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1997-04-22 第140回国会 衆議院 外務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十二日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君 理事 松本 善明君       安倍 晋三君    石崎  岳君       柿澤 弘治君    河野 太郎君       櫻内 義雄君    下地 幹郎君       新藤 義孝君    原田昇左右君       森  英介君    渡辺 博道君       坂口  力君    島   聡君       松沢 成文君    丸谷 佳織君       山中 燁子君    若松 謙維君       井上 一成君    藤田 幸久君       古堅 実吉君    保坂 展人君       平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      西田 芳弘君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 河村 武和君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         防衛庁防衛局国         際企画課長   土屋 龍司君         防衛庁防衛局運         用課長     高見澤將林君         防衛庁防衛局計         画課長     金澤 博範君         防衛庁装備局武         器需品課長   西  正典君         外務大臣官房審         議官      古屋 昭彦君         通商産業省貿易         局輸出課長   桑山 信也君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   田中 昭一君     渡辺 博道君   伊藤  茂君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 博道君     田中 昭一君   保坂 展人君     伊藤  茂君     ――――――――――――― 四月二十二日  ILO第百三号条約等批准に関する請願(石  井郁子紹介)(第二一〇三号)  ILOパートタイム労働条約批准に関する請  願(石井郁子紹介)(第二一〇四号)  日米安保条約及び地位協定の撤廃に関する請願  (秋葉忠利紹介)(第二一三三号)  同(上原康助紹介)(第二一三四号)  同(辻元清美君紹介)(第二一三五号)  同(土井たか子紹介)(第二一三八号)  同(中川智子紹介)(第二一三七号)  同(中西績介紹介)(第二一三八号)  同(畠山健治郎紹介)(第二一三九号)  同(濱田健一紹介)(第二一四〇号)  同(保坂展人君紹介)(第二一四一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすこ  とがあると認められる通常兵器使用禁止又  は制限に関する条約に附属する千九百九十六年  五月三日に改正された地雷ブービートラップ  及び他の類似装置使用禁止又は制限に関  する議定書(千九百九十六年五月三日に改正さ  れた議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの  件(条約第二号)  過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすこ  とがあると認められる通常兵器使用禁止又  は制限に関する条約追加議定書締結につい  て承認を求めるの件(条約第三号)      ――――◇―――――
  2. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 これより会議を開きます。  過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書1)の締結について承認を求めるの件及び過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約追加議定書締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。
  3. 石崎岳

    石崎委員 自民党の石崎岳でございます。  きょうの議題は、通常兵器制限条約議定書のⅡとⅣということでございますが、議定書のⅣの方は失明レーザー兵器禁止ということでございますので、これは未然に防ぐという意味で画期的な議定書であるというふうに思います。大歓迎をいたします。きょうの質問は、主に議定書のⅡの地雷の方についてお聞きをしたいと思います。  対人地雷については、三月にも国際会議東京であり、いろいろ議論が進んでいるところでありますけれども、悪魔の兵器とも呼ばれて、国民の皆さんも、カンボジアでのニュース、映像等で、非常に悲惨な実態というのが目に焼きついているものであります。こういうものは一日も早くこの地上からなくなってほしいというのが日本国民あるいは全世界の願望であろうというふうに思っております。  世界的には、一億一千万個ですか、一億個以上が敷設されているというふうに言われておりますけれども、その被害状況、実際にどれくらい被害が発生しているのか、一般市民あるいはその除去作業をしている方も含めた被害状況といったものをお聞きしたいのですけれども……。
  4. 古屋昭彦

    古屋説明員 ただいまの地雷被害状況という御質問にお答えいたします。  対人地雷による死傷者というものは、毎月二千人以上、そのうちの犠牲者の大半は、敵対行為の終結後に死傷する文民考えられております。現在、世界では二十五万人以上の負傷者がいると推定されております用地雷除去作業中の被害について申し上げますと、地雷一千個から二千個の破壊につきまして一回の比率で事故が発生しております。これは、以上、国連人道局のデータでございます。
  5. 石崎岳

    石崎委員 いずれにしても、大変な数の一般市民文民被害が出ているということであります。  そこで大臣、こういった対人地雷一般論とし て、外務省日本政府としてこの対人地雷存在そのものをどう認識されているのか。あるいは、現に日本自衛隊が保有し生産をしているという実態について、外務大臣としてどうお考えでしょうか。
  6. 池田行彦

    池田国務大臣 対人地雷は、純粋に軍事的な観点から申しますと、一つは安価、安いということ、それから効率的でしかも高い防御的な性格だ、そういうふうな評価がされていると思います。  しかしながら、先ほど来御議論もございますように、また国際的にも大変問題になっておりますのは、このような基本的には防御的な性格兵器だと申しましても、それが無差別に使われる、あるいは放置される、こういうことになりますと、戦闘行為には直接関係のない一般文民の方に多大な被害をもたらすおそれがある、いや、おそれがあるだけではなくて、現実にそういった多大な被害が生じている、こういうことがあるわけでございます。また、それだけではなくて、そのようなものが多数放置されておりますと、いろいろな地域住民の活動を阻害するのは当然でございまして、社会経済上も大変大きな影響を与えております。  現に、アンゴラの政府の方といろいろ話しましたときに、復興しようと思うのだけれども、復興するためにも、農作物一つつくるためにも、まずこの地雷の処理という大きな障害にどう取り組むか、こういった問題がある、こんな切実な話を直接伺ったこともございます。そういった意味で、全体として見ました場合に、やはりこのような対人地雷というようなものは何とか将来的に全面的に禁止していく方向へ持っていかなくてはいけない、こう認識しているところでございます。  ただ、現実の問題として、一挙にそこまで参るわけにまいりませんので、今回御審議をお願いしております議定書のように、まず国際社会においてコンセンサスが形成できる段階までのものを合意しようというのが我々が考えているところでございまして、御承知のとおり、御指摘にもございましたけれども、我が国自衛隊対人地雷を現に保有しているわけでございますので、そういったこともございまして、今申し上げましたような方針でいっているところでございます。  昨年の六月に我が国としての対人地雷に対する方針というものを一応決めたわけでございますが、それは、基本的には全面禁止に向けて努力していく、それと同時に、自主的に日本として単独にできる措置はやっていこうじゃないか、こういう方針を決めたところでございまして、現在、国際的な全面禁止が達成されるまでの間は、我が国防衛上の観点から必要最小限対人地雷を保有しようということで、現自衛隊においてある程度保有されておる、あるいは製造もされておる、こういうふうに認識しております。  ただ、御承知のとおり、ことしから、自衛隊において保有するものもいわゆる自動破壊装置つき、今回の議定書でそれに限定されるということになっておるわけでございますけれども、そういったものに絞って自衛隊でも保有しようということにしておるわけでございます。
  7. 石崎岳

    石崎委員 そういう政府方針方向性があるという中で、平成九年度も地雷関係費七億円が予算化されているということであります。  何個つくっているかということは軍事上の秘密であろうと思いますけれども、海外においては依然として一般市民文民地雷被害を受けているという中で、日本自衛隊地雷を持つ理由防衛上、軍事土地雷を持つということの効果理由というのをはっきり示していただきたいのですけれども……。
  8. 金澤博範

    金澤説明員 お答え申し上げます。  起伏が多くて縦深性に乏しいといった地理的特性を有するとともに、我が国は、防衛基本理念といたしまして、専守防衛に徹するということにしておるわけでございます。そういった国柄の我が国にとりまして、敵の着上陸侵攻に対しましては可能な限り前方で対処することが必要となります。  対人地雷は、我が国に着上陸してくる敵の歩兵等侵攻をおくらせるための障害を構成するという防御的な兵器として、有効かつ重要なものであると考えておる次第でございます。特に、我が国内陸部におきまして持久作戦を行う場合には、我が国がその地形の特性を利用いたしまして、陣地を構築しつつ防御戦を実施することになるわけでございますけれども、この際、敵の侵攻を遅滞ないし阻止して陣地を防御する手段として、対人地雷有用性は高いものと考えております。
  9. 石崎岳

    石崎委員 防衛庁はそういう理由があるということですけれども、去年六月のサミット橋本総理大臣は、「我が国対人地雷全面禁止支持の決定について」というステートメントを発表なさいました。その中では、「我が国は、対人地雷全面禁止に向けた国際的な努力を支持する。」という表現があります。それが一。二以下については、当面の自主的な措置として、以下(一)、(二)、(三)、(四)というような対応をするという二段構えのステートメント。つまり、一では日本地雷は全廃しますよと宣言し、しかし、やはり国内的には地雷防衛上必要ですから生産はしますというような二重の要素の入った宣言サミットでしたということであります。全廃しますと言って、一方では生産は続けます、こういった態度に矛盾はないのかどうか、こういったものが国際社会で一体どういうふうに受けとめられるかということを危惧するわけであります。  将来的に全廃する、地雷はなくすんだという方向性がはっきりしているのであれば、そして日本政府もそういう方向性をとっているということであれば、一歩進んで全面廃止というものを先取りするといった考え防衛庁にないんでしょうか。
  10. 金澤博範

    金澤説明員 近年、我が国と同様、対人地雷全面禁止に向けた国際的な努力を支持する国はふえてきておりますけれども、国際的に全面禁止の合意が達成されるまでの間におきまして各国がとっている自主的措置内容は、各国の事情に応じまして区々でございます。全面禁止を直ちに実施するとしている国は、ごく一部の国に限られているものと承知しております。  防衛庁といたしましては、昨年六月に、政府として対人地雷全面禁止に向けた国際的な努力を支持するとともに、我が国自主的措置として自己破壊装置を有さない対人地雷新規取得を計画しないなどの措置を講ずるとしたことを踏まえまして、かかる自主的措置に従った所要の措置を講ずるなど、先般のリヨンにおきます総理サミットでの宣言内容を着実に実施しておるところでございます。  他方、防衛庁といたしましては、我が国地理的特性等を踏まえますと、先ほども申し上げましたように、対人地雷我が国防衛上必要であるという考えでございまして、現時点生産中止ですとか削減あるいは廃棄を行うことについては、慎重に対処する必要があると考えております。  いずれにいたしましても、かかる問題につきましては、今後の国際的動向を見きわめる一方で、我が国の安全を維持していくとの視点をも考慮する必要があると考えておりまして、防衛庁といたしましては、我が国の平和と安全を守るという任務を踏まえつつ、その対応につきまして慎重に検討したいと考えております。
  11. 石崎岳

    石崎委員 その辺なんですけれども、素人考えというか、一般の方から見ると、日本防衛地雷が必要だということであれば、それは未来永劫多分必要なんだろうと思います。しかし、一方でそれを全廃しようという動きがある。防衛上必要であるのだったら、全廃条約日本が賛同するという考え現時点で表明できないはずであります。それを表明したということと、地雷日本防衛上ぜひとも必要なんだという考えと私は矛盾すると思いますし、一般国民もそういう矛盾を感じていると思いますけれども、その辺はいかがでしょう。
  12. 土屋龍司

    土屋説明員 お答え申し上げます。  昨年の六月に総理リヨンサミットの際に表明しましたことは、対人地雷全面禁止に向けた 国際的な努力を支持するというものでございます。  それで、この全面禁止に向けたいろいろな動きというのがございます。その中には、必ずしも国際社会が一致しているという動きではございませんで、一つは、全面禁止決議というのが昨年十二月に国連でございましたが、その際には棄権した国もございました。それから、もう一つ動きというのは、最近話題になっておりますが、オタワプロセスという動きでございまして、これは、合意できる国だけでいいから早く条約をつくろうではないかという動きでございます。  そのほか、もう一つ動きは、ジュネーブ会議という場で、実際に地雷をつくっている国もしくは輸出している国を含めて、国際社会が合意して実効的な全面禁止努力をしようではないかということでございます。  それで、こういった動きがあるのですが、昨年のリヨンサミットでの総理の表明というのは、とにかくこういう全面禁止に向けた国際的な努力を支持しようというものでございます。一方、世界のすべての国がというか、この全面禁止に賛同する国がそれでは地雷をすべて廃棄したりもしくは制限しているというわけではございませんで、我が国としましては、その努力の一環としまして、自主的措置としまして四つ項目があるんですが、「自己破壊装置を有する対人地雷への改修等に必要な処置を適切に進める。」とか「自己破壊装置を有さない対人地雷新規取得を計画しない。」三つ目は、「自己破壊装置を有さない対人地雷は、」今回批准をお願いしております「特定通常兵器条約改正議定書により使用が認められている場合も含め、作戦上の使用を行わない。」四つ目は、「一般市民被害を与えるおそれのない、対人地雷代替手段検討早期に進める。」ということでございまして、私どもとしましては、このような、自主的措置として自己破壊装置を有する対人地雷への切りかえを行うということと、全面禁止に向けた国際的な努力を支持するということは必ずしも矛盾するものではないと考えている次第でございます。
  13. 石崎岳

    石崎委員 去年六月のサミットステートメントでは、国際的努力を支持するという日本政府方針であります。  大臣対人地雷全面禁止に向けた国際的努力を支持するという日本政府方針ということは、日本政府は国際的な努力をするのか、しないのか。国際的な努力というのを、日本は傍観者的に支持するということなんでしょうか。それとも、日本政府も一緒になって努力をするということなんでしょうか。私は、もちろん後者だと思いますけれども。  それでは、日本政府が行った国際的な努力といったものは何なのかということをぜひお聞きしたいのですが。
  14. 河村武和

    河村政府委員 今御説明を累次いたしましたとおり、昨年来いろいろな動きがございましたけれども、特に、昨年の十月に、カナダにおきまして対人地雷全面禁止に関する会議がございました。日本はこの会議参加をいたしまして、こういう国際的な努力を支持するという姿勢を表明いたしましたけれども、同時に、このカナダ会議の前に開かれました、カナダ外務大臣が招集しました数カ国の外務大臣レベルの会合にも、我が国は当時柳井外務審議官会議参加をいたしまして、この会議の準備をいたしております。  さらに、昨年十二月に、国連総会対人地雷全面禁止に関する決議が採択されましたけれども、この決議共同提案を行った国の中で日本は当初より主導的な役割を果たすということで、私たちとしては積極的な取り組みを行ってきていると、このように考えております。  現在、全面禁止条約をどういう形で達成するかについてはいろいろな議論が行われておりますけれども、我が国といたしましては、普遍的かつ実効的な条約実現に向けまして、ジュネーブ軍縮会議におきます議論といわゆるオタワプロセスとの議論が相互に補完し合う形で進展するよう、双方の議論参加して努力していく考えでございます。
  15. 石崎岳

    石崎委員 先ほど防衛庁は、外国でも地雷をやめていない国が多いんだから日本も捨て切れないというお話でしたけれども、資料を見ましたら、諸外国の中では、自己破壊装置あるなしにかかわらず対人地雷はもうつくらないあるいは使用しない、あるいは、保有している地雷破壊廃棄解体に踏み切っている国が少なくないという現状であります。ほとんどの国がもうそういう対応をしている。そういった中で日本は、引き続き生産もやり、保有地雷削減解体もしないという選択であります。こういうことからしても、去年のサミットにおける総理宣言というものの内実が伴っていないんじゃないかという気がいたします。  生産中止する、あるいは保有地雷廃棄をしていくという考えはありませんか。
  16. 金澤博範

    金澤説明員 繰り返しになりますけれども、防衛庁といたしましては、我が国地理的特性等を踏まえますと、対人地雷我が国防衛上必要であると考えておりまして、現時点生産中止でありますとか廃棄といったようなことは考えておりません。  ただ、かかる問題につきましては、今後の国際的な動向を見きわめる一方で、見きわめつつ我が国の安全を維持していくという二つの側面から考える必要があると存じまして、引き続き、国際社会動向を注視していきたいと考えております。
  17. 石崎岳

    石崎委員 それから、去年六月のサミットのペーパーの中にあります「対人地雷代替手段検討早期に進める。」という項目がありますけれども、代替手段検討進捗状況を御説明願います。
  18. 土屋龍司

    土屋説明員 「一般市民被害を与えるおそれのない、対人地雷代替手段検討早期に進める。」という点についての御質問でございます。  一般市民傷害を与えるおそれのない、対人地雷代替手段実現のための努力防衛庁としても必要であると考えております。しかしながら、現時点で実用可能な有効な代替手段というものは、世界的に見ましてもまだ一般的に実用化されていないのが実情であると承知しておりまして、これといったものがないという状況でありますが、この代替手段検討につきましては今後とも努力していきたいと考えております。
  19. 石崎岳

    石崎委員 代替手段は今のところないということであります。そして、防衛庁は、地雷防衛上必要である、日本の場合は現時点で必要であるという見解であります。  防衛上必要であり、その代替手段もないということでありますから、日本としては、現時点でというか近未来、全面禁止条約参加することはもう不可能であるという結論になりますね、今のお話を聞くと。どうでしょう。
  20. 河村武和

    河村政府委員 先ほどから御説明いたしておりますとおり、現在、国際社会におきましては、対人地雷全面禁止に向けていろいろな議論が行われております。  我が国としては、基本的に、実際に対人地雷を無差別使用したりいろいろな形で移転しているという国を取り込んだ形で、全面禁止条約に向けた交渉を進めていく必要があるのではないかと考えているわけでございます。まさにこういう交渉が進んでいく中で、我が国といたしましては、防衛庁とも相談をいたしまして、代替手段可能性を含めて政府としての立場を検討していくことになる、このように考えておりますので、代替手段可能性検討しつつ条約実現に向けて努力をするということは可能である、このように考えております。
  21. 石崎岳

    石崎委員 つまり、代替手段開発がなければ全面禁止参加できないということですよね。
  22. 河村武和

    河村政府委員 条約実現させていく上にはいろいろな要素があろうかと思いますので、今申しましたとおり、代替手段についてのいろいろな検討をしていくということも行いつつ全面禁止条約 の国際的な実現に向けて検討していく、こういうことでございます。
  23. 石崎岳

    石崎委員 もう一つ、三月の東京会議でも議題となりましたけれども、地雷撤去への協力の問題であります。  武器輸出原則との兼ね合いで、その撤去技術輸出あるいは撤去機器輸出というものができないという状態であると聞いております。今これだけ国際世論が沸き上がり、あるいは全面禁止条約検討されている段階で、そういう協力もできないということが非常に問題である、欲求不満に陥ってしまうような気がするのですけれども、そういった武器輸出原則との兼ね合いを今後も堅持していくのか、あるいはそれを変えていくのか。その辺をお伺いしたいのですけれども。
  24. 桑山信也

    桑山説明員 お答え申し上げます。  武器原則につきましては、我が国の国際的な基本原則であります国際紛争の助長を回避するという理念に基づきまして、私ども慎重に武器輸出に対処してきております。ただ、武器に該当するものでございましても、当該輸出目的あるいは態様等によりまして、武器輸出原則等趣旨を損なわない範囲内におきまして輸出を許可する例はございます。  例えば、湾岸戦争のときに、報道関係者あるいは医療関係者の方々が防毒マスクを携行されたわけでございますが、その場合は、現地で万全の管理が行われる、あるいは帰国のときにきちんと持ち帰るというようなことが確保されているということでございましたので、そういう条件を前提といたしまして輸出を許可した事例もございます。御指摘対人地雷除去技術あるいは除去装置につきましても、輸出原則趣旨を踏まえつつも、このような輸出目的あるいは態様等を十分考慮いたしまして、適切に対処してまいりたいと思っております。
  25. 石崎岳

    石崎委員 日本でもそういう技術開発が進んでいるというふうに聞いておりますので、その輸出については柔軟に対応する方針だというふうに一認識しています。  最後になりますけれども、外交はいろいろ軍事と関連した動きでありますので、非常にそれぞれの国の国益が絡む、それぞれの国でいろいろ対応が違う問題であります。そういう中で、全面的にコンセンサスを得るという方向の一方で、賛同する国だけ参加していこう、そして囲い込みをしていこうというようなやり方がある。今回の地雷の場合は、まさにそのオタワプロセスというものが、賛同する国だけ集まって、とりあえずそれをふやしていこうというような取り組みであります。  そして、十二月にはそれをとりあえずスタートさせようという方向であるというふうに聞いておりますけれども、去年六月、日本サミットで高らかに宣言し、なおかつ実態としては、日本防衛上必要であり、生産も続けているという実態が続いております。その一方で、諸外国、欧米の例では、具体的に削減動き生産中止動きがもうどんどん進んでいるという中で、日本が一歩おくれているという印象は否めないというふうに思います。  そういう中で、外務省防衛庁の間で、十二月、オタワプロセスに対する日本対応というものをどうしていくのか、その辺の展望をお聞きしたいのですけれども。
  26. 河村武和

    河村政府委員 先ほどからも御説明いたしましたとおり、日本は、いわゆるオタワプロセスが開始されたと言われる昨年十月の会合に、オブザーバーではなくて正式のメンバーとして参加いたしております。さらに、本年の二月に、オーストリアのウィーンにおきまして全面禁止条約案についての予備的な審議が行われましたけれども、この審議にも我が国参加いたしております。さらに、六月にはブラッセルでオタワプロセスの一環としての会合が開かれますけれども、日本政府としてはこれに参加するということを考えております。  同時に、先ほども申しましたとおり、地雷問題の根本的な解決というのは、地雷使用地雷輸出を行っている国を含む形で全面禁止条約を作成することが重要であると考えておりますので、こういう軍縮に関する条約をつくってまいりましたジュネーブ軍縮会議におきまして、条約交渉早期開始の可能性を追求するということも重要であると考えているわけでございますので、このような軍縮会議における取り組みとカナダ政府部の主導する動きを相互補完的なものとしてとらえまして、対人地雷全面禁止に向けた努力を続けていくということで、防衛庁を初め政府部内で所要の調整を行いつつ最大限の努力を行っていきたい、このように考えております。
  27. 石崎岳

