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1997-05-21 第140回国会 衆議院 外務委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十一日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君 理事 松本 善明君       安倍 晋三君    石崎  岳君       大村 秀章君    河野 太郎君       櫻内 義雄君    下地 幹郎君       林  幹雄君    原田昇左右君       森  英介君    坂口  力君       島   聡君    松沢 成文君       丸谷 佳織君    山中 燁子君       若松 謙維君    井上 一成君       藤田 幸久君    古堅 実吉君       中川 智子君    平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      西田 芳弘君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省中近東ア         フリカ局長   登 誠一郎君         外務省経済局長 野上 義二君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         環境庁企画調整         局地球環境部環         境保全対策課長 小林  光君         外務大臣官房審         議官      中島  明君         外務省中南米局         長       田中 克之君         大蔵省主税局税         制第二課長   森信 茂樹君         文化庁文化財保         護部伝統文化課         長       水野  豊君         厚生省薬務局審         査課長     鶴田 康則君         通商産業省環境         立地局環境政策         課長      松永 和夫君         郵政大臣官房国         際部国際政策課         長       新保  智君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   柿澤 弘治君     林  幹雄君   新藤 義孝君     大村 秀章君   伊藤  茂君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     新藤 義孝君   林  幹雄君     柿澤 弘治君   中川 智子君     伊藤  茂君     ――――――――――――― 五月二十日  北朝鮮に拉致・抑留されている日本人日本人  妻・帰国者に関する請願(東中光雄君紹介)(  第二八八四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協  定の譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修  正及び訂正に関する確認書締結について承認  を求めるの件(条約第一四号)  サービス貿易に関する一般協定の第四議定書  の締結について承認を求めるの件(条約第一五  号)      ――――◇―――――
  2. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより会議を開きます。  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する確認書締結について承認を求めるの件及びサービス貿易に関する一般協定の第四議定書締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  3. 河野太郎

    河野(太)委員 おはようございます。河野太郎でございます。  少しWTOに関して質問をさせていただきたいと思います。  最近の我が国の流れは、バイ交渉からマルチ協定に基づいた場で問題解決を図ろうということでございますが、最近、WTOパネルに物事が持ち込まれているケースがいろいろ多いようでございます。酒税法しかり、最近のコダックの問題についても同じようなことだと思います。バイからマルチへということでありますと、今後WTOパネルによる問題解決がますますふえていくことになると思いますが、このパネルというのは、いわば裁判所で原告と被告が裁判をやる、三名のジャッジの前で裁判をやるということに非常に近いのではないかと思うのですが、そういう裁判を維持していくということになりますと、弁護士と申しますか弁護士のような役割を果たす人間が非常に多く必要になってくるのではないかと思います。  アメリカですと、USTR中心に商務省その他がサポートをする、日本ですと、外務省なり通産省中心に各省がサポートをするということになると思います。例えばアメリカですと、今度のコダックケースUSTRが主に中心になっていろいろ作業しておるようでございますが、例えばワシントンに本拠地がありますデューイ・バランタインといったような弁護士事務所が、多額の報酬を得てこれを全面的にバックアップして、いろいろな資料を集めるところから、日本語資料を英語に翻訳するあるいはパネル提出する書類をつくる、そういうところまでサポートをしております。  そうしたものを考えますと、両国の政府の中で、こうしたWTOパネルを維持するための人的資源というのは、日本アメリカ比較してどれくらいの差があるのか、あるいは差がないのか。また、政府の外側を取り巻く民間の弁護士あるいは弁護士機能を持っている人たちの数を総合して勘案をいたしますと、日本アメリカでこのWTOパネルを維持していくための人的資源の差というのがどれぐらいあるのか、少し具体的にお伺いさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  4. 野上義二

    野上政府委員 御説明します。  御承知のように、日米間で政府の体制も異なりますし、USTRというのは極めて米国に独自の法律に基づく制度でございますので、単純に人的リソースを何名だということで比較することは難しいわけでございますけれども、非常に大ざっぱ に申しますと、USTR、現在百七十七名の職員が勤務しております。それに対応します私ども外務省経済局で百四十八名。その中で、USTRの中もいろいろな問題をやっておりますけれども、例えばWTOパネル関係WTO関係だけをとってみますと、USTRで十二名、私どもの方のWTOガット担当課が三十名ということでございます。  もちろん、これは単純にUSTR外務省だけを比較しておりますけれども、今先生指摘のように、酒税の問題につきましては私ども大蔵省主税局と御協力してやっていく、それからフィルムの問題につきましても外務省通産省と協力してやっていく、それに加えまして、私ども条約局多国間の条約を扱っている部局がございますけれども多国間の経済関係協定を担当している者が約二十六名、そういうことで、どちらが手厚いか手薄いかということの比較にはなりませんけれども、数字で申し上げれば大体そんな比較になります。  それから、弁護士の問題でございますが、確かに、米国弁護士事務所がいろいろな問題についてUSTR準備を手伝ったというような、いろいろなことが言われておりますけれども、基本的には、WTOパネル審議には政府関係者のみが参画できることになっております。そういった意味で、準備過程とかいろいろな資料をつくる過程において、米国弁護士事務所米国側において活用されているということがあるかもしれませんが、私どももやはり、酒税パネルにつきましてはアメリカそれから英国弁護士事務所、それからフィルム等につきましても日本弁護士事務所なり米国弁護士事務所示唆を受けたり、いろいろな紙の提出の仕方とか法律の論点の整理の仕方等につきましては、私どもといたしましても、米国英国我が国弁護士事務所等専門的知識は活用させていただいております。
  5. 河野太郎

    河野(太)委員 今、資料提出の仕方その他に関しまして米国側弁護士示唆を一部受けているというような御発言でしたが、ワシントンへ先般参りまして、USTRあるいはその周辺の方々の御意見をいろいろ伺いますと、今度のコダックケースは、アメリカの出した資料に対する日本側コメントの仕方が誤っているのではないだろうか。  その日本側コメントを見ますと、アメリカが今回、訴えというのが正しいかどうかわかりませんが、アメリカが訴え出ている問題はすべてクラウンドレスだ、そして、そのアメリカ側の提訴したものすべてについては、日本政府はすべて正当にガットルールに基づいているというようなコメントをしているが、こういうコメントの仕方をすると、一カ所でもアメリカ側の言っていることが正しいという証明がされると、そこが突破口になって、日本の形勢が非常によくないのではないだろうか、そういうような指摘がいろいろございます。これについては、日本政府側はどのようなお考えでこういうコメントをされたのか、あるいはそうしたアメリカ側コメントについてどうお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  6. 野上義二

    野上政府委員 現在係争中のパネル内容でございますので、具体的な内容にわたって、各ポイントについて申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、今先生指摘のように、日本側反論書のつくり方が必ずしも妥当でなくて、それによってアメリカ側が有利になっているというような認識は持っておりません。事実、前回のパネル審議等におきまして、私ども指摘したポイントに対して米側は回答ができずに、後刻に調査の上答えるというような形で、答えを留保したポイントが非常にございます。  また、クラウンドレスという点については、我が国にそういった制度がないものを、例えば、あたかもあるごとく、こういった制度があるのでこういった障害が起きているというようなことが米側陳述書にある場合には、それはそういった措置はないということしか言えない、そういった措置がない以上、そういったものがないという形で答える。ないしは、既に終わってしまった、今から十何年前に終わってしまったような措置について、あたかもそういった措置が継続しているような形での陳述がなされる場合には、私どもとしては、そういったものは既にないということを答えるしかないということでございます。
  7. 河野太郎

    河野(太)委員 このコダックに関する案件についてもう少しお伺いをいたしますと、アメリカが、パネルへ持ち込む前に日米の二国間で交渉をしようではないか、そういう提案をしたところ、これは外務省ではなくて通産省かもしれませんが、もう全くの門前払いであった。門前払いという言葉が、日本語アメリカ側文書にもモンゼンハライとローマ字化されて出ておりますが、そうしたことによって、アメリカ側は、ワシントンは非常に感情的になっているところがどうもあるようでございます。  本来ならば、二国間交渉をやった上で、決着がつかないからWTOへ行こうではないかというのが向こう考える筋なのかもわかりません。WTOパネルでも最初は二国間で交渉をするというようなプロセスがあると思うんですが、アメリカ側は、とにかく日本側が全く日米でやろうという意思がなくて、もう最初からパネルへ持ち込めというような形で門前払いをしたと受け取っているようでございます。  これについて外務省は、これでよかったのかどうか、あるいは次のケースのときには、また今回と同じように向こう側門前払いと認識するようなやり方でいいのか、あるいは次回は少しWTOの前に日米で何か交渉を始めるのか、その辺のお考えはいかがでしょうか。
  8. 野上義二

    野上政府委員 フィルムケースにつきましては、正直なところ日米双方、いろいろ言い分があるわけでございます。  私どもの理解しているところによりますと、当初、米国は、日本フィルム市場に競争制限的な行為、措置があるということを言ってきたわけで、私どもとしては、それならば日本競争法に基づいた手続をとって、しかるべく国内的救済を求めてはいかがかというのが基本的な立場であったわけでございます。  それに対して米側は、そういった我が国競争法に基づく国内救済的な手続ということよりも、どちらかというと交渉で決着したい、しかし、それはやはりどちらかといえば、我が国市場に競争制限的な活動我が国の企業によって行われているのであれば、それは我が国国内法でしっかりと救済の道が開かれているのであって、その法的を手続をとっていただきたいということを言っていたところ、米側WTOに持っていったということでございます。  一般的に、WTOに行く前に二国間でやるか多国間でやるかというような話がございますけれども、基本的には、WTO紛争処理手続も初期の段階は二国間でございます。  二十二条協議とかいろいろございまして、二国間で話し合いをして、WTOの場でWTOルールに基づく関係国の二国間協議が調わなかった場合にパネルに行くわけでございますので、そういった意味で、WTOに行くと完全に二国間が排除されるということでもございませんし、また、すべての案件WTOの場でやらなければいけないということでもないかと思っております。
  9. 河野太郎

    河野(太)委員 もちろん裁判ですから、当事者二人が大分意識に差があってこれはしかるべきだと思いますが、少し温度差が大きいような気がいたします。  もう一つ、今度は通信の問題になりますが、アメリカが、NTTアメリカ及びKDDアメリカFCC認証を留保したと伺っております。その原因が、NTT及びKDD外資規制と、それからNTT調達について不満である、ゆえにNTTアメリカKDDアメリカFCC認証をとめるということのようでございますが、FCC認証と、NTT調達あるいは外資規制という問題は、本来全く別な話ではないか、そうしたもの をこうやってリンクすることは、サービス貿易協定最恵国待遇義務違反をしているのではないかと考えられると思いますが、いかがでございましょうか。
  10. 野上義二

    野上政府委員 今先生指摘FCCによるNTTKDDライセンスの保留でございますが、私どももやはりFCCによる認証と、NTTKDD外資規制NTT調達取り決め問題というのは、これは全部別の問題であるというふうに考えております。  したがいまして、NTT及びKDDに対する外資規制の撤廃及びNTT調達取り決め延長、これはことしの九月に一応現行取り決めが切れるわけでございますけれども、その延長を条件として認証を留保するという米国のアプローチ、米国は別に文書等でこれをリンクすると言っているわけではございませんけれども通商上の考慮からこれを留保する。  バシェフスキー通商代表等議会証言等においては、具体的にこの外資規制の問題と調達の問題をリンクした形で発言されておりますけれども、そういったリンクというのは、今申し上げたように、関係ないものをリンクするということ、それから、ことしの二月に合意された、今回お諮りいただいている基本電気通信合意の基本的な自由化という概念にも合致しないと思っております。  ただし、現行では、基本電気通信に関するWTOサービス合意がないわけでございますので、仮に今御審議いただいている基本電気通信合意が発効しますと、この電気通信合意に基づきます最恵国待遇、内国民待遇等違反になり得るかと思っております。現行では、具体的な規定はございません。
  11. 河野太郎

