運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-03-17 第140回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十七日(月曜日)     午後五時三十三分開議 出席委員   委員長 逢沢 一郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 福田 康夫君    理事 牧野 隆守君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君 理事 松本 善明君       石崎  岳君    柿澤 弘治君       河野 太郎君    櫻内 義雄君       下地 幹郎君    下村 博文君       原田昇左右君    茂木 敏充君       森  英介君    小池百合子君       島   聡君    中野  清君       松沢 成文君    丸谷 佳織君       山中 燁子君    井上 一成君       藤田 幸久君    古堅 実吉君       濱田 健一君    平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      西田 芳弘君         外務大臣官房領         事移住部長   齋藤 正樹君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         外務省中近東ア         フリカ局長   登 誠一郎君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     下村 博文君   新藤 義孝君     茂木 敏充君   坂口  力君     小池百合子君   若松 謙維君     中野  清君   伊藤  茂君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     安倍 晋三君   茂木 敏充君     新藤 義孝君   小池百合子君     坂口  力君   中野  清君     若松 謙維君   濱田 健一君     伊藤  茂君     ――――――――――――― 三月十四日  新潟市で行方不明になった女子中学生失踪事  件解明北朝鮮拉致日本人に関する請願栗原  博久君紹介)(第八六九号)  同(一川保夫紹介)(第九一一号)  北朝鮮日本人妻帰国者に関する請願栗原博  久君紹介)(第八七〇号)  同(一川保夫紹介)(第九一二号)  ILOパートタイム労働条約の批准に関する請  願(石毛鍈子君紹介)(第八七一号)  同(中西績介紹介)(第八七二号)  同(松本惟子君紹介)(第八七三号)  同(石毛鍈子君紹介)(第九一三号)  同(近藤昭一紹介)(第九六九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中東北アフリカ経済協力開発銀行設立する  協定締結について承認を求めるの件(条約第  一号)  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第二三号)      ――――◇―――――
  2. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより会議を開きます。  中東北アフリカ経済協力開発銀行設立する協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。
  3. 下地幹郎

    下地委員 中東北アフリカ経済協力開発銀行設立に対する質問をさせていただきたいと思っております。そして、きょうは中東地域ではありますけれども、私は、中東地域アジアの安定、そして日本の安定と日米安保の切り口で初めの方、ちょっと御質問させていただきたいというふうに思っております。  一九九〇年、イラククウェート侵攻いたしました。そして、この侵攻、一九九一年一月十七日、多国籍軍イラクに入るわけですね。そして、一九九一年二月二十七日に終結をする。その期間、武力衝突をしたのが四十二日間、そして平成二年の八月二日に入ったのから考えますと、二百十日間の歳月がたっております。その中東地域混乱が、アジア日本にどんな影響があったかというふうなものをちょっと検証してみたいのです。  そして、そのときに、まず株価をちょっと見てみました。そうしますと、中東混乱があったときの、八月に混乱があるわけですけれども、七月の株価が三万一千円、それが一月に入りますと二万三千円、七千円ダウンしているわけですね。そしてこの混乱によって、クウェートへの侵攻によって原油価格、アラビアン・ライトの原油スポット価格が七月から十月までの間に、一バレル当たり十三・八ドルから三十四ドルまで二・五倍に上昇している。そして、ドバイ原油も十七ドル二十五セントから三十五ドルに上昇している。そして、北海油田も四十ドルに上昇している。日本経済そのものに大きな大きな影響を及ぼしていることは、中東地域においてあるわけです。この中東地域の安定こそが日本経済、そして日本経済発展をしっかりと支えるものだというふうな認識に私は立っております。  そして、アジアを見ますけれどもアジアが今経済発展を遂げております。どんどん成長率も高くなってまいりましたけれどもアジアにおける中東石油への依存度が八九%、日本が八〇%、それぐらい高い状況になってきて、中東が安定しなければアジアの皆さんの経済成長に大きな影響を及ぼすし、この油のしっかりとした安定供給ができなければ、南沙諸島尖閣列島といったようなところで油を求めて、ある意味では武力闘争になるかもしれないという危惧を私は持つわけです。その意味においても、この中東問題はアジアにも大きな影響を及ぼしますし、日本経済にも及ぼす。  そして、私ども日米安保にも大きな役割みたいなものがあるのではないかと思います。湾岸戦争のときに日本からの海兵隊が、在日米軍が八千人、湾岸戦争に向かっているのです。そして、向こうで多国籍軍として大きな成果を及ぼしていることは確かなのです。  そこで、私は、冒頭でちょっとお聞きしたいの ですけれども沖縄海兵隊役割。そして、この沖縄海兵隊役割は、私どもアジアとか日本の安定だけでなく中東の安定をしっかりと図らなければ、日本経済安保も守られないという状況になっていますから、私はただ単にアジア地域が、北朝鮮情勢がよくなれば海兵隊役割は終わり、そういうふうなものじゃなくて、中東における役割日本の命綱とも言われるような原油のところまで海兵隊役割は大きなものがあるのではないか、そういうふうに思っております。それが私は株価にも原油にもあらわれていると思いますから、その安定をつくるという意味で、海兵隊が大きな役割を持っているというふうに認識をしておりますけれども、まず大臣のお考えをお聞きしたいというふうに思っております。
  4. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、湾岸戦争が起きましたときに、中東原油に大きく依存している我が国経済あるいは国民生活がその大きな影響を受けたということは、そのとおりでございます。  そして、今日におきましても、我が国エネルギー供給につきましては、石油以外の他のエネルギーについてもいろいろな努力をしております。そしてまた、原油につきましても、いろいろ世界各地から入手できるように努力しているところでございますが、しかし依然として、今委員も御指摘になりましたように、八〇%ぐらいを中東原油に依存しているのは事実でございます。そして、これからもやはり我が国経済運営にとりまして、中東原油、つまりは中東地域の安定というものが不可欠であるということは言うまでもないことでございます。  それと同時に、現在、世界成長センターとして躍進を、経済的な発展を遂げておりますアジア諸国にとりましても、やはり中東原油の占める地位と申しましょうか、意味するところは非常に大きいものがございまして、そういった意味で、中東地域の安定ということは、我が国あるいはアジア諸国、さらには国際社会全体にとってもいろいろな意味で重要でございますが、とりわけその資源という観点から申しますと、大変重要なものだというふうに認識しております。  そしてまた、後段の方で委員が御指摘になりましたように、湾岸戦争の際に、我が国に駐留いたしておりました海兵隊の中から八千人程度が中東地域に移動したのは、そのとおりでございます。また、御承知のとおり、安保条約上、我が国米国に対して施設・区域の提供をしておるわけでございますけれども、そもそも軍隊というものが持ついろいろな役割からして、あちらこちらに移動するというのは当然のことでございまして、そういった意味で、安保条約上も、我が国に駐留しております米軍があちらこちらへ移動することを制約する、活動を特定の地域に限定することはないという点は、そのとおりでございます。  しかしながら、安保条約のそもそもの目的というものは、安全保障上どういうことかと申しますと、それは我が国自身の安定であり、そして平和であり、そしてまた極東地域の平和ということになっておるというのもまた事実でございます。一
  5. 下地幹郎

    下地委員 ぜひもう一度お聞きしたいのですけれども海兵隊のプレゼンス、これはアジアの安定、そして中東の安定にも大きな役割があるというふうに認識してよろしいですか。海兵隊役割というのは、そういうところまで大きな役割がありますよというのを認識してよろしいでしょうか。
  6. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、米軍の、日本に限定いたしません、世界各地に駐屯しております部隊が、その機能なりあるいは役割に応じまして、時々の必要に応じていろいろ移動するということはあるわけでございまして、そのことが、その時点その時点における平和の維持なりあるいは安定、安全の維持のために役割を果たすということは、そのとおりだと思います。
  7. 下地幹郎

    下地委員 中東情勢経済状況からしても、いかに日本に大きな影響を及ぼすかということが、外務大臣答弁でおわかりいただいたと思うのですけれども中東情勢、今までは宗教問題や民族対立、文化の違いなど、いろいろな問題で紛争が起こってまいりました。そして、中東和平プロセスの中で、領土問題を解決することを前提として平和の形を作ろうということでスタートしました。それで、ある程度その領土問題が線引きができて、これからは私どもは、和平プロセスはこの領土問題から経済問題に移ってくると思うのです。  先ほど私が申し上げました湾岸戦争においても、フセイン大統領の趣旨は、クウェートは昔は私ども領土だったからというふうな、そういう建前の論議でありましたけれども、実際は、やはり私は、経済格差、そして貧困格差、そういうふうな問題があの戦争の大きな原因になっているのではないかなというふうに思うのです。だから、そういうふうな一つ要素をつくらないためにも、私どもは、日本として、私ども日本の大事な地域にしっかりとした経済支援をしていく、そういうふうな役割が非常に大事だろうと思うのです。  そういう意味で、今回の中東北アフリカ経済協力銀行、これは大きな役割を担うものだというふうに思っておりますけれども日本政府がぜひこれをやりたいというふうに思われている最大の要素みたいなものを、ちょっと大臣に御答弁をいただきたいと思うのです。
  8. 池田行彦

    池田国務大臣 おっしゃるとおり、中東和平プロセスは、いわゆる領土と平和のトレードといいましょうか、そういったことでいろいろ進められておるわけでございます。そして、今この中東和平プロセスは必ずしもとんとん拍子で進んでいるわけではございませんけれども、基本的に、何とかこの地域に平和をもたらしたいという認識国際社会努力をしているわけでございます。そういった今の中東和平プロセスをきちんと進めていくためにも、またそれが実現いたしました暁にそれを維持し、安定していくためにも、委員指摘のようにやはり経済面での安定あるいは発展ということが可能になる、そういったことが重要だと思います。  そういった意味で、今回のこの銀行設立というのも、いわば和平プロセス経済面から支援していくといいましょうか、下支えしていくというふうな意味合いを持つわけでございまして、そのことが、先ほども申しました、我が国も含めた国際社会全体にとって中東地域が持つ重要性にかんがみまして非常に意義のあるもの、こう考えておる次第でございます。  我が国としましても、中東和平プロセスそのもの進展のためにもそれなりの努力をしておりますけれども、また同時に、それを下支えする経済面での仕事という意味で、今回の銀行設立につきましても積極的に取り組んできているところでございます。
  9. 下地幹郎

    下地委員 和平プロセス経済面から支える、本当に大事なことだ。私は、貧困をなくしていくことが平和の形をつくっていく上でも非常に大事なことだと思うのです。  それで、今ODAが五年連続、日本は一位でございます。二国間援助も一位じゃないかというふうに私は思っておりますけれども、今度の開発銀行をつくられる中で、その開発銀行設立日本役割は、どういうふうな中心的な役割があるのか、そのことをまず一点目にお聞きしたいのです。  そして、もう一つは、日本はいろいろな援助をするけれども評価がちょっと薄いというふうなお話がよくありますけれども、今回はそういうふうなものを注意して、こういうふうな工夫をしていますよ、日本が中心になってつくってこういう評価になるのじゃないかというふうな、そういう工夫なんかなされているものがあったら、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  10. 池田行彦