    石崎委員 先ほど言いましたが、外交は、人道上の見地とそれから国家防衛上の見地を両立させるという大変難しい問題でありまして、代替手段がない中での放棄ということもまた、国の安全を守るという面では非常に問題点を残す。一方で、そういう国際世論を喚起するあるいはその方向性を確立していくという意味では、日本も、それの内実が伴った方向性を打ち出していかなければ、なかなか国際的な理解を得られない、潮流をつくっていくということが難しいのではないかというふうにも思います。  そういった意味で、右を見て、左を見て、後からついていくという方向もありましょうし、あるいはその先陣を切って道を切り開いていくという方向もあるかと思いますけれども、平和国家を憲法で規定している日本という国の特質上、その先陣を切るというような方向性を切に希望して、質問を終わります。
  28. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 これにて石崎岳君の質疑は終了いたしました。  次に、若松謙維君
  29. 若松謙維

    ○若松委員 新進党の若松謙維でございます。  選挙後初めての質問となります。池田外務大臣、よろしくお願いいたします。  それで、ちょっと質問通告はしておりませんけれども、この議定書の本題に入る前に、外務大臣にお聞きしたいのですけれども、四月二十日、御存じの、北朝鮮から亡命されました黄長燁さん、この方が最終目的であります韓国に到着されまして、黄さんが、南朝鮮解放の旗のもと、武力統一の方針を正当化しようと力を尽くしている、そういったところを回避するためにこれからも頑張っていきたい旨の声明を述べられました。  この責さんの韓国到着について、外務大臣は何か歓迎の意というか、そういった感想をお聞きしたいと思うのですけれども。
  30. 池田行彦

    池田国務大臣 黄長燁書記の亡命の事件につきましては、関係の国々がいろいろその取り扱いについて慎重に検討を進めておられたわけでございますが、今回、本人の意思も尊重し、また、国際的なルールというものもよく考えながら、御本人の亡命を希望しておられました韓国に無事到着されたということは、これはこれで、この種の問題の取り扱いとしては、関係各国、よく冷静に対処されたのではないか、このように評価している次第でございます。  ただ、このことがこれからの南北関係あるいは国際関係にどういうふうな影響を与えるかという点につきましては、またよく注視してまいらなくてはなりませんけれども、いろいろな動きのある中で、北朝鮮の方も、国際社会とのかかわり、従来のような対応ぶりを継続していくのかどうなのかという点についていろいろ検討もされているような兆しもございますし、今回の黄長燁書記の亡命ということが、今申しましたような国際情勢に対して好ましからざる影響を与えることが回避されるように期待しているところでございます。
  31. 若松謙維

    ○若松委員 今、国際的な動きの中で回避されるということは、要は、よくなる方向を期待されているという外務大臣の声明だと理解いたしました。  そして、この議定書に入らせていただきます。  今回のこの議定書、二つございますけれども、特に改正議定書Ⅲ並びに議定書Ⅳ、この審査に当たっての心構えなんですけれども、まず外務省に伺わせていただきたいのですけれども、政府といたしまして、以前この外務委員会におきまして、ちょうどあれは秋葉委員でしょうかとのやりとりの中で、政府として国会に諮っているのは条約締結することの可否、このような答弁を明確に言われました。ですから、私ども、外務委員会、それぞれ委員として審査するのは、何々条約締結について承認を求めるの件、例えばよくこういう一枚紙が出てきますけれども、こういったところを審査すると考えがちですけれども、そこで、再度この条約審査の意味を確認させていただきたいのです。  外務委員会におきます結論というのは、あくまでも外務委員は、正文ですね、いわゆる英語で書かれた条約を読んで、その締結承認するか否かの判断をして、日本語訳はあくまでも正文で書かれた条約内容を理解しやすい形で示す資料にすぎない、こういうふうに記憶並びに理解しておりますが、条約局長、このような理解でよろしいでしょうか。
  32. 西田芳弘

    ○西田(芳)政府委員 国会の御承認を得るべくお諮りいたしますのは、条約締結につきましてということでございます。その際、条約締結につきまして御審議いただき、御承認をいただく際には、当然のことながら、当該条約を十分御議論いただく必要がございます。  その際、条約のテキストでございますが、多数国間条約におきまして作成される条約は多くの場合外国語であることがございます。日本語が作成されないことは多くの場合あるわけでございますけれども、私どもといたしましては、国会に御審議をいただきますべく条約を提出する際には日本語を作成いたしまして、これは訳文ということでございますけれども、日本語を作成して提出申し上げているということでございます。  かつ、この条約につきまして国会の承認が得られ、締結されますと、条約が公布されるわけでございますけれども、公布に際しましては日本文によりまして公布しているということでございます。
  33. 若松謙維

    ○若松委員 今官房の方から答えられましたけれども、条約の話なので、条約局長、ちょっとお答えいただきます。今の答弁でよろしいですか。
  34. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今、面田審議官からお答えしたとおりでございまして、国会で承認を求めておりますのは、承認を求めるの件という、まさに御指摘のとおり、そこの部分について国会の御意思を確定していただきたいということでお出ししておるわけでございますけれども、それに添付しております条約の正文である場合の英語、正文でない、訳文である日本語については、いずれにしても、その条約を御審議いただくに当たっての資料でございまして、かつ、承認が与えられた後に、日本の国内において法律的な効力を持たせるために公布いたします場合には、当然のことながら日本語を公布しているということでございます。
  35. 若松謙維

    ○若松委員 そこで、今回議題となっております二つの議定書の正文として、外務省が出してきた英文がございます。  私たちは、この英文を読んで、この議定書の中身、いわゆる締結の是非を審査しなければいけないわけですけれども、条約局長、この条約第三号、追加議定書の正文はお持ちですか。条約局長、お持ちであれば、この表紙をちょっと読んでいただきたいのです。条約局長、これは条約局の仕事ですから、官房じゃなくて条約局、やってください。条約局じゃないのですか、これは。失礼しました。
  36. 西田芳弘

    ○西田(芳)政府委員 まず、今般の改正された議定書の英文の題名をお読みすればよろしいのでしょうか。「プロトコル オン プロヒビションズ オア リストリクションズ オン ザ ユース オブ…(若松委員「アディショナルの方ですね」と呼ぶ)アディショナルの方、失礼いたしました。  条約追加議定書の方の題名をお読みいたします。「アディショナルプロトコルツーザコンベンションオンプロヒビションズオアリストリクションズオンザユースオブサートゥンコンベンショナルウエホンズフイッチメイビーティームドツービーエクセッシプリーインジュリアスオアツーハブインディスクリミネートイフェクツ」以上でございます。
  37. 若松謙維

    ○若松委員 これ、ちょっとミスがあるのですけれども、審議官、気がつきませんか。私たち日本語で審議しているわけじゃなくて、英語で本来なら審議すべきはずでありますけれども、この「ウエポン」のところですね。気づきませんか。  だから、皆さん、結局日本語に訳して、国会審議のためにぽんと要約を渡す、何かそういう形で条約を通されるような安易な姿勢があるように、どうもこの一つの事実を見て私は感じるのですけれども、いかがですか。
  38. 西田芳弘

    ○西田(芳)政府委員 失礼いたしました。これはタィプミスでございます。「ウエポンズ」のタイプミスでございます。
  39. 若松謙維

    ○若松委員 やはりこの点は大事です。趣旨を間違えないように条約審議をこれから進めてください。よろしいですね。  何か重箱の隅をつつくようですけれども、でも、この外務委員会、安易にすると本来の趣旨が変わってしまいます。ですから、非常に嫌われ役をやりましたけれども。そして、中身に入らせていただきます。  先ほど石崎議員からも御質問をされまして、かなりの部分ダブると思いますけれども、特に対人地雷に関します条約、大変重要であり、また難しい面も含んでおりますので再度お聞きさせていただきたいわけですけれども、特にこの対人地雷改定議定書ですね、これにつきましては平成八年六月二十九日、リヨンサミット内外記者会見で発表されておる文書がございます。非常に明確に書いてあるといえばそのとおりなのですけれども、先ほど石崎議員の質問に対してちょっとよく理解できなかったので、外務大臣、ぜひ再度わかりやすい説明をしていただきたいのです。  要は、今回のこの議定書のいわゆる人道的配慮というのですか、それとさらには、軍備というのでしょうか、軍縮というのでしょうか、いわゆる安全保障の問題。一方ではいわゆる地雷をなくす、だけれども安全保障上問題がある、ここら辺の相反する矛盾、この二つの問題を同時に対処しなければいけないという難しいところがあるわけです。私も全面禁止措置は人道上の対処として非常によいことだと思っておりますが、一方政府としましては、やはり安全保障の責務というのですか、専守防衛であってもきちんと果たさなければいけない、このように理解しております。  そこで、外務大臣にお聞きしたいのですけれども、いわゆる全面禁止というところの安全保障上の対処、これをこういった点から政府はどのような解決策というのでしょうか、方策というものを考えているのか、再度お聞きしたいのです。
  40. 池田行彦

    池田国務大臣 安全裸陣の観点からと申しましょうか、さらにそれを限定して純粋軍事的な観点から、あるいは軍事技術的な観点からというふうにやってまいりますと、それはどのような武器が効率的であるかとか、あるいはその取得コストがどうであるかとか、そういった観点からいろいろな考え方があり得るのだと思います。  しかし、そういったふうな観点だけではなくて、もともとこういった戦争あるいは戦闘行為が行われるということ自体が好ましいことではございませんし、人道に反すると言ってもいいのでございましょう。しかしながら、いろいろな世界現実といったことを考えますと、実際問題としてそういった戦闘行為が行われていることがある、これは現実の問題として認めざるを得ないことである。しかし、そういったときに、やはり軍事技術的な観点から有効だからといってあらゆる手段を使うことが認められるかどうかという点について、近年といいましょうか、こういった地雷なんかについては十九世紀以来でございますけれども、いろいろな考えというものが国際的に広がってきたのだと思います。  そういった中で、やはり従来使われておりました地雷というのは、その使用の仕方いかんによりますと戦闘員でない文民にも非常に広範囲に、無 差別に大きな被害をもたらすおそれがある。やはりそういったものは武器そのものとしてどうなのかなということが国際社会全体に広がってまいりまして、こういった禁止方向の流れが出てきているのだ、このように認識しております。  似たようなものがあるかどうかといいますと、同時にお諮りしておりますレーザー兵器であるとか、あるいはこれは全く同じじゃないかもしれませんけれども、やはり核兵器なんかもそういうことじゃないかと思います。完全に軍事技術的な観点からいうとこれは有効かもしれないけれども、しかしこれはいかにも人道的な観点からいうとおかしいじゃないか。さらにそれだけではなくて、こういった核兵器というものを無差別に使っておりましたら、この地球そのものが、存在そのものが脅かされるといった要因もございます。そういった意味で、全く同質じゃございませんけれども、やはりこれは使ってはいかぬというような流れが一つにはある。しかしながら、そういったものでございましても、一挙に禁止をしてしまって、それでこれでちゃんといきましたと言えるかどうかという点については、核兵器についてもあるわけですね。  日本におきましても、究極的には核兵器のない世界を目指すという大方針はありながらも、一方においてはやはり現実に核抑止という実態がこの世界の中にあるということを踏まえて、日本の安全保障もそういった要素も、米国の持っている核の力というものも組み入れながらやっているという現実があるわけでございます。  そういったことで、理想は一方に掲げ、そして一方において現実的に可能なものを一つ一つ進めていく、こういう構成になっているわけでございまして、今回の対人地雷の問題につきましても、全く同じとは申しませんけれども、基本的に似たような面があるのだと思います。  政府といたしましても、流れとして全面禁止に向けての国際的な努力というものを支持していく。しかし、今現実的にどうかというと、やはりいろいろな使用方法の規制をしたりあるいは自己破壊装置をつけるというふうな工夫をして、なるべく非戦闘員への被害が起こりにくいような工夫はしながらも、なおしばらくは対人地雷というものを使うというのが世界全体の現段階における流れとするならば、そして我が国の安全保障の観点からいきましても、先ほど防衛庁が答弁いたしましたように、現実にやはり専守防衛という日本防衛のあり方、そして内陸部での防御の手段という観点からいうと、やはり今すぐにこれを廃棄するわけにはいかぬということで、妥協の産物といえば妥協の産物でございましょう。  しかし、安全保障という面での現実のニーズと、それからこのような人道的な観点から問題のある武器というものを廃止に向かって、全面的な禁止に向かって努力をしなくてはいけないという理想の中で、今一つの選択をさせていただいているというふうに御理解賜ればと思います。
  41. 若松謙維

    ○若松委員 今大変難しい問いかけに、大臣も誠実に答えていただきました。やはり今の、特に緊張が高まっている北東アジアを考えますと、若干きつい質問もしなくちゃいけないと思うのですけれども、外務大臣、引き続き先ほどの、リヨンサミットでのいわゆる対人地雷代替手段検討早期に進める、そういうことを先ほど石崎議員もたしか御質問されたと思います。  代替手段検討といっても、正直言ってなかなか難しいと思います。地雷というのはそれなりに、いわゆる防衛という観点から、侵入の阻止ということからやはり有効な手段だと思いますけれども、対人地雷にかえ得る有効な手段がもし見つからなかった場合に、かつ一方で全面禁止条約が実際に施行される、そのときの状況を踏まえた上で一つの答えというものを国民に明らかにすることも求められているのかなと私は思うのですけれども、そういった観点からはいかがでしょうか。ちょっと難し過ぎますか。
  42. 池田行彦

    池田国務大臣 全面禁止条約を目指す、それに向かっての動きというものはいろいろございます。先ほど議論にも出ておりましたが、オタワプロセスというのが典型的でございますけれども、単純化して申しますと、今現実世界の流れとして、現時点全面禁止というものを実現することはできない、それはよくわかっているけれども、それをやろうとする気持ちのある国だけでも、少数でもいいから、ともかくそういうことをやろうや、こういう動きでございますね。  一方において、本当の意味全面禁止実現する、その方向への流れがどんどん幅が広がっていくというのはどういうことかといいますと、現に対人地雷も保有しあるいは使用もしている国々も含めまして、なるべく多くの参加国を入れていくということでなくては、そういった包括的な条約でなくては実効性がない、現実の問題として全面禁止動きになってこないのだと思いますね。そういったことが一つございます。  そういった中で、代替手段云々という話も、私どものあれでは、ともかく先導的に、いわばパイロット的に気持ちのあるものだけでつくろうというオタワプロセスのこれからの動きというよりも、ジュネーブで、その言われました全体の大きな流れの中で、もとよりオタワプロセスも大切にするわけでございますが、全面禁止動きが大きくなっていく中で、何か代替的な手段がないかなということを国際的にもいろいろ相談していくのじゃないのかなと。そういった中で日本としても考えていくのだと思います。  先ほど防衛庁から御答弁がありましたのは、それは防衛庁という、日本防衛といいましょうか安全保障を担当するという責めに任ずる立場から、いわば技術的な観点から、これに代替するものがあるかどうかという観点からお話をされたのだと思いますけれども、この代替措置といった場合には、もちろんそういったことが中心になるかもしれませんが、技術的な要素だけではなくて、いろいろな、戦闘行為というものが全体として一体どういうふうな態様になるであろうかとか、そういったことでも変化はあり得るのだと思います。それからまた、広く言えば、安全保障政策全体がどういうふうに動いていくのだろうか、さらに間接的なものも言えば、国際情勢なりなんなりがどういうふうな趨勢をたどるのであろうかというものも勘案する中で、代替措置というものも考えなくちゃいけないのじゃないか、こう思います。  ただ、現時点においては、一体それが何かと言われますと、現実にすぐにこれで代替できますということを申し上げられる段階にはないわけでございますけれども、先ほど申しましたような、ある程度時間はかかるかもしれないけれども、実効性のある全面禁止の枠組みに向かっての努力をする中でこの代替措置についても検討を進めていく、こういうことかと思います。
  43. 若松謙維

    ○若松委員 今の大臣お話を聞いていて、代替手続、これは文章上でははっきりしておりますけれども、非常に中身が、世界の流れの中でということで、若干後退したようなイメージを受けるわけです。それもやむを得ないかという理解もできますけれども、これはぜひ言葉で終わらせないで、防衛庁も一生懸命、研究調査並びに情報収集もされて、これは早急に形を示していただきたいと思います。  そういった観点から、防衛庁、もし何かコメントがございましたら再度聞きたいと思います。
  44. 金澤博範

    金澤説明員 対人地雷にかわる代替手段、国際的に見ても、それが何かということにつきましては、一般的な通念というのがあるとは思っておりません。  防衛庁におきましても、全面禁止に向けた条約をいかにつくるべきかという議論が国際的に行われておる今の段階で、御質問の点につきまして、具体的にこれこれこういうものがありますと言うことはできないわけでございますが、一般論にかえて恐縮でございますけれども、対人地雷防衛上必要ではございます。その必要性を踏まえつつ、我々は、昨年六月に総理が言われました自主的措置を講じておるわけですけれども、その講じる中で、対人地雷の諸問題につきまして、御質問の点 も含めまして慎重に検討していきたいと考えております。
  45. 若松謙維

    ○若松委員 慎重にじゃなくて、ぜひ積極的にやってください。すぐ慎重と言うのは皆さん方の癖なんでしょうね。ぜひ一生懸命やってください。よろしくお願いします。  それでは、地雷関係質問も用意したのですけれども、ほかの委員の方にも今後フォローしていただけると思いますので、ちょっとレーザーについて質問をさせていただきたいと思います。  まず、失明レーザー兵器に関する議定書Ⅳ、この議定書が採択されたということに対しまして、通常兵器禁止条約検討会議議長でありましたスウェーデンのモランダー大使、この方はこういうふうに言っております。失明レーザー兵器は配備・使用される前に非合法化された、初めてプロトタイプの兵器の配備・使用が先取的に禁止されたのである、このように評価しております。  外務大臣にお聞きしたいのですけれども、この議定書、ここまでにたどり着いたことに対する我が国としての評価のコメントをいただきたいのです。
  46. 池田行彦

    池田国務大臣 このレーザー兵器は、実はまだ実用化されていない、開発前の兵器でございます。それを、今もお話がございましたスウェーデンあるいはオランダ等が中心になりまして、国際社会において何とかこれを未然に禁止を、実用化される前に禁止しようということで話が進んでまいりまして、今回御審議をお願いしているような議定書ができたわけでございます。  そういった意味では、これもレーザー光線を用いて永久に失明をもたらすというような、大変人道的な観点からも問題のある兵器でございますので、そういったものが完成する前にいわば禁止というか予防措置が講じられるというのは、これは大変意義のあることだと我が国としても評価している次第でございます。
  47. 若松謙維

    ○若松委員 いわゆる完成する前の施行は大変意義があるということで、私も同感でございます。  それでは、この条約審議なんですけれども、では、果たして海のものとも山のものともわからない兵器に対して議論しているのかどうか。私も、非常にいい条約なんでしょうけれども、つかみどころのない条約であるのも事実なんです。  そういうことで、この議定書Ⅳの作成のきっかけといたしまして、外務省は、失明をもたらすレーザー兵器については一部の国によってその実用化へ向けた動きが見られるようになった、このようにコメントしておりますので、先ほど実現前というところですけれども、なぜ今これをやらなければいけないのか、そういう現実があると思うのです。  外務省にお聞きしたいのですが、失明レーザー兵器開発実態及びどういった開発国名が挙げられているのか、お伺いしたいと思います。
  48. 河村武和

    河村政府委員 この追加議定書交渉過程におきましては、スウェーデンやオランダ等がこの作成に主導的な立場をとっていたわけでございますけれども、これら諸国の説明におきましても、特定の国における開発や実用化についての言及は行っておりませんで、まさに技術的にこういうことが可能であるということを主張したわけでございます。  そういう意味におきまして、どういう国が具体的にどうレーザー兵器開発に携わっていたかということについては、必ずしも明らかではございません。しかしながら、今申しましたとおり、技術的にこのような兵器の実用化は時間の問題であるということで、実用化に至る前の段階で国際的に使用禁止するということでこの議定書を作成することにしたということでございます。
  49. 若松謙維

    ○若松委員 それはわかるのですけれども、では再度、私もちょっと質問を変えまして、これも外務大臣にお聞きしたいのですけれども、例えば今海外でさまざまな、こういういわゆる不特定多数に対する大量破壊というのですか、大量殺人というのですか、そういう開発がなされると思います。日本は非核三原則とか武器輸出禁止国とか、そういうさまざまないわゆる平和立国としての主張をしているわけで、やはり日本は、こういった開発、もしちょっとでも情報があれば早目に入手して、そして国際社会に提示してこのような条約をどんどん積極的につくるべき立場にあるのではないかと思いますけれども、そういった観点から、外務大臣どのように思いますでしょうか。
  50. 池田行彦

    池田国務大臣 おっしゃるとおり、我が国技術の先進国でございますので、いろいろな面での技術をみずから開発し、あるいは世界各国開発された技術に関する情報等も早く入手し得る、そういう立場にあると思います。  とりわけ、最近開発されます技術、もともとが必ずしも軍事目的開発されたものでない、いわば汎用技術であるそういったものが軍事面で応用されているケースが非常に多いわけでございますので、そういった意味では、我々、新しい技術軍事面に応用される、しかもそれが、今いろいろ御審議を賜っておりますような人道的な観点から非常に問題があり得るというような技術については、我が国としても関心は持っていくべきもの、こう考える次第でございます。そういった意味では、委員の御主張に私も異存はございません。  ただ、何しろ技術世界の話であり、しかも今申しましたように、本来が軍事用ということではなくて出てくる開発された技術に、これが危ないだろうどうだろうという、なかなかそのあたりの判定は難しいところでございますので、そういったものがシステムとしてできるかどうかなのでございますが、我が国としての心構えと申しましょうか、姿勢と申しましょうか、そういったことから申しますと、確かに御指摘のような必要性はあろうかと存ずる次第でございます。
  51. 若松謙維