    河野(太)委員 まずNTT関係の法案を整備した上で、この問題に政府がいろいろと取り組んでいくことになると思いますが、今後、この問題に関しまして、外務省あるいは郵政省は、アメリカに対してどのような申し入れをしていくのか、あるいはどのような行動をとっていくおつもりであるのか、そこをお伺いさせていただきたいと思います。
  12. 野上義二

    野上政府委員 私どもといたしましては、従来から、この問題についてはあらゆる機会を通じまして、関係ないものをリンクするというのはおかしいということを申し入れております。できるだけ早期ライセンス付与NTT及びKDDに対するできるだけの早期ライセンス付与を求めているということでございます。  ただ、いずれにいたしましても、米国は、最恵国待遇の留保をここで、基本電気通信合意でやっておりませんので、そういった意味で、これが発効いたしますれば、この取り決め、新しい合意に対して違反する状態が生じるのではないかと思っております。  ただ、いずれにせよ、それまでの間にできるだけ米側と話し合って、早期ライセンス付与を求めるという方向で対応してまいります。
  13. 河野太郎

    河野(太)委員 今回、NTTKDDを除く第一種事業者外資規制を外しましたが、NTTKDDだけ外資規制が残っている、この理由と申しますか、背景はどうしたものであるか、御説明をいただければと思います。
  14. 新保智

    新保説明員 お答えいたします。  NTTKDDにつきましては、ほかの新規事業者と異なりまして、日本全国あるいは全世界に及ぶ基幹的な枢要な電気通信網を構築して、我が国国民生活あるいは社会経済活動を支えるという非常に重要な電気通信事業者であるというふうに考えております。  NTTはあまねく電話を確保する、KDDにつきましては、常に全世界とつながるユニバーサルサービスを確保するという役割を担っておるというところでございまして、たくさんの新規事業者が今参入してきておりますけれども、依然としてNTTKDDの基本的な役割については変化がないというふうに考えております。そういうようなことから、NTTKDDにつきましては外資規制等を行っておるということでございます。  それから、主要国につきましても、一定の外資規制、あるいは代表的な電気通信事業者政府保有株式制度規制といういったようなものが維持されているというところでございます。
  15. 河野太郎

    河野(太)委員 時間が少し足りなくなってまいりましたので、ほかの関連質問一つ二つさせていただきたいと思いますが、一つは、ペルー事件に関しましてこの場をおかりして質問をさせていただきたいと思います。  ペルー事件に関しまして、もちろん現地外務本省あるいは本省の内部、いろいろなコミュニケーションがあったと思います。もちろん口頭のコミュニケーションもあったと思いますが、多くは外交文書という形でつくられたのだろうと推察をいたします。  いつかもお尋ねをいたしましたが、外交文書というのは、一度機密指定をされてずっと外務省のどこかの倉庫で眠り始めますと、今の外務省マンパワーでは、なかなかこのマル秘規定を外す作業が遅々として進まないということがあるのではないかと思います。  幸いにも、このペルー事件の場合には、現在調査委員会でいろいろと調査をされているというわけでございますから、この調査過程で、この事件発生から解決までの間の外交文書をもう一度見直していただいて、本当にここで機密にしておく必要のない文書というのが数多くあると思います、そうした文書に関しましては、この時点で機密をできれば解除して公開をしていただきたい。このまま文書庫へ直行してしまいますと、期限が来ても、中南米局の人数が足りなくて、この文書見直しをして機密を外すということがなかなかできにくいのではないかと思います。  せっかくのチャンスですから、ぜひ現在の調査委員会マル秘を解除できるものは解除していただきたいということと、今回のペルー事件の場合に、どういった文書がどういう秘密あるいは機密指定を受けていたのか、あるいは、その機密指定が何年、何カ月あるいは無期限といろいろ種類があると思いますが、どういった文書がどういった指定を受け、どういった期間指定を受けているのかということもあわせて教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  16. 田中克之

    田中説明員 最初の、今回のペルー事件についての恥を調査委員会考えて解けという点につきましては、これは調査委員会権限というものの中に入るかどうかわかりませんが、いずれにしましても、外務省といたしましては、その都度これは秘に属するものかどうかということは常に検討したい、こういうぐあいに考えております。  それから、現地から本省に向けていろいろな外交文書、電報とかいろいろなものが出ておるのでございますが、これは、その中でもちろん秘のものがたくさん出ておるわけでございますけれども、やはり我々が、私も現地におりまして東京に連絡いたします際には、やはり外に漏れると人質生命等に問題が出てくる可能性があるもの、さらには交渉に関するたぐいのもの、この手のものはすべて秘にして送っておりました。  以上でございます。
  17. 河野太郎

    河野(太)委員 時間もなくなりましたので、これに関しましては、後ほど質問主意書を出させていただくことでやらせていただきたいと思います。  今お話のありましたように、交渉過程あるいは人質生命に関する部分が秘であるという発言でございましたが、無事に人質も解放され、交渉も終わりましたものですから、そうしたものに関しては恥の指定を外して一般に公開することが可能なのではないかと思います。  この事件に関しましては、日本のマスコミがいろいろな報道をしておりますし、交渉期間中もいろいろなことがございました。一般国民に何が起きていたのかということを、一刻も早く正しい情報を伝えることが何をおいても必要なことではないかと思いますので、調査委員会に新たに権限をつけ加えるなりなんなりをして、ぜひこうし た外交文書見直しというのをきちんとやっていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  18. 逢沢一郎

  19. 若松謙維

    若松委員 新進党の若松謙維でございます。  本日のWTO関連質問に入る前に、先日、皆様のお手元にお配りさせていただきましたアクションアジェンダを採決した地球環境国際議員連盟、いわゆるGLOBE、これがブラッセルで開催されました。五月五日から七日ということで、あえて自費参加ということで強調させていただきます。  本来ですと、小杉委員質問されるのが通常ですけれども小杉先生、今大臣になられておりますので、私がこの日の日本側参加者代表という形で出席いたしました。  そんな観点から、この大事な採決がございましたので、ぜひ外務大臣並びに関係省庁にもお伝えさせていただき、皆様方の前向きな今後の取り組みについての御答弁をいただきたく、この行動計画を読ませていただきたいと思います。  今回の参加者は、日本から参議院の堂本暁子先生加藤修一先生並びに私若松、この三名、そのほかにアメリカ欧州連合の、欧州議会国会議員並びにロシアの国会議員、そのほかにアフリカ、南アメリカ、さらに旧CIS加盟国、そういった約数十名の国会議員が参加された地球環境に関する会議となりました。  特に、今回のGLOBEに関しましては、御存じのように十二月に日本地球温暖化防止京都会議が控えておりまして、その成功に向けてGLOBEとして何ができるか、そういう点が注目となりました。  早速このアクションアジェンダを読ませていただきます。仮訳ですので、多少読みにくい点があるかと思いますけれども、御了解いただきたいと思います。     地球環境国際議員連盟       第十二回総会    ブリュッセル 五月五日~七日   地球気候変動に関する行動計画案仮訳)  気候変動枠組み条約リオ条約)と、ベルリンCOPI会議で採択された国際的実施義務と、十二月の京都COPⅢでの合意を目指して現在行われている温室効果ガスの排出に関する拘束的な規制についての交渉を重視し、「人類が気候に対して目立った影響を与えている事実は明らかである」としたIPCCの結論を想起し、リオ条約のAnnex1国の大多数が、一九九二年に確定された二〇〇〇年までの排出量を一九九〇年のレベルに削減する目標に到達しないことを憂慮し、気候変動を以前の状態に戻すためには、抑制するだけでなく、より厳しい規制合意される必要があると認識し、いかに厳しい内容でも、新しい排出規制がすべてのリオ条約を含む包括的な国際合意の一部にならなければ長期的に気候変動を抑制することは不可能であると確信し、一九九二年の地球サミット以来、気候変動の諸問題について市民の意識が高まったことに意を強くしつつ、この意識はまだ効果的な行動になっていないことを遺憾とし、この方向に向かっているさまざまな提言を歓迎しながらも、すべてのリオ参加国を含む気候変動についての多国間の環境合意交渉を目指すことは京都会議の重大目標であると考え、  A.GLOBEは議長国として日本政府の重要性を認識し、特定の期間内における有意義な削減目標を設置するために、交渉において日本政府が指導的役割を果たすよう、要求する。  B.GLOBEは以下の基本原則を踏まえた合意を得るよう、すべての京都会議参加政府に要求する。  1.少なくとも二〇〇〇年から二一〇〇年までを有効期間とする気候変動に関する多国間の法的拘束力のある環境合意に、リオ条約以降のより進んだすべての公約が正式な形で盛り込まれなければならない。  2.これらの公約の中には、五百五十ppmv以下のCO2関連の温室効果ガス(GHG)の絶対的上限の設置や、公平な根拠に基づいて「排出停止」が実現される日付の明示、そして共通の「以前の状態に戻す」という公約が含まれなければならない。  3.これらの公約は、それぞれの国のレベルで設置された排出ガス規制(それは三百五十ppmvCO2関連ガス以下だが)に一致した形で実施されなければならない(グリーンボックス)。また、MEAの発効期間中に二百ギガトンを超えない排出権利に関する世界的なこれは保管となっておりますけれども、管理の方が適切だと思います。管理銀行の設置が、公約に含まれる必要がある(ブルーボックス)。最後にグリーンボックスとブルーボックスのそれぞれの国に割り当てられている排出量を超えた場合(レッドボックス)にはペナルティーが実施されなければならない。  1.京都で採択される国際的実施義務に一致した形で、これらの原則が運用されるために必要となる規則と手続きが一九九九年十二月までに合意されなければならない。 これが先ほどの、特に四地域からの代表による国会議員によって採択された内容でございます。  特に、やはり十二月の京都会議に向けて、日本の対応はどうですかと関係者に聞いてまいりました。しかし、大方の意見は、何とかこの場を取り繕って、格好だけをつけて、だけれども日本がリーダーシップをとってどうのこうのしょうという、いわゆる意欲は見られない、そういう声が大変多うございました。そういった点も踏まえて、この京都会議に向けて、並びに先ほど申し上げましたGLOBEアクションアジェンダ、これについての、順番は環境庁並びに通産省、そして最後に政府代表という形で外務大臣から答弁をお願いいたします。
  20. 小林光

    ○小林説明員 環境庁担当課長でございます。  今お尋ねのGLOBE地球環境国際議員連盟活動並びに提案につきましては、私どもは大変検討に値する、またいい提案だというふうに考えてございます。  委員既に御承知のとおりだと思いますけれども、地球温暖化を危険のない水準にとどめておくということになりますと、二酸化炭素等の排出量削減をしていくということが大事でございます。そういう意味で、京都会議の成功ということになりますと、こうした大変難しい作業でございますが、これについての世界の取り組み、なかんずく先進国の取り組みに第一歩を刻む、こういうことになろうかと承知をしてございます。  そのためには、各国の国内できっちりした対策というものをこれから準備をしていかなければいけない。そういう中で、GLOBEは各国の立法者の方々のお集まりというふうに承知をしてございます。そういう意味で、こうした方々から対策の難しさといったようなことも踏まえながら御提言をいろいろ賜るということは、私ども、大変ありがたいというふうに考えてございます。  環境庁としても、微力ではございますけれども、京都会議を成功させるために、また一つ申し上げさせていただければ、国民各界各層が二酸化炭素を減らせるんだという手ごたえが感じられるようにする中で、この京都の会議をお迎えすることが一番重要ではないかというふうに考えてございます。  以上でございます。
  21. 松永和夫