    池田国務大臣 今回の中東北アフリカ経済協力開発銀行の持つ意味については先ほど答弁申し上げたところでございますが、我が国としまし ては、そういったことを強く認識いたしまして、この銀行設立手続といいましょうか、プロセス最初から積極的に取り組んできたところでございます。  そもそもこのお話が出ましたのは、エジプト、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ等によっていろいろな構想が提唱されたわけでございますが、国際社会としてまとまった形になりましたのは、一九九四年の十月に開かれました第一回の中東北アフリカ経済サミットでございました。その宣言の中で盛り込まれたわけでございます。  それから、具体的にどういうふうな形にするか、あるいはどういうふうな機能を持たせ、また業務内容をどうするかということについていろいろな議論があったわけでございますが、我が国といたしましては、その過程におきまして米国等と並びまして、積極的に、あるいは主導と言ってもいいかと思いますが、そういった役割を果たしてまいったところでございまして、その設立協定におきましても、米国ロシア等とともに早々と署名をした、こういうことになっておるわけでございます。  また、これは私自身の経験でございますが、昨年の八月に中東諸国を訪問いたしましたときにも、ちょうど和平プロセスそのものが停滞しておったということもございまして、実はこういった経済サミットであるとかこういったものに対して、若干アラブの諸国の中でも、時期を見たらいいんじゃないかという雰囲気が見られたところもありますけれども、その際も、私も、その当時サミット主催国でございましたエジプトムバラク大統領等にも、和平プロセスはもちろん早く進むようにあらゆる努力を傾けなくてはいけないけれども、それと同時に、こういった経済面からの努力も着実に進めていかなくてはならないのだということを直接申し上げまして、今日に至ってきているところでございます。  そういった意味合いにおきまして、この銀行を含めまして、中東地域の平和、そして安定を実現する上において、とりわけ経済の面においては日本が大きな関心を持ち、大きな役割を果たしているということは、あの地域の国々を初め国際社会でもよく認識され、そして一定の評価を得ているものと承知しております。
  11. 下地幹郎

    下地委員 行動計画が今練られているのではないかと思うのですけれども経済開発銀行ができて、手始めに何をしたいのか、どういうようなことをやろうと思っているのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 中東北アフリカ開発銀行につきましては、これを通じまして投融資や技術支援等を行うことにより、中東北アフリカ地域インフラ整備民間部門の育成といったものを図っていくことになると思われます。  具体的な行動計画につきましては、銀行設立後、理事会で決定されることになりますが、可能性のある分野といたしましては、我が国がこれまで協力を進めております水資源、環境、観光分野及び交通等に関するインフラ整備生産設備の新設及び拡張、民営化を進める国有企業民営企業経営支援、そういったものが想定されます。
  13. 下地幹郎

    下地委員 この経済開発銀行が持つ意味答弁の中でもよくわかりましたけれども、大きな意味があると思いますから、ぜひしっかりとした形でこの開発銀行の後押しをしていただきたい。そして、支援をすることが中東及びアジア、そして日本経済成長に大きな役割があるというふうなことを御認識をして、頑張っていただきたいというふうに思っております。  そして、時間も参りましたので、もう一つだけ質問させていただきたいんです。  中東における赤軍の、レバノンの問題をちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思っております。ちょっと現状だけ、御説明いただけますでしょうか。
  14. 齋藤正樹

    齋藤政府委員 お尋ねのレバノン拘束中の五人の日本赤軍メンバーのその後の進展でございますが、まず三月六日の段階で起訴されまして、八日に予審の尋問が開始されたということでございます。政府としましては、その五人の人定確認後、直ちに、三月四日の時点でございますけれどもレバノン外務省に対しまして、レバノンにおける司法手続が終了次第、速やかに日本側に身柄を引き渡すように要請しておりまして、あわせて、平林外政審議室長総理の親書を持って同じような要請をしたところでございます。  今後とも引き続きまして、レバノンにおきます司法手続推移を見つつ、引き渡し要求を重ねていきたいと思います。
  15. 下地幹郎

    下地委員 具体的に、犯人の引き渡しというのは、可能性としてはいかがなものかということを簡単にお聞かせいただきたいんです。
  16. 齋藤正樹

    齋藤政府委員 まず法的な側面からいいますと、日本は、引き渡し条約はアメリカとの間でしかありませんけれどもレバノン相互主義前提で相手に引き渡すという法的なシステムがありますので、法的な側面からいったら問題はありません。日本側も、逃亡犯罪人引渡法というのがございまして、今までもルーマニアあるいはペルーから同じような赤軍メンバー引き渡しを受けております。  それから、日本レバノン友好関係を非常に重視して、このレバノン赤軍拘束事件日本レバノンの二国間の友好関係を損ないたくないということをレバノンの首脳が語っておりますので、そういう点からいきまして、先ほど申し上げましたように、向こう側の、レバノン側司法手続推移を見守りつつ、機会あるごとに引き渡し要求を重ねていきたいと思います。
  17. 下地幹郎

    下地委員 昨年の末のワシントンで開催されましたレバノン復興会議、その会議において、日米欧の三十カ国が参加して、総額三十二億ドルの援助をしております。私はこういうふうな援助、そして貧困を救うという形、復興させていくという形はしっかりと守っていかなければならないと思いますけれども、こういうふうな犯罪に対しては、しっかりとしたスタンスを持ってやっていかなければいけないと思うんです。援助はやるけれども、そういうふうなことはなあなあ主義でやるといったら問題があるかもしれませんけれども、そういうふうなことを守らなければ援助はできませんというふうな日本スタンスは、しっかりと持つ必要があると思っております。  そして、きのうでありますけれども、日曜日の民放のテレビ番組新潟の少女のお父さんとお母さんの問題が出ておりました。そして、韓国で、亡命をなされた方との間で、もう全く同じ顔だ、もう間違いはないだろう、そういうふうな謹言があったわけですけれども、この北朝鮮の問題も、レバノンの問題と同じように私はスタンスをしっかりと持って、こういうふうなことをやらなければ援助をできないという日本スタンスは、非常に大事ではないかというふうに思っております。  最後になりますけれども、そういう意味で、大臣のこのレバノンの問題のスタンス、そして北朝鮮に対するスタンス、これだけお聞きをして終わらせていただきたいと思います。
  18. 池田行彦

    池田国務大臣 レバノンの問題につきましては、先ほど政府委員からも御答弁申し上げましたように、今、レバノン政府におきまして司法手続を踏んでいるわけでございますから、その様子を注目しているところでございます。そして、当然のこととして、我々としても、それがきちんと整理がついた段階では当方に引き渡してもらうように既に要請しているところでございます。そういったスタンスできちんとやってまいりたいと思います。  それからまた、北朝鮮関係者による拉致の疑惑の問題につきましても、捜査当局によりまして所要の調査捜査等は行われているものと承知しておりますし、我々外務省といたしましても、情報の収集等には努力してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  19. 下地幹郎

    下地委員 ありがとうございました。
  20. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、小池百合子君。
  21. 小池百合子

    小池委員 新進党の小池百合子でございます。  きょうは、中東北アフリカ経済協力開発銀行、この設置に関しましての協定に関してお伺いするわけでございますが、その前に、きょうでペルー日本大使館占拠事件発生三ケ月という、そういう日に当たるわけでございますし、また、今晩にも高村外務政務次官現地へ御出発というふうに伺っております。私も、当然のことながら一日も早い事件解決を願っている一人でございます。  そこで、お伺いしておきたいのですが、政務次官の御出発に関しまして、これまでいらっしゃらないで、この時期になぜ行くことになったのか、また、なぜ一週間と区切っていらっしゃるのか、この点を明確にお答えいただければと思います。
  22. 池田行彦

    池田国務大臣 ペルー日本大使公邸事件が起きましてから三ケ月が経過するわけでございまして、私どもも、人質になっておられる方、あるいは御家族、関係者の心情も考えますと、本当に一日も早く事件の平和的な解決、そして人質全員の無事な解放を実現しなければいけない、このように痛感しておりまして、また、努力もしているところでございます。  御承知のとおり、本件が起きましてから、我が国政府といたしましては、ペルー政府と緊密に連携をとりながら、テロリズムに屈することなく、そして平和的な解決を図ろうということで全力を傾注してまいりました。その過程におきましては、まず最初の立ち上がりの段階で私は現地へ参りましたし、また、橋本総理自身も、トロントにおいてフジモリ大統領といろいろ会談を持たれて、この解決に向かっての両国政府協力確認といいましょうか、そういったことをされたわけでございます。  御承知のとおり、その後いろいろな経過がございまして、予備的対話というものが始まり、これまでに十回の対話が積み重ねられました。そういった中で、ペルー政府から、またMRTA側から、それぞれの考え方というものが示されてきておる。そして、その仲を取り持つと申しましょうか、保証人委員会の方々が何とか早く解決ができるように今せっかく努力をしておられるところでございます。  いわばそういった非常に重要な段階に入ってきた、こういう節目でございますので、やはりこの際、日本政府といたしましても、高村外務政務次官現地へ飛んでいただきまして、これまでの協力体制というものを踏まえながら、ペルー政府に対しましても、事件の早期の平和的解決に向かっての努力をさらに要望していく、また日本政府としての果たすべき役割もきちんと果たしていくということを伝達するということがございます。さらには、保証人委員会の関係の方々であるとか、あるいはその人質になっておられる方の御家族、関係者等々にお会いしていろいろお話し申し上げる、あるいは意見の交換をするということも大切であると思います。  それからまた、御承知のとおり、この解決を図るための選択肢の一つとして、第三国の協力ということが必要となるか、あり得るかということが議論され、そういった関係で、要請があれば協力するにやぶさかでないという姿勢を示しておられる国がある。そういった国に対しましても、我が国といたしまして礼を尽くすと同時に、また事件の平和的解決のために、必要なときにはぜひ力をかしていただきたいということを要請してくる。こういったことで、政務次官ペルーを初め関係国を回っていただく、こういうことにしたわけでございます。
  23. 小池百合子