    ○若松委員 私の一つ考えに対して、今共感をいただいたと理解してよろしいですね。  もしそうであれば、外務省に、例えばそういった情報に対して機能的に対応してこのような条約作成に行動を起こすような、そんな機能というのでしょうか、課というのでしょうか、そういったものがございますか。もしなければぜひつくっていただきたいと思うのですけれども、そういった観点からはいかがでしょうか。
  52. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど、私、心構えないしは姿勢としてと御答弁申し上げた次第でございますので、我々もそういった問題意識を持っていろいろの対応はしてまいりたいと思いますけれども、先ほども申しましたような、こういった新しい、これから出てくるかもしれないといった技術に関することでございますので、そういった面を専担する部署を設け、そうして人を張りつけるということは、外交活動全般を効率的に運営していくという観点からも、必ずしもとるべき道とは言い切れないのではないか、こんな感じもするわけでございます。  そうではなくて、こういった軍縮の問題あるいはそのほかの国際的な条約について、日常的にいろいろ話をしている、担当している部署はあるわけでございますから、そういったところも外からいろいろ入ります情報等にも目を配りながら適切に対応していくということ、こういうことではないかと思います。
  53. 若松謙維

    ○若松委員 今、二、三やりとりをさせていただいて、私なりにまだ整理されていない、腑に落ちないというのが、先ほど外務省の方から、いわゆる開発国名等は不明だ、まだ兵器完成前にある意味では禁止する議定書なんだ、そういうことなのですけれども、非常にうがった見方というのですか、要は、外務省としてそういう情報収集に努力されていないのじゃないか。実態として把握されていない。常に後追い。国際社会動きに対して、こういう議定書動きがある、それに対して外務省が、ちょっとした情報だけで、ではやりましょう、それを国会に投げる、それで、余り議論しないで、はいそうですというふうにやる。そういった形が、私は今の外務省の姿勢じゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。  お答えいただけますか。そうなのですか、そうじゃありませんか。後追いじゃないかと思うので すけれども。後追いじゃなければもりと、開発国不明とか何か、だったら、こんな外務委員会なんか要らないみたいな形の説明をしないでほしいのですけれども、いかがですか。
  54. 池田行彦

    池田国務大臣 これは、本議定書に限らず、とりわけ多国間の条約には、各国間のあるいは人間のいろいろな諸活動について、いろいろ規制をしたり行動のルールを決めたりというものがたくさんあるわけでございますが、それはそれぞれ人間活動の中の一つの分野といいましょうか、側面をつかまえたものがございます。  この本国会において御審議いただいたものでも、例えば、地中海マグロの問題は水産業あるいは生物資源の保護という観点からどうだという問題でございますし、あるいは環境問題についてどうだというものもございます。あるいは郵便についてどうだというものもございます。その事柄事柄についてはそれぞれ専門の方々もおり、また我が国の行政組織としての専門もあるわけでございます。  そういった、それぞれの分野あるいは局面でいろいろ活動をしている中で、国際的な秩序づくり、枠組みづくりということが必要になった場合に多国間の条約というものが形成されていくわけでございますが、そういった意味から申しますと、どうしても外務省というのはその一つ一つの分野、一つ一つの行動については、やはりプロじゃございません。それは、基本的にアマでございます。  しかし、そういったプロの方々がいろいろ検討まされる中で、何か国際的な枠組みをということで条約になる。しかし、条約、そういった国際的な枠組みをつくるということになれば、そういった角度から外務省は、ノウハウも持っておりますから、そういう参画をしていくということでございますので、端的に、個々の分野について十分な認識がないということはあるというのは、これは聴容していただかざるを得ないのじゃないかと思います。  これは、見方をぱっと変えますと、例えば、国の活動、国内の活動についてもいろいろな活動がございますけれども、その活動を支えるためには国の予算をつけなくてはいけない。それは、現在では大蔵省の主計局がやっておるわけでございますが、主計局の諸君というのは、予算づくりではプロかもしれないけれども、その予算で行われる活動の一つ一つについて、それはやはりそんなに専門家じゃございませんから、担当のそれぞれの省庁、あるいは現実に活動をされる方々には専門知識では負けるわけでございます。しかし、予算をどうするかという点では、やはり適切な判断をし、支えができるという点があろうと思います。  そういった面では、条約づくり、とりわけ多国間条約についての外務省の役割というものはそういった面がございますので、ある程度深い専門的な知識について十分なところがないというところは、ひとつこれは御寛恕をいただかなくちゃいけないのじゃないかと思います。
  55. 若松謙維

    ○若松委員 御寛恕したいわけですけれども……。  じゃ、ちょっと率直に、外務省、レーザー兵器に関してどの程度情報を持っているのか、もうちょっと具体的に御説明いただけますか。どのくらい世界実態としてあるのかというのが、ちょっと何か、ここは日本の外務委員会なんですかね。どうもこういう議論というのは、余り、特にアメリカの議会には恥ずかしくて見せられないですね。  特に、御存じのオウムのときに、アメリカが特別委員会をつくって、百ページにわたる委員会としての公聴会のレポートをつくりましたね。あのときに、当時レーザー兵器も入っていました。さらには地震誘発装置、こんなのも研究されている。あらゆる世界の、可能性ある兵器全部調査して、それが議論されている。それがさっきの、開発国わかりません、実態も、まだ作製されていないかもしれません。ちょっといいかげんにしてくださいというのが、これは私だけじゃなくて、大方の委員並びに国民の理解だと思うのですよ。どうですか。
  56. 河村武和

    河村政府委員 先ほど説明いたしましたとおり、この追加議定書の作成についてイニシアチブをとりましたスウェーデンやオランダも、特にその実態については説明していなかったわけでございます。  スウェーデンが出しました提案ペーパーにおきましては、以下のように述べております。現在の技術は、小型軽量で携行可能なバッテリー式のレーザー兵器は製造可能になっている、低エネルギーのレーザー兵器は間もなく配備可能となり、多くの国の軍隊において使用することになるだろう。  オランダのバックグラウンドペーパーは、現在配備されているシステム及び最近戦闘で使用されたと言われるシステムは、レーザービームを兵員の目に発することによって兵員を中時的に幻惑させるものである、懸念されているのは、このほかに、永久に失明をもたらし得るシステムが現在開発、配備されつつあることにある。  赤十字国際委員会がこの審議に対しまして出しました資料は、失明をもたらすレーザーライフルは、既に精力的な試験が行われており、幾つかの国においては九〇年代中後期には装備され得るであろうということを言っております。  同時に、ヒューマン・ライツ・ウォッチといいます、これはNGOでございますけれども、このNGOが発表した資料によりますと、失明をもたらすレーザー兵器関係するプログラムとして米国は種々のプログラムを計画しており、これらは軍事的には電気光学機器を無効化することによって敵の偵察に対抗するためのものであるけれども、同時に対人の失明兵器としても機能し得ると言っております。  さらに、これは報道でございますけれども、米国は既に約一億ドルをかけてこの兵器開発中と伝えられているということがございましたけれども、同時に、アメリカの国防総省は、一九九五年の十月に、レーザー兵器のうち失明させる目的で使われるおそれのあるものについては、その開発中止した旨発表したと承知しております。  以上でございます。
  57. 若松謙維

    ○若松委員 私も外務省に依頼して、こんな英語の赤十字国際委員会の資料、「レーザーズ・アズ・ウエポンズ・オブ・ウォー」ですか、一枚もらいました。少なくとも、じゃ、どこの会社が技術を持っていて、どんな技術の応用、展開をしているのか、やはりそのくらいは知ってしかるべきだと思いますが、そういった観点からはいかがですか。
  58. 河村武和

    河村政府委員 外務省といたしましては、この問題に限らず、我々の活動に関係いたします情報をしかるべく収集しているということは当然でございまして、まさにやっておるわけでございますけれども、このような情報は、その性格上、我が国として公的に確認し得ないというものも多数あることでございまして、今申しましたような各種の報道の内容についても、必ずしも我が国としては確認をしているわけではないわけでございます。  さらに、今委員説明されました、会社名云々の話がございましたけれども、これも先ほどから累次申し上げておりますとおり、全く開発、研究の途上にあるものでございまして、そういう会社が開発を実際にやっているということがあるかどうかについては、我々としては了知をしておらない、こういうことでございます。
  59. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひ、やはりそこまで突っ込んだ調査もしていただきたいと思います。単なる、会合に出て議論参加して、一部の資料を委員会に報告、そういったやり方はもう卒業していただきたい。  さらには、もっといろいろと議論したかったわけですけれども、結局、この条約参加しない、だけれどもレーザー兵器開発の潜在国、やはりこれをいかに把握して、いかに国際土壌に取り込むかというところが本来の趣旨だと思うのですね。必要なところだと思うのです。そういったところから、外務省から先ほどいただいた答弁で、やは り不十分なもの大でございます。ぜひこういった点をさらに考慮して、そして努力をしていただいて、もっと情報網を緊張感を持って拡大、改善していただきたい。  それを要望し、さらに、本当はこの議定書の中身自体もいろいろと不備が多くございまして、例えば、この議定書、実際にいわゆる査察システムがないわけなんですけれども、今後この査察システムを導入するようにも提言をさせていただき、時間が終わりましたので、これで終了させていただきます。  どうもありがとうございました。
  60. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 次に、島聡君。
  61. 島聡

    ○島委員 新進党の島聡でございます。  何分新人で、初質問でございますので、よろしくお願いを申し上げます。  今回の通常兵器改正議定書でございます。  先ほどから議論にありますように、国連人道問題局の対人地雷に関する資料によりますと、現在、世界六十八カ国に一億一千万個以上の効力を持つ対人地雷がある。さらに、同数の対人地雷が蓄積されておりますし、それが散布を待っているとも推定される。毎月二千人以上が地雷の爆発で死傷をする。世界各国でNGOが中心となって地雷除去活動を展開しているわけですけれども、対人地雷一個除去するたびに、どうも計算でいきますと同時に二十個が、新たな対人地雷が敷設されてしまっているという状況であるということでございます。  今議題となっています通常兵器条約議定書Ⅲの改正についてお尋ねをするわけでございますが、今後は、この改正に伴いまして、対人地雷原則として自己破壊装置つき、あるいは一定期間が過ぎますと地雷の効力が消失するスマート地雷となる。これで被害がふえることを防ぐことができるということ自体は私もすばらしいことであると思うわけでございますが、この技術的事項に関する附属書を見ますと、転換には九年間の猶予期間が認められております。つまり九年間はまあやってもいいという、いかなる地雷使用も完全に禁止されていないということになるわけでございます。今までの実績を考えますと、この九年間のうちに九十万個の対人地雷が除去されるでしょうけれども、新たに一千八百万個が敷設される計算になる。毎月二千人以上の人が地雷の爆発で死傷しているわけですから、一年間で二万四千人、九年間で二十一万六千人が死傷することになるわけであります。  これ、九年間という期間でありますが、せめてこれを一年か二年ぐらいのタイムスパンでできなかったのか、どうしてそれが九年間なのかということをまずお聞きしたいと思います。
  62. 河村武和

    河村政府委員 この議定書の附属書におきまして、今御説明ございましたとおり、自己破壊及び自己不活性化のための要件に関する延期期間については九年となったわけでございますけれども、その実情と申しますのは、残念ながら、現在、自己不活性化装置自己破壊装置のついていない対人地雷を多数保有する国が存在しているという現状がございます。そういう国々は、当然のことながら九年という期間ではとても転換はできないということを強く主張したわけでございまして、いわゆる交渉の結果、九年よりさらに長い延長期間を主張しておりましたこれらの諸国と、それからもっと短期間を主張しておりました諸国との間で、今申しました多数保有している国々がこの議定書参加するということを確保するために最終的に九年間という期間に全体として合意をした、こういうことでございます。
  63. 島聡

    ○島委員 外務大臣にお聞きするわけでございますけれども、日本という国は、これからともかく平和を創造ずみ平和外交の国である。今、もちろんそういうような事情が当然あるということを認識はいたしておりますけれども、本年は対人地雷に関する東京会議もこの日本で開かれたわけでございます。せめて今からでも、この締約国に対する自発的な、例えば決議という形でもいいのですが、一年か二年のうちにスマート地雷への転換が実現するように日本政府として働きかける、そういうような姿勢があってこそ、日本が今後平和外交を推進していくということをアピールできると思うんですが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  64. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、世界現実を直視し、そして、その中からどうやったら平和へ向かって着実に一歩一歩進んでいくか、そういうことを考えながら努力すべきもの、こう考えております。  そういった意味におきまして、今御審議いただいておりますこの対人地雷に関する動きにつきましても、私どもは、もとより、将来的には完全に全面的に禁止されるということは理想であると思っております。しかしながら、それを実効性あらしめるためには、なるべく多くの国が、できるならばすべての国がそういった全面禁止ということに賛同するということでなくては実効が確保されないのだと思います。  そこのところをどういう兼ね合いでやっていくかということでございまして、私どもは、今の段階では、もとよりオタワプロセスの意義というものも十分わかりますが、当面は、この今御審議しています議定書というもので枠組みをしっかりやっていこうということで考えておるわけでございます。  それと同時に、また東京会議について言及されましたけれども、これは、使用禁止するかどうかという側面ではなくて、除去の技術をどうするかとか、あるいは、不幸にしてその対人地雷で負傷されたそういった方々のリハビリをどうするかと、そういったちょっと違う角度から、この対人地雷のもたらす災害、災厄に対して有効な対応をしようということで我が国が主催したものでございます。
  65. 島聡

    ○島委員 今、大臣ちょうどオタワプロセスについても言及されましたので、その問題について。  きょう実は、石崎議員もそうでありますし、若松議員もそうでありますし、このオタワプロセスについていろいろな議論があったわけであります。もちろん、今おっしゃったように、その現実の中で理想を追求するということは当然のことでありますが、できるだけ一歩でも二歩でも理想に近い形に進めていくという観点から、私は、やはりオタワプロセスというのを本当に積極的に考えるべきであるという観点からいろいろな質問をこれからさせていただきたいと思います。  もちろん、もうきょう何度も議論されております。本年一月のジュネーブ軍縮会議においては、米国を先頭に、地雷全面禁止条約交渉開始に賛成する発言が相次いでいるわけであります。ただ、これは今大臣もおっしゃいましたが、実効性という名のもとに、軍縮会議全体のコンセンサスに基づく、全会一致に基づく条約の制定を主張しておりまして、これはしかし時間が相当かかると思うわけであります。これに対しまして、ともかく賛成国だけで禁止条約を結ぼう、ともかく一九九七年中の締結を結ぼうというのがいわゆるオタワプロセスと今皆さんがおっしゃっているものでございます。  これについて、ちょっとまずきちんと確認をしていきたいのですが、先ほど外務省とか防衛庁の方からも話がありましたが、報道によりますと、外務省オタワプロセスには消極的、防衛庁も専守防衛地雷の有効性を評価して、オタワプロセス参加しますと地雷の全面製造禁止などもありますので、その点から反対であるというようなことが報道にあるわけでございますが、本当にそういうことなのか。その外務省防衛庁の姿勢をお尋ねしたいと思います。     〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
  66. 河村武和

    河村政府委員 先ほどいろいろな御質問がございました中で説明をさせていただきましたけれども、我が国といたしましては、カナダ政府が主導しておりますいわゆるオタワプロセスは、対人地雷全面禁止に向けた政治的なモメンタムを高める上で貴重なものであると認識しております。  それであるがゆえに、九月の大臣レベルの準備会合、これは数カ国だけの会合でございましたけ れども、そこに日本参加しまして、その後開かれました十月のオタワでの会合に参加いたしました。さらに、それの関連の会議でございます、オーストリアが開催いたしましたウィーンにおける条約の予備審査における会合についても我が国参加をいたしまして、意見を述べた経緯がございます。さらに、先ほども申しましたとおり、六月にブラッセルで会合が開かれるということでございまして、我が国としては、この会合に参加するということで準備を進めております。  同時に、我が国といたしましては、基本的な問題の解決のためには、地雷使用それから輸出等を行う国を含む形で対人地雷全面禁止条約を作成することが非常に重要であるとも考えております。そういう意味におきまして、軍縮交渉をやっておりますジュネーブ軍縮会議における条約早期開始というものも非常に重要であると考えている次第でございます。  その意味で、繰り返しになりますけれども、こうした軍縮会議における取り組みとオタワプロセスというものが相互補完的になりまして、国際的にその対人地雷全面禁止に向けた動きが進展するということが重要であると考えている次第でございます。
  67. 土屋龍司

    土屋説明員 ただいまの外務省の答弁とほとんど同じ見解になるんですが、防衛庁としましても、真に効果的な対人地雷全面禁止条約というものをつくるためには、実際に対人地雷使用、移転等を行っている国を取り込んだ、可能な限り普遍的なものとすることが重要であると考えております。  したがいまして、防衛庁としましては、より参加国が普遍的で軍縮交渉の実績もあるジュネーブ軍縮会議条約交渉を行うことが適当と考えておりまして、オタワプロセスにつきましては、ジュネーブ軍縮会議での議論を補完するものとして位置づけておりまして、このオタワプロセス会議協力しているところでございます。
  68. 島聡

    ○島委員 もちろん両立可能なものでありますから、それはやってもらいたいのですけれども、補完とかそういうものじゃなくて、積極的に参加していただきたいということを私は思うわけでございます。  次の質問に入っていきますけれども、例えば、日本が国際的な地雷廃絶は支持をしている、これはよく言われることでございます。ところが、本年度は、対人地雷製造に七億円の予算を計上しているわけであります。これはどうも、言っておることとやっておることというのは、一般的な感覚からいったら矛盾だと普通は思うわけでございますが、その矛盾という批判に対し、これがもし矛盾でないというなら、その理由をお答えいただきたいと思います。
  69. 金澤博範

    金澤説明員 仮に将来、対人地雷を全面的に禁止するという条約が成立いたしまして、日本がこの締約国になった場合には、我が国もそのような措置に従うのは当然でございますけれども、現段階におきましては、国際社会状況はそのようになっておらないのが現状でございます。  先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、我が国地理的特性等考えますと、地雷は、着上陸してくる敵の歩兵等侵攻を遅滞させるという意味から大変有用な、有効な兵器であると考えておりまして、かかる観点から、御質問のように、九年度におきましては約七億円の対人地雷の調達予算を計上しているところでございます。  他方におきまして、対人地雷全面禁止に向けた国際的な努力というのが高まりを見せておりまして、我が国も、防衛庁も含めまして、これを支持するということは表明しております。ただ、そこに至りますまでにまだ時間がありますものですから、そこに至る過程におきまして、昨年六月に、対人地雷使用制限等に関する一連の自主的措置を講ずる旨を発表し、それを実行しておるということでございます。
  70. 島聡

    ○島委員 今非常にインターネットというのがブームでございまして、これは、フォーリン・アフェアーズの「パワー・シフト」という論文なんですが、そこにおきますと、今までは国際世論というのを考えるのにはCNNとかそれだけを見ておればよかったというのがあるが、インターネット上の議論というのを相当注意しなくてはいけない、そういうものが、NGOとインターネットというのが結びついて、相当国際世論に大きな影響を与えるという趣旨の論文でございます。  そういうことでございましたので、私どもの方も、世界地雷に関するNGOのリンク集なんというのをつくりまして、一生懸命探しました。その中に、赤十字の地雷に関するレポート、インターネットのホームページがあったわけです。今おっしゃったように、とはいうものの、現実は大変なんだから地雷は持たざるを得ないんだ、そういう趣旨の御答弁だと思いますが、その中の赤十字国際委員会、インターネットのホームページ、これは随分アクセスしています。  その中に、「第十章政治の責任」というのがありまして、   いくつかの政府が、国内・国際会議世界地雷の脅威や、その被害を語る一方で、いまだに自国の軍隊に、地雷の保有・使用を許しているという現状は、頭を悩ませる逆説である。 これは、名指しはしていませんが、   中央ヨーロッパの二人の大統領は、国際的な地雷問題の解決に積極的な支援を打ち出していながら、自国での地雷保有を許したままである。ある北アフリカの国では、地雷除去に財政支援を行いながら、近隣での地雷敷設を継続している。またある南米の国は、地雷製造に対する処罰の強化を提唱しているにもかかわらず、国境での地雷敷設を継続中である。 最後ですが、これは翻訳は私がしましたので、ちょっと詳細は違うかもしれませんが、   全世界地雷問題を効果的に解決しようとするならば、このようなダブル・スタンダードの根絶が必要である。 とあったわけですね。  何とかこれ、まだ日本という言葉がここに書いてないからいいですけれども、今のような状況では、いつ、ここに、日本の首相は、あるいは極東の一国の首相はなんて書かれないとも限らないということをかんがみた場合、今の答弁のようなダブルスタンダードの考え方は非常に矛盾ではないか。これは少しでも早く解決すべきではないかと私は思うのですが、それにつきまして外務大臣の所見をお願いしたいと思うのです。     〔森山委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 池田行彦

    池田国務大臣 ダブルスタンダードでございませんで、理想は理想として掲げ、それをしっかり見据えながら、しかし、それへ向かって現実をよく見、またそれを踏み締めながら一歩一歩着実に前進していく、こういうことでございます。
  72. 島聡