    ○松永説明員 気候変動問題は非常に重要な問題でございます。環境問題であると同時に、経済、エネルギー問題でもございますので、通産省も、関係各省と密接に協力しながら、積極的に対応していきたいと思っております。特に、省エネルギーの強化あるいは新エネルギーの導入あるいは原子力の着実な推進といったようなエネルギー政策の 位置づけにおいて高いというふうに考えてございますので、こうした政策を現在も着実に進めているところでございます。  委員の方から御説明賜りました、GLOBE総会において採択されましたアクションアジェンダというものにつきまして、私どもも、非常に今後とも参考になる考え方だというふうに拝聴させていただいたわけでございます。特に、長期的な視野が大事であるということ等、あるいはまた我が国としてCOP3においてきちっとリーダーシップを発揮する必要がある、こういった御指摘はそのとおりでございまして、今のGLOBEの御提案も踏まえながら、今後のCOP3に向けましての議定書交渉に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  22. 池田行彦

    ○池田国務大臣 GLOBE地球環境保全に対する積極的な取り組みは政府としても高く評価しているところでございますし、先般の総会において採択されましたアクションアジェンダも、十二月の京都会議に向かって貴重な御提言と受けとめさせていただいておる次第でございます。  ただ、その内容は、特に具体的な計数にまで至って先ほども質問がございましたが、それがどうなるかは、京都会議もこれは国際会議でございますので、日本政府として、結構でございます、そのままそこで実現させますと申し上げても、これは何のお約束にもならぬわけでございますので、そこまでは申しませんけれども、貴重なアドバイスというふうに受けとめさせていただきます。  それから、もとより我が国としまして、ホストカントリーとして求められる、期待される役割を、そのまた責任を果たしていかなければいけないのは当然でございまして、今、環境庁、通産省からも現在の取り組み状況あるいはこれからの取り組みの姿勢について発言がございましたけれども関係省庁一丸となりまして、この京都会議の成功に向かって努力をしてまいりたいと思います。  具体的には、二〇〇〇年以降の地球温暖化防止についての国際的な枠組みというものを法的な文書の形できちんとつくっていくということを目指して努力してまいりたいと思います。そして、内容的にも、何といいましても地球温暖化防止の面において効果があるということが第一でございますし、また同時に、公平性であるとかそういった点にも十分配慮しながら、何とか関係各国の合意を取りつけてまいりたい、こう考える次第でございます。
  23. 若松謙維

    若松委員 外務大臣、実はGLOBEにはかなり科学者も参っておりまして、いろいろなデータ、これは議事録には無理だと思いますけれども、こういう形でCO2のちょっとこんなものがありまして、(資料を示す)ただきれいだなと思っている方もいらっしゃると思いますけれども会議では二つ大きくありまして、早く手当てしないともう間に合わない、いわゆるダメージがひどくなって、そのリカバーのためのコストが多くなるという考え方と、そうは言ってもやはりそれなりの枠組みはしっかりと時間をかけて、かつ最終的なターゲットまで四、五十年のタームでやらなければいけない、それが一つこの絵にあらわれるわけですけれども、やはりこの京都会議で一番大事なのはその枠組み、幾らまで量を制限して、かつそれを各国がどういうふうに配分していくか、どういうふうに決めていくか、それは大変、何というのでしょうか、非常にきつい交渉になると思います。まずその交渉役を、当然、日本がホストカントリーですのでリーダーシップを発揮するというのは各国が要求しております。  その中で、まず通産省に再度お聞きしたいのですけれども、まず日本として、九〇年レベルとかといういろいろな面でまだ努力が足りない、かつGLOBEのさまざまな参加者が、やはり環境庁はどうしても調整役にならざるを得ないのですけれども通産省、本元のところで、本当にやる気があるかというところで、大変厳しい指摘がございました。そういったところから、再度、この世界的な枠組みをつくるために通産省が本気になってやらないと、日本はホストカントリーとしての役割は得られない、私はそう認識しますので、そういった観点から再度答弁を求めます。  そして、大臣にはこの枠組みを京都会議でぜひともつくっていただきたい。そのための、ある意味で最大の努力を日本人として払っていただきたい、そう思いますけれども、再度外務大臣の決意をお伺いします。
  24. 松永和夫

    ○松永説明員 先ほども御答弁させていただきましたように、気候変動問題というのは、大変難しい問題ではございますけれども、長期的に人類の存続にかかわる重大な問題でございます。かつまた、早目に対策を講じませんと、将来的には非常に対策コストがかさんでしまう、あるいは対応がとれなくなってしまう、こういうこともIPCC等が指摘しているとおりでございますので、そういう考え方に立ちまして、通産省としてもぜひ全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  具体的には三点お話ししたいと思いますけれども一つは、二〇〇〇年の目標ということにつきまして、既に日本は国際公約で対外的にコミットしてございます。それを達成するために、二〇〇〇年に向けまして対策をどんどん積み増していくということが大事でございまして、具体的にはこの四月一日に、総合エネルギー対策閣僚会議で御決定をいただいたわけでございますけれども、省エネルギー政策、これは産業部門のみならず、民生、運輸部門を含めまして六十六項目の政策を決定いたしました。加えまして、新エネルギーにつきましても、今国会に制定をさせていただきましたけれども、新エネルギーの導入促進法を制定してございます。こうしたことの政策の上積みをいたしまして、二〇〇〇年目標の達成に努めてまいりたいと思っております。  二番目は、COP3の合意そのものでございますけれども、今外務大臣の方からも御答弁いただきましたように、環境保全上効果があって、かつまた公平なものであって、加えて具体的な対策の裏づけのある実行可能なもの、こういう三つの要件を備えた、意味のある実効的な合意というものを目指して努力してまいりたいと思っております。  三点目は、GLOBEの御指摘とも関連いたしますけれども、気候変動問題は、極めて息の長い、百年単位の問題でございますので、議定書交渉とあわせまして中長期的な国際協力の政策パッケージというものを、できればCOP3の中で合意を得たいというふうに考えてございまして、今関係各省ともいろいろ御相談をさせていただいているというところでございます。
  25. 池田行彦

    ○池田国務大臣 今通産省からも答弁ございましたように、我が国政府としても、地球環境保全、とりわけこの京都会議に向かいまして、積極的な取り組みをしているわけでございます。当然この会議におきまして、これからの二〇〇〇年以降の国際的な枠組みをきちんとつくっていかなくてはいけないわけでございますが、これは合意をした以上、実行しなくてはいかぬわけでございますので、そのために現段階でも政府部内で、今も説明がありましたように、具体的にいろいろな施策をもう既にとっている、あるいはとろうとしているわけでございます。  同時に、国際場裏におきましても、EUあるいは米国等々ともこの問題につきましてもいろいろな形で意見の交換なり、考え方のすり合わせもしておるわけでございまして、そういった上に立って、京都会議を成功に導くよう、そうしてまた、さらに将来に向かって本当にその効果が上がるような施策が国際的にも講ぜられるように、日本として積極的に取り組んでまいりたいと思います。  先ほど申しましたように、合意をすればいいのじゃない、合意をした以上はそれを実行しなくてはいけないわけでございますから、先ほど申しました効果の面、あるいは各国間の公平性と同時に実行可能なものをつくっていく、それで合意した以上実行していく、こういうことでやりたいと思います。
  26. 若松謙維

    若松委員 ありがとうございます、ぜひ。どこ ろで、ちょっと意地悪な質問かもしれません、京都会議合意の見込みはどうでしょうか、率直にだれも余り言いませんから。京都会議でいわゆる排出量の問題とか、それをどういうふうに各国が割り当てをしていくとか、やはり京都会議合意を目的としているわけですね。何を、どの合意をするかというのはまた議論があるでしょうけれども
  27. 池田行彦

    ○池田国務大臣 合意の見込みの……(若松委員内容というよりも」と呼ぶ)というのはわかったのですが、その後……。内容はいいとおっしゃったのですか、まあよろしゅうございます。合意を目指して、今努力をしているわけでございます。  それで、見通しは現時点でどうかという点につきましては、先ほども申しましたように、各国とのいろいろな意見のすり合わせもやっております。そういった中で、まだ必ずしも一つの方向がきちんと見えてきておるわけじゃございません。日本としては、数値目標についても二つのオプションを提示しているわけですけれども、EUの諸国の方でございますと、その辺を国の間でいろいろやりとりといいましょうか、その枠のやりとりといいましょうか、そういったことをやったらどうだとアイデアも出ておりますが、いろいろなことで今やっておる。調整のいわば瀬踏みをやっておるような段階でございますから、現時点でその合意ができるかどうかというのは、まだあれこれ申し上げるのは時期が早過ぎるかと思いますけれども、いずれにしても、私どもは何としても京都会議において、将来に向かっての国際的な枠組みについてきちんとした合意を形成したい、こう思っておるわけでございます。  その際にやはり問題になるのは、各国間の合意が形成されなくてはいけません。しかも、各国がそれぞれバックにしているのは、地球環境問題について非常にその認識も深く、また積極的に取り組もうというそういった方々の意見ももちろん背景にしておりますが、同時に、そういったことが実行されるならば、現実の問題としていろいろ問題も生じてくる、その問題を乗り越えていくことの難しさを指摘する意見も各国々にあるんだと思いますね。だから、そういったいろいろな観点からそれを話し合っていくわけでございますから、合意は形成、必ずするつもりでございますけれども、それは、その内容は問わないとおっしゃいましたけれども、それこそ内容いかんにもよるのだと思います。  それは、委員のように、地球環境問題云々と熱心に取り組んでおられ、その重要性を深く認識されて、そのためには、場合によっては他の面の難しさというものは、これはもう何が何でも我慢すべきだ、のみ込むべきだという認識の方々がこれがいいとお考えになるような内容、いわば理想型に近いような内容を、これを前提にして合意を形成できるかどうかと言われますと、必ずやりますという自信があるわけではございません。だからこそ、先ほども実行可能性ということを申し上げた次第でございますので、そういったことでございます。  我々も、政府といたしましても、熱意を持ってこれに取り組んでいるのでございますので、一つの観点からだけ御判断なさって、我が政府の取り組みについて、余りいわば日本の国として自虐的なコメントはしていただくのはいかがかと思います。むしろ、我々の取り組みについて激励していただくような姿勢をGLOBEにも期待したいと思います。
  28. 若松謙維

    若松委員 ぜひ、激励いたしますので、地球が自虐的にならないように日本政府の最大の努力、特に平和そして環境、外交と、日本の大変な大事な柱ですので、外務大臣、ことしちょっと大変でしょうけれども、頑張ってください。よろしくお願いいたします。  それで、これは質問通告していないのですけれども、ちょっと外務大臣に、こんな話が実はベルギーであったのですけれども、ちょうどロシアから国会議員が数人来ていたのですけれども、このGLOBEの中でいわゆるナホトカ号のオイル漏れの議題にも触れまして、これもやはりロシア議員の了解のもとに、何らかの対処をしなくてはいけないという合意も採択されました、これは堂本議員の提言でしたけれども。そして朝、ロシアの国会議員、一人は共産党ナンバースリーの元宇宙飛行士、あとウラジオストクから選出した国会議員、この人も出られて、私と加藤議員の二人でいろいろと懇談いたしました。  ロシアそして日本にとっての共通の検討するべき課題として、日本海。やはり日本海は大事じゃないか。それはロシアの人にとってもそうだし、日本にとってもそうだし、また朝鮮半島の国々にとってもそうだと思います。  この前、地中海条約の改定でこちらで審議となりましたけれども条約に何を盛り込むかという話はおいでおいで、少なくとも資源保護とか、いざ何か事件があったときの情報交換とかそういった日本条約、名前の問題もあるわけですけれども、そういう日本条約なりを、少なくともロシア、日本または北朝鮮、韓国、そういった関係諸国がつくるのもいいのではないかとそのロシア議員に提言したら、非常にこれはいいことだということで、非常に前向きなお話をいただきました。  いかがでしょうか、この日本条約なりそういった動きに対して、外務省として前向きにお進めになられるかどうか。
  29. 池田行彦