    小池委員 大臣も、重要な時期、そして節目に入った、そういったことをかんがみてというお話をちょうだいしたわけでございますけれども、もちろんこれは交渉事でございますし、そして大変重要な時期であるだけに、高村政務次官のお役目も大変重要な任務であろうということは想像できるわけでございます。また、現在の保証人委員会の中に入っておられる寺田顧問が行政の関係でいらっしゃるのに対しまして、政務次官でいらっしゃるということから、やはり政治的な判断ということも背負っていかなければならないのではないかというふうに思います。  その意味では、衆議院の予算委員会段階から、私どもの石井一議員の方からも、どうして政務次官最初から行かないのかといったような指摘もございました。重要な時期だけに、またきょうこれからいらっしゃるということでございますので、やはり日本としての毅然とした態度でこの高村政務次官が立派なお仕事を果たしてくださることを私どもも願っているところでございます。  政務次官がいらっしゃるということは、それだけまた意味も重いというふうに思います。これまでは、一義的にフジモリ大統領に信頼を置いてという形でございましたけれども、この政務次官がいらっしゃるということは、それだけまた日本役割がよりふえるということにもなろうかと思いますけれども、その辺の御認識はいかがでございましょうか。
  24. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、この事件の発生以来、何とか早く、そして人質全員の無事解放を実現したい、もとよりテロリズムに屈することもなく、こういった基本線に立ちまして、ペルー政府と緊密な連携をとりながら対処してきたところでございます。そして、その段階段階我が国政府の政治的な立場からの意図というものも十分に伝えてきたわけでございます。  また、今こういった重要な段階でございますので、高村政務次官橋本総理の特使としておいでいただくわけでございますが、そうしたことで、高村政務次官ペルー政府ともよくお話しになり、何とか事件解決への道へつなげる上で大きな役割を果たしていただくことを私ども、期待しているわけでございます。  それと同時に、先ほども申しましたけれども、そういったことも踏まえながら、この平和的解決のために役割を果たしてくださる可能性のある国々に対しても、日本政府を代表してきちんと要請をしてこられる、こういう重要な任務を帯びておられるわけでございます。
  25. 小池百合子

    小池委員 それでは、今度本論に入らせていただこうと思いますけれども、本日のテーマ、中東開銀。  この地域は、日本から見まして、このペルーの問題のときも、中南米そして同時にこの中東北アフリカ、非常に物理的、地理的にも遠い、そして心理的にも遠い。中南米の方は、むしろ日系人の方がいらっしゃるのでより近い感情を抱く方も多かろうと思いますけれども中東というのは、まさに有事のときしかなかなか振り向いてもらえないという状況でございまして、極めて遠い地域というふうな、そういう感覚が日本にあることは否めないと思います。  せんだって、大蔵委員会の方でも御質問させていただく機会がございまして、その折に申し上げたところでございますが、世界の火薬庫と言われ続けております中東、そして北アフリカのアルジェリアなどでは連日のようにテロが起こっておりまして、年間の死傷者、殺される人の数というのはおびただしい数に上っていますが、それが余りにも日常化しているような状況で、日本にはそれはニュースとしてももはや伝わってこないというような状況でございます。それだけに、この中東北アフリカ地域におきます和平、そして経済的な安定が極めて重要であるということを認識している一人でございます。  また、この地域につきましては、欧米各国の反応、感覚、そして日本におけるそれとかなりの差があるわけでございまして、この中東開銀につきましても、名前、そして目的、趣旨等々、ぱっと聞けば非常にそれは日本としてよかろうということに素直につながるところではございます。  しかし、歴史的、宗教的、さらにはこれまでの国際政治の大変な渦を考えますと、この中東開銀の存在というのは非常に深いものがありますし、またそれだけに、今回日本が参加するということであるならば、それに対して日本としての主張、その他をしっかりと伝えておかないと、これは 言ってみれば、先ほどクウェートの件が挙がっておりましたけれども湾岸戦争のときに、我が国では増税までして百三十億ドルを拠出するといったことをやったわけでございます。しかしながら、私も湾岸戦争が終わって間もなくのころクウェートにも参りました。そして、クウェートの町の真ん中に広場がございます。そこに、湾岸戦争記念碑ということでつくられているわけでございますが、そこでお世話になった各国の旗がずっと並べられている。そこには、残念ながら我が国の国旗を見出すことはできなかったわけでございます。  そういったことで、我が国がこれまでの地理的な、また歴史的な、宗教的なかかわりがないからこそ、あの地域における日本のプレゼンスというのは極めて好意的に受けとめられることも多々ございます。しかしながら一方で、極めて国際政治の現実の辛酸をなめ尽くした地域だけに、極めて現実的ということも言えるわけでございます。  では、その中において、この中東開銀に対して我が国がどういう態度をとらなければならないのか。また今回も、いっときに四百六十八億円を振り込むという、払い込むということではございませんけれども、全体で四百六十八億円、今この財政再建元年と言っているときにこれを国債で出すということになるわけでございますので、そうしますと、我が国の納税者の観点から見て、この出資についてはどういった点を注意しなければならないか、これもやはりアカウンタビリティーを問われるところでございます。  その意味でも、この中東開銀、確かにそのとおりだというようなお声も多いかと思いますが、幾つかの点につきまして明らかにしておかなければならない点がございますので、御質問をさせていただきたいと思います。  まず、極めて大まかな話でございますけれども地域の定義なのですけれども、この本条の第十条に、本銀行の金融業務は域内加盟者の領域内に限られるというふうにございます。一方で、この域内の定義については協定では触れられておりません。規定されておりません。外務省でも中近東一課とか二課とか、地理的な分け方をしておられるわけでございますけれども、この協定におけます域内、そして中東北アフリカ、この範囲は一体どこまで指すのか。もちろん、そこから享受される国々というのはそこに一度加盟しなければならないということもございますが、今後の広がりその他を考えますと、この地域の定義というのをしっかりと押さえておかなければならないと思いますので、この点、まず伺わせていただきます。
  26. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 協定上、中東及び北アフリカの範囲につきましては明示的な定義はございません。この文言は、厳密な地理的概念としてではなくて、銀行の受益国、地域を指すものとして用いられております。原加盟国となる国・地域につきましては、協定の付表A第一条に域内加盟者として掲げられた国・地域中東及び北アフリカに含まれるということになります。原加盟国でない国がこの銀行の加盟者となる場合には、加盟承認手続が行われる際、当該加盟者が中東及び北アフリカに含まれる域内加盟者であるか否かについて総務会が判断することになります。
  27. 小池百合子

    小池委員 よくアラブ連盟の加盟国はどこかといったようなことで、その定義はなかなか難しいということでございますが、これはこれからの枠組みそして参加意欲といったような、むしろ地理的な縛りはないというふうな理解をさせていただきたいと思います。  この中東開銀の設立への準備がされているわけでございますが、これまでの経緯ということで、まず九四年十月、モロッコのカサブランカで会議が開かれ、カサブランカ宣言が採択されました。そして九五年には、きょうはいらっしゃいますけれども、福田当時外務政務次官がアンマンの方にいらして、この会議の方にも御出席になっておられる。そして九六年には、カイロで会議が開かれて、その協定の最終のコーナーに入ったというふうに理解をいたしております。  この流れ、それからこれまでの一連の会議の参加国などを見ておりますと、ずっといろいろな点が浮き上がってくるわけでございますけれども、この中東開銀設立へ向けてだれが最も熱心に旗振り役をしてきたのか、その辺のこれまでの経緯を踏まえてお話しいただきたいと思います。
  28. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 この開発銀行の提案そのものは、まずエジプト、イスラエル、ジョルダン及びパレスチナ人によって提唱されて始まったわけでございます。この地域和平経済面から下支えするということで、アメリカ、我が国、それからヨーロッパの幾つかの国が中心になって議論をしてまいりました。
  29. 小池百合子

    小池委員 むしろ中東、アラブの国々であるというようなお答えでございましたけれども、私の認識は少々違いまして、まず、前回も大蔵委員会の方で御説明させていただいたんですが、今のイスラエルの首相でございます、暗殺されたラビン首相の後継として今イスラエル首相を務めているシモン・ペレスさんですけれども、九三年に出されました「ザ・ニュー・ミドル・イースト」という本の中に、一種のヨーロッパにおけるマーシャル・プランのような形で中東開発銀行のようなもの、そういう名前そのものどんぴしゃりではございませんけれども、計画がもう九三年の時点で出ているわけでございます。また、これはイスラエルの格言というか、よく使われる言葉として、ベター・バンクス・ザン・タンクスということで、タンク、戦車よりは銀行ということで、そういう言葉もあるように、こういった中東開発銀行の考え方、ほかにもアフリカ開発銀行もありますし、アジアにはマニラにベースを置くアジ銀、アジア開発銀行がある、だからこそ地域開発銀行という考え方というのは一般的でもあろうかと思いますが、ペレスさんなどはその牽引役となってこの中東開発銀行を何とか進めようという努力をずっとやってこられたわけでございます。  そこで、私がこの中東開銀の設立に当たってのやはり大きな問題点としてどうしても気になるところが、いわゆる湾岸諸国、サウジアラビア、クウェート、UAEといったような、参加してくれるであろうような国々が不参加、現時点で不参加ということでございます。もっとも、ポストオイルショックと申しますか、オイルクラッドと申しましょうか、最近は若干上がっておりますけれども、かつてのようなバブリーな湾岸産油国というわけにはいかない。なかなかないそでは振れないといったようなそれぞれの財政事情もございましょう。しかしながら、なぜここにサウジアラビア、クウェートといったような湾岸諸国中東開発銀行に入らないのか、参加しないのかというところは、実は非常にこの中東開銀の存在の大きなポイント、また今後の、これからの動き次第でございますけれども、問題になってくるのではないかと思うわけでございますが、御見解をお伝えください。
  30. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 サウジアラビア等の湾岸諸国は、本銀行設立交渉におきまして、中東北アフリカ地域に対する何らかの資金メカニズムの必要性については理解を示しておりますが、これらの国は、既に独自の支援手段を有しております。例えばイスラム開発銀行あるいはアラブ経済社会開発基金といったような手段を有しております等のことから、新たな地域開発銀行設立に対しましては慎重な態度をとっておりまして、現在のところ、加盟予定者には含まれておりません。  しかしながら、この割り当ての出資シェアの分で二四・五%を未配分としておりまして、湾岸諸国が将来参加を希望した場合には、これに対応できる余地を残しております。
  31. 小池百合子

    小池委員 大蔵委員会で国際金融局長の榊原さんがお読みになったのと全く同じ文章をお読みになったので、そうそう人によって考え方が変わってもらっても困りますが、それにしても一言一句同じだなということで。  イスラムのやはりつながりというのは強うございます。そういったイスラムのまた哲学に即した 考え方で、サウジ、クウェート等々がそれぞれ独自のネットワークで既に二国間等々のバイの援助をしている、だからもう中東開発銀行そのものには入らなくてもいいというようなことでございますし、また、先ほど指摘ありましたように、イスラム開発銀行であるとかアラブ基金、クウェート、サウジ基金等々もう既にある、つまり重複の問題があるわけでございますね。であるならば、日本の場合も世銀に参加し、そして世銀の中には国際金融公社、IFCという機関がございます。このIFCという機関は中東開銀と同じように、むしろプライベートセクターに対する融資をということでございまして、ここも重なってくるわけでございます。また、北アフリカについて申しますならば、既にあるアビジャンのアフリカ開発銀行、こちらに対しても我が国はアメリカに次いで第二位の出資国にもなっている。  ここはまさに納税者の観点から伺わせていただきたいのでございますが、そうなりますと、サウジ等々、既にその機関を持っているからもういいということであるならば、日本の場合はいかがなんでございましょう。また、中東開銀、そういった重複等々を避けるためにはどのような工夫が凝らされるのか、これからの話でございましょうが、伺いたいと思います。
  32. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 国際金融公社、IFCは、世銀グループの一員といたしまして、民間企業に対する投融資、民間投資家への助言、サービス、途上国資本市場整備等、いわゆる中東開銀と類似の業務を全世界の途上国を対象として行っております。  しかしながら、IFCは世界的な規模で投融資等の活動を行っております関係上、特定地域に対して十分、かつきめの細かい投融資活動を行いにくいという傾向がございます。この点、中東開銀は、地域の特性に密着したきめの細かい業務を行っていけるものと期待しております。  また、我が国には、経団連が中心になって開発途上国の産業開発または経済の安定に資するプロジェクトに対する投融資を行う組織としてJAIDOが設立されております。我が国民間企業と途上国企業の合弁事業の推進を行うものでありますが、JAIDOは、IFC同様特定地域を対象とするものではないこともありまして、中東北アフリカ地域においては若干の実績を有しているにすぎません。こういった中で、専門的なマルチの地域金融機関である中東開銀ができまして民間資金流入促進に係る触媒機能を果たすことは有意義と考えております。  また、アフリカ開発銀行どこの銀行との問題でございますけれども、アフリカ開発銀行は公的資金供与を主として行っておりまして、この中東北アフリカ開発銀行の場合には、むしろ民間部門支援、民間企業に対する支援といったようなものを頭に置いてこれから活動していくことになっております。
  33. 小池百合子