    ○島委員 今大臣、ダブルスタンダードでないとおっしゃったわけですけれども、一応、国際社会のNGOをアクセスすると、インターネット上ではダブルスタンダードだと言っておるわけでございますので、これがどっちかという議論はここは避けますけれども、十分検討をしていただきたいと思う次第でございます。  次に移らせていただきますが、今非常に、地雷というのは専守防衛兵器、そしてまた、今日本のような国家では十分にそれは必要なんであるがということがよく言われる話でございますが。それをちょっと検証していきたいと思っております。  さて、カナダとかオタワプロセス参加している国だけではなく、ドイツやフランスなど先進国も地雷問題への取り組みが非常に今積極的なわけであります。一九九六年十月には、ドイツはオタワプロセスに同調している。フランスは、絶対的に必要な場合を除いて対人地雷使用を放棄するということを表明している。これによって、ドイツとフランスは完全に地雷を破砕するということを表明したわけでございます。また、アメリカの方は九六年五月に、米軍による通常型対人地雷使用の即時停止、朝鮮半島を除き九九年末までには通常型対人地雷破壊することを決めています。  今日本は、このような保有地雷の破棄、地雷製造中止等々については、それぞれ各国の事情がありますからというふうなお答えでございました。これは前の委員に答弁されたわけでございますが、どのように事情が異なるのかということを、もう少し詳しくお知らせいただきたいと思います。
  73. 金澤博範

    金澤説明員 対人地雷の必要性につきましては、その国が置かれました地理的な特性等及びこれを踏まえた戦闘についての基本的な考え方を踏まえる必要があると思います。  欧州諸国におきましては、その地形が主として平原でございます。しかも縦深性に富んでいることから、欧州の陸上戦は、一般的には機甲部隊による戦闘が主体になると考えられております。このため、これらの国が自国を防衛するに当たっては、対戦車地雷により敵の侵攻をおくらせるとともに、機甲部隊、各種火砲、対戦車ヘリ等によりまして反撃することなどが中心になると考えられておりまして、対人地雷は、主として対戦車地雷の除去の障害として、いわば二義的に使用することを念頭に置いていると考えられているところでございます。  他方、欧州と異なりまして、起伏が大変多い、また縦深性に乏しいといった地理的特性を有するとともに、防衛基本理念といたしまして専守防衛に徹することとしております我が国にとりまして、敵の着上陸侵攻に対しては可能な限り前方で対処することが必要でございます。  対人地雷は、我が国に着上陸してくる敵の歩兵等侵攻をおくらせるための障害を構成する防御的な兵器といたしまして、重要かつ有効なものであると考えている次第でございます。特に、我が国内陸部におきまして持久作戦を行う際には、我が国の地形の特性を利用して陣地を構築しつつ防御戦を実施することになりますが、この際、敵の侵攻を遅滞させる手段及び広域の地域からの敵の侵入を阻止し、陣地を防御する手段といたしまして、対人地雷有用性は高いものと考えております。
  74. 島聡

    ○島委員 私は、国の安全保障というのは最も重要なものであると思っておるわけでございます。その安全保障と、その中において日本という国がどういう国を目指すか、それをアピールするかということに関しましてのバランスの中で外交と防衛というのがあると思っております。  そのために、これからもう少し詳しくお聞きしたいのですが、私も今まで、地雷は専守防衛上の兵器と言われて、そうだなと思っておりました。確かに、こちらが攻めるのではなくて攻めできたものの前に置いてあるわけだから、なるほどそれは専守防衛上の兵器であって、しかも専門家の方がこれは非常に役に立つのだと言われると、そうかなと思っておりました。  それで、先ほどのように、私自身もインターネットのホームページでリンク集を見ながら、同じく赤十字国際委員会レポートを見ておりましたら、地雷効果はなかったというレポートがあったわけでございます。それで、これは、今対人地雷と対戦車地雷の話をされましたので、同じように聞けばいいと思うのですが、これについてぜひ反証をしていただきたい。  私は、今まで専守防衛上の兵器だということがそのまま理解できなかったからお聞きするわけでございますが、これは赤十字国際委員会レポート「第五章 地雷効果」というところですが、まず要約で、   地雷原は、定期的な管理が必要であり、その際に自軍兵士が負傷することも珍しいことではない。また、地雷原は、自軍も立ち入ることが危険なため、退却の際、逆に障害となる もう一つ、六十七で、これは湾岸戦争のときでございますが、   イラク軍がクウェートに敷設した地雷は、多国籍軍に対して、ほとんど効果がなかった。また、クウェート市、および海岸線の地雷原への兵の展開において、どれだけ多国籍軍が被害を受けたかについて、記録はない。地雷原で大破したイラクの車両は散発的に見受けられたものの、多国籍軍の車両は一台も発見されていない。事実、地雷原での破損車両の多くは、クウェートから退去する際に使用された、クウェート民間人のものであった。 という記述があるわけであります。  今まで私は、説明を聞いて、なるほど専守防衛兵器で重要なんだなと思っておったわけですが、このような情報に接するに当たりまして、どうもそれをうのみにするわけにはいかないなということを思ったわけでございます。  先ほど質問を受けました、それを見ておりまして、ある新聞の報道を見ておりましたらこの種のことが書いてありまして、湾岸戦争で多国籍軍はイラク軍の地雷原をわずか数時間で突破した。この実例から見ると、対人地雷防衛にどれほど有効かという疑問が軍事専門家の間で強まっているということがありました。  私は軍事専門家ではございませんので、軍事専門家の防衛庁の方にお聞きしますが、今申し上げたようなことを論破して、やはりそれが本当に必要なんだということかどうかについて御回答をお願いしたいと思います。
  75. 金澤博範

    金澤説明員 湾岸戦争の例をお引きになりました。申しわけございませんが、そのことをよく勉強しておりません、存じませんが、いずれにせよ、我が国防衛基本理念として専守防衛に徹するということを言っております。いわば受動的な防衛戦略の姿勢をとっているわけでございます。そのもとでは、我が国侵攻する側に攻撃の時期でありますとか場所、手段、規模等についての選択権があるわけでございます。  対人地雷は、このような相手の選択権をこちらの対人地雷によって制約することができるという意味におきまして、我が国にとって必要な防御的な兵器であると考えておる次第でございます。
  76. 島聡

    ○島委員 次に、今この条約に基づきまして日本が保有している対人地雷、これも報道ですが、百万個と書いてございましたが、自壊装置をつけていく。  自壊装置をつけていくとすると、百万個に全部つけるかどうかは知りませんが、つけると考えた場合に、これはどれだけ予算的にお金がかかるのかということの試算をお願いしたいと思います。
  77. 金澤博範

    金澤説明員 防衛庁におきましては、昨年六月に発表いたしました我が国自主的措置趣旨にかんがみまして、自己破壊装置を有する対人地雷用の信管に係る研究を平成八年度から行っております。  今のお尋ねは、持っておりますこれのついておらない地雷にこれを全部つけた場合に幾ら経費がかかるかというお尋ねでございますけれども、当該装置の信管の開発に着手したばかりでございまして、申しわけございませんが、まだ御質問にお答えできる段階に来ておりません。
  78. 島聡

    ○島委員 今、財政も非常に厳しい折でございます。そしてまた、先ほどからありました代替技術というものはどうなるのか、それに対しましても、今のところそういう代替技術というものはないというお答えが続きました。  これは本当に、対人地雷百万個に自壊装置をつけるというものに幾らぐらいかかるのかをきちんと試算していただきまして、それよりも、それをやめて、それはとりあえず全壊して、対人地雷にかわる技術的なものを開発する方に使った方がいいかどうかということがありましたら、そちらの第三の道もあるのではないかと思いますので、それも十分に御検討賜りたいと思う次第でございます。  平和創造外交という意味地雷について御質問するわけでございますが、地雷除去活動のスピードが、今NGOの方が一生懸命やっていただいていることを存じ上げておりますが、なかなか上がらないわけです。今、一億一千万個以上の地雷が敷設されている。これが本当に、このままいきますと結構時間がかかるだろうと言われております。  ガリ国連事務総長が一九九二年に安保理に提出 した報告書「平和のための課題」の中でありますが、内戦もしくは国際的な戦争後の平和建設では、地雷という重要問題に取り組まねばならないことが最近ますます明らかになっている。地雷除去作業は平和維持活動の範囲の活動の中でも特に強調する必要があり、平和建設活動が実施される場合の日常業務の回復にも非常な重要性を持つ。地雷撤去しなくては農業も再開できないし、輸送手段の回復には地雷の再敷設を防ぐための道路を舗装する必要も生じてくる。そのような状況で平和維持と平和建設との結びつきが顕著になる。こういう報告を出しております。  私は、このようなことをかんがみると、つまり、なかなか除去作業もうまくいかないということもかんがみますと、PKO参加自衛隊部隊が地雷除去活動をするのが非常に望ましいのではないかという観点から御質問申し上げるわけでございますが、まず、対人地雷除去技術についてお尋ねします。  自衛隊地雷除去技術及び自衛隊が保有する地雷探知装置のレベルというのはどれぐらいなのか。あわせて、自衛隊が海外で、例えば現在のカンボジアで地雷除去活動を行うこと等に関しましては国内法上制約があると思うのですが、どのような制約があるのかについてお答えをいただきたいと思います。
  79. 高見澤將林

    ○高見澤説明員 お答えいたします。  地雷の探知につきましては、一般的に、地雷の敷設記録というもの、敷設を記録することになっておりますので、それがございますれば、まずそれを捜索するということから始まることになろうかと思いますが、なかなかそういったものも見つからないという場合もあろうかと思います。その上で、地雷の敷設危険地域を定めまして、そこを偵察し、さらに危険地区での地雷探知行動というものを逐次実施していくというのが一般的な手順であろうと思います。これは、基本的に自衛隊であると各国であるとを問わず、また、極端に言えば浜辺における危険物の捜索といったものと同じような手順を基本的には踏むことになろうかと思います。  これの国際的な技術でございますけれども、各国の装備品の中では、装備品が共有化されているようなところもございますし、自衛隊もこういった携帯探知機といったものは開発努力しておりまして、今最新式のものを持っておりますので、それなりの能力というものはあろうかと思います。具体的には、まず地雷を探知いたしまして、その上で探知機、探針を用いて個々の地雷の位置を人力で確認するというような方法によってやっていくということでございます。  それから、PKO法との関係でございますけれども、基本的に、列国ともこういった地雷の処理ということにつきましては、地雷の処理を技術的に支援したり、あるいは訓練したりするということでございまして、各国の軍隊がそういった地雷の処理をみずから行うというふうな考え方はとってございませんし、現行のPKO法においてもそういった枠組みは定められていないところでございます。
  80. 島聡

    ○島委員 今、現行のPKO法ではそのような枠組みがないというお話でございました。それで、今度は我が国のPKO法についてお聞きします。  現在、PKO法ではPKFへの部隊参加が凍結されております。PKO部隊が平和をつくるために、自衛隊部隊が平和をつくるために地雷除去活動を技術を使ってやるということを表明するというのは、これは非常に日本の外交にとっては、平和外交、平和建設の外交にとって私はすばらしいことではないかと思うわけでございます。  もちろん非常に抵抗が多いことをよく存じ上げているわけでございますが、PKO法第三条三号の二「放棄された武器の収集、保管又は処分」について、この際それを解除するということを検討して、解除してはどうかと私は思うわけでございますが、外務大臣にこの点につきましての御所見を伺いたいと思います。
  81. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、現在のPKO法では、いわゆるPKOの本体業務に当たるものについては凍結の措置がとられております。  そもそもこの法律ができます際に、当時の政府としては、今凍結されている部分も含めてPKO活動を展開したい、こういうことで法案をお出ししたわけでございますけれども、当時、国会でいろいろな御議論がございました。そして、各党各会派でもいろいろな話し合いがございまして、現在、別途法律で定めるまでは本体業務の部分は凍結という状態になっているわけでございます。  あれから我が国は、いろいろなところでPKOの活動もやってまいりました。そういった経験を踏まえて、今いろいろな御意見、凍結を解除すべし、いやこれはもう少し置くべしという議論、あるいはそのほかの部分についても経験を踏まえて見直しをすべきではないかという御意見もいろいろございます。他方におきまして、我が国のこういった面での国際的な役割をどの程度果たすべきかということにつきましては、国会内でも各党各会派により、あるいは議員お一人お一人によりいろいろなお考えもあるところでございますので、そういった国会における議論も踏まえながら、政府としては将来どうするか考えてまいりたいと思います。  外務大臣でございますから個人的な立場はないわけでございますけれども、基本的に申しまして、やはりこういったものの除去の作業というものは、これはどう見ましても武力紛争につながるような話ではございませんし、むしろ特に、もう既に戦闘行動なんか終わった後のそういった除去というものは非常に大切なものでございますから、事柄の性格からいって、いつまでも凍結の対象にしなくちゃいけないのかなという点については疑問を持っているということを、率直に申し上げさせていただきたいと思います。  ただ、我が方にもその技術はあるとは申しましても、大変膨大な数の対人地雷が今存在するわけでございますので、それにどの程度対処する能力があるのか、そちらの方もよく検討はしてみなくちゃいけない。私、現在の自衛隊でもそんなに大きな対処能力は備えていないんじゃないかという感じもする次第でございます。
  82. 島聡

    ○島委員 非常に国連平和維持活動、PKO、PKFにつきましては、もっと積極的な対応をしていただきたいと思います。特に、国連平和維持活動で犠牲者の多くは、これは地雷被害によるものだそうでございます。クウェートでは八十四人、アフガンでは三十名以上、ソマリアでは十七名が犠牲になっています。将来は日本人の犠牲者が出ることすら恐らく予想されるわけでありますので、その意味では技術をきちんと使うということが必要なのではないかと思う次第でございます。  さて、時間がありませんので次の質問に移らせていただきますが、三月上旬に開催されましたNGOによる東京会議で、地雷、その技術のことに関してでございますが、民間企業のマイクロ波による地雷探知機の試作品が公表されたわけでございます。このような地雷探知の技術我が国武器輸出原則に抵触するんじゃないかというような話がございました。まことしやかにそういうようなことが報道されています。  確かに、今回の議定書の非常に大きな違いというのは、大きなといいますか、国際政治上ちょっと変わってきたと思いますのは、内戦も追加する。内戦というのは、内政不干渉の今までの国際関係原則とはちょっと違ってくるわけでございますけれども、その中において、私どものような平和国家日本武器探知技術輸出する。これは内乱にも適用できるわけですから、国内的には地雷探知技術というのは相手の武器を無力化する広義の武器とみなされるという考え方もあるかもしれません。武器輸出原則の精神、これは平和国家としての我が国の立場から、武器輸出によって国際紛争を助長することを回避する、こういうことでございますので、そうであれば、地雷探知機や探知技術輸出することは、平和国家としての我が国の立場から大いに必要があると私は思います。  武器輸出原則に抵触するものではなくて、積 極的に輸出すべきであると私は考えるのですが、これに対しまして外務大臣の御所見をお願い申し上げます。
  83. 池田行彦

    池田国務大臣 武器輸出原則地雷除去の技術が該当するかどうかというのは、これは一概に言えないのだと思います。やはり、その技術が汎用性を持つかどうかとか、専ら軍事の用に供されるものかということによると思いますので、現在のものでも技術の中身いかんによってはその三原則に抵触しないで輸出できるものもあると思いますし、また、仮に三原則に該当したとしても、これはまた個別の審査ということもあり得るんだと思います。  しかし、武器輸出原則でいいます武器というのは、何か非常に広い範囲の対象をカバーしておりまして、たしか輸出貿管令の関係だと思うのですけれども、たしか湾岸戦争のときだったと思いますが、要するに防毒のマスク、これを出すといったときにそれも武器だからというので、そんなものも武器なのかといった議論があったのを記憶しております。  そういった意味では、やはりあの三原則の本来の理念といいましょうか、趣旨といいましょうか、武力紛争を助長しないという、そのことを大切にしながら、あと個別の問題、いわゆる武器輸出に該当するんじゃないかと思われるものの扱いについては、合目的的と言ってはなんでございますけれども、よくその中身を吟味しながら対応していく必要があるのかなという感じがいたします。
  84. 島聡

    ○島委員 きょう、いろいろな質問をさせていただいたわけでございます。  最初の質問から何を言いたかったかということを申し上げるわけでございますが、まず一番最初に、どうも今日本のやっていることというのはダブルスタンダードじゃないかという話を申し上げました。大臣、そうじゃないとおっしゃったわけでございますけれども、国際上はダブルスタンダードと思われている。ということは、日本の行動というのがどうも見えにくくなっているわけであります。  そしてまた、今いろいろな、武器輸出原則、PKO法の、PKOを改定して自衛隊地雷除去をするということに関しましても、やはりこれは国際政治のものでございますから、日本自身が本当に平和のためにやっているのか、それともまた別の意図でやっているのかということは、これはもう両面見方があるわけでございます。これはなぜかというと、ひとえに、日本が今この地雷に関してどういう方針で、どういう方向性で進もうということが、何か両立して、ジュネーブ軍縮条約オタワプロセスも両方ともやるということを国内では言っているんですが、世界的に見たらどうもわかりにくい、日本が何を考えているかよくわかりにくいということだと思うのです。  今、内戦も今回の議定書は適用するというように、国際関係も変わってきています。今までは、確かに条約というのは全会一致というのが当然だった時代があります。そしてまた、今もそうかもしれません。しかし、新しい時代を築いていくためには、オタワプロセスのようにともかく最初始める、最初始めて、それからどんどん新しい時代をつくっていくという姿勢も必要だと思うのです。  もちろん、それをやろうと思いますと、地雷全面禁止というのがありますから、使用禁止しなくちゃいけない。これは日本のことだから、専守防衛なんだからこの地雷が必要なんだというようなことをよく言われますけれども、私はどうも、きょうの私の質問に対する答弁を聞いて、本当にそうかなと思ったわけでございます。私自身は、やはりこのオタワプロセスというものにきちんと参加をしていくべきだと思うわけでございます。  大臣、理想と現実ということを言われました。もちろん、そういうことはよく存じ上げながら質問を申し上げますが、日本がこれから新しい時代をつくるという意味で、全会一致ではなくて、オタワプロセスというのは新しいやり方だと思います。このようなオタワプロセスというものに関して、大臣はどのように御評価をしていらっしゃるか、御所見を伺いたいと思います。
  85. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは、そのオタワプロセスを確かに意義があるものと考えております、対人地雷全面禁止に向かってのモメンタムを維持し、それを高めていくという意味において。しかしながら、現実の問題として、実効性のある条約をつくるという観点から申しますと、やはりジュネーブで行われている、より包括的な条約というものを中心に、少なくとも当面は考えていかなくてはいけないのだ、こういうふうに考える次第でございます。  そしてまた、かたがた我が国は、我が国の安全保障の観点から申しまして、少なくとも当分の間は対人地雷というものを完全に使用禁止するわけにいかないという現実もございます。  そういったものを踏まえながら、我が国としては、オタワプロセスにはその意義を認めて参加はしていくけれども、今はオタワプロセスの中で、少数の国であってもいいから、なるべく理想に近い枠組みをつくっていこうという点につきましては、我々は今の段階ではちょっと参加できないな、こう思っている次第でございます。
  86. 島聡