    ○池田国務大臣 海、当然のこととして、環境の面からも、あるいは資源の面からも、あるいは船舶の航行に関する安全の面からも、いろいろ国際的な取り組みも進めていかなくちゃいけない、こう考えております。  そういったことで、もう現に、既に海に関する国際条約も幾つもございますけれども、そういった中でも、特に、例えば日本海という海域をその対象にいたしまして、それに関係の深い諸国がいろいろ話し合っていく、そうしてまたそういうふうな国際的な枠組みをつくっていくということは意味のあることだと思いますし、現に、既に存在もするんだと思います。  私も、今、急の御質問でございますから正確な名前は覚えておりませんけれども日本海並びに黄海を対象といたしまして関係諸国、日本、ロシア、韓国あるいは中国といったもので、そういった海の行動計画というものが国際的な枠組みとして成立しておりまして、この七月には日本の主催でその関連会議も東京で行われることになっております。今おっしゃいましたいわゆる御関心事項等についてもそこでいろいろ討議をすることにしたわけでございますので、政府としても、これまでもそういった意味での取り組みはやっておりますし、今後とも積極的な取り組みをやってまいりたい、こう思います。
  30. 若松謙維

    若松委員 済みません、いきなりの急な質問で恐縮です。また別の機会にいろいろとこれは議論させていただきますので、よろしくお願いいたします。  そして、きょうの委員会の本題でありますWTO、これについて質問を移らせていただきます。  これは外務大臣でしょうか、まず、いわゆるITA交渉ですね、インフォメーション・テクノロジー・アグリーメント、この最終合意によりますと、二〇〇〇年の一月までの関税撤廃実施に関しまして、現在ITAへの参加を表明している四十二参加国・地域のうち、韓国、インドネシア等の十二カ国に対しまして最長二〇〇五年までの実施期間の猶予を認める、こういうことになっておりますけれども、特に韓国はOECD、いわゆる援助を受け入れる国から援助をする国に国際的にコミットメントしたわけで、そういったと一るも含めた二〇〇五年までの実施期間の猶予を認めるということはちょっとどうかなという疑問点があります。それについてどういうふうにお考えでしょうか。
  31. 池田行彦

    ○池田国務大臣 これはいろいろな考え方があると思うのでございますけれども、なるべく早く、しかもなるべく高い目標を実現するために合意をすべしという観点も一つあると思います。しかし同時に、なるべく多くの国の参加を得てやること が目的に沿ったものである、こういう見方もあると思うのでございます。  おっしゃるとおり、今回、韓国を含めた十カ国余りについて五年までの猶予を認めたわけでございますが、そういった措置を講ずることによって、猶予期間を講ずることによって参加国を拡大することができて、これで情報関係の大体九〇%を超える、九三%だと思いましたけれども、そのぐらいをカバーすることができたわけでございますね。そういったことによってITAの持つ意味が非常に高まったのだと思います。  したがいまして、今回の猶予期間を認めたからといって、この面での国際的な努力を損なうとか、あるいは後退したということは言えないのじゃないか。いずれにしても、猶予期間があったとしましても、その後にこの十二カ国、これについても現在と比べれば格段に関税率は下がるわけでございますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。  韓国はOECDのメンバーでもう先進国だからという御指摘がございましたけれども、実はOECDにも今回入ったばかりでございまして、来週早々に開かれます総会に韓国は初めてメンバーとして参加するわけでございます。そういった意味で、OECDだけでなくて、例えばITAにも入ってくるというように、他の先進国と言われる国と同じような開かれた体制への努力はいろいろ続けておられますけれども、やはりそこには、ある程度の段階的な取り組みというものも、それぞれの国のその国内事情を考えれば容認されるケースもあってしかるべきだと考える次第でございます。
  32. 若松謙維

    若松委員 先ほど余りハードルを厳しくしないで参加国を拡大する、私もその面で評価いたします。そして、その上で、さらに今度は、特に今議論となっております情報技術製品ですか、いわゆるこれの貿易国といたしまして中国、メキシコ、ブラジル、こういったいわゆる大国、さらに準大国、そういったところもITAに取り組む必要もあるのではないか、このように思います。  そういった観点から、我が国といたしまして、どんどん参加国を拡大する努力、さらに、入っていないところに対して今後どのように対応されようとされるのか、お願いいたします。
  33. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほども申しましたように、今回の加盟国で情報技術分野での世界貿易量のうちの九三%ぐらいがカバーされるようになったわけでございます。しかし、あと残ったところで大きいところはどこかと言われますと、やはり今御指摘のあった中国、メキシコあたりがたしか全体の二・数%を占めていると思いますので、この二カ国が入れば九八%までいく、こういうことでございます。  将来的にはこれらの国々がこの国際的な枠組みの中に入っていくということが望ましい、こう考えておりますので、我が国としては、他の国とも協調しながら、今後ともそのような国々の参加を働きかけてまいりたい、こう考えております。
  34. 若松謙維

    若松委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  それで、質問内容が今回の情報とは若干離れますけれどもWTO加盟問題として重要な、中国並びに台湾の加盟問題に移らせていただきます。  まず、中国がガット加盟申請を八六年に行ってもう約十年以上経過しました。そして、台湾がたしか九〇年ガット申請、そして七年過ぎている。現在、中国、台湾のWTOの加盟問題で当然作業部会でいろいろと交渉しておると思います。まずその状況についてお聞きしたい。  あわせて、この二カ国の加盟に関しまして、当然別の方向から、例えば市場アクセス改善のために関税率を引き下げたり、また、非関税関税障壁の削減、そういったところの協議も行っておると思います。特に我が国もそういった形の、バイラテラルな形での協議も行っておりますけれども、当然そういったところも先ほどのWTO、中国、台湾の加盟とも関係していきますので、先ほどの作業部会での交渉状況並びに日本と中国、台湾、この二国間との関係もあわせて御説明いただきたいと思います。
  35. 野上義二

    野上政府委員 今先生指摘のように中国につきましては、加盟申請後、八七年に、ガットの時代でございますけれども、作業部会が設置されました。それから、台湾につきましても、九二年の一月に作業部会が設置されて、その後審議が進んでいるわけです。  もちろん、中国については、いろいろな状況がございまして、もう十年以上たっているわけでございますけれども、実は、きょうから今週いっぱい、また中国についての作業部会をジュネーブで行っております。前回の作業部会で、中国はいわゆる外国貿易権といったような問題でかなり前向きの提案をしてきておりまして、交渉自体については、作業部会の全体の議論については弾みがついております。  ただ、いずれにせよ、WTOに加盟するということは、WTOルールを守る、そのルールを守るための体制を整える、さらには、加入に当たって貿易の障壁を低くして入ってくるということがございますので、今そういった点について各国と協議をしているところでございます。  台湾につきましても、今二十数カ国とそういった加入交渉を行っておりますけれども、実は作業部会についてはちょっとまだ動いておりません。前回、会議は行われましたけれども、余り実質的な進展はございませんでした。  二国間の交渉についてという点でございますが、私ども、中国との関係につきましては、関税の問題、我が国の関心品目に対する関税の引き下げ、それからいわゆる非関税措置でございますね、これのルールへ整合するための経過期間の短縮というような問題、それから日本にとってかなり関心がございますサービス分野の問題、それから非関税措置の中にも入りますけれども、輸入品と国産品とのいろいろな検査手続の問題、そういったような問題も含めて幅広い協議を行っております。  台湾につきましては、実は本年の初頭に、二国間交渉についてはもう既に妥結しております。その妥結した旨を、これは台湾側が、我が国の自動車輸入に対する差別的な措置というのが従来行われていたわけでございますけれども、そういったようなものを撤廃することとか、我が国の関心品目の関税引き下げを約束する等、二国間の市場アクセス等について非常に前進がございましたので、妥結し、五月にその旨を署名してございます。  そういった意味で、中国につきましても、かなり進展をしておりますけれども、まだこれからいろいろやることはある。作業部会の場におきましても、同様にいろいろやることは残っているということでございますけれども、ことしに入りまして、中国の方はかなり作業部会の議論に弾みがついてきたという感じは持っております。
  36. 若松謙維

    若松委員 今の御説明ですと、今台湾はかなり条件が整ってきた、だけれども、中国はことしになって一生懸命やってきたと。  そうすると、今度はどちらが先にWTOに入るかという先後の問題になってくるわけですけれども、あわせて、ちょうど米通商代表部のバシェフスキーさんですか、ことしの三月あたりに、基本的に中国と台湾どちらが先に入るかというのは、いろいろと政治的な問題はあるのでしょうけれどもWTOはあくまでもいわゆる通商、経済の問題だから、政治と分けてもいいのではないかと。そうすると、条件がそろっている台湾を先に入れてもいいのではないかという御意見があるわけですけれども、それについてはどういうお考えですか。
  37. 野上義二

    野上政府委員 中国の加入と、我々チャイニーズ・タイペイという言葉をWTOでは使っておりますけれども、チャイニーズ・タイペイの加入の問題につきましては、一九九二年の九月にガット理事会におきまして、議長の方から、議長の総括的取りまとめの発言として、理事会は、すべての意見、特に中国作業部会の報告の検討と中国の加盟議定書の採択をチャイニーズ・タイペイの作 業部会の報告及び加盟議定書の採択に先立って行わねばならないとの意見を十分考慮しなければならない点を含め、幾つかの条件につき締約国の間にコンセンサスがあるとの結論に達した。もっと簡単に言うと、台湾は、チャイニーズ・タイペイは中国の後になるということに九二年の理事会で、締約国の間でコンセンサスがあるという感じを議長が総括取りまとめて述べております。  台湾につきましては、先ほど私の方から我が国との市場アクセスの交渉は妥結したということを申し上げましたけれども、他方、加入議定書の議論というのはまだ全然始まっていないわけでございます。そういった意味で、二国間のあれはできておりますけれども、加入議定書の議論は中国の方が進んでいるというのが現実でございます。  それから、先ほど先生指摘のバシェフスキーさんの発言なんですが、どういった意図であるかちょっとわかりにくいのですけれども、もちろんWTOに入るということは、WTO協定上の条件を満たすということ、先ほど申しましたように、ルールを守る、ルールを守る体制ができている、それから自由化の方向で市場アクセスを改善する、そういったWTO加入の条件というのがあるわけで、それを満たすということがまず第一だということがポイントだと思いますが、他方、ガット十二条の加入のところでいわゆる独立した関税地域という概念があるということも踏まえて、そういった点も考えながら、我々は、別途に作業部会もつくり、別途に市場アクセスの二国間の交渉もやっているということでございます。
  38. 若松謙維

    若松委員 そうしますと、先ほどのバシェフスキーさんのお話を出させていただいたのは、日本アメリカがある意味で、共同歩調というとちょっと問題を醸し出すよう宣言い方ですけれども、やはりお互いに連絡、協力し合って中国に対してさまざまな配慮をしながら早期加盟する、これは非常に重要なあり方だと思うのですけれども、そういった観点からアメリカと一緒にやっていく、そういった点での政府の姿勢をお聞きしたいと思います。
  39. 池田行彦

    ○池田国務大臣 中国がWTOに加盟する、とりわけ早期に加盟するということが国際経済社会にとって非常に重要であるという認識は我が国、そして米国、全く一致するわけでございまして、そのことはいろいろな場でもお互いに話をしております。  そういったことでございまして、中国とのいろいろな、それぞれ二国間の話し合いもしておるわけでございますが、それでまた、そうは申しましても、中国が加入することが大切だから少々の条件は目をつぶろうというわけにはまいらぬ。これはやはりWTOとしての要件はきちんと満足しなくてはいけないわけでございますね。だから、問題がある点については、いろいろ技術面からのアドバイスその他を通じて中国がそういった要求を満たせるように協力していく、そういうことも含めてやりながら、WTOへの中国の早期加盟を実現したい、こう思っておりますし、アメリカ我が国と同じような考えだ、こういうふうに考える次第でございます。
  40. 若松謙維

