言えるのか。しかも、現在、全国のゴルフ場はバブルがはじけて青息吐息というところですけれども、ここ二年で倒産が相次いでいます。今後も続くのは間違いないと思いますけれども、その後、このゴルフ場を放置しましたら、もう農地として使用はできないんじゃないかと思います。植林をする費用もないでしょうし、後は風雨にさらされて土石流が流れ出し、必ず二次災害が起きるのは確実じゃないかなと思います。この責任はだれがとるのか。だれもとらないと思います。この責任は大臣にあるとは申しませんけれども、こうした状況に対処することを考えておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  88. 石井道子

    石井国務大臣 確かに、バブルの時期の開発状況というのは大変目覚ましいものがあったというふうに思いますし、そのときにゴルフ場も随分たくさん造成されたと思っております。そのことによって田畑がなくなったり、また、豊かな緑、自然が失われた状況というものは大変残念に思っております。特にまた、その中で貴重な野生生物も失われたということもありまして、これからはできるだけ豊かな自然や野生生物を守り育てていく、そういう国民共有の財産として後世まで伝えていかなければならない、そういう問題であるというふうに私は認識をしております。一度破壊をされました自然というものは、それを回復するのはなかなか難しいことでありますし、そのような自然環境の特性を踏まえて、その保全にも努めていくことが大切であるというふうに思っております。森林の持つ水資源の涵養でありますとか、緑の保全とか、そういう公益的な部分での保全を図っていくことがこれからの重要な課題であるというふうに思っております。環境基本計画におきましても、自然と人間との共生ということが中心課題目標として掲げられております。  これからも、開発また利用という点で、自然保護調整の問題につきましても、このような考え方を中心として、自然環境を損なうことなくこれを生かしていくという観点からも、十分に配慮していくべきであると考えております。
  89. 武山百合子

    ○武山委員 環境破壊のもとを一気に解決することは難しいと思います。これはもう私も理解できます。ですから、まず一番身近なものから手をつけるべきじゃないかと思っております。私も気がつくのが遅かったのですが、現在日本で唯一の清流と言われております高知県の四万十川、その件でちょっとお話ししたいと思います。  テレビ等でもたびたび、この川の清流が日本最後のものであり、この清流を守れという運動が起きておりますが、先日、高知の友人から新聞記事を送っていただきました。この四万十川の源流にある東津野村という村の議会で、バクテリアでし尿を分解し、水分は自然蒸発させ、残った汚泥は建築材料として利用できる処理装置を全国で初めて設置することが決定し、村の住人全員のし尿を海洋投棄しなくて済む上に、放流水がなく、環境に悪影響を全く与えないものだという記事を実は新聞で見ました。  振り返ってみますと、私どものし尿はすべて海洋投棄されてきたわけですけれども、山合いの村の人たちは川に流し、やがて海洋に流れ込むようになっていますね。そして、町に住む私たちは、完全な処理もしないままただ海洋に流し続けておるわけですけれども、何よりも自分の足元を忘れていました。これはまず足元から環境汚染を考えていかねばならないと気づきました。コマーシャルではありませんけれども環境汚染はもとから断たなければ解決しないのじゃないかと思います。  そうしたことから、東津野村の関係者に聞きましたところ、この装置は、京都大学のこの道の権威の方が長年精魂込めて研究を重ね、現在は大阪のある大学の先生、大阪市立大学ということですけれども、その黒田先生が中心となって完成されたということなんです。何を言いたいかといいますと、驚きましたのは、バクテリアを使って有機物質をすべて分解してしまうということなんですね。し尿の水分は自然蒸発させ、汚泥は建築資材にできるだけでなく、野菜くず、食品工場の汚泥、ビールかす、しょうちゅうかす、果物かす、ユズを搾ったかす、ウロ等々、さらには重油まですべて分解して肥料にまでできるという画期的なものなんだそうです。そして、ぜひ提案として、この四万十川のし尿処理施設について、し尿処理施設の補助金は申請することによって出ることになっているそうですけれども環境保全に真剣に取り組む事業に対して補助金の枠を、あるいは事業を促進をするため、何らかの援助をすることは考えられないかどうか、厚生省にちょっとお尋ねしたいと思います。
  90. 山田耕蔵

    ○山田説明員 し尿処理施設の国庫補助の関係でございますけれども、私ども施設整備に際しまして技術的な基準を定めておりまして、原則といたしましては、その技術的な基準に適しているもの、これにつきまして国庫補助の対象にいたしているところでございます。  ただ、市町村の方で定めております技術基準以外の新しい技術、そういうものを使ってし尿処理施設を整備する、そういう場合につきましては、都道府県を通じまして事前に協議をしていただきました上、技術審査をして、それでその新しい技術によりましてし尿が適正に処理できるということがわかりました場合には、国庫補助の対象にしているところでございます。  今後とも、新しい技術が適切に活用されて、し尿の処理が一層進みますよう努めてまいりたいと思っております。
  91. 武山百合子

    ○武山委員 池の水をもとの自然水に戻すことがこれですと可能だということなのですね、もう情 報をお聞きだと思いますけれども。  それで、この村では、四月一日にこの装置を初稼働させるセレモニーが町で行われるようですので、ぜひ大臣環境委員会で視察することを提案したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  92. 石井道子

    石井国務大臣 四万十川につきましては、委員御指摘のとおりでございますが、我が国有数の清流であるということで、名水百選にも選定をされております。それで、地元においても非常に水質汚濁防止のために努力をされてこの四万十川方式というものが行われているわけでございまして、これは先進的な取り組みがなされていると聞いているところでございます。  環境庁といたしましても、この方式に対しまして、補助事業であります生活排水汚濁水路浄化施設整備事業というものがありまして、これも活用されているところでもございます。  委員御指摘のように、私も機会があればその現地を視察をしてみたいと思っております。
  93. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひ、唯一女性一人の大臣ですので、みずからリーダーシップをとっていただいて、みずから決めて、そういうあいまいな答えじゃなく、決めて、そして行きましょう、こう言っていただきたいと思います。それがまさにリーダーシップだと思います。
  94. 石井道子

    石井国務大臣 日程の問題とかいろいろ、メンバーの問題とか、また私の一存でもいかない部分もありますが、気持ちとしては、できるだけ速やかに視察をしていきたい、行きたいと思っております。
  95. 武山百合子

    ○武山委員 環境庁長官で一存ではいかないなんて非常に悲しい話でございますけれども、一存でいくようなシステムにぜひつくっていただきたいと思います。経済大国日本が先進諸国の一国だとはとても言えないようなお答えを聞きまして、大変残念でなりません。私が環境庁長官だったら行きますと決めますけれども。  それで、次にフロンの問題についてお聞きいたします。  一時問題となりましたオゾン層を破壊するフロンガスの規制は、十二年前の一九八五年、ウィーン条約による国際的なフロン規制が始まりました。ECでは九五年に八〇%減、そして今世紀末までに全廃ということですね、アメリカも今世紀末には全廃するとしておりますけれども。欧米諸国は代替品開発の条件をつけ、今世紀末までに全廃するとしております。  日本はその目標にどの程度まで達しているのか。また、我が国はどうしますでしょうか。その辺、聞きたいと思います。
  96. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 御指摘のフロンでございますけれども国際合意でございますモントリオール議定書に基づきまして、CFCを初めとする主要なオゾン層破壊物質の生産を一九八九年から段階的に削減し、一九九五年末をもって生産を全廃することとしておりまして、ECでありますとか米国及び我が国におきましても、既に一九九五年末に全廃を達成をいたしたところでございます。  また、一般に代替フロンと呼ばれておりますけれども、HCFCにつきましては二〇二〇年に全廃、それから薫蒸剤として使われます臭化メチルにつきましては二〇一〇年に全廃することになっておりまして、現在我が国におきましても全廃に向けまして着実な削減に努めているというところでございます。
  97. 武山百合子

    ○武山委員 今私の耳に残った記憶としましては、九五年に日本がですか、日本はいつまでにどのような全廃をする予定なんでしょうか。もう一度説明をお願いします。
  98. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 先ほど申し上げましたように、この生産規制は国際合意に基づきまして、我が国におきましても一九八八年にオゾン層保護法というのを制定いたしまして、この国際合意に基づきまして生産規制をいたしておりまして、国際的な動向に合わせまして一九九五年末をもって主要なフロンについては全廃をいたしたということでございます。
  99. 武山百合子

    ○武山委員 今のお話ですと、九五年に日本も生産を全廃したということですね。
  100. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 繰り返して申し上げて恐縮でございますが、主要なフロンについてはそのような全廃をいたしたということでございます。
  101. 武山百合子

    ○武山委員 その辺ちょっと後でまたお聞きいたしますけれども、欧米では今世紀末までに全廃する、それで代替品開発の条件をつけているんですけれども、その目標に日本がどの程度まで達していて、それでその目標の期限を先ほど二〇一〇年、二〇年とおっしゃったのでしょうか。
  102. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 御説明が悪かったかもしれませんけれども、オゾン層を破壊する能力というものはフロンのたぐいでいろいろございまして、主要なフロンにつきましては特にオゾン層を破壊する能力が強いわけでございます。そういうものについては、先ほども申し上げましたけれども、議定書によりまして、国際合意でございますけれども、一九九五年末をもって全廃をするということで我が国も同様な措置をとったということでございます。  その他、代替フロンになりますけれども、HCFC、これはオゾン層を破壊する能力が比較的弱いものでございますけれども、こういうものについては二〇〇〇年を越えた時期までに全廃をするというスケジュールになっているわけでございます。
  103. 武山百合子

    ○武山委員 何か、私が頭が悪いのか、言語明瞭意味不明みたいに私には聞こえたのですけれども、要は、日本は九五年に全廃したと言っていらっしゃるわけですね。何かおっしゃっている意味がわからないんですね。それで、それですと先進諸国と一緒だということなんですね。
  104. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 そのとおりでございます。(武山委員意味がわからないのです」と呼ぶ)私は正確に繰り返して申し上げたつもりでございますけれども、一九九五年までに主要なフロンについては全廃をしたということでございます。
  105. 武山百合子

    ○武山委員 主要なフロンというのは何なのでしょうか、主要というのは。ちっともわからないんですね、聞いていて。
  106. 上田孝

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  モントリオール議定書におきましては、オゾン層を破壊する物質といたしまして幾つかの物質が規定されているところでございますけれども、そのうちCFCと呼ばれております物質、これが一九九五年に議定書に基づいて全廃をされた状況でございます。我が国におきましても、代替物質の開発等によりましてCFCからの転換がほぼ終了しているという状況でございますけれども、そのほかに、いわゆる代替フロンと呼ばれておりますHCFCという物質がございます。これはハイドロクロロフルオロカーボンという物質でございますけれども、特定フロンに比べまして、水素が構成物質に含まれているという関係でオゾン層を破壊する物質としては能力がCFCより小さい物質でございます。これにつきましては、モントリオール議定書で二〇二〇年に全廃をするという決まりになっておりまして、我が国といたしましても、議定書の削減、全廃スケジュールがきちんと遵守できますように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  107. 武山百合子

    ○武山委員 専門的で、CFCなんというのは、何がCFCなのか実際にわからないのですけれども我が国における用途別には、洗剤ですか、テレビ、電子レンジ、IC、機械金属、ドライクリーニングとかありますね、今御説明された方。それから冷媒ですか、大型冷暖房機器、クーラー、家庭用冷蔵庫等。それから発泡剤、ウレタンフォームとかいろいろありますね。エアゾール噴射剤とか。こういうのをCFCというのでしょうか。そのCFC自体が全然わからないんですよ。やはり皆さんにわかるように、もしかしたら私以外は知っていらっしゃるのかもしれませんけれども、それを全廃したというのがわからないのです。
  108. 上田孝

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  委員御指摘のように、特定フロンと呼ばれてお ります物質についての御指摘かと思いますけれども、この特定フロンという物質につきましては、我が国におきまして洗浄、発泡、冷媒、エアゾールの分野でこれまで広く使われてきたところでございます。  これらの特定フロンのかわりといたしまして、洗浄分野におきましては用途ごと、それから被洗浄物ごとの特性に応じまして、水系の洗浄ですとか、石油系の洗浄ですとか、さらには洗浄をしないという無洗浄化等への転換が行われてきているところでございます。  また発泡の分野につきましては、水を発泡剤として使用するというような技術に加えまして、先ほど申し上げましたHCFCという、いわゆる代替フロンと呼ばれている物質でございますが、そういった物質の開発、実用化がされまして、これにつきましても代替へ転換が終了しているという状況でございます。  また冷媒分野につきましても、HCFCという代替フロンのほかにHFCという、これはオゾン層を破壊しない物質でございますけれども、こういった物質の開発、実用化が進められておりまして、カーエアコンですとか、家庭用の電気冷蔵庫を初めといたしまして、既にほぼCFCという特定フロンからの転換が終了している状況でございます。  またエアゾール分野につきましては、特定フロンからLPGという物質に転換が済んでいるという状況でございまして、委員御指摘の点につきましては、そのうちのいわゆる代替フロンと呼ばれておりますHCFCという物質についてのヨーロッパの動向ですとかアメリカの動向ではないかと拝察するところでございます。これらの物質につきましては、先ほど申し上げましたとおり、モントリオール議定書で二〇二〇年に全廃をするという決まりになっておりまして、平成八年から我が国におきましても、議定書に基づきまして、生産、輸入量の規制が開始されているところでございます。
  109. 武山百合子

    ○武山委員 そうしましたら、日本はもう代替の開発が行われて、それでもうそれが交換されて使用されているというふうに判断してもよろしいのでしょうか。
  110. 上田孝

    ○上田説明員 特定フロンの代替状況につきましては、先ほど御説明を申し上げましたように、新しい製品等につきましてはぼ転換が終了をしている状況でございますけれども、市中におきましては、従来既に販売されております特定フロンなどを含まれました機器がまだ使用されているという現状でございます。
  111. 武山百合子

    ○武山委員 その辺はどういうふうに考えているのでしょうか。今の部分の使用されている部分はどのような方向で考えているのでしょうか。
  112. 上田孝

    ○上田説明員 現在使用されておりますものにつきましては、それぞれ機器の耐用年数等もございますので、そういった耐用年数がユーザーの需要に応じましてきちんと使用が全うできるような状況で取り組んでまいりたいというように考えているところでございます。
  113. 武山百合子

    ○武山委員 何かそういう考え方ですと、時間がたつうちに、結局やはり代替品と早く交換するとか、そういう対策を立てないとまた遅くなるのではないかと思いますけれども、その辺、スピードを上げてやっていただきたいと思います。  それから、環境アセスメント法についてお聞きしたいと思いましたけれども持ち時間があと五分しかありません。主なものについて聞きたいと思います。  五分しかありませんので、環境庁に、この画期的な環境アセスメント法が、OECD加盟国中日本だけがつくられていなかったわけですけれども、長い年月をかけてでき上がる方向に進みました。この中で、対象事業の中から通産省発電所の建設を外そうとしている問題がありますね。通産省発電所のいわゆる特別扱いを主張して、新法によらず電気事業法の改正で独自に対応する方針を決めているような気配がしますけれども、本当に特殊性をとってそれを認めるのか、環境庁環境アセスメント法に入れるのか、その点を聞きたいと思います。
  114. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 アセス制度でございますけれども、これはさまざまな事業の特性も考慮しながら、業種横断的に統一的なルールのもとに構築されることが基本でございまして、中央環境審議会の先般の答申におきましても「統一的で、透明性が保たれ、わかりやすい制度とするよう留意する必要がある。」こういうふうにされておるわけでございます。また答申の中で、事業の特性あるいは地域の実態に即した対応が可能な柔軟な仕組みへの配慮もうたわれておるところでございます。  そこで、発電所の扱いでございますけれども、これにつきましては、総理から先般、発電所統一法に入るという認識のもとにそれぞれの考えや立場を尊重しながら、通産省環境庁でよく調整をして、要は実効のあるアセスメント実現という観点から政府部内をまとめてほしいという御指示を受けました。  こういう御指示を受けまして、私どもは、統一ルールとして新たなアセス法の中に対象事業として発電所も取り込む。それから、発電所事業として特性があるものにつきましてはまた電気事業法の方でも考えるということで、基本は我が方のルールに従って手続を決める。こういう方向で現在調整を進めているところでございまして、法案の成案を取りまとめるために鋭意努めてまいりたいと思っております。
  115. 武山百合子

    ○武山委員 省益に負けずに、環境庁の姿を必ず示していただきたいと思います。  時間が来てしまいました。どうもありがとうございました。
  116. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 並木正芳君。
  117. 並木正芳