    ○島委員 この段階ではちょっと参加できないということでございますが、それでもなお、現実と理想とおっしゃいましたけれども、やはり理想に一歩でも二歩でも近づける、そしてまた日本はこれから外交というものを、単なる適応する、受け身の外交から一歩進める外交にしていかなくてはいけないのではないかと私は思っております。  その意味でも、今回のオタワプロセス、いい機会だと思いますので、ぜひとももう一度検討していただきまして、積極的な平和をつくるために、地雷禁止、除去に今後とも取り組んでいっていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  87. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十九分開議
  88. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤田幸久君。
  89. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  地雷議定書について御質問を申し上げる前に、先日カンボジアに関する御質問を幾つかいたしましたが、最近の報道で、総理の親書を携えて高村外務次官がカンボジアに派遣をされて、カンボジアの指導者に総理日本政府の意向をお伝えし、和平及びその後の復興及び来年の総選挙に至るいろいろな日本政府の意思を表明されるという報道を拝見しておりますけれども、カンボジア和平に対する日本の姿勢を示すものとして大変評価を申し上げたいと思います。  地雷の件について御質問をいたします。  まず、池田外務大臣にお伺いをしたいと思いますが、大臣は、この本を御存じでございますでしょうか。遠くて見えませんですかね。ちょっと申し上げますが、この本は英語と日本語の対訳の絵本でございまして、「地雷ではなく花をください」という本でございます。実は昨日の新聞にも出ておりましたけれども、外務省でもいろいろな方が二百冊買われて、大変人気が出ている。それから、実は国会の中で現在この本がベストセラーになっておりまして、私が調べた範囲では三千五百冊くらい売れております。しかも、ほとんどすべての党を網羅する国会議員の方々がこの本を買われまして、地雷全面禁止、それからリハビリ等に大変な関心を持って動かれておるわけです。  この本は定価千五百円でございますけれども、純益が六百円出ます。この六百円でもってカンボジアの十平方メートルの地雷原の除去に役立つわけです。昨年の九月にこの本が出ましてから、約七カ月出ておりますけれども、十四万部売れておりまして、したがいまして、十四万部掛ける十平 米のカンボジアの地雷原の除去がされておるわけでございます。  しかも、地雷原の除去を請け負ってくださっております方々が、イギリスの退役軍人から成るヘイロー・トラストというNGOでございます。つまり、軍人というのはもちろん戦争で戦うわけでございますけれども、本来の軍人の役割というのは平和を構築するのだという趣旨で、この兵士の方々が、日本の方々が集めた浄財でもって地雷の除去という具体的な活動をしておるわけでございます。  それから、ちなみに、この「地雷ではなく花をください」という、こういった趣旨に賛同するチャリティーコンサート、中村紘子さんと、それから前のアメリカ大使の奥さん、アマコスト夫人がピアノを弾いていただきましたチャリティーコンサートが十三日、外務省の後援で開かれまして、小杉文部大臣御夫妻でありますとか政治家の方もお越しいただいておりましたし、きょうもいらっしゃる柿澤先生の奥さんも来ていらっしゃいました。それから皇后陛下も御参席をされておりました。地雷に関しましては、世界じゅうで女性の方の影響が非常に多いようでございまして、アメリカが対人地雷禁止方向性を打ち出しました非常に大きなきっかけに、ヒラリー夫人の存在があるというふうに言われております。  それから、三月に外務省が主催をされました東京対人地雷会議、その直後に行われました民間の団体が開きましたNGOの地雷会議には、イギリスのダイアナ妃から大変丁重なメッセージが来ております。  そういうわけで、この地雷の問題というものは、いわゆる軍縮の問題という以上に世界的な人道問題、それから環境問題、ちなみに、このNGOの会議には石井環境庁長官も御出席されておりましたが、いわゆる環境問題あるいは女性問題という観点からもこの地雷というものに対する取り組みが出ておることが、従来の軍縮問題という角度とは違った意味での広がりがあるというふうに認識をしております。  地雷でカンボジアの話を申し上げた関連で申し上げますと、先週の外務委員会で、民主党の井上一成議員が質問された中に、日本のODAを受けた国の輸出した武器日本人が殺されたという質問がございました。  非常に似ておりますのは、このカンボジアにおきまして、先ほど申しましたように日本のたくさんの、国会議員や外務省の方も含めて買っていただいたこの浄財でもってイギリスの退役軍人が地雷の除去をしているわけです。除去をしている地雷そのものはいろいろな国から来ておるわけですけれども、恐らくその中に、日本がODAで経済援助をした国の地雷も来ておるのではないか。ということは、日本国民がODAで税金を払う、そして経済援助をする、その国が輸出した地雷、その地雷を除去するためにこれまた日本の方々がポケットマネーを払って、いろいろな立場の方々がお金を払って除去をしている。  御承知のとおり、きょう自民党、新進党のいろいろな方が午前中質問されましたように、地雷の大きな問題は、国連の明石さんに言わせますと、いろいろなギャップがある。つくるコストは非常に少ないけれども除去するコストと時間が膨大であるということを考えますと、今私が申し上げましたそのカンボジアの問題というのは非常に大きな意味を持っておるような気がいたします。  日本がODAで援助をしている、それから非常に甚大なお金、人の犠牲も払ったカンボジア、そしてその国における地雷に、日本のいろいろな浄財で支援した退役軍人による除去活動が行われているという、ある意味では非常に矛盾した状況になっておるわけですが、この状況について、まず外務大臣の方からコメントをいただければ幸いです。
  90. 池田行彦

    池田国務大臣 対人地雷全面禁止に向かって、あるいはそれに至るまでの過程におきましても、その地雷の除去あるいはその地雷で犠牲になられた方々のリハビリその他の面で、いろいろな努力が進められておるわけでございます。それが各国政府あるいはそれの集まりである国際機関においてだけではなくて、今委員が御指摘のように、非常に幅広い方々の自発的な御意思に基づくお働きあるいはその浄財の拠出というものも含めまして、こういった動きが大きくなっているということ、まことに意義深いものがあると思う次第でございます。  そういった意味におきまして、確かにこの対人地雷の問題は、軍縮という側面だけではなくて、人道的あるいは環境面あるいは民生の安定あるいは社会開発等々の非常に広範な分野に関係するものでございまして、そういったことを十分念頭に置きながら、政府としてもこの対人地雷に対する対応をしていかなくてはいけない、こう考える次第でございます。  それからODAとこの問題の関係については、確かに委員の御指摘されるようなつながりを指摘することは、できないことはないと思いますけれども、やはりそこのところは、我々もODAの大綱というものに掲げられたいろいろな原則なり考慮すべき事項、事柄というものを十分踏まえて対応していくのが当然でございますけれども、その大綱自身にも書いてございますように、そういった四つのポイントを十分踏まえながらも、さらに二国間の関係その他いろいろな要素を総合的に勘案して進める、こういうことになっております。  もとより、今委員がおっしゃったようなことで、これは随分矛盾ではないか、あるいはおかしいではないかというお気持ちを抱かれるというのは無理もないことかなとは思います。ただ、そのことだけで関連づけまして、例えばカンボジアへのODAはもうしないのだとか、そういうことができるのだろうか。あるいはカンボジアで使われている、埋設されている地雷のかつての生産国というのをチェックいたしまして、その国にそのことだけをもってODAをとめるということがいいのか悪いのか。やはりそれは、そのことも考慮すべき要素一つかもしれませんけれども、いろいろな要素を総合勘案しながら考えていくべきものかと存ずる次第でございます。  いずれにいたしましても、ODAというものも、各国の民生の安定なりあるいは各国国民の生活の向上につながる、そういったことを主眼にしながらやっていかなければいかぬのはもとよりでございまして、そのことが、ODAを供与したことが間違っても武力紛争を助長することになってはいかぬわけでございますし、それからまた、委員の御指摘になりましたようなお気持ちを起こさせるような状況が起こらないように、極力なくなるように努力していくことは当然だと思います。
  91. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  この条約そのものについて、今の軍縮問題ではなく、いろいろな意味対人地雷の問題が持っているとの関連でお聞きしたいと思います。  この条約そのものを見てみますと、議定書でございますけれども、幾つか不備な点があるような気がいたします。  まず、必要措置をとるまでに九年間の猶予期間があるということ。御承知のとおり、今とにかく毎日七十人ぐらいが亡くなっているというような非常に緊急性を要することが、けさ以来出ておりますオタワプロセスかあるいはジュネーブ軍縮会議かと言われているような状況でございまして、そのときにこういう猶予期間が長いということは非常に問題ではないかというのが一点。  それからもう一点は、いわゆる該当する対象の中で、暴動とか独立等の暴力行為あるいは国内の騒乱等は武力紛争に当たらないとして禁止を想定していないということになっているわけですが、御承知のとおりこの地雷の問題というのは、国内紛争等で、しかも一般の非戦闘員が多く死傷しているという状況にかんがみ、これもまた問題ではないかという気がいたします。  それから三つ目といたしまして、いわゆる検知可能にするための装置つきの地雷の製造と使用、結局、俗に言われておりますスマート地雷自己破壊装置つきの地雷とか非常に高性能の地雷であ ればいいというような形になっておるわけですけれども、スマート地雷自体が無差別性ということに関しましては、自己破壊装置がついていようが不活性化装置がついていようが、無差別性という意味では同じという意味では、これまた問題があるのではないか。  それから、人に接触することによって爆発することを第一義的目的とした地雷となっていますけれども、ということは、第一義的目的でない例えば対戦車地雷とかほかの目的地雷の場合に、結果的に人に対して被害を及ぼすという地雷については対象になっていない。  今、四つほど問題点を指摘いたしましたけれども、こういう問題点について、時間が限られておりますから、簡潔にまず一たんお答えをいただきたいと思います。
  92. 河村武和

    河村政府委員 今、今度作成されました議定書のいろいろの規定について御意見がございました。  まず、今回の議定書は、現在効力を有しております第Ⅱ議定書というものを根本的に改正したものであるということについての御理解をいただきたいと存じます。  すなわち、そもそも現在有効な議定書といいますものの基本的な内容と申しますのは、今お手元にございます新しい議定書の中に書いてあるようないろいろな規制は全くなかったわけでございます。使用の規制というものにつきましても非常に単純に、現行の例えば三条の二というのがございますけれども、これを読ませていただきますと、「この条の規定の適用を受ける兵器は、いかなる状況の下においても、文民たる住民全体又は個々の文民に対して攻撃若しくは防御のため又は復仇の手段として使用することを禁止する。」このように非常に一般的な形で規定しておりまして、自己破壊装置でありますとか自己不活性化機能とか、そういうものについての区別を一切していなかったということでございました。  そういう現行の議定書をもとにいたしまして、  一九九四年から各国議論をいたしまして、九五年に政府会議を開催しまして、九五年の秋、それから九六年一月、それから九六年五月、そういう形で政府会議を三回開催いたしまして、結局、今のような形で条約が成立した、こういうことでございます。  例えば適用範囲の問題にいたしましても、今までは、戦争といいますものと民族解放闘争というものだけに現行の議定書は適用されるということになっておるわけでございますけれども、今回の議定書によっていわゆる内乱というものを適用することにした。すなわち、新しい適用範囲を加えたということでございます。  もちろん、今言われましたとおり、適用範囲を平時までに拡大すべきだという点もございまして、交渉過程においてこれは議論をされたわけでございますけれども、非同盟諸国が適用範囲の拡大というものにつきましてはジュネーブ条約の共通第三条への適用ということに限るべきだということで強く反対した経緯がございました。その結果、非同盟諸国を含んだ形でこの条約がうまく機能するようにということでこのような規定になったということでございます。  また、九年間の猶予期間の問題につきましても、先ほども御説明をいたしましたけれども、現在、自己不活性化装置または自己破壊装置のついていない対人地雷を多数保有する国が存在していたという状況を踏まえまして、猶予期間という考え方が導入されて、かつ、結果的に、九年より長い延長期間というものを主張した国もあったわけでございますけれども、いろいろと交渉した結果、九年間になった、こういうことでございます。  その他二点、つけ加えられました点につきましても、まさにそういう交渉の過程を経て、できる限り多くの国が参加するような、かつ、現在存在している地雷議定書をさらにより人道的な観点から改善するような案ということで今回の議定書ができ上がった、こういうことでございます。
  93. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今、答弁をお伺いしていますと、けさほど来のオタワプロセスジュネーブ軍縮会議がという話に関連いたしますけれども、結局、ジュネーブ軍縮会議、まず一つは、先ほどどなたかもおっしゃったように非常に時間がかかる。それから、仮に時間がかかりながら条約づくりを進めていっても、今御説明があったように、結局、今のままではこの対人地雷全面禁止等に関しては余り効力を持たないということが今の御説明でもかなり明らかになったような気がいたします。  ですから、このジュネーブの軍縮のプロセスでやっていく場合には、今、非同盟諸国のお話がございましたけれども、この適用範囲に暴動、独立等の行為それから国内の騒乱等が入ってないということはざるの法ではないかという気がいたしますので、これがかなりはっきりしているのではないかということを申し上げたいと思います。  それから、けさ以来、対人地雷の有効性ということについていろいろな話が出ております。これは私は昨年の外務委員会でも質問いたしましたし、それから安全保障委員会でも質問いたしまして、それから別の議員が参議院でも質問されたことに対する同じ答えがけさも出ておりまして、何か繰り返しをやっているような気がいたしますので、ちょっとこれから御質問することについて、繰り返してない御答弁をいただきたいと思うわけです。  例えば、ヨーロッパに関しては機甲部隊による対戦車地雷で、可能な限り日本としては前方で迎え撃たなければいけないので地雷だ。それからもう一つ、けさの防衛庁の方の御回答の中で、地雷というのは受動的な武器である。それで、陸地戦であるならば、いつ相手が来るかということがわからない。ところが、地雷の場合には、結局相手がいつ攻撃するかという選択権を持っているので、それに対応するためには敷設をする地雷が有効だという話をされたと思うのですけれども、まず、可能な限り前方でということであるならば、陸で迎え撃つのではなくて空と海で迎え撃つべきではないかというのを、私実は防衛庁のかなりの幹部の方にも伺っておるわけですけれども、そもそも現在の国際情勢の中で、日本本土で迎え撃つことが、その可能な限り前方でということにはならないのではないかということが一点。  それから、けさほどの答弁で、相手が時間を決められるというその選択権に対応する、したがって敷設する地雷というお話がありましたけれども、まずその点についてお答えをいただきたいと思います。
  94. 金澤博範

    金澤説明員 先生のおっしゃいますとおり、侵略というのが我が国土に及ばないのが一番いいわけでございます。そういったことを未然に防止するため、また、仮にあったらそれを有効に排除するために海上自衛隊あるいは航空自衛隊の整備もしております。  ただ、我が領土が侵されるようなこと、あってはならないことではありますけれども、万が一それが起こったら、これに対しても有効に対処しなければいけません。陸上におきましても、先生おっしゃいますとおり、なるべく水際ということで、水際の地雷もございます。また、対人の地雷も必要である、こういうことでございます。
  95. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 その対人の地雷というのはそうすると、水際ということを今おっしゃいましたけれども、水際地雷は敷設すると、対人地雷は敷設しないということですか、敷設するということですか。
  96. 金澤博範

    金澤説明員 水際の地雷も敷設いたしますし、それが抜かれた場合には対人地雷も必要になってくる、こういう関係にございます。
  97. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 対人地雷に関しては、いわゆる散布型、ヘリコプターからまくということで、また、いわゆる自己破壊装置をつけるということが昨年来のこの議定書で出ておって、つまりスマート地雷自己破壊装置をつけるとかいうことが何か言いわけのようになっておるわけですけれども、そもそもその自己破壊装置つきの地雷というのは、最近もいろいろな種類があるようでございまして、例えば、ラオスなんかで使われました子 供爆弾ボンビーなんというのもあるようですけれども、つまり、一個の爆弾の中に地雷を何百個入れて使う。それから、その同じような地雷が、例えばフランスなんかでも開発をされている。ということは、作動時期を逆に、設定をすることができるわけです、遅く延ばしたりとか。  ですから、その自己破壊装置つきの地雷、あるいはスマート地雷というのは、ある意味では軍縮に反する、それから人道的目的ということにも反する。むしろ、ある時期になると作動しない型といいながら実は極めて攻撃的な使われ方をしたり、非常に軍縮に反対するような地雷になり得るという可能性がいろいろな各国の専門家の中でも指摘されておるわけです。  それから、不活性化地雷というのも、ある意味ではこれは不発弾と同じような意味を持つという専門家の議論もありますが、その辺はいかがでしょうか。
  98. 西正典

    ○西説明員 先生ただいまお尋ねの自己破壊装置関係でございますが、これは、自己破壊装置などを有する対人地雷といいますのは、地雷を敷設した後一定時間が経過いたしますと、地雷の中の爆薬を確実に爆発させるための自動装置が取り込まれてございます。また同時に、地雷の爆発に不可欠な電池などの消耗によって一定時間内に自動的に地雷を作動させないようにする、これが今先生お尋ねにありました自己破壊装置を付した地雷のことでございます。  ですので、こうした装置を有しております対人地雷でありますれば、敷設後、一定時間経過後には自己破壊をするか、あるいは地雷として機能しなくなりますので、紛争終結後、長時間埋設されたまま残ってその後の被害を及ぼすということはないものと考えております。
  99. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 また繰り返しのようになってしまうので、ちょっと新しい資料をお伝えしたいと思いますが、つまり軍事的な有効性ということについてです。  実は、三月二十八日と四月三日の二回にわたりまして、ニューヨーク・タイムズに、アメリカの退役軍人あるいは軍事的な専門家の方々が、いわゆる公開書簡というものをクリントン大統領に出しております。  これは、アメリカの例の湾岸戦争の砂漠の嵐作戦の司令官でありましたシュワルツコフ将軍、それからヨーロッパの統合司令官をしておった方とか、それからアメリカ士官学校ウェストポイントの代表であったような方々、十五名の方々がサインをしたものでございます。  その中で、地雷に関しては、例えば湾岸戦争で二〇%のアメリカ軍人の死傷は地雷から起こっている、つまり兵士そのものが地雷において被害を負っている。それから、ソマリアにおきましても、アメリカ軍人の死傷者の二六%が地雷から死傷している。つまり、ここで、対人地雷というのは我々兵士を決して守らないということを言っております。この対人地雷というものが我々戦闘中の兵士を殺し、そして平和維持活動に従事しておる兵士を殺し、そして無実の住民をテロ化し、そして戦闘が終わった後もそういったことが起こっているということを言っております。  そして、この結論として言っておりますことは、この対人地雷全面禁止をなぜ我々が求めるかということは、これは単に人道的側面からではなく、こういったことをすることが軍事的に責任があることであるから、こういったことを我々は主張をするということを言っておるわけです。さらに、この軍事有効性ということについて言っておりますことは、この対人地雷というものは決して不可欠なものではない、そして、この対人地雷というものを禁止するということは、この軍事効果というものを決して妨げるものにはならないということをはっきり言っておるわけです。  そして、この十五名が最後に言っておりますことは、こういった考え方に基づき、あなた、つまりクリントン大統領に対して、コマンダー・イン・チーフ、最高司令官としてのクリントン大統領に対して、こういったことを呼びかけておるわけであります。  昨今の沖縄の問題を初め、日本政府におかれましては、大変アメリカ軍の軍事的な能力、判断等については重大な信頼を寄せておるということにかんがみまして、こういった実戦経験のある方が軍事地雷効果についてこれだけはっきり言っておることに対して、日本自衛隊の場合には一九五四年の創設以来一度も地雷を使っていない、それは作戦行動がなかったから使ってないだけのことでありまして、使ってない自衛隊あるいは日本政府の方々が、こういった実際にいろいろな場で命を張って地雷を使ってこられた経験ある方々のこういった見解に対してどういうコメントを持っておられるか、これに反論をできればしていただきたいと思います。
  100. 金澤博範

    金澤説明員 今先生の御引用になられましたアメリカでの報告、読んでおりませんので、これに対するコメントというのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにせよ、繰り返しになって恐縮でございますけれども、専守防衛といういわば受動的な防衛体制をとっている我が国におきましては、相手方に攻撃の時期とか態様とか手段に選択権があるわけでございます。それを守ろうとした場合には、地雷というのは相手の選択権を制約する一つ手段であって、我が国防衛にとって有用なものであるというのが私どもの考えでございます。
  101. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 読んでおりませんからコメントをされないというのでは意味がないわけで、私が読み上げたわけです、日本語で。原文は英語でありますけれども。それで、相当懇切に必要な部分を読み上げましたので、それについてのコメントをいただきたいと思います。
  102. 金澤博範

    金澤説明員 対人地雷が無事の市民に被害を及ぼすという側面を持っておるということは、私どももそう認識しております。それがゆえに、ただいま御審議いただいております議定書というものが、自己破壊装置等ついていないものは囲いの中で使いなさいといったような使用制限あるいは禁止をしているわけでございます。  最終的には、人道的な見地からいたしますと、文民に対する被害を絶無にするということからいたしますれば、対人地雷の全面的な禁止という条約ができることが望ましいことはそのとおりでございまして、政府といたしましては、防衛庁も含め、そういった動きを支持しておるということでございます。  ただ、それに至りますまでにはまだまだ時間がかかるということで、今般この議定書審議をお願いし、他方におきまして、我が国政府としての自主的な措置というものを発表いたしまして、その着実な実施に努めておる、こういうことでございます。
  103. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 この言っていることは、専守防衛ということをはるかに超えた意味での対人地雷の有効性そのものを否定しているのだろうと思うわけですけれども、それに対して、専守防衛ということ、つまり、先ほど来出ておりますように、地雷をつくっている国を巻き込むというような話がございますけれども、実際に使わざるを得ない状況に対する根拠が比較的薄い国が、専守防衛ということだけでもって、しかもこれだけいろいろな形での対人地雷に対する要請、潮流が出ている中で、日本だけがそういう理由だけでもってそういった流れに呼応しないということであっては、ほかの地雷をつくったり輸出している国に対してこれは決して説得力にならない。今のような説明では、日本政府がそういう説明をしている限り、ほかの国には何も言えないという状況ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  104. 金澤博範

    金澤説明員 日本だけが国際的な潮流に反しているということではございません。国によってさまざま対応がございます。国によっては、先生の御指摘のように、対人地雷をすべて使いません、あるいは破棄しますと自主的に言っているような国もございますが、それはむしろ少数でございまして、多くの国は何らかの留保を付したりとかと いったようなことをやっているのが現状でございまして、我が国がとっておる自主的な措置というのは、世界の流れの中でおくれているというものとは考えておりません。
  105. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 自衛隊の最高司令官は橋本総理ではありませんか。先ほどクリントン大統領、最高司令官に対してこの十五人の将軍が手紙を出したわけですが、自衛隊の最高司令官であるところの橋本総理が昨年リヨンサミットで公約をし、国連総会で公約をしたことですが、そのことと今のこととの矛盾に対して、池田外務大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  106. 池田行彦

    池田国務大臣 昨年リヨンサミットで橋本総理が表明されたところは、対人地雷の全面的禁止に向けての努力を支持していく、こういうことでございます。  しかしながら、その全面的な禁止というものが現実に具体的に成立するにはまだ相当な時間がかかるだろうということは想定されておるわけでございまして、そして、その間においても自主的な措置は進めていくということでございまして、その自主的な措置一つとして、その後、自衛隊においても、自己破壊装置つき以外の対人地雷は今後は製造しない、こういうことにしたわけでございます。  理想的に言えば、一挙に全面禁止実現しろという御主張はあるとは思いますけれども、しかし、現実とそれから理想との間をどうするかということでいろいろ努力はしておるわけでございまして、リヨンサミットにおける橋本総理の提唱されたところとそれから現在我が国政府が行っているところに矛盾はないものと考えます。
  107. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 いや、それは矛盾だろうと思います。  といいますのは、リヨンサミット参加をしたすべての国は、少なくとも対人地雷削減解体あるいはその生産中止ということをしております。リヨンサミット参加をした国だけを対象に、先ほど防衛庁の方が日本だけじゃありませんという話をされましたが、少なくともサミット参加をしたすべての国が日本以上のことをやっておるわけで、そのサミット参加国の中では、そういった措置を講じておりませんのは日本だけだろうと思います。それが一点。  それからもう一つは、けさ以来、合意がなされれば、あるいは条約締結されればという話がございますが、例えば地雷破壊を一部なり全部なりをしている国あるいはその解体をしている国、生産放棄したり中止したり休止している国というのは、まだオタワ条約もできていないわけです、それからジュネーブ軍縮会議条約もできていないわけです、その以前に自主的にやっているわけですから、日本が言っておるように、合意ができたら、条約締結したらもちろんそれはいいことですがではなくて、その前に既に自主的に措置を講じているわけです。その点についてお答えいただきたいと思います。
  108. 河村武和