    小池委員 そういった機関のダブりについて伺わせていただいたのですが、答弁の方がダブっていたようでございまして、まだJAIDOのことを聞いていなかったのですよ。これから聞こうと思っていたのですが、もうお答えになっちゃった。  このJAIDOにつきましても経団連がつくった機関でございますね。そういった中で、これまでもいろいろな実績を積んできて、いずれにいたしましても、やはりこれからの日本我が国ODAについても実績はこれまでも世界じゅうであるわけでございますけれども、やはり今財政再建元年と称し、また公共事業等々の見直しが行われていく。さらには、いかにして国債発行を抑えるかということで、私どもは有価証券取引税を廃止せよと言っているのですけれども、そのときにはその財政の手当てがないからといって、こっちの方では国債と簡単に出てしまうということに、全体を見るとやはり若干バランスを欠くのではないかというふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、この中東開銀でございますが、当初、最初のカサブランカの宣言、カサブランカの会議の当時は、大体百億ドル規模を見込むのじゃないかということで、わっと経済人も実は群がったところがあるのですね。ところが、だんだん、サウジがどうも入らないぞ、それから、これも後で質問しますから後でお答えいただきたいのですが、フランス、イギリス、ドイツといったような欧州の国々が入らない、そんなことがございまして、だんだんシュリンクしたのだろうというふうに思います。結局、三十三億少々、SDRですね、米ドルでいうと約五十億ドルに縮小してしまった。このあたりの背景についてお伺いしたいと思います。
  34. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 この授権資本の規模でございますけれども、これを検討いたしましたときに、IMF・世銀等の既存の機関との役割分担、それから予想されます業務量等を勘案いたしまして総合的に検討した結果、加盟予定者の総意といたしまして、全体の授権資本を御指摘のような約五千億円とすることといたしました。
  35. 小池百合子

    小池委員 私は、結論を先に申し上げてしまいますと、この地域は大変重要な地域でございますし、また私は日本の技術、それもかつて経済安定本部といったような戦後の日本経済を育ててくるそのベースとなったようないろいろなノウハウ、こういったものをむしろあの地域に提供するのがあの地域のニーズに合っているのではないかというふうに思いますので、金額のことも必要でございましょうし、またそういったお金以外の部分で日本が独自にもっと協力する方法、発想を変えて、そういった協力をする方法がむしろふさわしいのではないかと考えているわけでございます。  さてそこで、サウジ、クウェート等の湾岸諸国が入らない、それからヨーロッパの各国、その中の特に主なフランス、イギリス、ドイツが参加をしないというこの現状、これについてどのように分析されておられるのか。もちろん、特にパレスチナの問題、それからアルジェリアあたりですとやはりフランスの植民地下であったというような歴史的な問題もございます。特にパレスチナでは、イギリスとフランスの政治のはざまに挟まって、そしてイスラエルという国が建国するというような、歴史的な長い長いつながり、長くてそして深いつながりがございます。  そういったところでの問題もございましょうが、私は、むしろアメリカ主導で行われているこの中東開銀について欧州側が反発をしているのではないか。また、それもアンマン宣言などを一行ずつ読んでまいりますと、ヨーロッパの方が対案を出すというようなことも検討されたわけでございますね。それがもう結局乗らないで、そしてアメリカ、イスラエルの方の主導、そしてアラブの国々がつくというようなところで、フランス、イギリス等はもうこれに国益を見出さなくなったのではないか、そういうふうに理解するのでございますが、いかがでしょうか。
  36. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 本銀行設立交渉におきましては、イギリス、ドイツ、フランスといった欧州諸国は、この銀行設立そのものには反対いたしませんけれども、まずプロジェクトの発掘、技術援助、意見交換の場等の役割を果たしますいわゆる資金仲介機関といったものを設立して、その後銀行設立の必要性について改めて検討するという立場をとっておりました。  その後、九五年十月のアンマン経済サミットの宣言におきましてこの開発銀行設立されることになりましたが、また同時に、資金仲介機関の設立についても引き続き検討するということとされております。ただ、現在までのところ、この資金仲介機関に関します具体的な提案はまだ欧州諸国からなされておりません。  欧州諸国の本銀行への参加状況を見ますと、現在までにオーストリア、サイプラス、ギリシャ、イタリア、マルタ、オランダ、ロシア、トルコといったところが銀行の加盟予定者となっております。加えましてフランス、スウェーデン、ノルウェーにつきましても、銀行発足後、銀行に加盟する方向であると承知しております。
  37. 小池百合子

    小池委員 せっかくつくるのでありましたなら ば、できるだけ各国がそろい踏みということを願いたいところでございますが、先ほども私自身の方から申し述べさせていただきましたように、あの地域というのは本当に歴史的に、もういろいろな国々が土足で入り込んで、そしてまた次の人が新しく別の泥のついた靴で上がり込んでというようなこと、それから宗教的な戦い、これをずっと繰り返してきた。また特に、日本のように水に流すということがございませんで、やはり怨念といいましょうか、だれのひいおじいさんはだれに殺されたといったような、それがもういつまでも続くわけでございます。そういった中で各国のそれぞれ、特に冷戦下においては米ソの戦いということもございましたでしょうし、ですから、国際政治でいうならば上級者編といったようなところ、そういう感がするわけでございます。  中東開銀もそういった中で、いろいろな経緯を経て現在のような参加国の状況になってしまう。また、これもうまくいき出しますと、各国が、ああ、これには乗らなくてはいけないというような、そういう瞬間も来るかもしれません。その意味では、日本もまた果たす役割はあるかもしれない。ただ、そこまでには至っていないということ。  それからまた、最近の特にパレスチナの状況を見ておりますと、ヘブロン合意あたりまではよかったのですけれども、このところの東エルサレムの入植地の拡大に関して、またヨルダンに遠足に来ていたイスラエルの子供たちが銃撃されるといったような、またまた痛ましい事件ども頻発しておりまして、この中東和平についても、あそこはどちらかというと一進一退といったような形ですが、私自身はもう大きなトレンドとして和平に向かっているということを信じているつもりですけれども、それにしても、やはりまだまだかってのような形で痛ましい事件、事故が起こっているということでございます。  せんだって、ガザで国際会議が開かれましたね。日本からも渋谷大使が御出席になったと思います。アメリカは大使を出す出さないで議会との間でも一悶着があったというふうに聞いておりますけれども、このガザの国際会議について、さらには中東和平のこれからの問題点等々、ちょっと整理してお伝えいただきたいと思います。
  38. 登誠一郎

    ○登説明員 先週末ガザで行われました国際会議と申しますのは、二年前にワシントンで中東和平のパレスチナ・トラックについて署名がございました。その署名式に出席した国が招かれたわけでございます。これはパレスチナのアラファト議長が招請したわけですけれども委員指摘のとおり、現在、東エルサレムにおきます住宅の建設問題等についてのイスラエルの立場についてパレスチナ側が大変な危機感を持っておりまして、こういう状況に直面して、事態の打開を図るために国際会議を招集したわけでございます。  この国際会議では具体的な結論が出るというわけではございませんで、パレスチナ側の不満についてアメリカ、日本などなどの国が耳を傾けるということでございまして、この会議は一日で終わっております。御指摘のとおり、日本からは渋谷大使が出席いたしました。  今後の見通しでございますけれども、これから、ヘブロン合意を経ましてその後のパレスチナの暫定自治拡大の交渉をパレスチナとイスラエルの間で行わなければなりません。さらには、今週からパレスチナの最終的地位交渉と申します、エルサレムの地位、あるいは将来的にパレスチナの独立国家を認めるのかどうかも含めた交渉が、パレスチナ側とイスラエル側で行われるということになっております。  その中におきまして、今御指摘にもございましたようなエルサレムにおける住宅地の建設ということをイスラエルが行いますと、これは現地におきますパレスチナ側のかなりの抵抗ということも予想されますので、これは私どもとしても大変危惧しているところでございます。  中東和平の問題は、今までも長い長い年月を経ておりましたけれども、これからもいろいろと紆余曲折はあると思います。しかし、方向性としましては、委員指摘になりましたとおり、大きな和平に向かってのうねりというのは続いておりまして、イスラエルを含めた関係諸国も、この中東の問題は平和的に解決すること以外には選択肢がないということについては、大筋の合意を見ておりますので、これからあと何年かかるのかは正確には予測できませんけれども和平に向かっての大きな流れは変わりないというふうに考えております。
  39. 小池百合子

    小池委員 当然、私もそう願うところでございますが、先ほど現首相のペレスさんと申し上げましたけれども、ネタニヤフに今度かわって、さらに強硬派ということが、またこの中東和平の歩みを少し複雑にさせているわけでございます。  そういったところで、今回中東開銀に一番多く出資するのが二一%のアメリカでございますが、これもせんだっての大蔵委員会でちょっとやりとりになったのでございますけれども協定上は議会がその決定を行政の方にゆだねたという形で、中東開銀についての協定はアメリカは終わっているということでございますが、きょうもこのアメリカの予算書を見ますと、中東開銀に対して五千二百万ドル、日本円にすると約六十二億円ということ、これだけが計上されているわけでございます。額としてまず少ないのではないか、このアメリカの予算に計上されているのが少ないのではないかという点と、それから今後、予算が議会で承認される方向に現実にあるのかどうか。私のさまざまなルートから伺ったところによりますと、予算承認というのは極めて難しいのではないか。  その一つの例が、EBRDなど多国間機構というのを非常にこのところアメリカ側は嫌って、そして予算書をわざわざバイに書きかえたりするテクニックを駆使したり、日本でもよくやる手かもしれませんが、そういったことで、なかなか議会承認が得られないというような見通しを立てる方が多うございます。  そういったことで、ここで一生懸命決めても、結局一番の大どころのアメリカが決めなければ意味がないのではないかということを指摘したいわけでございます。その点、いかがでございましょうか。
  40. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 米国につきましては、先生今お話しになりましたように、加盟のための議会の承認は既に得ておりまして、現在、出資に必要な予算の承認を議会に求めておるところでございます。  額について少ないのではないかというお話がございましたけれども、割り当ての出資のうちの四分の一を五年間にわたって払い込むというのがルールでございまして、あとの四分の三は請求があったときに払い込むということでございますので、そういう数字になっているかと思います。
  41. 小池百合子