    若松委員 わかりました。いずれにしても、アメリカとの共同歩調は、協力関係は必要だ。それは別にプレッシャーとかそういう意味ではなくて、先ほど言ったような技術的な面とかさまざまな、ある意味で手当てもした上で早期に中国がWTO加盟するに至る整備をする、そういうことですね。  そうしますと、もう時間がありませんので、同じくこのWTO関連酒税格差是正問題、これについて最後の質問とさせていただきます。  あれは先月でしたか、いわゆる大蔵委員会提案の酒税問題で、日本として、しょうちゅう並びにウイスキー、特にしょうちゅうに関しては平成十三年までに引き上げる、そして、ウイスキーは平成十年の十月までに引き下げる、たしかこういう本会議での決議をしたと記憶しております。ところが、アメリカがこれは不服だということで、これを不服というよりも、別な形でWTOに仲裁を要求して、本年の二月十四日ですか、WTOとして是正期限を九八年、平成十年の二月一日という仲裁裁定を出したわけです。  そうしますと、この前せっかく決議した本会議での採択、これが再度修正を迫られるのではないかと思いますけれども、このWTOの仲裁裁定の持つ意義というのでしょうか、並びに、実際日本で再度国会での決議が必要なのかどうか、それを大蔵省並びに外務省に聞きたいと思います。
  41. 野上義二

    野上政府委員 先生指摘のように、WTO紛争処理手続により、EUと日本との間でまず紛争処理手続がとられたわけでございますけれども酒税の、特に蒸留酒の酒税の格差をなくすという結論が、勧告が出まして、我が国としては、それを踏まえて主要なサプライヤーであるEU諸国及び米国等と協議してまいったわけでございまして、EUとの間では完全に合意ができておりまして、その合意を踏まえてこの前の酒税法改正をお諮りしたというふうに理解しております。  他方、格差の是正の期間に関しまして、米国が我が方の格差是正の期間が長過ぎるという議論を持っていることも確かでございまして、これは米国と従来いろいろ議論をしてまいりましたけれども米国の方は非常に短い期間考えております。我が国としては、酒税の引き上げの幅が大きいとか、それから、そもそも酒税の改正というのは国会にお諮りするというような状況があって時間がかかるんだということで、必ずしも合意ができなかったわけでございます。  その点につきまして、アメリカWTO紛争処理手続に基づきます仲裁を求めたというのが経緯でございますけれども、その仲裁の結論は、WTO紛争処理手続規定されている標準的な期間、十五カ月を短くする理由も見当たらなければ、アメリカの言うように短くしろという理由もなければ、また日本の言うように長くする理由も特に当てはまらぬ、こういう仲裁が出てきたわけでございます。  私どもとしては、その仲裁の内容我が国の現実から見てかなりきつい内容だと思っておりますけれども、他方、日本WTOの極めて重要な構成員でもありますし、それから、この実施の妥当な期間に関する仲裁というのは拘束力を持っている規定でございますので、そういった点を重く踏まえましてこれから検討してまいりたいと思います。  アメリカとも、もちろんいろいろ協議していかなければいけないと思います。そういったアメリカとの協議も踏まえまして、今後の勧告に対する対応ぶりというのを鋭意検討していくというふうに考えたいと思っております。
  42. 森信茂樹

    森信説明員 お答え申し上げます。  今経済局長からお答えがございましたが、これから米国協議を進めていくことになるかと思いますが、米国との協議に当たりましては、今回の税制改正、これが非常に大きな税負担の変化をもたらすものであるというふうなこと、それを円滑に実施いたしますためには、消費者、それから製造者等への影響を緩和する必要があるというふうに考えておりまして、そのために、まず米国に対しまして、所要の経過期間が必要だということを十分な理解を求めていくというふうな方針で臨みたいというふうに考えております。  いずれにしましても、この仲裁によりまして決定されました来年二月の期限でございますが、それまでにはなお多くの時間が残されておりますので、大蔵省としましては、税を負担する消費者等への影響を緩和する観点から、所要の経過期間を前提に、米国の理解が得られるよう最大限の努力を重ねていくつもりでございます。
  43. 若松謙維

    若松委員 どうもありがとうございました。  ぜひ外務省、大蔵省、これは大変我慢の交渉ですので、今、特に中小小売業者は大変苦しんでおりますので、その点で頑張っていただいて、こちらも陰ながら応援しておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
  44. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、藤田幸久君。
  45. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  まず、きのう安全保障委員会でも実は質問をさせていただきまして、その続きと言ってはなんですが、事前協議のことについてまず大臣にお伺いをしたいと思います。  きのう、実は沖縄の嘉手納から偵察機がベトナム戦争の間にハノイに偵察に行った事例とか、それから、イラン・イラク戦争のときにやはり嘉手納からイランの方に偵察機が出たというような事例を申し上げまして、事前協議の点についてガイドラインの文脈で質問をさせていただいたわけです。  要するに、日本から米軍が出撃をする段階で事前協議の対象になるかどうかということが問題である。だから、出撃をするときにそういう戦闘行為に関連する命令があったかどうかということが事前協議の対象になるかならないかの判断になる、偵察はそういう戦闘行為にはならないというお答えだったわけですが、一方で、ガイドラインに関しては、この事前協議はしない、権利義務関係の変更にならないのでと。ただ、一般的に、在日米軍の出撃などに関してどういうルートで行うことが適切か、事前協議に至るまでの段階での情報交換や情報分析については緊密に協議していく必要があるというようなお答えがあったように記憶をしております。  事前協議というのが、特にガイドライン、特に周辺有事というようなことを念頭に置いて今後考えていく場合に、例えば中台海峡で機雷の掃海というようなことがあった場合にどうなるかとか、あるいは朝鮮半島において邦人を救出する必要があるというふうになった場合に、日本から出撃をするというようなことがあり得るわけです。  それから一方、ガイドラインの見直しに関して、政府の方でもおっしゃっておられますように、いろいろな意味での国内法の整備も必要だという観点があります。それから、防衛庁長官がわざわざ韓国に行かれたりもしましたけれども、周辺諸国がこのガイドラインの見直しを含めた今後の日米の安全保障会議に大変関心を持っておられて、そういった隣接諸国の信頼を得るということも非常に重要だと言っておられるわけです。  そういう観点からしますと、今まで事前協議が一回も行使されたことがない、今後、ガイドラインその他を経て、いろいろ第三国も含めて在日の米軍基地から飛行機が出ていくことが考えられ、その行く先がほかの国の領域にかかることもあり得る、そんな場合に、一つは、まず事前協議というものを、きのうもおっしゃっておられますけれども、やはり検討していく必要があると同時に、私は、今後こういう周辺有事というような場合には、仮に出るときに命令があったからどうのこうのだけではなく、出た後で、どこに行って何をしているか、現在進行形の最中にも、事中といいますか、にも協議する必要があるし、あるいは例えば出撃した飛行機が帰ってきた後に事実がわかった場合には事後報告を受ける。事前協議すら今まで実際に実行されていないわけですが、これからは事由及び事後も含めて協議あるいは報告ということが必要ではないか。  そういうことがないと、例えば周辺諸国にしましても、日米でガイドラインを結んだ、日米でこういう取り決めがある、しかしながら、結局日本という国は主権国家でありながらイエスマンであって、アメリカの方でこれもしろ、あれもしろと言われた場合に全部受け入れてしまうということになりますと、もし例えば中台なんかで何か不測の事態が起きたといった場合に、これは関係諸国の方からも、結局日本は当事者能力がない、そういう意思がないので結局アメリカとのみ話をしてしまうし、日本は結局歯どめにならないということになるのではないかと思うわけです。  そういう意味で、広い意味での日米の安全保障の協議、信頼醸成、透明性、国内に対しても周辺諸国に対してもという両方の意味で、事前、事中、事後を含めた協議、報告ということがこれから必要ではないかという気がいたしますが、その辺検討されるおつもりがあるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  46. 池田行彦

