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1997-05-30 第140回国会 衆議院 外務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月三十日(金曜日)     午後一時三十五分開議 出席委員   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君 理事 松本 善明君       安倍 晋三君    石崎  岳君       柿澤 弘治君    河野 太郎君       下地 幹郎君    新藤 義孝君       田中 昭一君    原田昇左右君       森  英介君    青山 二三君       坂口  力君    島   聡君       永井 英慈君    丸谷 佳織君       山本 幸三君    井上 一成君       藤田 幸久君    古堅 実吉君       中川 智子君    平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      西田 芳弘君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 河村 武和君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省中近東ア         フリカ局長   登 誠一郎君         外務省経済局長 野上 義二君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   松沢 成文君     山本 幸三君   山中 燁子君     青山 二三君   若松 謙維君     永井 英慈君   伊藤  茂君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   青山 二三君     山中 燁子君   永井 英慈君     若松 謙維君   山本 幸三君     松沢 成文君   中川 智子君     伊藤  茂君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  投資促進及び保護に関する日本国政府香港  政府との間の協定締結について承認を求める  の件(条約第一六号)  特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書Ⅱに  関する件      ――――◇―――――
  2. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより会議を開きます。  投資促進及び保護に関する日本国政府香港政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  3. 河野太郎

    河野(太)委員 河野太郎でございます。  香港との投資協定の話に入る前に、二、三関連質問をさせていただきたいと思います。  まず、ODAに関して少しお伺いをさせていただきたいと思いますが、日本ODA、特に国際機関に対する拠出金のところを見ておりますと、ほかの先進国と大きく違う点が一点ございます。  日本ODA全体に占める国際機関に対する援助割合というのを数字で見ておりますと、ODAの総額のうち二八・一%が国際機関に出されている。これは、ほかの各国と比べてもそんなに変わりはございません。DAC全体の平均値を見ても三一・一%ですから、ODAの中で国際機関に対する援助割合というのは、日本はさほどほかの先進国と違いがあるわけではございませんが、この中身を見ておりますと、国際開発金融機関に出している分というのがODA全体の二一・七%ございます。国連等の諸機関に出している分を見ますと、わずか六・四%、国連等の諸機関に比べますと三倍以上のお金を、MDBと申すのでしょうか、国際開発金融機関に出しております。これはほかの先進国と比べますと、大変際立った特徴であるように思います。  DAC全体を見ておりましても、国際開発金融機関に出している部分というのはODA全体の一二・二%、国連等の諸機関に出している部分というのは一八・九%、これが平均値でございますから、先進国各国数字を見ますと、国連等の諸機関へ出しているODAの金額が国際開発金融機関をはるかに凌駕するというのがほかの先進国ODAの出し方でございます。  ところが、日本の場合は、MDBに対する拠出金の方が国連等の諸機関に対する拠出金に比べるとはるかに多い。三倍以上あるという、先進国の中で大変特徴のあるお金の出し方をしておりますが、これは一体どういう外交政策、どういう外交のポリシーによるものであるか。政府のお考え伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  4. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 ただいま御指摘にありましたように、我が国の場合には、国際開発金融機関に対する出資拠出部分が、国連等機関に出しますものよりも割合としては多くなっております。  この点につきましては、必ずしも、国際開発金融機関との比率といいますか関係考えながら、国連等の諸機関比率考えておるという関係にはなっておりませんで、それぞれの機関分担率とかそれから出資の率ということをその都度交渉しながら、特に国際開発金融機関の場合には、増資のたびにその割合をみんなで調整しながら出してきておるということが一つ。  もう一つは、国連の諸機関の場合には一般会計が全部財源になってまいりますけれども、国際開発金融機関の場合には出資国債国債が原資として使われていくというようなこともありまして、直接その二つを比較した考え方というのは、正直申しましてございません。
  5. 河野太郎

    河野(太)委員 池田外務大臣は、ODAの話をされるときに二つ切り口でお話をされているようでございますが、一つは、顔が見えるか見えないか、もう一つは、代替可能か不可能か。そういう切り口で話をされているようでございますが、この国際開発金融機関への拠出金というのは、そういう切り口でいいますと、ほかのやり方でお金も出せる。あるいは、顔が見えるか見えないかという言い方で話をしますと、このMDBに対するお金の出し方というのは、一番顔が見えない出し方なのではないだろうかと思います。そういうところへのお金の出し方を、交渉を続けているうちにどんどん増資をして大きくしていってしまう、 そして、日本の顔が見える援助へのお金の出し方がだんだん比率として少なくなっているというのは、少し問題があるのではないだろうかと思います。  また、この国際開発金融機関へのお金の出し方、その使われ方の中身を見ておりますと、少し問題があるのではないかと思われる点が幾つかあるのです。例えば、アジア開発銀行へジャパン・スペシャル・ファンドという形で出しております。これは大蔵省の管轄で出しているものかもわかりませんが、九六年末現在で大体六億三千三百万ドル出している。ところが、そのうちの三億七千六百万ドルは使われておりますが、三億一千四百万ドルはただの留保分として使われずに残っている。そういうところへ毎年百億円近い拠出金をこれまで予算の中で計上して出してきております。あるいは第二世銀IDAに出す部分も、議決権が一〇・八%程度であるにもかかわらず、出資のシェアはどんどんふえていっている。一八%を超えておりますし、さらに基本拠出以外にも日本は率先して補充拠出を行っている。現在、そのIDAの第十一次増資割合を見ておりますと、日本アメリカの二〇・九%と比べて二〇・〇%と大変高い割合出資をしてきております。  昨今、ODAの見直しですとか、こういう財政難の折にODA削減しなければいかぬというような議論がいろいろあるようでございますが、私は、もし仮にODA削減がやむを得ないとしても、この時期に、為替レートがこういう動き方をしているときに、さらに予算を削るのが対外的にどういうシグナルがあるのか。必ずしもいいシグナルを送っているとは思えません。しかし、どうしてもこれは削減やむなしというときに、ODAのすべてのカテゴリーを横並びで一律削減はすべきではないだろうと思います。  むしろ、こういうときにめり張りをつけて、本当に必要な、顔の見えるところにお金を出す、少しここは抑えてもいいだろう、顔が見えないようなところにはむしろ削減をしていくべきではないかと思います。例えば、ADB向け任意拠出金あるいはIDA拠出、こうしたものを少しこの際、思い切って見直していかなければいけないのではないだろうかと思います。  もちろん、外務省大蔵省と二本立てで出しているわけでございますが、こういう国際機関への拠出金というのは日本外交政策の一環でございますから、ここは少し外務省がイニシアチブをとって、どこを減らすか、どこは我慢して維持していくのか、そういう政策を立てねばいかぬと思います。外務省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  6. 池田行彦

    池田国務大臣 ODAには、河野委員指摘のとおり、いろいろな形態のものがございます。まずその使途と申しましょうか、その枠組みとして、今おっしゃるような国際機関を通ずるもの、いわゆるマルチのものとそれからバイ、二国間の協定に基づくものがございますし、内容的に申しますと技術協力無償資金を供与するもの、OECFがやっておりますような有償で出すものというものがございます。  それぞれの形態それなりのメリットはございまして、そういったものをバランスをとりながらこれまでやってきたわけでございます。全体としてODAを伸ばしていけるような事態でございますと、それぞれの手法を生かしながらということがあるわけでございますが、現在のような財政の逼迫した状況になり、ODAといえども聖域でないということになると、やはりそこに、どういうものをしっかりと守り、それから、もちろん好ましいものではあるけれども、厳しい財政事情にかんがみ、しばらくの間は我慢してもらうというようなことを、いわゆるめり張りをつける必要はあろうかと存じます。  そういったときに私が申しますのは、一つは、日本が国際的にこういったODAというものを通じて役割を果たしているよということがみんなに意識してもらえるような、いわゆる顔が見えるような形のものがやはり一つは大切だなと。そういう観点から申しますと、やはりバイの方をマルチよりは優先といいましょうか、しっかり守らなければいけないのじゃないかなという感じ一ついたします。  それから二つ目には、代替手段があるかどうか。有償資金供与でございますと、OECFでやっておりますものを例えば輸銀にかえますと、これは条件がちょっと、金利とか高くなりますので、いわゆるODAにはなりません。DACの分類でいいますとOOF、アザー・オフィシャル・フローというふうになるわけでございますけれども、しかし、それでもやはり関係国経済の発展なりなんなりに役割を果たすという意味で代替手段にはなるわけでございますね。だから、そういったところをいろいろ見ながら考えていかなければいけないのではないかと思います。  そういう観点から考えました場合に、今おっしゃいました、いわゆる世銀グループであるとか、あるいはアジア開発銀行のような地域開発金融機関、いわゆる国際開発金融機関を通ずるODAというものはまずマルチのものであり、それはそれなりに立派なものではあるけれども、直接日本がやっているなということが目に見えるものではございませんですね。  それから二つ目には、同じ国際機関を通ずるものでありましても国連機関を通ずるもの、UNDPであるとかUNEPであるとか、そういうものでございますと、これは基本無償でございます。あるいは技術協力でございますので、このかわりにどこかでやれといいましてもなかなか難しい。つまり、その予算が減額されますと、それだけ技術協力なら技術協力事業量が減らざるを得ないわけでございますね。  ところが、国際開発金融機関の場合には、これはマルチである上にいわば有償でございますから、先ほどOECF輸銀の例で申しましたように、そういった国際開発金融機関を通ずるいわゆる投融資が、仮に日本拠出が減少したために減るということがございましても、他の手法がとれる。例えば、国際開発金融機関自体国際資本市場で債券を発行して、例えばアジア開銀債世銀債というものを発行して資金調達してやるということもできるだろうとか、あるいは民間の金融機関が、そういった国際開発機関の賄い切れない融資協調融資の中で補っていくとか、いろいろな代替手法もあるわけでございますね。  そういったことを考えますと、もし厳しい財政事情の中で日本ODAについての抑制を図らなければいけないということになりました場合には、委員指摘のように、こういった国際開発金融機関等を通ずるものについてはしばらく抑制をさせていただくということもやむを得ないのかなという感じはいたします。それは、全体としてODAバランスよく伸びていくことがいいのではございますけれども、どうしてもということになりますと、そんなことも必要じゃないかなと考える次第でございます。
  7. 河野太郎

    河野(太)委員 国際開発銀行あるいは国際開発金融機関に関する拠出金でもう一つ伺いをさせていただきたいと思いますが、先般のIDA、第二世銀の第十一次増資がございました。その初年度ですから九七年度になると思いますが、その九七年度の出資を見ておりますと、一番多く出資をしなければいけないアメリカが、実は第十一次増資の九七年度分を払っていない。これまでの過去払わなかった分を、未払いを埋めるという口実であろうと思いますが、ということで出資をしなかった。それをそういう形で認めてしまうことが正しいことなのであるかどうか。これは、もちろん交渉大蔵省かもわかりませんが、例えば国連拠出金アメリカ未払い部分がございます。IDA部分を棒引きにしてしまったということが、では国連アメリカ拠出金未払いにどう影響してくるのか。その辺を考えていきますと、これはただただ国際的な金融の問題であるとして片づけるわけにはいかないと思います。  こうしたアメリカ拠出金未払いのことについて、日本政府は今後どういう対応をとっていくの か。あるいは、自国の割り当て分拠出も行っていないような国が世銀総裁を毎回必ずとっているということは、少し事態が異常なのではないだろうか、むしろ日本はその辺を主張して、世銀総裁をとりに行く、そういうお考えがあるのかどうか、お伺いさせていただきたいと思います。
  8. 池田行彦