    小池委員 国際機関の運営につきましては、出資額によって声の大きさが変わってくるということを伺っております。特に、中東地域におきまして、アメリカの存在というのは大変バルネラブルなところがございます。  湾岸戦争で大変お世話になったということで、湾岸諸国でのアメリカのプレゼンスが非常にはっきりと出た。それがかえってイスラム原理を刺激する、またそういった世論に乗りやすいといったようなこともございまして、アメリカには守ってもらったけれども、余り全面的に出てこられては困るよ、そういったニュアンスも湾岸諸国には現実にはございますし、また、先ほどからも何度も申し上げておりますように、イスラエル建国以来のアラブとの戦いにおきましてのアメリカの存在、これも非常にバルネラブルな部分がございます。  そういったことも踏まえて、私は中東開銀について、もしこれが動き始めるのならば、日本というのを、やはりプレゼンスをもっとはっきりとさせる。そのためには、例えば総裁の職をとる、それぐらいの形をやるべきではないか。むしろ、アメリカ人の顔よりも日本人の顔の方がいいのじゃないか。今参議院の方で同僚でございます寺澤議 員が、かつては世銀の中のMIGAの長官をなさったことも、記憶に新しいところだと思います。  よって、日本に対しましてただお金をよこせということではなくて、やはり日本だからこそあの中東におけるプレゼンス、日本のプレゼンスを果たすことが十分できるのではないか。また、あのクウェートのときの、日章旗がその中には欠けていたということに私はやはり大変ショックも受けているわけでございます。  そういった意味で、日本のプレゼンスを確保するために、総裁、そういった役割を確保するということも大きな声で言っていいのじゃないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  42. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 我が国といたしましても、第二位の出資国といたしまして、中東開銀の組織あるいは業務運営において積極的にリーダーシップを発揮していくことは、極めて重要と考えております。  総裁の件につきましては、まだ全く何も決まっておりませんけれども、この銀行設立準備作業につきましては、カイロに置かれた移行チームというものが当たり、その作業の状況は、今後開催を予定されております加盟予定者委員会といったようなものを通じながら、これから内容を決めてまいるわけでございますけれども、この準備委員会にも日本からも人を入れまして、できるだけ日本のリーダーシップが発揮できるように努力してまいるつもりでおります。  その作業の過程におきまして、我が国といたしましては、本銀行の活動が我が国の対中東政策と整合的なものとなるように、あるいは受益国の実態に即した開発援助を進めること、さらには、我が国経済協力に関します幅広い経験を融資業務や技術支援等に活用していくこと、また、官民セクターの連携を強化していくというようなことを念頭に置きながら、リーダーシップを発揮してまいりたいと思っております。
  43. 小池百合子

    小池委員 いずれにいたしましても、納税者からの観点、そして日本という国の議会の人間として、そういった基本の基本といいましょうか、これからの日本経済協力のあり方そのものにも響くことになろうかと思いますので、そういった点につきましては、今後の状況を見て、ぜひともしっかりと発言するときは発言してほしいというふうに思っております。  それから、先ほどの議会の承認の件でございますが、アメリカの議会の承認が得られないときには、その二一%の一番大株主が飛んでしまうというような事態にもなってくることも予想されるわけでございますが、じゃそのときにはこの協定は一体どうなるのか、これについて伺いたいと思います。
  44. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 今御指摘のような事態は、協定関係者といいますか設立を希望しております関係者の今想定をしていないところでございますけれども、仮にもしそういったようなことになりましたら、関係者が集まってまた相談するということになっております。
  45. 小池百合子

    小池委員 最後にPKOについて伺っておきたいと思うんですが、中東和平に関しましては、中東ゴラン高原でシリア、イスラエル両軍の停戦監視をするUNDOFに自衛隊が第三次参加をこの二月になさったところでございます。  せんだっての産経新聞でございますけれども、明石国連事務次長ですけれども、今国会への国連平和維持活動協力法提出が見送られるということに対して、大変残念だというような強い懸念を表明しておられるところでございます。安保理の常任理事国入りということを目指しているということであるならば、このPKO法の改正もできないということであるならば、これはなかなか実現というのは難しいんじゃないかというふうに思うわけで、PKO法の改正には積極的に取り組むべきだと考えるところでございますが、政府の見解を伺わせていただいて、私の質問とさせていただきます。
  46. 池田行彦

    池田国務大臣 現在、PKO法につきましては、早急に改正を要すると思われる事柄、例えば例の武器使用のあり方の問題でございますね、それから国連ではない国際機関が行っている活動についてどうするかという問題、あるいは物資協力について例の五原則との関係がどうなるかというような点を中心にしまして今政府部内で検討を進めておるところでございまして、私どもといたしましても、この検討を急ぎ、結論が得られ次第、国会に御審議を願う、そういうことでやってまいりたい、こう思っております。
  47. 小池百合子

    小池委員 終わります。
  48. 逢沢一郎

    逢沢委員長 以上で小池百合子君の質問は終わりました。  次に、玄葉光一郎君。
  49. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。  この中東開銀、アフリカ開発銀行とか世銀とかと重複しているという指摘もあり、私もそのとおりだと思うんですが、今小池委員の質問を聞いていて私と質問が重複するものですから、通告した質問と変える場面がかなりあるかもしれませんから、御了解をいただきたいというふうに思います。  まず、あえてお聞きをしたいと思います。  四百六十八億円出資をし、また百十七億円払い込むこの中東開銀に我が国が加盟をしようとしている理由はなぜなのか。先ほど答弁の中で和平プロセスを下支えをするという御答弁がありましたけれども、なぜ和平プロセス我が国にとって大切なのか。私も実は非常に大切だと思っておりますけれども、国民にわかりやすく外務大臣、御説明をいただきたいと思います。
  50. 池田行彦

    池田国務大臣 当然のことでございますが、地球上どこの地域もやはり平和で、そうして安定しておることが望まれるわけでございます。我が国のようにいろいろな意味で大きな地位も占め、それだけに大きな役割を果たさなくてはいけない立場にございますから、世界全体の安定のために寄与していかなくてはいけないのは当然でございます。  とりわけ中東地域というものを考えました場合に、国際経済の上ではやはり非常に石油資源の豊富なところであり、我が国も含めまして多くの地域経済活動なり生活がその上に依存しているという意味合いにおきましても、この地域の安定というものが非常に大切でございます。  それと同時に、現に今和平プロセスがいろいろ進められてはおりますけれども、この地域では近年におきましても戦争とか動乱とかあるいは内戦とかいろいろございまして、極めて安定を確保し、維持するのが難しい地域でございます。それだけに、国際社会といたしましても力を合わせまして、この地域が何とか安定するようにということをやらなくてはいけない、こういうふうに認識している次第でございます。
  51. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私は、率直に申し上げて、日本にとってなぜ和平プロセスなのかといえば、一番は石油だと思うんですね。我が国エネルギー依存の大半が石油であり、その大半が中東原油だということでありますけれども、私は、国民の皆さんにこれから援助全般について、政治家がわかりやすくその目的を説明するということは、極めて大切だというふうに最近つくづく感じるんです。  それはなぜかというと、選挙区なんかを土曜日、日曜日歩いていますと、国民あるいは市民の援助全般、ODAも含めて、見る目が非常に厳しくなってきております。これは財政赤字の状況があって、何で日本はこれだけ財政赤字がたくさんあるのに援助しているんだ、そういう声がかなりあるんですね。ですから、私たちは、これからODAを考えるときでもそうでありますが、その援助の目的についてしっかりと説明責任を負っていかなければならないということをいつも考えておりますから、あえてそのことを申し上げたわけであります。  特にODAなんかは、きょう時間があればさわりだけでもその改革の方向性について触れたいと思いますけれども、透明性を高めたり効率のよい 援助にする、そういうことも大事ですけれども、今御質問申し上げたような、いわばなぜ援助をするのかということを明確にするということは極めて大切だという思いで、あえて申し上げたわけであります。私としては、もう少し端的に御説明いただいたらありがたかったというふうに思っております。  ところで、先ごろイスラエルのレビ副首相兼外務大臣が来日をされました。最近は、先ほど御説明ございましたようにイスラエルがエルサレムにユダヤ人住宅を建設するという発表をいたしました。私は、これは和平プロセスに逆行するものだというふうに思いますけれども、先般、イスラエル議連で会合があったときに、私はあえてレビ外務大臣に、これは和平プロセスに逆行するもので、いかがなものかということを申し上げたわけであります。  外務大臣、会談をされたようでありますけれども、その点についてどのような会談があったんでしょうか。
  52. 池田行彦

    池田国務大臣 その点についてはさんざん申し上げました。その点についていろいろレビ外務大臣と議論しましたために、晩飯の時間がかなりおくれたという事態になったわけでございます。  ちょうどレビ外務大臣が来られて、私がお会いする前の日だったんじゃないでしょうか、正式に東エルサレムに住宅を建築するということが発表されましたのが。それで私の方から、これは和平プロセスを何とか進めていくという観点から見て、全く容認することはできないものであるということを明白に申し上げたところでございます。それに対してレビ外相の方から、いやそうではない、一方においてこの地域におけるパレスチナ人、アラブの方々のための住宅も三千五百戸準備するということもあるんだから、両方バランスをとっているんだという話もあったわけでございます。  それに対しても、私の方が、もしそういうことであるならば、これはパレスチナ側もほかのアラブの諸国も合意した上で、あるいはそれをよしとした上でそういうふうな手法をとるならともかくとして、現実はそうはなっていないではないか、パレスチナはもとよりのこととして、アラブの諸国はこぞって今回のイスラエルの決定については反対を表明しているではないかということも言いまして、レビさんも大分詰まって返答に窮したというような場面があったわけでございまして、委員も御理解をちょうだいしたいのでございますが、日本外務省日本外務大臣も、言うべきときにはちゃんと物は言っているということでございます。
  53. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 この銀行設立が提唱された中東・アフリカ・サミットですか、過去三回行われたというふうに聞いております、カサブランカとアンマンとカイロ。第三回目のカイロの会議に出席をしたある方が、このカイロの会議は率直に申し上げて盛り上がらなかったということを言っていました。私は、それもそのはずだと思うのですね。イスラエルとパレスチナ・トラックの状況がああいう状況、暗雲が垂れかかった状況でありますから、それもそのはずだろうなというふうに思うのです。  私は、紛争の解決なくして経済発展はないのじゃないかという思いも実はございます。やはり政治と経済は車の両輪でありますから、和平プロセス進展がなければ、この銀行意味がなくなるという可能性すらあるんだろうというふうに思うのです。その意味で、この和平プロセス進展のために我が国がどうしたらいいのかということなんだろうというふうに思うのです。  今、外務大臣は、まさに政治的な発言も言うべきところは言っているというようなお話でありました。私は、まさに今の大臣お話のように、我が国も、中東和平プロセスの中で、経済援助のみならず、政治的にもっと物を申してもいいんだろうというふうに思っている一人であります。ですから、先ほどのレビさんとの会談については、強くおっしゃっていただいたということでありますから、よくおっしゃっていただいたなというような思いでございます。  今のネタニヤフさんの政権というのは、先ほどお話がありましたように、強硬派が多いということであります。それに対して、じゃ我々が何ができるのかといったら、基本的には国際的な世論をつくっていく、その世論によってある意味では圧力をかけていく、そういうことなんだろうというふうに思うのです。そういう意味では、私は、アメリカにも申し上げて、その影響力をもってこの問題について我が国が物を申していくということも、場合によってはあってもいいのじゃないかという思いもあるのです。  この間、イスラエル議員連盟のときに新進党の東議員が、イスラエルにとって最も頼れる国はどこですかという質問をしたのですね。当たり前の答えかもしれませんけれども、アメリカだという話でありました。これだけ日米関係緊密ですから、アメリカを活用して影響力を行使するということも考えてもいいだろうというふうに思いますけれども、その点については、一言で結構ですから、いかがですか。
  54. 池田行彦