    ○池田国務大臣 結論的に申します。今委員がおっしゃったようなことを検討するつもりはございません。今回はガイドラインでいろいろ作業をやっておりますけれども日米安保にかかわる基本的な枠組みは変えないことにしておりますので、事前協議の部分につきましても、岸・ハーター間における枠組みというものは動かさないつもりでございます。  それからなお、日米安保条約に基づいて米軍がいろいろな活動をする、また極東地域の安全を守るためにいろいろ作戦行動等もすることはあるわけでございますが、そういうときに一体どういったことが協議の対象になるかは、きちっとこう決まっているわけでございます。戦闘作戦行動に出ていく、それで我が国の基地から、提供している基地から直接出ていくというときには事前協議の対象になっております。しかし、それ以外の、今委員が御指摘なされたようないろいろな件については事前協議の対象になっておりませんけれども、そのことをもって我が国の主権国家としての立場が危うくなっているというふうには、私ども考えておりません。
  47. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 例えば日本とは離れた意思でもっていろいろな不測の事態というものが起こり得る可能性がますます強いと思うのですが、これはガイドラインの見直しの意義づけにおいても書いてございますけれども、いわゆる冷戦後、安全保障の環境条件が変わってきた。したがって、日米以外の要因でもってこういった有事ということが周辺で起こり得る可能性があるわけです。  そういった場合に、日米以外の国の原因でもって事が起こり、そしてそこにかかわっている当事国というものが日米以外であった、そこに日米が共同でいろいろな活動をするという場合に、実際にそういった国々との協議も必要になると思うのです。その際に、例えば日本とある第三国との協議は当然必要で、やる、アメリカアメリカでその国との協議はする、あるいは国連の決議においてマルチ協議をする可能性がある。そういう協議をする必要が出てくると思うわけです。そのときに、日米だけは結局事前協議を結果的にしないということは、今の答弁ですと、今までの一回も行使をしたことがないという観点からしましても起こり得ると思うのですが、それでもこの事前協議は実質的に行わないという従来の考え方なのかどうなのか、それをお聞きしたいと思います。
  48. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員の御質問の趣旨が必ずしも十分にのみ込めているかどうか、そこのところは自信ございませんけれども日米間の協議というのは、日米安保条約というものがございまして、それで両国はそれぞれに条約に基づく権利義務を有しておる、そうしてまたいろいろな行動が行われる、そういったときに、そういったことに関してどういうふうに、協力をしていく場面においては協力していくかとか、あるいは一方の当事国が条約上に認められた行動をする場合にそれを協議するかどうか、こういう条約で定められた枠組みの中での行為についての問題なのでございますね。  しかし一方、今委員質問の前提にされました、我が国の周辺の地域で何か事が起こる、それで日米以外の国、第三国がその原因になったといいましょうか、第三国の行為によって何らかの事態が起こる、そのときに日本が、あるいは米国がその国と相談するだろう、協議するだろうというふうなことをおっしゃいましたけれども、これは安保条約の枠組みに基づく協議というものとは、言葉として同じ協議といっても、全く性格が違うというか、次元の違う話ではないかと思いますね。  これは今おっしゃるのは、条約的な、国際的な約束に基づくことではなくて、何らかの事態が起きたときに、そこに利害を有する、あるいは関心を有する国が事実行為として話し合うことはあるのじゃないかということなのではないかと思うのでございますけれども、もしそういうことならば、それは具体的にどういう事態がわかりませんと、一般的にお答えするのは非常に難しいわけでござ います。  強いて言えば、そもそも世界の上においてどこでもそうでございますけれども我が国の近い地域において、その安定を乱すおそれのあるような行動、行為が行われていることは望ましくないところでございますから、極力そういうことが起こらないように、平素から信頼醸成だとか、あるいは事態によっては予防外交なんということもございましょうか、そういうこともいろいろ考えていくでしょうし、そこに至らない段階においても、いろいろ外交的な努力の中でそれぞれ話をすることはございましょう。それからまた、何らかのそういったその地域の安定が乱されるおそれが出てくるような状況になれば、それはいろいろな話が行われるということはあると思いますけれども、それが安保条約上の権利義務の行使にかかわる協議というものと同じ次元で、あるいはそれと対比しながら論議される、あるいは評価されるというのは、少し議論の運びとして難しいのじゃないのかな、こんな感じがいたします。
  49. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 例えば、きのうも申し上げましたが、日米安保条約に対して国連憲章が優先をする。それで、国連軍の後方司令部が日本にあるわけです。そして在韓国連軍がございまして、米軍の在韓の司令官が国連の司令官も兼ねておるわけです。  例えば朝鮮半島に有事が生じまして、それで日本から例えば飛行機が出ていくといった場合に、仮にその出る段階では命令系統がはっきりしてなくても、出た後で実は結果的に戦闘行為に巻き込まれた。その場合に、いわゆる事前ではないけれども、そういったことが認識をされた段階で、事中ですけれども協議をし、その場合には、単に日本及び朝鮮半島の二つの国以外の国も含めて協議をする可能性が出てくる。  その場合に、事前は終わったけれども、むしろそういう段階のことがこれから、事中あるいは事後と、一たん例えば嘉手納を出た後でも、その出撃をした飛行機が帰ってきた後でも報告を受ける、そういったことが広い意味での、今大臣がおっしゃいました予防外交、信頼醸成というような意味でもますます必要ではないか、国内的にも、国内の方々の理解を得る上でも必要ではないかという、そういうことを念頭にお聞きしたわけですが、いかがでしょうか。
  50. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず、今お話ございましたけれども、特定の地域の特定の事態に触れられましたけれども、私、御答弁する際に、それを前提にして御答弁することはできません。  それから国連憲章との関係をおっしゃいましたけれども、御承知のとおり、国連憲章では憲章第七章に基づく国連軍、国連としての安全保障の措置というのが規定されておりますけれども、それに基づいた国連軍というのは、いまだかつて組織された、申請されたことがないというのは御承知のとおりでございます。  そして、安保条約との関連で申しますと、国連憲章上は、そういった国連としての安全保障のきちんとした措置が講ぜられるまでの間は、各国が、加盟国が個別的自衛権あるいは集団的自衛権に基づいていろいろ行動するということはこれは認められておるわけでございまして、そういったものを前提としながら我が国米国の間で日米安保条約締結されておる。  そして、その中で我が国は、憲法上認められておる個別的自衛権に基づいていろいろな行動をするわけでございますし、我が国有事になった場合には、我が国単独で、場合によっては日米共同して対処するという個別的自衛権の発動たる行動をするわけでございます。  そして、米国米国で、国連憲章上も認められており、そしてまた米国の憲法その他の法的な枠の中でも認められる集団的自衛権に基づいて、我が国有事の際、あるいは極東有事の際に条約に基づいていろいろな行動をやるということがある。  こういうことになっているわけでございますから、そこのところは、国連の枠組みの中でも認められている一つの仕組みとして日米安保体制がある。その日米安保体制の枠組みの中での権利義務、それに基づく行動、それについての協議なり相談ということが行われているのは決して国連の体制と矛盾するわけでも何でもないし、どちらが優先するかということが必ずしも議論にならないのじゃないか、そこのところがどうも御質問の趣旨がのみ込みにくいという感じをいたします。
  51. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 また引き続きこういった議論は続けていきたいと思います。  ちょっと別の質問に移らせていただきたいと思いますが、最近の外国の国家あるいは政府承認の件に関しまして、ユーゴスラビアを二十日の閣議で承認をしたという報道がございます。それから一方で、一昨日ですか、橋本総理の方でザイールの新しい政権といいますか、を承認することになるだろうという見解を示されました。  この前、国家承認政府承認ということに関しましては、私も四月にミャンマーのSLORCの承認とかカンボジアのポル・ポト派の承認の件に関連して質問したことがあると思いますが、いわゆる実効支配をしているとかあるいは住民の支持があるとか、あるいは国際法を遵守する意思及び能力があるというふうなことがたしか法律的な要件として答弁があったわけですが、それとは別の次元で、やはり政治的に、こういう状況なのでこの政権を承認する、あるいはこの国家を承認するという意思判断を外務省の方でされると思うのです。その基準のようなものについて、このユーゴの例とそれから新しいザイールの政権についての二つを例えば参考にして、どういう基準といいますか、いわゆる実効支配とか住民の支持とかいう法律的な要件ではない、恐らく政治的な判断でこれタイミングを考えていると思うのです、ユーゴの場合もそれからザイールの場合も。首都にいわゆる反政府側が入ったときのことを見ておりまして、ポル・ポト派がプノンペンに入ったときも住民が喜んで迎えたわけですが、結果的にああいうことになったわけです。ザイールの場合も、この新しいグループがかなり虐殺をしているという報道があったり、それから一方で、この新しいグループ自身が四つの派から成っておりますので、人権、民主主義というようなことについていろいろな国が注文をつけているという話もありますけれども、その辺も含めまして、大体どういう判断基準で承認のタイミング及びプロセスを考えて、それをやはり統一といいますか、整理をしておくことが、今後ますますいろいろな新しい国家なり政府が出てくるに当たって重要ではないか。  外務省の中でも、カンボジアあるいはミャンマー以外でも、例えばフィジーの政権の承認のときにいろいろな意見があったという話も聞いておりますけれども、いろいろな意味で整理をしておくことが必要かと思うのです。そういった意味で、承認についての判断基準といったもの、法律的ではない政治的な判断基準というものを聞かせていただければ幸いです。
  52. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず、国際法上のいわゆる政府承認の要件は何かといえば、それは簡単に言いまして二つあるわけでございまして、一つは、実効支配がなされているかどうかということ、二つ目には、国際法を遵守する意思と能力があるかどうか、こういうことでございますけれども、ただ、そういった国際法上の要件が満たされたからといって、それがそれぞれの国が承認しなくてはいけないということではない。それはやはり個々の国の判断に基づくというのはそのとおりでございます。  我が国として、それじゃ、そういった国際法的な意味ではなくて、政治的にどういうような基準でやっているかということでございますけれども、そこのところはやはり個々具体的なケースに即して判断するとしか申し上げようがないのだと思います。  たまたま、昨日いわゆる新ユーゴについて外交関係を設立したということに触れられましたけれども、あのケースについてはいろいろな話がございました。この新ユーゴは、いわゆる旧ユーゴがあのような状態になった、それについて大きな責 任があるんじゃないか、こういうふうなことがあり、いっときは国連の安保理で非難決議が行われたこともあったわけでございます。しかし、その後、新ユーゴの対外的な姿勢あるいは国内の情勢も随分変わってまいりまして、安保理の決議も、昨年の十月だったと思いますけれども、それはもう取り消されたということもあります。そういった状態を見ながら、外交関係を設けるということにしたわけでございます。  ザイール、今回はコンゴ、こう言っておりますけれども、それをどうするかという点につきましては、いろいろな動向を見てということでございますけれども、我々としてどんなことに関心を持っているかといいますと、これはまず政権の移行というのが、できる限りスムーズな形で行われることがそれは望ましいというのは、そのとおりでございましょう。それからさらには、まず第一にこれを申し上げるべきかもしれませんけれども、その国のできればすべての国民、そうじゃなくてもなるべく多くの国民、勢力の支持が得られるというか、そういったものを包摂するような形になるということが当然のこととして、実効支配といった観点からいいましても、また政治的な観点からいっても大切だと思いますね。  それから、さらに言えば、もとより委員の御指摘にありました民主的な制度だとかあるいは人権の保障だということも、それは望ましいことは事実でございますけれども、それが、それじゃ一つの国家あるいは政府を認める絶対的な基準、要件になるかどうかということになれば、これはまた別だと思います。そういった国内の体制がどうでなくてはおつき合いしないんだというのは、いいのか悪いのかとかいろいろあると思います。  それからさらに、ザイール、コンゴのケースでいいますと、御承知の隣国との関係の難民の問題等もあるわけでございますね。そういったいろいろな状況に我々も関心も持っておりますので、そのあたりがどういうふうに動いていくか、こういったことを見ながら今後の対応を決めていきたい、こう思っております。  なお、橋本総理が承認の方向に行くだろうという、個人的な見解だが、見方だかと断りながらおっしゃったというのは、今申しましたような状況が望ましい方向に行ってほしいという期待感と、あの時点でいろいろなそのことが言われておった、報道されておるのを見れば、その方向へ行くということも、可能性というものも決して低くないという、そういったことを踏まえてのコメントであったのではないかと推測する次第でございます。
  53. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 時間の配分を間違えまして、そろそろ時間が参りましたが、最後に一言、池田外務大臣に、諌早湾の干拓の件でございますが、環境の問題とそれから防災の問題と農業開発の問題でございますが、環境のことはけさも別の方がおっしゃっておられましたが、これから、デンバー・サミットでも非常に大きな問題になっておりますが、渡辺周議員の内閣に対する質問主意書に対して、閣議で閣僚の方々の意見を聞いて決めるということになっておりますが、閣僚の一人としてどういうお考えを持っておられるか、簡単にお答えいただければ幸いでございます。
  54. 池田行彦

    ○池田国務大臣 質問主意書がございましたら、それについて閣僚としてどう判断するか、それはその閣議の場でなすことでございますから、今、委員会の場で御答弁するのはいかがと存じますけれども、とりあえず、私の本件についての印象という形で申し上げさせていただきますと、やはり干拓事業として進められた、それは地域の方々の大勢の、非常に大多数の方々の御要望に基づいてなされ、進められた事業であると考えております。  そしてそれは、干拓事業という点と同時に、効果として、大きな洪水の調節だとか、あるいは要するに防災的な役割があるというふうに承知しております。それで、既に今回の水門といいましょうか、堤防ができまして、現実に先般の大雨のときにも顕著な効果があったということも聞いております。  それから、もちろん環境面に与える影響というものはいろいろ、それは当然のこととしてあり得るのでございましょうが、それは事前に十分なアセスメントに基づき、そしてその程度のものはやむを得ないという前提で行われたのではないのかな、こう思っております。  聞いているところによりますと、例えばムツゴロウにつきましては、少なくとも諌早湾における漁獲量はここのところ三倍ぐらいになっているということもございますし、全体として見れば、ほかにも生息している地域が随分あるので、たしか私の記憶に間違いなければ、影響を受けるところは全体の七%ぐらいではないかというふうにも聞いております。  いずれにしても環境問題、非常に大切でございますけれども、やはりほかの面での、防災面あるいはその干拓事業の目的等々との間の関連を総合勘案しながら決められるべきものであって、私は、少なくとも今までに行われた事業、あの堤防というものは、地元の大多数の方々からも歓迎されておるし、これを現在変更すべき必要性があるとは認識しておりません。
  55. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございました。
  56. 逢沢一郎

    逢沢委員長 各党の質疑者及び質疑予定者に特に委員長として申し上げますが、定められた質問時間をそれぞれ大幅に超過をいたしております。  次の理事会あるいは理事懇でも特に申し上げたいと思いますが、割り当てられた時間を遵守を願いたいと存じますので、どうぞ委員会運営に御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。  次に、古堅実吉君。
  57. 古堅実吉

    ○古堅委員 条約について二点だけお伺いします。  WTO協定譲許表については、情報技術製品の関税撤廃の措置によって産業空洞化がさらに加速される心配があります。日本を含めた関税撤廃四十カ国に向けて情報技術製品の輸出拡大を目指す結果、労働条件も、海外資本に甘く賃金も安い発展途上国に日本のこの分野の企業がさらに流れ込み、関税ゼロの日本に逆輸入ということにもなります。日本企業の海外移転に拍車をかけることにならないか、それが第一点。  サービス貿易については、日本は、NTTKDDを除いてすべて規制を撤廃することになりますが、アメリカは、逆にほとんどの電気事業について外資規制がかかったままという不平等な扱いになっています。郵政省が作成した「主要国自由化約束の概要」によりますと、アメリカについて、「ほとんどの電気通信事業者は、無線局も使用することから、無線局に対する外資規制は、事実上、ほとんどの電気通信事業者に対して外資規制を行うのと同じ効果」と書いております。なぜそんな不公平な交渉に終始したのか。以上の二点についてお答えください。
  58. 野上義二