    河村政府委員 今、大臣の方から、リヨンサミットの機会におきます政府の発表について簡単に御説明がございましたけれども、念のために、どういう発表をしたかということをこの場で読み上げさせていただきたいと思います。  前文は省きますけれども、三つのことをその当時日本政府としては発表したということでございます。  一.我が国は、対人地雷全面禁止に向けた国際的な努力を支持する。  二.国際的な全面禁止に関する合意が達成されるまでの期間、我が国自主的措置として、以下の措置を講ずる。  (一) 自己破壊装置を有する対人地雷への改修等に必要な処置を適切に進める。  (二) 自己破壊装置を有さない対人地雷新規取得を計画しない。  (三) 自己破壊装置を有さない対人地雷は、特定通常兵器条約改正議定書 これは現在御審議をいただいておる議定書でございますが、     特定通常兵器条約改正議定書により使用が認められている場合も含め、作戦上の使用を行わない。  (四) 一般市民被害を与えるおそれのない、対人地雷代替手段検討早期に進める。  以上の措置は、上記の期間において、我が国が侵略の脅威に晒され、かつ、我が国防衛のために他の代替し得る有効な手段が存在しない場合にのみ、再検討に付される。但し、その場合においても、特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書は遵守する。  三.なお、引き続き、地雷輸出は一切行わない。 これが、昨年の六月に橋本総理リヨンに行かれました際に発表いたしました文書の内容でございます。  さらに、今いろいろと言われましたけれども、例えばアメリカは、自己破壊装置を有さない対人地雷使用しない、こういうことを言っております。イギリスも、自己破壊装置を有さない対人地雷使用しない、ただし、自国軍の適切な保護に不可欠であり、代替手段がない場合の使用を留保する。ドイツは、対人地雷使用、貯蔵及び調達を無期限かつ無条件に放棄する。こういういろいろな措置をとっているということでございます。
  109. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ちょっと何か、時間稼ぎをされては困りますので、それはもう何回も聞いていることですから。  私が申し上げていますのは、合意がなされる前にそれぞれの国が、特にリヨンサミット参加をした国はそれぞれ既に進めているということを申し上げておるわけです。日本政府が当時、「我が国対人地雷全面禁止支持の決定について」、紙を私も持っておりますから存じ上げておりますけれども、実際に、そういった参加国の中あるいはそれ以外の特に欧米諸国を中心といたしまして、地雷の数をふやしているのは日本だけという事実について、一方でそういう国際的努力を支持すると言いながら日本だけがふやしているということの矛盾、けさから話が出ておりますけれども、しかもいわゆる自衛隊の最高司令官であるところの総理がこういった形でおっしゃっているわけですから、それについてお答えいただきたいと思います。
  110. 池田行彦

    池田国務大臣 橋本総理リヨンサミットで提唱いたしましたことは、先ほど私はポイントだけを申し上げましたけれども、正確には今政府委員から御答弁申し上げたとおりでございまして、そこで第一項から第三項まで書いてあるわけでございます。そして、そこに述べたことを今きちんと実行しておるわけでございまして、そこに何の矛盾もないと考える次第でございます。  それから、先ほど委員が立論のその前提としておられます、我が国だけが、例えば自己破壊装置つきの地雷であっても、それをまだ保有する、使う、こういうことを主張している、またそれを実行しているとおっしゃいますけれども、今政府委員から御答弁しましたように、G7、サミット参加国の中にも、そういった点につきましてまだこれからも保有あるいは使用の権利を留保しているという国もある、そういう状況でございます。  それから、ただ、G7、サミットの中で我が国よりももっと要するに禁止方向へ向かって進んでいるじゃないか、それは確かにそういう面はあるかもしれませんけれども、そこのところは、やはり防衛庁から先ほど来いろいろ御説明申し上げておりますように、専守防衛という我が国防衛政策の特性からいたしまして、やはりその必要性というものが、現段階では、なお放てきするわけにはいかぬという点があるんだと思います。  しかしながら、それじゃ我が国だけが軍縮の面でG7の中でも格段におくれているかといいますと、そこのところは、そもそもの我が国防衛政策の性格というものを考えれば、それは決してそんなことはないわけでございますし、それから軍備といった面から申しましても、それはそれぞれの国が持っているいろいろな全体としての武器の 構成なり軍備の内容というものから判断されるべきものだと思います。  いずれにいたしましても、私どもも、対人地雷全面禁止に向かっての国際社会努力というものは支持しますし、我々としても努力はこれからもやらなくちゃいけないと思いますけれども、それはいろいろな要素を勘案しながら現実的に一歩一歩進めていく、こういう姿勢でおるところでございます。
  111. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 時間ばかり使われたような気がいたしまして大変残念でございますけれども、オタワプロセス、つまり、けさから大臣は理想と現実ということをおっしゃっておられましたけれども、やはり軍縮会議で来ている形では随分抜け穴があって、本当の意味での対人地雷全面禁止に行く道に関しては非現実的な気がするわけです。  ですから、むしろ私は、そういった意味でも、オタワプロセスを進めること、そして、それをジュネーブ軍縮会議に生かすことの方がはるかに全面禁止に対しては現実的なような気がいたしますけれども、オタワの、年末までに会議が開かれるようですけれども、それに日本は賛成をされますか、加入をされますか、いかがでしょうか。
  112. 池田行彦

    池田国務大臣 これまでも御答弁申し上げたかと思いますけれども、私どもも、オタワプロセスのその意義というものは否定しているわけじゃございません。これは、やはり対人地雷全面禁止に向かってのモメンタムを維持し、高めていくという意味で、政治的な意味合いは深いものと考えている次第でございます。  しかしながら、現実問題として、条約の実効性なりなんなりを考えますと、やはりできるだけ多くの国が参加して、その条約で定めるところを遵守していこう、こういったことがありませんと、その実効性は担保できないという面がございます。幾ら理想的なものをつくりましても、そういう参加国が極めて限定されておりましたら、いわば条約の、あるいは国際的な枠組みの外の世界の方がずっと広くなりますので、それはやはり実効性という点からは十分ではないということが言えると思うのでございます。  そうして、今、軍縮問題につきまして一番包括的なといいましょうか、幅広く問題を論議し、また多くの国々の参加を得ることができる場というのは、何といいましてもジュネーブの協議でございますので、やはりそこで、ジュネーブの協議で、現実を踏まえながら、そうして理想を目指しながらいろいろな協議を進めていくということが必要なんじゃないかと思います。  それで、そういったものの一方で、オタワプロセスというのは、先ほど読みましたような政治的なモメンタムを高めるという意義がございますので、これは両々相まってその理想に向かっての歩みを進めていくことになるんじゃないかと考える次第でございます。
  113. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 先ほど私、この議定書の不備について申し上げまして、その答弁の中で、非同盟諸国の云々があるので国内の騒乱等は適用外になっているという話がございましたけれども、つまり軍縮会議の場で行った場合には、実際的になかなか実効性が上がらないというのが、したがって非現実的な面がむしろ強いという面があると思います。  実は、この議定書改正会議の後で、国連のブトロス・ガリ事務総長は、声明の中で、この新しい議定書は、国際世論、特に全世界の数十万人の地雷による犠牲者を失望させるものにすぎないということを既におっしゃっているわけでございまして、その点をぜひ頭に入れていただきまして、オタワプロセス軍縮会議性格がもともと違うわけですから、ですから、たくさんの国を包括的に入れるというのは口実でございますけれども、それはむしろ実効性がないということがこういういろいろな答弁を通してもはっきりしていると思いますので、ぜひ、そういった点を頭に入れて進めていただきたいと思います。  それから、最後に大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほどこの本の形でも申し上げましたけれども、これだけたくさんの国会議員、それから世論、NGO、世界のこれだけの潮流の方々の考え方、そして、軍縮問題ではなくむしろ人道問題、環境問題、それから世界的な政治問題としてのこの対人地雷の問題があるわけでございます。  それに対して、先ほどリヨンサミットでは、自主的措置はこういったことしか言っていないとおっしゃいましたが、これをベースに、日本における対人地雷会議なんかも日本が主催されておるわけですから、当然、サミットの中で日本対人地雷禁止に関してほかの国よりも非常に突っ込んだスタンスを示して、総理の方から出ているわけですから、単に必ずしもほかのサミット諸国より格段に日本だけがおくれているはずはないというような答弁では説得力が足りない。  こういう形でデンバーに行かれて、それからその後に風連の環境問題会議にも参加をされると聞いておりますけれども、それでは実際に、やはり公約に、看板に偽りありということになるということがこれは明らかではないかと思うわけですけれども、そういった単に国際的な潮流だけではなく、日本の国会議員もたくさんの方も含めましてこれだけの世論になっているということも踏まえて、デンバーまでに日本政府としてどういった対応をとられるのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  114. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国政府といたしましては、先ほど申しましたようなことで、理想は理想としてそれを目指しながらも、現実を踏まえて一歩一歩着実に努力してまいります。  そして、対人地雷についての東京セミナーも我が国が主催したところでございまして、私も出席していろいろ懇談いたしましたけれども、これは対人地雷の問題にもいろいろな側面がございまして、我が国としては、そのリハビリであるとかあるいはテクニカルな面、技術的な面での役割を果たしていこうということで進めたわけでございます。  それから、多分デンバー・サミット関係で、昨年の総理の発言との関係という御質問がございましたけれども、先ほど来申し上げましたところで御理解賜れると思いますけれども、我々は全面禁止に向かっての国際的な努力を支持すると同時に、我々として、その間もいろいろ自主的な措置を講じていく、こう言っておりますが、自主的な措置というのは何もデンバー・サミットまでの期間に何かを達成するということではございませんで、もう少し長いタイムスパンで考えておるわけでございますし、それはそれとして、委員には御不満かもしれませんけれども、先ほど政府側から答弁しておりますような自主的措置は講じつつあるわけでございます。それから、これからもやっていくわけでございますので、それで国際的な理解が、とりわけデンバー・サミットの場で得られないということはないと存じます。
  115. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  116. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 次に、松本善明君。
  117. 松本善明

    ○松本(善)委員 対人地雷禁止については、今の藤田さんと同じように、私も超党派のアピールの呼びかけ人になっております。自民党の皆さんの中でもアピールに署名をしておられる方もあるし、呼びかけ人になっている方もありますし、きょうの自民党の質問者のを含めまして今までの同僚各委員質問というのは、やはりこの議定書だけでは不十分だ、もう一歩やはり踏み出すべきだというのがこの委員会での、濃淡はあるかもしれませんが、いわば総意ではないかというふうに私は思います。  改正第Ⅱ議定書地雷禁止を目指したという点では評価できるのですけれども、現実的には重大な不備があるわけです。この不備を早急に是正することが必要で、そのために日本政府議定書改正を提起するなど積極的な貢献が必要なのだと思います。  既に議論の中にも出ましたが、「国際連合と地雷」という国連の出したパンフレットの中で、事務総長は、「国連システムの諸機関は一致協力し て、地雷使用・貯蔵・生産・移転の全面禁止を支持しています。」「世界禁止という広範な目標を積極的に追求しなければなりません。」ということを言っているわけですね。ここの委員会でも既に出ていますけれども、女性や子供が地雷の事故でたくさん殺傷されている、これをやはり何とかしなければならぬということではないかと思います。  やはりこのパンフレットの中で、「最終的に、改正議定書地雷禁止していない。地雷使用制限には、かなりの抜け穴がある。また、確固たる検証および遵守規定がないので、議定書を履行することができない。」こういうふうに言っているわけです。  私は、これは事務当局の答弁というよりやはり外務大臣の、内閣の姿勢の問題ではないか。理想と現実ということを再々外務大臣述べられましたけれども、やはりこの議定書で満足しないで、一歩進むかどうかということが問題なのだと思います。この国連のパンフレットで言っているような認識に日本の内閣は立っているのかどうかということをまず外務大臣に伺いたいと思います。
  118. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、今回の議定書というものが完全無欠なものであるとか十二分なものである、そういうことを申し上げているわけじゃございません。それは、とりわけ対人地雷全面禁止といった目標からすれば、理想という言い方が何かあれでございますのであるいは目標と言ってもいいかもしれません、それに照らし合わせた場合に、決して私は十分だとは申しておりません。  しかしながら、現実的になるべく多くの国の参加を得ながら枠組みをつくっていくといった場合には、どうしても、不十分なものではあっても一歩でも進めていくという、そういうふうなことがございます。別にこの条約あるいは議定書に限らず、委員もよく御承知のとおり、多数国条約というのはそういう面が強いわけでございますね。どうしても、いろいろ見解も違う、立場も違う多くの国々の間で合意を形成しようとしますと、やはりその間の意見の調整、言葉をかえれば妥協ということもございまして、どちらかというと、そういった運動をどんどん盛り上げていこう、進めていこうという立場から見ると、いかにも不十分じゃないか、不満足だという状態になることは少なくございません。  確かに今御審議いただいているものもそういった嫌いは避けられない、これは私も率直に認めさせていただきます。しかしながら、それでも今日何もしないよりは、やはりこういった議定書をつくり、さらに将来に向かって努力していく、一つの階段を上がるという意味での意義はあるのだ、こう考える次第でございます。
  119. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、この条約を結んだのはけしからぬと言っているわけじゃないわけですね。やはり大きく踏み出すという意思を外務大臣が表明すべきだということを皆さんが言っているわけですよ。それにこたえるべきではないか。  先ほどもこのパンフレットの指摘をしている不備との関係で、「探知可能性および自動破壊/自動無害化装置の要求の遵守に関する長い猶予期間(最長九年)の導入は、短期的・中期的にはいかなる地雷禁止されないことを意味する。」という問題については、大分質疑があったようですから繰り返しませんけれども、私も、やはり実際上は、お墨つきを与えて、これらのものはそのままになるということに結果としてはなると思います。  それで、私、ここを繰り返そうと思いませんが、外務大臣にお聞きしたいのは、やはりこのパンフレットの中で「技術的に進んだ地雷の導入にもかかわらず、現在の地雷危機の主要原因であるいわゆる「無言」地雷が、禁止されていない。」長期にわたって危険な状況になっているいわゆる無言地雷、さらに、「特に危険で、標識、柵設置または記録の可能性がなく、大量に敷設される遠隔散布地雷が、禁止されていない。」と述べている。  すぐ禁止しなければならないはずの無言地雷だとか遠隔地雷が放置をされている。これは、この条約がよくないというのではなくて、やはり次の再検討会議だとか、毎年行われる締約国会議だとか、そういうところで日本政府が積極的にこれを禁止をしろということを主張すべきだと思うのですが、外務大臣、いかがでしょうか。
  120. 池田行彦

    池田国務大臣 これからも、ジュネーブにおける協議、あるいはいわゆるオタワプロセスにつきましても、私どももあそこで、オタワプロセスの中でより一層の徹底した条約をつくるというのは、現時点では少し時期尚早だとは思っています。しかしながら、プロセス自体には代表を送り、いろいろ議論をしていくという、そういうことはこれまでもしてきておりますし、これからも続ける所存でございます。そういった中でこういった対人地雷の問題につきましても、さらに一歩、さらに二歩というふうに進めていくことができないか、ひたすら取り組んでまいりたいと存じます。  ただ、そのときに、やはり一方におきましては、先ほど来御答弁しておりますように、我々は現実的に、しかも実効性を確保するためには、なるべく多くの国を入れたい、入れていくべきだという考えが一方であることも事実でございますし、もう一方では、これはあえて私が申し上げるのは政府側にとって必ずしも有利なことじゃないと思うのでございますけれども、やはり日本の、そして日本防衛体制のあり方ということ、その現実というものも我々としては無視するわけにはいかない。  現実に、防衛庁からも先ほど来繰り返し御答弁ございますように、専守防衛という我が国防衛政策、その中で日本という、地勢的にもこういった状況の中で防衛行動をとるとなると、現時点においてはやはり対人地雷というものを、全くこれを持たない、使わないというところまでは踏み切れないという現実があるわけでございます。そういったことも、我々が国際場裏でさらに努力を続けていくと申しましても、その我が国自身の防衛体制のあり方というものもやはり一方において考慮しなくちゃいけないということは、これは率直に申し上げさせていただきます。
  121. 松本善明

    ○松本(善)委員 一歩進みかけると思うと引き下がるという答弁なのですね。  私は、やはり先ほど防衛庁説明を聞いておりますと、専守防衛で、これは日本防衛のために有用なんだと言うのだけれども、地形のことだとかいろいろ説明がありました。もしその立場でいくと、これは全面禁止という方向に行かないですよ。日本防衛のために必要だと片方で言うのでしょう。そうしたら、それはいつになったらなくなるのだ。そういう立場でいる限りは、私は一歩も前進しないと思うのです。  先ほど来いろいろな委員が言われておったように、全面禁止と言ったって実際違うじゃないか、看板に偽りありじゃないかということになる。私はそういうものだと思います。本土作戦をやるみたいなことを言っていましたけれども、これは、旧軍隊でもそんな焦土作戦みたいなことは考えてない。それが日本の安全保障だというのは、私はちょっと考えられないことです。  やはり、世界情勢の中で日本の安全を守るというのはどうすべきか。私は、きょう発言された皆さんと、安全保障の問題に、根本的には違う考えの方がたくさんありますけれども、対人地雷に関して言うならば、これは禁止をしるというのがこの委員会のほとんどの総意と言っても私はいいと思うのですよ。そのこと自体は外務大臣も否定をされないのですね。ただ、そう言いながら、現実は安全保障で、こう引き下がるわけです。しかし、そこを突破をしない限り、これは、私は一歩も前進しないというふうに思うのです。大臣、そう思われませんか。
  122. 池田行彦

    池田国務大臣 レーニンの言葉でございましたでしょうか、一歩前進、二歩後退だったか、二歩前進、一歩後退でございましたか、何かございましたけれども、やはりそこのところがいろいろ難しゅうございまして、やはり、理想を目指しながらも現実というものを踏まえてやるというのが安全保障に携わる者、あるいは政府をお預かりして 国民の安全、そしてさらに民生の向上を図る者の考えなくてはいけない点だと思うのでございます。  私どもも、今お願いしているものは、先ほども言いましたように十分なものだとは思っていませんけれども、ともかく、現実を見ながら、シャクトリムシのように少しずつでも進んでいく、その一つ努力のあらわれだというふうに御理解賜りたいと思います。
  123. 松本善明

    ○松本(善)委員 一歩でも進む方向へ行く。矛盾がなければいいのですけれども、やはり安全保障、日本の安全を守るために有用なんだという立場がある限りは、これは進まないですよ。そこは何遍詰めても、あるいは、ひょっとしたら同じ答弁になるかもしれないので言いませんけれども、やはりそこを考え直さないと、私は、日本はこの面での外交で非常に立ちおくれて、特に、今被害を受けている諸国から日本は決していい評価を受けないというふうに思うのです。  それで、もう一つお聞きしたいのですが、改正議定書の前進面の一つは、探知不可能な対人地雷使用禁止をされたことだとされております。しかし、この使用禁止をされた探知不可能な地雷は、さくで囲われ、標識され、監視された地雷原の範囲の中では使用が許されるということになるのではないでしょうか。伺いたいと思います。
  124. 河村武和

    河村政府委員 改正議定書の第三条の五でございますが、「一般に入手可能な地雷探知機の存在が、その磁気の影響その他の接触によらない影響により、探知活動における通常の使用中に弾薬類を起爆させるよう特に設計された装置を用いる地雷ブービートラップ又は他の類似装置使用は、禁止する。」という規定でございまして、この規定は全般的に適用されるということになっていると考えております。
  125. 松本善明

    ○松本(善)委員 もう一つ、移転規定の問題をちょっとお聞きしたいと思います。  「移転規定は、探知不可能で自動破壊しない遠隔散布対人地雷にしか適用されない。」というふうにこの国連のパンフレットは批判をしておりますことも、非常に重要であります。探知可能で自動破壊できる地雷輸出を公然と認めるというものにこの議定書はなっているわけですが、先ほど武器輸出原則との関係議論もありましたけれども、私は、武器輸出原則といいますより、これはやはりやめる、少なくも、こういう地雷輸出ということをやめるように日本が再検討会議とか締約国会議などで主張する、そういう方向の立場を、私は、外務大臣、表明されるべきだと思う。そういう方向努力をしていくのだ、不十分だということを最初に認められたわけですから、その不十分なところを直していくのだという姿勢をこの委員会で表明されていくということになぜちゅうちょをされるのか、私はわからない。そういう姿勢でこれからやっていくということは言えませんか。
  126. 池田行彦