    池田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、私どもも、中東和平進展のためにも、日本として発言してきております。  昨年の八月、私が参りましたときは、ちょうどその五月の選挙でイスラエルが政権がかわりました。そして、アメリカもなかなか入っていけない、話ができない。それから、ヨーロッパの諸国も、いろいろとトライはしたけれども、話ができなかった。日本の場合には、歴史的あるいはその他の面で、欧米諸国に比べるとその関係は必ずしも深くもないかもしれないけれども、それだけにかえって日本の言葉には耳を傾けてくれる、これはアラブの側も、またイスラエルも。  そういうこともございまして、私が行くということについては双方が歓迎してくれたというので行きまして、アラブの言い分も十分イスラエルに伝え、そして一方においてアラブの諸国に対しては、イスラエルの方もああいった政変があり、閣内も非常に難しいところもあるわけだから、やはりペーシャンス、もう少し我慢をするようにということも言ってきたわけでございます。  それから、アメリカ等の国と協調するというのは当然でございまして、御承知のとおりその後、九月だったと思いますが、アラファト議長が来られまして、そのときもいろいろ話をしました。せっかくあのときも和平プロセスが進むかと思ったのに、またなかなか進まないんだという話もございまして、アメリカにもという話がありましたからあえて申しますけれども、私もすぐクリストファーさんにも電話をして、いろいろ働きかけをしたわけでございまして、日本外務省も決して遊んでいるわけじゃないということをもう一度言わせていただきます。
  55. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私は、中東での日本というのはフェアなプレーヤーだと思っているのですよ。フェアなプレーヤーだけに、中東からも評価されていると思っているのです。ですから、あえて政治的にももっと発言をしてもいいのじゃないかという思いで申し上げているわけであります。  その意味でつけ加えれば、今、多国間協議をやっておりますよね。多国間協議に作業部会が五つある。環境だとか、五つある。その中で、我が国は環境の議長を務めて、胸を張っているわけでありますけれども、私は、軍備管理の面なんかでも発言をもっとしていっていいのではないか。つまり、例えば我が国らしい発言、国防予算の透明化とか、あるいは軍事関係者の交流とか、いわばより幅の広い信頼醸成という観点から、発言をしていってもよいのではないかという思いがあります。  何か軍備管理の部会は、聞くところによると一年ぐらい開かれていないということでありますけれども、これから開かれるに当たっては、そのようなことも念頭に置いて発言をされるべきではないかというふうに思っておりますが、一言いかがでありましょうか。
  56. 池田行彦

    池田国務大臣 多国間協議におきましても、おっしゃいますように環境の問題では、我が国、共同議長といいましょうか、中心的な役割を果たしておるわけでございます。そしてまた、軍備管理の問題につきましても、私ども日本の立場としてなすべき貢献はしてきているつもりでございます。  御承知のとおり、この作業部会は米ロが共同議長をやっておるわけでございますが、例えば、我が国といたしましては、軍備登録制度、これは国連でも日本が提唱いたしましたが、そういったことをこの多国間協議の作業部会でも提唱している、こういうこともございます。こういった場でも、いろいろ我が国らしい対応はしてまいるつもりでございます。
  57. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 中東開銀そのものについて入れませんから、今の軍備管理の面、私はそれは国連の登録制度の問題だと思うのですけれども、もっともっと発言する内容はあると思っていますので、ぜひ検討していただきたいなというふうに思います。  この中東開銀の問題でありますけれども、これはダブりますから余り申し上げにくいのでありますが、やはりこの銀行は私は大事だとは思うのですが、欠点があることは否めないなどいう思いも一方であります。  それは、域外にも域内にも、特に域外の場合は主要国でありますけれども、参加しない国があるという先ほどの御指摘もございました。あるいは、世銀とアフリカ開発銀行との重複性、よく言えば相乗り、役割分担という話になるわけでありますけれども、このことについて、やはりこれからの課題として、特に他の国の参加を促すためにも、より効率的な運営ができるように、出資比率二位の日本でありますから、しっかりとリーダーシップというか積極的な役割を果たしていただきたいなというふうに思います。これはいろいろ質問しようと思っていましたが、ダブりますから質問することをやめたいと思います。  それともう一点、アメリカは、もしこれに加盟したと仮定をした場合、イスラエルに対して多大な援助をアメリカが行っているわけでありますけれども、大変財政事情が厳しいということで、この銀行設立によってアメリカはイスラエルへの援助を圧縮させたいという思いがあるのではないかというふうに私自身は推測をするわけでありますけれども我が国は、この銀行設立によってこれまでの域内の加盟国向けの援助を見直していくというか、改めて整理するつもりがあるのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  58. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 今おっしゃいました我が国の域内国に対します二国間の援助はいろいろな形で実施しておりますけれども先ほど御説明いたしましたように、この開発銀行一つのメーンの対象は、民間企業の活性化といいますか、そういったものに融資をしてやっていくということでございます。  我が国の場合には、通常の場合には相手政府をやっておりますけれども、そういった中東開銀の特徴を生かしながら、我が国援助とも、どうやってうまく効率を上げていくかということは念頭に置きながら実施していきたいと思っておりますけれども、この銀行が発足したからバイの援助をどうするということは直接は関係がございません。
  59. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 もう時間ですから終わりますが、ちなみに最後に一点だけ。そうすると、これから決めていくんだろうと思いますけれども、この銀行は民間中心でと考えていいんですか。そうすると、パレスチナのインフラ整備なんかは基本的には眼中に入っていないというふうに考えていいんですか。
  60. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 失礼いたしました。民間の企業にということは一つの特徴でございますけれども地域性のある経済インフラに対しても協力はしてまいります。
  61. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 終わります。
  62. 逢沢一郎

    逢沢委員長 以上で玄葉光一郎君の質問は終わりました。  次に、松本善明君。
  63. 松本善明

    松本(善)委員 私は、中東和平を進めるための銀行設立するというのでありますならば、国連憲章が明記をしております自決権の尊重それから平等互恵、内政不干渉という国際関係の重要な原則を基礎にすべきものであろう。この中東北アフリカ経済協力開発銀行は、この最も重要な民族自決権の尊重という点で大きな問題があるのではないか。  具体的にお聞きをしますが、協定の第十条の(b)で言います「市場指向型経済並びに民間及び企業家の自発的活動を着実に推進する」ということが金融業務を実施するいわば条件になっていますが、この市場指向型経済というのは資本主義経済のことを言うのでしょうか。また、「民間及び企業家」という中には多国籍企業も含むのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  64. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 本銀行は、中東北アフリカ地域の各国がみずからの意思で推進しております市場経済化を側面から支援するものということでございまして、これらの意思に反しての市場経済化を義務づけるものではございません。  市場指向型経済と申しますのは、生産手段の私有性、資源配分に関する意思決定の分権性等の市場経済の基本原則を基礎とする経済体制、またはそのような基本原則が優勢となっているような経済体制を意味していると理解しております。(松本(善)委員「多国籍企業は」と呼ぶ)多国籍企業も入ります。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
  65. 松本善明

    松本(善)委員 市場指向型経済の推進ということでいいますならば、一九七四年十二月の第二十九回国連総会で採択をされました諸国家の経済権利義務憲章の第二章第一条は、「経済社会体制を自由に選択する権利」を次のように規定をしております。「いかなる国家も、どのような形であれ、外部からの干渉、強制及び強迫を受けることなく、その国民の意思に従い、その政治的、社会的及び文化的のみならず経済的体制を選択する主権的かつ不可譲の権利を有する。」この十条を今御説明がありましたけれども、これは金融業務の実施の対象となるのは市場指向型の経済を推進する加盟者としている。市場指向型経済を推進しない国には融資もしないということになる。  そうすると、この国連総会の諸国家の経済権利義務憲章第二章第一条の規定に沿わないということになるのではないか。今みずからの意思で選択するというふうに言われましたが、この第二章第一条の規定との関係ではどうなりますか。これは完全にこのとおりになるのでしょうか。
  66. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 先ほど申し上げましたように、みずからの意思で推進している市場経済化を側面から支援するということでございまして、義務づけるものではございません。みずからの意思で推進している市場経済化を側面から支援すると先ほど申し上げました。  本協定についても、中東・アフリカ地域を含む加盟予定者全体の合意のもとに成立したものでありまして、また各加盟予定者はみずからの意思で加盟を行うものであります。そもそも各加盟予定者に特定の体制を押しつけるというものではございません。
  67. 松本善明

    松本(善)委員 そういうことを聞いているのではなくて、域内加盟者らの国内で市場指向型経済ではない、この銀行の方で、別の経済体制を選択するんだというふうに決めた場合は、融資をしないということになるのではありませんか。
  68. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 ちょっと繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、この開発銀行に加盟するということは、市場経済化を進めていく、そういうことで加盟したいということで加盟してくるわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
  69. 松本善明

    松本(善)委員 だから私の言いますのは、今それであってもそれぞれの国がいろいろな体制を選択をするということは自由なわけですよ。銀行の 方でこれは市場指向型経済でないというふうに考えたら、融資をしないということになるのではないかということについては、先ほど来答えがないのですよね。いかがですか。
  70. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 先ほど申し上げましたが、市場経済化を側面から支援するということで融資をしてまいりますので、融資を申請してまいりますときに、その辺を判断して融資の可否を決めていくということになると思います。
  71. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、やはりそういう点では加盟国の権利に抵触するということが起こり得ると思いますね。「民間及び企業家の自発的活動を着実に推進する」という点ですが、これは多国籍企業が含まれているということを先ほど述べましたけれども、これは結局、多国籍企業の活動の自由を保障せよということになりませんか。
  72. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 その多国籍企業の受け入れ国のその方針に従ってやっていくということになろうと思います。
  73. 松本善明