    池田国務大臣 それは米国であれ、どこであれ、国際機関増資いろいろ協議をいたしまして、その約束ができた、それで、その国として一定割合を、一定額拠出する約束をした、それが履行できないということは、これは望ましいことではないと思います。  しかしながら、やはりそれぞれの国に財政事情というものもございましょうし、あるいはそういう支出についてとらなくてはいけない手続もある、例えば議会の御承認とか。そういうふうなことがございまして、必ずしも約束どおりにできないということが間々生ずるということは、これはまあ望ましいことではもちろんございませんけれども、そのことをもって国際的に、あるいは条約上の不履行を責め立てるというのがいいかどうかというところは、また別途いろいろな事情考えなくてはいけないと思います。正直申しまして、日本だって、これまでいろいろプレッジいたしましたけれども、これからの財政事情考えますと、あるいは議会の御承認を賜れないことも将来的にはあり得るんだと思いますが。  しかし、いずれにいたしましても、今御指摘国際機関であれ他の場であれ、それぞれの国が、まず国内のいろいろな合意を形成しながら、そうして約束もしていく、そして約束した以上はちゃんとそれを履行していくということが望ましいと思いますし、また今おっしゃいましたように、その役職員の構成なり、その機関におけるいろいろな行動についても口を出し、それからあれこれやる以上は義務の方も果たしていただきたいと願うのは当然のことでございます。
  9. 河野太郎

    河野(太)委員 これから少し日本も、ただただ割り当てられた部分拠出するだけでなく、そこに至る過程で主張すべきは主張する、あるいは割り当てられたものも本当にどういう出し方をするのか、少し真剣に考えていかなければいけない時期だと思います。  そして、外務省にいろいろな資料をこの質問のために要求をしますと、外務省担当分はわかるが、それ以外はわからないというお答えが随分あるようでございますが、それぞれ所轄は違っても、最終的には国外に向けてお金が出ていく、そういった情報は少なくともきちんと外務省の方が、一義的にはほかの省庁であっても、きちんと外務省中身を知っているということが非常に大事なことであると思いますし、場合によっては、外交政策に照らし合わせるとそこはおかしいときちんと言うべきは言っていく、そういう体制をつくることがこれから必要なのではないかと思います。ぜひそうしたデータベースづくりあるいは体制づくりをお願いさせていただきたいと思います。  時間の方が残り少なくなりましたので、投資協定について一つ質問をさせていただきますと、今度のこの日本香港投資協定期間は十五年になっております。香港返還後五十年は現行の体制を維持するということでございますが、その維持する五十年の期間の中の十五年という期間で、本当に投資協定の長さが十分なのかどうか。伺うところによりますと、この十五年というのは、香港側ひな形が十五年になっている、そういうことをベースに十五年ということになっているようでございますが、返還後五十年のことを考えますと、本当に十五年という期間協定で十分なのかどうか、そのあたりをお伺いさせていただきたいと思います。
  10. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 確かに今委員が御指摘になられましたとおり、香港条約ひな形有効期間十五年ということで、それを踏襲しておるわけでございますが、十五年の期間満了の後も、一年前に他方の締約国政府に対して書面による予告を与えるということによってこれを終了させない限り、「引き続き効力を有する。」ということにもなっているわけでございます。  いずれにしても、投資保護協定ということによって、投資家利益が直接、それに心理的なものも含めて間接に確保されるというように意を用いてまいりたいと考えております。
  11. 河野太郎

    河野(太)委員 そうしますと、その返還後五十年という期間が過ぎても、この協定によって権益が維持されると考えてよろしいのか、あるいはその五十年の前に日中の投資協定を改正して、香港分を新たに追加するような作業が必要になってくるんでしょうか、そのあたりをお伺いさせていただきたいと思います。
  12. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 五十年というのは相当長い期間でありまして、その間に何が起こるかということを今的確に予測することはまず不可能であろうと思いますけれども、常々申しておりますとおり、香港貿易金融のセンターとして今のような地位を維持し続けていくということが、中国を含む周辺の諸国にとっても利益であるということであろうと思いますので、そのような状況がまず確保されるようにしていくということが先決であろうかと思います。
  13. 河野太郎

    河野(太)委員 質問の時間が終了しましたので、残りはまだ六月に入りまして改めて伺わせていただきたいと思います。  財政難の折、ODA、これを削減のいかんによっては、諸外国に誤ったシグナルを送ることになりかねないと思います。その辺の御配慮を政府にお願いをして質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  14. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、丸谷佳織君。
  15. 丸谷佳織

    丸谷委員 日本香港投資保護協定について質問をさせていただきます、新進党の丸谷佳織です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、日本香港投資保護協定の第三条の方で、我が国投資家香港において、投資財産、収益及び投資関連する事業活動に関しまして最恵国待遇を与えられるということになっております。この規定によりまして、我が国投資家は、中国投資家に与えられる待遇よりも不利でない待遇が与えられることになるというふうに認識をします。  投資保護協定がなかった従来の香港においての質問なんですが、我が国投資家は、中国投資家に比べて不利な待遇しか与えられなかったのかどうか、それがこの協定締結することによりまして、中国投資家より不利でない待遇が与えられるようになるのかどうか、お伺いします。
  16. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 結論から申しますと、中国香港に対する投資家よりも日本香港に対する投資家が不利に扱われないという協定内容になっております。
  17. 丸谷佳織

    丸谷委員 今ちょっと、質問をしました内容お答えが、済みません、理解できなかったんですけれども。もう一度同じ質問した方がいいですか、お答えいただけますか。
  18. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 どうも失礼いたしました。  質問をちょっと私取り違えまして、中国香港に対する投資家日本香港に対する投資家との比較の問題と勘違いいたしまして、先ほどのお答えを申し上げました。  これまで香港に対して投資を行っている人ということとの関連でも、それは不利にならないような協定内容になっているわけでございます。
  19. 丸谷佳織

    丸谷委員 質問内容なんですけれども、この日本香港投資保護協定によりまして最恵国待遇を与えられるということがございますよね。そして、従来、この協定がなかったときには、中国投資家よりも我が国投資家は、これは明快にお答えしていただきたいんですが、不利な待遇しか与えられなかったのかどうか、これは私もわかりませんので、この事実をお聞きしたいということと――それをまずお伺いします。
  20. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 どうも済みません。  この協定が結ばれる前に、中国に与えられているよりも不利な待遇を我が方が受けていたかということであるとすれば、そのようなことはございません。香港においては同等でございます。
  21. 丸谷佳織

    丸谷委員 ありがとうございます。  政府は、今回の本協定締結意義としまして、「経済貿易投資等分野における活動を通じての現在の香港繁栄返還後も基本的に維持されることへの日・香港双方のコミットメントを示すものとして、香港の将来に係る明るい見通しと安心感国際社会に与えるものである。」というふうに説明していらっしゃいますが、実際に、香港繁栄は、今までの英国の統治下におきまして自由な経済活動が行われてきたところに負うところが大変大きいというふうに思います。  香港は、中国への返還後も最低五十年間は、一国二制度により、外交及び国防の分野を除き高度の自治権が与えられることになっておりますが、そうであれば、経済分野において今後、返還後の香港返還前の日本投資家との関係が変わらないのであれば、今回、投資保護協定なる条約は必要ないのではないかというふうにも思われるのですね。  香港に一国二制度による高度の自治権を付与します香港特別行政基本法が、将来、中国政府によりまして改正されることを懸念して、投資活動における最恵国待遇と本協定効力期限であります最低十五年を確保することによりまして、我が国投資家に対する保護、そしてある程度の安心感を与えることが本協定締結の真の意義ではないかというふうにも思われますが、政府の見解をお伺いします。
  22. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 委員が御指摘になられましたとおり、中国側も既に、五十年間、現在のシステムをそのまま適用するということを述べているわけでございます。そしてまた、私たちも、香港が今あるような貿易金融センターとしての機能を返還後も引き続き果たしていくということに利益を見出すわけでございますので、それをこの機会に、英国側からその申し出があったというところを受けて、このような形の投資保護協定というのを結んで、直接間接的な意味で、そのような方向に物事をまた持っていきたい、それを確保して一いきたいという気持ちがあったわけでございます。
  23. 丸谷佳織

    丸谷委員 香港投資保護協定を結んでいます、発効済みは六カ国になっておりますが、オランダ、オーストラリア、デンマーク、スウェーデン、スイス、ニュージーランド、そして近日発効は二カ国ございまして、フランスとオーストリア、また、署名済みでまだ発効は済んでおりませんが、イタリア、ドイツ、ベルギー、そして我が国日本というふうに、十二カ国、今アメリカ交渉中なのですけれども。十二カ国が香港投資保護協定を結んだ、あるいは今結ぼうとしているということを考えますと、投資保護協定というものの一面には、安心感を与えるという言葉の裏には、何か不安になる材料があって、そして投資家を守るために保護協定が結ばれるのではないかというふうに思うのですけれども、そこのところはいかがでしょうか。
  24. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 今御指摘になられました点につきまして、これまで十一カ国が投資保護協定締結し、そして米国とかカナダとかシンガポールとかタイ、ベトナム、韓国とは、今香港投資保護協定締結交渉中であるというふうに理解いたしております。  その投資保護協定を結びます意義についてでございますけれども、我々の場合は、やはり香港返還という歴史上の非常に大きな出来事ということを契機にいたしまして、今現在香港が果たしているその役割というもの、これがそのまま維持されることが地域社会にとっても非常に重要であり、またそれが中国も求めていることであるという認識のもとに、その状況を確保していく上に直接間接に資するような枠組みをつくるという気持ちで締結いたしておるものでございます。
  25. 丸谷佳織