    池田国務大臣 国際的な武器あるいは兵器の移動につきましては、日本としましても、それをなるべく抑制していくべきだという基本的なスタンスに立っておりまして、御承知のとおり、国連におきまして、いわゆる武器移動の登録制度は我が国の提唱によりつくられたものでございます。  そういったものをさらに効力の高いものに、詳細な規定にわたるものにしようという努力はこれからも進めてまいりたいと存じますし、また、けさほどはODAとの関係でいろいろ話もございました。ODAは、もとよりいろいろな要素を総合勘案して決めるものではございますけれども、その中でも、やはりこういった観点も含めながらやっていく、いろいろな面でそういった努力はしてまいりたいと思っております。
  127. 松本善明

    ○松本(善)委員 それから、この国連のパンフレットはさらに、「適用範囲は、あらゆる状況や平時をカバーしない。」ごとや、「議定書の対象となる地雷の限定に「主に」という単語が用いられていることは、赤十字国際委員会が強調したとおり、対人地雷の定義を大幅に狭めており、したがって、回避の道を開いている。」とか、あるいは「対戦車地雷使用にはほとんど制限が課されない。」極めて厳しく、この国連のパンフレットは批判をしております。  先ほども少し話がありましたが、国連事務総長のこの改正議定書についての評価は非常に悪いものですね、御存じと思いますが。「この前進が期待にはほど遠いものであったことに深い失望の意を表明した。特に、改正議定書地雷の完全な禁止を求める国際世論の盛り上がりを反映していない、と述べた。」ということが書いてございます。赤十字国際委員会委員長も、「この結末は「まったく不十分」だと宣言した。」ということも、ここに指摘をされております。  こういう国連の発行したパンフレットが指摘しているような重大な欠陥を是正するために、やはり、今までも私、何度か申し上げましたけれども、積極的な外交を日本は展開すべきだ。再検討会議もあれば、あるいは締約国会議もありましょう。いろいろなその他の外交場面があると思うのですけれども、そういうような姿勢を鮮明に外務大臣がおっしゃられれば、質問された皆さん、みんな納得するわけですよ。それは、今この条約をそれじゃつくり直せということを言っていらっしゃる方はいないわけなんだから、外務大臣がそういう姿勢でこれからやりますということをはっきり言われれば、私は、きょうの審議は大変成果のあるものになったと言えるのではないか。外務大臣がその姿勢を表明することができるかどうか伺いたいと思います。
  128. 池田行彦

    池田国務大臣 軍縮全般の推進のためには、日本がいろいろこれまでも努力をしてきたところは、委員も御承知のとおりでございます。先ほど申しました、兵器の移動についての登録制度をつくったことだとか、あるいは核軍縮の面で、我が国が、一歩一歩目標に向かって歩んでいく国際的な努力の中で大きな役割を果たしてきたということに御理解をちょうだいできると思います。山それからまた、この対人地雷の問題につきましてもいろいろ御議論はございます。私どもは、先ほど申しましたような国際的なコンセンサスを形成する上でなるべく幅広い参加国を確保したいという観点から、必ずしも十分なものではなくても、まずまとめ上げようということで一つやったということを申し上げました。他方でまた、我が国防衛政策なり防衛の体制の実態というものもやはり政府として考慮せざるを得ないということも申し上げました。  そういった中で、しかしそういったいろいろな事情はあるにしても、この面でも軍縮の努力を進めていこうという意欲はあるわけでございまして、そのあらわれの一つが、この対人地雷使用なり製造の禁止にかかわる問題とはちょっと別の切り口からのアプローチでございますけれども、リハビリの問題であるとか除去技術開発の問題なんかにつきましては我が国が主催してセミナーを開き、多数の国あるいは機関あるいはNGOの方々の参加も得まして、国際的にも我が国努力が評価されたところでございまして、先ほど来申し上げておりますように、もろもろの内外の状況、条件というものも踏まえながら、この面でも軍縮の努力を今後とも続けてまいりたいと思います。
  129. 松本善明

    ○松本(善)委員 一九九六年、昨年の十月三十一日に日本政府が百九カ国の共同提案国の一つとなって提案した国連総会対人地雷禁止国際条約締結をという決議がありますね。この決議の主文では、「対人地雷使用、貯蔵、生産および移転を禁止する効果的な、法的に拘束する国際条約を、できるだけ早く交渉を完了する目的で、旺盛に追求するよう各国に促す」ということがございます。この立場は変わりませんか、外務大臣
  130. 池田行彦

    池田国務大臣 日本共同提案した国でございますので、変わっておりません。
  131. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうしますと、先ほど防衛庁は盛んにこれは有用なんだと言いましたが、この立場を本当に追求していくということになりますと、この全面禁止が重要な課題だと国連総会に提案するという立場に立っているならば、やはり自衛隊保有地雷廃棄する、そういう方向に進む べきだ。私、先ほどこのことを言っている限りはだめだと言いましたけれども、やはりそういう方向に行くべきではないか。  自民党の皆さんも呼びかけ人なり署名者もふえております先ほどのアピールは、七億円の調達の予算を禁止方向へ向けるという趣旨ですよ。それは、自民党の中でもそういうことだ。与党であればもっとふえるかもしれません。やはりそういう方向に進むべきではないか。  外務大臣は、ここで答弁されている方のレベルではちょっと簡単にいかないと思いますけれども、防衛庁長官とも協議をされ、閣議の中でもやはりそういう方向へ行くべきではないか、日本の姿勢を示す上で。そういうことをおやりになるという考えはございませんか。
  132. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国の安全を確保していくという責任をやはり防衛の衝にある者は持っておるわけでございます。そういった責任を果たす上において、いろいろな体制も組み、また武器その他も準備しておるわけでございますが、そういった中で、現時点においてはやはり自衛隊として対人地雷というものを全面的にもう使わないのだ、あるいは新規に購入しないのだというところまでは踏み切れないわけでございますけれども、今後のいろいろな情勢の中で、また防衛体制あるいは武器あるいは武器技術についても当然変化はあり得るわけでございましょう。現在不可欠だと考えられる要素でも、それに代替し得るものが出てくるという可能性はもちろん否定できないわけでございます。そういった中で、対人地雷というものが非人道的かものであるという面はあるわけでございますから、そういったことでどういうことができるか、これは政府としても当然考えるべきことだと思います。
  133. 松本善明

    ○松本(善)委員 一歩進まれたような感じの答弁ですが、それは防衛庁の方ではやはり現状を言ったわけでしょう。だけれども、ここの論議を聞き、それから先ほど来藤田さんも言われたと思いますが、アピールの広がりの状況考え、それから国際世論考えれば、そういう場合はあり得るというだけではなくて、やはり七億の予算を凍結して新規調達をやめる、そういう方向のことをいつからできるか、あるいはどうするかというようなことを防衛庁長官と協議をされるべきだと思うのです。  きょうの外務委員会議論を聞いたら、やはりちょっと相談したいということになってもらえただろうかということを思うのですよ。そういう事態があり得るということはおっしゃったけれども、それを閣議なり防衛庁長官と協議をするというお考えはございませんか。
  134. 池田行彦

    池田国務大臣 今年度の予算の中に含まれております七億の対人地雷の調達の経費につきましては、内閣といたしまして、その予算を編成する段階におきましていろいろな要素を勘案しながら、それは必要なものであるということで計上させていただき、そしてそれを当院におきましても国会においても御承認いただきまして、現在執行できる姿になっている経費でございますので、先ほど申しました将来の話としていろいろなことが可能性があり得るということと、現在の今年度に執行される予算の経費をどうこうするということは、別のものとして考えていただきたいと思います。
  135. 松本善明

    ○松本(善)委員 それはよく承知しております。承知していますけれども、一たん予算ができても、減額補正ということだってあるわけですよ。それは、いろいろな情勢の中で考えたけれどもやはりこうしようと。先ほど兵器の問題をちょっと言われたけれども、それとちょっとけたが違う。容易なことですよ、金額的に言いましても、それから世論や国会議員の中の広がりから見ましても。この程度のことが国会の議論を踏まえて変えられないというのじゃ、日本の内閣も率直に申し上げて大変硬直しているというふうに言ってもいいのじゃないかなというふうに思うのです。押し問答しても始まりませんからこの程度にしますけれども、強くそのことを要望しておきます。  それで、核兵器の問題についてちょっと質問をしたいと思います。  昨年の第五十一回国連総会で、三十五カ国によって決議案、「国際司法裁判所の勧告意見」が提出されました。昨年七月八日、国際司法裁判所は核兵器使用や核兵器による威嚇を一般的に違法とした勧告的意見を示しました。三十五カ国提案の決議案は、この勧告的意見を踏まえて、「核兵器開発生産、実験、配備、貯蔵、移転、威嚇、使用禁止し、その廃絶を準備する核兵器協定」の早期締結のための多国間交渉を一九九七年に開始することを求めました。  核兵器の唯一の被爆国である日本政府がこれを積極的に支持するのは当然だと思いますが、棄権をした。どうして支持しなかったのでしょう。
  136. 河村武和

    河村政府委員 今述べられました決議案につきましては、我が国政府としては全体として棄権票を投じたわけでございます。  全体の投票が行われます前に、二つのパラグラフにつきまして別途の投票が行われております。  主文のパラ三というのがございまして、ここは、核軍縮努力を誠実に継続し、交渉を妥結する義務が存在するというICJ判事全員一致の意見を支持するというものでございましたけれども、右はNPT六条に、核不拡散条約六条に沿うものでございまして、我が国としてもこのような意見を支持するということで賛成投票をしたわけでございますが、今お読みになりました条項は、主文のパラ四というところでございまして、この主文のパラ四には我が国政府は棄権したわけでございます。  基本的に、我が国政府といたしましては、核軍縮を推進するためにはやはり現実的かつ具体的な措置を着実に進めていく、積み重ねていくということが重要であると考えておりまして、そのためには、このパラ四で要請しておりますような核兵器全面禁止条約交渉を九七年から開始するということよりも、国際社会としては、まず、核不拡散条約検討・延長会議の際に合意されました「核不拡散と核軍縮のための原則と目標」、その中に示されておりますように、包括的核実験禁止条約に続く現実的かつ具体的な措置はカットオフ条約ということでございますので、このカットオフ条約交渉早期に開始するということが重要であると考えまして、全体につきましては決議案に棄権した、こういうことでございます。
  137. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務省の方の答弁を聞いていますと、本当にわかりにくいのですよね。質問したことにぴたっとなかなか答えられない。これはちょっと外務省の方々もお考えになった方がいいのじゃないかと思うのです。私は、これは、経過がどうだったというようなことではなくて、やはり外務大臣が今の情勢の中でお考えいただくことではないかと思う。  御存じと思いますが、アメリカの戦略空軍の司令官だったバトラーさんとか、あるいは欧州連合軍の、NATO軍の最高司令官をしておられましたアンドリュー・グッドパスター将軍とかこういう方々、あるいは湾岸戦争で多国籍軍の司令官を務めたチャールズ・ホーナー将軍、レーガン政権時代にソ連との核兵器管理交渉で首席代表を務められたポール・ニッチェ氏とか、そういうような、前はアメリカの核戦略を担っていた方々を含めて世界の六十人の将軍が、核兵器は危険で廃絶すべきものだという声明を発表された。御存じだと思います。バトラーさんは、「核兵器防衛に使うことはできない」、この禁止は「緊急に必要であると思うし、その必要は実際に日々大きくなっている」ということを言っておられます。  今の状況のもとでこういうことを、今まで核兵器が抑止力になるということで推進しておられた方々が、今の国際情勢の中でそういうふうに言っておられるということ、そのことを大臣、どうお考えになりますか。
  138. 池田行彦

    池田国務大臣 もとより、我が国といたしましても、究極的に核兵器のない世界を目指して努力は進めていかなくてはいけないと考え、また現にその努力を進めてまいりました。しかし、現実国際社会というものを見てまいりますと、冷戦の 終結ということもございまして、核の軍縮についても随分話が進み、またお互いに、相互に廃棄していくというような努力も進んでいるわけであります。  しかしながら、現時点において、なお核抑止力というものが世界の安全保障の中で一つの力となっているということは、これは無視できないわけでございまして、それは委員がおっしゃいますように、かつてそういった問題を担当した方々ですら核兵器のない世界を求めている、それはそうでございましょう、将来の道としては。しかし、現時点では、やはり核というものはあるわけでございますので、そこのところは、我々、将来進むべき道は道として、その今日の姿というものは否定することはできないのだと思います。  そういった観点から申しまして、日本といたしましては、先ほどの御質問にございました決議につきましても、九七年中に全面禁止というのはやはり非現実的である。まず、昨年はCTBT等について締結というような成果が得られましたけれども、次なるものとしては、カットオフ条約と言われるようなものを推進していくことが現実的ではないかと考えて、あのような対応、具体的には、決議について棄権という対応をしたところでございます。
  139. 松本善明

    ○松本(善)委員 カットオフ条約矛盾するものでもないのですよね。この決議は圧倒的多数で可決をされたのですが、私は、ソウルで開かれたIPUの総会に行きましたら、自民党の方も、この決議に基づく多国間交渉を開始すべきだという発言をされているわけです。私はもう当然だと、まことに良識のある発言だというふうに思いました。  早期締結のための多国間交渉を開始することになぜ反対するのですか。これは始めたらいいじゃないですか。なぜ反対するのか、もう一度お聞きしたいと思います。大臣の答弁をいただきたいと思います。
  140. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、私どもは現実的に、しかも着実に、核兵器のない世界に向かっての努力を進めていかなくてはいけない、こう考えております。そういった意味では、私どもは、今の段階ではCTBTをまず一応まとめ上げた、その次の段階としてはカットオフ条約努力、精力を集中すべきである、こういう認識があったわけでございます。
  141. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間ですので終わりますが、IPU総会でもイスラエルが孤立をしてネタニヤフ政権が危機に陥っておるという報道を聞きました。私は、国際世論の果たす役割というのは物すごく大きいと思います。ですから、慎重に慎重にと、一歩一歩と、こういうふうに盛んに言われましたけれども、国際世論をつくっていく、平和外交の先頭にやはり日本政府が立っていくということを強く期待をいたしまして、質問を終わりたいというふうに思います。
  142. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 これにて松本善明君の質疑は終わりました。  次に、保坂展人君
  143. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  私は、地雷という言葉を聞いたときに、ある一人の男性を思い出すわけです。この方は非戦闘員で、その方の住む村々に地雷が大量に敷設をされている。日本のNGOのメンバーと一緒に地雷を除去していく中で、不幸にも片足を飛ばされたわけです。しかし、その方は勇敢にも義足をつけてさらに地雷除去作業を続けられた。また不幸なことに、残っていたもう一つの足もまた飛ばされてしまった。つまり、両足がなくなってしまったという状態で、地雷がいかに大変な、残虐な、過酷な運命をもたらすのかということを訴えておられる。  この地雷の問題について、これは日本のみならず世界各国のNGOが、それこそ地雷だらけになっている現場の人々の生活、戦争、紛争後の復興を促すために大変な活躍をしてきた。このNGOの問題提起が各国政府を揺さぶって、ここのところ、きょうの議論でも繰り返されております、六月のリヨンサミットで、日本政府としても、対人地雷の無差別殺傷というものが、人道上の問題ということだけではなくて、まさに戦争や紛争の後の経済復興そのものを妨害していく、あるいはもう不可能にしていくという大変な存在であるということを明らかにしたのだと思います。  本日議題になっている改定議定書のⅢが、これまでの議定書が規制を設けていないのに対して、適用範囲を内乱にまで拡大をしたり、あるいは地雷の移転を規制する規定を加えたり、地雷除去責任を明確にしたという点では一歩前進というふうに評価をいたしたいと思いますが、ただ、一歩だけでよいのかということをやはり問わずにはいられません。  例えば、探知不可能な対人地雷あるいは自己破壊装置を持たない地雷原則禁止であるということは、裏を返せば、探知可能で自己破壊装置を持つ地雷は対象外ということで、抜け道が明らかにあるわけです。このあたりで、この改定議定書Ⅲに対して、対人地雷の完全実施を求める世論を反映していないということで、先ほどから出ているようにガリ前国連総長も明らかな失望感を表明しているのですけれども、外務大臣のこの議定書Ⅲに対しての御所見を伺いたいと思います。
  144. 池田行彦

    池田国務大臣 対人地雷全面禁止を目指すといった目標あるいは理想というものから見るのならば、この議定書というものが十分でないということは御指摘のとおりだと思います。それを否定するつもりはございません。  しかしながら、一方におきまして、御指摘もございました、対人地雷がいかに各地において、戦闘に参加していない人の生命、身体さらには生活に大きな影響を及ぼしているかということを考えるならば、それは一歩でも二歩でも現実的に対人地雷の規制を進めるべきである、こう考えます。その観点から申しますならば、今回の議定書も一定の前進があるものであり、理想に向かって進む、必ずしも大きくはないかもしれませんけれども、着実な歩みの一つと位置づけられるものと考えている次第でございます。
  145. 保坂展人

    保坂委員 日本政府は、この問題について、対人地雷禁止ということでイニシアチブを国際社会の中でとっていくという立場、そしてまた、先般、対人地雷に関する東京会議ということで、まさにこのテーマを前面に掲げた会議も開催をされ、その議論の中で、それでは日本としてはどうするんですかということが、やはり国際社会の中でも非常に注目を集めているというふうに思うわけです。  例えば、包括的核実験禁止条約採択前にフランスや中国が核実験を行ったということに対して、両国に対して我が国政府は実際抗議を行ったわけですけれども、つまり、そこへ向かおうという大筋が定まっているのに、ここについてきちっとした対応が見えてこないということについて、外務大臣、どうお考えになっているか、重ねて伺いたいのですけれども。
  146. 池田行彦

    池田国務大臣 御質問趣旨を必ずしも正確にとらえているかどうか、ちょっとなんでございますけれども、対人地雷全面禁止に向かっての国際的な努力、これは日本政府としましても支持していこう、こういうことを昨年のリヨンサミットにおきましても橋本総理から表明させていただいたところでございます。  しかし、それと同時に、現実的に申しまして、国際的にもまだ、全面的禁止あるいはそれに近いものを拘束力のある合意としてまとめ上げるには、環境あるいは条件が余りにも整い過ぎていないということもございますので、現時点においては今回のような取り組みということで、なるべく多くの国を包括していこうというふうに日本考えております。  それからいま一つ我が国防衛という観点から申しまして、これまで対人地雷も保有してまいりましたし、必要があるときには、やむを得ない場合にはこれは使用するんだということでまいりました。それを一挙に、そういった方針を撤回できるという状況があれば我々としてもいろいろ対 応の仕方はあるわけでございますけれども、現実我が国防衛ということを考えました場合には、やはり自己破壊装置つきのものはこれからも調達していくということを当面はとらざるを得ない、こういう現実もある。そういった中で、我が国として対人地雷にどういうふうな姿勢をとるかということでやってきたわけでございます。  我々は、対人地雷全面禁止に向けての、その理想へ向かうという意味での意欲においてほかの国に劣るものではございませんけれども、やはりそういう実態がございますので、今やっておりますのは、オタワプロセスの政治的な意義というものは認めながらも、やはり着実に、段階的に進めていこうというプロセスをとっているわけでございます。  それといま一つは、使用禁止という切り口からではなくて、探査技術であるとかあるいは除去技術であるとか、あるいは不幸にして被害に遭われた方々のリハビリの面であるとか、こういったところでは日本もどんどん進められるじゃないかということで、先般、東京でそういった問題についての国際的をセミナーを開会し、そういった面ではイニシアチブをとっている、こういうことでございます。
  147. 保坂展人

    保坂委員 お話を聞いていてますますお聞きしたくなるのですけれども、四十カ国以上の国が、段階的最終的排除、だんだん時間をかけてなくそうということではなくて、即時全面禁止、そして生産輸出使用禁止、一時停止というのを一方的に決めて、あるいはその中には、それまで備蓄をしてきた地雷廃棄破壊ということに踏み切っている国々もあるわけです。それらの国々の大部分がいわゆる国境線を陸上に持つ国々であって、日本のように海岸線ということではないわけです。従来の軍事常識から考えれば、いわゆる地雷というものが地理的に有効な国々でそういうことが行われている。なのに、なぜ日本では行えないのか。  もう一つ伺いたいのは、この問題について、日本世界のリーダーシップをとりたいのか、それとも横並びで何となく様子を見ながらいきたいのか、どちらですか。
  148. 金澤博範

    金澤説明員 対人地雷の必要性につきましては、その国が置かれた地理的な特性、あるいはそれを踏まえました戦闘の基本的な考え方を踏まえる必要があるということを申し上げております。  主として、その地形が平原であって縦深性に富んでいる国におきましては、一般的に機甲部隊、すなわちこれは戦車のことでございますけれども、これによる戦闘が陸上戦の主体となると考えられます。地雷について申し上げますと、主として、対戦車地雷により敵の侵入をおくらせることが中心となりまして、対人地雷というものは対戦車地雷の除去の障害としていわば第二次的に使われることが考えられておるというふうに思います。  他方、我が国について見てみますと、地形的に非常に起伏が多いあるいは縦深性に乏しいといったような地理的な特性を持っておりまして、加えまして、防衛基本理念といたしまして専守防衛に徹するということを言っておりますこともございまして、敵の侵攻に際しましては、可能な限り前方で対処することが必要でございます。対人地雷は、我が国に着上陸してくる敵の歩兵等侵攻をおくらせるための障害を構成する防御的な兵器として大変有用なものであろうと考えておる次第でございます。  この問題につきましては、国際社会における対人地雷の規制の動き、あるいは今申し上げました我が国防衛を維持していく観点、両方の視点を持って考えていく必要があると存じまして、防衛庁といたしましては、今後とも引き続き、国際社会動向を注視しつつ、我が国の平和と安全を守るという任務を踏まえて、この問題に対する対応を慎重に考えていきたいと考えておるところでございます。
  149. 保坂展人