    松本(善)委員 もうちょっとはっきりしてほしいな。ちょっとその答弁がはっきりしないのだが。「民間及び企業家の自発的活動を着実に推進する」ということが融資の条件になっているわけですが、これは多国籍企業の活動の自由を保障するということになりませんかというのです。  もうちょっと具体的に聞きましょう。一九七四年五月一日の国連特別総会でコンセンサスで採択をされました、新国際経済秩序の樹立に関する宣言との関係です。宣言の四は、「新国際経済秩序は、次の諸原則を完全に尊重することをその基礎とする」と述べて、(g)で、「多国籍企業が、受け入れ国の完全な主権のもとに活動するため、受け入れ国の国民経済の利益となる措置をとることによる国会業活動の規制及び監視」というのを入れています。だから、多国籍企業の活動をその国が規制をするということを決めた場合に、この宣言に、十条に沿わないということで融資をしないということが起こるのではないか。それはどうでしょう。
  74. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほどからの委員のいろいろな御論議でございますけれども、これは、この銀行の性格から申しまして、アフリカ開発銀行などと違いまして、どちらかというと、民間がいろいろ活動をする、それに対して貸し付けであるとかあるいは投資という形でやっていこうというのがその業務の主体になっているものでございますから、そういった意味で、市場経済であるとかあるいは民間企業家というふうな条文が入っているのだと私は理解しております。  また、その市場経済云々の点につきまして、先ほど、これは資本主義経済意味するのかという御指摘がございましたけれども委員も御承知のとおり、かつては、市場経済というのはすなわち資本主義だとか、社会主義というのは計画経済だというふうに、非常にきついリンケージで物事が理解されたこともございますが、最近におきましては、政治形態はいろいろであっても、経済については市場経済を目指すという国が随分出てきているのだと思います。そういった意味で、この市場経済というのは、非常に伝統的な意味での資本主義だどうだということと直接結びつけて御理解いただくのは、必ずしも適切ではないのかな、こう思います。  もとより、こう書きましたからといいまして、完全な統制経済といいましょうか、すべての経済活動を国家機関で行うという国柄はあるかもしれませんけれども、そういった場合にはこのプロセスは、この銀行はあるいは使えないかもしれませんけれども、そういったものにつきましても、いろいろな観点から国際社会として対応することが必要だという判断があれば、それはまたそういった機関があるのだと思うわけでございます。  それから、多国籍企業についていろいろ御議論がございましたが、この点につきましても、この条文自体が、特に多国籍企業の行動なりなんなりを助長しようとか、あるいはその自由を特に確保していこうという意図があるわけではございませんで、先ほども申しましたように、民間企業の活動に対して融資だとかあるいは直接投資ということで支援していこうという形になっている、そうしてその対象としては、いわゆる多国籍企業と言われるような、国境をまたいだいろいろな活動をしている企業体も排除されないのだということでございまして、必ずしもこの規定があるから、多国籍企業に関する、先ほど指摘の国連における憲章、宣言でございましたか、決議でございましたか、それと抵触するような動きにつながってくるとは私は思わない次第でございます。
  75. 松本善明

    松本(善)委員 大臣の御説明でも、やはりこの条項がありますと、例えば、今国家統制という極端な例をお挙げになりました。ただ、中国の経済をどういうふうに見るかということもいろいろあると思います。その国が、銀行側から見て、これは市場経済を指向しない、あるいは、多国籍企業に対する規制というのははっきり新国際経済秩序であるわけですから、それを規制をしたという場合には融資をしないということになりますと、これはやはり自決の権利を侵害するということになるのではないか。  それも含めてお答えをいただきたいのでありますが、今、中東、アフリカなどで、やはり外国の資金を当てにせざるを得ない状況にある諸国がたくさんあると思うのですね。その諸国が、特定の経済制度や進路が押しつけられる、あるいは多国籍企業活動の自由保障を条件にするというようなことになると、やはり弱みにつけ込むというようなことになりはしないだろうか。経済協力というなら、札束でほおをたたくようなことをやるのではなくて、やはり国連憲章が明記をした自決権の尊重ということを基礎にすべきではないかというふうに思うのです。その点、外務大臣はどうお考えになるか。  また、民族自決権を認めているというふうに大臣が言われるのならば、この十条の融資条件的条項の発動をやめるように政府がこの銀行の総務会などで主張すべきだ、日本政府はそういう主張をすべきだと思いますけれども、そういうことについてはどのようにお考えになっておられるでしょう。
  76. 池田行彦

    池田国務大臣 自決権との関係で申しますと、いかなる政治体制をとるか、あるいはいかなる経済の仕組みをとるかということは、やはりその国々で判断されるべき話だと思います。それをどうこうということではないと思います。  そして、二番目に委員指摘の中で、この地域でいろいろ経済的な支援を必要としている国には、必ずしもこういった市場経済指向云々ではないところもあり得るではないかというお話がございましたけれども、そういったことにつきましても、二国間のいろいろな経済的な協力、あるいは多国間の経済的な協力につきましても、国を対象としてそういった協力なり援助なりする枠組みもたくさんあるわけでございます。むしろそちらの方が多いのではないか、こう思います。そういったものに加えまして、主として民間活動を対象にしながらやっていく、例えば世銀グループの中でのIFCみたいなものもある。  そういったことを考えますと、この中東北アフリカ地域を対象とするこういった枠組みの中で、市場経済のやり方、その中での民間の活動に対して支援する銀行があったからといって、必ずしも全体として自決権に抵触するとかなんとかということは御心配なさる必要がないのではないのかというふうに私は思うのでございます。いろいろな機関がある、それがそれぞれの特色に応じて必要な協力をしていくということではないかと思います。
  77. 松本善明

    松本(善)委員 これは、この銀行設立について、欧州諸国はアメリカとイスラエル枢軸の影を感じて疑心暗鬼になっているという見方もあります。また、水源確保のためのプロジェクトなどが具体的に進むことになるでしょうけれども、こうした実際の開発計画や復興プロジェクトがアメリカとイスラエルに牛耳られるのではないか、そういう懸念もあります。  私は、外務大臣外務省の説明では、やはりこ の規定が民族自決権や、あるいは多国籍企業に対する規制をその国がするのを排除するといいますか、それについての懸念がなくなったと思いません。実際にそういう懸念が出ているわけですね。その点についてどうかということと、先ほどお答えにならなかった、日本政府としては、融資をしないというようなことが起こった場合に、それは違う、それはその国の自由にすべきだということを主張するという考え方で臨むのかどうか。
  78. 池田行彦

    池田国務大臣 今委員がおっしゃるような懸念、つまり米国とイスラエルの利益のみを行使してその他の国にとっては役に立たないものになるのじゃないかという、もしそういった懸念されるような方向にこの機関が動くとするならば、これはそもそもこの地域で多くの国から歓迎されるということにならないのだと思いますね。そういうことになりますならば、この銀行そのものも十分に役割を果たすことができないのだと思います。  同じ十条第一項にございますように、和平プロセスを進めるためにということも書いてあるわけでございますね。その和平プロセスを進めるということを考えるならば、それはイスラエルだけではなくてアラブ諸国経済的な安定のためにも働いていくということは当然でございますし、そのことは米国も、またイスラエルも求めておるのだと思います。  私ども、イスラエルのネタニヤフ首相あるいはレビ外相なんかと話し合いをする中でも、例えば日本がパレスチナに対して行っている経済協力につきましては、これはやはりパレスチナの民生の安定につながり、そのことがあの地域和平プロセス進展するために役に立つのだとイスラエルも評価しているわけでございます。そういった全般的な雰囲気を考えますと、今おっしゃるような御懸念は御放念いただいてもいいのじゃないかと思います。  それからまた、日本がどういうふうに対応するかという点でございますけれども日本もやはり、このことが中東和平プロセス経済の面からいわば支援していく、下支えしていくことになり、そしてこの地域の安定と発展に大きな役割を果たすという観点から、この銀行の運営に参画してまいりたいと思いますし、そのためにも、かなりの大株主になるわけでございますから、そういう力を使ってまいりたいと考える次第でございます。
  79. 松本善明

    松本(善)委員 そういう御説明にもかかわらず、私は、規定上はそういうふうに懸念を持つようになっていると思いますし、銀行運営でも中東北アフリカ域内加盟者が影響力を持つというのは、銀行のシステムからしてもないように思われます。  域内加盟者から成る経済協力フォーラムが設置されますが、第八条の(e)では、銀行の他の機関に対していかなる権限も有しないことがわざわざ明記されております。  一方、投票権は応募株式数に比例することになっていますので、応募株式数では大きな割合を占めるアメリカが一国で二一%、域内加盟者の株式応募割合はイスラエルを含めても二二%、イスラエルを除けば一八%ですから、アメリカの言い分に域内加盟者では対抗できませんし、アメリカ、イスラエルが一体になればもう圧倒的に、到底対抗できない。これは金融業務を実施する上で公正、平等が保たれないのじゃないか。  外務大臣、いろいろ言われますけれども、実際の規定上はそういうふうになっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  80. 畠中篤

    畠中(篤)政府委員 経済協力フォーラムは、域内加盟者が自由な立場から討議、対話等を行うことによりまして地域的な経済協力を促進すること等を目的として設置されるわけでございますけれども理事会経済協力フォーラムとの間で相互の活動に関する情報交換をすることによって密接な連携が期待されます。ただ、この意思決定機関といたしましては、総務会及び理事会が設置されておりまして、これによって銀行が運営されていくということになります。
  81. 松本善明

    松本(善)委員 疑問は解消しませんけれども、時間になりましたので終わります。
  82. 福田康夫

    ○福田委員長代理 濱田健一君。
  83. 濱田健一

    濱田(健)委員 今回論議されております銀行設立というものが中東和平プロセスを下支えするということは、当然のことだというふうに思います。日本にとってそのことが中東原油の安定的な供給という国益にもつながるということも、当然みんなが理解しているところでございます。  我が国の輸入原油、昨年の末には中東から八〇%以上を輸入しているという状況でございます。アジア諸国も高度経済成長という時期に差しかかってまいりまして、非常に大きく依存度を高めているということが言えると思うのですね。予測されるところによると、二〇一〇年には九〇%以上依存するのではないかというようなことも言われているところでございます。そういう意味では、当然のごとく、中東産油国との友好関係というものを取り結んでおく必要は、これまで以上の御努力にプラスアルファが必要だというふうに思っているところです。  この地域の若い皆さんは非常に働く場所を求めていらっしゃるということを含めて、日本の国がいわゆる投資の中身というものも十分考えてあげなくてはならない。そういう意味では、ことしの秋にドーハで開催される予定の中東北アフリカ経済サミットではそういう中身も論議をしていただかなくてはならないのじゃないかというふうに思うわけです。  それで、先ほどからお話が出ております、いわゆる民間の活動にこの銀行はいろいろな援助をしていくのだということでございますが、そういう部分に政府としても、直接投資を含めていろいろなバックアップというものをより進めていただくことが必要だというふうに思うのですが、そのあたりの政策を、もう少しありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  84. 池田行彦