    ○並木委員 埼玉八区選出、新進党の並木でございます。環境委員会で初めての質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  大臣は、所信表明で語り尽くせないというお話でございましたので、ぜひ思いのたけを語っていただければと思うわけでございます。  先ほど武山委員は、山紫水明の国というようなお話がありました。日本というのは白砂青松の地ともいいます。そういうことで、我々はいわゆる水、空気、緑、こうした環境には極めて恵まれているという思いできております。  反面、資源小国として外国から原料を手に入れ、そしてそれをよりよい製品に加工して輸出していく、そうでなければ日本というのは豊さを享受できないのだ、そのように教えられてきたわけであります。明治時代以来の殖産興業政策はこうした意識に支えられ、今日まで産業立国という考え方を築いてきていると考えるわけです。  しかし、いろいろな方からお話がありますように、こうした大量生産、大量消費、大量廃棄という社会システムは、大量のごみばかりでなく、あまたの有害廃棄物により今や地球的規模での環境破壊や健康被害を生じ、人類存亡危機というのは暗い話だという話もありましたけれども、そのようにさえ言われているわけであります。  私も、日本が豊かな国であり続ければと思うわけです。しかし、その豊かさについてはおのずと変質せざるを得ません。すなわち、物質的な豊かさからよりメンタルで健康的な豊かさへの転換であり、また先ほど申し上げました産業立国から環境立国へという考え方への転換であります。  環境庁が鳥や動物や緑を守り、それらを取り巻く環境を守っていただいているということは、つまり我々人間を守り、命を守ることであり、人類に貢献する崇高な仕事であると考えるわけです。その役割についてはますます重大さを増していると考えるわけですけれども、この辺についてまず大臣の抱負、やる気についてお聞きしたいと存じます。
  118. 石井道子

    石井国務大臣 委員御発言のとおり、環境問題につきましては、今国民の関心、市民の関心も高くなりまして、最も重要な課題であると認識をしております。  環境の大きな恵みに支えられて日本も健康で文化的な生活が送れてまいったわけでもありますが、しかし、日本も経済成長の段階におきまして非常に環境が破壊されてしまったという一面もあるわけでございます。そして現在、この日本の置かれている環境をできるだけよいものにすること、そしてさらに地球環境を健全な状態にいたすことによって将来の世代にきちんと引き継ぐことが我々の、現在生きている者の責任であるというふうに感じております。  日本も、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会活動生活様式というものを見直して、そしてみずからの社会を環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会に変えていかなければなりません。その意味で、環境行政は今後の国政運営の中でも重要な政策の柱であると考えております。  このために、ちょうど平成六年末でございますが、環境政策の長期的な目標や二十一世紀初頭までの施策方向を明らかにいたしました環境基本計画を閣議決定いたしました。そして、政府一体となってその施策の展開を図っているところでございます。  特にことしは、地球温暖化防止京都会議が開催をされます。そのために日本としても環境問題への取り組みに対して実績をつくること、そして積極的な姿勢を示さなければならない年であるわけでございまして、やはり重要な年であるわけでございます。  これからも人と環境との間に望ましい関係を築くために、総合的な環境施策推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
  119. 並木正芳

    ○並木委員 その辺についてはぜひ京都会議、省益を超えて頑張っていただきたいと思います。  次に、私ごとで恐縮でありますけれども大臣も私も出身地を同じくしております。すなわち都の西北に位置する所沢市でございますが、この地域は武蔵野の雑木林に覆われた田園地帯でありました。それが、昭和四十年代ころから急激な人口増によりまして、その都市化の波により、これらの雑木林が次第に失われてきました。  民間中心に、緑とともに失われていく人の心の「心」と、あのアニメのヒット作品「となりのトトロ」の「トトロ」をもじって、心のふるさと、そしてトトロのふるさと基金というものを創設し、トトロの森保存活動を展開し、首都圏に残された貴重な緑地である狭山丘陵の一角の買収を行いました。これには所沢市や埼玉県も呼応し、隣接地を公有地として買収しました。最近では、「となりのトトロ」の作家宮崎駿氏が三億円を寄附し、河川沿いに残され開発されようとしていた淵の森と呼ばれる雑木林の保存に成功しました。  いずれも大変高額な資金を必要とするわけでございますが、このトトロの森など都市部に残された貴重な緑地の保存策について、大臣の所見をお伺いいたします。
  120. 石井道子

    石井国務大臣 所沢市も都市化が進む中で、東京都に隣接しておりますが、トトロの森のように残された貴重な自然を地元の皆様方の御協力によって守っていただいておりますことを本当にうれしく思います。  都市近郊に残されました樹林地などの身近な自然環境というものは、地域住民の自然との触れ合いの場として、そして野鳥や昆虫などの生息地としても重要なものでございます。  環境庁といたしましても、このような自然環境の保全に関する地方公共団体の取り組みについていろいろと支援策を講じてきたところでもございます。今後も、関係省庁とも十分に連携を図りながら、身近な自然環境の保全のために努力をしてまいりたいと思います。
  121. 並木正芳

    ○並木委員 先ほどお話ししましたように、大変高額なお金も要るわけでございます。こうした大変不景気な時代でもありますけれども、ぜひいろいろな知恵を出して頑張っていただければと思います。  さて今、雑木林の保存の話があったわけですけれども、ショッキングなことに、先ほど大野委員の方からもお話があったわけですが、埼玉県の所沢、狭山、川越、そして入間郡三芳町、大井町にまたがる、通称くぬぎ山と呼ばれている雑木林、くぬぎ山というのは大変いい名前だと思いますけれども、この雑木林の中に、わずか五百メートルぐらいのところでありますけれども、そのエリアの中に民間業者を中心に十五カ所もの産業廃棄物焼却施設が密集し、廃炉の焼却灰からは二千から四千ピコグラム、周辺の土壌からは最大で五百ピコグラムもの高濃度のダイオキシンが検出されたわけです。  また、そこから四キロメートル南に位置する、日本で最初の飛行場跡地を記念してつくられた所沢航空公園の土壌から、九十ピコグラムもの高濃度のダイオキシンが検出されました。ドイツでは、百ピコグラム以上では直ちに立ち入りを禁止させ、そして小児の土壌接触を防止する対策が講じられていると言われておりますが、その濃度に匹敵するダイオキシンが検出されたわけであります。  ダイオキシンは、御案内のとおり、人類史上最強の猛毒物質と言われています。急性毒性は青酸カリの約一万倍、あのオウムにも使われたサリンの二倍であり、発がん性や出産異常、流産、先天性の奇形などの催奇性も史上最強と言われております。ベトナム戦争で使用された枯れ葉剤、これはちょっと新進党には皮肉な名前なんですけれども、オレンジ剤と言われるそうなんです。その枯れ葉剤から発見され、あのベトちゃん、ドクちゃんで話題となりましたホーチミン市のツーズー病院では奇形児出産が異常に多いことで知られておりますが、日本人のダイオキシン汚染も高レベルであり、日本人の母乳が世界一ダイオキシン濃度が高いという調査結果もあるわけです。  また、雑誌アエラの一月二十日号には「ダイオキシンが子宮を滅ぼす」、そういうタイトルで、近年、二十代、三十代の女性の間で子宮内膜症が急増している一因はダイオキシンかもしれないとの記事が掲載され、深刻な関心を呼んでおります。  女性でもあられる大臣、このダイオキシンということにつきましてどうとらえておられるのか、その認識についてお伺いいたします。
  122. 石井道子

    石井国務大臣 ダイオキシンの問題は大変身近な問題として、私も重大な関心を持っております。このようなダイオキシンによります環境汚染を未然に防止するための対策は緊急を要しているというふうに考えておりまして、これまでもダイオキシン類の環境調査やまた発生源の対策に関する事業などについて、いろいろと指導してまいったところでもございます。  ちょうど昨年の五月に有識者で構成をいたします検討会をつくりまして、ダイオキシンのリスク評価それから排出抑制対策のあり方について総合的に検討を進めてまいりました。そして昨年の十二月に中間的な取りまとめが行われたところでございます。  ダイオキシンによります健康被害の未然防止の観点から、この中間の取りまとめにおきましては規制的措置、事業者による自主的取り組みの促進等さまざまな政策手段の適切な実施を行うということと、環境濃度の状況、また健康リスクの現状を把握するためのモニタリングの充実や、情報の共有化ということの必要性が指摘をされました。今後も、このような状況を踏まえまして、ダイオキシン類の排出抑制のための具体的な対策について、本年度末を目途として取りまとめを行う予定でございます。  環境庁といたしましても、このような検討会の成果を受けた後に、規制的な措置の導入も含めて、ダイオキシン等の排出抑制対策を、関係省庁とも十分に連携をとりながら、速やかに講じていきたいと思っております。
  123. 並木正芳

    ○並木委員 前向きな御答弁をいただいたわけです。  先日、新進党の大野由利子委員また松崎公昭委員などで所沢市を訪れ、行政担当者や地元市民のお話をお聞きし、またくぬぎ山の産業廃棄物焼却施設の幾つかを視察いたしました。  周辺の雑木林は、冬枯れとはちょっと異なった、恐らく塩素を含むばい煙の影響によって枯死したと見られるような状態でありました。  事前に施設の立ち入りをお願いしていたためか、住民の皆さんの話では、いつもより片づいており、煙も余りすごくないということでしたが、建築廃材などが積み上げられ、塩化ビニールのパイプの切れ端などがまじったごみが燃やされていました。  そもそも建築廃材を燃やすのに、塩ビのものと完全に分離することなど困難であり、防腐剤や防虫剤などが板にしみ込んでもいるわけであります。つまり、小型炉によりこうしたたぐいのごみが燃やされ、ダイオキシンが生成される状況証拠は十分にあるということであります。  百聞は一見にしかずといいます。地元の住民の皆さんも大臣の現地視察を切望されております。先日、大臣就任の祝賀パーティー出席の途中、現場付近を関心を持って通っていただいたという話も聞いておりますが、ぜひつぶさに現場を視察していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
  124. 石井道子

    石井国務大臣 先日、地元からも視察の御要望を受けました。大臣の視察ということになりますと、なかなか日程の調整とか段取りが大変手間暇がかかるものですから、直ちに実行することはできなかったのでございますが、ちょうど私の会がありましたので所沢に参りまして、その近くも拝見させていただきまして、これは大変なことだと改めて痛感をしたところでございます。なるべく早く解決方法をとらなければと思いを新たにしたところでございます。
  125. 並木正芳

    ○並木委員 今のお話のとおり、地元からも大変強い要望をお受け取りになられたということでございますので、大臣の視察はなかなか難しいという話でしたけれども、幸い近くでもありますので、ぜひ早急に視察をしていただきたいとお願いいたしておきます。  ところで、先ほどもモニタリングの充実とかお話が出たわけでございますけれども、二月十八日の朝日新聞夕刊に、「ダイオキシンを検出 基準の七百九十倍 ごみ焼却施設周辺」、こういうタイトルの記事が掲載されました。  住民が分析を依頼していた宮田教授の分析結果では、「焼却施設のすぐ下の貯水池の底土から、環境庁が非汚染地区の基準としている数値の七百九十倍の千五百八十ピコグラムが検出された。施設から二百メートルの地点で二百九・六ピコグラム、五百メートル地点で三百二十五・九ピコグラムを検出。一キロ以内の五地点のうち四地点は、非汚染地域の四十倍から百六十倍の高濃度だった。」という記事内容で、一方、「茨城県が今月十日、「濃度は一般的なレベル」との調査結果を発表しており、数値が大きく食い違っている。」という内容の新聞記事であります。  行政の不信をあおるような記事内容であるわけですけれども、ダイオキシン調査について二点お聞きしたいと思います。  これは、大臣でなくても結構なんですけれども一つは、サンプリングやモニタリングについて調査手法が確立されているのかということであります。埼玉県のケースでも、埼玉県は、昨年九月、補正予算を組んで調査機器を導入し、本年三月をめどに調査を行っているわけでありますけれども、サンプルとなる土壌を茶筒のような形にボーリングするというか、そういう形で採取していくということであります。宮田教授は、何十センチかのメッシュで正方形の形の場所をつくり、そこから表層二センチぐらいの土壌を採取していく、こういうふうに聞いております。ここで分析結果がどう異なるのか、私にはすぐにはわかりませんけれども調査方法の違いもあって分析結果が異なり、行政の方は何でもない結果だということを発表し、そして民間調査では大変な値だというようなことでは、まさに行政不信をあおっていくしかないわけであります。  まず、この点について、やはり民間行政、そういう基準の方法論を一つ確立すべきじゃないかということについてお聞きいたします。
  126. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 数値は、先生御指摘のとおりだと思います。  ただ、これはざっくばらんに言いますと、処理施設からの距離によりまして、住民側とそれから県側が分担して調べた。したがって、遠くなればなるほど数値が低くなるということだというふうに私は推測しております。  それから、調査手法につきましては必ずしも確立したものがございません。多分宮田先生は、表層からの飛散というところに重点を当てられたのだと思いますし、それから、茶筒のようなもので地中の土をとるということは、作物影響まで考えてそういうやり方をしたのだろうと思います。  それが感想でございまして、いずれにいたしましても、先ほど大臣が答弁申し上げましたように、委員会を設けまして中間報告をいただいたところでございます。  この中間報告の中で、モニタリングにつきましては、ダイオキシン類の環境濃度の状況、健康リスクの現状を把握し、排出抑制のための施策を検討、評価できるようモニタリング体制の充実が必要であるという御指摘をちょうだいしております。  これを最終報告までの間にブレークダウンをいたしまして、おっしゃられましたような調査手法、地点のとり方、そういうものについて研究をしたいと思っております。
  127. 並木正芳

    ○並木委員 私は、行政がでたらめなことをやっているということではありません。しかし、今既にお話ししたように、かなり極端に食い違うという印象が報道されていくということでは、環境アセスメントの問題もそうなんですけれども、今問題になっているのは、先にまず事業ありきだ、それに合わせたようにして、行政は自分で自分を調査して、何も影響はございませんよと、ただ気休めのことをやるのではないか、このような一方の批判もあるわけです。そういうことからして、オープンな形できちっとした手法をできるだけ確立して、こういう方法によって一致させていく。こういう目に見えないものですから、大変恐ろしいものですから、そういう不信を少しでも招かないようにすべきじゃないのか、そういうふうに考えるわけです。  それで、サンプリングの点で二つ目にお聞きしたいのですけれども、いわゆる行政が、茨城県の場合でも、やったサンプルというのは物すごい数が少ないわけなんですね。民間の方は何十カ所と宮田教授が調べているわけです。行政のサンプルの数がせいぜい数カ所で、宮田教授のサンプルは数十カ所に及ぶ。どうしてなんだと言ったら、一検体当たり四、五十万かかる、行政には予算がございませんよと。委託して調べてもらっているようなんですけれども、そんなことを理由にしている。しかし、失礼な言い方かもしれませんけれども、私立の大学がこれだけ取り組めて、それで国とか県とかこういう行政予算がないからできませんというのでは、いわゆる命の問題というのを軽く見ているんじゃないか、こういうふうにも受け取られかねないわけであります。  つくばには国立の研究機関があるということなんですけれども、こういったそれぞれの調査機関とはまた違うものだというような考え方だと思いますけれども、ぜひこの辺の検査、研究体制を整備すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  128. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 確かに御指摘のとおり、ダイオキシンの検査については大変高くつくということもございますが、先ほど大臣から申し上げましたように、ダイオキシンの影響を未然に防止するという観点から、現在、排出抑制対策検討会を引き続き続けているわけでございますけれども、この成果を踏まえまして、必要に応じて規制措置をも講じていくということになってまいります。  したがいまして、規制措置を講ずるということになれば、公として、国もそうでございますけれども、都道府県レベルでも常時必要に応じて検査をしなければならないということになるわけでございますので、ダイオキシンの検査体制につきま しては、現在は確かに弱い面もございますけれども、今後さらに強化を図っていきたいと考えてい  るところでございます。
  129. 並木正芳