    保坂委員 日本語としてはつながっていたんですが、よくわからないんですね。リーダーシップをとっていくという姿勢を示すのであれば、やはり日本みずからが、大量にストック、百万個というふうに言われている地雷、これを廃棄をしていくという姿勢をぜひお示しいただきたいと思うのです。  具体的にちょっと防衛庁にお伺いをしたいのですが、対人地雷内容が、このたびの規制論議を踏まえて、いわゆる自己破壊装置つきのスマート地雷あるいはインテリジェント地雷というふうに呼ばれているものを平成九年度の予算でおつくりになろうとしているのか、現在、もうつくっておられるのか、一個当たり大体幾らぐらいになるのか、お答えいただきたいと思います。
  150. 金澤博範

    金澤説明員 九年度予算におきまして、対人地雷の調達経費といたしまして、約七億円を計上しておるところでございます。当然のことながら、そこで調達を予定をしております対人地雷というものは、改正議定書に適合したタイプのものでございます。  具体的に何発かというお尋ねがあったかと存じますけれども、従来より、事地雷を含みます弾薬の保有数ないしは調達数につきましては、我が国自衛隊の継戦能力にかかわるという観点から、お答えを差し控えさせていただいているところでございます。
  151. 保坂展人

    保坂委員 非常に気になりますのは、この全面禁止に向けたプロセスの中で、日本政府としては、今現在、国際的な全面禁止の合意形成の過渡期、言われているところの過渡期には、従来の地雷、つまり自己破壊装置などついていない地雷使用もあり得るというような立場なのか、いや、そうじゃないのか、その点を明らかにしてほしいと思います。防衛庁の方。
  152. 金澤博範

    金澤説明員 昨年六月のサミットに際しまして発表いたしました我が国政府の立場におきましては、我が国自主的措置一つといたしまして、「自己破壊装置を有さない対人地雷は、特定通常兵器条約改正議定書により使用が認められている場合も含め、作戦上の使用を行わない。」というふうに述べております。また同時に、この措置は、「上記の期間」すなわち対人地雷全面禁止に向けた国際的な全面禁止に関する合意が達成されるまでの間でございますけれども、その間において、「我が国が侵略の脅威に晒され、かつ、我が国防衛のために他の代替し得る有効な手段が存在しない場合にのみ、再検討に付される。」ということを述べておるわけでございます。
  153. 保坂展人

    保坂委員 この内容だと、せっかくの議論が起こりながら、地雷の問題について、これはもう核兵器の問題と並んで一つの極めて大きな問題で、日本国際社会の中でリーダーシップをとり得る立場にありながら、大変この状況は残念だと思うのです。  一方で、民間の事例をちょっと御紹介をしたいと思うのですが、これは毎日新聞の四月十五日付の夕刊に紹介をされている事例なのですが、カンボジアの地雷原の開拓ということにいろいろ民間の方のアイデアが発揮をされているようです。  パワーショベルの先の方をつけかえて、灌木を根こそぎもぎ取る。そして平たんになったところに、今度は油圧式回転刃ですか、ぐるぐる回しながら、これが回っていくと地雷に当たるとぽんぽん破裂をするのですが、これは運転をしている方に危険はないということで非常に活躍をしているということなのです。こういった平和の輸出というか、地雷原の除去に対して、従来のものに加えてこういった試みがあるわけです。  これは通産省の方にちょっと伺いたいのですが、武器輸出原則に触れてくるというふうにお考えなのか、これはそうではないというふうに解釈できるのか、その点伺いたいと思います。
  154. 桑山信也

    桑山説明員 武器輸出に関するお尋ねでございますが、今の毎日新聞の記事にあります、パワーショベルのショベル部分を地雷除去用に一部改造したもの、これにつきましては、私どもとしましても、これが武器に当たる改造になるかどうか。もともとはパワーショベルで民間の汎用的なものでございますから自由に輸出ができるものでござ いますけれども、その点は事前に審査をさせていただきまして、これはいわゆる武器専用のものではなくて、この改造部分も含めてみても汎用的なものであるということで判断をいたしまして、これは武器には当たらないという判断をいたしまして、輸出をいわば許可をする必要のないもの、申請も必要がないものということで輸出をしていただいたわけだと理解しております。  一般に、輸出原則につきましては、その趣旨に基づきまして慎重に対処しておりますけれども、今申しましたように、その輸出内容とか、あるいはどういう目的か、あるいは態様、そういうことを含めまして、諸要素を考慮いたしまして、適切に対処していきたいというふうに考えております。
  155. 保坂展人

    保坂委員 こうして見てくると、地雷の問題は、いわゆる非戦闘員、一般市民地雷被害をなくすという問題だけではなくて、やはり軍縮や軍備管理の問題でもあり、軍縮の会議に時間を費やしたり、いろいろなプロセスを設定しているうちに、これはもう大変な数で、恐らく今この瞬間にも地雷が炸裂して足や手をもがれている人たちがいる。これは赤十字国際委員会の調べだと、毎月二千人の方が被害に遭っているということですね。それで、いろいろな除去の努力はあるのですけれども、年間で十万個除去をできて、一方で二百万個また埋設をされていくという途方もないイタチごっこが行われているわけです。  こうした事態で、やはり、繰り返しになりますけれども、もう即時禁止というふうに日本政府は一歩踏み込んでいただきたい。年内に対人地雷全面禁止条約を作成して締結するというオタワプロセスに向けて、これまでの御主張はわかりましたけれども、一歩から二歩、三歩とお進みいただけないのかどうかということを重ねてお尋ねしたいと思います。
  156. 池田行彦

    池田国務大臣 もう本日多多繰り返し申し上げておりますように、私どもも対人地雷全面禁止に向けての国際的な努力は支持しますし、それを望み、またそれを実現したいという気持ちは他の国に劣るものではございません。しかしながら、一方において、現実というものも直視しなくてはいけない。政府の場合は民間と違いまして、この国の安全を保障していく、そういった防衛政策をちゃんと維持していくという責任もあるわけでございます。  そういった観点から申しまして、今現在の時点ですぐに全面禁止に向かって日本も飛び込んでいけと言われますことは、お気持ちはわからないことはございませんけれども、安全保障も含めた総合的な政治運営の責任を有している政府といたしましては、やはり一歩一歩着実に、現実を見ながら対応していくしかない、こういうことでございます。
  157. 保坂展人

    保坂委員 重ねて、この問題について多くの国の中で意識転換が起こった、これはやはり日本政府の中でもぜひ起こしていく時期だということを申し上げて、せっかく多少の時間がありますので、本日の衆議院本会議で成立をいたしました入管法、難民認定法のことに絡んで、非常に原理原則的なことなのですけれども、一点だけお尋ねしておきたいと思います。  日本における難民認定、難民条約に基づく難民認定システムの中で認定をされてくる難民認定者の数というのは、九四年一人、九五年二人ということで、大変少数なわけです。この認定にかかわる審査、これは充実しているとはとても言いがたいわけでございまして、申請をしても何年もかかる。もう申請をして時間がたってしまったので、あきらめて帰るという方も多いわけです。  この点に関して、例えばベトナム戦争終結後に発生をいたしましたインドシナ難民、大量に日本にやってきたわけですけれども、この当時は閣議了解難民という形で、いわゆる閣議で了解をされて一時上陸許可を与える。そしてその人たちは、定住促進センター、御存じのとおり、そこで日本語を勉強したり職業指導を受けたりということができたわけです。食べるものとか寝るところがあったわけです。  ところが、難民条約日本が加入をして、つまり、日本政府の定めるところの難民認定のシステムを構築した後、難民として認定をされた方が、ではそういうところに入りたい、例えば日本語を勉強したいなどというときに、入れないんですね。これはまた、制度としてアバウトにやっていたときには受けられたケアが整備をされると受けられないというのはこれはいかがなものかということと、それと、難民として申請をして結論が出るまでに何年もかかるとなると、これは食べたり、そして寝るところが必要だったり、当然あるわけです。  それについて、外務大臣、この日本の本日の法では不法な入国に対する取り締まりを強化するという趣旨だったわけですけれども、一方で、国連難民条約ということで正規の国際社会のルールを受け入れていこうという立場を示した我が国のこの難民認定の現実についての御認識、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  158. 池田行彦

    池田国務大臣 難民条約に基づく難民としての認定を申請しておられる方、その審査そのものはそれは当然のこととして慎重に行われなくてはなりませんけれども、しかし、我が国としても、そういった条約に加盟し、それを制度として認めている以上、必要以上にこれが延びるということは問題でございまして、できるだけ早期に結論が出るように努力すべきものと考えております。
  159. 保坂展人

    保坂委員 時間がありませんので終わりますけれども、外務大臣にお願いしておきたいのは、難民申請中、実際今は時間がかかるわけです。そのときに、例えば風邪をこじらして肺炎になったり病気で倒れたりというときに大変な不安があり、また医療保険等は実際上日本の制度では入れない。これについてぜひ早急な改善をお願いして、私の質問を終えたいと思います。
  160. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 これにて保坂展人君質疑は終わりました。  次に、平野博文君。
  161. 平野博文

    ○平野委員 無所属の平野博文でございます。  いつも最後なものですから、たくさんの先生方にお集まりをいただきまして質問をさせていただくところでございます。  まず、きょうずうっと朝から聞いておりまして、対人地雷全面禁止に対する政府の姿勢を非常に問うておられるわけでありますが、どうしても、防衛上の問題として地雷を持っている、こういうことに相反する矛盾指摘しておられる先生方が非常に多いと思いますし、私も、ずうっと聞いておりまして、やはりおかしいな、こういう気がいたすわけであります。そういう意味で、私、この視点で少し関連になると思いますが、お聞きしたいわけでございます。  まず、この対人地雷の問題というのは、戦後、日本が平和外交をやはり前面に打ち出してきたわけでありますし、そのことの姿勢を一番先頭に立って出せる絶好の機会ではないか、このように実は思っておるわけであります。だからこそ、総理大臣リヨンサミットの発言といい、いろいろなところ、さらには東京会議等におきましても総理のメッセージなどで訴えられているのではないか、このように思っておるわけであります。しかし、今回の議定書の中にありますように、やはり日本政府としては、いろいろ難しい点はきょう朝から聞きましたからよくわかりましたけれども、やはり行動を起こすべき時期ではないか、このように思っております。  したがいまして、外務大臣全面禁止に対する姿勢をずうっと聞いてきたわけでありますが、どうも言葉の中に、全面禁止と言っておられますが、これは外務省にお聞きしたいんですが、日本語では全面禁止と言っておりますが、英語で直したらこれはどうなりますか。
  162. 河村武和

    河村政府委員 今の言葉を非常に簡単に申しますと、トータル・バンというのが一般的な英語の使用方法でございます。
  163. 平野博文

    ○平野委員 トータル・バンということを今発言されておりますが、実は、その言葉の意味合いと いうのはいろいろあるわけだと思いますが、橋本総理がこの間東京会議で発言されております対人地雷全面禁止に向けた努力というこの英語訳にはグローバルという言葉を使われているわけであります。今外務省が言われているのはトータル・バンという表現を使われていますが、グローバルという言葉を実は使われているわけでありますが、その違いはどうなんでしょうか。
  164. 河村武和

    河村政府委員 グローバルと申しますのは、いわゆる世界的なということを含めた関係一般的な形でやはりグローバルという言葉も使ったんだろうと思います。  ちなみに、昨年の国連総会で採択された決議で使っておりますのは「アグリーメント ツー バンザ ユース ストックパイリング プロダクション アンド トランスファー」ということでございまして、使用それから貯蔵、生産、移転の禁止のための「インターナショナル アグリーメント」、国際条約と、こういう文言を使用しております。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
  165. 平野博文

    ○平野委員 要は、私が言いたいことはこういうことなんです。トータルという表現というのは、一個たらずすべてを含むという意味に私はとっています。グローバルという言い方をすれば、全世界的にあるいは全体的にという表現ですが、中には抜けておってもいいんじゃないか、こういう意味合いにとれる私は言葉ではないかと。こういう意味におきまして、これから以降は、トータルという、すべて一個たりともと、こういう意味合いの部分が必要ではないか、かように思っております。  先ほど言われましたように、外務省でもグローバル、あるいはトータルということをまさに言われたわけですが、使い方の中にはグローバルという表現も使われているところがございますから、ぜひとも言葉の、日本語で言いますと全面と言っておられますが、その中にはグローバル、こういうこともあるでしょうし、トータルという言葉もある。この辺をぜひ使い方においてはお気をつけいただきたいと思います。その日本語だけで信じておられる方がたくさんおられるわけでありますから、何とぞそういう視点でこれからお言葉を使っていただきたい、かように思うわけであります。  さて、次に参りますが、先ほどの、矛盾という視点で防衛庁の方からもお聞きしましたけれども、百万個、こういう言葉がひとり歩きしております。多分答えられないと思いますが、一体何個あるんですか。お答えいただきたい。
  166. 金澤博範

    金澤説明員 先ほども申し上げたところでございますが、地雷を含みます弾薬の保有数につきましては、我が国自衛隊の継戦能力に直接かかわることでございますので、従来から御答弁を差し控えさせていただいているところでございます。
  167. 平野博文

    ○平野委員 その答えは予想しておったわけでございますが、じゃ、本年度の予算の中でも十九億円、その中で対人地雷が七億円、こういうふうに挙がっております。そのうち、いわゆる散布地雷という、多分これはヘリコプターからまく地雷だと思うんですが、これが二億円から四億円というふうに前年に倍になっておる予算づけをしているわけであります。私、ヘリコプターからまく地雷というのは、専守防衛という視点からよりもより攻撃的な兵器に変わり得る要素が非常に強いのではないか、そういう兵器を従来の倍づけの予算をしている、そういうふうに思われるんですが、いかがでしょうか。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  168. 金澤博範

    金澤説明員 おっしゃいますとおり、散布式の対人地雷、八年度の調達量が約二億円、対しまして九年度が約四億円でございますけれども、それは、この対人地雷の規制にかかわる国際的な動きにかんがみまして、私どもがいわば条約の適合型の地雷の調達に転換した事情があるからでございます。
  169. 平野博文

    ○平野委員 基本的には全面禁止という、少なくとも日本政府が発しておるわけでありますよ。一方、適合する云々で費用を、コストをかけていく、どう考えたって矛盾をするわけであります。  じゃ、これから以降、全面禁止に向けて、長期的なスパンでの防衛庁としての計画はありますか。即云々ということじゃなくて、長期的な計画に基づく対処の方法というのは考えておられますか。お答え願います。
  170. 土屋龍司

    土屋説明員 長期的な何年計画というようなものではございませんが、防衛庁考え方としましては、対人地雷全面禁止に向けた国際努力を支持するということは基本でございまして、この全面禁止というものが真に効果的なものとなるためには、実際に対人地雷使用、移転等を行っている国を取り込んだ、可能な限り実効性のある普遍的なものとすることが重要であると考えております。  このような観点から、防衛庁としましては、米、英、仏等と同様に、より参加国が普遍的で軍縮交渉の実績もあるジュネーブ軍縮会議条約交渉を行うことが適当であると考えている次第であります。  以上でございます。
  171. 平野博文

    ○平野委員 じゃ、今のお話でいきますと、日本というのは一体、今まで戦争を放棄して平和外交を一生懸命やってきたわけですよ、ということは、相手国がそういうことをやらない限り日本もやりませんよということをいみじくも言っているということですな。相手がそういう土俵に乗ってこなければ、日本がその土俵の先頭に立って行くよという積極姿勢がないわけですよ。そこを一番私、不思議に思うわけですが、防衛庁、いかがですか。
  172. 土屋龍司

    土屋説明員 相手国はということよりも、なるべく大きな国ということだと思うんですけれども、それがやらない限り防衛庁はやらないということではございませんで、そういう国々と話し合いながら実際の地雷の全面的禁止というもののために努力していきたいということでございます。
  173. 平野博文

    ○平野委員 もう何回やっても同じ答えしか返ってきませんからやめますが、要は、どの国が乗ってこなくても、条約批准しなくても、日本世界のどの国よりも率先してこういうことをやります、こういう姿勢が今求められているわけであります。何とぞ、そういう意味考え方に変えていただけるように御努力をいただきたいとお願いをいたしておきます。  さて、次に参ります。  今度は通産省にお聞きしたいんですが、じゃ、地雷除去技術というのが、たくさん、一億個以上と言われているわけでありますが、日本の果たす役割として、地雷を除去する機具とか機械とか装置をやはり援助をしていく、こういうことで、先ほどの御質問にもありましたけれども、そういう技術開発日本国内ですることに対しては、今の武器原則云々含めての問題があるのでしょうか。
  174. 桑山信也

    桑山説明員 国内で武器に関連する、あるいは地雷除去に関連する技術開発をされることにつきまして、輸出に関しまして何ら制約はございません。
  175. 平野博文

    ○平野委員 じゃ、日本はそういう地雷に対しての役割として、そういう武器開発ではなくて、地雷撤去、除去の専門機材をやはり積極的に開発をし、後進国に援助をする、こういう考え方においてはどうですか。
  176. 桑山信也

    桑山説明員 大変恐縮でございますが、一般的な援助の仕方、あり方、考え方ということでございましたら、むしろ外務省にお答えいただいた方がよろしいかと思いますけれども、私ども通産省といたしましては、こういう技術開発を民間の方でやっておられるということは認識をいたしておりまして、それがもし外に出ていく、援助その他で、あるいは自主的に外に持ち出されるという場合に、この武器輸出原則等関係でどういう問題が生じるかということに関しまして、そのときにその輸出目的とかあるいは態様とか、どういうふうにその技術が管理されるか、どこかほかの人に渡ってしまわないかとか、あるいはその技術はそこで使われてまた戻ってくるものなのかどうかというような目的態様等を十分考慮いたしま して、適切に対応してまいりたいと思っております。
  177. 平野博文

    ○平野委員 時間がないので、その積極的にとかいう表現はやめてほしいのですが、ぜひ、地雷撤去専門の機材ということであれば適用除外という判断にならないのかどうか、再度。
  178. 桑山信也

    桑山説明員 御質問趣旨地雷除去専門の技術ないし機械であれはすべて武器原則は適用にならないのかということだといたしましたら、武器原則の従来の考え方は国際紛争を助長することを回避するということでございまして、地雷除去装置といえども軍事用に利用される可能性のあるものでございますので、繰り返しになりますけれども、その場合の輸出目的態様等を十分適切に考慮してまいりたいということでございます。
  179. 平野博文

    ○平野委員 時間が参りましたから、少しまた観点を変えます。  実は、地雷のために非常に被害が出ています。私は、地雷を防止をしていく、こういうことも大事ですが、被害に遭った方に対しては積極的に支援をしていく、特に文民、いわゆる当事者、関係ない方がこの地雷によって人的な被害を受けておるわけでございます。  そういう意味で、実は私きのう、お話しいたしますと、「国際的に認知されるアジア開発途上国に対する義肢装具センターの設立を」ということで、去年の六月の二十八日に池田外務大臣あてにこういう手紙を実は出されております。発信人は澤村先生という先生でございますが、この件については、大臣、御存じでございますか。
  180. 畠中篤

    ○畠中(篤)政府委員 昨年、外務大臣あてに、国際義肢装具協会から書簡が届きました。同じように、インドネシア政府から同センターの設立について無償資金協力の要請がありました。  私どもといたしましては、こういった障害者のリハビリといったようなことにつきましては、経済協力の中で。いろいろ支援をしてきておりますが、本件につきましては、インドネシアに対しまして同様の障害者リハビリのプロジェクトというのをかなりやっております。  一つは、平成七年から九年度までの予算を使うことにいたしまして一般無償案件で障害者職業リハビリテーションセンターというものをつくりまして、そして、それに日本の専門家を出して技術協力と組み合わせて協力することを決めておりました。また、インドネシアのそういった障害関係のプロジェクトにつきましては、いわゆるNGOがやっておりますものに対して草の根無償の形で何件か、平成八年度だけでも四件ほど協力をしております。  そういうこともありましたので、昨年度のその要請につきましては、インドネシアとの協議の過程におきまして、当面はこれを、いろいろ要請がございますので、取り上げることは困難だということを伝えてございます。
  181. 平野博文

    ○平野委員 時間が参りましたので最後の一言にいたしますが、この手紙の中身を見ますと、政府のODAに対する縦割り行政の弊害が実はありまして、厚生省と話していると前向きな姿勢が返ってくる、答えが返ってくる、外務省へ行くとだめだ、こういうつづりの文面でございます。私、二年間のその経過の部分についてもすべてとってまいりました。そういうことが起こりますと、一生懸命やっておられる方の気持ち、考え方、これをそぐことに相成るわけでありますから、今御答弁されましたけれども、何とぞ、今後はよりそういう視点で前向きにとらまえていただきたい、かように思います。  私も、実はこの七月にスリランカの方に行ってまいります。その理由は、義肢義足の方が実はたくさんおられるわけでございまして、きのうスリランカから、何人おられるのですかと聞きましたら、一千三百八十六名の方が、あの小さな島で、手、足のない人がおられるわけであります。実情は内乱の状態であるわけでありますが、どういう状態であれ、この地雷によってなくしているわけでありますから、私もこの七月に向こうに文化交流として参りまして、義足を贈るということではなくて、義足をつくれる人をいかに多く養成をするか、こういう視点でこの七月にも資金援助をしていきたい、私はこのように思っておりますので、外務省としましても、その当局にお願いをしていると思いますが、何とぞ御支援、御協力をお願いし、何とぞいち早く全面禁止の、名目的じゃなくて実質的に全面禁止に向かって行動されんことをお願い、御要望いたしまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  182. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  183. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、過度に障害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  184. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、過度に障害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約追加議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  185. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  187. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会