    池田国務大臣 私ども、この中東地域の安定あるいは発展協力していくといった場合に、いろいろな分野があると思います。  その一つは政治的なプロセスでございますね。和平プロセス進展日本なりの貢献、協力をしていくということでございます。  それから、経済面におきましても、まずODAの世界での協力というものもございます。また、そのほかに、今回のこのような多国籍のリージョナルな機関を通じてその地域の民間活動を支援していくというやり方もございます。さらに、我が国民間部門が直接投資をしていく、あるいはこの地域の国々の産品を我が国で輸入する、いろいろな形での協力があるのだと思います。そういった面につきまして、我々は政府としてできることはやってまいりたいと思っております。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕  私どもも、この中東あるいは北アフリカ諸国と話をしておりますと、ODAに対する希望も非常に多うございますけれども、直接投資あるいはマーケットアクセスの改善という要望も非常に強うございます。  昨年私が参りましたときも、各国の首脳からいろいろそんな話もあったわけでございますけれども、それに対して私が申しましたのは、やはり直接投資をするかしないかは、個別企業のそろばん勘定に基づいた判断であるということを言いまして、ムバラク・エジプト大統領に対しては、日本にはこういうことわざがあるのだ、馬を水際まで引っ張っていくことはできるけれども、水を無理やり飲ますわけにいかない、そういった意味では、ナイルの水をいかにおいしくするかということが、つまりは投資環境を整えるということが民間からの直接投資につながるのだというお話をしたわけでございます。  そういった投資環境を整えるという意味では、例えば我が国がODAでインフラを整備するとか、いろいろなこともあるのだと思います。あるいは貿易保険なんかの仕組みをどう使うかということもあるのだと思います。そういったもろもろの手段、手法というものを使いまして、この地域 の安定なり発展我が国として協力をしてまいりたい。その一環としてこの中東開発銀行役割を果たすのではないかと考えている次第でございます。
  85. 濱田健一

    濱田(健)委員 そういう観点でのバックアップをより強力に進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  関連してですが、産油国はいわゆる原油価格の低迷ということで、国内のインフラ整備をいろいろやろうと思っていらっしゃるのだけれども、進まないという状況もございます。石油に関する安全保障という意味で、日本はこれまでの努力以上に無償援助とかソフトローンとか、先ほどのODAの関係が国内ではいろいろ取りざたされているということも念頭に入れながら、そういうものも対応していかなくてはならないというふうに思うのですが、これらに対する新たな展望を持った施策、そういうものは考えていらっしゃいますか。
  86. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、私どももODAも含めてこの地域の安定、発展努力していきたいと思います。そのことが、狭い意味で申しましても、石油の確保という我が国の国としての利益にもかなうということも、当然念頭に入れているわけでございます。  それと同時に、一方におきまして、今委員も御指摘になりました、先ほど来いろいろ御指摘ございますように、我が国のODAのあり方というものも考えなくてはいけない。とりわけこれだけの財政の厳しい状態でございますから、我々としてその効率的な運用に一層努力をしてまいりたい、こう思っております。  それと同時に、先ほど申しましたように、開発途上国に対する協力というのもODAだけではない。マーケットアクセスだとかあるいは直接投資であるとか、あるいはODA以外のいろいろな資金のフローであるとか、いろいろなことができるわけでございますから、そういうのを組み合わせていってまいりたいと思います。  それからまた、これまでのODAの国別あるいは地域別の配分を見ましても、この国は大株主だとかあるいは大口のODAの供与先だということで、いわばそれが何となく当たり前のように見られているところもありますけれども我が国のODAなんかによりましてだんだんと経済発展してきた国などはだんだんほかの手法を、民間の資金、直接投資をもって充てるとか、あるいはこれも日本のさらなる金融面での規制緩和が必要なのでございますが、東京マーケットがもっともっと機能するようになれば、その国の企業なり国なりが東京マーケットで資金調達するとか、いろいろなことを考えながら、我が国としてそれぞれの国に最も適切な協力をしていくという方策をこれから考えてまいらなければいけないのではないか、こう思っている次第でございます。
  87. 濱田健一

    濱田(健)委員 お金の問題もそうなのですが、やはり日本の技術力、そして人材、これらの協力をどんどん推し進めていくことがこれから大事だというふうに思うのでございます。  例えば、石油精製技術の共同研究だとか油による汚染土壌の改良だとか大規模な緑化と水のリサイクル、こういうものなんかも考えられると思うのですが、日本の進んだハイテク技術等々含めた技術協力や、人材養成の協力についての施策というものは、いかがなものでしょうか。
  88. 池田行彦

    池田国務大臣 政府といたしましても、当然のこととして、これまでJICAその他の機関を通じての技術協力は進めておるわけでございます。しかも、そういった技術協力は、単にバイだけではなくて、最近は南南協力なんというのもございますけれども、いろいろな手法を組み立ててまいりたいと思いますし、また、UNDPその他の国際機関を通ずる技術協力も推進していくべきものと考えております。  それだけではなくて、ただいま委員指摘の中には、狭義の技術協力だけではなくて、例えば先端技術なんかの技術移転がスムーズに起こるようなこともという意味合いも含まれておるのかと考えますけれども、そういった点につきましても、これからいろいろな面でそういったことが進むように考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
  89. 濱田健一

    濱田(健)委員 協定から外れますが、社会民主党は先週四日間、中国に行ってまいりました。党間、党対党の交流ということで行ってまいりましたが、江沢民国家主席初め多くの旧来からの、ある意味では友人といいますか、いろいろなお話をしてきたわけなのです。  当然大臣も日中国交正常化二十五周年ということで中国に行かれることになると思うのですが、中国の思いというものも、とにかく東アジアの安定という言葉をよく使われました。これは、世界の安定ということを局部的には東アジアというふうに江沢民さんも使われたと思うのですけれども、この二十五周年に当たってどのような友好関係を結んでいかれようとするのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  90. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、ことしは国交回復二十五周年でございますし、明年は平和友好条約締結二十周年といった大切な節目の年に当たっているわけでございます。  そして、一方におきまして、中国の方も今、江沢民総書記を中心にいたしまして、改革・開放の路線をきちんと進めていこう、こうしておりますし、国際社会、とりわけアジア太平洋地域での存在、そしてまたそれの持つ影響力、そして果たさなければいけない役割というものもいよいよ大きくなってきているところでございます。そして、一方におきまして、最近我が国においても、また中国においても、日中の関係に対する見方が必ずしもいいばかりではございません。  そういった心配の種もあるわけでございますけれども、しかし大きく考えますと、やはり今言ったような大きな役割を期待される中国、そして日本というものがしっかりと友好のきずなを結び、固め、その上に立って、両国関係はもとよりのこと、このアジア地域を中心とする国際社会全体のためにどういうふうにひとつ協力していくかということがやはり二十一世紀の世界を左右する、こう思うのでございます。  そういった認識は、日本も中国も、そしてその国民も、根底のおなかの底の部分では持っていただいているのだと思いますので、そのことを大切にして、政府といたしましては、ことしを日中友好関係をしっかりと固めて発展させていくための大きな意味のある年にしてまいりたいと思っております。  その中におきまして、国会のお許しをちょうだいできるならば、私もなるべく早い時期に中国を訪問して、銭其探副首相兼外務大臣初め向こうの方々といろいろ、両国関係あるいは今申しました国際問題につきましても意見の交換をし、また、いろいろな作業も進めてまいりたいと考えておりますし、また、そういったことも踏まえまして、将来に向かってはさらに高いレベル、首脳レベルの相互訪問ということも実現していきたいなと思っております。  それと同時に、最近、御党も含めまして各党におかれまして、日中の関係を促進するための動きというものが活発になっているといいましょうか、再活性化している、こういうふうに思われるわけでございますが、政府といたしましても、こういった議員交流というものも両国関係を維持、増進する上で大変重要であると考えておりまして、また高く評価させていただいておる次第でございます。  そういった意味で、政府はもとよりでございますが、両国民のあらゆるレベルでの交流というものを、両国が国際社会で担っている役割というものを十分認識しながら進めてまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  91. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。  大臣が今、日中の関係がいろいろあるとおっしゃいました。江沢民総書記は、去年の橋本総理とのマニラでの対談が、非常にお互いのより前進した国の関係に役立ったというふうに高い評価をされておられました。  それで、最後の質問なんですが、去年の中国の地下核実験を含めて、無償援助の方が、人道的な部分は継続されているのですが、ほかの部分でまだとまったままだということは、中国側も非常にどうにかならないかなというようなニュアンスの話も出ているようでございますし、各党もそろそろどうにか考えなくてはならない時期に来ているのじゃないかというような話も出ているようでございますが、この辺の外務省としてのお考え方をお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  92. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもといたしましても、この問題、大切に考えておりまして、目下再開に向けての準備作業を進めているところでございまして、具体的なタイミングをどうするか、今真剣に考えているところでございます。
  93. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。
  94. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  95. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
  96. 松本善明

    松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、中東北アフリカ経済協力開発銀行設立する協定に対する反対討論を行います。  中東和平のために経済協力を行う場合、国連憲章が明記する自決権を基礎としなければならないことは言うまでもありません。しかし、提案された銀行の融資は、質疑の中でも明らかにしましたが、市場指向型経済という特定の制度の推進と、事実上、多国籍企業の自由な活動を保障することを条件としております。これは、どのような経済制度、進路を選ぶかはその国の国民が決めるという民族自決権に明らかに反したものであります。  また、この協定第十条の規定は、国連憲章が明記したこの自決権をさらに具体化した一九七四年の国連特別総会決議、新国際経済秩序の樹立に関する宣言や、同年十二月の国連総会決議、諸国家の経済権利義務憲章、発展途上国が期待し、将来を展望したこの画期的な新国際経済秩序確立の意義を空文にするものでもあります。  中東北アフリカ諸国の民族自決権、経済主権を侵害したままでは真の経済協力とならないことを強く指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
  97. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  98. 逢沢一郎

    逢沢委員長 採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  99. 逢沢一郎

    逢沢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 逢沢一郎

    逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  101. 逢沢一郎

    逢沢委員長 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣池田行彦君。     ―――――――――――――  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  102. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について説明いたします。  改正の第一は、国際民間航空機関日本政府代表部の兼館としての新設、在コタ・キナバル日本国領事館の総領事館への種類変更並びに在ホラムシャハル及び在プレトリアの各日本国総領事館の廃止を行うことであります。  改正の第二は、以上の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額の設定・削除を行うことであります。  改正の第三は、在ボンベイ及び在マドラスの各日本国総領事館の名称等の変更並びに在香港日本国総領事館の位置の国名等の変更を行うことであります。  なお、本法案は、在ボンベイ及び在マドラスの各日本国総領事館の名称変更については、インド政府よりの要請もあり、また、在コタ・キナバル日本国領事館の種類変更についても、法律成立後に行う先方政府との協議その他の諸準備に相当の時間を要しますことから、できるだけ速やかな法改正が必要であります。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
  103. 逢沢一郎

    逢沢委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  次回は、来る二十一日金曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十六分散会      ――――◇―――――