    ○並木委員 あと五分ほどしか時間がないということですけれども、今のお話の中で、やはりダイオキシン対策についてはおくれているというのが率直なところじゃないかと思います。今まで、世界的に毒性がわからないとか、ダイオキシンの調査は県とかの自治体がやることだ、こういうような姿勢で来たという、これは厚生省の方に対する批判かもしれませんけれども、批判があります。  去年、例の香川県の豊島の不法投棄現場周辺からダイオキシン類が検出されたということで大変話題になりました。その辺あたりから、何らかの対策を講じなければならないんだ、そういう認識に達しまして、先ほどからのお話のように、環境庁においてはダイオキシンリスク評価検討会、そして排出抑制対策検討会、厚生省においてはごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会、こうしたものを設置していただいたわけです。  そういったところで検討をしていただいて今日になっているわけですけれども、その厚生省の中間報告でございますと、去年の六月ですか、当面の耐容一日摂取量というのは十ピコグラムだ、そういうようなお話であります。環境庁は、やはり去年の十二月の中間報告で、健康リスク評価指針値というのでしょうか、それを五ピコグラムとしているわけですけれども、この点についてお聞きさせていただきます。  今申し上げたように、耐容一日摂取量と安全指針値、こういう相違があるわけなんですけれども、わざわざ相違をつくる必要はどの辺にあるのかということもありますけれども、相違がある。しかし、一般的に言われているところは、結論というものの差が、ダイオキシンによって子宮内膜症発症というウィスコンシン大学でのアカゲザルの実験、これについての評価の違いから生じているのではないか、こう言われているわけであります。  この研究は、アカゲザルを八匹ずつ三つの群れに分けて、一キロ当たり二十五ナノグラムのダイオキシン、五ナノグラム、そして正常な形でえさを与えた。そうしましたら、中等以上の子宮内膜症が二十五ナノグラムの群れでは七匹中五匹、そして五ナノグラム群では七匹中三匹だが、正常なえさの中では軽い症状だけだというようなことで、こういう実験結果が出たわけです。つまり、ダイオキシンが多いほど子宮内膜症が多かったという、一応この実験ではこういう結果が出ました。この五ナノグラムという真ん中の値ですけれども、その群れの猿の脂肪にたまったダイオキシンというのは、一グラム当たり五から七ピコグラムだということです。  日本の母乳汚染というのは、大阪では五十一ピコグラム、福岡では二十四ピコグラム、こういう結果が出ているわけなんですけれども、こういうことからすると、既に人間に影響が出ていてもおかしくない、そのぐらい深刻な事態であるわけです。ですから、厚生省が採用をしなかったということで、その辺では、環境庁の方は鈴木座長が、採用しなかった理由もわかるけれども、しかし一連の実験に矛盾がなく無視するわけにはいかない、こういうふうに言っているわけです。エイズの問題でもそうだったわけですけれども、薬害についてはこうした厳しいとらえ方というのがぜひ必要じゃないかというふうに考えるわけですけれども、厚生省の見解を最後にお聞きしておきます。  また、時間がないということなので、大野委員の答弁にもありましたけれども、厚生省の方、今、一般廃棄物というようなことでいろいろ取り組みを始めていただいています。これについては多とするわけですけれども、この辺の、炉等の構造基準の問題もあります。産業廃棄物の焼却施設が集中しているというのは所沢の周辺の問題でございますので、ぜひこのような産業廃棄物の処理施設についても早急に構造の指針を作成していただきたい、そういうことでお答えをいただければと思います。
  130. 内田康策

    ○内田説明員 お答えいたします。  まず、厚生省のTDIと環境庁の健康リスク評価指針の違いについて御説明させていただきます。  厚生省の研究班が設定いたしました耐容一日摂取量、TDIと申しておりますが、このTDIは、健康影響の観点から一生涯にわたり一日当たり摂取しても耐容される量であり、通常、確実に判定できるデータをもとに算定するということにされておるわけでございます。そのため、動物実験等の結果から総合的に判断いたしまして、TDIを一日体重一キログラム当たり十ピコグラムにする、このようになったものでございます。  これに対しまして、環境庁検討会が報告した健康リスク評価指針値は、環境行政におきましてダイオキシン類に係る環境保全対策を講ずるに当たっての目安として設定した、このようにお伺いしております。すなわち、当指針値は、人の健康を維持するための許容限度を意味するものではなく、より積極的に維持されることが望ましい水準として人の暴露量を評価するために用いる値であり、TDIとは概念が異なるものである、このように聞いております。  以上でございます。
  131. 並木正芳

    ○並木委員 ダイオキシンの問題は、この質問だけで終わる問題ではございませんので、引き続きよろしくお願いします。  質問を終わります。どうもありがとうございました。
  132. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 桑原豊君。
  133. 桑原豊

    ○桑原委員 民主党の桑原でございます。  私は、まず最初に地元の、私は石川県が出身でございますけれども、今回ナホトカ号の重油流出事故で海岸線一帯に大変大きな被害が出たわけでございまして、この問題について御質問させていただきたいと思います。  長官には寒風の中を御視察をいただきまして、大変感謝を申し上げております。御自身の感想の中でも、予想以上に大変なひどい状態でびっくりされた、そういうような御感想があったかと思いますけれども、御存じのように、この海岸一帯には零細な漁民の皆さんがたくさん生活をいたしておりまして、イワノリでありますとか、あるいはサザエであるとかワカメであるとか、そういったものをとって、それでなりわいにしているという人たちもかなりおるわけでございまして、そういう意味では、今後のこの海岸一帯の環境影響調査、今回は水島事故以来のかなり強力な体制でこれをやられるというふうに聞いておるわけでございまして、先ほどどういった内容調査をやられるのかということはお聞きをいたしましたけれども、ぜひ、この調査の体制、どういう強力な体制でやられるのかということをまずお聞きを申し上げたいと思います。
  134. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 調査内容、項目につきましては、御存じと思いますが、一月十五日に長官が現地に入りまして、そこでまずサンプリングを開始をするということで、第一段階の調査を始めたわけでございます。現在は三月末ぐらいを目指して、第二段階の詳細な調査をやっております。  この調査に臨む体制ですが、かなり影響が広範囲にわたるというふうに想定をされましたので、それぞれの幅広い分野の専門家十六名にお集まりをいただきまして、総合的な検討会を二月七日に設置をいたしております。ちなみに、例示をいたしますと、海洋科学、海岸、水産、健康、生物、モニタリング、こういう各般の分野にわたる方、それぞれ網羅をしております。この方々の御助言を賜りながら、これから先、継続的、段階的な調査を進めるということでございます。  また、これを支える事務局体制といたしまして、今回の事故にかかわる影響が生じている、あるいは生じるであろうと想定をされます十三省庁からそれぞれ、言ってみれば幹事を出しまして、この事務局体制を組んでおります。しかも、この種の調査で、地元と関連が深いものですから、地元の県からの御参加は随時御自由に出ていただき たい、それから、地元の大学の先生方にも御参加をいただく、そういう体制を組んでおります。
  135. 桑原豊

    ○桑原委員 ぜひ、そういった強力な体制で、精密な調査を実施をしていただきたいと思います。  今後の影響を見ていく際には、当然のことながら、この事故が起きる以前、海岸の状況というものはどういう現状であったのかというその現状が把握されていて、それとの比較でどう回復していったのかというふうな、そういう運びになると思います。  一昨年の末に、油汚染事件の総合的な緊急時対策ということで、例の油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画というものがつくられました。それによりますと、油汚染によって著しい影響が出ると思われるような脆弱沿岸海域、この海域のさまざまなデータを集積して、海域図のようなものをつくって、そして情報の収集、提供のシステム、そういうものを整備していく、このようなことが決められております。これとも関連して、そういった事故前の現状というのがどのように把握をされているのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  136. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 海岸の物理的な形態その他はすぐわかるわけですけれども、特に水質の状況については前後の比較をすることが重要でございます。  私どもも、この各県の地先の海につきまして、それぞれ観測地点を持っておりまして、福井県で申しますと四地点、石川県では十一地点、ここで主として化学的酸素要求量と言われるCODの観測、それから油濁の指標として設定されておりますノルマルヘキサンの抽出物質、そういったものについてモニタリングを実施をしてきております。したがって、ある程度のことはわかっておりますが、今回事故が生じましたこととの全く対比という形での以前の状況すべてを掌握しているかと言われますと、それはなかなか想像で、想定でやらざるを得ない分野もございます。  それから、二点目にお話がございました脆弱海岸のマップづくり、これは実は環境庁、前々からこういうことをすべきだということで平成六年度から実施をいたしてきておりまして、平成八年度に実は完成をさせるという予定で進めてまいりました。このマップを、例えばインターネットに電子化をして乗せるということで、常時隣の状況までわかるというふうなことなのですが、残念ながら、今回油が漂着いたしました特に西の方、石川、福井、京都、兵庫、鳥取につきましては、八年度の事業なものですから、マップが完成していなかった、作成途上であったという状況でございます。
  137. 桑原豊

    ○桑原委員 間に合わないということは大変残念なわけですけれども、ぜひそこら辺は、既に行われた海岸の状況ども参考にして、推測を働かせて、十分できる限りの現状把握というのをした上でやっていただきたいと思いますし、そういうことでひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、海岸の事故というのは、既に今回に先立つ相当以前からこの種の事故は繰り返されておりまして、特に、もう二十年以上も前になりますけれども、例の瀬戸内海の水島の事故の際には、このときも相当強力な調査体制で行われたというふうにお聞きをしておりますし、また海外で言うならば、一九八九年ですか、例のエクソン・バルディーズ号のアラスカ沖のあの事故がございまして、これは大変な世界的な事故として非常に長期にわたる調査も行われたというふうに思います。  そういった知見というのは既に集積をされているというふうに思うのですけれども、特に水島の事故なんかは、どういう状況で、どれくらいやられたのかも含めて、かなり精密なものがあるのではないかというふうに思うのですが、その点はどうなのでしょうか。
  138. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 二点お尋ねでございますので、まず初めの、四十九年の水島の事故でございますが、これは四十九年と五十年、両年度にわたりまして相当広範な調査を行いました。また、影響の追跡調査も、事故発生以来、一月、二月、三カ月、九カ月、十一カ月というふうな、これは五段階を踏みまして、影響がどういうふうに出て、どういうふうに回復をしていったかというふうなことを各般の分野、例えば汚染実態、魚介類の影響、それから流出油の水中分散、除去技術、水産物市場への影響、人体への影響といった項目につきまして調査を行ったものが総合調査報告という形で集積をされております。  それから、二つ目のエクソン・バルディーズ号の油事故の調査でございますけれども、これはアラスカとシアトルにインフォメーションセンターがございまして、そこで常に索引という形で実情を引けるような体制になっております。今回のケースで言いますと、第一段階で私どもそれをインターネットで引きまして、引き続きその資料をファクスで送ってもらい、さらに書籍をエクスプレスで送ってもらって、最後には専門家の方に来日をいただいてディスカッションをし、現場を見ていただくというふうなプロセスを踏みまして、このエクソン・バルディーズのケースを参考にいたしました。
  139. 桑原豊

    ○桑原委員 油処理の仕方にもよるわけですけれども、いろいろ諸説があるようです。例えば、割合短い期間で環境が相当回復するという、そういう一、二年のスパンで、そういう見方もあるようですし、また、いやこれはもう十年、二十年のタームで考えなければいかぬ問題だ、こういうふうな見方もあるようですけれども、今までのその知見の中ではどういうふうな回復の状況、回復はどういうふうな推測ができるかという点ではどうですか。
  140. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 確定的なことは申し上げかねるのですけれども、楽観的な見通しと悲観的な見通しと申し上げますならば、見かけの海の状況というのは比較的早いうちに回復をいたします。これはいわゆるCODとかそういうベースでいいますと、やはり一年以内にはもとの状態に戻っていく。しかし、問題になりますのは、やはり生態系というチェーンの一カ所が切れますと、その影響がどういうふうに出ていくかということにつきましては、かなり長期の追跡をしませんと状況がわかりません。そういう観点から、アメリカのエクソン・バルディーズ号のケースでは、エクソンから拠出をされました基金をもとにいたしまして、二十一世紀の初頭まで追跡を行うということでございます。  そのプロセスで、生態系について記述されたものを拝見いたしますと、確たることはなかなかわからない。なぜこの資源が減ったのかというのは、気象、気候、海の状況によって減ったのかもしれないし、油で影響を受けたのかもしれない。しかし、まだこれからスポット的な油のクリーンアップと生態系のモニタリングは続けていく必要があるという結論になっておりました。
  141. 桑原豊

    ○桑原委員 ぜひそういった、見方がいろいろ分かれているようですけれども、最大限回復が順調に行われるようなことも含めて、この際しっかりした知見を集積されますように、相当粘り強く影響調査を続けていただきたい。このことをお願いをし、そういった決意も含めて長官の方から一言、この環境影響の問題について御決意も含めてお伺いしたいと思います。
  142. 石井道子

    石井国務大臣 このたびの事故は大変大規模でありますし、非常に長期的な取り組みをしなければならない課題であろうというふうに思っております。今までの水島事故とかあるいはアラスカ沖の事故、そのような経験を教訓として、いろいろとそれを参考にして現在までも取り組んではきているわけでございますけれども、これからも長期的な取り組み、段階的、継続的な取り組みに対してさらに調査を進めて、環境影響、生態系への影響に対して調査を行い、そしてその回復のために努力をしていきたいと思っております。
  143. 桑原豊

    ○桑原委員 どうもありがとうございました。  この関連でもう一つお聞きをしたいのですが、ボランティアの方の大変痛ましい犠牲もございま した。大変胸が痛むのですが、もう一つ、いわゆる海鳥が悲惨な状況に遭っております。この保護やらあるいは保育、リハビリ、そして放鳥というようなことで、この点でもボランティアの方々が大変頑張っていただいておりますし、自然保護団体の方々あるいは獣医の皆さん、一体になって情報を聞きつけて努力をされて、一羽でも多くの海鳥を保護しようということで努力をされているわけですけれども、しかし多くの海鳥がやはり死んでおります。  数はどれぐらいになるのか、保護をした鳥の何十倍にも上るのかというようなことで、みんな胸を痛めておるわけですけれども、石川県の能登半島の沖合に七ツ島と舳倉島という離島がございます。七ツ島は輪島の方から大体二十五キロぐらいですかね、舳倉島は五十キロぐらいです。そういったところで、渡り鳥、海鳥にとってはまたとないバードサンクチュアリーといいますか、非常な聖域でありまして、全国的にも大変多くの皆さんが訪れて、季節にはウォッチャーであふれるのですが、そういった貴重な島がございます。残念ながらこの島にも、島そのものにそんなに大きな被害というまでにはなりませんでしたが、しかし油が漂着をいたしまして、非常に心配をいたしております。  特に七ツ島は、天然記念物であり、危急種でありますカンムリウミスズメの産卵地、ふ化の場所でございまして、これから三月、四月、そして五月ということで、カンムリウミスズメが徐々にこの島に近づいてきて、この島で産卵をして、そしてひな鳥はその島を伝って海に出ていくということですから、ほんのわずかの汚染でも、やはりこういう危急種が被害をこうむると大変なことになってしまうという危険性が大きいわけでございます。  環境庁の皆さんも、早速ここを訪れて、非常に献身的な努力をされて、何としてもということで県あるいは市町村の方々とも合同で頑張っておられますけれども、これから大変大事な時期を迎えますし、残念ながら油はまだこれで終わりということになっておりません。本体というのか、船尾部分からの流出がじわじわと続いているようですし、これからのぐあいによってはまた漂着というおそれなきにしもあらずでございます。そういう意味では、何としてもこの大切な時期にこの島を守っていただいて、対策をしっかりしたものを講じて被害を食いとめていただきたい、こういう思いでいっぱいでございます。その点が一つ。  それから、いろいろな生活にかかわる被害は民事賠償、損害賠償の責任を問うことができますけれども、残念ながら、水鳥、海鳥、そういった自然資源といいますか、このようなものについては問えるのか問えないのか、そこら辺が判然としておりませんし、額にすればそう大したものではないかもしれませんけれども、私はやはり考え方として、自然の資源というものが貴重な我々の財産なんだということを考えたときに、ぜひそれもお金に評価をされる、賠償の対象になる、そういったふうな考え方というのは必要ではないかというふうに思いますので、その点についてどういうふうに考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  144. 澤村宏

    ○澤村政府委員 まず初めに、七ツ島の状況につきまして申し上げますが、七ツ島は、能登半島の沖合にあります群島でありまして、カンムリウミスズメ、それからオオミズナギドリの集団の繁殖地でございまして、国設の鳥獣保護区を設定しているところでございます。このカンムリウミスズメの繁殖期は、今先生御指摘になりましたように、三月から五月というのが非常に重要な時期になってくるわけでございます。  環境庁におきましては、一月十六日に石川県と共同で周辺の海域の油の状況を含めて現地を調査したところでございますが、その時点におきましては、直接的な被害は確認されていないところでございます。しかしながら、この地域は重要な繁殖地域であることから、今後も繁殖期前及び期間中に調査を実施する予定であり、当該調査の結果を踏まえて必要な対策を講じてまいりたい、そのように考えております。  それから、第二点目の被災の鳥そのものについての補償ということにつきましては、自然のものでございますので、いわば無主物ということになっておりますので、その辺のところはなかなか難しい議論があるのかなと思いますが、今いろいろ先生のお話の中で、いろいろなボランティアの方、いろいろな方がなさったというようなことがあります。そういったものについての海鳥の保護、治療、リハビリ、放鳥などに要した費用、そういったようなものにつきましては、これもまたボランティアなどの参加もあることから、その取り扱いについては種々検討すべき点があるとは考えておりますが、今後引き続き検討を進めてまいりたい、そのように考えております。
  145. 桑原豊