    丸谷委員 今後、返還後も、香港経済の安定そして繁栄というのは、まさしく我が国経済の安定、そして同じく繁栄にとりましても、大変大きな関連性があります。中国返還後の香港市場がこれまでどおり自由な経済活動を保障し得ることが望まれるわけなのですけれども、一方、報道によりますと、アメリカのノーベル経済学者でありますミルトン・フリードマン氏は、返還後の香港経済につきまして、「中国は、香港ドルが人民元よりも有利な対米ドルレートを維持することや主権が行使できる国内で米国の金融政策の影響を受けることに、不快感をもつにちがいない。香港ドルが返還後二年以内に人民元に吸収され、香港経済中国にのみ込まれる」という可能性を指摘しているのです。  実際に、外国資本の大半が香港から逃避する可能性ですとか、あるいは今現在、香港におきまして不動産の売買が、財閥から庶民まで、とても幅広い層の間で過熱しているのですが、日本経済がかつて、最近のことになりますけれども、体験しましたバブル経済崩壊の不安を内包しているという危険性ですとか、あるいは、既に進行している香港のビジネスの中国化が返還により一層進み、中国経済特徴一つでもあると思いますが、香港が契約社会からコネ社会へと完全に変貌することによって、今まで香港が持ち続けてきました、あるいは繁栄していく背景にありました自由な経済活動という香港の魅力が損なわれる可能性を指摘する向きもあるのですけれども、今後の香港経済の見通しについて、見解をお伺いします。
  26. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 委員が御指摘になられたように、返還後、多数の中国の地方機関とか会社が香港に進出して中国式のビジネス慣行が行われるということになる結果、香港経済の魅力が失われるのではないか、これを懸念する声が一部に聞かれるということは事実だと思います。  他方、非常に高いレベルで、外務大臣等のレベルで、中国政府は、香港が現在の繁栄と安定を維持していくことが中国にとっても重要だという認識を明確に示しているわけでございまして、そのために、例えば返還後の中国企業の香港進出についても、相当厳格な審査を行う、精査するということを申し述べておる経緯がございます。  ミルトン・フリードマン教授のその議論というものについての報道は我々も承知いたしております。ただ、ミルトン・フリードマン教授自身がいつ、どこで具体的にそのような発言をされたかということになりますと、ちょっと私たちも調べてみましたけれども、その限りにおいてははっきりしたことがわかりませんでした。  ただ、英中共同声明とか香港基本法で、香港ドルは返還後も引き続き流通して、またその香港貨幣の発行権は香港特別行政区、行政府政府に所属するということになっておりまして、その方針が五十年間継続されるということになっているわけでございますので、香港ドルが近い将来において人民元に取ってかわられるというような状況はすぐには発生するとは想定できないというふうに思っております。
  27. 丸谷佳織

    丸谷委員 わかりました。  現実には、香港返還後、中国香港経済に少なからず影響を与えていくものであろうというふうに私は思うのです。  中国は、WTO、世界貿易機関のルールに整合しない貿易経済制度を有していると言う人もいるのですが、まず、輸出入を行う権利が一部の許可企業に限定されている。そして、外国企業が貿易業を営むことは原則禁止されている。また、国産品と輸入品の検査を異な谷機関が担当しまして、その検査基準が明確でない場合が多い。そのほか、輸入制限的措置ですとか補助金の制度、そして知的財産保護制度等におきましても、公正貿易と言えるにはまだまだ努力が必要なのではないかなというふうに思われます。  WTOへの中国加盟は、早ければ来春になるかもしれないという報道もございましたけれども、中国がWTOに加盟しますことは、世界経済の統合を促進していくという観点から見ましても、大変に重要であるというふうに思われます。  中国のWTO加盟を支持する我が国政府としましては、中国がWTOのルールに沿った健全なあるいは公正な貿易経済制度をつくり上げていくことを促す必要があると思いますし、まだまだ中 国経済が解決しなければいけない多くの課題もあるというふうに存じておりますが、政府中国に対しましてどのような働きかけを行っていくのかお伺いします。
  28. 野上義二

    ○野上政府委員 今先生御指摘のように、中国の諸制度というのが必ずしもWTOの制度に合致していない、それからまた、我が国のみならず多くの国が、中国の市場に対するアクセスというようなものについても関心を持っております。  そういった意味から、現在行われております中国のWTO加盟に関する交渉は二本立てになっておりまして、各国中国市場に対するアクセスの確保とそれから中国の諸制度の改善、こういったような点を求める点、両方になっております。こういった点につきましては、ジュネーブでの多国間の作業部会及び中国と我が方の二国間の交渉、両方を通じて中国側に働きかけているわけです。  御承知のように、WTOは、先生も御指摘のようにルールに基づいた機関ですので、そのルールに基づいて加入してもらう、これは大前提でございます。他方、やはり中国のような、我が国にとって非常に大きな貿易相手国、それからアジアの中でも今後非常に大きくなる貿易相手国でございますから、こういった国がWTOの制度の中に組み込まれるということは非常に重要だと考えて、交渉促進を図っているわけでございます。     〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
  29. 丸谷佳織

    丸谷委員 いろいろな国、もちろん日本もそうですし、経済政策に関しましては長所もあり、あるいは欠点もありというのはもちろんそうなのですが、例えば中国貿易経済政策の欠点を一つ挙げさせていただくとすれば、まさに自国企業を優遇する度合いが著しいということであろうと思います。  我が国中国とも投資保護協定締結しておりますけれども、香港との協定や、あるいは今まで締結していますエジプト、そしてスリランカ、トルコとの協定と比べてみますと、収用に伴う補償ですとか、国家緊急事態による投資家の損害に対する補償措置に関しまして、最恵国待遇は与えられていても、内国民待遇は与えられていないという現状があります。これも一つ中国の自国企業優遇政策だと思うのですけれども、こういった自国企業優遇政策こそがWTOに受け入れられない最大の原因なのではないかなというふうにも思われます。  我が国政府は、中国に対しまして内国民待遇を規定するよう日中投資保護協定の改正を申し入れるとともに、先ほども河野議員からこのような質問がございましたけれども、改正を申し入れるとともに、自国企業優遇措置の軽減などを促す必要があるのではないかというふうに思われますが、見解をお伺いします。
  30. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 ただいまの御示唆、御提言についてでございますが、政府といたしましては、今現在において、中国との間の投資保護協定というものについて改定を加えるという時期では必ずしもないというふうに考えております。  ただ、中国との関係では、今後いろいろ長きにわたる関係でもあろうということでございますので、いろいろな側面から中国の改革・開放政策というものを支援していくその過程において、中国経済関係の部門において御指摘のような問題に出会ったときに、その解決の方途というものを探っていく準備期間と申しますか、そういうものがまた必要かなというふうには思っております。  そういうことでありますがゆえに、香港との関係においては、今申し上げましたような点のない投資保護協定というものを締結させていただいたということになっております。
  31. 丸谷佳織

    丸谷委員 わかりました。  では次に、質問をOECDに移らせていただきたいと思うのですが、新聞の報道によりますと、外相は二十七日の午前、経済協力開発機構、OECD本部で、ポーランドのロサティ外相と会談をされたというふうに聞いております。両外相は、ことしが日本とポーランドの国交回復四十周年に当たることも踏まえまして、今後も両国の協力関係の推進に努めることで一致したという報道だったのですが、これは私ごとで申しわけないのですが、私もポーランドに住んでおりまして、そしてポーランド人の日本に対する愛情の深さというのを身にしみてわかっているつもりでございます。  ポーランドといいますと、日本から見ますと、ちょっと遠い国かなというふうに認識している方が多いかもしれないのですが、逆にポーランドの人はロシアを挟んでの隣の国が日本である、そういうふうな認識を持って、日本で働きたい、あるいは日本とポーランドのかけ橋になりたいと、小さい子からあるいはお年寄りまで日本語を勉強している方もたくさんいらっしゃいますし、ポーランドの京都というふうに言われていますクラコフという古い都市の方では、浮世絵の収集家、コレクターがいたりと、大変日本の友好関係は深いというふうに思っていますが、この会談で具体的にどのようなお話があったのか、ぜひお伺いしたいと思います。
  32. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のように、OECDの閣僚理事会に出席いたしました際に、ポーランドのロサティ外務大臣と、そんなに長い時間ではございませんでしたが、お会いして、いろいろお話しいたしました。  両国が国交を樹立しましてから四十周年という年に当たりますので、これを機会に両国関係を一層進展させていこうということで合意したわけでございます。その具体的内容としましては、国際場裏では、今回ポーランドが、昨年の十一月でしたか、OECDに加盟して初めての閣僚理事会であるということで、それに対して祝意を表しながら、これから協力していこうということを誓い合ったわけでございますが、そのほかにも、国連その他の国際場裏でも従来以上に協力していこうと思っております。  経済関係で申しますと、実はこれまでの両国の間の交流というものは余り大きなものではございません。しかし、ここへ参りまして、ポーランドの方の政治あるいは経済の状態もかなり落ちついてきたこともありまして、かなりそういった意欲も出てきた。つい最近は、我が国の有力自動車メーカーもエンジン工場をスタートさせるというかなり大きな投資案件も出たようなところでございます。そういった勢いをさらに進めていこうということで、我が国経済界でもいろいろ考えてくれておりまして、ことしの十月には経団連がポーランドを含みます中部東欧諸国にミッションを派遣してくれる、こういうふうな動きもございます。  また、外務省といたしましては、中部東欧諸国を対象とした投資促進のセミナーを、これはまだ開催の場所は決まっておりませんけれども、本年中に中部東欧のどこかで開催する予定にしております。  経済の方もそういうことで、これから着実に進めていきたいと思いますし、文化の面ではこれはもうポーランド、音楽を初めとして大変ないわば文化先進国でございますので、むしろ我が国の方が入超じゃないか、こんな感じもするわけでございますけれども、これも双方向でいろいろ進めていこう、特に本年は国交回復四十周年の記念事業を展開しようと思っております。具体的には、これはブロツワフ市ですか、ここにおきまして日本庭園を開こう、オープンしよう、こう考えておりますし、またクラコフにおきましては日本美術・技術センターというのがございますが、そこで広重の展覧会、あるいは日本人の音楽家による公演等も予定している次第でございます。  こういったことで、これからことしを契機に広い分野で、政治、経済、文化にわたり、両国関係の進展を図ってまいりたいと思っております。
  33. 丸谷佳織

    丸谷委員 今大臣がおっしゃいましたように、ポーランドは音楽の国、ショパンの生まれた国でもありますし、芸術家ではございませんけれども、コペルニクスですとかキュリー夫人が生まれ育ったところでもございます。ポーランドで行われますショパン・コンクール、ピアノのコンクールでは日本人がかなり優勝したり、ポーランドにおけ る日本人の活躍あるいは日本文化の受け入れというのはかなり進んでいるというふうに、私自身も驚いたのです。逆に、日本でポーランド文化ですとかポーランドの人たちとの交流となりますと、まだまだ、これから本当に計画を立てて、人的な交流もぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げます。  二十七日、OECDの閣僚理事会は共同声明を採択しまして閉幕をしたわけなのですけれども、共同声明の方では、社会保障制度改革案を来年の閣僚理事会に報告すること、そして、規制緩和や推進状況を監視するために国別の審査制度を導入することなどのほかに、株式の持ち合いですとかメーンバンク制など日本の企業風土を念頭に置いた上で、多数国間の投資貿易に大きな悪影響を与えかねない企業風土を改善する必要性というのが盛り込まれたというふうに思います。  この共同声明を受けまして、来年の閣僚理事会に向けて我が国は大きな課題の克服に取り組んでいかなければいけないと思うのですが、その課題に取り組む決意のほどをお伺いしたいと思います。  また、今回の閣僚理事会では先送りとなりました多数国間投資協定作成のための交渉会議に、香港がオブザーバーで参加することになりましたが、条約が採択されれば、香港はこの条約に加盟することになるのでしょうか。オブザーバー参加の意味とともにお伺いします。
  34. 野上義二