    野上政府委員 まず第一点目の、ITA合意により、情報技術合意により産業の空洞化が起こるのではないかという御指摘でございますが、今度の産業技術合意の対象となりますコンピューターであるとか半導体とか、そういった情報技術製品というのは、二十一世紀の産業基盤の基幹をなすものであるということで、そういった面で、自由貿易を促進して世界経済の発展に大きく貢献すると考えております。  我が国の場合、関税を撤廃すると空洞化が起こるのではないかという御指摘でございますが、今回の情報技術合意に基づきます対象品目のほとんどが、ごく一部の数品目を除いて、既に実行税率でもうゼロでございます。関税がゼロでございます。したがいまして、この合意をすることによって我が国関税が下がり、非常に輸入等の影響を受けるということには当てはまらないかと思っております。  さらには、この結果、先ほど大臣の方からも御説明申しておりますけれども、四十二カ国の加盟があり、世界貿易の九三%が対象になるわけで、そういった点が、さらに関税が撤廃されて自由化されれば、我が国の輸出に対しても極めて好意的といいますか、輸出環境が改善されるというふうに私どもは理解しております。  次に、電気通信世界における外資規制の問題でございますが、確かに私どもの今回の譲許の内容は、NTTKDDを除く第一種事業者について自由化したということでございますが、アメリカの電気通信事業、無線の免許の点に御指摘がありましたけれどもアメリカの場合には、無線免許に関しましては二〇%の直接投資の制限がございますが、間接につきましては、米国法人等の子会社を通ずる投資につきましては一〇〇%自由になっております。我が国の場合には、NTTKDDにつきましては二〇%は直接及び間接双方にかかっております。  したがいまして、今般の合意が、特にアメリカが有利で我が国のみが一方的な譲許をしたということには当てはまらないかと思います。それから、他の諸国における政府保有株の問題等もございますが、他方、我が国につきましても政府保有株の制度はございます。
  59. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、沖縄問題で、国立組踊劇場設立問題についてお伺いします。  最初に、外務省に対してですが、沖縄特別振興対策調整費の配分が決定されて、外務省所管として、国際協力・交流の推進プロジェクトチームの中で、沖縄国際南北センター、国立組踊劇場等国際協力・交流の拠点整備費がつけられています。そこで、国立組踊劇場設立問題と国際協力、交流の拠点整備の関係について、外務省の見解を伺わせていただきます。
  60. 中島明

    ○中島説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生、幾つかの沖縄の交流、協力についての調査について御質問がございましたけれども外務省におきまして行っていこうと思っております調査は、沖縄県における知的交流事業に関する調査、これが一つございます。それからもう一つは、日米の間の国際交流推進のための調査、これは主に沖縄とそれからハワイとの間の交流の拡大、そういうことに関する調査、以上二点でございます。  御指摘の組踊劇場につきましては、私の承知しておりますところでは、文部省の方で調査する、そういうことになっておると思います。  以上でございます。
  61. 古堅実吉

    ○古堅委員 それでは文部省にお尋ねします。  国の重要無形文化財として指定されている組踊について、その公開、伝承者の養成、調査研究、普及活動等を総合的に推進する立場から、その拠点となる国立組踊劇場の設立を沖縄側は強く要請し続けてまいりました。私自身も何回も取り上げてまいったところです。今回、その設立への基本方向が踏み出されたことは大変喜ばしいことだと考えておりますが、念のため伺います。  国立組踊劇場設立問題が沖縄振興策の中で国際協力・交流の推進として位置づけられていることによって、組踊劇場本来の趣旨が損なわれることがないか、そのようなことがないようにすべきだと考えますが、今後の対策についてどうお考えか伺います。
  62. 水野豊

    ○水野説明員 お答え申し上げます。  国立の組踊劇場につきましては、先生指摘のとおり、かねてから地元の沖縄または関係の団体から強く要望がございまして、私ども文化庁としまして、組踊を中心といたしまして、広く沖縄の伝統芸能の保存振興に当たる、そういう拠点にしたい、また、あわせて沖縄の地理的、歴史的な特性を考えました場合、伝統文化を通じたある種の交流の拠点施設として設置を検討してまいったわけでございます。  今回、沖縄特別振興対策調整費の配分を受けまして、国立組踊劇場、これはまだ仮称でございますが、そのあり方に関する調査研究協力者会議を発足させたところでございます。  これから具体的な調査に当たるわけでございますが、先生が御指摘の御懸念と申しますか、私どもとしましては、この劇場につきましては、重要無形文化財に指定しております組踊をもちろん中心にいたしますが、さらには沖縄の古典的な琉球舞踊でございますとか三線音楽、また沖縄芝居、さらには沖縄のさまざまな民俗芸能というものがここで公開されるような施設として、そういう方向で、今後こういう調査会等で御検討いただきたいというふうに考えているところでございます。
  63. 古堅実吉

    ○古堅委員 ぜひ地元の御要望を十分受け入れる。ような立場で推進していただきたいとお願いしておきたいと思います。  私は、組踊を伝承してこられたすばらしい幾人もの先輩方が、国立組踊劇場の設立を切望されながら老齢で亡くなられたのを見てまいりました。組踊劇場の設立問題は、いろいろな意味でその早期実現が求められておりますが、これからの御努力と展望について、文部省からお聞かせください。
  64. 水野豊

    ○水野説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、そういう調査研究協力者会議を発足し、具体的な調査を始めたところでもございます。私どもとしましては、平成九年度にその劇場の基本構想、基本計画を策定したいと考えておるわけでございます。  ただ、その後どのように進めるかということにつきましては、この調査研究協力者会議での検討の結果ももちろんございますし、また国の財政状況もあるわけでございまして、そういうことも十分勘案しながら、私どもとして検討を進めてまいりたいと思っているものでございます。
  65. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、沖縄米軍基地、鳥島の劣化ウラン弾問題についてお尋ねします。  科学技術庁は四月二十二日に、外務省と科学技術庁が実施した環境調査の結果を発表しております。これを見ますと、一カ所ですが、ウラン濃度が〇・三四ミリグラムと極めて高い数値が出ております。三月の米軍発表では〇・〇〇一五ミリグラムから〇・〇〇五九ミリグラムでしたから、この結果は米軍の調査がずさんだったということを示している、こう考えます。大臣、どうお考えですか。
  66. 折田正樹

    ○折田政府委員 今委員、三月とおっしゃいましたけれども、私どもの了解では、四月の二十二日に科学技術庁が、三月二十六日から二十八日にかけて、鳥島射爆撃場及び久米島において、米側の協力も得て実施した環境調査の分析結果を発表しております。ただし、土壌と大気浮遊じんのウラン同位体比の分析、それから海藻の分析については引き続き実施中でございます。  そして、科学技術庁の取りまとめによりますと、模擬弾に貫入している未回収の劣化ウラン含有弾の近傍の土壌一カ所から、劣化ウランによるものと考えられる高いウラン濃度が検出されたが、その影響範囲は極めて限られたものである。そして、鳥島で採取した他の地点、全部で六十八カ所の土壌、大気浮遊じん及び周囲の海水の測定結果並びに鳥島の周辺約五・五キロに立ち入り制限水域が設定されていることなどを考慮すると、今回検出された一地点での高いウラン濃度が直ちに環境に影響を及ぼすものではないと考えるとしているところでございます。  私どもとしては、今回、高いウラン濃度が検出されたのが未回収の劣化ウラン含有弾の近傍の土壌の一カ所のみであって、その影響範囲は極めて限られたものであること、それから、先ほどの科学技術庁の報告にもございますけれども、鳥島で採取した他の地点の土壌、大気浮遊じんそれから周囲の海水の測定結果、それから鳥島周辺約五・五キロメートルに立ち入り制限水域が設定されるということを考慮すると、今回検出された一地点での高いウラン濃度が直ちに環境に影響を及ぼすものではないと考えているわけでございます。  そして、このように今回の調査結果は、未回収の劣化ウラン含有弾による広範囲な汚染を示すものではないということで、今委員米側の報告書のことを引用されましたけれども、米軍は、鳥島及びその周辺にある劣化ウランが、職務上接近することのある要員及び一般公衆に対して有する危険はごくわずか、英語で言いますとネグリジブルという言葉でございますが、であるとの結論に達したということで、基本的な結論で差異があると私どもも思っておりません。  いずれにいたしましても、科学技術庁において、環境調査に関するすべての分析を終了した時点 で、データ評価検討会を開催しまして、一連の調査結果について総合的な評価を行う予定であるということでございまして、政府としては、引き続き本件に係る環境への影響の把握に努めているところでございます。
  67. 古堅実吉

    ○古堅委員 わかったのが一カ所とはいえ、極めて高い濃度の数値が出ています。〇・三四ミリグラムというのは〇・〇〇一五ミリグラムの二百二十六倍ですよ。この現状を調査しないのは、ずさんそのものです。それを擁護するようなことを政府がとってはいけません。  撃ち込んだ劣化ウラン弾は、どのくらいの深さに入っているような事例がありましたか。
  68. 折田正樹

    ○折田政府委員 劣化ウラン弾を回収するに当たりましては、私も詳しいことはちょっと存じませんけれども、放射能の測定装置のような機器を使って測定したわけでございまして、その測定装置が届く範囲の深さのものの回収を行っているということでございます。
  69. 古堅実吉

    ○古堅委員 土中のウラン弾を掘って、その汚染を調査することもしなかったのですか。
  70. 折田正樹

    ○折田政府委員 土壌を掘り返してやるというところまではやっておりませんで、今申し上げましたように、そういう機器を用いまして回収に努めていると承知しております。
  71. 古堅実吉

    ○古堅委員 鳥島に撃ち込まれた劣化ウラン弾は千五百二十発。そのうち回収されたのがわずかに二百発足らずです。大部分が地中に埋まったままだと考えられます。二十五ミリ徹甲焼夷弾には一個当たり劣化ウランが百五十グラム含まれていて、撃ち込まれた弾が腐食して溶け落ちるウランの量は相当の量だというふうに考えられます。その土中の汚染度を調べる、そういうこともしないのでは、何のための調査が。指摘しなければなりません。表面だけを調査して問題ないと言うのは、この土中の汚染を隠すことにもなるのです。  大臣、重要なこの土中調査を再度やるべきじゃありませんか。大臣からお聞かせください。
  72. 池田行彦

    ○池田国務大臣 政府としては、科学技術庁を中心にいたしまして、地元沖縄県の推薦される方々の御参加も得まして、適切な調査を行ってきたものと承知しております。そして、その調査の結果、まだ一部出ておりませんけれども、最終的に調査結果が出ました段階でまた総合的な評価をしてまいりたいと考えている次第でございますが、私は、必ずしも、委員がおっしゃるような手法を用いなくてはその実態がわからない、そして危険のおそれが非常に高いという御指摘は当たらないのじゃないかと思っております。
  73. 古堅実吉

    ○古堅委員 適切な調査どころか、とんでもない調査をしておられる。この劣化ウラン弾の扱いは、PCBに匹敵すると言わねばなりませんし、あるいはそれ以上に重大だと申さねばなりません。土が汚染されていることが明らかになれば、アメリカ本国に搬送させるべきは当然であります。  一九七二年五月十五日の日米合同委員会合意では爆発物処理が実施されるというふうに書いているにもかかわらず、回収されたのはわずか二百発足らずです。政府は、米軍に対して、地中の劣化ウラン弾の完全回収を含む汚染土砂等の除去についてきちっと要求すべきではありませんか。大臣からもう一度お答えいただきたい。
  74. 池田行彦