    ○桑原委員 こういう水鳥なんかになりますと、これは一体だれの財産なのかということも含めて、そういう物の考え方でいくと、なかなかその損害を評価するというのは難しいことかと思います。  しかし、アメリカでは、既に相当以前から、自然の生態系であるとか野生動物の価値、あるいは原生自然の価値などについて損害というものがどう評価されるのかという議論が行われておりまして、一九八〇年のスーパーファンド法という通称の法律があるようですが、この制定で環境破壊に対する損害賠償が認められた。そしてその後も、この評価を一体どうするのかということで、評価法をめぐっていろいろ検討がなされてきて、そして例の、先ほど申し上げましたエクソン・バルディーズ号の事件などをきっかけにいたしまして、一九九〇年の油濁法でそういったものが一定評価をされる、こういうようなことになったというふうに聞いておるわけでございます。  ぜひ日本環境庁の方でもそういった評価というものをしていただいて、そういったものに地球的な価値といいますか、やはり財産の価値というよりももっと、ある意味では違う意味を持った一つの価値というものを認めていただいて、これも損害賠償の評価の対象になるような法体系の整備というものをぜひ検討していただきたい、こういうふうに思うのです。  これも含めて環境庁長官に、鳥たちは自分たちで何の自己主張もいたしません。損害賠償を請求してくれというようなリクエストもしないわけですから、ぜひそういった声なき声も含めて、長官の決意をよろしくお願いします。
  146. 石井道子

    石井国務大臣 海鳥の声を代弁されて、今桑原委員のお話を伺わせていただきましたけれども、このたびの重油流出に対します事故の中で、海鳥の事故というものも、災害というものも自然環境を破壊されたという中に入るというふうに思います。そして現在、海鳥への影響に関する調査の実施と、検討委員会をつくっておりまして、その検討結果も踏まえて必要な対策を講じたいと思いますし、また、海鳥を救護したり、いろいろと保護されてまいりましたボランティアの方々活動が大変大きなものがあります。地元の皆様方の御苦労もあるわけでございますが、そのような面での求償の取り扱いにつきましては、ワーキンググループの検討を踏まえて、今後も適切に対処してまいりたいと思っております。  新しいルールをつくる、考えるという点については、今後の重要な課題であろうというふうに思っております。
  147. 桑原豊

    ○桑原委員 重油の問題は以上にしまして、次は環境庁の役割といいますか、そういったことで少し関連をしたことを聞きたいと思います。  まず、近く提出予定のアセスメント法なのですが、今度の法律案が出されるに至るまでは本当にいろいろな紆余曲折があって、環境庁としても、ある意味では庁の命運をかけて、その存在をかけて努力をされてきた経緯もあるだろうというふうに思います。ぜひいい形で法制化されるように我々も努力をさせていただきたい、こういうふうに思うわけです。  そこで、今度の答申では、先ほども少しお話が 出ておりましたが、国の許認可に関する事業で、その最終的な決定に至る過程で、最終段階に近い段階ですけれども環境庁長官が必要に応じて意見を申し述べることができることになりました。そういうふうな答申になっております。  先ほどもお話があったように、今までは求めに応じてということで、大変その求めが少なかったようです。意見を申し述べることができる、確かに大臣の意見ですから、単なる意見ではなしにそれは重大な意味を持つということはもちろんわかりますけれども、私の思いからすれば、意見を申し述べることができるのは当たり前であって、その意見が本当にしっかりと内容そのとおりに担保される、そういう制度を考えられないものなのか。例えば、意見ではなしに勧告というようなものにするとか、あるいは、意見を申し述べることができるもう一方ではその意見は尊重されなければならないというような形で、明文でしっかりした、担保する、そんな規定が必要なのではないか、こんなふうに私ながらに思うわけです。  というのは、今度のアセスメントが制度化されますと、その間に自治体や住民の意見がいろいろな場面で出されてまいります。それが最終的に集中的に表現されるのは環境庁長官の意見という形になるわけでございます。また、今度のアセスメントは、単に基準を守るということだけではなしに、本当に環境影響をできる限り回避してその負荷を少なくしていくということを目標にしてやられるということですから、この意見が非常に強い力を持たなければならない、私はこういうふうに思います。そういったより強力な意見を実行していく、させていく担保がないのか、そこをもう少し強力なものにしてつくれないのかということをぜひ環境庁長官にお聞きしたいと思います。
  148. 石井道子

    石井国務大臣 中環審答申におきまして、主務大臣環境庁長官の意見が述べられたときは、その意見に配慮をして審査すべきであるとされております。  環境庁長官としての意見というものは、アセスの法制化された手続をしっかりと踏んだ上で、問題を十分に配慮した上で物を申していく大変重要な責任があるわけでございまして、今後も環境保全行政を総合的な視野に立って推進する立場大臣ということでございます。  これはやはり当然大きな重みをもって受けとめられますし、尊重されるものと理解をしているわけでございまして、今までのような閣議アセスのやり方とは違いまして、きちんと法制化された上での環境庁長官の意見というものは許認可に当たって十分尊重されるものであると私は考えております。
  149. 桑原豊

    ○桑原委員 時間がもう切れましたので、もうあと少し聞きたかったのですが、やめますが、ともかく環境庁、ともすれば事業官庁のはざまにあって大変事業の遂行を、ある意味では合理化をしていく際に環境庁の役割が使われるような側面もえてして見られます。しかし、私は二十一世紀というのはもうそんな、いわゆる環境世紀であって、環境が許す範囲で物がなせるんだというような逆転した発想というものが必要であろうというふうに思います。  そういう意味では、大変環境庁の果たす役割、今までの何かをチェックしていくとか、ついていくとか、それをどう合理化していくかとか、そんな役割ではなしに、もう環境庁が先頭に立って切り開いていくような、これからはそんな時代ではないかというふうに思いますので、そういう点についてどう考えておいでなのか。そういう意味での二十一世紀環境庁の役割というものについての決意を簡単に一言だけいただいて、私の質問は終わりたいというふうに考えます。
  150. 石井道子

    石井国務大臣 環境問題は大変重要な課題でございます。ですから、委員がおっしゃいましたように、すべて環境に配慮した政策を立案、実行していく、そういう時代になっているというふうに認識しておりまして、その責任を十分に果たしていきたいと思っております。
  151. 桑原豊

    ○桑原委員 どうもありがとうございました。
  152. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 小林守君。
  153. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林守です。引き続きまして、大臣所信表明にかかわります質疑をさせていただきたいと思います。  今、桑原議員の方から、二十一世紀環境世紀だ、そして今日までの考え方を逆転する発想が必要だと。まさに、環境という枠の中で人間が生きているという謙虚さが求められるし、私自身が大きく受けとめたのは、文明の転換であろう、こんなふうにも考えるところであります。  そういう点で環境庁の果たす役割は極めて大きいと言わざるを得ないわけでありますし、また当然その自覚を持って取り組んでおられるわけでありますけれども、ことしは、既に午前中以来それぞれの皆さん方が問題に取り上げてまいりました、地球温暖化防止京都会議が十二月に開催されます。さらには、環境庁にとっても、また日本環境行政にとっても大きな宿願であった環境アセスメント法が提案されるというような時期でございまして、そういう点で幾つかの問題についてただしておきたい、このように考えるわけであります。  先ほどの桑原議員の中でも、やはり環境庁日本環境行政に果たす役割、ただ単に認識だけを立派に述べていくだけではなくて、実際に具体的な実行力を伴っていかなければならないときを迎えているというようなことであります。しかしながらまだまだ、具体的な実行策をどうするんだということを出していくところでは弱いのではないかと思えてならないことが幾つかございます。  気候変動枠組み条約、九二年に採択された条約でありますけれども、これに関連いたしまして、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告によりますると、二十一世紀末には、現状のままで推移するならば地球の温暖化は一層進行して、気温では二度Cの上昇があり、そして五十センチぐらいの海面上昇がある。これは地球環境に対する、地球の生態系や、そして産業では特に農業などにおいて広範囲で深刻な影響がある、はかり知れないようなおそれがあるというような報告がなされ、今こそ後悔しない範囲での対策が必要だという表現ではありますが、出されてきたわけであります。  振り返って、この条約に基づいてそれぞれの先進国が共通の課題として二〇〇〇年目標ということで約束を一応したわけでありますが、極めて不十分な約束なのですけれども日本CO2の排出量において世界第四位と不名誉な地位にもあるわけであります。そういう点から、日本CO2対策というものは、温暖化防止対策にとって大きな役割を果たさなければならないわけであります。  そういう点で、既に発表されている資料によると、九〇年から四年過ぎた九四年のデータでは、総排出量が七・二%ふえている、こういう現実があるわけであります。立派なことを言っていてもこの現実を見るならばやはり力がない、このように言わざるを得ないわけでありまして、なぜこのような数値が出ているのか、そして二〇〇〇年までにこれをどのくらいにできるのか、しようとしているのか、それを明確にしていくことが、二〇〇〇年に向かっての我が国国際社会に対する責務であろうと思いますし、また、京都会議の招致国である、議長国でもある日本の現実、これを改善しておかなければ国際社会に向かってリーダーシップは発揮できないわけでありますから、そういう点での、まずは現実についての問題をどう整理して京都会議成功に向けて臨むのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
  154. 石井道子

    石井国務大臣 日本の二酸化炭素排出量は世界で第四位ということで、残念な状況でございます。  委員御指摘のように、九四年度の値が、二酸化炭素排出量実績値は、炭素換算で三億四千三百万トンでございまして、九〇年度の実績値から比べますと、これが三億二千万トンですので、約七%の増加となっております。二〇〇〇年の我が国の二酸化炭素排出量の見通しは、九〇年度実績に比 べて約三%増の三億三千万トンと予測をされているわけでございまして、現在の対策のままでは二〇〇〇年目標の達成は非常に困難な状態であるわけでございます。  このような状況の中で、昨年六月の地球環境保全に関する関係閣僚会議におきまして、総理より政府が一体となって地球温暖化対策の一層の充実強化を図るために、各分野において省エネルギー対策などの施策を一層強化するようにという指示を受けたところでございまして、各省庁、率先実行という形で努力をしているところでもあります。  新エネルギーの促進に関する法律案も今国会に提出をされるわけでございますが、環境庁におきましては地方公共団体の地球温暖化対策事業への補助金の新設をしたところでありまして、平成九年度政府予算案に計上もしております。私が陣頭指揮をとりまして国民への啓発や国民参加の取り組みの強化のためのキャンペーンを開始したところでございます。環境庁の中にも地球温暖化対策本部もつくっているところでございまして、環境庁挙げて取り組みをしているところでもございます。  環境庁では、昨年、二〇〇〇年までに普及可能な技術による排出削減効果の見積もりを行いました。そして、技術的には二〇〇〇年目標の達成は決して不可能ではないと考えられますので、国民各界各層の意識の向上を図るとともに、すぐれた技術が積極的に採用されていくよう、政府対策を一層推進強化をしていく、そういうことによって二〇〇〇年までに何とか最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
  155. 小林守

    ○小林(守)委員 二〇〇〇年目標に向かって、要は一九九〇年レベルに戻すのだということが目標になるわけでありますが、それよりも、三%増ぐらいまで何とか抑えることができるのではないかというようなお話がありました。いろいろな研究会の中では、技術的には戻すことができる、可能であろうというようなことまで考えられているというようなお話もございまして、とにかくあらゆる努力を傾注して頑張っていくしかないわけであります。  その努力の仕方なんですけれども、幾らかけ声をかけても、これはやはり国際的な、地球全体の問題でありますから、我が国だけがとか、そういう発想も当然出てくるとは思います。しかし、この問題についてはやはり先進国の責任、それから国際社会の中で協調と平和の中でしか生きられない日本、そういうことを考えるならば、こういう環境の上では日本はやはり率先してリーダーシップを発揮していく、これが日本一つの生きる道、国際社会の中で日本の生きる道なのではないかと思えてならないわけでありまして、日本だけが何でこんなに厳しいんだというような発想は、絶対これは許されないことだろうと思いますし、実際に、数値的にも日本がほかの国よりも、先進国の中での規制よりも厳しいなんということはないわけでありまして、その辺は業界、産業界の中では少し思い違いをしている部分もあるというふうに言わざるを得ないところでありますから、今後の啓発の中で十分その辺は周知徹底を図って、国策として、そしてまた国際社会の中における日本の現状において、やはり日本が率先してCO2の削減に取り組んでいくということを示していくべきだろう、このように思えてなりません。  そこで一つ聞きたいのは、北欧などでは既に、炭素税というような税制を使った、経済的な手法を使ったインセンティブを導入して環境コストを内部化していくというような手法が導入されておりますけれども日本においてもこの辺の炭素税導入、別の言い方もあろうかと思うのですけれども、検討はされているのかどうか、その辺の検討状況それから見通し等について、我々も勉強中でございまして、ちょっと教えていただきたいと思います。
  156. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘の炭素税につきましては、昨年六月に中央環境審議会において環境基本計画の第一回目の点検報告が行われました。その際、地球温暖化対策を重点項目として取り上げまして、その中で「実効性が期待される経済的措置について、具体的な議論の材料を国民に示し、国民的な議論を喚起する」べきだという御指摘をいただいたわけでござます。  これを踏まえまして、私ども、昨年七月には環境庁に設置をいたしました経済の専門家から成る検討会から炭素税についての具体的な提案もいただいたわけでございます。  京都会議では、一層強化された国際的な約束を合意されることになるものと考えられるわけでございますけれども、当面、地球温暖化防止行動計画の目標達成に向けて、ただいま御議論がございました二〇〇〇年目標の達成に向けて各種対策の強化が必要でございまして、私ども環境庁といたしましては、引き続き内外の最新の情報を公表いたしまして、各国におけるそういう炭素税などの導入状況でございますとか、あるいは国内の専門家から御提案をいただきましたさまざまな具体的な提案も含めまして、国民的な議論を喚起し、その御理解を得ながら炭素税の具体的なあり方についての検討をさらに深めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  157. 小林守

    ○小林(守)委員 経済界にとっても大変大きなインパクトのある課題だけに、国民合意形成というのを進めるのは大変なことだとは思いますけれども、そこまでもう地球環境は来ているよ、待っていられないんだという感じがしてなりません。そんなことで、議員立法も含めて、我々もこの問題についてはこれからも真剣に取り組んでいきたいと考えているところであります。  税制上のグリーン化というか、温暖化を進めるような、環境に負荷を与えるようなものについては、産業活動については、経済活動については課税をしていく、そしてそれを縮減していくような経済活動については減税をしていくというようなダブルの経済的なインセンティブを働かせるというようなことが今求められてきていると言わざるを得ないと思います。  それで、もう一つ規制の問題の中で、温暖化対策の中でやはり忘れてはならないのは、先ほども議論がありましたけれども、オゾン層の破壊物質の特定フロン、これについては生産が禁止されたわけでありますけれども、その当時までにつくってしまったものの利用についてはまだ野放しの状態にあると言わざるを得ないわけでありまして、そういう点で、特定フロンの回収もまた大変な課題になっております。  実は、特定フロンとか代替フロンとかそういう物質は、もちろんオゾン層を破壊するという大変な物質でもあるわけですけれども、非常に安定した夢の物質とまで言われたものが、とんでもないところで人類にとって、また地球環境にとって大変ないたずらをする物質だということがわかってしまったわけであります。これらの特定フロンやその他の代替フロンというのは、御承知だと思いますけれども、温暖化効果ではCO、の数千倍の力を持っているというか、影響力があるというか、それだげの物質なんだそうでありまして、そういう点からも、温暖化防止を大きな課題に掲げるならば、オゾン層の保護対策も含めて、やはり既存の、既に市場に出回ってしまっている、少なくとも生産は全廃された特定フロンについては最大限の回収をしていかなければならないことだというふうに思います。  しかしながら、全廃した後の取り組みとして、産業界それからもちろん国民一人一人も含めて自主的な取り組みを進めていくという、規制的な取り組みではない取り組み産業界や自治体のルートで行われてきたわけですけれども、やはりここに、かけ声倒れというか、理念はすばらしいし大変結構なんですけれども、そうはいっても金にならないことはやらない、金のかかることはやる必要がなくなってしまう、やらないという現実があるわけでありますから、そういう点でも日本では残念ながらフロンの回収については経済的なインセンティブが働かないという事情もあるようであ ります。  そういう点で、今こそ法的な回収規制を導入しなければならないのではないか。少なくともこれぐらいは日本の議長国としての責任で、日本もやることになったというぐらい発表できるような体制ができないものかどうか、ぜひ大臣の決断をお願いしたいということでございます。
  158. 石井道子

    石井国務大臣 フロンの問題につきましては、オゾン層の破壊の問題ということで大変重要な問題であります。そして今は、フロンの回収また再利用、破壊の問題、この促進対策を進める必要があるわけでございまして、そのための啓発事業やフロン破壊モデル事業などを実施して、さまざまな取り組みを行っているところでござます。  その結果、多くの市町村や都道府県によりましてフロンの回収に向けた取り組みが進展をしているところでありますが、今のところ約二千市町村でこのような問題に取り組んでいるところでございますし、また、このフロン回収、破壊促進のための協議会を設置しております自治体が三十八都道府県それから政令都市がございまして、全体の約六割の自治体がこの問題に取り組んでおります。  環境庁といたしましても、この取り組みをさらに進めるために、今後のフロンの回収、破壊の方策のあり方について関係省庁と検討を進めているところでございます。その結果を踏まえて、実効ある対策を今後も展開していきたいと思っております。
  159. 小林守