    ○野上政府委員 ただいま先生御指摘のように、香港が今般、今OECDで交渉しております多数国間投資協定にオブザーバーとして認められたわけでございますけれども、オブザーバーの参加要件というのは、基本的には既にOECDの他の関連委員会でオブザーバー資格があることというのが第一の条件でございまして、香港は既に貿易委員会、それから金融資本市場委員会、それから環境政策委員会、そういったところでオブザーバーになって、それがベースで認められたわけです。  意義の点につきましては、香港は御承知のようにアジアの金融センターということで、このOECDの多数国間投資協定というのは、御承知のように直接投資だけではなくてポートフォリオの投資をも含む協定でございますので、そういう意味では、香港が仮に入ればそれはそれなりに意味が大きいと思います。  ただ、今のところ、OECDの非加盟国に対してこの協定が開放されるということは決まっておりますけれども、どういった基準でOECDの非加盟国がこの協定に入れるかというのは、今交渉している最中でございます。それからもう一つは、香港が果たしてでき上がった協定に手を挙げるかどうかという意図はまだわかっておりません。
  35. 丸谷佳織

    丸谷委員 済みません。もう一つ質問であります、来年の閣僚理事会に向けて多くの課題に取り組んで行かれる参加閣僚の代表としまして、外務大臣に決意のほどをお伺いできますでしょうか。
  36. 池田行彦

    池田国務大臣 OECD閣僚会議におきましては、今話題になりましたMAIの来年までの締結を初めとして、いろいろな課題についてのこれからのOECDの活動について話し合われたところでございます。  そういった中で、御承知のとおりOECDもかつては先進国クラブ、こういうふうに言われておったのでございますが、現在では加盟国も二十九になりました。そしてまた、一方において、こういった経済問題を扱います国際機関もWTOができるとか、その後いろいろ出てきております。  そういうふうな関連もあり、いかにもOECDにふさわしいテーマというものは一体何なのだろうか、それをどういうふうに進めていこうかということにつきまして、いろいろ今回も議論いたしました。日本がそういうふうな面でも中心になりまして、これまで世界の経済発展の、特に第二次大戦後の経済発展のそれぞれの段階で、世界経済全体がチャレンジすべき課題というものを先取りしながらいろいろ研究をし、またその研究の成果を実行に移していった。そういったOECDの輝かしい歴史というものを将来に向かってもつないでいかなくてはいけない。  一方においては、先ほども言いましたように、いろいろな新しい機関もできているわけでございますから、他の機関との重複というものはなるべく避けなくてはいけないのじゃないか。そして、効率的な運営もしなくてはいけない。こんなことを考えまして、これからのOECDの運営において、とりわけ来年の閣僚理事会に向かって、日本として努力してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  37. 丸谷佳織

    丸谷委員 ありがとうございました。  では、OECDの閣僚理事会において設置されましたロシア支援のための連絡委員会の件なのですけれども、池田外務大臣とエリツィン大統領、そしてプリマコフ外務大臣との会談におきまして、日ロの首脳レベルにおける交流促進の方が合意されたというふうに認識しております。  これらの合意そのものは大変に結構なことであるのですが、これらが進展していくことによりまして、ロシアが完全に西側社会に溶け込んでいって、日本との領土問題が軽視されたり無視されていくようなおそれがあるのではないか、一抹の不安も感じるのですが、政府としましても、このようなことが予測されれば、それを予防するための外交というものを行っていかなければいけないというふうに思いますが、外務大臣の御所見をお伺いします。
  38. 池田行彦

    池田国務大臣 ロシアも、かつての旧ソ連でございますね、そういった時代に比べますと、経済の運営、社会の運営あるいは政治のあり方、あらゆることがさま変わりでございまして、基本的には、西側という言葉がいいのかどうなのか、もう東も西もないのでございますから、西側という言葉は必ずしも適当ではないかもしれませんけれども、日本を含めた多くの国々が歩んでおりますような行き方でございますね、市場経済に立ち、また議会制民主主義に基づいて政治を運営し、さらに人権等も保障していこう、そういうふうな道を目指して今懸命の努力をしておられるのだと思います。  日本といたしましても、そのようなロシアの改革の努力はきちんと支援していきたいと思いますし、また政治、経済、文化、その他各般で関係を高めてまいりたい、こう考えております。  しかしながら、そうは申しましても、御指摘のとおり我が国とロシアとの間には未解決の問題がございます。北方四島という領土問題を解決しなくてはいけないわけでございますから、このことは忘れずに、それを解決するための努力をしながら、一方においていろいろな、先ほど言いましたような交流あるいは関係も強めてまいりたいと思っております。  先般、私がエリツィン大統領にお目にかかりました節、あるいはプリマコフ外務大臣、さらにはネムツォフ第一副首相といろいろ話をしました際にも、そのような前提で話をしまして、私の方からは、領土問題と、その領土問題を解決するための環境整備の問題はいわば車の両輪なのだから、そういうふうに進めていかなくてはいけないということを強調したわけでございます。  先方も、領土問題がここに存在するということは東京宣言できちんと認めておりますし、それに基づいてこの問題を解決し、平和条約を結んで、そして完全な正常な関係を持とうということについては合意をしているわけでございます。ただ、車の両輪で運んでいくのかどうなのか、それは前輪と後輪じゃないのかとか、その進め方については若干の違いがございますが、しかし、その基本は変わらないわけでございます。  そういったことを大切にしながらほかの点も進めていくということで、特に今回、政治の問題につきましては、プリマコフさんと私がお互い外務大臣として会いますのは六回目でございますけれども、そういったものを土台にしながらさらに首脳閥の交流を強めていこうということで、デンバーで行われますことしのサミット、これは従来七カ国サミット、G7サミットと言われておりま した、そういった枠組みの中で、ロシアが一部分については参加しておったわけでございますが、今回は、むしろ原則と例外をかえたといいましょうか、原則としてロシアも参加する、ただ、通貨であるとか金融であるとかそういった、現在のロシアの状況から見て話に入ることは必ずしも適当でない部分については外れてもらうということで今話を進めております。そういったいわば新しい段階に入ったサミットでございます。  そこで、エリツィン大統領も来られるということでございますので、橋本総理との間でデンバーで首脳会談をやろうということで先般合意したところでございます。また、これも一回限りのことではなくて、将来的にも首脳間の対話をずっと続けていこうじゃないかという希望をエリツィン大統領が漏らしておられましたが、さあそれを具体的にどういうふうな形で、あるいは枠組みで進めていくかは、それこそ橋本総理との間でデンバーでいろいろ御相談なさるのじゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  39. 丸谷佳織

    丸谷委員 領土問題解決までのプロセスを今お話ししてくださいましたが、その中で、今国会提出検討条約一つにもなっておりましたが、北方領土周辺水域における我が国漁業者の安全操業のための枠組み条約は今後どのように取り扱われるのか、お伺いします。
  40. 浦部和好

    ○浦部政府委員 本件枠組み条約交渉につきましては、実は、先般行われました日ロ外務大臣会談におきましても、あるいはこれまでの一連の日ロ間の政治対話の中におきましても、日ロ関係上、大変重要な問題であるという位置づけになっているというふうに認識しております。  これまで九回の交渉を通じまして、具体的な調整を行っているところでございます。実は、去る五月十四、十五、十六日、三月間かけて東京で九回目の交渉を行いました。この九回目の交渉でもそれなりの前進は見られたということは言えるのですが、いまだ大変重要な問題が残っているというのが現実でございます。したがって、引き続いて、双方の立場をきちんと守りながら、最も適切な形を、かつ早期につくっていくということのために最大限の努力をしていく必要があるというふうに考えております。  なお、次回の交渉につきましては、外交ルートを通じて調整するということになっておりますが、第九回の交渉が大変積極的なモメンタムを持ったものだという認識が両国にあるものですから、そのモメンタムを生かしながらできるだけ早いタイミングで交渉を行いたい、かように考えております。
  41. 丸谷佳織

    丸谷委員 わかりました。  領土問題に関しまして次の質問に移らせていただきたいと思います。  今月の六日なのですが、西村眞悟衆議院議員が、尖閣諸島をめぐります問題に対する政府の態度に抗議するため、魚釣島の上陸を強行いたしました。この抗議方法の是非はさておくとしまして、西村議員の行動に対して、総理を含め閣僚の発言は、所有者の意向を無視した行為は遺憾であるというふうになっております。政府は、この西村議員の行動を不法侵入というふうにとらえているのでしょうか。西村議員のとった行動に対する大臣の認識をお伺いします。
  42. 池田行彦

    池田国務大臣 政府といたしまして、西村議員の行動、行為について遺憾であると申し上げましたのは、三つの観点からでございます。  第一に、御承知のとおり尖閣諸島は我が国固有の領土であり、そして現に有効支配しているわけでございますね。そういう状況の中で殊さらに先般のような行動をおとりになることがどういう意味を、あるいはどういう効果を持つだろうか、これを考えました場合に、必ずしもその行動をとられた目的といいましょうか、意図されたところが実現するのではなくて、むしろその逆の効果が出てしまうおそれがあったのじゃないのかという点を私どもは心配いたしました。  現に、その後、香港あるいは台湾の方々が釣り大会と称してあの周辺の海域に来られまして、一部の方について我が国政府として適切な方法で排除したという行動をとらざるを得なかったわけでございますけれども、そういったことにかんがみましても、あの行動というものは必ずしも意図されたところに合致していない、むしろその逆の効果をもたらしたのじゃないのかという点が一つでございますね。また、政府といたしましても、固有の領土であり有効支配をしているところに殊さらにあのようなことをしていただくことは、必要もないし、望ましいことでもないという点が一つでございます。  二つ目には、上陸された地点が私有地でございまして、その土地所有者の方から、過去にも類似の行為があったけれども、そのようなことで迷惑しているので、そんなことが起きないように政府としても適切に対応してほしいという御要望はかねてから寄せられておりました。そういったこともお伝えしたわけでございますけれども、お聞き入れがなかったという点も、遺憾であるという理由の第二番目でございます。  それから、第三番目といたしましては、尖閣諸島は我が国固有の領土でございます。これは厳然とした事実で、有効支配していると申しましたけれども、しかし、この問題をめぐって両国間でいろいろな国民の感情がずっとエスカレートしていって、そのことがいろいろな事態を招き、ひいては両国関係全体に好ましからざる影響が及ぶということは、これは日中関係の重要性にかんがみて政府として避けたいし、また、その関係する方々にもそのような事態を惹起するようなことは避けていただきたい、こう考えるところでございます。  今申しましたような三つの観点から、遺憾であると申し上げた次第でございます。
  43. 丸谷佳織

    丸谷委員 中国外務省のスポークスマンは、二十七日の記者会見で、台湾と香港の抗議船が尖閣諸島付近の日本領海に一時侵入したことに関しまして、責任は日本にある、右翼分子の尖閣上陸を激励して容認した日本側が緊張した事態を招いたというふうに述べ、日本政府のこれまでの対応を批判したという報道もございますし、佐藤駐中国大使に中国の外務次官のトウカセン氏は、主権の侵害と大変強い抗議をしております。  このことに関しましてはどのように思われますか、お伺いします。     〔森山委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 池田行彦

    池田国務大臣 中国政府中国政府の立場に基づいてそのような主張をされたのだと考えますけれども、我が国政府の立場は、尖閣諸島は我が国の固有の領土であるということでございます。  当然その中国側の主張をこちらが入れるわけにはまいりませんから、その際にも、中国側の申し入れについては我が国の立場に基づいてきちんと説明をした、話をした、こういうことでございます。
  45. 丸谷佳織