    ○池田国務大臣 米側として回収すべきものは回収しておると承知しております。  なお、鳥島の射爆場の置かれた状況、つまり一般の人が立ち入るような、そんな状況ではございません。そういったことも勘案してまいり、そして、これまでに行われた調査の結果を見ますと、委員が恐れられるような環境の汚染なり安全面での問題が大きいという状況は出てきていないのじゃないか、こう思っております。  なお、今委員が引用されました日米間の合意文書、爆発物の処理、爆弾の処理というのは、そういったことをできるという話でございまして、決してそれを義務づけているものではないということは、これまでの委員会審議経過でも明らかにされているということを申し上げたいと思います。しかしながら、米側米側としてできる限りの回収作業の努力は行ったということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
  75. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わりますが、まるでアメリカの代理人、米軍の代表みたいなことをおっしゃるじゃないか。国民の立場に立って物を考えてください。厳しく抗議して、終わります。
  76. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、中川智子君。
  77. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。もうおなかもすいてきましたので、時間厳守をお約束して、質問に入らせていただきます。  最初に、大臣に伺いたいのですけれども、国といいますのは人がつくっている、それが基本だと思います。また、貿易も、まず人と人との信頼関係があってこそスムーズにいくもの、こんなふうに簡単にはいかないのでしょうけれども、やはりそれが基本だと私は認識しております。  私は被災地出身で、宝塚であの阪神・淡路大震災をまともに経験いたしまして、そして、その後衆議院の方に働きに参っておるわけなんですけれども、昨日も議員立法というものが、公的支援を求めて、参議院の方から法案が提出されました。そしてまた衆議院の方でも、新進、民主、太陽、この政党も法案を提出いたしました。  災害がとても多いこの日本の国で、あの阪神・淡路でもそうだったのですけれども、スイスから災害救助犬が来てくれる、また重油のときにも、他国から日本を救いたいと言われていらっしゃる、そういうさまざまなことがございましたが、こんな災害国である日本において、いわゆる国民のための危機管理というのがまだまだ、まだまだというか、本当に全く不十分だと私自身は思っているのです。やはり災害時においての人と人との交流、互いに助け合う、そのようなことがあって、さまざまないわゆる信頼関係が基本になってまた貿易のところでも一つ一つの話が前に進んでいくことも大いにあり得ると思うのです。  日本の危機管理に対しての大臣の現状の認識と、そしてまた、救命救急のエキスパートをぜひともつくるべきだという私たちの主張に対してどのようにお考えかということを、冒頭にちょっとジャブを飛ばす感じで、お答え願いたいのですが、よろしくお願いします。
  78. 池田行彦

    ○池田国務大臣 質問の御趣旨が、危機管理の話と貿易に当たっての信頼性の必要性の話と、そこの関連が必ずしも明確でございませんのでちょっとお答えしにくいのでございますけれども、当然のこととして、日本は地震国でございますし、そのほかのいろいろな自然災害も多うございます。また、さらに、自然災害だけじゃなくて、ほかの面でも危機的な状況が起こる可能性は当然ありますし、現にこれまでも起きたことがございますので、危機に対してどういうふうに対処していくか、これについては、国としても、あるいはそれぞれの地域社会としても、平素から十分に配慮をし、また必要な手当てはしていかなくてはいけないのだ、こう思います。  そういった意味で、阪神の大震災における大変な御経験をされました際の教訓等も踏まえながら、そういった対策の強化についてイニシアチブをとっておられるということについては敬意を表したいと思います。ただ、その個々の内容について、それをどういうふうにするかは、これはやはり立法府で御審議なさるわけでございますので、今私の口からコメントすることは避けたいと思います。  なお、こういった災害時等における国際的な協力についても、我が国もいろいろ実行しておりますけれども、今後ともそういったものは広がっていくことが適切であるし、また、せっかくのそういった善意が必ずしも効果を発揮できるような状況がない、危機の状況下ですから無理もない面もあるわけでございますが、そういうケースもございますので、そういった国際的な支援が生かされるような状況をつくっていくということもひとつ考えなくてはいけないのかな、こう考える次第でございます。
  79. 中川智子

    中川(智)委員 ありがとうございます。どうか よろしくお願いいたします。  私は、今は所属としては厚生委員会に入っておりまして、そして、この間、薬価基準の問題、医薬品の問題でいろいろ議論がございました。それに関連しまして、医薬品の問題で質問させていただきます。  米国は以前から、日本の新薬承認にかかる期間が長過ぎるといたしまして、医薬品についての認可期間の短縮を求めております。米側は、厚生省の行政のために日本人は最新の薬品や機器による治療が受けられないんじゃないかということを主張しまして、消費者利益を強調しながら協議に臨む姿勢でおります。  政府は、医療品の規制緩和についての日米協議を要請している米国の提案に対してどのように対応していかれるのか、あわせてまた、国民の健康と安全を考慮しながら新薬承認までの期間を短縮することを現時点で考えていらっしゃるのかどうか、お伺いしたいと思います。厚生省の方に。
  80. 鶴田康則

    ○鶴田説明員 それでは、新薬承認までの期間を短縮することが現時点で可能かどうかということについて、簡単にお答えしたいと思います。  医薬品の安全性の一層の向上を図るということは国民の期待でもございまして、これを行うには、医薬品についての評価、判断、これをきちっと行う審査体制の充実を図るということが大切なことではないかというふうに思っておるわけでございます。  こうした観点から、昨年の六月には、薬事法改正によりまして本年四月から、治験の段階、人を用いた臨床試験の段階、それから申請された後の承認審査の段階、これにおける公的関与を強化したところでございます。また、本年七月からは医薬安全局の設置、医薬品医療機器審査センターの設置など、組織体制の充実を図ることとしておるわけでございます。また一方、審査、安全対策を担当する職員についてでございますが、今後は、平成十一年度までの間にこの審査センターを中心といたしまして、現在の二倍程度、二百人を超える体制を確保して、欧米諸国に比べて遜色のない体制を目指していきたいというふうに考えているわけでございます。  先生の御指摘の新薬の承認までの期間を短縮することにつきましては、米国から、医療機器、医薬品のMOSSのフォローアップ会合におきまして、新薬の承認審査に関する標準的事務処理期間現行の一年六カ月、これを一年に短縮できないかという要望がされております。  厚生省におきましては、昭和六十一年一月に、日米MOSS合意に基づきまして、新薬の承認審査に要する標準的事務処理期間を一年六カ月と設定しておりまして、これ以来この期間内で審査を行ってきております。エイズや難病の治療薬等、薬事法に基づく、希少疾病用医薬品みたいな優先的に審査しているものを除きまして、審査期間の大幅な短縮は現時点では困難であると考えております。  しかし、今後、審査担当官の増員等の審査体制の充実の達成状況を見まして、審査期間の短縮についても検討したいと米国側に今説明しているところでございます。  以上でございます。
  81. 中川智子

    中川(智)委員 あと五分になってしまいました。一生懸命たくさん質問考えてきたのに残念なことでございますが、では、いきなりお薬から通信サービスの方に移らせていただきます。  通信サービス自由化ルール規定する本議定書発効後においても、なお米国が認可保留を継続するような場合、WTOルールを重視する我が国日本といたしましては、この問題についてWTOへの提訴も辞さない方向で検討すべきだというふうに考えておりますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。
  82. 野上義二

    野上政府委員 今先生指摘のように、本議定書、要するにWTO基本電気通信合意が発効した後には、今米国がやっておりますようなFCCの認可の留保、こういったようなものは本合意最恵国待遇違反になり得ると考えられます。したがいまして、そういった場合には、私どもといたしまして、本協定に決められている紛争処理手続を利用して、我が国考え方を述べるなりその事態の救済を求めるということは、締約国の当然の権利であると考えております。
  83. 中川智子

    中川(智)委員 日米安保にしましても、この間のWTOのさまざまなことに関しましても、アメリカに対してやはりもっと毅然と、ということを心からお願いしたいと思います。  次に参りますが、電気通信分野におきまして、ことしの二月にWTOサービス貿易交渉において合意が成立したばかりでありまして、その合意内容を着実に実施していくことが先決であると思うのですが、そのことに対してどのようにお考えかということと、日本政府は、規制緩和について日米間で新たな協議の場を設置せよという米提案に対して、基本的に同意するという方針だということを伺っていますけれども、電気通信分野においてもこのような協議を受け入れるつもりでいらっしゃるのかどうか。政府の見解をまずお聞かせ願いたいと思います。
  84. 野上義二

    野上政府委員 我が国規制緩和計画の実施、推進に当たりまして、諸外国の意見等も取り入れるためにいろいろな協議を行っております。そういった意味で、米国とも日米包括協議の枠組みの中で協議を従来からも行っておりましたし、またEU等とも行っております。  そういった点を踏まえまして、今般の日米首脳会談で日米間での規制緩和に関する対話を強化しようということで合意ができまして、今どういった形でそういった対話の枠組みをつくるかということで議論しておりますけれども、まだ決定には至っておりません。  もちろん、その中で、米側は電気通信等についても従来どおりその協議の対象としたいということを言っております。これは包括協議の枠組みのもとでも行われてきたことでございますし、また包括協議の枠組みのもとで行われているということから、双方向性ということで、これは我が国規制緩和のみを議論する場ではなくて、米国における規制問題等も当然のことながら提起し得る形になっておりますので、そういった点を踏まえて、規制緩和に関する日米の対話の強化をどういうふうにやっていくかということを、先週も協議を行いましたし、六月の初めに再度また、日米間でどういった形の枠組みにするかということを話し合う予定でございます。
  85. 中川智子

    中川(智)委員 では、最後の質問大臣に再び御登場を願いたいのですけれども我が国は、調整役を自認する立場を生かして、WTOにおいても主導権を発揮していくべきだと考えております。  しかし、昨年開催されましたWTO発足後の初の閣僚会議において、佐藤通産大臣が全日程を欠席、また外務大臣も日程半ばにして帰国されるなど、WTO重視の方針に国民に疑問を抱かせるような印象があったやに考えております。それが非常に残念だということでありますけれども、今後、我が国WTOにおいて主導的役割を果たしていく、その大臣の御決意のほどを最後にお聞かせいただいて、質問を終わりにいたします。
  86. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私どもも、もとより国際経済、自由貿易体制がいよいよ発展していくことを願っております。それは世界全体のためにもそうでございますが、我が国のこういった世界との相互依存関係の中で、貿易もあるいはその他の交流もどんどん進めていかなくてはみずからの存立も維持できないという、そういう国柄でございますから、WTOについても積極的な、主導的な役割を担ってまいりたい、こういうふうな気持ちでこれまでも取り組んできたところでございます。  WTOの閣僚会議について、それはいろいろな報道でのいろいろなコメントはあったかもしれませんけれども政府としては、そういった積極的な姿勢で取り組み、またそれなりの役割を果たしたと自負しております。ただ、私も含めて、閣僚の出席の有無、あるいは期間の長短についてコメントがあったようでございますけれども、御承知の とおり、これは通常国会の開会されているさなかでございましたね。そしてまた、予算審議もある、あるいは法案の審議もある、条約審議もある、そういった中で、やはりWTOの閣僚会議の重要性というものを認識して、国会からもお許しが得られたわけでございますので、限られた時間の中でございましたけれども、私なりに一生懸命役割を果たすために努力したつもりでございますし、政府全体としてもそうでございます。どうかそういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  87. 中川智子

    中川(智)委員 どうもありがとうございました。私どもも十五人でひた走っておりますので、忙しさはよくわかっております。  どうもありがとうございました。
  88. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  89. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより両件に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
  90. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党を代表して、提案されている二件についての反対討論を行います。  確認書に反対する理由の第一は、アメリカの情報技術製品の対日輸出が増大することによって日本の大企業も影響を受けますが、そのしわ寄せが下請企業に向けられることが懸念されるからであります。  第二に、逆輸入製品の関税が撤廃されることや関税撤廃諸国への輸出が増大することに伴って、情報関係日本企業の海外移転にますます拍車をかけることを懸念するからであります。  次に、サービス貿易協定の第四議定書ですが、反対理由の第一は、日本NTT及びKDDを除いて、電気通信分野のすべてにわたって外資規制を撤廃するのに対して、郵政省も指摘するように、アメリカには事実上ほとんどの電気通信事業者に対して外資規制を行うのと同じ効果を持たせ、不公平な扱いとなっているからであります。また、電気通信事業者間の競争激化に伴って、採算性のよくない公共性の高い分野の切り捨て、あるいは国民へのサービス低下をもたらす懸念があるからであります。  以上指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
  91. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  92. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより採決に入ります。  まず、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する確認書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  93. 逢沢一郎

    逢沢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、サービス貿易に関する一般協定の第四議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  94. 逢沢一郎

    逢沢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 逢沢一郎

    逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  96. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十五分散会