    ○小林(守)委員 ようやく自治体の方でも動き出してくれているようなことになってきたわけであります。いわゆる市場に出回っている特定フロンのうち、回収されているのは自治体が回収、一生懸命始まってきているわけですけれども産業界の中で、特に自動車関係なんかの業界等では、解体事業関係の中では、全く金にならぬ、時間もかかってしようがないということで一気に放出してしまうことが多いというふうに言われております。今数字を挙げて、自治体でもう始まったということなんですが、フロン全体の市場に出回った中での回収率はどのくらいなんでしょうか。
  160. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 私ども平成七年末に自治体を通じまして回収の実態を調査をいたしております。これは必ずしも正確とは申し上げられないわけでございますけれども、また機器によっても若干違うわけでございますが、総じて申し上げれば約一割ぐらいが回収されているといったところでございます。平成七年の十二月末の調査でございます。
  161. 小林守

    ○小林(守)委員 そういうことで、お寒い実態があるということを考えるならば、本来、経済規制についてはできるだけ原則撤廃、規制撤廃という時代、経済構造改革の中では最大の課題になっている時代でありますけれども環境の問題はむしろ規制強化をしなければだめだという時代でもあるというふうに認識を持たないと、日本国際社会での役割は果たせないということを厳しく認識をしていきたいなと思っております。  もう一つ、温暖化防止の行動については国民のライフスタイルの改革というものも欠かせない。実は、午前中の質問者の中でありましたので、アイドリングのストップとか、それから環境家計簿というような言葉を私も初めて聞きましたけれども、いろいろな取り組みがあるということを、ぜひ、身近に国民が取り組める温暖化防止の行動選択、一人一人が何をやるかということ、何ができるかということを考えていくような問題意識を持ってもらって、そしてできることからやってもらう、こういうことを提示していただければありがたい、そのように考えております。  何としてでも、そういう点で、地球温暖化防止京都会議日本の議長国としてのリーダーシップが発揮できるように、もう一度、オゾン層の保護対策に絡んでもおりますが、温暖化対策一つでもあるフロンの法的規制、さらにはCO2の削減のあらゆる努力、法的な、また炭素税の導入なども含めた検討を相当突っ込んで進めていただきたい、このように考えているところであります。  それでは続きまして、もう一つ課題として、環境アセスメント法制化の問題について幾つかお聞きしたいと思います。  環境アセスメント法についてはいろいろないきさつがあったということなんですが、ここまでこぎつけて何とか答申が出されたということについては大きく評価をしていきたいと思っているわけでありまして、少なくともこの答申が後退や骨抜きになるようなことがあっては絶対にならない。少なくとも、これは標準的なシステム、手続的な標準の仕組みであり、これですべてだということではないはずであります。むしろ私は、最低水準だというぐらいのものとして環境アセスメント法があるのだろうというふうに考えているわけなんです。  というのは、少なくとも各自治体では後退しないようにお願いしたいというような要望も既に来ております。実はここにも持ってきたのですが、東京都知事の方から環境庁長官あてに、東京都知事の「環境影響評価制度法制化について」の要望ということで、「これまで地方自治体が取り組んできた実績が後退することのないよう、地方の独自性を尊重した制度内容となること」をお願いしていきたいということ。  そういうことで、この法律そのものは国の制度に一元化していくという中身ですね。そこに、今まで条例や要綱で取り組んできた都道府県、政令市などの先進自治体のアセスに縛りをかけることになってしまうのではないか、こういう懸念があるわけであります。ですから、法制化に当たって、例えば私は、通産省発電所アセスは、環境庁の今考えているアセスメントよりももっと厳しくやっているんだよというような主張で、統一化されては困るという主張をしているのですが、ちょっとにわかに信じがたいところもあります。環境庁の統一アセスでは後退するのだという言い方をされておりますが、本音は電源立地がやりづらくなるというのが裏にあるのではないかと思えてならないのですけれども、そんなことで、この法制化について、少なくとも統一化し、また国への一元化ということを考えるならば、後退にならないような法的な仕組みをしっかりと確認していきたいなと思っておりますが、この辺について御回答をお願いします。
  162. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 先般の中央環境審議会答申では、国の対象となる事業については、国と地方との重複を避けるということで国に一本化するというふうな提言がなされておりますが、私ども、地方制度との関係について今先生からいろいろ御懸念もございました。それで、次のような点につきまして、地方団体とよくお話をして御理解をいただきたいと考えております。  まず第一は、この中環審答申では、新制度はアセスメントの早期の段階で手続を導入する、あるいは環境基本法に対応した幅広い評価項目を入れる、あるいはフォローアップの位置づけをするというふうに、現在地方で先進的に行っております内容を取り入れております。そして、これらの手続において地方の意見を十分に反映する仕組みとするということが示されております。  また二番目に、新しい制度は国のアセスメント制度でございまして、法の対象事業以外の事業につきましては、地方が地方の視点から地方の制度で対応することを何ら制約するものではないという点でございます。  それから三番目に、地方の審査会等の機関の活用、あるいは公聴会の実施。これは、国の制度でも、地方公共団体が御自分の意見を形成するために行う行為でございまして、法律に規定がなくても、当然地方でこれまでどおり審査会とか公聴会をやるということが地方の判断で実施し得るという点もございます。  こうした点につきまして、私どもは、地方団体とよくお話をして御理解をいただきながら法律をつくっていきたい、こういうふうに考えております。
  163. 小林守

    ○小林(守)委員 法律が出てくる段階も十分見詰めながら、見守りながら、出た時点ではその辺も 厳しく点検をしていきたいと思っております。  もう一つ、閣議アセスで現在計画進行中の事業について、新しいアセスメント法ができた場合に、事前の段階にさかのぼってやるというのはなかなか難しいとは思うのですけれども、例えば長期間未着工のものとか休止状態にあるもの、これらについては新しい制度のもとで再アセスをやるようなことができないものかどうか。  また、既に許認可が出ているものについて、アセスも終わって許認可も出ている、しかし事業着工はこれからだというようなダムとかの事業もあるわけでありますけれども、これらについて、少なくとも新制度では、その後、現状の段階に合わせるならば事後調査というのは新しい制度の中で必ずあるのですね。そうなってくると、今の閣議アセスでもうそこまでのシステムは全部終わっているのだから、新しい制度に変わったからといって事後調査は必要ない、このようなことになってしまうのかどうか。  これは重大な問題に発展すると思いますし、国民は納得しないというふうに思います。もし、それが民間事業者に対して、ああいう時点で許可したのだからそれ以上求めることができないというのだったら、行政がやるべきだ。それに対して、国民はお金を使うことについては文句は言わないというふうに思います。  そういう点で、私も今後この点については相当厳しく点検をしながら、国民の声で、市民の視点で、法体系からおかしいとか、そういう発想は許されないと思います。国民がそうしてくれというのだったら、税金でやってくれというのだったら、法律の中にきちっとそれを書けばできないはずがないわけでありますから、さかのぼることができないというのは、例えば刑罰をさかのぼってかけるというのは難しいと思いますが、事業の問題です、環境の問題ですから、その金を事業者が負担するのは難しいということはわかります。しかし、税金でやるのだったらやれるのじゃないか。そんなことも含めて、継続中のものに対する経過措置についてはどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。
  164. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 法制化に当たりまして、計画が進行中の事業等についての経過措置でございますけれども、一般的に申しまして、新たな制度の対象となる行為の実態と、それから新たな制度によって課される義務等の内容を十分勘案をして、法的安定性が損なわれることのないよう規定する必要がある。これは立法論でございまして、私どもも、環境影響評価法案の作成に当たりましても、こうした一般的な考えがございますので、こうした点も踏まえながら、法制的見地から十分いろいろな角度から検討していきたい、こういうふうに思っております。
  165. 小林守

    ○小林(守)委員 時間が来てしまいましたので、改めて法律が出た時点で対応させていただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  166. 佐藤謙一郎

  167. 辻元清美

    辻元委員 私は、社会民主党・市民連合の辻元清美と申します。  昨年初当選いたしまして、国会にやってまいりました。それ以前は、環境問題や国際交流にかかわるNGOのスタッフとして、学生時代から十三年間働いてまいりました。  一九九二年のブラジルにおきます地球サミットにも、日本NGOの一人としまして参加しております。また、その地球サミットに先立っての、ニューヨークの国連本部でのプレ会議の方にも、NGOのスタッフとして参加してまいりました。  そういう関係で、海外の、特に第三世界、発展途上国と言われている地域での環境問題や、それからいろいろな、アメリカやヨーロッパ、それらの国々のNGOのスタッフなどとも意見交換をして、そういう活動のもとに国会での活動をやっております。  さて、そういう中で、環境問題の解決には、女性の視点という言葉がよく出てくるわけなんですけれども、幸いにしまして、環境庁長官は女性でいらっしゃるということで、私は、まずここで、同じ女性として心強く思っているということを表明したいと思います。  十月以来四カ月間、私は国会で質疑やレクチャーを受けましたが、初めて女性とお話ができる。百人近くの方とお話ししたかと思いますが、全員男性でしたので、きょうは本当にうれしく思いながら質問させていただきたいと思います。  さて、そういう中で、先ほどの方も質問されましたけれども環境アセスメントの問題。今これは日本だけではなくて、海外からも注目されていると思いますので、まず、この点について幾つか御質問させていただきます。  御承知のとおり、OECD諸国の中でアセスメント法を持っていなかったのは日本だけだということで、私も、リオの地球サミットなどでは、各国のNGOから指摘されたりもいたしました。  そういう中で、こういう法律がなかったために、例えば、私は近畿ブロックから選出されておりますけれども、近畿の西淀川地区とか尼崎などにおきましては、工場や、それから道路、発電所の大気汚染によって、約三万人のぜんそく患者がいるというような報告も聞いたりしているようなことがあります。これも、適切なアセスメント法などが施行されていれば、もう少し事前に防げたのではないかということで、非常にこの法律には私は期待しているわけなんです。  さて、中央環境審議会から答申されました「今後の環境影響評価制度の在り方について」、これは私も熟読させていただきました。この中で、特にこの評価過程における住民の位置づけというのが非常に気になっております。といいますのは、やはり住民の皆さんの声が反映されてこそ適正なアセスが行われるのではないかと思うからです。  その中で、答申の第六章に、「住民等の関与」というのがございます。ここには、個々の事業等にかかわる政府の意思決定そのものに参加するのではなく、住民が環境情報の形成にいかに参加できるかという、環境情報の形成に参加するというふうに答申にはなっているわけなんです。  私は、もう少し突っ込んで、意思決定のところの部分にも住民の皆さんの御意見が反映されるようになればいいなと思いつつ、しかし、このように答申されておりますので、環境情報の形成にいかに住民が関与できるかという点について、まず質問したいと思います。  事業者は、公告縦覧とそれから地域住民に対する説明会、これによって住民の皆さんの御意見を伺うとなっていたり、また、この中では、準備書に対する意見提出とスコーピング手続、項目を選定する、この二点について意見提出を行うことができるというふうに答申には書かれております。  さてここで、環境庁長官に、このような答申を受けまして、住民の皆さんの声をどのように反映されていくお気持ちでいらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。
  168. 石井道子

    石井国務大臣 環境影響評価制度につきましては、大変長い経緯があったわけでございますが、ようやく中央環境審議会答申総理に出されたところでございまして、それによってかなり環境行政も前進するのではないかというふうに考えております。  この制度は、事業者が事業計画の熟度を高めていく過程において、地域住民を初めとして地方公共団体、また専門家などの意見を求めて、十分な環境情報のもとで適切な環境配慮を確保しようという制度でございます。ですから、この中で、住民の関与というものにつきましては、手続の中で大変重要な要素であるというふうに思います。  この答申におきまして、現行制度を充実させるべき点として、事業者が調査を開始する段階での住民関与の機会を設けること、そして、意見を求める者の範囲を関係地域内に限定しないということでございますから、幅広く住民の方々の意見が反映できる制度であるというふうに思っております。  環境庁といたしましても、このような中央環境審議会答申を踏まえまして、法案を取りまとめ まして今国会に提出をいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  169. 辻元清美

    辻元委員 さて、この答申の中で、先ほどからも何回か指摘されておる点でありますけれども長官の意見をいつでも言える。これは、御意見番と言ったらおかしいのですけれども、しっかりここでイニシアチブをとっていただきたいと私は強く希望しているわけなのですが、その際に、今長官がおっしゃいましたように、住民の方々の意見を十分取り入れていただきたいと思います。  ただ、今までの例をちょっと申し上げたいと思うのです。残念ながら、住民とそれから事業者の対立というのは本当に、ここに衆議院議員五百名の方が選出されていらっしゃっておりますけれども、それぞれの地元でも見聞きするということが往々にしてございます。  例えば、首都圏で申し上げますと、首都圏中央連絡自動車道路、これはずっと首都圏の連絡をしよう、二百七十キロに及ぶ高速道路がございますが、埼玉県の部分は既に一部完成しておりますけれども、住民の反発を招き、東京、神奈川、茨城などで、測量をめぐって住民と事業者の間での対立が行われているというふうに聞いております。  実際に、これをちょっと調べてみますと、住民の方々は、厳密なアセスを求めることなどを含めまして、八六年九月の評価書案の縦覧が始められました折から、約七万通意見書を提出されたそうなのです。ところが、その七万通がどのように反映されたかを見ていきますと、実際にはほとんど反映されなく、建設省も許可を出された。その過程で、知事の意見の申し立てというか、意見を申し述べられるところにも、前文のところに、おおむね技術指針に従っているというふうに書かれていたために、事業者の方はそこを優先されたというふうに話を聞いております。  このような話は、住民の方々それぞれの、例えば横浜環状道路では意見書は十二万通出ているとか、八王子の南道路では六万通出ているとか、数だけではございませんけれども、これだけの方々の意見というのを十分反映していきたい、そのために、都道府県では知事の皆さんを初め、審議会を一方では設置されて、三十二都道府県で審議会があるというふうに聞いておるわけなんですけれども、それぞれの審議会、これ調べてみますと、事業があった場合に五回以上審議会を開いたところは半分以下というふうな記録が出ております。  そうしますと、審議会でも形骸化というような話もよく聞かれますけれども、一方でそういう意見書をどのように吸い上げるのか、そして審議会をどう充実させていくのか、その辺も環境庁長官のイニシアチブによりまして、現状をさらにいいものにしていっていただかないといけないのではないかというふうに思います。  その中で、私は自分がNGO活動をしていたという経験もあるのですが、ぜひ提案させていただきたいのは、環境庁に、今回のアセスについての特別の審議会と言ったらおかしいのですが、NGOの方なんかも入れた調査もできるようなそういう機関をぜひ御検討いただきまして、住民そしてそういうNGO活動をしている人たちと長官がともにこのアセスをいいものにしていっていただくという、そういうことを提案させていただきたいのですが、御検討の余地があるかどうか、少しお聞きしたいと思うのですが。
  170. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 何点か御質問をされましたのでお答えを申し上げますが、まず住民の声の問題でございます。先ほど例に出されました圏央道、これは私ども環境庁長官の意見は聞かれておらないという実態でございます。  いずれにいたしましても、答申におきましては、住民の意見は、調査等を開始しようとする際のスコーピングの手続の段階、それから調査等の結果を取りまとめました準備書段階の二回、意見提出の機会があるわけでございまして、これを基本とするよう答申では求めております。住民の意見は事業者に提出されることになりますけれども、これらの内容が記載された評価書が私ども環境庁長官にも送付されるということになっておりますので、それらを参考にするということになろうかと思います。  それから、都道府県の意思形成におきます審議会でございますけれども、地方団体におきましては、その意見形成に際しまして審議会等の意見を聞く機会を設ける例が多く見られております。おっしゃるとおりでございますが、このような審議会等の位置づけ等につきましては、新しい制度でもそれぞれの各地方公共団体の判断により対処されるべきものでございまして、私どもとしては、これに制約を課するということは考えておりません。  それから、特別の審議会というお話もございましたけれども、私ども環境問題につきまして、この答申をいただきました中央環境審議会もございますし、そこでいろんな各般の議論もいただいておりますので、御提言につきましては御意見として承らせていただきたいと思います。
  171. 辻元清美