    丸谷委員 今大臣がおっしゃいました我が国の姿勢を外に向けて発信する必要があるのではないかというふうに思いますが、その点につきましてはいかがでしょうか。
  46. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申しました、尖閣諸島は我が国固有の領土であるということは間違いないわけでございますし、その上有効支配しているわけでございます。そういった状態の中で、我が国の領土であるということは厳然と示されておるわけでございます。  それから、有効に発信することが大切だとおっしゃいましたが、どういうことを指しておられるかは存じませんけれども、もし先般のようにあそこへ上陸を試みられるような行動を指すということであるならば、そのことがかえって意図したとは逆の効果をもたらすおそれもある。現にそれに近い事態も惹起したわけでございますね。そういうことを考えれば、この問題については、尖閣諸島の置かれた現状というものをきちんと踏まえて、関係の方々には冷静に対応していただくことを期待したいと思います。
  47. 丸谷佳織

    丸谷委員 まだ質問がございましたが、時間が参りましたので、最後に一つ質問させていただきたいのです。  前回の委員会でも質問させていただきました五月七日に高知県のマグロはえ縄漁船がリビアに拿捕された件なのですが、こちらはまだ解決しておりません。その後の状況と、どのように取り組んでおられるのか、最後にお伺いして質問を終わらせていただきます。
  48. 登誠一郎

    ○登政府委員 この問題につきましては、前回、十四日の当委員会でそれまでの実情については御説明いたしましたが、その後について簡単に御説明させていただきます。  その後、五月十八日に、船主の代理人の方がリビアの軍港に係留されている漁船を訪問しまして、乗組員の方と面会して全員が無事であるということを確認し、さらに警察の調査を経て検察の取り調べに引き継がれたということが確認されました。その後、二十六日に至りまして、船を管理する乗組員二名を除くその他の乗組員全員が警察からミスラタの市内の刑務所の方に移送されました。それを受けまして、一昨日でございますけれども二十八日に、在リビア大使館の臨時代理大使が同刑務所を訪問いたしまして、乗組員全員と面会し、無事であることを確認しますとともに食糧などの差し入れを行ったところでございます。  我が方の大使館といたしましても、引き続き、この船主の代理人の方、さらには現地の警察等緊密に連絡をとりつつ、乗組員の取り調べが適切に行われるということを確認すると同時に、邦人保護という観点からさらに必要な支援を行っていきたいというように考えております。
  49. 丸谷佳織

    丸谷委員 拿捕されましてから三週間と長期にわたってきておりますし、御本人たちあるいは御家族の御心配もいかほどかと思いますので、早期解決に向けましてさらなるフォローをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  50. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、藤田幸久君。
  51. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 日本香港投資保護協定について御質問をさせていただきます前に、先週、外務委員会で質問をさせていただきました日米のガイドラインの見直しに関連して一つ質問をさせていただきます。  日米安保条約でいわゆる極東という範囲がよく用いられまして、それからガイドラインの関係、最近は周辺、冷戦が終わってから周辺という言葉が使われるわけですが、今まではいわゆる目的論的にその地域についての政府の見解がいろいろあったようでございますけれども、改めてこの極東という地域、国、どこを指すのか、それから周辺というものがどういう地域を指すのか、お答えいただければ幸いです。
  52. 折田正樹

    ○折田政府委員 日米安保条約上の極東と申しますのは、かねて政府が申し上げているとおりでございまして、その点については変更がございません。日米両国が平和、安全の維持に共通の関心を有している区域であって、「この意味で実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して武力攻撃に対する防衛に寄与しうる区域である。かかる区域は、大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域」ということで、これは昭和三十五年の統一見解に示されているとおりでございます。  他方、ガイドラインの見直しの作業を今進めているわけでございますが、その中で、特に第三項で日本の周辺地域という言葉を使っております。これは、日本の平和と安全に重要な影響を与えるというような事態の発生し得る日本の周辺という程度の一般的な意味で使用しているわけでございます。そして、このように、「日本周辺地域」は、その地理的範囲が明確に画定されているわけではございませんということでございます。
  53. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  ちょっと念のため、関連でお伺いしたいと思います。安保条約ができてからは極東というのはそういう関係の地域を指すということですが、その安保条約ができる前に、アメリカあるいは占領軍の文書の中に、例えば、本州、北海道、四国、九州及び付近水域とか、そういった表現が時々出てまいります。こういう表現ですと、当時は沖縄はまだ返還されておりませんから、例えば、四島及び淡路島とか対馬とか、そういう周辺の島々を含んだ、要するに日本全体と、そういうふうに大体解釈してよろしいでしょうか。
  54. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今先生が御指摘になりました、安保条約ができる前に、日本及び日本周辺、日本の領土の画定という意味において使われているような場合、例えばポツダム宣言では、「日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし。」と書いてあるわけでございますけれども、そこで言っているような地域と今の概念とは違うと思います。  その以前に使われておりましたそれは、明らかに日本の領土というものを第二次世界大戦以前の、いわゆるかぎ括弧つきの帝国主義的な、そういうことで領土を拡張した以前に戻すという意味で使っておるものでございますから、そこで言っています「諸小島」というのは極めて限られた、まさに御指摘の佐渡ケ島とか、そういう日本に極めて近辺に位置する島のことを言っていたと思いますので、今ガイドラインの方で、といいますか防衛大綱の方で使っております日本周辺地域という概念とは違うと思います。
  55. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 そうしますと、例えば今ちょっと申しました四つの、本州、北海道、四国、九州及び付近水域というような表現は、今ポツダム宣言でおっしゃられたような大戦前の地域、大体そういうことを指しているという理解でよろしゅうございますでしょうか。
  56. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今言われました日本四島及び付近水域という言葉がどこで使われている言葉がちょっと私は承知しておりませんものですから、それがどうこうということを申し上げるわけにまいらないのでございますけれども、いずれにいたしましても、ガイドラインで使っております「日本周辺地域」といいますのは、先ほど北米局長から御答弁申し上げましたように、日本の安全に重要な影響が及ぶ地域という意味で使っておるものでございますから、その前に御指摘のありました付近水域というのがどういうコンテクストでどこの文章に使われているかによりますけれども、基本的には違う概念だというふうに思います。
  57. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それはただ、付近水域とか当時どういうことを指しているかということを念のためお聞きしたかったわけです。  それでは、香港との保護協定について一問質問したいと思いますけれども、いわゆる香港中国の企業が進出をして子会社をつくっておるわけですが、日本中国との関係に関しましてはいわゆる日中投資保護協定がございますが、それに対して、今度日本香港投資保護協定というものができますと、子会社を送っている中国企業というのは、ある意味ではその二つを使い分けることができるのだろうと思うのです。  つまり日本に対して、日中投資保護協定というものと、それから、子会社を香港に送っている、それが中国になるわけですから、日本香港投資保護協定と両方を使い分けすることが実質的にできるのではないかと思うのです。つまり、自分にとって有利な協定をケース・バイ・ケースで使い分けができる、そういうことが実質できるようになりますと、日本企業にとって不利益になるということもあると思われるわけですが、これについて見解をお伺いしたいと思います。
  58. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 日港投資保護協定の方が日中投資保護協定よりも投資家保護が手厚いということで、香港について中国側が使い分けができるかどうかという御質問でございますか。
  59. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 中国企業が香港に子会社を送っておるとしますと、その子会社は、今度は日本香港投資保護協定ができますからその有資格企業になるわけです。そうすると、ある北京のA社という会社が香港にも法人を持っていると、いわゆる北京の本社に関しては、日本に対しては日中投資保護協定が適用されるわけだし、香港に置いているA社の子会社は、今度は日本香港投資保護協定ができるわけですから、有利な方を選んで日 本と交易ができる、そうすると、有利な方を使い分けができるということは結果的に日本企業にとって不利にならないかという可能性についてです。
  60. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 中国企業の子会社として香港において設立登記された会社の日本に対する投資については、その会社がこの協定により香港投資家に該当することとなりますと、それは日港投資保護協定が適用されるだけであって、日中投資保護協定が適用されることはないわけでございますね。したがって、御指摘のようにその子会社という立場にあるものが、日港、日中協定のいずれかのうち都合のよい方を利用し得るということには多分ならないだろうというふうに思います。  今私は子会社ということで申し上げました。中国企業が香港において施行されている法令に基づいて子会社を設立するという場合を私が申したわけでございまして、それが中国香港中国企業のままで進出する、いわゆる支店の設置のような場合、その進出先から我が国投資を行う場合には、もちろん日中投資保護協定だけが今度適用されるということになります。  その意味において、確かに、子会社を設立するという道を選ぶのか、それとも中国の企業としての支店の設置というような形での進出を選ぶのか、その選択が中国側にないとは言えないかと思いますけれども、例えば中国の立場に立ちました場合、日港の投資保護協定の方が、投資保護そのものの面に関する限り手厚い保護が受けられるということであれば、その限りにおいて日港投資保護協定の適用を受けるべく措置するということではなかろうかと思うわけでございます。  いずれにしても、中国政府返還後の中国企業の進出については相当厳格な審査を行って、大量の進出は奨励しない方針であるということについては、ずっと先ほどの質疑の過程で申し上げたとおりでございます。
  61. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございました。香港関係のテーマでございますので、ちょっと関連でお聞きしたいのですが、今回の保護協定の一番大きな目的は、香港中国返還された後、日本香港の間でいわゆる経済的な相互利益を継承させるということが大きなテーマだろうと思います。  それに関係して、ちょっと軍票のことでお伺いをしたいのです。前も予算委員会の外務部会でお聞きしたことがあるのですが、この軍票の問題というのは、返還後、香港中国の一部になるわけですけれども、いわゆる通常言われている戦後処理と私はかなり違うのではないかと思うのです。これはあくまでも経済的な債務履行責任、つまり、軍票を持っていらっしゃる方々が要求しているのは、いわゆる持っている当時唯一の流通通貨であったものを換金してほしい、いわゆる補償ではなくて債務履行を日本政府に対して要求しているわけでございまして、これは個人の私有財産の問題であるわけです。  しかも、政府の方でサンフランシスコ講和条約との関係でおっしゃっておられるようですが、いわばイギリスが撤退した後、流通通貨として軍票があって、それを唯一の流通通貨として住民に日本軍あるいは日本政府が強いて、その持っている人々が私有財産のいわゆる換金ということをおっしゃっておるわけですから、これは経済的な、ある意味では民法の領域かと思うわけです。  私も、最近香港に行ったときに、その軍票そのものをいただいてきました。やはり日本国政府の軍用手票と書いてありまして、大日本帝国内閣の印刷局が製造している。それから、日本銀行が当時かかわっておったわけで、現在も日本銀行が存在する、そういう意味で、なかなか難しい問題もあると思いますけれども、香港中国返還されるに当たって、その住民の方々が、いわゆるほかの補償問題。戦後処理問題と違いまして、実際にこういう具体的な物がずっと未来永劫残るわけでございます。  こういう経済的な状況について、返還されるに当たって、私はやはり非常に歴史的なことが七月一日起こるわけですから、日本政府としてもいわゆる普通の戦後処理とは違った意味での配慮といいますか、姿勢というものがあればよろしいのではないか、非常に祝福になるのではないかという気もいたしますが、それについて大臣の方から見解をお伺いできれば幸いです。
  62. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 今委員指摘の点につきましては、香港返還との直接の絡みということではございませんでしたが、本年の三月の予算委員会第二分科会において詳細な質疑応答をさせていただいた経緯がございます。  その際も申し上げましたように、日本は過去の一時期に、植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に対して多大の苦痛と損害を与えた事実を謙虚に受けとめているという、そういうまず大前提があるわけでございますけれども、そのもとにおきまして、これは今委員もおっしゃられたとおり、政府としては、香港における戦争被害に係る請求権の問題は、軍票の問題を含めて、サンフランシスコ平和条約により我が国政府と英国政府との間において解決済みだという立場なのでございます。  具体的には、昭和二十年の九月のGHQによる覚書と、それから同じく九月の大蔵省声明というその日付をもって、日本軍の発行した軍票というのは、その存在場所、所持人のいかんを問わず絶対的、確定的に無効・無価値となったという、そういう措置がとられたということでございまして、これが香港返還との絡みにおいてまた新たな措置をとってこの方針を変えるということは、我々としてはちょっと考えておらないところでございます。
  63. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 いろいろ私が申しましたように、ちょっとそういう扱い方とは違う質の問題であるというふうには思いますけれども、時間の関係で次の質問に移りたいと思います。  きょうはたまたま後で決議があるようでございますので、また大臣に対人地雷の件で質問をさせていただきたいと思います。  いろいろな委員会でいろいろやりとりをしてまいりましたけれども、いつも政府側の方で、いわゆる昨年のリヨン・サミット時における自主的措置ということをおっしゃるわけですが、最近、また私外務省からも資料を取り寄せました。  先週も申し上げましたが、例えばアメリカ政府の方では、昨年からことしにかけて八十八万個、対人地雷を解体した、それからイギリス政府は、二〇〇五年までに対人地雷の破壊を決定した、それから製造も禁止した。それからフランス政府は、対人地雷の製造を停止する、それから保有対人地雷の解体、削減を続けている。それからドイツ政府も、対人地雷の調達を無期限かつ無条件に放棄する、それから保有対人地雷を破壊する。イタリア政府も、対人地雷の生産を放棄、保有対人地雷の破壊。カナダも同じようですけれども。  これらのことは御承知かと思いますが、ただ申し上げたいのは、こういうことを、例えばアメリカ政府はこの間五月に発表されている。イギリスもこの間五月に発表されている。フランスは昨年の十月、それからドイツは昨年の四月、イタリアは昨年の九月、カナダは昨年の十月。自主的措置ということをおっしゃっておられますけれども、実際にこれだけの国々で、スカンディナビアの国を含めまして、昨年から一年の間に随分いろいろな進展があるわけです。  それで、やがて国連の常任理事国にも入るかもしらない日本でもありますし、世界の共通課題に取り組むということをおっしゃっておられるわけです。そして、いろいろなイニシアチブを他の分野ではとってこられたわけですけれども、せめてこういった分野における実行計画といいますか、姿勢というものをそろそろお示しになられる。  デンバー・サミットあるいは国連環境会議というものがもう一カ月先でございますけれども、せめてそういう生産と調達あるいは削減に関することについて、これだけ具体的な動きが各国で最近もある。それから、国際合意に対する取り組みについても、御承知のとおりアメリカ、イギリス等 でも非常に大きな動きが最近あるということにかんがみまして、大臣の方でそろそろそういう計画といいますか、姿勢をお示しになるお考えがないかどうか、お聞かせいただければ幸いです。
  64. 池田行彦

    池田国務大臣 対人地雷の問題につきましては、我が国といたしましても、使用禁止に向かっての国際的な流れの中できちんと努力をしていきたいと思いますし、また一方におきまして、除去であるとかあるいは探知技術であるとか、あるいは不幸にして犠牲になられた方々のリハビリの問題であるとか、そういった点でもいろいろ役割を果たしてまいりたい、こういうことで来ておるわけでございます。そういった意味で、ことしも我が国主催でそのような技術面でのセミナーを開いたところでございます。  使用禁止の方につきましては、昨年のリヨン・サミットでもあのような形で我が国としての姿勢を表明いたしました。それ以後も、ジュネーブにおけるいろいろなプロセス、さらにはオタワ・プロセスと言われるところにも――今すぐにオタワのプロセスで話題になっていることに日本もかたいコミットをしろと言われましても、それはできない状況にはございますけれども、そのような努力は努力として評価しながら、会議には参加していくということで対応しているわけでございます。  そういったことでございますので、委員の方からは、去年からの一年の間にも個々の国がこれだけのことをやっているじゃないか、だから日本もとおっしゃいますけれども、やはり日本日本としての実情を踏まえながら、また我が国の防衛面からの現時点におけるニーズというものも踏まえながら、いろいろ対応していこうとしている。  そういった中で、自己破壊装置のついていない対人地雷については、もう防衛庁においてもそういったものの購入はしないというような措置をとっておられるわけでございますし、また将来的にもいろいろ考えてはまいりますけれども、実態を踏まえずに、ただ他の国がこういうことをやっているから同じようなことを宣言しろと言われましても、それは、はい、そういたしますとは申しかねるところでございます。
  65. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ほかの国はということではございませんが、とにかく世界的にそういうことでございますし、世界のそういう問題に一緒に取り組む日本という姿をぜひ見たいということをお願いいたしまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  66. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、松本善明君。
  67. 松本善明

    ○松本(善)委員 まず、日本香港との投資協定について質問をいたします。  海外投資そのものについては、私どもは、受け入れ国の経済発展に寄与する限り、反対するものではありませんが、その場合、受け入れ国の経済主権を遵守することが、世界の経済発展のためにも、日本外交にとっても重要だと思うのであります。  そこで、どの受け入れ国も、自国の国民経済を守るために自国の投資家を規制する必要が生じたときには外国資本も規制できることを、投資する側も認めるべきではないかと思いますが、外国資本を受け入れる国の経済主権との関連でどう見るか、まず外務大臣の基本的な考え方を伺いたいと思います。
  68. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 今回の日港の投資保護協定に関します限り、我が国としましても、日本から対香港投資保護に係る環境が返還後も安定的に維持されていくということが香港繁栄の維持のためにも不可欠であるという認識がございました。そして、香港側からの働きかけにこたえて協定交渉を行った経緯がございます。  そして、個々の条項についても香港側と十分に協議を行って合意に至ったものでございますが、その際、香港の側から、委員指摘のような留保、すなわち議定書の中で何らかの留保を規定するということを求めてきた経緯がなかったわけでございます。  そもそも、一九七四年の新国際経済秩序の採択の経緯でございますけれども、御案内のとおり、日本はこれに棄権いたしております。すなわち、我が方としては、天然資源の恒久主権とか国有化の権利自体については認めるけれども、外国投資に対して、投資受け入れ国が恣意的ないし差別的な措置をとるといった権利の乱用を制限できる条項がなく、外国人資産の国有化、収用、所有権の移転が合法的であるための条件が十分でないということから、今申し上げましたような、憲章採択の際に棄権するという対応をとったわけでございます。  もともと香港は一人当たりのGDPが二万四千三百ドルということで、開発途上国の範疇に入らないということでもございますし、このような投資保護協定ということでよろしいのではないかと私たちは思っております。
  69. 松本善明

    ○松本(善)委員 香港のことを聞く前に、考え方の根本を外務大臣に聞いているわけですよ。  自国の投資家をその国が規制をする必要が生じたときに外国資本も規制できることを、投資する側も認めるべきではないか、こういうこと。ちゃんと質問を聞いて答えてほしいと思います。外務大臣、よろしくお願いします。
  70. 池田行彦

    池田国務大臣 一般的には、投資を外から受け入れた場合に、受け入れ国の主権といいましょうか、主権行為の発動としていろいろな規制を行うということは、これは可能なんだと思います。しかし、だからといってそれを放棄するような条約を結ぶのがおかしいかといいますと、必ずしもそうではない。  例えば、開発途上国の場合なんかに十分あると思いますけれども、何しろ投資を受け入れるということが非常に優先度の高い政策だと考えました場合に、その条約締結して、その中でいろいろな規制措置なんかをしないということを約束するということも、条約締結そのものが主権に基づく行為でございますから、それは必ずしも、それでもっておかしいというわけにはいかないと思います。  私は今、開発途上国と申しましたけれども、開発途上国だけに限られるものではない。これは具体的にどういうケースが想定されるか、今、突然の質問でございますから、私も具体的な例は必ずしも申せませんけれども、事情によっては、受け入れ国の側で政策的な判断として、いろいろな規制措置をとらないということをあえて約束するということは、それはあり得るのだと思います。
  71. 松本善明

    ○松本(善)委員 自国資本以上に外国資本に特権を認めるというようなことで、こういう協定を結んでいくということになりますと、やはり経済侵略とかそういうような批判も受けることになるのではないかと思います。  一九八九年に締結をした中国との投資協定では、中国政府は、一つ投資財産事業活動に対して、本文では内国民待遇を認める一方で、議定書で例外を設けました。公の秩序、国の安全、そして国民経済の健全な発展のために真に必要な場合、これが例外の内容だと当時外務省は説明をいたしました。  私ども、こうしたことはどの協定でも認めるべきことではないだろうか、また、補償に関する待遇についても内国民待遇とはしなかったのですが、これも常識的に考えれば同意できることではないかというふうに思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  72. 西田芳弘

    ○西田(芳)政府委員 協定の枠組みについて御説明申し上げます。  日中の投資保護協定につきましても、それから香港との投資保護協定についても同様でございますけれども、投資を許可するか否か、あるいは投資の許可に関連する事項につきましては、協定においては最恵国待遇を与えるということを定めているわけでございます。  御質問の点でございますけれども、許可が与えられた後の投資財産あるいは収益あるいは投資関連する事業活動についての保護につきましては、日中の投資保護協定におきましては、今御指 摘ございましたように、公の秩序、国の安全あるいは国民経済の健全な発展のため真に必要な場合に関係法令に従ってなされるものにつきましては、内国民待遇の例外を定める、そのように一般的な表現で内国民待遇の例外を定めつつ、内国民待遇最恵国待遇を与えるという形になっております。  それから、香港との投資保護協定につきましては、そのような一般的な表現で内国民待遇の例外を規定するのではなくて、むしろより具体的に、十二条に例外の事項を規定してある、そういう仕組みになっております。
  73. 松本善明

    ○松本(善)委員 国会で質問するときには、中国投資協定のときはどうだったか、今度の香港協定はどうだったかぐらいのことは全部知って質問しているんですよ。だから、質問に答えないとぐあい悪い。  外務大臣、私は、中国に認めたようなことは一般的に同意できることではないだろうかと思うんですが、外務大臣はいかがでしょうかということであります。
  74. 池田行彦