    辻元委員 意見として私も申し述べましたので、まだまだ長いですから、長い検討の中で試行錯誤しながら一緒に考えていきたいと思います。  さて、そこで次は、調査等の委託を受けた、コンサルタントとよく言われておりますけれども、その位置づけについて質問させていただきます。  答申には、調査などの委託を受けた者の名前も準備書等に記載することが提案されております。これは大変重要なことではないかと思っております。それは、名前を記載するということになりますと非常に責任を持ってお仕事いただけるということとともに、住民の方々の不信といいますか、どこがやったんやろ、何で言わへんのやろというような不信をぬぐい去るということも、これは住民とのコミュニケーションの上では非常に重要と考えておりますので、ここの部分は、ぜひこの答申どおり、委託を受けた者の会社、できましたら、これ調べていきますと、一つの会社が請け負いましても下請というのでしょうか、幾つもの会社にまた分散して調査を委託しているという場合もございますので、そういうかかわったすべての会社につきまして記載していく方向環境庁では御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  172. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 調査、予測、評価を行った者の名前を評価書等に記載することは、おっしゃいますように記載内容の客観性を高め、信頼性の向上を図る上で有効でございます。答申では、評価書の中に「委託を受けた者の名前の記載を含める」、そういう提言をしておりまして、私どもこの提言を踏まえまして法案の取りまとめに努めたいと思っております。
  173. 辻元清美

    辻元委員 今の点については確認させていただいたと受け取っております。  次に、本当にこの答申のいい点だと思うのですけれども、代替複数案方式というのも提案されております。事業を始める前に複数案を比較検討する、この点について質問させていただきたいのですが、私はこれに賛成しております。大賛成です。各種の選択肢や比較項目を事業者に出してもらうことで環境負荷が一番小さい計画を選んでいく、これはOECD諸国も多くの国がこの方式を取り入れて、非常に客観性を高めて判断していくということがされております。  ただ、答申の中には、我が国の実情に応じてというふうに書いてあるのですね。これはどういう実情なのか、ここのところ、私はあの答申を読む限りではわかりませんが、この代替複数案方式がしっかりと取り入れられるのかどうか、そういう方向でこれは代替案を出すということを義務づけるかどうか、これは非常に大きなポイントだと思うのですが。  そしてもう一つ、何もしなかった場合はどういうふうになっているのか。これも取り入れているところはたくさんあります。ですからこれを、答申の中でうたわれているように取り入れる方向で今検討されているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  174. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 代替案の問題でございますけれども、諸外国におきましては、環境への影響 をできる限り回避し低減をするという視点から、複数案を比較検討する手法が用いられておるところでございます。これがいわゆる代替案の検討とされておりますけれども、この場合の代替案と申しますのは、立地の代替のみならず、建物の構造とか配置のあり方あるいは環境保全設備、工事の方法等を含む幅広いものでございます。  答申におきましては、複数の案を比較検討する手法を我が国状況に応じて導入していくことが適当としているところでございまして、このために、答申では、事業者が事業計画の検討を進める過程で行った建造物の構造・配置のあり方、環境保全設備、工事の方法等を含む幅広い環境保全対策の検討の経過を明らかにする枠組みとすることが適当というふうに提言をされているところでございまして、私どもとしては、まさにこの提言の趣旨を踏まえまして法案の取りまとめに当たりたいと思っております。  それから、先生今例に出されました何もしない案、いわゆるゼロオプションと申しますか、これは選択肢の一つというよりも、我が国でいうバックグラウンドの予測に近いものであるというふうに理解をいたしております。
  175. 辻元清美

    辻元委員 さて、そうしますと、先ほども出ましたが、評価後の調査という質問に移らせていただきます。  この答申によりますと、評価書が公告縦覧された後において、影響の重大性や不確実性の程度に応じ、工事中や供用後の環境への負荷状況環境保全対策の効果を調査し、その結果に応じて必要な対策を講じることということが出ております、明記されております。ここは、私は非常に重要な点だと思うのです。これをどのように実行していくかということが重要だと思っております。  例えば、今東京都では事後調査を行っておりますけれども、二、三の例を申しますと、関連道路の排気ガス情報について、大田区の青果市場という大きなのがありますけれども、事後調査をこの間しました。二酸化窒素濃度も、自動車の交通量も、はるかに評価書の予測を上回っていたわけなのですね。また、首都圏の中央連絡自動車道路、高尾山付近でアセスメントをいたしますと、全国の自動車保有台数を二〇〇〇年予測で五千八百万台と予測して行ったわけなのですが、実際に九四年度でもうこの段階を超えてしまって、六千五百万台を超えてしまった、突破してしまった、こういう例も現在見られるわけなのです。  そこで、新しい法律ができた場合に、事後評価をどのようにしていくか、事後調査によって結果が予測よりも悪ければ、追加の環境対策を義務づけたりとか、予測以下に下げる努力を義務規定として入れるのかどうか、そして、事後評価をしっかりと住民の皆さんに公表していくのかどうか、これは非常に大事なポイントではないかと私は考えております。この点について、現在答申を受けてどのようにお考えか、伺いたいと思います。
  176. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 環境影響評価は、事業着手以前に事業者がみずからの事業環境影響について住民等から意見を聴取しつつ、適正な環境保全上の配慮を行うための手続を定めるものでございまして、住民、専門家、あるいは関係行政機関の関与のもとにその手続を適正に実施した場合、予測値と実測値が異なるからといって直ちに事業者に義務が生じるものとすることはなかなか難しいというふうに考えております。  こうしたことから、御指摘のような問題につきましては、環境影響評価のプロセスにおきまして十分な審査が行われるとともに、予測に係ります技術的知見の充実に努めることが基本となると考えておるところでございます。  なお、答申におきましては、個々の事案におきまして、着手後の影響の重大性やあるいは不確実性の程度に応じまして、評価後の調査等に関する事項を準備書等に記載をするということとしておりまして、環境影響評価制度に位置づけることが適当としているところでございます。こうした措置によりまして、不測の事態における適切な環境保全対策の実施が図られるということを期待しているということで、準備書等に事後のことも書かせる、そこで担保する、こういう考えでございます。
  177. 辻元清美

    辻元委員 事後調査につきましては、このたび法律が成立いたしますと、長官がいつでも意見を述べることができるということがございますので、事後評価で予測と余り大きく違いますと環境庁の威信にもかかわることだと私は思いますので、ぜひそこのところは皆さんにしっかりチェックしていただければというふうに思います。  さて、ここで質問のテーマを変えたいと思います。次は、気候変動枠組み条約、これはもうすぐ、締約国会議京都で十二月に開かれることになっておりますが、その質問に変えたいと思います。  この会議は、言うまでもなく、西暦二〇〇〇年以降の地球温暖化問題に対処するもの、とりわけ各国のCO2排出規制が討議されることになっています。日本では、西暦二〇〇〇年における一人当たりの排出量は一九九〇年レベルに抑えると閣議決定しておりましたけれども、残念ながら、一昨年の一九九五年において既に六%の増加となっていて、西側先進国中、アメリカに次いで二位という評価をちょうだいしております。  さて、この問題に取り組むに当たりまして、十二月一日から京都で、COP3の議長国として長官以下皆さんがリーダーシップをとっていかれることになるかと思いますが、国際的にリーダーシップをとっていくためには、国内がきっちりしていないと、これはもう示しがつきません。  そこで、一つ質問したいと思うのです。  政府が毎年六月に、「地球温暖化防止行動計画関係施策実施状況等」という、前年度の地球温暖化関連の執行額、一部は予算額ですけれども、発表していらっしゃいます。これによれば、九五年度は十一兆六千億円の財源が使われたと聞いております。しかし、この内訳を見ると、驚くことに、その七六%の約八・八兆円が道路建設に使われているということなのですね。そして、この道路建設の財源ですけれども、約その半分は、いわゆる目的税の一つである石油税や軽油引取税が使われています。  私は、この点について、「地球温暖化防止行動計画関係施策実施状況等」というくくり方の中になぜ道路予算が計上されているのかしらという疑問をまず持ちました。地球温暖化防止云々といえば、だれでもCO2を削減するためにいろいろやっているのかなというイメージなのですけれども、あえて想像すれば、道路が渋滞しますので、その渋滞を防ぐ、そのことによってCO2の削減ができるという論理を引き出そうと思えば引き出せそうなのですが、しかし、渋滞してしまったら、これはまた、道路をつくったら車がふえるというので、アイドリングなどによってCO2の排出量がさらにふえるということも考えられると思うのですが、環境庁ではこのことをどのようにお考えであるのか、伺いたいと思うのです。
  178. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 先生ただいま御指摘の点でございますけれども、昨年の六月に地球環境保全関係閣僚会議において報告がなされました平成七年度地球温暖化防止行動計画関係施策実施状況の調べにおきまして、私どもは、地球温暖化防止行動計画に関係する施策を広く掲げさせていただいたものでございまして、温暖化防止を主たる目的とする施策に限定せずに、広くそのような目的に資するものも含めたわけでございまして、道路についてのお尋ねでございますが、これは先生御指摘のとおり、道路の整備によりまして円滑な交通体系の実現につながる、こういうことでございまして、渋滞などによりまして大変エネルギーのむだが運輸部門で発生しております。このようなものの改善に資するものも広く入れたというのが考え方でございます。
  179. 辻元清美

    辻元委員 続いて、通産省の方はいらっしゃいますか、いらっしゃいましたらお聞きしたいのですが、自動車が走るためにガソリンを買う、それで税金がそこから引かれていくわけなのですが、それを自動車の道路建設に使うというのはそれな りに、今までの世の中だったら論理はあったと思うのです。ところが、今地球環境保全世界的に叫ばれておりますこのときに、揮発油税はエネルギー消費に伴う税の一つですので、その使った分はエネルギーを削減するために使っていく方向に変えていった方がいいのではないかというふうに私なんかは思うのです。特に、この財源を自然エネルギーあるいは再生可能なエネルギーを促進するための財源に変えていった方が今の時代の変化に合っているのではないかというふうに思います。  日本エネルギーの関連予算は、原子力に五千億円ですか、それから石油関係で五千億円、再生可能エネルギーの関連はわずか百五十億円と聞いておりますので、この百五十億円をもうちょっと広げていくという使い方に変更していくということは、エネルギー政策は通産省も担当していらっしゃいますので、大蔵省ではなく、あえて通産省の方にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
  180. 市川祐三

    ○市川説明員 通産省資源エネルギー庁石油部計画課長市川でございます。  ガソリンに対する税金の議論でございますけれども、まず、税負担がどういう状況になっているかということを御説明したいと思います。  ガソリンなどの石油製品につきましては、道路財源に充てられているガソリン税がございますが、それ以外にも各種の石油の諸税が課されております。  ちょっと数字を申し上げますと、平成七年度で申し上げますと、税抜きの石油関係の売上額十一兆六千億に対しまして、税金が五兆二千億という状況でございます。また、御指摘のガソリン税について申し上げますと、売り上げの半分以上が税金であるという状況でございます。かかる立場からいいますと、消費者のお立場から見ると、税負担、他の商品に比べて極めて重いということがあろうかと思います。  また、石油の産業という立場からいいましても、現在、エネルギーコストを低減するという観点から、さまざまの規制緩和を行っておりまして、そういう観点からいいますと、産業という立場から見ましても、石油諸税の負担感が非常に大きいという、重く感じているということは事実でございます。  一般的な税の使途の問題でございますけれども時代に応じた政策のニーズとか財政需要の動向とか、さらには需要と負担の関係などが十分議論された上で、そのような論点を踏まえた上で、ガソリン税というものも道路財源ということに用いられているのではないかというふうに考えております。  御指摘の環境対策にこのガソリン税を使うかどうかの問題でございますけれども、およそその環境問題にどのような財源を使うかということにつきましては、先ほど言いましたような観点から幅広い議論がなされるべきだと思っております。ただ、いずれにせよ申し上げたいことは、先ほど申し上げました論点の中でも、負担とか受益の問題等々もそうでございますけれども、非常に重い税負担が既にあるんだということが十分理解された上で議論がなされるべきだというふうに理解しております。
  181. 辻元清美

    辻元委員 さて、最初にも申し上げましたが、環境庁長官には女性の大臣としてイニシアチブをとっていただきまして、このCOP3の会議、そしてアセスメント法が早期に成立し、十分なイニシアチブをとる中で、NGOの代表として会議に行きましても、今は日本国際的にも進んでいるとはなかなか言えないような状況ですので、これを進んだ政策をしていると言われるように努めていただきたいと思います。そのためには、ぜひNGOとか住民の声を反映していくということを常に念頭に置きながら進めていただければと思いまして、私の質問は終わります。  どうもありがとうございました。
  182. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 藤木洋子さん。
  183. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  まず最初に、先日の大臣の所信でもお触れになりました日本海のタンカー重油流出事故について、お伺いをしたいと思います。  環境庁は、九五年十二月に閣議決定された「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」に基づきまして、環境保全の観点から対応しているとお述べになっていらっしゃいます。  この緊急時計画では「油汚染事件が発生した際には、その初期の段階から迅速かつ効果的な措置を取る」、そのことが「必要不可欠である。」そのために「準備及び対応の体制を整備しておくことは極めて重要である。」としています。  橋本総理は、予算委員会等で、政府の初動対応のおくれや資機材整備のおくれを認めていらっしゃいます。そこで、環境庁としてはどうだったのか。  環境庁が被害状況把握のため職員を派遣されましたのが一月八日から九日でございましたし、庁内にナホトカ号油流出事故対策庁内連絡会議を設置いたしましたのが十三日になっております。環境庁政府の一員でございますけれども、今回の事故に対する対応のおくれは明らかだと思います。今後の教訓としなければならないというふうに思うのですけれども大臣、いかがでございましょうか、お答えをいただきとうございます。
  184. 石井道子

    石井国務大臣 このたびのナホトカ号による重油流出事故につきましては、さまざまな問題を提起した事件であったというふうに思います。  今度の事故に対しましては、一月四日に海上保安庁から環境庁の担当に対して発生の通報がございました。そして、それを受けて担当者が直ちに登庁し、そして午前中には石川県と福井県等の関係府県に対して関連情報を連絡したところでございます。その後、連絡体制の確立、情報の提供などを現地に依頼をしたところでございます。  一月六日には関係省庁の連絡会議ができまして、それに参画をいたしまして、特に関係府県に対しましては、海鳥類の救護体制の緊急な整備を図るように要請したところでございます。  一月八日に現地に職員を派遣し、一月十日の現地対策本部の設置等を順次進めてまいりまして、私自身も一月十五日に現地に赴きまして、事故の状況を視察したところでございますし、同じ日に国立環境研究所の専門家によって現地調査に着手をしたところでございます。  今度の事故に対しましては、まず最初に油を回収するという仕事が大変重要でございまして、その対策の備えが不十分であったという点は示されたところでございますが、その点では、運輸大臣を本部長とした関係閣僚の対策本部ができておりまして、お互いに連携をとりながら臨んでいるところでございます。  環境庁といたしましても、事故の初期の段階から適時適切に対応を実施したところでございますが、むしろ環境庁仕事というのはこれからが大切であろう、これからの環境調査、そして対策を具体的に立てていくことが課せられた責務であろうというふうに考えております。
  185. 藤木洋子

    ○藤木委員 そこまでのことをなさった上で、私は、殊さらそれでもなお環境庁の対応のおくれがあるのではないかというふうに指摘をさせていただきますのは、環境庁が既に九一年と九二年に調査をされて「大規模流出油事故に伴う海洋環境被害対策調査報告書」というのをお出しになっていらっしゃいますね。それによりますと、荒天の体制と日本海側での対応というのを提起していらっしゃるわけでして、環境庁が油流出事故に伴う環境被害というのを十分もう既に熟知していらっしゃる、そういう立場であるということから考えますと、それでもなお対応がおくれたのではないか、そのことが問題なのだということを申し上げているわけでございます。  そこで、緊急時計画では「対応体制の整備」といたしまして、環境庁は、野生生物の保護等の「対応措置が迅速かつ的確に行われるよう、各行政分野における体制の整備に努める」、このように言っておられるわけです。  これまでに環境庁内に緊急時の体制のマニュアル化が図られていたのかどうか、もしマニュアル化されていなかったとするならば、今回の対応のおくれを教訓に、早急におまとめいただくべきだと思うのですが、大臣、その点はいかがでございましょうか。
  186. 石井道子

    石井国務大臣 このたびの事故に対します体制の整備につきましては、マニュアルといたしまして、緊急時計画として検討をしていた段階でございました。文書化されてはおりませんけれども、かなりいろいろな面で検討を続けてまいったところでございまして、油流出事故の発生時点で、環境保全の観点から、適切な体制がとれるように整備をしてきているところでございます。  この問題も、環境庁だけでスムーズに行える事後処理の問題ではないわけでございまして、それはさらに関係省庁が一体となって緊急対策を行い、そして事故に備えるための体制を整えていくということについては、今度は大変よい教訓になったというふうに思いまして、今度の経験を生かして、さらに万全を期していくべきであると考えております。
  187. 藤木洋子

    ○藤木委員 環境を守るそのお立場でぜひイニシアを発揮していただきたいと思います。  また、緊急時計画は、「環境庁は、野生生物の保護を行うにあたって必要な資機材が適切に整備されるよう措置する。」としていらっしゃるわけですね。既に、九二年のさきに挙げました調査報告書でも、資材や必要施設では十分であるとは言えない、施設としては、治療室、飼育室、リハビリ用プールなどが望まれる、現在設置されている油防除資機材の一つに加えることが望まれると指摘しておられます。  これまでに環境庁はどの程度資機材を整備してこられたのか。もし整備していないのであれば、今回の対応を教訓に、早急に資機材の整備のための予算措置を図るべきだと思うのですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  188. 澤村宏