    池田国務大臣 これは、協定はやはり締約当事国でございます両者の話し合いで定めたものでございまして、香港との協定の場合に、今政府委員から御答弁申し上げましたように、個別の事項を十数項目特定してやったからといってそれが不適切であるということにはならないのではないかと思います。  これは、基本的に両国、両当事者の合意に基づくものであるということ、しかも、そのこと自体が、その定められた内容自体が国際法上あるいはその国際法の精神から見て非常に不適切なものであるということがあれば別でございますが、そういうこともないということならば、日中の投資協定と規定の仕方が異なっているということをもって、今回の御審議賜っております協定を不適切だとは必ずしも言えないのじゃないかと考えます。
  75. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣、それは条約ですから、それはすべて合意に基づいているから。だけれども、私が聞いておりますのは、やはり日本外交のあり方として、そういう発展途上国などが、投資を求めているとしても、その国の経済主権を認めるという方向で行かないと、大局的に日本利益にならないのではないかということを言っているわけです。  先ほど、新国際経済秩序について触れた答弁がありましたが、改めて外務大臣に伺います。一九七四年に国連で確認された新国際経済秩序の確立をめぐる動きは、大変大事なものであります。  七四年五月一日の第六回国連特別総会の新国際経済秩序の樹立に関する宣言では、「多国籍企業が、受け入れ国の完全な主権のもとに活動するため、受け入れ国の国民経済利益となる措置をとることによる国会業活動の規制および監視」ということが尊重されるべき基礎の一つとして明記をされております。これも重要です。  七四年十二月十二日の第二十九回国連総会で採択された諸国家の経済権利義務憲章第二章の第二条二項同、日本政府はこれは棄権した一つでありますが、「自国の法令に基づき、また自国の国家目的と政策の優先順位に従い、自国の国家管轄権及び範囲内で、外国投資を規制し、それに対し権限を行使すること。いかなる国家も外国投資に対し特権的待遇を与えることを強制されない」と規定されたことも、経済主権の基本内容として重要だと思います。  日本政府はこの国連の新国際経済秩序の樹立の動きに消極的だったことは、経過として十分承知をしております。しかし、国連で決議をされたことであり、これに沿って条約締結にも生かす必要があると私は思います。今回の投資保護協定内容は、この国連決議とも大きく異なっており、むしろ逆行した内容になっているのではないかと思いますが、外務大臣、いかがお考えですか。
  76. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 委員指摘の一九七四年の国連決議でございますが、その第二条二項同をただいま読み上げられたわけでございます。この点につきまして、先ほどアジア局長の方から既に答えておりますけれども、ある国が自国の法令に基づきいろいろな措置をとる、外国の投資に対して規制をするということが基本的に二項同に書いてあるわけでございますけれども、そういう権利の乱用防止について、この二項同は十分でないというのが私どもの考えであるわけでございます。  現在の協定との関係で申せば、こういう国連決議に私ども問題があると考えて棄権したわけでございますが、むしろ、外国との投資を一般的に円滑にスムーズに行うという見地から、七四年の国連決議の当時も、あるいは今日においても、諸国間の円満な投資交流促進を図る、こういう立場に立っておりまして、そういった見地から今回の条約締結されたものと理解しております。
  77. 松本善明

    ○松本(善)委員 やはり過去の説明なんですよね。だから大臣、私は、日本政府がこれに消極的だったことはもう十分承知している。だけれども、決議をされたので、やはりこれに沿うべきではないか、今回の協定はこの決議からは大きく後退しているのじゃないか、外務大臣、どう思うかということを聞いているんですよ。やはり外務大臣じゃないと答えられないんじゃないかな。ちゃんと外務大臣に答えてほしいと思うんです。
  78. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 私の答弁が意を尽くさなかったかもしれませんけれども、私ども、一九七四年の国連決議の当時においても、そして今日においても、同じような考え方に立って国際投資交流の問題を考えているということでございます。
  79. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣はいいですか、それで。
  80. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来政府委員から御答弁申し上げましたように、我が国は、七四年の憲章につきましては、差別的措置をとる等の権利の乱用があった場合の歯どめがないという観点から棄権したわけでございます。委員の御指摘は、それにしても憲章が決議として成立した以上、それに沿ってやるべきではないかという御質問でございますけれども、私は、今回の協定が必ずしもこの新国際経済秩序の精神とするところと背馳するものではないのじゃないか、こういう感じがいたします。  いずれにいたしましても、我が国としてはこの憲章の採択には棄権しておるわけでございますので、今回のような協定締結することが妥当でないということは言えないのじゃないかと思います。
  81. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣とはかなり大きく見解が違うのですが、やはりこれからもこういう投資協定がありますから、私は、日本政府が大きく世界全体の経済の発展と日本外交の大局的利益考えて検討されるべきことを要請しておこうと思います。  ガイドラインについて若干お聞きをいたします。  近く中間報告が出るということでございますが、このガイドライン見直しの中で、情報提供ということについて絞って一点伺いたいのです。  日本が平和時、しかし日本の周辺が平常時でない、米軍がどこかの国と戦っているというときに、米軍の相手の部隊の位置あるいは潜水艦や航空機の位置を自衛隊が収集し、それを戦っている米軍に提供をするということは米軍の戦闘を支援することになって、憲法上許されないことになるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  82. 折田正樹

    ○折田政府委員 今委員指摘のように、日米防衛協力のための指針の見直しの作業をしております。できるだけ早く中間的な取りまとめの作業を終えまして公表し、正確な状況認識を踏まえて議論を尽くしていただきたいということで、私ども今作業を急いでおるわけでございます。  今議員、情報収集、情報のお話がございました。今具体的にどういう協力項目があるかということについては、まさしく今検討中でございますので、その中身についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、全く一般論として申し上げまして、安保体制のもとにおいて、日米両国が平素から軍事情報を含め相互に必要な情報交換を行うことは当然のことであると考えております。このような一般的な情報交換は実力の行使には当 たらず、憲法上認められていない集団的自衛権の行使には当たらないという考えでございます。
  83. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはかなり進んできているので、その程度の答弁では済まないんじゃないかと思うのです。  元アメリカ国防長官の対日特別補佐官でありましたジェームス・アワー・バンダービルト大学教授は、昨年十二月三日付の世界週報に発表した論文の中で中曽根内閣時代の日米軍事協力に触れて、「海上自衛隊のP3C対潜哨戒機は、米第七艦隊のP3Cと共に日本海で洋上警戒任務に就いていた。一日交代に行われる両海軍による洋上警戒に一秒たりとも空白はなく、収集したすべての情報は互いの航空機に積載されたコンピューターを通じて直接交換された」、こういうふうに述べておるのです。  日米軍事協力はここまで来ているわけです。これ自体問題ですが、日本が平時のときに、米軍は戦闘している、その米軍の敵の動きを自衛隊が収集し、米軍にリアルタイムで提供するということ。情報提供なら構わないというふうな答弁でありましたけれども、米軍はその情報によって攻撃するということになる。つまり、自衛隊が提供した潜水艦の位置あるいは航空機の位置情報に基づいて米軍が攻撃をする、こういうことになるのですね。私は、その攻撃目標を提供することは立派な戦闘行為になる。これも、憲法違反だということは明言できないんでしょうか。外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  84. 池田行彦

    池田国務大臣 基本的に、集団的自衛権云々ということは、これは実力行使にかかわる概念であろうと考えております。したがいまして、今いろいろ委員からも御指摘ございましたけれども、私は、偵察行動自体が実力行使になるということはないのじゃないかと考える次第でございます。
  85. 松本善明

    ○松本(善)委員 あとは撃てという命令だけなんですよ。攻撃目標までの情報は全部きれいに自衛隊が提供する。あとは米軍が撃つということを言うだけ。ここまで情報提供するのがやはり憲法違反であるということを外務大臣が言えないとすれば、私は、このガイドラインの見直し問題というのは本当に危険な、文字どおり集団自衛権の行使、憲法に違反するものだというふうに申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  86. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、中川智子君。
  87. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  まず最初に外務大臣に、今とても頭が痛い問題についてちょっと伺わせていただきますが、北朝鮮への食糧支援の問題につきまして質問をさせていただきます。  今申しましたように、この問題をめぐってはさまざま御事情もあるかと思いますけれども、先日も外務大臣所属の自民党の幹部が、隣の一番近い国で餓死者が出ているときに、三百万トンの米が余っている日本が手を差し伸べないで信頼関係が構築できるのか、人道的に勇気をもって飢えを助けるのが日本の責任ではないかというような御発言がございました。  外務省は人道問題協議と並行して食糧支援を考えるべきだと思っておりますが、それに対しての外務大臣のお考えをまず最初に伺わせてください。
  88. 池田行彦

    池田国務大臣 私ども、北朝鮮が非常に逼迫した食糧事情にあるということは承知しております。また、そういったものを踏まえまして国連機関が人道的立場からの支援のアピールを発出し、それにこたえてかなりの国が食糧支援を行っているということも承知しております。  さて、日本としてそういったことをどう考えるかということでございますが、我々も、必要なときまた適切なときには、北朝鮮の食糧事情考えて支援することにやぶさかではございません。その証拠に、過去において国連のアピールに応じて、また場合によっては二国間のルートを通じて支援を行ってきているわけでございます。したがいまして、現在も、一体どういうふうに対応するかは検討しているところでございまして、これはやらないとも言っておりませんし、しかし、やるとも申せませんということでございます。  それで、何といいましょうか、食糧が余っているからとか、だからやるべきじゃないか、決断するべきじゃないか、そういうことをおっしゃる方もおいでになるのはよく承知しておりますけれども、一方におきまして、人道、人道と言われるけれども、日本人の人権が侵害されていること、あるいは日本人について人道的な扱いが行われていない、そういった事態がある。それに北朝鮮がかかわっていたり、あるいはかかわっているのじゃないかといった疑いを持たれる、そういった状態が一方にありまして、そのような事態について何らかの変化もないままに、人道的立場からだといって米の支援をするのはいかがなものかという御意見あるいはお気持ちが、国民の中にもかなり強いものとしてあるというのも事実でございます。そういった状態の中でどういうふうにやっていくか、いろいろ検討しているわけでございます。  もとより、先ほど言いましたような事柄を直接私どもリークしているわけじゃございません。しかし、国民の皆様方に拠出していただいた日本の税金を使って行う支援活動でございますし、今倉庫に幾らあろうとも、やはりこれは国民のための食糧であり、また、場合によっては必要が生ずる事態考えながら備蓄されているものでございますので、国民の中に大きなわだかまりがある状態のままで支援を実行するというのは、なかなか簡単に割り切れないところでもあるということでございます。  したがって、そういった事態が氷解するようなことにならないのかなと。例えば北朝鮮の方におかれましても、今申しましたような、我が国の国民が人道的な観点から求めていることについての何らかの姿勢の変化と申しましょうか、そういった状態がよくなるための適切な対応というものがないものかな、そういうところも見ているところでございます。
  89. 中川智子

    中川(智)委員 最近、その人道的という言葉がすごくよく使われますし、私自身も、人道的と言われますと、何か言葉がそれ以上出ないということもございます。  一つには、日本と北朝鮮との関係の中での日本人妻の問題、拉致事件、それもまた一方で人道的。そしてまた飢えた子供たちが現実に存在していて、もう六月ぐらいには大変な状況になるかもしれないというのも一つの人道的なこと。人道的なものがあちこちばらばらになっているような気がするのですが、大臣は人道的という言葉をどのように理解されていらっしゃいますでしょうか。人道的という言葉についての。
  90. 池田行彦

    池田国務大臣 これは一般的な定義をしても無意味だと思います。これは、具体的にどういう事柄について、あるいはどういう事態について今ひっかかっておるかとか、あるいはどういうことを考えてある行為をしろと言っているか、そういうことから考えなくてはいけないのだと思います。  委員もそうでございましょうが、今人道的な見地から支援をしろとおっしゃいますのは、北朝鮮が非常に食糧事情が悪くて困窮しておる、そしてそういった状態の中で、一説によれば幼児を中心にして餓死者も出ている、いや、そうでもないんだという説もございますけれども、いわゆる食糧不足に基づく非常な北朝鮮の住民の困窮した事態、それを前にして人道的な見地から看過できないのではないのか、そういう意味でございましょう。  一方におきまして、日本の国民の中で別の角度からの人道的な問題があると言われておりますのは、御承知のとおり、かつて一九五〇年代あたりに多数の日本人の女性の方が北朝鮮の方と結婚されてあちらに行かれました。その当時、千八百人を超える方があったと思います。その当時はそうでございます、そういった方々が現在どうしておられるのか、その消息がわからない。また、日本に帰ってきたいという御希望もあるかもしれない、しかしその帰国の望みもかなわない、これを そのまま放置することが果たして人道的なことと言えるのだろうかという問題がございます。  この問題につきましては、過去にも何度か北朝鮮とも交渉いたしまして、向こうも場合によってはある程度応じてもいいよという弾力的な姿勢の兆しを見せたこともありますけれども、現在まで実現せずにずっと時が経過している。それを人道的な見地から何とかしなくてはいかぬのではないかというのが一つございます。  それからいま一つは、行方不明になっておられる方々の中で、これは北朝鮮の関係者が拉致したのではないかという疑惑が持たれるというケースがかなりございます。もしそれが本当であるならば、これは人道というよりも人権そのものにかかわる大変な問題ではないかということが言われている。そういった観点から、人道という問題が本件をめぐっていろいろな別の事柄について言われているんだというふうに承知しておる次第でございます。
  91. 中川智子

    中川(智)委員 私は、むしろそれは人道的というふうなものを大義名分とした駆け引きのような気がしますので、やはり飢えた子供たち、そして、本当に食べるものがなくて困ったというのは、先日の質問のときにも申し上げましたように、今回の阪神・淡路大震災の後、いかに飢えるということが苦しいものなのか、そして救いの手というのがどれほどうれしいものなのか、それを実感いたしまして、私の友人たちのNGOのグループも北朝鮮に食糧を送る運動を、お米を送る運動をずっとしました。本当にただでさえお金がない状態の中で、今内閣委員会もNPO法案で一生懸命やっていますけれども、そういう法律も確立されていない中でみんな必死に、やはり助け合おう、人と人とが助け合うことが大事だ。大切な問題というのがこっちにあるかもわからないけれども、まずはそれはおいておいて、本当に命を助けていく、お互いが、人と人とが手をつないでいくことの大事さということをNGOではやっているのです。政府政府ができないならば、このNGOの、NPOの活動に対して政府が後ろから後押しをするというお考えも今のところはないのでしょうか。ちょっと短い時間でお願いします。
  92. 池田行彦

    池田国務大臣 確かに、幼いお子さんが飢えておられるというのは、それは大変お気の毒なことでございます。それは何とかしなければいけない、してさしあげたいと思うのが、それが当然の人情というものでございます。  しかし、肝心なのは、まずそういった当然の人情を北朝鮮の為政者の方に持っていただきたいと思います。食糧事情が非常に厳しくて国民は苦しんでおられるのでございましょうけれども、今も百万を超える軍隊を維持し、それを軍事境界線の近くに前方展開しておる、そういった状態の中で、一方で幼子が飢えている、食糧を支援しろと、そこだけ見ていいのでございましょうか。まず最初に北朝鮮の為政者が資源の適正な配分をして、まず国民の民生を安定することに努められるべきではないでしょうか。そしてまた、周辺諸国との関係も改善すべく努力されるべきではないでしょうか。  しかし、それが一挙にできないことは我々もわかっていないわけではない。だから、できればその支援はするということも必要だろうというので、検討はしているわけでございます。しかし、それをやるためには、先ほど申しましたように、他方において日本の国民がなかなか納得できない事情もあるじゃないか、これについて少し改めたらどうかということを直接、間接にいろいろ北朝鮮に対しても働きかけております。せめてそのぐらいの姿勢の変化はあってしかるべきじゃないかと存じます。
  93. 中川智子

    中川(智)委員 ぜひとも大臣の人道的なあれが、温かくて優しくて、そしてそのような問題はとても時間のかかる解決でございますので、これは割と緊急を要するというところの事情がございます。ぜひとも訴えたいと心からお願いいたします。  それで、これは通告していなくて申しわけないのですが、ぜひとも我が党の議員から聞いてもらいたいと言われまして、ちょっと伺いたいのです。社民党としてアメリカ軍の基地の弾薬庫の日本人立入調査をお願いしたのですが、断られてしまったのです。それに対して、なぜかということを答えてくださる方はいらっしゃいますでしょうか。無理ですか。
  94. 池田行彦

    池田国務大臣 私も具体的にその事情を承知しておりませんので、明確な御答弁は差し控えさせていただきたいと存じますけれども、私が一般的に承知しておりますところでは、やはり日米安保条約に基づいて、駐留する米軍のいろいろな行動について、米軍の運用上の問題もこれあり、やはり公開できる部分と公開できない部分とがあるという中で、従来から弾薬庫については外に公開するということは行われていなかったというふうに承知しております。いずれにしても、その具体的な事情は存じませんので、最終的といいましょうか、そういったお答えは控えさせていただきたいと思います。
  95. 中川智子

    中川(智)委員 与党としての働きも一生懸命しておりますゆえに、ぜひともこのあたりはよろしくお願いいたします。  それでは、時間がもうわずかになりましたので、きょうの投資協定のことで一つ質問をさせていただきます。  香港ドルは、今、米国ドルと連動していまして、基本法の第百十一条に「香港ドルは香港特別行政区の法定貨幣とし、引き続き流通する」と規定されていますが、その流通期間については触れられていません。中国が、一人当たりのGDPで五十倍の香港経済を拙速に吸収、統一して香港経済自体の崩壊を招くようなことは考えられませんけれども、早晩、香港ドルの中国人民元への統合が中国の内政問題として浮上してくると考えられます。  そこで、このような状況になれば、通貨の移行が行われると予測していいのでしょうか。大蔵官僚でありました経済通の池田外務大臣の御見解をぜひとも伺いたいと思います。
  96. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 私どもの理解は、まず制度的な点から申しますと、一国二制度という方針のもとで、香港ドルについても、これが引き続き流通するということを、一九八四年の英中共同声明と、中国国内法として中国が制定した香港基本法において規定しておりまして、これらは五十年間変わらないとされていると思います。  したがいまして、私たちは、その五十年間というものが続くかについても、まず期間としてあるということだろうと思っております。しかし、その五十年後の時点で香港の通貨のあり方がどうなるかということを現時点で予測することは、これはできないことであろうと思うのでございます。  ただ、香港が、現在の国際金融センター、貿易センターとして機能していくということに今現在利益を見出している国がほとんどだろうと思います。この中には中国自身も含まれているということだろうと思うのでございます。したがって、そういう趨勢と申しますか状況というものも、今現在において制度的な側面からできるだけ確保しておこうという観点で、今回の日港投資保護協定日本の場合は締結したということがございます。  ほかの国もおおむね同じような感じで同じようなステップをとっているということだろうと思います。そういうことで、むしろ中国を含めて国際社会が、そのような方向を引き続き志向していくということを確保していくということが、香港返還後も重要なことであるだろうと思っております。
  97. 中川智子

    中川(智)委員 そうしたら、お米のことと弾薬庫のことをぜひともお願いして、最後に委員長に、中川智子さんと、これからは女性はさんづけでよろしくお願いいたします。失礼いたしました。
  98. 逢沢一郎

    逢沢委員長 以上で中川智子さんの質問は終わりました。  これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  99. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより本件に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
  100. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、投資促進及び保護に関する日本国政府香港政府との間の協定に対する反対討論を行います。  我が党は、八九年の中国との投資保護協定に賛成をいたしましたが、その理由は、協定本文で、投資財産投資活動は内国民待遇と認めながらも、議定書では、「真に必要な場合において他方の締約国の国民及び会社に差別的な待遇を与えることは、「不利な待遇」とみなしてはならない。」と規定し、また補償に対する待遇についても本文で内国民待遇を与えないなど、中国側投資活動に対する一定の規制権を認めていたからであります。  しかしながら、本件、香港との投資保護協定は、投資財産及び投資活動、さらに補償に対して、内国民待遇を認めるものとなっております。全体として、香港との協定は、中国との協定よりさらに内容的に後退したということが反対の第一の理由であります。  さらに、香港は、多国籍企業の投機的金融のアジアにおける活動の拠点であり、また利子源泉地課税が撤廃されるなどの租税回避地、タックスヘーブンでもあります。こうした香港投資保護協定を適用することは、発展途上国以上に問題を含むと思うからであります。投資を認める場合でも、国連総会が採択した諸国家の権利義務憲章の一つである、受け入れ国の外国投資に対する規制権を前提とすべきは当然だということを指摘をして、反対討論を終わります。(拍手)
  101. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  102. 逢沢一郎

    逢沢委員長 採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  103. 逢沢一郎

    逢沢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 逢沢一郎

    逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  105. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  ただいま委員長の手元に、鈴木宗男君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び平野博文君共同提案による特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書Ⅲに関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。玄葉光一郎君。
  106. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び平野博文君を代表いたしまして、ただいま議題となりました動議につきまして、その趣旨を御説明申し上げますが、以下申し上げる案文をもって趣旨の説明にかえさせていただきたいと思います。     特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書Ⅱに関する件(案)   対人地雷禁止は、今や世界共通の政治的・人道的・環境的課題である。一般市民に多大の被害をもたらす対人地雷は、紛争終結後の平和構築と復興開発のための国際的な努力にとって大きな障害となっている。   本議定書の批准に際し、政府は次の事項につき誠実に努力すべきである。  一 リヨン・サミットにおいて全世界に向けて表明した対人地雷に関する我が国の自主的措置を着実に実施すること。  二 国際連合及びNGO等が取り組んでいる地雷除去活動等に対し、一層の支援を行うこと。  三 地雷探知及び除去のための技術開発に積極的に取り組むこと。  四 対人地雷の被害者救済のための施策を一層強化すること。  五 対人地雷の使用、貯蔵、生産及び輸出入を禁止するための国際的な合意の早期達成に向け、関係諸国と連携して一層の努力を払うこと。   右決議する。 以上でございます。
  107. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。鈴木宗男君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 逢沢一郎

    逢沢委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣池田行彦君。
  109. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。  政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を踏まえて、対人地雷問題の国際的な解決に向けて最善を尽くす所存であります。
  110. 逢沢一郎

    逢沢委員長 お諮りいたします。  ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 逢沢一郎

    逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十九分散会