    ○澤村政府委員 海鳥類の救護のための資機材の整備を含む救護体制の整備につきましては、環境庁といたしましても、油汚染事件への準備及び対応のための国家緊急時計画の閣議決定を受けまして、従来から都道府県を指導してきたところでございます。さらに、環境庁といたしましては、各都道府県が平成八年度に策定する第八次鳥獣保護事業計画に基づきます事業の一環としまして、適切な整備が図られるように指導してきておるところでございます。  また、今回の油流出事故のような広範かつ大規模な海鳥の被害に対する救護体制整備の指針につきまして、今年度から二カ年で検討しているところでございます。ただいま先生御指摘のような点につきましても今後とも検討してまいりたい、そのように考えております。
  189. 藤木洋子

    ○藤木委員 極めて結構だと思いますので、ぜひ力を入れてお進めをいただきたいと思います。  また、今回の事故によります水鳥等の保護、収容状況でございますけれども、これは二月五日現在で千二百三十個体収容され、そのうちで生存している鳥はごくわずかだと伺っております。しかし実際は、この約十倍の被害があると推定されているわけですね。とりわけ、鳥の専門家にお伺いをいたしますと、日本近海に生息する絶滅危急種のカンムリウミスズメなどの繁殖地の減少、繁殖率の低下、これが予測されるので、緊急に保護に取り組む必要があると指摘しております。この点については既に九二年のさきの調査報告書でも指摘されていますので、石川県の国設鳥獣保護区を初め繁殖地の十分な保護を図っていただきたいと思いますけれども環境庁にお答えをいただきます。いかがでございましょうか。
  190. 澤村宏

    ○澤村政府委員 海鳥の保護状況でございますが、先ほど、その前にちょっと一言補足させていただきますと、一月六日には水鳥救護体制の整備につきまして都道府県にお願いしたわけでございますが、実はそのマニュアルをつくっている最中ではございました。しかしながら、案の段階ではございましたが、それらが非常に今回の事故におきまして役に立ったということを一言御報告いたしたいと思います。そして、この油汚染による海鳥類への影響につきましては、実は、検討委員会を設置しておりますが、調査に着手をしているところでございます。  この調査におきましては、今先生御指摘になりましたカンムリウミスズメあるいはオオミズナギドリの繁殖地として国設鳥獣保護区を設定しております七ツ島等につきましては、油の漂着状況あるいは繁殖状況を、繁殖期前及び期間中に調査を実施する予定でございます。こうした調査の結果を踏まえまして必要な対策を講じていきたい、そういう状況になっております。
  191. 藤木洋子

    ○藤木委員 結構でございます。ぜひお進めをいただきたいと思います。  それでは次に、先日の大臣所信にも触れられておりましたが、深刻な自動車による大気汚染、騒音等の早急な改善を図る問題で伺います。  環境庁が取りまとめました九五年度の自動車交通騒音の現況は、環境基準、要請限度とも依然厳しい水準で推移している実態を示しています。  私も、夜間のワーストスリーに数えられておりました七十六デシベルという兵庫県龍野市誉田を調査してまいりました。大型車のそれはすごい騒音でございました。こうした状況のもとで、九五年七月七日、国道四十三号線・阪神高速道路訴訟の最高裁判決は、国及び道路公団の責任を厳しく認めております。  まず大臣に、この最高裁判決に対する御認識をお伺いしたいと思います。
  192. 石井道子

    石井国務大臣 このたびの最高裁判決につきましては、環境庁といたしましても重く受けとめております。そして環境庁は、建設省、警察庁の関係省庁と連携をいたしまして、平成七年八月にこの地域における道路交通騒音対策等の取り組み方針を取りまとめました。そして、これに基づきまして、現地の関係機関において対策の具体化に向けて努力を進めているところでございます。
  193. 藤木洋子

    ○藤木委員 非常に厳しく受けとめて、作業にも入っていらっしゃるというお話でございます。  騒音対策を積極的に講じているということでございますけれども、その対策を実は吹き飛ばしてしまいそうな騒音、振動、こういった問題が実際に起きているのですね。大震災で壊滅的な被害を受けました阪神高速道路は、去年の九月三十日に開通いたしました。しかし、環境アセスメントもやっておりませんし、安全性や騒音、振動の確認もせずに実は開通してしまったわけです。震災前以上の深刻な被害を引き起こしている、これが実情です。私も実際に現場を調査してまいりましたけれども、阪神高速道路の真下に参りますと大変な騒音と振動で、大型車が通りますと、船底をどんどんとたたくようなこういう音が響いてまいります。  建設省に伺うのですけれども、騒音、振動、低周波、こういった測定結果を全面的に公開をすべきだと思うのですが、いかがでございましょうか。そして、その原因の特定と抜本的な対策を早期に行っていただくべきだと思うのですが、その点のお考えをお聞かせください。
  194. 山川朝生

    ○山川説明員 阪神高速の三号神戸線の復旧に当たりましては、新型の遮音壁の設置ですとか低騒音舗装の敷設、それから連続げたの採用及び既設げたの連結というのを平成八年の九月三十日の三号神戸線の全線交通開放までに完成をいたしました。また、高さの高い遮音壁の設置についても、平成八年の十一月末に完成しております。また、三号神戸線の全線交通開放後におきましても、実際の交通状況に対応しまして、国道四十三号を含めて全線にわたって調査を行いまして、路面の凹凸等の改善工事を実施いたしまして、騒音、振動の軽減を図っておるところでございます。  さらに、三号神戸線におきましては高架橋の裏面吸音板の設置を実施しておりまして、国道四十三号の直進の片側四車線の三車線化、遮音壁の設置、低騒音舗装の敷設等に合わせて平成九年末に概成予定でございます。  騒音、振動の調査につきましては、道路管理者 である建設省と阪神高速道路公団の合同で実施しておりますが、現段階では四十三号の復旧工事に合わせた環境対策を工事中でありまして、まだ過渡的な段階での測定ということでございますので、今後も測定を継続しまして、環境対策の効果の把握を行う予定でございます。  なお、その調査内容及び調査結果につきましては、関係機関と協力して、できるだけ速やかに取りまとめて公表してまいりたいというふうに考えております。  さらに、関係機関による連絡会議等において総合的な道路環境対策を検討しておりまして、今後、自動車の単体対策とか交通流対策等の各種施策を、関係機関の協力のもとに総合的に実施することといたしております。
  195. 藤木洋子

    ○藤木委員 今のお答えの中に、凹凸の補修のことがございましたけれども、あれは開適時には二ミリしかゆがみがなかったのですよね。しかし、実際二カ月もたちますとそれが十ミリになっているというような状況でございまして、そういうこと自体が、安全性だとか騒音、振動の確認もしないで開通した、言ってみれば道路管理のずさんさを示しているというふうに私たちは受けとめております。それも六十カ所中三十三カ所もあったというわけですから、これは驚くべきことだと思うわけですね。とりわけ、気温が下がりまして零度になりますと、高速道路のつなぎ目音、これがますます大きくなっております。ですから、修繕をいたしましても本当に改善されたのはわずかとしか言いようがございまぜん。  最高裁判決を受けまして、騒音、振動を削減するための新型ジョイントだとか、今お話がございました低騒音舗装だとか新型遮音壁などの設置を進めているとおっしゃいますけれども、削減効果を余り上げているとは思えません。深刻な被害をむしろ拡大しているという状況でございますけれども、こういった住民の皆さんの御苦情は建設省に届いておりますでしょうか、いかがでございましょうか。
  196. 山川朝生

    ○山川説明員 ただいま申し上げましたように、現段階では四十三号の復旧工事に合わせた環境対策の工事中でございます。今、過渡的な段階ということで、なかなか今の段階で環境対策の効果の評価をできる状況には至っていないかと思いますが、今後、先ほど申しましたようないろいろな道路構造対策のほかに、国道四十三号の広域防災帯を構成する環境防災緑地というものを積極的に整備をするということで、土地所有の方からの買い取り要望にも積極的に対応したいと思っておりますし、また、平成八年に改正されました幹線道路の沿道の整備に関する法律に基づきまして、諸所の沿道環境の改善を図っていきたいというふうに考えております。
  197. 藤木洋子

    ○藤木委員 総合的なことをやるという計画をお持ちなのは私も承知をしているわけです。ですから、凹凸の修理などというのはとりあえずの対策でございまして、原因が特定された抜本的な対策ではございません。今でも西宮市の本町から浜脇町の陸橋で走行音が聞こえております。  委員長にお許しを得て資料を配付させていただきましたが、その資料にもございますように、今回の騒音、振動被害の原因の一つに、阪神高速道路が復旧された地盤そのものが軟弱な地盤であって、とても四十三号線の上に阪神高速道路を載せるような地域ではなかったのではないかという問題なんですね。  道路公団は、くい基礎の被害は割合に低いというふうにおっしゃっていました。ですから、補強だとか新しい基礎づくりはしないで阪神高速道路を復旧なさったわけですね。ところが、最近その四十三号線の沿線、すぐ南側なんですが、基礎ぐいを点検いたしましたところ、六十五本中、約三十本にクラックがございました。その三枚の絵を大きく引き伸ばしましたのがこの一枚の方なんですけれども、これはその破損された部分なんです。これは土中でこういうふうになっていたわけですから、掘り出してみましたら。ですから、七メートル先、さらにその下の岩盤とそれから建物の間でこういう状況が起こっていたわけですから、こういう調査というのは本当に綿密にやっていただかなければならないと思っております。しかも、十本が一部欠落などの破損が出ているわけですね。しかも、それも先ほど申しましたけれども、どちらも地下七メートル付近で起こっている事実がございます。ノ  そこで、建設省にお尋ねするのですけれども、今回の騒音、振動の原因を特定するために、基礎調査のデータを一度公開していただきたいと思いますし、住民の皆さんが御心配になっていらっしゃいますので、改めて地盤の状況調査をしていただくということが必要ではないかと私は思うのですけれども、その点はどのような御認識でございましょうか。
  198. 山川朝生

    ○山川説明員 ただいま先生御指摘のくいにつきまして、この資料で配付されましたのは建物の基礎ということでございましたけれども、道路管理者といたしましては、道路を復旧するに当たりまして、その道路の基礎がどうなっているのかというのは当然大変重要なポイントでございまして、入念にチェックをいたしました。学識経験者の指導を得まして、第一次調査、第二次調査と段階的に対照的な基礎を選定しまして、損傷度の把握を念入りに行ったところでございます。  その調査の結果によりますと、阪神高速の神戸線の基礎につきましては、損傷がないか、あるいはあっても小さなひび割れ程度のものであったということ、しかし、なおかつ、その中で一番被害の大きかったくい基礎を対象にしまして、現地で実際にどのくらいそのダメージがあったのかということを調べるために載荷試験を行いまして、その試験結果を用いて解析しまして、一番被災の大きかったくい基礎でも、橋脚の基礎の耐力、それから変形性能への影響は軽微であるということがわかりました。  なお、阪神高速道路公団といたしましては、復旧に当たりまして震災対策技術委員会で厳しく審査をしていただきまして、くい基礎の耐荷性については健全であると判断されましたけれども、さらに念を入れるために、軽微な損傷を受けた基礎についてもセメント系の注人材を入れまして補修をしたところでございます。したがいまして、これらの措置によって、この道路のくい基礎については震災前と同等の状態にあるというふうに考えております。
  199. 藤木洋子

    ○藤木委員 その注人材を入れているのは御近所の住民の皆さんたちが見て承知していらっしゃるのです。しかし、本当に全部がそうかということではまだ疑いを持っているわけですね。もしそこまで自信を持って調査をされたとおっしゃるのであれば、ぜひその調査報告を公開していただいて、皆さんを納得させ得るだけの資料をお持ちだと思いますので、ぜひそれをやっていただきたいと思うのですね。なおかつ、それでも不安に思っていらっしゃるわけですから、注入だけではなくて振動遮断の鉄筋を施すとか、最高裁判決が認めた受忍限度を超える状態というのを一刻も放置すべきではない、緊急の対策をとっていただきたいということを私はここで要望しておきたいと思います。  さらに大事なことは、原因が特定され、抜本的な対策をとられるまで、その四十三号線が全部直るまでは、過渡的な調査なんだということを言われましたけれども、住んでいる人はだまったものじゃないわけですよ。周辺住民の皆さんに騒音、振動被害を我慢しろというのは、これは許されないだろうというふうに思うのですね。  ですから、建設省に伺いたいのですが、深夜の大型車乗り入れの規制とか、緊急の対策をとるべきだということをどうお考えか伺いたいと思いますし、とりわけ、高速道路では二十トン以上の大型車は交通規制されているにもかかわらず、特別車両通行許可証というのが無差別に発行されていまして、二十トン以上の大型のトレーラーが大手を振ってじゃんじゃん走っているわけですね。現在も阪神高速西宮ランプウエーの入り口には二十トン以上通行禁止の標示板がございます。しか し、大型車がやはり走っております。これでは騒音、振動が軽減されるはずはございません。建設省は、道路を管理する、そういうものが走行したのでは道路が傷みやすいとかいろいろ危険があるとかいうようなことの上からそういう重量に対する規制を行っていらっしゃるわけですから、どのようにお考えか、お聞きいたしたいと思います。  また、警察庁に対しても、その実態を調査し、早急に大型車の通行規制をすべきだというふうに考えておりますが、その点どのようにお考えか、建設省、警察庁の順にお答えをいただきとうございます。
  200. 山川朝生

    ○山川説明員 過積載の車両の通行は、交通安全上非常に問題があるばかりでなく、橋梁とか舗装等の道路構造物、それから、お話がありました沿道環境に対しまして悪影響を及ぼすということで、過積載の防止というのは極めて重要な課題だというふうに認識しております。  阪神公団におきましては、料金所及び進入路での取り締まり専従班を配置したり、固定式の軸重計を設置したりということで、過積載車両などの違反車両に対して指導警告、通行中止等の措置命令を行うとともに、違反を繰り返す車両の所有者、使用者に対して再度警告書を発行するなど、取り締まりの強化を図っているところでございます。また、警察との合同の指導取り締まりなど、関係機関とも密接に連携を図りつつ、指導取り締まりに積極的に努めてきたところでございます。  建設省としましても、公団に対しまして、今後とも警察等の関係機関とより一層密接な連携を図り、指導取り締まりの強化を図るように指導してまいりたいというふうに考えております。
  201. 米田壯

    ○米田説明員 まず、取り締まりの関係でございますが、この神戸線を管轄しております兵庫県警察におきましては、現在、騒音、振動対策ということを念頭に置きまして、過積載車両の取り締まりにつきましては非常に積極的にやっております。取り締まり件数を見ますと、例えば、阪神・淡路大震災の直前に当たります平成六年十月から十二月までの三カ月間でございますが、この三カ月間で二百四十八件の取り締まりをやっておりましたのに対しまして、昨年、神戸線が全面復旧いたしました後、昨年の十月から十二月まで、この三カ月間では三百二件と、震災前より約二割余り増加をしております。  また、近々インターに新しく重量計も配備されるという予定もございまして、こういうものを活用し、さらに、阪神高速公団とも緊密に連携いたしまして、違反取り締まりを強化するということとしております。警察庁といたしましても、兵庫県警に対しまして、取り締まりの強化ということにつきまして指導してまいりたいと思います。  それから、大型車の通行規制の問題でございますけれども、現在、国道四十三号におきまして、先ほど建設省からの御答弁もありましたような環境対策関係から、いろいろ工事が行われております。兵庫県警察におきましては、この工事の完了に合わせまして、最も左側の車線を二輪車専用通行帯といたしますことや、あるいはトラックの中央寄り走行などの措置の導入を検討しております。  それで、大型車をそもそも通行規制、禁止をしてしまうということに関しましては、これらの措置の効果ということも見ながら、また、明石海峡大橋とか山陽自動車道、こういったものが新たに共用あるいは全線開通ということになるわけでございますが、そういったような状況、それから、この代替道路として湾岸線というものがあるわけですが、この湾岸線とのアクセス道路、これの整備の状況等々を見きわめながら、総合的に検討を行ってまいりたいと考えております。
  202. 藤木洋子

    ○藤木委員 確かに、いろいろと検討されたり御努力をなさっていらっしゃるそうですけれども、今の件数を伺いまして、やはり震災後、通行車両の大型化が進んでいるということが明らかになりまして、沿道住民の皆さんの訴えはもう無理からぬことだということを、改めて私は再認識をさせられた思いがいたします。  尼崎や芦屋、西宮の三市長も総量規制を強く要望していらっしゃるわけで、兵庫県も、湾岸開適時には四十三号線の交通負担を軽減するのだというふうに明言しておられたわけですから、これはぜひとも、がらがらにすいている湾岸線の方に車が回るようなことを、全面的にではなくても、たとえ土曜、日曜、深夜などに限ってでも実行していただきたいというふうに思うわけですね。当面の周辺住民の切実な願いというのは、この大型車の通行規制にあるわけです。例えば土日、夜中だけでもこれが規制されましたら、随分被害を減らすことができるからです。  最高裁の判決は、設置者側が、環境対策を本来当初から予定されてしかるべきであったのに、その点を度外視されて、その後の環境対策も十分に実効をおさめていないとの違法性を指摘し、本件道路は、原告らの犠牲の上に成り立っているにほかならず、無視できない社会的な不公正が生じているとして、損害賠償を容認しているところでございます。  既に、再び神戸地裁に訴訟が提起されている、こういう状況でございますけれども、この国道四十三号線・阪神高速道路での抜本的な環境対策がとられるかどうかということは、全国の道路公害に大きく影響を与えるところでございます。  発生源対策として、大型車の通行規制を関係省庁対策として実施できるように、環境庁長官としてもぜひ強く要請をしていただきたいというふうに思います。  そして、どの環境庁長官もそうなんですけれども、この四十三号線といいますのは、来られない長官がいらっしゃらないほどの本当に大変なところなのでございます。ですから、ぜひ一度機会を見ていただきまして四十三号線と阪神高速道路の視察をお願いしたいと思いますが、そのことを最後長官にお訴えをさせていただいて、私の質問を終えるものでございます。どうぞ、よろしく御答弁ください。
  203. 石井道子

    石井国務大臣 四十三号線の問題につきましては、いろいろと委員からのお話を伺っていく中で、今後も非常に検討を要する課題であると思いました。  環境庁といたしましても、今後も関係省庁と連携をしながら地元での取り組み支援し、そして本地域の騒音問題が一日も早く解決できるように努力をしてまいりたいと思っております。  視察の問題をおっしゃいましたけれども、スケジュールの関係調整をしなければなりませんが、私が視察に行くかどうかにかかわらず、やはりこの地域の住民の皆様方の健康と生活環境を守るために、ぜひともこれは具体的な対策推進できるように、事務方にもよく申しておきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  204. 藤木洋子

    ○藤木委員 ありがとうございました。
  205. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 岩國哲人君。
  206. 岩國哲人

    ○岩國委員 太陽党を代表いたしまして、質問させていただきます。  ブラジルで環境サミットがございましたけれども、そのブラジル・サミット会議を前にして、竹下登元首相は、これからは環境を語れぬ政治家は勇気と知性のない政治家である、このような大変すばらしい名言を述べられました。勇気と知性のない政治家は環境を語らない、このような言葉でありました。また、そのときに、全国の自治体を代表して一人だけ知事が参加されましたのが、島根県知事であります。  その竹下元総理のおひざ元の島根県、そして全国の自治体を代表して参加された島根県知事のおひざ元で、八年前に中海干拓が凍結されました。ブラジル・サミット会議が終わって、それが全面干拓が再開されることになってしまったのです。こうした環境サミットへの出席、あるいは、環境を語れぬ政治家は勇気と知性がないとおっしゃったそのような政治家のおひざ元で、このような全く逆行する現象が起きていることを、私たちは大変残念に思っております。  環境教育が叫ばれておりますけれども、確かに 環境教育には、このような反面教師的な存在も大変わかりやすい例として有効かもしれませんけれども、私がきょう質問させていただきたいのは、児童に対する環境教育、これが一番大切ではないかと思います。  環境庁におかれましても、予算の中で、こうしたこどもエコクラブということについて熱心に取り組んでおられ、今後の成果を私も大いに期待しておりますけれども、いただきました資料によりますと、全国で二千九百クラブ、四万四千人というのが現在の規模のようであります。これを各県別に見ますと、島根県では五十六クラブ、八百十六人、しかし、私が選挙区としております世田谷では、残念ながらゼロであります。こうした分布状況、児童に対する環境教育、こどもエコクラブの普及状況が、こうした大きな選挙区、とかく定数格差ということで言われますけれども、定数格差の上で一票の価値の低いところほどこうした児童の環境教育が普及しておらなくて、一票の価値が非常に高いところほど非常に熱心に取り組まれているという奇妙な相関関係、これについてどのような所感をお持ちなのか。  つまり、定数格差を是正していかないとこうした全国的な児童の環境教育の普及というのは進まないのか、あるいは、それは全く偶然というふうにお考えになるのか、この点について長官の御意見を伺いたいと思います。
  207. 石井道子

    石井国務大臣 環境教育の重要性につきましては、最近大いに喚起されているところでございまして、文部省におきましても、環境教育指導資料を小学校、中学校、高等学校と作成をいたしておりまして、環境庁もそれに対する協力をしているところでございます。  環境庁は、前から小中学生を対象といたしまして環境学習を支援する、こどもエコクラブ事業を進めているわけでございまして、参加する子供たちの広がりもだんだんと見えてまいりました。  地域的な問題について今御指摘がございましたけれども、やはりその県とか地域におきます自治体取り組み姿勢、これもある程度影響があるかもしれませんし、また、この問題につきましては、環境問題に対する啓蒙啓発活動について、その地域の方やあるいは学校教育の中でどのように取り上げるかによってもさまざまな影響があるのではないかと思います。  過疎地の方がいろいろとまとまりがよいとか参加しやすいという体制があるかもしれませんし、また、過密都市におきましては、そういう面で地域によっての差がかなりあるのではないか。その原因については一概に言えないかと思いますけれども、今後もこのような、子供たちが環境問題に十分関心を持って学習をしていただいて、そしてむしろ大人たちを教育するぐらいの形になって環境行政が十分推進できることを私は期待をしているところでございます。  環境保全活動に対します情報提供とかあるいは交流の場としては、環境パートナーシッププラザを東京の国連大学の中につくっているわけでございまして、いろいろな方々が御利用されているケースもあります。また、市民とか事業者の方々で自主的な取り組みをしていらっしゃる方もあるわけでございまして、これからも、環境カウンセラーの登録制度などをつくりまして、そして環境教育の充実のために努力をしていきたいと思っております。
  208. 岩國哲人

    ○岩國委員 長官のおっしゃいますように、こうした国民に対し、とりわけ児童に対する環境教育の徹底がこれからの環境行政に一番私は大切なことだと思っております。どれだけ国民が理解を示し、関心を示し、協力してくれるか、それによって環境行政は小さなコストで大きな成果を生むことができる。その点で、特にこの環境問題については、小さいときの教育が一番大切ではないかと私は思っております。  例えば、私たちが小さいころ一番最初に読まされた教科書は「サイタ サイタ サクラガサイタ」、一番最初に木の大切さが出てきます。人間は環境が悪くなったら逃げることができます。動物は環境が悪くなったら動くことができます。あらゆる生物の中で、動くこともできない、じっと耐えなければならないのが植物、木でありまして、木はよい環境をつくってくれる、しかし環境が悪くなったらそこから自分を守ることができない。そういう点で、私は、もっと木を大切にする教育こそこれからの環境教育の一番中心になるべきだ、そのように思っております。  出雲市では、私は市長を六年間しておりましたけれども、二期六年間の間、一遍も私はコンクリートの教室を、コンクリートの建物に判こを押すことをしませんでした。私の判こはコンクリートの建物で汚れることはありませんでした。  中学校、小学校、幼稚園、すべて木づくり。子供たちは木のぬくもり、木の感性、木のやわらかさの中で育ててこそ木の感性を持ったそういうまろやかな性格の子供に育ち、そして木と親しむ、木を大切にする、そのような国民に育っていくと私は思っております。  私は、文部省は今まで間違ったことを五十年間してきたと思います。それは、コンクリートの教室で子供たちを教育する、コンクリートの中で育つ感性は、いじめの感性しか育たなかったんじゃないでしょうか。木づくりの教室こそ日本人の一番いい性格を育てる。そして、この間橋本総理もおっしゃっていました、日本の伝統的な文化、木と紙の文化を大切にする。そのような感性は、私は木づくりの教室の中から生まれてきた、そのように思って、木づくりの教室に固執してきております。  学校の校という字、校舎の校という字、木が交わると書いてあります。残念ながら、木が交わっておる校舎はどんどん姿を消して、今は石が交わるような校舎ばかり。今度当用漢字を変えるときは、いしへんに交わるとあの字を変えないと、子供たちが教室の中で先生に手を挙げて質問するに違いありません、なぜ学校の校という字は木が交わると書いてあるのですかと。  長官もおわかりになります。私たちもわかります。しかし、これからの子供たちはわからない。ですから、いしへんに交わるとあの字は変えなければならない。私は、きへんに交わる、あの字の方を愛しております。だからこそ木づくりの校舎に私は固執してまいりました。  ある動物学者の実験によりますと、木の犬小屋、コンクリートの犬小屋、同じ犬の兄弟を別々の犬小屋で育てますと、木づくりの犬小屋で育った犬の方がはるかにいい性格に育つ。  犬でさえと言うと犬に対して大変失礼ですけれども、ましてや人間の子、私は、出雲ではいい子がとれる、とれるんじゃなくて育つ、そのように言ってもらうために、木づくりの校舎で育てる、それにこだわってきました。  全国六百六十三の市議会の中で、木づくり校舎推進決議という決議をしたのは出雲市議会だけであります。私は、そういう決議を尊重し、木づくり校舎を推進してまいりました。  こうした環境行政の観点から、環境教育の観点からも、もっと国民教育の場で木を大切に、まず教育の場にもっと木を取り入れること、それをもっと関係者は声を大にして訴えるべきではないかと私は思います。  公民館も木づくりであります。そうしたコンクリート時代の公民館、一年間に一万四千人の人が使っておりました。木づくりに変わって一年目、二万八千人、三年目、三万九千人、一遍に二倍、三倍の人が、木づくりの建物であるから、月に二回しが行かなかったおばあさんが月に四回行く、今まで行かなかったおじいさんまでが行き出す。利用者が二倍、三倍にふえるということは、利用者一人当たりの建築コストが二分の一、三分の一に下がるということです。こうした市民生活の中にも、私は、木をもっともっと大切にする、そのような教育また行政が望ましいのではないかと思います。  今から五年前に、松江市で日本木材学会、いろいろな研究発表がなされました。その中で、住んでいる家と寿命との関係について、こういう研究 発表がされております。  三つの結論が出ておりました。一番目の結論、高いところに住む人と低いところに住む人ではどちらが長生きできるか。低いところに住む人の方が長生きできる。二番目、木づくりの建物とコンクリートの建物はどちらが長生きできるか。木の建物に住んでいる人の方が長生きできる。三番目、最後ですけれども、女性と男性ではどちらにその影響がより大きくあらわれるか。女性の方にその影響がより大きくあらわれる。  三つの結論を一つにまとめるとどういうことになりますか。木づくりの一階建ての家に住んでいるおばあさんが一番長生きするということなんです。コンクリートのマンションの一番上に住んでいる男は一番最初に人生が終わるということなんです。  人生五十年と言ったころには、どんな家に住んでも、影響が出る前にもう寿命の方が終わっておりました。今は違います。人生七十五年、八十年、八十五年、九十年、元気で長生きする。そういう高齢化時代を迎えているそのようなときだからこそ、私は、木の建物をもっと認識し直すことが必要だと思います。  少し説明が長くなって恐縮ですけれども、出雲市は木のお医者さん、樹医制度を持っております。人間が病気をしたらお医者さんがいる。動物が病気をしたら獣医さんがいる。木にも命がある。その命ある木にだけはお医者さんがいない。私は間違いだと思いました。  樹木の樹、樹医制度、四百万円で始めた制度、十人の木のお医者さん。庭の木、道端の木、元気がない、病気じゃないか。樹医さんが飛んできて、無料で診断して、そして木は元気になる。  たったそれだけのことで市民に対する教育効果があります。たったそれだけのことで小さな子供にもすぐにわかります。木にもお医者さんがいる。木にも僕たちと同じように命があるんだ。  木に命があるということを知ってしまった子供たちは、木をいじめなくなるのです。そういう子が大人になれば、木を大切に、森を大切に、山を大切に、地球を大切に、自然を大切に。  環境環境と朝から晩まで新聞、テレビは言っていますけれども、一番大切な環境教育の原点は、私たちの身の回りの木にも緑にも命があるということを小さな子供のうちに教えること。私は、環境教育の中心に、ぜひともこうした樹医制度も含めた木の教育を学校教育の中で大きく取り上げていただきたい、そのように思います。  この樹医制度、今農水省、林野庁が採用し、全国に二百六十人が既に誕生しております。こうした木を中心とした環境教育について、御担当の局長あるいは長官の御所見をお願いしたいと思います。
  209. 石井道子

    石井国務大臣 確かに、木材の持つ暖かみといいますか、それはすばらしいものがあります。木を大切にする心とか行動、これは今最も求められている課題ではないかと思っておりますし、木造建築がさらに促進されるということは、ある意味では日本の林業政策の中でまた大きな違った道が開けるのではないかということも感じているところでもございます。  そのような中で、木造建築は耐用年数の問題ではちょっとハンディがありますけれども、しかし、これから大いに地場産業的なもので木材を利用した建築ということは各地区で心がけている地域もあるわけでございますけれども、今林業が振興しないというそういう点も踏まえれば、ぜひそのようなことで木造建築が多くなることも期待をしたいと思ってもおります。  木の教育という点につきましても、確かにその問題についてはそういう教育を正式に取り上げているところは少ないのではないかというふうに思いますし、環境の問題とあわせて木に対する関心とか教育ということもこれから大いに推進をしていくべきであろうというふうに思います。
  210. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 自然と触れ合うというのは先生のお話のように大変重要なことでございまして、環境庁といたしましても従前から自然との触れ合いのいろいろな施策をやっておるわけでございますが、特に明年度からは、子供からお年寄りまでだれもが自然との共生を体験できるということで、ふれあい自然塾ということも考えておりまして、予算要求をさせていただいております。予算案の中に入れさせていただいております。  そういうことで、今後とも自然を保護するという観点とともに、自然になじんでいただくということで、子供に対しましてもさらに一層そういう施策をやっていきたいというふうに思っております。
  211. 岩國哲人

    ○岩國委員 次に、ごみのリサイクルについてお伺いいたします。  最近はいろいろな技術が発達し、ごみを固形燃料に変えて、そしてそれをいろいろな暖房、それから温水プールのための暖房とかそういったようなことに使われる技術が発達し、既に使われてきております。  そうした中で、東京都においては、今度は豊島区で高さ二百二十メートルの煙突を建て、そしてそこでごみ処理工場が完成する。こうした施設については約一千億円のお金がかかります。高さ二百二十メートル、なぜそんな高いものを建てるのか。それは煙をよその区に流すためです。隣の文京区、恐らく二百二十五メートルでしょう。煙を流し返すためです。こういうのがこれから十一本、合わせて一兆一千億円のお金が東京のすばらしい青空を汚すために。この十一本の高い二百メートル級の煙突、すばらしい眺めです。しかし、それは東京の豊かさの象徴ではなくて、私は東京の愚かさの象徴だと思います。  なぜ、こういう新しい技術を積極的に使って東京の青い空を守り、そして資源を再利用するという方向環境行政の観点からも強力な指導がなされないのか、都民は不思議に思っております。膨大なお金を使ってしまうということについて。しかも、それがリサイクルのためではなくて、単に東京の青い空を汚すために使われてしまう。今こそ、環境の観点からも首都圏の空を守る、そのためにこうしたごみ処理対策、ごみのリサイクルについても大きな行政指導がなされるべきではないでしょうか。  五年前、十年前、二十年前につくられた計画が変更されないままに、そして新しい技術や新しい発想に目を向けることもなく依然として続けられる。中海干拓の問題を申し上げましたけれども、これは東京における、ある意味では中海干拓の空中版だと私は思っております。これについて環境庁長官の御所見をお願いいたします。
  212. 石井道子

    石井国務大臣 リサイクルの問題、最近大変関心が高くなってまいりました。今までの大量生産、大量消費、大量廃棄型の生活サイクルを変えなければならない、そういう時代になっているわけでございまして、これからも環境への負荷の少ない循環を基調とした社会の構築を目指す必要があります。  単に物を燃やすだけではなくて、そのエネルギーを循環して利用するということも一つの方法であろうと思いますし、まず廃棄物を抑制するという、発生抑制をするということ、そしてリサイクルで利用するということ、また使用済みの商品を使い捨てではなくてさらに再利用できる、そういうリユース対策とか、そのような問題、活動も含めて、日常活動の中で生かしながら考えていかなければならないというふうに思っております。  今後も、リサイクルの問題は重要な課題でありますし、これは事業体といいますか企業などでも取り組むべき課題でありますし、それ以上に国民一人一人が日常生活の中で具体的に取り組んでいかなければならない問題であるというふうに思っております。
  213. 岩國哲人

    ○岩國委員 質問時間が終了いたしましたようでございますので、これで私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  214. 佐藤謙一郎

    佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十六分散会